(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122918
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】異常速度判定装置、異常速度判定方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G01S 19/52 20100101AFI20240902BHJP
【FI】
G01S19/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024027069
(22)【出願日】2024-02-27
(31)【優先権主張番号】P 2023029505
(32)【優先日】2023-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 圭
(72)【発明者】
【氏名】横山 文彦
(72)【発明者】
【氏名】松岡 智浩
(72)【発明者】
【氏名】大竹 幸人
(72)【発明者】
【氏名】井端 佑斗
(72)【発明者】
【氏名】杉田 康夫
(72)【発明者】
【氏名】口ノ町 剛
(72)【発明者】
【氏名】片瀬 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】松本 勝典
(72)【発明者】
【氏名】梅園 卓
(72)【発明者】
【氏名】片岡 正美
(72)【発明者】
【氏名】西村 丈瑠
(72)【発明者】
【氏名】林 博
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062AA12
5J062BB01
5J062CC07
(57)【要約】
【課題】GPSデータが取得されている場合に算出される異常速度を適切に判定すること。
【解決手段】異常速度判定装置20は、GPSデータを取得する速度情報取得部22と、速度情報取得部22によって取得した速度データを一時的に保存するメモリ23と、メモリ23に保存した速度データから、異常速度を判定する判定部28と、異常速度を判定するための設定値を記憶する設定情報記憶部11と、を備え、判定部28は、メモリ23に保存した速度データのうち、所定時点の前後の少なくともどちらかの期間の速度データから、設定値に基づいて、所定時点の速度が異常速度であると判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の衛星から受信したデータによる位置情報に基づいて算出された速度を示す速度データを取得する速度情報取得部と、
前記速度情報取得部によって取得した速度データを一時的に保存する速度データ保存部と、
前記速度データ保存部に保存した速度データから、異常速度を判定する判定部と、
前記異常速度を判定するための設定値を記憶する設定情報記憶部と、
を備え、
前記判定部は、前記速度データ保存部に保存した速度データのうち、所定時点の前後の少なくともどちらかの期間の速度データから、設定値に基づいて、所定時点の速度が異常速度であると判定する、
異常速度判定装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記速度データ保存部に保存した速度データから、前記所定時点より前において、無効値が第一期間継続して検出された場合であって、前記第一期間より後の第二期間の加速度の標準偏差が標準偏差閾値未満である場合、前記所定時点の速度は正常速度であると判定し、標準偏差閾値以上である場合、前記所定時点の速度はGPS取得可能時の異常速度であると判定する、
請求項1に記載の異常速度判定装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記速度データ保存部に保存した速度データから、前記所定時点より前において、無効値が第一期間継続して検出されていない場合であって、前記第一期間より後の所定時点前の第三期間の速度と、所定時点後の第四期間の速度とが無効値である場合、前記所定時点の速度はGPS取得可能時の異常速度であると判定する、
請求項1に記載の異常速度判定装置。
【請求項4】
複数の衛星から受信したデータによる位置情報に基づいて算出された速度を示す速度データを取得する速度情報取得ステップと、
前記速度情報取得ステップにおいて取得された速度データを一時的に速度データ保存部に保存する速度データ保存ステップと、
前記速度データ保存部に保存した速度データから、異常速度を判定する判定ステップと、
前記異常速度を判定するための設定値を記憶する設定情報記憶ステップと、
を含み、
前記判定ステップは、前記速度データ保存部に保存した速度データのうち、所定時点の前後の少なくともどちらかの期間の速度データから、設定値に基づいて、所定時点の速度が異常速度であると判定する、
異常速度判定方法。
【請求項5】
複数の衛星から受信したデータによる位置情報に基づいて算出された速度を示す速度データを取得する速度情報取得ステップと、
前記速度情報取得ステップにおいて取得された速度データを一時的に速度データ保存部に保存する速度データ保存ステップと、
前記速度データ保存部に保存した速度データから、異常速度を判定する判定ステップと、
前記異常速度を判定するための設定値を記憶する設定情報記憶ステップと、
を含み、
前記判定ステップは、前記速度データ保存部に保存した速度データのうち、所定時点の前後の少なくともどちらかの期間の速度データから、設定値に基づいて、所定時点の速度が異常速度であると判定する、
ことを異常速度判定装置として動作するコンピュータが実行するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常速度判定装置、異常速度判定方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
GPS(Global Positioning System)による車速データと加速度センサによる車速データとより、速度情報を補正する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の技術は、いわゆる車両用のドライブレコーダーが記録した時系列記録データから、交通事故などの解析に役立つ情報を表示画面上などに出力するための装置に適用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
GPSデータに基づいて算出された速度データは、例えば、運転の安全性を評価することなど各種評価などに用いられる。これらの各種評価は、速度データのうち異常速度を除外して行うことが望まれる。異常速度には、GPSデータが取得できないことに起因する異常速度と、GPSデータが取得されている場合に算出される異常速度とがある。GPSデータが取得できないことに起因する異常速度は、判定方法が公知である。GPSデータが取得されている場合に算出される異常速度を適切に判定することが望まれる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、GPSデータが取得されている場合に算出される異常速度を適切に判定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る異常速度判定装置は、複数の衛星から受信したデータによる位置情報に基づいて算出された速度を示す速度データを取得する速度情報取得部と、前記速度情報取得部によって取得した速度データを一時的に保存する速度データ保存部と、前記速度データ保存部に保存した速度データから、異常速度を判定する判定部と、前記異常速度を判定するための設定値を記憶する設定情報記憶部と、を備え、前記判定部は、前記速度データ保存部に保存した速度データのうち、所定時点の前後の少なくともどちらかの期間の速度データから、設定値に基づいて、所定時点の速度が異常速度であると判定する。
【0007】
本発明に係る異常速度判定方法は、複数の衛星から受信したデータによる位置情報に基づいて算出された速度を示す速度データを取得する速度情報取得ステップと、前記速度情報取得ステップにおいて取得された速度データを一時的に速度データ保存部に保存する速度データ保存ステップと、前記速度データ保存部に保存した速度データから、異常速度を判定する判定ステップと、前記異常速度を判定するための設定値を記憶する設定情報記憶ステップと、を含み、前記判定ステップは、前記速度データ保存部に保存した速度データのうち、所定時点の前後の少なくともどちらかの期間の速度データから、設定値に基づいて、所定時点の速度が異常速度であると判定する。
【0008】
本発明に係るプログラムは、複数の衛星から受信したデータによる位置情報に基づいて算出された速度を示す速度データを取得する速度情報取得ステップと、前記速度情報取得ステップにおいて取得された速度データを一時的に速度データ保存部に保存する速度データ保存ステップと、前記速度データ保存部に保存した速度データから、異常速度を判定する判定ステップと、前記異常速度を判定するための設定値を記憶する設定情報記憶ステップと、を含み、前記判定ステップは、前記速度データ保存部に保存した速度データのうち、所定時点の前後の少なくともどちらかの期間の速度データから、設定値に基づいて、所定時点の速度が異常速度であると判定する、ことを異常速度判定装置として動作するコンピュータが実行する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、GPSデータが取得されている場合に算出される異常速度を適切に判定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る異常速度判定装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、異常速度判定方法を説明する図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る異常速度判定装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る異常速度判定装置、異常速度判定方法およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0012】
[実施形態]
図1は、実施形態に係る異常速度判定装置の構成例を示すブロック図である。
図2は、異常速度判定方法を説明する図である。異常速度判定システム1は、複数の衛星から受信したデータによる位置情報に基づいて算出された速度データが正常か異常かを判定する。本実施形態では、異常速度判定システム1は、GPSデータに基づいて算出された速度データが正常か異常かを判定するものとして説明する。
【0013】
(異常速度判定システム)
異常速度判定システム1は、設定情報記憶部11と、速度算出部12と、異常速度判定装置20とを有する。
【0014】
設定情報記憶部11は、異常速度を判定する異常速度判定機能の各種設定値を記憶する記憶装置である。設定情報記憶部11は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、または、メモリカードなどの記憶部である。
【0015】
異常速度判定機能の各種設定値は、例えば、異常速度判定機能のONまたはOFFを示す設定値である。各種設定値は、例えば、異常速度を判定する異常速度閾値を示す設定値である。異常速度閾値は、例えば、180km/hを初期設定値とする。各種設定値は、例えば、加速度の標準偏差閾値を示す設定値である。加速度の標準偏差閾値は、例えば、1m/s2を初期値とする。各種設定値は、例えば、加速度閾値を示す設定値である。加速度閾値は、例えば、0.4Gを初期値とする。各種設定値は、例えば、減速度閾値を示す設定値である。減速度閾値は、例えば、-1Gを初期値とする。異常速度判定機能の各種設定値は、車種に応じて変更可能である。異常速度判定機能の各種設定値は、例えば、ソフトウェアのアップデートなど、プログラム変更が可能である。
【0016】
速度算出部12は、複数の衛星から受信したデータによる位置情報に基づいて速度データを算出する。本実施形態では、速度算出部12は、GPSデータによる位置情報に基づいて、速度データを算出する。
【0017】
速度算出部12は、例えば、1秒前のGPSデータによる位置情報と、現在のGPSデータによる位置情報との直線距離から、1秒間あたり速度データとして算出する。
【0018】
さらに、速度算出部12によって算出された、現在の速度と1秒前の速度とから、加速度を算出可能である。
【0019】
さらにまた、算出された各時点の加速度から加速度の標準偏差が公式を用いて公知の方法により算出可能である。
【0020】
(異常速度判定装置)
異常速度判定装置20は、複数の衛星から受信したデータによる位置情報に基づいて速度算出部12によって算出された速度データが正常か異常かを判定する。異常速度判定装置20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などで構成された演算処理装置である。異常速度判定装置20は、例えば、車両用記録装置であるいわゆるドライブレコーダーなど、車両に搭載されたシステムが有する機能の1つとして実装されていてもよい。
【0021】
異常速度判定装置20は、設定情報取得部21と、速度情報取得部22と、メモリ(速度データ保存部)23と、判定部28と、出力制御部29とを備える。異常速度判定装置20は、図示しない記憶部に記憶されているプログラムをメモリにロードして、プログラムに含まれる命令を実行する。異常速度判定装置20には図示しない内部メモリが含まれ、内部メモリは異常速度判定装置20におけるデータの一時記憶などに用いられる。
【0022】
設定情報取得部21は、異常速度判定機能の各種設定値を取得する。より詳しくは、設定情報取得部21は、設定情報記憶部11から異常速度判定機能の各種設定値を取得する。
【0023】
速度情報取得部22は、速度情報である速度データを取得する。本実施形態では、速度情報取得部22は、速度算出部12において算出された速度を示す速度データを取得する。本実施形態では、速度データは1秒ごとに1つの速度を取得する。
【0024】
メモリ23は、異常速度判定装置20が備える内部メモリである。メモリ23は、速度情報取得部22が取得した一定時間分の速度データを、更新しながら一時的に保存するメモリである。本実施形態では、メモリ23は、例えば、最大20秒分の速度データを更新しながら保存する。
【0025】
判定部28は、速度データが正常か異常かを判定する異常速度判定処理を実行する。本実施形態では、判定部28は、GPSデータに基づいて算出された、速度データが正常か異常かを判定する。本実施形態では、判定部28は、1秒ごとの速度が正常か異常かを判定する。
【0026】
判定部28は、メモリ23に保存した速度データのうち、所定時点の前後の少なくともどちらかの期間の速度データから、設定値に基づいて、所定時点の速度が異常速度であると判定する。
【0027】
所定時点とは、異常速度を判定する対象となる時点である。
【0028】
判定部28は、異常速度判定処理を実行するための処理の一つとして5秒間分の速度データが最低限必要であるため、処理開始から待機時間経過後に、異常速度判定処理を開始する。本実施形態では、判定部28は、例えば、処理開始から待機時間である5秒経過後以降、異常速度判定処理を開始する。異常速度判定を行う前の速度を、判定待ち速度という。
図2では、判定待ち速度は、V5である。以下に、判定部28における異常速度判定処理の詳細を説明する。
【0029】
判定部28は、判定待ち速度が無効値であるか否かを判定する。無効値は、例えば、「-999」または「NULL(データなし)」など予め決められた値である。例えば、「-999」は、GPSデータによる位置情報(緯度・経度)が「0(ゼロ)」として取得された場合などに用いられる。例えば、「NULL(データなし)」は、GPSデータによる位置情報(緯度・経度)をLOSTしてしまった場合などに用いられる。上記のような場合に、判定待ち速度を無効値である「-999」または「NULL(データなし)」などにしておくことにより、処理の負荷を軽減可能である。判定部28は、判定待ち速度が無効値であると判定した場合、判定待ち速度を「GPS取得不可時の異常速度」であると判定する。判定部28は、判定待ち速度が無効値であると判定した場合、その判定待ち速度については以降の異常速度判定処理を実行しない。
【0030】
判定部28は、判定待ち速度が異常速度閾値以上であるか否かを判定する。本実施形態では、判定部28は、判定待ち速度が180km/h以上であるか否かを判定する。判定部28は、判定待ち速度が異常速度閾値以上であると判定する場合、判定待ち速度を「GPS取得可能時の異常速度」であると判定する。判定部28は、判定待ち速度が異常速度であると判定した場合、その判定待ち速度については以降の異常速度判定処理を実行しない。
【0031】
判定部28は、判定待ち速度より前のメモリ23の速度データにおいて無効値が第一期間以上継続したか否かを判定する。本実施形態では、第一期間は、例えば5秒間とする。
図2では、第一期間は、t0[Sec]からt4[Sec]までの期間である。判定部28は、V0からV4まで無効値が継続したか否かを判定する。
【0032】
判定部28は、判定待ち速度より前のメモリ23の速度データにおいて無効値が第一期間以上継続したと判定する場合、判定待ち速度より後の第二期間の加速度の標準偏差が標準偏差閾値未満であるか否かを判定する。本実施形態では、第二期間は、例えば5秒間とする。
図2では、第二期間は、t6[Sec]からt10[Sec]までの期間である。判定部28は、速度V6からV10までに対応する、加速度a6からa10までの標準偏差が標準偏差閾値未満であるか否かを判定する。判定部28は、第二期間の加速度の標準偏差が標準偏差閾値以上であると判定する場合、判定待ち速度を「GPS取得可能時の異常速度」であると判定する。判定部28は、判定待ち速度が異常速度であると判定した場合、その判定待ち速度については以降の異常速度判定処理を実行しない。判定部28は、第二期間の加速度の標準偏差が標準偏差閾値未満であると判定する場合、判定待ち速度を「正常速度」であると判定する。判定部28は、判定待ち速度が正常速度であると判定した場合、その判定待ち速度については以降の異常速度判定処理を実行しない。
【0033】
判定部28は、例えば、現在の速度データと1秒前の速度データとの差分から加速度を算出する。判定部28は、例えば、速度が無効値であるなど、加速度が算出できない場合、加速度を0とする。
【0034】
判定部28は、判定待ち速度より前のメモリ23の速度データにおいて無効値が第一期間以上継続したと判定しない場合、判定待ち速度の前の第三期間の速度と、後の第四期間の速度とが無効値であるか否かを判定する。本実施形態では、第三期間及び第四期間は、例えば1秒間とする。
図2では、判定待ち速度がV5である場合、t4[Sec]の速度V4と、t6[Sec]の速度V6とが無効値であるか否かを判定する。判定部28は、判定待ち速度の前の第三期間の速度と、後の第四期間の速度とが無効値であると判定する場合、判定待ち速度を「GPS取得可能時の異常速度」であると判定する。判定部28は、判定待ち速度が異常速度であると判定した場合、その判定待ち速度については以降の異常速度判定処理を実行しない。
【0035】
判定部28は、判定待ち速度の前の第三期間の速度と、後の第四期間の速度とが無効値であると判定しない場合、判定待ち速度に対応する加速度が加減速度閾値を超えるか否かを判定する。より詳しくは、判定部28は、この場合、判定待ち速度に対応する加速度が加速度閾値または減速度閾値以上であるか否かを判定する。
図2では、判定待ち速度がV5である場合、加速度a5が加速度閾値または減速度閾値以上であるか否かを判定する。判定部28は、判定待ち速度に対応する加速度が加速度閾値または減速度閾値以上であると判定する場合、判定待ち速度を「GPS取得可能時の異常速度」であると判定する。判定部28は、判定待ち速度に対応する加速度が加速度閾値または減速度閾値以上であると判定しない場合、判定待ち速度を「正常速度」であると判定する。判定部28は、判定結果によらず、その判定待ち速度については以降の異常速度判定処理を実行しない。
【0036】
出力制御部29は、判定部28の判定結果の出力を制御する。出力制御部29は、例えば、判定結果を図示しない記憶部に記憶するよう制御してもよい。出力制御部29は、例えば、判定結果を図示しない通信部を介して、外部の装置に出力するよう制御してもよい。
【0037】
(異常速度判定方法)
次に、
図3を用いて、異常速度判定装置20における処理の流れについて説明する。
図3は、実施形態に係る異常速度判定装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【0038】
異常速度判定装置20は、異常速度判定速度機能がOFFであるか否かを判定する(ステップS101)。より詳しくは、異常速度判定装置20は、設定情報取得部21によって、設定情報記憶部11から異常速度判定機能の各種設定値を取得する。異常速度判定装置20は、取得した設定値から異常速度判定速度機能がOFFであると判定する場合(ステップS101でYes)、本フローチャートの処理を終了する。異常速度判定装置20は、取得した設定値から異常速度判定速度機能がOFFであると判定しない場合(ステップS101でNo)、ステップS102へ進む。
【0039】
異常速度判定装置20は、速度データをメモリに保存する(ステップS102)。より詳しくは、異常速度判定装置20は、速度算出部12によって、GPSデータによる位置情報に基づいて、速度を示す速度データを算出する。異常速度判定装置20は、速度情報取得部22によって、速度データを取得する。異常速度判定装置20は、取得した速度データをメモリ23に保存する。本実施形態では、メモリ23は、例えば、20秒分の速度データを更新しながら記憶する。
【0040】
異常速度判定装置20は、所定時間(待機時間)経過したか否かを判定する(ステップS103)。より詳しくは、異常速度判定装置20は、判定部28によって、例えば、処理開始から所定時間経過したか否かを判定する。異常速度判定装置20は、判定部28によって、例えば、処理開始から所定時間経過したと判定する場合(ステップS103でYes)、ステップS104へ進む。異常速度判定装置20は、判定部28によって、例えば、処理開始から所定時間経過したと判定しない場合(ステップS103でNo)、ステップS103を再度実行する。
【0041】
処理開始から所定時間経過したと判定する場合(ステップS103でYes)、異常速度判定装置20は、判定部28によって、判定待ち速度が無効値であるか否かを判定する(ステップS104)。より詳しくは、異常速度判定装置20は、判定部28によって、ステップS102でメモリに保存した速度データから次の速度データを1つ読み込んで、読み込んだ速度データである判定待ち速度が無効値であるか否かを判定する。異常速度判定装置20は、判定部28によって、判定待ち速度が無効値であると判定する場合(ステップS104でYes)、ステップS105へ進む。ステップS104でYesと判定されるのは、GPSデータが取得できなかったときである。異常速度判定装置20は、判定部28によって、判定待ち速度が無効値であると判定しない場合(ステップS104でNo)、ステップS106へ進む。
【0042】
判定待ち速度が無効値であると判定する場合(ステップS104でYes)、異常速度判定装置20は、判定待ち速度を「GPS取得不可時の異常速度」であると判定する(ステップS105)。判定部28は、判定待ち速度が無効値であると判定した場合、その判定待ち速度については以降の異常速度判定処理を実行しない。
【0043】
判定待ち速度が無効値であると判定しない場合(ステップS104でNo)、異常速度判定装置20は、判定部28によって、判定待ち速度が異常速度閾値以上であるか否かを判定する(ステップS106)。本実施形態では、判定部28は、判定待ち速度が180km/h以上であるか否かを判定する。異常速度判定装置20は、判定部28によって、判定待ち速度が異常速度閾値以上であると判定する場合(ステップS106でYes)、ステップS112へ進む。異常速度判定装置20は、判定部28によって、判定待ち速度が異常速度閾値以上であると判定しない場合(ステップS106でNo)、ステップS107へ進む。
【0044】
判定待ち速度が異常速度閾値以上であると判定する場合(ステップS106でYes)、異常速度判定装置20は、判定部28によって、判定待ち速度より前のメモリ23の速度データにおいて無効値が5秒間以上継続したか否かを判定する(ステップS107)。異常速度判定装置20は、判定部28によって、判定待ち速度より前のメモリ23の速度データにおいて無効値が5秒間以上継続したと判定する場合(ステップS107でYes)、ステップS108へ進む。ステップS107でYesと判定されるのは、例えば、トンネル通過後などが想定される。異常速度判定装置20は、判定部28によって、判定待ち速度より前のメモリ23の速度データにおいて無効値が5秒間以上継続したと判定しない場合(ステップS107でNo)、ステップS110へ進む。
【0045】
判定待ち速度より前のメモリ23の速度データにおいて無効値が5秒間以上継続したと判定する場合(ステップS107でYes)、異常速度判定装置20は、判定部28によって、判定待ち速度より後の5秒間の加速度の標準偏差が標準偏差閾値未満であるか否かを判定する(ステップS108)。異常速度判定装置20は、判定部28によって、判定待ち速度より後の5秒間の加速度の標準偏差が標準偏差閾値未満であると判定する場合(ステップS108でYes)、ステップS109へ進む。異常速度判定装置20は、判定部28によって、判定待ち速度より後の5秒間の加速度の標準偏差が標準偏差閾値未満であると判定しない場合(ステップS108でNo)、ステップS112へ進む。
【0046】
判定待ち速度より後の5秒間の加速度の標準偏差が標準偏差閾値未満であると判定する場合(ステップS108でYes)、異常速度判定装置20は、判定待ち速度を「正常速度」であると判定する(ステップS109)。判定部28は、判定待ち速度が正常速度であると判定した場合、その判定待ち速度については以降の異常速度判定処理を実行しない。
【0047】
判定待ち速度より前のメモリ23の速度データにおいて無効値が5秒間以上継続したと判定しない場合(ステップS107でNo)、異常速度判定装置20は、判定部28によって、判定待ち速度の前の1秒間の速度と、後の1秒間の速度とが無効値であるか否かを判定する(ステップS110)。異常速度判定装置20は、判定部28によって、判定待ち速度の前の1秒間の速度と、後の1秒間の速度とが無効値であると判定する場合(ステップS110でYes)、ステップS112へ進む。異常速度判定装置20は、判定部28によって、判定待ち速度の前の1秒間の速度と、後の1秒間の速度との少なくともどちらかが無効値であると判定しない場合(ステップS110でNo)、ステップS111へ進む。
【0048】
判定待ち速度の前の1秒間の速度と、後の1秒間の速度との少なくともどちらかが無効値であると判定しない場合(ステップS110でNo)、異常速度判定装置20は、判定部28によって、判定待ち速度に対応する加速度が加速度閾値または減速度閾値以上であるか否かを判定する(ステップS111)。異常速度判定装置20は、判定部28によって、判定待ち速度に対応する加速度が加速度閾値または減速度閾値以上であると判定する場合(ステップS111でYes)、ステップS112へ進む。異常速度判定装置20は、判定部28によって、判定待ち速度に対応する加速度が加速度閾値または減速度閾値以上であると判定しない場合(ステップS111でNo)、ステップS109へ進む。
【0049】
異常速度判定装置20は、判定部28によって、判定待ち速度を「GPS取得可能時の異常速度」であると判定する(ステップS112)。判定部28は、判定待ち速度が異常速度であると判定した場合、その判定待ち速度については以降の異常速度判定処理を実行しない。
【0050】
このように、
図3に示すフローチャートでは、ステップS104において、判定待ち速度が無効値であるか否かを判定して、無効値であると判定された場合、「GPS取得不可時の異常速度」と判定し、無効値ではないと判定された場合に、ステップS105以降の処理を実行する。ステップS106、ステップS107、ステップS108、ステップS109、ステップS110の各ステップは、処理の負荷を軽減するためにこの順番で実行されるようになっている。ステップS106、ステップS107、ステップS108、ステップS109、ステップS110の各ステップは、「GPS取得可能時の異常速度」という判定結果の発生確率の高い順に実行されるようになっている。
【0051】
(効果)
上述したように、本実施形態では、メモリ23に保存した速度データのうち、所定時点の前後の少なくともどちらかの期間の速度データから、所定時点の速度はGPS取得可能時の異常速度であると判定する。本実施形態によれば、GPSデータが取得されている場合に算出される異常速度を適切に判定することができる。
【0052】
本実施形態では、メモリ23に保存した速度データから、所定時点より前において、無効値が第一期間継続して検出された場合、第一期間より後の第二期間の加速度の標準偏差が標準偏差閾値未満である場合、所定時点の速度は正常速度であると判定し、標準偏差閾値以上である場合、所定時点の速度はGPS取得可能時の異常速度であると判定する。本実施形態によれば、標準偏差を用いることにより、平均値から大きく離れた異常速度を判定することができる。
【0053】
本実施形態では、メモリ23に保存した速度データから、無効値が第一期間継続して検出されていない場合、第一期間より後の所定時点前の第三期間の速度と、所定時点後の第四期間の速度とが無効値である場合、所定時点の速度はGPS取得可能時の異常速度であると判定する。本実施形態によれば、無効値が連続する中の異常速度を判定することができる。
【0054】
本実施形態では、処理開始から待機時間経過後に、異常速度判定処理を開始する。本実施形態によれば、適切なタイミングで処理を開始することができるので、適切に処理を実行することができる。
【0055】
本実施形態では、判定待ち速度が無効値である場合、GPS取得不可時の異常速度と判定することができる。本実施形態によれば、無効値を他に先立って判定することにより、処理の負荷を軽減できる。
【0056】
本実施形態では、異常速度閾値以上の速度を、異常速度として判定することができる。本実施形態によれば、判定が容易な異常速度を他に先立って判定することにより、処理の負荷を軽減できる。
【0057】
本実施形態では、無効値が第一期間継続して検出されることを判定する。本実施形態によれば、例えば、トンネル通過後など、異常速度が継続した後の速度を適切に判定することができる。
【0058】
本実施形態では、判定待ち速度に対応する加速度が加速度閾値または減速度閾値以上であるか否かを判定する。本実施形態によれば、急加速時または急減速時の速度を適切に判定することができる。
【0059】
さて、これまで本発明に係る異常速度判定システムについて説明したが、上述した実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0060】
図示した異常速度判定システムの各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくてもよい。すなわち、各装置の具体的形態は、図示のものに限られず、各装置の処理負担や使用状況などに応じて、その全部または一部を任意の単位で機能的または物理的に分散または統合してもよい。
【0061】
異常速度判定システムの構成は、例えば、ソフトウェアとして、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。上記実施形態では、これらのハードウェアまたはソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックとして説明した。すなわち、これらの機能ブロックについては、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、または、それらの組み合わせによって種々の形で実現できる。
【0062】
上記した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものを含む。さらに、上記した構成は適宜組み合わせが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において構成の種々の省略、置換または変更が可能である。
【0063】
[変形例]
上記では、処理開始から待機時間経過後に、異常速度判定処理を開始するものとしたが、これに限定されない。
図3に示すフローチャートのステップS104ないしステップS106の処理は、待機時間経過前にも実行可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 異常速度判定システム
11 設定情報記憶部
12 速度算出部
20 異常速度判定装置
21 設定情報取得部
22 速度情報取得部
23 メモリ(速度データ保存部)
28 判定部
29 出力制御部