(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122922
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】流動床ボイラーのための壁及び流動床ボイラー
(51)【国際特許分類】
F22B 37/10 20060101AFI20240902BHJP
F23C 10/04 20060101ALI20240902BHJP
F23G 5/30 20060101ALI20240902BHJP
F23M 5/08 20060101ALN20240902BHJP
【FI】
F22B37/10 N
F23C10/04
F23G5/30 L
F23M5/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024027360
(22)【出願日】2024-02-27
(31)【優先権主張番号】20235246
(32)【優先日】2023-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(71)【出願人】
【識別番号】515183610
【氏名又は名称】バルメット テクノロジーズ オサケユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ペッカ レフトネン
(72)【発明者】
【氏名】テロ ルオマハルユ
(72)【発明者】
【氏名】パシ ユリ‐ヘンミンキ
【テーマコード(参考)】
3K064
【Fターム(参考)】
3K064AA06
3K064AB01
3K064AC01
3K064AE13
3K064BA07
3K064BA17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】熱交換器管の侵食を、特に耐火物の近傍で減少させることが可能な流動床ボイラーのための壁及び流動床ボイラーを提供する。
【解決手段】流動床ボイラーのための壁である。壁は、第1一次部分と第1二次部分とを含む第1熱交換器管110と、第2一次部分と第2二次部分とを含む第2熱交換器管120とを備えている。第1隙間221が、第1二次部分と第2二次部分との間に配置されている。第1二次部分の少なくとも一部と第2二次部分の少なくとも一部とは、直線的に、平行に、想像可能な平面の中で延びる。平面の第1サイドから反対側である平面の第2サイドへ、粒子状物質が第1隙間を通って伝播することができるように、壁は構成されている。壁は、第1二次部分の一部と、第2二次部分の一部とでの少なくとも1つのサイドに配置された耐火物230を備えている。流動床ボイラーは、壁を備えている。
【選択図】
図4a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動床ボイラーのための壁であって、
第1一次部分と第1二次部分とを含む第1熱交換器管と、
前記第1熱交換器管と平行に配置されている第2熱交換器管であり、第2一次部分と第2二次部分とを含む第2熱交換器管と、
前記第1一次部分と前記第2一次部分とに固定されている第1コネクタと、
前記第1二次部分と前記第2二次部分との間にある第1隙間とを備え、
前記第1二次部分の少なくとも一部と前記第2二次部分の少なくとも一部とは、直線的に、平行に、想像可能な平面の中で延び、
前記第1隙間の少なくとも一部は、前記平面を貫通し、これにより、粒子状物質が、前記第1隙間を通って前記平面の第1サイドから反対側である前記平面の第2サイドへ伝播可能であり、
壁は、
前記第1二次部分の一部と前記第2二次部分の一部とでの少なくとも1つのサイドに配置されている耐火物を備え、
これにより、前記第1二次部分の一部は、前記耐火物から第1方向に延び、
前記第2二次部分の一部は、前記耐火物から前記第1方向に延び、
前記第1隙間は、前記耐火物から前記第1方向に延び、
前記第1二次部分の外径は、前記第1一次部分の外径以下であり、
前記第2二次部分の外径は、前記第2一次部分の外径以下であり、
前記第1方向は、上向きで垂直な方向と最大30度の角度をなす、壁。
【請求項2】
前記第2熱交換器管と平行に配置されている第3熱交換器管であり、第3一次部分と第3二次部分とを含む第3熱交換器管と、
前記第2一次部分と前記第3一次部分とに固定されている第2コネクタと、
前記第2二次部分と前記第3二次部分との間にある第2隙間とを備え、
前記第1二次部分の少なくとも一部と、前記第2二次部分の少なくとも一部と、前記第3二次部分の少なくとも一部とは、直線的に、平行に、前記平面の中で延び、
前記第2隙間の少なくとも一部は、前記平面を貫通し、これにより、粒子状物質が、前記平面の前記第1サイドから反対側である前記平面の前記第2サイドへ、前記第1隙間を通って伝播し、前記平面の前記第2サイドから前記平面の前記第1サイドへ、前記第2隙間を通って戻ることができ、
前記第3二次部分の一部は、前記耐火物から前記第1方向に延び、
前記第2隙間は、前記耐火物から前記第1方向に延び、
好ましくは、壁は、前記第1隙間から前記第2隙間へ、前記平面の前記第2サイドで前記第2二次部分のサイドを、粒子状物質が回ることができるように構成され、
さらに好ましくは、前記第3二次部分の外径は、前記第3一次部分の外径以下である、請求項1記載の壁。
【請求項3】
炉と、
燃焼空気を前記炉に入れる空気ノズルと、
燃料を前記炉に入れる燃料注入口と、
請求項1記載の壁とを備え、
前記壁は、前記平面の少なくとも前記第1サイドが前記炉の一部に露出するように前記炉を制限し、
好ましくは、流動床ボイラーは、粒子分離器を備え、前記粒子分離器は、前記炉から受け取った流れから粒子状物質を分離し、分離された粒子状物質の少なくとも一部を前記炉へ戻す、流動床ボイラー。
【請求項4】
前記炉の第1部分が、前記壁の第1サイドに配置され、
前記炉の第2部分が、反対側である前記壁の第2サイドに配置され、
前記炉の前記第1部分は、前記炉の前記第1部分の中のベッド材料を流動化させる空気ノズルの第1セットが設けられ、
前記炉の前記第2部分は、前記炉の前記第2部分の中のベッド材料を流動化させる空気ノズルの第2セットが設けられている、請求項3記載の流動床ボイラー。
【請求項5】
上側ビームを含む吊り構造と、
下側ビームを含む支持構造と、
前記支持構造の上方に配置されている火格子とを備え、
前記火格子は、空気ノズルの第1セットと空気ノズルの第2セットとを含み、
前記壁は、前記吊り構造に固定され、
前記壁は、前記支持構造を支持し、
前記支持構造は、前記火格子を支持し、
前記壁の前記第1熱交換器管と前記第2熱交換器管とは、前記吊り構造と前記支持構造との間で直線的に延び、
前記第1方向は、上向きで垂直な方向と最大5度の角度をなす、請求項3記載の流動床ボイラー。
【請求項6】
上側ビームを含む吊り構造と、
下側ビームを含む支持構造と、
前記支持構造の上方に配置されている火格子とを備え、
前記火格子は、空気ノズルの第1セットと空気ノズルの第2セットとを含み、
前記壁は、前記吊り構造に固定され、
前記壁は、前記支持構造を支持し、
前記支持構造は、前記火格子を支持し、
前記壁の前記第1熱交換器管と前記第2熱交換器管とは、前記吊り構造と前記支持構造との間で直線的に延び、
前記第1方向は、上向きで垂直な方向と最大5度の角度をなす、請求項4記載の流動床ボイラー。
【請求項7】
前記炉は、前記炉の一次部分と前記炉の二次部分とを含み、
前記炉の前記二次部分は、下方へのテーパー形状を有し、
前記炉の前記一次部分は、前記炉の前記二次部分の上方に配置され、
前記第1隙間は、前記炉の前記一次部分の中に配置され、
好ましくは、仮想分割平面が、前記炉の前記一次部分と前記炉の前記二次部分との間の界面を形成し、
[A]前記炉の側壁は、前記仮想分割平面に配置された曲げ線を含み、前記仮想分割平面は垂直法線を有し、又は
[B]前記炉の対向する2つの側壁は、前記仮想分割平面に配置された曲げ線を含む、請求項3ないし6のいずれか1項に記載の流動床ボイラー。
【請求項8】
前記第1二次部分の本体は、前記第1二次部分の長手方向に延びる第1プロファイル形状を有し、前記第1プロファイル形状は、前記第1二次部分の長さにわたって一定の外径を有し、前記第1二次部分の前記長さは0以上であり、
前記第2二次部分の本体は、前記第2二次部分の長手方向に延びる第2プロファイル形状を有し、前記第2プロファイル形状は、前記第2二次部分の長さにわたって一定の外径を有し、前記第2二次部分の前記長さは0以上であり、
前記第1二次部分の一部のみが、前記耐火物で覆われ、これにより前記第1二次部分の一部が、前記第1隙間を制限し、
前記第2二次部分の一部のみが、前記耐火物で覆われ、これにより前記第2二次部分の一部が、前記第1隙間を制限する、請求項1又は2記載の壁、又は請求項3ないし6のいずれか1項に記載の流動床ボイラー。
【請求項9】
前記第1熱交換器管は、前記第1一次部分を前記第1二次部分に接続する第1一次側接続部分を含み、
前記第2熱交換器管は、前記第2一次部分を前記第2二次部分に接続する第2一次側接続部分を含む、請求項1又は2記載の壁、又は請求項3ないし6のいずれか1項に記載の流動床ボイラー。
【請求項10】
前記第1二次部分の少なくとも一部に配置されている第1オーバーレイと、
前記第2二次部分の少なくとも一部に配置されている第2オーバーレイとを備え、
これにより、前記第1オーバーレイの少なくとも一部が、前記耐火物から前記第1二次部分の上で前記第1方向に延び、前記第1二次部分の少なくとも一部を側方で完全に取り囲み、それにより、前記第1オーバーレイの少なくとも一部は、前記第1隙間を制限し、
前記第2オーバーレイの少なくとも一部が、前記耐火物から前記第2二次部分の上で前記第1方向に延び、前記第2二次部分の少なくとも一部を側方で完全に取り囲み、これにより、前記第2オーバーレイの少なくとも一部は、前記第1隙間を制限し、
前記第1オーバーレイは、金属又はセラミックを含み、
前記第2オーバーレイは、金属又はセラミックを含み、
好ましくは、壁は、請求項2記載の第3熱交換器管を備え、
これにより、前記第2オーバーレイの少なくとも一部は、第2隙間を制限する、請求項1又は2記載の壁、又は請求項3ないし6のいずれか1項に記載の流動床ボイラー。
【請求項11】
前記第1オーバーレイの一部が、前記第1二次部分の本体と前記耐火物との間に、側方で配置され、
前記第2オーバーレイの一部が、前記第2二次部分の本体と前記耐火物との間に、側方で配置されている、請求項10記載の壁、又は流動床ボイラー。
【請求項12】
前記第1オーバーレイは金属合金を含み、かつ肉盛溶接であり、前記第2オーバーレイは金属合金を含み、かつ肉盛溶接である、請求項10記載の壁、又は流動床ボイラー。
【請求項13】
前記第1オーバーレイの厚みは1ないし4mmであり、好ましくは2ないし3mmであり、
前記第2オーバーレイの厚みは1ないし4mmであり、好ましくは2ないし3mmである、請求項10記載の壁、又は流動床ボイラー。
【請求項14】
前記第1熱交換器管は、第1三次部分を含み、これにより、前記第1二次部分は、前記第1一次部分と前記第1三次部分との間に配置され、
前記第1三次部分の内径は、前記第1二次部分の内径よりも大きく、
前記第2熱交換器管は、第2三次部分を含み、これにより、前記第2二次部分は、前記第2一次部分と前記第2三次部分との間に配置され、
前記第2三次部分の内径は、前記第2二次部分の内径よりも大きく、
好ましくはさらに、
前記第1三次部分の前記内径は、前記第1一次部分の内径と等しく、
前記第2三次部分の前記内径は、前記第2一次部分の内径と等しく、
好ましくはさらに、
前記第1三次部分の外径は、前記第1一次部分の前記外径と等しく、
前記第2三次部分の外径は、前記第2一次部分の前記外径と等しく、
好ましくはさらに、
前記第1三次部分の少なくとも一部は、前記耐火物で覆われ、
前記第2三次部分の少なくとも一部は、前記耐火物で覆われている、請求項1又は2記載の壁、又は請求項3ないし6のいずれか1項に記載の流動床ボイラー。
【請求項15】
前記第1二次部分は、フィン又は複数のフィンを有さず、前記第2二次部分は、フィン又は複数のフィンを有さない、請求項1又は2記載の壁、又は請求項3ないし6のいずれか1項に記載の流動床ボイラー。
【請求項16】
前記炉の第1部分が、前記壁の第1サイドに配置され、
前記炉の第2部分が、反対側である前記壁の第2サイドに配置され、これにより前記平面の前記第2サイドが、前記炉の前記第2部分に露出し、
前記炉の前記第1部分は、前記炉の前記第1部分の中でベッド材料を流動化させる空気ノズルが設けられ、
前記炉の前記第2部分は、空気ノズルを有さず、
流動床ボイラーは、プレートを備え、前記プレートの少なくとも一部が、前記平面の前記第2サイドに配置され、
前記プレートは、前記第1コネクタに固定され、前記炉からベッド材料が漏れることを防止するように構成されている、請求項3記載の流動床ボイラー。
【請求項17】
前記第1二次部分は、前記第1一次部分と同軸であり、前記第2二次部分は、前記第2一次部分と同軸である、請求項1又は2記載の壁、又は請求項3ないし6のいずれか1項に記載の流動床ボイラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動床ボイラーに関する。本発明は、流動床ボイラーの壁に関する。本発明は、流動床ボイラーの分割壁に関する。
【背景技術】
【0002】
流動床ボイラーでは、一般的に砂を含むベッド材料が、流動状態にある。通常、流動床ボイラーの壁は、炉から熱を回収するために炉を制限する熱交換器管を備えている。熱交換器管は、フィン又は同様のコネクタで互いに接続され、気密な壁構造を形成する。流動化の結果、通常ボイラーの壁面近くの炉の中では、ベッド材料が下方に流れる。壁が突起や曲がりの部分を備えている場合に、流動するベッド材料は、容易に熱交換器管を侵食する可能性がある。例えばWO2018/158497から、このような解決策で、円周方向に延びる金属コーティングを熱交換器管に施すことにより、熱交換器管の侵食を減少させることができることが知られている。コーティングされた部分の直径が、コーティングされない部分の直径と最大でも等しくなるように、コーティングの厚みと、管のコーティングされた部分の直径とが、選択される。フィンは、このような熱交換器管に連続的に溶接されて壁を形成する。このような壁の一部は耐火物で覆われる可能性がある。
【0003】
耐火物と熱交換器管との界面の近傍では、耐火物がベッド材料の流れに干渉することが分かっている。これは上述のように、壁の近傍で生じる。このように、下向きに流れるベッド材料は耐火物の表面と出会い、ベッド材料の流れに干渉する。耐火物の近傍では、非常に局所的な侵食が起こることが判明している。メンテナンスが行われない限り、侵食により、熱交換器管に小さな開口部や孔が生じ、その結果ボイラー全体が機能不全に陥る可能性がある。これらの孔又は開口部の大きさは、例えば縦横がそれぞれ、5ないし20mm、及び5ないし20mmとなる範囲であってよい。
【発明の概要】
【0004】
従って、このような壁構造の熱交換器管の侵食を、特に耐火物の近傍で減少させる必要がある。
【0005】
理論に束縛されることなく、本発明者らは、高度に局所的な侵食は、壁の耐火物と熱交換器管との界面の近傍に形成された、ベッド材料の渦の結果であると考える。渦の形成は、
図9a及び
図9bに比較例として描かれている。典型的な使用では、
図9aの図面の紙面前方(読者)に向かう方向は、上向きで垂直である(
図9bではSzで示す)。従って、管で形成された壁に沿って流れる下向きのベッド材料は、耐火物の表面にぶつかると、
図9a及び
図9bに示すように、耐火物の近傍で、炉のサイドに渦を形成する。これらの渦は、壁での熱交換器管の高度に局所的な侵食の原因となると考えられる。その結果、上述した孔や開口部が、管まで侵食を行う可能性がある。
【0006】
本発明者らは、(i)渦のサイズを増加させるか、又は(ii)そのような渦を発生させない壁構造を形成することによって、熱交換器管のそのような侵食を減少させることができることを発見した。この知見によれば、壁が、耐火物と熱交換器管との界面の近傍のフィンを含まない場合に、ベッド材料と気体とは熱交換器管の間をさらに深く伝播することができ、それによって渦のための実質的により広い空間を提供する。このような壁構造は、独立請求項1に一層具体的に記載されている。
【0007】
さらに、本発明者らは、このような壁構造の熱交換器管の渦による侵食を、いかなる渦を形成する傾向も減少させることによって、減少させることができることを発見した。この知見によれば、壁が、耐火物と熱交換器管との間の界面の近傍のフィンを含まず、さらにベッド材料と気体とが壁を通って壁の別のサイドに伝播することができる場合に、いかなる渦を形成する傾向も減少される。このような壁構造は、従属請求項2に一層具体的に記載されている。
【0008】
壁の他の好ましい実施形態は、従属請求項7ないし14に記載されている。
【0009】
好ましくは、壁は、請求項3ないし6及び15に詳しく記載するように、循環流動床ボイラーの壁である。好ましくは、壁は、請求項3ないし6に詳しく記載するように、循環流動床ボイラーの炉の分割壁である。
【0010】
これら及び他の実施形態については、さらに、本明細書及び図面の中で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図面のいくつかは、実施形態の異なる図を示す。異なる図/細部は、図の番号の近くに示される。従って、例えば、
図1aという図面は、
図1bの図/詳細Iaを示す。これは、図番号「
図1a」の近くにある参照「(Ia)」で示される。これに伴い、図面のページ1/14に「
図1a(Ia)」というテキストが観察される。以下に詳述するように、他の図でさらに、同様の表記が使用される。
【0012】
【
図1a】
図1bに示した側面
図1aに、流動床ボイラーのための壁を示す。
【
図2a】
図2bに示した側面
図IIaに、流動床ボイラーのための壁の一部を示し、この一部は
図1aないし1dの耐火物230を含まない。
【
図2b】
図2aに示した側面
図IIbに、流動床ボイラーのための壁の一部を示し、この一部は
図1aないし1dの耐火物230を含まない。
【
図2e】
図2bに示した上面
図IIdに、オーバーレイ(119,129,139)を伴う熱交換器管を有する壁の一部と、そのような場合の熱交換器管の外径を示す。
【
図3a】側面図に、壁を有する循環流動床ボイラーを示す。
【
図3c】別の側面図に、
図3aの循環流動床ボイラーを示す。
【
図4a】正面図に、流動床ボイラーのための壁を示す。
【
図4c】正面図に、流動床ボイラーのための壁を示す。
【
図4d】正面図に、流動床ボイラーのための壁を示す。
【
図5a】壁を有する循環流動床ボイラーを示す側面図である。
【
図5c】
図5bに示した上面
図Vcに、流動床ボイラーのための壁の一部を示す。
【
図6】
図1aと同様の図で、上方へのテーパー形状になった耐火物を有する壁を示す。
【
図7a】側面図に、2つの互いに垂直な平面部分を備えている壁を有する循環流動床ボイラーを示す。
【
図7b】上面図に、
図7aの循環流動床ボイラーの壁を示す。
【
図8a】
図8cに示した正面
図VIIIaに、流動床ボイラーのための壁を示し、壁はウィングを備えている。
【
図8c】
図8aに示した側面
図VIIIcに、流動床ボイラーのための壁の一部を示し、壁はウィングを備えている。
【
図8d】側面図に、壁を備えている流動床ボイラーの一部を示し、壁はウィングを備えている。
【
図8e】側面図に、壁を備えている流動床ボイラーの一部を示し、壁はウィングを備えている。
【
図8f】正面図に、流動床ボイラーのための壁を示し、壁はウィングを備えている。
【
図9a】上面図に、流動床ボイラーの既知の壁と、使用時に形成された渦とを示す。
【
図9b】側面図に、渦中の
図9aの既知の壁を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図で、方向Sx,Sy,Szは、互いに直交する3つの方向である。好ましい使用法では、方向Szは重力に対して逆である(即ち、Szは上向きで垂直である)。
【0014】
本発明は、流動床ボイラー300に関する。
図3aないし3cに、流動床ボイラー300を様々な観点で示す。
図3aないし3cの流動床ボイラー300は、循環流動床ボイラーである。
図5aに、別の流動床ボイラー300を示す。流動床ボイラー300は、炉310を備えている。流動床ボイラー300は、壁を備えている。壁の一部は、炉310を制限する。分割壁は、燃焼が両側で行われるように、炉310を2つの部分に分割することができる。本発明は、流動床ボイラー300の壁200に関する。壁200は、
図3aないし3cに描かれているように、分割壁であってよい。これに代えて、壁200は、
図5aないし5cに示すように、炉310の側壁であってよい。当然のこととして、流動床ボイラーは、分割壁として以下に詳細に開示する構造を有する壁200と、側壁として以下に詳細に開示する構造を有する別の壁200との両方を備えてよい。
【0015】
図1aないし1dは、流動床ボイラーのための壁200を、様々な観点で示す。
図1bないし1dを参照すると、壁200は第1熱交換器管110と第2熱交換器管120とを備えている。熱交換器管110,120の目的は、炉310から熱を回収することである。熱交換器管110,120の別の目的は、実施形態では、機械的負荷を支持することである。熱交換器管110,120の別の目的は、実施形態では、材料が炉から漏れることを防止することである。第1熱交換器管110は、第1一次部分111と第1二次部分112とを含む。第2熱交換器管120は、第1熱交換器管110と平行(parallel,並列)に配置され、第2一次部分121と第2二次部分122とを含む。
【0016】
これらの部分の用語については、
図2c及び
図2dを参照すると、第1二次部分112の外径d12は、第1一次部分111の外径d11以下である。さらに、第2二次部分122の外径d22は、第2一次部分121の外径d21以下である。使用時には、
図1a,
図1b,
図2a,
図2bに示すように、第1一次部分111は第1二次部分112の上方に配置され、第2一次部分121は第2二次部分122の上方に配置される。方向Szの定義については上記を参照するものとする。一次部分(111,121)のサイドから二次部分(112,122)のサイドに移動する際に突起が存在しないことに起因して、これらの特徴は、壁200に沿って下方(負の方向Sz)に流れるベッド材料が、一次部分(111,121)と二次部分(112,122)との境界の中で渦を形成することなく流れるという効果を有する。また、実施形態では、二次部分(112,122)はオーバーレイを有することに留意するものとする。ここで、外径とは、
図2eに示すように、オーバーレイを有する場合に、二次部分のオーバーレイの外径を指す。オーバーレイが設けられていない場合に、外径とは、
図2dに示すように、未加工の(素の、plain)二次部分の外径を指す。この定義(definition)により、オーバーレイが設けられていても、上述したように渦が発生しないことが確実にされる。好ましくは、第1二次部分112は第1一次部分111と同軸であり、第2二次部分122は第2一次部分121と同軸である。これは、その外径と関連して、二次部分(112,122)が一次部分(111,121)によって定義された管状カーテンから突出しないことを確実にする。
【0017】
図1b及び
図1cを参照すると、壁200は、第1コネクタ、例えば第1フィン211を備えている。
図1b及び
図1bでは、第1フィン211は、第1コネクタとして機能する。しかし、以下に詳述するように、これに代えて、補助伝熱面241が第1コネクタとして機能してよい。以下では、特に断りのない限り、第1フィン211を第1コネクタの例として使用する。
【0018】
第1フィン211は、第1一次部分111と第2一次部分121とに固定されている。第1フィン211の目的は、第1熱交換器管110と第2熱交換器管120とを結びつけ、壁200の一体性を向上させることである。さらに、壁200が炉310の側壁として使用される場合に、第1フィン211は、第1一次部分111と第2一次部分121との間で、炉310から気体とベッド材料とが漏れることを防止する。
【0019】
さらに一般的な場合に、第1コネクタ(例えば、第1フィン211又は第1補助伝熱面241)は、第1一次部分111と第2一次部分121とに固定される。第1コネクタの目的は、壁200の一体性を向上させるように、第1熱交換器管110と第2熱交換器管120とを結びつけることである。さらに、壁200が炉310の側壁として使用される場合に、第1コネクタは、第1一次部分111と第2一次部分121との間で、気体とベッド材料とが炉310から漏れることを防止する。
【0020】
図1a及び
図1dを参照すると、壁200の中で、第1二次部分112の少なくとも一部と、第2二次部分122の少なくとも一部とは、直線的に、平行に、想像可能な平面Pの中で延びる。平面Pは想像可能であり、即ち、物理的な物体でなく、幾何学の分野で周知である平面である。実施形態では、第1二次部分112の少なくとも一部と、第2二次部分122の少なくとも一部とは、これらの部分の中心軸が平面Pに属するように、直線的かつ平行に延びる。
【0021】
図1b及び
図1dを参照すると、壁200は第1隙間221を備えている。第1隙間221は、第1二次部分112と第2二次部分122との間に配置されている。
図1aでは、第1隙間221は、第2二次部分122の前方に配置されている(即ち、第1隙間221は、第2二次部分122から図面の紙面前方(読者)に向かっている)。
【0022】
壁200は、第1隙間221の少なくとも一部が平面Pを貫通するように構成され、それによって気体とベッド材料とが第1隙間221を通って伝播することができる。従って、壁200は、第1隙間221の少なくとも一部が平面Pを貫通するように構成され、それにより、粒子状物質(即ち、ベッド材料、従って、気体も)が、平面Pの第1サイドS1から反対側である平面Pの第2サイドS2へ、第1隙間221を通って伝播することができる(即ち、粒子状物質が伝播することが可能である)。当然のこととして、この特徴は、使用時に炉310の中に配置される粒子状物質そのものに関する特徴ではない。換言すれば、この実施形態では、第1隙間221の少なくとも一部を通って、平面Pの第1サイドS1から反対側である平面Pの第2サイドS2へ平面Pを通って、粒子状物質又は気体が伝播することを防止する部分は、壁200に存在しない。
【0023】
第1隙間221の少なくとも一部を通り、平面Pの第1サイドS1から反対側である平面Pの第2サイドS2へ、平面Pを通る、粒子状物質(即ちベッド材料)の伝播は、
図1dの矢印AR1で示される。
【0024】
粒子状物質(即ちベッド材料)がそのように伝播することができる場合に、渦が第1隙間221の中に形成されたならば、渦は極めて一層大きな面積に広がり、熱交換器管への侵食を一層少なく発生させることが判明している。例えば、熱交換器管の二次部分112,122が、
図9aのフィンの代わりに、第2サイドS2のプレート(図示せず)によって接続されている場合に、このような渦が形成される可能性がある。当然のこととして、
図9aのフィンは、粒子状物質(即ちベッド材料)が壁の第1サイドから反対側である壁の第2サイドへ伝播することを防止する。なぜならば、これはフィンの主要な機能の1つだからである。
【0025】
さらに、壁200は、耐火物230を備えている。耐火物230は、第1二次部分112の一部と第2二次部分122の一部との両方での少なくとも1つのサイドに配置されている。好ましくは、耐火物230は、第1二次部分112の一部と第2二次部分122の一部との両方のサイドに配置されている。従って、実施形態では、耐火物230の一部は、第1二次部分112の一部と第2二次部分122の一部との両方を側方で取り囲む。耐火物230の機能は、第1二次部分112の一部と第2二次部分122の一部とを保護することである。二次部分112及び122を保護するために、耐火物の厚みは好ましくは25mmないし100mmである。ここで厚みとは、第1二次部分112での耐火物の厚み、即ち炉310の開放空間と第1二次部分112の外面との間の耐火物の厚みを指す。耐火物230の上面は、
図1aに示すように、平面で水平であってよい。しかし、粒子状物質の流動を容易にするために、耐火物は、
図6及び
図5bに示すように、上方へのテーパー形状を有してよい。これらの図では、耐火物230の上面は、傾斜部を含む。
【0026】
壁200の中で、第1二次部分112の一部は、耐火物230から第1方向Dir1に延びる。第2二次部分122の一部は、耐火物230から第1方向Dir1に延びる。第1隙間221は、耐火物230から第1方向Dir1に延びる。第1方向Dir1は、平面Pの方向である。第1方向Dir1は、第1二次部分112の中心軸の上の第1点から、第2二次部分122の中心軸の上の第2点に向けられる方向に垂直な方向である。第2点は、第2二次部分122の中心軸の上にあって、第1点に最も近い点である。第1方向Dir1は、以下に一層具体的に詳述するように、好ましくは、多かれ少なかれ垂直な上向きである。このように、第1隙間221は、第1隙間221がないとした場合に、高度に局所的な侵食が生じるようになる位置に配置されている。考えられる理由は、高度に局所的な渦の形成である可能性がある。そのような位置は
図9a及び
図9bに描かれている。しかし、そのような渦のために一層多くの空間を提供することは、局所的な侵食を一層少なくする結果となる。従って、実施形態による
図1a、
図1b及び
図1dに示すように、第1隙間221は、渦の形成を防止するか、又は少なくとも渦のサイズを増加させるために、同様の位置に配置されている。
【0027】
上述したことに沿って、実施形態では、第1二次部分112は、フィン又は複数のフィンを有さない。それによって、第1二次部分112の本体の断面の外輪郭の形状は、第1二次部分112の長さにわたって円形である。さらに実施形態では、第2二次部分122は、フィン又は複数のフィンを有さない。それによって、第2二次部分122の本体の断面の外輪郭の形状は、第2二次部分122の長さにわたって円形である。ここで、「本体」という用語は、(第1、第2……)二次部分(112,122)が(第1、第2……)オーバーレイ(119,129)を有さない場合に、(第1、第2……)二次部分(112,122)を指す。ただし、(第1、第2……)二次部分(112,122)が(第1、第2……)オーバーレイ(119,129)を含む場合に、「本体」という用語は、(第1、第2……)オーバーレイ(119,129)が存在しない(第1、第2……)二次部分(112,122)を指す。一般に、オーバーレイは、使用される場合に、本体とは異なる材料から作られる。
【0028】
図1dを参照すると、粒子状物質が別の隙間を通って第1サイドS1へ戻ることができる場合に、渦が全く発生しないか、又は少なくともそのような渦が形成される傾向が著しく低減されることが、さらに判明している。従って、壁のさらに好ましい実施形態は、第3熱交換器管130を備え、第3熱交換器管130は第2隙間222を制限し、これを通って、以下に詳述するように、粒子状物質が戻ることができる。2つの隙間を通るベッド材料の経路は、
図1dの矢印AR2で示される。
【0029】
本実施形態では、第3熱交換器管130は、第2熱交換器管120と平行に配置され、第3一次部分131と第3二次部分132とを含む。
図1aないし1dを参照する。第1フィン211(又は第1コネクタ)が熱交換器管110,120に固定されているのと同様の理由で、第2フィン212(又は第2コネクタ、例えば、第2補助伝熱面)は、第2一次部分121と第3一次部分131とに固定されている。さらに、第1二次部分121の少なくとも一部と、第2二次部分122の少なくとも一部と、第3二次部分132の少なくとも一部とは、直線的に、平行に、想像可能な平面Pの中で延びる。実施形態では、第1二次部分112の少なくとも一部と、第2二次部分122の少なくとも一部と、第3二次部分132の少なくとも一部とは、これらの部分の中心軸が平面Pに属するように、直線的に、平行に延びる。
【0030】
この実施形態では、壁200は第2隙間222を備えている。第2隙間222は、第2二次部分122と第3二次部分132との間に配置されている(
図1b及び
図1d参照)。さらに、壁200は、第2隙間222の少なくとも一部が、平面Pを貫通するように構成されている。さらに、粒子状物質は、(上記に詳述したように)平面Pの第1サイドS1から反対側である平面Pの第2サイドS2へ第1隙間221を通って伝播することができ(即ち、伝播することが可能であり)、粒子状物質は、平面Pの第2サイドS2から平面Pの第1サイドS1へ第2隙間222を通って戻ることができる(即ち、戻ることが可能である)。粒子状物質は、例えば、平面Pの第2サイドS2で、第2二次部分122のサイドを回って、第1隙間221から第2隙間221へ戻ることができる。このような粒子状物質の伝播は、
図1dの矢印AR2で示される。当然のこととして、この特徴は、使用時に炉310の中に配置される粒子状物質そのものに関する特徴ではない。換言すれば、この実施形態では、以下の動作を粒子状物質が行うことを防止する部分は、壁200に存在しない。即ち、
【0031】
・第1隙間221の少なくとも一部を通って、かつ平面Pを通って、平面Pの第1サイドS1から反対側である平面Pの第2サイドS2へ伝播することと、
・第2隙間222を通って、平面Pの第2サイドS2から平面Pの第1サイドS1へ戻ることとである。
【0032】
好ましくはさらに、平面Pの第2サイドS2で、第1隙間221から第2隙間222に向かって第2二次部分122のサイドを、粒子状物質が回ることを防止するような部分を、壁は有さない。例えば、壁200が分割壁として使用される場合に(
図3aないし3c参照)、ベッド材料は、隙間221,222を通って、第1サイドS1から第2サイドS2へ、及び第2サイドS2から第1サイドS1へ伝播することができる。しかし、使用中、ベッド材料は直ちに第1サイドへ戻ることはなく、また、通常、最短経路で管を一周することもない。これに代えて、ベッド材料は、第1サイドS1へ戻る前に、第2サイドS2でしばらく循環することが可能である。
【0033】
この実施形態では、粒子状物質が第1隙間221を通って進み、第2隙間222を通って第1サイドS1へ戻ることができるので、渦を形成する傾向が低減される。従って、微粒子は、何らかの渦を形成するようになる同じ第1隙間221を通って戻る必要はない。また、ベッド材料は、第2サイドS2での第2二次部分122の近傍で、平面Pの第2サイドS2での第2二次部分122のサイドを回る必要がないことにも留意するものとする。これに代えて、特に壁200が分割壁として使用される場合に、ベッド材料は、第1サイドS1へ戻る前に、第2サイドS2でしばらく循環することが可能である。
【0034】
本実施形態では、第3二次部分132の一部は、耐火物230から第1方向Dir1に延び、第2隙間222は、耐火物230から第1方向Dir1に延びる。さらに、上記に詳述した理由により、好ましくは、第3二次部分132の外径d32は、第3一次部分131の外径d31以下である。
【0035】
図1aないし1dの壁200は、
図2aないし2dでは耐火物230なしで示される。さらに
図2aないし2dは、熱交換器管110,120,130のいくつかを示す。
図1aないし1d及び
図2aないし2dを参照すると、実施形態では、第1二次部分112は、第1二次部分112の長手方向に延びる第1プロファイル形状を有し、これにより、第1プロファイル形状は、第1二次部分112の長さにわたって一定の外径d12を有するようになっている。第1二次部分112の長さは0以上である。実施形態では、これは特に第1二次部分112の本体に適用される。これにより、第1熱交換器管110の第1二次部分112は、第1熱交換器管110の第1一次部分111よりも小さい外径を有する管を使用して製造することができるという利点がある。第1二次部分112は、例えば、第1一次部分111に溶接されてよい。第1二次部分112を形成するための別の好適な製造技術は、相応の壁の厚みを有する管を旋盤で旋削して、第1二次部分112の外径を減少させることである。しかし、外径の異なる2本の管を接合する方が、経済的に実現可能な場合が多い。
【0036】
異なるタイプの管路(チューブ)を接合して部分111,112を形成することで熱交換器管を作成した場合に、好ましくは、第1二次部分112の内径di12は、第1一次部分111の内径di11よりも小さく、第2二次部分122の内径di22は、第2一次部分121の内径di21よりも小さい。これにより、一方では、一次部分111,121は、その内径が大きいため、さらに小さな流れ抵抗を形成するという効果、他方では、管の全ての部分111,112,121,122は、十分であるが過度ではない耐圧性及び耐熱性があることが可能であるという効果がある。
【0037】
同様の理由で、実施形態では、第2二次部分122は、第2二次部分122の長さにわたって一定の外径d22を有するように、第2二次部分122の長手方向に延びる第2プロファイル形状を有し、第2二次部分の長さは0以上である。実施形態では、これは特に第2二次部分122の本体に適用される。
【0038】
実施形態では、二次部分112,122は、オーバーレイ119,129を有する。実施形態では、第1二次部分112の本体、即ちオーバーレイ119のない第1二次部分112は、第1二次部分112の長手方向に延びる第1プロファイル形状を有し、この第1プロファイル形状は、第1二次部分112の長さにわたって一定の外径d12を有する。実施形態では、第2二次部分122の本体、即ちオーバーレイ129のない第2二次部分122は、第2二次部分122の長手方向に延びる第2プロファイル形状を有し、この第2プロファイル形状は、第2二次部分122の長さにわたって一定の外径d22を有する。
【0039】
このような場合に、好ましくは、第1二次部分112の一部のみが、耐火物230で覆われ、第2二次部分122の一部のみが、耐火物230で覆われる。そのような場合に、第1二次部分112の一部(一定の外径を有してよい)は、第1隙間221を制限し、第2二次部分122の一部(一定の外径を有してよい)は、第1隙間221を制限する。このような場合に、第1隙間221は、粒子状物質が第1サイドS1から第2サイドS2にはいることを可能にするために疑いない程度の大きさであり、これにより、上述したように、渦の広がり、及び/又は第1サイドから第2サイドへのベッド材料の伝播、及びその戻りが確実にされる。
【0040】
実施形態では、第1一次部分111は、第1一次部分111の長手方向に延びる第3プロファイル形状を有し、これにより、第3プロファイル形状は、第1一次部分111の長さにわたって一定の外径d11を有する。第1一次部分111の長さは0以上である。同様に実施形態では、第2一次部分121は、第2一次部分121の長手方向に延びる第4プロファイル形状を有し、これにより、第4プロファイル形状は、第2一次部分121の長さにわたって一定の外径d21を有する。第2一次部分121の長さは0以上である。
【0041】
さらに、第1二次部分112は、第1一次部分111に直接接続される必要はない。従って、実施形態では、第1熱交換器管110は、第1一次部分111を第1二次部分112に接続する第1一次側接続部分114を含む。第2熱交換器管120は、第2一次部分121を第2二次部分122に接続する第2一次側接続部分124を含む。
図1a,
図1b,
図2a及び
図2bを参照する。
【0042】
(第1、第2、第3の)二次部分112,122,132の耐侵食性又は保守性は、さらに、オーバーレイ(119,129,139)を使用して改善されてよい。このようなオーバーレイ119,129,139は、
図4aないし4d及び
図2eに示される。オーバーレイは、好ましくは耐侵食性金属又はセラミックを含む。しかし、オーバーレイは、犠牲金属を含んでよく、これは耐侵食性である必要がない。オーバーレイ119,129,139は、管路の形態であってよい。管路には、熱交換器管110,120,130を製造する間に二次部分112,122,132(の本体)が押し込まれる。これに代えて、オーバーレイは二次部分112,122,132の本体に吹き付けられて(sprayed)よい。さらにこれに代えて、オーバーレイが金属を含む場合に、オーバーレイは二次部分112,122,132の本体に溶接されてよい。好ましくは、オーバーレイ119,129,139は、適切な合金を含む肉盛溶接(overlay welding)である。オーバーレイ119,129,139は、二次部分112,122,132の一部を形成してよい。炉ガスに曝される表面で、少なくとも20%のCrと低Fe含有量とを有する材料による溶接オーバーレイクラッド(被覆)は、壁侵食を著しく減少させることが注目されている。適切な合金の例は、合金625(Ni-22Cr-9Mo-3.5Nb)を含む。しかし、オーバーレイの技術的機能は犠牲層として機能することであってよいので、オーバーレイは極端な耐摩耗性がある必要はない。従って、管路それ自体を交換する必要なく、必要であれば、使用期間後に犠牲材料を追加することにより、壁200を維持することができる。
【0043】
オーバーレイ119,129は、二次部分112,122,132に溶接された後、機械加工、例えば旋盤加工してよい。一例として、二次部分として使用することを意図した管路を、まずオーバーレイで覆ってよい(例えば溶接してよい)。その後、特に、オーバーレイの厚みにばらつきがある場合は、管路を旋盤加工して、オーバーレイの厚みのばらつきを均等にしてよい。これにより、二次部分が、渦のそれ以上の発生を引き起こすような突起を含むことを確実にする。さらに、これにより、一次部分111,121と二次部分112,122との外径の差を減少させてよい。
【0044】
好ましくは、オーバーレイ119,129,139は、使用される場合に、粒子状物質が壁200の法線方向に伝播する傾向を有する位置に、設けられている。さらに、粒子状物質が壁200の法線方向に伝播する傾向を引き起こすのは、耐火物230である。従って、オーバーレイ119,129は、第1隙間221を制限し、耐火物230から延びるように設けられている。即ち、熱交換器管のオーバーレイされない部分は、熱交換器管の長手方向で、耐火物と熱交換器管のオーバーレイ部分との間に配置されない。
【0045】
従って、実施形態では、壁200は、第1二次部分112の少なくとも一部に配置されている第1オーバーレイ119と、第2二次部分122の少なくとも一部に配置されている第2オーバーレイ129とを備えている。
図4a及び
図4bを参照する。従って、第1オーバーレイ119は、第1二次部分112の表面の一部を形成し、第2オーバーレイ129は、第2二次部分122の表面の一部を形成する。
【0046】
第1オーバーレイ119の少なくとも一部は、耐火物230から第1二次部分112の上で第1方向Dir1に延び、第1二次部分112の少なくとも一部を側方で完全に取り囲む。従って、第1オーバーレイ119の少なくとも一部は、第1隙間221を制限する。
図4aに示すように、第1オーバーレイ119は、長手方向(
図4aのSz)に第1二次部分112全体を覆う必要はない。しかし、上記に示したように、第1オーバーレイ119は、第1二次部分112の少なくとも一部を側方で完全に取り囲む。
【0047】
同様に、第2オーバーレイ129の少なくとも一部は、耐火物230から第2二次部分122の上で第1方向Dir1に延び、第2二次部分122の少なくとも一部を側方で完全に取り囲む。
【0048】
このようにして、第1オーバーレイ119の少なくとも一部は、第1隙間221を制限し、第2オーバーレイ129の少なくとも一部は、第1隙間221を制限する。
図4aに示すように、第1隙間はさらに、第1二次部分112と第2二次部分122とのオーバーレイされない部分によって制限されてよい。
【0049】
上述したように、第1オーバーレイ119は、金属又はセラミックを含み、第2オーバーレイ129は、金属又はセラミックを含む。上記で開示した合金などの材料が、使用可能である。
【0050】
図4dを参照すると、好ましくは、第1オーバーレイ119は、第1方向Dir1に、第1一次側接続部分114(存在する場合)又は第1一次部分111へ延びる。同様に、好ましくは、第2オーバーレイ129は、第1方向Dir1に、第2一次側接続部分124(存在する場合)又は第2一次部分121へ延びる。この場合に、オーバーレイ119,129は、二次部分112,122の残りの部分を保護する。
【0051】
しかし、一次部分111,121の近傍では、ベッド材料は一次部分111,121に沿って下方に落下する傾向がある。従って、ベッド材料は、さらに一次部分111,121の下方で、同じ方向(即ち、第1方向Dir1に対して逆方向)に伝播し続ける傾向を有する。この傾向はカーテンを形成し、これに沿ってベッド材料は通常、少なくともある程度の距離だけ落下するが、必ずしも耐火物230の表面へ落下しない。このカーテンと想像可能な平面Pとの間に残る二次部分112,122の領域は、高い侵食にさらされない。
【0052】
上記に詳述したように、二次部分112,122は、一次部分111,121の外面によって定義されるカーテンから突出しない。特に、実施形態では、二次部分112,122は、一次部分111,121と同軸であり、さらに小さい外径を有する。それにより、二次部分112,122の上部は、一次部分111,121の影(即ち、想像可能な平面Pとカーテンとの間)に配置されている。従って、二次部分112,122の上部は、オーバーレイを含む必要はない(
図4c参照)。しかし、耐火物230がベッド材料を平面Pに向かってガイドするため、好ましくは、オーバーレイ119,129が使用され、それらは耐火物230から第1方向Dir1に一定の距離だけ延びる。
【0053】
好ましくは、壁200は、上述した第3熱交換器管130を備えている。これに加えて、このような場合に、第2オーバーレイ129の少なくとも一部はさらに、第2隙間222を制限する。実施形態では、壁200は、第3二次部分132の少なくとも一部に配置されている第3オーバーレイ139を備えている。第3オーバーレイ139の少なくとも一部は、他のオーバーレイ119,129について上記に詳述したのと同様の方式で、第2隙間222を制限する。
【0054】
耐火物230が摩耗しても、オーバーレイされない部分が侵食に曝されないようにするために、好ましくは、オーバーレイ119,129,139はさらに、耐火物の中へ延びる。即ち、オーバーレイは、耐火物の界面から逆の第1方向-Dir1に延びる。
【0055】
このような場合に、好ましい実施形態では、第1オーバーレイ119の一部は、第1二次部分112と耐火物230との間に、側方で配置されている。一層具体的には、第1オーバーレイ119が第1二次部分112の一部を形成することを考慮すると、第1オーバーレイ119の一部は、第1二次部分112の内面と耐火物230との間に、側方で配置されている。同様に、第2オーバーレイ129の一部は、第2二次部分122と耐火物230との間に、側方で配置されている。一層具体的には、第2オーバーレイ129が第2二次部分122の一部を形成することを考慮すると、第2オーバーレイ129の一部は、第2二次部分122の内面と耐火物230との間に、側方で配置されている。
図4a及び
図4bを参照する。
【0056】
好ましくは、第1オーバーレイ119は、金属合金を含み、かつ肉盛溶接であり、第2オーバーレイ129は、金属合金を含み、かつ肉盛溶接である。好ましくは、第1オーバーレイ119の厚みは、1mmないし4mmであり、さらに好ましくは2mmないし3mmである。好ましくは、第2オーバーレイ129の厚みは、1mmないし4mmであり、さらに好ましくは2mmないし3mmである。
【0057】
特に好ましくは、壁200は、循環流動床ボイラー(
図3aないし3c)のような流動床ボイラーの炉の分割壁として使用され、二次部分112,122,132は、オーバーレイ119,129,139を有する。さらに、壁200が分割壁として使用される場合に、好ましくは、耐火物230は、
図4bに示すように、上記で定義された平面Pに平行な2つの平面Pa、Pbの間に配置されている。好ましくは、この実施形態では、耐火物230は、想像可能な平面Pに平行である第1平面Paと第2平面Pbとの間に配置されている。想像可能な平面Pの中で、第1二次部分112の少なくとも一部と第2二次部分122の少なくとも一部とが直線的に延びる。壁200は、粒子状物質(即ち、ベッド材料)が、第1平面Paの第1サイドS1から、反対側である第2平面Pbの第2サイドS2へ、第1隙間221を通って伝播することができる(即ち、粒子状物質が伝播可能である)ように構成されている。このようなベッド材料の伝播は、
図4bに矢印AR3で示される。
【0058】
このことは、ベッド材料が、一旦、第1隙間221を通って、第1面Paの第1サイドS1から反対側である第2面Pbの第2サイドS2に伝播した後、下方に第2サイドS2へ落下することができる利点を有する。耐火物230の近傍で渦が形成される傾向を、さらに低減させる。
【0059】
既に述べたように、二次部分112,122,132の外径は実質的に一定であってよく、外径は、上記に詳述したように、オーバーレイ119,129,139を含んでよい。定義を明確にするために、
図4a及び
図4bを参照する。これらに長手方向(
図4aのSz)に示されるように、二次部分112,122,132の外径は、二次部分112,122,132がそれぞれオーバーレイ119,129,139を有する範囲だけ、一定である。しかし、オーバーレイが終了した際に(段階で)、外径はオーバーレイ112,129,139の厚みの2倍だけ減少する。これらの定義に沿って、
図4aの実施形態では、第1一次部分111を第1二次部分112に接続する第1一次側接続部分114は、テーパーと一定の外径を有する部分とを含む。一定の外径は、第1二次部分112のオーバーレイされない部分と等しい。このことは、必要な変更を伴って、
図4aに示す第2一次側接続部分124と第2二次部分122とに適用される。
【0060】
実施形態(下記に詳細に説明する)では、壁200は実質的に平面形状であり、下方に支持構造へ延びる。このような場合に、耐火物230は、下方に火格子又は支持構造へ延びてよい。
図1a及び
図1bを参照すると、熱交換器管は、二次部分(112,122,132)よりも幅の広い三次部分(113,123,133)を含んでよい。しかし、これは必須ではない。その代わりに、二次部分(112,122,132)は、必要な長さにわたって耐火物の中で延びてよく、外径d12,d22,d32を有するのみである。
図4aを参照すると、耐火物230の中で延びる熱交換器管110,120,130のそれぞれの一部のみが、オーバーレイ119,129,139で覆われる可能性がある。従って、耐火物230の中を延びる熱交換器管の外径は、さらに、下方に減少してよい。しかし、
図4cを参照すると、熱交換器管110,120,130がオーバーレイ119,129,139を有する場合に、好ましくは、熱交換器管110,120,130は、二次部分(112,122,132)よりも幅の広い三次部分113,123,133を含む。このような場合に、第1二次側接続部分115は、第1二次部分112を第1三次部分113に接続してよい。第1二次部分112の外径と、第1一次側接続部分114の延長とについて述べたことは、必要な変更を伴って、第1二次側接続部分115に適用される。
【0061】
好ましくは、
図1a,
図1b,
図4c及び
図4dを参照すると、第1熱交換器管110は第1三次部分113を含み、第2熱交換器管120は第2三次部分123を含む。第1二次部分112は、(第1熱交換器管110の長手方向に)第1一次部分111と第1三次部分113との間に配置されている。第2二次部分122は、(第2熱交換器管120の長手方向に)第2一次部分121と第2三次部分123との間に配置されている。第1及び第2熱交換器管110,120によって発生する流動抵抗を低減するために、第1三次部分113の内径di13は、第1一次部分111の内径di11と等しい。第2三次部分123の内径di23は、第2一次部分121の内径di21と等しい。好ましくはさらに、第1三次部分113の内径di13は、第1二次部分112の内径di12よりも大きい。第2三次部分123の内径di23は、第2二次部分122の内径di22よりも大きい。
【0062】
製造上の理由から、三次部分113,123は一次部分111,121と同様であることが好ましい。従って、好ましくはまた、第1三次部分113の外径d13は、第1一次部分111の外径d11と等しく、第2三次部分123の外径d23は、第2一次部分121の外径d21と等しい。
【0063】
三次部分113,123を侵食から保護するために、実施形態では、第1三次部分113の少なくとも一部は、耐火物230で覆われ、第2三次部分123の少なくとも一部は、耐火物230で覆われる。
【0064】
上記に詳述した壁200の任意の実施形態が、特に、流動床ボイラー300の壁として使用可能である。流動床ボイラー300を、
図3aないし3c及び
図5a、また
図7a及び
図7bに示す。図面に示す流動床ボイラー300は循環タイプである。上記に詳述した壁200の任意の実施形態が、気泡流動床ボイラー300の壁として使用可能である。
【0065】
このように、流動床ボイラー300は、炉310と、燃焼空気を炉310に入れる空気ノズル330と、燃料を炉310に入れる燃料入口340とを備えている。
図3aないし3c及び
図5a、また
図7a及び
図7bを参照する。流動床ボイラーが循環流動床ボイラーである場合に、流動床ボイラーは、分離された粒子状物質の少なくとも一部を炉310へ戻すために、炉310から受け取った流れから粒子状物質を分離する粒子分離器320を備えている。循環流動床ボイラーでは、ベッド材料、燃料、灰、空気及び煙道ガスの混合物が主に炉310の中を上方へ移動し、さらに粒子分離器320に伝播するような量の空気が炉310に供給されるように、空気ノズル330は作動される。好ましくは、粒子分離器320は、混合物から固形物の少なくとも大部分を分離し、炉310へ戻すためのサイクロンを含む。煙道ガス(即ち混合物の残りの部分)は、煙道ガス流路322に排出される。流動床ボイラー300はさらに、炉310及び/又は煙道ガスから熱を回収するための熱交換器324を有する。一例として、
図3aは、煙道ガス流路322に配置された熱交換器324を示す。
【0066】
流動床ボイラー300はさらに、上記に詳述した壁200の任意の実施形態による少なくとも1つの壁200を備えている。背景で詳述したように、材料の大部分が炉310の中で上方に流れる場合であっても、炉の壁200の近傍で、材料の流れは実質的に下向きであってよい。
【0067】
実施形態では、
図3aないし3c及び
図7a及び
図7bに詳細に示すように、壁200は、実質的に同様に機能する2つの部分に炉310を分割する分割壁である。実施形態では、
図5aないし5cに詳細に示すように、壁200は、炉310の側壁である。実施形態では、流動床ボイラー300は、上記に詳述した壁200の任意の実施形態による第1壁と、上記に詳述した壁200の任意の実施形態による第2壁(図示せず)とを含む。実施形態では、第1壁は炉の分割壁であり、第2壁は炉の側壁である。実施形態では、第1壁は炉の分割壁であり、第2壁は炉の別の分割壁である。実施形態では、第1壁は炉の側壁であり、第2壁は炉の側壁である。
【0068】
以下では、壁200は、上記で開示したタイプの(唯一の)壁、第1壁、第2壁、又は第1壁と第2壁との両方を指す。
【0069】
循環流動床ボイラー300の中で、平面Pの少なくとも第1サイドS1が炉310の一部に露出するように、壁200は炉310を制限する。換言すれば、炉310の一部は、平面の第1サイドS1に配置されている。さらに、この実施形態では、耐火物230の少なくとも一部が、平面Pの第1サイドS1に配置されている。このように配置されている場合に、上記に詳述した隙間221,222が上述したように機能する。さらに、壁は、第1方向Dir1が上向きで垂直な方向Szと最大30度の角度をなすように配置されている。このようにして、第1方向Dir1は、この実施形態では、上記に示したように、多かれ少なかれ上方へ垂直である。さらに、この角度は、隙間221,222が意図した通りに機能することを確実にし、一次部分111,121よりも外径が小さい熱交換器管110,120の二次部分112,122が、上記に詳述した技術的効果を有することを確実にする。
【0070】
好ましくは、壁200は、炉310の分割壁である。このような場合に、壁200の両サイドでは、ベッド材料は、耐火物230(又はその上に堆積したベッド材料)に突き当たるまで、壁に沿って下方に流れる傾向を有する。そして、その時点で、ベッド材料は横断方向にガイドされ、その横断方向の1つは壁200に向かう方向である。従って、この場合に、隙間221,222は、壁200のいずれかのサイドから壁200の反対サイドへ、ベッド材料と気体との通路を提供する。このように、壁200は、流動床ボイラー300の分割壁として特に有効であることが判明している。従って、実施形態では、炉310の第1部分P1は、壁200の第1サイドに配置され、炉310の第2部分P2は、反対側である壁200の第2サイドに配置されている。換言すれば、実施形態では、炉310の第1部分P1は、壁によって定義された想像可能な平面Pの第1サイドに配置され、炉310の第2部分P2は、想像可能な平面Pの反対側である第2サイドに配置されている。従って、平面Pの第2サイドS2は、炉310の第2部分P2に露出されている。
図3b及び
図3cを参照する。さらに
図7bでは、平面Pは、炉を2つの部分に分割している。これに加えて、炉310をこれら2つの部分(P1,P2)に実質的に同様に機能するように分割するために、炉310の第1部分P1は、炉310の第1部分P1の中でベッド材料を流動化させる空気ノズル300の第1セット330Aが設けられている。炉310の第2部分P2は、炉310の第2部分P2の中でベッド材料を流動化させる空気ノズル300の第2セット330Bが設けられている(
図3c参照)。この実施形態では、好ましくは、壁200の熱交換器管(110,120)の第1及び第2一次部分(111,121)と、第1及び第2二次部分(112,122)とは、平面Pの中で延びる。従って、一次部分(111,121)と二次部分(112,122)との間には曲げの点がなく、これにより、壁200の両サイドが実質的に同じように機能することを確実にする。
【0071】
特に大型の流動床ボイラーで問題となるのは、負荷に耐えることである。一方では、ボイラーの部品そのものによって、他方では、炉310の中に配置された粒子状物質によって、負荷は引き起こされる。特に、典型的には、空気ノズル330は火格子370に配置され、火格子は粒子状物質の負荷に耐える。従って、火格子370自体が適切に支持される必要がある。炉の側壁はある程度の負荷に耐えることが可能であるが、その一方、好ましくは、少なくとも、上記に開示された実施形態に係る壁200である分割壁が、負荷に耐える。このことは、分割壁が実質的に平面形状であってよいという利点を有し、それにより壁200の熱交換器管は、直線的で実質的に垂直であってよい。実質的に垂直である直線的な管は、例えば、曲げ管や垂直でない管よりも、極めて一層大きな範囲まで負荷に耐えることが可能である。さらに、炉の側壁は通常、耐負荷性が減少するように曲げられていることに、留意するものとする。
図5aないし5cを参照して、曲げ管について説明する。
図3aないし3c、
図7a及び
図7bを参照すると、炉310の支持分割壁として使用される場合に、壁200は、吊り構造350から吊り下げられてよい。壁200は、火格子370を支持する支持構造360を支持してよい。
【0072】
これらの理由から、
図3aないし3c、また
図7a及び
図7bを参照すると、循環流動床ボイラーの好ましい実施形態は、上側ビームを含む吊り構造350と、下側ビームを含む支持構造360と、支持構造360の上方に配置されている火格子370とを備えている。さらにこの実施形態で、壁200は、直線的な熱交換器管を備え、壁200は、支持構造360を支持するように構成されている。火格子370は、空気ノズル330を含む。流動床ボイラー300が空気ノズルのセットを備えている場合に、火格子370は、空気ノズルの第1セット330Aと、空気ノズルの第2セット330Bとを含む。
【0073】
一層具体的には、本実施形態では、壁200の第1及び第2熱交換器管110,120は、吊り構造350と支持構造360との間で直線的に延び、第1方向Dir1は、上向きで垂直な方向Szと最大で5度の角度をなす。以上詳述したように、これらの特徴により、壁200の耐負荷性が向上する。
【0074】
さらに、壁の耐負荷能力を利用するために、壁200は、吊り構造350に固定され(例えば、壁200は、吊り構造350から吊り下げられ)、壁200は、支持構造360を支持し(例えば、壁200は、支持構造360に固定され)、支持構造360は、火格子370を支持する。
【0075】
実施形態では、炉310の下部は下方へのテーパー形状を有するが、炉の上部は実質的に一定の断面を有してよい。例えば、[A]炉310の側壁の曲げ線BLと垂直法線、又は[B]炉310の対向する側壁の曲げ線BLのいずれかによって定義された、分割平面DPの上方に、上部が配置されるように、上部は定義されてよい。
図3c,
図5a及び
図5bを参照する。
【0076】
従って、実施形態では、炉310の2つの対向する側壁はそれぞれ、
図3c及び
図5aに示すように、曲げ線BLを有する。
図3c及び
図5aにおいて、曲げ線BLは、図面の平面に対して垂直な方向Sxに延びる。側壁のこのような曲げ線BLは、分割平面DPを定義する。従って、曲げ線BLは分割平面DPに配置されている。分割平面DPは、物質的な物体でなく、幾何学の分野で定義される平面であるという意味で、仮想的である。炉310の一次部分311が、分割平面DPの上方に配置されている。炉310の二次部分312が、分割平面DPの下方に配置されている。実施形態では、炉310の1つの側壁のみが、法線が垂直である分割平面DPを定義する曲げ線BLを有する。2つの曲げ線BLが分割平面DPを定義する場合に、分割平面DPの法線は垂直である必要はない。
【0077】
少なくとも1つの曲げ線BLのために、炉310の二次部分312は、下方へのテーパー形状を有する。炉310の一次部分311は、垂直方向に一定の断面を有する形状を有してよく、その断面は垂直方向に法線を有する。二次部分312は、下方に火格子370へ延びる。二次部分312は、上方に一次部分311へ延びる。
図3c及び
図5aで、分割平面DPは、一次部分311と二次部分312との間の界面を形成する。一次部分311は、二次部分312から上方に延びる。
【0078】
炉310の二次部分312は下向きにテーパー形状であるため、二次部分312ではベッド材料の流れは、疑いなく(reasonably)乱流となる。さらに、乱流は表面を侵食する傾向がある。炉310の二次部分312の中での熱交換器管110,120,130の侵食を防止するために、実施形態では、炉の二次部分312の中で、壁200の熱交換器管110,120,130は耐火物230で覆われている。さらに好ましくは、耐火物230は、炉310の二次部分312全体にわたって、壁200の熱交換器管110,120,130に設けられている。その結果、壁200の第1及び第2隙間221,222は、実施形態では、炉310の一次部分311に配置されている。
【0079】
特に、実施形態では、第1隙間221は、炉の一次部分311に配置されている。実施形態では、第1隙間221は、炉の側壁の曲げ線BL、又は複数の曲げ線BLによって、定義される分割平面DPの上方に配置されている。実施形態では、法線が垂直である第2仮想平面IPは、第1隙間221と交差し、(i)炉310の側壁の曲げ線BL、又は(ii)炉310の側壁の曲げ線BLのうちの1つ、又は(iii)炉310の二次部分312を定義する炉310の側壁の曲げ線BLの全てよりも高い垂直レベルに配置されている。第2仮想平面IPは、物質的な物体でなく、幾何学の分野で定義される平面であるという意味で、仮想的である。これは、第2隙間222にも準用される。
【0080】
図5aないし5cを参照すると、壁200の任意の実施形態が、流動床ボイラー300の炉310の側壁として使用されてよい。このような実施形態では、炉310の第1部分P1は、壁200の第1サイドに配置され、炉310の第2部分P2は、反対側である壁200の第2サイドに配置され、それにより、平面Pの第2サイドS2は、炉310の第2部分P2に露出される。このように、炉310の第1部分P1は、壁200の第1サイドに配置され、炉310の第2部分P2は、反対側である壁200の第2サイドに配置されている。しかし、壁200が側壁である場合に、炉310の部分P1及びP2は異なる機能を果たす。この場合に、燃焼の大部分は第1部分P1で行われ、第2部分P2は主に、上述した渦の形成を防止するために使用される。従って、
図5aを参照すると、実施形態では、炉310の第1部分P1は、炉310の第1部分P1の中でベッド材料を流動化させる空気ノズル330が設けられている。しかし、炉310の第2部分P2は、空気ノズルを有さない。
【0081】
さらに、炉310からベッド材料が漏れることを防止するために、流動床ボイラー300はプレート250を備えている。プレート250の少なくとも一部は、平面Pの第2サイドS2に配置されている。プレート250は、第1フィン211に固定され、ベッド材料が炉310から漏れることを防止するように構成されている。
【0082】
図7a及び
図7bは、壁200の別の実施形態を示す。
図7bに示すように、上方から見ると(断面VIIbについては
図7aを参照)、壁200は十字の形状を有する。従って、壁200は、第1壁部分200aと第2壁部分200bとを備えている。第1壁部分200aと第2壁部分200bとは平面形状であり、互いに垂直に配置されている。第1壁部分200aは、上述したように、熱交換器管110,120,130と、それらの部分111,112,121,122,131,132とを含む。管の二次部分112,122は、
図7bに示し、上述したように、想像可能な平面Pを定義する。このような壁200は、上に詳述したように、分割壁として使用されてよい。この壁200の効果は、2つある。第1に、垂直になった2部分を有することにより、壁200の支持能力を向上させることが可能である。上に詳述したように、壁200は、例えば火格子370を支持することが可能である。第2に、垂直になった2部分を有することにより、伝熱面の面積が増加し、熱回収率を向上させることが可能である。しかし、熱回収率は、多くの熱交換器管、即ち、例えば幅広の壁200を使用することでも、向上させることが可能である。
【0083】
図8a、
図8b、
図8c、
図8f及び
図8gを参照すると、さらに、補助伝熱面を使用することで、熱回収を改善することが可能である。
図8aないし8cは、壁200の実施形態を示す。この実施形態では、壁200は、その上部に補助伝熱面241,242を備えている。例えば、壁200の一部を形成する第1一次部分111と、第2一次部分121と、第1フィン211とは、平面部を構成してよい。第1補助伝熱面241は、
図8aないし8cに示すように、この平面部分から突出してよい。同様に、第2補助伝熱面242は、
図8aないし8cに示すように、第1一次部分111と、第2一次部分121と、第1フィン211とによって定義される平面から突出してよい。このような補助伝熱面241,242は、ウィングと称してよい。
図8cに示すように、第2補助伝熱面242は、例えば、熱を回収するための伝熱チューブを含んでよい。これは他の補助伝熱面(例えば241)にも当てはまる。補助伝熱面241,242の目的は、熱回収率を向上させることである。
【0084】
図8d及び
図8eを参照すると、補助伝熱面241,242を有する壁は、熱回収を改善するために、例えば炉310の側壁付近に使用されてよい。
【0085】
図8aないし8cに示すように、壁が補助伝熱面241,242を備えている場合に、その補助伝熱面241,242はフィン211,212を貫通してよい。しかし、
図8f及び
図8gに示すように、補助伝熱面241,242は、管110,120の一次部分111,121を接続するコネクタを形成してよい。従って、フィン(211,212)と補助伝熱面(241,242)との両方が、熱交換器管の隣接する一次部分を接続するコネクタであると考えてよい。
【0086】
補助伝熱面を使用する場合に、補助伝熱面は、隣接する熱交換器管の各対を接続するように配置される必要はない。その代わりに、一例として、
図1cのように第2一次部分121がフィンによって第3一次部分131に接続されている場合でも、
図8gのように第1一次部分111が補助伝熱面241によって第2一次部分121に接続されてよい。補助伝熱面241,242の間の十分な距離は、ベッド材料からの熱伝達を改善する可能性がある。補助伝熱面241,242の間の十分な距離は、補助伝熱面241,242の間に、適切に多くのフィン接続熱交換器管を使用して達成することができる。
【外国語明細書】