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特開2024-122924結合材料の無駄のない結束のための改良された結束工具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122924
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】結合材料の無駄のない結束のための改良された結束工具
(51)【国際特許分類】
   B65B 13/18 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
B65B13/18 A
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024027396
(22)【出願日】2024-02-27
(31)【優先権主張番号】20 2023 100 955.7
(32)【優先日】2023-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】522160103
【氏名又は名称】ヘラマンタイトン・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】モーリッツ・マズーフ
【テーマコード(参考)】
3E052
【Fターム(参考)】
3E052BA01
3E052CA18
3E052CB05
3E052CB07
3E052GA15
3E052HA11
3E052KA16
3E052LA01
3E052LA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】結束物品の無駄のない結束のための改善された結束工具、特に、より信頼性が高く高速で操作しやすい結束工具の提供。
【解決手段】本結束工具は、結束物品の周りでエンドレスストラップの端部セクションを案内するための顎部ユニットと、ロック要素を提供するためのロック給送ユニットと、ロック要素を通る経路に沿って、モータによって端部セクションをロック要素に押し戻すための、並びに引き込みのための押引ユニットと、ロック要素に押し戻されたことを検出するためのセンサユニットと、結束工具に残っているセクションから、結束物品の周りに分離するための切断ユニットと、押し込み中に押引ユニットの経路の第1の経路部分に対して配置され、続く第2の経路部分より高い端部セクションの前進速度を事前設定する制御ユニットであって、第2の経路部分は、結束物品を無駄なく結束するためのロック要素に戻る経路の一部を含む制御ユニットを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンドレスストラップ(3)によって結束物品(4)を無駄なく結束するための結束工具(1)であって、
-前記結束物品(4)の周りで前記エンドレスストラップ(3)の端部セクション(3a)を案内するための交換可能な顎部ユニット(2)と、
-前記エンドレスストラップ(3)のためのロック要素(15)を提供するためのロック給送ユニット(5)と、
-前記提供されたロック要素(15)を通る経路(7)に沿って、かつ前記顎部ユニット(2)に沿って、前記結束物品(4)が前記顎部ユニット(2)によって、したがって前記結束物品(4)の周りで把持された状態で、モータによって前記エンドレスストラップ(3)の前記端部セクション(3a)を前記提供されたロック要素(15)に押し戻すための、並びにその後の前記エンドレスストラップ(3)の前記端部セクション(3a)を引き込むための、押引ユニット(6)と、前記ロック要素(15)に押し戻された前記端部セクション(3a)を検出するためのセンサユニット(8)と、
-前記結束工具(1)に残っている前記エンドレスストラップ(3)の残りのセクション(3c)から、前記結束物品(4)の周りに配置された前記端部セクション(3a)を分離するための切断ユニット(9)と、
を備える、
-制御ユニット(10)が、通常動作モードでの押し込み中に前記押引ユニット(6)に対して、前記経路(7)の第1の経路部分(7a)に対する前記端部セクション(3a)の押込速度を前記第1の経路部分(7a)に続く第2の経路部分(7b)に対するものよりも高く事前設定するように設計され、前記第2の経路部分(7b)は、前記ロック要素(15)に戻る前記経路(7)の部分を含む、ことを特徴とする結束工具。
【請求項2】
前記制御ユニット(10)が、
-前記押引ユニット(6)のための前記第1の経路部分(7a)用の較正動作モードにおいて、前記端部セクション(3a)の押込速度を前記通常動作モードの場合よりも低く事前設定し、特に前記第1の経路部分(7a)における前記押込速度として事前設定し、前記押引ユニット(6)のための前記第1の経路部分(7a)用の前記較正動作モードにおいて、前記通常動作モードにおける前記第2の経路部分(7b)の前記押込速度を事前設定し、
-前記較正動作モードにおいて、少なくとも前記第1の経路部分(7a)の距離相当値を決定する
ように設計される、ことを特徴とする請求項1に記載の結束工具。
【請求項3】
前記制御ユニット(10)が、前記較正動作モードにおいて、前記端部セクション(3a)を押す間の前記押引ユニット(6)の前記モータにおけるモータステップのカウントを用いて前記距離相当値を決定するように適合される、ことを特徴とする請求項2に記載の結束工具。
【請求項4】
前記制御ユニット(10)が、前記距離相当値が1回または数回決定された後、特に前記距離相当値が2回決定された後、前記較正動作モードを自動的に停止するように設計される、ことを特徴とする請求項2または3に記載の結束工具。
【請求項5】
前記制御ユニット(10)が、前記結束工具(1)がオンに切り替えられた後に前記較正動作モードを自動的に起動するように設計される、ことを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の結束工具。
【請求項6】
前記制御ユニット(10)が、
-前記通常動作モードでは、前記ロック要素(15)に押し戻された端部セクション(3a)が前記センサユニット(8)によって検出される時間相当値を検出し、
-検出された前記時間相当値が、前記押引ユニット(6)による押し込みのために記憶された時間相当値と一致するかどうかをチェックし、
-2つの前記時間相当値が一致する場合にのみ、所定の前記通常動作モードで継続する
ように設計される、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の結束工具。
【請求項7】
前記制御ユニット(10)が、前記端部セクション(3a)を押す間の前記押引ユニット(6)の前記モータにおけるモータステップをカウントすることによって前記時間相当値を決定するように適合される、ことを特徴とする請求項6に記載の結束工具。
【請求項8】
前記制御ユニット(10)が、2つの前記時間相当値が互いにずれた場合に、
-前記較正モードを起動する、かつ/または
-検出された前記時間相当値が記憶された前記時間相当値よりも大きいか小さいかをチェックし、検出された前記時間相当量が大きい場合には、前記端部セクション(3a)の押込速度が高いほど前記第1の経路部分(7a)を増加させ、検出された前記時間相当値が小さい場合には、前記端部セクション(3a)の押込速度が高いほど前記第1の経路部分(7a)を減少させる
ように設計される、ことを特徴とする請求項6または7に記載の結束工具。
【請求項9】
前記交換可能な顎部ユニット(2)が、完全に機械的な顎部ユニット(2)であるか、または完全に機械的な顎部ユニット(2)を備える、ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の結束工具。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の結束工具(1)と、少なくとも2つ、好ましくは3つまたは4つの異なる顎部ユニット(2,2’,2’’,2’’’)、特に異なるサイズの顎部ユニット(2,2’,2’’,2’’’)とを備える、結束工具システム。
【請求項11】
エンドレスストラップ(3)によって結束物品(4)を無駄なく結束するように設計された結束工具(1)を自動的に較正するための方法であって、
前記方法は、
-ロック要素(15)を通る経路(7)に沿って、かつ前記結束工具(1)の顎部ユニット(2)に沿って、給送モータによって前記エンドレスストラップ(3)の端部セクション(3a)を前記ロック要素(15)に押し戻すステップと、
-前記ロック要素(15)に押し込まれた前記端部セクション(3a)の終点(7z)の到達を検出するステップと、
-前記端部セクション(3a)を前記終点(7z)に押し込むのに必要な前記給送モータのモータステップの数を決定するステップと、
-将来の押し込みのために前記経路(7)の第1の経路部分(7a)に対応するモータステップのための第1の押込速度を設定するステップと、
-前記第1の経路部分(7a)に続く前記経路(7)の第2の経路部分(7b)に対応する前記将来の押し込みのモータステップのための、前記第1の押込速度よりも低い第2の押込速度を設定するステップと
を含む、方法。
【請求項12】
前記押し込みの間、前記端部セクション(3a)が前記結束物品(4)の周りに押し込まれる、ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
エンドレスストラップ(3)によって結束物品(4)を無駄なく結束のための方法であって、
前記方法は、
-ロック要素(15)を通る経路(7)に沿って、かつ前記結束工具(1)の顎部ユニット(2)に沿って前記エンドレスストラップ(3)の端部セクション(3a)を前記ロック要素(15)に押し戻すステップであって、前記経路(7)の第1の経路部分(7a)における前記端部セクション(3a)の押込速度は、前記第1の経路部分(7a)に続く前記経路(7)の第2の経路部分(7b)における押込速度よりも高い、ステップと、
-前記端部セクション(3a)を、前記結束工具(1)内に残っている前記エンドレスストラップ(3)の残りのセクション(3c)から分離するステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エンドレスストラップまたはストラップによって結束材料/結束物品を無駄なく結束するための結束工具に関し、結束工具は、エンドレスストラップの端部セクションを結束物品の周りに案内するための交換可能な顎部ユニットと、エンドレスストラップのためのロック要素を提供するためのロック給送ユニットと、提供されたロック要素を通る経路に沿って、かつ顎部ユニットに沿って、エンドレスストラップの端部セクションが結束物品の周りにある状態で顎部ユニットによって結束物品が把持されたとき(すなわち、エンドレスストラップが意図されるように使用されるとき)、モータによってエンドレスストラップの端部セクションを提供されたロック要素に押し戻すための、並びに、その後、エンドレスストラップの端部セクションを引き込んで結束物品の周りにエンドレスストラップを締め付けるための、押引ユニットと、端部セクションがロック要素に押し戻されたことを検出するためのセンサユニットと、結束工具に残っているエンドレスストラップの残りのセクションから結束物品の周りに配置された端部セクションを分離するための切断ユニットと、を備える。
【背景技術】
【0002】
結束物品の無駄のない結束のための既知の手法では、例えばロールに巻き上げられたストラップまたはテープは、モータによって、結束物品の周りの顎部ユニットに沿ったロック要素を通る経路上で、再びロック要素を通って押し戻され、結束物品の周りにループを形成する。使用されるストラップの長さは、結ばれるアイテムの最大直径を指定しないので、そのようなストラップは、エンドレスストラップとも呼ばれる。センサユニットは、ストラップ、すなわちストラップの端部または端部セクションがロック要素に送り返されたときを検出する。次いで、制御ユニットは、センサユニットからの信号に応答してモータの走行方向を反転させ、したがって、結束物品の周りのストラップを締め付ける。最後に、ストラップのうちロック要素を通過して結束物品の周りを通過したセクション、すなわち端部セクションは、ストラップの残りのセクション、すなわち残りのセクションから分離される。残りのストラップは、それぞれの結束工具内に留まり、次の結束または結び作業のために完全に使用されることができる。例えば、所定のストラップ長さを有するケーブルタイの使用とは対照的に、緩んだストラップ端部は切断されないので、このような結束物品の結束または結びは、無駄のない結束または結びと呼ばれる。
【0003】
異なるサイズの顎爪/把持爪を有する顎部ユニットを使用することによって、結束は、結束物品の異なる直径に適合される。例えば、結束工具は、顎部がそれぞれ30mm、50mm、80mmまたは100mmの最大直径に設計されている顎部ユニットを装備することができる。
【0004】
結びまたは結束は可能な限り最高の速度で行われるため、ストラップの端部または端部セクションは、全速力でセンサユニットに当たる。制御ユニットは、モータの進行方向を反転させるために一定の時間を必要とするため、ストラップは、実際に必要とされるよりもロック要素を通ってさらに押される。この場合、顎爪は結束物品の周りで閉じられ、システム全体は、横方向のブレイクアウトを排除するために、スライバを経路に沿って確実に案内しなければならない。ここでの横方向のブレイクアウトは、定期的であるが、エラーメッセージ及び結束または結びの取止めに至ることはまれである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
結束物品の無駄のない結束のための改善された結束工具、特に、より信頼性が高く、より高速で、より操作しやすい結束工具を提供するという課題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、独立請求項の目的によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項、明細書及び図面から生じる。
【0007】
一態様は、エンドレスストラップまたはテープによって結束物品を無駄なく結束するための結束工具に関する。エンドレスストラップは、例えば、貯蔵ユニットから結束工具までのロール上に提供される各結束プロセスにおいて個々に長さに切断されるストラップとして理解され得る。エンドレスストラップは、意図されるように使用されるときに束材料から離れる方を向く外側に歯が付けられてもよい。
【0008】
結束工具は、結束物品の周りに、結ばれるべき材料の周りでエンドレスストラップの端部セクションを案内するための交換可能な顎部ユニットを有する。顎部ユニットは、特に工具なしで、または単一の工具のみ、例えばスクリュードライバまたは六角形(ソケット)レンチを用いて、モジュールとして交換することができる顎部ユニットとすることができる。交換可能であることにより、顎部ユニットがエンドユーザによって交換されるように設計されていることを特に理解することができる。顎部ユニットは、少なくとも1つの顎爪、好ましくは2つの顎爪を備えてもよく、顎爪は、顎部ユニットの残りの部分及び/または結束工具の残りの部分に対して移動可能に配置され、結束材料の周りを案内するために意図されるように使用されるとき、結束材料の周りを閉じる。結束工具はまた、ストラップとは別個のエンドレスストラップのためのロック要素を提供するためのロック給送ユニットを有する。ロック要素は、特にその歯付外側でエンドレスストラップと係合するように設計された2つの貫通孔を有することができる。そのようなロック要素は、クロージャまたはクロージャヘッドと呼ぶこともできる。
【0009】
結束工具はまた、一方では、(結束物品が顎部ユニットによって、したがって意図された使用中に結束物品の周りで把持された状態で)顎部ユニットに沿ってロック給送ユニットによって提供されたロック要素を通る経路に沿ってモータによってエンドレスストラップの端部セクションを押し込んで、提供されたロック要素内に戻すための、他方では、その後のエンドレスストラップの端部セクションの引き込み(したがって、エンドレスストラップによる結束物品のラッシング)のための、押引ユニットを有する。ロック要素内に押し戻された端部セクションを検出するために、結束工具はセンサユニットを有する。センサユニットは、経路に沿って押されたエンドレスストラップの端部が、ロック要素を2回目に通過した後、例えばロック要素の第2の開口部を通過した後に衝突し、したがってセンサ信号をトリガする機械的停止要素(切替レバーなど)を有してもよい。また、結束工具は、結束物品の周りに配置されたエンドレスストラップの端部セクションと、結束工具に残っているエンドレスストラップの残りのセクションとを分離するための切断ユニットを有する。結束工具の制御ユニットは、最初に顎部ユニットが閉じられ(結束物品の周りで意図されるように使用されるとき)、次いで、センサユニットがセンサ信号を提供するまで押引ユニットによってエンドレスストラップが前進され、次いで、モータの走行方向が反転され、例えば所定の締め付け力に達するまでエンドレスストラップが締め付けられるように、結束工具の異なるユニットを制御するように設計されることができる。最後に、制御ユニットは、エンドレスストラップの切断、したがって、切断ユニットによって結束工具内に残っているエンドレスストラップの残りのセクションからの結束物品の周りに配置された端部セクションの切断をトリガすることができる。
【0010】
通常動作モードでは、制御ユニットは、押引ユニットのための経路の第1の経路部分について、第1の経路部分に続く第2の経路部分よりも高い端部セクションの押込速度を指定または設定するように設計される。第1の経路部分は第1の長さを有し、第2の経路部分は第2の長さを有する。第2の経路部分は、ロック要素内に戻るように延びる経路の一部を含む。したがって、端部セクションをロック要素に捻じ込んで戻す必要のある、センサユニットによって検出される経路の部分では、エンドレスストラップは、端部セクションが最初にロック要素を通って及び/または顎部ユニットに沿ってのみ案内される経路の前の部分よりも遅い。第1及び/または第2の長さを、制御ユニットに記憶することができ、特に、以下でさらに説明する較正動作モードにおいて決定することができる。経路部分の長さを、空間的及び/または時間的長さとして記憶または指定することができ、それによって空間的及び時間的長さを、それぞれの押込速度によって数学的に明確な方法で互いに変換することができる。
【0011】
これは、第1の経路部分におけるエンドレスストラップのより速い速度が、結束/結びの持続時間を短く保ち、同時に、第2の経路部分におけるエンドレスストラップのより遅い速度が、結束/結びの信頼性を実質的に高めるという利点を有する。したがって、第1の経路部分は可能な限り大きく、第2の経路部分は可能な限り小さく選択されるべきである。例えば、第1の経路部分は、大部分、すなわち経路全体の50%超、特に65%超、好ましくは80%超を構成することができる。さらに、第2の経路部分の速度が遅いほど、制御ユニットに、押引ユニットのモータを減速させて切り替える時間を与え、その結果、エンドレスストラップが設定位置を超えてオーバーシュートする可能性が低減される。その結果、エンドレスストラップの引き込み中に再び時間が節約され、第2の経路部分におけるより遅い押し込みによって延長される結束の持続時間が再び短縮される。さらに、特にセンサユニットの全体的な摩耗が低減される。
【0012】
さらなる実施形態では、制御ユニットは、第1の経路部分のための結束工具の自動較正用の較正動作モードにおいて、押引ユニットのための端部セクションの押込速度を通常動作モードの場合よりも低く事前設定し、特に、通常動作モードにおける第2の経路部分の押込速度を、較正動作モードにおける押引ユニットの第1の経路部分のための押込速度として事前設定し、第1の経路部分のための距離相当値、したがって較正動作モードにおける第1の経路部分の長さを決定するように設計されるものとする。代替的または追加的に、距離相当値、したがって第2の経路距離セクションの長さも決定することができる。距離相当値は、ここでは、所定の設計関連境界条件から第1の経路部分の長さを決定することができる任意の量と見なすことができる。一例は、以下に説明する押引ユニットの(ステッパ)モータのエンコーダまたはモータステップであり、そこから、それぞれの経路部分の端部セクションによって覆われる距離を、押引ユニットのそれぞれの幾何学的寸法を介して計算することができる。例えば、1つのエンコーダまたはモータステップは、3mmの距離に対応することができる。それにより、より低い押込速度または送り速度では、それぞれの相当値がより高い精度で維持され、これは、より低い押込速度が較正動作モードにおいて有利である理由である。しかしながら、経路長同等物は、例えば、エンドレスストラップの歯状部に基づいて、例えば別個のセンサ要素によって検出される経路長自体を含むか、または経路長自体であってもよい。
【0013】
これは、第1及び/または第2の経路部分の長さが顎部ユニットのサイズに自動的に適合され、その結果、例えば、顎部ユニットのサイズ並びに第1及び/または第2の経路部分の対応する長さを、記憶されたテーブルを使用して決定することができるという利点を有する。自動適合は、特に少ない労力で、それぞれのアプリケーションにおける設定速度及び信頼性の動的最適化を可能にする。
【0014】
第1の経路部分の前に初期経路部分を設けることができ、そこで、増加した押込速度が、端部セクションに常に、すなわち通常動作モード及び較正動作モードにおいて、指定される。これは、例えば、結束工具の工場で知られており、したがって制御ユニット側で、所定の最小サイズ、例えば30mmの顎部直径が、結束工具に利用可能な顎部ユニットによって下回らないことが記憶されている場合に有利である。その場合、初期経路部分の長さは、好ましくは、指定された最小サイズを有する顎部ユニットについて記憶された第1の経路部分の長さに対応する。これにより、較正動作モードにおける結束工具の速度が向上する。
【0015】
さらなる実施形態では、制御ユニットは、較正動作モードにおいて、端部セクションを押し込む間の押引ユニットのモータ(特にステッパモータとして設計されている)内のモータステップをカウントすることによって距離相当値を決定するように設計されるものとする。特に、モータを、DCモータ、例えばブラシレスDCモータとして設計することもできる。モータは、ギアボックスを備えてもよい。モータは、ステッパモータとして設計されているか、単に(ブラシレス)DCモータとして設計されているかにかかわらず、対応するエンコーダステップを介して段階的に制御されることができる。これらのステップは、両方の場合に決定されることができる。
【0016】
これは、それぞれの経路部分及び/または経路の長さを追加のセンサなしで検出することができるという利点を有する。制御ユニットは、シャッタ要素内に押し戻された端部セクションを検出するためのセンサユニットからのセンサ信号の受信までモータ/エンコーダステップの数をカウントし、通常動作モードでは、第1の経路部分に対応し、したがって通常は総モータステップの大部分(「大部分」の定義については上記を参照)である第1のセットのモータステップについては、より大きい押込速度を設定し、第2の経路部分に対応する第2のセットのモータステップについては、低減された押込速度を設定するだけで十分である。新しいセンサ技術も従来よりも高い計算能力も必要とされないので、より高速でより信頼性の高い結束という既に述べた利点は、特に簡単な方法で達成することができる。
【0017】
さらなる実施形態では、制御ユニットは、距離相当値が1回または数回決定された後、特に距離相当値が2回決定された後、較正動作モードを自動的に停止するように設計されるものとする。これは、取り扱いが単純化されるという利点を有し、また、特に距離相当値が2回較正されるときに、距離相当値ひいてはそれぞれの距離セクションの長さが十分な信頼性及び精度で決定されることも示されている。
【0018】
さらなる実施形態では、制御ユニットは、結束工具がオンに切り替えられた後、特に制御ユニットに電力が供給された後に、較正動作モードを自動的に起動するように設計されるものとする。結束工具のスイッチがオフに切り替えられたときに顎部ユニットの変更が一般に行われることが分かっているので、これにより、顎部ユニットのサイズの変更が結束工具によって検出され、上記の利点が日常的に高い信頼性で達成されることが保証される。
【0019】
さらなる実施形態では、制御ユニットは、通常動作モードにおいて、ロック要素内に押し戻された端部セクションがセンサユニットによって検出される(特に相対的な)時間相当値を検出し、検出された時間相当値が、押引ユニットによる押し込みのために記憶された時間相当値に対応するかどうかをチェックし、2つの時間相当値が(十分に正確に)互いに対応する場合にのみ、指定された、したがって変更されない通常動作モードを継続するように設計されるものとする。相対的な時間相当値としては、例えば、押し込み開始時の検知量に対して予め定められていてもよい。時間相当値は、1つまたは複数の内部タイムスタンプ及び/または期間、及び/または1つまたは複数の絶対時点、例えば、結束工具による結束のためのトリガ時間(絶対または相対)、及びロック要素に押し戻される端部セクションの検出時間を含んでもよい。記憶された時間相当値、例えば、押し込みの開始から検出時間(センサ信号のトリガ)までの持続時間を、記載された較正動作モードとは無関係に決定することもでき、例えば、標準値またはデフォルト値を最初に記憶することができ、これは通常動作モード中に段階的に適合され、特に調整される。次いで、通常動作モード中に較正が行われ、これは適宜、自己較正通常動作モードと呼ぶことができる。
【0020】
したがって、制御ユニットは、記憶された経路部分、すなわち顎部ユニットの記憶されたサイズ並びに/または結果として生じる第1及び/もしくは第2の経路部分の長さに従って予想される時間に、センサユニットがロック要素に押し戻された端部セクションを検出するか否かをチェックする。その結果、第1及び/または第2の経路部分に使用された設定が(依然として)正しい設定であるかどうかが自動的にチェックされる。したがって、ここでも、結束の信頼性の向上が達成される。
【0021】
時間相当値はまた、距離相当値であってもよく、または距離相当値を含んでもよい。例えば、通常動作モードでは、経路に沿って端部セクションを押し込むためのモータステップをカウントし、取り付けられた顎部ユニットについて記憶されたモータステップの数(例えば、較正動作モードにおいて検出される)と比較することができ、したがって、通常動作モードに対して現在指定されている経路部分または経路部分長さが依然として正確であり、それに応じてさらに使用されるべきかどうかをチェックすることができる。したがって、制御ユニットは、端部セクションを押し込む間に、押引ユニットのモータ(特にステッパモータとして設計されている)内のモータステップをカウントすることによって時間相当値を決定するように設計されるものとし得る。これにより、信頼性及び結びの安全性がさらに向上する。
【0022】
さらなる実施形態では、制御ユニットは、記録された時間相当値が互いにずれるとき(特に十分に及び/または十分に頻繁に、例えば少なくとも2回)、較正モードを起動し、及び/または検出された時間相当値が記憶された時間相当値よりも大きいか小さいかをチェックし、次いで、検出された時間相当値が大きい場合、端部セクションのより高い押込速度で第1の経路部分を増加させ、検出された時間相当値が小さい場合、端部セクションのより高い押込速度で第1の経路部分を減少させるように設計されるものとする。第1の経路部分の減少または増加は、2つの時間相当値のずれのサイズに比例することができる。これは、押込速度を、顎部ユニットのサイズの変化に特に短時間で適合させることができることを意味する。
【0023】
これは、センサユニットが、顎部ユニットが小型化されたときには想定よりも早く、顎部ユニットが大型化されたときには想定よりも遅く端部セクションを検出するという知見に基づく。特に、例えば結束プロセスから結束プロセスへの第1の経路部分の段階的な拡大または縮小は、結果的に、経路に沿った押込速度の適合をもたらし、その結果、可能な限り最長の第1の経路部分では可能な限り最高の押込速度で可能な限り最速の結束を行い、端部セクションによって横断される経路の端部の手前の可能な限り短い第2の経路部分では減速した押込速度で可能な限り安全な結束を行うという意味で、記載された最適化となる。したがって、既に説明した利点は、ここで特に効果的かつ確実に達成される。
【0024】
さらなる実施形態では、交換可能な顎部ユニットは、完全に機械的な顎部ユニットであるか、または完全に機械的な顎部ユニットを備えるものとする。したがって、交換可能な顎部ユニットは、特に、電動要素を有さず、結束工具の残りの部分に対する電気的及び/または光学的インターフェースを有さない。これにより、全体的な複雑さが低減される一方で、説明された利点もここで説明された教示によって確実に達成される。
【0025】
さらなる態様は、記載された実施形態のうちの1つによる結束工具と、少なくとも2つ、好ましくは3つまたは4つの異なる顎部ユニット、好ましくは異なるサイズの顎部ユニットとを備える結束工具システムに関する。ここで、顎部ユニットのサイズは、結ばれる/結束されるべき結束物品のそれぞれの最大束径を指定する。例えば、顎部ユニットのサイズは、25mm~120mmの範囲をカバーしてもよく、例えば、サイズ30mm及び/または50mm及び/または80mm及び/または100mmであるか、またはそれらを含んでもよい。これは、異なる顎部ユニットを作業実務において迅速かつ容易に交換することができる一方で、結束において最適な速度及び信頼性を常に達成するという利点を有する。特に、通常の場合のように、特別な資格のある認可された操作者に結束工具の変更を行わせる必要はない。
【0026】
別の態様は、エンドレスストラップによって結束物品を無駄なく結束するために構成された結束工具を自動的に較正するための方法に関する。方法ステップは、ロック要素を通る経路に沿ってかつ結束工具の顎部ユニットに沿って、特にロック要素を通って、給送モータによってエンドレスストラップの端部セクションをロック要素に押し戻すことである。この場合、端部セクションは、束要素の周りに既に押し込まれている可能性があり、すなわち、押し込みは意図された使用で行われる。したがって、較正中、結束物品は既に結束されている可能性がある。しかしながら、これを、テストまたは較正運転として、結束物品なしで実行することも可能であり、これにより後で時間が節約される。次のプロセスステップは、ロック要素に押し込まれた端部セクションの切断長さまたは端部位置に達する検出である。
【0027】
さらなる方法ステップは、端部セクションを端部位置に押し込むために必要な給送モータのエンコーダまたはモータステップの数の決定、例えば読み出しである。エンコーダまたはモータステップの数は、例えば、その後に読み出されるか、または押し込み中にカウントされ得る。エンコーダステップの数に基づいて、経路の第1の経路部分に対応するエンコーダステップの第1の押込速度が、将来の押し込みのために指定される。したがって、エンコーダステップ数が決定された現在の押し込みに続く将来の押し込みのために、第1の経路部分の押し込みが第1の押込速度で実行される。さらに、第1の押込速度よりも低い第2の押込速度が、経路に沿って端部セクションを押し込むときに第1の経路部分のエンコーダステップに続き、経路の第2の経路部分に対応するエンコーダステップに対して指定される。したがって、エンコーダステップの数が決定された現在の押し込みに続く将来の押し込みの場合、第2の経路部分への押し込みは、より低い第2の押込速度で実行される。
【0028】
別の態様は、エンドレスストラップによる結束物品の無駄のない結束のための方法に関する。方法ステップは、ロック要素を通る経路に沿ってかつ結束工具の顎部ユニットに沿って結束物品の周りでエンドレスストラップの端部セクションをロック要素内に押し戻すことであり、端部セクションの押込速度は、経路の第1の経路部分において、第1の経路部分に続く経路の第2の経路部分よりも高い。さらなる方法ステップは、結束工具内に残っているエンドレスストラップの残りのセクションから端部セクションを分離することである。
【0029】
これにより、較正プロセス及び/または結束プロセスの利点及び有利なまたは代替の実施形態は、結束工具の利点及び有利なまたは代替の実施形態に対応する。
【0030】
概説にも記載されている上述した特徴及び特徴の組み合わせ、並びに図面の説明または図面のみに開示された特徴及び特徴の組み合わせは、単独でまたは記載された組み合わせで使用することができるだけでなく、本発明の範囲を逸脱することなく、他の特徴とともにまたは開示された特徴の一部なしで使用することもできる。したがって、実施形態もまた、図面に明示的に示され説明されていないが、図面に開示された個々の特徴を別々に組み合わせることによって生成することができる本発明の一部である。したがって、最初に策定された独立請求項のすべての特徴を含まない実施形態及び特徴の組み合わせも、開示されていると見なされるべきである。さらに、特許請求の範囲の従属関係に記載された特徴の組み合わせから逸脱する、またはそれを超える実施形態及び特徴の組み合わせが開示されていると見なされるべきである。
【0031】
例示的な実施形態は、概略図を参照して以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】例示的な結束工具の概略図である。
図2】結束工具の例示的な実施形態の概略断面図である。
図3図2の詳細図である。
図4】異なるサイズの顎部ユニットの例を有する例示的な結束工具の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図面において、同一または機能的に類似の特徴には同じ参照符号が付されている。
【0034】
図1は、例示的な結束工具を概略的に示している。この場合、結束工具1は、ハンドルユニット1bを有する中央ハウジング1aを有する。中央ハウジング1aは、ハンドルユニット1bの代わりに、ロボットと連結するための機械的及び/または電気的インターフェースを有してもよい。結束工具1は、結束物品4の周りにエンドレスストラップ3の端部セクション3aを案内するための交換可能な顎部ユニット2を有する。エンドレスストラップ3は、歯状部3bを有し、歯状部3bは、この場合、意図された使用中に結束物品4から外方を向くエンドレスストラップ3の外側に配置される。図示の例では、エンドレスストラップ3は、例えばロールの形態で保持される貯蔵ユニット1cから供給される。貯蔵ユニット1cは、結束工具1とは別体として設計されることができる。
【0035】
顎部ユニット2は、開閉可能な上顎爪2a及び下顎爪2bを有する。ロック給送ユニット5は、ここには示されていないロック要素15の外部または内部リザーバからの現在の結束プロセスのためのそれぞれのロック要素15を提供する。
【0036】
結束工具1はまた、この例では、結束物品4が顎部ユニット2によって結束物品4の周りで把持された状態で、提供されたロック要素15を通る経路7に沿ってかつ顎部ユニット2に沿って、モータによってエンドレスストラップ3の端部セクション3aを提供されたロック要素15に押し戻すための、並びにその後のエンドレスストラップ3の端部セクション3aを引き込むための、歯状部3bに係合する駆動部6aを備えた押引ユニット6を有する。
【0037】
結束工具1はまた、ロック要素15に押し戻された端部セクション3aを、この場合は機械的停止要素8aを用いて検出するためのセンサユニット8を有し、経路7に沿った押し込み中に端部セクション3aの一端部3a’が機械的停止要素8aに当接し、したがってセンサ信号をトリガする。端部セクション3aが引き戻された後、したがって結束物品4が結ばれた後に、結束工具1に残っているエンドレスストラップ3の残りのセクション3cから、結束物品4の周りに配置された端部セクション3aを分離するための切断ユニット9も、結束工具1の一部である。この場合、分離は、ブレード要素9aによって行われ、ブレード要素9aは、ここでは、引き込み後にロック要素15上の正のx方向に突出する残りのセクション3cを切断し、したがって分離するために正のy方向に移動される(少なくとも部分的には、その後の結束プロセスにおいて結束物品4の周りに案内される新しい端部セクションを形成する)。
【0038】
最後に、結束工具1は、押し込み中に押引ユニット6のための経路7の第1の経路部分7a(図2)の通常動作モードにおいて、第1の経路部分7aに続く第2の経路部分7b(図2)よりも高い端部セクション3aの押込速度を事前設定するように設計された制御ユニット10を有し、第2の経路部分7bは、ロック要素15内に戻る経路7の一部を含む。
【0039】
図2では、経路7がより詳細に示されている。そこに示される例では、第2の経路部分7bは、経路7の点7yから経路7の終点7zまで延び、そこに端部セクション3aがロック要素15を通って押し戻される。本例では、第1の経路部分7aは、ロック要素15の口部の経路7の始点7xから延び、これを通って、それぞれの結束プロセスの開始時に端部セクション3aが押される。
【0040】
歯状部3bの歯の数及び/または駆動部6aもしくは関連するモータのエンコーダもしくはモータステップの数などの距離相当値で測定及び/または指定することができるそれぞれの経路部分7a,7b、より正確にはそれらの長さを、使用されるそれぞれの顎部ユニット2の制御ユニット10の較正動作モードで決定することができる。このようにして、使用中の押引ユニット6の挙動を、顎部ユニット2のそれぞれのサイズ、すなわち設計によって生じる経路7の長さに対して部分的または完全に自動的に決定することができる。
【0041】
好ましくは、このとき、制御ユニット10は、第1の経路部分7aの較正動作モードにおいて、押引ユニット6のための端部セクション3aの押込速度を通常動作モードの場合よりも低く指定し、較正動作モードにおいて、第1の経路部分7aの距離相当値、例えば上述の距離相当値のうちの1つを決定するように設計される。これは、例えば、経路7全体の距離相当値を決定することによって、例えば、終点7zに達したときに、端部セクション3aを押し始めてからセンサ信号をトリガするまでの、エンコーダステップの総数または歯状部3bの歯の数をカウントし、次いで、第2の経路部分7bに対応するエンコーダステップまたは歯の記憶された数を総数から減算することによって行うことができる。
【0042】
較正動作モードでは、押引ユニット6の第1の経路部分7a及び第2の経路部分7bについても、通常動作モードにおける第2の経路部分7bの押込速度を事前設定することができる。しかしながら、第1の経路部分7a及び/または第2の経路部分7bが異なる押込速度、例えば通常動作モードにおける第2の経路部分の押込速度よりもさらに低い押込速度を有することも可能である。原理的には、距離相当値を、より高い押込速度よりも低い押込速度でより良好な精度で決定することができる。実際には、距離相当値を決定する際に、結束プロセスの所望のより高い速度と所望のより高い精度との間で重みを付ける必要がある。
【0043】
第2の経路部分7bの長さは、制御ユニット10によって、及び/または制御ユニット10が可能な限り短くなるように事前設定されるべきであり、それによって、エンドレスストラップ3を前方方向F(図3)に押すことと、その後、エンドレスストラップ3を制御ユニット及び/または押引ユニット6の逆方向R(図3)に引き込むこととの間のそれぞれの切替速度が制限要因である。
【0044】
第1の経路部分7aは、始点7xで開始する必要もなく、さらなる点7x’で開始することもできる。較正モードでも、点7xと点7x’との間の初期経路部分に対してより高い押込速度、例えば通常動作モードのより高い押込速度を指定することができる。初期経路部分の長さは、例えば、結束工具1に使用されるかまたは利用可能な最小の顎部ユニット2の始点7xから点7yまでの第1の経路部分7aの長さ及び/またはより短い長さとすることができる。
【0045】
説明した較正動作モードの代わりに、またはそれに加えて、通常動作モードは、較正通常動作モードを含んでもよく、較正通常動作モードであってもよい。これを、図3を参照して例として説明する。
【0046】
結束プロセスの開始時に、エンドレスストラップ3の端部3a’は始点7xにある。結束プロセスが信号をトリガした後、端部3a’及び端部3a’に隣接する端部セクション3aは、ロック要素15を通って経路7に沿って前方方向Fに、押引ユニット6によって最初に押される。対応する距離相当値、例えば所定数のエンコーダまたはモータステップに達するとすぐに、不良結びの可能性を低減するために、点7yに達すると押込速度が低減される。終点7zに達すると、センサ信号がトリガされ、ここで、押/引ユニットは、エンドレスストラップ3を逆方向Rに引き戻して、意図したように結合される材料4を束ねる。
【0047】
較正通常動作モードでは、結束プロセストリガ信号とセンサ信号との間の(特に相対的な)時間相当値を検出し、記憶された(特に相対的な)時間相当値と比較することができる。2つの時間相当値が一致する場合にのみ、以前の通常動作モード、すなわち第1の距離相当値7a及び/または第2の距離相当値7bの以前の長さを継続することが可能である。
【0048】
記憶された時間相当値に従ってセンサ信号が予想より遅くトリガされる場合、これは、相対的な時間相当値が記憶された顎部ユニットと比較してサイズが増大された顎部ユニット2が使用されることを示す。記憶された時間相当値に従ってセンサ信号が予想より早くトリガされる場合、これは、相対的な時間相当値が記憶された顎部ユニットと比較してサイズが縮小された顎部ユニット2が使用されることを示す。したがって、制御ユニット10は、第1の経路部分7aの長さをセンサ信号の遅い方または早い方のトリガまで自動的に調整する、すなわちそれに応じて長さを長くまたは短くし、次に記憶された時間相当値を第1の経路部分7aの新しい長さに調整することができる。このようにして、結束工具1は、意図された使用中にそれ自体を較正し、それに応じて異なるサイズの顎部ユニット2に最適な方法でそれ自体を調整する。
【0049】
図4は、例示的な結束工具1上の異なるサイズの例示的な顎部ユニット2,2’,2’’,2’’’を示している。顎部ユニット2,2’,2’’,2’’’は、破壊することなく、好ましくは工具なしで、または工具の数及び/または複雑さを制限して、繰り返し交換され得る。顎部ユニット2,2’,2’’,2’’’の異なるサイズに対応して、それぞれの経路7,7’’’、したがって特に第1の経路部分7aもそれぞれ異なる長さである。一方、第2の経路部分7bは、適切な長さが、例えば、制御ユニット10の反応速度などのそれぞれの結束工具1のさらなる特性によって決定されるため、同じ長さとすることができる。
【符号の説明】
【0050】
1 結束工具、1a 中央ハウジング、1b ハンドルユニット、1c 貯蔵ユニット、2,2’,2’’,2’’’ 顎部ユニット、2a 上顎爪、2b 下顎爪、3 エンドレスストラップ、3a 端部セクション、3a’ 端部、3b 歯状部、3c 残りのセクション、4 結束物品,材料、5 ロック給送ユニット、6 押引ユニット、6a 駆動部、7,7’’’ 経路、7a 第1の経路部分、7b 第2の経路部分、7x 始点、7x’ 点、7y 点、7z 終点、8 センサユニット、8a 機械的停止要素、9 切断ユニット、9a ブレード要素、10 制御ユニット、15 ロック要素
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】