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特開2024-122953カスコード電力デバイスからの信号を検出すること
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122953
(43)【公開日】2024-09-10
(54)【発明の名称】カスコード電力デバイスからの信号を検出すること
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20240903BHJP
【FI】
H02M3/28 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】32
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024019856
(22)【出願日】2024-02-13
(31)【優先権主張番号】63/446,771
(32)【優先日】2023-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/504,384
(32)【優先日】2023-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/435,296
(32)【優先日】2024-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501315784
【氏名又は名称】パワー・インテグレーションズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100125818
【弁理士】
【氏名又は名称】立原 聡
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ジェイ メイエル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電力コンバーターにおけるカスコード電力デバイスからの信号を検出する方法を提供する。
【解決手段】高電圧デバイスからのゲート信号を検出することにより、ドレイン波形特性が監視され得る。この手法によりカスコード電力デバイスを備える電力コンバーターにおけるパフォーマンスを高めることを実現するように、電力スイッチが制御され得る。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチノードに電気的にカスコード結合された第1のデバイスと第2のデバイスとを備えるカスコード電力デバイスであって、前記スイッチノードが、スイッチングサイクルに従ってスイッチノード電圧を提供するように構成された、前記カスコード電力デバイスと、
前記第2のデバイスのゲートに電気的に結合された電流検出要素であって、前記第2のデバイスの前記ゲートにおける信号に応答して検出信号を提供するように構成された前記電流検出要素と、
前記信号に応答して前記第1のデバイスのゲートにゲート駆動信号を提供するように構成されたスイッチドライバと、
前記検出信号に応答して状態信号を提供するように構成された信号検出回路と、
を備える、電力コンバーター。
【請求項2】
前記信号が、スルー電流である、
請求項1に記載の電力コンバーター。
【請求項3】
前記電流検出要素が、前記第2のデバイスの前記ゲートと前記第1のデバイスのソースとの間に電気的に結合された抵抗を備える、
請求項1に記載の電力コンバーター。
【請求項4】
前記第1のデバイスのソースが、グランドに電気的に結合されており、
前記第2のデバイスのドレインが、前記スイッチノードに電気的に結合されている、
請求項1に記載の電力コンバーター。
【請求項5】
前記第1のデバイスのソースが、前記スイッチノードに電気的に結合されており、
前記第2のデバイスのドレインが、電源ノードに電気的に結合されている、
請求項1に記載の電力コンバーター。
【請求項6】
前記電力コンバーターが、共振電力コンバーターである、
請求項1に記載の電力コンバーター。
【請求項7】
前記電力コンバーターが、ブレイク・ビフォー・メイク制御装置を更に備え、
前記第1のデバイスが、前記信号の一部中にオフ状態において動作するように、および、前記信号の前記一部の終端においてオン状態に遷移するように、前記ブレイク・ビフォー・メイク制御装置が、前記信号に応答して前記ゲート駆動信号を制御するように構成されている、
請求項1に記載の電力コンバーター。
【請求項8】
前記検出信号と基準との比較に応答して前記信号を提供するように構成された比較器を更に備える、
請求項1に記載の電力コンバーター。
【請求項9】
前記比較器が、電圧比較器であり、
前記基準が、電圧である、
請求項8に記載の電力コンバーター。
【請求項10】
前記比較器が、電流比較器であり、
前記基準が、電流である、
請求項8に記載の電力コンバーター。
【請求項11】
前記第1のデバイスが、エンハンスメント型nチャネル電界効果トランジスタ(NFET)であり、
前記第2のデバイスが、デプレッション型NFETである、
請求項1に記載の電力コンバーター。
【請求項12】
前記デプレッション型NFETが、デプレッション型窒化ガリウム(GaN)NFETである、
請求項11に記載の電力コンバーター。
【請求項13】
前記信号が、電圧および電流のうちの少なくとも1つの振動を含む、
請求項1に記載の電力コンバーター。
【請求項14】
前記スイッチドライバが、前記振動に少なくとも部分的に基づいて前記ゲート駆動信号を選択的に提供する、
請求項13に記載の電力コンバーター。
【請求項15】
前記スイッチドライバが、少なくとも部分的に前記振動の周波数により決定されたインターバルで、前記ゲート駆動信号を選択的に提供する、
請求項14に記載の電力コンバーター。
【請求項16】
電力コンバーターであって、前記電力コンバーターが、
前記電力コンバーターの入力に電気的に結合された第1の電力回路と、
電気的グランドとスイッチノードにおける前記第1の電力回路との間に電気的に結合された第2の電力回路と、
前記第1の電力回路の第1の制御接続部と前記第2の電力回路の第2の制御接続部とに電気的に結合されたドライバ回路であって、前記ドライバ回路が、前記第1の電力回路と前記第2の電力回路とを選択的に制御するように構成された、前記ドライバ回路と、
前記第2の電力回路に電気的に結合された検出回路であって、前記検出回路が、前記第2の電力回路から信号を受信するように構成されており、前記第2の電力回路からの前記信号に応答して、前記検出回路が、前記第1の制御接続部を通してつながる前記第1の電力回路と前記第2の制御接続部を通してつながる前記第2の電力回路とのうちの少なくとも1つの動作状態を変えるために、前記ドライバ回路に信号を選択的に提供するように構成された、前記検出回路と、
を備える、電力コンバーター。
【請求項17】
前記第1の電力回路が、カスコード状に電気的に接続された第1のトランジスタと第2のトランジスタとを含む、
請求項16に記載の電力コンバーター。
【請求項18】
前記第1のトランジスタが、エンハンスメント型nチャネル電界効果トランジスタ(NFET)であり、
前記第2のトランジスタが、デプレッション型NFETである、
請求項17に記載の電力コンバーター。
【請求項19】
前記第2の電力回路が、カスコード状に電気的に接続された第3のトランジスタと第4のトランジスタとを含む、
請求項16に記載の電力コンバーター。
【請求項20】
前記第3のトランジスタが、エンハンスメント型nチャネル電界効果トランジスタ(NFET)であり、
前記第4のトランジスタが、デプレッション型NFETである、
請求項19に記載の電力コンバーター。
【請求項21】
前記スイッチノードが、前記電力コンバーターの負荷に電気的に結合された、
請求項20に記載の電力コンバーター。
【請求項22】
前記信号が、スルー電流である、
請求項16に記載の電力コンバーター。
【請求項23】
前記信号が、電圧および電流のうちの少なくとも1つの振動を含む、
請求項16に記載の電力コンバーター。
【請求項24】
前記ドライバ回路が、前記振動に少なくとも部分的に基づいて前記第1の電力回路と前記第2の電力回路とのうちの少なくとも1つを選択的に制御する、
請求項23に記載の電力コンバーター。
【請求項25】
前記ドライバ回路が、少なくとも部分的に前記振動の周波数により決定されたインターバルで前記第1の電力回路と前記第2の電力回路とのうちの少なくとも1つを選択的に制御する、
請求項24に記載の電力コンバーター。
【請求項26】
前記電力コンバーターが、共振電力コンバーターである、
請求項16に記載の電力コンバーター。
【請求項27】
前記ドライバ回路が、前記信号の一部の終端において前記第2の電力回路の動作状態を変えるために前記第2の制御接続部を使用して前記第2の電力回路を選択的に制御するように構成された回路を更に備える、
請求項16に記載の電力コンバーター。
【請求項28】
第1のトランジスタであって、前記第1のトランジスタのドレインが第1の電位に電気的に結合された、前記第1のトランジスタと、
第2のトランジスタであって、前記第2のトランジスタのドレインが、前記第1のトランジスタのソースに電気的に結合されており、前記第2のトランジスタのソースが、第2の電位に電気的に結合されており、前記第2の電位が、前記第1の電位より低い電位である、前記第2のトランジスタと、
前記第1のトランジスタのゲートに電気的に結合されたコネクタであって、前記コネクタにおける信号の電圧および電流のうちの少なくとも1つの動きが、前記第1のトランジスタの前記ドレインにおけるドレイン電圧および前記第1のトランジスタの前記ドレインにおけるドレイン電流のうちの少なくとも1つの変化を示す、前記コネクタと、
を備える、検出装置。
【請求項29】
前記信号が、スルー電流である、
請求項28に記載の検出装置。
【請求項30】
前記信号が、電圧および電流のうちの少なくとも1つの振動を含む、
請求項28に記載の検出装置。
【請求項31】
前記信号が、前記振動に少なくとも部分的に基づいて前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタとのうちの少なくとも1つを選択的に制御する、
請求項30に記載の検出装置。
【請求項32】
前記信号が、少なくとも部分的に前記振動の周波数により決定されたインターバルで前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタとのうちの少なくとも1つを選択的に制御する、
請求項31に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[001] 本出願は、全体として参照により組み込まれる2023年2月17日に出願された米国仮特許出願第63/446,771号および2023年5月25日に出願された仮特許出願第63/504,384号の利益を主張する。
【0002】
[002] 本発明は概して、電力コンバーターにおける信号を検出することに関し、特に、電力コンバーターにおけるカスコード電力デバイスからの信号を検出することに関する。
【背景技術】
【0003】
[003] それらの高効率さ、小さいサイズ、および軽量さを理由として、スイッチング式電力コンバーターが多くの場合、従来の壁のソケットから現在の電子機器に給電することに使用される。スイッチング式電力コンバーターの実用例によると、高電圧交流電流(AC:alternating-current)入力は、エネルギー伝達要素(例えば変圧器)を通して適切に調節された直流電流(DC:direct-current)出力に変換される。スイッチング式電力コンバーターの制御装置は通常、1つまたは複数の出力量を表す1つまたは複数の入力を検出することと、閉ループにおいて出力を制御することとにより、出力調節を提供する。動作時、デューティサイクル(典型的には、総スイッチング周期に対するスイッチのオン期間の比)を変化させること、スイッチング周波数を変えること、または、スイッチング式電力コンバーターにおけるスイッチの単位時間当たりのパルス数を変化させることにより、所望の出力を提供するためにスイッチが使用される。
【0004】
[004] スイッチング式電力コンバーターのうちの一種は、電力段(power stage)の一部として共振回路(例えばインダクタおよびコンデンサ)を含む共振コンバーターである。共振回路は、ゼロ電流および/またはゼロ電圧スイッチングを利用することにより電力変換効率を有益に高め得る。
【0005】
[005] 共振コンバーターの部分集合である直列インダクタ・インダクタ・コンデンサ(LLC)コンバーターは、LLC共振回路を形成するために直列に接続された2つのインダクタと1つのコンデンサとを含む共振回路を使用する。通常、電力段スイッチ(例えばハイ側およびロー側デバイス)がゼロ電圧スイッチング(ZVS:zero-voltage switching)をされるように、LLCコンバーターの電力段が制御される。
【発明の概要】
【0006】
[006] カスコード電力デバイスからの信号を検出する非限定的かつ非網羅的な実施形態が以下の図を参照しながら説明され、同様の参照符号は様々な図面を通して、別段の指定がない限り同様の部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】[007] 図1Aは、本明細書における教示によるスルー(slew)検出回路を含む(ハーフブリッジLLC)電力コンバーターを示す。
図1B】[008] 図1Bは、実施形態によるスルー検出回路を含む(ハーフブリッジLLC)電力コンバーターを示す。
図1C】[009] 図1Cは、実施形態によるスルー検出回路を含む(ハーフブリッジLLC)電力コンバーターを示す。
図1D】[0010] 図1Dは、実施形態によるスルー検出回路を含むフライバック電力コンバーターを示す。
図2A】[0011] 図2Aは、実施形態による一次ブリッジ回路を示す。
図2B】[0012] 図2Bは、実施形態による一次ブリッジ回路を示す。
図2C】[0013] 図2Cは、実施形態による一次ブリッジ回路を示す。
図2D】[0014] 図2Dは、実施形態による一次ブリッジ回路を示す。
図2E】[0015] 図2Eは、実施形態によるカスコード電力デバイスを示す。
図3A】[0016] 図3Aは、本明細書における教示による波形を示す。
図3B】[0017] 図3Bは、本明細書における教示による波形を示す。
図4】[0018] 図4は、実施形態によるシミュレーション概略図を示す。
図5A】[0019] 図5Aおよび図5Bは、図4のシミュレーション概略図に対応した波形を示す。
図5B】[0019] 図5Aおよび図5Bは、図4のシミュレーション概略図に対応した波形を示す。
図6】[0020] 図6は、実施形態によるシミュレーション概略図を示す。
図7A】[0021] 図7Aおよび図7Bは、図6のシミュレーション概略図に対応した波形を示す。
図7B】[0021] 図7Aおよび図7Bは、図6のシミュレーション概略図に対応した波形を示す。
図8】[0022] 図8は、実施形態によるシミュレーション概略図を示す。
図9A】[0023] 図9Aおよび図9Bは、図8のシミュレーション概略図に対応した波形を示す。
図9B】[0023] 図9Aおよび図9Bは、図8のシミュレーション概略図に対応した波形を示す。
図10】[0024] 図10は、実施形態によるシミュレーション概略図を示す。
図11A】[0025] 図11Aおよび図11Bは、図10のシミュレーション概略図に対応した波形を示す。
図11B】[0025] 図11Aおよび図11Bは、図10のシミュレーション概略図に対応した波形を示す。
図12A】[0026] 図12Aは、実施形態による信号検出回路を含むフライバック電力コンバーターを示す。
図12B】[0027] 図12Bは、実施形態による信号検出回路を含むフライバック電力コンバーターを示す。
図13】[0028] 図13は、実施形態による一次ブリッジ回路を示す。
図14A】[0029] 図14Aは、実施形態による信号検出回路を示す。
図14B】[0030] 図14Bは、実施形態による信号検出回路を示す。
図14C】[0031] 図14Cは、実施形態による信号検出回路を示す。
図15A】[0032] 図15Aは、図14Bの実施形態による波形を示す。
図15B】[0033] 図15Bは、図14Cの実施形態による波形を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0034] 図面中の複数の図にわたり、対応する参照符号が対応するコンポーネントを示す。当業者は、図中の要素が簡潔かつ明確であるように描かれること、および、一定の縮尺で描かれているとは限らないことを理解する。例えば、図中の幾つかの要素の寸法は、カスコード電力デバイスからの信号を検出する様々な実施形態をより理解しやすくするために他の要素より誇張される場合がある。更に、市販に適した実施形態において有用なまたは必要な、一般的だが良く理解される要素は多くの場合、本明細書における教示のこれらの様々な実施形態の図が見づらくならないように図示されていない。
【0009】
[0035] 以下の説明では、カスコード電力デバイスからの信号を検出することの十分な理解を提供するために多くの具体的な詳細事項が記載される。しかし、本明細書における教示を実施するために特定の詳細事項が使用されるとは限らないことが当業者に明らかである。他の例において、よく知られた材料、コンポーネント、および/または方法は、本開示を不明瞭にしないために詳細には説明されていない。
【0010】
[0036] 本明細書中での、「一実施形態」、「実施形態」、「一例」、または「例」についての言及は、実施形態または例との関連で説明される特定の特徴、構造、または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書中の様々な場所における「一実施形態において」、「実施形態において」、「一例」、または「例」といった表現の使用は、すべてが同じ実施形態または例に関連するとは限らない。更に、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態または例において、任意の適切な組み合わせ、および/または部分的組み合わせで組み合わされてもよい。特定の特徴、構造、または特性は、説明される機能を提供する集積回路、電子回路、結合論理回路、または他の適切なコンポーネントに含まれてもよい。加えて、本明細書とともに提供される図が当業者への説明を目的としていること、および図面が一定の縮尺で描かれているとは限らないことが理解される。
【0011】
[0037] 本出願の文脈では、トランジスタが「オフ状態」または「オフ」であるとき、トランジスタは電流を遮断する、および/または実質的に電流を流さない。逆に、トランジスタが「オン状態」または「オン」であるとき、トランジスタは実質的に電流を流すことができる。例示として、1つの実施形態では、高電圧トランジスタはNチャネル電界効果トランジスタ(FET:field-effect transistor)を備え、Nチャネル電界効果トランジスタ(FET)は、第1の端子であるドレインと第2の端子であるソースとの間において高電圧がサポートされる金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET:metal oxide semiconductor field effect transistor)であり得る。別の実施形態では、電界効果トランジスタ(FET)は、伝導が主に多数キャリアによるものであるデプレッション型デバイスといった接合型電界効果トランジスタ(JFET:junction field effect transistor)であり得る。当業者が理解し得るように、FETは、例えばシリコン(Si)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)などの材料を使用して実現され得る。例えば、FETは、窒化ガリウム(GaN)FETおよび/またはGaN高電子移動度伝導(HEMT:High Electron Mobility Transport)FETデバイスであり得る。
【0012】
[0038] 幾つかの実施形態では集積型制御装置回路は、負荷に提供されるエネルギーを調節するときに、電力スイッチを駆動するために使用され得る。
【0013】
[0039] 更に、本開示の目的において、「グランド」または「グランド電位」は、基準電圧または基準電位を表し、この基準電圧または基準電位に対して、電子回路または集積回路(IC:Integrated circuit)の全ての他の電圧または電位が規定され、または測定される。
【0014】
[0040] 上述のように、スイッチング式電力コンバーターのうちの一種は、電力変換工程の一部としてインダクタンスおよび静電容量をもつ共振ネットワークまたは「タンク」回路とも呼ばれる共振回路を使用する共振コンバーターである。共振コンバーターは、例えばソフトスイッチング(例えばゼロ電圧スイッチング)、概してより高い効率、高周波数動作時のより低い損失、およびスイッチング波形における、より小さな高調波成分など、非共振スイッチング式電力コンバーターに比べて幾つかの利点をもち得る。これらは、結果的に、より小さい磁気要素およびより小さい電磁妨害(EMI:electromagnetic interference)フィルタの使用を可能にすることにより、パッケージングおよびコンポーネントコストを下げ得る。
【0015】
[0041] 共振コンバーターは多くの場合、ハーフブリッジ回路を含む。ハーフブリッジ回路は、ロー側デバイス(すなわちロー側スイッチ)とハイ側デバイス(すなわちハイ側スイッチ)とを含み得る。動作中、ロー側デバイスおよびハイ側デバイスは、スイッチングサイクルに従ってオンおよびオフにスイッチングし得る。更に、本明細書において説明されているように、スイッチングサイクルは、ロー側デバイスとハイ側デバイスとの両方がオフに留まるデッドタイムを含み得る。例えば、シュートスルー電流を軽減するためにブレイク・ビフォー・メイク期間(すなわちデッドタイム)が存在し得る。本明細書における教示によると、ブレイク・ビフォー・メイク期間(すなわちデッドタイム)中、スイッチノード電圧は、低下し得る、および/または上昇し得る(すなわち「スルー」し得る)。当業者が理解し得るように、ブレイク・ビフォー・メイク(BBM:break-before-make)は、第1の回路経路および第2の回路経路の一時的な接続を防ぐスイッチ構成に関連している。ブレイク・ビフォー・メイク動作中、スイッチは、第2の回路経路を接続する前に第1の回路経路をブレイクし(開き)得る。
【0016】
[0042] 用途は、例えばLLCコンバーターといった任意のZVSコンバータートポロジーを含み得る。
【0017】
[0043] 更に、本明細書における教示によると、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)は、スイッチノード電圧の変化レートがゼロまで低下したとき(すなわち「スルーの終わり」において)、ハイ側デバイスまたはロー側デバイスのいずれかがオンに切り替わるように、デッドタイムを制御することにより実現されてもよい。したがって、デッドタイムが制御され得るように、スイッチノード電圧の「スルー」および/または「スルーレート」を監視することが望ましい。この手法によりZVSが実現され得る。
【0018】
[0044] 共振コンバーターを含む現代の電力コンバーターは多くの場合、カスコード電力デバイスを使用する。カスコード電力デバイスは、(例えば高電圧窒化ガリウム(GaN)および/または炭化ケイ素(SiC)電界効果トランジスタといった)高電圧デプレッション型デバイスとカスコード状に接続されたエンハンスメント型デバイス(例えばエンハンスメント型nチャネル電界効果トランジスタ)を含み得る。エンハンスメント型デバイスは多くの場合、「ノーマリーオフ」デバイスと呼ばれ得、デプレッション型デバイスは、「ノーマリーオン」デバイスと呼ばれ得る。
【0019】
[0045] したがって、カスコード電力デバイスを使用する電力コンバーターにおけるスルーを監視することが必要とされる。
【0020】
[0046] カスコード電力デバイスからの信号を検出することが本明細書において説明されている。高電圧デバイスからのスルー電流を検出することによりスルーおよびスルーの終わりが監視され得る。この手法により、カスコード電力デバイスを備える電力コンバーターにおけるゼロ電圧スイッチングに役立つデッドタイムが制御され得る。
【0021】
[0047] 図1Aは、本明細書における教示によるスルー検出回路133~134を含む(ハーフブリッジLLC)電力コンバーター100を示す。
【0022】
[0048] 電力コンバーター100はハーフブリッジLLC電力コンバーター100として構成され得、したがって、電力コンバーター100は、本開示の範囲から逸脱せずにハーフブリッジLLC電力コンバーター100とも呼ばれ得る。
【0023】
[0049] 図示されているように、電力コンバーター100は、一次ブリッジ回路103、共振変圧器107、共振コンデンサCRES、整流器71および72、出力コンデンサC、フィードバックネットワーク112、および制御装置114を含む。一次ブリッジ回路103は、スイッチドライバ102およびハーフブリッジ104を含む。更に、ハーフブリッジ104は、ハイ側(HS:high-side)カスコード電力デバイス126およびロー側(LS:low-side)カスコード電力デバイス128を含む。更に、共振変圧器107は、変圧器106、漏れインダクタLLK、および励磁インダクタLを含む。
【0024】
[0050] 図示されているように、グランドGNDを基準とする直流電流(DC)入力電圧VINが、電力コンバーター100の一次入力(すなわち一次電源ノードNV)に印加され得る。電力コンバーター100は、一次入力からの入力電力をDC出力電力に変換し得る。DC出力電力は、二次グランドRTNを基準とする調節出力電圧Vを伴って、および出力電流Iを伴って負荷113に伝達され得る。
【0025】
[0051] 漏れインダクタLLK、励磁インダクタL、および共振コンデンサCRESは、スイッチノードNSWとグランドGNDとの間に直列接続されている。制御装置114は、スイッチドライバ102に駆動信号CLKDを提供し得、それに応答して、スイッチドライバ102は、HSカスコード電力デバイス126にゲート駆動信号GHを提供し得、LSカスコード電力デバイス128にゲート駆動信号GLを提供し得る。
【0026】
[0052] ゲート駆動信号GHおよびGLは、スイッチノードNSWにおけるスイッチノード電圧Vを生成するために、HSカスコード電力デバイス126およびLSカスコード電力デバイス128をそれぞれ駆動し得る。続いて、スイッチノード電圧Vxは、共振変圧器107を駆動し得る。
【0027】
[0053] 動作中、変圧器106は、電力コンバーター100の一次側と二次側との間にガルバニック絶縁を提供し得、この手法により、グランドGNDを基準とする一次側における信号が、二次グランドRTNを基準とする二次側における信号から絶縁され得る。
【0028】
[0054] 図示されているように、ドットにより示される同相巻線端子(すなわちドット端子)が漏れインダクタLLKに接続されるように、一次巻線120が励磁インダクタLに並列に電気的に結合されている。二次巻線122は、二次グランドRTNと二次出力(すなわち二次出力ノードNVO)との間において整流器72と直列に電気的に接続されており、同相巻線端子は二次出力ノードNVOに接続されている。二次巻線124は、二次グランドRTNと二次出力ノードNVOとの間において整流器71と直列に電気的に接続されており、同相巻線端子が整流器71のカソードに接続されている。
【0029】
[0055] 更に、整流器71および72の両方のアノードが二次グランドRTNに接続されており、出力コンデンサCおよびフィードバックネットワーク112が、二次出力(すなわち二次出力ノードNVO)と二次グランドRTNとの間において負荷113に並列に電気的に結合されている。図示されているように、制御装置114は、フィードバックネットワーク112からのフィードバック信号FBに少なくとも部分的に基づいて、駆動信号CLKDを提供し得る。
【0030】
[0056] ハイ側(HS)カスコード電力デバイス126は、第2の(上側)NFET156と電気的にカスコード結合された第1の(下側)nチャネル電界効果トランジスタ(NFET:n-channel field effect transistor)155を含む。したがって、第1の(下側)NFET155のソースは、スイッチノードNSWに電気的に結合され得る。第1の(下側)NFET155のドレインは、第2の(上側)NFET156のソースに電気的に結合され得、第2の(上側)NFET156のドレインは、一次電源ノードNVに電気的に結合され得る。
【0031】
[0057] 第1の(下側)NFET155はエンハンスメント型NFETであり得、第2の(上側)NFET156はデプレッション型NFETであり得る。例えば、第1の(下側)NFET155は、ゼロより大きい閾値電圧をもつ横方向および/または縦方向エンハンスメント型NFETであり得、第2の(上側)NFET156は、(例えば数百ボルト以上)の高いドレイン対ソース電圧に耐えることが可能な窒化ガリウム(GaN)デプレッション型電力デバイスであり得る。したがって、第1の(下側)NFET155のゲートは、ゲート駆動信号GHを受信するためにスイッチドライバ102に電気的に結合され得、第2の(上側)NFET156のゲートは、第1の(下側)NFET155のソースに電気的に結合され得る。更に、図示されているように、第2の(上側)NFET156のソースは、第1の(下側)NFET155のドレインに電気的に結合され得る。第1の(下側)NFET155のソースは、スイッチノードNSWに結合され得る。
【0032】
[0058] ロー側(LS)カスコード電力デバイス128は、第2の(上側)NFET166と電気的にカスコード結合された第1の(下側)nチャネル電界効果トランジスタ(NFET)165を含む。したがって、第1の(下側)NFET165のソースは、グランドGNDに電気的に結合され得る。第1の(下側)NFET165のドレインは、第2の(上側)NFET166のソースに電気的に結合され得、第2の(上側)NFET166のドレインは、スイッチノードNSWに電気的に結合され得る。更に、図示されているように、第2の(上側)NFET166のゲートは、電流検出要素163を介してグランド(GND)に電気的に結合され得る。
【0033】
[0059] 第1の(下側)NFET165は、エンハンスメント型NFETであり得、第2の(上側)NFET166は、デプレッション型NFETであり得る。例えば、第1の(下側)NFET165は、ゼロより大きい閾値電圧をもつ横方向および/または縦方向エンハンスメント型NFETであり得、第2の(上側)NFET166は、(例えば千ボルト以上の)高いドレイン対ソース電圧に耐えることが可能な窒化ガリウム(GaN)デプレッション型電力デバイスであり得る。したがって、第1の(下側)NFET165のゲートは、ゲート駆動信号GLを受信するためにスイッチドライバ102に電気的に結合され得、第2の(上側)NFET166のゲートは、第1の(下側)NFET165のソースに電気的に結合され得る。
【0034】
[0060] スルー中、スイッチノード電圧Vxは変わり得、結合された容量性要素(結合された静電容量)に変位電流を生み出す。例えば、スイッチノード電圧Vxの時間変化率(例えばスイッチノード電圧Vxのスルーレート)は、一次電源ノードNVとゲートノードNGHとの間に結合された静電容量CGDHに変位電流IXH(すなわちスルー電流IXH)を生み出し得る。代替的に、および追加的に、スイッチノード電圧Vxの時間変化率は、スイッチノードNSWとゲートノードNGLとの間に結合された静電容量CGDLにおける変位電流IXL(すなわちスルー電流IXL)を更に発生させ得る。静電容量CGDLは、NFET(例えば第2の(上側)NFET156)の寄生容量、外部静電容量、および/または両方の組み合わせであり得る。
【0035】
[0061] 本明細書における教示によると、HSカスコード電力デバイス126およびLSカスコード電力デバイス128がゼロ電圧スイッチングをされるように、スイッチドライバ102がゲート駆動信号GHおよびGLを提供し得る。ZVSを実現するために、スイッチドライバ102は、1つまたは複数のスルー検出回路133、134および電流検出要素153、163を含み得る。
【0036】
[0062] 例えば、電流検出要素153は、スルー電流IXHを含み得るノードゲート電流IGHを検出するためにゲートノードNGHとスイッチノードNSWとの間に電気的に結合され得る。ノードゲート電流IGHは、ゲートノードNGHからの電流であり得る。したがって、電流検出要素153は、ノードゲート電流IGHに応答して検出信号SGHを提供することによりスルー電流IXHを検出し、および/または監視し得る。本明細書において説明されているように、スルー検出回路134は続いて、ゲート駆動信号GH、GLのうちの1つまたは複数を制御するためにスイッチドライバ102に情報を提供し得る。当業者が理解し得るように、検出信号SGHは、電流、電圧、および/または電力信号であり得る。例えば、電流検出要素153はカレントミラーを使用して実現され得、検出信号SGHは、カレントミラーに由来する電流であり得る。
【0037】
[0063] 同様に、電流検出要素163は、スルー電流IXLを含み得るノードゲート電流IGLを検出するためにゲートノードNGLとグランドGNDとの間に電気的に結合され得る。ノードゲート電流IGLは、ゲートノードNGLからの電流であり得る。したがって、電流検出要素163は、ノードゲート電流IGLに応答して検出信号SGLを提供することにより、スルー電流IXLを検出し、および/または監視し得る。本明細書において説明されているように、ゲート駆動信号GH、GLのうちの1つまたは複数を制御するために、スルー検出回路133は続いて、スイッチドライバ102に情報を提供し得る。当業者が理解し得るように、検出信号SGLも電流、電圧、および/または電力信号であり得る。例えば、電流検出要素163はカレントミラーを使用して実現され得、検出信号SGLはカレントミラーに由来する電流であり得る。
【0038】
[0064] 一態様において上側カスコードMOSFET/スイッチのゲートは、抵抗要素(例えば抵抗器および/または抵抗)を介して直接的に、および/または間接的に接地され得る。
【0039】
[0065] 本明細書における教示は、上側カスコードスイッチのゲートがグランドおよび/または局所グランド(例えばハーフブリッジスイッチノードNSW)に結合された(すなわち電気的に結合された)場合に適用され得る。
【0040】
[0066] 図1Bは、実施形態によるスルー検出回路133~134を含む(ハーフブリッジLLC)電力コンバーター100を示す。図1Bの実施形態において、電流検出要素153は抵抗RSHを使用して実現され、電流検出要素163は抵抗RSLを使用して実現される。抵抗RSHおよび抵抗RSLは、抵抗要素(例えば抵抗器)を使用して実現され得る。更に、抵抗要素(例えば抵抗器)は、外部的なものおよび/または集積されたものであり得る。例えば、抵抗RSHおよび抵抗RSLは、集積された多結晶シリコン抵抗器を使用して実現され得る。代替的に、および追加的に、抵抗RSHおよび抵抗RSLは、一次ブリッジ回路103の外部にあるコンポーネントを使用して実現され得る。1つの実施形態では、抵抗RSHおよび抵抗RSLは、1オームの10分の1(0.1オーム)から100オーム(100オーム)の間の値をもち得る。代替的に、および追加的に、抵抗RSHおよび抵抗RSLは、本来的に備わる(例えば寄生的な)インターコネクト抵抗を含み得る。
【0041】
[0067] 図1Cは、実施形態によるスルー検出回路133を含む(ハーフブリッジLLC)電力コンバーター100を示す。図1Cの実施形態は、それがスルー検出回路134を含まないことを除いて図1Bのものに類似している。
【0042】
[0068] 図1Dは、実施形態によるスルー検出回路を含む電力コンバーター100を示す。図1Dの実施形態は、それがフライバック構成を使用し、ひいてはフライバックコンバーターとして動作し得ることを除いて図1Cのものに類似している。したがって、図1Dの電力コンバーター100は、本開示の範囲から逸脱せずにフライバック電力コンバーター100とも呼ばれ得る。したがって、フライバック電力コンバーター100はエネルギー伝達要素176を含み得、HSカスコード電力デバイス126を含まないものであり得る。
【0043】
[0069] 図2Aは、実施形態による一次ブリッジ回路103を示す。一次ブリッジ回路103は、スイッチドライバ102とハーフブリッジ104とを含む。図1Bのものに類似して、図2Aのハーフブリッジ104は、HSカスコード電力デバイス126とLSカスコード電力デバイス128とを含み、図1Bのものに類似して、電流検出要素153は抵抗RSHを使用して実現され、電流検出要素163は抵抗RSLを使用して実現される。
【0044】
[0070] スイッチドライバ102は、ロー側(LS)ドライバ243、ハイ側(HS)ドライバ244、ブレイク・ビフォー・メイク(BBM)制御装置246、スルー検出回路133、およびスルー検出回路134を含む。図示されているように、BBM制御装置246は、LSドライバ243に信号L1を提供し、HSドライバ244に信号H1を提供し得る。続いて、LSドライバ243は、信号L1を受信したことに応答してゲート駆動信号GLを提供し得、HSドライバ244は、信号H1を受信したことに応答してゲート駆動信号GHを提供し得る。したがって、HSカスコード電力デバイス126およびLSカスコード電力デバイス128のオン切り替えおよびオフ切り替え制御(例えば「メイク」および「ブレイク」制御)は、BBM制御装置246により少なくとも部分的に決定され得る。本明細書における教示によると、BBM制御装置248は、駆動信号CLKD、および状態信号VCL、VCHに少なくとも部分的に基づいて、信号L1およびH1を提供することによりブレイク・ビフォー・メイク動作を実現し得る。
【0045】
[0071] 図示されているように、BBM制御装置246は、駆動信号CLKD(例えば制御装置114からの駆動信号CLKD)を受信し得、様々な動作状態(例えば定常動作状態)のもとで、駆動信号CLKDは周期的であり得、および/または、スイッチングサイクルに従ってスイッチし得る。更に、スイッチングサイクル中に、駆動信号CLKDは、エッジ遷移を経験し得る。例えば、駆動信号CLKDは、スイッチングサイクルの開始時における(ローからハイへの)立ち上がりエッジと、そのデューティサイクルに応じた(ハイからローへの)立ち下がりエッジとを示し得る。
【0046】
[0072] 更に、スイッチノード電圧Vxのスイッチングサイクルおよびデューティサイクルは、駆動信号CLKDのスイッチングサイクルおよび/またはデューティサイクルにより少なくとも部分的に決定され得る。したがって、スイッチノード電圧Vxのスルーは、駆動信号CLKDのエッジ遷移にも関係し得る。
【0047】
[0073] したがって、BBM制御装置246は、スルーの発生と同時に「ブレイク」を開始するために、この情報(すなわち駆動信号CLKDのエッジ遷移)を使用し得る。駆動信号CLKDのエッジ遷移に応答して、BBM制御装置246は、HSカスコード電力デバイス126とLSカスコード電力デバイス128との両方をオフに切り替えるために、信号L1およびH1を提供し得る。例えば、スイッチングサイクルの開始時に、駆動信号CLKDは立ち上がりエッジを示し得、それに応答して、BBM制御装置246は、HSカスコード電力デバイス126とLSカスコード電力デバイス128との両方がオフとなるように、信号L1およびH1を提供することにより「ブレイク」を開始し得る。
【0048】
[0074] 更に、スイッチングサイクル中、スイッチノード電圧が低下しているとき、スルーが負である(すなわち負のスルーを示す)ように、および、スイッチノード電圧が上昇しているとき、スルーが正である(すなわち正のスルーを示す)ように、スイッチノード電圧Vxがスルーを示し得る。
【0049】
[0075] 本明細書において説明されているように、BBM制御装置246は、スルー状態(例えばスルーの開始、負のスルー、正のスルー、またはスルーの終わり)を示す状態信号VCL、VCHを更に受信し得る。状態信号VCL、VCHのうちの1つまたは複数に応答して、BBM制御装置246は、「メイク」するために、および/または、「ブレイク」を維持するために、信号L1およびH1を提供し得る。例えば、スルー中にHSカスコード電力デバイス126とLSカスコード電力デバイス128とがオフに留まるように、BBM制御装置246が信号L1およびH1を提供することにより「ブレイク」を維持し得る。更に、HSカスコード電力デバイス126とLSカスコード電力デバイス128とののうちの選択された1つがオンに切り替わるように、BBM制御装置246が信号L1およびH1を提供することにより「メイク」を開始し得る。
【0050】
[0076] 図示されているように、状態信号VCLは、検出信号SGLに応答してスルー検出回路133から提供され得る。スルー検出回路133は比較器233を備える。比較器233は、その反転入力において基準電圧Vrflを受信し、その非反転入力において検出信号SGLを受信し得る。したがって、比較器233は、検出信号SGLと基準電圧Vrflとの比較に応答して状態信号VCLを提供し得る。例えば、図3の波形に関連して説明されているように、状態信号VCLは、正のスルー中にハイに振られ、スルーの終わりにエッジ遷移(例えば立ち下がりエッジ)を示し得る。したがって、BBM制御装置246は、状態信号VCLに応答して「ブレイク」を維持し得るのに対し、スルーの終わりに状態信号VCLがハイに振られて「メイク」を開始する。
【0051】
[0077] 同様に、状態信号VCHが、検出信号SGHに応答してスルー検出回路134から提供され得る。スルー検出回路134は比較器234を備える。比較器234は、その反転入力において基準電圧Vrfhを受信し、その非反転入力において検出信号SGHを受信し得る。したがって、比較器234は、検出信号SGHと基準電圧Vrfhとの比較に応答して、状態信号VCHを提供し得る。例えば、状態信号VCHは、負のスルー中にハイに振られ、スルーの終わりにエッジ遷移(例えば立ち下がりエッジ)を示し得る。したがって、BBM制御装置246は、状態信号VCHに応答して、「ブレイク」を維持し得るのに対し、スルーの終わりに状態信号VCHがハイに振られて「メイク」を開始する。
【0052】
[0078] 図2Aは、BBM制御装置246が状態信号VCL、VCHおよび駆動信号CLKDに基づいてブレイク・ビフォー・メイクを実現する構成を示すが、他の構成も可能である。
【0053】
[0079] 例えば、図2Bは、別の実施形態による一次ブリッジ回路103を示す。図2Bのハーフブリッジ104は、それがスルー検出回路134を含まないことにより、より少ないコンポーネントを使用し得ることを除いて、図1Cのものに類似している。したがって、図2BのBBM制御装置224は、図2Aの状態信号VCHを必要とせずに「メイク」および「ブレイク」を制御し得る。
【0054】
[0080] 図2Cは、別の実施形態による一次ブリッジ回路103を示す。図2Cのスイッチドライバ102は、スルー検出回路133が更なる比較器253を含むことを除いて、図2Bのものに類似している。比較器253は、その反転端子において検出信号SGLを受信し、その非反転端子において基準電圧Vrf2を受信する。この手法により、比較器253は、負のスルーイベント中にハイに遷移し得る更なる状態信号VCL2を提供し得る。例えば、スイッチノード電圧Vxが正のスルーを伴って上昇するとき、比較器233は状態信号VCLをハイに振り得、スイッチノード電圧Vxが負のスルーを伴って低下するとき、比較器253は、状態信号VCL2をハイに振り得る。
【0055】
[0081] 図2Dは、実施形態による一次ブリッジ回路103を示す。図2Dの一次ブリッジ回路103は、それがHSカスコード電力デバイス126とHSドライバ244とを含まないことを除いて、図2Cのものに類似している。したがって、図1Dのものに類似して、一次ブリッジ回路103は、フライバック構成において使用されるものを表し得る。
【0056】
[0082] 図2A図2Dは、電圧比較器233、234を備えるスルー検出回路133、134を示すが、他の構成も可能である。例えば、図1Aを参照すると、検出信号SGL、SGHのうちの1つまたは複数は電流であり得る。したがって、スルー検出回路133、134は、代替的に、および追加的に、検出信号SGL、SGHのうちの1つまたは複数を基準電流と比較するための電流比較器を含み得る。
【0057】
[0083] 図2Eは、実施形態によるカスコード電力デバイス228を示す。カスコード電力デバイス228は、第2の(上側)NFET166と電気的にカスコード結合された第1の(下側)nチャネル電界効果トランジスタ(NFET)165を含む。カスコード電力デバイス228は、第1の(下側)NFET165のソースがグランドGNDの代わりに電圧V2を受信すること、および、第2の(上側)NFET166のドレインがスイッチノード電圧Vxの代わりに電圧V1を受信することを除いて、カスコード電力デバイス128に類似している。
【0058】
[0084] 動作中、電圧V1と電圧V2との差(すなわち電圧差(V1-V2))がゼロボルト以上となるように、電圧V2は電圧V1未満であり得る。例えば、電圧V2はグランドGND(0ボルト)であり得、電圧V1は正電圧(例えば千ボルト)であり得る。したがって、カスコード電力デバイス228の説明および動作は、電圧V2およびV1の存在を除いて、カスコード電力デバイス128のものに類似し得る。
【0059】
[0085] したがって、電圧V1と電圧V2との電圧差(すなわち電圧差(V1-V2))は、スイッチノードNSWとゲートノードNGLとの間に結合された静電容量CGDLに少なくとも部分的に起因して、変位電流IXLを発生させ得る。
【0060】
[0086] 図3Aは、本明細書における教示による波形301~306を示す。図2Cおよび/または図2Dを参照すると、波形301は、スイッチノードNSWにおけるデバイス電流IDLに対応し得、アンペア(A)の単位で表される。波形302は、アンペア(A)の単位で表されたゲート電流IGLに対応し得る。波形303は、ボルト(V)の単位で表されたスイッチノード電圧Vxに対応し得る。波形304は、ボルト(V)の単位で表された検出信号SGLに対応し得る。波形305は、ボルト(V)の単位で表された状態信号VCL2に対応し得、波形306は、ボルト(V)の単位で表された状態信号VCLに対応し得る。
【0061】
[0087] 図示されているように、ゼロマイクロ秒(0.0us)に等しい時点から0.1マイクロ秒(0.1us)まで、スイッチノード電圧Vxが0ボルト(0.0V)から400ボルト(400V)まで正にスルーする。正のスルーイベントに応答して、波形301は、デバイス電流IDLがスイッチノードNSWからLSデバイス128に流れることを示す。波形302は、正のゼロではないゲート電流IGLが同時に存在し得ることを示す。
【0062】
[0088] 本明細書における教示、および波形304、306によると、電流検出要素163(すなわち抵抗RSL)は、スルー検出回路133にゼロではない正の検出信号SGLを提供し得る。比較器233は、正の検出信号SGLを基準電圧Vrfl(例えば0ボルト)と比較し、ゼロではない状態信号VCLを提供し得る。例えば、時点t1aから時点t1bまで波形306は1ボルトの論理ハイ値を維持する。時点t1aから時点t1bまでのスルーインターバル311中、BBM制御装置246は、波形306に応答して、ゲート駆動信号GLおよびゲート駆動信号GHをローにさせ(すなわち「ブレイク」を維持し)得る。時点t1bはスルーの終わりのイベントを示し得、したがって、時点t1bにおいて、BBM制御装置246は、波形306に応答して、ゲート駆動信号GHがハイに(すなわち「メイク」に)遷移することを可能にし得る。時点t1bから0.5マイクロ秒(0.5us)まで、HSカスコード電力デバイス126がオン状態において動作するとともに、LSカスコード電力デバイス128がオフ状態において動作するように、ゲート駆動信号GHがハイに留まり得るとともに、ゲート駆動信号GLはローに留まり得る。
【0063】
[0089] 0.5マイクロ秒(0.5us)に等しい時点において、ゲート駆動信号GHはローに遷移し得る。図示されているように、0.5マイクロ秒(0.5us)に等しい時点から0.6マイクロ秒(0.6us)に等しい時点まで、スイッチノード電圧Vxは、400(400V)から0ボルト(0.0V)まで負にスルーする。それに応答して、波形301は、デバイス電流IDLがLSデバイス128からスイッチノードNSWに向かって流れることを示す。波形302は、負のゼロではないゲート電流IGLが同時に存在し得ることを示す。
【0064】
[0090] 本明細書における教示、および波形304、305によると、電流検出要素163(すなわち抵抗RSL)は、スルー検出回路133にゼロではない負の検出信号SGLを提供し得る。比較器234は、負の検出信号SGLを基準電圧Vrf2(例えば0ボルト)と比較し、ゼロではない状態信号VCL2を提供し得る。例えば、時点t2aから時点t2bまで、波形305が1ボルトの論理ハイ値を維持する。時点t2aから時点t2bまでのスルーインターバル312中、BBM制御装置246は、波形305に応答して、ゲート駆動信号GLおよびゲート駆動信号GHをローにさせ得る。時点t2bは、スルーの終わりのイベントを示し得、したがって、時点t2bにおいて、BBM制御装置246は、波形305に応答して、ゲート駆動信号GLがハイに遷移することを可能にし得る。時点t2bから1マイクロ秒(1.0us)まで、LSカスコード電力デバイス128がオン状態において動作するとともに、HSカスコード電力デバイス126がオフ状態において動作するように、ゲート駆動信号GLがハイに留まり得るとともに、ゲート駆動信号GHはローに留まり得る。
【0065】
[0091] 1マイクロ秒(1.0us)に等しい時点において、ゲート駆動信号GLはローに遷移し得、1マイクロ秒(1.0us)の周期的サイクルに従って波形301~306が繰り返される。示されているように、0から2マイクロ秒(2.0us)までの2サイクルにわたって、2つの正のスルーイベント311、313と2つの負のスルーイベント312、314とが存在する。時点t1aから時点t1bまで正のスルーイベント311(すなわち正のスルー)が発生し、時点t3aから時点t3bまで正のスルーイベント313が発生する。時点t2aから時点t2bまで負のスルーイベント312(すなわち負のスルー)が発生し、時点t4aから時点t4bまで負のスルーイベント314が発生する。
【0066】
[0092] 図3Aは、1マイクロ秒(1.0us)の周期的サイクル中にスルーを検出することを示すが、他のスイッチング波形も可能であり得る。当業者が理解し得るように、スルーは、スルー電流(変位電流)を発生させる任意の過渡状態中に観測され得る。例えば、スルーイベントは、デバイスが通常のスイッチングシーケンスではないときでも観測され得る。
【0067】
[0093] 図3Bは、図3Aの実施形態による波形303~307を示す。図3Bの波形は、それらが波形301~302を含まず、駆動信号CLKDに対応した波形307を含むことを除いて、図3Aのものに類似している。図2Aに関連して既に説明されているように、スルーは、駆動信号CLKDのエッジ遷移により開始され得る。
【0068】
[0094] 図4は、シミュレーション概略図を示す。シミュレーション概略図は、上側カスコードスイッチQ2、抵抗器R2、および電圧源V2を含む。抵抗器R2は、そのオフ状態(オフ切り替え)において動作する下側カスコードスイッチの集中型モデル(lumped model)を表し得る。ドレイン電圧VDは、電圧源V2を使用することによりスルーされ(傾斜をつけられ)得る。
【0069】
[0095] シミュレーション概略図は、カレントミラー回路を更に含む。電流ミラー回路は、トランジスタQ3、Q1、抵抗器R4、R5、R6を備える。電流ミラー回路は、スイッチQ2のゲートにプルアップ電流を提供し得る。
【0070】
[0096] シミュレーション概略図は、スイッチQ2のゲートにおける抵抗(例えば抵抗RSL)をモデル化し得る抵抗器R1を更に含む。
【0071】
[0097] この回路は、抵抗器R1にかかる電圧を監視することにより負のスルーイベントを検出し得る。抵抗器R1における負電圧は負のスルーを示し得、対応する出力電圧遷移をもたらし得る。
【0072】
[0098] 図5Aおよび図5Bは、図4のシミュレーション概略図の波形を示す。シミュレーション波形は、ドレイン電圧VDとゲート電圧Vgとを含む。図示されているように、ドレイン電圧VDは、スルー(上昇/下降期間)を示す。スルー(すなわち、dVD/dt)が正であるとき、ゲート電圧Vgが正の期間を含むことが確認され得る。同様に、スルー(すなわちdVD/dt)が負であるとき、ゲート電圧Vgは負の値を取り得る。図4および図5の実施形態において、信号VSLWは、負のスルーイベント中に(すなわち、dVD/dtがゼロ未満であるとき)ローからハイに遷移する。
【0073】
[0099] 図6は、別の実施形態によるシミュレーション概略図を示す。図6のシミュレーション概略図は、スルー検出が、上側カスコードゲートディファレンシャル電流(upper cascode gate differential current)を検出(検知)することに基づく実施形態に対応し得る。図6は、VG1を検出する上側カスコードゲートディファレンシャル電流を介した負のカスコードスルー検出の一例を示す。電流コンバーターF1およびF2への電流は、スルーダウン信号VNを出力するためにデジタルバッファU1/U4に給電(feed)する抵抗器R2における差と結びついた電流信号を生成する。信号VNは、カスコードドレイン電圧VDのスルーに応答して提供され得る。
【0074】
[00100] 図7Aおよび図7Bは、図6のシミュレーション概略図の波形を示す。
【0075】
[00101] 図8は、別の実施形態によるシミュレーション概略図を示す。図8のシミュレーション概略図は、スルー検出が、上側カスコードゲート電流IG1を検出(検知)することに基づいている実施形態に対応し得る。電流・電圧コンバーターH1およびH2は、デジタルバッファU3/U2、U1/U4に抵抗器R2、R3を介して供給される電圧信号を生成し、デジタルバッファU3/U2、U1/U4は、次に、スルーアップVPおよびスルーダウンVN信号を出力する。したがって、スルーアップ信号VPおよびスルーダウン信号VNは、カスコードドレイン電圧VDのスルーに応答して提供され得る。
【0076】
[00102] 図9Aおよび図9Bは、図8のシミュレーション概略図の波形を示す。
【0077】
[00103] 図10は、別の実施形態によるシミュレーション概略図を示す。図10のシミュレーション概略図は、スルー検出が、上側カスコードゲート電圧VG1を検出することに基づいている実施形態に対応し得る。電圧増幅器E2およびE1は、デジタルバッファU3/U2、U1/U4に供給される電圧信号を生成し、デジタルバッファU3/U2、U1/U4が、続いて、スルーアップVPおよびスルーダウンVN信号を出力する。したがって、スルーアップ信号VPおよびスルーダウン信号VNは、カスコードドレイン電圧VDのスルーに応答して提供され得る。
【0078】
[00104] 図11Aおよび図11Bは、図10のシミュレーション概略図の波形を示す。
【0079】
[00105] 図1A図11Bの説明は電力コンバーターにおいてスルーを検出することに関連しているが、教示は、電力コンバーターにおいてリンギングを検出することに更に拡張され得る。例えば、不連続モード(DCM:discontinuous mode)において動作するフライバックコンバーターはリンギングを示し得、一次スイッチをどのように制御するかを決定することは、リンギングサイクルの正確な検出に依存し得る。一例において、DCM中のゼロ電圧スイッチングは、リンギングを検出することにより、および、リンギングサイクルにより少なくとも部分的に決定されたインターバルで一次スイッチをスイッチングすること(例えばオンに切り替えること)により実現され得る。
【0080】
[00106] 図12Aは、実施形態による信号検出回路433を含むフライバック電力コンバーター400を示す。当業者が理解し得るように、LSカスコード電力デバイス128は、フライバック電力コンバーター400の文脈では一次スイッチとも呼ばれ得る。図12Aの実施形態は、両方の実施形態が信号特性を検出するという点で、図1Dのものに類似している。図12Aでは、電流検出要素163が、信号Vinの振動または「リンギング」を検出するのに対し、図1Dの実施形態では、電流検出要素163がスルーを検出する。
【0081】
[00107] 図示されているように、電流検出要素163は振動(例えばリンギング)を検出し得、代替的に、および追加的に、電流検出要素163は入力電圧Vinのスルーを検出し得る。第1の下側NFET165および第2の下側NFET166は、本開示の範囲から逸脱せずに、窒化ガリウム(GaN)、炭化ケイ素(SiC)、および/またはシリコン(Si)デバイスを使用して実現され得る。スルー検出用途では、図12Aの実施形態は、例えば谷部、ピーク、またはゼロ線交差といった入力信号Vinの特定の状態を更に検出し得、このような状態の検知および/または検出は、所望により他の回路を制御するために使用され得る。入力電圧Vinのスルーおよび/またはリンギング、または、他の振動が、所望により連続モードにおいて、または不連続モードにおいて検出され得る。
【0082】
[00108] 図12Aに示される実施形態のブレイク・ビフォー・メイク動作を可能にするように、第1の下側NFET165および/または第2の下側NFET166をオンに切り替えるために、またはオフに切り替えるために、遅延が使用され得る。例えば、入力電圧Vinにおける状態を検出した後の遅延は、第1の下側NFET165および/または第2の下側NFET166のオン切り替え時間に対応するために使用され得る。このような遅延は任意の値であってよいが、2マイクロ秒、または、ブレイク・ビフォー・メイク動作または回路全体の他の所望の動作を可能にする任意の値であり得る。遅延は、カウンターをリセットするために、または、(例えば、第1の下側NFET165と第2の下側NFET166とが同時にオンになることを防ぐために検出信号SGLおよび/またはゲート信号GLといった)信号が有効になることを防ぐために使用されてもよい。遅延は、スイッチドライバ102、信号検出回路433、または図12Aに示される回路における他の場所において実現され得る。
【0083】
[00109] 図12Bは、実施形態による信号検出回路433を含むフライバック電力コンバーター400を示す。図12Bの実施形態は、電流検出要素163が抵抗RSLを含んだ状態で示されることを除いて、図12Aのものに類似している。したがって、電流検出要素163は、抵抗RSLにおけるゲート電流Iに応答して検出信号SGLを提供することにより、スルー電流IXLを検出し、および/または監視し得る。
【0084】
[00110] カスコード電力デバイス128がオフであるとき、静電容量CGDLおよび抵抗RSLは、微分回路として扱われ得る。したがって、ゲートノードNGLにおける検出信号SGLは、スイッチノード電圧Vxの微分によりもたらされる電圧であり得る。
【0085】
[00111] 図13は、実施形態による一次ブリッジ回路103を示す。図13の一次ブリッジ回路103は、HSカスコードデバイス126を除いて図2Dのものに類似している。図13の実施形態は、スイッチノード電圧Vxがいつスルーするかを特定する図2Dの構成と同様に、スイッチノード電圧Vxがいつ振動するか、リンギングするか、および/または、遷移するか(例えばスルーするか)を特定するために使用され得る。
【0086】
[00112] スイッチドライバ102は、ロー側(LS)ドライバ243、制御装置546、および信号検出回路433を含む。制御装置546は状態信号VCL、VCL2を受信し、それに応答して信号L1を提供し得る。
【0087】
[00113] 図示されているように、信号検出回路433は検出信号SGL信号を受信し得、それに応答して、検出信号SGLの特徴に少なくとも部分的に基づいて状態信号VCL、VCL2を提供する。例えば、状態信号VCL、VCL2は、検出信号SGLにおける振動、リンギング、および/またはスルーの存在を特定するために、検出信号SGLを基準信号と比較することにより提供され得る。
【0088】
[00114] 検出信号SGLがいつ変化するかを特定する他の方法が本開示の範囲内において可能である。例えば、振動中、信号検出回路433が1つまたは複数の状態信号VCL、VCL2を生成するような手法により、検出信号SGLが変化し得る。検出信号SGLの振動が閾値未満に低下したとき、または所望の大きさ未満であるとき、検出信号SGLは許容範囲内に入り得、信号状態VCLはローに遷移し得、検出信号SGLの振動が終了したことを示す。
【0089】
[00115] 図14Aは、実施形態による信号検出回路433を示す。信号検出回路433は、検出信号SGLに応答して信号VYを提供し得るネットワーク601を含む。
【0090】
[00116] 図12Bに関連して既に説明されているように、検出信号SGLがスイッチノード電圧Vxの高周波成分を含み得るように、静電容量CGDLおよび抵抗RSLは微分回路として扱われ得る。本明細書における教示によると、ネットワーク601により提供される信号VYは、有益に、検出信号SGLからのスイッチノード電圧Vxの波形を再構成し、および/または複製し得る。例えば、ネットワーク601は積分器を備え得る。
【0091】
[00117] 図14Bは、実施形態による信号検出回路433を示す。図14Aのものに類似して、図14Bの信号検出回路433は、検出信号SGLを受信して信号VYを提供するネットワーク601を含む。図13に関連して説明されるように、ネットワーク601は、検出信号SGLからのスイッチノード電圧Vxの複製として、信号VYを提供し得る。
【0092】
[00118] 信号VYは、比較器633に結合され得る。比較器633は、その反転入力における基準電圧Vrf1を、その非反転入力における信号VYと比較して、状態信号VCL3を提供し得る。比較器633は、信号VYの信号内容に類似した信号内容をもつ状態信号VCL3を提供し得る。したがって、状態信号VCL3は、(例えばスイッチノード電圧Vxのリンギングといった)リンギングに対応した(例えば振動の期間および周波数といった)情報を有益に含み得る。
【0093】
[00119] 図14Cは、実施形態による信号検出回路433を示す。
【0094】
[00120] 図14Cの実施形態は、検出信号SGLが比較器634、635への入力として使用され、状態信号VCL、VCL2を生成するために基準電圧Vrf1、Vrf2と直接比較されることを除いて、図14Bの実施形態のものに類似している。比較器634、635は、比較器233、253に類似したものであり得る。したがって、比較器635は、負のスルー(例えば負の傾き)に応答して状態信号VCL2を提供し得、比較器634は、正のスルーに応答して状態信号VCLを提供し得る。
【0095】
[00121] 図15Aは、図14Bの実施形態による波形701~704を示す。波形701は、スイッチノード電圧Vxに対応し得る。波形702は、検出信号SGLに対応し得る。波形703は、ネットワーク601により提供される信号VYに対応し得、波形704は、比較器633により提供される状態信号VCL3に対応し得る。
【0096】
[00122] 図13および図14Bを参照すると、時点t7aにおいて、LSカスコード電力デバイス128をオフに切り替えるために、ゲート駆動信号GLがローに遷移し得る。したがって、スイッチノード電圧Vx(波形701)がハイに遷移し、リンギングの発生時の時点t7bまでハイに留まる、時点t7cにおいて、LSカスコード電力デバイス128をオンに切り替えるために、ゲート駆動信号GLがハイに遷移し得る。
【0097】
[00123] フライバック電力コンバーター400の動作に従って、スイッチノード電圧Vx(波形701)は、時点t7bから時点t7cまでリンギングを示す。図示されているように、ネットワーク601は、検出信号SGL(波形702)を受信し、スイッチノード電圧Vxの複製として信号VY(波形703)を提供し得る。続いて、比較器633は、スイッチノード電圧Vxと同じ変化(例えばスイッチングパターン)を伴う状態信号VCL3(波形704)を提供し得る。したがって、状態信号VCL3は、制御装置546に情報(すなわちリンギングおよび周波数)を提供し得る。
【0098】
[00124] 例えば、状態信号VCL3(波形704)は、信号VY(波形703)のゼロ線交差に応答してエッジ遷移を示す(すなわち立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを示す)。したがって、状態信号VCL3は、時点t7bから時点t7cの間にスイッチノード電圧Vxのリンギングに関連した情報を提供し得る。
【0099】
[00125] 図15Bは、図14Cの実施形態による波形711~714を示す。図14Cを参照すると、波形711は、スイッチノード電圧Vxに対応し得る。波形712は、検出信号SGLに対応し得る。波形713は、比較器635により提供される状態信号VCL2に対応し得、波形714は、比較器634により提供される状態信号VCLに対応し得る。
【0100】
[00126] 図14Cに関連して既に説明されているように、比較器634、635は、負のスルーと正のスルーとに応答して状態信号VCL、VCL2を提供し得る。更に、図示されているように、時点t71~t89において、スイッチノード電圧Vxの変化レートは実質的にゼロであり得る。したがって、時点t71~t89において、検出信号SGLは実質的にゼロボルトに等しい。
【0101】
[00127] 更に、スルーが正である(すなわち検出信号SGLが基準電圧Vrf1より高い)時間インターバル中、状態信号VCLは論理ハイ(例えば1ボルト)である。逆に、(すなわち検出信号SGLが基準電圧Vrf2未満である)スルーが負である時間インターバル中、状態信号VCL2は論理ハイ(例えば1ボルト)である。
【0102】
[00128] 例えば、時点t74から時点t75までのインターバル中、スイッチノード電圧Vxは負の傾きをもち(すなわち負のスルーを伴い)、状態信号VCL2は論理ハイであり、時点t75から時点t76までの後続のインターバル中、スイッチノード電圧Vxは正の傾きをもち(すなわち正のスルーを伴い)、状態信号VCLは論理ハイである。
【0103】
まとめ
【0104】
[00129] 要約で説明される事項を含む本開示の示される例の上述の説明は、網羅的であることを意図したものではなく、開示される形態そのものへの限定であることを意図したものでもない。カスコード電力デバイスからの信号を検出する特定の実施形態および例が、本明細書において例示を目的として説明されるが、本開示のより広い趣旨および範囲から逸脱せずに様々な同等な変更が可能である。実際、具体的で例示的な電圧、電流、周波数、出力範囲値、時間などが説明のために提示されること、および、本明細書の教示に従って他の実施形態および例において他の値が使用されてもよいことが理解される。
【0105】
[00130] 上述の説明は、一緒に「接続された」または「結合された」ものとして要素または特徴を参照し得る。本明細書において使用されるとき、別様に明示的に記載されない限り、「接続された」とは、1つの要素/特徴が別の要素/特徴に直接的に、または間接的に接続されていることを意味し、機械的に接続されているとは限らない。同様に、別様に明示的に記載されない限り、「結合された」とは、1つの要素/特徴が別の要素/特徴に直接的に、または間接的に結合されていること、および、機械的に接続されているとは限らないことを意味する。したがって、図に示されている様々な概要図が要素およびコンポーネントの例示的な構成を示すが、(示されている回路の機能が悪影響を受けないという前提で)実際の実施形態に更なる介在する要素、デバイス、特徴、またはコンポーネントが存在し得る。
【0106】
[00131] 更に、例えば他にもあるが「~し得る」、「~できる」、「~してもよい」、「~であってもよい」、「例えば」、「例として」、「など」などといった本明細書において使用される条件の表現は、そうではないことが明示的に記載されていない限り、または、使用されている文脈において別様に理解されない限り、概して、特定の実施形態が特定の特徴、要素、および/または状態を含むのに対して、他の実施形態が特定の特徴、要素、および/または状態を含まないことを伝えることを意図したものである。したがって、このような条件の表現は、概して、特徴、要素、および/または状態が1つまたは複数の実施形態に何らかの手法により必要とされることを示唆すること、および、これらの特徴、要素、および/または状態が任意の特定の実施形態に含まれる、または任意の特定の実施形態において実施されるか否かを判断するための論理を1つまたは複数の実施形態が必然的に含むことを意図したものではない。
【0107】
[00132] 特定の実施形態が説明されてきたが、これらの実施形態は例示として提示されているだけであり、本開示の範囲を限定することを意図したものではない。実際、本明細書において説明されている新規な装置、方法、およびシステムは、種々の他の形態により具現化されてもよく、更に、本明細書において説明されている方法およびシステムの形態における様々な省略、置換、および変更が本開示の趣旨から逸脱せずに行われてもよい。例えば、開示されている実施形態は所与の構成により示されているが、代替的な実施形態は、異なるコンポーネントおよび/または回路トポロジーを使用して同様の機能を実施し得、および、幾つかの要素は、削除され、動かされ、追加され、再分割され、組み合わされ、および/または変更されてもよい。これらの要素の各々は、様々な異なる手法により実現されてもよい。上述の様々な実施形態の要素および動作の任意の適切な組み合わせが、更なる実施形態を提供するように組み合わされてもよい。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照することによってのみ定められる。
【0108】
[00133] 本出願において提示される請求項はUSPTOにおける出願のために1つに従属する形式であるが、任意の請求項が、それが明らかに技術的に実現可能ではない場合を除いて、同じ種類の先行する請求項のいずれか一項に従属してもよいことが理解される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
【外国語明細書】