(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122956
(43)【公開日】2024-09-10
(54)【発明の名称】半導体サンプルのフォトルミネッセンス・イメージングのための方法および装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/89 20060101AFI20240903BHJP
G01N 21/956 20060101ALI20240903BHJP
G02B 21/06 20060101ALI20240903BHJP
G02B 21/36 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
G01N21/89 K
G01N21/956 A
G02B21/06
G02B21/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024024614
(22)【出願日】2024-02-21
(31)【優先権主張番号】P2300063
(32)【優先日】2023-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】HU
(71)【出願人】
【識別番号】524067646
【氏名又は名称】セミラボ ゼーエルテー.
【氏名又は名称原語表記】SEMILAB Zrt.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キス ゾルターン タマーシュ
(72)【発明者】
【氏名】ナジ マテ
(72)【発明者】
【氏名】アンタル ゾムボル
(72)【発明者】
【氏名】ドゥダス ラースロー
(72)【発明者】
【氏名】ナードゥドヴァリ ジェルジ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】半導体ウエハの高解像度で高速なフォトルミネッセンス・イメージング。
【解決手段】第1の光ビームを放出する第1の光源と、第1の対称ビーム・エキスパンダと、第1の光ビームを整形しサンプルの表面上のラインに集束させるビーム整形光学系と、光検出器の線形アレイを備える第1のカメラと対物レンズの上に第1の光ビームを向けるためのおよびサンプルによって放出されたフォトルミネッセンス光を第1のカメラに向けるための第1のイメージング・ダイクロイック光学素子とを備える。ビーム整形光学系は、第1の方向に第1の光ビームの強度分布を均一化しながら第1の方向に第1の光ビームのサイズを増加させるライン・ジェネレータと、第1の方向に沿って第1の光ビームをコリメートするためのおよび第1の方向に垂直な第2の方向に沿って第1の光ビームを集束させるためのコリメータとフィールド・レンズと対物レンズとを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル(W)のフォトルミネッセンス・イメージングのための装置であって、
該サンプル(W)を保持するためのサンプル・ホルダー(H)と、
ある断面サイズの第1の光ビームを放出するための第1の光源(1a)と、
該第1の光ビームを拡大するための第1の対称ビーム・エキスパンダ(2a)と、
該第1の光ビームを整形し、該サンプル(W)の表面上のラインに集束させるためのビーム整形光学系と、
フォトルミネッセンス光を検出するための光検出器の線形アレイを備える第1のカメラ(11a)と、
対物レンズ(10)の上に該第1の光ビームを向けるための、および該サンプル(W)によって放出されたフォトルミネッセンス光を該第1のカメラ(11a)に向けるための第1のイメージング・ダイクロイック光学素子(4i)と
を備える、装置において、
該ビーム整形光学系が、第1の方向に該第1の光ビームの強度分布を均一化しながら、該第1の方向に該第1の光ビームの該サイズを増加させるためのライン・ジェネレータ(5)と、該第1の方向に沿って該第1の光ビームをコリメートするための、および該第1の方向に垂直な第2の方向に沿って該第1の光ビームを集束させるためのコリメータ(6)と、フィールド・レンズ(8)と、該対物レンズ(10)とを備える
ことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記ライン・ジェネレータ(5)が、パウエル・レンズによって形成されることを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記コリメータ(6)が、集束レンズのペアを備え、前記フィールド・レンズ(8)が、集束レンズのさらなるペアを備えることを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記装置が、
第2の光ビームを放出するための第2の光源(1b)と、
該第2の光ビームを拡大するための第2のビーム・エキスパンダ(2b)と、
共通光路に前記第1の光ビームおよび該第2の光ビームを導くための第1の照明ダイクロイック光学素子(4a)と
をさらに備え、
前記コリメータ(6)が、アクロマティック・レンズのペアを備え、前記フィールド・レンズ(8)が、アクロマティック・レンズのペアを備える
ことを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記コリメータ(6)の前記アクロマティック・レンズが、少なくとも1つの凸面を有し、前記アクロマティック・レンズは、それらの凸面が同じ方向に面して配置されることを特徴とする、請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記フィールド・レンズ(8)の前記アクロマティック・レンズが、少なくとも1つの凸面を有し、前記アクロマティック・レンズは、それらの凸面が互いに向かって面して配置されることを特徴とする、請求項4記載の装置。
【請求項7】
非対称ビーム・エキスパンダ(3a)が、前記第1の光源(1a)と前記ライン・ジェネレータ(5)との間に、または第2の光源(1b)と前記ライン・ジェネレータ(5)との間に、またはそれらの両方に配置され、該非対称ビーム・エキスパンダ(3a)が、シリンドリカルレンズのペアを備えることを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記装置が、第3の光源(1c)と、第2のカメラ(11b)と、該第3の光源(1c)と前記対物レンズ(10)との間に配置された第2の照明ダイクロイック光学素子(4b)と、前記対物レンズ(10)と該第2のカメラ(11b)との間に配置された第2のイメージング・ダイクロイック光学素子(4ii)とをさらに備えることを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記第3の光源(1c)が、発光ダイオードであることを特徴とする、請求項8記載の装置。
【請求項10】
サンプルのフォトルミネッセンス・イメージングのための方法であって、
サンプル・ホルダー(H)上にサンプルを提供することと、
第1の光ビームをもたらすことと、
該第1の光ビームを拡大することと、
第1のラインに該第1の光ビームを整形することと、
該サンプルの表面上の点検サイトの上に該第1の光ビームを集束させ、それにより、該点検サイトを照明することと、
ピクセルのライン上で、該第1の光ビームによって該照明することに応答して該サンプルによって放出されたフォトルミネッセンスをキャプチャすることと、
該第1のラインを用いて該サンプルの実質的に表面全体を走査することと
を備える、方法において、
第1のラインに該第1の光ビームを整形すること、および該サンプルの表面上の点検サイトの上に該第1の光ビームを集束させることが、ライン・ジェネレータ(5)、コリメータ(6)、フィールド・レンズ(8)および対物レンズ(10)の組合せを使用することによって実施される
ことを特徴とする、方法。
【請求項11】
前記整形することが、パウエル・レンズによって実施されることを特徴とする、請求項10記載の方法。
【請求項12】
コリメーションが、集束レンズのペアによって実施され、集束レンズのペアが、前記フィールド・レンズ(8)として使用されることを特徴とする、請求項10記載の方法。
【請求項13】
前記第1のラインおよび第2のラインが、それぞれ、第1の長さおよび第2の長さを有し、該第1の長さおよび該第2の長さが、前記サンプルの直径よりも小さいことを特徴とする、請求項10記載の方法。
【請求項14】
前記走査することが、前記第1のラインに直交する第1の方向への前記点検サイトにおける前記サンプル(W)と前記第1のラインとの相対移動によって、ならびに前記第1のラインに平行である方向への前記点検サイトにおける前記サンプル(W)と前記第1のラインとの相対移動によって実施される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記第1の方向に沿って前記点検サイトにおいて前記サンプル(W)を移動させることが、前記サンプル(W)の中心の周りでの前記サンプル(W)の回転によって実施され、前記第2の方向に沿って前記サンプル(W)を移動させることが、前記サンプル(W)の半径方向に沿った前記サンプル(W)の線形移動によって実施されることを特徴とする、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記第1の方向に沿って前記点検サイトにおいて前記サンプル(W)を移動させることが、前記第1の方向に沿った前記サンプル(W)の線形移動によって実施され、前記第2の方向に沿って前記サンプル(W)を移動させることが、前記第2の方向に沿った前記サンプル(W)の線形移動によって実施されることを特徴とする、請求項14記載の方法。
【請求項17】
少なくとも2つの矩形画像が、ピクセルの前記キャプチャされたラインから構築され、該矩形画像が、前記サンプル表面全体を示す単一の画像を形成するために、一緒につなぎ合わされることを特徴とする、請求項16記載の方法。
【請求項18】
第2の光ビームをもたらすことと、
該第2の光ビームを拡大することと、
前記サンプル(W)の前記表面上の前記点検サイト上の第2のラインに該第2の光ビームを整形することと
をさらに備え、
該第2のラインに該第2の光ビームを整形することが、前記第1のラインに前記第1の光ビームを整形するためのものと同じライン・ジェネレータ(5)、コリメータ(6)、フィールド・レンズ(8)および対物レンズ(10)の前記組合せを使用することによって実施され、
アクロマティック・レンズのペアが、前記コリメータ(6)として使用され、アクロマティック・レンズのさらなるペアが、前記フィールド・レンズ(8)として使用される、
請求項10記載の方法。
【請求項19】
第3の光ビームをもたらすことと、
前記サンプル(W)の前記表面の上に該第3の光ビームを導くことであって、該第3の光ビームが、前記表面から少なくとも部分的に反射されて、反射された第3の光ビームをもたらす、該第3の光ビームを導くことと、
該反射された第3の光ビームの少なくとも一部分をキャプチャすることと
をさらに備える、請求項10記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体サンプルのフォトルミネッセンス・イメージングのための方法および装置に関し、より詳細には、マイクロチップまたはメモリ・セルなど、半導体デバイスを製造するために使用される半導体ウエハの表面全体を高解像度で高速なフォトルミネッセンス・イメージングのための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトルミネッセンス・イメージングは、半導体サンプルを点検するための、換言すれば、ウエハの表面上の欠陥、またはウエハの材料内の欠陥を検出するためのよく知られている方法である。ウエハのフォトルミネッセンス点検のためのシステムが、数多く市販されている。イメージングは、CCD(電荷結合デバイス)カメラなどの光検出器の2Dアレイを使用することによって、または走査方法を介して、たとえば、単一のラインにおいてウエハを照明し、検出器ピクセルの線形アレイを有するライン・スキャン・カメラによって、照明されたエリアを撮像することによって実施され得る。
【0003】
米国特許第9,035,267号には、2Dエリア・イメージングのための、およびラインスキャン・イメージングのための両方のいくつかの異なるイメージング配置が記載されている。特に、156mmの長さおよび165μmの幅をもつ照明ラインを用いるライン走査解決策が提示されており、照明ラインは、シリンドリカルレンズのペアによってレーザーのコリメートされた光ビームからもたらされる。この構成は、ラインに沿っておよそガウス型の強度分布をもつ照明ラインをもたらす。
【0004】
不均一な照明強度分布は、たとえば、照明が、測定可能な量のフォトルミネッセンス光をもたらすほどライン全体に沿って十分に強力であるが、飽和しきい値に達するほどには十分に強力でない、またはサンプルに損傷を与えるほど強力でない場合、不均一なフォトルミネッセンス強度分布を生じ、そのフォトルミネッセンス強度分布は、限られた程度までしか較正を介して補正され得ない。それゆえ、不均一な照明強度は、比較的低い解像度に、および比較的強力なフォトルミネッセンス応答をもつサンプル、たとえば、光電池をもたらすために使用されるウエハに好適であり得る。約165μmという引用された解像度、および約0.1から100W/cm2の間の照明強度は、光電池製造の後の段階において使用されるアズカット・ウエハまたはウエハ上の欠陥を検出するのに充分である。
【0005】
しかしながら、真性、外因性、および化合物半導体の間の特定の種類の材料は、はるかにより弱いフォトルミネッセンス応答をもたらし、それゆえ、それらのフォトルミネッセンス・イメージングは、はるかに高い照明強度を必要とする。そのような材料は、しばしば、マイクロチップまたはメモリ・ユニットなど、マイクロエレクトロニック・デバイスを製造するために使用される。そのようなウエハの点検はまた、約10倍の、より高い解像度を必要とし、それは、単位面積当たりの走査時間が維持されるとすれば、必要な照明強度をさらに増加させる。それゆえ、微細な半導体デバイスを製造するために使用されるウエハの高解像度で高速な走査は、結果的に、数kW/cm2という極めて高い照明強度を必要とする。そのような高い強度において、サンプルの損傷しきい値を上回らないように注意が払われるべきであり、それゆえ、均一な強度プロファイルを提供し、照明ラインに沿った強度スパイクを回避することが重要である。
【0006】
照明されたエリアのごく近傍を撮像するために相応にイメージング・システムを適応させ、露光時間を低減させ、換言すれば、検出器の読出し頻度を増加させながら、より小さいエリアに同じ照明電力を集束させることによって、ライン走査システムの、解像度を増加させ、同時に、走査速度、換言すれば、照明ラインとサンプル表面との相対速度を保つことが達成され得る。この改善の限界は、サンプルが、損傷なしに、および飽和なしに耐えることができる最大強度である。それゆえ、所与のライン幅について、および最大安全強度について、サンプルの完全マップを取得するために必要とされる時間を低減するための唯一のやり方は、走査線の長さを増加させることである。同時に、装置は、できるだけコンパクトであり、たとえば、625mm×900mm×265mmの空間の内側に収まるべきであり、その一方で、それのコストも、妥当なままであるべきである。
【0007】
従来技術文献のいずれも、均一な強度分布をもつそのような高強度ライン照明を提供するための解決策を教示しない。パウエル・レンズ、または微細な表面特徴をもつライン・ジェネレータなど、均一なライン照明をもたらすための一般的な手段はあるが、実際には、これらのいずれも、それらだけで必要な照明をもたらすのに充分ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記に照らして、本発明の目的は、従来技術の解決策の欠点をなくすかまたは少なくとも改善することである。より詳細には、本発明の目的は、マイクロチップまたはメモリ・セルなど、半導体デバイスの製造において使用される半導体ウエハの高解像度で高速なフォトルミネッセンス・イメージングのための方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的は、請求項1に記載の装置を開発することによって達成された。本発明による装置の好ましい例示的な実施形態が、請求項2~10に記載されている。上記の目的は、さらに、請求項11に記載の方法を開発することによって達成された。方法の好ましい変形例が、請求項11~19に述べられている。
【0010】
以下、本発明による装置およびそれの動作の好ましい実施形態が、添付の図面を参照しながら詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明による装置の例示的な実施形態の簡略化された機能系統図を示す図である。
【
図2】本発明による装置の好ましい例示的な実施形態の簡略化された機能系統図を示す図である。
【
図3A】本発明による装置の照明ブランチのうちの1つの光学配置を側方から示す図である。
【
図3B】
図3Aと同じ照明ブランチの一部分の光学配置を上方から示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明による装置の例示的な実施形態の簡略化された機能系統図を示す。装置は、検査対象のサンプルWを保持するためのサンプル・ホルダーHを備える。サンプルWは、好ましくは、ウエハ全体であり、それゆえに、サンプル・ホルダーHは、ウエハ・ホルダーである。代替的に、サンプルは、たとえば、半導体インゴット、ウエハの部片、たとえば、ハーフ・ウエハ、またはウエハのより小さい破断片であり得る。
【0013】
装置は、前記サンプルWと装置の1つまたは複数の光学構成要素との相対的な移動を引き起こすための移動手段をさらに備える。好ましくは、前記移動手段は、装置の残りに対して前記サンプル・ホルダーHを移動させるための移動可能なステージである。装置は、フォトルミネッセンス、換言すれば、蛍光またはりん光をもたらすためにサンプルの材料を励起するのに好適な波長上で動作する、好ましくは、狭帯域光源、好ましくは、レーザー、最も好ましくは、シングルモード・レーザーである第1の光源1aを備える。好ましくは、前記第1の光源1aは、532nm、808nmおよび976nmからなるグループのうちのいずれか1つの発光波長を有する。前記第1の光源1aは、好ましくは、ファイバー結合レーザーである。第1の光源1aは、好ましくは、円形ビーム・プロファイルおよびおよそガウス型の強度分布を有する第1の光ビームをもたらす。以下では、第1の光源1aからサンプルWへの第1の光ビームの経路は、第1の照明光路と呼ばれる。
【0014】
第1の光源1aから放出された第1の光ビームは、第1の対称ビーム・エキスパンダ2aを通ってライン・ジェネレータ5に導かれる。第1の対称ビーム・エキスパンダ2aは、対称的に拡大された第1の光ビーム、換言すれば、円形ビーム・プロファイル、ガウス型強度分布、および第1の光ビームの直径とは異なる直径を有する光ビームをもたらす。拡大された光ビームの直径は、ライン・ジェネレータ5の最適なビーム入力パラメータに従って調整される。本明細書では、「円形ビーム・プロファイル」という用語は、前記ビームの伝搬方向に垂直な平面において、ビームが円によって画定され、円の内側も照らされるという意味で使用される。ビームの境界は、ビームの部分であると考えられ、ここで、光強度は、強度最大値の1/e2パート(約13.5%)であり、ここで、eは、オイラーの数である。
【0015】
前記第1の対称ビーム・エキスパンダ2aは、好ましくは、2つの平凸レンズと、平凸レンズの間に配置された両凹レンズとを備え、前記レンズの凸面および凹面は、好ましくは、円筒対称性を有し、たとえば、前記面は、球状面、放物面または双曲面であり得る。拡大の程度は、光軸に沿って第1の対称ビーム・エキスパンダ2aの1つまたは複数の光学素子を移動させることによって調整され得る。光源によって放出されるビームおよびそれのコリメータ、および選択されたライン・ジェネレータのパラメータによっては、拡大は負になり得、換言すれば、ビーム・エキスパンダ2aから出力されるビームは、入力ビームの直径未満の直径を有し得る。本明細書では、ビーム・エキスパンダを出るビームは、拡大の標示にかかわらず、拡大されたビームであると考えられ、それゆえに、「拡大」という用語は、コリメートされた光ビームの直径の増加または低減のいずれかを意味し得る。
【0016】
前記対称的に拡大された第1の光ビームは、ラインに沿ったおよそ均一な強度分布を有する線形形状、換言すれば、いわゆる「フラット・トップ」または「トップ・ハット」ビーム・プロファイルに光ビームを整形するためのライン・ジェネレータ5の上に導かれる。前記ラインは、ゼロよりも大きい太さを有するので、矩形の短辺の長さが前記ラインの太さまたは幅に等しく、矩形の長辺がラインの長さに等しい矩形と考えられ得る。それゆえに、ライン・ジェネレータ5は、ラインの長さである、第1の方向における入射円形ビームのサイズを増加させ、その一方で、第1の方向に垂直な第2の方向におけるビームのサイズを変更せず、換言すれば、第2の方向におけるビームのサイズ、すなわち、ラインの幅は、入射ビーム直径に等しい。ライン・ジェネレータ5は、好ましくは、光学システムの正確な調整を用いて、マイクロ特徴をもつライン・ジェネレータと比較したとき、より信頼でき、繰返し可能な様式で均一な強度分布をもつラインをもたらすことを可能にする、パウエル・レンズによって形成される。ライン・ジェネレータ5を出る光は、伝搬方向に垂直な第1の軸に沿って発散しており、第1の軸と伝搬方向の両方に垂直である第2の軸に沿ってコリメートされたままである。第1の軸および第2の軸は、ライン・ジェネレータ5によって定義される。コリメータ6、たとえば、集束レンズは、第2の軸に沿って光ビームを集束させながら前記第1の軸に沿って光ビームをコリメートするように、ライン・ジェネレータ5の後に配置される。
【0017】
光軸からより遠くに離れた光線のイメージング収差は、好ましい実施形態によって著しく低減され得ることが発見され、コリメータ6は、1つのレンズの代わりに2つのレンズ、好ましくは、平凸レンズであって、好ましくは、それらの平坦面がライン・ジェネレータ5に向かって面し、それらの凸面が、光の伝搬の方向に面するように配置された平凸レンズによって形成される。
【0018】
第1の軸に沿ってコリメートされ、第2の軸に沿って集束された、コリメータ6を出るビームは、対物レンズ10を通ってサンプルW上に導かれて、照明ラインをもたらし得る。この解決策は、当技術分野において知られており、相互作用する光学素子の数を最小限に抑えることによって光損失を最小限に抑える、たいていの光学システムの設計中に適用される、一般的な設計原理に従う。前記対物レンズ10は、対物レンズ10とコリメータ6との間の距離およびそれらのそれぞれの焦点距離に応じて、第1の位置に第1の軸に沿って、および第1の位置よりも対物レンズ10により近いかまたは対物レンズ10からより遠いかのいずれかである第2の位置に第2の軸に沿って光ビームを集束させる。この配置では、サンプルは、第2の位置に置かれ、ここで、ビームは、第1の軸に沿って焦点がぼけており、これにより、ビームは、ライン・ジェネレータ5の効果により均一な強度分布を有するラインに沿ってサンプルを照明する。このセットアップは、約10~20μmの幅をもつが、わずか約1.0~1.5mmの長さをもつ照明ラインをもたらし得る。そのような照明は、部分的なサンプリングのみが必要とされる場合に充分であるサンプルの単一のラインを走査するのに好適であるが、そのような照明を用いてウエハ表面の完全マップを作成するには、多数のストリップが走査されなければならず、たとえば、150mmの直径のウエハの場合、100~150個のストリップが必要とされるので、長い時間がかかる。それゆえに、ウエハの表面全体をマッピングするために必要とされる時間を低減するためにより長い照明ラインを使用することは有利である。
【0019】
フィールド・レンズ8の焦点面がコリメータ6の焦点面と一致するように、コリメータ6と対物レンズ10との間にフィールド・レンズ8を配置すると、フィールド・レンズ8は、異例の二重の目的を果たし得ることが発見された。一方からすると、フィールド・レンズ8は、第2の軸に沿ってコリメータ6とともにビーム・エキスパンダとして機能し、これにより、より大きい部分、好ましくは、第2の軸に沿った対物レンズ10の入射瞳の全体の照明を可能にし、照明波長における対物レンズ10の回折限界までの、第2の軸に沿ったより密なフォーカス・スポット、換言すれば、より細いラインの作成を可能にする。他方からすると、フィールド・レンズ8は、好ましくは、対物レンズ10の後面焦点面に第1の軸に沿ってビームを集束させ、これにより、対物レンズ10は、第1の軸に沿ってビームをコリメートし、前記第1の軸に沿ってフィールド・レンズ8とともにビーム・エキスパンダとして有効に働き、対物レンズの倍率に従って増加されたライン長さを提供する。換言すれば、コリメータ6と対物レンズ10との間で本発明による発明的配置において適切に選択されたフィールド・レンズ8を使用することは、著しくより大きい長さを有し、結果的に、解像度を犠牲にすることなしに単位面積当たりのより速い走査、またはより詳細には、ウエハの全表面のより速い走査を可能にしながら、光学系の回折限界に近い幅をもつ照明ラインをもたらすことを可能にする。上記の説明では、第1の軸および第2の軸は、光ビームに関して考えられるべきであり、これにより、光ビームの伝搬方向が変更されたとき、前記軸の対応する変換が必要である。
【0020】
結論として、本発明による装置は、ライン・ジェネレータ5、コリメータ6、フィールド・レンズ8および対物レンズ10の配置によって形成されたそれの独自のビーム整形光学系により、均一な強度分布をもつ比較的長く、細い照明ラインをもたらすことが可能である。
【0021】
本発明による装置は、サンプルWによって放出され、対物レンズ10によって集光されたフォトルミネッセンス光を検出するための第1のカメラ11aをさらに備える。第1のカメラ11aは、光検出器ピクセルの少なくとも1つのライン、好ましくは、光検出器ピクセルの厳密に1つのラインを備える。光検出器ピクセルは、好ましくは、点検対象のサンプルWによって放出されたフォトルミネッセンスの波長において応答するように選択される。たとえば、光検出器ピクセルは、従来のシリコン・ベースのCCDピクセルであるか、またはより好ましくは、InGaAsベースのフォトダイオードによって形成され得る。以下では、サンプルWから第1のカメラ11aへのフォトルミネッセンス光の経路は、第1のイメージング光路と呼ばれる。
【0022】
本発明による装置は、好ましくは、対物レンズ10のほうへ、およびこれにより、サンプルWのほうへ第1の光ビームを向けるための、ならびにサンプルWによって放出されたフォトルミネッセンス光を第1のカメラ11aのほうへ向けるための第1のイメージング・ダイクロイック光学素子4iを備える。第1のイメージング・ダイクロイック光学素子4iは、ロングパス・ダイクロイック・プレートによって形成され、第1のイメージング・ダイクロイック光学素子4iが、ソーター波長照明光の強度の大部分を反射し、より長い波長のフォトルミネッセンス光を透過するように、配置され得る。この好ましい実施形態は、図中に示されている。代替的に、第1のイメージング・ダイクロイック光学素子4iは、照明光が通過し、その一方で、フォトルミネッセンス光が、第1のカメラ11aのほうへ反射されるように配置されたショートパス・ダイクロイック・プレートによって形成され得る。
【0023】
図1は、本発明による光学システムの例示的な実施形態の一般的な配置を図示するにすぎず、それらの実際の配向および距離を図示しないことに留意されたい。実際のセットアップでは、構成要素のいくつかは、好ましくは、他のものとは異なる平面中に配置され、それゆえに、装置は、好ましくは、数個のさらなるミラーおよび/または他の光学素子を、それらのそれぞれの光路上に光ビームを導くために備える。
【0024】
各図において、同じ参照番号は、同じ部分を指し示す。
図2は、本発明による装置の好ましい実施形態の簡略化された機能系統図を示す。この好ましい実施形態によれば、装置は、第1の光源1aと第2の光源1bとを備える。第1の光源1aおよび前記第2の光源1bは、好ましくは、狭帯域光源、好ましくは、レーザー、最も好ましくは、フォトルミネッセンス、換言すれば、蛍光またはりん光をもたらすためにサンプルWを励起するための異なる波長のシングルモード・レーザーである。2つ以上の光源を有することの利点は、異なる材料が、異なる励起波長に応答し得るので、より多種多様なサンプルWが、装置によって調査され得ることである。以下では、第2の光源1bからサンプルWへの第2の光ビームの経路は、第2の照明光路と呼ばれる。
【0025】
好ましい例示的な実施形態によれば、前記第1の光源1aおよび前記第2の光源1bは、532nm、808nmおよび976nmからなる群から選択される発光波長を有するレーザであり、好ましくは、532nmおよび808nmである。好ましくは、第1の光源1aおよび第2の光源1bは、ファイバー結合レーザーである。第1の光源1aおよび第2の光源2bは、円形ビーム・プロファイルの第1の光ビームおよび第2の光ビームをもたらすことができ、両方とも、ガウス型強度分布を有する。
【0026】
第1の光源1aから放出された第1の光ビームは、好ましくは、2つの平凸レンズおよび両凹レンズを備える、第1の対称ビーム・エキスパンダ2aを通して導かれる。第2の光源1bによって放出された第2の光ビームは、好ましくは、2つの平凸レンズおよび両凹レンズを備える、第2のビーム・エキスパンダ2bを通して導かれる。
【0027】
第1の照明ダイクロイック光学素子4aは、第1の光ビームおよび第2の光ビームが、第1の照明ダイクロイック光学素子4aを出た後に一致するように、第1の照明ダイクロイック光学素子4aが、第1の光ビームおよび第2の光ビームのうちの一方を反射し、第1の光ビームおよび第2の光ビームのうちの他方を透過するように、第1の光ビームおよび第2の光ビームの光路中に配置される。第1の照明ダイクロイック光学素子4aは、好ましくは、ダイクロイック・プレートまたはダイクロイック・キューブである。
【0028】
第1の光ビームおよび第2の光ビームの光路に沿って、第1の照明ダイクロイック光学素子4aの後に、換言すれば、第1のコリメートされた光ビームと第2のコリメートされた光ビームとが一致するロケーションにおいて、ライン・ジェネレータ5が、ラインに沿っておよそ均一な強度分布を有する線形形状、換言すれば、いわゆる「フラット・トップ」または「トップ・ハット」ビーム・プロファイルに光ビームを整形するように配置される。ライン・ジェネレータ5は、好ましくは、光学システムの正確な調整を用いて、マイクロ特徴をもつライン・ジェネレータと比較したとき、より信頼でき、繰返し可能な様式で均一な強度分布をもつラインをもたらすことを可能にする、パウエル・レンズによって形成される。ライン・ジェネレータ5を出る光は、伝搬方向に垂直な第1の軸に沿って発散しており、第1の軸と伝搬方向の両方に垂直である第2の軸に沿ってコリメートされたままである。第1の軸および第2の軸は、ライン・ジェネレータ5によって定義される。コリメータ6、たとえば、集束レンズが、第2の軸に沿って光ビームを集束させながら第1の軸に沿って光ビームをコリメートするように、ライン・ジェネレータ5の後に配置される。
【0029】
光軸からより遠くに離れた光線の場合のイメージング収差は、コリメータ6が、1つのレンズの代わりに2つのレンズ、より詳細には、2つのアクロマティック・レンズ、好ましくは、平凸アクロマティック・レンズであって、好ましくは、それらの平坦面がライン・ジェネレータ5に向かって面し、それらの凸面が光の伝搬の方向に面するように配置された平凸アクロマティック・レンズによって形成された場合、低減され得ることが発見された。
【0030】
第1の軸に沿ってコリメートされ、第2の軸に沿って集束された、コリメータ6を出るビームは、対物レンズ10を通ってサンプル上に導かれて、照明ラインをもたらし得る。この解決策は、当技術分野において知られており、相互作用する光学素子の数を最小限に抑えることによって光損失を最小限に抑える、たいていの光学システムの設計中に適用される、一般的な設計原理に従う。前記対物レンズ10は、対物レンズ10とコリメータ6との間の距離およびそれらのそれぞれの焦点距離に応じて、第1の位置に第1の軸に沿って、および第1の位置よりも対物レンズ10により近いかまたは対物レンズ10からより遠いかのいずれかである第2の位置に第2の軸に沿って光ビームを集束させる。この配置では、サンプルは、第2の位置に置かれ、ここで、ビームは、第1の軸に沿って焦点がぼけており、これにより、ビームは、ライン・ジェネレータ5の効果により均一な強度分布を有するラインに沿ってサンプルを照明する。このセットアップは、約10~20μmの幅をもつが、わずか約1.0~1.5mmの長さをもつ照明ラインをもたらし得る。そのような照明は、サンプルの単一のラインを走査するのに好適であるが、そのような照明を用いてウエハ表面の完全マップを作成するには、多数のストリップが走査されなければならず、たとえば、150mmの直径のウエハの場合、100~150個のストリップが必要とされるので、長い時間がかかる。それゆえに、ウエハの表面全体をマッピングするために必要とされる時間を低減するためにより長い照明ラインを使用することは有利である。
【0031】
フィールド・レンズ8の焦点面がコリメータ6の焦点面と一致するように、コリメータ6と対物レンズ10との間にフィールド・レンズ8を配置すると、フィールド・レンズ8は、異例の二重の目的を果たし得ることが発見された。一方からすると、フィールド・レンズ8は、第2の軸に沿ってコリメータ6とともにビーム・エキスパンダとして機能し、これにより、より大きい部分、好ましくは、第2の軸に沿った対物レンズ10の入射瞳の全体の照明を可能にし、照明波長における対物レンズ10の回折限界までの、第2の軸に沿ったより密なフォーカス・スポット、換言すれば、より細いラインの作成を可能にする。他方からすると、フィールド・レンズ8は、好ましくは、対物レンズ10の後面焦点面に第1の軸に沿ってビームを集束させ、これにより、対物レンズ10は、第1の軸に沿ってビームをコリメートし、前記第1の軸に沿ってフィールド・レンズ8とともにビーム・エキスパンダとして有効に働き、対物レンズの倍率に従って増加されたライン長さを提供する。換言すれば、、コリメータ6と対物レンズ10との間で本発明による発明的配置において適切に選択されたフィールド・レンズ8を使用することは、著しくより大きい長さを有し、結果的に、解像度を犠牲にすることなしに単位面積当たりのより速い走査、またはより詳細には、ウエハの全表面のより速い走査を可能にしながら、光学系の回折限界に近い幅をもつ照明ラインをもたらすことを可能にする。上記の説明では、第1の軸および第2の軸は、光ビームに関して考えられるべきであり、これにより、光ビームの伝搬方向が変更されたとき、前記軸の対応する変換が必要である。
【0032】
結論として、本発明による装置は、ライン・ジェネレータ5、コリメータ6、フィールド・レンズ8および対物レンズ10の配置によって形成されたそれの独自のビーム整形光学系により、均一な強度分布をもつ比較的長く、細い照明ラインをもたらすことが可能である。
【0033】
本発明による装置は、好ましくは、対物レンズ10のほうへ、およびこれにより、サンプルWのほうへ第1の光ビームおよび第2の光ビームを向けるための、ならびにウエハWによって放出されたフォトルミネッセンス光を第1のカメラ11aのほうへ向けるための第1のイメージング・ダイクロイック光学素子4iを備える。第1のイメージング・ダイクロイック光学素子4iは、ロングパス・ダイクロイック・プレートによって形成され、ソーター波長照明光の大部分が、第1のイメージング・ダイクロイック光学素子4iによって反射され、その一方で、より長い波長のフォトルミネッセンス光が、第1のイメージング・ダイクロイック光学素子4iを通過するように配置され得る。この好ましい実施形態は、図中に示されている。代替的に、第1のイメージング・ダイクロイック光学素子4iは、照明光が通過し、その一方で、フォトルミネッセンス光が、第1のカメラ11aのほうへ反射されるように配置されたショートパス・ダイクロイック・プレートによって形成され得る。
【0034】
好ましい実施形態によれば、装置は、第3の光ビームを放出するための第3の光源1cと、第1の光ビームおよび第2の光ビームの共通光路に第3の光ビームを結合するための第2の照明ダイクロイック光学素子4bと、サンプルWから反射された第3の光源の光を第2のカメラ11bのほうへ向けるための第2のイメージング・ダイクロイック光学素子4iiとをさらに備える。第3の光源1cは、好ましくは、可視波長範囲、たとえば、485~525nmの一部分にある光を放出するための発光ダイオードである。以下では、第3の光源1cからサンプルWへの第3の光ビームの経路は、第3の照明光路と呼ばれる。第2のカメラ11bは、第3の光源1cの動作波長にある光を検出するのに、およびこれにより、サンプルの反射画像をキャプチャするのに、たとえば、ひっかき傷または塵粒子のような特定の種類の欠陥を識別するのに好適である。たとえば、第2のカメラ11bは、従来のCCDカメラ、好ましくは、CCDピクセルの単一の線形アレイのみを有するライン・スキャン・カメラであり得る。以下では、サンプルWから第2のカメラ11aへの反射光の経路は、第2のイメージング光路と呼ばれる。
【0035】
装置は、好ましくは、第3の光源1cの光をコリメートするための(図中に示されていない)さらなるコリメータを備え、前記コリメータは、好ましくは、第3の光源1cと統合される。好ましくは、スリットが、第3の光源1cのコリメートされた光ビームの光路中に配置され、第2の照明ダイクロイック光学素子4bは、好ましくは、第1の光ビームおよび第2の光ビームの光路中でコリメータ6とフィールド・レンズ8との間に、および第3の光ビームの光路中でスリットとフィールド・レンズ8との間に配置され、結果的に、均一に照明された前記スリットは、フィールド・レンズ8および対物レンズ10によってサンプルW上に撮像され、これにより、均一に照らされた第3のラインを作成する。第3のラインの太さは、一般的に、反射イメージングがフォトルミネッセンス・イメージングのような高い照明強度を必要としないので、問題ではない。
【0036】
好ましくは、第2のイメージング・ダイクロイック光学素子4iiは、フォトルミネッセンス光が第1のカメラ11aのほうへ通過し、サンプルWから反射された第3の光源1cの光が第2のカメラ11bのほうへ反射されるように、ロングパス・ダイクロイック・プレートによって形成される。第1のイメージング・ダイクロイック光学素子4iは、好ましくは、第1のイメージング・ダイクロイック光学素子4iが、第3の光源1cの波長にある光を完全に反射するとは限らないように、たとえば、第1のイメージング・ダイクロイック光学素子4iが、前記波長において約0.9の反射を有するように選択され、これは、第1のイメージング・ダイクロイック光学素子4iが、前記波長の光の90%パーセントを反射し、残りを透過することを意味する。反射イメージングは、フォトルミネッセンス光を励起する効率が非常に低くても問題がなく、これにより、90%もの光損失でさえ、照明光路内または第3の光ビームのイメージング光路内のいずれかで許容できる。たとえば、
図2中に示されている構成は、サンプルWによって反射された光の大部分が、光源のほうへ第1のイメージング・ダイクロイック光学素子4iによって反射され、前記光のより小さい部分のみが、第2のイメージング・ダイクロイック光学素子4iiのほうへ、および第2のカメラ11bのほうへ通過されるので、反射イメージング光路における高い光損失を生じる。
【0037】
第3の光ビームは、第3の光源が、第1の光ビームおよび第2の光ビームの近傍においてサンプルWを照明するように、第1の光ビームおよび第2の光ビームの光路と同じ光路を通ってサンプルWの表面の上に導かれる。これは、反射光中のサンプルを調査するのに好適である。随意に、スリットが、第3の光源のコリメータと第2の照明ダイクロイック光学素子4bとの間の光路に選択的に挿入可能であり得る。光路への前記スリットの挿入、および光路からの前記スリットの除去は、走査のためのライン照明と、とりわけ、第2のカメラ11bが2Dカメラであるときに対物レンズの視界全体の2D画像を撮るのに好適であり得る、対物レンズ10の視野全体を照明することと、の間で切り替えることを可能にする。
【0038】
図2は、本発明による光学システムの例示的な実施形態の一般的な配置を図示するにすぎず、それらの実際の配向および距離を図示しないことに留意されたい。実際のセットアップでは、構成要素のいくつかは、好ましくは、他のものとは異なる平面中に配置され、それゆえに、装置は、好ましくは、数個のさらなるミラーおよび/または他の光学素子を、それらのそれぞれの光路上に光ビームを導くために備える。
【0039】
図3Aは、本発明による装置の好ましい実施形態の、光学素子の概略配置、および第1の照明光路中の光線の図示を示す。以後、本発明は、それぞれの図中に指し示されている座標系に関して解説される。
図3A中に示されている実施形態では、第1の光源1aから放出された光は、伝搬方向に垂直なあらゆる方向において同じ程度まで入射光ビームを対称拡大するための第1の対称ビーム・エキスパンダ2aに1つまたは複数のミラーによって導かれる。光ビームの拡大は、対称ビーム・エキスパンダに円筒対称性をもつ光ビームをそれの光軸に沿って入力することが、円筒対称性をもつ光ビームが対称ビーム・エキスパンダから出ることを生じるとき、対称であると考えられる。第1の対称ビーム・エキスパンダ2aは、好ましくは、2つの平凸レンズおよびそれらの間の両凹レンズによって形成され、これらのレンズの湾曲面の各々は、球状であり得る。対称的ビーム拡大は、ライン・ジェネレータ5が、それの強度プロファイルを均一な分布に変えるのに好適な直径をもつビームを受け取ることを保証する。前記好適なビーム直径は、選択されたライン・ジェネレータ5によって決まり、通常、ライン・ジェネレータ5の1つまたは複数の縁部あるいは他の表面特徴の幅の関数である。
【0040】
装置は、随意に、第1のビームの非対称的拡大のための、換言すれば、X軸に沿ってビームを拡大するよりも、Y軸に沿ってより大きい程度までビームを拡大するための、より好ましくは、Y軸のみに沿ってビームを拡大し、X軸に沿ってビームを拡大しないための第1の非対称ビーム・エキスパンダ3aをさらに備える。たとえば、第1の非対称ビーム・エキスパンダ3aは、2つのシリンドリカルレンズによって形成され得、一方は、1つまたは2つの凹面を有し、他方は、1つまたは2つの凸面を有する。この非対称ビーム拡大は、ライン・ジェネレータ5の、それの縁部のより長いセクションに沿った照明を可能にし、それゆえに、ライン・ジェネレータの出力は、Y軸に沿ってより太くなり(しかし、依然としてコリメートされ)、コリメータ6のより大きい入射瞳の照明を可能にし、Y軸に沿ってビームを集束させるコリメータ6のための実効的により大きい開口数を生じ、結果的に、より良いイメージング解像度を可能にするより細い照明ラインを生じる。
【0041】
随意に、(図中に示されていない)第2の非対称ビーム・エキスパンダが、第1の非対称ビーム・エキスパンダ3aと同じ目的で、および第1の非対称ビーム・エキスパンダ3aと同じ原理で動作するために、第2の対称ビーム・エキスパンダ2bと第1の照明ダイクロイック光学素子4aとの間で第2の照明光路中に配置される。好ましくは、第2の照明光路は、同様の配置において第1の照明光路の光学素子と同様の光学素子を備え、簡潔のために、第2の照明光路は、さらに詳細には論じられない。
【0042】
好ましくは、装置の移動手段は、X、YおよびZ軸に沿って線形的に互いに関して前記サンプルWおよび装置の光学素子を移動させるのに好適である。好ましくは、前記移動手段は、X、YおよびZ軸に沿って線形的に装置の残りに対して前記サンプル・ホルダーHを移動させるためのいわゆるXYZステージである。随意に、前記移動手段は、Y軸の周りで前記サンプル・ホルダーHを回転させるのに好適であってもよい。
【0043】
図3Bは、
図3A中に指し示されているY軸の方向から、第1の照明ダイクロイック光学素子4aと第1のイメージング・ダイクロイック光学素子4iとの間の光学路の部分を示す。コリメートされた第1の光ビームおよび第2の光ビームは、第1の照明ダイクロイック光学素子4aによって、ライン・ジェネレータ5に向かう同じ光路の上に導かれる。ライン・ジェネレータ5は、出力されたビームが、Y軸に沿ってコリメートされたままでありながら、X軸に沿って発散しているように、入射光ビームを変える。これらのビームは、次いで、コリメータ6によって、X軸に沿ってコリメートされ、Y軸に沿って集束される。コリメータ6によって得られたビームは、サンプルWを照明するために、直接的にまたは対物レンズ10を通して使用され得る。代わりに、本発明によれば、コリメータ6の焦点およびフィールド・レンズの焦点が一致するように、コリメータ6とともにフィールド・レンズ8を使用することによって、より有利な構成が達成される。このようにして、対物レンズのより大きい瞳が、x方向(第1のイメージング・ダイクロイック光学素子が、図中に示されているように光ビームを偏向させる場合、z方向)において照明され、ラインのより密なフォーカス、換言すれば、サンプルW上のより細い照明ラインを可能にする。同時に、対物レンズ10に入る光は、Y軸に沿って収束しており、それは、光損失がけられによって対物レンズ内で起こらないことを保証し、また、対物レンズ10の前側焦点におけるラインの長さを増加させる。
【0044】
本明細書全体にわたって、「コリメータ」、「対物レンズ」、「フィールド・レンズ」または「レンズ」のような特定の光学構成要素を指定する用語は、単一のレンズ、またはたとえば、色収差を補正するための、または任意の他の光学収差を補正するための2つ以上のレンズの配置のいずれかを含むことを意図される。それゆえに、コリメータ6、フィールド・レンズ8および対物レンズ10のうちのいずれか1つまたは複数は、2つ以上のレンズによって形成され得る。その上、光伝搬の方向または光学素子の配置は、ダイクロイック光学素子に関して論じられ、「に向かって/のほうへ/に向かう」という用語は、自由伝播、反射、屈折、回折またはさらなる光学素子との光の他の光学相互作用を介して、名前を挙げられた光学素子に至る光伝搬の任意の方向を含み、名前を挙げられた光学素子の実際の直接的な空間的方向に限定されない。
【0045】
本発明による方法は、好ましくは、移動可能なステージ上に、サンプルW、好ましくは、ウエハを提供することと、第1の光ビームをもたらすことと、第1の光ビームを拡大することと、サンプルWの表面上の点検サイト上の第1のラインに第1の光ビームを整形することと、ピクセルのライン上で、サンプルWによって放出されたフォトルミネッセンスをキャプチャすることと、前記第1のラインを用いて前記サンプルの実質的に表面全体を走査することとを備え、第1のラインに第1の光ビームを整形することが、ライン・ジェネレータ5、コリメータ6、フィールド・レンズ8および対物レンズ10の組合せを使用することによって実施され、コリメーションが、レンズのペアによって実施され、レンズのさらなるペアが、フィールド・レンズ8として使用される。前記サンプルWの移動は、装置の光学素子に関して考えられ、それゆえに、前記移動は、サンプルWに対して光学素子を移動させることによって達成され得る。
【0046】
前記走査は、好ましくは、0°よりも大きい角度、好ましくは、約90°を形成する、第1の方向に沿った点検サイトにおける前記サンプルWと前記第1のラインとの第1の相対移動によって実施され、前記第1のラインは、前記サンプルWの表面上にある。好ましくは、前記第1の光ビームの長さが、前記サンプルWの線形サイズ未満であるとき、第1の方向における前記移動は、前記線形サイズよりも大きいかまたはそれに等しい距離だけ実施される。前記第1の移動は、連続的であることも、間欠的であることもある。前記第1の移動には、好ましくは、前記第1の移動と、0°を超える角度を形成する、好ましくは約90°を形成する方向における第2の移動が付随する。前記第2の移動は、連続的であることも、間欠的であることもある。前記サンプルWの前記線形サイズは、たとえば、円形ウエハの直径または矩形ウエハの辺長であり得る。
【0047】
好ましくは、パウエル・レンズが、ライン・ジェネレータとして使用される。好ましくは、集束レンズのペアが、コリメータ6として使用され、集束レンズのペアが、フィールド・レンズとして使用される。
【0048】
本発明による方法の好ましい変形例によれば、第2の光ビームがもたらされ、第2の光ビームは、対称的に拡大され、サンプルの表面上の点検サイトの上に表面上に集束されたラインに形成される。第2の光ビームを整形することは、第1の光ビームと同じライン・ジェネレータ5、コリメータ6、フィールド・レンズ8および対物レンズ10の組合せによって実施され、アクロマティック・レンズのペアが、コリメータ6として使用され、アクロマティック・レンズのペアが、フィールド・レンズ8として使用される。
【0049】
随意に、第1の光ビームおよび/または第2の光ビームは、それ/それらをラインに整形する前に、たとえば、シリンドリカルレンズのペアによって、非対称的に拡大される。
【0050】
第1のラインおよび第2のラインは、それぞれ、第1の長さおよび第2の長さを有し、前記第1の長さおよび前記第2の長さは、前記サンプルの最も小さい線形サイズよりも小さい、たとえば、円形ウエハの直径よりも小さいことがある。
【0051】
円形サンプルの全表面をマッピングすることは、照明ラインがサンプルの半径と一致するように、サンプルを配置することと、連続的にそれの中心の周りでサンプルを回転させることによってサンプル表面を走査することと、照明ラインに沿ってサンプルを線形的に移動させ、間欠的に、これにより、同心走査パターンにおいて続く同心円環を走査すること、または連続的に、これにより、スパイラル走査パターンにおいてサンプル表面を走査することのいずれかを行うこととによって実施され得る。この同心またはスパイラル走査パターンは、矩形サンプルよりも円形サンプルについて短い走査時間、換言すれば、良いスループットを提供し得る。円環は、好適な変換を受け、単一のカルテシアン画像を形成するために一緒につなぎ合わされ得る。スパイラル・スキャンの出力は、好適な変換を用いてサンプル表面の単一のカルテシアン画像に転換されてもよい。代替的に、検出されたピクセル値は、転換なしに極座標系に記憶され得る。
【0052】
サンプルの全表面をマッピングすることは、照明ラインがサンプルの縁部に接触するように、照明ラインの下にサンプルを配置することと、照明ラインに垂直な方向に線形的にサンプルを移動させ、次いで、照明ラインの長さに等しいかまたはそれよりもわずかに少ない距離だけ照明ラインに沿った方向にサンプルを移動させることと、表面全体がマッピングされるまで、これらのステップを繰り返すこととによって実施されてもよい。未加工走査ストリップは、サンプル表面全体の単一の画像を得るために、一緒につなぎ合わされ得る。
【0053】
各走査パターンについて、パターンは、好ましくは、それ自体に、換言すれば、スパイラル・パターンの続くターンに重なり、続く円環または続く矩形ストリップは、信頼できる画像スティッチングのために必要とされる程度まで互いに重なる。
【0054】
本発明による方法は、好ましくは、第3の光ビームをもたらすことと、前記サンプルWの表面の上に前記第3の光ビームを導くことであって、前記第3の光ビームが、反射された第3の光ビームをもたらすために、少なくとも部分的に反射される、前記第3の光ビームを導くことと、次いで、前記サンプルの反射画像をもたらすために、前記反射された第3の光ビームの少なくとも一部分をキャプチャすることとをさらに備える。好ましくは、前記第3の光ビームは、第1の光ビームと同じフィールド・レンズ8および同じ対物レンズ10を通して前記サンプルWの表面の上に導かれる。好ましくは、サンプルWの表面全体は、第1の光ビームの場合と同じやり方で第3の光ビームによって走査される。
【0055】
本発明の使用は、半導体サンプル、より詳細には、ウエハに関して詳細に解説されたが、本発明は、追加の層の有無にかかわらず、フォトルミネッセンスをもたらすことが可能な材料から作られた任意の種類の平坦なサンプル、たとえば、フラット・パネル・ディスプレイ産業の基板のために使用され得るか、または他の微細な構造物が、本発明によって検査されてもよいことに留意されたい。本明細書全体にわたって、「ウエハ」という用語は、標準サイズ、たとえば、300mm、150mmまたは75mm、あるいは場合によっては、さらにはそのようなウエハの不規則な部片のみのいずれかの、円形形状、矩形形状または他の形状を有する、ドープされていないシリコンのドープされたまたは他の半導体材料のいずれかの、任意の種類の細部片半導体材料を含む、広い意味において使用される。それゆえに、本発明による装置および方法の使用は、半導体ウエハに限定されない。
【符号の説明】
【0056】
1a 第1の光源
1b 第2の光源
1c 第3の光源
2a 第1の対称ビーム・エキスパンダ
2b 第2の対称ビーム・エキスパンダ
3a 第1の非対称ビーム・エキスパンダ
4a 第1の照明ダイクロイック光学素子
4b 第2の照明ダイクロイック光学素子
4i 第1のイメージング・ダイクロイック光学素子
4ii 第2のイメージング・ダイクロイック光学素子
5 ライン・ジェネレータ
6 コリメータ
8 フィールド・レンズ
10 対物レンズ
11a 第1のカメラ
11b 反射カメラ
【外国語明細書】