(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122970
(43)【公開日】2024-09-10
(54)【発明の名称】水系ヒドロゲルブレンドコーティングおよびエラストマー物品への塗布方法
(51)【国際特許分類】
C09D 107/02 20060101AFI20240903BHJP
C08J 7/04 20200101ALI20240903BHJP
C09D 109/04 20060101ALI20240903BHJP
C09D 5/02 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
C09D107/02
C08J7/04 U CEQ
C09D109/04
C09D5/02
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024075043
(22)【出願日】2024-05-07
(62)【分割の表示】P 2023021537の分割
【原出願日】2016-10-18
(31)【優先権主張番号】62/243,116
(32)【優先日】2015-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】397037834
【氏名又は名称】アレジアンス、コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ウー、 チュン コン
(72)【発明者】
【氏名】チョン、チュアン シム
(72)【発明者】
【氏名】ダンセーユン、 ヌジャレー
(72)【発明者】
【氏名】ワンナウォン、 パナー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】水系ヒドロゲルポリマーコーティングを作製する方法、および前記コーティングを有するエラストマー物品を提供する。
【解決手段】コーティングを作製する方法は、水系ヒドロゲルポリマーと、第1のエラストマー材料と、第2のエラストマー材料とを組み合わせてコーティング配合物を形成することを含み、前記第1のエラストマー材料は天然ゴムラテックスおよびポリイソプレンラテックスからなる群から選択され、前記コーティング配合物は添加された溶媒を含まず、前記第2のエラストマー材料はニトリルラテックスである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティングを有するエラストマー物品であって、コーティングが、
水系ヒドロゲルポリマーと、
水系ヒドロゲルポリマーに添加されて、コーティング配合物を形成する、少なくとも1
つのエラストマー材料
とを含み、
コーティング配合物に、いかなる溶媒も添加されていない、エラストマー物品。
【請求項2】
コーティングが、エラストマー物品の表面に、ヒドロゲルポリマーのみがコーティング
されたエラストマー物品と比較して、改善された潤滑性を提供する、請求項1に記載のエ
ラストマー物品。
【請求項3】
エラストマー材料が、天然ゴムラテックス、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリ
ウレタン、ポリブタジエン、ニトリル、スチレンとブタジエンとのブロックコポリマー、
スチレンとイソプレンとのブロックコポリマーからなる群から選択される、請求項1また
は2に記載のエラストマー物品。
【請求項4】
エラストマー材料が、天然ゴムである、請求項3に記載のエラストマー物品。
【請求項5】
エラストマー材料が、ポリイソプレンである、請求項3に記載のエラストマー物品。
【請求項6】
エラストマー材料が、少なくとも2つのエラストマー材料のブレンドである、請求項1
から5のいずれか1項に記載のエラストマー物品。
【請求項7】
コーティング配合物中の少なくとも1つのエラストマー材料が、エラストマー物品と同
じである、請求項1から6のいずれか1項に記載のエラストマー物品。
【請求項8】
水系ヒドロゲルが、コーティング配合物中に、約50重量%~約90重量%の量で存在
する、請求項1から7のいずれか1項に記載のエラストマー物品。
【請求項9】
コーティング配合物が、界面活性剤をさらに含む、請求項1から8のいずれか1項に記
載のエラストマー物品。
【請求項10】
コーティング配合物が、殺生物剤をさらに含む、請求項1から9のいずれか1項に記載
のエラストマー物品。
【請求項11】
ヒドロゲルが、コーティング配合物の約75重量%の量で存在する、請求項1から10
のいずれか1項に記載のエラストマー物品。
【請求項12】
ヒドロゲルが、約75重量%~約85%の量で存在する、請求項8に記載のエラストマ
ー物品。
【請求項13】
ヒドロゲルが、約85重量%の量で存在する、請求項12に記載のエラストマー物品。
【請求項14】
少なくとも1つのエラストマー材料が、コーティング配合物の約0.5重量%~約37
重量%の範囲で存在する、請求項1から13のいずれか1項に記載のエラストマー物品。
【請求項15】
第2のエラストマー材料が、コーティング配合物中に、約0.5重量%~約25重量%
の範囲で存在する、請求項6に記載のエラストマー物品。
【請求項16】
少なくとも1つのエラストマー材料が、コーティング配合物の約6重量%~約19重量
%の範囲で存在する、請求項14に記載のエラストマー物品。
【請求項17】
第2のエラストマー材料が、コーティング配合物の約6重量%~約19重量%の範囲で
存在する、請求項15に記載のエラストマー物品。
【請求項18】
少なくとも1つのエラストマー材料が、コーティング配合物の約19重量%で存在する
、請求項1から17のいずれか1項に記載のエラストマー物品。
【請求項19】
第2のエラストマー材料が、コーティング配合物の約6重量%で存在する、請求項17
に記載のエラストマー物品。
【請求項20】
少なくとも1つのエラストマー材料が、天然ゴムである、請求項1から19のいずれか
1項に記載のエラストマー物品。
【請求項21】
第2のエラストマー材料が、ニトリルである、請求項6、15、17、および19のい
ずれか1項に記載のエラストマー物品。
【請求項22】
少なくとも1つのエラストマー材料が、コーティング配合物の約4重量%~約11重量
%の範囲で存在する、請求項12に記載のエラストマー物品。
【請求項23】
第2のエラストマー材料が、コーティング配合物の約4重量%~約11重量%の範囲で
存在する、請求項22に記載のエラストマー物品。
【請求項24】
少なくとも1つのエラストマー材料、および第2のエラストマー材料が、それぞれコー
ティング配合物の約7.5重量%で存在する、請求項22に記載のエラストマー物品。
【請求項25】
少なくとも1つのエラストマー材料がポリイソプレンであり、かつ第2のエラストマー
材料がニトリルである、請求項24に記載のエラストマー物品。
【請求項26】
3.5の平均TSCで、約1の平均コーティング剥がれ等級を有する、請求項1から2
5のいずれか1項に記載のエラストマー物品。
【請求項27】
7%のTSCで、約0.10未満の湿式COFを有する、請求項1に記載のエラストマ
ー物品。
【請求項28】
4%のTSCで、約0.10未満の湿式COFを有する、請求項1から27のいずれか
1項に記載のエラストマー物品。
【請求項29】
残渣粉体含量試験において、1mg未満の粉体を有する、請求項1から28のいずれか
1項に記載のエラストマー物品。
【請求項30】
粉体を含まない、請求項1から29のいずれか1項に記載のエラストマー物品。
【請求項31】
エラストマー物品をコーティングする方法であって、
エラストマー物品を、水性コーティング組成物中に浸漬して、コーティングされた物品
を得る工程であって、コーティング組成物が、水系ヒドロゲル、および少なくとも1つの
エラストマー材料を含む、工程と、
コーティングされた物品を硬化させる工程と、
コーティングされた物品を乾燥させる工程
とを含み、
エラストマー物品が、溶媒を含まないコーティング溶液中に浸漬され、
エラストマー物品が、コーティング組成物中に浸漬する前に、化学的下塗り工程を必要
としない、方法。
【請求項32】
少なくとも1つのエラストマー材料が、エラストマー物品と同様の材料である、請求項
31に記載の方法。
【請求項33】
少なくとも1つのエラストマー材料と異なる、第2のエラストマー材料が、コーティン
グ組成物に添加される、請求項31または32に記載の方法。
【請求項34】
コーティングされた物品を塩素化する工程をさらに含む、請求項31から33のいずれ
か1項に記載の方法。
【請求項35】
コーティングされた物品に潤滑剤溶液を噴霧する工程をさらに含む、請求項31から3
4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
コーティングを有するエラストマー物品であって、コーティングが、
水系ヒドロゲルポリマーと、
天然ゴムラテックスと、
ニトリルラテックス
とを含み、それらが一緒にブレンドされて、コーティング組成物を形成する、エラスト
マー物品。
【請求項37】
コーティングが、エラストマー物品の表面に、ヒドロゲルポリマーのみがコーティング
されたエラストマー物品と比較して、改善された潤滑性を提供する、請求項36に記載の
エラストマー物品。
【請求項38】
水系ヒドロゲルポリマーが、コーティング組成物の約75重量%で存在し、天然ゴムラ
テックスとニトリルラテックスとの組合せが、コーティング組成物の約25重量%を構成
する、請求項36または37に記載のエラストマー物品。
【請求項39】
請求項36から38のいずれか1項のコーティングを使用してエラストマー物品をコー
ティングする方法。
【請求項40】
コーティングを有するエラストマー物品であって、コーティングが、
水系ヒドロゲルポリマーと、
ポリイソプレンと、
ニトリルラテックス
とを含み、それらが一緒にブレンドされて、コーティング組成物を形成する、エラスト
マー物品。
【請求項41】
コーティングが、エラストマー物品の表面に、ヒドロゲルポリマーのみがコーティング
されたエラストマー物品と比較して、改善された潤滑性を提供する、請求項40に記載の
エラストマー物品。
【請求項42】
水系ヒドロゲルポリマーが、コーティング組成物の約85重量%で存在し、ポリイソプ
レンラテックスとニトリルラテックスとの組合せが、コーティング組成物の約15重量%
を構成する、請求項40または41に記載のエラストマー物品。
【請求項43】
エラストマー物品をコーティングするためのコーティング組成物であって、
水系ヒドロゲルポリマーと、
水系ヒドロゲルポリマーに添加される、少なくとも1つのエラストマー材料
とを含み、コーティング配合物に、いかなる溶媒も添加されていない、コーティング組
成物。
【請求項44】
エラストマー材料が、少なくとも2つのエラストマー材料のブレンドである、請求項4
3に記載のコーティング組成物。
【請求項45】
水系ヒドロゲルが、コーティング配合物中に、約50重量%~約90重量%の量で存在
する、請求項43または44に記載のコーティング組成物。
【請求項46】
コーティング配合物が、界面活性剤をさらに含む、請求項43から45のいずれか1項
に記載のコーティング組成物。
【請求項47】
コーティング配合物が、殺生物剤をさらに含む、請求項43から46のいずれか1項に
記載のコーティング組成物。
【請求項48】
ヒドロゲルが、コーティング配合物の約75重量%の量で存在する、請求項43に記載
のコーティング組成物。
【請求項49】
ヒドロゲルが、約75重量%~約85%の量で存在する、請求項43に記載のコーティ
ング組成物。
【請求項50】
少なくとも1つのエラストマー材料が、コーティング配合物の約0.5重量%~約37
重量%の範囲で存在する、請求項49に記載のコーティング組成物。
【請求項51】
第2のエラストマー材料が、コーティング配合物中に、約0.5重量%~約25重量%
の範囲で存在する、請求項44に記載のコーティング組成物。
【請求項52】
少なくとも1つのエラストマー材料が、コーティング配合物の約6重量%~約19重量
%の範囲で存在する、請求項50に記載のコーティング組成物。
【請求項53】
第2のエラストマー材料が、コーティング配合物の約6重量%~約19重量%の範囲で
存在する、請求項51に記載のコーティング組成物。
【請求項54】
少なくとも1つのエラストマー材料が、コーティング配合物の約19重量%で存在する
、請求項52に記載のコーティング組成物。
【請求項55】
第2のエラストマー材料が、コーティング配合物の約6重量%で存在する、請求項53
に記載のコーティング組成物。
【請求項56】
少なくとも1つのエラストマー材料が、天然ゴムである、請求項43から55のいずれ
か1項に記載のコーティング組成物。
【請求項57】
第2のエラストマー材料が、ニトリルである、請求項44に記載のコーティング組成物
。
【請求項58】
少なくとも1つのエラストマー材料が、コーティング配合物の約4重量%~約11重量
%の範囲で存在する、請求項43に記載のコーティング組成物。
【請求項59】
第2のエラストマー材料が、コーティング配合物の約4重量%~約11重量%の範囲で
存在する、請求項44に記載のコーティング組成物。
【請求項60】
少なくとも1つのエラストマー材料、および第2のエラストマー材料が、それぞれコー
ティング配合物の約7.5重量%で存在する、請求項58に記載のコーティング組成物。
【請求項61】
少なくとも1つのエラストマー材料がポリイソプレンであり、かつ第2のエラストマー
材料がニトリルである、請求項44に記載のコーティング組成物。
【請求項62】
コーティング組成物が、MST試験において、3日後に、0.10パーセント未満の凝
塊を有する、請求項43に記載のコーティング組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において、天然ゴムまたは合成ゴム物品用の水系ヒドロゲルコーティング、お
よび前記コーティング、具体的には、ヒドロゲルとエラストマー材料のブレンドを含む水
系ヒドロゲルコーティングブレンドを塗布する方法が提供される。
【背景技術】
【0002】
医療用物品、例えば手袋、および他のエラストマー物品などは、使用中によく液体およ
び流体と接触する。このような物品は、使用者の皮膚と外部環境との間のバリヤを形成す
る。医療用手袋、例えば検査用手袋および手術用手袋などは、ヘルスケア環境において使
用される物品の例であり、これらは、感染性疾患の蔓延を最小化することにおいて重要な
役割を果たす。このような物品は、ヘルスケア従事者によって頻繁に使用される。したが
って、医療用物品、例えば手袋などにとって、使用者への快適さの適切なレベル提供しな
がら、有効なバリヤを提供することは重要である。その一方で、コーティングしていない
ラテックス物品、例えば手術用手袋などは、使用者が手袋を着用、例えば、湿式着用(例
えば、皮膚が湿っている際の手袋の着用)、および乾式着用(例えば、皮膚が乾燥してい
る際の手袋の着用)の両方において、手袋のヒトの手への着用が困難になる不十分な潤滑
性を有し得る。したがって、これらのエラストマー物品へのコーティングの塗布は、平滑
であり、滑りにくくない、皮膚に接触する内側表面を提供するために使用することができ
、例えば、コーティングが塗布された物品を着用することを容易にする。これらのコーテ
ィングされた物品はまた、好ましくは剥がれ落ちないコーティングを有する。
【0003】
ゴムおよび合成ラテックス製品、例えば手術用手袋、コンドーム、指サック、カテーテ
ル、プローブカバー、尿管などに、使用者の皮膚と接触する際に、製品の潤滑性を強化す
るために、潤滑剤または他のコーティングを利用することは、当該技術分野において知ら
れている。1つのこのような手法は、粉体、例えば炭酸カルシウム、およびコーンスター
チなどを含んだ、手術用手袋の皮膚に接触する内側表面に塗布されて、手袋の着用を容易
にする、潤滑剤を利用することであった。しかしながら、粉体潤滑剤は、粉体潤滑剤が手
袋の内部から漏れて、手術現場を汚染するリスクのために、好ましくない可能性がある。
その上、特定の澱粉粒子は、一部の手袋の使用者によっては、ラテックスアレルギーを引
き起こし得る、ラテックスアレルゲンのキャリアとなる可能性がある。
【0004】
他の手法において、粉体を含まない潤滑剤コーティングが、手袋の内側表面に塗布され
る。一例において、ポリマーコーティング、例えばヒドロゲルコーティングなどが、手袋
に塗布され得る。ヒドロゲルコーティングが手袋に塗布される場合、それは溶媒媒体、例
えばエタノールなどによく提供されて、ポリマーを溶液中に維持する。ポリマー溶液にお
ける溶媒システムの使用は望ましくない。なぜなら、溶媒は典型的に高価であり、火災の
危険を引き起こす可能性があり、環境に優しくない廃棄物処分問題をもたらす。その上、
溶媒系ヒドロゲルポリマー溶液は、短い可使時間、例えば、わずか数週間しか有さない傾
向があり、そこで、溶液が使用され、コーティングとして塗布されなければならない。
【0005】
好ましくない溶媒系システムを含有する、これらのヒドロゲルコーティングの配合に加
えて、これらの溶媒系システムの塗布の方法は、高価で煩わしい工程をもたらす可能性が
ある。具体的には、ポリマーコーティングの手袋の表面への塗布の前に、例えば、ラテッ
クスまたはゴムが加熱乾燥され、次いで、さらに化学的下塗り工程を用いて処理されて、
ヒドロゲルポリマー溶媒系コーティングを受けるための、ゴムまたはラテックス表面を調
製する。化学的下塗り工程は、続いて起こるコーティング溶液中への浸漬前に、ゴムまた
はラテックス物品を、酸性溶液または他の過酷な化学物質中に浸漬することを含むことが
できる。酸または他の過酷な化学物質中での浸漬に次いで、物品はすすぎ洗いされて、残
留酸または化学物質を除去する。手袋のコーティングプロセスにおける化学的下塗り工程
の使用は、追加の、望ましくない、時間がかかり、高価である工程をもたらす。その上、
下塗り工程中に使用される酸または化学物質はまた、後で処分されなければならず、追加
の廃棄物処分工程を作り出し、追加費用をもたらす。
【0006】
溶媒系ヒドロゲルコーティングの塗布の後、溶媒廃棄物を処分するために、追加のプロ
セス工程が必要である。溶媒は環境に優しくないので、処分の前に特別の処理を必要とす
る。その上、プロセスを耐火にしてヒドロゲル溶液で使用される可燃性溶媒からのあらゆ
る発火を防止するために特別の予防措置および工程を取る必要がある。
【0007】
したがって、エラストマー物品をコーティングするために、水系ヒドロゲルコーティン
グの必要性が存在する。
【発明の概要】
【0008】
水系ヒドロゲルコーティングでコーティングされるエラストマー物品の潤滑性の改善、
手袋の場合、着用の改善を容易にする、水系ヒドロゲルコーティングが提供される。具体
的には、水系ヒドロゲルおよび少なくとも1つのエラストマー材料を含み、溶媒媒体を必
要としない、水系ヒドロゲルブレンドコーティング溶液が提供される。さらに、酸性下塗
りまたは他の化学的下塗り工程を必要としない改善されたプロセスを有する、水系ヒドロ
ゲルブレンドコーティング組成物を、エラストマー物品に塗布する方法が提供される。一
実施形態において、ヒドロゲルブレンド溶液のエラストマー成分の少なくとも1つが、最
終エラストマー物品のエラストマー材料と同じであるまたは類似しているように、ヒドロ
ゲルブレンドコーティング組成物が供給され得る。
【0009】
水系ヒドロゲルコーティングは、水系ヒドロゲルと1つまたは複数のエラストマー材料
を組み合わせることによって形成することができ、一態様において、2つ以上のエラスト
マー材料のブレンドを用いて、水系ヒドロゲルブレンドコーティングを形成することがで
きる。一態様において、エラストマーブレンドは、2つ以上のエラストマー材料を含むこ
とができ、一例において、ニトリルゴムおよびベース物品材料と類似している、別のエラ
ストマーを含むことができる。この水系ヒドロゲルブレンドは、天然または合成ゴムラテ
ックス材料に塗布され、少なくとも1つの表面に、ヒドロゲルブレンドコーティングでコ
ーティングされる、最終物品をもたらすことができる。コーティングされる最終物品は、
改善された潤滑性から利益を得ることができる、任意のエラストマー物品であり得、一態
様において、医療用手袋、手術用手袋、検査用手袋、工業用手袋、コンドーム、指サック
、プローブカバー、カテーテル、尿管などを挙げることができるが、これらに限定されな
い。
【0010】
ブレンド配合物は、より高い固形分を有するコーティング溶液を可能にし、最終エラス
トマー物品の潤滑性を改善するのに有益であり、高固形分を有しているにもかかわらず物
品に付着したままである。対照的に、非ブレンド配合物は、同様に高固形分で、コーティ
ングの付着を保持することができず、したがって、エラストマー物品上に高固形分でコー
ティングすることができない。より高い固形分により、手袋の表面エリア当たりより多く
のコーティングが塗布されることを可能にし、次に潤滑性の増大を提供する。本明細書に
おいて開示される水系ヒドロゲルブレンドでコーティングされた、最終コーティングされ
たエラストマー物品は、ヒドロゲル単独でコーティングされた物品よりも、改善された潤
滑性を有することができ、かつエラストマー手袋物品の着用、例えば、皮膚が湿っている
際(例えば、湿式着用)および皮膚が乾燥している際の着用(例えば、乾式着用)の両方
での改善をさらに容易にすることができる。
【0011】
水系ヒドロゲルブレンドコーティングを、エラストマー物品に塗布する方法は、これま
での溶媒系コーティングプロセスと比較して、必要なプロセス工程数を削減することがで
きる。具体的には、ヒドロゲルブレンドコーティングの塗布の前に、酸性または他の化学
的下塗り工程が必要とされない。一態様において、エラストマー手袋材料は、本明細書に
おいて開示されるヒドロゲルブレンドコーティングを用いたプロセスでコーティングする
ことができる。手袋材料は、従来の手袋形成プロセス、例えば凝着浸漬法などによって作
製することができる。手袋型が、ラテックス材料中に浸漬された後、乾燥されて、酸性下
塗り工程または他の化学的下塗り工程を必要としない、ヒドロゲルブレンドコーティング
中に再度浸漬される。別の態様において、手袋は、手袋の湿式および乾式着用の改善のた
めのコーティング材料を用いて提供することができ、さらに使用中での手袋のつかみ性の
改善のための手ざわりの残る表面を手袋に付与することができる。
【0012】
水系ヒドロゲルブレンドは、製造施設において、溶媒系ヒドロゲルを使用することと関
連する幾つかの可燃性の問題を回避することができる無溶媒であるため有益である。さら
に、溶媒系配合物と比較して、水系配合物のために材料廃棄物および処分が少なくなり、
水系配合物をより環境に優しくする。溶媒系配合物は、コスト、加工時間を追加し、環境
に優しくない、有害な溶媒材料の処分を必要とする。その上、水系ヒドロゲルブレンドの
貯蔵寿命が、溶媒系ヒドロゲルシステムと比較して増加し、それにより、水系ヒドロゲル
ブレンド配合物は、使用前に、より長い期間貯蔵することができる。
【0013】
エラストマー物品を、水系ヒドロゲルブレンドでコーティングすることは、ヒドロゲル
コーティング単独のみでコーティングすることと比較して、さらに有益である。ヒドロゲ
ルブレンド混合物は、ヒドロゲルコーティング混合物単独と比較して、改善された機械的
および熱安定性を有する。さらに、ヒドロゲルブレンドは、ヒドロゲルコーティング単独
と比較して、エラストマー基材に対する優れた接着性を有する。コーティングとしてヒド
ロゲルのみの、エラストマー物品への塗布は、いくつかの技術的な課題を提起する。課題
の1つは、エラストマー物品上のヒドロゲルのみのコーティングは、エラストマー物品基
材から剥離する可能性があることである。剥離の問題を克服するために、エラストマー物
品の表面は、過酷な化学物質で下塗りすることができる。しかしながら、これは、エラス
トマー物品自身の物理的特性の劣化を引き起こす可能性がある。剥離を克服するための別
の手法は、エラストマー物品を低い全固形分のコーティング溶液でコーティングすること
であり得る。しかしながら、低い全固形分は、コーティングの性能を低減させる可能性が
あり、次に不十分な乾式または湿式潤滑性をもたらす可能性がある。別の手法は、ポリマ
ー格子の包含によって、ヒドロゲルのみの材料を改質することであり得る。
【0014】
一態様において、エラストマー手袋が形成され得、次いで、本明細書において開示され
る水系ヒドロゲルブレンドでコーティングされ得る。一実施形態において、手袋は、天然
ゴムラテックスから形成され得、次いで、ヒドロゲル、天然ゴム、および第2のエラスト
マー材料、例えばニトリルラテックスなどを含むヒドロゲルブレンド中に浸漬され得る。
ブレンド中の天然ゴムの量は、ブレンド中のニトリルラテックスの量を超えることができ
る。別の態様において、天然ゴムラテックスの量は、ブレンド中のニトリルラテックスの
量と同じであり得る。さらに別の態様において、ブレンド中のニトリルの量は、天然ゴム
を超えることができる。
【0015】
別の実施形態において、手袋は、合成ゴムラテックスから形成され得、次いで、ヒドロ
ゲル、合成ゴム、および第2のエラストマー材料を含むヒドロゲルブレンド中でコーティ
ングされ得る。一実施形態において、手袋は、合成ゴムラテックスから形成され得、次い
で、ヒドロゲル、合成ゴム、および第2のエラストマー材料、例えばニトリルラテックス
などを含むヒドロゲルブレンド中に浸漬され得る。ブレンド中の合成ゴムの量は、ブレン
ド中のニトリルラテックスの量を超えることができる。別の態様において、合成ゴムラテ
ックスの量は、ブレンド中のニトリルラテックスの量と同じであり得る。さらに別の態様
において、ブレンド中のニトリルの量は、合成ゴムを超えることができる。好ましい実施
形態において、物品の合成ゴムおよびブレンドは、ポリイソプレンである。さらに別の実
施形態において、ヒドロゲルブレンド中に存在するエラストマー材料の少なくとも1つは
、エラストマー物品中で使用されるエラストマー材料と同じであり得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本明細書において開示される水系ヒドロゲルブレンドを使用した、例示的なコーティングプロセスのフローチャートである。
【0017】
【
図2A】手袋を延伸した後で、ヒドロゲルのみでコーティングされた手袋の、倍率100倍でのSEM走査画像である。
【0018】
【
図2B】手袋を延伸した後で、ヒドロゲルブレンドでコーティングされた手袋の、倍率100倍でのSEM走査画像であり、本明細書において開示される水系ヒドロゲルブレンド中でコーティングされた手袋の、影響を受けていない局所のコーティング表面を示す。
【0019】
【
図3A】延伸しないで、ヒドロゲルのみでコーティングされた手袋の、倍率100倍でのSEM走査画像であり、水系ヒドロゲル単独の中での浸漬後の手袋の、局所のコーティング表面を示す。
【0020】
【
図3B】延伸しないで、ヒドロゲルブレンドでコーティングされた手袋の、倍率100倍でのSEM走査画像であり、水系ヒドロゲルブレンド組成物中での浸漬後の手袋の、局所のコーティング表面を示す。
【0021】
【
図4A】ヒドロゲル-ポリイソプレン-ニトリルブレンドでコーティングされたポリイソプレン手袋のSEM走査画像であり、倍率100倍で示す。
【0022】
【
図4B】ヒドロゲルのみのコーティングでコーティングされたポリイソプレン手袋のSEM走査画像であり、倍率100倍で示す。
【0023】
【
図5】本明細書において開示される水系ヒドロゲルブレンドを使用した第2の例示的なコーティングプロセスのフローチャートである。
【0024】
【
図6A】ヒドロゲル-ポリイソプレン-ニトリルブレンドでコーティングされたポリイソプレン手袋のSEM走査画像であり、倍率100倍で示す。
【0025】
【
図6B】延伸しないで、ヒドロゲルのみでコーティングされたポリイソプレン手袋の、倍率100倍でのSEM走査画像であり、水系ヒドロゲル単独の中での浸漬後の手袋の、局所のコーティング表面を示す。
【0026】
【
図7A】ヒドロゲル-ポリイソプレン-ニトリルブレンドでコーティングされたポリイソプレン手袋のSEM走査画像であり、倍率500倍で示す。
【0027】
【
図7B】延伸しないで、ヒドロゲルのみでコーティングされたポリイソプレン手袋の、倍率500倍でのSEM走査画像であり、水系ヒドロゲル単独の中での浸漬後の手袋の、局所のコーティング表面を示す。
【0028】
【
図8A】ヒドロゲル-ポリイソプレン-ニトリルブレンドでコーティングされたポリイソプレン手袋のSEM走査画像であり、倍率1000倍で示す。
【0029】
【
図8B】延伸しないで、ヒドロゲルのみでコーティングされたポリイソプレン手袋の、倍率1000倍でのSEM走査画像であり、水系ヒドロゲル単独の中での浸漬後の手袋の、局所のコーティング表面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
コーティングとしてエラストマー物品への塗布のための水性ポリマーブレンド組成物、
およびコーティングをエラストマー物品に塗布する方法が、本明細書において記載され、
図1~8Bに示される。ポリマーブレンド組成物は、少なくとも1つのエラストマー材料
と、水系ヒドロゲル組成物、および一態様において、少なくとも2つのエラストマー材料
と水系ヒドロゲルとのブレンドによって形成することができる。別の態様において、エラ
ストマー材料のブレンドは、特にコーティングされるエラストマー物品が天然ゴムから作
製される場合、天然ゴムとニトリルのブレンドを含むことができる。さらに別の態様にお
いて、エラストマー材料のブレンドは、特にコーティングされるエラストマー物品が合成
ゴムから作製される場合、合成ゴムとニトリルのブレンドを含むことができる。一実施形
態において、合成ゴムはポリイソプレンである。コーティング材料は、エラストマー物品
の潤滑性を向上させることができ、エラストマー手袋の例においては、使用者による手袋
の着用性を向上させることができる。具体的には、手袋の少なくとも1つの表面へのコー
ティングの塗布(例えば、皮膚に接触する内側表面)は、着用目的で、粉体材料または他
の潤滑剤を、手袋の皮膚に接触する表面に添加する必要性を排除することができる。した
がって、コーティングされた手袋は、粉体を含まなくすることができる。
【0031】
ポリマーブレンド組成物は、水系ヒドロゲルポリマーを含む。ヒドロゲルポリマーは、
親水性ポリマーであり得る。ヒドロゲルはまた、アクリル系ポリマーであり得る。一実施
形態において、ヒドロゲルは、合成アクリル系ポリマーであり得る。ヒドロゲルポリマー
は、当該技術分野において公知である任意のものを含むことができ、一態様において、N
obel Synthetic Polymer Sdn.Bhd.、(Selango
r,Malaysia)によって提供される水系ヒドロゲルポリマーであり得る。一態様
において、ヒドロゲルポリマーは、約15%を超える合成アクリル系ポリマー、約5%未
満の添加剤、および水からなる残りの量を含むことができる。アクリル系ポリマーは、当
該技術分野において公知であり得る。最終ヒドロゲルブレンド組成物中に提供されるヒド
ロゲルの量は、少なくとも1つまたは複数のエラストマー材料と比較すると、多量のヒド
ロゲルを含むことができる。
【0032】
ポリマーブレンド組成物中に提供されるエラストマー材料は、エラストマー物品の生成
において典型的に使用される任意のものであり得、天然ゴムおよび/または合成エラスト
マーを含むことができる。使用することができる天然ゴムとしては、当該技術分野におい
て公知のへベアゴムラテックスおよびグァユルゴムラテックス、および任意の他の天然ゴ
ムから作製されるゴムが挙げられる。使用することができる合成ゴムエラストマーとして
は、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリウレタン、ポリブタジエン、ニトリル、ス
チレンブタジエンゴム、スチレンとブタジエンのブロックコポリマー、スチレンとイソプ
レンのブロックコポリマー、これらのエラストマーとビニルの混合物などが挙げられる。
使用することができる他の合成ゴムとしては、アクリルジエンブロックコポリマー、アク
リルゴム、ブチルゴム、EPDMゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、およびフッ
素ゴムを挙げられる。一態様において、エラストマー材料の少なくとも1つは、それがエ
ラストマー物品のベース材料と同じ材料または類似しているように選択することができる
。例えば、エラストマー物品が、天然ゴムから作製される手袋である場合、ヒドロブレン
ドは、コーティング組成物中に、少なくともヒドロゲルおよび天然ゴムを含むことができ
る。別の例において、手袋材料が、合成ポリイソプレンラテックス材料から作製される場
合、ヒドロゲルブレンド組成物は、ヒドロゲル、およびエラストマー成分として少なくと
も合成ポリイソプレンなどを含むことができる。別の例において、エラストマー材料は、
エラストマー物品と異なり得る。例えば、天然ゴムエラストマー物品、ヒドロゲルブレン
ドは、ヒドロゲル、および少なくとも1つの合成ゴムエラストマーを含むことができる。
【0033】
一実施形態において、ヒドロゲルブレンド組成物は、最終物品のベース材料と同じ材料
に相当する第1のエラストマー材料と、任意選択で第1の材料と異なる第2のエラストマ
ー材料を混合したヒドロゲルを含むことができる。したがって、一態様において、エラス
トマー物品が天然ゴムから作製される場合、ヒドロゲルブレンド組成物は、天然ゴムであ
る第1のエラストマー材料、および例えばニトリルまたは第1の材料と異なる別のエラス
トマーポリマーである第2のエラストマー材料を含むことができる。別の実施形態におい
て、エラストマー物品が天然ゴム手袋である場合、ヒドロゲル組成物は、エラストマー材
料の1つとして天然ゴムラテックスを含むことができ、一例において、天然ゴムラテック
スを約37phrまでの量で含有することができる。別の態様において、天然ゴムラテッ
クスは、約12.5~約37phrの量で、具体的には19phrで、ブレンド中に含め
ることができる。ヒドロゲルブレンド中の第2のエラストマー材料は、例えばニトリルラ
テックスを含むことができる。ニトリルラテックスは、約25phrまでの量で含めるこ
とができる。別の例において、ニトリルラテックスは、約0.5~約25phrの量で、
具体的には約6phrの量で、ブレンド中に含めることができる。そこでニトリルラテッ
クスは、約28%の結合アクリロニトリル含量を有することができる。
【0034】
別の実施形態において、エラストマー物品が、合成ゴム、具体的には例えばポリイソプ
レンなどから作製される手袋の場合、ヒドロゲルブレンドは、ベース手袋材料、すなわち
ポリイソプレンと類似しているエラストマー材料を含むことができる。ブレンド中のポリ
イソプレンまたは他の合成ゴムは、約15phrまでのレベルで、特に約7.5phrの
量で、含めることができる。一態様において、ポリイソプレンは、約4~11phrの量
であり得る。さらに、ポリイソプレンブレンドはまた、コーティング溶液中に第2のエラ
ストマー材料を含むことができ、一例において、第2のエラストマーはニトリルであり得
る。ニトリルラテックスは、約15phrまでの量で、特に約7.5phrの量で含める
ことができる。一態様において、ニトリルは、約4~約11phrの量で含めることがで
きる。ニトリルラテックスは、約28%の結合アクリロニトリル含量を有することができ
る。
【0035】
理論に縛られることなく、少なくとも1つの追加のエラストマー材料を、ベース材料に
相当する第1のエラストマー材料を既に含むブレンドに導入することによって、この追加
のエラストマー成分は、水系ヒドロゲルコーティングの連続フィルム特性を破壊する可能
性があり、潤滑剤ローディングを支えて、使用者の皮膚との接触面積を低減させるための
、隙間および不規則なドメインをさらに提供する可能性があり、したがって、最終コーテ
ィングされた物品の乾式および湿式着用は、潤滑性が増大し、達成する可能性があると考
えられている。事実上、物品のベース材料と類似している第1のエラストマー材料は、ヒ
ドロゲルコーティングの物品への接着性を提供することができる。一方で、第1のエラス
トマー材料と異なる少なくとも第2のエラストマー材料の添加は、コーティングの連続フ
ローを破壊する可能性があり、したがって、平坦ではなく、着用性を改善し得るいくつか
の山と谷を提供する、表面上に独特の形態をもたらす。ヒドロゲルブレンドコーティング
はまた、手袋が包装のために平らに押し付けられた場合のくっつく状態を低減することが
でき、それにより、同じ手袋の2つの内側のコーティングされた表面が接触しても、ヒド
ロゲルのみのコーティングでコーティングされた手袋のようには互いにくっつかない。1
つのエラストマー材料のみがヒドロゲルと提供される場合、コーティング表面はいくぶん
平坦になる可能性がある。対照的に、少なくとも第2のエラストマー材料が、ブレンドに
添加される場合、より多くの隙間および不規則なドメインを有する表面を提供し、手袋の
コーティングされた表面に生成された、手ざわりの残る表面をもたらす可能性がある。手
ざわりの残る表面は、コーティングの突出する「頂点」のみが、使用者の皮膚と接触する
ので、使用者の皮膚との接触面積を減少させることができ、したがって、着用を改善する
。エラストマー物品のベース材料と類似している少なくとも1つのエラストマー材料を含
むことによって、組合せはまた、水系ヒドロゲルブレンドのベースエラストマー物品への
接着性を高めるために必要な化学的親和性を提供することができると考えられている。こ
のことは、より高レベルの潤滑剤(例えば、塩化セチルピリジニウム(CPC)など)を
用いる処理を可能にするために、さらに有益であり得る。コーティング接着性が良好でな
い場合、すなわち、ヒドロゲルのみのコーティングの場合にあるように、具体的には高レ
ベルの潤滑剤(例えば、CPC)を用いて処理されると、コーティングはエラストマー表
面から剥がれる。コーティングされた手袋に添加される、より高レベルのCPCはまた、
手袋の湿式着用の改善を促進することができる。
【0036】
一態様において、コーティングされる最終エラストマー物品が手袋の場合、それにより
例えば、ベース手袋は天然ゴムから作製され、ベース手袋を作製するために使用される天
然ゴムは、安定剤、架橋剤、加硫活性剤、加硫促進剤、酸化防止剤、オゾン分解防止剤、
および任意選択で白色または他の色の顔料と混ぜ合わせることができる。別の態様におい
て、コーティングされる最終エラストマー物品が手袋の場合、それにより例えば、ベース
手袋は合成ゴム、例えばポリイソプレンなどから作製され、ベース手袋を作製するために
使用されるポリイソプレンは、安定剤、架橋剤、加硫活性剤、加硫促進剤、酸化防止剤、
オゾン分解防止剤、および任意選択で白色または他の色の顔料と混ぜ合わせることができ
る。
【0037】
水系ヒドロゲルブレンド組成物は、約50%~約99%のヒドロゲル、約0.5%~約
37%の第1のエラストマー、および約0.5%~約25%の第2のエラストマーを含む
ことができる。一例において、最終コーティング組成物は、コーティング組成物中に約7
5%の水系ヒドロゲルと、約25%を構成するエラストマーブレンドを含むことができる
。別の実施形態において、ヒドロゲルブレンド組成物は、約50%~約99%のヒドロゲ
ル、約0.5%~約37%の天然ゴムラテックス、および約0.5%~約25%のニトリ
ルラテックスを含むことができる。一実施形態において、ヒドロゲルブレンドは、75~
85%のヒドロゲル、19%の天然ゴム、および6%のニトリルを含むことができる。さ
らに他の実施形態において、ヒドロゲルブレンドは、約12%~約40%の第1のエラス
トマー材料と、ヒドロゲルが取り込まれた後、コーティング組成物中の残りを構成する、
第2のエラストマー材料を含むことができ、一例において、第1のエラストマー材料は、
約12.5%~約37%を含むことができる。1つのエラストマー材料のみがヒドロゲル
とブレンドされる場合、ヒドロゲルは、コーティング溶液の約50重量%~約99重量%
の範囲のヒドロゲルで提供することができ、1つのエラストマー材料は、約5%~約35
%で提供することができる。合成ゴムラテックス物品、例えばポリイソプレンなどを有す
る別の実施形態において、ヒドロゲルブレンド組成物は、約75%~約85%の水系ヒド
ロゲルと、ヒドロゲルブレンド組成物の約10%~約20%を構成するエラストマーブレ
ンドを含むことができる。一例において、ヒドロゲルブレンドは、75~85%のヒドロ
ゲルであり、約4%~約11%の第1のエラストマー材料、例えばポリイソプレンラテッ
クスなど、および約4%~約11%の第2のエラストマー材料、例えばニトリルラテック
スなどを含むことができる。別の例において、ヒドロゲルブレンドは、75~85%のヒ
ドロゲルであり、約7.5%の第1のエラストマー材料、例えばポリイソプレンなど、お
よび7.5%の第2のエラストマー材料、例えばニトリルなどを含むことができる。
【0038】
ヒドロゲルブレンド組成物は、ヒドロゲル単独と比較すると、より高い全固形分を有す
ることができ、より具体的には、ヒドロゲルブレンド組成物は、約3.0%~約7%の間
の全固形分を有することができる。一例において、3.5%~約5%の全固形分の範囲が
提供され得る。一態様において、約4%の全固形分が目標となる。
【0039】
エラストマー物品を、エラストマー材料を添加することなく、ヒドロゲル組成物単独の
みでコーティングすることは、エラストマー物品に対する不十分なコーティング接着性を
もたらす。具体的には、ヒドロゲルのみのコーティングは、コーティングされたエラスト
マー物品でコーティングの剥がれ落ちをもたらす可能性があり、コーティングはまた、塩
素化プロセス中に摩耗する可能性がある。その上、形成されるエラストマー物品が手袋の
場合、内側の滑りにくさが見られる。さらに、すべてのヒドロゲルコーティングの全固形
分が多すぎるかまたは少なすぎる場合、不十分な結果、例えば内側の滑りにくさ、不十分
な着用特性、および最終物品の「湿った」見かけなどを引き起こし得る。最後に、潤滑剤
、例えばCPCなどを用いる後処理が、ヒドロゲルのみのコーティング組成物でコーティ
ングされた物品に実行される場合、粉体含量が粉体を含まない手袋用の仕様を満たすこと
ができるように、潤滑剤の量は著しく削減されなければならない、そうでなければ、ヒド
ロゲルのみのコーティングは、エラストマー物品の表面から剥がれ、粉体微粒子を形成す
る可能性がある。
【0040】
対照的に、ヒドロゲルブレンドコーティング組成物は、ヒドロゲルのみのコーティング
と比較すると、エラストマー物品に対する接着性を改善する。その上、高固形分のブレン
ドコーティングは、最終物品に何ら問題が見うけられることなく使用することができ、よ
り高い固形分は物品の最終潤滑性を改善するので望ましい。ヒドロゲルブレンドコーティ
ングはまた、コーティングされた物品に独特のコーティング表面形態を提供することがで
き、その表面形態は、内側の滑りにくさを防止し、物品、例えば手袋などの着用の改善を
容易にし、そして最終物品の「湿った」見かけの外観を防止することができる。さらに、
ヒドロゲルブレンドコーティング組成物は、より堅牢な後処理プロセス、例えば、より多
くの潤滑剤でコーティングされた手袋を処理することなどを可能にすることができる。
【0041】
水系ポリマーブレンド組成物は、溶媒系ポリマー組成物よりもはるかに長い貯蔵寿命を
有することができる。手袋のコーティングにおいて使用される溶媒系ポリマー組成物は、
典型的には、非常に短い可使時間を有し、プロセスに制約、例えば、一旦作成された溶媒
系材料のほぼ即時使用を必要とすることを課し得る。対照的に、水系ポリマーブレンドは
、より長い期間貯蔵することができ、使用前の組成物のより長い貯蔵を可能にする。例え
ば、溶媒系ポリマー組成物の可使時間は、約3~約4週間であり得、一方で、水系ポリマ
ーブレンド組成物の可使時間は、本明細書において開示されるように、約6カ月までであ
り得る。
【0042】
さらに、水系ポリマーブレンドは、溶媒系材料と比較して火災の危険がないため、製造
および製造施設において使用するにはより安全である。溶媒系ポリマーコーティングの主
要な成分は、容易に発火し得る溶媒系材料、例えばアルコールなどである。水系ポリマー
ブレンドを実行することにおいて、稼働中の安全性の懸念への対処に追加の設備投資は不
要であり、このことは、水系ポリマーブレンドコーティングを、異なる製造プラットフォ
ーム間で実行することを容易にする。溶剤系材料は、溶媒の特別な処理のための高い処分
コストを有する可能性があり、ならびに環境に優しくないのに対して、水系ポリマーブレ
ンドは、施設内の既存の廃水処理装置を通して扱うのが、はるかに容易で、はるかにコス
トがかからない。
【0043】
本明細書において開示される、水性ポリマーブレンドでコーティングされ得るエラスト
マー物品は、最終製品に対する改善された潤滑性から利益を得ることができる任意のエラ
ストマー物品であり得る。物品を作製するために使用することができるエラストマー材料
の例としては、天然ゴム、および合成ゴムラテックス材料、例えばポリイソプレン、ポリ
クロロプレン、ポリウレタン、ポリブタジエン、ニトリル、スチレンとブタジエンのブロ
ックコポリマー、スチレンとイソプレンのブロックコポリマーなどを挙げることができる
が、これらに限定されない。選択されたエラストマー材料から生じる最終物品の例として
は、手袋、カテーテル、コンドーム、プローブカバー、指サック、尿管などを挙げること
ができる。
【0044】
一態様において、エラストマー材料は、手袋、具体的には、外科医用手袋または検査用
手袋に調製することができる。手袋が形成された後、手袋は、ポリマーブレンド組成物中
に浸漬されて、手袋の少なくとも1つの表面にコーティングすることができる。手袋の少
なくとも内側表面、すなわち皮膚に接触する表面にコーティングすることが好ましい。手
袋が、型もしくは手袋鋳型またはマンドレル上で形成される場合、例えば、皮膚に接触す
る表面は露出する、または手袋型の外側に配置される。したがって、手袋がポリマーブレ
ンドの水性溶液中に浸漬される場合、外側表面がコーティングされるが、その表面は後に
、手袋が鋳型から取り除かれ、裏返された後に、皮膚に接触する表面が内側表面になる。
【0045】
別の態様において、エラストマー材料は、手袋型を天然ゴムラテックス材料中に浸漬す
ることによって、手袋に調製される天然ゴムラテックスを含むことができ、次いで、天然
ゴム手袋をポリマーブレンド組成物に浸漬して、手袋の少なくとも1つの表面をコーティ
ングする。さらに別の態様において、最終製品に使用されるエラストマー材料は、合成ポ
リイソプレン材料を含むことができ、合成ポリイソプレン材料は、手袋型をポリイソプレ
ンラテックス材料中に浸漬することによって、最初に手袋に形成され、次いで、ポリマー
ブレンドコーティング溶液中に浸漬する。選択された任意のエラストマー材料について、
類似のプロセスを実行することができる。
【0046】
一実施形態において、ポリマーブレンド組成物は、約75重量%の水系ヒドロゲル、約
19重量%の天然ゴムラテックス、および約6重量%のニトリルラテックスを含むことが
できる。別の実施形態において、ポリマーブレンド組成物は、約75重量%の水系ヒドロ
ゲル、およびおおむね同量のエラストマー材料、またはそれぞれ約12.5重量%を含む
ことができる。さらに別の実施形態において、ポリマーブレンド組成物は、約75重量%
の水系ヒドロゲル、約6重量%の天然ゴムラテックス、および約19重量%のニトリルラ
テックスを含むことができる。一例において、ポリマーブレンド組成物は、約85%のヒ
ドロゲル、4%のポリイソプレン、および11%のニトリルを含むことができる。別の例
において、ポリマーブレンド組成物は、約85%のヒドロゲル、11%のポリイソプレン
、および4%のニトリルを含むことができる。別の例において、ポリマーブレンド組成物
は、約85重量%のヒドロゲル、および約7.5重量%のポリイソプレン、および7.5
重量%のニトリルを含むことができる。
【0047】
任意選択で、他の構成要素、例えば界面活性剤または殺生物剤などが、コーティング組
成物に添加され得る。可能な界面活性剤は、アニオン性および/またはノニオン性界面活
性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムおよび/またはエトキシル化ノニルフェノールであ
ってもよい。アニオン性および/またはノニオン性界面活性剤は、具体的にはエラストマ
ー材料がコーティング組成物に添加される場合、コーティング安定性を高めるのに役立つ
ことができる。一態様では、ノニオン性界面活性剤、例えばIgepal CO 630
など、または他の類似の界面活性剤が提供され得る。別の態様では、アニオン性界面活性
剤、例えばDarvan(登録商標)WAQなど、または他の類似の界面活性剤が提供さ
れ得る。一実施形態において、ノニオン性およびアニオン性界面活性剤が添加される。殺
生物剤もまた、任意選択でコーティング溶液に添加されて、コーティング溶液のバイオバ
ーデンレベルを制御することができる。一例において、使用される殺生物剤は、Biog
ard、または他の類似の殺生物剤であり得る。
【0048】
別の任意選択の工程において、コーティングされた物品は、コーティング後に潤滑剤、
例えば塩化セチルピリジニウム(CPC)などを用いての後処理を含むことができる。別
の態様において、コーティングされた物品は、消泡剤、ならびに他の潤滑剤、例えばシリ
コーン、および/またはアルキルホスフェートのアンモニウム塩などを用いての後処理を
さらに含むことができる。一例において、消泡剤、例えばDow Corning Co
rporationによって製造されているANTIFOAM 1920などが供給され
得る。別の例において、シリコーンエマルション、例えばMomentive Perf
ormance Materialsによって製造されているSM2140などが供給さ
れ得、M2140はポリジメチルシロキサン、ノノキシノール-20、およびラウレス-
23を含む。さらに別の例において、アルキルホスフェートのアンモニウム塩、例えばV
anderbilt Chemcials,LLCによって製造されているDarvan
(登録商標)Lなどが供給され得る。
【0049】
図1について、手袋材料を作製するプロセスの例示的な実施形態を図示する、本明細書
において開示される、手袋を水系ヒドロゲルブレンドでコーティングする工程を含む、フ
ローチャートが示される。工程1で、鋳型または手袋型が調製される。鋳型は、手のよう
な形状をしており、ラテックスポリマー中に鋳型の指が下方を向くように浸漬される。使
用前に、手袋鋳型は、型の洗いおよびこすり洗いによって洗浄することができる。
【0050】
ひとたび鋳型が調製され、洗浄されれば、手袋鋳型は、工程2で示されるように、手袋
を形成するために使用されるラテックス分散液中に浸漬する前に、凝固剤中に浸漬して、
手袋鋳型をコーティングすることによってさらに調製することができる。その後、工程3
で、鋳型は、約55℃~約60℃の温度で、約5分間炉で乾燥される。
【0051】
鋳型が調製された後、次いで、工程4で示されるように、鋳型は、特定の手袋を形成す
るために使用されるエラストマーラテックス分散液中に浸漬することができる。浸漬され
た鋳型は、所定時間が経過した後に、ラテックスから取り出され、ラテックス分散液の一
部は、鋳型上に層を形成する。本明細書において開示されるエラストマー手袋は、当該技
術分野において公知の任意の従来の製造方法を使用して製造することができる。
図1の実
施形態において、手袋は、凝固剤浸漬プロセスを介して形成されるものとして示される。
凝固剤浸漬プロセスの一態様において、型は、凝固剤中に浸漬され、次いで、ラテックス
分散液中に浸漬され、次いで、硬化されて、最終物品を形成する。あるいは、適切な任意
の他のプロセスが使用され得る。これらの方法は、最終物品が形成されるエラストマーを
含有する分散液を利用する。好ましいエラストマーとしては、天然ゴム、ポリウレタン、
ポリブタジエン、ポリクロロプレン(ネオプレン)、ニトリルゴム、スチレンとブタジエ
ンのブロックコポリマー、スチレンとイソプレンのブロックコポリマー、およびポリイソ
プレンが挙げられる。特定の態様によれば、エラストマーは天然ゴムであり得る。他の態
様によれば、エラストマーは、合成ゴム、具体的には合成ポリイソプレンであり得る。
【0052】
手袋鋳型をラテックス分散液中に浸漬した後、コーティングされた型は、周囲温度で、
約3分間乾燥することができ(工程5)、ビーディング工程(工程6)が続き、ビーディ
ングとは、ラテックスフィルムを巻いて、腕回り領域付近にバンドを形成するプロセスで
ある。前硬化リーチング工程が、乾燥および浸漬された手袋のビーディングに続いて、工
程7にあるように、追加され得、リーチング温度は約65℃~約80℃であり、リーチン
グ時間は約240秒である。
【0053】
工程8において、依然として手袋鋳型上の形成された手袋は、水系ヒドロゲルブレンド
中に浸漬されて、手袋の外側表面上にコーティングを形成し、後に手袋が鋳型から取り除
かれると、皮膚に接触する内側表面となる。コーティング組成物は、約3.5%~約4.
8%の全固形分を有する。浸漬工程でのコーティング組成物の温度は、約25℃~約35
℃で維持され、形成された手袋のコーティング組成物中への浸漬時間は、約12秒である
。形成された手袋は、ヒドロゲルブレンドコーティング組成物中への浸漬時、依然湿った
または部分的な乾燥であり得る。したがって、手袋は、コーティング溶液中に浸漬する前
に、完全に乾燥している必要はない。特に、
図1のフローチャートから抜けているものは
、形成された手袋をヒドロゲルブレンド組成物中に浸漬する前の、化学的下塗り工程であ
り、なぜならこのような工程は不必要であるからである。下塗りなしでも可能であるが、
任意選択の下塗り工程が追加され得る。手袋鋳型が、最初にラテックス分散液中に浸漬さ
れ得て、次いで下塗り工程なしでヒドロゲルブレンドコーティング中に浸漬される、ここ
で使用されるプロセスは、ラテックスを調製して、コーティングを受けるための、これら
の間に追加の工程が不必要であり、二重浸漬が、本質的に、必要に応じて最初のラテック
ス層を乾燥させるための、2つの浸漬の間の短い休止で、交互に実行され得るので、「リ
ーン二重浸漬」プロセスと称することができる。コーティングは、(後に、皮膚に接触す
る内側表面となる)手袋の外側表面上に形成され、硬化される(工程9)。硬化工程の工
程9で、手袋は、約135℃、約20分間加硫される。工程10で、炭酸カルシウムが、
形成された手袋に塗布される。炭酸カルシウムはただの軽質粉体であり、最終すすぎ洗い
または塩素化工程前に、手袋が互いにくっつくことを防ぐのに役立ち、その後粉体は洗い
流される。
【0054】
工程11で、次いで、手袋は剥ぎ取られる。手袋が鋳型から剥ぎ取られると、裏返しに
なり、その結果、手袋のコーティングされた表面は、そこで手袋の内側表面になる。例え
ば、手袋は表裏逆で取り除かれる。このことは、手袋のコーティングされた部分が、使用
者の皮膚に接触することを可能にする。
【0055】
手袋が取り除かれた後、塩素化工程が提供され得る。
図1の手袋は、形成後塩素化され
た。最初に、コーティングされた手袋は、塩素化機に載せられ、手袋は、2回、前すすぎ
洗いされた。次いで、約95ppmの塩素の水性塩素溶液が、塩素化機に添加された。手
袋は、塩素化機内で、約20分間混転された。次いで、塩素化溶液は、約50%の水酸化
ナトリウム溶液で、約4分間中和された。手袋は、約15分の総経過時間の間、5回、後
すすぎ洗いされた。次いで、手袋は、抽出器に移送され、手袋から余分な水を抽出し、次
いで約70℃で、約20分間乾燥するために、サイクロン乾燥機に載せられ、続いて約2
分間の周囲空気の送風によって冷却された。
【0056】
次いで、乾燥された手袋は、潤滑プロセスの塗布のために、潤滑装置(例えば、混転洗
浄機)に載せられた。水性潤滑溶液は、約0.1090重量%の塩化セチルピリジニウム
(CPC)、0.08重量%のシリコーンエマルジョン、0.014重量%の消泡剤、お
よび0.48重量%のアルキルホスフェートのアンモニウム塩で構成される。手袋は潤滑
装置内で混転され、約15リットルの潤滑溶液で噴霧され、手袋は約19分間混転された
。次いで、手袋は、潤滑装置から取り除かれ、約70℃で約28分間の加熱サイクル、お
よび約2分間の冷却サイクルを用いてサイクロン乾燥機で乾燥された。
【0057】
この実施形態において、手袋が説明されるが、ヒドロゲルブレンドコーティングを受け
るのに適切な任意の物品が、手袋の代わりに使用され得る。一態様において、エラストマ
ー物品は、指サック、カテーテル、コンドーム、プローブカバー、および他の適切なエラ
ストマー物品を含むことができる。
【0058】
図5について、手袋材料を作製するプロセスの別の例示的な実施形態を図示する、本明
細書において開示される、手袋を水系ヒドロゲルブレンドでコーティングする工程を含む
、別のフローチャートが示される。工程1で、鋳型または手袋型が、例えば、型を洗浄す
ることなどによって調製される。一例において、手袋鋳型は、鋳型がブラシを通過して、
浄化されるように、回転ブラシを使用することによって洗浄することができる。鋳型はま
た、追加の洗浄のため、水タンクを通過することもできる。
【0059】
ひとたび鋳型が調製され、洗浄されれば、手袋鋳型は、工程2で示されるように、手袋
を形成するために使用されるラテックス分散液中に浸漬する前に、凝固剤中に浸漬して、
手袋鋳型をコーティングすることによってさらに調製することができる。その後、工程3
で、鋳型は、約100℃の温度で、約20秒間、炉で乾燥される。
【0060】
鋳型が調製された後、次いで、工程4で示されるように、鋳型は、特定の手袋を形成す
るために使用されるエラストマーラテックス分散液中に浸漬することができる。浸漬され
た鋳型は、所定時間が経過した後に、ラテックスから取り出され、ラテックス分散液の一
部は、鋳型上に層を形成する。本明細書において開示されるエラストマー手袋は、当該技
術分野において公知の任意の従来の製造方法を使用して製造することができる。
図5の実
施形態において、手袋は、凝固剤浸漬を介して形成されるものとして示される。凝固剤浸
漬プロセスの一態様において、型は、凝固剤中に浸漬され、次いで、ラテックス分散液中
に浸漬され、次いで、硬化されて、最終物品を形成する。適切な任意のプロセスが使用さ
れ得る。好ましいエラストマーとしては、天然ゴム、ならびにポリウレタン、ポリブタジ
エン、ポリクロロプレン(ネオプレン)、ニトリルゴム、スチレンとブタジエンのブロッ
クコポリマー、スチレンとイソプレンのブロックコポリマー、およびポリイソプレンを含
む合成ゴムが挙げられる。特定の態様によれば、エラストマーは天然ゴムであり得る。他
の態様によれば、エラストマーは、合成ゴム、具体的にはポリイソプレンであり得る。
【0061】
手袋鋳型をラテックス分散液中に浸漬した後、コーティングされた型は、約40℃の温
度の炉内で、20秒間乾燥すること(工程5)ができ、ビーディング工程(工程6)が続
く。前硬化リーチング工程が、乾燥および浸漬された手袋のビーディングに続いて、工程
7にあるように、追加され得て、リーチング温度は約65℃~約80℃であり、リーチン
グ時間は約60秒である。
【0062】
工程8において、依然として手袋鋳型上の形成された手袋は、水系ヒドロゲルブレンド
中に浸漬されて、手袋の外側表面上にコーティングを形成し、後に手袋が鋳型から取り除
かれると、皮膚に接触する内側表面となる。コーティング組成物は、約3.5%~約4.
8%の全固形分を有する。浸漬工程でのコーティング組成物の温度は、約25℃~約35
℃で維持され、組成物中への浸漬時間は、約12秒である。形成された手袋は、ヒドロゲ
ルブレンドコーティング組成物中への浸漬時、依然湿ったまたは部分的な乾燥であり得る
。したがって、手袋は、コーティング組成物中に浸漬する前に、完全に乾燥している必要
はない。
図1で示されるプロセスフローにあるように、
図5のフローチャートからも抜け
ているものは、形成された手袋をヒドロゲルブレンド組成物中に浸漬する前の、化学的下
塗り工程であり、なぜならこのような工程は不必要であるからである。
図5のプロセスは
、同様に「リーン二重浸漬」プロセスを使用する。コーティングは、(後に、皮膚に接触
する内側表面となる)手袋の外側表面上に形成され、硬化され(工程9)、工程10で、
後硬化リーチングおよびすすぎ洗いが続く。工程9の硬化工程で、手袋は、約105℃~
約120℃の範囲の温度を有する、一連の硬化炉を通過する。硬化時間は、約12分であ
る。
【0063】
工程11で、依然として鋳型上のコーティングされた手袋は、スラリー中に浸漬される
。一態様において、スラリーは、殺生物剤および炭酸カルシウムの混合物を含むことがで
きる。次いで、最終乾燥工程が、工程12に提供され、コーティングされた手袋が、約5
0℃の温度で、約20秒間乾燥される。
【0064】
最終乾燥工程後、コーティングされた手袋は、工程13で、手袋鋳型から剥ぎ取られる
。手袋が鋳型から剥ぎ取られると、裏返しになり、その結果、手袋のコーティングされた
表面は、そこで手袋の内側表面になる。例えば、手袋は表裏逆で取り除かれる。このこと
は、手袋のコーティングされた部分が、使用者の皮膚に接触することを可能にする。取り
除かれた手袋は、約60℃の温度で、約12分間タンブラー内で再度乾燥することができ
、約8分間の冷却工程が続く。手袋が取り除かれた後、上記
図1で説明したものと類似の
塩素化工程が提供される。
【0065】
別の例示的実施形態は、またコーティングされる物品に対して手ざわりの残るコーティ
ングまたは表面を提供することによって、エラストマー物品用のヒドロゲルブレンドコー
ティングを用いることができる。その上、ヒドロゲルブレンドコーティングされた物品、
例えば手袋などは、意図された用途の要件または好みに基づいて、着用特性を妥協するこ
となしで、手袋の特別仕様のつかみを提供することができる。
【0066】
一例示的な態様において、ヒドロゲルブレンドコーティングは、天然ゴムラテックス物
品、例えば手袋などに塗布することができる。この態様における、ヒドロゲルブレンドは
、ヒドロゲルに添加される、天然ゴムとニトリルのブレンドを含むことができる。天然ゴ
ムを用いて形成される手袋は、平滑な手袋鋳型または手ざわりの残る手袋鋳型のいずれか
で形成することができる。手袋が手ざわりの残る手袋鋳型を使用して形成される場合、手
袋の内側表面、例えば手袋上のテクスチャーまたは突起を有する、鋳型に接触する表面を
提供する。この鋳型に接触する表面は、後に手袋が型から取り除かれて、裏返しになると
、手袋の外側表面になる。したがって、強化つかみ性表面、例えば高摩擦つかみを有する
手袋の外側表面を提供する。手袋は顔料を含有してもしなくてもよく、着色手袋、例えば
茶色の手袋などを提供する、または白色もしくはベージュ色の手袋を提供することができ
る。さらに、手袋は、その使用に適した可能な厚みの配列を有することができる。例えば
、手袋は、マイクロ厚みで提供することができ、一例において、約0.15mm~約0.
18mmの範囲であり得る。別の例において、手袋は、標準厚みで提供することができ、
一例において、約0.20mm~約0.26mmであってもよい。さらに別の例において
、手袋は、より厚い構成、例えば、約0.30mm~約0.37mmなどで提供すること
ができる。
【0067】
さらに別の例示的な態様において、ヒドロゲルブレンドコーティングは、合成ゴム手袋
に塗布することができる。一例において、それはポリイソプレン手袋である。その例にお
いて、ヒドロゲルブレンドは、ヒドロゲル、および少なくともポリイソプレン材料、なら
びにヒドロゲルと一緒にブレンドされたニトリルを含み、コーティング組成物を構成する
。上記天然ゴム手袋同様に、ポリイソプレン手袋は、平滑な手袋鋳型または手ざわりの残
る手袋鋳型のいずれかで形成することができ、手袋は顔料を含有してもしなくてもよく、
着色手袋、例えば茶色の手袋、または白色もしくはベージュ色の手袋などを提供する。そ
の上、ポリイソプレン手袋は、手袋の使用に適した任意の厚みで提供することができる。
手袋は、マイクロ厚みで提供することができ、一例において、約0.15mm~約0.1
8mmの範囲であり得る。別の例において、手袋は、標準厚みで提供することができ、一
例において、約0.20mm~約0.26mmであってもよい。さらに別の例において、
手袋は、より厚い構成、例えば、約0.30mm~約0.37mmなどで提供することが
できる。
【0068】
上記の態様において、強化つかみ性を有する手ざわりの残る手袋が、強化つかみを得る
ために要望されている場合、手袋は、無塩素または低塩素で塩素化される必要があり得る
。低レベルの塩素は、最終手袋製品のつかみ性を維持および強化するのに役立つ。コーテ
ィングされていない手袋が使用される場合、低有効塩素濃度で手袋を塩素化するプロセス
は、十分な着用性をもたらさない、なぜなら、着用表面(すなわち、手袋の皮膚に接触す
る表面)が十分な有効塩素濃度で処理されないためである。対照的に、ヒドロゲルブレン
ドコーティングを用いて処理された手袋は、非常に低塩素または無塩素でも手袋の着用に
関して改善された潤滑性を提供することができる。したがって、コーティングされた手袋
は、低有効塩素濃度で手袋を塩素化する融通性を提供し、手袋の外側表面の所望のつかみ
性を依然として維持する。
【0069】
以下の非限定実施例は、本明細書において開示されるコーティング組成物およびコーテ
ィングのためのプロセスの特定の実施形態を説明する。実施例は、コーティング組成物お
よびコーティングのためのプロセスの全体の範囲の包括的なものを意味するわけではない
。
【実施例0070】
実施例1
下記の表1によって、ヒドロゲルブレンドコーティング配合物を提供する。具体的には
、ヒドロゲルブレンドにおいて、ヒドロゲルを約75重量%で提供し、天然ゴムを約18
.6重量%で提供し、ニトリルラテックスを約6.2重量%で提供する。追加の界面活性
剤および殺生物剤も含む。コーティング組成物中の追加のエラストマー材料のために、界
面活性剤を添加する。界面活性剤は、溶液中で天然ゴムとニトリルを一緒にブレンドする
のに役立つことができ、溶液中で2つのエラストマーを安定化させるのに効果的に役立つ
。比較で、ヒドロゲルのみの溶液も提供する。ヒドロゲルのみの溶液を、界面活性剤なし
で調製した。なぜなら、溶液は安定化する必要のある、あらゆる追加のエラストマー材料
も含有しないためである。さらに、ヒドロゲルのみのコーティングは、ASTM標準35
77による粉体含量仕様要件を満たさないために、コーティング後、大量の潤滑剤を支持
することができない。これは実施例8でより詳細に示す。
【表1】
【0071】
ヒドロゲルブレンドコーティング組成物は、下記の試験において特に記載がない限り、
約3.5%~約4.7%の範囲の全固形分を有する。典型的には、約4%の全固形分が目
標となる。ヒドロゲルのみの組成物は、下記の試験において特に記載がない限り、約3%
の全固形分である。
【0072】
実施例2
実施例1で調整したコーティング配合物を、3つの異なる全固形分、3%、3.5%、
および4%でそれぞれ調整し、天然ゴム基材に対するコーティング接着性に関して試験し
た。
図1に示すものと類似のプロセスを使用して、天然ゴム手袋を形成した。次いで、天
然ゴム手袋を、組成物Aに関して調製した3つの異なる全固形分中に浸漬し、別の手袋を
、組成物Bに関して調製した3つの異なる全固形分中に浸漬した。
【0073】
基材に対するコーティングの接着性の程度を試験するために、コーティングが手袋上で
硬化した後、手袋の指部分と手袋の腕回り部分の両方で延伸および引っ張りによって、静
止位置から100%延伸位置まで手袋を延伸する、延伸試験を実行し、次いで静止位置ま
で解除した。ひとたびコーティングされた手袋を延伸すると、試験器は、指を使用して、
手袋のコーティング上を擦って、コーティングが剥がれ落ちるかどうか見る。手袋を1~
3の基準で測定すし、ここで1は剥がれなし、3は高度の剥がれありとする。
【0074】
さらに、各サンプルのSEM(走査型電子顕微鏡)走査画像も撮って、延伸後のコーテ
ィングされた手袋の表面形態を示す。手袋の試料を、ASTM D412に規定されてい
る適切な寸法および形状に、打ち抜きで切断して、SEM試験走査画像に使用される試験
片を準備する。ASTM試験仕様で採用された、手袋の試料を切断するための1つの方法
は、ダンベル試験片である。次いで、張力計を用いて、元の長さの500%まで試験片を
延伸し、延伸した手袋の試験片を、その元の位置に戻す前に、約1分間保持する。
【0075】
コーティング接着性試験は、ヒドロゲルポリマーブレンドが、ヒドロゲルのみのコーテ
ィングと比較して、改善されたコーティング接着性を有し、ヒドロゲルブレンドコーティ
ングが、延伸した後、手袋の剥がれ落ちがないことを示した。対照的に、ヒドロゲルのみ
のコーティングされた手袋は、最終手袋製品の高度のコーティングの剥がれ落ちを示した
。接着性試験の結果を、下記の表2に示す。そこで、組成物Aはヒドロゲルのみのコーテ
ィング組成物であり、組成物Bはヒドロゲルブレンドコーティング組成物である。
【表2】
【0076】
手袋を延伸して、剥がれの観察をした後、組成物Aでコーティングされた手袋、および
組成物Bでコーティングされた手袋を、走査型電子顕微鏡(SEM)下で走査して、延伸
の影響および手袋上の剥がれを観察した。
図2Aおよび2Bは、これらのコーティングさ
れた手袋の倍率100倍でのSEM走査画像データを示す。
図2Aにおいて、延伸された
後の、組成物A(すなわち、ヒドロゲルのみのコーティング)でコーティングされた手袋
を示す。コーティングされた手袋が延伸された後のコーティングの剥がれ落ちのために、
いくつかの露出したコーティングされていない領域があることがわかる。対照的に、
図2
Bにおいて、延伸された後の、組成物B(すなわち、ヒドロゲルブレンドコーティング)
でコーティングされた手袋を示す。
図2は、均質な、完全にコーティングされた表面形態
を示す。組成物Bでコーティングされた手袋に、コーティングの剥がれは示されなかった
ので、
図2Bにおいて、手袋の露出したコーティングされていない表面は存在しない。
【0077】
実施例3
ヒドロゲルに添加されるエラストマー材料の異なる量を有するコーティング組成物を使
用して、別の一連のコーティング接着性試験を実行した。下記の表3は、試験される異な
る組成物に使用される構成要素の量を示す。
【表3】
【0078】
実施例2と同様に、天然ゴム手袋を形成し、それぞれのコーティング組成物中に浸漬し
た。ひとたび手袋上のコーティングを硬化すると、実施例2において記載されているよう
に延伸試験を実行して、コーティング接着性の程度を測定した。延伸試験の結果を下記表
4に示す。
【表4】
【0079】
延伸試験の結果は、天然ゴムとニトリルラテックスの同量でさえも、コーティングは、
なお手袋に対する優れた接着性を示すことを示す。同様に、天然ゴムラテックスに対して
より多くのニトリルラテックス含量を有するコーティングで、コーティング接着性は、な
お優れている。このことは、ニトリルラテックスがより多くの量で存在するか、または天
然ゴムラテックスがより多くの量で存在するかは、手袋製品に対するコーティングの接着
性の性能および特性に影響を及ぼさないことを示す。したがって、エラストマー材料は、
任意の比率で存在し得る。具体的には、手袋のベース材料は天然ゴムラテックス材料であ
り、ヒドロゲルブレンド中の天然ゴムが、コーティング組成物中に多量で存在するかまた
は少量で存在するかは、問題ではない。
【0080】
対照的に、ヒドロゲルのみのコーティングは、約90%のヒドロゲルとわずか10%の
天然ゴムおよびニトリルを含むエラストマーブレンドを有するヒドロゲルブレンドコーテ
ィングと同様に、高度の剥がれを有した。同様に、1つのエラストマー材料のみで、約7
5%のヒドロゲルを含有する、組成物FおよびGは、3%、3.5%、および4%の全固
形分で、高度の剥がれを示した。
【0081】
全固形分は、ヒドロゲルブレンドコーティングの結果に影響を及ぼさなかったようだ。
しかしながら、延伸試験は、約4%のより高い固形分で、ヒドロゲルのみのコーティング
は、高度の剥がれを示し、手袋に対する接着性が良好ではなかった。対照的に、組成物B
(実施例2より)、組成物Dおよび組成物Eのヒドロゲルブレンドは、4%の高固形分で
さえも、優れた接着性を示した。
【0082】
約4.7%の全固形分の溶液Dを利用して、追加の延伸試験を行い、同量のニトリルお
よび天然ゴム、ならびに約75%のヒドロゲルを有する、より高い固形分レベルでも、1
の結果、またはコーティングの剥がれなしを得た。したがって、約75%のヒドロゲル、
およびエラストマーブレンドである組成物の残りの部分を有するヒドロゲルブレンドは、
ブレンド内の各個々のエラストマー材料の量に関係なく、手袋に対する優れた接着特性を
示し、手袋を延伸すると、試験されたすべての3つの固形分レベルで、全く剥がれが示さ
れなかった。したがって、手袋物品を、高固形分のヒドロゲルブレンド組成物で、いかな
る剥がれもないコーティングをすることができ、ゴム基材に対する優れたコーティング接
着性を示す、
【0083】
実施例4
下記の表5によって、ヒドロゲルブレンドコーティング配合物を提供する。具体的には
、ヒドロゲルブレンドにおいて、ヒドロゲルを約85重量%で提供し、合成ポリイソプレ
ン化合物を約7.5重量%で提供し、ニトリルラテックスを約7.5重量%で提供する。
追加の界面活性剤および殺生物剤も含む。コーティング組成物中の追加のエラストマー材
料のために、界面活性剤を添加する。界面活性剤は、溶液中で合成ポリイソプレン化合物
とニトリルを一緒にブレンドするのに役立つことができ、溶液中で2つのエラストマーを
安定化させるのに効果的に役立つ。比較で、ヒドロゲルのみの溶液も提供する。ヒドロゲ
ルのみの溶液を、界面活性剤なしで調製した。なぜなら、溶液は安定化する必要のあるい
かなる追加のエラストマー材料も含有しないためである。さらに、ヒドロゲルのみのコー
ティングは、ASTM標準3577による粉体含量仕様要件を満たさないために、コーテ
ィング後、大量の潤滑剤を支持することができない。これは実施例Xでより詳細に示す。
【表5】
【0084】
ヒドロゲルブレンドコーティング組成物は、下記の試験において特に記載がない限り、
約3.5%~約4.5%の範囲の全固形分を有する。典型的には、約4%の全固形分が目
標となる。ヒドロゲルのみの組成物は、下記の試験において特に記載がない限り、約3%
の全固形分である。
【0085】
実施例5
実施例4で調整したコーティング配合物を、3つの異なる全固形分、3%、3.5%、
4%でそれぞれ調整し、合成ポリイソプレン基材に対するコーティング接着性に関して試
験した。
図1に示すものと類似のプロセスを使用して、合成ポリイソプレン手袋を形成し
た。次いで、合成ポリイソプレン手袋を、組成物Aに関して調製した3つの異なる全固形
分中に浸漬し、別の手袋を、組成物Hに関して調製した3つの異なる全固形分中に浸漬し
た。
【0086】
基材に対するコーティングの接着性の程度を試験するために、コーティングが手袋上で
硬化した後、手袋の指部分と手袋の腕回り部分の両方で延伸および引っ張りによって、静
止位置から100%延伸位置まで手袋を延伸する、延伸試験を実行し、次いで静止位置ま
で解除した。ひとたびコーティングされた手袋を延伸すると、試験器は、指を使用して、
手袋のコーティング上を擦って、コーティングが剥がれ落ちるかどうか見る。手袋を1~
3の基準で測定すし、ここで1は剥がれなし、3は高度の剥がれありとする。
【0087】
さらに、各サンプルのSEM(走査型電子顕微鏡)走査画像も撮って、延伸後のコーテ
ィングされた手袋の表面形態を示す。手袋の試料を、ASTM D412に規定されてい
る適切な寸法および形状に、打ち抜きで切断して、SEM試験走査画像に使用される試験
片を準備する。ASTM試験仕様で採用された、手袋の試料を切断するための1つの方法
は、ダンベル試験片である。次いで、張力計を用いて、元の長さの500%まで試験片を
延伸し、延伸した手袋の試験片を、その元の位置に戻す前に、約1分間保持する。
【0088】
コーティング接着性試験は、ヒドロゲルポリマーブレンドが、ヒドロゲルのみのコーテ
ィングと比較して、改善されたコーティング接着性を有し、ヒドロゲルブレンドコーティ
ングが、延伸した後、手袋の剥がれ落ちがないことを示した。対照的に、ヒドロゲルのみ
のコーティングされた手袋は、最終手袋製品の高度のコーティングの剥がれ落ちを示した
。接着性試験の結果を、下記の表6に示す。そこで、組成物Aはヒドロゲルのみのコーテ
ィング組成物、組成物Hはヒドロゲルブレンドコーティング組成物である。
【表6】
【0089】
手袋を延伸して、剥がれの観察をした後、組成物Aでコーティングされた手袋、および
組成物Hでコーティングされた手袋を、走査型電子顕微鏡(SEM)下で走査して、延伸
の影響および手袋上の剥がれを観察した。
図6Aおよび6Bは、これらのコーティングさ
れた手袋の倍率100倍でのSEM走査画像データを示す。
図6Bにおいて、延伸された
後の、組成物A(すなわち、ヒドロゲルのみのコーティング)でコーティングされた手袋
を示す。コーティングされた手袋が延伸された後のコーティングの剥がれ落ちのために、
いくつかの露出したコーティングされていない領域があることがわかる。対照的に、
図6
Aにおいて、延伸された後の、組成物H(すなわち、ヒドロゲルブレンドコーティング)
でコーティングされた手袋を示す。
図2は、均質な、完全にコーティングされた表面形態
を示す。組成物Hでコーティングされた手袋に、コーティングの剥がれは示されなかった
ので、
図6Aにおいて、手袋の露出したコーティングされていない表面は存在しない。
【0090】
実施例6
ヒドロゲルに添加されるエラストマー材料の異なる量を有するコーティング組成物を使
用して、別の一連のコーティング接着性試験を実行した。下記の表7は、試験される異な
る組成物に使用される構成要素の量を示す。
【表7】
【0091】
実施例5と同様に、合成ポリイソプレン手袋を形成し、それぞれのコーティング組成物
中に浸漬した。ひとたび手袋上のコーティングを硬化すると、実施例5において記載され
ているように延伸試験を実行して、コーティング接着性の程度を測定した。延伸試験の結
果を下記表8に示す。
【表8】
【0092】
延伸試験の結果は、合成ポリイソプレンとニトリルラテックスの同量でなくても、コー
ティングは、なお手袋に対する優れた接着性を示す。同様に、合成ゴムラテックスに対し
てより多くのニトリルラテックス含量を有するコーティングで、コーティング接着性は、
なお優れている。このことは、ニトリルラテックスがより多くの量で存在するか、または
合成ゴムラテックスがより多くの量で存在するかは、手袋製品に対するコーティングの接
着性の性能および特性に影響を及ぼさないことを示す。したがって、エラストマー材料は
、任意の比率で存在し得る。具体的には、手袋のベース材料は合成ゴムラテックス材料で
あり、ヒドロゲルブレンド中の合成ゴムが、コーティング組成物中に多量で存在するかま
たは少量で存在するかは、問題ではない。
【0093】
対照的に、ヒドロゲルのみのコーティングは、約92%のヒドロゲルと、わずか8%の
合成ゴムおよびニトリルを含むエラストマーブレンドを有するヒドロゲルブレンドコーテ
ィングと同様に、高度の剥がれを有した。同様に、1つのエラストマー材料のみと、約8
5%のヒドロゲルを含有する、組成物は、高度の剥がれを示した。
【0094】
全固形分は、ヒドロゲルブレンドコーティングの結果に影響を及ぼさなかったようだ。
しかしながら、延伸試験は、約4%のより高い固形分で、ヒドロゲルのみのコーティング
は、高度の剥がれを示し、手袋に対する接着性が良好ではなかった。対照的に、組成物H
(実施例5より)、組成物Jおよび組成物Kのヒドロキシブレンドは、4%の高固形分で
さえも、優れた接着性を示した。
【0095】
実施例7
機械的安定性試験(MST)を実行して、コーティング組成物の機械的安定性を決定し
た。MSTとは、コーティング組成物の、凝固することなく高速撹拌に耐える能力の測定
である。これは、最初に180μmのふるいを通して濾したコーティング組成物を、高速
撹拌機の動作にかけることによって決定される。約50グラムの濾過した溶液を秤量し、
試験瓶中に入れる。瓶を試験器上に置き、約14,000±200rpmで、30分間撹
拌する。コーティング組成物温度が、試験中常に約60℃を超えないことを確実にするた
め、温度を測定し、10分毎に記録する。次いで、撹拌したコーティング組成物を、18
0μmのフィルターを通して濾過し、次いで、フィルター上に得られた凝塊を、炉内で約
100℃で、凝塊の重量が一定になるまで乾燥させた。次いで、濾過後のフィルター上に
残っている凝塊の百分率を記録した。フィルター上に残っている凝塊の百分率が高いほど
、コーティング組成物の安定性が不十分であることを示す。
【0096】
7つの異なるコーティング配合物を試験した。実施例1で調製した組成物Aおよび組成
物B、実施例3で示す組成物FおよびG、実施例4で調製した組成物H、ならびに実施例
6で示す組成物LおよびM。コーティングを5%の全固形分で調整した。最初にコーティ
ング組成物を、連続撹拌を用いて、40℃の加熱工程に供することによって、合計3日間
の評価試験を通して、1日、2日、および3日間の測定で、MSTを実行した。記録され
た結果を、以下の表9と10に示す。
【表9】
【表10】
【0097】
得られた結果に基づいて、ヒドロゲルのみのコーティング組成物(組成物A)は、ヒド
ロゲルブレンドコーティング組成物(組成物BおよびH)より、熱的および機械的安定性
がはるかに低いことがわかる。ブレンド中に1つのエラストマー材料のみを含有するコー
ティング組成物(F、G、L、およびM)もまた、不十分な安定性を示した。したがって
、2つの異なるエラストマー材料を有するヒドロゲルブレンド組成物は、5%の高固形分
の溶液で、良好な熱的および機械的安定性を示した。
【0098】
前の実施例で記載された機械的安定性試験を、安定剤を添加した組成物に対しても実行
した。
【表11】
【0099】
これらの組成物を、MTS試験で試験した。
【表12】
【0100】
Igepal CO630およびDarvan WAQの添加は、Nobelのみのコ
ーティング(組成物A)のコーティング安定性を高めなかった。しかしながら、同じ安定
剤の添加は、組成物Bの3日後の安定性を劇的に増大し、0.0094の低い値にした。
【0101】
実施例8
組成物AおよびBのコーティング試料を、以下の表13に示されるコーティングされた
天然ゴム物品上で、潤滑剤溶液を用いて、それぞれ処理した。手袋の各々を、最初に、9
5ppmの塩素で塩素化し、次いで、表13の潤滑剤溶液を用いて、噴霧プロセスを介す
る塗布によって潤滑化した。潤滑剤溶液の大部分は水を含み、Darvan(登録商標)
Lが水の次の最大量で、Darvan(登録商標)Lは、Vanderbilt Che
micals,LLCから入手可能なアルキルホスフェートのアンモニウム塩を含む界面
活性剤の商標名である。さらに、潤滑剤CPC(塩化セチルピリジニウム)、消泡剤、例
えばDow Corning Corporationによって製造されているANTI
FOAM 1920など、およびシリコーンエマルション、例えばMomentive
Performance Materialsによって製造されているSilicone
SM2140などを添加する。
【表13】
【0102】
追加の潤滑剤で噴霧された手袋の受容性を測定するために、手袋の粉体含量を測定した
。受容性であるためには、手袋の粉体含量は低く、約2mg/手袋未満でなければならな
い。手袋の粉体含量を測定して、塩素化プロセスが使用される場合その後、または最終プ
ロセス工程後の、手袋上に残っている粉体または微粒子を決定する。ASTM 3577
における要件によれば、粉体を含まない手袋とは、2mg/手袋未満の粉体含量を含有す
るものである。コーティングされた、および噴霧された手袋の粉体含量を試験するために
、手袋を水の入ったビーカーに入れ、ビーカーを振とうし、水を濾過して、手袋から放出
された残渣粉体含量を測定する。最終結果を、以下の表14に示す。2つの試料セットを
試験し、各手袋の種類について表14に示す。そこで、手袋の5つの断片を使用して、1
つの試料セットに対して1つの粉体含量データポイントを得た。
【表14】
【0103】
潤滑剤の添加、約0.1%CPCを含有するものさえ、ヒドロゲルのみでコーティング
され、潤滑剤で処理された手袋上で、高く、容認できないレベルの残渣粉体を示すことが
、粉体含量試験からわかる。ヒドロゲルブレンド手袋は、0.1%の潤滑剤CPCで処理
することができ、手袋上で、有意な粉体含量を示さない。したがって、ヒドロゲルブレン
ドコーティング組成物でコーティングされた手袋は、ヒドロゲルのみでコーティングされ
た手袋と比較して、より高レベルのCPC潤滑剤で処理することができる。
【0104】
実施例9
以下のASTM D1894の湿式摩擦係数(COF)試験を行い、手袋着用性を決定
した。この試験方法において、別の表面上にある1つの表面を移動させるのに必要な力と
、これらの表面に垂直に加えられた力の合計の比率として、摩擦係数を定義した。値が低
いほど、2つの表面間の摩擦は低い。したがって、低いCOF値は、より良好な着用性を
示す。
【0105】
ASTM D1894試験方法は、具体的には湿式COFに関して、湿式条件でそれ自
身または他の金属製板の上を滑る際の、手袋フィルムの始動および滑り摩擦の係数の決定
を包含する。この手順は、固定された平面を有する、(手袋フィルムで包まれた)可動ス
レッドを使用することができる。
【0106】
スレッド(金属製ブロック、63.5mm(2.5インチ)平方、約6mm(0.25
インチ)厚み、適切なアイスクリューが一端に締め付けられた状態で)に取り付ける、平
坦で欠陥のない正方形のフィルム(手袋)試験片を、各辺約120mm(4 1/2イン
チ)に切断する。試験片の標準コンディショニングサイクルは、23±2℃(73.4±
3.6°F)および50±5%相対湿度の標準実験室条件で、24時間である。これらの
温度および湿度条件が満たされない場合、試料を、試験器と同じ部屋で、最低24時間コ
ンディショニングする。ASTM D1894における
図1(c)に準拠して、試験装置
を組み立て、製造者の指示書に従って、力測定装置を較正する。次いで、手袋の被検試料
を、平滑で清浄な表面に置き、スレッドを、試料のほぼ中心に置く。フィルムの端を、ス
レッドの上部に折りたたみ、粘着テープを使用して固定し、スレッドの底部のフィルムに
延伸またはしわがないことを確認する。試験の平面(磨かれた金属性シート、約150×
300×1mm)を、イソプロピルアルコールまたは他の適切な洗浄剤を使用して洗浄す
る。湿式試験に関しては、平面に水を噴霧する。試料の付いたスレッドを、試験手順中に
、スレッドを引くために使用されるケーブルに取り付ける。次いで、スレッドを、水平面
上の適切な位置に置く。スレッドの位置決めは、スレッドの長さ、隣接するケーブルの長
さ、および平面の長手方向が平行であるようにする。150+/-mm/分の一定速度で
引く、動力源を使用して、駆動機構を始動させる。接触している表面間の摩擦力の結果と
して、スレッド上の引張力が、接触面で作用する静摩擦力と同じ、または超えるまで、ス
レッドと可動平面との間で、即座の相対運動は起こらない。初期の、最大読み取り値が、
静摩擦係数の力成分である。約130mm(5インチ)の測定中、表面が互いの上で一定
で滑っている間、任意の視覚的平均読み取り値もまた記録する必要がある。これは、表面
間の動きを持続させるために必要な動的な力に相当し、一般的に動きを開始するために必
要な静的な力より低い。スレッドが130mm(5インチ)移動した後、装置を停止する
。動摩擦係数を、式μk=Ak/B、(式中、Ak=フィルムの一定の滑りの間に得られ
る平均目盛り読み取り値、グラム、B=スレッド重量、グラム)を用いて算出する。
【0107】
75%のヒドロゲル、19%の天然ゴム、および6%のニトリルのブレンドを、3つの
異なるTSCで、5つの試料で試験した。平均を表15に示し、実行データを表16に示
す。
【表15】
【表16】
【0108】
湿式COF試験は、コーティングのレベルが高いほど、低い湿式COF、または着用性
の増大を有する手袋を製造する。したがって、剥がれ落ちが生じず、より多くコーティン
グされる、ヒドロゲルブレンドの能力は、着用性の増大をもたらす。
【0109】
実施例10
走査型電子顕微鏡(SEM)を介して、コーティングされた手袋を評価して、形成およ
び硬化後のコーティングされた手袋の表面形態を示した。4つの試料、前の実施例から組
成物A、組成物B、組成物F、および組成物Gを調製し、試験した。天然ゴム手袋を形成
して、次いでコーティングした。各手袋を、4つのうちの1つとは異なる溶液でコーティ
ングした。次いで、コーティングされた手袋を、顕微鏡下で検査し、倍率100倍でSE
M走査画像を撮った。これらの結果を
図3A~3Dに示す。
【0110】
図3Aについて、手袋にヒドロゲルのみのコーティング(すなわち、組成物A)を塗布
した。走査画像を通して表示されるセグメントは、コーティングされた表面である。これ
らのセグメントの間の隙間または空間は、手袋のコーティングされていない表面エリアを
表す。ヒドロゲルブレンドコーティング(すなわち、組成物B)を表す
図3Bと比較する
と、
図3Aの走査画像において、
図3Bよりも、有意に多くの空間またはコーティングさ
れていない表面があることがわかる。
図3Bにおいて、走査画像で見られる、より多くの
コーティングセグメントの連続パッチがあり、これはより多くの手袋上の連続コーティン
グ模様を表す。
【0111】
図3Cおよび3Dについて、これらは、1つのエラストマー-ヒドロゲルブレンドを含
有する手袋の走査画像を表す。
図3Cにおいて、ヒドロゲルおよび天然ゴムのみ(すなわ
ち、組成物F)でコーティングされた手袋の走査画像を示す。この走査画像から、コーテ
ィングされた表面がほとんどないことがわかる。
図3Dにおいて、ヒドロゲルおよびニト
リルのみ(すなわち、組成物G)でコーティングされた手袋の走査画像を示す。手袋表面
の大部分はコーティングされているが、ヒドロゲルブレンドと比較して、いくぶん平坦で
あり、着用の改善に役立つ、少なくとも2つのエラストマー材料のブレンド中で顕著であ
る微小隆起を有さないことがわかる。SEM走査画像は、ヒドロゲルブレンドコーティン
グを含有する
図3Bの走査画像が、試験された他の3つのコーティング組成物のいずれよ
りも大きな表面エリアにわたってコーティングされる手袋を作り出す独特の表面形態を有
し、表面隆起を有する独特の表明形態を有することを示す。具体的には、ヒドロゲルブレ
ンドを有する、この連続コーティングは、手袋の着用を容易にするのに役立つ、内側の滑
りにくさを作り出す。
【0112】
実施例11
SEM走査画像を使用して、コーティングされた合成ポリイソプレン手袋の表面形態を
試験した。
図1に示されるように、天然ゴム手袋用の類似の凝固剤浸漬プロセスを使用し
て、ポリイソプレン手袋を作製した。ひとたび手袋をポリイソプレンラテックス中に浸漬
すると、コーティング組成物中に浸漬し、次いで硬化させる。ポリイソプレン手袋上に試
験された3つのコーティング組成物中があった;ヒドロゲルのみの組成物、および2つの
ヒドロゲル-ポリイソプレン-ニトリルブレンド。約75%のヒドロゲル、および約6%
のポリイソプレン、および約19%のニトリルラテックスを含む溶液の残りの部分を使用
して、第1のヒドロゲル-ポリイソプレン-ニトリルブレンドを作製した。約85%のヒ
ドロゲル、および約7.5%のポリイソプレン、および約7.5%のニトリルラテックス
を含む溶液の残りの部分を使用して、第2のヒドロゲル-ポリイソプレン-ニトリルブレ
ンドを作製した。手袋をコーティングし、硬化させると、手袋をSEM下で走査して、表
面形態を決定し、
図4A~4B、6A~6B、7A~7B、および8A~8Bにおいて、
結果を見ることができる。
【0113】
第1のヒドロゲル-ポリイソプレン-ニトリルブレンドでコーティングされたポリイソ
プレン手袋を、倍率100倍(
図4A)で評価した。結果は、ポリイソプレン上のヒドロ
ゲルブレンドは、手袋の大きな表面エリアを包含する、微小隆起を有する独特の表明形態
を、同様に有することを示す。対照的に、ヒドロゲルのみでコーティングされたポリイソ
プレン手袋は、手袋上に平坦な表面を示す。ヒドロゲルのみでコーティングされたポリイ
ソプレン手袋もまた、倍率100倍(
図4B)で評価した。
図4Bにおいて、手袋の表面
は、
図4Aにおける手袋より平坦な表面を示すだけでなく、手袋上のコーティングされて
いない表面を表す多くの隙間または空間も示す。
【0114】
第2のヒドロゲル-ポリイソプレンヒドロゲルブレンドでコーティングされたポリイソ
プレン手袋を、倍率100倍(
図6A)、倍率500倍(
図7A)、および倍率1000
倍(
図8A)で評価した。ヒドロゲルのみでコーティングされたポリイソプレン手袋もま
た、倍率100倍(
図6B)、倍率500倍(
図7B)、および倍率1000倍(
図8B
)で比較評価した。結果はまた、ポリイソプレン上のヒドロゲルブレンドは、手袋の大き
な表面エリアを包含する、微小隆起を有する独特の表明形態を、同様に有することを示す
。対照的に、ヒドロゲルのみでコーティングされたポリイソプレン手袋は、手袋上に平坦
な表面を示す。
図6B、7B、および8Bにおいて、手袋の表面は、
図6A、7A、およ
び8Aにおける手袋より平坦な表面を示すだけでなく、手袋上のコーティングされていな
い表面を表す多くの隙間または空間も示す。
【0115】
したがって、異なるエラストマー物品、すなわち、ポリイソプレンから作製されたもの
でさえも、ヒドロゲルのみのコーティングは、ヒドロゲル-ポリイソプレン-ニトリルブ
レンドほど大きな表面エリアをコーティングしないことがわかる。その上、ヒドロゲル-
ポリイソプレン-ニトリルブレンドはなお、異なるエラストマーのブレンドでさえも、着
用性の改善の提供を促進する独特の表明形態を示す。
【0116】
本開示の目的のために、特定の態様、利益、および新規の特徴が、本明細書で記載され
る。任意の特定の実施形態によれば、このような利益のすべてが達成され得ることは必ず
しも必要ではないことが理解されるべきである。したがって、例えば、当業者は、本開示
が、本明細書にいて教示されるように、具体化されるか、または1つの利益または一群の
利益を達成する方法で、本明細書にいて教示または示唆され得るように、他の利益を必ず
しも達成する必要なく、実行され得ることを認識する。
【0117】
その上、例示的実施形態が本明細書において記載される一方で、同等の要素、修正、省
略、(例えば、様々な実施形態にわたる態様の)組み合わせ、適応および/または変更を
有する、任意のおよびすべての実施形態の範囲は、本開示に基づいて、当業者によって理
解されるであろう。特許請求の範囲における限定は、特許請求の範囲において用いられた
言語に基づいて広く翻訳されるべきであり、本明細書内または出願の訴追中に記載された
実施例に限定されず、その実施例は、非排他的であると解釈されるべきである。さらに、
開示されたプロセスおよび方法の動作は、動作の並べ替え、および/または追加の動作の
挿入、および/または動作の削除を含む、任意の様式において修正することができる。し
たがって、本明細書および実施例は単に例示的なものと見なされ、特許請求の範囲および
それらの等価物の全範囲によって示される真の範囲と精神で、意図される。
前記第2のエラストマー材料は前記コーティング配合物の約0.5重量%~約25重量%の範囲内で前記コーティング配合物中に存在する、請求項15に記載のエラストマー物品。