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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122991
(43)【公開日】2024-09-10
(54)【発明の名称】抗ポリユビキチン多重特異性抗体
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/00 20060101AFI20240903BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20240903BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240903BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240903BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20240903BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240903BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240903BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240903BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240903BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240903BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240903BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20240903BHJP
   G01N 33/536 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
C07K16/00 ZNA
C07K16/46
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12P21/08
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K39/395 N
A61K39/395 Y
A61P35/00
A61P35/02
G01N33/53 D
G01N33/536 B
G01N33/536 D
G01N33/536 C
C07K16/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024083732
(22)【出願日】2024-05-23
(62)【分割の表示】P 2022089497の分割
【原出願日】2017-06-23
(31)【優先権主張番号】62/354,305
(32)【優先日】2016-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ディクシット, ヴィシュバ
(72)【発明者】
【氏名】マツモト, マリッサ
(72)【発明者】
【氏名】カステヤノス, エリック
(57)【要約】      (修正有)
【課題】抗ポリユビキチン多重特異性抗体及びそれらを作製及び使用する方法を提供する。
【解決手段】単一トポロジーのポリユビキチンよりも混合トポロジーのポリユビキチンに対して大きな結合力を有する抗体であって、前記混合トポロジーのポリユビキチンが、第1の連結及び第2の連結を含み、前記第1の連結及び前記第2の連結が、互いに異なる、前記抗体が提供される。第1の連結及び第2の連結を含む混合トポロジーのポリユビキチンに結合する多重特異性抗体であって、前記抗体が、前記第1の連結に特異的な第1の抗原認識部位及び前記第2の連結に特異的な第2の抗原認識部位を含み、前記第1の連結及び前記第2の連結が、互いに異なる、前記抗体も提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一トポロジーのポリユビキチンよりも混合トポロジーのポリユビキチンに対して大きな結合力を有する抗体であって、前記混合トポロジーのポリユビキチンが、第1の連結及び第2の連結を含み、前記第1の連結及び前記第2の連結が、互いに異なる、前記抗体。
【請求項2】
第1の連結及び第2の連結を含む混合トポロジーのポリユビキチンに結合する多重特異性抗体であって、前記抗体が、前記第1の連結に特異的な第1の抗原認識部位及び前記第2の連結に特異的な第2の抗原認識部位を含み、前記第1の連結及び前記第2の連結が、互いに異なる、前記抗体。
【請求項3】
前記第1の連結に特異的な第1のVH/VL単位及び前記第2の連結に特異的な第2のVH/VL単位を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項4】
ノブ・イン・ホール二重特異性抗体、ロイシンジッパーを含む二重特異性抗体、架橋した抗体対、抗体Fc-ヘテロ二量体分子、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、一本鎖Fv二量体、三重特異性抗体、オクトパス抗体、または二重作用FAbである、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項5】
前記第1の連結または前記第2の連結が、K11連結である、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項6】
前記第1の連結または前記第2の連結が、K48連結である、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項7】
前記第1の連結または前記第2の連結が、K63連結である、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項8】
前記第1の連結または前記第2の連結が、C末端とN末端との連結である、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項9】
前記第1の連結及び前記第2の連結が、
a)K11連結及びK48連結、
b)K11連結及びK63連結、
c)K11連結及びC末端とN末端との連結、
d)K48連結及びK63連結、
e)K48連結及びC末端とN末端との連結、または
f)K63連結及びC末端とN末端との連結である、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項10】
a)(i)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
(iii)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
(iv)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(v)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(vi)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR-L3、
b)(i)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(ii)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
(iii)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
(iv)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(v)配列番号27のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(vi)配列番号28のアミノ酸配列を含むHVR-L3、
c)(i)配列番号37のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(ii)配列番号38のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
(iii)配列番号39のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
(iv)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(v)配列番号41のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(vi)配列番号42のアミノ酸配列を含むHVR-L3、または
d)(i)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(ii)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
(iii)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
(iv)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(v)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(vi)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む第1の半抗体を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項11】
a)(i)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
(iii)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
(iv)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(v)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(vi)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR-L3、
b)(i)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(ii)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
(iii)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
(iv)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(v)配列番号27のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(vi)配列番号28のアミノ酸配列を含むHVR-L3、
c)(i)配列番号37のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(ii)配列番号38のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
(iii)配列番号39のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
(iv)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(v)配列番号41のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(vi)配列番号42のアミノ酸配列を含むHVR-L3、または
d)(i)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(ii)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
(iii)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
(iv)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(v)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(vi)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR-L3、
を含む第2の半抗体を含み、前記第2の半抗体の前記HVRが、前記第1の半抗体の前記HVRと同一ではない、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項12】
第1及び第2の半抗体を含み、
a)前記第1及び第2の半抗体のうちの一方が、
(i)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
(iii)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
(iv)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(v)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(vi)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含み、前記第1及び第2の半抗体のうちの他方が、
(i)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(ii)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
(iii)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
(iv)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(v)配列番号27のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(vi)配列番号28のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含むか、
b)前記第1及び第2の半抗体のうちの一方が、
(i)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
(iii)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
(iv)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(v)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(vi)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含み、前記第1及び第2の半抗体のうちの他方が、
(i)配列番号37のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(ii)配列番号38のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
(iii)配列番号39のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
(iv)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(v)配列番号41のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(vi)配列番号42のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含むか、
c)前記第1及び第2の半抗体のうちの一方が、
(i)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
(iii)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
(iv)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(v)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(vi)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含み、前記第1及び第2の半抗体のうちの他方が、
(i)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(ii)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
(iii)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
(iv)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(v)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(vi)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含むか、
d)前記第1及び第2の半抗体のうちの一方が、
(i)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(ii)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
(iii)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
(iv)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(v)配列番号27のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(vi)配列番号28のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含み、前記第1及び第2の半抗体のうちの他方が、
(i)配列番号37のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(ii)配列番号38のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
(iii)配列番号39のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
(iv)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(v)配列番号41のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(vi)配列番号42のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含むか、
e)前記第1及び第2の半抗体のうちの一方が、
(i)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(ii)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
(iii)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
(iv)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(v)配列番号27のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(vi)配列番号28のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含み、前記第1及び第2の半抗体のうちの他方が、
(i)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(ii)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
(iii)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
(iv)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(v)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(vi)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含むか、または、
f)前記第1及び第2の半抗体のうちの一方が、
(i)配列番号37のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(ii)配列番号38のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
(iii)配列番号39のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
(iv)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(v)配列番号41のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(vi)配列番号42のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含み、前記第1及び第2の半抗体のうちの他方が、
(i)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(ii)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
(iii)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
(iv)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(v)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(vi)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項13】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第1の半抗体が、
a)配列番号7と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号8と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列、
b)配列番号21と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号22と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列、
c)配列番号35と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号36と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列、または
d)配列番号49と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号50と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項14】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第2の半抗体が、
a)配列番号7と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号8と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列、
b)配列番号21と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号22と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列、
c)配列番号35と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号36と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列、または
d)配列番号49と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号50と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列を含み、
前記第2の半抗体の前記VL及びVH配列が、前記第1の半抗体の前記VL及びVH配列と同一ではない、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項15】
第1及び第2の半抗体を含み、
a)前記第1及び第2の半抗体のうちの一方が、配列番号7と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号8と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列を含み、
前記第1及び第2の半抗体のうちの他方が、配列番号21と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号22と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列を含むか、
b)前記第1及び第2の半抗体のうちの一方が、配列番号7と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号8と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列を含み、
前記第1及び第2の半抗体のうちの他方が、配列番号35と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号36と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列を含むか、
c)前記第1及び第2の半抗体のうちの一方が、配列番号7と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号8と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列を含み、
前記第1及び第2の半抗体のうちの他方が、配列番号49と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号50と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列を含むか、
d)前記第1及び第2の半抗体のうちの一方が、配列番号21と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号22と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列を含み、
前記第1及び第2の半抗体のうちの他方が、配列番号35と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号36と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列を含むか、
e)前記第1及び第2の半抗体のうちの一方が、配列番号21と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号22と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列を含み、
前記第1及び第2の半抗体のうちの他方が、配列番号49と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号50と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列を含むか、または
f)前記第1及び第2の半抗体のうちの一方が、配列番号35と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号36と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列を含み、
前記第1及び第2の半抗体のうちの他方が、配列番号49と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号50と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項16】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第1の半抗体が、
a)配列番号7のVL配列及び配列番号8のVH配列、
b)配列番号21のVL配列及び配列番号22のVH配列、
c)配列番号35のVL配列及び配列番号36のVH配列、または
d)配列番号49のVL配列及び配列番号50のVH配列を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項17】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第2の半抗体が、
a)配列番号7のVL配列及び配列番号8のVH配列、
b)配列番号21のVL配列及び配列番号22のVH配列、
c)配列番号35のVL配列及び配列番号36のVH配列、または
d)配列番号49のVL配列及び配列番号50のVH配列を含み、
前記第2の半抗体の前記VL及びVH配列が、前記第1の半抗体の前記VL及びVH配列と同一ではない、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項18】
第1及び第2の半抗体を含み、
a)前記第1及び第2の半抗体のうちの一方が、配列番号7のVL配列及び配列番号8のVH配列を含み、
前記第1及び第2の半抗体のうちの他方が、配列番号21のVL配列及び配列番号22のVH配列を含むか、
b)前記第1及び第2の半抗体のうちの一方が、配列番号7のVL配列及び配列番号8のVH配列を含み、
前記第1及び第2の半抗体のうちの他方が、配列番号35のVL配列及び配列番号36のVH配列を含むか、
c)前記第1及び第2の半抗体のうちの一方が、配列番号7のVL配列及び配列番号8のVH配列を含み、
前記第1及び第2の半抗体のうちの他方が、配列番号49のVL配列及び配列番号50のVH配列を含むか、
d)前記第1及び第2の半抗体のうちの一方が、配列番号21のVL配列及び配列番号22のVH配列を含み、
前記第1及び第2の半抗体のうちの他方が、配列番号35のVL配列及び配列番号36のVH配列を含むか、
e)前記第1及び第2の半抗体のうちの一方が、配列番号21のVL配列及び配列番号22のVH配列を含み、
前記第1及び第2の半抗体のうちの他方が、配列番号49のVL配列及び配列番号50のVH配列を含むか、または
f)前記第1及び第2の半抗体のうちの一方が、配列番号35のVL配列及び配列番号36のVH配列を含み、
前記第1及び第2の半抗体のうちの他方が、配列番号49のVL配列及び配列番号50のVH配列を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項19】
モノクローナル抗体である、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項20】
マウス、ウサギ、ヒト、ヒト化、またはキメラ抗体である、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項21】
前記抗体が、IgG抗体である、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項22】
前記抗体が、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、またはIgG4抗体である、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項23】
前記抗体が、IgG1またはIgG4抗体である、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項24】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第1の半抗体が、ノブ変異を含む第1の重鎖定常領域を含み、前記第2の半抗体が、ホール変異を含む第2の重鎖定常領域を含むか、または前記第1の半抗体が、ホール変異を含む第1の重鎖定常領域を含み、前記第2の半抗体が、ノブ変異を含む第2の重鎖定常領域を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項25】
前記抗体が、IgG1抗体であり、前記ノブ変異が、T366W変異を含む、請求項24に記載の抗体。
【請求項26】
前記抗体が、IgG1抗体であり、前記ホール変異が、T366S、L368A、及びY407Vから選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つの変異を含む、請求項24または請求項25に記載の抗体。
【請求項27】
前記抗体が、IgG4抗体であり、前記ノブ変異が、T366W変異を含む、請求項24に記載の抗体。
【請求項28】
前記抗体が、IgG4抗体であり、前記ホール変異が、T366S、L368A、及びY407V変異から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つの変異を含む、請求項24または請求項27に記載の抗体。
【請求項29】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第1の半抗体が、
a)配列番号2と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、
b)配列番号16と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、
c)配列番号30と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、または
d)配列番号44と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項30】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第1の半抗体が、
a)配列番号4と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、
b)配列番号18と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、
c)配列番号32と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、または
d)配列番号46と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
任意で、C末端リジンが、1つ以上の重鎖から欠損している、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項31】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第1の半抗体が、
a)配列番号2と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号4と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、
b)配列番号16と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号18と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、
c)配列番号30と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号32と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、または
d)配列番号44と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号46と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
任意で、C末端リジンが、1つ以上の重鎖から欠損している、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項32】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第1の半抗体が、
a)配列番号6と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、
b)配列番号20と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、
c)配列番号34と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、または
d)配列番号48と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
任意で、C末端リジンが、1つ以上の重鎖から欠損している、請求項1~30のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項33】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第1の半抗体が、
a)配列番号2と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号6と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、
b)配列番号16と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号20と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、
c)配列番号30と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号34と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、または
d)配列番号44と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号48と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
任意で、C末端リジンが、1つ以上の重鎖から欠損している、請求項1~29のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項34】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第2の半抗体が、
a)配列番号2と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、
b)配列番号16と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、
c)配列番号30と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、または
d)配列番号44と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列を含み、
前記第2の半抗体の前記軽鎖及び重鎖配列が、前記第1の半抗体の前記軽鎖及び重鎖配列と同一ではない、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項35】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第2の半抗体が、
a)配列番号4と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、
b)配列番号18と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、
c)配列番号32と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、または
d)配列番号46と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
前記第2の半抗体の前記軽鎖及び重鎖配列が、前記第1の半抗体の前記軽鎖及び重鎖配列とは同一ではなく、任意で、C末端リジンが、1つ以上の重鎖から欠損している、請求項1~29または32~34のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項36】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第2の半抗体が、
a)配列番号2と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号4と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、
b)配列番号16と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号18と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、
c)配列番号30と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号32と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、または
d)配列番号44と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号46と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
前記第2の半抗体の前記軽鎖及び重鎖配列が、前記第1の半抗体の前記軽鎖及び重鎖配列とは同一ではなく、任意で、C末端リジンが、1つ以上の重鎖から欠損している、請求項1~29または32~34のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項37】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第2の半抗体が、
a)配列番号6と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、
b)配列番号20と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、
c)配列番号34と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、または
d)配列番号48と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
前記第2の半抗体の前記軽鎖及び重鎖配列が、前記第1の半抗体の前記軽鎖及び重鎖配列とは同一ではなく、任意で、C末端リジンが、1つ以上の重鎖から欠損している、請求項1~31または34のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項38】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第2の半抗体が、
a)配列番号2と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号6と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、
b)配列番号16と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号20と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、
c)配列番号30と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号34と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、または
d)配列番号44と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号48と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
前記第2の半抗体の前記軽鎖及び重鎖配列が、前記第1の半抗体の前記軽鎖及び重鎖配列とは同一ではなく、任意で、C末端リジンが、1つ以上の重鎖から欠損している、請求項1~31または34のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項39】
第1及び第2の半抗体を含み、
a)前記第1及び第2の半抗体のうちの一方が、配列番号2と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号4と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
前記第1及び第2の半抗体のうちの他方が、配列番号16と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号20と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含むか、
b)前記第1及び第2の半抗体のうちの一方が、配列番号2と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号4と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
前記第1及び第2の半抗体のうちの他方が、配列番号30と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号34と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含むか、
c)前記第1及び第2の半抗体のうちの一方が、配列番号2と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号4と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
前記第1及び第2の半抗体のうちの他方が、配列番号44と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号48と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含むか、
d)前記第1及び第2の半抗体のうちの一方が、配列番号2と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号6と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
前記第1及び第2の半抗体のうちの他方が、配列番号16と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号18と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含むか、
e)前記第1及び第2の半抗体のうちの一方が、配列番号2と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号6と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
前記第1及び第2の半抗体のうちの他方が、配列番号30と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号32と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含むか、
f)前記第1及び第2の半抗体のうちの一方が、配列番号2と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号6と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
前記第1及び第2の半抗体のうちの他方が、配列番号44と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号46と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
g)前記第1及び第2の半抗体がのうちの一方が、配列番号16と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号18と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
前記第1及び第2の半抗体のうちの他方が、配列番号30と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号34と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含むか、
h)前記第1及び第2の半抗体のうちの一方が、配列番号16と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号18と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
前記第1及び第2の半抗体のうちの他方が、配列番号44と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号48と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含むか、
i)前記第1及び第2の半抗体のうちの一方が、配列番号30と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号32と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
前記第1及び第2の半抗体のうちの他方が、配列番号44と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号48と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含むか、
j)前記第1及び第2の半抗体のうちの一方が、配列番号16と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号20と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
前記第1及び第2の半抗体のうちの他方が、配列番号30と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号32と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含むか、
k)前記第1及び第2の半抗体のうちの一方が、配列番号16と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号20と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
前記第1及び第2の半抗体のうちの他方が、配列番号44と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号46と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含むか、または
l)前記第1及び第2の半抗体のうちの一方が、配列番号30と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号34と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
前記第1及び第2の半抗体のうちの他方が、配列番号44と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号46と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
任意で、C末端リジンが、1つ以上の重鎖から欠損している、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項40】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第1の半抗体が、
a)配列番号2の軽鎖配列、
b)配列番号16の軽鎖配列、
c)配列番号30の軽鎖配列、または
d)配列番号44の軽鎖配列を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項41】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第1の半抗体が、
a)配列番号4の重鎖配列、
b)配列番号18の重鎖配列、
c)配列番号32の重鎖配列、または
d)配列番号46の重鎖配列を含み、
任意で、C末端リジンが、1つ以上の重鎖から欠損している、請求項1~31、34、または37~40のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項42】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第1の半抗体が、
a)配列番号2の軽鎖配列及び配列番号4の重鎖配列、
b)配列番号16の軽鎖配列及び配列番号18の重鎖配列、
c)配列番号30の軽鎖配列及び配列番号32の重鎖配列、または
d)配列番号44の軽鎖配列及び配列番号46の重鎖配列を含み、
任意で、C末端リジンが、1つ以上の重鎖から欠損している、請求項1~31、34、または37~40のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項43】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第1の半抗体が、
a)配列番号6の重鎖配列、
b)配列番号20の重鎖配列、
c)配列番号34の重鎖配列、または
d)配列番号48の重鎖配列を含み、
任意で、C末端リジンが、1つ以上の重鎖から欠損している、請求項1~29、32~36、または39~40のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項44】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第1の半抗体が、
a)配列番号2の軽鎖配列及び配列番号6の重鎖配列、
b)配列番号16の軽鎖配列及び配列番号20の重鎖配列、
c)配列番号30の軽鎖配列及び配列番号34の重鎖配列、または
d)配列番号44の軽鎖配列及び配列番号48の重鎖配列を含み、
任意で、C末端リジンが、1つ以上の重鎖から欠損している、請求項1~29、32~36、または39~40のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項45】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第2の半抗体が、
a)配列番号2の軽鎖配列、
b)配列番号16の軽鎖配列、
c)配列番号30の軽鎖配列、または
d)配列番号44の軽鎖配列を含み、
前記第2の半抗体の前記軽鎖及び重鎖配列が、前記第1の半抗体の前記軽鎖及び重鎖配列とは同一ではなく、任意で、C末端リジンが、1つ以上の重鎖から欠損している、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項46】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第2の半抗体が、
a)配列番号4の重鎖配列、
b)配列番号18の重鎖配列、
c)配列番号32の重鎖配列、または
d)配列番号46の重鎖配列を含み、
前記第2の半抗体の前記軽鎖及び重鎖配列が、前記第1の半抗体の前記軽鎖及び重鎖配列とは同一ではなく、任意で、C末端リジンが、1つ以上の重鎖から欠損している、請求項1~31、34、37~40、または43~45のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項47】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第2の半抗体が、
a)配列番号2の軽鎖配列及び配列番号4の重鎖配列、
b)配列番号16の軽鎖配列及び配列番号18の重鎖配列、
c)配列番号30の軽鎖配列及び配列番号32の重鎖配列、または
d)配列番号44の軽鎖配列及び配列番号46の重鎖配列を含み、
前記第2の半抗体の前記軽鎖及び重鎖配列が、前記第1の半抗体の前記軽鎖及び重鎖配列とは同一ではなく、任意で、C末端リジンが、1つ以上の重鎖から欠損している、請求項1~31、34、37~40、または43~45のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項48】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第2の半抗体が、
a)配列番号6の重鎖配列、
b)配列番号20の重鎖配列、
c)配列番号34の重鎖配列、または
d)配列番号48の重鎖配列を含み、
前記第2の半抗体の前記軽鎖及び重鎖配列が、前記第1の半抗体の前記軽鎖及び重鎖配列とは同一ではなく、任意で、C末端リジンが、1つ以上の重鎖から欠損している、請求項1~31、34、37~42、または45のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項49】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第2の半抗体が、
a)配列番号2の軽鎖配列及び配列番号6の重鎖配列、
b)配列番号16の軽鎖配列及び配列番号20の重鎖配列、
c)配列番号30の軽鎖配列及び配列番号34の重鎖配列、または
d)配列番号44の軽鎖配列及び配列番号48の重鎖配列を含み、
前記第2の半抗体の前記軽鎖及び重鎖配列が、前記第1の半抗体の前記軽鎖及び重鎖配列と同一ではない、請求項1~31、34、37~42、または45のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項50】
第1及び第2の半抗体を含み、
a)前記第1の半抗体が、配列番号2の軽鎖配列及び配列番号4の重鎖配列を含み、
前記第2の半抗体が、配列番号16の軽鎖配列及び配列番号20の重鎖配列を含むか、
b)前記1の半抗体が、配列番号2の軽鎖配列及び配列番号4の重鎖配列を含み、
前記第2の半抗体が、配列番号30の軽鎖配列及び配列番号34の重鎖配列を含むか、
c)前記第1の半抗体が、配列番号2の軽鎖配列及び配列番号4の重鎖配列を含み、
前記第2の半抗体が、配列番号44の軽鎖配列及び配列番号48の重鎖配列を含むか、
d)前記第1の半抗体が、配列番号2の軽鎖配列及び配列番号6の重鎖配列を含み、
前記第2の半抗体が、配列番号16の軽鎖配列及び配列番号18の重鎖配列を含むか、
e)前記第1の半抗体が、配列番号2の軽鎖配列及び配列番号6の重鎖配列を含み、
前記第2の半抗体が、配列番号30の軽鎖配列及び配列番号32の重鎖配列を含むか、
f)前記第1の半抗体が、配列番号2の軽鎖配列及び配列番号6の重鎖配列を含み、
前記第2の半抗体が、配列番号44の軽鎖配列及び配列番号46の重鎖配列を含むか、
g)前記第1の半抗体が、配列番号16の軽鎖配列及び配列番号18の重鎖配列を含み、
前記第2の半抗体が、配列番号30の軽鎖配列及び配列番号34の重鎖配列を含むか、
h)前記第1の半抗体が、配列番号16の軽鎖配列及び配列番号18の重鎖配列を含み、
前記第2の半抗体が、配列番号44の軽鎖配列及び配列番号48の重鎖配列を含むか、
i)前記第1の半抗体が、配列番号30の軽鎖配列及び配列番号32の重鎖配列を含み、
前記第2の半抗体が、配列番号44の軽鎖配列及び配列番号48の重鎖配列を含むか、
j)前記第1の半抗体が、配列番号16の軽鎖配列及び配列番号20の重鎖配列を含み、
前記第2の半抗体が、配列番号30の軽鎖配列及び配列番号32の重鎖配列を含むか、
k)前記第1の半抗体が、配列番号16の軽鎖配列及び配列番号20の重鎖配列を含み、
前記第2の半抗体が、配列番号44の軽鎖配列及び配列番号46の重鎖配列を含むか、または
l)前記第1の半抗体が、配列番号30の軽鎖配列及び配列番号34の重鎖配列を含み、
前記第2の半抗体が、配列番号44の軽鎖配列及び配列番号46の重鎖配列を含み、
任意で、C末端リジンが、1つ以上の重鎖から欠損している、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項51】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第1の半抗体が、配列番号2の軽鎖配列及び配列番号4の重鎖配列を含み、前記第2の半抗体が、配列番号16の軽鎖配列及び配列番号20の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンが、1つ以上の重鎖から欠損している、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項52】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第1の半抗体が、配列番号2の軽鎖配列及び配列番号4の重鎖配列を含み、前記第2の半抗体が、配列番号30の軽鎖配列及び配列番号34の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンが、1つ以上の重鎖から欠損している、請求項1~50の1項に記載の抗体。
【請求項53】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第1の半抗体が、配列番号2の軽鎖配列及び配列番号4の重鎖配列を含み、前記第2の半抗体が、配列番号44の軽鎖配列及び配列番号48の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンが、1つ以上の重鎖から欠損している、請求項1~50の1項に記載の抗体。
【請求項54】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第1の半抗体が、配列番号2の軽鎖配列及び配列番号6の重鎖配列を含み、前記第2の半抗体が、配列番号16の軽鎖配列及び配列番号18の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンが、1つ以上の重鎖から欠損している、請求項1~50の1項に記載の抗体。
【請求項55】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第1の半抗体が、配列番号2の軽鎖配列及び配列番号6の重鎖配列を含み、前記第2の半抗体が、配列番号30の軽鎖配列及び配列番号32の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンが、1つ以上の重鎖から欠損している、請求項1~50の1項に記載の抗体。
【請求項56】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第1の半抗体が、配列番号2の軽鎖配列及び配列番号6の重鎖配列を含み、前記第2の半抗体が、配列番号44の軽鎖配列及び配列番号46の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンが、1つ以上の重鎖から欠損している、請求項1~50の1項に記載の抗体。
【請求項57】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第1の半抗体が、配列番号16の軽鎖配列及び配列番号18の重鎖配列を含み、前記第2の半抗体が、配列番号30の軽鎖配列及び配列番号34の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンが、1つ以上の重鎖から欠損している、請求項1~50の1項に記載の抗体。
【請求項58】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第1の半抗体が、配列番号16の軽鎖配列及び配列番号18の重鎖配列を含み、前記第2の半抗体が、配列番号44の軽鎖配列及び配列番号48の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンが、1つ以上の重鎖から欠損している、請求項1~50の1項に記載の抗体。
【請求項59】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第1の半抗体が、配列番号30の軽鎖配列及び配列番号32の重鎖配列を含み、前記第2の半抗体が、配列番号44の軽鎖配列及び配列番号48の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンが、1つ以上の重鎖から欠損している、請求項1~50の1項に記載の抗体。
【請求項60】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第1の半抗体が、配列番号16の軽鎖配列及び配列番号20の重鎖配列を含み、前記第2の半抗体が、配列番号30の軽鎖配列及び配列番号32の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンが、1つ以上の重鎖から欠損している、請求項1~50の1項に記載の抗体。
【請求項61】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第1の半抗体が、配列番号16の軽鎖配列及び配列番号20の重鎖配列を含み、前記第2の半抗体が、配列番号44の軽鎖配列及び配列番号46の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンが、1つ以上の重鎖から欠損している、請求項1~50の1項に記載の抗体。
【請求項62】
第1及び第2の半抗体を含み、前記第1の半抗体が、配列番号30の軽鎖配列及び配列番号34の重鎖配列を含み、前記第2の半抗体が、配列番号44の軽鎖配列及び配列番号46の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンが、1つ以上の重鎖から欠損している、請求項1~50の1項に記載の抗体。
【請求項63】
混合トポロジーのポリユビキチンへの結合について、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体と競合する、抗体。
【請求項64】
先行請求項のいずれか1項に記載の抗体と同じ混合トポロジーのポリユビキチンのエピトープに結合する、抗体。
【請求項65】
二重特異性抗体である、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項66】
ダイアボディ、トリアボディ、またはテトラボディである、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項67】
標識にコンジュゲートされる、先行請求項のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項68】
前記標識が、蛍光、酵素、または発色標識である、請求項67に記載の抗体。
【請求項69】
前記標識が、放射性同位体であり、任意でポジトロン放出体であり、任意で89Zrである、請求項67に記載の抗体。
【請求項70】
請求項1~69のいずれか1項に記載の抗体を含む組成物であって、単一特異性抗体、未組み立て半抗体、または単一特異性抗体及び未組み立て半抗体の両方を実質的に含まない、前記組成物。
【請求項71】
請求項1~69のいずれか1項に記載の抗体と、細胞毒性剤と、を含む、免疫コンジュゲート。
【請求項72】
薬学的に許容される担体と、
a)請求項1~69のいずれか1項に記載の抗体、または
b)請求項71に記載の免疫コンジュゲート
のうちの少なくとも1つと、を含み、任意で、前記組成物が、単一特異性抗体、未組み立て半抗体、または単一特異性抗体及び未組み立て半抗体の両方を実質的に含まない、薬学的製剤。
【請求項73】
a)請求項1~66のいずれか1項に記載の抗体、
b)請求項40~66のいずれか1項に記載の抗体の第1の半抗体、または
c)請求項46~66のいずれか1項に記載の抗体の第2の半抗体をコードする、単離された核酸。
【請求項74】
請求項73に記載の核酸を含む、宿主細胞。
【請求項75】
抗体または半抗体を産生する方法であって、前記抗体または半抗体が産生されるように、請求項73に記載の宿主細胞を培養することを含む、前記方法。
【請求項76】
請求項1~66のいずれか1項に記載の抗体を作製する方法であって、第1の半抗体及び第2の半抗体から前記抗体を形成することを含む、前記方法。
【請求項77】
生体試料中の混合トポロジーのポリユビキチンを検出する方法であって、請求項1~69のいずれか1項に記載の抗体の前記混合トポロジーのポリユビキチンへの結合を許容する条件下で、前記生体試料を前記抗体と接触させることと、前記抗体と前記生体試料中の混合トポロジーのポリユビキチンとの間に複合体が形成されたかを検出することと、を含む、前記方法。
【請求項78】
前記混合トポロジーのポリユビキチンが、非ユビキチンポリペプチドに共有結合している、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記混合トポロジーのポリユビキチンが、分岐状である、請求項77または請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記混合トポロジーのポリユビキチンが、非分岐状である、請求項77または請求項78に記載の方法。
【請求項81】
前記混合トポロジーのポリユビキチンが、第1の連結及び前記第1の連結とは異なる第2の連結を含み、前記第1及び第2の連結が各々独立して、K11連結、K48連結、K63連結、またはC末端とN末端との連結である、請求項77~80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
前記混合トポロジーのポリユビキチンが、K11連結及び前記K11連結とは異なる第2の連結を含む、請求項77~81のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
前記混合トポロジーのポリユビキチンが、K48連結及び前記K48連結とは異なる第2の連結を含む、請求項77~81のいずれか1項に記載の方法。
【請求項84】
前記混合トポロジーのポリユビキチンが、K63連結及び前記K63連結とは異なる第2の連結を含む、請求項77~81のいずれか1項に記載の方法。
【請求項85】
前記混合トポロジーのポリユビキチンが、C末端とN末端との連結及び前記C末端とN末端との連結とは異なる第2の連結を含む、請求項77~81のいずれか1項に記載の方法。
【請求項86】
前記混合トポロジーのポリユビキチンが、
a)K11連結及びK48連結、
b)K11連結及びK63連結、
c)K11連結及びC末端とN末端との連結、
d)K48連結及びK63連結、
e)K48連結及びC末端とN末端との連結、または
f)K63連結及びC末端とN末端との連結を含む、請求項77~81のいずれか1項に記載の方法。
【請求項87】
生体試料中のポリユビキチン化タンパク質を検出する方法であって、前記ポリユビキチン化タンパク質が、2つ以上の位置において少なくとも第1及び第2のポリユビキチンでポリユビキチン化され、前記第1及び第2のポリユビキチンが、異なる連結を有し、請求項1~69のいずれか1項に記載の抗体の前記ポリユビキチン化タンパク質への結合を許容する条件下で、前記生体試料を前記抗体と接触させることと、前記抗体と前記生体試料中のポリユビキチン化タンパク質との間に複合体が形成されたかを検出することと、を含む、前記方法。
【請求項88】
前記第1及び第2のポリユビキチンがそれぞれ、
a)K11連結及び前記K11連結とは異なる第2の連結、
b)K48連結及び前記K48連結とは異なる第2の連結、
c)K63連結及び前記K63連結とは異なる第2の連結、
d)C末端とN末端との連結及び前記C末端とN末端との連結とは異なる第2の連結、
e)K11連結及びK48連結、
f)K11連結及びK63連結、
g)K11連結及びC末端とN末端との連結、
h)K48連結及びK63連結、
i)K48連結及びC末端とN末端との連結、または
j)K63連結及びC末端とN末端との連結を含む、請求項87に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年6月24日に出願された米国特許仮出願第62/354,305号の優先権の利益を主張するものであり、その全体があらゆる目的のために参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、抗ポリユビキチン多重特異性抗体及びそれらを作製及び使用する方法に関する。
【発明の概要】
【0003】
ユビキチンは、幅広い細胞経路において重要な制御役割を有する小タンパク質である。これらの中でも最も良く知られているのは、タンパク質分解におけるユビキチンの役割であり、ユビキチンの標的タンパク質への共有結合により、26Sプロテアソームによる標的タンパク質の認識及び破壊が可能となる(Wilkinson,Semin.Cell Devel.Biol.11(3):141-148(2000)を参照されたい)。76個のアミノ酸のタンパク質であるユビキチンの標的タンパク質への共有結合は、三段階の酵素プロセスである(Pickart,Annu.Rev.Biochem.70:503-533(2001))。第1に、ユビキチン活性化酵素E1が、ATP依存性反応においてユビキチン-E1チオエステルを形成する。第2のステップにおいて、ユビキチンが、ユビキチン-E1チオエステルからユビキチン-コンジュゲート酵素(E2)ファミリーのメンバーへと転移される。第3のステップにおいて、ユビキチン-タンパク質リガーゼ(E3)の補助によって、ユビキチンのカルボキシル末端と標的タンパク質上のリジン残基のε-アミノ基との間にイソペプチド結合が形成される。デユビキチナーゼと称される酵素が、標的タンパク質からユビキチン部分を除去する(Guterman and Glickman,Curr.Prot.Pep.Sci.5:201-210(2004))。
【0004】
ユビキチンは、7つのリジン残基(Lys6、Lys11、Lys27、Lys33、Lys29、Lys48、及びLys63)を含有し、故にユビキチン自体がユビキチン化のための標的タンパク質としての役割を果たし得る(Peng et al.,Nat.Biotechnol.21:921-926(2003)、Pickart and Fushman,Curr.Opin.Chem.Biol.8:610-616(2004))。ユビキチンタンパク質のユビキチン化で産生された分子は、ポリユビキチン分子と称され、2つ以上のユビキチン部分を含み得る。ユビキチン内に異なるリジン残基へのイソペプチド結合を有する異なる種のポリユビキチンが存在するように、ユビキチンのユビキチン化は、理論上、7つのリジン残基のうちのいずれでも生じ得る(Peng et al.,Nat.Biotechnol.21:921-926(2003))。7つ全てのリジン残基に、内部イソペプチド連結内のポリユビキチン鎖が報告されている。Iwai and Tokunaga,EMBO Reports 10:706-713(2009)。
【0005】
加えて、ユビキチンのC末端グリシンが、別のユビキチン分子のN末端メチオニンのα-アミノ基にコンジュゲートされる、直鎖状ポリユビキチン連結が形成される。Iwai and Tokunaga,EMBO Reports 10:706-713(2009)。直鎖状ポリユビキチンは、2つのringフィンガータンパク質、HOIL-1L及びHOIPで構成される、直鎖状ユビキチン鎖組み立て複合体(LUBAC)を介して形成される。Tokunaga et al.,Nat.Cell Biol.11:123-132(2009)。遺伝的にコードされた非アンカー直鎖状ポリユビキチンは、そのC末端がイソペプチダーゼTによる切断を受け易いため、細胞内には存在しないと考えられる。Iwai and Tokunaga,EMBO Reports 10:706-713(2009)。この観察は、直鎖状ポリユビキチンが翻訳後に基質タンパク質上に組み立てられること、及びコンジュゲートされた直鎖状ポリユビキチン分子がタンパク質活性及び機能の潜在的な調節因子であることを示唆する。同上。例えば、NF-κB必須調節因子(NEMO)の直鎖状ポリユビキチン化は、NF-κB活性化において役割を果たすことが示されている。同上。
【0006】
2つ以上のUb対Ub連結(3つ以上のユビキチンモノマー)を含むポリユビキチン鎖は、同種トポロジーまたは混合トポロジーを有し得る。鎖は、均一に直鎖状の(もしくはMet1-)、Lys11-、Lys48-、またはLys63-連結鎖の場合にように、連続的な伸長ステップ中に同じ残基が修飾される場合に同種である一方で、鎖は、鎖内の異なる位置に異なる連結が存在する場合に、混合トポロジーを有する。Komander and Rape,Annu.Rev.Biochem.81:203-29(2012)。混合鎖は、分岐状であり得(るが、必ずしもそうではなく)、同じモノマーは、少なくとも3つの異なる連結(3つの他のユビキチンモノマーへの連結、または基質ポリペプチドへの連結及び2つの他のユビキチンモノマーへの連結など)を有する。同上。混合トポロジー鎖は、NF-κBシグナル伝達及びタンパク質輸送の文脈において報告されている。同上、その中の参考文献7~10もまた参照されたい。加えて、同じタンパク質は、2つ以上の位置において少なくとも第1及び第2のポリユビキチンでポリユビキチン化され得、第1及び第2のポリユビキチンは、異なる連結を有する。
【0007】
トリプシン消化の連結を決定するための従来の方法及びLC-MS/MSは、分岐鎖では実行可能であるとは考えられていない。ユビキチンの一次配列内の、K11とK48との間の追加のリジン及びアルギニン残基の後での、トリプシンによる切断は、単一ペプチド内での修飾K11及びK48の特定を妨げる。
【0008】
分岐状ポリユビキチン鎖を検出するための間接的アプローチが、説明されている。分岐鎖の存在を実証するために、後期促進複合体/サイクロソームによって合成された連結の特異性を再プログラム化するためのキメラE2酵素とともに、K11R及びK48Rユビキチン変異体と、挿入されたTEV切断部位を含有する操作されたユビキチンとの組み合わせが使用された。Meyer,H.J.&Rape,M.Cell 157,910-921(2014)を参照されたい。
【0009】
混合トポロジーのポリユビキチンに結合する、かつ/または異なるポリユビキチン連結に対する特異性を有する多重特異性抗体は、混合トポロジーのポリユビキチン鎖または異なる連結を有するポリユビキチンでポリユビキチン化されたタンパク質の検出の簡略化、タンパク質分解及び制御におけるそのような鎖の更なる役割の検査の促進、混合トポロジーのポリユビキチンに関与する経路におけるその標的化及び調節、または少なくとも有用な選択肢などの利益を提供し得る。
【0010】
多重特異性抗ポリユビキチン抗体及び免疫コンジュゲート、ならびにそれらを使用する方法が本明細書に提供される。本抗体は、免疫組織化学、ウェスタンブロット、免疫沈降、ELISAなどの検出手順、及び機能アッセイに有用であり得る。
【0011】
単一トポロジーのポリユビキチンよりも混合トポロジーのポリユビキチンに対して大きな結合力を有する抗体であって、混合トポロジーのポリユビキチンが、第1の連結及び第2の連結を含み、第1の連結及び第2の連結が、互いに異なる、抗体が本明細書に提供される。第1の連結及び第2の連結を含む混合トポロジーのポリユビキチンに結合する多重特異性抗体であって、抗体が、第1の連結に特異的な第1の抗原認識部位及び第2の連結に特異的な第2の抗原認識部位を含み、第1の連結及び第2の連結が、互いに異なる、抗体もまた本明細書に提供される。
【0012】
いくつかの実施形態において、本明細書に提供される抗体は、第1の連結に特異的な第1のVH/VL単位及び第2の連結に特異的な第2のVH/VL単位を含む。いくつかの実施形態において、本抗体は、ノブ・イン・ホール二重特異性抗体、ロイシンジッパーを含む二重特異性抗体、架橋した抗体対、抗体Fc-ヘテロ二量体分子、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、一本鎖Fv二量体、三重特異性抗体、オクトパス抗体、または二重作用FAbである。
【0013】
いくつかの実施形態において、第1の連結または第2の連結は、K11連結である。
【0014】
第1の連結または第2の連結は、K48連結である。
【0015】
第1の連結または第2の連結は、K63連結である。
【0016】
第1の連結または第2の連結は、C末端とN末端との連結である。
【0017】
第1の連結または第2の連結は、K11連結及びK48連結、K11連結及びK63連結、K11連結及びC末端とN末端との連結、K48連結及びK63連結、K48連結及びC末端とN末端との連結、またはK63連結及びC末端とN末端との連結である。
【0018】
いくつかの実施形態において、本抗体は、a)(i)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(iii)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(iv)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(v)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(vi)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR-L3、b)(i)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(iii)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(iv)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(v)配列番号27のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(vi)配列番号28のアミノ酸配列を含むHVR-L3、c)(i)配列番号37のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii)配列番号38のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(iii)配列番号39のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(iv)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(v)配列番号41のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(vi)配列番号42のアミノ酸配列を含むHVR-L3、またはd)(i)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(iii)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(iv)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(v)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(vi)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む第1の半抗体を含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、本抗体は、a)(i)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(iii)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(iv)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(v)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(vi)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR-L3、b)(i)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(iii)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(iv)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(v)配列番号27のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(vi)配列番号28のアミノ酸配列を含むHVR-L3、c)(i)配列番号37のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii)配列番号38のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(iii)配列番号39のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(iv)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(v)配列番号41のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(vi)配列番号42のアミノ酸配列を含むHVR-L3、またはd)(i)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(iii)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(iv)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(v)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(vi)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む第2の半抗体を含み、第2の半抗体のHVRは、第1の半抗体のHVRと同一ではない。
【0020】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、a)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、(i)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(iii)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(iv)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(v)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(vi)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、(i)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(iii)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(iv)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(v)配列番号27のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(vi)配列番号28のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含むか、b)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、(i)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(iii)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(iv)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(v)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(vi)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、(i)配列番号37のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii)配列番号38のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(iii)配列番号39のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(iv)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(v)配列番号41のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(vi)配列番号42のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含むか、c)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、(i)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(iii)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(iv)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(v)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(vi)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、(i)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(iii)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(iv)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(v)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(vi)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含むか、d)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、(i)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(iii)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(iv)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(v)配列番号27のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(vi)配列番号28を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、(i)配列番号37のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii)配列番号38のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(iii)配列番号39のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(iv)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(v)配列番号41のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(vi)配列番号42のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含むか、e)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、(i)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(iii)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(iv)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(v)配列番号27のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(vi)配列番号28を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、(i)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(iii)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(iv)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(v)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(vi)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含むか、またはf)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、(i)配列番号37のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii)配列番号38のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(iii)配列番号39のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(iv)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(v)配列番号41のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(vi)配列番号42のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、(i)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(iii)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(iv)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(v)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(vi)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、a)配列番号7と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号8と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列、b)配列番号21と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号22と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列、c)配列番号35と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号36と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列、またはd)配列番号49と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号50と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列を含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第2の半抗体は、a)配列番号7と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号8と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列、b)配列番号21と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号22と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列、c)配列番号35と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号36と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列、またはd)配列番号49と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号50と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列を含み、第2の半抗体のVL及びVH配列は、第1の半抗体のVL及びVH配列と同一ではない。
【0023】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、a)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号7と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号8と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号21と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号22と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列を含むか、b)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号7と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号8と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号35と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号36と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列を含むか、c)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号7と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号8と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号49と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号50と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列を含むか、d)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号21と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号22と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号35と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号36と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列を含むか、e)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号21と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号22と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号49と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号50と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列を含むか、またはf)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号35と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号36と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号49と少なくとも約95%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号50と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列を含む。
【0024】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、a)配列番号7のVL配列及び配列番号8のVH配列、b)配列番号21のVL配列及び配列番号22のVH配列、c)配列番号35のVL配列及び配列番号36のVH配列、またはd)配列番号49のVL配列及び配列番号50のVH配列を含む。
【0025】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第2の半抗体は、a)配列番号7のVL配列及び配列番号8のVH配列、b)配列番号21のVL配列及び配列番号22のVH配列、c)配列番号35のVL配列及び配列番号36のVH配列、またはd)配列番号49のVL配列及び配列番号50のVH配列を含み、第2の半抗体のVL及びVH配列は、第1の半抗体のVL及びVH配列と同一ではない。
【0026】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、a)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号7のVL配列及び配列番号8のVH配列を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号21のVL配列及び配列番号22のVH配列を含むか、b)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号7のVL配列及び配列番号8のVH配列を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号35のVL配列及び配列番号36のVH配列を含むか、c)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号7のVL配列及び配列番号8のVH配列を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号49のVL配列及び配列番号50のVH配列を含むか、d)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号21のVL配列及び配列番号22のVH配列を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号35のVL配列及び配列番号36のVH配列を含むか、e)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号21のVL配列及び配列番号22のVH配列を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号49のVL配列及び配列番号50のVH配列を含むか、f)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号35のVL配列及び配列番号36のVH配列を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号49のVL配列及び配列番号50のVH配列を含む。
【0027】
いくつかの実施形態において、本抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態において、本抗体は、マウス、ウサギ、ヒト、ヒト化、またはキメラ抗体である。いくつかの実施形態において、本抗体は、IgG抗体である。いくつかの実施形態において、本抗体は、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、またはIgG4抗体である。いくつかの実施形態において、本抗体は、IgG1またはIgG4抗体である。
【0028】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、ノブ変異を含む第1の重鎖定常領域を含み、第2の半抗体は、ホール変異を含む第2の重鎖定常領域を含むか、または第1の半抗体は、ホール変異を含む第1の重鎖定常領域を含み、第2の半抗体は、ノブ変異を含む第2の重鎖定常領域を含む。
【0029】
いくつかの実施形態において、本抗体は、IgG1抗体であり、ノブ変異は、T366W変異を含む。いくつかの実施形態において、本抗体は、IgG1抗体であり、ホール変異は、T366S、L368A、及びY407Vから選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つの変異を含む。いくつかの実施形態において、本抗体は、IgG4抗体であり、ノブ変異は、T366W変異を含む。いくつかの実施形態において、本抗体は、IgG4抗体であり、ホール変異は、T366S、L368A、及びY407V変異から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つの変異を含む。
【0030】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、a)配列番号2と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、b)配列番号16と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、c)配列番号30と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、またはd)配列番号44と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列を含む。
【0031】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、a)配列番号4と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、b)配列番号18と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、c)配列番号32と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、またはd)配列番号46と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0032】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、a)配列番号2と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号4と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、b)配列番号16と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号18と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、c)配列番号30と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号32と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、またはd)配列番号44と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号46と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0033】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、a)配列番号6と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、b)配列番号20と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、c)配列番号34と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、またはd)配列番号48と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0034】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、a)配列番号2と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号6と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、b)配列番号16と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号20と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、c)配列番号30と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号34と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、またはd)配列番号44と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号48と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0035】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第2の半抗体は、a)配列番号2と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、b)配列番号16と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、c)配列番号30と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、またはd)配列番号44と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列を含み、第2の半抗体の軽鎖及び重鎖配列は、第1の半抗体の軽鎖及び重鎖配列と同一ではない。
【0036】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第2の半抗体は、a)配列番号4と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、b)配列番号18と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、c)配列番号32と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、またはd)配列番号46と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、第2の半抗体の軽鎖及び重鎖配列は、第1の半抗体の軽鎖及び重鎖配列とは同一ではなく、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0037】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第2の半抗体は、a)配列番号2と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号4と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、b)配列番号16と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号18と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、c)配列番号30と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号32と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、またはd)配列番号44と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号46と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、第2の半抗体の軽鎖及び重鎖配列は、第1の半抗体の軽鎖及び重鎖配列とは同一ではなく、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0038】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第2の半抗体は、a)配列番号6と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、b)配列番号20と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、c)配列番号34と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、またはd)配列番号48と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、第2の半抗体の軽鎖及び重鎖配列は、第1の半抗体の軽鎖及び重鎖配列とは同一ではなく、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0039】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第2の半抗体は、a)配列番号2と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号6と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、b)配列番号16と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号20と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、c)配列番号30と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号34と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列、またはd)配列番号44と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号48と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、第2の半抗体の軽鎖及び重鎖配列は、第1の半抗体の軽鎖及び重鎖配列とは同一ではなく、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0040】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、a)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号2と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号4と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号16と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号20と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含むか、b)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号2と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号4と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号30と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号34と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含むか、c)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号2と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号4と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号44と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号48と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含むか、d)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号2と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号6と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号16と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号18と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含むか、e)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号2と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号6と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号30と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号32と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含むか、f)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号2と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号6と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号44と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号46と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含むか、g)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号16と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号18と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号30と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号34と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含むか、h)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号16と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号18と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号44と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号48と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含むか、i)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号30と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号32と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号44と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号48と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含むか、j)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号16と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号20と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号30と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号32と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含むか、k)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号16と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号20と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号44と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号46と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含むか、またはl)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号30と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号34と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号44と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号46と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0041】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、a)配列番号2の軽鎖配列、b)配列番号16の軽鎖配列、c)配列番号30の軽鎖配列、またはd)配列番号44の軽鎖配列を含む。
【0042】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、a)配列番号4の重鎖配列、b)配列番号18の重鎖配列、c)配列番号32の重鎖配列、またはd)配列番号46の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0043】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、a)配列番号2の軽鎖配列及び配列番号4の重鎖配列、b)配列番号16の軽鎖配列及び配列番号18の重鎖配列、c)配列番号30の軽鎖配列及び配列番号32の重鎖配列、またはd)配列番号44の軽鎖配列及び配列番号46の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0044】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、a)配列番号6の重鎖配列、b)配列番号20の重鎖配列、c)配列番号34の重鎖配列、またはd)配列番号48の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0045】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、a)配列番号2の軽鎖配列及び配列番号6の重鎖配列、b)配列番号16の軽鎖配列及び配列番号20の重鎖配列、c)配列番号30の軽鎖配列及び配列番号34の重鎖配列、またはd)配列番号44の軽鎖配列及び配列番号48の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0046】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第2の半抗体は、a)配列番号2の軽鎖配列、b)配列番号16の軽鎖配列、c)配列番号30の軽鎖配列、またはd)配列番号44の軽鎖配列を含み、第2の半抗体の軽鎖及び重鎖配列は、第1の半抗体の軽鎖及び重鎖配列とは同一ではなく、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0047】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第2の半抗体は、a)配列番号4の重鎖配列、b)配列番号18の重鎖配列、c)配列番号32の重鎖配列、またはd)配列番号46の重鎖配列を含み、第2の半抗体の軽鎖及び重鎖配列は、第1の半抗体の軽鎖及び重鎖配列とは同一ではなく、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0048】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第2の半抗体は、a)配列番号2の軽鎖配列及び配列番号4の重鎖配列、b)配列番号16の軽鎖配列及び配列番号18の重鎖配列、c)配列番号30の軽鎖配列及び配列番号32の重鎖配列、またはd)配列番号44の軽鎖配列及び配列番号46の重鎖配列を含み、第2の半抗体の軽鎖及び重鎖配列は、第1の半抗体の軽鎖及び重鎖配列とは同一ではなく、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0049】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第2の半抗体は、a)配列番号6の重鎖配列、b)配列番号20の重鎖配列、c)配列番号34の重鎖配列、またはd)配列番号48の重鎖配列を含み、第2の半抗体の軽鎖及び重鎖配列は、第1の半抗体の軽鎖及び重鎖配列とは同一ではなく、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0050】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第2の半抗体は、a)配列番号2の軽鎖配列及び配列番号6の重鎖配列、b)配列番号16の軽鎖配列及び配列番号20の重鎖配列、c)配列番号30の軽鎖配列及び配列番号34の重鎖配列、またはd)配列番号44の軽鎖配列及び配列番号48の重鎖配列を含み、第2の半抗体の軽鎖及び重鎖配列は、第1の半抗体の軽鎖及び重鎖配列と同一ではない。
【0051】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、a)第1の半抗体は、配列番号2の軽鎖配列及び配列番号4の重鎖配列を含み、第2の半抗体は、配列番号16の軽鎖配列及び配列番号20の重鎖配列を含むか、b)第1の半抗体は、配列番号2の軽鎖配列及び配列番号4の重鎖配列を含み、第2の半抗体は、配列番号30の軽鎖配列及び配列番号34の重鎖配列を含むか、c)第1の半抗体は、配列番号2の軽鎖配列及び配列番号4の重鎖配列を含み、第2の半抗体は、配列番号44の軽鎖配列及び配列番号48の重鎖配列を含むか、d)第1の半抗体は、配列番号2の軽鎖配列及び配列番号6の重鎖配列を含み、第2の半抗体は、配列番号16の軽鎖配列及び配列番号18の重鎖配列を含むか、e)第1の半抗体は、配列番号2の軽鎖配列及び配列番号6の重鎖配列を含み、第2の半抗体は、配列番号30の軽鎖配列及び配列番号32の重鎖配列を含むか、f)第1の半抗体は、配列番号2の軽鎖配列及び配列番号6の重鎖配列を含み、第2の半抗体は、配列番号44の軽鎖配列及び配列番号46の重鎖配列を含むか、g)第1の半抗体は、配列番号16の軽鎖配列及び配列番号18の重鎖配列を含み、第2の半抗体は、配列番号30の軽鎖配列及び配列番号34の重鎖配列を含むか、h)第1の半抗体は、配列番号16の軽鎖配列及び配列番号18の重鎖配列を含み、第2の半抗体は、配列番号44の軽鎖配列及び配列番号48の重鎖配列を含むか、i)第1の半抗体は、配列番号30の軽鎖配列及び配列番号32の重鎖配列を含み、第2の半抗体は、配列番号44の軽鎖配列及び配列番号48の重鎖配列を含むか、j)第1の半抗体は、配列番号16の軽鎖配列及び配列番号20の重鎖配列を含み、第2の半抗体は、配列番号30の軽鎖配列及び配列番号32の重鎖配列を含むか、k)第1の半抗体は、配列番号16の軽鎖配列及び配列番号20の重鎖配列を含み、第2の半抗体は、配列番号44の軽鎖配列及び配列番号46の重鎖配列を含むか、またはl)第1の半抗体は、配列番号30の軽鎖配列及び配列番号34の重鎖配列を含み、第2の半抗体は、配列番号44の軽鎖配列及び配列番号46の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0052】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、配列番号2の軽鎖配列及び配列番号4の重鎖配列を含み、第2の半抗体は、配列番号16の軽鎖配列及び配列番号20の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0053】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、配列番号2の軽鎖配列及び配列番号4の重鎖配列を含み、第2の半抗体は、配列番号30の軽鎖配列及び配列番号34の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0054】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、配列番号2の軽鎖配列及び配列番号4の重鎖配列を含み、第2の半抗体は、配列番号44の軽鎖配列及び配列番号48の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0055】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、配列番号2の軽鎖配列及び配列番号6の重鎖配列を含み、第2の半抗体は、配列番号16の軽鎖配列及び配列番号18の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0056】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、配列番号2の軽鎖配列及び配列番号6の重鎖配列を含み、第2の半抗体は、配列番号30の軽鎖配列及び配列番号32の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0057】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、配列番号2の軽鎖配列及び配列番号6の重鎖配列を含み、第2の半抗体は、配列番号44の軽鎖配列及び配列番号46の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0058】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、配列番号16の軽鎖配列及び配列番号18の重鎖配列を含み、第2の半抗体は、配列番号30の軽鎖配列及び配列番号34の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0059】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、配列番号16の軽鎖配列及び配列番号18の重鎖配列を含み、第2の半抗体は、配列番号44の軽鎖配列及び配列番号48の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0060】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、配列番号30の軽鎖配列及び配列番号32の重鎖配列を含み、第2の半抗体は、配列番号44の軽鎖配列及び配列番号48の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0061】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、配列番号16の軽鎖配列及び配列番号20の重鎖配列を含み、第2の半抗体は、配列番号30の軽鎖配列及び配列番号32の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0062】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、配列番号16の軽鎖配列及び配列番号20の重鎖配列を含み、第2の半抗体は、配列番号44の軽鎖配列及び配列番号46の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0063】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、配列番号30の軽鎖配列及び配列番号34の重鎖配列を含み、第2の半抗体は、配列番号44の軽鎖配列及び配列番号46の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0064】
混合トポロジーのポリユビキチンへの結合について、本明細書に開示される抗体と競合する、抗体もまた本明細書に提供される。本明細書に開示される抗体と同じ混合トポロジーのポリユビキチンのエピトープに結合する、抗体もまた本明細書に提供される。
【0065】
いくつかの実施形態において、本明細書に提供される抗体は、二重特異性抗体である。いくつかの実施形態において、本抗体は、ダイアボディ、トリアボディ、またはテトラボディである。
【0066】
いくつかの実施形態において、本抗体は、標識にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態において、標識は、蛍光、酵素、または発色標識である。いくつかの実施形態において、標識は、放射性同位体であり、任意でポジトロン放出体であり、任意でポジトロン放出体であり、任意で89Zrである。
【0067】
本明細書に開示される抗体を含む組成物であって、単一特異性抗体、未組み立て半抗体、または単一特異性抗体及び未組み立て半抗体の両方を実質的に含まない、組成物もまた本明細書に提供される。
【0068】
本明細書に開示される抗体と、細胞毒性剤とを含む、免疫コンジュゲートもまた本明細書に提供される。
【0069】
薬学的に許容される担体と、本明細書に開示される抗体または免疫コンジュゲートのうちの少なくとも1つとを含む、薬学的製剤もまた本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、本組成物は、単一特異性抗体、未組み立て半抗体、または単一特異性抗体及び未組み立て半抗体の両方を実質的に含まない。
【0070】
本明細書に開示される抗体、本明細書に開示される抗体の第1の半抗体、または本明細書に開示される抗体の第2の半抗体をコードする、単離された核酸もまた本明細書に提供される。本明細書に開示される核酸を含む、宿主細胞もまた本明細書に提供される。抗体または半抗体が産生されるように、本明細書に開示される宿主細胞を培養することを含む、抗体または半抗体を産生する方法もまた本明細書に提供される。
【0071】
本明細書に開示される抗体を作製する方法であって、第1の半抗体及び第2の半抗体から抗体を形成することを含む、方法もまた本明細書に提供される。
【0072】
生体試料中の混合トポロジーのポリユビキチンを検出する方法であって、抗体の混合トポロジーのポリユビキチンへの結合を許容する条件下で、生体試料を本明細書に開示される抗体と接触させることと、抗体と生体試料中の混合トポロジーのポリユビキチンとの間に複合体が形成されたかを検出することとを含む、方法もまた本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、混合トポロジーのポリユビキチンは、非ユビキチンポリペプチドに共有結合している。いくつかの実施形態において、混合トポロジーのポリユビキチンは、分岐状である。いくつかの実施形態において、混合トポロジーのポリユビキチンは、非分岐状である。いくつかの実施形態において、混合トポロジーのポリユビキチンは、第1の連結及び第1の連結とは異なる第2の連結を含み、第1及び第2の連結は各々独立して、K11連結、K48連結、K63連結、またはC末端とN末端との連結である。いくつかの実施形態において、混合トポロジーのポリユビキチンは、K11連結及びK11連結とは異なる第2の連結を含む。いくつかの実施形態において、混合トポロジーのポリユビキチンは、K48連結及びK48連結とは異なる第2の連結を含む。いくつかの実施形態において、混合トポロジーのポリユビキチンは、K63連結及びK63連結とは異なる第2の連結を含む。いくつかの実施形態において、混合トポロジーのポリユビキチンは、C末端とN末端との連結及びC末端とN末端との連結とは異なる第2の連結を含む。いくつかの実施形態において、混合トポロジーのポリユビキチンは、K11連結及びK48連結、K11連結及びK63連結、K11連結及びC末端とN末端との連結、K48連結及びK63連結、K48連結及びC末端とN末端との連結、またはK63連結及びC末端とN末端との連結を含む。
【0073】
生体試料中のポリユビキチン化タンパク質を検出する方法であって、ポリユビキチン化タンパク質が、2つ以上の位置において少なくとも第1及び第2のポリユビキチンでポリユビキチン化され、第1及び第2のポリユビキチンが、異なる連結を有し、抗体のポリユビキチン化タンパク質への結合を許容する条件下で、生体試料を請求項1~69のいずれか1項に記載の抗体と接触させることと、抗体と生体試料中のポリユビキチン化タンパク質との間に複合体が形成されたかを検出することとを含む、方法もまた本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、第1及び第2のポリユビキチンはそれぞれ、K11連結及びK11連結とは異なる第2の連結、K48連結及びK48連結とは異なる第2の連結、K63連結及びK63連結とは異なる第2の連結、C末端とN末端との連結及びC末端とN末端との連結とは異なる第2の連結、K11連結及びK48連結、K11連結及びK63連結、K11連結及びC末端とN末端との連結、K48連結及びK63連結、K48連結及びC末端とN末端との連結、またはK63連結及びC末端とN末端との連結を含む。
【図面の簡単な説明】
【0074】
図1a-b】図1a~dは、二重特異性抗K11/K48ポリユビキチン連結特異性抗体の操作、精製、及び特徴付け。a、ノブ半抗体及びホール半抗体をCHO細胞内で別個に組み換え発現させ、個々に親和性精製し、その後、インビトロで組み立てた。b、精製後のノブ半抗体及びホール半抗体、ならび組み立てた二重特異性抗体のSDS-PAGE分析。DTTの不在(-)または存在(+)下で試料を泳動させた。HL標識は、半抗体種を表し、H標識は、完全抗体を表す。還元した試料中、重鎖(H)及び軽鎖(L)を示す。c、抗K11ノブ半抗体及び抗K48ホール半抗体、ならびに組み立てた抗K11/K48二重特異性抗体の分析的サイズ排除分析。d、精製した抗K11/K48二重特異性抗体の質量分析。上部パネルは、カルボキシペプチダーゼB(CPB)の不在下のものであり、下部パネルは、CPBでの消化後のものである。
図1c-d】図1a~dは、二重特異性抗K11/K48ポリユビキチン連結特異性抗体の操作、精製、及び特徴付け。a、ノブ半抗体及びホール半抗体をCHO細胞内で別個に組み換え発現させ、個々に親和性精製し、その後、インビトロで組み立てた。b、精製後のノブ半抗体及びホール半抗体、ならび組み立てた二重特異性抗体のSDS-PAGE分析。DTTの不在(-)または存在(+)下で試料を泳動させた。HL標識は、半抗体種を表し、H標識は、完全抗体を表す。還元した試料中、重鎖(H)及び軽鎖(L)を示す。c、抗K11ノブ半抗体及び抗K48ホール半抗体、ならびに組み立てた抗K11/K48二重特異性抗体の分析的サイズ排除分析。d、精製した抗K11/K48二重特異性抗体の質量分析。上部パネルは、カルボキシペプチダーゼB(CPB)の不在下のものであり、下部パネルは、CPBでの消化後のものである。
図2a図2a~cは、半抗体及び対照二重特異性抗体の特徴付け。a、抗K11ホール半抗体及び抗gDノブ半抗体、ならびに組み立てた抗K11/gD及び抗K48/gD二重特異性対照抗体の分析的サイズ排除分析。b、親和性精製した抗K11ノブ半抗体、抗K11ホール半抗体、抗K48ホール半抗体、及び抗gDノブ半抗体の質量分析。各半抗体の上部パネルは、カルボキシペプチダーゼB(CPB)の不在下のものであり、下部パネルは、CPBでの消化後のものである。上部パネル内の矢印は、CPB処理時に消失する、抗K11ノブ半抗体、抗K11ホール半抗体、及び抗gDノブ半抗体に対する+128Daの付加を示し、これは、それが抗体の一部分に依然結合したままである重鎖カルボキシ末端リジンによるものであることを示す。c、精製した抗K11/gD及び抗K48/gD対照二重特異性抗体の質量分析。各二重特異性抗体の上部パネルは、カルボキシペプチダーゼB(CPB)の不在下のものであり、下部パネルは、CPBでの消化後のものである。
図2b図2a~cは、半抗体及び対照二重特異性抗体の特徴付け。a、抗K11ホール半抗体及び抗gDノブ半抗体、ならびに組み立てた抗K11/gD及び抗K48/gD二重特異性対照抗体の分析的サイズ排除分析。b、親和性精製した抗K11ノブ半抗体、抗K11ホール半抗体、抗K48ホール半抗体、及び抗gDノブ半抗体の質量分析。各半抗体の上部パネルは、カルボキシペプチダーゼB(CPB)の不在下のものであり、下部パネルは、CPBでの消化後のものである。上部パネル内の矢印は、CPB処理時に消失する、抗K11ノブ半抗体、抗K11ホール半抗体、及び抗gDノブ半抗体に対する+128Daの付加を示し、これは、それが抗体の一部分に依然結合したままである重鎖カルボキシ末端リジンによるものであることを示す。c、精製した抗K11/gD及び抗K48/gD対照二重特異性抗体の質量分析。各二重特異性抗体の上部パネルは、カルボキシペプチダーゼB(CPB)の不在下のものであり、下部パネルは、CPBでの消化後のものである。
図2c図2a~cは、半抗体及び対照二重特異性抗体の特徴付け。a、抗K11ホール半抗体及び抗gDノブ半抗体、ならびに組み立てた抗K11/gD及び抗K48/gD二重特異性対照抗体の分析的サイズ排除分析。b、親和性精製した抗K11ノブ半抗体、抗K11ホール半抗体、抗K48ホール半抗体、及び抗gDノブ半抗体の質量分析。各半抗体の上部パネルは、カルボキシペプチダーゼB(CPB)の不在下のものであり、下部パネルは、CPBでの消化後のものである。上部パネル内の矢印は、CPB処理時に消失する、抗K11ノブ半抗体、抗K11ホール半抗体、及び抗gDノブ半抗体に対する+128Daの付加を示し、これは、それが抗体の一部分に依然結合したままである重鎖カルボキシ末端リジンによるものであることを示す。c、精製した抗K11/gD及び抗K48/gD対照二重特異性抗体の質量分析。各二重特異性抗体の上部パネルは、カルボキシペプチダーゼB(CPB)の不在下のものであり、下部パネルは、CPBでの消化後のものである。
【発明を実施するための形態】
【0075】
I.定義
本明細書で使用される場合、VHは、重鎖可変ドメインを指し、VLは、軽鎖可変ドメインを指す。
【0076】
本明細書における目的のための「アクセプターヒトフレームワーク」は、以下に定義される、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークに由来するVLフレームワークまたはVHフレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワーク「に由来する」アクセプターヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含み得るか、またはそれは、アミノ酸配列変化を含有し得る。いくつかの実施形態において、アミノ酸変化の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、または2以下である。いくつかの実施形態において、VLアクセプターヒトフレームワークは、VLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列またはヒトコンセンサスフレームワーク配列と配列が同一である。
【0077】
本明細書で使用される場合、「約」は、述べられる値よりも10%多いかもしくは少ないか、述べられる値と機能的に同等の結果をもたらすか、または述べられる値へと四捨五入される値を指す。
【0078】
「親和性」は、ある分子(例えば、抗体)とその結合パートナー(例えば、抗原)との単一結合部位間の非共有結合相互作用の合計の強度を指す。別段示されない限り、本明細書で使用される場合、「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば、抗体及び抗原)間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子XのそのパートナーYに対する親和性は一般に、解離定数(Kd)によって表され得る。親和性は、本明細書に記載される方法を含む、当該技術分野において既知である一般的な方法によって測定することができる。結合親和性を測定するための具体的な例証的かつ例示的な実施形態が、以下に記載される。
【0079】
「結合力」は、分子(例えば、抗体)とその結合パートナー(例えば、1つ以上の抗原を含む標的分子)との間の非共有結合相互作用の合計の強度を指す。分子XのそのパートナーYに対する結合力は一般に、解離定数(Kd)によって表され得る。二重特異性抗体は一般に、エピトープのうちのいずれかを個々に含む結合パートナーに対するよりも、二重特異性抗体の抗原結合部位の両方によって認識されるエピトープを含む結合パートナーに対する大きな結合力を有するだろう。結合力は、本明細書に記載される方法を含む、当該技術分野において既知である一般的な方法によって測定することができる。結合力を測定するための具体的な例証的かつ例示的な実施形態が、以下に記載される。「機能的親和性」という用語は、当該技術分野において、結合力を指すために使用されることがある。
【0080】
「親和性成熟」抗体は、そのような改変を所有しない親抗体と比較して、1つ以上の超可変領域(HVR)に1つ以上の改変を有し、そのような改変により抗体の抗原に対する親和性が改善される抗体を指す。
【0081】
「抗体」という用語は、本明細書で最も広義に使用され、それらが所望の抗原結合活性を呈する限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片を含むが、これらに限定されない、様々な抗体構造を包含する。本明細書で使用される場合、「多重特異性抗体」という用語は、多重エピトープ特異性を有する(すなわち、1つの分子上の2つもしくはそれ以上の異なるエピトープに結合することができるか、または2つもしくはそれ以上の異なる分子上のエピトープに結合することができる)抗原結合ドメインを含む抗体を指す。
【0082】
本明細書で使用される場合、「アゴニスト抗体」は、対象となるポリペプチドの機能的活性のうちの少なくとも1つを模倣する抗体である。
【0083】
「アンタゴニスト抗体」または「遮断抗体」は、それが特異的に結合する抗原の生物学的活性を阻害するか、または低下させる抗体である。特定の遮断抗体またはアンタゴニスト抗体は、抗原の生物学的活性を実質的にまたは完全に阻害する。
【0084】
本明細書で使用される場合、「抗体薬物コンジュゲート」(ADC)という用語は、「免疫コンジュゲート」という用語と等しい。
【0085】
「抗体断片」は、無傷抗体の一部分を含み、無傷抗体が結合する抗原に結合する、無傷抗体以外の分子を指す。抗体断片の例としては、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子(例えば、scFv)、及び抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
基準抗体と「同じエピトープに結合する抗体」は、競合アッセイにおいて、基準抗体のその抗原への結合を50%以上遮断する抗体、及び逆に、競合アッセイにおいて、抗体のその抗原への結合を50%以上遮断する基準抗体を指す。例示的な競合アッセイが本明細書に提供される。
【0087】
「抗混合トポロジーのポリユビキチン抗体」及び「混合トポロジーのポリユビキチンに結合する抗体」という用語は、抗体が混合トポロジーのポリユビキチンを標的とする上で診断剤及び/または治療剤として有用になるように、十分な結合力で混合トポロジー的に連結したポリユビキチンに結合することができる抗体を指す。いくつかの実施形態において、抗混合トポロジーのポリユビキチン抗体の無関係の非混合トポロジー的に連結したポリユビキチンタンパク質への結合の程度は、例えば、放射免疫アッセイ(RIA)により測定される、その抗体の混合トポロジーのポリユビキチンへの結合の約10%未満である。特定の実施形態において、混合トポロジーのポリユビキチンに結合する抗体は、1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、0.1nM以下、0.01nM以下、または0.001nM以下(例えば、10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)の解離定数(Kd)を有する。特定の実施形態において、抗混合トポロジーのポリユビキチン抗体は、異なる種由来の混合トポロジーのポリユビキチン間で保存される混合トポロジーのポリユビキチンのエピトープに結合する。
【0088】
本明細書で使用される場合、「抗ポリユビキチン抗体」という用語は、ポリユビキチン分子に特異的に結合することができる抗体を指す。
【0089】
本明細書で使用される場合、「抗ユビキチン抗体」及び「抗モノユビキチン抗体」という用語は、互換的に使用され、ユビキチン分子に特異的に結合することができる抗体を指す。
【0090】
「がん」及び「がん性」という用語は、未制御の細胞成長/増殖を典型的に特徴とする、哺乳動物における生理学的病態を指すか、または説明する。がんの例としては、癌腫、リンパ腫(例えば、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫)、芽細胞腫、肉腫、ならびに白血病が挙げられるが、これらに限定されない。そのようながんのより具体的な例としては、扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、肺の扁平上皮癌、腹膜の癌、肝細胞癌、消化管癌、膵臓癌、神経膠腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌または子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝癌、白血病及び他のリンパ増殖性障害、ならびに様々な種類の頭頸部癌が挙げられる。
【0091】
「キメラ」抗体という用語は、重鎖及び/または軽鎖の一部分が特定の源または種に由来する一方で、重鎖及び/または軽鎖の残りが異なる源または種に由来する抗体を指す。
【0092】
抗体の「クラス」は、その重鎖によって保有される定常ドメインまたは定常領域の種類を指す。抗体には、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMの5つの主要なクラスが存在し、これらのうちのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG、IgG、IgG、IgG、IgA、及びIgAに更に分けられ得る。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインはそれぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。
【0093】
本明細書で使用される場合、「細胞毒性剤」という用語は、細胞機能を阻害もしくは防止する、かつ/または細胞死もしくは破壊を引き起こす物質を指す。細胞毒性剤としては、放射性同位体(例えばAt211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、及びLuの放射性同位体)、化学療法剤または化学療法薬(例えば、メトトレキサート、アドリアミシン、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、ミトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシン、または他の挿入剤)、成長阻害剤、酵素及びその断片(核酸分解酵素など)、抗生物質、毒素(細菌、真菌、植物、または動物起源の小分子毒素または酵素的に活性な毒素など)(それらの断片及び/またはバリアントを含む)、ならびに以下に開示される様々な抗腫瘍剤または抗がん剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0094】
「エフェクター機能」は、抗体のアイソタイプにより異なる抗体のFc領域に起因し得る生物学的活性を指す。抗体エフェクター機能の例としては、C1q結合及び補体依存性細胞毒性(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介細胞毒性(ADCC)、食作用、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方制御、ならびにB細胞活性化が挙げられる。
【0095】
薬剤、例えば、薬学的製剤の「有効量」は、必要な投薬量で必要な期間にわたって所望の治療または予防結果を達成するのに有効な量を指す。
【0096】
「エピトープ」という用語は、抗体が結合する抗原分子上の特定の部位を指す。
【0097】
本明細書における「Fc領域」という用語は、定常領域の少なくとも一部分を含有する免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。この用語は、天然配列Fc領域及びバリアントFc領域を含む。いくつかの実施形態において、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226から、またはPro230から、重鎖のカルボキシル末端まで延びる。しかしながら、Fc領域のC末端リジン(Lys447)は、存在する場合もあれば、存在しない場合もある。本明細書において別段明記されない限り、Fc領域または定常領域内のアミノ酸残基の番号付けは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991に記載される、EUインデックスとも呼ばれるEU番号付けシステムに従う。
【0098】
本明細書で使用される場合、「第1の」、「第2の」などは、複合体構造、例えば、三次/四次構造を有するタンパク質(抗体またはポリユビキチンなどの他の組み立て体など)の要素を参照して、それらの要素の順序付けまたは位置付け暗示することなく、それらの要素(例えば、モノマー、鎖、ドメイン)を指すために使用され、故に「第1の」要素は、第2の要素に対してC末端またはN末端であっても、第2の要素よりも構造の一端または別の端の近くであるか、またはそれから離れていてもよい。故に、例えば、二重特異性抗体の半分または混合トポロジーのポリユビキチン内の連結を参照して、半分または連結を第1または第2として表現することは、任意である。
【0099】
「フレームワーク」または「FR」は、超可変領域(HVR)残基以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは一般に、FR1、FR2、FR3、及びFR4の4つのFRドメインからなる。したがって、HVR及びFR配列は一般に、VH(またはVL)において以下の配列、FR1-H1(L1)-FR2-H2(L2)-FR3-H3(L3)-FR4で出現する。
【0100】
「完全長抗体」、「無傷抗体」、及び「全抗体」という用語は、本明細書において、天然抗体構造と実質的に同様の構造を有するか、または本明細書に定義されるFc領域を含有する重鎖を有する抗体を指すために互換的に使用される。
【0101】
「宿主細胞」、「宿主細胞株」、及び「宿主細胞培養物」という用語は、互換的に使用され、外因性核酸が中に導入されている細胞を指し、そのような細胞の子孫を含む。宿主細胞としては、「形質転換体」及び「形質転換細胞」が挙げられ、これらには、初代形質転換細胞及び継代の数に関わらずそれに由来する子孫が含まれる。子孫は、核酸含有量が親細胞と完全に同一ではない場合があるが、変異を含み得る。最初に形質転換された細胞についてスクリーニングまたは選択されたものと同じ機能または生物学的活性を有する変異子孫が、本明細書に含まれる。
【0102】
「ヒト抗体」は、ヒトもしくはヒト細胞により産生された抗体、またはヒト抗体レパートリーもしくは他のヒト抗体コード配列を利用する非ヒト源に由来する抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を所有するものである。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を明確に除外する。
【0103】
「ウサギ抗体」は、ウサギもしくはウサギ細胞により産生された抗体、またはウサギ抗体レパートリーもしくは他のウサギ抗体コード配列を利用する非ウサギ源に由来する抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を所有するものである。
【0104】
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVLまたはVHフレームワーク配列の選択において最も一般的に生じるアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般に、ヒト免疫グロブリンVLまたはVH配列の選択は、可変ドメイン配列の下位群からである。一般に、配列の下位群は、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,NIH Publication 91-3242,Bethesda MD(1991),vols.1-3にあるような下位群である。いくつかの実施形態において、VLでは、下位群は、Kabatら(上記参照)にあるような下位群カッパIである。いくつかの実施形態において、VHでは、下位群は、Kabatら(上記参照)にあるような下位群IIIである。
【0105】
「ヒト化」抗体は、非ヒトHVRからのアミノ酸残基及びヒトFRからのアミノ酸残基を含むキメラ抗体を指す。特定の実施形態において、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、及び典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、そのHVR(例えば、CDR)の全てまたは実質的に全てが非ヒト抗体のものに対応し、FRの全てまたは実質的に全てがヒト抗体のものに対応する。ヒト化抗体は、任意で、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部分を含み得る。抗体、例えば、非ヒト抗体の「ヒト化型」は、ヒト化を受けた抗体を指す。
【0106】
本明細書で使用される場合、「超可変領域」または「HVR」という用語は、配列が超可変である、かつ/または構造的に定義されたループ(「超可変ループ」)を形成する、抗体可変ドメインの領域の各々を指す。一般に、天然4本鎖抗体は、6つのHVRを含み、3つがVHにあり(H1、H2、H3)、3つがVLにある(L1、L2、L3)。HVRは一般に、超可変ループ及び/または「相補性決定領域」(CDR)からのアミノ酸残基を含み、後者は、最も高い配列可変性を有する、かつ/または抗原認識に関与する。例示的な超可変ループは、アミノ酸残基26~32(L1)、50~52(L2)、91~96(L3)、26~32(H1)、53~55(H2)、及び96~101(H3)において生じる。(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901-917(1987)。)例示的なCDR(CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3、CDR-H1、CDR-H2、及びCDR-H3)は、アミノ酸残基L1の24~34、L2の50~56、L3の89~97、H1の31~35B、H2の50~65、及びH3の95~102において生じる。(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991)。)VH内のCDR1を除いて、CDRは一般に、超可変ループを形成するアミノ酸残基を含む。CDRはまた、抗原と接触する残基である「特異性決定残基」または「SDR」も含む。SDRは、短縮-CDR、またはa-CDRと呼ばれるCDRの領域内に収容される。例示的なa-CDR(a-CDR-L1、a-CDR-L2、a-CDR-L3、a-CDR-H1、a-CDR-H2、及びa-CDR-H3)は、アミノ酸残基31~34(L1)、50~55(L2)、89~96(L3)、31~35B(H1)、50~58(H2)、及び95~102(H3)に生じる。(Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619-1633(2008)を参照されたい。)別段示されない限り、可変ドメイン内のHVR残基及び他の残基(例えば、FR残基)は、本明細書において、Kabatら(上記参照)に従って番号付けされる。
【0107】
「免疫コンジュゲート」は、細胞毒性剤を含むが、これに限定されない1つ以上の異種分子(複数可)にコンジュゲートされる抗体である。免疫コンジュゲートは、「抗体薬物コンジュゲート」(ADC)という用語と等しい。
【0108】
「個体」または「患者」は、哺乳動物である。哺乳動物としては、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、及びウマ)、霊長類(例えば、ヒト、及びサルなどの非ヒト霊長類)、ウサギ、ならびに齧歯類(例えば、マウス及びラット)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、個体または対象は、ヒトである。
【0109】
「単離された抗体」は、その天然環境の構成成分から分離された抗体である。いくつかの実施形態において、抗体は、例えば、電気泳動法(例えば、SDS-PAGE、等電点電気泳動法(IEF)、キャピラリー電気泳動法)またはクロマトグラフィー(例えば、イオン交換もしくは逆相HPLC)によって決定される、95%または99%を超える純度に精製される。抗体の純度を評価するための方法の概説については、例えば、Flatman et al.,J.Chromatogr.B 848:79-87(2007)を参照されたい。
【0110】
「単離された核酸」は、その天然環境の構成成分から分離された核酸分子である。単離された核酸は、通常核酸分子を含有する細胞内に含有される核酸分子を含むが、その核酸分子が染色体外に、またはその天然染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。
【0111】
「混合トポロジーのポリユビキチン」は、2つ以上の異なるUb対Ub連結、すなわち、ポリユビキチン内の異なる位置での異なる連結を含むポリユビキチンを指し、分岐状(少なくとも1つのモノマーが、少なくとも3つの他のモノマーまたは基質ポリペプチド及び少なくとも2つの他のモノマーに接続される)であっても、非分岐状(モノマーが、3つ以上の他のモノマーまたは2つのモノマー及び基質ポリペプチドに接続されない)であってもよい。故に、分岐状の混合トポロジーのポリユビキチンにおいて、例えば、その前のユビキチンのリジン11に連結したそのC末端との分岐点にユビキチンが存在しながら、例えば、分岐点のユビキチンのリジン11及びリジン48の両方が後続するユビキチンに連結され得る。非分岐状の混合トポロジーのポリユビキチンにおいて、ユビキチンのうちのいずれも3つ以上のユビキチンに直接接続はされないが、ユビキチンのうちの少なくとも1つは、2つの異なるユビキチンとユビキチンとの連結に関与し、例えば、そのC末端が、その前のユビキチンのリジン11に連結され得ながら、そのリジン48が後続するユビキチンに連結される。
【0112】
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に同種の抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、その集団を構成する個々の抗体は、同一である、かつ/または同じエピトープに結合するが、例えば、天然に存在する変異を含有するか、またはモノクローナル抗体調製物の産生中に生じる可能なバリアント抗体を除いて、そのようなバリアントは一般に、少量で存在する。異なる決定基(エピトープ)に対して指向された異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して指向される。故に、「モノクローナル」という修飾語は、実質的に同種の抗体集団から得られるという抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするものと解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、組み換えDNA法、ファージ提示法、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座の全てまたは一部を含有するトランスジェニック動物を利用する方法を含むが、これらに限定されない、様々な技術によって作製され得、モノクローナル抗体を作製するためのそのような方法及び他の例示的な方法が、本明細書に記載される。
【0113】
「ネイキッド抗体」は、異種部分(例えば、細胞毒性部分)または放射標識にコンジュゲートされていない抗体を指す。ネイキッド抗体は、薬学的製剤中に存在し得る。
【0114】
「天然抗体」は、異なる構造を有する天然に存在する免疫グロブリン分子を指す。例えば、天然IgG抗体は、ジスルフィド結合されている2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖で構成される、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。N末端からC末端まで、各重鎖は、可変重ドメインまたは重鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VH)を有し、その後に3つの定常ドメイン(CH1、CH2、及びCH3)が続く。同様に、N末端からC末端まで、各軽鎖は、可変軽ドメインまたは軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VL)を有し、その後に定常軽(CL)ドメインが続く。抗体の軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2つの種類のうちの1つに割り当てられ得る。
【0115】
「または」は、包括的な意味で使用され、すなわち、別段文脈が必要としない限り、「及び/または」と等しい。
【0116】
基準ポリペプチド配列に関する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、最大の配列同一性パーセントを達成するように、配列を整列させ、必要に応じてギャップを導入した後に、かついかなる保存的置換も配列同一性の一部とは見なさずに、候補配列内のアミノ酸残基が、基準ポリペプチド配列内のアミノ酸残基と同一であるパーセンテージとして定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するための整列は、当該技術分野の範囲内の様々な方法で、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して達成され得る。当業者であれば、比較されている配列の完全長にわたって最大の整列を達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列を整列させるための適切なパラメータを決定することができる。しかしながら、本明細書における目的のために、アミノ酸配列同一性%値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を使用して生成される。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.によって記述され、ソースコードは、ユーザ文書とともに米国著作権庁(Washington D.C.,20559)に提出されており、米国著作権番号TXU510087の下に登録されている。ALIGN-2プログラムは、Genentech,Inc.,South San Francisco,Californiaから公的に入手可能であるか、またはソースコードからコンパイルされ得る。ALIGN-2プログラムは、デジタルUNIX V4.0Dを含むUNIXオペレーティングシステムで使用する場合はコンパイルされるべきである。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムにより設定されており、変動しない。
【0117】
ALIGN-2がアミノ酸配列比較に用いられる状況において、所与のアミノ酸配列Bへの、それとの、またはそれに対する、所与のアミノ酸配列Aのアミノ酸配列同一性%(あるいは、所与のアミノ酸配列Bへの、それとの、またはそれに対する特定のアミノ酸配列同一性%を有するか、または含む所与のアミノ酸配列Aと表現され得る)は、以下、
100×分数X/Y
【0118】
のように計算され、式中、Xは、配列整列プログラムALIGN-2によって、そのプログラムのAとBとの整列において完全な一致としてスコア化されたアミノ酸残基の数であり、Yは、Bにおけるアミノ酸残基の総数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、AのBへのアミノ酸配列同一性%は、BのAへのアミノ酸配列同一性%とは等しくないことが理解されるだろう。別段具体的に述べられない限り、本明細書で使用される全てのアミノ酸配列同一性%値は、直前の段落に記載されるようにALIGN-2コンピュータプログラムを使用して得られる。
【0119】
「薬学的製剤」という用語は、調製物の中に含有される活性成分の生物学的活性が有効になるような形態であり、かつ製剤が投与される対象にとって許容できないほど有毒である追加の構成成分を何ら含有しない調製物を指す。
【0120】
「薬学的に許容される担体」は、対象にとって無毒である、活性成分以外の薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体としては、緩衝液、賦形剤、安定剤、または保存剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0121】
本明細書で使用される場合、「を実質的に含まない」は、言及される実体が不在であるか、または存在する場合、(i)場合によって、組成物、方法、またはステップの機能的特性または結果を著しく改変しないように十分に少ない量であるか、(ii)質量分析(例えば、MALDI-TOFもしくは実施例において使用される任意のMS手順)、ブロット法(例えば、ポリペプチドのためのウェスタンブロット法)、または電気泳動法(例えば、クマシーブルーもしくはシルバー染色によるSDS-PAGE)などの少なくとも1つの適切な分析方法によって検出不能であるか、あるいは(iii)組成物中の非溶媒材料の総量との比較での体積またはモル分率によって、約20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%以下の量で存在する。
【0122】
本明細書で使用される場合、「治療」(及び「治療する」または「治療すること」などのその文法的変化形)は、治療されている個体の自然経過を改変する試みの中での臨床的介入を指し、予防のために、または臨床病理過程中のいずれかで実行され得る。治療の望ましい効果としては、疾患の発生または再発の予防、症状の緩和、疾患の任意の直接的または間接的病理学的帰結の縮小、転移の予防、疾患進行速度の減少、疾患状態の寛解または緩和、及び緩解または予後の改善が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体を使用して、疾患の発達を遅延させるか、または疾患の進行を減速させる。
【0123】
「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、抗体の抗原への結合に関与する抗体の重鎖または軽鎖のドメインを指す。天然抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれ、VH及びVL)は一般に、類似の構造を有し、各ドメインが4つの保存フレームワーク領域(FR)及び3つの超可変領域(HVR)を含む。(例えば、Kindt et al.Kuby Immunology,6th ed.,W.H.Freeman and Co.,page 91(2007)を参照されたい。)単一のVHドメインまたはVLドメインは、抗原結合特異性を付与するのに十分であり得る。更に、特定の抗原に結合する抗体は、VHドメインまたはVLドメインを使用して抗原に結合する抗体から単離されて、それぞれ相補的VLドメインまたはVHドメインのライブラリをスクリーニングすることができる。例えば、Portolano et al.,J.Immunol.150:880-887(1993)、Clarkson et al.,Nature 352:624-628(1991)を参照されたい。
【0124】
本明細書で使用される場合、「ベクター」という用語は、それが連結している別の核酸を運搬することができる核酸分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造としてのベクター、及びそれが導入されている宿主細胞のゲノム内に組み込まれたベクターを含む。特定のベクターは、それらが動作可能に連結している核酸の発現を指向することができる。そのようなベクターは、本明細書において「発現ベクター」と称される。
【0125】
II.組成物及び方法
いくつかの態様において、混合トポロジーのポリユビキチン鎖に結合する抗体が提供される。そのような抗体は、例えば、混合トポロジーのポリユビキチン鎖の検出、その活性の調節、またはその免疫沈降に有用である。
【0126】
A.例示的な抗体
いくつかの実施形態において、抗体は、単一トポロジーのポリユビキチンに対してよりも混合トポロジーのポリユビキチンに対して大きな結合力を有し、混合トポロジーのポリユビキチンは、第1の連結及び第2の連結を含み、第1の連結及び第2の連結は、互いに異なる。いくつかの実施形態において、抗体は、第1の連結及び第2の連結を含む混合トポロジーのポリユビキチンに結合する多重特異性抗体であり、抗体は、第1の連結に特異的な第1のVH/VL単位及び第2の連結に特異的な第2のVH/VL単位を含み、第1の連結及び第2の連結は、互いに異なる。例えば、抗体は、第1の抗原認識部位及び第2の抗原認識部位を含み得、第1の抗原認識部位は、第1の連結に特異的であり、第2の抗原認識部位は、第2の連結に特異的である。両方の抗原認識部位が混合トポロジーのポリユビキチンに特異的に係合し得る一方で、1つの抗原認識部位のみが単一トポロジーのポリユビキチンに特異的に係合し得るため、抗体は、混合トポロジーのポリユビキチンに対してより大きな結合力を有する。
【0127】
いくつかの実施形態において、第1の連結は、K11連結、K48連結、K63連結、またはC末端とN末端との連結である。いくつかの実施形態において、第2の連結は、K11連結、K48連結、K63連結、またはC末端とN末端との連結である。いくつかの実施形態において、第1及び第2の連結は独立して、K11連結、K48連結、K63連結、またはC末端とN末端との連結である。別段示されない限り、第1及び第2の連結は異なる。
【0128】
米国特許第7,763,245号に開示される抗体、抗体配列、及び配列表が、参照によって本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、第1または第2の半抗体は、ポリユビキチンに結合する、米国特許第7,763,245号に開示される抗体のHVR-H1、HVR-H2、HVR-H3、HVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含む。いくつかの実施形態において、第1または第2の半抗体は、米国特許第7,763,245号に開示されるHVRから選択されるHVR-H1、HVR-H2、HVR-H3、HVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3の組み合わせを含み、半抗体は、ポリユビキチンに結合する。
【0129】
米国特許第8,133,488号に開示される抗体、抗体配列、及び配列表が、参照によって本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、第1または第2の半抗体は、ポリユビキチンに結合する、米国特許第8,133,488号に開示される抗体のHVR-H1、HVR-H2、HVR-H3、HVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含む。いくつかの実施形態において、第1または第2の半抗体は、米国特許第8,133,488号に開示されるHVRから選択されるHVR-H1、HVR-H2、HVR-H3、HVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3の組み合わせを含み、半抗体は、ポリユビキチンに結合する。
【0130】
米国特許第8,992,919号に開示される抗体、抗体配列、及び配列表が、参照によって本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、第1または第2の半抗体は、ポリユビキチンに結合する、米国特許第8,992,919号に開示される抗体のHVR-H1、HVR-H2、HVR-H3、HVR-L1、HVR-L2、及び HVR-L3を含む。いくつかの実施形態において、第1または第2の半抗体は、米国特許第8,992,919号に開示されるHVRから選択されるHVR-H1、HVR-H2、HVR-H3、HVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3の組み合わせを含み、半抗体は、ポリユビキチンに結合する。
【0131】
米国特許第9,321,844号に開示される抗体、抗体配列、及び配列表が、参照によって本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、第1または第2の半抗体は、ポリユビキチンに結合する、米国特許第9,321,844号に開示される抗体のHVR-H1、HVR-H2、HVR-H3、HVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含む。いくつかの実施形態において、第1または第2の半抗体は、米国特許第9,321,844号に開示されるHVRから選択されるHVR-H1、HVR-H2、HVR-H3、HVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3の組み合わせを含み、半抗体は、ポリユビキチンに結合する。
【0132】
別段示されない限り、第2の半抗体のHVRのうちの少なくとも1つは、第1の半抗体の対応するHVRと同一ではない。いくつかの実施形態において、第2の半抗体のHVRのうちの少なくとも2つは、第1の半抗体の対応するHVRと同一ではない。いくつかの実施形態において、第2の半抗体のHVRのうちの少なくとも3つは、第1の半抗体の対応するHVRと同一ではない。いくつかの実施形態において、第2の半抗体のHVRのうちの少なくとも4つは、第1の半抗体の対応するHVRと同一ではない。いくつかの実施形態において、第2の半抗体のHVRのうちの少なくとも5つは、第1の半抗体の対応するHVRと同一ではない。いくつかの実施形態において、第2の半抗体のHVRの6つは、第1の半抗体のHVRと同一ではない。
【0133】
いくつかの実施形態において、第1の半抗体はそれぞれ、配列番号9、10、11、12、13、及び14のアミノ酸配列を含む、HVR-H1、HVR-H2、HVR-H3、HVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含む。いくつかの実施形態において、第1の半抗体はそれぞれ、配列番号23、24、25、26、27、及び28のアミノ酸配列を含む、HVR-H1、HVR-H2、HVR-H3、HVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含む。いくつかの実施形態において、第1の半抗体はそれぞれ、配列番号37、38、39、40、41、及び42を含む、HVR-H1、HVR-H2、HVR-H3、HVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含む。いくつかの実施形態において、第1の半抗体はそれぞれ、配列番号51、52、53、54、55、及び56を含む、HVR-H1、HVR-H2、HVR-H3、HVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含む。
【0134】
いくつかの実施形態において、第2の半抗体はそれぞれ、配列番号9、10、11、12、13、及び14のアミノ酸配列を含む、HVR-H1、HVR-H2、HVR-H3、HVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含む。いくつかの実施形態において、第2の半抗体はそれぞれ、配列番号23、24、25、26、27、及び28のアミノ酸配列を含む、HVR-H1、HVR-H2、HVR-H3、HVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含む。いくつかの実施形態において、第2の半抗体はそれぞれ、配列番号37、38、39、40、41、及び42を含む、HVR-H1、HVR-H2、HVR-H3、HVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含む。いくつかの実施形態において、第2の半抗体はそれぞれ、配列番号51、52、53、54、55、及び56を含む、HVR-H1、HVR-H2、HVR-H3、HVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含む。
【0135】
いくつかの実施形態において、第1及び第2の半抗体のうちの一方は、
(i)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
(iii)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
(iv)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(v)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(vi)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、
(i)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(ii)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
(iii)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
(iv)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(v)配列番号27のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(vi)配列番号28のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0136】
いくつかの実施形態において、第1及び第2の半抗体のうちの一方は、
(i)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
(iii)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
(iv)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(v)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(vi)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、
(i)配列番号37のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(ii)配列番号38のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
(iii)配列番号39のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
(iv)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(v)配列番号41のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(vi)配列番号42のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0137】
いくつかの実施形態において、第1及び第2の半抗体のうちの一方は、
(i)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
(iii)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
(iv)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(v)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(vi)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、
(i)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(ii)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
(iii)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
(iv)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(v)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(vi)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0138】
いくつかの実施形態において、第1及び第2の半抗体のうちの一方は、
(i)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(ii)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
(iii)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
(iv)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(v)配列番号27のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(vi)配列番号28のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、
(i)配列番号37のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(ii)配列番号38のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
(iii)配列番号39のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
(iv)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(v)配列番号41のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(vi)配列番号42のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0139】
いくつかの実施形態において、第1及び第2の半抗体のうちの一方は、
(i)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(ii)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
(iii)配列番号25のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
(iv)配列番号26のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(v)配列番号27のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(vi)配列番号28のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、
(i)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(ii)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
(iii)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
(iv)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(v)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(vi)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0140】
いくつかの実施形態において、第1及び第2の半抗体のうちの一方は、
(i)配列番号37のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(ii)配列番号38のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
(iii)配列番号39のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
(iv)配列番号40のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(v)配列番号41のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(vi)配列番号42のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、
(i)配列番号51のアミノ酸配列を含むHVR-H1、
(ii)配列番号52のアミノ酸配列を含むHVR-H2、
(iii)配列番号53のアミノ酸配列を含むHVR-H3、
(iv)配列番号54のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(v)配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び
(vi)配列番号56のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0141】
いくつかの実施形態において、第1または第2の半抗体は、配列番号7と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号8と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVH配列を含む。いくつかの実施形態において、第1または第2の半抗体は、配列番号21と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号22と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVH配列を含む。いくつかの実施形態において、第1または第2の半抗体は、配列番号35と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号36と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVH配列を含む。いくつかの実施形態において、第1または第2の半抗体は、配列番号49と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号50と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVH配列を含む。
【0142】
別段示されない限り、第2の半抗体のVL及びVH配列のうちの少なくとも1つは、第1の半抗体内の対応物と同一ではない。いくつかの実施形態において、第2の半抗体のVL配列は、第1の半抗体のVL配列と同一ではない。いくつかの実施形態において、第2の半抗体のVH配列は、第1の半抗体のVH配列と同一ではない。いくつかの実施形態において、第2の半抗体のVL及びVH配列は、第1の半抗体のVL及びVH配列と同一ではない。
【0143】
いくつかの実施形態において、a)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号7と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号8と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVH配列を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号21と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号22と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVH配列を含む。いくつかの実施形態において、第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号7と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号8と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVH配列を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号35と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号36と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVH配列を含む。いくつかの実施形態において、第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号7と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号8と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVH配列を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号49と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号50と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVH配列を含む。いくつかの実施形態において、第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号21と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号22と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVH配列を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号35と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号36と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVH配列を含む。いくつかの実施形態において、第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号21と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号22と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVH配列を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号49と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号50と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVH配列を含む。いくつかの実施形態において、第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号35と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号36と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVH配列を含み、第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号49と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVL配列、及び配列番号50と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVH配列を含む。
【0144】
いくつかの実施形態において、第1または第2の半抗体は、米国特許第7,763,245号に開示される抗体のVH及びVL配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVH及びVL配列を含む。いくつかの実施形態において、第1または第2の半抗体は、米国特許第7,763,245号に開示されるVH及びVL配列の組み合わせを含み、半抗体は、ポリユビキチンに結合する。
【0145】
いくつかの実施形態において、第1または第2の半抗体は、米国特許第8,133,488号に開示される抗体のVH及びVL配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVH及びVL配列を含む。いくつかの実施形態において、第1または第2の半抗体は、米国特許第8,133,488号に開示されるVH及びVL配列の組み合わせを含み、半抗体は、ポリユビキチンに結合する。
【0146】
いくつかの実施形態において、第1または第2の半抗体は、米国特許第8,992,919号に開示される抗体のVH及びVL配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVH及びVL配列を含む。いくつかの実施形態において、第1または第2の半抗体は、米国特許第8,992,919号に開示されるVH及びVL配列の組み合わせを含み、半抗体は、ポリユビキチンに結合する。
【0147】
いくつかの実施形態において、第1または第2の半抗体は、米国特許第9,321,844号に開示される抗体のVH及びVL配列と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるVH及びVL配列を含む。いくつかの実施形態において、第1または第2の半抗体は、米国特許第9,321,844号に開示されるVH及びVL配列の組み合わせを含み、半抗体は、ポリユビキチンに結合する。
【0148】
いくつかの実施形態において、第1または第2の半抗体は、米国特許第7,763,245号に開示される抗体のVH及びVL配列を含む。いくつかの実施形態において、第1または第2の半抗体は、米国特許第7,763,245号に開示される抗体のVH及びVL配列の組み合わせを含み、半抗体は、ポリユビキチンに結合する。
【0149】
いくつかの実施形態において、第1または第2の半抗体は、ポリユビキチンに結合する、米国特許第8,133,488号に開示される抗体のVH及びVL配列を含む。いくつかの実施形態において、第1または第2の半抗体は、米国特許第8,133,488号に開示されるVH及びVL配列の組み合わせを含み、半抗体は、ポリユビキチンに結合する。
【0150】
いくつかの実施形態において、第1または第2の半抗体は、ポリユビキチンに結合する、米国特許第8,992,919号に開示される抗体のVH及びVL配列を含む。いくつかの実施形態において、第1または第2の半抗体は、米国特許第8,992,919号に開示される抗体のVH及びVL配列の組み合わせを含み、半抗体は、ポリユビキチンに結合する。
【0151】
いくつかの実施形態において、第1または第2の半抗体は、ポリユビキチンに結合する、米国特許第9,321,844号に開示される抗体のVH及びVL配列を含む。いくつかの実施形態において、第1または第2の半抗体は、米国特許第9,321,844号に開示される抗体のVH及びVL配列の組み合わせを含み、半抗体は、ポリユビキチンに結合する。
【0152】
特定の実施形態において、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVH配列は、基準配列と比較して置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、その配列を含む抗体は、ポリユビキチンに結合する能力を保持する。特定の実施形態において、合計1~10個のアミノ酸が、VH配列において置換、挿入、及び/または欠失されている。特定の実施形態において、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域内で(すなわち、FR内で)生じる。任意で、本抗体は、上記に考察されるVH配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。
【0153】
特定の実施形態において、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVL配列は、基準配列と比較して置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、その配列を含む抗体は、ポリユビキチンに結合する能力を保持する。特定の実施形態において、合計1~10個のアミノ酸が、VL配列において置換、挿入、及び/または欠失されている。特定の実施形態において、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域内で(すなわち、FR内で)生じる。任意で、本抗体は、上記に考察されるVL配列を含み、その配列の翻訳後修飾を含む。
【0154】
いくつかの実施形態において、本抗体は、ヒト化される。いくつかの実施形態において、本抗体は、上記の実施形態のいずれかにおけるようなHVRを含み、ヒトアクセプターフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークを更に含む。いくつかの実施形態において、本抗体は、上記の実施形態のいずれかにおけるようなHVR、及びウサギフレームワーク領域を含む。
【0155】
いくつかの態様において、本明細書に提供される二重特異性抗体と同じエピトープに結合する抗体が提供される。例えば、特定の実施形態において、第1及び第2の半抗体を含む抗体と同じエピトープに結合する抗体が提供され、
a)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号7のVL配列及び配列番号8のVH配列を含み、
第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号21のVL配列及び配列番号22のVH配列を含むか、
b)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号7のVL配列及び配列番号8のVH配列を含み、
第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号35のVL配列及び配列番号36のVH配列を含むか、
c)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号7のVL配列及び配列番号8のVH配列を含み、
第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号49のVL配列及び配列番号50のVH配列を含むか、
d)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号21のVL配列及び配列番号22のVH配列を含み、
第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号35のVL配列及び配列番号36のVH配列を含むか、
e)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号21のVL配列及び配列番号22のVH配列を含み、
第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号49のVL配列及び配列番号50のVH配列を含むか、または
f)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号35のVL配列及び配列番号36のVH配列を含み、
第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号49のVL配列及び配列番号50のVH配列を含む。
【0156】
いくつかの実施形態において、混合トポロジーのポリユビキチンへの結合について、直前の段落のa)~f)のうちの1つのようなVH及びVL配列を含む二重特異性抗体と競合する抗体が提供される。
【0157】
いくつかの実施形態において、本抗体は、キメラ、ヒト化、またはヒト抗体を含むモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態において、本抗体は、抗体断片、例えば、二量体scFv、ダイアボディ、またはF(ab’)断片である。別の実施形態において、本抗体は、実質的に完全長の抗体、例えば、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、もしくはIgG4抗体、または本明細書に定義される他の抗体クラスもしくはアイソタイプである。
【0158】
いくつかの実施形態において、本抗体は、C末端リジンを有する少なくとも1つの重鎖を含む。いくつかの実施形態において、本抗体は、C末端リジンを欠く少なくとも1つの重鎖を含む。いくつかの実施形態において、本抗体は、C末端リジンを有さない重鎖のみを含む。C末端リジンは、例えば、カルボキシペプチダーゼ処理などによって酵素的に、または重鎖コード配列の3’末端でのリジンコドンの欠失もしくは置換によって遺伝的に除去され得る。重鎖C末端リジンは、抗原結合部位から離れて位置し、結合活性には不要であり、それらの除去は、より均質な抗体調製物を提供し得る。
【0159】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1または第2の半抗体は、
a)配列番号2と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号4と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖配列、
b)配列番号16と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号18と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖配列、
c)配列番号30と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号32と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖配列、または
d)配列番号44と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号46と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0160】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1または第2の半抗体は、
a)配列番号2と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号6と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖配列、
b)配列番号16と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号20と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖配列、
c)配列番号30と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号34と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖配列、または
d)配列番号44と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号48と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
任意で、C末端リジンは、1つ以上の鎖から欠損している。
【0161】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、
a)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号2と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号4と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号16と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号20と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖配列を含むか、
b)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号2と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号4と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号30と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号34と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖配列を含むか、
c)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号2と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号4と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号44と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号48と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖配列を含むか、
d)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号2と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号6と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号16と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号18と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖配列を含むか、
e)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号2と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号6と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号30と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号32と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖配列を含むか、
f)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号2と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号6と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号44と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号46と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖配列を含むか、
g)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号16と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号18と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号30と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号34と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖配列を含むか、
h)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号16と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号18と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号44と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号48と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖配列を含むか、
i)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号30と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号32と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号44と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号48と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖配列を含むか、
j)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号16と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号20と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号30と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号32と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖配列を含むか、
k)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号16と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号20と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号44と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号46と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖配列を含むか、または
l)第1及び第2の半抗体のうちの一方は、配列番号30と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号34と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
第1及び第2の半抗体のうちの他方は、配列番号44と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖配列、及び配列番号46と約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖配列を含み、
任意で、C末端リジンは、1つ以上の鎖から欠損している。
【0162】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、配列番号2の軽鎖配列及び配列番号4の重鎖配列を含み、第2の半抗体は、配列番号16の軽鎖配列及び配列番号20の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0163】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、配列番号2の軽鎖配列及び配列番号4の重鎖配列を含み、第2の半抗体は、配列番号30の軽鎖配列及び配列番号34の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0164】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、配列番号2の軽鎖配列及び配列番号4の重鎖配列を含み、第2の半抗体は、配列番号44の軽鎖配列及び配列番号48の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0165】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、配列番号2の軽鎖配列及び配列番号6の重鎖配列を含み、第2の半抗体は、配列番号16の軽鎖配列及び配列番号18の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0166】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、配列番号2の軽鎖配列及び配列番号6の重鎖配列を含み、第2の半抗体は、配列番号30の軽鎖配列及び配列番号32の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0167】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、配列番号2の軽鎖配列及び配列番号6の重鎖配列を含み、第2の半抗体は、配列番号44の軽鎖配列及び配列番号46の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0168】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、配列番号16の軽鎖配列及び配列番号18の重鎖配列を含み、第2の半抗体は、配列番号30の軽鎖配列及び配列番号34の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0169】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、配列番号16の軽鎖配列及び配列番号18の重鎖配列を含み、第2の半抗体は、配列番号44の軽鎖配列及び配列番号48の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0170】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、配列番号30の軽鎖配列及び配列番号32の重鎖配列を含み、第2の半抗体は、配列番号44の軽鎖配列及び配列番号48の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0171】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、配列番号16の軽鎖配列及び配列番号20の重鎖配列を含み、第2の半抗体は、配列番号30の軽鎖配列及び配列番号32の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0172】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、配列番号16の軽鎖配列及び配列番号20の重鎖配列を含み、第2の半抗体は、配列番号44の軽鎖配列及び配列番号46の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0173】
いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、配列番号30の軽鎖配列及び配列番号34の重鎖配列を含み、第2の半抗体は、配列番号44の軽鎖配列及び配列番号46の重鎖配列を含み、任意で、C末端リジンは、1つ以上の重鎖から欠損している。
【0174】
更なる一態様において、上記の実施形態のいずれかに従う抗体は、以下の節1~7に記載される特徴のうちのいずれかを、単独で、または組み合わせて組み込むことができる。
【0175】
1.抗体親和性
特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、0.1nM以下、0.01nM以下、または0.001nM以下の解離定数(Kd)を有し、かつ任意で、10-13M以下(例えば、10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)である。
【0176】
いくつかの実施形態において、Kdは、以下のアッセイによって説明されるように、対象となる抗体のFab版及びその抗原によって実行される放射標識抗原結合アッセイ(RIA)によって測定される。抗原に対するFabの溶液結合親和性は、Fabを、未標識抗原の一連の滴定の存在下で、最小濃度の(125I)標識抗原と平衡化し、次いで抗Fab抗体コーティングプレートと結合した抗原を捕捉することによって、測定される(例えば、Chen et al.,J.Mol.Biol.293:865-881(1999)を参照されたい)。アッセイの条件を確立するために、MICROTITER(登録商標)マルチウェルプレート(Thermo Scientific)を、50mMの炭酸ナトリウム(pH9.6)中5μg/mlの捕捉用抗Fab抗体(Cappel Labs)で一晩コーティングし、その後PBS中2重量/体積%のウシ血清アルブミンで2~5時間室温(およそ23℃)で遮断する。非吸着性プレート(Nunc番号269620)中、100pMまたは26pMの[125I]-抗原を対象となるFabの段階希釈液と混合する(例えば、Presta et al.,Cancer Res.57:4593-4599(1997)における抗VEGF抗体、Fab-12の評価と一貫する)。その後、対象となるFabを一晩インキュベートするが、インキュベーションをより長い期間(例えば、約65時間)継続して、平衡に達することを確実にしてもよい。その後、室温でのインキュベーション(例えば、1時間)のために混合物を捕捉プレートに移動させる。その後、溶液を除去し、PBS中0.1%のポリソルベート20(TWEEN-20(登録商標))を用いてプレートを8回洗浄する。プレートが乾燥したら、150μL/ウェルのシンチラント(MICROSCINT-20(商標)、Packard)を添加し、TOPCOUNT(商標)ガンマ計数器(Packard)でプレートを10分間計数する20%以下の最大結合をもたらす各Fabの濃度を、競合結合アッセイにおける使用のために選択する。
【0177】
いくつかの実施形態において、Kdは、BIACORE(登録商標)-2000またはBIACORE(登録商標)-3000(BIAcore,Inc.,Piscataway,NJ)を使用する表面プラズモン共鳴アッセイを使用して、25℃で、約10応答単位(RU)で固定化された抗原CM5チップによって測定される。簡潔には、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、BIACORE,Inc.)は、供給業者の指示書に従って、N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミドヒドロクロリド(EDC)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)によって活性化される。抗原を10mMの酢酸ナトリウム(pH4.8)で5μg/mL(約0.2μM)になるまで希釈した後に、5μL/分の流量で注入して、およそ10の応答単位(RU)の共役タンパク質を達成する。抗原の注入後、1Mのエタノールアミンを注入して、未反応基を遮断する。動態測定のために、Fabの2倍段階希釈液(0.78nM~500nM)を、0.05%のポリソルベート20(TWEEN-20(商標))界面活性剤を含むPBS(PBST)中、25℃、およそ25μL/分の流量で注入する。会合速度(kon)及び解離速度(koff)を、単純な1対1ラングミュア結合モデル(BIACORE(登録商標)Evaluation Software3.2版)を使用して、会合センサーグラム及び解離センサーグラムを同時に適合することによって、計算する。平衡解離定数(Kd)を、koff/konの比として計算する。例えば、Chen et al.,J.Mol.Biol.293:865-881(1999)を参照されたい。上記の表面プラズモン共鳴アッセイによる会合速度が10-1-1を超える場合、会合速度は、ストップフローを備えた分光光度計(Aviv Instruments)または撹拌キュベットを有する8000シリーズSLM-AMINCO(商標)分光光度計(ThermoSpectronic)などの分光計で測定される場合に、増加する抗原濃度の存在下で、25℃で、PBS中20nMの抗-抗原抗体(Fab形態)(pH7.2)の蛍光発光強度(励起=295nm、発光=340nm、16nm帯域通過)の増加または減少を測定する蛍光消光技術を使用して決定することができる。
【0178】
2.抗体断片
特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、抗体断片である。抗体断片としては、F(ab’)断片、二量体一本鎖Fv、及び以下に記載される他の断片が挙げられる。特定の抗体断片に関する概説については、Hudson et al.Nat.Med.9:129-134(2003)を参照されたい。scFv断片の概説については、例えば、Pluckthun,in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,(Springer-Verlag,New York),pp.269-315(1994)を参照されたく、またWO93/16185、及び米国特許第5,571,894号及び同第5,587,458号も参照されたい。エピトープ残基に結合し、増加したインビボ半減期を有するサルベージ受容体を含むFab及びF(ab’)断片の考察については、米国特許第5,869,046号を参照されたい。
【0179】
いくつかの実施形態において、本抗体は、ダイアボディである。ダイアボディは、二価または二重特異性であり得る2つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、EP404,097、WO1993/01161、Hudson et al.,Nat.Med.9:129-134(2003)、及びHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:6444-6448(1993)を参照されたい。
【0180】
単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全部もしくは一部、または軽鎖可変ドメインの全部もしくは一部を含む、抗体断片である。特定の実施形態において、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(Domantis,Inc.,Waltham,MA、例えば、米国特許第6,248,516B1号を参照されたい)。
【0181】
抗体断片は、本明細書に記載されるように、無傷抗体のタンパク質消化及び組み換え宿主細胞(例えば、E.coliまたはファージ)による産生を含むが、これらに限定されない、様々な技術によって作製され得る。
【0182】
3.キメラ抗体及びヒト化抗体
特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、キメラ抗体である。特定のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号、及びMorrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851-6855(1984))に記載されている。いくつかの実施形態において、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、または非ヒト霊長類(サルなど)に由来する可変領域)及びヒト定常領域を含む。更なる一例において、キメラ抗体は、クラスまたはサブクラスが親抗体のクラスまたはサブクラスから変化した「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体には、その抗原結合断片が含まれる。
【0183】
特定の実施形態において、キメラ抗体は、ヒト化抗体である。典型的には、非ヒト抗体は、非ヒト親抗体の特異性及び親和性を保持しながら、ヒトに対する免疫原性を低下させるために、ヒト化される。一般に、ヒト化抗体は、1つ以上の可変ドメインを含み、そのHVR、例えば、CDR(またはそれらの部分)は、非ヒト抗体に由来し、そのFR(またはそれらの部分)は、ヒト抗体配列に由来する。ヒト化抗体はまた、任意で、ヒト定常領域の少なくとも一部も含むだろう。いくつかの実施形態において、ヒト化抗体内のいくつかのFR残基は、例えば、抗体特異性または親和性を復元または改善するように、非ヒト抗体(例えば、HVR残基が由来する抗体)に由来する対応する残基で置換される。
【0184】
ヒト化抗体及びそれらを作製する方法は、例えば、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619-1633(2008)に概説され、例えば、Riechmann et al.,Nature332:323-329(1988)、Queen et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA86:10029-10033(1989)、米国特許第5,821,337号、同第7,527,791号、同第6,982,321号、及び同第7,087,409号、Kashmiri et al.,Methods36:25-34(2005)(SDR(a-CDR)移植を説明)、Padlan,Mol.Immunol.28:489-498(1991)(「リサーフェシング」を説明)、Dall’Acqua et al.,Methods36:43-60(2005)(「FRシャッフリング」を説明)、ならびにOsbourn et al.,Methods36:61-68(2005)及びKlimka et al.,Br.J.Cancer,83:252-260(2000)(FRシャッフリングに対する「誘導選択」アプローチを説明)に更に記載されている。
【0185】
ヒト化に使用され得るヒトフレームワーク領域としては、「最良適合」法を使用して選択されるフレームワーク領域(例えば、Sims et al.J.Immunol.151:2296(1993)を参照されたい)、軽鎖または重鎖可変領域の特定の下位群のヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285(1992)、及びPresta et al.J.Immunol.,151:2623(1993))、ヒト成熟(体細胞変異型)フレームワーク領域またはヒト生殖細胞株フレームワーク領域(例えば、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619-1633(2008))、ならびにFRライブラリのスクリーニングに由来するフレームワーク領域(例えば、Baca et al.,J.Biol.Chem.272:10678-10684(1997)及びRosok et al.,J.Biol.Chem.271:22611-22618(1996)を参照されたい)が挙げられる。
【0186】
4.ヒト抗体
特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当該技術分野において既知である様々な技術を使用して産生することができる。ヒト抗体は一般に、van Dijk and van de Winkel,Curr.Opin.Pharmacol.5:368-74(2001)及びLonberg,Curr.Opin.Immunol.20:450-459(2008)に記載されている。
【0187】
ヒト抗体は、抗原投与に応答して、無傷ヒト抗体またはヒト可変領域を有する無傷抗体を産生するように修飾されたトランスジェニック動物に免疫原を投与することによって調製され得る。そのような動物は典型的には、内因性免疫グロブリン遺伝子座を置き換えるか、または染色体外に存在するか、もしくは動物の染色体内にランダムに組み込まれている、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部または一部を含有する。そのようなトランスジェニックマウスにおいて、内因性免疫グロブリン遺伝子座は一般に、不活性化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得るための方法に関する概説については、Lonberg,Nat.Biotech.23:1117-1125(2005)を参照されたい。また、例えば、米国特許第6,075,181号及び同第6,150,584号(XENOMOUSE(商標)技術を説明)、米国特許第5,770,429号(HUMAB(登録商標)技術を説明)、米国特許第7,041,870号(K-M MOUSE(登録商標)技術を説明)、ならびに米国特許出願公開第US2007/0061900号(VELOCIMOUSE(登録商標)技術を説明)も参照されたい。そのような動物によって生成された無傷抗体からのヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることによって更に修飾され得る。
【0188】
ヒト抗体はまた、ハイブリドーマに基づく方法によっても作製され得る。ヒトモノクローナル抗体の産生のためのヒト骨髄腫及びマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞株が、記載されている。(例えば、Kozbor J.Immunol.,133:3001(1984)、Brodeur et al.,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51-63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987)、及びBoerner et al.,J.Immunol.,147:86(1991)を参照されたい。)ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して生成されるヒト抗体もまた、Li et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103:3557-3562(2006)に記載されている。追加の方法としては、例えば、米国特許第7,189,826号(ハイブリドーマ細胞株からのモノクローナルヒトIgM抗体の産生を説明)及びNi,Xiandai Mianyixue,26(4):265-268(2006)(ヒト-ヒトハイブリドーマを説明)に記載される方法が挙げられる。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)はまた、Vollmers and Brandlein,Histology and Histopathology,20(3):927-937(2005)及びVollmers and Brandlein,Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology,27(3):185-91(2005)にも記載されている。
【0189】
ヒト抗体はまた、ヒト由来ファージ提示ライブラリから選択されるFvクローン可変ドメイン配列を単離することによっても生成され得る。その後、そのような可変ドメイン配列は、所望されるヒト定常ドメインと組み合わされ得る。抗体ライブラリからヒト抗体を選択するための技術を、以下に記載する。
【0190】
5.ライブラリ由来抗体
抗体は、所望される活性(複数可)を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリをスクリーニングすることによって単離され得る。例えば、ファージ提示ライブラリを生成し、所望される結合特性を保有する抗体についてそのようなライブラリをスクリーニングするための様々な方法が、当該技術分野において既知である。そのような方法は、例えば、Hoogenboom et al.in Methods in Molecular Biology178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2001)に概説され、例えば、McCafferty et al.,Nature348:552-554、Clackson et al.,Nature352:624-628(1991)、Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581-597(1992)、Marks and Bradbury,in Methods in Molecular Biology248:161-175(Lo,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2003)、Sidhu et al.,J.Mol.Biol.338(2):299-310(2004)、Lee et al.,J.Mol.Biol.340(5):1073-1093(2004)、Fellouse,Proc.Natl.Acad.Sci.USA101(34):12467-12472(2004)、及びLee et al.,J.Immunol.Methods284(1-2):119-132(2004)に更に記載されている。
【0191】
特定のファージ提示法において、VH及びVL遺伝子のレパートリーが、ポリメラーゼ連結反応(PCR)により別個にクローニングされ、ファージライブラリ内で無作為に組み換えられ、これがその後、Winter et al.,Ann.Rev.Immunol.,12:433-455(1994)に記載されるように抗原結合ファージについてスクリーニングされ得る。ファージは、典型的には、一本鎖Fv(scFv)断片またはFab断片のいずれかとして抗体断片を提示する。免疫化源に由来するライブラリは、ハイブリドーマの構築を必要とすることなく、高親和性抗体を免疫原に提供する。あるいは、Griffiths et al.,EMBO J,12:725-734(1993)によって記載されるように、ナイーブレパートリーは、(例えば、ヒトから)クローニングされて、いかなる免疫化も伴わずに、幅広い非自己抗原及びまた自己抗原に対する抗体の単一源を提供することができる。最後に、ナイーブライブラリはまた、Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381-388(1992)に記載されるように、幹細胞からの再配置されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、ランダム配列を含有するPCRプライマーを使用して、高度可変CDR3領域をコードし、かつインビトロで再配置を達成することによって、合成的にも作製され得る。ヒト抗体ファージライブラリについて記載する特許公報としては、例えば、米国特許第5,750,373号、ならびに米国特許公開第2005/0079574号、同第2005/0119455号、同第2005/0266000号、同第2007/0117126号、同第2007/0160598号、同第2007/0237764号、同第2007/0292936号、及び同第2009/0002360号が挙げられる。
【0192】
ヒト抗体ライブラリから単離された抗体または抗体断片は、本明細書においてヒト抗体またはヒト抗体断片と見なされる。
【0193】
6.多重特異性抗体
特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、多重特異性抗体、例えば、二重特異性抗体である。多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる部位に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である。二重特異性抗体は、完全長抗体または抗体断片として調製され得る。
【0194】
多重特異性抗体を作製するための技術としては、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の組み換え同時発現(Milstein and Cuello,Nature305:537(1983))、WO93/08829、及びTraunecker et al.,EMBO J.10:3655(1991)を参照されたい)、ならびに「ノブ・イン・ホール」操作(例えば、米国特許第5,731,168号を参照されたい)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、本抗体は、第1及び第2の半抗体を含み、第1の半抗体は、ノブ変異を含む第1の重鎖定常領域を含み、第2の重鎖は、ホール変異を含む第2の重鎖定常領域を含むか、または第1の半抗体は、ホール変異を含む第1の重鎖定常領域を含み、第2の重鎖は、ノブ変異を含む第2の重鎖定常領域を含む。いくつかの実施形態において、本抗体は、IgG1抗体であり、ノブ変異は、T366W変異を含む。いくつかの実施形態において、本抗体は、IgG1抗体であり、ホール変異は、T366S、L368A、及びY407Vから選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つの変異を含む。いくつかの実施形態において、本抗体は、IgG4抗体であり、ノブ変異は、T366W変異を含む。いくつかの実施形態において、本抗体は、IgG4抗体であり、ホール変異は、T366S、L368A、及びY407V変異から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つの変異を含む。変異(複数可)の位置の前述の番号付けは、EU番号付けである。重鎖配列内の変異(複数可)の実際の位置(複数可)は、例えば、先行する可変領域の長さに応じて変動し得る(最大10位置分だけなど)。
【0195】
多重特異性抗体はまた、静電ステアリング効果を操作して抗体Fc-ヘテロ二量体分子を作製すること(WO2009/089004A1)、2つ以上の抗体または断片を架橋すること(例えば、米国特許第4,676,980号、及びBrennan et al.,Science,229:81(1985)を参照されたい)、ロイシンジッパーを使用して二重特異性抗体を産生すること(例えば、Kostelny et al.,J.Immunol.,148(5):1547-1553(1992)を参照されたい)、「ダイアボディ」技術を使用して二重特異性抗体断片を作製すること(例えば、Hollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444-6448(1993)を参照されたい)、ならびに一本鎖Fv(sFv)二量体を使用すること(例えば、Gruber et al.,J.Immunol.,152:5368(1994)を参照されたい)、ならびに例えば、Tutt et al.J.Immunol.147:60(1991)に記載される三重特異性抗体を調製することによっても作製され得る。いくつかの実施形態において、本抗体は、ダイアボディである。ダイアボディは、二価または二重特異性であり得る2つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、EP404,097、WO1993/01161、Hudson et al.,Nat.Med.9:129-134(2003)、及びHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:6444-6448(1993)を参照されたい。
【0196】
トリアボディ及びテトラボディもまた、Hudson et al.,Nat.Med.9:129-134(2003)に記載されている。いくつかの実施形態において、本抗体は、トリアボディである。いくつかの実施形態において、トリアボディは、第1の抗原認識部位、第2の抗原認識部位、及び第3の抗原認識部位を含み、抗原認識部位のうちの少なくとも1つは、他の抗原認識部位とは異なる。いくつかの実施形態において、トリアボディは、3つの異なるポリユビキチンに結合する第1、第2、及び第3の抗原認識部位を含む。いくつかの実施形態において、トリアボディは、K11連結ポリユビキチン、K48連結ポリユビキチン、K63連結ポリユビキチン、及びC末端とN末端との連結ポリユビキチンから選択される任意の3つのポリユビキチンに結合する第1、第2、及び第3の抗原認識部位を含む。各抗原認識部位は、上記に考察されるHVRまたはVL及びVHの組み合わせを含み得る。
【0197】
いくつかの実施形態において、本抗体は、テトラボディである。いくつかの実施形態において、テトラボディは、第1の抗原認識部位、第2の抗原認識部位、第3の抗原認識部位、及び第4の抗原認識部位を含み、抗原認識部位のうちの少なくとも1つまたは少なくとも2つは、他の抗原認識部位とは異なる。いくつかの実施形態において、テトラボディは、3つの異なるポリユビキチンに結合する第1、第2、及び第3の抗原認識部位を含む。いくつかの実施形態において、テトラボディは、K11連結ポリユビキチン、K48連結ポリユビキチン、K63連結ポリユビキチン、及びC末端とN末端との連結ポリユビキチンから選択される任意の3つのポリユビキチンに結合する第1、第2、及び第3の抗原認識部位を含む。いくつかの実施形態において、テトラボディは、4つの異なるポリユビキチンに結合する第1、第2、第3、及び第4の抗原認識部位を含む。いくつかの実施形態において、テトラボディは、K11連結ポリユビキチン、K48連結ポリユビキチン、K63連結ポリユビキチン、及びC末端とN末端との連結ポリユビキチンに結合する第1、第2、第3、及び第4の抗原認識部位を含む。各抗原認識部位は、上記に考察されるHVRの組み合わせまたはVL及びVHの組み合わせを含み得る。
【0198】
「オクトパス抗体」を含む3つ以上の機能的抗原結合部位を有する操作された抗体もまた、本明細書に含まれる(例えば、US2006/0025576A1を参照されたい)。オクトパス抗体という用語は、US2006/0025576A1において考察されるものの意味で使用され、タコによって産生される抗体またはタコから得られる抗体を指すことは意図されない。
【0199】
本明細書の抗体または断片はまた、2つの異なる抗原に結合する2つの抗原結合部位を含む「二重作用FAb」または「DAF」も含む(例えば、US2008/0069820を参照されたい)。例えば、2つの異なる抗原は、K11-、K48-、K63-、またはC末端とN末端との-連結ポリユビキチンなどの上記に考察されるポリユビキチンのうちのいずれであってもよい。
【0200】
7.抗体バリアント
特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体のアミノ酸配列バリアントが企図される。例えば、抗体の結合親和性及び/または他の生物学的特性を改善することが望ましい場合がある。抗体のアミノ酸配列バリアントは、抗体をコードするヌクレオチド配列中に適切な修飾を導入することによって、またはペプチド合成によって調製され得る。そのような修飾としては、例えば、抗体のアミノ酸配列内における、残基からの欠失、及び/またはそこへの挿入、及び/またはその置換が挙げられる。欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせによって、最終構築物に到達することができるが、但し、最終構築物が所望される特性、例えば、抗原結合を所有することを条件とする。
【0201】
a)置換、挿入、及び欠失バリアント
特定の実施形態において、1つ以上のアミノ酸置換を有する抗体バリアントが提供される。置換変異誘発の対象となる部位には、HVR及びFRが含まれる。保存的置換は、表1の「好ましい置換」の見出しの下に示される。より実質的な変化は、表1の「例示的な置換」の見出しの下に示され、アミノ酸側鎖のクラスを参照して以下に更に記載する通りである。アミノ酸置換が対象となる抗体に導入され得、その産物が、所望される活性、例えば、抗原結合の保持/改善、免疫原性の減少、またはADCCもしくはCDCの改善についてスクリーニングされ得る。

表1
【0202】
アミノ酸は、以下の一般的な側鎖特性に従って群分けされ得る。
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile、
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln、
(3)酸性:Asp、Glu、
(4)塩基性:His、Lys、Arg、
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro、
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0203】
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスと交換することを伴うだろう。
【0204】
1種類の置換バリアントは、親抗体(例えば、ヒト化抗体またはヒト抗体)の1つ以上の超可変領域残基を置換することを伴う。一般に、更なる研究のために選択される、結果として得られるバリアント(複数可)は、親抗体と比較して、特定の生物学的特性の修飾(例えば、改善)(例えば、親和性の増加、免疫原性の低下)を有する、かつ/または実質的に保持された親抗体の特定の生物学的特性を有するだろう。一例示的な置換バリアントは、例えば、本明細書に記載されるものなどのファージ提示に基づく親和性成熟技術を使用して好都合に生成され得る、親和性成熟抗体である。簡潔には、1つ以上のHVR残基が変異され、バリアント抗体がファージ上に提示され、特定の生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。
【0205】
改変(例えば、置換)がHVR内で行われて、例えば、抗体親和性が改善され得る。そのような改変は、HVR「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟プロセス中に高頻度で変異を受けるコドンによってコードされる残基(例えば、Chowdhury,Methods Mol.Biol.207:179-196(2008)を参照されたい)、及び/またはSDR(a-CDR)内で行われ得、結果として得られるバリアントVHまたはVLが結合親和性について試験される。二次ライブラリを構築し、それから再選択することによる親和性成熟が、例えば、Methods in Molecular Biology178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,(2001))に記載されている。親和性成熟のいくつかの実施形態において、多様性が、様々な方法(例えば、エラープローンPCR、鎖シャッフリング、またはオリゴヌクレオチド指向性変異誘発)のうちのいずれかによって、成熟のために選択された可変遺伝子に導入される。その後、二次ライブラリが作製される。その後、ライブラリがスクリーニングされて、所望される親和性を有する任意の抗体バリアントが特定される。多様性を導入する別の方法は、数個のHVR残基(例えば、一度に4~6個の残基)がランダム化されるHVR指向性アプローチを伴う。抗原結合に関与するHVR残基は、例えば、アラニンスキャニング変異誘発またはモデル化を使用して、特異的に特定され得る。特に、CDR-H3及びCDR-L3が、多くの場合、標的となる。
【0206】
特定の実施形態において、置換、挿入、または欠失は、そのような改変が、抗体が抗原に結合する能力を実質的に低下させない限り、1つ以上のHVR内で生じ得る。例えば、結合親和性を実質的に低下させない保存的改変(例えば、本明細書に提供される保存的置換)がHVR内で行われ得る。そのような改変は、例えば、HVR「ホットスポット」またはSDRの外側であってもよい。上記に提供されるバリアントVH配列及びVL配列の特定の実施形態において、各HVRは、改変されないか、または1つ、2つ、もしくは3つ以下のアミノ酸置換を含有するかのいずれかである。
【0207】
変異誘発のために標的とされ得る抗体の残基または領域の特定に有用な方法は、Cunningham and Wells(1989)Science,244:1081-1085によって記載されるように、「アラニンスキャニング変異誘発」と呼ばれる。この方法において、残基または標的残基の群(例えば、arg、asp、his、lys、及びgluなどの荷電残基)が特定され、中性または負に荷電したアミノ酸(例えば、アラニンまたはポリアラニン)により置き換えられて、抗体と抗原との相互作用に影響が及ぼされたかが決定される。更なる置換が、最初の置換に対する機能的感受性を示すアミノ酸位置に導入され得る。あるいは、または加えて、抗原-抗体複合体の結晶構造を使用して、抗体と抗原との間の接触点が特定される。そのような接触残基及び隣接する残基は、置換の候補として標的とされ得るか、または排除され得る。バリアントは、スクリーニングされて、それらが所望される特性を含有するかが決定され得る。
【0208】
アミノ酸配列挿入は、長さが1残基から100以上の残基を含有するポリペプチドの範囲のアミノ末端及び/またはカルボキシル末端の融合、ならびに単一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。末端挿入の例としては、N末端メチオニル残基を有する抗体が挙げられる。抗体分子の他の挿入バリアントとしては、酵素(例えば、ADEPTのための)またはポリペプチドへの抗体のN末端もしくはC末端の融合が挙げられ、これは抗体の血清半減期を増加させる。
【0209】
b)グリコシル化バリアント
特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体を改変して、抗体がグリコシル化される程度を増加または減少させる。抗体へのグリコシル化部位の付加または欠失は、1つ以上のグリコシル化部位が作製または除去されるように、アミノ酸配列を改変することによって好都合に達成することができる。
【0210】
抗体がFc領域を含む場合、それに結合した炭水化物が改変され得る。哺乳動物細胞によって産生された天然抗体は、典型的には、N結合によってFc領域のCH2ドメインのAsn297に一般に結合される分岐状の二分岐オリゴ糖を含む。例えば、Wright et al.TIBTECH15:26-32(1997)を参照されたい。オリゴ糖としては、様々な炭水化物、例えば、マンノース、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、及びシアル酸、ならびに二分岐オリゴ糖構造の「幹」内のGlcNAcに結合したフコースを挙げることができる。いくつかの実施形態において、抗体内のオリゴ糖の修飾は、改善された特定の特性を有する抗体バリアントを作製するために行われ得る。
【0211】
いくつかの実施形態において、Fc領域に(直接的または間接的に)結合したフコースを欠く炭水化物構造を有する抗体バリアントが提供される。例えば、そのような抗体内のフコースの量は、1%~80%、1%~65%、5%~65%、または20%~40%であり得る。フコースの量は、例えば、WO2008/077546に記載されるMALDI-TOF質量分析によって測定される、Asn297に結合した全ての糖構造(例えば、複合体、ハイブリッド、及び高マンノース構造)の合計に対する、Asn297の糖鎖内のフコースの平均量を計算することにより決定される。Asn297は、Fc領域内の約297位(Fc領域残基のEu番号付け)に位置するアスパラギン残基を指すが、Asn297はまた、抗体におけるわずかな配列多様性のため、297位から約±3アミノ酸上流または下流、すなわち、294~300位の間に位置してもよい。そのようなフコシル化バリアントは、改善されたADCC機能を有し得る。例えば、米国特許公開第US2003/0157108号(Presta,L.)、同第US2004/0093621号(Kyowa Hakko Kogyo Co.,Ltd)を参照されたい。「脱フコシル化」または「フコース欠損」抗体バリアントに関する刊行物の例としては、US2003/0157108、WO2000/61739、WO2001/29246、US2003/0115614、US2002/0164328、US2004/0093621、US2004/0132140、US2004/0110704、US2004/0110282、US2004/0109865、WO2003/085119、WO2003/084570、WO2005/035586、WO2005/035778、WO2005/053742、WO2002/031140、Okazaki et al.J.Mol.Biol.336:1239-1249(2004)、Yamane-Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614(2004)が挙げられる。脱フコシル化抗体を産生することができる細胞株の例としては、タンパク質フコシル化が欠損したLec13 CHO細胞(Ripka et al.Arch.Biochem.Biophys.249:533-545(1986)、米国特許出願第US2003/0157108A1号(Presta,L)、及びWO2004/056312A1(Adamsら、特に実施例11))、ならびにアルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8、ノックアウトCHO細胞などのノックアウト細胞株(例えば、Yamane-Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614(2004)、Kanda,Y.et al.,Biotechnol.Bioeng.,94(4):680-688(2006)、及びWO2003/085107を参照されたい)が挙げられる。
【0212】
例えば、抗体のFc領域に結合した二分岐オリゴ糖がGlcNAcによって二分されている、二分されたオリゴ糖を有する抗体バリアントが更に提供される。そのような抗体バリアントは、低下したフコシル化及び/または改善されたADCC機能を有し得る。そのような抗体バリアントの例は、例えば、WO2003/011878(Jean-Mairetら)、米国特許第6,602,684号(Umanaら)、及びUS2005/0123546(Umanaら)に記載されている。Fc領域に結合したオリゴ糖内に少なくとも1つのガラクトース残基を有する抗体バリアントもまた、提供される。そのような抗体バリアントは、改善されたCDC機能を有し得る。そのような抗体バリアントは、例えば、WO1997/30087(Patelら)、WO1998/58964(Raju,S.)、及びWO1999/22764(Raju,S.)に記載されている。
【0213】
c)Fc領域バリアント
特定の実施形態において、1つ以上のアミノ酸修飾が、本明細書に提供される抗体のFc領域内に導入され得、それによりFc領域バリアントが生成され得る。Fc領域バリアントは、1つ以上のアミノ酸位置にアミノ酸修飾(例えば、置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4 Fc領域)を含み得る。
【0214】
特定の実施形態において、抗体バリアントは、全てではないがいくつかのエフェクター機能を所有し、それにより、インビボでの抗体の半減期が重要であるが、更に特定のエフェクター機能(補体及びADCCなど)が不要であるか、または有害である用途に対して望ましい候補となる。インビトロ及び/またはインビボ細胞毒性アッセイを実行して、CDC及び/またはADCC活性の低下/欠乏を確認することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを実行して、抗体がFcγR結合を欠く(故にADCC活性を欠く可能性が高い)が、FcRn結合能力を保持していることを確実にすることができる。ADCCを媒介するための初代細胞であるNK細胞が、Fc(RIIIのみを発現する一方で、単球は、Fc(RI、Fc(RII、及びFc(RIIIを発現する。造血細胞でのFcR発現は、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol.9:457-492(1991)の464ページの表3に要約される。対象となる分子のADCC活性を評定するためのインビトロアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号(例えば、Hellstrom,I.et al.Proc.Nat’l Acad.Sci.USA83:7059-7063(1986)を参照されたい)及びHellstrom,I et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA82:1499-1502(1985)、同第5,821,337号(Bruggemann,M.et al.,J.Exp.Med.166:1351-1361(1987)を参照されたい)に記載されている。あるいは、非放射性アッセイ法が用いられもよい(例えば、フローサイトメトリーのためのACTI(商標)非放射性細胞毒性アッセイ(CellTechnology,Inc.Mountain View,CA、及びCytoTox96(登録商標)非放射性細胞毒性アッセイ(Promega,Madison,WI)を参照されたい)。そのようなアッセイに有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核球細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。あるいは、または加えて、対象となる分子のADCC活性は、インビボで、例えば、Clynes et al.Proc.Nat’l Acad.Sci.USA95:652-656(1998)に開示されるものなどの動物モデルにおいて評価されてもよい。C1q結合アッセイを実行して、抗体がC1qに結合することができず、故にCDC活性を欠くことを確認することもできる。例えば、WO2006/029879及びWO2005/100402におけるC1q及びC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を評定するために、CDCアッセイが実行されてもよい(例えば、Gazzano-Santoro et al.,J.Immunol.Methods202:163(1996)、Cragg,M.S.et al.,Blood101:1045-1052(2003)、及びCragg,M.S.and M.J.Glennie,Blood103:2738-2743(2004)を参照されたい)。FcRn結合及びインビボクリアランス/半減期決定もまた、当該技術分野において既知である方法を使用して実行することができる(例えば、Petkova,S.B.et al.,Int’l.Immunol.18(12):1759-1769(2006)を参照されたい)。
【0215】
低下したエフェクター機能を有する抗体としては、Fc領域残基238、265、269、270、297、327、及び329のうちの1つ以上の置換を有するものが挙げられる(米国特許第6,737,056号)。そのようなFc変異体は、残基265及び297のアラニンへの置換を有するいわゆる「DANA」Fc変異体を含む、アミノ酸265位、269位、270位、297位、及び327位のうちの2つ以上に置換を有するFc変異体を含む(米国特許第7,332,581号)。
【0216】
FcRへの改善または縮小した結合を有する特定の抗体バリアントが、記載されている。(例えば、米国特許第6,737,056号、WO2004/056312、及びShields et al.,J.Biol.Chem.9(2):6591-6604(2001)を参照されたい。)
【0217】
特定の実施形態において、抗体バリアントは、ADCCを改善する1つ以上のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の298位、333位、及び/または334位(残基のEU番号付け)での置換を有するFc領域を含む。
【0218】
いくつかの実施形態において、例えば、米国特許第6,194,551号、WO99/51642、及びIdusogie et al.J.Immunol.164:4178-4184(2000)に記載される、改変(すなわち、改善または縮小のいずれか)されたC1q結合及び/または補体依存性細胞毒性(CDC)をもたらす改変が、Fc領域内で行われる。
【0219】
母体IgGの胎児への移入に関与する、増加した半減期及び新生児型Fc受容体(FcRn)への改善された結合を有する抗体(Guyer et al.,J.Immunol.117:587(1976)and Kim et al.,J.Immunol.24:249(1994))が、米国公開特許第2005/0014934A1号(Hintonら)に記載される。それらの抗体は、Fc領域のFcRnへの結合を改善する1つ以上の置換をその中に有するFc領域を含む。そのようなFcバリアントとしては、Fc領域残基238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424、または434のうちの1つ以上での置換、例えば、Fc領域残基434の置換を有するものが挙げられる(米国特許第7,371,826号)。
【0220】
また、Fc領域バリアントの他の例に関しては、Duncan&Winter,Nature322:738-40(1988)、米国特許第5,648,260号、米国特許第5,624,821号、及びWO94/29351も参照されたい。
【0221】
d)システイン操作された抗体バリアント
特定の実施形態において、抗体の1つ以上の残基がシステイン残基で置換されている、システイン操作された抗体、例えば、「thioMAb」を作製することが望ましい場合がある。特定の実施形態において、置換された残基は、抗体の到達可能な部位で生じる。それらの残基をシステインで置換することにより、反応性チオール基が抗体の到達可能な部位に位置付けられ、それを使用して、抗体を他の部分(薬物部分またはリンカー-薬物部分など)にコンジュゲートして、本明細書に更に記載される免疫コンジュゲートを作製することができる。特定の実施形態において、以下の残基、軽鎖のV205(Kabat番号付け)、軽鎖のK149(Kabat番号付け)、重鎖のA118(EU番号付け)、及び重鎖Fc領域のS400(EU番号付け)のいずれか1つ以上が、システインで置換され得る。システイン操作された抗体は、例えば、米国特許第7,521,541号に記載されるように生成され得る。
【0222】
e)抗体誘導体
特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、当該技術分野で既知であり、かつ容易に入手可能な追加の非タンパク質性部分を含有するように更に修飾され得る。抗体の誘導体化に好適な部分としては、水溶性ポリマーが挙げられるが、これに限定されない。水溶性ポリマーの非限定的な例としては、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムコポリマーのいずれか)、及びデキストランまたはポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロプロピレングリコールホモポリマー、プロリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、ならびにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中でのその安定性のため、製造する上で有利であり得る。ポリマーは、任意の分子量のものであり得、分岐状または非分岐状であり得る。抗体に結合するポリマーの数は異なり得、2つ以上のポリマーが結合する場合、それらは同じ分子であっても異なる分子であってもよい。一般に、誘導体化に使用されるポリマーの数及び/または種類は、改善される抗体の特定の特性または機能、抗体誘導体が定義された条件下で療法に使用されるかどうかなどを含むが、これらに限定されない、考慮すべき要因に基づいて決定され得る。
【0223】
別の実施形態において、放射線への曝露によって選択的に加熱され得る、抗体及び非タンパク質性部分のコンジュゲートが提供される。いくつかの実施形態において、非タンパク質性部分は、カーボンナノチューブである(Kam et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA102:11600-11605(2005))。放射線は、任意の波長のものであり得、通常の細胞を傷つけないが、抗体-非タンパク質性部分に近位の細胞が殺滅される温度まで非タンパク質性部分を加熱する波長を含むが、これらに限定されない。
【0224】
B.組み換え法及び組成物
抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号に記載されるように、組み換え法及び組成物を使用して産生され得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抗体をコードする単離された核酸が提供される。そのような核酸は、抗体のVLを含むアミノ酸配列及び/または抗体のVHを含むアミノ酸配列(例えば、抗体の軽鎖及び/または重鎖)をコードし得る。更なる一実施形態において、そのような核酸を含む1つ以上のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。更なる一実施形態において、そのような核酸を含む宿主細胞が提供される。いくつかのそのような実施形態において、宿主細胞は、(1)抗体のVLを含むアミノ酸配列及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、または(2)抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第1のベクター、及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第2のベクターを含む(例えば、それで形質転換されている)。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、真核生物のもの、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはリンパ系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体を作製する方法であって、上記に提供される抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を、その抗体の発現に好適な条件下で培養することと、任意で、抗体を宿主細胞(または宿主細胞培養培地)から回収することとを含む、方法が提供される。
【0225】
いくつかの実施形態において、多重特異性抗体の構成成分(例えば、第1の半抗体及び第2の半抗体)は、別個の細胞内または細胞培養物中で発現され、その後、インビトロで組み合わされる。他の実施形態において、多重特異性抗体の全ての構成成分が、同じ細胞内または細胞培養物中で発現される。
【0226】
抗体の組み換え産生のために、例えば、上述の抗体をコードする核酸が単離され、1つ以上のベクター内に挿入されて、宿主細胞内で更にクローニング及び/または発現される。そのような核酸は、従来の手順を使用して(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)、容易に単離され、配列決定され得る。
【0227】
抗体をコードするベクターのクローン化または発現に好適な宿主細胞としては、本明細書に記載される原核生物細胞または真核生物細胞が挙げられる。例えば、抗体は、特にグリコシル化及びFcエフェクター機能が必要とされない場合に、細菌中で産生され得る。細菌中での抗体断片及びポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5,648,237号、同第5,789,199号、及び同第5,840,523号を参照されたい。(E.coliにおける抗体断片の発現について説明している、Charlton,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ,2003),pp.245-254も参照されたい。)発現後、抗体は、可溶性画分中で細菌細胞ペーストから単離され得、更に精製され得る。
【0228】
原核生物に加えて、糸状菌または酵母などの真核微生物は、抗体をコードするベクターにとって好適なクローニングまたは発現宿主であり、そのグリコシル化経路が「ヒト化」されており、部分的または完全なヒトグリコシル化パターンを有する抗体の産生をもたらす、真菌及び酵母株を含む。Gerngross,Nat.Biotech.22:1409-1414(2004)、及びLi et al.,Nat.Biotech.24:210-215(2006)を参照されたい。
【0229】
グリコシル化抗体の発現に好適な宿主細胞はまた、多細胞生物(無脊椎動物及び脊椎動物)にも由来する。無脊椎動物細胞の例としては、植物細胞及び昆虫細胞が挙げられる。特にSpodoptera frugiperda細胞のトランスフェクションのために昆虫細胞と組み合わせて使用され得る、多数のバキュロウイルス株が特定されている。
【0230】
植物細胞培養物もまた、宿主として利用することができる。例えば、米国特許第5,959,177号、同第6,040,498号、同第6,420,548号、同第7,125,978号、及び同第6,417,429号(トランスジェニック植物において抗体を産生するためのPLANTIBODIES(商標)技術を説明)を参照されたい。
【0231】
脊椎動物細胞もまた、宿主として使用することができる。例えば、懸濁液中で成長するように適合される哺乳動物細胞株が、有用であり得る。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例としては、SV40(COS-7)で形質転換されたサル腎臓CV1株、ヒト胚腎臓株(例えば、Graham et al.,J.Gen Virol.36:59(1977)に記載される293または293細胞)、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK)、マウスセルトリ細胞(例えば、Mather,Biol.Reprod.23:243-251(1980)に記載されるTM4細胞)、サル腎臓細胞(CV1)、アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76)、ヒト子宮頚癌細胞(HELA)、イヌ腎臓細胞(MDCK、バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A)、ヒト肺細胞(W138)、ヒト肺細胞(Hep G2)、マウス乳腺腫瘍(MMT 060562)、TRI細胞(例えば、Mather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44-68(1982)に記載されるもの)、MRC5細胞、及びFS4細胞が挙げられる。他の有用な哺乳動物宿主細胞株としては、DHFRCHO細胞(Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA77:4216(1980))を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ならびにY0、NS0、及びSp2/0などの骨髄腫細胞株が挙げられる。抗体産生に好適な特定の哺乳類宿主細胞株の概説については、例えば、Yazaki and Wu,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ),pp.255-268(2003)を参照されたい。
【0232】
C.アッセイ
本明細書に提供される抗体は、それらの物理的/化学的特性及び/または生物学的活性について、当該技術分野で既知の様々なアッセイによって、特定、スクリーニング、または特徴付けされてもよい。
【0233】
いくつかの態様において、抗体は、その抗原結合活性について、例えば、ELISA、FACS、またはウェスタンブロットなどの既知の方法によって試験される。
【0234】
別の態様において、競合アッセイを使用して、混合トポロジーのポリユビキチンへの結合について本明細書に記載される抗体のうちのいずれかと競合する抗体を特定することができる。特定の実施形態において、そのような競合抗体は、本明細書に記載される抗体によって結合される、同じエピトープ(例えば、線状または立体構造エピトープ)に結合する。抗体が結合するエピトープをマッピングするための詳細な例示的方法が、Morris(1996)“Epitope Mapping Protocols,”Methods in Molecular Biology vol.66(Humana Press,Totowa,NJ)に提供されている。
【0235】
例示的な競合アッセイにおいて、固定化された混合トポロジーのポリユビキチンは、混合トポロジーのポリユビキチンに結合する第1の標識抗体(例えば、本明細書に記載される抗体のいずれか)、及び混合トポロジーのポリユビキチンへの結合について第1の抗体と競合するその能力について試験されている第2の未標識抗体を含む溶液とともにインキュベートされる。第2の抗体は、ハイブリドーマ上清中に存在し得る。対照として、混合トポロジーのポリユビキチンを、第1の標識抗体を含むが第2の非標識抗体を含まない溶液中でインキュベートする。第1の抗体の混合トポロジーのポリユビキチンへの結合を許容する条件下でインキュベートした後、過剰な未結合抗体を除去し、固定化され混合トポロジーのポリユビキチンと会合した標識の量を測定する。試験試料中の固定化された混合トポロジーのポリユビキチンと会合した標識の量が、対照試料と比較して実質的に低下した場合、それは、第2の抗体が混合トポロジーのポリユビキチンへの結合において第1の抗体と競合していることを示す。Harlow and Lane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual ch.14(Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY)を参照されたい。
【0236】
D.免疫コンジュゲート
化学療法剤もしくは化学療法薬、成長阻害剤、毒素(例えば、タンパク質毒素、細菌、真菌、植物、もしくは動物起源の酵素活性毒素、またはそれらの断片)、あるいは放射性同位体(すなわち、放射性コンジュゲート)などの、1つ以上の細胞毒性剤コンジュゲートされる、本明細書に開示される抗体を含む免疫コンジュゲートが提供される。
【0237】
免疫コンジュゲートによって、腫瘍または他の疾患細胞もしくは組織に対して薬物部分の送達を標的とすることが可能となり、かついくつかの実施形態において、非コンジュゲート薬物の全身投与が、正常な細胞にとって許容できないレベルの毒性をもたらし得る場合に、その中の細胞内蓄積が可能となる(Polakis P.(2005)Current Opinion in Pharmacology5:382-387)。
【0238】
抗体-薬物コンジュゲート(ADC)は、強力な細胞毒性薬の標的を抗原発現腫瘍細胞に向け(Teicher,B.A.(2009)Current Cancer Drug Targets9:982-1004)、それにより有効性を最大化し、オフターゲット毒性を最小化することで治療指数を増強することによって、抗体及び細胞毒性薬の両方の特性を組み合わせる標的化学療法分子である(Carter,P.J.and Senter P.D.(2008)The Cancer Jour.14(3):154-169、Chari,R.V.(2008)Acc.Chem.Res.41:98-107)。
【0239】
ADC化合物は、抗がん活性を有するものを含む。いくつかの実施形態において、ADC化合物は、薬物部分にコンジュゲートされた、すなわち、共有結合された抗体を含む。いくつかの実施形態において、本抗体は、は、リンカーを通して薬物部分に共有結合される。抗体-薬物コンジュゲート(ADC)は、有効用量の薬物を腫瘍組織に選択的に送達し得、それによって治療指数(「治療濃度域」)を増加させながら、より高い選択性(すなわち、より低い効果的用量)が達成され得る。
【0240】
抗体-薬物コンジュゲート(ADC)の薬物部分(D)は、細胞毒性効果または細胞増殖抑制性効果を有する任意の化合物、部分、または基を含み得る。薬物部分は、チューブリン結合、DNA結合または挿入、ならびにRNAポリメラーゼ、タンパク質合成、及び/またはトポイソメラーゼの阻害を含むが、これらに限定されない機構によって、それらの細胞毒性効果及び細胞増殖抑制性効果を付与し得る。例示的な薬物部分としては、マイタンシノイド、ドラスタチン、オーリスタチン、カリケアマイシン、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)、ネモルビシン及びその誘導体、PNU-159682、アントラサイクリン、デュオカルマイシン、ビンカアルカロイド、タキサン、トリコテセン、CC1065、カンプトテシン、エリナフィド、ならびに細胞毒性活性を有するそれらの立体異性体、同配体、類似体、及び誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0241】
E.診断及び検出のための方法及び組成物
特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体はいずれも、生体試料中の混合トポロジーのポリユビキチンの存在の検出に有用である。本明細書で使用される場合、「検出」という用語は、定量的または定性的検出を包含する。「生体試料」は、例えば、細胞または組織(例えば、がん性または潜在的にがん性である結腸、結腸直腸、小腸、子宮内膜、膵臓、乳、肺、前立腺、または卵巣組織を含む生検材料)を含む。
【0242】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体は、診断または検出の方法における使用のためのものである。更なる一態様において、生体試料中の混合トポロジーのポリユビキチンの存在を検出する方法が提供される。特定の実施形態において、本方法は、抗体の混合トポロジーのポリユビキチンへの結合を許容する条件下で、生体試料を、本明細書に記載される抗体と接触させることと、抗体と生体試料中の混合トポロジーのポリユビキチンとの間に複合体が形成されたかを検出することとを含む。そのような方法は、インビトロ方法またはインビボ方法であり得る。いくつかの実施形態において、例えば、混合トポロジーのポリユビキチンが患者の選択のためのバイオマーカーである場合、抗体を使用して、抗混合トポロジーのポリユビキチン抗体での療法に適格な対象を選択する。いくつかの実施形態において、生体試料は、例えば、細胞または組織(例えば、がん性または潜在的にがん性である組織を含む生検材料)を含む。
【0243】
いくつかの実施形態において、生体試料中のポリユビキチン化タンパク質を検出する方法であって、ポリユビキチン化タンパク質が、2つ以上の位置において少なくとも第1及び第2のポリユビキチンでポリユビキチン化され、第1及び第2のポリユビキチンが、異なる連結を有する、方法が提供される。特定の実施形態において、本方法は、抗体のポリユビキチン化タンパク質への結合を許容する条件下で、生体試料を、本明細書に記載される抗体と接触させることと、抗体と生体試料中のポリユビキチン化タンパク質との間に複合体が形成されたかを検出することとを含む。そのような方法は、インビトロ方法またはインビボ方法であり得る。いくつかの実施形態において、例えば、2つ以上の位置において異なる連結を有する少なくとも第1及び第2のポリユビキチンでポリユビキチン化されたポリユビキチン化タンパク質が、患者の選択のためのバイオマーカーである場合、抗体を使用して、本明細書に開示される抗体での療法に適格な対象を選択する。いくつかの実施形態において、生体試料は、例えば、細胞または組織(例えば、がん性または潜在的にがん性である組織を含む生検材料)を含む。
【0244】
更なる一実施形態において、本明細書に開示される抗体をインビボで使用して、例えば、疾患の診断、予後診断、もしくは段階分け、適切な療法過程の決定、または療法に対する応答の監視の目的のために、例えば、インビボ画像化によって、混合トポロジーのポリユビキチン、または2つ以上の位置において異なる連結を有する少なくとも第1及び第2のポリユビキチンでポリユビキチン化されたポリユビキチン化タンパク質を対象において検出する。インビボ検出のための当該技術分野で既知の1つの方法は、例えば、van Dongen et al.,The Oncologist12:1379-1389(2007)及びVerel et al.,J.Nucl.Med.44:1271-1281(2003)に記載される免疫ポジトロン放出断層撮影(免疫-PET)である。そのような実施形態において、対象において混合トポロジーのポリユビキチンを検出するための方法であって、標識された抗体を対象に投与することと、対象において標識された抗混合トポロジーのポリユビキチン抗体を検出することとを含む、方法が提供される。そのような実施形態のうちの特定のものにおいて、標識された抗体は、68Ga、18F、64Cu、86Y、76Br、89Zr、及び124Iなどのポジトロン放出体を含む(例えば、それにコンジュゲートされる)。特定の一実施形態において、ポジトロン放出体は、89Zrである。89Zr標識された抗体を作製及び使用する非限定な例示的な方法は、例えば、PCT公開第WO2011/056983号に記載されている。いくつかの実施形態において、標識された抗体は、1つ以上のジルコニウム複合体にコンジュゲートされたシステイン操作された抗体である。例えば、WO2011/056983を参照されたい。
【0245】
更なる一実施形態において、診断及び検出の方法は、基質に固定化された第1の本明細書に開示される抗体を、混合トポロジーのポリユビキチン、または2つ以上の位置において異なる連結を有する少なくとも第1及び第2のポリユビキチンでポリユビキチン化されたポリユビキチン化タンパク質の存在について試験される生体試料と接触させることと、基質を、混合トポロジーのポリユビキチンまたはポリユビキチン化タンパク質に結合する第2の抗体に曝露することと、第2の抗体が、第1の抗体と生体試料中の混合トポロジーのポリユビキチンまたはポリユビキチン化タンパク質との複合体に結合されているかを検出することとを含む(サンドイッチアッセイと称されることもある)。基質は、任意の支持培地、例えば、ガラス、金属、セラミック、ポリマービーズ、スライド、チップ、及び他の基質であり得る。特定の実施形態において、生体試料は、例えば、細胞または組織(例えば、がん性または潜在的にがん性である結腸、結腸直腸、小腸、子宮内膜、膵臓、または卵巣組織を含む生検材料)を含む。特定の実施形態において、第1または第2の抗体は、本明細書に記載される抗体のうちのいずれかである。
【0246】
特定の実施形態において、本明細書に開示される抗体は、標識される。標識としては、直接的に検出される標識または部分(蛍光、発色団、高電子密度、化学発光、及び放射性標識など)、ならびに例えば、酵素反応または分子相互作用を通して間接的に検出される部分(酵素またはリガンドなど)が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な標識としては、放射性同位体32P、14C、125I、H、及び131I、フルオロフォア(希土類キレートまたはフルオレセインなど)及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシフェラーゼ、例えば、ホタルルシフェラーゼ及び細菌ルシフェラーゼ(米国特許第4,737,456号)、ルシフェリン、2,3-ジヒドロフタラジンジオン、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖類オキシダーゼ(例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ)、HRP、ラクトペルオキシダーゼ、またはマイクロペルオキシダーゼなどの過酸化水素を用いて染料前駆体を酸化する酵素と共役した複素環式オキシダーゼ(ウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼなど)、ビオチン/アビジン、スピン標識、バクテリオファージ標識、ならびに安定フリーラジカルなどが挙げられるが、これらに限定されない。別の実施形態において、標識は、ポジトロン放出体である。ポジトロン放出体としては、68Ga、18F、64Cu、86Y、76Br、89Zr、及び124Iが挙げられるが、これらに限定されない。特定の一実施形態において、ポジトロン放出体は、89Zrである。
【0247】
ある試料中の混合トポロジーのポリユビキチンまたは2つ以上の位置において異なる連結を有する少なくとも第1及び第2のポリユビキチンでポリユビキチン化されたポリユビキチン化タンパク質の存在は、本明細書に開示される抗体を使用して、いくつかの方法論によって分析することができ、免疫組織化学(「IHC」)、ウェスタンブロット分析、免疫沈降、分子結合アッセイ、ELISA、ELIFA、蛍光活性化細胞選別(「FACS」)、定量的血液系アッセイ(例えば、血清ELISAなど)を含むが、これらに限定されない、これらのうちの多くは、当該技術分野において既知であり、当業者によって理解されている。タンパク質の状態を評価するための典型的なプロトコルは、例えば、Ausubel et al.,eds.,1995,Current Protocols In Molecular Biology,Unit15(免疫ブロット)に見出される。(「MSD」)から入手可能なアッセイなどの多重免疫アッセイもまた、使用され得る。
【0248】
いくつかの実施形態において、単一特異性抗体、未組み立て半抗体、または単一特異性抗体及び未組み立て半抗体の両方を実質的に含まない、組成物が提供される。単一特異性抗体は、2種類以上の抗原認識部位を含まない抗体、例えば、6つのCDRのうちの一組のみを有する抗体または6つのCDRの各組が同一である抗体である。第1の組のCDRが、例えば、少数のアミノ酸残基に関して任意の他の組のCDRとわずかにだけ異なる抗体(差異は異なる抗原への優先的な結合はもたらさない)もまた、単一特異性であると見なされる。未組み立て半抗体は、別の半抗体と安定的に会合(共有結合的または非共有結合)しておらず、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー、質量分析、または電気泳動法などの適切な技術によって分析したとき、単一重鎖/軽鎖単位に見える。
【0249】
F.薬学的製剤
本明細書に記載される抗体またはコンジュゲートの薬学的製剤は、所望の程度の純度を有するそのような抗体または免疫コンジュゲートを、凍結乾燥製剤または水溶液の形態の1つ以上の任意の薬学的に許容される担体(Remington’s Pharmaceutical Sciences16th edition,Osol,A.Ed.(1980))と混合することによって調製される。薬学的に許容される担体は一般に、レシピエントに対し、用いられる投薬量及び濃度で無毒であり、緩衝液(リン酸、クエン酸、及び他の有機酸など)、アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤、保存剤(オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチル、もしくはベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチルもしくはプロピルパラベンなど)、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、及びm-クレゾールなど)、低分子量(約10残基未満)ポリペプチド、タンパク質(血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなど)、親水性ポリマー(ポリビニルピロリドンなど)、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジンなど)、単糖類、二糖類、及び他の炭水化物(グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む)、キレート剤(EDTAなど)、糖類(スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトールなど)、塩形成対イオン(ナトリウムなど)、金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体)、ならびに/または非イオン性界面活性剤(ポリエチレングリコール(PEG)など)を含むが、これらに限定されない。本明細書における例示的な薬学的に許容される担体は、可溶性の中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えば、ヒト可溶性PH-20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(rHuPH20(HYLENEX(登録商標)、Baxter International,Inc.)など)などの介在性薬物分散剤を更に含む。rHuPH20を含む、特定の例示的なsHASEGP及び使用方法は、米国特許公開第2005/0260186号及び同第2006/0104968号に記載されている。いくつかの態様において、sHASEGPは、コンドロイチナーゼなどの1つ以上の追加のグリコサミノグリカナーゼと組み合わされる。
【0250】
例示的な凍結乾燥抗体または免疫コンジュゲート製剤が、米国特許第6,267,958号に記載されている。水性抗体製剤または免疫コンジュゲート製剤としては、米国特許第6,171,586号及びWO2006/044908に記載されるものが挙げられ、後者の製剤にはヒスチジン-酢酸緩衝液が含まれる。
【0251】
本明細書における製剤はまた、治療されている特定の適応症に必要とされる2つ以上の活性成分、好ましくは相互に悪影響を及ぼさない相補的活性を有するものを含有してもよい。
【0252】
活性成分はまた、例えば、コアセルベーション技術によって、もしくは界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチンマイクロカプセル及びポリ-(メチルメタシレート)マイクロカプセル内、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロ乳濁液、ナノ粒子、及びナノカプセル)内、またはマクロ乳濁液中にも取り込まれ得る。そのような技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences16th edition,Osol,A.Ed.(1980)に開示されている。
【0253】
徐放性調製物が調製され得る。徐放性調製物の好適な例としては、抗体または免疫コンジュゲートを含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリクスが挙げられ、このマトリクスは、成形品、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルの形態にある。
【0254】
インビボ投与に使用される製剤は一般に、滅菌される。滅菌は、例えば、滅菌濾過膜を通す濾過によって容易に達成され得る。
【0255】
G.治療方法及び組成物
本明細書に提供される抗体または免疫コンジュゲートのうちのいずれも、方法、例えば、治療方法において使用することができる。
【0256】
別の態様において、薬物としての使用のための本明細書に開示される抗体または免疫コンジュゲートが提供される。更なる態様において、治療方法における使用のための本明細書に開示される抗体または免疫コンジュゲートが提供される。特定の実施形態において、混合トポロジーのポリユビキチン陽性がんの治療における使用のための本明細書に開示される抗体または免疫コンジュゲートが提供される。
【0257】
更なる一態様において、薬物の製造または調製における本明細書に開示される抗体または免疫コンジュゲートの使用が提供される。
【0258】
上記の実施形態のいずれかに従う「個体」は、ヒトであり得る。
【0259】
更なる一態様において、例えば、上記の治療方法のいずれかにおける使用のための、本明細書に提供される抗体または免疫コンジュゲートのいずれかを含む薬学的製剤が提供される。いくつかの実施形態において、薬学的製剤は、本明細書に提供される抗体または免疫コンジュゲートのいずれかと、薬学的に許容される担体とを含む。
【0260】
本明細書に提供される抗体または免疫コンジュゲートは、療法において、単独で、または他の薬剤との組み合わせでのいずれかで使用することができる。例えば、本明細書に提供される抗体または免疫コンジュゲートは、少なくとも1つの追加の治療剤と同時投与され得る。
【0261】
上記のそのような併用療法は、併用投与(2つ以上の治療剤が同じまたは別個の製剤中に含まれる場合)、ならびに本明細書に提供される抗体または免疫コンジュゲートの投与が、追加の治療剤及び/またはアジュバントの投与の前、それと同時、及び/またはそれに続いて生じ得る、別個投与を包含する。
【0262】
抗体または免疫コンジュゲート(及び任意の追加の治療剤)は、非経口、肺内、及び鼻腔内、ならびに局所治療で所望される場合、病変内投与を含む、任意の好適な手段によって投与され得る。非経口注入としては、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、または皮下投与が挙げられる。投薬は、部分的には、投与が短時間であるか、または慢性的であるかに応じて、例えば、任意の好適な経路によるもの、例えば、静脈内注射または皮下注射などの注射によるものであり得る。単回投与または様々な時点にわたる複数回投与、ボーラス投与、及びパルス注入を含むが、これらに限定されない、様々な投薬スケジュールが本明細書において企図される。
【0263】
抗体または免疫コンジュゲートは、良好な医療慣例と一致する様式で、製剤化、投薬、及び投与されるだろう。この文脈において考慮すべき要因としては、治療されている特定の障害、治療されている特定の哺乳動物、個々の患者の臨床病態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジューリング、及び医師に既知である他の要因が挙げられる。抗体または免疫コンジュゲートは、任意で、問題の障害を予防または治療するために現在使用されている1つ以上の薬剤とともに製剤化されるが、その必要はない。そのような他の薬剤の有効量は、製剤中に存在する抗体または免疫コンジュゲートの量、障害または治療の種類、ならびに上記に考察される他の要因に依存する。これらは一般に、本明細書に記載されるものと同じ投薬量及び投与経路で使用されるか、または本明細書に記載される投薬量の約1~99%、もしくは経験的/臨床的に適切であると決定される任意の投薬量及び任意の経路で使用される。
【0264】
疾患の予防または治療のために、抗体または免疫コンジュゲートの適切な投薬量(単独で、または1つ以上の他の追加の治療剤と組み合わせて使用される場合)は、治療される疾患の種類、抗体または免疫コンジュゲートの種類、疾患の重症度及び経過、抗体または免疫コンジュゲートが予防目的または治療目的で投与されるかどうか、以前の療法、患者の病歴、及び抗体または免疫コンジュゲートへの応答、ならびに主治医の裁量に依存するだろう。抗体または免疫コンジュゲートは、一度に、または一連の治療にわたって患者に好適に投与される。
【0265】
上記の製剤または治療方法のうちのいずれも、免疫コンジュゲート及び抗体の両方を使用して実行され得ることが理解される。
【0266】
H.製造品
別の態様において、上述の障害の治療、予防、及び/または診断に有用な材料を含有する製造品が提供される。製造品は、容器と、容器上のもしくは容器に関連するラベルまたは添付文書とを含む。好適な容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、IV溶液バッグなどが含まれる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの多様な材料から形成され得る。容器は、それ自体で、または別の組成物との組み合わせで、障害の治療、予防、及び/または診断に有効である組成物を保持し、滅菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、静脈注射用溶液バッグまたは皮下注射針によって穿孔可能な栓を有するバイアルであり得る)。組成物中の少なくとも1つの活性薬剤は、本明細書に開示される抗体または免疫コンジュゲートである。ラベルまたは添付文書は、組成物が、選択される病態を治療するために使用されることを示す。更に、製造品は、(a)抗体または免疫コンジュゲートを含む組成物を内部に収容した第1の容器と、(b)更なる細胞毒性剤またはさもなければ治療剤を含む組成物を内部に収容した第2の容器とを含み得る。この実施形態における製造品は、組成物が特定の病態を治療するために使用され得ることを示す添付文書を更に含み得る。あるいは、または加えて、製造品は、注入用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンガー溶液、またはデキストロース溶液などの薬学的に許容される緩衝液を含む第2の(または第3の)容器を更に含んでもよい。それは、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジを含む、商業的観点及びユーザの観点から望ましい他の材料を更に含んでもよい。
【0267】
III.実施例
以下は、本明細書に提供される方法及び組成物の実施例である。上記に提供される概要を考慮して、様々な他の実施形態が実施され得ることが理解される。
【0268】
A.分析方法
サイズ排除クロマトグラフィー-多角度光散乱。50μgの抗体を、3.5μm、7.8mm×300mmのXBridgeタンパク質BEH分析SEC200Åカラム(Waters)に、20mMのヒスチジンアセテート、300mMのNaCl(pH5.5)を移動相として有するAgilent1260Infinity HPLCを使用して、1mL/分で注入した。分析SECカラムから溶出したタンパク質を、Wyatt DAWN HELEOS II/Optilab T-rEX多角度光散乱検出器に直接注入して、モル質量及び多分散を測定した。
【0269】
質量分析。質量分析の前に、2単位のカルボキシペプチダーゼB(Roche)の存在下または不在下、37℃で、30μgの抗体を2単位のPNGaseF(NEB)で一晩脱グリコシル化した。その後、2μgの抗体を、3μm、4.6×50mmの逆相クロマトグラフィーPLRP-Sカラム(Agilent)に、Agilent1290Infinity UHPLCを使用して、1mL/分で注入した。3分間にわたる0~100%の緩衝液B勾配を、水中0.05%のトリフルオロ酢酸(TFA)(緩衝液A)及びアセトニトリル中0.05%のTFA(緩衝液B)によって実行し、その後、1分間の100%の緩衝液B洗浄を続けた。逆相カラムから溶出したタンパク質を、インタクト質量測定のために、Agilent6230エレクトロスプレーイオン化飛行時間型質量分析計(ESI-TOF)に直接注入した。
【0270】
B.抗体クローニング、発現、及びアニーリング
ノブ・イントゥ・ホールヘテロ二量体化アプローチを使用して、二重特異性抗体を生成した。このアプローチについての一般的な概説については、Merchant,A.M.et al.An efficient route to human bispecific IgG.Nat Biotechnol16,677-681,doi:10.1038/nbt0798-677(1998)を参照されたい。
【0271】
T366W(ノブ)またはT366S、L368A、及びY407V(ホール)変異を、抗K11及び抗K48ポリユビキチン連結特異的抗体のCH3ドメインに導入した。対照として、無関係のタンパク質を認識する抗gD抗体を使用した。抗体のそれぞれの重鎖の優先的なヘテロ二量体化を可能にするために、ノブ及びホール変異を選択した。
【0272】
重鎖可変ドメインは、(抗K11ポリユビキチン連結特異性では)配列番号8、(抗K48ポリユビキチン連結特異性では)配列番号22、及び非特異的抗gD対照抗体のものであった。これらの可変ドメインを、CH3ドメイン内にノブ(T366W)変異またはホール(T366S、L368A、及びY407V)変異のいずれかを有するヒトIgG1重鎖定常メインを含有する修飾pRKベクター(Genentech)へとサブクローニングした。
【0273】
可変領域の長さのために、ノブ及びホール変異の実際の位置は、例えば、1~10位置だけ、わずかに変動し得る。例えば、配列番号4及び6、それぞれTからW及びTからSへの置換は、第366アミノ酸残基ではなく第369アミノ酸残基に反映される。重鎖の366、368、及び407などの位置でのノブ及びホール変異への言及は、適切な場合、可変領域の長さに照らして調節して解釈されるべきであることが理解される。
【0274】
軽鎖可変ドメインを、ヒトカッパ軽鎖定常ドメインを含有する修飾pRKベクター(Genentech)へと同様にサブクローニングした。pRKベクターは、哺乳動物細胞内での細胞外発現のための恒常的強度シグナルペプチドを担持する。抗K11抗体を(配列番号4及び6をそれぞれ含む重鎖をコードする)ノブ及びホール変異体の両方としてクローニングし、抗K48を(配列番号20)を含む重鎖をコードする)ホール変異体としてクローニングし、抗gDをノブ変異体としてクローニングした。
【0275】
配列表はまた、抗K11抗体のノブ変異体(配列番号18)、抗K63重鎖のノブ及びホール変異体(それぞれ配列番号32及び34)、ならびに抗直鎖状ポリユビキチン重鎖のノブ及びホール変異体(それぞれ配列番号46及び48)も提供する。
【0276】
同族軽鎖及び重鎖の対合を保存するために、それらのそれぞれの軽鎖が別個にCHO細胞内にあるノブまたはホール重鎖変異体のいずれかを発現させ、それらを個々に親和性精製した(図1a)。以前に記載されるようにPEIを使用(Wong,A.W.,Baginski,T.K.&Reilly,D.E.Enhancement of DNA uptake in FUT8-deleted CHO cells for transient production of afucosylated antibodies.Biotechnol Bioeng106,751-763,doi:10.1002/bit.22749(2010)を参照されたい)して、所与のノブまたはホール半抗体の軽鎖及び重鎖プラスミドを、CHO細胞内に一過的に同時トランスフェクトした。半抗体をMabSelect SuRe樹脂(GE Healthcare)で精製し、50mMのクエン酸ナトリウム、150mMのNaCl(pH3.0)で溶出させ、その後、10体積/体積%の200mMのアルギニン、137mMのコハク酸(pH9.0)で5.0にpH調節した。
【0277】
親和性精製したノブ及びホール抗体は、以前に記載されているノブ及びホール抗体と一貫して、SDS-PAGE、分析サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、多角度光散乱(MALS)、及び液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)(図1b、1c、2a、2b、表2、3)によって見られるようなモノマー(半抗体)とホモ二量体との混合物である。例えば、Shatz,W.et al.Knobs-into-holes antibody production in mammalian cell lines reveals that asymmetric afucosylation is sufficient for full antibody-dependent cellular cytotoxicity.MAbs5,872-881,doi:10.4161/mabs.26307(2013)、Elliott,J.M.et al.Antiparallel conformation of knob and hole aglycosylated half-antibody homodimers is mediated by a CH2-CH3hydrophobic interaction.J Mol Biol426,1947-1957,doi:10.1016/j.jmb.2014.02.015(2014)、Spiess,C.et al.Bispecific antibodies with natural architecture produced by co-culture of bacteria expressing two distinct half-antibodies.Nat Biotechnol31,753-758,doi:10.1038/nbt.2621(2013)を参照されたい。モノマー、ホモ二量体、及びヘテロ二量体ピークを図1c及び2aに示し、分子量を光散乱で検証した(表1を参照されたい)。
【0278】
抗K48ホール/抗K11ノブ二重特異性抗体の理論上の質量は、144,613.19Daであり、図1dの主要ピークに対応する。抗K48ホール及び抗K11ノブホモ二量体の予測されたピーク位置を、それぞれ144,485.90Da及び144,740.48Daのそれらの理論上の質量に基づいて示す。CPBでの処理は、144,745.26Daのピークの喪失をもたらし、これは、それが抗K11ノブホモ二量体ではなく、むしろカルボキシ末端リジン残基が依然として結合している二重特異性抗体の一部分であることを示す。抗K11/gD二重特異性抗体の理論上の質量は145,623.14Daであり、抗K48/gD二重特異性抗体の理論上の質量は145,701.11Daであり、図2cのそれぞれのパネルの主要ピークに対応する。抗K11ホールホモ二量体、抗K48ホールホモ二量体、及び抗gDノブホモ二量体の予測されたピーク位置を、それぞれ144,329.96Da、144,485.90、及び146,916.32Daのそれらの理論上の質量に基づいて示す。
【0279】
表2.精製された半抗体及び組み立てた二重特異性抗体のモル質量。
モル質量及び多分散測定のために、抗体を、DAWN HELEOS II多角度光散乱検出器に結合したXBridgeタンパク質BEH分析SECカラムに注入した。SECカラムからの個々のピークの溶出時間を、分で示す。
【0280】
表3.半抗体及び組み立てた二重特異性抗体の質量分析。
抗体をPNGaseFで脱グリコシル化し、液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)によって分析した。理論上の質量は、未還元の脱グリコシル化抗体のものであり、哺乳動物細胞発現中のカルボキシ末端リジン残基の完全な除去を想定する。質量差を、実験上の質量と理論上の質量との間の差異として報告する。N/O、観察されず。
【0281】
SEC-MALSによって、抗K48ホール抗体は、およそ20%のホモ二量体及び80%のモノマーを示す(図1c、表2)。割合の明確さは抗K11ノブ抗体についてより低く、これはホモ二量体及びモノマーがSECで同時溶出するためであり、MALSによる高い多分散を示す遅滞した端の肩部を含有する幅広い溶出ピークによって証拠付けられる(図1c、表2)。ノブ及びホールホモ二量体の両方は、LC-MSの逆相クロマトグラフィーステップにおいて撹乱され、MSによってモノマーのみが検出されるため、それらは、天然において非共有結合的である(すなわち、ヒンジジスルフィドは形成されない)(図2b、表3)。これは、ホモ二量体のX線結晶構造に見られるノブ/ノブまたはホール/ホールFcドメインの逆平行の配向と一貫している。Elliott,J.M.et al.Antiparallel conformation of knob and hole aglycosylated half-antibody homodimers is mediated by a CH2-CH3hydrophobic interaction.J Mol Biol426,1947-1957,doi:10.1016/j.jmb.2014.02.015(2014)を参照されたい。
【0282】
アニーリング、還元、及び酸化を使用して、二重特異性抗体を半抗体からインビトロで組み立てた。以前に記載されているアニーリング、還元、及び酸化の方法の修正版を使用して、親和性精製した抗K11ノブ及び抗K48ホール抗体から、抗K11/K48二重特異性抗体をインビトロで組み立てた(Shatz,W.et al.Knobs-into-holes antibody production in mammalian cell lines reveals that asymmetric afucosylation is sufficient for full antibody-dependent cellular cytotoxicity.MAbs5,872-881,doi:10.4161/mabs.26307(2013).)(図1a)。簡潔には、所望されるノブ及びホール半抗体を1:1の質量比で混合し、混合物のpHを15体積/体積%の800mMのアルギニン(pH10.0)で8.5に調節した。800mMのアルギニン中200倍のモル過剰の還元グルタチオン(Sigma Aldrich)(pH10.0)を添加し、ノブ及びホール半抗体のアニーリングならびにヒンジジスルフィドの形成を可能にするために、空気に曝露した状態で、組み立て反応物を室温で72時間インキュベートした。抗K11/gD及び抗K48/gD対照二重特異性抗体を同様に組み立てた。
【0283】
疎水性相互作用(HIC)及びカチオン交換(CEX)クロマトグラフィーを使用して、結果として得られるヘテロ二量体を更に精製して、いかなる過剰な半抗体及びホモ二量体も除去した。二重特異性抗体は、SDS-PAGE上で約150kDaのバンドとして移動し、分析SEC上で急激なピークとして溶出し、モル質量が完全抗体のモル質量と一貫して単分散である(図1b、1c、2a、表2)。
【0284】
C.抗体精製及び特徴付け
組み立てた二重特異性抗体を、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)によって精製した。簡潔には、組み立て反応物を、0.75Mの硫酸アンモニウムの最終濃度になるまで、3体積の緩衝液A(25mMのリン酸ナトリウム、1Mの硫酸アンモニウム(pH6.5))で条件付けした。組み立て反応物を濾過し、5μm、7.8×75mmのProPac HIC-10カラム(Dionex)に充填し、その後、緩衝液Aで洗浄した。40カラム体積(CV)にわたる0~100%の緩衝液B(25mMのリン酸ナトリウム(pH6.5)、25%のイソプロパノール)直線勾配を実行して、いかなる未反応の半抗体または凝集タンパク質からも二重特異性抗体を分離させた。溶出ピークの同一性をSDS-PAGE及び質量分析によって監視した(方法の詳細については以下を参照されたい)。
【0285】
二重特異性抗体を、カチオン交換クロマトグラフィー(CEX)によって更に精製した。簡潔には、HICプール材料を20mMの酢酸ナトリウム(pH5.0)へと透析し、10μmのMono S5/50GLカラム(GE Healthcare)に充填し、緩衝液A(20mMの酢酸ナトリウム(pH5.0))で洗浄した。40CVにわたる0~100%の緩衝液B(20mMの酢酸ナトリウム(pH5.0)、1MのNaCl)直線勾配を実行し、所望される画分をプールした。精製した二重特異性抗体を、20mMのヒスチジンアセテート、240mMのスクロース、0.02%のTween-20(pH5.5)中に製剤化した。
【0286】
LC-MSを使用して、精製及びアニーリングした種の同一性を確認した(図1d、2c、表3)。不均質性を低下させるために、分析前に抗体をPNGaseFで脱グリコシル化した。抗K11/K48組み立て体中の主要な種は、実際、理論上の質量(144,613.19Da)の4.11Da以内である144,617.30Daの観察質量を有する二重特異性抗体である。
【0287】
144,485.90Daの理論上の質量を有する抗K48ホールホモ二量体は観察されなかった。144,745.26Daの追加のピークが見られ、これは抗K11ノブホモ二量体の理論上の質量(144,740.48Da)に近い。この追加のピークは、抗K11/K48ヘテロ二量体について観察された144,617.30Daの実験上の質量よりも大きい128Daである。発現中のカルボキシペプチダーゼの活性ために、哺乳動物細胞から精製した組み換え抗体は、典型的には、重鎖上のカルボキシ末端リジン残基が除去される。Harris,R.J.Processing of C-terminal lysine and arginine residues of proteins isolated from mammalian cell culture.J Chromatogr A705,129-134(1995)、Harris,R.J.,Wagner,K.L.&Spellman,M.W.Structural characterization of a recombinant CD4-IgG hybrid molecule.Eur J Biochem194,611-620(1990)を参照されたい。
【0288】
本明細書で計算される組み換え抗体の理論上の質量は、カルボキシ末端リジンの完全な除去を想定する。このリジンの除去が不完全であり、追加の残基を含有する1つの重鎖を有する二重特異性抗体の画分がもたらされる場合、リジン残基の質量に対応して+128Daでもピークが見られることが予想されるだろう。半抗体の更なる分析は、抗K11ノブ、抗K11ホール、及び抗gDノブが全て、わずかな画分のカルボキシ末端リジンが依然として結合している抗体を含有することを明らかにする(図2b)。
【0289】
精製した抗K11/K48二重特異性抗体に観察された144,745.26Daでのピークが、抗K11ノブホモ二量体の混入によるものではなく、むしろ1つの重鎖カルボキシ末端リジン残基が依然として結合している二重特異性抗体の一部分によるものであることを実証するために、抗体をカルボキシペプチダーゼB(CPB)で処理した。これは144,745.26Daのピークの喪失をもたらし、それがカルボキシ末端リジン残基の存在によるものであることを確認する。故に、抗K11/K48二重特異性抗体は、高度に純粋であり、いかなるホモ二量体も含まない。
【0290】
D.ホモ二量体の蛍光標識
抗K11単一特異性抗体及び抗K11/K48二重特異性抗体を、Alexa Fluor(登録商標)タンパク質標識キット(ThermoFisher)を使用して、製造業者の指示書に従って、Alexa Fluor(登録商標)488及びAlexa Fluor(登録商標)546でそれぞれ標識した。未反応の遊離染料を、広範囲の透析を通して除去した。1モルの抗体当たりそれぞれ6及び8モルのAlexa Fluor(登録商標)488及びAlexa Fluor(登録商標)546をコンジュゲートさせた。
***
【0291】
前述の発明は、明確な理解のために例証及び実施例によって多少詳細に記載されているが、これらの説明及び実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。

配列表
HC=重鎖、LC=軽鎖、HCVR=重鎖可変領域、LCVR=軽鎖可変領域、HVR=超可変領域。
図1a-b】
図1c-d】
図2a
図2b
図2c
【配列表】
2024122991000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載された一発明。
【外国語明細書】