(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123018
(43)【公開日】2024-09-10
(54)【発明の名称】固相DNAハイブリダイゼーションおよび増幅の改善のための低結合支持体
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6869 20180101AFI20240903BHJP
C12M 1/00 20060101ALN20240903BHJP
C12Q 1/6844 20180101ALN20240903BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20240903BHJP
【FI】
C12Q1/6869 Z
C12M1/00 A
C12Q1/6844 Z
C12N15/09 200
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024088220
(22)【出願日】2024-05-30
(62)【分割の表示】P 2021526430の分割
【原出願日】2019-11-14
(31)【優先権主張番号】62/767,343
(32)【優先日】2018-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/776,898
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/363,842
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521204909
【氏名又は名称】エレメント バイオサイエンシーズ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルスラーン,シナン
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ,チュンホン
(72)【発明者】
【氏名】ホー,モーリー ミン
(72)【発明者】
【氏名】ケリンジャー,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】マー,アデライン フイジェン
(72)【発明者】
【氏名】プレヴァイト,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】スン,レイ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】非特異的バックグラウンドシグナルを減少させ、したがって、コントラストノイズ比(CNR)を改善し、それによって、ベースコーリングの精度を向上させ、潜在的にサイクル時間を減少し、および配列決定プロセスの高精度光学系と高価な器具類への依存を減少させる、核酸配列決定の方法を提供する。
【解決手段】方法は、
a)第1の核酸分子に連結されたポリマーを含む少なくとも1つのポリマー層に、連結された表面を提供する工程、
b)第2の核酸分子が前記第1の核酸分子に連結するように、第1の核酸分子を第2の核酸分子に接触する工程、
c)b)の後、前記第2の核酸分子またはその誘導体を増幅する工程、および
d)前記表面の蛍光画像を取得する工程、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸配列決定を実行する方法であって、該方法は、
a)表面を提供する工程であって、
ここで、前記表面は、
i)基板と、
ii)少なくとも1つの親水性ポリマーコーティング層と、
iii)少なくとも1つの親水性ポリマーコーティング層に付着した複数のオリゴヌクレオチド分子と、
iv)付着した前記複数のオリゴヌクレオチド分子に固定された複数のクローン増幅された試料核酸分子を含む表面の少なくとも1つの別々の領域であって、ここで、前記複数のクローン増幅された試料核酸分子は、少なくとも10,000分子/mm2の表面密度で存在する、別々の領域と、を含む工程と、
b)試料核酸分子を、前記複数のオリゴヌクレオチド分子にアニールする前に、またはアニールした後に核酸増幅反応を試料核酸分子状で実行する工程と、
c)少なくとも単一のヌクレオチド結合または取り込みの反応を実行する工程であって、ここで、前記ヌクレオチドは検出可能なタグで標識される工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記検出可能なタグは、フルオロフォアである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記検出可能なタグは、シアニン染料-3(Cy3)であり、および前記表面の蛍光画像は、非信号飽和条件下でオリンパスIX83倒立型蛍光顕微鏡によって取得され、該顕微鏡は、20x、0.75NA、532nmの光源、532nmのロングパス励起およびCy3蛍光発光フィルターのために最適化されたバンドパスおよびダイクロイックミラー・フィルターセット、Semrock532nmダイクロイック反射体、およびカメラ(Andor sCMOS Zyla 4.2)を備えており、一方で前記表面は、第1のCy3で標識されたヌクレオチドの結合または取り込みが、少なくとも20のコントラストノイズ比(CNR)を示した後に、緩衝液に浸される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
アニールされた、前記クローン増幅された試料核酸分子は、少なくとも10000分子/mm2の表面密度で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
アニールされた、前記クローン増幅された試料核酸分子は、少なくとも25000分子/mm2の表面密度で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
アニールされた、前記クローン増幅された試料核酸分子は、少なくとも50000分子/mm2の表面密度で存在する、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記核酸増幅反応は、ブリッジ増幅反応を含む、請求項1から6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
前記核酸増幅反応は、等温のブリッジ増幅反応を含む、請求項1から7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
前記核酸増幅反応は、ローリングサークル増幅(RCA)反応を含む、請求項1から7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
前記核酸増幅反応は、ヘリカーゼ依存性増幅反応を含む、請求項1から7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
前記核酸増幅反応は、レコンビナーゼ依存性増幅反応を含む、請求項1から7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの親水性ポリマーコーティング層は、50度未満の水接触角度を呈する、請求項1から11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの親水性ポリマーコーティング層は、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(ビニルピリジン)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリアクリルアミド、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMA)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート(PHEMA)、ポリ(オリゴ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート(POEGMA)、ポリグルタミン酸(PGA)、ポリ-リジン、ポリ-グルコシド、ストレプトアビジンおよびデキストランからなる群から選択された分子を含む、請求項1から12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの親水性ポリマーコーティング層は、PEGを含む、請求項1から13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
第2の親水性ポリマーコーティング層を含む、請求項1から14のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの親水性ポリマーコーティング層は、少なくとも1,000ダルトンの分子量を有するポリマーを含む、請求項1から15のいずれか1つに記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つの親水性ポリマー層は、少なくとも4つの分岐を有する分岐状親水性ポリマーを含む、請求項1から16のいずれか1つに記載の方法。
【請求項18】
前記複数のオリゴヌクレオチド分子は、少なくとも4,000分子/μm2の表面密度で存在する、請求項1から17のいずれか1つに記載の方法。
【請求項19】
前記複数のオリゴヌクレオチド分子は、ポリメラーゼの終止点を含む配列を含む、請求項1から18のいずれか1つに記載の方法。
【請求項20】
前記試料核酸分子は、アニールおよびクローン増幅の前に、表面を500nM以下の濃度で試料核酸分子と接触させることにより、付着された複数のオリゴヌクレオチド分子にアニールされている、請求項1から19のいずれか1つに記載の方法。
【請求項21】
前記試料核酸分子は、アニールおよびクローン増幅の前に、表面を20pM以下の濃度で試料核酸分子と接触させることにより、付着された複数のオリゴヌクレオチド分子にアニールされている、請求項1から20のいずれか1つに記載の方法。
【請求項22】
前記試料核酸分子は、複数のオリゴヌクレオチド分子にアニールされる前に、クローン増幅されている、請求項1から21のいずれか1つに記載の方法。
【請求項23】
前記試料核酸分子は、規則的に生じるモノマー単位の繰り返しを含む一本鎖の多量体核酸分子を含む、請求項1から22のいずれか1つに記載の方法。
【請求項24】
前記一本鎖の多量体核酸分子の長さは、少なくとも10kbである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記規則的に生じるモノマー単位の二本鎖のモノマーのコピーをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記クローン増幅された試料核酸分子の表面密度は、前記複数のオリゴヌクレオチド分子の表面密度より大きい、請求項1から25のいずれか1つに記載の方法。
【請求項27】
前記クローン増幅された試料核酸分子の表面密度は、少なくとも40,000分子/1mm2である、請求項1から26のいずれか1つに記載の方法。
【請求項28】
前記試料核酸分子の標的配列の表面密度は、少なくとも40,000コピー/mm2である、請求項1から26のいずれか1つに記載の方法。
【請求項29】
前記表面は、フローチャネル、フローセルまたはキャピラリー内腔の内部に位置付けられる、請求項1から28のいずれか1つに記載の方法。
【請求項30】
前記フローチャネル、フローセル、またはキャピラリー内腔は、核酸のハイブリダイゼーション、増幅または配列決定反応、またはその任意の組み合わせを実行する際に使用するために構成される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記複数のオリゴヌクレオチド分子は、表面にわたって均一な表面密度で存在する、請求項1から30のいずれか1つに記載の方法。
【請求項32】
複数のオリゴヌクレオチド分子は、表面上の第1の位置で少なくとも4,000分子/μm2の表面密度で存在し、および表面上の第2の位置で第2の局所的な表面密度で存在する、請求項1から26のいずれか1つに記載の方法。
【請求項33】
少なくとも1つの別々の領域から側方に変位される表面の領域で測定された背景蛍光強度は、前記クローン増幅の前に少なくとも1つの別々の領域で測定された強度の2倍以下である、請求項1から32のいずれか1つに記載の方法。
【請求項34】
前記表面は、基板の表面に連結されたポリマー分子の単分子層を含む第1の層と、第1の層のポリマー分子に連結されたポリマー分子を含む第2の層と、随意に、第2の層のポリマー分子に連結されたポリマー分子を含む第3の層と、を含み、ここで、少なくとも1つの層は、分枝状ポリマー分子を含む、請求項1から33のいずれか1つに記載の方法。
【請求項35】
前記第2の層または前記第3の層は、該第2の層または該第3の層のポリマー分子に連結されたオリゴヌクレオチドをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記第2の層または前記第3の層のポリマー分子に連結されたオリゴヌクレオチドは、該第2の層または該第3の層の全体にわたって複数の深さで分布される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記第3の層のポリマー分子に連結された分枝状ポリマー分子を含む第4の層と、および随意に、前記第4の層の分枝状ポリマー分子に連結されたポリマー分子を含む第5の層と、をさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記第4の層または前記第5の層のポリマー分子は、該第4の層または該第5の層のポリマー分子に連結されたオリゴヌクレオチドをさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記第4の層または前記第5の層のポリマー分子に連結されたオリゴヌクレオチドは、該第4の層または該第5の層の全体にわたって複数の深さで分布される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
表面であって、該表面は、
a)基板と、
b)少なくとも1つの親水性ポリマーコーティング層と、
c)少なくとも1つの親水性ポリマーコーティング層に付着した複数のオリゴヌクレオチド分子と、
d)付着した前記複数のオリゴヌクレオチド分子にアニールされた複数のクローン増幅された試料核酸分子を含む表面の少なくとも1つの別々の領域と、を含み、
前記複数のクローン増幅された試料核酸分子は、少なくとも10,000分子/mm2の表面密度で存在する、表面。
【請求項41】
前記表面の蛍光画像は、試料核酸分子またはその相補的配列がシアニン染料-3(Cy3)フルオロフォア、20x、0.75NA、532nmの光源、532nmのロングパス励起およびCy3蛍光放射フィルターのために最適化されたバンドパスおよびダイクロイックミラー・フィルターセット、Semrock532nmダイクロイック反射体、およびカメラ(Andor sCMOSZyla 4.2)で標識され、それにより撮像時間が少なくとも0.5sであり、緩衝液が、50mM ACES pH=7.4であり得るとき、コントラストノイズ比(CNR)を少なくとも20を示す、請求項40に記載の表面。
【請求項42】
前記表面の蛍光画像は、少なくとも40のコントラストノイズ比(CNR)を示す、請求項40または41に記載の表面。
【請求項43】
前記表面の蛍光画像は、少なくとも60のコントラストノイズ比(CNR)を示す、請求項40から42のいずれか1つに記載の表面。
【請求項44】
前記基板は、ガラス、融解石英、プラスチックまたはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項40から43のいずれか1つに記載の表面。
【請求項45】
前記少なくとも1つの親水性ポリマーコーティング層は、50度未満の水接触角度を呈する、請求項40から44のいずれか1つに記載の表面。
【請求項46】
前記少なくとも1つの親水性ポリマーコーティング層は、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(ビニルピリジン)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリアクリルアミド、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMA)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート(PHEMA)、ポリ(オリゴ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート(POEGMA)、ポリグルタミン酸(PGA)、ポリ-リジン、ポリ-グルコシド、ストレプトアビジンおよびデキストランからなる群から選択された分子を含む、請求項40から45のいずれか1つに記載の表面。
【請求項47】
前記少なくとも1つの親水性ポリマーコーティング層は、PEGを含む、請求項40から46のいずれか1つに記載の表面。
【請求項48】
第2の親水性ポリマーコーティング層を含む、請求項40から47のいずれか1つに記載の表面。
【請求項49】
前記少なくとも1つの親水性ポリマーコーティング層は、少なくとも1,000ダルトンの分子量を有するポリマーを含む、請求項40から48のいずれか1つに記載の表面。
【請求項50】
少なくとも1つの親水性ポリマー層は、少なくとも4つの分岐を有する分岐状親水性ポリマーを含む、請求項40から49のいずれか1つに記載の表面。
【請求項51】
前記複数のオリゴヌクレオチド分子は、少なくとも4,000分子/μm2の表面密度で存在する、請求項40から50のいずれか1つに記載の表面。
【請求項52】
前記複数のオリゴヌクレオチド分子は、ポリメラーゼ終止点を含む配列を含む、請求項40から51のいずれか1つに記載の表面。
【請求項53】
前記試料核酸分子は、アニールおよびクローン増幅の前に、前記表面を500nM以下の濃度で試料核酸分子と接触させることにより、付着された複数のオリゴヌクレオチド分子にアニールされている、請求項40から52のいずれか1つに記載の表面。
【請求項54】
前記試料核酸分子は、アニールおよびクローン増幅前に、前記表面を20pM以下の濃度で試料核酸分子と接触させることにより、付着された複数のオリゴヌクレオチド分子にアニールされている、請求項40から53のいずれか1つに記載の表面。
【請求項55】
前記試料核酸分子は、複数のオリゴヌクレオチド分子にアニールされる前にクローン増幅される、請求項40から54のいずれか1つに記載の表面。
【請求項56】
前記試料核酸分子は、規則的に生じるモノマー単位の繰り返しを含む一本鎖の多量体核酸分子を含む、請求項40から55のいずれか1つに記載の表面。
【請求項57】
前記一本鎖の多量体核酸分子の長さは、少なくとも10kbである、請求項56に記載の表面。
【請求項58】
前記規則的に生じるモノマー単位の二本鎖のモノマーのコピーをさらに含む、請求項56に記載の表面。
【請求項59】
前記クローン増幅された試料核酸分子の表面密度は、前記複数のオリゴヌクレオチド分子の表面密度より大きい、請求項40から58のいずれか1つに記載の表面。
【請求項60】
前記クローン増幅された試料核酸分子の表面密度は、少なくとも40,000分子/mm2である、請求項40から59のいずれか1つに記載の表面。
【請求項61】
前記試料核酸分子の標的配列の表面密度は、少なくとも40,000コピー/mm2である、請求項40から59のいずれか1つに記載の表面。
【請求項62】
前記表面は、フローチャネル、フローセルまたはキャピラリー内腔の内部に位置付けられる、請求項40から61のいずれか1つに記載の表面。
【請求項63】
前記フローチャネル、フローセル、またはキャピラリー内腔は、核酸のハイブリダイゼーション、増幅または配列決定反応、またはその任意の組み合わせを実行する際に使用するために構成される、請求項62に記載の表面。
【請求項64】
前記複数のオリゴヌクレオチド分子は、表面にわたって均一な表面密度で存在する、請求項40から63のいずれか1つに記載の表面。
【請求項65】
複数のオリゴヌクレオチド分子は、表面上の第1の位置で少なくとも4,000分子/μm2の表面密度で存在し、および表面上の第2の位置で第2の局所的な表面密度で存在する、請求項40から64のいずれか1つに記載の表面。
【請求項66】
少なくとも1つの別々の領域から側方に変位される表面の領域で測定されたバックグラウンド蛍光強度は、前記クローン増幅の前に少なくとも1つの別々の領域で測定された強度の2倍以下である、請求項40から65のいずれか1つに記載の表面。
【請求項67】
前記表面は、基板の表面に連結されたポリマー分子の単層を含む第1の層と、前記第1の層のポリマー分子に連結されたポリマー分子を含む第2の層と、随意に、前記第2の層のポリマー分子に連結されたポリマー分子を含む第3の層と、を含み、ここで、少なくとも1つの層は、分枝状ポリマー分子を含む、請求項40から66のいずれか1つに記載の表面。
【請求項68】
前記第2の層または前記第3の層は、該第2の層または該第3の層のポリマー分子に連結されたオリゴヌクレオチドをさらに含む、請求項67に記載の表面。
【請求項69】
前記第2の層または前記第3の層のポリマー分子に連結されたオリゴヌクレオチドは、該第2の層または該第3の層の全体にわたって複数の深さで分布される、請求項68に記載の表面。
【請求項70】
前記第3の層のポリマー分子に連結された分枝状ポリマー分子を含む第4の層と、随意に、前記第4の層の分枝状ポリマー分子に連結されたポリマー分子を含む第5の層と、をさらに含む、請求項69に記載の表面。
【請求項71】
前記第4の層または前記第5の層のポリマー分子は、該第4の層または該第5の層のポリマー分子に連結されたオリゴヌクレオチドをさらに含む、請求項70に記載の表面。
【請求項72】
前記第4の層または前記第5の層のポリマー分子に連結されたオリゴヌクレオチドは、該第4の層または該第5の層の全体にわたって複数の深さで分布される、請求項71に記載の表面。
【請求項73】
前記クローン増幅された試料核酸分子、またはその相補的配列が、シアニン染料-3で標識されると、前記表面の画像は、クローン増幅された、シアニン染料-3--で標識された試料核酸分子、またはその相補的配列の蛍光強度と、非特異的のシアニン染料-3染料吸着バックグラウンド(Binter)との、少なくとも3:1の比率を示す、請求項41に記載の表面。
【請求項74】
前記表面の画像は、特異的に増幅された、シアニン染料-3-で標識された試料核酸分子、またはその相補的配列の蛍光強度と、非特異的のシアニン染料-3染料吸着バックグラウンドおよび非特異的の増幅バックグラウンドとの組み合わせ(Binter+Bintra)との、少なくとも3:1の比率を示す、請求項73に記載の表面、
【請求項75】
前記クローン増幅された試料核酸分子、またはその相補的配列が、シアニン染料-3で標識されると、表面の画像は、クローン増幅された、シアニン染料-3-で標識された試料核酸分子、またはその相補的配列の蛍光強度と、非特異的の-染料吸着バックグラウンド(Binter)との、少なくとも5:1の比率を示す、請求項41に記載の表面。
【請求項76】
前記表面の画像は、クローン増幅された、シアニン染料-3-で標識された試料核酸分子、またはその相補的配列の蛍光強度と、非特異的のCy3-染料吸着バックグラウンドおよび非特異的の増幅バックグラウンドとの組み合わせ(Binter+Bintra)との、少なくとも5:1の比率を示す、請求項75に記載の表面。
【請求項77】
前記表面は、非特異的シアニン染料-3染料吸着の、約0.25分子/μm2未満のレベルを示す、請求項40から76のいずれか1つに記載の表面。
【請求項78】
基板表面にオリゴヌクレオチドを付着させる方法であって、該方法は、
a)第1の層において第1の親水性ポリマーを基板表面に抱合させる工程と、
b)第2の層を形成するために、第2の親水性ポリマーを、前記第1の層に抱合させる工程であって、ここで、第2の層の親水性ポリマー分子は、1分子当たり少なくとも2つの共有結合によって第1の層に接合される、工程と、
c)最外部の親水性ポリマーを前記第2の層に抱合させる工程であって、ここで、前記最外部の親水性ポリマー分子は、前記第2の層に抱合する前に共有結合により付着されたオリゴヌクレオチド分子を含む工程と、を含む、方法。
【請求項79】
前記第2の層の親水性ポリマー分子は、1分子当たり少なくとも4つの共有結合によって前記第1の層に接合される、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記第2の層の親水性ポリマー分子は、1分子当たり少なくとも8つの共有結合によって前記第1の層に接合される、請求項78または79に記載の方法。
【請求項81】
前記最外部の親水性ポリマーを、前記第2の層に直接抱合させる工程を、さらに含む、請求項78から80のいずれか1つに記載の方法。
【請求項82】
第3の層を形成するために、第3の親水性ポリマーを、前記第2の層に抱合させる工程と、前記最外部の親水性ポリマーを前記第3の層を介して前記第2の層に抱合させる工程とを、さらに含む、請求項78から81のいずれか1つに記載の方法。
【請求項83】
第3の層を形成するために、第3の親水性ポリマーを、前記第2の層に抱合させる工程と、第4の層を形成するために、第4の親水性ポリマーを、前記第3の層に抱合させる工程と、前記最外部の親水性ポリマーを前記第3の層および前記第4の層を介して前記第2の層に抱合させる工程とを、さらに含む、請求項78から82のいずれか1つに記載の方法。
【請求項84】
前記第1の親水性ポリマーは、PEGを含む、請求項78から83のいずれか1つに記載の方法。
【請求項85】
前記第1の親水性ポリマーは、PGAを含む、請求項78から84のいずれか1つに記載の方法。
【請求項86】
前記第2の親水性ポリマーは、分岐状である、請求項78から85のいずれか1つに記載の方法。
【請求項87】
前記第2の親水性ポリマーは、少なくとも4つの分岐を含む、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記第2の親水性ポリマーは、少なくとも8つの分岐を含む、請求項86に記載の方法。
【請求項89】
前記第2の親水性ポリマーは、16~32の分岐を含む、請求項86に記載の方法。
【請求項90】
前記第4の層の親水性ポリマー分子は、1分子当たり少なくとも2つの共有結合によって前記第3の層に接合される、請求項82から89のいずれか1つに記載の方法。
【請求項91】
前記第4の層の親水性ポリマー分子は、1分子当たり少なくとも4つの共有結合によって前記第3の層に接合される、請求項82から90のいずれか1つに記載の方法。
【請求項92】
前記第4の層の親水性ポリマー分子は、1分子当たり少なくとも8つの共有結合によって前記第3の層に接合される、請求項82から91のいずれか1つに記載の方法。
【請求項93】
前記第1の親水性ポリマーは、エタノールを含む溶媒中で、前記基板表面に送達される、請求項78から92のいずれか1つに記載の方法。
【請求項94】
前記第1の親水性ポリマーは、メタノールを含む溶媒中で、前記基板表面に送達される、請求項78から93のいずれか1つに記載の方法。
【請求項95】
前記第1の親水性ポリマーは、ジメチルスルホキシド(DMSO)を含む溶媒中で、前記基板表面に送達される、請求項78から94のいずれか1つに記載の方法。
【請求項96】
前記第1の親水性ポリマーは、アセトニトリルを含む溶媒中で、前記基板表面に送達される、請求項78から95のいずれか1つに記載の方法。
【請求項97】
前記第1の親水性ポリマーは、リン酸緩衝液を含む溶媒中で、前記基板表面に送達される、請求項78から96のいずれか1つに記載の方法。
【請求項98】
前記第1の親水性ポリマーは、緩衝した3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)を含む溶媒中で、前記基板表面に送達される、請求項78から97のいずれか1つに記載の方法。
【請求項99】
前記第1の親水性ポリマーは、少なくともpH5に緩衝された、75%のアセトニトリルと25%のスルホン酸から成る緩衝液を含む溶媒中で、前記基板表面に送達される、請求項78から98のいずれか1つに記載の方法。
【請求項100】
前記第1の親水性ポリマーは、少なくともpH5に緩衝された、90%のメタノールと10%のMOPSから成る緩衝液を含む溶媒中で、前記基板表面に送達される、請求項78から99のいずれか1つに記載の方法。
【請求項101】
固相核酸ハイブリダイゼーションを実行する方法であって、該方法は、
a)請求項40から76のいずれか1つに記載の表面を提供する工程と、
b)試料核酸分子が、複数のオリゴヌクレオチドにアニールされる、固相核酸ハイブリダイゼーション反応を実行する工程と、を含む、方法。
【請求項102】
前記試料核酸分子は、前記表面を500nM以下の濃度で試料核酸分子と接触させることにより、付着された複数のオリゴヌクレオチド分子にアニールされる、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記試料核酸分子は、前記表面を20pM以下の濃度で試料核酸分子と接触させることにより、付着された複数のオリゴヌクレオチド分子にアニールされた、請求項101に記載の方法。
【請求項104】
前記試料核酸分子は、複数のオリゴヌクレオチド分子にアニールされる前に、クローン増幅される、請求項101に記載の方法。
【請求項105】
前記試料核酸分子は、規則的に生じるモノマー単位の繰り返しを含む一本鎖の多量体核酸分子を含む、請求項101から104のいずれか1つに記載の方法。
【請求項106】
前記一本鎖の多量体核酸分子の長さは、少なくとも10kbである、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記規則的に生じるモノマー単位の二本鎖のモノマーのコピーをさらに含む、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
クローン増幅された前記試料核酸分子の表面密度は、少なくとも40,000分子/mm2である、請求項101から107のいずれか1つに記載の方法。
【請求項109】
前記試料核酸分子の標的配列の表面密度は、少なくとも40,000のコピー/mm2である、請求項101から108のいずれか1つに記載の方法。
【請求項110】
固相核酸増幅を実行する方法であって、該方法は、
a)請求項40から76のいずれか1つの表面を提供する工程と、
b)試料核酸分子が、複数のオリゴヌクレオチドにアニールされる、固相核酸ハイブリダイゼーション反応を実行する工程と、
c)試料核酸分子のクローン増幅されたコピーを作製するために、核酸増幅反応を実行する工程と、を含む、方法。
【請求項111】
前記試料核酸分子は、前記表面を500nM以下の濃度で試料核酸分子と接触させることにより、付着された複数のオリゴヌクレオチド分子にアニールされる、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記試料核酸分子は、前記表面を20pM以下の濃度で試料核酸分子と接触させることにより、付着された複数のオリゴヌクレオチド分子にアニールされる、請求項110に記載の方法。
【請求項113】
前記試料核酸分子は、複数のオリゴヌクレオチド分子にアニールされる前に、クローン増幅される、請求項110に記載の方法。
【請求項114】
前記試料核酸分子は、前記表面を500nM以下の濃度で試料核酸分子と接触させることにより、付着された複数のオリゴヌクレオチド分子にアニールされる、請求項110に記載の方法。
【請求項115】
前記試料核酸分子は、前記表面を20pM以下の濃度で試料核酸分子と接触させることにより、付着された複数のオリゴヌクレオチド分子にアニールされる、請求項110に記載の方法。
【請求項116】
前記試料核酸分子は、規則的に生じるモノマー単位の繰り返しを含む一本鎖の多量体核酸分子を含む、請求項110から115のいずれか1つに記載の方法。
【請求項117】
前記一本鎖の多量体核酸分子の長さは、少なくとも10kbである、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
前記規則的に生じるモノマー単位の二本鎖のモノマーのコピーをさらに含む、請求項116または117に記載の方法。
【請求項119】
クローン増幅された前記試料核酸分子の表面密度は、少なくとも40,000分子/mm2である、請求項110から118のいずれか1つに記載の方法。
【請求項120】
前記試料核酸分子の標的配列の表面密度は、少なくとも40,000コピー/mm2である、請求項110から119のいずれか1つに記載の方法。
【請求項121】
前記核酸増幅は、熱サイクリングを含む、請求項110から120のいずれか1つに記載の方法。
【請求項122】
前記核酸増幅は、等温の増幅を含む、請求項110から120のいずれか1つに記載の方法。
【請求項123】
前記核酸増幅は、ローリングサークル増幅を含む、請求項110から122のいずれか1つに記載の方法。
【請求項124】
前記核酸増幅は、ブリッジ増幅を含む、請求項110から122のいずれか1つに記載の方法。
【請求項125】
前記核酸増幅は、等温のブリッジ増幅を含む、請求項110から120のいずれか1つに記載の方法。
【請求項126】
前記核酸増幅は、多置換増幅を含む、請求項110から120のいずれか1つに記載の方法。
【請求項127】
前記核酸増幅は、ヘリカーゼ処理を含む、請求項110から126のいずれか1つに記載の方法。
【請求項128】
前記核酸増幅は、レコンビナーゼ処理を含む、請求項110から126のいずれか1つに記載の方法。
【請求項129】
前記核酸増幅反応の少なくとも30のサイクルにわたって、アニールされた試料核酸分子の表面密度に変化はない、請求項110から128のいずれか1つに記載の方法。
【請求項130】
前記核酸増幅反応の少なくとも40のサイクルにわたって、アニールされた試料核酸分子の表面密度に変化はない、請求項110から129のいずれか1つに記載の方法。
【請求項131】
前記核酸増幅反応の少なくとも50のサイクルにわたって、アニールされた試料核酸分子の表面密度に変化はない、請求項110から130のいずれか1つに記載の方法。
【請求項132】
核酸増幅を実行するための装置であって、該装置は、
a)請求項40から76のいずれか1つの表面を含み、
ここで、前記表面は、キャピラリー内腔の表面、またははフローセルの少なくとも1つの内側表面を含む、装置。
【請求項133】
前記キャピラリー内腔、または前記フローセルの内部と流体連通している少なくとも1つの流体入口をさらに含む、請求項132に記載の装置。
【請求項134】
少なくとも1つの流体出口を含む、請求項132または133に記載の装置。
【請求項135】
少なくとも1つの温度制御要素をさらに含む、請求項132から134のいずれか1つに記載の装置。
【請求項136】
少なくとも1つの光学窓をさらに含む、請求項132から135のいずれか1つに記載の装置。
【請求項137】
核酸配列決定を実行するためのシステムであって、該システムは、
a)請求項132から136のいずれか1つに記載の装置と、
b)流体制御モジュールと、
c)撮像装置と、を含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2018年11月14日に出願された米国仮特許出願第62/767,343号、2018年12月7日に出願された米国仮特許出願第62/776,898号、および2019年3月25日に出願された米国特許出願第16/363,842号の利益を主張するものであり、これらはすべて全体として参照することにより本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
様々なDNA配列決定方法は、過去20年間にわたって開発され、商業化された(例えば、最近の調査のために、E.Mardis(2008)、「Next-Generation DNA Sequencing Methods」、Annu.Rev.Genomics Hum.Genet.9:387-402;およびJ.HeatherとB.Chain、(2016)、「The Sequence of Sequencers: The History of Sequencing DNA」、Genomics 107:1-8を参照)。多くの「第2世代」および「第3世代」の配列決定技術は、合成による配列決定(SBS)に対して超並列環状のアレイアプローチを利用し、そのアプローチにおいて、固体の支持体に連結された一本鎖の鋳型オリゴヌクレオチド配列の正確な解読は、A、G、CとTヌクレオチドの段階的な添加から発生するシグナルを、相補的なオリゴヌクレオチド鎖に対してポリメラーゼによっての分類に成功することに依存する。これらの方法は、典型的に、オリゴヌクレオチド鋳型を、固定長の既知のアダプター配列によって修飾し、アダプター配列のそれに相補的である既知の配列の表面に連結されたプローブに対するハイブリダイゼーションによって固体の支持体にランダムまたはパターン化されたアレイで添付し、その後、単一分子(増幅されていない)、同期の合成による配列決定(smSBS)アプローチ(例えば、Helicos技術)、または単一分子、非同期の合成による配列決定(smASBS)アプローチ(例えば、Pacific Biosciencesの技術)を使用してプローブされることを必要とする。smSBSアプローチでは、複製酵素が1つのサイクル当たりに単一塩基のみを取り込むことができるように、蛍光タグでコードされたターミネーターヌクレオチドが使用される。Helicos技術は、例えば、単一の蛍光タグを使用し、およびA、G、C、Tの逐次誘導は、1つのサイクル当たりに1つの塩基で実行された。各々のサイクル中に、アレイ上の各々の単一分子鋳型のための正確な「塩基」を分類するために画像化の工程が実行された。画像化の工程の後、複製する酵素(ポリメラーゼ)が次の鋳型塩基を取り込むことができるように、可逆的に連結されたタグは除去される。これらのサイクルは、最終的にランダムなアレイ上で鋳型オリゴヌクレオチド鎖をコードし、かつそれぞれの配列を決定するために何度も反復される。
【0003】
一般的に環状のアレイアプローチは、成功している一方、2つの本質的な不備点に悩まされる:(i)相補的鎖への個々の連続のヌクレオチドを追加するためのサンクル時間が長いいうこと、および(ii)単一のヌクレオチドの段階的な添加から発生するシグナルは弱く(典型的に、蛍光標識および蛍光画像処理技術の使用を通じて検出される)、下記により詳細に議論される通り、低コントラストノイズ比(CNR)を示し、したがって、正確なベースコーリング(base-calling)を達成するために、高精度光学系を含む高価な器具類を使用して、長い撮像時間を必要とするということである。
【0004】
環状のアレイ配列決定アプローチのサイクル時間の問題を扱うことは、例えば、単一分子の非同期合成による配列決定(smASBS)アプローチの出現を通じて試みられ、それは、例えば、4つのスペクトルで明確な蛍光タグがそれぞれのA、G、CとTのヌクレオチドに連結され、その後、その添加は「リアルタイム」で分類され得るPacific Biosciencesの技術である。このアプローチでは、4つの全ての標識されたヌクレオチドは、同時に誘導され、および画像は、全体の鎖複製プロセス中に取得される。配列中の各々の位置は、検出された光のスペクトルに基づいて「A」、「G」、「C」と「T」として分類される。ここで、サイクル時間は、理論上でポリメラーゼ触媒の複製速度と同じくらい速くなり得るが、トレードオフは、CNRの減少であり、それによって、低下した精度に最終的に導く分類誤差が導入され、高精度光学系および高価な器具類により大きく依存される。
【0005】
いくつかの環状のアレイ配列決定アプローチ(すなわち、非単一分子アプローチ)においてシグナルの制限問題に取り組む試みは、プロセスに増幅工程を取り込むことによってなされた。ランダムのまたはパターン化されたアレイにおける固体の支持体に連結された鋳型DNA分子の固相増幅は、検出可能な塩基をそれらのそれぞれの相補鎖に段階的に添加された後、複製鋳型分子の「コロニー」から発生するシグナルを「A」、「G」、「C」または「T」として分類することができるように、配列決定される標的のコピーの数を増加させる。優れた分類(したがって、ベースコーリングの精度)の可能性は、各々の検出事象中にそれぞれのCNRに依存し、それはしばしば制限される。
【0006】
したがって、塩基添加シグナルの規模を増大させ、非特異的バックグラウンドシグナルを減少させ、したがって、CNRを改善し、それによって、ベースコーリングの精度を向上させ、潜在的にサイクル時間を減少し、および配列決定プロセスの高精度光学系と高価な器具類への依存を減少させる、核酸配列決定のための改善された固体の支持体および固相増幅方法が必要とされる。
【発明の概要】
【0007】
いくつかの実施形態は、核酸配列決定を実行する方法に関しており、該方法は、a)表面を提供する工程であって、ここで、前記表面は、i)基板と、ii)少なくとも1つの親水性ポリマーコーティング層と、iii)少なくとも1つの親水性ポリマーコーティング層に付着した複数のオリゴヌクレオチド分子と、iv)付着した複数のオリゴヌクレオチド分子に固定された複数のクローン増幅された試料核酸分子を含む表面の少なくとも1つの別々の領域であって、ここで、複数のクローン増幅された試料核酸分子は、少なくとも5000分子/mm2の表面密度で存在する、別々の領域と、を含む、工程と、b)前記試料核酸分子に対して、それらを複数のオリゴヌクレオチド分子にアニールする前に、またはアニールした後に核酸増幅反応を実行する工程と、c)少なくとも単一のヌクレオチド結合または取り込みの反応を実行する工程であって、ここで、ヌクレオチドは検出可能なタグで標識される、工程と、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、検出可能なタグに基づいてヌクレオチドを検出し特徴づける工程をさらに含む。
【0008】
本明細書に開示されるのは、表面であって、該表面は、基板、親水性、非特異的低結合(すなわち、低バックグラウンド)コーティングの少なくとも1つの層、および親水性、低結合、低バックグラウンドコーティングの少なくとも1つの層に付着される複数のオリゴヌクレオチド分子を含む。
【0009】
開示された非特異的低結合の固体支持体は、DNA配列決定と遺伝子型判定を含む様々な生物試験に使用されてもよいが、それらに限定されない。これらの支持体は、温度上かつ化学上安定した官能化された基板を含み、該基板は、多数の溶媒の交換および温度変化にさらされることに耐え、それはアッセイの期間にわたって非特異的低結合性を与える。開示された支持体は、以下の特性のうちのいくつかまたはすべてを有してもよい:
【0010】
1.極性プロトン性溶媒、極性非プロトン性溶媒および/または無極性溶媒の任意の組み合わせを使用して実行される表面の官能化であり、それは、従来のアプローチに対して5より大きい(例えば、反応速度および/または所望の産物形成のそれぞれの改善)バイオアッセイ機能の有効性の増大を引き起こす。
【0011】
2.官能化後の最小接触角度の測定(例えば、35度未満)であり、それは連続の溶媒および温度変化によって維持される。
【0012】
3.特異的結合された分子対生体分子の非特異的低結合(例えば、1より多いの特異的結合された分子対0.25未満の非特異的結合された分子/関心領域)。任意の様々な検出方法を使用する場合、このことは改善されたコントラストノイズ比(CNR)に直結し得る。
【0013】
本明細書に開示されるのは、表面であり、該表面は、a)基板と、b)少なくとも1つの親水性ポリマーコーティング層と、c)少なくとも1つの親水性ポリマーコーティング層に付着した複数のオリゴヌクレオチド分子と、d)付着された複数のオリゴヌクレオチド分子にアニールされた、クローン増幅された試料核酸分子を含む表面の少なくとも1つの別々の領域と、を含み、ここで、表面の蛍光画像は少なくとも20のコントラストノイズ比(CNR)を示す。
【0014】
いくつかの実施形態では、表面の蛍光画像は、試料核酸分子またはその相補的配列がシアニン染料-3(Cy3)フルオロフォアで標識されると、および蛍光画像は、表面が緩衝液(例えば、25mMのACES、pH7.4緩衝液)内に浸されている最中、非信号飽和条件下で、20x、0.75NAレンズ、532nmの光源、532nmのロングパス励起およびCy3蛍光発光のために最適化されたバンドパスおよびダイクロイックミラーフィルターセット、およびカメラ(例えば、Andor sCMOS、Zyla 4.2)を備えたオリンパスIX83倒立型蛍光顕微鏡によって取得されるとき、少なくとも20のコントラストノイズ比(CNR)を示す。いくつかの実施形態では、表面の蛍光画像は、少なくとも40のコントラストノイズ比(CNR)を示す。
【0015】
いくつかの実施形態では、表面の蛍光画像は、少なくとも60のコントラストノイズ比(CNR)を示す。いくつかの実施形態では、基板はガラスを含む。いくつかの実施形態では、基板はプラスチックを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの親水性ポリマーコーティング層は、PEGを含む。いくつかの実施形態では、表面は、第2の親水性ポリマーコーティング層を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの親水性ポリマー層は、少なくとも4つの分岐を有する分岐状親水性ポリマー、例えば、PEG、を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの親水性ポリマー層は、少なくとも8つの分岐を有する分岐状親水性ポリマー、例えば、PEG、を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの親水性ポリマー層は、少なくとも16の分岐を有する分岐状親水性ポリマー、例えば、PEG、を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの親水性ポリマー層は、少なくとも32の分岐を有する、分岐状親水性ポリマー、例えば、PEG、を含む。いくつかの実施形態では、複数のオリゴヌクレオチド分子は、少なくとも50,000分子/μm2の表面密度で存在する。いくつかの実施形態では、複数のオリゴヌクレオチド分子は、少なくとも100,000分子/μm2の表面密度で存在する。いくつかの実施形態では、複数のオリゴヌクレオチド分子は、少なくとも500,000分子/μm2の表面密度で存在する。いくつかの実施形態では、試料核酸分子は、アニールおよびクローン増幅の前に、500nM以下の濃度で投与された。いくつかの実施形態では、試料核酸分子は、アニールおよびクローン増幅の前に、20pM以下の濃度で投与された。いくつかの実施形態では、試料核酸分子は、規則的に生じるモノマー単位の繰り返しを含む一本鎖の多量体核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、一本鎖の多量体核酸分子の長さは、少なくとも10kbである。いくつかの実施形態では、表面は、規則的に生じるモノマー単位の二本鎖のモノマーのコピーをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記表面はフローチャネルの内部に位置付けられる。いくつかの実施形態では、複数のオリゴヌクレオチド分子は、表面にわたって均一な表面密度で存在する。いくつかの実施形態では、複数のオリゴヌクレオチド分子は、表面上の第1の位置で少なくとも100,000分子/μm2の表面密度で存在し、および表面上の第2の位置で第2の局所的な表面密度で存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの別々の領域から側方に変位される表面の領域で測定されたバックグラウンド蛍光強度は、クローン増幅の前に少なくともの別々の領域で測定された強度の2倍以下である。いくつかの実施形態では、表面は、基板の表面に連結されたポリマー分子の単層を含む第1の層と、第1の層のポリマー分子に連結されたポリマー分子を含む第2の層と、第2の層のポリマー分子に連結されたポリマー分子を含む第3の層を含み、ここで、少なくとも1つの層は、分枝状ポリマー分子を含む。いくつかの実施形態では、第3の層は、第3の層のポリマー分子に連結されたオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第3の層のポリマー分子に連結されたオリゴヌクレオチドは、第3の層の全体にわたって複数の深さで分布される。いくつかの実施形態では、表面は、第3の層のポリマー分子に連結された、分枝状ポリマー分子を含む第4の層と、第4の層の分枝状ポリマー分子に連結されたポリマー分子を含む第5の層とを、さらに含む。いくつかの実施形態では、一層の第5の層のポリマー分子は、第5の層のポリマー分子に連結されたオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、第5の層のポリマー分子に連結されたオリゴヌクレオチドは、第5の層の全体にわたって複数の深さで分布される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの親水性ポリマーコーティング層は、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(ビニルピリジン)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリアクリルアミド、ポリ(Nーイソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMA)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート(PHEMA)、ポリ(オリゴ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート(POEGMA)、ポリグルタミン酸(PGA)、ポリ-リジン、ポリ-グルコシド、ストレプトアビジンおよびデキストランからなる群から選択された分子を含む。いくつかの実施形態では、表面の画像は、特異的に増幅された、Cy3-で標識された試料核酸分子、またはその相補的配列の蛍光強度と、非特異的のCy3染料吸着バックグラウンド(Binter)との、少なくとも3:1の比率を示す。いくつかの実施形態では、表面の画像は、特異的増幅された、Cy3-で標識された試料核酸分子、またはその相補的配列の蛍光強度と、非特異的のCy3-染料吸着バックグラウンドおよび非特異的の増幅バックグラウンドとの組み合わせ(Binter+Bintra)との、少なくとも3:1の比率を示す。いくつかの実施形態では、表面の画像は、特異的に増幅された、Cy3-で標識された試料核酸分子、またはその相補的配列の蛍光強度と、非特異的のCy3染料吸着バックグラウンド(Binter)との、少なくとも5:1の比率を示す。いくつかの実施形態では、表面の画像は、特異的増幅された、Cy3-で標識された試料核酸分子、またはその相補的配列の蛍光強度と、非特異的のCy3-染料吸着バックグラウンドおよび非特異的の増幅バックグラウンドとの組み合わせ(Binter+Bintra)との、少なくとも5:1の比率を示す。
【0016】
さらに、本明細書に開示されるのは表面であり、該表面は、a)基板と、b)少なくとも1層の親水性ポリマーコーティングと、c)親水性ポリマーコーティング層の少なくとも1つに付着された複数のオリゴヌクレオチド分子と、を含み、ここで、表面は、約0.25分子/μm2未満の非特異的Cy3染料吸着のレベルを示す。
【0017】
いくつかの実施形態では、表面は、約0.1分子/μm2未満の非特異的Cy3染料吸着のレベルを示す。いくつかの実施形態では、表面は、特異的Cy3オリゴヌクレオチドの標識と、非特異的Cy3染料吸着との、約4:1より大きい比率を示す。いくつかの実施形態では、表面は、特異的Cy3オリゴヌクレオチドの標識と、非特異的Cy3染料吸着との、約10:1より大きい比率を示す。いくつかの実施形態では、複数のオリゴヌクレオチド分子は、少なくとも10,000分子/μm2の表面密度で付着される。いくつかの実施形態では、複数のオリゴヌクレオチド分子は、少なくとも100,000分子/μm2の表面密度で付着される。いくつかの実施形態では、表面は、複数のオリゴヌクレオチド分子にアニールされた、鋳型分子のクローン増幅された複数のクラスターをさらに含み、およびここで、表面の蛍光画像は、少なくとも20のコントラストノイズ比(CNR)を示す。いくつかの実施形態では、コントラストノイズ比(CNR)は少なくとも50である。いくつかの実施形態では、コントラストノイズ比(CNR)は少なくとも100である。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの親水性ポリマー層の少なくとも1つは、分岐状ポリエチレングリコール(PEG)分子を含む。いくつかの実施形態では、表面は、キャピラリー内腔の表面、またはフローセルの少なくとも1つの内側表面を含む。いくつかの実施形態では、キャピラリー内腔またはフローセルは、核酸ハイブリダイゼーション、増幅または配列決定反応、あるいはその任意の組み合わせを実行する際に使用するために構成される。いくつかの実施形態では、表面は、分枝状ポリマー遮断層をさらに含む。いくつかの実施形態では、分枝状ポリマー遮断層は、分岐状PEG遮断層である。いくつかの実施形態では、分枝状ポリマー遮断層は、最高の親水性ポリマー層に共有結合で連結される。いくつかの実施形態では、第1の層のポリマーは、一級アミン官能基を含み、および第2の層のポリマーは、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル官能基を含み、および第2の層の堆積の後、第2の層は共有結合のアミド結合を使用して、第1の層に連結される。いくつかの実施形態では、第1の層のポリマー分子は含む、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル官能基および第2の層のポリマー分子は含む、一級アミン官能基、また、第2の層の堆積に続いて、第2の層は共有結合のアミド結合を使用して、第1の層に連結される。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドとポリマー分子との約1:5のモル比で、第2の層または第3の層のポリマー分子に連結される。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドとポリマー分子との約2:5のモル比で、第2の層または第3の層のポリマー分子に連結される。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドとポリマー分子との約3:5のモル比で、第2の層または第3の層のポリマー分子に連結される。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドとポリマー分子との約4:5のモル比で、第2の層または第3の層のポリマー分子に連結される。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドとポリマー分子との約1:1のモル比で、第2の層または第3の層のポリマー分子に連結される。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドとポリマー分子との約4:1のモル比で、第2の層または第3の層のポリマー分子に連結される。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドとポリマー分子との約8:1のモル比で、第2の層または第3の層のポリマー分子に連結される。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドとポリマー分子との約16:1のモル比で、第2の層または第3の層のポリマー分子に連結される。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドとポリマー分子との約32:1のモル比で、第2の層または第3の層のポリマー分子に連結される。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも10,000分子/平方マイクロメートルの表面密度で存在する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも100,000分子/平方マイクロメートルの表面密度で存在する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、第3の層内に均等に分布される。
【0018】
本明細書に開示されるのは、基板表面上でオリゴヌクレオチドを堆積させる方法であり、該方法は、a)第1の親水性ポリマーを、第1の層で基板表面に抱合させる工程と、b)第2の層を形成するために、第2の親水性ポリマーを第1の層に抱合させる工程であって、ここで、第2の層の親水性ポリマー分子は、1分子当たり少なくとも2つの共有結合によって第1の層に接合される、工程と、c)最外部の親水性ポリマーを、第2の層に抱合させる工程と、を含み、ここで、最外部の親水性ポリマー分子は、第2の層に抱合する前に共有結合でそれに付着されたオリゴヌクレオチド分子を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、第2の層の親水性ポリマー分子は、1分子当たり少なくとも4つの共有結合によって第1の層に接合される。いくつかの実施形態では、第2の層の親水性ポリマー分子は1つの分子当たり少なくとも8つの共有結合によって第1の層につながれる。いくつかの実施形態では、該方法は、最外部の親水性ポリマーを第2の層に直接抱合させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、該方法は、第3の層を形成するために、第3の親水性ポリマーを、第2の層に抱合させること、および最外部の親水性ポリマーを第3の層を介して第2の層に抱合させること、をさらに含む。いくつかの実施形態では、該方法は、第3の層を形成するために、第3の親水性ポリマーを、第2の層に抱合させる工程と、第4の層を形成するために、第4の親水性ポリマーを、第3の層に抱合させる工程と、最外部の親水性ポリマーを第3の層および第4の層を介して第2の層に抱合させる工程とを、さらに含む。いくつかの実施形態では、第1の親水性ポリマーは、PEGを含む。いくつかの実施形態では、第1の親水性ポリマーは、PGAを含む。いくつかの実施形態では、親水性ポリマー層の少なくとも1つは、分枝状ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、分枝状ポリマーは、少なくとも4つの分岐を含む。いくつかの実施形態では、分枝状ポリマーは、少なくとも8つの分岐を含む。いくつかの実施形態では、分枝状ポリマーは、16~32の分岐を含む。いくつかの実施形態では、第4の層の親水性ポリマー分子は、1分子当たり少なくとも2つの共有結合によって第3の層に接合される。いくつかの実施形態では、第4の層の親水性ポリマー分子は、1分子当たり少なくとも4つの共有結合によって第3の層に接合される。いくつかの実施形態では、第4の層の親水性ポリマー分子は、1分子当たり少なくとも8つの共有結合によって第3の層に接合される。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、エタノールを含む溶媒中で基板表面に送達される。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、メタノールを含む溶媒中で基板表面に送達される。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、ジメチルスルホキシド(DMSO)を含む溶媒中で基板表面に送達される。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、アセトニトリルを含む溶媒中で基板表面に送達される。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、リン酸緩衝液を含む溶媒中で基板表面に送達される。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、緩衝した3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)を含む溶媒中で基板表面に送達される。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、75%のアセトニトリルと25%のスルホン酸からなる緩衝液を含む溶媒中で基板表面に送達される。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、90%のメタノールと10%のMOPSからなる緩衝液を含む溶媒中で基板表面に送達される。
【0020】
本明細書に開示されるのは、少なくとも10,000の分子/平方マイクロメートルの表面密度のオリゴヌクレオチドを含む表面であり、ここで、オリゴヌクレオチドは、多層の親水性ポリマー地層を介して表面に連結され、およびここで、オリゴヌクレオチドは、多層の親水性ポリマー層の最外層の至るところで平等に分布される。
【0021】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも50,000分子/平方マイクロメートルの表面密度で分布される。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも100,000分子/平方マイクロメートルの表面密度で分布される。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも500,000分子/平方マイクロメートルの表面密度で分布される。いくつかの実施形態では、連結されたオリゴヌクレオチドの少なくとも10%は、標的(または試料)のオリゴヌクレオチドにアニールされる。いくつかの実施形態では、多層の親水性ポリマー地層は親水性溶媒で飽和される。いくつかの実施形態では、表面は、ガラス、融解石英、シリコンまたはポリマー(例えば、プラスチック)基板の表面を含む。いくつかの実施形態では、多層の親水性ポリマー地層は、3つ以上のポリマー層を含む。いくつかの実施形態では、多層の親水性ポリマー地層は、5つ以上のポリマー層を含む。いくつかの実施形態では、親水性ポリマー地層の1つ以上の層は、分岐状PEG、分岐状PVA、分岐状ポリ(ビニルピリジン)、分岐状PVP、分岐状PAA、分岐状PNIPAM、分岐状PMA、分岐状PHEMA、分岐状PEGMA、分岐状PGA、分岐状ポリリジン、分岐状ポリグルコシド、またはデキストランを含む。いくつかの実施形態では、親水性ポリマー地層の1つ以上の層は、分岐状PEG分子を含む。いくつかの実施形態では、分枝状PEG分子は、少なくとも4つの分岐を含む。いくつかの実施形態では、分枝状PEG分子は、少なくとも8つの分岐を含む。いくつかの実施形態では、枝分状PEG分子は、16~32の分岐を含む。いくつかの実施形態では、親水性ポリマー地層の少なくとも第1の層および第2の層は、アミド共有結合を使用して、互いに連結される。いくつかの実施形態では、親水性ポリマー地層の少なくとも第1の層および第2の層は、1ポリマー分子当たり少なくとも2つの共有結合によって、互いに連結される。いくつかの実施形態では、親水性ポリマー地層の少なくとも第1の層および第2の層は、1ポリマー分子当たり少なくとも4つの共有結合によって、互いに連結される。いくつかの実施形態では、親水性ポリマー地層の少なくとも第1の層および第2の層は、1ポリマー分子当たり少なくとも8つの共有結合によって、互いに連結される。いくつかの実施形態では、連結されたオリゴヌクレオチドの表面密度は、少なくとも50,000分子/平方マイクロメートルである。いくつかの実施形態では、連結されたオリゴヌクレオチドの表面密度は、少なくとも100,000分子/平方マイクロメートルである。いくつかの実施形態では、表面は、CY3染料の0.25分子/μm2未満の非特異的結合を示す。いくつかの実施形態では、表面は、、アニールされた標的オリゴヌクレオチドのクローン増幅されたコピーのクラスターをさらに含み、ここで、アニールされた標的オリゴヌクレオチドのクローン増幅されたコピーの実質的に全ては、第1の位置でアニールされた、Cy3で標識されたヌクレオチドを含み、およびここで、表面の蛍光画像は、少なくとも20のコントラストノイズ比(CNR)を示す。いくつかの実施形態では、コントラストノイズ比(CNR)は、少なくとも50である。いくつかの実施形態では、コントラストノイズ比(CNR)は、少なくとも100である。いくつかの実施形態では、コントラストノイズ比(CNR)は、少なくとも150である。いくつかの実施形態では、コントラストノイズ比(CNR)は、少なくとも200である。いくつかの実施形態では、アニールされた標的オリゴヌクレオチドのクローン増幅されたコピーは、ブリッジ増幅プロトコルを使用して調製される。いくつかの実施形態では、アニールされた標的オリゴヌクレオチドのクローン増幅されたコピーは、等温のブリッジ増幅プロトコルを使用して調製される。いくつかの実施形態では、アニールされた標的オリゴヌクレオチドのクローン増幅されたコピーは、ローリングサークル増幅(RCA)プロトコルを使用して調製される。いくつかの実施形態では、アニールされた標的オリゴヌクレオチドのクローン増幅されたコピーは、ヘリカーゼ依存性増幅プロトコルを使用して調製される。いくつかの実施形態では、アニールされた標的オリゴヌクレオチドのクローン増幅されたコピーは、レコンビナーゼ依存性増幅プロトコルを使用して調製される。いくつかの実施形態では、アニールされた標的オリゴヌクレオチドのクローン増幅されたコピーは、一本鎖結合(SSB)タンパク質依存性増幅プロトコルを使用して調製される。いくつかの実施形態では、表面は、キャピラリー内腔の表面、またはフローセルの少なくとも1つの内側表面を含む。いくつかの実施形態では、キャピラリー内腔またはフローセルは、核酸ハイブリダイゼーション、増幅または配列決定反応、あるいはその任意の組み合わせを実行する際に使用するために構成される。
【0022】
本明細書に開示されるのは、固相核酸ハイブリダイゼーションを実行する方法であり、該方法は、a)本明細書に開示される表面のうちのいずれか1つを提供する工程と、b)鋳型核酸分子が、連結されたオリゴヌクレオチドにアニールされる、固相核酸ハイブリダイゼーション反応を実行する工程と、を含む。さらに本明細書に開示されるのは、固相核酸増幅を実行する方法であり、該方法は、a)本明細書に開示される表面のうちのいずれか1つを提供する工程と、b)連結されたオリゴヌクレオチドにハイブリダイゼーションされた鋳型核酸分子を使用して、固相核酸増幅反応を実行する工程と、を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、固相核酸増幅は、熱サイクリングを含む。いくつかの実施形態では、固相核酸増幅は、等温の増幅を含む。いくつかの実施形態では、固相核酸増幅は、ローリングサークル増幅を含む。いくつかの実施形態では、固相核酸増幅は、ブリッジ増幅を含む。いくつかの実施形態では、固相核酸増幅は、等温のブリッジ増幅を含む。いくつかの実施形態では、固相核酸増幅は、多置換増幅を含む。いくつかの実施形態では、固相核酸増幅は、ヘリカーゼ処理を含む。いくつかの実施形態では、固相核酸増幅は、レコンビナーゼ処理を含む。いくつかの実施形態では、固相核酸増幅反応の少なくとも30のサイクルにわたって、連結されたオリゴヌクレオチドの表面密度に変化はない。いくつかの実施形態では、固相核酸増幅反応の少なくとも40のサイクルにわたって、連結されたオリゴヌクレオチドの表面密度に変化はない。いくつかの実施形態では、固相核酸増幅反応の少なくとも50のサイクルにわたって、連結されたオリゴヌクレオチドの表面密度に変化はない。
【0024】
本明細書に開示されるのは、核酸配列決定を実行する方法であり、該方法は、a)本明細書に開示される表面のうちのいずれか1つを提供する工程と、b)連結されたオリゴヌクレオチドにハイブリダイゼーションされた鋳型核酸分子を使用して、固相核酸増幅反応を実行する工程と、c)単一のヌクレオチド結合または取り込みの反応の周期的連続を実行する工程であって、ここで、ヌクレオチドは検出可能なタグで標識される、工程と、を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、検出可能なタグは、フルオロフォアである。いくつかの実施形態では、フルオロフォアはCy3であり、ここで、表面の蛍光画像後は、本明細書に別記された非信号飽和条件下で取得され、第1のCy3-で標識されたヌクレオチドの結合または取り込みの後で少なくとも20のコントラストノイズ比(CNR)を示す。いくつかの実施形態では、コントラストノイズ比(CNR)は、少なくとも50である。いくつかの実施形態では、コントラストノイズ比(CNR)は、少なくとも100である。いくつかの実施形態では、コントラストノイズ比(CNR)は、少なくとも150である。いくつかの実施形態では、コントラストノイズ比(CNR)は、少なくとも200である。いくつかの実施形態では、固相核酸増幅反応は、ブリッジ増幅反応を含む。いくつかの実施形態では、固相核酸増幅反応は、等温のブリッジ増幅反応を含む。いくつかの実施形態では、固相核酸増幅反応は、ローリングサークル増幅(RCA)反応を含む。いくつかの実施形態では、固相核酸増幅反応は、ヘリカーゼ依存性増幅反応を含む。いくつかの実施形態では、固相核酸増幅反応は、レコンビナーゼ依存性増幅反応を含む。
【0026】
本明細書に開示されるのは、核酸増幅を実行するための装置であり、該装置は、a)本明細書に開示される表面のうちのいずれか1つを含み、ここで、表面は、キャピラリー内腔の表面、またははフローセルの少なくとも1つの内側表面を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、該装置は、キャピラリー内腔内で少なくとも1つの流体入口を含む。いくつかの実施形態では、装置は、少なくとも1つの流体出口をさらに含む。いくつかの実施形態では、装置は、少なくとも1つのポンプをさらに含む。いくつかの実施形態では、装置は、少なくとも1つの流体混合連結管をさらに含む。いくつかの実施形態では、装置は、少なくとも1つの温度制御要素をさらに含む。いくつかの実施形態では、装置は、少なくとも1つの光学窓をさらに含む。
【0028】
本明細書に開示されるのは、核酸配列決定を実行するためのシステムであり、該システムは、a)本明細書に開示される装置の少なくとも1つと、b)流体制御モジュールと、c)撮像モジュールと、を含む。
【0029】
参照による組み込み
本明細書で言及されるすべての公開物、特許、および特許出願は、あたかも個々の公開物、特許、または特許出願がそれぞれ参照により本明細書に具体的かつ個別に組み込まれるのと同じ程度にまで、参照により本明細書に組み込まれているその全体。本明細書の用語と取り込まれた文献の用語との矛盾の場合、本明細書の用語が支配する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
特許あるいは出願のファイルは、色つきで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラーの図面を有するこの特許または特許出願公開のコピーが、必要な料金の請求および支払い後に当該事務局によって提供される。
【0031】
本発明の新規な特徴はとりわけ添付の請求項で説明されている。本発明の特徴と利点をより良く理解するには、本発明の原理が用いられる例示的実施形態を説明する以下の詳細な説明と添付図面とを参照されたい。
【
図1】は、本開示の低結合の固体の支持体の1つの実施形態の概略図を提供し、該実施形態では、支持体は、ガラス基板と、共有結合でまたは非共有結合によってガラスに付着し、オリゴヌクレオチドプライマーの付着部位として務める化学的反応性の官能基をさらに含む、親水性コーティングの交互層を含む。
【
図2】は、第1のポリマー層を作製するために、第1のポリマーを、基板(例えば、ガラス)表面に共有結合でカップリングするためにシラン反応の使用の概略図を提供する。
【
図3】は、基板表面で第2のポリマー層を形成するために、分枝状ポリマーを、
図2に示された表面に共有結合によってカップリングする工程の概略図を提供する。
【
図4】は、1つ以上のオリゴヌクレオチドアダプターまたはプライマー配列(例えば、配列1(点線)および配列2(破線))を分枝状ポリマーに共有結合によって付着させるために使用されるカップリング反応の概略図を提供する。
【
図5】は、基板表面で第3のポリマー層を形成するために、共有結合によって付着されたオリゴヌクレオチドアダプターまたはプライマー配列を含む分枝状ポリマーを、
図3に示された表面に共有結合によってカップリングする工程の概略図を提供する。
【
図6A】は、核酸配列決定およびベースコーリングの適用において、データ品質の評価基準としてシグナルノイズ比(SNR)およびコントラストノイズ比(CNR)を使用することの違いを示すシミュレートされた蛍光強度データの例を提供する。
図6A:SNR=2およびCNR=1.25のシミュレートされたデータの例。
【
図6B】は、核酸配列決定およびベースコーリングの適用において、データ品質の評価基準としてシグナルノイズ比(SNR)およびコントラストノイズ比(CNR)を使用することの違いを示すシミュレートされた蛍光強度データの例を提供する。
図6B:SNR=2およびCNR=12.29のシミュレートされたデータの例。
【
図7】は、改善されたCNRが、固体の支持体上でクローン増幅された核酸コロニーのための正確な検出およびシグナル分類(ベースコーリング)に必要な撮像時間をどのように影響するかという例を提供する。
【
図8】は、各々のクローン増幅された鋳型分子のために相補鎖に取り込まれた、様々な標識されたヌクレオチドによる固体の支持体上で実行された核酸配列決定反応の様々なサイクルについて取得された様々な画像を示す。本図面は、ノイズの多い介在バックグラウンドおよび内在バックグラウンドの画像からヌクレオチド特有のシグナルの区別を通じて反復のスポット検出を必要とする検出プラットフォームのために、全体的な検出シグナルに対する様々なバックグラウンド貢献も示す。
【
図9】は、様々な表面改質プロトコルに従って処理されたガラス基板表面に対して緑の蛍光染料の非特異的結合の相対的なレベルを決定する研究の画像データの例を提供する。
【
図10】は、様々な表面改質プロトコルに従って処理されたガラス基板表面に対して赤の蛍光染料の非特異的結合の相対的なレベルを決定する研究の画像データの例を提供する。
【
図11】は、様々な表面改質プロトコルに従って処理された基板表面のためのオリゴヌクレオチドプライマーグラフトのデータの例を提供する。
【
図12】は、様々な表面改質プロトコルに従って処理された基板表面の非特異的結合のテスト中に取得された複製の画像の例を提供する。
【
図13】は、様々な表面改質プロトコルに従って処理された基板表面への配列決定染料混合物の非特異的結合のためのデータの例を提供する。比較の目的のため、Cy3で標識されたオリゴヌクレオチドによってグラフトされた単一のビードに配列決定染料混合物の非特異的結合のための実験条件の同じセット下で測定された蛍光強度は、約1,500のカウントである。
【
図14】は、様々な表面改質プロトコルに従って処理された基板表面への緑と赤の蛍光染料の非特異的結合の画像およびデータの例を提供する。比較の目的のため、単一のCy3で標識されたヌクレオチド塩基をカップリングした後に、実験条件の同じセット下で測定された、クローン増幅された鋳型コロニーの蛍光強度は、約1,500のカウントである。
【
図15】は、基板上でオリゴヌクレオチドプライマー密度の変動によって、低結合の固体の支持体上での「調整可能な」核酸増幅を実証する画像およびデータの例を提供する。青いヒストグラム:プライマー低密度。赤いヒストグラム:プライマー高密度。非特異的低結合と、オリゴヌクレオチドプライマー密度の調整による調整可能な核酸増幅効率の組み合わせは、高いCNRおよび核酸配列決定性能における後の改善を生み出す。
【
図16】は、連結されたオリゴヌクレオチドが、様々なプライマー密度、等温増幅方法および増幅緩衝液添加剤を使用して増幅された、本開示の低結合の固体の支持体の蛍光画像の例を提供する。
【
図17】は、標的配列の特異的増幅を維持する一方、増幅緩衝液添加剤の使用を通じて非特異的核酸増幅の縮小を実証するゲル画像の例を提供する。ゲル画像は、標的(矢)の特異的増幅および他のゲルが定量化する増幅産物に対応するバンドを表わす。
【
図18】は、低結合の支持体表面上で増幅特異性を改善するために、製剤の変化の影響を実証する蛍光画像の例を提供する。
【
図19A】は、本明細書に記載されたように、固相核酸増幅に使用されたハイブリダイゼーション緩衝液の組成変更によって達成され得るハイブリダイゼーションの厳密さ、速度および効能の改善を実証する画像データの非限定的な例を提供する。
図19Aは、2つの異なるハイブリダイゼーションン緩衝液製剤およびプロトコルの画像データの例を提供する。
【
図19B】は、本明細書に記載されたように、固相核酸増幅に使用されたハイブリダイゼーション緩衝液の組成変更によって達成され得るハイブリダイゼーションの厳密さ、速度および効能の改善を実証する画像データの非限定的な例を提供する。
図19Bは、標準ハイブリダイゼーション緩衝液およびプロトコルを使用して得られた対応する画像データの例を提供する。
【
図20】は、開示された低結合の支持体、および本開示の増幅反応製剤を使用して、核酸配列決定のワークフロー、および達成され得る処理時間の非限定的な例を示す。
【
図21】は、鋳型オリゴヌクレオチド配列のクローン増幅されたクラスターを作製するために、固相核酸増幅が実行された本開示の低結合の支持体の蛍光画像および強度のデータの例を提供する。
【
図22】は、鋳型オリゴヌクレオチド配列のクローン増幅されたクラスターを作製するために、固相核酸増幅が実行された本開示の低結合の支持体の蛍光画像および強度のデータの第2の例を提供する。
【
図23】は、鋳型オリゴヌクレオチド配列のクローン増幅されたクラスターを作製するために、固相核酸増幅が実行された本開示の低結合の支持体の蛍光画像および強度のデータの例を提供する。
【
図24】は、支持体表面に連結されたプライマーオリゴヌクレオチドの表面密度を推測するために使用された蛍光較正曲線の例を提供する。
【
図25A】は、蛍光で標識されたヌクレオチドを含むアンプリコンが結合された本開示の改変されたガラスおよびポリマー表面の非限定的な例を提供する。
図25A:改変されたガラス表面。挿入図では、表面が226のCNRを生み出すことは理解されるであろう。
【
図25B】は、蛍光で標識されたヌクレオチドを含むアンプリコンが結合された本開示の改変されたガラスおよびポリマー表面の非限定的な例を提供する。
図25B:改変されたプラスチック表面。挿入図では、表面が109のCNRを生み出すことは理解されるであろう。
【
図26A】は、
図25Aと
図25Bにおける画像の分析を提供する。
図26Aでは、各々のガラスおよびプラスチック表面の、シグナル強度が左に、およびバックグラウンド強度が右に見られるであろう。各々については、シグナル強度が、バックグラウンド強度より実質的に大きい。
【
図26B】は、
図25Aと
図25Bにおける画像の分析を提供する。
図26Bでは、各々のガラスおよびプラスチック表面の、CNR値のグラフィック表示が見られるであろう。左では、ガラスは226のCNRを生み出す一方、右では、プラスチックは109のCNRを生み出し、
図25Aおよび
図25Bの挿入図と一致している。
【
図27】は、それらのデータの正確さに関連して表面の分析を提供する。データは、2つのチャンネルで収集され、左から右まで、市販の低CNRおよび高CNR表面の各々のために、散乱ポットから(上)および定量的(下)のように描かれる。
【
図28】は、オリゴヌクレオチドアダプターまたはプライマー分子の高表面密度を含む表面(左)、およびオリゴヌクレオチドアダプターまたはプライマー分子のより低い表面密度を含む表面(右)にハイブリダイゼーションされた多量体の標的のオリゴヌクレオチド配列の概略図を提供する。
【
図29】は、本開示の低結合の支持体表面上で従来のハイブリダイゼーション反応を実行した実験結果と、本開示の低結合の支持体表面上で最適化されたハイブリダイゼーション反応を実行した実験結果の比較を提供する。
【
図30】は、本開示の低結合支持体上で従来のハイブリダイゼーション反応を実行し、その後RCAまたはブリッジ増幅が実行される実験結果の図面を提供する。
【
図31】は、本開示の低結合支持体上で最適化されたハイブリダイゼーション反応を実行し、その後RCAまたはブリッジ増幅が実行される実験結果の図面を提供する。
【
図32】は、、表面にオリゴヌクレオチドアダプターまたはプライマー分子を付着させるために改善されたカップリング化学作用を使用して調製された、本開示の低結合支持体上で最適化されたハイブリダイゼーション反応を実行し、その後RCAまたはブリッジ増幅が実行される、実験結果の図面を提供する。
【
図33】は、従来の支持体表面の蛍光画像、および標的オリゴヌクレオチドがハイブリダイゼーションされ増幅された本開示の低結合支持体表面の蛍光画像の非限定的な例を提供する。プロットは、ブリッジ増幅プロトコルを有するポリアクリルアミド表面、標準ブリッジ増幅プロトコルおよび1000オリゴヌクレオチド/um
2未満のプライマー密度を有する低結合支持体、および1000オリゴヌクレオチド/um
2より大きいプライマー密度を有する表面上の改善された固相核酸増幅方法との組み合わせでの本開示の低結合支持体表面の例では提供されたものなどの画像から測定されたコントラストノイズ比を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本明細書に開示されるのは、固相核酸増幅および配列決定、または他のバイオアッセイ適用で使用するための新型の固体の支持体である。本明細書に開示される固体の支持体は、タンパク質および他の増幅反応成分の非特異的低結合を示し、かつ様々な溶媒に反復してさらされること、温度の変化、低いpHまたは長期保存などの化学的侮辱に対して改善した安定性を示す。
【0033】
単独で、または改善された核酸ハイブリダイゼーションと増幅プロトコルとの組み合わせで、本明細書に開示されるいくつかの支持体は、(i)必要とされる出発原料の量に対する要件の減少、(ii)等温または熱ランピング増幅プロトコルのための温度要件の減少、(iii)増幅速度の増加、(iv)増幅特異的の増大(すなわち、表面のプライマーおよびプライマー二量体の非特異的増幅が減少する一方、増幅されたコロニーの一本鎖の鋳型分子のより選択的な増幅)、(v)(間質と組織実質内のバックグラウンドから発生するシグナルなどの)バックグラウンドシグナルから配列特異的シグナルより識別することができること、の1つ以上を引き起こし、それによって、従来の核酸増幅および配列決定方法と比較して、改善されたコントラストノイズ比(CNR)およびベースコーリング(base-calling)の正確さを提供する。
【0034】
前述の改善、またはそれらの任意の組み合わせを達成するための出発点は、固体の支持体へのタンパク質および標識されたヌクレオチドの非特異的結合を最小限に抑える、1つ以上のポリマーコーティング、例えば、PEGポリマーフィルム、を含む、開示された非特異的低結合の支持体である。改善された核酸ハイブリダイゼーションおよび増幅速度、と特異的の後の実証は、以下の本開示のさらなる態様の1つ以上を通じて達成され得る:(i)プライマー設計(配列および/または修飾)、(ii)固体の支持体での連結されたプライマー密度の制御、(iii)固体の支持体の表面組成、(iv)固体の支持体の表面のポリマー密度、(v)増幅の前に、および/または増幅中に、改善されたハイブリダイゼーション条件の使用、および/または(vi)、非特異的プライマー増幅を減少させ、または鋳型増幅効率を増大させる、改善された増幅製剤の使用。
【0035】
開示された非特異的低結合の支持体および関連するハイブリダイゼーションおよび増幅方法の利点は、任意の配列決定システムのために以下のさらなる利点の1つ以上を与える:(i)流体洗浄時間の減少(非特異的結合の低下、したがって、より速い配列決定サンクル時間のため)、(ii)撮像時間の減少(したがって、アッセイ読み出しと配列決定サイクルのためのより速い所要時間)、(iii)全体のワークフロー時間要件の減少(サンクル時間の減少のため)、(iv)検出器具類費用の減少(CNRにおける改善のため)、(v)読み出し(ベースコーリング)の精度の改善(CNRにおける改善のため)、(vi)試薬安定性の改善および試薬使用要件の減少(したがって、試薬費用の減少)、および(vii)核酸増幅失敗による実行時間失敗の減少。
【0036】
表面のバイオアッセイ、例えば、遺伝子型アッセイおよび配列決定アッセイのための(多層および/または単層の)低結合親水性表面は、下記の任意の組み合わせの使用により作製される。
【0037】
基板表面上で線状または多分岐状親水性ポリマーサブユニットを堆積および/またはカップリングさせるための極性プロトン性溶媒、極性非プロトン性溶媒および/または無極性溶媒。いくつかの多分岐状親水性ポリマーサブユニットは、他のポリマーサブユニットとの共有カップリング相互作用または非共有結合相互作用を促進するために官能性の末端基を含む場合がある。適切な官能性の末端基の例は、ビオチン、メトキシエーテル、カルボキシレート、アミン、エステル化合物、アジド、アルキン、マレイミド、チオール、およびシランの基を含む。
【0038】
直交末端カップリング化学を有する個々のサブユニット、またはその結果として生じた表面が親水性であり、かつタンパク質および他の分子のアッセイ成分の非特異的低結合を示すような任意のそれぞれの組み合わせを含み得る、修飾されたカップリング化学作用/溶媒/緩衝液のシステムを介してカップリングされた線状ポリマーサブユニット、分岐状ポリマーサブユニット、または多分岐状ポリマーサブユニットの任意の組み合わせ。いくつかの例では、本開示の親水性、官能化された基板表面は、35度以下の接触角度測定を示す。
【0039】
前述の溶媒に加えて、5~10の望ましいpH範囲を有するの適合する緩衝系。例は、リン酸緩衝生理食塩水、リン酸塩緩衝液、TAPS、MES、MOPSまたはこれらの任意の組み合わせを含むが、それらに限定されない。
【0040】
下記に記載される様々な個々の抱合化学の任意のものまたはその任意の組み合わせを介して低結合/親水性基板上での、その後の(例えば、タンパク質、ペプチド、核酸、オリゴヌクレオチドまたは細胞)の生体分子結合。層の堆積および/または抱合反応は、エタノール、メタノール、アセトニトリル、アセトン、DMSO、DMF、H2Oなどの成分の任意の比率も含み得る溶媒混合物を使用して実行されてもよい。加えて、5~10の所望のpH範囲の適合する緩衝系は、堆積とカップリングの速度と効率を制御するために使用されてもよく、それによって、カップリング速度は、従来の水性緩衝液に基づいた方法で達成され得るものの5倍を超える。
【0041】
定義:特に定義されていない限り、本明細書で使用されるすべての専門用語は、本開示が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0042】
本明細書および添付の請求項で使用されるように、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈上明確に指示されない限り、複数の言及も含む。「または」への任意の言及は、別段の定めがない限り、「および/または」を包含することを意図している。
【0043】
本明細書で使用されるように、「約」との用語が付く数字は、その数字のプラスあるいはマイナス10%の数字を指す。範囲の文脈で使用される際の「約」との用語は、最低値のマイナス10%、および最大値のプラス10%の範囲を指す。
【0044】
本明細書で使用されるように、シリーズの文脈で「の少なくとも1つ」の句は、シリーズの単一のメンバー、シリーズの2つのメンバー、シリーズのすべてのメンバー以下のメンバーを含むリストを、単独で、または場合によってはリストに無記載の要素との組み合わせで包含する。
【0045】
本明細書で使用されるように、蛍光は、表面上でオリゴの対応するセグメントに対して逆相補性の部位を有し、前記対応するセグメントにアニールされた核酸を介する等して、表面にアニールされる、また他の方法で連結されるフルオロフォアから発生する場合、「特異的」である。この蛍光は、そのようなアニール工程を通して表面に連結されないフルオロフォアから発生する蛍光、または場合によっては、表面のバックグラウンド蛍光と対照的である。
【0046】
核酸:本明細書で使用されるように、「核酸」(「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、リボ核酸(RNA)またはデオキシリボ核酸(DNA)とも呼ばれる)は、共有ヌクレオシド間結合によって接合された2つ以上のヌクレオチドの線状ポリマー、またはその変異体あるいは機能的断片である。核酸の自然発生の例では、ヌクレオシド間結合は、典型的にリン酸ジエステル結合である。しかしながら、他の例は、ホスホロチオラート結合などの他のヌクレオシド間結合を随意に含み、かつリン酸基を含むまたは含まない場合がある。核酸は、二本鎖および一本鎖RNAと同様に、二本鎖および一本鎖DNA、DNA/RNAハイブリッド、ペプチド核酸(PNA)、PNAとDNAまたはRNAの間のハイブリッドを含み、および他のタイプの核酸修飾をさらに含む場合がある。
【0047】
本明細書で使用されるように、「ヌクレオチド」は、ヌクレオチド、ヌクレオシドまたはそれらのアナログを指す。場合によっては、ヌクレオチドは、プリンまたは、ピリミジン塩基のN-グリコシドまたはC-グリコシド(例えば、2-デオキシ-D-リボースを含むデオキシリボヌクレオシド、またはD-リボースを含むリボヌクレオシド)である。他のヌクレオチドアナログの例は、ホスホロチオエート、ホスホロアミデート、メチルホスホネート、キラルメチルホスホネート、2-O-メチルリボヌクレオチドなどを含むが、それらに限定されない。
【0048】
核酸は、例えば、核酸の5’または3’末端のいずれかとの共有結合または非共有結合を通じて、標識および他の小分子、(タンパク質、脂質、糖類などの)大分子、および固体または半固体支持体などの、1つ以上の非ヌクレオチド部分に随意に結合され得る。標識は、当業者に既知の様々な検出方法の任意のものを使用して、検出可能であり、このように付着したオリゴヌクレオチドまたは核酸を同様に検出可能にする、任意の部分を含む。いくつかの標識は、光学的に検出可能または可視である電磁放射線を放射する。交互にまたは一緒に、いくつかの標識は、標識されたオリゴヌクレオチドまたは核酸を、質量スペクトルデータにおいて可視にする質量タグ、または標識されたオリゴヌクレオチドまたは核酸を、電流測定または電圧測定によって検出可能にする酸化還元タグを含む。いくつかの標識は、標識されたオリゴヌクレオチドまたは核酸の分離および/または精製を促進する磁気タグを含む。ヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、しばしば標識に付着されることなく、オリゴヌクレオチドまたは核酸の存在は直接検出される。
【0049】
開示された非特異的低結合支持体および関連の核酸ハイブリダイゼーションおよび増幅の方法は、当業者に既知の様々な細胞、組織または試料の任意のものに由来した核酸分子の分析に使用されてもよい。例えば、核酸は、(動物、植物、菌類、原生生物などの)真核生物、始原細菌または真正細菌に由来した、細胞、または1つ以の種類の細胞を含む組織試料から抽出されてもよい。場合によっては、核酸は、原核生物または、接着性または非接着性真核細胞などの真核細胞から抽出されてもよい。核酸は、例えば、原始のまたは不死化されたげっ歯動物、ブタ、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、霊長類、またはヒト細胞株から多様に抽出される。核酸は、様々な細胞、臓器または組織類(例えば、白血球、赤血球、血小板、上皮細胞、内皮細胞、ニューロン、膠細胞、アストロサイト、線維芽細胞、骨格筋細胞、平滑筋細胞、配偶子、または心臓、肺、脳、肝臓、腎臓、脾臓、膵臓、胸腺、膀胱、胃、結腸あるいは小腸の細胞)の任意のものから抽出されてもよい。核酸は、正常または健康な細胞から抽出されてもよい。交互にまたは一緒に、酸は、癌細胞などの異常細胞、または宿主を感染させる病原性の細胞から抽出される。いくつかの核酸は、例えば、(T細胞、細胞毒性の(キラー)T細胞、ヘルパーT細胞、アルファベータT細胞、ガンマデルタT細胞、T細胞前駆体、B細胞、B細胞前駆体、リンパ系幹細胞、骨髄性の前駆細胞、リンパ球、顆粒球、ナチュラルキラー細胞、形質細胞、記憶細胞、好中球、好酸球、好塩基球、マスト細胞、単球、樹状細胞、および/またはマクロファージ、あるいはその任意の組み合わせなどの)免疫細胞、未分化のヒト幹細胞、分化するように誘導されたヒト幹細胞、希少細胞(例えば、循環腫瘍細胞(CTC))、循環上皮細胞、循環内皮細胞、循環子宮内膜細胞、骨髄細胞、前駆細胞、泡沫細胞、間葉細胞、または栄養膜)の細胞類の明確な部分集合から抽出されてもよい。他の細胞が、企図され、本明細書の開示に一致する。
【0050】
細胞または他の生体試料からの核酸抽出は、当業者に既知の多数の技術の任意のものを使用して実行されてもよい。例えば、典型的なDNA抽出手順は、(i)DNAが抽出される細胞試料または組織試料の採取、(ii)DNAおよび他の細胞質の成分を放出するための細胞膜の破壊(すなわち、細胞溶解)と、(iii)タンパク質、脂質、およびRNAを沈殿させるために、溶解された試料を濃縮塩溶液での処理、その後、沈殿されたタンパク質、脂質、およびRNAを分離するための遠心分離と、(iv)界面活性化製剤、タンパク質、塩、または細胞膜溶解工程中に使用した他の試薬を除去するためにDNAを上清から精製すること、を含む。
【0051】
様々な適切な市販の核酸の抽出および精製のキットは、本明細書の開示と一致する。例は、Qiagen(Germantown、MD)の(ヒト試料からのゲノムDNAの単離のための)QIAampキット、および(動物または植物の試料からのゲノムDNAの単離のための)DNAeasyキット、またはPromega(Madison、WI)のMaxwell(登録商標)およびReliaPrep(商標)のキットのシリーズを含むが、それらに限定されない。
【0052】
固相核酸ハイブリダイゼーションおよび増幅のための非特異的低結合支持体:本明細書に開示されるのは、改善された核酸ハイブリダイゼーションおよび増幅の性能を可能にする非特異的低結合表面の組成物を含む固体の支持体である。一般的に、開示された支持体は、基板(あるいは支持構造)、共有結合または非共有結合によって付着された、低結合の化学修飾層、例えば、シラン層、ポリマーフィルム、の1つ以上の層、および支持体表面に一本鎖の鋳型オリゴヌクレオチドを連結させるために使用され得る、1つ以上の共有結合または非共有結合で付着されたプライマー配列を含んでもよい(
図1)。いくつかの例では、表面の製剤、例えば、1つ以上の層の化学組成物、1つ以上の層を支持体表面および/または互いに架橋するのに使用されるカップリング化学作用、および層の合計数は、タンパク質、核酸分子、および他のハイブリダイゼーションおよび増幅反応成分の支持体表面への非特異的結合が、比較可能な単層に関して最小限に抑えられるまたは減少されるように変動され得る。しばしば、表面の製剤は、支持体表面上で非特異的ハイブリダイゼーションが比較可能な単層に関して最小限に抑えられるまたは減少されるように、変動され得る。表面の製剤は、支持体表面上で非特異的増幅が比較可能な単層に関して最小限に抑えられるまたは減少されるように、変動され得る。表面の製剤は、支持体表面での特異的増幅速度および/または収率が最大化されるように、変動され得る。検出に適している増幅レベルは、本明細書に開示される場合によっては、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30以下、または30より多くの増幅サイクルにおいて達成される。
【0053】
基板または支持構造が製造され得る材料の例は、ガラス、融解石英、シリコン、ポリマー(例えば、ポリスチレン(PS)、マクロ多孔性ポリスチレン(MPPS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、環状オレフィンポリマー(COP)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、またはその任意の組み合わせを含むが、それらに限定されない。ガラスとプラスチック製の基板の両方の様々な組成物が企図される。
【0054】
基板または支持構造は、当業者に既知の様々な幾可学的形状および寸法の任意のものにおいて再現され得り、かつ当業者に既知の様々な材料の任意のものを含み得る。例えば、いくつかの例では、基板または支持構造は、局所的に平面(例えば、顕微鏡スライドまたは顕微鏡スライドの表面を含む)であってもよい。全体的に、基板または支持構造は、円筒形状(例えば、キャピラリー、またはキャピラリーの内側表面を含む)、または球状(例えば、無孔ビーズの外部表面を含む)、または不規則的(例えば、不規則的形状の無孔ビーズまたは粒子の外部表面を含む)であり得る。いくつかの例では、核酸ハイブリダイゼーションおよび増幅に使用される基板または支持構造の表面は、固体の、無孔表面であってもよい。いくつかの例では、核酸ハイブリダイゼーションおよび増幅に使用される基板または支持構造の表面は、多孔性であってもよく、本明細書に記載されたコーティングが多孔性表面を浸透し、実行された核酸ハイブリダイゼーションおよび増幅の反応が気孔内で生じ得るようになってもよい。
【0055】
1つ以上の化学修飾された層、例えば、非特異的低結合ポリマーの層を含む基板または支持構造は、独立してもよく、または別の構造あるいは集合体へ統合されてもよい。例えば、いくつかの例では、基板または支持構造は、統合された、または組み立てられたマイクロ流体フローセル内に1つ以上の表面を含んでもよい。基板または支持構造は、マイクロプレートフォーマット(例えばマイクロプレート中のウェルの底面)内の1つ以上の表面を含んでもよい。上記されたように、いくつかの好ましい実施形態では、基板または支持構造は、キャピラリーの内側表面(内腔表面などの)を含む。代替的な好ましい実施形態では、基板または支持構造は、平面チップにエッチングされたキャピラリーの内側表面(内腔表面などの)を含む。
【0056】
化学修飾層は、基板または支持構造の表面にわたって均一に適用され得る。代替的に、基板または支持構造の表面は、化学修飾層が基板の1つ以上の別々の領域に制限されるように、非均一に分布またはパターン化されてもよい。例えば、基板表面は、表面で化学修飾された領域の順序づけられたアレイまたはランダムなパターンを作製するためにフォトリソグラフィー技術を使用してパターン化されてもよい。交互にまたは一緒に、基板表面は、例えば、密着印刷および/またはインクジェット印刷の技術を使用して、パターン化されてもよい。いくつかの例では、化学修飾された別々の領域の順序づけられたアレイまたはランダムなパターンは、少なくとも1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000または10,000、あるいはそれ以上の別々の領域、あるいは本明細書の範囲に及ぶ任意の中間数を含んでもよい。
【0057】
非特異的低結合表面(本明細書に「低結合」または「不動態化した」表面とも呼ばれる)を達成するために、親水性ポリマーは、基板または支持体表面に非特異的に吸着されるまたは共有結合によってグラフトされてもよい。典型的には、不動態化は、ポリ(エチレングリコール)(PEG、(ポリエチレンオキシド(PEO)またはポリオキシエチレンとしても知られる)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(ビニルピリジン)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリアクリルアミド、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAM)、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMA)、ポリ(2-ヒドロクシルエチルメタクリレート(PHEMA)、ポリ(オリゴ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート(POEGMA)、ポリグルタミン酸(PGA)、ポリリジン、ポリグルコシド、ストレプトアビジン、デキストラン、または、様々な分子量、かつ例えば、シラン化学作用を使用して表面にリンクされる末端基を有する他の親水性ポリマーを利用して実行される。表面の遠位の末端基は、ビオチン、メトキシエーテル、カルボン酸塩、アミン、NHSエステル、マレイミドおよびビスシランを含むことができるが、それらに限定されない。いくつかの例では、親水性ポリマー、例えば、線状ポリマー、分枝状ポリマー、または多分岐状ポリマーの2つ以上の層は、表面に堆積されてもよい。いくつかの例では、2つ以上の層は、結果として生じる表面の安定性を改善するために、互いに共有結合によってカップリングされ得り、または内部に架橋される。いくつかの例では、様々な塩基配列および塩基修飾を有するオリゴヌクレオチドプライマー(または他の生体分子、例えば、酵素あるいは抗体)は、結果として生じる表面層に様々な表面密度で連結され得る。いくつかの例では、例えば、表面官能基密度およびオリゴヌクレオチド濃度の両方は、特定のプライマー密度範囲を標的とするように変動され得る。さらに、プライマー密度は、同じの官能基を運ぶ他の分子でオリゴヌクレオチドを希釈することによって制御することができる。例えば、アミンで標識されたオリゴヌクレオチドは、最終的なプライマー密度を減少させるためにNHSエステルでコーティングされた表面との反応におけるアミンで標識されたポリエチレングリコールで希釈されることができる。ハイブリダイゼーション領域と表面の付着官能基との間の異なる長さを有するリンカーのプライマーも、表面密度を制御するために適用することができる。適切なリンカーの例は、プライマーの5’末端にポリT鎖とポリA鎖(例えば0~20の塩基)、PEGリンカー(例えば、3~20のモノマー単位)、および炭素鎖(例えば、C6、C12、C18など)を含む。プライマー密度を測定するために、蛍光で標識されたプライマーは、表面に連結されてもよく、および蛍光読み取りは、後に既知の濃度の染料溶液のものと比較されてもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、架橋ポリマーであり得る。いくつかの実施形態では、架橋ポリマーは、別のポリマー類と架橋された1つのポリマー類を含むことができる。架橋ポリマーの例は、ポリエチレンオキシド(PEO)またはポリオキシエチレン)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(ビニルピリジン)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリアクリルアミド、ポリ(Nイソプロピルアクリルアミド(PNIPAM)、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMA)、ポリ(2-ヒドロクシルエチルメタクリレート(PHEMA)、ポリ(オリゴ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート(POEGMA)、ポリグルタミン酸(PGA)、ポリリジン、ポリグルコシド、ストレプトアビジン、デキストラン、または他の親水性ポリマーから選択される他のポリマーと架橋されるポリ(エチレングリコール)を含むことができる。いくつかの実施形態では、架橋ポリマーは、ポリアクリルアミドと架橋されたポリ(エチレングリコール)であり得る。
【0059】
本明細書に開示される表面の不動態化技術の結果、タンパク質、核酸および他の生体分子は、基板に「付着しない」、すなわち、それらは非特異的低結合(NSB)を示す。例は、変動するガラス調製条件を有する標準の単層表面の調製を使用して以下に示される。タンパク質および核酸のために超低NSBを達成するために不動態化された親水性表面は、プライマー堆積反応効率、ハイブリダイゼーションの性能を改善するために、かつ効率的増幅を誘導させるために、新たな反応条件を必要とする。これらのプロセスのすべては、低結合表面にオリゴヌクレオチドを付着し、その後にタンパク質を結合させ、および送達することを必要とする。下記に記載されるように、新しいプライマー表面抱合製剤(Cy3オリゴヌクレオチドグラフト滴定)と結果として生じる超低非特異的バックグラウンド(NSB機能テストが赤の蛍光染料および緑の蛍光染料を使用して実行された)との組み合わせは、開示されたアプローチの実行可能性を実証する結果を生み出した。本明細書に開示されるいくつかの表面は、Cy3などのフルオロフォアの特異的結合(例えば、連結されたプライマーまたはプローブに対するハイブリダイゼーション)と非特異的結合(例えば、Binter)との、少なくとも、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、50:1、75:1、100:1、または100:1より大きい、あるいは本明細書の範囲に及ぶ任意の中間値の比率を示す。本明細書に開示されるいくつかの表面は、Cy3などのフルオロフォアの特異的蛍光シグナルと非特異蛍光シグナルとの(例えば、特異的ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドと非特異的結合された、標識されたオリゴヌクレオチドとの、または特異的増幅されたオリゴヌクレオチドと非特異的連結された(Binter)あるいは非特異的増幅された(Bintra)標識されたオリゴヌクレオチド、またはそれらの組み合わせ(Binter+Bintra)とのための)、少なくとも、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、50:1、75:1、100:1、または100:1より大きい、あるいは本明細書の範囲に及ぶ任意の中間値の比率を示す。
【0060】
プライマー表面密度を調整し、かつ親水性または両性の表面にさらなる次元性を追加するために、PEGおよび他の親水性ポリマーの多層コーティングを含む基板が開発されている。以下に記載されたポリマー/コポリマー材料を含むが、それらに限定されない、親水性または両性の表面層状化アプローチの使用によって、表面上でプライマー積載密度を大幅に増大させることは可能である。従来のPEGコーティングアプローチは、単層プライマー堆積を使用し、それは単一分子適用のために一般的に報告されているが、核酸増幅適用のために高いコピー数を生み出さない。本明細書に記載されたように「層状化」は、2つ以上の高度に架橋された層を含む表面を順次に構築することができるように、任意の適合するポリマーまたはモノマーサブユニットを用いて従来の架橋アプローチを使用して達成することができる。適切なポリマーの例は、ストレプトアビジン、ポリアクリルアミド、ポリエステル、デキストラン、ポリリジンおよびポリリジンとPEGのコポリマーを含むが、それらに限定されない。いくつかの例では、異なる層は、様々な抱合反応の任意のものを通じて互いに付着されてもよく、該抱合反応は、ビオチン-ストレプトアビジン結合、アジド-アルキンクリック反応、アミン-NHSエステル反応、チオール-マレイミド反応、および正荷電ポリマーと負電荷ポリマーの間のイオン相互作用を含むが、それらに限定されない。いくつかの例では、プライマー高密度材料は、溶液内に構築され、その後、多数の工程で表面上に層状化され得る。
【0061】
図2は、第1の親水性ポリマー層を基板、例えば、ガラス基板にグラフトすることの1つの非限定的な例の概略図を提供する。ガラス表面を、当業者に既知の様々な方法(例えば、ピラニア溶液での処理、プラズマクリーニングなど)の任意の方法を使用して洗浄する後で、基板は、表面と共有結合を形成するために、シラン溶液(例えば、シランPEG5K溶液)で処理され、すすがれ、乾かされ、および高温で硬化される。表面から遠位のポリマーの末端は、様々な化学反応性の官能基または保護官能基の任意のものを含んでもよい。アミン反応性のNHS基は、
図2に示される。
【0062】
図3は、過剰な未反応の官能基を含む第2の親水性ポリマー層を作製するために、
図2に示されたような、NHS官能基を有する第1のポリマー層を含む誘導体化された基板を、一級アミン官能化された分枝状ポリマー(例えば、16分岐または32分岐PEGポリマー(それぞれが16アームまたは32アームPEGとも呼ばれる))とカップリングすることの1つの非限定的な例の概略図を提供する。
【0063】
図4は、共有結合によって付着されたオリゴヌクレオチド分子を含む親水性層を作製するために、基板表面で堆積させる前に、反応性官能基(例えば、4-分岐NHS-PEG)を含む分枝状ポリマーを、溶液における1つ以上のオリゴヌクレオチドアダプターまたはプライマー配列(例えば、点線と破線で示されたとおり、一級アミンを含むオリゴヌクレオチド)と反応させることの1つの非限定的な例の概略図を提供する。オリゴヌクレオチド分子(または連結される他の生体分子、例えば、ペプチド、タンパク質、酵素、抗体など)のモル比を、分枝状ポリマーのモル比に変動させることによって、結果として生じる付着されたオリゴヌクレオチド配列の表面密度は、制御された方法で変動され得る。いくつかの例では、1つ以上のオリゴヌクレオチド分子(または他の生体分子)は、層が表面に堆積された後、既存のポリマー層に共有結合によって連結されてもよい。
【0064】
図5は、共有結合によって付着されたオリゴヌクレオチドプライマーを含む分枝状ポリマーを、
図3に示されたもののような層状化された親水性表面にカップリングさせることの1つの非限定的な例の概略図を提供する。この例では、2つの異なるオリゴヌクレオチドプライマー(点線または破線によって表わされる)およびアミン反応性NHS基を含む分枝状ポリマーは、連結されたオリゴヌクレオチドプライマーの制御された表面密度を含む多層の3次元親水性表面を作製するために、前の層の一級アミンにカップリングされる。
【0065】
第1の化学修飾された層を支持体表面にグラフト化するために使用される結合化学作用は、支持体が製造される材料および層の化学的性質の両方に一般的に依存する。いくつかの例では、第1の層は、支持体表面に共有結合によって付着されてもよい。いくつかの例では、第1の層は、表面に非共有結合によって付着されてもよく、例えば、表面と第1の層の分子要素の間の静電的相互作用、水素結合またはファンデルワールス相互作用などの非共有結合相互作用を通じて、表面に吸着されてもよい。いずれかの例では、基板表面は、第1の層の付着または堆積の前に処理されてもよい。当業者に既知の様々な表面調整技術の任意のものが、支持体表面を洗浄するまたは処理するために使用されてもよい。例えば、ガラスまたはシリコン表面は、ピラニア溶液(硫酸(H2SO4)と過酸化水素(H2O2)の混合物)を使用して酸洗浄されてもよく、および/または酸素プラズマ処理方法を使用して、洗浄されてもよい。
【0066】
シラン化学作用は、より多くの反応性官能基(例えば、アミン類またはカルボキシル基)を付着するために、ガラスまたはシリコン表面上でシラノール基を共有結合によって修飾するために1つの制限しないアプローチを構成し、該アプローチは、その後、リンカー分子(例えば、C6、C12、C18炭化水素などの様々な長さの線状炭化水素分子、または線状ポリエチレングリコール(PEG)分子)、または、層分子(例えば、分岐状PEG分子、あるいは他のポリマー)を表面にカップリングするのに使用されてもよい。開示された低結合支持体表面の任意の表面を作製するのに使用され得る適切なシランの例は、(3ーアミノプロピル)トリメトキシシラン(APTMS)、(3ーアミノプロピル)トリエトキシシラン(APTES)、様々なPEGシランの任意のもの(例えば、1K、2K、5K、10K、20Kなどの分子量を含む)、アミノ-PEGシラン(すなわち、遊離アミノ官能基を含む)、マレイミド-PEGシラン、ビオチン-PEGシランなどを含むが、それらに限定されない。
【0067】
アミノ酸、ペプチド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、他のモノマーまたはポリマー、またはその組み合わせを含むが、これらに限定されない、当業者に既知の様々な分子の任意のものは、支持体表面上で1つ以上の化学修飾された層を作製するのに使用されてもよく、使用される成分の選択が、支持体表面の1つ以上の特性、例えば、官能基および/またはは連結したオリゴヌクレオチドプライマーの表面密度、支持体表面の親水性/疎水性、または支持体表面の3つの三次元性(すなわち、「厚さ」)を改変するために変動されてもよい。開示された支持体表面の任意の表面において非特異的低結合材料の1つ以上の層を作製するために使用され得る好ましいポリマーの例は、様々な分子量と分岐構造のポリエチレングリコール(PEG)、ストレプトアビジン、ポリアクリルアミド、ポリエステル、デキストラン、ポリリジンおよびポリリジンコポリマー、またはそれらの任意の組み合わせも含むが、それらに限定されない。材料の1つ以上の層(例えば、ポリマー層)を支持体表面にグラフトするおよび/または層を互いに架橋するために使用され得る抱合化学作用の例は、ビオチンーストレプトアビジン相互作用(またはそのバリエーション)、ヒスタグーNi/NTA抱合化学作用、メトキシエーテル抱合化学作用、カルボキシレート抱合化学作用、アミン抱合化学作用、NHSエステル類、マレイミド、チオール、エポキシ、アジド、ヒドラジド、アルキン、イソシアネートおよびシランを含むが、それらに限定されない。
【0068】
多層表面の1つ以上の層は、分枝状ポリマーを含んでもよく、または線状であってもよい。適切な分枝状ポリマーの例は、分岐状PEG、分岐状ポリ(ビニルアルコール)(分岐状PVA)、分岐状ポリ(ビニルピリジン)、分岐状ポリ(ビニルピロリドン)(分岐状PVP)、分岐状ポリ(アクリル酸)(分岐状PAA)、分岐状ポリアクリルアミド、分岐状ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド(分岐状PNIPAM)、分岐状ポリ(メタクリル酸メチル)(分岐状PMA)、分岐状ポリ(2-ヒドロクシルエチルメタクリレート(分岐状PHEMA)、分岐状ポリ(オリゴ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート(分岐状POEGMA)、分岐状ポリグルタミン酸(分岐状PGA)、分岐状ポリリジンおよび分岐状ポリグルコシドとデキストランを含むが、それらに限定されない。
【0069】
いくつかの例では、本明細書に開示される多層表面の任意のものの1つ以上の層を作製するのに使用される分枝状ポリマーは、少なくとも4つの分岐、少なくとも5つの分岐、少なくとも6つの分岐、少なくとも7つの分岐、少なくとも8つの分岐、少なくとも9つの分岐、少なくとも10の分岐、少なくとも12の分岐、少なくとも14の分岐、少なくとも16の分岐、少なくとも18の分岐、少なくとも20の分岐、少なくとも22の分岐、少なくとも24の分岐、少なくとも26の分岐、少なくとも28の分岐、少なくとも30の分岐、少なくとも32の分岐、少なくとも34の分岐、少なくとも36の分岐、少なくとも38の分岐、あるいは少なくとも40の分岐を含んでもよい。分子は、2、4、8、16、32、64、または128分岐などの「2の累乗」の分岐数をしばしば示す。
【0070】
例示的なPEG多層は、PEGーアミン-APTES上でPEG(8、16、8)(8アーム、16アーム、8アーム)を含む。同様の濃度は、8uMプライマーにさらされたPEGアミン-APTESの上で3層マルチアームPEG(8アーム、16アーム、8アーム)および(8アーム、64アーム、8アーム)に観察され、および比較可能な第1、第2および第3のPEG層16アームおよび64アームPEG多層を置き換えるのに星型PEGアミンの使用する、3層マルチアームPEG(8アーム、8アーム、8アーム)も企図される。
【0071】
本明細書に開示される多層の表面の任意の表面の1つ以上の層を作製するのに使用される線状、分岐状、または多分岐状ポリマーは、少なくとも500、少なくとも1,000、少なくとも1,500、少なくとも2,000、少なくとも2,500、少なくとも3,000、少なくとも3,500、少なくとも4,000、少なくとも4,500、少なくとも5,000、少なくとも7,500、少なくとも10,000、少なくとも12,500、少なくとも15,000、少なくとも17,500、少なくとも20,000、少なくとも25,000、少なくとも30,000、少なくとも35,000、少なくとも40,000、少なくとも45,000、または50,000ダルトンの分子量を有してもよい。いくつかの例では、本明細書に開示される多層の表面の任意の表面の1つ以上の層を作製するのに使用される線状、分岐状、または多分岐状ポリマーは、最大で50,000、最大で45,000、最大で40,000、最大で35,000、最大で30,000、最大で25,000、最大で20,000、最大で17,500、最大で15,000、最大で12,500、最大で10,000、最大で7,500、最大で5,000、最大で4,500、最大で4,000、最大で3,500、最大で3,000、最大で2,500、最大で2,000、最大で1,500、最大で1,000、または最大で500ダルトンの分子量を有してもよい。この段落に記載される下限値および上限値の任意の値は、本開示内に含まれた範囲を形成するために組み合せられてもよく、例えば、いくつかの例では、本明細書に開示される多層の表面の任意の表面の1つ以上の層を作製するのに使用される線状、分岐状、または多分岐状ポリマーの分子量は、約1,500~約20,000ダルトンに及んでもよい。当業者は、本明細書に開示される多層の表面の任意の表面の1つ以上の層を作製するのに使用される線状、分岐状、または多分岐状ポリマーの分子量が、この範囲内に任意の値(例えば、約1,260ダルトン)を有してもよいことを認識されるであろう。
【0072】
いくつかの例では、例えば、多層の表面の少なくとも1つの層が分枝状ポリマーを含む場合、堆積される層の分枝状ポリマー分子と前の層の分子との間の共有結合の数は、1分子当たり約1の共有結合および1分子当たり約32の共有結合に及ぶ場合がある。いくつかの例では、新しい層の分枝状ポリマー分子と前の層の分子との間の共有結合の数は、分子当たり少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも14、少なくとも16、少なくとも18、少なくとも20、少なくとも22、少なくとも24、少なくとも26、少なくとも28、少なくとも30、または少なくとも32の、あるいは32より多い共有結合であってもよい。いくつかの例では、新しい層の分枝状ポリマー分子と前の層の分子との間の共有結合の数は、最大で32、最大で30、最大で28、最大で26、最大で24、最大で22、最大で20、最大で18、最大で16、最大で14、最大で12、最大で10、最大で9、最大で8、最大で7、最大で6、最大で5、最大で4、最大で3、最大で2、または最大で1であってもよい。この段落に記載される下限値および上限値の任意の値は、本開示内に含まれた範囲を形成するために組み合せられてもよく、例えば、いくつかの例では、新しい層の分枝状ポリマー分子と前の層の分子との間の共有結合の数が、約4~約16に及んでもよい。当業者は、新しい層の分枝状ポリマー分子と前の層の分子との間の共有結合の数が、この範囲内に任意の値(例えば、いくつかの例では約11、または他の例では約4.6の平均数)を有してもよいことを認識されるであろう。
【0073】
支持体表面への材料層のカップリングの後に残る任意の反応性官能基は、高収率カップリング化学作用を使用して、小さい、不活性分子をカップリングすることによって、随意に遮断されてもよい。例えば、前の層に新しい材料層を付着させるために、アミンカップリング化学作用が使用される場合では、任意の残存するアミン基は、グリシンなどの小さなアミノ酸とカップリングすることによってその後にアセチル化されるまたは非活性化されてもよい。
【0074】
開示された低結合支持体の表面上で堆積された非特異的低結合材料、例えば、親水性ポリマー材料の層数は、1~約10に及んでもよい。いくつかの例では、層数は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、または少なくとも10である。いくつかの例では、層数は、最大で10、最大で9、最大で8、最大で7、最大で6、最大で5、最大で4、最大で3、最大で2、または最大で1であってもよい。この段落に記載される下限値および上限値の任意の値は、本開示内に含まれた範囲を形成するために組み合せられてもよく、例えば、いくつかの例では、層数が2~約4に及んでもよい。いくつかの例では、層の全ては、同じ材料を含んでもよい。いくつかの例では、各々の層は、異なる材料を含んでもよい。いくつかの例では、複数の層は、複数の材料を含んでもよい。いくつかの例では、少なくとも1つの層は、分枝状ポリマーを含んでもよい。いくつかの例では、層の全ては、分枝状ポリマーを含んでもよい。
【0075】
場合によっては、非特異的低結合材料の1つ以上の層は、極性プロトン性溶媒、極性非プロトン性溶媒、無極性溶媒またはその任意の組み合わせを使用して、基板表面に抱合および/または堆積されてもよい。いくつかの例では、層の堆積および/またはカップリングに使用された溶媒は、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなど)、他の有機溶媒(例えば、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)など)、水、水性緩衝溶液(例えば、リン酸塩緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)など)、またはその任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの例では、使用される溶媒混合液の有機成分は、水または水性緩衝溶液との成すバランスにおいて、全体の少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%、あるいは本明細書の範囲に及ぶまたは近似の任意の割合を含んでもよい。いくつかの例では、使用される溶媒混合液の水性成分は、有機溶媒のバランスにおいて、全体の少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%、あるいは本明細書の範囲に及ぶまたは近似の任意の割合を含んでもよい。使用される溶媒混合液のpHは、5、5.5、5.6、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10未満、または10より大きい、あるいは本明細書の範囲に及ぶまたは近似の任意の値であってもよい。
【0076】
いくつかの例では、非特異的低結合材料の1つ以上の層は、有機溶媒混合物を使用して、基板表面に堆積および/または抱合されてもよく、ここで、少なくとも1つの成分の比誘電率が40未満であり、全体混合物の少なくとも50%容量からなる。いくつかの例では、少なくとも1つの成分の比誘電率は、10未満、20未満、30未満、40未満であってもよい。いくつかの例では、少なくとも1つの成分は、容量で全体の混合物の少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも80%からなる。
【0077】
上記のように、本開示の非特異的低結合支持体は、タンパク質、核酸、および固相核酸増幅に使用されるハイブリダイゼーションおよび/または増幅の製剤の他の成分の非特異的結合の減少を示す。所与の支持体表面によって示された非特異的結合の程度は、定性的にまたは定量的に評価され得る。例えば、いくつかの例では、表面が標準化された条件セット下で蛍光染料(例えば、Cy3、Cy5など)、蛍光で標識されたヌクレオチド、蛍光で標識されたオリゴヌクレオチド、および/または蛍光で標識されたタンパク質(例えば、ポリメラーゼ)にさらされること、その後の指定された洗浄プロトコルおよび蛍光画像化は、様々な表面の製剤を含む支持体での非特異的結合の比較のための定性ツールとして使用されてもよい。いくつかの例では、表面が標準化された条件セット下で蛍光染料、Cy3、Cy5など、蛍光で標識されたヌクレオチド、蛍光で標識されたオリゴヌクレオチド、および/または蛍光で標識されたタンパク質(例えば、ポリメラーゼ)にさらされること、その後の指定された洗浄プロトコルおよび蛍光画像化は、蛍光画像化が、蛍光シグナルが、(例えば、フルオロフォアのシグナル飽和および/または自己消光が問題でないとの条件下で)支持体表面上のフルオロフォアの数と線形に関連する(または予測可能な方法で関連する)、および適切な校正標準が使用されるという条件下で実行される、保証するために注意されたという条件で、様々な表面の製剤を含む支持体での非特異的結合の比較のための定量的ツールとして使用されてもよい。いくつかの例では、当業者に既知の他の技術、例えば、放射性同位元素標識と計数法は、非特異的結合が、本開示の様々な支持体表面製剤によって示される程度の定量の評価に使用されてもよい。
【0078】
本明細書に開示されるいくつかの表面は、Cy3などのフルオロフォアの特異的結合と、非特異的結合との、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、50、75、100、または100より大きい、あるいは本明細書に及んだ範囲の任意の中間値の比率を示す。本明細書に開示されるいくつかの表面は、Cy3などのフルオロフォアの特異的蛍光と、非特異的蛍光との、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、50、75、100、または100より大きい、あるいは本明細書に及んだ範囲の任意の中間値の比率を示す。
【0079】
上記のように、いくつかの例では、開示された低結合支持体によって示される非特異的結合の程度は、表面を、インキュベーションおよびすすぎの条件の標準化されたセットの下で、標識されたタンパク質(例えば、ウシ血清アルブミン(BSA))、ストレプトアビジン、DNAポリメラーゼ、逆転写酵素、ヘリカーゼ、一本鎖の結合タンパク質(SSB)など、またはその任意の組み合わせ)、標識されたヌクレオチド、標識されたオリゴヌクレオチドプライマーなどと接触させ、その後に表面に残る標識の量の検出およびそこから結果として生じるシグナルの適切な校正標準との比較を行う、ことのための標準化されたプロトコルを使用して、評価されてもよい。いくつかの例では、標識は、蛍光標識を含んでもよい。いくつかの例では、標識は、放射性同位元素を含んでもよい。いくつかの例では、標識は、当業者に既知の他の検出可能な標識を含んでもよい。いくつかの例では、所与の支持体表面製剤によって示された非特異的結合の程度は、したがって、1つの単位領域当たり非特異的結合されたタンパク質分子(または他の分子)の数の観点から評価されてもよい。いくつかの例では、本開示の低結合支持体は、0.001分子/μm2未満、0.01分子/μm2未満、0.1分子/μm2未満、0.25分子/μm2未満、0.5分子/μm2未満、1分子/μm2未満、10分子/μm2未満、100分子/μm2未満、または1,000分子/μm2未満の非特異的タンパク質結合(または指定された他の分子、例えば、Cy3染料、の非特異的結合)を示してもよい。当業者は、本開示の所与の支持体表面が、この範囲内の任意の値に当たる、例えば、86分子/μm2未満の非特異的結合を示してもよいことを理解されるであろう。例えば、本明細書に開示されるいくつかの修飾された表面は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)緩衝液におけるCy3標識されたストレプトアビジン(GE Amersham)の1uM溶液との15分間の接触、後に行われた脱イオン水での3回のすすぎの後に0.5分子/um2未満のたんぱく質の非特異的結合を示す。本明細書に開示されるいくつかの修飾された表面は、0.25分子/um2未満のCy3染料分子の非特異的結合を示す。独立した非特異的結合アッセイでは、1uMの標識されたCy3SA(ThermoFisher)、1uMのCy5SA染料(ThermoFisher)、10uMのアミノアリル-dUTP-ATTO-647N(JenaBiosciences)、10uMのアミノアリル-dUTP-ATTO-Rho11(JenaBiosciences)、10uMのアミノアリル-dUTP-ATTO-Rho11(JenaBiosciences)、10uMの7-プロパルギルアミノ-7-デアザ-dGTP-Cy5(JenaBiosciences)、および10uMの7-プロパルギルアミノ-7-デアザ-dGTP-Cy3(JenaBiosciences)が、384ウェルプレートフォーマットで低結合基板上で37°Cで15分間インキュベートされた。各々のウェルは、50ulの脱イオン化したRNase/DNaseFree水で2-3回、および25mMのACES緩衝液pH7.4で2-3回すすがれた。384のウェルプレートは、メーカーによって指定されるような800のPMT感度調整および50-100μmの解像度で(実行された染料テストに応じて)Cy3、AF555、またはCy5フィルターセットを使用してGETyphoon(GE Healthcare Lifesciences,Pittsburgh,PA)機器上で画像化された。より高い解像度画像化のために、画像は、完全内部反射率蛍光(TIRF)レンズ(20x、0.75NAまたは100X、1.5NA、Olympus)、sCMOS Andorカメラ(Zyla 4.2)、および532nmまたは635nmの励起波長を備えたオリンパスIX83顕微鏡(Olympus Corp.,Center Valley,PA)上で収集された。ダイクロイックミラーは、Semrock(IDEX Health & Science,LLC,Rochester,New York)から、例えば、405、488、532、または633nmのダイクロイック反射体/ビームスプリッターが購入されており、およびバンドパスフィルターは、適切な励起波長に一致した532LPまたは645LPが選ばれた。本明細書に開示されるいくつかの修飾された表面は、0.25分子/um2未満の染料分子の非特異的結合を示す。
【0080】
いくつかの例では、本明細書に開示される表面は、Cy3などのフルオロフォアの特異的結合と非特異的結合との、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、50、75、100、または100より大きい、あるいは本明細書に及んだ範囲の任意の中間値の比率を示す。いくつかの例では、本明細書に開示される表面は、Cy3などのフルオロフォアの特異的蛍光シグナルと非特異的蛍光シグナルとの、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、50、75、100、または100より大きい、あるいは本明細書に及んだ範囲の任意の中間値の比率を示す。
【0081】
本明細書の開示と一致する低バックグラウンド表面は、特異的染料結合(例えば、Cy3結合)と非特異的染料吸着(例えば、Cy3染料吸着)との、少なくとも3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、20:1、30:1、40:1、50:1、または非特異的吸着された分子当たり50の特異的染料分子よりも多い比率を示してもよい。同様に、励起エネルギーにさらされた時、フルオロフォア(例えば、Cy3)が付着された、本明細書の開示と一致する低バックグラウンド表面は、(例えば、表面へ付着されたCy3で標識されたオリゴヌクレオチドから発生する)特異的蛍光シグナルと、非特異的吸着された染料蛍光シグナルと、少なくとも3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、20:1、30:1、40:1、50:1、または50:1より大きい比率を示してもよい。
【0082】
いくつかの例では、本開示の支持体表面の親水性(または、水溶液との「水和性」)の程度は、例えば、水接触角度の測定を通じて、評価されてもよく、ここで、水の小さな液滴が置かれ、および、その液滴と表面との接触角度は、例えば、光学的な張力計を使用して、測定される。いくつかの例では、静的な接触角度は決定され得る。いくつかの例では、前進接触角度または後退接触角度は、決定され得る。いくつかの例では、本明細書に開示された、親水性の低結合支持体表面の水接触角度は、約0度から約50度までに及び得る。いくつかの例では、本明細書に開示される、親水性の低結合支持体表面の水接触角度は、50度以下、45度以下、40度以下、35度以下、30度以下、25度以下、20度以下、18度以下、16度以下、14度以下、12度以下、10度以下、8度以下、6度以下、4度以下、2度以下、または、1度以下であり得る。多くの事例では、接触角度は、この範囲内の、いずれかの値以下、例えば、40度以下である。当業者は、本開示で与えられる親水性の低結合支持体表面が、この範囲内のいかなる値(例えば、約27度)の水接触角を示すこともあり得ると理解するであろう。
【0083】
いくつかの例では、本明細書に開示される親水性表面は、しばしば、生体分子の、低結合表面への、非特異的結合の減少によって、バイオアッセイのための洗浄時間の減少を促進する。いくつかの例では、適切な洗浄剤工程は、60秒未満で、50秒未満で、40秒未満で、30秒未満で、20秒未満で、15秒未満で、10秒未満で、または10秒未満で実施され得る。例えば、いくつかの例では、適切な洗浄工程は30秒未満で行なわれる得る。
【0084】
本開示のいくつかの低結合の表面は、溶剤および高温への長期暴露に対して、または、溶剤へ曝露あるいは温度変化の繰り返されるサイクルに対し、安定性または耐久性における著しい向上を示す。例えば、いくつかの例では、本開示の表面の安定性は、表面上の官能基を、または表面上に連結された生体分子(例えばオリゴヌクレオチドプライマー)を蛍光で標識し、および、溶剤への長期暴露と上昇された温度、または、溶剤への曝露と温度変化の繰り返されるサイクルの、前に、最中に、および後に、蛍光シグナルをモニタリングすることにより、検査される場合がある。いくつかの例では、表面の品質を評価するために使用される蛍光の、1分間、2分間、3分間、4分間、5分間、10分間、20分間、30分間、40分間、50分間、60分間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、15時間、20時間、25時間、30時間、35時間、40時間、45時間、50時間、または、100時間の期間の溶剤および/または高温への曝露にわたる変化度は、1%未満、2%未満、3%未満、4%未満、5%未満、10%未満、15%未満、20%未満、または25%未満(またはこれらの時間にわたって測定されるこれらのパーセンテージの任意の組み合わせ)であり得る。いくつかの例では、表面の品質を評価するために使用される蛍光の、5サイクル、10サイクル、20サイクル、30サイクル、40サイクル、50サイクル、60サイクル、70サイクル、80サイクル、90サイクル、100サイクル、200サイクル、300サイクル、400サイクル、500サイクル、600サイクル、700サイクル、800サイクル、900サイクル、または1,000サイクルの、溶剤変化および/または温度変化への繰り返される暴露にわたる変化度は、1%未満、2%未満、3%未満、4%未満、5%未満、10%未満、15%未満、20%未満、または25%未満(またはサイクルのこの範囲にわたって測定されるようなこれらの割合の任意の組み合わせ)であり得る。
【0085】
いくつかの例では、本明細書に開示される表面は、特異性シグナルの非特異性シグナルまたは他のバックグラウンドに対する高い比率を示す場合がある。例えば、核酸増幅のために使用された時、いくつかの表面は、隣接した疎な表面領域のシグナルよりも、少なくとも3倍の、4倍の、5倍の、6倍の、7倍の、8倍の、9倍の、10倍の、15倍の、20倍の、30倍の、40倍の、50倍の、75倍の、100倍の、または100倍より大きい増幅シグナルを示す場合がある。同様に、いくつかの表面は、隣接する増幅された核酸集団の表面領域のシグナルより、少なくとも3倍の、4倍の、5倍の、6倍の、7倍の、8倍の、9倍の、10倍の、15倍の、20倍の、30倍の、40倍の、50倍の、75倍の、100倍の、または100倍より大きい、増幅シグナルを示す。
【0086】
蛍光励起エネルギーは、特定のフルオロフォアおよびプロトコルの間で様々であり、および、励起波長は400nm未満から800nmを超えるまでに及び、本明細書に開示される表面の使用のフルオロフォアの選択または他のパラメータと一貫している。
【0087】
それに応じて、本明細書に開示される低バックグラウンドの表面は、当該技術分野における既知の表面に比べ、低いバックグラウンド蛍光シグナル、または高いコントラスト対ノイズ比(CNR)を示す。例えば、いくつかの例では、ある位置の表面のバックグラウンド蛍光は、空間的に明確であるか、または表面上で標識された特徴(例えば、標識されたスポット、クラスタ、分離した領域、下位区分、または表面の部分集合)から取り除かれるが、例えば、熱サイクリングを介した20サイクルの核酸増幅によって生産された、核酸分子のハイブリダイズされたクラスタ、または核酸分子のクローン増幅されたクラスタを含んでおり、前記ハイブリダイゼーションまたは前記20サイクルの核酸増幅を実施する前に同じ位置で測定された背景蛍光に対して20倍以下、10倍以下、5倍以下、2倍以下、1倍以下、0.5倍以下、0.1倍以下、または0.1倍未満の大きさであり得る。
【0088】
いくつかの例では、本開示の低バックグラウンド表面の蛍光画像は、ハイブリダイズされた若しくはクローン増幅された核酸分子(例えば、フルオロフォアで直接的または間接的に標識された)のクラスターを作成するための核酸ハイブリダイゼーションまたは増幅の用途において使用された時、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、または250を超えるコントラストノイズ比(CNR)を示す。
【0089】
オリゴヌクレオチドプライマーおよびアダプター配列:一般的に、低い非特異的結合材の1つ以上の層の少なくとも1つの層は、少なくとも1つの層を共有結合または非共有結合でオリゴヌクレオチド分子、例えば、アダプターあるいはプライマー配列を付着させる官能基を含み、または、少なくとも1つの層は、それが支持体表面上に堆積される時に、共有結合または非共有結合で付着されたオリゴヌクレオチドアダプターあるいはプライマー配列を既に含んでいる場合がある。いくつかの例では、少なくとも3分の1の層のポリマー分子に連結されたオリゴヌクレオチドは、その層全体にわたり複数の深さで分布する場合がある。
【0090】
いくつかの例では、オリゴヌクレオチドアダプターまたはプライマー分子は、溶液の中で、つまりポリマー分子を表面にカップリングさせるか堆積させる前に、ポリマー分子に共有結合でカップリングされる。いくつかの例では、オリゴヌクレオチドアダプターまたはプライマー分子は、表面上にカップリングまたは堆積された後、ポリマー分子に共有結合でカップリングされる。いくつかの例では、少なくとも1つの親水性ポリマー層は、複数の共有結合で付着されたオリゴヌクレオチドアダプターまたはプライマー分子を含む。いくつかの例では、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つの親水性ポリマーの層が、複数の共有結合で付着されたアダプターあるいはプライマー分子を含む。
【0091】
いくつかの例では、オリゴヌクレオチドアダプターまたはプライマー分子は、当業者に既知の様々な適切な抱合化学作用のうちのいずれかを使用して、親水性ポリマーの1つ以上の層にカップリングされる場合がある。例えば、オリゴヌクレオチドアダプターまたはプライマー配列は、アミン基、カルボキシル基、チオール基などに反応性である部分を含む場合がある。使用されることがある適切なアミン反応性の抱合化学作用の例は、限定されないが、イソチオシアナート、イソシアン酸、アシルアジ化物、NHSエステル、塩化スルホニル、アルデヒド、グリオキサール、エポキシド、オキシラン、カーボネート、ハロゲン化アリール、イミドエステル、カルボジイミド、無水物、およびフルオロフェニルエステル基が関与する反応を含む。適切なカルボキシル反応性の抱合化学作用の例は、限定されないが、カルボジイミド化合物、例えば、水溶性のEDC(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドHCL)が関与する反応を含む。適切なスルフィドリル反応性の抱合化学作用の例は、マレイミド、ハロアセチル基(haloacetyls)、およびピリジン基ジスルフィドを含む。
【0092】
1つ以上の型のオリゴヌクレオチド分子は、支持体表面に付着または連結されることがある。いくつかの例では、1つ以上の型のオリゴヌクレオチドアダプターあるいはプライマーは、スペーサー配列、アダプターに結紮された鋳型ライブラリー核酸配列へのハイブリダイゼーションのためのアダプター配列、順方向増幅プライマー、反転増幅プライマー、配列決定プライマー、および/または分子のバーコーディング配列、あるいはその任意の組み合わせを含むことがある。いくつかの例では、1つのプライマーまたはアダプター配列が表面の少なくとも1つの層に連結される場合がある。いくつかの例では、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、または10よりも多い様々なプライマーあるいはアダプター配列が表面の少なくとも1つの層に連結される場合がある。
【0093】
いくつかの例では、連結されたオリゴヌクレオチドアダプターおよび/またはプライマー配列の長さは、約10ヌクレオチドから約100ヌクレオチドまでに及び得る。いくつかの例では、連結されたオリゴヌクレオチドアダプターおよび/またはプライマー配列は、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100ヌクレオチドの長さであり得る。いくつかの例では、連結されたオリゴヌクレオチドアダプターおよび/またはプライマー配列の長さは、最大で100、最大で90、最大で80、最大で70、最大で60、最大で50、最大で40、最大で30、最大で20、あるいは最大で10ヌクレオチドであり得る。この段落に述べられる、より低い、およびより高い値の任意のものが、本開示の中に含まれる範囲を形成するために組み合わせられてもよく、例えば、場合により、連結されたオリゴヌクレオチドアダプターおよび/またはプライマー配列の長さは約20ヌクレオチドから約80ヌクレオチドに及び得る。当業者は、連結されたオリゴヌクレオチドアダプターおよび/またはプライマー配列の長さがこの範囲内のどんな値(例えば、約24ヌクレオチド)も持ち得ることを認識するであろう。
【0094】
いくつかの例では、連結されるアダプターまたはプライマー配列は、低結合の支持体上で実施されるような核酸増幅の特異性と効率を促進するために設計された修飾を含む場合がある。例えば、いくつかの例では、プライマーは、表面の抱合ポイントと修飾部位の間のプライマー配列の伸張が、常に一本鎖の形態であり、および、あるヘリカーゼ依存性等温増幅法における5’から3’ヘリカーゼのため負荷サイトとして機能するようなポリメラーゼ停止点を含む場合がある。ポリメラーゼ終始点を作成するために使用されることがあるプライマー修正の他の例は、限定されないが、2つのヌクレオチド間における5’末端に向けた、プライマーのバックボーンへのPEG鎖挿入、脱塩基ヌクレオチド(つまり、プリンもピリミジン塩基もないヌクレオチド)、またはヘリカーゼによって回避することができる障害部位の挿入を含み得る。
【0095】
以下の例でさらに議論されるように、支持体表面の上の、連結されたオリゴヌクレオチドアダプターあるいはプライマーの表面密度を変動させること、および/または、連結されるアダプターあるいはプライマーを支持体表面から離して間隔を置くこと(例えば、アダプターまたはプライマーを連結するために使用される表面へのリンカー分子の長さを変動させることによって)は、与えられた増幅方法を使用する際に支持体を最適なパフォーマンスに「調整する」ために、望ましい場合がある。後述のように、連結されたオリゴヌクレオチドアダプターあるいはプライマーの表面密度を調節することは、選択された増幅方法によって変動するかたちで、支持体上で観察された特異的、および/または非特異的増幅のレベルに影響を与える場合がある。いくつかの例では、連結されたオリゴヌクレオチドアダプターあるいはプライマーの表面密度は、支持体表面を作成するために使用される分子成分の比率を調節することによって変動される場合がある。例えば、低結合支持体の最終層を作製するために、オリゴヌクレオチドプライマー-PEGコンジュゲートが使用される事例では、オリゴヌクレオチドプライマー-PEGコンジュゲートの非コンジュゲートPEG分子に対する比率は変動され得る。その後、連結されたプライマー分子の最終的な表面密度は、当業者に既知の様々な技術のうちのいずれかを使用して、推定されるか、または測定され得る。例は、限定されないが、放射性同位体標識法およびカウント法、開裂可能な分子の共有結合のカップリングであって、定義された領域の支持体表面から開裂され、適切な溶剤の一定体積において収集され、次に、既知の光学的タグの濃度の校正液に対する蛍光シグナルとその蛍光シグナルとの比較によって量を計られ得る、光学的に検知できるタグ(例えば、蛍光性のタグ)を含む、共有結合のカップリング、を使用すること、または、もし蛍光シグナルが表面上のフルオロフォアの数と一次関数的に関係があることを保証するために標識する反応条件および画像取得セッティングに注意が払われるならば(例えば、表面上にフルオロフォアの有意な自己消光はない)、蛍光画像化技術を使用することを含む。
【0096】
いくつかの例では、本開示の、低結合支持体表面上のオリゴヌクレオチドアダプターまたはプライマーの最終的な表面密度は、μm2当たり約100のプライマー分子からμm2当たり約1,000,000プライマー分子までの範囲で変動する。いくつかの例では、オリゴヌクレオチドアダプターまたはプライマー表面密度は、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも600、少なくとも700、少なくとも800、少なくとも900、少なくとも1,000、少なくとも1,500、少なくとも2,000、少なくとも2,500、少なくとも3,000、少なくとも3,500、少なくとも4,000、少なくとも4,500、少なくとも5,000、少なくとも5,500、少なくとも6,000、少なくとも6,500、少なくとも7,000、少なくとも7,500、少なくとも8,000、少なくとも8,500、少なくとも9,000、少なくとも9,500、少なくとも10,000、少なくとも15,000、少なくとも20,000、少なくとも25,000、少なくとも30,000、少なくとも35,000、少なくとも40,000、少なくとも45,000、少なくとも50,000、少なくとも55,000、少なくとも60,000、少なくとも65,000、少なくとも70,000、少なくとも75,000、少なくとも80,000、少なくとも85,000、少なくとも90,000、少なくとも95,000、少なくとも100,000、少なくとも150,000、少なくとも200,000、少なくとも250,000、少なくとも300,000、少なくとも350,000、少なくとも400,000である。、、少なくとも450,000、少なくとも500,000、少なくとも550,000、少なくとも600,000、少なくとも650,000、少なくとも700,000、少なくとも750000、少なくとも800000、少なくとも850,000、少なくとも900,000、少なくとも950,000、または少なくとも1,000,000分子であり得る。いくつかの例では、オリゴヌクレオチドアダプターあるいはプライマー表面密度は、μm2当たり、最大で1,000,000、最大で950,000、最大で、900,000、最大で850,000、最大で800,000、最大で750,000、最大で700,000、最大で650,000、最大で600,000、最大で550,000、最大で500,000、最大で450,000、最大で400,000、最大で350,000、最大で300,000、最大で250,000、最大で200,000、150,000、最大で100,000、最大で95,000、最大で90,000、最大で85,000、最大で80,000、最大で75,000、最大で70,000、最大で65,000、最大で60,000、最大で55,000、最大で50,000、最大で45,000、最大で40,000、最大で35,000、最大で30,000、最大で25,000、最大で20,000、最大で15,000、最大で10,000、最大で9,500、最大で9,000、最大で8,500、最大で8,000、最大で7,500、最大で7,000、最大で6,500、最大で6,000、最大で5,500、最大で5,000、最大で4,500、最大で4,000、最大で3,500、最大で3,000、最大で2,500、最大で2,000、最大で1,500、最大で1,000、最大で900、最大で800、最大で700、最大で600、最大で500、最大で400、最大で300、最大で200、または、最大で100分子であり得る。この段落に述べられる、より低い、およびより高い値のうちの任意のものが、本開示内に含まれた範囲を形成するために組み合わされてもよく、例えば、いくつかの例では、アダプターまたはプライマーの表面密度は、μm2あたり約10,000分子からμm2あたり約100,000分子に及び得る。当業者は、例えば、ある例ではμm2当たり約3,800分子、また他の例ではμm2当たり約455,000分子というように、アダプターまたはプライマーの分子の表面密度が、この範囲内のどんな値もとり得るということ認識するであろう。いくつかの例では、さらに以下に説明されるように、支持体表面上のアダプターまたはプライマー配列へと最初にハイブリダイズされた鋳型ライブラリー核酸配列(例えば試料DNA分子)の表面密度は、連結されたオリゴヌクレオチドプライマーの表面密度について示された表面密度以下であり得る。いくつかの例では、またさらに以下に説明されるように、支持体表面上のアダプターまたはプライマー配列へとハイブリダイズされたクローン増幅された鋳型・ライブラリー核酸配列の表面密度は、連結されたオリゴヌクレオチドアダプターまたはプライマーについて示された表面密度と同じ、または異なる範囲に及ぶ場合がある。
【0097】
上に挙げられたようなアダプターまたはプライマー分子の局所的な表面密度は、表面にわたる密度における変動を排除せず、その結果、表面が、例えば、500,000/um2のオリゴ密度を有する領域を含む一方で、かなり異なる局所密度を有する少なくとも第2の領域も含む場合がある。
【0098】
低結合支持体への、核酸分子のハイブリダイゼーション:本開示のいくつかの態様では、開示された低結合支持体と組み合わされて、改善された、ハイブリダイゼーション速度、ハイブリダイゼーション特異性(またはストリンジェンシー)、およびハイブリダイゼーション効率(または収率)をもたらすハイブリダイゼーション緩衝液製剤が記載される。本明細書に使用されるように、ハイブリダイゼーション特異性は、一般的に、連結されるアダプター配列、プライマー配列、またはオリゴヌクレオチド配列の、完全に相補的な配列へのみ正確にハイブリダイズする能力の指標であり、一方、ハイブリダイゼーション効率は、一般的に、相補的な配列へハイブリダイズされる連結されるアダプター配列、プライマー配列、またはオリゴヌクレオチド配列の、利用可能なもの総てのパーセンテージの指標である。
【0099】
改善されたハイブリダイゼーション特異性および/または効率は、開示された低結合表面と共に使用されるハイブリダイゼーション緩衝液製剤の最適化を通して達成される場合があり、および、以下の例でより詳細に説明される。改善されたパフォーマンスを達成するために調節されることがあるハイブリダイゼーション緩衝液成分の例は、限定されないが、緩衝液タイプ、有機溶剤混合物、緩衝液pH、緩衝液粘度、界面活性剤と両性イオンの成分、イオン強度(一価と二価両方のイオン濃度の調整を含む)、抗酸化剤と還元剤、炭水化物、BSA、ポリエチレングリコール、硫酸デキストラン、ベタイン、その他の添加剤、などを含む。
【0100】
非限定的な例として、ハイブリダイゼーション緩衝液の製剤で使用される適切な緩衝液は、限定されないが、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、コハク酸、クエン酸、ヒスチジン、酢酸、トリス(Tris)、TAPS、MOPS、PIPES、HEPES、MES、などを含む場合がある。適切な緩衝液の選択は、一般的にはハイブリダイゼーション緩衝液の目標pHに依存することになる。一般的に、緩衝溶液の所望のpHは、約pH4から約pH8.4までの範囲で変動することになる。いくつかの実施形態では、緩衝液のpHは、少なくとも4.0、少なくとも4.5、少なくとも5.0、少なくとも5.5、少なくとも6.0、少なくとも6.2、少なくとも6.4、少なくとも6.6、少なくとも6.8、少なくとも7.0、少なくとも7.2、少なくとも7.4、少なくとも7.6、少なくとも7.8、少なくとも8.0、少なくとも8.2、または、少なくとも8.4であり得る。いくつかの実施形態では、緩衝液のpHは最大で8.4、最大で8.2、最大で8.0、最大で7.8、最大で7.6、最大で7.4、最大で7.2、最大で7.0、最大で6.8、最大で6.6、最大で6.4、最大で6.2、最大で6.0、最大で5.5、最大で5.0、最大で4.5、または、最大で4.0であり得る。この段落に述べられる、より低い、およびより高い値のうちの任意のものが、本開示内に含まれる範囲を形成するために組み合わせられてもよく、例えば、いくつかの例では、所望のpHは、μm2あたり約6.4からμm2あたり約7.2に及び得る。当業者は、緩衝液のpHがこの範囲内のあらゆる値(例えば約7.25)をとり得ることを認識するであろう。
【0101】
ハイブリダイゼーション緩衝液製剤で使用される適切な洗浄剤は、限定されないが、両性イオン性の界面活性剤(例えば、1-ドデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、(3-(4-tert-ブチル-1-ピリジニオ)-1-プロパンスルフォナート)、(3-(N,N-ジメチルミリスチオアンモニオ)プロパンスルフォナート)(3-(N,N-Dimethylmyristylammonio)propanesulfonate)、(3-(N,Nジメチルミリスチオアンモニオ)プロパンスルフォナート(3-(N,NDimethylmyristylammonio)propanesulfonate)、ASB-C80、C7BzO、CHAPS、CHAPS水和物、CHAPSO、DDMAB、ジメチルミリスチオアンモニウムプロパンスルホナート(Dimethylethylammoniumpropane sulfonate)、N-ドデシル-N,N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルフォナート、または、(N-ドデシル-N,N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルフォナート))、ないしは、アニオン性、カチオン性、および非イオン性の界面活性剤を含む。非イオン性界面活性剤の例は、ポリ(オキシエチレン)エーテルと、関連するポリマー分子(例えば、Brij(登録商標)、TWEEN(登録商標)、TRITON(登録商標)、TRITON X-100、およびIGEPAL(登録商標) CA-630)、胆汁塩と、グリコシドの界面活性剤を含む。
【0102】
本開示の低結合支持体の単独での、または最適化された緩衝液製剤と組み合わせての使用のどちらかは、従来のハイブリダイゼーションプロトコルの速度に対して約2倍から約20倍の範囲でより速い相対的なハイブリダイゼーション速度をもたらし得る。いくつかの例では、相対的なハイブリダイゼーション速度は、従来のハイブリダイゼーションプロトコルの、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも12倍、少なくとも14倍、少なくとも16倍、少なくとも18倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、あるいは少なくとも40倍であり得る。
【0103】
いくつかの例では、本開示の低結合支持体の単独での、または最適化された緩衝液製剤と組み合わせての使用は、これらの完了メトリックのうちのどれについても、60分未満の、50分未満の、40分未満の、30分未満の、20分未満の、15分未満の、10分未満のまたは5分未満の、総ハイブリダイゼーション反応時間(すなわち、ハイブリダイゼーション反応の90%、95%、98%、または99%の完了に達するのに必要な時間)をもたらす場合がある。
【0104】
本開示の低結合支持体の、単独での、または最適化された緩衝液製剤と組み合わせての使用は、従来のハイブリダイゼーションプロトコルのハイブリダイゼーション特異性と比較して改善したハイブリダイゼーション特異性をもたらし得る。いくつかの例では、以下のハイブリダイゼーション特異性よりも優れたハイブリダイゼーション特異性をもたらし得る:10のハイブリダイゼーション事象での1つの塩基ミスマッチ、20のハイブリダイゼーション事象での1つの塩基ミスマッチ、30のハイブリダイゼーション事象での1つの塩基ミスマッチ、40のハイブリダイゼーション事象での1つの塩基ミスマッチ、50のハイブリダイゼーション事象での1つの塩基ミスマッチ、75のハイブリダイゼーション事象での1つの塩基ミスマッチ、100のハイブリダイゼーション事象での1つの塩基ミスマッチ、200のハイブリダイゼーション事象での1つの塩基ミスマッチ、300のハイブリダイゼーション事象での1つの塩基ミスマッチ、400のハイブリダイゼーション事象での1つの塩基ミスマッチ、500のハイブリダイゼーション事象での1つの塩基ミスマッチ、600のハイブリダイゼーション事象での1つの塩基ミスマッチ、700のハイブリダイゼーション事象での1つの塩基ミスマッチ、800のハイブリダイゼーション事象での1つの塩基ミスマッチ、900のハイブリダイゼーション事象での1つの塩基ミスマッチ、1,000のハイブリダイゼーション事象での1つの塩基ミスマッチ、2,000のハイブリダイゼーション事象での1つの塩基ミスマッチ、3,000のハイブリダイゼーション事象での1つの塩基ミスマッチ、4,000のハイブリダイゼーション事象での1つの塩基ミスマッチ、5,000のハイブリダイゼーション事象での1の塩基ミスマッチ、6,000のハイブリダイゼーション事象での1つの塩基ミスマッチ、7,000のハイブリダイゼーション事象での1つの塩基ミスマッチ、8,000のハイブリダイゼーション事象での1つの塩基ミスマッチ、9,000のハイブリダイゼーション事象での1つの塩基ミスマッチ、または、が、10,000のハイブリダイゼーション事象で1つの塩基ミスマッチ、よりも優れたハイブリダイゼーション特異性をもたらし得る。
【0105】
いくつかの例では、本開示の低結合支持体の単独での、または最適化された緩衝液製剤と組み合わせての使用は、従来のハイブリダイゼーションプロトコルのハイブリダイゼーション効率と比較して、改善されたハイブリダイゼーション効率(例えば、標的オリゴヌクレオチド配列と成功裡にハイブリダイズされる、支持体表面上で利用可能なオリゴヌクレオチドプライマーの分率)をもたらす場合がある。いくつかの例では、達成され得るハイブリダイゼーション効率は、下記に明示されたいずれの標的オリゴヌクレオチド濃度入力についても、および、上記に明示されたいずれのハイブリダイゼーション反応時間についても、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%、より優れている場合がある。例えば、ハイブリダイゼーション効率が100%未満であるいくつかの例では、支持体表面へのハイブリダイズされた標的核酸配列の最終的な表面密度は、表面上のオリゴヌクレオチドアダプターまたはプライマー配列の表面密度未満であり得る。
【0106】
いくつかの例では、従来のハイブリダイゼーション(または増幅)プロトコル、または、最適化されたハイブリダイゼーション(または増幅)プロトコルを使用する核酸ハイブリダイゼーション(または増幅)の用途のために、開示の低結合支持体を使用することは、結果的に支持体表面と接触された標識(または試料)核酸分子の入力濃度の必要量の減少をもたらす場合がある。例えば、いくつかの例では、標的(または試料)核酸分子は、約10pMから約1μMまでの範囲で変動する濃度(つまり、アニール前または増幅前の)で支持体表面と接触させられる場合がある。いくつかの例では、標的(あるいは試料)核酸分子は、少なくとも10pM、少なくとも20pM、少なくとも30pM、少なくとも40pM、少なくとも50pM、少なくとも100pM、少なくとも200pM、少なくとも300pM、少なくとも400pM、少なくとも500pM、少なくとも600pM、少なくとも700pM、少なくとも800pM、少なくとも900pM、少なくとも1nM、少なくとも10nM、少なくとも20nM、少なくとも30nM、少なくとも40nM、少なくとも50nM、少なくとも60nM、少なくとも70nM、少なくとも80nM、少なくとも90nM、少なくとも100nM、少なくとも200nM、少なくとも300nM、少なくとも400nM、少なくとも500nM、少なくとも600nM、少なくとも700nM、少なくとも800nM、少なくとも900nM、または、少なくとも1μM、の濃度で投与され得る。いくつかの例では、標的(あるいは試料)核酸分子は、最大で1μM、最大で最大で900nM、最大で800nm、最大で700nM、最大で600nM最大で、500nM、最大で400nM、最大で300nM、最大で200nM、最大で100nM、最大で90nM、最大で80nM、最大で70nM、最大で60nM、最大で50nM、最大で40nM、最大で30nM、最大で20nM、最大で10nM、最大で1nM、最大で900pM、最大で800pM、最大で700pM、最大で600pM、最大で500pM、最大で400pM、最大で300pM、最大で200pM、最大で100pM、最大で90pM、最大で80pM、最大で70pM、最大で60pM、最大で50pM、最大で40pM、最大で30pM、最大で20pM、または、最大で10pM、の濃度で投与され得る。この段落に述べられる、より低い、およびより高い値の任意のものが、本開示の中に含まれる範囲を形成するために組み合わせられてもよく、例えば、いくつかの例では、標的(または試料)核酸分子が、約90pMから約200nMまでの範囲で変動する濃度において投与され得る。当業者は、標的(または試料)核酸分子が、この範囲内の任意の値(例えば約855nM)を有する濃度で投与され得ることを認識するであろう。
【0107】
いくつかの例では、本開示の低結合支持体の単独での、または最適化されたハイブリダイゼーション緩衝液製剤と組み合わせての使用は、ハイブリダイズされた標的(または試料)オリゴヌクレオチド分子の表面密度(すなわち、いかなる後続の固相反応もクローン増幅反応も行なう前の)を結果としてもたらす場合があり、前記表面密度はμm2あたり約0.0001標的オリゴヌクレオチド分子から、μm2あたり約1,000,000標的オリゴヌクレオチド分子までの範囲で変動する。いくつかの例では、ハイブリダイズされた標的オリゴヌクレオチド分子の表面密度は、μm2あたり、少なくとも0.0001、少なくとも0.0005、少なくとも0.001、少なくとも0.005、少なくとも0.01、少なくとも0.05、少なくとも0.1、少なくとも0.5、少なくとも1、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも600、少なくとも700、少なくとも800、少なくとも900、少なくとも1,000、少なくとも1,500、少なくとも2,000、少なくとも2,500、少なくとも3,000、少なくとも3,500、少なくとも4,000、少なくとも4,500、少なくとも5,000、少なくとも5,500、少なくとも6,000、少なくとも6,500、少なくとも7,000、少なくとも7,500、少なくとも8,000、少なくとも8,500、少なくとも9,000、少なくとも9,500、少なくとも10,000、少なくとも15,000、少なくとも20,000、少なくとも25,000、少なくとも30,000、少なくとも35,000である。少なくとも40,000、少なくとも45,000、少なくとも50,000、少なくとも55,000、少なくとも60,000、少なくとも65,000、少なくとも70,000、少なくとも75,000、少なくとも80,000、少なくとも85,000、少なくとも90,000、少なくとも95,000、少なくとも100,000、少なくとも150,000、少なくとも200,000、少なくとも250,000、少なくとも300,000、少なくとも350,000、少なくとも400,000、少なくとも450,000、少なくとも500,000、少なくとも550,000、少なくとも600,000つ、少なくとも650,000つ、少なくとも700,000、少なくとも750,000、少なくとも800,000つ、少なくとも850,000、少なくとも900,000、少なくとも950,000、または、少なくとも1,000,000分子であり得る。いくつかの例では、ハイブリダイズされた標的オリゴヌクレオチド分子の表面密度は、μm2当たり、最大で1,000,000、最大で950,000、最大で900,000、最大で850,000、最大で800,000、最大で750,000、最大で700,000、最大で650,000、最大で600,000、最大で550,000、最大で500,000、最大で450,000、最大で400,000、最大で350,000、最大で300,000、最大で250,000、最大で200,000、150,000、最大で100,000、最大で95,000、最大で90,000、最大で85,000、最大で80,000、最大で75,000、最大で70,000、最大で65,000、最大で60,000、最大で55,000、最大で50,000、最大で45,000、最大で40,000、最大で35,000、最大で30,000、最大で25,000、最大で20,000、最大で15,000、最大で10,000、最大で9,500、最大で9,000、最大で8,500、最大で8,000、最大で7,500、最大で7,000、最大で6,500、最大で6,000、最大で5,500、最大で5,000、最大で4,500、最大で4,000、最大で3,500、最大で3,000、最大で2,500、最大で2,000、最大で1,500、最大で1,000、最大で900、最大で800、最大で700、最大で600、最大で500、最大で400、最大で300、最大で200、最大で100、最大で90、最大で80、最大で70、最大で60、最大で50、最大で40、最大で30、最大で20、最大で10、最大で5、最大で1、最大で0.5、最大で0.1、最大で0.05、最大で0.01、最大で0.005、最大で0.001、最大で0.0005、または、最大で0.0001分子であり得る。この段落に述べられる、より低い、およびより高い値の任意のものが、本開示の中に含まれる範囲を形成するために組み合わせられてもよく、例えば、いくつかの例では、ハイブリダイズされた標的オリゴヌクレオチド分子の表面密度がμm2当たり約3,000分子からμm2当たり約20,000分子までに及び得る。当業者は、ハイブリダイズされた標的オリゴヌクレオチド分子の表面密度は、この範囲内の任意の値、例えば、μm2当たり約2,700分子、を持ち得ることを認識するであろう。
【0108】
換言すれば、いくつかの例では、本開示の低結合支持体の単独での、または最適化されたハイブリダイゼーション緩衝液製剤と組み合わせての使用は、結果として、ハイブリダイズされた標的(または試料)オリゴヌクレオチド分子のある表面密度(すなわち、いかなる後続の固相反応もクローン的増幅反応も行なう前の)をもたらし、前記表面密度は、mm2当たり約100のハイブリダイズされた目標オリゴヌクレオチド分子からmm2当たり約1×107のオリゴヌクレオチド分子、または、mm2当たり約100のハイブリダイズされた目標オリゴヌクレオチド分子からmm2当たり約1×1012ハイブリダイズされた目標オリゴヌクレオチド分子、の範囲で変動する、場合がある。いくつかの例では、ハイブリダイズされた目標オリゴヌクレオチド分子の表面密度は、1mm2当たり、少なくとも100、少なくとも500、少なくとも1,000、少なくとも4,000、少なくとも5,000、少なくとも6,000、少なくとも10,000、少なくとも15,000、少なくとも20,000、少なくとも25,000、少なくとも30,000、少なくとも35,000、少なくとも40,000、少なくとも45,000、少なくとも50,000、少なくとも55,000、少なくとも60,000、少なくとも65,000、少なくとも70,000、少なくとも75,000、少なくとも80,000、少なくとも85,000、少なくとも90,000、少なくとも95,000、少なくとも100,000、少なくとも150,000、少なくとも200,000、少なくとも250,000、少なくとも300,000、少なくとも350,000、少なくとも400,000、少なくとも450,000、少なくとも500,000、少なくとも550,000、少なくとも600,000、少なくとも650,000、少なくとも700,000、少なくとも750,000、少なくとも800,000、少なくとも850,000、少なくとも900,000、少なくとも950,000、少なくとも1,000,000、少なくとも5,000,000、少なくとも1×107、少なくとも5×107、少なくとも1×108、少なくとも5×108、少なくとも1x109、少なくとも5×109、少なくとも1×1010、少なくとも5×1010、少なくとも1×1011、少なくとも5×1011、または、少なくとも1×1012分子であり得る、。いくつかの例では、ハイブリダイズされた目標オリゴヌクレオチド分子の表面密度は、mm2当たり、1×1012、最大で5×1011、最大で1×1011、最大で5×1010、最大で1×1010、最大で5×109、最大で1×109、最大で5×108、最大で1×108、最大で5×107、最大で1×107、最大で5,000,000、1,000,000、最大で950,000、最大で900,000、最大で850,000、最大で800,000、最大で750,000、最大で700,000、最大で650,000、最大で600,000、最大で550,000、最大で500,000、最大で450,000、最大で400,000、最大で350,000、最大で300,000、最大で250,000、最大で200,000、最大で150,000、最大で100,000、最大で95,000、最大で90,000、85,000、最大で80,000、最大で75,000、最大で70,000、最大で65,000、最大で60,000、最大で55,000、最大で50,000、最大で45,000、最大で40,000、最大で35,000、最大で30,000、最大で25,000、最大で20,000、最大で15,000、最大で10,000、最大で5,000、最大で1,000、最大で500、または、最大で100分子であり得る。この段落に述べられる、より低い、およびより高い値の任意のものが、本開示の中に含まれる範囲を形成するために組み合わせられてもよく、例えば、いくつかの例では、ハイブリダイズされた標的オリゴヌクレオチド分子の表面密度がmm2当たり約5,000分子からmm2当たり約50,000分子までに及び得る。当業者は、ハイブリダイズされた標的オリゴヌクレオチド分子の表面密度が、この範囲内の任意の値、例えば、mm2あたり約50,700分子、であり得ることを認識するであろう。
【0109】
いくつかの例では、低結合支持体表面に付着された、オリゴヌクレオチドアダプターまたはプライマー分子にハイブリダイズされた標的(または試料)オリゴヌクレオチド分子(または核酸分子)の長さは、約0.02キロベース(kb)から約20kbまで、または約0.1キロベース(kb)から約20kbまでに及び得る。いくつかの例では、標的のオリゴヌクレオチド分子は、長さが、少なくとも0.001kb、少なくとも0.005kb、少なくとも0.01kb、少なくとも0.02kb、少なくとも0.05kb、長さが少なくとも0.1kb、長さが少なくとも0.2kb、長さが少なくとも0.3kb、長さが少なくとも0.4kb、長さが少なくとも0.5kb、長さが少なくとも0.6kb、長さが少なくとも0.7kb、長さが少なくとも0.8kb、長さが少なくとも0.9kb、長さが少なくとも1kb、長さが少なくとも2kb、長さが少なくとも3kb、長さが少なくとも4kb、長さが少なくとも5kb、長さが少なくとも6kb、長さが少なくとも7kb、長さが少なくとも8kb、長さが少なくとも9kb、長さが少なくとも10kb、長さが少なくとも15kb、長さが少なくとも20kb、長さが少なくとも30kb、または、長さが少なくとも40kb、であってよく、あるいはここで記載される範囲にわたってどんな中間値でも、例えば、長さ0.85kbでもよい。
【0110】
いくつかの例では、標的(または試料)オリゴヌクレオチド分子(または核酸分子)は、一本鎖または二本鎖の、規則的に生じるモノマー単位の反復をさらに含む多重結合の核酸分子を含む。いくつかの例では、一本鎖または二本鎖、多重結合の核酸分子は、少なくとも0.001kb、少なくとも0.005kb、少なくとも0.01kb、少なくとも0.02kb、少なくとも0.05kb、長さが少なくとも0.1kb、長さが少なくとも0.2kb、長さが少なくとも0.3kb、長さが少なくとも0.4kb、長さが少なくとも0.5kb、長さが少なくとも1kb、長さが少なくとも2kb、長さが少なくとも3kb、長さが少なくとも4kb、長さが少なくとも5kb、長さが少なくとも6kb、長さが少なくとも7kb、長さが少なくとも8kb、長さが少なくとも9kb、長さが少なくとも10kb、長さが少なくとも15kb、または、長さが少なくとも20kb、長さが少なくとも30kb、または、長さが少なくとも40kb、であってよく、あるいはここで記載される範囲にわたってどんな中間値でも、例えば、長さ2.45kbでもよい。
【0111】
いくつかの例では、標的(または試料)オリゴヌクレオチド分子(または核酸分子)は、一本鎖または二本鎖の、約2から約100コピーの規則的に繰り返すモノマー単位を含む、多量体の核酸分子を含む。いくつかの例では、規則的に繰り返すモノマー単位のコピーの数は、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、または、少なくとも100、であり得る。いくつかの例では、規則的に繰り返すモノマー単位のコピーの数は、最大で100、最大で95、最大で90、最大で85、最大で80、最大で75、最大で70、最大で65、最大で60、最大で55、最大で50、最大で45、最大で40、最大で35、最大で30、最大で25、最大で20、最大で15、最大で10、最大で5、最大で4、最大で3、または最大で2、であり得る。この段落に述べられる、より低い、およびより高い値のうちの任意のものが、本開示内に含まれる範囲を形成するために組み合わせられてもよく、例えば、いくつかの例では、規則的に繰り返すモノマー単位のコピーの数は、約4から約60に及び得る。当業者は、規則的に繰り返すモノマー単位のコピーの数が、この範囲内の任意の値、例えば、17を持ち得ることを認識するであろう。従って、いくつかの例では、ハイブリダイズされた標的配列の表面密度は、支持体表面の単位面積当たりの標的配列のコピー数の点では、ハイブリダイゼーション効率が100%未満であっても、オリゴヌクレオチドプライマーの表面密度を超過する場合がある。
【0112】
核酸表面増幅(NASA):本明細書で使用されるように、句「核酸表面増幅」(NASA)は、句「固相核酸増幅」(あるいは単に「固相増幅」)と交換可能に使用される。本開示のいくつかの態様では、改善された増幅速度、増幅特異性、および増幅効率をもたらす核酸増幅製剤は、本開示の低結合支持体と組み合わせて記載される。本明細書で使用されるように、特異的増幅は、固体の支持体に、共有結合または非共有結合で連結された鋳型ライブラリー・オリゴヌクレオチド鎖の増幅を指す。本明細書で使用されるように、非特異的増幅は、プライマー二量体または他の非鋳型核酸の増幅を指す。本明細書で使用されるように、増幅効率は、与えられた増幅サイクルまたは増幅反応中に成功裡に増幅される、支持体表面上に連結されたオリゴヌクレオチドのパーセンテージの指標である。本明細書に開示される表面上で実施される核酸増幅は、少なくとも、50%、60%、70%、80%、90%、95%、の増幅効率を達成する場合があり、または、95%より大きい、98%もしくは99%などの増幅効率を達成する場合がある。
【0113】
様々な熱サイクルまたは等温の核酸増幅スキームのうちのいずれも、開示された低結合支持体で使用されてもよい。本開示の低結合支持体で利用され得る核酸増幅方法の実施例は、限定されないが、以下のものを含む:ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、多置換増幅(MDA)、転写媒介増幅(TMA)、核酸配列ベース増幅(nucleic acid sequence-based amplification)(NASBA)、鎖置換増幅(strand displacement amplification)(SDA)、リアルタイムSDA、ブリッジ増幅、等温のブリッジ増幅、ローリングサークル増幅、サークル・トゥー・サークル増幅(circle-to-circle amplification)、ヘリカーゼ依存性増幅、レコンビナーゼ依存性増幅、または、一本鎖結合(SSB)タンパク質依存性増幅。
【0114】
しばしば、増幅速度、増幅特異性および増幅効率における改善は、本開示の低結合支持体を単独で、または増幅反応成分の製剤と組み合わせて使用して達成される場合がある。ヌクレオチド、1つ以上ポリメラーゼ、ヘリカーゼ、一本鎖結合タンパク質など(またはその任意の組み合わせ)の含有に加え、増幅反応混合物は、限定されないが、緩衝液型、緩衝液pH、有機溶剤混合物、緩衝液粘度、界面活性剤と両性イオンの成分、イオン強度(一価と二価両方のイオン濃度の調整を含む)、抗酸化剤と還元剤、炭水化物、BSA、ポリエチレングリコール、硫酸デキストラン、ベタイン、など、の選択を含む、改善されたパフォーマンスを達成する様々な方法で調節され得る。
【0115】
本開示の低結合支持体の単独での、または最適化された増幅反応製剤と組み合わせての使用は、従来の支持体および増幅プロトコルを使用して達成されたものに比較して、増幅速度の増加をもたらす場合がある。いくつかの例では、達成され得る相対的な増幅速度は、上に記述したいずれの増幅方法での従来の支持体および増幅プロトコルの使用におけるものと比べ、少なくと2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも12倍、少なくとも14倍、少なくとも16倍、少なくとも18倍、または、少なくとも20倍であり得る。
【0116】
いくつかの例では、本開示の低結合支持体の単独での、または最適化された緩衝液製剤と組み合わせての使用は、これらの完了メトリックのうちのいずれについても、180分未満の、120分未満の、60分未満の、50分未満の、40分未満の、30分未満の、20分未満の、15分未満の、10分未満の、5分未満の、3分未満の、1分未満の、50 s未満の、40s未満の、30s未満の、20s未満の、または10s未満の、総増幅反応時間(すなわち、増幅反応の90%、95%、98%、または99%の完了に達するのに必要な)をもたらす場合がある。
【0117】
本明細書に開示されるいくつかの低結合支持体表面は、Cy3などのフルオロフォアの特異的結合に対する非特異的結合の比率について、少なくとも、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、50:1、75:1、100:1の、または100:1より大きい、あるいはこれらの範囲にわたる任意の中間の値の比率、を示す。本明細書に開示されるいくつかの表面は、Cy3などのフルオロフォアの特異的フルオロフォアシグナルに対する非特異的フルオロフォアシグナルの比率について、少なくとも、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、50:1、75:1、100:1の、または100:1より大きい、あるいはこれらの範囲にわたる任意の中間の値の比率を示す。
【0118】
いくつかの例では、本開示の低結合支持体の単独での、または最適化された増幅緩衝液製剤と組み合わせての使用は、60分以下の、50分以下の、40分以下の、30分以下の、20分以下の、または10分以下の、より速い増幅反応時間(すなわち、増幅反応の90%、95%、98%、または99%の完了に達するのに必要な時間)を可能にする場合がある。同様に、本開示の低結合支持体の単独での、または最適化された緩衝液調合物と組み合わせての使用は、いくつかの事例では、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15サイクル以下、または、30サイクル以下で増幅反応が完成することを可能にする場合がある。
【0119】
いくつかの例では、本開示の低結合支持体の単独での、または最適化された増幅反応製剤と組み合わせての使用は、特異的増幅の増加および/または非特異的増幅の減少を、従来の支持体および増幅プロトコルを使用して得られるそれらとの比較において、もたらす場合がある。いくつかの例では、達成される場合がある特異的増幅の、非特異的増幅に対する最終的な比率は、少なくとも4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1、90:1、100:1、200:1、300:1、400:1、500:1、600:1、700:1、800:1、900:1、または、1,000:1である。
【0120】
いくつかの例では、本開示の低結合支持体の単独での、または最適化された増幅反応製剤と組み合わせての使用は、従来の支持体および増幅プロトコルを使用して達成された増幅効率に比較して、増幅効率の増加をもたらす場合がある。いくつかの例では、増幅効率、それは達成されることがある、増幅反応回のいずれかにおいて50%、60%、70% 80%、85%、90%、95%、98%あるいは99%より十分にある、指定された、の上に。
【0121】
いくつかの例では、低結合支持体表面に付着された、オリゴヌクレオチドアダプターまたはプライマー分子にハイブリダイズされた、クローン増幅された標的(または試料)オリゴヌクレオチド分子(または核酸分子)の長さは、約0.02キロベース(kb)から約20kbまで、または、約0.1キロベース(kb)から約20kbまでに及び得る。いくつかの例では、クローン増幅された標的オリゴヌクレオチド分子は、長さが、少なくとも0.001kb、少なくとも0.005kb、少なくとも0.01kb、少なくとも0.02kb、少なくとも0.05kb、長さが少なくとも0.1kb、長さが少なくとも0.2kb、長さが少なくとも0.3kb、長さが少なくとも0.4kb、長さが少なくとも0.5kb、長さが少なくとも1kb、長さが少なくとも2kb、長さが少なくとも3kb、長さが少なくとも4kb、長さが少なくとも5kb、長さが少なくとも6kb、長さが少なくとも7kb、長さが少なくとも8kb、長さが少なくとも9kb、長さが少なくとも10kb、長さが少なくとも15kb、または、長さが少なくとも20kb、あるいは長さがここに記載された範囲にわたる任意の中間の値、例えば、少なくとも0.85kbは範囲であり得る。
【0122】
いくつかの例では、クローン増幅された標的(または試料)オリゴヌクレオチド分子(または核酸分子)は一本鎖または二本鎖の、規則的に生じるモノマー単位の反復をさらに含む多量体の核酸分子を含む場合がある。いくつかの例では、クローン増幅された、一本鎖、二本鎖、多量体の核酸分子は、長さが少なくとも0.1kb、長さが少なくとも0.2kb、長さが少なくとも0.3kb、長さが少なくとも0.4kb、長さが少なくとも0.5kb、長さが少なくとも1kb、長さが少なくとも2kb、長さが少なくとも3kb、長さが少なくとも4kb、長さが少なくとも5kb、長さが少なくとも6kb、長さが少なくとも7kb、長さが少なくとも8kb、長さが少なくとも9kb、長さが少なくとも10kb、長さが少なくとも15kb、または、長さが少なくとも20kb、あるいは長さがここに記載された範囲にわたる任意の中間の値、例えば、少なくとも2.45kbであり得る。
【0123】
いくつかの例では、クローン増幅された標的(または試料)オリゴヌクレオチド分子(または核酸分子)は、一本鎖または二本鎖の、規則的に繰り返すモノマー単位の約2~約100のコピーを含む多量体の核酸分子を含む場合がある。いくつかの例では、規則的に繰り返すモノマー単位のコピーの数は、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、または、少なくとも100、であり得る。いくつかの例では、規則的に繰り返すモノマー単位のコピーの数は、最大で100、最大で95、最大で90、最大で85、最大で80、最大で75、最大で70、最大で65、最大で60、最大で55、最大で50、最大で45、最大で40、最大で35、最大で30、最大で25、最大で20、最大で15、最大で10、最大で5、最大で4、最大で3、または、最大で2、であり得る.この段落に述べられる、より低い、およびより高い値のうちの任意のものが、本開示内に含まれる範囲を形成するために組み合わせられてもよく、例えば、いくつかの例では、規則的に繰り返すモノマー単位のコピーの数は、約4からり約60に及び得る。当業者は、規則的に繰り返すモノマー単位のコピーの数が、この範囲内の任意の値、例えば、約12、であり得ることを認識するであろう。従って、いくつかの例では、クローン増幅された標的配列の表面密度は、支持体表面の単位領域当たりの標的配列のコピー数の点では、ハイブリダイゼーションおよび/または増幅の効率が100%未満でも、オリゴヌクレオチドプライマーの表面密度を超過する場合がある。
【0124】
いくつかの例では、本開示の低結合支持体の単独での、または最適化された増幅反応製剤と組み合わせての使用は、従来の支持体および増幅プロトコルを使用して達成されたクローンのコピー数に比較して、クローンのコピー数の増加をもたらす場合がある。例えば、クローン増幅された標的(または試料)オリゴヌクレオチド分子が、連結した、モノマー標的配列の多量体反復を含む、いくつかの例では、クローンのコピー数は、従来の支持体および増幅プロトコルを使用して達成されたクローンのコピー数に比較して、かなり小さい場合がある。従って、いくつかの例では、クローンのコピー数は、増幅されたコロニーにつき約1分子から約100,000分子(例えば、標的配列分子)までに及び得る。いくつかの例では、クローンのコピー数は、増幅されたコロニー当たり、少なくとも1、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも500、少なくとも1,000、少なくとも2,000、少なくとも3,000、少なくとも4,000、少なくとも5,000、少なくとも6,000、少なくとも7,000、少なくとも8,000、少なくとも9,000、少なくとも10,000、少なくとも15,000、少なくとも20,000、少なくとも25,000、少なくとも30,000、少なくとも35,000、少なくとも40,000、少なくとも45,000、少なくとも50,000、少なくとも55,000、少なくとも60,000、少なくとも65,000、少なくとも70,000、少なくとも75,000、少なくとも80,000、少なくとも85,000、少なくとも90,000、少なくとも95,000、または、少なくとも100,000分子であり得る.いくつかの例では、クローンのコピー数は、増幅されたコロニー当たり、最大で100,000、最大で95,000、最大で90,000、最大で85,000、最大で80,000、最大で75,000、最大で70,000、最大で65,000、最大で60,000、最大で55,000、最大で50,000、最大で45,000、最大で40,000、最大で35,000、最大で30,000、最大で25,000、最大で20,000、最大で15,000、最大で10,000、最大で9,000、最大で8,000、最大で7,000、最大で6,000、最大で5,000、最大で4,000、最大で3,000、最大で2,000、最大で1,000、最大で500、最大で100、最大で50、最大で10、最大で5、または、最大で1分子であり得る。この段落に述べられる、より低い、およびより高い値の任意のものが、本開示の中に含まれる範囲を形成するために組み合わせられてもよく、例えば、いくつかの例では、クローンのコピー数は、約2,000分子から約9,000分子までに及び得る。当業者は、クローンのコピー数が、この範囲内の任意の値、例えば、ある例では約2,220分子、また別の例では2分子、であり得ることを認識するであろう。
【0125】
上述のように、いくつかの例では、増幅された標的(または試料)オリゴヌクレオチド分子(または核酸分子)は、連結した、モノマーの標的配列の多量体反復を含む場合がある。いくつかの例では、増幅された標的(または試料)オリゴヌクレオチド分子(または核酸分子)は、各々が単一のモノマーの標的配列を含む複数の分子を含む場合がある。従って、本開示の低結合支持体の単独での、または最適化された増幅反応製剤と組み合わせての使用は、結果として、mm2あたり約100の標的配列コピーから、mm2あたり約1×1012標的配列コピーまでの範囲で変動する標的配列コピーの表面密度をもたらす場合がある。いくつかの例では、標的配列コピーの表面密度は、mm2あたりのクローン増幅された標的配列分子が、少なくとも100、少なくとも500、少なくとも1,000、少なくとも5,000、少なくとも10,000、少なくとも15,000、少なくとも20,000、少なくとも25,000、少なくとも30,000、少なくとも35,000、少なくとも40,000、少なくとも45,000、少なくとも50,000、少なくとも55,000、少なくとも60,000、少なくとも65,000、少なくとも70,000、少なくとも75,000、少なくとも80,000、少なくとも85,000、少なくとも90,000、少なくとも95,000、少なくとも100,000、少なくとも150,000、少なくとも200,000、少なくとも250,000、少なくとも300,000、少なくとも350,000、少なくとも400,000、少なくとも450,000、少なくとも500,000、少なくとも550,000、少なくとも600,000、少なくとも650,000、少なくとも700,000、少なくとも750,000、少なくとも800,000、少なくとも850,000、少なくとも900,000、少なくとも950,000、少なくとも1,000,000、少なくとも5,000,000、少なくとも1×107、少なくとも5×107、少なくとも1×108、少なくとも5×108、少なくとも1×109、少なくとも5×109、少なくとも1x1010、少なくとも5×1010、少なくとも1×1011、少なくとも5×1011、または、少なくとも1×1012であり得る。いくつかの例では、標的配列コピーの表面密度は、mm2当たり最大で1×1012、最大で5×1011、最大で1×1011、最大で5×1010、最大で1×1010、最大で5×109、最大で1×109、最大で5×108、最大で1×108、最大で5×107、最大で1×107、最大で5,000,000、最大で1,000,000、最大で950,000、最大で900,000、最大で850,000、最大で800,000、最大で750,000、最大で700,000、最大で650,000、最大で600,000、最大で550,000、最大で500,000、最大で450,000、最大で400,000、最大で350,000、最大で300,000、最大で250,000、最大で200,000、最大で150,000、最大で100,000、最大で95,000、最大で90,000、85,000、最大で80,000、最大で75,000、最大で70,000、最大で65,000、最大で60,000、最大で55,000、最大で50,000、最大で45,000、最大で40,000、最大で35,000、最大で30,000、最大で25,000、最大で20,000、最大で15,000、最大で10,000、最大で5,000、最大で1,000、最大で500、または、最大で100の標的配列コピー数であり得る。この段落に述べられる、より低い、およびより高い値のうちの任意のものが、本開示内に含まれた範囲を形成するために組み合わせられてもよく、例えば、いくつかの例では、標的配列コピーの表面密度は、mm2あたり約1,000標的配列コピーからmm2あたり約65,000標的配列コピーに及び得る。当業者は、標的配列コピーの表面密度が、この範囲内の任意の値、例えば、mm2あたり約49,600標的配列コピー、であり得ることを認識するであろう。
【0126】
いくつかの例では、本開示の低結合支持体の単独での、または最適化された増幅緩衝液製剤と組み合わせての使用は、結果として、mm2あたり約100分子から、mm2あたり約1×1012コロニーまでに及び得る、クローン増幅された標的(または試料)オリゴヌクレオチド分子(またはクラスター)の表面密度をもたらし得る。いくつかの例では、クローン増幅された分子の表面密度は、mm2あたり、少なくとも100、少なくとも500、少なくとも1,000、少なくとも5,000、少なくとも10,000、少なくとも15,000、少なくとも20,000、少なくとも25,000、少なくとも30,000、少なくとも35,000、少なくとも40,000、少なくとも45,000、少なくとも50,000、少なくとも55,000、少なくとも60,000、少なくとも65,000、少なくとも70,000、少なくとも75,000、少なくとも80,000、少なくとも85,000、少なくとも90,000、少なくとも95,000、少なくとも100,000、少なくとも150,000、少なくとも200,000、少なくとも250,000、少なくとも300,000、少なくとも350,000、少なくとも400,000、少なくとも450,000、少なくとも500,000、少なくとも550,000、少なくとも600,000、少なくとも650,000、少なくとも700,000、少なくとも750,000、少なくとも800,000、少なくとも850,000、少なくとも900,000、少なくとも950,000、少なくとも1,000,000、少なくとも5,000,000、少なくとも1×107、少なくとも5×107、1×108(少なくとも)の、少なくとも5×108、少なくとも1×109、少なくとも5×109、少なくとも1x1010、1、少なくとも5×1010、少なくとも1×1011、少なくとも5×1011、あるいは少なくとも1x1012分子であり得る。いくつかの例では、クローン増幅された分子の表面密度は、mm2あたり、最大で1×1012、最大で5×1011、最大で1×1011、最大で5×1010、最大で1×1010、最大で5×109、最大で1×109、最大で5×108、最大で1×108、最大で5×107、最大で1×107、最大で5,000,000、1,000,000、最大で950,000、最大で900,000、最大で850,000、最大で800,000、最大で750,000、最大で700,000、最大で650,000、最大で600,000、最大で550,000、最大で500,000、最大で450,000、最大で400,000、最大で350,000、最大で300,000、最大で250,000、最大で200,000、最大で150,000、最大で100,000、最大で95,000、最大で90,000、85,000、最大で80,000、最大で75,000、最大で70,000、最大で65,000、最大で60,000、最大で55,000、最大で50,000、最大で45,000、最大で40,000、最大で35,000、最大で30,000、最大で25,000、最大で20,000、最大で15,000、最大で10,000、最大で5,000、最大で1,000、最大で500、または最大で100分子であり得る。この段落に述べられる、より低い、およびより高い値の任意のものが、本開示の中に含まれる範囲を形成するために組み合わせられてもよく、例えば、いくつかの例では、クローン増幅された分子の表面密度がmm2当たり約5,000分子からmm2当たり約50,000分子までに及び得る。当業者は、クローン増幅されたコロニーの表面密度が、この範囲内の任意の値、例えば、mm2あたり約48,800分子、であり得ることを認識するであろう。
【0127】
いくつかの例では、本開示の低結合支持体の単独での、または最適化された増幅緩衝液製剤と組み合わせての使用は、結果として、mm2あたり約100分子から、mm2あたり約1×1012コロニーまでに及び得る、クローン増幅された標的(または試料)オリゴヌクレオチド分子(またはクラスター)の表面密度をもたらし得る。いくつかの例では、クローン増幅された分子の表面密度は、mm2あたり、少なくとも100、少なくとも500、少なくとも1,000、少なくとも5,000、少なくとも10,000、少なくとも15,000、少なくとも20,000、少なくとも25,000、少なくとも30,000、少なくとも35,000、少なくとも40,000、少なくとも45,000、少なくとも50,000、少なくとも55,000、少なくとも60,000、少なくとも65,000、少なくとも70,000、少なくとも75,000、少なくとも80,000、少なくとも85,000、少なくとも90,000、少なくとも95,000、少なくとも100,000、少なくとも150,000、少なくとも200,000、少なくとも250,000、少なくとも300,000、少なくとも350,000、少なくとも400,000、少なくとも450,000、少なくとも500,000、少なくとも550,000、少なくとも600,000、少なくとも650,000、少なくとも700,000、少なくとも750,000、少なくとも800,000、少なくとも850,000、少なくとも900,000、少なくとも950,000、少なくとも1,000,000、少なくとも5,000,000、少なくとも1×107、少なくとも5×107、少なくとも1×108、少なくとも5×108、少なくとも1×109、少なくとも5×109、少なくとも1x1010、1、少なくとも5×1010、少なくとも1×1011、少なくとも5×1011、または、少なくとも1x1012分子であり得る。いくつかの例では、クローン増幅された分子の表面密度は、mm2あたり、最大で1×1012、最大で5×1011、最大で1×1011、最大で5×1010、最大で1×1010、最大で5×109、最大で1×109、最大で5×108、最大で1×108、最大で5×107、最大で1×107、最大で5,000,000、1,000,000、最大で950,000、最大で900,000、最大で850,000、最大で800,000、最大で750,000、最大で700,000、最大で650,000、最大で600,000、最大で550,000、最大で500,000、最大で450,000、最大で400,000、最大で350,000、最大で300,000、最大で250,000、最大で200,000、最大で150,000、最大で100,000、最大で95,000、最大で90,000、85,000、最大で80,000、最大で75,000、最大で70,000、最大で65,000、最大で60,000、最大で55,000、最大で50,000、最大で45,000、最大で40,000、最大で35,000、最大で30,000、最大で25,000、最大で20,000、最大で15,000、最大で10,000、最大で5,000、最大で1,000、最大で500、または最大で100分子であり得る。この段落に述べられる、より低い、およびより高い値の任意のものが、本開示の中に含まれる範囲を形成するために組み合わせられてもよく、例えば、いくつかの例では、クローン増幅された分子の表面密度がmm2当たり約5,000分子からmm2当たり約50,000分子までに及び得る。当業者は、クローン増幅されたコロニーの表面密度が、この範囲内の任意の値、例えば、mm2あたり約48,800分子、であり得ることを認識するであろう。
【0128】
いくつかの例では、本開示の低結合支持体の単独での、または最適化された増幅緩衝液製剤と組み合わせての使用は、結果として、mm2あたり約100コロニーから、mm2あたり約1×1012コロニーまでに及び得る、クローン増幅された標的(または試料)オリゴヌクレオチドのコロニー(またはクラスター)の表面密度をもたらし得る。いくつかの例では、クローン増幅されたコロニーの表面密度は、mm2あたり、少なくとも100、少なくとも500、少なくとも1,000、少なくとも5,000、少なくとも10,000、少なくとも15,000、少なくとも20,000、少なくとも25,000、少なくとも30,000、少なくとも35,000、少なくとも40,000、少なくとも45,000、少なくとも50,000、少なくとも55,000、少なくとも60,000、少なくとも65,000、少なくとも70,000、少なくとも75,000、少なくとも80,000、少なくとも85,000、少なくとも90,000、少なくとも95,000、少なくとも100,000、少なくとも150,000、少なくとも200,000、少なくとも250,000、少なくとも300,000、少なくとも350,000、少なくとも400,000、少なくとも450,000、少なくとも500,000、少なくとも550,000、少なくとも600,000、少なくとも650,000、少なくとも700,000、少なくとも750,000、少なくとも800,000、少なくとも850,000、少なくとも900,000、少なくとも950,000、少なくとも1,000,000、少なくとも5,000,000、少なくとも1×107、少なくとも5×107、1×108(少なくとも)の、少なくとも5×108、少なくとも1×109、少なくとも5×109、少なくとも1x1010、1、少なくとも5×1010、少なくとも1×1011、少なくとも5×1011、または、少なくとも1x1012コロニーであり得る。いくつかの例では、クローン増幅されたコロニーの表面密度は、mm2あたり、最大で1×1012、最大で5×1011、最大で1×1011、最大で5×1010、最大で1×1010、最大で5×109、最大で1×109、最大で5×108、最大で1×108、最大で5×107、最大で1×107、最大で5,000,000、1,000,000、最大で950,000、最大で900,000、最大で850,000、最大で800,000、最大で750,000、最大で700,000、最大で650,000、最大で600,000、最大で550,000、最大で500,000、最大で450,000、最大で400,000、最大で350,000、最大で300,000、最大で250,000、最大で200,000、最大で150,000、最大で100,000、最大で95,000、最大で90,000、85,000、最大で80,000、最大で75,000、最大で70,000、最大で65,000、最大で60,000、最大で55,000、最大で50,000、最大で45,000、最大で40,000、最大で35,000、最大で30,000、最大で25,000、最大で20,000、最大で15,000、最大で10,000、最大で5,000、最大で1,000、最大で500、または、最大で100コロニーであり得る。この段落に述べられる、より低い、およびより高い値の任意のものが、本開示の中に含まれる範囲を形成するために組み合わせられてもよく、例えば、いくつかの例では、クローン増幅されたコロニーの表面密度が、mm2当たり約5,000コロニーからmm2当たり約50,000コロニーまでに及び得る。当業者は、ハイブリダイズされた標的オリゴヌクレオチドの表面密度が、この範囲内の任意の値、例えば、mm2あたり約48,800植民地、であり得ることを認識するであろう。
【0129】
いくつかの例では、本開示の低結合支持体の単独での、または最適化された増幅反応製剤と組み合わせての使用は、50%以下の、例えば、50%、40%、30%、20%、15%、10%、5%、または、5%未満などの変動係数を有する、増幅され、および標識された核酸集団からのシグナル(例えば、蛍光シグナル)をもたらす場合がある。
【0130】
場合によっては、本明細書に開示される支持体表面および方法は、15C、20C、25C、30C、40Cなどの、またはより高い、上昇された延伸温度での、例えば、約21Cまたは23Cでの、増幅を可能にする。
【0131】
場合によっては、本明細書に開示される支持体表面および方法の使用は、簡易化された増幅反応を可能にする。例えば、場合によっては、増幅反応は、1、2、3、4以下、または5以下の個別の試薬しか使用せずに行なわれる。
【0132】
場合によっては、本明細書に開示される支持体表面および方法の使用は、増幅中に簡易化された温度プロファイルの使用を可能にし、その結果、反応は、15C、20C、25C、30C、または40Cの低温から、、40C、45C、50C、60C、65C、70C、75C、80C、または80Cを超える高温の範囲で変動する温度で、例えば、20Cから65Cの範囲で、実行される。
【0133】
増幅反応もまた、1pM、2pM、5pM、10pM、15pM、20pM、30pM、40pM、50pM、60pM、70pM、80pM、90pM、100pM、200pM、300pM、400pM、500pM、600pM、700pM、800pM、900pM、1,000pM、2,000pM 3,000pM、4,000pM、5,000pM、6,000pM 7,000pM、8,000pM 9,000pM、10,000pMの試料、または、例えば、500nMなどの、10,000pMより多い試料、のように、より低い量の鋳型(例えば、標的または試料分子)が表面上に認識可能なシグナルを生ずるのに十分であるように改善される。典型的な実施形態では、、約100pMの入力は、信頼できるシグナル測定のためのシグナルを生成するのに十分である。
【0134】
支持体表面の蛍光画像化:本開示の固相核酸増幅反応製剤および低結合支持体は、様々な核酸分析の任意の適用において使用されてもよく、例として、核酸塩基識別、核酸塩基分類、核酸塩基呼び出し、核酸検出用途、核酸配列決定用途、および、核酸に基づく(遺伝学的な、および遺伝子の)診断用途、が挙げられる。これらの用途の多くでは、低結合支持体上で行なわれるハイブリダイゼーション、増幅、および/または配列決定反応をモニターするために、蛍光画像化技術が使用されてもよい。
【0135】
蛍光画像化は、当業者に公知である様々なフルオロフォア、蛍光画像化技術、および蛍光画像化装置を使用して実施され得る。使用され得る適切な蛍光染色(例えば、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、またはタンパク質への抱合による)の例は、限定されないが、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、シアニン、および、Cyanine dye-3(Cy3)、Cyanine dye-5(Cy5)、Cyanine dye-7(Cy7)などのシアニン誘導体を含む、それらの誘導体を含む。使用され得る蛍光画像化技術の例は、限定されないが、蛍光顕微鏡画像化、蛍光共焦点画像化、および二光子蛍光などを含む。使用され得る蛍光画像化機器の例は、限定されないが、イメージセンサーまたはカメラを装備した蛍光顕微鏡、共焦点蛍光顕微鏡、二光子蛍光顕微鏡、または、適切に選定された、光源、レンズ、ミラー、プリズム、ダイクロイック反射体、アパーチャ、および、イメージセンサーもしくはカメラなどを含むカスタム器機、を含む。本開示の低結合支持体表面の画像、およびその上にハイブリダイズされる標的核酸配列のクローン増幅されたコロニー(またはクラスター)の画像を得るために装備された蛍光顕微鏡の非限定的な例は、20x、0.75NA、532nm光源、バンドパス、および、532nmのロング・パス励起とCy3蛍光放射フィルタのために最適化されたダイクロイックミラーフィルタセット、Semrock532nmダイクロイック反射体、および励起光強度がシグナル飽和を回避するように調節されるカメラ(Andor sCMOS(Zyla 4.2)を装備した、オリンパスIX83倒立型蛍光顕微鏡、である。しばしば、画像が取得される間に、支持体表面は緩衝液(例えば、25mM ACES、pH7.4緩衝液)に浸される場合がある。
【0136】
いくつかの例では、本開示の反応製剤と低結合支持体を使用する核酸ハイブリダイゼーションおよび/または増幅反応のパフォーマンスは、蛍光画像化技術を使用して評価される場合があり、ここで、画像のコントラストノイズ比(CNR)は、増幅特異性および支持体上の非特異的結合を評価することにおいて重要なメトリックを提供する。CNRは、一般に次のように定義される:CNR=(シグナル-バックグラウンド)=/ノイズ。バックグラウンド項は、指定された関心領域(ROI)において特定の特徴(回折限界のスポット、DLS)を取り巻く介在領域について測定されたシグナルとしてよく把握されている。シグナル対ノイズ比(SNR)が全体的なシグナル品質のベンチマークであるとしばしば考えられている一方で、以下の例で示されるように、急速な画像取り込みを必要とする用途(例えば、サイクルタイムが最小限にされなければならない配列決定の用途)において、改善されたCNRは、シグナル品質のためのベンチマークとして、SNRに対して有意な利点を備え得ることが示される場合がある。
図6Aおよび
図6Bに示すように、高いCNRにおいて、正確な識別に達するために必要とされる画像化時間(および従って、配列決定の用途における正確な塩基呼び出し)は、CNRにおける並の改善によってさえ徹底的に減少させることができる。
図6Aおよび6Bは、CNR(
図6AにおいてCNR=1.25、および
図6Bにおいて12.49)と積分時間(両方の図においてSNR=2)との関数として測定された、シグナルとバックグラウンドの強度についてのシミュレーション・データ(実線)および統合された平均値(破線)を提供しており、それらは、シグナル品質のメトリックとしてCNRを使用することにより達成され得る改善された識別を例示する。
図7は、支持体表面上でクローン増幅された核酸コロニーなどの特徴を正確に検出するために必要な画像化積分時間に対する画像データ中のCNRの改善効果の例を提供する。
【0137】
ほとんどのアンサンブルベースの配列決定アプローチにおいて、バックグラウンド項は典型的に「介在」領域に関連付けられるシグナルとして、測定される(
図8を参照)。「介在」バックグラウンド(B
inter)に加えて、「内在」バックグラウンド(B
intra)は増幅されたDNAコロニーによって占められた領域内に存在する。これらの2つの背景シグナルの組み合わせは達成可能なCNRを規定し、および、続けて、直接的に、光学機械の要件、構造コスト、試薬コスト、実行時間、コスト/ゲノム、および、最終的には環状アレイに基づく配列決定用途についての正確さとデータ品質を大きく左右する。B
interバックグラウンドシグナルは様々な源泉から発生する;いくつかの例は、市販のフローセルからの自家蛍光、ROIからのシグナルを不明瞭にすることがある偽性の蛍光シグナルを産出する検出分子の非特異的な吸着、非特異的DNA増幅生成物(例えば、プライマー二量体から発生するもの)の存在、を含む。典型的な次世代配列決定(NGS)用途では、現在の視野(FOV)におけるこのバックグラウンドシグナルは、経時的に平均され、かつ引かれる。個々のDNAコロニーから発生するシグナル(つまり、FOVにおける(S)-B
inter)は、分類することができる認識可能な特徴を与える。いくつかの例では、内在バックグラウンド(B
intra)は、同じROIの中に存在するが対象とする標的に特異的でない困惑させる蛍光シグナルを増やし、それによって、平均し、かつ引き算することをはるかに困難にする。
【0138】
以下の実施例において実証されることになるが、本開示の低結合基板上での核酸増幅の実施は、非特異的結合を減少させることによりBinterバックグラウンドシグナルを減少させる場合があり、特異的核酸増幅における改善をもたらす場合があり、および、介在領域と内在領域の両方から発生するバックグラウンドシグナルに影響を与え得る非特異的増幅の減少をもたらす場合がある。いくつかの例では、本開示のハイブリダイゼーションおよび/または増幅反応製剤と組み合わせて随意に使用される本開示の低結合支持体表面は、従来の支持体およびハイブリダイゼーション、増幅、および/または配列決定プロトコルを使用して達成されたものに対して2倍、5倍、10倍、100倍、または1000倍の倍数で、CNRに改善にもたらし得る。本明細書では呼び出しまたは検出モードとして蛍光画像化を使用する文脈で記載されるが、同じ原理は、光学的と非光学の両方の検出モードを含む他の検出モードについても同様に、本開示の、低結合支持体と核酸ハイブリダイゼーションと増幅製剤の使用に当てはまる。
【0139】
本開示のハイブリダイゼーションおよび/または増幅プロトコルと組み合わせて随意に使用される本開示の低結合支持体は、(i)タンパク質と他の反応成分の無視できる非特異的結合(それにより、基板バックグラウンドが最小限になる)と、(ii)無視できる非特異的核酸増幅生成物と、を示す固相反応を生じ、および、(iii)調整可能な核酸増幅反応をもたらす。本明細書では、主として核酸のハイブリダイゼーション、増幅、および配列決定アッセイの文脈で記載されるが、それは技術当該技術分野でのものにより理解されるだろう。本開示の低結合支持体は、サンドイッチイムノアッセイ、酵素結合免疫吸着定量法(enzyme-linked immunosorbent assay)(ELISA)などを含むが、これらに限定されない様々な他のバイオアッセイ・フォーマットのいずれかにおいて使用されてもよい。
【0140】
システム:本明細書において、本明細書に記載の表面を使用した塩基識別または塩基分類反応を実施するためのシステムが提供される。さらに、本明細書に開示される任意の配列決定方法の1つ以上工程を実施するためのシステムも提供される。随意に、前記システムは、オリゴヌクレオチド分子をカップリングすること、付着されたオリゴヌクレオチド分子に試料または標的核酸をハイブリダイズすること、および、前記表面上にシグナルを検出または画像化することに必要な、成分および試薬を含む。
【0141】
さらに、本明細書に開示されるあらゆる配列決定方法の1つ以上の工程を実施するためのシステムも提供される。任意に、システムは、蛍光性のヌクレオチドあるいはオリゴヌクレオチドの検出に基づいたそのような配列決定技術の核酸の配列を分析するのに必要な成分および試薬を含む。そのようなアレイ上の蛍光シグナルを読み取るために使用される検出機器は、エピ蛍光法または全内部反射顕微鏡法のいずれかに基づく場合がある。1つの検出器機は、光学的な合成による配列決定のリーダー(sequencing-by-synthesis reader)を使用することが推奨される。リーダーは、フローセルの水チャネル内の試料から蛍光を生じさせるレーザーを含み得る。蛍光は、1つ以上の対物レンズおよびチューブレンズを含む画像化光学系によって放出され、収集される。光学画像装置は、とりわけ、関心領域における試料を照らす光源と、1つ以上の検出器と、関心領域から検出器まで光を導くための光学部品と、を含む。光学画像装置は、検出器において受信される光がフォーカスされて受信されるために、光学部品のフォーカスを関心領域上に維持するフォーカス機構も含む場合がある。
【0142】
塩基対分類の方法:本明細書において、核酸塩基対識別または塩基対分類を実施する方法が提供され、該方法は:a)表面を提供する工程であって、前記表面は:i)基板と;ii)少なくとも1つの親水性ポリマーコーティング層と;iii)少なくとも1つの親水性ポリマーコーティング層に付着した複数のオリゴヌクレオチド分子と、iv)前記複数の付着したオリゴヌクレオチド分子にアニールされた複数のクローン増幅された試料核酸分子を含む表面の少なくとも1つの分離領域であって、ここで、前記複数のアニールされたクローン増幅された試料核酸分子は、少なくとも10,000の分子/mm2の表面密度で存在する、分離領域とを含む、工程と、b)前記試料核酸分子に対して、それらを前記複数のオリゴヌクレオチド分子にアニールする前に、またはアニールした後に核酸増幅反応を実行する工程と、c)単一のヌクレオチド結合または取り込みの反応の周期的連続を実行する工程であって、ここで、ヌクレオチドは検出可能なタグで標識される、工程と、を含む。本明細書に記載の表面またはシステムを利用することによって核酸配列決定を実行する方法も含めて、本明細書においてに提供される。いくつかの実施形態では、検出可能なタグは、フルオロフォアである。いくつかの実施形態では、前記検出可能なタグは、シアニン染料-3(Cy3)であり、およびここで前記表面の蛍光画像は、オリンパスIX83倒立型蛍光顕微鏡を使用して取得され、該顕微鏡は、20x、0.75のNA、532nmの光源、532nmのロングパス励起およびCy3蛍光放射フィルターのために最適化されたバンドパスおよびダイクロイックミラーフィルターセット、Semrock532nmダイクロイック反射体、およびカメラ(Andor sCMOS、Zyla4.2)を備え、第1のCy3で標識されたヌクレオチドの結合または取り込みの後、表面が緩衝液に浸される間に、非シグナル飽和条件で少なくとも20のコントラスト・ノイズ比(CNR)を示す。
【0143】
いくつかの実施形態では、核酸増幅反応はブリッジ増幅反応を含む。いくつかの実施形態では、核酸増幅反応は等温のブリッジ増幅反応を含む。いくつかの実施形態では、核酸増幅反応はローリングサークル増幅(RCA)反応を含む。いくつかの実施形態では、核酸増幅反応はヘリカーゼ依存性増幅反応を含む。いくつかの実施形態では、核酸増幅反応はレコンビナーゼ依存性増幅反応を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの親水性ポリマー・コーティング層が50度未満の水接触角を示す。
【実施例0144】
これらの実施例は、説明目的のために提供されるにすぎず、請求項の範囲を制限するものではない。
【0145】
実施例1-親水性基板
研究を実施し、異なる分子量と機能的な末端基の、ポリ(エチレングリコール)(PEG)分子を使用して、非特異的低結合支持体表面を調製し、そして評価した。1以上のPEGの層を、官能基末端シランカップリングを介してガラス面に連結させた。カップリングに使用され得る官能基の例は、ビオチン、メトキシエーテル、カルボキシレート、アミン、NHSエステル、マレイミド、およびビスシランを含むが、これらに限定されない。その後、異なる塩基配列と塩基修飾とを伴うオリゴヌクレオチドプライマーを、様々な密度で表面層に連結した。表面官能基密度とオリゴヌクレオチド濃度の両方を変更し、特定のプライマー濃度範囲を標的とした。さらに、プライマー密度は、同じ官能基を運ぶ他の分子でオリゴヌクレオチドを希釈することによって制御することができる。例えば、アミン標識オリゴヌクレオチドは、NHSエステルコーティング面との反応でアミン標識ポリエチレングリコールで希釈して、最終のプライマー密度を低下させることができる。ハイブリダイゼーション領域と表面付着官能基の間に配置されたリンカーの異なる長さを含むプライマーも、密度を制御するために適用することができる。例示リンカーは、プライマー5’末端のポリT鎖とポリA鎖(0~20塩基の長さ)と、PEGリンカー(3~20ユニットの長さ)と、様々な長さ(例えばC6、C12、C18など)の炭化水素鎖リンカーとを含む。プライマー密度を測定するために、蛍光標識プライマーを表面に固定し、蛍光読み取り値を既知の濃度の染料溶液の読み取り値と比較した。
【0146】
非特異的低結合(本明細書で「不動態化された」とも呼ばれる)基板表面は、タンパク質や核酸などの生体分子が表面に「くっつく」ことがないので、望ましい。標準の単層表面調製と様々なガラス面処理を使用して調製された、非特異的低結合(低NSB)表面の例を、以下に提供する。不動態化表面上で核酸増幅を成功裡に実施することは、独特の課題を生じる。不動態化された親水性表面は、タンパク質と核酸の極低NSBを示すため、高不動態化、プライマー堆積反応効率の改善、ハイブリダイゼーション条件を達成し、かつ、効果的な核酸増幅を誘発するためには、新規条件を利用しなくてはならない。固体相核酸ハイブリダイゼーションと増幅プロセスは、低結合または不動態化表面に付着した核酸鋳型と、その後のタンパク質送達および表面への結合とを必要とする。(Cy3オリゴヌクレオチドグラフト滴定によって同定された)新しいプライマー表面接合製剤と、(赤と緑の染料のNSB官能テスト結果を使用して評価された)結果として生じた極低非特異的バックグラウンドとの組み合わせは、これらのアプローチの実行可能性を実証する。
【0147】
プライマー密度をスケーリングして、親水性または両性の表面に追加的次元性を追加するために、多層コーティングを適用して、PEGと他の親水性ポリマーを使用してテストした。本明細書で説明するポリマー/コポリマー材料を含むがこれらに限定されない、親水性および両性の表面層状アプローチを使用することによって、支持体表面へのプライマーのロードを大幅に増加させることが可能である。単層プライマー堆積プロセスを使用する従来のPEGコーティングされた支持体は、単一分子配列決定(single molecule sequencing)用途で報告されてきたが、核酸増幅のためのコピー数は高くない。本明細書で、「層状化」は、従来のブリッジ結合アプローチと化学的に適合可能なモノマーまたはポリマーのサブユニットを使用して達成することができ、その結果、1以上の高架橋結合された層を順次構築することができることを、開示する。使用に適しているポリマーの非限定的な例は、ストレプトアビジン、ポリアクリルアミド(poly acrilamide)、ポリエステル、デキストラン(dextram)、ポリリジン、ポリエチレングリコール、およびポリリジンコポリマーポリアクリルアミド、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAM)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEMA)、ポリ(オリゴ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート(POEGMA)、ポリエステル、デキストラン、ポリリジン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリ(ビニルピリジン)、ポリ(ビニルイミダゾール)、およびポリリジンコポリマーを含む。陽に帯電したポリマーと負に帯電したポリマーとの間の、ビオチンストレプトアビジン結合、アジドアルキンクリック反応、アミン-NHSエステル反応、チオール-マレイミド反応、およびイオン相互作用を含むがこれらに限定されない、様々な共有結合反応または非共有結合反応のいずれかを使用して、異なる層を互いに付着してもよい。また、これらの高プライマー密度材料は、溶液中で構築され、その後、複数の工程で表面に層状化され得ることも考えられる。このアプローチで、核酸増幅の大幅な改善を提供する固体相核酸増幅と配列決定化学作用を実行するための、低NSB基材表面/低バックグラウンド基材表面(
図9-13)を生成することが可能であり、その結果、シグナル-バックグラウンド比は、特定の配列決定用途のニーズを充足するように調整することができる(
図14と
図15)。
図9は、異なる表面修飾プロトコルに応じて処理された、ガラス基板表面への緑の蛍光染料の非特異的結合の相対的なレベルを決定するための研究からの、画像データの例を提供する。
図10は、異なる表面修飾プロトコルに応じて処理された、ガラス基板表面への赤の蛍光染料の非特異的結合の相対的なレベルを決定するための研究からの、画像データの例を提供する。
図11は、異なる表面修飾プロトコルに応じて処理された、基板表面の、オリゴヌクレオチドプライマーグラフト化データの例を提供する。
【0148】
チオール-マレイミド化学作用を用いて2層PEG表面を調製するための方法:ガラススライドを、室温で30分間の2M KOH処理を使用して洗浄し、洗い流し、その後、表面シラノール基を酸素プラズマを使用して活性化した。シランPEG5Kチオール(Creative PEGWorks,Inc.,Durham,NC)を、エタノール中に0.1%の濃度で適用した。2時間のコーティング反応後、スライドをエタノールと水で完全に洗い流し、その後、ジメチルホルムアミド(DMF)中の2.5mMのマレイミド-PEG-スクシンイミジルバレレート(MW=20K)と、30分間反応させた。結果として生じた表面を洗い流し、すぐに、5’-アミン標識オリゴヌクレオチドプライマーと室温で2時間反応させた。プライマーの固定化後、表面上の過剰なスクシンイミジルエステルを、pH9で100mMグリシンと反応させることによって失活させた。
【0149】
NHSエステル-アミン化学作用を用いて多層PEG表面を調製するための方法:ガラススライドは、室温で30分間の2M KOH処理によって洗浄し、洗い流し、その後、表面シラノール基を酸素プラズマを使用して活性化した。シラン-PEG2K-アミン(Nanocs,Inc.,New York,NY)を、エタノール溶液中に0.5%の濃度で適用した。2時間のコーティング反応後、スライドをエタノールと水で完全に洗い流した。100uMの8アームPEG NHS(MW=10K、Creative PEGWorks,Inc.,Durham,NC)を、室温で20分間、5、10、20、30、40、50、60、70、80、または90パーセントの有機溶媒、および5、10、20、30、40、50、60、70、80、または90パーセントの低イオン強度緩衝液を含み得る溶媒組成物に導入した。結果として生じた表面を洗い流し、その後、20μMのマルチアームPEGアミン(MW=10K、Creative PEGWorks,Inc.,Durham,NC)と2時間反応させた。その後、結果として生じたアミン-PEG表面を、様々な濃度で、多アームPEG-NHSおよびアミン標識オリゴヌクレオチドプライマーとの混合物と反応させた。このプロセスを繰り返し、表面上に追加的なPEG層を生成した。
【0150】
固体相等温増幅:様々な等温増幅方法を考慮する際、各等温増幅方法は、特有の最適プライマー密度範囲を有しており、最適プライマー密度範囲は、増幅効率を最大化するために調整可能な表面コーティングを必要とする旨を示すことができる。場合によっては、より高いプライマー表面密度は、より大きな鋳型コピー数となる(
図15)。場合によっては、より高いプライマーの表面密度は、いくつかの増幅アプローチで高い前景シグナル(つまり、配列特異的シグナル)を生み出す可能性があるが、高いバックグラウンドシグナルを引き起こす可能性もあり、そのため、他の増幅アプローチに有害であることがわかっている。
図16では、プライマー堆積濃度がこの図の上部に示され、テストされた様々なヘリカーゼ等温増幅製剤は、等温増幅反応後に結果として得られた表面から取得された画像に示される。特異的増幅が発生していた場合、各表面の画像は赤く表示されると予想された。
図16の製剤「58」の一連の画像から明らかなように、プライマー密度が増加するにつれて、色は赤から緑に退色し、そのため、特異的増幅の減少を示した。さらに、増幅反応製剤にベタイン(一般的な緩衝添加剤)を含めることで、非特異的増幅の程度が減少し、特異的増幅に有利となり、それによって、より明るいシグナルとCNRの改善という結果がもたらされることが確認できる。低結合の層状支持体表面、プライマーの調整可能な表面密度、ハイブリダイゼーションおよび/または増幅反応製剤の改善(例えば、緩衝液、pH、溶媒、イオン強度、浄化剤、ホルムアミド、ベタイン、クラウディング剤(crowding agent)、および他の添加剤などの選択)の緩衝液成分と添加剤の調整を含む)、および、結果として生じる増幅率および特異性の改善の組み合わせは、次世代の核酸配列決定における前例のない改善につながるはずである。
【0151】
本開示は、核酸検出用途、配列決定用途、および診断用途などの、シグナル増強を必要とする様々な用途のために、親水性基板上のライブラリー核酸鎖の高度モノクローナル増幅を達成するという課題に取り組む。ライブラリー核酸鎖のモノクローナルクラスターを生成するための核酸増幅のための従来の等温法は、限定的であり、欠陥を有する。それらの性能限定の例には、長いクラスター化時間(例えば2時間以上)、高温要件(例えば60°C以上)、特定の表面上で効率的に増幅/クラスター化できないこと、高コスト、ポリクローナルの問題、試薬安定性の問題などが含まれる。文献に記載されている等温増幅方法は豊富であるが、商用の配列決定用途にうまく適用されている方法は1つか2つのみである。ここでは、DNA配列決定などの用途のためにライブラリーDNAフラグメント(または他の核酸)のモノクローナルコピーのクラスターを成功裡に生成し、前述の問題を排除または軽減する、等温増幅戦略を提案する。
【0152】
バックグラウンドシグナル(BinterとBintra)を減少させ、そして低結合基板での制御されたDNA増幅を促進するための、アンサンブルDNA増幅/DNA配列決定組成変化(ensemble DNA amplification/DNA sequencing composition change)を開発するための設計基準は、(i)従来技術アプローチと比較して、間質領域(Binter)における、(例えば、プライマー二量体の増幅による)非特異的DNA増幅の減少、(ii)従来技術アプローチと比較して、特定のDNAコロニー(Bintra)内の非特異的DNA増幅生成物(例えば、プライマー二量体)の量の減少、(iii)低結合基板上の特異的DNA増幅(例えば反応時間、サイクルタイム、プライマー表面密度滴定、プライマー表面密度、プライマー配列など)を含み、その結果、ハイブリダイゼーションと増幅製剤の改善がない場合でさえも、シグナル対バックグラウンド(S/B)比は低下することになる。
【0153】
実施例2-特異性の改善を伴う低結合表面でのヘリカーゼ依存性増幅
ヘリカーゼ依存性増幅が、プライマー二量体形成などの非特異的増幅を非常に起こしやすいことはよく知られている。以下の方法の任意の組み合わせを通して、この非特異的増幅を表面で低減させてもよい。(i)プライマー二量体の生成が少ないオリゴヌクレオチドプライマーを設計すること、(ii)多層支持体表面のプライマー表面密度を調整すること、(iii)好熱性酵素を使用して、より高温で反応を実行すること、(iv)上術のものなどの増幅緩衝添加剤と非自給式(non-self)プライマー配列を組み合わせて使用すること、(v)1以上の完全な核酸変性およびプライマーハイブリダイゼーション工程を導入すること。
【0154】
SSBタンパク質が存在しない場合の、低NSB表面における特異的ヘリカーゼ依存性増幅:線形鋳型鎖のヘリカーゼ依存性増幅は、非特異的増幅の低下と、低結合表面における高効率クローン増幅とによって達成できる。表面上のフォワードプライマーは、ポリメラーゼとヘリカーゼの含有増幅反応混合物を使用して、一本鎖鋳型ライブラリー鎖上に伸長する。その後、随意に、鋳型鎖を変性させて洗い流す。あるいは、二本鎖は、ヘリカーゼ活性によって巻き戻されてもよい。いずれの方法も、表面抱合プライマーから、部分的または完全なる一本鎖の形態で伸長する、フォワード鎖(forward strand)を後に残す。続いて、表面連結リバースプライマーが、このフォワード鎖にハイブリダイズし、そして伸長もし、それによって二本鎖ブリッジ構造を作り出す。反応混合物中に存在するヘリカーゼは、中間の二本鎖アンプリコン鎖を巻き戻し、その後、それに続く増幅ラウンドのために他の自由な表面連結プライマーに再ハイブリダイズするために利用可能となる。このことが生じるためには、巻き戻しの程度が広範囲である必要はなく、単に、プライマーハイブリダイゼーション領域を一本鎖成分に変換する(ほつれを終了させる)だけで十分であり、その後、表面連結プライマーのハイブリダイゼーションが可能になる。この反応に使用されるヘリカーゼは、ブリッジ構造の端部から巻き戻しを開始させることができるはずであり、そして3’~5’ヘリカーゼ、または5’~3’ヘリカーゼのどちらかであってよい。ある場合には、それは、スーパーファミリー1、2、3、4、5、または6のヘリカーゼであってよい。ある場合には、それは、高度プロセッシブ(highly processive)ヘリカーゼ(すなわち、一本鎖または二本鎖の構造を解放せずに、多くの連続した塩基ペアを巻き戻すことができる)であるかもしれず、または限定的プロセシビティ(processivity)を有するヘリカーゼであるかもしれない。ヘリカーゼのUvrDの、UvrD303変異体など、より高いプロセシビティを示すスーパーファミリー1のヘリカーゼを、この増幅スキームで使用してもよい。
【0155】
5’~3’ヘリカーゼによる巻き戻しを促進するために、一方または両方の表面連結プライマーの全部または一部は、5’~3’ヘリカーゼのための特定のローディング部位を作り出すために、修飾を含んでもよい。そのようなプライマーから伸長する鋳型核酸上で、修飾部位は、ポリメラーゼ停止点として作用し、これによって、表面抱合点と修飾部位との間のプライマー配列の伸びを、常に一本鎖形態にする。この伸びは、5’~3’の方向性を有するヘリカーゼのローディング部位として機能するであろう、というのは、多くのヘリカーゼは一本鎖核酸結合親和性がはるかに優れており、支持体表面上でヘリカーゼ依存性増幅に必要とされる場合に、5’~3’ヘリカーゼ巻き戻し活性を誘導および増強するからである。使用できるプライマー修飾の例は、5’末端に向かう2つのヌクレオチド間のプライマーのバックボーンへのPEG鎖の挿入、脱塩基ヌクレオチド(すなわち、プリンまたはピリミジン塩基のどちらも持たないヌクレオチド)の挿入、またはヘリカーゼによってバイパスされ得る病変部位が含まれるが、これらに限定されない。
【0156】
多くのヘリカーゼが、補助因子タンパク質、およびヘリカーゼ活性を活性化させるか、または増強する、特定の構成を有する。例として、Bst由来のPcrAヘリカーゼのRepDタンパク質、E.coli RepヘリカーゼのファイX遺伝子タンパク質A、およびUvrDヘリカーゼのMutLタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。これらのアクセサリータンパク質の添加は、望ましい巻き戻し活性をより効果的に可能にし、したがって、ヘリカーゼ依存性等温増幅をさらに促進する可能性がある。これらの補助因子のいくつかは、巻き戻し活性を誘導するためにプライマーに添加され得る、特異的結合配列または部分を有する。
【0157】
ヘリカーゼ増幅製剤は、中温性ヘリカーゼと、一本鎖結合(SSB)タンパク質を欠く鎖置換ポリメラーゼ製剤(例えば、内部参照製剤#58)とを使用した場合に、非特異的増幅の減少を示した。ほとんどのヘリカーゼ依存性増幅アプローチの場合とは異なり、(通常、一過性の非特異的ハイブリダイゼーションを中断させるために使用される)一本鎖結合タンパク質を製剤から除外すると、非特異的増幅が減少することが観察された。様々な製剤の変更が、低結合表面上における非特異的ハイブリダイゼーションの増加を緩和させることが示された。
【0158】
ヘリカーゼ依存性増幅改善のための製剤組成の変更:ベタインなどの添加剤は溶液中で行われる等温増幅反応の非特異的増幅を減少させることが、一般的に知られている。鋳型核酸コロニーの調整可能な増幅と高いコピー数を補助するために、高プライマー表面密度が必要になるにつれて、基準はより制限的になる。高プライマー密度では、非特異的増幅が、結果として生じるコロニーの高い鋳型コピー数という利点を手助けし始める(
図16)。その結果、鋳型核酸コロニー内の非特異的増幅を手助けする、追加の添加製剤が発見された。
図16に示される例では、ベタインを製剤#58に添加すると、より高いプライマー密度の表面上で、より特異的な増幅(赤色で示される)が作り出されることが、はっきりと確認できる。ベタインに加え、多くの異なる反応製剤成分を組み合わせて、溶液中および低結合表面上で、より高い増幅特異性を達成することが可能である(
図17と
図18)。
【0159】
アセトニトリル、DMSO、DMF、エタノール、メタノール、および同様の化合物などの有機溶媒は、オリゴヌクレオチド脱水(oligonucleotide dehydration)のプロセスを通じて一本鎖と二本鎖の核酸の構造を変化させる。2-ピロリドンやホルムアミドなどの化合物は、核酸の融解温度を下げ、そして高GC含有のオリゴヌクレオチドから二次構造を低減させることが知られている。クラウディング剤も、核酸構造を安定化させることが知られている。低pH緩衝液では、塩基ペアリングにおけるハイブリダイゼーションと水素結合がより有利になる。これらのそれぞれの製剤の各々の異なる属性を組み合わせると、オリゴヌクレオチド配列の特異的アニーリングを従来アプローチよりも2桁を超えて増加させることが可能である。これらの化合物を組み合わせ、そして以下に記載の増幅製剤にそれらを添加することによって、プライマー二量体から生じるような非特異的増幅が劇的に低下され、特異的増幅生成物の良好な収率が、溶液中(
図17)、および開示された低NSB表面上(
図18)に、さらに観察される。
【0160】
実施例3-修飾されたローリングサークル多置換増幅(修飾RCA-MDA)
核酸ライブラリーフラグメントは、(フォワードプライマー、リバースプライマー、および配列決定プライマー、ならびに任意の識別/バーコード配列を含む)アダプター配列(adapter sequence)にライゲーション(ligate)され、そして、溶液中または低結合表面上のいずれかで環状化される。
【0161】
その後、環状化されたssDNAは、溶液中または表面上のいずれかで、フォワード表面プライマーによって捕捉されるか、またはフォワード表面プライマーにハイブリダイズされ、そして、ライブラリー核酸とアダプター配列の一本鎖コンカテマーコピーを作り出す鎖置換ポリメラーゼによるRCA反応において伸長する。リバースプライマーは、複数の位置でこのコンカテマーフォワード鋳型にハイブリダイズし、RCA反応混合物によって伸長し、これによってコンカテマーリバースコピーを作り出す。このプロセス中に、リバース鎖は互いによって置換される。上流のリバース鎖伸長は下流の伸長を置換し、したがって、一本鎖コンカテマーリバース鎖を作り出す。ヘリカーゼの添加は、ハイブリダイゼーションを再開させ、置換カスケードを誘発するのに十分長く続く、核酸の一本鎖領域を生成することができ、これは、比較的制御された方法で増幅コピー数を増加させることができる。あるいは、リコンビナーゼとアクセサリータンパク質の添加は、鎖侵入(strand invasion)と呼ばれるプロセスにおいて、プライマーを二本鎖DNAの相同領域にハイブリダイズさせることができる。このことは、置換とハイブリダイゼーションのカスケードを再開させ、コロニーのコピー数を増加させる。
【0162】
RCA-MDAコロニーのコピー数は、プライマー表面密度によって決定され、プライマー表面密度は、最初のコンカテマー(concatemer)または置換されたコンカテマーが、どれほど頻繁に、そしてどれほど成功裡に、フォワードプライマーおよびリバースプライマーとハイブリダイズするかを決定する。低結合表面上でのプライマー密度の増加は、これらのクラスターのより多くの増幅コピー数を生成することが証明されている(
図15)。要約すると、以下の方法の1つまたは組み合わせを使用して、コピー数または特異的増幅を増加させ、低結合表面上における非特異的増幅を減少させることが可能である。(i)特異的コピー数は、製剤の変更を通じてプライマー鋳型ハイブリダイゼーションの効率を高めることによって増加され得る(
図16)、(ii)特異的コピー数は、低結合基板上におけるプライマー密度を高めることによって増加され得る(
図14と
図15)、(iii)プライマー二量体の非特異的増幅またはキメラDNA生成は、上記の添加剤を使用することによって減少され得る、(iv)増幅インキュベーション温度は、非特異的増幅を低減するために、既述の通りの製剤変更と組み合わされた熱安定性酵素を使用して、上昇され得る、(v)非自給ハイブリダイズプライマー配列を含むプライマー組成物は、非特異的プライマー二量体増幅を減少させるために、添加剤および/または増幅インキュベーション温度の上昇と組み合わせて使用され得る。
【0163】
実施例4-一本鎖DNA結合(SSB)タンパク質媒介等温増幅
SSBタンパク質は、核酸鎖の二次構造を変化させ、巻き戻し後に一本鎖DNAを安定化させ、2つの核酸鎖の一時的で非広範なハイブリダイゼーション(プライマー二量体増幅の前駆体)を妨害し、または中断させ、標的オリゴヌクレオチドの補正相補領域への、短いオリゴヌクレオチドの特異的ハイプリダイゼーションを促進し、そして、一本鎖および二本鎖の核酸の分岐接合部に作用し、かつ酵素を誘導する。SSBのC末端トランケーション変異は、ssDNAへの協同的結合を除去すると報告されている一方で、そのモノマーはssDNAへのより強い結合を示し、またdsDNAの融解温度を低下させる。例えば、ファージSSBタンパク質のC末端トランケーション変異であるT4gp32は、野生型タンパク質の性能と比較してdsDNAの融解温度を数十度低下させるタンパク質(gp32ΔC)を生成する。
【0164】
この増幅スキームでは、トランケーション型と野生型の両方のSSBタンパク質(および鎖置換ポリメラーゼ)を含む製剤中にこれらのタンパク質を使用して、二本鎖核酸ブリッジ中間体の末端を一時に融解し、表面プライマーのハイブリダイゼーションとプライマー伸長を可能にする。たとえSSBが核酸ハイブリダイゼーションを遅くしても、一般的に特異的ハイブリダイゼーションを促進することが知られている。したがって、例えば、T4gp32ΔCなどのトランケーション型SSBタンパク質の使用により、ブリッジ化された核酸構造の3’末端を、他の自由表面連結プライマーへと、より効率的にハイブリダイズすることが可能となる。これによりさらに、新たに形成されたプライマー鋳型複合体が破壊されるが、最適化された製剤により、鎖置換ポリメラーゼによるそのような複合体の伸長が可能になるはずである。SSBタンパク質は、様々なファージ(例えばT4gp32)、細菌、古細菌、真菌、および真核生物に見られる。その一部は熱安定性SSBタンパク質であり、そのC末端トランケーション形態は、最適化されたより高い温度でより効率的な核酸末端融解を可能にし、そのため、高温でのより低い非特異的増幅を利用しながら、SSB依存性好熱性増幅を可能にする。
【0165】
上述のものなどの添加剤、プライマー配列設計、特異的ハイブリダイゼーションおよび/または増幅製剤、ならびに、温度耐性と化学耐性を有する適切な酵素およびタンパク質との使用に適した最適化温度の使用を通して、この増幅方法は、非特異的増幅を排除しながら、高度な特異的増殖を推進するように調整することが可能である。
【0166】
このスキームは、環状DNAならびに線形DNAを増幅するのに使用でき、ここで、鎖置換ポリメラーゼによる伸長の各々の開始は、後に複数の置換増幅イベントを引き起こす可能性があり、このイベントにより、環状DNA鋳型のコンカテマーコピーが生成される(上記の修飾RCA-MDAのセクションを参照)。
【0167】
環状ライブラリーDNAの(例えば、ファイ29 SSBを使用する)SSB媒介増幅は、従来のRCAよりもはるかに高速であることがわかっている(例えば、従来のRCAでは2-3時間であるのに対して、30分-1時間の増幅時間が必要となる)。溶液中で行なわれたSSB媒介増幅の生成物は、ゲル上の個別のコンカテマーラダーとして得られた(ran)。
【0168】
実施例5-低結合表面における低温熱サイクリングブリッジ増幅
ハイブリダイゼーションおよび/または増幅製剤、熱安定性SSBタンパク質、および/またはトランケーション型SSBタンパク質の改善のための添加剤の組み合わせを使用することによって、Mullisの元のPCR開示に概説される従来の方法よりも低温で熱サイクルを実行できるPCR製剤が開発された。このスキームでは、添加剤を使用して、核酸のハイブリダイゼーションとデハイブリダイゼーションの温度を従来の値より低くすることが可能である。たとえば、ホルムアミドはDNAの融解温度(Tm)を下げるためによく使用され、その後のDNAデハイブリダイゼーションは約60度の温度で実行できる。他方、再アニーリング温度は、通常、高温(95℃)から室温付近の温度までの温度傾斜をも必要とする。再アニーリング温度の厳密性を劇的に低減できるような製剤を作り出すことが可能である。そのような製剤を使用すると、従来のブリッジ増幅方法を超える大幅な改善がもたらされ、温度傾斜を20-60度の間で実行することができる。温度傾斜要件の低下と低結合基板上におけるハイブリダイゼーションの厳密性の改善は、従来のブリッジ増幅を超える、以下の利点を生み出し得る、(i)増幅時間の減少、(ii)計器類設計の単純化、(iii)より効率的な増幅率をもたらす、より高速かつ特異的なハイブリダイゼーションを通じた試薬使用量の減少、(iv)試薬コストの低下。改善されたハイブリダイゼーションの厳密性が、支持体表面上での増幅に必要な増幅サイクルの数を減らすであろうことを示すことも可能である。
【0169】
図19A-
図19Bは、従来のハイブリダイゼーション製剤(
図19B)のものと比較して、本開示の非特異的低結合支持体および改善されたハイブリダイゼーション製剤(
図19A)を使用して取得され得る、ハイブリダイゼーション効率の改善を説明するデータの例を提供する。
【0170】
図20は、本開示の低結合支持体、およびハイブリダイゼーション/増幅反応製剤を使用する核酸配列決定のためのワークフロー、およびそれによって達成され得る処理時間の非限定的な例を示す。
【0171】
実施例6-チオール-マレイミド化学作用による2層PEG表面の調製
ガラススライドを化学的に処理することで有機物を除去し、そしてヒドロキシル基を活性化させてシランカップリングを行う(様々な方法として、プラズマ処理、ピラニアエッチング(piranha etching)、ベースウォッシュ(base wash)、ベースバス(base bath)、高温ガラスアニーリング、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる)。シラン-PEG5K-チオール(Creative PEGWorks、Inc)を、エタノール溶液中に0.1%の濃度で適用する。2時間のコーティング反応後、スライドをエタノールと水で完全に洗い流し、その後、DMFに入れた2.5mMのマレイミド-PEG-スクシンイミジルバレレート(MW=20K)と、30分間反応させた。結果として生じた表面を洗い流し、すぐに、5’-アミン標識オリゴヌクレオチドプライマーと室温で2時間反応させた。表面の過剰なスクシンイミジルエステルを、プライマー固定後、100mMのグリシンでPH9で失活させる。このアプローチは、ごくわずかな低結合固体支持体表面と、従来の方法を2桁近く超越する、効率的なプライマーとポリマーとの反復カップリングをもたらす。
【0172】
実施例7-NHSエステル-アミンの化学作用による多重層PEG表面の調製
ガラススライドを化学的に処理することで有機物を除去し、そしてヒドロキシル基を活性化させてシランカップリングを行う(さまざまな方法として、プラズマ処理、ピラニアエッチング(piranha etching)、ベースウォッシュ(base wash)、ベースバス(base bath)、高温ガラスアニーリング、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる)。シラン-PEG-アミン(Nanocs,Inc)を、きれいなエタノール溶液中に0.1%-2%の濃度で適用する。2時間のコーティング反応後、スライドをエタノールと水で完全に洗い流す。マルチアームPEG NHSを、室温で5-30分間、5、10、20、30、40、50、60、70、80、または90パーセントの有機溶媒と、5、10、20、30、40、50、60、70、80、または90パーセントの低イオン強度緩衝液とを含み得る溶媒組成物に導入した。結果として生じた表面を洗い流し、そしてマルチアームPEGアミン(MW 10k,Creative PEGWorks,Inc)と反応させた。その後、結果として生じたアミン-PEG表面を、マルチアームPEG-NHSとアミン標識オリゴヌクレオチドプライマーとの混合物と、様々な濃度で反応させた。このプロセスを繰り返し、表面上にさらにPEG層を生成した。このアプローチは、ごくわずかな低結合固体支持体表面と、従来の方法を2桁近く超越する、効率的なプライマーとポリマーとの反復カップリングとをもたらす。
【0173】
実施例8-クラスターデータ上のCNRの計算
通常、蛍光検出が固体相アッセイに使用される場合、シグナルは、分子を連結するおよび/または増幅することによって生成され、レポーター染料分子と結合するか、それが付着する。このプロセスは、特異的および非特異性なシグナルの両方を生成する。非特異的成分は、非特異的ノイズまたはバックグラウンド(組織間(interstitial)または組織内(intrastitial)の寄与から生じる)と呼ばれることが多く、特定のシグナルの測定を妨害し、コントラスト対ノイズ比(CNR)を低下させる。
【0174】
非特異的バックグラウンドは、支持体表面に非特異的に吸着された染料分子、または、例えば表面上のプライマー二量体ペアの、非特異的増幅のいずれかから、生成することができる。両方のメカニズムは、蛍光レポーターが対称の特定の分子を標識するために使用される時、実質的な蛍光バックグラウンドを生成する。
【0175】
開示された低結合支持体表面と、それに関連する使用のための方法は、非特異的バックグラウンドを最小化する際に有意な改善を実証する。以下に記載される例に示されるように、特異的増幅方法と支持体表面を使用すると、推定される非特異的バックグラウンドは全シグナルの10%をはるかに下回る。他方、従来の増幅方法と支持体表面は、多くの場合、全シグナルの30%~50%のバックグラウンドシグナルを生成する。
【0176】
本明細書に使用される通り、非特異的なバックグラウンドまたはノイズは、全システムノイズの1つの成分にすぎず、全システムノイズは、フォトンショットノイズ(photon shot noise)、自動蛍光バックグラウンド、撮像センサノイズ、(例えば、照明強度の変動から生じる)照明ノイズなどの、検出システムからの他の寄与をも含み得ることに留意されたい。この点に関して、新規支持体表面およびそれに関連するハイブリダイゼーションと増幅方法とによるCNR改善のための開示されたアプローチを拡張して、例えば、プレフェージング(pre phasing)やフェージング(phasing)の使用などを通じて、従来の、合成による配列決定から生じ得るシグナル不純物を補正すること、さらには、複数のアッセイ反応サイクルにわたる厳格な洗浄条件またはブロック解除(可逆的ターミネーター除去)から生じるDNA鎖の喪失および/またはDNA損傷を通じて引き起こされるエラーを補正することによって、NGSと他のバイオアッセイ技術に対して、より大きな改善を達成することが可能である。
【0177】
一般に、固体相バイオアッセイのCNRを測定するためのアッセイは、以下の工程を含む。
【0178】
(1)対称の受容体、標的、および/または捕捉オリゴヌクレオチド(capture oligonucleotide)で官能化される、開示された低結合基板を調製する工程。
【0179】
(2)受容体、標的、および/または捕捉オリゴヌクレオチドを捕捉する工程。該受容体、標的、および/または捕捉オリゴヌクレオチドは、直接標識され得るか、あるいはその後の標識反応の前駆体であり得る。増幅または追加のプローブ標識化の工程が必要ない場合、工程5に進む。プローブ標識化の工程が、レポーターを作り出すために必要な場合、工程4に進む。それ以外は、工程3に進む。
【0180】
(3)従来の免疫アッセイ(immunoassay)シグナル増幅、オリゴヌクレオチド複製増幅(例えば、ブリッジ、等温、RCA、HDA、またはRCA-MDA増幅戦略を使用)を介して、受容体、標的、および/または捕捉オリゴヌクレオチドの増幅を実行する工程。
【0181】
(4)(例えば、蛍光種または他のタイプのレポーターの使用を通じて)増幅された標的をレポーター標識でプローブする工程。この工程は、ジェノタイピング(genotyping)、核酸配列決定、または表面ベースの標的/受容体識別を含むがこれらに限定されない、任意の表面ベースのバイオアッセイに適用可能である。
【0182】
(5)適切な検出方法を実行する工程。蛍光撮像の場合、検出方法は様々な方法で構成され得る。例えば、従来の光学顕微鏡方法は、以下の構成要素のすべてまたは一部を含む。照明または励起光源、対物レンズ、サンプル、他の光学部品(チューブレンズ、光学フィルター、ダイクロイックレフレクタ(dichroic reflector)など)、および検出モダリティ(例えば、EMCCDカメラ、CCDカメラ、sCMOS、CMOS、PMT、APD、または光レベルを測定するための他の従来の方法)。非光ベースの検出の場合、電気シグナルは、電界効果トランジスタ(FET)検出、電気信号の電極ベース測定(直流または交流)、トンネル電流、磁気シグナルの測定などを含むがこれらに限定されない、様々な手段を使用して測定できる。
【0183】
CNRを計算するための指定された視野(FOV)からの画像化および信号処理の使用が
図8に示され、ここで、図に示されるように、CNR=(シグナル-バックグラウンド)/(ノイズ)、そして、バックグラウンド=(B
intrastitial(組織間)+B
interstitial(組織内))である。
【0184】
本開示の低結合支持体上の核酸配列のクローン増幅クラスターのCNRの計算の以下の例では、画像分析プログラムを使用して、代表的な前景のブライトスポット(bright spot)(「クラスター」)を確認した。通常、スポットは、特定の強度閾値を超える光強度を示す画像ピクセルの小さな接続領域として定義される。指定された範囲内にある合計ピクセル数を構成する接続領域のみが、スポットまたはクラスターとしてカウントされる。ピクセル数に関して大きすぎるまたは小さすぎる領域は無視される。
【0185】
一旦多数のスポットまたはクラスターが識別されると、平均的なスポットまたは前景強度、および他のシグナル統計が計算され、例えば、最大、平均、および/または内挿された最大強度が計算され得る。すべてのスポット強度の中央値または平均値は、前景強度のスポットを表すために使用される。
【0186】
バックグラウンド領域強度の代表的な推定値は、いくつかの異なる方法の1つを使用して決定され得る。1つの方法は、画像を、例えば25x25ピクセルをそれぞれが含む、複数の小さな「タイル」に分割することである。各タイル化領域内で、最も明るいピクセルの一定のパーセント(例えば25%)が廃棄され、残りのピクセルについて強度統計が計算される。バックグラウンド強度を決定するための別の方法は、(以前の工程で定義したとおりの)いずれの前景「スポット」をも伴わない、少なくとも500ピクセル、またはそれ以上の領域を選択することと、その後に強度統計を計算することである。その後、これらの方法のいずれかについて、代表的なバックグラウンド強度(中央値または平均値)と、標準偏差とが計算される。選択領域の強度の標準偏差は、代表的なバックグラウンド変動として使用される。
【0187】
次に、コントラスト対ノイズ比(CNR)は、(前景強度-バックグラウンド強度)/(背景標準偏差)として計算される。
【0188】
図21-23は、ここで記載される核酸増幅方法論と低結合支持体との異なる組み合わせのCNRを計算するために使用される、生の画像データと強度データのヒストグラムの例を提供する。これらの例の各々では、上部ヒストグラムが背景ピクセル強度ヒストグラムであり、下部ヒストグラムが前景スポット強度ヒストグラムであり、また、元の画像の一部も含まれる。画像は同じ強度スケールでないため、視覚的な明るさの知覚は、実際の強度を示さないことに留意されたい。
【0189】
これらの例では、以前に議論された方法を使用して、低結合固体支持体を作り出した。オリゴヌクレオチドプライマー(使用される増幅スキームに応じたて1つまたは2つのプライマー配列)を、開示された方法を使用して、様々な密度でグラフト化した。これらの実験の各々の表面密度は、約100Kプライマー/μm2と推定された。プライマー表面密度は、以下の方法論を使用して推定された。(i)蛍光滴定曲線を、GE Typhoon(GE Healthcare Lifesciences,Pittsburgh,PA)と、Cy3-dCTPの既知濃度を含む、既知の面積(40mm2)、高さ(0.5mm)、および体積(200μl)のキャピラリーフローセル(capillary flow cell)とを使用して作成した、(ii)低結合支持体にグラフト化されたプライマーを、従来のハイブリダイゼーションプロトコル(37度または室温(RT)の3X塩類クエン酸ナトリウム(SSC)、ハイブリダイゼーション条件は、完全性のために特徴付けられるべきである)を使用して、Cy3標識相補的オリゴヌクレオチドにハイブリダイズして、結果として得られる表面上のシグナルの蛍光強度を、較正曲線を生成するのに使用したものと同じGE Typhoon機器を使用して測定した、(iii)表面の単位面積あたりに連結されたプライマー分子の数を、測定された表面シグナルの較正曲線との比較に基づいて、計算した。
【0190】
その後、DNAライブラリー配列を、連結されたプライマーにハイブリダイズした。ライブラリーハイブリダイゼーション工程に使用されるハイブリダイゼーションプロトコルは表面特性によって異なるが、制御されたライブラリー入力が、分解可能なDNA増幅コロニーを作り出すために必要となる。
【0191】
この例では、以下のプロトコルを使用してDNA増幅を実行した。(i)約1Kプライマー/um2のプライマー密度で、28サイクルのブリッジ増幅、(ii)より高い、プライマー密度>5Kプライマー/um2で、28サイクルのブリッジ増幅、(iii)約2-4Kプライマー/um2のプライマー密度で、90分間のローリングサークル増幅(RCA)。
【0192】
増幅後、増幅されたDNAを、相補的「配列決定」プライマーとハイブリダイズさせ、そして、Cy3標識dNTPを含む配列決定反応混合物を添加して(「第1塩基」アッセイ)、それぞれの方法論の各々の第1塩基CNRを決定した。「第1塩基アッセイ」に使用される配列決定反応混合物は、4塩基を識別できるように、標識ヌクレオチドの任意の組み合わせ、修飾ヌクレオチドトリホスフェート(dNTP)を組み込む酵素、および関連する取り込み緩衝液、金属カチオンおよび補助因子などを含むことができる。
【0193】
最初の塩基取り込み後、配列決定反応混合物を、緩衝液と交換し、同じGE Typhoon機器を使用して撮像を実行し、そして結果として得られた画像に対してCNRを計算した。
【0194】
図21は、本開示の低結合支持体の蛍光画像および強度データの例を提供し、それらについて、約2Kプライマー/um
2のプライマー密度で28サイクルのブリッジ増幅を使用して固体相核酸増幅を実行し、鋳型オリゴヌクレオチド配列のクローン増幅クラスターを作り出した。この例では、バックグラウンド強度は592カウント(標準偏差は66.5カウント)、前景強度は1047.3カウント、そして、計算CNR=(1047.3-592)/66.5=455.3/66.5=6.8であった。推定非特異性ノイズ=(592-100)/(1047-100)=52%。
【0195】
図22は、本開示の低結合支持体の蛍光画像および強度データの第2の例を提供し、それらについて、5Kプライマー/um
2のより高いプライマー密度で28サイクルのブリッジ増幅を使用して固体相核酸増幅を実行し、鋳型オリゴヌクレオチド配列のクローン増幅されたクラスターを作り出した。この例では、バックグラウンド強度は680カウント(標準偏差は118.2カウント)、前景強度は1773カウント、そして、計算CNR=(1773-680)/118.2=1093/118.2=9.2であった。推定非特異性ノイズ=(680-100)/(1773-100)=35%。
【0196】
図23は、本開示の低結合支持体の蛍光画像および強度データの例を提供し、それらについて、約100Kプライマー/um
2のプライマー密度で90分間ローリングサークル増幅(RCA)を使用して固体相核酸増幅を実行し、鋳型オリゴヌクレオチド配列のクローン増幅されたクラスターを作り出した。この例では、バックグラウンド強度は254カウント(標準偏差は22.7カウント)、前景強度は6161カウント、そして、計算CNR=(6161-254)/22.7=5907/22.7=260であった。低結合表面と増幅プロトコルのこの組み合わせを使用して達成されたCNRの劇的な改善に留意されたい。推定非特異性ノイズ=(254-100)/(6161-100)=3%。
【0197】
実施例9-ポリマー支持体表面の修飾
本明細書で開示された目的のための表面の修飾は、アミンを含む、多くの化学基(-R)に対して表面を反応性にすることを含む。適切な基板上に調製された場合、これらの反応性表面は、室温で、例えば少なくとも3ヶ月以上長期間保存することがでる。そのような表面は、本明細書のあらゆる場所に記載されているとおり、核酸の表面上増幅のために、R-PEGおよびR-プライマーオリゴマーと共にさらにグラフト化することができる。環状オレフィンポリマー(COP)などのプラスチック表面は、当技術分野で既知の多数の方法のいずれかを使用して修飾することができる。たとえば、Ti:サファイアレーザーアブレーション、UV媒介エチレングリコールメタクリレート光グラフト化、プラズマ処理、または機械的攪拌(サンドブラスト、研磨など)で処理し、アミンなどの多くの化学基に対して数か月間反応性を維持できる、親水性表面を作り出すことができる。その後、これらの基は、生化学的活性を失うことなく、PEGなどの不動態化ポリマー、またはDNAやタンパク質などの生体分子の抱合を可能にし得る。例えば、DNAプライマーオリゴマーの付着により、不動態化されたプラスチック表面上のDNA増幅が可能になり、同時に、タンパク質、フルオロフォア分子、または他の疎水性分子の非特異的吸着が最小限に抑えられる。
【0198】
さらに、表面修飾は、例えばレーザープリントまたはUVマスキングと組み合わせて、パターン化された表面を作り出すこともできる。これにより、DNAオリゴマー、タンパク質、または他の部分のパターン化された付着が可能になり、表面ベースの酵素活性、結合、検出、または処理が可能になる。例えば、DNAオリゴマーは、パターン化された特徴内にのみDNAを増幅した、または増幅された長いDNAコンカテマーを、パターン化された方法で捕捉するために使用され得る。いくつかの実施形態では、酵素の島が、溶液ベースの基板と反応することができる、パターン化された領域で生成されるかもしれない。プラスチック表面はこれらの処理方式に特に適しているので、本明細書で企図されるようないくつかの実施形態では、プラスチック表面は特に有利であると認められ得る。
【0199】
さらに、プラスチックは、射出成形、エンボス加工、または3Dプリントによって、ガラス基板よりもはるかに容易に、マイクロ流体デバイスを含む任意の形状を形成することができ、それゆえ、例えば、バイオマーカー検出またはDNA配列決定用のサンプルから結果までのマイクロ流体チップ(sample-to-result microfluidic chip)などの複数の構成で、生体サンプルの結合と分析のための表面を作り出すために使用することができる。
【0200】
修飾されたプラスチック表面上で特定の局在的DNA増幅が達成され、蛍光標識でプローブされた時に、ノイズ対コントラストが極めて高く、バックグラウンドが非常に低いスポットが生成された。
【0201】
親水化されかつアミン反応性を有する、代表的な環状オレフィンポリマー表面に、アミン-プライマーとアミン-PEGをグラフト化し、それがローリングサークル増幅を補助することを発見した。その後、フルオロフォア標識プライマーでプローブした時に、またはポリメラーゼによってハイブリダイズされたプライマーに標識dNTPを追加した時に、100を上回るシグナル対ノイズ率を示す、DNAアンプリコンのブライトスポットが観察され、このブライトスポットは、バックグラウンドが非常に低く、高度に特異的な増幅と、蛍光ベースのDNAシーケンサー(sequencer)などの高精度検出システムの特徴である極めて低レベルのタンパク質および疎水性フルオロフォアの結合を示す。
【0202】
ここでは、連結DNAクラスターが組み込まれ、ライブラリー配列の第1塩基がプローブされた、プラスチックフローセルをテストする。DNAの表面への組み込みのために、親水化された環状オレフィンポリマー(COP)プラスチック表面に、実施例1と実施例7、および本明細書のあらゆる場所で既述の、PEG-NHSコーティングガラス表面の様に、25量体アミン-プライマー1、アミン-プライマー2、およびアミン-5K PEGをグラフト化した。ライブラリーインサートに加え、プライマー2配列、配列決定プライマー配列、およびプライマー1に相補的な配列を含む、5pMの環状DNAライブラリーを、15分間表面にハイブリダイズした。その後、ローリングサークル増幅(RCA)を、最大で0.5-1Mbの長さのコンカテマー配列DNAコイルを作り出すために、実施例2-5、および本明細書のあらゆる場所で既述の通りに実行した。配列決定プライマーをハイブリダイズさせ、第1塩基を、ポリメラーゼでセットされたフルオロフォア標識dNTPを使用して組み込んで、
図25Aに示されるように3つの異なる色でクラスターを標識した。
【0203】
不動態化されたガラスと不動態化されたCOP表面との間の比較を提供するために、並列実験を、(実施例7に記載されるような表面調製によって、)COP表面ではなくガラスから開始し、同一パラメータを使用して、実施した。
図25Aと
図25Bに示されるように、COP表面上に最初の蛍光標識された塩基を組み込むことによって生成されるシグナルは、観察されたスポットの強度と解像度の両方について、同様に処理されたガラス表面上で得られるシグナルに相当する。これは、本明細書に開示される方法が、核酸の固定化、増幅、および検出のための、表面の調製のための一般的な方法を提供することを示唆する。
【0204】
強度とCNRは、ガラスとプラスチックの両方に対して決定される。
図26Aを見ると、ガラスとプラスチックの両方が、実質的にバックグラウンドを超える検出条件下で、シグナルの強度を示している。ガラスとプラスチックの両方について、シグナルの強度は左に、そしてバックグラウンドは右に描写される。
図26Bを見ると、ガラスとプラスチックの両方のCNRが、アッセイされた条件下で50を上回る。
【0205】
実施例10-表面生成物
有機染料および有機タンパク質への非特異的結合をわずかに示し、少なくとも95℃までの安定性、高pH(0.1M NaOH)、低pH(>5.0)で、有機溶媒(メタノール、エタノール、アセトニトリル、ホルムアミド、酸化剤、ホスフィン)に対する化学的安定性、長期保存安定性、低入力ライブラリー要件、およびスケーラブルなプライマーローディングを示す、表面を以下の通り生成する。このプロセスは、表面の洗浄およびシラン化または不動態化を含む。
【0206】
表面を、2M KOH溶液をalconox/hellmanex浄化剤と組み合わせて使用して洗浄し、エタノールを使用してすすぐ。その後、表面を560℃に加熱し、OH基を露出させた。表面を、交互にまたは一緒にプラズマ処理にかける。
【0207】
表面を、5mg/mLのシラン-5kPEG-NHS(99.9%のエタノール/0.01%の酢酸)を使用してシラン化し、65℃まで加熱し、そしてKOH/浄化剤/熱で洗浄された表面を使用してテストした。交互にまたは一緒に、表面を、10mg/mLのシラン-5kPEG-NHS(90%のDMF/10%の100mMのMES、PH5.5)を使用してシラン化し、25℃まで加熱し、そしてKOH/浄化剤/熱で洗浄された表面を使用して、またはプラズマ処理表面でテストした。
【0208】
Cy3-C、R11-U、Cy3.5C、647N-A、Cy5-G、660-U、Cy5.5-Cなどの多くの染料が、これらの表面と共に使用できる(注:200nMの染料のみ)。例示的な染料混合物は、Cy3-A、Cy3.5-C、Cy5-U、AHO690-Gを含む。
【0209】
そのような表面には、低濃度(5.0x104プライマー/um2)、高濃度(1.0x107プライマー/um2)、およびこれらの終止点によって定義される範囲内、またはこの範囲外の値の濃度で、プライマーが調整可能にロードされる。
【0210】
濃度は、随意に以下の通り測定される。異なる濃度のCy3-dCTP溶液を作り、GE Typhoon(GE Healthcare Lifesciences,Pittsburgh,PA)、または固定寸法(0.5mmx5mmまたは他の面積)を有するキャピラリー中の適切な機器で、FL強度を測定する。これにより、面積が既知であり、かつ分子の数が既知である時に、プライマーのローディングが得られる。
【0211】
80,000、160,000、320,000、640,000、1,300,000、2,600,000、および5,100,000のプライマー/μm2の濃度は、このアプローチを使用して測定されており、これらの終止点によって定義される範囲内、またはこの範囲外の値の他の濃度が容易に達成可能である。これらの密度は、本明細書に開示される通り、多層PEGまたは他の表面の存在によって促進される。
【0212】
1週間以上の保存に対して、表面が、大幅な安定性の低下を示さないことが確認された。
【0213】
多数の表面変異体について密度を測定し、結果は以下の通り確認できた。PEGアミン-APTES上の3層多分岐PEG(8,16,8)が、2層の7uMプライマープレローディングにさらされ、表面に2,000,000~10,000,000の濃度を示した。同様の濃度が、8uMプライマーにさらされたPEGアミン-APTES上の3層多分岐PEG(8,16,8)と(8,64,8)、および、星型のPEG-アミンを使用してダンベル型の16量体および64量体を置換する、3層多分岐PEG(8,8,8)で観察された。
【0214】
これらのアプローチを使用して、増加したプライマー密度により、より高い前景強度、より高いコロニー密度、およびより高いCNRが得られることが観察された。例えば、10pMの入力では、プライマー密度<1.0x104プライマー/um2を有する表面上では10のCNRが得られ、他方、同様の入力で、プライマー密度>1.0x106プライマー/um2では40-60のCNRが得られた。
【0215】
実施例11-高CNR表面によって高品質データを得る。
現在最先端の表面、および本明細書に開示されるものなどの、低CNR表面と高CNR表面とが、第1の染料と第2の染料に対応する第1のチャネルと第2のチャネルで検出される時の、それらの蛍光に関してテストした。
【0216】
CNRが増加すると、個々の検出イベントがより鮮明な解像度で見られることが観察された。これらの検出イベントは、
図27上部3つのファイルに見られるように、より高いエラーの「クラウド」にではなく、染料発光スペクトルに対応する別個の軸に沿って整列する。
図27の下部3つのファイルを見ると、この、より正確なデータ収集は、特定の予想される波長でのより狭く、より高いピークと、中間位置でのより少ないデータポイントとして現れる。この、より明確に解像されたデータセットは、高CNR表面で実行されたアッセイから生じる、より正確な蛍光ベースコール(base call)に変換される。
【0217】
実施例12-クローン増幅された多量体標的オリゴヌクレオチド分子
図28は、例えば、μm2あたり4,000以上の分子などの高表面密度のオリゴヌクレオチドアダプターまたはプライマー分子を含む表面(左)と、例えば、オリゴヌクレオチドアダプターまたはプライマー分子がum2あたり500未満の分子などのより低い表面密度を含む表面(右)にハイプリダイズされた、クローン増幅された、多量体標的オリゴヌクレオチド配列の概略図を提供し、そして、結果として生じた、達成され得るCNRの改善を示す。いくつかの表面は、2000分子/uM
2よりも高いオリゴヌクレオチド密度を有するように調製されており、表面の蛍光画像は、20を超えるコントラスト対ノイズ比を有する。
【0218】
実施例13-入力核酸要件の減少
図29は、本開示の低結合支持体表面上で従来のハイブリダイゼーション反応を実行、および本開示の低結合支持体表面上で最適化ハイブリダイゼーション反応を実行するため結果の比較を提供する。従来のハイブリダイゼーションアプローチは、SSC緩衝液を使用し、そして95℃に加熱した後、2時間ゆっくり冷却する。オリゴヌクレオチドプライマーを低結合支持体表面に付着させた後、標的核酸のオリゴヌクレオチドプライマーへの効率的なハイブリダイゼーションは、低結合表面上における衝突頻度の減少に見舞われる可能性がある。従来技術表面上における捕捉オリゴヌクレオチドカップリングの減少に少なくとも部分的に起因して、標的DNAを表面結合プライマーに添加するための従来のハイブリダイゼーション方法は、最大で10nMの入力DNA濃度を必要とする(結合支持体表面に結合する、標識された標的オリゴヌクレオチドを示す、
図29の左を参照)。これらの高濃度においてですら、標的オリゴヌクレオチドのカップリングは限定的である。比較として、それぞれ同じ濃度で、非相補的オリゴヌクレオチドを陰性対照として使用した(
図29最下段)。比較として、開発された、PEGを含む混合物を含む、新しいハイブリダイゼーション反応条件を使用すると、例えばエタノール、メタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、ブタノールなどの、水と比較して極性が低い溶媒、ホルムアミド、および低pH緩衝液(<7)の標的核酸配列が、50pMという低い標的核酸の入力濃度で表面に付着したオリゴヌクレオチドにハイブリダイズされた。標的核酸入力濃度の低下は、ハイブリダイゼーション効率の約200倍の増加を示し(開示された低結合表面に結合する、標識された標的オリゴヌクレオチドを示す、
図29の右を参照)、これは、開示された低結合支持体表面に、入力ライブラリーDNAが不十分である可能性のある配列決定技術で使用するための重要な利点を提供する。効率的なプライマーカップリングプロセスとハイブリダイゼーション条件は、当技術分野で記載されている従来のプライマーカップリングの化学作用またはハイブリダイゼーション条件を使用してでは達成されていないであろう、オリゴヌクレオチドプライマーの非特異的低結合と高表面密度を有する表面の調製を可能にし得る。比較として、それぞれ同じ濃度で、非相補的オリゴヌクレオチドを陰性対照として使用した(
図29最下段、右)。画像の各々の検出可能なタグは、シアニン染料-3(Cy3)であり、ここで、取得された表面の蛍光画像)20x、0.75NA、532nm光源、バンドパスとダイクロイックミラーフィルターセット、532nmのロングパス励起およびCy3蛍光発光フィルターSemrock、532nmダイクロイックリフレクター、およびカメラ(Andor、sCMOS、Zyla 4.2など)用に最適化されたもの。
【0219】
従来の条件または標準条件を、2X-5X生理食塩水-クエン酸ナトリウム(SSC)緩衝液(std)中のハイブリダイゼーションレポータープローブ(5’末端にCy(商標)3フルオロフォアで標識された相補的オリゴヌクレオチド配列)を使用して、報告濃度90度で、その後37度に達するまでゆっくりとした冷却プロセス(2時間)を使用して、テストした。両方のテスト条件に使用された表面は、約0.25分子/μm2未満の非特異的Cy3染料吸収のレベルを有する、非特異的超低結合表面であった。ウェルを、50mMのトリス(Tris)pH8.0、50mMのNaClで洗浄した。画像は、100 X TIRF対物レンズ、NA=1.4(Olympus)を備えた倒立顕微鏡(Olympus IX83)、532nm光用に最適化されたダイクロイックミラー(Semrock、Di03-R532-t1-25x36)、Cy3発光用に最適化されたバンドパスフィルター(Semrock、FF01-562/40-25)、およびカメラ(sCMOS、Andor Zyla)を使用して、非シグナル飽和条件(non-signal saturating condition)下で1秒間(Laser Quantum、Gem 532、サンプルで<1W/cm2)で取得し、サンプルを緩衝液(25mM ACES、pH7.4緩衝液)に浸した。1umオリゴヌクレオチドグラフト濃度の50%ACN+MESと、5.1uMオリゴヌクレオチドグラフト濃度の25%ACN+MES+20%PEG+10%ホルムアルデヒドの条件を選択し、これらの条件の実行可能性を試験して、低結合基板上で、既存の標準表面ハイブリダイゼーションプロトコルを改善した。オリゴヌクレオチドプローブを指定の濃度で添加し、ハイブリダイゼーションを50℃で2分間実行した。画像を上述の通り回収し、結果を図に示す。
【0220】
実施例14-従来のオリゴプライマー連結の化学作用、ハイブリダイゼーション反応条件、および低結合支持体表面上における増幅技術の比較
図30-32は、本開示の低結合支持体について、
図29の記載に概説される方法論を使用する従来のハイブリダイゼーション反応、または改善されたハイブリダイゼーション反応の実施についての実験結果の比較を提供し、ここでは、オリゴプライマーを、NHS-NH
2カップリング反応について、通常、pH=8.3の重炭酸ナトリウム(sodium biocarbonate)緩衝液で行う、従来のカップリングについての化学作用を使用して、または、pH>8.0の緩衝液成分を添加したカップリング緩衝液(有機ベースの溶媒)の極性を変更した、改良されたカップリングについての化学作用を使用して、付着させ、そして、ハイブリダイゼーション反応後に、RCAまたはブリッジ増幅のいずれかの実行が続いた。PCRベース(「ブリッジ」)増幅またはローリングサークル増幅のいずれかによる、明確な表面密度閾値に満たないオリゴヌクレオチドプライマー表面密度を有する低結合支持体上の標的DNAの増幅は、以下の2つの課題を生み出す伸長または拡散した標的分子を生じさせる;1)充填密度の低下、および、2)シグナルの低下。その結果、そのような表面に基づくハイスループット(high throughput)な配列決定用途のためのシステムのスケーリングが、大幅に損なわれる。
図30は、オリゴヌクレオチド密度<1000オリゴヌクレオチド/um
2であるような、従来のオリゴヌクレオチドカップリングについての化学作用を使用する低結合表面上における、PCR増幅(「ブリッジ」;右)およびローリングサークル増幅(左)の両方の結果を示す。これらの画像では、標識され増幅された標的DNAには、配列決定用途における撮像に、深刻な問題をもたらす、拡張適合(extended conformation)が想定され得る。比較によると、
図31は、PCR/「ブリッジ」増幅の結果を示し、
図32は、ローリングサークル増幅(RCA)の結果を示し、それらは、μm
2あたり少なくとも1,000分子のオリゴヌクレオチドプライマー表面密度を有する表面上で行われた。これらの表面は、増幅された標的DNAを高度局在化領域に圧縮し、その領域は、添付された標識から高い蛍光強度を、そして撮像に際して小さなピクセル面積を生成する。特に、高い蛍光強度は、配列決定用途のスポット強度を計算する時のシグナルの増加につながる。重要なことに、本明細書に開示される低結合表面の使用から生じる、増強されたコントラスト対ノイズ比は、増幅された標的DNAのこの圧縮から生じる非常に高いシグナルと、親水性コーティング表面によって提供される非常に低いバックグラウンドとの両方の関数である。これらの画像の各々は、個々の標識を持つ標識ヌクレオチドを有しており、各ヌクレオチドは異なる発光標識を有する。一例として、標識は、それぞれCy3、Cy3.5、Cy5、およびCy5.5から成り、20x、0.75NA、532nmの光源を備えたOlympus IX83顕微鏡、532nmロングパス励起およびCy3蛍光発光フィルター様に最適化された、バンドパスおよびダイクロイックミラーフィルターセット、Semrock、532nmダイクロイックリフレクター、およびカメラ(Andor sCMOS、Zyla 4.2)で、少なくとも0.5秒の露光時間で撮像した。
【0221】
実施例15-低結合支持体表面上における増幅反応の比較
図33は、標的オリゴヌクレオチドがハイブリダイズおよび増幅された、従来の支持体表面および本開示の低結合支持体表面の、蛍光画像の非限定的な例を提供する。配列決定精度を高めるために、増幅された各標的核酸は、支持体表面の画像において他の標的核酸から明確に分離可能でなければならない。各標的核酸はまた、配列決定サイクル中に、配列中の各ヌクレオチドの識別に関連する(蛍光シグナルなどの)シグナルを提示(「ベースコールと呼ばれるプロセス)しなければならない。多くの場合、単純に、標的核酸分子に添付された標識によって提供される蛍光強度であるこのベースコールシグナルは、ノイズ(スポットまたは標的内のシグナルの変動)とバックグラウンド(実験環境を形成する材料の特性によって非特異的に生成されるスプリアスシグナル(spurious signal))の両方を上回って、明確かつ正確に解像可能なものでなければならない。コントラスト対ノイズ比(「CNR」)は、配列決定システムについて、標的核酸配列の各位置に存在する塩基を正確に判定する能力、ならびにその読み取り長、再現性、およびスループットを定義する。現在開示されている低結合支持体表面は、非特異的タンパク質と染料結合の減少を提供し、これによって、より低いバックグラウンドシグナル、およびよりコンパクトでより明るい前景シグナルをもたらし、これによって、増強されたCNRをもたらし、そして配列決定用途における優れたベースコール結果を促す。
図32は、一般に、従来の方法に従って調製された、クローン増幅された標的DNAのために必要に応じて適合されたPEGコーティング表面(上、「従来」)と、本開示の低結合支持体表面(上、「要素、現在」)との比較を示す。画像からは、現在開示されている表面が従来の表面よりも、クローン増幅DNAの測定に対してとりわけ鋭く、より強いスポットを示すことが明らかである。スポット強度(クローン増幅標的DNAに帰する蛍光、配列決定シグナルと等価である)と、バックグラウンド強度の両方の定量的測定は、開示された低結合支持体表面(下、「要素、現在最良」)のCNRが、従来の表面(下、「従来の改善」)を使用して達成可能なものを、標的DNAの結合に改善されたハイブリダイゼーション条件使用時などの理想的な撮像条件下であってもなお、はるかに超えていることを示す。このCNRの増加は、従来の支持体表面を使用して合理的に予想できるものよりも大きく、従来技術の表面を上回る質的改善および量的改善の両方を表す。これらの改善は、例えば、非特異的タンパク質と染料結合の減少、表面への適切な密度のオリゴヌクレオチドの付着、および表面へのクローン増幅標的核酸のハイブリダイゼーション/結合などの、いくつかの基準を満たす支持体表面を生成することによって達成され、配列決定用途におけるベースコールの強化を可能にする、非常に高いCNRの画像を生成する。
【0222】
実施例16 - 他のポリマーを使用する低結合支持体の調製の説明的な実施例
有機的な汚染物質を除去し、かつシランカップリング用の表面の水酸基を活性化するために、スライドガラスを物理的または化学的に処理する(例えば、プラズマ処理、ピラニアクリーニング工程、酸洗浄剤、塩基洗浄剤、高温ガラスアニーリング、あるいはその任意の組み合わせを使用して)。次に、調製したガラス表面をシランに反応させて、官能基(例えば、1級アミン)および/または親水性ポリマー層の第1の層を共有結合させる。いくつかの例では、例えば、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン(APTMS)、または(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン(APTES)3(3-アクリロプロピル)トリメトキシシランなどのシランは、1級アミン官能基を共有結合で表面に付着させるために標準プロトコルを使用して表面と反応させられる。他の例では、シラン変性ポリマー、例えば、1つの末端においてシリル基、および別の末端において第2の官能基(例えば、1級アミン、カルボキシル基、など)を含む、親水性のヘテロ二官能性ポリマーは、表面と直接反応させられる場合がある。(例えば、清潔なガラス表面をエタノール中の0.1%の~2%濃度のシラン変性ポリマーに約1~2時間接触させ、その後エタノールと水ですすぐことによって)。適切なシラン変性ポリマーの例は、限定されないが、以下の例を含む:シラン-PEG-NH2(例えば、1000、2000、3400、5000、または、10Kダルトンの、分子量を有するポリエチレングリコール(PEG))、シラン-PEG-COOH(例えば、1000、2000、3400、5000、または、10Kダルトンの分子量を有するPEG)、シラン-PEG-マレイミド(例えば、1000、2000、3400、5000、または、10Kダルトンの分子量を有するPEG)、シラン-PEG-ビオチン(例えば、1000、2000、3400、5000、または、10Kダルトンの分子量を有するPEG)、シラン-PEG-アクリレート(例えば、1000、2000、3400、5000、または、10Kダルトンの分子量を有するPEG)、シラン-PEG-シラン(例えば、1000、2000、3400、5000、または、10Kダルトンの分子量を有するPEG)、付加的な官能基を含む様々な分子量のシラン変性ポリプロピレングリコール(PPG)、付加的な反応性官能基を含む様々な分子量のシラン変性ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、付加的な反応性官能基を含む様々な分子量のシラン変性ポリエチレンイミン(PEI)、付加的な反応性官能基を含む様々な分子量のシラン変性ポリ(リジン)、など、または、それらの任意の組み合わせ。
【0223】
いくつかの例では、表面とシランまたはシラン変性ポリマーとの初期反応に続いて、親水性ポリマー層の少なくとも1つの付加層がガラス表面にカップリングされるか、または堆積される。限定されないが、ポリマーコーティングは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(ビニルピリジン)、ポリビニルピロリドン)(PVP)、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリアクリルアミド、ポリ(Nーイソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMA)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート(PHEMA)、ポリ(オリゴ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート(POEGMA)、ポリグルタミン酸(PGA)、ポリ-リジン、ポリ-グルコシド、ストレプトアビジン、デキストラン、または、それらの任意の組み合わせを含む、当業者に公知の数ある親水性ポリマーのうちどれを使用してもよく、ここで、共有結合のカップリングの場合には、適切な単官能性、ホモ二官能性、および/またはヘテロ二官能性の反応性基を含むポリマーは、選ばれた抱合化学作用との適合性に関して選択する。場合によっては、PEGアミン、PEG-NHS、またはPEGアクリレートなどの、誘導体化されたポリマーを使用する。場合によっては、アクリルレート-PEG-NHSなどの二官能性PEG誘導体を使用する。場合によっては、表面を、エタノールまたはエタノール/水性緩衝液中の0.1%~2%のポリマーに、約5分間から約1時間、室温で接触させ、その後エタノールまたはエタノール/水性緩衝液ですすぐことによって、これらの付加的な親水性ポリマー層を前の層にカップリングまたは堆積させてもよい。
【0224】
いくつかの例では、第2、第3、第4、第5の、またはより多くの、親水性ポリマーの付加層を、支持体表面の初期層にカップリングまたは堆積させてもよい。いくつかの例では、適切なホモ官能性またはヘテロ官能性の架橋試薬を使用して、層内のポリマー分子を互いに架橋させてもよい。いくつかの例では、異なる層におけるポリマー分子が互いに架橋されることがある。いくつかの例では、親水性ポリマー層の1つ以上は、分岐状ポリマーを含んでもよく、その例として、分岐状PEG、分岐状ポリ(ビニルアルコール)(分岐状PVA)、分岐状ポリ(ビニルピリジン)、分岐状ポリ(ビニルピロリドン)(分岐状PVP)、分岐状ポリ(アクリル酸)(分岐状PAA)、分岐状ポリアクリルアミド、分岐状ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド(分岐状PNIPAM)、分岐状ポリ(メチルメタクリレート)(分岐状PMA)、分岐状ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(分岐状PHEMA)、分岐状ポリ(オリゴ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート)(分岐状POEGMA)、分岐状ポリグルタミン酸(分岐状PGA)、分岐状ポリ-リジン、分岐状ポリ-グルコシド、分岐状デキストラン、または、それらの任意の組み合わせ、が挙げられる。
【0225】
より多くの親水性ポリマー層のうちの1つは、複数の共有結合しているオリゴヌクレオチドアダプターまたはプライマー分子を含む場合があり、ここで、オリゴヌクレオチド分子は、当業者に公知の、様々な適切な抱合化学作用のいずれかを使用して、ポリマーに共有結合でカップリングされる。いくつかの例では、オリゴヌクレオチドアダプターまたはプライマー分子は、溶液の中で、つまりポリマー分子を表面にカップリングさせるか堆積させる前に、ポリマー分子に共有結合でカップリングされる。いくつかの例では、オリゴヌクレオチドアダプターまたはプライマー分子は、表面上に結合または堆積された後、高分子に共有結合で結合される。いくつかの例では、少なくとも1つの親水性ポリマー層は、複数の共有結合しているオリゴヌクレオチドアダプターまたはプライマー分子を含む。いくつかの例では、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つの親水性ポリマーの層が、複数の共有結合で付着されたアダプターあるいはプライマー分子を含む。
【0226】
使用されるポリマーの選択、層の数、層の中およびその間の架橋度、共有結合されたオリゴヌクレオチドアダプターまたはプライマー分子を含む層の数、および、オリゴヌクレオチドアダプターまたはプライマー分子の局所濃度もしくは表面密度は、以下のことを達成するように表面の特質を「調整する」ために、個別にまたは相対的に調節される場合がある:所望の表面湿潤性(例えば、50度未満の水接触角度によって示される)、配列決定/遺伝子型判定試薬およびしばしば少なくとも95℃のピーク温度の温度傾斜を必要とし、および少なくとも5分間維持され、および複数回、少なくとも30回サイクルされる、熱サイクリングへの長期暴露下における、所望の表面安定性、および、オリゴヌクレオチドアダプターまたはプライマー分子の所望の表面密度(例えば、μm2当たり、少なくとも1,000のアダプターまたはプライマー分子)であり、これにより、染料分子または他の標識配列決定/遺伝子型判定試薬の非特異的の結合の極端な低下、ハイブリダイゼーション効率の改善、増幅効率および特異性の改善、クローン増幅された標的配列の最適な密度(単位面積当たりのクローンのコロニーの数、単位面積当たりの標的配列のコピー数、または単位面積当たりの増幅された標的分子の数の観点から)、支持体表面の画像(例えば、蛍光画像)における高いコントラスト/ノイズ比(CNR)(例えば、20より大きいCNR)、および、究極的には、遺伝子型判定と配列決定の用途における、改善した検出精度または塩基呼び出し精度、をもたらす。
【0227】
実施例17 - アクリレートをカップリングされた表面
プラズマ処理された、KOH処理された、またはプラズマ/KOH処理されたガラス表面、またはシリコンウェーファー、または、プラズマ処理されたCOP表面を、(3-アクリロプロピル)トリメトキシシラン((3-acrylopropyl)trimethoxysilane)で処理し、次に、平均PEG分子量が、特にPEG-3.4Kを含めて、1Kから6Kの範囲で変動する二官能性アクリレート-PEG-NHS(acrylate-PEG-NHS)でインキュベーションした。PEGが必ず、42℃の水に溶解可能、37℃の水に溶解可能、室温の水に溶解可能、42℃の液態、37℃の液態、または室温の液態に、溶解可能である、という制限つきで、500~10Kの分子量を想定した。0.5%(w/w)までの2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノンの追加によってPEG取り込みを随意に支援し、続いて、UV処理を行なった(3.0mW/cm2で10分間)。3mMおよび6mMの濃度でアクリレート-PEG-NHSを使用し、6mMのアクリレート-PEG-NHSで優れた結果が達成された。結合されていないポリマーを除去するために洗浄した後、NHS基の自己融解を可能にするために、十分な時間、表面を室温で培養すると、結合PEG分子上に末端カルボキシレート基が残った。その後、これらの表面をEDAC-HClを用いた処理によって活性化させ、および、オリゴヌクレオチドをコンジュゲートした表面を生成するために5’-アミノオリゴヌクレオチドを添加した。SP6オリゴヌクレオチド(25NT)とSP5Pオリゴヌクレオチド(3′ホスフェートcapを備えた25NT)の組み合わせを、1:1比率で、または1:2、1:5、または1:10比率で添加した(SP6オリゴヌクレオチドは表面増殖されたローリングサークル増幅のためのプライマーであり、一方、SP5Pは、ランダムなプライミングの発生またはRCA増幅生成物の非特異的縮合/結合の阻止を支援する)。結合されていないオリゴヌクレオチドを除去するためにpH9のMES中の90%EtOHで洗浄した後、ACES/KCl/EDTA/Tween20を含んだ保存緩衝液を添加した。表面は、この緩衝液状態下で少なくとも7日で保存され得る。次に、標的核酸を表面上ローリングサークル増幅するために、付着したプライマーを含んでいる表面を使用し、本明細書の他の箇所で示されるような凝縮した核酸分子を生成した。調整済みRCA生成物も表面に結合させ、同様に密度の高い核酸構造を生成した。
【0228】
本発明の好ましい実施形態が本明細書中で示され、記載されてきたが、このような実施形態はほんの一例として提供されているに過ぎないことが当業者に明らかであろう。当業者であれば、多くの変更、変化、および置換が、本発明から逸脱することなく思いつくだろう。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代替案が、本発明の実施に際して任意の組み合わせで利用され得ることを理解されたい。以下の請求項は本発明の範囲を定義するものであり、この請求項とその均等物の範囲内の方法、および構造体がそれによって包含されるものであるということが意図されている。