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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123019
(43)【公開日】2024-09-10
(54)【発明の名称】HCMVワクチン株
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/38 20060101AFI20240903BHJP
   A61K 39/12 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 39/245 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20240903BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240903BHJP
   A61P 31/22 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
C12N15/38
A61K39/12 ZNA
A61K39/245
A61K31/7088
A61P37/04
A61P31/22
A61K48/00
A61K39/12
C12N15/38 ZNA
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024088246
(22)【出願日】2024-05-30
(62)【分割の表示】P 2020573521の分割
【原出願日】2019-06-28
(31)【優先権主張番号】18180863.5
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】62/692021
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520363878
【氏名又は名称】ユニバーシタッツメディズィン デア ヨハネス グーテンベルク-ユニバーシタット マインツ
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(72)【発明者】
【氏名】プラヒター、ボド
(72)【発明者】
【氏名】ジマーマン、クリスティーン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】組換えヒトサイトメガロウイルス(HCMV)株をコードする核酸分子、前記HCMV株によって産生されるデンスボディ、および医薬において、特にHCMVに対するワクチンとしての使用のための前記デンスボディの調製物を提供する。
【解決手段】組換えHCMV株のゲノムをコードする核酸分子であって、組換えHCMV株が、機能的なpUL25タンパク質をコードしておらず、組換えHCMV株が、機能的インターフェロン-βをコードしていない、医薬、特にヒト医薬における使用のための核酸分子が提供される。
【選択図】図1-1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組換えHCMV株のゲノムをコードする核酸分子であって、
組換えHCMV株が、機能的なpUL25タンパク質をコードしておらず、
組換えHCMV株が、機能的インターフェロン-βをコードしていない、
医薬、特にヒト医薬における使用のための、核酸分子。
【請求項2】
組換えHCMV株が、五量体複合体を形成するために適した機能的ウイルスgH(pUL75)、gL(pUL115)、pUL128、pUL130、およびpUL131Aタンパク質をコードする、請求項1の核酸分子。
【請求項3】
組換えHCMV株が、HCMV株タウン(GenBankアクセッション番号AY315197下で寄託したTowne-BACに存在する)に由来する、請求項1または2の核酸分子。
【請求項4】
組換えHCMV株が機能的な緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードしていない、請求項1~
3のいずれか一項の核酸分子。
【請求項5】
組換えHCMV株が機能的IFN-βをコードしていない、請求項1~4のいずれか一項の核酸分子。
【請求項6】
組換えHCMV株が、機能的pUL25タンパク質をコードする参照HCMV株と比較して弱毒化し
ている、請求項1~5のいずれか一項の核酸分子。
【請求項7】
HCMV株の、特に、請求項1~6のいずれか一項に記載のゲノムを有するHCMV株による、哺乳動物標的細胞への感染により産生したデンスボディであって、
デンスボディが、pUL25タンパク質を含まず、
デンスボディが、前記ウイルス感染細胞の培養上清から単離される、
医薬、特にヒト医薬における使用のための、デンスボディ。
【請求項8】
ウイルスタンパク質gH、gL、pUL128、pUL130およびpUL131Aからなる五量体複合体を含
む、請求項7のデンスボディ。
【請求項9】
薬学的に許容される担体中の請求項7または8に記載のデンスボディである調製物。
【請求項10】
医薬、特にヒト医薬における使用のための請求項9の調製物。
【請求項11】
HCMVに対するワクチンとしての使用のための請求項9の調製物。
【請求項12】
ワクチンを接種するヒト対象におけるHCMV関連障害の発生を予防および/もしくは改善するための方法における、ならびに/またはさらなるヒト対象へのHCMV感染の伝播を阻害するための方法における使用のための請求項9の調製物。
【請求項13】
機能的UL25タンパク質をコードする参照HCMV株と比較して、ワクチンを接種するヒト対象においてインターフェロン応答を増加させる、HCMVに対するワクチンとしての使用のための請求項9の調製物。
【請求項14】
HCMVに対するワクチンの製造、特にデンスボディベースのワクチンの製造のための、請求項1~6のいずれか一項の核酸分子の使用。
【請求項15】
請求項9のデンスボディ調製物の免疫遺伝学的に有効な用量を、それを必要とするヒト
対象に投与することを含む、ヒト対象にHCMVに対するワクチンを接種するための方法。
【請求項16】
HCMVデンスボディを産生する方法であって、以下のステップ:
(a)不安定化タンパク質ドメインの安定化リガンドが存在する条件下で、前記不安定化
タンパク質ドメインに融合した複製必須HCMVタンパク質をコードする少なくとも1つの遺
伝子を含む、HCMV株を、哺乳動物標的細胞に感染させるステップ、および
(b)安定化リガンドが存在しない条件下で細胞を培養し、HCMVデンスボディが産生する
ステップ、を含む方法。
【請求項17】
ステップ(b)において、安定化リガンドが、所定の期間の後に細胞培養物から除去される、請求項16の方法。
【請求項18】
(c)細胞からデンスボディを単離するステップをさらに含む、請求項16または17
の方法。
【請求項19】
複製必須タンパク質がpUL51である、請求項16~18のいずれか一項の方法。
【請求項20】
不安定化タンパク質ドメインがFKBP12の変異体、特にFKBP12のF36V変異体である、請求項16~19のいずれか一項の方法。
【請求項21】
安定化リガンドがシールド-1である、請求項20の方法。
【請求項22】
不安定化タンパク質ドメインをコードする遺伝子に融合した、少なくとも1つの複製必
須HCMV遺伝子を含む、核酸分子によってコードされる、組換えHCMV株の、哺乳動物標的細胞への感染によって産生されるHCMVデンスボディ。
【請求項23】
主成分としてHCMVタンパク質pp65を含み、さらにHCMVタンパク質pp150、pp71およびpp28を含む、請求項22のデンスボディ。
【請求項24】
医薬における使用のための、請求項22または23に記載のデンスボディの調製物。
【請求項25】
HCMVデンスボディ調製物の産生のための、不安定化タンパク質ドメインをコードする遺伝子に融合した少なくとも1つの複製必須HCMV遺伝子を含む核酸分子によってコードされ
る、組換えHCMV株の使用。
【請求項26】
HCMVデンスボディ調製物の産生のための、不安定化タンパク質ドメインをコードする遺伝子に融合した少なくとも1つの複製必須HCMV遺伝子を含む核酸分子によってコードされ
る、組換えHCMV株の、哺乳動物標的細胞への感染によって産生されるHCMV粒子の使用。
【請求項27】
デンスボディの産生が、感染性HCMV粒子の同時産生を実質的に伴わない、請求項25または26の使用。
【請求項28】
HCMVワクチンの安全性を高めるための、不安定化タンパク質ドメインをコードする遺伝子に融合した少なくとも1つの複製必須HCMV遺伝子を含む核酸分子によってコードされる
、組換えHCMV株の使用。
【請求項29】
HCMVワクチンの安全性を高めるための、不安定化タンパク質ドメインをコードする遺伝子に融合した少なくとも1つの複製必須HCMV遺伝子を含む核酸分子によってコードされる
、組換えHCMV株の、哺乳動物標的細胞への感染によって産生されるHCMV粒子の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組換えヒトサイトメガロウイルス(HCMV)株をコードする核酸分子、前記HCMV株によって産生されるデンスボディ(dense body(DB))、および医薬において、特にHCMVに対するワクチンとして使用するための前記デンスボディの調製物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)の感染は、例えば、固形臓器または造血幹細胞移植後の免疫状態が低下している患者の病気の主な原因である。さらに、妊娠中のウイルスの感染は先天性感染症を引き起こす可能性がある。このような感染症は、西側諸国の全出生の最大2パーセントの頻度で発生する可能性がある。したがって、先天性HCMV感染は、主
要な公衆衛生上の懸念事項である。したがって、HCMVワクチンの開発は、最優先のヘルスケア目標である。
【0003】
いくつかのワクチン候補が確立されている。これらには、免疫優勢エンベロープ糖タンパク質B(gB)ベースの組換えタンパク質ワクチン、DNAプラスミドまたはペプチドベースのテクノロジーを使用して、gBとT細胞標的ppUL83 [pp65]および/または主要前初期タン
パク質1(IE1)を含む免疫原性ウイルス遺伝子産物を発現するワクチン、、生(life)ウイルスまたはウイルス様粒子(VLP)システムを使用したgBおよびその他のHCMV抗原の発
現を含むベクターベースのワクチンアプローチ、ならびに複製障害もしくは複製効果のあるHCMV(弱毒化ワクチンまたは無効化された単一サイクルワクチン(disabled single-cycle vaccine))が含まれる。
【0004】
デンスボディ(DB)、すなわち、HCMVによる哺乳動物細胞の感染後に放出され、ウイルス糖タンパク質が埋め込まれている脂質膜に囲まれているがウイルスDNAもキャプシドも
含まないウイルス粒子は、その内容が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2000/053729号に記載されるように免疫原性が高いことが見いだされた。融合タンパク質を含
むDBは国際公開第2011/124371号に記載されており、その内容は参照により本明細書に組
み込まれる。
【0005】
HCMVに感染すると、感染細胞からI型インターフェロン(IFN)が放出される。IFNが放
出されると、細胞表面のインターフェロン受容体との結合を介して、下流のインターフェロン刺激遺伝子(ISG)の誘導が起こる。ISGの遺伝子産物の多くは抗ウイルス機能を有する。HCMVは自らの複製をサポートするために、このIFN応答を破壊する多くの戦略を進化
させてきた。
【0006】
本発明者らは、豊富な外皮タンパク質遺伝子に欠失を有するウイルス変異体を作製した。これらの実験の理論的根拠は、DBの産生に不可欠なタンパク質の決定であった。DBの豊富な構成要素であるウイルスタンパク質pUL25をコードする遺伝子の欠失は、DBの産生を
変化させないことが見出された。
【0007】
pUL25タンパク質(例えば、AD169株由来のアクセッション番号UniProtKB-B8YE61)は、HCMV複製に必ずしも必要でないことが知られている(1)。驚くべきことに、本発明者ら
は、pUL25欠失が別のウイルスタンパク質pUL26の代謝安定性ならびにビリオン(virion)およびDBへのそのパッケージングを減少させることを示すことができた。タンパク質pUL26は、インターフェロン刺激遺伝子-15(ISG15)とのタンパク質の結合を妨害することが
他者により見出されている(2,3)。
【0008】
ISG15は、さまざまなウイルスの感染によって誘導されることが知られている。現在の
考えでは、ISG15はすべてのデノボ合成タンパク質に共有結合し、それにより、それらに
分解のためのタグ付けを行う。その結果、ウイルスの増殖は、形態形成のためのウイルスタンパク質の利用可能性のレベルに制限される。pUL26タンパク質は、このプロセスを妨
害する1つの遺伝子として同定されている。ISG化は、ヒト包皮線維芽細胞(HFF)におけ
るHCMV複製を制限する(3)。pUL26欠失変異体は、インターフェロン-βの抗ウイルス効
果に対する感受性の増強を示した(2)。
【0009】
本発明者らは、今回、pUL25欠失変異体HCMV株に感染した細胞が、全タンパク質ISG化を増強させることを示すことができた。さらに、遊離ISG15の定常状態レベルの増加が見出
された。したがって、pUL25は、ISG化によって媒介されるHCMVに対する抗ウイルス防御を妨害すると考えられる。
【0010】
その発見の分子的背景は、pUL25が細胞外粒子と感染細胞の両方においてpUL26と複合体を形成することである可能性がある。pUL25を欠失すると、pUL26のタンパク質の安定性が低下する。機能的な結果として、UL25欠失変異株の複製は、UL25陽性株と比較してIFN-βに対してより感受性が高いことが証明された。まとめると、これらの結果は、pUL25欠失
変異体HCMV株が、ヒト宿主における自然免疫応答の存在下での複製に対して弱毒化していることを示す。他方、pUL25欠失変異体によるHFF細胞の感染は、DBの効率的な放出をもたらし、したがって、HCMVワクチン、特にDBベースのHCMVワクチンの産生に適したHCMV株を提供する。
【0011】
UL25発現が欠損しているHCMV株が依然として大量のDBを産生するという発見は非常に驚くべきことである。発明者の以前の結果によると、pUL25はHCMV野生型株から産生されたDBの2番目に豊富なタンパク質成分である。したがって、pUL25のないDBの形成は、UL83遺
伝子、すなわちpp65というDBの最も豊富な成分をコードする遺伝子の欠失がDB形成を完全に無効にするという発明者の以前の発見(36)の観点からも驚くべき結果である。
【0012】
国際公開第2014/089158号は、異種ポリペプチドを発現し、ウイルス複製の外部制御を
可能にするために組換え的に改変されているサイトメガロウイルスに関する。異種ポリペプチドは、抗原、抗体または免疫調節因子であってもよい。異種ポリペプチドをコードする核酸を含む遺伝子カセットは、一式の約90の非必須遺伝子の位置を決めて(reciting)非必須遺伝子をコードする領域のCMVゲノムに挿入してもよい。カセットは、非必須遺伝
子のORFに挿入するか、非必須遺伝子のORFを置き換えるか、または非必須遺伝子をコードする2つのORFの間に挿入することができる。UL25欠損株およびそのような株由来のデンスボディの例、特に医薬におけるそのようなデンスボディの使用は提供されていない。
【0013】
国際公開第2015/061851号は、免疫刺激組成物およびワクチンに有用なインターフェロ
ン-βを含むCMV株に関する。CMV株は、非必須タンパク質をコードする遺伝子の約90の例
を提供するそのような遺伝子における機能喪失突然変異またはその欠失を有してもよい。UL25欠損株およびそのような株由来のデンスボディの例、特に医薬におけるそのようなデンスボディの使用は提供されていない。
【発明の概要】
【0014】
本発明の第1の態様は、組換えHCMV株のゲノムをコードする核酸分子に関し、ここで、
組換えHCMV株は、機能的なpUL25タンパク質をコードしない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1-1】図1:UL25遺伝子の欠失は、HCMVビリオンまたはDBの形態形成に明らかな影響を与えない。a、変異ウイルスTowne-delUL25およびTowne-UL25-FLAGの概略図。隣接する遺伝子に対するUL25遺伝子の位置を矢印で示す。Towne-delUL25は、galK発現カセットをUL25オープンリーディングフレームに挿入することによって作製した。UL25オープンリーディングフレームの5'-287ヌクレオチドは、隣接するUL24遺伝子のプロモーターの障害を防ぐために保持した。Towne UL25-FLAG株は、galK発現カセットを抗体タグ(FLAG)にC末端で融合したwt-UL25に置き換えることによって作製した。
図1-2】図1:UL25遺伝子の欠失は、HCMVビリオンまたはDBの形態形成に明らかな影響を与えない。b、酒石酸グリセロール超遠心分離法によるDB、ビリオン、および非感染性エンベロープ粒子(NIEP)の精製。さまざまなフラクションを示す。c、PAGEによる、表示の株由来の精製ビリオンおよびDB画分の分離。タンパク質を銀染色によって視覚化した。分子量マーカーとpUL25の推定される位置を示す。
図1-3】図1:UL25遺伝子の欠失は、HCMVビリオンまたはDBの形態形成に明らかな影響を与えない。d-g、Towne-delUL25とTowne-BACの2つの異なるクローンのビリオンおよびDBの外側外皮タンパク質組成の質量分析。各サンプルにおける3連の平均値を、100万分の1(ppm)で測定した。バーは標準誤差を表す。(d)および(e)、ビリオンのプロテオーム。(f)および(g)、DBのプロテオーム。(d)と(f)、(e)と(g)のそれぞれのスケールが異なることに注意。
図2】DBとビリオンの形態形成は、親株または変異型Towne-delUL25に感染した細胞では区別できない。TownedelUL25またはTowne-BACのいずれかに感染した細胞の透過型電子顕微鏡写真。AおよびC、Towne delUL25に感染したヒト包皮線維芽細胞(HFF)の細胞質ビリオンおよびDB形成の画像。BおよびD、Towne-BACに感染したHFF細胞の細胞質ビリオンおよびDB形成の画像。バーは、両方の株由来の粒子の直径を示す。
図3】感染細胞におけるpUL26の定常状態レベルのイムノブロット分析。HFF細胞をTowne-delUL25またはTowne-BACでそれぞれ感染させた。6日後、全細胞溶解物を収集し、SDS-PAGEで流した。PVDFメンブレンに転写した後、pUL26およびα-チューブリンに対する抗体を使用してウエスタンブロットを行った。
図4】pUL25の非存在下でのpUL26分解のイムノブロット分析。HFF細胞をTowne-delUL25またはTowne-UL25-FLAGでそれぞれ感染させた。6日後、いくつかのサンプルをMG132で16時間処理し、続いて全細胞溶解物を収集した。SDS-PAGEおよびpUL26に対してプローブしたウエスタンブロットを実施し(A)、pUL26のタンパク質レベルを定量化した(B)。
図5】2つの独立した生物学的レプリケート(replicate)のFLAGタグ付きpUL25の免疫沈降。HFF細胞を、感染多重度(moi)1でTowne-UL25FLAGに感染させ、6 dpiで回収した。細胞溶解物を、抗FLAG結合磁気ビーズを使用して沈殿させ、沈殿物をウエスタンブロットで分析し、抗FLAGおよび抗UL26抗体に対してプローブした。感染していないHFFをネガティブ対照とした。kDa単位のMWマーカーを示す。
図6】無細胞ウイルス粒子のFLAGタグ付きpUL25の免疫沈降。無細胞のビリオンおよびDBを溶解し、抗FLAG結合磁気ビーズを使用して沈殿させ、沈殿物をウエスタンブロットで分析し、抗FLAGおよび抗UL26抗体に対してプローブした。
図7】感染細胞におけるインターフェロン刺激遺伝子15(ISG15)の発現とISG化。HFF細胞をTowne-dUL25またはTowne-UL25-FLAGに感染させた。6日後、いくつかのサンプルをMG132で16時間処理し、続いて全細胞溶解物を収集した。SDS-PAGEを実施し、ウエスタンブロットをISG15抗体に対してプローブした。
図8】IFN-βの存在下または非存在下における、Towne-BACまたはTowne-delUL25それぞれに感染させたHFFからのウイルスゲノムの放出。感染の12時間前に100U/ml IFN-βをHFF培養物に加えた。その後、細胞を0.05 m.o.iで感染させた。示された時点で細胞培養上清を収集した。細胞培養上清サンプル中のウイルスDNA濃度を、qPCRによって検査した。各サンプルの値を、相対的な減少値(+IFN-β/-IFN-β)とともに図に示す。すべての値は、3連の平均値である。
図9】シールド依存的産生システムにおけるHCMV-DBの採取。HFF細胞を、シールド-1(1μM)の当初存在下で、条件付き複製欠損株HCMV-UL51-FKBPに感染させた。3.5日後、シールド-1含有培地を、シールド-1を含まない培地と交換した。細胞の上清を最初の感染から1週間で採取し、DBを酒石酸グリセロール密度勾配超遠心分離法によって精製した(左の写真)。表示のDB画分を単離し、SDS-PAGEおよびインスタントブルー染色により分析した(右の写真)。DB画分の主成分は、矢印で示すようにリンタンパク質65(pp65)で示される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
組換えHCMV株は、任意の株であってよく、特に、哺乳動物、特にヒト標的細胞の感染後にDBを産生することができるHCMV株であってよい。例えば、組換えHCMV株は、任意の適切なHCMV株の遺伝子改変された変異体、例えば、HCMV株タウン(Towne)の遺伝子改変変異
体またはHCMV株AD169の遺伝子改変変異体であってよく、ここで、遺伝子改変には、ウイ
ルスpUL25タンパク質をコードする機能的遺伝子の欠如が含まれる。
【0017】
本発明の組換えHCMV株は、それが機能的pUL25タンパク質をコードするという点で本発
明の株とは異なる参照HCMV株と比較して弱毒化している。この弱毒化により、自然免疫反応に対する感受性が高まる、例えば、生得的なインターフェロン応答に対する感受性が高まり、および/またはIFN-βなどの外因的に添加されたインターフェロンの存在に対する
感受性が高まる。感度が上昇したことは、HCMV感染細胞におけるタンパク質のISG化の増
加、および/または外因的に添加されたIFN-βの存在下でのHCMV感染細胞における複製の
減少として決定することができる。したがって、本発明のUL25陰性HCMV株は、ワクチン株としての使用、特にワクチンの産生株、例えばDBベースのワクチンとしての使用に適している。
【0018】
弱毒化していない参照株と比較して、医療用途で機能的なUL25遺伝子を含まない弱毒化HCMV株を使用すると、特にDBベースのワクチンの産生と投与において、有効性を同時に失うことなく、より安全な取り扱いおよび治療プロトコルが可能となる。
【0019】
特定の実施形態において、組換えHCMV株は、Plotkinらによって単離されたHCMV株タウ
ンの遺伝子改変変異体であり(19)、例えば、アクセッション番号AY315197下でGenBank
に寄託されたとおりの、Towne-BACクローンに存在する(1,4)。
【0020】
特定の実施形態において、組換えHCMV株は、Roweらによって単離されたHCMV株AD169の
遺伝子改変変異体であり(20)、例えば、アクセッション番号KU317610下でGenBankに寄
託されたとおりの、AD169-BACクローンに存在する(21,22)。
【0021】
特定の実施形態において、本発明のUL25陰性HCMV株は、機能的UL24遺伝子を含み、機能的pUL24タンパク質(例えば、AD169株由来のアクセッション番号UniProtKB P16760-1)を発現する。
【0022】
本発明の特定の実施形態において、組換えHCMV株は、機能的五量体複合体を形成することができる機能的ウイルスgH(UL75)、gL(UL115)、UL128、UL130、およびUL131Aタン
パク質をコードする。DBベースのワクチンに五量体複合体が存在すると、HCMV感染に対する強力な中和抗体反応が生じることが見出された(5)。
【0023】
特定の実施形態において、組換えHCMV株は、機能的UL130遺伝子をコードし、したがっ
て機能的五量体複合体をコードし、さらに機能的緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードし
ない、HCMV株タウンの遺伝子改変UL25陰性変異体であり、Towne-BACに存在する、以前に
利用可能なタウンゲノム(1,4)とは対照的である。
【0024】
特定の実施形態において、核酸分子は、組換えHCMV株Towne‐UL130repΔGFPのUL25陰性
変異体をコードし、その製造と特性評価は、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、同時係属中の欧州特許出願公開第18176735.1号に記載される。
【0025】
他の実施形態において、核酸分子は、五量体複合体のすべての機能的ウイルスタンパク質をコードしない組換えHCMV株のUL25陰性変異体、例えば機能的なUL130遺伝子をコード
しないHCMV株タウンのUL25陰性変異体をコードする。
【0026】
特定の実施形態において、核酸分子は、融合タンパク質、例えば国際公開第2011/124371号に開示される融合タンパク質をさらにコードしてもよい。特定の実施形態において、
核酸分子は、いかなる機能的な異種、すなわち、非HCMVタンパク質もコードしない。例えば、核酸分子は機能的なインターフェロン-β遺伝子をコードしない。
【0027】
特定の実施形態において、組換えHCMV株のゲノムは、哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞において発現され得る形態で選択可能なマーカーをコードする核酸配列が存在しないことを特徴とする。例えば、組換えHCMV株のゲノムは、galKまたはクロラムフェニコール耐性遺伝子などの選択マーカー遺伝子を含んでもよいが、これらは原核生物の発現制御配列と機能的に連結しているため、哺乳動物細胞では発現することはできない。
【0028】
本発明の核酸分子は、任意の一本鎖または二本鎖核酸分子、例えば、RNAまたはDNA分子であってよい。特定の実施形態において、核酸分子は二本鎖DNA分子である。
【0029】
核酸分子は、それ自体で存在するか、またはベクター、例えば、BACベクターまたは酵
母ベクター上に位置してもよい。適切な酵母ベクターは(6)に記載される。
【0030】
本発明の核酸分子による哺乳動物標的細胞のトランスフェクションまたは感染は、ウイルス粒子およびDB、すなわち、キャプシドまたはウイルスDNAを含まないウイルス粒子の
産生をもたらす。特定の実施形態において、標的細胞はヒト細胞、例えばヒト包皮線維芽細胞(HFF)などのヒト線維芽細胞またはMRC-5(ATCC CCL-171)などのヒト肺線維芽細胞である。
【0031】
本発明のさらなる態様は、哺乳動物標的細胞、特にヒト標的細胞、例えば、特に上記のようなHCMV株による感染によりHCMV株を有するヒト線維芽細胞のトランスフェクションまたは感染によって産生されるDBであって、ウイルスタンパク質pUL25を含まないDBである
【0032】
本発明によるDBは、、HCMVによる、哺乳動物標的細胞、例えばヒト線維芽細胞のトランスフェクションまたは感染後、特に上記の組換えHCMV株による感染後に放出されるサブウイルス粒子であって、ここで、
‐前記粒子は、ウイルス糖タンパク質が埋め込まれている脂質膜に囲まれており、
‐前記粒子には、実質的な量のウイルスDNAまたはキャプシドが含まれていない、
サブウイルス粒子であってもよい。
【0033】
さらに、上記の態様によれば、DB粒子はウイルスタンパク質pUL25を含まない。
【0034】
好ましくは、粒子は、特に上記のように、ウイルスタンパク質gH、gL、UL128、UL130およびUL131からなる五量体複合体を含み、GFPを含まない。さらに、粒子はウイルスタンパク質UL24を含んでもよい。
【0035】
DBは、従来の方法、例えば勾配遠心分離により、ウイルス感染細胞または核酸トランスフェクト細胞の細胞培養上清から、上記のように単離することができる。この方法により
、DBの調製物が得られる。
【0036】
本発明のさらなる態様は、薬学的に許容される担体、例えば水性担体、非水性担体、またはそれらの任意の組み合わせを含む液体担体中の、上記のようなDBである調製物に関する。
【0037】
特定の実施形態において、調製物は、不活化処理、例えば、UV照射を受けたDBを含む。不活化は、検出可能なウイルス混入がないことによって決定することができる。これは、例えば、インジケーター細胞培養物におけるデノボ(de novo)HCMV IE1タンパク質発現
の欠如(7)、DB調製物のDNA含有量の定量化、DB調製物に曝露されたインジケーター細胞培養物の細胞培養上清中のウイルスゲノムDNAの定量化、またはDB調製物の電子顕微鏡分
析によって、達成することができる。
【0038】
特定の実施形態において、調製物は、不活化処理を受けていないDBを含む。
【0039】
本発明によるDB調製物は、ヒト宿主におけるインターフェロン応答に対する感受性の増加を特徴とし、ヒト宿主において即時の抗ウイルス免疫応答を誘発することができる。
【0040】
したがって、弱毒化UL25欠失株の使用は、HCMVワクチン株の取り扱いの安全性、ならびに前記株から得られたDBの産生、取り扱いおよび製剤の安全性を増加させるであろう。さらに、弱毒化UL25欠失株の使用はまた、その株またはワクチンとして前記株から得られたDBの用途の安全性、特にDBベースのワクチンとしての用途の安全性を高めるであろう。DB調製物に少量のウイルスDNAおよび/または感染性ウイルス粒子が含まれている場合でも、患者のリスクは、pUL25が存在しないことによる弱毒化と、その結果としての宿主の自然
免疫、特に宿主のインターフェロン応答における免疫に対するウイルスの感受性の増加による弱毒化に軽減される。
【0041】
本発明のさらなる態様は、医薬、特にヒト医薬において使用するための、より具体的にはHCMVに対するワクチンとして使用するための、上記のようなDBの調製物に関する。本発明の調製物は、ワクチンを接種する対象、例えば、ヒト対象におけるHCMV関連障害の発生の予防および/または改善における使用、および/またはワクチンを接種する対象、例えば、ヒト対象からさらなる対象へのHCMV感染の伝播を阻害するのに適している。
【0042】
例えば、調製物は、移植、例えば、心臓、腎臓、肝臓や肺などの固形臓器もしくは造血幹細胞の移植のHCMV関連合併症の治療および/または予防のために使用されてもよい。さらに、本組成物は、HCMVの出生前または周産期の感染を防ぐのに適している。
【0043】
本発明の組成物は、非経口経路による投与、例えば、皮下または筋肉内投与に適する。特定の実施形態において、調製物は、アジュバントと共に投与される。他の実施形態において、調製物は、追加のアジュバントなしで投与される。
【0044】
本発明のワクチンは、出生前感染または出生前感染後のHCMV関連障害を予防するために使用してもよい。したがって、ワクチンの望ましい標的集団は、子供または青年期の女性対象であろう。2番目に望ましい標的集団は、同種間移植または自家移植、例えば、固形
臓器または造血幹細胞を受ける患者であろう。さらなる観点から、一般集団へのワクチン接種が考えられよう。
【0045】
さらに特定の実施形態において、本発明の調製物は、ワクチンを接種するヒト対象において、例えば、HCMV感染に対するインターフェロン応答に悪影響を及ぼさないことにより、自然免疫を維持することに使用するためのものである。
【0046】
さらに、本発明は、標的細胞、例えば、上記のヒト線維芽細胞の感染またはトランスフェクションによって、上記のデンスボディ調製物を調製し、細胞培養培地の上清からDBを単離する方法に関する。
【0047】
さらに、本発明は、対象、特にヒト対象をHCMVに対してワクチンを接種するための方法に関するものであり、それを必要とするヒト対象に上記の免疫遺伝学的に有効な用量のDB調製物を投与することを含む。
【0048】
上記の態様に加えて、本発明者らは、複製許容条件下で条件付き複製欠損HCMV株を哺乳動物標的細胞に感染させ、複製非許容条件下で感染細胞からDBを産生した。驚くべきことに、DBの調製物を複製非許容条件下で取得でき、感染性混入物質の量を減らしてワクチンの安全性を高めた。
【0049】
本発明のこの態様は、例えば、上記pUL25タンパク質産生を欠損している条件付き複製
欠損HCMV株を使用することにより、上述の態様と組み合わせて実施することができる。ただし、他のいかなるタイプの条件付き複製欠損HCMV株も使用できることに注意されたい。さらに、上記態様について記載した他のすべての実施形態もまた、以下に記載の態様で適用される。
【0050】
不安定化タンパク質ドメインに融合した複製必須HCMVタンパク質をコードする遺伝子を含む条件付き複製欠損HCMV株は、例えば、 参照により本明細書に組み込まれる、国際公
開第2014/089158号から知られている。しかしながら、そのようなHCMV株からのDBの産生
は開示されていない。
【0051】
DBの産生のための複製許容および複製非許容条件下でのそのようなHCMV株およびそのような株からの感染性HCMV粒子の使用が本発明内で企図される。
【0052】
したがって、本発明のさらなる態様は、以下のステップを含むHMCV由来DBの産生に関する。
(a)不安定化タンパク質ドメインの安定化リガンドが存在する条件下で、前記不安定化
タンパク質ドメインに融合した複製必須HCMVタンパク質をコードする少なくとも1つの遺
伝子を含む、HCMV株を、哺乳動物標的細胞に感染させるステップ、および
(b)安定化リガンドが存在しない条件下で細胞を培養し、HCMV DBが産生するステップ。
【0053】
特定の実施形態において、安定化リガンドは、所定の期間の後、例えば、約1日から約7日後、または約3から約4日後に、ステップ(b)において細胞培養物から除去される。
【0054】
特定の実施形態において、この方法は、哺乳動物標的細胞からDBを単離するステップを含んでもよい。哺乳動物標的細胞は、上記の実施形態に関して記載された細胞である。DBは、既知の方法、例えば、酒石酸グリセロール密度勾配超遠心分離法によって培地から精製してもよい。
【0055】
本発明の本態様において、不安定化タンパク質ドメインに融合した複製必須HCMVタンパク質が提供される。特定の実施形態において、複製必須タンパク質は、pUL51タンパク質
である。本発明の本態様で使用される適切な複製必須タンパク質のさらなる例は以下の通りである:
【0056】
【表1】
【0057】
不安定化タンパク質ドメインは、FKBPタンパク質、例えば、FKBP12タンパク質またはその変異体、特にFKBP12のF36V変異体であってもよい。不安定化FKBPタンパク質ドメインの安定化リガンドは、例えば、(23)に記載されている化合物シールド-1(Shield-1)であり、参照により本明細書に組み込まれる。HCMV遺伝子に関連したFKBP-シールド-1システ
ムの使用は、特にいくつかの論文で説明されている(24-29)。しかし、これらの論文は
いずれも、条件付き複製能力のあるHCMV株からのDBの産生を開示していない。
【0058】
不安定化タンパク質ドメインのさらなる例は、リガンドとしての化合物トリメトプリム(trimethoprim)によって安定化され得るジヒドロ葉酸レダクターゼ(dHFR)である(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,173,792号B2を参照)。
【0059】
本発明の本態様において、HCMV株は、上記のような機能的pUL25タンパク質をコードし
ない株、または任意の他の適切なHCMV株であってもよい。
【0060】
本発明のさらなる態様は、不安定化タンパク質ドメインをコードする遺伝子に融合した少なくとも1つの複製必須HCMV遺伝子を含む核酸分子によってコードされる、組換えHCMV株を、哺乳動物標的細胞に感染させることによって産生されるHCMV DBに関する。このDB
は、HCMVタンパク質pp65を主成分として含み、任意でさらにHCMVタンパク質pp150、pp71
、およびpp28を含む。特定の実施形態において、デンスボディはタンパク質pUL25を含ま
ない。
【0061】
特定の実施形態において、上記のように産生されたDB調製物は、感染性ウイルス粒子による混入の減少、例えば、複製能力のあるHCMV参照株、すなわち、複製必須HCMVタンパク質と不安定化タンパク質ドメインの融合タンパク質をコードしないことを除いて遺伝的に同一であるHCMV株から産生したDB調製物と比較して、少なくとも2、5、10、100またはそ
れ以上の倍数だけの混入の減少を特徴とする。感染性粒子の混入は、DB調製物のDNA含有
量の定量化、例えば、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって決定してもよい。こ
のような混入は、連続希釈中、標識となる線維芽細胞培養物に材料を適用し、ウイルスの前初期1(IE1)タンパク質に対する抗体とインキュベーションして1日または2日後にこれらの細胞を染色することによって決定してもよい。陽性細胞の数は、光学顕微鏡で決定してもよく、材料中の混入感染性ビリオンの数の評価として使用してもよい。
【0062】
したがって、上記のDB調製物は、医薬における使用、特にHCMVに対するワクチンとしての使用、さらに特別にヒト医薬での使用に適している。
【0063】
さらに、本発明は、HCMV DB調製物の産生のための不安定化タンパク質ドメインをコー
ドする遺伝子に融合した少なくとも1つの複製必須HCMV遺伝子を含む核酸分子によってコードされる、組換えHCMV株の使用に関する。
【0064】
なおさらなる別の態様は、HCMV DB調製物の産生のための、不安定化タンパク質ドメイ
ンをコードする遺伝子に融合した少なくとも1つの複製必須HCMV遺伝子を含む核酸分子によってコードされる、組換えHCMV株の、哺乳動物標的細胞への感染によって産生されるHCMV粒子の使用に関する。
【0065】
これらの態様によれば、感染性HCMV粒子の同時産生を実質的に伴わないDB調製は、複製非許容細胞培養条件下で達成することができる。
【0066】
したがって、本発明はまた、DBベースのHCMVワクチンの安全性を高めるための、不安定化タンパク質ドメインをコードする遺伝子に融合した少なくとも1つの複製必須HCMV遺伝
子を含む核酸分子によってコードされる、組換えHCMV株の使用に関する。組換えHCMV株は、哺乳動物標的細胞の感染に使用してもよく、複製非許容条件下で前記標的細胞におけるDBの産生を可能にし、感染性粒子による混入のないDB調製物を得ることができる。
【0067】
最後に、本発明は、DBベースのHCMVワクチンの安全性を高めるための、不安定化タンパク質ドメインをコードする遺伝子に融合した少なくとも1つの複製必須HCMV遺伝子を含む核酸分子によってコードされる、組換えHCMV株の、哺乳動物標的細胞への感染によって産生するHCMV粒子の使用に関する。組換えHCMV粒子は、哺乳動物標的細胞の感染に使用してもよく、感染性粒子による混入のないDB調製物が得られ得る複製非許容条件下で前記標的細胞におけるDBの産生を可能にする。
【0068】
上記概説したように、上記条件付き複製能力のあるHCMV株は、本明細書で説明した他の実施形態と組み合わせてもよい。
【0069】
特定の実施形態において、条件付き複製能力のあるHCMV株は、機能的な五量体複合体を形成することができる機能的なウイルスgH(UL75)、gL(UL115)、UL128、UL130およびUL131aタンパク質をコードする。
【0070】
特定の実施形態において、条件付き複製能力のあるHCMV株は、機能的なUL130遺伝子、
したがって機能的な五量体複合体をコードし、さらに機能的な緑色蛍光タンパク質(GFP
)をコードしない、HCMV株タウンの遺伝子改変UL25陰性変異体である。
【0071】
さらに本発明を、以下の図および実施例によって、より詳細に説明する。
【実施例0072】
実施例1:UL25欠損HCMV株からのデンスボディの産生
1. 材料と方法
1.1 細胞およびウイルス。
ヒト包皮線維芽細胞(HFF)を、5%ウシ胎児血清(FCS)を含むMEM培地で培養した。
【0073】
ウイルスの再構成は、BAC DNAをHFF細胞にトランスフェクトすることによって達成した。トランスフェクション用のBACmid DNAは、Plasmid Purification Kit(Macherey&Nagel、Duren、Germany)を製造元の指示に従って使用し、大腸菌から入手した。HFFへのトランスフェクションは、Superfectトランスフェクション試薬(Qiagen, Hilden, Germany)を使用して実施した。このために、HFF細胞を1×105細胞/ウェルの密度で6ウェルプレー
トに播種し、異なるBAC-DNA濃度をトランスフェクションに用いた。続いて、プラークが
見えるようになるまで細胞を継代した。次に、感染性上清を、ウイルスの継代のために非感染細胞に移した。すべてのHCMV株はHFF上で増殖させた。感染したHFF細胞から培養上清を収集し、続いて低速遠心分離によって細胞破片を除去することにより、ウイルスストックを得た。さらに使用するまで、上清を-80℃で凍結した。
【0074】
ウイルス力価を、William Brittの厚意により提供されたモノクローナル抗体p63-27(8)を使用して、前初期1タンパク質ppUL123(IE1)の発現について染色することによって
決定した。このために、5×103HFF細胞を96ウェルプレートの各ウェルに播種した。翌日
、ウイルスストックを培地で10-3および10-4に希釈し、8連で細胞に添加した。細胞を、96%エタノールを使用して48時間後に20分間固定した。一次抗体p63-27(8)を37℃の加湿チャンバー内で1時間添加した。西洋ワサビペルオキシダーゼ(ウサギ抗マウス免疫グロ
ブリンHRP; Dako、Hamburg, Germany)に結合した抗マウスIgGを1:500の希釈率で1時間
添加し、続いて3-アミノ-9-エチルカルバゾール(AEC)/H2O2ででさらに1時間染色することにより、検出を行った。IE1陽性細胞をカウントし、8連値の平均として力価を決定した。
【0075】
1.2 HCMV株Towne-delUL25およびTowne-UL25FLAGの作製
HCMV Towne-BACは、Towne-delUL25およびTowne-UL25FLAGを作製する基礎となる。前者
のTowne-delUL25またはそのUL130陽性変異体は、新世代のDBワクチンを確立するための親ゲノムとして機能するだろう。pUSF-3という名前のベクターpMBO1374の改変バージョンと野生型タウンウイルスDNAの相同組換えによって、HCMV Towne-BACを構築した(4)。pMBO1374はF-プラスミドベクターpMBO131の派生物であり、pBluescript II KS(+)のマルチ
クローニングサイトに埋め込まれたlacZ遺伝子を含む645bp HaeIIフラグメントを、pMBO131特有のSalIサイトにサブクローニングし、その結果、複数の特有のクローニングサイトが挿入された(9)。pUSF 3にはさらに、大腸菌でBACとして維持するための原核生物の遺伝子要素、ウイルスゲノム特有の短い領域へのダイレクト相同組換えのためのHCMV DNA配列、および真核細胞における組換えHCMVの同定と精製のためのGFPマーカーを含む(4)。
【0076】
pUSF-3を構築するために、pMBO1374特有のBamHIサイトと2つのClaIサイトの1つを取り
除いた。相同組換えのための隣接HCMV DNAとして使用されたpUSF-3の2つのHCMV DNAフラ
グメントを、PCRによりHCMV株AD169(10)のゲノムのフラグメントを含むコスミドクローンpCM1052から得た。AD169 HCMVの公開配列(11)からDNAフラグメントの増幅に使用するプライマーを得て、BamHIおよびHindIIIオーバーハングにより拡張した。HCMV DNAフラグメントをBamHIで消化し、ライゲーションして5.2kbフラグメントを得、これを今度はHindIIIで消化し、HindIIIサイトにクローニングした。最後に、SV40初期プロモーター、GFP
遺伝子、およびpGET-07由来のpolyA(12)を有するPCRアンプリコンを残りのClaIサイト
にクローニングした。相同組換えのために、HCMVタウン株に感染したHFF細胞から単離し
た全ウイルス粒子より精製した野生型タウンウイルスDNA、線形化した(BamHI消化した)pUSF-3、およびHCMV外皮タンパク質pp71の発現プラスミド(13)をHFF細胞にエレクトロ
ポレーションした。相同組換えの際、隣接するDNAは、細胞培養におけるHCMV複製に必ず
しも必要でないHCMVのUS領域内の8.9kbのDNA(aa719の後のIRS1、リーディングフレームUS1からUS11とUS12のC末端3分の1)を欠失する(14)。Towne-BAC分離株の配列は、GenBankデータベース(アクセッション番号AY315197)に寄託されている(1)。
【0077】
Towne-delUL25株(Towne-dUL25)は、Warming らの手順を使用して(15)、バクテリアgalKをコードする遺伝子をTowne-BACのUL25オープンリーディングフレームに挿入するこ
とにより作製した。これによって、UL25オープンリーディングフレームを、塩基対288で
始まるgalKカセットに置き換え、それによってpUL25の発現を阻害した。アミノ酸1~287
をコードするDNA領域は、BACコンストラクトに残っていた(Towne-delUL25-BAC)。Towne-delUL25-BACを線維芽細胞にトランスフェクションした後、ウイルスTowne delUL25を再
構成した。
【0078】
リバータントウイルスTowne-UL25FLAGを作製するために、テンプレートとしてTowne-delUL25-BACを、および選抜のためにgalKの手法を用いて、FLAG-Tagエピトープ(DYKDDDDK
)をコードする遺伝子フラグメントをUL25オープンリーディングフレームの3'末端に挿入した(15)。得られたBACクローンTowne UL25FLAG-BACは、そのDNAを線維芽細胞にトランスフェクトすることによって再構成した。ウイルスマスターストックの作製は、以前のセクションで詳述した通りに行った。組換えウイルスは、タンパク質のC末端に結合したFLAGタグ付きのpUL25を発現した。
【0079】
1.3 ウイルスおよびデンスボディ(DB)の精製
組換えHCMVシードウイルスへの感染に際してヒト線維芽細胞において、DBが産生した。HCMVタウン株のゲノムの遺伝子改変バージョンをコードするBACプラスミドの細胞へのト
ランスフェクションにより、このシードウイルスを得た。
【0080】
粒子を精製するために、1.8×106の初代HFF細胞を、5%FCS、L-グルタミン(100 mg/リットル)、ゲンタマイシン(50 mg/リットル)を添加した最小必須培地(MEM; Gibco-BRL, Glasgow, Scotland)中、175cm2組織培養フラスコ20個で1日増殖させた。欧州特許出
願公開第18176735.1号に記載されるように、HCMVのTowne-UL130repΔGFP株の凍結ストッ
ク0.5mlに細胞を感染させた。ウイルス接種物を37℃で1.5時間吸着させた。細胞を少なくとも7日間インキュベートした。
【0081】
細胞が後期HCMV感染のCPE(細胞変性効果)を示したとき(通常は感染後[p.i.]7日目)、上清を回収し、2,800rpmで10分間遠心分離して、細胞破片を除去した。その後、上清を収集し、Beckman Optima L-90K超遠心機のSW32Tiローターで30,000rpm(70分; 10℃)で
遠心分離した。ペレットを2mlの1×リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に再懸濁した。酒石酸
グリセロール勾配は、使用直前に調製した。このために、0.04Mリン酸ナトリウム緩衝液
、pH7.4中の35%酒石酸ナトリウム溶液4mlを1つのカラムに添加し、0.04Mリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.4中の15%酒石酸ナトリウム-30%グリセロール溶液5mlを、グラジエント
ミキサーの2番目のカラムに添加した。45°の角度で配置されたベックマンウルトラクリ
ア遠心チューブ(14×89mm)(14 by 89 mm)に溶液をゆっくりと滴下することにより、勾
配を調製した。次に、1mlのウイルス粒子を勾配頂上に注意深く積層した。超遠心分離は
、Beckman SW41スイングアウトローターでブレーキをかけずに、23,000rpm、10℃で60分
間実行した。粒子を光散乱によって照らし(図1)、遠心チューブのバンド下を中空の針
で突き刺すことによって勾配から収集した。シリンジを使用してチューブからサンプルを
注意深く引き抜いた。
【0082】
粒子を1×PBSで洗浄し、SW41スイングアウトローター中24,000rpm、90分間、10℃でペ
レット化した。最後の遠心分離ステップの後、DBとビリオンを250μlから350μlの1×PBSに再懸濁し、-80℃で保存した。精製したDBおよびビリオンのタンパク質濃度は、Pierce
BCA Protein Assay Kit(Thermo Scientific、Bonn、Germany)を使用して決定した。
【0083】
1.4 透過型電子顕微鏡用サンプルの調製
フラスコ2個分のHFF細胞(フラスコあたり174万個の細胞)を0.8のm.o.iで感染させた
。細胞を6日間インキュベートし、続いてトリプシンを使用して支持体から剥がした。2個のフラスコから細胞をプールし、1,200rpmで遠心分離した。次に、1mlの固定液を加え、
細胞を注意深く再懸濁することにより、細胞を固定した。1,200rpmで5分間の遠心分離ス
テップの後、細胞ペレットを1mlの固定液に再度再懸濁した。続いて、細胞を室温で1時間インキュベートし、次に再び1,200rpmで5分間遠心分離した。次に、細胞を洗浄緩衝液に
再懸濁し、遠心分離した。この手順を2回繰り返した。最後の洗浄ステップの後、細胞を
遠心分離せずに、室温で10分間インキュベートした。次に、細胞をエッペンドルフチューブに移した。次に、サンプルを、以前に記載されたように(16)、透過型電子顕微鏡による検査用にさらに加工した。
【0084】
固定液
5ml 2×ストック カコジル酸塩/スクロース(0.2Mカコジル酸塩; 0.2Mスクロース)
1ml 10×グルタルアルデヒド(25% GA)
追加(ad) 10ml H2Odd

洗浄バッファー:
6.5ml 2×ストック カコジル酸塩/スクロース(0.2Mカコジル酸塩; 0.2Mスクロース)
6.5ml H2Odd
【0085】
1.5 複製動態およびインターフェロンβ処理
サブコンフルエントなHFF細胞をIFN-β(100 U/ml)で処理した。12時間のインキュベ
ーション後、細胞をそれぞれ0.05のm.o.iでTowne-BACまたはTowne-delUL25に感染させた
。IFN-β非存在下での感染細胞が対照として機能した。培養上清サンプルは、感染後4時
間、1、4、6、8、および11日の時点で収集した(それぞれ2× 1ml細胞培養上清および1×106細胞)。Rocheの標準プロトコルに従って、RocheのHigh Pure Viral Nucleic Acid Kitを使用して、上清と感染細胞からウイルスDNAを精製した。定量的PCRは、フォワード(fwd)およびリバース(rev)プライマーを使用して実行した。
【0086】
インターフェロンβ(IFN-β)
-PeproTech; 番号 300-02BC
-比活性(製造元の情報による):5×108U/mg
-0.1%BSA/ H2Oddで希釈
【0087】
ウイルスDNAのTaqMan-PCR分析 - 細胞培養上清中の濃度。
RocheのHigh Pure Viral Nucleic Acid Kitを製造元の指示に従って使用して、200μl
の細胞培養上清からDNAを単離した。最終的に100μlの溶出バッファー中にDNAを溶出した。
【0088】
TaqMan-バッチ:
→サンプルあたり45μlマスターミックス(プローブ、プライマーdNTP、バッファー、
およびTaqポリメラーゼを含む)+5μl DNA
→分析は、3連で実施した
→プローブ:5'CCACTTTTGCCGATGTAACGTTTCTTGCAT-TMR(配列番号1)
→fwd-プライマー:5'TCATCTACGGGGACACGGAC 3'(配列番号2)
rev-プライマー:5'TGCGCACCAGATCCACG 3'(配列番号3)
→Taq-ポリメラーゼ:QiagenのHotStar Taq Plus
→標準:コスミドpCM1049(10)の希釈
【0089】
-TaqMan-プログラム:
95℃ 5分
42× 95℃ 15秒+60℃ 1分
-TaqMan-装置:7500リアルタイムPCRシステム、Applied Biosystems
-TaqMan-ソフトウェア:7500システムソフトウェア
【0090】
1.6 免疫沈降およびウエスタンブロット
HFF細胞をそれぞれのHCMV株に感染させた。感染したHFF細胞を回収し、洗浄し、溶解バッファー(0.5M NaCl、0.05M Tris-HCl、0.5%NP-40、10mM DTT)に再懸濁した。細胞溶
解物を超音波処理し(1×10秒、出力30%)、続いてタンパク質を特定の抗体(抗-FLAG M2、Sigma、または抗チューブリン抗体)にローテーター内で4℃で一晩結合させた。次に
、抗体-タンパク質複合体をIgG磁気ビーズによって室温(RT)で2時間収集した。磁気ビ
ーズを溶解バッファーで3回洗浄し、続いてLaemmliサンプルバッファーで再懸濁した。タンパク質サンプルをロードして10% SDS-PAGEで泳動し、PVDFメンブレンに転写した。フ
ィルターを特定の一次抗体に対してプローブした。チューブリンを内部標準として使用することにより、定量分析を行った。このために、ECL検出基質Best Western Femto(Thermo Fisher)とChemiDoc Scanner(Biorad)Scannerを使用した。
【0091】
1.7 プロテアソーム阻害剤
pUL26がUL25非存在下でプロテアソーム分解を受けやすいかどうかを調べるために、HFF細胞を1のm.o.iでTowne-BACまたはTowne-delUL25それぞれに感染させた。6 d.p.i.で細胞を10μMのMG-132プロテアソーム阻害剤(Sigma)で16時間処理した。次に、細胞を回収して溶解し、pUL26のレベルをイムノブロットで分析した。
【0092】
1.8 質量分析
精製ウイルス粒子の定量的プロテオミクス分析を、公開されているように(17)Synapt
G2-S質量分析計でイオン移動度が向上したデータ非依存性収集(ion‐mobility enhanced data-independent acquisition)を使用して実施した。データセットの統計分析を、MS-Excel 2010が提供するANOVA分析ツールを使用して実施した。
【0093】
2. 結果
2.1 UL25を欠失しても、DBの形成と放出は変化せず、ビリオンとDBへの外側外皮タンパ
ク質のアップロード(upload)における影響は限定的である。
ウイルスタンパク質pUL25の役割を扱うことを可能にするために、HCMV株タウンの遺伝
的背景でUL25を欠く変異体を、BAC変異誘発を使用して作製した。
【0094】
UL25オープンリーディングフレームを、galK発現カセットを挿入することにより欠失させた(図1a)。HFF細胞をこの変異体に感染させ、酒石酸グリセロール勾配遠心分離を使
用してビリオンとDBを精製した(図1b)。本材料を、親タウン株およびTB40/e株の対応するサンプルとともにSDS-PAGEにロードした。得られた3つの株のビリオンとDBのタンパク
質パターンを、ポリアクリルアミドゲル電気泳動とそれに続く銀染色によって比較した。Towne-delUL25のDB調製物のpUL25に対応する約80kDaのタンパク質バンドがないことを除
いて、ほとんど違いは見られなかった(図1c)。wt-pUL25を調査できるようにするために
、Towne-UL25-FLAG と称するTowne-delUL25のリバータントウイルスを、再度galK技術を
使用して図1aに示すように構築した。
【0095】
ビリオンとDBのタンパク質パターンをより正確に調べるために、ラベルフリー質量分析を使用した。結果は、Towne-delUL25のビリオンおよびDBにpUL25が存在しないことを確認した(図1dおよびf)。他の外側外皮タンパク質の大部分は、UL25の欠失によるアップロ
ードの影響を受けなかった。別の独立した分析(示さず)によって検証されたように、pUL24のみがそのアップロードにおいて再現性よく増強した(図1eおよびg)。しかし、最も注目に値するのは、pUL26がpUL25陰性ビリオンおよびDBにほぼ完全に存在しないという発見であり(図1eおよびg)、HCMV粒子におけるその存在が感染細胞におけるpUL25の存在に依存することが示された。後者の結果は、独立した実験でも確認された(示さず)。
【0096】
pUL25の欠如が細胞質粒子の形態形成を変化させたかどうかを調べるために、Towne-delUL25またはTowne-BACに感染したHFF細胞で透過型電子顕微鏡による検査を実施した(図2
)。複数の感染細胞を精査しても、明らかな違いは見られなかった。さらに、ビリオンの直径は2つの株間で保存されていた。
【0097】
2.2 pUL26のレベルはTowne-delUL25に感染した線維芽細胞で減少する
定量的質量分析の結果から、親Towne-BAC株由来のそれぞれの粒子と比較して、pUL26がTowne-delUL25のビリオンおよびDBに少量でパッケージ化することが示された。それがTowne-delUL25感染細胞におけるpUL26レベルの低下によるものであるか否かを調べるために
、イムノブロット分析を実施した。Towne-delUL25感染細胞ではpUL26のレベルが著しく低下しているようであった(図3)。これは、pUL26合成またはpUL26安定性のいずれかがpUL25の非存在下で変化したことを示した。
【0098】
2.3 pUL25はpUL26タンパク質の安定性を促進する。
pUL26タンパク質の安定性がpUL25の存在によって影響を受けるか否かを調べるために、Towne-delUL25またはTowne-UL25-FLAGそれぞれに細胞を感染させた。プロテアソーム阻害剤MG132を6 d.p.i.でいくつかのサンプルに添加した。細胞溶解物を収集し、pUL26特異的抗体を使用してSDS-PAGEおよびウエスタンブロット分析に供した(図4)。バンドの強度
を測定し、内部チューブリン対照の強度に対して正規化した。結果は、pUL26の両方の既
知のアイソフォームがTowne-delUL25感染細胞で減少し、特に、MG132で処理した細胞で長いアイソフォームが安定化したことを示した。これにより、pUL26がpUL25の存在によって安定化したことが示された。
【0099】
2.4 pUL25は、HCMV感染細胞でpUL26と相互作用する。
pUL26の安定性におけるpUL25の影響が、2つのタンパク質の相互作用に関連しているか
否かを調べるために、共免疫沈降分析(Co-IP)を実施した。Towne-UL25-FLAGに細胞を感染させた。細胞溶解物を6 d.p.iで収集し、FLAG-Tag特異的抗体M2を使用してCo-IPに供した(図5)。2つの生物学的レプリケート(サンプル1および2)を使用した実験により、pUL26がpUL25と共免疫沈降することが示され、これは両タンパク質が感染細胞で複合体を形成したことを示した。
【0100】
2.5 pUL25は、精製HCMVビリオンおよびDB中でpUL26と相互作用する。
pUL25が細胞外ビリオンおよびDBでもpUL26と相互作用するか否かを調べるために、精製ウイルス粒子においてCo-IP実験を繰り返した。再度、pUL25-FLAG特異的抗体M2を使用し
てpUL26を沈殿させることができた(図6)。
【0101】
まとめると、pUL25がpUL26と複合体を形成し、それによって後者のタンパク質を安定化し、この複合体がその後HCMVビリオンの外皮およびDBにパッケージ化されることを本結果
は示す。
【0102】
2.6 タンパク質のISG化および遊離ISG15レベルは、pUL25の非存在下で増加する。
インターフェロンは、ウイルス感染に対する自然免疫反応に不可欠である。それらは何百ものインターフェロン刺激遺伝子(ISG)の転写を引き起こし、そのタンパク質産物は
抗ウイルス活性を示す。インターフェロン刺激遺伝子15は、I型IFNによって誘導されるユビキチン様タンパク質(ISG15)をコードする。ISG15によるタンパク質修飾(ISG化)は
、多くのウイルスの複製を阻害することが知られている(18)。HCMVによって誘導されるISG15の蓄積は、宿主による細胞質二本鎖DNA(dsDNA)の検出によって引き起こされる。
最近の報告では、pUL26がHCMV感染細胞においてタンパク質のISG化を妨害することが示された(2)。
【0103】
UL25の欠失がHCMVによって誘導されるISG化の抑制に影響を与えるか否かを調べるため
に、Towne-delUL25とTowne-UL25-FLAGそれぞれに細胞を感染させた。細胞は6日間感染さ
せた。場合により、MG132をサンプリングの16時間前に添加した。続いて、細胞溶解物を
ウエスタンブロット分析に供した。チューブリンが内部対照として機能した。Towne-UL25-FLAG感染(対照)後、実際にISG化が抑制された。この抑制は、Towne-delUL25の感染後
に緩和された。これらの結果は、pUL25がHCMV感染細胞のISG化の抑制に関与したことを示す(図7)。さらに、Towne-delUL25感染細胞では遊離ISG15レベルが増加した。その結果
、pUL25の欠如は、HCMV感染細胞におけるインターフェロン刺激遺伝子応答を増加させる
【0104】
2.7 UL25を欠失すると、HCMV複製がIFN-βに対してより感受性になる。
HCMV感染は、ISG15発現の誘導を引き起こし、細胞培養における全タンパク質ISG化を増強する(2,3)。pUL26はISG化の抑制に関与し、ウイルス複製の増強につながることが報
告されている。この影響は、感染した培養物にIFN-βを添加することにより緩和できる。他者は、細胞がUL26ヌルウイルスに感染した場合、緩和レベルが増加することを示すことができた(2)。
【0105】
pUL25の発現が欠損しているウイルス株もインターフェロン応答の影響を、より受けや
すいか否かをテストするために、Towne delUL25およびTowne-BACそれぞれに細胞を感染させ、IFN-βの非存在下または存在下で(in the presence of absence of IFN-s)維持し
た。培養上清のサンプルを、感染後のさまざまな時点で収集した。後代ウイルスの放出を表すこれらのサンプル中のウイルスゲノムのレベルは、定量的PCRにより決定した(図8)。本実験により、Towne delUL25がwt株Towne-BACと比較して、明らかにIFN-β処理に対してより感受性が高いことが示された。これらの結果は、pUL25発現が欠損しているHCMV株
によるヒト宿主の感染が、自然免疫系によって効率的に制御されるという考えを支持している。
【0106】
実施例2:HCMV由来デンスボディの産生のためのシールド-1の使用
条件付き複製欠損HCMV株、例えば、安定化リガンドシールド-1の存在下でのみ複製能力があるHCMV株が、HCMV由来DBベースのHCMVワクチンの産生に使用可能か否かをテストした。
【0107】
一般概念
複製に不可欠なHCMVタンパク質、例えばタンパク質UL51は、不安定化タンパク質ドメイン、例えば、FKBPタンパク質、特に107残基のタンパク質FKBP12のF36V変異体(ddFKBP)
でタグ付けされている。安定化リガンド、例えば細胞透過性小分子リガンドシールド-1の非存在下では、ddFKBPタグ付きタンパク質は不安定であるため分解される。シールド-1が不安定化ドメインに結合すると、融合タンパク質が安定化し、分解から保護されるため、
融合タンパク質の機能が回復する(23)。
【0108】
DBの産生には、FKBPタグ付きの複製必須タンパク質をコードするセーフティーベクターであるBAC由来の「シードウイルス」が使用される。例えば、この株のUL51の遺伝子産物
はDD-FKBPでタグ付けされている。UL51はゲノムのパッケージングに不可欠であり、それ
によって後代の産生にも不可欠であるため、感染性HCMV粒子はシールド-1の存在下でのみ産生できる。シールド-1がない場合、株は細胞に感染することができるが、複製はできない。一方、DBの産生は損なわれていない。
【0109】
シードウイルスストックの作製のために、哺乳類の標的細胞、例えばMRC-5またはHFF細胞などのヒト線維芽細胞を、例えば、約1週間、シールド-1(例えば、1μM)の存在下で
シードウイルスに感染させる。ウイルス複製を確実にするために、シールド-1を、例えば、48時間ごとに1μMをさらに補充してもよい。既知の方法(30)に従って、上清を回収し、ウイルス粒子を単離してもよい。
【0110】
ワクチンとしてのDBの作製のために、MRC-5細胞などのヒト線維芽細胞を、シールド-1
の存在下で、細胞培養によるウイルスの増殖を確実にするのに十分な時間、シードウイルス粒子に感染させる。適切な期間の後、例えば約3.5日後、シールド-1含有細胞培養培地
をシールド-1を含まない細胞培養培地に交換して、感染性粒子を同時に産生することなくDBを産生する。適切な期間の後、例えば最初の感染から約1週間後、既知の方法(31)に
従って上清を回収し、DBを単離する。
【0111】
実験的証明
DBがシールド-1依存システムで産生できることを示すために、HCMV株HCMV-UL51-FKBP(32)を使用して、HCMV実験室株に対して許容状態であるHFF細胞に感染させた。テストウ
イルスHCMV-UL51-FKBPは、DD-FKBPタグ付きUL51遺伝子産物を発現し、感染性ウイルス粒
子の産生はシールド-1に依存する。
【0112】
潜在的なワクチンシードウイルスの主な特徴である、シールド-1の非存在下でのDBの産生を証明するために、細胞培養を介したウイルス増殖を確実に行うため、HFF細胞を当初1μMシールド-1の存在下でHCMV-UL51-FKBPに感染させた。3.5日後、シールド-1含有培地をシールド-1を含まない細胞培養培地に交換してウイルスの複製を防ぎ、非感染性DBのみを産生させた。
【0113】
感染の1週間後、上清を回収し、粒子を酒石酸グリセロール密度勾配超遠心分離によって分画した。遠心分離後、勾配にはDBのはっきりと見える画分:以前報告されているように(33)、光散乱によって見えるさまざまな密度の粒子の広い領域が含まれる(図9、左
)。これらのDBを単離し、SDS-PAGEおよびインスタントブルー染色によって分析して、DB画分のタンパク質組成を視覚化した。
【0114】
リンタンパク質(pp)65(ppUL83)は、HCMV DBに見られる最も豊富なタンパク質であ
ることが示されている(6、7)。このデータによると、前述のシールド-1処理有りでHCMV-UL51-FKBPに感染したHFFから単離したDB画分においても、pp65が主成分である(図9右、矢印でマーク)。さらに、pp150、pp71、およびpp28がこのDB調製物に認められ、これは
以前のデータと一致する(34,35)。したがって、この概念実証研究は、HCMV-UL51-FKBP
由来DBが、シールド-1の非存在下のこれらの条件下で産生できることを示している。
【0115】
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図1-1】
図1-2】
図1-3】
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【配列表】
2024123019000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-06-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組換えHCMV株のゲノムをコードする核酸分子であって、
組換えHCMV株が、機能的なpUL25タンパク質をコードしておらず、
組換えHCMV株が、機能的インターフェロン-βをコードしていない、
医薬、特にヒト医薬における使用のための、核酸分子。
【外国語明細書】