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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123046
(43)【公開日】2024-09-10
(54)【発明の名称】適応可能接着性創傷被覆材
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/0206 20240101AFI20240903BHJP
   A61F 13/02 20240101ALI20240903BHJP
   A61F 13/0203 20240101ALI20240903BHJP
【FI】
A61F13/0206
A61F13/02 310H
A61F13/0203
A61F13/02 310F
A61F13/02 345
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024092117
(22)【出願日】2024-06-06
(62)【分割の表示】P 2021512650の分割
【原出願日】2019-09-06
(31)【優先権主張番号】62/728,036
(32)【優先日】2018-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509146126
【氏名又は名称】コンバテック・テクノロジーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CONVATEC TECHNOLOGIES INC
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】ジェイド・スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ソフィー・バラミー
(72)【発明者】
【氏名】クレア・ブリューワー
(72)【発明者】
【氏名】マンジュナト・ペナゴンドラ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】創傷管理や創傷の治癒を促進するための適応可能接着性創傷被覆材を提供する。
【解決手段】創傷被覆材101はバッキングと、吸収性層と、穿孔疎水性層と、少なくとも第2縁とは反対側に配置された第1縁を有する剥離ライナーと、を備え、前記剥離ライナーは、前記第1縁から前記第2縁へと剥離されると前記吸収性層を露出させるように構成され、前記第2縁から前記第1縁へと剥離されると前記穿孔疎水性層を露出させるように構成されている、創傷被覆材。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッキングと、
吸収性層と、
穿孔疎水性層と、
少なくとも第2縁とは反対側に配置された第1縁を有する剥離ライナーと、
を備え、
前記剥離ライナーは、前記第1縁から前記第2縁へと剥離されると前記吸収性層を露出させるように構成され、前記第2縁から前記第1縁へと剥離されると前記穿孔疎水性層を露出させるように構成されている、創傷被覆材。
【請求項2】
前記剥離ライナーが、前記第1縁から前記第2縁へと剥離されると、前記穿孔疎水性層が剥離されて前記吸収性層が露出し、前記穿孔疎水性層が前記剥離ライナーと結合したまま残るように構成されている、請求項1に記載の創傷被覆材。
【請求項3】
前記穿孔疎水性層の剥離は、前記穿孔疎水性層に窓を形成し、前記吸収性層が創傷に接触することを含む、請求項2に記載の創傷被覆材。
【請求項4】
前記剥離ライナーは、前記第2縁から前記第1縁へと剥離すると、分離して前記穿孔疎水性層が露出し、前記穿孔疎水性層が結合して残るように構成されている、請求項1に記載の創傷被覆材。
【請求項5】
前記吸収性層は、ゲル化繊維、吸収性繊維、親水性発泡体、抗菌繊維、高吸水性粉末-繊維ブレンド、非ゲル化繊維、及びこれらの組み合わせの一群から選択される、請求項1に記載の創傷被覆材。
【請求項6】
前記吸収性層は、発泡体層に結合したゲル形成繊維からなる、請求項1に記載の創傷被覆材。
【請求項7】
前記発泡体層は、親水性発泡体からなる、請求項6に記載の創傷被覆材。
【請求項8】
前記吸収性層は、化学修飾セルロース、アルギン酸、高吸水性繊維、合成繊維、及びこれらの組み合わせの一群から選択された材料を含む、請求項1に記載の創傷被覆材。
【請求項9】
前記化学修飾セルロースは、カルボキシメチルセルロース又はカルボキシメチルセルロースナトリウムである、請求項8に記載の創傷被覆材。
【請求項10】
前記バッキングは、前記吸収性層を被覆すると共に、創傷周囲の皮膚に接着するように前記吸収性層の周縁部を超えて延びる接着剤層をさらに備える、請求項1に記載の創傷被覆材。
【請求項11】
前記接着剤層は、シリコン接着剤、ハイドロコロイド接着剤、ポリウレタン接着剤、ゴム系接着剤、ハイドロゲル、アクリル接着剤、及びこれらの組み合わせの一群から選択される、請求項10に記載の創傷被覆材。
【請求項12】
前記穿孔疎水性層は、シリコン接着剤、ハイドロコロイド接着剤、ポリウレタン接着剤、ゴム系接着剤、アクリル接着剤、ハイドロゲル、被覆された織布材料、不織布材料、編物材料、エレクトロスパン材料、及びこれらの組み合わせの一群から選択される、請求項1に記載の創傷被覆材。
【請求項13】
前記バッキングはポリウレタンフィルムからなる、請求項1に記載の創傷被覆材。
【請求項14】
前記バッキングは、ポリウレタン発泡体にラミネートされたポリウレタンフィルムからなる、請求項1に記載の創傷被覆材。
【請求項15】
バッキングと、
接着剤層と、
吸収性層と、
前記吸収性層を、第1面を除いて包囲する穿孔疎水性層と、
を備え、
前記穿孔疎水性層は、前記第1面、又は前記第1面と反対側の第2面のいずれか一方が前記接着剤層に接着されるように構成されている、創傷被覆材。
【請求項16】
前記穿孔疎水性層は、前記吸収性層を包囲して創傷に接触可能な窓を形成する、請求項15に記載の創傷被覆材。
【請求項17】
前記吸収性層は、ゲル化繊維、非ゲル化繊維、吸収性繊維、及び親水性発泡体、又はこれらの組み合わせの一群から選択される、請求項15に記載の創傷被覆材。
【請求項18】
前記吸収性層は、発泡体層に結合したゲル形成繊維からなる、請求項15に記載の創傷被覆材。
【請求項19】
前記発泡体層は親水性発泡体からなる、請求項18に記載の創傷被覆材。
【請求項20】
前記吸収性層は、化学修飾セルロース、アルギン酸、高吸水性繊維、合成繊維、及びこれらの組み合わせの一群から選択される材料を含む、請求項15に記載の創傷被覆材。
【請求項21】
前記化学修飾セルロースは、カルボキシメチルセルロース又はカルボキシメチルセルロースナトリウムである、請求項20に記載の創傷被覆材。
【請求項22】
前記接着剤層は、カルボキシメチルセルロースナトリウムの2つの層の間に位置する発泡体層からなる、請求項15に記載の創傷被覆材。
【請求項23】
接着剤層は、シリコン接着剤、ハイドロコロイド接着剤、ポリウレタン接着剤、ゴム系接着剤、ハイドロゲル、アクリル接着剤、及びこれらの組み合わせの一群から選択される、請求項15に記載の創傷被覆材。
【請求項24】
前記穿孔疎水性層は、シリコン接着剤、ハイドロコロイド接着剤、ポリウレタン接着剤、ゴム系接着剤、アクリル接着剤、不織布材料、編物材料、及びコーティングされた織布材料の一群から選択される、請求項15に記載の創傷被覆材。
【請求項25】
前記バッキングはポリウレタンフィルムからなる、請求項15に記載の創傷被覆材。
【請求項26】
前記バッキングは、ポリウレタン発泡体にラミネートされたポリウレタンフィルムからなる、請求項15に記載の創傷被覆材。
【請求項27】
バッキングを形成するステップと、
吸収性層を形成するステップと、
穿孔疎水性層を形成するステップと、
少なくとも第2縁と反対側に位置する第1縁を有する剥離ライナーを形成するステップと、
を含み、
前記剥離ライナーは、前記第1縁から前記第2縁へと前記剥離ライナーを除去すると前記吸収性層が露出し、前記第2縁から前記第1縁へと前記剥離ライナーを除去すると前記穿孔疎水性層が露出するように形成されている、創傷被覆材の製造方法。
【請求項28】
バッキングを形成するステップと、
接着剤層を形成するステップと、
吸収性層を形成するステップと、
前記吸収性層を第1面以外で包囲する穿孔疎水性層を形成するステップと、
を含み、
前記穿孔疎水性層は、前記第1面、又は前記第1面と反対側の第2面のいずれか一方が前記接着剤層に接着されるように形成されている、創傷被覆材の製造方法。
【請求項29】
(i)創傷からの滲出液のレベルを決定するステップと、
(ii)バッキング、吸収性層、穿孔疎水性層、及び少なくとも第2縁の反対側に位置する第1縁を有し、前記第1縁から前記第2縁へと剥離すると吸収性層が露出し、前記第2縁から前記第1縁へと剥離すると前記穿孔疎水性層が露出するように構成された剥離ライナーを有する創傷被覆材を貼り付けるステップと、
を備え、
前記ステップ(i)において、前記創傷が中滲出から高滲出の創傷であると判断された場合、前記ステップ(ii)は、前記剥離ライナーを前記第1縁から前記第2縁へと剥離して前記吸収性層を露出させ、前記剥離ライナーの剥離と同時に前記穿孔疎水性層を剥離して、前記吸収性層が前記創傷に接触するように前記創傷被覆材を貼り付けることを含む、傷を治療する方法。
【請求項30】
(i)創傷からの滲出液のレベルを決定するステップと、
(ii)バッキング、吸収性層、穿孔疎水性層、及び少なくとも第2縁の反対側に位置する第1縁を有し、前記第1縁から前記第2縁へと剥離すると前記吸収性層が露出し、前記第2縁から前記第1縁へと剥離すると前記穿孔疎水性層が露出するように構成された剥離ライナーとを含む創傷被覆材を貼り付けるステップと、
を備え、
前記ステップ(i)において、前記創傷が低から非滲出性の創傷であると判断された場合、ステップ(ii)は、前記剥離ライナーを前記第2縁から前記第1縁へと剥離して前記穿孔疎水性層を露出させることと、前記創傷を保護するように前記創傷被覆材を貼り付けることとを含む、傷を治療する方法。
【請求項31】
バッキングと、
第1及び第2層と、
少なくとも第2縁と反対側に位置する第1縁を有する剥離ライナーと、
を備え、
前記剥離ライナーは、前記第1縁から前記第2縁へと剥離されると前記第1層が露出し、前記第2縁から前記第1縁へと剥離されると前記第2層が露出するように構成されている、創傷被覆材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載されているのは、様々なタイプの創傷に対して最適な治癒条件を提供するのに適した適応可能接着性創傷被覆材である。
【背景技術】
【0002】

創傷被覆材は、真皮の傷の治癒を促進する。創傷被覆材は、創傷の管理、皮膚の保護、及び圧迫性潰瘍の発生の防止を補助するために使用することができる。創傷被覆材は一般に、感染性創傷、静脈性潰瘍、糖尿病性潰瘍、火傷、圧迫性潰瘍、外科的創傷などの慢性及び急性創傷を含む様々な創傷の治療に適している。創傷治癒は、解剖学的連続性と機能の回復をもたらす複雑で動的なプロセスである。創傷は治癒過程において、滲出期、増殖期、修復期、上皮成熟期の4段階のいずれかの特徴がある。理想的に治癒した創傷には、真皮が正常な解剖学的構造、機能、外観に戻った創傷が含まれる。
【0003】
創傷は、複数の形態で存在する。創傷は、治癒過程を通して、激しく滲出するものから滲出しないものまで様々である。このように、被覆界面の理想的な特性は、臨床使用に応じて変化する。例えば、滲出量の多い創傷では、滲出液を管理するために親水性界面が有効な場合がある。一方、滲出量の少ない創傷では、湿った創傷環境を維持するために疎水性界面(例えば、シリコン接着剤)が有効な場合がある。このように、臨床医は臨床上のニーズを満たすために様々な被覆材を求めていることが多い。
【発明の概要】
【0004】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される創傷被覆材は、バッキング、第1層(例えば、吸収性層、多孔質層、発泡体層、又はこれらの組み合わせ)、第2層(例えば、疎水性層、親水性層、両親媒性層、これらのうちのいずれかは、穿孔されていても穿孔されていなくてもよく、又開口部を含んでいても含んでいなくてもよい)、及び剥離ライナーからなる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は創傷接触層を備える。ここで、創傷接触層は、親水性及び/又は少なくとも幾分疎水性のヒドロコロイドである。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、少なくとも第1部分が第2部分と対向、又はほぼ対向している。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、1又は複数のタブ、糸、縫い目、くぼみ、双方向性リリーサー、及びこれらの組み合わせなどの剥離ライナーの剥離を促進する構成を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、第1部分から第2部分へと剥離ライナーを剥離すると第1層の少なくとも一部が露出し、第2部分から第1部分へと剥離ライナーを剥離すると穿孔疎水性層の少なくとも一部が露出するように構成された、第2部分とほぼ対向する少なくとも第1部分からなる剥離ライナーを構成する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、創傷被覆材が、バッキング、第1層、接着層、及び剥離ライナーを備え、剥離ライナーを第1部分から第2部分へと剥離すると第1層が露出し、第2部分から第1部分へと剥離すると接着層が露出するように構成された、第2部分に対向又はほぼ対向して配置された少なくとも第1部分を備える。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、第1部分から第2部分まで剥離ライナーが剥離されると、第2層の少なくとも一部を分離させて第1層を露出させ、第2層の少なくとも一部が係合したままとなるように構成された剥離ライナーを備える。いくつかの実施形態では第2層は接着剤層である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、第2層を分離すると、第1層が創傷に接触する第2層に窓が形成されるように構成されている。いくつかの実施形態では、窓は実質的に遮られていない。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、第2層を分離すると、第1層が創傷に接触する第2層に実質的に遮られない窓を形成するように構成されている。
【0005】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される創傷被覆材は、バッキング、吸収性層、穿孔疎水性層、及び剥離ライナーからなる創傷被覆である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、少なくとも第2縁とは反対側に配置された第1縁を備える。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、少なくとも第2縁に平行に配置された第1縁を備える。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、少なくとも第2縁に垂直に配置された第1縁を備える。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、タブ、糸、縫い目、くぼみ、及び双方向剥離の一群から選択される剥離ライナーを剥離するための方法を備える。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、少なくとも第2縁の反対側に配置された第1縁を有する剥離ライナーを備え、剥離ライナーを第1縁から第2縁へと剥離すると吸収性層が露出し、第2縁から第1縁へと剥離すると穿孔疎水性層が露出するように構成されている。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、バッキング、吸収性層、接着性層、及び剥離ライナーを備え、少なくとも第2縁の反対側に配置された第1縁を有する創傷被覆材である。創傷被覆材は、第1縁から第2縁へと剥離ライナーを剥離すると吸収性層が露出し、第2縁から第1縁へと剥離ライナーを剥離すると接着性層が露出するように構成されている。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は剥離ライナーを備え、第1縁から第2縁へと剥離ライナーを剥離すると、穿孔疎水性層が創傷被覆材から分離して吸収性層が露出し、穿孔疎水性層が係合したままとなるように構成されている。いくつかの実施形態では、穿孔疎水性層は接着性層である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、穿孔疎水性層を分離することにより、吸収性層が創傷に接触する穿孔疎水性層に窓を形成するように構成されている。いくつかの実施形態では、窓は実質的に遮られない。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、付着物層を分離することにより、吸収性層が創傷に接触する付着物層に実質的に遮られない窓を形成するように構成されている。
【0006】
いくつかの実施形態において、提供される創傷被覆材は、バッキング、吸収性層、穿孔疎水性層、及び少なくとも第2縁とは反対側に配置された第1縁を有する剥離ライナーを備え、剥離ライナーを第2縁から第1縁へと剥離すると、創傷被覆材から分離して穿孔疎水性層が露出し、穿孔疎水性層は創傷被覆材に結合したままとするように構成されている。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、ゲル化繊維、吸収性繊維、親水性発泡体、抗菌性繊維、高吸収性粉末-繊維混合物、非ゲル化繊維、及びこれらの組み合わせの一群から選択される吸収性層を備える。いくつかの実施形態では、吸収性層は、親水性又は非接着性層である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆剤は、ゲル化繊維、吸収性繊維、親水性発泡体、抗菌性繊維、高吸収性粉末-繊維ブレンド、非ゲル化繊維、及びこれらの組み合わせの一群から選択される非接着性層を備える。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、ゲル形成繊維が発泡体層に結合した吸収性層を備える。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、発泡体層に結合されたゲル形成繊維からなる非接着性層を備える。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、親水性発泡体からなる発泡体層に結合されたゲル形成繊維を有する吸収性層を備える。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、親水性発泡体からなる発泡体層に結合していないゲル形成繊維からなる吸収性層を備える。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、ゲル形成繊維からなる吸収性層が、ゲル形成繊維からなる吸収性層と親水性発泡体からなる発泡体層との間の付加的な層に結合されるゲル形成繊維からなる吸収性層を備える。いくつかの実施形態では、発泡体層は親水性発泡体を備える。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、互いに結合した層を備える。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、互いに結合していない層を備える。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、互いに重ねて配置される層を備える。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、バッキング、吸収性層、穿孔疎水性層、及び剥離ライナーを備える。バッキング、吸収性層、穿孔疎水性層、及び剥離ライナーは、互いに結合している。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、バッキング、吸収性層、穿孔疎水性層、及び剥離ライナーを備える。バッキング、吸収性層、穿孔疎水性層、及び剥離ライナーは互いに結合されていない。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、バッキング、吸収性層、穿孔疎水性層、及び剥離ライナーを備える。バッキング、吸収性層、穿孔疎水性層、及び剥離ライナーの一群から選択される少なくとも1つが、吸収性層、穿孔疎水性層、及び剥離ライナーの一群から選択される少なくとも1つの他のものに結合されている。
【0007】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される創傷被覆材は、バッキング、吸収性層、穿孔疎水性層、及び剥離ライナーからなり、吸収性層は、化学修飾セルロース、アルギン酸塩、高吸水性繊維、合成繊維、及びこれらの組み合わせの一群から選択される材料からなる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材の化学修飾セルロースは、カルボキシメチルセルロース又はカルボキシメチルセルロースナトリウムである。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、創傷を取り囲む皮膚に創傷被覆材を接着するために、吸収性層の周縁部を越えて延びる接着剤層を備える。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、接着剤層が、シリコン接着剤、ハイドロコロイド接着剤、ポリウレタン接着剤、ゴム系接着剤、ヒドロゲル、アクリル接着剤、及びこれらの組み合わせの一群から選択される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、シリコン接着剤、ハイドロコロイド接着剤、ポリウレタン接着剤、ゴム系接着剤、ヒドロゲル、アクリル接着剤、コーティングされた織布材料又はフィルム、不織布材料、編物材料、電気紡績材料、及びこれらの組み合わせの一群から選択される穿孔疎水性層を備える。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、ポリウレタンフィルムからなるバッキングを備える。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、ポリウレタン発泡体にラミネートされたポリウレタンフィルムからなるバッキングを備える。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、ポリウレタンフィルムを繊維状部材に積層したバッキングを備える。いくつかの実施形態では、繊維状成分は、ゲル化繊維、吸収性繊維、親水性発泡体、抗菌性繊維、高吸収性粉末-繊維混合物、非ゲル化繊維、及びこれらの組み合わせの一群から選択される。いくつかの実施形態では、繊維状成分は、ゲル化繊維、吸収性繊維、抗菌性繊維、高吸水性粉末繊維ブレンド、非ゲル化繊維、及びこれらの組み合わせの一群から選択される。
【0008】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される創傷被覆材は、バッキング、接着剤層、吸収性層、及び第1面を除く全ての面で前記吸収性層が包まれる穿孔疎水性層からなり、前記穿孔疎水性層は、前記第1面又は前記第1面に対向する第2面のいずれかが前記接着剤層に接着されるように構成されている。いくつかの実施形態では、本明細書に開示された創傷被覆剤は、吸収性層を包んで創傷に接触する窓を形成する穿孔疎水性層を備える。いくつかの実施形態では、窓は、実質的に妨げられない窓であり、創傷への適合のために穿孔疎水性層の露出領域を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、ゲル化繊維、非ゲル化繊維、吸収性繊維、及び親水性発泡体、又はこれらの組み合わせの一群から選択される吸収性層を備える。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、発泡体層に結合したゲル形成繊維からなる吸収性層を備える。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、親水性発泡体からなる発泡体層に結合されていないゲル形成繊維からなる吸収性層を備える。いくつかの実施形態では、本明細書に開示された創傷被覆材は、ゲル形成繊維からなる吸収性層と親水性発泡体からなる発泡体層との間の付加的な層に結合されたゲル形成繊維からなる吸収性層を備える。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、親水性発泡体からなる発泡体層を備える。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、バッキング、接着剤層、吸収性層、及び第1面を除く全ての面で吸収性層が包まれる穿孔疎水性層を備え、穿孔疎水性層は、第1面又は第1面に対向する第2面のいずれかが接着剤層に接着されるように構成され、吸収性層は、化学修飾セルロース、アルギン酸塩、高吸水性繊維、合成繊維、及びこれらの組み合わせの一群から選択される材料を備える。いくつかの実施形態では、化学修飾セルロースは、カルボキシメチルセルロース又はカルボキシメチルセルロースナトリウムである。
【0009】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、バッキング、接着剤層、吸収性層、及び第1面を除く全ての面で吸収性層が包まれる穿孔疎水性層からなり、穿孔疎水性層は、第1面又は第1面に対向する第2面のいずれかが接着剤層に接着されるように構成されており、接着剤層は、カルボキシメチルセルロースナトリウムの2層の間に位置する発泡体層を備える。いくつかの実施形態では、接着剤層は、シリコン接着剤、ハイドロコロイド接着剤、ポリウレタン接着剤、ゴム系接着剤、ヒドロゲル、アクリル接着剤、及びこれらの組み合わせの一群から選択される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、シリコン接着剤、ハイドロコロイド接着剤、ポリウレタン接着剤、ゴム系接着剤、アクリル接着剤、不織布材料、編物材料、及びコーティングされた織布材料の一群から選択される穿孔疎水性層を備える。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、ポリウレタンフィルムからなるバッキングを備える。いくつかの実施形態では、開示される創傷被覆材は、ポリウレタン発泡体にラミネートされたポリウレタンフィルムからなるバッキングを備える。いくつかの実施形態では、本明細書に開示された創傷被覆材は、ポリウレタンフィルムを繊維状部材に積層したバッキングを備える。いくつかの実施形態では、繊維状成分は、ゲル化繊維、吸収性繊維、親水性発泡体、抗菌性繊維、高吸収性粉末-繊維混合物、非ゲル化繊維、及びこれらの組み合わせの一群から選択される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、バッキング、接着層、吸収性層、及び穿孔疎水性層を備え、接着層及び穿孔疎水性層は同一の材料からなる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、バッキング、接着剤層、吸収性層、及び穿孔疎水性層を備え、接着剤層及び穿孔された層の両方が、シリコン接着剤、ハイドロコロイド接着剤、ポリウレタン接着剤、ゴム系接着剤、ヒドロゲル、不織布材料、編物材料、被覆された織布材料、アクリル接着剤、及びこれらの組み合わせの一群から選択される材料で形成されている。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆は、バッキング、接着剤層、吸収性層、及び穿孔疎水性層を備え、接着剤層及び穿孔疎水層は、異なる材料からなり、吸収性層を変形させることなく接着剤層から吸収性層を剥離することができるように、吸収性層は永久接着されていない。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、バッキング、接着剤層、吸収性層、及び穿孔疎水性層を備え、接着剤層及び穿孔疎水層は、異なる材料で形成され、吸収性層を変形させることなく接着剤層から吸収性層を剥離することができるように、永久接着されていない。
【0010】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるのは、バッキングを形成すること、吸収性層を形成すること、穿孔疎水性層を形成すること、及び第2縁に対向して配置された少なくとも第1縁からなる剥離ライナーを形成することからなる創傷被覆材の製造方法であって、剥離ライナーを第1縁から第2縁へと剥離すると吸収性層が露出し、第2縁から第1縁へと剥離すると穿孔疎水性層が露出するように形成されている。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材の製造方法は、バッキングを形成すること、接着剤層を形成すること、吸収性層を形成すること、及び第1側面を除く全ての面に前記吸収性層が包まれる穿孔疎水性層を形成することからなる創傷被覆材の製造方法であって、前記穿孔疎水性層は、前記第1側面又は前記第1側面に対向する第2側面のいずれかが前記接着剤層に接着されるように形成されている。
【0011】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷の治療方法は、前記創傷からの滲出液のレベルを決定することと、バッキング、吸収性層、穿孔疎水性層、及び少なくとも第2縁とは反対側に位置する第1縁を有する剥離ライナーを備え、前記剥離ライナーを前記第1縁から前記第2縁へと剥離すると前記吸収性層が露出し、前記剥離ライナーを前記第2縁から前記第1縁へと剥離すると前記穿孔疎水性層が露出するように構成された創傷被覆材を適合することと、を備える。創傷が中滲出性から高滲出性の創傷であると判断された後、次のステップは、剥離ライナーを第1端から第2端へと剥離すると同時に穿孔疎水性層を剥離して吸収性層を露出させ、吸収性層が前記創傷に接触するように創傷被覆材を適合することを備える。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷の治療方法は、前記創傷からの滲出液のレベルを決定することと、バッキング、吸収性層、穿孔疎水性層、及び少なくとも第2縁とは反対側に位置する第1縁を有する剥離ライナーを備え、前記剥離ライナーを前記第1縁から前記第2縁へと剥離すると前記吸収性層が露出し、前記剥離ライナーを前記第2縁から前記第1縁へと剥離すると前記穿孔疎水性層が露出するように構成された創傷被覆材を適合することと、を備える。創傷が低滲出性から非滲出性の創傷であると判断されると、次のステップは、第2端から第1端へと剥離ライナーを剥離して穿孔疎水性層を露出させ、創傷被覆材が創傷を保護するように創傷被覆材を適合することを備える。
【0012】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、少なくとも2つの選択肢を提供する。すなわち、創傷被覆材が中滲出性から高滲出性の創傷、皮膚保護、及び創傷治癒に適した少なくとも第1選択肢と、創傷被覆材が低滲出性から非滲出性の創傷及び皮膚保護に適した少なくとも第2選択肢とを提供する。
【0013】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、(a)バッキング、(b)吸収性層、(c)穿孔疎水性層、及び(d)剥離ライナーを備える。剥離ライナーは、第2縁に対して、反対側に、平行に、又は垂直に配置された少なくとも第1縁を有し、前記第1縁から前記第2縁へと剥離されると前記吸収性層を露出させ、前記第2縁から前記第1縁へと剥離されると前記穿孔疎水性層を露出させるように構成されている。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、(a)バッキング、(b)吸収性層、(c)穿孔疎水性層、及び(d)剥離ライナーを備える。剥離ライナーは、少なくとも第2縁とは反対側に配置された第1縁を有し、前記第1縁から前記第2縁へと剥離すると前記吸収性層が露出し、前記第2縁から前記第1縁へと剥離すると前記穿孔疎水性層が露出するように構成されている。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、(a)バッキング、(b)吸収性層、(c)穿孔疎水性層、及び(d)剥離ライナーを備える。剥離ライナーは、少なくとも第2縁に平行に配置された第1縁を有し、前記第1縁から前記第2縁へと剥離すると前記吸収性層が露出し、前記第2縁から前記第1縁へと剥離すると前記穿孔疎水性層が露出するように構成されている。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、(a)バッキング、(b)吸収性層、(c)穿孔疎水性層、及び(d)剥離ライナーを備える。剥離ライナーは、第2縁に垂直に配置された少なくとも第1縁を有し、前記第1縁から前記第2縁へと剥離されると前記吸収性層を露出させ、前記第2縁から前記第1縁へと剥離されると前記穿孔疎水性層を露出させるように構成されている。
【0014】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、(a)バッキング、(b)吸収性層、(c)穿孔疎水性層、及び(d)剥離ライナーを備える。剥離ライナーは、少なくとも垂直面内の第1縁及び水平面内の第2縁を有し、前記第1縁から前記第2縁へと剥離されると前記吸収性層を露出させ、前記第2縁から前記第1縁へと剥離されると前記穿孔疎水性層を露出させるように構成されている。
【0015】
一実施形態では、本明細書に開示される技術は、(a)バッキング、(b)吸収性層、(c)穿孔疎水性層、及び(d)剥離ライナーを備えた創傷被覆材に関する。剥離ライナーは、少なくとも第2縁とは反対側に、平行に、又は垂直に配置された第1縁、又は垂直面内の第1縁と水平面内の第2縁を有し、前記第1縁から前記第2縁へと剥離されると前記吸収性層を露出させ、前記第2縁から前記第1縁へと剥離されると前記穿孔疎水性層を露出させるように構成されている。一実施形態では、本明細書に開示される技術は、(a)バッキング、(b)吸収性層、(c)穿孔疎水性層、(d)剥離ライナーを備える創傷被覆材に関する。剥離ライナーは、少なくとも第2縁の反対側の第1縁、又は垂直面内の第1縁及び水平面内の第2縁を有し、前記第1縁から前記第2縁へと剥離されると前記吸収性層を露出させ、前記第2縁から前記第1縁へと剥離されると前記穿孔疎水性層を露出させるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A】本明細書に開示される多層創傷被覆材の実施形態であって、ポリウレタン(PU)フィルム102、PU発泡体103、HYDROFIBER(登録商標)(ConvaTec、英国)/ゲル化繊維創傷接触層104、及び穿孔シリコン接着剤ボーダー105を有する多層創傷被覆材101を示す。
図1B】本明細書に開示される多層創傷被覆材の実施形態であって、カバー層(トップ)106、第1層(1又は複数の層を構成してもよい)107、及び第2層108(又は創傷接触層)を有する多層創傷被覆材を示す。多層創傷被覆材は、穿孔、開口部、開窓部などの開口部を有していてもよく、剥離ライナーの少なくとも一部が取り除かれたときに層1を露出させる窓を提供する。
図2A】本明細書に開示される多層創傷被覆材の実施形態であって、PUフィルム202、PU発泡体203、HYDROFIBER(登録商標)(ConvaTec、英国)/ゲル化繊維創傷接触層204、穿孔シリコン接着剤205を有する多層創傷被覆材201を示す。
図2B】本明細書に開示される多層創傷被覆材の実施形態であって、カバー層206(上)、第1層207(1又は複数の層を構成してもよい)、及び穿孔、開口部、開窓部等の開口部を有する第2層208(又は創傷接触層)を有する多層創傷被覆材を示す。
図3A】本明細書に開示された多層創傷被覆材の実施形態であって、親水性吸収性創傷界面またはオープン構造の疎水性/親水性創傷界面のいずれかを提供するために、層の剥離によって創傷界面が適合される多層創傷被覆材301を示す。左から右に引っ張って疎水性層露出ライナー(左側)を剥離すると、疎水性創傷接触層が露出する。右から左に引っ張って吸収パッド露出ライナーを剥離すると、吸収パッドが露出する(ジグザグの穿孔305は、疎水性層が一方向にのみ「ジッパーを開ける」ことが可能となるように機能する)。
図3B】本明細書に開示された多層創傷被覆材の実施形態であって、図3Aに示す吸収パッドを剥離した実施形態を示す。左から右に引っ張ることにより疎水性層露出ライナー306(左側)を剥離すると、疎水性創傷接触層が露出する。右から左に引っ張ることにより吸収パッド露出ライナー307を剥離すると、創傷接触層が露出する(ジグザグの穿孔308は、疎水性層が一方向にのみ「ジッパーを開ける」ことが可能となるように機能する)。
図4A】本明細書に開示された多層創傷被覆材の実施形態であって、創傷界面が創傷被覆材のいずれかから選択される多層リバーシブル創傷被覆材を示す。創傷被覆材の一方の面401は、穿孔されたシリコンの境界で露出された吸収性パッド403である。創傷被覆材の他方の面402は、穿孔された疎水性の創傷接触層であり、閉塞された吸収性パッドである。404は、剥離ライナーのない閉塞した吸収性パッドを有し、穿孔疎水性創傷接触層である。本明細書に開示された多層創傷被覆材は、さらに、吸収性パッド408又は409を取り囲むバッキングフィルム405、穿孔シリコン接着剤層406、及び穿孔シリコンケース407を備える。吸収性パッド408は、露出した創傷接触層を有する吸収性パッドと、中間に吸収性発泡体層を有する吸収性パッドとを備える。吸収性パッド409は、部分的に吸収性パッドが露出した穿孔シリコン創傷接触層を有する吸収性パッドを備える。
図4B】本明細書に開示された多層創傷被覆材の実施形態であって、創傷接触層が創傷被覆材のいずれか一方の面から選択される多層リバーシブル創傷被覆材を示す。創傷被覆材の一方の面410は、吸収性パッド412が穿孔されたシリコン境界で露出している。創傷被覆材の他方の面411は、穿孔された疎水性創傷接触層であり、閉塞された吸収性パッドである。413は、剥離ライナーのない閉塞した吸収性パッドを有する穿孔疎水性創傷接触層である。本明細書に開示された多層創傷被覆材は、さらに、吸収性パッド417又は418を取り囲むバッキングフィルム414、穿孔シリコン接着剤層415、及び穿孔シリコンケース416を備える。吸収性パッド417は、露出した創傷接触層を有する吸収性パッドと、中間に吸収性発泡体層を有する吸収性パッドとを備える。吸収性パッド418は、部分的に吸収性パッドが露出した穿孔シリコン創傷接触層を有する吸収性パッドを備える。
図5A】露出窓502及び吸収性パッド503を有し、疎水性層を異なる方向に剥離、又はその位置に留まらせることができる一連の不連続性を有する、多層化された創傷被覆材501を示す。
図5B図5Aの多層創傷被覆材を示し、親水性層504は、剥離ライナー505を矢印506で示す方向に剥離することにより露出させることができる。
図5C図5Aの多層創傷被覆材を示し、多層創傷被覆材の疎水性層507は、剥離ライナー508を矢印509で示す方向に剥離することにより、そのままの状態を維持することができる。
図6A】本明細書に開示される多層創傷被覆材の一実施形態である。多層創傷被覆材601は、露出窓602及び吸収性パッド603を有し、疎水性層の異なる方向への剥離を可能にするか、又は所定の位置に留まるようにするための一連の不連続性を有する。
図6B図6Aの多層創傷被覆材を示す。親水性層604は、剥離ライナー605を矢印606によって示す方向に剥離することにより露出可能となっている。
図6C】本明細書に開示される多層創傷被覆材の一実施形態であって、図6Aの多層創傷被覆材を示す。疎水性層607が、剥離ライナー608を矢印609で示す方向に剥離することにより、そのままの状態を維持可能となっている。
図7A】多層創傷被覆材の概略図を示す。窓に設けた切れ目に対する剥離ライナーの相対的な位置が、剥離ライナーを剥離する際の窓の除去又は滞留を決定する。窓が、切れ目702と剥離ライナー701の間に、より大きな接着面を有する剥離縁を示す。窓と剥離ライナーの間、及び窓と創傷被覆材の間のライト剥離(L)及びタイト剥離(T)の位置も図示されている。
図7B】多層創傷被覆材の概略図であって、窓の切断線704のすぐ下に配置され、剥離ライナーに接着する窓の面積を減少させる剥離ライナー703を有するステイ縁を示す。矢印方向で示すように、剥離ライナーを剥離するとき、窓が剥離ライナーと一緒に剥離されるのではなく、多層創傷被覆材に接着されたままである。窓と剥離ライナーの間、及び窓と創傷被覆材の間のライト剥離(L)及びタイト剥離(T)の位置も図示されている。
図7C】多層創傷被覆材の剥離ライナーの側面から見た図であり、L剥離及びT剥離の配置を示す。左側では、T剥離が剥離ライナー705と窓706との間に配置されている。追加の接着剤707は、剥離ライナー705と窓706との間により強固な接着力を作り出すために追加される。T剥離のための追加の接着剤707の例は、ポリエステル(PET)テープを使用することを含む。右側では、L剥離は、より軽い接着剤を必要とする。したがって、追加の接着剤は存在しない。L剥離のための軽い接着剤の例は、低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。
図7D】多層創傷被覆材のポリウレタン(PU)側から見た図である。左側(剥離端)では、L剥離が使用される。右側(ステイ縁)では、T剥離が使用される。例えば、右側には、より高い接着性を得るために転写テープのバンドが追加されている。
図8A】剥離ライナー801が縁から矢印方向に剥離される多層創傷被覆材を示す。この特定方向に剥離ライナーを剥離すると、実線で暗くなった長方形状で示すように、取り外し可能な窓802が剥離される。窓が剥離されると、疎水性層も剥離され、高滲出性創傷の治療に使用するために、その下に親水性吸収性創傷インターフェース803が露出する。
図8B】剥離ライナー804及び取り外し可能な窓805(実線で示す濃い四角)が完全に剥離された多層創傷被覆を示す。このような例では、疎水性層が剥離されて、高滲出性創傷の治療に使用するために、下にある親水性吸収性創傷インターフェース806が露出する。
図9】剥離ライナー901が完全に剥離されて、剥離可能な窓902(実線で示された濃い四角)が創傷被覆材上にそのまま残っている多層創傷被覆材を示し、滲出液の少ない創傷又は滲出液のない創傷を治療するために使用される。疎水性層903は、窓部と非窓部の両方からなり、滲出量が少ないか、又は滲出量がない創傷に適用される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
創傷被覆材は、皮膚及び創傷領域の保護、並びに創傷滲出液の吸収を含む創傷管理の目的を提供し、例えば、圧力潰瘍の発生の予防を支援する。創傷は、治癒の過程で滲出量が多いものから滲出しないものまで様々である。したがって、創傷の臨床症状によって創傷被覆材の必要性も変わってくる。例えば、滲出量の多い創傷では、滲出液を管理するために親水性の界面が必要であるが、滲出量の少ない創傷では、湿った創傷環境を維持するために疎水性の界面が必要である。様々な創傷被覆材の使用に対する解決策として、創傷接触層が創傷の特性に適合するように臨床医が使用中に適応可能な創傷被覆材が考えられる。使用時に適応可能な創傷接触面を有する多層の適応可能接着性創傷被覆材が必要とされている。
【0018】
提供される創傷管理用の創傷被覆材は、創傷のニーズに合わせることができる。創傷被覆材は、ゲル形成ポリマー、非ゲル形成繊維、又はこれらの組み合わせとすることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載された創傷被覆材は、動物の創傷の治療方法で使用される。さらなる実施形態では、本明細書に記載された創傷被覆材は、動物の慢性創傷の治療方法で使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載された創傷被覆材は、哺乳動物の創傷の処置方法に使用される。さらなる実施形態では、記載された創傷被覆材は、哺乳動物の慢性創傷の治療方法で使用される。
【0019】
創傷被覆材
本明細書に開示される特定の実施形態には、バッキング、第1層及び第2層、並びに少なくとも第2縁と反対側に配置された第1縁を有する剥離ライナーを備えた創傷被覆材が開示されている。いくつかの実施形態では、第1層は、例えば、吸収性層であり、第2層は、例えば、穿孔された層、例えば、疎水性層である。いくつかの実施形態では、剥離ライナーは、剥離ライナーの剥離方向が、第1層、例えば吸収性層、又は第2層、例えば穿孔層が創傷への適合のために露出されるかどうかを指示するように構成されている。いくつかの実施形態では、穿孔層は、親水性又は疎水性の層である。本明細書に開示された被覆材が別の層の上に配置される実施形態等、いくつかの実施形態では、剥離ライナーは、剥離ライナーの剥離方向が、第1層、例えば吸収性層、又は第2層、例えば穿孔層が親水性層への適合のために露出されるかどうかを指示するように構成されている。また、本明細書に開示される特定の実施形態では、バッキング、吸収性層、穿孔疎水性層、及び少なくとも第2縁とは反対側の第1縁を有する剥離ライナーを備えた創傷被覆材が開示される。いくつかの実施形態では、剥離ライナーは、剥離ライナーの剥離方向が、吸収性層、穿孔疎水性層が創傷又は親水性層に適合するために露出させるかどうかを指示するように構成されている。本明細書にさらに開示される創傷被覆材は、バッキング、接着剤層、吸収性層、及び吸収性層の第1側面に設けた窓を除いて吸収性層を包囲する穿孔疎水性層を備えた創傷被覆材である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材はリバーシブルである。この構成では、穿孔疎水性層は、創傷に適合するために、吸収性層又は穿孔疎水性層の窓のいずれかが露出するようにリバーシブルである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の創傷被覆剤は、穿孔を有する疎水性層、切り込みを有する疎水性層、スリットを有する疎水性層、穴を有する疎水性層、開口部を有する疎水性層、不連続性を有する疎水性層、及び傾斜を有する疎水性層の一群から選択される疎水性層を構成する。
【0020】
本明細書にさらに開示されるのは、バッキング、第1層、接着剤層、及び第1層の第1側面の窓を除いて第1層を包囲する第2層からなる創傷被覆剤である。いくつかの実施形態では、第1層は吸収性層である。他の実施形態では、第2層は穿孔層である。さらに別の実施形態では、第2層は穿孔疎水性層である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆剤はリバーシブルである。この構成では、第2層は、第1層又は第2層の窓のいずれか一方を創傷へ適用して露出させるためにリバーシブルである。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、第2層が、穿孔を有する疎水性層、切り込みを有する疎水性層、スリットを有する疎水性層、穴を有する疎水性層、開口部を有する疎水性層、不連続性を有する疎水性層、及び傾斜を有する疎水性層の一群から選択される疎水性層を含む第2層を備える。
【0021】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示された創傷被覆材は、被覆材に使用するのに適した材料からなる。被覆材に使用するのに適した材料は、非刺激性、耐久性、及び柔軟性を有し、非限定的な例として、天然繊維の織物(例えば、綿、麻、及び麻)、合成繊維の織物(例えば、ナイロン、ポリエステル、アラミド、オレフィン、及びアクリル)、及びプラスチック(例えば、ポリ塩化ビニル、低密度ポリエチレン、及びポリプロピレン)を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、創傷被覆材のパッケージ及び剥離ライナーシステムを構成する。創傷被覆材のパッケージ及び剥離ライナーシステムのための好適な材料は、容易に引き裂かれ、非限定的な例として、紙及びワックス紙を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、身体の異なる部分に適合するように寸法が決められ、例えば、人間の指又は膝に適合するように寸法を決められた創傷被覆材が挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、例えば、5×5cm、6×7cm、10×12cm、10×20cm、15×20cm、30×20cm、40×20cm、50×20cm、20×20cm、25×25cm、30×30cm、35×35cm、40×40cm、45×45cm、50×50cm、又はこれらの例示的なサイズのいずれかの中間のサイズを含む標準的なサイズの寸法とされる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、29、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50mm、又はそれ以上の長さ又は幅を有し、それらの増分を含むサイズを有する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆剤は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、29、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50cm、又はそれ以上の長さ又は幅を有し、それらの増分を含むサイズを有する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材に適した形状は、正方形、長方形、楕円形、丸形、及び蝶形の創傷被覆材を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、吸収性層の位置のための複数の部位と、穿孔疎水性層の位置のための複数の部位とを有する創傷被覆材を含む。
【0022】
バッキング
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される創傷被覆はバッキングを備える。いくつかの実施形態では、バッキングはポリウレタン(PU)から形成される。いくつかの実施形態では、バッキングはフィルム又は不織布材料から形成される。いくつかの実施形態では、バッキングは、ポリウレタン発泡体又は不織布材料にラミネートされたポリウレタンフィルムから形成される。いくつかの実施形態では、ポリウレタンは、0.02mmから0.04mmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、バッキングは透明である。いくつかの実施形態では、バッキングは、高い水蒸気透過率(MVTR)を有し、水分が創傷被覆材を透過して創傷から蒸発することを可能にする。いくつかの実施形態では、バッキングは、少なくとも2,500g/meter2/日のMVTRを有する。いくつかの実施形態では、バッキングは、1,0000g/m2/日から30,000g/m2/日、又は9,000g/m2/日から27,000g/m2/日の範囲のMVTRを有する。いくつかの実施形態では、MVTRは、液体接触ISO規格を用いて測定される(例えば、英国規格協会 "Test methods for primary wound dressings; Moisture vapour transmission rate of permeable film dressings" BS EN 13726-2:2002 Section 3.3参照)。いくつかの実施形態では、バッキングは、バッキングフィルム又はストライクスルーフィルムから形成される。いくつかの実施形態では、バッキングは、使用者が被覆材を表示又はマーキングすることを可能にするために印刷され、例えば、創傷接触層が被覆材上に露出し、被覆材を剥離することなく露出している層の識別を可能にするマーキング装置(ペンなど)を使用することができる。
【0023】
吸収性層
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の創傷被覆材は第1層を含む。第1層は、水にほぼ不溶性の吸収性層を備える。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の創傷被覆材は、水にほぼ不溶性の吸収性層を備える。いくつかの実施形態では、吸収性層は非接着性層である。いくつかの実施形態では、吸収性層は、WO2011/058311に記載の吸収性層である。いくつかの実施形態では、吸収性層は複数の層からなる。いくつかの実施形態では、吸収性層は、発泡体からなる。いくつかの実施形態では、吸収性層は、カルボキシメチルセルロースナトリウム繊維、アルギン酸塩繊維、キトサン又はキトサン誘導体繊維、アクリル繊維、非ゲル化繊維、高吸水性繊維、及びこれらの組み合わせの一群から選択される繊維からなる。いくつかの実施形態では、吸収性層は、抗菌性繊維、例えば銀イオン又は金属イオンからなる抗菌性繊維からなる。いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、抗生物質、麻酔剤、抗炎症剤、皮膚保護剤、及び臭気吸収剤の一群から選択される1以上の薬剤からなる。いくつかの実施形態では、繊維は、化学修飾セルロースからなる。いくつかの実施形態では、繊維は、セルロース単位当たりのカルボキシメチル基の置換度が0.1から0.5あるカルボキシメチルセルロース繊維である。いくつかの実施形態では、繊維は、WO1993/012275に記載のカルボキシメチルセルロース繊維である。いくつかの実施形態では、繊維は、共重合用単量体を組み込み、繊維中に色素サイトを提供するアクリル繊維である。いくつかの実施形態では、共重合用単量体は、イタコン酸及び2-アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸の一群から選択される。繊維がアルギン酸塩繊維である場合、それは、カルシウムアルギン酸塩繊維又はカルシウム/ナトリウムアルギン酸塩繊維のような混合金属アルギン酸塩繊維であってもよい。アルギン酸ポリマーは、高マンヌオロネート又は高グルロネートを有するものであってもよい。いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、化学修飾セルロースからなる吸収性層を備える。いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、又は他の化学修飾セルロースからなる吸収性層を備える。いくつかの実施形態では、カルボキシメチルセルロースは、ナトリウムカルボキシメチルセルロースである。いくつかの実施形態では、吸収性層は、HYDROFIBER(登録商標)(ConvaTec、英国)からなる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の創傷被覆は、滲出液を閉じ込め、細菌を捕捉する利点(創傷周囲皮膚を保護し、浸軟化を減少させ、創傷被覆の剥離中に創傷及び交差感染を最小化するなどの利点を含む)を含む創傷の治癒に利点をもたらす。創傷床に微小な輪郭を形成し(細菌が繁殖する「デッドスペース」を最小化し、創傷床の水分バランスを維持するなどの利点を含む)、創傷液レベルに反応して凝集性ゲルを形成する(創傷被覆材がイオン性銀からなる場合など、創傷被覆材が滲出液と接触した際に凝集性ゲルを形成し、必要に応じて迅速かつ持続的な抗菌活性を提供するなどの利点を含む)。
【0024】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の創傷被覆材は、創傷からの滲出液を吸収する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の創傷被覆材は、最小レベルの吸収性を有する吸収性層を備える。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の創傷被覆材の吸収性は、自由膨潤吸収性法によって測定されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の創傷被覆材の吸収性は、少なくとも0.30g/cm2、少なくとも0.40g/cm2、少なくとも0.50g/cm2、少なくとも0.60g/cm2、少なくとも0.70g/cm2、少なくとも0.80g/cm2、少なくとも0.90g/cm2、少なくとも1.0g/cm2、少なくとも1.1g/cm2、少なくとも1.2g/cm2、少なくとも1.3g/cm2、少なくとも1.5g/cm2、少なくとも2.0g/cm2、又は少なくとも2.5g/cm2である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の創傷被覆材は、少なくとも1.03g/cm2の吸収性を達成することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の創傷被覆材は、ゲル化繊維、吸収性繊維、又は親水性発泡体からなる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、発泡体、ポリウレタン発泡体、吸収性テキスタイル、ヒドロゲル、高吸収性繊維、高吸収性粉末-繊維混合物、及びこれらの混合物の一群から選択される材料からなる吸収性コアを含む。いくつかの実施形態では、吸収性コアは、発泡体、ポリウレタン発泡体、吸収性テキスタイル、ヒドロゲル、高吸水性繊維、高吸水性粉末繊維ブレンド、及びこれらの混合物の一群から選択される材料のゲル化ブレンドからなる。いくつかの実施形態では、吸収性コアは、発泡体、ポリウレタン発泡体、吸収性テキスタイル、ヒドロゲル、高吸水性繊維、高吸水性粉末繊維ブレンド、及びこれらの混合物の一群から選択される材料の非ゲル化ブレンドからなる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、HYDROFIBER(登録商標)(ConvaTec、英国)、ゲル化繊維、ゲル化繊維ブレンド、ゲル化繊維-合成繊維ブレンド、高吸水性繊維、高吸水性粉末繊維ブレンド、及びこれらの混合物の一群から選択される材料からなる吸収性親水性層を備える。
【0025】
穿孔接着剤層と穿孔疎水性層
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の創傷被覆材は第2層を備える。第2層は穿孔接着剤層である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の創傷被覆材は穿孔接着剤層を備える。いくつかの実施形態では、穿孔接着剤層は穿孔疎水性層を備える。いくつかの実施形態では、穿孔接着剤層は、穿孔接着剤層がヒドロゲル接着剤を備える場合のように疎水性ではない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の創傷被覆剤は、切り込みを有する接着性又は疎水性層、スリットを有する接着性又は疎水性層、穴を有する接着性又は疎水性層、開口部を有する接着性又は疎水性層、不連続性を有する接着性又は疎水性層、及び傾斜を有する接着性又は疎水性層の一群から選択される接着性又は疎水性層を備える。いくつかの実施形態では、穿孔接着剤層又は穿孔疎水性層は、シリコン接着剤、ハイドロコロイド接着剤、ポリウレタン接着剤、ゴム系接着剤、アクリル接着剤、被覆された織布材料、ヒドロゲル接着剤、及びこれらの組み合わせの一群から選択される。いくつかの実施形態では、ミシン目の分布及び間隔は、それらの面積よりも実質的に大きい間隔で規則的に配置される。いくつかの実施形態では、ミシン目は、円形、正方形、長方形、三角形、楕円形、五角形、六角形、及び丸みを帯びた長方形から選択される形状である。いくつかの実施形態では、ミシン目は円形であり、0.1mmから5mm、又は0.5mmから2mmである。いくつかの実施形態では、ミシン目の間隔は、0.2mmから10mmである。いくつかの実施形態では、単位面積当たりのミシン目の数は、1から100、又は1から50、又は1から20のミシン目/cm2である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示された創傷被覆材は、シリコン接着剤、ハイドロコロイド接着剤、ポリウレタン接着剤、ヒドロゲル、アクリル接着剤、コーティングされた織布材料、及びこれらの混合物の一群から選択される材料からなる開放構造の疎水性層を備える。
【0026】
接着剤
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の創傷被覆材は、創傷に被覆材を接着する吸収性層を取り囲む接着剤を備える。いくつかの実施形態では、吸収性層は非接着剤層である。接着剤は、吸収性成分を創傷と直接接触した状態で保持し、創傷を取り囲む皮膚に被覆材をシールしてもよい。接着剤は、好ましくはシリコン系接着剤であり、より好ましくは、Dow Corning MD7-4502、MG7-9900又はMG7-9800(DowDuPont、米国)、Wacker Chemie AG SILPURAN(登録商標) 2114、2117、2122、又は2142(Wacker Chemie、ドイツ)のような感圧性シリコン系接着剤である。また、接着剤は、ハイドロコロイド系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ゴム系接着剤又はアクリル系接着剤であってもよい。
【0027】
発泡体層
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の創傷被覆は発泡体層を備える。発泡体層は連続気泡発泡体層である。発泡体層は親水性発泡体層である。いくつかの実施形態では、親水性発泡体層は、親水性連続気泡発泡体などのポリウレタン発泡体層である。発泡体層は通常、0.25mmから5mm、好ましくは1mmから4.0mm、最も好ましくは1.5mmから3mmの厚さを有する。発泡体層は、好ましくは10から30g/g、好ましくは10から20g/gの吸収性を有し、自由膨潤吸収容量法で測定した場合には、10から20g/gの吸収性を有する。いくつかの実施形態では、発泡体層は、バインダー層が水分と接触したときに制御された放出を受ける金属ベースの抗菌剤を含む。いくつかの実施形態では、発泡体層は、無機系抗菌剤を含む。いくつかの実施形態では、発泡体層は無機抗菌剤を含まない。
【0028】
発泡体層は、好ましくは、ポリマーベースの溶融層、接着剤、フレームラミネーション、超音波、又は発泡体層に直接硬化させることによって創傷接触層に接着してもよい。発泡体層は、層を共延長し、結合線によって分離された積層構造を形成するか、あるいは創傷接触層によって囲まれた部材の上面に島を形成するために、創傷接触層に直接接着してもよい。このように吸収性部材の上面に発泡体の島を形成することにより、発泡体層内の滲出液を横方向に広げて、発泡体が創傷接触層を再湿潤しようとするのを物理的に制限することができる。
【0029】
繊維層は、滲出液の吸収で発泡体層が膨張したときに発生する可能性のある成分の歪みを制限するために、創傷接触層と発泡体層との間に配置してもよい。繊維層は、好ましくは、架橋ポリアクリル酸ナトリウムのような高吸水性成分を含んでいてもよく、ポリエステル、ナイロン、又は綿のような吸収性繊維、又はポリアクリル酸塩のような高吸水性繊維から形成されていてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、一方向ウィッキング層は、創傷接触層と発泡体層との間に配置され、発泡体から創傷へと下動することにより、創傷の領域外へ滲出液が再湿潤するのを、創傷接触層が防止するのを補助する。一方向ウィッキング層は、滲出液の一方向への通過に抵抗する性質を有する。一方向ウィッキング層は、エチレン-メチルアクリレート/エチレン-酢酸ビニルからなるエンボスミシン目フィルムであってもよい。
【0031】
適応性創傷被覆材
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される創傷被覆材は、吸収性材料(例えば、ゲル化繊維、吸収性繊維、又は親水性発泡体を含む)を有する創傷接触層、又は穿孔疎水性層(例えば、シリコン接着剤、シリコンゲル、ハイドロコロイド接着剤、ポリウレタン接着剤、ゴム系接着剤、アクリル接着剤、又はコーティングされた織布材料を含む)を有する創傷接触層のいずれかを提供するために、使用時点で適応可能な多層創傷被覆材である。いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、穿孔された疎水性創傷接触層をそのまま残すか、又は親水性創傷接触層、例えば、ゲル化繊維、吸収性繊維、非接着性抗菌性繊維を備えるか、又は親水性又は実質的に親水性である親水性創傷接触層に窓を形成するために、その一部を剥離することによって適応可能である。いくつかの実施形態では、窓はシリコンからなる。いくつかの実施形態では、シリコン窓は、窓が繊維状部材に付着しないように、アクリル側に付着した不織布又はスクリム層を有する。いくつかの実施形態では、シリコン窓は、少なくとも1つのタブからなる。いくつかの実施形態では、シリコン窓は、少なくとも1つのタブで引き離すことによって剥離される。他の実施形態では、シリコン窓は、水平面内で少なくとも1つのタブを引き離すことによって剥離される。別の実施形態では、タブは、所定の位置にあるときに、シリコン窓と好適に適合する。本明細書に開示される創傷被覆材の側面に沿った多層創傷被覆材(101)を図1Aに示す。被覆材は、ポリウレタンフィルム層(102)、ポリウレタン発泡体層(103)、ハイドロファイバー(104)、及び穿孔シリコン接着剤ボーダー(105)を含む積層体の形態であってもよい。本明細書に開示された創傷被覆材の側面に沿った多層創傷被覆材を図1Bに示す。被覆材は、カバー層(106)と、1以上の層を備えてもよい第1層(107)と、ミシン目、開口部、穿孔等の開口部を有してもよい第2層(108)又は創傷接触層と、を備えた積層体の形態であってもよく、剥離ライナーの少なくとも一部が取り除かれたときに第1層を露出させる窓を提供する。本明細書に開示される創傷被覆材の側面に沿った多層創傷被覆材(201)を図2Aに示す。被覆材は、ポリウレタンフィルム層(202)、ポリウレタン発泡体層(203)、ハイドロファイバー層(204)、及び穿孔シリコン接着剤境界(205)を含む積層体の形態であってもよい。本明細書に開示された創傷被覆材の側面に沿った多層創傷被覆材を図2Bに示す。被覆材は、カバー層(206)、1つ以上の層を備えてもよい第1層(207)、及び穿孔、開口部、開窓などの開口部を有してもよい第2層(208)又は創傷接触層と、を備える積層体の形態であってもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、親水性創傷接触層を露出させる剥離ライナーの剥離により適応可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、親水性創傷接触層を露出させる縫合糸又は糸の除去により適応可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、親水性創傷接触層を露出させる双方向剥離ライナーの剥離を通して適応可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、親水性創傷接触層を露出させる1以上のタブの剥離により適応可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、親水性創傷接触層を露出させるくぼみの剥離により適応可能である。他の実施形態では、剥離ライナーは、印刷されたインジケータ、くぼみ、隆起したバンプ、又は他の物理的表示からなり、使用者がその方向にライナーを取り外すと、どの接触層が露出するかを識別することを可能にする。
【0033】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆は、上部バッキングフィルム、吸収性パッド(HYDROFIBER(登録商標)層のような吸収性親水性創傷対向層を備える。(ConvaTec、英国)、及び剥離ライナーシステムによって保護された(穿孔されたシリコン接着剤のような)穿孔開放構造疎水性層を備える。いくつかの実施形態では、剥離ライナーシステムは、開放構造疎水性層の一部の剥離を可能にする。いくつかの実施形態では、開放構造疎水性層の一部の剥離は、異なる方向に剥離することにより達成される(例えば、左から右に引っ張ることにより剥離層を剥離すると、穿孔疎水性創傷接触層が露出する一方、右から左に引っ張ることにより剥離層を剥離すると、親水性創傷接触層が露出する)。いくつかの実施形態では、異なる方向の剥離は、ジグザグ状のミシン目を使用することができ、疎水性創傷接触層を一方向のみに「取り外す」ことによって親水性創傷接触層を露出させることを可能にする。いくつかの実施形態では、ジグザグ状のミシン目は、剥離ライナーの剥離方向に応じて、(1)シリコン創傷接触層が無傷のままで露出するか、又は(2)親水性露出ライナーに沿った小さなミシン目が、シリコン創傷接触層の窓を容易に引き裂いて「取り外され」、最終的に創傷被覆材の反対側の大きなミシン目に沿って引き裂くような方法で創傷パッドの窓を横切るように配置されている。このような配置を図3に示す。この場合、小さなミシン目は、図3の右側に沿って創傷被覆に垂直に走る黒い点として図示され、大きなミシン目は、図3の左側に沿って創傷被覆に垂直に走る黒いダッシュとして図示されている。図3に図示された例では、剥離ライナーは、どの創傷接触層が露出しているかを決定している。中央の剥離ライナーは1つだけであり、剥離の方向は、シリコン創傷接触層又はHYDROFIBER(登録商標)創傷接触層が露出しているかどうかを決定する(ConvaTec、英国)。いくつかの実施形態では、穿孔及び剥離ライナーシステムは、創傷被覆の機能性に寄与する。いくつかの実施形態では、ジグザグ状のミシン目は、係合したときに剥離ライナーの異なる方向に剥離されるような向き及び形状に配置される。図3Aに示すように、例示的な創傷被覆材(301)は、吸収性創傷パッド(304)、及びジグザグ状のミシン目(305)を備えてもよい。これにより、ライナーを露出する吸収性創傷パッドが取り除かれたときにのみ、疎水性層を一方向に「取り外す」ことが可能となる。矢印(303)の方向(右から左へ)に剥離すると、吸収性パッドの創傷接触層が露出する。矢印(302)の方向(左から右へ)に剥離すると、疎水性創傷接触層が露出する。図3Bに示すように、例示的な創傷被覆材は、ライナーが露出する吸収性創傷パッドが取り外されたときにのみ、疎水性層が一方向に「剥離される」ことを可能にするジグザグ状のミシン目(308)を含んでいてもよい。矢印(307)の方向(右から左へ)に剥離すると、吸収性パッドの創傷接触層が露出する。矢印(306)の方向(左から右へ)に剥離すると、疎水性創傷接触層が露出する。
【0034】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材の反対側に位置するタブを使用して、異なる方向への剥離が可能となる。例えば、いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、2つのタブを備える。右から左に引っ張られたときに親水性創傷接触層の露出を可能にする創傷被覆材の右端に沿って配置された1つのタブと、左から右に引っ張られたときに穿孔された疎水性創傷接触層の露出を可能にする創傷被覆材の左端に沿って配置された第2タブとを含む。いくつかの実施形態では、異なる方向への剥離は、方向剥離を提供する接着技術を使用して可能となる。いくつかの実施形態では、異なる方向の剥離は、フックシステムを使用して有効化される。いくつかの実施形態では、異なる方向への剥離は、ループ及びフックシステムを使用して有効にされる。いくつかの実施形態では、異なる方向への剥離は、接着剤を使用せずに有効化される。
【0035】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される適応可能な創傷被覆は、創傷と接触する創傷被覆の側面を反転させることにより適応可能である。例えば、いくつかの実施形態では、創傷被覆材の一方の面は親水性/吸収性の創傷界面を備え、創傷被覆材の他方の面は開放構造の疎水性/親水性の創傷界面を備える。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される適応性創傷被覆材は、リバーシブルな吸収性パッドの使用により適応可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、一方の面は窓が切り取られ、カルボキシメチルセルロースが露出し、他方の面は完全なミシン目を有するシリコンを含み、カルボキシメチルセルロースがミシン目から露出し、カルボキシメチルセルロースの2層の間に位置する発泡体層からなる吸収性パッドを備える。いくつかの実施形態では、本明細書に開示された創傷被覆材は、一方の面には窓が切り取られ、窓からHYDROFIBER(登録商標)(ConvaTec、英国)が露出し、他方の面は完全なミシン目を有するシリコンを含み、ミシン目からHYDROFIBER(登録商標)(ConvaTec、英国)が露出し、ミシン目を有するシリコンの層に包囲されたHYDROFIBER(登録商標)(ConvaTec、英国)の2層の間に位置する発泡体層からなる吸収性パッドを備える。いくつかの実施形態では、窓が切り取られたリバーシブルの創傷被覆材の側面は、中滲出から高滲出の創傷に適している。中滲出から高滲出の創傷は、漏れているか、又は悪臭があるかもしれない、汚れた、湿った、又は重い創傷被覆材によって特徴付けられることがある。いくつかの実施形態では、中滲出から高滲出の創傷は、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、又は24時間以内に漏出するか、又は悪臭を放つ。いくつかの実施形態では、中滲出から高滲出の創傷は、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、又は24時間以内に、汚れた、湿った、又は重い創傷被覆材によって特徴付けられることがある。いくつかの実施形態では、完全なミシン目を有するシリコンを含むリバーシブルな創傷被覆材の側面は、保護のためには非滲出性や低滲出性の創傷が好ましい。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるリバーシブルな創傷被覆材は、リバーシブルなパッドのいずれか一方の面を付着可能にする、穿孔シリコン層で覆われたバッキングフィルムを備える。このような配置が図4Aに図示され、左側の列は、穿孔シリコンの境界線(401及び403)を有するHYDROFIBER(登録商標)(ConvaTec、英国)が露出したパッドを図示する。図4Aにおいて、要素(405)は、バッキングフィルムであり、要素(406)は、穿孔シリコン接着剤層であり、要素(407)は、吸収性パッドを取り囲む穿孔シリコンケースであり、要素(408)は、HYDROFIBER(登録商標)(ConvaTec、英国)創傷接触層が露出した吸収性パッド(2つのHYDROFIBER(登録商標)層の間に挟まれた吸収性発泡体層)である。図4Aの右側の列は、ミシン目を有するシリコン創傷接触層が、ミシン目(402及び404)での露出を除いてHYDROFIBER(登録商標)(ConvaTec、英国)層で覆われた状態を図示する。図4Aにおいて、要素(409)は、穿孔シリコン創傷接触層が、穿孔部を介して部分的にHYDROFIBER(登録商標)(ConvaTec、英国)を露出させた吸収性パッドである。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるリバーシブルな創傷被覆材は、バッキングフィルムから吸収性パッドを取り外し、創傷領域上に吸収性パッドを正確に配置し、次いでバッキングフィルムで吸収性パッドを覆うことを可能にする。図4Bでは、左側の列は、穿孔されたシリコン境界線(410及び412)を有するHYDROFIBER(登録商標)(ConvaTec、英国)が露出したパッドを示す。図4Bにおいて、要素(414)は、バッキングフィルムであり、要素(415)は、穿孔シリコン接着剤層であり、要素(416)は、吸収性パッドを取り囲む穿孔シリコンケースであり、要素(417)は、HYDROFIBER(登録商標)(ConvaTec、英国)創傷接触層が露出した吸収性パッド(2つのHYDROFIBER(登録商標)層の間に挟まれた吸収性発泡体層からなる)である。図4Bの右側の列は、ミシン目(4111及び413)での露出を除いて、HYDROFIBER(登録商標)(ConvaTec、英国)層がミシン目を有するシリコン創傷接触層によって覆われた状態を図示する。図4Bにおいて、要素(418)は、穿孔シリコン創傷接触層が、穿孔部を介して部分的にHYDROFIBER(登録商標)(ConvaTec、英国)に露出している吸収性パッドである。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるリバーシブル創傷被覆材は、バッキングフィルムから吸収性パッドを取り外し、創傷領域に吸収性パッドを正確に配置し、次いでバッキングフィルムで吸収性パッドを覆うことを可能にする。図5Aに示すように、本明細書に開示される創傷被覆材において、例示的な創傷被覆材(501)は、露出窓(502)、吸収性パッド(503)、及び一連の不連続性を備える。図5Bに示すように、矢印(506)の方向(右から左へ)に剥離ライナー(505)を剥離すると、親水性層(504)を露出可能である。図5Cに示すように、矢印(509)の方向(左から右へ)に剥離ライナー(508)を剥離すると、疎水性層(507)をそのまま残すことができる。図6Aに示すように、本明細書に開示される創傷被覆材において、例示的な創傷被覆材(601)は、露出窓(602)、吸収性パッド(603)、及び疎水性層の異なる方向への剥離、又はその位置に残ることを可能にする一連の不連続性を含んでもよい。図6Bに示すように、矢印(606)の方向(右から左へ)に剥離ライナー(605)を剥離すると、親水性層(604)を露出させることができる。図6Cに示すように、矢印(609)の方向(左から右へ)に剥離ライナー(608)を剥離すると、疎水性層(607)をそのまま残すことができる。
【0036】
製造方法
いくつかの実施形態において、本明細書に提供されるのは、適応可能接着性創傷被覆材を製造する方法である。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される適応可能接着性創傷被覆材の製造方法は、バッキングを形成すること、吸収性層を形成すること、穿孔疎水性層を形成すること、及び第2縁に対向して配置された少なくとも第1縁からなる剥離ライナーを形成することを含む。剥離ライナーを第1縁から第2縁へと引っ張ると、剥離ライナーが剥離されて吸収性層が露出する一方、第2縁から第1縁へと引っ張ると、剥離ライナーが剥離されて穿孔疎水性層が露出する。
【0037】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される適応可能接着性創傷被覆材の製造方法は、バッキングを形成すること、接着剤層を形成すること、吸収性層を形成すること、及び吸収性層を包み込む穿孔疎水性層を、一方の面を除く全ての面に形成することを含む。穿孔疎水性層は、第1面又は第1面とは反対側の第2面のいずれかが接着剤層に接着されるように形成されている。
【0038】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、ニードルパンチング、スパンレース、ウェットレイニング、ドライレイニング、メルトブローイング、ニードルボンディング、ステッチボンディング、ハイドロエンタングルメント、及びフェルトの一群から選択される方法によって製造された1つ又は複数の層を備える。いくつかの実施形態では、本明細書に開示された創傷被覆材は、ニードルパンチング、スピンレース、ウェットレイニング、ドライレイニング、メルトブロー、ニードルボンディング、ステッチボンディング、ハイドロエンタングルメント、及びフェルトの一群から選択される方法によって製造された吸収性層を備える。いくつかの実施形態では、吸収性層は、滲出液で飽和したときに、その構造を保持する追加の強度を与えるために、強化繊維でステッチ結合される。いくつかの実施形態では、ステッチ結合された構造は、使用される強化繊維の性質及びこれらのステッチ結合パターンに依存して、より高い吸収性又は被覆材への拡張性を付与する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、ポリマーベースの溶融層、接着剤、火炎ラミネート及び超音波の一群から選択される方法によって形成された発泡体層に結合されたゲル形成繊維からなる吸収性層を含む。いくつかの実施形態では、発泡体層は、ゲル形成繊維に直接結合されて、層が共延長し、結合線によって分離された積層構造を形成する。いくつかの実施形態では、発泡体層は、吸収性層の上面に島を形成してもよく、発泡体が発泡体層中の滲出液を横方向に広げ、吸収性層を再湿潤させるのを物理的に制限する。
【0039】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される適応可能接着性創傷被覆材の製造方法は、バッキング、吸収性層、穿孔疎水性層、及び剥離ライナーの一群から選択される少なくとも1つの部材を、バッキング、吸収性層、穿孔疎水性層、及び剥離ライナーの一群から選択される別の部材に縫うことを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される適応可能接着性創傷被覆材の製造方法は、バッキング、吸収性層、穿孔疎水性層、及び剥離ライナーの一群から選択される少なくとも1つの部材を、バッキング、吸収性層、穿孔疎水性層、及び剥離ライナーの一群から選択される別の部材に押し付けることを含む。
【0040】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される適応可能接着性創傷被覆材の製造方法は、バッキング、接着剤層、吸収性層、及び穿孔疎水性層の一群から選択される少なくとも1つの部材を、バッキング、接着剤層、吸収性層、及び穿孔疎水性層の一群から選択される別の部材に縫うことを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される適応可能接着性創傷被覆材の製造方法は、バッキング、接着剤層、吸収性層、及び穿孔疎水性層の一群から選択される少なくとも1つの部材を、バッキング、接着剤層、吸収性層、及び穿孔疎水性層の一群から選択される別の部材に押し付けることを含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される適応可能接着性創傷被覆材の製造方法は、トリラミン酸塩創傷被覆材の非シリコン面を適合することを含む。いくつかの実施形態では、トリラミン酸塩創傷被覆材の非シリコン面の塗布は、フラッドコーティング、スキャッターコーティング、グラデーションコーティング、パターンコーティング、又はグリッドラッカーによる塗布とすることができる。いくつかの実施形態では、トリラミン酸塩創傷被覆材の非シリコン面の塗布は、感熱性接着剤とすることができる。いくつかの実施形態では、トリラミン酸塩の非シリコン側は、1.5N/2.5cm未満のポリカーボネートピール(例えば、カルボキシメチルセルロース繊維)を有する「低タック」アクリルとすることができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される適応可能接着性創傷被覆材の製造方法は、窓を剥離ライナーに接着することを含む。いくつかの実施形態では、窓の切れ目に対する剥離ライナーの位置が窓の剥離又は残留に寄与する。いくつかの実施形態では、図7Aに図示されるように、窓が剥離ライナー(701)の端部の内側に配置された切れ目(702)を有する。この配置により、剥離ライナーに付着した窓の表面積が増大し、剥離ライナーを剥離すると、窓が剥離され、その下の親水性創傷被覆を露出させる剥離縁が形成される。図7Bに図示されるいくつかの実施形態では、剥離ライナー(703)の縁は、窓の切れ目(704)のすぐ下に配置される。この配置により、剥離ライナーに付着する窓の表面積が減少し、剥離ライナーを剥がしても窓が剥がれることのないステイ縁を形成する。いくつかの実施形態では、ライト(L)剥離又はタイト(T)剥離が、窓と隣接する領域との間に配置される(図7A及び図7B)。いくつかの実施形態では、L剥離及びT剥離は、多層創傷被覆材の剥離縁又はステイ縁を形成する。いくつかの実施形態では、L剥離及びT剥離は、窓の切れ目及び剥離ライナーの縁の相対的な位置合わせに使用され、多層創傷被覆材の剥離縁又はステイ縁を作成する。
【0043】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される適応可能接着性創傷被覆材の製造方法は、剥離縁(図7C及び図7D)への追加の接着剤(707)を備える。いくつかの実施形態では、追加の接着剤は、剥離ライナー(705)と窓(706)との間をより強固に接着する。いくつかの実施形態では、剥離縁又はT剥離は、追加のテープをラミネートすることによって作成される。いくつかの実施形態では、テープはポリエステルテープである。いくつかの実施形態では、T剥離の剥離縁は、より多くの接着剤を使用することによって作成される。いくつかの実施形態では、より軽い接着剤が、ステイ縁又はL剥離を作成するために使用される。いくつかの実施形態では、より軽い接着剤は、低密度ポリエチレンを使用することを含む。いくつかの実施形態では、ステイ縁から剥離ライナーを剥離するには、剥離縁から剥離ライナーを剥離することよりも少ない力でよい。いくつかの実施形態では、T剥離及びL剥離は、剥離ライナーと窓との間、又は窓と親水性創傷被覆材との間に配置される。いくつかの実施形態では、T剥離を有する縁は、多層創傷被覆材にあってもよいし、なくてもよい。いくつかの実施形態では、T剥離を有する縁は、窓の縁に適合する。
【0044】
創傷の治療方法
いくつかの実施形態において、本明細書に提供されるのは創傷を治療する方法である。本明細書に開示される適応可能な創傷被覆材の1つの利点は、使用者が、使用時点で、どの接触層が創傷に最も適しているかを選択できることである。創傷の治療のために本明細書に開示される適応可能な創傷被覆材を使用することにより、滲出液のレベル及び臨床的ニーズが異なっていたとしても、治癒過程を通して同じタイプの適応可能な創傷被覆材を使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の適応可能接着性創傷被覆材を用いて創傷を治療する方法は、創傷からの滲出液のレベルを決定することを含む。いくつかの実施形態では、創傷からの滲出液のレベルは、創傷への適用前及び適用後の汚れた創傷被覆材の重量を測定することによって決まる。いくつかの実施形態では、創傷からの滲出液のレベルは、創傷用排水バッグ又はキャニスターの内容物を測定することによって決まる。いくつかの実施形態では、創傷からの滲出液のレベルは、24時間毎又は48時間毎など、特定の間隔で創傷被覆材の飽和度に基づいて決まる。いくつかの実施形態では、創傷からの滲出液のレベルは、創傷床の外観に基づいて決まる。例えば、創傷からの滲出液が多い場合、創傷の周囲の皮膚は脱皮しており、白っぽい、ふっくらとした、又は湿ったような外観によって認識され、これは容易に破壊され、創傷の全体的な大きさを増大させることができる。また、非滲出性から低滲出性の創傷については、創傷被覆材が脱水して創傷床にわずかに付着していることを確認することによって判断することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷の治療方法は、創傷が中程度から高滲出性の創傷であると判断した後、バッキング、吸収性層、及び穿孔疎水性層からなる創傷被覆材から剥離ライナーを剥離し、吸収性層が露出させた後、創傷表面に適合することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷を処置する方法は、創傷が非滲出性から低滲出性の創傷であると判断し、次いで、バッキング、吸収性層、及び穿孔疎水性層からなる創傷被覆材から剥離ライナーを剥離し、穿孔疎水性層を露出させた後、創傷表面に適合することを含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷の治療方法は、創傷が中滲出から高滲出の創傷であると判断した後、バッキング、穿孔シリコン接着層、及び片面を除くすべての面で吸収性層を囲む穿孔シリコンケースからなる吸収パッドを含む創傷被覆材から吸収パッドを除去することを含み、吸収パッドを除去することにより、周囲の穿孔シリコンのない片面を創傷上に貼り付け、続いて、バッキングを吸収パッド上に貼り付けて吸収パッドを覆い、創傷周囲の皮膚に接着させることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷を処置する方法は、創傷が非滲出性から低滲出性の創傷であると判断し、続いて、バッキング、穿孔シリコン接着層、及び片側を除く全ての面で吸収性層を取り囲む穿孔シリコンケースからなる吸収性パッドを含む創傷被覆材から吸収性パッドを剥離することを含み、吸収性パッドを剥離することにより、周囲の穿孔シリコンを有する側を創傷に貼り付け、続いて、吸収性パッドにバッキングを貼り付けて吸収性パッドを覆い、創傷を取り囲む皮膚に接着させることができる。
【実施例0047】
略語一覧
上記で使用されるように、及び本明細書に記載された創傷被覆剤の説明全体を通して、以下の略語は、特に示されない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする。
PU ポリウレタン
CMC カルボキシメチルセルロース
MVTR 水蒸気透過率
【0048】
実施例1:高滲出性創傷の治療
医療提供者が患者の創傷を覆っている創傷被覆材を調査する。医療提供者は、被覆材が通常の創傷治癒過程の一部として生成される液体である滲出液で高度に飽和していると判断する。医療提供者は、創傷被覆材が24時間前に交換されたことを確認し、患者は滲出液の多い創傷であり、創傷被覆材を交換しなければならないと結論づける。医療提供者は、適応性のある接着性の創傷被覆材を入手する(例えば、図5A参照)。医療提供者は、保護包装から適応可能接着性創傷被覆材を取り出し、適応可能接着性創傷被覆材が、(上から下に順に)ポリウレタンフィルムバッキング、ポリウレタン発泡体及びカルボキシメチルセルロース(CMC)からなる親水性層からなる吸収性層、シリコンからなる穿孔疎水性層、及び剥離ライナーの層を有する多層創傷被覆材であることを識別する。一方の矢印は、滲出量が中滲出から高滲出の創傷に適用するために剥離ライナーを引っ張る方向を示し、他方の矢印は、滲出量が低滲出から非滲出の創傷に適用するために剥離ライナーを引っ張る方向を示している。医療提供者は、中滲出から高滲出の創傷に貼り付けるために、適応可能接着性創傷被覆材を示された方向に引っ張り、剥離ライナーを適応可能接着性創傷被覆材から取り外す。この方向に剥離ライナーを引っ張ると、剥離ライナーは、カルボキシメチルセルロース(CMC)からなる親水性層が露出するように、窓が穿孔疎水性層の一部を引き裂くことになる(図5B図7A、及び図7B参照)。医療提供者は、穿孔疎水性層の一部に結合された剥離ライナーを廃棄し、次いで、露出した親水性層又はCMCからなる非接着性層を貼り付け、創傷からの滲出液を吸収させ、患者の創傷を覆って保護する。
【0049】
実施例2:低滲出性創傷の治療
移動診療所の医療提供者が、表在性創傷のある患者を診察する。医療提供者は、患者の創傷が低滲出性創傷であると判断し、最小限の吸収性特性を有する創傷被覆材を必要とする。医療提供者は、適応可能接着性創傷被覆材を得る(例えば、図5A参照)。医療提供者は、ポリウレタン(PU)からなる穿孔疎水性層が露出するように、適応可能接着性創傷被覆材から剥離ライナーを剥離し、親水性層を適応性創傷被覆材から剥離する(図5C及び図8参照)。次に、医療提供者は、露出したPUからなる疎水性層を貼り付けて患者の創傷を覆って保護する一方、創傷からの滲出液を吸収させる。図8Aに示すように、剥離ライナー(801)を剥離すると、創傷を親水吸収性創傷界面(803)で覆うことができる窓(802)が露出する。図8Bに示すように、剥離ライナー(804)が完全に剥離されると、取り外し可能な窓(805)はさらに親水吸収性創傷界面(806)を露出させる。図9に示すように、剥離ライナー(901)は完全に剥離してもよいが、窓部及び非窓部(903)の両方からなる親水性層が残るように無傷の窓部(902)を残してもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、バッキング、吸収性層、穿孔疎水性層、及び少なくとも第2縁に対向して配置された第1縁を有する剥離ライナーを備える。前記剥離ライナーは、前記第1縁から前記第2縁へと剥離されると前記吸収性層を露出させ、前記第2縁から前記第1縁へと剥離されると前記穿孔疎水性層を露出させるように構成されている。
【0051】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、前記剥離ライナーが前記第1縁から前記第2縁へと剥離されると、前記創傷被覆材から前記穿孔疎水性層が分離して前記吸収性層を露出させ、前記穿孔疎水性層は前記剥離ライナーと結合したままであるように構成されている。
【0052】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、前記穿孔疎水性層を分離して、前記吸収性層を創傷に接触させることができるように、前記穿孔疎水性層に窓を形成することを含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示された創傷被覆材は、前記剥離ライナーが前記第2縁から前記第1縁へと剥離されると、前記創傷被覆材から前記剥離ライナーが分離して前記穿孔疎水性層を露出させ、前記穿孔疎水性層は前記創傷被覆材に結合したままであるように構成されている。
【0054】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される創傷被覆材は、前記吸収性層が、ゲル化繊維、吸収性繊維、親水性発泡体、抗菌性繊維、高吸収性粉末-繊維混合物、非ゲル化繊維、及びこれらの組み合わせの一群から選択される。
【0055】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、前記吸収性層が、発泡体層に結合されたゲル形成繊維を含む。
【0056】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される創傷被覆剤は、前記発泡体層が親水性発泡体を含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、前記吸収性層が化学修飾セルロース、アルギン酸塩、高吸水性繊維、合成繊維、及びこれらの組み合わせの一群から選択された材料を含む。
【0058】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される創傷被覆剤は、前記化学修飾セルロースがカルボキシメチルセルロース又はカルボキシメチルセルロースナトリウムである。
【0059】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆剤は、前記バッキングが、前記吸収性層を覆うように、前記吸収性層の周縁 を越えて延び、創傷の周囲の皮膚に接着する接着剤層をさらに備える。
【0060】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、接着剤層が、シリコン接着剤、ハイドロコロイド接着剤、ポリウレタン接着剤、ゴム系接着剤、アクリル接着剤、及びこれらの組み合わせの一群から選択される。
【0061】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される創傷被覆剤は、前記穿孔疎水性層が、シリコン系接着剤、ハイドロコロイド系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ゴム系接着剤、アクリル系接着剤、被覆された織布材料、不織布材料、編物材料、電気紡績材料、及びこれらの組み合わせの一群から選択される。
【0062】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、前記裏地がポリウレタンフィルムからなる創傷被覆材を備える。
【0063】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、前記バッキングがポリウレタン発泡体をラミネートされたポリウレタンフィルムを備える。
【0064】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、バッキング、接着剤層、吸収性層、及び第1面を除く全ての面で前記吸収性層を包囲する穿孔疎水性層を備える。前記穿孔疎水性層は、前記第1面又は前記第1面とは反対側の第2面のいずれか一方が前記接着剤層に接着されるように構成されている。
【0065】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、前記穿孔疎水性層が前記吸収性層を包み込み、前記吸収性層が創傷に接触する窓を形成する。
【0066】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される創傷被覆材は、前記吸収性層が、ゲル化繊維、非ゲル化繊維、吸収性繊維、及び親水性発泡体、又はこれらの組み合わせの一群から選択される。
【0067】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される創傷被覆材は、前記吸収性層が、発泡体層に結合したゲル形成繊維を備える。
【0068】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される創傷被覆材は、前記発泡体層が親水性発泡体を備える。
【0069】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される吸収性層は、化学修飾セルロース、アルギン酸塩、高吸水性繊維、合成繊維、及びこれらの組み合わせの一群から選択される材料を含む。
【0070】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される創傷被覆材は、前記化学修飾セルロースがカルボキシメチルセルロース又はカルボキシメチルセルロースナトリウムである。
【0071】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される創傷被覆材は、前記接着剤層がカルボキシメチルセルロースナトリウムの2層の間に位置する発泡体層を備える。
【0072】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、接着剤層が、シリコン接着剤、ハイドロコロイド接着剤、ポリウレタン接着剤、ゴム系接着剤、ヒドロゲル、アクリル接着剤、及びこれらの組み合わせの一群から選択される。
【0073】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、前記穿孔疎水性層が、シリコン接着剤、ハイドロコロイド接着剤、ポリウレタン接着剤、ゴム系接着剤、アクリル接着剤、不織布材料、編物材料、及び被覆された織布材料の一群から選択される。
【0074】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、前記バッキングがポリウレタンフィルムを備える。
【0075】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、前記バッキングがポリウレタン発泡体に積層されたポリウレタンフィルムを備える。
【0076】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材の製造方法は、バッキングを形成すること、吸収性層を形成すること、穿孔疎水性層を形成すること、及び第2縁に対向して配置された少なくとも第1縁からなる剥離ライナーを形成することを含む。前記剥離ライナーは、前記第1縁から前記第2縁に剥離されると前記吸収性層を露出させ、前記第2縁から前記第1縁に剥離されると前記穿孔疎水性層を露出させるように形成されている。
【0077】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材の製造方法は、バッキングを形成すること、接着剤層を形成すること、吸収性層を形成すること、及び第1面を除く全ての面に前記吸収性層を包む穿孔疎水性層を形成することを含む。前記穿孔疎水性層は、前記第1面又は前記第1面とは反対側の第2面のいずれかが前記接着剤層に接着されるように形成されている。
【0078】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷の治療方法は、前記創傷からの滲出液のレベルを決定すること、及びバッキング、吸収性層、穿孔疎水性層、及び第2縁とは反対側に位置する少なくとも第1縁を有する剥離ライナーを有する創傷被覆材を貼り付けることを含む。創傷被覆材は、前記剥離ライナーを前記第1縁から前記第2縁へと剥離すると前記吸収性層が露出し、前記創傷が中滲出から高滲出の創傷であるとの判定の結果、前記剥離ライナーを前記第2縁から前記第1縁へと剥離すると、前記穿孔性疎水性層が露出するように構成されている。前記創傷被覆材を貼り付けるステップは、前記剥離ライナーを前記第1端部から前記第2端部へと剥離することと、前記剥離ライナーの剥離と同時に穿孔疎水性層を剥離して吸収性層を露出させ、前記吸収性層が前記創傷に接触するように前記創傷被覆材を貼り付けること、とを含む。
【0079】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される創傷の治療方法は、前記創傷からの滲出液のレベルを決定すること、バッキング、吸収性層、穿孔疎水性層、及び少なくとも第2縁とは反対側に位置する第1縁を有する剥離ライナーを備えた創傷被覆材を貼り付けること、とを含む。前記創傷被覆材は、前記剥離ライナーを前記第1縁から前記第2縁まで剥離すると前記吸収性層が露出し、前記創傷が低滲出から非滲出の創傷であるとの判定の結果、前記第2縁から前記第1縁まで剥離すると、前記穿孔性疎水性層が露出するように構成されている。前記創傷被覆材を貼り付けるステップは、前記第2端部から前記第1端部へと前記剥離ライナーを剥離して前記穿孔疎水性層を露出させ、前記創傷被覆が創傷を保護するように前記創傷被覆材を貼り付けることを含む。
【0080】
本発明の好ましい実施形態が本明細書に示されて記載されているが、そのような実施形態は例示のためだけに提供されていることは、当業者には明らかであろう。数多くの変形、変更、及び置換が、本発明から逸脱することなく、当業者には可能である。本明細書に記載された本発明の実施形態に対する様々な代替案が、本発明の実施において採用されることが理解されるべきである。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲内の方法及び構造、並びにそれらの等価物がそれによってカバーされることが意図されている。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-07-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッキングと、
第1層と、
第2層と、
剥離ライナーと、
を備え、
前記第1層は、発泡体層であり、
前記第2層は、親水性層であり、
前記バッキングは、ポリウレタンから形成され、
創傷接触層を備え、滲出液の吸収で前記発泡体層が膨張したときに生じる可能性のある成分の歪みを制限するために、前記創傷接触層と前記発泡体層の間に繊維層が配置され、前記繊維層は、高吸収性成分を含む吸収性繊維から形成され、あるいは高吸収性繊維から形成される、創傷被覆材。
【請求項2】
前記繊維層の吸収性繊維は、ポリエステル繊維である、請求項1に記載の創傷被覆材。
【請求項3】
前記繊維層の高吸収性繊維は、架橋ポリアクリル酸ナトリウムである、請求項1又は2に記載の創傷被覆材。
【請求項4】
前記高吸収性繊維は、ポリアクリル酸塩である、請求項1に記載の創傷被覆材。
【請求項5】
前記創傷接触層は、ゲル化繊維層である、請求項1から4のいずれかに記載の創傷被覆材。
【請求項6】
前記創傷接触層は、穿孔疎水性層である、請求項1から4のいずれかに記載の創傷被覆材。
【請求項7】
前記発泡体層は、連続気泡発泡体層である、請求項1から6のいずれかに記載の創傷被覆材。
【請求項8】
前記発泡体層は、親水性発泡体からなる、請求項1から7のいずれかに記載の創傷被覆材。
【請求項9】
前記発泡体層は、ポリウレタン発泡体である、請求項7に従属する請求項8に記載の創傷被覆材。
【請求項10】
前記発泡体層は、0.25mmから5mmの厚さを有する、請求項1から9のいずれかに記載の創傷被覆材。
【請求項11】
前記バッキングは、0.02mmから0.04mmの厚さと、少なくとも2,500g/meter /日のMVTRを有する、請求項1から10のいずれかに記載の創傷被覆材。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0080
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0080】
本発明の好ましい実施形態が本明細書に示されて記載されているが、そのような実施形態は例示のためだけに提供されていることは、当業者には明らかであろう。数多くの変形、変更、及び置換が、本発明から逸脱することなく、当業者には可能である。本明細書に記載された本発明の実施形態に対する様々な代替案が、本発明の実施において採用されることが理解されるべきである。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲内の方法及び構造、並びにそれらの等価物がそれによってカバーされることが意図されている。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
[項目1]
バッキングと、
吸収性層と、
穿孔疎水性層と、
少なくとも第2縁とは反対側に配置された第1縁を有する剥離ライナーと、
を備え、
前記剥離ライナーは、前記第1縁から前記第2縁へと剥離されると前記吸収性層を露出させるように構成され、前記第2縁から前記第1縁へと剥離されると前記穿孔疎水性層を露出させるように構成されている、創傷被覆材。
[項目2]
前記剥離ライナーが、前記第1縁から前記第2縁へと剥離されると、前記穿孔疎水性層が剥離されて前記吸収性層が露出し、前記穿孔疎水性層が前記剥離ライナーと結合したまま残るように構成されている、項目1に記載の創傷被覆材。
[項目3]
前記穿孔疎水性層の剥離は、前記穿孔疎水性層に窓を形成し、前記吸収性層が創傷に接触することを含む、項目2に記載の創傷被覆材。
[項目4]
前記剥離ライナーは、前記第2縁から前記第1縁へと剥離すると、分離して前記穿孔疎水性層が露出し、前記穿孔疎水性層が結合して残るように構成されている、項目1に記載の創傷被覆材。
[項目5]
前記吸収性層は、ゲル化繊維、吸収性繊維、親水性発泡体、抗菌繊維、高吸水性粉末-繊維ブレンド、非ゲル化繊維、及びこれらの組み合わせの一群から選択される、項目1に記載の創傷被覆材。
[項目6]
前記吸収性層は、発泡体層に結合したゲル形成繊維からなる、項目1に記載の創傷被覆材。
[項目7]
前記発泡体層は、親水性発泡体からなる、項目6に記載の創傷被覆材。
[項目8]
前記吸収性層は、化学修飾セルロース、アルギン酸、高吸水性繊維、合成繊維、及びこれらの組み合わせの一群から選択された材料を含む、項目1に記載の創傷被覆材。
[項目9]
前記化学修飾セルロースは、カルボキシメチルセルロース又はカルボキシメチルセルロースナトリウムである、項目8に記載の創傷被覆材。
[項目10]
前記バッキングは、前記吸収性層を被覆すると共に、創傷周囲の皮膚に接着するように前記吸収性層の周縁部を超えて延びる接着剤層をさらに備える、項目1に記載の創傷被覆材。
[項目11]
前記接着剤層は、シリコン接着剤、ハイドロコロイド接着剤、ポリウレタン接着剤、ゴム系接着剤、ハイドロゲル、アクリル接着剤、及びこれらの組み合わせの一群から選択される、項目10に記載の創傷被覆材。
[項目12]
前記穿孔疎水性層は、シリコン接着剤、ハイドロコロイド接着剤、ポリウレタン接着剤、ゴム系接着剤、アクリル接着剤、ハイドロゲル、被覆された織布材料、不織布材料、編物材料、エレクトロスパン材料、及びこれらの組み合わせの一群から選択される、項目1に記載の創傷被覆材。
[項目13]
前記バッキングはポリウレタンフィルムからなる、項目1に記載の創傷被覆材。
[項目14]
前記バッキングは、ポリウレタン発泡体にラミネートされたポリウレタンフィルムからなる、項目1に記載の創傷被覆材。
[項目15]
バッキングと、
接着剤層と、
吸収性層と、
前記吸収性層を、第1面を除いて包囲する穿孔疎水性層と、
を備え、
前記穿孔疎水性層は、前記第1面、又は前記第1面と反対側の第2面のいずれか一方が前記接着剤層に接着されるように構成されている、創傷被覆材。
[項目16]
前記穿孔疎水性層は、前記吸収性層を包囲して創傷に接触可能な窓を形成する、項目15に記載の創傷被覆材。
[項目17]
前記吸収性層は、ゲル化繊維、非ゲル化繊維、吸収性繊維、及び親水性発泡体、又はこれらの組み合わせの一群から選択される、項目15に記載の創傷被覆材。
[項目18]
前記吸収性層は、発泡体層に結合したゲル形成繊維からなる、項目15に記載の創傷被覆材。
[項目19]
前記発泡体層は親水性発泡体からなる、項目18に記載の創傷被覆材。
[項目20]
前記吸収性層は、化学修飾セルロース、アルギン酸、高吸水性繊維、合成繊維、及びこれらの組み合わせの一群から選択される材料を含む、項目15に記載の創傷被覆材。
[項目21]
前記化学修飾セルロースは、カルボキシメチルセルロース又はカルボキシメチルセルロースナトリウムである、項目20に記載の創傷被覆材。
[項目22]
前記接着剤層は、カルボキシメチルセルロースナトリウムの2つの層の間に位置する発泡体層からなる、項目15に記載の創傷被覆材。
[項目23]
接着剤層は、シリコン接着剤、ハイドロコロイド接着剤、ポリウレタン接着剤、ゴム系接着剤、ハイドロゲル、アクリル接着剤、及びこれらの組み合わせの一群から選択される、項目15に記載の創傷被覆材。
[項目24]
前記穿孔疎水性層は、シリコン接着剤、ハイドロコロイド接着剤、ポリウレタン接着剤、ゴム系接着剤、アクリル接着剤、不織布材料、編物材料、及びコーティングされた織布材料の一群から選択される、項目15に記載の創傷被覆材。
[項目25]
前記バッキングはポリウレタンフィルムからなる、項目15に記載の創傷被覆材。
[項目26]
前記バッキングは、ポリウレタン発泡体にラミネートされたポリウレタンフィルムからなる、項目15に記載の創傷被覆材。
[項目27]
バッキングを形成するステップと、
吸収性層を形成するステップと、
穿孔疎水性層を形成するステップと、
少なくとも第2縁と反対側に位置する第1縁を有する剥離ライナーを形成するステップと、
を含み、
前記剥離ライナーは、前記第1縁から前記第2縁へと前記剥離ライナーを除去すると前記吸収性層が露出し、前記第2縁から前記第1縁へと前記剥離ライナーを除去すると前記穿孔疎水性層が露出するように形成されている、創傷被覆材の製造方法。
[項目28]
バッキングを形成するステップと、
接着剤層を形成するステップと、
吸収性層を形成するステップと、
前記吸収性層を第1面以外で包囲する穿孔疎水性層を形成するステップと、
を含み、
前記穿孔疎水性層は、前記第1面、又は前記第1面と反対側の第2面のいずれか一方が前記接着剤層に接着されるように形成されている、創傷被覆材の製造方法。
[項目29]
(i)創傷からの滲出液のレベルを決定するステップと、
(ii)バッキング、吸収性層、穿孔疎水性層、及び少なくとも第2縁の反対側に位置する第1縁を有し、前記第1縁から前記第2縁へと剥離すると吸収性層が露出し、前記第2縁から前記第1縁へと剥離すると前記穿孔疎水性層が露出するように構成された剥離ライナーを有する創傷被覆材を貼り付けるステップと、
を備え、
前記ステップ(i)において、前記創傷が中滲出から高滲出の創傷であると判断された場合、前記ステップ(ii)は、前記剥離ライナーを前記第1縁から前記第2縁へと剥離して前記吸収性層を露出させ、前記剥離ライナーの剥離と同時に前記穿孔疎水性層を剥離して、前記吸収性層が前記創傷に接触するように前記創傷被覆材を貼り付けることを含む、傷を治療する方法。
[項目30]
(i)創傷からの滲出液のレベルを決定するステップと、
(ii)バッキング、吸収性層、穿孔疎水性層、及び少なくとも第2縁の反対側に位置する第1縁を有し、前記第1縁から前記第2縁へと剥離すると前記吸収性層が露出し、前記第2縁から前記第1縁へと剥離すると前記穿孔疎水性層が露出するように構成された剥離ライナーとを含む創傷被覆材を貼り付けるステップと、
を備え、
前記ステップ(i)において、前記創傷が低から非滲出性の創傷であると判断された場合、ステップ(ii)は、前記剥離ライナーを前記第2縁から前記第1縁へと剥離して前記穿孔疎水性層を露出させることと、前記創傷を保護するように前記創傷被覆材を貼り付けることとを含む、傷を治療する方法。
[項目31]
バッキングと、
第1層及び第2層と、
少なくとも第2縁と反対側に位置する第1縁を有する剥離ライナーと、
を備え、
前記剥離ライナーは、前記第1縁から前記第2縁へと剥離されると前記第1層が露出し、前記第2縁から前記第1縁へと剥離されると前記第2層が露出するように構成されている、創傷被覆材。
【外国語明細書】