(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123048
(43)【公開日】2024-09-10
(54)【発明の名称】免疫寛容に関する組成物および方法
(51)【国際特許分類】
C07K 19/00 20060101AFI20240903BHJP
C07K 14/435 20060101ALI20240903BHJP
C07K 14/415 20060101ALI20240903BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20240903BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240903BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240903BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20240903BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20240903BHJP
【FI】
C07K19/00
C07K14/435 ZNA
C07K14/415
A61K39/00 C
A61K39/00 G
A61K39/00 Z
A61P37/06
A61P25/00
A61K47/64
A61K47/68
C07K14/435
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024092678
(22)【出願日】2024-06-07
(62)【分割の表示】P 2020563514の分割
【原出願日】2019-05-09
(31)【優先権主張番号】62/669,044
(32)【優先日】2018-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】399019892
【氏名又は名称】ザ・ユニバーシティ・オブ・シカゴ
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF CHICAGO
(71)【出願人】
【識別番号】516251749
【氏名又は名称】アノキオン・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】ANOKION SA
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ハッベル ジェフリー エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン デイビッド スコット
(72)【発明者】
【氏名】ブルンゲル キム
(72)【発明者】
【氏名】ローレンツ クリステン マリー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】治療用タンパク質、例えばタンパク質ベースの薬物に対する寛容を誘導するための組成物および方法を提供する。
【解決手段】本開示は、マンノース受容体を標的にするマンノース融合抗原を含む組成物を提供する。該組成物は、本来であれば免疫応答を惹起するタンパク質ベースの薬物に対する免疫を防止するために、または該薬物に対する免疫応答を低減するために使用され得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1:
の化合物:
式中、
Xは、抗原、その寛容原性部分、またはその模倣体を含み;
Yはリンカー部分を含み;
Zはマンノース受容体を特異的に標的にする部分を含み;
pは2~250の整数であり;
mは1~100の整数であり;
R
2は、官能基I~III:
のうちのいずれかであり;
ここで、Arは置換または非置換の芳香族基であり;
R
3は任意の炭素含有直鎖状部分または複素環式部分であり、かつR
11は水素またはアルキル基である。
【請求項2】
マンノース受容体を特異的に標的にする前記部分が、α結合型マンノース、β結合型マンノース、置換マンノース、マンノース-6-リン酸、N-アセチルマンノサミン、ならびにβ(1-4)、α(1-6)、α(1-2)、および/またはα(1-3)結合を有するマンナンからなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Yが、N-ヒドロキシスクシンアミジルリンカー、マレイミドリンカー、PEGリンカー、ビニルスルホンリンカー、ピリジルジチオール-ポリ(エチレングリコール)リンカー、ピリジルジチオールリンカー、n-ニトロフェニルカーボネートリンカー、NHS-エステルリンカー、およびニトロフェノキシポリ(エチレングリコール)エステルリンカーのうちの少なくとも1つのリンカーの反応により生じるリンカーである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Yが共有結合によりXに結合している、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
-[Y(Z)
p]-が、式Ya~Yr:
のうちの1つで表され、
式中、
nは1~100の整数であり;
qは1~44の整数であり;
kは1~12の整数であり;
iは0~20の整数であり;
vは1~4の整数であり;
pは2~250の整数であり;
rは0~250の整数であり;
R
1は、-CH
2-、-(CH
2)
2-C(CH
3)(CN)-、-(CH
2)
2-C(CH
3)(CH
3)-、-(CH
2)
2-CH(CH
3)-、または-CH(CH
3)-であり;
W
1およびW
2は、
に定義するとおりであり;
R
9は、直接結合、-(CH2)2-NH-C(O)- (エチルアセエトアミド(ethylaceetamido)基もしくは「EtAcN」)、または、-(CH2)2-(O-CH2-CH2)t-NH-C(O)- (ペグ化エチルアセトアミド基もしくは「Et-PEGt-AcN」)であり;
tは1~5の整数であり;
Zはマンノース部分またはマンノース受容体を標的にする部分であり;かつ
R
10は、脂肪族基、アルコール、脂肪族アミン含有基、または脂肪族アルコールである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Yが、Xに結合する抗体、抗体断片、ペプチド、または他のリガンドである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Xが抗原であり、該抗原に対して患者が、望ましくない免疫応答を発現し得るか、または望ましくない免疫応答を発現している、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
前記抗原が、外来性移植抗原、アロ抗原、自己免疫抗原、食物抗原、動物抗原、植物抗原、環境抗原、治療用抗原、合成自己抗原、またはそれらの寛容原性部分である、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
Xがアスパラギナーゼ抗原またはオボアルブミン抗原である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
前記マンノース受容体がマンノース-6-リン酸受容体である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
標的領域に前記化合物が到達すると切断されるように構成された結合を介して、YとXが接続されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
Arが、
から選択され;
ここで、各場合のR''が、存在する場合、置換されていてもよいC
1~6アルキル、置換されていてもよいC
1~6アルコキシ、置換されていてもよいアミノ、OH、またはハロゲンから独立して選択され、かつ、X''がヘテロ原子である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
X''がNである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
R11がC1~6アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
R11が-CH3である、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
R3がC1~6アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の化合物を含む、組成物。
【請求項18】
前記抗原、その寛容原性部分、またはその模倣体に対する寛容を誘導するための、請求項1~16のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項19】
対象に、式1:
の組成物を投与する工程であって、
式中、
Xは、抗原、その寛容原性部分、またはその模倣体を含み;
Yはリンカー部分を含み;
Zはマンノース受容体を特異的に標的にする部分を含み;
pは2~250の整数であり;
mは1~100の整数であり;
R
2は、官能基I~III:
のうちのいずれかであり;
ここで、Arは置換または非置換の芳香族基であり、R
3は任意の炭素含有直鎖状部分または複素環式部分であり、かつR
11は水素またはアルキル基である、
該工程
を含む、抗原標的に対する免疫寛容を誘導する方法。
【請求項20】
マンノース受容体を特異的に標的にする前記部分が、α結合型マンノース、β結合型マンノース、置換マンノース、マンノース-6-リン酸、N-アセチルマンノサミン、ならびにβ(1-4)、α(1-6)、α(1-2)、および/またはα(1-3)結合を有するマンナンからなる群より選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
Yが、N-ヒドロキシスクシンアミジルリンカー、PEGリンカー、マレイミドリンカー、ビニルスルホンリンカー、ピリジルジチオール-ポリ(エチレングリコール)リンカー、ピリジルジチオールリンカー、n-ニトロフェニルカーボネートリンカー、NHS-エステルリンカー、およびニトロフェノキシポリ(エチレングリコール)エステルリンカーのうちの少なくとも1つのリンカーの反応により生じるリンカーである、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
Yが共有結合によりXに結合している、請求項19~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
-[Y(Z)
p]-が、式Ya~Yr:
のうちの1つで表され、
式中、
nは1~100の整数であり;
qは1~44の整数であり;
kは1~12の整数であり;
iは0~20の整数であり;
vは1~4の整数であり;
pは2~250の整数であり;
rは0~250の整数であり;
R
1は、-CH
2-、-(CH
2)
2-C(CH
3)(CN)-、-(CH
2)
2-C(CH
3)(CH
3)-、-(CH
2)
2-CH(CH
3)-、または-CH(CH
3)-であり;
W
1およびW
2は、
に定義するとおりであり;
R
9は、直接結合、-(CH
2)
2-NH-C(O)- (エチルアセエトアミド基もしくは「EtAcN」)、または、-(CH
2)
2-(O-CH
2-CH
2)
t-NH-C(O)- (ペグ化エチルアセトアミド基もしくは「Et-PEG
t-AcN」)であり;
tは1~5の整数であり;
Zはマンノース部分またはマンノース受容体を標的にする部分であり;かつ
R
10は、脂肪族基、アルコール、脂肪族アミン含有基、または脂肪族アルコールである、
請求項19~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
Yが、Xに結合する抗体、抗体断片、ペプチド、または他のリガンドである、請求項19または20に記載の方法。
【請求項25】
Xが抗原であり、該抗原に対して患者が、望ましくない免疫応答を発現し得るか、または望ましくない免疫応答を発現している、請求項19~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記抗原が、外来性移植抗原、アロ抗原、自己免疫抗原、食物抗原、動物抗原、植物抗原、環境抗原、治療用物質、合成自己抗原、またはそれらの寛容原性部分である、請求項19~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記抗原が小胞内、細胞断片内、または細胞内に含まれている、請求項19~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
Xがアスパラギナーゼ抗原またはオボアルブミン抗原である、請求項19~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記マンノース受容体がマンノース-6-リン酸受容体である、請求項19~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
XとYの間の結合が、前記対象における標的部位で切断されるように構成されている、請求項19~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
抗原に対する免疫応答の抑制を必要とする対象に、式1:
の化合物を含む組成物を投与する工程であって、
式中、
Xは、抗原、その寛容原性部分、またはその模倣体を含み;
Yはリンカー部分を含み;
Zはマンノース受容体を特異的に標的にする部分を含み;
pは2~250の整数であり;
mは1~100の整数であり;
R
2は、官能基I~III:
のうちのいずれかであり;
ここで、Arは置換または非置換の芳香族基であり、R
3は任意の炭素含有直鎖状部分または複素環式部分であり、かつR
11は水素またはアルキル基である、
該工程
を含む、該抗原に対する望ましくない免疫応答を処置または防止する方法。
【請求項32】
マンノース受容体を特異的に標的にする前記部分が、α結合型マンノース、β結合型マンノース、置換マンノース、マンノース-6-リン酸、N-アセチルマンノサミン、ならびにβ(1-4)、α(1-6)、α(1-2)、および/またはα(1-3)結合を有するマンナンからなる群より選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
Yが、N-ヒドロキシスクシンアミジルリンカー、PEGリンカー、マレイミドリンカー、ビニルスルホンリンカー、ピリジルジチオール-ポリ(エチレングリコール)リンカー、ピリジルジチオールリンカー、n-ニトロフェニルカーボネートリンカー、NHS-エステルリンカー、およびニトロフェノキシポリ(エチレングリコール)エステルリンカーのうちの少なくとも1つのリンカーの反応により生じるリンカーである、請求項31または32に記載の方法。
【請求項34】
Yが共有結合によりXに結合している、請求項31~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
-[Y(Z)
p]-が、式Ya~Yr:
、および
のうちの1つで表され、
式中、
nは1~100の整数であり;
qは1~44の整数であり;
kは1~12の整数であり;
iは0~20の整数であり;
vは1~4の整数であり;
pは2~250の整数であり;
rは0~250の整数であり;
R
1は、-CH
2-、-(CH
2)
2-C(CH
3)(CN)-、-(CH
2)
2-C(CH
3)(CH
3)-、-(CH
2)
2-CH(CH
3)-、または-CH(CH
3)-であり;
W
1およびW
2は、
に定義するとおりであり;
R
9は、直接結合、-(CH2)2-NH-C(O)- (エチルアセエトアミド基もしくは「EtAcN」)、または、-(CH2)2-(O-CH2-CH2)t-NH-C(O)- (ペグ化エチルアセトアミド基もしくは「Et-PEGt-AcN」)であり;
tは1~5の整数であり;
Zはマンノース部分またはマンノース受容体を標的にする部分であり;かつ
R10は、脂肪族基、アルコール、脂肪族アミン含有基、または脂肪族アルコールである、
請求項31~34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
Yが、Xに結合する抗体、抗体断片、ペプチド、または他のリガンドである、請求項31~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
Xが抗原であり、該抗原に対して患者が、望ましくない免疫応答を発現し得るか、または望ましくない免疫応答を発現している、請求項31~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記抗原が、外来性移植抗原、アロ抗原、自己免疫抗原、食物抗原、動物抗原、植物抗原、環境抗原、治療用物質、合成自己抗原、またはそれらの寛容原性部分である、請求項31~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記抗原が小胞内、細胞断片内、または細胞内に含まれている、請求項31~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
Xがアスパラギナーゼ抗原またはオボアルブミン抗原である、請求項31~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記マンノース受容体がマンノース-6-リン酸受容体である、請求項31~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
標的領域に前記化合物が到達すると切断されるように構成された結合を介して、YとXが接続されている、請求項31~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記抗原が、少なくとも1種類の自己免疫抗原またはその寛容原性部分を含む、請求項1~8および10~16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項44】
前記少なくとも1種類の自己免疫抗原が、ミエリン塩基性タンパク質(MPB)の1つもしくは複数の免疫原性断片、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)の1つもしくは複数の免疫原性断片、ミエリンプロテオリピッドタンパク質(PLP)の1つもしくは複数の免疫原性断片、MBP、MOG、またはPLPのうちの少なくとも1種類を含む、請求項43に記載の化合物。
【請求項45】
前記少なくとも1種類の自己免疫抗原が、SEQ ID NO:23~47のうちの少なくとも1つを含む、請求項44に記載の化合物。
【請求項46】
前記少なくとも1種類の自己免疫抗原が、SEQ ID NO:24、25、27、28、31、32、33、34、35、36、43、44、45、46、および47のうちの少なくとも1つを含む、請求項44に記載の化合物。
【請求項47】
SEQ ID NO:29、38、39、40、41、および42のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項46に記載の化合物。
【請求項48】
多発性硬化症の処置における使用のための、請求項43~47のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項49】
多発性硬化症を有するかまたは多発性硬化症を有すると予想される対象に、請求項43~47のいずれか一項に記載の化合物を含む組成物を投与する工程
を含む、多発性硬化症を処置または予防するための方法。
【請求項50】
前記少なくとも1種類の自己免疫抗原が、インスリン、プロインスリン、プレプロインスリン、グルタミン酸デカルボキシラーゼ-65(GAD-65もしくはグルタミン酸デカルボキシラーゼ2)、GAD-67、グルコース-6ホスファターゼ2、膵島特異的グルコース6ホスファターゼ触媒サブユニット関連タンパク質(IGRP)、インスリノーマ関連タンパク質2(IA-2)、インスリノーマ関連タンパク質2β(IA-2β)、ICA69、ICA12(SOX-13)、カルボキシペプチダーゼH、イモジェン38(Imogen 38)、GLIMA 38、クロモグラニン-A、HSP-60、カルボキシペプチダーゼE、ペリフェリン、グルコーストランスポーター2、肝臓癌-腸-膵臓/膵臓関連タンパク質(hepatocarcinoma-intestine-pancreas/pancreatic associated protein)、S100β、グリア線維性酸性タンパク質、再生遺伝子II(regenerating gene II)、膵臓十二指腸ホメオボックス1(pancreatic duodenal homeobox 1)、筋強直性ジストロフィーキナーゼ、およびSST Gタンパク質共役型受容体1~5、または任意のこれらの抗原の免疫原性断片のうちの少なくとも1種類を含む、請求項43に記載の化合物。
【請求項51】
前記少なくとも1種類の自己免疫抗原が、SEQ ID NO:1~19のうちの少なくとも1つ、またはSEQ ID NO:1~19のうちのいずれかの1つの免疫原性断片を含む、請求項50に記載の化合物。
【請求項52】
前記少なくとも1種類の自己免疫抗原が、SEQ ID NO:4~19のうちの少なくとも1つを含む、請求項50に記載の化合物。
【請求項53】
1型糖尿病の処置における使用のための、請求項50~52のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項54】
1型糖尿病を有するかまたは1型糖尿病を有すると予想される対象に、請求項50~52のいずれか一項に記載の化合物を含む組成物を投与する工程
を含む、1型糖尿病を処置または予防するための方法。
【請求項55】
前記抗原が食物抗原またはその寛容原性部分を含む、請求項1~8および10~16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項56】
前記抗原が、組織トランスグルタミナーゼ、高分子量グルテニン、低分子量グルテニン、グルテン、α-グリアジン、γ-グリアジン、ω-グリアジン、ホルデイン、セカリン、アベニン、およびそれらの脱アミド化形態のうちの少なくとも1種類を含む、請求項55に記載の化合物。
【請求項57】
前記抗原が、組織トランスグルタミナーゼ、高分子量グルテニン、低分子量グルテニン、グルテン、α-グリアジン、γ-グリアジン、ω-グリアジン、ホルデイン、セカリン、アベニン、およびそれらの脱アミド化形態のうちの少なくとも1種類の寛容原性部分を含む、請求項55に記載の化合物。
【請求項58】
前記抗原が、SEQ ID NO:54~61のうちの少なくとも1つを含む、請求項57に記載の化合物。
【請求項59】
セリアック病の処置における使用のための、請求項55~58のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項60】
セリアック病を有するかまたはセリアック病を有すると予想される対象に、請求項55~58のいずれか一項に記載の化合物を含む組成物を投与する工程
を含む、セリアック病を処置または予防するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により全体が本明細書に組み入れられる2018年5月9日に出願された米国特許仮出願第62/669,044号に対する優先権を主張する。
【0002】
1.分野
本発明の態様は全体として有機化学、生化学、および免疫学の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
2.背景
低分子、例えば、500ダルトン未満の分子量を有する非ペプチド分子または核酸ベースの分子は、歴史的にみるとFDAの新規化学物質(NME)承認の大半を占めてきた。1982年に組み換えDNA技術によって作製された最初の薬物としてのインスリンがFDAに承認されて以来、タンパク質ベースの薬物の承認は、ここ23年間でFDAの生物学的製剤承認申請(BLA)承認がほぼ毎年増加していることによって実証されるように上昇傾向になっている。
【0004】
低分子薬物とタンパク質ベースの薬物の主な違いは、抗原提示細胞が、タンパク質ベースの薬物を含むタンパク質を取り込み、これをプロセッシングしてペプチドとして主要組織適合性複合体(MHC)クラスIおよびIIとともに免疫系に対して提示する能力にある。タンパク質ベースの薬物は発現、精製されて、病原体関連分子パターン(PAMP)および損傷関連分子(DAMP)があればこれらが皆無にされる。タンパク質ベースの薬物の抗免疫原性設計にもかかわらず、このような薬物で処置される患者の大部分で該薬物に対する抗体が発生する(抗薬物抗体)。
【0005】
これらの例および他の例により、タンパク質ベースの薬物の免疫原性は、ある特定の患者に対して治療の効果を逆戻りさせ得るか、あるいは、疾患を処置するための新たなアプローチを非効率的にすることさえあり得ることが実証されている。抗薬物抗体によってもたらされるマイナスの効果により、臨床医が外来タンパク質および部分的に外来性のタンパク質に対する寛容を誘導することを可能にするプラットフォームを開発する必要性が強調される。
【0006】
抗原特異的免疫寛容を誘導するための技術はまだ揺籃期であるが、多くのタンパク質ベースの薬物に対する免疫を防止すること、アレルゲンに対する免疫を逆転させること、および自己免疫抗原に対する免疫を防止して逆転させることが必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
概要
有用な寛容原性薬は抗原と寛容誘導成分からなると考えられる。寛容誘導成分は、コンジュゲートした化学物質、融合タンパク質の一部、ナノ粒子、または、抗原とともにパルス送達される細胞であり得る。理想的には、寛容誘導薬は、それが寛容化しようとする薬物をベースにしており、容易に改変することができる。
【0008】
本明細書において、治療用タンパク質、例えばタンパク質ベースの薬物に対する寛容を誘導するための組成物および方法を開示する。一部の局面において、本開示は、マンノースモノマーまたはその誘導体を含む治療用ポリマーテザリング型抗原を提供する。一部の態様では、マンノースの誘導体が、置換されていてもよいマンノース置換基を含む。いくつかの態様では、マンノース誘導体が、C1、C2、C3、C4、C5、および/またはC6位にリン酸部を有するマンノースを含む。いくつかの態様では、標的指向する部分がマンノース-6-リン酸を含む。一部の態様では、マンノースまたはマンノース由来部分を含む、組成物が、免疫原性のタンパク質ベースの治療薬に対する寛容を誘導し、抗原特異的なCD4 T細胞およびCD8 T細胞を欠失させ、制御性T細胞応答およびIL-10産生Breg細胞のレベルを上昇させ、かつ/または抗原特異的形質細胞およびメモリーB細胞を低減させる。本明細書に開示の組成物は、抗原提示細胞、例えば非限定的に、肝細胞、LSEC、クッパー細胞、および星細胞への送達のために標的指向され得る。一部の局面において、本明細書に開示の組成物はマンノース結合受容体に親和性を示して特異的に結合する。
【0009】
いくつかの態様では、式1:
の化合物、ならびにかかる化合物を含む組成物を提供し、式中、Xは、抗原、その寛容原性部分、またはその模倣体を含み、Yはリンカー部分を含み、Zはマンノース受容体を特異的に標的にする部分を含み、pは約2~約250の整数であり、mは約1~約100の整数であり、かつR
2は、官能基I~III:
のうちのいずれかであり、ここで、Arは置換または非置換の芳香族基であり、R
3は任意の炭素含有直鎖状部分または複素環式部分であり、かつR
11は水素またはアルキル基である。
【0010】
いくつかの態様では、マンノース受容体を特異的に標的にする部分が、α結合型マンノース、β結合型マンノース、置換マンノース、マンノース-6-リン酸、N-アセチルマンノサミン、ならびにβ(1-4)、α(1-6)、α(1-2)、および/またはα(1-3)結合を有するマンナンからなる群より選択される。いくつかの態様では、複数のこれらの標的指向する部分が組合せで、マンノース受容体を標的にすることを向上させるために、および/またはマンノース受容体に対する結合を向上させるために使用される。
【0011】
いくつかの態様では、Yが、N-ヒドロキシスクシンアミジルリンカー、マレイミドリンカー、PEGリンカー、ビニルスルホンリンカー、ピリジルジチオール-ポリ(エチレングリコール)リンカー、ピリジルジチオールリンカー、n-ニトロフェニルカーボネートリンカー、NHS-エステルリンカー、およびニトロフェノキシポリ(エチレングリコール)エステルリンカーのうちの少なくとも1つのリンカーの反応により生じるリンカーである。一部の態様では、Yが共有結合によりXに結合している。
【0012】
態様に応じて、式1の下記の一部分(-[Y(Z)p]-)は、式Ya~Yr:
のうちの1つで表され、
式中、
nは約1~約100の整数であり;
qは約1~約44の整数であり;
kは約1~約12の整数であり;
iは0~約20の整数であり;
vは約1~約4の整数であり;
pは約2~約250の整数であり;
rは0~約250の整数であり;
R
1は、-CH
2-、-(CH
2)
2-C(CH
3)(CN)-、-(CH
2)
2-C(CH
3)(CH
3)-、-(CH
2)
2-CH(CH
3)-、または-CH(CH
3)-であり;
W
1およびW
2は、
に定義するとおりであり;
R
9は、直接結合、-(CH
2)
2-NH-C(O)- (エチルアセエトアミド(ethylaceetamido)基もしくは「EtAcN」)、または、-(CH
2)
2-(O-CH
2-CH
2)
t-NH-C(O)- (ペグ化エチルアセトアミド基もしくは「Et-PEGt-AcN」)であり;
tは1~5の整数であり、Zはマンノース部分またはマンノース受容体を標的にする部分であり;かつR
10は、脂肪族基、アルコール、脂肪族アミン含有基、または脂肪族アルコールである。いくつかの態様では、Yが、Xに結合する抗体、抗体断片、ペプチド、または他のリガンドである。
【0013】
いくつかの態様では、Xが抗原であり、該抗原に対して患者が、望ましくない免疫応答を発現し得るか、または望ましくない免疫応答を発現している。例えば、態様に応じて、抗原は、外来性移植抗原、アロ抗原、自己免疫抗原、食物抗原、動物抗原、植物抗原、環境抗原、治療用抗原、合成自己抗原、またはそれらの寛容原性部分(例えば、免疫原性部分、もしくは免疫応答を誘導できる部分)であり得る。いくつかの態様では、Xがアスパラギナーゼ抗原またはオボアルブミン抗原である。いくつかの態様では、抗原が小胞内、細胞断片内、または細胞内に含まれている。
【0014】
いくつかの態様では、抗原が、少なくとも1種類の自己免疫抗原またはその寛容原性部分を含む。いくつかの態様では、該少なくとも1種類の自己免疫抗原が、ミエリン塩基性タンパク質(MPB)の1つもしくは複数の免疫原性断片、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)の1つもしくは複数の免疫原性断片、ミエリンプロテオリピッドタンパク質(PLP)の1つもしくは複数の免疫原性断片、MBP、MOG、またはPLPのうちの少なくとも1種類を含む。いくつかの態様では、該少なくとも1種類の自己免疫抗原が、SEQ ID NO:23~47のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの態様では、該少なくとも1種類の自己免疫抗原が、SEQ ID NO:24、25、27、28、31、32、33、34、35、36、43、44、45、46、および47のうちの少なくとも1つを含む。一部の態様では、化合物が、SEQ ID NO:29、38、39、40、41、および42のうちの少なくとも1つを任意でさらに含む。いくつかの態様では、かかる化合物が多発性硬化症の処置または予防における使用のためのものである。一部の態様では、かかる化合物が、多発性硬化症を有すると予想される対象において多発性硬化症を予防するという使用のために投与される。一部の局面において、かかる化合物は、多発性硬化症の1つまたは複数の症状を呈している対象に投与される。
【0015】
いくつかの態様では、少なくとも1種類の自己免疫抗原が、インスリン、プロインスリン、プレプロインスリン、グルタミン酸デカルボキシラーゼ-65(GAD-65もしくはグルタミン酸デカルボキシラーゼ2)、GAD-67、グルコース-6ホスファターゼ2、膵島特異的グルコース6ホスファターゼ触媒サブユニット関連タンパク質(IGRP)、インスリノーマ関連タンパク質2(IA-2)、インスリノーマ関連タンパク質2β(IA-2β)、ICA69、ICA12(SOX-13)、カルボキシペプチダーゼH、イモジェン38(Imogen38)、GLIMA 38、クロモグラニン-A、HSP-60、カルボキシペプチダーゼE、ペリフェリン、グルコーストランスポーター2、肝臓癌-腸-膵臓/膵臓関連タンパク質(hepatocarcinoma-intestine-pancreas/pancreatic associated protein)、S100β、グリア線維性酸性タンパク質、再生遺伝子II(regenerating gene II)、膵臓十二指腸ホメオボックス1(pancreatic duodenal homeobox 1)、筋強直性ジストロフィーキナーゼ、およびSST Gタンパク質共役型受容体1~5、または任意のこれらの抗原の免疫原性断片のうちの少なくとも1種類を含む。いくつかの態様では、自己免疫抗原がプロインスリンの免疫原性断片を含む。任意で、IA-2、GAD-65、GAD-67、インスリン、および/またはIGRPの免疫原性断片が含められる。いくつかの態様では、少なくとも1種類の自己免疫抗原が、SEQ ID NO:1~19のうちの少なくとも1つ、またはSEQ ID NO:1~19のうちのいずれかの1つの免疫原性断片を含む。いくつかの態様では、少なくとも1種類の自己免疫抗原が、SEQ ID NO:4~19のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの態様では、かかる化合物が1型糖尿病の処置または予防における使用のためのものである。一部の態様では、かかる化合物が、1型糖尿病を有すると予想される対象において1型糖尿病を予防するという使用のために投与される。一部の局面において、かかる化合物は、I型糖尿病の1つまたは複数の症状を呈している対象に投与される。
【0016】
いくつかの態様では、抗原が、食物抗原またはその寛容原性部分を含む。いくつかの態様では、抗原が、組織トランスグルタミナーゼ、高分子量グルテニン、低分子量グルテニン、グルテン、α-グリアジン、γ-グリアジン、ω-グリアジン、ホルデイン、セカリン、アベニン、およびそれらの脱アミド化形態のうちの少なくとも1種類を含む。いくつかの態様では、抗原が、組織トランスグルタミナーゼ、高分子量グルテニン、低分子量グルテニン、グルテン、α-グリアジン、γ-グリアジン、ω-グリアジン、ホルデイン、セカリン、アベニン、およびそれらの脱アミド化形態のうちの少なくとも1種類の寛容原性部分を含む。いくつかの態様では、抗原が、SEQ ID NO:54~61のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの態様では、かかる化合物がセリアック病の処置または予防における使用のためのものである。一部の態様では、かかる化合物が、セリアック病を有すると予想される対象においてセリアック病を予防するという使用のために投与される。一部の局面において、かかる化合物は、セリアック病の1つまたは複数の症状を呈している対象に投与される。
【0017】
いくつかの態様では、マンノース受容体がマンノース-6-リン酸受容体である。いくつかの態様では、標的領域に化合物が到達すると切断されるように構成された結合を介してYとXが接続される。好都合には、この切断は、いくつかの態様では、化合物が標的部位(例えば、マンノース受容体と結合される部位)に存在している場合に誘発される。これにより、いくつかの態様では、遊離の抗原を標的部位に送達することが可能となる。
【0018】
いくつかの態様では、Arが、
から選択され;ここで、各場合のR''は、存在する場合、置換されていてもよいC1~6アルキル、置換されていてもよいC1~6アルコキシ、置換されていてもよいアミノ、OH、またはハロゲンから独立して選択され、かつ、X''はヘテロ原子である。いくつかの態様では、X''がNである。いくつかの態様では、R11がC1~6アルキルである。いくつかの態様では、R11が-CH3である。いくつかの態様では、R3がC1~6アルキルである。
【0019】
また本明細書において、上記または本明細書の他の箇所に記載のとおりの化合物を含む組成物も提供する。同様に、本明細書において、抗原、1種類もしくは複数種類の抗原の1つの寛容原性部分(もしくは複数の該部分)、および/または該抗原もしくは抗原の該部分の模倣体に対する寛容を誘導する(または望ましくない免疫応答を処置する)ためのこのような化合物の使用を提供する。また、抗原、1種類もしくは複数種類の抗原の1つの寛容原性部分(もしくは複数の該部分)、および/または該抗原もしくは抗原の該部分の模倣体に対する寛容を誘導する(または望ましくない免疫応答を処置する)ための医薬の調製におけるかかる化合物の使用も提供する。
【0020】
本開示のある特定の局面は、式1:
の化合物を含む組成物に指向しており、式中、Xは、抗原またはその寛容原性部分を含み、Yはリンカー部分を含み、Zはマンノース受容体を特異的に標的にする部分を含み、pは約2~約250の整数であり、mは約1~約100の整数であり、R
2は、官能基I~III:
のうちのいずれかであり、ここで、Arは置換または非置換の芳香族基であり、R
3は任意の炭素含有直鎖状部分または複素環式部分であり、かつR
11は水素またはアルキル基である。一部の態様では、R
2が末端キャッピング基を含む。一部の態様では、R
2が、構築物から切り離されると安定なまたは実質的に安定なフリーラジカルを形成する。一部の態様では、R
2が、リビング重合のための可逆的付加-開裂連鎖移動(RAFT)剤である。一部の態様では、R
2が、リンカー領域を長くするために該構築物に可逆的に付加されて除去され得る。一部の態様では、R
2がRAFT剤である。一部の態様では、R
2がRAFT剤ではない。一部の態様では、R
2が、Hであるか、あるいは非存在である。一部の態様では、R
2が置換されていてもよいジチオベンゾエート、トリチオカーボネート、またはキサンテートである。一部の態様では、R
3またはR
11が水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールであり得る。一部の態様では、一部の態様では、R
3が水素、置換されていてもよいC
6アリール、またはC
1~6アルキル(ハロゲンもしくはヒドロキシルで置換されていてもよい)である。一部の態様では、上記に示すArがフェニル(1つまたは複数のOH基、NH
2基、および/またはハロゲンで置換されていてもよい)である。一部の態様では、R
2が、官能基:
のうちの1つであり、ここで、R
3は上記に定義のとおりである。いくつかの態様では、任意の官能基IまたはII内のArが、1~4個はヘテロ原子である6~14個の環構成員を有する置換されていてもよいC
6~C
14アリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールである。いくつかの態様では、置換されていてもよいC
6~C
14アリールが、C
1~C
6アルキル、アミノ、ハロゲン、-OH、またはその組合せから選択される1つまたは複数の官能基で置換されていてもよい。いくつかの態様では、Arが、
からなる群より選択され;ここで、各場合のR''は、存在する場合、置換されていてもよいC
1~6アルキル、置換されていてもよいC
1~6アルコキシ、置換されていてもよいアミノ、OH、またはハロゲンから独立して選択される。いくつかの態様では、X''がヘテロ原子である。いくつかの態様では、X''がNである。いくつかの態様では、R
11がC
1~6アルキルである。いくつかの態様では、R
11が-CH
3である。いくつかの態様では、R
3がC
1~6アルキルである。
【0021】
一部の態様では、YとXは、化合物の標的部位で切断される結合を介して、あるいは該標的部位で切断されるように構成された結合を介して接続される。いくつかの態様では、YとXがジスルファニルエチルエステルまたはジスルフィド結合によって結合されている。いくつかの態様では、式1の化合物が患者内のその生物学的標的(例えば、肝臓、肝臓細胞、および/または肝臓内の細胞のサイトゾル)に到達するとYとXの間の結合が切断されるように構成される。いくつかの態様では、Y-X結合が細胞内還元剤(例えば、グルタチオン)の存在下で切断される。一部の態様では、好都合には、XとYの間の結合が切断されたら、Xはその天然形態および/または活性形態となる。一部の態様では、Xが、Yから切断されたら、Yと結合している場合よりも活性な形態になる。一部の態様では、XとYの間のジチオール含有化合物、特にジスルファニルエチルカルバメート含有結合部(Xの遊離アミンを含んだ呼称であるか、そうでなければXの遊離アミンを含まずに「ジスルファニルエチルエステル」と呼称される)は、例えば、
に図示するように(Y’はリンカーの残部を示しかつXおよびZは定義のとおりである)、細胞内部に入ると抗原を切断して元の形態で放出する能力を有するため好都合である。
【0022】
いくつかの態様では、式1の化合物の肝臓を標的にする部分がガラクトース、ガラクトサミン、N-アセチルガラクトサミン、グルコース、グルコースアミン(glucoseamine)、および/またはN-アセチルグルコサミンではない。
【0023】
一部の態様では、Yはリンカーである。いくつかの態様では、Yは、N-ヒドロキシスクシンアミジル(NHS)リンカー、NHSエステルリンカー、PEGリンカー、マレイミドリンカー、ビニルスルホンリンカー、ピリジルジチオール-ポリ(エチレングリコール)リンカー、ピリジルジチオールリンカー、n-ニトロフェニルカーボネートリンカー、またはニトロフェノキシポリ(エチレングリコール)エステルリンカーのうちの少なくとも1種類が関与する1つまたは複数の反応により生じる反応生成物である。リンカーは、自身に結合されている1つまたは複数のマンノース部分またはマンノース受容体を標的にする部分を有し得る。いくつかの態様では、Yが、抗体、抗体断片、ペプチド、または1つもしくは複数のマンノース部分もしくはマンノース受容体を標的にする部分と結合されているジスルファニルエチルエステルを含む。一部の局面において、-[Y(Z)
p]-は、式Ya~Yr:
、および
のうちの1つで表される基であり、式中、左の丸括弧開き「(」はXとYの間の結合の箇所を意味し、右の丸括弧閉じ「)」はYとR
2の間の結合の箇所を意味する。いくつかの態様では、nが、約1より大きい整数または約1である整数、約10より大きい整数または約10である整数、約20より大きい整数または約20である整数、約40より大きい整数または約40である整数、約50より大きい整数または約50である整数、約75より大きい整数または約75である整数、約100より大きい整数または約100である整数、約150より大きい整数または約150である整数であるか、あるいは前述の値を含む範囲および/または前述の値間の範囲にまたがる範囲である。いくつかの態様では、nが、約1より大きい整数または約1である整数、約2より大きい整数または約2である整数、約3より大きい整数または約3である整数、約4より大きい整数または約4である整数、約5より大きい整数または約5である整数、約10より大きい整数または約10である整数、約15より大きい整数または約15である整数、約20より大きい整数または約20である整数、約30より大きい整数または約30である整数、約40より大きい整数または約40である整数、約50より大きい整数または約50である整数であるか、あるいは前述の値を含む範囲および/または前述の値間の範囲にまたがる範囲である。いくつかの態様では、qが、約1より大きい整数または約1である整数、約10より大きい整数または約10である整数、約20より大きい整数または約20である整数、約40より大きい整数または約40である整数、約50より大きい整数または約50である整数、約75より大きい整数または約75である整数、約100より大きい整数または約100である整数、約150より大きい整数または約150である整数であるか、あるいは前述の値を含む範囲および/または前述の値間の範囲にまたがる範囲である。いくつかの態様では、qが、約1より大きい整数または約1である整数、約2より大きい整数または約2である整数、約3より大きい整数または約3である整数、約4より大きい整数または約4である整数、約5より大きい整数または約5である整数、約10より大きい整数または約10である整数、約15より大きい整数または約15である整数、約20より大きい整数または約20である整数、約30より大きい整数または約30である整数、約40より大きい整数または約40である整数、約50より大きい整数または約50である整数、約75より大きい整数または約75である整数、約100より大きい整数または約100である整数、約150より大きい整数または約150である整数であるか、あるいは前述の値を含む範囲および/または前述の値間の範囲にまたがる範囲である。いくつかの態様では、kが、約1より大きい整数または約1である整数、約2より大きい整数または約2である整数、約3より大きい整数または約3である整数、約4より大きい整数または約4である整数、約5より大きい整数または約5である整数、約10より大きい整数または約10である整数、約15より大きい整数または約15である整数、約20より大きい整数または約20である整数であるか、あるいは前述の値を含む範囲および/または前述の値間の範囲にまたがる範囲である。いくつかの態様では、vが、約1より大きい整数または約1である整数、約2より大きい整数または約2である整数、約3より大きい整数または約3である整数、約4より大きい整数または約4である整数、約5より大きい整数または約5である整数、約10より大きい整数または約10である整数、約15より大きい整数または約15である整数、約20より大きい整数または約20である整数であるか、あるいは前述の値を含む範囲および/または前述の値間の範囲にまたがる範囲である。いくつかの態様では、kが2である。いくつかの態様では、vが2である。いくつかの態様では、nが4である。いくつかの態様では、nが44である。いくつかの態様では、qが3である。本明細書で用いる場合、一態様に関する構造、値、または値の範囲を有すると開示している可変部は、該可変部が別の態様に使用されている場合でも該値を有し得る(該可変部が該別の態様に関して定義されていない場合でさえも)。いくつかの態様では、nが1~100の整数である。いくつかの態様では、qが1~44の整数である。いくつかの態様では、kが1~12の整数である。いくつかの態様では、iが0~20の整数である。いくつかの態様では、vが1~4の整数である。いくつかの態様では、R
1が-CH
2-、-(CH
2)
2-C(CH
3)(CN)-、-(CH
2)
2-C(CH
3)(CH
3)-、-(CH
2)
2-CH(CH
3)-、または-CH(CH
3)-である。いくつかの態様では、W
1およびW
2が、
に示すとおりであり、ここで、Zはマンノース部分またはマンノース受容体を標的にする部分であり、R
9は、直接結合、-(CH
2)
2-NH-C(O)- (エチルアセエトアミド基もしくは「EtAcN」)、または、-(CH
2)
2-(O-CH
2-CH
2)
t-NH-C(O)- (ペグ化エチルアセトアミド基もしくは「Et-PEG
t-AcN」)であり、tは1~5の整数であり、pは2~250の整数であり、R
10は、脂肪族基、アルコール、脂肪族アミン含有基、または脂肪族アルコールであり、かつrは0~250の整数である。いくつかの態様では、-W
1
p-W
2
r-(例えば、-[Y(Z)
p]-内またはリンカー構造内に備えられる)がW
1とW
2のランダムコポリマーまたはブロックコポリマーである。いくつかの態様では、W
1の反復単位の数がpで示され、ここでpは少なくとも約1の整数である。いくつかの態様では、W
2の反復単位の数がrで示され、かつここでrは少なくとも約1の整数である。一部の態様では、R
10がC
fアルキルまたはC
fアルキルOH
gであり、ここで、fはアルキル基の炭素数を表し、0~10の整数であり、gはアルキル基に存在しているヒドロキシル基の数を表し、0~10の整数である。一部の態様では、R
10が2-ヒドロキシエチルである。一部の局面において、-W
1
p-W
2
q-はW
1モノマーとW
2モノマーのブロックコポリマーまたはランダムコポリマーを表す。
【0024】
いくつかの態様では、リンカーが、肝臓を標的にするペンダント状の部分を有するポリマー鎖を含み、該肝臓を標的にするペンダント状の部分は該ポリマー鎖を修飾している。一部の態様では、ポリマー鎖(またはY)が、本明細書の他の箇所に開示しているようなY'を含む。いくつかの態様では、ポリマー鎖が、アクリレート部分(例えば、アクリレートベースのポリマーおよび/またはアクリレートベースのコポリマー)を含む。いくつかの態様では、アクリレート部分が、肝臓を標的にするペンダント状の作用物質を含む1つまたは複数のアクリレート単位(例えば、アクリレート誘導体、例えばメタクリレートおよびその誘導体)を含む。いくつかの態様では、ポリマー鎖が親水性部分および/または親水性領域を含む。いくつかの態様では、親水性部分が、-(CH2CH2O)s-を有するある長さの1つまたは複数の領域を含み、ここで、sは約1~約44の整数である。いくつかの態様では、sが、約1より大きい整数または約1である整数、約2より大きい整数または約2である整数、約3より大きい整数または約3である整数、約4より大きい整数または約4である整数、約5より大きい整数または約5である整数、約10より大きい整数または約10である整数、約15より大きい整数または約15である整数、約20より大きい整数または約20である整数、約30より大きい整数または約30である整数、約40より大きい整数または約40である整数、約50より大きい整数または約50である整数、約75より大きい整数または約75である整数、約100より大きい整数または約100である整数、約150より大きい整数または約150である整数であるか、あるいは前述の値を含む範囲および/または前述の値間の範囲にまたがる範囲である。一部の態様では、親水性部分が1つまたは複数のポリエチレングリコール(PEG)領域を含む。一部の態様では、PEGが、PEGのg/molでの重量平均分子量(Mw)を該PEGのg/molでの数平均分子量(Mw)で割り算すること(例えば、Mw/Mn)によって測定される多分散度を有し得る。一部の態様では、PEG鎖が、約500または少なくとも約500、約1000または少なくとも約1000、約2000または少なくとも約2000、約5000または少なくとも約5000、約10000または少なくとも約10000であるか、あるいは前述の値を含む範囲および/または前述の値間の範囲にまたがる範囲である、数平均分子量または重量平均分子量(g/mol)を有する。いくつかの態様では、ポリマー鎖が置換されていてもよい。一部の態様では、ポリマー鎖が、ペンダント状の親水性の基、例えば-OH、-SO(OH)2、置換されていてもよいポリエーテル、置換されていてもよいポリアミノなどを含む。
【0025】
いくつかの態様では、化合物の抗原と肝臓を標的にする部分とが、クリックケミストリー(click chemistry)を用いて、例えば、該抗原を、アルキニル基(またはアジド)を含む第1のリンカーアームを用いて官能基付与し、該肝臓を標的にする部分を、アジド(またはアルキニル基)を含む第2のリンカーアームを用いて官能基付与し、これらを「クリック」ケミストリーによってクリック反応させて一体にすることにより連接される。一部の態様では、銅フリー条件でクリック反応され得るアルキニル基が使用される。一部の態様では、-[Y(-Z)
p]-が、式AI~AIV:
のうちの1つまたは複数で表される基であり、ここで、左の丸括弧開き「(」はXとYの間の結合の箇所を意味し、右の丸括弧閉じ「)」はYとR
2の間の結合の箇所を意味し、Y'は、2つまたはそれより多くの異なる型の反復単位のランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであり、ここで少なくとも1つの型の反復単位は1つのペンダント状のZ基、(または複数のペンダント状のZ基)を含み、ここでZはマンノース部分および/またはマンノース受容体を標的にする部分である。一部の態様では、Y'がW
1とW
2のランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであり、ここで、W
1およびW
2は、
に示すとおりであり、ここで、Zはマンノース部分および/またはマンノース受容体を標的にする部分(例えば非限定的に、マンノサミン、N-アセチルマンノサミン、もしくはN-アセチルグルコサミンのうちの1種類もしくは複数種類)であり、R
9は、直接結合、置換されていてもよい-C(O)-NH-(CH
2)
2- (エチルアセエトアミド基もしくは「EtAcN」)、または、置換されていてもよい-C(O)-NH-(CH
2)
2-(O-CH
2-CH
2)
t- (ペグ化エチルアセトアミド基もしくは「Et-PEG
t-AcN」)であり、tは1~5の整数である。一部の態様では、tが、約1である整数もしくは少なくとも約1である整数、約2である整数もしくは少なくとも約2である整数、約3である整数もしくは少なくとも約3である整数、約4である整数もしくは少なくとも約4である整数、約5である整数もしくは少なくとも約5である整数、約10である整数もしくは少なくとも約10である整数、約20である整数もしくは少なくとも約20である整数であるか、あるいは前述の値を含む範囲および/または前述の値間の範囲にまたがる範囲である。いくつかの態様では、R
10が脂肪族基、アルコール、脂肪族アミン含有基、または脂肪族アルコールである。一部の態様では、R
9またはR
10が独立して、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいポリエーテルまたは置換されていてもよいポリアミノである。一部の態様では、R
10が、置換されていてもよいC
fアルキル、置換されていてもよいC
fアルキルOH
gまたは置換されていてもよい-(C
fアルキルOH
g)-O)
e-Hであり、ここで、fはアルキル基の炭素数を表し、0~10の整数であり、gはアルキル基に存在しているヒドロキシル基の数を表し、0~10の整数であり、eはアルキル/エーテル反復単位の数を表し、0~10の整数である。一部の態様では、e、f、およびgが、約0または少なくとも約0、約1または少なくとも約1、約2または少なくとも約2、約3または少なくとも約3、約4または少なくとも約4、約5または少なくとも約5、約10または少なくとも約10である独立して選択される整数であるか、あるいは独立して選択される前述の値を含む範囲および/または独立して選択される前述の値間の範囲にまたがる範囲である。一部の態様では、R
10が2-ヒドロキシエチル(例えば、-CH
2CH
2OH)である。一部の態様では、R
10が置換されていてもよい2-ヒドロキシエチルである。一部の態様では、R
10が置換されていてもよいポリエーテルである。
【0026】
一部の態様では、Y'が-W1
p-W2
r-と示される。本明細書の他の箇所に記載のように、-W1
p-W2
r-は、p個の反復単位W1とr個の反復単位W2を有するW1モノマーとW2モノマーのブロックコポリマーまたはランダムコポリマーを表し得る。一部の態様では、pが、約1である整数または約1より大きい整数、約50である整数または約50より大きい整数、約85である整数または約85より大きい整数、約100である整数または約100より大きい整数、約150である整数または約150より大きい整数、約165である整数または約165より大きい整数、約200である整数または約200より大きい整数、約225である整数または約225より大きい整数、約250である整数または約250より大きい整数、約300である整数または約300より大きい整数、約400である整数または約400より大きい整数であるか、あるいは前述の値を含む範囲および/または前述の値間の範囲にまたがる範囲である。一部の態様では、rが、約1である整数または約1より大きい整数、約50である整数または約50より大きい整数、約85である整数または約85より大きい整数、約100である整数または約100より大きい整数、約150である整数または約150より大きい整数、約165である整数または約165より大きい整数、約200である整数または約200より大きい整数、約225である整数または約225より大きい整数、約250である整数または約250より大きい整数、約300である整数または約300より大きい整数、約400である整数または約400より大きい整数であるか、あるいは前述の値を含む範囲および/または前述の値間の範囲にまたがる範囲である。一部の態様では、Y'がW1またはW2のホモポリマーである。一部の態様では、rが0である。一部の態様では、pとrの和が、約1である整数または約1より大きい整数、約50である整数または約50より大きい整数、約85である整数または約85より大きい整数、約100である整数または約100より大きい整数、約150である整数または約150より大きい整数、約165である整数または約165より大きい整数、約170である整数または約170より大きい整数、約200である整数または約200より大きい整数、約225である整数または約225より大きい整数、約250である整数または約250より大きい整数、約300である整数または約300より大きい整数、約400である整数または約400より大きい整数、約600である整数または約600より大きい整数、約800である整数または約800より大きい整数であるか、あるいは前述の値を含む範囲および/または前述の値間の範囲にまたがる範囲である。
【0027】
一部の態様では、ポリマー鎖
aとポリマー鎖
bが存在しているか、または任意で存在していない。一部の態様では、存在する場合、ポリマー鎖
aおよびポリマー鎖
bは独立して親水性ポリマーを含み得る。一部の態様では、存在する場合、ポリマー鎖
aおよびポリマー鎖
bは独立して、1つまたは複数の置換されていてもよい-(CH
2CH
2O)
s-、置換されていてもよい-(CH
2)
u-または置換されていてもよいアルキレンを含み得る。いくつかの態様では、uが、約1より小さい整数または約1である整数、約5より小さい整数または約5である整数、約10より小さい整数または約10である整数、約20より小さい整数または約20である整数であるか、あるいは前述の値を含む範囲および/または前述の値間の範囲にまたがる範囲である。一部の態様では、ポリマー鎖
aおよびポリマー鎖
bが、下記の構造:
またはその一部分のうちの1種類または複数種類を含むか、あるいは該1種類または該複数種類からなり、ここで、変数(例えば、i、k、n、q、vなど)は本明細書の他の箇所に開示しているとおりである。いくつかの態様では、例えばnが約1~約100の整数であり、qが約1~約100の整数であり、kが約1~約20の整数であり、iが約0~約20の整数であり、vが約1~約20の整数である。いくつかの態様では、nまたはqがPEG鎖内における反復単位の数を表す。一部の態様では、PEG鎖がある程度の多分散度を有し得る。一部の態様では、nおよびqが、反復単位の数を示すのではなく、独立して、約500または少なくとも約500、約1000または少なくとも約1000、約2000または少なくとも約2000、約5000または少なくとも約5000、約10000または少なくとも約10000のあるいは前述の値を含む範囲および/または前述の値間の範囲にまたがる範囲のMn(単位:g/mol)またはMw(単位:g/mol)を有するPEGポリマー鎖の存在を示す。一部の態様では、k、iおよびvが各々、独立して、置換されていてもよいアルキレンを含み得る。
【0028】
いくつかの態様では、nが、約1より大きい整数または約1である整数、約10より大きい整数または約10である整数、約20より大きい整数または約20である整数、約40より大きい整数または約40である整数、約50より大きい整数または約50である整数、約75より大きい整数または約75である整数、約100より大きい整数または約100である整数、約150より大きい整数または約150である整数であるか、あるいは前述の値を含む範囲および/または前述の値間の範囲にまたがる範囲である。いくつかの態様では、nが、約1より大きい整数または約1である整数、約2より大きい整数または約2である整数、約3より大きい整数または約3である整数、約4より大きい整数または約4である整数、約5より大きい整数または約5である整数、約10より大きい整数または約10である整数、約15より大きい整数または約15である整数、約20より大きい整数または約20である整数、約30より大きい整数または約30である整数、約40より大きい整数または約40である整数、約50より大きい整数または約50である整数であるか、あるいは前述の値を含む範囲および/または前述の値間の範囲にまたがる範囲である。いくつかの態様では、qが、約1より大きい整数または約1である整数、約10より大きい整数または約10である整数、約20より大きい整数または約20である整数、約40より大きい整数または約40である整数、約50より大きい整数または約50である整数、約75より大きい整数または約75である整数、約100より大きい整数または約100である整数、約150より大きい整数または約150である整数であるか、あるいは前述の値を含む範囲および/または前述の値間の範囲にまたがる範囲である。いくつかの態様では、qが、約1より大きい整数または約1である整数、約2より大きい整数または約2である整数、約3より大きい整数または約3である整数、約4より大きい整数または約4である整数、約5より大きい整数または約5である整数、約10より大きい整数または約10である整数、約15より大きい整数または約15である整数、約20より大きい整数または約20である整数、約30より大きい整数または約30である整数、約40より大きい整数または約40である整数、約50より大きい整数または約50である整数、約75より大きい整数または約75である整数、約100より大きい整数または約100である整数、約150より大きい整数または約150である整数であるか、あるいは前述の値を含む範囲および/または前述の値間の範囲にまたがる範囲である。いくつかの態様では、kが、約1より大きい整数または約1である整数、約2より大きい整数または約2である整数、約3より大きい整数または約3である整数、約4より大きい整数または約4である整数、約5より大きい整数または約5である整数、約10より大きい整数または約10である整数、約15より大きい整数または約15である整数、約20より大きい整数または約20である整数であるか、あるいは前述の値を含む範囲および/または前述の値間の範囲にまたがる範囲である。いくつかの態様では、vが、約1より大きい整数または約1である整数、約2より大きい整数または約2である整数、約3より大きい整数または約3である整数、約4より大きい整数または約4である整数、約5より大きい整数または約5である整数、約10より大きい整数または約10である整数、約15より大きい整数または約15である整数、約20より大きい整数または約20である整数であるか、あるいは前述の値を含む範囲および/または前述の値間の範囲にまたがる範囲である。いくつかの態様では、kが2である。いくつかの態様では、vが2である。いくつかの態様では、nが4である。いくつかの態様では、nが44である。いくつかの態様では、qが3である。本明細書で用いる場合、一態様に関する構造、値または値の範囲を有すると開示している可変部は、該可変部が別の態様に使用されている場合でも該値を有し得る(該可変部が該別の態様に関して定義されていない場合でさえも)。
【0029】
いくつかの態様では、「CLICK」基および/または-[Y(-Z)
p]-が、より一般的には、下記の官能基単位:
を含む。
【0030】
いくつかの態様では、「CLICK」基および/または-[Y(-Z)
p]-が、より一般的には、下記の単位:
(これらの各々は置換されていてもよい)のうちの1種類または複数種類を含む。
【0031】
いくつかの態様では、-[Y(-Z)p]-が、下記の官能基単位:
のうちの1種類または複数種類を含み、ここで、各可変部(例えば、i、k、n、q、v、CLICK、R
1、Y'など)は本明細書の他の箇所に開示しているとおりである。一部の態様では、例えばnが約1~約44の整数であり、qが約1~約44の整数であり、kが約1~約12の整数であり、iが約0~約20の整数であり、vが約1~約4の整数であり、かつR
1が、-CH
2-、-(CH
2)
2-C(CH
3)(CN)-、-(CH
2)
2-C(CH
3)(CH
3)-、-(CH
2)
2-CH(CH
3)-、-CH(CH
3)-であるか、あるいは非存在である。
【0032】
いくつかの態様では、-[Y(Z)
p]-が、式Ya'~Yr':
のうちのいずれか1種類または複数種類で表される基であり、式中、可変部(例えば、i、k、n、q、v、R
1、Y'など)は本明細書の他の箇所に開示しているとおりである。例えば、いくつかの態様では、nが、約1より大きい整数または約1である整数、約2より大きい整数または約2である整数、約3より大きい整数または約3である整数、約4より大きい整数または約4である整数、約5より大きい整数または約5である整数、約10より大きい整数または約10である整数、約15より大きい整数または約15である整数、約20より大きい整数または約20である整数、約30より大きい整数または約30である整数、約40より大きい整数または約40である整数、約50より大きい整数または約50である整数であるか、あるいは前述の値を含む範囲および/または前述の値間の範囲にまたがる範囲である。いくつかの態様では、qが、約1より大きい整数または約1である整数、約2より大きい整数または約2である整数、約3より大きい整数または約3である整数、約4より大きい整数または約4である整数、約5より大きい整数または約5である整数、約10より大きい整数または約10である整数、約15より大きい整数または約15である整数、約20より大きい整数または約20である整数、約30より大きい整数または約30である整数、約40より大きい整数または約40である整数、約50より大きい整数または約50である整数、約75より大きい整数または約75である整数、約100より大きい整数または約100である整数、約150より大きい整数または約150である整数であるか、あるいは前述の値を含む範囲および/または前述の値間の範囲にまたがる範囲である。いくつかの態様では、kが、約1より大きい整数または約1である整数、約2より大きい整数または約2である整数、約3より大きい整数または約3である整数、約4より大きい整数または約4である整数、約5より大きい整数または約5である整数、約10より大きい整数または約10である整数、約15より大きい整数または約15である整数、約20より大きい整数または約20である整数であるか、あるいは前述の値を含む範囲および/または前述の値間の範囲にまたがる範囲である。いくつかの態様では、vが、約1より大きい整数または約1である整数、約2より大きい整数または約2である整数、約3より大きい整数または約3である整数、約4より大きい整数または約4である整数、約5より大きい整数または約5である整数、約10より大きい整数または約10である整数、約15より大きい整数または約15である整数、約20より大きい整数または約20である整数であるか、あるいは前述の値を含む範囲および/または前述の値間の範囲にまたがる範囲である。いくつかの態様では、kが2である。いくつかの態様では、vが2である。いくつかの態様では、nが4である。いくつかの態様では、nが43または44である。いくつかの態様では、qが3である。いくつかの態様では、R
1が、-CH
2-、-(CH
2)
2-C(CH
3)(CN)-、-(CH
2)
2-C(CH
3)(CH
3)-、-(CH
2)
2-CH(CH
3)-、または-CH(CH
3)-である。一部の態様では、Y'が、p個の反復単位W
1とr個の反復単位W
2を有するW
1とW
2のランダムコポリマーまたはブロックコポリマーである。
【0033】
いくつかの態様では、本明細書の他の箇所に示しているように、標的指向する部分が、リンカーの一部分を修飾している1つまたは複数の肝臓を標的にするペンダント状の部分を含む。いくつかの態様では、リンカーの一部分が、ペンダント状の標的指向する作用物質を有するポリマー鎖であり、該ペンダント状の標的指向する作用物質は該鎖に沿ってランダムに、またはブロック状に結合されている。一部の態様では、ポリマー鎖が、アクリレート部分(例えば、アクリレートポリマーおよび/またはアクリレートコポリマー)を含む。いくつかの態様では、アクリレート部分が、肝臓を標的にするペンダント状の作用物質を含むアクリレート単位を含む。いくつかの態様では、アクリレート部分が、肝臓を標的にするペンダント状の作用物質を含んでいないアクリレート単位をさらに含む。
【0034】
一部の態様では、Yは、N-ヒドロキシスクシンアミジル(NHS)リンカー、NHSエステルリンカー、PEGリンカー、マレイミドリンカー、ビニルスルホンリンカー、ピリジルジチオール-ポリ(エチレングリコール)リンカー、ピリジルジチオールリンカー、n-ニトロフェニルカーボネートリンカー、またはニトロフェノキシポリ(エチレングリコール)エステルリンカーのうちの少なくとも1種類が関与する1つまたは複数の反応により生じるリンカーである。リンカーは、自身に結合されている1つまたは複数のマンノースおよび/またはマンノース受容体を標的にする部分(例えば非限定的に、マンノサミン、N-アセチルマンノサミンもしくはN-アセチルグルコサミンのうちの1種類もしくは複数種類)を有し得る。複数の態様では、Yが、抗体、抗体断片、ペプチド、あるいは1つまたは複数のマンノースおよび/またはマンノース受容体を標的にする部分(例えば非限定的に、マンノサミン、N-アセチルマンノサミン、もしくはN-アセチルグルコサミンのうちの1種類もしくは複数種類)と結合されているジスルファニルエチルエステルを含む。
【0035】
一部の態様では、-[Y(-Z)
p]-が、下記の構造:
のうちの1種類を含み、ここで、可変部は本明細書の他の箇所に開示しているとおりである。
【0036】
一部の態様では、他のリンカー構造が、各々が参照によりその全体が組み入れる米国特許出願公開第2017/0007708A1号および同第2016/0243248A1号ならびに国際公報番号WO2017/046652において知得され得る。
【0037】
いくつかの態様では、W2に対するW1の種々の比率が使用される(例えば、本明細書の他の箇所に開示しているような任意の式に示すW1およびW2)。一部の態様では、反復単位Y'の大部分がW1で構成されている。一部の態様では、W2に対するW1の比が約50:1であるか、または約50:1より大きい、約25:1であるか、または約25:1より大きい、約10:1であるか、または約10:1より大きい、約5:1であるか、または約5:1より大きい、約4:1であるか、または約4:1より大きい、約2:1であるか、または約2:1より大きい、約1:1であるか、または約1:1より大きい、約1:2であるか、または約1:2より大きい、約1:4であるか、または約1:4より大きい、約1:5であるか、または約1:5より大きい、約1:10であるか、または約1:10より大きい、約1:25であるか、または約1:25より大きい、約1:50であるか、または約1:50より大きく、かつ両端を含む列記されたものの間の任意の比である。一部の態様では、rに対するpの比が約50:1であるか、または約50:1より大きい、約25:1であるか、または約25:1より大きい、約10:1であるか、または約10:1より大きい、約5:1であるか、または約5:1より大きい、約4:1であるか、または約4:1より大きい、約2:1であるか、または約2:1より大きい、約1:1であるか、または約1:1より大きい、約1:2であるか、または約1:2より大きい、約1:4であるか、または約1:4より大きい、約1:5であるか、または約1:5より大きい、約1:10であるか、または約1:10より大きい、約1:25であるか、または約1:25より大きい、約1:50であるか、または約1:50より大きく、かつ両端を含む列記されたものの間の任意の比である。一部の態様では、W1のホモポリマーがW2部分を備えていない。
【0038】
Xは外来性移植抗原またはアロ抗原または自己免疫抗原であり得る。一部の局面において、Xは抗原を表し、該抗原に対して患者が、望ましくない免疫応答を発現し得るか、または望ましくない免疫応答を発現している。一部の態様では、Xが抗原であり、該抗原に対して、対象、例えば移植レシピエントまたは自己免疫患者が、望ましくない免疫応答を発現する。いくつかの態様では、Xが、アロ抗原を含む外来性細胞外小胞、細胞断片、または細胞であり、それらに対して移植レシピエントまたは自己免疫患者が、望ましくない免疫応答を発現する。なおさらなる態様では、Xが外来性の食物抗原、動物抗原、植物抗原、または環境抗原であり、該抗原に対して患者が、望ましくない免疫応答を発現する。ある特定の局面において、Xは外来性の治療用物質であり、該治療用物質に対して患者が、望ましくない免疫応答を発現する。さらなる一局面において、Xは合成自己抗原であり、該合成自己抗原に対して患者が、望ましくない免疫応答を発現する。いくつかの態様では、Xが大型抗原の寛容原性部分である。ある特定の態様では、XまたはXの一部分が、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499、もしくは500個(またはその間の任意の誘導可能な範囲)のアミノ酸の長さであるか、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、少なくとも30、少なくとも31、少なくとも32、少なくとも33、少なくとも34、少なくとも35、少なくとも36、少なくとも37、少なくとも38、少なくとも39、少なくとも40、少なくとも41、少なくとも42、少なくとも43、少なくとも44、少なくとも45、少なくとも46、少なくとも47、少なくとも48、少なくとも49、少なくとも50、少なくとも51、少なくとも52、少なくとも53、少なくとも54、少なくとも55、少なくとも56、少なくとも57、少なくとも58、少なくとも59、少なくとも60、少なくとも61、少なくとも62、少なくとも63、少なくとも64、少なくとも65、少なくとも66、少なくとも67、少なくとも68、少なくとも69、少なくとも70、少なくとも71、少なくとも72、少なくとも73、少なくとも74、少なくとも75、少なくとも76、少なくとも77、少なくとも78、少なくとも79、少なくとも80、少なくとも81、少なくとも82、少なくとも83、少なくとも84、少なくとも85、少なくとも86、少なくとも87、少なくとも88、少なくとも89、少なくとも90、少なくとも91、少なくとも92、少なくとも93、少なくとも94、少なくとも95、少なくとも96、少なくとも97、少なくとも98、少なくとも99、少なくとも100、少なくとも101、少なくとも102、少なくとも103、少なくとも104、少なくとも105、少なくとも106、少なくとも107、少なくとも108、少なくとも109、少なくとも110、少なくとも111、少なくとも112、少なくとも113、少なくとも114、少なくとも115、少なくとも116、少なくとも117、少なくとも118、少なくとも119、少なくとも120、少なくとも121、少なくとも122、少なくとも123、少なくとも124、少なくとも125、少なくとも126、少なくとも127、少なくとも128、少なくとも129、少なくとも130、少なくとも131、少なくとも132、少なくとも133、少なくとも134、少なくとも135、少なくとも136、少なくとも137、少なくとも138、少なくとも139、少なくとも140、少なくとも141、少なくとも142、少なくとも143、少なくとも144、少なくとも145、少なくとも146、少なくとも147、少なくとも148、少なくとも149、少なくとも150、少なくとも151、少なくとも152、少なくとも153、少なくとも154、少なくとも155、少なくとも156、少なくとも157、少なくとも158、少なくとも159、少なくとも160、少なくとも161、少なくとも162、少なくとも163、少なくとも164、少なくとも165、少なくとも166、少なくとも167、少なくとも168、少なくとも169、少なくとも170、少なくとも171、少なくとも172、少なくとも173、少なくとも174、少なくとも175、少なくとも176、少なくとも177、少なくとも178、少なくとも179、少なくとも180、少なくとも181、少なくとも182、少なくとも183、少なくとも184、少なくとも185、少なくとも186、少なくとも187、少なくとも188、少なくとも189、少なくとも190、少なくとも191、少なくとも192、少なくとも193、少なくとも194、少なくとも195、少なくとも196、少なくとも197、少なくとも198、少なくとも199、少なくとも200、少なくとも201、少なくとも202、少なくとも203、少なくとも204、少なくとも205、少なくとも206、少なくとも207、少なくとも208、少なくとも209、少なくとも210、少なくとも211、少なくとも212、少なくとも213、少なくとも214、少なくとも215、少なくとも216、少なくとも217、少なくとも218、少なくとも219、少なくとも220、少なくとも221、少なくとも222、少なくとも223、少なくとも224、少なくとも225、少なくとも226、少なくとも227、少なくとも228、少なくとも229、少なくとも230、少なくとも231、少なくとも232、少なくとも233、少なくとも234、少なくとも235、少なくとも236、少なくとも237、少なくとも238、少なくとも239、少なくとも240、少なくとも241、少なくとも242、少なくとも243、少なくとも244、少なくとも245、少なくとも246、少なくとも247、少なくとも248、少なくとも249、少なくとも250、少なくとも251、少なくとも252、少なくとも253、少なくとも254、少なくとも255、少なくとも256、少なくとも257、少なくとも258、少なくとも259、少なくとも260、少なくとも261、少なくとも262、少なくとも263、少なくとも264、少なくとも265、少なくとも266、少なくとも267、少なくとも268、少なくとも269、少なくとも270、少なくとも271、少なくとも272、少なくとも273、少なくとも274、少なくとも275、少なくとも276、少なくとも277、少なくとも278、少なくとも279、少なくとも280、少なくとも281、少なくとも282、少なくとも283、少なくとも284、少なくとも285、少なくとも286、少なくとも287、少なくとも288、少なくとも289、少なくとも290、少なくとも291、少なくとも292、少なくとも293、少なくとも294、少なくとも295、少なくとも296、少なくとも297、少なくとも298、少なくとも299、少なくとも300、少なくとも301、少なくとも302、少なくとも303、少なくとも304、少なくとも305、少なくとも306、少なくとも307、少なくとも308、少なくとも309、少なくとも310、少なくとも311、少なくとも312、少なくとも313、少なくとも314、少なくとも315、少なくとも316、少なくとも317、少なくとも318、少なくとも319、少なくとも320、少なくとも321、少なくとも322、少なくとも323、少なくとも324、少なくとも325、少なくとも326、少なくとも327、少なくとも328、少なくとも329、少なくとも330、少なくとも331、少なくとも332、少なくとも333、少なくとも334、少なくとも335、少なくとも336、少なくとも337、少なくとも338、少なくとも339、少なくとも340、少なくとも341、少なくとも342、少なくとも343、少なくとも344、少なくとも345、少なくとも346、少なくとも347、少なくとも348、少なくとも349、少なくとも350、少なくとも351、少なくとも352、少なくとも353、少なくとも354、少なくとも355、少なくとも356、少なくとも357、少なくとも358、少なくとも359、少なくとも360、少なくとも361、少なくとも362、少なくとも363、少なくとも364、少なくとも365、少なくとも366、少なくとも367、少なくとも368、少なくとも369、少なくとも370、少なくとも371、少なくとも372、少なくとも373、少なくとも374、少なくとも375、少なくとも376、少なくとも377、少なくとも378、少なくとも379、少なくとも380、少なくとも381、少なくとも382、少なくとも383、少なくとも384、少なくとも385、少なくとも386、少なくとも387、少なくとも388、少なくとも389、少なくとも390、少なくとも391、少なくとも392、少なくとも393、少なくとも394、少なくとも395、少なくとも396、少なくとも397、少なくとも398、少なくとも399、少なくとも400、少なくとも401、少なくとも402、少なくとも403、少なくとも404、少なくとも405、少なくとも406、少なくとも407、少なくとも408、少なくとも409、少なくとも410、少なくとも411、少なくとも412、少なくとも413、少なくとも414、少なくとも415、少なくとも416、少なくとも417、少なくとも418、少なくとも419、少なくとも420、少なくとも421、少なくとも422、少なくとも423、少なくとも424、少なくとも425、少なくとも426、少なくとも427、少なくとも428、少なくとも429、少なくとも430、少なくとも431、少なくとも432、少なくとも433、少なくとも434、少なくとも435、少なくとも436、少なくとも437、少なくとも438、少なくとも439、少なくとも440、少なくとも441、少なくとも442、少なくとも443、少なくとも444、少なくとも445、少なくとも446、少なくとも447、少なくとも448、少なくとも449、少なくとも450、少なくとも451、少なくとも452、少なくとも453、少なくとも454、少なくとも455、少なくとも456、少なくとも457、少なくとも458、少なくとも459、少なくとも460、少なくと
も461、少なくとも462、少なくとも463、少なくとも464、少なくとも465、少なくとも466、少なくとも467、少なくとも468、少なくとも469、少なくとも470、少なくとも471、少なくとも472、少なくとも473、少なくとも474、少なくとも475、少なくとも476、少なくとも477、少なくとも478、少なくとも479、少なくとも480、少なくとも481、少なくとも482、少なくとも483、少なくとも484、少なくとも485、少なくとも486、少なくとも487、少なくとも488、少なくとも489、少なくとも490、少なくとも491、少なくとも492、少なくとも493、少なくとも494、少なくとも495、少なくとも496、少なくとも497、少なくとも498、少なくとも499、もしくは少なくとも500個(またはその間の任意の誘導可能な範囲)のアミノ酸の長さであるか、あるいは最大3、最大4、最大5、最大6、最大7、最大8、最大9、最大10、最大11、最大12、最大13、最大14、最大15、最大16、最大17、最大18、最大19、最大20、最大21、最大22、最大23、最大24、最大25、最大26、最大27、最大28、最大29、最大30、最大31、最大32、最大33、最大34、最大35、最大36、最大37、最大38、最大39、最大40、最大41、最大42、最大43、最大44、最大45、最大46、最大47、最大48、最大49、最大50、最大51、最大52、最大53、最大54、最大55、最大56、最大57、最大58、最大59、最大60、最大61、最大62、最大63、最大64、最大65、最大66、最大67、最大68、最大69、最大70、最大71、最大72、最大73、最大74、最大75、最大76、最大77、最大78、最大79、最大80、最大81、最大82、最大83、最大84、最大85、最大86、最大87、最大88、最大89、最大90、最大91、最大92、最大93、最大94、最大95、最大96、最大97、最大98、最大99、最大100、最大101、最大102、最大103、最大104、最大105、最大106、最大107、最大108、最大109、最大110、最大111、最大112、最大113、最大114、最大115、最大116、最大117、最大118、最大119、最大120、最大121、最大122、最大123、最大124、最大125、最大126、最大127、最大128、最大129、最大130、最大131、最大132、最大133、最大134、最大135、最大136、最大137、最大138、最大139、最大140、最大141、最大142、最大143、最大144、最大145、最大146、最大147、最大148、最大149、最大150、最大151、最大152、最大153、最大154、最大155、最大156、最大157、最大158、最大159、最大160、最大161、最大162、最大163、最大164、最大165、最大166、最大167、最大168、最大169、最大170、最大171、最大172、最大173、最大174、最大175、最大176、最大177、最大178、最大179、最大180、最大181、最大182、最大183、最大184、最大185、最大186、最大187、最大188、最大189、最大190、最大191、最大192、最大193、最大194、最大195、最大196、最大197、最大198、最大199、最大200、最大201、最大202、最大203、最大204、最大205、最大206、最大207、最大208、最大209、最大210、最大211、最大212、最大213、最大214、最大215、最大216、最大217、最大218、最大219、最大220、最大221、最大222、最大223、最大224、最大225、最大226、最大227、最大228、最大229、最大230、最大231、最大232、最大233、最大234、最大235、最大236、最大237、最大238、最大239、最大240、最大241、最大242、最大243、最大244、最大245、最大246、最大247、最大248、最大249、最大250、最大251、最大252、最大253、最大254、最大255、最大256、最大257、最大258、最大259、最大260、最大261、最大262、最大263、最大264、最大265、最大266、最大267、最大268、最大269、最大270、最大271、最大272、最大273、最大274、最大275、最大276、最大277、最大278、最大279、最大280、最大281、最大282、最大283、最大284、最大285、最大286、最大287、最大288、最大289、最大290、最大291、最大292、最大293、最大294、最大295、最大296、最大297、最大298、最大299、最大300、最大301、最大302、最大303、最大304、最大305、最大306、最大307、最大308、最大309、最大310、最大311、最大312、最大313、最大314、最大315、最大316、最大317、最大318、最大319、最大320、最大321、最大322、最大323、最大324、最大325、最大326、最大327、最大328、最大329、最大330、最大331、最大332、最大333、最大334、最大335、最大336、最大337、最大338、最大339、最大340、最大341、最大342、最大343、最大344、最大345、最大346、最大347、最大348、最大349、最大350、最大351、最大352、最大353、最大354、最大355、最大356、最大357、最大358、最大359、最大360、最大361、最大362、最大363、最大364、最大365、最大366、最大367、最大368、最大369、最大370、最大371、最大372、最大373、最大374、最大375、最大376、最大377、最大378、最大379、最大380、最大381、最大382、最大383、最大384、最大385、最大386、最大387、最大388、最大389、最大390、最大391、最大392、最大393、最大394、最大395、最大396、最大397、最大398、最大399、最大400、最大401、最大402、最大403、最大404、最大405、最大406、最大407、最大408、最大409、最大410、最大411、最大412、最大413、最大414、最大415、最大416、最大417、最大418、最大419、最大420、最大421、最大422、最大423、最大424、最大425、最大426、最大427、最大428、最大429、最大430、最大431、最大432、最大433、最大434、最大435、最大436、最大437、最大438、最大439、最大440、最大441、最大442、最大443、最大444、最大445、最大446、最大447、最大448、最大449、最大450、最大451、最大452、最大453、最大454、最大455、最大456、最大457、最大458、最大459、最大460、最大461、最大462、最大463、最大464、最大465、最大466、最大467、最大468、最大469、最大470、最大471、最大472、最大473、最大474、最大475、最大476、最大477、最大478、最大479、最大480、最大481、最大482、最大483、最大484、最大485、最大486、最大487、最大488、最大489、最大490、最大491、最大492、最大493、最大494、最大495、最大496、最大497、最大498、最大499、もしくは最大500個(またはその間の任意の誘導可能な範囲)のアミノ酸の長さである。一部の態様では、Xがアスパラギナーゼ抗原またはオボアルブミン抗原である。いくつかの態様では、Xが、ミエリン塩基性タンパク質、ミレイン(mylein)オリゴデンドロサイト糖タンパク質、プロテオリピッドタンパク質、インスリン、プロインスリン、プレプロインスリン、高分子量グルテニン、低分子量グルテニン、α-もしくはγ-グリアジン、ホルデイン、セカリン、またはアベニンのうちの1種類または複数種類の免疫原性断片である。
【0039】
一部の態様では、マンノース受容体を特異的に標的にする部分であるZが、α結合型マンノース、β結合型マンノース、置換マンノース、マンノース-6-リン酸、N-アセチルマンノサミン、ならびにβ(1-4)、α(1-6)、α(1-2)、および/またはα(1-3)結合を有するマンナンからなる群より選択される。一部の局面において、マンノース受容体はマンノース-6-リン酸受容体である。
【0040】
本開示の一部の局面は、本明細書に開示の任意の方法における本明細書に開示されるような組成物の使用に関する。一部の態様は、抗原またはその寛容原性部分に対する寛容の誘導のための、本明細書に開示の任意の組成物の使用を提供する。一態様の任意の工程または要素が本明細書に開示の異なる態様の任意の他の工程または要素の状況において実践され得ることが具体的に想定される。
【0041】
一部の態様では、抗原標的に対する免疫寛容を誘導する方法を提供する。該方法は、式1:
の組成物を投与する工程を含み、式中、可変部は本明細書の他の箇所に開示しているとおりである。一部の態様では、例えばXが抗原またはその寛容原性部分を含み、Yがリンカー部分を含み、Zがマンノース受容体を特異的に標的にする部分を含み、pが2~250の整数であり、mが1~100の整数であり、R
2が、官能基I~III:
のうちのいずれかであり、ここで、Arは置換または非置換の芳香族基であり、R
3は任意の炭素含有直鎖状部分または複素環式部分であり、かつR
11は水素またはアルキル基である。一部の態様では、R
2が、官能基:
のうちの1つであり、ここで、R
3は上記に定義のとおりである。
【0042】
一部の態様では、Yは、本明細書の他の箇所に記載のとおりのリンカーである。いくつかの態様では、Yは、N-ヒドロキシスクシンアミジル(NHS)リンカー、NHSエステルリンカー、PEGリンカー、マレイミドリンカー、ビニルスルホンリンカー、ピリジルジチオール-ポリ(エチレングリコール)リンカー、ピリジルジチオールリンカー、n-ニトロフェニルカーボネートリンカー、またはニトロフェノキシポリ(エチレングリコール)エステルリンカーのうちの少なくとも1種類が関与する1つまたは複数の反応により生じるリンカーである。リンカーは、自身に結合されている1つまたは複数のマンノース部分またはマンノース受容体を標的にする部分を有し得る。複数の態様では、Yが、抗体、抗体断片、ペプチド、または1つもしくは複数のマンノース部分もしくはマンノース受容体を標的にする部分と結合されているジスルファニルエチルエステルを含む。いくつかの態様では、-[Y(-Z)
p]-が本明細書の他の箇所に開示しているとおりである。例えば、一部の局面において、-[Y(Z)
p]-は、一連の式Ya~Yr:
、および
のうちの1つで表される基であり、ここで、左の丸括弧開き「(」はXとYの間の結合の箇所を意味し、右の丸括弧閉じ「)」はYとR
2の間の結合の箇所を意味し、nは1~100の整数であり、qは1~44の整数であり、kは1~12の整数であり、iは0~20の整数であり、vは1~4の整数であり、R
1は、-CH
2-、-(CH
2)
2-C(CH
3)(CN)-、-(CH
2)
2-C(CH
3)(CH
3)-、-(CH
2)
2-CH(CH
3)-、または-CH(CH
3)-であり、W
1およびW
2は、
に示すとおりであり、ここで、Zはマンノース部分またはマンノース受容体を標的にする部分であり、R
9は、直接結合、-(CH
2)
2-NH-C(O)- (エチルアセエトアミド基もしくは「EtAcN」)、または、-(CH
2)
2-(O-CH
2-CH
2)
t-NH-C(O)- (ペグ化エチルアセトアミド基もしくは「Et-PEG
t-AcN」)であり、tは、1~5の整数、1~3の整数または1または2であり、pは2~250の整数であり、R
10は、脂肪族基、アルコール、脂肪族アミン含有基、または脂肪族アルコールであり、かつrは0~250の整数である。一部の態様では、R
10がC
fアルキルまたはC
fアルキルOH
gであり、ここで、fはアルキル基の炭素数を表し、0~10の整数であり、gはアルキル基に存在しているヒドロキシル基の数を表し、0~10の整数である。一部の態様では、R
10が2-ヒドロキシエチルである。一部の局面において、-W
1
p-W
2
q-はW
1モノマーとW
2モノマーのブロックコポリマーまたはランダムコポリマーを表す。
【0043】
Xは外来性移植抗原またはアロ抗原または自己免疫抗原であり得る。一部の局面において、Xは抗原を表し、該抗原に対して患者が、望ましくない免疫応答を発現し得るか、または望ましくない免疫応答を発現している。一部の態様では、Xが抗原であり得、該抗原に対して、対象、例えば移植レシピエントまたは自己免疫患者が、望ましくない免疫応答を発現する。いくつかの態様では、Xが外来性細胞外小胞、細胞断片、または細胞であり得、それらに対して、移植レシピエントまたは自己免疫患者が、望ましくない免疫応答を発現するアロ抗原を含む。なおさらなる態様では、Xが外来性の食物抗原、動物抗原、植物抗原、または環境抗原であり得、該抗原に対して、患者が、望ましくない免疫応答を発現する。ある特定の局面において、Xは外来性の治療用物質であり得、該治療用物質に対して、患者が、望ましくない免疫応答を発現する。さらなる一局面において、Xは合成自己抗原であり得、該抗原に対して、患者が、望ましくない免疫応答を発現する。いくつかの態様では、Xが大型抗原の寛容原性部分であり得る。ある特定の態様では、XまたはXの一部分が、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、少なくとも30、少なくとも31、少なくとも32、少なくとも33、少なくとも34、少なくとも35、少なくとも36、少なくとも37、少なくとも38、少なくとも39、少なくとも40、少なくとも41、少なくとも42、少なくとも43、少なくとも44、少なくとも45、少なくとも46、少なくとも47、少なくとも48、少なくとも49、少なくとも50、少なくとも51、少なくとも52、少なくとも53、少なくとも54、少なくとも55、少なくとも56、少なくとも57、少なくとも58、少なくとも59、少なくとも60、少なくとも61、少なくとも62、少なくとも63、少なくとも64、少なくとも65、少なくとも66、少なくとも67、少なくとも68、少なくとも69、少なくとも70、少なくとも71、少なくとも72、少なくとも73、少なくとも74、少なくとも75、少なくとも76、少なくとも77、少なくとも78、少なくとも79、少なくとも80、少なくとも81、少なくとも82、少なくとも83、少なくとも84、少なくとも85、少なくとも86、少なくとも87、少なくとも88、少なくとも89、少なくとも90、少なくとも91、少なくとも92、少なくとも93、少なくとも94、少なくとも95、少なくとも96、少なくとも97、少なくとも98、少なくとも99、少なくとも100、少なくとも101、少なくとも102、少なくとも103、少なくとも104、少なくとも105、少なくとも106、少なくとも107、少なくとも108、少なくとも109、少なくとも110、少なくとも111、少なくとも112、少なくとも113、少なくとも114、少なくとも115、少なくとも116、少なくとも117、少なくとも118、少なくとも119、少なくとも120、少なくとも121、少なくとも122、少なくとも123、少なくとも124、少なくとも125、少なくとも126、少なくとも127、少なくとも128、少なくとも129、少なくとも130、少なくとも131、少なくとも132、少なくとも133、少なくとも134、少なくとも135、少なくとも136、少なくとも137、少なくとも138、少なくとも139、少なくとも140、少なくとも141、少なくとも142、少なくとも143、少なくとも144、少なくとも145、少なくとも146、少なくとも147、少なくとも148、少なくとも149、少なくとも150、少なくとも151、少なくとも152、少なくとも153、少なくとも154、少なくとも155、少なくとも156、少なくとも157、少なくとも158、少なくとも159、少なくとも160、少なくとも161、少なくとも162、少なくとも163、少なくとも164、少なくとも165、少なくとも166、少なくとも167、少なくとも168、少なくとも169、少なくとも170、少なくとも171、少なくとも172、少なくとも173、少なくとも174、少なくとも175、少なくとも176、少なくとも177、少なくとも178、少なくとも179、少なくとも180、少なくとも181、少なくとも182、少なくとも183、少なくとも184、少なくとも185、少なくとも186、少なくとも187、少なくとも188、少なくとも189、少なくとも190、少なくとも191、少なくとも192、少なくとも193、少なくとも194、少なくとも195、少なくとも196、少なくとも197、少なくとも198、少なくとも199、少なくとも200、少なくとも201、少なくとも202、少なくとも203、少なくとも204、少なくとも205、少なくとも206、少なくとも207、少なくとも208、少なくとも209、少なくとも210、少なくとも211、少なくとも212、少なくとも213、少なくとも214、少なくとも215、少なくとも216、少なくとも217、少なくとも218、少なくとも219、少なくとも220、少なくとも221、少なくとも222、少なくとも223、少なくとも224、少なくとも225、少なくとも226、少なくとも227、少なくとも228、少なくとも229、少なくとも230、少なくとも231、少なくとも232、少なくとも233、少なくとも234、少なくとも235、少なくとも236、少なくとも237、少なくとも238、少なくとも239、少なくとも240、少なくとも241、少なくとも242、少なくとも243、少なくとも244、少なくとも245、少なくとも246、少なくとも247、少なくとも248、少なくとも249、少なくとも250、少なくとも251、少なくとも252、少なくとも253、少なくとも254、少なくとも255、少なくとも256、少なくとも257、少なくとも258、少なくとも259、少なくとも260、少なくとも261、少なくとも262、少なくとも263、少なくとも264、少なくとも265、少なくとも266、少なくとも267、少なくとも268、少なくとも269、少なくとも270、少なくとも271、少なくとも272、少なくとも273、少なくとも274、少なくとも275、少なくとも276、少なくとも277、少なくとも278、少なくとも279、少なくとも280、少なくとも281、少なくとも282、少なくとも283、少なくとも284、少なくとも285、少なくとも286、少なくとも287、少なくとも288、少なくとも289、少なくとも290、少なくとも291、少なくとも292、少なくとも293、少なくとも294、少なくとも295、少なくとも296、少なくとも297、少なくとも298、少なくとも299、少なくとも300、少なくとも301、少なくとも302、少なくとも303、少なくとも304、少なくとも305、少なくとも306、少なくとも307、少なくとも308、少なくとも309、少なくとも310、少なくとも311、少なくとも312、少なくとも313、少なくとも314、少なくとも315、少なくとも316、少なくとも317、少なくとも318、少なくとも319、少なくとも320、少なくとも321、少なくとも322、少なくとも323、少なくとも324、少なくとも325、少なくとも326、少なくとも327、少なくとも328、少なくとも329、少なくとも330、少なくとも331、少なくとも332、少なくとも333、少なくとも334、少なくとも335、少なくとも336、少なくとも337、少なくとも338、少なくとも339、少なくとも340、少なくとも341、少なくとも342、少なくとも343、少なくとも344、少なくとも345、少なくとも346、少なくとも347、少なくとも348、少なくとも349、少なくとも350、少なくとも351、少なくとも352、少なくとも353、少なくとも354、少なくとも355、少なくとも356、少なくとも357、少なくとも358、少なくとも359、少なくとも360、少なくとも361、少なくとも362、少なくとも363、少なくとも364、少なくとも365、少なくとも366、少なくとも367、少なくとも368、少なくとも369、少なくとも370、少なくとも371、少なくとも372、少なくとも373、少なくとも374、少なくとも375、少なくとも376、少なくとも377、少なくとも378、少なくとも379、少なくとも380、少なくとも381、少なくとも382、少なくとも383、少なくとも384、少なくとも385、少なくとも386、少なくとも387、少なくとも388、少なくとも389、少なくとも390、少なくとも391、少なくとも392、少なくとも393、少なくとも394、少なくとも395、少なくとも396、少なくとも397、少なくとも398、少なくとも399、少なくとも400、少なくとも401、少なくとも402、少なくとも403、少なくとも404、少なくとも405、少なくとも406、少なくとも407、少なくとも408、少なくとも409、少なくとも410、少なくとも411、少なくとも412、少なくとも413、少なくとも414、少なくとも415、少なくとも416、少なくとも417、少なくとも418、少なくとも419、少なくとも420、少なくとも421、少なくとも422、少なくとも423、少なくとも424、少なくとも425、少なくとも426、少なくとも427、少なくとも428、少なくとも429、少なくとも430、少なくとも431、少なくとも432、少なくとも433、少なくとも434、少なくとも435、少なくとも436、少なくとも437、少なくとも438、少なくとも439、少なくとも440、少なくとも441、少なくとも442、少なくとも443、少なくとも444、少なくとも445、少なくとも446、少なくとも447、少なくとも448、少なくとも449、少なくとも450、少なくとも451、少なくとも452、少なくとも453、少なくとも454、少なくとも455、少なくとも456、少なくとも457、少なくとも458、少なくとも459、少なくとも460、少なくとも461、少なくとも462、少なくとも463、少なくとも464、少なくとも465、少なくとも466、少なくとも467、少なくとも468、少なくとも469、少なくとも470、少なくとも471、少なくとも472、少なくとも473、少なくとも474、少なくとも475、少なくとも476、少なくとも477、少なくとも478、少なくとも479、少なくとも480、少なくとも481、少なくとも482、少なくとも483、少なくとも484、少なくとも485、少なくとも486、少なくとも487、少なくとも488、少なくとも489、少なくとも490、少なくとも491、少なくとも492、少なくとも493、少なくとも494、少なくとも495、少なくとも496、少なくとも497、少なくとも498、少なくとも499、もしくは少なくとも500個(またはその間の任意の誘導可能な範囲)のアミノ酸の長さであるか、あるいは最大3、最大4、最大5、最大6、最大7、最大8、最大9、最大10、最大11、最大12、最大13、最大14、最大15、最大16、最大17、最大18、最大19、最大20、最大21、最大22、最大23、最大24、最大25、最大26、最大27、最大28、最大29、最大30、最大31、最大32、最大33、最大34、最大35、最大36、最大37、最大38、最大39、最大40、最大41、最大42、最大43、最大44、最大45、最大46、最大47、最大48、最大49、最大50、最大51、最大52、最大53、最大54、最大55、最大56、最大57、最大58、最大59、最大60、最大61、最大62、最大63、最大64、最大65、最大66、最大67、最大68、最大69、最大70、最大71、最大72、最大73、最大74、最大75、最大76、最大77、最大78、最大79、最大80、最大81、最大82、最大83、最大84、最大85、最大86、最大87、最大88、最大89、最大90、最大91、最大92、最大93、最大94、最大95、最大96、最大97、最大98、最大99、最大100、最大101、最大102、最大103、最大104、最大105、最大106、最大107、最大108、最大109、最大110、最大111、最大112、最大113、最大114、最大115、最大116、最大117、最大118、最大119、最大120、最大121、最大122、最大123、最大124、最大125、最大126、最大127、最大128、最大129、最大130、最大131、最大132、最大133、最大134、最大135、最大136、最大137、最大138、最大139、最大140、最大141、最大142、最大143、最大144、最大145、最大146、最大147、最大148、最大149、最大150、最大151、最大152、最大153、最大154、最大155、最大156、最大157、最大158、最大159、最大160、最大161、最大162、最大163、最大164、最大165、最大166、最大167、最大168、最大169、最大170、最大171、最大172、最大173、最大174、最大175、最大176、最大177、最大178、最大179、最大180、最大181、最大182、最大183、最大184、最大185、最大186、最大187、最大188、最大189、最大190、最大191、最大192、最大193、最大194、最大195、最大196、最大197、最大198、最大199、最大200、最大201、最大202、最大203、最大204、最大205、最大206、最大207、最大208、最大209、最
大210、最大211、最大212、最大213、最大214、最大215、最大216、最大217、最大218、最大219、最大220、最大221、最大222、最大223、最大224、最大225、最大226、最大227、最大228、最大229、最大230、最大231、最大232、最大233、最大234、最大235、最大236、最大237、最大238、最大239、最大240、最大241、最大242、最大243、最大244、最大245、最大246、最大247、最大248、最大249、最大250、最大251、最大252、最大253、最大254、最大255、最大256、最大257、最大258、最大259、最大260、最大261、最大262、最大263、最大264、最大265、最大266、最大267、最大268、最大269、最大270、最大271、最大272、最大273、最大274、最大275、最大276、最大277、最大278、最大279、最大280、最大281、最大282、最大283、最大284、最大285、最大286、最大287、最大288、最大289、最大290、最大291、最大292、最大293、最大294、最大295、最大296、最大297、最大298、最大299、最大300、最大301、最大302、最大303、最大304、最大305、最大306、最大307、最大308、最大309、最大310、最大311、最大312、最大313、最大314、最大315、最大316、最大317、最大318、最大319、最大320、最大321、最大322、最大323、最大324、最大325、最大326、最大327、最大328、最大329、最大330、最大331、最大332、最大333、最大334、最大335、最大336、最大337、最大338、最大339、最大340、最大341、最大342、最大343、最大344、最大345、最大346、最大347、最大348、最大349、最大350、最大351、最大352、最大353、最大354、最大355、最大356、最大357、最大358、最大359、最大360、最大361、最大362、最大363、最大364、最大365、最大366、最大367、最大368、最大369、最大370、最大371、最大372、最大373、最大374、最大375、最大376、最大377、最大378、最大379、最大380、最大381、最大382、最大383、最大384、最大385、最大386、最大387、最大388、最大389、最大390、最大391、最大392、最大393、最大394、最大395、最大396、最大397、最大398、最大399、最大400、最大401、最大402、最大403、最大404、最大405、最大406、最大407、最大408、最大409、最大410、最大411、最大412、最大413、最大414、最大415、最大416、最大417、最大418、最大419、最大420、最大421、最大422、最大423、最大424、最大425、最大426、最大427、最大428、最大429、最大430、最大431、最大432、最大433、最大434、最大435、最大436、最大437、最大438、最大439、最大440、最大441、最大442、最大443、最大444、最大445、最大446、最大447、最大448、最大449、最大450、最大451、最大452、最大453、最大454、最大455、最大456、最大457、最大458、最大459、最大460、最大461、最大462、最大463、最大464、最大465、最大466、最大467、最大468、最大469、最大470、最大471、最大472、最大473、最大474、最大475、最大476、最大477、最大478、最大479、最大480、最大481、最大482、最大483、最大484、最大485、最大486、最大487、最大488、最大489、最大490、最大491、最大492、最大493、最大494、最大495、最大496、最大497、最大498、最大499、もしくは最大500個(またはその間の任意の誘導可能な範囲)のアミノ酸の長さである。一部の態様では、Xがアスパラギナーゼ抗原またはオボアルブミン抗原である。具体的な態様では、Xがアスパラギナーゼ抗原またはオボアルブミン抗原であり、マンノース受容体を特異的に標的にする部分であるZは、α結合型マンノース、β結合型マンノース、置換マンノース、マンノース-6-リン酸、N-アセチルマンノサミン、ならびにβ(1-4)、α(1-6)、α(1-2)、および/またはα(1-3)結合を有するマンナンからなる群より選択され得る。
【0044】
一部の局面において、抗原に対する望ましくない免疫応答を処置または防止する方法を提供する。該方法は、該抗原に対する免疫応答の抑制を必要とする対象に、式1の化合物を含む組成物の有効量を投与する工程を含む。該組成物は、抗原部分Xに特異的に結合する循環タンパク質または循環ペプチドまたは循環抗体のクリアランスのために投与され得、循環タンパク質または循環ペプチドまたは循環抗体は、移植拒絶、治療用物質に対する免疫応答、自己免疫疾患、過敏症、および/またはアレルギーに、原因として関与する。該組成物は、移植拒絶、治療用物質に対する免疫応答、自己免疫疾患、過敏症、および/またはアレルギーに、原因として関与している抗体の患者における血中濃度を、投与後約12~約48時間の時点で測定する場合に少なくとも50%w/w低減させるのに有効な量で投与され得る。該組成物は、抗原部分Xに関して患者の寛容化のために投与され得る。
【0045】
本願全体を通して、他の態様を論考している。一局面に関して論考している任意の態様は他の局面にも同様に適用され、逆も同様である。本明細書に記載の各態様は、あらゆる局面に適用可能な態様であると理解されたい。本明細書において論考している任意の態様は、任意の方法または組成物に関して実践することができ、逆も同様であることが想定される。さらに、本明細書に開示の方法を行なうために、組成物およびキットが使用され得る。
【0046】
「~を含む(comprising)」という用語は、「~を含む(including)」、「~を含む(containing)」、または「~を特徴とする(characterized by)」と同義的であり、包含的またはオープンエンドであり、記載されていないさらなる要素または方法工程を排除しない。語句「~からなる」は明記されていない要素、工程、または成分はいずれも排除する。語句「本質的に~からなる」は、記載の主題の範囲を、明記されている材料または工程ならびに記載の主題の基本的特徴および新規な特徴に実質的に影響しないものに限定する。「~を含む(comprising)」という用語の状況において記載の態様はまた、「~からなる」または「本質的に~からなる」という用語の状況においても実践され得ることが想定される。
【0047】
「有効量」または「治療有効量」という用語は、本明細書で定義しているような処置を必要とする哺乳動物に投与した場合、かかる処置がもたらされるのに充分な、本開示の組成物の量を示す。この量は、処置される対象および疾患状態、対象の体重および年齢、疾患状態の重症度、選出される具体的な本開示の組成物、従うべき投薬レジメン、投与のタイミング、投与様式などに応じてさまざまであり、これらはすべて当業者によって容易に決定され得る。
【0048】
種々の置換基について示す「数値」および「範囲」は、記載の範囲内のあらゆる整数を包含していることを意図する。例えば、nが1~100を含むいろいろな組合せを表す整数であり、該いろいろな組合せが典型的にはn±10%(または小さい整数1~約25では±3)と指定される整数を包含していると定義されている場合、nは、整数1~100(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、25、30、34、35、37、40、41、45、50、54、55、59、60、65、70、75、80、82、83、85、88、90、95、99、100、または列記されたものの両者間の任意のもの)であり得ることは理解されよう。「±10%」または「±3」という用語は、使用されている場合はいつでも等価な範囲を開示しており、その明確なサポートを示していることは理解されよう。
【0049】
「任意の」または「任意で」という用語は、続いて記載する事象または状況が起こっても起こらなくてもよいこと、およびその記載が該事象または状況が起こる場合と起こらない場合を包含していることを意味する。
【0050】
特定の標的に特異的に結合するペプチド、タンパク質、または断片は該標的の「リガンド」と称される。
【0051】
「ポリペプチド」は、翻訳後修飾(例えば、リン酸化もしくはグリコシル化)および/またはさらなるポリペプチドとの複合体化、および/または核酸および/または糖鎖もしくは他の分子とのマルチサブユニット複合体への合成に関係なくアミノ酸残基の鎖を示す用語である。したがって、プロテオグリカンもまた、本明細書ではポリペプチドと称する。長鎖のポリペプチド(50個を超えるアミノ酸を有する)は「タンパク質」と称される。短鎖ポリペプチド(50個またはそれより少ないアミノ酸を有する)は「ペプチド」と称される。大きさ、アミノ酸組成、および3次元構造に応じて、ある特定のポリペプチドは「抗原結合分子」、「抗体」、「抗体断片」、または「リガンド」と称され得る。ポリペプチドは、多くは当技術分野において周知のいくつかの方法によって作製され得る。例えば、ポリペプチドは、抽出(例えば、単離された細胞からの)、該ポリペプチドをコードしている組み換え核酸の発現または化学合成によって得られ得る。ポリペプチドは、例えば、組み換え技術によって、およびコードされたポリペプチドの発現のための宿主細胞内に導入された、ポリペプチドをコードする発現ベクター(例えば、形質転換もしくはトランスフェクションにより)によって作製され得る。
【0052】
本明細書で用いる場合、「薬学的に許容される担体」または「薬学的に許容される賦形剤」には、任意のあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などが包含される。いくつかの態様では、このような媒体および剤は、薬学的に活性な物質との組合せで使用され得る。任意の慣用的な媒体または剤が活性成分と非適合性でない限り、治療用組成物におけるその使用が想定される。また、補助活性成分を該組成物に組み込んでもよい。
【0053】
ポリペプチドに関して本明細書で用いる「精製された」という用語は、化学的または生物学的に合成されており、したがって、他のポリペプチドが、実質的に混在していないか、あるいは天然に付随する他のほとんどの細胞成分(例えば、他の細胞タンパク質、核酸、または細胞成分、例えば脂質膜)から分離または単離されている、ポリペプチドを示す。精製されたポリペプチドの一例は、天然に会合している、タンパク質および天然に存在する有機分子を乾燥重量で少なくとも70%無含有の状態のものである。したがって、精製されたポリペプチドの調製物は例えば乾燥重量で少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも99%が該ポリペプチドであり得る。また、ポリペプチドを、精製またはマーキング(例えば、親和性マトリックス上への捕捉、顕微鏡下での可視化)を容易にするタグ配列(例えば、ポリヒスチジンタグ、mycタグ、FLAG(登録商標)タグ、SNAP(登録商標)タグ、または他の親和性タグ)を含むように操作してもよい。このように、ポリペプチドを含む精製された組成物は、特に記載のない限り、精製されたポリペプチドを示す。「単離された」という用語とは、本開示のポリペプチドまたは核酸がその天然の環境でないことを示す。したがって、単離された本開示の産物は、培養上清中に含有された状態、一部濃縮された状態、異種供給源から産生された状態、ベクター内でクローニングされた状態、またはビヒクルを用いて製剤化された状態などであり得る。
【0054】
「配列同一性」という用語はポリペプチドまたはポリヌクレオチドの配列比較に関して使用される。この表現は、特に、それぞれの参照ポリペプチドまたはそれぞれの参照ポリヌクレオチドとの配列同一性のパーセンテージ、例えば少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を示す。特に、対象のポリペプチドと参照ポリペプチドは、20、30、40、45、50、60、70、80、90、100個、もしくはそれより多くの連続アミノ酸鎖において、または参照ポリペプチドの全長において、表示された配列同一性を示す。いくつかの態様では、参照ヌクレオチド(あるいは対応するポリペプチド)と配列が異なるにもかかわらず、ポリヌクレオチドは参照配列との少なくともいくらかの度合の機能等価性、一部の態様では向上した機能を示す。
【0055】
「処置」または「処置すること」という用語は、哺乳動物の疾患または障害の任意の処置、例えば、疾患もしくは障害を予防もしくは防御すること、すなわち臨床症状が発現しないようにすること;疾患もしくは障害を抑止すること、すなわち臨床症状の発現を停止させるかもしくは抑制すること;および/または疾患もしくは障害を軽減させること、すなわち臨床症状の消退をもたらすことを意味する。
【0056】
「望ましくない免疫応答」という用語は、所与の状況において望まれない、対象の免疫系による反応を示す。免疫系の反応は、かかる反応が、疾患または障害の予防も低減も治癒ももたらさないが代わりに、障害または疾患を引き起こすか、増強するか、または悪化させる場合には、望ましくない。典型的には、免疫系の反応は、不適切な標的に対して指向されると疾患を引き起こすか、増強させるか、または悪化させる。例示すると、望ましくない免疫応答としては、非限定的に、移植拒絶、治療用物質に対する免疫応答、自己免疫疾患、およびアレルギーまたは過敏症が挙げられる。
【0057】
「機能的に連結される」という用語とは、標的部位での結合の前に2つの成分が結合されて活性な複合体が形成されている状況を示す。例えば、ビオチン-ストレプトアビジン複合体の半分にコンジュゲートされた分子と該ビオチン-ストレプトアビジン複合体の他方の半分と複合体化された抗原は、ビオチン分子とストレプトアビジン分子の複合体化によって機能的に連結される。また、機能的に連結されるという用語は、2つの分子を一体としてコンジュゲートさせる共有結合または化学結合を示すことも意図している。
【0058】
本願全体を通して、「約」という用語は、タンパク質化学の分野におけるその一般的かつ通常の意味に従い、値が、該値を求めるために使用されるデバイスまたは方法の誤差の標準偏差を包含していることを示すために用いている。
【0059】
本明細書および請求項で用いる場合、「~を含む(comprising)」(および~を含む(comprising)の任意の形態、例えば「~を含む(comprise)」および「~を含む(comprises)」)、「~を有する(having)」(および~を有する(having)の任意の形態、例えば「~を有する(have)」および「~を有する(has)」)、「~を含む(including)」(および~を含む(including)の任意の形態、例えば「~を含む(includes)」および「~を含む(include)」)または「~を含む(containing)」(および~を含む(containing)の任意の形態、例えば「~を含む(contains)」および「~を含む(contain)」)という語は、包含的またはオープンエンドであり、記載されていないさらなる要素または方法工程を排除しない。
【0060】
方法は、1種類または複数種類の化合物、組成物、および/または作用物質の複数回の投与を含み得る。ある特定の態様では、細胞または対象に寛容誘導剤が、寛容を誘導するための組成物を投与する前に供給される。化合物、組成物、および/または作用物質は、本発明のある特定の態様では薬学的に許容される製剤に製剤化され得ることが想定される。
【0061】
「疾患」は、任意の原因、例えば感染、遺伝子欠陥、または環境ストレスによって生じる身体の一部、器官、または全身の病的状態と定義する。「健康関連状態」は本明細書において、病的ではないかもしれないが処置が模索される身体の一部、器官、または全身の状態を示すと定義する。例としては、化粧療法が模索される状態、例えば肌のシワ、肌のシミなどが挙げられる。疾患は任意の疾患であり得、非限定的な例としては、過剰増殖性疾患、例えばがんおよび前がん病変、創傷、ならびに感染症が挙げられる。
【0062】
ある疾患になる尤度が高まる特徴、状態、または行動を対象が示す場合には、対象は該疾患「を有すると予想され」得る。ある疾患になる尤度が高まる特徴、状態、または行動はリスクファクターとして公知であり、行動的、生理学的、個体群統計的、環境的、または本質的に遺伝的なものがあり得る。行動的リスクファクターは通常、対象が行なうことを選択した活動に関する。個体群統計的リスクファクターは集団全体に関するもの、例えば年齢または性別である。環境的リスクファクターとしては、環境内の物に対する曝露に関連するもの、例えば大気汚染および浄水の入手法が挙げられる。遺伝的リスクファクターは個体の遺伝子構成に基づき、該個体の遺伝子と環境要因間の相互作用を反映し得る。ある疾患と関連しているリスクファクターを多く示す対象は、該疾患を発症するリスクが高い可能性があり、該疾患「を有すると予想され」得る。
【0063】
「予防」および「予防すること」は、その一般的かつ通常の意味に従い、「事前に作用すること」またはかかる作用を意味するために使用される。特定の疾患または健康関連状態の状況では、これらの用語は、疾患または健康関連状態の発病の阻止の目的のための対象に対する剤、薬物、もしくは治療薬の投与もしくは適用または対象に対する施術もしくはモダリティの実施を示す。
【0064】
本明細書で用いる場合、「抗原」は、適応免疫応答の受容体、例えばT細胞受容体、主要組織適合性複合体クラスIおよびII、B細胞受容体、または抗体に対する標的としての機能を果たす任意の物質である。一部の態様では、抗原は体内が起源であり得る(例えば、「自己(self)」、「自己(auto)」、または「内因性」)。さらなる態様では、抗原は体外が起源であり(「非自己」、「外来性」、または「外因性」)、例えば吸入、摂取、注射、または移植、経皮などによって進入したものであり得る。一部の態様では、外因性抗原は体内で生化学的に修飾され得る。外来性抗原としては、非限定的に、食物抗原、動物抗原、植物抗原、環境抗原、治療用物質、ならびに同種異系移植の移植片に存在している抗原が挙げられる。抗原の非限定的な例は本明細書に示している。
【0065】
「抗原結合分子」は、本明細書で用いる場合、エピトープに対する結合(一部の態様では特異的結合)をもたらす抗体可変領域を含む分子、特にタンパク質、例えば免疫グロブリン分子に関する。抗体可変領域は、例えば完全抗体、抗体断片、および抗体または抗体断片の組み換え誘導体に存在させ得る。抗体の「抗原結合断片」(または「結合部分」)という用語は、本明細書で用いる場合、標的配列に特異的に結合する能力を保持している、抗体の1つまたは複数の断片を示す。抗体可変領域を含む抗原結合断片としては(非限定的に)、「Fv」、「Fab」、および「F(ab')2」領域、「シングルドメイン抗体(sdAb)」、「ナノボディ」、「単鎖Fv(scFv)」断片、「タンデムscFv」(VHA-VLA-VHB-VLB)、「ダイアボディ」、「トリアボディ」、または「トリボディ」、「一本鎖ダイアボディ(scDb)」、ならびに「二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)」が挙げられる。
【0066】
「エピトープ」は、抗原決定基としても知られ、適応免疫系、例えば抗体、B細胞、主要組織適合性複合体分子、またはT細胞によって認識される、巨大分子、例えばタンパク質のセグメントである。エピトープは、抗体またはその抗原結合断片に結合することができる、巨大分子の一部またはセグメントである。これとの関連において、「結合」という用語は特に、特異的結合に関する。本発明のいくつかの態様の状況では、「エピトープ」という用語がタンパク質またはポリタンパク質の、免疫系によって認識されるセグメントを示すことが好ましい。
【0067】
マンノースまたはマンノシル化部分という用語は、開鎖形態と環状形態の両方で存在し、D異性体とL異性体を有する単糖糖鎖を示す。環状形態では、2つの、すなわちαとβのアノマーが存在する。α体では、C1アルコール基がアキシャル位であり、一方、β体では、C1アルコール基がエカトリアル位である。特に、「マンノース」は六員環のピラノース、より具体的にはD異性体、さらにより具体的にはα-D体(α-D-マンノース)を示す。立体化学的な図示の非限定的な例におけるマンノース構造およびナンバリング。現在使用されている製剤では、マンノース残基がポリマー主鎖に、単一の部位、例えばC1~C4およびC6に結合している第1級アルコール部を介して接続された単一の糖鎖である。したがって、該アルコール部のうちの1つはマンノースを該ポリマーに接続するために使用されるが、その他のアルコールは中性pHではOH基のままである。いくつかの態様において、本明細書に開示のアプローチの好都合な多官能性は、少なくとも一部において、ポリマー側鎖を修飾するために使用される複数のモノマーに由来する。
【0068】
基が「置換されていてもよい」と記載されている場合はいつでも、該基は非置換または1つもしくは複数の表示された置換基で置換されていなくてもまたは置換されていてもよい。同様に、基が「非置換または置換」と記載されている場合、置換の場合には、置換基は、1つまたは複数の表示された置換基から選択され得る。置換基が示されていない場合は、表示された「置換されていてもよい」または「置換の」基は、C1~6アルキル、C1~6アルケニル、C1~6アルキニル、C1~6シクロアルキル、C1~6アリール、C1~6ヘテロアリール、C1~6ヘテロシクリル、C1~6アルコキシ、C1~6アシル、シアノ、ヒドロキシル、アミノ、ハロゲン置換C1~6アルキル、ハロゲン置換C1~6アルコキシ、およびハロゲンから個々に独立して選択される1つまたは複数の基で置換され得ることが意図される。
【0069】
本明細書で用いる場合、「化学修飾」は、ポリペプチドの1個または複数のアミノ酸の天然に存在する化学構造の変更を示す。かかる修飾は側鎖または末端に行なわれ得、例えばアミノ末端またはカルボキシル末端が変更される。一部の態様では、修飾は、ポリペプチドを他の物質に連結させるため、または治療用物質に結合させるために簡便に使用され得る化学基の作製に有用である。
【0070】
「保存的変更」は一般的に、アミノ酸配列に対して活性を変化させることなく行なわれ得る。このような変更は「保存的置換」または変異と称され;すなわち、特定の大きさまたは特徴を有するアミノ酸群に属するアミノ酸と別のアミノ酸が置換され得る。アミノ酸配列に対する置換基は、該アミノ酸が属するクラスの他の構成員から選択され得る。例えば、非極性(疎水性)アミノ酸としては、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、およびチロシンが挙げられる。極性中性アミノ酸としては、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミンが挙げられる。正電荷を有する(塩基性)アミノ酸としては、アルギニン、リシンおよびヒスチジンが挙げられる。負電荷を有する(酸性)アミノ酸としては、アスパラギン酸およびグルタミン酸が挙げられる。かかる置換は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動または等電点による測定時の見かけ分子量に実質的に影響しないことが期待される。また、保存的置換には、配列の光学異性体と他の光学異性体を、具体的には配列の1つまたは複数の残基のlアミノ酸をdアミノ酸に置換することも包含される。さらに、配列内のすべてのアミノ酸にd異性体からl異性体への置換を行ってもよい。例示的な保存的置換としては、非限定的に、正電荷を維持するためArgの代わりにLys、およびその逆;負電荷を維持するためAspの代わりにGlu、およびその逆;遊離-OHが維持されるようにThrの代わりにSer;ならびに遊離-NH2を維持するためAsnの代わりにGlnが挙げられる。また別の型の保存的置換は、化学的誘導体化の必要性が生じた場合、化学的コンジュゲーション反応のための反応性部位を付与するための所望の化学関連性を有するアミノ酸を導入する場合を構成する。かかるアミノ酸としては、非限定的に、Cys(スルフヒドリル基を挿入するため)、Lys(第1級アミンを挿入するため)、AspおよびGlu(カルボン酸基を挿入するため)、またはケトン側鎖、アジド側鎖、アルキン側鎖、アルケン側鎖、およびテトラジン側鎖を含む特殊な非標準アミノ酸が挙げられる。遊離の-NH2または-SHを担持しているアミノ酸の保存的な置換または付加は、式1のリンカーおよびマンノシル化部分との化学的コンジュゲーションに特に好都合であり得る。さらに、ポリペプチド配列または対応する核酸配列の点変異、欠失、および挿入が一部の場合において、ポリペプチドまたは核酸断片の機能を喪失することなく行なわれ得る。置換は、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50個、またはそれより多くの残基を含み得る(列記されたものの両者間の任意の数の置換を含む)。本明細書における態様に使用可能なバリアントは、総数200個まで(例えば、1個まで、2個まで、3個まで、4個まで、5個まで、6個まで、7個まで、8個まで、9個まで、10個まで、15個まで、20個まで、25個まで、30個まで、35個まで、40個まで、45個まで、50個まで、55個まで、60個まで、65個まで、70個まで、75個まで、80個まで、85個まで、90個まで、95個まで、100個まで、110個まで、120個まで、130個まで、140個まで、150個まで、160個まで、170個まで、180個まで、190個まで、または200個まで、列記されたものの両者間の任意の数を含む)の変更をアミノ酸配列内に示し得る(例えば、交換、挿入、欠失、N末端切断型、および/またはC末端切断型)。いくつかの態様では、変更の数が200より多い。さらに、いくつかの態様では、バリアントが、参照(例えば、非改変または天然配列)とある程度の機能等価性を示すポリペプチド配列または対応する核酸配列を含む。いくつかの態様では、バリアントが、非改変または天然参照配列と約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、約98%、約99%の機能等価性(および列記されたものの両者間の任意の程度の機能等価性)を示す。本明細書に記載のアミノ酸残基には、標準的なポリペプチド命名法、J.Biol.Chem.,(1969),243,3552-3559に従う一文字アミノ酸表記または三文字略号のいずれかが使用される。アミノ酸残基の配列はすべて、本明細書では、左と右の向きがアミノ末端からカルボキシ末端への慣用的な方向の式で表す。
【0071】
「肝臓を標的にする部分」という用語は、例えばポリペプチドを、マンノース受容体を発現している肝臓の細胞に指向する能力を有するマンノース部分を示す。肝臓は、いろいろな型の細胞、例えば非限定的に肝細胞、類洞上皮細胞、クッパー細胞、星細胞、および/または樹状細胞を含む。典型的には、肝臓を標的にする部分はポリペプチドをこれらの細胞のうちの1つまたは複数に指向する。それぞれの肝臓細胞の表面表には、肝臓を標的にする部分を認識して特異的に結合する受容体が存在している。肝臓を標的にすることは、抗原またはリガンドとマンノシル化部分またはマンナンシル化(mannansylating)部分との化学的コンジュゲーションによってなされ得る。天然に存在する脱シアリル化タンパク質は本開示のある特定の態様の範囲に包含されない。
【0072】
「ランダムコポリマー」という用語は、ポリマー鎖内の任意の所与の部位に所与のモノマー単位がみられる確率がその位置の隣接する単位の性質に無関係(ベルヌーイ分布)である場合の、混合状態の2つまたはそれより多くのモノマーの同時重合の生成物を示す。したがって、Wpで識別する可変基がランダムコポリマーを表す場合、該鎖は、2個~約150個までのW1基とW2基の任意の配列、例えば、無限にある;-W1-W2-W1-W2-;-W2-W1-W2-W1-;-W1-W1-W1-W2-;-W1-W1-W2-W2-;-W1-W2-W2-W1-;-W1-W2-W1-W2-W2-W1-W2-W1-;-W1-W1-W2-W2-W1-W2-W2-W1-;およびW2-W2-W1-W2-W1-W1-W1-W2-W2-W1-W2-W2-W1を含み得、ここで、種々のW1基に結合されているZならびにW1基およびW2基自体は同じであっても異なっていてもよい。
【0073】
「配列同一性」という用語は、ポリペプチド(または核酸)の配列比較に関して使用される。この表現は、特に、それぞれの参照ポリペプチドまたはそれぞれの参照ポリヌクレオチドとの配列同一性のパーセンテージ、例えば少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を示す。特に、対象のポリペプチドと参照ポリペプチドは、20、30、40、45、50、60、70、80、90、100個、もしくはそれより多く(あるいはその間の任意の誘導可能な範囲)の連続アミノ酸鎖において、または参照ポリペプチドの全長において、表示された配列同一性を示す。
【0074】
「特異的結合」は、この用語が生物学の分野で一般的に使用されているように、分子が標的に非標的組織と比べて比較的高い親和性で結合し、一般的に複数の非共有結合性相互作用、例えば静電相互作用、ファン・デル・ワールス相互作用、水素結合などを伴うことを示す。特異的結合性相互作用は、抗体-抗原間結合、酵素-基質間結合、および特定のタンパク質-受容体間相互作用に特徴的であり;場合によってはかかる分子がその特異的標的以外の組織にも結合する可能性が、かかる非標的結合が取るに足らない程度にあり得るが、それでもなお、高親和性結合ペアは特異的結合の定義に含まれ得る。
【0075】
「望ましくない免疫応答」という用語は、所与の状況において望まれない、対象の免疫系による反応を示す。免疫系の反応は、かかる反応が、疾患または障害の予防も低減も治癒ももたらさないが代わりに、障害または疾患を引き起こすか、増強するか、または悪化させるか、あるいは障害または疾患の誘導または悪化と関連している場合には、望ましくない。典型的には、免疫系の反応は、不適切な標的に対して指向されると疾患を引き起こすか、増強させるか、または悪化させる。例示すると、望ましくない免疫応答としては、非限定的に、移植拒絶、治療用物質に対する免疫応答、自己免疫疾患、およびアレルギーまたは過敏症が挙げられる。
【0076】
「バリアント」という用語は、自身が由来するタンパク質との比較で長さ、配列、または構造において1つまたは複数の変更によって異なるタンパク質(または核酸)であると理解されたい。タンパク質バリアントが由来するポリペプチドは親ポリペプチドまたは親ポリヌクレオチドとしても知られる。「バリアント」という用語には親分子の「断片」または「誘導体」も包含される。典型的には、「断片」は親分子より長さまたは大きさが小さく、一方、「誘導体」は親分子との比較で配列または構造において1つまたは複数の違いを示す。また、修飾された分子、例えば非限定的に、翻訳後修飾されたタンパク質(例えば、グリコシル化、リン酸化、ユビキチン化、パルミトイル化、またはタンパク質分解性切断されたタンパク質)および改変された核酸、例えばメチル化DNAも包含される。また、異なる分子の混合物、例えば非限定的にRNA-DNAハイブリッドも「バリアント」という用語に包含される。天然に存在するバリアントおよび人工的に構築されたバリアントは本明細書で用いる場合の「バリアント」という用語に包含されると理解されたい。さらに、本発明において使用可能なバリアントはまた、親分子のホモログ、オーソログ、またはパラログに由来するものであっても、人工的に構築されたバリアントに由来するものであってもよいが、該バリアントは親分子の少なくとも1つの生物学的活性示す、例えば機能的に活性であるものとする。バリアントは、自身が由来する親ポリペプチドとの一定程度の配列同一性によって特徴決定され得る。より厳密には、本開示の状況におけるタンパク質バリアントは親ポリペプチドと少なくとも80%の配列同一性を示し得る。好ましくは、タンパク質バリアントの配列同一性は20、30、40、45、50、60、70、80、90、100個、もしくはそれより多くの連続アミノ酸鎖におけるものである。上記に論考しているように、いくつかの態様では、バリアントは、非改変または天然参照配列と約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、約98%、約99%の機能等価性(および列記されたものの両者間の任意の程度の機能等価性)を示す。
【0077】
本発明の一態様に関して論考している任意の限定は本発明の任意の他の態様に適用され得ることが具体的に想定される。さらに、本発明の任意の組成物は本発明の任意の方法において使用され得、本発明の任意の方法は本発明の任意の組成物を作製または用いるために使用され得る。
【0078】
特許請求の範囲における「または/もしくは(or)」という用語の使用は、選択肢のみを示すことが明示されていない限り、あるいは選択肢が相互に排他的でない限り、「および/または(and/or)」を意味するために用いているが、本開示は、選択肢のみと「および/または(and/or)」を示す定義もサポートする。
【0079】
[本発明1001]
式1:
の化合物:
式中、
Xは、抗原、その寛容原性部分、またはその模倣体を含み;
Yはリンカー部分を含み;
Zはマンノース受容体を特異的に標的にする部分を含み;
pは2~250の整数であり;
mは1~100の整数であり;
R
2は、官能基I~III:
のうちのいずれかであり;
ここで、Arは置換または非置換の芳香族基であり;
R
3は任意の炭素含有直鎖状部分または複素環式部分であり、かつR
11は水素またはアルキル基である。
[本発明1002]
マンノース受容体を特異的に標的にする前記部分が、α結合型マンノース、β結合型マンノース、置換マンノース、マンノース-6-リン酸、N-アセチルマンノサミン、ならびにβ(1-4)、α(1-6)、α(1-2)、および/またはα(1-3)結合を有するマンナンからなる群より選択される、本発明1001の化合物。
[本発明1003]
Yが、N-ヒドロキシスクシンアミジルリンカー、マレイミドリンカー、PEGリンカー、ビニルスルホンリンカー、ピリジルジチオール-ポリ(エチレングリコール)リンカー、ピリジルジチオールリンカー、n-ニトロフェニルカーボネートリンカー、NHS-エステルリンカー、およびニトロフェノキシポリ(エチレングリコール)エステルリンカーのうちの少なくとも1つのリンカーの反応により生じるリンカーである、本発明1001の化合物。
[本発明1004]
Yが共有結合によりXに結合している、本発明1003の化合物。
[本発明1005]
-[Y(Z)
p]-が、式Ya~Yr:
のうちの1つで表され、
式中、
nは1~100の整数であり;
qは1~44の整数であり;
kは1~12の整数であり;
iは0~20の整数であり;
vは1~4の整数であり;
pは2~250の整数であり;
rは0~250の整数であり;
R
1は、-CH
2-、-(CH
2)
2-C(CH
3)(CN)-、-(CH
2)
2-C(CH
3)(CH
3)-、-(CH
2)
2-CH(CH
3)-、または-CH(CH
3)-であり;
W
1およびW
2は、
に定義するとおりであり;
R
9は、直接結合、-(CH2)2-NH-C(O)- (エチルアセエトアミド(ethylaceetamido)基もしくは「EtAcN」)、または、-(CH2)2-(O-CH2-CH2)t-NH-C(O)- (ペグ化エチルアセトアミド基もしくは「Et-PEGt-AcN」)であり;
tは1~5の整数であり;
Zはマンノース部分またはマンノース受容体を標的にする部分であり;かつ
R
10は、脂肪族基、アルコール、脂肪族アミン含有基、または脂肪族アルコールである、
本発明1001の化合物。
[本発明1006]
Yが、Xに結合する抗体、抗体断片、ペプチド、または他のリガンドである、本発明1001の化合物。
[本発明1007]
Xが抗原であり、該抗原に対して患者が、望ましくない免疫応答を発現し得るか、または望ましくない免疫応答を発現している、本発明1001の化合物。
[本発明1008]
前記抗原が、外来性移植抗原、アロ抗原、自己免疫抗原、食物抗原、動物抗原、植物抗原、環境抗原、治療用抗原、合成自己抗原、またはそれらの寛容原性部分である、本発明1007の化合物。
[本発明1009]
Xがアスパラギナーゼ抗原またはオボアルブミン抗原である、本発明1008の化合物。
[本発明1010]
前記マンノース受容体がマンノース-6-リン酸受容体である、本発明1001の化合物。
[本発明1011]
標的領域に前記化合物が到達すると切断されるように構成された結合を介して、YとXが接続されている、本発明1001の化合物。
[本発明1012]
Arが、
から選択され;
ここで、各場合のR''が、存在する場合、置換されていてもよいC
1~6アルキル、置換されていてもよいC
1~6アルコキシ、置換されていてもよいアミノ、OH、またはハロゲンから独立して選択され、かつ、X''がヘテロ原子である、
本発明1001の化合物。
[本発明1013]
X''がNである、本発明1012の化合物。
[本発明1014]
R
11がC
1~6アルキルである、本発明1001の化合物。
[本発明1015]
R
11が-CH
3である、本発明1001の化合物。
[本発明1016]
R
3がC
1~6アルキルである、本発明1001の化合物。
[本発明1017]
本発明1001~1016のいずれかの化合物を含む、組成物。
[本発明1018]
前記抗原、その寛容原性部分、またはその模倣体に対する寛容を誘導するための、本発明1001~1016のいずれかの化合物の使用。
[本発明1019]
対象に、式1:
の組成物を投与する工程であって、
式中、
Xは、抗原、その寛容原性部分、またはその模倣体を含み;
Yはリンカー部分を含み;
Zはマンノース受容体を特異的に標的にする部分を含み;
pは2~250の整数であり;
mは1~100の整数であり;
R
2は、官能基I~III:
のうちのいずれかであり;
ここで、Arは置換または非置換の芳香族基であり、R
3は任意の炭素含有直鎖状部分または複素環式部分であり、かつR
11は水素またはアルキル基である、
該工程
を含む、抗原標的に対する免疫寛容を誘導する方法。
[本発明1020]
マンノース受容体を特異的に標的にする前記部分が、α結合型マンノース、β結合型マンノース、置換マンノース、マンノース-6-リン酸、N-アセチルマンノサミン、ならびにβ(1-4)、α(1-6)、α(1-2)、および/またはα(1-3)結合を有するマンナンからなる群より選択される、本発明1019の方法。
[本発明1021]
Yが、N-ヒドロキシスクシンアミジルリンカー、PEGリンカー、マレイミドリンカー、ビニルスルホンリンカー、ピリジルジチオール-ポリ(エチレングリコール)リンカー、ピリジルジチオールリンカー、n-ニトロフェニルカーボネートリンカー、NHS-エステルリンカー、およびニトロフェノキシポリ(エチレングリコール)エステルリンカーのうちの少なくとも1つのリンカーの反応により生じるリンカーである、本発明1019または1020の方法。
[本発明1022]
Yが共有結合によりXに結合している、本発明1019~1021のいずれかの方法。
[本発明1023]
-[Y(Z)
p]-が、式Ya~Yr:
のうちの1つで表され、
式中、
nは1~100の整数であり;
qは1~44の整数であり;
kは1~12の整数であり;
iは0~20の整数であり;
vは1~4の整数であり;
pは2~250の整数であり;
rは0~250の整数であり;
R
1は、-CH
2-、-(CH
2)
2-C(CH
3)(CN)-、-(CH
2)
2-C(CH
3)(CH
3)-、-(CH
2)
2-CH(CH
3)-、または-CH(CH
3)-であり;
W
1およびW
2は、
に定義するとおりであり;
R
9は、直接結合、-(CH
2)
2-NH-C(O)- (エチルアセエトアミド基もしくは「EtAcN」)、または、-(CH
2)
2-(O-CH
2-CH
2)
t-NH-C(O)- (ペグ化エチルアセトアミド基もしくは「Et-PEG
t-AcN」)であり;
tは1~5の整数であり;
Zはマンノース部分またはマンノース受容体を標的にする部分であり;かつ
R
10は、脂肪族基、アルコール、脂肪族アミン含有基、または脂肪族アルコールである、
本発明1019~1022のいずれかの方法。
[本発明1024]
Yが、Xに結合する抗体、抗体断片、ペプチド、または他のリガンドである、本発明1019または1020の方法。
[本発明1025]
Xが抗原であり、該抗原に対して患者が、望ましくない免疫応答を発現し得るか、または望ましくない免疫応答を発現している、本発明1019~1024のいずれかの方法。
[本発明1026]
前記抗原が、外来性移植抗原、アロ抗原、自己免疫抗原、食物抗原、動物抗原、植物抗原、環境抗原、治療用物質、合成自己抗原、またはそれらの寛容原性部分である、本発明1019~1025のいずれかの方法。
[本発明1027]
前記抗原が小胞内、細胞断片内、または細胞内に含まれている、本発明1019~1026のいずれかの方法。
[本発明1028]
Xがアスパラギナーゼ抗原またはオボアルブミン抗原である、本発明1019~1027のいずれかの方法。
[本発明1029]
前記マンノース受容体がマンノース-6-リン酸受容体である、本発明1019~1028のいずれかの方法。
[本発明1030]
XとYの間の結合が、前記対象における標的部位で切断されるように構成されている、本発明1019~1029のいずれかの方法。
[本発明1031]
抗原に対する免疫応答の抑制を必要とする対象に、式1:
の化合物を含む組成物を投与する工程であって、
式中、
Xは、抗原、その寛容原性部分、またはその模倣体を含み;
Yはリンカー部分を含み;
Zはマンノース受容体を特異的に標的にする部分を含み;
pは2~250の整数であり;
mは1~100の整数であり;
R
2は、官能基I~III:
のうちのいずれかであり;
ここで、Arは置換または非置換の芳香族基であり、R
3は任意の炭素含有直鎖状部分または複素環式部分であり、かつR
11は水素またはアルキル基である、
該工程
を含む、該抗原に対する望ましくない免疫応答を処置または防止する方法。
[本発明1032]
マンノース受容体を特異的に標的にする前記部分が、α結合型マンノース、β結合型マンノース、置換マンノース、マンノース-6-リン酸、N-アセチルマンノサミン、ならびにβ(1-4)、α(1-6)、α(1-2)、および/またはα(1-3)結合を有するマンナンからなる群より選択される、本発明1031の方法。
[本発明1033]
Yが、N-ヒドロキシスクシンアミジルリンカー、PEGリンカー、マレイミドリンカー、ビニルスルホンリンカー、ピリジルジチオール-ポリ(エチレングリコール)リンカー、ピリジルジチオールリンカー、n-ニトロフェニルカーボネートリンカー、NHS-エステルリンカー、およびニトロフェノキシポリ(エチレングリコール)エステルリンカーのうちの少なくとも1つのリンカーの反応により生じるリンカーである、本発明1031または1032の方法。
[本発明1034]
Yが共有結合によりXに結合している、本発明1031~1033のいずれかの方法。
[本発明1035]
-[Y(Z)
p]-が、式Ya~Yr:
、および
のうちの1つで表され、
式中、
nは1~100の整数であり;
qは1~44の整数であり;
kは1~12の整数であり;
iは0~20の整数であり;
vは1~4の整数であり;
pは2~250の整数であり;
rは0~250の整数であり;
R
1は、-CH
2-、-(CH
2)
2-C(CH
3)(CN)-、-(CH
2)
2-C(CH
3)(CH
3)-、-(CH
2)
2-CH(CH
3)-、または-CH(CH
3)-であり;
W
1およびW
2は、
に定義するとおりであり;
R
9は、直接結合、-(CH2)2-NH-C(O)- (エチルアセエトアミド基もしくは「EtAcN」)、または、-(CH2)2-(O-CH2-CH2)t-NH-C(O)- (ペグ化エチルアセトアミド基もしくは「Et-PEGt-AcN」)であり;
tは1~5の整数であり;
Zはマンノース部分またはマンノース受容体を標的にする部分であり;かつ
R10は、脂肪族基、アルコール、脂肪族アミン含有基、または脂肪族アルコールである、
本発明1031~1034のいずれかの組成物。
[本発明1036]
Yが、Xに結合する抗体、抗体断片、ペプチド、または他のリガンドである、本発明1031~1035のいずれかの方法。
[本発明1037]
Xが抗原であり、該抗原に対して患者が、望ましくない免疫応答を発現し得るか、または望ましくない免疫応答を発現している、本発明1031~1036のいずれかの方法。
[本発明1038]
前記抗原が、外来性移植抗原、アロ抗原、自己免疫抗原、食物抗原、動物抗原、植物抗原、環境抗原、治療用物質、合成自己抗原、またはそれらの寛容原性部分である、本発明1031~1037のいずれかの方法。
[本発明1039]
前記抗原が小胞内、細胞断片内、または細胞内に含まれている、本発明1031~1038のいずれかの方法。
[本発明1040]
Xがアスパラギナーゼ抗原またはオボアルブミン抗原である、本発明1031~1039のいずれかの方法。
[本発明1041]
前記マンノース受容体がマンノース-6-リン酸受容体である、本発明1031~1040のいずれかの方法。
[本発明1042]
標的領域に前記化合物が到達すると切断されるように構成された結合を介して、YとXが接続されている、本発明1031~1041のいずれかの方法。
[本発明1043]
前記抗原が、少なくとも1種類の自己免疫抗原またはその寛容原性部分を含む、本発明1001~1008および1010~1016のいずれかの化合物。
[本発明1044]
前記少なくとも1種類の自己免疫抗原が、ミエリン塩基性タンパク質(MPB)の1つもしくは複数の免疫原性断片、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)の1つもしくは複数の免疫原性断片、ミエリンプロテオリピッドタンパク質(PLP)の1つもしくは複数の免疫原性断片、MBP、MOG、またはPLPのうちの少なくとも1種類を含む、本発明1043の化合物。
[本発明1045]
前記少なくとも1種類の自己免疫抗原が、SEQ ID NO:23~47のうちの少なくとも1つを含む、本発明1044の化合物。
[本発明1046]
前記少なくとも1種類の自己免疫抗原が、SEQ ID NO:24、25、27、28、31、32、33、34、35、36、43、44、45、46、および47のうちの少なくとも1つを含む、本発明1044の化合物。
[本発明1047]
SEQ ID NO:29、38、39、40、41、および42のうちの少なくとも1つをさらに含む、本発明1046の化合物。
[本発明1048]
多発性硬化症の処置における使用のための、本発明1043~1047のいずれかの化合物。
[本発明1049]
多発性硬化症を有するかまたは多発性硬化症を有すると予想される対象に、本発明1043~1047のいずれかの化合物を含む組成物を投与する工程
を含む、多発性硬化症を処置または予防するための方法。
[本発明1050]
前記少なくとも1種類の自己免疫抗原が、インスリン、プロインスリン、プレプロインスリン、グルタミン酸デカルボキシラーゼ-65(GAD-65もしくはグルタミン酸デカルボキシラーゼ2)、GAD-67、グルコース-6ホスファターゼ2、膵島特異的グルコース6ホスファターゼ触媒サブユニット関連タンパク質(IGRP)、インスリノーマ関連タンパク質2(IA-2)、インスリノーマ関連タンパク質2β(IA-2β)、ICA69、ICA12(SOX-13)、カルボキシペプチダーゼH、イモジェン38(Imogen 38)、GLIMA 38、クロモグラニン-A、HSP-60、カルボキシペプチダーゼE、ペリフェリン、グルコーストランスポーター2、肝臓癌-腸-膵臓/膵臓関連タンパク質(hepatocarcinoma-intestine-pancreas/pancreatic associated protein)、S100β、グリア線維性酸性タンパク質、再生遺伝子II(regenerating gene II)、膵臓十二指腸ホメオボックス1(pancreatic duodenal homeobox 1)、筋強直性ジストロフィーキナーゼ、およびSST Gタンパク質共役型受容体1~5、または任意のこれらの抗原の免疫原性断片のうちの少なくとも1種類を含む、本発明1043の化合物。
[本発明1051]
前記少なくとも1種類の自己免疫抗原が、SEQ ID NO:1~19のうちの少なくとも1つ、またはSEQ ID NO:1~19のうちのいずれかの1つの免疫原性断片を含む、本発明1050の化合物。
[本発明1052]
前記少なくとも1種類の自己免疫抗原が、SEQ ID NO:4~19のうちの少なくとも1つを含む、本発明1050の化合物。
[本発明1053]
1型糖尿病の処置における使用のための、本発明1050~1052のいずれかの化合物。
[本発明1054]
1型糖尿病を有するかまたは1型糖尿病を有すると予想される対象に、本発明1050~1052のいずれかの化合物を含む組成物を投与する工程
を含む、1型糖尿病を処置または予防するための方法。
[本発明1055]
前記抗原が食物抗原またはその寛容原性部分を含む、本発明1001~1008および1010~1016のいずれかの化合物。
[本発明1056]
前記抗原が、組織トランスグルタミナーゼ、高分子量グルテニン、低分子量グルテニン、グルテン、α-グリアジン、γ-グリアジン、ω-グリアジン、ホルデイン、セカリン、アベニン、およびそれらの脱アミド化形態のうちの少なくとも1種類を含む、本発明1055の化合物。
[本発明1057]
前記抗原が、組織トランスグルタミナーゼ、高分子量グルテニン、低分子量グルテニン、グルテン、α-グリアジン、γ-グリアジン、ω-グリアジン、ホルデイン、セカリン、アベニン、およびそれらの脱アミド化形態のうちの少なくとも1種類の寛容原性部分を含む、本発明1055の化合物。
[本発明1058]
前記抗原が、SEQ ID NO:54~61のうちの少なくとも1つを含む、本発明1057の化合物。
[本発明1059]
セリアック病の処置における使用のための、本発明1055~1058のいずれかの化合物。
[本発明1060]
セリアック病を有するかまたはセリアック病を有すると予想される対象に、本発明1055~1058のいずれかの化合物を含む組成物を投与する工程
を含む、セリアック病を処置または予防するための方法。
本発明の他の目的、特長、および利点は以下の詳細説明から明らかとなろう。しかしながら、詳細説明および具体的な実施例は本発明の好ましい態様を示したものであるが、この詳細説明から当業者には本発明の趣旨および範囲内種々の変更および修正が明らかとなるため、例示として示したものにすぎないことは理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0080】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明のある特定の局面をさらに実例で示すために含めている。本発明は、これらの図面の1つまたは複数を本明細書に提示した具体的な態様の詳細説明と組み合わせて参照することによって、よりよく理解され得る。
【
図1-1】
図1A~1D. OVA-p(Man)はT細胞の除去を誘導する。BLK6マウスを、生理食塩水または遊離OVAまたはp(Man)にコンジュゲートさせたOVA(OVA-p(Man)の形態の10μgのOVA)で、7.0×105個のOTIおよびOTII T細胞の養子移入の1日後および7日後に処置した。マウスをLSPおよびOVAの皮内注射で、最初のOTIおよびOTII T細胞移入の14日後に抗原刺激し、次いで、流入領域リンパ節(dLN)における免疫応答を19日目にフローサイトメトリーにより評価した。
図1A 19日目のdLNにおけるOTII T細胞の割合。
図1B 19日目のdLNにおけるOTI T細胞の割合。
図1C 19日目の肝臓内におけるOTII T細胞の割合。
図1D 19日目の肝臓内におけるOTI T細胞の割合。
【
図1-2】
図1E~1G. OVA-p(Man)はT細胞の除去を誘導する。BLK6マウスを、生理食塩水または遊離OVAまたはp(Man)にコンジュゲートさせたOVA(OVA-p(Man)の形態の10μgのOVA)で、7.0×105個のOTIおよびOTII T細胞の養子移入の1日後および7日後に処置した。マウスをLSPおよびOVAの皮内注射で、最初のOTIおよびOTII T細胞移入の14日後に抗原刺激し、次いで、流入領域リンパ節(dLN)における免疫応答を19日目にフローサイトメトリーにより評価した。
図1E 19日目のdLNにおけるTregの割合。
図1F 19日目の肝臓内におけるTregの割合。
図1G 19日目のdLNにおける全CD4 T細胞のうちの割合としての濾胞性ヘルパーT細胞(Tfh)の割合。
【
図2】
図2A~2B: OVA-p(Man)はDLにおいてT細胞アネルギーを誘導する。BLK6マウスを、生理食塩水または遊離OVAまたはp(Man)にコンジュゲートさせたOVA(OVA-p(Man))の形態の10μgのOVAで、7.0×105個のOTIおよびOTII T細胞の養子移入の1日後および7日後に処置した。マウスをLPSおよびOVAの皮内注射で、最初のOTIおよびOTII T細胞移入の14日後に抗原刺激し、流入領域リンパ節(dLN)における免疫応答を19日目に評価した。dLN由来の細胞をOVA(A)またはSIINFEKL(ペプチド)で6時間再刺激し、次いで、IFN-γ産生細胞のパーセンテージをフローサイトメトリーによって求めた。
図2A dLNにおけるIFN-γ産生CD4+ T細胞のパーセンテージ。
図2B dLNにおけるIFN-γ産生CD8+ T細胞のパーセンテージ。
【
図3-1】
図3A~3C. タンパク質治療薬に対する寛容誘導。1群あたり5匹のBALB/cマウスに、遊離アスパラギナーゼとして製剤化した(ASNase)またはp(Man)にコンジュゲートさせた(ASNase-p(Man))2.5μgのアスパラギナーゼを週1回で3週間注射し、次いで、15μgのASNase i.v.を週1回で8週間に切り替えた。最初の3週間は、ASNase-p(Man)をi.v.注射または皮下注射のいずれかによって投与した。マウスから血清を採取し、αASNaseの存在について毎週モニタリングした。
図3A i.v.注射および皮下注射によりASNaseおよびASNase-p(Man)で処置したマウスのPan IgG αASNaseの力価。
図3B 38日目の処置群のαASNase IgG1の力価。
図3C 38日目の処置群のαASNase IgG2aの力価。
【
図3-2】
図3D~3E. タンパク質治療薬に対する寛容誘導。1群あたり5匹のBALB/cマウスに、遊離アスパラギナーゼとして製剤化した(ASNase)またはp(Man)にコンジュゲートさせた(ASNase-p(Man))2.5μgのアスパラギナーゼを週1回で3週間注射し、次いで、15μgのASNase i.v.を週1回で8週間に切り替えた。最初の3週間は、ASNase-p(Man)をi.v.注射または皮下注射のいずれかによって投与した。マウスから血清を採取し、αASNaseの存在について毎週モニタリングした。
図3D 38日目の処置群のαASNase IgG2bの力価。E. 38日目の処置群のαASNase IgG3の力価。
【
図4】
図4A~4B. p(Man)コンジュゲートに対する応答。
図4A ASNase-p(Man)で処置した動物の骨髄はASNaseで処置した動物より少ないαASNase形質細胞を有していた。
図4B ASNase-p(Man)で処置した動物の脾臓はIL-10産生制御性B細胞のパーセンテージがより高かった。
【
図5】タンパク質治療薬に対する寛容誘導。
図5は、p(Man)リンカーおよびマンノースにコンジュゲートさせたタンパク質治療薬アスパルギナーゼ(asparginase)に対する寛容誘導を示すグラフである。1群あたり5匹のBALB/cマウスに、遊離アスパラギナーゼとして製剤化した(ASNase)またはp(Man)にコンジュゲートさせた(ASNase-p(Man))2.5μgのアスパラギナーゼを週1回で3週間注射し、次いで、15μgのASNase i.v.を週1回で7週間に切り替えた。マウスから血清を採取し、抗ASNaseの存在について毎週モニタリングした。解析期間全体において、ASNase-p(Man)で処置した動物ではいずれも、ASNaseに対する測定可能なレベルの抗体が発生していなかった。
【
図6】抗アスパラギナーゼ(抗ASNase)体液性免疫応答に対するp(Man)-タンパク質コンジュゲートの評価のためのp(Man)-ASNase投与レジメン。
【
図7】
図7A~7B. 抗アスパラギナーゼ(抗ASNase)体液性免疫応答に対するp(Man)-タンパク質コンジュゲートの評価。
図7Aは、71日目、73日目、および76日目の血清アスパラギン濃度を示すグラフである。生理食塩水のみまたはp(Man)-ASNaseで処置したマウスは、生理食塩水で処置し、次いでwt ASNaseを投与した動物と比べて有意に低い血清アスパラギン濃度を有する。
図7Bは、この試験の各動物の抗ASNase力価に対する血清アスパラギン濃度を示すグラフである。血清アスパラギン濃度と抗ASNase力価間の強い相関(r=0.8)が明白である。
【発明を実施するための形態】
【0081】
詳細な説明
本明細書に開示のいくつかの態様は、マンノース融合抗原を含む組成物を提供することにより先行技術の欠陥を解決する。該組成物は、本来であれば免疫応答を惹起するタンパク質ベースの薬物に対する免疫を防止するために、または該薬物に対する免疫応答を低減するために使用され得る。
【0082】
多くのマンノース結合受容体は、抗原提示細胞(APC)によって発現され、このような細胞による抗原の取込みおよびT細胞への交差抗原提示のための入口としての機能を果たす。APCによって取り込まれ、共刺激なしの状態でT細胞に提示された抗原は、抗原特異的免疫応答を制御するT細胞の除去、不活性および制御性T細胞の形成をもたらす。
【0083】
本開示は、いくつかの態様では、抗原提示細胞、特に、肝細胞、LSEC、クッパー細胞、および/または星細胞、より具体的には肝細胞および/またはLSECへの送達のため(およびこれらによる取込みのため)に標的指向され、さらにより具体的にはマンノース結合受容体に特異的に結合する、特定の治療用組成物を提供する。
【0084】
肝臓を標的にすることは2つの処置機構:寛容化とクリアランスを容易にする。寛容化は、アポトーシス細胞の除去および免疫系によって「自己」と認識される該細胞のタンパク質のプロセッシングにおける肝臓の役割、ならびに免疫寛容のための末梢タンパク質のサンプリングにおける肝臓の役割を利用する。クリアランスは、毒素、ポリペプチドなどを速やかに除去および分解することによる血液精製における肝臓の役割を利用する。これらの組成物が肝臓を標的にすることはマンノセーティング(mannosating)部分によって行なわれる。マンノシル化部分は化学コンジュゲートされる。抗原は内因性(自己抗原)であっても外因性(外来性抗原)であってもよく、例えば非限定的に、移植レシピエントが望ましくない免疫応答(例えば、移植拒絶)を発現する、外来性移植抗原、患者が望ましくない免疫(例えば、アレルギーもしくは過敏)応答を発現する、外来性の食物抗原、動物抗原、植物抗原、または環境抗原、患者が望ましくない免疫応答(例えば、過敏症および/または治療活性の低減)を発現する治療用物質、患者が望ましくない免疫応答(例えば、自己免疫疾患)を発現する自己抗原、あるいはそれらの寛容原性部分(例えば、断片またはエピトープ)であり得;このような組成物は抗原に対する寛容化を誘導するのに有用である。したがって、本開示の組成物は態様に応じて、望ましくない免疫応答、例えば移植拒絶、治療用物質に対する免疫応答、自己免疫疾患、および/またはアレルギーを処置するために使用され得る。また、治療有効量の本開示の組成物を少なくとも1種類の薬学的に許容される賦形剤との混合状態で含む薬学的組成物も提供する。別の局面において、本開示は、望ましくない免疫応答、例えば移植拒絶、治療用物質に対する応答、自己免疫疾患、またはアレルギーの処置のための方法を提供する。
【0085】
B.化学物質定義
本明細書で用いる場合、「低分子」は、慣用的な有機化学法によって(例えば、研究所内で)合成されるか、または自然界にみられるかのいずれかである有機化合物を示す。典型的には、低分子は、いくつかの炭素-炭素結合を含み、約1500グラム/モル未満の分子量を有することが特徴である。ある特定の態様では、低分子は約1000グラム/モル未満である。ある特定の態様では、低分子は約550グラム/モル未満である。ある特定の態様では、低分子は約200~約550グラム/モルである。ある特定の態様では、低分子は、ペプチド(例えば、ペプチジル結合によって連接された2個またはそれより多くのアミノ酸を含む化合物)を除外する。ある特定の態様では、低分子は核酸を除外する。
【0086】
本明細書で用いる場合、「アミノ」という用語は-NH2を意味し;「ニトロ」という用語は-NO2を意味し;「ハロ」または「ハロゲン」という用語は-F、-Cl、-Brまたは-Iを示し;「メルカプト」という用語は-SHを意味し;「シアノ」という用語は-CNを意味し;「アジド」という用語は-N3を意味し;「シリル」という用語は-SiH3を意味し、「ヒドロキシ」という用語は-OHを意味する。ある特定の態様では、ハロゲンが-Brまたは-Iであり得る。
【0087】
本明細書で用いる場合、「一価のアニオン」は、電荷が-1のアニオンを示す。かかるアニオンは当業者に周知である。一価のアニオンの非限定的な例としては、ハライド(例えば、F-、Cl-、Br-およびI-)、NO2-、NO3-、ヒドロキシド(OH-)ならびにアジド(N3-)が挙げられる。
【0088】
本明細書で用いる場合、構造は、結合が単結合であっても二重結合であってもよいことを示す。化学分野の当業者には、ある状況では、特定の2個の原子間の二重結合が化学的に実現可能であり、ある状況では、二重結合は存在しないことが理解されよう。したがって、本発明では、化学的に実現可能な場合でのみ二重結合が形成され得ることが想定される。
【0089】
「アルキル」という用語には、直鎖アルキル、分枝鎖アルキル、シクロアルキル(脂環式)、環状アルキル、ヘテロ原子非置換アルキル、ヘテロ原子置換アルキル、ヘテロ原子非置換Cnアルキル、およびヘテロ原子置換Cnアルキルが包含される。ある特定の態様では、低級アルキルが想定される。分枝状アルキル基の例としては、非限定的に、イソ-プロピル、sec-ブチル、t-ブチルなどが挙げられる。直鎖アルキル基の例としては、非限定的に、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチルなどが挙げられる。アルキル基は1~30個の炭素原子を有し得る(本明細書において示されている場合はいつでも、数値範囲、例えば「1~30」は示された範囲内の各整数を示す;例えば「1~30個の炭素原子」は、アルキル基が1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30個の炭素原子からなり得ることを意味するが、本定義は、数値範囲が明示されていない「アルキル」という用語の存在もまた包含する)。「アルキル」基はまた、1~12個の炭素原子を有する中程度のサイズのアルキルであってもよい。「低級アルキル」という用語は、1~6個の炭素原子(すなわち、1、2、3、4、5、または6個の炭素原子)のアルキルを示す。「ヘテロ原子非置換Cnアルキル」という用語は、直鎖状または分枝状の環式または非環式の構造を有し、炭素-炭素二重結合または炭素-炭素三重結合をさらに有しておらず、すべて非芳香族である合計n個の炭素原子、3個またはそれより多くの水素原子をさらに有しており、ヘテロ原子がない原子団を示す。例えば、ヘテロ原子非置換C1~C10アルキルは1~10個の炭素原子を有する。基-CH3(Me)、-CH2CH3(Et)、-CH2CH2CH3(n-Pr)、-CH(CH3)2(イソ-Pr)、-CH(CH2)2(シクロプロピル)、-CH2CH2CH2CH3(n-Bu)、-CH(CH3)CH2CH3(sec-ブチル)、-CH2CH(CH3)2(イソ-ブチル)、-C(CH3)3(tert-ブチル)、-CH2C(CH3)3(ネオ-ペンチル)、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルはすべて、ヘテロ原子非置換アルキル基の非限定的な例である。「ヘテロ原子置換Cnアルキル」という用語は、結合点としての単一の飽和炭素原子を有し、炭素-炭素二重結合または炭素-炭素三重結合はなく、直鎖状または分枝状の環式または非環式の構造をさらに有し、すべて非芳香族である合計n個の炭素原子、0個、1個、または1個より多くの水素原子、少なくとも1個のヘテロ原子をさらに有し、ここで各ヘテロ原子は、N、O、F、Cl、Br、I、Si、P、およびSからなる群より独立して選択される原子団を示す。例えば、ヘテロ原子置換C1~C10アルキルは1~10個の炭素原子を有する。以下の基はすべて、ヘテロ原子置換アルキル基の非限定的な例である:トリフルオロメチル、-CH2F、-CH2Cl、-CH2Br、-CH2OH、-CH2OCH3、-CH2OCH2CF3、-CH2OC(O)CH3、-CH2NH2、-CH2NHCH3、-CH2N(CH3)2、-CH2CH2Cl、-CH2CH2OH、CH2CH2OC(O)CH3、-CH2CH2NHCO2C(CH3)3、および-CH2Si(CH3)3。
【0090】
本明細書で用いる場合、「アルキレン」という用語は、二価の完全飽和直鎖脂肪族炭化水素基を示す。アルキレン基の例としては、非限定的に、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、およびオクチレンが挙げられる。アルキレン基は、
、続いて炭素数の炭素原子、続いて「*」で、表され得る。例えば、エチレンを表す
。アルキレン基は1~30個の炭素原子を有し得る(本明細書において示されている場合はいつでも、数値範囲、例えば「1~30」は示された範囲内の各整数を示す;例えば「1~30個の炭素原子」は、アルキル基が、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、30個を含む30個までの炭素原子からなり得ることを意味するが、本定義は、数値範囲が明示されていない「アルキレン」という用語の存在もまた包含する)。アルキレン基はまた、1~12個の炭素原子を有する中程度のサイズのアルキルであってもよい。アルキレン基はまた、1~4個の炭素原子を有する低級アルキルである場合もあり得る。アルキレン基は置換されていてもまたは置換されていなくてもよい。例えば、低級アルキレン基は、低級アルキレン基の1個もしくは複数の水素を置き換えること、および/または同じ炭素上の両方の水素をC3~6単環式シクロアルキル基
で置換することにより置換され得る。
【0091】
「アルケニル」という用語には、直鎖アルケニル、分枝鎖アルケニル、シクロアルケニル、環状アルケニル、ヘテロ原子非置換アルケニル、ヘテロ原子置換アルケニル、ヘテロ原子非置換Cnアルケニル、およびヘテロ原子置換Cnアルケニルが包含される。ある特定の態様では、低級アルケニルが想定される。「低級アルケニル」という用語は、1~6個の炭素原子(すなわち、1、2、3、4、5、または6個の炭素原子)のアルケニルを示す。「ヘテロ原子非置換Cnアルケニル」という用語は、直鎖状または分枝状の環式または非環式の構造を有し、少なくとも1つの非芳香族炭素-炭素二重結合をさらに有するが炭素-炭素三重結合はなく、合計n個の炭素原子、3個またはそれより多くの水素原子をさらに有し、ヘテロ原子がない原子団を示す。例えば、ヘテロ原子非置換C2~C10アルケニルは2~10個の炭素原子を有する。ヘテロ原子非置換アルケニル基としては、-CH=CH2(ビニル)、-CH=CHCH3、-CH=CHCH2CH3、-CH2CH=CH2(アリル)、-CH2CH=CHCH3および-CH=CH-C6H5が挙げられる。「ヘテロ原子置換Cnアルケニル」という用語は、結合点としての単一の非芳香族炭素原子および少なくとも1つの非芳香族炭素-炭素二重結合を有するが炭素-炭素三重結合はなく、直鎖状または分枝状の環式または非環式の構造をさらに有し、合計n個の炭素原子、0個、1個、または1個より多くの水素原子および少なくとも1個のヘテロ原子をさらに有し、ここで各ヘテロ原子は、N、O、F、Cl、Br、I、Si、P、およびSからなる群より独立して選択される原子団を示す。例えば、ヘテロ原子置換C2~C10アルケニルは2~10個の炭素原子を有する。基-CH=CHF、-CH=CHClおよび-CH=CHBrはヘテロ原子置換アルケニル基の非限定的な例である。
【0092】
「アリール」という用語には、ヘテロ原子非置換アリール、ヘテロ原子置換アリール、ヘテロ原子非置換Cnアリール、ヘテロ原子置換Cnアリール、ヘテロアリール、複素環式アリール基、炭素環式アリール基、ビアリール基、および多環縮合炭化水素(PAH)に由来する一価の原子団が包含される。「ヘテロ原子非置換Cnアリール」という用語は、結合点としての単一の炭素原子を有し、ここで該炭素原子は炭素原子のみを含む芳香族環構造の一部であり、合計n個の炭素原子、5個またはそれより多くの水素原子をさらに有し、ヘテロ原子がない原子団を示す。例えば、ヘテロ原子非置換C6~C10アリールは6~10個の炭素原子を有する。ヘテロ原子非置換アリール基の非限定的な例としては、フェニル(Ph)、メチルフェニル、(ジメチル)フェニル、-C6H4CH2CH3、-C6H4CH2CH2CH3、-C6H4CH(CH3)2、-C6H4CH(CH2)2、-C6H3(CH3)CH2CH3、-C6H4CH=CH2、-C6H4CH=CHCH3、-C6H4C≡CH、-C6H4C≡CCH3、ナフチル、およびビフェニルに由来する原子団が挙げられる。「ヘテロ原子置換Cnアリール」という用語は、結合点としての単一の芳香族炭素原子または単一の芳香族ヘテロ原子のいずれかを有し、合計n個の炭素原子、少なくとも1個の水素原子および少なくとも1個のヘテロ原子をさらに有し、さらにここで各ヘテロ原子は、N、O、F、Cl、Br、I、Si、P、およびSからなる群より独立して選択される原子団を示す。例えば、ヘテロ原子非置換C1~C10ヘテロアリールは1~10個の炭素原子を有する。ヘテロ原子置換アリール基の非限定的な例としては、基:-C6H4F、-C6H4Cl、-C6H4Br、-C6H4I、-C6H4OH、-C6H4OCH3、-C6H4OCH2CH3、-C6H4OC(O)CH3、-C6H4NH2、-C6H4NHCH3、-C6H4N(CH3)2、-C6H4CH2OH、-C6H4CH2OC(O)CH3、-C6H4CH2NH2、-C6H4CF3、-C6H4CN、-C6H4CHO、-C6H4CHO、-C6H4C(O)CH3、-C6H4C(O)C6H5、-C6H4CO2H、-C6H4CO2CH3、-C6H4CONH2、-C6H4CONHCH3、-C6H4CON(CH3)2、フラニル、チエニル、ピリジル、ピロリル、ピリミジル、ピラジニル、キノリル、インドリル、およびイミダゾイルが挙げられる。ある特定の態様では、ヘテロ原子置換アリール基が想定される。ある特定の態様では、ヘテロ原子非置換アリール基が想定される。ある特定の態様では、アリール基は、1つまたは複数のヘテロ原子含有置換基での一置換、二置換、三置換、四置換、または五置換であり得る。
【0093】
「アラルキル」という用語には、ヘテロ原子非置換アラルキル、ヘテロ原子置換アラルキル、ヘテロ原子非置換Cnアラルキル、ヘテロ原子置換Cnアラルキル、ヘテロアラルキル、および複素環式アラルキル基が包含される。ある特定の態様では、低級アラルキルが想定される。「低級アラルキル」という用語は、7~12個の炭素原子(すなわち、7、8、9、10、11、または12個の炭素原子)のアラルキルを示す。「ヘテロ原子非置換Cnアラルキル」という用語は、結合点としての単一の飽和炭素原子を有し、少なくとも6個の炭素原子は炭素原子のみを含む芳香族環構造を形成している合計n個の炭素原子、7個またはそれより多くの水素原子をさらに有し、ヘテロ原子がない原子団を示す。例えば、ヘテロ原子非置換C7~C10アラルキルは7~10個の炭素原子を有する。ヘテロ原子非置換アラルキルの非限定的な例は、フェニルメチル(ベンジル,Bn)およびフェニルエチルである。「ヘテロ原子置換Cnアラルキル」という用語は、結合点としての単一の飽和炭素原子を有し、合計n個の炭素原子、0個、1個、または1個より多くの水素原子および少なくとも1個のヘテロ原子をさらに有し、ここで該炭素原子のうち少なくとも1個は芳香族環構造に組み込まれており、さらにここで各ヘテロ原子は、N、O、F、Cl、Br、I、Si、P、およびSからなる群より独立して選択される原子団を示す。例えば、ヘテロ原子置換C2~C10ヘテロアラルキルは2~10個の炭素原子を有する。
【0094】
「アシル」という用語には、直鎖アシル、分枝鎖アシル、シクロアシル、環状アシル、ヘテロ原子非置換アシル、ヘテロ原子置換アシル、ヘテロ原子非置換Cnアシル、ヘテロ原子置換Cnアシル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、およびアミノカルボニル基が包含される。ある特定の態様では、低級アシルが想定される。「低級アシル」という用語は、1~6個の炭素原子(すなわち、1、2、3、4、5、または6個の炭素原子)のアシルを示す。「ヘテロ原子非置換Cnアシル」という用語は、結合点としてのカルボニル基の単一の炭素原子を有し、直鎖状または分枝状の環式または非環式の構造をさらに有し、合計n個の炭素原子、1個またはそれより多くの水素原子、合計1個の酸素原子をさらに有し、さらなるヘテロ原子がない原子団を示す。例えば、ヘテロ原子非置換C1~C10アシルは1~10個の炭素原子を有する。基-CHO、-C(O)CH3、-C(O)CH2CH3、-C(O)CH2CH2CH3、-C(O)CH(CH3)2、-C(O)CH(CH2)2、-C(O)C6H5、-C(O)C6H4CH3、-C(O)C6H4CH2CH3、および-COC6H3(CH3)2はヘテロ原子非置換アシル基の非限定的な例である。「ヘテロ原子置換Cnアシル」という用語は、結合点としての単一の炭素原子を有し、該炭素原子はカルボニル基の一部であり、直鎖状または分枝状の環式または非環式の構造をさらに有し、合計n個の炭素原子、0個、1個、または1個より多くの水素原子、該カルボニル基の酸素に加えて少なくとも1個のさらなるヘテロ原子をさらに有し、ここで該さらなるヘテロ原子の各々は、N、O、F、Cl、Br、I、Si、PおよびSからなる群より独立して選択される原子団を示す。例えば、ヘテロ原子置換C1~C10アシルは1~10個の炭素原子を有する。基-C(O)CH2CF3、-CO2H、-CO2-、-CO2CH3、-CO2CH2CH3、-CO2CH2CH2CH3、-CO2CH(CH3)2、-CO2CH(CH2)2、-C(O)NH2(カルバモイル)、-C(O)NHCH3、-C(O)NHCH2CH3、-CONHCH(CH3)2、-CONHCH(CH2)2、-CON(CH3)2、および-CONHCH2CF3はヘテロ原子置換アシル基の非限定的な例である。
【0095】
「アルコキシ」という用語には、直鎖アルコキシ、分枝鎖アルコキシ、シクロアルコキシ、環状アルコキシ、ヘテロ原子非置換アルコキシ、ヘテロ原子置換アルコキシ、ヘテロ原子非置換Cnアルコキシ、およびヘテロ原子置換Cnアルコキシが包含される。ある特定の態様では、低級アルコキシが想定される。「低級アルコキシ」という用語は、1~6個の炭素原子(すなわち、1、2、3、4、5、または6個の炭素原子)のアルコキシを示す。「ヘテロ原子非置換Cnアルコキシ」という用語は、構造-ORを有し、Rが、該用語が上記に定義したとおりであるヘテロ原子非置換Cnアルキルである、基を示す。ヘテロ原子非置換アルコキシ基としては、-OCH3、-OCH2CH3、-OCH2CH2CH3、-OCH(CH3)2、および-OCH(CH2)2が挙げられる。「ヘテロ原子置換Cnアルコキシ」という用語は、構造-ORを有し、Rが、該用語が上記に定義したとおりであるヘテロ原子置換Cnアルキルである、基を示す。例えば、-OCH2CF3はヘテロ原子置換アルコキシ基である。
【0096】
「アルケニルオキシ」という用語には、直鎖アルケニルオキシ、分枝鎖アルケニルオキシ、シクロアルケニルオキシ、環状アルケニルオキシ、ヘテロ原子非置換アルケニルオキシ、ヘテロ原子置換アルケニルオキシ、ヘテロ原子非置換Cnアルケニルオキシ、およびヘテロ原子置換Cnアルケニルオキシが包含される。「ヘテロ原子非置換Cnアルケニルオキシ」という用語は、構造-ORを有し、Rが、該用語が上記に定義したとおりであるヘテロ原子非置換Cnアルケニルである、基を示す。「ヘテロ原子置換Cnアルケニルオキシ」という用語は、構造-ORを有し、Rが、該用語が上記に定義したとおりであるヘテロ原子置換Cnアルケニルである、基を示す。
【0097】
「アルキニルオキシ」という用語には、直鎖アルキニルオキシ、分枝鎖アルキニルオキシ、シクロアルキニルオキシ、環状アルキニルオキシ、ヘテロ原子非置換アルキニルオキシ、ヘテロ原子置換アルキニルオキシ、ヘテロ原子非置換Cnアルキニルオキシ、およびヘテロ原子置換Cnアルキニルオキシが包含される。「ヘテロ原子非置換Cnアルキニルオキシ」という用語は、構造-ORを有し、Rが、該用語が上記に定義したとおりであるヘテロ原子非置換Cnアルキニルである、基を示す。「ヘテロ原子置換Cnアルキニルオキシ」という用語は、構造-ORを有し、Rが、該用語が上記に定義したとおりであるヘテロ原子置換Cnアルキニルである、基を示す。
【0098】
「アリールオキシ」という用語には、ヘテロ原子非置換アリールオキシ、ヘテロ原子置換アリールオキシ、ヘテロ原子非置換Cnアリールオキシ、ヘテロ原子置換Cnアリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、および複素環式アリールオキシ基が包含される。「ヘテロ原子非置換Cnアリールオキシ」という用語は、構造-OArを有し、Arが、該用語が上記に定義したとおりであるヘテロ原子非置換Cnアリールである、基を示す。ヘテロ原子非置換アリールオキシ基の非限定的な一例は-OC6H5である。「ヘテロ原子置換Cnアリールオキシ」という用語は、構造-OArを有し、Arが、該用語が上記に定義したとおりであるヘテロ原子置換Cnアリールである、基を示す。
【0099】
「アラルキルオキシ」という用語には、ヘテロ原子非置換アラルキルオキシ、ヘテロ原子置換アラルキルオキシ、ヘテロ原子非置換Cnアラルキルオキシ、ヘテロ原子置換Cnアラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、および複素環式アラルキルオキシ基が包含される。「ヘテロ原子非置換Cnアラルキルオキシ」という用語は、構造-OArを有し、Arが、該用語が上記に定義したとおりであるヘテロ原子非置換Cnアラルキルである、基を示す。「ヘテロ原子置換Cnアラルキルオキシ」という用語は、構造-OArを有し、Arが、該用語が上記に定義したとおりであるヘテロ原子置換Cnアラルキルである、基を示す。
【0100】
「アシルオキシ」という用語には、直鎖アシルオキシ、分枝鎖アシルオキシ、シクロアシルオキシ、環状アシルオキシ、ヘテロ原子非置換アシルオキシ、ヘテロ原子置換アシルオキシ、ヘテロ原子非置換Cnアシルオキシ、ヘテロ原子置換Cnアシルオキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、およびカルボキシレート基が包含される。「ヘテロ原子非置換Cnアシルオキシ」という用語は、構造-OAcを有し、Acが、該用語が上記に定義したとおりであるヘテロ原子非置換Cnアシルである、基を示す。例えば、-OC(O)CH3はヘテロ原子非置換アシルオキシ基の非限定的な一例である。「ヘテロ原子置換Cnアシルオキシ」という用語は、構造-OAcを有し、Acが、該用語が上記に定義したとおりであるヘテロ原子置換Cnアシルである、基を示す。例えば、-OC(O)OCH3および-OC(O)NHCH3はヘテロ原子非置換アシルオキシ基の非限定的な例である。
【0101】
「アルキルアミノ」という用語には、直鎖アルキルアミノ、分枝鎖アルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、環状アルキルアミノ、ヘテロ原子非置換アルキルアミノ、ヘテロ原子置換アルキルアミノ、ヘテロ原子非置換Cnアルキルアミノ、およびヘテロ原子置換Cnアルキルアミノが包含される。「ヘテロ原子非置換Cnアルキルアミノ」という用語は、結合点としての単一の窒素原子を有し、該窒素原子に結合されている1個または2個の飽和炭素原子をさらに有し、直鎖状または分枝状の環式または非環式の構造をさらに有し、すべて非芳香族である合計n個の炭素原子、4個またはそれより多くの水素原子、合計1個の窒素原子を含み、さらなるヘテロ原子がない原子団を示す。例えば、ヘテロ原子非置換C1~C10アルキルアミノは1~10個の炭素原子を有する。「ヘテロ原子非置換Cnアルキルアミノ」という用語には、構造-NHRを有し、Rが、該用語が上記に定義したとおりであるヘテロ原子非置換Cnアルキルである、基が包含される。ヘテロ原子非置換アルキルアミノ基としては、-NHCH3、-NHCH2CH3、-NHCH2CH2CH3、-NHCH(CH3)2、-NHCH(CH2)2、-NHCH2CH2CH2CH3、-NHCH(CH3)CH2CH3、-NHCH2CH(CH3)2、-NHC(CH3)3、-N(CH3)2、-N(CH3)CH2CH3、-N(CH2CH3)2、N-ピロリジニル、およびN-ピペリジニルが挙げられよう。「ヘテロ原子置換Cnアルキルアミノ」という用語は、結合点としての単一の窒素原子を有し、該窒素原子に結合されている1個または2個の飽和炭素原子をさらに有し、炭素-炭素二重結合または炭素-炭素三重結合はなく、直鎖状または分枝状の環式または非環式の構造をさらに有し、すべて非芳香族である合計n個の炭素原子、0個、1個、または1個より多くの水素原子、およびさらなる、すなわち結合点の窒素原子に加えて少なくとも1個のヘテロ原子をさらに有し、ここでさらなるヘテロ原子の各々は、N、O、F、Cl、Br、I、Si、P、およびSからなる群より独立して選択される原子団を示す。例えば、ヘテロ原子置換C1~C10アルキルアミノは1~10個の炭素原子を有する。「ヘテロ原子置換Cnアルキルアミノ」という用語には、構造-NHRを有し、Rが、該用語が上記に定義したとおりであるヘテロ原子置換Cnアルキルである、基が包含される。
【0102】
「アルケニルアミノ」という用語には、直鎖アルケニルアミノ、分枝鎖アルケニルアミノ、シクロアルケニルアミノ、環状アルケニルアミノ、ヘテロ原子非置換アルケニルアミノ、ヘテロ原子置換アルケニルアミノ、ヘテロ原子非置換Cnアルケニルアミノ、ヘテロ原子置換Cnアルケニルアミノ、ジアルケニルアミノ、およびアルキル(アルケニル)アミノ基が包含される。「ヘテロ原子非置換Cnアルケニルアミノ」という用語は、結合点としての単一の窒素原子を有し、該窒素原子に結合されている1個または2個の炭素原子をさらに有し、直鎖状または分枝状の環式または非環式の構造をさらに有し、少なくとも1つの非芳香族炭素-炭素二重結合、合計n個の炭素原子、4個またはそれより多くの水素原子、合計1個の窒素原子を含み、さらなるヘテロ原子がない原子団を示す。例えば、ヘテロ原子非置換C2~C10アルケニルアミノは2~10個の炭素原子を有する。「ヘテロ原子非置換Cnアルケニルアミノ」という用語には、構造-NHRを有し、Rが、該用語が上記に定義したとおりであるヘテロ原子非置換Cnアルケニルである、基が包含される。「ヘテロ原子置換Cnアルケニルアミノ」という用語は、結合点としての単一の窒素原子および少なくとも1つの非芳香族炭素-炭素二重結合を有するが炭素-炭素三重結合はなく、該窒素原子に結合されている1個または2個の炭素原子をさらに有し、直鎖状または分枝状の環式または非環式の構造をさらに有し、合計n個の炭素原子、0個、1個、または1個より多くの水素原子、およびさらなる、すなわち結合点の窒素原子に加えて少なくとも1個のヘテロ原子をさらに有し、ここでさらなるヘテロ原子の各々は、N、O、F、Cl、Br、I、Si、P、およびSからなる群より独立して選択される原子団を示す。例えば、ヘテロ原子置換C2~C10アルケニルアミノは2~10個の炭素原子を有する。「ヘテロ原子置換Cnアルケニルアミノ」という用語には、構造-NHRを有し、Rが、該用語が上記に定義したとおりであるヘテロ原子置換Cnアルケニルである、基が包含される。
【0103】
「アルキニルアミノ」という用語には、直鎖アルキニルアミノ、分枝鎖アルキニルアミノ、シクロアルキニルアミノ、環状アルキニルアミノ、ヘテロ原子非置換アルキニルアミノ、ヘテロ原子置換アルキニルアミノ、ヘテロ原子非置換Cnアルキニルアミノ、ヘテロ原子置換Cnアルキニルアミノ、ジアルキニルアミノ、アルキル(アルキニル)アミノおよびアルケニル(アルキニル)アミノ基が包含される。「ヘテロ原子非置換Cnアルキニルアミノ」という用語は、結合点としての単一の窒素原子を有し、該窒素原子に結合されている1個または2個の炭素原子をさらに有し、直鎖状または分枝状の環式または非環式の構造をさらに有し、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合、合計n個の炭素原子、少なくとも1個の水素原子、合計1個の窒素原子を含み、さらなるヘテロ原子がない原子団を示す。例えば、ヘテロ原子非置換C2~C10アルキニルアミノは2~10個の炭素原子を有する。「ヘテロ原子非置換Cnアルキニルアミノ」という用語には、構造-NHRを有し、Rが、該用語が上記に定義したとおりであるヘテロ原子非置換Cnアルキニルである、基が包含される。「ヘテロ原子置換Cnアルキニルアミノ」という用語は、結合点としての単一の窒素原子を有し、該窒素原子に結合されている1個または2個の炭素原子をさらに有し、少なくとも1つの非芳香族炭素-炭素三重結合をさらに有し、直鎖状または分枝状の環式または非環式の構造をさらに有し、合計n個の炭素原子、0個、1個、または1個より多くの水素原子、およびさらなる、すなわち結合点の窒素原子に加えて少なくとも1個のヘテロ原子をさらに有し、ここでさらなるヘテロ原子の各々は、N、O、F、Cl、Br、I、Si、P、およびSからなる群より独立して選択される原子団を示す。例えば、ヘテロ原子置換C2~C10アルキニルアミノは2~10個の炭素原子を有する。「ヘテロ原子置換Cnアルキニルアミノ」という用語には、構造-NHRを有し、Rが、該用語が上記に定義したとおりであるヘテロ原子置換Cnアルキニルである、基が包含される。
【0104】
「アリールアミノ」という用語には、ヘテロ原子非置換アリールアミノ、ヘテロ原子置換アリールアミノ、ヘテロ原子非置換Cnアリールアミノ、ヘテロ原子置換Cnアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、複素環式アリールアミノおよびアルキル(アリール)アミノ基が包含される。「ヘテロ原子非置換Cnアリールアミノ」という用語は、結合点としての単一の窒素原子を有し、該窒素原子に結合されている少なくとも1つの芳香族環構造をさらに有し、ここで該芳香族環構造は炭素原子のみを含み、合計n個の炭素原子、6個またはそれより多くの水素原子、合計1個の窒素原子をさらに有し、さらなるヘテロ原子がない原子団を示す。例えば、ヘテロ原子非置換C6~C10アリールアミノは6~10個の炭素原子を有する。「ヘテロ原子非置換Cnアリールアミノ」という用語には、構造-NHRを有し、Rが、該用語が上記に定義したとおりであるヘテロ原子非置換Cnアリールである、基が包含される。「ヘテロ原子置換Cnアリールアミノ」という用語は、結合点としての単一の窒素原子を有し、合計n個の炭素原子、少なくとも1個の水素原子、さらなる、すなわち結合点の窒素原子に加えて少なくとも1個のヘテロ原子をさらに有し、ここで該炭素原子のうち少なくとも1個は1つまたは複数の芳香族環構造に組み込まれており、さらにここでさらなるヘテロ原子の各々は、N、O、F、Cl、Br、I、Si、PおよびSからなる群より独立して選択される原子団を示す。例えば、ヘテロ原子置換C6~C10アリールアミノは6~10個の炭素原子を有する。「ヘテロ原子置換Cnアリールアミノ」という用語には、構造-NHRを有し、Rが、該用語が上記に定義したとおりであるヘテロ原子置換Cnアリールである、基が包含される。
【0105】
「アラルキルアミノ」という用語には、ヘテロ原子非置換アラルキルアミノ、ヘテロ原子置換アラルキルアミノ、ヘテロ原子非置換Cnアラルキルアミノ、ヘテロ原子置換Cnアラルキルアミノ、ヘテロアラルキルアミノ、複素環式アラルキルアミノ基およびジアラルキルアミノ基が包含される。「ヘテロ原子非置換Cnアラルキルアミノ」という用語は、結合点としての単一の窒素原子を有し、該窒素原子に結合されている1個または2個の飽和炭素原子をさらに有し、少なくとも6個の炭素原子は炭素原子のみを含む芳香族環構造を形成している合計n個の炭素原子、8個またはそれより多くの水素原子、合計1個の窒素原子をさらに有し、さらなるヘテロ原子がない原子団を示す。例えば、ヘテロ原子非置換C7~C10アラルキルアミノは7~10個の炭素原子を有する。「ヘテロ原子非置換Cnアラルキルアミノ」という用語には、構造-NHRを有し、Rが、該用語が上記に定義したとおりであるヘテロ原子非置換Cnアラルキルである、基が包含される。「ヘテロ原子置換Cnアラルキルアミノ」という用語は、結合点としての単一の窒素原子を有し、該窒素原子に結合されている少なくとも1個または2個の飽和炭素原子をさらに有し、合計n個の炭素原子、0個、1個、または1個より多くの水素原子、さらなる、すなわち結合点の窒素原子に加えて少なくとも1個のヘテロ原子をさらに有し、ここで該炭素原子のうち少なくとも1個は芳香族環に組み込まれており、さらにここで各ヘテロ原子は、N、O、F、Cl、Br、I、Si、P、およびSからなる群より独立して選択される原子団を示す。例えば、ヘテロ原子置換C7~C10アラルキルアミノは7~10個の炭素原子を有する。「ヘテロ原子置換Cnアラルキルアミノ」という用語には、構造-NHRを有し、Rが、該用語が上記に定義したとおりであるヘテロ原子置換Cnアラルキルである、基が包含される。
【0106】
「アミド」という用語には、直鎖アミド、分枝鎖アミド、シクロアミド、環状アミド、ヘテロ原子非置換アミド、ヘテロ原子置換アミド、ヘテロ原子非置換Cnアミド、ヘテロ原子置換Cnアミド、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、アシルアミノ、アルキルアミノカルボニルアミノ、アリールアミノカルボニルアミノ、およびウレイド基が包含される。「ヘテロ原子非置換Cnアミド」という用語は、結合点としての単一の窒素原子を有し、自身の炭素原子を介して該窒素原子に結合されているカルボニル基をさらに有し、直鎖状または分枝状の環式または非環式の構造をさらに有し、合計n個の炭素原子、1個またはそれより多くの水素原子、合計1個の酸素原子、合計1個の窒素原子をさらに有し、さらなるヘテロ原子がない原子団を示す。例えば、ヘテロ原子非置換C1~C10アミドは1~10個の炭素原子を有する。「ヘテロ原子非置換Cnアミド」という用語には、構造-NHRを有し、Rが、該用語が上記に定義したとおりであるヘテロ原子非置換Cnアシルである、基が包含される。基-NHC(O)CH3はヘテロ原子非置換アミド基の非限定的な一例である。「ヘテロ原子置換Cnアミド」という用語は、結合点としての単一の窒素原子を有し、自身の炭素原子を介して該窒素原子に結合されているカルボニル基をさらに有し、直鎖状または分枝状の環式または非環式の構造をさらに有し、合計n個の芳香族または非芳香族の炭素原子、0個、1個、または1個より多くの水素原子、該カルボニル基の酸素に加えて少なくとも1個のさらなるヘテロ原子をさらに有し、ここで該さらなるヘテロ原子の各々は、N、O、F、Cl、Br、I、Si、P、およびSからなる群より独立して選択される原子団を示す。例えば、ヘテロ原子置換C1~C10アミドは1~10個の炭素原子を有する。「ヘテロ原子置換Cnアミド」という用語には、構造-NHRを有し、Rが、該用語が上記に定義したとおりであるヘテロ原子非置換Cnアシルである、基が包含される。基-NHCO2CH3はヘテロ原子置換アミド基の非限定的な一例である。
【0107】
「アルキルチオ」という用語には、直鎖アルキルチオ、分枝鎖アルキルチオ、シクロアルキルチオ、環状アルキルチオ、ヘテロ原子非置換アルキルチオ、ヘテロ原子置換アルキルチオ、ヘテロ原子非置換Cnアルキルチオ、およびヘテロ原子置換Cnアルキルチオが包含される。「ヘテロ原子非置換Cnアルキルチオ」という用語は、構造-SRを有し、Rが、該用語が上記に定義したとおりであるヘテロ原子非置換Cnアルキルである、基を示す。基-SCH3はヘテロ原子非置換アルキルチオ基の一例である。「ヘテロ原子置換Cnアルキルチオ」という用語は、構造-SRを有し、Rが、該用語が上記に定義したとおりであるヘテロ原子置換Cnアルキルである、基を示す。
【0108】
「アルケニルチオ」という用語には、直鎖アルケニルチオ、分枝鎖アルケニルチオ、シクロアルケニルチオ、環状アルケニルチオ、ヘテロ原子非置換アルケニルチオ、ヘテロ原子置換アルケニルチオ、ヘテロ原子非置換Cnアルケニルチオおよびヘテロ原子置換Cnアルケニルチオが包含される。「ヘテロ原子非置換Cnアルケニルチオ」という用語は、構造-SRを有し、Rが、該用語が上記に定義したとおりであるヘテロ原子非置換Cnアルケニルである、基を示す。「ヘテロ原子置換Cnアルケニルチオ」という用語は、構造-SRを有し、Rが、該用語が上記に定義したとおりであるヘテロ原子置換Cnアルケニルである、基を示す。
【0109】
「アルキニルチオ」という用語には、直鎖アルキニルチオ、分枝鎖アルキニルチオ、シクロアルキニルチオ、環状アルキニルチオ、ヘテロ原子非置換アルキニルチオ、ヘテロ原子置換アルキニルチオ、ヘテロ原子非置換Cnアルキニルチオおよびヘテロ原子置換Cnアルキニルチオが包含される。「ヘテロ原子非置換Cnアルキニルチオ」という用語は、構造-SRを有し、Rが、該用語が上記に定義したとおりであるヘテロ原子非置換Cnアルキニルである、基を示す。「ヘテロ原子置換Cnアルキニルチオ」という用語は、構造-SRを有し、Rが、該用語が上記に定義したとおりであるヘテロ原子置換Cnアルキニルである、基を示す。
【0110】
「アリールチオ」という用語には、ヘテロ原子非置換アリールチオ、ヘテロ原子置換アリールチオ、ヘテロ原子非置換Cnアリールチオ、ヘテロ原子置換Cnアリールチオ、ヘテロアリールチオおよび複素環式アリールチオ基が包含される。「ヘテロ原子非置換Cnアリールチオ」という用語は、構造-SArを有し、Arが、該用語が上記に定義したとおりであるヘテロ原子非置換Cnアリールである、基を示す。基-SC6H5はヘテロ原子非置換アリールチオ基の一例である。「ヘテロ原子置換Cnアリールチオ」という用語は、構造-SArを有し、Arが、該用語が上記に定義したとおりであるヘテロ原子置換Cnアリールである、基を示す。
【0111】
「アラルキルチオ」という用語には、ヘテロ原子非置換アラルキルチオ、ヘテロ原子置換アラルキルチオ、ヘテロ原子非置換Cnアラルキルチオ、ヘテロ原子置換Cnアラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、および複素環式アラルキルチオ基が包含される。「ヘテロ原子非置換Cnアラルキルチオ」という用語は、構造-SArを有し、Arが、該用語が上記に定義したとおりであるヘテロ原子非置換Cnアラルキルである、基を示す。基-SCH2C6H5はヘテロ原子非置換アラルキル基の一例である。「ヘテロ原子置換Cnアラルキルチオ」という用語は、構造-SArを有し、Arが、該用語が上記に定義したとおりであるヘテロ原子置換Cnアラルキルである、基を示す。
【0112】
「アシルチオ」という用語には、直鎖アシルチオ、分枝鎖アシルチオ、シクロアシルチオ、環状アシルチオ、ヘテロ原子非置換アシルチオ、ヘテロ原子置換アシルチオ、ヘテロ原子非置換Cnアシルチオ、ヘテロ原子置換Cnアシルチオ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、およびカルボキシレート基が包含される。「ヘテロ原子非置換Cnアシルチオ」という用語は、構造-SAcを有し、Acが、該用語が上記に定義したとおりであるヘテロ原子非置換Cnアシルである、基を示す。基-SCOCH3はヘテロ原子非置換アシルチオ基の一例である。「ヘテロ原子置換Cnアシルチオ」という用語は、構造-SAcを有し、Acが、該用語が上記に定義したとおりであるヘテロ原子置換Cnアシルである、基を示す。
【0113】
「アルキルシリル」という用語には、直鎖アルキルシリル、分枝鎖アルキルシリル、シクロアルキルシリル、環状アルキルシリル、ヘテロ原子非置換アルキルシリル、ヘテロ原子置換アルキルシリル、ヘテロ原子非置換Cnアルキルシリル、およびヘテロ原子置換Cnアルキルシリルが包含される。「ヘテロ原子非置換Cnアルキルシリル」という用語は、結合点としての単一のケイ素原子を有し、該ケイ素原子に結合されている1個、2個、または3個の飽和炭素原子をさらに有し、直鎖状または分枝状の環式または非環式の構造をさらに有し、すべて非芳香族である合計n個の炭素原子、5個またはそれより多くの水素原子、合計1個のケイ素原子を含み、さらなるヘテロ原子がない原子団を示す。例えば、ヘテロ原子非置換C1~C10アルキルシリルは1~10個の炭素原子を有する。アルキルシリル基はジアルキルアミノ基を含む。基-Si(CH3)3および-Si(CH3)2C(CH3)3はヘテロ原子非置換アルキルシリル基の非限定的な例である。「ヘテロ原子置換Cnアルキルシリル」という用語は、結合点としての単一のケイ素原子を有し、該ケイ素原子に結合されている少なくとも1個、2個、または3個の飽和炭素原子をさらに有し、炭素-炭素二重結合または炭素-炭素三重結合はなく、直鎖状または分枝状の環式または非環式の構造をさらに有し、すべて非芳香族である合計n個の炭素原子、0個、1個、または1個より多くの水素原子、およびさらなる、すなわち結合点のケイ素原子に加えて少なくとも1個のヘテロ原子をさらに有し、ここでさらなるヘテロ原子の各々は、N、O、F、Cl、Br、I、Si、P、およびSからなる群より独立して選択される原子団を示す。例えば、ヘテロ原子置換C1~C10アルキルシリルは1~10個の炭素原子を有する。
【0114】
「ホスホネート」という用語には、直鎖ホスホネート、分枝鎖ホスホネート、シクロホスホネート、環状ホスホネート、ヘテロ原子非置換ホスホネート、ヘテロ原子置換ホスホネート、ヘテロ原子非置換Cn-ホスホネート、およびヘテロ原子置換Cn-ホスホネートが包含される。「ヘテロ原子非置換Cn-ホスホネート」という用語は、結合点としての単一のリン原子を有し、直鎖状または分枝状の環式または非環式の構造をさらに有し、合計n個の炭素原子、2個またはそれより多くの水素原子、合計3個の酸素原子をさらに有し、さらなるヘテロ原子がない原子団を示す。3個の該酸素原子は該リン原子に直接結合されており、これらの酸素原子のうち1個は該リン原子に二重結合で結合されている。例えば、ヘテロ原子非置換C0~C10-ホスホネートは0~10個の炭素原子を有する。基-P(O)(OH)2、-P(O)(OH)OCH3、-P(O)(OH)OCH2CH3、-P(O)(OCH3)2、および-P(O)(OH)(OC6H5)はヘテロ原子非置換ホスホネート基の非限定的な例である。「ヘテロ原子置換Cn-ホスホネート」という用語は、結合点としての単一のリン原子を有し、直鎖状または分枝状の環式または非環式の構造をさらに有し、合計n個の炭素原子、2個またはそれより多くの水素原子、3個またはそれより多くの酸素原子をさらに有し、そのうち3個は該リン原子に直接結合されており、これらの3個の酸素原子のうちの1個は該リン原子に二重結合で結合されており、3個の該酸素原子に加えて少なくとも1個のさらなるヘテロ原子をさらに有し、ここで該さらなるヘテロ原子の各々は、N、O、F、Cl、Br、I、Si、P、およびSからなる群より独立して選択される原子団を示す。例えば、ヘテロ原子非置換C0~C10-ホスホネートは0~10個の炭素原子を有する。
【0115】
「ホスフィネート」という用語には、直鎖ホスフィネート、分枝鎖ホスフィネート、シクロホスフィネート、環状ホスフィネート、ヘテロ原子非置換ホスフィネート、ヘテロ原子置換ホスフィネート、ヘテロ原子非置換Cn-ホスフィネート、およびヘテロ原子置換Cn-ホスフィネートが包含される。「ヘテロ原子非置換Cn-ホスフィネート」という用語は、結合点としての単一のリン原子を有し、直鎖状または分枝状の環式または非環式の構造をさらに有し、合計n個の炭素原子、2個またはそれより多くの水素原子、合計2個の酸素原子をさらに有し、さらなるヘテロ原子がない原子団を示す。2個の該酸素原子は該リン原子に直接結合されており、これらの酸素原子のうち1個は該リン原子に二重結合で結合されている。例えば、ヘテロ原子非置換C0~C10-ホスフィネートは0~10個の炭素原子を有する。基-P(O)(OH)H、-P(O)(OH)CH3、-P(O)(OH)CH2CH3、-P(O)(OCH3)CH3、および-P(O)(OC6H5)Hはヘテロ原子非置換ホスフィネート基の非限定的な例である。「ヘテロ原子置換Cn-ホスフィネート」という用語は、結合点としての単一のリン原子を有し、直鎖状または分枝状の環式または非環式の構造をさらに有し、合計n個の炭素原子、2個またはそれより多くの水素原子、2個またはそれより多くの酸素原子をさらに有し、そのうち2個は該リン原子に直接結合されており、これらの2個の酸素原子のうち1個は該リン原子に二重結合で結合されており、2個の該酸素原子に加えて少なくとも1個のさらなるヘテロ原子をさらに有し、ここで該さらなるヘテロ原子の各々は、N、O、F、Cl、Br、I、Si、P、およびSからなる群より独立して選択される原子団を示す。例えば、ヘテロ原子非置換C0~C10-ホスフィネートは0~10個の炭素原子を有する。
【0116】
明らかに満たされていない原子価はいずれも、水素原子によって適正に満たされていると理解されたい。例えば、-Oまたは-Nの置換基を有する化合物は、それぞれ-OHまたは-NH2であると理解されたい。
【0117】
本明細書において論考している属、亜属、または具体的な化合物はいずれも、本明細書に記載のいずれかの態様では除外されることが具体的に想定される。
【0118】
本明細書に記載の化合物は、合成により当業者に公知の慣用的な有機化学法を用いて調製され得、かつ/または市販されている(例えば、ChemBridge Co.,San Diego,CA)。
【0119】
特許請求項の範囲に記載の発明は、本発明の任意の化合物の塩もまた包含していることを意図している。「塩」はという用語、本明細書で用いる場合、無機および/または有機の酸および塩基とともに形成される酸性および/または塩基性の塩であると理解されたい。両性イオン(分子内(internalまたはinner)塩)は、本明細書で用いる場合の「塩」という用語に包含されると理解されたく、第4級アンモニウム塩、例えばアルキルアンモニウム塩がそうである。無毒性の薬学的に許容される塩が好ましいが、例えば合成時の単離または精製工程での場合のような他の塩も有用であり得る。塩としては、非限定的に、ナトリウム、リチウム、カリウム、アミン、酒石酸塩、クエン酸塩、ハロゲン化水素酸塩、リン酸塩などが挙げられる。塩は、例えば薬学的に許容される塩であり得る。したがって、本発明の化合物の薬学的に許容される塩が想定される。
【0120】
「薬学的に許容される塩」という用語は、本明細書で用いる場合、生きている生物体に対して実質的に非毒性である本発明の化合物の塩を示す。典型的な薬学的に許容される塩としては、本発明の化合物と本発明の化合物上に存在している置換基に応じて無機酸もしくは有機酸または有機塩基との反応によって調製される塩が挙げられる。
【0121】
薬学的に許容される塩を調製するために使用され得る無機酸の非限定的な例としては、塩酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸などが挙げられる。薬学的に許容される塩を調製するために使用され得る有機酸の例としては、脂肪族モノカルボン酸および脂肪族ジカルボン酸、例えばシュウ酸、炭酸、クエン酸、コハク酸、フェニルヘテロ原子置換アルカン酸、脂肪族および芳香族硫酸などが挙げられる。したがって、無機酸または有機酸で調製される薬学的に許容される塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、ヨウ化水素塩、フッ化水素塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、ギ酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、マレイン酸塩などが挙げられる。
【0122】
好適な薬学的に許容される塩はまた、本発明の作用物質を有機塩基、例えばメチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、リシン、オルニチンなどと反応させることによっても形成され得る。
【0123】
薬学的に許容される塩としては、一部の本発明の化合物にみられるカルボン酸基またはスルホン酸基と、無機カチオン、例えばナトリウム、カリウム、アンモニウムもしくはカルシウムまたはイソプロピルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、およびイミダゾリウムなどの有機カチオンとの間で形成される塩が、挙げられる。
【0124】
また、本発明の化合物の誘導体も想定される。ある特定の局面において、「誘導体」は、化学修飾前の化合物の所望の効果を依然として保持している、化学修飾された化合物を示す。かかる誘導体は、親分子上の1つまたは複数の化学物質部分の付加、除去または置換を有し得る。本明細書に開示の化合物および構造に対して行われ得る修飾の型の非限定的な例としては、低級アルカン、例えばメチル、エチル、プロピルまたは置換低級アルカン、例えばヒドロキシメチルもしくはアミノメチル基;カルボキシル基およびカルボニル基;ヒドロキシル;ニトロ、アミノ、アミド、およびアゾ基;硫酸基、スルホン酸基、スルホノ、スルフヒドリル、スルホニル、スルホキシド、リン酸基、ホスホノ、ホスホリル基、ならびにハライド置換基の付加または除去が挙げられる。さらなる修飾としては、原子骨格の1個または複数個の原子の付加または除去、例えばエチルをプロピルで置換;フェニルをより大型もしくはより小型の芳香族基で置換が挙げられ得る。あるいはまた、環状構造または二環式構造では、ヘテロ原子、例えばN、S、またはOが、炭素原子の代わりに構造内に置換され得る。
【0125】
方法に使用される化合物は、1個または複数個の不斉置換された炭素原子または窒素原子を含んでいる場合があり得、光学活性形態またはラセミ体で単離され得る。したがって、具体的な立体化学または異性体形態が具体的に示されていない限り、構造のあらゆるキラル形態、ジアステレオマー形態、ラセミ体、エピマー形態ならびにあらゆる幾何異性体形態が意図される。該化合物は、ラセミ化合物およびラセミ混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物および個々のジアステレオマーとして存在し得る。一部の態様では、単一のジアステレオマーが得られる。本発明の化合物のキラル中心は、IUPAC 1974 Recommendationsによって定義されるS配置またはR配置を有し得る。該化合物は、例えばD体またはL体のものであり得る。かかる光学活性形態をどのようにして調製して単離するかは当技術分野において周知である。例えば、立体異性体の混合物は、標準的な手法、例えば非限定的に、ラセミ体の分割、順相、逆相およびキラルクロマトグラフィー、優先的塩形成、再結晶などによって、またはキラル出発物質から、もしくは目的のキラル中心の意図的合成でのいずれかによるキラル合成によって分離され得る。
【0126】
さらに、本明細書に記載の化合物を構成している原子は、かかる原子のあらゆる同位体形態を含むことを意図している。同位体は、本明細書で用いる場合、同じ原子数だが異なる質量数を有する原子を包含している。一般的な例として非限定的に、水素の同位体としてはトリチウムおよび重水素が挙げられ、炭素の同位体としては13Cおよび14Cが挙げられる。
【0127】
上記のように、本明細書に記載の化合物をプロドラッグ形態で存在させてもよい。本明細書で用いる場合、「プロドラッグ」は、かかるプロドラッグが対象に投与されると、活性な親薬物または活性な薬物もしくは本明細書に記載の方法にインビボで使用される他の化合物にインビボで代謝される化合物を放出する、共有結合により結合した任意の担体を含んでいることを意図している。プロドラッグは薬剤の数多くの望ましい特質(例えば、可溶性、バイオアベイラビリティ、製造性など)を向上させることが公知であるため、本明細書に記載の一部の方法で使用される化合物は、所望によりプロドラッグ形態で送達され得る。したがって、本発明では、本明細書に記載の化合物のプロドラッグならびにプロドラッグの送達方法も想定している。複数の態様で使用される該化合物のプロドラッグは、該化合物中に存在している官能基を、修飾部がルーチン的な操作またはインビボのいずれかで切断されて親化合物になるような様式で修飾することにより調製され得る。
【0128】
したがって、プロドラッグとしては、例えば、ヒドロキシ、アミノ、またはカルボキシ基が任意の基に結合されており、該プロドラッグが対象に投与されると切断されて、それぞれ遊離のヒドロキシル、遊離のアミノまたはカルボン酸を形成する本明細書に記載の化合物が挙げられる。他の例としては、非限定的に、アルコール官能基およびアミン官能基の酢酸誘導体、ギ酸誘導体、および安息香酸誘導体;ならびにアルキル、炭素環式、アリールおよびアルキルアリールエステル、例えばメチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、シクロプロピル、フェニル、ベンジル、およびフェネチルエステルなどが挙げられる。
【0129】
任意の態様における任意の塩の一部を形成する具体的なアニオンまたはカチオンは、該塩が全体として薬理学的に許容される限り重要ではないことは認識されるべきである。薬学的に許容される塩ならびにその調製方法および使用方法のさらなる例はHandbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use(2002)に示されており、これは参照により本明細書に組み入れられる。
【0130】
C.薬学的製剤およびその投与
1.薬学的製剤および投与経路
本明細書に開示の薬学的組成物は、薬学的に許容される担体中に溶解または分散させた有効量の1種類または複数種類の候補物質またはさらなる作用物質を含む。語句「薬学的または薬理学的に許容される」は、分子実体および組成物が、例えば適宜ヒトなどの動物に投与された場合、有害反応、アレルギー反応または他の不都合な反応をもたらさないことを示す。少なくとも1種類の候補物質またはさらなる活性成分を含む薬学的組成物の調製は本開示に鑑みると当業者にはわかり、参照により本明細書に組み入れられるRemington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.Mack Printing Company,1990に例示されているとおりである。さらに、動物(例えば、ヒト)への投与のためには、調製物は、FDA Office of Biological Standardsが求める滅菌性、発熱原性、一般安全性および純度の基準を満たすべきであることは理解されよう。
【0131】
本明細書で用いる場合、「薬学的に許容される担体」には、当業者ならわかるであろう任意のあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、界面活性剤、酸化防止剤、保存料(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩類、保存料、薬物、薬物安定剤、ゲル、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、着香剤、色素、かかる同様の物質およびその組合せが包含される(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.Mack Printing Company,1990,pp.1289-1329参照)。任意の慣用的な担体が活性成分と非適合性でない限り、治療用組成物または薬学的組成物におけるその使用が想定される。
【0132】
本明細書に開示の態様に従って投与される化合物は、固形、液状またはエーロゾルのいずれの形態で投与されるか、および注射などの投与経路のために滅菌されることが必要であるかどうかに応じていろいろな型の担体を含み得る。複数の態様は、静脈内、皮内、動脈内、腹腔内、病巣内、頭蓋内、関節内、前立腺内、胸腔内、気管内、鼻腔内、硝子体内、膣内、直腸内、経表面、腫瘍内、筋肉内、全身、皮下、結膜下、膀胱腔内、経粘膜、心膜内、臍内、眼内、経口、局所、吸入(例えば、エーロゾル吸入)によって、注射によって、輸注によって、連続輸注によって、標的細胞の直接的な局所灌流浸漬(bathing)によって、カテーテルによって、洗浄によって、クリーム中で、脂質組成物(例えば、リポソーム)中で、または当業者ならわかるであろう他の方法あるいは前述のものの組合せによって投与され得る(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,1990参照)。
【0133】
動物患者に投与される本明細書に開示の複数の態様の組成物の実際の投薬量は、身体的および生理学的要素、例えば体重、病態の重症度、処置対象の疾患の型、以前または同時進行中の治療介入、患者の特発症、ならびに投与経路によって決定され得る。投与を担う医師が、任意の事象において個々の対象に対して、組成物中の活性成分の濃度および適切な用量を決定する。
【0134】
ある特定の態様では、薬学的組成物は、例えば少なくとも約0.1%の本開示の化合物を含み得る。他の態様では、該化合物は、例えば単位の重量の約2%~約75%または約25%~約60%および範囲内の誘導可能な任意の範囲を構成し得る。また、他の非限定的な例において、用量は、投与1回あたり約1マイクログラム/kg/体重~約1000 mg/kg/体重またはそれより多く、約5マイクログラム/kg/体重~約1000 mg/kg/体重またはそれより多く、約10マイクログラム/kg/体重~約1000 mg/kg/体重またはそれより多く、約50マイクログラム/kg/体重~約1000 mg/kg/体重またはそれより多く、約100マイクログラム/kg/体重~約1000 mg/kg/体重またはそれより多く、約200マイクログラム/kg/体重~約1000 mg/kg/体重またはそれより多く、約350マイクログラム/kg/体重~約1000 mg/kg/体重またはそれより多く、約500マイクログラム/kg/体重~約1000 mg/kg/体重またはそれより多く、約1ミリグラム/kg/体重~約1000 mg/kg/体重またはそれより多く、約5ミリグラム/kg/体重~約1000 mg/kg/体重またはそれより多く、約10ミリグラム/kg/体重~約1000 mg/kg/体重またはそれより多く、約50ミリグラム/kg/体重~約1000 mg/kg/体重またはそれより多く、約100ミリグラム/kg/体重~約1000 mg/kg/体重またはそれより多く、約200ミリグラム/kg/体重~約1000 mg/kg/体重またはそれより多く、約350ミリグラム/kg/体重~約1000 mg/kg/体重またはそれより多く、約500ミリグラム/kg/体重~約1000 mg/kg/体重またはそれより多く、および範囲内の誘導可能な任意の範囲を含み得る。本明細書において列記した数値から誘導可能な範囲の非限定的な例では、上記の数値に基づいて、約5 mg/kg/体重~約100 mg/kg/体重、約5マイクログラム/kg/体重~約500ミリグラム/kg/体重などの範囲が投与され得る。
【0135】
任意の場合において、組成物は、1種類または複数種類の成分の酸化を遅らせるための種々の酸化防止剤を含み得る。さらに、微生物の作用の防止は、保存料、例えば種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば非限定的に、パラベン(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン)、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール、またはその組合せによってもたらされ得る。
【0136】
候補物質は遊離の塩基、中性、または塩の形態で組成物に製剤化され得る。薬学的に許容される塩としては酸付加塩、例えばタンパク質性組成物の遊離のアミノ基とともに形成されるもの、あるいは無機酸、例えば、塩酸もしくはリン酸、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、もしくはマンデル酸などの有機酸とともに形成されるものが挙げられる。また、遊離のカルボキシル基とともに形成される塩が、無機塩基、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウムもしくは第二鉄の水酸化物;またはイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、もしくはプロカインなどの有機塩基から誘導され得る。
【0137】
組成物が液状形態である態様では、担体は、非限定的に、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液状ポリエチレングリコールなど)、脂質(例えば、トリグリセリド、植物油、リポソーム)、およびその組合せを含む溶媒または分散媒であり得る。適正な流動性は、例えば、コーティング、例えばレシチンの使用;例えば液状ポリオールもしくは脂質などの担体中への分散による必要とされる粒径の維持;例えばヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤の使用;またはかかる方法のその組合せによって維持され得る。例えば糖類、塩化ナトリウム、またはその組合せなどの等張剤を含めることが好ましい場合があり得る。
【0138】
他の態様では、点眼剤、鼻用液剤もしくはスプレー、エーロゾル剤、または吸入剤が使用され得る。かかる組成物は一般的に、標的組織型と適合性であるように設計される。非限定的な一例では、鼻用液剤は通常、鼻道に滴下またはスプレーして投与されるように設計された水性液剤である。鼻用液剤は、正常な線毛作用が維持されるように多くの点で鼻汁と類似するように調製される。したがって、ある特定の態様では、鼻用水性液剤は通常、約5.5~約6.5のpHを維持するために等張であるか、またはわずかに緩衝されている。また、必要であれば、眼科用調製物に使用されるものと同様の抗菌性保存料、薬物または適切な薬物安定剤を製剤に含めてもよい。例えば、種々の市販の鼻用調製物が公知であり、抗生物質または抗ヒスタミン剤などの薬物が含まれている。
【0139】
ある特定の態様では、候補物質は、経口摂取などの経路による投与のために調製される。このような態様において、固形組成物は、例えば液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤(例えば、硬ゼラチンカプセルシェルもしくは軟ゼラチンカプセルシェル)、徐放製剤、口腔用組成物、トローチ剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、オブラート、またはその組合せを含み得る。経口組成物を治療食の食品に直接組み込んでもよい。ある特定の態様では、経口投与のための担体は不活性希釈剤、同化性食用担体またはその組合せを含む。他の局面において、経口組成物はシロップ剤またはエリキシル剤として調製され得る。シロップ剤またはエリキシル剤は、例えば少なくとも1種類の活性物質、甘味剤、保存料、着香剤、色素、保存料、またはその組合せを含み得る。
【0140】
ある特定の態様では、経口組成物は、1種類または複数種類の結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、着香剤およびその組合せを含み得る。ある特定の態様では、組成物は、結合剤、例えばガムトラガカント、アカシア、コーンスターチ、ゼラチンなど、もしくはその組合せ;賦形剤、例えばリン酸二カルシウム、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなど、もしくはその組合せ;崩壊剤、例えばコーンスターチ、イモデンプン、アルギン酸など、もしくはその組合せ;滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムなど;甘味剤、例えばスクロース、ラクトース、サッカリンなど、もしくはその組合せ;着香剤、例えばペパーミント、ウィンターグリーン油、チェリーフレーバー、オレンジフレーバーなど;または前述のもののその組合せのうちの1種類または複数種類を含み得る。単位投薬形態がカプセル剤である場合、上記の型の物質に加えて、担体、例えば液状担体が含められ得る。種々の他の物質は、コーティングとして、あるいはそうでなければ投薬単位の物理的形態を修正するために、存在し得る。例えば、錠剤、丸剤またはカプセル剤はシェラック剤、糖衣または両方でコーティングされ得る。
【0141】
他の投与様式に適したさらなる製剤としては坐剤が挙げられる。坐剤は、通常、直腸、膣または尿道内に挿入して投薬される、種々の重量および形状の固形投薬形態である。挿入後、坐剤は軟化するか、溶融するか、または体腔液中に溶解する。一般に、坐剤では、従来の担体として、例えばポリアルキレングリコール、トリグリセリド、またはその組合せが挙げられ得る。ある特定の態様では、坐剤が、例えば約0.5%~約10%、好ましくは約1%~約2%の範囲の活性成分を含む混合物から形成され得る。
【0142】
滅菌注射用液剤は、必要量の活性化合物を適切な溶媒中に、必要に応じて、上記に挙げた種々のその他の成分とともに組み込んだ後、滅菌濾過することにより調製される。一般的に、分散剤は、滅菌した種々の活性成分を、基剤の分散媒および/またはその他の成分を含有している滅菌ビヒクルに組み込むことにより調製される。滅菌された注射用の液剤、懸濁剤または乳剤の調製用の滅菌粉末剤の場合、ある特定の調製方法は、先に滅菌濾過した液状媒体から活性成分+任意のさらなる所望の成分の粉末が得られる真空乾燥またはフリーズドライの手法を含み得る。液状媒体は必要であれば適切に緩衝されているのがよく、最初に液状希釈剤を注射の前に充分な生理食塩水またはグルコースで等張性にしておくのがよい。また、直接注射用の高濃縮組成物の調製も想定され、この場合、小領域への活性物質の極めて急速な浸透、高濃度での送達をもたらすための溶媒としてDMSOの使用が想定される。
【0143】
前記組成物は、製造および保存の条件下で安定でなければならず、微生物、例えば細菌および真菌の汚染作用から守られなければならない。内毒素混入は安全なレベル、例えば0.5 ng未満/mgタンパク質の最小限に維持されるのがよいことは認識されよう。
【0144】
特定の態様では、注射用組成物の持続性吸収は、吸収を遅延させる作用物質、例えばモノステアリン酸アルミニウム、ゼラチン、またはその組合せなどを組成物中に使用することによってもたらされ得る。
【0145】
2.併用療法
一部の態様では、本明細書に開示の寛容誘導組成物が、処置レジメンの一部として寛容を誘導するための組成物と併せて使用され得ることが想定される。この方法は、細胞を作用物質と同時に、または該作用物質の別々の投与で所望の治療有益性がもたらされる期間内に接触させる工程を含み得る。これは、細胞、組織もしくは生物体を、2種類もしくはそれより多くの作用物質を含む単一の組成物もしくは薬理学的製剤と接触させることによって、またはある1種類の組成物はある1種類の作用物質を含み、その他は別の作用物質を含む2種類もしくはそれより多くの相違する組成物もしくは製剤と細胞を接触させることによってなされ得る。
【0146】
本明細書において論考している化合物は、その他の作用物質より前、その他の作用物質と並行して、および/またはその他の作用物質より数分間から数週間の範囲の期間後であり得る。作用物質が細胞、組織、または生物体に別々に適用される態様では、一般的に、各送達時点間に相当な時間が過ぎてしまわないことが確実にされ得、該作用物質が依然として細胞、組織、または生物体に対して好都合に併用効果を奏することできるようにされ得る。例えば、かかる場合では、細胞、組織、または生物体は、候補物質として2、3、4種類、またはそれより多くのモダリティと実質的に同時に(すなわち、約1分未満以内に)接触され得ることが想定される。他の局面において、1種類または複数種類の寛容誘導組成物は、寛容を誘導しようとするための組成物を投与する前の1分以内、5分以内、10分以内、20分以内、30分以内、45分以内、60分以内、2時間以内、3時間以内、4時間以内、5時間以内、6時間以内、7時間以内、8時間以内、9時間以内、10時間以内、11時間以内、12時間以内、13時間以内、14時間以内、15時間以内、16時間以内、17時間以内、18時間以内、19時間以内、20時間以内、21時間以内、22時間以内、22時間以内、23時間以内、24時間以内、25時間以内、26時間以内、27時間以内、28時間以内、29時間以内、30時間以内、31時間以内、32時間以内、33時間以内、34時間以内、35時間以内、36時間以内、37時間以内、38時間以内、39時間以内、40時間以内、41時間以内、42時間以内、43時間以内、44時間以内、45時間以内、46時間以内、47時間以内、48時間以内、1日以内、2日以内、3日以内、4日以内、5日以内、6日以内、7日以内、8日以内、9日以内、10日以内、11日以内、12日以内、13日以内、14日以内、15日以内、16日以内、17日以内、18日以内、19日以内、20日以内、21日以内、1週間以内、2週間以内、3週間以内、4週間以内、5週間以内、6週間以内、7週間以内、もしくは8週間以内またはそれより長い期間以内、および範囲内の誘導可能な任意の範囲以内に投与または供給され得る。一部の態様では、1回より多くの治療過程が使用され得る。複数回の過程が実践され得ることが想定される。
【0147】
D.生物体および細胞供給源
一部の方法で使用され得る細胞はさまざまな供給源に由来し得る。複数の態様は、哺乳動物細胞、例えばサル、チンパンジー、ウサギ、マウス、ラット、フェレット、イヌ、ブタ、ヒト、およびウシに由来する細胞の使用を含む。あるいはまた、細胞は、ショウジョウバエ、酵母または大腸菌(E.coli)由来のものであってもよく、これらはすべて、相同組換えを評価するためのモデル系である。
【0148】
方法は、心臓、肺、腎臓、肝臓、骨髄、膵臓、皮膚、骨、静脈、動脈、角膜、血液、小腸、大腸、脳、脊髄、平滑筋、骨格筋、卵巣、精巣、子宮、および臍帯を伴う細胞、組織、または器官を伴い得る。
【0149】
さらに、方法は、以下の型:血小板、骨髄球、赤血球、リンパ球、脂肪細胞、線維芽細胞、上皮細胞、内皮細胞、平滑筋細胞、骨格筋細胞、内分泌細胞、グリア細胞、神経細胞、分泌細胞、バリア機能細胞、収縮性細胞、吸収細胞、粘膜細胞、角膜縁細胞(角膜の)、幹細胞(全能性、多能性もしくは多分化能)、未受精卵母細胞もしくは受精卵母細胞、または精子、の細胞において使用され得る。
【0150】
さらに、方法は、果実、花、葉、茎、種子、切り取った部分を含む植物もしくは植物の一部を用いてまたは該植物もしくは植物の一部において実践することができる。植物は農芸用であっても薬用であっても観賞用であってもよい。
【0151】
E.抗原
式1の組成物または本開示の任意の組成物もしくは方法におけるXとして使用される抗原はタンパク質またはペプチドであり得、例えば抗原は、完全もしくは部分的治療用物質、完全長の移植タンパク質もしくはそのペプチド、完全長の自己抗原もしくはそのペプチド、完全長のアレルゲンもしくはそのペプチドおよび/または核酸あるいは前述の抗原の模倣体であり得る。また、態様に応じて複数種類の断片の組合せも使用され得る。例えば、Pと特定する長鎖ペプチドが抗原領域A、B、C、およびDを有する場合、Pに対する寛容の誘導のための本明細書に開示の組成物は、A、B、C、およびDの組合せならびにA、B、C、およびDの任意のものの反復部を含み得る。あるカテゴリーの、あるいは任意の具体的な疾患または反応と関連している任意の具体的な抗原の列記は、該抗原が別のカテゴリーの一部とみなされること、あるいは別の疾患または反応と関連しているとみなされることを除外するものではない。
【0152】
いくつかの態様では、抗原が、タンパク質、ペプチド、抗体、ならびに抗体様分子(例えば、抗体断片および抗体と抗体断片とを有する融合タンパク質)、ならびに遺伝子治療用ベクターである1種類または複数種類の治療用物質を構成する。このようなものとしては、ヒト、非ヒト(マウスなど)および非天然(例えば、操作型)のタンパク質、抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ウイルスおよびウイルス様粒子、ならびに非抗体結合足場、例えばフィブロネクチン、DARPin、ノッティン(knottin)などが挙げられる。いくつかの態様では、移植レシピエントが望ましくない免疫応答を発現するヒト同種異系移植片の移植抗原が使用される。いくつかの態様では、抗原が、望ましくない自己免疫応答を引き起こす1種類または複数種類の自己抗原を含む。自己抗原は自己免疫疾患患者の内因性起源のものであるが、いくつかの態様によれば、本開示の組成物に使用されるポリペプチドは、態様に応じて、合成された外因性(発生源から精製および濃縮したのではなく)である。
【0153】
いくつかの態様では、寛容が所望される抗原は、1種類または複数種類の外来性抗原、例えば食物抗原、動物抗原、植物抗原、および環境抗原を含み、該抗原に対して患者は望ましくない免疫応答を経験する。治療用タンパク質もまた、外因性起源のため外来性抗原とみなされ得るが、本開示の説明における明瞭性の目的のため、かかる治療薬は別個のグループとして説明する。同様に、植物抗原または動物抗原は摂食される場合があり、食物抗原とみなされ得、環境抗原は植物が起源である場合があり得る。しかしながら、これらは外来性抗原とみなす。簡略化のため、当業者には特に詳細な説明および実施例に鑑みると本開示の組成物に使用され得る抗原を理解することができるため、かかる潜在的に重複するグループのすべてを区別して定義することを説明するための試みはなされない。
【0154】
いくつかの態様では、Xが、インスリン、プロインスリン、プレプロインスリン、グルテン、グリアジン、ミエリン塩基性タンパク質、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質およびプロテオリピッドタンパク質、第VIII因子、第IX因子、アスパラギナーゼ、ウリカーゼ、ならびに前記の任意のものの断片からなる群より選択される。いくつかの態様では、抗原Xが完全長のタンパク質ではない。例えば、一部の態様では、抗原が、完全長のグリアジンでも、インスリンでも、プロインスリンでもない。いくつかの態様では、抗原が、完全長のミエリン塩基性タンパク質でも、完全長のミエリンオリゴデンドロサイトタンパク質でも、完全長のプロテオリピッドタンパク質でもない。いくつかの態様では、抗原Xがタンパク質の断片ではない。以下により詳細に論考するように、寛容が所望され得るさまざまな抗原が存在する。このようなものとしては、非限定的に、対象が抗原曝露されると有害な免疫応答がもたらされる外因性抗原が挙げられ得る。いくつかの態様では、有害な免疫応答は、例えば経口もしくは経鼻または一部の他の粘膜経路による抗原の摂取の結果があり得る。このような経路は、例えば食物抗原の場合があり得る。一部の態様では、抗原が、対象が罹患している疾患または病態を処置するために該対象に意図的に投与され得、例えば投与されるのは治療用組成物である。なおさらなる態様では、抗原が対象によって産生されるもの、例えば自己免疫抗原であり得る。例えば、いくつかの態様では、Xが外来性移植抗原またはその寛容原性部分を含み、該抗原に対して移植レシピエントが、望ましくない免疫応答を発現する。いくつかの態様では、Xが外来性の食物抗原、動物抗原、植物抗原、もしくは環境抗原またはその寛容原性部分を含み、該抗原に対して患者が、望ましくない免疫応答を発現する。いくつかの態様では、Xが外来性の治療用物質またはその寛容原性部分を含み、該治療用物質に対して患者が、望ましくない免疫応答を発現する。いくつかの態様では、Xが合成自己抗原またはその寛容原性部分を含み、該合成自己抗原の内因性型に対して患者が、望ましくない免疫応答を発現する。
【0155】
上記のもののさらなる詳細において、いくつかの態様では、Xが食物抗原である、化合物を提供する。一部のかかる態様では、Xが、コナラチン(Ara h 1)、アレルゲンII(Ara h 2)、ピーナッツ(arachis)凝集素、コングルチン(Ara h 6)、a-ラクトアルブミン(ALA)、ラクトトランスフェリン、Pen a 1アレルゲン(Pen a 1)、アレルゲンPen m 2(Pen m 2)、トロポミオシン速筋型アイソフォーム、高分子量グルテニン、低分子量グルテニン、α-グリアジン、γ-グリアジン、ω-グリアジン、ホルデイン、セクライン(seclain)、およびアベニンのうちの1種類または複数種類である。これらの抗原のうちのいずれかの断片および/またはこれらの抗原のうちのいずれかのミモトープもまた、いくつかの態様において使用される。いくつかの態様では、Xが、グルテン、高分子量グルテニン、低分子量グルテニン、α-グリアジン、γ-グリアジン、ω-グリアジン、ホルデイン、セクライン、およびアベニンならびにその断片からなる群より選択される。いくつかの態様では、Xが、グルテン、高分子量グルテニン、低分子量グルテニン、α-グリアジン、γ-グリアジン、およびω-グリアジン、ならびにその断片からなる群より選択される。いくつかの態様では、Xがグルテンまたはその断片である。いくつかの態様では、Xがグリアジンまたはその断片である。
【0156】
いくつかの態様では、Xが治療用物質である、化合物を提供する。いくつかの態様では、Xが、第VII因子、第IX因子、アスパラギナーゼ、およびウリカーゼならびにその断片からなる群より選択される。いくつかの態様では、Xが、第VII因子および第IX因子ならびにその断片からなる群より選択される治療用物質である。いくつかの態様では、Xが、第VIII因子またはその断片からなる群より選択される治療用物質である。いくつかの態様において、Xが治療用物質である場合、該化合物は、血友病のための治療用物質に対して発現した免疫応答の処置、予防、低減、あるいはそうでなければ改善において使用され得る。本明細書において論考しているように、上記の抗原の任意の抗原性部分のミモトープがいくつかの態様において使用され得る。
【0157】
いくつかの態様では、Xがアスパラギナーゼまたはその断片を含む。いくつかの態様では、Xがウリカーゼまたはその断片を含む。いくつかのかかる態様において、化合物は、抗新生物剤に対して発現した免疫応答の処置、予防、低減、あるいはそうでなければ改善において使用され得る。本明細書において論考しているように、上記の抗原の任意の抗原性部分のミモトープがいくつかの態様において使用され得る。
【0158】
いくつかの態様では、Xが自己免疫疾患と関連している。例えば、いくつかの態様では、関連している自己免疫疾患が、I型糖尿病、多発性硬化症、関節リウマチ、白斑、ブドウ膜炎、ペムフィス・ブルガリス(pemphis vulgaris)、および視神経脊髄炎のうちの1つまたは複数である。
【0159】
いくつかの態様では、自己免疫疾患がI型糖尿病であり、Xがインスリンまたはその断片を含む。いくつかの態様では、自己免疫疾患がI型糖尿病であり、Xがプロインスリンまたはその断片を含む。いくつかの態様では、自己免疫疾患がI型糖尿病であり、Xがプレプロインスリンまたはその断片を含む。本明細書において論考しているように、上記の抗原の任意の抗原性部分のミモトープがいくつかの態様において使用され得る。いくつかの態様では、これらの抗原の組合せが、インスリン経路の複数箇所における自己抗原に対する免疫応答の低減を補助し得る寛容原性化合物に組み込まれ得る。
【0160】
いくつかの態様では、自己免疫疾患が多発性硬化症であり、Xがミエリン塩基性タンパク質またはその断片を含む。いくつかの態様では、自己免疫疾患が多発性硬化症であり、Xがミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質またはその断片を含む。いくつかの態様では、自己免疫疾患が多発性硬化症であり、Xがプロテオリピッドタンパク質またはその断片を含む。本明細書において論考しているように、上記の抗原の任意の抗原性部分のミモトープがいくつかの態様において使用され得る。いくつかの態様では、これらの抗原の組合せが、ミエリン形成またはミエリン修復を制御する酵素経路の複数箇所における自己抗原に対する免疫応答の低減を補助し得る寛容原性化合物(例えば、MOG、MBP、および/またはPLP抗原または断片の混合物)に組み込まれ得る。
【0161】
本明細書において論考しているように、上記の(あるいはそうでなければ本明細書に開示される)自己抗原の任意の抗原性部分のミモトープがいくつかの態様において使用され得る。
【0162】
いくつかの態様では、薬学的に許容される組成物が、食物抗原、治療用物質、自己抗原またはその断片であるX、リンカーY、ならびにマンノース部分および/またはマンノース受容体を標的にする部分(例えば非限定的に、マンノサミン、N-アセチルマンノサミン、もしくはN-アセチルグルコサミンのうちの1種類もしくは複数種類)から選択される肝臓を標的にする部分Zの化合物からなるか、あるいは本質的に該化合物からなる。
【0163】
寛容原性抗原は、完全なタンパク質、完全なタンパク質の一部分、ペプチドなどであり得、かつ、リンカーおよび/または抗原結合部分との結合のために誘導体化(上記に論考したように)されていてもよく、バリアントであってもよく、かつ/または、特に配列同一性を維持している、保存的置換を含んでいてもよく、かつ/または脱シアリル化されていてもよい。
【0164】
抗原が治療用タンパク質、ペプチド、抗体、または抗体様分子である態様では、特異的抗原は、アバタセプト、アブシキシマブ、アダリムマブ、アデノシンデアミナーゼ、Ado-トラスツズマブ エムタンシン、アガルシダーゼα、アガルシダーゼβ、アルデスロイキン、アルグルセラーゼ、アルグルコシダーゼα、α-1-プロテイナーゼ阻害薬、アナキンラ、アニストレプラーゼ(アニソイル化(anisoylated)プラスミノゲンストレプトキナーゼアクチβ複合体)、アンチトロンビンIII、抗胸腺細胞グロブリン、アテプラーゼ、ベバシズマブ、ビバリルジン、ボツリヌストキシンA型、ボツリヌストキシンB型、C1-エステラーゼ阻害薬、カナキヌマブ、カルボキシペプチダーゼG2(グルカルピダーゼおよびボラキサゼ)、セルトリズマブ ペゴル、セツキシマブ、コラゲナーゼ、マムシ科(Crotalidae)免疫性Fab、ダルベポエチン-α、デノスマブ、ジゴキシン免疫性Fab、ドルナーゼα、エクリズマブ、エタネルセプト、第VIIa因子、第VIII因子、第IX因子、第XI因子、第XIII因子、フィブリノゲン、フィルグラスチム、ガルスルファーゼ、ゴリムマブ、酢酸ヒストレリン、ヒアルロニダーゼ、イデュルスルファーゼ、イミグルセラーゼ、インフリキシマブ、インスリン[例えば、組み換えヒトインスリン(「rHuインスリン」)およびウシインスリン]、インターフェロン-α2a、インターフェロン-α2b、インターフェロン-β1a、インターフェロン-β1b、インターフェロン-γ1b、イピリムマブ、L-アルギナーゼ、L-アスパラギナーゼ、L-メチオナーゼ、ラクターゼ、ラロニダーゼ、レピルジン/ヒルジン、メカセルミン、メカセルミン リンファベート、メトキシ ナタリズマブ、オクトレオチド、オファツムマブ、オプレルベキン、膵アミラーゼ、膵リパーゼ、パパイン、Peg-アスパラギナーゼ、Peg-ドキソルビシンHCl、PEG-エポエチン-β、ペグフィルグラスチム、Peg-インターフェロン-α2a、Peg-インターフェロン-α2b、ペグロチカーゼ、ペグビソマント、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)、プロテインC、ラスブリカーゼ(ウリカーゼ)、サクロシダーゼ、サケカルシトニン、サルグラモスチム、ストレプトキナーゼ、テネクテプラーゼ、テリパラチド、トシリズマブ(アトリズマブ)、トラスツズマブ、1型α-インターフェロン、ウステキヌマブ、vW因子から選択され得る。治療用タンパク質は、天然の供給源から得られるもの(例えば、濃縮して精製する)であってもよく、例えば組み換えにより合成されたものであってもよく、典型的にはIgGモノクローナルまたは断片または融合体である抗体治療薬が挙げられる。
【0165】
具体的な治療用タンパク質、ペプチド、抗体、または抗体様分子としては、非限定的に、アブシキシマブ、アダリムマブ、アガルシダーゼα、アガルシダーゼβ、アルデスロイキン、アルグルコシダーゼα、第VIII因子、第IX因子、インフリキシマブ、インスリン(例えば、rHuインスリン)、L-アスパラギナーゼ、ラロニダーゼ、ナタリズマブ、オクトレオチド、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)またはラスブリカーゼ(ウリカーゼ)、および一般的にさまざまな形式のIgGモノクローナル抗体が挙げられる。
【0166】
一部の態様では、止血剤(例えば、第VIII因子および第IX因子)、インスリン(例えば、rHuインスリン)、ならびに非ヒト治療薬ウリカーゼ、PAL、およびアスパラギナーゼが使用される。
【0167】
いくつかの態様では、治療用物質が例えば遺伝子治療用ベクターの使用によって送達される。一部のかかる態様では、免疫応答が、かかるベクターおよび/またはそのカーゴ(例えば、治療用物質)の一部分に対して発現し得る。したがって、いくつかの態様では、寛容が所望される抗原が、遺伝子治療用ベクター、例えば非限定的に、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス(ならびに対応するバリアント-1、-2、-5、-6、-8、-9、および/または他のパルボウイルス)、レンチウイルス、ならびにレトロウイルスを含む。
【0168】
血液学および移植における望ましくない免疫応答としては、自己免疫性再生不良性貧血、移植拒絶(一般)、および移植片対宿主病(骨髄移植拒絶)が挙げられる。寛容原性抗原がヒト同種異系移植片の移植抗原である態様では、特異的配列は、種々のMHCクラスIおよびMHCクラスIIハプロタイプタンパク質のサブユニット(例えば、組織のクロスマッチにおいて特定されるドナー/レシピエント間の違い)、ならびにマイナー血液型抗原、例えばRhCE、Kell、Kidd、Duffy、およびSsにおける単一アミノ酸多型から選択され得る。かかる組成物は、所与のドナー/レシピエントペアに対して個々に調製され得る。
【0169】
1型真性糖尿病では、抗原としては非限定的に、インスリン、プロインスリン、プレプロインスリン、グルタミン酸デカルボキシラーゼ-65(GAD-65またはグルタミン酸デカルボキシラーゼ2)、GAD-67、グルコース-6ホスファターゼ2(IGRPまたは膵島特異的グルコース6ホスファターゼ触媒サブユニット関連タンパク質)、インスリノーマ関連タンパク質2(IA-2)、およびインスリノーマ関連タンパク質2β(IA-2β)が挙げられ;他の抗原としては、ICA69、ICA12(SOX-13)、カルボキシペプチダーゼH、イモジェン38、GLIMA 38、クロモグラニン-A、HSP-60、カルボキシペプチダーゼE、ペリフェリン、グルコーストランスポーター2、肝臓癌-腸-膵臓/膵臓関連タンパク質、S100β、グリア線維性酸性タンパク質、再生遺伝子II、膵臓十二指腸ホメオボックス1、筋強直性ジストロフィーキナーゼ、膵島特異的グルコース-6-ホスファターゼ触媒サブユニット関連タンパク質、およびSST Gタンパク質共役型受容体1~5、またはかかる抗原のうちのいずれかの免疫原性断片もしくは免疫原性部分が挙げられる。インスリンは、自己抗原および治療用タンパク質抗原の両方として特徴決定され得る抗原の一例であることに注意されたい。例えば、rHuインスリンおよびウシインスリンは治療用タンパク質抗原(望ましくない免疫攻撃の対象となる)であるが、内因性のヒトインスリンは自己抗原である(望ましくない免疫攻撃の対象となる)。内因性のヒトインスリンは薬学的組成物における使用に利用可能でないため、組み換え形態が本開示の組成物のある特定の態様において使用される。
【0170】
本開示の組成物において有用な外因的に得られる形態を含むヒトインスリンは、下記の配列(UNIPROT P01308):
を有する。
【0171】
本開示の組成物において有用な外因的に得られる形態を含むGAD-65は、下記の配列(UNIPROT Q05329):
を有する。
【0172】
本開示の組成物において有用な外因的に得られる形態を含むIGRPは、下記の配列(UNIPROT QN9QR9):
を有する。
【0173】
いくつかの態様では、本開示の寛容原性組成物において有用な外因的に得られる形態を含むヒトプロインスリンは、下記の配列:
を有する。
【0174】
態様に応じて、1型糖尿病を処置するための本開示の寛容原性組成物において有用なペプチド/エピトープは、下記の配列:
のうちのいくつかまたは全てを寛容原性組成物中に個々に、または寛容原性組成物のカクテル中に一緒に含む。
【0175】
甲状腺の自己免疫疾患、例えば橋本甲状腺炎およびグレーブス病では、主な抗原としては、非限定的に、サイログロブリン(TG)、甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)、およびチロトロピン受容体(TSHR)が挙げられ;他の抗原としてはナトリウム・ヨウ素共輸送体(NIS)およびメガリンが挙げられる。甲状腺眼症および皮膚症では、TSHRなどの甲状腺自己抗原に加えて、抗原はインスリン様成長因子1受容体である。副甲状腺機能低下症では、主な抗原はカルシウム感受性受容体である。
【0176】
アジソン病では、主な抗原としては、非限定的に、21-ヒドロキシラーゼ、17α-ヒドロキシラーゼおよびP450側鎖切断酵素(P450scc)が挙げられ;他の抗原としてはACTH受容体、P450c21およびP450c17が挙げられる。
【0177】
早発卵巣不全では、主な抗原としては、非限定的に、FSH受容体およびα-エノラーゼが挙げられる。
【0178】
自己免疫性下垂体炎または下垂体の自己免疫疾患では、主な抗原としては、非限定的に、下垂体特異的タンパク質因子(PGSF)1aおよび2が挙げられ;別の抗原は2型ヨードサイロニン脱ヨード酵素である。
【0179】
多発性硬化症では、主な抗原としては、非限定的に、ミエリン塩基性タンパク質(「MBP」)、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(「MOG」)、およびミエリンプロテオリピッドタンパク質(「PLP」)が挙げられる。
【0180】
本開示の組成物において有用な外因的に得られる形態を含むMBPは、下記の配列(UNIPROT P02686):
を有する。
【0181】
本開示の組成物において有用な外因的に得られる形態を含むMOGは、下記の配列(UNIPROT Q16653):
を有する。
【0182】
本開示の組成物において有用な外因的に得られる形態を含むPLPは、下記の配列(UNIPROT P60201):
を有する。
【0183】
多発性硬化症を処置するための本開示の組成物において有用なペプチド/エピトープは、下記の配列:
のうちのいくつかまたは全てを本明細書に開示されるような寛容原性組成物中に個々に、または寛容原性組成物の組合せ(例えば、カクテル)中に一緒に含む。
【0184】
関節リウマチでは、主な抗原としては、非限定的に、コラーゲンII、免疫グロブリン結合タンパク質、免疫グロブリンGの結晶性領域断片、二本鎖DNA、ならびに関節リウマチの病理に関与しているタンパク質の天然形態およびシトルリン化形態、例えばフィブリン/フィブリノゲン、ビメンチン、コラーゲンIおよびII、ならびにα-エノラーゼが挙げられる。
【0185】
自己免疫性胃炎では、主な抗原はH+,K+-ATPaseである。
【0186】
悪性アンゲミス(angemis)では、主な抗原は内因子である。
【0187】
セリアック病では、主な抗原としては、非限定的に、組織トランスグルタミナーゼ(tissue glutaminase)ならびにグルテンの天然形態および脱アミド化形態またはグルテン様タンパク質、例えばα-、γ-、およびω-グリアジン、グルテニン、ホルデイン、セカリン、ならびにアベニンが挙げられる。当業者には、例えば、セリアック病の主な抗原はαグリアジンであるが、αグリアジンは体内では、αグリアジンのグルタミンをグルタミン酸に変換する組織グルタミナーゼによる脱アミド化によってより免疫原性となることは認識されよう。したがって、αグリアジンは、本来は外来性の食物抗原であるが体内で修飾されると、態様によってはより免疫原性になり、これは自己抗原と特徴決定され得る。
【0188】
白斑では、主な抗原はチロシナーゼならびにチロシナーゼ関連タンパク質1および2である。
【0189】
本開示の組成物において有用な外因的に得られる形態を含む、T細胞1認識メラノーマ抗原MART1であるメラン-Aは、下記の配列(UNIPROT Q16655):
を有する。
【0190】
本開示の組成物において有用な外因的に得られる形態を含むチロシナーゼは、下記の配列(UNIPROT P14679):
を有する。
【0191】
本開示の組成物において有用な外因的に得られる形態を含む、メラノサイトタンパク質PMELであるgp100は、下記の配列(UNIPROT P40967):
を有する。
【0192】
重症筋無力症では、主な抗原はアセチルコリン受容体である。
【0193】
尋常性天疱瘡および異型では、主な抗原としては、非限定的に、デスモグレイン3、1および4が挙げられ;他の抗原としては、ペムファキシン(pemphaxin)、デスモコリン、プラコグロビン、ペルプラキン(perplakin)、デスモプラキンおよびアセチルコリン受容体が挙げられる。
【0194】
水疱性類天疱瘡では、主な抗原としてはBP180およびBP230が挙げられ;他の抗原としてはプレクチンおよびラミニン5が挙げられる。
【0195】
デューリング疱疹状皮膚炎では、主な抗原としては、非限定的に、筋内膜および組織トランスグルタミナーゼが挙げられる。
【0196】
後天性表皮水疱症では、主な抗原はコラーゲンVIIである。
【0197】
全身性硬化症では、主な抗原としては、非限定的に、マトリックスメタロプロテイナーゼ1および3、コラーゲン特異的分子シャペロン熱ショックタンパク質47、フィブリリン-1およびPDGF受容体が挙げられ;他の抗原としては、Scl-70、U1 RNP、Th/To、Ku、Jo1、NAG-2、セントロメアタンパク質、トポイソメラーゼI、核小体タンパク質、RNAポリメラーゼI、IIおよびIII、PM-Slc、フィブリラリンおよびB23が挙げられる。
【0198】
混合性結合組織病では、主な抗原はU1snRNPである。
【0199】
シェーグレン症候群では、主な抗原としては、非限定的に、核抗原SS-AおよびSS-Bが挙げられ;他の抗原としては、ホドリン、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼおよびトポイソメラーゼ、ムスカリン受容体ならびにFc-γ受容体IIIbが挙げられる。
【0200】
全身性エリテマトーデスでは、主な抗原としては、核タンパク質、例えば「Smith 抗原」SS-A、高移動度群ボックス1(HMGB1)、ヌクレオソーム、ヒストンタンパク質および二本鎖DNA(疾患過程で自己抗体が作製される対象のもの)が挙げられる。
【0201】
グッドパスチャー症候群では、主な抗原としては、非限定的に、糸球体基底膜タンパク質、例えばコラーゲンIVが挙げられる。
【0202】
リウマチ性心疾患では、主な抗原は心筋ミオシンである。
【0203】
自己免疫性多内分泌腺症候群1型では、抗原としては、芳香族L-アミノ酸デカルボキシラーゼ、ヒスチジンデカルボキシラーゼ、システインスルフィン酸デカルボキシラーゼ、トリプトファンヒドロキシラーゼ、チロシンヒドロキシラーゼ、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、肝臓シトクロムP450 P4501A2および2A6、SOX-9、SOX-10、カルシウム感受性受容体タンパク質、ならびに1型インターフェロン インターフェロン α、β、およびωが挙げられる。
【0204】
視神経脊髄炎では、主な抗原はAQP4である。
【0205】
本開示の組成物において有用な外因的に得られる形態を含むアクアポリン-4は、下記の配列(UNIPROT P55087):
を有する。
【0206】
ブドウ膜炎では、主な抗原としては、網膜S抗原もしくは「S-アレスチン」および光受容体間レチノイド結合タンパク質(IRBP)またはレチノール結合タンパク質3が挙げられる。
【0207】
本開示の組成物において有用な外因的に得られる形態を含むS-アレスチンは、下記の配列(UNIPROT P10523):
を有する。
【0208】
本開示の組成物において有用な外因的に得られる形態を含むIRBPは、下記の配列(UNIPROT P10745):
を有する。
【0209】
寛容原性抗原が外来性抗原、例えば食物抗原であり該外来性抗原に対して望ましくない免疫応答が発現され得る、態様では、特異的抗原としては非限定的に、ピーナッツ由来のコナラチン(Ara h 1)、アレルゲンII(Ara h 2)、ピーナッツ凝集素、コングルチン(Ara h 6);コナラチンは例えばUNIPROT Q6PSU6で特定される配列を有する;リンゴ由来の31 kdaの主要アレルゲン/疾患抵抗性タンパク質ホモログ(Mal d 2)、脂質輸送タンパク質前駆体(Mal d 3)、主要アレルゲンMal d 1.03D(Mal d 1);牛乳由来のα-ラクトアルブミン(ALA)、ラクトトランスフェリン;キウイ由来のアクチニジン(Act c 1、Act d 1)、フィトシスタチン、ソーマチン様タンパク質(Act d 2)、キウェリン(Act d 5);卵白由来のオボムコイド、オボアルブミン、オボトランスフェリンおよびリゾチーム;卵黄由来のリベチン、アポビチリンおよびボスベチン(vosvetin);マスタード由来の2Sアルブミン(Sin a 1)、11Sグロブリン(Sin a 2)、脂質輸送タンパク質(Sin a 3)、プロフィリン(Sin a 4);チェリー由来のプロフィリン(Api g 4)、高分子量糖タンパク質(Api g 5);エビ由来のPen a 1アレルゲン(Pen a 1)、アレルゲンPen m 2(Pen m 2)、トロポミオシン速筋型アイソフォーム;小麦由来のおよび/または他の穀類由来の高分子量グルテニン、低分子量グルテニン、α-、γ-、およびω-グリアジン、ホルデイン、セカリン、および/またはアベニン;セリアック病を処置するための本開示の組成物において有用なペプチド/エピトープは、下記の配列:
DQ-2関連、α-グリアジン「33量体」天然型:
DQ-2関連、α-グリアジン「33量体」脱アミド化型:
DQ-8関連、α-グリアジン:
DQ-8関連、ω-グリアジン(小麦,U5UA46):
α-グリアジン「15量体」断片:
グリアジンリンカー:
グリアジン 伸長型:
グリアジン 脱アミド化型 伸長型:
のうちのいくつかまたは全てを式1の組成物中に個々に、または式1の組成物のカクテル中に一緒に含む;イチゴ由来:主なイチゴアレルギーFra a 1-E(Fra a 1);ならびにバナナ由来のプロフィリン(Mus xp 1)が挙げられる。
【0210】
抗原が、外来性抗原、例えば動物抗原、植物抗原、および環境抗原であり、該抗原に対して望ましくない免疫応答が発現される、態様では、特異的抗原は、例えば、ネコ、マウス、イヌ、ウマ、ハチ、埃、木、およびアキノキリンソウであり得、以下のタンパク質または以下に由来するペプチド:雑草(例えば、ブタクサアレルゲンamb a 1、2、3、5、および6ならびにAmb t 5;アカザChe a 2および5;ならびに他の雑草アレルゲンPar j 1、2、および3ならびにPar o 1);芝(例えば、主要アレルゲンCyn d 1、7、および12;Dac g 1、2、および5;Hol I 1.01203;Lol p 1、2、3、5、および11;Mer a 1;Pha a 1;Poa p 1および5);ブタクサおよび他の雑草の花粉(例えば、カーリードック、シロザ、アカザ、プランテン、ヒメスイバ、およびヤマヨモギ)、芝(例えば、ギョウギシバ、セイバンモロコシ、ナガハグサ(Kentucky)、カモガヤ、ハルガヤ、ならびにオオアワガエリ)、ならびに木(例えば、キササゲ(catalpa)、ニレ、ヒッコリー、オリーブ、ペカン、スズカケノキ、およびクルミ);埃(例えば、ヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides pteronyssinus)種由来の主要アレルゲン、例えばDer p 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、14、15、18、20、21、および23;コナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farina)種由来の主要アレルゲン、例えばDer f 1、2、3、6、7、10、11、13、14、15、16、18、22、および24;ネッタイタマニクダニ(Blomia tropicalis)種由来の主要アレルゲン、例えばBlo t 1、2、3、4、5、6、10、11、12、13、19、および21;また、シワチリダニ(Euroglyphus maynei)由来のアレルゲンEur m 2、ケナガコナダニ(Tyrophagus putrescentiae)由来のTyr p 13、ならびにゴキブリ由来のアレルゲンBla g 1、2、および4;Per a 1、3、および7);ペット(例えば、ネコ、イヌ、齧歯類、および飼養動物;主要なネコアレルゲンとしてはFel d 1~8、ネコIgA、BLa g 2、およびネコアルブミンが挙げられ;主要なイヌアレルゲンとしてはCan f 1~6およびイヌアルブミンが挙げられる);ハチ刺され、例えば主要アレルゲンApi m 1~12;ならびに真菌、例えばアスペルギルス属およびペニシリウム属の種ならびにアルタナリア・アルタナータ(Alternaria alternata)種、ダヴィディエラ・タッシアナ(Davidiella tassiana)種、および猩紅色白癬菌(Trichophyton rubrum)種由来のアレルゲンを含む。
【0211】
パーキンソン病では、主な抗原はαシヌクレインである。本開示の寛容原性組成物において有用な外因的に得られる形態を含むαシヌクレインは、下記の配列(UNIPROT P37840):
を有する。
【0212】
前記抗原は、完全なタンパク質、完全なタンパク質の一部分、ペプチドなどであり得、かつ、リンカーおよび/またはマンノシル化部分との結合のために誘導体化(上記に論考したように)されていてもよく、バリアントであってもよく、かつ/または特に配列同一性を維持している、保存的置換を含んでいてもよく、かつ/または脱シアリル化されていてもよい。
【実施例0213】
F.実施例
以下の実施例は、本明細書に開示の発明の非限定的な態様を示すために含めている。当業者には、以下の実施例に開示した手法が、本発明の態様の実施において充分に機能すると本発明者が見出した手法であることは認識されよう。しかしながら、当業者には、本開示に鑑みて、開示された具体的な態様において多くの変更がなされ得、それでもなお本明細書に開示の発明の態様の趣旨および範囲から逸脱することなく同様または類似の結果が得られ得ることが認識されよう。
【0214】
実施例1
ポリマーおよびコンジュゲートの合成
反応はすべて、特に明記していない限り室温で行なった。特に記載のない限り、化学薬品は試薬等級であり、Sigma-Aldrich(Saint Louis,MO,USA)から購入した。サイズ排除クロマトグラフィーはAKTAタンパク質精製システム(General Electric Healthcare Lifesciences)で、Superdex 200 10/300カラム(General Electric Healthcare Lifesciences)を用いて行なった。NMRスペクトルはすべて、特に記載のない限りBruker Avance-II 400 MHz NMRで収集し、NMRスペクトルはMnovaNMR(Mestrelab)を用いて解析した。高圧サイズ排除クロマトグラフィーはDionex Ultimate 3000 UHPLC(Thermo Fisher Scientific)で行なった。ゲルは、Biorad Universal Hood Gel Doc 2000 System(Biorad)を用いて画像化した。本実施例に開示しているような、ポリマーにコンジュゲートさせた抗原は、本明細書に開示の態様、例えば抗原の免疫原性断片を用いた態様による寛容原性抗原の非限定的な例である。
【0215】
化合物1:1-(2-クロロエチル)-α-D-マンノース
塩化アセチル(4.35 mL,61.05 mmol)を、クロロエタノール(40 mL,413.68 mmol)中D-マンノース(10.0 g,55.51 mmol)の氷冷溶液に滴下した。混合物を4℃で15分間撹拌し、次いで70℃の油浴に移した。次いで反応液を4時間撹拌した。室温まで冷却した後、暗褐色溶液を、過剰のクロロエタノールを除去するために酢酸エチルとDCM(3:1,v/v)の400 mLの溶液中に注入した。混合物を-20℃で30分間置き、次いで暗褐色の粘性析出物を上清から収集した。析出物を無水エタノールに溶解させ、3さじの活性炭を添加した。この懸濁液を1.5時間混合し、次いでセライトに通して濾過し、エタノールで洗浄した。最後の工程で、エタノールを回転式エバポレーションによって蒸発させ、12.8 g(95.24%)の生成物:C
8H
15ClO
6を得た。ESI-MS [M+Na]
+
theor = m/z 265.0455、[M+Na]
+
found = m/z 265.0458;
1H NMR(400 MHz,D
2O)δ 4.86(s,C1,1H)、3.92(dd,C2,1H)、3.62-3.85(7H:C3,C4,C5,C6,C6’,エトキシ基由来の多重シグナル);
13C NMR(100 MHz,D
2O)δ 99.84、76.32、72.94、70.52、69.94、69.65、67.76、66.75、60.96、43.39。
【0216】
化合物2:1-(2-アジドエチル)-α-D-マンノース
化合物1(12.7 g,52,48 mmol)を15 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解させた。この溶液に、アジ化ナトリウムを添加し(5.0 g,76.92 mmol)、懸濁液を油浴中に入れ、90℃で一晩撹拌した。16時間後、反応混合物をセライトに通して濾過し、次いで溶媒を回転式エバポレーションによって除去し、油状の褐色物質を得た。残渣をシリカゲル上に吸着させ、フラッシュクロマトグラフィー(DCM:MeOH 92:8,v/v)を用いて精製し、5.6 g(42,86%)の純粋な生成物を得た。
【0217】
化合物3:1-(2-アミノエチル)-α-D-マンノース
10 mLのエタノール中2(5.5 g,22.09 mmol)および10%のパラジウム担持炭素(1さじ,約500 mg)の懸濁液をシュレンクフラスコ内で、初期圧力2バールの水素ガスを用いて水素化した。この還元過程をTLCによってモニタリングした。3時間後、反応が終了し、懸濁液をセライトに通して濾過した。溶媒を真空にて蒸発させ、4.9 g(99.48%)の生成物を得た。
【0218】
化合物4:N-[2-(α-D-マンノース)エチル]メタシルアミド(methacylamide)
化合物3(4.5 g,20.17 mmol)を10 mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解させた。この溶液に、トリエチルアミン(3 mL,22.28 mmol)を添加し、混合物を4℃まで冷却した。続いて、メタクリル酸ペンタフルオロフェニル(4.38 mL,24.21 mmol)を定常撹拌下で滴下した。30分後、氷浴を除き、次に反応液を室温で4時間撹拌した。次に、溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲルに吸着させた。フラッシュクロマトグラフィー(DCM:MeOH 95:5,v/v)を用いた粗製物質の精製により3.8g(64.73%)のマンノースモノマーを得た。
【0219】
化合物17: 4-メチルベンゼンスルホン酸2-(2-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル
テトラエチレングリコール(2.5 g,12.9 mmol)およびピリジン(1.0 g,12.6 mmol)を50 mLのDCMに添加し、0℃で20分間撹拌した。この溶液に、15 mLのDCM中の塩化p-トルエンスルホニル(2.37 g,10 mmol)をゆっくり添加した。次いで反応混合物を0℃で2時間、続いて室温で4時間撹拌した。その後、溶媒を蒸発させ、粗製生成物をフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン 6:4,v/v)によって精製した。最終収量は1.95g(72.22%)であった。
【0220】
化合物18:2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エタン-1-オール
アジ化ナトリウム(1.5 g,23.1 mmol)を、N,N-ジメチルホルムアミド(75 mL)中17(1.5 g,4.3 mmol)の溶液に室温で添加した。反応混合物を90℃で一晩撹拌した。次いで反応液を濾過し、溶媒を真空除去した。次いで、得られた粘性の液状物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン 6:4,v/v)によって精製し、純粋な生成物(1.25 g,83%)を得た。
【0221】
化合物19:2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル 4-シアノ-4(((ドデシルチオ)カルボンチオイル)チオ)ペンタノエート
4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸 (500 mg,1.24 mmol)、化合物18(226 mg,1.03 mmol)、およびDCC(255 mg,1.24 mmol)を4 mLのDCMに溶解させた。この溶液を氷浴中に入れ、30分間撹拌した。その後、1 mLのDCMに溶解させた4-ジメチルアミノピリジン(12.6 mg,0.10 mmol)を滴下した。この溶液を0℃で2時間、次いで室温で1時間撹拌した。反応が終了したら、DCMを真空にて蒸発させた。粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(DCM:酢酸エチル 97:3,v/v)によって精製し、300 mg(88.57%)の純粋な生成物を得た。
【0222】
化合物21:p(Man)
マンノースモノマー(4)(150.0 mg,0.51 mmol)および(20)(130.0 mg,1.03 mmol)を600μlの無水DMFに溶解させ、シュレンクチューブに添加した。次いで、10μlのDMF中100μlのDMFおよびAIBN(1 mg,0.006 mmol)中のRAFT剤(19)(18.5 mg,0.03 mmol)をこのシュレンクチューブに添加した。このチューブを4回の凍結脱気サイクルによって脱気し、次いで、70℃に予熱した油浴中に浸漬させ、重合を開始させた。反応液を撹拌状態で14時間放置した。その後、この粘性溶液を20 mLの冷アセトン中に移すことによってそのポリマーを析出させた。この明黄色懸濁液をフリーザー内に30分間入れた。次いで析出物を遠心分離し、新鮮なアセトン中に再懸濁させた。この過程を3回繰り返した。最後の工程では、得られたグリコポリマー(150 mg,47,6%)を減圧下の真空炉内で乾燥させ、1H NMRおよびGPCによって特徴決定した。生物学的試験に使用したp(HPMA-TLR7)は、デキストラン標準を用いたサイズ排除クロマトグラフィーによる測定で15,425 Daの数平均分子量、82.1の重合度を有しており、1H NMRによる測定で1:2.25のモル比のマンノース:HPMAで構成されていた。
【0223】
化合物25:エタノールジスルファニルポリエチレングリコールアミン
DCM(5ml)中チオールポリエチレングリコールアミン(JenKem Technology,USA)(1.0 g,0.5 mmol)の溶液を、MeOH(3ml)中2-(2-ピリジニルジチオ)エタノール(24)(467.5 mg,2.5mmol)の撹拌溶液に滴下した。この溶液を室温で10時間撹拌し、次いで、およそ半分の溶媒を回転式エバポレーションによって除去した。次いで、残存している粗製生成物を氷冷ヘキサン(40 ml)中にデカンテーションし、-20℃で4時間置いた。析出物と溶媒の混合物を2000gで3分間、遠心分離した。次いで溶媒をデカンテーションし、ペレット状の析出物から過剰の溶媒を減圧下で除去した。次いで粗製生成物を、さらに精製せずに次の工程で使用した(粗収率65%)。最終構造を1H NMRおよび逆相クロマトグラフィーによって特徴決定した。
【0224】
化合物26:エタノールジスルファニルポリエチレングリコール(1R,8S,9s)-ビシクロ[6.1.0]ノン-4-イン-9-イルメチルカルバメート
DCM(0.5 ml)中(1R,8S,9s)-ビシクロ[6.1.0]ノン-4-イン-9-イルメチルN-スクシンイミジルカーボネート(90 mg,0.30 mmol)の溶液を、DCM(5 ml)中エタノールジスルファニルポリエチレングリコールアミン25(0.5 g,0.24 mmol)およびトリメチルアミン(48 mg,.48 mmol)の氷冷撹拌溶液に滴下した。(1R,8S,9s)-ビシクロ[6.1.0]ノン-4-イン-9-イルメチルN-スクシンイミジルカーボネートの添加後、反応液を室温にし、さらに6時間撹拌した。次いで反応混合物を氷冷ヘキサン(40 ml)中に注入し、-20℃で4時間置いた。析出物と溶媒の混合物を2000gで3分間、遠心分離した。次いで溶媒をデカンテーションし、ペレット状の析出物から過剰の溶媒を減圧下で除去した。次いで粗製生成物を、さらに精製せずに次の工程で使用した(75%粗収率)。最終構造を1H NMRおよび逆相クロマトグラフィーによって特徴決定した。
【0225】
化合物27:N-スクシンイミジルカルバメートエタノールジスルファニルポリエチレングリコール(1R,8S,9s)-ビシクロ[6.1.0]ノン-4-イン-9-イルメチルカルバメート(自己分解性リンカー)
無水アセトニトリル(ACN)(1.5 ml)中エタノールジスルファニルポリエチレングリコール(1R,8S,9s)-ビシクロ[6.1.0]ノン-4-イン-9-イルメチルカルバメート(300 mg,0.13 mmol)の溶液を、無水ACN(5 ml)中N,N'-ジスクシンイミジルカーボネート26(0.5 g,0.24 mmol)およびトリメチルアミン(48 mg,.48 mmol)の撹拌溶液に滴下した。反応混合物を一晩撹拌し、次いで、氷冷ヘキサン(40 ml)中に注入し、-20℃で4時間置いた。析出物と溶媒の混合物を2000gで3分間、遠心分離した。次いで溶媒をデカンテーションし、ペレット状の析出物から過剰の溶媒を減圧下で除去した。粗製生成物を薄シリカパッド DCM:MeOH(85:15)によるシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって精製した(収率:43%,129mg)。最終構造を1H NMRおよび逆相クロマトグラフィーによって特徴決定した。
【0226】
化合物28:OVA-,アスパラギナーゼ-自己分解性リンカーコンジュゲートの一般方法
EndoGrade(登録商標)オボアルブミン(OVA)(Hyglos)(10 mg,222.2 nmol)、組み換えアスパラギナーゼ(7.2 mg,222.2 nmol)、および自己分解性リンカー(27)(5 mg)をエンドトキシンフリーのチューブに添加した。pH 7.7のリン酸バッファー(200μL)をこのチューブに添加し、チューブを室温で1時間撹拌した。次いで反応混合物を濾過し(0.22μM)、コンジュゲートを、30kDaのカットオフ制限(Thermo Fisher)を有するZeba Spin Desalting Columnによって精製した。化学的コンジュゲーションをゲル電気泳動および高圧サイズ排除クロマトグラフィーによって確認した。
【0227】
化合物29:
上記のようにして調製したPBS中の化合物28をエンドトキシンフリーのチューブに添加し、p(Man)(21)(30 mg)を添加し、反応液を室温で30分間撹拌した。次いで反応混合物を濾過し(0.22μM)、最終生成物をサイズ排除クロマトグラフィーによって精製した。化学的コンジュゲーションをゲル電気泳動および高圧サイズ排除クロマトグラフィーによって確認した。
【0228】
実施例2
寛容モデルに対するOTI/OTII抗原刺激
BLK6マウスを、生理食塩水または遊離OVAもしくはp(Man)にコンジュゲートさせたOVA(OVA-p(Man))の形態の10μgのOVA(免疫原性抗原の非限定的な一例として)で、7.0×105個のOTIおよびOTII T細胞の養子移入の1日後および7日後に処置した。これらのマウスをLPSおよびOVAの皮内注射で、最初のOTIおよびOTII T細胞移入の14日後に抗原刺激し、次いで、流入領域リンパ節(dLN)における免疫応答を19日目に評価し、生理食塩水で処置したがLPSおよびOVAの抗原刺激を受けなかったマウス(抗原刺激なし)と比較した。
【0229】
図1~2に示されるように、顕著な寛容がCD4+ T細胞コンパートメントにおいて誘導された。全存在比率に関して、
図1に示されるように、どちらの投薬レジメンのどちらのOVA-p(Man)でも、抗原刺激後、同等に低レベルのOTII細胞がもたらされ、OVAの処置での場合より統計学的に低かった(*はp<0.05を示し、**はp<0.01を示す)。残存した細胞をフローサイトメトリーにより転写因子FoxP3および受容体CD25の存在について解析すると、FoxP3+CD25+細胞(制御性T細胞のマーカー)の数は、
図1に示されるようにOVA単独での処置と比べて統計学的に有意に高値であった。さらに、OVA-p(Man)で処置した動物の脾臓には、LPSおよびOVAで抗原刺激した他の群と比べて低いパーセンテージの濾胞性ヘルパーT細胞(Tfh)が含まれていた。残存した細胞をフローサイトメトリーにより、OVA抗原への曝露後のIFN-γの発現について解析すると、この炎症性サイトカインを発現しているCD4+ T細胞の存在比率は、
図2に示されるようにOVA-p(Man)を受けた群において減少した。
【0230】
CD8+ T細胞コンパートメントにおいても、
図1に示されるように顕著な寛容が誘導された。全存在比率に関して、
図1に示されるように、OVA-p(Man)では、抗原刺激後、同等に低レベルのOTI細胞がもたらされ、OVAの処置での場合より統計学的に低かった(*はp<0.05を示し、**はp<0.01を示す)。残存した細胞をフローサイトメトリーによりSIINFEKLE抗原への曝露後のIFN-γの発現について解析すると、この炎症性サイトカインを発現しているCD8+ T細胞の存在比率は、
図2に示されるようにOVA-p(Man)を受けた群において減少した。
【0231】
実施例3
静脈内投与されたアスパラギナーゼに対する寛容誘導
1群あたり5匹のBALB/cマウスに、遊離アスパラギナーゼとして製剤化した(ASNase)またはp(Man)にコンジュゲートさせた(ASNase-p(Man))2.5μgのアスパラギナーゼ(免疫原性抗原の非限定的な一例として)を週1回で3週間注射し、次いで4週目に15μgのASNase i.v.を週1回で8週間に切り替えた。最初の3週間は、ASNase-p(Man)をi.v.注射または皮下注射のいずれかによって投与した。マウスから血清を採取し、αASNaseの存在について毎週モニタリングした。
【0232】
4週目にASNaseを静脈内注射すると、生理食塩水で処置した動物およびASNase-p(Man)を皮下投与した動物では血清αASNase IgGの急速な上昇が起こり(
図3)、i.v.投与ASNase-p(Man)で処置した動物では、実験期間中、血清αASNase IgGの上昇はもたらされなかった。さらに、38日間の処置後、静脈内輸注によるASNase-p(Man)で処置した動物でみられたαASNase IgGサブクラスの力価は有意に低かった(
図3)。
【0233】
22週目(3週間の寛容化、8週間のASNase処置、および最後のAsnase投与後11週目)、生理食塩水で処置した動物および静脈内輸注によるASNase-p(Man)で処置した動物を致死させ、これらの動物の脾臓、肝臓、および骨髄を収集し、単細胞懸濁液に加工処理した。これらの器官由来の細胞を、活性を欠く組み換えASNaseで3日間インビトロ刺激した。3日後、細胞を、フローサイトメトリーによりαASNase産生細胞(形質細胞)およびIL-10産生制御性B細胞の存在について解析した。結果は、ASNase-p(Man)で処置した動物の骨髄は、ASNaseで処置した動物より少ないαASNase形質細胞を有していたことを示す(
図4)。反対に、ASNase-p(Man)で処置した動物の脾臓は、IL-10産生制御性B細胞のパーセンテージがより高かった。
【0234】
実施例4
抗アスパラギナーゼ(抗ASNase)体液性免疫応答に対する効果
p(Man)-タンパク質コンジュゲートが抗アスパラギナーゼ(抗ASNase)体液性免疫応答を防止し、したがって、血清からの生物学的治療薬の急速な抗体媒介性クリアランスの結果である有効性の低下を回避する能力を評価するため、マウスを-21日目、-14日目、および-7日目に生理食塩水またはp(Man)にコンジュゲートさせた2.5μgのASNase(p(Man)-ASNase)でiv輸注によって処置した(1群あたりn=5匹の動物)。7日後、次いでマウスを15μgのwt ASNaseのiv輸注で毎週、4週間処置した。次いでマウスを15μgのwt ASNaseで49日目に処置した。70日目、生理食塩水で-21日目、-14日目、-7日目、0日目、14日目、21日目、および49日目に処置したマウスを15μgのwt ASNaseで処置し、未処置マウスにおけるASNaseの有効性を評価した(
図6)。70日目、生理食塩水またはp(Man)-ASNaseの投与を受け、次いでwt ASNaseで処置したマウスにも15μgのwt ASNaseを投与した。各動物の血清アスパラギン濃度を71日目、73日目、および76日目に評価した。
【0235】
結果は、ASNaseでの処置後1日目、各群の動物は同様の血清アスパラギン濃度を有することを示す。しかしながら、7日目にアスパラギンを投与してから3日後、生理食塩水のみまたはp(Man)-ASNaseで処置した動物は、生理食塩水で処置し、次いでwt ASNaseを0日目、7日目、14日目、21日目、および49日目に投与した動物と比べて有意に低い血清アスパラギン濃度を有する(
図7A)。また、p(Man)-ASNaseで処置した動物は、76日目、他の群の動物より有意に低い血清アスパラギン濃度を有していた。血清アスパラギン濃度をこの試験の各動物の抗ASNase力価に対してプロットすると、血清アスパラギン濃度と抗ASNase力価間の強い相関(r=0.8)が明白になる(
図7B)。このような結果により、p(Man)-ASNaseが抗ASNase免疫応答と関連している有効性の低下を阻害することが実証される。
【0236】
本明細書に開示し、請求項に記載した方法および組成物はすべて、本開示に鑑みて必要以上に実験を行なうことなく作製および実行することができる。本発明の組成物および方法を好ましい態様に関して説明したが、いろいろな変形が、本発明の思想、趣旨、および範囲から逸脱することなく本明細書に記載の方法および装置に、ならびに本明細書に記載の方法の工程または一連の工程において適用され得ることは当業者に明らかであろう。より具体的には、化学的および生理学的の両方で関連しているある特定の作用物質は、本明細書に記載の作用物質の代わりに使用され得るとともに、同じまたは同様の結果が得られ得ることは明らかであろう。当業者に明らかなかかる同様の置き換えおよび修正はすべて、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨、範囲、および思想の範囲内であるとみなす。
【0237】
配列情報
SEQUENCE LISTING
<110> The University of Chicago
Anokion SA
<120> COMPOSITIONS AND METHODS CONCERNING IMMUNE TOLERANCE
<150> US 62/669,044
<151> 2018-05-09
<160> 62
<170> PatentIn version 3.5
<210> 1
<211> 110
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 1
Met Ala Leu Trp Met Arg Leu Leu Pro Leu Leu Ala Leu Leu Ala Leu
1 5 10 15
Trp Gly Pro Asp Pro Ala Ala Ala Phe Val Asn Gln His Leu Cys Gly
20 25 30
Ser His Leu Val Glu Ala Leu Tyr Leu Val Cys Gly Glu Arg Gly Phe
35 40 45
Phe Tyr Thr Pro Lys Thr Arg Arg Glu Ala Glu Asp Leu Gln Val Gly
50 55 60
Gln Val Glu Leu Gly Gly Gly Pro Gly Ala Gly Ser Leu Gln Pro Leu
65 70 75 80
Ala Leu Glu Gly Ser Leu Gln Lys Arg Gly Ile Val Glu Gln Cys Cys
85 90 95
Thr Ser Ile Cys Ser Leu Tyr Gln Leu Glu Asn Tyr Cys Asn
100 105 110
<210> 2
<211> 585
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 2
Met Ala Ser Pro Gly Ser Gly Phe Trp Ser Phe Gly Ser Glu Asp Gly
1 5 10 15
Ser Gly Asp Ser Glu Asn Pro Gly Thr Ala Arg Ala Trp Cys Gln Val
20 25 30
Ala Gln Lys Phe Thr Gly Gly Ile Gly Asn Lys Leu Cys Ala Leu Leu
35 40 45
Tyr Gly Asp Ala Glu Lys Pro Ala Glu Ser Gly Gly Ser Gln Pro Pro
50 55 60
Arg Ala Ala Ala Arg Lys Ala Ala Cys Ala Cys Asp Gln Lys Pro Cys
65 70 75 80
Ser Cys Ser Lys Val Asp Val Asn Tyr Ala Phe Leu His Ala Thr Asp
85 90 95
Leu Leu Pro Ala Cys Asp Gly Glu Arg Pro Thr Leu Ala Phe Leu Gln
100 105 110
Asp Val Met Asn Ile Leu Leu Gln Tyr Val Val Lys Ser Phe Asp Arg
115 120 125
Ser Thr Lys Val Ile Asp Phe His Tyr Pro Asn Glu Leu Leu Gln Glu
130 135 140
Tyr Asn Trp Glu Leu Ala Asp Gln Pro Gln Asn Leu Glu Glu Ile Leu
145 150 155 160
Met His Cys Gln Thr Thr Leu Lys Tyr Ala Ile Lys Thr Gly His Pro
165 170 175
Arg Tyr Phe Asn Gln Leu Ser Thr Gly Leu Asp Met Val Gly Leu Ala
180 185 190
Ala Asp Trp Leu Thr Ser Thr Ala Asn Thr Asn Met Phe Thr Tyr Glu
195 200 205
Ile Ala Pro Val Phe Val Leu Leu Glu Tyr Val Thr Leu Lys Lys Met
210 215 220
Arg Glu Ile Ile Gly Trp Pro Gly Gly Ser Gly Asp Gly Ile Phe Ser
225 230 235 240
Pro Gly Gly Ala Ile Ser Asn Met Tyr Ala Met Met Ile Ala Arg Phe
245 250 255
Lys Met Phe Pro Glu Val Lys Glu Lys Gly Met Ala Ala Leu Pro Arg
260 265 270
Leu Ile Ala Phe Thr Ser Glu His Ser His Phe Ser Leu Lys Lys Gly
275 280 285
Ala Ala Ala Leu Gly Ile Gly Thr Asp Ser Val Ile Leu Ile Lys Cys
290 295 300
Asp Glu Arg Gly Lys Met Ile Pro Ser Asp Leu Glu Arg Arg Ile Leu
305 310 315 320
Glu Ala Lys Gln Lys Gly Phe Val Pro Phe Leu Val Ser Ala Thr Ala
325 330 335
Gly Thr Thr Val Tyr Gly Ala Phe Asp Pro Leu Leu Ala Val Ala Asp
340 345 350
Ile Cys Lys Lys Tyr Lys Ile Trp Met His Val Asp Ala Ala Trp Gly
355 360 365
Gly Gly Leu Leu Met Ser Arg Lys His Lys Trp Lys Leu Ser Gly Val
370 375 380
Glu Arg Ala Asn Ser Val Thr Trp Asn Pro His Lys Met Met Gly Val
385 390 395 400
Pro Leu Gln Cys Ser Ala Leu Leu Val Arg Glu Glu Gly Leu Met Gln
405 410 415
Asn Cys Asn Gln Met His Ala Ser Tyr Leu Phe Gln Gln Asp Lys His
420 425 430
Tyr Asp Leu Ser Tyr Asp Thr Gly Asp Lys Ala Leu Gln Cys Gly Arg
435 440 445
His Val Asp Val Phe Lys Leu Trp Leu Met Trp Arg Ala Lys Gly Thr
450 455 460
Thr Gly Phe Glu Ala His Val Asp Lys Cys Leu Glu Leu Ala Glu Tyr
465 470 475 480
Leu Tyr Asn Ile Ile Lys Asn Arg Glu Gly Tyr Glu Met Val Phe Asp
485 490 495
Gly Lys Pro Gln His Thr Asn Val Cys Phe Trp Tyr Ile Pro Pro Ser
500 505 510
Leu Arg Thr Leu Glu Asp Asn Glu Glu Arg Met Ser Arg Leu Ser Lys
515 520 525
Val Ala Pro Val Ile Lys Ala Arg Met Met Glu Tyr Gly Thr Thr Met
530 535 540
Val Ser Tyr Gln Pro Leu Gly Asp Lys Val Asn Phe Phe Arg Met Val
545 550 555 560
Ile Ser Asn Pro Ala Ala Thr His Gln Asp Ile Asp Phe Leu Ile Glu
565 570 575
Glu Ile Glu Arg Leu Gly Gln Asp Leu
580 585
<210> 3
<211> 355
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 3
Met Asp Phe Leu His Arg Asn Gly Val Leu Ile Ile Gln His Leu Gln
1 5 10 15
Lys Asp Tyr Arg Ala Tyr Tyr Thr Phe Leu Asn Phe Met Ser Asn Val
20 25 30
Gly Asp Pro Arg Asn Ile Phe Phe Ile Tyr Phe Pro Leu Cys Phe Gln
35 40 45
Phe Asn Gln Thr Val Gly Thr Lys Met Ile Trp Val Ala Val Ile Gly
50 55 60
Asp Trp Leu Asn Leu Ile Phe Lys Trp Ile Leu Phe Gly His Arg Pro
65 70 75 80
Tyr Trp Trp Val Gln Glu Thr Gln Ile Tyr Pro Asn His Ser Ser Pro
85 90 95
Cys Leu Glu Gln Phe Pro Thr Thr Cys Glu Thr Gly Pro Gly Ser Pro
100 105 110
Ser Gly His Ala Met Gly Ala Ser Cys Val Trp Tyr Val Met Val Thr
115 120 125
Ala Ala Leu Ser His Thr Val Cys Gly Met Asp Lys Phe Ser Ile Thr
130 135 140
Leu His Arg Leu Thr Trp Ser Phe Leu Trp Ser Val Phe Trp Leu Ile
145 150 155 160
Gln Ile Ser Val Cys Ile Ser Arg Val Phe Ile Ala Thr His Phe Pro
165 170 175
His Gln Val Ile Leu Gly Val Ile Gly Gly Met Leu Val Ala Glu Ala
180 185 190
Phe Glu His Thr Pro Gly Ile Gln Thr Ala Ser Leu Gly Thr Tyr Leu
195 200 205
Lys Thr Asn Leu Phe Leu Phe Leu Phe Ala Val Gly Phe Tyr Leu Leu
210 215 220
Leu Arg Val Leu Asn Ile Asp Leu Leu Trp Ser Val Pro Ile Ala Lys
225 230 235 240
Lys Trp Cys Ala Asn Pro Asp Trp Ile His Ile Asp Thr Thr Pro Phe
245 250 255
Ala Gly Leu Val Arg Asn Leu Gly Val Leu Phe Gly Leu Gly Phe Ala
260 265 270
Ile Asn Ser Glu Met Phe Leu Leu Ser Cys Arg Gly Gly Asn Asn Tyr
275 280 285
Thr Leu Ser Phe Arg Leu Leu Cys Ala Leu Thr Ser Leu Thr Ile Leu
290 295 300
Gln Leu Tyr His Phe Leu Gln Ile Pro Thr His Glu Glu His Leu Phe
305 310 315 320
Tyr Val Leu Ser Phe Cys Lys Ser Ala Ser Ile Pro Leu Thr Val Val
325 330 335
Ala Phe Ile Pro Tyr Ser Val His Met Leu Met Lys Gln Ser Gly Lys
340 345 350
Lys Ser Gln
355
<210> 4
<211> 86
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 4
Phe Val Asn Gln His Leu Cys Gly Ser His Leu Val Glu Ala Leu Tyr
1 5 10 15
Leu Val Cys Gly Glu Arg Gly Phe Phe Tyr Thr Pro Lys Thr Arg Arg
20 25 30
Glu Ala Glu Asp Leu Gln Val Gly Gln Val Glu Leu Gly Gly Gly Pro
35 40 45
Gly Ala Gly Ser Leu Gln Pro Leu Ala Leu Glu Gly Ser Leu Gln Lys
50 55 60
Arg Gly Ile Val Glu Gln Cys Cys Thr Ser Ile Cys Ser Leu Tyr Gln
65 70 75 80
Leu Glu Asn Tyr Cys Asn
85
<210> 5
<211> 70
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 5
Phe Val Asn Gln His Leu Cys Gly Ser His Leu Val Glu Ala Leu Tyr
1 5 10 15
Leu Val Cys Gly Glu Arg Gly Phe Phe Tyr Thr Pro Lys Thr Arg Arg
20 25 30
Glu Ala Glu Asp Leu Gln Val Gly Gln Val Glu Leu Gly Gly Gly Pro
35 40 45
Gly Ala Gly Ser Leu Gln Pro Leu Ala Leu Glu Gly Ser Leu Gln Lys
50 55 60
Arg Gly Ile Val Glu Gln
65 70
<210> 6
<211> 62
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 6
Ser His Leu Val Glu Ala Leu Tyr Leu Val Cys Gly Glu Arg Gly Phe
1 5 10 15
Phe Tyr Thr Pro Lys Thr Arg Arg Glu Ala Glu Asp Leu Gln Val Gly
20 25 30
Gln Val Glu Leu Gly Gly Gly Pro Gly Ala Gly Ser Leu Gln Pro Leu
35 40 45
Ala Leu Glu Gly Ser Leu Gln Lys Arg Gly Ile Val Glu Gln
50 55 60
<210> 7
<211> 30
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 7
Ser His Leu Val Glu Ala Leu Tyr Leu Val Cys Gly Glu Arg Gly Phe
1 5 10 15
Phe Tyr Thr Pro Lys Thr Arg Arg Glu Ala Glu Asp Leu Gln
20 25 30
<210> 8
<211> 38
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 8
Phe Val Asn Gln His Leu Cys Gly Ser His Leu Val Glu Ala Leu Tyr
1 5 10 15
Leu Val Cys Gly Glu Arg Gly Phe Phe Tyr Thr Pro Lys Thr Arg Arg
20 25 30
Glu Ala Glu Asp Leu Gln
35
<210> 9
<211> 15
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 9
Ser His Leu Val Glu Ala Leu Tyr Leu Val Cys Gly Glu Arg Gly
1 5 10 15
<210> 10
<211> 27
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 10
Gly Gly Gly Pro Gly Ala Gly Ser Leu Gln Pro Leu Ala Leu Glu Gly
1 5 10 15
Ser Leu Gln Lys Arg Gly Ile Val Glu Gln Cys
20 25
<210> 11
<211> 11
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 11
Leu Ala Leu Glu Gly Ser Leu Gln Lys Arg Gly
1 5 10
<210> 12
<211> 18
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 12
Gly Ser Leu Gln Pro Leu Ala Leu Glu Gly Ser Leu Gln Lys Arg Gly
1 5 10 15
Ile Val
<210> 13
<211> 20
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 13
Gly Gly Gly Pro Gly Ala Gly Ser Leu Gln Pro Leu Ala Leu Glu Gly
1 5 10 15
Ser Leu Gln Lys
20
<210> 14
<211> 28
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 14
Ser His Leu Val Glu Ala Leu Tyr Leu Val Cys Gly Glu Arg Gly Phe
1 5 10 15
Phe Tyr Thr Pro Lys Thr Arg Arg Glu Ala Glu Asp
20 25
<210> 15
<211> 17
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 15
Gln Pro Leu Ala Leu Glu Gly Ser Leu Gln Lys Arg Gly Ile Val Glu
1 5 10 15
Gln
<210> 16
<211> 65
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 16
Ala Tyr Gln Ala Glu Pro Asn Thr Cys Ala Thr Ala Gln Gly Glu Gly
1 5 10 15
Asn Ile Lys Lys Asn Arg His Pro Asp Phe Leu Pro Tyr Asp His Ala
20 25 30
Arg Ile Lys Leu Lys Val Glu Ser Ser Pro Ser Arg Ser Asp Tyr Ile
35 40 45
Asn Ala Ser Pro Ile Ile Glu His Asp Pro Arg Met Pro Ala Tyr Ile
50 55 60
Ala
65
<210> 17
<211> 35
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 17
Gly Pro Leu Ser His Thr Ile Ala Asp Phe Trp Gln Met Val Trp Glu
1 5 10 15
Ser Gly Cys Thr Val Ile Val Met Leu Thr Pro Leu Val Glu Asp Gly
20 25 30
Val Lys Gln
35
<210> 18
<211> 56
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 18
Gly Ala Ser Leu Tyr His Val Tyr Glu Val Asn Leu Val Ser Glu His
1 5 10 15
Ile Trp Cys Glu Asp Phe Leu Val Arg Ser Phe Tyr Leu Lys Asn Val
20 25 30
Gln Thr Gln Glu Thr Arg Thr Leu Thr Gln Phe His Phe Leu Ser Trp
35 40 45
Pro Ala Glu Gly Thr Pro Ala Ser
50 55
<210> 19
<211> 39
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 19
Glu His Val Arg Asp Gln Arg Pro Gly Leu Val Arg Ser Lys Asp Gln
1 5 10 15
Phe Glu Phe Ala Leu Thr Ala Val Ala Glu Glu Val Asn Ala Ile Leu
20 25 30
Lys Ala Leu Pro Gln Cys Gly
35
<210> 20
<211> 304
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 20
Met Gly Asn His Ala Gly Lys Arg Glu Leu Asn Ala Glu Lys Ala Ser
1 5 10 15
Thr Asn Ser Glu Thr Asn Arg Gly Glu Ser Glu Lys Lys Arg Asn Leu
20 25 30
Gly Glu Leu Ser Arg Thr Thr Ser Glu Asp Asn Glu Val Phe Gly Glu
35 40 45
Ala Asp Ala Asn Gln Asn Asn Gly Thr Ser Ser Gln Asp Thr Ala Val
50 55 60
Thr Asp Ser Lys Arg Thr Ala Asp Pro Lys Asn Ala Trp Gln Asp Ala
65 70 75 80
His Pro Ala Asp Pro Gly Ser Arg Pro His Leu Ile Arg Leu Phe Ser
85 90 95
Arg Asp Ala Pro Gly Arg Glu Asp Asn Thr Phe Lys Asp Arg Pro Ser
100 105 110
Glu Ser Asp Glu Leu Gln Thr Ile Gln Glu Asp Ser Ala Ala Thr Ser
115 120 125
Glu Ser Leu Asp Val Met Ala Ser Gln Lys Arg Pro Ser Gln Arg His
130 135 140
Gly Ser Lys Tyr Leu Ala Thr Ala Ser Thr Met Asp His Ala Arg His
145 150 155 160
Gly Phe Leu Pro Arg His Arg Asp Thr Gly Ile Leu Asp Ser Ile Gly
165 170 175
Arg Phe Phe Gly Gly Asp Arg Gly Ala Pro Lys Arg Gly Ser Gly Lys
180 185 190
Asp Ser His His Pro Ala Arg Thr Ala His Tyr Gly Ser Leu Pro Gln
195 200 205
Lys Ser His Gly Arg Thr Gln Asp Glu Asn Pro Val Val His Phe Phe
210 215 220
Lys Asn Ile Val Thr Pro Arg Thr Pro Pro Pro Ser Gln Gly Lys Gly
225 230 235 240
Arg Gly Leu Ser Leu Ser Arg Phe Ser Trp Gly Ala Glu Gly Gln Arg
245 250 255
Pro Gly Phe Gly Tyr Gly Gly Arg Ala Ser Asp Tyr Lys Ser Ala His
260 265 270
Lys Gly Phe Lys Gly Val Asp Ala Gln Gly Thr Leu Ser Lys Ile Phe
275 280 285
Lys Leu Gly Gly Arg Asp Ser Arg Ser Gly Ser Pro Met Ala Arg Arg
290 295 300
<210> 21
<211> 247
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 21
Met Ala Ser Leu Ser Arg Pro Ser Leu Pro Ser Cys Leu Cys Ser Phe
1 5 10 15
Leu Leu Leu Leu Leu Leu Gln Val Ser Ser Ser Tyr Ala Gly Gln Phe
20 25 30
Arg Val Ile Gly Pro Arg His Pro Ile Arg Ala Leu Val Gly Asp Glu
35 40 45
Val Glu Leu Pro Cys Arg Ile Ser Pro Gly Lys Asn Ala Thr Gly Met
50 55 60
Glu Val Gly Trp Tyr Arg Pro Pro Phe Ser Arg Val Val His Leu Tyr
65 70 75 80
Arg Asn Gly Lys Asp Gln Asp Gly Asp Gln Ala Pro Glu Tyr Arg Gly
85 90 95
Arg Thr Glu Leu Leu Lys Asp Ala Ile Gly Glu Gly Lys Val Thr Leu
100 105 110
Arg Ile Arg Asn Val Arg Phe Ser Asp Glu Gly Gly Phe Thr Cys Phe
115 120 125
Phe Arg Asp His Ser Tyr Gln Glu Glu Ala Ala Met Glu Leu Lys Val
130 135 140
Glu Asp Pro Phe Tyr Trp Val Ser Pro Gly Val Leu Val Leu Leu Ala
145 150 155 160
Val Leu Pro Val Leu Leu Leu Gln Ile Thr Val Gly Leu Ile Phe Leu
165 170 175
Cys Leu Gln Tyr Arg Leu Arg Gly Lys Leu Arg Ala Glu Ile Glu Asn
180 185 190
Leu His Arg Thr Phe Asp Pro His Phe Leu Arg Val Pro Cys Trp Lys
195 200 205
Ile Thr Leu Phe Val Ile Val Pro Val Leu Gly Pro Leu Val Ala Leu
210 215 220
Ile Ile Cys Tyr Asn Trp Leu His Arg Arg Leu Ala Gly Gln Phe Leu
225 230 235 240
Glu Glu Leu Arg Asn Pro Phe
245
<210> 22
<211> 277
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 22
Met Gly Leu Leu Glu Cys Cys Ala Arg Cys Leu Val Gly Ala Pro Phe
1 5 10 15
Ala Ser Leu Val Ala Thr Gly Leu Cys Phe Phe Gly Val Ala Leu Phe
20 25 30
Cys Gly Cys Gly His Glu Ala Leu Thr Gly Thr Glu Lys Leu Ile Glu
35 40 45
Thr Tyr Phe Ser Lys Asn Tyr Gln Asp Tyr Glu Tyr Leu Ile Asn Val
50 55 60
Ile His Ala Phe Gln Tyr Val Ile Tyr Gly Thr Ala Ser Phe Phe Phe
65 70 75 80
Leu Tyr Gly Ala Leu Leu Leu Ala Glu Gly Phe Tyr Thr Thr Gly Ala
85 90 95
Val Arg Gln Ile Phe Gly Asp Tyr Lys Thr Thr Ile Cys Gly Lys Gly
100 105 110
Leu Ser Ala Thr Val Thr Gly Gly Gln Lys Gly Arg Gly Ser Arg Gly
115 120 125
Gln His Gln Ala His Ser Leu Glu Arg Val Cys His Cys Leu Gly Lys
130 135 140
Trp Leu Gly His Pro Asp Lys Phe Val Gly Ile Thr Tyr Ala Leu Thr
145 150 155 160
Val Val Trp Leu Leu Val Phe Ala Cys Ser Ala Val Pro Val Tyr Ile
165 170 175
Tyr Phe Asn Thr Trp Thr Thr Cys Gln Ser Ile Ala Phe Pro Ser Lys
180 185 190
Thr Ser Ala Ser Ile Gly Ser Leu Cys Ala Asp Ala Arg Met Tyr Gly
195 200 205
Val Leu Pro Trp Asn Ala Phe Pro Gly Lys Val Cys Gly Ser Asn Leu
210 215 220
Leu Ser Ile Cys Lys Thr Ala Glu Phe Gln Met Thr Phe His Leu Phe
225 230 235 240
Ile Ala Ala Phe Val Gly Ala Ala Ala Thr Leu Val Ser Leu Leu Thr
245 250 255
Phe Met Ile Ala Ala Thr Tyr Asn Phe Ala Val Leu Lys Leu Met Gly
260 265 270
Arg Gly Thr Lys Phe
275
<210> 23
<211> 20
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 23
Lys Tyr Leu Ala Thr Ala Ser Thr Met Asp His Ala Arg His Gly Phe
1 5 10 15
Leu Pro Arg His
20
<210> 24
<211> 16
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 24
Glu Asn Pro Trp His Phe Phe Lys Asn Ile Val Thr Pro Arg Thr Pro
1 5 10 15
<210> 25
<211> 19
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 25
Leu Ser Arg Phe Ser Trp Gly Ala Glu Gly Gln Arg Pro Gly Phe Gly
1 5 10 15
Tyr Gly Gly
<210> 26
<211> 25
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 26
Ala Gln Gly Thr Leu Ser Lys Ile Phe Lys Leu Gly Gly Arg Asp Ser
1 5 10 15
Arg Ser Gly Ser Pro Met Ala Arg Arg
20 25
<210> 27
<211> 20
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 27
Gly Gln Phe Arg Val Ile Gly Pro Arg His Pro Ile Arg Ala Leu Val
1 5 10 15
Gly Asp Glu Val
20
<210> 28
<211> 20
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 28
Met Glu Val Gly Trp Tyr Arg Pro Pro Phe Ser Arg Trp His Leu Tyr
1 5 10 15
Arg Asn Gly Lys
20
<210> 29
<211> 16
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 29
His Cys Leu Gly Lys Trp Leu Gly His Pro Asp Lys Phe Val Gly Ile
1 5 10 15
<210> 30
<211> 31
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 30
Lys Asn Ala Thr Gly Met Glu Val Gly Trp Tyr Arg Ser Pro Phe Ser
1 5 10 15
Arg Val Val His Leu Tyr Arg Asn Gly Lys Asp Gln Asp Ala Glu
20 25 30
<210> 31
<211> 17
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 31
Glu Asn Pro Val Val His Phe Phe Lys Asn Ile Val Thr Pro Arg Thr
1 5 10 15
Pro
<210> 32
<211> 21
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 32
Met Glu Val Gly Trp Tyr Arg Pro Pro Phe Ser Arg Val Val His Leu
1 5 10 15
Tyr Arg Asn Gly Lys
20
<210> 33
<211> 17
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 33
Asp Glu Asn Pro Val Val His Phe Phe Lys Asn Ile Val Thr Pro Arg
1 5 10 15
Thr
<210> 34
<211> 18
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 34
Asp Glu Asn Pro Val Val His Phe Phe Lys Asn Ile Val Thr Pro Arg
1 5 10 15
Thr Pro
<210> 35
<211> 25
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 35
Asp Glu Asn Pro Val Val His Phe Phe Lys Asn Ile Val Thr Pro Arg
1 5 10 15
Thr Pro Pro Pro Ser Gln Gly Lys Gly
20 25
<210> 36
<211> 20
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 36
Val His Phe Phe Lys Asn Ile Val Thr Pro Arg Thr Pro Pro Pro Ser
1 5 10 15
Gln Gly Lys Gly
20
<210> 37
<211> 25
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 37
Ala Ser Asp Tyr Lys Ser Ala His Lys Gly Leu Lys Gly Val Asp Ala
1 5 10 15
Gln Gly Thr Leu Ser Lys Ile Phe Lys
20 25
<210> 38
<211> 18
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 38
Gly Thr Glu Lys Leu Ile Glu Thr Tyr Phe Ser Lys Asn Tyr Gln Asp
1 5 10 15
Tyr Glu
<210> 39
<211> 18
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 39
Gly Phe Tyr Thr Thr Gly Ala Val Arg Gln Ile Phe Gly Asp Tyr Lys
1 5 10 15
Thr Thr
<210> 40
<211> 22
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 40
Ala Val Arg Gln Ile Phe Gly Asp Tyr Lys Thr Thr Ile Cys Gly Lys
1 5 10 15
Gly Leu Ser Ala Thr Val
20
<210> 41
<211> 20
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 41
Asn Thr Trp Thr Thr Cys Gln Ser Ile Ala Phe Pro Ser Lys Thr Ser
1 5 10 15
Ala Ser Ile Gly
20
<210> 42
<211> 20
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 42
Ser Lys Thr Ser Ala Ser Ile Gly Ser Leu Cys Ala Asp Ala Arg Met
1 5 10 15
Tyr Gly Val Leu
20
<210> 43
<211> 20
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 43
Pro Ile Arg Ala Leu Val Gly Asp Glu Val Glu Leu Pro Cys Arg Ile
1 5 10 15
Ser Pro Gly Lys
20
<210> 44
<211> 20
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 44
Glu Leu Pro Cys Arg Ile Ser Pro Gly Lys Asn Ala Thr Gly Met Glu
1 5 10 15
Val Gly Trp Tyr
20
<210> 45
<211> 23
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 45
Glu Tyr Arg Gly Arg Thr Glu Leu Leu Lys Asp Ala Ile Gly Glu Gly
1 5 10 15
Lys Val Thr Leu Arg Ile Arg
20
<210> 46
<211> 62
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 46
Gly Gln Phe Arg Val Ile Gly Pro Arg His Pro Ile Arg Ala Leu Val
1 5 10 15
Gly Asp Glu Val Glu Leu Pro Cys Arg Ile Ser Pro Gly Lys Asn Ala
20 25 30
Thr Gly Met Glu Val Gly Trp Tyr Arg Pro Pro Phe Ser Arg Val Val
35 40 45
His Leu Tyr Arg Asn Gly Lys Asp Gln Asp Gly Asp Gln Ala
50 55 60
<210> 47
<211> 63
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 47
Ser His Gly Arg Thr Gln Asp Glu Asn Pro Val Val His Phe Phe Lys
1 5 10 15
Asn Ile Val Thr Pro Arg Thr Pro Pro Pro Ser Gln Gly Lys Gly Arg
20 25 30
Gly Leu Ser Leu Ser Arg Phe Ser Trp Gly Ala Glu Gly Gln Arg Pro
35 40 45
Gly Phe Gly Tyr Gly Gly Arg Ala Ser Asp Tyr Lys Ser Cys Gly
50 55 60
<210> 48
<211> 118
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 48
Met Pro Arg Glu Asp Ala His Phe Ile Tyr Gly Tyr Pro Lys Lys Gly
1 5 10 15
His Gly His Ser Tyr Thr Thr Ala Glu Glu Ala Ala Gly Ile Gly Ile
20 25 30
Leu Thr Val Ile Leu Gly Val Leu Leu Leu Ile Gly Cys Trp Tyr Cys
35 40 45
Arg Arg Arg Asn Gly Tyr Arg Ala Leu Met Asp Lys Ser Leu His Val
50 55 60
Gly Thr Gln Cys Ala Leu Thr Arg Arg Cys Pro Gln Glu Gly Phe Asp
65 70 75 80
His Arg Asp Ser Lys Val Ser Leu Gln Glu Lys Asn Cys Glu Pro Val
85 90 95
Val Pro Asn Ala Pro Pro Ala Tyr Glu Lys Leu Ser Ala Glu Gln Ser
100 105 110
Pro Pro Pro Tyr Ser Pro
115
<210> 49
<211> 529
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 49
Met Leu Leu Ala Val Leu Tyr Cys Leu Leu Trp Ser Phe Gln Thr Ser
1 5 10 15
Ala Gly His Phe Pro Arg Ala Cys Val Ser Ser Lys Asn Leu Met Glu
20 25 30
Lys Glu Cys Cys Pro Pro Trp Ser Gly Asp Arg Ser Pro Cys Gly Gln
35 40 45
Leu Ser Gly Arg Gly Ser Cys Gln Asn Ile Leu Leu Ser Asn Ala Pro
50 55 60
Leu Gly Pro Gln Phe Pro Phe Thr Gly Val Asp Asp Arg Glu Ser Trp
65 70 75 80
Pro Ser Val Phe Tyr Asn Arg Thr Cys Gln Cys Ser Gly Asn Phe Met
85 90 95
Gly Phe Asn Cys Gly Asn Cys Lys Phe Gly Phe Trp Gly Pro Asn Cys
100 105 110
Thr Glu Arg Arg Leu Leu Val Arg Arg Asn Ile Phe Asp Leu Ser Ala
115 120 125
Pro Glu Lys Asp Lys Phe Phe Ala Tyr Leu Thr Leu Ala Lys His Thr
130 135 140
Ile Ser Ser Asp Tyr Val Ile Pro Ile Gly Thr Tyr Gly Gln Met Lys
145 150 155 160
Asn Gly Ser Thr Pro Met Phe Asn Asp Ile Asn Ile Tyr Asp Leu Phe
165 170 175
Val Trp Met His Tyr Tyr Val Ser Met Asp Ala Leu Leu Gly Gly Ser
180 185 190
Glu Ile Trp Arg Asp Ile Asp Phe Ala His Glu Ala Pro Ala Phe Leu
195 200 205
Pro Trp His Arg Leu Phe Leu Leu Arg Trp Glu Gln Glu Ile Gln Lys
210 215 220
Leu Thr Gly Asp Glu Asn Phe Thr Ile Pro Tyr Trp Asp Trp Arg Asp
225 230 235 240
Ala Glu Lys Cys Asp Ile Cys Thr Asp Glu Tyr Met Gly Gly Gln His
245 250 255
Pro Thr Asn Pro Asn Leu Leu Ser Pro Ala Ser Phe Phe Ser Ser Trp
260 265 270
Gln Ile Val Cys Ser Arg Leu Glu Glu Tyr Asn Ser His Gln Ser Leu
275 280 285
Cys Asn Gly Thr Pro Glu Gly Pro Leu Arg Arg Asn Pro Gly Asn His
290 295 300
Asp Lys Ser Arg Thr Pro Arg Leu Pro Ser Ser Ala Asp Val Glu Phe
305 310 315 320
Cys Leu Ser Leu Thr Gln Tyr Glu Ser Gly Ser Met Asp Lys Ala Ala
325 330 335
Asn Phe Ser Phe Arg Asn Thr Leu Glu Gly Phe Ala Ser Pro Leu Thr
340 345 350
Gly Ile Ala Asp Ala Ser Gln Ser Ser Met His Asn Ala Leu His Ile
355 360 365
Tyr Met Asn Gly Thr Met Ser Gln Val Gln Gly Ser Ala Asn Asp Pro
370 375 380
Ile Phe Leu Leu His His Ala Phe Val Asp Ser Ile Phe Glu Gln Trp
385 390 395 400
Leu Arg Arg His Arg Pro Leu Gln Glu Val Tyr Pro Glu Ala Asn Ala
405 410 415
Pro Ile Gly His Asn Arg Glu Ser Tyr Met Val Pro Phe Ile Pro Leu
420 425 430
Tyr Arg Asn Gly Asp Phe Phe Ile Ser Ser Lys Asp Leu Gly Tyr Asp
435 440 445
Tyr Ser Tyr Leu Gln Asp Ser Asp Pro Asp Ser Phe Gln Asp Tyr Ile
450 455 460
Lys Ser Tyr Leu Glu Gln Ala Ser Arg Ile Trp Ser Trp Leu Leu Gly
465 470 475 480
Ala Ala Met Val Gly Ala Val Leu Thr Ala Leu Leu Ala Gly Leu Val
485 490 495
Ser Leu Leu Cys Arg His Lys Arg Lys Gln Leu Pro Glu Glu Lys Gln
500 505 510
Pro Leu Leu Met Glu Lys Glu Asp Tyr His Ser Leu Tyr Gln Ser His
515 520 525
Leu
<210> 50
<211> 661
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 50
Met Asp Leu Val Leu Lys Arg Cys Leu Leu His Leu Ala Val Ile Gly
1 5 10 15
Ala Leu Leu Ala Val Gly Ala Thr Lys Val Pro Arg Asn Gln Asp Trp
20 25 30
Leu Gly Val Ser Arg Gln Leu Arg Thr Lys Ala Trp Asn Arg Gln Leu
35 40 45
Tyr Pro Glu Trp Thr Glu Ala Gln Arg Leu Asp Cys Trp Arg Gly Gly
50 55 60
Gln Val Ser Leu Lys Val Ser Asn Asp Gly Pro Thr Leu Ile Gly Ala
65 70 75 80
Asn Ala Ser Phe Ser Ile Ala Leu Asn Phe Pro Gly Ser Gln Lys Val
85 90 95
Leu Pro Asp Gly Gln Val Ile Trp Val Asn Asn Thr Ile Ile Asn Gly
100 105 110
Ser Gln Val Trp Gly Gly Gln Pro Val Tyr Pro Gln Glu Thr Asp Asp
115 120 125
Ala Cys Ile Phe Pro Asp Gly Gly Pro Cys Pro Ser Gly Ser Trp Ser
130 135 140
Gln Lys Arg Ser Phe Val Tyr Val Trp Lys Thr Trp Gly Gln Tyr Trp
145 150 155 160
Gln Val Leu Gly Gly Pro Val Ser Gly Leu Ser Ile Gly Thr Gly Arg
165 170 175
Ala Met Leu Gly Thr His Thr Met Glu Val Thr Val Tyr His Arg Arg
180 185 190
Gly Ser Arg Ser Tyr Val Pro Leu Ala His Ser Ser Ser Ala Phe Thr
195 200 205
Ile Thr Asp Gln Val Pro Phe Ser Val Ser Val Ser Gln Leu Arg Ala
210 215 220
Leu Asp Gly Gly Asn Lys His Phe Leu Arg Asn Gln Pro Leu Thr Phe
225 230 235 240
Ala Leu Gln Leu His Asp Pro Ser Gly Tyr Leu Ala Glu Ala Asp Leu
245 250 255
Ser Tyr Thr Trp Asp Phe Gly Asp Ser Ser Gly Thr Leu Ile Ser Arg
260 265 270
Ala Leu Val Val Thr His Thr Tyr Leu Glu Pro Gly Pro Val Thr Ala
275 280 285
Gln Val Val Leu Gln Ala Ala Ile Pro Leu Thr Ser Cys Gly Ser Ser
290 295 300
Pro Val Pro Gly Thr Thr Asp Gly His Arg Pro Thr Ala Glu Ala Pro
305 310 315 320
Asn Thr Thr Ala Gly Gln Val Pro Thr Thr Glu Val Val Gly Thr Thr
325 330 335
Pro Gly Gln Ala Pro Thr Ala Glu Pro Ser Gly Thr Thr Ser Val Gln
340 345 350
Val Pro Thr Thr Glu Val Ile Ser Thr Ala Pro Val Gln Met Pro Thr
355 360 365
Ala Glu Ser Thr Gly Met Thr Pro Glu Lys Val Pro Val Ser Glu Val
370 375 380
Met Gly Thr Thr Leu Ala Glu Met Ser Thr Pro Glu Ala Thr Gly Met
385 390 395 400
Thr Pro Ala Glu Val Ser Ile Val Val Leu Ser Gly Thr Thr Ala Ala
405 410 415
Gln Val Thr Thr Thr Glu Trp Val Glu Thr Thr Ala Arg Glu Leu Pro
420 425 430
Ile Pro Glu Pro Glu Gly Pro Asp Ala Ser Ser Ile Met Ser Thr Glu
435 440 445
Ser Ile Thr Gly Ser Leu Gly Pro Leu Leu Asp Gly Thr Ala Thr Leu
450 455 460
Arg Leu Val Lys Arg Gln Val Pro Leu Asp Cys Val Leu Tyr Arg Tyr
465 470 475 480
Gly Ser Phe Ser Val Thr Leu Asp Ile Val Gln Gly Ile Glu Ser Ala
485 490 495
Glu Ile Leu Gln Ala Val Pro Ser Gly Glu Gly Asp Ala Phe Glu Leu
500 505 510
Thr Val Ser Cys Gln Gly Gly Leu Pro Lys Glu Ala Cys Met Glu Ile
515 520 525
Ser Ser Pro Gly Cys Gln Pro Pro Ala Gln Arg Leu Cys Gln Pro Val
530 535 540
Leu Pro Ser Pro Ala Cys Gln Leu Val Leu His Gln Ile Leu Lys Gly
545 550 555 560
Gly Ser Gly Thr Tyr Cys Leu Asn Val Ser Leu Ala Asp Thr Asn Ser
565 570 575
Leu Ala Val Val Ser Thr Gln Leu Ile Met Pro Gly Gln Glu Ala Gly
580 585 590
Leu Gly Gln Val Pro Leu Ile Val Gly Ile Leu Leu Val Leu Met Ala
595 600 605
Val Val Leu Ala Ser Leu Ile Tyr Arg Arg Arg Leu Met Lys Gln Asp
610 615 620
Phe Ser Val Pro Gln Leu Pro His Ser Ser Ser His Trp Leu Arg Leu
625 630 635 640
Pro Arg Ile Phe Cys Ser Cys Pro Ile Gly Glu Asn Ser Pro Leu Leu
645 650 655
Ser Gly Gln Gln Val
660
<210> 51
<211> 323
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 51
Met Ser Asp Arg Pro Thr Ala Arg Arg Trp Gly Lys Cys Gly Pro Leu
1 5 10 15
Cys Thr Arg Glu Asn Ile Met Val Ala Phe Lys Gly Val Trp Thr Gln
20 25 30
Ala Phe Trp Lys Ala Val Thr Ala Glu Phe Leu Ala Met Leu Ile Phe
35 40 45
Val Leu Leu Ser Leu Gly Ser Thr Ile Asn Trp Gly Gly Thr Glu Lys
50 55 60
Pro Leu Pro Val Asp Met Val Leu Ile Ser Leu Cys Phe Gly Leu Ser
65 70 75 80
Ile Ala Thr Met Val Gln Cys Phe Gly His Ile Ser Gly Gly His Ile
85 90 95
Asn Pro Ala Val Thr Val Ala Met Val Cys Thr Arg Lys Ile Ser Ile
100 105 110
Ala Lys Ser Val Phe Tyr Ile Ala Ala Gln Cys Leu Gly Ala Ile Ile
115 120 125
Gly Ala Gly Ile Leu Tyr Leu Val Thr Pro Pro Ser Val Val Gly Gly
130 135 140
Leu Gly Val Thr Met Val His Gly Asn Leu Thr Ala Gly His Gly Leu
145 150 155 160
Leu Val Glu Leu Ile Ile Thr Phe Gln Leu Val Phe Thr Ile Phe Ala
165 170 175
Ser Cys Asp Ser Lys Arg Thr Asp Val Thr Gly Ser Ile Ala Leu Ala
180 185 190
Ile Gly Phe Ser Val Ala Ile Gly His Leu Phe Ala Ile Asn Tyr Thr
195 200 205
Gly Ala Ser Met Asn Pro Ala Arg Ser Phe Gly Pro Ala Val Ile Met
210 215 220
Gly Asn Trp Glu Asn His Trp Ile Tyr Trp Val Gly Pro Ile Ile Gly
225 230 235 240
Ala Val Leu Ala Gly Gly Leu Tyr Glu Tyr Val Phe Cys Pro Asp Val
245 250 255
Glu Phe Lys Arg Arg Phe Lys Glu Ala Phe Ser Lys Ala Ala Gln Gln
260 265 270
Thr Lys Gly Ser Tyr Met Glu Val Glu Asp Asn Arg Ser Gln Val Glu
275 280 285
Thr Asp Asp Leu Ile Leu Lys Pro Gly Val Val His Val Ile Asp Val
290 295 300
Asp Arg Gly Glu Glu Lys Lys Gly Lys Asp Gln Ser Gly Glu Val Leu
305 310 315 320
Ser Ser Val
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<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 52
Met Ala Ala Ser Gly Lys Thr Ser Lys Ser Glu Pro Asn His Val Ile
1 5 10 15
Phe Lys Lys Ile Ser Arg Asp Lys Ser Val Thr Ile Tyr Leu Gly Asn
20 25 30
Arg Asp Tyr Ile Asp His Val Ser Gln Val Gln Pro Val Asp Gly Val
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Lys Lys Leu Gly Ser Asn Thr Tyr Pro Phe Leu Leu Thr Phe Pro Asp
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Lys Ser Cys Gly Val Asp Phe Glu Val Lys Ala Phe Ala Thr Asp Ser
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Thr Asp Ala Glu Glu Asp Lys Ile Pro Lys Lys Ser Ser Val Arg Leu
165 170 175
Leu Ile Arg Lys Val Gln His Ala Pro Leu Glu Met Gly Pro Gln Pro
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210 215 220
Pro Val Thr Val Thr Val Thr Asn Asn Thr Glu Lys Thr Val Lys Lys
225 230 235 240
Ile Lys Ala Phe Val Glu Gln Val Ala Asn Val Val Leu Tyr Ser Ser
245 250 255
Asp Tyr Tyr Val Lys Pro Val Ala Met Glu Glu Ala Gln Glu Lys Val
260 265 270
Pro Pro Asn Ser Thr Leu Thr Lys Thr Leu Thr Leu Leu Pro Leu Leu
275 280 285
Ala Asn Asn Arg Glu Arg Arg Gly Ile Ala Leu Asp Gly Lys Ile Lys
290 295 300
His Glu Asp Thr Asn Leu Ala Ser Ser Thr Ile Ile Lys Glu Gly Ile
305 310 315 320
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100 105 110
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Asp Ile Ala His Ile Leu Lys Gln Met Arg Arg Ala Ile Val Val Gly
245 250 255
Glu Arg Thr Gly Gly Gly Ala Leu Asp Leu Arg Lys Leu Arg Ile Gly
260 265 270
Glu Ser Asp Phe Phe Phe Thr Val Pro Val Ser Arg Ser Leu Gly Pro
275 280 285
Leu Gly Gly Gly Ser Gln Thr Trp Glu Gly Ser Gly Val Leu Pro Cys
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Thr Leu Arg Ser Ala Leu Pro Gly Val Val His Cys Leu Gln Glu Val
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Phe
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<213> Homo sapiens
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<400> 61
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35 40 45
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<211> 140
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 62
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