(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123050
(43)【公開日】2024-09-10
(54)【発明の名称】ヨウ素含有酸開裂性化合物、それから誘導されるポリマー、及びフォトレジスト組成物
(51)【国際特許分類】
C08F 212/04 20060101AFI20240903BHJP
C08F 220/12 20060101ALI20240903BHJP
G03F 7/039 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
C08F212/04
C08F220/12
G03F7/039 601
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024093304
(22)【出願日】2024-06-07
(62)【分割の表示】P 2022154811の分割
【原出願日】2022-09-28
(31)【優先権主張番号】17/490,923
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】デュポン エレクトロニック マテリアルズ インターナショナル,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】DUPONT ELECTRONIC MATERIALS INTERNATIONAL,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アカド、エマド
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジョンクン
(72)【発明者】
【氏名】ポペレ、ブーシャン シー.
(72)【発明者】
【氏名】ツイ、リー
(72)【発明者】
【氏名】ツェン、インチエ
(72)【発明者】
【氏名】リー、チョンボン
(57)【要約】
【課題】ヨウ素含有酸開裂性化合物、それから誘導されるポリマー、及びフォトレジスト組成物を提供する。
【解決手段】芳香族基又はヘテロ芳香族基を含む化合物であって、芳香族基又はヘテロ芳香族基が、エチレン性不飽和二重結合を含む第1の置換基と、ヨウ素原子である第2の置換基と、酸不安定基を含む第3の置換基とを含み、第1の置換基、第2の置換基、及び第3の置換基が、それぞれ芳香族基又はヘテロ芳香族基の異なる炭素原子に結合している化合物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物に由来する第1の繰り返し単位を含むポリマーであって、前記化合物が、芳香族基を含み、前記芳香族基が、
置換若しくは無置換ノルボルニル、置換若しくは無置換(メタ)アクリロイルオキシ、置換若しくは無置換ビニルエーテル、置換若しくは無置換ビニルケトン、置換若しくは無置換ビニルエステル、又は置換若しくは無置換ビニル芳香族から選択されるエチレン性不飽和二重結合を含む第1の置換基と、
ヨウ素原子である第2の置換基と、
酸不安定性基の開裂によりカルボン酸基を形成する当該酸不安定基を含む第3の置換基と、
を含み、前記第1の置換基、前記第2の置換基、及び前記第3の置換基が、それぞれ前記芳香族基の異なる炭素原子に結合し、
前記化合物が、式(1):
【化1】
(式(1)において、
Xは、置換若しくは無置換ノルボルニル、置換若しくは無置換(メタ)アクリロイルオキシ、置換若しくは無置換ビニルエーテル、置換若しくは無置換ビニルケトン、置換若しくは無置換ビニルエステル、又は置換若しくは無置換ビニル芳香族から選択される前記エチレン性不飽和二重結合を含む重合性基であり;
L
1は、単結合又は二価連結基であり;
L
2が、単結合であるか、-C(O)OC(X
1X
2)-であり、X
1及びX
2は、それぞれ独立して、水素、フッ素、無置換C
1~6アルキル、C
1~6フルオロアルキル、無置換C
3~6シクロアルキル、又はC
3~6フルオロシクロアルキルであり;
Ar
1は、置換若しくは無置換C
1~30アルキル、置換若しくは無置換C
1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C
3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C
1~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~30アルケニル、置換若しくは無置換C
2~30アルキニル、置換若しくは無置換C
6~30アリール、置換若しくは無置換C
7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C
7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C
3~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C
4~30アルキルヘテロアリール、又は置換若しくは無置換C
4~30ヘテロアリールアルキルのうちの1つ以上で任意選択的に更に置換されていてもよいC
6~30アリールであり;
R
1は前記酸不安定基を含み;
nは1以上の整数であり、
mは1以上の整数であるが、
n+mが10以下の整数であることを条件とし;
kは1である)
の化合物であり、
前記ポリマーが、酸不安定基を含む第2の繰り返し単位をさらに含む、ポリマー。
【請求項2】
R
1が式(2)又は(3):
【化2】
式(2)及び(3)において、
R
2~R
4は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C
1~20アルキル、置換若しくは無置換C
3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C
3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~20アルケニル、置換若しくは無置換C
3~20シクロアルケニル、置換若しくは無置換C
3~20ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換C
6~20アリール、又は置換若しくは無置換C
2~20ヘテロアリールであり、各R
2~R
4は、任意選択的には、その構造の一部として二価連結基を更に含んでいてもよいが、R
2~R
4から選択される2つ以上が水素であることはなく;及び
R
2~R
4のうちの1つが水素である場合には、R
2~R
4の他の少なくとも1つは置換若しくは無置換C
6~20アリール又は置換若しくは無置換C
3~20ヘテロアリールであることを条件とし;
R
2~R
4のうちのいずれか2つは、任意選択的には、単結合又は二価連結基を介して一緒に環を形成していてもよく、前記環は置換されているか無置換であり;
R
5及びR
6は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C
1~20アルキル、置換若しくは無置換C
3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C
3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
6~20アリール、又は置換若しくは無置換C
2~20ヘテロアリールであり;各R
5及びR
6は、任意選択的には、その構造の一部として二価連結基を更に含んでいてもよく;
R
5及びR
6は、任意選択的には、単結合又は二価連結基を介して一緒に環を形成していてもよく、前記環は置換されているか無置換であり;
R
7は、置換若しくは無置換C
1~20アルキル、置換若しくは無置換C
3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C
3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
6~20アリール、又は置換若しくは無置換C
2~20ヘテロアリールであり、R
7は、任意選択的には、その構造の一部として二価連結基を更に含んでいてもよく;
R
5とR
6のうちのいずれか1つ以上は、任意選択的には、単結合又は二価連結基を介してR
7と一緒に環を形成していてもよく、前記環は置換されているか無置換であり;
*及び*’は、それぞれL
2への結合部位を表す)
のうちの1つで表される、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
nが1又は2であり;
Xが(メタ)アクリロイルオキシであり;
L1が単結合であり;
Ar1が、置換若しくは無置換C1~10アルキル、置換若しくは無置換C1~10ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~10シクロアルキル、又は置換若しくは無置換C3~10ヘテロシクロアルキルのうちの1つ以上で任意選択的に更に置換されていてもよいC6~10アリールであり;
R2~R4が、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~10アルキル、置換若しくは無置換C3~8シクロアルキル、又は置換若しくは無置換C6~14アリールであるが、R2~R4から選択される2つ以上が水素であることはなく;及び
R2~R4のうちの1つが水素である場合には、R2~R4のうちの他の少なくとも1つは置換若しくは無置換C6~14アリールであることを条件とし;
R2~R4のうちのいずれか2つが、任意選択的には、単結合又は二価連結基を介して一緒に環を形成していてもよく、前記環は置換されているか無置換であり;
R5及びR6が、それぞれ独立して、水素、又は置換若しくは無置換C1~10アルキルであり;
R7が、置換若しくは無置換C1~10アルキル、置換若しくは無置換C3~8シクロアルキル、又は置換若しくは無置換C6~14アリールである;
請求項1に記載のポリマー。
【請求項4】
三級アルキルエステル基を含む第2の繰り返し単位を含む、請求項1に記載のポリマー。
【請求項5】
前記ポリマーが、前記ポリマーの主鎖へのペンダント基である極性基を含む第3の繰り返し単位を更に含み、前記極性基がラクトン、ヒドロキシアリール、又はフルオロアルコール基である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項6】
請求項1に記載のポリマーと;
光酸発生剤と;
溶媒と;
を含むフォトレジスト組成物。
【請求項7】
光分解性失活剤又は塩基性失活剤を更に含む、請求項6に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項8】
パターン形成方法であって、
請求項6に記載のフォトレジスト組成物の層を基板に塗布してフォトレジスト組成物層を得ること;
前記フォトレジスト組成物層を活性化放射にパターン状に露光して露光されたフォトレジスト組成物層を得ること;及び
前記露光されたフォトレジスト組成物層を現像してフォトレジストパターンを得ること;
を含むパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヨウ素含有酸開裂性化合物、これらの化合物から誘導されるポリマー、そのようなポリマーを含むフォトレジスト組成物、及びそのようなフォトレジスト組成物を使用するパターン形成方法に関する。本発明は、半導体製造業界におけるリソグラフィー用途に特に適用性を見出す。
【背景技術】
【0002】
フォトレジスト組成物は、基板上に配置された金属、半導体、又は誘電体層などの、1つ以上の下層にパターンを転写するために使用される感光性材料である。ポジ型の化学増幅フォトレジスト組成物は、従来、高解像度処理のために使用されている。そのようなレジスト組成物は、典型的には、酸不安定基を有するポリマーと光酸発生剤(PAG)とを含む。フォトレジスト組成物の層は、活性化放射にパターン様露光され、PAGは、露光領域に酸を発生させる。露光後ベーキング中に、酸は、ポリマーの酸不安定基の開裂を引き起こす。これは、現像剤溶液中でのフォトレジスト層の露光領域と非露光領域との間の溶解度特性の違いを生み出す。ポジ型現像(PTD)プロセスにおいて、フォトレジスト層の露光領域は、現像液、典型的には水性塩基現像液に可溶性になり、基板表面から除去される。現像液に不溶性である、非露光領域は、現像後に残ってポジ型レリーフ像を形成する。得られたレリーフ像は、基板の選択的な処理を可能にする。
【0003】
半導体デバイスの集積密度を高める及びナノメートル(nm)範囲での寸法を有する構造の形成を可能にするために、高解像能力を有するフォトレジスト及びフォトリソグラフィー処理ツールが開発されてきており、開発され続けている。半導体デバイスにおいてnmスケールのフィーチャサイズを達成するための1つのアプローチは、フォトレジスト層の露光のために、短波長を有する、例えば193nm以下の活性化放射を使用することである。リソグラフィー性能を更に改善するために、画像形成デバイスのレンズの開口数(NA)を効果的に増加させるための液浸リソグラフィーツールが開発されてきた。これは、画像形成デバイスの最終面と、半導体ウェハーの上面との間に、比較的高い屈折率の流体、典型的には水を使用することによって達成される。
【0004】
深紫外フッ化アルゴン(ArF)エキシマレーザー液浸ツールは、現在、多重(二重、三重、又はより高次)パターン形成技術を使用して、16nm及び14nmデバイスノードまでリソグラフィー処理の限界を押し上げている。しかしながら、多重パターン形成の使用は、単一ステップの直接画像形成パターンと比べて、材料使用の増加及び必要なプロセスステップ数の増加の観点からコストがかかり得る。そのため、先進デバイスノードのためには、13.5nmの極短波長の活性化放射を使用する次世代(例えば極紫外線、EUV)リソグラフィー用のフォトレジスト組成物の必要性が重要性を増してきている。これらのノードと関連した極端なフィーチャサイズで、フォトレジスト組成物の性能要件は、ますますより厳しくなってきている。望まれる性能特性には、例えば、活性化放射に対する高い感度、低い未露光膜厚減少(UFTL)、良好なコントラスト、高解像能、及び良好な線幅粗さ(LWR)が含まれる。
【0005】
EUVフォトレジスト感度を高める1つの方法は、13.5nmにおける吸収断面積を増やすことである。13.5nmにおける材料の吸収は原子特性であり、既知の原子吸収を使用して理論的に計算することができる。炭素、酸素、水素、及び窒素などの、レジスト材料を構成する典型的な原子は、非常に弱いEUV吸収を有する。フッ素原子は、わずかにより高い吸収を有し、大きいEUV吸収のフォトレジストの探求において使用されてきた。ヨウ素は、EUV放射で非常に大きい吸収断面積を有する。(特許文献1)、(特許文献2)、及び(特許文献3)には、リソグラフィー処理に有用なヨウ素含有モノマー及び対応するポリマーが記載されている。加えて、(特許文献4)には、カルボン酸基を有するヨウ素含有モノマーが記載されている。しかしながら、アルカリ可溶性の高いカルボン酸基を結合させると、露光されていない膜の厚さが減少し、そのため解像度が低下する可能性がある。
【0006】
したがって、13.5nmにおける良好な吸収、低下した未露光膜厚減少(UFTL)、改善されたLWR、又はそれらの組み合わせを有するEUVフォトレジストポリマーを得るための酸不安定化合物が当該技術分野において継続的に必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平2015-161823号公報
【特許文献2】米国特許第10,095,109B1号明細書
【特許文献3】米国特許第10,495,968B2明細書
【特許文献4】特開2018-95851号公報
【特許文献5】米国特許第8,431,325号明細書
【特許文献6】米国特許第4,189,323号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
芳香族基又はヘテロ芳香族基を含む化合物であって、芳香族基又はヘテロ芳香族基が、エチレン性不飽和二重結合を含む第1の置換基と、ヨウ素原子である第2の置換基と、酸不安定基を含む第3の置換基とを含み、第1の置換基、第2の置換基、及び第3の置換基が、それぞれ芳香族基又はヘテロ芳香族基の異なる炭素原子に結合している、化合物が提供される。
【0009】
また、本発明の化合物から誘導された第1の繰り返し単位を含むポリマーも提供される。別の態様は、本発明のポリマーと、光酸発生剤(PAG)と、溶媒とを含むフォトレジスト組成物を提供する。
【0010】
更に、別の態様は、パターンを形成する方法であって、本発明のフォトレジスト組成物の層を基板に塗布してフォトレジスト組成物層を得る工程と、フォトレジスト組成物層を活性化放射にパターン状に露光して露光されたフォトレジスト組成物層を得ることと、露光されたフォトレジスト組成物層を現像してレジストパターンを得る工程とを含む方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
例示的な実施形態がこれから詳細に言及され、それらの例が本記載で例示される。これに関連して、本例示的な実施形態は、異なる形態を有し得、本明細書に明記される記載に限定されると解釈されるべきではない。
【0012】
したがって、例示的な実施形態は、本記載の態様を説明するために、図に言及することによって、以下に記載されるにすぎない。本明細書で用いるところでは、用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目の1つ以上の任意の及び全ての組み合わせを包含する。「の少なくとも1つ」などの表現は、要素のリストに先立つ場合、要素の全リストを修飾し、リストの個々の要素を修飾しない。
【0013】
本明細書で用いるところでは、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、量の制限を意味せず、本明細書で特に示さないか又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。「又は」は、特に明記しない限り、「及び/又は」を意味する。量に関連して用いられる修飾語句「約」は、表明値を含み、前後関係(例えば、特定の量の測定と関連したエラーの度合いを含む)によって決定される意味を有する。本明細書で開示される全ての範囲は、終点を含み、終点は、独立して、互いに合体できる。接尾辞「(s)」は、それが修飾する用語の単数形及び複数形の両方を含み、それによってその用語の少なくとも1つを含むことを意図する。「任意選択の」又は「任意選択的に」は、その後に記載される事象又は状況が起こり得るか又は起こり得ないこと、及びその記載は、事象が起こる場合及び事象が起こらない場合を含むことを意味する。用語「第1」、「第2」等は、本明細書では、順番、量、又は重要性を意味せず、むしろ1つの要素を別の要素から区別するために用いられる。要素が別の要素「上」にあると言われる場合、それは、他の要素と直接に接触し得るか、又は介在要素がそれらの間に存在し得る。対照的に、要素が別の要素の「直接上に」あると言われる場合、介在要素は、存在しない。態様の記載される成分、要素、制限、及び/又は特徴は、様々な態様では任意の適切な方法で組み合わされ得ることが理解されるべきである。
【0014】
別に定義しない限り、本明細書で用いられる全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。一般に使用される辞書において定義されるものなどの、用語は、関連技術分野及び本開示との関連でそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明確にそのように定義しない限り、理想的な意味又は過度に形式的な意味で解釈されないことが更に理解されるであろう。
【0015】
本開示において、「化学線」又は「放射」は、例えば、水銀ランプの輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子ビームやイオンビームなどの粒子線等を意味する。更に、本発明において、「光」は、化学線又は放射を意味する。フッ化クリプトンレーザー(KrFレーザー)は、特定のタイプのエキシマレーザーであり、エキシプレックス(exciplex)レーザーと呼ばれる場合がある。「エキシマ」は「励起二量体(excited dimer)」の略であり、「エキシプレックス」は「励起錯合体(excited complex)」の略である。エキシマレーザーは、希ガス(アルゴン、クリプトン、又はキセノン)とハロゲンガス(フッ素又は塩素)の混合物を使用し、電気刺激と高圧の適切な条件下で、干渉性の(coherent)刺激放射(レーザー光)を紫外範囲で放出する。更に、本明細書における「露光」には、特に明記しない限り、水銀ランプ、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、極紫外線(EUV光)等による露光のみならず、電子ビーム及びイオンビームなどの粒子線による書き込みも含まれる。
【0016】
本明細書で用いるところでは、用語「炭化水素」は、少なくとも1個の炭素原子と少なくとも1個の水素原子とを有する有機化合物を指し;「アルキル」は、明記された数の炭素原子を有し、且つ1の価数を有する直鎖若しくは分岐鎖の飽和炭化水素基を指し;「アルキレン」は、2の価数を有するアルキル基を指し;「ヒドロキシアルキル」は、少なくとも1個のヒドロキシル基(-OH)で置換されたアルキル基を指し;「アルコキシ」は、「アルキル-O-」を指し;「カルボキシル」及び「カルボン酸基」は、式「-C(=O)-OH」を有する基を指し;「シクロアルキル」は、全ての環員が炭素である1つ以上の飽和環を有する一価基を指し;「シクロアルキレン」は、2の価数を有するシクロアルキル基を指し;「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を有する直鎖若しくは分岐鎖の一価炭化水素基を指し;「アルケノキシ」は、「アルケニル-O-」を指し;「アルケニレン」は、2の価数を有するアルケニル基を指し;「シクロアルケニル」は、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を持った、少なくとも3個の炭素原子を有する非芳香族環状二価炭化水素基を指し;「アルキニル」は、少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を有する一価炭化水素基を指し;用語「芳香族基」は、Huckel則(4n+2π個の電子)を満たし、環中に炭素原子を含む単環式又は多環式の芳香環系を指し;用語「ヘテロ芳香族基」は、環中の炭素原子の代わりに、N、O、及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子(例えば1~4個のヘテロ原子)を含む芳香族基を指し;「アリール」は、全ての環員が炭素である一価の単環式若しくは多環式芳香環系を指し、少なくとも1つのシクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環に縮合した芳香環を持った基を含んでいてもよく;「アリーレン」は、2の価数を有するアリール基を指し;「アルキルアリール」は、アルキル基で置換されているアリール基を指し;「アリールアルキル」は、アリール基で置換されているアルキル基を指し;「アリールオキシ」は、「アリール-O-」を指し;「アリールチオ」は、「アリール-S-」を指す。
【0017】
接頭辞「ヘテロ」は、化合物又は基が、炭素原子の代わりにヘテロ原子(例えば、1、2、3、若しくは4個、又はそれ以上のヘテロ原子)である少なくとも1つの構成原子を含み、ヘテロ原子が、それぞれ独立して、N、O、S、Si、又はPであることを意味し;「ヘテロ原子含有基」は、少なくとも1つのヘテロ原子を含む置換基を指し;「ヘテロアルキル」は、炭素の代わりに少なくとも1つのヘテロ原子を有するアルキル基を指す。
【0018】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、炭素の代わりに環構成原子としてN、O、又はSから独立して選択される少なくとも1個のヘテロ原子を有するシクロアルキル基を指し;「ヘテロシクロアルキレン」は、2の価数のヘテロシクロアルキル基を指す。1つのヘテロ原子を含む例示的な3員ヘテロシクロアルキル基としては、アジリジニル、オキシラニル、及びチイラニルが挙げられる。1つのヘテロ原子を含む例示的な4員ヘテロシクロアルキル基としては、アゼチジニル、オキセタニル、及びチエタニルが挙げられる。1つのヘテロ原子を含む例示的な5員ヘテロシクロアルキル基としては、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロチオフェニル、ピロリジニル、ジヒドロピロリル、及びピロリル-2,5-ジオンが挙げられる。2個のヘテロ原子を含む例示的な5員ヘテロシクロアルキル基としては、ジオキソラニル、オキサチオラニル、及びジチオラニルが挙げられる。3個のヘテロ原子を含む例示的な5員ヘテロシクロアルキル基としては、トリアゾリニル、オキサジアゾリニル、及びチアジアゾリニルが挙げられる。1つのヘテロ原子を含む例示的な6員ヘテロシクロアルキル基としては、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピリジニル、及びチアニルが挙げられる。2個のヘテロ原子を含む例示的な6員ヘテロシクロアルキル基としては、ピペラジニル、モルホリニル、ジチアニル、及びジオキサニルが挙げられる。3個のヘテロ原子を含む例示的な6員ヘテロシクロアルキル基としては、トリアジナニルが挙げられる。1つのヘテロ原子を含む例示的な7員ヘテロシクロアルキル基としては、アゼパニル、オキセパニル、及びチエパニルが挙げられる。1つのヘテロ原子を含む例示的な8員ヘテロシクロアルキル基としては、アゾカニル、オキセカニル、及びチオカニルが挙げられる。例示的な二環式ヘテロシクロアルキル基としては、インドリニル、イソインドリニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチエニル、テトラヒドロベンゾチエニル、テトラヒドロベンゾフラニル、テトラヒドロインドリル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、デカヒドロイソキノリニル、オクタヒドロクロメニル、オクタヒドロイソクロメニル、デカヒドロナフチリジニル、デカビヒドロ-1,8-ナフチリジニル、オクタヒドロピロロ[3,2-b]ピロール、インドリニル、フタルイミジル、ナフタルイミジル、クロマニル、クロメニル、1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピニル、1,4,5,7-テトラヒドロピラノ[3,4-b]ピロリル、5,6-ジヒドロ-4H-フロ[3,2-b]ピロリル、6,7-ジヒドロ-5H-フロ[3,2-b]ピラニル、5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラニル、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジニル、2,3-ジヒドロフロ[2,3-b]ピリジニル、4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジニル、4,5,6,7-テトラヒドロフロ[3,2-c]ピリジニル、4,5,6,7-テトラヒドロチエノ[3,2-b]ピリジニル、及び1,2,3,4-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジニルが挙げられる。
【0019】
用語「ヘテロアリール」は、N、O、又はSからそれぞれ独立して選択される1~4個のヘテロ原子(単環式の場合)、1~6個のヘテロ原子(二環式の場合)、又は1~9個のヘテロ原子(三環式の場合)を有する4~8員の単環式、8~12員の二環式、又は11~14員の三環式芳香族環系を意味する(例えば、単環式、二環式、又は三環式の場合、それぞれ、炭素原子と、N、O、又はSから独立して選択される1~3、1~6、又は1~9個のヘテロ原子)。1つのヘテロ原子を含む例示的な5員ヘテロアリール基としては、ピロリル、フラニル、及びチオフェニルが挙げられる。2個のヘテロ原子を含む例示的な5員ヘテロアリール基としては、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、及びイソチアゾリルが挙げられる。3個のヘテロ原子を含む例示的な5員ヘテロアリール基としては、トリアゾリル、オキサジアゾリル、及びチアジアゾリルが挙げられる。4個のヘテロ原子を含む例示的な5員ヘテロアリール基としては、テトラゾリルが挙げられる。1つのヘテロ原子を含む例示的な6員ヘテロアリール基としては、ピリジニルが挙げられる。2個のヘテロ原子を含む例示的な6員ヘテロアリール基としては、ピリダジニル、ピリミジニル、及びピラジニルが挙げられる。3個又は4個のヘテロ原子を含む例示的な6員ヘテロアリール基としては、それぞれトリアジニル及びテトラジニルが挙げられる。1つのヘテロ原子を含む例示的な7員ヘテロアリール基としては、アゼピニル、オキセピニル、及びチエピニルが挙げられる。例示的な5,6-二環式ヘテロアリール基としては、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾイソフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズチアジアゾリル、インドリジニル、及びプリニルが挙げられる。例示的な6,6-二環式ヘテロアリール基としては、ナフチリジニル、プテリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キノキサリニル、フタラジニル、及びキナゾリニルが挙げられる。例示的な三環式ヘテロアリール基としては、限定するものではないが、フェナントリジニル、ジベンゾフラニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、及びフェナジニルが挙げられる。
【0020】
用語「ハロゲン」は、フッ素(フルオロ)、塩素(クロロ)、臭素(ブロモ)、又はヨウ素(ヨード)である一価置換基を意味する。接頭辞「ハロ」は、水素原子の代わりにフルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨード置換基のうちの1つ又はそれ以上を含む基を意味する。ハロ基の組み合わせ(例えば、ブロモ及びフルオロ)、又はフルオロ基のみが存在していてもよい。例えば、「ハロアルキル」という用語は、1つ以上のハロゲンで置換されたアルキル基を指す。本明細書で使用される「置換C1~8ハロアルキル」は、少なくとも1つのハロゲンで置換されたC1~8アルキル基を指し、ハロゲンではない1つ以上の他の置換基で更に置換されている。ハロゲン原子は炭素原子を置換しないため、ハロゲン原子による基の置換は、ヘテロ原子含有基とみなされるべきではないことが理解されるべきである。
【0021】
「フッ素化」という用語は、ハロゲンの代わりに基の中へ組み込まれた1個以上のフッ素原子を有することを意味する。例えば、C1~18フルオロアルキル基が示されている場合、そのフルオロアルキル基は、1個以上のフッ素原子、例えば、単一のフッ素原子、2個のフッ素原子(例えば1,1-ジフルオロエチル基など)、3個のフッ素原子(例えば2,2,2-トリフルオロエチル基など)、又は炭素の各価数におけるフッ素原子(例えば-CF3、-C2F5、-C3F7、又は-C4F9などのペルフルオロ基など)を含むことができる。「置換フルオロアルキル基」は、フッ素原子を含まない少なくとも1つの追加の置換基によって更に置換されたフルオロアルキル基を意味すると理解されるものとする。
【0022】
前述した置換基のそれぞれは、別途明示的に示されていない限り、任意選択的に置換されていてもよい。「任意選択的に置換されていてもよい」という用語は、置換若しくは無置換であることを指す。「置換された」は、化学構造又は基の少なくとも1つの水素原子が、指定された原子の通常の価数を超えないことを条件として、典型的には一価である別の末端置換基で置き換えられていることを意味する。置換基がオキソ(すなわち=O)である場合、炭素原子上の2つのジェミナル水素原子が末端オキソ基で置き換えられている。オキソ基は、二重結合を介して炭素に結合してカルボニル(C=O)を形成し、カルボニル基は本明細書では-C(O)-として表されることに更に留意される。置換基又は変数の組み合わせが許容される。「置換」位置に存在し得る例示的な置換基としては、ニトロ(-NO2)、シアノ(-CN)、ヒドロキシル(-OH)、オキソ(O)、アミノ(-NH2)、モノ-又はジ-(C1~6)アルキルアミノ、アルカノイル(アシルなどのC2~6アルカノイル基など)、ホルミル(-C(O)H)、カルボン酸又はそのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩;C2~6アルキルエステル(-C(O)O-アルキル又は-OC(O)-アルキル)、C7~13アリールエステル(-C(O)O-アリール又は-OC(O)-アリール)などのエステル(アクリレート、メタクリレート、及びラクトンを含む);アミド(-C(O)NR2、式中、Rは水素又はC1~6アルキルである)、カルボキサミド(-CH2C(O)NR2、式中、Rは水素又はC1~6アルキルである)、ハロゲン、チオール(-SH)、C1~6アルキルチオ(-S-アルキル)、チオシアノ(-SCN)、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C1~9アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、C3~12シクロアルキル、C5~18シクロアルケニル、C2~18ヘテロシクロアルケニル、少なくとも1つの芳香環(例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチルなど、それぞれの環は、置換又は無置換芳香族)を有するC6~12アリール、1~3個の分離した環又は縮合環と6~18個の環炭素原子とを有するC7~19アリールアルキル、1~3個の分離した環又は縮合環と6~18個の環炭素原子とを有するアリールアルコキシ、C7~12アルキルアリール、C3~12ヘテロシクロアルキル、C3~12ヘテロアリール、C1~6アルキルスルホニル(-S(O)2-アルキル)、C6~12アリールスルホニル、(-S(O)2-アリール)、又はトシル(CH3C6H4SO2-)が挙げられるが、これらに限定されない。基が置換されている場合、炭素原子の示されている数は、任意の置換基の炭素原子を除いた、基における炭素原子の総数である。例えば、基-CH2CH2CNは、シアノ基で置換されたC2アルキル基である。
【0023】
本明細書において、別途定義されない限り「二価連結基」は、-O-、-S-、-Te-、-Se-、-C(O)-、-N(R’)-、C(O)N(R’)-、-S(O)-、-S(O)2-、-C(S)-、-C(Te)-、-C(Se)-、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリーレン、又はこれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む二価の基を指し、各R’は、独立して、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C1~20ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、又は置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールである。典型的には、二価連結基は、-O-、-S-、-C(O)-、-N(R’)-、-S(O)-、-S(O)2-、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリーレン、又はこれらの組み合わせのうちの1つ以上を含み、R’は、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C1~20ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、又は置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールである。より典型的には、二価連結基は、-O-、-S-、-C(O)-、-C(O)O-、-N(R’)-、-C(O)N(R’)-、置換若しくは無置換C1~10アルキレン、置換若しくは無置換C3~10シクロアルキレン、置換若しくは無置換C3~10ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~10アリーレン、置換若しくは無置換C3~10ヘテロアリーレン、又はこれらの組み合わせを含み、R’は、水素、置換若しくは無置換C1~10アルキル、置換若しくは無置換C1~10ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C6~10アリール、又は置換若しくは無置換C3~10ヘテロアリールである。
【0024】
本明細書で用いるところでは、「酸不安定基」は、酸の触媒作用によって、任意選択的に及び典型的には熱処理を伴って、結合が開裂し、カルボン酸基又はアルコール基などの極性基の形成をもたらす基を指し、ポリマー上に形成され、任意選択的に及び典型的には、開裂された結合に連結している部位はポリマーから切り離される。別の系では、非ポリマー系化合物は酸の作用によって開裂され得る酸不安定基を含むことができ、非ポリマー系化合物の開裂した部分にカルボン酸基やアルコール基などの極性基が形成される。そのような酸は、典型的には、露光後ベーク(PEB)中に結合開裂が起こる光により生成する酸である。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、そのような酸は熱的に生成されてもよい。好適な酸不安定基には、例えば:三級アルキルエステル基、二級若しくは三級アリールエステル基、アルキル基とアリール基との組み合わせを有する二級若しくは三級エステル基、三級アルコキシ基、アセタール基、又はケタール基が含まれる。酸不安定基はまた一般に、当技術分野において、「酸開裂可能基」、「酸開裂可能保護基」、「酸不安定保護基」、「酸脱離基」、「酸分解可能基」、及び「酸感受性基」とも言われる。
【0025】
用語「不飽和結合」は、二重結合又は三重結合を指す。「不飽和」又は「部分的に不飽和」という用語は、少なくとも1つの二重結合又は三重結合を含む部位を指す。「飽和」という用語は、二重結合又は三重結合を含まない部位、すなわち単結合のみを含む部位を指す。
【0026】
本明細書で使用される「(メタ)アクリル」という用語は、アクリル種とメタクリル種(すなわちアクリルモノマー及びメタクリルモノマー)の両方を含み、「(メタ)アクリレート」という用語は、アクリレート種とメタクリレート種(すなわちアクリレートモノマー及びメタクリレートモノマー)の両方を含む。
【0027】
ヨウ素は、EUV放射(すなわち13.5nm)に対して著しく高い吸収断面積を有する。しかしながら、ヨウ素による官能化は、有機分子の疎水性を高める。例えば、露光後ベーク工程後のヨウ素を多く含む副生成物の生成によって、アルカリ現像液による露光領域の完全な又はきれいな現像ができなくなる可能性がある。これらの困難を克服するために、本発明は、酸不安定基で保護された1つ以上のヨウ素置換基と1つ以上のカルボン酸官能基とを含む酸不安定化合物を提供する。未露光膜の厚さを損なうことなしに、EUV露光波長において増加したレジスト吸収を有するフォトレジストポリマーを提供するために、酸への不安定性を使用することができる。酸不安定化合物に由来する繰り返し単位の酸触媒による脱保護により、親水性且つアルカリ現像液に可溶性のヨウ素含有構造単位が得られる。加えて、脱保護の際、ヨウ素含有構造単位はポリマーの主鎖に結合したままであるため、露光後ベーク後に残る脱保護生成物はヨウ素を含まない。
【0028】
本発明のヨウ素含有化合物は、芳香族基又はヘテロ芳香族基を含み、芳香族基又はヘテロ芳香族基は、エチレン性不飽和二重結合を含む第1の置換基と、ヨウ素原子である第2の置換基と、酸不安定基を含む第3の置換基を含む。第1の置換基、第2の置換基、及び第3の置換基は、芳香族基又はヘテロ芳香族基の異なる炭素原子にそれぞれ結合している。
【0029】
本明細書において使用される「芳香族基又はヘテロ芳香族基」は、単環式若しくは多環式のC6~60芳香族基又は単環式若しくは多環式のC3~60ヘテロ芳香族基を指す。C6~60芳香族基が多環式である場合、環又は環基は縮合(ナフチルなど)又は直接結合(ビアリール、ビフェニルなど)していてもよい。一実施形態では、多環式芳香族基は、縮合している環又は環基と、直接結合している環又は環基との組み合わせ(ビナフチルなど)を含み得る。C3~60ヘテロ芳香族基が多環式である場合、環又は環基は、縮合しているか、直接結合しているか、又は縮合している環若しくは環基と直接結合している環若しくは環基との組み合わせであってよい。
【0030】
芳香族基又はヘテロ芳香族基の第1の置換基は、エチレン性不飽和二重結合を含む。本明細書で使用される「エチレン性不飽和二重結合」は、ビニル含有重合性基を指し、典型的には、置換若しくは無置換C2~20アルケニル、置換若しくは無置換ノルボルニル、置換若しくは無置換(メタ)アクリル、置換若しくは無置換ビニルエーテル、置換若しくは無置換ビニルケトン、置換若しくは無置換ビニルエステル、又は置換若しくは無置換ビニル芳香族から選択することができる。
【0031】
芳香族基又はヘテロ芳香族基の第2の置換基はヨウ素原子(-I)である。第2の置換基は、1つ以上のヨウ素原子を含み得ることが理解されるべきである。いくつかの態様では、第2の置換基は、1~9個のヨウ素原子、又は1~5個のヨウ素原子、又は1~3個のヨウ素原子、又は1若しくは2個のヨウ素原子を含むことができる。言い換えると、ヨウ素含有化合物は、1~9個のヨウ素原子、又は1~5個のヨウ素原子、又は1~3個のヨウ素原子、又は1若しくは2個のヨウ素原子を含み得る。
【0032】
芳香族基又はヘテロ芳香族基の第3の置換基は、酸不安定基を含む。第3の置換基は、1つの酸不安定基を含んでいてもよく、或いは互いに同じであるか異なる2つ以上の酸不安定基を含んでいてもよいことが理解されるべきである。いくつかの態様では、第3の置換基は、1~5個の異なる酸不安定基、又は1~3個の異なる酸不安定基、又は2個の異なる酸不安定基、又は単一の酸不安定基(すなわち1つの酸不安定基)を含み得る。言い換えると、ヨウ素含有化合物は、1~5個の異なる酸不安定基、又は1~3個の異なる酸不安定基、又は2個の異なる酸不安定基、又は単一の酸不安定基(すなわち1つの酸不安定基)を含み得る。
【0033】
第3の置換基の適切な酸不安定基としては、例えば、三級アルキルエステル基、二級若しくは三級アリールエステル基、アルキル基とアリール基との組み合わせを有する二級若しくは三級エステル基、三級アルコキシ基、アセタール基、又はケタール基のうちの1つ以上が挙げられる。
【0034】
いくつかの実施形態では、第2の置換基の数と第3の置換基の数は、合計すると、10以下、又は2~6であるか、又は2~4である。言い換えると、ヨウ素含有化合物は合計で10個以下のヨウ素原子と酸不安定基を組み合わせて含むことができ、或いは、例えばヨウ素原子と酸不安定基の合計数は2~6、より典型的には2~4である。
【0035】
いくつかの態様では、第1の置換基は、酸不安定基又は酸脱離基を含まない。言い換えると、いくつかの態様では、ヨウ素含有化合物は、三級アルキルエステル基、二級若しくは三級アリールエステル基、アルキル基とアリール基との組み合わせを有する二級若しくは三級エステル基、三級アルコキシ基、アセタール基、又はケタール基ではない重合性基(すなわちエチレン性不飽和二重結合)を含む。例えば、本発明の化合物の第1の置換基は、(メタ)アクリル又はビニル(例えば置換若しくは無置換C2~12アルケニル)であってよい
【0036】
いくつかの態様では、化合物は式(1)で表すことができる:
【化1】
【0037】
式(1)において、Ar1は、芳香族基又はヘテロ芳香族基であり、第1の置換基は-L1-Xで表され、第2の置換基は-Iで表され、第3の置換基は-L2-R1で表される。
【0038】
Ar1は、C6~30アリール又はC3~30ヘテロアリールであり、それぞれ、任意選択的には、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C2~30アルキニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C4~30アルキルヘテロアリール、又は置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールアルキルのうちの1つ以上で更に置換されていてもよい。
【0039】
「更に置換された」は、C6~30アリール基又はC3~30ヘテロアリール基が、式(1)の必要に応じて少なくとも第1の置換基(-L1-X)、第2の置換基(I)n、及び第3の置換基(-L2-R1)で置換されており、且つC6~30アリール基又はC3~30ヘテロアリール基が、任意選択的に、第1の置換基、第2の置換基、及び第3の置換基とは異なる1つ以上の他の置換基で更に置換されていてもよいことが理解されるべきである。典型的には、Ar1は、C6~30アリールであり、任意選択的には置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキル、又はこれらの組み合わせで更に置換されていてもよい。
【0040】
式(1)において、Xはエチレン性不飽和二重結合を含む重合性基である。好ましくは、Xは(メタ)アクリル又は置換若しくは無置換C2~12アルケニルである。
【0041】
式(1)において、L1は、単結合又は二価連結基である。例えば、L1は、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリーレン、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)NR1a-、又は-N(R1b)-のうちの1つ以上を含む二価連結基であってよく、R1a及びR1bは、それぞれ独立して水素又はC1~6アルキルである。
【0042】
式(1)において、第1の置換基は部位-L1-Xによって定義することができ、L1は単結合又は二価の連結基であり、Xはエチレン性不飽和二重結合を含む重合性基である。典型的には、Xは、置換若しくは無置換C2~20アルケニル、置換若しくは無置換ノルボルニル、又は置換若しくは無置換(メタ)アクリルである。例えば、第1の置換基が置換若しくは無置換ビニル芳香族基を含む場合、第1の置換基-L1-Xにおいて、-L1は置換若しくは無置換の二価C7アルキルアリール基(又はC7アリールアルキル基)であり、XはC2アルケニルである。
【0043】
式(1)において、nは、芳香族基又はヘテロ芳香族基に直接結合しているヨウ素原子の数を表し、1以上の整数である。いくつかの態様では、nは1~9の整数、又は1~7の整数、又は1~5の整数、又は1~4の整数、又は1~3の整数、又は1又は2である。好ましくは、nは1又は2である。
【0044】
式(1)において、mは第3の置換基の数を表し、第3の置換基は部位-L2-R1によって定義することができ、1以上の整数である。いくつかの態様では、mは、好ましくは1~5の整数、又は1~4の整数、又は1~3の整数、又は1若しくは2である。好ましくは、mは1~3の整数である。
【0045】
式(1)において、nとmの和(n+m)は10以下の整数である。例えば、nとmの合計(n+m)は、2~8、又は2~6、又は2~4の整数とすることができる。好ましくは、nとmの合計(n+m)は、2~4の整数である。
【0046】
式(1)において、kは1~5の整数である。典型的には、kは1である。
【0047】
式(1)において、R1は酸不安定基を含む。例示的な酸不安定基としては、三級アルキルエステル基、二級若しくは三級アリールエステル基、アルキル基とアリール基との組み合わせを有する二級若しくは三級エステル基、三級アルコキシ基、アセタール基、又はケタール基が挙げられる。
【0048】
いくつかの態様では、R
1は、式(2)又は式(3)のうちの1つによって表される構造を有し得る:
【化2】
【0049】
式(2)において、R2~R4は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~20アルケニル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルケニル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換C6~20アリール、又は置換若しくは無置換C2~20ヘテロアリールであるが、ただし、R2~R4から選択される2つ以上が水素であることはなく、及びR2~R4のうちの1つが水素である場合には、R2~R4の他の少なくとも1つは置換若しくは無置換C6~20アリール又は置換若しくは無置換C3~20ヘテロアリールであることを条件とする。各R2~R4は、任意選択的には、その構造の一部として二価連結基を更に含んでいてもよい。例えば、各R2~R4は、その構造の一部として-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-S-、-S(O)2-、-N(R2a)-、又は-C(O)N(R2b)-から選択される1つ以上の基を更に含んでいてもよく、R2a及びR2bは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、又は置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキルである。典型的には、R2~R4は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~10アルキル、置換若しくは無置換C3~8シクロアルキル、又は置換若しくは無置換C6~14アリールである。
【0050】
式(3)において、R5及びR6は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~20アリール、又は置換若しくは無置換C2~20ヘテロアリールである。各R5及びR6は、任意選択的には、その構造の一部として二価連結基を更に含んでいてもよい。例えば、各R5及びR6は、その構造の一部として-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-S-、-S(O)2-、-N(R3a)-、又は-C(O)N(R3b)-から選択される1つ以上の基を更に含んでいてもよく、R3a及びR3bは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、又は置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキルである。典型的には、R5及びR6は、それぞれ独立して、水素又は置換若しくは無置換C1~10アルキルである。
【0051】
式(3)において、R7は、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~20アリール、又は置換若しくは無置換C3~20ヘテロアリールである。R7は、任意選択的には、その構造の一部として二価連結基を更に含んでいてもよい。典型的には、R7は、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~8シクロアルキル、又は置換若しくは無置換C6~14アリールであってよい。
【0052】
式(2)において、R2、R3、又はR4のうちのいずれか2つは、任意選択的には、単結合又は二価の連結基を介して一緒に環を形成していてもよく、環は置換されているか無置換である。式(3)において、R5及びR6は、任意選択的には、単結合又は二価の連結基を介して一緒に環を形成していてもよく、環は置換されているか無置換である。式(3)において、R5又はR6のうちのいずれか1つ以上は、任意選択的には、単結合又は二価の連結基を介してR7と一緒に環を形成していてもよく、環は置換されているか無置換である。
【0053】
式(2)及び(3)において、*及び*’は、それぞれL2への結合部位を表す。L2が単結合である場合には、対応する*又は*’はAr1への結合部位を示すことが理解されるべきである。
【0054】
1つ以上の実施形態では、式(1)、(2)、及び(3)において、nは1又は2であり;Xは(メタ)アクリル又は置換若しくは無置換C2~12アルケニルであり;L1は単結合であり;L2は単結合又は-C(O)OC(X1X2)-であり、X1及びX2は、それぞれ独立して水素、フッ素、無置換C1~6アルキル、C1~6フルオロアルキル、無置換C3~6シクロアルキル、又はC3~6フルオロシクロアルキルであり、典型的には、X1及びX2は水素であり;Ar1は、置換若しくは無置換C1~10アルキル、置換若しくは無置換C1~10ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~10シクロアルキル、又は置換若しくは無置換C3~10ヘテロシクロアルキルのうちの1つ以上で任意選択的に更に置換されていてもよいC6~10アリールである。この実施形態では、R2~R4は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~10アルキル、置換若しくは無置換C3~8シクロアルキル、又は置換若しくは無置換C6~14アリールであるが、ただし、R2~R4から選択される2つ以上が水素であることはなく;及びR2~R4のうちの1つが水素である場合には、R2~R4の他の少なくとも1つは置換若しくは無置換C6~14アリールであることを条件とし;R2~R4のうちのいずれか2つは、任意選択的には、単結合又は二価連結基を介して一緒に環を形成していてもよく、この環は置換されているか無置換であり;R5及びR6は、それぞれ独立して、水素又は置換若しくは無置換C1~10アルキルであり;R7は、置換若しくは無置換C1~10アルキル、置換若しくは無置換C3~8シクロアルキル、又は置換若しくは無置換C6~14アリールである。
【0055】
例示的なヨウ素含有化合物としては、以下のものを挙げることができる:
【化3】
【0056】
本明細書に記載の本発明の化合物に由来する第1の繰り返し単位を含むポリマーも提供される。当該技術分野で理解されるように、本発明の化合物は、ポリマーを調製するために使用されるモノマーとして使用することができ、得られるポリマーは、本発明の化合物から誘導される第1の繰り返し単位を含む。本発明の化合物は、本明細書では本発明のモノマー化合物、又は便宜上単に「モノマー化合物」とも呼ばれる。本発明の化合物は、本明細書では「第1のモノマー」とも呼ばれる場合がある。
【0057】
本発明のモノマー化合物に由来する第1の繰り返し単位は、ポリマー中の総繰り返し単位を基準として、典型的には0.1~50モルパーセント(モル%)、より典型的には1~25モル%、更に典型的には5から15モル%の量でポリマー中に存在する。
【0058】
ポリマーが本発明のモノマー化合物に由来する第1の繰り返し単位を含む場合、構造単位は、ポリマー主鎖から酸で切断されないヨウ素含有芳香族部分又はヘテロ芳香族基部分を含む。本発明者らは、驚くべきことに、第1の繰り返し単位を含むポリマーが照射(及びその後のPEB)にさらされると、ヨウ素置換芳香族基がポリマー主鎖に結合したまま残り、そのためEUV吸収を増強することを見出した。
【0059】
いくつかの態様では、ポリマーは、酸不安定基を含む繰り返し単位を更に含んでいてもよく、言い換えると、ポリマーは、第1の酸不安定基(例えば第3の置換基)を含む本発明のモノマー化合物由来の第1の繰り返し単位と、第2の酸不安定基を含む第2の繰り返し単位とを含み、ここでの第2の酸不安定基は第1の酸不安定基とは異なる。
【0060】
1つ以上の実施形態では、ポリマーは、式(4)、(5)、(6)、(7)、又は(8)のうちの1つ以上によって表されるモノマーに由来する酸に不安定な繰り返し単位を含み得る:
【化4】
【0061】
式(4)、(5)及び(6)において、Ra、Rb、及びRcは、それぞれ独立して、水素、フッ素、シアノ、又は置換若しくは無置換C1~10アルキルであってよい。好ましくは、Ra、Rb、及びRcは、それぞれ独立して、水素、フッ素、又は置換若しくは無置換C1~5アルキル、典型的にはメチルであってよい。
【0062】
式(4)において、L3は二価連結基である。例えば、L3は、1~10個の炭素原子と少なくとも1個のヘテロ原子とを含んでいてもよい。典型的な例において、L1は、-OCH2-、-OCH2CH2O-、又は-N(R4a)-であってもよく、ここで、R4aは、水素又はC1~6アルキルである。
【0063】
式(4)及び(5)において、R8~R13は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~20アルケニル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルケニル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換C6~20アリール、又は置換若しくは無置換C3~20ヘテロアリールであるが、R8~R10のうちの1つのみが水素であることができ、且つR11~R13のうちの1つのみが水素であることができ、またR8~R10のうちの1つが水素である場合には、他のR8~R10のうちの少なくとも1つは置換若しくは無置換のC6~20アリール又は置換若しくは無置換のC3~20ヘテロアリールであり、R11~R13のうちの1つが水素である場合には、他のR11~R13うちの少なくとも1つは置換若しくは無置換のC6~20アリール又は置換若しくは無置換のC3~20ヘテロアリールであることを条件とする。好ましくは、R8~R13は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換のC1~6アルキル又は置換若しくは無置換のC3~10シクロアルキルである。各R8~R13は、任意選択的には、その構造の一部として二価連結基を更に含んでいてもよい。
【0064】
例えば、R8~R13のいずれか1つ以上は、独立して、式-CH2C(O)CH(3~n)Yn又は-CH2C(O)OCH(3~n)Ynの基であってよく、各Yは、独立して、置換又は無置換のC3~10ヘテロシクロアルキルであり、nは1又は2である。例えば、各Yは、独立して、式-O(Ca1)(Ca2)O-の基を含む置換若しくは無置換C3~10ヘテロシクロアルキルであってよく、式中、Ca1及びCa2は、それぞれ独立して、水素又は置換若しくは無置換アルキルであり、Ca1及びCa2は、任意選択的に一緒に環を形成していてもよい。
【0065】
式(4)において、R8~R10のいずれか2つは任意選択的には環を形成していてもよく、これはその構造の一部として二価連結基を更に含んでいてもよく、この環は置換されていても無置換であってもよい。式(5)において、R11~R13のいずれか2つは任意選択的には一緒に環を形成していてもよく、これはその構造の一部として二価連結基を更に含んでいてもよく、この環は置換されていても無置換であってもよい。
【0066】
式(6)及び(8)において、R14、R15、R20、及びR21は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~20アリール、又は置換若しくは無置換C3~20ヘテロアリールであってよく;R16及びR22は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、又は置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキルである。好ましくは、R14、R15、R20、及びR21は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、又は置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキルであってよい。R14、R15、R20、及びR21のそれぞれは、任意選択的にはその構造の一部として二価連結基を更に含んでいてもよい。
【0067】
式(4)において、R14~R16のいずれか2つは任意選択的には一緒に環を形成していてもよく、これはその構造の一部として二価連結基を更に含んでいてもよく、この環基は置換されていても無置換であってもよい。
【0068】
式(7)において、R17~R19は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~20アリール、又は置換若しくは無置換C3~20ヘテロアリールであるが、R17~R19のうちの1つのみが水素であってよいことを条件とし、またR17~R19のうちの1つが水素の場合には、R17~R19の別の少なくとも1つは、置換若しくは無置換C6~20アリール又は置換若しくは無置換C3~20ヘテロアリールであることを条件とする。各R17~R19は、任意選択的には、その構造の一部として二価連結基を更に含んでいてもよい。
【0069】
例えば、R17~R19のいずれか1つ以上は、独立して、式-CH2C(O)CH(3~n)Yn又は-CH2C(O)OCH(3~n)Ynの基であってよく、ここで、各Yは、独立して、置換若しくは無置換C3~10ヘテロシクロアルキルであり、nは1又は2である。例えば、各Yは、独立して、式-O(Ca1)(Ca2)O-の基を含む置換若しくは無置換C3~10ヘテロシクロアルキルであってよく、式中、Ca1及びCa2は、それぞれ独立して、水素又は置換若しくは無置換アルキルであり、Ca1及びCa2は、一緒に任意選択的に環を形成する。
【0070】
式(7)において、R17~R19のいずれか2つは任意選択的には一緒に環を形成していてもよく、これはその構造の一部として二価連結基を更に含んでいてもよく、この環は置換されていても無置換であってもよい。
【0071】
式(7)及び(8)において、Xa及びXbは、それぞれ独立して、エチレン性不飽和二重結合を含む重合性基であり、好ましくは(メタ)アクリレート又はC2アルケニルである。
【0072】
式(7)及び(8)において、L4及びL5は、それぞれ独立して、単結合又は二価連結基であるが、XaがC2アルケニルである場合にはL4は単結合ではなく、XbがC2アルケニルである場合にはL5は単結合ではないことを条件とする。好ましくは、L4及びL5は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換C6~30アリーレン又は置換若しくは無置換C6~30シクロアルキレンである。式(7)及び(8)において、n1は0又は1であり、n2は0又は1である。n1が0である場合、L4基は酸素原子に直接結合していることが理解されるべきである。n2が0である場合、L5基は酸素原子に直接結合していることが理解されるべきである。
【0073】
式(8)において、R18~R20のいずれか2つは任意選択的には一緒に環を形成していてもよく、これはその構造の一部として二価連結基を更に含んでいてもよく、この環は置換されていても無置換であってもよい。
【0074】
いくつかの態様では、各R8~R22は、任意選択的には、その構造の一部として-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-S-、-S(O)2-、-N(R’)-、又は-C(O)N(R’)-から選択される1つ以上の二価連結基を更に含んでいてもよく、R’は、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、又は置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキルであってよい。
【0075】
いくつかの態様では、酸不安定基を含む繰り返し単位において、酸不安定基は三級アルキルエステルであってよい。例えば、三級アルキルエステル基を含む繰り返し単位は、式(4)、(5)、又は(7)のうちの1種以上のモノマーから誘導することができ、R8~R13又はR17~R19のいずれも水素ではなく、n1は1である。1つ以上の実施形態では、ポリマーは、三級アルキルエステル基を含む第2の繰り返し単位を更に含む。
【0076】
例示的な式(4)のモノマーには、以下の1つ以上のものが含まれる:
【化5】
【0077】
例示的な式(5)のモノマーには、以下の1つ以上のものが含まれる:
【化6】
【化7】
(式中、R
dは式(3)のR
bについて本明細書で定義した通りであり;R’及びR’’は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換C
1~20アルキル、置換若しくは無置換C
3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C
3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~20アルケニル、置換若しくは無置換C
3~20シクロアルケニル、置換若しくは無置換C
3~20ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換C
6~20アリール、又は置換若しくは無置換C
3~20ヘテロアリールである)。
【0078】
例示的な式(6)のモノマーには、以下の1つ以上のものが含まれる:
【化8】
(式中、R
dは、R
cに関して上で定義した通りである)。
【0079】
例示的な式(7)のモノマーには、以下の1つ以上のものが含まれる:
【化9】
【0080】
例示的な式(8)のモノマーには、以下の1つ以上のものが含まれる:
【化10】
【0081】
いくつかの態様では、ポリマーは、環状アセタール基又は環状ケタール基を有する、例えば以下の構造のうちの1つ以上を有する1種以上のモノマーから誘導される酸に不安定な繰り返し単位を有し得る:
【化11】
(式中、R
dは、R
aに関して上で定義した通りである)。
【0082】
いくつかの態様では、ポリマーは、三級アルコキシ基を含む酸不安定基を有する繰り返し単位、例えば、以下の1種以上のモノマーを有し得る:
【化12】
【0083】
酸不安定基を含み且つ第1の繰り返し単位とは異なる第2の繰り返し単位は、典型的には、ポリマーにおける総繰り返し単位に基づいて25~65モル%、より典型的には30~50モル%、更により典型的には30~45モル%の量でポリマー中に存在する。
【0084】
いくつかの態様では、ポリマーは、極性基を含む繰り返し単位(例えば「第3の繰り返し単位」)を更に含んでいてもよく、この極性基はポリマーの主鎖へのペンダント基である。例えば、極性基は、ラクトン基、ヒドロキシアリール基、フルオロアルコール基、又はそれらの組み合わせであってよい。
【0085】
1つ以上の実施形態では、ポリマーは、式(9)の1種以上のラクトン含有モノマーに由来する第3の繰り返し単位を更に含んでいてもよい:
【化13】
(式中、R
fは、水素、フッ素、シアノ、又は置換若しくは無置換C
1~10アルキルである)。
【0086】
式(9)において、L6は単結合又は二価連結基である。L6の例示的な二価連結基としては、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリーレン、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-S-、-S(O)2-、-N(R9a)-、又は-C(O)N(R9b)-のうちの1つ以上が挙げられ、R9a及びR9bは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、又は置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキルであってよい。
【0087】
L6が単結合の場合には、部位-R23は、カルボニル基に隣接している酸素原子に直接結合している(すなわち-C(O)O-R23)ことが理解されるべきである。
【0088】
式(9)において、R23は、置換若しくは無置換C4~20ラクトン含有基又は置換若しくは無置換C4~20スルトン含有基である。C4~20ラクトン含有基及びC4~20スルトン含有基は、単環式、多環式、又は縮合多環式であってよい。
【0089】
式(9)の例示的なモノマーとしては、以下の1つ以上を挙げることができる:
【化14】
(式中、R
fは、式(9)に関して定義したと通りである)。
【0090】
ポリマーは、塩基可溶性である且つ/又は12以下のpKaを有する繰り返し単位を含み得る。例えば、ポリマー主鎖へのペンダント基である極性基を含む繰り返し単位は、式(10)、(11)、又は(12)のうちの1種以上のモノマーから誘導することができる:
【化15】
(式中、各R
gは、水素、フッ素、シアノ、又は置換若しくは無置換C
1~10アルキルであってよい)。好ましくは、R
gは、水素、フッ素、又は置換若しくは無置換C
1~5アルキルであってよく、典型的にはメチルである。
【0091】
式(10)において、R24は、置換若しくは無置換C1~100若しくはC1~20アルキル、典型的にはC1~12アルキル;置換若しくは無置換C3~30若しくはC3~20シクロアルキル;又は置換若しくは無置換ポリ(C1~3アルキレンオキシド)であってよい。好ましくは、置換C1~100若しくはC1~20アルキル、置換C3~30若しくはC3~20シクロアルキル、及び置換ポリ(C1~3アルキレンオキシド)は、ハロゲン、C1~4フルオロアルキル基、典型的にはフルオロメチルなどのフルオロアルキル基、スルホンアミド基-NH-S(O)2-Y1(ここで、Y1は、F若しくはC1~4ペルフルオロアルキルである)(例えば、-NHSO2CF3)、又はフルオロアルコール基(例えば、-C(CF3)2OH)のうちの1つ以上で置換されている。
【0092】
式(11)において、L7は、単結合であるか、例えば、任意選択的には-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-S-、-S(O)2-、-NR102-、又は-C(O)N(R102)-から選択される1つ以上の連結部位を有する、任意選択的に置換されていてもよい脂肪族(C1~6アルキレン又はC3~20シクロアルキレンなど)及び芳香族の炭化水素、並びにそれらの組み合わせから選択される二価の連結基を表し、R102は、水素及び任意選択的に置換されていてもよいC1~10アルキルから選択される。例えば、ポリマーは、式(10)(式中、L7は、単結合であるか、置換若しくは無置換C1~20アルキレン、典型的にはC1~6アルキレン;置換若しくは無置換C3~20シクロアルキレン、典型的にはC3~10シクロアルキレン;及び置換若しくは無置換C6~24アリーレンから選択される多価連結基である)の1種以上のモノマーに由来する繰り返し単位を更に含むことができる。
【0093】
式(11)において、n3は1~5の整数であり、典型的には1である。n3が1である場合には、基L7は二価の連結基であることが理解されるべきである。n3が2である場合には、基L7は三価の連結基であることが理解されるべきである。同様に、n3が3である場合には基L7は四価の連結基であり、n3が4の場合には基L7は五価の連結基であり、n3が5の場合には基L7は六価の連結基であることが理解されるべきである。したがって、式(10)との関係において、「多価連結基」という用語は、二価、三価、四価、五価、及び/又は六価の連結基のいずれかを指す。いくつかの態様では、nが2以上である場合には、カルボン酸基(-C(O)OH)は、連結基L7の同じ原子に結合していてもよい。別の態様では、nが2以上の場合には、カルボン酸基(-C(O)OH)は、連結基L7の異なる原子に結合していてもよい。
【0094】
式(12)において、L8は、単結合又は二価連結基を表す。好ましくは、L8は、単結合であるか、置換若しくは無置換のC6~30アリーレン又は置換若しくは無置換のC6~30シクロアルキレンであってよい。
【0095】
式(12)において、n4は0又は1である。n4が0である場合、-OC(O)-によって表される部位は単結合であり、その結果L8はアルケニル(ビニル)炭素原子に直接結合していることが理解されるべきである。
【0096】
式(12)において、Ar1は、N、O、S、又はそれらの組み合わせから選択される1つ以上の芳香族環ヘテロ原子を任意選択的に含んでいてもよい置換C5~60芳香族基であり、芳香族基は、単環式、非縮合多環式、又は縮合多環式であってよい。C5~60芳香族基が多環式である場合、環又は環基は、縮合(ナフチルなど)、非縮合、又はそれらの組み合わせであってよい。多環式C5~60芳香族基が非縮合である場合、環又は環基は直接連結されていてもよく(ビアリール、ビフェニルなど)、或いはヘテロ原子によって架橋されていてもよい(トリフェニルアミノ又はジフェニレンエーテルなど)。いくつかの態様では、多環式C5~60芳香族基は、縮合環と直接結合した環(ビナフチルなど)との組み合わせを含み得る。
【0097】
式(12)において、yは1~12、好ましくは1~6、典型的には1~3の整数であってよい。各Rxは、独立して水素又はメチルであってよい。
【0098】
式(10)、(11)、又は(12)のモノマーの非限定的な例としては、以下のうちの1つ以上が挙げられる:
【化16】
【化17】
(式中、Y
1は上述した通りであり、R
iは式(10)~(12)においてR
gについて定義した通りである)。
【0099】
存在する場合、ポリマーは、典型的には、ポリマーの総繰り返し単位を基準として1~60モル%、典型的には5~50モル%、より典型的には5~40モル%の量で極性基(ポリマー主鎖へのペンダント基)を含む繰り返し単位を含む。
【0100】
本発明の非限定的な例示的なポリマーとしては、以下のうちの1つ以上が挙げられる:
【化18】
(式中、a、b、及びc、又はa、b、c、及びdは、ポリマーのそれぞれの繰り返し単位のモル分率を表す)。
【0101】
ポリマーは、典型的には、1,000~50,000ダルトン(Da)、好ましくは2,000~30,000Da、より好ましくは4,000~25,000Da、更により好ましくは5,000~25,000Daの重量平均分子量(Mw)を有する。Mwの、数平均分子量(Mn)に対する比である、第1のポリマーの多分散度(PDI)は、典型的には1.1~3、より典型的には1.1~2である。分子量値は、ポリスチレン標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される。
【0102】
ポリマーは、当技術分野における任意の適切な方法を用いて調製され得る。例えば、本明細書で記載される繰り返し単位に対応する1種以上のモノマーが、適切な溶媒及び開始剤を使用して、混ぜ合わされるか又は別々に供給され、反応器中で重合させられ得る。例えば、ポリマーは、有効な温度での加熱、有効な波長での化学線による放射又はこれらの組み合わせなどの任意の適切な条件下でのそれぞれのモノマーの重合によって得ることができる。
【0103】
本発明のポリマーと、光酸発生剤(PAG)と、溶媒とを含むフォトレジスト組成物も提供される。
【0104】
好適なPAGは、露光後ベーク(PEB)中、フォトレジスト組成物のポリマー上に存在する酸不安定基の開裂を引き起こす酸を生成することができる。PAGは、非ポリマー形態であってもポリマー形態であってもよく、例えば上述したポリマーの重合した繰り返し単位の中に、又は別のポリマーの一部として存在し得る。いくつかの実施形態では、PAGは、非重合型PAG化合物として、重合性PAGモノマーから誘導されるPAG部位を有するポリマーの繰り返し単位として、又はそれらの組み合わせとして組成物中に含まれ得る。
【0105】
適切な非ポリマー系PAG化合物は、式G+A-を有することができ、式中のG+は、2つのアルキル基、2つのアリール基、又はアルキル基とアリール基との組み合わせで置換されたヨードニウムカチオン;3つのアルキル基、3つのアリール基、又はアルキル基とアリール基との組み合わせで置換されたスルホニウムカチオンから選択される有機カチオンであり、A-は非重合性有機アニオンである。特に適切な非ポリマー系有機アニオンとしては、共役酸が-15~1のpKaを有するものが挙げられる。特に好ましいアニオンは、フッ素化アルキルスルホネート及びフッ素化スルホンイミドのアニオンである。
【0106】
有用な非ポリマー系PAGは、化学増幅フォトレジストの技術分野で知られており、例えば:オニウム塩、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(p-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p-tert-ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp-トルエンスルホネート;ジ-t-ブチルフェニルヨードニウムペルフルオロブタンスルホネート、及びジ-t-ブチルフェニルヨードニウムカンファースルホネートが含まれる。非イオン性スルホネート及びスルホニル化合物も光酸発生剤として機能することが知られており、例えば、ニトロベンジル誘導体、例えば、2-ニトロベンジル-p-トルエンスルホネート、2,6-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート、及び2,4-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート;スルホン酸エステル、例えば、1,2,3-トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3-トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、及び1,2,3-トリス(p-トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン;ジアゾメタン誘導体、例えば、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタン;グリオキシム誘導体、例えば、ビス-O-(p-トルエンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、及びビス-O-(n-ブタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム;N-ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N-ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル;並びにハロゲン含有トリアジン化合物、例えば、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、及び2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジンである。好適な非重合型酸発生剤は、Hashimotoらの(特許文献5)、37列、11~47行及び41~91列に更に記載されている。他の適切なスルホネートPAGには、スルホネート化エステル及びスルホニルオキシケトン、ニトロベンジルエステル、s-トリアジン誘導体、ベンゾイントシレート、t-ブチルフェニルα-(p-トルエンスルホニルオキシ)-アセテート、及びt-ブチルα-(p-トルエンスルホニルオキシ)-アセテートが含まれ、これらは、(特許文献6)及び(特許文献5)に記載されている。
【0107】
典型的には、フォトレジスト組成物が非ポリマー系光酸発生剤を含む場合、それはフォトレジストの総固形分を基準として0.3~65重量%、より典型的には1~20重量%の量でフォトレジスト組成物中に存在する。
【0108】
いくつかの実施形態では、G
+は、式(13)のスルホニウムカチオン又は式(14)のヨードニウムカチオンであってよい:
【化19】
【0109】
式(13)及び(14)において、各Raaは、独立して、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~20アルケニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C7~20アリールアルキル、又は置換若しくは無置換C4~20ヘテロアリールアルキルである。各Raaは、独立していてもよく、或いは単結合又は二価連結基を介して別の基Raaと連結して環を形成していてもよい。各Raaは、任意選択的には、その構造の一部として二価連結基を含んでいてもよい。各Raaは、独立して、例えば三級アルキルエステル基、二級若しくは三級アリールエステル基、アルキル基とアリール基との組み合わせを有する二級若しくは三級エステル基、三級アルコキシ基、アセタール基、又はケタール基から選択される酸不安定基を任意選択的に含み得る。
【0110】
式(13)の例示的なスルホニウムカチオンには、以下の1つ以上が含まれ得る:
【化20】
【0111】
式(14)の例示的なヨードニウムカチオンには、以下の1つ以上が含まれ得る:
【化21】
【0112】
オニウム塩であるPAGは、典型的には、スルホネート基又は非スルホネート基(スルホンアミデート、スルホンイミデート、メチド、又はボレートなど)を有する有機アニオンを含む。
【0113】
スルホネート基を有する例示的な有機アニオンには、以下の1つ以上が含まれる:
【化22】
【0114】
例示的な非スルホネート化アニオンには、以下の1つ以上が含まれる:
【化23】
【0115】
フォトレジスト組成物は、任意選択的に、複数のPAGを含有し得る。複数のPAGは、重合体型であっても非重合体型であってもよく、或いは重合体型PAGと非重合体型PAGの両方を含み得る。好ましくは、複数のPAGの各PAGは、非重合体型である。
【0116】
1つ以上の態様において、フォトレジスト組成物は、アニオン上にスルホネート基を含む第1の光酸発生剤を含み得、フォトレジスト組成物は、非重合体型の第2の光酸発生剤を含み得、第2の光酸発生剤は、スルホネート基を含まないアニオンを含み得る。
【0117】
いくつかの態様では、ポリマーは、PAG含有部位を含む繰り返し単位、例えば式(15)の1種以上のモノマーに由来する繰り返し単位を任意選択的に更に含み得る:
【化24】
(式中、R
mは、水素、フッ素、シアノ、又は置換若しくは無置換C
1~10アルキルであってよい)。好ましくは、R
mは、水素、フッ素、又は置換若しくは無置換C
1~5アルキルであり、典型的にはメチルである。
【0118】
式(15)において、Q1は、単結合又は二価連結基であってよい。好ましくは、Q1 は、1~10の炭素原子及び少なくとも1つのヘテロ原子、より好ましくは-C(O)-O-を含み得る。A1は、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C3~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、又は置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリーレンのうちの1つ以上であってよい。好ましくは、A1は、任意選択的に置換されていてもよい二価のC1~30パーフルオロアルキレン基であってよい。Z-はアニオン部位であり、その共役酸は典型的には-15~1のpKaを有する。例えば、Z-は、スルホネート、カルボキシレート、スルホンアミドのアニオン、スルホンイミドのアニオン、又はメチドアニオンであってよい。特に好ましいアニオン部位は、フッ素化アルキルスルホネート及びフッ素化スルホンイミドである。G+は、上で定義した有機カチオンである。いくつかの実施形態では、G+は、2つのアルキル基、2つのアリール基、若しくはアルキル基とアリール基との組み合わせで置換されたヨードニウムカチオン;又は3つのアルキル基、3つのアリール基、若しくアルキル基とアリール基との組み合わせで置換されたスルホニウムカチオンである。
【0119】
例示的な式(15)のモノマーには、以下の1つ以上が含まれ得る:
【化25】
(式中、G
+は本明細書で定義した有機カチオンである)。
【0120】
使用される場合、PAG部位を含む繰り返し単位は、ポリマー中の総繰り返しを基準として1~15モル%、典型的には1~8モル%、より典型的には2~6モル%の量でポリマー中に含まれ得る。
【0121】
フォトレジスト組成物は、組成物の成分を溶解させるため及び基板上でのそのコーティングを容易にするための溶媒を更に含む。好ましくは、溶媒は、電子デバイスの製造に従来使用される有機溶媒である。適切な溶媒には、例えば:ヘキサン及びヘプタンなどの脂肪族炭化水素;トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素;ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン及び1-クロロヘキサンなどのハロゲン化炭化水素;メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソ-プロパノール、tert-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール、4-メチル-2-ペンタノール、及びジアセトンアルコール(4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン)などのアルコール;プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME);ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、及びアニソールなどのエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソ-ブチルケトン、2-ヘプタノン及びシクロヘキサノン(CHO)などのケトン;酢酸エチル、酢酸n-ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、乳酸エチル(EL)、ヒドロキシイソ酪酸メチルエステル(HBM)、及びアセト酢酸エチルなどのエステル;ガンマ-ブチロラクトン(GBL)及びイプシロン-カプロラクトンなどのラクトン;N-メチルピロリドンなどのラクタム;アセトニトリル及びプロピオニトリルなどのニトリル;プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジフェニルカーボネート、及びプロピレンカーボネートなどの環状又は非環状カーボネートエステル;ジメチルスルホキシド及びジメチルホルムアミドなどの極性の非プロトン性溶媒;水;並びにそれらの組み合わせが含まれる。これらのうち、好ましい溶媒は、PGME、PGMEA、EL、GBL、HBM、CHO及びこれらの組み合わせである。
【0122】
フォトレジスト組成物中の総溶媒含有量(すなわち、全ての溶媒についての累積溶媒含有量)は、フォトレジスト組成物の総固形分を基準として、典型的には40~99重量%、例えば、60~99重量%、又は85~99重量%である。所望の溶媒含有量は、例えば、コーティングされたフォトレジスト層の所望の厚さ及びコーティング条件に依存するであろう。
【0123】
ポリマーは、典型的には、フォトレジスト組成物の総固形分に基づいて、10~99.9重量%、典型的には25~99重量%、より典型的には40~95重量%の量でフォトレジスト組成物中に存在する。「総固形分」には、ポリマー、PAG、添加剤、及び他の非溶媒成分が含まれると理解されるであろう。
【0124】
いくつかの態様では、フォトレジスト組成物は、1つ以上の塩基不安定基を含む物質(「塩基不安定物質」)を更に含み得る。本明細書で言及されるように、塩基不安定基は、露光ステップ及び露光後ベーキングステップ後に、水性アルカリ性現像液の存在下で、開裂反応を受けてヒドロキシル、カルボン酸、スルホン酸等などの極性基を提供することができる官能基である。塩基不安定基は、塩基不安定基を含むフォトレジスト組成物の現像ステップの前に有意に反応しない(例えば、結合切断反応を受けない)であろう。したがって、例えば、塩基不安定基は、露光前ソフトベークステップ、露光ステップ、及び露光後ベークステップ中に、実質的に不活性であろう。「実質的に不活性」とは、塩基不安定基(又は部位)の5%以下、典型的には1%以下が露光前のソフトベーク、露光及び露光後のベークステップ中に分解、切断又は反応することを意味する。塩基不安定基は、例えば、0.26規定(N)の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の水溶液などの水性アルカリ性フォトレジスト現像液を使用する典型的なフォトレジスト現像条件下でよく反応する。例えば、TMAHの0.26N水溶液を、単一パドル現像又は動的現像に使用することができ、例えば、0.26NのTMAH現像液は、画像化されたフォトレジスト層に10~120秒(s)などの適切な時間で分配される。例示的な塩基不安定基は、エステル基、典型的にはフッ素化エステル基である。好ましくは、塩基不安定物質は、フォトレジスト組成物のポリマー及び他の固形成分と実質的に混和せず、それらよりも低い表面エネルギーを有する。基板上にコーティングされた場合、塩基不安定物質は、それによりフォトレジスト組成物の他の固形成分から、形成されたフォトレジスト層の上面に分離し得る。
【0125】
いくつかの態様では、塩基不安定物質は、ポリマー系材料であってよく、本明細書では塩基不安定ポリマーとも呼ばれ、塩基不安定ポリマーは、1つ以上の塩基不安定基を含む1種以上の繰り返し単位を含み得る。例えば、塩基不安定ポリマーは、同一又は異なる2つ以上の塩基不安定基を含む繰り返し単位を含んでいてもよい。好ましい塩基不安定ポリマーは、2つ以上の塩基不安定基を含む少なくとも1種の繰り返し単位、例えば2つ又は3つの塩基不安定基を含む繰り返し単位を含む。
【0126】
塩基不安定ポリマーは、1種以上の式(16)のモノマーに由来する繰り返し単位を含むポリマーであってよい:
【化26】
(式中、X
eは、C
2アルケニル及び(メタ)アクリルから選択される重合性基であり;L
9は二価連結基であり;R
nは、置換若しくは無置換C
1~20フルオロアルキルであるが、式(16)中のカルボニル(-C(O)-)に結合している炭素原子が少なくとも1つのフッ素原子で置換されていることを条件とする)。例示的な式(16)のモノマーには、以下の1つ以上が含まれ得る:
【化27】
【0127】
塩基不安定ポリマーは、2つ以上の塩基不安定基を含む繰り返し単位を含んでいてもよい。例えば、塩基不安定ポリマーは、1種以上の式(17)のモノマーに由来する繰り返し単位を含み得る:
【化28】
(式中、X
f及びR
pは、それぞれ式(16)でX
e及びR
nについて定義した通りであり;L
10は、置換若しくは無置換C
1~20アルキレン、置換若しくは無置換C
3~20シクロアルキレン、-C(O)-、又は-C(O)O-のうちの1つ以上を含む多価連結基であり;n3は2以上の整数であってよく、例えば2又は3であってよい)。例示的な式(17)のモノマーには、以下の1つ以上が含まれ得る:
【化29】
【0128】
塩基不安定ポリマーは、1つ以上の塩基不安定基を含む繰り返し単位を含んでいてもよい。例えば、塩基不安定ポリマーは、1種以上の式(18)のモノマーに由来する繰り返し単位を含み得る:
【化30】
(式中、X
g及びR
qは、式(16)でそれぞれX
e及びR
nについて定義した通りであり;L
11は二価連結基であり;L
12は置換若しくは無置換C
1~20フルオロアルキレンであり、式(18)中のカルボニル(-C(O)-)に結合している炭素原子は少なくとも1個のフッ素原子で置換されている。例示的な式(18)のモノマーには、以下の1つ以上が含まれ得る:
【化31】
【0129】
いくつかの態様では、塩基不安定ポリマーは、1つ以上の塩基不安定基と、1つ以上の酸不安定エステル部位(例えば、t-ブチルエステル)又は酸不安定アセタール基などの1つ以上の酸不安定基と、を含んでいてもよい。例えば、塩基不安定ポリマーは、塩基不安定基及び酸不安定基を含む繰り返し単位、すなわち、塩基不安定基及び酸不安定基の両方が同一の繰り返し単位上に存在する繰り返し単位を含んでいてもよい。別の例では、塩基不安定ポリマーは、塩基不安定基を含む第1繰り返し単位と、酸不安定基を含む第2繰り返し単位とを含んでいてもよい。本発明の好ましいフォトレジストは、フォトレジスト組成物から形成されたレジストレリーフ像と関連した欠陥の減少を示すことができる。
【0130】
塩基不安定ポリマーは、第1及び第2ポリマーについて本明細書で記載されたものを含めて、当技術分野における任意の適切な方法を用いて調製され得る。例えば、塩基不安定ポリマーは、有効な温度での加熱、有効な波長での化学線での照射、又はそれらの組み合わせなどの、任意の適切な条件下でのそれぞれのモノマーの重合によって得られ得る。これに加えて、又はこの代わりに、1つ以上の塩基不安定基は、適切な方法を用いてポリマーの主鎖上へグラフトされ得る。
【0131】
いくつかの態様では、塩基不安定物質は、1つ以上の塩基不安定エステル基、好ましくは1つ以上のフッ素化エステル基を含む単一の分子である。単一分子である塩基不安定は、典型的には、50~1,500Daの範囲のM
Wを有する。例示的な塩基不安定物質としては、以下の1つ以上が挙げられる:
【化32】
【0132】
存在する場合、塩基不安定物質は、典型的には、フォトレジスト組成物の総固形分を基準として0.01~10重量%、典型的には1~5重量%の量でフォトレジスト組成物中に存在する。
【0133】
塩基不安定ポリマーに加えて又はその代わりに、フォトレジスト組成物は、上述フォトレジストポリマーに加えて、これらと異なる1種以上のポリマーを更に含み得る。例えば、フォトレジスト組成物は、上記で説明した通りであるが、組成が異なる追加のポリマー又は上記で説明したものと類似しているが、必須繰り返し単位のそれぞれを含まないポリマーを含み得る。それに加えて、又はその代わりに、1種以上の追加のポリマーには、フォトレジスト技術において周知のもの、例えば、ポリアクリレート、ポリビニルエーテル、ポリエステル、ポリノルボルネン、ポリアセタール、ポリエチレングリコール、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリフェノール、ノボラック、スチレン系ポリマー、ポリビニルアルコール、又はそれらの組み合わせから選択されるものが含まれ得る。
【0134】
フォトレジスト組成物は、1種以上の追加の任意選択的な添加剤を更に含み得る。例えば、任意選択的な添加剤としては、化学染料及び造影染料、ストリエーション防止剤、可塑剤、速度促進剤、増感剤、光分解性失活剤(PDQ)(光分解性塩基としても知られる)、塩基性失活剤、熱酸発生剤、界面活性剤など、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。存在する場合、任意選択的な添加剤は、典型的には、フォトレジスト組成物の総固形分を基準として0.01~10重量%の量でフォトレジスト組成物中に存在する。
【0135】
PDQは、照射されると弱酸を生成する。光分解性失活剤から生成する酸は、レジストマトリックスに存在する酸不安定基と迅速に反応するほど強力ではない。例示的な光分解性失活剤には、例えば、光分解性カチオン、好ましくは、例えばC1~20カルボン酸又はC1~20スルホン酸のアニオン等の弱酸(pKa>1)のアニオンと対になった強酸発生剤化合物を調製するためにも有用なものが含まれる。例示的なカルボン酸には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、コハク酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、サリチル酸等が含まれる。例示的なスルホン酸には、p-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸等が含まれる。好ましい実施形態では、光分解性失活剤は、ジフェニルヨードニウム-2-カルボキシレート等の光分解性有機双性イオン化合物である。
【0136】
光分解性失活剤は、非ポリマー形態であっても又はポリマー結合形態であってもよい。ポリマー形態の場合、光分解性失活剤は、第1のポリマー又は第2のポリマー上の重合単位に存在する。光分解性失活剤を含む重合単位は、典型的には、ポリマーの総繰り返し単位を基準として、0.1~30モル%、好ましくは1~10モル%、より好ましくは1~2モル%の量で存在する。
【0137】
例示的な塩基性失活剤には、例えば、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、トリイソプロパノールアミン、テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン:n-tert-ブチルジエタノールアミン、トリス(2-アセトキシ-エチル)アミン、2,2’,2’’,2’’’-(エタン-1,2-ジイルビス(アザントリイル))テトラエタノール、2-(ジブチルアミノ)エタノール、及び2,2’,2’’-ニトリロトリエタノールなどの直鎖脂肪族アミン;1-(tert-ブトキシカルボニル)-4-ヒドロキシピペリジン、tert-ブチル1-ピロリジンカルボキシレート、tert-ブチル2-エチル-1H-イミダゾール-1-カルボキシレート、ジ-tert-ブチルピペラジン-1,4-ジカルボキシレート、及びN-(2-アセトキシ-エチル)モルホリンなどの環状脂肪族アミン;ピリジン、ジ-tert-ブチルピリジン、及びピリジニウムなどの芳香族アミン;N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピバルアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N1,N1,N3,N3-テトラブチルマロンアミド、1-メチルアゼパン-2-オン、1-アリルアゼパン-2-オン、及びtert-ブチル1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イルカルバメートなどの直鎖及び環状アミド並びにその誘導体;スルホネート、スルファメート、カルボキシレート、及びホスホネートの四級アンモニウム塩などのアンモニウム塩;一級及び二級アルジミン及びケチミンなどのイミン;任意選択的に置換されたピラジン、ピペラジン、及びフェナジンなどのジアジン;任意選択的に置換されたピラゾール、チアジアゾール、及びイミダゾールなどのジアゾール;並びに2-ピロリドン及びシクロヘキシルピロリジンなどの任意選択的に置換されたピロリドンが含まれる。
【0138】
塩塩基性失活剤は、非ポリマー形態であっても又はポリマー結合形態であってもよい。ポリマー形態である場合、失活剤はポリマーの繰り返し単位内に存在し得る。失活剤を含む重合単位は、典型的にはポリマーの総繰り返し単位を基準として、0.1~30モル%、好ましくは1~10モル%、より好ましくは1~2モル%の量で存在する。
【0139】
例示的な界面活性剤は、フッ素化及び非フッ素化界面活性剤を含み、イオン性又は非イオン性であることができ、非イオン性界面活性剤が好ましい。例示的なフッ素化非イオン性界面活性剤としては、3M Corporationから入手可能なFC-4430及びFC-4432界面活性剤などのペルフルオロC4界面活性剤並びにOmnovaのPOLYFOX PF-636、PF-6320、PF-656及びPF-6520フルオロ界面活性剤などのフルオロジオールが挙げられる。一態様では、フォトレジスト組成物は、フッ素含有繰り返し単位を含む界面活性剤ポリマーを更に含む。
【0140】
本発明のフォトレジスト組成物を用いるパターン形成方法について述べる。フォトレジスト組成物をコーティングすることができる適切な基材は、電子デバイス基材を含む。多種多様の電子デバイス基板、例えば:半導体ウェハー;多結晶シリコン基板;マルチチップモジュールなどのパッケージング基板;フラットパネルディスプレイ基板;有機発光ダイオード(OLED)などの発光ダイオード(LED)用の基板等などが、本発明において使用され得、半導体ウェハーが典型的である。そのような基板は、典型的には、シリコン、ポリシリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、オキシ窒化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、アルミニウム、サファイア、タングステン、チタン、チタン-タングステン、ニッケル、銅及び金の1つ以上から構成される。適切な基板は、集積回路、光センサー、フラットパネルディスプレイ、光集積回路、及びLEDの製造において使用されるものなどのウェハーの形態にあってもよい。そのような基板は、任意の適切なサイズであってもよい。典型的なウェハー基板直径は、200~300ミリメートル(mm)であるが、より小さい直径及びより大きい直径を有するウェハーが、本発明に従って適切に用いられ得る。基板は、形成されつつあるデバイスの動作中の部分又は動作可能な部分を任意選択的に含んでいてもよい1つ以上の層又は構造体を含んでいてもよい。
【0141】
典型的には、ハードマスク層、例えば、スピンオンカーボン(SOC)、非晶質炭素、若しくは金属ハードマスク層、窒化シリコン(SiN)、酸化シリコン(SiO)、若しくはオキシ窒化シリコン(SiON)層などのCVD層、有機若しくは無機下層、又はそれらの組み合わせなどの1つ以上のリソグラフィー層が、本発明のフォトレジスト組成物をコーティングする前に基板の上表面上に提供される。そのような層は、オーバーコートされたフォトレジスト層と一緒に、リソグラフィー材料スタックを形成する。
【0142】
任意選択的に、接着促進剤の層が、フォトレジスト組成物をコーティングする前に基板表面に塗布され得る。接着促進剤が望ましい場合、シラン、典型的には、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ヘキサメチルジシラザンなどのオルガノシラン、ガンマ-アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノシランカップリング剤などの、ポリマーフィルム用の任意の適切な接着促進剤が使用され得る。特に適切な接着促進剤としては、DuPont Electronics&Imaging(Marlborough,Massachusetts)から入手可能な、AP 3000、AP 8000、及びAP 9000Sの名称で販売されているものが挙げられる。
【0143】
フォトレジスト組成物は、スピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、ドクターブレーディング等などの、任意の適切な方法によって基板上にコーティングされ得る。例えば、フォトレジストの層の塗布は、コーティングトラックを使用して溶媒中のフォトレジストをスピンコーティングすることによって達成され得、その場合に、フォトレジストは、回転するウェハー上に分配される。分配中、ウェハーは、典型的には、最大4,000回転/分(rpm)、例えば200~3,000rpm、例えば1,000~2,500rpmの速度で、15~120秒の期間回転され、基板上にフォトレジスト組成物の層が得られる。コートされる層の厚さが、スピン速度及び/又は組成物の総固形分を変えることによって調節され得ることは、当業者によって十分理解されるであろう。本発明の組成物から形成されるフォトレジスト組成物層は、典型的には、乾燥層厚みが3~30マイクロメートル(μm)、好ましくは5~30μm、より好ましくは6~25μmである。
【0144】
フォトレジスト組成物は、典型的には次に、層中の溶媒含有量を最小限にするためにソフトベークされ、それによって不粘着性コーティングを形成し、基板への層の接着性を改善する。ソフトベークは、例えば、ホットプレート上で又はオーブン中で行われ、ホットプレートが典型的である。ソフトベークの温度及び時間は、例えばフォトレジスト組成物及び厚さに依存する。ソフトベーク温度は、典型的には、80~170℃、より典型的には90~150℃である。ソフトベーク時間は、典型的には、10秒~20分、より典型的には1分~10分、更により典型的には1分~2分である。加熱時間は、組成物の成分に基づいて当業者により容易に決定することができる。
【0145】
フォトレジスト層は、次に、露光領域と非露光領域との間で溶解性の違いを生み出すために活性化放射にパターン様露光される。組成物のために活性化する放射にフォトレジスト組成物を露光することへの本明細書での言及は、放射がフォトレジスト組成物に潜像を形成できることを表す。露光は、典型的には、レジスト層の露光領域と非露光領域とにそれぞれ対応する、光学的に透明な領域と光学的に不透明な領域とを有するパターン化フォトマスクを通して行われる。代わりに、そのような露光は、典型的には電子ビームリソグラフィーのために用いられる、直接描画法において、フォトマスクなしで行われ得る。活性化放射は、典型的には、サブ-400nm、サブ-300nm若しくはサブ-200nmの波長を有し、248nm(KrF)、193nm(ArF)、13.5nm(EUV)の波長、又は電子ビームリソグラフィーが好ましい。好ましくは、活性化放射は248nmの放射である。この方法は、液浸又は乾式(非液浸)リソグラフィー技術において利用される。露光エネルギーは、露光ツール及びフォトレジスト組成物の成分に依存して、典型的には1平方センチメートルあたり1~200ミリジュール(mJ/cm2)、好ましくは10~100mJ/cm2、より好ましくは20~50mJ/cm2である。
【0146】
フォトレジスト層の露光後に、露光されたフォトレジスト層の露光後ベーク(PEB)が行われる。PEBは、例えば、ホットプレート上で又はオーブン中で行うことができ、ホットプレートが典型的である。PEBの条件は、例えば、フォトレジスト組成物及び層の厚さに依存するであろう。PEBは、典型的には、70~150℃、好ましくは75~120℃の温度、及び30~120秒の時間で行われる。極性切り替え領域(露光領域)及び極性非切り替え領域(非露光領域)によって定義される潜像がフォトレジスト内に形成される。
【0147】
露光されたフォトレジスト層を、次に適切な現像液で現像して現像液に可溶である層の領域を選択的に除去する一方、残った不溶領域は、結果として生じるフォトレジストパターンレリーフ像を形成する。ポジ型現像(PTD)プロセスの場合に、フォトレジスト層の露光領域が現像中に除去され、非露光領域が残る。逆に、ネガ型現像(NTD)プロセスでは、フォトレジスト層の露光領域が残り、非露光領域が現像中に除去される。現像液の塗布は、フォトレジスト組成物の塗布に関して上述されたような任意の適切な方法によって達成され得、スピンコーティングが典型的である。現像時間は、フォトレジストの可溶領域を除去するのに有効な時間であり、5~60秒の時間が典型的である。現像は、典型的には、室温で行われる。
【0148】
PTDプロセス用の適切な現像液には、水性塩基現像液、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)などの水酸化第四級アンモニウム溶液、好ましくは0.26規定(N)のTMAH、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が含まれる。NTDプロセス用の適切な現像液は、現像液中の有機溶媒の累積含有量が、現像液の総重量を基準として、50重量%以上、典型的には95重量%以上、98重量%以上、又は100重量%であることを意味する、有機溶媒系である。NTD現像液用に適切な有機溶媒には、例えば、ケトン、エステル、エーテル、炭化水素、及びそれらの混合物から選択されるものが含まれる。現像液は、典型的には、2-ヘプタノン又は酢酸n-ブチルである。
【0149】
コーティングされた基板は、本発明のフォトレジスト組成物から形成され得る。そのようなコーティングされた基板は、(a)その表面にパターン化される1つ以上の層を有する基板と、(b)パターン化される1つ以上の層に渡るフォトレジスト組成物の層とを含む。
【0150】
フォトレジストパターンは、例えば、エッチマスクとして使用され得、それによって公知のエッチング技術により、典型的には反応性イオンエッチングなどの乾式エッチングにより、パターンが1つ以上の連続した下位層に転写されることを可能にし得る。フォトレジストパターンは、例えば、下位ハードマスク層へのパターン転写のために使用され得、それは、順繰りに、ハードマスク層の下の1つ以上の層へのパターン転写のためのエッチマスクとして使用される。フォトレジストパターンがパターン転写中に消費されない場合、それは、公知の技術、例えば、酸素プラズマ灰化によって基板から除去され得る。フォトレジスト組成物は、1つ以上のそのようなパターン形成プロセスにおいて使用される場合、メモリデバイス、プロセッサチップ(CPU)、グラフィックチップ、オプトエレクトロニックチップ、LED、OLEDなどの半導体デバイス、並びに他の電子デバイスを製造するために使用され得る。
【0151】
本発明を、以下の非限定的実施例によって更に例証する。
【実施例0152】
実施例1
MD2で表されるモノマーの合成スキームをスキーム1に示す。
【化33】
【0153】
N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)150ミリリットル(mL)中の3,5-ジヨード-4-(メタクリロイルオキシ)安息香酸(MD1、20グラム(g)、43.66ミリモル(mmol))と、1-エチルシクロペンチル2-クロロアセテート(13g、68.18mmol)との混合物に、窒素雰囲気下、炭酸セシウム(15g、77.75mmol)を一度に添加した。反応混合物を室温で24時間撹拌した。得られた混合物を濾過して不溶性無機物を除去し、濾液を200mLの脱イオン(DI)水に注ぎ入れて、粗生成物をオイル状残渣として得た。溶離液として体積比10:1のヘプタン/酢酸エチルを使用して、シリカゲルのショートプラグを通して濾過することにより、粗生成物を精製した。純粋な生成物を合わせたフラクションに、100mgの禁止剤であるジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を添加し、溶媒を減圧下で除去して、13.0g(49%)のモノマーMD2を無色の固体として得た。1H NMR(アセトン-d6),δ:8.52(s,2H,2ArH),6.49(s,1H,CH=CH),6.06(s,1H,CH=CH),4.86(s,2H,CH2),2.15(m,4H,2CH2),2.08(m,4H,2CH2)1.63(m,2H,CH2),0.88(t,3H,CH).
【0154】
実施例2
MD3で表されるモノマーの合成スキームをスキーム2に示す。
【化34】
【0155】
50mLのテトラヒドロフラン(THF)中の3,5-ジヨード-4-(メタクリロイルオキシ)安息香酸(5g、10.91mmol)の混合物に、クロロメチルエチルエーテル(1.0g、10.57mmol)を添加した。次いで、これにジイソプロピルアミン(1.11g、10.96mmol)をゆっくりと添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。得られたアンモニウム塩を濾過により除去し、THFを減圧下で除去した。得られた残留物を50mLのジクロロメタン(DCM)に溶解し、0.1モル(M)の塩化アンモニウム水溶液(50mL)で洗浄した。次いで、DCM溶液をシリカゲルのショートパッドを通して濾過した。溶媒を減圧下で除去して、生成物MD3を白色固体として得た。収率3.3g。1H NMR(アセトン-d6),δ:8.51(s,2H,ArH),6.51(s,1H,CH=CH),5.87(s,1H,CH=CH),5.60(s,2H,CH2),3.79(t,2H,CH2),2.17(s,3h,CH3)1.23(q,2H,CH3).
【0156】
実施例3
MD4で表されるモノマーの合成スキームをスキーム3に示す。
【化35】
【0157】
150mLのTHF中のtert-ブチル2-ヒドロキシ-3,5-ジヨードベンゾエート(TBDISA)(16.0g、35.67mmol)の溶液に、5mLのDCM中のN,N-ジメチルアミノピリジンの溶液を添加した。混合物に無水メタクリル酸(6.47g、41.88mmol)を添加した。内容物を室温で24時間撹拌した後、反応混合物を濃縮して淡黄色オイル(23.7g)を得た。粗生成物を30mLのDCMに溶解し、シリカゲルのショートプラグを通して濾過することによって精製した。純粋な生成物の合わせたフラクションに、100mgの禁止剤であるジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を添加し、溶媒を減圧下で除去して、16.0g(86.7%)のモノマーMD4を淡黄色液体として得た。1H NMR(アセトン-d6),δ:8.45(s,1H,ArH),8.25(s,1H,ArH),6.48(s,1H,CH=CH),5.90(s,1H,CH=CH),2.50(s,3H,CH3),1.50(s,9H,C(CH3)3).
【0158】
実施例4
MD5で表されるモノマーの合成スキームをスキーム4に示す。
【化36】
【0159】
2-ヒドロキシ-5-ヨード-安息香酸(30.7g、116.28mmol)及びカルボニルジイミダゾール(CDI、28.28g、174.42mmol)をDMF(150mL)に溶解した。得られた溶液を50℃まで加熱し、2.5時間撹拌し、その後室温まで冷却した。次いで、1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデク-7-エン(DBU、7.08g、151.16mmol)及びECP-OH(17.26g、151.16mmol)を添加し、反応混合物を室温で48時間撹拌した。反応混合物をヘプタンで洗浄して生成物を抽出し、濃縮して24.5gの粗製ECPISAを得た。これは更に精製せずに次の工程で使用した。
【0160】
窒素雰囲気下、DMF150mL中の粗製ECPISA(15.0g、41.64mmol)と4-ビニルベンジルクロリド(7.63g、49.97mmol)との混合物に、炭酸カリウム(8.63g、62.47mmol)を添加した。反応混合物を室温で24時間撹拌した。混合物を酢酸エチル200mLで希釈し、DI水250mLで2回洗浄した。水層を追加の酢酸エチル200mLで洗浄した。次いで、合わせた有機層を400mLのDI水で2回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去することで、粗生成物を淡黄色液体として得た。溶離液として体積比10:1のヘプタン/酢酸エチルを使用して、シリカゲルのショートプラグを通して濾過することにより、粗生成物を精製した。純粋な生成物の合わせたフラクションに100mgのBHTを添加し、溶媒を減圧下で除去して、13g(86.7%)のモノマーMD5を無色固体として得た。1H NMR(アセトン-d6),δ :7.81(d,2H,ArH),7.73(d,2H,ArH),7.46(t,2H,ArH),7.39(t,2H,ArH),7.01(s,2H,ArH),6.74(d,1H,-CH=CH),5.83 (d,1H,CH=CH),5.25 (d,1H,CH=CH),5.23(s,2H,OCH2),2.08 (m,2H,CH2),1.95(m,2H,CH2),1.63-1.44(m,6H,3CH2),0.80(t,3H,CH).
【0161】
実施例5
MD6で表されるモノマーの合成スキームをスキーム5に示す。
【化37】
【0162】
3,5-ジヨードサリチル酸(25.0g、64mmol)とカルボニルジイミダゾール(CDI、15.59g、96.17mmol)との混合物をDMF(150mL)に溶解した。得られた溶液を窒素雰囲気下で1時間撹拌した。次いで、1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデク-7-エン(DBU、3.9g、25.65mmol)及びECP-OH(9.52g、83.35mmol)を添加し、反応混合物を室温で96時間撹拌した。反応混合物をヘプタン(4×150mL)で洗浄して生成物を抽出し、合わせた抽出溶液をDI水(2×250mL)で洗浄した。有機層を濃縮して21.3gの粗生成物ECPDISAを得た。これは更に精製せずに次の工程で使用した。
【0163】
窒素雰囲気下でDMF150mL中の粗製ECPDISA(12.0g、24.69mmol)と4-ビニルベンジルクロリド(4.52g、29.62mmol)との混合物に炭酸カリウム(5.12g、24.69mmol)を一度に添加した。反応混合物を室温で24時間撹拌した。混合物を酢酸エチル200mLで希釈し、DI水250mLで2回洗浄した。水層を追加の酢酸エチル200mLで洗浄した。次いで、合わせた有機層を250mLのDI水で2回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で溶媒を除去して粗生成物を液体として得た。5重量%の酢酸エチルを含有するヘプタンを溶離液として使用して、シリカゲルのショートプラグを通して粗生成物を濾過することによって精製した。純粋な生成物の合わせたフラクションに100mgのBHTを添加し、溶媒を減圧下で除去することで、11.2g(75.3%)のモノマーMD5を無色固体として得た。1H NMR(アセトン-d6),δ:8.35(s,1H,ArH),7.89(s,1H,ArH),7.52-7.43(m,4H,4ArH),6.78(d,1H,-CH=CH),5.88(d,1H,CH=CH),5.29(d,1H,CH=CH),4.95(s,2H,CH2),2.05(m,2H,CH2),1.99(m,2H,CH2)1.72-1.55(m,6H,3CH2),0.83(t,3H,CH).
【0164】
実施例6
この実施例は、比較ポリマーP1、P2、及びP5の合成、並びに本発明のポリマーP3、P4、P6、P7、P8、及びP9の合成を記載する。以下のモノマーは、各比較ポリマー及び本発明のポリマーを調製するために使用した1つ以上の構造を表す。
【化38】
【0165】
比較ポリマーP1は、50/40/10のモル供給比で、モノマーMA1、MB1、及びMC1から調製した。MA1(15.0g、100mmol)、MB1(14.561g、80mmol)、及びMC1(4.44g、20mmol)を35gのPGMEAに溶解することにより、供給溶液を製造した。アゾ開始剤である1.79gのジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(和光純薬工業株式会社からV-601として入手)を6.43gのPGMEA/テトラヒドロフラン(重量%で1:1)混合物に溶解することによって、開始剤溶液を別途調製した。
【0166】
重合は、水コンデンサーとフラスコ内の反応を監視するための温度計とを備えた三口丸底フラスコ内で行った。反応器に17.9gのPGMEAを入れ、75℃まで加熱した。供給溶液及び開始剤溶液は、それぞれシリンジポンプを使用して4時間かけて反応器に供給した。次いで、内容物を更に2時間撹拌した。その後、内容物を室温まで冷却し、20gのTHFで希釈し、ヘプタンとイソプロパノールの7:3(w/w)混合物800mL中に析出させた。得られたコポリマーP1を濾過によって単離した。2回目の析出は、粗製ポリマーを50gのTHFに溶解し、800mLのDI水/メタノールの7:3(w/w)混合物に析出させることによって行った。
【0167】
表1の各ポリマーは、表1に記載のモノマー及びモル供給比を使用したことを除いて、比較ポリマーP1の調製について上述した手順と同様の手順を使用して調製した。
【0168】
【0169】
フォトレジスト組成物及び評価
フォトレジスト組成物は、表2に示される成分を混ぜ合わせることによって調製した。ここでの量は、非溶媒成分の合計を100重量%とした重量パーセント(重量%)で表される。フォトレジスト組成物の総固形分は3.3重量%であった。フォトレジスト組成物は、重量比1:1のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)とメチル-2-ヒドロキシイソブチレートとの溶媒混合物中で調製した。
【0170】
得られたフォトレジスト組成物をメカニカルシェーカー上で振とうし、次いで0.2ミクロンの細孔径を有するPTFE円盤状フィルターを通して濾過した。TEL Clean Track ACT 8ウェハートラック上で、BARCスタックでオーバーコートした200mmのシリコンウェハー(厚さ80nmのAR40A反射防止材の上に厚さ60nmのAR3反射防止材を積層したもの(DuPont Electronics&Industrial))をそれぞれ各フォトレジスト組成物でスピンコートし、110℃で60秒間ソフトベークし、目的厚みが約100nmのフォトレジスト層を得た。レジスト層厚さを、THERMA-WAVE OP7350で測定した。ウェハーを、3~53ミリジュール毎平方センチメートル(mJ/cm2)の照射線量でCanon FPA-5000 ES4スキャナーにより248nmの放射で露光した。ウェハーを100℃で60秒間露光後ベーク(PEB)し、MF-CD26 TMAH現像液(DuPont Electronics&Imaging)で60秒間現像し、DI水でリンスし、乾燥させた。フォトレジスト層厚さ測定を、層の露光領域及び非露光領域において行った。露光領域における残ったフォトレジスト層厚さを線量に対してプロットすることによって各ウェハーについてコントラスト曲線を生成した。残ったフォトレジスト層厚さが最初のコーティングされた厚さの10%未満になる照射線量としてコントラスト曲線から線量対クリア(E0)を求めた。非露光フィルム厚さ損失(UFTL)を、非露光領域におけるフォトレジスト層厚さ測定値に基づいて求めた。結果を表2に示す。
【0171】
【0172】
PAG(PAG-1)及び添加剤(Q1)の構造は以下の通りであった:
【化39】
【0173】
上の表2に示されているように、本発明の化合物から誘導されたポリマーを含むフォトレジスト組成物PR-3及びPR-4は、本発明の化合物に由来しないポリマーを含んでいた比較のフォトレジスト組成物PR-1及びPR-2と比較して改善されたUFTL及び改善されたEo(増加したEo)を達成した。
【0174】
フォトレジスト組成物PR-1、PR-2、PR-3、及びPR-4を、KrF露光下でのライン/スペースパターニングについて評価した。TEL Clean Track ACT 8ウェハートラック上で、BARCスタックでオーバーコートした200mmのシリコンウェハー(厚さ80nmのAR40A反射防止材の上に厚さ60nmのAR3反射防止材を積層したもの(DuPont Electronics&Industrial))をそれぞれ各フォトレジスト組成物でスピンコートし、110℃で60秒間ソフトベークし、目的厚みが約90nmのフォトレジスト層を得た。ウェハーをそれぞれ、120nmのライン/スペース(l/s)パターンを有するマスクを使用してCANON FPA 5000 ES4スキャナー(NA=0.8、アウターシグマ=0.85、インナーシグマ=0.57)で248nmの放射で露光した。ウェハーを100℃で60秒間露光後ベークし、MF-CD26 TMAH現像液(DuPont Electronics&Imaging)で60秒間現像し、DI水でリンスし、乾燥させた。形成されたl/sパターンの限界寸法(CD)測定は、Hitachi S-9380 CD SEMで行った。サイジングエネルギー(Esize)及び線幅粗さ(LWR)はCD測定に基づいて決定した。サイジングエネルギーは、目標の120nmのl/sパターンが解像された照射エネルギーである。
【0175】
結果を表3に示す。
【0176】
【0177】
上の表3に示されているように、本発明の化合物から誘導されたポリマーを含むフォトレジスト組成物PR-3及びPR-4は、本発明の化合物に由来しないポリマーを含んでいた比較のフォトレジスト組成物PR-1及びPR-2と比較して改善されたLWR(すなわち低下したLWR)及び改善されたEsize(増加したEsize)を達成した。
【0178】
フォトレジスト組成物は、表4に記載の材料及び割合(総固体成分100重量%に基づく重量%で記載)を使用して固体成分を溶媒に溶解して、総固形分を3.5重量%にすることによって調製した。得られた混合物をメカニカルシェーカー上で振盪し、次いで、0.2マイクロメートルの細孔径のPTFE円盤状フィルターを通して濾過した。BARCスタック(厚さ80nmのAR40A反射防止材の上に厚さ60nmのAR3反射防止材を積層したもの、DuPont Electronics&Imaging)でオーバーコートされた200mmのシリコンウェハーを、それぞれTEL Clean Track ACT 8ウェハートラックで各フォトレジスト組成物でスピンコートし、110℃で60秒間ソフトベークして約100nmの厚さのフォトレジスト層を得た。ウェハーを、CD120nm、ピッチ240nmのトレンチパターンを有するマスクを使用してCANON FPA 5000 ES4スキャナー(NA=0.8、アウターシグマ=0.85、インナーシグマ=0.57)で248nm放射でそれぞれ露光した。ウェハーを100℃で60秒間露光後ベークし、MF-CD26 TMAH現像液(DuPont Electronics&Imaging)で60秒間現像し、DI水でリンスし、乾燥させた。形成されたl/sパターンの限界寸法(CD)測定は、Hitachi S-9380 CD SEMで行った。サイジングエネルギー(Esize)及び線幅粗さ(LWR)はCD測定に基づいた。サイジングエネルギーは、目標の120nmのl/sパターンが解像された照射エネルギーである。結果を表4に示す。
【0179】
【0180】
PAG(PAG-2)の構造は以下の通りであった:
【化40】
【0181】
上に示されているように、本発明の化合物から誘導されたポリマーを含むフォトレジスト組成物PR-6~PR-9は、本発明の化合物に由来しないポリマーを含んでいたフォトレジスト組成物と比較して、改善されたLWR(すなわち低下したLWR)及び改善されたEsize(増加したEsize)を達成した。
【0182】
EUV透過率の計算
EUV放射における膜吸収に対する本発明の化合物の配合の効果は、以下の透過率の計算結果によって例示される。組成物実施例PR-5~PR-9から製造された膜のEUV露光(13.5nm)における透過率は、Lawrence Berkeley National LaboratorのウェブサイトのCenter for X-Ray Opticsにあるオンライン計算ツールを使用して、計算された組成物の分子式を入力し、膜密度を1.30g/cm3、膜厚を60nmと仮定することによって計算した。結果をパーセント透過率(%)として表5に示す。
【0183】
【0184】
表5に示されているように、本発明のフォトレジスト組成物PR-6~PR-9は、PR-5と比較して13.5nmの放射をより多く吸収すると計算された。