(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012308
(43)【公開日】2024-01-30
(54)【発明の名称】抗LAG-3抗体の投薬量レジメンおよびその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20240123BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240123BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240123BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240123BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240123BHJP
A61K 31/282 20060101ALI20240123BHJP
A61K 33/24 20190101ALI20240123BHJP
A61K 31/7068 20060101ALI20240123BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20240123BHJP
【FI】
A61K39/395 T
A61P35/00
A61P35/02
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K31/282
A61K33/24
A61K31/7068
C07K16/28 ZNA
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023173434
(22)【出願日】2023-10-05
(62)【分割の表示】P 2020502267の分割
【原出願日】2018-07-20
(31)【優先権主張番号】62/643,992
(32)【優先日】2018-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/534,798
(32)【優先日】2017-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・マーク・スタイン
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン・ドミニク・フォーグル
(72)【発明者】
【氏名】ダリア・セラミ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高い親和性および特異性でリンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3)に結合する抗体分子を含む医薬組成物を提供する。
【解決手段】対象におけるがんの処置における、2週間に1回、3週間に1回または4週間に1回、300mg~700mgまたは900mg~1300mgの抗LAG-3抗体分子の一定用量での使用のための抗LAG-3抗体分子を含む医薬組成物であって、抗LAG-3抗体分子が、特定のアミノ酸配列のVHCDR1、VHCDR2、およびVHCDR3を含む重鎖可変領域(VH);ならびに特定のアミノ酸配列のVLCDR1、VLCDR2、VLCDR3を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、医薬組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象におけるがんの処置における、3週間に1回、約300mg~約500mgまたは4週間に1回、約700mg~約900mgの用量での使用のための抗LAG-3抗体分子であって、
抗LAG-3抗体分子が、配列番号701のVHCDR1アミノ酸配列、配列番号702のVHCDR2アミノ酸配列および配列番号703のVHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);ならびに配列番号710のVLCDR1アミノ酸配列、配列番号711のVLCDR2アミノ酸配列および配列番号712のVLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、使用のための抗LAG-3抗体分子。
【請求項2】
対象におけるがんを処置する方法であって、抗LAG-3抗体分子を、3週間に1回、約300mg~約500mgまたは4週間に1回、約700mg~約900mgの用量で対象に投与することを含み、
抗LAG-3抗体分子が、配列番号701のVHCDR1アミノ酸配列、配列番号702のVHCDR2アミノ酸配列および配列番号703のVHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);ならびに配列番号710のVLCDR1アミノ酸配列、配列番号711のVLCDR2アミノ酸配列および配列番号712のVLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、方法。
【請求項3】
抗LAG-3抗体分子が、3週間に1回、約300mg~約500mgの用量で使用される、請求項1に記載の使用のための抗体分子、または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
抗LAG-3抗体分子が、3週間に1回、約400mgの用量で使用される、請求項3に記載の使用のための抗体分子、または請求項3に記載の方法。
【請求項5】
抗LAG-3抗体分子が、4週間に1回、約700mg~約900mgの用量で使用される、請求項1に記載の使用のための抗体分子、または請求項2に記載の方法。
【請求項6】
抗LAG-3抗体分子が、4週間に1回、約800mgの用量で使用される、請求項5に記載の使用のための抗体分子、または請求項5に記載の方法。
【請求項7】
抗体分子が、配列番号706のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号718のアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項1もしくは3~6のいずれかに記載の使用のための抗体分子、または請求項2~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
抗体分子が、配列番号709のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号721のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1もしくは3~7のいずれかに記載の使用のための抗体分子、または請求項2~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
抗体分子が、配列番号724のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号730のアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項1もしくは3~6のいずれかに記載の使用のための抗体分子、または請求項2~6のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
抗体分子が、配列番号727のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号733のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1、3~6もしくは9のいずれかに記載の使用のための抗体分子、または請求項2~6もしくは9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
がんが、固形腫瘍または血液学的がんである、請求項1もしくは3~10のいずれかに記載の使用のための抗体分子、または請求項2~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
がんが、脳がん、膵がん、皮膚がん、腎がん、乳がん、ウイルス関連がん、肛門管がん、子宮頸部がん、胃がん、頭頸部がん、鼻咽頭がん(NPC)、陰茎がん、腟もしくは外陰部がん、結腸直腸がん、肺がん、白血病、リンパ腫、骨髄腫、またはがんの転移性病変から選択される、請求項1もしくは3~11のいずれかに記載の使用のための抗体分子、または請求項2~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
脳がんが、神経膠芽腫または膠肉腫である、請求項12に記載の使用のための抗体分子、または請求項12に記載の方法。
【請求項14】
皮膚がんが、黒色腫またはメルケル細胞癌である、請求項12に記載の使用のための抗体分子、または請求項12に記載の方法。
【請求項15】
腎がんが、腎細胞癌(RCC)である、請求項12に記載の使用のための抗体分子、または請求項12に記載の方法。
【請求項16】
乳がんが、乳癌または三種陰性乳がん(TNBC)である、請求項12に記載の使用のための抗体分子、または請求項12に記載の方法。
【請求項17】
ウイルス関連がんが、肛門管がん、子宮頸部がん、胃がん、頭頸部がん、鼻咽頭がん(NPC)、陰茎がん、または腟もしくは外陰部がんから選択される、請求項12に記載の使用のための抗体分子、または請求項12に記載の方法。
【請求項18】
結腸直腸がんが、マイクロサテライト不安定性結腸直腸がん、マイクロサテライト安定性結腸直腸がん、ミスマッチ修復能力がある結腸直腸がん、またはミスマッチ修復欠損結腸直腸がんから選択される、請求項12に記載の使用のための抗体分子、または請求項12に記載の方法。
【請求項19】
肺がんが、非小細胞肺がん(NSCLC)である、請求項12に記載の使用のための抗体分子、または請求項12に記載の方法。
【請求項20】
リンパ腫が、ホジキンリンパ腫(HL)またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である、請求項12に記載の使用のための抗体分子、または請求項12に記載の方法。
【請求項21】
がんが、進行型がん、転移性がん、反復性がん、再発性がん、または切除不能がんである、請求項1もしくは3~20のいずれかに記載の使用のための抗体分子、または請求項2~20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
抗LAG-3抗体分子が、第2の治療剤またはモダリティと組み合わせて使用される、請求項1もしくは3~21のいずれかに記載の使用のための抗体分子、または請求項2~21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
抗LAG-3抗体分子が、PD-1阻害剤と組み合わせて使用される、請求項1もしくは3~22のいずれかに記載の使用のための抗体分子、または請求項2~22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
PD-1阻害剤が、PDR001、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピディリズマブ、MEDI0680、REGN2810、PF-06801591、BGB-A317、INCHR1210、TSR-042またはAMP-224から選択される、請求項23に記載の使用のための抗体分子、または請求項23に記載の方法。
【請求項25】
PD-1阻害剤が、3週間に1回、約300mgまたは4週間に1回、約400mgの用量で使用される、請求項23もしくは24に記載の使用のための抗体分子、または請求項23もしくは24に記載の方法。
【請求項26】
抗LAG-3抗体分子が、PD-L1阻害剤と組み合わせて使用される、請求項1もしくは3~25のいずれかに記載の使用のための抗体分子、または請求項2~25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
PD-L1阻害剤が、FAZ053、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブまたはBMS-936559から選択される、請求項26に記載の使用のための抗体分子、または請求項26に記載の方法。
【請求項28】
抗LAG-3抗体分子が、化学療法剤と組み合わせて使用される、請求項1もしくは3~27のいずれかに記載の使用のための抗体分子、または請求項2~27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
化学療法剤が、白金剤、およびヌクレオチドアナログまたは前駆体アナログから選択される、請求項28に記載の使用のための抗体分子、または請求項28に記載の方法。
【請求項30】
白金剤が、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチンまたはテトラプラチンから選択される、請求項29に記載の使用のための抗体分子、または請求項29に記載の方法。
【請求項31】
ヌクレオチドアナログまたは前駆体アナログが、カペシタビンを含む、請求項29に記載の使用のための抗体分子、または請求項29に記載の方法。
【請求項32】
抗LAG-3抗体分子が、NSCLC、黒色腫、腎がん、神経膠芽腫、ウイルス関連がんまたは結腸直腸がんから選択されるがんの処置に使用される、請求項1もしくは3~31のいずれかに記載の使用のための抗体分子、または請求項2~31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
抗LAG-3抗体分子が、抗PD-1抗体分子と組み合わせて使用される、請求項32に記載の使用のための抗体分子、または請求項32に記載の方法。
【請求項34】
抗LAG-3抗体分子が、膵がんまたは乳がんの処置に使用される、請求項1もしくは3~31のいずれかに記載の使用のための抗体分子、または請求項2~31のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
乳がんが、TNBCである、請求項34に記載の使用のための抗体分子、または請求項34に記載の方法。
【請求項36】
抗LAG-3抗体分子が、抗PD-1抗体分子と組み合わせて使用される、請求項34もしくは35に記載の使用のための抗体分子、または請求項34もしくは35に記載の方法。
【請求項37】
抗LAG-3抗体分子が、化学療法剤と組み合わせて使用される、請求項34~36のいずれかに記載の使用のための抗体分子、または請求項34~36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
化学療法剤が、白金剤、およびヌクレオチドアナログまたは前駆体アナログから選択される、請求項37に記載の使用のための抗体分子、または請求項37に記載の方法。
【請求項39】
白金剤が、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチンまたはテトラプラチンから選択される、請求項38に記載の使用のための抗体分子、または請求項38に記載の方法。
【請求項40】
ヌクレオチドアナログまたは前駆体アナログが、カペシタビンを含む、請求項38に記載の使用のための抗体分子、または請求項38に記載の方法。
【請求項41】
対象が、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)におけるLAG-3発現を有するまたはこれを有すると同定されている、請求項1もしくは3~40のいずれかに記載の使用のための抗体分子、または請求項2~40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
対象が、PD-L1を発現するがんを有するまたはこれを有すると同定されている、請求項1もしくは3~41のいずれかに記載の使用のための抗体分子、請求項2~41のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
対象におけるがんの処置における、3週間に1回、約300mg~約500mgまたは4週間に1回、約700mg~約900mgの用量での使用のための抗LAG-3抗体分子を含む医薬組成物または用量製剤であって、
抗LAG-3抗体分子が、配列番号701のVHCDR1アミノ酸配列、配列番号702のVHCDR2アミノ酸配列および配列番号703のVHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);ならびに配列番号710のVLCDR1アミノ酸配列、配列番号711のVLCDR2アミノ酸配列および配列番号712のVLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、医薬組成物または用量製剤。
【請求項44】
用量が、3週間に1回、約300mg~約500mgである、請求項43に記載の医薬組成物または用量製剤。
【請求項45】
用量が、4週間に1回、約700mgおよび約900mgである、請求項43に記載の医薬組成物または用量製剤。
【請求項46】
抗体分子が、配列番号706のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号718のアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項43~45のいずれかに記載の医薬組成物または用量製剤。
【請求項47】
抗体分子が、配列番号709のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号721のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項43~46のいずれかに記載の医薬組成物または用量製剤。
【請求項48】
抗体分子が、配列番号724のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号730のアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項43~45のいずれかに記載の医薬組成物または用量製剤。
【請求項49】
抗体分子が、配列番号727のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号733のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項43~45または48のいずれかに記載の医薬組成物または用量製剤。
【請求項50】
がんの処置に使用するための、請求項43~49のいずれかに記載の医薬組成物または用量製剤。
【請求項51】
がんが、固形腫瘍または血液学的がんである、請求項50に記載の医薬組成物または用量製剤。
【請求項52】
がんが、脳がん、膵がん、皮膚がん、腎がん、乳がん、ウイルス関連がん、肛門管がん、子宮頸部がん、胃がん、頭頸部がん、鼻咽頭がん(NPC)、陰茎がん、腟もしくは外陰部がん、結腸直腸がん、肺がん、白血病、リンパ腫、骨髄腫、またはがんの転移性病変から選択される、請求項50または51に記載の医薬組成物または用量製剤。
【請求項53】
(a)対象由来の血清もしくは血清試料中の可溶性LAG-3の50%以上に抗LAG-3抗体分子が結合すること;または(b)対象由来のがんもしくはがん試料中の膜結合型LAG-3の90%以上に抗LAG-3抗体分子が結合することのうち一方または両方をもたらす用量または投薬量スケジュールでの、対象におけるがんの処置における使用のための抗LAG-3抗体分子。
【請求項54】
対象におけるがんを処置する方法であって、(a)対象由来の血清もしくは血清試料中の可溶性LAG-3の50%以上に抗LAG-3抗体分子が結合すること;または(b)対象由来のがんもしくはがん試料中の膜結合型LAG-3の90%以上に抗LAG-3抗体分子が結合することのうち一方または両方をもたらす用量または投薬量スケジュールで、抗LAG-3抗体分子を対象に投与することを含む方法。
【請求項55】
投薬量スケジュールが、(a)対象由来の血清もしくは血清試料中の可溶性LAG-3の60%以上に抗LAG-3抗体分子が結合すること;または(b)対象由来のがんもしくはがん試料中の膜結合型LAG-3の90%以上に抗LAG-3抗体分子が結合することのうち一方または両方をもたらす、請求項53に記載の使用のための抗体分子、または請求項54に記載の方法。
【請求項56】
投薬量スケジュールが、(a)対象由来の血清もしくは血清試料中の可溶性LAG-3の70%以上に抗LAG-3抗体分子が結合すること;または(b)対象由来のがんもしくはがん試料中の膜結合型LAG-3の90%以上に抗LAG-3抗体分子が結合することのうち一方または両方をもたらす、請求項53もしくは55に記載の使用のための抗体分子、または請求項54もしくは55に記載の方法。
【請求項57】
抗LAG-3抗体分子が、配列番号701のVHCDR1アミノ酸配列、配列番号702のVHCDR2アミノ酸配列および配列番号703のVHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);ならびに配列番号710のVLCDR1アミノ酸配列、配列番号711のVLCDR2アミノ酸配列および配列番号712のVLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、請求項53もしくは55~56のいずれかに記載の使用のための抗体分子、または請求項54~56のいずれかに記載の方法。
【請求項58】
抗体分子が、配列番号706のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号718のアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項53もしくは55~57のいずれかに記載の使用のための抗体分子、または請求項54~57のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
抗体分子が、配列番号709のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号721のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項53もしくは55~58のいずれかに記載の使用のための抗体分子、または請求項54~58のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
抗体分子が、配列番号724のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号730のアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項53もしくは55~57のいずれかに記載の使用のための抗体分子、または請求項54~57のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
抗体分子が、配列番号727のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号733のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項53、55~57もしくは60のいずれかに記載の使用のための抗体分子、または請求項54~57もしくは60のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
抗LAG-3抗体分子が、3週間に1回、約300mg~約500mgまたは4週間に1回、約700mg~約900mgの用量で投与される、請求項54~61のいずれかに記載の使用のための抗体分子、または請求項54~61のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年7月20日付けで出願された米国特許仮出願第62/534,798号および2018年3月16日付けで出願された米国特許仮出願第62/643,992号の利益を主張するものであり、これにより上述の出願の内容全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出された配列表を含有し、これによりその全体が参照により本明細書に組み入れられる。2018年7月17日に作成された前記ASCIIのコピーは、C2160-7019WO_SL.txtという名称であり、サイズは233,727バイトである。
【背景技術】
【0003】
リンパ球活性化遺伝子-3、すなわちLAG-3(CD223としても公知)は、免疫グロブリンスーパー遺伝子ファミリーのメンバーであり、活性化されたT細胞[Huard et al. (1994) Immunogenetics 39:213]、NK細胞[Triebel et al. (1990) J. Exp. Med. 171:1393-1405]、調節性T細胞[Huang et al. (2004) Immunity 21:503-513;Camisaschi et al. (2010) J Immunol. 184:6545-6551;Gagliani et al. (2013) Nat Med 19:739-746]および形質細胞様樹状細胞(DC)[Workman et al. (2009) J Immunol 182:1885-1891]表面に発現される。LAG-3は、12番染色体上に位置する遺伝子にコードされる膜タンパク質であり、CD4に構造および遺伝的に関係する。
【0004】
CD4と同様に、LAG-3は、細胞表面にあるMHCクラスII分子と相互作用することができる[Baixeras et al. (1992) J. Exp. Med. 176:327-337;Huard et al. (1996) Eur. J. Immunol. 26:1180-1186]。MHCクラスIIへのLAG-3の直接的結合が、CD4+Tリンパ球の抗原依存性刺激の下方調節における役割を果たすことが示唆され[Huard et al. (1994) Eur. J. Immunol. 24:3216-3221]、LAG-3遮断はまた、腫瘍または自己抗原[Gross et al. (2007) J Clin Invest. 117:3383-3392]およびウイルスモデル[Blackburn et al. (2009) Nat. Immunol. 10:29-37]の両方においてCD8+リンパ球を再活性化することが示された。さらに、LAG-3の細胞質内領域は、CD3/TCR活性化経路の下方調節に関与するシグナル伝達分子であるLAP(LAG-3関連タンパク質)と相互作用することができる[Iouzalen et al. (2001) Eur. J. Immunol. 31:2885-2891]。さらに、CD4+CD25+調節性T細胞(Treg)は、活性化後にLAG-3を発現することが示され、これは、Treg細胞のサプレッサー活性に寄与する[Huang, C. et al. (2004) Immunity 21:503-513]。LAG-3は、T細胞依存性および非依存性機序の両方で、Treg細胞によるT細胞恒常性を負に調節することもできる[Workman, C. J. and Vignali, D. A. (2005) J. Immunol. 174:688-695]。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、がん等、疾患を処置するための抗LAG-3抗体分子のための投薬量レジメンおよび製剤を含む、LAG-3機能およびLAG-3発現細胞の機能を調節する新規治療アプローチの必要がある(exit)。
【課題を解決するための手段】
【0006】
少なくとも一部には、高い親和性および特異性でリンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3)に結合する抗体分子(例えば、ヒト化抗体分子)が、本明細書に開示されている。抗LAG-3抗体分子を含む医薬組成物および用量製剤も提供される。本明細書に開示されている抗LAG-3抗体分子を使用して(単独で、または他の治療剤、手順もしくはモダリティと組み合わせて)、がん性障害(例えば、固形腫瘍および血液学的がん)および感染性疾患(例えば、慢性感染性障害または敗血症)等の障害を処置または予防することができる。よって、抗LAG-3抗体分子を使用して様々な障害を処置するための投薬量レジメンを含む方法が、本明細書に開示されている。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、一定または固定用量で投与または使用される。
【0007】
したがって、ある面では、本開示は、対象における障害、例えば、過剰増殖状態または障害(例えば、がん)を処置する(例えば、阻害する、低下させる、寛解するまたは予防する)方法を特色とする。
【0008】
ある特定の態様では、方法は、抗LAG-3抗体分子、例えば、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子を、3週間に1回または4週間に1回、約300mg~約500mg、約500mg~約700mgまたは約700mg~約900mgの用量で対象に投与することを含む。
【0009】
ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、3週間に1回または4週間に1回、約300mg~約500mgの用量で投与される。他の態様では、抗LAG-3抗体分子は、3週間に1回または4週間に1回、約500mg~約700mgの用量で投与される。他の態様では、抗LAG-3抗体分子は、3週間に1回または4週間に1回、約700mg~約900mgの用量で投与される。他の態様では、抗LAG-3抗体分子は、3週間に1回、約300mg~約500mg、約500mg~約700mgまたは約700mg~約900mgの用量で投与される。他の態様では、抗LAG-3抗体分子は、4週間に1回、約300mg~約500mg、約500mg~約700mgまたは約700mg~約900mgの用量で投与される。
【0010】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、3週間に1回、約300mg~約500mg、例えば、約350mg~約450mg、約300mg~約400mgまたは約400mg~約500mg、例えば、約300mg、約350mg、約400mg、約450mgまたは約500mgの用量で投与される。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、3週間に1回、約350mg~約450mg、例えば、約400mgの用量で投与される。
【0011】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、4週間に1回、約500mg~約700mg、例えば、約550mg~約650mg、約500mg~約600mgまたは約600mg~約700mg、例えば、約500mg、約533mg、約550mg、約600mg、約650mgまたは約700mgの用量で投与される。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、4週間に1回、約500mg~約650mg、例えば、約533mgまたは約600mgの用量で投与される。
【0012】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、4週間に1回、約700mg~約900mg、例えば、約750mg~約850mg、約700mg~約800mgまたは約800mg~約900mg、例えば、約700mg、約750mg、約800mg、約850mgまたは約900mgの用量で投与される。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、4週間に1回、約750mg~約850mg、例えば、約800mgの用量で投与される。
【0013】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、
(a)対象(例えば、血液)中の可溶性LAG-3の50%以上(例えば、60%以上、70%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、99%以上)に抗LAG-3抗体分子が結合すること;または
(b)対象(例えば、がん)中の膜結合型LAG-3の50%以上(例えば、60%以上、70%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、99%以上)に抗LAG-3抗体分子が結合すること
のうち一方または両方をもたらす用量または投薬量スケジュールで投与される。
【0014】
ある態様では、可溶性LAG-3への抗LAG-3抗体分子の結合は、血液試料(例えば、血清試料または血漿試料)中で決定される。ある態様では、膜結合型LAG-3への抗LAG-3抗体分子の結合は、がん(例えば、がん試料)中で決定される。
【0015】
ある態様では、可溶性LAG-3への抗LAG-3抗体分子の結合、膜結合型LAG-3への抗LAG-3抗体分子の結合、またはその両方は、対象が、定常状態トラフレベルの抗LAG-3抗体分子を有するときに決定される。ある態様では、トラフレベルは、投与から約24週間後の抗LAG-3抗体分子の濃度、または次の用量が投与される前に抗LAG-3抗体分子が達する最低濃度である。ある態様では、可溶性LAG-3への抗LAG-3抗体分子の結合、膜結合型LAG-3への抗LAG-3抗体分子の結合、またはその両方は、インビトロ(in vitro)(例えば、ELISAまたは細胞に基づくアッセイにより)もしくはインビボ(in vivo)(例えば、イメージングにより)で決定、例えば、測定される、またはPK/PDモデル、例えば、本明細書に記載されているPK/PDモデルから予測される。
【0016】
ある態様では、対象由来の血清試料中の可溶性LAG-3の60%以上に抗LAG-3抗体分子が結合する。ある態様では、対象由来の血清試料中の可溶性LAG-3の80%以上に抗LAG-3抗体分子が結合する。ある態様では、対象由来の血清試料中の可溶性LAG-3の90%以上に抗LAG-3抗体分子が結合する。
【0017】
ある態様では、対象由来のがんまたはがん試料中の膜結合型LAG-3の85%以上に抗LAG-3抗体分子が結合する。ある態様では、対象由来のがんまたはがん試料中の膜結合型LAG-3の90%以上に抗LAG-3抗体分子が結合する。ある態様では、対象由来のがんまたはがん試料中の膜結合型LAG-3の95%以上に抗LAG-3抗体分子が結合する。
【0018】
ある態様では、対象由来の血清試料中の可溶性LAG-3の70%以上、80%以上または90%以上に抗LAG-3抗体分子が結合し、対象由来のがんまたはがん試料中の膜結合型LAG-3の85%以上、90%以上または95%以上に抗LAG-3抗体分子が結合する。
【0019】
ある態様では、対象由来の血清試料中の可溶性LAG-3の70%以上に抗LAG-3抗体分子が結合し、対象由来のがんまたはがん試料中の膜結合型LAG-3の90%以上に抗LAG-3抗体分子が結合する。ある態様では、対象由来の血清試料中の可溶性LAG-3の80%以上に抗LAG-3抗体分子が結合し、対象由来のがんまたはがん試料中の膜結合型LAG-3の90%以上に抗LAG-3抗体分子が結合する。ある態様では、対象由来の血清試料中の可溶性LAG-3の90%以上に抗LAG-3抗体分子が結合し、対象由来のがんまたはがん試料中の膜結合型LAG-3の90%以上に抗LAG-3抗体分子が結合する。
【0020】
ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、3週間に1回、約300mg~約800mg、例えば、約300mg~約500mg(例えば、約400mg)または約600mg~約800mg(例えば、約700mg)の用量で投与される。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、3週間に1回、約300mg~約500mg(例えば、約400mg)の用量で投与される。
【0021】
他の態様では、抗LAG-3抗体分子は、4週間に1回、約600mg~約1600mg、例えば、約600mg~約1000mg(例えば、約800mg)または約1200mg~約1600mg(例えば、約1400mg)の用量で投与される。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、4週間に1回、約600mg~約1000mg(例えば、約800mg)の用量で投与される。
【0022】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、次のうち一方または両方を低下させる用量または投薬量スケジュールで投与される:
(a)対象(例えば、血液)中の遊離可溶性LAG-3のレベルを、例えば、遊離可溶性LAG-3の参照レベルの50%以下(例えば、40%以下、30%以下、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下または1%以下)まで;または
(b)対象(例えば、がん)中の遊離膜結合型LAG-3のレベルを、例えば、膜結合型LAG-3の参照レベルの50%以下(例えば、40%以下、30%以下、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下または1%以下)まで。
【0023】
ある態様では、遊離可溶性LAG-3のレベルは、血液試料(例えば、血清試料または血漿試料)中で決定される。ある態様では、遊離可溶性LAG-3の参照レベルは、例えば、投薬量スケジュールに従った、例えば、抗LAG-3抗体分子の投与に先立つ、対象中の遊離可溶性LAG-3のベースラインレベルである。
【0024】
ある態様では、遊離膜結合型LAG-3のレベルは、がん(例えば、がん試料)中で決定される。ある態様では、遊離膜結合型LAG-3の参照レベルは、例えば、投薬量スケジュールに従った、例えば、抗LAG-3抗体分子の投与に先立つ、対象中の遊離膜結合型LAG-3のベースラインレベルである。
【0025】
ある態様では、遊離可溶性LAG-3のレベル、遊離膜結合型LAG-3のレベル、またはその両方は、対象が、定常状態トラフレベルの抗LAG-3抗体分子を有するときに決定される。ある態様では、トラフレベルは、投与から約24週間後の抗LAG-3抗体分子の濃度、または次の用量が投与される前に抗LAG-3抗体分子が達する最低濃度である。ある態様では、遊離可溶性LAG-3のレベル、遊離膜結合型LAG-3のレベル、またはその両方は、インビトロ(例えば、ELISAまたは細胞に基づくアッセイにより)もしくはインビボ(例えば、イメージングにより)で決定、例えば、測定される、またはPK/PDモデル、例えば、本明細書に記載されているPK/PDモデルから予測される。
【0026】
ある態様では、遊離可溶性LAG-3のレベルは、対象由来の血清試料中の遊離可溶性LAG-3の参照レベルの30%以下まで低下される。ある態様では、遊離可溶性LAG-3のレベルは、対象由来の血清試料中の遊離可溶性LAG-3の参照レベルの20%以下まで低下される。ある態様では、遊離可溶性LAG-3のレベルは、対象由来の血清試料中の遊離可溶性LAG-3の参照レベルの10%以下まで低下される。
【0027】
ある態様では、遊離膜結合型LAG-3のレベルは、対象由来のがんまたはがん試料中の遊離膜結合型LAG-3の参照レベルの15%以下まで低下される。ある態様では、遊離膜結合型LAG-3のレベルは、対象由来のがんまたはがん試料中の遊離膜結合型LAG-3の参照レベルの10%以下まで低下される。ある態様では、遊離可溶性LAG-3のレベルは、対象由来のがんまたはがん試料中の遊離膜結合型LAG-3の参照レベルの5%以下まで低下される。
【0028】
ある態様では、遊離可溶性LAG-3のレベルは、対象由来の血清試料中の遊離可溶性LAG-3の参照レベルの30%以下、20%以下または10%以下まで低下され、遊離膜結合型LAG-3のレベルは、対象由来のがんまたはがん試料中の遊離膜結合型LAG-3の参照レベルの15%以下、10%以下または5%以下まで低下される。
【0029】
ある態様では、遊離可溶性LAG-3のレベルは、対象由来の血清試料中の遊離可溶性LAG-3の参照レベルの30%以下まで低下され、遊離膜結合型LAG-3のレベルは、対象由来のがんまたはがん試料中の遊離膜結合型LAG-3の参照レベルの10%以下まで低下される。ある態様では、遊離可溶性LAG-3のレベルは、対象由来の血清試料中の遊離可溶性LAG-3の参照レベルの20%以下まで低下され、遊離膜結合型LAG-3のレベルは、対象由来のがんまたはがん試料中の遊離膜結合型LAG-3の参照レベルの10%以下まで低下される。ある態様では、遊離可溶性LAG-3のレベルは、対象由来の血清試料中の遊離可溶性LAG-3の参照レベルの10%以下まで低下され、遊離膜結合型LAG-3のレベルは、対象由来のがんまたはがん試料中の遊離膜結合型LAG-3の参照レベルの10%以下まで低下される。
【0030】
ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、3週間に1回、約300mg~約800mg、例えば、約300mg~約500mg(例えば、約400mg)または約600mg~約800mg(例えば、約700mg)の用量で投与される。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、3週間に1回、約300mg~約500mg(例えば、約400mg)の用量で投与される。
【0031】
他の態様では、抗LAG-3抗体分子は、4週間に1回、約600mg~約1600mg、例えば、約600mg~約1000mg(例えば、約800mg)または約1200mg~約1600mg(例えば、約1400mg)の用量で投与される。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、4週間に1回、約600mg~約1000mg(例えば、約800mg)の用量で投与される。
【0032】
ある態様では、障害は、がん、例えば、本明細書に記載されているがんである。ある特定の態様では、がんは、固形腫瘍である。ある態様では、がんは、脳腫瘍、例えば、神経膠芽腫、膠肉腫または反復性脳腫瘍である。ある態様では、がんは、膵がん、例えば、進行型膵がんである。ある態様では、がんは、皮膚がん、例えば、黒色腫(例えば、ステージII~IV黒色腫、HLA-A2陽性黒色腫、切除不能黒色腫または転移性黒色腫)またはメルケル細胞癌である。ある態様では、がんは、腎がん、例えば、腎細胞癌(RCC)(例えば、転移性腎細胞癌)である。ある態様では、がんは、乳がん、例えば、転移性乳癌またはステージIV乳癌、例えば、三種陰性乳がん(TNBC)である。ある態様では、がんは、ウイルス関連がんである。ある態様では、がんは、肛門管がん(例えば、肛門管の扁平上皮癌)である。ある態様では、がんは、子宮頸部がん(例えば、子宮頸部の扁平上皮癌)である。ある態様では、がんは、胃がん[例えば、エプスタイン・バーウイルス(EBV)陽性胃がん、または胃もしくは食道胃接合部癌]である。ある態様では、がんは、頭頸部がん[例えば、HPV陽性および陰性の頭頸部の扁平上皮がん(SCCHN)]である。ある態様では、がんは、鼻咽頭がん(NPC)である。ある態様では、がんは、陰茎がん(例えば、陰茎の扁平上皮癌)である。ある態様では、がんは、腟または外陰部がん(例えば、腟または外陰部の扁平上皮癌)である。ある態様では、がんは、結腸直腸がん、例えば、再発性結腸直腸がんまたは転移性結腸直腸がん、例えば、マイクロサテライト不安定性(unstable)結腸直腸がん、マイクロサテライト安定性結腸直腸がん、ミスマッチ修復能力がある(proficient)結腸直腸がんまたはミスマッチ修復欠損結腸直腸がんである。ある態様では、がんは、肺がん、例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)である。ある特定の態様では、がんは、血液学的がんである。ある態様では、がんは、白血病である。ある態様では、がんは、リンパ腫、例えば、ホジキンリンパ腫(HL)またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)(例えば、再発性または難治性HLまたはDLBCL)である。ある態様では、がんは、骨髄腫である。
【0033】
他の態様では、がんは、MSI高がんである。ある態様では、がんは、転移性がんである。他の態様では、がんは、進行型がんである。他の態様では、がんは、再発性または難治性がんである。他の態様では、がんは、反復性がんである。
【0034】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、約300mg~約500mg(例えば、約400mg)、約500mg~約700mg(例えば、約533mgまたは約600mg)または約700mg~約900mg(例えば、約800mg)の用量(例えば、一定用量)で、注射(例えば、静脈内または皮下)によって投与される。投薬スケジュール(例えば、一定投薬スケジュール)は、例えば、3週間に1回から4週間に1回に変動し得る。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、3週間に1回、約300mg~500mg(例えば、約400mg)の用量で静脈内投与される。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、4週間に1回、約500mg~700mg(例えば、約533mgまたは約600mg)の用量で静脈内投与される。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、4週間に1回、約700mg~900mg(例えば、約800mg)の用量で静脈内投与される。
【0035】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、3週間に1回、約400mgの用量で静脈内投与されて、本明細書に開示されているがんを処置する。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、4週間に1回、約533mgまたは600mgの用量で静脈内投与されて、本明細書に開示されているがんを処置する。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、4週間に1回、約800mgの用量で静脈内投与されて、本明細書に開示されているがんを処置する。
【0036】
ある態様では、方法は、PD-1阻害剤(例えば、本明細書に記載されている抗PD-1抗体分子)またはPD-L1阻害剤(例えば、本明細書に記載されている抗PD-L1抗体分子)を対象に投与することをさらに含む。ある態様では、PD-1阻害剤(例えば、本明細書に記載されている抗PD-1抗体分子)は、3週間に1回、約200mg~約400mg(例えば、約300mg)の用量で静脈内投与される。ある特定の態様では、対象に、抗LAG-3抗体分子(例えば、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子)が、3週間に1回、約200mg~約400mg(例えば、約300mg)の用量の抗PD-1抗体分子と共に投与される。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子(例えば、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子)は、3週間に1回、約300mg~約500mg(例えば、約400mg)の用量で投与され、PD-1阻害剤(例えば、本明細書に記載されている抗PD-1抗体分子)は、3週間に1回、約200mg~約400mg(例えば、約300mg)の用量で投与される。他の態様では、対象に、抗LAG-3抗体分子(例えば、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子)が4週間に1回、約300mg~約500mg(例えば、約400mg)の用量の抗PD-1抗体分子と共に投与される。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子(例えば、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子)は、4週間に1回、約600mg~約1000mg(例えば、約800mg)の用量で投与され、PD-1阻害剤(例えば、本明細書に記載されている抗PD-1抗体分子)は、4週間に1回、約300mg~約500mg(例えば、約400mg)の用量で投与される。ある態様では、方法は、抗LAG-3抗体分子(例えば、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子)および化学療法剤[例えば、白金剤(例えば、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチンまたはテトラプラチン(tetraplatin))またはヌクレオチドアナログもしくは前駆体アナログ(例えば、カペシタビン)]を対象に投与することを含む。ある態様では、化学療法剤(例えば、白金剤、例えば、カルボプラチン)は、3週間に1回、約4~約8または約5~約7の曲線下面積(AUC)(例えば、約6のAUC)を達成する用量で静脈内投与される。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子(例えば、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子)は、3週間に1回、約300mg~約500mg(例えば、約400mg)の用量で投与され、化学療法剤(例えば、白金剤、例えば、カルボプラチン)は、3週間に1回、約4~約8または約5~約7の曲線下面積(AUC)(例えば、約6のAUC)を達成する用量で投与される。
【0037】
ある態様では、方法は、抗LAG-3抗体分子(例えば、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子)、PD-1阻害剤(例えば、本明細書に記載されている抗PD-1抗体分子)および化学療法剤[例えば、白金剤(例えば、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチンまたはテトラプラチン)またはヌクレオチドアナログもしくは前駆体アナログ(例えば、カペシタビン)]を対象に投与することを含む。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子(例えば、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子)は、3週間に1回、約300mg~約500mg(例えば、約400mg)の用量で投与され、PD-1阻害剤(例えば、本明細書に記載されている抗PD-1抗体分子)は、3週間に1回、約200mg~約400mg(例えば、約300mg)の用量で投与され、化学療法剤(例えば、白金剤、例えば、カルボプラチン)は、3週間に1回、約4~約8または約5~約7の曲線下面積(AUC)(例えば、約6のAUC)を達成する用量で投与される。
【0038】
ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子(例えば、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子)、または抗LAG-3抗体分子を含む組合せ(例えば、PD-1阻害剤または化学療法剤の一方または両方と組み合わせた抗LAG-3抗体分子)は、例えば、本明細書に記載されている投薬スケジュールに従った、乳がん、例えば、三種陰性乳がん(TNBC)の処置に使用される。
【0039】
ある特定の態様では、対象は、抗LAG-3抗体分子を受ける前に、PD-1またはPD-L1療法で処置されていない。他の態様では、対象は、抗LAG-3抗体分子を受ける前に、PD-1またはPD-L1療法で処置された。
【0040】
ある特定の態様では、対象は、抗LAG-3抗体分子を受ける前に、化学療法剤[例えば、白金剤(例えば、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチンまたはテトラプラチン)またはヌクレオチドアナログもしくは前駆体アナログ(例えば、カペシタビン)]で処置されていない。他の態様では、対象は、抗LAG-3抗体分子を受ける前に、化学療法剤[例えば、白金剤(例えば、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチンまたはテトラプラチン)またはヌクレオチドアナログもしくは前駆体アナログ(例えば、カペシタビン)]で処置された。
【0041】
他の態様では、対象は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)においてLAG-3発現を有するまたはこれを有すると同定されている。
【0042】
別の面では、本開示は、過剰増殖(例えば、がん)細胞の活性(例えば、成長、生存もしくは生存率、またはその全て)を低下させる方法を特色とする。方法は、細胞を抗LAG-3抗体分子、例えば、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子と接触させることを含む。方法は、対象において、例えば、治療プロトコールの一部として、例えば、抗LAG-3抗体分子を3週間に1回または4週間に1回、約300mg~約500mg(例えば、約400mg)、約500mg~約700mg(例えば、約533mgまたは約600mg)または約700mg~約900mg(例えば、約800mg)の用量で行うことができる。ある特定の態様では、用量は、抗LAG-3抗体分子を3週間に1回、約300mg~約500mg(例えば、約400mg)である。他の態様では、用量は、抗LAG-3抗体分子を4週間に1回、約500mg~約700mg(例えば、約533mgまたは約600mg)である。他の態様では、用量は、抗LAG-3抗体分子を4週間に1回、約700mg~約900mg(例えば、約800mg)である。
【0043】
がん細胞は、例えば、固形腫瘍または血液学的がん、例えば、脳腫瘍(例えば、神経膠芽腫、膠肉腫または反復性脳腫瘍)、膵がん(例えば、進行型膵がん)、皮膚がん[例えば、黒色腫(例えば、ステージII~IV黒色腫、HLA-A2陽性黒色腫、切除不能黒色腫または転移性黒色腫)またはメルケル細胞癌]、腎がん[例えば、腎細胞癌(RCC)(例えば、転移性腎細胞癌)]、乳がん[例えば、転移性乳癌またはステージIV乳癌、例えば、三種陰性乳がん(TNBC)]、ウイルス関連がん、肛門管がん(例えば、肛門管の扁平上皮癌)、子宮頸部がん(例えば、子宮頸部の扁平上皮癌)、胃がん[例えば、エプスタイン・バーウイルス(EBV)陽性胃がん、または胃もしくは食道胃接合部癌]、頭頸部がん[例えば、HPV陽性および陰性の頭頸部の扁平上皮がん(SCCHN)]、鼻咽頭がん(NPC)、陰茎がん(例えば、陰茎の扁平上皮癌)、腟もしくは外陰部がん(例えば、腟または外陰部の扁平上皮癌)、結腸直腸がん(例えば、再発性結腸直腸がんまたは転移性結腸直腸がん、例えば、マイクロサテライト不安定性結腸直腸がん、マイクロサテライト安定性結腸直腸がん、ミスマッチ修復能力がある結腸直腸がんまたはミスマッチ修復欠損結腸直腸がん)、肺がん[例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)]、白血病、リンパ腫[例えば、ホジキンリンパ腫(HL)またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、例えば、再発性または難治性HLまたはDLBCL]、または骨髄腫等、本明細書に記載されているがん由来の細胞となることができる。
【0044】
ある特定の態様では、がんは、固形腫瘍である。ある態様では、がんは、脳腫瘍、例えば、神経膠芽腫、膠肉腫または反復性脳腫瘍である。ある態様では、がんは、膵がん、例えば、進行型膵がんである。ある態様では、がんは、皮膚がん、例えば、黒色腫(例えば、ステージII~IV黒色腫、HLA-A2陽性黒色腫、切除不能黒色腫または転移性黒色腫)またはメルケル細胞癌である。ある態様では、がんは、腎がん、例えば、腎細胞癌(RCC)(例えば、転移性腎細胞癌)である。ある態様では、がんは、乳がん、例えば、転移性乳癌またはステージIV乳癌、例えば、三種陰性乳がん(TNBC)である。ある態様では、がんは、ウイルス関連がんである。ある態様では、がんは、肛門管がん(例えば、肛門管の扁平上皮癌)である。ある態様では、がんは、子宮頸部がん(例えば、子宮頸部の扁平上皮癌)である。ある態様では、がんは、胃がん[例えば、エプスタイン・バーウイルス(EBV)陽性胃がん、または胃もしくは食道胃接合部癌]である。ある態様では、がんは、頭頸部がん[例えば、HPV陽性および陰性の頭頸部の扁平上皮がん(SCCHN)]である。ある態様では、がんは、鼻咽頭がん(NPC)である。ある態様では、がんは、陰茎がん(例えば、陰茎の扁平上皮癌)である。ある態様では、がんは、腟または外陰部がん(例えば、腟または外陰部の扁平上皮癌)である。ある態様では、がんは、結腸直腸がん、例えば、再発性結腸直腸がんまたは転移性結腸直腸がん、例えば、マイクロサテライト不安定性結腸直腸がん、マイクロサテライト安定性結腸直腸がん、ミスマッチ修復能力がある結腸直腸がんまたはミスマッチ修復欠損結腸直腸がんである。ある態様では、がんは、肺がん、例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)である。ある特定の態様では、がんは、血液学的がんである。ある態様では、がんは、白血病である。ある態様では、がんは、リンパ腫、例えば、ホジキンリンパ腫(HL)またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)(例えば、再発性または難治性HLまたはDLBCL)である。ある態様では、がんは、骨髄腫である。
【0045】
ある特定の態様では、方法は、細胞を、PD-1阻害剤(例えば、本明細書に記載されている抗PD-1抗体分子)または化学療法剤[例えば、白金剤(例えば、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチンまたはテトラプラチン)またはヌクレオチドアナログもしくは前駆体アナログ(例えば、カペシタビン)]の一方または両方と接触させることをさらに含む。方法は、対象において、例えば、治療プロトコールの一部として、例えば、抗LAG-3抗体分子を3週間に1回、約300mg~約500mg(例えば、約400mg)の用量で、PD-1阻害剤を3週間に1回、約200mg~約400mg(例えば、約300mg)の用量で行うことができる。方法は、対象において、例えば、治療プロトコールの一部として、例えば、抗LAG-3抗体分子を4週間に1回、約600mg~約1000mg(例えば、約800mg)の用量で、PD-1阻害剤を4週間に1回、約300mg~約500mg(例えば、約400mg)の用量で行うことができる。方法は、対象において、例えば、治療プロトコールの一部として、例えば、3週間に1回、約300mg~約500mg(例えば、約400mg)の抗LAG-3抗体分子を抗LAG-3抗体分子の用量で、化学療法剤を3週間に1回、約4~約8または約5~約7の曲線下面積(AUC)(例えば、約6のAUC)を達成する用量で行うことができる。方法は、対象において、例えば、治療プロトコールの一部として、例えば、抗LAG-3抗体分子を3週間に1回、約300mg~約500mg(例えば、約400mg)の用量で、PD-1阻害剤を3週間に1回、約200mg~約400mg(例えば、約300mg)の用量で、化学療法剤を3週間に1回、約4~約8または約5~約7の曲線下面積(AUC)(例えば、約6のAUC)を達成する用量で行うことができる。ある態様では、がん細胞は、例えば、乳がん細胞、例えば、TNBC細胞となることができる。本明細書に開示されている方法のある特定の態様では、方法は、対象の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)におけるLAG-3発現のレベルを決定することをさらに含む。他の態様では、LAG-3発現のレベルは、対象から獲得された試料(例えば、腫瘍生検)において決定される(例えば、免疫組織化学的検査を使用して)。ある特定の態様では、対象において検出可能レベルまたは上昇したレベルのLAG-3が存在する場合、抗LAG-3抗体分子が投与される(例えば、抗LAG-3抗体分子は、対象における検出可能レベルまたは上昇したレベルのLAG-3に応答して投与される)。検出工程を使用して、例えば、本明細書に記載されている治療剤の有効性をモニターすることもできる。例えば、検出工程を使用して、抗LAG-3抗体分子の有効性をモニターすることができる。
【0046】
別の面では、本開示は、抗LAG-3抗体分子(例えば、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子)を含む組成物(例えば、1種または複数の組成物または剤形)を特色とする。抗LAG-3抗体分子(例えば、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子)を含む製剤、例えば、投薬量製剤、およびキット、例えば、治療キットも、本明細書に記載されている。ある特定の態様では、組成物または製剤は、約300mg~約500mg(例えば、約400mg)、約500mg~約700mg(例えば、約533mgまたは約600mg)または約700mg~約900mg(例えば、約800mg)の抗LAG-3抗体分子(例えば、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子)を含む。ある態様では、組成物または製剤は、3週間に1回または4週間に1回投与または使用される。ある態様では、組成物または製剤は、約400mgの抗LAG-3抗体分子(例えば、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子)を含み、3週間に1回投与または使用される。ある態様では、組成物または製剤は、約533mgまたは600mgの抗LAG-3抗体分子(例えば、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子)を含み、4週間に1回投与または使用される。ある態様では、組成物または製剤は、約800mgの抗LAG-3抗体分子(例えば、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子)を含み、4週間に1回投与または使用される。ある特定の態様では、組成物または製剤は、がん、例えば、本明細書に開示されているがんの処置に使用される。
【0047】
本明細書に記載されている方法、組成物、投薬量製剤およびキットの追加的な特色または態様は、次のうち1種または複数を含む。
【0048】
LAG-3に対する抗体分子
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、表5に示すアミノ酸配列または表5に示すヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖可変領域(例えば、表5に開示されているBAP050-クローンIまたはBAP050-クローンJの重鎖および軽鎖可変領域配列)由来の少なくとも1、2、3、4、5または6個の相補性決定領域(CDR)(またはまとめてCDR全て)を含む。ある態様では、CDRは、Kabat定義に従う(例えば、表5に提示される通り)。ある態様では、CDRは、Chothia定義に従う(例えば、表5に提示される通り)。ある態様では、CDRは、KabatおよびChothiaの両方を組み合わせたCDR定義に従う(例えば、表5に提示される通り)。ある態様では、VH CDR1のKabatおよびChothia CDRの組合せは、アミノ酸配列GFTLTNYGMN(配列番号766)を含む。ある態様では、CDRのうち1個または複数(またはまとめてCDR全て)は、表5に示すアミノ酸配列または表5に示すヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列と比べて、1、2、3、4、5、6個以上の変化、例えば、アミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換)または欠失を有する。
【0049】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、表5にそれぞれ開示されている、配列番号701のVHCDR1アミノ酸配列、配列番号702のVHCDR2アミノ酸配列および配列番号703のVHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);ならびに配列番号710のVLCDR1アミノ酸配列、配列番号711のVLCDR2アミノ酸配列および配列番号712のVLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0050】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、表5にそれぞれ開示されている、配列番号736または737のヌクレオチド配列にコードされるVHCDR1、配列番号738または739のヌクレオチド配列にコードされるVHCDR2、および配列番号740または741のヌクレオチド配列にコードされるVHCDR3を含むVH;ならびに配列番号746または747のヌクレオチド配列にコードされるVLCDR1、配列番号748または749のヌクレオチド配列にコードされるVLCDR2、および配列番号750または751のヌクレオチド配列にコードされるVLCDR3を含むVLを含む。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、表5にそれぞれ開示されている、配列番号758または737のヌクレオチド配列にコードされるVHCDR1、配列番号759または739のヌクレオチド配列にコードされるVHCDR2、および配列番号760または741のヌクレオチド配列にコードされるVHCDR3を含むVH;ならびに配列番号746または747のヌクレオチド配列にコードされるVLCDR1、配列番号748または749のヌクレオチド配列にコードされるVLCDR2、および配列番号750または751のヌクレオチド配列にコードされるVLCDR3を含むVLを含む。
【0051】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、配列番号706のアミノ酸配列または配列番号706と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含むVHを含む。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、配列番号718のアミノ酸配列または配列番号718と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含むVLを含む。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、配列番号724のアミノ酸配列または配列番号724と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含むVHを含む。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、配列番号730のアミノ酸配列または配列番号730と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含むVLを含む。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、配列番号706のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号718のアミノ酸配列を含むVLを含む。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、配列番号724のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号730のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0052】
ある態様では、抗体分子は、配列番号707もしくは708のヌクレオチド配列または配列番号707もしくは708と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされるVHを含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号719もしくは720のヌクレオチド配列または配列番号719もしくは720と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされるVLを含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号725もしくは726のヌクレオチド配列または配列番号725もしくは726と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされるVHを含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号731もしくは732のヌクレオチド配列または配列番号731もしくは732と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされるVLを含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号707または708のヌクレオチド配列にコードされるVH、および配列番号719または720のヌクレオチド配列にコードされるVLを含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号725または726のヌクレオチド配列にコードされるVH、および配列番号731または732のヌクレオチド配列にコードされるVLを含む。
【0053】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、配列番号709のアミノ酸配列または配列番号709と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含む重鎖を含む。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、配列番号721のアミノ酸配列または配列番号721と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、配列番号727のアミノ酸配列または配列番号727と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含む重鎖を含む。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、配列番号733のアミノ酸配列または配列番号733と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、配列番号709のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号721のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、配列番号727のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号733のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0054】
ある態様では、抗体分子は、配列番号716もしくは717のヌクレオチド配列または配列番号716もしくは717と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされる重鎖を含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号722もしくは723のヌクレオチド配列または配列番号722もしくは723と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされる軽鎖を含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号728もしくは729のヌクレオチド配列または配列番号728もしくは729と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされる重鎖を含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号734もしくは735のヌクレオチド配列または配列番号734もしくは735と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされる軽鎖を含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号716または717のヌクレオチド配列にコードされる重鎖、および配列番号722または723のヌクレオチド配列にコードされる軽鎖を含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号728または729のヌクレオチド配列にコードされる重鎖、および配列番号734または735のヌクレオチド配列にコードされる軽鎖を含む。
【0055】
他の例示的なLAG-3阻害剤
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、BMS986016としても公知のBMS-986016(Bristol-Myers Squibb)である。BMS-986016および他の抗LAG-3抗体は、それらの全体を参照により本明細書に組み込む、WO2015/116539およびUS9,505,839に開示されている。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、例えば、表6に開示されている通り、BMS-986016のCDR配列のうち1個または複数(またはまとめてCDR配列全て)、重鎖もしくは軽鎖可変領域配列、または重鎖もしくは軽鎖配列を含む。
【0056】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、TSR-033(Tesaro)である。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、TSR-033のCDR配列のうち1個または複数(またはまとめてCDR配列全て)、重鎖もしくは軽鎖可変領域配列、または重鎖もしくは軽鎖配列を含む。
【0057】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、IMP731またはGSK2831781(GSKおよびPrima BioMed)である。IMP731および他の抗LAG-3抗体は、それらの全体を参照により本明細書に組み込む、WO2008/132601およびUS9,244,059に開示されている。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、例えば、表6に開示されている通り、IMP731のCDR配列のうち1個または複数(またはまとめてCDR配列全て)、重鎖もしくは軽鎖可変領域配列、または重鎖もしくは軽鎖配列を含む。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、GSK2831781のCDR配列のうち1個または複数(またはまとめてCDR配列全て)、重鎖もしくは軽鎖可変領域配列、または重鎖もしくは軽鎖配列を含む。
【0058】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、IMP761(Prima BioMed)である。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、IMP761のCDR配列のうち1個または複数(またはまとめてCDR配列全て)、重鎖もしくは軽鎖可変領域配列、または重鎖もしくは軽鎖配列を含む。
【0059】
さらに別の公知の抗LAG-3抗体は、例えば、それらの全体を参照により本明細書に組み込む、WO2008/132601、WO2010/019570、WO2014/140180、WO2015/116539、WO2015/200119、WO2016/028672、US9,244,059、US9,505,839に記載されている抗体を含む。
【0060】
ある態様では、抗LAG-3抗体は、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体の1種と結合に関して競合する、および/またはLAG-3における、当該抗体と同じエピトープに結合する抗体である。
【0061】
ある態様では、抗LAG-3阻害剤は、例えば、その全体を参照により本明細書に組み込む、WO2009/044273に開示されている通り、可溶性LAG-3タンパク質、例えば、IMP321(Prima BioMed)である。
【0062】
製剤
本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子は、本明細書に記載されている通り、対象への投与(例えば、静脈内投与)に適した製剤(例えば、用量製剤または剤形)へと製剤化することができる。本明細書に記載されている製剤は、液体製剤、凍結乾燥された製剤または再構成された製剤となることができる。
【0063】
ある特定の態様では、製剤は、液体製剤である。ある態様では、製剤(例えば、液体製剤)は、抗LAG-3抗体分子(例えば、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子)および緩衝剤を含む。
【0064】
ある態様では、製剤(例えば、液体製剤)は、25mg/mL~250mg/mL、例えば、50mg/mL~200mg/mL、60mg/mL~180mg/mL、70mg/mL~150mg/mL、80mg/mL~120mg/mL、90mg/mL~110mg/mL、50mg/mL~150mg/mL、50mg/mL~100mg/mL、150mg/mL~200mg/mLまたは100mg/mL~200mg/mL、例えば、50mg/mL、60mg/mL、70mg/mL、80mg/mL、90mg/mL、100mg/mL、110mg/mL、120mg/mL、130mg/mL、140mg/mLまたは150mg/mLの濃度で存在する抗LAG-3抗体分子を含む。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、80mg/mL~120mg/mL、例えば、100mg/mLの濃度で存在する。
【0065】
ある態様では、製剤(例えば、液体製剤)は、ヒスチジンを含む緩衝剤(例えば、ヒスチジンバッファー)を含む。ある特定の態様では、緩衝剤(例えば、ヒスチジンバッファー)は、1mM~100mM、例えば、2mM~50mM、5mM~40mM、10mM~30mM、15~25mM、5mM~40mM、5mM~30mM、5mM~20mM、5mM~10mM、40mM~50mM、30mM~50mM、20mM~50mM、10mM~50mMまたは5mM~50mM、例えば、2mM、5mM、10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mMまたは50mMの濃度で存在する。ある態様では、緩衝剤(例えば、ヒスチジンバッファー)は、15mM~25mM、例えば、20mMの濃度で存在する。他の態様では、緩衝剤(例えば、ヒスチジンバッファー)または製剤は、4~7、例えば、5~6、例えば、5、5.5または6のpHを有する。ある態様では、緩衝剤(例えば、ヒスチジンバッファー)または製剤は、5~6、例えば、5.5のpHを有する。ある特定の態様では、緩衝剤は、15mM~25mM(例えば、20mM)の濃度のヒスチジンバッファーを含み、5~6(例えば、5.5)のpHを有する。ある特定の態様では、緩衝剤は、ヒスチジンおよびヒスチジン-HClを含む。
【0066】
ある態様では、製剤(例えば、液体製剤)は、5~6(例えば、5.5)のpHで、80~120mg/mL、例えば、100mg/mLの濃度で存在する抗LAG-3抗体分子;および15mM~25mM(例えば、20mM)の濃度のヒスチジンバッファーを含む緩衝剤を含む。
【0067】
ある態様では、製剤(例えば、液体製剤)は、炭水化物をさらに含む。ある特定の態様では、炭水化物は、スクロースである。ある態様では、炭水化物(例えば、スクロース)は、50mM~500mM、例えば、100mM~400mM、150mM~300mM、180mM~250mM、200mM~240mM、210mM~230mM、100mM~300mM、100mM~250mM、100mM~200mM、100mM~150mM、300mM~400mM、200mM~400mMまたは100mM~400mM、例えば、100mM、150mM、180mM、200mM、220mM、250mM、300mM、350mMまたは400mMの濃度で存在する。ある態様では、製剤は、200mM~250mM、例えば、220mMの濃度で存在する炭水化物またはスクロースを含む。
【0068】
ある態様では、製剤(例えば、液体製剤)は、5~6(例えば、5.5)のpHで、80~120mg/mL、例えば、100mg/mLの濃度で存在する抗LAG-3抗体分子;15mM~25mM(例えば、20mM)の濃度のヒスチジンバッファーを含む緩衝剤;および200mM~250mM、例えば、220mMの濃度で存在する炭水化物またはスクロースを含む。
【0069】
ある態様では、製剤(例えば、液体製剤)は、界面活性物質をさらに含む。ある特定の態様では、界面活性物質は、ポリソルベート20である。ある態様では、界面活性物質またはポリソルベート20は、0.005%~0.1%(w/w)、例えば、0.01%~0.08%、0.02%~0.06%、0.03%~0.05%、0.01%~0.06%、0.01%~0.05%、0.01%~0.03%、0.06%~0.08%、0.04%~0.08%または0.02%~0.08%(w/w)、例えば、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%または0.1%(w/w)の濃度で存在する。ある態様では、製剤は、0.03%~0.05%、例えば、0.04%(w/w)の濃度で存在する界面活性物質またはポリソルベート20を含む。
【0070】
ある態様では、製剤(例えば、液体製剤)は、5~6(例えば、5.5)のpHで、80~120mg/mL、例えば、100mg/mLの濃度で存在する抗LAG-3抗体分子;15mM~25mM(例えば、20mM)の濃度のヒスチジンバッファーを含む緩衝剤;200mM~250mM、例えば、220mMの濃度で存在する炭水化物またはスクロース;および0.03%~0.05%、例えば、0.04%(w/w)の濃度で存在する界面活性物質またはポリソルベート20を含む。
【0071】
ある態様では、製剤(例えば、液体製剤)は、5~6(例えば、5.5)のpHで、100mg/mLの濃度で存在する抗LAG-3抗体分子;20mMの濃度のヒスチジンバッファー(例えば、ヒスチジン/ヒスチジン-HCL)を含む緩衝剤);220mMの濃度で存在する炭水化物またはスクロース;および0.04%(w/w)の濃度で存在する界面活性物質またはポリソルベート20を含む。
【0072】
本明細書に記載されている製剤は、容器内に貯蔵することができる。本明細書に記載されている製剤のいずれかに使用される容器は、例えば、バイアル、および適宜、ストッパー、キャップまたはその両方を含むことができる。ある特定の態様では、バイアルは、ガラスバイアル、例えば、6R白色(white)ガラスバイアルである。他の態様では、ストッパーは、ゴムストッパー、例えば、灰色(grey)ゴムストッパーである。他の態様では、キャップは、フリップオフキャップ、例えば、アルミニウムフリップオフキャップである。ある態様では、容器は、6R白色ガラスバイアル、灰色ゴムストッパーおよびアルミニウムフリップオフキャップを含む。ある態様では、容器(例えば、バイアル)は、使い捨て容器のためのものである。ある特定の態様では、25mg/mL~250mg/mL、例えば、50mg/mL~200mg/mL、60mg/mL~180mg/mL、70mg/mL~150mg/mL、80mg/mL~120mg/mL、90mg/mL~110mg/mL、50mg/mL~150mg/mL、50mg/mL~100mg/mL、150mg/mL~200mg/mLまたは100mg/mL~200mg/mL、例えば、50mg/mL、60mg/mL、70mg/mL、80mg/mL、90mg/mL、100mg/mL、110mg/mL、120mg/mL、130mg/mL、140mg/mLまたは150mg/mLの抗LAG-3抗体分子が、容器(例えば、バイアル)内に存在する。
【0073】
別の面では、本開示は、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子、組成物または製剤、および例えば、本明細書に記載されている投薬量レジメンに従った使用説明書を含む治療キットを特色とする。
【0074】
治療上の使用
本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子は、LAG-3の1種または複数の活性を阻害、低下または中和し、免疫チェックポイントの遮断または低下をもたらすことができる。よって、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子を使用して、対象における免疫応答の増強が望まれる障害(例えば、がん)を処置または予防することができる。
【0075】
したがって、別の面では、対象における免疫応答をモジュレートする方法が提供される。方法は、対象における免疫応答がモジュレートされるように、本明細書に記載されている投薬量レジメンに従って、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子を、単独で、または1種もしくは複数の治療剤、手順もしくはモダリティと組み合わせて対象に投与することを含む。ある態様では、抗体分子は、対象における免疫応答を増強、刺激または増加させる。対象は、哺乳動物、例えば、霊長類、好ましくは、高等霊長類、例えば、ヒト(例えば、本明細書に記載されている障害を有するまたはそれを有するリスクがある患者)となることができる。ある態様では、対象は、免疫応答の増強を必要としている。ある態様では、対象は、本明細書に記載されている障害、例えば、本明細書に記載されているがんまたは感染性障害を有するまたはそれを有するリスクがある。ある特定の態様では、対象は、免疫低下されているまたはそうなるリスクがある。例えば、対象は、化学療法処置および/または放射線療法を受けているまたはそれを受けた。それに代えてまたはそれと組み合わせて、対象は、感染の結果として免疫低下されているまたはそうなるリスクがある。
【0076】
ある面では、対象におけるがんまたは腫瘍を処置(例えば、低下、阻害または進行遅延のうち1種または複数)する方法が提供される。方法は、本明細書に記載されている投薬量レジメンに従って、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子を、単独で、または1種もしくは複数の治療剤、手順もしくはモダリティと組み合わせて対象に投与することを含む。
【0077】
ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子により処置されるがんとして、固形腫瘍、血液学的がん(例えば、白血病、リンパ腫、骨髄腫、例えば、多発性骨髄腫)および転移性病変が挙げられるがこれらに限定されない。ある態様では、がんは、固形腫瘍である。固形腫瘍の例として、悪性病変、例えば、肉腫および癌腫、例えば、肺、乳房、卵巣、リンパ系、胃腸管(例えば、結腸)、肛門、生殖器および泌尿生殖器(例えば、腎臓、尿路上皮、膀胱細胞、前立腺)、咽頭、CNS(例えば、脳、神経またはグリア細胞)、頭頸部、皮膚(例えば、メラノーマ)、および膵臓に罹患するもの等の様々な臓器系の腺癌、ならびに結腸がん、直腸がん、腎臓癌[例えば、腎臓細胞癌(明細胞または非明細胞腎細胞癌)]、肝臓がん、肺がん[例えば、非小細胞肺がん(扁平上皮または非扁平上皮非小細胞肺がん)]、小腸のがんおよび食道のがん等の悪性病変を含む腺癌が挙げられる。がんは、初期、中期、後期ステージまたは転移性がんのものとなることができる。
【0078】
ある態様では、がんは、肺がん[例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)(例えば、扁平上皮および/または非扁平上皮組織学によるNSCLC、またはNSCLC腺癌)または小細胞肺がん(SCLC)]、皮膚がん[例えば、メルケル細胞癌または黒色腫(例えば、進行型黒色腫)]、卵巣がん、中皮腫、膀胱がん、軟部組織肉腫[例えば、血管外皮腫(HPC)]、骨がん(骨肉腫)、腎臓がん[例えば、腎がん(例えば、腎細胞癌)]、肝臓がん(例えば、肝細胞癌)、胆管細胞癌、肉腫、骨髄異形成症候群(MDS)、前立腺がん、乳がん(例えば、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体またはHer2/neuのうち1、2または全種を発現しない乳がん、例えば、三種陰性乳がん)、結腸直腸がん、鼻咽頭がん、十二指腸がん、子宮内膜がん、膵がん、頭頸部がん[例えば、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)]、肛門がん、胃食道がん、甲状腺がん(例えば、組織非形成性甲状腺癌)、子宮頸部がん、神経内分泌腫瘍(NET)(例えば、非定型肺性カルチノイド腫瘍)、リンパ増殖性疾患(例えば、移植後リンパ増殖性疾患)、リンパ腫[例えば、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫または非ホジキン(Hogdkin)リンパ腫]、骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫)または白血病(例えば、骨髄性白血病またはリンパ様白血病)から選択される。
【0079】
ある特定の態様では、がんは、固形腫瘍である。ある態様では、がんは、脳腫瘍、例えば、神経膠芽腫、膠肉腫または反復性脳腫瘍である。ある態様では、がんは、膵がん、例えば、進行型膵がんである。ある態様では、がんは、皮膚がん、例えば、黒色腫(例えば、ステージII~IV黒色腫、HLA-A2陽性黒色腫、切除不能黒色腫または転移性黒色腫)またはメルケル細胞癌である。ある態様では、がんは、腎がん、例えば、腎細胞癌(RCC)(例えば、転移性腎細胞癌)である。ある態様では、がんは、乳がん、例えば、転移性乳癌またはステージIV乳癌、例えば、三種陰性乳がん(TNBC)である。ある態様では、がんは、ウイルス関連がんである。ある態様では、がんは、肛門管がん(例えば、肛門管の扁平上皮癌)である。ある態様では、がんは、子宮頸部がん(例えば、子宮頸部の扁平上皮癌)である。ある態様では、がんは、胃がん[例えば、エプスタイン・バーウイルス(EBV)陽性胃がん、または胃もしくは食道胃接合部癌]である。ある態様では、がんは、頭頸部がん[例えば、HPV陽性および陰性の頭頸部の扁平上皮がん(SCCHN)]である。ある態様では、がんは、鼻咽頭がん(NPC)である。ある態様では、がんは、陰茎がん(例えば、陰茎の扁平上皮癌)である。ある態様では、がんは、腟または外陰部がん(例えば、腟または外陰部の扁平上皮癌)である。ある態様では、がんは、結腸直腸がん、例えば、再発性結腸直腸がんまたは転移性結腸直腸がん、例えば、マイクロサテライト不安定性結腸直腸がん、マイクロサテライト安定性結腸直腸がん、ミスマッチ修復能力がある結腸直腸がんまたはミスマッチ修復欠損結腸直腸がんである。ある態様では、がんは、肺がん、例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)である。
【0080】
ある特定の態様では、がんは、血液学的がんである。ある態様では、がんは、白血病である。ある態様では、がんは、リンパ腫、例えば、ホジキンリンパ腫(HL)またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)(例えば、再発性または難治性HLまたはDLBCL)である。ある態様では、がんは、骨髄腫である。
【0081】
別の態様では、がんは、癌腫(例えば、進行性または転移性癌腫)、メラノーマまたは肺癌、例えば、非小細胞肺癌から選択される。ある態様では、がんは、肺がん、例えば、非小細胞肺がん、または小細胞肺がんである。ある態様では、非小細胞肺がんは、ステージI(例えば、ステージIaまたはIb)、ステージII(例えば、ステージIIaまたはIIb)、ステージIII(例えば、ステージIIIaまたはIIIb)またはステージIV非小細胞肺がんである。ある態様では、がんは、メラノーマ、例えば、進行性メラノーマである。ある態様では、がんは、他の治療法に応答しない進行性または切除不能メラノーマである。他の態様では、がんは、BRAF突然変異(例えば、BRAF V600突然変異)を有するメラノーマである。別の態様では、がんは、肝細胞癌、例えば、ウイルス感染によるまたはよらない進行性肝細胞癌、例えば、慢性ウイルス肝炎である。別の態様では、がんは、前立腺がん、例えば、進行性前立腺がんである。また別の態様では、がんは、骨髄腫、例えば、多発性骨髄腫である。さらに別の態様では、がんは、腎がん、例えば、腎細胞癌(RCC)[例えば、転移性RCC、非明細胞腎細胞癌(nccRCC)または明細胞腎細胞癌(CCRCC)]である。
【0082】
ある態様では、がん微小環境は、上昇したレベルのLAG-3発現を有する。ある態様では、がん微小環境は、上昇したレベルのPD-L1発現を有する。それに代えてまたはそれと組み合わせて、がん微小環境は、増加したIFNγおよび/またはCD8発現を有することができる。
【0083】
ある態様では、対象は、高PD-L1レベルもしくは発現または腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)+であること(例えば、増加した数のTILを有すること)、またはその両方のうち1種または複数を有する腫瘍を有するまたはそれを有すると同定される。ある特定の態様では、対象は、高PD-L1レベルまたは発現を有し、TIL+である腫瘍を有するまたはそれを有すると同定される。ある態様では、本明細書に記載されている方法は、高PD-L1レベルもしくは発現またはTIL+であること、またはその両方のうち1種または複数を有する腫瘍を有することに基づき対象を同定することをさらに含む。ある特定の態様では、本明細書に記載されている方法は、高PD-L1レベルまたは発現を有し、TIL+である腫瘍を有することに基づき対象を同定することをさらに含む。ある態様では、TIL+である腫瘍は、CD8およびIFNγが陽性である。ある態様では、対象は、PD-L1、CD8および/またはIFNγのうち1種、2種以上が陽性である細胞を高パーセンテージで有するまたはそれを有すると同定される。ある特定の態様では、対象は、PD-L1、CD8およびIFNγの全てが陽性である細胞を高パーセンテージで有するまたはそれを有すると同定される。
【0084】
ある態様では、本明細書に記載されている方法は、PD-L1、CD8および/またはIFNγのうち1種、2種以上が陽性である細胞を高パーセンテージで有することに基づき対象を同定することをさらに含む。ある特定の態様では、本明細書に記載されている方法は、PD-L1、CD8およびIFNγの全てが陽性である細胞を高パーセンテージで有することに基づき対象を同定することをさらに含む。ある態様では、対象は、PD-L1、CD8および/またはIFNγのうち1種、2種以上、ならびに肺がん、例えば、肺扁平上皮がんもしくは肺腺癌(例えば、NSCLC);頭頸部がん;扁平上皮細胞子宮頸部がん;胃がん;食道がん;甲状腺がん(例えば、組織非形成性甲状腺癌);皮膚がん(例えば、メルケル細胞癌または黒色腫)、乳がん(例えば、TNBC)、および/または鼻咽頭がん(NPC)のうち1種または複数を有するまたはそれを有すると同定される。ある特定の態様では、本明細書に記載されている方法は、PD-L1、CD8および/またはIFNγのうち1種、2種以上、ならびに肺がん、例えば、肺扁平上皮がんまたは肺腺癌(例えば、NSCLC);頭頸部がん;扁平上皮細胞子宮頸部がん;胃がん;甲状腺がん(例えば、組織非形成性甲状腺癌);皮膚がん(例えば、メルケル細胞癌または黒色腫)、神経内分泌腫瘍、乳がん(例えば、TNBC)、および/または鼻咽頭がんのうち1種または複数を有することに基づき対象を同定することについてさらに記載する。
【0085】
本明細書に開示されている方法、組成物および製剤は、上述のがんに関連する転移性病変の処置に有用である。
【0086】
さらなる面では、本開示は、対象における感染性疾患(例えば、本明細書に記載されている感染性疾患)を処置する方法であって、本明細書に記載されている投薬量レジメンに従って、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0087】
またさらに、本発明は、対象における抗原に対する免疫応答を増強する方法であって、対象における抗原に対する免疫応答が増強されるように、本明細書に記載されている投薬量レジメンに従って、(i)抗原;および(ii)本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子を対象に投与することを含む方法を提供する。抗原は、例えば、腫瘍抗原、ウイルス抗原、細菌抗原または病原体由来の抗原となることができる。
【0088】
本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子は、全身性に(例えば、経口、非経口的、皮下、静脈内、直腸、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、経皮、または吸入もしくは腔内設置による)、局所的に、または鼻、咽頭および気管支等の粘膜への塗布により、対象に投与することができる。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、本明細書に記載されている一定用量で静脈内投与される。
【0089】
併用療法
本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子は、他の治療剤、手順またはモダリティと組み合わせて使用することができる。
【0090】
ある態様では、本明細書に記載されている方法は、障害の処置または予防に有効な量で、治療剤、手順またはモダリティと組み合わせて、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子を含む組合せを対象に投与することを含む。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、本明細書に記載されている投薬量レジメンに従って、投与または使用される。他の態様では、抗体分子は、本明細書に記載されている組成物または製剤として投与または使用される。
【0091】
抗LAG-3抗体分子および治療剤、手順またはモダリティは、同時にまたはいずれかの順序で逐次に投与または使用することができる。抗LAG-3抗体分子および治療剤、手順またはモダリティ(例えば、本明細書に記載されている)のいずれかの組合せおよび順番を使用することができる。抗体分子および/または治療剤、手順またはモダリティは、活動性障害の期間において、または寛解もしくは活動性の低い疾患の期間において投与または使用することができる。抗体分子は、治療剤、手順またはモダリティによる処置の前に、それと同時発生的に、またはその後に投与することができる。
【0092】
ある特定の態様では、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子は、他の抗体分子、化学療法、他の抗がん療法[例えば、標的化抗がん療法、遺伝子療法、ウイルス療法、RNA療法、骨髄移植、ナノ療法または腫瘍溶解薬]、細胞傷害剤、免疫に基づく療法(例えば、サイトカインまたは細胞に基づく免疫療法)、外科的手技(例えば、乳腺腫瘍摘出術または乳房切除術)もしくは放射線手技、または前述のいずれかの組合せのうち1種または複数と組み合わせて投与される。追加的な治療法は、アジュバントまたはネオアジュバント療法の形態となることができる。ある態様では、追加的な治療法は、酵素阻害剤(例えば、小分子酵素阻害剤)または転移性阻害剤である。組み合わせて投与することができる例示的な細胞傷害剤は、微小管阻害性薬剤、トポイソメラーゼ阻害剤、抗代謝剤、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、アントラサイクリン、ビンカアルカロイド、挿入剤、シグナル伝達経路に干渉することができる薬剤、アポトーシスを促進する薬剤、プロテアソーム阻害剤および放射線照射(例えば、局所的または全身照射(例えば、ガンマ線照射)を含む。他の態様では、追加的な治療法は、外科手術もしくは放射線照射またはこれらの組合せである。他の態様では、追加的な治療法は、PI3K/AKT/mTOR経路、HSP90阻害剤またはチューブリン阻害剤のうち1種または複数を標的とする治療法である。
【0093】
それに代えて、または、前述の組合せと組み合わせて、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体は、次のうち1種または複数と組み合わせて投与または使用することができる:免疫調節薬(例えば、共刺激性分子の活性化因子または阻害性分子、例えば、免疫チェックポイント分子の阻害剤);ワクチン、例えば、治療用がんワクチン;または他の形態の細胞免疫療法。
【0094】
ある特定の態様では、本明細書に記載されている抗LAG-3分子は、共刺激性分子または阻害性分子、例えば、共阻害性リガンドまたは受容体のモジュレーターと組み合わせて投与または使用される。
【0095】
ある態様では、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子は、共刺激性分子のモジュレーター、例えば、アゴニストと組み合わせて投与または使用される。ある態様では、共刺激性分子のアゴニストは、OX40、CD2、CD27、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、ICOS(CD278)、4-1BB(CD137)、GITR、CD30、CD40、BAFFR、HVEM、CD7、LIGHT、NKG2C、SLAMF7、NKp80、CD160、B7-H3またはCD83リガンドのアゴニスト(例えば、アゴニスト抗体またはその抗原結合性断片または可溶性融合体)から選択される。
【0096】
別の態様では、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子は、GITRアゴニスト、例えば、抗GITR抗体分子と組み合わせて投与または使用される。
【0097】
ある態様では、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子は、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、TIM-3、LAG-3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3および/またはCEACAM-5)、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4および/またはTGFRベータから選択される阻害性(または免疫チェックポイント)分子の阻害剤と組み合わせて投与または使用される。ある態様では、阻害剤は、PD-1、LAG-3、PD-L1、PD-L2またはCTLA-4に結合する、可溶性リガンド(例えば、CTLA-4-Ig)または抗体または抗体断片である。
【0098】
別の態様では、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子は、PD-1阻害剤、例えば、抗PD-1抗体分子と組み合わせて投与または使用される。別の態様では、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子は、TIM-3阻害剤、例えば、抗TIM-3抗体分子と組み合わせて投与または使用される。別の態様では、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子は、PD-L1阻害剤、例えば、抗PD-L1抗体分子と組み合わせて投与または使用される。
【0099】
別の態様では、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子は、化学療法剤と組み合わせて投与または使用される。ある特定の態様では、化学療法剤は、白金剤(例えば、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチンまたはテトラプラチン)を含む。ある特定の態様では、化学療法剤は、シスプラチン、ペメトレキセド(permetrexed)またはその両方を含む。シスプラチンは、シス白金、プラタミン(platamin)、ネオプラチン(neoplatin)、シスマプラット(cismaplat)またはシス-ジアミンジクロリド(diamminedichlorido)白金(II)(CDDP)としても公知である。ペメトレキセド(Permetrxed)は、(S)-2-(4-(2-(2-アミノ-4-オキソ-4,7-ジヒドロ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-イル)エチル)ベンズアミド)ペンタン二酸(pentanedioic acid)としても公知である。ある特定の態様では、化学療法剤は、ヌクレオチドアナログまたは前駆体アナログ[例えば、カペシタビン、アザシチジン、アザチオプリン、シタラビン、ドキシフルリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、メルカプトプリン、メトトレキセートまたはチオグアニン(tioguanine/thioguanine)]を含む。ある特定の態様では、化学療法剤は、低メチル化剤(例えば、デシタビン)を含む。ある態様では、化学療法剤は、nab-パクリタキセルを含む。
【0100】
抗LAG-3抗体分子と組み合わせて使用することができる他の例示的な化学療法剤として、アルキル化剤[例えば、二官能性アルキル化薬(例えば、シクロホスファミド、メクロレタミン、クロラムブシルまたはメルファラン)]、単官能性アルキル化薬[例えば、ダカルバジン(DTIC)、ニトロソウレアまたはテモゾロミド(経口ダカルバジン)]、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロンまたはバルルビシン)、細胞骨格撹乱物質もしくはタキサン(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル、アブラキサンまたはタキソテール)、エポチロン、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(例えば、ボリノスタットまたはロミデプシン)、トポイソメラーゼIの阻害剤(例えば、イリノテカンまたはトポテカン)、トポイソメラーゼIIの阻害剤[例えば、エトポシド、テニポシドまたはタフルポシド(tafluposide)]、キナーゼ阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イマチニブ、ベムラフェニブまたはビスモデギブ)、ペプチド抗生物質(例えば、ブレオマイシンまたはアクチノマイシン)、レチノイド(例えば、トレチノイン、アリトレチノインまたはベキサロテン)、またはビンカアルカロイドもしくはその誘導体(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシンまたはビノレルビン)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0101】
別の態様では、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子は、PD-1阻害剤(例えば、抗PD-1抗体分子)およびTIM-3阻害剤(例えば、抗TIM-3抗体分子)と組み合わせて投与または使用される。別の態様では、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子は、PD-1阻害剤(例えば、抗PD-1抗体分子)およびPD-L1阻害剤(例えば、抗PD-L1抗体分子)と組み合わせて投与または使用される。別の態様では、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子は、TIM-3阻害剤(例えば、抗TIM-3抗体分子)およびPD-L1阻害剤(例えば、抗PD-L1抗体分子)と組み合わせて投与または使用される。別の態様では、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子は、PD-1阻害剤(例えば、抗PD-1抗体分子)および化学療法剤[例えば、白金剤(例えば、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチンまたはテトラプラチン)またはヌクレオチドアナログもしくは前駆体アナログ(例えば、カペシタビン)]と組み合わせて投与または使用される。別の態様では、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子は、CEACAM阻害剤(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3および/またはCEACAM-5阻害剤)、例えば、抗CEACAM抗体分子と組み合わせて投与または使用される。別の態様では、抗LAG-3抗体分子は、CEACAM-1阻害剤、例えば、抗CEACAM-1抗体分子と組み合わせて投与または使用される。別の態様では、抗LAG-3抗体分子は、CEACAM-3阻害剤、例えば、抗CEACAM-3抗体分子と組み合わせて投与または使用される。別の態様では、抗LAG-3抗体分子は、CEACAM-5阻害剤、例えば、抗CEACAM-5抗体分子と組み合わせて投与または使用される。
【0102】
本明細書に開示されている抗体分子の組合せは、例えば、別々の抗体分子として別々に投与することができる、または例えば、二特異性もしくは三特異性(trispecific)抗体分子として連結することができる。ある態様では、抗LAG-3抗体分子、および抗PD-1、抗CEACAM(例えば、抗CEACAM-1、CEACAM-3および/または抗CEACAM-5)、抗PD-L1または抗TIM-3抗体分子を含む二特異性抗体が投与される。ある特定の態様では、本明細書に開示されている抗体の組合せは、がん、例えば、本明細書に記載されているがん(例えば、固形腫瘍または血液学的悪性病変)の処置に使用される。
【0103】
別の態様では、抗LAG-3抗体分子は、抗PD-1抗体分子と組み合わせて投与または使用されて、例えば、脳がん(例えば、神経膠芽腫)、黒色腫、腎がん(例えば、腎細胞癌)、ウイルス関連がん[例えば、肛門管がん、子宮頸部がん、胃がん、頭頸部がん、鼻咽頭がん(NPC)、陰茎がんまたは腟もしくは外陰部がん]、結腸直腸がんまたは肺がん[例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)]を処置する。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、抗PD-1抗体分子と組み合わせて投与または使用されて、例えば、乳がん、例えば、三種陰性乳がん(TNBC)を処置する。
【0104】
別の態様では、抗LAG-3抗体分子は、化学療法剤(例えば、ゲムシタビン、パクリタキセル)と組み合わせて投与または使用されて、例えば、膵がんまたは乳がんを処置する。
【0105】
別の態様では、抗LAG-3抗体分子は、化学療法剤[例えば、白金剤(例えば、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチンまたはテトラプラチン)またはヌクレオチドアナログもしくは前駆体アナログ(例えば、カペシタビン)]と組み合わせて投与または使用されて、例えば、乳がん、例えば、TNBCを処置する。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、抗PD-1抗体分子および化学療法剤[例えば、白金剤(例えば、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチンまたはテトラプラチン)またはヌクレオチドアナログもしくは前駆体アナログ(例えば、カペシタビン)]と組み合わせて投与または使用されて、例えば、乳がん、例えば、TNBCを処置する。他の態様では、抗LAG-3抗体分子は、サイトカインと組み合わせて投与または使用される。サイトカインは、抗LAG-3抗体分子との融合分子として、または別々の組成物として投与することができる。他の態様では、抗LAG-3抗体分子は、例えば、融合分子としてまたは別々の組成物として、1、2、3種以上のサイトカインと組み合わせて投与または使用される。ある態様では、サイトカインは、IL-1、IL-2、IL-12、IL-15またはIL-21のうち1、2、3種以上から選択されるインターロイキン(IL)である。ある態様では、二特異性抗体分子は、第1の標的(例えば、LAG-3)に対する第1の結合特異性、第2の標的(例えば、PD-1、TIM-3またはPD-L1)に対する第2の結合特異性を有し、インターロイキン(例えば、IL-12)ドメイン、例えば、全長IL-12またはその部分に連結されていてもよい。ある特定の態様では、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子およびサイトカインの組合せは、がん、例えば、本明細書に記載されているがん(例えば、固形腫瘍)の処置に使用される。
【0106】
他の態様では、抗LAG-3抗体分子は、HLA Cに対して特異的な抗体、例えば、キラー細胞免疫グロブリン様受容体に特異的な抗体(本明細書において、「抗KIR抗体」とも称される)と組み合わせて投与または使用される。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子および抗KIR抗体の組合せは、がん、例えば、本明細書に記載されているがん(例えば、固形腫瘍、例えば、進行性固形腫瘍)の処置に使用される。
【0107】
他の態様では、抗LAG-3抗体分子は、細胞免疫療法(例えば、PROVENGE(登録商標)(例えば、シプロイセル-T))と組み合わせておよび適宜シクロホスファミドと組み合わせて投与または使用される。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子、PROVENGE(登録商標)および/またはシクロホスファミドの組合せは、がん、例えば、本明細書に記載されているがん(例えば、前立腺がん、例えば、進行性前立腺がん)の処置に使用される。
【0108】
他の態様では、抗LAG-3抗体分子は、ワクチン、例えば、がんワクチン(例えば、樹状細胞腎臓癌(DC-RCC)ワクチン)と組み合わせて投与または使用される。ある態様では、ワクチンは、ペプチドに基づく、DNAに基づく、RNAに基づくもしくは抗原に基づくまたはこれらの組合せである。態様では、ワクチンは、1種または複数のペプチド、核酸(例えば、DNAまたはRNA)、抗原またはこれらの組合せを含む。ある特定の態様では、抗TIM-3抗体分子およびDC-RCCワクチンの組合せは、がん、例えば、本明細書に記載されているがん[例えば、腎臓癌、例えば、転移性腎臓細胞癌(RCC)または腎明細胞癌(CCRCC)]の処置に使用される。
【0109】
他の態様では、抗LAG-3抗体分子は、アジュバントと組み合わせて投与または使用される。
【0110】
他の態様では、抗LAG-3抗体分子は、化学療法および/または免疫療法と組み合わせて投与または使用される。例えば、抗LAG-3抗体分子を単独で、または次のうち1種もしくは複数と組み合わせて使用して、骨髄腫を処置することができる:化学療法または他の抗がん剤(例えば、サリドマイドアナログ、例えば、レナリドマイド)、抗PD-1抗体分子、腫瘍抗原をパルスした樹状細胞、腫瘍細胞および樹状細胞の融合体(例えば、電気融合体)、または悪性形質細胞によって産生された免疫グロブリンイディオタイプによるワクチン接種。他の態様では、抗LAG-3抗体分子を抗PD-1抗体分子と組み合わせて投与または使用して、骨髄腫、例えば、多発性骨髄腫を処置する。
【0111】
他の態様では、抗LAG-3抗体分子を化学療法と組み合わせて投与または使用して、肺がん、例えば、非小細胞肺がんを処置する。他の態様では、抗LAG-3抗体分子を標準的な肺、例えば、NSCLCの化学療法、例えば、白金ダブレット療法と共に投与または使用して、肺がんを処置する。他の態様では、進行性または転移性がんを有する対象[例えば、転移性および反復性NSCLがんを有する患者]において、抗LAG-3抗体分子は、インドールアミン-ピロール2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)阻害剤{例えば、(4E)-4-[(3-クロロ-4-フルオロアニリノ)-ニトロソメチリデン]-1,2,5-オキサジアゾール-3-アミン(INCB24360としても公知)、インドキシモド(1-メチル-D-トリプトファン)、α-シクロヘキシル-5H-イミダゾ[5,1-a]イソインドール-5-エタノール(NLG919としても公知)等と組み合わせて投与または使用される。
【0112】
なお他の態様では、他の態様では、抗LAG-3抗体分子は、次のうち1種または複数と組み合わせて投与または使用される:免疫に基づく戦略(例えば、インターロイキン-2またはインターフェロン-α)、標的化薬剤(例えば、VEGFに対するモノクローナル抗体等、VEGF阻害剤);スニチニブ、ソラフェニブ、アキシチニブおよびパゾパニブ等、VEGFチロシンキナーゼ阻害剤;RNAi阻害剤;またはVEGFシグナル伝達の下流メディエータの阻害剤、例えば、ラパマイシンの哺乳動物標的(mTOR)の阻害剤、例えば、エベロリムスおよびテムシロリムス。かかる組合せのいずれかを使用して、腎臓がん、例えば、腎臓細胞癌(RCC)[例えば、腎明細胞癌(CCRCC)もしくは非明細胞腎細胞癌(nccRCC)もしくは転移性RCC]、または肝臓がん(例えば、肝細胞癌)を処置することができる。
【0113】
他の態様では、抗LAG-3抗体分子は、MEK阻害剤(例えば、本明細書に記載されているMEK阻害剤)と組み合わせて投与または使用される。ある態様では、抗LAG-3抗体分子およびMEK阻害剤の組合せは、がん(例えば、本明細書に記載されているがん)の処置に使用される。ある態様では、この組合せにより処置されるがんは、メラノーマ、結腸直腸がん、非小細胞肺がん、卵巣がん、乳がん、前立腺がん、膵臓がん、血液学的悪性病変または腎臓細胞癌から選択される。ある特定の態様では、がんは、BRAF突然変異(例えば、BRAF V600E突然変異)、BRAF野生型、KRAS野生型または活性化KRAS突然変異を含む。がんは、初期、中期または後期ステージのものとなることができる。
【0114】
他の態様では、抗LAG-3抗体分子は、化学療法剤[例えば、白金剤(例えば、カルボプラチン、オキサリプラチン、シスプラチンまたはテトラプラチン)またはヌクレオチドアナログもしくは前駆体アナログ(例えば、カペシタビン)]、ロイコボリンまたは5-FU(例えば、FOLFOX同時処置)のうち1、2または全種と組み合わせて投与または使用される。それに代えてまたはそれと組み合わせて、組合せは、VEGF阻害剤(例えば、本明細書に開示されているVEGF阻害剤)をさらに含む。ある態様では、抗LAG-3抗体分子、FOLFOX同時処置およびVEGF阻害剤の組合せは、がん(例えば、本明細書に記載されているがん)の処置に使用される。ある態様では、この組合せにより処置されるがんは、メラノーマ、結腸直腸がん、非小細胞肺がん、卵巣がん、乳がん、前立腺がん、膵臓がん、血液学的悪性病変または腎臓細胞癌から選択される。がんは、初期、中期または後期ステージのものとなることができる。
【0115】
他の態様では、抗LAG-3抗体分子は、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、アキシチニブ)と共に投与または使用されて、腎臓細胞癌および他の固形腫瘍を処置する。
【0116】
他の態様では、抗LAG-3抗体分子は、4-1BB受容体標的化薬剤[例えば、4-1BB(CD-137)によるシグナル伝達を刺激する抗体、例えば、PF-2566]と共に投与または使用される。他の態様では、抗TIM-3抗体分子は、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、アキシチニブ)および4-1BB受容体標的化薬剤と組み合わせて投与または使用される。
【0117】
抗LAG-3抗体分子は、物質、例えば、細胞傷害剤または部分(例えば、治療薬;放射線を発する化合物;植物、真菌もしくは細菌起源の分子;または生物学的タンパク質(例えば、タンパク質毒素)または粒子(例えば、組換えウイルス粒子、例えば、ウイルスコートタンパク質を介して)に結合させることができる。例えば、抗体は、α-、β-もしくはγ-エミッタまたはβ-およびγ-エミッタ等、放射性同位元素に結合することができる。
【0118】
免疫調節薬
本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子は、1種または複数の免疫調節薬と組み合わせて使用することができる。
【0119】
ある特定の態様では、免疫調節薬は、免疫チェックポイント分子の阻害剤である。ある態様では、免疫調節薬は、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、TIM-3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、-3および/または-5)、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4および/またはTGFベータの阻害剤である。ある態様では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、PD-1、PD-L1、TIM-3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、-3および/または-5)、CTLA-4、またはそれらのいずれかの組合せを阻害する。
【0120】
阻害性分子の阻害は、DNA、RNAまたはタンパク質レベルで行うことができる。態様では、阻害性核酸(例えば、dsRNA、siRNAまたはshRNA)を使用して、阻害性分子の発現を阻害することができる。他の態様では、阻害性シグナルの阻害剤は、ポリペプチド、例えば、可溶性リガンド(例えば、PD-1-IgまたはCTLA-4 Ig)、または阻害性分子に結合する抗体分子;例えば、PD-1、PD-L1、PD-L2、CEACAM(例えば、CEACAM-1、-3および/または-5)、CTLA-4、TIM-3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4および/またはTGFベータ、またはこれらの組合せに結合する抗体分子である。
【0121】
ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、二特異性または多特異性抗体分子の形態である。ある態様では、二特異性抗体分子は、LAG-3に対する第1の結合特異性、および第2の結合特異性、例えば、PD-1、PD-L1、CEACAM(例えば、CEACAM-1、-3および/または-5)、TIM-3またはPD-L2に対する第2の結合特異性を有する。ある態様では、二特異性抗体分子は、(i)PD-1またはPD-L1、および(ii)LAG-3に結合する。別の態様では、二特異性抗体分子は、LAG-3およびTIM-3に結合する。別の態様では、二特異性抗体分子は、LAG-3およびCEACAM(例えば、CEACAM-1、-3および/または-5)に結合する。別の態様では、二特異性抗体分子は、LAG-3およびCEACAM-1に結合する。また別の態様では、二特異性抗体分子は、LAG-3およびCEACAM-3に結合する。さらに別の態様では、二特異性抗体分子は、LAG-3およびCEACAM-5に結合する。
【0122】
他の態様では、抗LAG-3抗体分子は、二特異性または多特異性抗体分子と組み合わせて使用される。別の態様では、二特異性抗体分子は、PD-1またはPD-L1に結合する。さらに別の態様では、二特異性抗体分子は、PD-1およびPD-L2に結合する。別の態様では、二特異性抗体分子は、CEACAM(例えば、CEACAM-1、-3および/または-5)およびTIM-3に結合する。
【0123】
前述の分子のいずれかの組合せは、多特異性抗体分子、例えば、LAG-3に対する第1の結合特異性、ならびにPD-1、PD-L1、CEACAM(例えば、CEACAM-1、-3および/または-5)、TIM-3またはPD-L2のうち2種以上に対する第2および第3の結合特異性を含む三特異性抗体において作製することができる。
【0124】
ある特定の態様では、免疫調節薬は、PD-1、例えば、ヒトPD-1の阻害剤である。別の態様では、免疫調節薬は、PD-L1、例えば、ヒトPD-L1の阻害剤である。ある態様では、PD-1またはPD-L1の阻害剤は、PD-1またはPD-L1に対する抗体分子(例えば、本明細書に記載されている抗PD-1または抗PD-L1抗体分子)である。
【0125】
抗LAG-3抗体分子とPD-1またはPD-L1阻害剤の組合せは、例えば、TIM-3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、-3および/または-5)またはCTLA-4の阻害剤と組み合わせて、1種または複数の追加的な免疫調節薬をさらに含むことができる。ある態様では、PD-1またはPD-L1の阻害剤(例えば、抗PD-1またはPD-L1抗体分子)は、抗LAG-3抗体分子およびTIM-3阻害剤(例えば、抗TIM-3抗体分子)と組み合わせて投与される。別の態様では、PD-1またはPD-L1の阻害剤(例えば、抗PD-1またはPD-L1抗体分子)は、抗LAG-3抗体分子およびCEACAM阻害剤(例えば、CEACAM-1、-3および/または-5阻害剤)、例えば、抗CEACAM抗体分子と組み合わせて投与される。別の態様では、PD-1またはPD-L1の阻害剤(例えば、抗PD-1またはPD-L1抗体分子)は、抗LAG-3抗体分子およびCEACAM-1阻害剤(例えば、抗CEACAM-1抗体分子)と組み合わせて投与される。別の態様では、PD-1またはPD-L1の阻害剤(例えば、抗PD-1またはPD-L1抗体分子)は、抗LAG-3抗体分子およびCEACAM-5阻害剤(例えば、抗CEACAM-5抗体分子)と組み合わせて投与される。さらに他の態様では、PD-1またはPD-L1の阻害剤(例えば、抗PD-1またはPD-L1抗体分子)は、抗LAG-3抗体分子およびTIM-3阻害剤(例えば、抗TIM-3抗体分子)と組み合わせて投与される。例えば、PD-L2、CTLA-4、LAG-3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、-3および/または-5)、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4および/またはTGFベータ)のうち1種または複数を含む、抗LAG-3抗体分子およびPD-1阻害剤と免疫調節薬の他の組合せもまた、本発明の範囲内である。チェックポイント分子の阻害剤の前述の組合せにおいて、本技術分野で公知のまたは本明細書に開示されている抗体分子のいずれかを使用することができる。
【0126】
他の態様では、免疫調節薬は、CEACAM(例えば、CEACAM-1、-3および/または-5)、例えば、ヒトCEACAM(例えば、CEACAM-1、-3および/または-5)の阻害剤である。ある態様では、免疫調節薬は、CEACAM-1、例えば、ヒトCEACAM-1の阻害剤である。別の態様では、免疫調節薬は、CEACAM-3、例えば、ヒトCEACAM-3の阻害剤である。別の態様では、免疫調節薬は、CEACAM-5、例えば、ヒトCEACAM-5の阻害剤である。ある態様では、CEACAM(例えば、CEACAM-1、-3および/または-5)の阻害剤は、CEACAM(例えば、CEACAM-1、-3および/または-5)に対する抗体分子である。CEACAM(例えば、CEACAM-1、-3および/または-5)阻害剤および抗LAG-3抗体分子の組合せは、例えば、TIM-3、PD-1、PD-L1またはCTLA-4の阻害剤と組み合わせて、1種または複数の追加的な免疫調節薬をさらに含むことができる。
【0127】
他の態様では、免疫調節薬は、TIM-3、例えば、ヒトTIM-3の阻害剤である。ある態様では、TIM-3の阻害剤は、TIM-3に対する抗体分子である。TIM-3阻害剤および抗LAG-3抗体分子の組合せは、例えば、CEACAM(例えば、CEACAM-1、-3および/または-5)、PD-1、PD-L1またはCTLA-4の阻害剤と組み合わせて、1種または複数の追加的な免疫調節薬をさらに含むことができる。
【0128】
ある特定の態様では、本明細書に開示されている組合せにおいて(例えば、抗原提示組合せから選択される治療剤と組み合わせて)使用される免疫調節薬は、共刺激性分子の活性化因子またはアゴニストである。ある態様では、共刺激性分子のアゴニストは、OX40、CD2、CD27、CD28、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、ICOS(CD278)、4-1BB(CD137)、GITR、CD30、CD40、BAFFR、HVEM、CD7、LIGHT、NKG2C、SLAMF7、NKp80、CD160、B7-H3またはCD83リガンドのアゴニスト(例えば、アゴニスト抗体もしくはその抗原結合性断片、または可溶性融合体)から選択される。
【0129】
他の態様では、免疫調節薬は、GITRアゴニストである。ある態様では、GITRアゴニストは、GITRに対する抗体分子である。抗GITR抗体分子および抗LAG-3抗体分子は、別々の抗体組成物の形態または二特異性抗体分子としての形態となることができる。抗LAG-3抗体分子とGITRアゴニストの組合せは、例えば、PD-1、PD-L1、CTLA-4、CEACAM(例えば、CEACAM-1、-3および/または-5)またはTIM-3の阻害剤と組み合わせて、1種または複数の追加的な免疫調節薬をさらに含むことができる。ある態様では、抗GITR抗体分子は、GITRおよびPD-1、PD-L1、CTLA-4、CEACAM(例えば、CEACAM-1、-3および/または-5)またはTIM-3に結合する二特異性抗体である。他の態様では、GITRアゴニストは、共刺激性分子の1種または複数の追加的な活性化因子、例えば、OX40、CD2、CD27、CD28、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、ICOS(CD278)、4-1BB(CD137)、CD30、CD40、BAFFR、HVEM、CD7、LIGHT、NKG2C、SLAMF7、NKp80、CD160、B7-H3またはCD83リガンドのアゴニストと組み合わせて投与することができる。
【0130】
他の態様では、免疫調節薬は、OX40アゴニストである。ある態様では、OX40アゴニストは、OX40に対する抗体分子である。OX40抗体分子および抗LAG-3抗体分子は、別々の抗体組成物の形態または二特異性抗体分子としての形態となることができる。抗LAG-3抗体分子とOX40アゴニストの組合せは、例えば、PD-1、PD-L1、CTLA-4、CEACAM(例えば、CEACAM-1、-3および/または-5)またはTIM-3の阻害剤と組み合わせて、1種または複数の追加的な免疫調節薬をさらに含むことができる。ある態様では、抗OX40抗体分子は、OX40およびPD-1、PD-L1、CTLA-4、CEACAM(例えば、CEACAM-1、-3および/または-5)またはTIM-3に結合する二特異性抗体である。他の態様では、OX40アゴニストは、他の共刺激性分子、例えば、GITR、CD2、CD27、CD28、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、ICOS(CD278)、4-1BB(CD137)、CD30、CD40、BAFFR、HVEM、CD7、LIGHT、NKG2C、SLAMF7、NKp80、CD160、B7-H3またはCD83リガンドのアゴニストと組み合わせて投与することができる。
【0131】
チェックポイント阻害剤の阻害剤または共刺激性分子のアゴニストの単なる例示的な組合せが、本明細書に提供されていることが認められる。これらの薬剤の追加的な組合せは、本発明の範囲内である。
【0132】
バイオマーカー
ある特定の態様では、本明細書に開示されている方法のいずれかは、対象(例えば、がん、例えば、本明細書に記載されているがんを有する対象)における本明細書に記載されている治療法(例えば、単独療法または併用療法)の有効性を評価またはモニターすることをさらに含む。方法は、治療法に対する有効性の値を獲得することを含み、前記値は、治療法の有効性を示す。
【0133】
態様では、治療法に対する有効性の値は、次のうち1、2、3、4、5、6、7、8、9種以上(例えば、全種)の尺度を含む:
(i)腫瘍浸潤リンパ球(TIL)表現型のパラメータ;
(ii)骨髄性細胞集団のパラメータ;
(iii)表面発現マーカーのパラメータ;
(iv)免疫性応答のバイオマーカーのパラメータ;
(v)全身性サイトカインモジュレーションのパラメータ;
(vi)循環遊離DNA(cfDNA)のパラメータ;
(vii)全身性免疫モジュレーションのパラメータ;
(viii)マイクロバイオームのパラメータ;
(ix)循環免疫細胞における活性化のマーカーのパラメータ;または
(x)循環サイトカインのパラメータ。
【0134】
ある態様では、TIL表現型のパラメータは、対象、例えば、対象由来の試料(例えば、腫瘍試料)における、TIL計数のためのヘマトキシリン・エオシン(H&E)染色による、CD8、FOXP3、CD4またはCD3の1、2、3、4種以上(例えば、全種)のレベルまたは活性を含む。
【0135】
ある態様では、骨髄性細胞集団のパラメータは、対象、例えば、対象由来の試料(例えば、腫瘍試料)における、CD68またはCD163の一方または両方のレベルまたは活性を含む。
【0136】
ある態様では、表面発現マーカーのパラメータは、対象、例えば、対象由来の試料(例えば、腫瘍試料)における、TIM-3、PD-1、PD-L1またはLAG-3の1、2、3種以上(例えば、全種)のレベルまたは活性を含む。ある特定の態様では、TIM-3、PD-1、PD-L1またはLAG-3のレベルは、免疫組織化学的検査(IHC)によって決定される。ある特定の態様では、TIM-3のレベルが決定される。
【0137】
ある態様では、免疫性応答のバイオマーカーのパラメータは、対象、例えば、対象由来の試料(例えば、腫瘍試料)における、1種または複数の核酸に基づくマーカーのレベルまたは配列を含む。
【0138】
ある態様では、全身性サイトカインモジュレーションのパラメータは、対象、例えば、対象由来の試料(例えば、血液試料、例えば、血漿試料)における、IL-18、IFN-γ、ITAC(CXCL11)、IL-6、IL-10、IL-4、IL-17、IL-15またはTGF-ベータの1、2、3、4、5、6、7、8種以上(例えば、全種)のレベルまたは活性を含む。
【0139】
ある態様では、cfDNAのパラメータは、対象、例えば、対象由来の試料(例えば、血液試料、例えば、血漿試料)における、1種または複数の循環腫瘍DNA(cfDNA)分子の配列またはレベルを含む。
【0140】
ある態様では、全身性免疫モジュレーションのパラメータは、対象、例えば、対象由来の試料(例えば、血液試料、例えば、PBMC試料)における、活性化免疫細胞、例えば、CD3発現細胞、CD8発現細胞またはその両方の表現型の特徴付けを含む。
【0141】
ある態様では、マイクロバイオームのパラメータは、対象、例えば、対象由来の試料(例えば、糞便試料)における、マイクロバイオームにおける1種または複数の遺伝子の配列または発現レベルを含む。
【0142】
ある態様では、循環免疫細胞における活性化のマーカーのパラメータは、試料(例えば、血液試料、例えば、血漿試料)における、循環CD8+、HLA-DR+Ki67+、T細胞、IFN-γ、IL-18またはCXCL11(IFN-γ誘導性CCK)発現細胞の1、2、3、4、5種以上(例えば、全種)のレベルまたは活性を含む。
【0143】
ある態様では、循環サイトカインのパラメータは、対象、例えば、対象由来の試料(例えば、血液試料、例えば、血漿試料)における、IL-6のレベルまたは活性を含む。
【0144】
本明細書に開示されている方法のいずれかのある態様では、治療法は、本明細書に記載されている抗TIM-3抗体分子、および免疫チェックポイント分子の第2の阻害剤、例えば、PD-1の阻害剤(例えば、抗PD-1抗体分子)またはPD-L1の阻害剤(例えば、抗PD-L1抗体分子)の組合せを含む。
【0145】
本明細書に開示されている方法のいずれかのある態様では、(i)~(x)のうち1種または複数の尺度は、対象から獲得された試料から得られる。ある態様では、試料は、腫瘍試料、血液試料(例えば、血漿試料またはPBMC試料)または糞便試料から選択される。
【0146】
本明細書に開示されている方法のいずれかのある態様では、対象は、治療法を受ける前に、その間に、またはそれを受けた後に評価される。
【0147】
本明細書に開示されている方法のいずれかのある態様では、(i)~(x)のうち1種または複数の尺度は、遺伝子発現、フローサイトメトリーまたはタンパク質発現のうち1種または複数のプロファイルを評価する。
【0148】
本明細書に開示されている方法のいずれかのある態様では、対象または試料における、循環CD8+、HLA-DR+Ki67+、T細胞、IFN-γ、IL-18もしくはCXCL11(IFN-γ誘導性CCK)発現細胞の1、2、3、4、5種以上(例えば、全種)の増加したレベルもしくは活性の存在、および/またはIL-6の減少したレベルもしくは活性の存在は、治療法の有効性の陽性予測因子である。
【0149】
それに代えて、または本明細書に開示されている方法と組み合わせて、前記値に応答して、次のうち1、2、3、4種以上(例えば、全種)を行うこと:
(i)対象に治療法を投与すること;
(ii)治療法の変更された投薬を投与されること;
(iii)治療法のスケジュールもしくは時間経過を変更すること;
(iv)治療法と組み合わせて追加的な薬剤(例えば、本明細書に記載されている治療剤)を対象に投与すること;または
(v)代替治療法を対象に投与すること。
【0150】
追加的な態様
ある特定の態様では、本明細書に開示されている方法のいずれかは、対象または試料(例えば、TIL等、がん細胞および/または免疫細胞を含む対象の試料)において、LAG-3の存在を同定し、これにより、LAG-3の値を得ることをさらに含む。方法は、LAG-3値を参照値、例えば、対照値と比較することをさらに含むことができる。LAG-3値が、参照値、例えば、対照値よりも大きい場合、対象に治療有効量の本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子を、本明細書に記載されている第2の治療剤、手順またはモダリティと適宜組み合わせて投与し、これにより、がんを処置すること。
【0151】
他の態様では、本明細書に開示されている方法のいずれかは、対象または試料(例えば、TIL等、がん細胞および/または免疫細胞を含む対象の試料)において、PD-L1の存在を同定し、これにより、PD-L1の値を得ることをさらに含む。方法は、PD-L1値を参照値、例えば、対照値と比較することをさらに含むことができる。PD-L1値が、参照値、例えば、対照値よりも大きい場合、対象に治療有効量の本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子を、本明細書に記載されている第2の治療剤、手順またはモダリティと適宜組み合わせて投与し、これにより、がんを処置すること。
【0152】
他の態様では、本明細書に開示されている方法のいずれかは、対象または試料(例えば、TIL等、がん細胞および適宜免疫細胞を含む対象の試料)において、PD-L1、CD8またはIFN-γの1、2または全種の存在を同定し、これにより、PD-L1、CD8およびIFN-γの1、2または全種の値を得ることをさらに含む。方法は、PD-L1、CD8および/またはIFN-γ値を参照値、例えば、対照値と比較することをさらに含むことができる。PD-L1、CD8および/またはIFN-γ値が、参照値、例えば、対照値よりも大きい場合、対象に治療有効量の本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子を、本明細書に記載されている第2の治療剤、手順またはモダリティと適宜組み合わせて投与し、これにより、がんを処置すること。
【0153】
対象は、固形腫瘍または血液学的がん、例えば、脳腫瘍(例えば、神経膠芽腫、膠肉腫または反復性脳腫瘍)、膵がん(例えば、進行型膵がん)、皮膚がん[例えば、黒色腫(例えば、ステージII~IV黒色腫、HLA-A2陽性黒色腫、切除不能黒色腫または転移性黒色腫)またはメルケル細胞癌]、腎がん[例えば、腎細胞癌(RCC)(例えば、転移性腎細胞癌)]、乳がん[例えば、転移性乳癌またはステージIV乳癌、例えば、三種陰性乳がん(TNBC)]、ウイルス関連がん、肛門管がん(例えば、肛門管の扁平上皮癌)、子宮頸部がん(例えば、子宮頸部の扁平上皮癌)、胃がん[例えば、エプスタイン・バーウイルス(EBV)陽性胃がん、または胃もしくは食道胃接合部癌]、頭頸部がん[例えば、HPV陽性および陰性の頭頸部の扁平上皮がん(SCCHN)]、鼻咽頭がん(NPC)、陰茎がん(例えば、陰茎の扁平上皮癌)、腟または外陰部がん(例えば、腟または外陰部の扁平上皮癌)、結腸直腸がん(例えば、再発性結腸直腸がんまたは転移性結腸直腸がん、例えば、マイクロサテライト不安定性結腸直腸がん、マイクロサテライト安定性結腸直腸がん、ミスマッチ修復能力がある結腸直腸がん、またはミスマッチ修復欠損結腸直腸がん)、肺がん[例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)]、白血病、リンパ腫[例えば、ホジキンリンパ腫(HL)またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、例えば、再発性または難治性HLまたはDLBCL]、骨髄腫、またはがんの転移性病変等、本明細書に記載されているがんを有することができる。
【0154】
本明細書に言及されているあらゆる刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられる。
【0155】
本発明の他の特色、目的および利点は、本明細書および図面から、ならびに特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0156】
LAG-3(CD223)は、MHC II、LSECtinおよびガレクチン-3に結合する免疫チェックポイント阻害剤である。LAG-3は、CD4+およびCD8+Tエフェクター細胞、調節性T細胞(Treg)、ナチュラルキラー(NK)細胞、ならびに形質細胞様樹状細胞を含む免疫細胞の表面に発現される。LAG-3係合は、T細胞シグナル伝達を負に調節し、Tregの抑制性機能を増加させることが示され、このことは、続いて、腫瘍細胞に対するT細胞活性を低下させることが予想される。LAG-3の遮断は、T細胞増殖およびサイトカイン分泌(IFN-γ)を増加させることにより、T細胞を活性化することが示された。
【0157】
したがって、少なくとも一部には、高い親和性および特異性でLAG-3に結合する抗体分子(例えば、ヒト化抗体分子)が、本明細書に開示されている。抗LAG-3抗体分子を含む医薬組成物および用量製剤も提供される。本明細書に開示されている抗LAG-3抗体分子を使用して(単独で、または他の治療剤、手順もしくはモダリティと組み合わせて)、がん性障害(例えば、固形腫瘍および血液学的がん)および感染性疾患(例えば、慢性感染性障害または敗血症)等の障害を処置または予防することができる。例えば、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子は、他の治療剤{例えば、PD-1阻害剤(例えば、本明細書に記載されている抗PD-1抗体分子)または化学療法剤[例えば、白金剤(例えば、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチンまたはテトラプラチン)またはヌクレオチドアナログもしくは前駆体アナログ(例えば、カペシタビン)]の一方または両方}と組み合わせて使用して、例えば、がん(例えば、本明細書に記載されているがん)、例えば、乳がん、例えば、三種陰性乳がん(TNBC)を処置または予防することができる。よって、抗LAG-3抗体分子を使用して様々な障害を処置するための投薬量レジメンを含む方法が、本明細書に開示されている。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、一定または固定用量で投与または使用される。
【0158】
定義
追加的な用語は、後述および本出願を通して定義されている。
本明細書において、単数表現は、この冠詞の文法上の目的語の1個または2個以上(例えば、少なくとも1個)を指す。
【0159】
用語「または」は、本明細書において、文脈がそれ以外のことを明らかに示さない限り、用語「および/または」を意味するように使用され、これと互換的に使用される。
【0160】
「約」および「およそ」は、測定の性質または正確さを考慮しつつ、測定された含量に関する許容される程度の誤差を一般に意味する。例示的な程度の誤差は、所定の値または値の範囲の20パーセント(%)以内、典型的には10%以内、より典型的には5%以内である。
【0161】
「組合せ」または「と組み合わせて」とは、治療法または治療剤が、同時に投与されなければならないおよび/または一緒のデリバリーのために製剤化されなければならないと暗示することを目的としないが、このようなデリバリー方法は、本明細書に記載されている範囲内にある。組合せにおける治療剤は、1種または複数の他の追加的な治療法または治療剤と同時発生的に、それに先立ちまたはその後に投与することができる。治療剤または治療プロトコールは、いずれかの順序で投与することができる。一般に、各薬剤は、該薬剤のために決定された用量および/またはタイム・スケジュールで投与されるであろう。この組合せにおいて利用される追加的な治療剤が、単一の組成物において一緒に投与されても、または異なる組成物において別々に投与されてもよいことがさらに認められるであろう。一般に、組合せにおいて利用される追加的な治療剤が、これらが個々に利用されるレベルを超えないレベルで利用されることが予想される。ある態様では、組合せにおいて利用されるレベルは、個々に利用されるレベルよりも低くなるであろう。
【0162】
態様では、追加的な治療剤は、治療用量でまたは治療用量よりも低い用量で投与される。ある特定の態様では、阻害、例えば、成長阻害の達成に要求される第2の治療剤の濃度は、第2の治療剤が第1の治療剤、例えば、抗LAG-3抗体分子と組み合わせて投与される場合、第2の治療剤が個々に投与される場合よりも低い。ある特定の態様では、阻害、例えば、成長阻害の達成に要求される第1の治療剤の濃度は、第1の治療剤が第2の治療剤と組み合わせて投与される場合、第1の治療剤が個々に投与される場合よりも低い。ある特定の態様では、併用療法において、阻害、例えば、成長阻害の達成に要求される第2の治療剤の濃度は、単独療法としての第2の治療剤の治療用量よりも低い、例えば、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%、50~60%、60~70%、70~80%または80~90%低い。ある特定の態様では、併用療法において、阻害、例えば、成長阻害の達成に要求される第1の治療剤の濃度は、単独療法としての第1の治療剤の治療用量よりも低い、例えば、10~20%、20~30%、30~40%、40~50%、50~60%、60~70%、70~80%または80~90%低い。
【0163】
用語「阻害」、「阻害剤」または「アンタゴニスト」は、所定の分子、例えば、免疫チェックポイント阻害剤のある特定のパラメータ、例えば、活性の低下を含む。例えば、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%以上の活性、例えば、PD-1またはPD-L1活性の阻害が、この用語によって含まれる。よって、阻害は、100%である必要はない。
【0164】
用語「活性化」、「活性化因子」または「アゴニスト」は、所定の分子、例えば、共刺激性分子のある特定のパラメータ、例えば、活性の増加を含む。例えば、少なくとも5%、10%、25%、50%、75%以上の活性、例えば、共刺激活性の増加が、この用語によって含まれる。
【0165】
用語「抗がん効果」は、様々な手段によって顕在化され得る生物学的効果を指し、例えば、腫瘍体積の減少、がん細胞数の減少、転移数の減少、平均余命の増加、がん細胞増殖の減少、がん細胞生存の減少、またはがん性状態に関連する様々な生理的症状の緩解が挙げられるがこれらに限定されない。「抗がん効果」は、第一にがんの発生の予防におけるペプチド、ポリヌクレオチド、細胞および抗体の能力によっても顕在化され得る。
【0166】
用語「抗腫瘍効果」は、様々な手段によって顕在化され得る生物学的効果を指し、例えば、腫瘍体積の減少、腫瘍細胞数の減少、腫瘍細胞増殖の減少または腫瘍細胞生存の減少が挙げられるがこれらに限定されない。
【0167】
用語「がん」は、異常細胞の急速かつ制御されない成長によって特徴付けられる疾患を指す。がん細胞は、局所的に、または血流およびリンパ系を介して他の身体部分へと拡散することができる。様々ながんの例は、本明細書に記載されており、固形腫瘍、例えば、肺がん、乳がん、前立腺がん、卵巣がん、子宮頸部がん、皮膚がん、膵臓がん、結腸直腸がん、腎臓がん、肝臓がんならびに脳がん、および血液学的悪性病変、例えば、リンパ腫および白血病、その他が挙げられるがこれらに限定されない。用語「腫瘍」および「がん」は、本明細書において互換的に使用されており、例えば、どちらの用語も、固体および液体、例えば、びまん性または循環性腫瘍を包含する。本明細書において、用語「がん」または「腫瘍」は、前悪性と共に悪性のがんおよび腫瘍を含む。
【0168】
用語「抗原提示細胞」または「APC」は、その表面において、主要組織適合抗原複合体(MHC)と複合体形成した外来性抗原を呈するアクセサリー細胞(例えば、B細胞、樹状細胞その他)等の免疫系細胞を指す。T細胞は、そのT細胞受容体(TCR)を使用して、このような複合体を認識することができる。APCは、抗原をプロセシングし、これをT細胞に対して提示する。
【0169】
用語「共刺激性分子」は、T細胞における同族結合パートナーを指し、これは、共刺激性リガンドと特異的に結合し、これにより、増殖等が挙げられるがこれに限定されない、T細胞による共刺激性応答を媒介する。共刺激性分子は、効率的な免疫応答に要求される抗原受容体またはそのリガンド以外の細胞表面分子である。共刺激性分子として、MHCクラスI分子、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)、活性化NK細胞受容体、BTLA、Tollリガンド受容体、OX40、CD2、CD7、CD27、CD28、CD30、CD40、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、4-1BB(CD137)、B7-H3、CDS、ICAM-1、ICOS(CD278)、GITR、BAFFR、LIGHT、HVEM(LIGHTR)、KIRDS2、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD19、CD4、CD8α、CD8β、IL2Rβ、IL2Rγ、IL7Rα、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、NKG2C、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a、およびCD83と特異的に結合するリガンドが挙げられるがこれらに限定されない。
【0170】
「免疫エフェクター細胞」または「エフェクター細胞」は、該用語が本明細書で使用される場合、免疫応答、例えば、免疫エフェクター応答の促進に関与する細胞を指す。免疫エフェクター細胞の例として、T細胞、例えば、アルファ/ベータT細胞およびガンマ/デルタT細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、マスト細胞ならびに骨髄系由来貪食細胞が挙げられる。
【0171】
「免疫エフェクター」または「エフェクター」「機能」または「応答」は、該用語が本明細書で使用される場合、例えば、標的細胞の免疫攻撃を増強または促進する免疫エフェクター細胞の機能または応答を指す。例えば、免疫エフェクター機能または応答は、標的細胞の死滅または成長もしくは増殖の阻害を促進するTまたはNK細胞の特性を指す。T細胞の場合、一次刺激および共刺激は、免疫エフェクター機能または応答の例である。
【0172】
用語「エフェクター機能」は、細胞の特殊化された機能を指す。例えばT細胞のエフェクター機能は、細胞溶解活性またはサイトカイン分泌を含むヘルパー活性となることができる。
【0173】
本明細書において、用語「処置する」、「処置」および「処置している」は、1種または複数の治療法の投与に起因する、障害、例えば、増殖性障害の進行、重症度および/または持続時間の低下または緩解、あるいは障害の1種または複数の症状(好ましくは、1種または複数の識別可能な症状)の緩解を指す。特異的な態様では、用語「処置する」、「処置」および「処置している」は、必ずしも患者によって識別可能である必要がない、腫瘍の成長等、増殖性障害の少なくとも1種の測定可能な身体的パラメータの緩解を指す。他の態様では、用語「処置する」、「処置」および「処置している」は、例えば、識別可能な症状の安定化による身体的な、例えば、身体的パラメータの安定化による生理的な、またはその両方での、増殖性障害の進行の阻害を指す。他の態様では、用語「処置する」、「処置」および「処置している」は、腫瘍サイズまたはがん性細胞数の低下または安定化を指す。
【0174】
本発明の組成物、製剤および方法は、特定された配列、またはそれと実質的に同一もしくは同様の配列、例えば、特定された配列と少なくとも85%、90%、95%以上同一である配列を有するポリペプチドおよび核酸を包含する。アミノ酸配列の文脈において、用語「実質的に同一」は、第1および第2のアミノ酸配列が、共通構造ドメインおよび/または共通機能活性を有することができるような、i)第2のアミノ酸配列における整列されたアミノ酸残基と同一である、またはii)その保存的置換である、十分なまたは最小の数のアミノ酸残基を含有する第1のアミノ酸配列を指すように本明細書で使用されている。例えば、参照配列、例えば、本明細書に提示されている配列に対し少なくとも約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有する共通構造ドメインを含有するアミノ酸配列。
【0175】
ヌクレオチド配列の文脈において、用語「実質的に同一」は、第1および第2のヌクレオチド配列が、共通機能活性を有するポリペプチドをコードするような、または共通構造ポリペプチドドメインもしくは共通機能ポリペプチド活性をコードするような、第2の核酸配列における整列されたヌクレオチドと同一である、十分なまたは最小の数のヌクレオチドを含有する第1の核酸配列を指すように本明細書で使用されている。例えば、参照配列、例えば、本明細書に提示されている配列に対し少なくとも約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するヌクレオチド配列。
【0176】
用語「機能的変異体」は、天然起源の配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有する、または実質的に同一のヌクレオチド配列によってコードされ、天然起源の配列の1種または複数の活性を有することができるポリペプチドを指す。
【0177】
配列間の相同性または配列同一性(これらの用語は、本明細書において互換的に使用される)の計算は、次の通りに行われる。
【0178】
2種のアミノ酸配列または2種の核酸配列のパーセント同一性を決定するために、配列は、最適な比較目的のために整列される(例えば、最適な整列のために第1および第2のアミノ酸または核酸配列の一方または両方にギャップを導入することができ、比較目的のために非相同配列を無視することができる)。好まれる態様では、比較目的のために整列される参照配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、60%、さらにより好ましくは少なくとも70%、80%、90%、100%である。続いて、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置におけるアミノ酸残基またはヌクレオチドが比較される。第1の配列における位置が、第2の配列における対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドで占有される場合、両分子は、該位置が同一である(本明細書において、アミノ酸または核酸「同一性」は、アミノ酸または核酸「相同性」と均等である)。
【0179】
2配列間のパーセント同一性は、該2配列の最適な整列のために導入する必要があるギャップの数および各ギャップの長さを考慮に入れた、両配列によって共有される同一位置の数の関数である。
【0180】
配列の比較および2配列間のパーセント同一性の決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。好まれる態様では、2種のアミノ酸配列の間のパーセント同一性は、Blossum62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれか、ならびにギャップウエイト16、14、12、10、8、6または4およびレングスウエイト1、2、3、4、5または6を使用して、GCGソフトウェアパッケージ(www.gcg.comで入手可)におけるGAPプログラムに取り込まれたNeedlemanおよびWunsch[(1970) J. Mol. Biol. 48:444-453]アルゴリズムを使用して決定される。なお別の好まれる態様では、2種のヌクレオチド配列の間のパーセント同一性は、NWSgapdna.CMPマトリックスならびにギャップウエイト40、50、60、70または80およびレングスウエイト1、2、3、4、5または6を使用して、GCGソフトウェアパッケージ(www.gcg.comで入手可)におけるGAPプログラムを使用して決定される。特に好まれるパラメータセット(および他に指定がなければ使用するべきセット)は、Blossum 62スコアリングマトリックスと、ギャップペナルティ12、ギャップエクステンドペナルティ4およびフレームシフトギャップペナルティ5である。
【0181】
2種のアミノ酸またはヌクレオチド配列の間のパーセント同一性は、PAM120ウエイトレジデューテーブル、ギャップレングスペナルティ12およびギャップペナルティ4を使用して、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に取り込まれたE.MeyersおよびW.Miller[(1989) CABIOS, 4:11-17]のアルゴリズムを使用して決定することができる。
【0182】
本明細書に記載されている核酸およびタンパク質配列は、例えば、他のファミリーメンバーまたは関連する配列を同定するために、公開データベースに対する検索を行うための「問い合わせ配列」として使用することができる。かかる検索は、Altschul, et al. (1990) J. Mol. Biol. 215:403-10のNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)を使用して行うことができる。BLASTヌクレオチド検索を、NBLASTプログラム、スコア=100、ワードレングス=12により行って、本発明の核酸(配列番号1)分子と相同なヌクレオチド配列を得ることができる。BLASTタンパク質検索を、XBLASTプログラム、スコア=50、ワードレングス=3により行って、本発明のタンパク質分子と相同なアミノ酸配列を得ることができる。比較目的のためにギャップ入りの整列を得るために、Altschul et al., (1997) Nucleic Acids Res. 25:3389-3402に記載されている通り、Gapped BLASTを利用することができる。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメータを使用することができる。http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照されたい。
【0183】
本明細書において、用語「低ストリンジェンシー、中程度ストリンジェンシー、高ストリンジェンシーまたは超高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする」は、ハイブリダイゼーションおよび洗浄のための条件を記載する。ハイブリダイゼーション反応を行うためのガイダンスは、参照により本明細書に組み入れられるCurrent Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N.Y. (1989), 6.3.1-6.3.6に見出すことができる。水性および非水性方法は、該参考文献に記載されており、どちらを使用することもできる。本明細書に参照されている特異的なハイブリダイゼーション条件は次の通りである:1)低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)、約45℃と、続く0.2×SSC、0.1%SDS、少なくとも50℃(洗浄の温度は、低ストリンジェンシー条件では55℃まで増加させることができる)における2回の洗浄;2)中程度ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、6×SSC、約45℃と、続く0.2×SSC、0.1%SDS、60℃における1回または複数の洗浄;3)高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、6×SSC、約45℃と、続く0.2×SSC、0.1%SDS、65℃における1回または複数の洗浄;および好ましくは4)超高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、0.5Mリン酸ナトリウム、7%SDS、65℃と、続く0.2×SSC、1%SDS、65℃における1回または複数の洗浄。超高ストリンジェンシー条件(4)が好まれる条件であり、他に指定がなければ使用するべき条件である。
【0184】
本発明の分子が、その機能に実質的な効果がない追加的な保存的または非必須アミノ酸置換を有することができることが理解される。
【0185】
用語「アミノ酸」は、天然であれ合成であれ、アミノ官能性および酸官能性の両方を含む、天然起源のアミノ酸のポリマーに含まれ得る、あらゆる分子を包含することを目的とする。例示的なアミノ酸は、天然起源のアミノ酸;そのアナログ、誘導体および同類物;変異体側鎖を有するアミノ酸アナログ;ならびに前述のいずれかのあらゆる立体異性体を含む。本明細書において、用語「アミノ酸」は、D-またはL-光学異性体およびペプチド模倣物の両方を含む。
【0186】
「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、同様の側鎖を有するアミノ酸残基により置き換えられた置換である。同様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野で定義されている。このようなファミリーは、塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ-分枝側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。
【0187】
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」(単鎖であれば)は、いずれかの長さのアミノ酸のポリマーを指すように、本明細書において互換的に使用される。ポリマーは、直鎖状であっても分枝状であってもよく、改変されたアミノ酸を含むことができ、非アミノ酸によって中断されていてよい。この用語は、改変されたアミノ酸ポリマーも包含する;例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質付加、アセチル化、リン酸化、または標識構成成分とのコンジュゲーション等の他のいずれかの操作。ポリペプチドは、天然源から単離することができ、真核生物もしくは原核生物宿主から組換え技法によって産生することができ、または合成手技の産物となることができる。
【0188】
用語「核酸」、「核酸配列」、「ヌクレオチド配列」または「ポリヌクレオチド配列」および「ポリヌクレオチド」は、互換的に使用される。これらは、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドまたはこれらのアナログのいずれかである、いずれかの長さのヌクレオチドのポリマー型を指す。ポリヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖のいずれかとなることができ、一本鎖である場合、コード鎖または非コード(アンチセンス)鎖となることができる。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログ等、改変されたヌクレオチドを含むことができる。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド構成成分によって中断されていてよい。ポリヌクレオチドは、標識構成成分とのコンジュゲーションによる等、重合後にさらに改変されていてよい。核酸は、天然に発生しない、または非天然配置で別のポリヌクレオチドに連結された、組換えポリヌクレオチド、またはゲノム、cDNA、半合成もしくは合成起源のポリヌクレオチドとなることができる。
【0189】
用語「単離された」は、本明細書において、その本来のまたはネイティブ環境(例えば、天然起源である場合は天然環境)から除去された材料を指す。例えば、生きている動物に存在する天然起源のポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、単離されていないが、天然の系において共存する材料の一部または全部からヒトの介入によって分離された同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、単離されている。かかるポリヌクレオチドは、ベクターの一部となることができる、および/またはかかるポリヌクレオチドもしくはポリペプチドは、組成物の一部となることができ、かかるベクターまたは組成物が、これが天然に見出される環境の一部ではないという点において、依然として単離されている。
【0190】
本発明の様々な面について、さらに詳細に後述する。追加的な定義は、本明細書を通して提示されている。
【0191】
投薬量レジメン
本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子は、本明細書に記載されている投薬量レジメンに従って投与して、対象における障害、例えば、過剰増殖状態または障害(例えば、がん)を処置(例えば、阻害、低下、寛解または予防)することができる。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、例えば、2、3または4週間に1回、約200mg~約2000mgの用量で対象に投与される。
【0192】
ある面では、本開示は、対象におけるがんを処置する方法であって、本明細書に記載されている用量または投薬量スケジュールで抗LAG-3抗体分子(例えば、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子)を対象に投与することを含む方法を特色とする。
【0193】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、対象における可溶性LAG-3の結合、例えば、飽和をもたらす用量または投薬量スケジュールで投与される。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、例えば、投与の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12、24、36または48週間以内に、対象における可溶性LAG-3の少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、98%または99%結合、例えば、飽和をもたらす用量または投薬量スケジュールで投与される。
【0194】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、例えば、投与の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、24、36または48週間以内に、対象における腫瘍におけるLAG-3の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%または99%結合、例えば、占有をもたらす用量または投薬量スケジュールで投与される。
【0195】
他の態様では、抗LAG-3抗体分子は、対象における可溶性LAG-3の少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、98%または99%結合、例えば、飽和をもたらし、対象における腫瘍におけるLAG-3の少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、98%または99%結合、例えば、占有をもたらす用量または投薬量スケジュールで投与される。態様では、飽和および/または占有は、例えば、投与の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、24、36または48週間以内に起こる。
【0196】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、
(a)対象(例えば、血液)における可溶性LAG-3の40%以上(例えば、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、99%以上)に抗LAG-3抗体分子が結合すること;または
(b)対象(例えば、がん)における膜結合型LAG-3の50%以上(例えば、60%以上、70%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、99%以上)に抗LAG-3抗体分子が結合すること
のうち一方または両方をもたらす用量または投薬量スケジュールで投与される。
【0197】
ある態様では、可溶性LAG-3への抗LAG-3抗体分子の結合は、血液試料(例えば、血清試料または血漿試料)中で決定される。ある態様では、膜結合型LAG-3への抗LAG-3抗体分子の結合は、がん(例えば、がん試料)中で決定される。
【0198】
ある態様では、可溶性LAG-3への抗LAG-3抗体分子の結合、膜結合型LAG-3への抗LAG-3抗体分子の結合、またはその両方は、対象が、定常状態トラフレベルの抗LAG-3抗体分子を有するときに決定される。ある態様では、トラフレベルは、投与から約24週間後の抗LAG-3抗体分子の濃度、または次の用量が投与される前に抗LAG-3抗体分子が達する最低濃度である。ある態様では、可溶性LAG-3への抗LAG-3抗体分子の結合、膜結合型LAG-3への抗LAG-3抗体分子の結合、またはその両方は、インビトロ(例えば、ELISAまたは細胞に基づくアッセイにより)もしくはインビボ(例えば、イメージングにより)で決定、例えば、測定される、またはPK/PDモデル、例えば、本明細書に記載されているPK/PDモデルから予測される。
【0199】
ある態様では、対象由来の血清試料中の可溶性LAG-3の50%以上に抗LAG-3抗体分子が結合する。ある態様では、対象由来の血清試料中の可溶性LAG-3の60%以上に抗LAG-3抗体分子が結合する。ある態様では、対象由来の血清試料中の可溶性LAG-3の70%以上に抗LAG-3抗体分子が結合する。ある態様では、対象由来の血清試料中の可溶性LAG-3の80%以上に抗LAG-3抗体分子が結合する。ある態様では、対象由来の血清試料中の可溶性LAG-3の90%以上に抗LAG-3抗体分子が結合する。
【0200】
ある態様では、対象由来のがんまたはがん試料中の膜結合型LAG-3の85%以上に抗LAG-3抗体分子が結合する。ある態様では、対象由来のがんまたはがん試料中の膜結合型LAG-3の90%以上に抗LAG-3抗体分子が結合する。ある態様では、対象由来のがんまたはがん試料中の膜結合型LAG-3の95%以上に抗LAG-3抗体分子が結合する。
【0201】
ある態様では、対象由来の血清試料中の可溶性LAG-3の50%以上、60%以上、70%以上、80%以上または90%以上に抗LAG-3抗体分子が結合し、対象由来のがんまたはがん試料中の膜結合型LAG-3の85%以上、90%以上または95%以上に抗LAG-3抗体分子が結合する。
【0202】
ある態様では、対象由来の血清試料中の可溶性LAG-3の50%以上に抗LAG-3抗体分子が結合し、対象由来のがんまたはがん試料中の膜結合型LAG-3の90%以上に抗LAG-3抗体分子が結合する。ある態様では、対象由来の血清試料中の可溶性LAG-3の60%以上に抗LAG-3抗体分子が結合し、対象由来のがんまたはがん試料中の膜結合型LAG-3の90%以上に抗LAG-3抗体分子が結合する。ある態様では、対象由来の血清試料中の可溶性LAG-3の70%以上に抗LAG-3抗体分子が結合し、対象由来のがんまたはがん試料中の膜結合型LAG-3の90%以上に抗LAG-3抗体分子が結合する。ある態様では、対象由来の血清試料中の可溶性LAG-3の80%以上に抗LAG-3抗体分子が結合し、対象由来のがんまたはがん試料中の膜結合型LAG-3の90%以上に抗LAG-3抗体分子が結合する。ある態様では、対象由来の血清試料中の可溶性LAG-3の90%以上に抗LAG-3抗体分子が結合し、対象由来のがんまたはがん試料中の膜結合型LAG-3の90%以上に抗LAG-3抗体分子が結合する。
【0203】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、次のうち一方または両方を低下させる用量または投薬量スケジュールで投与される:
(a)対象における遊離可溶性LAG-3のレベルを、例えば、遊離可溶性LAG-3の参照レベルの40%以下(例えば、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下または1%以下)まで;または
(b)対象における遊離膜結合型LAG-3のレベルを、例えば、膜結合型LAG-3の参照レベルの50%以下(例えば、40%以下、30%以下、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下または1%以下)まで。
【0204】
ある態様では、遊離可溶性LAG-3のレベルは、血液試料(例えば、血清試料または血漿試料)中で決定される。ある態様では、遊離可溶性LAG-3の参照レベルは、例えば、投薬量スケジュールに従った、例えば、抗LAG-3抗体分子の投与に先立つ、対象中の遊離可溶性LAG-3のベースラインレベルである。
【0205】
ある態様では、遊離膜結合型LAG-3のレベルは、がん(例えば、がん試料)中で決定される。ある態様では、遊離膜結合型LAG-3の参照レベルは、例えば、投薬量スケジュールに従った、例えば、抗LAG-3抗体分子の投与に先立つ、対象中の遊離膜結合型LAG-3のベースラインレベルである。
【0206】
ある態様では、遊離可溶性LAG-3のレベル、遊離膜結合型LAG-3のレベル、またはその両方は、対象が、定常状態トラフレベルの抗LAG-3抗体分子を有するときに決定される。ある態様では、トラフレベルは、投与から約24週間後の抗LAG-3抗体分子の濃度、または次の用量が投与される前に抗LAG-3抗体分子が達する最低濃度である。ある態様では、遊離可溶性LAG-3のレベル、遊離膜結合型LAG-3のレベル、またはその両方は、インビトロ(例えば、ELISAまたは細胞に基づくアッセイにより)もしくはインビボ(例えば、イメージングにより)で決定、例えば、測定される、またはPK/PDモデル、例えば、本明細書に記載されているPK/PDモデルから予測される。
【0207】
ある態様では、遊離可溶性LAG-3のレベルは、対象由来の血清試料中の遊離可溶性LAG-3の参照レベルの50%以下まで低下される。ある態様では、遊離可溶性LAG-3のレベルは、対象由来の血清試料中の遊離可溶性LAG-3の参照レベルの40%以下まで低下される。ある態様では、遊離可溶性LAG-3のレベルは、対象由来の血清試料中の遊離可溶性LAG-3の参照レベルの30%以下まで低下される。ある態様では、遊離可溶性LAG-3のレベルは、対象由来の血清試料中の遊離可溶性LAG-3の参照レベルの20%以下まで低下される。ある態様では、遊離可溶性LAG-3のレベルは、対象由来の血清試料中の遊離可溶性LAG-3の参照レベルの10%以下まで低下される。
【0208】
ある態様では、遊離膜結合型LAG-3のレベルは、対象由来のがんまたはがん試料中の遊離膜結合型LAG-3の参照レベルの15%以下まで低下される。ある態様では、遊離膜結合型LAG-3のレベルは、対象由来のがんまたはがん試料中の遊離膜結合型LAG-3の参照レベルの10%以下まで低下される。ある態様では、遊離可溶性LAG-3のレベルは、対象由来のがんまたはがん試料中の遊離膜結合型LAG-3の参照レベルの5%以下まで低下される。
【0209】
ある態様では、遊離可溶性LAG-3のレベルは、対象由来の血清試料中の遊離可溶性LAG-3の参照レベルの50%以下、40%以下、30%以下、20%以下または10%以下まで低下され、遊離膜結合型LAG-3のレベルは、対象由来のがんまたはがん試料中の遊離膜結合型LAG-3の参照レベルの15%以下、10%以下または5%以下まで低下される。
【0210】
ある態様では、遊離可溶性LAG-3のレベルは、対象由来の血清試料中の遊離可溶性LAG-3の参照レベルの50%以下まで低下され、遊離膜結合型LAG-3のレベルは、対象由来のがんまたはがん試料中の遊離膜結合型LAG-3の参照レベルの10%以下まで低下される。ある態様では、遊離可溶性LAG-3のレベルは、対象由来の血清試料中の遊離可溶性LAG-3の参照レベルの40%以下まで低下され、遊離膜結合型LAG-3のレベルは、対象由来のがんまたはがん試料中の遊離膜結合型LAG-3の参照レベルの10%以下まで低下される。ある態様では、遊離可溶性LAG-3のレベルは、対象由来の血清試料中の遊離可溶性LAG-3の参照レベルの30%以下まで低下され、遊離膜結合型LAG-3のレベルは、対象由来のがんまたはがん試料中の遊離膜結合型LAG-3の参照レベルの10%以下まで低下される。ある態様では、遊離可溶性LAG-3のレベルは、対象由来の血清試料中の遊離可溶性LAG-3の参照レベルの20%以下まで低下され、遊離膜結合型LAG-3のレベルは、対象由来のがんまたはがん試料中の遊離膜結合型LAG-3の参照レベルの10%以下まで低下される。ある態様では、遊離可溶性LAG-3のレベルは、対象由来の血清試料中の遊離可溶性LAG-3の参照レベルの10%以下まで低下され、遊離膜結合型LAG-3のレベルは、対象由来のがんまたはがん試料中の遊離膜結合型LAG-3の参照レベルの10%以下まで低下される。
【0211】
ある特定の態様では、用量または投薬量スケジュールは、Ccrit(例えば、実施例1に記載されている)を上回る抗LAG-3抗体分子のトラフレベル(例えば、定常状態トラフレベル)をもたらす。ある態様では、Ccritは、それより下に非線形PKが観察される濃度である。ある態様では、Ccritは、約60nMである。
【0212】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、本明細書に開示されている投薬量レジメンで投与される。
【0213】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、例えば、2週間に1回、3週間に1回または4週間に1回、約200mg~約1600mg、約300mg~約1500mg、約400mg~約1400mg、約500mg~約1300mg、約600mg~約1200mg、約700mg~約1100mg、約800mg~約1000mg、約200mg~約1400mg、約200mg~約1200mg、約200mg~約1000mg、約200mg~約800mg、約200mg~約600mg、約200mg~約400mg、約1400mg~約1600mg、約1200mg~約1600mg、約1000mg~約1600mg、約800mg~約1600mg、約600mg~約1600mg、約400mg~約1600mg、約200mg~約600mg、約300mg~約700mg、約400mg~約800mg、約500mg~約900mg、約600mg~約1000mg、約700mg~約1100mg、約800mg~約1200mg、約900mg~約1300mg、約1000mg~約1400mg、約1100mg~約1500mgまたは約1200mg~約1600mgの用量で投与される。
【0214】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、例えば、3週間に1回または4週間に1回、約200mg~約600mg、約250mg~約550mg、約300mg~約500mg、約350mg~約450mg、約200mg~約400mg、約400mg~約600mg、例えば、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mgの用量で投与される。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、3週間に1回、約300mg~約500mg、例えば、約300mg、約320mg、約340mg、約360mg、約380mg、約400mg、約420mg、約440mg、約460mg、約480mgまたは約500mgの用量で投与される。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、3週間に1回、約350mg~約450mg、例えば、約400mgの用量で投与される。
【0215】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、例えば、3週間に1回または4週間に1回、約600mg~約1000mg、約650mg~約950mg、約700mg~約900mg、約750mg~約950mg、約600mg~約800mg、約800mg~約1000mg、例えば、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、約1000mgの用量で投与される。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、4週間に1回、約900mg~約1100mg、例えば、約900mg、約920mg、約940mg、約960mg、約980mg、約900mg、約920mg、約940mg、約960mg、約980mgまたは約1000mgの用量で投与される。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、4週間に1回、約950mg~約1050mg、例えば、約1000mgの用量で投与される。
【0216】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、例えば、3週間に1回または4週間に1回、約500mg~約900mg、約550mg~約850mg、約600mg~約800mg、約650mg~約750mg、例えば、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mgの用量で投与される。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、3週間に1回、約600mg~約800mg、例えば、約600mg、約620mg、約640mg、約660mg、約680mg、約700mg、約720mg、約740mg、約760mg、約780mgまたは約800mgの用量で投与される。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、3週間に1回、約650mg~約750mg、例えば、約700mgの用量で投与される。
【0217】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、例えば、3週間に1回または4週間に1回、約1200mg~約1600mg、約1250mg~約1550mg、約1300mg~約1500mg、約1350mg~約1450mg、例えば、約1200mg、約1250mg、約1300mg、約1350mg、約1400mg、約1450mg、約1500mg、約1550mg、約1600mgの用量で投与される。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、4週間に1回、約1300mg~約1500mg、例えば、約1300mg、約1320mg、約1340mg、約1360mg、約1380mg、約1400mg、約1420mg、約1440mg、約1460mg、約1480mgまたは約1500mgの用量で投与される。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、4週間に1回、約1350mg~約1450mg、例えば、約1400mgの用量で投与される。
【0218】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、例えば、4週間に1回、約400mg~約700mg、約450mg~約650mg、約500mg~約600mg、約450mg~約550mg、約500mg~約600mg、約550mg~約650mg、約600mg~約700mg、約500mg~約550mg、約550mg~約600mg、約600mg~約650mg、例えば、約400mg、約450mg、約500mg、約533mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mgの用量で投与される。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、4週間に1回、約450mg~約650mg、例えば、約450mg、約500mg、約533mg、約550mg、約600mgまたは約650mgの用量で投与される。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、4週間に1回、約500mg~約650mg、例えば、約533mgまたは約600mgの用量で投与される。
【0219】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、2週間に1回、3週間に1回または4週間に1回、約2000mg以下、約1900mg以下、約1800mg以下、約1700mg以下、約1600mg以下、約1500mg以下、約1400mg以下、約1300mg以下、約1200mg以下、約1100mg以下、約1000mg以下、約900mg以下、約800mg以下、約700mg以下、約600mg以下、約533mg以下、約500mg以下、約400mg以下、約300mg以下、約250mg以下または約200mg以下の用量で投与される。
【0220】
ある態様では、障害は、がん、例えば、本明細書に記載されているがんである。ある特定の態様では、がんは、固形腫瘍である。ある態様では、がんは、脳腫瘍、例えば、神経膠芽腫、膠肉腫または反復性脳腫瘍である。ある態様では、がんは、膵がん、例えば、進行型膵がんである。ある態様では、がんは、皮膚がん、例えば、黒色腫(例えば、ステージII~IV黒色腫、HLA-A2陽性黒色腫、切除不能黒色腫または転移性黒色腫)またはメルケル細胞癌である。ある態様では、がんは、腎がん、例えば、腎細胞癌(RCC)(例えば、転移性腎細胞癌)である。ある態様では、がんは、乳がん、例えば、転移性乳癌またはステージIV乳癌、例えば、三種陰性乳がん(TNBC)である。ある態様では、がんは、ウイルス関連がんである。ある態様では、がんは、肛門管がん(例えば、肛門管の扁平上皮癌)である。ある態様では、がんは、子宮頸部がん(例えば、子宮頸部の扁平上皮癌)である。ある態様では、がんは、胃がん[例えば、エプスタイン・バーウイルス(EBV)陽性胃がん、または胃もしくは食道胃接合部癌]である。ある態様では、がんは、頭頸部がん[例えば、HPV陽性および陰性の頭頸部の扁平上皮がん(SCCHN)]である。ある態様では、がんは、鼻咽頭がん(NPC)である。ある態様では、がんは、陰茎がん(例えば、陰茎の扁平上皮癌)である。ある態様では、がんは、腟または外陰部がん(例えば、腟または外陰部の扁平上皮癌)である。ある態様では、がんは、結腸直腸がん、例えば、再発性結腸直腸がんまたは転移性結腸直腸がん、例えば、マイクロサテライト不安定性結腸直腸がん、マイクロサテライト安定性結腸直腸がん、ミスマッチ修復能力がある結腸直腸がんまたはミスマッチ修復欠損結腸直腸がんである。ある態様では、がんは、肺がん、例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)である。ある特定の態様では、がんは、血液学的がんである。ある態様では、がんは、白血病である。ある態様では、がんは、リンパ腫、例えば、ホジキンリンパ腫(HL)またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)(例えば、再発性または難治性HLまたはDLBCL)である。ある態様では、がんは、骨髄腫である。
【0221】
他の態様では、がんは、MSI高がんである。ある態様では、がんは、転移性がんである。他の態様では、がんは、進行型がんである。他の態様では、がんは、再発性または難治性がんである。他の態様では、がんは、切除不能がんである。
【0222】
ある態様では、がんは、メルケル細胞癌である。他の態様では、がんは、黒色腫である。他の態様では、がんは、乳がん、例えば、三種陰性乳がん(TNBC)またはHER2陰性乳がんである。他の態様では、がんは、腎細胞癌[例えば、明細胞腎細胞癌(CCRCC)または非明細胞腎細胞癌(nccRCC)]である。他の態様では、がんは、甲状腺がん、例えば、組織非形成性甲状腺癌(ATC)である。他の態様では、がんは、神経内分泌腫瘍(NET)、例えば、非定型肺性カルチノイド腫瘍、または膵臓、胃腸(GI)管もしくは肺におけるNETである。ある特定の態様では、がんは、で非小細胞肺がん(NSCLC)(例えば、扁平上皮NSCLCまたは非扁平上皮NSCLC)ある。ある特定の態様では、がんは、卵管がんである。ある特定の態様では、がんは、マイクロサテライト不安定性(instability)-高 結腸直腸がん(MSI高 CRC)またはマイクロサテライト安定性結腸直腸がん(MSS CRC)である。
【0223】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、抗PD-1抗体分子(例えば、本明細書に記載されている抗PD-1抗体分子)と組み合わせて投与される。理論に制約されることは望まないが、マウスにおいて観察された通り[Woo et al. Cancer Research 72: 917-927 (2012)]、ある態様では、抗LAG-3療法が、抗PD-1療法と組み合わせて相加効果を有することが予想されることが考えられる。抗PD-1抗体分子は、化学療法剤[例えば、白金剤(例えば、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチンまたはテトラプラチン)またはヌクレオチドアナログもしくは前駆体アナログ(例えば、カペシタビン)]ありまたはなしで投与することができる。理論に制約されることは望まないが、ある態様では、腫瘍をより免疫反応性にすることにより、および/または最適な抗腫瘍免疫応答を達成するように腫瘍微小環境を変更することにより、化学療法剤を加えることが、単独で、または抗PD-1免疫療法と組み合わせて、抗LAG-3免疫療法の有効性をさらに増強するであろうと考えられる。
【0224】
ある特定の態様では、抗PD-1抗体分子は、4週間に1回、約300mg~約500mg(例えば、約400mg)、または3週間に1回、約200mg~約400mg(例えば、約300mg)の用量で投与される。ある態様では、抗PD-1抗体分子は、4週間に1回、約300mg~約500mg(例えば、約400mg)の用量で投与される。ある態様では、抗PD-1抗体分子は、3週間に1回、約200mg~約400mg(例えば、約300mg)の用量で投与される。
【0225】
ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、3週間に1回、約300mg~500mg(例えば、約400mg)の用量で投与され、抗PD-1抗体分子は、3週間に1回、約200mg~約400mg(例えば、約300mg)の用量で投与される。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、3週間に1回、約300mg~500mg(例えば、約400mg)の用量で投与され、抗PD-1抗体分子は、4週間に1回、約300mg~約500mg(例えば、約400mg)の用量で投与される。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、4週間に1回、約700mg~900mg(例えば、約800mg)の用量で投与され、抗PD-1抗体分子は、3週間に1回、約200mg~約400mg(例えば、約300mg)の用量で投与される。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、4週間に1回、約700mg~900mg(例えば、約800mg)の用量で投与され、抗PD-1抗体分子は、4週間に1回、約300mg~約500mg(例えば、約400mg)の用量で投与される。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、4週間に1回、約500mg~650mg(例えば、約533mgまたは約600mg)の用量で投与され、抗PD-1抗体分子は、3週間に1回、約200mg~約400mg(例えば、約300mg)の用量で投与される。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、4週間に1回、約500mg~650mg(例えば、約533mgまたは約600mg)の用量で投与され、抗PD-1抗体分子は、4週間に1回、約300mg~約500mg(例えば、約400mg)の用量で投与される。
【0226】
ある態様では、抗TIM-3抗体分子は、化学療法剤[例えば、白金剤(例えば、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチンまたはテトラプラチン)またはヌクレオチドアナログもしくは前駆体アナログ(例えば、カペシタビン)]と組み合わせて投与される。ある態様では、化学療法剤は、白金剤である。ある特定の態様では、白金剤は、カルボプラチンである。ある特定の態様では、白金剤は、シスプラチンである。ある特定の態様では、白金剤は、オキサリプラチンである。ある特定の態様では、白金剤は、テトラプラチンである。
【0227】
ある態様では、化学療法剤は、ヌクレオチドアナログまたは前駆体アナログである。ある特定の態様では、ヌクレオチドアナログまたは前駆体アナログは、カペシタビンである。
【0228】
ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、3週間に1回、約300mg~500mg(例えば、約400mg)の用量で投与され、化学療法剤(例えば、白金剤、例えば、カルボプラチン)は、3週間に1回、約4~約8または約5~約7の曲線下面積(AUC)(例えば、約6のAUC)を達成する用量で投与される。
【0229】
ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、3週間に1回、約300mg~500mg(例えば、約400mg)の用量で投与され、抗PD-1抗体分子は、3週間に1回、約200mg~約400mg(例えば、約300mg)の用量で投与され、化学療法剤(例えば、白金剤、例えば、カルボプラチン)は、3週間に1回、約4~約8または約5~約7の曲線下面積(AUC)(例えば、約6のAUC)を達成する用量で投与される。
【0230】
ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、LAG525であり、抗PD-1抗体分子は、PDR001[スパルタリズマブ(spartalizumab)]である。
【0231】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、LAG525であり、化学療法剤は、白金剤である。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、LAG525であり、白金剤は、カルボプラチンである。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、LAG525であり、白金剤は、シスプラチンである。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、LAG525であり、白金剤は、オキサリプラチンである。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、LAG525であり、白金剤は、テトラプラチンである。
【0232】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、LAG525であり、化学療法剤は、白金剤であり、抗PD-1抗体分子は、PDR001(スパルタリズマブ)である。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、LAG525であり、白金剤は、カルボプラチンであり、抗PD-1抗体分子は、PDR001(スパルタリズマブ)である。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、LAG525であり、白金剤は、シスプラチンであり、抗PD-1抗体分子は、PDR001(スパルタリズマブ)である。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、LAG525であり、白金剤は、オキサリプラチンであり、抗PD-1抗体分子は、PDR001(スパルタリズマブ)である。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、LAG525であり、白金剤は、テトラプラチンであり、抗PD-1抗体分子は、PDR001(スパルタリズマブ)である。
【0233】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、LAG525であり、化学療法剤は、ヌクレオチドアナログまたは前駆体アナログである。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、LAG525であり、ヌクレオチドアナログまたは前駆体アナログは、カペシタビンである。
【0234】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、LAG525であり、化学療法剤は、ヌクレオチドアナログまたは前駆体アナログであり、抗PD-1抗体分子は、PDR001(スパルタリズマブ)である。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、LAG525であり、ヌクレオチドアナログまたは前駆体アナログは、カペシタビンであり、抗PD-1抗体分子は、PDR001(スパルタリズマブ)である。
【0235】
本明細書に開示されている用量のいずれかは、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回以上反復することができる。
【0236】
抗体分子
哺乳類、例えば、ヒトLAG-3に結合する抗体分子を含む、方法、組成物および製剤が、本明細書に開示されている。例えば、抗体分子は、LAG-3におけるエピトープ、例えば、直鎖状または立体構造エピトープ(例えば、本明細書に記載されているエピトープ)に特異的に結合する。
【0237】
本明細書において、用語「抗体分子」は、少なくとも1個の免疫グロブリン可変ドメイン配列を含む、タンパク質、例えば、免疫グロブリン鎖またはその断片を指す。用語「抗体分子」は、例えば、モノクローナル抗体(免疫グロブリンFc領域を有する全長抗体を含む)を含む。態様では、抗体分子は、全長抗体または全長免疫グロブリン鎖を含む。態様では、抗体分子は、全長抗体または全長免疫グロブリン鎖の抗原結合または機能的断片を含む。ある態様では、抗体分子は、多特異性抗体分子である、例えば、これは、複数の免疫グロブリン可変ドメイン配列を含み、複数のうち第1の免疫グロブリン可変ドメイン配列は、第1のエピトープに対する結合特異性を有し、複数のうち第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列は、第2のエピトープに対する結合特異性を有する。ある態様では、多特異性抗体分子は、二特異性抗体分子である。
【0238】
態様では、抗体分子は、単一特異性抗体分子であり、単一のエピトープに結合する。例えば、単一特異性抗体分子は、それぞれ同じエピトープに結合する複数の免疫グロブリン可変ドメイン配列を有することができる。
【0239】
態様では、抗体分子は、多重特異性抗体分子であり、これは例えば、複数の免疫グロブリン可変ドメイン配列を含み、この複数の配列のうち第1の免疫グロブリン可変ドメイン配列は、第1のエピトープに対する結合特異性を有し、この複数の配列のうち第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列は、第2のエピトープに対する結合特異性を有する。態様では、第1および第2のエピトープは、同じ抗原、例えば、同じタンパク質(または多量体タンパク質のサブユニット)に存在する。態様では、第1および第2のエピトープは、重複する。態様では、第1および第2のエピトープは、重複しない。態様では、第1および第2のエピトープは、異なる抗原、例えば、異なるタンパク質(または多量体タンパク質の異なるサブユニット)に存在する。態様では、多重特異性抗体分子は、第3、第4または第5の免疫グロブリン可変ドメインを含む。態様では、多重特異性抗体分子は、二重特異性抗体分子、三重特異性抗体分子または四重特異性抗体分子である。
【0240】
態様では、多重特異性抗体分子は、二重特異性抗体分子である。二重特異性抗体は、2種以下の抗原に対する特異性を有する。二重特異性抗体分子は、第1のエピトープに対する結合特異性を有する第1の免疫グロブリン可変ドメイン配列、および第2のエピトープに対する結合特異性を有する第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列によって特徴付けられる。態様では、第1および第2のエピトープは、同じ抗原、例えば、同じタンパク質(または多量体タンパク質のサブユニット)に存在する。態様では、第1および第2のエピトープは、重複する。態様では、第1および第2のエピトープは、重複しない。態様では、第1および第2のエピトープは、異なる抗原、例えば、異なるタンパク質(または多量体タンパク質の異なるサブユニット)に存在する。態様では、二重特異性抗体分子は、第1のエピトープに対する結合特異性を有する重鎖可変ドメイン配列および軽鎖可変ドメイン配列、ならびに第2のエピトープに対する結合特異性を有する重鎖可変ドメイン配列および軽鎖可変ドメイン配列を含む。態様では、二重特異性抗体分子は、第1のエピトープに対する結合特異性を有する半抗体、および第2のエピトープに対する結合特異性を有する半抗体を含む。態様では、二重特異性抗体分子は、第1のエピトープに対する結合特異性を有する半抗体またはその断片、および第2のエピトープに対する結合特異性を有する半抗体またはその断片を含む。態様では、二重特異性抗体分子は、第1のエピトープに対する結合特異性を有するscFvまたはその断片、および第2のエピトープに対する結合特異性を有するscFvまたはその断片を含む。態様では、第1のエピトープは、LAG-3に位置し、第2のエピトープは、PD-1、TIM-3、CEACAM(例えば、CEACAM-1および/またはCEACAM-5)、PD-1またはPD-L2に位置する。
【0241】
多多重特異性(例えば、二重特異性または三重特異性)重特異性またはヘテロ二量体抗体分子を作製するためのプロトコールは、当該技術分野で公知であり;例えば、次のものが挙げられるがこれらに限定されない:例えば、US5731168に記載されている「ノブと穴」アプローチ;例えば、WO09/089004、WO06/106905およびWO2010/129304に記載されている静電ステアリングFc対形成;例えば、WO07/110205に記載されている鎖交換遺伝子操作されたドメイン(SEED)ヘテロ二量体形成;例えば、WO08/119353、WO2011/131746およびWO2013/060867に記載されているFab腕交換;例えば、抗体架橋して、例えば、US4433059に記載されているアミン反応基およびスルフヒドリル反応基を有するヘテロ二官能性試薬を使用して二重特異性構造を作製することによる、ダブル抗体コンジュゲート;例えば、US4444878に記載されている、2本の重鎖間のジスルフィド結合の還元および酸化のサイクルにより異なる抗体由来の半抗体(重-軽鎖対またはFab)を組み換えることにより作製される二重特異性抗体決定基;例えば、US5273743に記載されている、三官能性抗体、例えば、スルフヒドリル反応基により架橋された3個のFab’断片;例えば、US5534254に記載されている、生合成結合タンパク質、例えば、C末端テイルにより、好ましくは、ジスルフィドまたはアミン反応性化学的架橋により架橋されたscFvの対;例えば、US5582996に記載されている、二官能性抗体、例えば、定常ドメインを置き換えたロイシンジッパーにより二量体形成された異なる結合特異性を有するFab断片(例えば、c-fosおよびc-jun);例えば、US5591828に記載されている、二重特異性および少数特異性一価および少数価受容体、例えば、典型的には関連する軽鎖による一方の抗体のCH1領域および他方の抗体のVH領域の間のポリペプチドスペーサーにより連結された2個の抗体(2個のFab断片)のVH-CH1領域;例えば、US5635602に記載されている、二重特異性DNA-抗体コンジュゲート、例えば、DNAの二本鎖片による抗体またはFab断片の架橋;例えば、US5637481に記載されている、二重特異性融合タンパク質、例えば、その間に親水性ヘリックスペプチドリンカーを有する2個のscFvおよび完全な定常領域を含有する発現コンストラクト;例えば、US5837242に記載されている、多価および多重特異性結合タンパク質、例えば、一般にダイアボディと呼ばれる、Ig重鎖可変領域の結合領域を有する第1のドメイン、およびIg軽鎖可変領域の結合領域を有する第2のドメインを有するポリペプチドの二量体[二重特異性、三重特異性または四重特異性分子を作製する高次構造も開示される];例えば、US5837821に記載されている、二量体形成して二重特異性/多価分子を形成することができる、抗体ヒンジ領域およびCH3領域へとペプチドスペーサーによりさらに接続される、連結されたVLおよびVH鎖を有するミニボディコンストラクト;二量体を形成して二重特異性ダイアボディを形成することができる、いずれかの配向性で短いペプチドリンカー(例えば、5または10アミノ酸)によりまたはリンカー全くなしで連結されたVHおよびVLドメイン;例えば、US5844094に記載されている、三量体および四量体;例えば、US5864019に記載されている、VLドメインとさらに会合して一連のFV(またはscFv)を形成する、C末端に架橋可能な化学基を有するペプチド結合によって接続されたVHドメイン(またはファミリーメンバーにおけるVLドメイン)のストリング;ならびに例えば、US5869620に記載されている、非共有結合性または化学的架橋により多価構造へと組み合わされて、例えば、scFVまたはダイアボディ型フォーマットの両方を使用して、ホモ二価、ヘテロ二価、三価および四価構造を形成する、ペプチドリンカーにより連結されたVHおよびVLドメインの両方を有する単鎖結合ポリペプチド。追加的な例示的な多重特異性および二重特異性分子、ならびにこれを作製する方法は、例えば、US5910573、US5932448、US5959083、US5989830、US6005079、US6239259、US6294353、US6333396、US6476198、US6511663、US6670453、US6743896、US6809185、US6833441、US7129330、US7183076、US7521056、US7527787、US7534866、US7612181、US2002/004587A1、US2002/076406A1、US2002/103345A1、US2003/207346A1、US2003/211078A1、US2004/219643A1、US2004/220388A1、US2004/242847A1、US2005/003403A1、US2005/004352A1、US2005/069552A1、US2005/079170A1、US2005/100543A1、US2005/136049A1、US2005/136051A1、US2005/163782A1、US2005/266425A1、US2006/083747A1、US2006/120960A1、US2006/204493A1、US2006/263367A1、US2007/004909A1、US2007/087381A1、US2007/128150A1、US2007/141049A1、US2007/154901A1、US2007/274985A1、US2008/050370A1、US2008/069820A1、US2008/152645A1、US2008/171855A1、US2008/241884A1、US2008/254512A1、US2008/260738A1、US2009/130106A1、US2009/148905A1、US2009/155275A1、US2009/162359A1、US2009/162360A1、US2009/175851A1、US2009/175867A1、US2009/232811A1、US2009/234105A1、US2009/263392A1、US2009/274649A1、EP346087A2、WO00/06605A2、WO02/072635A2、WO04/081051A1、WO06/020258A2、WO2007/044887A2、WO2007/095338A2、WO2007/137760A2、WO2008/119353A1、WO2009/021754A2、WO2009/068630A1、WO91/03493A1、WO93/23537A1、WO94/09131A1、WO94/12625A2、WO95/09917A1、WO96/37621A2、WO99/64460A1に見出される。上に参照されている出願の内容は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0242】
他の態様では、抗LAG-3抗体分子(例えば、単一特異性、二重特異性または多重特異性抗体分子)は、例えば、融合分子、例えば、融合タンパク質として、別のパートナー、例えば、タンパク質、例えば、1種、2種以上のサイトカインへと共有結合により連結、例えば、融合される。他の態様では、融合分子は、1種または複数のタンパク質、例えば、1種、2種以上のサイトカインを含む。ある態様では、サイトカインは、IL-1、IL-2、IL-12、IL-15またはIL-21のうち1、2または3種以上から選択されるインターロイキン(IL)である。ある態様では、二重特異性抗体分子は、第1の標的(例えば、LAG-3)に対する第1の結合特異性、第2の標的(例えば、PD-1またはTIM-3)に対する第2の結合特異性を有し、インターロイキン(例えば、IL-12)ドメイン、例えば、全長IL-12またはその部分に連結されていてもよい。
【0243】
「融合タンパク質」および「融合ポリペプチド」は、共有結合により一緒に連結された少なくとも2個の部分を有するポリペプチドを指し、この部分のそれぞれは、異なる特性を有するポリペプチドである。特性は、インビトロまたはインビボでの活性等、生物学的特性となることができる。特性は、標的分子への結合、反応の触媒作用等、単純な化学的または物理的特性となることもできる。2個の部分は、単一のペプチド結合によって直接的にまたはペプチドリンカーを介して連結することができるが、互いに読み枠内に存在する。
【0244】
態様では、抗体分子は、ダイアボディおよび単鎖分子、ならびに抗体の抗原結合性断片(例えば、Fab、F(ab’)2およびFv)を含む。例えば、抗体分子は、重(H)鎖可変ドメイン配列(本明細書において、VHと省略)および軽(L)鎖可変ドメイン配列(本明細書において、VLと省略)を含むことができる。態様では、抗体分子は、1本の重鎖および1本の軽鎖を含むかまたはからなる(本明細書において、半抗体と称される)。別の例では、抗体分子は、2個の重(H)鎖可変ドメイン配列および2個の軽(L)鎖可変ドメイン配列を含み、これにより2個の抗原結合部位を形成し、全抗体の改変によって産生することができる、または組換えDNA技術を使用してデノボ合成することができる、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fc、Fd、Fd’、Fv、単鎖抗体(例えばscFv)、単一可変ドメイン抗体、ダイアボディ(Dab)(二価および二重特異性)およびキメラ(例えば、ヒト化)抗体等が挙げられる。これらの機能的抗体断片は、それぞれの抗原または受容体と選択的に結合する能力を保持する。抗体および抗体断片は、IgG、IgA、IgM、IgDおよびIgEが挙げられるがこれらに限定されない、抗体のいずれかのクラスに由来することができ、抗体のいずれかのサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4)に由来することができる。抗体分子の調製物は、モノクローナルまたはポリクローナルとなることができる。抗体分子は、ヒト、ヒト化、CDRグラフトまたはインビトロ作製された抗体となることもできる。抗体は、例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4から選択される重鎖定常領域を有することができる。抗体は、例えば、カッパーまたはラムダから選択される軽鎖を有することもできる。用語「免疫グロブリン」(Ig)は、本明細書において、用語「抗体」と互換的に使用される。
【0245】
抗体分子の抗原結合性断片の例として、(i)Fab断片;VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価断片;(ii)F(ab’)2断片;ヒンジ領域においてジスルフィド架橋によって連結された2個のFab断片を含む二価断片;(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一の腕のVLおよびVHドメインからなるFv断片;(v)VHドメインからなるダイアボディ(dAb)断片;(vi)ラクダ科動物またはラクダ化可変ドメイン;(vii)単鎖Fv(scFv)、例えば、Bird et al. (1988) Science 242:423-426; and Huston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883)を参照;(viii)単一ドメイン抗体が挙げられる。これらの抗体断片は、当業者に公知の従来技法を使用して得られ、断片は、インタクト抗体と同じ様式で有用性に関してスクリーニングされる。
【0246】
用語「抗体」は、インタクトな分子と共にその機能的断片を含む。抗体の定常領域は、抗体の特性を改変するように(例えば、Fc受容体結合、抗体グリコシル化、システイン残基の数、エフェクター細胞機能または補体機能のうち1種または複数を増加または減少させるように)変更、例えば、突然変異させることができる。
【0247】
抗体分子は、単一ドメイン抗体となることもできる。単一ドメイン抗体は、その相補性(complementary)決定領域が、単一ドメインポリペプチドの一部である抗体を含むことができる。例として、重鎖抗体、軽鎖を天然に欠く抗体、従来の4鎖抗体に由来する単一ドメイン抗体、遺伝子操作された抗体、および抗体由来以外の単一ドメイン足場が挙げられるがこれらに限定されない。単一ドメイン抗体は、当該技術分野のいずれかまたはいずれか将来の単一ドメイン抗体となることができる。単一ドメイン抗体は、マウス、ヒト、ラクダ、ラマ、魚類、サメ、ヤギ、ウサギおよびウシが挙げられるがこれらに限定されない、いずれかの種に由来することができる。本発明の別の面において、単一ドメイン抗体は、軽鎖を欠く重鎖抗体として公知の天然起源の単一ドメイン抗体である。かかる単一ドメイン抗体は、例えば、WO94/04678に開示されている。明確に記載するため、軽鎖を天然に欠く重鎖抗体に由来するこの可変ドメインは、本明細書において、VHHまたはナノボディとして公知であり、4鎖免疫グロブリンの従来のVHとは区別する。かかるVHH分子は、カメリダエ(Camelidae)種、例えば、ラクダ、ラマ、ヒトコブラクダ、アルパカおよびグアナコにおいて産生される抗体に由来することができる。カメリダエ以外の他の種も、軽鎖を天然に欠く重鎖抗体を産生することができる;かかるVHHは、本発明の範囲内にある。
【0248】
VHおよびVL領域は、「フレームワーク領域」(FRまたはFW)と命名されるより保存された領域が散りばめられた、「相補性決定領域」(CDR)と命名される高頻度可変性の領域へと細分することができる。
【0249】
フレームワーク領域およびCDRの範囲は、多数の方法によって正確に定義されている[Kabat, E. A., et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242;Chothia, C. et al. (1987) J. Mol. Biol. 196:901-917;およびOxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアによって使用されるAbM定義を参照]。全般的には、例えば、Protein Sequence and Structure Analysis of Antibody Variable Domains.:Antibody Engineering Lab Manual (Ed.: Duebel, S. and Kontermann, R., Springer-Verlag, Heidelberg)中を参照されたい。
【0250】
用語「相補性決定領域」および「CDR」は、本明細書において、抗原特異性および結合親和性を付与する、抗体可変領域内のアミノ酸の配列を指す。一般に、各重鎖可変領域に3個のCDRが存在し(HCDR1、HCDR2およびHCDR3)、各軽鎖可変領域に3個のCDRが存在する(LCDR1、LCDR2およびLCDR3)。
【0251】
所定のCDRの正確なアミノ酸配列境界は、多数の周知のスキームのいずれかを使用して決定することができ、かかるスキームは、Kabat et al. (1991), “Sequences of Proteins of Immunological Interest,” 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD(「Kabat」ナンバリングスキーム)、Al-Lazikani et al., (1997) JMB 273,927-948(「Chothia」ナンバリングスキーム)に記載されているスキームを含む。本明細書において、「Chothia」ナンバリングスキームに従って定義されるCDRは、「高頻度可変性ループ」と称されることもある。
【0252】
例えば、Kabatにおいて、重鎖可変ドメイン(VH)におけるCDRアミノ酸残基は、31~35(HCDR1)、50~65(HCDR2)および95~102(HCDR3)とナンバリングされ;軽鎖可変ドメイン(VL)におけるCDRアミノ酸残基は、24~34(LCDR1)、50~56(LCDR2)および89~97(LCDR3)とナンバリングされる。Chothiaにおいて、VHにおけるCDRアミノ酸は、26~32(HCDR1)、52~56(HCDR2)および95~102(HCDR3)とナンバリングされ;VLにおけるアミノ酸残基は、26~32(LCDR1)、50~52(LCDR2)および91~96(LCDR3)とナンバリングされる。KabatおよびChothia両方のCDR定義を組み合わせることにより、CDRは、ヒトVHにおけるアミノ酸残基26~35(HCDR1)、50~65(HCDR2)および95~102(HCDR3)、ならびにヒトVLにおけるアミノ酸残基24~34(LCDR1)、50~56(LCDR2)および89~97(LCDR3)からなる。
【0253】
一般に、特に指示されていなければ、抗LAG-3抗体分子は、1種または複数のKabat CDRおよび/またはChothia高頻度可変性ループのうちいずれかの組合せを含むことができる。ある態様では、抗LAG-3抗体分子のために次の定義が使用される:KabatおよびChothia両方を組み合わせたCDR定義に従ったHCDR1、ならびにKabatのCDR定義に従ったHCCDR2~3およびLCCDR1~3。あらゆる定義において、各VHおよびVLは典型的に、アミノ末端からカルボキシ末端へと次の順序で配置された3個のCDRおよび4個のFRを含む:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。
【0254】
本明細書において、「免疫グロブリン可変ドメイン配列」は、免疫グロブリン可変ドメインの構造を形成することができるアミノ酸配列を指す。例えば、配列は、天然起源の可変ドメインのアミノ酸配列の全体または一部を含むことができる。例えば、配列は、1、2個以上のNもしくはC末端アミノ酸を含んでいても含まなくてもよい、またはタンパク質構造の形成と適合性の他の変更を含むことができる。
【0255】
用語「抗原結合部位」は、LAG-3ポリペプチドまたはそのエピトープに結合する界面を形成する決定基を含む抗体分子の部分を指す。タンパク質(またはタンパク質ミメティック)に関して、抗原結合部位は典型的に、LAG-3ポリペプチドに結合する界面を形成する1個または複数のループ(少なくとも4個のアミノ酸またはアミノ酸ミミックの)を含む。典型的には、抗体分子の抗原結合部位は、少なくとも1または2個のCDRおよび/または高頻度可変性ループ、あるいはより典型的には、少なくとも3、4、5または6個のCDRおよび/または高頻度可変性ループを含む。
【0256】
用語「競合する」または「交差競合する」は、標的、例えば、ヒトLAG-3への抗LAG-3抗体分子、例えば、本明細書に提供されている抗LAG-3抗体分子の結合に干渉する抗体分子の能力を指すように本明細書で互換的に使用されている。結合への干渉は、直接的または間接的(例えば、抗体分子または標的のアロステリックモジュレーションを介する)となることができる。抗体分子が、標的への別の抗体分子の結合に干渉することができる程度、したがって、これが競合すると言うことができるか否かは、競合結合アッセイ、例えば、FACSアッセイ、ELISAまたはBIACOREアッセイを使用して決定することができる。ある態様では、競合結合アッセイは、定量的競合アッセイである。ある態様では、標的への第1の抗体分子の結合が、競合結合アッセイ(例えば、本明細書に記載されている競合アッセイ)において10%以上、例えば、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上低下される場合、第1の抗LAG-3抗体分子は、標的への結合に関して、第2の抗LAG-3抗体分子と競合すると言われる。
【0257】
用語「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」は、本明細書において、単一分子組成の抗体分子の調製物を指す。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対する単一の結合特異性および親和性を呈する。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術またはハイブリドーマ技術を使用しない方法(例えば、組換え方法)によって作製することができる。
【0258】
「有効にヒト」タンパク質は、中和抗体応答、例えば、ヒト抗マウス抗体(HAMA)応答を誘起しないタンパク質である。HAMAは、多数の状況において、例えば、抗体分子が反復的に投与される場合、例えば、慢性または反復性疾患状態の処置において、問題になる場合がある。HAMA応答は、血清からの抗体クリアランス増加のため[例えば、Saleh et al., Cancer Immunol. Immunother., 32:180-190 (1990)を参照]、また、潜在的なアレルギー反応のために[例えば、LoBuglio et al., Hybridoma, 5:5117-5123 (1986)を参照]、反復的抗体投与を潜在的に無効にする可能性がある。
【0259】
抗体分子は、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体となることができる。他の態様では、抗体は、組換えにより産生することができ、例えば、ファージディスプレイまたはコンビナトリアル方法によって産生することができる。
【0260】
抗体を作製するためのファージディスプレイおよびコンビナトリアル方法は、当該技術分野で公知である[例えば、これら全ての内容が参照により本明細書に組み入れられる、Ladner et al.米国特許第5,223,409号;Kang et al.国際公開WO92/18619;Dower et al.国際公開WO91/17271;Winter et al.国際公開WO92/20791;Markland et al.国際公開WO92/15679;Breitling et al.国際公開WO93/01288;McCafferty et al.国際公開WO92/01047;Garrard et al.国際公開WO92/09690;Ladner et al.国際公開WO90/02809;Fuchs et al. (1991) Bio/Technology 9:1370-1372;Hay et al. (1992) Hum Antibody Hybridomas 3:81-85;Huse et al. (1989) Science 246:1275-1281;Griffths et al. (1993) EMBO J 12:725-734;Hawkins et al. (1992) J Mol Biol 226:889-896;Clackson et al. (1991) Nature 352:624-628;Gram et al. (1992) PNAS 89:3576-3580;Garrad et al. (1991) Bio/Technology 9:1373-1377;Hoogenboom et al. (1991) Nuc Acid Res 19:4133-4137;およびBarbas et al. (1991) PNAS 88:7978-7982に記載]。
【0261】
ある態様では、抗体は、完全にヒト抗体(例えば、ヒト免疫グロブリン配列から抗体を産生するように遺伝子操作されたマウスにおいて作製された抗体)または非ヒト抗体、例えば、齧歯類(マウスまたはラット)、ヤギ、霊長類(例えば、サル)、ラクダ抗体である。好ましくは、非ヒト抗体は、齧歯類(マウスまたはラット抗体)である。齧歯類抗体を産生する方法は、当該技術分野で公知である。
【0262】
ヒトモノクローナル抗体は、マウスの系ではなくヒト免疫グロブリン遺伝子を保有するトランスジェニックマウスを使用して作製することができる。目的の抗原により免疫化されたこのようなトランスジェニックマウス由来の脾細胞は、ヒトタンパク質由来のエピトープに対し特異的な親和性を有するヒトmAbを分泌するハイブリドーマの産生に使用される(例えば、Wood et al.国際出願WO91/00906、Kucherlapati et al.PCT公開WO91/10741;Lonberg et al.国際出願WO92/03918;Kay et al.国際出願92/03917;Lonberg, N. et al. 1994 Nature 368:856-859;Green, L.L. et al. 1994 Nature Genet. 7:13-21;Morrison, S.L. et al. 1994 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855;Bruggeman et al. 1993 Year Immunol 7:33-40;Tuaillon et al. 1993 PNAS 90:3720-3724;Bruggeman et al. 1991 Eur J Immunol 21:1323-1326を参照)。
【0263】
抗体は、可変領域またはその部分、例えば、CDRが、非ヒト生物、例えば、ラットまたはマウスにおいて作製された抗体となることができる。キメラ、CDRグラフトおよびヒト化抗体は、本発明の範囲内にある。非ヒト生物、例えば、ラットまたはマウスにおいて作製され、続いて例えば、ヒトにおける抗原性を減少させるように可変フレームワークまたは定常領域が改変された抗体は、本発明の範囲内にある。
【0264】
キメラ抗体は、当該技術分野で公知の組換えDNA技法によって産生することができる[Robinson et al.、国際特許公開PCT/US86/02269;Akira, et al.、欧州特許出願第184,187号;Taniguchi, M.、欧州特許出願第171,496号;Morrison et al.、欧州特許出願第173,494号;Neuberger et al.、国際出願WO86/01533;Cabilly et al.、米国特許第4,816,567号;Cabilly et al.、欧州特許出願第125,023号;Better et al. (1988 Science 240:1041-1043);Liu et al. (1987) PNAS 84:3439-3443;Liu et al., 1987, J. Immunol. 139:3521-3526;Sun et al. (1987) PNAS 84:214-218;Nishimura et al., 1987, Canc. Res. 47:999-1005;Wood et al. (1985) Nature 314:446-449;およびShaw et al., 1988, J. Natl Cancer Inst. 80:1553-1559を参照]。
【0265】
ヒト化またはCDRグラフト抗体は、ドナーCDRにより置き換えられた、少なくとも1または2個、ただし一般に全3個のレシピエントCDR[重および/または軽免疫グロブリン(immuoglobulin)鎖の]を有するであろう。抗体は、非ヒトCDRの少なくとも部分により置き換えることができる、またはCDRのごく一部は、非ヒトCDRにより置き換えることができる。PD-1へのヒト化抗体の結合に要求されるCDRの数を置き換えることのみが必要である。好ましくは、ドナーは、齧歯類抗体、例えば、ラットまたはマウス抗体となり、レシピエントは、ヒトフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークとなるであろう。典型的には、CDRを提供する免疫グロブリンは、「ドナー」と呼ばれ、フレームワークを提供する免疫グロブリンは、「アクセプター」と呼ばれる。ある態様では、ドナー免疫グロブリンは、非ヒト(例えば、齧歯類)である。アクセプターフレームワークは、天然起源の(例えば、ヒト)フレームワークもしくはコンセンサスフレームワーク、またはそれと約85%以上、好ましくは90%、95%、99%以上同一である配列である。
【0266】
本明細書において、用語「コンセンサス配列」は、関連する配列のファミリーにおいて最も頻繁に生じるアミノ酸(またはヌクレオチド)から形成された配列を指す[例えば、Winnaker, From Genes to Clones (Verlagsgesellschaft, Weinheim, Germany 1987)を参照]。タンパク質のファミリーにおいて、コンセンサス配列における各位置は、ファミリーにおける該位置に最も頻繁に生じるアミノ酸によって占有される。2種のアミノ酸が、等しく頻繁に生じる場合、どちらがコンセンサス配列に含まれてもよい。「コンセンサスフレームワーク」は、コンセンサス免疫グロブリン配列におけるフレームワーク領域を指す。
【0267】
抗体は、当該技術分野で公知の方法によってヒト化することができる(例えば、これによりこれら全ての内容が参照により本明細書に組み入れられる、Morrison, S. L., 1985, Science 229:1202-1207、Oi et al.による、1986, BioTechniques 4:214ならびにQueen et al.によるUS5,585,089、US5,693,761およびUS5,693,762を参照)。
【0268】
ヒト化またはCDRグラフト抗体は、CDRグラフトまたはCDR置換によって産生することができ、これにより、免疫グロブリン鎖の1種、2種のまたは全CDRを置き換えることができる。例えば、これによりこれらの全ての内容が明確に参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,225,539号;Jones et al. 1986 Nature 321:552-525;Verhoeyan et al. 1988 Science 239:1534;Beidler et al. 1988 J. Immunol. 141:4053-4060;Winter、US5,225,539を参照されたい。Winterは、本発明のヒト化抗体の調製に使用することができるCDRグラフト方法について記載し[1987年3月26日に出願された英国特許出願GB2188638(A);Winter、US5,225,539]、その内容は、明確に参照により本明細書に組み入れられる。
【0269】
特異的なアミノ酸が置換、欠失または付加されたヒト化抗体も、本発明の範囲内にある。ドナーからアミノ酸を選択するための判断基準は、これによりその内容が参照により本明細書に組み入れられる、US5,585,089、例えば、US5,585,089の12~16段目、例えば、US5,585,089の12~16段目に記載されている。抗体をヒト化するための他の技法は、1992年12月23日に発表されたPadlan et al.、EP519596(A1)に記載されている。
【0270】
抗体分子は、単鎖抗体となることができる。単鎖抗体(scFV)は、遺伝子操作されていてよい[例えば、Colcher, D. et al. (1999) Ann N Y Acad Sci 880:263-80;およびReiter, Y. (1996) Clin Cancer Res 2:245-52を参照]。単鎖抗体は、二量体形成または多量体形成して、同じ標的タンパク質の異なるエピトープに対する特異性を有する多価抗体を形成することができる。
【0271】
なお他の態様では、抗体分子は、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgDおよびIgEの重鎖定常領域から選択される;特に、例えば、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4の(例えば、ヒト)重鎖定常領域から選択される重鎖定常領域を有する。別の態様では、抗体分子は、例えば、カッパーまたはラムダの(例えば、ヒト)軽鎖定常領域から選択される軽鎖定常領域を有する。定常領域は、抗体の特性を改変するように(例えば、Fc受容体結合、抗体グリコシル化、システイン残基の数、エフェクター細胞機能および/または補体機能のうち1種または複数を増加または減少させるように)変更、例えば、突然変異させることができる。ある態様では、抗体は、エフェクター機能を有し、補体を固定することができる。他の態様では、抗体は、エフェクター細胞をリクルートしない、または補体を固定しない。別の態様では、抗体は、Fc受容体に結合する能力が低下しているまたは能力がない。例えば、これは、Fc受容体への結合を支持しないアイソタイプまたはサブタイプ、断片または他の突然変異体である、例えば、突然変異誘発または欠失されたFc受容体結合領域を有する。
【0272】
抗体定常領域を変更するための方法は、当該技術分野で公知である。変更された機能、例えば、細胞におけるFcRまたは補体のC1構成成分等のエフェクターリガンドに対する変更された親和性を有する抗体は、抗体の定常部分における少なくとも1個のアミノ酸残基を異なる残基と置き換えることにより産生することができる[例えば、これによりこれら全ての内容が参照により本明細書に組み入れられる、EP388,151(A1)、米国特許第5,624,821号および米国特許第5,648,260号を参照]。マウスまたは他の種の免疫グロブリンに適用される場合、これらの機能を低下または排除するであろう、同様の種類の変更について記載することができる。
【0273】
抗体分子は、別の機能的分子(例えば、別のペプチドまたはタンパク質)に誘導体化または連結することができる。本明細書において、「誘導体化された」抗体分子は、改変された抗体分子である。誘導体化の方法として、蛍光部分、放射性ヌクレオチド、毒素、酵素、またはビオチン等の親和性リガンドの付加が挙げられるがこれらに限定されない。したがって、本発明の抗体分子は、免疫接着分子を含む、誘導体化および他の仕方で改変された形態の本明細書に記載されている抗体を含むことを目的とする。例えば、抗体分子は、別の抗体(例えば、二重特異性抗体またはダイアボディ)、検出可能な薬剤、細胞傷害剤、医薬品剤、および/または別の分子(ストレプトアビジンコア領域またはポリヒスチジンタグ等)と抗体もしくは抗体部分との会合を媒介し得るタンパク質もしくはペプチド等、1種または複数の他の分子実体に機能的に連結(化学的カップリング、遺伝的融合、非共有結合または他の仕方により)することができる。
【0274】
誘導体化された抗体分子の1種類は、2種以上の抗体(同じ種類または異なる種類の、例えば、二重特異性抗体を作製するため)を架橋することにより産生される。適した架橋剤は、適切なスペーサーによって離間した2個の別個の反応基を有するヘテロ二官能性(例えば、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシサクシニミドエステル)またはホモ二官能性(例えば、スベリン酸ジサクシンイミジル)である架橋剤を含む。かかるリンカーは、Pierce Chemical Company, Rockford, Illから入手することができる。
【0275】
本発明の抗体分子を誘導体化(または標識)することができる有用な検出可能な薬剤は、蛍光化合物、様々な酵素、補欠分子族、発光材料、生物発光材料、蛍光放射金属原子、例えば、ユーロピウム(Eu)および他のランタニドおよび放射性材料(後述)を含む。例示的な蛍光の検出可能な薬剤は、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、5ジメチルアミン-1-ナフタレンスルホニルクロライド、フィコエリトリンその他を含む。抗体は、アルカリホスファターゼ、西洋わさびペルオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、グルコースオキシダーゼその他等、検出可能な酵素により誘導体化することもできる。抗体は、検出可能な酵素により誘導体化される場合、検出可能な反応産物の産生のために酵素が使用する追加的な試薬を添加することにより検出される。例えば、検出可能な薬剤である西洋わさびペルオキシダーゼが存在する場合、過酸化水素およびジアミノベンジジンの添加は、検出可能である着色された反応産物をもたらす。抗体分子は、補欠分子族(例えば、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチン)により誘導体化することもできる。例えば、抗体は、ビオチンにより誘導体化し、アビジンまたはストレプトアビジン結合の間接的測定により検出することができる。適した蛍光材料の例として、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシルまたはフィコエリトリンが挙げられ;発光材料の例として、ルミノールが挙げられ;生物発光材料の例として、ルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンが挙げられる。
【0276】
標識された抗体分子は、例えば、多数の文脈において診断的におよび/または実験的に使用することができ、かかる文脈は、(i)親和性クロマトグラフィーまたは免疫沈降等、標準技法により既定の抗原を単離するため;(ii)タンパク質の存在量および発現パターンを評価するために、既定の抗原(例えば、細胞ライセートまたは細胞上清における)を検出するため;(iii)臨床検査手技の一部として組織におけるタンパク質レベルをモニターするため、例えば、所定の処置レジメンの有効性を決定するためを含む。
【0277】
抗体分子は、別の分子実体、典型的には、標識または治療用の(例えば、細胞傷害性または細胞分裂停止)薬剤または部分にコンジュゲートすることができる。放射性同位元素は、診断または治療適用において使用することができる。
【0278】
本発明は、放射標識された抗体分子およびこれを標識する方法を提供する。ある態様では、抗体分子を標識する方法が開示されている。本方法は、抗体分子をキレート化剤と接触させて、これにより、コンジュゲートされた抗体を産生することを含む。
【0279】
上に記す通り、抗体分子は、治療剤にコンジュゲートすることができる。治療活性のある放射性同位元素については既に言及されている。他の治療剤の例として、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、エチジウムブロマイド、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テニポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミスラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシン、マイタンシノイド、例えば、マイタンシノール(例えば、米国特許第5,208,020号を参照)、CC-1065(例えば、米国特許第5,475,092号、同第5,585,499号、同第5,846,545号を参照)およびこれらのアナログまたはホモログが挙げられる。治療剤として、代謝拮抗薬[例えば、メトトレキセート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルダカルバジン]、アルキル化剤[例えば、メクロレタミン、チオテパクロラムブシル、CC-1065、メルファラン、カルムスチン(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンCおよびシス-ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン]、アントラサイクリン[例えば、ダウノルビシン(以前はダウノマイシン)およびドキソルビシン]、抗生物質[例えば、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミスラマイシンおよびアントラマイシン(AMC)]および抗有糸分裂薬剤[例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、タキソールおよびマイタンシノイド]が挙げられるがこれらに限定されない。
【0280】
ある面では、本開示は、本明細書に開示されている標的、例えば、LAG-3に特異的に結合する標的結合分子を用意する方法を提供する。例えば、標的結合分子は、抗体分子である。本方法は、非ヒトタンパク質の少なくとも部分であって、ヒト標的タンパク質の対応する部分と相同である(少なくとも70、75、80、85、87、90、92、94、95、96、97、98%同一である)が、少なくとも1アミノ酸(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7,8または9アミノ酸)が異なる部分を含む標的タンパク質を用意することと;抗原に特異的に結合する抗体分子を得ることと;標的タンパク質の活性のモジュレートにおける結合薬剤の有効性を評価することとを含む。本方法は、結合薬剤(例えば、抗体分子)または誘導体(例えば、ヒト化抗体分子)をヒト対象に投与することをさらに含むことができる。
【0281】
本開示は、上述の抗体分子をコードする単離された核酸分子、そのベクターおよび宿主細胞を提供する。核酸分子として、RNA、ゲノムDNAおよびcDNAが挙げられるがこれらに限定されない。
【0282】
例示的な抗LAG-3抗体分子
ある態様では、LAG-3阻害剤は、その全体を参照により本明細書に組み込む、表題「Antibody Molecules to LAG-3 and Uses Thereof」の、2015年9月17日に公開されたUS2015/0259420に開示されている抗LAG-3抗体分子である。
【0283】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、表5に示すアミノ酸配列または表5に示すヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖可変領域(例えば、表5に開示されているBAP050-クローンIまたはBAP050-クローンJの重鎖および軽鎖可変領域配列)由来の少なくとも1、2、3、4、5または6個の相補性決定領域(CDR)(またはまとめてCDR全て)を含む。ある態様では、CDRは、Kabat定義に従う(例えば、表5に提示される通り)。ある態様では、CDRは、Chothia定義に従う(例えば、表5に提示される通り)。ある態様では、CDRは、KabatおよびChothiaの両方を組み合わせたCDR定義に従う(例えば、表5に提示される通り)。ある態様では、VH CDR1のKabatおよびChothia CDRの組合せは、アミノ酸配列GFTLTNYGMN(配列番号766)を含む。ある態様では、CDRのうち1個または複数(またはまとめてCDR全て)は、表5に示すアミノ酸配列または表5に示すヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列と比べて、1、2、3、4、5、6個以上の変化、例えば、アミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換)または欠失を有する。
【0284】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、表5にそれぞれ開示されている、配列番号701のVHCDR1アミノ酸配列、配列番号702のVHCDR2アミノ酸配列および配列番号703のVHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);ならびに配列番号710のVLCDR1アミノ酸配列、配列番号711のVLCDR2アミノ酸配列および配列番号712のVLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0285】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、表5にそれぞれ開示されている、配列番号736または737のヌクレオチド配列にコードされるVHCDR1、配列番号738または739のヌクレオチド配列にコードされるVHCDR2、および配列番号740または741のヌクレオチド配列にコードされるVHCDR3を含むVH;ならびに配列番号746または747のヌクレオチド配列にコードされるVLCDR1、配列番号748または749のヌクレオチド配列にコードされるVLCDR2、および配列番号750または751のヌクレオチド配列にコードされるVLCDR3を含むVLを含む。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、表5にそれぞれ開示されている、配列番号758または737のヌクレオチド配列にコードされるVHCDR1、配列番号759または739のヌクレオチド配列にコードされるVHCDR2、および配列番号760または741のヌクレオチド配列にコードされるVHCDR3を含むVH;ならびに配列番号746または747のヌクレオチド配列にコードされるVLCDR1、配列番号748または749のヌクレオチド配列にコードされるVLCDR2、および配列番号750または751のヌクレオチド配列にコードされるVLCDR3を含むVLを含む。
【0286】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、配列番号706のアミノ酸配列または配列番号706と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含むVHを含む。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、配列番号718のアミノ酸配列または配列番号718と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含むVLを含む。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、配列番号724のアミノ酸配列または配列番号724と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含むVHを含む。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、配列番号730のアミノ酸配列または配列番号730と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含むVLを含む。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、配列番号706のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号718のアミノ酸配列を含むVLを含む。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、配列番号724のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号730のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0287】
ある態様では、抗体分子は、配列番号707もしくは708のヌクレオチド配列または配列番号707もしくは708と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされるVHを含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号719もしくは720のヌクレオチド配列または配列番号719もしくは720と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされるVLを含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号725もしくは726のヌクレオチド配列または配列番号725もしくは726と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされるVHを含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号731もしくは732のヌクレオチド配列または配列番号731もしくは732と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされるVLを含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号707または708のヌクレオチド配列にコードされるVH、および配列番号719または720のヌクレオチド配列にコードされるVLを含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号725または726のヌクレオチド配列にコードされるVH、および配列番号731または732のヌクレオチド配列にコードされるVLを含む。
【0288】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、配列番号709のアミノ酸配列または配列番号709と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含む重鎖を含む。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、配列番号721のアミノ酸配列または配列番号721と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、配列番号727のアミノ酸配列または配列番号727と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含む重鎖を含む。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、配列番号733のアミノ酸配列または配列番号733と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、配列番号709のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号721のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、配列番号727のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号733のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0289】
ある態様では、抗体分子は、配列番号716もしくは717のヌクレオチド配列または配列番号716もしくは717と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされる重鎖を含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号722もしくは723のヌクレオチド配列または配列番号722もしくは723と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされる軽鎖を含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号728もしくは729のヌクレオチド配列または配列番号728もしくは729と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされる重鎖を含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号734もしくは735のヌクレオチド配列または配列番号734もしくは735と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされる軽鎖を含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号716または717のヌクレオチド配列にコードされる重鎖、および配列番号722または723のヌクレオチド配列にコードされる軽鎖を含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号728または729のヌクレオチド配列にコードされる重鎖、および配列番号734または735のヌクレオチド配列にコードされる軽鎖を含む。
【0290】
本明細書に記載されている抗体分子は、その全体を参照により本明細書に組み込むUS2015/0259420に記載されているベクター、宿主細胞および方法によって作製することができる。
【0291】
表5.例示的な抗LAG-3抗体分子のアミノ酸およびヌクレオチド配列
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【0292】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、BAP050-hum01、BAP050-hum02、BAP050-hum03、BAP050-hum04、BAP050-hum05、BAP050-hum06、BAP050-hum07、BAP050-hum08、BAP050-hum09、BAP050-hum10、BAP050-hum11、BAP050-hum12、BAP050-hum13、BAP050-hum14、BAP050-hum15、BAP050-hum16、BAP050-hum17、BAP050-hum18、BAP050-hum19、BAP050-hum20、huBAP050(Ser)(例えば、BAP050-hum01-Ser、BAP050-hum02-Ser、BAP050-hum03-Ser、BAP050-hum04-Ser、BAP050-hum05-Ser、BAP050-hum06-Ser、BAP050-hum07-Ser、BAP050-hum08-Ser、BAP050-hum09-Ser、BAP050-hum10-Ser、BAP050-hum11-Ser、BAP050-hum12-Ser、BAP050-hum13-Ser、BAP050-hum14-Ser、BAP050-hum15-Ser、BAP050-hum18-Ser、BAP050-hum19-Ser、またはBAP050-hum20-Ser)、BAP050-クローン-F、BAP050-クローン-G、BAP050-クローン-H、BAP050-クローン-I、またはBAP050-クローン-Jのいずれかのアミノ酸配列、またはUS2015/0259420の表1に記載の配列、または表1のヌクレオチド配列によってコードされる配列、または前記配列のいずれかと実質的に同一(例えば、少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%以上同一)の配列を含む、少なくとも1つもしくは2つの重鎖可変ドメイン(定常領域を含んでもよい)、少なくとも1つもしくは2つの軽鎖可変ドメイン(定常領域を含んでもよい)、または両方を含む。
【0293】
さらに別の態様では、抗LAG-3抗体分子は、本明細書に記載の抗体、例えば、BAP050-hum01、BAP050-hum02、BAP050-hum03、BAP050-hum04、BAP050-hum05、BAP050-hum06、BAP050-hum07、BAP050-hum08、BAP050-hum09、BAP050-hum10、BAP050-hum11、BAP050-hum12、BAP050-hum13、BAP050-hum14、BAP050-hum15、BAP050-hum16、BAP050-hum17、BAP050-hum18、BAP050-hum19、BAP050-hum20、huBAP050(Ser)(例えば、BAP050-hum01-Ser、BAP050-hum02-Ser、BAP050-hum03-Ser、BAP050-hum04-Ser、BAP050-hum05-Ser、BAP050-hum06-Ser、BAP050-hum07-Ser、BAP050-hum08-Ser、BAP050-hum09-Ser、BAP050-hum10-Ser、BAP050-hum11-Ser、BAP050-hum12-Ser、BAP050-hum13-Ser、BAP050-hum14-Ser、BAP050-hum15-Ser、BAP050-hum18-Ser、BAP050-hum19-Ser、またはBAP050-hum20-Ser)、BAP050-クローン-F、BAP050-クローン-G、BAP050-クローン-H、BAP050-クローン-I、またはBAP050-クローン-Jのいずれかから選択される抗体、またはUS2015/0259420の表1に記載の配列、または表1のヌクレオチド配列によってコードされる配列、または前記配列のいずれかと実質的に同一(例えば、少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%以上同一)の配列の重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域からの少なくとも1つ、2つ、または3つの相補性決定領域(CDR)を含む。
【0294】
さらに別の態様では、抗LAG-3抗体分子は、US2015/0259420の表1に示されるアミノ酸配列または表1のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域からの少なくとも1つ、2つ、または3つのCDR(または集約的に全てのCDR)を含む。ある態様では、1つまたは複数のCDR(または集約的に全てのCDR)は、表1に示されるアミノ酸配列または表1に示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と比較して1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたはより多くの変化、例えば、アミノ酸置換または欠失を有する。
【0295】
さらに別の態様では、抗LAG-3抗体分子は、US2015/0259420の表1に示されるアミノ酸配列または表1のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域からの少なくとも1つ、2つまたは3つのCDR(または集約的に全てのCDR)を含む。ある態様では、1つまたは複数のCDR(または集約的に全てのCDR)は、表1に示されるアミノ酸配列または表1に示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と比較して1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたはより多くの変化、例えば、アミノ酸置換または欠失を有する。ある特定の態様では、抗PD-L1抗体分子は、軽鎖CDRの置換、例えば、軽鎖のCDR1、CDR2および/またはCDR3における1つまたは複数の置換を含む。
【0296】
別の態様では、抗LAG-3抗体分子は、US2015/0259420の表1に示されるアミノ酸配列またはUS2015/0259420の表1のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖可変領域からの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのCDR(または集約的に全てのCDR)を含む。ある態様では、1つまたは複数のCDR(または集約的に全てのCDR)は、表1に示されるアミノ酸配列または表1に示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と比較して1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたはより多くの変化、例えば、アミノ酸置換または欠失を有する。
【0297】
他の例示的な抗LAG-3抗体分子
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、BMS986016としても公知のBMS-986016(Bristol-Myers Squibb)である。BMS-986016および他の抗LAG-3抗体は、それらの全体を参照により本明細書に組み込む、WO2015/116539およびUS9,505,839に開示されている。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、例えば、表6に開示されている通り、BMS-986016のCDR配列のうち1個または複数(またはまとめてCDR配列全て)、重鎖もしくは軽鎖可変領域配列、または重鎖もしくは軽鎖配列を含む。
【0298】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、TSR-033(Tesaro)である。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、TSR-033のCDR配列のうち1個または複数(またはまとめてCDR配列全て)、重鎖もしくは軽鎖可変領域配列、または重鎖もしくは軽鎖配列を含む。
【0299】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、IMP731またはGSK2831781(GSKおよびPrima BioMed)である。IMP731および他の抗LAG-3抗体は、それらの全体を参照により本明細書に組み込む、WO2008/132601およびUS9,244,059に開示されている。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、例えば、表6に開示されている通り、IMP731のCDR配列のうち1個または複数(またはまとめてCDR配列全て)、重鎖もしくは軽鎖可変領域配列、または重鎖もしくは軽鎖配列を含む。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、GSK2831781のCDR配列のうち1個または複数(またはまとめてCDR配列全て)、重鎖もしくは軽鎖可変領域配列、または重鎖もしくは軽鎖配列を含む。
【0300】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、IMP761(Prima BioMed)である。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、IMP761のCDR配列のうち1個または複数(またはまとめてCDR配列全て)、重鎖もしくは軽鎖可変領域配列、または重鎖もしくは軽鎖配列を含む。
【0301】
さらに別の公知の抗LAG-3抗体は、例えば、それらの全体を参照により本明細書に組み込む、WO2008/132601、WO2010/019570、WO2014/140180、WO2015/116539、WO2015/200119、WO2016/028672、US9,244,059、US9,505,839に記載されている抗体を含む。
【0302】
ある態様では、抗LAG-3抗体は、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体の1種と結合に関して競合する、および/またはLAG-3における、当該抗体と同じエピトープに結合する抗体である。
【0303】
ある態様では、抗LAG-3阻害剤は、例えば、その全体を参照により本明細書に組み込む、WO2009/044273に開示されている通り、可溶性LAG-3タンパク質、例えば、IMP321(Prima BioMed)である。
【0304】
表6.他の例示的な抗LAG-3抗体分子のアミノ酸配列
【表18】
【0305】
PD-1阻害剤
ある特定の態様では、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子は、PD-1阻害剤と組み合わせて投与される。ある態様では、PD-1阻害剤は、PDR001もしくはスパルタリズマブ(Novartis)、ニボルマブ(Bristol-Myers Squibb)、ペムブロリズマブ(Merck&Co)、ピディリズマブ(CureTech)、MEDI0680(Medimmune)、REGN2810(Regeneron)、TSR-042(Tesaro)、PF-06801591(Pfizer)、BGB-A317(Beigene)、BGB-108(Beigene)、INCSHR1210(Incyte)またはAMP-224(Amplimmune)から選択される。
【0306】
例示的なPD-1阻害剤
ある態様では、PD-1阻害剤は、抗PD-1抗体分子である。ある態様では、PD-1阻害剤は、その全体を参照により本明細書に組み込む、表題「Antibody Molecules to PD-1 and Uses Thereof」の、2015年7月30日に公開されたUS2015/0210769に記載されている抗PD-1抗体分子である。
【0307】
ある態様では、抗PD-1抗体分子は、表1に示すアミノ酸配列または表1に示すヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖可変領域(例えば、表1に開示されているBAP049-クローン-EまたはBAP049-クローン-Bの重鎖および軽鎖可変領域配列)由来の少なくとも1、2、3、4、5または6個の相補性決定領域(CDR)(またはまとめてCDR全て)を含む。ある態様では、CDRは、Kabat定義に従う(例えば、表1に提示される通り)。ある態様では、CDRは、Chothia定義に従う(例えば、表1に提示される通り)。ある態様では、CDRは、KabatおよびChothiaの両方を組み合わせたCDR定義に従う(例えば、表1に提示される通り)。ある態様では、VH CDR1のKabatおよびChothia CDRの組合せは、アミノ酸配列GYTFTTYWMH(配列番号541)を含む。ある態様では、CDRのうち1個または複数(またはまとめてCDR全て)は、表1に示すアミノ酸配列または表1に示すヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列と比べて、1、2、3、4、5、6個以上の変化、例えば、アミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換)または欠失を有する。
【0308】
ある態様では、抗PD-1抗体分子は、表1にそれぞれ開示されている、配列番号501のVHCDR1アミノ酸配列、配列番号502のVHCDR2アミノ酸配列および配列番号503のVHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);ならびに配列番号510のVLCDR1アミノ酸配列、配列番号511のVLCDR2アミノ酸配列および配列番号512のVLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0309】
ある態様では、抗体分子は、表1にそれぞれ開示されている、配列番号524のヌクレオチド配列にコードされるVHCDR1、配列番号525のヌクレオチド配列にコードされるVHCDR2および配列番号526のヌクレオチド配列にコードされるVHCDR3を含むVH;ならびに配列番号529のヌクレオチド配列にコードされるVLCDR1、配列番号530のヌクレオチド配列にコードされるVLCDR2および配列番号531のヌクレオチド配列にコードされるVLCDR3を含むVLを含む。
【0310】
ある態様では、抗PD-1抗体分子は、配列番号506のアミノ酸配列、または配列番号506と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含むVHを含む。ある態様では、抗PD-1抗体分子は、配列番号520のアミノ酸配列、配列番号520と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含むVLを含む。ある態様では、抗PD-1抗体分子は、配列番号516のアミノ酸配列、または配列番号516と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含むVLを含む。ある態様では、抗PD-1抗体分子は、配列番号506のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号520のアミノ酸配列を含むVLを含む。ある態様では、抗PD-1抗体分子は、配列番号506のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号516のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0311】
ある態様では、抗体分子は、配列番号507のヌクレオチド配列、または配列番号507と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされるVHを含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号521もしくは517のヌクレオチド配列、または配列番号521もしくは517と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされるVLを含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号507のヌクレオチド配列にコードされるVH、および配列番号521または517のヌクレオチド配列にコードされるVLを含む。
【0312】
ある態様では、抗PD-1抗体分子は、配列番号508のアミノ酸配列、または配列番号508と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含む重鎖を含む。ある態様では、抗PD-1抗体分子は、配列番号522のアミノ酸配列、または配列番号522と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。ある態様では、抗PD-1抗体分子は、配列番号518のアミノ酸配列、または配列番号518と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。ある態様では、抗PD-1抗体分子は、配列番号508のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号522のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。ある態様では、抗PD-1抗体分子は、配列番号508のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号518のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0313】
ある態様では、抗体分子は、配列番号509のヌクレオチド配列、または配列番号509と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされる重鎖を含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号523もしくは519のヌクレオチド配列、または配列番号523もしくは519と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされる軽鎖を含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号509のヌクレオチド配列にコードされる重鎖、および配列番号523または519のヌクレオチド配列にコードされる軽鎖を含む。
【0314】
本明細書に記載されている抗体分子は、その全体を参照により本明細書に組み込む、US2015/0210769に記載されているベクター、宿主細胞および方法によって作製することができる。
【0315】
表1.例示的な抗PD-1抗体分子のアミノ酸およびヌクレオチド配列
【表19】
【表20】
【表21】
【表22】
【表23】
【表24】
【表25】
【表26】
【表27】
【表28】
【表29】
【0316】
他の例示的なPD-1阻害剤
ある態様では、抗PD-1抗体分子は、MDX-1106、MDX-1106-04、ONO-4538、BMS-936558またはOPDIVO(登録商標)としても公知のニボルマブ(Bristol-Myers Squibb)である。ニボルマブ(クローン5C4)および他の抗PD-1抗体は、それらの全体を参照により本明細書に組み込む、US8,008,449およびWO2006/121168に開示されている。ある態様では、抗PD-1抗体分子は、例えば、表2に開示されている通り、ニボルマブのCDR配列のうち1個または複数(またはまとめてCDR配列全て)、重鎖もしくは軽鎖可変領域配列、または重鎖もしくは軽鎖配列を含む。
【0317】
ある態様では、抗PD-1抗体分子は、ランブロリズマブ、MK-3475、MK03475、SCH-900475またはKEYTRUDA(登録商標)としても公知のペムブロリズマブ(Merck&Co)である。ペムブロリズマブおよび他の抗PD-1抗体は、それらの全体を参照により本明細書に組み込む、Hamid, O. et al. (2013) New England Journal of Medicine 369 (2): 134-44、US8,354,509およびWO2009/114335に開示されている。ある態様では、抗PD-1抗体分子は、例えば、表2に開示されている通り、ペムブロリズマブのCDR配列のうち1個または複数(またはまとめてCDR配列全て)、重鎖もしくは軽鎖可変領域配列、または重鎖もしくは軽鎖配列を含む。
【0318】
ある態様では、抗PD-1抗体分子は、CT-011としても公知のピディリズマブ(CureTech)である。ピディリズマブおよび他の抗PD-1抗体は、それらの全体を参照により本明細書に組み込む、Rosenblatt, J. et al. (2011) J Immunotherapy 34(5): 409-18、US7,695,715、US7,332,582およびUS8,686,119に開示されている。ある態様では、抗PD-1抗体分子は、例えば、表2に開示されている通り、ピディリズマブのCDR配列のうち1個または複数(またはまとめてCDR配列全て)、重鎖もしくは軽鎖可変領域配列、または重鎖もしくは軽鎖配列を含む。
【0319】
ある態様では、抗PD-1抗体分子は、AMP-514としても公知のMEDI0680(Medimmune)である。MEDI0680および他の抗PD-1抗体は、それらの全体を参照により本明細書に組み込む、US9,205,148およびWO2012/145493に開示されている。ある態様では、抗PD-1抗体分子は、MEDI0680のCDR配列のうち1個または複数(またはまとめてCDR配列全て)、重鎖もしくは軽鎖可変領域配列、または重鎖もしくは軽鎖配列を含む。
【0320】
ある態様では、抗PD-1抗体分子は、REGN2810(Regeneron)である。ある態様では、抗PD-1抗体分子は、REGN2810のCDR配列のうち1個または複数(またはまとめてCDR配列全て)、重鎖もしくは軽鎖可変領域配列、または重鎖もしくは軽鎖配列を含む。
【0321】
ある態様では、抗PD-1抗体分子は、PF-06801591(Pfizer)である。ある態様では、抗PD-1抗体分子は、PF-06801591のCDR配列のうち1個または複数(またはまとめてCDR配列全て)、重鎖もしくは軽鎖可変領域配列、または重鎖もしくは軽鎖配列を含む。
【0322】
ある態様では、抗PD-1抗体分子は、BGB-A317またはBGB-108(Beigene)である。ある態様では、抗PD-1抗体分子は、BGB-A317またはBGB-108のCDR配列のうち1個または複数(またはまとめてCDR配列全て)、重鎖もしくは軽鎖可変領域配列、または重鎖もしくは軽鎖配列を含む。
【0323】
ある態様では、抗PD-1抗体分子は、INCSHR01210またはSHR-1210としても公知のINCSHR1210(Incyte)である。ある態様では、抗PD-1抗体分子は、INCSHR1210のCDR配列のうち1個または複数(またはまとめてCDR配列全て)、重鎖もしくは軽鎖可変領域配列、または重鎖もしくは軽鎖配列を含む。
【0324】
ある態様では、抗PD-1抗体分子は、ANB011としても公知のTSR-042(Tesaro)である。ある態様では、抗PD-1抗体分子は、TSR-042のCDR配列のうち1個または複数(またはまとめてCDR配列全て)、重鎖もしくは軽鎖可変領域配列、または重鎖もしくは軽鎖配列を含む。
【0325】
さらに別の公知の抗PD-1抗体は、例えば、それらの全体を参照により本明細書に組み込む、WO2015/112800、WO2016/092419、WO2015/085847、WO2014/179664、WO2014/194302、WO2014/209804、WO2015/200119、US8,735,553、US7,488,802、US8,927,697、US8,993,731およびUS9,102,727に記載されている抗体を含む。
【0326】
ある態様では、抗PD-1抗体は、本明細書に記載されている抗PD-1抗体の1種と結合に関して競合する、および/またはPD-1における、当該抗体と同じエピトープに結合する抗体である。
【0327】
ある態様では、PD-1阻害剤は、例えば、その全体を参照により本明細書に組み込むUS8,907,053に記載されている通り、PD-1シグナル伝達経路を阻害するペプチドである。ある態様では、PD-1阻害剤は、例えば、定常領域(例えば、免疫グロブリン配列のFc領域)に融合されたイムノアドヘシン(PD-L1またはPD-L2の細胞外またはPD-1結合部分を含むイムノアドヘシン)である。ある態様では、PD-1阻害剤は、AMP-224[例えば、それらの全体を参照により本明細書に組み込むWO2010/027827およびWO2011/066342に開示されている、B7-DCIg(Amplimmune)]である。
【0328】
表2.他の例示的な抗PD-1抗体分子のアミノ酸配列
【表30】
【表31】
【0329】
PD-L1阻害剤
ある特定の態様では、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子は、PD-L1阻害剤と組み合わせて投与される。ある態様では、PD-L1阻害剤は、FAZ053(Novartis)、アテゾリズマブ(Genentech/Roche)、アベルマブ(Merck SeronoおよびPfizer)、デュルバルマブ(Medimmune/AstraZeneca)またはBMS-936559(Bristol-Myers Squibb)から選択される。
【0330】
例示的なPD-L1阻害剤
ある態様では、PD-L1阻害剤は、抗PD-L1抗体分子である。ある態様では、PD-L1阻害剤は、その全体を参照により本明細書に組み込む、表題「Antibody Molecules to PD-L1 and Uses Thereof」の、2016年4月21日に公開されたUS2016/0108123に開示されている抗PD-L1抗体分子である。
【0331】
ある態様では、抗PD-L1抗体分子は、表3に示すアミノ酸配列または表3に示すヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖可変領域(例えば、表3に開示されているBAP058-クローンOまたはBAP058-クローンNの重鎖および軽鎖可変領域配列)由来の少なくとも1、2、3、4、5または6個の相補性決定領域(CDR)(またはまとめてCDR全て)を含む。ある態様では、CDRは、Kabat定義に従う(例えば、表3に提示される通り)。ある態様では、CDRは、Chothia定義に従う(例えば、表3に提示される通り)。ある態様では、CDRは、KabatおよびChothiaの両方を組み合わせたCDR定義に従う(例えば、表3に提示される通り)。ある態様では、VH CDR1のKabatおよびChothia CDRの組合せは、アミノ酸配列GYTFTSYWMY(配列番号647)を含む。ある態様では、CDRのうち1個または複数(またはまとめてCDR全て)は、表3に示すアミノ酸配列または表3に示すヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列と比べて、1、2、3、4、5、6個以上の変化、例えば、アミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換)または欠失を有する。
【0332】
ある態様では、抗PD-L1抗体分子は、表3にそれぞれ開示されている、配列番号601のVHCDR1アミノ酸配列、配列番号602のVHCDR2アミノ酸配列および配列番号603のVHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);ならびに配列番号609のVLCDR1アミノ酸配列、配列番号610のVLCDR2アミノ酸配列および配列番号611のVLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0333】
ある態様では、抗PD-L1抗体分子は、表3にそれぞれ開示されている、配列番号628のヌクレオチド配列にコードされるVHCDR1、配列番号629のヌクレオチド配列にコードされるVHCDR2および配列番号630のヌクレオチド配列にコードされるVHCDR3を含むVH;ならびに配列番号633のヌクレオチド配列にコードされるVLCDR1、配列番号634のヌクレオチド配列にコードされるVLCDR2および配列番号635のヌクレオチド配列にコードされるVLCDR3を含むVLを含む。
【0334】
ある態様では、抗PD-L1抗体分子は、配列番号606のアミノ酸配列または配列番号606と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含むVHを含む。ある態様では、抗PD-L1抗体分子は、配列番号616のアミノ酸配列または配列番号616と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含むVLを含む。ある態様では、抗PD-L1抗体分子は、配列番号620のアミノ酸配列または配列番号620と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含むVHを含む。ある態様では、抗PD-L1抗体分子は、配列番号624のアミノ酸配列または配列番号624と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含むVLを含む。ある態様では、抗PD-L1抗体分子は、配列番号606のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号616のアミノ酸配列を含むVLを含む。ある態様では、抗PD-L1抗体分子は、配列番号620のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号624のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0335】
ある態様では、抗体分子は、配列番号607のヌクレオチド配列または配列番号607と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされるVHを含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号617のヌクレオチド配列または配列番号617と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされるVLを含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号621のヌクレオチド配列または配列番号621と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされるVHを含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号625のヌクレオチド配列または配列番号625と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされるVLを含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号607のヌクレオチド配列にコードされるVH、および配列番号617のヌクレオチド配列にコードされるVLを含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号621のヌクレオチド配列にコードされるVH、および配列番号625のヌクレオチド配列にコードされるVLを含む。
【0336】
ある態様では、抗PD-L1抗体分子は、配列番号608のアミノ酸配列または配列番号608と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含む重鎖を含む。ある態様では、抗PD-L1抗体分子は、配列番号618のアミノ酸配列または配列番号618と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。ある態様では、抗PD-L1抗体分子は、配列番号622のアミノ酸配列または配列番号622と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含む重鎖を含む。ある態様では、抗PD-L1抗体分子は、配列番号626のアミノ酸配列または配列番号626と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。ある態様では、抗PD-L1抗体分子は、配列番号608のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号618のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。ある態様では、抗PD-L1抗体分子は、配列番号622のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号626のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0337】
ある態様では、抗体分子は、配列番号615のヌクレオチド配列または配列番号615と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされる重鎖を含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号619のヌクレオチド配列または配列番号619と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされる軽鎖を含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号623のヌクレオチド配列または配列番号623と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされる重鎖を含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号627のヌクレオチド配列または配列番号627と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされる軽鎖を含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号615のヌクレオチド配列にコードされる重鎖、および配列番号619のヌクレオチド配列にコードされる軽鎖を含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号623のヌクレオチド配列にコードされる重鎖、および配列番号627のヌクレオチド配列にコードされる軽鎖を含む。
【0338】
本明細書に記載されている抗体分子は、その全体を参照により本明細書に組み込む、US2016/0108123に記載されているベクター、宿主細胞および方法によって作製することができる。
【0339】
表3.例示的な抗PD-L1抗体分子のアミノ酸およびヌクレオチド配列
【表32】
【表33】
【表34】
【表35】
【表36】
【表37】
【表38】
【表39】
【表40】
【0340】
他の例示的なPD-L1阻害剤
ある態様では、抗PD-L1抗体分子は、MPDL3280A、RG7446、RO5541267、YW243.55.S70またはTECENTRIQ(商標)としても公知のアテゾリズマブ(Genentech/Roche)である。アテゾリズマブおよび他の抗PD-L1抗体は、その全体を参照により本明細書に組み込む、US8,217,149に開示されている。ある態様では、抗PD-L1抗体分子は、例えば、表4に開示されている通り、アテゾリズマブのCDR配列のうち1個または複数(またはまとめてCDR配列全て)、重鎖もしくは軽鎖可変領域配列、または重鎖もしくは軽鎖配列を含む。
【0341】
ある態様では、抗PD-L1抗体分子は、MSB0010718Cとしても公知のアベルマブ(Merck SeronoおよびPfizer)である。アベルマブおよび他の抗PD-L1抗体は、その全体を参照により本明細書に組み込む、WO2013/079174に開示されている。ある態様では、抗PD-L1抗体分子は、例えば、表4に開示されている通り、アベルマブのCDR配列のうち1個または複数(またはまとめてCDR配列全て)、重鎖もしくは軽鎖可変領域配列、または重鎖もしくは軽鎖配列を含む。
【0342】
ある態様では、抗PD-L1抗体分子は、MEDI4736としても公知のデュルバルマブ(Medimmune/AstraZeneca)である。デュルバルマブおよび他の抗PD-L1抗体は、その全体を参照により本明細書に組み込む、US8,779,108に開示されている。ある態様では、抗PD-L1抗体分子は、例えば、表4に開示されている通り、デュルバルマブのCDR配列のうち1個または複数(またはまとめてCDR配列全て)、重鎖もしくは軽鎖可変領域配列、または重鎖もしくは軽鎖配列を含む。
【0343】
ある態様では、抗PD-L1抗体分子は、MDX-1105または12A4としても公知のBMS-936559(Bristol-Myers Squibb)である。BMS-936559および他の抗PD-L1抗体は、それらの全体を参照により本明細書に組み込む、US7,943,743およびWO2015/081158に開示されている。ある態様では、抗PD-L1抗体分子は、例えば、表4に開示されている通り、BMS-936559のCDR配列のうち1個または複数(またはまとめてCDR配列全て)、重鎖もしくは軽鎖可変領域配列、または重鎖もしくは軽鎖配列を含む。
【0344】
さらに別の公知の抗PD-L1抗体は、例えば、それらの全体を参照により本明細書に組み込む、WO2015/181342、WO2014/100079、WO2016/000619、WO2014/022758、WO2014/055897、WO2015/061668、WO2013/079174、WO2012/145493、WO2015/112805、WO2015/109124、WO2015/195163、US8,168,179、US8,552,154、US8,460,927およびUS9,175,082に記載されている抗体を含む。
【0345】
ある態様では、抗PD-L1抗体は、本明細書に記載されている抗PD-L1抗体の1種と結合に関して競合する、および/またはPD-L1における、当該抗体と同じエピトープに結合する抗体である。
【0346】
表4.他の例示的な抗PD-L1抗体分子のアミノ酸配列
【表41】
【表42】
【0347】
TIM-3阻害剤
ある特定の態様では、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子は、TIM-3阻害剤と組み合わせて投与される。ある態様では、TIM-3阻害剤は、MGB453(Novartis)またはTSR-022(Tesaro)である。
【0348】
例示的なTIM-3阻害剤
ある態様では、TIM-3阻害剤は、抗TIM-3抗体分子である。ある態様では、TIM-3阻害剤は、その全体を参照により本明細書に組み込む、表題「Antibody Molecules to TIM-3 and Uses Thereof」の、2015年8月6日に公開されたUS2015/0218274に開示されている抗TIM-3抗体分子である。
【0349】
ある態様では、抗TIM-3抗体分子は、表7に示すアミノ酸配列または表7に示すヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖可変領域(例えば、表7に開示されているABTIM3-hum11またはABTIM3-hum03の重鎖および軽鎖可変領域配列)由来の少なくとも1、2、3、4、5または6個の相補性決定領域(CDR)(またはまとめてCDR全て)を含む。ある態様では、CDRは、Kabat定義に従う(例えば、表7に提示される通り)。ある態様では、CDRは、Chothia定義に従う(例えば、表7に提示される通り)。ある態様では、CDRのうち1個または複数(またはまとめてCDR全て)は、表7に示すアミノ酸配列または表7に示すヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列と比べて、1、2、3、4、5、6個以上の変化、例えば、アミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換)または欠失を有する。
【0350】
ある態様では、抗TIM-3抗体分子は、表7にそれぞれ開示されている、配列番号801のVHCDR1アミノ酸配列、配列番号802のVHCDR2アミノ酸配列および配列番号803のVHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);ならびに配列番号810のVLCDR1アミノ酸配列、配列番号811のVLCDR2アミノ酸配列および配列番号812のVLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。ある態様では、抗TIM-3抗体分子は、表7にそれぞれ開示されている、配列番号801のVHCDR1アミノ酸配列、配列番号820のVHCDR2アミノ酸配列および配列番号803のVHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);ならびに配列番号810のVLCDR1アミノ酸配列、配列番号811のVLCDR2アミノ酸配列および配列番号812のVLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0351】
ある態様では、抗TIM-3抗体分子は、配列番号806のアミノ酸配列または配列番号806と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含むVHを含む。ある態様では、抗TIM-3抗体分子は、配列番号816のアミノ酸配列または配列番号816と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含むVLを含む。ある態様では、抗TIM-3抗体分子は、配列番号822のアミノ酸配列または配列番号822と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含むVHを含む。ある態様では、抗TIM-3抗体分子は、配列番号826のアミノ酸配列または配列番号826と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含むVLを含む。ある態様では、抗TIM-3抗体分子は、配列番号806のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号816のアミノ酸配列を含むVLを含む。ある態様では、抗TIM-3抗体分子は、配列番号822のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号826のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0352】
ある態様では、抗体分子は、配列番号807のヌクレオチド配列または配列番号807と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされるVHを含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号817のヌクレオチド配列または配列番号817と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされるVLを含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号823のヌクレオチド配列または配列番号823と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされるVHを含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号827のヌクレオチド配列または配列番号827と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされるVLを含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号807のヌクレオチド配列にコードされるVH、および配列番号817のヌクレオチド配列にコードされるVLを含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号823のヌクレオチド配列にコードされるVH、および配列番号827のヌクレオチド配列にコードされるVLを含む。
【0353】
ある態様では、抗TIM-3抗体分子は、配列番号808のアミノ酸配列または配列番号808と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含む重鎖を含む。ある態様では、抗TIM-3抗体分子は、配列番号818のアミノ酸配列または配列番号818と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。ある態様では、抗TIM-3抗体分子は、配列番号824のアミノ酸配列または配列番号824と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含む重鎖を含む。ある態様では、抗TIM-3抗体分子は、配列番号828のアミノ酸配列または配列番号828と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。ある態様では、抗TIM-3抗体分子は、配列番号808のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号818のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。ある態様では、抗TIM-3抗体分子は、配列番号824のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号828のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0354】
ある態様では、抗体分子は、配列番号809のヌクレオチド配列または配列番号809と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされる重鎖を含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号819のヌクレオチド配列または配列番号819と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされる軽鎖を含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号825のヌクレオチド配列または配列番号825と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされる重鎖を含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号829のヌクレオチド配列または配列番号829と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされる軽鎖を含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号809のヌクレオチド配列にコードされる重鎖、および配列番号819のヌクレオチド配列にコードされる軽鎖を含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号825のヌクレオチド配列にコードされる重鎖、および配列番号829のヌクレオチド配列にコードされる軽鎖を含む。
【0355】
本明細書に記載されている抗体分子は、その全体を参照により本明細書に組み込む、US2015/0218274に記載されているベクター、宿主細胞および方法によって作製することができる。
【0356】
表7.例示的な抗TIM-3抗体分子のアミノ酸およびヌクレオチド配列
【表43】
【表44】
【表45】
【表46】
【表47】
【表48】
【表49】
【表50】
【0357】
他の例示的なTIM-3阻害剤
ある態様では、抗TIM-3抗体分子は、TSR-022(AnaptysBio/Tesaro)である。ある態様では、抗TIM-3抗体分子は、TSR-022のCDR配列のうち1個または複数(またはまとめてCDR配列全て)、重鎖もしくは軽鎖可変領域配列、または重鎖もしくは軽鎖配列を含む。ある態様では、抗TIM-3抗体分子は、例えば、表8に開示されている通り、APE5137またはAPE5121のCDR配列のうち1個または複数(またはまとめてCDR配列全て)、重鎖もしくは軽鎖可変領域配列、または重鎖もしくは軽鎖配列を含む。APE5137、APE5121および他の抗TIM-3抗体は、その全体を参照により本明細書に組み込む、WO2016/161270に開示されている。
【0358】
ある態様では、抗TIM-3抗体分子は、抗体クローンF38-2E2である。ある態様では、抗TIM-3抗体分子は、F38-2E2のCDR配列のうち1個または複数(またはまとめてCDR配列全て)、重鎖もしくは軽鎖可変領域配列、または重鎖もしくは軽鎖配列を含む。
【0359】
さらに別の公知の抗TIM-3抗体は、例えば、それらの全体を参照により本明細書に組み込む、WO2016/111947、WO2016/071448、WO2016/144803、US8,552,156、US8,841,418およびUS9,163,087に記載されている抗体を含む。
【0360】
ある態様では、抗TIM-3抗体は、本明細書に記載されている抗TIM-3抗体の1種と結合に関して競合する、および/またはTIM-3における、当該抗体と同じエピトープに結合する抗体である。
【0361】
表8.他の例示的な抗TIM-3抗体分子のアミノ酸配列
【表51】
【0362】
GITRアゴニスト
ある特定の態様では、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子は、GITRアゴニストと組み合わせて投与される。ある態様では、GITRアゴニストは、GWN323(NVS)、BMS-986156、MK-4166またはMK-1248(Merck)、TRX518(Leap Therapeutics)、INCAGN1876(Incyte/Agenus)、AMG 228(Amgen)またはINBRX-110(Inhibrx)である。
【0363】
例示的なGITRアゴニスト
ある態様では、GITRアゴニストは、抗GITR抗体分子である。ある態様では、GITRアゴニストは、その全体を参照により本明細書に組み込む、表題「Compositions and Methods of Use for Augmented Immune Response and Cancer Therapy」の、2016年4月14日に公開されたWO2016/057846に記載されている抗GITR抗体分子である。
【0364】
ある態様では、抗GITR抗体分子は、表9に示すアミノ酸配列または表9に示すヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖可変領域(例えば、表9に開示されているMAB7の重鎖および軽鎖可変領域配列)由来の少なくとも1、2、3、4、5または6個の相補性決定領域(CDR)(またはまとめてCDR全て)を含む。ある態様では、CDRは、Kabat定義に従う(例えば、表9に提示される通り)。ある態様では、CDRは、Chothia定義に従う(例えば、表9に提示される通り)。ある態様では、CDRのうち1個または複数(またはまとめてCDR全て)は、表9に示すアミノ酸配列または表9に示すヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列と比べて、1、2、3、4、5、6個以上の変化、例えば、アミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換)または欠失を有する。
【0365】
ある態様では、抗GITR抗体分子は、表9にそれぞれ開示されている、配列番号909のVHCDR1アミノ酸配列、配列番号911のVHCDR2アミノ酸配列および配列番号913のVHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);ならびに配列番号914のVLCDR1アミノ酸配列、配列番号916のVLCDR2アミノ酸配列および配列番号918のVLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0366】
ある態様では、抗GITR抗体分子は、配列番号901のアミノ酸配列または配列番号901と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含むVHを含む。ある態様では、抗GITR抗体分子は、配列番号902のアミノ酸配列または配列番号902と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含むVLを含む。ある態様では、抗GITR抗体分子は、配列番号901のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号902のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0367】
ある態様では、抗体分子は、配列番号905のヌクレオチド配列または配列番号905と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされるVHを含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号906のヌクレオチド配列または配列番号906と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされるVLを含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号905のヌクレオチド配列にコードされるVH、および配列番号906のヌクレオチド配列にコードされるVLを含む。
【0368】
ある態様では、抗GITR抗体分子は、配列番号903のアミノ酸配列または配列番号903と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含む重鎖を含む。ある態様では、抗GITR抗体分子は、配列番号904のアミノ酸配列または配列番号904と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。ある態様では、抗GITR抗体分子は、配列番号903のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号904のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0369】
ある態様では、抗体分子は、配列番号907のヌクレオチド配列または配列番号907と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされる重鎖を含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号908のヌクレオチド配列または配列番号908と少なくとも85%、90%、95%もしくは99%以上同一なヌクレオチド配列にコードされる軽鎖を含む。ある態様では、抗体分子は、配列番号907のヌクレオチド配列にコードされる重鎖、および配列番号908のヌクレオチド配列にコードされる軽鎖を含む。
【0370】
本明細書に記載されている抗体分子は、その全体を参照により本明細書に組み込む、WO2016/057846に記載されているベクター、宿主細胞および方法によって作製することができる。
【0371】
表9:例示的な抗GITR抗体分子のアミノ酸およびヌクレオチド配列
【表52】
【表53】
【表54】
【0372】
他の例示的なGITRアゴニスト
ある態様では、抗GITR抗体分子は、BMS 986156またはBMS986156としても公知のBMS-986156(Bristol-Myers Squibb)である。BMS-986156および他の抗GITR抗体は、例えば、それらの全体を参照により本明細書に組み込む、US9,228,016およびWO2016/196792に開示されている。ある態様では、抗GITR抗体分子は、例えば、表10に開示されている通り、BMS-986156のCDR配列のうち1個または複数(またはまとめてCDR配列全て)、重鎖もしくは軽鎖可変領域配列、または重鎖もしくは軽鎖配列を含む。
【0373】
ある態様では、抗GITR抗体分子は、MK-4166またはMK-1248(Merck)である。MK-4166、MK-1248および他の抗GITR抗体は、例えば、それらの全体を参照により本明細書に組み込む、US8,709,424、WO2011/028683、WO2015/026684およびMahne et al. Cancer Res. 2017; 77(5):1108-1118に開示されている。ある態様では、抗GITR抗体分子は、MK-4166またはMK-1248のCDR配列のうち1個または複数(またはまとめてCDR配列全て)、重鎖もしくは軽鎖可変領域配列、または重鎖もしくは軽鎖配列を含む。
【0374】
ある態様では、抗GITR抗体分子は、TRX518(Leap Therapeutics)である。TRX518および他の抗GITR抗体は、例えば、それらの全体を参照により本明細書に組み込む、US7,812,135、US8,388,967、US9,028,823、WO2006/105021およびPonte J et al. (2010) Clinical Immunology; 135:S96に開示されている。ある態様では、抗GITR抗体分子は、TRX518のCDR配列のうち1個または複数(またはまとめてCDR配列全て)、重鎖もしくは軽鎖可変領域配列、または重鎖もしくは軽鎖配列を含む。
【0375】
ある態様では、抗GITR抗体分子は、INCAGN1876(Incyte/Agenus)である。INCAGN1876および他の抗GITR抗体は、例えば、それらの全体を参照により本明細書に組み込む、US2015/0368349およびWO2015/184099に開示されている。ある態様では、抗GITR抗体分子は、INCAGN1876のCDR配列のうち1個または複数(またはまとめてCDR配列全て)、重鎖もしくは軽鎖可変領域配列、または重鎖もしくは軽鎖配列を含む。
【0376】
ある態様では、抗GITR抗体分子は、AMG 228(Amgen)である。AMG 228および他の抗GITR抗体は、例えば、それらの全体を参照により本明細書に組み込む、US9,464,139およびWO2015/031667に開示されている。ある態様では、抗GITR抗体分子は、AMG 228のCDR配列のうち1個または複数(またはまとめてCDR配列全て)、重鎖もしくは軽鎖可変領域配列、または重鎖もしくは軽鎖配列を含む。
【0377】
ある態様では、抗GITR抗体分子は、INBRX-110(Inhibrx)である。INBRX-110および他の抗GITR抗体は、例えば、それらの全体を参照により本明細書に組み込む、US2017/0022284およびWO2017/015623に開示されている。ある態様では、GITRアゴニストは、INBRX-110のCDR配列のうち1個または複数(またはまとめてCDR配列全て)、重鎖もしくは軽鎖可変領域配列、または重鎖もしくは軽鎖配列を含む。
【0378】
ある態様では、GITRアゴニスト(例えば、融合タンパク質)は、MEDI1873としても公知のMEDI 1873(Medimmune)である。MEDI 1873および他のGITRアゴニストは、例えば、それらの全体を参照により本明細書に組み込む、US2017/0073386、WO2017/025610およびRoss et al. Cancer Res 2016; 76(14 Suppl): Abstract nr 561に開示されている。ある態様では、GITRアゴニストは、MEDI 1873のグルココルチコイド誘導性TNF受容体リガンド(GITRL)のIgG Fcドメイン、機能的多量体化ドメインおよび受容体結合ドメインのうち1種または複数を含む。
【0379】
さらに別の公知GITRアゴニスト(例えば、抗GITR抗体)は、例えば、その全体を参照により本明細書に組み込む、WO2016/054638に記載されているGITRアゴニストを含む。
【0380】
ある態様では、抗GITR抗体は、本明細書に記載されている抗GITR抗体の1種と結合に関して競合する、および/またはGITRにおける、当該抗体と同じエピトープに結合する抗体である。
【0381】
ある態様では、GITRアゴニストは、GITRシグナル伝達経路を活性化するペプチドである。ある態様では、GITRアゴニストは、定常領域(例えば、免疫グロブリン配列のFc領域)に融合されたイムノアドヘシン結合断片(例えば、GITRLの細胞外またはGITR結合部分を含むイムノアドヘシン結合断片)である。
【0382】
表10:他の例示的な抗GITR抗体分子のアミノ酸配列
【表55】
【0383】
IL15/IL-15Ra複合体
ある特定の態様では、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子は、IL-15/IL-15Ra複合体と組み合わせて投与される。ある態様では、IL-15/IL-15Ra複合体は、NIZ985(Novartis)、ATL-803(Altor)またはCYP0150(Cytune)から選択される。
【0384】
例示的なIL-15/IL-15Ra複合体
ある態様では、IL-15/IL-15Ra複合体は、可溶性形態のヒトIL-15Raと複合体形成したヒトIL-15を含む。複合体は、可溶性形態のIL-15Raに共有結合または非共有結合により結合されたIL-15を含むことができる。特定の態様では、ヒトIL-15は、可溶性形態のIL-15Raに非共有結合により結合される。特定の態様では、その全体を参照により本明細書に組み込む、WO2014/066527に記載されている通り、組成物のヒトIL-15は、表11における配列番号1001のアミノ酸配列を含み、可溶性形態のヒトIL-15Raは、表11における配列番号1002のアミノ酸配列を含む。本明細書に記載されている分子は、その全体を参照により本明細書に組み込む、WO2007/084342に記載されているベクター、宿主細胞および方法によって作製することができる。
【0385】
表11.例示的なIL-15/IL-15Ra複合体のアミノ酸およびヌクレオチド配列
【表56】
【0386】
他の例示的なIL-15/IL-15Ra複合体
ある態様では、IL-15/IL-15Ra複合体は、ALT-803であり、これはIL-15/IL-15Ra Fc融合タンパク質(IL-15N72D:IL-15RaSu/Fc可溶性複合体)である。ALT-803は、その全体を参照により本明細書に組み込む、WO2008/143794に開示されている。ある態様では、IL-15/IL-15Ra Fc融合タンパク質は、表12に開示されている配列を含む。
【0387】
ある態様では、IL-15/IL-15Ra複合体は、IL-15Raのsushiドメインに融合されたIL-15(CYP0150、Cytune)を含む。IL-15Raのsushiドメインは、IL-15Raのシグナルペプチド後の第1のシステイン残基から始まり、前記シグナルペプチド後の第4のシステイン残基で終わるドメインを指す。IL-15Raのsushiドメインに融合されたIL-15の複合体は、それらの全体を参照により本明細書に組み込む、WO2007/04606およびWO2012/175222に開示されている。ある態様では、IL-15/IL-15Ra sushiドメイン融合体は、表12に開示されている配列を含む。
【0388】
表12.他の例示的なIL-15/IL-15Ra複合体のアミノ酸配列
【表57】
【0389】
医薬組成物、製剤およびキット
別の面では、本開示は、薬学的に許容される担体と一緒に製剤化された、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子を含む組成物、例えば、薬学的に許容される組成物を提供する。本明細書において、「薬学的に許容される担体」は、生理的に適合性のありとあらゆる溶媒、分散媒、等張性および吸収遅延剤その他を含む。担体は、静脈内、筋肉内、皮下、非経口的、直腸、脊髄または上皮投与(例えば、注射または注入による)に適することができる。
【0390】
本明細書に記載されている組成物は、種々の形態となることができる。そのようなものとして、例えば、液体の溶液(例えば、注射用および注入用溶液)、分散または懸濁液、リポソームおよび坐剤等、液体、半固体および固体剤形が挙げられる。好まれる形態は、企図される投与機序および治療適用に依存する。典型的な好まれる組成物は、注射用または注入用溶液の形態である。好まれる投与機序は、非経口的(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内)である。好まれる態様では、抗体は、静脈内注入または注射によって投与される。別の好まれる態様では、抗体は、筋肉内または皮下注射によって投与される。
【0391】
語句「非経口的投与」および「非経口的に投与される」は、本明細書において、経腸および局所的投与以外の投与機序を意味し、通常、注射により、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節腔内、嚢下、くも膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内注射および注入を限定することなく含む。
【0392】
治療組成物は、典型的には、製造および貯蔵の条件下で滅菌され安定的となるべきである。組成物は、高い抗体濃度に適した溶液、マイクロエマルション、分散、リポソームまたは他の秩序構造として製剤化するべきである。滅菌注射用溶液は、要求に応じて上に列挙されている成分の1種または組合せを有する適切な溶媒に要求される量の活性化合物(例えば、抗体または抗体部分)を取り込み、続いて滅菌濾過することにより調製することができる。一般に、分散は、基礎分散媒、および上に列挙される成分に由来する要求される他の成分を含有する滅菌媒体に活性化合物を取り込むことにより調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好まれる調製方法は、以前に滅菌濾過されたその溶液から活性成分プラスいずれか追加的な所望の成分の粉末を生じる、真空乾燥およびフリーズドライである。溶液の適切な流動性は、例えば、レシチン等のコーティングの使用により、分散の場合は要求される粒子サイズの維持により、また、サーファクタントの使用により維持することができる。注射用組成物の延長された吸収は、組成物中に、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアレート塩およびゼラチンを含むことによりもたらすことができる。
【0393】
本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子または組成物は、本明細書に記載されている通り、対象への投与(例えば、静脈内投与)に適した製剤(例えば、用量製剤または剤形)へと製剤化することができる。本明細書に記載されている製剤は、液体製剤、凍結乾燥された製剤または再構成された製剤となることができる。
【0394】
ある特定の態様では、製剤は、液体製剤である。ある態様では、製剤(例えば、液体製剤)は、抗LAG-3抗体分子(例えば、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子)および緩衝剤を含む。
【0395】
ある態様では、製剤(例えば、液体製剤)は、25mg/mL~250mg/mL、例えば、50mg/mL~200mg/mL、60mg/mL~180mg/mL、70mg/mL~150mg/mL、80mg/mL~120mg/mL、90mg/mL~110mg/mL、50mg/mL~150mg/mL、50mg/mL~100mg/mL、150mg/mL~200mg/mLまたは100mg/mL~200mg/mL、例えば、50mg/mL、60mg/mL、70mg/mL、80mg/mL、90mg/mL、100mg/mL、110mg/mL、120mg/mL、130mg/mL、140mg/mLまたは150mg/mLの濃度で存在する抗LAG-3抗体分子を含む。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、80mg/mL~120mg/mL、例えば、100mg/mLの濃度で存在する。
【0396】
ある態様では、製剤(例えば、液体製剤)は、ヒスチジンを含む緩衝剤(例えば、ヒスチジンバッファー)を含む。ある特定の態様では、緩衝剤(例えば、ヒスチジンバッファー)は、1mM~100mM、例えば、2mM~50mM、5mM~40mM、10mM~30mM、15~25mM、5mM~40mM、5mM~30mM、5mM~20mM、5mM~10mM、40mM~50mM、30mM~50mM、20mM~50mM、10mM~50mMまたは5mM~50mM、例えば、2mM、5mM、10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mMまたは50mMの濃度で存在する。ある態様では、緩衝剤(例えば、ヒスチジンバッファー)は、15mM~25mM、例えば、20mMの濃度で存在する。他の態様では、緩衝剤(例えば、ヒスチジンバッファー)は、4~7、例えば、5~6、例えば、5、5.5または6のpHを有する。ある態様では、緩衝剤(例えば、ヒスチジンバッファー)は、5~6、例えば、5.5のpHを有する。ある特定の態様では、緩衝剤は、15mM~25mM(例えば、20mM)の濃度のヒスチジンバッファーを含み、5~6(例えば、5.5)のpHを有する。ある特定の態様では、緩衝剤は、ヒスチジンおよびヒスチジン-HClを含む。
【0397】
ある態様では、製剤(例えば、液体製剤)は、80~120mg/mL、例えば、100mg/mLの濃度で存在する抗LAG-3抗体分子;および15mM~25mM(例えば、20mM)の濃度のヒスチジンバッファーを含む緩衝剤を含み、5~6(例えば、5.5)のpHを有する。
【0398】
ある態様では、製剤(例えば、液体製剤)は、炭水化物をさらに含む。ある特定の態様では、炭水化物は、スクロースである。ある態様では、炭水化物(例えば、スクロース)は、50mM~500mM、例えば、100mM~400mM、150mM~300mM、180mM~250mM、200mM~240mM、210mM~230mM、100mM~300mM、100mM~250mM、100mM~200mM、100mM~150mM、300mM~400mM、200mM~400mMまたは100mM~400mM、例えば、100mM、150mM、180mM、200mM、220mM、250mM、300mM、350mMまたは400mMの濃度で存在する。ある態様では、製剤は、200mM~250mM、例えば、220mMの濃度で存在する炭水化物またはスクロースを含む。
【0399】
ある態様では、製剤(例えば、液体製剤)は、80~120mg/mL、例えば、100mg/mLの濃度で存在する抗LAG-3抗体分子;15mM~25mM(例えば、20mM)の濃度のヒスチジンバッファーを含み、5~6(例えば、5.5)のpHを有する緩衝剤;および200mM~250mM、例えば、220mMの濃度で存在する炭水化物またはスクロースを含む。
【0400】
ある態様では、製剤(例えば、液体製剤)は、界面活性物質をさらに含む。ある特定の態様では、界面活性物質は、ポリソルベート20である。ある態様では、界面活性物質またはポリソルベート20は、0.005%~0.1%(w/w)、例えば、0.01%~0.08%、0.02%~0.06%、0.03%~0.05%、0.01%~0.06%、0.01%~0.05%、0.01%~0.03%、0.06%~0.08%、0.04%~0.08%または0.02%~0.08%(w/w)、例えば、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%または0.1%(w/w)の濃度で存在する。ある態様では、製剤は、0.03%~0.05%、例えば、0.04%(w/w)の濃度で存在する界面活性物質またはポリソルベート20を含む。
【0401】
ある態様では、製剤(例えば、液体製剤)は、80~120mg/mL、例えば、100mg/mLの濃度で存在する抗LAG-3抗体分子;15mM~25mM(例えば、20mM)の濃度のヒスチジンバッファーを含み、5~6(例えば、5.5)のpHを有する緩衝剤;200mM~250mM、例えば、220mMの濃度で存在する炭水化物またはスクロース;および0.03%~0.05%、例えば、0.04%(w/w)の濃度で存在する界面活性物質またはポリソルベート20を含む。
【0402】
ある態様では、製剤(例えば、液体製剤)は、100mg/mLの濃度で存在する抗LAG-3抗体分子;20mMの濃度のヒスチジンバッファー(例えば、ヒスチジン/ヒスチジン-HCL)を含み、5.5のpHを有する緩衝剤;220mMの濃度で存在する炭水化物またはスクロース;および0.04%(w/w)の濃度で存在する界面活性物質またはポリソルベート20を含む。
【0403】
ある態様では、液体製剤は、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子を含む製剤を希釈することにより調製される。例えば、原薬(drug substance)製剤は、1種または複数の賦形剤(例えば、濃縮された賦形剤)を含む溶液で希釈することができる。ある態様では、溶液は、ヒスチジン、スクロースまたはポリソルベート20のうち1、2または全種を含む。ある特定の態様では、溶液は、原薬製剤と同じ賦形剤(複数可)を含む。例示的な賦形剤として、アミノ酸(例えば、ヒスチジン)、炭水化物(例えば、スクロース)または界面活性物質(例えば、ポリソルベート20)が挙げられるがこれらに限定されない。ある特定の態様では、液体製剤は、再構成された凍結乾燥された製剤ではない。他の態様では、液体製剤は、再構成された凍結乾燥された製剤である。ある態様では、製剤は、液体として貯蔵される。他の態様では、製剤は、液体として調製され、次いで、例えば、貯蔵に先立ち凍結乾燥または噴霧乾燥によって乾燥される。
【0404】
ある特定の態様では、0.5mL~10mL(例えば、0.5mL~8mL、1mL~6mLまたは2mL~5mL、例えば、1mL、1.2mL、1.5mL、2mL、3mL、4mL、4.5mLまたは5mL)の液体製剤が、容器(例えば、バイアル)毎に充填される。他の態様では、少なくとも1mL(例えば、少なくとも1.2mL、少なくとも1.5mL、少なくとも2mL、少なくとも3mL、少なくとも4mLまたは少なくとも5mL)の抽出可能な容量の液体製剤を容器(例えば、バイアル)毎に取り出すことができるように、液体製剤は、容器(例えば、バイアル)内に充填される。ある特定の態様では、液体製剤は、臨床現場で、希釈することなく容器(例えば、バイアル)から抽出される。ある特定の態様では、液体製剤は、臨床現場で、原薬製剤から希釈され、容器(例えば、バイアル)から抽出される。ある特定の態様では、製剤(例えば、液体製剤)は、例えば、患者への注入開始前の1時間以内に(例えば、45分、30分または15分以内に)輸液バッグに注射される。
【0405】
本明細書に記載されている製剤は、容器内に貯蔵することができる。本明細書に記載されている製剤のいずれかに使用される容器は、例えば、バイアル、および適宜、ストッパー、キャップまたはその両方を含むことができる。ある特定の態様では、バイアルは、ガラスバイアル、例えば、6R白色ガラスバイアルである。他の態様では、ストッパーは、ゴムストッパー、例えば、灰色ゴムストッパーである。他の態様では、キャップは、フリップオフキャップ、例えば、アルミニウムフリップオフキャップである。ある態様では、容器は、6R白色ガラスバイアル、灰色ゴムストッパーおよびアルミニウムフリップオフキャップを含む。ある態様では、容器(例えば、バイアル)は、使い捨て容器のためのものである。ある特定の態様では、25mg/mL~250mg/mL、例えば、50mg/mL~200mg/mL、60mg/mL~180mg/mL、70mg/mL~150mg/mL、80mg/mL~120mg/mL、90mg/mL~110mg/mL、50mg/mL~150mg/mL、50mg/mL~100mg/mL、150mg/mL~200mg/mLまたは100mg/mL~200mg/mL、例えば、50mg/mL、60mg/mL、70mg/mL、80mg/mL、90mg/mL、100mg/mL、110mg/mL、120mg/mL、130mg/mL、140mg/mLまたは150mg/mLの抗LAG-3抗体分子が、容器(例えば、バイアル)内に存在する。
【0406】
ある態様では、製剤は、凍結乾燥された製剤である。ある特定の態様では、凍結乾燥された製剤は、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子を含む液体製剤から凍結乾燥または乾燥される。例えば、1~5mL、例えば、1~2mLの液体製剤を、容器(例えば、バイアル)毎に充填し、凍結乾燥することができる。
【0407】
ある態様では、製剤は、再構成された製剤である。ある特定の態様では、再構成された製剤は、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子を含む凍結乾燥された製剤から再構成される。例えば、タンパク質が、再構成された製剤中に分散されるように、再構成された製剤は、凍結乾燥された製剤を希釈剤に溶解することにより調製することができる。ある態様では、凍結乾燥された製剤は、1mL~5mL、例えば、1mL~2mL、例えば、1.2mLの注射用の水またはバッファーにより再構成される。ある特定の態様では、凍結乾燥された製剤は、例えば、臨床現場で、1mL~2mLの注射用の水により再構成される。
【0408】
ある態様では、再構成された製剤は、抗LAG-3抗体分子(例えば、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子)および緩衝剤を含む。
【0409】
ある態様では、再構成された製剤は、25mg/mL~250mg/mL、例えば、50mg/mL~200mg/mL、60mg/mL~180mg/mL、70mg/mL~150mg/mL、80mg/mL~120mg/mL、90mg/mL~110mg/mL、50mg/mL~150mg/mL、50mg/mL~100mg/mL、150mg/mL~200mg/mLまたは100mg/mL~200mg/mL、例えば、50mg/mL、60mg/mL、70mg/mL、80mg/mL、90mg/mL、100mg/mL、110mg/mL、120mg/mL、130mg/mL、140mg/mLまたは150mg/mLの濃度で存在する抗LAG-3抗体分子を含む。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、80mg/mL~120mg/mL、例えば、100mg/mLの濃度で存在する。
【0410】
ある態様では、再構成された製剤は、ヒスチジンを含む緩衝剤(例えば、ヒスチジンバッファー)を含む。ある特定の態様では、緩衝剤(例えば、ヒスチジンバッファー)は、1mM~100mM、例えば、2mM~50mM、5mM~40mM、10mM~30mM、15~25mM、5mM~40mM、5mM~30mM、5mM~20mM、5mM~10mM、40mM~50mM、30mM~50mM、20mM~50mM、10mM~50mMまたは5mM~50mM、例えば、2mM、5mM、10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mMまたは50mMの濃度で存在する。ある態様では、緩衝剤(例えば、ヒスチジンバッファー)は、15mM~25mM、例えば、20mMの濃度で存在する。他の態様では、緩衝剤(例えば、ヒスチジンバッファー)は、4~7、例えば、5~6、例えば、5、5.5または6のpHを有する。ある態様では、緩衝剤(例えば、ヒスチジンバッファー)は、5~6、例えば、5.5のpHを有する。ある特定の態様では、緩衝剤は、15mM~25mM(例えば、20mM)の濃度のヒスチジンバッファーを含み、5~6(例えば、5.5)のpHを有する。ある特定の態様では、緩衝剤は、ヒスチジンおよびヒスチジン-HClを含む。
【0411】
ある態様では、再構成された製剤は、80~120mg/mL、例えば、100mg/mLの濃度で存在する抗LAG-3抗体分子;および15mM~25mM(例えば、20mM)の濃度のヒスチジンバッファーを含み、5~6(例えば、5.5)のpHを有する緩衝剤を含む。
【0412】
ある態様では、再構成された製剤は、炭水化物をさらに含む。ある特定の態様では、炭水化物は、スクロースである。ある態様では、炭水化物(例えば、スクロース)は、50mM~500mM、例えば、100mM~400mM、150mM~300mM、180mM~250mM、200mM~240mM、210mM~230mM、100mM~300mM、100mM~250mM、100mM~200mM、100mM~150mM、300mM~400mM、200mM~400mMまたは100mM~400mM、例えば、100mM、150mM、180mM、200mM、220mM、250mM、300mM、350mMまたは400mMの濃度で存在する。ある態様では、製剤は、200mM~250mM、例えば、220mMの濃度で存在する炭水化物またはスクロースを含む。
【0413】
ある態様では、再構成された製剤は、80~120mg/mL、例えば、100mg/mLの濃度で存在する抗LAG-3抗体分子;15mM~25mM(例えば、20mM)の濃度のヒスチジンバッファーを含み、5~6(例えば、5.5)のpHを有する緩衝剤;および200mM~250mM、例えば、220mMの濃度で存在する炭水化物またはスクロースを含む。
【0414】
ある態様では、再構成された製剤は、界面活性物質をさらに含む。ある特定の態様では、界面活性物質は、ポリソルベート20である。ある態様では、界面活性物質またはポリソルベート20は、0.005%~0.1%(w/w)、例えば、0.01%~0.08%、0.02%~0.06%、0.03%~0.05%、0.01%~0.06%、0.01%~0.05%、0.01%~0.03%、0.06%~0.08%、0.04%~0.08%または0.02%~0.08%(w/w)、例えば、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%または0.1%(w/w)の濃度で存在する。ある態様では、製剤は、0.03%~0.05%、例えば、0.04%(w/w)の濃度で存在する界面活性物質またはポリソルベート20を含む。
【0415】
ある態様では、再構成された製剤は、80~120mg/mL、例えば、100mg/mLの濃度で存在する抗LAG-3抗体分子;15mM~25mM(例えば、20mM)の濃度のヒスチジンバッファーを含み、5~6(例えば、5.5)のpHを有する緩衝剤;200mM~250mM、例えば、220mMの濃度で存在する炭水化物またはスクロース;および0.03%~0.05%、例えば、0.04%(w/w)の濃度で存在する界面活性物質またはポリソルベート20を含む。
【0416】
ある態様では、再構成された製剤は、100mg/mLの濃度で存在する抗LAG-3抗体分子;20mMの濃度のヒスチジンバッファー(例えば、ヒスチジン/ヒスチジン-HCL)を含み、5.5のpHを有する緩衝剤;220mMの濃度で存在する炭水化物またはスクロース;および0.04%(w/w)の濃度で存在する界面活性物質またはポリソルベート20を含む。
【0417】
ある態様では、少なくとも1mL(例えば、少なくとも1.2mL、1.5mL、2mL、2.5mLまたは3mL)の抽出可能な容量の再構成された製剤を、再構成された製剤を含有する容器(例えば、バイアル)から取り出すことができるように、製剤は、再構成される。ある特定の態様では、製剤は、臨床現場で、容器(例えば、バイアル)から再構成および/または抽出される。ある特定の態様では、製剤(例えば、再構成された製剤)は、例えば、患者への注入開始前の1時間以内に(例えば、45分、30分または15分以内に)輸液バッグに注射される。
【0418】
本明細書に記載されている製剤において使用することができる他の例示的な緩衝剤として、アルギニンバッファー、クエン酸塩バッファーまたはリン酸塩バッファーが挙げられるがこれらに限定されない。本明細書に記載されている製剤において使用することができる他の例示的な炭水化物として、トレハロース、マンニトール、ソルビトールまたはこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない。本明細書に記載されている製剤は、浸透圧のための薬剤、例えば、塩化ナトリウムおよび/または安定化剤、例えば、アミノ酸(例えば、グリシン、アルギニン、メチオニンまたはこれらの組合せ)を含有することもできる。
【0419】
抗体分子は、当該技術分野で公知の種々の方法によって投与することができるが、多くの治療適用に関して、好まれる投与経路/機序は、静脈内注射または注入である。例えば、抗体分子は、約35~440mg/m2、典型的には、約70~310mg/m2、より典型的には、約110~130mg/m2の用量に達するように、20mg/分超、例えば、20~40mg/分、典型的には、40mg/分以上の速度の静脈内注入によって投与することができる。態様では、抗体分子は、約1~100mg/m2、好ましくは、約5~50mg/m2、約7~25mg/m2、より好ましくは、約10mg/m2の用量に達するように、10mg/分未満;好ましくは5mg/分以下の速度の静脈内注入によって投与することができる。当業者によって認められるように、投与経路および/または機序は、所望の結果に応じて変動するであろう。ある特定の態様では、活性化合物は、インプラント、経皮パッチおよびマイクロカプセル化されたデリバリーシステムを含む放出制御製剤等、急速な放出から化合物を保護するであろう担体と共に調製することができる。エチレン酢酸ビニール、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸等、生分解性、生体適合性ポリマーを使用することができる。かかる製剤の調製のための多くの方法は、特許が取得されている、または一般に当業者に公知である。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems, J. R. Robinson, ed., Marcel Dekker, Inc., New York, 1978を参照されたい。
【0420】
ある特定の態様では、抗体分子は、例えば、不活性希釈液または同化可能な食用担体と共に経口投与することができる。化合物(および必要に応じて他の成分)は、硬または軟殻ゼラチンカプセルに封入、錠剤へと圧縮、または対象の食事へと直接的に取り込むこともできる。経口治療的投与のため、化合物は、賦形剤と共に取り込み、摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、ウエハその他の形態で使用することができる。非経口的以外の投与によって本発明の化合物を投与するために、その不活性化を防止するための材料で化合物をコーティングする、またはそれと化合物を同時投与することが必要となり得る。治療組成物は、当該技術分野で公知の医療機器により投与することもできる。
【0421】
投薬量レジメンは、最適な所望の応答(例えば、治療応答)をもたらすように調整される。例えば、単一ボーラスを投与することができる、いくつかの分割された用量を経時的に投与することができる、または用量は、治療状況の緊急事態によって示される通りに比例的に低下もしくは増加させることができる。投与を容易にするためおよび投薬量の均一性のために、投薬量単位形態において非経口的組成物を製剤化することが特に有利である。投薬量単位形態は、本明細書において、処置するべき対象の単位投薬量として適した物理的に別々の単位を指す;各単位は、要求される医薬品担体と関連して所望の治療効果を産生するように計算された既定の含量の活性化合物を含有する。本発明の投薬量単位形態のための明細は、(a)活性化合物の特有の特徴および達成されるべき特定の治療効果、ならびに(b)個体における感受性の処置のためのかかる活性化合物の配合の技術分野に固有の限界によって指示され、これに直接的に依存する。
【0422】
抗体分子の治療または予防有効量の例示的な非限定的な範囲は、50mg~1500mg、典型的に、80mg~1200mgである。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、約60mg~約100mg(例えば、約80mg)、約200mg~約300mg(例えば、約240mg)または約1000mg~約1500mg(例えば、約1200mg)の用量(例えば、一定用量)で、注射(例えば、皮下または静脈内による)によって投与される。投薬スケジュール(例えば、一定投薬スケジュール)は、例えば、週1回から2、3、4、5または6週間に1回に変動し得る。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、2週間に1回または4週間に1回、約60mg~100mg(例えば、約80mg)の用量で投与される。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、2週間に1回または4週間に1回、約200mg~約300mg(例えば、約240mg)の用量で投与される。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、2週間に1回または4週間に1回、約1000mg~約1500mg(例えば、約1200mg)の用量で投与される。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、4週間に1回、約80mgの用量で投与される。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、4週間に1回、約240mgの用量で投与される。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、4週間に1回、約1200mgの用量で投与される。理論に制約されることは望まないが、ある態様では、一定または固定の投薬は、例えば、薬物供給を節約し、薬事過誤を低下させるために、患者にとって有益となり得る。
【0423】
抗体分子は、約35~440mg/m2、典型的には、約70~310mg/m2、より典型的には、約110~130mg/m2の用量に達するように、20mg/分超、例えば、20~40mg/分、典型的には、40mg/分以上の速度の静脈内注入によって投与することができる。態様では、約110~130mg/m2の注入速度は、約3mg/kgのレベルを達成する。他の態様では、抗体分子は、約1~100mg/m2、例えば、約5~50mg/m2、約7~25mg/m2または約10mg/m2の用量に達するように、10mg/分未満、例えば、5mg/分以下の速度の静脈内注入によって投与することができる。ある態様では、抗体は、約30分間の期間にわたって注入される。投薬量の値が、軽減しようとする状態の種類および重症度により変動し得ることに留意されたい。いずれか特定の対象のために、特異的な投薬量レジメンを、個々の必要、および組成物を投与するまたは投与を監督する専門家判断に従って経時的に調整するべきであること、また、本明細書に表記されている投薬量範囲が、単に例示的であり、請求されている組成物の範囲または実施を限定することを目的としないことをさらに理解されたい。
【0424】
本発明の医薬組成物は、本発明の抗体または抗体部分の「治療有効量」または「予防有効量」を含むことができる。「治療有効量」は、所望の治療結果の達成に必要な投薬量および期間で有効な量を指す。改変された抗体または抗体断片の治療有効量は、個体の病状、年齢、性別および体重、ならびに個体において所望の応答を誘発する抗体または抗体部分の能力等の因子に従って変動し得る。治療有効量は、改変された抗体または抗体断片のいかなる有毒または有害効果よりも、治療的に有益な効果が勝る量でもある。「治療的に有効な投薬量」は、好ましくは、測定可能なパラメータ、例えば、腫瘍成長速度を、処置されていない対象と比べて、少なくとも約20%、より好ましくは、少なくとも約40%、さらにより好ましくは、少なくとも約60%、またより好ましくは、少なくとも約80%阻害する。測定可能なパラメータ、例えば、がんを阻害する化合物の能力は、ヒト腫瘍における有効性を予測する動物モデル系において評価することができる。あるいは、組成物のこの特性は、阻害する化合物の能力を試験することにより評価することができ、当業者に公知のアッセイによりインビトロでのかかる阻害を評価することができる。
【0425】
「予防有効量」は、所望の予防的結果の達成に必要な投薬量および期間で有効な量を指す。典型的には、予防的用量は、疾患に先立ちまたはそのより初期ステージで対象において使用されるため、予防有効量は、治療有効量未満となるであろう。
【0426】
本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子、組成物または製剤を含むキットも、本開示の範囲内にある。キットは、次のものを含む1種または複数の他の要素を含むことができる:使用説明書(例えば、本明細書に記載されている投薬量レジメンに従った);他の試薬、例えば、標識、治療剤、または抗体を標識もしくは治療剤にキレート化もしくは他の仕方でカップリングするのに有用な薬剤、または放射線防護組成物;投与のために抗体を調製するための装置または他の材料;薬学的に許容される担体;および対象への投与のための装置または他の材料。
【0427】
抗LAG-3抗体分子の使用
本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子を使用して、対象における免疫応答を修飾することができる。ある態様では、免疫応答は、増強、刺激または上方調節される。ある特定の態様では、免疫応答は、阻害、低下または下方調節される。例えば、このような抗体分子は、培養物中の細胞に、例えば、インビトロもしくはエクスビボ(ex vivo)で、または対象中の細胞に、例えば、インビボで投与して、がん、免疫障害および感染性疾患等の種々の障害を処置、予防および/または診断することができる。
【0428】
本明細書において、用語「対象」は、ヒトおよび非ヒト動物を含むことが意図される。ある態様では、対象は、異常LAG-3機能によって特徴付けされた障害または状態を有するヒト対象、例えば、ヒト患者である。一般に、対象は、抗体分子が結合するLAG-3エピトープを含む少なくともある程度のLAG-3タンパク質、例えば、LAG-3への抗体結合を支持するのに十分な高さのレベルのタンパク質およびエピトープを有する。用語「非ヒト動物」は、非ヒト霊長類等、哺乳類および非哺乳類を含む。ある態様では、対象は、ヒトである。ある態様では、対象は、免疫応答の増強を必要とするヒト患者である。本明細書に記載されている方法および組成物は、免疫応答をモジュレート(例えば、増大または阻害)することにより処置することができる障害を有するヒト患者の処置に適する。ある特定の態様では、患者は、本明細書に記載されている障害、例えば、乳がん、例えば、三種陰性乳がん(TNBC)を有するまたはこれを有するリスクがある。ある特定の態様では、TNBCを有する患者は、他の乳がんサブタイプよりも免疫原性があり、PD-L1のより高い発現を有する、および/または腫瘍浸潤リンパ球(TIL)による増加した浸潤を有する[Loi et al. (2014) Ann Oncol; 25: 1544-50;Mittendorf et al. (2014) Cancer Immunol Res; 2:361-70]。ある態様では、患者は、肝臓転移を示さない。
【0429】
併用免疫療法アプローチは、共阻害性受容体の相乗的遮断が、単一の薬剤よりも優れた抗腫瘍活性を実証することを示唆する[Wolchok et al. (2013) New Engl J Med; 369: 122-33]。LAG-3は、PD-1と協同して免疫応答を阻害し得る共阻害性受容体である(Anderson et al. (2016) Immunity; 44: 989-1004)。PD-1およびLAG-3チェックポイントの組み合わせた阻害は、いずれかのチェックポイント単独の阻害よりも抗腫瘍応答を相乗的に増強する[Woo et al. (2012) Cancer Res; 72: 917-27]。
【0430】
また、細胞傷害性薬剤が、免疫応答にとってより好ましくなるように腫瘍-宿主環境に影響を与え、結果的に、細胞傷害性薬剤と免疫療法との組合せが、治療有効性を増加させるように相乗作用を与え得ることの証拠が増えつつある[Zitvogel et al. (2013) Immunity; 39: 74-88]。重要なことに、化学療法は、免疫原性細胞死を誘導することができ、このことは、効率的な抗原提示を容易にし、前臨床モデルにおいて強力なT細胞応答を誘発することが示された[Kroemer et al. (2013) Immunol; 31:51-72;Pfirschke et al. (2016) Immunity; 44:343-54;Lu et al. (2017) Biomedical Res; 28:828-34]。理論に制約されることは望まないが、ある態様では、化学療法(例えば、白金剤)は、腫瘍抗原特異的エフェクター細胞への分化にLAG3阻害のみを要求するであろう、LAG-3+CD8+T細胞を生じること好むであろう、T細胞活性化初期の環境(例えば、増加した抗原濃度および/または抗原利用能)を作製するであろうことが考えられる。白金剤の主要な作用機序は、それのDNAへの共有結合の応答としての、がん細胞アポトーシスの誘導であると考えられるが、近年の研究は、DNA以外の細胞分子が、標的として潜在的に作用し得ること、また、白金薬物の抗腫瘍効果の一部が、免疫系のモジュレーションを介して起こることを示した[Hato et al. (2014) Clin Cancer Res; 20: 2831-7]。このような免疫原性効果は、STATシグナル伝達のモジュレーション[Lesterhuis et al. (2011) J Clin Invest; 121:3100-08];カルレティキュリンの曝露ならびにATPおよび高移動度タンパク質box-1(HMGB-1)の放出を介した免疫原性型のがん細胞死の誘導[Kroemer et al. (2013) Immunol; 31:51-72;Tesniere et al. (2010) Oncogenel; 29: 482-91];ならびにプログラム死受容体1-リガンドおよびマンノース-6-リン酸受容体発現のモジュレーションを介したエフェクター免疫応答の増強[Liu et al. (2010) Br J Cancer; 102:115-23]を含む。理論に制約されることは望まないが、ある態様では、白金が、免疫原性細胞死、CTL溶解に対する腫瘍細胞感作、およびPD-Lの下方調節をもたらし得るという点において、免疫チェックポイント遮断と白金の組み合わせが、免疫療法を増強するであろうことが考えられる。
【0431】
ある態様では、対象は、抗LAG-3抗体分子を受ける前に、治療剤、手順またはモダリティで処置されていない。他の態様では、対象は、抗LAG-3抗体分子を受ける前に、治療剤、手順またはモダリティで処置された。
【0432】
ある特定の態様では、対象は、抗LAG-3抗体分子を受ける前に、抗LAG-3療法で処置されていない。他の態様では、対象は、抗LAG-3抗体分子を受ける前に、抗LAG-3療法で処置された。
【0433】
ある特定の態様では、対象は、抗LAG-3抗体分子を受ける前に、PD-1/PD-L1療法で処置されていない。他の態様では、対象は、抗LAG-3抗体分子を受ける前に、PD-1/PD-L1療法で処置された。
【0434】
ある特定の態様では、対象は、抗LAG-3抗体分子を受ける前に、化学療法剤[例えば、白金剤(例えば、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチンまたはテトラプラチン)またはヌクレオチドアナログもしくは前駆体アナログ(例えば、カペシタビン)]で処置されていない。他の態様では、対象は、抗LAG-3抗体分子を受ける前に、化学療法剤[例えば、白金剤(例えば、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチンまたはテトラプラチン)またはヌクレオチドアナログもしくは前駆体アナログ(例えば、カペシタビン)]で処置された。
【0435】
ある特定の態様では、対象は、腫瘍浸潤リンパ球においてLAG-3発現を有すると同定されている。他の態様では、対象は、腫瘍浸潤リンパ球において検出可能レベルのLAG-3発現がない。
【0436】
がんを処置する方法
ある面では、本開示は、がん性腫瘍の成長が阻害または低下されるような、抗LAG-3抗体分子(例えば、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子)または抗LAG-3抗体分子を含む組成物もしくは製剤(例えば、本明細書に記載されている組成物または製剤)を使用した、インビボでの対象の処置に関する。
【0437】
ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、がんまたはその転移性病変の処置に有効な量で投与される。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、2週間に1回、3週間に1回または4週間に1回、約100mg~約2000mgの用量で投与される。例えば、抗LAG-3抗体分子は、3週間に1回または4週間に1回、約200mg~約1000mg、約300mg~約900mg、約200mg~約600mg、約300mg~約500mg、約600~約1000mg、約700mg~約900mgまたは約400mg~約800mgの用量で投与することができる。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、3週間に1回、約300mg~500mg(例えば、約400mg)の用量で投与される。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、4週間に1回、約700mg~約900mg(例えば、約800mg)の用量で投与される。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、4週間に1回、約500mg~約700mg(例えば、約533mgまたは約600mg)の用量で投与される。
【0438】
抗LAG-3抗体、または抗LAG-3抗体分子を含む組成物もしくは製剤を単独で使用して、がん性腫瘍の成長を阻害することができる。あるいは、抗LAG-3抗体、または抗LAG-3抗体分子を含む組成物もしくは製剤は、次のうち1種または複数と組み合わせて使用することができる:標準治療処置(例えば、がんまたは感染性障害のための)、別の抗体もしくはその抗原結合性断片、免疫調節薬(例えば、共刺激性分子の活性化因子または阻害性分子の阻害剤);ワクチン、例えば、治療用がんワクチン;または本明細書に記載されている細胞性免疫療法の他の形態。
【0439】
したがって、ある態様では、本開示は、対象における腫瘍細胞の成長を阻害する方法であって、例えば、本明細書に記載されている投薬量レジメンに従って、治療有効量の本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子を対象に投与することを含む方法を提供する。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、本明細書に記載されている組成物または製剤の形態で投与される。
【0440】
ある態様では、方法は、インビボでのがんの処置に適する。免疫の抗原特異的増強を達成するために、抗LAG-3抗体分子は、目的の抗原と共に投与することができる。抗LAG-3抗体が、1種または複数の薬剤と組み合わせて投与される場合、組合せは、いずれかの順序でまたは同時に投与することができる。
【0441】
別の面では、対象を処置する、例えば、対象における過剰増殖状態または障害(例えば、がん)、例えば、固形腫瘍、血液学的がん、軟部組織腫瘍または転移性病変を低下または緩解する方法が提供される。方法は、本明細書に開示されている投薬量レジメンに従って、本明細書に開示されている抗LAG-3抗体分子、または抗LAG-3抗体分子を含む組成物もしくは製剤を対象に投与することを含む。
【0442】
本明細書において、用語「がん」は、病理組織学的な種類または侵襲性のステージに関係なく、あらゆる種類のがん性成長または発癌過程、転移性組織または悪性形質転換された細胞、組織もしくは臓器を含むことを意味する。がん性障害の例として、固形腫瘍、血液学的がん、軟部組織腫瘍および転移性病変が挙げられるがこれらに限定されない。固形腫瘍の例として、肝臓、肺、乳房、リンパ系、胃腸管(例えば、結腸)、尿生殖器(例えば、腎臓、尿路上皮、膀胱細胞)、前立腺、CNS(例えば、脳、神経またはグリア細胞)、皮膚、膵臓および咽頭に罹患するもの等、様々な臓器系の悪性病変、例えば、肉腫および癌腫(腺癌および扁平上皮癌を含む)が挙げられる。腺癌は、大部分の結腸がん、直腸がん、腎臓細胞癌、肝臓がん、肺の非小細胞癌、小腸のがんおよび食道のがん等、悪性病変を含む。扁平上皮癌は、例えば、肺、食道、皮膚、頭頸部領域、口腔、肛門および子宮頸部における悪性病変を含む。ある態様では、がんは、メラノーマ、例えば、進行性ステージのメラノーマである。本発明の方法および組成物を使用して、上述のがんの転移性病変を処置または予防することもできる。
【0443】
本明細書に開示されている抗体分子、組成物または製剤を使用してその成長を阻害することができる例示的ながんは、典型的には免疫療法に応答性のがんを含む。処置のための典型的ながんの非限定的な例として、黒色腫(例えば、転移性悪性黒色腫)、腎がん(例えば、明細胞癌)、前立腺がん(例えば、ホルモン難治性前立腺腺癌)、乳がん、結腸がんおよび肺がん(例えば、非小細胞肺がん)が挙げられる。その上、本明細書に記載されている抗体分子を使用して、不応性または反復性悪性病変を処置することができる。
【0444】
処置することができる他のがんの例として、基底細胞癌、胆道がん;膀胱がん;骨がん;脳およびCNSがん;原発性CNSリンパ腫;中枢神経系(CNS)の新生物;乳がん;子宮頸部がん;絨毛癌;結腸および直腸がん;結合組織がん;消化器系のがん;子宮内膜がん;食道がん;眼がん;頭頸部のがん;胃がん;上皮内新生物;腎臓がん;喉頭がん;白血病(急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性または急性白血病を含む);肝臓がん;肺がん(例えば、小細胞および非小細胞);ホジキンおよび非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫;リンパ球性リンパ腫;黒色腫、例えば、皮膚性または眼内悪性黒色腫;骨髄腫;神経芽細胞腫;口腔がん(例えば、唇、舌、口および咽頭);卵巣がん;膵がん;前立腺がん;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;直腸がん;呼吸器系のがん;肉腫;皮膚がん;胃がん;精巣がん;甲状腺がん;子宮がん;泌尿器系のがん、肝細胞癌、肛門領域のがん、卵管の癌、腟の癌、外陰部の癌、小腸のがん、内分泌系のがん、副甲状腺のがん、副腎のがん、軟部組織の肉腫、尿道のがん、陰茎のがん、小児期の固形腫瘍、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮がん、扁平上皮がん、T細胞リンパ腫、アスベストによって誘導されるがんを含む環境により誘導されるがんならびに他の癌および肉腫、ならびに前記がんの組合せが挙げられるがこれらに限定されない。
【0445】
ある態様では、障害は、がん、例えば、本明細書に記載されているがんである。ある特定の態様では、がんは、固形腫瘍である。ある態様では、がんは、脳腫瘍、例えば、神経膠芽腫、膠肉腫または反復性脳腫瘍である。ある態様では、がんは、膵がん、例えば、進行型膵がんである。ある態様では、がんは、皮膚がん、例えば、黒色腫(例えば、ステージII~IV黒色腫、HLA-A2陽性黒色腫、切除不能黒色腫または転移性黒色腫)またはメルケル細胞癌である。ある態様では、がんは、腎がん、例えば、腎細胞癌(RCC)(例えば、転移性腎細胞癌)または処置ナイーブ転移性腎臓がんである。ある態様では、がんは、乳がん、例えば、転移性乳癌またはステージIV乳癌、例えば、三種陰性乳がん(TNBC)である。ある態様では、がんは、ウイルス関連がんである。ある態様では、がんは、肛門管がん(例えば、肛門管の扁平上皮癌)である。ある態様では、がんは、子宮頸部がん(例えば、子宮頸部の扁平上皮癌)である。ある態様では、がんは、胃がん[例えば、エプスタイン・バーウイルス(EBV)陽性胃がん、または胃もしくは食道胃接合部癌]である。ある態様では、がんは、頭頸部がん[例えば、HPV陽性および陰性の頭頸部の扁平上皮がん(SCCHN)]である。ある態様では、がんは、鼻咽頭がん(NPC)である。ある態様では、がんは、陰茎がん(例えば、陰茎の扁平上皮癌)である。ある態様では、がんは、腟または外陰部がん(例えば、腟または外陰部の扁平上皮癌)である。ある態様では、がんは、結腸直腸がん、例えば、再発性結腸直腸がんまたは転移性結腸直腸がん、例えば、マイクロサテライト不安定性結腸直腸がん、マイクロサテライト安定性結腸直腸がん、ミスマッチ修復能力がある結腸直腸がんまたはミスマッチ修復欠損結腸直腸がんである。ある態様では、がんは、肺がん、例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)である。ある特定の態様では、がんは、血液学的がんである。ある態様では、がんは、白血病である。ある態様では、がんは、リンパ腫、例えば、ホジキンリンパ腫(HL)またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)(例えば、再発性または難治性HLまたはDLBCL)である。ある態様では、がんは、骨髄腫である。ある態様では、がんは、MSI高がんである。ある態様では、がんは、転移性がんである。他の態様では、がんは、進行型がんである。他の態様では、がんは、再発性または難治性がんである。
【0446】
ある態様では、がんは、メルケル細胞癌である。他の態様では、がんは、黒色腫である。他の態様では、がんは、乳がん、例えば、三種陰性乳がん(TNBC)またはHER2陰性乳がんである。他の態様では、がんは、腎細胞癌[例えば、明細胞腎細胞癌(CCRCC)または非明細胞腎細胞癌(nccRCC)]である。他の態様では、がんは、甲状腺がん、例えば、組織非形成性甲状腺癌(ATC)である。他の態様では、がんは、神経内分泌腫瘍(NET)、例えば、非定型肺性カルチノイド腫瘍、または膵臓、胃腸(GI)管もしくは肺におけるNETである。ある特定の態様では、がんは、非小細胞肺がん(NSCLC)(例えば、扁平上皮NSCLCまたは非扁平上皮NSCLC)である。ある特定の態様では、がんは、卵管がんである。ある特定の態様では、がんは、マイクロサテライト不安定性-高 結腸直腸がん(MSI高 CRC)またはマイクロサテライト安定性結腸直腸がん(MSS CRC)である。
【0447】
他の態様では、がんは、白血病またはリンパ腫が挙げられるがこれらに限定されない、血液学的悪性病変またはがんである。例えば、抗LAG-3抗体分子を使用して、がんおよび悪性病変を処置することができ、そのようながんおよび悪性病変として、例えば、次のものが挙げられるがこれらに限定されない:急性白血病、例えば、B細胞急性リンパ性白血病(「BALL」)、T細胞急性リンパ性白血病(「TALL」)、急性リンパ性白血病(ALL);慢性白血病、例えば、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ球性白血病(CLL);追加的な血液学的がんまたは血液学的状態、例えば、B細胞前リンパ球性白血病、芽細胞性形質細胞様樹状細胞新生物、バーキットリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、ヘアリー細胞白血病、小細胞または大細胞濾胞性リンパ腫、悪性リンパ増殖性状態、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、多発性骨髄腫、脊髄形成異常症および骨髄異形成症候群、非ホジキンリンパ腫、形質芽球性リンパ腫、形質細胞様樹状細胞新生物、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、ならびに骨髄系血液細胞の無効な産生(または異形成)によって結ばれた様々な血液学的状態の集まりである「前白血病」その他。
【0448】
本明細書において、用語「対象」は、ヒトおよび非ヒト動物を含むことが意図される。ある態様では、対象は、ヒト対象、例えば、異常なLAG-3機能によって特徴付けされた障害または状態を有するヒト患者である。一般に、対象は、抗体分子が結合するLAG-3エピトープを含む少なくともある程度のLAG-3タンパク質、例えば、LAG-3への抗体結合を支持するのに十分な高さのレベルのタンパク質およびエピトープを有する。用語「非ヒト動物」は、非ヒト霊長類等、哺乳類および非哺乳類を含む。ある態様では、対象は、ヒトである。ある態様では、対象は、免疫応答の増強を必要とするヒト患者である。本明細書に記載されている方法および組成物は、免疫応答をモジュレート(例えば、増大または阻害)することにより処置することができる障害を有するヒト患者の処置に適する。
【0449】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子、または抗LAG-3抗体分子を含む組成物もしくは製剤は、単一の薬剤として投与される。他の態様では、抗LAG-3抗体分子、または抗LAG-3抗体分子を含む組成物もしくは製剤は、第2の治療剤またはモダリティ、例えば、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤または化学療法剤と組み合わせて投与される。ある態様では、PD-1阻害剤は、抗PD-1抗体分子、例えば、本明細書に記載されている抗PD-1抗体である。ある態様では、PD-L1阻害剤は、抗PD-L1抗体分子、例えば、本明細書に記載されている抗PD-L1抗体分子である。ある態様では、化学療法剤は、白金剤である。ある特定の態様では、白金剤は、カルボプラチンである。ある特定の態様では、白金剤は、シスプラチンである。ある特定の態様では、白金剤は、オキサリプラチンである。ある特定の態様では、白金剤は、テトラプラチンである。
【0450】
ある態様では、化学療法剤は、ヌクレオチドアナログまたは前駆体アナログである。ある特定の態様では、ヌクレオチドアナログまたは前駆体アナログは、カペシタビンである。
【0451】
ある特定の態様では、がんは、固形腫瘍である。ある態様では、抗LAG-3抗体分子、または抗LAG-3抗体分子を含む組成物もしくは製剤は、単一の薬剤として投与されて、固形腫瘍を処置する。他の態様では、抗LAG-3抗体分子、または抗LAG-3抗体分子を含む組成物もしくは製剤は、第2の治療剤またはモダリティ、例えば、PD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤と組み合わせて投与されて、固形腫瘍を処置する。ある態様では、PD-1阻害剤は、抗PD-1抗体分子、例えば、本明細書に記載されている抗PD-1抗体である。ある特定の態様では、抗PD-1抗体分子は、PDR001(スパルタリズマブ)である。ある特定の態様では、抗PD-1抗体分子は、REGN2810である。他の態様では、抗PD-1抗体分子は、ニボルマブである。ある態様では、PD-L1阻害剤は、抗PD-L1抗体分子、例えば、本明細書に記載されている抗PD-L1抗体分子である。
【0452】
ある特定の態様では、がんは、乳がん、例えば、三種陰性乳がん(TNBC)である。ある態様では、抗LAG-3抗体分子、または抗LAG-3抗体分子を含む組成物もしくは製剤は、単一の薬剤として投与されて、乳がん(例えば、TNBC)を処置する。他の態様では、抗LAG-3抗体分子、または抗LAG-3抗体分子を含む組成物もしくは製剤は、第2の治療剤、例えば、PD-1阻害剤と組み合わせて投与されて、乳がん(例えば、TNBC)を処置する。ある態様では、PD-1阻害剤は、抗PD-1抗体分子、例えば、本明細書に記載されている抗PD-1抗体である。ある特定の態様では、抗PD-1抗体分子は、PDR001(スパルタリズマブ)である。ある特定の態様では、抗PD-1抗体分子は、REGN2810である。他の態様では、抗PD-1抗体分子は、ニボルマブである。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、3週間に1回、約300mg~約500mg(例えば、約400mg)の用量で投与され、PD-1阻害剤は、3週間に1回、約200mg~約400mg(例えば、約300mg)の用量で投与されて、乳がん(例えば、TNBC)を処置する。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子(例えば、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子)は、4週間に1回、約600mg~約1000mg(例えば、約800mg)の用量で投与され、PD-1阻害剤(例えば、本明細書に記載されている抗PD-1抗体分子)は、4週間に1回、約300mg~約500mg(例えば、約400mg)の用量で投与されて、乳がん(例えば、TNBC)を処置する。
【0453】
ある特定の態様では、がんは、乳がん、例えば、三種陰性乳がん(TNBC)である。ある態様では、抗LAG-3抗体分子、または抗LAG-3抗体分子を含む組成物もしくは製剤は、第2の治療剤、例えば、化学療法剤と組み合わせて投与されて、乳がん(例えば、TNBC)を処置する。ある態様では、化学療法剤は、白金剤である。ある特定の態様では、白金剤は、カルボプラチンである。ある特定の態様では、白金剤は、シスプラチンである。ある特定の態様では、白金剤は、オキサリプラチンである。ある特定の態様では、白金剤は、テトラプラチンである。ある態様では、化学療法剤は、ヌクレオチドアナログまたは前駆体アナログである。ある特定の態様では、ヌクレオチドアナログまたは前駆体アナログは、カペシタビンである。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、3週間に1回、約300mg~約500mg(例えば、約400mg)の用量で投与され、化学療法剤は、3週間に1回、約4~約8または約5~約7の曲線下面積(AUC)(例えば、約6のAUC)を達成する用量で投与されて、乳がん(例えば、TNBC)を処置する。
【0454】
ある特定の態様では、がんは、乳がん、例えば、三種陰性乳がん(TNBC)である。ある態様では、抗LAG-3抗体分子、または抗LAG-3抗体分子を含む組成物もしくは製剤は、PD-1阻害剤および化学療法剤と組み合わせて投与されて、乳がん(例えば、TNBC)を処置する。ある態様では、PD-1阻害剤は、抗PD-1抗体分子、例えば、本明細書に記載されている抗PD-1抗体である。ある特定の態様では、抗PD-1抗体分子は、PDR001(スパルタリズマブ)である。ある特定の態様では、抗PD-1抗体分子は、REGN2810である。他の態様では、抗PD-1抗体分子は、ニボルマブである。ある態様では、化学療法剤は、白金剤である。ある特定の態様では、白金剤は、カルボプラチンである。ある特定の態様では、白金剤は、シスプラチンである。ある特定の態様では、白金剤は、オキサリプラチンである。ある特定の態様では、白金剤は、テトラプラチンである。ある態様では、化学療法剤は、ヌクレオチドアナログまたは前駆体アナログである。ある特定の態様では、ヌクレオチドアナログまたは前駆体アナログは、カペシタビンである。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、3週間に1回、約300mg~約500mg(例えば、約400mg)の用量で投与され、PD-1阻害剤は、3週間に1回、約200mg~約400mg(例えば、約300mg)の用量で投与され、化学療法剤は、3週間に1回、約4~約8または約5~約7のAUC(例えば、約6のAUC)を達成する用量で投与されて、乳がん(例えば、TNBC)を処置する。
【0455】
ある特定の態様では、がんは、脳腫瘍である。ある態様では、脳腫瘍は、神経膠芽腫(例えば、反復性神経膠芽腫)である。ある態様では、抗LAG-3抗体分子、または抗LAG-3抗体分子を含む組成物もしくは製剤は、単一の薬剤として投与されて、脳腫瘍を処置する。他の態様では、抗LAG-3抗体分子、または抗LAG-3抗体分子を含む組成物もしくは製剤は、第2の治療剤またはモダリティ、例えば、PD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤と組み合わせて投与されて、脳腫瘍を処置する。ある態様では、PD-1阻害剤は、抗PD-1抗体分子、例えば、本明細書に記載されている抗PD-1抗体である。ある特定の態様では、抗PD-1抗体分子は、PDR001(スパルタリズマブ)である。他の態様では、抗PD-1抗体分子は、ニボルマブである。ある態様では、PD-L1阻害剤は、抗PD-L1抗体分子、例えば、本明細書に記載されている抗PD-L1抗体分子である。
【0456】
ある特定の態様では、がんは、膵がんである。ある態様では、膵がんは、進行型膵がんである。ある態様では、抗LAG-3抗体分子、または抗LAG-3抗体分子を含む組成物もしくは製剤は、単一の薬剤として投与されて、膵がんを処置する。他の態様では、抗LAG-3抗体分子、または抗LAG-3抗体分子を含む組成物もしくは製剤は、第2の治療剤またはモダリティと組み合わせて投与されて、膵がんを処置する。ある態様では、第2の治療剤またはモダリティは、化学療法剤(例えば、ゲムシタビン)を含む。
【0457】
ある特定の態様では、がんは、黒色腫である。ある態様では、黒色腫は、HLA-A2陽性、ステージII、IIIまたはIV黒色腫、切除不能黒色腫または転移性黒色腫である。ある態様では、抗LAG-3抗体分子、または抗LAG-3抗体分子を含む組成物もしくは製剤は、単一の薬剤として投与されて、黒色腫を処置する。他の態様では、抗LAG-3抗体分子、または抗LAG-3抗体分子を含む組成物もしくは製剤は、第2の治療剤またはモダリティと組み合わせて投与されて、黒色腫を処置する。ある態様では、第2の治療剤またはモダリティは、HLA-A2ペプチドである。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子、または抗LAG-3抗体分子を含む組成物もしくは製剤、および適宜HLA-A2ペプチドは、無病黒色腫患者に投与される。ある態様では、第2の治療剤またはモダリティは、PD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤を含む。ある態様では、PD-1阻害剤は、抗PD-1抗体分子、例えば、本明細書に記載されている抗PD-1抗体である。ある特定の態様では、抗PD-1抗体分子は、PDR001である。ある態様では、PD-L1阻害剤は、抗PD-L1抗体分子、例えば、本明細書に記載されている抗PD-L1抗体分子である。
【0458】
ある特定の態様では、がんは、腎がんである。ある態様では、腎がんは、腎細胞癌(RCC)、例えば、転移性腎細胞癌である。ある態様では、抗LAG-3抗体分子、または抗LAG-3抗体分子を含む組成物もしくは製剤は、単一の薬剤として投与されて、腎がんを処置する。他の態様では、抗LAG-3抗体分子、または抗LAG-3抗体分子を含む組成物もしくは製剤は、第2の治療剤またはモダリティ、例えば、PD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤と組み合わせて投与されて、腎がんを処置する。ある態様では、PD-1阻害剤は、抗PD-1抗体分子、例えば、本明細書に記載されている抗PD-1抗体である。ある特定の態様では、抗PD-1抗体分子は、PDR001である。ある態様では、PD-L1阻害剤は、抗PD-L1抗体分子、例えば、本明細書に記載されている抗PD-L1抗体分子である。
【0459】
ある特定の態様では、がんは、乳がんである。ある態様では、乳がんは、転移性乳癌である。ある態様では、乳がんは、三種陰性乳がん(TNBC)である。ある態様では、抗LAG-3抗体分子、または抗LAG-3抗体分子を含む組成物もしくは製剤は、単一の薬剤として投与されて、乳がんを処置する。他の態様では、抗LAG-3抗体分子、または抗LAG-3抗体分子を含む組成物もしくは製剤は、第2の治療剤またはモダリティと組み合わせて投与されて、乳がんを処置する。ある特定の態様では、第2の治療剤またはモダリティは、化学療法剤(例えば、パクリタキセル)である。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、4週間に1回、約700mg~約900mgの用量で投与されて、乳がん(例えば、TNBC)を処置する。
【0460】
ある特定の態様では、がんは、ウイルス関連腫瘍である。ある態様では、ウイルス関連腫瘍は、肛門管がん(例えば、肛門管の扁平上皮癌)、子宮頸部がん(例えば、子宮頸部の扁平上皮癌)、胃がん[例えば、エプスタイン・バーウイルス(EBV)陽性胃がん、または胃もしくは食道胃接合部癌]、頭頸部がん[例えば、HPV陽性および陰性の頭頸部の扁平上皮がん(SCCHN)]、鼻咽頭がん(NPC)、陰茎がん(例えば、陰茎の扁平上皮癌)、腟または外陰部がん(例えば、腟または外陰部の扁平上皮癌)から選択される。ある態様では、抗LAG-3抗体分子、または抗LAG-3抗体分子を含む組成物もしくは製剤は、単一の薬剤として投与されて、ウイルス関連腫瘍を処置する。他の態様では、抗LAG-3抗体分子、または抗LAG-3抗体分子を含む組成物もしくは製剤は、第2の治療剤またはモダリティ、例えば、PD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤と組み合わせて投与されて、ウイルス関連腫瘍を処置する。ある態様では、PD-1阻害剤は、抗PD-1抗体分子、例えば、本明細書に記載されている抗PD-1抗体である。ある特定の態様では、抗PD-1抗体分子は、PDR001である。他の態様では、抗PD-1抗体分子は、ニボルマブである。ある態様では、PD-L1阻害剤は、抗PD-L1抗体分子、例えば、本明細書に記載されている抗PD-L1抗体分子である。
【0461】
ある特定の態様では、がんは、肛門管がん(例えば、肛門管の扁平上皮癌)、子宮頸部がん(例えば、子宮頸部の扁平上皮癌)、胃がん[例えば、エプスタイン・バーウイルス(EBV)陽性胃がん、または胃もしくは食道胃接合部癌]、頭頸部がん[例えば、HPV陽性および陰性の頭頸部の扁平上皮がん(SCCHN)]、鼻咽頭がん(NPC)、陰茎がん(例えば、陰茎の扁平上皮癌)、または腟もしくは外陰部がん(例えば、腟または外陰部の扁平上皮癌)から選択される。ある態様では、抗LAG-3抗体分子、または抗LAG-3抗体分子を含む組成物もしくは製剤は、単一の薬剤として投与されて、がんを処置する。他の態様では、抗LAG-3抗体分子、または抗LAG-3抗体分子を含む組成物もしくは製剤は、第2の治療剤またはモダリティ、例えば、PD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤と組み合わせて投与されて、がんを処置する。ある態様では、PD-1阻害剤は、抗PD-1抗体分子、例えば、本明細書に記載されている抗PD-1抗体である。ある特定の態様では、抗PD-1抗体分子は、PDR001である。他の態様では、抗PD-1抗体分子は、ニボルマブである。ある態様では、PD-L1阻害剤は、抗PD-L1抗体分子、例えば、本明細書に記載されている抗PD-L1抗体分子である。
【0462】
ある特定の態様では、がんは、結腸直腸がんである。ある態様では、結腸直腸がんは、再発性結腸直腸がん、転移性結腸直腸がん、マイクロサテライト不安定性結腸直腸がん、マイクロサテライト安定性結腸直腸がん、ミスマッチ修復能力がある結腸直腸がん、またはミスマッチ修復欠損結腸直腸がんである。ある態様では、抗LAG-3抗体分子、または抗LAG-3抗体分子を含む組成物もしくは製剤は、単一の薬剤として投与されて、結腸直腸がんを処置する。他の態様では、抗LAG-3抗体分子、または抗LAG-3抗体分子を含む組成物もしくは製剤は、第2の治療剤またはモダリティ、例えば、PD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤と組み合わせて投与されて、結腸直腸がんを処置する。ある態様では、PD-1阻害剤は、抗PD-1抗体分子、例えば、本明細書に記載されている抗PD-1抗体である。ある特定の態様では、抗PD-1抗体分子は、PDR001である。他の態様では、抗PD-1抗体分子は、ニボルマブである。ある態様では、PD-L1阻害剤は、抗PD-L1抗体分子、例えば、本明細書に記載されている抗PD-L1抗体分子である。
【0463】
ある特定の態様では、がんは、肺がんである。ある態様では、肺がんは、非小細胞肺がん(NSCLC)である。ある態様では、抗LAG-3抗体分子、または抗LAG-3抗体分子を含む組成物もしくは製剤は、単一の薬剤として投与されて、肺がんを処置する。他の態様では、抗LAG-3抗体分子、または抗LAG-3抗体分子を含む組成物もしくは製剤は、第2の治療剤またはモダリティ、例えば、PD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤と組み合わせて投与されて、肺がんを処置する。ある態様では、PD-1阻害剤は、抗PD-1抗体分子、例えば、本明細書に記載されている抗PD-1抗体である。ある特定の態様では、抗PD-1抗体分子は、PDR001である。他の態様では、抗PD-1抗体分子は、ニボルマブである。ある態様では、PD-L1阻害剤は、抗PD-L1抗体分子、例えば、本明細書に記載されている抗PD-L1抗体分子である。
【0464】
ある特定の態様では、がんは、血液学的がんである。ある態様では、血液学的がんは、リンパ腫、例えば、ホジキンリンパ腫(HL)またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DCBCL)(例えば、再発性または難治性HLまたはDCBCL)である。ある態様では、抗LAG-3抗体分子、または抗LAG-3抗体分子を含む組成物もしくは製剤は、単一の薬剤として投与されて、血液学的がんを処置する。他の態様では、抗LAG-3抗体分子、または抗LAG-3抗体分子を含む組成物もしくは製剤は、第2の治療剤またはモダリティと組み合わせて投与されて、血液学的がんを処置する。
【0465】
本明細書に開示されている方法および組成物は、上述のがんに関連する転移性病変の処置に有用である。
【0466】
ある態様では、方法は、腫瘍試料が、PD-L1、CD8およびIFN-γのうち1種または複数に関して陽性であるか否か、また、腫瘍試料が、マーカーのうち1種または複数、例えば、2または全3種に関して陽性であるか決定し、次いで、治療有効量の抗LAG-3抗体分子を、本明細書に記載されている1種または複数の他の免疫調節薬または抗がん剤と適宜組み合わせて患者に投与することをさらに含む。
【0467】
ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、LAG-3を発現するがんの処置に使用される。LAG-3発現がんは、例えば、結腸直腸がん[Xiao and Freeman Cancer Discov. 2015; 5(1):16-8]、乳がん[Bottai et al. Breast Cancer Res. 2016; 18(1): 121]、前立腺がん[Sfanos et al. Clin Cancer Res. 2008; 14(11):3254-61]、肺がん[He et al. J Thorac Oncol. 2017; 12(5): 814-823]および肝臓がん[Pedroza-Gonzalez et al. Oncoimmunology. 2015; 4(6):e1008355]を含む。LAG-3発現がんは、転移性がんとなることができる。
【0468】
他の態様では、抗LAG-3抗体分子は、マイクロサテライト不安定性-高(MSI-H)またはミスマッチ修復欠損(dMMR)によって特徴付けされるがんの処置に使用される。患者のMSI-HまたはdMMR腫瘍状態の同定は、例えば、MSI-H状態のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査、またはdMMRの免疫組織化学(IHC)検査を使用して決定することができる。MSI-HまたはdMMR腫瘍状態の同定方法は、例えば、Ryan et al. Crit Rev Oncol Hematol. 2017; 116:38-57;Dietmaier and Hofstadter. Lab Invest 2001, 81:1453-1456;Kawakami et al. Curr Treat Options Oncol. 2015; 16(7): 30に記載されている。
【0469】
本明細書に記載されている併用療法は、1種または複数の追加的な治療剤、例えば、1種または複数の抗がん剤、細胞傷害性もしくは細胞分裂阻害性薬剤、ホルモン処置、ワクチン、および/または他の免疫療法と同時製剤化および/または同時投与される、本発明の組成物を含むことができる。他の態様では、抗体分子は、外科手術、放射線照射、冷凍外科療法および/または温熱療法を含む他の治療的処置モダリティと組み合わせて投与される。かかる併用療法は、投与される治療剤のより低い投薬量を有利に利用することができ、これにより、様々な単独療法に伴う可能性のある毒性または合併症を回避する。
【0470】
本明細書に記載されている方法、組成物および組合せ(例えば、抗LAG-3抗体およびこれを使用する方法)は、他の薬剤または治療モダリティ、例えば、その内容全体を参照により本明細書に組み込むWO2017/019897の表6に収載されている薬剤のうち1種または複数から選択される第2の治療剤と組み合わせて使用することができる。ある態様では、WO2017/019894に記載されている方法は、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子[PD-1、PD-L1、LAG-3、TIM-3、CEACAM(例えば、CEACAM-1および/またはCEACAM-5)またはCTLA-4)のうち1種または複数の阻害剤と組み合わせてもよい]を対象に投与することを含み、WO2017/019897の表6に収載されている薬剤のうち1種または複数から選択される第2の治療剤の投与を、障害、例えば、本明細書に記載されている障害、例えば、がんの処置または予防に有効な量でさらに含む。組み合わせて投与される場合、抗LAG-3抗体分子、追加的な薬剤(例えば、第2または第3の薬剤)またはその全ては、個々に、例えば、単独療法として使用される各薬剤の量または投薬量よりも多い、少ないまたは同じ量または用量で投与することができる。ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子、追加的な薬剤(例えば、第2または第3の薬剤)またはその全ての投与される量または投薬量は、個々に、例えば、単独療法として使用される各薬剤の量または投薬量よりも少ない(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%または少なくとも50%)。他の態様では、所望の効果(例えば、がんの処置)をもたらす抗LAG-3抗体分子、追加的な薬剤(例えば、第2または第3の薬剤)またはその全ての量または投薬量は、より少ない(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%または少なくとも50%少ない)。
【0471】
他の態様では、追加的な治療剤は、WO2017/019894の表6に収載されている薬剤のうち1種または複数から選択される。ある態様では、追加的な治療剤は、1)タンパク質キナーゼC(PKC)阻害剤;2)熱ショックタンパク質90(HSP90)阻害剤;3)ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)および/またはラパマイシンの標的(mTOR)の阻害剤;4)チトクロムP450の阻害剤(例えば、CYP17阻害剤または17アルファ-ヒドロキシラーゼ/C17-20リアーゼ阻害剤);5)鉄キレート化剤;6)アロマターゼ阻害剤;7)p53の阻害剤、例えば、p53/Mdm2相互作用の阻害剤;8)アポトーシスインデューサー;9)血管新生阻害剤;10)アルドステロンシンターゼ阻害剤;11)スムーズンド(SMO)受容体阻害剤;12)プロラクチン受容体(PRLR)阻害剤;13)Wntシグナル伝達阻害剤;14)CDK4/6阻害剤;15)線維芽細胞増殖因子受容体2(FGFR2)/線維芽細胞増殖因子受容体4(FGFR4)阻害剤;16)マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)の阻害剤;17)c-KIT、ヒスタミン放出、Flt3(例えば、FLK2/STK1)もしくはPKCのうち1種もしくは複数の阻害剤;18)VEGFR-2(例えば、FLK-1/KDR)、PDGFRベータ、c-KITもしくはRafキナーゼCのうち1種もしくは複数の阻害剤;19)ソマトスタチンアゴニストおよび/または成長ホルモン放出阻害剤;20)未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤;21)インスリン様増殖因子1受容体(IGF-1R)阻害剤;22)P-糖タンパク質1阻害剤;23)血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)阻害剤;24)BCR-ABLキナーゼ阻害剤;25)FGFR阻害剤;26)CYP11B2の阻害剤;27)HDM2阻害剤、例えば、HDM2-p53相互作用の阻害剤;28)チロシンキナーゼの阻害剤;29)c-METの阻害剤;30)JAKの阻害剤;31)DACの阻害剤;32)11β-ヒドロキシラーゼの阻害剤;33)IAPの阻害剤;34)PIMキナーゼの阻害剤;35)Porcupineの阻害剤;36)BRAF、例えば、BRAF V600Eもしくは野生型BRAFの阻害剤;37)HER3の阻害剤;38)MEKの阻害剤;または39)脂質キナーゼの阻害剤、例えば、WO2017/019894の表6に記載されているもののうち1種または複数から選択される。
【0472】
本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子を含む併用療法の追加的な態様は、その全体を参照により本明細書に組み込むWO2017/019894に記載されている。
【0473】
感染性疾患を処置する方法
抗LAG-3抗体分子(例えば、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子)、または抗LAG-3抗体分子を含む組成物もしくは製剤(例えば、本明細書に記載されている組成物または製剤)を使用して感染性疾患を処置する方法が、本明細書に開示されている。ある特定の態様では、抗体分子、組成物または製剤は、本明細書に記載されている投薬量レジメンに従って、対象に投与される。
【0474】
ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子は、感染性疾患またはその症状の処置に有効な量で投与される。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、2週間に1回、3週間に1回または4週間に1回、約100mg~約2000mgの用量で投与される。例えば、抗LAG-3抗体分子は、3週間に1回または4週間に1回、約200mg~約1000mg、約300mg~約900mg、約200mg~約600mg、約300mg~約500mg、約600~約1000mg、約700mg~約900mgまたは約400mg~約800mgの用量で投与することができる。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、3週間に1回、約300mg~500mg(例えば、約400mg)の用量で投与される。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、4週間に1回、約700mg~約900mg(例えば、約800mg)の用量で投与される。ある態様では、抗LAG-3抗体分子は、4週間に1回、約500mg~約700mg(例えば、約533mgまたは約600mg)の用量で投与される。
【0475】
本明細書に記載されているある特定の方法は、特定の毒素または病原体に曝露された対象の処置に使用される。理論に制約されることは望まないが、ある態様では、抗LAG-3抗体は、標的細胞のNK細胞媒介性死滅を刺激することができ、IFN-ガンマ分泌およびCD4+T細胞の増殖を増強することができると考えられる。したがって、ある特定の態様では、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子、組成物および製剤は、感染病原体に対する免疫応答の刺激における使用に適する。したがって、本発明の別の面は、対象における感染性疾患を処置する方法であって、対象が、感染性疾患に関して処置されるように、例えば、本明細書に記載されている投薬量レジメンに従って、抗LAG-3抗体分子、または抗LAG-3抗体分子を含む組成物もしくは製剤を対象に投与することを含む方法を提供する。感染(例えば、急性および/または慢性)の処置において、抗LAG-3抗体分子の投与は、感染に対する天然宿主免疫防御の刺激に加えてまたはその代わりに、従来の処置と組み合わせることができる。感染に対する天然宿主免疫防御として、炎症、発熱、抗体媒介性宿主防御、リンホカイン分泌および細胞傷害性T細胞を含むTリンパ球媒介性宿主防御(特にウイルス感染における)、補体媒介性溶解およびオプソニン化(容易にされた貪食)ならびに貪食が挙げられるがこれらに限定されない。機能障害T細胞を再活性化する抗LAG-3抗体分子の能力は、特に、細胞媒介性免疫が完全回復に重要となる慢性感染の処置に有用となるであろう。
【0476】
先のセクションに記述されている腫瘍へのその適用と同様に、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子、組成物および製剤は、単独で、または第2の治療剤もしくはモダリティと組み合わせて、またはアジュバントとして、ワクチンと組み合わせて使用して、病原体または毒素に対する免疫応答を刺激することができる。この治療アプローチが特に有用となり得る病原体の例として、現在有効なワクチンがない病原体、または従来のワクチンが完全有効に満たない病原体が挙げられる。そのようなものとして、HIV、肝炎(A、B&C型)、インフルエンザ、ヘルペス、ジアルジア属(Giardia)、マラリア、リーシュマニア属(Leishmania)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)が挙げられるがこれらに限定されない。抗LAG-3抗体分子療法は、感染の経過にわたって変更された抗原提示するHIV等の病原体による確立された感染に対しても有用である。
【0477】
したがって、ある態様では、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子、組成物または製剤は、感染を有するまたは感染を有するリスクがある対象の処置に使用される。感染は、例えば、宿主における、宿主内で繁殖する外来性生物または病原体の存在に起因し得る疾患または状態を指す。感染は典型的に、感染性生物または病原体による、正常な粘膜または他の組織障壁の侵害が関与する。感染を有する対象は、客観的に測定可能な感染性生物または病原体が自身の身体に存在する対象である。感染を有するリスクがある対象は、感染を発症する素因がある対象である。かかる対象は、例えば、感染性生物または病原体への曝露が公知のまたは疑われる対象を含むことができる。感染を有するリスクがある対象は、感染性生物または病原体に対する免疫応答を開始する能力が損なわれたことに関連する状態を有する対象、例えば、先天性または後天性免疫不全を有する対象、放射線療法または化学療法を受けている対象、火傷を有する対象、外傷を有する対象、外科手術または他の侵襲的な医学的もしくは歯科的手順を受けている対象を含むこともできる。
【0478】
感染は、関与する感染性生物または病原体のカテゴリーに基づき、細菌、ウイルス、真菌または寄生虫として大まかに分類される。他のより一般的でない型の感染は、例えば、リケッチア、マイコプラズマ、ならびにスクレイピー、ウシ海綿状脳症(encephalopthy)(BSE)およびプリオン病[例えば、クールーおよびクロイツフェルト・ヤコブ(Jacob)病]を引き起こす病原体が関与する感染を含む。感染を引き起こす細菌、ウイルス、真菌および寄生虫の例は、本技術分野で周知である。感染は、急性、亜急性、慢性または潜在性となることができ、局在化または全身性となり得る。さらに、感染は、宿主における感染性生物または病原体の生活環の少なくとも一相において、主に細胞内または細胞外となることができる。
【0479】
ウイルス
ある特定の態様では、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子、組成物または製剤は、ウイルス感染またはウイルスに関連する疾患の処置に使用される。
【0480】
ヒトにおける感染を引き起こすことが見出されたウイルスの例として、レトロウイルス科(Retroviridae)[例えば、HIV-1(HTLV-IIIとも称される)、HIV-2、LAVもしくはHTLV-III/LAVまたはHIV-III、およびHIV-LP等の他の単離株等、ヒト免疫不全ウイルス];ピコルナウイルス科(Picornaviridae)(例えば、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス;エンテロウイルス、ヒトコクサッキーウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス);カリシウイルス科(Calciviridae)(例えば、胃腸炎を引き起こす株);トガウイルス科(Togaviridae)(例えば、馬脳炎ウイルス、風疹ウイルス);フラビウイルス科(Flaviviridae)(例えば、デングウイルス、脳炎ウイルス、黄熱ウイルス);コロナウイルス科(Coronaviridae)(例えば、コロナウイルス);ラブドウイルス科(Rhabdoviridae)(例えば、水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス);フィロウイルス科(Filoviridae)(例えば、エボラウイルス);パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)(例えば、パラインフルエンザウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、呼吸器多核体ウイルス);オルトミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)(例えば、インフルエンザウイルス);ブニヤウイルス科(Bungaviridae)[例えば、ハンタンウイルス、ブニヤ(bunga)ウイルス、フレボウイルスおよびナイロウイルス];アレナウイルス科(Arena viridae)(出血熱ウイルス);レオウイルス科(Reoviridae)(例えば、レオウイルス、オルビウイルス(orbiviurse)およびロタウイルス);ビルナウイルス科(Birnaviridae);ヘパドナウイルス科(Hepadnaviridae)(B型肝炎ウイルス);パルボウイルス科(Parvoviridae)(パルボウイルス);パポーバウイルス科(Papovaviridae)(パピローマウイルス、ポリオーマウイルス);アデノウイルス科(Adenoviridae)(大部分のアデノウイルス);ヘルペスウイルス科(Herpesviridae)[単純ヘルペスウイルス(HSV)1および2、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、ヘルペスウイルス];ポックスウイルス科(Poxyiridae)(痘瘡ウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス);およびイリドウイルス科(Iridoviridae)(例えば、アフリカブタ熱ウイルス);および未分類ウイルス{例えば、海綿状脳症の病因学的病原体、デルタ肝炎の病原体(B型肝炎ウイルスの欠陥サテライトであると考えられる)、非A、非B型肝炎[クラス1=経腸的に伝染;クラス2=非経口的に伝染(すなわち、C型肝炎)]の病原体;ノーウォークおよび関連ウイルス、ならびにアストロウイルス}が挙げられるがこれらに限定されない。本明細書における方法によって処置可能な感染を引き起こす病原性ウイルスの一部の例として、HIV、肝炎(A、BまたはC型)、ヘルペスウイルス(例えば、VZV、HSV-1、HAV-6、HSV-IIおよびCMV、エプスタイン・バーウイルス)、アデノウイルス、インフルエンザウイルス、フラビウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、コロナ(corno)ウイルス、呼吸器多核体ウイルス、ムンプスウイルス、ロタウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、パルボウイルス、ワクシニアウイルス、HTLVウイルス、デングウイルス、パピローマウイルス、軟属腫ウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、JCウイルスおよびアルボウイルス脳炎ウイルスが挙げられる。
【0481】
ウイルス原因に起因する感染のため、抗LAG-3抗体分子は、ウイルス感染を処置するための標準治療法の適用と同時の、それに先立つまたはその後の適用によって組み合わせることができる。かかる標準治療法は、ウイルスの種類に応じて変動するが、ほぼ全ての事例において、ウイルスに特異的な抗体(例えば、IgA、IgG)を含有するヒト血清の投与が有効となり得る。
【0482】
本方法によって処置することができる感染を引き起こす病原性ウイルスの一部の例として、HIV、肝炎(A、BまたはC型)、ヘルペスウイルス(例えば、VZV、HSV-1、HAV-6、HSV-IIおよびCMV、エプスタイン・バーウイルス)、アデノウイルス、インフルエンザウイルス、フラビウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、コロナ(corno)ウイルス、呼吸器多核体ウイルス、ムンプスウイルス、ロタウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、パルボウイルス、ワクシニアウイルス、HTLVウイルス、デングウイルス、パピローマウイルス、軟属腫ウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、JCウイルス、アルボウイルス脳炎ウイルスおよびエボラウイルス(例えば、BVBD、EBOV、RESTV、SUDV及びTAFV)が挙げられる。
【0483】
ある態様では、感染は、インフルエンザ感染である。インフルエンザ感染は、発熱、咳、筋肉痛、頭痛および倦怠感をもたらすことができ、これらは多くの場合、季節性伝染病において生じる。インフルエンザは、脳炎、心筋心膜炎、グッドパスチャー症候群およびライ症候群等、多数の感染後障害も伴う。インフルエンザからの患者の回復が、細菌性肺炎の発症リスク増加を有するように、インフルエンザ感染は、正常な肺の抗細菌防御も抑制する。インフルエンザウイルス表面タンパク質は、突然変異および組換えに起因する著しい抗原性変種を示す。よって、細胞溶解性Tリンパ球は、感染後のウイルス排除のための宿主の主要な媒体である。インフルエンザは、3つの主要な型に分類される:A、BおよびC型。インフルエンザA型は、ヒトおよび多くの他の動物[例えば、ブタ、ウマ、トリおよびアザラシ(seal)]の両方に感染し、新型インフルエンザの主原因であるという点が独特である。また、2種の異なるインフルエンザA型株によって細胞が感染する場合、2種の親ウイルス型のセグメント化されたRNAゲノムが複製の際に混合して、雑種複製体(replicant)を作製し、新たな伝染病株をもたらす。インフルエンザB型は、動物において複製しないため、遺伝的変種が少なく、インフルエンザC型は、単一の血清型のみを有する。
【0484】
大部分の従来の治療法は、感染に起因する症状の対症的であるが、宿主の免疫応答は、疾患を実際に排除する。しかし、ある特定の株(例えば、インフルエンザA型)は、より重篤な疾病および死亡を引き起こす場合がある。インフルエンザA型は、ウイルス複製を阻害する環状アミン阻害剤のアマンタジンおよびリマンタジンの投与により、臨床的および予防的の両方で処置することができる。しかし、これらの薬物の臨床有用性は、有害反応の相対的に高い発生率、その狭い抗ウイルススペクトル(インフルエンザA型のみ)および抵抗性となるウイルスの傾向により限定されている。主要インフルエンザ表面タンパク質である赤血球凝集素およびノイラミニダーゼに対する血清IgG抗体の投与は、肺感染を予防することができる一方、粘膜IgAは、上気道および気管の感染の予防に要求される。インフルエンザに対する最も有効な現在の処置は、ホルマリンまたはβ-プロピオラクトンにより不活性化されたウイルスの投与によるワクチン接種である。
【0485】
別の態様では、感染は、肝炎感染、例えば、BまたはC型肝炎感染である。
【0486】
B型肝炎ウイルス(HB-V)は、公知の血液媒介病原体の中で最も感染性である。これは、急性および慢性肝炎(heptatis)および肝癌ならびに生涯の慢性感染の主要原因である。感染後に、ウイルスは、肝細胞において複製し、続いてこれはまた、表面抗原HBsAgを排出する。血清における過剰レベルのHBsAgの検出は、B型肝炎感染を診断するための標準方法として使用される。急性感染は消散し得る、または慢性持続性感染へと発達し得る。慢性HBVのための現在の処置は、肝細胞表面におけるクラスIヒト白血球抗原(HLA)の発現を増加させ、これにより、細胞傷害性Tリンパ球によるその認識を容易にするα-インターフェロンを含む。その上、ヌクレオシドアナログのガンシクロビル、ファムシクロビルおよびラミブジンも、臨床治験におけるHBV感染の処置においてある程度の有効性を示した。HBVのための追加的な処置は、ペグ化a-インターフェロン、アデホビル(adenfovir)、エンテカビルおよびテルビブジンを含む。抗HBsAg血清抗体の非経口的(parental)投与により受動免疫が付与され得るが、不活性化または組換えHBsAgのワクチン接種も、感染に対する抵抗性を付与する。抗LAG-3抗体分子は、治療利点のために、B型肝炎感染の従来の処置と組み合わせることができる。
【0487】
C型肝炎ウイルス(HC-V)感染は、硬変を生じる慢性型の肝炎をもたらし得る。症状は、B型肝炎に起因する感染と同様であるが、HB-Vとは別個に対照的に、感染された宿主は、10~20年間無症候性となる場合がある。抗LAG-3抗体分子は、単独療法として、またはC型肝炎感染の標準治療と組み合わせて投与することができる。例えば、抗LAG-3抗体分子は、Sovaldi(ソホスブビル)、Olysio(シメプレビル)プラスリバビリンまたはペグ化インターフェロンのうち1種または複数と共に投与することができる。Incivek(テラプレビル)またはVictrelis(ボセプレビル)プラスリバビリンおよびペグ化インターフェロンを含むレジメンも承認されるが、これらは、副作用増加およびより長い処置持続時間を伴い、したがって、好まれるレジメンとは考慮されない。
【0488】
HC-V感染の従来の処置は、α-インターフェロンおよびリバビリンの組合せの投与を含む。HC-V感染の有望な潜在的治療法は、プロテアーゼ阻害剤テラプレビル(VX-960)である。追加的な処置は、抗PD-1抗体(MDX-1106、Medarex)、バビツキシマブ(B2-糖タンパク質I依存性様式でアニオン性リン脂質ホスファチジルセリンに結合する抗体、Peregrine Pharmaceuticals)、抗HPVウイルスコートタンパク質E2抗体(単数または複数)(例えば、ATL 6865-Ab68+Ab65、XTL Pharmaceuticals)およびCivacir(登録商標)(ポリクローナル抗HCVヒト免疫グロブリン)を含む。本発明の抗LAG-3抗体は、治療利点のために、これらのC型肝炎感染処置のうち1種または複数と組み合わせることができる。抗LAG-3抗体分子と組み合わせて使用して、C型肝炎感染を特に処置することができるプロテアーゼ、ポリメラーゼおよびNS5A阻害剤は、参照により本明細書に組み入れられるUS2013/0045202に記載されているものを含む。
【0489】
別の態様では、感染は、麻疹ウイルスである。9~11日間のインキュベーション後に、麻疹ウイルスに感染した宿主は、発熱、咳、コリーザおよび結膜炎を発症する。1~2日間以内に、紅斑性、斑状丘疹状皮疹を発症し、これは全身に急速に拡散する。感染は、細胞免疫も抑制するため、宿主は、中耳炎、肺炎および感染後脳脊髄炎を含む細菌性重感染を発症するリスクがより大きい。急性感染は、特に、栄養不良の青年期において、有意な罹患率および死亡率を伴う。
【0490】
麻疹の処置は、曝露1週間後までに中断される場合であっても、非免疫対象における感染を予防し得るプールされたヒトIgGの受動投与を含む。しかし、弱毒生ウイルスによる事前の免疫化は、最も有効な処置であり、免疫化された者の95%超において疾患を予防する。このウイルスには1種類の血清型が存在するため、1回の免疫化または感染が、典型的には、その後の感染からの一生の保護をもたらす。
【0491】
感染宿主の少ない比率において、麻疹は、中枢神経系の持続性感染に起因する慢性進行性神経性障害であるSSPEへと発達し得る。SSPEは、ビリオンアセンブリーおよび出芽に干渉する欠損を有する麻疹ウイルスのクローン変異体によって引き起こされる。このような患者のために、ウイルスクリアランスを容易にするための抗LAG-3抗体分子によるT細胞の再活性化が望ましくなるであろう。
【0492】
別の態様では、感染は、HIVである。HIVは、Tリンパ球、単球-マクロファージ、濾胞性樹状細胞およびランゲルハンス細胞を含むCD4+細胞を攻撃し、CD4+ヘルパー/インデューサー細胞が枯渇される。その結果として、宿主は、細胞媒介性免疫に重度欠損を得る。HIVによる感染は、個体の少なくとも50%においてAIDSをもたらし、性的接触、感染した血液または血液製剤の投与、感染した精液による人工授精、血液を含有する針または注射器への曝露、および出生の際の感染した母親から乳児への伝染を介して伝染される。
【0493】
HIVに感染した宿主は、無症候性となり得る、または単核球症に類似した急性疾病 - 発熱、頭痛、咽頭炎、倦怠感および発疹を発症し得る。症状は、持続性の発熱、寝汗、体重減少、未解明の下痢、湿疹、乾癬、脂漏性皮膚炎、帯状疱疹、口腔カンジダ症および口腔毛状白板症を含む進行性免疫機能障害へと進行し得る。寄生生物の宿主による日和見感染は、その感染がAIDSへと発達する患者に一般的である。
【0494】
HIVの処置は、ヌクレオシドアナログ、単独のまたはジダノシンまたはザルシタビンと組み合わせたジドブジン(AST)、ジデオキシイノシン、ジデオキシシチジン、ラミブジン、スタブジン;デラビルジン、ネビラピン、ロビリド等の逆転写阻害剤、ならびにサキナビル、リトナビル、インジナビルおよびネルフィナビル等のプロテイナーゼ阻害剤を含む抗ウイルス療法を含む。抗LAG-3抗体分子は、治療利点のために、HIV感染の従来の処置と組み合わせることができる。
【0495】
別の態様では、感染は、サイトメガロウイルス(CMV)である。CMV感染は、多くの場合、持続性、潜伏および反復性感染を伴う。CMVは、単球および顆粒球-単球前駆細胞に感染し、潜伏し続ける。CMVの臨床症状は、単核球症様症状(すなわち、発熱、腫大した腺、倦怠感)および抗生物質に対しアレルギー性皮疹を発症する傾向を含む。ウイルスは、直接的接触によって拡散される。ウイルスは、尿、唾液、精液中に、また、より少ない程度であるが、他の体液中に排出される。伝染は、感染した母親からその胎児または新生児へと、また、輸血および臓器移植により起こる場合もある。CMV感染は、非特異的マイトジェンおよび特異的CMV抗原に対する胚発生応答不全、細胞傷害性能力縮小、ならびにCD4+リンパ球のCD8リンパ球数の上昇によって特徴付けられる細胞免疫の全般的な機能障害をもたらす。
【0496】
CMV感染の処置は、抗ウイルス薬のガンシクロビル、ホスカルネットおよびシドビル(cidovir)を含むが、これらの薬物は、典型的には、免疫低下した患者においてのみ処方される。抗LAG-3抗体分子は、治療利点のために、サイトメガロウイルス感染の従来の処置と組み合わせることができる。
【0497】
別の態様では、感染は、エプスタイン・バーウイルス(EBV)である。EBVは、持続性および潜伏感染を確立することができ、B細胞を主に攻撃する。EBVによる感染は、発熱、咽頭炎、滲出液を伴うことが多く、全身性リンパ節腫大および脾腫を含む感染性単核球症の臨床状態をもたらす。肝炎も呈され、これは黄疸へと発達し得る。
【0498】
EBV感染の典型的な処置は、症状に対し対症的であるが、EBVは、バーキットリンパ腫および鼻咽頭がん等、ある特定のがんの発症を伴う。よって、これらの合併症結果前のウイルス感染のクリアランスは、大いに利益となるであろう。抗LAG-3抗体分子は、治療利点のために、エプスタイン・バーウイルス感染の従来の処置と組み合わせることができる。
【0499】
別の態様では、感染は、単純ヘルペスウイルス(HSV)である。HSVは、感染した宿主との直接的接触によって伝染される。直接感染は、無症候性となり得るが、典型的には、感染性粒子を含有する疱疹をもたらす。この疾患は、ウイルスが、その後の激増のために神経節に潜伏感染するため、病変が出現および消失する疾患の活動性期間のサイクルとして顕在化する。病変は、顔、生殖器、眼および/または手に存在し得る。場合によっては、感染は、脳炎を引き起こすこともできる。
【0500】
ヘルペス感染の処置は、主に、症候性激増の消散に向けられ、アシクロビル[例えば、Zovirax(登録商標)]、バラシクロビル、ファムシクロビル、ペンシクロビル等の全身性抗ウイルス薬、ならびにドコサノール[Abreva(登録商標)]、トロマンタジンおよびジラクチン(zilactin)等の局所的薬物適用を含む。ヘルペスの潜伏感染のクリアランスは、大いに臨床利益となるであろう。抗LAG-3抗体分子は、治療利点のために、ヘルペスウイルス感染の従来の処置と組み合わせることができる。
【0501】
別の態様では、感染は、ヒトTリンパ増殖性ウイルス(HTLV-1、HTLV-2)である。HTLVは、性的接触、授乳または汚染された血液への曝露を介して伝染される。ウイルスは、Th1細胞と呼ばれるTH細胞のサブセットを活性化し、その過剰増殖およびTh1関連サイトカイン(例えば、IFN-γおよびTNF-α)の過剰産生をもたらす。これは続いて、Th2リンパ球の抑制およびTh2サイトカイン産生(例えば、IL-4、IL-5、IL-10およびIL-13)の低下をもたらし、クリアランスのためにTh2依存性応答を要求する、侵入生物に対する適切な免疫応答を開始する感染した宿主の能力の低下を引き起こす(例えば、寄生性感染、粘膜および体液性抗体の産生)。
【0502】
HTLV感染は、多微生物性敗血症による死亡をもたらす、気管支拡張症、皮膚炎ならびにスタフィロコッカス属(Staphylococcus)spp.およびストロンギロイデス属(Strongyloides)spp.による重感染をもたらす日和見感染を生じる。HTLV感染は、成人T細胞白血病/リンパ腫およびHAM/TSPとして公知の進行性脱髄性上位運動ニューロン疾患を直接的に生じる場合もある。HTLV潜伏感染のクリアランスは、大いに臨床利益となるであろう。抗LAG-3抗体分子は、治療利点のために、HTLV感染の従来の処置と組み合わせることができる。
【0503】
別の態様では、感染は、ヒトパピローマウイルス(HPV)である。HPVは、ケラチノサイトに主に罹患し、2形態で生じる:皮膚および生殖器。伝染は、直接的接触および/または性行為により生じると考えられる。皮膚および生殖器HPV感染の両方は、疣贅および潜伏感染ならびに場合により再発感染をもたらすことができ、これは、症状を制御し疣贅の出現を遮断する宿主免疫によって制御されるが、宿主は、他者への感染の伝染が可能なままとなる。
【0504】
HPVによる感染は、子宮頸部、肛門、外陰部、陰茎および中咽頭がん等、ある特定のがんを生じることもできる。HPV感染に対する公知の治癒法はないが、現在の処置は、罹患区域を攻撃するように免疫系を刺激するイミキモドの局所適用である。HPV潜伏感染のクリアランスは、大いに臨床利益となるであろう。本発明の抗LAG-3抗体は、治療利点のために、HPV感染の従来の処置と組み合わせることができる。
【0505】
別の態様では、感染は、エボラウイルス(EBOV)である。EBOVは、エボラウイルス属内の5種の公知ウイルスの1種である。EBOVは、エボラウイルス疾患(EVD)として公知の、ヒトおよび哺乳類における重症で多くの場合致死的な出血熱を引き起こす。伝染は、感染した患者の血液、分泌物、臓器または他の体液(boldily fluid)との接触を介して起こる。現在、立証された処置またはワクチンは存在しない。
【0506】
細菌
ある特定の態様では、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子、組成物または製剤は、細菌感染または細菌に関連する疾患の処置に使用される。
【0507】
細菌は、グラム陰性およびグラム陽性細菌の両方を含む。グラム陽性細菌の例として、パスツレラ属(Pasteurella)の種、スタフィロコッカス属(Staphylococci)の種およびストレプトコッカス属(Streptococcus)の種が挙げられるがこれらに限定されない。グラム陰性細菌の例として、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、シュードモナス属(Pseudomonas)の種およびサルモネラ属(Salmonella)の種が挙げられるがこれらに限定されない。感染性細菌の具体例として、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophilia)、マイコバクテリウム属(Mycobacteria)spp.[例えば、M.ツベルクローシス(M. tuberculosis)、M.アビウム(M. avium)、M.イントラセルラーレ(M. intracellulare)、M.カンサシ(M. kansasii)、M.ゴルドナエ(M. gordonae)]、スタフィロコッカス・アウレウス、ナイセリア・ゴノレア(Neisseria gonorrhoeae)、ナイセリア・メニンギティディス(Neisseria meningitidis)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)(A群ストレプトコッカス属)、ストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalactiae)(B群ストレプトコッカス属)、ストレプトコッカス属(ビリダンス群)、ストレプトコッカス・フェカリス(Streptococcus faecalis)、ストレプトコッカス・ボビス(Streptococcus bovis)、ストレプトコッカス属(嫌気性spp.)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、病原性カンピロバクター属(Campylobacter)spp.、エンテロコッカス属(Enterococcus)spp.、ヘモフィルス・インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)、バチルス・アントラシス(Bacillus anthracis)、コリネバクテリウム・ジフテリエ(Corynebacterium diphtheriae)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)spp.、エリシペロスリクス・ルジオパシエ(Erysipelothrix rhusiopathiae)、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)、クロストリジウム・テタニ(Clostridium tetani)、エンテロバクター・エロゲネス(Enterobacter aerogenes)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、パスツレラ・マルトシダ(Pasturella multocida)、バクテロイデス属(Bacteroides)spp.、フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、ストレプトバチルス・モニリフォルミス(Streptobacillus moniliformis)、トレポネーマ・パリズム(Treponema pallidum)、トレポネーマ・ペルテニュ(Treponema pertenue)、レプトスピラ属(Leptospira)、マイコバクテリウム・レプラエ(Mycobacterium leprae)、リケッチア属(Rickettsia)およびアクチノマイセス・イスラエリー(Actinomyces israelii)が挙げられるがこれらに限定されない。本明細書における方法によって処置可能な感染を引き起こす病原性細菌の一部の例として、クラミジア、リケッチア細菌、マイコバクテリア、ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎球菌(pneumonococci)、髄膜炎菌および淋菌(conococci)、クレブシエラ、プロテウス、セラチア、シュードモナス、レジオネラ、ジフテリア、サルモネラ、桿菌、コレラ、テタヌス、ボツリヌス症、炭疽、ペスト、レプトスピラ症およびライム(Lymes)病細菌が挙げられる。
【0508】
本発明の方法によって処置することができる感染を引き起こす病原性細菌の一部の例として、梅毒、クラミジア、リケッチア細菌、マイコバクテリア、ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎球菌(pneumonococci)、髄膜炎菌および淋菌(conococci)、クレブシエラ、プロテウス、セラチア、シュードモナス、レジオネラ、ジフテリア、サルモネラ、桿菌、コレラ、破傷風、ボツリヌス中毒、炭疽菌、ペスト、レプトスピラ症ならびにライム病細菌が挙げられる。抗LAG-3抗体分子は、前述の感染の現存する処置モダリティと組み合わせて使用することができる。例えば、梅毒の処置は、ペニシリン(例えば、ペニシリンG)、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、セフトリアキソンおよびアジスロマイシンを含む。
【0509】
ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)に起因するライム病は、ダニ咬傷を介してヒトに伝染される。この疾患は、初期には局在化された発疹として、続いて倦怠感、発熱、頭痛、肩こりおよび関節痛を含むインフルエンザ様症状として顕在化する。その後の顕在化は、遊走性および多関節型関節炎、脳神経麻痺および神経根症による神経性および心臓性関与、心筋炎ならびに不整脈を含むことができる。ライム病の一部の症例は、持続性となり、第三期梅毒に類似の不可逆的損傷をもたらす。ライム病の現在の治療法は、抗生物質の投与を主に含む。抗生物質抵抗性株は、ヒドロキシクロロキンまたはメトトレキセートにより処置することができる。神経障害性疼痛を有する抗生物質不応性患者は、ガバペンチンにより処置することができる。ミノサイクリンは、神経学的または他の炎症性顕在化を有する後期/慢性ライム病に役立つことができる。
【0510】
B. recurentis、B. hermsii、B. turicatae、B. parikeri. 、B. hispanica、B. duttoniiおよびB. persicaに起因するもの等、他の形態のボレリア症(borreliois)ならびにレプトスピラ症(例えば、L. interrogans)は、血中力価が肝内閉塞を引き起こす濃度に達しない限り、典型的には自発的に消散する。
【0511】
真菌および寄生生物
ある特定の態様では、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子、組成物または製剤は、真菌もしくは寄生虫感染または真菌もしくは寄生虫に関連する疾患の処置に使用される。
【0512】
真菌の例として、アスペルギルス属(Aspergillus)spp.、ブラストミセス・デルマチチジス(Blastomyces dermatitidis)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、他のカンジダ属(Candida)spp.、コクシジオイデス・イミチス(Coccidioides immitis)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ヒストプラズマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、ノカルジア属(Nocardia)spp.、ニューモシスチス・カリニ(Pneumocystis carinii)が挙げられる。本明細書における方法によって処置することができる感染を引き起こす病原性真菌の一部の例として、Candida(albicans、krusei、glabrata、tropicalis等)、Cryptococcus neoformans、Aspergillus(fumigatus、niger等)、Mucorales属(mucor、absidia、rhizophus)、Sporothrix schenkii、Blastomyces dermatitidis、Paracoccidioides brasiliensis、Coccidioides immitisおよびHistoplasma capsulatumが挙げられる。
【0513】
寄生虫として、バベシア・ミクロチ(Babesia microti)、バベシア・ディバージェンス(Babesia divergens)、エントアメーバ・ヒストリチカ(Entamoeba histolytica)、ジアルジア・ランブリア(Giardia lamblia)、リーシュマニア・トロピカ(Leishmania tropica)、リーシュマニア属spp.、リーシュマニア・ブラジリエンシス(Leishmania braziliensis)、リーシュマニア・ドノバニ(Leishmania donovani)、プラスモジウム・ファルシパルム(Plasmodium falciparum)、プラスモジウム・マラリアエ(Plasmodium malariae)、プラスモジウム・オバレ(Plasmodium ovale)、プラスモジウム・ビバックス(Plasmodium vivax)およびトキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)、トリパノソーマ・ガンビエンス(Trypanosoma gambiense)およびトリパノソーマ・ロデシエンス(Trypanosoma rhodesiense)(アフリカ睡眠病)、トリパノソーマ・クルージ(Trypanosoma cruzi)(シャーガス病)およびトキソプラズマ・ゴンディ、扁形動物、回虫等、血液媒介性および/または組織寄生虫が挙げられるがこれらに限定されない。本明細書における方法によって処置することができる感染を引き起こす病原性寄生生物の一部の例として、Entamoeba histolytica、Balantidium coli、Naegleriafowleri、Acanthamoeba sp.、Giardia lambia、Cryptosporidium sp.、Pneumocystis carinii、Plasmodium vivax、Babesia microti、Trypanosoma brucei、Trypanosoma cruzi、Leishmania donovani、Toxoplasma gondiおよびNippostrongylus brasiliensisが挙げられる。
【0514】
本発明の方法によって処置可能な感染を引き起こす病原性真菌の一部の例として、カンジダ属[アルビカンス、クルーセイ(krusei)、グラブラタ(glabrata)、トロピカリス(tropicalis)等]、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、アスペルギルス属[フミガーツス(fumigatus)、ニゲル(niger)等]、ケカビ目(Mucorales)の属[ムコール属(mucor)、アブシディア属(absidia)、リゾプス属(rhizophus)]、スポロトリクス・シェンキイ(Sporothrix schenkii)、ブラストミセス・デルマチチジス、パラコクシジオイデス・ブラジリエンシス(Paracoccidioides brasiliensis)、コクシジオイデス・イミチスおよびヒストプラズマ・カプスラーツムが挙げられる。
【0515】
本明細書に記載されている方法によって処置可能な感染を引き起こす病原性寄生虫の一部の例として、エントアメーバ・ヒストリチカ、バランチジウム・コリ(Balantidium coli)、ネグレリア・フォーレリ(Naegleriafowleri)、アカントアメーバ属(Acanthamoeba)sp.、ジアルジア・ランブリア(Giardia lambia)、クリプトスポリジウム属(Cryptosporidium)sp.、ニューモシスチス・カリニ、プラスモジウム・ビバックス、バベシア・ミクロチ、トリパノソーマ・ブルセイ(Trypanosoma brucei)、トリパノソーマ・クルージ、リーシュマニア・ドノバニ、トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondi)およびニッポストロンギルス・ブラジリエンシス(Nippostrongylus brasiliensis)が挙げられる。
【0516】
核酸
本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子は、本明細書に記載されている核酸によってコードされ得る。核酸を使用して、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子を産生することができる。
【0517】
ある特定の態様では、核酸は、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子の重鎖および軽鎖可変領域およびCDRをコードするヌクレオチド配列を含む。例えば、本開示は、本明細書に開示の抗体分子、例えば、US2015/0259420の表1の抗体の1つまたは複数から選択される抗LAG-3抗体分子の重鎖および軽鎖可変領域をそれぞれコードする第1および第2の核酸を特色とする。核酸は、本明細書における表におけるアミノ酸配列のいずれか1種をコードするヌクレオチド配列、またはそれと実質的に同一の配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%以上同一の配列、または表1に提供されている配列とは3、6、15、30もしくは45ヌクレオチド以下異なる配列)を含むことができる。例えば、表1に要約されている通り、例えば、BAP050-hum01、BAP050-hum02、BAP050-hum03、BAP050-hum04、BAP050-hum05、BAP050-hum06、BAP050-hum07、BAP050-hum08、BAP050-hum09、BAP050-hum10、BAP050-hum11、BAP050-hum12、BAP050-hum13、BAP050-hum14、BAP050-hum15、BAP050-hum16、BAP050-hum17、BAP050-hum18、BAP050-hum19、BAP050-hum20、huBAP050(Ser)(例えば、BAP050-hum01-Ser、BAP050-hum02-Ser、BAP050-hum03-Ser、BAP050-hum04-Ser、BAP050-hum05-Ser、BAP050-hum06-Ser、BAP050-hum07-Ser、BAP050-hum08-Ser、BAP050-hum09-Ser、BAP050-hum10-Ser、BAP050-hum11-Ser、BAP050-hum12-Ser、BAP050-hum13-Ser、BAP050-hum14-Ser、BAP050-hum15-Ser、BAP050-hum18-Ser、BAP050-hum19-SerまたはBAP050-hum20-Ser)、BAP050-クローン-F、BAP050-クローン-G、BAP050-クローン-H、BAP050-クローン-IまたはBAP050-クローン-Jのいずれかのうち1種または複数から選択される抗LAG-3抗体分子のそれぞれ重鎖および軽鎖可変領域をコードする第1および第2の核酸、またはそれと実質的に同一の配列が、本明細書に開示されている。
【0518】
ある特定の態様では、核酸は、表1に示されるアミノ酸配列またはそれと実質的に相同な配列(例えば、本明細書の表に示されるアミノ酸配列と少なくとも約85%、90%、95%、99%以上同一の配列および/または1つまたは複数の置換、例えば、保存的置換を有する配列)を有する重鎖可変領域由来の少なくとも1つ、2つ、または3つのCDRをコードするヌクレオチド配列を含み得る。ある態様では、核酸は、表1に示されるアミノ酸配列またはそれと実質的に相同な配列(例えば、本明細書の表に示されるアミノ酸配列と少なくとも約85%、90%、95%、99%以上同一の配列および/または1つまたは複数の置換、例えば、保存的置換を有する配列)を有する軽鎖可変領域由来の少なくとも1つ、2つ、または3つのCDRをコードするヌクレオチド配列を含み得る。ある態様では、核酸は、表1に示されるアミノ酸配列またはそれと実質的に相同な配列(例えば、本明細書の表に示されるアミノ酸配列と少なくとも約85%、90%、95%、99%以上同一の配列および/または1つまたは複数の置換、例えば、保存的置換を有する配列)を有する重鎖および軽鎖可変領域由来の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのCDRをコードするヌクレオチド配列を含み得る。
【0519】
ある特定の態様では、核酸は、表1に示されるヌクレオチド配列、それと実質的に相同な配列(例えば、本明細書の表に示されるヌクレオチド配列と少なくとも約85%、90%、95%、99%以上同一の配列および/または本明細書に記載のストリンジェンシーな条件下でハイブリダイズすることのできる配列)を有する重鎖可変領域由来の少なくとも1つ、2つ、または3つのCDRをコードするヌクレオチド配列を含み得る。ある態様では、核酸は、表1に示されるヌクレオチド配列、またはそれと実質的に相同な配列(例えば、本明細書の表に示されるヌクレオチド配列と少なくとも約85%、90%、95%、99%以上同一の配列および/または本明細書に記載のストリンジェンシーな条件下でハイブリダイズすることのできる配列)を有する軽鎖可変領域由来の少なくとも1つ、2つ、または3つのCDRをコードするヌクレオチド配列を含み得る。ある特定の態様では、核酸は、表1に示されるヌクレオチド配列、またはそれと実質的に相同な配列(例えば、本明細書の表に示されるヌクレオチド配列と少なくとも約85%、90%、95%、99%以上同一の配列および/または本明細書に記載のストリンジェンシーな条件下でハイブリダイズすることのできる配列)を有する重鎖および軽鎖可変領域由来の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのCDRをコードするヌクレオチド配列を含み得る。本明細書に開示されている核酸は、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチド、またはこれらのアナログを含む。ポリヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖のいずれかとなることができ、一本鎖の場合、コード鎖または非コード(アンチセンス)鎖となることができる。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログ等、修飾ヌクレオチドを含むことができる。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド構成成分によって中断され得る。ポリヌクレオチドは、標識構成成分とのコンジュゲーションによる等、重合後にさらに修飾され得る。核酸は、組換えポリヌクレオチド、またはゲノム、cDNA、半合成もしくは合成起源のポリヌクレオチドとなることができ、これは、自然には起こらない、または非天然配置で別のポリヌクレオチドに連結される。
【0520】
ある特定の態様では、抗LAG-3抗体分子をコードするヌクレオチド配列は、コドン最適化される。
【0521】
ある態様では、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子の重鎖および軽鎖可変領域およびCDRをコードするヌクレオチド配列を含む核酸が、開示されている。例えば、本開示は、表1に従った抗LAG-3抗体分子のそれぞれ重鎖および軽鎖可変領域をコードする第1および第2の核酸、またはそれと実質的に同一の配列を提供する。例えば、核酸は、表1に従った抗LAG-3抗体分子をコードするヌクレオチド配列、または当該ヌクレオチド配列と実質的に同一の配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%以上同一の配列、または上述のヌクレオチド配列とは3、6、15、30もしくは45ヌクレオチド以下異なる配列)を含むことができる。
【0522】
ある特定の態様では、核酸は、表1に表記されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域由来の少なくとも1、2または3個のCDRまたは高頻度可変性ループをコードするヌクレオチド配列、またはそれと実質的に相同な配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%以上同一の配列、および/または1、2、3個以上の置換、挿入もしくは欠失、例えば、保存された置換を有する配列)を含むことができる。
【0523】
ある特定の態様では、核酸は、表1に表記されているアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域由来の少なくとも1、2または3個のCDRまたは高頻度可変性ループをコードするヌクレオチド配列、またはそれと実質的に相同な配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%以上同一の配列、および/または1、2、3個以上の置換、挿入もしくは欠失、例えば、保存された置換を有する配列)を含むことができる。
【0524】
ある態様では、核酸は、表1に表記されているアミノ酸配列を有する重鎖および軽鎖可変領域由来の少なくとも1、2、3、4、5または6個のCDRまたは高頻度可変性ループをコードするヌクレオチド配列、またはそれと実質的に相同な配列(例えば、それと少なくとも約85%、90%、95%、99%以上同一の配列、および/または1、2、3個以上の置換、挿入もしくは欠失、例えば、保存された置換を有する配列)を含むことができる。
【0525】
ある態様では、核酸は、単離される、または組換えである。
【0526】
本明細書に記載されている核酸は、本明細書により詳細に記載されている通り、同じ宿主細胞または別々の宿主細胞に存在する単一のベクターまたは別々のベクターに存在することができる。
【0527】
ベクターおよび宿主細胞
本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子は、本明細書に記載されている核酸を含有する宿主細胞およびベクターを使用して産生することができる。核酸は、単一のベクター中に存在してもよく、または同じ宿主細胞に存在する別個のベクターに存在してもよく、または別個の宿主細胞に存在してもよい。
【0528】
ある態様では、ベクターは、本明細書に記載の抗体分子をコードするヌクレオチド配列を含む。ある態様では、ベクターは、本明細書に記載のヌクレオチド配列を含む。ベクターとしては、限定されないが、ウイルス、プラスミド、コスミド、ラムダファージ、または酵母人工染色体(YAC)が挙げられる。
【0529】
数々のベクター系を利用することができる。例えば、あるクラスのベクターは、動物ウイルス、例えば、ウシパピローマウイルス、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルス、レトロウイルス(ラウス肉腫ウイルス、MMTVもしくはMOMLV)またはSV40ウイルス由来のDNAエレメントを利用する。別のクラスのベクターは、RNAウイルス、例えばセムリキ森林ウイルス、東部ウマ脳炎ウイルスおよびフラビウイルス由来のRNAエレメントを利用する。
【0530】
さらに、DNAが染色体に安定的に統合された細胞を、トランスフェクトされた宿主細胞の選択を可能にする1つまたは複数のマーカーを導入することにより選択してもよい。マーカーは、栄養要求性宿主に、例えば原栄養性、殺生物剤耐性(例えば、抗生物質)、または銅などの重金属への耐性を付与し得る。選択性マーカー遺伝子は、発現されるDNA配列に直接連結させてもよく、または同じ細胞に共形質転換により導入してもよい。さらに追加的なエレメントが、mRNAの最適な合成のために必要であり得る。これらのエレメントは、スプライスシグナル、転写プロモーター、エンハンサー、および終止シグナルを含んでもよい。
【0531】
コンストラクトを含有する発現ベクターまたはDNA配列は、発現のために調製されたら、発現ベクターを適切な宿主細胞にトランスフェクトまたは導入してもよい。この達成のために様々な技術、例えば、プロトプラスト融合、リン酸カルシウム沈殿、電気穿孔法、レトロウイルス形質導入、ウイルストランスフェクション、遺伝子銃、脂質ベースのトランスフェクションまたは他の従来技術を利用することができる。プロトプラスト融合の場合には、細胞を培地中で増殖させ、適切な活性のためにスクリーニングする。得られたトランスフェクトされた細胞を培養するためおよび産生された抗体分子を回収するための方法および条件は、当業者にとって既知であり、利用する具体的な発現ベクターおよび哺乳動物宿主細胞に応じて、本開示に基づき、変化または最適化させてもよい。
【0532】
ある特定の態様では、宿主細胞は、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体分子をコードする核酸を含む。他の態様では、宿主細胞は、抗LAG-3抗体分子をコードする核酸を含むように遺伝子操作される。
【0533】
ある態様では、宿主細胞は、発現カセットの使用によって遺伝子的に改変されている。表現「発現カセット」は、配列が適合する宿主において遺伝子の発現に影響を与えることのできるヌクレオチド配列を指す。そのようなカセットは、プロモーター、イントロン有りまたは無しのオープンリーディングフレーム、および終止シグナルを含んでもよい。発現を有効にするために必要なまたは役立つさらなる因子、例えば、誘導性プロモーターを使用してもよい。ある特定の態様では、宿主細胞は、本明細書に記載されているベクターを含む。
【0534】
細胞は、限定されないが、真核細胞、細菌細胞、昆虫細胞、またはヒト細胞であり得る。適切な真核細胞には、限定されないが、Vero細胞、HeLa細胞、COS細胞、CHO細胞、HEK293細胞、BHK細胞およびMDCKII細胞が含まれる。適切な昆虫細胞としては、限定されないが、Sf9細胞が挙げられる。
【0535】
ある態様では、宿主細胞は、真核細胞、例えば、哺乳類細胞、昆虫細胞、酵母細胞または原核細胞、例えば、E.コリ(E. coli)である。例えば、哺乳類細胞は、培養細胞または細胞株となることができる。例示的な哺乳類細胞は、リンパ球性細胞株(例えば、NSO)、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、COS細胞、卵母細胞、およびトランスジェニック動物由来の細胞、例えば、乳腺上皮細胞を含む。
【実施例0536】
以下の実施例は、本発明の理解を促進するために示されるものであり、本発明の範囲の限定を意図するものではなく、いかなる意味でも本発明の範囲を限定すると解釈されるべきでない。
本研究において次の方法を使用した。2区画、線形集団PKモデルを使用して、抗LAG-3抗体濃度を表した。標的媒介性薬物消長(target mediated drug disposition)を表す標準結合モデルを使用して、可溶性LAG-3データを表した;準平衡近似を使用した。共変数解析を使用して、クリアランスならびに中心および末梢両方の容量における体重の影響を推定した。グラフィカル解析を使用して、抗LAG-3抗体クリアランスにおける抗PD-1抗体の同時投与の影響を評価した。次に、モデルシミュレーションを行って、血清中の可溶性LAG-3および腫瘍中の膜結合型LAG-3の両方について、抗LAG-3抗体用量および遊離LAG-3の間の関係性を同定した。
本研究から次の結果を得た。用量ならびに血清中および腫瘍中の遊離LAG-3の間の関係性を特徴付けた。抗LAG-3抗体PKは、2~4週間毎に80mgを下回る用量では非線形に、3~4週間毎に240mgを上回る用量では線形に見える。固定および体重に基づく投薬レジメンは、定常状態においてトラフ濃度の匹敵する可変性を与えると予測された。抗LAG-3抗体PKにおける抗PD-1抗体による同時投与の明らかな影響は観察されなかった。
240mg以上の用量における、抗LAG-3抗体用量ならびに血清可溶性LAG-3の受容体占有および腫瘍内膜結合型LAG-3受容体占有の両方の間の関係性は、モデルによって十分に特徴付けされた。より低い用量(例えば、2~4週間毎に80mg)では、一部の患者において抗LAG-3抗体PKにおける非線形性が観察された。3~4週間毎に240mgを上回ると、抗LAG-3抗体PKは、線形に見えた。多くの他のモノクローナル抗体に観察される通り、非線形性は、標的媒介性薬物消長が原因であると考えられる。固定および体重に基づく投薬は、抗LAG-3抗体の定常状態トラフレベルにおいて匹敵する可変性を与えると予測された。抗PD-1抗体の同時投与は、抗LAG-3抗体PKにおける明らかな影響を全く示さなかった。
250ng/ml(1.7nM)の定量化下限で、液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)によって抗LAG-3抗体を定量化した。0.146ng/ml(1pM)の定量化下限で、ヒト血清において酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって総可溶性LAG-3を定量化した。
単一のデータセットを作成し、最も重大なレベルで検証した。全ての抗LAG-3抗体および可溶性LAG-3測定値が本解析に含まれた。データは除外されなかった、または外れ値(outliner)として分類されなかった。
MODESIM高速コンピュータ処理環境を利用するMonolixソフトウェアシステム、バージョン2016R1を使用して、解析を行った。技術的コンピュータ処理パッケージRを使用して、データを探索し、モデル構築を支援し、最終結果を報告した。
構造モデル。抗LAG-3、可溶性LAG-3および複合体濃度のための構造PKPDモデルは、微分方程式が、総薬物、総標的および末梢薬物濃度を表し、さらに下の代数式が、遊離薬物、遊離標的および複合体濃度の計算に使用されるように、準平衡近似で標的媒介性薬物消長(TMDD)を表すのに使用される標準結合モデルである[Mager & Krzyzanski. Pharmaceutical Research 22, 1589-1596 (2005)]。
変量効果モデル。PKモデルは、次の4種のパラメータ:クリアランス、中心容量、末梢容量および区画間クリアランスによってパラメータ化され、PD(可溶性LAG-3)モデルは、次の4種のパラメータ:初期sLAG-3、大用量の抗LAG-3抗体のための定常状態sLAG-3、抗体-sLAG-3複合体排出速度および解離定数を加える。正規対数変量効果が全8種のパラメータに加えられる。
共変数モデル。共変数解析を使用して、クリアランスおよび中心容量における体重の影響を評価した。グラフィカル解析を使用して、同一の抗LAG-3抗体投薬レジメンを受け、かつ抗PD-1抗体を受けたまたは受けなかった患者における抗LAG-3抗体濃度を比較することにより、抗LAG-3抗体PKにおける抗PD-1抗体の影響を評価した。最低抗LAG-3抗体用量(0.3mg/kg q2w)における患者は、最速の排出速度を有し、抗PD-1抗体も常に受けたため、形式的共変数解析は行わなかった。最低用量におけるより速い排出は、標的媒介性薬物消長が原因であることが考えられるが、この効果は、クリアランスにおける共変数として抗PD-1抗体の形式的評価を交絡することが観察された。
固定および体重により調整された投薬レジメンの比較。2、3または4週間毎に与える10mg/kgまたは700mgのためのモデルを使用して、24週目(およそ6ヶ月間)の抗LAG-3抗体トラフレベルを1000名の患者に関してシミュレートした。予備的モデル適合は、抗LAG-3抗体の終末半減期が、2週間前後であったことを示したため、全患者は、24週目までに定常状態にあると予想された;また、24週目は、検査した全投薬レジメン(q2w、q3w、q4w)に関してトラフであった。中央値および95%予測区間値をプロットした。典型的な患者は80kgの重さであるため、等価固定用量レジメンを計算することができると仮定された(例えば、1mg/kgは、80mgに対応する)。しかし、本研究の集団における体重中央値は、70kgにより近かった。このような理由から、この特定のシミュレーションのため、10mg/kgを700mgと比較した。
血清および腫瘍におけるLAG-3阻害の予測。上述のPKPDモデルからのシミュレーションを使用して、PKが定常状態にある6ヶ月間トラフレベルにおけるLAG-3占有を推定した。2種の異なるLAG-3占有推定が提供される:(1)PKPDモデルから直接的にコンピュータ処理される、ベースライン可溶性LAG-3と比較した血清中の遊離可溶性LAG-3の比;および(2)腫瘍中の膜結合型LAG-3の占有(RO)。
腫瘍内LAG-3阻害のための予測は、用量選択のガイドに対して、より関連性があると考えられるが、その理由として、これが、腫瘍浸潤リンパ球が腫瘍と相互作用する部位であることが挙げられる。
腫瘍における標的占有を予測するための、このアプローチの使用は、多数の仮定が関与する:(1)血清中のsLAG-3に対する抗LAG-3抗体の推定される解離定数は、腫瘍中の膜結合型LAG-3に対する抗LAG-3抗体の解離と同じである;(2)マウスデータ[Deng et al. MAbs, vol. 8, 593-603 (2016)]に基づき、ヒト腫瘍においてABCISF=30%であること;(3)腫瘍は、同種組織と同様に処置することができる;(4)腫瘍中の膜結合型LAG-3は、薬物の存在下で蓄積しない;(5)抗LAG-3抗体は、腫瘍中の膜結合型LAG-3濃度に対して非常に過剰である;ならびに(6)LAG-3およびその内在性結合パートナー(例えば、MHCII)の間の結合はモデル化されず、これが、抑制の予測に有意に影響を与えないことが仮定される。
これらの仮定に加えて、所望の割合の患者集団に対する所望のレベルの阻害を選択する必要がある。典型的に、アンタゴニストに対し60~90%抑制が要求されるため、90~95%の占有が、本解析のために標的とされる[Grimwood & Hartig. Pharmacology & Therapeutics 122, 281-301 (2009);Tiwari et al. The AAPS Journal 1-10 (2016);Agoram. British Journal of Clinical Pharmacology 67, 153-160 (2009)]。
これらの治験シミュレーションのため、1000名の患者に対するq2w、q3wおよびq4wレジメンで次の用量を検査した:10、20、30、50、70、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000mg。次に、5、25、50、75、95パーセンタイルを、PKに関して、ならびに血清中の可溶性LAG-3占有および腫瘍中の膜結合型LAG-3占有に関してコンピュータ処理する。
抗LAG-3抗体および可溶性LAG-3データを得た。最初の4週間における抗LAG-3抗体濃度データを、mg単位で第1の用量によって正規化した。推定総毎月投薬(28日間にわたる、mg単位)に基づき、抗LAG-3抗体用量を4群(非常に低、低、中および高)に層別化した。体重により調整された用量のため、80kg患者に対する総mg用量を計算する。非常に低および低用量データに関して、中および高用量データよりも、一部の患者において抗LAG-3抗体濃度のより大きい減退が観察され、より低い用量で非線形PKを示す。この非線形性を説明するように層別化群を選択した。
第1の用量の2週間(全レジメン)後の正規化された抗LAG-3抗体濃度を得た。より低い用量(80mg以下)で、一部の患者における正規化された薬物濃度に減退が見られ、PKにおける非線形性を示す。データのモデルに基づく解析も、利用できる全データを使用して、この非線形性のより優れた特徴付けに役立つことができる。
より低い用量におけるより急速な排出を仮定して、非線形排出によるMichaelis-Menten PKモデルが以前に探索された。しかし、適合は、大幅により優れてはいなかった。さらに、付加誤差は、20nM前後であると一般に推定され、これは、非線形排出によるモデルを考慮に入れても、0.3mg/kg q2wまたは80mg q4wで観察されたトラフ濃度よりもはるかに大きい。よって、本実施例では、モデルが、より低い用量(例えば、80mg q2w)でトラフ濃度を過大評価するという警告により、線形モデルのみが使用された。
アンタゴニストに関して、投薬区間にわたって90~95%受容体占有(またはベースラインと比較して5~10%遊離標的)を標的化することが典型的であるが、この経験則は、一般にLAG-3または免疫チェックポイント阻害剤に関して検証されていない。大部分の患者におけるかかる受容体占有を達成することが望まれる場合、より低い濃度での急速な排出が観察されないように、十分に大きい用量を与えることが重要となるであろう。総毎月用量によって正規化された抗LAG-3抗体濃度の視覚的予測チェックは、240mg q4wを上回る用量が、この非線形性の回避に十分となり得ることを示唆する。表14は、400mg q3wまたは800mg q4wが、患者の90%において90%受容体占有(10%遊離LAG-3、vsベースライン)を与えることを予測する。
よって、本研究は、240mg以上の用量での、例示的な抗LAG-3抗体、LAG525の用量ならびに血清可溶性LAG-3の受容体占有および腫瘍内膜結合型LAG-3受容体占有の両方の間の関係性が、モデルによって十分に特徴付けされたことを示す。より低い用量(例えば、2~4週間毎に80mg)で、抗LAG-3抗体PKにおける非線形性が、一部の患者において観察された。3~4週間毎に240mgを上回ると、抗LAG-3抗体PKは、線形に見えた。多くの他のモノクローナル抗体に観察される通り、非線形性は、標的媒介性薬物消長が原因であると考えられる。固定および体重に基づく投薬は、抗LAG-3抗体の定常状態トラフレベルにおいて匹敵する可変性を与えると予測された。抗PD-1抗体、PDR001の同時投与は、抗LAG-3抗体PKに明らかな影響を全く示さなかった。