(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123096
(43)【公開日】2024-09-10
(54)【発明の名称】(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートのコフォーマー塩、およびそれらを製造する方法
(51)【国際特許分類】
C07D 401/04 20060101AFI20240903BHJP
【FI】
C07D401/04
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024096810
(22)【出願日】2024-06-14
(62)【分割の表示】P 2022090681の分割
【原出願日】2015-07-30
(31)【優先権主張番号】62/031,521
(32)【優先日】2014-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517065817
【氏名又は名称】メディヴェイション テクノロジーズ, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100133927
【弁理士】
【氏名又は名称】四本 能尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174447
【弁理士】
【氏名又は名称】龍田 美幸
(74)【代理人】
【識別番号】100185960
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 理愛
(72)【発明者】
【氏名】マーク ヘンダーソン
(72)【発明者】
【氏名】コルム キャンプベル
(72)【発明者】
【氏名】カルステン ジャグスクフ
(72)【発明者】
【氏名】クリスチアン クラウス ヘルツ
(72)【発明者】
【氏名】ニコ バウエル
(72)【発明者】
【氏名】ティエリ ボナウド
(72)【発明者】
【氏名】オリビエ ランベルト
(57)【要約】 (修正有)
【課題】(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントルエンスルホネート塩の合成中間体として有用な化合物及びそれらを製造する方法を提供する。
【解決手段】(2S,3S)-メチル7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートの[(1S)-endo]-(+)-3-ブロモ-10-カンファースルホン酸塩、及び(S)-1-フェニルエタンスルホン酸塩が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意にその溶媒和物としての、更に任意にその水和物としての、(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートのコフォーマー塩であって、該コフォーマー塩が(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートの[(1S)-endo]-(+)-3-ブロモ-10-カンファースルホン酸塩であるか、または該コフォーマー塩が(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートの(S)-1-フェニルエタンスルホン酸塩である、コフォーマー塩。
【請求項2】
実質的に純粋な結晶性形態にある、請求項1記載のコフォーマー塩。
【請求項3】
(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートの[(1S)-endo]-(+)-3-ブロモ-10-カンファースルホン酸塩である、請求項1記載のコフォーマー塩。
【請求項4】
210.3、25.3、21.8、20.8、19.5、及び18.5ppm±0.2ppmにピークを有する固体13C NMRスペクトルを示す結晶性形態である、請求項3記載のコフォーマー塩。
【請求項5】
2θ角度±0.2 2θ角度が、6.7、9.7、18.5、19.5、及び22であるピークを含む粉末X線回折パターンを示す結晶性形態である、請求項3記載のコフォーマー塩。
【請求項6】
(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートの(S)-1-フェニルエタンスルホン酸塩である、請求項1又は2記載のコフォーマー塩。
【請求項7】
(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートのコフォーマー塩を製造する方法であって、該コフォーマー塩が(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートの[(1S)-endo]-(+)-3-ブロモ-10-カンファースルホン酸塩であるか、または (2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートの(S)-1-フェニルエタンスルホン酸塩であり、
(1)C1-6ケトン、C1-6アルコール、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、アセトニトリル、ヘプタン、ジオキサン、及び水から選択される1種以上の工程1a)溶媒中、30~70℃の高い温度で、メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートを[(1S)-endo]-(+)-3-ブロモ-10-カンファースルホン酸または(S)-1-フェニルエタンスルホン酸で処理することで、工程1a)溶液を形成させること;
(2)該(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートのコフォーマー塩を固体形態で析出させるのに十分な条件下、該工程1a)溶液を静置すること;及び
(3)該(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートのコフォーマー塩またはその溶媒和物の固体形態を単離すること、
を含む前記方法。
【請求項8】
前記コフォーマー塩が、[(1S)-endo]-(+)-3-ブロモ-10-カンファースルホン酸塩であり、前記工程1a)溶媒が、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、及びブタノールから選択される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記コフォーマー塩が、[(1S)-endo]-(+)-3-ブロモ-10-カンファースルホン酸塩であり、前記工程1a)溶媒が、メチルイソブチルケトン、水、及びエタノールである、請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記コフォーマー塩が、[(1S)-endo]-(+)-3-ブロモ-10-カンファースルホン酸塩であり、前記工程1a)溶媒が、メチルイソブチルケトン及びエタノールである、請求項7記載の方法。
【請求項11】
1種以上の工程1b)溶媒中で、前記コフォーマー塩を再懸濁し、該コフォーマー塩を再結晶化又は再スラリー化することをさらに含み、前記工程1b)溶媒がC1-6ケトン、C1-6アルコール、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、アセトニトリル、ヘプタン、ジオキサン及び水から選択される、請求項7記載の方法。
【請求項12】
前記(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートのコフォーマー塩が、結晶性形態にある、請求項7記載の方法。
【請求項13】
(4)C1-6ケトン、C1-6アルコール、及び水から選択される1種以上の工程2a)溶媒中、室温で又は30~70℃の高い温度で、前記(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートのコフォーマー塩を懸濁させることにより、工程2a)溶液を形成させ、該工程2a)溶液を、NaOH、NH3水、NaCO3、NaOAc、又はNaHCO3から選択される塩基で処理すること;
(5)該コフォーマー塩の固体形態を析出させるのに十分な条件下、該工程2a)溶液を静置すること;及び
(6)該(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートの固体形態を単離すること、
をさらに含む、請求項7~12のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
前記工程2a)溶媒が、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、又はイソプロパノールから選択され;かつ前記塩基が、NH3水である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記工程2a)溶媒が、アセトン、メタノール、及び2-プロパノールであり;前記塩基が、NH3水である、請求項13記載の方法。
【請求項16】
前記工程2a)溶媒が、アセトン、メタノール、及びイソプロパノールであり;かつ前記塩基が、NH3水である、請求項13記載の方法。
【請求項17】
1種以上の工程2b)溶媒中に前記工程2a)溶媒を懸濁させることにより前記コフォーマー塩を再結晶化又は再スラリー化することをさらに含み、前記工程2b)溶媒がC1-6ケトン、C1-6アルコール及び水から選択される、請求項13記載の方法。
【請求項18】
(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートが、結晶性形態にある、請求項7~12のいずれか一項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(分野)
本件出願は、結晶性形態を包含し、任意に溶媒和物としての、更に任意に水和物としての(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートのコフォーマー塩、並びに該(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートコフォーマー塩を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
化合物(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントルエンスルホネート塩(化合物(A))
【化1】
は、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)の阻害剤である。その製造方法が、WO2010017055、WO2011097602、及びWO2012054698に記載されている。しかしながら、開示されている合成経路は、化合物(A)を製造する該経路における合成中間体のうちの1つであるメチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレート(中間体(A))
【化2】
のキラルクロマトグラフィーを行い、キラル的に純粋な(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレート(化合物(1))
【化3】
を得る必要がある。
【0003】
従来のキラルクロマトグラフィーを使用すると、多くの場合、非常に大量の溶媒及び時間が費やされる。より効率的なクロマトグラフィー法、例えば、擬似移動床(SMB)クロマトグラフィーを使用してもなお、高価なキラルクロマトグラフィー樹脂を使用する必要があり、医薬化合物を精製するための大スケールでは実用的ではない。また、クロマトグラフィーの間、化合物(1)を溶液中に長時間維持すると、化合物(1)における、9位でのエピメリ化及びメチルエステル基の開裂が起こり得る。クロマトグラフィー工程を、結晶化工程(複数可)に置き換えて化合物(1)を精製することは、望ましいものであり、それにより、これらの問題が解決される。従って、エナンチオマーである化合物(1)を得るためのキラルクロマトグラフィー分離の使用の代替となるものを見出すことが望ましい。
【0004】
本明細書で開示されるものは、上記の難題を解決する(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートのコフォーマー塩、及びそれらを製造する方法である。
【0005】
本明細書に記載の実施態様は、所望の化合物のかなりの純度の増加に繋がり得るとともに、化合物(A)の製造における、規制当局による承認及び市場取引に関する更なる利点を提供し得る。本明細書に記載の実施態様は、承認医薬品の純度に関する規制当局の規格及びガイドラインを満たしたより安定した化合物の製造を可能とする。相当な製造時間及び費用の削減もまた達成可能である。化合物(1)の「cis/trans」異性体不純物のかなりの削減が達成可能である(ここで、cis異性体は(2R,3S)及び(2S,3R)体であり、trans異性体は(2R,3R)体である)。高度な化合物(1)のエナンチオマー選択性が達成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
(図面の簡単な説明)
【
図1】
図1は、XRPD手順2を用いて得られた、実施例1及び3における工程1a、化合物(1a)のXRPDを示す。
【0007】
【
図2】
図2a及び2bは、実施例3における工程1a、化合物(1a)のキラルHPLCを示す。
【0008】
【
図3】
図3は、実施例3における工程1a、化合物(1a)の
1H NMRを示す。
【0009】
【
図4】
図4は、実施例3における工程1a、化合物(1a)のTGA/DSCを示す。
【0010】
【
図5】
図5は、XRPD手順2を用いて得られた、実施例3における工程1b、化合物(1a)のXRPD(上部)、及び実施例1からの化合物(1a)のXRPDを示す。
【0011】
【
図6】
図6は、実施例3における工程1b、化合物(1a)のキラルHPLCを示す。
【0012】
【
図7】
図7は、実施例3、工程2における化合物(1)、及び中間体(A)のXRPDを示す。
【0013】
【
図8】
図8は、実施例3における化合物(1)、及び中間体(A)の
1H NMRを示す。
【0014】
【
図9】
図9は、XRPD手順2を用いて得られた、実施例5における化合物(1b)、実施例1からの化合物(1b)、及び中間体(A)のXRPDを示す。
【0015】
【
図10】
図10は、実施例5における化合物(1b)のキラルHPLCを示す。
【0016】
【
図11】
図11は、実施例5における化合物(1b)の1H NMRである。
【0017】
【
図12a】
図12aは、実施例5における化合物(1b)のTGA及びDSCを示す。
【0018】
【
図12b】
図12bは、実施例5(下部)における化合物(1b)及び実施例1における化合物(1b)のDSCを示す。
【0019】
【
図13a】
図13aは、実施例4における化合物(1a)の
1H NMR(DMSO-d
6中)を示す。
【0020】
【
図13b】
図13bは、実施例4における化合物(1a)の
13C NMR(DMSO-d
6中)を示す。
【0021】
【
図14】
図14は、実施例4における化合物(1a)のIRスペクトルを示す。
【0022】
【
図15】
図15は、実施例4における化合物(1a)のDSCを示す。
【0023】
【
図16】
図16は、実施例4における化合物(1a)のキラルHPLCを示す。
【0024】
【
図17a】
図17aは、実施例4における化合物(1)の
1H NMR(DMSO-d
6中)を示す。
【0025】
【
図17b】
図17bは、実施例4における化合物(1)の
13C NMR(DMSO-d
6中)を示す。
【0026】
【
図18】
図18は、実施例4における化合物(1)のIRスペクトルを示す。
【0027】
【
図19】
図19は、実施例4における化合物(1)のDSCを示す。
【0028】
【
図20】
図20は、実施例4における化合物(1)のキラルHPLCを示す。
【発明の概要】
【0029】
(発明の概要)
一態様において、本明細書で提供されるものは、任意にその溶媒和物としての、更に任意にその水和物としての、(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートのコフォーマー塩である。
【0030】
ある実施態様において、前記コフォーマー塩は、実質的に純粋な結晶性形態にある。
【0031】
ある実施態様において、前記コフォーマー塩は、(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートの[(1S)-endo]-(+)-3-ブロモ-10-カンファースルホン酸塩である。
【0032】
ある実施態様において、前記コフォーマー酸は、[(1S)-endo]-(+)-3-ブロモ-10-カンファースルホネートである。
【0033】
ある実施態様において、前記コフォーマー塩は、210.3、25.3、21.8、20.8、19.5、及び18.5ppm±0.2ppmにピークを有する固体13C NMRスペクトル;25℃から90℃の間にブロードな吸熱を有し、かつ約135℃から147℃の間に最大がある吸熱を有する示差走査熱量測定サーモグラム;溶媒和された材料であることを表す熱重量分析サーモグラム;又は2θ角度±0.2 2θ角度が、6.7、9.7、18.5、19.5、及び22であるピークを含む粉末X線回折パターン、のうちの少なくとも1つを示す結晶性形態である。
【0034】
ある実施態様においては、前記コフォーマー塩は、210.3、25.3、21.8、20.8、19.5、及び18.5ppm±0.2ppmにピークを有する固体13C NMRスペクトル;又は2θ角度±0.2 2θ角度が、6.7、9.7、18.5、19.5、及び22であるピークを含む粉末X線回折パターン、のうちの少なくとも1つを示す結晶性形態にある。
【0035】
ある実施態様においては、前記コフォーマー塩は、(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートの(S)-1-フェニルエタンスルホン酸塩である。
【0036】
ある実施態様においては、前記コフォーマー酸は、(1S)-フェニルエタンスルホネートである。
【0037】
他の態様において、本明細書で提供されるものは、(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートのコフォーマー塩を製造する方法であって、(1)MIBK、MEK、エタノール、及び水から選択される1種以上の工程1a)溶媒中、高い温度で、メチル
7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートをコフォーマーで処理することで、工程1a)溶液を形成させること;(2)該コフォーマー塩を結晶性形態で析出させるのに十分な条件下、該工程1a)溶液を静置すること;及び(3)該コフォーマー塩を該結晶性形態で単離すること、を含む前記方法である。
【0038】
ある実施態様において、前記コフォーマー塩は、化合物(1)の[(1S)-endo]-(+)-3-ブロモ-10-カンファースルホネートであり、前記工程1a)溶媒は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、及びブタノールから選択される。
【0039】
ある実施態様において、前記コフォーマー塩は、化合物(1)の[(1S)-endo]-(+)-3-ブロモ-10-カンファースルホネートであり、前記工程1a)溶媒は、MIBK、水、及びエタノールである。
【0040】
ある実施態様において、前記コフォーマー塩は、化合物(1)の[(1S)-endo]-(+)-3-ブロモ-10-カンファースルホネートであり、前記工程1a)溶媒は、MIBK及びエタノールである。
【0041】
ある実施態様において、前記方法は、1種以上の工程1b)溶媒中で、前記コフォーマー塩を再結晶化又は再スラリー化することを更に含む。
【0042】
ある実施態様において、前記(2S,3S)-メチル
7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートのコフォーマー塩は、工程1b)溶媒中での再結晶化又は再スラリー化の後において、結晶性形態にある。
【0043】
ある実施態様において、前記方法は、水、アセトン、IPA、又はメタノールから選択される1種以上の工程2a)溶媒中、室温で又は高い温度で、前記(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートのコフォーマー塩を懸濁させることにより工程2a)溶液を形成させ、該工程2a)溶液を、NaOH、NH3(任意に、25%NH3水)、NaCO3、NaOAc、又はNaHCO3から選択される塩基で処理すること;該(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートの結晶性形態を析出させるのに十分な条件下、該工程2a)溶液を静置すること;及び(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートの結晶性形態を単離すること、を更に含む。
【0044】
ある実施態様において、前記工程2a)溶媒は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、又はイソプロパノールから選択され;前記塩基は、NH3水である。
【0045】
ある実施態様において、前記工程2a)溶媒は、アセトン、メタノール、及び2-プロパノールであり;前記塩基は、NH3水である。
【0046】
ある実施態様において、前記工程2a)溶媒は、アセトン、メタノール、及びイソプロパノールであり;前記塩基は、NH3水である。
【0047】
ある実施態様において、前記方法は、1種以上の工程2b)溶媒中で、(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートを再結晶化又は再スラリー化することを更に含む。
【0048】
ある実施態様において、前記(2S,3S)-メチル
7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートは、工程2b)溶媒中での再結晶化又は再スラリー化の後において、結晶性形態にある。
【0049】
他の態様において、本明細書で提供されるものは、(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートのコフォーマー塩を塩基で処理すること、及び該(2S,3S)-メチル
7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートを単離することにより製造された、任意に溶媒和物としての、更に任意に水和物としての、化合物(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートである。
【発明を実施するための形態】
【0050】
(詳細な説明)
(略語)
【表1】
(定義)
本明細書に記載される開示の理解を容易にするために、いくつかの用語を以下に定義する。一般に、本明細書で使用される命名法、並びに本明細書に記載される有機化学、医薬品化学、及び薬理学における実験室的方法は、当該技術分野において周知かつ一般に利用されるものである。別途定義されない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は全て、通常、本件開示が属する分野の当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で使用される用語に複数の定義が存在する場合には、特に記載のない限り、本セクションにおけるものが優先される。
【0051】
本件出願及び添付の請求の範囲の全体にわたり使用される場合、以下の用語は、以下の意味を有する:
【0052】
本明細書で使用される場合、単数形の「ひとつの(a)」、「ひとつの(an)」、及び「該/前記(the)」は、その内容が、明らかにそうではないことを示していない限り、複数の指示対象を含む。従って、例えば、「化合物(a compound)」への言及は、2以上の化合物の混合物(a mixture of two or more compounds)等を含む。
【0053】
本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、用語「約」及び「およそ」は、組成物又は剤形の成分の用量、量、又は重量パーセントに関連して用いられるとき、特定の用量、量、又は重量パーセントから得られる薬理学的効果と等価な薬理学的効果を提供することが当業者によって認識される用量、量、又は重量パーセントを意味する。ある実施態様において、用語「約」及び「およそ」は、この文脈で用いられるとき、特定の用量、量、又は重量パーセントの15%以内、10%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内、1%以内、又は0.5%以内の用量、量、又は重量パーセントを企図する。
【0054】
本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、用語「約」及び「およそ」は、特定の固体形態を記載するために提供される数値又は値の範囲、例えば、融解、脱水、脱溶媒和、もしくはガラス転移を記述しているものなど;質量変化、例えば、温度もしくは湿度の関数としての質量変化など;溶媒もしくは水含有量、例えば、質量もしくは百分率を単位とするもの;又はピーク位置、例えば、13C NMR、DSC、TGA、及びXRPDによる分析でのものなどに関連して用いられるとき;該値又は値の範囲が、当業者に妥当とみなされる程度に逸脱し得るが、それでも該特定の固体形態を記述していることを示す。ある実施態様において、用語「約」及び「およそ」は、この文脈で用いられるとき、数値又は値の範囲が、記載された値又は値の範囲の5%、4%、3%、2%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、又は0.1%だけ異なり得るが、それでもなお該特定の固体形態を記述していることを示す。
【0055】
用語「非晶質の」又は「非晶質形態」は、例えば、XRPDによって決定したときに、問題とする物質、成分、もしくは生成物が実質的に結晶性ではないこと、又は例えば、顕微鏡で見たときに、該問題とする物質、成分、もしくは生成物が複屈折性ではない場合を意味することが意図される。ある実施態様において、物質の非晶質形態を含む試料は、他の非晶質形態及び/又は結晶性形態を実質的に含まないものであってもよい。
【0056】
用語「結晶性形態」又は「結晶形態」は、化学的化合物の結晶性固体形態を指し、これには、単一成分もしくは多成分結晶形態、例えば、化合物の多形;又は化合物の溶媒和物、水和物、包接化合物、共結晶、塩、もしくはそれらの多形が含まれるが、これらに限定されない。本明細書における用語「結晶形態」及び関連用語は、所与の物質の様々な結晶性修飾を指し、これには、多形、溶媒和物、水和物、共結晶、及び他の分子複合体、並びに塩、塩の溶媒和物、塩の水和物、塩の他の分子複合体、及びそれらの多形が含まれるが、これらに限定されない。物質の結晶形態は、当技術分野で公知であるような、いくつかの方法によって得ることができる。そのような方法としては、融解再結晶化、融解冷却、溶媒再結晶化、例えば、ナノ細孔又はキャピラリー内などの閉鎖空間内での再結晶化、例えば、ポリマー上などの表面又は鋳型上での再結晶化、例えば、共結晶対分子などの添加剤の存在下での再結晶化、脱溶媒和、脱水、急速蒸発、急速冷却、緩慢冷却、蒸気拡散、昇華、粉砕、及び溶媒滴粉砕が挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
結晶形態及び非晶質形態を特性評価する技術としては、TGA、DSC、XRPD、単結晶X線回折法、振動分光法、例えば、IR及びラマン分光法、固体NMR、光学顕微鏡法、ホットステージ光学顕微鏡法、SEM、電子線結晶学及び定量的解析、PSA、表面積解析、溶解度研究、並びに溶解研究が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
本明細書で使用される場合、別途示されない限り、用語「水和物」は、非共有結合的な分子間力によって結合される化学量論的又は非化学量論的量の水をさらに含む、化合物又はその塩を意味する。
【0059】
本明細書で使用される場合、別途示されない限り、用語「溶媒和物」は、1以上の溶媒分子と本明細書で提供される化合物又はその塩との会合から形成される溶媒和物を意味する。用語「溶媒和物」は、水和物(例えば、半水和物、一水和物、二水和物、三水和物、四水和物など)を含む。
【0060】
用語「多形」又は「多形形態」は、同じ分子(molecule)、分子(molecules)、又はイオンを含む2以上の結晶形態のうちの1つを指す。異なる多形は、結晶格子中の分子又はイオンの配置又は立体構造の結果として、例えば、融解温度、融解熱、溶解度、溶解速度、及び/又は振動スペクトルなどの異なる物理的特性を有し得る。多形によって示される物理的特性の相違は、貯蔵安定性、圧縮率、密度(製剤化及び製品製造において重要である)、並びに溶解速度(バイオアベイラビリティにおける重要な因子である)などの医薬パラメーターに影響を及ぼし得る。安定性の相違は、化学反応性の変化(例えば、剤形が、ある多形から構成される場合に、別の多形から構成される場合よりも速やかに変色するような、示差酸化)、機械的変化(例えば、錠剤は、貯蔵時に、動力学的に有利な多形が熱力学的により安定な多形に変換されるにつれて崩壊する)、又は両方(例えば、ある多形の錠剤は、高湿度での分解に対してより感受性が高い)から生じることがある。溶解度/溶解の相違の結果として、極端な場合、何らかの多形転移によって効力の欠如が生じたり、又は他の極端な場合、毒性が生じることがある。さらに、結晶性形態の物理的特性は加工において重要となることがあり;例えば、ある多形は、溶媒和物を形成する可能性がより高い場合があるか、又は濾過及び洗浄して不純物を含まないようにすることが難しい場合がある(例えば、粒子の形状及びサイズ分布は多形間で異なる場合がある)。
【0061】
本明細書で使用される場合、「実質的に純粋な」とは、他の化合物、立体異性体、コフォーマー塩、溶媒和物、水和物、又は他の結晶性又は非晶質形態を含めた、他のその固体形態を実質的に含まない物質又は混合物を指す。ある文脈において、「実質的に純粋な」化合物、例えば、実質的に純粋な(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレート又はそのコフォーマー塩もしくは溶媒和物は、他の化学的化合物、例えば、所望の化合物を製造する過程で存在し得る未反応の前駆体及び副生成物を実質的に含まないことを意味し得る。他の文脈において、本明細書で使用される場合、(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレート、又はその塩もしくは溶媒和物の「実質的に純粋な」固体形態(例えば、結晶性形態又は非晶質形態)は、(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレート、又はその塩もしくは溶媒和物の他の固体形態を実質的に含まないことを意味し得る。ある文脈において、「立体異性的物の1つの立体異性体を含み、かつその化合物の他の立体異性体を実質的に含まない組成物を意味する。
【0062】
本明細書で使用される場合、用語「vol」又は「vols」は、固体反応物対液体溶媒の重量/体積比を意味する。例えば、10volの溶媒中の250gの固体物質は、該物質が、10×250mL、即ち、2.5Lの溶媒に溶解していることを意味する。
【0063】
(2S,3S)-メチル
7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートのコフォーマー塩は、(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートの陽イオン(例えば、一実施態様においては、1つの原子位置でプロトン化されており、他の実施態様においては、2つ以上の原子位置でプロトン化されている)、及びコフォーマー酸の陰イオンを含むことが理解されよう。
【0064】
(実施態様)
以下の段落では、本明細書に開示される化合物及び方法のいくつかの実施態様を提示するが、これらは限定するものとしては意図していない。
【0065】
一態様において、本件開示は、任意にその溶媒和物としての、更に任意にその水和物としての、(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートのコフォーマー塩(以下、「化合物(1)のコフォーマー塩」と称する)を提供する。ある実施態様において、コフォーマー塩は、キラルな酸の陰イオンを含む。ある実施態様において、キラルな酸は、表1から選択される。ある実施態様において、キラルな酸は、[(1S)-endo]-(+)-3-ブロモ-10-カンファースルホン酸又は(1S)-フェニルエタンスルホン酸である。ある実施態様において、コフォーマー塩は、任意にその溶媒和物としての、更に任意にその水和物としての、(2S,3S)-メチル
7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートの[(1S)-endo]-(+)-3-ブロモ-10-カンファースルホン酸塩(該コフォーマー塩を、以下、「化合物(1a)」と称する)である。ある実施態様において、コフォーマー塩は、任意にその溶媒和物としての、更に任意にその水和物としての、(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートの(S)-1-フェニルエタンスルホン酸塩(該コフォーマー塩を、以下、「化合物(1b)」と称する)である。ある実施態様において、化合物(1)のコフォーマー塩並びに化合物(1a)及び(1b)は、約1:1の陽イオン対陰イオンのモル比を含む。ある実施態様において、陽イオン対陰イオンのモル比は、約1:1.1、約1:1.15、約1:1.2、又は約1:1.3である。
【0066】
ある実施態様において、化合物(1)のコフォーマー塩並びに化合物(1a)及び(1b)は、溶媒和されていない。
【0067】
ある実施態様において、化合物(1)のコフォーマー塩並びに化合物(1a)及び(1b)は、その溶媒和物である。ある実施態様において、溶媒和物形態は、その水和物である。ある実施態様において、溶媒和物形態は、そのエタノレート溶媒和物である。ある実施態様において、溶媒和物形態は、そのエタノレート溶媒和物かつ水和物である。ある実施態様において、エタノール溶媒和物に対する化合物(1)のコフォーマー塩、又は化合物(1a)、又は化合物(1b)の比は、約1:0.4、約1:0.5、約1:0.6、又は約1:0.7である。ある実施態様において、水和物に対する化合物(1)のコフォーマー塩、又は化合物(1a)、又は化合物(1b)の比は、約1:0.4、約1:0.5、約1:0.6、又は約1:0.7である。
【0068】
ある実施態様において、化合物(1)のコフォーマー塩、及び化合物(1a)及び(1b)、並びにそれらの溶媒和物及び水和物は、固体形態にある。ある実施態様において、化合物(1)のコフォーマー塩、及び化合物(1a)及び(1b)、並びにそれらの溶媒和物及び水和物は、結晶性ではない。ある実施態様において、化合物(1)のコフォーマー塩、及び化合物(1a)及び(1b)、並びにそれらの溶媒和物及び水和物は、結晶形態にあるか、非晶質形態にあるか、又はそれらの混合物である。ある実施態様において、化合物(1)のコフォーマー塩並びに化合物(1a)及び(1b)のエタノレート溶媒和物、水和物、又はそれらの混合物は、結晶形態にあるか、非晶質形態にあるか、又はそれらの混合物である。
【0069】
ある実施態様において、化合物(1)のコフォーマー塩、及び化合物(1a)及び(1b)、並びにそれらの溶媒和物及び水和物は、非晶質形態にある。ある実施態様において、化合物(1)のコフォーマー塩並びに化合物(1a)及び(1b)のエタノレート溶媒和物、水和物、又はそれらの混合物は、非晶質形態にある。
【0070】
ある実施態様において、化合物(1)のコフォーマー塩、及び化合物(1a)及び(1b)、並びにそれらの溶媒和物及び水和物は、結晶性形態にある。ある実施態様において、化合物(1)のコフォーマー塩並びに化合物(1a)及び(1b)のエタノレート溶媒和物、水和物、又はそれらの混合物は、結晶性形態にある。
【0071】
ある実施態様において、化合物(1)のコフォーマー塩、及び化合物(1a)及び(1b)、並びにそれらの溶媒和物及び水和物は、実質的に純粋である。ある実施態様において、化合物(1)のコフォーマー塩、及び化合物(1a)及び(1b)、並びにそれらの溶媒和物及び水和物の固体形態又は結晶形態は、実質的に純粋である。ある実施態様において、化合物(1)のコフォーマー塩、及び化合物(1a)及び(1b)、並びにそれらの溶媒和物及び水和物の結晶形態は、実質的に純粋である。ある実施態様において、化合物(1)のコフォーマー塩並びに化合物(1a)及び(1b)のエタノレート溶媒和物、水和物、又はそれらの混合物は、実質的に純粋である。
【0072】
ある実施態様において、化合物(1)のコフォーマー塩、及び化合物(1a)及び(1b)、並びにそれらの溶媒和物及び水和物は、立体化学的に純粋である。ある実施態様において、化合物(1)のコフォーマー塩、及び化合物(1a)及び(1b)、並びにそれらの溶媒和物及び水和物の固体形態又は結晶形態は、立体化学的に純粋である。ある実施態様において、化合物(1)のコフォーマー塩、及び化合物(1a)及び(1b)、並びにそれらの溶媒和物及び水和物の結晶形態は、立体化学的に純粋である。ある実施態様において、化合物(1)のコフォーマー塩並びに化合物(1a)及び(1b)のエタノレート溶媒和物、水和物、又はそれらの混合物は、立体化学的に純粋である。
【0073】
ある実施態様において、実質的に純粋なコフォーマー塩は、他の立体異性体、例えば(2R,3R)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレート、(2S,3R)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレート、及び(2R,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレート等を実質的に含まない、実質的に純粋な(2S,3S)-メチル
7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートを含む。ある実施態様において、化合物(1)のコフォーマー塩並びに化合物(1a)及び(1b)は、およそ100重量%の化合物(1)の前記特定の立体異性体を含み、ここで該百分率は、該立体化学的に純粋なコフォーマー塩において組み合された立体異性体の総量を基準としたものである。
【0074】
ある実施態様において、化合物(1)のコフォーマー塩、及び化合物(1a)及び(1b)、並びにそれらの溶媒和物及び水和物は、約80重量パーセントを超える化合物(1)及び約20重量パーセント未満の化合物(1)の任意の立体異性体、約90重量パーセントを超える化合物(1)及び約10重量パーセント未満の化合物(1)の任意の立体異性体、約95重量パーセントを超える化合物(1)及び約5重量パーセント未満の化合物(1)の任意の立体異性体、約97重量パーセントを超える化合物(1)及び約3重量パーセント未満の化合物(1)の任意の立体異性体、約99重量パーセントを超える化合物(1)及び約1重量パーセント未満の化合物(1)の任意の立体
異性体、又は約99.5重量パーセントを超える化合物(1)及び約0.5重量パーセント未満の化合物(1)の任意の立体異性体を含む。上記の百分率は、立体化学的に純粋なコフォーマー塩において組み合された立体異性体の総量を基準としたものである。
【0075】
ある実施態様において、化合物(1)のコフォーマー塩、及び化合物(1a)及び(1b)、並びにそれらの溶媒和物及び水和物は、1種以上の他の特定の結晶形態、非晶質形態、及び/又は他の化学的化合物を実質的に含まない。ある実施態様において、化合物(1)のコフォーマー塩、及び化合物(1a)及び(1b)、並びにそれらの溶媒和物及び水和物は、約10重量%未満、約5重量%未満、約3重量%未満、約2重量%未満、約1重量%未満、約0.75重量%未満、約0.5重量%未満、約0.25重量%未満、又は約0.1重量%未満の(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートの1種以上の他の結晶形態もしくは非晶質形態及び/又は本明細書に開示される合成プロセスの結果として生じ得る他の化学的化合物を含む。ある実施態様において、化合物(1)のコフォーマー塩並びに化合物(1a)及び(1b)の結晶性形態は、非晶質形態を実質的に含まない。
【0076】
ある実施態様において、化合物(1)のコフォーマー塩、及び化合物(1a)及び(1b)、並びにそれらの溶媒和物及び水和物においては、結晶性塩純度が、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、少なくとも約99.2重量%、少なくとも約99.5重量%、少なくとも約99.6重量%、少なくとも約99.7重量%、又は少なくとも約99.8重量%の単一の結晶性形態であり、総重量のうちの残部は、他の結晶性又は非晶質形態及び/又は他の化合物であり得る。
【0077】
ある実施態様において、化合物(1)のコフォーマー塩、及び化合物(1a)及び(1b)、並びにそれらの溶媒和物及び水和物の結晶性形態は、本質的に、単一成分の結晶性形態又は単一の多形である。ある実施態様において、化合物(1)のコフォーマー塩、及び化合物(1a)及び(1b)、並びにそれらの溶媒和物及び水和物の結晶性形態は、これらのコフォーマー塩の第一の結晶性形態と、これらのコフォーマー塩の少なくとも1つの他の結晶性及び/又は非晶質形態とを含む多成分の結晶性形態である。
【0078】
ある実施態様において、コフォーマー塩は、
図1又は5による2θ角度を有するピークから選択される1本以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10本、もしくは10本を超える;又は少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、又は少なくとも7本)の特徴的なピークを含むXRPDパターンを有する結晶性の化合物(1a)である。ある実施態様において、結晶性の化合物(1a)のXRPDパターンは、2θ角度±0.2 2θが、約6.7、9.7、18.5、19.5、及び22であるピークから選択される1本以上(例えば、1、2、3、4、5本、又は少なくとも2、少なくとも3、又は少なくとも4本)の特徴的なピークを含む。ある実施態様において、結晶性の化合物(1a)のXRPDパターンは、2θ角度±0.2 2θが約6.7及び9.7であるピークから選択される特徴的なピークを1つ含む。ある実施態様において、結晶性の化合物(1a)のXRPDパターンは、実質的に、
図1又は5に提示した通りである。
【0079】
ある実施態様において、コフォーマー塩は、
図13bのスペクトルに実質的に対応する
13C NMRスペクトル又は表Aのピークに実質的に対応するピークを有するスペクトルを有する結晶性の化合物(1a)である。表Aにおいて、2つのピークが記載されている場合は、ダブレットを表す:
表A
【表2】
【0080】
ある実施態様において、結晶性の化合物(1a)の13C NMRスペクトルは、約210.3、58.1、56.0、54.7、48.6、47.0、46.3、40.6、25.3、21.8、20.8、19.5、及び18.5±約0.2ppmのピークから選択される1本以上のピーク(例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、又は少なくとも12本のピーク)を含む。ある実施態様において、結晶性の化合物(1a)の13C NMRスペクトルは、約210.3、25.3、21.8、20.8、19.5、及び18.5±約0.2ppmの1本以上のピーク(例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、又は少なくとも5本のピーク)を含む。
【0081】
ある実施態様において、コフォーマー塩は、示差走査熱量測定において25℃から約90℃の間にブロードな吸熱ピークを有し、かつ約135℃から150℃の間、約140℃から150℃の間、又は約143℃から147℃の間に最大がある吸熱を有する結晶性の化合物(1a)である。ある実施態様において、結晶性の化合物(1a)は、約135℃から150℃の間、約140℃から150℃の間、又は約143℃から147℃の間に最大がある吸熱を有する。
【0082】
ある実施態様において、コフォーマー塩は、
図4又は15のDSCサーモグラフに実質的に対応するDSCサーモグラムを有する結晶性の化合物(1a)である。
【0083】
ある実施態様において、コフォーマー塩は、溶媒和された材料であることを表すTGAサーモグラムを有する結晶性の化合物(1a)である。ある実施態様において、結晶性の化合物(1a)は、
図4のTGAサーモグラフに実質的に対応するTGAサーモグラムを有する。ある実施態様において、結晶性の化合物(1a)は、約25℃から約90℃の温度へと加熱した場合に、段階的な重量減少(例えば、約2.5%から4.5%の間の、約3%から4%の間の、約3.5%の重量減少)を示すTGAサーモグラムを有する。ある実施態様において、結晶性の化合物(1a)は、約90℃から約160℃の温度に加熱した場合に、漸進的な質量減少(例えば、約0.5%から2%の間の、約0.75%から1.75%の間の、約1%から1.5%の間の、約1.2%の質量減少)を示すTGAサーモグラムを有する。
【0084】
ある実施態様において、コフォーマー塩は: i. 210.3、25.3、21.8、20.8、19.5、及び18.5ppm±0.2ppmにピークを有する固体13C NMRスペクトル; ii. 25℃から90℃の間にブロードな吸熱を有し、かつ約135℃から147℃の間に最大がある吸熱を有する示差走査熱量測定サーモグラム; iii. 溶媒和された材料であることを表す熱重量分析サーモグラム;又は iv. 2θ角度±0.2 2θ角度が、6.7、9.7、18.5、19.5、及び22であるピークを含む粉末X線回折パターン、のうちの少なくとも1つを有する結晶性の化合物(1a)である。ある実施態様において、結晶性の化合物(1a)は: i. 210.3、25.3、21.8、20.8、19.5、及び18.5ppm±0.2ppmにピークを有する固体13C NMRスペクトル;又は
ii. 2θ角度±0.2 2θ角度が、6.7、9.7、18.5、19.5、及び22であるピークを含む粉末X線回折パターン、のうちの少なくとも1つを有する。
【0085】
ある実施態様において、コフォーマー塩は、(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートの(S)-1-フェニルエタンスルホン酸塩(化合物(1b))である。
【0086】
他の態様において、本件開示は、(2S,3S)-メチル
7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレート(化合物(1))のコフォーマー塩を塩基で処理し、該化合物(1)を単離することにより製造された実質的に純粋な(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレート(化合物(1))を提供する。ある実施態様において、単離された化合物(1)は、任意に再結晶化されてもよい。
【0087】
(化合物を製造する方法)
化合物(1)及びそのコフォーマー塩を製造する方法が、本明細書において提供される。
【0088】
ある実施態様において、該方法は、これまでに報告された(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートの合成と比較した場合に、例えば、生成物の回収率の向上、生成物純度の向上、及び/又は大量生産への適性の向上を提供し得る。
【0089】
ある実施態様において、任意にその溶媒和物としての、更に任意にその水和物としての、(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートのコフォーマー塩は、結晶性形態で製造され、結果として、キラルクロマトグラフィーにより単離された化合物(1)と比較して、より高い純度の化合物(1)となる。
【0090】
ある実施態様において、コフォーマーを用いる化合物(1)の製造は、キラルクロマトグラフィーを用いる製造よりも、大量生産に適している。
【0091】
スキームAは、化合物(1)のコフォーマー塩を製造する方法の例示的概略を提供する。
【化4】
【0092】
工程1a)において、中間体(A)は、室温で又は高い温度(室温よりも高い温度)で、1種以上の工程1a)溶媒に溶解させることができ、ここで、該溶媒は、中間体(A)を可溶化するのに十分なものである。ある実施態様において、該高い温度は、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約48℃、約50℃、約52℃、約55℃、約60℃、約65℃、又は約70℃である。ある実施態様において、工程1a)溶媒は、C1-6ケトン、C1-6アルコール、酢酸エチル(「EA」)、テトラヒドロフラン(「THF」)、トルエン、アセトニトリル(「ACN」)、ヘプタン、ジオキサン、もしくは水;又はそれらの組合せである。ある実施態様において、C1-6ケトンは、アセトン、メチルエチルケトン(「MEK」)、又はメチルイソブチルケトン(「MIBK」)である。ある実施態様において、C1-6アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、又はブタノールである。ある実施態様において、C1-6アルコールは、メタノール、エタノール、又はイソプロパノールである。ある実施態様において、工程1a)溶媒は、エタノール及びMIBK;又は該溶媒は、エタノール、MIBK、及び水である。
【0093】
ある実施態様において、MIBK/エタノールの比は、5~20/1;又は当該比は、5/1;又は6/1、又は7/1、又は8/1、又は9/1、又は10/1、又は11/1、又は12/1、又は15/1、又は20/1である。ある実施態様において、MIBK/エタノールの比は、9:1である。
【0094】
ある実施態様において、MIBK/エタノール/水の比は、10~15/1~1.5/0.1~0.05;又は当該比は、12~13/1~1.5/0.1~0.05である。ある実施態様において、MIBK/エタノール/水の比は、13/1.5/0.1;又は13/1.5/0.05;又は13/1/0.1;又は13/1/0.05;又は12/1.5/0.1;又は12/1.5/0.05;又は12/1/0.1;又は12/1/0.05である。
【0095】
ある実施態様においては、工程1a)において、中間体(A)を、高い温度(例えば、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約48℃、約50℃、約52℃、約55℃、約60℃、約65℃、又は約70℃)で、1種以上の工程1a)溶媒、例えば、アセトン、IPA、EA、THF、DMF、トルエン、ACN、ヘプタン、ジオキサン、水、MIBK、MEK、もしくはエタノール、又はそれらの組合せ中に溶解させて、工程1a)溶液を形成することができる。
【0096】
ある実施態様において、工程1a)溶媒は、MIBK、MEK、水、及び/又はエタノールである。ある実施態様において、MIBK:MEK:エタノール/水の比は、20~40:10~20:1~10である。ある実施態様において、MIBK:MEK:エタノール/水の比は、10~30:20~30:1~5である。
【0097】
ある実施態様において、前記工程1a)溶媒は、MIBK、水、及び/又はエタノールである。ある実施態様において、前記工程1a)溶媒は、MIBK:エタノール:水であって、その比は、30~50:5~10:1~5、又は35~45:6~7:1~2、又は40:6.5:1.6である。ある実施態様において、MIBK:エタノール:水の比は、120~130:10~15:0.5~1である。ある実施態様において、前記工程1a)溶媒は、MIBK:エタノールであって、その比は、5~20:1、又は10~20:1、
又は20:1、又は19:1、又は18:1、又は10:1、又は9:1、又は8:1である。
【0098】
ある実施態様において、前記工程1a)溶媒は、エタノール及びMEKである。ある実施態様において、エタノール:MEKの比は、85~99:1~15、又は90~99:1~10、又は95~99:1~5、又は95:5、又は96:4、又は97:3、又は98:2である。
【0099】
ある実施態様において、中間体(A)は、約5volの工程1a)溶媒(複数可)、約7volの工程1a)溶媒(複数可)、約10volの工程1a)溶媒(複数可)、約12volの工程1a)溶媒(複数可)、約14volの工程1a)溶媒(複数可)、約16volの工程1a)溶媒(複数可)、又は約20volの工程1a)溶媒(複数可)に溶解される。
【0100】
コフォーマー酸(約1モル当量)を、工程1a)溶液に添加し可溶化させて、工程1a) コフォーマー溶液を製造することができる。化合物(1)のコフォーマー塩の固体形態は、工程1a) コフォーマー溶液に、化合物(1)のコフォーマー塩の結晶を種晶として添加することにより、又は工程1a) コフォーマー溶液を、約室温、約20℃、約15℃、約10℃、約5℃、約0℃、約-5℃、約-10℃、又は約-15℃まで冷却することにより得ることができる。化合物(1)の固体コフォーマー塩が形成されたら、それを濾過により集めることができ、任意に、工程1a)溶媒で洗浄し、乾燥することができる。
【0101】
工程1b)において、化合物(1)のコフォーマー塩を工程1b)溶媒に再懸濁し、工程1b)溶液を形成することができる。ある実施態様において、工程1b)溶媒は、前記工程1a)溶媒と同一の溶媒である。
【0102】
ある実施態様において、化合物(1)のコフォーマー塩を、約5volの工程1a)溶媒(複数可)、約7volの工程1a)溶媒(複数可)、約10volの工程1a)溶媒(複数可)、約12volの工程1a)溶媒(複数可)、約14volの工程1a)溶媒(複数可)、約16volの工程1a)溶媒(複数可)、又は約20volの工程1a)溶媒(複数可)に、高い温度(例えば、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃)で再懸濁し、工程1b)溶液を形成する。工程1b)溶液を、任意に、約室温、約20℃、約15℃、約10℃、約5℃、約0℃、約-5℃、約-10℃、又は約-15℃まで冷却し、該化合物(1)のコフォーマー塩の固体形態を製造することができる。該固体のコフォーマー塩を、濾過により集めることができ、任意に、工程1b)溶媒で洗浄し、乾燥することができる。
【0103】
工程2a)において、塩基を、化合物(1)のコフォーマー塩の溶液に添加し、化合物(1)を遊離させて、対応するコフォーマー酸を除去することができる。化合物(1)を遊離させるのに十分な任意の塩基を利用することができる。ある実施態様において、前記塩基は、アンモニア水(NH4OHとして)、NaOH、NaOAc、NaHCO3、又はNa2CO3である。ある実施態様において、前記塩基は、アンモニア水(NH4OHとして)である。ある実施態様において、前記塩基は、NaOHである。
【0104】
ある実施態様において、前記工程2a)溶媒は、化合物(1)のコフォーマー塩を可溶化させるのに十分な任意の溶媒又は任意の溶媒の組合せであり得るか、又は、化合物(1)を遊離させるための適当な塩基の反応を可能とするのに十分な懸濁液を形成し得る任意の溶媒又は任意の溶媒の組合せであり得る。ある実施態様において、前記工程2a)溶媒は、前記工程1a)溶媒のうちのいずれかであり得る。ある実施態様において、前記工程2a)溶媒は、C1-6ケトン、C1-6アルコール、もしくは水;又はそれらの組合せであり得る。ある実施態様において、C1-6ケトンは、アセトン、MIBK、又はMEKである。ある実施態様において、C1-6ケトンは、アセトンである。ある実施態様において、C1-6アルコールは、メタノール、エタノール、2-プロパノール、又はイソプロパノールである。ある実施態様において、C1-6アルコールは、メタノール、2-プロパノール、又はイソプロパノールである。ある実施態様において、前記工程2a)溶媒は、アセトン、メタノール、2-プロパノール、イソプロパノール、もしくは水;又はそれらの組合せであり得る。ある実施態様において、前記工程2a)溶媒は、アセトン及びメタノールであり得る;又はこれらは、アセトン、メタノール、2-プロパノール、及び水であり得る;又はこれらは、アセトン、メタノール、及びイソプロパノールであり得る;又はこれらは、アセトン、メタノール、イソプロパノール、及び水であり得る。
【0105】
工程2a)において、化合物(1)は、そのコフォーマー塩を、NH4OH、NaOH、NaOAc、NaHCO3、もしくはNa2CO3;又はそれらの組合せから選択される塩基の存在下、C1-6ケトン、C1-6アルコール、及び水;又はそれらの組合せから選択される工程2a)溶媒に懸濁させることにより遊離させることができる。ある実施態様において、工程2a)溶媒は、アセトン、メタノール、2-プロパノール、イソプロパノール、もしくは水;又はそれらの組合せであり、塩基は、NH4OH又はNaOH水である。ある実施態様において、塩基は、NH4OHである。ある実施態様において、工程2a)溶媒は、アセトン、メタノール、及びイソプロパノールであり;塩基は、NH4OHである。ある実施態様において、工程2a)溶媒は、アセトン、メタノール、イソプロパノール、及び水であり;塩基は、NH4OHである。ある実施態様において、工程2a)溶媒は、アセトン、メタノール、及び2-プロパノールであり;塩基は、NH4OHである。
【0106】
工程2a)において、化合物(1)は、そのコフォーマー塩を、室温で又は高い温度(例えば、約30℃、約32℃、約35℃、約37℃、約38℃、約40℃、約42℃、約45℃)で、約0.5~約10vol、又は約0.5~約5vol、又は約0.75~約2.5volの1種以上の工程2a)溶媒に懸濁させることで、工程2a)溶液を形成し、該工程2a)溶液を、約1~1.5当量の適当な塩基で処理することにより遊離させることができる。いくつかの実施態様において、コフォーマー塩は、室温で又は高い温度(例えば、約30℃、約32℃、約35℃、約37℃、約38℃、約40℃、約42℃、約45℃)で、約0.75vol、又は約1vol、又は約1.5vol、又は約1.7vol、又は約2vol、又は約2.2vol、又は約2.4vol、又は約2.5volの1種以上の工程2a)溶媒に懸濁されて、工程2a)溶液が形成され、この工程2a)溶液は、約1.1当量、又は約1.2当量、又は約1.3当量、又は約1.4当量、又は約1.5当量の適当な塩基で処理される。ある実施態様において、コフォーマー塩は、室温で又は高い温度(例えば、約30℃、約32℃、約35℃、約37℃、約38℃、約40℃、約42℃、約45℃)で、約0.5~約10vol、又は約0.5~約5vol、又は約0.75~約2.5volのアセトン、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、及び水から選択される1種以上の工程2a)溶媒に懸濁されて、工程2a)溶液が形成され、この工程2a)溶液は、約1~1.5当量のNaOH、NH3水(任意に、25%NH3水として)、NaCO3、NaOAc、及びNaHCO3から選択される塩基で処理される。ある実施態様において、コフォーマー塩は、室温で又は高い温度(例えば、約30℃、約32℃、約35℃、約37℃、約38℃、約40℃、約42℃、約45℃)で、約0.75vol、又は約1vol、又は約1.5vol、又は約1.7vol、又は約2vol、又は約2.2vol、又は約2.4vol、又は約2.5volの1種以上の工程2a)溶媒であるアセトン、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、及び水から選択される1種以上の工程2a)溶媒に懸濁されて、工程2a)溶液が形成され、この工程2a)溶液は、約1当量、又は約1.1当量、又は約1.2当量、又は約1.3当量、又は約1.4当量、又は約1.5当量のNaOH、NH3水(任意に、25%NH3水として)、NaCO3、NaOAc、及びNaHCO3から選択される塩基で処理される。
【0107】
ある実施態様においては、工程2a)において、化合物(1)のコフォーマー塩を、室温で又は高い温度(例えば、約30℃、約35℃、約37℃、約38℃、約40℃、約42℃、又は約45℃)で、約0.75vol、約1vol、約1.5vol、約1.7vol、約2vol、約2.2vol、又は約2.4volの1種以上の工程2a)溶媒、例えば、水、アセトン、IPA、及びメタノールに懸濁させることで、工程2a)溶液を形成し、該工程2a)溶液を、約1当量、約1.1当量、約1.2当量、約1.3当量、又は約1.4当量の塩基、例えば、NaOH、NH3(任意に、25%NH3水)、NaCO3、NaOAc、又はNaHCO3で処理することにより、化合物(1)を遊離させることができる。任意にpHを確認することができ、pHが≧7である場合には、水(0.55vol)を添加することができる。系を、約25℃、約30℃、約35℃、又は約40℃まで冷却することができ、化合物(1)の種結晶を任意に添加することができる。水(3.3vol)を約30分以内で滴加することができ、懸濁液を、約0~5℃の内部温度まで30分以内で冷却することができ、反応を15分間撹拌することができる。化合物(1)の固体形態は、濾過により集めることができ、水により3回洗浄することができる。
【0108】
ある実施態様において、コフォーマー塩は、室温で又は高い温度(例えば、約30℃、約32℃、約35℃、約37℃、約38℃、約40℃、約42℃、約45℃)で、約2~6vol/1~2vol/1~2volの比のアセトン/イソプロパノール/メタノールに懸濁されて、工程2a)溶液が形成され、該工程2a)溶液は、約1当量、又は約1.1当量、又は約1.2当量、又は約1.3当量、又は約1.4当量、又は約1.5当量のNH3水(任意に、25%NH3水として)で処理される。ある実施態様において、アセトン/イソプロパノール/メタノールの比は、約2~4vol/1~2vol/1~2vol、又は約2~4vol/1vol/1vol、又は約2vol/1vol/1volである。ある実施態様において、コフォーマー塩は、室温で又は高い温度(例えば、約30℃、約32℃、約35℃、約37℃、約38℃、約40℃、約42℃、約45℃)で、約2vol/1vol/1volの比のアセトン/イソプロパノール/メタノールに懸濁されて、工程2a)溶液が形成され、該工程2a)溶液は、約1.3当量のNH3水(任意に、25%NH3水として)で処理される。
【0109】
望ましい場合、工程2b)において、化合物(1)のe.e.を、任意の工程において、1種以上の工程2b)溶媒、例えば、水、アセトン、IPA、又はメタノールを、約4vol、約5vol、約6vol、又は約7volで用いることにより向上させ得る。例えば、アセトン(4vol)、IPA(1vol)、及びメタノール(1vol)を、前の工程2a)の生成物に添加することができ、反応を、内部温度が約38℃~42℃、約35℃、約38℃、約40℃、約42℃、又は約45℃に加熱して、結果として、クリアーな工程2b)溶液を得ることができる。水(2vol)及び化合物(1)の種結晶を、工程2b)溶液に添加することができ、系を、内部温度約35℃で約15分間撹拌することができる。水を約30分で滴加することができる。その後、懸濁液を内部温度が約0~5℃まで30分で冷却することができ、更に15分間撹拌することができる。固体を、濾過により集め、水で2回洗浄することができ、キラル純度を決定することができる。この固体を、内部温度約60℃で減圧下乾燥して、化合物(1)を得ることができる。
【0110】
ある実施態様において、これらのプロセスにより、実質的に純粋な化合物(1)が提供される。ある実施態様において、これらのプロセスにより、90~99%e.e.、又は95%~99%e.e.、又は97%~99%e.e.、又は≧96%e.e.、又は≧97%e.e.、又は≧98%e.e.、又は≧99%e.e、又は99.5%e.eの化合物(1)が提供される。
【0111】
他の態様において、(2S,3S)-メチル
7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレート(化合物(1))のコフォーマー塩を製造する方法であって、(1)MIBK、MEK、エタノール、及び水から選択される1種以上の工程1a)溶媒中、高い温度で、メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートをコフォーマーで処理することで、工程1a)溶液を形成させること;(2)該(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレート(化合物(1))を固体として、ある実施態様においては、結晶性形態で析出させるのに十分な条件下、該工程1a)溶液を静置すること;及び(3)化合物(1)を固体として、ある実施態様においては、結晶性形態で単離することを含む、前記方法が本明細書で提供される。
【0112】
ある実施態様において、コフォーマー塩は、[(1S)-endo]-(+)-3-ブロモ-10-カンファースルホネートであり、かつ工程1a)溶媒は、MIBK、水、及びエタノールである。
【0113】
ある実施態様において、前記方法は、1種以上の工程1b)溶媒中で、前記コフォーマー塩を再結晶化又は再スラリー化することを更に含む。
【0114】
ある実施態様において、前記(2S,3S)-メチル
7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートのコフォーマー塩は、前記コフォーマー塩を、1種以上の工程1b)溶媒中で再結晶化又は再スラリー化した後において、結晶性形態にある。
【0115】
ある実施態様において、前記方法は、水、アセトン、IPA、又はメタノールから選択される1種以上の工程2a)溶媒中、室温で又は高い温度で、前記(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートのコフォーマー塩を懸濁させることにより、工程2a)溶液を形成させ、該工程2a)溶液を、NaOH、NH3(任意に、25%NH3水)、NaCO3、NaOAc3、又はNaHCO3から選択される塩基で処理すること;該(2S,3S)-メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレート(化合物(1))を固体として、ある実施態様においては、結晶性形態で析出させるのに十分な条件下、該工程2a)溶液を静置すること;及び(3)化合物(1)を固体として、ある実施態様においては、結晶性形態で単離すること、を更に含む。
【0116】
ある実施態様において、前記方法は、1種以上の工程2b)溶媒中で、化合物(1)を再結晶化又は再スラリー化することを更に含む。ある実施態様において、化合物(1)は、前記コフォーマー塩を1種以上の工程2b)溶媒中で再結晶化又は再スラリー化した後において、結晶性形態にある。
【0117】
(化合物の製造)
どのように本件開示のコフォーマー塩が製造され得るか、及び試験され得るかを説明する実施例を以下に示す。これらの実施例は、ある実施態様のみを表しているが、以下の実施例が例示的なものであり、限定するものとしては意図されないことを理解すべきである。
【0118】
ある実施態様において、化合物(1)のコフォーマー塩を製造する方法は、上記及び下記の種々の実施態様のうちのいずれかを含む。
【0119】
本明細書に開示される化合物は、商業的に入手可能であるか、又は有機合成の技術分野で確立された方法論に従い商業的に入手可能な出発物質から容易に製造可能である。本件開示の化合物を合成する一般的な方法は、例えば、Stuart Warren及びPaul Wyattの文献「有機合成のワークブック:逆合成からのアプローチ(Workbook for Organic Synthesis:
The Disconnection Approach)」(第2版)、Wiley、2010に見出すことができる。化合物のうちのいくつかの合成を、以下で詳細に例示する。
【0120】
ある実施態様において、本件開示の化合物の個々の立体異性体は、不斉又はキラル中心を含有する商業的に入手可能な出発物質から合成的に製造されるか、又はラセミ混合物を製造し、それに続き、エナンチオマーへと立体選択的に分離することにより製造される。立体選択的な分離方法としては、例えば、(1)エナンチオマー混合物のキラル補助剤への連結、得られたジアステレオマー混合物の、再結晶化又はクロマトグラフィーによる分離、及び補助剤からの光学的に純粋な生成物の遊離、又は(2)キラルクロマトグラフィーカラムでの光学的エナンチオマーの混合物の直接的な分離が挙げられる。
【0121】
(粉末X線回折(XRPD))
別途特定されない限り、XRPDピークが2θ角度で表されている場合には、銅のKα1線が用いられたことを理解すべきである。
【0122】
ある実施態様において、本明細書で提供される2θ角度の値は、約±0.2° θの範囲でばらついたが、それでも同じXRPDピークを記述していた。
【0123】
XRPD手順1: 粉末X線回折パターンは、CuKα線(40kV、40mA)、自動化XYZステージ、自動試料位置決定のためのレーザービデオ顕微鏡、及びHiStar 2次元エリア検出器を用い、Bruker AXS C2 GADDS回折計で収集した。X線光学構成要素は、0.3mmのピンホールコリメーターと結合された単一のGobelマルチプレイヤーミラーからなるものであった。認証された標準NIST 1976コランダム(平板)を用いて性能の点検を毎週行った。ビームの広がり、すなわち、試料上のX線ビームの効果的なサイズは、およそ4mmであった。試料-検出器間距離を、3.2°~29.7°の効果的な2θ範囲を与える20cmとして、θ-θ連続スキャンモードを用いた。通常、試料を120秒間X線ビームに曝した。データ収集にはGADDS for XP/2000 4.1.43ソフトウエアを用い、データの解析及び表示にはDiffrac Plus EVA v13.0.0.2又はv15.0.0.0ソフトウエアを用いた。周囲条件:周囲条件下で分析される試料は、粉砕を行わずに、入手した状態のままの粉末を用いて、平板の検体として調製した;およそ1~2mgの試料を、ガラスのスライドに軽く押しつけ、平面を得た。非周囲条件:非周囲条件下で分析される試料は、熱伝導性化合物と共にシリコンウェハーに載せた。その後、試料を、10℃/分で適当な温度まで加熱し、それに続き等温的に1分間保持してからデータの収集を開始した。
【0124】
XRPD手順2: 或いは、粉末X線回折パターンは、CuKα線(40kV、40mA)、θ-2θゴニオメーター、及びV4の発散スリット及び受光スリット、Geモノクロメーター、並びにLynxeye検出器を用いて、Bruker D8回折計で収集した。認証されたコランダム標準(NIST 1976)を用いて、装置の性能を点検した。データの収集にはDiffrac Plus
XRD Commander v.2.6.1ソフトウエアを用い、データの解析及び表示にはDiffrac Plus
EVA v13.0.0.2又はv15.0.0.0ソフトウエアを用いた。試料は、入手した状態のままの粉末を用いた平板検体として、周囲条件下で分析した。試料は、磨き上げたゼロバックグラウンド(510)シリコンウェハー内に刻んだ空洞内にそっと充填した。分析の間、この試料は、それ自体の平面内で回転させた。データの収集の詳細は以下の通りである:2~42° 2θの角度範囲、0.05°
2θのステップ幅、及び0.5秒/ステップの収集時間。
【0125】
(単結晶X線回折(SCXRD))
データは、Oxford Cryosystems
Cobra冷却装置を備えたOxford Diffraction Supernova Dual Source, Cu
at Zero, Atlas CCD回折計で収集した。このデータは、MoKα線を用いて収集した。通常、構造は、SHELXS又はSHELXDプログラムのいずれかを用いて解析し、Bruker AXS SHELXTLスイート(V6.10)の一部であるSHELXLプログラムを用いて精密化した。炭素に結合した水素原子を幾何学的に配置し、通常、ライディング等方性変位パラメーター(riding isotropic displacement parameter)を用いて精密化させた。ヘテロ原子に結合した水素原子は、差分フーリエ合成において位置を決定し、通常、等方性変位パラメーターを用いて制限なく精密化させた。
【0126】
(核磁気共鳴)
実施例1~3及び5については、NMRスペクトルは、オートサンプラーを備え、DRX400コンソールで制御されたBruker 400MHz装置で収集した。自動化された実験が、標準Bruker装填実験(standard Bruker loaded experiments)を使用して、Topspin v1.3と共に動作するICON-NMR v4.0.7を用いて取得可能である。非ルーチン的な分光法については、データは、Topspinのみを用いて取得した。データは、ppm(δ)で、以下のように報告した:化学シフト(多重度,積分,結合定数(Hz))。
【0127】
13C 固体NMRでは、ピーク位置は、シグナル・ノイズ比、ピーク幅、温度、回転速度、デカップリング効率、マジック角設定、データ処理手法及びパラメーター、並びにソフトウエアのピーク検出アルゴリズム等の因子に依存して変化し得る。また、ピーク位置は、化学シフト基準化手法に相対的なものである。いくつかの異なる化学シフト基準の規格を用いることができ、それらは必ずしも同一の結果を与えるわけではない。異なる化学シフト基準の規格を使用すると、ピーク位置が数ppm異なることもある。しかしながら、異なる基準規格を用いた場合、又は分析者が、同一規格の基準ピーク位置の異なる値を用いた場合には、通常、全てのピークが、同一方向への系統的な位置の変化を有するものである。
【0128】
ある実施態様において、本明細書で提供される13C固体NMRにおけるppm値は、約±0.2ppmの範囲でばらついたが、それでもなお同一のピークを記述していた。
【0129】
(示差走査熱量測定(DSC))
DSCデータは、34位置オートサンプラーを備えたMettler DSC 823Eで収集した。装置を、認証されたインジウムを用いて、エネルギー及び温度に関して較正した。通常、ピンホールをあけたアルミニウムプランに入れた0.5~2mgの各試料を、25℃から300℃まで10℃/分で加熱した。通常、50mL/分の窒素パージを、試料の上に維持した。装置制御及びデータ解析ソフトウエアとして、STARe v9.20ソフトウエアを用いた。
【0130】
(熱重量分析(TGA))
TGAデータを、34位置オートサンプラーを備えたMettler TGA/SDTA 851eで収集した。認証されたインジウムを用いて、装置を、温度較正した。通常、3~6mgの各試料を予め重量を測定したアルミニウムるつぼに載せ、周囲温度から350℃まで10℃/分で加熱した。50mL/分の窒素パージを、試料の上に維持した。
【0131】
(IR スペクトル)
IRデータは、Universal ATR Sampling Accessory及び焦電DTGS検出器(重水素化トリグリシンサルフェート)を用いPerkin Elmer Spectrum One FT-IR分光計で収集した。
【0132】
(HPLCによるキラル純度決定)
キラルHPLC分析は、以下に詳細を示す方法を用いて、ダイオードアレイ検出器を備え、ChemStationソフトウエアvB.02.01-SR1又はSR2を用いるAgilent HP1100シリーズの装置で行った:
メチル 7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートの分析用のキラルHPLC方法のパラメーター
【表3】
【実施例0133】
(合成実施例)
(実施例1:中間体(A)に対する塩スクリーニング)
塩として供給された又は調製された表1のコフォーマーを、それらの遊離酸対応物を単離するために、イオン交換樹脂上で溶出させた。しかしながら、硫酸を含むコフォーマーは、遊離酸の化学的不安定性のために、直接遊離酸としては使用しなかった。その代りに、硫酸を含むコフォーマーは、適当な溶媒に塩として溶解させ、各硫酸基に対し1モル当量のHCl(4N HCl、ジオキサン中)を加えた。コフォーマーAc20、Ac125、及びAc69は、遊離酸の固体として添加した。コフォーマーAc38、Ac49、Ac111、Ac18、及びAc115は、それぞれ、5M、1M、1M、5M、及び5Mの濃度のエタノール溶液中の遊離酸として添加した。以下のコフォーマーは、水性エタノール溶液中の遊離酸として添加した:Ac70(10%v/v、0.45M)、Ac75(10%v/v、0.45M)、Ac126(25%v/v、0.8M)、Ac4(一水和物、7%v/v、1M)、Ac117(20%v/v、0.4M)、Ac116(10%v/v、0.45M)、及びAc127(35%v/v、0.5M)。以下のコフォーマーは、(上記1モル当量のジオキサン中の4N HClに加えて)溶液中のナトリウム塩として添加した:Ac118(エタノール中0.8M)、Ac110(エタノール中5M)、Ac113(THF中3.7M)、Ac114(80体積%の水性THF中0.8M)、及びAc119(25体積%の水性THF中1.3M)。コフォーマーAc120は、0.5M水溶液中の遊離酸として加えた。以下のコフォーマーは、(上記モル当量のジオキサン中の4N HClに加えて)溶液中のアンモニウム塩として添加した:Ac121(ビスアンモニウム塩、38体積%の水性THF中0.7M)、Ac122(水中1.4M)、Ac112(水中0.5M)、Ac123(50%の水性THF中1M)、及びAc124(水中1.3M)。
(表1. コフォーマー)
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【0134】
エタノール(20vol.)、MEK(40vol.)、及びMIBK(20vol.)中に、中間体(A)(30又は50mg)のクリアーな50℃の溶液を調製した。上記の段落で記載したように調製されたコフォーマー酸(1.2モル当量)を、50℃で添加し、約1~2時間スラリー化した。懸濁液を、室温まで冷却し、室温で2日間スラリー化した。クリアーな溶液を、順次5℃、20℃まで冷却するとともに、ゆっくりとした蒸発を行った。ゴム状物質に対しては、熟成サイクル(温度サイクル)を行った。
(表2.化合物(1): (2S,3S)-メチル
7-フルオロ-2-(4-フルオロフェニル)-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-4-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-5-カルボキシレートの結晶性コフォーマー塩を得るための試行条件
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【0135】
以下のスキーム1に、化合物(1a)の製造のため、及び化合物(1)のキラル分割のためのコフォーマー酸としての、Ac49の使用を記載する。
【化5】
【0136】
(実施例2―スキーム1を用いる化合物(1)の製造)
(工程1a)
中間体(A)(5g、12.5mmol)を、9:1v/vのMIBK/エタノール(70mL、14vol.)に50℃で撹拌しながら溶解させたところ、約5分未満で溶解が確認された。[(1S)-endo]-(+)-3-ブロモ-10-カンファースルホン酸・一水和物(4.1g、12.5mmol)を加えたところ、約10~20分で溶解が確認された。その後、化合物(1a)(95%e.e.、5mg、0.1%w.)を用いて種晶の添加を行い、系を50℃で約1時間平衡化させ、0.15℃/分で約20℃まで冷却し、その後、20℃で2時間平衡化させた。固相は、濾過により単離し、エタノールで洗浄し、約50℃及び3ミリバールで、約2~3時間乾燥し、0.6モル当量のEtOH溶媒和物及び0.6モル当量の水和物として化合物(1a)を得た(93.4%e.e.)。
【0137】
(工程1b)
その後、化合物(1a)を、95/5体積%のMIBK/エタノール(38mL、10vol.)に、50℃で撹拌しながら懸濁させた。50℃で約2時間後、懸濁液を約5℃まで、10~15時間冷却した。固相を濾過により回収し、約50℃及び3ミリバールで、約3時間乾燥した。化合物(1a)(97.4%e.e.)が回収された。
【0138】
(工程2)
工程1における任意の再スラリー化を行うことなく、化合物(1a)(3.9g、5.5mmol)を、20mLの水に室温で懸濁させ、5M水酸化ナトリウム水(1.3mL、1.2mol)で処理することにより、化合物(1)を遊離させた。混合物を、室温で約15時間保ち、固体を濾過により単離し、50℃及び3ミリバールで約3時間乾燥した。化合物(1)が回収された(94.4%e.e.)。
【0139】
(実施例3―スキーム1を用いる化合物(1)の大量調製)
【0140】
3.3kgの中間体(A)及びそれぞれの溶媒比を用いて、実施例1の手順に従うことで、工程1aで95.7%e.e.;工程1bで99.2%e.e.;及び工程2で99.2%e.e.が達成された。
【0141】
(実施例4―スキーム1を用いる化合物(1)の製造の別法)
(工程1a)
中間体(A)(751mg、1.86mmol))を、撹拌しながら50℃で、9:1v/vのMIBK/エタノール(7.5mL、10vol.)に溶解させた。[(1S)-endo]-(+)-3-ブロモ-10-カンファースルホン酸・一水和物(620mg、1.88mmol、1当量)を加えた。析出物の形成が、50℃、約1時間で観察された。その後、系を0.1℃/分で約5℃まで冷却し、その後、5℃で約60時間平衡化させた。固相を濾過により単離し、約50℃及び3ミリバールで約2時間乾燥し、化合物(1a)(92%e.e.)を得た。
図1~4を参照されたい(XRPDについては
図1、キラルHPLCについては
図2、
1H NMRについては
図3、及びTGA/DSC分析については
図4)。実施例3の材料からのXRPDパターンは、実施例1のそれと類似しており、特定の回折ピーク(
図1で黒の矢印により強調されているもの)の位置が、若干シフトしている。
1H NMRは、0.5モル当量のEtOH及び0.6重量%の残留MIBKを含有する化合物(1a)のモノ塩と一致した。TGA分析では、25~90℃の間に3.5%の段階的な質量減少(0.5モル当量のEtOHが失われることを示している可能性がある)が示されるとともに、90から160℃の間に1.2%の漸進的な質量減少(吸着水が失われることを示している可能性がある)が示された。DSC分析では、脱溶媒和を示すブロードな吸熱が25~90℃の間に存在し、融解/分解を示す吸熱が135℃に存在した。
【0142】
(工程1b)
化合物(1a)(100.3mg、0.141mmol)を、50℃で95:5v/vのMIBK/EtOH(1mL、10vol.)に再懸濁し、1時間撹拌してから、0.1℃/分で5℃まで冷却した。5℃で一晩経過後に、固体(99.4%e.e.)を濾過により回収した。XRPD回折ピークのシフトは、もう検出されなかった(
図5;
図1と比較されたい)。
図6は、化合物(1a)のキラルHPLCを示す。
【0143】
(工程2)
工程1aからの化合物(1a)(100.2mg、0.141mmol)を、50℃で、水(2mL、20vol.)に懸濁させ、5M NaOH水(34μL、1.2モル当量)を加えた。得られた懸濁液を、50℃に一晩保ち、室温まで冷却(管理しない冷却)し、濾過することで、化合物(1)(92%e.e.)を得た。キラル純度は、この工程で影響を受けず、NMRでは、[(1S)-endo]-(+)-3-ブロモ-10-カンファースルホン酸は検出されなかった。
図7では、工程2における化合物(1)のXRPDを、工程1の出発物質である中間体(A)と比較している。
図8は、工程2における化合物(1)のNMRを、工程1の出発物質である中間体(A)と共に示す。
【0144】
(実施例5―スキーム1を用いる化合物(1)の製造の別法)(工程1a)
撹拌しながら、MIBK(12~13vol)、エタノール(1~1.5vol)、及び水(0.05~0.10vol)の溶液に、中間体(A)(1当量)を加え、反応を、約48℃~約52℃の内部温度となるまで15分以内で加熱した。[(1S)-endo]-(+)-3-ブロモ-10-カンファースルホン酸(1当量)を加え、反応を、約48℃~約52℃の内部温度で、溶解が起こるまで約5~10分間撹拌した。化合物(1a)の種結晶を添加し、約48℃~約52℃の内部温度で、1時間反応を進行させた。反応を、0.15℃/分の速度で約19~21℃まで冷却した。懸濁液を、約19℃~21℃の内部温度で2時間撹拌し、その後、濾過により採取し、エタノールで2回洗浄した。生成物は、
1H NMR及び
13C
NMR(
図13a及び13b)、IRスペクトル(
図14)、DSC(
図15)、及びキラルHPLC(
図16)により特性評価した。
【0145】
(工程2a)
化合物(1a)(1当量)に、アセトン(1.1vol)、IPA(0.55vol)、及びメタノール(0.55vol)を加え、反応を、約38℃~42℃の内部温度まで加熱した。アンモニア水(25%)(1.3当量)を加え、反応を約10分間撹拌した。反応のpHを確認し、≧7である場合に、次工程を行った。水を加え(0.55vol)、反応を約35℃の内部温度まで冷却し、化合物(1)の種結晶を添加し、反応を約10分間撹拌した。水(3.3vol)を約30分以内で滴加し、懸濁液を約0℃~5℃の内部温度まで30分以内で冷却し、反応を15分間撹拌した。固体を濾過により集め、水で3回洗浄した。
【0146】
(工程2b)
工程2a)の生成物に、アセトン(4vol)、IPA(1vol)、及びメタノール(1vol)を加え、反応を約38℃~42℃の内部温度まで加熱したところ、クリアーな溶液となった。水(2vol)及び化合物(1)の種結晶を添加し、系を約35℃の内部温度で約15分間撹拌した。水(342mL)を約30分で滴加した。その後、懸濁液を約0℃~5℃の内部温度まで30分で冷却し、更に15分間撹拌した。固体を濾過により集め、水で2回洗浄し、キラル純度を決定した。≧99%e.e.の場合、固体を約60℃の内部温度で減圧下乾燥し、化合物(1)を得た。生成物は、
1H NMR(
図19)、
13C NMR(
図20)、IR(
図21)、DSC(
図22)、キラルHPLC(
図23)で特性評価した。
【0147】
以下のスキーム2において、化合物(1b)の製造及び化合物(1)のキラル分割のためのコフォーマー酸としてのAc110の使用を記載する。
【化6】
【0148】
(実施例6―スキーム2を用いた化合物(1)の製造
(工程1a)
中間体(A)(102mg、0.256mmol)を、MIBK(1mL、10vol.)に65℃で撹拌しながら溶解させた。当業者に公知の手順を用いて製造した(1S)-フェニルエタンスルホン酸(MIBK中、3.8M、80μL、1モル当量)を加えたところ、65℃で30分後に懸濁液が観察された。系を、65℃に更に30分間保ってから、0.1℃/分で5℃まで冷却した。5℃で一晩経過後に、固体を濾過し、50℃、3ミリバールの圧力で、約2時間乾燥し、化合物(1b)を得た。
図9~12を参照されたい(XRPDについては
図9、キラルHPLCについては
図10、
1H NMRについては
図11、及びTGA/DSC分析については
図12a及び12b)。実施例5において得られた固体のXRPD回折パターンは、実施例1の塩スクリーニングにおける固体形態を用いて得られたXRPDパターンとは異なっており、実施例1及び5において異なる固体が製造されていることと一致した。
1H NMRは、0.3重量%のジオキサンの残留があるモノ塩と一致した。
図12aにおいて、熱的挙動は、201℃に融解/分解を示す溶媒和されていない形態と一致した。
図12bでは、実施例5の化合物(1b)の融解パターンを、実施例1の化合物(1b)と比較している。
【0149】
工程1b及び2は、実施例2~5において用いられた手順と類似の手順を用いて実施し得る。
【0150】
(実施例7―化合物(1a)の多形性)
化合物(1)(92%e.e.、10mg、mmol)を、1.5mLのバイアルに入れ、50℃で、表3の溶媒(1mL以下)を溶解するまで添加した。[(1S)-endo]-(+)-3-ブロモ-10-カンファースルホン酸を、固体として50℃で加えた。試料を50℃に約1時間保ってから、一晩で室温まで冷却した(管理しない冷却速度)。クリアーな溶液は、4℃、-20℃まで順次冷却し、また、室温で蒸発させた。蒸発後に得られたゴム状物質は全て、ジエチルエーテルに再懸濁させた。生じた固相は、XRPDにより、また、それが適切である場合には
1H NMR及びTGA/DSCにより特性評価した。
【表12】
【0151】
溶媒和物(ヘテロ溶媒和物(heterosolvate)は除く)が観察された7種の溶媒の各々を、MIBK(90%vol)と混合した。中間体(A)の溶液を、50℃でこれらの溶媒混合物(10vol)中に調製し、[(1S)-endo]-(+)-3-ブロモ-10-カンファースルホン酸(1モル当量)を加えた。得られたクリアーな溶液を、0.2℃/分で5℃まで冷却した。驚くべきことに、どの試料においても結晶化は報告されなかった。種晶の添加を、約25℃で各溶媒和物の結晶を少量用いて行った。固相をXRPDにより分析し、液相をキラルHPLCにより分析した。結果の一覧については表4を参照されたい(表4中、「Dias 2」は、化合物(1a)の(2R,3R)ジアステレオマーである)。
表4. 化合物(1a)の溶媒和物の分析
【表13】
【0152】
上の表4から分かるように、エタノール/MIBK系を用い、93%純度の化合物(1a)が得られた。このことは、化合物(1a)が、エタノレート溶媒和物として非常に純粋な形態で結晶化することを示している。
【0153】
本明細書に記載の化合物、方法、及び組成物の他の目的、特徴、及び利点は、以下の記載から明らかとなろう。しかしながら、本明細書の主旨及び範囲内にある種々の改変及び変更が、この詳細な説明から明らかとなるものであるため、本件の記載及び具体例は、特定の実施態様を示しているものの、例示としてのみ提供されていることを理解すべきである。
【0154】
特許、特許出願、及び公開された特許出願を含む本明細書において引用された全ての刊行物は、あらゆる目的のために引用により本明細書に組み込まれている。