(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123101
(43)【公開日】2024-09-10
(54)【発明の名称】投与システム、および投与システムを制御する方法
(51)【国際特許分類】
B05C 5/00 20060101AFI20240903BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20240903BHJP
B05D 1/26 20060101ALI20240903BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/10
B05D1/26 Z
B05D3/00 D
B05D3/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024097471
(22)【出願日】2024-06-17
(62)【分割の表示】P 2021529871の分割
【原出願日】2019-11-29
(31)【優先権主張番号】102018131567.8
(32)【優先日】2018-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】514024918
【氏名又は名称】フェルメス マイクロディスペンシング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フリース、マリオ
(72)【発明者】
【氏名】スタインハウザー、アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】テツナー、トビアス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、投与材料を投与する投与システムに関する。
【解決手段】投与システムは、材料を投与するためのノズルおよび供給路を備えるハウジングと、移動可能にハウジング内に取り付けられた吐出要素と、吐出要素に結合されたアクチュエータユニットと、を有する。アクチュエータユニットは、吐出方向に吐出要素を移動させるために圧力媒体により、加圧され得る膜を有するアクチュエータを備える。吐出要素は別個に形成され、アクチュエータユニットに結合するために、吐出要素の方向を向く膜の側面に、吐出要素に作用する力によって押圧される。さらに、本発明は、投与システムを制御する方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投与材料を投与する投与システム(1)であって、前記投与システム(1)が、材料を投与するためのノズル(70)および供給路(62)を備えるハウジング(11)と、移動可能に前記ハウジング(11)内に取り付けられた吐出要素(80)と、前記吐出要素(80)に結合されたアクチュエータユニット(10)と、を有し、
前記アクチュエータユニット(10)が、吐出方向(RA)に前記吐出要素(80)を移動させるために圧力媒体により加圧される膜(13)を有するアクチュエータ(12)を備え、ならびに、
前記吐出要素(80)が別個に形成され、前記アクチュエータユニット(10)に結合するために、前記吐出要素(80)に作用する力により、前記吐出要素(80)の方向を向く前記膜(13)の側面(19)に押圧される、投与材料を投与する投与システム(1)。
【請求項2】
前記投与システム(1)は、前記吐出要素(80)の吐出方向(RA)に対して反対の方向に、結合するための前記吐出要素(80)に作用する前記力が向けられるように形成された、請求項1に記載の投与システム(1)。
【請求項3】
前記投与システム(1)は、前記アクチュエータユニット(10)に結合するために、少なくとも1つのばね装置(84)により、前記膜(13)の前記側面(19)に前記吐出要素(80)が押圧されるように形成された、請求項1または2に記載の投与システム(1)。
【請求項4】
前記膜(13)が、円盤状に、および/または、キャビティなしで形成された、請求項1~3のいずれか1項に記載の投与システム(1)。
【請求項5】
特に、請求項1~4のいずれか1項に記載の、投与材料を投与する投与システム(1)であって、前記投与システム(1)が、材料を投与するためのノズル(70)および供給路(62)を備えるハウジング(11)と、移動可能に前記ハウジング(11)内に取り付けられた吐出要素(80)と、前記吐出要素(80)に結合されたアクチュエータユニット(10)と、を有し、前記アクチュエータユニット(10)が、吐出方向(RA)に前記吐出要素(80)を移動させるために圧力媒体により加圧されることが可能な膜(13)を有するアクチュエータ(12)を備え、ならびに、前記投与システム(1)の前記ハウジング(11)が、前記圧力媒体のためのリザーバ(32)を備え、および/または、前記リザーバ(32)が、前記アクチュエータ(12)を制御するための、前記アクチュエータユニット(10)の制御バルブ(20)に直接隣接する、請求項1~4のいずれか1項に記載の、投与材料を投与する投与システム(1)。
【請求項6】
少なくとも1つの圧力センサ(33)が前記リザーバ(32)内に配置された、請求項5に記載の投与システム(1)。
【請求項7】
前記アクチュエータユニット(10)が、前記制御バルブ(20)を冷却するための冷却媒体として、前記アクチュエータ(12)のアクチュエータチャンバ(16)から流出する圧力媒体を使用するように形成された、請求項5または6に記載の投与システム(1)。
【請求項8】
前記投与システム(1)が、前記吐出要素(80)の移動の速度を測定するための少なくとも1つのセンサ(18)を備える、請求項1~7のいずれか1項に記載の投与システム(1)。
【請求項9】
前記投与システム(1)が、入力パラメータの関数として前記圧力媒体の圧力を、好ましくは前記投与システム(1)の制御および/または調整ユニット(43)により、制御および/または調整するための少なくとも1つの圧力調整器(35)を備える、請求項1~8のいずれか1項に記載の投与システム(1)。
【請求項10】
特に、請求項1~9のいずれか1項に記載の、投与材料を投与する投与システム(1)であって、前記投与システム(1)が、材料を投与するためのノズル(70)および供給路(62)を備えるハウジング(11)と、移動可能に前記ハウジング(11)内に取り付けられた吐出要素(80)と、前記吐出要素(80)に結合されたアクチュエータユニット(10)と、を有し、前記アクチュエータユニット(10)が、吐出方向(RA)に前記吐出要素(80)を移動させるために圧力媒体により加圧されることが可能な膜(13)を有するアクチュエータ(12)を備え、ならびに、前記投与システム(1)、好ましくは、前記アクチュエータ(12)を制御するための、前記投与システム(1)の制御バルブ(20)が、入力パラメータの関数として前記アクチュエータ(12)内の圧力を、好ましくは前記投与システム(1)の制御および/または調整ユニット(43)により、制御および/または調整するように形成された少なくとも1つのスロットル装置(28)を備える、請求項1~9のいずれか1項に記載の、投与材料を投与する投与システム(1)。
【請求項11】
特に、請求項1~10のいずれか1項に記載の、投与材料を投与する投与システム(1)であって、前記投与システム(1)が、材料を投与するためのノズル(70)および供給路(62)を備えるハウジング(11)と、移動可能に前記ハウジング(11)内に取り付けられた吐出要素(80)と、前記吐出要素(80)に結合されたアクチュエータユニット(10)と、を有し、前記アクチュエータユニット(10)が、吐出方向(RA)に前記吐出要素(80)を移動させるために圧力媒体により加圧されることが可能な膜(13)を有するアクチュエータ(12)を備え、ならびに、前記投与システム(1)、好ましくは、前記アクチュエータ(12)を制御するための、前記投与システム(1)の制御バルブ(20)が、前記アクチュエータ(12)を充填する間、および/または、前記アクチュエータ(12)を空にする間に、圧力プロファイルを制御および/または調整するように形成された、少なくとも1つのスロットル装置(28)を備える、請求項1~10のいずれか1項に記載の、投与材料を投与する投与システム(1)。
【請求項12】
前記投与システム(1)は、基本的にカートリッジ圧力に対応する圧力が前記膜(13)とプランジャシール(85)との間の領域内に維持されるように形成され、および/または、前記投与システム(1)は、前記膜(13)、好ましくはその下側と、前記プランジャシール(85)との間の領域内に負圧、特に真空が維持されるように形成された、請求項1~11のいずれか1項に記載の投与システム(1)。
【請求項13】
投与材料を投与する投与システム(1)を制御する方法であって、前記投与システム(1)が、材料を投与するためのノズル(70)および供給路(62)を備えるハウジング(11)と、移動可能に前記ハウジング(11)内に取り付けられた吐出要素(80)と、前記吐出要素(80)に結合されたアクチュエータユニット(10)と、を有し、
前記アクチュエータユニット(10)のアクチュエータ(12)の膜(13)が、吐出方向(RA)に前記吐出要素(80)を移動させるために圧力媒体により加圧され、および、
前記吐出要素(80)が、前記アクチュエータユニット(10)に結合するために、前記吐出要素(80)に作用する力により、前記吐出要素(80)の方向を向く前記膜(13)の側面(19)に押圧される、投与材料を投与する投与システム(1)を制御する方法。
【請求項14】
前記圧力媒体の圧力は、前記吐出要素(80)の速度が吐出移動中に目標値に対応するように、入力パラメータの関数として制御および/または調整される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記アクチュエータ(12)内に流れる圧力媒体の圧力、および/または、前記アクチュエータ(12)から流出する圧力媒体の圧力は、前記吐出要素(80)の速度が吐出移動および/または後退移動中に目標値に対応するように、入力パラメータの関数として制御および/または調整される、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
特に、請求項13~15のいずれか1項に記載の、投与材料を投与する投与システム(1)を制御する方法であって、前記投与システム(1)が、材料を投与するためのノズル(70)および供給路(62)を備えるハウジング(11)と、移動可能に前記ハウジング(11)内に取り付けられた吐出要素(80)と、前記吐出要素(80)に結合されたアクチュエータユニット(10)と、を有し、前記アクチュエータユニット(10)のアクチュエータ(12)の膜(13)が、吐出方向(RA)に前記吐出要素(80)を移動させるために、圧力媒体により加圧され、
および、前記圧力媒体の圧力が制御および/または調節され、好ましくは、前記投与システム(1)のスロットル装置(28)が、吐出移動中および/または後退移動中に前記吐出要素(80)の速度が変えられるように前記投与システム(1)の制御および/または調整ユニット(43)によって制御される、請求項13~15のいずれか1項に記載の、投与材料を投与する投与システム(1)を制御する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体から粘性の投与材料を投与する、好ましくは投与材料を基板に塗布する投与システム、およびそうした投与システムを制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記種類の投与システムは、通常、液体から粘性の投与材料である投与媒体を、標的化された方式で投与するために種々の応用分野において使用されている。いわゆる「マイクロドージング技術」の文脈においては、極微量の媒体が高精度で、すなわち、適切な時点で適切な場所において、および正確に投与される量で標的表面に輸送されることが必要であることが多い。
【0003】
投与は、非接触、すなわち、投与システムと標的表面との間の直接接触がないことが多い。これは、たとえば、投与システムのノズルを介した、投与材料の滴状送達によって行うことが可能である。この場合、媒体は、投与システムの、ノズルの内部空間、および、大部分は、吐出要素の領域のみと接触する。液滴のサイズ、または液滴毎の媒体の量は、ノズルの構造および制御、およびそれによって実現される標的化効果により、できる限り正確に予測可能である。そうした非接触方法は、「ジェット方法」と呼ばれることが多い。これの典型例は、回路基板もしくは他の電子素子の組立て、またはLED用のコンバータ材料の塗布におけるグルードット、はんだペースト等の投与である。
【0004】
移動可能な吐出要素は、投与システムからの媒体の送達のために投与システムのノズル内に配置され得る。吐出要素は、ノズル開口または出口開口に向けて比較的高速でノズルの内部において前方に押し出され、一滴の媒体が吐出され、および次いで、再び、後退させられ得る。これは、上記投与システム、および、本発明による投与システムでは、投与材料が吐出要素自体により、ノズルから吐出されることを意味する。ノズルからの吐出のために、吐出要素が吐出されるべき投与材料と接触し、吐出要素および/またはノズルの移動により、投与システムのノズルから投与材料を「押し」出す。よって、投与材料は移動可能な吐出要素により、ノズルから実質的に「能動的に」吐出される。よって、この種類の投与システム、および本発明による投与システムは、閉鎖要素の移動のみがノズルの開口につながる他のディスペンサシステムであって、加圧された投与材料がその場合、それ自体でノズルから出現する他のディスペンサシステムと異なる。これはたとえば、内燃エンジンの場合の噴射バルブにあてはまる。
【0005】
通常、吐出要素は、ノズル開口の封止座にノズル内で強固に接続し、一時的にそこに留まる、閉鎖位置にある状態にもされ得る。より粘性の高い投与材料がある場合には、吐出要素が、一滴の媒体も出現することなく、単に、後退位置に、すなわち、封止座から離れる方向に留まることで十分でもあり得る。
【0006】
投与材料を吐出するために必要な、吐出要素の移動は通常、投与システムのアクチュエータユニットを用いて行われる。そうしたアクチュエータユニットは基本的には、種々のやり方で、たとえば、空気圧または油圧作動アクチュエータにより、実現され得る。あるいは、圧電、および/または電磁作動アクチュエータが使用される。上述したアクチュエータ原理と比較すれば、空気圧または油圧アクチュエータを有するアクチュエータユニットは、比較的単純な構成によって特徴付けられ、これはさらに、投与システムの全体の複雑度を低減する。したがって、空気圧または油圧アクチュエータは、投与システムの動作のための費用対効果の高い解決策を、特に投与が簡単な投与材料の処理において示す。
【0007】
空気圧または油圧アクチュエータは、種々のやり方で実現され得る。たとえば、アクチュエータが空気圧または油圧シリンダによって実現される投与システムが知られている。そうしたシステムにおいては、比較的高い度合いの摩耗がシリンダの摩擦シールの領域内で生じるので、圧力媒体によって加圧され得るベローズによって実現される一層多くの空気圧または油圧アクチュエータが使用されている。
【0008】
さらなる好ましい代替例は、圧力媒体によって加圧され得る膜により、空気圧または油圧アクチュ―エータを形成することである。この変形例は、一方で、空気圧または油圧シリンダなどにおける摩擦シールを不要にすることが可能であるという利点を有する。他方で、「ベローズ作動」アクチュエータと比較して、設計および製造労力を削減することが可能である。さらに有利な「膜作動」空気圧または油圧アクチュエータは、通常、「ベローズ作動」または「シリンダ作動」アクチュエータの場合にあてはまるものよりも高いクロック周波数で作動させることが可能である。したがって、「膜作動」空気圧または油圧アクチュエータは特に、極めて精細な投与要件に好適である。
【0009】
投与システムの吐出要素上の「膜作動」空気圧または油圧アクチュエータによって発生する力を伝達するために、アクチュエータの歪み可能(deflectable)な膜が、既知の複数の投与システムのうちの投与システムの吐出要素に強固に接続される。たとえば、吐出要素は、永久的に膜に溶接され、リベット止めされ、ねじ止めされ、はんだ付けされ、または糊付けされ得る。同様に、吐出要素が、膜を完全に貫通し、および、膜の少なくとも1つの側面上の膜に強固にねじ止めされ、または、固定リングもしくはピンニングにより、膜に強固に接続されることが可能である。吐出要素と膜との間の固定された結合は実際に、上記方法によって実現され得る。
【0010】
しかし、一方で、この構成は、移動させられるべき膜の総質量が、必要な接続機構により、増加させられることにもつながる。膜を所望のやり方でなお、歪ませ(deflect)、または移動させるために、膜の径を、膜の加速力を増加させるために増加させ得る。しかし、膜径における増加は、圧力媒体により、膜を歪ませるために充填される、空気圧または油圧アクチュエータのアクチュエータチャンバの体積が増加させられなければならないことにもつながる。しかし、設計により、これは、アクチェータチャンバを充填または空にするプロセスにより時間がかかり、投与システムのクロック周波数が不必要に減速させられることにもつながる。
【0011】
他方で、従来の空気圧または油圧アクチュエータでは、膜は、膜への吐出要素の固定された接続により、かなり弱体化され得る。特に、吐出要素と膜との間の接続点は、所定の破断点の態様で膜の弱点を形成する場合があり、これは、特に投与システムの連続動作において問題となり得る。その結果、空気圧アクチュエータのサービス寿命または耐用寿命がかなり短縮される場合があり、これは、投与システムのより高い保守労力および、より高い維持費用をもたらし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、上記欠点が減りおよび好ましくは回避される、アクチュエータを有する投与システムを提供することである。さらに、目的は、そうした投与システムを制御する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、特許請求項1に記載の投与システム、および特許請求項13に記載の、そうした投与システムを制御する方法によって実現される。
【0014】
液体から粘性の投与材料を投与するための、特に好ましくは、基板への投与材料の非接触塗布のために投与のための、本発明による投与システムは、任意的には複数部分のハウジングであって、ハウジングが少なくとも1つのノズルと、材料を投与するための供給路とを備えるハウジングを有する。投与されるべき投与材料は、このノズルのノズルチャンバ内に、投与システムの供給路を通って進む。
【0015】
投与システムはさらに、移動可能にハウジング内に配置された吐出要素、および、投与材料を分配するために吐出要素に結合された、または、吐出要素と相互作用する、アクチュエータユニットを有する。結合の結果、アクチュエータユニットは、投与材料の分配が、吐出要素により、投与システムのノズルから行われるように、吐出要素と相互作用する。本出願の導入部分で上述したように、そうした吐出要素は、投与材料を「能動的に」吐出する。好ましくは、投与システムは、ジェットバルブであって、投与材料の分配を上述したように非接触で行うことが可能なジェットバルブの態様で実現することが可能である。
【0016】
本発明によれば、アクチュエータユニットは、後述するように、「作動膜」とも呼び得る、好ましくは円盤状に形成された膜を有する少なくとも1つのアクチュエータを備える。アクチュエータは特に、好ましくは、単一の膜のみを備える。
【0017】
アクチュエータユニットは、後述するように、投与システム内の吐出要素の移動に必要なさらなる複数の構成要素をさらに備え得る。対照的に、好ましくは、投与材料と接触する、投与システムの複数の構成要素、たとえば吐出要素は、やはり後述するように、投与システムの流体ユニットに集約される。
【0018】
アクチュエータの膜、特に吐出要素から離れる方向を向く膜の側面は、吐出要素が投与材料を吐出するために吐出要素の吐出方向にノズルから移動させられ、または、歪ませられるように、少なくとも1つの圧力媒体によって加圧され得る。膜が加圧されると、特に移動している圧力媒体は、「加圧」との呼称が表すように、吐出要素から離れる方向を向く、膜の側面(上側)に直接、ぶつかり、または当たる。これは、膜が、ノズルから投与材料を吐出するために、圧力媒体自体により、直接、歪ませられることを意味している。この目的で、吐出要素は、ノズルの出口開口の方向に膜により移動させられる。移動は、吐出要素の先端が、吐出移動が完了するとノズルの封止座に直接当接するようなものであり得る。あるいは、吐出移動は、吐出要素の先端とノズルの封止座との間に任意の距離が残るように、前もって停止させられる場合もある。
【0019】
本発明によれば、吐出要素は膜に対して別個に形成され、すなわち、それは膜自体とは別個の構成要素である。吐出要素は特に好ましくは一片に形成される。アクチュエータユニットに結合するために、吐出要素は、吐出要素の方向を向く膜の側面に、接触圧力により吐出要素に直接作用する力により、投与システムの動作中に、動作位置に押圧される。結合するために備えられる膜の側面は、圧力媒体によって加圧され得る膜の側面から離れる方向を向く。膜の2つの側面は、後述するように、それらの設計に関して、膜の底面に対応する。
【0020】
吐出要素またはノズルの方向を向く側面は通常、投与システムが、意図されるように使用された場合に(すなわち、使用中の投与システムが通常、投与剤がノズルから下方に吐出されるように配置されるので)、「下方に」向けられ、および、したがって、以下では、それに対する限定なしで、膜の「下側」と呼ばれる。よって、圧力媒体によって加圧され得る、膜の下側と反対側の表面、膜の「上側」と呼ばれる。
【0021】
吐出要素、たとえばプランジャと、アクチュエータユニットとの間の結合のために、力が吐出要素自体のみに、よって、膜に直接ではなく吐出要素を介して間接的にのみ作用させられ、すなわち、結合のための力の少なくとも一部が、吐出要素から膜へ伝達され得る。
【0022】
本発明によれば、上述したように、吐出要素は別個に形成され、すなわち、吐出要素は、膜に固定で、または永久的に接続されるものでない。特に、吐出要素を、アクチュエータユニットに、またはアクチュエータの膜に結合するために、それぞれの構成要素間の確実な接続、および材料の接続は必要でない。むしろ、結合は、接着の原理で行われる。吐出要素に作用する力により、吐出要素は、投与システムの動作中に、吐出要素の方向を向く膜の側面との作動接触状態に連続して保たれ得る。吐出要素および膜はこの場合もまた、結合するための吐出要素に作用する力が存在しないか、または特定値を下回っている場合にのみ、結合されていない2つの別個の構成要素を形成する。
【0023】
膜上の吐出要素の保持はよって、特に、「貫通なし」および「損傷なし」で行われる。これは、吐出要素がたとえば、膜にねじ止めされることも、溶接されることも、糊付け等されることもないことを意味している。特に、結合するための、膜の下側および/または上側の表面状況における変化は実質的に存在しない。
【0024】
吐出要素および膜が、機能ユニット(投与システム)から吐出要素に作用する力によってのみ組み合わせられる、別個の接続されていない複数の構成要素として形成されるので、有利には、非常に小さな質量のみが、投与システムの動作中にアクチュエータユニットのアクチュエータにより移動させられることが、本発明による投与システムによって実現され得る。よって、一方で、作動膜の総重量をできる限り低く保つことが可能であり、膜を作動させるためのアクチュエータチャンバの体積を小さく保ち得る。この設計は、アクチュエータが非常に高い動的値を実現するように、アクチュエータチャンバを充填および空にするプロセスを加速することが可能である。有利には、投与システムはしたがって、比較的単純な設計にもかかわらず、高粘度投与材料を投与するのに好適である。
【0025】
さらに有利には、本発明による投与システムにおいて、多くの場合従来の投与システムにあてはまるような、膜と吐出要素との間の固定された接続の領域における、設計に関連した膜の材料の弱体化は、ほとんど完全に回避することが可能である。さらに、たとえば、空気圧または油圧シリンダにおいて必要なアクチュエータ内の摩擦シールなどを不要にすることが可能である。有利には、したがって、本発明による投与システムにより、アクチュエータ、さらに、投与システム全体の、中断されないサービス寿命を延長することが可能であり、同時に、投与材料を分配する場合の非常に高いクロック周波数が可能である。
【0026】
液体から粘性の投与材料を投与する、特に好ましくは、基板への投与材料の非接触塗布の投与システムを制御する、本発明による方法において、投与システムは、任意的には複数部分のハウジングであって、少なくとも1つのノズルと材料を投与するための供給路とを備えるハウジングを有する。上述したように、ハウジングは、移動可能にハウジング内に配置された吐出要素、および投与材料を分配するために、吐出要素に結合された、または吐出要素と相互作用するアクチュエータユニットを有する。
【0027】
本発明によれば、アクチュエータユニットのアクチュエータの(作動)膜は、ノズルから投与材料を吐出するために、吐出要素の吐出方向に吐出要素を移動させ、または歪ませるために圧力媒体によって加圧される。好ましくは、膜の、吐出要素から離れる方向を向く側面(「上側」とも呼ばれる)は、ノズルの方向に吐出要素を移動させるために圧力媒体によって加圧される。アクチュエータユニットに結合するために、力が吐出要素自体に作用する。吐出要素に作用する力により、吐出要素が、膜の、吐出要素の方向を向く側面(「下側」とも呼ばれる)に、接触圧力によって押圧される。投与システムの動作中に、膜との、特に吐出要素の方向を向く膜の側面との作動接触状態に、吐出要素が連続して保たれるように、力が吐出要素に作用させられ得る。
【0028】
さらに、本発明の特に有利な実施形態および修正例は従属請求項および以下の説明から明らかであり、請求項カテゴリの独立請求項はさらに、従属請求項と同様に展開させることも可能であり、ならびに、別の請求項カテゴリの実施形態および、特に、さらに、異なる実施形態または変形例の個々の特徴を、新たな実施形態または変形例に組み合わせることが可能である。
【0029】
好ましくは、投与システムは、結合するための吐出要素、たとえばプランジャに作用する、吐出方向、すなわち吐出移動の方向の力が、吐出要素の反対側に向けられるように形成される。吐出方向は、ノズルから投与材料を分配するための、吐出要素の(直線)移動に対応する。吐出方向は、よって、投与システムの、(吐出要素と膜との間の)結合点から始めて、ノズルへ向けられる。したがって、好ましくは、力の(作動)方向がノズルから離れる方向を向き、および、アクチュエータの膜の底面と略直角に位置合わせされるように、結合するための力が吐出要素に作用させられ得る。
【0030】
同様に「プランジャ」とも呼ばれる吐出要素の反対方向の移動、すなわち、ノズルから離れる方向の移動は、後退移動と呼ばれる。よって、後退移動は、以下に説明するように、吐出要素の後退方向である。
【0031】
特に好ましくは、投与システムは、少なくとも1つのばねおよび/または圧力装置によって印加された力により、アクチュエータユニットに結合するための吐出要素が、膜の下側を向く吐出要素に動作中に恒久的に押されるように形成され得る。特に、ばねおよび/または圧力装置によって作用させられる力は、吐出要素の後退移動中、すなわち、吐出要素が、投与材料を吐出した後に、アクチュエータユニットの方向にノズルから離れる方向に移動させられる際にも、膜の下側との連続的な直接接触状態に吐出要素を保持するのに十分大きい。
【0032】
ばねおよび/または圧力装置は単に、ばね装置として、複数のばね、または、他のばね装填構成要素から成り得る。最も単純な、および、したがって、多くの場合に好ましい場合には、それは単一のばね装填構成要素、たとえば、単一のばね、特にコイルばねから成り得る。以下では、(一般性の限定なしで)ばね装置は、単純にするために、ばねまたは「戻しばね」とも呼ばれる。あるいは、またはさらに、ばねおよび/または圧力装置は、空気圧シリンダ、別の膜装置等などの、別の形態における押圧要素も有し得る。
【0033】
好ましくは、戻しばねは、特定の時間間隔内に、特に、膜がもう圧力媒体によって加圧されない状態になるやいなや、吐出要素を静止位置に移動させるように形成され得る。吐出要素の静止位置は、(動作中に)吐出要素の先端とノズルとの間の考えられる最大距離に達する、すなわち、吐出要素が、アクチュエータユニットの方向に、上方にできる限り遠くにばねによって押されることを特徴とする。好ましくは、吐出要素はさらに、静止位置において膜の下側に直接当接する。
【0034】
さらに、戻しばねは好ましくは、さらに、膜に対して「リセット効果」を作用させ得る。膜は実際に好ましくは、それが、特定の時間間隔内に、膜がもう圧力媒体によって加圧されない状態になるやいなや、静止位置に自動的に戻るように形成され得る、すなわち、膜は弾性に形成され得る。しかし、戻しばねによって作用させられる力は少なくとも、膜の弾性特性を補助することが可能で、すなわち、ばねは、静止位置への膜の戻りを容易にし得る。
【0035】
したがって、好ましくは、戻しばねは、(間接的に、吐出要素により)膜に対して力を伝達するように形成され、力は、好ましくは、アクチュエータユニットの方向においてノズルから離れる方向に作用し、好ましくは、戻りばねが、特定量だけ、(間接的に)上方に膜を押し、および/または、それを膜の静止位置にある状態にもするように決定可能である。膜の静止位置は、膜が現下、圧力媒体によって加圧されておらず、および/または、ノズルの方向に歪ませられていない場合に現れる。静止位置では、膜、または膜壁は好ましくは、実質的に一平面内に延在し得る、すなわち、それは、断面において略まっすぐまたは直線であるプロファイルを有する。しかし、膜が、少なくとも断面において静止位置で「上方に」、すなわち、たとえば膜が吐出要素によって押し上げられ、アクチュエータユニットの方向に湾曲していることも考えられる。
【0036】
好ましくは、力は、やはり静止位置にある吐出要素が実際に膜の下側に直接当接し、しかし、膜の前述の直線プロファイルが実質的に断面において維持されるように、上述したように結合するために吐出要素に作用し得る。あるいは、しかし、ばねはさらに、(静止位置における)吐出要素が、アクチュエータユニットの方向に特定量だけ、上方に、(静止位置における)膜を押す、または歪ませるように、寸法付けおよび/または設計され得る。好ましくは、静止位置では、膜は、少なくとも複数の領域において、アクチュエータの基体に直接当接し得る。
【0037】
アクチュエータの膜は好ましくは、円盤状に形成され得る。この場合、円盤は一般に、その底面がその厚さの何倍も大きいその幾何学体または構造を意味すると解される。底面は、最大の面積を有する膜の面積に対応する。よって、底面は、一方で、プランジャの方向を向く膜の側面に対応し、他方で、圧力媒体によって加圧され得る膜の(反対側の)側面に対応する。
【0038】
膜の厚さは、底面に対して直交する膜の伸長量に対応し、厚さはたとえば、底面を横切るセクション(断面)から得られる。好ましくは、膜はその全体の範囲にわたって一定の一様の厚さを有し得る。しかし、(断面における)膜のエッジ領域が膜の中央領域よりも薄いことも考えられる。よって、膜の剛性は、たとえば膜の吐出要素が当接する中央領域内で増加させられる場合があり、膜は、圧力媒体に加圧されると主にエッジ領域内で歪ませられる。膜の実効面積、および、よって、膜によって引き起こされる力がその結果、増加させられ得る。あるいは、またはさらに、膜は、たとえば、スピーカの場合に該当するように、エッジ領域内にビードを有し得る。
【0039】
また、膜が、断面において、たとえば、波形シートであって、膜のばね定数、および、よって、復元力が、「非波形」または平坦な膜と比較して低減されている波形シートの態様で波形であることも考えられる。以下では、単純にするために、それに対する限定なしで、開始点は、静止位置では、断面において主にまっすぐなプロファイルを有する一様の厚さを有する平膜である。
【0040】
膜の具体的な構成にかかわらず、膜の厚さは、少なくとも10μm、好ましくは少なくとも50μm、好ましくは少なくとも150μmであり得る。膜の最大厚さは、1000μm以下、好ましくは300μm以下、好ましくは200μm以下であり得る。
【0041】
好ましくは、膜の底面は、実質的に、丸く、または円形に形成され得る。しかし、基本的には、それは、楕円形であっても、矩形であっても、いずれかの他のやり方で形成されてもよい。好ましくは、膜は、平らな、または薄い、よって、「板状の」構造として形成される。特に好ましくは、膜は、キャビティなしで形成される、すなわち、膜内に位置している、液体充填またはガス充填チャンバなどのキャビティはない。膜はよって、ベローズ、たとえば金属ベローズとかなり異なる。膜と違って、ベローズは、「アコーディオンのように」折り重ねられる、幾分弾性のホースと、環境に対して封止された内部空間、たとえばガスで充填されたキャビティとを備える。
【0042】
膜は好ましくは、全体が金属で形成されている。好ましくは、膜は異なる金属の混合物、または合金を備え得る。たとえば、膜はステンレス鋼(ばね鋼)で形成され得る。あるいは、膜はたとえば、ベリリウム銅合金を備え得る。さらに、エラストマまたはプラスチックが膜の材料として考えられる。要件によっては、多層膜であって、個々の層が、同じまたは異なる材料でできている場合がある多層膜が使用されることも考えられる。たとえば、上側の、および/または下側の膜は特殊なコーティングを有し得る。好ましくは、膜は、それが高い振動抵抗および特定の弾性を有するように作製され得るので、膜の所望の歪みが可能である。好ましくは、膜は、以下に説明するように、アクチュエータの剛性の基体に対する、「能動的な」膨張要素を表すように作製される。
【0043】
好ましくは、膜、特に膜のエッジ領域は、封止された態様でアクチュエータの剛性の、場合によっては複数部分の基体に完全に周辺で結合されている。圧力媒体によって加圧され得る、アクチュエータのアクチュエータチャンバは、アクチュエータ基体と膜、特に上側との間に形成される。膜はたとえば、アクチュエータチャンバを構成するために本体に溶接され、またははんだ付けされ得る。さらに、膜はさらに、アクチュエータ基体であって、たとえば、その中で、アクチュエータ基体の2つのハウジング部分間に膜が挟み込まれ、封止されるアクチュエータ基体に詰め込まれ得る。
【0044】
アクチュエータチャンバはよって、アクチュエータ自体内に配置される。好ましくは、アクチュエータチャンバは、アクチュエータの環境に対して、気密および/または液密に形成され得る。好ましくは、アクチュエータ基体は、その貫通孔が、アクチュエータの駆動を可能にするためにアクチュエータチャンバの外側にアクチュエータチャンバからつながる貫通孔(以下では、一般性の限定なしで「孔」と呼ぶ)を、膜の反対側に備える。好ましくは、アクチュエータユニットの制御バルブは、孔を介した、圧力媒体の流れを制御するために孔に直接隣接して、以下に説明するように、アクチュエータチャンバを「開放」および「閉鎖」する。
【0045】
有利には、アクチュエータは1つの膜のみによって実現されるので、この封止された膜のみがアクチュエータ基体に結合されればよい。これは、特に、「ベローズ作動」システムと比較して、投与システムの構成的単純化を可能にする。後者では、ベローズまたはホースは通常、両端2つにおいて封止される必要がある。
【0046】
圧力媒体は、たとえば上述した孔を介して、アクチュエータ、アクチュエータチャンバを制御するために供給され得る。好ましくは、過圧が、静止位置から始めて「下方に」、すなわち、投与システムのノズルの方向に膜を歪ませるために、アクチュエータチャンバ内に引き起こされ得る。過圧の量は、特定され、たとえば、投与材料の性質(たとえば、粘性)に応じて作用し得る。たとえば、過圧は約5バール~8バールの範囲内にあり得る。しかし、後述するように、それよりもかなり高い圧力が考えられる。膜は、膜が力をプランジャに伝達し、同時にアクチュエータチャンバを封止するように形成される、圧力膜とも呼ばれ得る。さらに、アクチュエータチャンバはさらに、同じ孔により、再び空にされることが可能であって、すなわち、アクチュエータチャンバ内の過圧が低減され、膜はその弾性により、および/または、戻しばねにより、好ましくは垂直方向の静止位置に戻される。
【0047】
アクチュエータチャンバは基本的には、いずれかの流動流体で充填されることが可能であり、すなわち、(圧縮)ガス状および/または液体の物質を圧力媒体として使用することが可能である。好ましくは、たとえば単一のガス、またはガス混合物、たとえば空気である圧縮ガス状流体を、圧力媒体として使用することが可能である。以下では、アクチュエータが圧縮室内空気を使用して作動されると仮定する。というのは、これは、投与システムを有する大半のシステムにおいて既に利用可能であるからである。アクチュエータはしたがって、本出願の文脈においては、同義に、空気圧アクチュエータとも呼ぶ。しかし、本発明はそのように限定されるべきでない。
【0048】
投与材料の分配のために、最適なやり方でアクチュエータを制御するために、アクチュエータチャンバの上述した孔は、直接言及したように、好ましくは、アクチュエータユニットの制御バルブに、特に気密および/または液密の態様で隣接する。制御バルブは、好ましくは、アクチュエータチャンバ内への圧力媒体の供給、ならびに、アクチュエータチャンバからの圧力媒体の吐出を、制御および/または調整するように形成される。この目的で、制御バルブは好ましくは、投与システムの制御および/または調整ユニットに結合される。制御バルブはたとえば、ソレノイドバルブによって実現され得る。好ましくは、制御バルブは、3/2方バルブ(たとえば、開放静止位置)によって実現され得る。あるいは、制御バルブはたとえば、2つの2/2方バルブを備え得る。制御バルブは空気圧バルブとも呼び得る。
【0049】
好ましくは、制御バルブは、(気密)制御バルブの第1の接続部(作用接続部)がアクチュエータチャンバの孔と相互作用するようにアクチュエータユニット内に配置される場合があり、アクチュエータチャンバは、圧力媒体により、この接続によって充填される場合があり、および再び空にされる場合もある。好ましくは、制御バルブの第2の接続部(圧縮空気接続部)は、投与システムの圧縮空気供給部に機能的に結合される。後述するように、制御バルブの第3の接続部(通気接続部)は、アクチュエータユニットの通気領域に結合され得る。制御バルブの制御によっては、作用接続部は好ましくは、圧縮空気接続部または通気接続部のいずれかと相互作用し得る。
【0050】
十分な量の圧力媒体を動作中に、制御バルブにより、アクチュエータチャンバに供給するために、投与システムのハウジングは、加圧された圧力媒体用の内部圧力リザーバまたは圧力タンクを備え得る。
【0051】
好ましくは、この圧力タンクは、投与システムのハウジング内において他のハウジング領域に対して、境界をつけて、または隔離されて形成され得る。圧力タンクは、圧力タンク内への、圧力媒体用の少なくとも1つの供給開口、および、圧力タンクを出る圧力媒体用の、特に、制御バルブ内への供給ライン用の吐出開口を備え得る。好ましくは、圧力タンクは、それが、膜の少なくとも250回の、好ましくは少なくとも2000回の、特に好ましくは少なくとも10000回の歪みに十分な量の圧力媒体を含み得るように寸法づけられ得る。好ましくは、圧力リザーバ内の圧力媒体の圧力は、少なくとも2バール、好ましくは少なくとも3バール、および特に好ましくは少なくとも5バールであり得る。好ましくは、圧力は、1000バール以下、より好ましくは20バール以下、および最も好ましくは10バール以下であるべきである。
【0052】
圧力タンクは、投与システムの外部圧縮空気供給部に結合され得る。たとえば、圧縮圧力媒体は、たとえば外部圧力媒体供給部が投与システムのハウジングの対応する結合点に接続された供給開口により、圧力リザーバに供給され得る。好ましくは、予め決定可能な圧力(目標圧力)は、投与システムの動作中にも、圧力タンク内で略一定に維持され得る。
【0053】
空気圧アクチュエータの考えられる最も効率的な動作のためには、圧力リザーバは、ハウジングの内部において、アクチュエータユニットの制御バルブに直接隣接し得る。好ましくは、圧力リザーバは、圧力媒体が、考えられる最短経路で圧力タンクからアクチュエータチャンバ内に直接流れ得るように投与システムのハウジング内に配置される。すなわち、圧力リザーバは「需要点」のできる限り近くに配置され得る。好ましくは、圧力タンクの吐出開口は、制御バルブの圧縮空気接続部に直接、(気密)結合される。
【0054】
よって、有利には、圧力リザーバは、特に高い投与周波数における、圧力媒体のパルス状の消費を減衰させるための、投与システム内部の「圧力媒体バッファ」を示す。通常、空気圧アクチュエータを有する投与システムは、この目的で外部圧力タンクを有する。しかし、ライン損失により、外部圧力タンクからアクチュエータまでの途上で圧力媒体内の圧力の降下があり得るので、アクチュエータチャンバは、所望の、特に一定の圧力で充填されるものでない。さらに、アクチュエータが充填される圧力であって、アクチュエータの充填圧力とも呼ばれる圧力は、投与システムの投与精度に対してかなりの影響をおよぼし、および、後述するように、場合によってはそれに悪影響をおよぼし得る。
【0055】
対照的に、説明された投与システムでは、「圧力媒体バッファ」は、アクチュエータのごく近傍に配置されるので、圧力タンクとアクチュエータチャンバとの間のラインは必要でない。これは、アクチュエータチャンバが、非常に高いクロック周波数においても、常に、特定の目標圧力を有する圧力媒体で充填されることを確実にする。一方で、これは、投与精度に対して肯定的な影響をおよぼす。
【0056】
他方で、空気圧アクチュエータを有する従来の投与システムよりもかなり高いクロック周波数をこの設計によって実現することが可能である。というのは、非常に高いクロック周波数においても、圧力タンクと空気圧アクチュエータとの間でライン損失が生じないからである。最大約330Hzの投与周波数がこれまで可能であったが、説明された構造は、600Hz以上の投与周波数を可能にする。基本的には、内部「圧力媒体バッファ」はさらに、さらに高いクロック周波数(>700Hz)も可能にし、この点では、制御バルブが発熱による速度制限要因を示す。
【0057】
アクチュエータのごく近傍における、ハウジング内部の圧力リザーバの構成は、本発明による上述した投与システムに限定されるものでないことに留意すべきである。むしろ、この有利な構成は、本発明の独立した部分的な態様を表す。
【0058】
したがって、有利には、内部圧力リザーバは、さらに、空気圧シリンダを有する投与システムにおいて、または、従来の「ベローズ作動」もしくは「膜作動」投与システムにおいて、すなわち、たとえば、吐出要素が、空気圧アクチュエータの膜に、固定で、すなわち、本発明による結合と無関係に、接続された投与システムにおいても配置され得る。好ましくは、投与システムは、ノズルと、材料を投与するための供給路とを備えるハウジング、ならびに、移動可能にハウジング内に取り付けられた吐出要素および吐出要素に結合されたアクチュエータユニットを備え得る。アクチュエータユニットは、吐出方向に吐出要素を移動させるために圧力媒体により、加圧され得る膜を有するアクチュエータを備え得る。さらに、投与システムのハウジングは、圧力媒体用の内部圧力リザーバを備え得る。特に好ましくは、リザーバは、アクチュエータを制御するための、アクチュエータユニットの制御バルブに直接隣接し得る。
【0059】
よって、有利には、従来の投与システムにおいても、投与材料の分配のサイクル周波数を増加させ、同時に、考えられる最高の投与精度を実現することが(上述した理由で)可能である。
【0060】
内部「圧力媒体バッファ」の有利な効果をさらに改善するために、投与システムは好ましくは、内部圧力タンクに加え、たとえば外部圧力媒体供給部内に、場合によってはより大きなさらなる外部圧力タンクを備え得る。
【0061】
内部圧力タンクの概念は有益には、圧力媒体の圧力が圧力リザーバ内で測定されるように、圧力リザーバ内に配置された少なくとも1つの圧力センサによって補足され得る。たとえば、圧力センサは圧力タンクの壁内に実現され得る。
【0062】
好ましくは、圧力センサは、空気圧アクチュエータの、できる限り近くに配置される。圧力センサは好ましくは、測定されたデータを、投与システムの制御および/または調整ユニットに転送するように結合され得る。一方で、制御および/または調整ユニットは、投与システムの直接構成要素として形成される場合があり、または、他方で、投与システムに対して別個に実現され得る。第3の可能性は、制御および/または調整ユニットが別個に形成され、互いに別個に制御するために、同時にいくつかの投与システムに割り当てられるというものである。
【0063】
制御との語は、制御および/または調整、の同義語として以下で使用される。すなわち、コントローラについて述べる場合でも、コントローラは、少なくとも1つの調整プロセスを含み得る。閉ループ制御(調整)では、(実際値としての)調整された変数は一般に、連続して記録され、および(目標値としての)参照変数と比較される。通常、調整は、調整変数が参照変数に調節されるように行われる。これは、調整された変数(実際値)が、制御ループの動作の経路においてそれ自体に連続して影響をおよぼすことを意味する。
【0064】
圧力リザーバ内の圧力を制御するために、投与システムは、少なくとも1つの制御可能な圧力調整器を備え得る。好ましくは、圧力調整器は、入力パラメータの関数として、好ましくは、投与システムのハウジング内またはリザーバ内へと流れる圧力媒体の圧力の制御および/または調整により、圧力リザーバ内の圧力媒体の圧力を制御および/または調整するように形成される。
【0065】
圧力リザーバ内の圧力、よって、制御バルブの手前で印加される圧力は、アクチュエータの供給圧力とも呼ばれる。供給圧力は、アクチュエータチャンバを充填することが可能な最大圧力であって、すなわち、アクチュエータチャンバ内に流れる際に圧力媒体が有し得る最大圧力を決定する。最も単純なケースでは、供給圧力は、アクチュエータ充填圧力にも対応し得る。アクチュエータ充填圧力は、(充填された)アクチュエータチャンバ内の圧力媒体が実際に、たとえば、膜の歪み中に有する圧力に対応する。投与システムの構成によっては、後述するように、アクチュエータ充填圧力が供給圧力から逸脱することも考えられる。したがって、圧力調整器は好ましくは、さらに、入力パラメータの関数として、アクチュエータが圧力媒体によって充填される圧力(アクチュエータ充填圧力)を制御し、および/または調整するように形成され得る。
【0066】
圧力調整器は一方で、機械的に、または手動で作動され得る。好ましくは、入力パラメータは次いで、投与システムの操作者に伝達され、操作者は次いで、圧力リザーバ内で目標圧力に達するように圧力調整器を調節し得る。
【0067】
好ましくは、電子式圧力調整器を使用することも可能である。特に好ましくは、圧力調整器は、投与システムの制御および/または調整ユニットにより、特に入力パラメータを考慮して制御され得る。具体的な構成(機械式および/または電子式)にかかわらず、圧力調整器は好ましくは、投与システムのハウジング上に、および/または外部圧力媒体供給ライン内に配置され得る。
【0068】
好ましくは、(機械式または電子式)圧力調整器は、投与システムの動作中に、吐出要素の特定の、たとえば、一定の速度(プランジャ速度)が吐出移動中に実現されるように、入力パラメータの関数として制御または調整され得る。
【0069】
制御または調整の入力パラメータはたとえば、圧力リザーバ内の現下の圧力であり得る。好ましくは、入力パラメータ(実際値)としての、圧力センサの測定データは、動作中に制御および/または調整ユニットにより、予め定義された目標値と連続して比較することが可能である。圧力調整器の制御は、次いで、好ましくは、動作中に、目標圧力が内部圧力タンク内に連続して存在しているように、または、一定のプランジャ速度が実現されるように行われる。
【0070】
有利には、投与システムの投与精度は、制御および/または調整ユニットと相互作用する圧力センサおよび内部圧力リザーバによってさらに改善され得る。プランジャストローク毎に吐出される投与材料の量についての決定的な要因は、特に、ノズル内に、またはその封止座内に衝突する際のプランジャ速度である。好ましくは、したがって、(吐出移動中の)プランジャ速度は動作目標値内に調節され得る。プランジャ速度は、アクチュエータ充填圧力に大きく依存する。
【0071】
この点について、より高いアクチュエータ充填圧力は、膜のより高い加速力をもたらし、プランジャのより高い速度をもたらす。低いアクチュエータ充填圧力は、対応して、吐出プロセス中の、より低いプランジャ速度をもたらす。アクチュエータチャンバの充填プロセス中の圧力変動は、したがって、投与精度に対して悪影響をおよぼし得る。有利には、圧力タンク内の圧力、および/またはアクチュエータ充填圧力の制御および/または調整により、プランジャ速度は予め定義された値に設定され、たとえば、非常に動的な、および/または高い投与要件でも、投与精度を向上させるために一定に保たれ得る。たとえば、供給ライン内の圧力変動は、この制御または調整によって補償され得る。
【0072】
投与精度をさらに改善するために、投与システムは、吐出要素の移動の速度を測定するための少なくとも1つのセンサを備え得る。好ましくは、速度センサは、剛性のアクチュエータ基体の領域内に配置され得る。好ましくは、センサは、膜の上側の反対側にある、アクチュエータ基体の領域内に、すなわち、膜の「上方に」配置され得る。好ましくは、速度センサおよび吐出要素、たとえばプランジャヘッドは、仮想(垂直)線上に配置され得る。好ましくは、速度センサは制御ユニットに結合される。
【0073】
速度センサは好ましくは、吐出要素の全体の吐出移動、および/または全体の後退移動中の吐出要素の速度を検出するように形成される。たとえば、速度センサは、時間の関数としてプランジャ位置を検出するように形成された位置センサ(ストロークセンサ)によって実現され得る。好ましくは、速度センサはホールセンサによって実現され得る。好ましくは、その場合、膜に当接する、吐出要素の「ヘッド領域」は磁石を備え得る。
【0074】
あるいは、速度センサは容量性距離センサを備え得る。たとえば、距離センサ、および(移動可能な相方表面としての)膜は、たとえば膜がコンデンサ板状に形成され、電気コンデンサを形成し得る。
【0075】
有利には、速度センサの測定値は、さらなる入力パラメータとして制御ユニットに供給され得る。圧力センサの測定値のかわりに、または加えて、速度測定値は、たとえば、特に、動作中にノズルの封止座内で衝突された際に、一定のプランジャ速度を実現するために、アクチュエータの供給圧力、および/またはアクチュエータ充填圧力を制御し、および/または調整するために使用することが可能である。たとえば、投与材料の性質における変動は、この制御または調整により、補償され得る。
【0076】
プランジャ速度を設定することのさらなる代替的な、または追加の可能性は、スロットル装置により、アクチュエータの充填プロセスを制御することである。好ましくは、投与システム、たとえば、制御バルブは少なくとも1つの制御可能なスロットル装置を備える。スロットル装置は、入力パラメータの関数として、アクチュエータ内の、特に、アクチュエータチャンバ内の、圧力媒体の圧力を制御し、および/または調整するように形成され得る。好ましくは、スロットル装置は、アクチュエータ内の圧力を、特に入力パラメータの関数として、動的に制御し、および/または調整するように形成され得る。好ましくは、スロットル装置は、(第1の)吐出移動中のアクチュエータ内の圧力が、その後の(第2の)吐出移動中のアクチュエータ内の圧力と異なるように制御されることが可能であり、すなわち、アクチュエータ内の圧力は、「パルス毎に」変えることが可能である。
【0077】
好ましくは、スロットル装置は、少なくとも1つの制御可能な比例バルブおよび/または制御可能な圧力調整器を備え得る。スロットル装置は、アクチュエータチャンバ内に流れる圧力媒体の体積流量または流量を制御および/または調整するように形成され得る。たとえば、スロットルは、制御バルブの作用接続部内に、および/または、アクチュエータ基体の孔内に配置され得る。好ましくは、流断面の制御によって、たとえば、考えられる最大流断面に対応する低減またはさらなる増加が存在し得る。あるいは、それぞれの場合において、制御可能な比例バルブが、制御バルブの圧縮空気接続部内に、または通気接続部内に配置され得る。
【0078】
さらに、スロットルは、あるいはまたはさらに、アクチュエータチャンバ内への圧力媒体の流入が特定の時点で完全に中断されるように形成され、または制御され得る。好ましくは、作用ポート内の比例バルブは、特定の圧力が、充填中にアクチュエータチャンバ内に印加されるやいなや、(完全に)閉鎖され得る。好ましくは、スロットルは、アクチュエータチャンバ内の、特定の、たとえば最大許容可能圧力を超えないように制御され得る。特定の状況下では、これは、(膜を歪ませるための)充填されたアクチュエータの圧力が供給圧力よりも低いことにつながり得る。投与システムは、アクチュエータチャンバ内の圧力を測定するための圧力センサを有し得る。
【0079】
スロットル装置は、機械的な、または手動のスロットルによって実現され得る。好ましくは、少なくとも1つの入力パラメータが、投与システムの操作者に通信され、操作者はその場合、特定の(目標)フローがスロットルを介して、および、よって、所望のプランジャ速度がプランジャの吐出移動中に実現されるように、(拡張バルブとも呼び得る)スロットルを調節する場合がある。
【0080】
好ましくは、スロットル装置は電子式スロットル、たとえば比例バルブによって実現され得る。好ましくは、スロットルは、特定の流量または所望の圧力がアクチュエータチャンバ内で実現されるように、入力パラメータ、たとえば実際のプランジャ速度の関数として制御ユニットによって制御され得る。あるいはまたはさらに、スロットル装置は、アクチュエータ内の特定の圧力が特に充填中に超えないように制御され得る。特に好ましくは、スロットル装置は、たとえば、一定の特定可能なプランジャ速度が、吐出移動および/または後退移動において達成されるように、少なくとも1つの入力パラメータに応じて制御され得る。
【0081】
有利には、プランジャ速度は、制御可能なスロットル装置により、動作中に、吐出移動中に一定の値に設定され得る。制御可能なスロットル装置はよって、動作中にプランジャ速度を一定に保ち、および、よって、投与精度をさらに改善するための第2の代替例、またはさらなる変形例を表す。
【0082】
入力パラメータの関数として、好ましくは、投与システムの制御および/または調整ユニットにより、アクチュエータ内の圧力を制御し、および/または調整するように形成された前述のスロットル装置が、本発明による上述した投与システムを限定するものでないが、本発明の独立した部分的な態様を表すことを指摘すべきである。これは、たとえば、吐出要素と膜との間に空気圧シリンダまたは固定された接続部を有する空気圧アクチュエータを有する、従来の設計の投与システムも、そうしたスロットル装置を有し得ることを意味する。
【0083】
投与結果をさらに改善することができるために、投与システムは、それぞれの吐出移動および/または後退移動中の、吐出要素の具体的な速度プロファイルを設定するように形成され得る。吐出要素の速度の動的制御は、フランク制御とも呼ばれる。好ましくは、投与システム、好ましくは、制御バルブは、圧力媒体によるアクチュエータの充填中に、および/またはアクチュエータを空にする、もしくは通気する間に、圧力プロファイルを制御し、および/または調整するように形成された少なくとも1つのスロットル装置を備え得る。好ましくは、制御および/または調整は、少なくとも1つの入力パラメータの関数として行い得る。
【0084】
この目的で、スロットル装置は、アクチュエータチャンバの充填プロセスが時間的に制御され得るように流断面の局所(可変)狭窄部を通って流れる流体の流量を調節するように形成され得る。これは、スロットルにより、アクチュエータチャンバ内の圧力増加を時間的に制御すること(圧力プロファイルの時間的制御)が可能であることを意味する。好ましくは、スロットルは、吐出要素のそれぞれの吐出移動中に、および/またはそれぞれの後退移動中に流量を動的に制御し、または調整するように形成され得る。
【0085】
好ましくは、スロットル装置は、アクチュエータチャンバ内の圧力増加が動的または可変である、すなわち、アクチュエータチャンバ内の圧力が一定に、または線形に増加するものでないように制御され得る。(充填または通気中の)時間の関数としてのアクチュエータ内の、特にアクチュエータチャンバ内の圧力はここでは圧力プロファイルと呼ぶ。好ましくは、スロットル装置は、プランジャの速度が吐出移動中に変動する、すなわち、プランジャが、単一の吐出移動において2つ以上の異なる速度を有する、または2つ以上の異なる速度に加速されるように制御され得る。好ましくは、全体のプランジャ移動中の、プランジャの速度は、すなわち、静止位置から、ノズル内の衝突まで制御され、および/または調整され得る。
【0086】
スロットル装置は、制御可能な比例バルブによって実現され得る。好ましくは、少なくとも1つの、たとえば、可変フローを有する圧電作動アクチュエータは、吐出プロセス中のプランジャの速度プロファイルの、分解能ができる限り高い制御に使用することが可能である。好ましくは、電子的に制御可能な圧電作動アクチュエータは、スロットル装置の一部であり、および、実質的に遅延なしで、アクチュエータ内に流れる圧力媒体、および/またはアクチュエータから流出する圧力媒体の体積流量(流量)を制御するために、制御ユニットによって制御され得る。たとえば、制御バルブは、アクチュエータにより、アクチュエータ内の、またはアクチュエータからの、圧力媒体の流入および/または流出中の、制御バルブ(たとえば、3/2方バルブまたは2つの2/2方バルブ)の作用接続部の流断面がリアルタイムで実質的に制御可能(変更可能)であるように形成され得る。
【0087】
あるいは、3/2方バルブのかわりに、2つの別個に制御可能な比例バルブであって、それにより、スロットル装置が同時に実現される比例バルブを制御バルブが備えることも可能である。その場合、アクチュエータチャンバの(時間的に制御された)充填のための第1の比例バルブ、およびアクチュエータチャンバの(時間的に制御された)通気のための第2の比例バルブを使用することが可能であり、2つの比例バルブは、アクチュエータチャンバの同じまたは異なる孔を使用することが可能である。その結果、圧力プロファイルは、充填および通気中に別個に制御され、または調整され得る。
【0088】
調整が依存する入力パラメータは、たとえば、速度センサの測定信号であり得る。
【0089】
好ましくは、プランジャの予め決定可能な速度プロファイルは、たとえば、投与材料の性質、および/または投与要件に応じて、生成され、および制御ユニット内に格納され得る入力パラメータとしての役割も果たし得る。好ましくは、制御ユニットは、次いで、所望の速度プロファイルが吐出プロセスにおいて実現されるようにプランジャの実速度の関数としてアクチュエータの充填中の圧力を制御する(適合させる)ことが可能である。たとえば、スロットル装置は、プランジャが当初、投与材料のせん断を実現するために、膜により、その静止位置から非常に高い速度への加速化(アクチュエータ内への圧力媒体の強い流入、すなわち、アクチュエータチャンバ内の急激な圧力増加)が行われるように制御され得る。吐出移動の第2の段階では、プランジャ速度は次いで、ノズルからの投与材料のなめらかな吐出を実現するために低減(アクチュエータ内への圧力媒体の削減された流入、すなわち、アクチュエータチャンバ内のより遅い圧力上昇)が行われ得る。
【0090】
有利には、投与システムは、特にこのようにして設計されたスロットル装置により、アクチュエータの充填の圧力プロファイルおよび/または時間プロファイルを制御するように制御され得る。これは、(フランクの制御とも呼ばれる)吐出移動の各段階中のプランジャ移動の所望の速度プロファイルの設定を行い得る。有利には、投与精度はよって、さらに改善され、特に、それにおいて、外部の影響要因を効果的に補償することが可能である場合がある。たとえば、バッチ依存性(粘性)、温度依存性、または、材齢(接着剤の硬化処理)により、生じ得る、投与媒体内の変動が補償され得る。さらに、わずかな製造公差または摩耗プロセスも、フランクを制御することによって補償され得る。
【0091】
既に述べたように、スロットル装置はさらに、アクチュエータが通気される場合にも、空にすることの圧力プロファイルおよび/または時間プロファイルの調整を行うように形成され、または制御され得る。これは、後退移動でも、プランジャが、2つ以上の異なる速度、または定義された速度プロファイルを有し得ることを意味する。調整は好ましくは、プランジャの予め決定可能な速度プロファイルを実現するために、入力パラメータ、たとえば、速度センサの測定データの関数として行うことが可能である。有利には、プランジャの後退速度は、後退移動中に、ノズルのノズル開口を介して吸入される空気が存在せず、ノズルから後に吐出される投与材料滴内で気泡の形成が回避され得るように決定され得る。
【0092】
基本的には、吐出移動中に、および/または後退移動中に吐出要素の速度が変えられるような、好ましくはスロットル装置による、アクチュエータチャンバを充填する、または空にする間の圧力プロファイルの制御および/または調整は、本発明による上述の投与システムに限定されるものでないが、本発明の独立した部分的な態様を表す。これは、空気圧アクチュエータを有する、たとえば、吐出要素と膜との間に空気圧シリンダまたは固定された接続部を有する従来の設計の投与システムでも、前述のスロットル装置であって、そうした(既知の)投与システムを、プランジャ移動の所望の速度プロファイルで作動させ得るスロットル装置を有し得ることを意味する。
【0093】
好ましくは、投与システムはさらに、投与システムの中断されないサービス寿命を増加させるように形成され得る。この目的で、アクチュエータユニットは、制御バルブを冷却するための冷却媒体として、アクチュエータから、またはアクチュエータチャンバから流出する圧力媒体を使用するように形成され得る。アクチュエータチャンバを通気する、または空にすることは好ましくは、制御バルブの、アクチュエータユニットの通気領域内に開放する通気接続部によって行われる。
【0094】
制御バルブ、たとえば、ソレノイドバルブは、クロック周波数の増加を伴う動作中に、発熱の増加をもたらし、過熱は、制御バルブの故障につながり得る。好ましくは、通気領域はしたがって、外側から制御バルブ全体を囲み、または取り囲むように、投与システムのハウジング内にキャビティとして形成される。好ましくは、圧力媒体は、できる限り多くの熱が、圧力媒体により、制御バルブの表面から排出されるように制御バルブを越えて案内され得る。圧力媒体たとえば圧縮空気は、アクチュエータの通過により、ほとんど加熱されず、したがって、冷却媒体として使用することが可能である。よって、冷却領域とも呼び得る通気領域は、圧力媒体を使用する投与システムの冷却装置を形成する。ハウジングは、通気領域から圧力媒体を吐出するための孔を有し得る。
【0095】
特に、制御バルブの効果的な冷却のために、圧力媒体は、たとえば冷却装置により、ハウジングに入る前に特定の温度まで能動的に冷却され得る。制御バルブはよって、永久的に臨界動作温度未満に保たれ得る。さらに、たとえば、制御バルブが温度センサを備え、および対応する測定値を制御ユニットへ転送する、能動冷却の調整が考えられる。制御ユニットはその場合、冷却装置が、臨界値未満に制御バルブの温度を保つために、対応して強く冷却された圧力媒体をもたらすように、測定値の関数として冷却装置を制御し得る。
【0096】
有利には、この冷却装置は、制御バルブが、動作中に臨界動作温度未満に確実に維持され、投与システムの信頼性が改善されることを実現し得る。一方で、これは、高い外部温度においても投与システムを作動させることを可能にする。他方で、投与システムのクロック周波数を従来の投与システムに対して増加させ得る。というのは、非常に高いクロック周波数においても、十分な熱エネルギが制御バルブから排出され得るからである。
【0097】
投与システムの信頼性をさらに改善するために、アクチュエータ膜とプランジャシールとの間の領域内に圧力を与えることが可能であり、その圧力は、カートリッジ圧力(投与材料カートリッジ内の投与材料の圧力)に実質的に対応する。プランジャシールはプランジャを取り囲み、および、投与システムの流体ユニットの一部として実現される。好ましくは、プランジャシールは、ノズルの出口開口の反対側に配置され、プランジャシールは、最上部においてノズルのノズルチャンバの境界を定める。プランジャシールの両側で実質的に同じ圧力になっていることにより、動作中にシールを介して投与材料が押される傾向が打ち消される。有利には、シールの寿命はよって、増加させられ得る。
【0098】
あるいは、負圧、特に真空が、アクチュエータ膜、好ましくはその下側と、プランジャシールとの間に与えられ得る。有利には、アクチュエータの、または投与システムの性能はよって、向上させられ得る。というのは、真空が、ノズルの方向における、膜の歪みを容易にし、または補助するからである。これは特に、たとえば高粘度を有する投与材料を有する、投与困難な媒体の場合に有利であり得る。
【0099】
投与システムを制御する方法(制御方法)において、動作中に投与システムの前述の有利な実施形態を有益に実現することができるために、少なくとも1つの入力パラメータの関数として投与システムの圧力調整部により、投与システムのハウジング内に、または内部圧力タンク内を流れる圧力媒体の圧力が、吐出移動中の、特に、ノズル内で衝突された際の、吐出要素の速度が好ましくは目標値に対応するように制御され、および/または調整される。好ましくは、圧力調整器は、投与システムの制御ユニットによって制御される。
【0100】
アクチュエータまたはアクチュエータチャンバ内に流れる圧力媒体の圧力、および/またはアクチュエータまたはアクチュエータチャンバから流出する圧力媒体の圧力は、好ましくは、吐出要素の速度が、それぞれの吐出移動および/または後退移動中の目標値に対応するように、少なくとも1つの入力パラメータの関数として投与システムのスロットル装置によって制御され、および/または調整される。動作中、投与システムの制御ユニットは好ましくは、予め定義可能な目標値との、測定値(実際値)のリアルタイム比較を行うために、少なくとも1つのセンサ、たとえば速度センサからの、測定値を連続して受け取ることが可能である。この監視に応じて、スロットル装置は次いで、好ましくは、圧力媒体が吐出移動および/または後退移動において所望のプランジャ速度を実現するために、アクチュエータ内にそうした流量で流れ、またはそこから流出するように制御される。
【0101】
さらに、制御ユニットは、吐出要素の速度が単一の吐出移動中に、および/または単一の後退移動中に変えられるようにスロットル装置を制御することが可能である。好ましくは、吐出要素は、単一のそれぞれの移動について2つ以上の異なる速度に加速され得る。好ましくは、少なくとも1つの入力パラメータ、たとえば、速度測定データ、スロットル装置を介した圧力媒体の流量の関数として、制御ユニットは、プランジャの特定の速度プロファイルが吐出移動および/または後退移動において実現されるように制御することが可能である。たとえば、拡張バルブは、アクチュエータがまず、第1の吐出速度に達するために、(単一の)吐出移動のための第1の圧力で充填され、次いで、第1の吐出速度と異なり得る第2の吐出速度に達するために、第2の異なる圧力で充填されるように制御され得る。
【0102】
上述したように、拡張バルブまたはスロットルは、従来の設計の投与システムにおいて使用することも可能である。これはその場合、上述したように、たとえば、吐出要素の速度が、吐出移動中に、および/または後退移動中に変えられるように、圧力媒体の圧力を制御し、および/または調整するために使用することが可能である。すなわち、プランジャ移動の所望の速度プロファイルが実現されるように、膜に対する吐出要素の具体的な接続にかかわらず、投与システムを作動させることが、制御方法により可能である。
【図面の簡単な説明】
【0103】
本発明は、実施形態を参照しながら、添付の図を参照して以下にさらに詳細に説明する。この場合、同じ構成要素には、種々の図において同一の参照番号を与えている。複数の図は通常、縮尺通りに描いている訳でない。それらは以下を概略的に示している:
【0104】
【
図1】本発明の実施形態による投与システムの断面図。
【
図3】
図1および2の投与システムのさらなる部分拡大図。
【
図4】
図3と同様の部分において断面で示される、本発明のさらなる実施形態による、投与システム。
【
図5】本発明の実施形態による、投与システムのアクチュエータユニットの図。
【
図6】別の機能的位置における、
図1の投与システムの図。
【
図7】本発明の実施形態による、投与システムのための制御方法の説明図。
【
図8】本発明の実施形態による、考えらえるプランジャ移動の速度プロファイルの図。
【発明を実施するための形態】
【0105】
次に、本発明による投与システム1の具体的な実施形態を、
図1を参照して説明する。投与システム1はここでは、投与システム1の意図された動作中の通常の姿勢において断面で示される。この場合、ノズル70が投与システム1の下方領域内に配置されているので、媒体滴はノズル70を介して吐出方向RMに下方に吐出される。したがって、下、および、上、の語が以下で使用される限り、これらの詳細は、常に、投与システム1のそうした通常の、通例の姿勢を表す。しかし、これは、投与システム1を、異なる位置において、特殊な応用分野において使用することも可能であり、および上記滴がたとえば、横に吐出されることを排除するものでない。吐出システム全体の媒体、圧力、精密な構成、および制御によっては、これはさらに、基本的に可能である。
【0106】
投与システム1は、アクチュエータユニット10、およびそれに結合された流体ユニット60を不可欠な構成要素として備える。ここに示す投与システム1は、流体ユニット60に結合された投与材料カートリッジ64をさらに備える。
【0107】
ここに示す投与システム1の実施形態では、アクチュエータユニット10および流体ユニット60は、クイックカップリングを形成するための、相互に結合可能なプラグイン結合部の態様で実現される。よって、有利には、アクチュエータユニット10および流体ユニット60は、投与システム1を形成するように、工具なしで互いに結合され得る。クイックカップリングは、一定の張力下に球体52を保つ結合ばね51を有する結合機構50を備える。結合ばね51および球体52はここでは、(第1の)アクチュエータユニットハウジングブロック11aによって備えられ、および第1のプラグイン結合部を形成する。これは、拡大された図において
図1の投与システムの詳細を示す
図2において特に明確である。
【0108】
結合機構50は、球体52が、結合するためにそれらの中で係合し得るそれらのいくつかの球状カロット54(
図2中、1つのみを示す)を有する。球状カロット54は、流体ユニット60であって、流体ユニット60が(第2の)流体ユニットハウジングブロック11bによって備えられる流体ユニット60の第2のプラグイン結合部53内に配置される。結合するために、第1のプラグイン結合部(アクチュエータユニット10)および第2のプラグイン結合部(流体ユニット60)は、(仮想の)プラグイン軸に沿って互いに差し込まれ、およびそれにより、互いに結合され得る。たとえば、流体ユニット60は、アクチュエータユニット10に、方向RM(
図1)に対して差し込まれ、および、好適な回転位置において、アクチュエータユニット10に結合され得る。
【0109】
球体カロット54は、異なるラッチ位置が可能である、すなわち、プラグイン軸を中心とした流体ユニット60の異なる回転位置が可能であるように、流体ユニット60の第2のプラグイン結合部53内に配置される。プラグイン結合部53のばね付勢された球体52は、考えられるいくつかのラッチ位置のうちの1つにおいて係合して、投与システム1を形成する。
【0110】
投与システム1はよって、ここでは、上述の2つのハウジング部(ハウジングブロック)11aおよび11bを有するハウジング11を備える。
【0111】
しかし、それぞれのアセンブリ10、60がさらに、ハウジング11を形成するように、たとえば、固定ねじにより、互いに強固に接続され得ることに留意すべきである。
【0112】
図1において分かり得るように、アクチュエータユニット10は、以下に説明するように、ノズル70内の、吐出要素80、ここではプランジャ80の駆動または移動を提供する実質的にすべての構成要素、すなわち、たとえば、流体ユニット60の吐出要素80を駆動することができるための空気圧アクチュエータ12、制御バルブ20、空気圧アクチュエータ12および同様の構成要素を制御することができるための制御ユニット(
図1および2において図示せず)を備える。
【0113】
流体ユニット60は、ノズル70およびノズル70への媒体の供給ライン62の他に、媒体と直接接触している他の部分全て、および、媒体と接触している関連した部分をともに組立て、または流体ユニット60上のそれらの位置を保持するために必要な構成要素を備える。付随的に、流体ユニット60は、以下に説明するように、投与材料の分配後に、静止位置または開始位置に吐出要素80を戻すための手段も備える。
【0114】
投与システムの基本構造は知られているので、より明確にするために、本発明に少なくとも間接的に影響をおよぼす構成要素が主に、ここに示される。
【0115】
投与システム1のここ(
図1および2)に示す実施形態では、アクチュエータユニット10は、上述したように、圧力媒体、この場合には好ましくは圧縮空気によって加圧され得る空気圧アクチュエータ12を備える。
図1および2では、空気圧システム12、および吐出要素との結合が、概略的に示されているに過ぎないことに留意すべきである。特に、アクチュエータ12の膜13は概略的にのみ、すなわち、歪みまたは後退中の動作中に膜13が実際に有する実際の位置または構成ではないように示されている。これは、
図3および4を参照して後述される。
【0116】
空気アクチュエータ12(
図1)は、流体ユニット60から投与されるべき媒体が所望の時点で所望の量で吐出されるように、プランジャ80が空気圧アクチュエータ12の制御によって駆動されるように流体ユニット60に結合される。ここに示すケースでは、プランジャ80は現下、ノズル開口72を閉鎖しており、および、よって、閉鎖要素80としての役割も果たす。しかし、媒体の大半は、プランジャ80が吐出方向RA(
図2を参照されたい)に移動させられるとノズル開口72から既に吐出されているので、これは、本明細書では吐出要素80と呼ばれる。空気圧アクチュエータ12とプランジャ80との間の結合は、
図3を参照して詳細に後述する。
【0117】
空気圧アクチュエータ12は、アクチュエータ12を制御するための制御バルブ20のごく近傍に、アクチュエータユニット10内に配置される。制御バルブ20たとえば空気圧3/2方バルブは、圧力媒体、たとえば圧縮室内気をアクチュエータ12に供給し、および/または、圧力媒体をアクチュエータ12から吐出するように形成される。この目的で、アクチュエータ12は、アクチュエータ12の孔17が、制御バルブ20の作用接続部23と相互作用し、および、それに空間的に接続されるようにアクチュエータユニット10内に配置される。これは、特に
図2において明らかになる。
【0118】
制御バルブ20は、制御バルブ20の制御または切替位置に応じて、作用接続部23と相互作用し、または作用接続部23に接続される、圧縮空気接続部22および通気接続部24をさらに備える。制御バルブ20は、接続ケーブル21により、投与システムの回路基板42に結合され、さらに、投与システム1の制御ユニットにより、(たとえば、電子的に)制御され得る(
図1を参照されたい)。
【0119】
圧縮空気接続部22が孔25(ここでは、左上)と相互作用し、または孔25に接続されるように制御バルブ20がアクチュエータユニット10内に配置され、孔25および圧縮空気接続部22が実質的に同じ径を有していることが
図2において分かり得る。孔25はここでは、投与システム1の内部圧力リザーバ32(以下では、圧力タンク32とも呼ばれる)の吐出開口25として実現される。圧力媒体は、この孔25を介して(圧縮空気接続部22を介して)制御バルブ20に、および、よって後に(作用接続部23および孔17を介して)アクチュエータ12にも供給され得る。
【0120】
圧力タンク32はここでは、制御バルブ20に直接隣接している。したがって、孔25以外には、圧力タンク32と制御バルブ20との間の接続ラインは必要でないので、印刷媒体におけるライン損失が大いに防がれ得る。圧力タンク32は、吐出開口25と、外部圧力媒体供給部(図示せず)に対する結合点31(
図1を参照されたい)を備え、および、投与システム1内のキャビティまたはチャンバを表す圧力媒体供給装置30との間のハウジングブロック11a内に延在する。方向RDにおいて特定の圧力を有する圧力媒体は、圧力媒体供給装置30により、圧力リザーバ32に供給され得る。ここに示すものに加えて、外部圧力媒体供給ラインはさらに、
図7を参照して説明するように、制御可能な圧力調整器を備え得る。
【0121】
圧力タンク32は、動作中に特定の圧力を圧力媒体DKに供給するように、特に、圧力供給装置30および圧力調整器と協働して形成される(
図6を参照されたい)。圧力タンク32内の圧力媒体の圧力は、アクチュエータ12の供給圧力に対応している。
【0122】
圧力タンク32はここでは、圧力タンク32内の圧力媒体の圧力を測定するために圧力センサ33を備える(
図1を参照されたい)。圧力センサ33はここでは、投与システム1の回路基板42上に配置される。回路基板42は、種々の他の電子的構成要素、たとえば、温度センサ48または加熱装置47もしくは加熱要素47を備え、またはそれらに結合され得る。回路基板42は、制御ユニット(図示せず)の接続ケーブルに対する結合点41を備える接続装置40に接続される。一方で、投与システム1の制御ユニットの圧力センサ33またはさらなるセンサの測定信号は、結合点41、たとえばソケットにより、供給され得る。他方で、制御ユニットは、接続装置40により、投与システム1の種々の電気的構成要素にアクセスし、よって、たとえば、加熱装置47を制御することが可能である。さらに、制御ユニットは、接続装置40、回路基板42、および接続ケーブル21により、制御バルブ20を制御することも可能である。
【0123】
図1は、制御バルブ20が、投与システム1の通気領域34の孔26(ここでは、右上)と相互作用し、またはそれに接続された通気接続部24を備えており、孔26および通気接続部24が実質的に同じ径を有していることをさらに示す。圧力媒体は、通気接続部24および孔26により、アクチュエータ12から吐出され、および、有利には、なお、制御バルブ20を冷却するために使用され得る。通気領域34は、
図6を参照して後述される。
【0124】
制御バルブ20は、所望のやり方で空気圧アクチュエータ12を作動させるために、投与システム1の制御ユニットによって制御され得る。
図1に示す制御バルブ20(以下では、「空気圧バルブ」とも呼ぶ)、たとえば、通常の位置の空気圧3/2方ソレノイドバルブは開放(「充填」位置)している場合がある。よって、空気圧バルブ20の通常の位置では、圧力媒体は、作用接続部23へ、空気圧バルブ20内に配置された圧縮空気接続部22および(ここでは破線で示す)流路27を介して圧力リザーバ32から送られる。圧力媒体は、圧力リザーバ32内で支配している、アクチュエータ12のアクチュエータチャンバ内の圧力(供給圧力)で制御バルブ20のこの第1の切替位置において流れて、よって、プランジャ80はプランジャ80の吐出方向に下方に移動し、投与材料滴がノズル70から吐出される。
【0125】
これは、空気圧バルブ20の通常の位置(第1の切替位置)において、アクチュエータ12が特定の圧力下にあり、プランジャ80のプランジャ先端82がノズル70の封止座73に当接しており、すなわち、ノズル70または投与システム1が閉鎖している(
図2を参照されたい)ことを意味している。しかし、それは、ソレノイドバルブ20の通常の位置における、よって、膜の最大の歪みにおけるプランジャ先端82が、ノズル70内で完全に衝突するものでなく、プランジャ80の吐出移動が、ノズル70手前で、すなわち、ノズル70と離れて停止される点で、ここに示すものと異なり得る。
【0126】
図2に示すケースでは、アクチュエータ12は、制御バルブ20の手前で直接印加される圧力で充填され、すなわち、アクチュエータ12の供給圧力は、アクチュエータ充填圧力にも対応する。しかし、基本的には、供給圧力よりも低い圧力でアクチュエータ12を充填し、および/または動的な圧力プロファイルでアクチュエータ12を充填することも可能である。よって、たとえば、プランジャ80の吐出移動における特定の速度プロファイルが実現され得る。これを実現するために、投与システム1、たとえば、ソレノイドバルブ20は、可変スループットを有する1つまたは複数の制御可能なアクチュエータ、たとえば、圧電駆動アクチュエータによって補足され得る。そうしたアクチュエータはたとえば、作用接続部23(図示せず)の領域内に配置され得る。
【0127】
投与材料を分配した後、アクチュエータ12を静止位置に戻すために、空気圧バルブ20は、作用接続部23が、ソレノイドバルブ20の内部流路27’(
図6を参照されたい)により、通気接続部24に接続(第2の切替位置)されるように制御ユニットによって切り替えられ得る。圧力媒体はその場合、アクチュエータユニット10の通気領域内に流れる。これは、
図6を参照して後述する。
【0128】
アクチュエータ12の静止位置は、前述したように、その場合、膜13および吐出要素80が静止位置にある場合に現れる。現下、圧力媒体によって加圧されていない、アクチュエータ12の膜13は、その残留応力により、その静止位置に戻る。ノズル開口70が解放されるようにプランジャ80を静止位置に戻すために、プランジャ80のプランジャヘッド81は、制御バルブ20の方向である上方に戻しばね84によって押される。アクチュエータ12の厳密な動作は、
図3および4を参照して後述する。
【0129】
投与システム1の流体ユニット60が第2のハウジング部11bを備え、および、上述したように、ここでハウジング11を形成するために、クイックカップリングにより、アクチュエータユニット10またはそのハウジング部11aに接続されることは
図2から特に明らかである。流体ユニット60は、プランジャ80の方向を向く、アクチュエータ12の膜13の側面(下側)のプランジャヘッド81の接触面86に直接当接するプランジャ80を備える。プランジャ80はここでは、投与システムのうちで一般的に好ましいものでもあるように、一片であり、すなわち、一片で形成される。アクチュエータユニット10(部分的に示しているに過ぎない)に結合するために、プランジャ80特にプランジャヘッド81は、膜13に、上方に軸方向にばね84によって押圧される。戻しばね84は、下方にプランジャシール85に接続されるプランジャベアリング83に当接する。ここ(
図2)に示すケースでは、アクチュエータ12の、(概略的に示す)膜13は圧力媒体によって加圧されている(アクチュエータ12の動作位置)ので、プランジャ先端82はノズル70の封止座73に当接する。
【0130】
ここに示す以外のアクチュエータ12が静止位置に配置された、すなわち、アクチュエータ12の膜13が加圧されず、または歪ませられない場合、プランジャ先端82は、戻しばね84により、ノズル70の封止座73から離れる方向に押される。プランジャ先端82はその場合、ノズル70の封止座73から任意の位置において配置されるので、ノズル開口72は開放またはアンロック状態にある。
【0131】
投与材料は、供給路62がそれにつながるそのノズルチャンバ71を介してノズル70に供給される(
図2を参照されたい)。供給路62はここでは、流体ボディ61内に埋め込まれる。供給路62は他方で、投与材料カートリッジ64に接続される。供給路62は、締付ねじ65により、外部に対して閉鎖されている。投与材料カートリッジ64は、結合点63の領域内でハウジング11に可逆的に締結される。さらに、カートリッジ64はここでは、固定要素45により、アクチュエータユニット10に締結される(
図1を参照されたい)。
【0132】
ノズル70の領域内の投与材料を具体的な処理温度まで加熱するために、投与システム1は、少なくとも1つの加熱装置47、たとえば1つまたは複数の加熱板47または加熱箔47を備える。これは、
図2中の拡大された図において特に明らかになる。加熱装置47は、制御ユニットによって制御され得る。加熱装置47はここでは、アクチュエータユニット10に一体化されており、まず、アクチュエータ10の結合部、よって、たとえば、結合機構50を加熱する。流体ユニット60のプラグイン結合部53がアクチュエータユニット10の結合部に挿入されるやいなや、プラグイン結合部53、特にノズル70内の投与材料は、特定の温度まで加熱される。プラグイン結合部53は、考えられる最良の熱伝導がノズル70の方向に与えられるように設計される。流体ユニット60はここでは、別個の加熱装置を備えるものでなく、およびしたがって、動作中にも容易に取り扱われ、または分解され得る。
【0133】
空気圧アクチュエータ12、および特に、制御バルブ20を過熱から保護するために、加熱装置47の実質的な熱減結合が、投与システム1内の空気圧アクチュエータ12によって提供される。投与システムが意図されたように組み立てられた場合、すなわち、流体ユニット60およびアクチュエータユニット10が
図2に示すようにともに結合された場合、投与システム1は、複数のガス充填キャビティ46、46’を備える。キャビティ46、46’は、流体ユニット60からの、空気圧アクチュエータ12の熱減結合に使用される。アクチュエータユニット10および制御バルブ20の方向における、加熱装置47からの熱伝達は、これらのキャビティ46、46’により、効果的に妨げられ得る。
【0134】
図3は、
図1および2による投与システム1のさらに拡大された図を示す。しかし、投与システム1は、ここでは、投与プロセスの異なる段階において示す。前述のように、
図1および2は、ノズルからの、投与材料の吐出プロセス中の投与システム1を示す。この場合における投与システムのノズル70は、プランジャ80によって閉鎖されている(
図1および2)。対照的に、
図3は、静止位置における空気圧アクチュエータ12を示し、すなわち、アクチュエータ12の膜13は歪ませられるものでなく、吐出要素80は静止位置に配置される。
図3による空気圧アクチュエータ12では、ノズル70はしたがって、吐出要素80によって閉鎖されているものでない。
【0135】
図3の空気圧アクチュエータ12は、孔17により、空気圧バルブ20の作用接続部23と直接作動接触している。上述したように、アクチュエータ12は、ここでは、2つの構成要素14a、14bによって形成された剛性のアクチュエータ基体14を備える。2つの構成要素14a、14bは互いに対して、好ましくは静止状態で配置され、よって、それらは、それらの間の断面においてキャビティを形成する。対照的に、2つの構成要素14a、14bは、それぞれの構成要素14a、14bの外部領域内で互いに対して直接載り、および、互いに対してそこで着脱自在に押され、よって、膜13が必要な場合、交換され得る。
【0136】
上述したように、(駆動)膜13は、アクチュエータ12のアクチュエータチャンバ16を形成するために2つの剛性の基体部14a、14b間に封止されて形成される。プランジャ80を移動させるためのアクチュエータ12が単一の膜13を備えているに過ぎないことはここでは明らかである。膜13は、ここでは、静止位置において示されており、吐出要素80が膜13に当接する中央領域内で上方に湾曲している。ばね84および吐出要素80は、ここでは、膜13が少なくとも複数の領域内でそれに当接するその上方アクチュエータ基体14aに膜13を押圧する。よって、アクチュエータ基体14aはここでは、膜13の上方のストロークまたは歪みを制限する。しかし、アクチュエータ12が、膜が、上方アクチュエータ基体14aに少なくとも部分的に、たとえば、アクチュエータ基体14aが膜13の方向を向く延長部、またはプランジャヘッド81の領域内の隆起(図示せず)を有する主に水平の静止位置において当接するように形成されることも考えられる。
【0137】
これは
図3による断面図には現れていないが、膜13は、好ましくは、円形の底面を有し、円周方向におけるエッジ領域において完全に、剛性の基体14の2つの基体構成要素14a、14bに気密に結合される。この目的で、膜13は、上方基体構成要素14aに、下方基体構成要素14bにより、下方からエッジ領域内で押圧される。封止するために、シールリング15、たとえばOリング15が、膜13と上方構成要素14aとの間に配置される。
【0138】
上述したように、アクチュエータ12のアクチュエータチャンバ16はここでは、吐出要素80から離れる方向を向く、膜13の側面(上側)と、ここでは、剛性の上方アクチュエータ基体部14aとの間に形成される。アクチュエータチャンバ16は、ここに示す静止位置から下方に膜13を歪ませるために、圧力媒体で孔17により、充填され得る。これは、もう一度、
図4を参照して以下に概略的に示す。
【0139】
プランジャヘッド81は、アクチュエータユニットに吐出要素80を結合するために、膜13の下側19に、ばね84により、押圧される。戻しばね84は、アクチュエータ12の静止位置においても下側19との直接的な作動接触状態で保持されるようにプランジャ80にそうした(ばね)力を作用させるように形成される。ここに示すケースでは、プランジャ80は、水平方向の静止位置を越えて上方に膜13(少なくとも膜13の中央領域)を押し、歪みが構成要素14aによって制限される。
【0140】
図4は、さらなる実施形態によるセクションにおいて示す投与システムのセクションを示す。これまで(
図1~3)に示した投与システムとの差は、空気圧アクチュエータ12がここでは、吐出要素80の移動の速度を決定するためのセンサ18をさらに備えているということである。
【0141】
センサ18はここでは、プランジャ80とともに、(プランジャ80の長手方向の範囲に対応する)仮想垂直線上に配置されるように、上方アクチュエータ基体部14a内に配置される。センサ18およびプランジャヘッド81は、膜13のそれぞれの異なる側に、直接、互いに反対側に位置する。吐出移動および/または後退移動の各段階中のプランジャ80の速度を測定するために、センサ18は、時間の関数としてセンサ18とプランジャヘッド81との間の距離を検出するために位置センサ18を含み得る。たとえば、センサ18は、プランジャヘッド81が磁石(図示せず)を備えるホールセンサであり得る。センサ18は、測定データを転送するために、投与システム1の制御ユニット(ここでは図示せず)に結合される。
【0142】
さらに、投与材料を分配するために膜13が変形させられることは
図4の詳細図において明らかである。
図1および2に示すように、アクチュエータ12はさらに、ここでは動作位置において示されている。これは、膜13の上側が現下、圧力媒体によって加圧されることを意味する。ここで分かり得るように、加圧により、膜13は、プランジャ80の方向に、一様に下方に歪ませられるものでない。むしろ、より大きく下方に移動させられる、膜13の領域、および位置における変化がほとんどない他の領域が存在している。
【0143】
設計により、膜13がアクチュエータ基体14に結合される、膜13のエッジ領域は、ほとんど歪ませられない。さらに、プランジャヘッド81に当接する、膜13の領域が歪ませられるのは比較的小さい。これは、プランジャ80がばね84により、膜13の下側19に押圧されるからである。ばね84はよって、特定の力に対する、膜13の歪みを設定する。しかし、ばね84は、膜13が、歪み中に、ばね84のばね力に打ち勝つように構成され、および、ノズルの方向に、所望の量だけ、投与材料を分配するためにプランジャ80を歪ませる。
【0144】
対照的に、断面内に示される、プランジャヘッド81と膜13のエッジ領域との間に位置する膜13の中央領域は、比較的強い歪みを下方に受ける。膜13はよって、実質上の「波形」として歪み中に変形させられる。
【0145】
図5は、さらに、本発明の実施形態による、アクチュエータユニットの構造および制御をおおよそ概略的に示す。アクチュエータユニット10は、特定の供給圧力で圧力媒体を保持する内部圧力リザーバ32を備える。圧力媒体は、流れ方向RDにおいて制御バルブ20に供給される。制御バルブ20は、圧力媒体が、方向RD’において、空気圧アクチュエータ12のアクチュエータチャンバ16内に流れるように、制御ユニット(図示せず)によって制御される。アクチュエータユニット10の構成に応じて、任意のスロットル装置(図示せず)は、アクチュエータチャンバ16が、供給圧力、またはそこから逸脱している圧力媒体によるアクチュエータ充填圧力で充填されるように制御され得る。
【0146】
圧力媒体による加圧により、膜13および、よって、さらに、吐出要素80が、投与材料を分配するために、方向RAに下方に歪ませられる。
【0147】
次のステップでは、制御バルブ20は、アクチュエータチャンバ16が投与材料の分配直後に通気されるように制御ユニットによって制御される。圧力媒体は、流れ方向RD’’においてアクチュエータチャンバ16を離れ、およびそれが流れ方向RD’’’においてこれを離れる前に制御バルブ20内に流れる。アクチュエータチャンバ16内の圧力低減により、膜13はその静止位置に戻る。吐出要素80は、膜13の移動を直ちに、または同時にたどり、必要な場合には吐出要素80は膜13の移動も補助し、ばね84により静止位置に戻される。投与材料の分配のサイクルが完了する。
【0148】
図6は、空気圧アクチュエータの通気中の、
図1~3の投与システムを示す。制御バルブ20はここでは、作用接続部23が通気接続部24と相互作用するように、制御ユニット(図示せず)によって制御される。この目的で、制御バルブ20は、制御バルブ20の内部で、(ここでは破線で示す)流路27’が2つの接続部23、24を接続するように第2の切替位置に移動させられる。圧力媒体は、孔17を介してアクチュエータ12から流出し、流路27’を介して、通気接続部24に、および、最終的に通気領域34内に通される。プランジャ80は、アクチュエータユニット10の方向において、上方に、ノズル70から離れる方向にばね84によって押され、よって、プランジャ先端82と封止座72との間の小さな隙間が形成される(図示せず)。膜13はここでは、水平方向の「中間位置」において示され、すなわち、膜は現在、アクチュエータチャンバの通気により、静止位置に戻っている。
【0149】
通気領域34は、アクチュエータユニット10のハウジング内のキャビティまたはチャンバを表す。この説明図では、通気領域34のチャンバは流入圧力媒体DEによって満たされている。圧力媒体は、通気領域34内で、アクチュエータ供給圧力としての低圧を有し、および、したがって、膨張圧力媒体DEと呼ぶ。一方で、通気領域34は孔26により、制御バルブ20に直接隣接し、および、他方で、投与システムの外側に孔を有する(図示せず)。ここに示すように、通気領域34は、外側から、制御バルブ20のかなりの部分を囲んでいる。
【0150】
通気領域34は空間的に、および、制御技術の点で、特に、アクチュエータユニット10の圧力タンク32と隔てられている。圧力タンク32はここでは、圧縮圧力媒体DKで充填されており、圧力タンク32を形成するチャンバは圧力媒体DKによって覆われている。
【0151】
通気領域34内に流れる圧力媒体は、制御バルブ20の表面からできる限り多くの熱を排出するために、たとえば導流要素により、制御バルブを越えて案内され得る。圧力媒体、たとえば圧縮空気は、アクチュエータ12の通過によりほとんど加熱されず、したがって、冷却媒体として使用することが可能である。特にアクチュエータチャンバに対して通気領域34の体積が比較的大きいことにより、通気領域34内の圧力媒体の圧力は、たとえば、圧力リザーバ32内、および/またはアクチュエータチャンバ内よりもかなり低い場合がある。
【0152】
図7は、本発明の実施形態による投与システム1のための制御方法の概略図を示す。投与システム1はここでは、その中にアクチュエータユニット10および流体ユニットの不可欠な構成要素が囲まれたそのハウジング11を備える。投与システム1はさらに、投与システム1のそれぞれの構成要素を別個に制御するためにいくつかの接続ケーブル44を有する制御ユニット43をさらに備える。
【0153】
制御ユニット43は一方で、内部圧力タンク32内に流れる圧力媒体の圧力を制御し、および/または調整するために、圧力調整器35に結合される。圧力調整器35は、圧力媒体供給部37に結合され、およびここでは、たとえば、アクチュエータ10の構成要素として投与システム1のハウジング11外側に配置される。外部圧力リザーバ36は任意的に、ここでは、圧力調整器35と内部圧力タンク32との間に配置される。圧力調整器35は、制御ユニット43により、好ましくは入力パラメータ、たとえばプランジャ速度の関数として制御される場合があり、よって、特定の圧力が、吐出プロセス中に一定のプランジャ速度を実現するために外部圧力タンク36内に、または内部圧力タンク32内に存在している。
【0154】
アクチュエータ12を制御するために、制御ユニット43は他方で、(内部圧力タンク32からの圧力媒体により)アクチュエータ12のアクチュエータチャンバを充填、または、(圧力媒体出口DAにより)通気するように制御バルブ20を制御することが可能である。投与システム1のアクチュエータ12は、センサ18、たとえば位置センサ18に結合され、測定データが制御ユニット43に入力パラメータとして伝送される。
【0155】
制御ユニット43は、これらの、およびさらなる、たとえば、内部圧力タンク32内の圧力センサからの、入力パラメータを処理し、および、プランジャ速度、またはプランジャ速度のプロファイルの制御および/または調整(「フランク制御」)を行うために使用することが可能である。測定値に応じて、制御ユニット43は、たとえば、一定のプランジャ速度を達成するために、圧力媒体の特定の目標圧力(供給圧力)が内部圧力タンク32内に存在しているように、圧力調整器35を制御する。
【0156】
あるいは、またはさらに、制御ユニット43は、プランジャ80の吐出移動および/または後退移動中に特定のプランジャ速度または所望の速度プロファイルを達成するために入力パラメータの関数として、たとえば、圧電アクチュエータ28を、ここでは制御バルブ20の領域内で使用して、圧力媒体の流れを調整するためにスロットル装置28を制御することが可能である。
【0157】
制御ユニット43はさらに、ノズル70内の投与材料を所望の温度まで加熱するように投与システム1の加熱装置47を制御することが可能である。制御ユニット43は、好ましくは、温度センサ48によって決定される温度測定値の関数として加熱装置47を制御し、および/または調整し得る。
【0158】
制御ユニット43はさらに、投与材料カートリッジ64内の圧力媒体の圧力(カートリッジ圧力)を制御する第2の圧力調整器35’にアクセスすることも可能である。
【0159】
図8は、本発明の実施形態による、考えられるプランジャ移動の速度プロファイルの図を概略的に示す。速度プロファイルの制御は、フランク制御とも呼ぶ。吐出プロセスの相対時間tに対する、プランジャ先端の相対位置PSを示す。投与システム内のノズルの封止座の位置PDは、ここでは破線で示す。
【0160】
プランジャは、時点T1における、吐出プロセスの開始前には静止位置にある。これは、プランジャの先端がノズルからの、考えられる最大の距離を有しているので、投与システムのノズルがアンロック状態にあることを意味する。
【0161】
時点T2では、アクチュエータは圧力媒体により、高圧で充填され、これはプランジャの高い吐出速度につながる。たとえば、圧電アクチュエータは、考えられる最大の空気流を可能にするためにこの目的で完全に開放され得る。
【0162】
時点T3では、たとえば、プランジャの吐出速度は、ノズルの封止座内のプランジャ先端の衝突の少し前に減少させられる。たとえば、空気圧アクチュエータを介して流れる空気流の速度は、低減される。よって、プランジャ先端の衝突は、より低い速度において、時点T4でノズルの封止座内で行われ、これは、特定の投与材料の投与精度を改善し得る。
【0163】
完全性のためにだけ、そうしたフランク制御が当然、プランジャの後退移動でも可能であることに留意すべきである。
【0164】
最後に、詳細に上述した投与システムが、本発明の範囲から逸脱しない限り、種々のやり方で当業者によって修正され得る実施形態に過ぎないことをもう一度指摘する。たとえば、投与システムは、適切な動作パラメータを測定するためのさらなるセンサ、たとえば、制御バルブの温度を決定するためのセンサを備え得る。さらに、不定冠詞「a」または「an」の使用は、当該特徴がさらに、複数存在し得ることを排除するものでない。
【符号の説明】
【0165】
1 投与システム
10 アクチュエータユニット
11 ハウジング
11a、11b ハウジングブロック/ハウジングの構成要素
12 アクチュエータ
13 膜
14 アクチュエータ基体
14a、14b アクチュエータ基体の構成要素
15 アクチュエータシールリング
16 アクチュエータチャンバ
17 アクチュエータチャンバの孔
18 センサ
19 膜の下側
20 制御バルブ
21 制御バルブの接続ケーブル
22 圧縮空気接続部
23 作用接続部
24 通気接続部
25 圧力タンクの吐出開口/孔
26 通気領域の孔
27、27’ 流路
28 スロットル装置
30 圧力媒体供給装置
31 結合点
32 圧力リザーバ
33 圧力センサ
34 通気領域/冷却装置
35、35’ 圧力調整器
36 外部圧力リザーバ
37 圧力媒体供給部
40 接続部
41 接続ケーブル用結合点
42 回路基板
43 制御ユニット
44 制御ユニットの接続ケーブル
45 固定要素
46、46’ キャビティ
47 加熱装置
48 温度センサ
50 結合機構
51 結合ばね
52 ボール
53 プラグイン結合部
54 球状カロット
60 流体ユニット
61 流体ボディ
62 供給路
63 媒体カートリッジの結合点
64 媒体カートリッジ
65 締付ねじ
70 ノズル
71 ノズルチャンバ
72 出口開口
73 封止座
80 吐出要素/プランジャ
81 プランジャヘッド
82 プランジャ先端
83 プランジャベアリング
84 プランジャばね
85 プランジャシール
86 接触面
DE 膨張した圧力媒体
DK 圧縮された圧力媒体
DA 圧力媒体出口
PD 封止座の位置
PS プランジャ先端の位置
RA プランジャの吐出方向
RD、RD’、RD’’、RD’’’ 流れ方向圧力媒体
RM 投与材料の吐出方向
t 吐出移動の時間
T1、T2、T3、T4 時点
【手続補正書】
【提出日】2024-06-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投与材料を投与する投与システム(1)であって、前記投与システム(1)が、材料を投与するためのノズル(70)および供給路(62)を備えるハウジング(11)と、移動可能に前記ハウジング(11)内に取り付けられた吐出要素(80)と、前記吐出要素(80)に結合されたアクチュエータユニット(10)と、を有し、前記アクチュエータユニット(10)が、吐出方向(RA)に前記吐出要素(80)を移動させるために圧力媒体により加圧されることが可能な膜(13)を有するアクチュエータ(12)を備え、ならびに、前記投与システム(1)の前記ハウジング(11)が、前記圧力媒体のためのリザーバ(32)を備え、および/または、前記リザーバ(32)が、前記アクチュエータ(12)を制御するための、前記アクチュエータユニット(10)の制御バルブ(20)に直接隣接する、投与材料を投与する投与システム(1)。
【請求項2】
少なくとも1つの圧力センサ(33)が前記リザーバ(32)内に配置された、請求項1に記載の投与システム(1)。
【請求項3】
前記アクチュエータユニット(10)が、前記制御バルブ(20)を冷却するための冷却媒体として、前記アクチュエータ(12)のアクチュエータチャンバ(16)から流出する圧力媒体を使用するように形成された、請求項1または2に記載の投与システム(1)。
【請求項4】
前記投与システム(1)が、前記吐出要素(80)の移動の速度を測定するための少なくとも1つのセンサ(18)を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の投与システム(1)。
【請求項5】
前記投与システム(1)が、入力パラメータの関数として前記圧力媒体の圧力を、前記投与システム(1)の制御および/または調整ユニット(43)により、制御および/または調整するための少なくとも1つの圧力調整器(35)を備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の投与システム(1)。
【請求項6】
前記アクチュエータ(12)を制御するための、前記投与システム(1)の前記制御バルブ(20)が、入力パラメータの関数として前記アクチュエータ(12)内の圧力を、前記投与システム(1)の制御および/または調整ユニット(43)により、制御および/または調整するように形成された少なくとも1つのスロットル装置(28)を備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の、投与材料を投与する投与システム(1)。
【請求項7】
前記アクチュエータ(12)を制御するための、前記投与システム(1)の前記制御バルブ(20)が、前記アクチュエータ(12)を充填する間、および/または、前記アクチュエータ(12)を空にする間に、圧力プロファイルを制御および/または調整するように形成された、少なくとも1つのスロットル装置(28)を備える、請求項1~6のいずれか1項に記載の、投与材料を投与する投与システム(1)。
【請求項8】
前記投与システム(1)は、カートリッジ圧力に対応する圧力が前記膜(13)とプランジャシール(85)との間の領域内に維持されるように形成され、および/または、前記投与システム(1)は、前記膜(13)の下側と、前記プランジャシール(85)との間の領域内に負圧が維持されるように形成された、請求項1~11のいずれか1項に記載の投与システム(1)。
【請求項9】
前記膜(13)が、円盤状である、請求項1~8のいずれか1項に記載の投与システム(1)。
【請求項10】
前記膜(13)が、キャビティを有していない、請求項1~9のいずれか1項に記載の投与システム(1)。
【請求項11】
前記吐出要素(80)が前記膜(13)に対して別個に形成され、前記アクチュエータユニット(10)に結合するために、押圧要素により前記吐出要素(80)に作用する力により、前記吐出要素(80)の方向を向く前記膜(13)の側面(19)に押圧される、請求項1~10のいずれか1項に記載の投与システム(1)。
【請求項12】
前記投与システム(1)は、前記吐出要素(80)の吐出方向(RA)に対して反対の方向に、結合するための前記吐出要素(80)に作用する前記力が向けられるように形成された、請求項11に記載の投与システム(1)。
【請求項13】
前記投与システム(1)は、前記アクチュエータユニット(10)に結合するために、少なくとも1つのばね装置(84)により、前記膜(13)の前記側面(19)に前記吐出要素(80)が押圧されるように形成された、請求項11または12に記載の投与システム(1)。
【請求項14】
投与材料を投与する投与システム(1)を制御する方法であって、前記投与システム(1)が、材料を投与するためのノズル(70)および供給路(62)を備えるハウジング(11)と、移動可能に前記ハウジング(11)内に取り付けられた吐出要素(80)と、前記吐出要素(80)に結合されたアクチュエータユニット(10)と、を有し、
前記アクチュエータユニット(10)のアクチュエータ(12)の膜(13)が、吐出方向(RA)に前記吐出要素(80)を移動させるために圧力媒体により加圧される、
投与材料を投与する投与システム(1)を制御する方法。
【請求項15】
前記圧力媒体の圧力は、前記吐出要素(80)の速度が吐出移動中に目標値に対応するように、入力パラメータの関数として制御および/または調整される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記アクチュエータ(12)内に流れる圧力媒体の圧力、および/または、前記アクチュエータ(12)から流出する圧力媒体の圧力は、前記吐出要素(80)の速度が吐出移動および/または後退移動中に目標値に対応するように、入力パラメータの関数として制御および/または調整される、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記投与システム(1)のスロットル装置(28)が、吐出移動中および/または後退移動中に前記吐出要素(80)の速度が変えられるように前記投与システム(1)の制御および/または調整ユニット(43)によって制御される、請求項14~16のいずれか1項に記載の、投与材料を投与する投与システム(1)を制御する方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0115
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0115】
投与システム1のここ(
図1および2)に示す実施形態では、アクチュエータユニット10は、上述したように、圧力媒体、この場合には好ましくは圧縮空気によって加圧され得る空気圧アクチュエータ12を備える。
図1および2では、空気圧
アクチュエータ12、および吐出要素との結合が、概略的に示されているに過ぎないことに留意すべきである。特に、アクチュエータ12の膜13は概略的にのみ、すなわち、歪みまたは後退中の動作中に膜13が実際に有する実際の位置または構成ではないように示されている。これは、
図3および4を参照して後述される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0128
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0128】
アクチュエータ12の静止位置は、前述したように、その場合、膜13および吐出要素80が静止位置にある場合に現れる。現下、圧力媒体によって加圧されていない、アクチュエータ12の膜13は、その残留応力により、その静止位置に戻る。ノズル開口
72が解放されるようにプランジャ80を静止位置に戻すために、プランジャ80のプランジャヘッド81は、制御バルブ20の方向である上方に戻しばね84によって押される。アクチュエータ12の厳密な動作は、
図3および4を参照して後述する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0148
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0148】
図6は、空気圧アクチュエータの通気中の、
図1~3の投与システムを示す。制御バルブ20はここでは、作用接続部23が通気接続部24と相互作用するように、制御ユニット(図示せず)によって制御される。この目的で、制御バルブ20は、制御バルブ20の内部で、(ここでは破線で示す)流路27’が2つの接続部23、24を接続するように第2の切替位置に移動させられる。圧力媒体は、孔17を介してアクチュエータ12から流出し、流路27’を介して、通気接続部24に、および、最終的に通気領域34内に通される。プランジャ80は、アクチュエータユニット10の方向において、上方に、ノズル70から離れる方向にばね84によって押され、よって、プランジャ先端82と封止座
73との間の小さな隙間が形成される(図示せず)。膜13はここでは、水平方向の「中間位置」において示され、すなわち、膜は現在、アクチュエータチャンバの通気により、静止位置に戻っている。
【外国語明細書】