IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オーロバック セラピューティクス エスアーエスの特許一覧

特開2024-123123溶解素-抗微生物ペプチド(AMP)ポリペプチドコンストラクト、溶解素、それをコードする単離ポリヌクレオチド及びその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123123
(43)【公開日】2024-09-10
(54)【発明の名称】溶解素-抗微生物ペプチド(AMP)ポリペプチドコンストラクト、溶解素、それをコードする単離ポリヌクレオチド及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20240903BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240903BHJP
   C12N 1/20 20060101ALI20240903BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240903BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240903BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240903BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240903BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240903BHJP
   C12N 9/24 20060101ALI20240903BHJP
   C07K 14/195 20060101ALI20240903BHJP
   C12N 15/31 20060101ALI20240903BHJP
   C12N 15/56 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20240903BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20240903BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 31/7036 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 31/7052 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 31/665 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 31/427 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 31/407 20060101ALI20240903BHJP
   A61K 38/08 20190101ALI20240903BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
C07K19/00 ZNA
C12N1/20 E
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N9/24
C07K14/195
C12N15/31
C12N15/56
A61K38/16
A61P31/04
A61P43/00 121
A61K31/7036
A61K31/7052
A61K31/665
A61K31/496
A61K31/427
A61K31/407
A61K38/08
C07K19/00
【審査請求】有
【請求項の数】45
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024098623
(22)【出願日】2024-06-19
(62)【分割の表示】P 2020551897の分割
【原出願日】2019-08-23
(31)【優先権主張番号】62/722,793
(32)【優先日】2018-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2019/024912
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/721,969
(32)【優先日】2018-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/849,320
(32)【優先日】2019-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/860,836
(32)【優先日】2019-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】524232716
【氏名又は名称】オーロバック セラピューティクス エスアーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シューフ レイモンド
(57)【要約】      (修正有)
【課題】侵襲的感染の治療のためにMDRシュードモナス・エルギノーサ及び他のグラム陰性細菌を標的とする、ヒト血液マトリックス又は肺サーファクタント中で活性を保持する更なる抗菌剤を提供する。
【解決手段】溶解素-AMPポリペプチドコンストラクト、単離溶解素ポリペプチド、並びに単離ポリペプチド及び/又は溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトを含む医薬組成物が提供される。また、肺サーファクタントが存在する器官若しくは組織の細菌感染、又はバイオフィルムと関連するグラム陰性細菌感染を治療する方法を含む、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクト、単離溶解素ポリペプチド及び医薬組成物を用いる方法も提供される。さらに、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクト及び単離溶解素ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドが開示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトであって、
(a)第1の成分であって、
(i)GN76(配列番号203)、GN4(配列番号74)、GN146(配列番号78)、GN14(配列番号124)、任意に単一のpI増加突然変異を有するGN37(配列番号84)、GN76(配列番号203)、任意に単一の点突然変異を有するGN316(配列番号22)、溶解素Pap2_gp17(配列番号96)、GN329(配列番号26)、GN424(配列番号56)、GN202(配列番号118)、GN425(配列番号58)、GN428(配列番号60)、GN431(配列番号64)、GN486(配列番号66)、GN333(配列番号28)、GN485(配列番号68)、GN123(配列番号173)及びGN121(配列番号175)からなる群から選択される溶解素、又は、
(ii)溶解素活性を有し、配列番号203、配列番号74、配列番号78、配列番号124、配列番号84、配列番号22、配列番号96、配列番号26、配列番号56、配列番号118、配列番号58、配列番号60、配列番号64、配列番号66、配列番号28、配列番号68、配列番号173若しくは配列番号175の少なくとも1つのポリペプチド配列と少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチド、又は、
(iii)前記溶解素の活性フラグメント、
のポリペプチド配列を含む、第1の成分と、
(b)第2の成分であって、
(i)Chp1(配列番号133)、Chp2(配列番号70)、CPAR39(配列番号135)、Chp3(配列番号137)、Chp4(配列番号102)、Chp6(配列番号106)、Chp7(配列番号139)、Chp8(配列番号141)、Chp9(配列番号143)、Chp10(配列番号145)、Chp11(配列番号147)、Chp12(配列番号149)、Gkh1(配列番号151)、Gkh2(配列番号90)、Unp1(配列番号153)、Ecp1(配列番号155)、Ecp2(配列番号104)、Tma1(配列番号157)、Osp1(配列番号108)、Unp2(配列番号159)、Unp3(配列番号161)、Gkh3(配列番号163)、Unp5(配列番号165)、Unp6(配列番号167)、Spi1(配列番号169)、Spi2(配列番号171)、Ecp3(配列番号177)、Ecp4(配列番号179)、ALCES1(配列番号181)、AVQ206(配列番号183)、AVQ244(配列番号185)、CDL907(配列番号187)、AGT915(配列番号189)、HH3930(配列番号191)、Fen7875(配列番号193)、SBR77(配列番号195)、Bdp1(配列番号197)、LVP1(配列番号199)、Lvp2(配列番号201)、エスクレンチンフラグメント(配列番号80)、RI12(配列番号88)、TI15(配列番号94)、RI18(配列番号92)、FIRL(配列番号114)、LPS結合タンパク質のフラグメント(配列番号76)、RR12whydro(配列番号110)、RI18ペプチド誘導体(配列番号131)及びカチオン性ペプチド(配列番号120)からなる群から選択される少なくとも1つの抗微生物ペプチド(AMP)、又は、
(ii)AMP活性を有し、配列番号133、配列番号70、配列番号135、配列番号137、配列番号102、配列番号106、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号90、配列番号153、配列番号155、配列番号104、配列番号157、配列番号108、配列番号159、配列番号161、配列番号163、配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171、配列番号177、配列番号179、配列番号181、配列番号183、配列番号185、配列番号187、配列番号189、配列番号191、配列番号193、配列番号195、配列番号197、配列番号199、配列番号201、配列番号80、配列番号88、配列番号94、配列番号92、配列番号114
、配列番号76、配列番号110、配列番号131及び配列番号120の少なくとも1つに少なくとも80%同一であるポリペプチド、
のポリペプチド配列を含む、第2の成分と、
を含み、
前記溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトが、肺サーファクタントの存在下で、シュードモナス・エルギノーサの細菌増殖を阻害すること、シュードモナス・エルギノーサの菌数を減少させること、及び/又はシュードモナス・エルギノーサを死滅させることから選択される少なくとも1つの活性を備える、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクト。
【請求項2】
前記第1の成分がGN394(配列番号48)、GN396(配列番号50)、GN408(配列番号52)及びGN418(配列番号54)からなる群から選択される、請求項1に記載の溶解素-AMPポリペプチドコンストラクト。
【請求項3】
前記コンストラクトが、該コンストラクトにおいて第1及び/又は第2の成分の構造の少なくとも一部を、コンジュゲートされていない溶解素及び/又はAMPの場合と実質的に同じに維持するための少なくとも1つの構造安定化成分を更に含む、請求項1又は2に記載の溶解素-AMPポリペプチドコンストラクト。
【請求項4】
前記少なくとも1つの構造安定化成分がペプチドである、請求項3に記載の溶解素-AMPポリペプチドコンストラクト。
【請求項5】
前記ペプチドが、TAGGTAGG(配列番号72)、IGEM(BBa_K1485002)(配列番号82)、PPTAGGTAGG(配列番号98)、IGEM+PP(配列番号16の残基44~58)及びAGAGAGAGAGAGAGAGAS(配列番号122)からなる群から選択される、請求項4に記載の溶解素-AMPポリペプチドコンストラクト。
【請求項6】
前記GN37溶解素(配列番号84)が単一のpI増加突然変異を含み、前記GN316(配列番号22)が単一の点突然変異を含み、前記単一のpI増加突然変異を有するGN37(配列番号84)がGN217(配列番号8)であり、前記単一の点突然変異を有するGN316(配列番号22)がGN396(配列番号50)、GN408(配列番号52)、GN418(配列番号54)及びGN394(配列番号48)からなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の溶解素-AMPポリペプチドコンストラクト。
【請求項7】
前記溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトが、(i)GN168(配列番号2)、GN176(配列番号4)、GN178(配列番号6)、GN218(配列番号10)、GN223(配列番号12)、GN239(配列番号14)、GN243(配列番号16)、GN280(配列番号18)、GN281(配列番号20)、GN349(配列番号30)、GN351(配列番号32)、GN352(配列番号34)、GN353(配列番号36)、GN357(配列番号38)、GN359(配列番号40)、GN369(配列番号42)、GN370(配列番号44)、GN371(配列番号46)、GN428(配列番号60)及びGN93(配列番号62)からなる群から選択されるポリペプチド配列、又は(ii)溶解素活性を有し、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号60及び配列番号62の少なくとも1つと少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の溶解素-AMPポリペプチドコンストラクト。
【請求項8】
前記溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトが、(i)GN351(配列番号32)及びGN370(配列番号36)からなる群から選択されるポリペプチド配列、又は(ii)溶解素活性を有し、配列番号32及び配列番号36の少なくとも1つと少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の溶解素-AMPポリペプチドコンストラクト。
【請求項9】
GN121(配列番号175)、GN217溶解素(配列番号8)、GN394溶解素(配列番号48)、GN396溶解素(配列番号50)、GN408溶解素(配列番号52)、GN418溶解素(配列番号54)、GN428(配列番号60)、及びGN486(配列番号66)からなる群から選択される溶解素又はその活性フラグメントを含む単離ポリペプチドであって、前記溶解素又はその活性フラグメントが、肺サーファクタントの存在下で、シュードモナス・エルギノーサの細菌増殖を阻害すること、シュードモナス・エルギノーサの菌数を減少させること、及び/又はシュードモナス・エルギノーサを死滅させることから選択される少なくとも1つの活性を備える、単離ポリペプチド。
【請求項10】
前記溶解素が、GN121(配列番号175)及びGN428(配列番号60)からなる群から選択される、請求項9に記載の単離ポリペプチド。
【請求項11】
溶解素-抗微生物ペプチド(AMP)ポリペプチドコンストラクトをコードする核酸分子を含む単離ポリヌクレオチドであって、該核酸分子が、
(a)第1の核酸分子であって、
(i)GN76(配列番号203)、GN4(配列番号74)、GN146(配列番号78)、GN14(配列番号124)、任意に単一のpI増加突然変異を有するGN37(配列番号84)、任意に単一の点突然変異を有するGN316(配列番号22)、溶解素Pap2_gp17(配列番号96)、GN329(配列番号26)、GN424(配列番号56)、GN202(配列番号118)、GN425(配列番号58)、GN428(配列番号60)、GN431(配列番号64)、GN486(配列番号66)、GN333(配列番号28)、GN485(配列番号68)、GN123(配列番号173)及びGN121(配列番号175)からなる群から選択される溶解素、又は、
(ii)配列番号203、配列番号74、配列番号78、配列番号124、配列番号84、配列番号22、配列番号96、配列番号26、配列番号56、配列番号118、配列番号58、配列番号60、配列番号64、配列番号66、配列番号28、配列番号68、配列番号173若しくは配列番号175の少なくとも1つに少なくとも80%同一である、溶解素活性を有するポリペプチド、又は、
(iii)前記溶解素の活性フラグメント、
を含む第1の成分をコードする、第1の核酸分子と、
(b)第2の核酸分子であって、
(i)Chp1(配列番号133)、Chp2(配列番号70)、CPAR39(配列番号135)、Chp3(配列番号137)、Chp4(配列番号102)、Chp6(配列番号106)、Chp7(配列番号139)、Chp8(配列番号141)、Chp9(配列番号143)、Chp10(配列番号145)、Chp11(配列番号147)、Chp12(配列番号149)、Gkh1(配列番号151)、Gkh2(配列番号90)、Unp1(配列番号153)、Ecp1(配列番号155)、Ecp2(配列番号104)、Tma1(配列番号157)、Osp1(配列番号108)、Unp2(配列番号159)、Unp3(配列番号161)、Gkh3(配列番号163)、Unp5(配列番号165)、Unp6(配列番号167)、Spi1(配列番号169)、Spi2(配列番号171)、Ecp3(配列番号177)、Ecp4(配列番号179)、ALCES1(配列番号181)、AVQ206(配列番号183)、AVQ244(配列番号185)、CDL907(配列番号187)、AGT915(配列番号189)、
HH3930(配列番号191)、Fen7875(配列番号193)、SBR77(配列番号195)、Bdp1(配列番号197)、LVP1(配列番号199)、Lvp2(配列番号201)、エスクレンチンフラグメント(配列番号80)、RI12(配列番号88)、TI15(配列番号94)、RI18(配列番号92)、FIRL(配列番号114)、LPS結合タンパク質のフラグメント(配列番号76)、RR12whydro(配列番号110)、RI18ペプチド誘導体(配列番号131)及びカチオン性ペプチド(配列番号120)からなる群から選択される少なくとも1つの抗微生物ペプチド(AMP)、又は、
(ii)配列番号133、配列番号70、配列番号135、配列番号137、配列番号102、配列番号106、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号90、配列番号153、配列番号155、配列番号104、配列番号157、配列番号108、配列番号159、配列番号161、配列番号163、配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171、配列番号177、配列番号179、配列番号181、配列番号183、配列番号185、配列番号187、配列番号189、配列番号191、配列番号193、配列番号195、配列番号197、配列番号199、配列番号201、配列番号80、配列番号88、配列番号94、配列番号92、配列番号114、配列番号76、配列番号110、配列番号131及び配列番号120の少なくとも1つに少なくとも80%同一である、AMP活性を有するポリペプチド、
のポリペプチド配列を含む第2の成分をコードする、第2の核酸分子と、
を含み、
前記溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトが、肺サーファクタントの存在下で、シュードモナス・エルギノーサの細菌増殖を阻害すること、シュードモナス・エルギノーサの菌数を減少させること、及び/又はシュードモナス・エルギノーサを死滅させることから選択される少なくとも1つの活性を備える、単離ポリヌクレオチド。
【請求項12】
前記核酸分子が、(c)少なくとも1つの構造安定化成分を含む第3の成分をコードする第3の核酸分子を更に含み、該少なくとも1つの構造安定化成分が、前記コンストラクトにおいて第1及び/又は第2の成分の構造の少なくとも一部を、コンジュゲートされていない溶解素及び/又はAMPの場合と実質的に同じに維持する、請求項11に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項13】
前記少なくとも1つの構造安定化成分がペプチドを含む、請求項12に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項14】
前記ペプチドが、TAGGTAGG(配列番号72)、IGEM(BBa_K1485002)(配列番号82)、PPTAGGTAGG(配列番号98)、IGEM+PP(配列番号16の残基44~58)及びAGAGAGAGAGAGAGAGAS(配列番号122)からなる群から選択される、請求項13に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項15】
前記GN37(配列番号84)が単一のpI増加突然変異を含み、前記GN316(配列番号22)が単一の点突然変異を含み、前記単一のpI増加突然変異を有するGN37(配列番号84)がGN217(配列番号8)であり、前記単一の点突然変異を有するGN316(配列番号22)がGN396(配列番号50)、GN408(配列番号52)、GN418(配列番号54)及びGN394(配列番号48)からなる群から選択される、請求項11~14のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項16】
前記溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトをコードする核酸分子が、
(i)GN168(配列番号2)、GN176(配列番号4)、GN178(配列番号6)、GN218(配列番号10)、GN223(配列番号12)、GN239(配列番
号14)、GN243(配列番号16)、GN280(配列番号18)、GN281(配列番号20)、GN349(配列番号30)、GN351(配列番号32)、GN352(配列番号34)、GN353(配列番号36)、GN357(配列番号38)、GN359溶解素(配列番号40)、GN369溶解素(配列番号42)、GN370溶解素(配列番号44)、GN371溶解素(配列番号46)及びGN93溶解素(配列番号62)からなる群から選択される、又は、
(ii)溶解素活性を有し、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46若しくは配列番号62の少なくとも1つのポリペプチド配列と少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子、
である、請求項11~14のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項17】
単離ポリヌクレオチド配列であって、GN121(配列番号175)、GN217溶解素(配列番号8)、GN394溶解素(配列番号48)、GN396溶解素(配列番号50)、GN408溶解素(配列番号52)、GN418溶解素(配列番号54)、GN428(配列番号60)、及びGN486(配列番号66)からなる群から選択される溶解素又はその活性フラグメントをコードする核酸分子を含み、該溶解素又はその活性フラグメントが、肺サーファクタントの存在下で、シュードモナス・エルギノーサの細菌増殖を阻害する、シュードモナス・エルギノーサの菌数を減少させる、及び/又はシュードモナス・エルギノーサを死滅させる、単離ポリヌクレオチド配列。
【請求項18】
前記単離ポリヌクレオチドがDNAを含む、請求項11~17のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項19】
前記単離ポリヌクレオチドがcDNAを含む、請求項11~17のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項20】
請求項11~18のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド配列を含む組換えベクター。
【請求項21】
前記単離ポリヌクレオチド配列が異種プロモーターに操作可能に連結されている、請求項20に記載の組換えベクター。
【請求項22】
前記組換えベクターが組換え発現ベクターである、請求項20又は21に記載の組換えベクター。
【請求項23】
請求項20~22のいずれか一項に記載の組換えベクターを含む単離宿主細胞。
【請求項24】
単離溶解素及び/又は溶解素-抗微生物ペプチド(AMP)ポリペプチドコンストラクトと、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物であって、
前記単離溶解素が、
(i)GN121(配列番号175)、GN123(配列番号173)、GN217(配列番号8)、GN316変異体(配列番号24)、GN316(配列番号22)、GN329(配列番号26)、GN333(配列番号28)、GN394(配列番号48)、GN396(配列番号50)、GN408(配列番号52)、GN418(配列番号54)、GN424(配列番号56)、GN425(配列番号58)、GN428(配列番号60)、GN431(配列番号64)、GN486(配列番号66)、GN485(配列番号68)、溶解素PaP2_gp17(配列番号96)、
(ii)その活性フラグメント、又は、
(iii)溶解素活性を有し、配列番号175、配列番号173、配列番号8、配列番号24、配列番号22、配列番号26、配列番号28、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号64、配列番号66、配列番号68若しくは配列番号96の少なくとも1つのポリペプチド配列と少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチド、
の少なくとも1つを含み、
前記溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトが、
(a)第1の成分であって、
(i)GN76(配列番号203)、GN4(配列番号74)、GN146(配列番号78)、GN14(配列番号124)、任意に単一のpI増加突然変異を有するGN37(配列番号84)、任意に単一の点突然変異を有するGN316(配列番号22)、溶解素Pap2_gp17(配列番号96)、GN329(配列番号26)、GN424(配列番号56)、GN202(配列番号118)、GN425(配列番号58)、GN428(配列番号60)、GN431(配列番号64)、GN486(配列番号66)、GN333(配列番号28)、GN485(配列番号68)、GN123(配列番号173)及びGN121(配列番号175)からなる群から選択される溶解素、又は、
(ii)溶解素活性を有し、配列番号203、配列番号74、配列番号78、配列番号124、配列番号84、配列番号22、配列番号26、配列番号56、配列番号118、配列番号58、配列番号60、配列番号64、配列番号66、配列番号28、配列番号68、配列番号173若しくは配列番号175の少なくとも1つのポリペプチド配列と少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチド、又は、
(iii)前記溶解素の活性フラグメント、
のポリペプチド配列を含む、第1の成分と、
(b)第2の成分であって、
(i)Chp1(配列番号133)、Chp2(配列番号70)、CPAR39(配列番号135)、Chp3(配列番号137)、Chp4(配列番号102)、Chp6(配列番号106)、Chp7(配列番号139)、Chp8(配列番号141)、Chp9(配列番号143)、Chp10(配列番号145)、Chp11(配列番号147)、Chp12(配列番号149)、Gkh1(配列番号151)、Gkh2(配列番号90)、Unp1(配列番号153)、Ecp1(配列番号155)、Ecp2(配列番号104)、Tma1(配列番号157)、Osp1(配列番号108)、Unp2(配列番号159)、Unp3(配列番号161)、Gkh3(配列番号163)、Unp5(配列番号165)、Unp6(配列番号167)、Spi1(配列番号169)、Spi2(配列番号171)、Ecp3(配列番号177)、Ecp4(配列番号179)、ALCES1(配列番号181)、AVQ206(配列番号183)、AVQ244(配列番号185)、CDL907(配列番号187)、AGT915(配列番号189)、HH3930(配列番号191)、Fen7875(配列番号193)、SBR77(配列番号195)、Bdp1(配列番号197)、LVP1(配列番号199)、Lvp2(配列番号201)、エスクレンチンフラグメント(配列番号80)、RI12(配列番号88)、TI15(配列番号94)、RI18(配列番号92)、FIRL(配列番号114)、LPS結合タンパク質のフラグメント(配列番号76)、RR12whydro(配列番号110)、RI18ペプチド誘導体(配列番号131)及びカチオン性ペプチド(配列番号120)からなる群から選択される少なくとも1つの抗微生物ペプチド(AMP)、又は
(ii)AMP活性を有し、配列番号133、配列番号70、配列番号135、配列番号137、配列番号102、配列番号106、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号90、配列番号153、配列番号155、配列番号104、配列番号157、配列番号108、配列番号159、配列番号161、配列番号163、配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171、配列番号177、配列番号179、配列番
号181、配列番号183、配列番号185、配列番号187、配列番号189、配列番号191、配列番号193、配列番号195、配列番号197、配列番号199、配列番号201、配列番号80、配列番号88、配列番号94、配列番号92、配列番号114、配列番号76、配列番号110、配列番号131及び配列番号120の少なくとも1つに少なくとも80%同一であるポリペプチド、
のポリペプチド配列を含む、第2の成分と、
を含み、
前記医薬組成物が、肺サーファクタントの存在下で、シュードモナス・エルギノーサの細菌増殖を阻害する、シュードモナス・エルギノーサの菌数を減少させる、及び/又はシュードモナス・エルギノーサを死滅させる、医薬組成物。
【請求項25】
前記溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトが、該コンストラクトにおいて第1及び/又は第2の成分の構造の少なくとも一部を、コンジュゲートされていない溶解素及び/又はAMPの場合と実質的に同じに維持するための少なくとも1つの構造安定化成分を更に含む、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記少なくとも1つの構造安定化成分がペプチドである、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記ペプチドが、TAGGTAGG(配列番号72)、IGEM(BBa_K1485002)(配列番号82)、PPTAGGTAGG(配列番号98)、IGEM+PP(配列番号16の残基44~58)及びAGAGAGAGAGAGAGAGAS(配列番号122)からなる群から選択される、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記溶解素が、GN316(配列番号22)、GN329(配列番号26)、GN333(配列番号28)、GN424(配列番号56)、GN425(配列番号58)、GN428(配列番号60)、GN431(配列番号64)、GN485(配列番号68)、溶解素PaP2_gp17(配列番号96)及びその活性フラグメントからなる群から選択される、請求項24~27のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記溶解素又はその活性フラグメントが配列番号22、配列番号26、配列番号28、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号64、配列番号68又は配列番号96に対して少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトが、GN168(配列番号2)、GN176(配列番号4)、GN178(配列番号6)、GN218(配列番号10)、GN223(配列番号12)、GN239(配列番号14)、GN243(配列番号16)、GN280(配列番号18)、GN281(配列番号20)、GN349(配列番号30)、GN351(配列番号32)、GN352(配列番号34)、GN353(配列番号36)、GN357(配列番号38)、GN359(配列番号40)、GN369(配列番号42)、GN370(配列番号44)、GN371(配列番号46)、GN428(配列番号60)、GN93(配列番号62)の少なくとも1つから選択されるポリペプチド配列、又は溶解素活性を有し、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号60及び配列番号62の少なくとも1つに少なくとも80%の同一性を有するポリペプチド配列を含む、請求項24~29のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記単離溶解素が、GN121(配列番号175)及びGN428(配列番号60)の
少なくとも1つから選択されるポリペプチド配列、又は溶解素活性を有し、配列番号175及び配列番号60の少なくとも1つに少なくとも80%の同一性を有するポリペプチド配列を含む、請求項24~29のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記医薬組成物が、溶液、懸濁液、エマルション、吸入用粉末、エアロゾル又はスプレーとして配合される、請求項24~31のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記医薬組成物がグラム陰性細菌の治療に適した抗生物質を更に含む、請求項24~32のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項34】
グラム陰性細菌によって引き起こされる細菌感染を治療する方法であって、該グラム陰性細菌がシュードモナス・エルギノーサ及び任意に1つ以上の付加的な種のグラム陰性細菌を含み、
該方法は、細菌感染と診断された、そのリスクがある又はその症状を示す被験体に、請求項24~33のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項35】
前記細菌感染が局所又は全身病原性細菌感染である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
細菌感染を予防又は治療する方法であって、
細菌感染と診断された、そのリスクがある又はその症状を示す被験体に、第1の有効量の請求項24~35のいずれか一項に記載の医薬組成物と、第2の有効量のグラム陰性細菌感染の治療に適した抗生物質との組合せを同時投与することを含む、方法。
【請求項37】
グラム陰性細菌感染の治療に適した抗生物質の有効性を高める方法であって、
前記抗生物質を、有効量の単離溶解素及び/又は溶解素-抗微生物ペプチド(AMP)ポリペプチドコンストラクトを含有する組成物と組み合わせて同時投与することを含み、
前記単離溶解素が、
(i)GN121(配列番号175)、GN123(配列番号173)、GN217(配列番号8)、GN316変異体(配列配列24)、GN316(配列番号22)、GN329(配列番号26)、GN333(配列番号28)、GN394(配列番号48)、GN396(配列番号50)、GN408(配列番号52)、GN418(配列番号54)、GN424(配列番号56)、GN425(配列番号58)、GN428(配列番号60)、GN431(配列番号64)、GN486(配列番号66)、GN485(配列番号68)、溶解素PaP2_gp17(配列番号96)、又は、
(ii)その活性フラグメント、又は、
(iii)溶解素活性を有し、配列番号175、配列番号173、配列番号8、配列番号24、配列番号22、配列番号26、配列番号28、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号64、配列番号66、配列番号68若しくは配列番号96の少なくとも1つのポリペプチド配列と少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチド、
の少なくとも1つを含み、
前記溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトが、
(a)第1の成分であって、
(i)GN76(配列番号203)、GN4(配列番号74)、GN146(配列番号78)、GN14(配列番号124)、任意に単一のpI増加突然変異を有するGN37(配列番号84)、任意に単一の点突然変異を有するGN316(配列番号22)、溶解素Pap2_gp17(配列番号96)、GN329(配列番号26)、GN424(配列番号56)、GN202(配列番号118)、GN425(配列番号58)、GN428(配列番号60)、GN431(配列番号64)、GN486(配列番号66)、GN333(配列番号28)、GN485(配列番号68)、GN123(配列番号173
)及びGN121(配列番号175)からなる群から選択される溶解素、又は、
(ii)溶解素活性を有し、配列番号203、配列番号74、配列番号78、配列番号124、配列番号84、配列番号22、配列番号96、配列番号26、配列番号56、配列番号118、配列番号58、配列番号60、配列番号64、配列番号66、配列番号28、配列番号68、配列番号173若しくは配列番号175の少なくとも1つのポリペプチド配列と少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチド、又は、
(iii)前記溶解素の活性フラグメント、
のポリペプチド配列を含む、第1の成分と、
(b)第2の成分であって、
(i)Chp1(配列番号133)、Chp2(配列番号70)、CPAR39(配列番号135)、Chp3(配列番号137)、Chp4(配列番号102)、Chp6(配列番号106)、Chp7(配列番号139)、Chp8(配列番号141)、Chp9(配列番号143)、Chp10(配列番号145)、Chp11(配列番号147)、Chp12(配列番号149)、Gkh1(配列番号151)、Gkh2(配列番号90)、Unp1(配列番号153)、Ecp1(配列番号155)、Ecp2(配列番号104)、Tma1(配列番号157)、Osp1(配列番号108)、Unp2(配列番号159)、Unp3(配列番号161)、Gkh3(配列番号163)、Unp5(配列番号165)、Unp6(配列番号167)、Spi1(配列番号169)、Spi2(配列番号171)、Ecp3(配列番号177)、Ecp4(配列番号179)、ALCES1(配列番号181)、AVQ206(配列番号183)、AVQ244(配列番号185)、CDL907(配列番号187)、AGT915(配列番号189)、HH3930(配列番号191)、Fen7875(配列番号193)、SBR77(配列番号195)、Bdp1(配列番号197)、LVP1(配列番号199)、Lvp2(配列番号201)、エスクレンチンフラグメント(配列番号80)、RI12(配列番号88)、TI15(配列番号94)、RI18(配列番号92)、FIRL(配列番号114)、LPS結合タンパク質のフラグメント(配列番号76)、RR12whydro(配列番号110)、RI18ペプチド誘導体(配列番号131)及びカチオン性ペプチド(配列番号120)からなる群から選択される少なくとも1つの抗微生物ペプチド(AMP)、又は、
(ii)AMP活性を有し、配列番号133、配列番号70、配列番号135、配列番号137、配列番号102、配列番号106、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号90、配列番号153、配列番号155、配列番号104、配列番号157、配列番号108、配列番号159、配列番号161、配列番号163、配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171、配列番号177、配列番号179、配列番号181、配列番号183、配列番号185、配列番号187、配列番号189、配列番号191、配列番号193、配列番号195、配列番号197、配列番号199、配列番号201、配列番号80、配列番号88、配列番号94、配列番号92、配列番号114、配列番号76、配列番号110、配列番号131及び配列番号120の少なくとも1つに少なくとも80%同一であるポリペプチド、
のポリペプチド配列を含む、第2の成分と、
を含み、
前記組成物が、肺サーファクタントの存在下で、シュードモナス・エルギノーサの細菌増殖を阻害すること、シュードモナス・エルギノーサの菌数を減少させること、及び/又はシュードモナス・エルギノーサを死滅させることから選択される少なくとも1つの活性を備え、
前記組合せの投与が、前記抗生物質、又は前記溶解素若しくは溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトのいずれかを個別に投与するよりも、肺サーファクタントの存在下で、グラム陰性細菌の増殖を阻害するか、又はその菌数を減少させるか、又はそれを死滅させる上でより効果的である、方法。
【請求項38】
少なくとも1つの種のグラム陰性細菌の増殖を阻害するか、又はその菌数を減少させるか、又はそれを死滅させる方法であって、前記少なくとも1つの種のグラム陰性細菌がシュードモナス・エルギノーサ及び任意に1つ以上の付加的な種のグラム陰性細菌であり、
該方法が、前記細菌と、有効量の単離溶解素及び/又は溶解素-抗微生物ペプチド(AMP)ポリペプチドコンストラクトを含有する組成物とを接触させることを含み、
前記単離溶解素が、
(i)GN121(配列番号175)、GN123(配列番号173)、GN217(配列番号8)、GN316変異体(配列番号24)、GN316(配列番号22)、GN329(配列番号26)、GN333(配列番号28)、GN394(配列番号48)、GN396(配列番号50)、GN408(配列番号52)、GN418(配列番号54)、GN424(配列番号56)、GN425(配列番号58)、GN428(配列番号60)、GN431(配列番号64)、GN486(配列番号66)、GN485(配列番号68)、溶解素PaP2_gp17(配列番号96)、又は、
(ii)その活性フラグメント、又は、
(iii)溶解素活性を有し、配列番号175、配列番号173、配列番号8、配列番号24、配列番号22、配列番号26、配列番号28、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号64、配列番号66、配列番号68若しくは配列番号96の少なくとも1つのポリペプチド配列と少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチド、
の少なくとも1つを含み、
前記溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトが、
(a)第1の成分であって、
(i)GN76(配列番号203)、GN4(配列番号74)、GN146(配列番号78)、GN14(配列番号124)、任意に単一のpI増加突然変異を有するGN37(配列番号84)、任意に単一の点突然変異を有するGN316(配列番号22)、溶解素Pap2_gp17(配列番号96)、GN329(配列番号26)、GN424(配列番号56)、GN202(配列番号118)、GN425(配列番号58)、GN428(配列番号60)、GN431(配列番号64)、GN486(配列番号66)、GN333(配列番号28)、GN485(配列番号68)、GN123(配列番号173)及びGN121(配列番号175)からなる群から選択される溶解素、又は、
(ii)溶解素活性を有し、配列番号203、配列番号74、配列番号78、配列番号124、配列番号84、配列番号22、配列番号96、配列番号26、配列番号56、配列番号118、配列番号58、配列番号60、配列番号64、配列番号66、配列番号28、配列番号68、配列番号173若しくは配列番号175の少なくとも1つのポリペプチド配列と少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチド、又は、
(iii)前記溶解素の活性フラグメント、
のポリペプチド配列を含む、第1の成分と、
(b)第2の成分であって、
(i)Chp1(配列番号133)、Chp2(配列番号70)、CPAR39(配列番号135)、Chp3(配列番号137)、Chp4(配列番号102)、Chp6(配列番号106)、Chp7(配列番号139)、Chp8(配列番号141)、Chp9(配列番号143)、Chp10(配列番号145)、Chp11(配列番号147)、Chp12(配列番号149)、Gkh1(配列番号151)、Gkh2(配列番号90)、Unp1(配列番号153)、Ecp1(配列番号155)、Ecp2(配列番号104)、Tma1(配列番号157)、Osp1(配列番号108)、Unp2(配列番号159)、Unp3(配列番号161)、Gkh3(配列番号163)、Unp5(配列番号165)、Unp6(配列番号167)、Spi1(配列番号169)、Spi2(配列番号171)、Ecp3(配列番号177)、Ecp4(配列番号179)、ALCES1(配列番号181)、AVQ206(配列番号183)、AVQ244(配
列番号185)、CDL907(配列番号187)、AGT915(配列番号189)、HH3930(配列番号191)、Fen7875(配列番号193)、SBR77(配列番号195)、Bdp1(配列番号197)、LVP1(配列番号199)、Lvp2(配列番号201)、エスクレンチンフラグメント(配列番号80)、RI12(配列番号88)、TI15(配列番号94)、RI18(配列番号92)、FIRL(配列番号114)、LPS結合タンパク質のフラグメント(配列番号76)、RR12whydro(配列番号110)、RI18ペプチド誘導体(配列番号131)及びカチオン性ペプチド(配列番号120)からなる群から選択される少なくとも1つの抗微生物ペプチド(AMP)、又は、
(ii)AMP活性を有し、配列番号133、配列番号70、配列番号135、配列番号137、配列番号102、配列番号106、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号90、配列番号153、配列番号155、配列番号104、配列番号157、配列番号108、配列番号159、配列番号161、配列番号163、配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171、配列番号177、配列番号179、配列番号181、配列番号183、配列番号185、配列番号187、配列番号189、配列番号191、配列番号193、配列番号195、配列番号197、配列番号199、配列番号201、配列番号80、配列番号88、配列番号94、配列番号92、配列番号114、配列番号76、配列番号110、配列番号131及び配列番号120の少なくとも1つに少なくとも80%同一であるポリペプチド、
のポリペプチド配列を含む、第2の成分と、
を含み、
前記組成物が、肺サーファクタントの存在下で、シュードモナス・エルギノーサの細菌増殖を阻害すること、シュードモナス・エルギノーサの菌数を減少させること、及び/又はシュードモナス・エルギノーサを死滅させることから選択される少なくとも1つの活性を備える、方法。
【請求項39】
前記1つ以上の付加的な種のグラム陰性細菌が、クレブシエラ属種、エンテロバクター属種、大腸菌、シトロバクター・フロインディイ、サルモネラ・ティフィムリウム、エルシニア・ペスティス及び野兎病菌からなる群から選択される、請求項34、35及び38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記抗生物質が、セフタジジム、セフェピム、セフォペラゾン、セフトビプロール、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、アミノグリコシド、イミペネム、メロペネム、ドリペネム、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ピペラシリン、チカルシリン、ペニシリン、リファンピシン、ポリミキシンB及びコリスチンの1つ以上から選択される、請求項36若しくは37に記載の方法又は請求項33に記載の医薬組成物。
【請求項41】
前記少なくとも1つの活性が、シュードモナス・エルギノーサに加えて少なくとも1つの種のグラム陰性細菌の増殖を阻害すること又はその菌数を減少させることを更に含む、請求項1~40のいずれか一項に記載の溶解素-AMPポリペプチドコンストラクト、単離ポリペプチド、単離ポリヌクレオチド、組換えベクター、宿主細胞、医薬組成物又は方法。
【請求項42】
シュードモナス・エルギノーサに加えて、前記少なくとも1つの種のグラム陰性細菌が、クレブシエラ属種、エンテロバクター属種、大腸菌、シトロバクター・フロインディイ、サルモネラ・ティフィムリウム、エルシニア・ペスティス及び野兎病菌からなる群から選択される、請求項38に記載の溶解素-AMPポリペプチドコンストラクト、単離ポリペプチド、単離ポリヌクレオチド、組換えベクター、宿主細胞、医薬品組成物又は方法。
【請求項43】
前記溶解素-AMPポリペプチドコンストラクト又は前記単離ポリペプチドが、シュードモナス・エルギノーサを抗生物質に対して再感作する、請求項1~42のいずれか一項に記載の溶解素-AMPポリペプチドコンストラクト、単離ポリペプチド、単離ポリヌクレオチド、組換えベクター、宿主細胞、医薬組成物又は方法。
【請求項44】
前記抗生物質がカルバペネムである、請求項43に記載の溶解素-AMPポリペプチドコンストラクト、単離ポリペプチド、単離ポリヌクレオチド、組換えベクター、宿主細胞、医薬組成物又は方法。
【請求項45】
前記抗生物質がメロペネムである、請求項1~44のいずれか一項に記載の溶解素-AMPポリペプチドコンストラクト、単離ポリペプチド、単離ポリヌクレオチド、組換えベクター、宿主細胞、医薬組成物又は方法。
【請求項46】
前記グラム陰性細菌によって引き起こされる細菌感染が、肺サーファクタントが存在する器官又は組織の細菌感染である、請求項1~45のいずれか一項に記載の溶解素-AMPポリペプチドコンストラクト、単離ポリペプチド、単離ポリヌクレオチド、組換えベクター、宿主細胞、医薬組成物又は方法。
【請求項47】
グラム陰性細菌のバイオフィルムを予防、破壊又は根絶する方法であって、
表面を、バイオフィルム内のグラム陰性細菌を死滅させるのに有効な請求項1~8のいずれか一項に記載の溶解素-AMPポリペプチドコンストラクト、請求項9若しくは10に記載の単離ポリペプチド、又は請求項24~32のいずれか一項に記載の医薬組成物を含む組成物と接触させることを含み、前記バイオフィルムが効果的に予防、破壊又は根絶される、方法。
【請求項48】
グラム陰性細菌のバイオフィルムを予防、破壊又は根絶する方法であって、
バイオフィルム内のグラム陰性細菌を死滅させるのに有効な請求項1~8のいずれか一項に記載の溶解素-AMPポリペプチドコンストラクト、請求項9若しくは10に記載の単離ポリペプチド、又は請求項24~32のいずれか一項に記載の医薬組成物を含む組成物を、それを必要とする被験体に投与することを含み、表面の前記バイオフィルムが効果的に予防、破壊又は根絶される、方法。
【請求項49】
前記表面が医療用具の表面を含む、請求項47又は48に記載の方法。
【請求項50】
前記医療用具が、コンタクトレンズ、薬物ポンプ、インプラント、カテーテル又は補綴用具である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記組成物又は医薬組成物が1つ以上の抗生物質を更に含む、請求項47~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記表面を1つ以上の抗生物質と追加的に接触させる、請求項47~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記1つ以上の抗生物質がペニシリン、セファロスポリン、モノバクタム、フルオロキノロン、カルバペネム、アミノグリコシド、ポリミキシン、マクロライド又はホスホマイシンから選択される、請求項51又は52に記載の方法。
【請求項54】
前記表面が生物表面である、請求項47~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記表面が、骨髄炎、細菌性心内膜炎、扁桃炎、副鼻腔炎、角膜の感染、尿路感染、胆
道の感染、感染性腎臓結石、尿道炎、前立腺炎、中耳感染、歯垢の形成、歯肉炎、歯周炎、嚢胞性線維症、創傷感染及び医療用具の感染から選択されるグラム陰性細菌に感染している、請求項47~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
バイオフィルム形成が予防される、請求項47~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記バイオフィルムが破壊又は根絶される、請求項47~55のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2018年8月24日付で出願された米国仮特許出願第62/722,793号、2018年3月29日付で出願された米国仮特許出願第62/650,235号、2018年8月23日付で出願された米国仮特許出願第62/721,969号の優先権の利益を主張し、また2019年5月17日付で出願された米国仮特許出願第62/849,320号及び2019年6月13日付で出願された米国仮特許出願第62/860,836号の出願日に依拠する、2019年3月29日付で出願された国際出願PCT/US2019/024912号の利益を主張し、その出願日に依拠するものであり、各々、その開示全体が引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
[配列表]
本願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出された配列表を含み、その全体が引用することにより本明細書の一部をなす。2019年8月22日付けで作製された上記ASCIIコピーの名前は0341_0021-00-304_ST25.txtであり、249856バイトのサイズである。
【0003】
本開示は、抗菌剤の分野に関し、より具体的にはグラム陰性細菌に対して溶解素活性を有するポリペプチドと、グラム陰性細菌の死滅並びに細菌感染及び汚染への対処におけるこれらの作用物質の使用とに関する。
【背景技術】
【0004】
グラム陰性細菌、特にシュードモナス(Pseudomonas)属の成員及び新興多剤耐性病原
体であるアシネトバクター・バウマンニ(Acinetobacter baumannii)は、深刻な、生命
に関わる恐れのある侵襲的感染の重要な原因である。シュードモナス感染は、熱傷創、慢性創傷、慢性閉塞性肺障害(COPD)、嚢胞性線維症、脆弱な患者に対して多くの脅威を及ぼす移植生体材料上、並びに院内環境表面(hospital surface)及び給水設備内での表面増殖といった大きな問題となる。
【0005】
シュードモナス・エルギノーサ(P. aeruginosa)は、患者において定着した後、治療
が特に困難な場合がある。そのゲノムは、β-ラクタム抗生物質及びアミノグリコシド抗生物質への耐性を与える多剤排出ポンプ及び酵素を含む多くの耐性遺伝子をコードし、新規の抗微生物治療剤がないことから、このグラム陰性病原体に対する療法は、特に困難なものとなっている。この難点は、細菌を宿主防御及び化学療法から保護することによって感染を引き起こす細菌の能力を高める可能性があるバイオフィルム中で増殖するシュードモナス・エルギノーサの能力によって複雑になる。
【0006】
医療現場では、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)の薬物耐性株の発生率が増加している。地域病院における医療関連の血流感染(BSI:BloodStream Infection)の観察研究では、シュードモナス・エルギノーサが上位4つの多剤耐性(
MDR:Multiple Drug Resistant)病原体の1つであり、全院内死亡率は18%であっ
た。さらに、MDRシュードモナス・エルギノーサの大流行がよく記載されている。不良な転帰が、コリスチン等の最終手段の薬物による治療を必要とすることが多いシュードモナス・エルギノーサのMDR株(strains)と関連付けられている。
【0007】
さらに、或る特定の抗生物質の有効性の低下は、抗生物質耐性の発現よりもむしろ、肺
サーファクタント等の感染環境における因子に起因する感染症との闘いで観察される。例えば、ダプトマイシン等の或る特定の抗生物質は、重症の市中感染性肺炎の臨床試験において基準を満たすことができなかった。この欠陥は、具体的には肺環境における、より一般的には肺サーファクタントが存在する気道環境における、ダプトマイシンと、この抗生物質の活性を阻害する肺サーファクタントとの間の相互作用によるものであることが示されている(非特許文献1)。そのため、ダプトマイシンは、肺及びより一般的には気道(特に下気道)感染の治療に対して指示されておらず、当業者は、かかる感染を治療するためにダプトマイシンを含む治療計画を採用しないであろう。肺サーファクタントの存在下でダプトマイシンが感染と闘うことができないことは、例えば、非特許文献2に非常に明確に示されている。最近の研究は、構造的に関連するリポペプチドA54145のハイブリッド分子の抗菌活性を試験及び評価することにより、サーファクタントの存在下でダプトマイシン不活性を克服することに焦点を当てている(非特許文献3)。
【0008】
肺サーファクタントは、肺上皮被覆液の主要成分であって、気道の内表面を覆う複雑な脂質-タンパク質混合物であり、肺胞内の表面張力を低下させる。サーファクタントは、主にジパルミトイルホスファチジルコリン(全ての哺乳類種において約80%)の他に、相当量のホスファチジルグリセロール(PG)、並びに少量の少数のリン脂質、中性脂質及びコレステロールで構成されている。親水性タンパク質SP-A及びSP-D、並びに疎水性タンパク質SP-B及びSP-Cの4つのタンパク質成分が存在する(非特許文献4)。ダプトマイシンは、ホスファチジルコリン(PC)及びPC/PGで構成される人工膜小胞に挿入される(非特許文献5、非特許文献6)。
【0009】
したがって、肺又は他の気道、より一般的には呼吸器の感染の場合に感染部位である器官又は組織に存在する肺サーファクタント等の因子によって、そうでなければ有効な抗生物質が阻害されるという点で、かかる抗生物質の活性を回復させ、更には強める可能性がある治療計画は商業上及び公衆衛生上の利益となるであろう。
【0010】
上で検討したダプトマイシンに加えて、肺サーファクタントによって阻害されることが知られている他の抗生物質としては、限定されるものではないが、肺炎の一般的な原因であるグラム陰性細菌シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)によって引き起こされる感染を治療するために使用されるアミノグリコシドであるトブラマイシン(非特許文献7)、及びシュードモナス・エルギノーサを含むグラム陰性細菌に対して広く活性である環状リポペプチドであるコリスチン(ポリミキシン)が挙げられる(非特許文献8)。
【0011】
新規の機構を持つ新たな抗微生物剤の必要性に応えるため、研究者らが様々な薬物及び生物学的製剤を調査している。かかるクラスの抗微生物剤の1つに、溶解素が含まれる。溶解素は細胞壁ペプチドグリカンヒドロラーゼであり、「分子バサミ」として作用して細胞形状の維持及び内部浸透圧への抵抗に関与するペプチドグリカン網を分解する。ペプチドグリカンの分解は浸透圧溶解をもたらす。しかしながら、グラム陽性細菌に存在せず、下にあるペプチドグリカンへのアクセスを制限するグラム陰性細菌の外膜(OM)の存在のため、溶解素は、典型的には、少なくとも部分的にグラム陰性細菌に対しては有効ではなかった。修飾溶解素(「artilysin)」)も開発されている。ポリカチオン性、両親媒性及び疎水性の特性を有する特定のα-ヘリックスドメインに融合した溶解素を含有するこれらの作用物質は、OMを介して移行することができる。しかしながら、artilysinは、典型的には、in vivoで低い活性を示す。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Silverman, J.A. et al., "Surfactant Inhibition of Daptomycin," JID, 191: 2149-2152 (2005)
【非特許文献2】Koplowicz, Y.B. et al., "Development of daptomycin-susceptible methicillin-resistant Staphylococcus aureus Pneumonia during high-dose daptomycin therapy", Clin Infect Dis. 49(8):1286-7 (2009)
【非特許文献3】Nguyen, K.T. et al., "Genetically engineered lipopeptide antibiotics related to A54145 and daptomycin with improved properties", Antimicrob. Agents Chemother. 2010 Apr; 54(4):1404-1413
【非特許文献4】Goerke, J., "Pulmonary Surfactant: functions and molecular composition", Biochim. Biophys. Acta. 1998; 1408:79-89
【非特許文献5】Lakey J.H. et al., "Fluorescence indicates a calcium-dependent interaction between the lipopeptide antibiotic LY146032 and phospholipid membranes," Biochemistry 1988; 27:4639-45
【非特許文献6】Jung, D. et al., "Structural transitions as determinants of the action of the calcium-dependent antibiotic daptomycin", Chem. Biol. 2004; 11:949-57
【非特許文献7】van 't Veen, A. et al., "Influence of pulmonary surfactant on in vitro bactericidal activities of amoxicillin, ceftazidime, and tobramycin", Antimicrob. Agents Chemother.39:329-333 (1995)
【非特許文献8】Schwameis, R. et al., "Effect of Pulmonary surfactant on antimicrobial activity in vitro", Antimicrob. Agents Chemother. 57(10):5151-54 (2013)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
最近の出版物は、in vivoで様々なレベルの有効性を有するグラム陰性細菌に対して使用することができる新規の溶解素を記載しているが、侵襲的感染の治療のためにMDRシュードモナス・エルギノーサ及び他のグラム陰性細菌を標的とする、ヒト血液マトリックス又は肺サーファクタント中で活性を保持する更なる抗菌剤に対する医学的必要性が継続して存在する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本出願は、溶解素及び抗微生物ペプチド(AMP:AntiMicrobial Peptides)を含み、例えばグラム陰性細菌、特に、限定されるものではないが、シュードモナス・エルギノーサを含む、多剤耐性グラム陰性細菌によって引き起こされる感染を含む細菌感染を治療するため使用することができる新規のポリペプチドコンストラクトに関する。新たに同定された溶解素及びその変異体、並びに他の溶解素の変異体も提供される。本明細書に記載されるように、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクト、新たに得られた溶解素及び変異型溶解素を、例えば細菌感染を治療するために使用することができる医薬組成物に含むことができる。また、本明細書では、とりわけ、細菌感染を治療するため、抗生物質の有効性を高めるため、一般的には、シュードモナス・エルギノーサ等のグラム陰性細菌の増殖を阻害するか、その菌数を減少させるか、又はそれを死滅させるために、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクト、新たに同定された溶解素及び変異型溶解素を使用する方法を提供する。溶解素変異体ポリペプチド、並びにコンストラクト及び溶解素変異体をコードするポリヌクレオチドも提供される。或る特定の実施の形態では、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクト、新たに得られた溶解素及び変異型溶解素は、例えば肺炎(院内肺炎を含む)及び嚢胞性線維症等の肺サーファクタントが存在する器官又は組織における細菌感染を治療するために使用され得る。他の実施の形態では、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクト、新たに得られた溶解素及び変異型溶解素は、バイオフィルムと関連するグラム陰性細菌感染を治療するために使用され得る。
【0015】
一態様では、本開示は、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトであって、
(a)第1の成分であって、
(i)GN76(配列番号203)、GN4(配列番号74)、GN146(配列番号78)、GN14(配列番号124)、任意に単一のpI増加突然変異を有するGN37(配列番号84)、任意に単一の点突然変異を有するGN316(配列番号22)、溶解素Pap2_gp17(配列番号96)、GN329(配列番号26)、GN424(配列番号56)、GN202(配列番号118)、GN425(配列番号58)、GN428(配列番号60)、GN431(配列番号64)、GN486(配列番号66)、GN333(配列番号28)、GN485(配列番号68)、GN123(配列番号173)及びGN121(配列番号175)からなる群から選択される溶解素、又は、
(ii)溶解素活性を有し、配列番号203、配列番号74、配列番号78、配列番号124、配列番号84、配列番号22、配列番号96、配列番号26、配列番号56、配列番号118、配列番号58、配列番号60、配列番号64、配列番号66、配列番号28、配列番号68、配列番号173若しくは配列番号175の少なくとも1つのポリペプチド配列と少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチド、又は、
(iii)前記溶解素の活性フラグメント、
のポリペプチド配列を含む、第1の成分と、
(b)第2の成分であって、
(i)Chp1(配列番号133)、Chp2(配列番号70)、CPAR39(配列番号135)、Chp3(配列番号137)、Chp4(配列番号102)、Chp6(配列番号106)、Chp7(配列番号139)、Chp8(配列番号141)、Chp9(配列番号143)、Chp10(配列番号145)、Chp11(配列番号147)、Chp12(配列番号149)、Gkh1(配列番号151)、Gkh2(配列番号90)、Unp1(配列番号153)、Ecp1(配列番号155)、Ecp2(配列番号104)、Tma1(配列番号157)、Osp1(配列番号108)、Unp2(配列番号159)、Unp3(配列番号161)、Gkh3(配列番号163)、Unp5(配列番号165)、Unp6(配列番号167)、Spi1(配列番号169)、Spi2(配列番号171)、Ecp3(配列番号177)、Ecp4(配列番号179)、ALCES1(配列番号181)、AVQ206(配列番号183)、AVQ244(配列番号185)、CDL907(配列番号187)、AGT915(配列番号189)、HH3930(配列番号191)、Fen7875(配列番号193)、SBR77(配列番号195)、Bdp1(配列番号197)、LVP1(配列番号199)、Lvp2(配列番号201)、エスクレンチン(esculentin)フラグメント(配列番号80)、RI12(配列番号88)、TI15(配列番号94)、RI18(配列番号92)、FIRL(配列番号114)、LPS結合タンパク質のフラグメント(配列番号76)、RR12whydro(配列番号110)、RI18ペプチド誘導体(配列番号131)及びカチオン性ペプチド(配列番号120)からなる群から選択される少なくとも1つの抗微生物ペプチド(AMP)、又は、
(ii)AMP活性を有し、配列番号133、配列番号70、配列番号135、配列番号137、配列番号102、配列番号106、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号90、配列番号153、配列番号155、配列番号104、配列番号157、配列番号108、配列番号159、配列番号161、配列番号163、配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171、配列番号177、配列番号179、配列番号181、配列番号183、配列番号185、配列番号187、配列番号189、配列番号191、配列番号193、配列番号195、配列番号197、配列番号199、配列番号201、配列番号80、配列番号88、配列番号94、配列番号92、配列番号114、配列番号76、配列番号110、配列番号131及び配列番号120の少なくとも1つに少なくとも80%同一であるポリペプチド、
のポリペプチド配列を含む、第2の成分と、
を含み、
前記溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトが、ヒト血清の不在下及び/又は存在下で、又は肺サーファクタントの存在下で、シュードモナス・エルギノーサの細菌増殖を阻害すること、シュードモナス・エルギノーサの菌数を減少させること、及び/又はシュードモナス・エルギノーサを死滅させることから選択される少なくとも1つの活性を備える、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトに関する。
【0016】
別の態様では、本開示は、GN121(配列番号175)、GN217溶解素(配列番号8)、GN394溶解素(配列番号48)、GN396溶解素(配列番号50)、GN408溶解素(配列番号52)、GN418溶解素(配列番号54)、GN428(配列番号60)及びGN486(配列番号66)からなる群から選択される溶解素又はその活性フラグメントを含む単離ポリペプチドであって、前記溶解素又はその活性フラグメントが、ヒト血清の不在下及び/又は存在下で、又は肺サーファクタントの存在下で、シュードモナス・エルギノーサの細菌増殖を阻害する、シュードモナス・エルギノーサの菌数を減少させる、及び/又はシュードモナス・エルギノーサを死滅させる、単離ポリペプチドに関する。
【0017】
本開示は、溶解素-抗微生物ペプチド(AMP)ポリペプチドコンストラクトをコードする核酸分子を含む単離ポリヌクレオチドであって、該核酸分子が、
(a)第1の核酸分子であって、
(i)GN76(配列番号203)、GN4(配列番号74)、GN146(配列番号78)、GN14(配列番号124)、任意に単一のpI増加突然変異を有するGN37(配列番号84)、任意に単一の点突然変異を有するGN316(配列番号22)、溶解素Pap2_gp17(配列番号96)、GN329(配列番号26)、GN424(配列番号56)、GN202(配列番号118)、GN425(配列番号58)、GN428(配列番号60)、GN431(配列番号64)、GN486(配列番号66)、GN333(配列番号28)、GN485(配列番号68)、GN123(配列番号173)及びGN121(配列番号175)からなる群から選択される溶解素、又は、
(ii)溶解素活性を有し、配列番号203、配列番号74、配列番号78、配列番号124、配列番号84、配列番号22、配列番号96、配列番号26、配列番号56、配列番号118、配列番号58、配列番号60、配列番号64、配列番号66、配列番号28、配列番号68、配列番号173若しくは配列番号175の少なくとも1つに少なくとも80%同一であるポリペプチド、又は、
(iii)前記溶解素の活性フラグメント、
を含む第1の成分をコードする、第1の核酸分子と、
(b)第2の核酸分子であって、
(i)Chp1(配列番号133)、Chp2(配列番号70)、CPAR39(配列番号135)、Chp3(配列番号137)、Chp4(配列番号102)、Chp6(配列番号106)、Chp7(配列番号139)、Chp8(配列番号141)、Chp9(配列番号143)、Chp10(配列番号145)、Chp11(配列番号147)、Chp12(配列番号149)、Gkh1(配列番号151)、Gkh2(配列番号90)、Unp1(配列番号153)、Ecp1(配列番号155)、Ecp2(配列番号104)、Tma1(配列番号157)、Osp1(配列番号108)、Unp2(配列番号159)、Unp3(配列番号161)、Gkh3(配列番号163)、Unp5(配列番号165)、Unp6(配列番号167)、Spi1(配列番号169)、Spi2(配列番号171)、Ecp3(配列番号177)、Ecp4(配列番号179)、ALCES1(配列番号181)、AVQ206(配列番号183)、AVQ244(配列番号185)、CDL907(配列番号187)、AGT915(配列番号189)、HH3930(配列番号191)、Fen7875(配列番号193)、SBR77(配列番号195)、Bdp1(配列番号197)、LVP1(配列番号199)、Lvp2
(配列番号201)、エスクレンチンフラグメント(配列番号80)、RI12(配列番号88)、TI15(配列番号94)、RI18(配列番号92)、FIRL(配列番号114)、LPS結合タンパク質のフラグメント(配列番号76)、RR12whydro(配列番号110)、RI18ペプチド誘導体(配列番号131)及びカチオン性ペプチド(配列番号120)からなる群から選択される少なくとも1つの抗微生物ペプチド(AMP)、又は、
(ii)AMP活性を有し、配列番号133、配列番号70、配列番号135、配列番号137、配列番号102、配列番号106、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号90、配列番号153、配列番号155、配列番号104、配列番号157、配列番号108、配列番号159、配列番号161、配列番号163、配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171、配列番号177、配列番号179、配列番号181、配列番号183、配列番号185、配列番号187、配列番号189、配列番号191、配列番号193、配列番号195、配列番号197、配列番号199、配列番号201、配列番号80、配列番号88、配列番号94、配列番号92、配列番号114、配列番号76、配列番号110、配列番号131及び配列番号120の少なくとも1つに少なくとも80%同一であるポリペプチド、
を含む第2の成分をコードする、第2の核酸分子と、
を含み、
前記溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトが、ヒト血清の不在下及び/又は存在下で、又は肺サーファクタントの存在下で、シュードモナス・エルギノーサの細菌増殖を阻害すること、シュードモナス・エルギノーサの菌数を減少させること、及び/又はシュードモナス・エルギノーサを死滅させることから選択される少なくとも1つの活性を備える、単離ポリヌクレオチドにも関する。
【0018】
更に別の態様では、本開示は、単離ポリヌクレオチド配列であって、GN121(配列番号175)、GN217溶解素(配列番号8)、GN394溶解素(配列番号48)、GN396溶解素(配列番号50)、GN408溶解素(配列番号52)、GN418溶解素(配列番号54)、GN428(配列番号60)及びGN486(配列番号66)からなる群から選択される溶解素又はその活性フラグメントをコードする核酸分子を含み、該溶解素又はその活性フラグメントが、ヒト血清の不在下及び/又は存在下で、又は肺サーファクタントの存在下で、シュードモナス・エルギノーサの細菌増殖を阻害する、シュードモナス・エルギノーサの菌数を減少させる、及び/又はシュードモナス・エルギノーサを死滅させる、単離ポリヌクレオチド配列に関する。
【0019】
一態様では、本開示は、単離溶解素及び/又は溶解素-抗微生物ペプチド(AMP)ポリペプチドコンストラクトと、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物であって、
前記単離溶解素が、
(i)GN121(配列番号175)、GN123(配列番号173)、GN217(配列番号8)、GN316変異体(配列番号24)、GN316(配列番号22)、GN329(配列番号26)、GN333(配列番号28)、GN394(配列番号48)、GN396(配列番号50)、GN408(配列番号52)、GN418(配列番号54)、GN424(配列番号56)、GN425(配列番号58)、GN428(配列番号60)、GN431(配列番号64)、GN486(配列番号66)、GN485(配列番号68)、溶解素PaP2_gp17(配列番号96)、
(ii)その活性フラグメント、又は、
(iii)溶解素活性を有し、配列番号175、配列番号173、配列番号8、配列番号24、配列番号22、配列番号26、配列番号28、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号64、配列番号66、配列番号68若しくは配列番号96の少なくとも1つのポリペプチド配
列と少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチド、
の少なくとも1つを含み、
前記溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトが、
(a)第1の成分であって、
(i)GN76(配列番号203)、GN4(配列番号74)、GN146(配列番号78)、GN14(配列番号124)、任意に単一のpI増加突然変異を有するGN37(配列番号84)、任意に単一の点突然変異を有するGN316(配列番号22)、溶解素Pap2_gp17(配列番号96)、GN329(配列番号26)、GN424(配列番号56)、GN202(配列番号118)、GN425(配列番号58)、GN428(配列番号60)、GN431(配列番号64)、GN486(配列番号66)、GN333(配列番号28)、GN485(配列番号68)、GN123(配列番号173)及びGN121(配列番号175)からなる群から選択される溶解素、又は、
(ii)溶解素活性を有し、配列番号203、配列番号74、配列番号78、配列番号124、配列番号84、配列番号22、配列番号96、配列番号26、配列番号56、配列番号118、配列番号58、配列番号60、配列番号64、配列番号66、配列番号28、配列番号68、配列番号173若しくは配列番号175の少なくとも1つのポリペプチド配列と少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチド、又は、
(iii)前記溶解素の活性フラグメント、
のポリペプチド配列を含む、第1の成分と、
(b)第2の成分であって、
(i)Chp1(配列番号133)、Chp2(配列番号70)、CPAR39(配列番号135)、Chp3(配列番号137)、Chp4(配列番号102)、Chp6(配列番号106)、Chp7(配列番号139)、Chp8(配列番号141)、Chp9(配列番号143)、Chp10(配列番号145)、Chp11(配列番号147)、Chp12(配列番号149)、Gkh1(配列番号151)、Gkh2(配列番号90)、Unp1(配列番号153)、Ecp1(配列番号155)、Ecp2(配列番号104)、Tma1(配列番号157)、Osp1(配列番号108)、Unp2(配列番号159)、Unp3(配列番号161)、Gkh3(配列番号163)、Unp5(配列番号165)、Unp6(配列番号167)、Spi1(配列番号169)、Spi2(配列番号171)、Ecp3(配列番号177)、Ecp4(配列番号179)、ALCES1(配列番号181)、AVQ206(配列番号183)、AVQ244(配列番号185)、CDL907(配列番号187)、AGT915(配列番号189)、HH3930(配列番号191)、Fen7875(配列番号193)、SBR77(配列番号195)、Bdp1(配列番号197)、LVP1(配列番号199)、Lvp2(配列番号201)、エスクレンチンフラグメント(配列番号80)、RI12(配列番号88)、TI15(配列番号94)、RI18(配列番号92)、FIRL(配列番号114)、LPS結合タンパク質のフラグメント(配列番号76)、RR12whydro(配列番号110)、RI18ペプチド誘導体(配列番号131)及びカチオン性ペプチド(配列番号120)からなる群から選択される少なくとも1つの抗微生物ペプチド(AMP)、又は(ii)AMP活性を有し、配列番号133、配列番号70、配列番号135、配列番号137、配列番号102、配列番号106、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号90、配列番号153、配列番号155、配列番号104、配列番号157、配列番号108、配列番号159、配列番号161、配列番号163、配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171、配列番号177、配列番号179、配列番号181、配列番号183、配列番号185、配列番号187、配列番号189、配列番号191、配列番号193、配列番号195、配列番号197、配列番号199、配列番号201、配列番号80、配列番号88、配列番号94、配列番号92、配列番号114、配列番号76、配列番号110、配列番号131及び配列番号120の少なくとも1つに少なくとも80%同一であるポリペプチド、
のポリペプチド配列を含む、第2の成分と、
を含み、
前記医薬組成物が、ヒト血清の不在下及び/又は存在下で、又は肺サーファクタントの存在下で、シュードモナス・エルギノーサの細菌増殖を阻害すること、シュードモナス・エルギノーサの菌数を減少させること、及び/又はシュードモナス・エルギノーサを死滅させることから選択される少なくとも1つの活性を備える、医薬組成物に関する。
【0020】
別の態様では、本開示は、グラム陰性細菌によって引き起こされる細菌感染を治療する方法であって、該グラム陰性細菌がシュードモナス・エルギノーサ及び任意に1つ以上の付加的な種のグラム陰性細菌を含み、
該方法は、細菌感染と診断された、そのリスクがある又はその症状を示す被験体に、本明細書に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法に関する。或る特定の実施の形態では、細菌感染は、肺又は気道等の肺サーファクタントが存在する器官又は組織における感染である。
【0021】
更に別の態様では、本開示は、細菌感染を予防又は治療する方法であって、
細菌感染と診断された、そのリスクがある又はその症状を示す被験体に、第1の有効量の本明細書に記載の医薬組成物と、第2の有効量のグラム陰性細菌感染の治療に適した抗生物質との組合せを同時投与することを含む、方法に関する。
【0022】
一態様では、本開示は、グラム陰性細菌感染の治療に適した抗生物質の有効性を高める方法であって、
前記抗生物質を、有効量の単離溶解素及び/又は溶解素-抗微生物ペプチド(AMP)ポリペプチドコンストラクトを含有する組成物と組み合わせて同時投与することを含み、
前記単離溶解素が、
(i)GN121(配列番号175)、GN123(配列番号173)、GN217(配列番号8)、GN316変異体(配列配列24)、GN316(配列番号22)、GN329(配列番号26)、GN333(配列番号28)、GN394(配列番号48)、GN396(配列番号50)、GN408(配列番号52)、GN418(配列番号54)、GN424(配列番号56)、GN425(配列番号58)、GN428(配列番号60)、GN431(配列番号64)、GN486(配列番号66)、GN485(配列番号68)、溶解素PaP2_gp17(配列番号96)、又は、
(ii)その活性フラグメント、又は、
(iii)溶解素活性を有し、配列番号175、配列番号173、配列番号8、配列番号24、配列番号22、配列番号26、配列番号28、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号64、配列番号66、配列番号68若しくは配列番号96の少なくとも1つのポリペプチド配列と少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチド、
の少なくとも1つを含み、
前記溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトが、
(a)第1の成分であって、
(i)GN76(配列番号203)、GN4(配列番号74)、GN146(配列番号78)、GN14(配列番号124)、任意に単一のpI増加突然変異を有するGN37(配列番号84)、任意に単一の点突然変異を有するGN316(配列番号22)、溶解素Pap2_gp17(配列番号96)、GN329(配列番号26)、GN424(配列番号56)、GN202(配列番号118)、GN425(配列番号58)、GN428(配列番号60)、GN431(配列番号64)、GN486(配列番号66)、GN333(配列番号28)、GN485(配列番号68)、GN123(配列番号173)及びGN121(配列番号175)からなる群から選択される溶解素、又は、
(ii)溶解素活性を有し、配列番号203、配列番号74、配列番号78、配列番
号124、配列番号84、配列番号22、配列番号26、配列番号56、配列番号118、配列番号58、配列番号60、配列番号64、配列番号66、配列番号28、配列番号68、配列番号173若しくは配列番号175の少なくとも1つのポリペプチド配列と少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチド、又は、
(iii)前記溶解素の活性フラグメント、
のポリペプチド配列を含む、第1の成分と、
(b)第2の成分であって、
(i)Chp1(配列番号133)、Chp2(配列番号70)、CPAR39(配列番号135)、Chp3(配列番号137)、Chp4(配列番号102)、Chp6(配列番号106)、Chp7(配列番号139)、Chp8(配列番号141)、Chp9(配列番号143)、Chp10(配列番号145)、Chp11(配列番号147)、Chp12(配列番号149)、Gkh1(配列番号151)、Gkh2(配列番号90)、Unp1(配列番号153)、Ecp1(配列番号155)、Ecp2(配列番号104)、Tma1(配列番号157)、Osp1(配列番号108)、Unp2(配列番号159)、Unp3(配列番号161)、Gkh3(配列番号163)、Unp5(配列番号165)、Unp6(配列番号167)、Spi1(配列番号169)、Spi2(配列番号171)、Ecp3(配列番号177)、Ecp4(配列番号179)、ALCES1(配列番号181)、AVQ206(配列番号183)、AVQ244(配列番号185)、CDL907(配列番号187)、AGT915(配列番号189)、HH3930(配列番号191)、Fen7875(配列番号193)、SBR77(配列番号195)、Bdp1(配列番号197)、LVP1(配列番号199)、Lvp2(配列番号201)、エスクレンチンフラグメント(配列番号80)、RI12(配列番号88)、TI15(配列番号94)、RI18(配列番号92)、FIRL(配列番号114)、LPS結合タンパク質のフラグメント(配列番号76)、RR12whydro(配列番号110)、RI18ペプチド誘導体(配列番号131)及びカチオン性ペプチド(配列番号120)からなる群から選択される少なくとも1つの抗微生物ペプチド(AMP)、又は、
(ii)AMP活性を有し、配列番号133、配列番号70、配列番号135、配列番号137、配列番号102、配列番号106、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号90、配列番号153、配列番号155、配列番号104、配列番号157、配列番号108、配列番号159、配列番号161、配列番号163、配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171、配列番号177、配列番号179、配列番号181、配列番号183、配列番号185、配列番号187、配列番号189、配列番号191、配列番号193、配列番号195、配列番号197、配列番号199、配列番号201、配列番号80、配列番号88、配列番号94、配列番号92、配列番号114、配列番号76、配列番号110、配列番号131及び配列番号120の少なくとも1つに少なくとも80%同一であるポリペプチド、
のポリペプチド配列を含む、第2の成分と、
を含み、
前記組成物が、ヒト血清の不在下及び/又は存在下で、又は肺サーファクタントの存在下で、シュードモナス・エルギノーサの細菌増殖を阻害すること、シュードモナス・エルギノーサの菌数を減少させること、及び/又はシュードモナス・エルギノーサを死滅させることから選択される少なくとも1つの活性を備え、
前記組合せの投与が、前記抗生物質、又は前記溶解素若しくは溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトのいずれかを個別に投与するよりも、ヒト血清の存在下若しくは不在下で、又はヒト血清の有無にかかわらず、又は肺サーファクタントの存在下で、グラム陰性細菌の増殖を阻害するか、又はその菌数を減少させるか、又はそれを死滅させる上でより効果的である、方法に関する。
【0023】
別の態様では、本開示は、少なくとも1つの種のグラム陰性細菌の増殖を阻害するか、又はその菌数を減少させるか、又はそれを死滅させる方法であって、前記少なくとも1つの種のグラム陰性細菌がシュードモナス・エルギノーサ及び任意に1つ以上の付加的な種のグラム陰性細菌であり、
該方法が、前記細菌と、有効量の単離溶解素及び/又は溶解素-抗微生物ペプチド(AMP)ポリペプチドコンストラクトを含有する組成物とを接触させることを含み、
前記単離溶解素が、
(i)GN121(配列番号175)、GN123(配列番号173)、GN217(配列番号8)、GN316変異体(配列番号24)、GN316(配列番号22)、GN329(配列番号26)、GN333(配列番号28)、GN394(配列番号48)、GN396(配列番号50)、GN408(配列番号52)、GN418(配列番号54)、GN424(配列番号56)、GN425(配列番号58)、GN428(配列番号60)、GN431(配列番号64)、GN486(配列番号66)、GN485(配列番号68)、溶解素PaP2_gp17(配列番号96)、又は、
(ii)その活性フラグメント、又は、
(iii)溶解素活性を有し、配列番号175、配列番号173、配列番号8、配列番号24、配列番号22、配列番号26、配列番号28、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号64、配列番号66、配列番号68若しくは配列番号96の少なくとも1つのポリペプチド配列と少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチド、
の少なくとも1つを含み、
前記溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトが、
(a)第1の成分であって、
(i)GN76(配列番号203)、GN4(配列番号74)、GN146(配列番号78)、GN14(配列番号124)、任意に単一のpI増加突然変異を有するGN37(配列番号84)、任意に単一の点突然変異を有するGN316(配列番号22)、溶解素Pap2_gp17(配列番号96)、GN329(配列番号26)、GN424(配列番号56)、GN202(配列番号118)、GN425(配列番号58)、GN428(配列番号60)、GN431(配列番号64)、GN486(配列番号66)、GN333(配列番号28)、GN485(配列番号68)、GN123(配列番号173)及びGN121(配列番号175)からなる群から選択される溶解素、又は、
(ii)溶解素活性を有し、配列番号203、配列番号74、配列番号78、配列番号124、配列番号84、配列番号22、配列番号96、配列番号26、配列番号56、配列番号118、配列番号58、配列番号60、配列番号64、配列番号66、配列番号28、配列番号68、配列番号173若しくは配列番号175の少なくとも1つのポリペプチド配列と少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチド、又は、
(iii)前記溶解素の活性フラグメント、
のポリペプチド配列を含む、第1の成分と、
(b)第2の成分であって、
(i)Chp1(配列番号133)、Chp2(配列番号70)、CPAR39(配列番号135)、Chp3(配列番号137)、Chp4(配列番号102)、Chp6(配列番号106)、Chp7(配列番号139)、Chp8(配列番号141)、Chp9(配列番号143)、Chp10(配列番号145)、Chp11(配列番号147)、Chp12(配列番号149)、Gkh1(配列番号151)、Gkh2(配列番号90)、Unp1(配列番号153)、Ecp1(配列番号155)、Ecp2(配列番号104)、Tma1(配列番号157)、Osp1(配列番号108)、Unp2(配列番号159)、Unp3(配列番号161)、Gkh3(配列番号163)、Unp5(配列番号165)、Unp6(配列番号167)、Spi1(配列番号169)、Spi2(配列番号171)、Ecp3(配列番号177)、Ecp4(配列番号179)、ALCES1(配列番号181)、AVQ206(配列番号183)、AVQ244(配
列番号185)、CDL907(配列番号187)、AGT915(配列番号189)、HH3930(配列番号191)、Fen7875(配列番号193)、SBR77(配列番号195)、Bdp1(配列番号197)、LVP1(配列番号199)、Lvp2(配列番号201)、エスクレンチンフラグメント(配列番号80)、RI12(配列番号88)、TI15(配列番号94)、RI18(配列番号92)、FIRL(配列番号114)、LPS結合タンパク質のフラグメント(配列番号76)、RR12whydro(配列番号110)、RI18ペプチド誘導体(配列番号131)及びカチオン性ペプチド(配列番号120)からなる群から選択される少なくとも1つの抗微生物ペプチド(AMP)、又は、
(ii)AMP活性を有し、配列番号133、配列番号70、配列番号135、配列番号137、配列番号102、配列番号106、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号90、配列番号153、配列番号155、配列番号104、配列番号157、配列番号108、配列番号159、配列番号161、配列番号163、配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171、配列番号177、配列番号179、配列番号181、配列番号183、配列番号185、配列番号187、配列番号189、配列番号191、配列番号193、配列番号195、配列番号197、配列番号199、配列番号201、配列番号80、配列番号88、配列番号94、配列番号92、配列番号114、配列番号76、配列番号110、配列番号131及び配列番号120の少なくとも1つに少なくとも80%同一であるポリペプチド、
のポリペプチド配列を含む、第2の成分と、
を含み、
前記組成物が、ヒト血清の不在下及び/又は存在下で、又は肺サーファクタントの存在下で、シュードモナス・エルギノーサの細菌増殖を阻害すること、シュードモナス・エルギノーサの菌数を減少させること、及び/又はシュードモナス・エルギノーサを死滅させることから選択される少なくとも1つの活性を備える、方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】クラミジアファージペプチド(Chp:Chlamydia Phage Peptide)ファミリーの成員であるChp1、Chp2、Chp4、Chp5、Chp6、Chp7、Ecp1、Ecp2及びOsp1の構造についてI-Tasserによって推定される3次元モデルを示す図である。比較のため、ヒト自然免疫エフェクターペプチドLL-37を含める。αヘリックス構造は明らかであり、一般に最上部末端はN末端である。
図2A】実施例6に記載される、N-フェニル-1-ナフチルアミン(NPN)及びバッファー、GN121、又はGN351の存在下におけるシュードモナス・エルギノーサに対する経時的なパーセント相対蛍光単位(RFU)を示すグラフである。
図2B】実施例6に記載される、NPN及びバッファー、GN428、又はGN370の存在下におけるシュードモナス・エルギノーサに対する経時的なパーセントRFUを示すグラフである。
図3】100%ヒト血清中においてGN121(10μg/mL)又はバッファー対照(「未処理」)で15分間処理されたシュードモナス・エルギノーサ株1292の顕微鏡分析(倍率2000倍)を示す一連の顕微鏡写真である。サンプルを、Live/Dead Cell Viability Kit(ThermoFisher)を用いて染色し、微分干渉観察(DIC)と蛍光顕微鏡観察との両方で調べた。顕微鏡写真は、実施例7に記載されるとおり、未処理の列に死菌がないこと、及び処理された列の生菌の減少を示す。
図4A-4E】実施例9に記載されるとおり、21日間の連続継代にわたるシュードモナス・エルギノーサ(株WC-452)の最小阻止濃度(MIC)を達成するために必要なGN溶解素及びシプロフロキサシンの倍変化を示す図である(GN121(図4A)、GN351(図4B)、GN370(図4C)、GN428(図4D)及びシプロフロキサシン(図4E))。
【発明を実施するための形態】
【0025】
定義
本明細書で使用される場合、以下の用語及びその同語源語は、文脈上そうでないことが明示されない限り、下記の意味を有するものとする。
【0026】
「担体」は、活性化合物と共に投与される溶媒、添加剤、賦形剤、分散媒、可溶化剤、コーティング剤、保存料、等張剤及び吸収遅延剤(absorption delaying agent)、界面
活性剤、噴射剤、希釈剤、ビヒクル等を指す。かかる担体は、滅菌液、例えば水、生理食塩水、デキストロース水溶液、グリセロール水溶液、及び石油、動物、植物又は合成起源のものを含む油、例えばラッカセイ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油等であり得る。
【0027】
「薬学的に許容可能な担体」は、生理学的に適合するあらゆる溶媒、添加剤、賦形剤、分散媒、可溶化剤、コーティング剤、保存料、等張剤及び吸収遅延剤、界面活性剤、噴射剤、希釈剤、ビヒクル等を指す。担体(複数の場合もある)は、薬剤中で通常使用される量で治療対象の被験体に有害でないという意味で「許容可能」でなくてはならない。薬学的に許容可能な担体は、組成物をその意図される目的に不適なものにすることなく組成物の他の成分に適合する。さらに、薬学的に許容可能な担体は、過度の有害な副作用(毒性、刺激及びアレルギー応答等)なしに本明細書に提示される被験体への使用に適している。副作用は、それらのリスクが組成物によってもたらされる利益を上回る場合に「過度」である。薬学的に許容可能な担体又は賦形剤の非限定的な例としては、任意の標準的な医薬担体、例えばリン酸緩衝生理食塩水、水、並びに油/水エマルション及びマイクロエマルション等のエマルションが挙げられる。好適な医薬担体は、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences by E.W. Martin, 18th Editionに記載されている。薬学的に許容可能な担体は、自然に存在しない担体であってもよい。
【0028】
「殺菌」又は「殺菌活性」は、細菌の初期集団において18時間~24時間にわたって少なくとも3log10(99.9%)以上の減少の程度まで細菌の死滅を引き起こす特性を有するか、又は細菌を死滅させることが可能であることを指す。
【0029】
「静菌」又は「静菌活性」は、細菌細胞の増殖を阻害し、それにより細菌の初期集団において18時間~24時間にわたって2log10(99%)以上かつ最大3log弱の減少を引き起こすことを含む、細菌増殖を阻害する特性を有することを指す。
【0030】
「抗菌剤」は、静菌剤及び殺菌剤の両方を指す。
【0031】
「抗生物質」は、細菌に致死性又は増殖の低減等の負の影響を与える特性を有する化合物を指す。抗生物質は、グラム陽性細菌、グラム陰性細菌又はその両方に負の影響を与えることができる。例としては、抗生物質は、細胞壁ペプチドグリカンの生合成、細胞膜の完全性、又は細菌におけるDNA若しくはタンパク質の合成に影響を及ぼし得る。グラム陰性細菌に対して活性な抗生物質の非限定的な例としては、セフトリアキソン-セフォタキシム、セフタジジム、セフェピム、セフォペラゾン及びセフトビプロール等のセファロスポリン;シプロフロキサシン及びレボフロキサシン等のフルオロキノロン;ゲンタマイシン、トブラマイシン及びアミカシン等のアミノグリコシド;ピペラシリン、チカルシリン、イミペネム、メロペネム、ドリペネム、βラクタマーゼ阻害剤と併用する又は併用しない広域スペクトルペニシリン、リファンピシン、ポリミキシンB及びコリスチンが挙げられる。
【0032】
「薬物耐性」は、概して薬物の抗菌活性に耐性を示す細菌を指す。或る特定の方法で使用される場合、薬物耐性は、特に抗生物質耐性を指し得る。場合によっては、一般に特定
の抗生物質の影響を受けやすい細菌は、抗生物質に対する耐性を発現し、それにより薬物耐性微生物又は株となる可能性がある。「多剤耐性」(「MDR」)病原体は、各々が単剤療法として使用される少なくとも2つのクラスの抗微生物薬に対する耐性を発現した病原体である。例えば、スタフィロコッカス・アウレウス(S. aureus)の或る特定の株は
、メチシリン及び/又はバンコマイシンを含む幾つかの抗生物質に耐性を示すことが見出されている(Antibiotic Resistant Threats in the United States, 2013, U.S. Department of Health and Services, Centers for Disease Control and Prevention)。当業
者は、薬物又は抗生物質に対する細菌の感受性又は耐性を決定する日常的な実験技術を用いて、細菌が薬物耐性であるかを容易に決定することができる。
【0033】
「有効量」は、適切な頻度又は投与計画で適用又は投与した場合に、細菌増殖若しくは細菌負荷を予防、低減、阻害若しくは解消するか、又は治療される障害(例えば、グラム陰性細菌病原体の増殖又は感染)の発症、重症度、期間若しくは進行を予防、低減若しくは改善するか、治療される障害の進展を予防するか、治療される障害の退行を引き起こすか、又は抗生物質若しくは静菌療法等の別の療法の予防効果若しくは治療効果(複数の場合もある)を高める若しくは改善するのに十分な量を指す。
【0034】
「同時投与する」は、順次的な2種類の薬剤、例えば溶解素又は溶解素-AMPポリペプチド及び抗生物質又は任意の他の抗菌剤の別々の投与、並びに実質的に同時の、例えば単一の混合物/組成物中での、又は別個に与えられるが、それでも実質的に同時に、例えば同日又は24時間中に異なる時点で被験体に投与される用量でのこれらの作用物質の投与を指す。2種類の薬剤、例えば溶解素又は溶解素-AMPポリペプチドと1つ以上の付加的な抗菌剤とのこのような同時投与は、最大数日、数週間又は数ヶ月続く継続的な治療として行うことができる。さらに、用途に応じて、同時投与は、継続的又は同延的(coextensive)である必要はない。例えば、用途が局所抗菌剤として、例えば細菌性潰瘍又は
感染した糖尿病性潰瘍を治療することがであった場合、溶解素又は溶解素-AMPポリペプチドを初めのみ、追加の抗生物質の使用の24時間以内に投与することができ、その後、追加の抗生物質の使用を溶解素又は溶解素-AMPポリペプチドの更なる投与なしに継続してもよい。
【0035】
「被験体」は、哺乳動物、植物、下等動物、単細胞生物又は細胞培養物を指す。例えば、「被験体」という用語は、細菌感染、例えばグラム陽性細菌又はグラム陰性細菌感染の影響を受けやすい又はそれを患う生物、例えば原核生物及び真核生物を含むことを意図する。被験体の例としては、哺乳動物、例えばヒト、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、マウス、ウサギ、ラット及びトランスジェニック非ヒト動物が挙げられる。或る特定の実施形態では、被験体はヒト、例えばかかる感染が全身性であるか、局所性であるか、又は別の形で特定の器官若しくは組織に集中若しくは限局しているかに関わらず、グラム陰性細菌による感染を患う、それを患うリスクがある又はその影響を受けやすいヒトである。
【0036】
「ポリペプチド」は、本明細書で「ペプチド」又は「タンパク質」という用語と区別なく使用され、アミノ酸残基からなり、概して少なくとも約30個のアミノ酸残基を有するポリマーを指す。この用語は、単離形態のポリペプチドだけでなく、その活性フラグメント及び誘導体も含む。「ポリペプチド」という用語は、本明細書に記載の溶解素又はAMPを含み、例えば溶解機能を維持する融合タンパク質又は融合ポリペプチドも包含する。文脈に応じて、ポリペプチドは、自然発生ポリペプチド、又は組換え、改変若しくは合成的に作製されたポリペプチドであり得る。特定の溶解素ポリペプチドは、例えば酵素的若しくは化学的切断によって天然タンパク質から得るか若しくは取り出しても、又は従来のペプチド合成法(例えば、固相合成)若しくは分子生物学的手法(例えば、Sambrook, J.
et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, Cold
Spring Harbor, N.Y. (1989)に開示されるもの)を用いて調製しても、又は戦略的に切断若しくはセグメント化して、例えば、同じ若しくは少なくとも1つの一般的な標的細菌に対する溶菌活性を維持する活性フラグメントを得てもよい。
【0037】
「融合ポリペプチド」は、通例、異なる特性又は機能性を有する2つ以上のドメイン又はセグメントを有する融合発現産物を生じる、2つ以上の核酸セグメントの融合から得られる発現産物を指す。より特定の意味では、「融合ポリペプチド」という用語は、直接、又はアミノ酸若しくはペプチドリンカーを介して共有結合的に連結した2つ以上の異種ポリペプチド又はペプチドを含むポリペプチド又はペプチドも指す場合がある。融合ポリペプチドを形成するポリペプチドは通例、C末端からN末端に連結されるが、C末端からC末端、N末端からN末端又はN末端からC末端に連結されてもよい。「融合ポリペプチド」という用語は、「融合タンパク質」という用語と区別なく使用される場合もある。或る特定の構造「を含むポリペプチド」というオープンエンドの表現は、融合ポリペプチド等の列挙される構造よりも大きい分子を含む。
【0038】
「異種」は、天然では隣接しないヌクレオチド、ペプチド又はポリペプチドの配列を指す。例えば、本開示との関連で、「異種」という用語は、融合ペプチド又はポリペプチドが通常は天然に見られない2つ以上のペプチド及び/又はポリペプチドの組合せ又は融合、例えば増強した溶菌活性を有し得る、溶解素又はその活性フラグメント、並びにカチオン性及び/又はポリカチオン性ペプチド、両親媒性ペプチド、sushiペプチド(Ding
et al. Cell Mol Life Sci., 65(7-8):1202-19 (2008))、ディフェンシンペプチド(Ganz, T. Nature Reviews Immunology 3, 710-720 (2003))、疎水性ペプチドを含む抗微生物ペプチドを記載するために使用することができる。
【0039】
「活性フラグメント」は、フラグメントが得られた単離ポリペプチドの1つ以上の機能又は生物活性、例えば、1つ以上のグラム陰性細菌に対する殺菌活性を保持するポリペプチドの部分を指す。
【0040】
「両親媒性ペプチド」は、親水性官能基及び疎水性官能基の両方を有するペプチドを指す。或る特定の実施形態では、二次構造により疎水性及び親水性アミノ酸残基が両親媒性ペプチドの反対側(例えば、ペプチドが水等の溶媒中にある場合、内側対外側)に置かれる。これらのペプチドは、或る特定の実施形態では、αヘリックス二次構造等のヘリックス二次構造を取ることができる。
【0041】
「カチオン性ペプチド」は、正に帯電したアミノ酸残基を高い割合で有するペプチドを指す。或る特定の実施形態では、カチオン性ペプチドは、8.0以上のpKa値を有する。本開示との関連での「カチオン性ペプチド」という用語は、主に正に帯電したアミノ酸残基、例えばリシン(Lys)及び/又はアルギニン(Arg)残基で構成される、合成的に作製されたペプチドであるポリカチオン性ペプチドも包含する。正に帯電していないアミノ酸残基は、中性に帯電したアミノ酸残基、負に帯電したアミノ酸残基、及び/又は疎水性アミノ酸残基であり得る。
【0042】
「疎水性基」は、水分子に対する親和性が低いか又は親和性を有しないが、油分子に対してより高い親和性を有するアミノ酸側鎖等の化学基を指す。疎水性物質は、水又は水相への溶解性が低いか又は溶解性を有しない傾向があり、通例非極性であるが、油相への溶解性がより高い傾向がある。疎水性アミノ酸の例としては、グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、プロリン(Pro)、フェニルアラニン(Phe)、メチオニン(Met)及びトリプトファン(Trp)が挙げられる。
【0043】
「高める(Augmenting)」は、そうでない場合よりも高い抗微生物活性等の作用物質の活性の程度を指す。「高める」は、相加的効果及び相乗(超相加的(superadditive))
効果を包含する。
【0044】
「相乗的」又は「超相加的」は、独立して働く2つの作用物質の効果の総和を超える、組合せでの2つの物質によってもたらされる有益な効果を指す。或る特定の実施形態では、相乗又は超相加的効果は、独立して働く2つの作用物質の効果の総和を有意に、すなわち統計的に有意に超える。一方又は両方の活性成分を閾値下レベル、すなわち活性物質が個別に用いられる場合に効果を生じないか、又は非常に限られた効果しか生じないレベルで用いることができる。効果は、本明細書に記載されるチェッカーボードアッセイ等のアッセイによって測定することができる。
【0045】
「治療」は、ヒト等の被験体が、直接的又は間接的に、障害を治癒するか、又は病原体を根絶するか、又は被験体の状態を改善する目的で医療を受ける任意のプロセス、行為、適用、療法等を指す。治療は、発生率の低減、症状の軽減、再発の解消、再発の予防、発生の予防、発生リスクの低減、症状の改善、予後の改善、又はそれらの組合せも指す。「治療」は、被験体における細菌の数、増殖速度又は病原性を低減することで、被験体における細菌感染、又は器官、組織若しくは環境の細菌汚染を制御又は低減することを更に包含し得る。このため、発生率を低減する「治療」は、例えば、被験体であるか又は環境であるかを問わず、特定のミリュー(milieu)での少なくとも1つのグラム陰性細菌の増殖を阻害するのに効果的となり得る。一方、既に確立された感染の「治療」は、感染又は汚染の原因となるグラム陰性細菌の増殖を阻害するか、その菌数を減少させるか、又はそれを死滅させること(根絶することを含む)を指す。
【0046】
「予防する」は、細菌感染等の障害の発生、再発、拡大、発症又は確立の予防を指す。本開示が感染の完全な予防又は感染の確立の予防に限定されることは意図されない。幾つかの実施形態では、発症を遅らせるか、又は続いて発症した(contracted)疾患の重症度若しくは疾患の発症の可能性を低減することが予防例を構成する。
【0047】
「発症した疾患」は、発熱、敗血症又は菌血症の検出等の臨床症状又は不顕性(subclinical)症状が現れた疾患、並びにかかる病理と関連する症状が未だ現れていない場合の
細菌病原体の増殖(例えば、培養物中での)によって検出され得る疾患を指す。
【0048】
ペプチド又はポリペプチド又はその活性フラグメントとの関連での「誘導体」という用語は、ポリペプチドの活性(例えば溶菌活性)に実質的に悪影響を与えない若しくはポリペプチドの活性(例えば溶菌活性)を損なわない、アミノ酸以外の1つ以上の化学的部分を含有するように修飾されたポリペプチドを包含することを意図する。化学的部分は、例えばアミノ末端のアミノ酸残基、カルボキシ末端のアミノ酸残基又は内部アミノ酸残基を介してペプチドに共有結合的に連結することができる。かかる修飾は、天然であっても又は非天然であってもよい。或る特定の実施形態では、非天然修飾は、反応性部分への保護基若しくはキャップ基(capping group)の付加、抗体及び/又は蛍光標識等の検出可能
な標識の付加、グリコシル化の付加若しくは修飾、又はPEG(ペグ化)等の嵩高基(bulking group)の付加、並びに当業者に既知の他の変化を含み得る。或る特定の実施形態
では、非天然修飾は、N末端アセチル化及びC末端アミド化等のキャップ修飾であり得る。溶解素ポリペプチド又はAMPに付加することができる、例示的な保護基としては、t-Boc及びFmocが挙げられるが、これらに限定されない。限定されるものではないが、緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)及びmCherry等の一般に使用される蛍光標識タンパク質は、細胞タンパク質の正常機能に干渉することなく、ポリペプチドに共有結合的若しくは非共有結合的に結合するか、又はポリペプチドに融合させることが
できる小型のタンパク質である。或る特定の実施形態では、蛍光タンパク質をコードするポリヌクレオチドを溶解素又はAMPポリヌクレオチド配列の上流又は下流に挿入することができる。これにより、細胞機能又はそれが結合した溶解素ポリペプチドの機能を妨げない融合タンパク質(例えば、溶解素ポリペプチド::GFP)が生じる。タンパク質へのポリエチレングリコール(PEG)のコンジュゲーションが、多くの医薬タンパク質の循環半減期を延長する方法として使用されている。このため、溶解素ポリペプチド誘導体等のポリペプチド誘導体との関連で、「誘導体」という用語は、1つ以上のPEG分子の共有結合によって化学修飾された溶解素ポリペプチド等のポリペプチドを包含する。ペグ化溶解素等の溶解素ポリペプチドは、生物活性及び治療活性を保持した上で非ペグ化ポリペプチドと比較して延長された循環半減期を示すことが予想される。
【0049】
「パーセントアミノ酸配列同一性」は、最大のパーセント配列同一性を達成するように配列をアラインメントし、必要に応じてギャップを導入した後に、任意の保存的置換を配列同一性の一部とみなさない、参照ポリペプチド配列、例えば溶解素ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一の候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージを指す。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的でのアラインメントは、当業者の能力の範囲内の様々な方法で、例えばBLAST等の公開されているソフトウェア、又は例えばDNASTARによ
り市販されているソフトウェアを用いて達成することができる。2つ以上のポリペプチド配列は、0%~100%の間のいずれか、又はその間の任意の整数値で同一であり得る。本開示との関連で、2つのポリペプチドは、アミノ酸残基の少なくとも80%(例えば、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約92.5%、少なくとも約95%、少なくとも約98%又は少なくとも約99%)が同一である場合に「実質的に同一」である。本明細書に記載される「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」という用語は、ペプチドにも当てはまる。このため、「実質的に同一」という用語は、本明細書に記載される単離溶解素ポリペプチド及びペプチド及びAMPの突然変異型、切断型、融合型、又は別の形で配列が修飾された変異体、及びその活性フラグメント、並びに参照(野生型又は他の無傷)ポリペプチドと比較して相当の配列同一性(例えば、1つ以上の上記の方法によって測定される、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92.5%、少なくとも95%、少なくとも98%の同一性、又は少なくとも99%の同一性)を有するポリペプチドを包含する。
【0050】
本明細書で使用される場合、2つのアミノ酸配列は、アミノ酸残基の少なくとも約80%(例えば、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約92.5%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%)が同一であるか、又は保存的置換を示す場合に「実質的に相同」である。本開示のポリペプチドの配列は、ポリペプチド、例えば本明細書に記載の溶解素、AMP、及び/又は融合ポリペプチドのアミノ酸の1つ以上、又は幾つか、又は最大10%、最大15%、又は最大20%が同様の又は保存的アミノ酸置換で置換され、得られるペプチド、例えば本明細書に記載の溶解素、AMP、及び/又は融合ポリペプチドが、参照ポリペプチドの少なくとも1つの活性(例えば、抗菌効果)及び/又は細菌特異性を有する場合に実質的に相同である。
【0051】
本明細書で使用される場合、「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が同様の電荷を有する側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられる置換である。同様の電荷を有する側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野で規定されている。これらのファミリーとしては、塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有
するアミノ酸が挙げられる。
【0052】
「吸入用組成物」は、日常呼吸又は補助呼吸(例えば、気管気管支内(intratracheobronchial)投与、経肺投与及び/又は経鼻投与による)時の、又はそれと同時の気道への
直接送達のために配合されている本開示の医薬組成物を指し、霧化、噴霧化、乾燥粉末及び/又はエアロゾル化配合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
「バイオフィルム」は、表面に付着し、細菌及び/又は宿主に由来する成分で構成され得る水和したポリマーマトリックス中に凝集した細菌を指す。バイオフィルムは、生物表面又は非生物表面上で細胞が互いに接着した微生物の凝集物である。これらの接着細胞は、限定されるものではないが、細胞外高分子物質(EPS)で構成されるマトリックス中に埋め込まれることが多い。バイオフィルムのEPSは、スライム(スライムと記載されたもの全てがバイオフィルムという訳ではない)又はプラークとも称され、一般に細胞外DNA、タンパク質及び多糖で構成されるポリマー集塊である。
【0054】
「バイオフィルム形成の予防」とは、バイオフィルムの出現、再発、伝播、作用発現(onset)又は確立の予防をいう。本開示は、バイオフィルム確立の完全な予防又は予防に
限定されることを意図するものではない。幾つかの実施形態では、バイオフィルムの作用発現が遅延されるか、又はバイオフィルムの確立が減少されるか、又は新たなバイオフィルム形成の機会が減少され、それらがバイオフィルムの予防の例を構成する。さらに、バイオフィルムの予防は、1)浮遊細菌を効果的に死滅させること;2)懸濁液中の「生残(persister)」菌細胞、すなわち代謝的に不活性であり、抗生物質耐性で、バイオフィ
ルム形成と高度に関連がある細菌を死滅させること;及び/又は3)「凝集」、すなわち、細菌がタンパク質若しくは多糖を介して互いに付着する能力を防ぐことを含む任意の機構に起因し得る。
【0055】
バイオフィルムに関する「根絶」は、1)バイオフィルム中の生残菌細胞を含むバイオフィルム内の細菌を効果的に死滅させること、及び任意に2)バイオフィルムマトリックスを効果的に破壊及び/又は損傷させることを含む。
【0056】
バイオフィルムに関する「破壊」は、予防と根絶との間に当たる機構を指す。破壊されるバイオフィルムは、「開口」されるか、そうでない場合は損傷され得て、例えば抗生物質がより容易にバイオフィルムを透過して、細菌を死滅させることを可能にする。
【0057】
或る特定の細菌に対する使用に適した抗生物質との関連での「適した、好適な(Suitable)」は、耐性が後に発現する場合であっても、これらの細菌に対して効果的であることが見出された抗生物質を指す。
【0058】
「外膜(Outer Membrane)」すなわち「OM」はグラム陰性細菌の特性を指す。外膜は、リン脂質の内葉と、大部分がリポ多糖(LPS)からなる両親媒性の外葉とを有する脂質二重層で構成される。LPSは、リピドAと呼ばれるヘキサアシル化グルコサミンベースのリン脂質、多糖コア、及びO抗原と呼ばれる伸長した外部多糖鎖の3つの要部を有する。OMは、i)特にカチオンが存在し、リン酸基を中和する場合のLPS分子の互いに対する強い結合、ii)殆どが飽和したアシル鎖の密な充填、及びiii)リピドA部分の疎水性スタッキングを含む3つの主な相互作用によって安定化している非流動性の連続体を示す。生じる構造は、疎水性分子及び親水性分子の両方にとって障壁となる。OMの下では、ペプチドグリカンが加水分解に非常に影響を受けやすい薄層を形成する。厚さ30ナノメートル(nm)~100nmであり、最大40層からなるグラム陰性細菌のペプチドグリカンとは異なり、グラム陰性細菌のペプチドグリカンは、厚さが僅か2nm~3nmであり、1層~3層のみからなる。
【0059】
ポリペプチド
溶解素、変異型溶解素、その活性フラグメント又は誘導体
本開示は、溶解素、変異型溶解素、その活性フラグメント又は誘導体を含む単離ポリペプチドに関する。幾つかの実施形態では、溶解素、変異型溶解素、その活性フラグメント又は誘導体を含む単離ポリペプチドを抗微生物ペプチド(「AMP」)と組み合わせて、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトを形成し、ここで、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトは溶解素活性を有する。本明細書で使用される場合、「溶解素活性」は、任意にヒト血清又は肺サーファクタントの存在下で、溶解素が細菌(例えば、シュードモナス・エルギノーサ)を死滅させる能力、細菌の数を減少させる能力又は細菌増殖を阻害する(例えば、グラム陰性細菌の外膜を透過することによる)能力を包含する。溶解素活性はまた、任意にヒト血清又は肺サーファクタントの存在下で、バイオフィルムを除去若しくは減少させる能力及び/又は抗生物質の最小阻止濃度(MIC)を減少させる能力を包含する。
【0060】
幾つかの実施形態では、溶解素、変異型溶解素、その活性フラグメント又はその誘導体を含む本単離ポリペプチドは、グラム陰性細菌の外膜を透過することができる。理論によって制限されるものではないが、外膜の浸透後、溶解素、変異型溶解素、その活性フラグメント又はその誘導体を含む本単離ポリペプチドは、細菌細胞壁の主な構造成分であるペプチドグリカンを分解し、例えば、細菌増殖を阻害する細胞溶解又は非致死的損傷をもたらすことができる。幾つかの実施形態では、本明細書に開示される溶解素、変異型溶解素、その活性フラグメント又は誘導体を含む本単離ポリペプチドは、グラム陰性細菌のアニオン性外膜への結合を促進して、隣接するペプチドグリカンへの移行を引き起こす、正に帯電した(及び両親媒性の)N末端及び/又はC末端のα-ヘリックスドメインを含む。
【0061】
グラム陰性細菌の外膜を透過する溶解素の能力は、国際公開第2017/049233号(その全体が引用することにより本明細書の一部をなす)に記載されるような当該技術分野で既知の任意の方法によって評定され得る。例えば、溶解素を、グラム陰性細菌及び疎水性化合物と共にインキュベートしてもよい。ほとんどのグラム陰性細菌は、外膜が存在することから、疎水性化合物に耐性が強く、そのため1-N-フェニルナフチルアミン(NPN)、クリスタルバイオレット、又は8-アニリノ-1-ナフタレンスルホン酸(ANS)等の疎水性物質を取り込ませない。NPNは、例えば、疎水性条件下では強く、水性条件下では弱く蛍光を発する。したがって、NPN蛍光は、外膜透過性の測定として使用することができる。
【0062】
より詳しくは、外膜を透過する溶解素の能力は、例えば、溶解素の存在下で、活性を試験するグラム陰性細菌(例えば、シュードモナス・エルギノーサ株PA01)と共に、例えばNPNをインキュベートすることで評定され得る。溶解素が存在しない場合(陰性対照)に放出される蛍光と比較して蛍光の誘導が高いことは、外膜透過を示す。加えて、蛍光誘導を、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)等の確立された透過剤、又はシュードモナス・エルギノーサの治療に最終手段として用いられる抗生物質、すなわち、ポリミキシンB(PMB)等の抗生物質の蛍光誘導と比較して、外膜透過性のレベルを評定することができる。
【0063】
幾つかの実施形態では、溶解素、変異型溶解素、その活性フラグメント又は誘導体を含む本単離ポリペプチドは、ヒト血清の存在下及び/又は不在下で溶解素活性を示す。ヒト血清中で溶解素の活性を評定するのに適した方法は、当該技術分野において既知であり、実施例に記載されている。簡潔に述べると、MIC値(すなわち、対照と比較して細菌増殖を少なくとも80%を抑制するのに十分なペプチドの最小濃度)を溶解素について決定することができ、例えば、親溶解素又はヒト血清中で不活性な化合物、例えば、T4ファ
ージリゾチーム又はartilysin GN126と比較することができる。T4ファージリゾチームは、例えばSigma-Aldrich, Inc.から市販されている。GN126は、文
献に記載されているArt-175に相当し、AMP SMAP-29をGN溶解素KZ144に融合させることによって得られる。Briers et al. 2014, Antimicrob, Agents Chemother. 58:3774-3784を参照されたい。本文献はその全体が引用することにより本明細書の一部をなす。
【0064】
より詳しくは、溶解素のMIC値は、例えば、ミューラー・ヒントンブロス、ヒト血清を添加したミューラー・ヒントンブロス、生理学的塩濃度を備えた本明細書に記載されるCAA、及びヒト血清を添加したCAAにおいてシュードモナス・エルギノーサの実験室株PA01に対して決定され得る。ほとんどの臨床分離株とは異なり、PA01はヒト血液マトリックスの抗菌活性に感受性がないことから、PA01の使用により血清濃度が上昇した状態での試験が可能になる。
【0065】
幾つかの実施形態では、溶解素、変異型溶解素、その活性フラグメント又は誘導体を含む本単離ポリペプチドは、バイオフィルムを低減することができる。溶解素又はAMPの最小バイオフィルム根絶濃度(MBEC)を評定する方法は、修正した微量液体希釈MIC法の変法を用いて決定することができる(Ceri et al. 1999. J. Clin Microbial. 37:1771-1776(その全体が引用することにより本明細書の一部をなす)、及びSchuch et al., 2017, Antimicrob. Agents Chemother. 61, pages 1-18(その全体が引用することにより本明細書の一部をなす)を参照されたい)。この方法では、例えばATCC 17647等のシュードモナス・エルギノーサの新鮮なコロニーを媒体、例えばリン酸緩衝液(PBS)に懸濁し、例えばTSBg(0.2%グルコースを添加したトリプシンソイブロス)で100倍希釈し、例えば0.15mlアリコートとしてCalgary Biofilm Device(96個のポリカーボネートペグを備える蓋を有する96ウェルプレート;Innovotech Inc.)に添加し、例えば37℃で24時間インキュベートする。次い
で、バイオフィルムを洗浄し、例えばTSBg中の2倍希釈系列の溶解素によって、例えば37℃で24時間処理する。処理後に、ウェルを洗浄し、例えば37℃で風乾し、例えば0.05%クリスタルバイオレットで10分間染色する。染色後に、バイオフィルムを、例えば33%酢酸で脱染し、例えば抽出されたクリスタルバイオレットのOD600を決定する。各サンプルのMBECが、クリスタルバイオレット定量化によって評定される、バイオフィルムのバイオマスの95%超を除去するのに必要とされる最小溶解素濃度である。
【0066】
幾つかの実施形態では、溶解素、変異型溶解素、その活性フラグメント又は誘導体を含む本単離ポリペプチドは、ヒト血清の存在下及び/又は不在下で、又は肺サーファクタントの存在下で、細菌を阻害するために必要な抗生物質の最小阻止濃度(MIC)を低下させる。MICを評定する任意の既知の方法を用いることができる。幾つかの実施形態では、チェッカーボードアッセイを用いて、抗生物質濃度に対する溶解素の影響を決定する。チェッカーボードアッセイは、微量液体希釈によるMIC決定のためのCLSIの方法の修正に基づく(Clinical and Laboratory Standards Institute (CLSI), CLSI. 2015. Methods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacteria That Grow Aerobically; Approved Standard-10th Edition. Clinical and Laboratory Standards Institute, Wayne, PA(その全体が引用することにより本明細書の一部をなす)及びCeri et al. 1999. J. Clin. Microbiol. 37: 1771-1776(同様にその全体が引用することにより
本明細書の一部をなす)を参照されたい)。
【0067】
チェッカーボードを、初めに横軸に沿って、例えば各ウェルが同量の2倍希釈した抗生物質を含む96ウェルポリプロピレンマイクロタイタープレートの列を作成することによって構築する。別のプレートに、縦軸に沿って各ウェルが同量の、例えば2倍希釈した溶
解素を有する比較用の行を作成する。次いで、各列が一定量の抗生物質及び溶解素の2倍希釈物を含み、各行が一定量の溶解素及び抗生物質の2倍希釈物を含むように、溶解素及び抗生物質の希釈物を組み合わせる。これにより、各ウェルは、溶解素と抗生物質との独自の組合せを有する。細菌を、例えばヒト血清又は肺サーファクタント(例えばSurvanta(商標))を用いて、又は用いずに、CAA中、1×10CFU/mlの濃度で薬物の組合せに添加する。次いで、単独及び組合せでの各薬物のMICを、例えば周囲空気中にて37℃で16時間の後に記録する。部分阻止濃度の総和(ΣFIC)を各薬物について算出し、最小のΣFIC値(ΣFICmin)を用いて溶解素/抗生物質の組合せの効果を決定する。
【0068】
幾つかの実施形態では、本溶解素及び溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトは、イミペネム及びメロペネム等の抗生物質と相乗的に作用し、カルバペネム耐性シュードモナス・エルギノーサ等のMDR生物を含むグラム陰性細菌の再感作を推進することができる。かかる再感作は、本明細書に記載されるチェッカーボードアッセイにおいて、本溶解素又は溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトを抗生物質と組み合わせることによって判断され得る。カルバペネム耐性シュードモナス・エルギノーサ等の抗生物質耐性細菌を、溶解素又は溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトの組合せに加える。一般的に、抗生物質MIC値が、例えば、抗生物質感受性細菌の場合はMIC値2以下、中間感受性細菌の場合はMIC値4、及び抗生物質耐性菌、例えばカルバペネム耐性分離株の場合はMIC値8以上の確立されたブレイクポイントを下回る相乗的な組合せで、再感作が起こる。Clinical and Laboratory Standards Institute (CLSI), CLSI. 2019. M100 Performance Standards for Antimicrobial Susceptibility Testing; 29th Edition. Clinical and Laboratory Standards Institute, Wayne, PA.を参照されたい。この文献はその全体が引用することにより本明細書の一部をなす。
【0069】
幾つかの実施形態では、溶解素、変異型溶解素、その活性フラグメント又は誘導体を含む本単離ポリペプチドは、赤血球に対して低い毒性を示す。当該技術分野で既知の任意の方法論は、溶解素、変異型溶解素、その活性フラグメント又は誘導体を含む本単離ポリペプチドの溶菌活性の可能性を評定するために使用され得る。
【0070】
特に本明細書に記載される溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトとの使用に適した本開示の溶解素の例としては、クレブシエラ(Klebsiella)ファージ0507-KN2-1から得られるGN316溶解素(NCBI参照配列:YP_008531963.1、配列番号22)、シュードモナス(Pseudomonas)ファージから得られる溶解素PaP
2_gp17(NCBI参照配列:YP_024745.1、配列番号96)、デルフチア(Delftia)属種から得られるGN333(NCBI参照配列:WP_0160647
91.1、配列番号28)、バークホルデリア・シュードマルチボランス(Burkholderia
pseudomultivorans)から得られるGN424(NCBI参照配列:WP_060250996.1、配列番号56)、シュードモナス・フレキシビリス(Pseudomonas flexibilis)から得られるGN425溶解素(NCBI参照配列:WP_039605935.1、配列番号58)、エシェリヒア(Escherichia)ウイルスCBA120から得られるG
N428(NCBI参照配列:YP_004957781.1、配列番号60)、ディッケヤ(Dickeya)ファージphiD3から得られるGN431(NCBI参照配列:AI
M51349.1、配列番号64)、エルウィニア(Erwinia)属種Leaf5から得ら
れるGN485(NCBI参照配列:WP_056233282.1、配列番号68)、及びシュードモナスファージPhiPA3(NCBI参照配列:YP_009217242.1、配列番号173)から得られるGN123が挙げられる。
【0071】
上記溶解素をバイオインフォマティクス手法により同定した。同定された配列の幾つかは、推定ペプチドグリカン結合タンパク質として注釈付けされていたが、以前にはこれら
の配列を有するポリペプチドに決定的に起因すると考えられる機能はなかった。本発明者らは、驚くべきことに、上記の同定された配列が、特に、実施例に記載されるグラム陰性細菌に対して抗菌剤として使用するのに適していることを認識した。
【0072】
本開示の適切な溶解素、特に本溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトと共に使用するためのものの追加の例としては、アシネトバクター(Acinetobacter)ファージvB
_AbaP_CEB1から得られるGN76溶解素(NCBI参照配列:ALC76575.1、配列番号203 GenBank:ALC76575.1)、シュードモナスファージPAJU2から得られるGN4溶解素(NCBI参照配列:YP 002284361.1、配列番号74)、シュードモナスファージLullから得られるGN14溶解素(NCBI参照配列:YP 006382555.1、配列番号124)、及びミカビブリオ・アエルギノサヴォルス(Micavibrio aeruginosavorus)から得られるGN37溶解素(NCBI参照配列:WP_014102102.1、配列番号84)が挙げられる。上述の溶解素はそれぞれ、国際公開第2017/049233号にも開示されており、この文献はその全体が引用することにより本明細書の一部をなす。
【0073】
幾つかの実施形態では、本単離ポリペプチドは、溶解素変異体、例えば、参照溶解素ポリペプチド、例えば天然起源の溶解素又は親溶解素と比較して1つ以上の挿入、欠失及び/又はアミノ酸置換を含有する溶解素を含み、それ自体が変異型溶解素である。幾つかの実施形態では、変異型溶解素、その活性フラグメント又は誘導体を含む単離ポリペプチド配列は、本明細書に記載される参照溶解素及び/又はその活性フラグメントと少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%、又は例えば少なくとも99%の配列同一性を有する。
【0074】
本開示の溶解素変異体は、典型的には、参照溶解素の1つ以上の機能的活性又は生物学的活性を保持する。幾つかの実施形態では、修飾は溶解素の抗菌活性を改善する。典型的には、溶解素変異体は、参照溶解素と比較してin vitro(例えばバッファー及び/又は培地における)抗菌活性を改善した。他の実施形態では、溶解素変異体は、in vivoでの(例えば、動物感染モデルにおける)抗菌活性を改善した。幾つかの実施形態では、修飾は、ヒト血清の不在下及び/又は存在下での溶解素の抗菌活性を改善する。幾つかの実施形態では、修飾は、肺サーファクタントの存在下での溶解素の抗菌活性を改善する。
【0075】
好適な変異型溶解素、特に本溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトで使用するものとしては、GN146溶解素(配列番号78)、GN156溶解素(配列番号126)、GN202溶解素(配列番号118)及びGN121溶解素(配列番号175)が挙げられる。前述の溶解素はそれぞれ、2017年12月12日付けで出願された米国仮特許出願第62,597,577号、及び2018年8月23日付けで出願された米国仮特許出願第62/721,969号にも開示されており、それらの全体が引用することにより本明細書の一部をなす。米国仮特許出願第62/721,969号に記載される溶解素は、典型的には、例えば、アミノ酸置換を導入すること及び/又はより大きな抗微生物ペプチドに由来するアミノ酸フラグメントを導入することにより血清中で溶解素の活性を増強するように、それらの天然起源の対応物に対して修飾される。例えば、Daniels and Scepartz, 2007, J. Am.Chem.Soc.129:14578-14579(その全体が引用することにより本明細書の一部をなす)よって記載されるアミノ酸配列GPRRPRRPGRRAPV(配列番号126の残基1~14)は、例えばGN4(配列番号74)のN末端に導入されて、非天然の溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトであるGN156(配列番号126)を生成する。
【0076】
幾つかの実施形態では、変異型溶解素は、例えば、単一の点突然変異等の単一のpI増
加突然変異を参照溶解素に組み込むことにより、溶解素の全体的な等電点(pI)(すなわち、分子が正味中性電荷を有するpH)の変化をもたらす修飾を含むように参照溶解素を修飾することによって得られる。好適な参照溶解素ペプチドとしては、GN76(配列番号203)、GN4(配列番号74)、GN146(配列番号78)、GN14(配列番号124)、GN37(配列番号84)、GN316(配列番号22)、溶解素Pap2_gp17(配列番号96)、GN329(配列番号26)、GN424(配列番号56)、GN202(配列番号118)、GN425(配列番号58)、GN428(配列番号60)、GN431(配列番号64)、GN486(配列番号66)、GN333(配列番号28)、GN485(配列番号68)、GN123(配列番号173)及びGN121(配列番号175)からなる群から選択される溶解素が挙げられる。或る特定の実施形態では、溶解素変異体は、配列番号203、配列番号74、配列番号78、配列番号124、配列番号84、配列番号22、配列番号96、配列番号26、配列番号56、配列番号118、配列番号58、配列番号60、配列番号64、配列番号66、配列番号28、配列番号68、配列番号173及び配列番号175からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する参照溶解素ペプチドに対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%又は少なくとも99%の配列同一性を有する。
【0077】
例えば、アミノ酸置換R79Hを導入することによってpIを増加するようにGN37溶解素(配列番号84)を修飾して、GN217溶解素(配列番号8)を生成することができる。この実施形態では、実施例に記載されるように、GN217溶解素(配列番号8)の効力は、参照溶解素GN37(配列番号84)の効力と比べて、ヒト血清の存在下及び不在下の両方で高められる。
【0078】
好適なpI修飾突然変異の他の例としては、例えば、GN394溶解素(配列番号48、GN396溶解素(配列番号50)、GN408溶解素(配列番号52)及びGN418溶解素(配列番号54)をそれぞれ生成するために、K218D、K228D、R85H及び/又はK22D等のアミノ酸置換をGN316(配列番号22)等の参照溶解素に導入することが挙げられる。幾つかの実施形態では、前述のpI修飾突然変異は、本明細書で例示されるヒト血清の不在下及び/又は存在下における溶解素の抗菌活性を改善する。
【0079】
幾つかの実施形態では、本開示の溶解素変異体は、典型的には、α-ヘリックスドメインを保持するように設計されており、その有無は、Jpred4(compio.dundee.ac.uk/jpred)、Helical Wheel(hael.net/helical.htm)、HeliQuest
(zhanglab.ccmb.med.umich.edu/I-TASSER/)及びPEP-FOLD 3(bioserv.rpbs.univ-paris-diderot.fr/services/PEP-FOLD3)等の様々なソフトウェアプログラムを使用して容易に判断することができる。
【0080】
幾つかの実施形態では、α-ヘリックスドメインは、溶解素のC末端に位置する。他の実施形態では、α-ヘリックスドメインは、溶解素のN末端に位置する。より典型的には、α-ヘリックスドメインは、C末端に位置する。本開示の溶解素のα-ヘリックスドメインは、約20個~40個のアミノ酸、より典型的には約15個~33個のアミノ酸残基で大きさが変化する。例えば、N末端に位置するGN14 α-ヘリックスドメインは、15個のアミノ酸(配列番号124の残基66~80)を含む。C末端に位置するGN37 α-ヘリックスドメインは、14個のアミノ酸(配列番号84の残基113~126)を含む。同じくC末端に位置するGN4 α-ヘリックスドメインは、25個のアミノ酸(配列番号74の残基116~140)を含む。
【0081】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示の変異型溶解素、その活性フラグメント又はそ
の誘導体は精製タグ、例えばGSHHHHHHG(配列番号100)を含むように修飾される。精製タグは、溶解素内のどこにでも挿入することができ、典型的には第1のアミノ酸と第2のアミノ酸との間に挿入される。例えば、精製タグを、GN316溶解素(配列番号22)のN末端の第1のメチオニンと第1のアラニンとの間に挿入して、活性に悪影響を及ぼすことなく変異型GN316溶解素(配列番号24)を得ることができる。他の実施形態では、精製タグを、GN156溶解素(配列番号126)のN末端の第1のメチオニンと第1のグリシンとの間に挿入して、変異型GN486(配列番号66)を得ることができる。
【0082】
溶解素変異体は、当該技術分野で既知であり、国際公開第2017/049233号(その全体が引用することにより本明細書の一部をなす)に記載される任意の方法によって、例えば、本明細書に記載される1つ以上の生物学的機能を保持する、本溶解素を産生する宿主において部位特異的突然変異誘発を通して又は突然変異を介して、本明細書に記載される溶解素、その活性フラグメント及び誘導体のいずれかを修飾することにより形成され得る。本溶解素変異体は、切断型、キメラ型、シャッフル型又は「天然型」であってもよく、例えば、米国特許第5,604,109号に記載されているように組合せであってもよく、この文献はその全体が引用することにより本明細書の一部をなす
【0083】
例えば、当業者は、例えばα-ヘリックスドメイン又はα-ヘリックスドメインの外の領域に対する置換又は置換えを合理的に行い、試験することができる。Genbankデータベースと、例えば、本明細書に記載される完全なアミノ酸配列との配列比較を行って、例えば、置換のためのアミノ酸を同定することができる。
【0084】
突然変異は、アミノ酸配列において、又はポリペプチド、及び溶解素、活性フラグメント若しくは誘導体をコードする核酸配列において、特定のコドンが異なるアミノ酸をコードするコドンに変化する、アミノ酸が別のアミノ酸に置換される、又は1つ以上のアミノ酸が削除されるように行われ得る。
【0085】
かかる突然変異は、一般的には可能な限りヌクレオチド変化を少なくすることによって行われる。この種の置換突然変異は、非保存的な方法(例えば、特定のサイズ又は特性を有するアミノ酸の分類に属するアミノ酸から別の分類に属するアミノ酸へとコドンを変化させることによる)又は保存的な方法(例えば、特定のサイズ又は特性を有するアミノ酸の分類に属するアミノ酸から同じ分類に属するアミノ酸へとコドンを変化させることによる)で、得られるタンパク質中のアミノ酸を変化させることができる。かかる保存的変化は、概して、得られるタンパク質の構造及び機能の変化を少なくする。非保存的な変化は、得られるタンパク質の構造、活性又は機能を変更する可能性がより高い。本開示は、得られるタンパク質の活性又は結合特性を著しく変化させない保存的変化を含む配列を含むように考慮されるべきである。そのため、当業者は、本明細書に提供される溶解素の配列の再検討、また他の溶解素ポリペプチドに利用可能なそれらの知識及び公開情報に基づいて、溶解素ポリペプチド配列においてアミノ酸の変化又は置換を行うことができる。本明細書に提供される溶解素(複数の場合もある)の配列内の1つ以上、1つ又は数個、1つ又は幾つか、1個~5個、1~10個又は他のその数のアミノ酸を置換えて又は置換して、それらの突然変異体又は変異体を生成するため、アミノ酸の変化を行うことができる。それらのかかる突然変異体又は変異体を、機能について推定するか、又は例えば、シュードモナス・エルギノーサについて本明細書に記載される抗菌活性についての機能若しくは能力、及び/又は本明細書に記載され、特に提供されている溶解素(複数の場合もある)に匹敵する活性を有することについて試験してもよい。そのため、溶解素の配列に対して行われる変化、及び本明細書に記載される突然変異体又は変異体を、当該技術分野で既知であり、本明細書に記載されるアッセイ及び方法を用いて試験することができる。当業者は、本明細書の溶解素(複数の場合もある)のドメイン構造に基づいて、合理的で保存的
又は非保存的な置換を含む、置換若しくは置換えに適した1つ以上の、1つ若しくは幾つかのアミノ酸、及び/又は置換若しくは置換えに適さない1つ以上のアミノ酸を予測することができる。
【0086】
幾つかの実施形態では、本単離ポリペプチドは、溶解素の活性フラグメント又は誘導体を含む。「活性フラグメント」という用語は、完全長の溶解素の一部を指し、これは、参照溶解素の1つ以上の生物学的活性を保持する。そのため、本明細書で使用される場合、溶解素又は変異型溶解素の活性フラグメントは、ヒト血清の不在下若しくは存在下、又はヒト血清の有無にかかわらず、又は肺サーファクタントの存在下で、シュードモナス・エルギノーサ及び任意に本明細書に記載されるグラム陰性細菌の少なくとも1つの種の増殖を阻害するか、又はその菌数を減少させるか、又はそれを死滅させる。溶解素の好適な活性フラグメントとしては、限定されるものではないが、国際公開第2017/049233号に記載されているものが挙げられ、この文献はその全体が引用することにより本明細書の一部をなす。活性溶解素フラグメントは、典型的にはα-ヘリックスドメインを保持する。活性溶解素フラグメントの例としては、配列番号127~配列番号129に記載されるGN4溶解素(配列番号74)のものが挙げられる。
【0087】
幾つかの実施形態では、本単離ポリペプチドに含まれる溶解素、変異型溶解素、その活性フラグメント又は誘導体は、GN217(配列番号8)、GN316変異体(配列番号24)、GN316(配列番号22)、GN329(配列番号26)、GN333(配列番号28)、GN394(配列番号48)、GN396(配列番号50)、GN408(配列番号52)、GN418(配列番号54)、GN424(配列番号56)、GN425(配列番号58)、GN428(配列番号60)、GN431(配列番号64)、GN486(配列番号66)、GN485(配列番号68)、溶解素PaP2_gp17(配列番号96)、GN123(配列番号173)及びGN121(配列番号175)又はその活性フラグメントからなる群から選択され、ここで、溶解素又はその活性フラグメントは、ヒト血清の不在下若しくは存在下、又はヒト血清の有無にかかわらず、又は肺サーファクタントの存在下で、シュードモナス・エルギノーサ及び任意に本明細書に記載されるグラム陰性細菌の少なくとも1つの他の種の増殖を阻害するか、又はその菌数を減少させるか、又はそれを死滅させる。幾つかの実施形態では、溶解素又はその活性フラグメントは、配列番号8、配列番号24、配列番号22、配列番号26、配列番号28、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号96、配列番号173又は配列番号175の少なくとも1つに対して、少なくとも1つのアミノ酸の置換、欠失又は挿入を含む。或る特定の実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸の置換は、保存的アミノ酸置換である。
【0088】
幾つかの実施形態では、本開示の溶解素は、GN329(配列番号26)、GN333(配列番号28)、GN424(配列番号56)、GN425(配列番号58)、GN428(配列番号60)、GN431(配列番号64)、GN485(配列番号68)、及び溶解素PaP2_gp17(配列番号96)、又はその活性フラグメントからなる群から選択され、ここで、溶解素又はその活性フラグメントは、ヒト血清の不在下若しくは存在下、又はヒト血清の有無にかかわらず、又は肺サーファクタントの存在下で、シュードモナス・エルギノーサ及び任意に本明細書に記載されるグラム陰性細菌の少なくとも1つの他の種の増殖を阻害するか、又はその菌数を減少させるか、又はそれを死滅させる。幾つかの実施形態では、溶解素、誘導体又はその活性フラグメントは、配列番号26、配列番号28、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号64、配列番号68又は配列番号96に対して少なくとも1つの置換、欠失、又は挿入の修飾を含む。或る特定の実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換である。
【0089】
幾つかの実施形態では、単離ポリペプチド配列は、GN217溶解素(配列番号8)、GN394溶解素(配列番号48)、GN396溶解素(配列番号50)、GN408溶解素(配列番号52)、GN418溶解素(配列番号54)及びGN486(配列番号66)、又はその活性フラグメントからなる群から選択される溶解素を含み、ここで、溶解素又はその活性フラグメントは、ヒト血清の不在下若しくは存在下、又はヒト血清の有無にかかわらず、又は肺サーファクタントの存在下で、シュードモナス・エルギノーサ及び任意に本明細書に記載されるグラム陰性細菌の少なくとも1つの他の種の増殖を阻害するか、又はその菌数を減少させるか、又はそれを死滅させる。幾つかの実施形態では、溶解素又はその活性フラグメントは、配列番号8、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54又は配列番号66に対して少なくとも1つの置換、欠失又は挿入の修飾を含む。或る特定の実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換である。
【0090】
抗微生物ペプチド
幾つかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、溶解素-抗微生物ペプチド(AMP)ポリペプチドコンストラクトを含む。溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトは、本明細書に記載される溶解素、変異型溶解素、その活性フラグメント又は誘導体を含む単離ポリペプチドと、抗微生物ペプチド又はそのフラグメントとを含む。本明細書で用いられる場合、「抗微生物ペプチド(antimicrobial peptide)」(AMP)という用語は、
事実上全ての生物に見ることができる幅広い短い(一般的には3~50アミノ酸残基長)遺伝子コードペプチドの成員、典型的には抗生物質を指す。該用語は、ヘリックスペプチド、β-シートペプチド及び大部分が不規則ランダムコイル構造を示すペプチドを包含する。AMPは、本明細書に記載されるような、ディフェンシン、カテリシジン、sushiペプチド、カチオン性ペプチド、ポリカチオン性ペプチド、両親媒性ペプチド、疎水性ペプチド及び/又はAMP様ペプチド、例えばアムリンペプチドを含む。AMPのフラグメント、AMP変異体及びAMPの誘導体もこの用語に包含される。
【0091】
本明細書で用いられる場合、「AMP活性」の用語は、ヒト血清の存在下及び/又は不在下で、例えばグラム陰性細菌の外膜を透過することによって、細菌を死滅させるか、細菌の数を減少させるか、又は細菌増殖を阻害するAMP又はそのフラグメントの能力を包含する。典型的には、AMPの移行は、外膜のリポ多糖部分との一次静電相互作用、その後のカチオン変位、膜の崩壊及び一時的開口、場合によってはAMPの内在化によって推進される。
【0092】
AMP活性はまた、ヒト血清の存在下及び/又は不在下における抗生物質の最小阻止濃度(MIC)を減少させるAMP又はそのフラグメントの能力を包含する。グラム陰性細菌の外膜を透過する本AMP及びそのフラグメントの能力を評定し、血清の存在下及び不在下での抗生物質のMICの減少を判断するのに適した方法は、当該技術分野で既知であり、本溶解素、誘導体及びその活性フラグメントについて上に記載されるそれらの方法を含む。
【0093】
幾つかの実施形態では、本AMPは、本明細書に記載されるAMPのいずれかと、少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%、又は例えば少なくとも99%の配列同一性を有する変異型AMPであり、その変異型AMPはAMP活性を保持する。
【0094】
幾つかの実施形態では、本AMPは、α-ヘリックスドメインのようなヘリックスドメインを含む。幾つかの実施形態では、α-ヘリックスドメインは、分子の大部分に及ぶ。例えば、図1のChp1及びChp4を参照されたい。他の実施形態では、α-ヘリックスドメインは、中断されるか(例えば、Chp2)又は切断される(例えば、Chp6及
びOsp1)。本明細書に記載されるChp等の本AMPのα-ヘリックスドメインは、約3個~32個のアミノ酸、より典型的には約10個~25個のアミノ酸残基で大きさが変化する。一般的には、ヘリックスドメインは活性に必要であり、典型的には溶解素のC末端又はN末端に融合する際に保持されなければならない。
【0095】
典型的には、ヘリックスペプチドは、両親媒性の特性を示し、繰り返しパターンで頻繁に現れるかなりの割合(例えば50%)の疎水性残基を含有する。α-ヘリックス構造の形成に際して、親水性残基は、典型的にはヘリックスの同じ側で終了し、それにより立体構造依存性の両親媒性をもたらす。多くの場合、これらのペプチドは水性環境下で不定形であるが、脂質膜に遭遇した場合にはヘリックス立体構造をとる。このグループに属するペプチドは、典型的には、+2~+11の範囲の全体的な正電荷を示し、通常、膜欠損を起こして電解質、シグナル物質及び他の因子の勾配の損なわせることで、グラム陰性細菌等の微生物を死滅させる。
【0096】
幾つかの実施形態では、本AMPは、クラミジアファージ(Chp)ペプチド又はアムリンペプチドと本明細書で称されるファージの溶解物質を含む「AMP様」ペプチドである。本開示のアムリンペプチドは、アムリンと区別することができる。当該技術分野で知られているように、ssDNAファージ又はssRNAファージ(それぞれ、ミクロウイルス科(Microviridae)及びレビウイルス科(Leviviridae))から得られるアムリンは
、直前に10個~17個の疎水性残基が伸びる内部LSジペプチドを含む推定ドメイン構造を有する内在性膜タンパク質である。アムリンの例としては、ムレイン前駆物質リピドI(Lipid I)の形成を触媒する必須の膜組み込み型酵素(membrane-embedded enzyme)
である細菌トランスロカーゼMra Yを阻害することによって溶解を引き起こす91アミノ酸の膜タンパク質である、ファージ<pX174由来のタンパク質Eアムリン(ミクロウイルス科、ミクロビンツ(Microvints)属);MurA活性を妨げ、ペプチドグリカン生合成のプロセスを調節不全にすることによって溶解を引き起こす420アミノ酸の構造タンパク質である、ファージQ~のA2カプシドタンパク質(レビウイルス科、アロレビウイルス(Allolevivirus)属);宿主シャペロンDnaJの活性を必要とする機構を
用いて溶解を引き起こす、75アミノ酸の膜内在性タンパク質であるファージMS2のタンパク質Lアムリン(レビウイルス科、レビスウイルス属)が挙げられる。典型的には、アムリンは精製することができず、抗菌治療薬としての使用には適さない。
【0097】
アムリンとは対照的に、本開示のアムリンペプチドは、様々な脊椎動物の自然免疫系から得られたAMPと同様の推定α-ヘリックス構造を有する小さなカチオン性ペプチドである(但し、AMPに似ていないアミノ酸配列を有する)。アムリンペプチドは、主にクラミジアミクロウイルスに見られ、ゴクショウイルス(Gokushovirinae)サブファミリーの他の関連する成員で見られる頻度はより少ない。様々なミクロウイルス科ファージに由来するアムリンペプチドは、互いに30%~100%の同一性を示し、他のペプチドとの相同性を有していない。細胞壁の生合成装置に細胞質標的を有するミクロウイルス科のアムリンとは異なるため、外部に適用されたタンパク質によって容易にアクセスできず、本アムリンペプチドは「ない状態から」殺菌活性を発揮するために精製された形態で使用することができる。
【0098】
本溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトにおける使用に適したアムリンペプチドとしては、2018年3月29日付けで出願された米国仮特許出願第62/650,235号に記載されるものが挙げられ、この文献はその全体が引用することにより本明細書の一部をなす。幾つかの実施形態では、クラミジアファージ(Chp)由来溶解物質等のアムリンペプチドが使用され得る。かかるChp由来溶解物質としては、Chp1(NCBI参照配列:NP_044319.1、配列番号133)、Chp2(NCBI参照配列:NP_0546521.1、配列番号70)、CPAR39(NCBI参照配列:NP
_063898.1、配列番号135)、Chp3(NCBI参照配列:YP_022484.1、配列番号137)、Chp4(NCBI参照配列:YP_338243.1、配列番号102)、Chp6(NCBI参照配列:NP_510878.1、配列番号106)、Chp7(NCBI参照配列:CRH73061.1、配列番号139)、Chp8(NCBI参照配列:CRH64983.1、配列番号141)、Chp9(NCBI参照配列:CRH84960.1、配列番号143)、Chp10(NCBI参照配列:CRH73061.1、配列番号145)、Chp11(NCBI参照配列:CRH59954.1、配列番号147)及びChp12(NCBI参照配列:CRH59965.1、配列番号149)が挙げられる。
【0099】
追加の好適なChpファミリーの成員としては、Gkh1(NCBI参照配列:YP_008798245.1、配列番号151)、Gkh2(NCBI参照配列:YP_009160382.1、配列番号90)、Unp1(NCBI参照配列:CDL66944.1、配列番号153)、Ecp1(NCBI参照配列:WP_100756432.1、配列番号155)、Ecp2(NCBI参照配列:OAC1404.1、配列番号104)、Tma1(NCBI参照配列:SHG47122.1、配列番号157)、Osp1(NCBI参照配列:SFP13761.1、配列番号108)、Unp2(NCBI参照配列:CDL65918.1、配列番号159)、Unp3(NCBI参照配列:CDL65808.1、配列番号161)、Gkh3(NCBI参照配列:AGT39941.1、配列番号163)、Unp5(NCBI参照配列:AGT39924.1、配列番号165)、Unp6(NCBI参照配列:AGT39915.1、配列番号167)、Spi1(NCBI参照配列:NP_598337.1、配列番号169)及びSpi2(NCBI参照配列:NP_598336.1、配列番号171)、Ecp3(NCBI参照配列:WP_105269219.1、配列番号177)、Ecp4(NCBI参照配列:WP_105466506.1、配列番号179)、ALCES1(NCBI参照配列:AXB22573.1、配列番号181)、AVQ206(NCBI参照配列:AVQ10236.1、配列番号183)、AVQ244(NCBI参照配列:AVQ10244.1、配列番号185)、CDL907(NCBI参照配列:CDL65907.1、配列番号187)、AGT915(NCBI参照配列:AGT39915.1、配列番号189)、HH3930(NCBI参照配列:CCH66548.1、配列番号191)、Fen7875(NCBI参照配列:YP_009160399.1、配列番号193)、SBR77(NCBI参照配列:AOT25441、配列番号195)、Bdp1 NCBI参照配列:NP_073546.1、配列番号197)、LVP1(NCBI参照配列:NP_042306.1、配列番号199)及びLvp2(NCBI参照配列:NP_085469.1、配列番号201)が挙げられる。
【0100】
より典型的には、AMPは、次のアムリンペプチド、Chp2(配列番号70)、Gkh2(配列番号90)、Chp4(配列番号102)、Ecp2(配列番号104)、Chp6(配列番号106)及びOsp1(配列番号108)の1つ以上から選択される。
【0101】
幾つかの実施形態では、アムリンペプチドは、変異型アムリンペプチドを生成するように修飾される。本明細書に記載されるように、アムリンペプチドは典型的にはα-ヘリックスドメイン等のヘリックスドメインを含む。典型的には、変異型アムリンペプチドは、α-ヘリックスドメインを保持する。任意の変異型アムリンペプチドにおけるα-ヘリックスドメインの保持は、典型的にはJpred4(compio.dundee.ac.uk/jpred)、He
lical Wheel(hael.net/helical.htm)、HeliQuest(zhanglab.ccmb.med.umich.edu/I-TASSER/)及びPEP-FOLD 3(bioserv.rpbs.univ-paris-diderot.fr/services/PEP-FOLD3)等の様々なソフトウェアプログラムを用いて正確に同定される。幾つかの実施形態では、アムリンペプチド変異体は、アルギニン及びリジン等の(=)荷電残基を、アムリンペプチド内で「D」アミノ酸形態に変換することによって修飾
される。D形態への変換の有用性は、例えば、Manabe et al., Sci. Rep., 2017, pages 1-10の文献に記載されており、その文献はその全体が引用することにより本明細書の一部をなす。変異型AMPは、溶解素、変異体、その活性フラグメント及び誘導体について本明細書で上述したものを含めて、当該技術分野で既知の任意の方法に従って調製され得る。
【0102】
幾つかの実施形態では、本開示の溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトで使用されるAMPは、抗菌活性を保持するより大きなAMPのフラグメントを含む。例えば、或る特定の実施形態では、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトのAMP部分は、抗菌活性を保持するブタ骨髄抗微生物ペプチド-36のフラグメント(「PMAP-36」、配列番号204)を含んでもよい。PMAP-36は、N末端に両親媒性α-ヘリックス立体構造を有するブタ骨髄cDNAから推測されるカテリシジン関連AMPである。したがって、典型的には、好適なPMAP-36フラグメントをN末端から選択して抗菌活性を保持するフラグメントを取得する。幾つかの実施形態では、本開示のPMAP-36フラグメントは、23位の疎水性アミノ酸(Trp)を含む。他の実施形態では、ランダムコイルC末端は、PMAP-36によって引き起こされる可能性のある溶血を低減又は排除するためにPMAP-36フラグメントから取り除かれる。PMAP-36フラグメントの更なる特徴は、例えば、Lyu et al., Scientific Reports, 2016, 6, pages 1-12
に記載されており、この文献はその全体が引用することにより本明細書の一部をなす。
【0103】
特に望ましいPMAP-36フラグメントとしては、RI12(配列番号88)、RI18(配列番号92)及びTI15(配列番号94)が挙げられる。他の好適なAMPフラグメントとしては、配列番号80に記載されるフラグメント等のエスクレンチン(NCBI参照配列:P40843.1)及び配列番号76に述べられるフラグメント等の抗リポ多糖因子アイソフォーム2(NCBI参照配列:AFU61125.1)に由来するものが挙げられる。
【0104】
幾つかの実施形態では、本開示のAMPは、合成ペプチドを含む。幾つかの実施形態では、合成ペプチドは、細菌の目に見える増殖を防ぐ抗生物質の最小阻止濃度(MIC)を減少させるが、それ自体は抗菌活性を示さない。本開示の溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトとの使用に特に望ましい合成ペプチドとしては、FIRLペプチド模倣物(配列番号114)が挙げられる。理論によって制限されるものではないが、FIRL(配列番号114)は、外膜タンパク質の生合成に関与するタンパク質であるBamDの配列に関連し、抗生物質に対する外膜の透過性を増加させるようである。提案される機構に関する更なる情報は、例えば、Mori et al., Journal of Antimicrobial Chemotherapy, 2012, 67: 2173-2181に見られ、この文献はその全体が引用することにより本明細書の一部
をなす。
【0105】
本開示の溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトに組み込まれ得る、抗生物質にグラム陰性細菌を感作するのに有用な他の合成ペプチドは、Vaara and Porro, Antimicrobial agents and Chemotherapy, 1996, 1801-1805(その全体が引用することにより本明細
書の一部をなす)に記載される、カチオン性ペプチドKFFKFFKFFK(配列番号120)を含む。
【0106】
幾つかの実施形態では、合成ペプチドは、例えば、Monhanram et al., Biopolymers, 2016, 106:345-346(その全体が引用することにより本明細書の一部をなす)に記載されるように、塩及び血清非働化に耐性である。特に望ましい耐塩性及び血清耐性の合成ペプチドとしては、RR12Whydro(配列番号110)及びRI18ペプチド誘導体(配列番号131)が挙げられる。
【0107】
構造安定化成分
幾つかの実施形態では、本開示の溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトは、コンストラクトにおいて第1の成分及び/又は第2の成分、例えば溶解素及び/又はAMPの構造の少なくとも一部を、コンジュゲートされていない溶解素及び/又はAMPの場合と実質的に同じに維持する少なくとも1つの構造安定化成分を更に含む。幾つかの実施形態では、安定化構造はリンカーである。典型的には、リンカー等の少なくとも1つの構造安定化成分により溶解素及びAMPが第1のタンパク質部分及び/又は第2のタンパク質部分の三次元構造を実質的に保存することができ、溶解素及び/又はAMPの少なくとも1つの生物学的活性が保持される。
【0108】
2つのポリペプチドを接続するのに適したリンカーは、当該技術分野で既知である。或る特定の実施形態では、リンカーは、グリシン残基及びセリン残基を含むペプチド等のペプチドである。具体的な好適なリンカーとしては、限定されるものではないが、TAGGTAGGリンカー(配列番号72)、IGEMリンカーGGSGSGSGSGSP(BBa_K1485002)(配列番号82)、GGGSGGGGSGGGS(BBA_K1486037)(配列番号86)、又はBriers et al., mBio, 2014, 5:e01379-14(その全体が引用することにより本明細書の一部をなす)に記載されるリンカー、すなわちAGAGAGAGAGAGAGAGAS(配列番号122)が挙げられる。
【0109】
幾つかの実施形態では、構造安定化成分はペプチド部分、例えば、RPP部分又はPP部分である。かかるペプチド部分は、溶解素及び/又はAMPタンパク質部分の構造を維持することを補助する本溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトに含まれ得る。例えば、RPP又はPPのアミノ酸は、リンカーのC末端又はN末端、
例えばBBA_K1486037リンカー
(配列番号12の残基126~141)
のN末端、
BBA_K1486037リンカー
(配列番号16の残基144~158)
のN末端、
TAGGTAGGリンカー(配列番号72)(例えば、配列番号18の残基137~144に示される)のN末端、
又はBBA_K1486037リンカー
(配列番号20の残基135~149)
のC末端
に挿入され得る。
【0110】
他の実施形態では、ペプチドMIDR(配列番号112)及び/又はNPTH(配列番号116)は、溶解素及び/又はAMPタンパク質部分の構造を維持するのを補助するためにコンストラクトに含まれる。例えば、幾つかの実施形態では、FIRL(配列番号114)等のAMP構造は、配列番号46の残基1~12
及び配列番号44の残基1~26に示されるようなMIDR(配列番号112)及び/又はNPTH(配列番号116)の付加によって維持される。
【0111】
溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトの例
幾つかの実施形態では、溶解素-AMPコンストラクトは、
(a)第1の成分であって、
(i)GN76(配列番号203)、GN4(配列番号74)、GN146(配列番号78)、GN14(配列番号124)、任意に単一のpI増加突然変異を有するGN37(配列番号84)、任意に単一の点突然変異を有するGN316(配列番号22)、溶解素Pap2_gp17(配列番号96)、GN329(配列番号26)、GN424(配列番号56)、GN202(配列番号118)、GN425(配列番号58)、GN428(配列番号60)、GN431(配列番号64)、GN486(配列番号66)、GN333(配列番号28)、GN485(配列番号68)、GN123(配列番号173)及びGN121(配列番号175)からなる群から選択される少なくとも1つの溶解素、又は、
(ii)溶解素活性を有し、配列番号203、配列番号74、配列番号78、配列番号124、配列番号84、配列番号22、配列番号96、配列番号26、配列番号56、配列番号118、配列番号58、配列番号60、配列番号64、配列番号66、配列番号28、配列番号68、配列番号173若しくは配列番号175のいずれかのポリペプチド配列と少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%、若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチド、又は、
(iii)溶解素の活性フラグメントであって、存在する場合は単一の点突然変異及び/又は単一のpI増加突然変異を含む、フラグメント、
を含む、第1の成分と、
(b)第2の成分であって、
(i)Chp1(配列番号133)、Chp2(配列番号70)、CPAR39(配列番号135)、Chp3(配列番号137)、Chp4(配列番号102)、Chp6(配列番号106)、Chp7(配列番号139)、Chp8(配列番号141)、Chp9(配列番号143)、Chp10(配列番号145)、Chp11(配列番号147)、Chp12(配列番号149)、Gkh1(配列番号151)、Gkh2(配列番号90)、Unp1(配列番号153)、Ecp1(配列番号155)、Ecp2(配列番号104)、Tma1(配列番号157)、Osp1(配列番号108)、Unp2(配列番号159)、Unp3(配列番号161)、Gkh3(配列番号163)、Unp5(配列番号165)、Unp6(配列番号167)、Spi1(配列番号169)、Spi2(配列番号171)、Ecp3(配列番号177)、Ecp4(配列番号179)、ALCES1(配列番号181)、AVQ206(配列番号183)、AVQ244(配列番号185)、CDL907(配列番号187)、AGT915(配列番号189)、HH3930(配列番号191)、Fen7875(配列番号193)、SBR77(配列番号195)、Bdp1(配列番号197)、LVP1(配列番号199)、Lvp2(配列番号201)、エスクレンチンフラグメント(配列番号80)、RI12(配列番号88)、TI15(配列番号94)、RI18(配列番号92)、FIRL(配列番号114)、LPS結合タンパク質のフラグメント(配列番号76)、RR12whydro(配列番号110)、RI18ペプチド誘導体(配列番号131)及びカチオン性ペプチド(配列番号120)からなる群から選択される少なくとも1つの抗微生物ペプチド(AMP)、又は、
(ii)AMP活性を有し、配列番号133、配列番号70、配列番号135、配列番号137、配列番号102、配列番号106、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号90、配列番号153、配列番号155、配列番号104、配列番号157、配列番号108、配列番号159、配列番号161、配列番号163、配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171、配列番号177、配列番号179、配列番
号181、配列番号183、配列番号185、配列番号187、配列番号189、配列番号191、配列番号193、配列番号195、配列番号197、配列番号199、配列番号201、配列番号80、配列番号88、配列番号94、配列番号92、配列番号114、配列番号76、配列番号110、配列番号131及び配列番号120の少なくとも1つに少なくとも80%同一であるポリペプチド、
を含む、第2の成分と、
を含む。
【0112】
典型的には、開示されるAMP又はそのフラグメントと少なくとも80%以上の同一性を共有するAMP変異体のいずれかは、そのα-ヘリックス構造及び活性に関連する任意の残基を保持する。例えば、前述のように、PMAP-36のフラグメント(配列番号204)は、典型的には、23位に疎水性アミノ酸(Trp)を保持する。
【0113】
幾つかの実施形態では、GN37(配列番号84)は単一のpI増加突然変異を含み、単一のpI増加突然変異を有するGN37(配列番号84)はGN217(配列番号8)である。幾つかの実施形態では、GN316(配列番号22)は単一の点突然変異を含み、単一の点突然変異を有するGN37(配列番号84)は、GN396(配列番号50)、GN408(配列番号52)、GN418(配列番号54)及び/又はGN394(配列番号48)である。
【0114】
幾つかの実施形態では、コンストラクトは、少なくとも1つの構造安定化成分を更に含む。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの構造安定化成分は、グリシン残基及びセリン残基を含むペプチド等のペプチドリンカーである。或る特定の実施形態では、ペプチドリンカーは、TAGGTAGG(配列番号72)、IGEM(BBa_K1485002)(配列番号82)、PPTAGGTAGG(配列番号98)、IGEM+PP(配列番号16の残基44~58)及びAGAGAGAGAGAGAGAGAS(配列番号122)からなる群から選択される。
【0115】
幾つかの実施形態では、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトは、GN168溶解素(配列番号2)、GN176溶解素(配列番号4)、GN178溶解素(配列番号6)、GN218溶解素(配列番号10)、GN223溶解素(配列番号12)、GN239溶解素(配列番号14)、GN243溶解素(配列番号16)、GN280溶解素(配列番号18)、GN281溶解素(配列番号20)、GN349溶解素(配列番号30)、GN351溶解素(配列番号32)、GN352溶解素(配列番号34)、GN353溶解素(配列番号36)、GN357溶解素(配列番号38)、GN359溶解素(配列番号40)、GN369溶解素(配列番号42)、GN370溶解素(配列番号44)、GN371溶解素(配列番号46)若しくはGN93溶解素(配列番号62)の少なくとも1つ、又は溶解素活性を有し、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46若しくは配列番号62の少なくとも1つのポリペプチド配列と少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドから選択される。
【0116】
より詳しくは、幾つかの実施形態では、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトは、GN168溶解素(配列番号2)を生成するために、GN4溶解素(配列番号74)にN末端で導入されたChp2アムリンポリペプチド(配列番号70)及びTAGGTAGGリンカー(配列番号72)を含むか、又は溶解素活性を有し、配列番号2に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、
例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。
【0117】
幾つかの実施形態では、コードされる溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトは、GN176溶解素(配列番号4)を生成するために、GN146溶解素(配列番号78)にN末端で導入されたLPS結合タンパク質のフラグメント(配列番号76)及びTAGGTAGGリンカー(配列番号72)を含むか、又は溶解素活性を有し、配列番号4に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。
【0118】
幾つかの実施形態では、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトは、GN178溶解素(配列番号6)を生成するために、GN146溶解素(配列番号78)にN末端で導入されたエスクリンチンフラグメント(配列番号80)及びIGEMリンカー(配列番号82)を含むか、又は配列番号6に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。
【0119】
幾つかの実施形態では、コードされる溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトは、GN218溶解素(配列番号10)を生成するために、GN37溶解素(配列番号84)にC末端で導入されたIGEMリンカー(配列番号86)及びRI12抗微生物ペプチド(配列番号88)を含むか、又は溶解素活性を有し、配列番号10に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。
【0120】
幾つかの実施形態では、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトは、GN223溶解素(配列番号12)を生成するために、GN37溶解素(配列番号84)にC末端で導入された、RPP部分と、IGEMリンカー(配列番号86)と、抗微生物アムリンペプチドGkh2(配列番号90)とを含むか、又は溶解素活性を有し、配列番号12に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。
【0121】
幾つかの実施形態では、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトは、GN239溶解素(配列番号14)を生成するために、GN37溶解素(配列番号84)にC末端で導入されたIGEMリンカー(配列番号86)及びRI18ペプチド(配列番号92)を含むか、又は溶解素活性を有し、配列番号14に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。
【0122】
幾つかの実施形態では、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトは、GN243溶解素(配列番号16)を生成するために、GN37溶解素(配列番号84)にC末端で導入された、PPアミノ酸部分と、IGEMリンカー(配列番号86)と、TI15ペプチド(配列番号94)とを含むか、又は溶解素活性を有し、配列番号16に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。
【0123】
幾つかの実施形態では、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトは、GN280溶
解素(配列番号18)を生成するために、溶解素PaP2_gp17(配列番号96)にC末端で導入された、RI18抗微生物ペプチド(配列番号92)と、アミノ酸配列PPTAGGTAGGを有するリンカー(配列番号98)と、TI15抗微生物ペプチド(配列番号94)とを含むか、又は溶解素活性を有し、配列番号18に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。
【0124】
幾つかの実施形態では、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトは、GN281溶解素(配列番号20)を生成するために、溶解素PaP2_gp17(配列番号96)にC末端で導入された、RI18ペプチド(配列番号92)と、IGEMリンカー(配列番号86)と、PPアミノ酸部分(溶解素及び/又はAMPの構造を維持するために付加される)と、TI15ペプチド(配列番号94)とを含むか、又は溶解素活性を有し、配列番号20に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。
【0125】
幾つかの実施形態では、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトは、GN349溶解素(配列番号30)を生成するために、GN316溶解素(配列番号22)にC末端で導入されたアミノ酸配列TAGGTAGGを有するリンカー(配列番号72)及びアムリンペプチドChp4(配列番号102)を含むか、又は溶解素活性を有し、配列番号30に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。
【0126】
幾つかの実施形態では、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトは、GN351溶解素(配列番号32)を生成するために、GN316溶解素(配列番号22)にC末端で導入されたアミノ酸配列TAGGTAGGを有するリンカー(配列番号72)及びアムリンペプチドEcp2(配列番号104)を含むか、又は溶解素活性を有し、配列番号32に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。
【0127】
幾つかの実施形態では、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトは、GN352溶解素(配列番号34)を生成するために、GN316溶解素(配列番号22)にC末端で導入されたアミノ酸配列TAGGTAGGを有するリンカー(配列番号72)及びアムリンペプチドChp7(配列番号139)を含むか、又は溶解素活性を有し、配列番号34に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。
【0128】
幾つかの実施形態では、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトは、GN353溶解素(配列番号36)を生成するために、GN316溶解素(配列番号22)にC末端で導入されたアミノ酸配列TAGGTAGGを有するリンカー(配列番号72)及びアムリンペプチドOsp1(配列番号108)を含むか、又は溶解素活性を有し、配列番号36に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。
【0129】
幾つかの実施形態では、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトは、GN357溶
解素(配列番号38)を生成するために、GN316溶解素(配列番号22)にC末端で導入されたアミノ酸配列TAGGTAGGを有するリンカー(配列番号72)及びRR12Whydro(配列番号110)を含むか、又は溶解素活性を有し、配列番号38に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。
【0130】
幾つかの実施形態では、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトは、GN359溶解素(配列番号40)を生成するために、GN316溶解素(配列番号22)にC末端で導入されたアミノ酸配列TAGGTAGGを有するリンカー(配列番号72)及びPMAP-36のTI15ペプチド誘導体(配列番号94)を含むか、又は溶解素活性を有し、配列番号40に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。
【0131】
幾つかの実施形態では、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトは、GN369溶解素(配列番号42)を生成するために、GN316溶解素(配列番号22)にC末端で導入されたRR18(配列番号92)を含むか、又は溶解素活性を有し、配列番号42に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。
【0132】
幾つかの実施形態では、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトは、GN370溶解素(配列番号44)を生成するために、GN202溶解素(配列番号118)にN末端で導入された、MIDR部分(配列番号112)と、FIRL部分(配列番号114)と、NPTH部分(配列番号116)とを含むか、又は溶解素活性を有し、配列番号44に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。
【0133】
幾つかの実施形態では、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトは、GN371溶解素(配列番号46)を生成するために、GN146溶解素(配列番号78)にC末端で導入された、MIDR部分(配列番号112)と、FIRL(配列番号114)と、NPTH部分(配列番号116)とを含むか、又は溶解素活性を有し、配列番号46に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。
【0134】
幾つかの実施形態では、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトは、GN93溶解素(配列番号62)を生成するために、GN14溶解素(配列番号124)にN末端で導入されたカチオン性ポリペプチド(配列番号120)及びリンカードメイン(配列番号122)を含むか、又は溶解素活性を有し、配列番号62に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。
【0135】
下記表1は、本明細書に記載される溶解素及び溶解素-AMPコンストラクトの具体例を示す。コンストラクトのAMP部分はGN168(配列番号2)、GN176(配列番号4)、GN178(配列番号6)、GN370(配列番号44)、GN371(配列番号46)及びGN93(配列番号62)では、二重下線で示される。他のコンストラクトではいずれも、二重下線は溶解素に対応する。リンカー等の構造安定化成分はイタリック
体で示される。GN486(配列番号66)に対する精製タグはイタリック体の太字である。単一の点突然変異は太字である。
【0136】
【0137】
幾つかの実施形態では、本開示の溶解素及び/又は溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトは化学的に修飾される。化学修飾としては、限定されるものではないが、化学部分を付加すること、新たな結合を作製すること、及び化学部分を除去することが挙げられる。化学修飾は、アミノ酸側鎖、及びアミノ末端又はカルボキシル末端を含む溶解素及び/又は溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトのどこでも起こり得る。例えば、或る特定の実施形態では、溶解素又は溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトは、N末端アセチル化修飾を含む。或る特定の実施形態では、溶解素又は溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトは、C末端アミド化修飾を含む。かかる修飾は、溶解素及び/又は溶解素-AMPポリペプチドコンストラクト内の2つ以上の部位に存在し得る。
【0138】
さらに、溶解素及び/又は溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトの1つ以上の側鎖基又は末端基は、当業者に既知の保護基によって保護され得る。
【0139】
幾つかの実施形態では、溶解素及び/又は溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトは、持続期間延長(duration enhancing)部分にコンジュゲートされる。幾つかの実施形態では、持続時間延長部分はポリエチレングリコールである。ポリエチレングリコール(「PEG」)は、持続期間が延長された治療用ポリペプチドを得るために使用されている(Zalipsky, S., Bioconjugate Chemistry, 6:150-165 (1995)、Mehvar, R., J. Pharm. Pharmaceut. Sci., 3:125-136 (2000)、それらの全体が引用することにより本明細書の一部をなす)。PEG骨格(CHCH-O-)(ここで、nは繰り返しモノマーの数である)は、柔軟で両親媒性である。溶解素及び/又は溶解素-AMPポリペプチドコンストラクト等の別の化学成分に付着すると、PEGポリマー鎖は、免疫応答及び他のクリアランス機構からかかるポリペプチドを保護することができる。その結果、ペグ化は、薬物動態を最適化し、バイオアベイラビリティを高め、免疫原性及び投薬の量及び/又は頻度を減少させることによって、有効性及び安全性の向上につなげることができる。
【0140】
ポリヌクレオチド
一態様では、本開示は、本明細書に記載される溶解素、変異型溶解素、その活性フラグメント又は誘導体をコードする核酸分子を含む単離ポリヌクレオチドに関する。幾つかの実施形態では、単離ポリヌクレオチド配列はDNA配列である。他の実施形態では、単離
ポリヌクレオチドはcDNA配列である。
【0141】
幾つかの実施形態では、単離ポリヌクレオチドは、本明細書に記載の溶解素、変異型溶解素、その活性フラグメント又は誘導体と少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%又は例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子を含み、ここで、コードされるポリペプチドは、ヒト血清の不在下若しくは存在下、又はヒト血清の有無にかかわらず、又は肺サーファクタントの存在下で、シュードモナス・エルギノーサ及び任意に本明細書に記載されるグラム陰性細菌の少なくとも1つの他の種の増殖を阻害するか、又はその菌数を減少させるか、又はそれを死滅させる。
【0142】
幾つかの実施形態では、単離ポリヌクレオチドは、GN217(配列番号8)、GN316変異体(配列番号24)、GN316(配列番号22)、GN329(配列番号26)、GN333(配列番号28)、GN394(配列番号48)、GN396(配列番号50)、GN408(配列番号52)、GN418(配列番号54)、GN424(配列番号56)、GN425(配列番号58)、GN428(配列番号60)、GN431(配列番号64)、GN486(配列番号66)、GN485(配列番号68)、溶解素PaP2_gp17(配列番号96)、GN123(配列番号173)若しくはGN121(配列番号175)、又は変異体、又はその活性フラグメント、又は誘導体から選択される溶解素をコードする核酸分子を含み、ここで、単離ポリヌクレオチドにコードされる溶解素変異体、又はその活性フラグメント、又は誘導体は、ヒト血清の不在下若しくは存在下、又はヒト血清の有無にかかわらず、又は肺サーファクタントの存在下で、シュードモナス・エルギノーサ及び任意にグラム陰性細菌の少なくとも1つの他の種の増殖を阻害するか、又はその菌数を減少させるか、又はそれを死滅させる。或る特定の実施形態では、単離ポリヌクレオチドは、配列番号8、配列番号24、配列番号22、配列番号26、配列番号28、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号96、配列番号173及び配列番号175の少なくとも1つに対して、少なくとも1つのアミノ酸の置換、挿入又は欠失等の少なくとも1つの修飾を含む、溶解素、変異体、又はその活性フラグメント、又は誘導体をコードする核酸分子を含む。或る特定の実施形態では、単離ポリヌクレオチドは、配列番号7、配列番号23、配列番号21、配列番号25、配列番号27、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号95、配列番号172及び配列番号174のそれぞれ、その相補物、又は配列番号7、配列番号23、配列番号21、配列番号25、配列番号27、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号95、配列番号172及び配列番号174の1つに少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列、若しくはその相補物からなる群から選択される核酸配列を含み、ここで、コードされるポリペプチドは、ヒト血清の不在下若しくは存在下、又はヒト血清の有無にかかわらず、又は肺サーファクタントの存在下で、シュードモナス・エルギノーサ及び任意にグラム陰性細菌の少なくとも1つの他の種の増殖を阻害するか、又はその菌数を減少させるか、又はそれを死滅させる。
【0143】
幾つかの実施形態では、単離ポリヌクレオチドは、GN217溶解素(配列番号8)、GN394溶解素(配列番号48)、GN396溶解素(配列番号50)、GN408溶解素(配列番号52)、GN418溶解素(配列番号54)及びGN486(配列番号66)、又は変異体、又はその活性フラグメント、又は誘導体の少なくとも1つから選択される溶解素をコードする核酸分子を含む。或る特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは
、配列番号7、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53及び配列番号65、その相補物、又は配列番号77、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53若しくは配列番号65の1つに少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有する核酸、又はその相補物からなる群から選択される核酸配列を含み、ここで、コードされるポリペプチドは、ヒト血清の不在下若しくは存在下、又はヒト血清の有無にかかわらず、又は肺サーファクタントの存在下で、シュードモナス・エルギノーサ及び任意にグラム陰性細菌の少なくとも1つの他の種の増殖を阻害するか、又はその菌数を減少させるか、又はそれを死滅させる。
【0144】
幾つかの実施形態では、単離ポリヌクレオチドは、GN316(配列番号22)、GN329(配列番号26)、GN333(配列番号28)、GN424(配列番号56)、GN425(配列番号58)、GN428(配列番号60)、GN431(配列番号64)、GN485(配列番号68)、又は変異体、又はその活性フラグメント、又は誘導体の少なくとも1つから選択される溶解素をコードする核酸分子を含み、ここで、コードされるポリペプチドは、ヒト血清の不在下若しくは存在下、又はヒト血清の有無にかかわらず、又は肺サーファクタントの存在下で、シュードモナス・エルギノーサ及び任意にグラム陰性細菌の少なくとも1つの他の種の増殖を阻害するか、又はその菌数を減少させるか、又はそれを死滅させる。或る特定の実施形態では、変異体、その活性フラグメント又は誘導体は、配列番号22、配列番号26、配列番号28、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号64又は配列番号68の少なくとも1つに対して、少なくとも1つのアミノ酸の置換、挿入又は欠失等の少なくとも1つの修飾を含む。或る特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号21、配列番号25、配列番号27、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号63及び配列番号67、その相補物、又は配列番号21、配列番号25、配列番号27、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号63若しくは配列番号67の1つに少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有する核酸、若しくはその相補物からなる群から選択される核酸配列を含み、ここで、コードされるポリペプチドは、ヒト血清の不在下若しくは存在下、又はヒト血清の有無にかかわらず、又は肺サーファクタントの存在下で、シュードモナス・エルギノーサ及び任意にグラム陰性細菌の少なくとも1つの他の種の増殖を阻害するか、又はその菌数を減少させるか、又はそれを死滅させる。
【0145】
別の態様では、本開示は、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトをコードする核酸分子を含む単離ポリヌクレオチドであって、
(a)第1の核酸分子であって、
(i)GN76(配列番号203)、GN4(配列番号74)、GN146(配列番号78)、GN14(配列番号124)、任意に単一のpI増加突然変異を有するGN37(配列番号84)、任意に単一の点突然変異を有するGN316(配列番号22)、溶解素Pap2_gp17(配列番号96)、GN329(配列番号26)、GN424(配列番号56)、GN202(配列番号118)、GN425(配列番号58)、GN428(配列番号60)、GN431(配列番号64)、GN486(配列番号66)、GN333(配列番号28)、及びGN485(配列番号68)、GN123(配列番号173)、及びGN121(配列番号175)からなる群から選択される溶解素、又は、
(ii)溶解素活性を有し、配列番号203、配列番号74、配列番号78、配列番号124、配列番号84、配列番号22、配列番号96、配列番号26、配列番号56、配列番号118、配列番号58、配列番号60、配列番号64、配列番号66、配列番号28、配列番号68、配列番号173又は配列番号175の少なくとも1つに少なくとも80%同一であるポリペプチド、又は、
(iii)溶解素の活性フラグメント、
を含む第1の成分をコードする、第1の核酸分子と、
(b)第2の核酸分子であって、
(i)Chp1(配列番号133)、Chp2(配列番号70)、CPAR39(配列番号135)、Chp3(配列番号137)、Chp4(配列番号102)、Chp6(配列番号106)、Chp7(配列番号139)、Chp8(配列番号141)、Chp9(配列番号143)、Chp10(配列番号145)、Chp11(配列番号147)、Chp12(配列番号149)、Gkh1(配列番号151)、Gkh2(配列番号90)、Unp1(配列番号153)、Ecp1(配列番号155)、Ecp2(配列番号104)、Tma1(配列番号157)、Osp1(配列番号108)、Unp2(配列番号159)、Unp3(配列番号161)、Gkh3(配列番号163)、Unp5(配列番号165)、Unp6(配列番号167)、Spi1(配列番号169)、Spi2(配列番号171)、Ecp3(配列番号177)、Ecp4(配列番号179)、ALCES1(配列番号181)、AVQ206(配列番号183)、AVQ244(配列番号185)、CDL907(配列番号187)、AGT915(配列番号189)、HH3930(配列番号191)、Fen7875(配列番号193)、SBR77(配列番号195)、Bdp1(配列番号197)、LVP1(配列番号199)、Lvp2(配列番号201)、エスクレンチンフラグメント(配列番号80)、RI12(配列番号88)、TI15(配列番号94)、RI18(配列番号92)、FIRL(配列番号114)、LPS結合タンパク質のフラグメント(配列番号76)、RR12whydro(配列番号110)、RI18ペプチド誘導体(配列番号131)及びカチオン性ペプチド(配列番号120)からなる群から選択される少なくとも1つの抗微生物ペプチド(AMP)、又は、
(ii)AMP活性を有し、配列番号133、配列番号70、配列番号135、配列番号137、配列番号102、配列番号106、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号90、配列番号153、配列番号155、配列番号104、配列番号157、配列番号108、配列番号159、配列番号161、配列番号163、配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171、配列番号177、配列番号179、配列番号181、配列番号183、配列番号185、配列番号187、配列番号189、配列番号191、配列番号193、配列番号195、配列番号197、配列番号199、配列番号201、配列番号80、配列番号88、配列番号94、配列番号92、配列番号114、配列番号76、配列番号110、配列番号131及び配列番号120の少なくとも1つに少なくとも80%同一であるポリペプチド、
を含む第2の成分をコードする、第2の核酸分子と、
を含む、単離ポリヌクレオチドに関する。
【0146】
幾つかの実施形態では、本開示の単離ポリヌクレオチドは、溶解素-AMPコンストラクトの第1の成分をコードする核酸分子を含み、ここで、第1の成分は、GN394(配列番号48)、GN396(配列番号50)、GN408(配列番号52)及びGN418(配列番号54)からなる群から選択される。
【0147】
幾つかの実施形態では、本開示の単離ポリヌクレオチドは、溶解素-AMPコンストラクトの第2の成分をコードする核酸分子を含み、ここで、第2の成分は、Chp1(配列番号133)、Chp2(配列番号70)、CPAR39(配列番号135)、Chp3(配列番号137)、Chp4(配列番号102)、Chp6(配列番号106)、Chp7(配列番号139)、Chp8(配列番号141)、Chp9(配列番号143)、Chp10(配列番号145)、Chp11(配列番号147)、Chp12(配列番号149)、Gkh1(配列番号151)、Gkh2(配列番号90)、Unp1(配列番号153)、Ecp1(配列番号155)、Ecp2(配列番号104)、Tma1(配列番号157)、Osp1(配列番号108)、Unp2(配列番号159)、Unp3
(配列番号161)、Gkh3(配列番号163)、Unp5(配列番号165)、Unp6(配列番号167)、Spi1(配列番号169)、Spi2(配列番号171)、Ecp3(配列番号177)、Ecp4(配列番号179)、ALCES1(配列番号181)、AVQ206(配列番号183)、AVQ244(配列番号185)、CDL907(配列番号187)、AGT915(配列番号189)、HH3930(配列番号191)、Fen7875(配列番号193)、SBR77(配列番号195)、Bdp1(配列番号197)、LVP1(配列番号199)、Lvp2(配列番号201)、エスクレンチンフラグメント(配列番号80)、RI12(配列番号88)、TI15(配列番号94)、RI18(配列番号92)、FIRL(配列番号114)、LPS結合タンパク質のフラグメント(配列番号76)、RR12whydro(配列番号110)、RI18ペプチド誘導体(配列番号131)及びカチオン性ペプチド(配列番号120)、又は(ii)AMP活性を有し、配列番号133、配列番号70、配列番号135、配列番号137、配列番号102、配列番号106、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号90、配列番号153、配列番号155、配列番号104、配列番号157、配列番号108、配列番号159、配列番号161、配列番号163、配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171、配列番号177、配列番号179、配列番号181、配列番号183、配列番号185、配列番号187、配列番号189、配列番号191、配列番号193、配列番号195、配列番号197、配列番号199、配列番号201、配列番号80、配列番号88、配列番号94、配列番号92、配列番号114、配列番号76、配列番号110、配列番号131及び配列番号120の少なくとも1つに少なくとも80%同一であるポリペプチドからなる群から選択される。
【0148】
幾つかの実施形態では、本開示の単離ポリヌクレオチドは、コンストラクトにおいて第1の成分及び/又は第2の成分の構造の少なくとも一部を、コンジュゲートされていない溶解素及び/又はAMPの場合と実質的に同じに維持するための溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトの少なくとも1つの構造安定化成分をコードする核酸分子を更に含む。幾つかの実施形態では、本単離ポリヌクレオチドは、少なくとも1つの構造安定化成分をコードする核酸分子を含み、ここで、少なくとも1つの構造安定化成分は、グリシン残基及び/又はセリン残基を含むペプチド等のペプチドである。一実施形態では、ペプチドは、TAGGTAGG(配列番号72)、IGEM(BBa_K1485002)(配列番号82)、PPTAGGTAGG(配列番号98)、IGEM+PP(配列番号16の残基44~58)及びAGAGAGAGAGAGAGAGAS(配列番号122)からなる群から選択される。
【0149】
より詳しくは、幾つかの実施形態では、単離ポリヌクレオチドは、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクト(ここで、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトはGN168溶解素(配列番号2)である)、又は溶解素活性を有し、配列番号2に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子を含む。
【0150】
幾つかの実施形態では、GN168溶解素をコードする核酸分子は、配列番号1の核酸配列、その相補物、又は溶解素活性を有し、配列番号1に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸配列、若しくはその相補物を含む。
【0151】
幾つかの実施形態では、単離ポリヌクレオチドは、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトをコードする核酸分子(ここで、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトは
GN176溶解素(配列番号4)である)を含むか、又は溶解素活性を有し、配列番号4に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子を含む。
【0152】
幾つかの実施形態では、GN176溶解素をコードする核酸分子は、配列番号3の核酸配列、その相補物、又は溶解素活性を有し、配列番号3に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸配列、若しくはその相補物を含む。
【0153】
幾つかの実施形態では、単離ポリヌクレオチドは、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトをコードする核酸分子(ここで、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトはGN178溶解素(配列番号6)である)を含むか、又は配列番号6に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含む。
【0154】
幾つかの実施形態では、GN178溶解素をコードする核酸分子は、配列番号5の核酸配列、その相補物、又は溶解素活性を有し、配列番号5に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸配列、若しくはその相補物を含む。
【0155】
幾つかの実施形態では、単離ポリヌクレオチドは、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトをコードする核酸分子(ここで、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトはGN218溶解素(配列番号10)である)を含むか、又は溶解素活性を有し、配列番号10に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子を含む。
【0156】
幾つかの実施形態では、GN218溶解素をコードする核酸分子は、配列番号9の核酸配列、その相補物、又は溶解素活性を有し、配列番号9に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸配列、若しくはその相補物を含む。
【0157】
幾つかの実施形態では、単離ポリヌクレオチドは、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトをコードする核酸分子(ここで、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトはGN223溶解素(配列番号12)である)を含むか、又は溶解素活性を有し、配列番号12に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子を含む。
【0158】
幾つかの実施形態では、GN223溶解素をコードする核酸分子は、配列番号11の核酸配列、その相補物、又は溶解素活性を有し、配列番号11に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸配列、若しくはその相補物を含む。
【0159】
幾つかの実施形態では、単離ポリヌクレオチドは、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトをコードする核酸分子(ここで、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトはGN239溶解素(配列番号14)である)を含むか、又は溶解素活性を有し、配列番号14に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子を含む。
【0160】
幾つかの実施形態では、GN239溶解素をコードする核酸分子は、配列番号13の核酸配列、その相補物、又は溶解素活性を有し、配列番号13に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸配列、若しくはその相補物を含む。
【0161】
幾つかの実施形態では、単離ポリヌクレオチドは、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトをコードする核酸分子(ここで、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトはGN243溶解素(配列番号16)である)を含むか、又は溶解素活性を有し、配列番号16に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子を含む。
【0162】
幾つかの実施形態では、GN243溶解素をコードする核酸分子は、配列番号15の核酸配列、その相補物、又は溶解素活性を有し、配列番号15に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸配列、若しくはその相補物を含む。
【0163】
幾つかの実施形態では、単離ポリヌクレオチドは、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトをコードする核酸分子(ここで、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトはGN280溶解素(配列番号18)である)を含むか、又は溶解素活性を有し、配列番号18に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子を含む。
【0164】
幾つかの実施形態では、GN280溶解素をコードする核酸分子は、配列番号17の核酸配列、その相補物、又は溶解素活性を有し、配列番号17に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸配列、若しくはその相補物を含む。
【0165】
幾つかの実施形態では、単離ポリヌクレオチドは、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトをコードする核酸分子(ここで、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトはGN281溶解素(配列番号20)である)を含むか、又は溶解素活性を有し、配列番号20に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子を含む。
【0166】
幾つかの実施形態では、GN281溶解素をコードする核酸分子は、配列番号19の核酸配列、その相補物、又は溶解素活性を有し、配列番号19に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードす
る核酸配列、若しくはその相補物を含む。
【0167】
幾つかの実施形態では、単離ポリヌクレオチドは、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトをコードする核酸分子(ここで、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトはGN349溶解素(配列番号30)である)を含むか、又は溶解素活性を有し、配列番号30に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子を含む。
【0168】
幾つかの実施形態では、GN349溶解素をコードする核酸分子は、配列番号29の核酸配列、その相補物、又は溶解素活性を有し、配列番号29に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸配列、若しくはその相補物を含む。
【0169】
幾つかの実施形態では、単離ポリヌクレオチドは、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトをコードする核酸分子(ここで、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトはGN351溶解素(配列番号32)である)を含むか、又は溶解素活性を有し、配列番号32に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子を含む。
【0170】
幾つかの実施形態では、GN351溶解素をコードする核酸分子は、配列番号31の核酸配列、その相補物、又は溶解素活性を有し、配列番号31に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸配列、若しくはその相補物を含む。
【0171】
幾つかの実施形態では、単離ポリヌクレオチドは、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトをコードする核酸分子(ここで、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトはGN352溶解素(配列番号34)である)を含むか、又は溶解素活性を有し、配列番号34に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子を含む。
【0172】
幾つかの実施形態では、GN352溶解素をコードする核酸分子は、配列番号33の核酸配列、その相補物、又は溶解素活性を有し、配列番号33に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸配列、若しくはその相補物を含む。
【0173】
幾つかの実施形態では、単離ポリヌクレオチドは、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトをコードする核酸分子(ここで、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトはGN353溶解素(配列番号36)である)を含むか、又は溶解素活性を有し、配列番号36に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子を含む。
【0174】
幾つかの実施形態では、GN353溶解素をコードする核酸分子は、配列番号35の核酸配列、その相補物、又は溶解素活性を有し、配列番号35に少なくとも80%、例えば
少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸配列、若しくはその相補物を含む。
【0175】
幾つかの実施形態では、単離ポリヌクレオチドは、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトをコードする核酸分子(ここで、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトはGN357溶解素(配列番号38)である)を含むか、又は溶解素活性を有し、配列番号38に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子を含む。
【0176】
幾つかの実施形態では、GN357溶解素をコードする核酸分子は、配列番号37の核酸配列、その相補物、又は溶解素活性を有し、配列番号37に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸配列、若しくはその相補物を含む。
【0177】
幾つかの実施形態では、単離ポリヌクレオチドは、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトをコードする核酸分子(ここで、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトはGN359溶解素(配列番号40)である)を含むか、又は溶解素活性を有し、配列番号40に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子を含む。
【0178】
幾つかの実施形態では、GN359溶解素をコードする核酸分子は、配列番号39の核酸配列、その相補物、又は溶解素活性を有し、配列番号39に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸配列、若しくはその相補物を含む。
【0179】
幾つかの実施形態では、単離ポリヌクレオチドは、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトをコードする核酸分子(ここで、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトはGN369溶解素(配列番号42)である)を含むか、又は溶解素活性を有し、配列番号42に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子を含む。
【0180】
幾つかの実施形態では、GN369溶解素をコードする核酸分子は、配列番号41の核酸配列、その相補物、又は溶解素活性を有し、配列番号41に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸配列、若しくはその相補物を含む。
【0181】
幾つかの実施形態では、単離ポリヌクレオチドは、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトをコードする核酸分子(ここで、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトはGN370溶解素(配列番号44)である)を含むか、又は溶解素活性を有し、配列番号44に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子を含む。
【0182】
幾つかの実施形態では、GN370溶解素をコードする核酸分子は、配列番号43の核酸配列、その相補物、又は溶解素活性を有し、配列番号43に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸配列、若しくはその相補物を含む。
【0183】
幾つかの実施形態では、単離ポリヌクレオチドは、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトをコードする核酸分子(ここで、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトはGN371溶解素(配列番号46)である)を含むか、又は溶解素活性を有し、配列番号46に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子を含む。
【0184】
幾つかの実施形態では、GN371溶解素をコードする核酸分子は、配列番号45の核酸配列、その相補物、又は溶解素活性を有し、配列番号45に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸配列、若しくはその相補物を含む。
【0185】
幾つかの実施形態では、単離ポリヌクレオチドは、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトをコードする核酸分子(ここで、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトはGN93溶解素(配列番号62)である)を含むか、又は溶解素活性を有し、配列番号62に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子を含む。
【0186】
幾つかの実施形態では、GN93溶解素をコードする核酸分子は、配列番号61の核酸配列、その相補物、又は溶解素活性を有し、配列番号61に少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも98%若しくは例えば少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸配列、若しくはその相補物を含む。
【0187】
ベクター及び宿主細胞
別の態様では、本開示は、本明細書に開示される溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント若しくは誘導体のいずれかをコードする核酸分子を含む単離ポリヌクレオチド又は本単離ポリヌクレオチドの相補配列を含むベクターに関する。幾つかの実施形態では、ベクターはプラスミド又はコスミドである。他の実施形態では、ベクターはウイルスベクターであり、この場合、追加のDNAセグメントをウイルスベクターにライゲートすることができる。幾つかの実施形態では、ベクターは、それが導入された宿主細胞において自律的に複製することができる。幾つかの実施形態では、ベクターは宿主細胞への導入の際に宿主細胞のゲノムに統合され、それによって宿主ゲノムと共に複製され得る。
【0188】
幾つかの実施形態では、特定のベクターは、本明細書において「組換え発現ベクター」又は「発現ベクター」と称され、それらが操作可能に連結された遺伝子の発現を指示することができる。ポリヌクレオチド配列は、別のヌクレオチド配列と機能的な関係に置かれる場合、「操作可能に連結」される。例えば、プロモーター又は調節DNA配列は、2つの配列が操作可能に連結している場合、又はプロモーター若しくは調節DNA配列がコーディングDNA配列若しくは構造DNA配列の発現レベルに影響を与えるように位置する場合、RNA及び/又はタンパク質をコードするDNA配列に「操作可能に連結して」し
ていると言われる。操作可能に連結されたDNA配列は、典型的には連続的であるが、必ずしもそうであるわけではない。
【0189】
一般的には、宿主においてポリペプチドを維持、増殖又は発現するのに適した任意の系又はベクターは、本溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又は誘導体の発現に使用され得る。適切なDNA/ポリヌクレオチド配列は、例えばSambrook et al., eds., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (3rd Ed.), Vols. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory (2001)に記載されるもの等、様々な既知の日常的な手法のいずれかによって発現系へと挿入され得る。さらに、本開示の溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又は誘導体にタグ、例えば、c-myc、ビオチン、poly-His等を付加して、簡便な分離方法を提供することもできる。かかる発現系用のキットは市販されている。
【0190】
広範な宿主/発現ベクターの組合せを、本溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又は誘導体をコードするポリヌクレオチド配列の発現に用いることができる。多数の好適なベクターが当業者に既知であり、市販されている。適切なベクターの例は例えば、Sambrook et al, eds., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (3rd Ed.), Vols. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory (2001)に提示さ
れている。かかるベクターとしては、特に染色体ベクター、エピソームベクター及びウイルス由来ベクター、例えば細菌プラスミド、バクテリオファージ、トランスポゾン、酵母エピソーム、挿入因子、酵母染色体要素、バキュロウイルス、SV40等のパポバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルス及びレトロウイルス等のウイルスに由来するベクター、並びにそれらの組合せに由来するベクター、例えばプラスミドとコスミド及びファージミド等のバクテリオファージ遺伝要素とに由来するベクターが挙げられる。
【0191】
さらに、上記ベクターは、本開示の溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性化フラグメント又は誘導体の構成的又は誘導性発現をもたらすことができる。好適なベクターとしては、SV40の誘導体、並びに既知の細菌プラスミド、例えば大腸菌プラスミドcolEl、pCR1、pBR322、pMB9及びそれらの誘導体、RP4、pBAD24及びpBAD-TOPO等のプラスミド;ファージDNA、例えばファージAの多数の誘導体、例えばNM989、並びに他のファージDNA、例えばM13及び繊維状一本鎖ファージDNA;2Dプラスミド等の酵母プラスミド又はその誘導体;昆虫又は哺乳動物細胞に有用なベクター等の真核細胞に有用なベクター;ファージDNA又は他の発現制御配列を用いるように修飾されたプラスミド等のプラスミドとファージDNAとの組合せに由来するベクター等が挙げられるが、これらに限定されない。上述のベクターの多くがNew England Biolabs Inc.、Addgene、Takara Bio Inc.、ThermoFisher Scientific Inc.等の供給業者から市販されている。
【0192】
さらに、ベクターは、様々な調節要素(プロモーター、リボソーム結合部位、ターミネーター、エンハンサー、発現レベルを制御する様々なシスエレメントを含む)を含んでいてもよく、ベクターは、宿主細胞に応じて構築される。広範な発現制御配列(それに操作可能に連結したポリヌクレオチド配列の発現を制御する配列)のいずれかを、本開示の溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又はその誘導体をコードするポリヌクレオチド配列を発現するために、これらのベクターに用いることができる。有用な制御配列としては、SV40、CMV、ワクシニア、ポリオーマ又はアデノウイルスの初期又は後期プロモーター、lac系、trp系、TAC系、TRC系、LTR系、ファージAの主要オペレーター及びプロモーター領域、fd外被タンパク質の制御領域、3-ホスホグリセリン酸キナーゼ又は他の解糖酵素のプロモーター、酸性ホスファターゼ(例えば、Pho5)のプロモーター、酵母接合因子のプロモーター、
細菌における発現のための大腸菌プロモーター、並びに原核若しくは真核細胞、又はそれらのウイルスの遺伝子の発現を制御することが知られる他のプロモーター配列、並びにそれらの様々な組合せが挙げられるが、これらに限定されない。通例、溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又は誘導体をコードするポリヌクレオチド配列は、異種プロモーター又は調節要素に操作可能に連結される。
【0193】
別の態様では、本開示は、本開示の溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又は誘導体をコードするポリヌクレオチド配列を含む発現ベクターを含む、本明細書に開示されるいずれかのベクターを含む宿主細胞に関する。
広範な宿主細胞が本ポリペプチドの発現に有用である。本ポリペプチドの発現に適した
宿主細胞の非限定的な例としては、大腸菌(E. coli)株、シュードモナス(Pseudomonas)株、バシラス(Bacillus)株、ストレプトミセス(Streptomyces)株、酵母等の真菌、及びCHO細胞、Rl.l細胞、B-W細胞及びL-M細胞等の動物細胞、アフリカミドリザル腎臓細胞(例えば、COS1、COS7、BSCl、BSC40及びBMT10)、昆虫細胞(例えば、Sf9)、並びに組織培養ではヒト細胞及び植物細胞等の既知の真核生物及び原核生物の宿主が挙げられる。発現宿主は、任意の既知の発現宿主細胞であってもよいが、典型的な実施形態では、発現宿主は大腸菌の株の1つである。これらの大腸菌株としては、限定されるものではないが、Top10(ThermoFisher Scientific, Inc.)、DH5a(Thermo Fisher Scientific, Inc.)、XL1-Blue(Agilent Technologies, Inc.)、SCS110(Agilent Technologies, Inc.)、JM109(Promega, Inc.)、LMG194(ATCC)及びBL21(Thermo Fisher Scientific, Inc.)等の市販の大腸菌株が挙げられる。
【0194】
大腸菌を宿主系として使用することの利点は幾つかあり、最適な環境条件下で、その倍加時間が約20分間である急速な増殖動態(Sezonov et al., J. Bacteriol. 189 8746-8749 (2007))、容易に達成される高密度の培養物、外来性DNAによる容易かつ急速な形質転換等が挙げられる。プラスミド選択及び株選択を含む、大腸菌におけるタンパク質発現に関する詳細は、Rosano, G. and Ceccarelli, E., Front Microbiol., 5: 172 (2014)に詳細に論考されている。
【0195】
本溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又は誘導体の効率的な発現は、最適発現シグナル(転写及び翻訳の両方のレベルで)、正確なタンパク質フォールディング及び細胞増殖特性等の様々な要因によって決まる。ベクターを構築する方法及び構築した組換えベクターを宿主細胞に形質導入する方法に関して、当該技術分野で既知の従来の方法を利用することができる。全てのベクター、発現制御配列及び宿主が本開示の溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又は誘導体をコードするポリヌクレオチド配列を発現するよう同様に良好に機能するわけではないことが理解されるが、当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく所望の発現を達成するために過度な実験なしに適当なベクター、発現制御配列及び宿主を選択することが可能である。
【0196】
幾つかの実施形態では、本発明者らは、発現レベルと発現されたポリペプチドの活性との間に相関を見出した。特に大腸菌発現系では、中程度の発現レベル(例えば、約1mg/L~10mg/L)で、大腸菌においてより高レベル(例えば、約20mg/L~約100mg/L)で発現されたものよりも高レベルの活性を有する溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又は誘導体が産生された。場合によっては、高レベルでポリペプチドを発現する大腸菌により完全に不活性なポリペプチドが産生された。
【0197】
本開示の溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグ
メント又は誘導体は、硫酸アンモニウム又はエタノール沈殿、酸抽出、陰イオン又は陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー及びレクチンクロマトグラフィーを含む既知の方法によって組換え細胞培養物から回収し、精製することができる。高速液体クロマトグラフィーを溶解素ポリペプチド精製に用いることもできる。
【0198】
代替的には、本開示の溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又は誘導体の作製に用いられるベクター系は、無細胞発現系であってもよい。様々な無細胞発現系が市販されており、限定されるものではないが、Promega、LifeTechnologies、Clonetech等から入手可能なものが挙げられる。
【0199】
上記のように、タンパク質の産生及び精製に関しては、様々な選択肢がある。タンパク質の産生及び精製において検討される好適な方法及び戦略の例は、国際公開第2017/049233号(その全体が引用することにより本明細書の一部をなす)に提供され、さらにStructural Genomics Consortium et al., Nat.Methods., 5(2):135-146 (2008)に提示される。
【0200】
医薬組成物
別の態様では、本開示は、有効量の本明細書に記載される溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又は誘導体と、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物に関する。幾つかの実施形態では、本医薬組成物は、ヒト血清の不在下及び/又は存在下で、又は肺サーファクタントの存在下で、シュードモナス・エルギノーサの細菌増殖を阻害すること、シュードモナス・エルギノーサの菌数を減少させること、及び/又はシュードモナス・エルギノーサを死滅させることから選択される少なくとも1つの活性を備える。
【0201】
幾つかの実施形態では、本医薬組成物は、グラム陰性細菌の治療に適した1つ以上の抗生物質を更に含む。典型的な抗生物質としては、セフタジジム、セフェピム、セフォペラゾン、セフトビプロール、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、アミノグリコシド、イミペネム、メロペネム、ドリペネム、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ピペラシリン、チカルシリン、ペニシリン、リファンピシン、ポリミキシンB及びコリスチンの1つ以上が挙げられる。追加の適切な抗生物質を表3に記載する。
【0202】
幾つかの実施形態では、医薬組成物は、溶液、懸濁液、エマルション、吸入用粉末、エアロゾル又はスプレーである。本開示の医薬組成物は、溶液、懸濁液、エマルション、錠剤、丸剤、ペレット、カプセル剤、液体を含有するカプセル剤、粉末、持続放出製剤、坐剤、タンポン用途エマルション、エアロゾル、スプレー、懸濁液、ロゼンジ、トローチ、キャンディー、注射剤、チューインガム、軟膏、スメア(smears)、時間放出パッチ、液体を吸収したワイプ、及びそれらの組合せの形態をとることができる。
【0203】
本開示の医薬組成物の投与は局所的であってもよく、すなわち、該医薬組成物は、その作用が望まれる場所に直接(例えば創傷に直接)適用される。本開示の局所組成物は、皮膚科学的に又は耳(otically)に許容可能な担体等の薬学的又は生理学的に許容可能な担体を更に含んでもよい。かかる担体は、皮膚科学的に許容可能な担体の場合、皮膚、爪、粘膜、組織及び/又は毛髪に適合性であることが好ましく、これらの要件を満たす従来使用される任意の皮膚科担体を含むことができる。耳に許容可能な担体の場合、担体は、耳の全ての部分に適合性であることが好ましい。かかる担体は、当業者によって容易に選択され得る。
【0204】
本開示の溶解素、その活性フラグメント及び/又は溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトの局所投与用の担体としては、限定されるものではないが、鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン及び/又はポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水が挙げられる。皮膚軟膏を配合する際には、本開示の活性成分を、油性炭化水素基剤、無水吸収基剤、油中水型吸収基剤、水中油型水分除去(water-removable)
基剤及び/又は水溶性基剤に配合することができる。耳用組成物を配合する際には、本開示の活性成分を、デキストラン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、多糖ゲル、Gelrite(商標)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなセルロース系ポリマー、及びアクリル酸のポリマー又はコポリマー等のカルボキシ含有ポリマー等の担体、並びに他の高分子粘滑剤を含む、水性高分子懸濁液に配合することができる。
【0205】
本開示による局所組成物は、局所適用に適した任意の形態であり得て、水性、水性アルコール性若しくは油性の溶液、ローション若しくはセラム分散液、水性、無水若しくは油性のゲル、水相に脂肪相を(OAV又は水中油型)若しくはその逆に(W/O又は油中水型)分散させることで得られるエマルション、マイクロエマルション或いはマイクロカプセル、マイクロ粒子又はイオン性及び/又は非イオン性タイプの脂質ベシクル分散物、クリーム、ローション、ゲル、フォーム(一般に加圧キャニスター、適切なアプリケーター、乳化剤及び不活性噴射剤を必要とする)、エッセンス、乳液、懸濁液又はパッチを含む。本開示の局所組成物はまた、親水性又は親油性のゲル化剤、親水性又は親油性の活性剤、保存剤、酸化防止剤、溶媒、香料、増量剤、日焼け止め剤、消臭剤(odor-absorbers)及び色素等のアジュバントを含んでもよい。更なる態様では、局所組成物は、被験体の皮膚若しくは他の組織に付着可能であるか、別の形で付くことが可能な、本開示による治療有効量の1つ以上の抗菌ペプチドを送達することができる経皮パッチ、包帯剤、パッド、ラップ、マトリックス及び包帯等の用具と併用して投与され得る。
【0206】
一実施形態では、本開示の局所組成物は、局所熱傷を治療するために使用される1つ以上の成分を追加的に含む。かかる成分としては、典型的には、限定されるものではないが、プロピレングリコールヒドロゲル;グリコール、セルロース誘導体及び水溶性アルミニウム塩の組合せ;消毒薬;抗生物質;及び副腎皮質ステロイドが挙げられる。保湿剤(固体又は液体のワックスエステル等)、吸収促進剤(親水性粘土又はデンプン等)、増粘剤及び皮膚保護剤も添加することができる。局所製剤は、マウスウォッシュ等のリンスの形態であってもよい。例えば、国際公開第2004/004650号を参照されたい。
【0207】
幾つかの実施形態では、本開示の医薬組成物の投与は全身であり得る。全身投与は、経腸又は経口(すなわち、物質は消化管を介して与えられる)であってもよく、非経口(すなわち、物質は注射又は吸入等の消化管以外の経路によって与えられる)であってもよい。そのため、本開示の溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又は誘導体を含むポリペプチドは、経口的に、非経口的に、吸入により、局所的に、経腸的に、経鼻的に、バッカルで若しくは留置されたリザーバーにより、又は任意の他の既知の方法により被験体に投与され得る。本開示の溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又は誘導体を、持続放出剤形を用いて投与することもできる。
【0208】
経口投与の場合、本開示の溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又は誘導体を、固体又は液体の調製物、例えば錠剤、カプセル剤、粉末、溶液、懸濁液及び分散液に配合することができる。溶解素、その活性フラグメント及び/又は溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトを、例えば、ラクトース、スクロース、コーンスターチ、ゼラチン、ジャガイモデンプン、アルギン酸及び/又はステア
リン酸マグネシウム等の賦形剤と配合することができる。
【0209】
錠剤及び丸剤等の固体組成物を調製するため、本開示の溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又は誘導体を薬学的賦形剤と混合して固体プレ製剤組成物を形成する。望ましい場合、標準的な手法によって錠剤を糖コーティング又は腸溶性コーティングしてもよい。錠剤又は丸剤を、長期作用の利点を与える剤形を提供するためにコーティングしてもよく、又は他の形で配合させてもよい。例えば、錠剤又は丸剤は、内部製剤(inner dosage)及び外部製剤(outer dosage)の成分を含むことができ、後者は前者を覆うエンベロープの形態である。2つの製剤成分を腸溶層によって分離することができ、胃内での崩壊に抵抗するようにはたらき、内側の成分が十二指腸をそのまま通過するか、又は放出が遅延することを可能にする。かかる腸溶層又はコーティング剤には様々な材料を使用することができ、かかる材料としては、多くのポリマー酸、並びにシェラック、セチルアルコール及び酢酸セルロース等の材料とのポリマー酸の混合物が挙げられる。
【0210】
本開示の医薬組成物を、注射により投与することもできる。例えば、医薬組成物を、グラム陰性細菌による感染、より具体的にはシュードモナス・エルギノーサによって引き起こされる感染を治療するため、筋肉内、髄腔内、皮膚下(subdermally)、皮下(subcutaneously)又は静脈内に投与することができる。薬学的に許容可能な担体は、蒸留水、生
理食塩水、アルブミン、血清又はそれらの任意の組合せで構成され得る。さらに、非経口注射剤の医薬組成物は、pH緩衝液、アジュバント(例えば、防腐剤、湿潤剤、乳化剤及び分散剤)、リポソーム製剤、ナノ粒子、分散液、懸濁液又はエマルション、及び使用の直前に滅菌注射液又は分散液に再構成するための滅菌粉末を含むことができる。
【0211】
非経口注射が選択される投与様式である場合、等張性製剤が用いられことが好ましい。一般的には、等張性のための添加剤としては、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール及びラクトースを挙げることができる。場合によっては、リン酸緩衝生理食塩水等の等張溶液が好ましい。安定剤としては、ゼラチン及びアルブミンを挙げることができる。血管収縮剤を製剤に添加することができる。この種の用途に応じた医薬調製物は、滅菌されパイロジェンフリーで提供される。
【0212】
別の実施形態では、本開示の医薬組成物は吸入可能な組成物である。幾つかの実施形態では、本医薬組成物は、有利には乾燥した吸入可能な粉末として配合される。具体的な実施形態では、本医薬組成物は、エアロゾル送達用の噴射剤を用いて更に配合され得る。適切な噴射剤の例としては、限定されるものではないが、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン及び二酸化炭素が挙げられる。或る特定の実施形態では、製剤は、噴霧化されてもよい。
【0213】
医薬品と噴射剤との間の表面張力及び界面張力を低下させるため、界面活性剤を本開示の吸入用医薬組成物に添加することができる。界面活性剤は、本ポリペプチドと非反応性である任意の好適な非毒性化合物であり得る。
【0214】
好適な界面活性剤の例としては、限定されないが、オレイン酸;ソルビタントリオレエート;塩化セチルピリジニウム;大豆レシチン;ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート;ポリオキシエチレン(10)ステアリルエーテル;ポリオキシエチレン(2)オレイルエーテル;ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンエチレンジアミンブロックコポリマー;ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート;ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート;ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンブロックコポリマー;ひまし油エトキシレート及びそれらの組合せが挙げられる。
【0215】
幾つかの実施形態では、吸入用医薬組成物は、賦形剤を含む。好適な賦形剤の例としては、限定されないが、ラクトース、デンプン、中鎖脂肪酸のプロピレングリコールジエステル;中鎖、短鎖若しくは長鎖、又はそれらの組合せの脂肪酸のトリグリセリドエステル;パーフルオロジメチルシクロブタン;パーフルオロシクロブタン;ポリエチレングリコール;メタノール;ラウログリコール;ジエチレングリコールモノエチルエーテル;中鎖脂肪酸のポリグリコール化グリセリド;アルコール;ユーカリ油;短鎖脂肪酸;及びそれらの組合せが挙げられる。
【0216】
幾つかの実施形態では、本開示の医薬組成物は、鼻腔製剤を含む。鼻腔製剤としては、例えば、鼻腔用スプレー、鼻腔用ドロップ、鼻腔用軟膏、鼻腔用洗浄液、鼻腔用注射剤、鼻腔用パッキング、気管支スプレー、及び吸入剤、又は咽喉ロゼンジ剤、洗口液若しくは含嗽剤の間接的な使用によるもの、又は鼻孔若しくは顔へ適用される軟膏の適用の使用によるもの、又はこれらの及び類似の適用方法の任意の組合せが挙げられる。
【0217】
別の実施形態では、本開示の医薬組成物は、1つ以上の抗微生物剤及び/又は1つ以上の従来の抗生物質を含む相補的な作用物質を含む。感染の治療を促進するため又は抗菌作用を高めるため、本開示の溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又は誘導体を含有する治療剤は、ペプチドの殺菌活性を強化することもできる少なくとも1つの相補的な作用物質を更に含んでもよい。相補的な作用物質としては、グラム陰性細菌の治療に用いられる1種以上の抗生物質であり得る。一実施形態では、相補的な作用物質は、シュードモナス・エルギノーサによって引き起こされる感染症の治療に使用される抗生物質又は抗微生物剤である。
【0218】
本開示の医薬組成物は、単位剤形で与えられ得て、当該技術分野で既知の任意の方法によって調製され得る。単一剤形を製造するために担体材料と組み合わせることができる有効成分の量は、治療される宿主、感染性細菌へのレシピエントの曝露期間、被験体の大きさ及び体重、並びに特定の投与様式によって異なる。単一剤形を製造するために担体材料と組み合わせることができる有効成分の量は、一般に治療効果を生み出す各化合物のその量である。一般的には、100%のうち、有効成分の総量は約1%~約99%、好ましくは約5%~約70%、最も好ましくは約10%~約30%の範囲である。
【0219】
投与量及び投与
適用される投与量は、治療されている感染の活動性、治療される被験体の年齢、健康及び総合的な健康状態、特定の溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント若しくは誘導体の活性、存在する場合には、本開示による溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント若しくは誘導体の活性と組み合わせる抗生物質の性質及び活性、並びにかかる組合せの併用効果を含む多くの要因に依存する。一般的には、投与される本溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又は誘導体の有効量は、毎日1回~4回、最長14日間の期間に投与される、1mg/kg~50mg/kg(又は1mcg/ml~50mcg/ml)の範囲内に収まると予想される。抗生物質も使用される場合は、相乗作用を考慮して標準的な投与計画又は低量で投与される。しかしながら、(溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント若しくはその誘導体、又はそれに伴って投与される任意の抗生物質に関わらず)かかる投与量及び投与計画はいずれも、最適化の対象となる。最適な投与量は、当業者が備えている技能の範囲内であるが、本開示を考慮に入れて、in vitro及びin vivoでのパイロット有効性実験を行うことにより決定され得る。
【0220】
本溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又は誘導体は殺菌を提供し、より少量で使用すると静菌作用が得られ、抗生物質耐性菌の
範囲に対して活性であり、耐性の発現と関連しないことが企図される。本開示に基づいて、臨床現場では、本溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又は誘導体は、単独で又は抗生物質(耐性が生じた抗生物質であっても)と共に、薬剤耐性菌及び多剤耐性菌から生じる感染を治療するための組成物の強力な代替(又は添加剤若しくは成分)である。グラム陰性細菌に対する既存の耐性機構は、本ポリペプチドの溶菌活性に対する感受性に影響を与えないはずである。
【0221】
幾つかの実施形態では、本溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又は誘導体に対する時間曝露は、1ml当たりの活性ポリペプチド単位の所望の濃度に影響を及ぼす場合がある。「長時間」又は「緩徐(slow)」放出担体に分類される担体(例えば、或る特定の鼻スプレー又はロゼンジ等)は、1ml当たりのポリペプチド単位の濃度は低いが、より長時間にわたって提供するのに対し、「短時間」又は「即時」放出担体(例えば、含嗽剤等)は、1ml当たりのポリペプチド単位(mcg)の濃度は高いが、より短時間で提供する。はるかに高い単位/ml投与量又はより低い単位/ml投与量を必要とし得る状況もある。
【0222】
本開示の任意のポリペプチドでは、治療有効用量は、細胞培養アッセイ又は動物モデル(通常はマウス、ウサギ、イヌ、又はブタ)のいずれかで最初に推定され得る。望ましい濃度範囲及び投与経路を達成するために動物モデルを使用することもできる。次いで、得られた情報を、ヒトにおける有効用量、並びに投与経路を決定するために使用することができる。十分なレベルの有効成分を提供するか、又は所望の効果を維持するように、投与量及び投与を更に調整することができる。考慮され得る追加の要因としては、疾患状態の重症度、患者の年齢、体重及び性別;食餌、望ましい治療期間、投与方法、投与の時間及び頻度、薬物の組合せ(複数の場合もある)、反応感受性、並びに治療法に対する忍容性/応答及び治療医の判断が挙げられる。
【0223】
治療計画は、毎日(例えば、毎日1回、2回、3回等)、隔日(1日おきに1回、2回、3回等)、半週毎、毎週、2週間に1回、1カ月に1回等の投与を必要とし得る。一実施形態では、治療を、持続点滴として与えることができる。単位用量を複数回で投与することができる。また、臨床症状を監視することによって指示されるというように、間隔が不規則であってもよい。代替的には、単位用量を持続放出製剤として投与することができ、その場合、必要な投与頻度はより少なくなる。投与量及び頻度は、患者によって異なる可能性がある。限局性の(localized)投与、例えば、鼻腔内、吸入、直腸等、又は全身
投与、例えば経口、直腸(例えば、浣腸による)、i.m.(筋肉内)、i.p.(腹腔内)、i.v.(静脈内)、s.c.(皮下)、経尿道等に対してかかるガイドラインを調整することが当業者に理解される。
【0224】
方法
別の態様では、本開示は、細菌感染と診断された、そのリスクがある又はその症状を示す被験体に本明細書に記載される医薬組成物を投与することを含む、シュードモナス・エルギノーサ及び任意に本明細書に記載される1つ以上の付加的な種のグラム陰性細菌によって引き起こされる細菌感染を治療する方法に関する。一態様において、細菌感染は、肺サーファクタントが存在する器官又は組織の感染である。
【0225】
「感染」及び「細菌感染」という用語は、気道感染(RTI)、例えば嚢胞性線維症(CF)を有する患者における気道感染、下気道感染、例えば慢性気管支炎の急性増悪(AECB)、急性副鼻腔炎、市中肺炎(CAP)、院内肺炎(HAP)及び院内気道感染;淋菌性子宮頸管炎及び淋菌性尿道炎等の性感染症;尿路感染;急性中耳炎;新生児敗血症及びカテーテル関連敗血症を含む敗血症;並びに骨髄炎を含むことが意図される。薬物耐性細菌及び多剤耐性細菌によって引き起こされる感染も企図される。
【0226】
シュードモナス・エルギノーサによって引き起こされる感染の非限定的な例としては、A)院内感染:1.気道感染、特に嚢胞性線維症患者及び人工呼吸器を装着している患者における気道感染、2.菌血症及び敗血症、3.創傷感染、特に火傷被害者の創傷感染、4.尿路感染、5.侵襲的器具上での術後感染、6.汚染された薬液の静脈内投与による心内膜炎、7.後天性免疫不全症候群、癌化学療法、ステロイド療法、血液悪性疾患、臓器移植、腎代替療法、及び重度の好中球減少症を伴う他の病態の患者における感染、B)市中感染:1.市中気道感染、2.髄膜炎、3.汚染水に起因する毛包炎及び外耳道感染、4.高齢者及び糖尿病患者における悪性外耳炎、5.小児における踵骨の骨髄炎、6.一般に汚染されたコンタクトレンズと関連した眼感染、7.手が頻繁に水に曝される人々における爪感染等の皮膚感染、8.消化管感染、並びに9.筋骨格系感染を挙げることができる。
【0227】
本方法のグラム陰性細菌の1つ以上の付加的な種は、本明細書に記載されるグラム陰性細菌の任意の付加的な種を含み得る。典型的には、付加的な種のグラム陰性細菌は、アシネトバクター・バウマンニ(Acinetobacter baumannii)、アシネトバクター・ヘモリテ
ィクス(Acinetobacter haemolyticus)、アクチノバシラス・アクチノミセテムコミタンス(Actinobacillus actinomycetemcomitans)、アエロモナス・ヒドロフィラ(Aeromonas hydrophila)、バクテロイデス(Bacteroides)属種(バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)、バクテロイデス・テタイオタオミクロン(Bacteroides theataioatamicron)、バクテロイデス・ディスタソニス(Bacteroides distasonis)、バクテロイデス・オバトゥス(Bacteroides ovatus)、バクテロイデス・ヴルガトゥス(Bacteroides vulgatus)、バルトネラ・クインタナ(Bartonella Quintana)、百日咳菌(Bordetella pertussis)等)、ブルセラ(Brucella)属種(ブルセラ・メリテンシス(Brucella melitensis)等)、バークホルデリア(Burkholderia)属種(バークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)、バークホルデリア・シュードマレイ(Burkholderia pseudomallei)及びバークホルデリア・マレイ(Burkholderia mallei)等)、フソバクテリウム(Fusobacterium)、プレボテラ・コーポリス(Prevotella corporis)、プレボテラ・インテルメディア(Prevotella intermedia)、プレボテラ・エンドドンタリス(Prevotella endodontalis)、ポルフィロモナス・アサッカロリティカ(Porphyromonas asaccharolytica)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、カンピロバクタ
ー・フィタス(Campylobacter fetus)、カンピロバクター・コリ(Campylobacter coli
)、クラミジア(Chlamydia)属種(肺炎クラミジア(Chlamydia pneumoniae)及びクラ
ミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis)等)、シトロバクター・フロウンデ
ィ(Citrobacter freundii)、シトロバクター・コセリ(Citrobacter koseri)、コクシエラ・バーネッティ(Coxiella burnetii)、エドワジエラ(Edwardsiella)属種(エド
ワジエラ・タルダ(Edwardsiella tarda)等)、エイケネラ・コロデンス(Eikenella corrodens)、エンテロバクター(Enterobacter)属種(エンテロバクター・クロアカエ(Enterobacter cloacae)、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)
及びエンテロバクター・アグロメランス(Enterobacter agglomerans)等)、大腸菌(Escherichia coli)、野兎病菌(Francisella tularensis)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、ヘモフィルス・ドゥクレイ(Haemophilus ducreyi)、ヘリコバクタ
ー・ピロリ(Helicobacter pylori)、キンゲラ・キンゲ(Kingella kingae)、クレブシエラ(Klebsiella)属種(クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、ク
レブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)、クレブシエラ・リノスクレロマティス(Klebsiella rhinoscleromatis)及びクレブシエラ・オザエ(Klebsiella ozaenae)等
)、レジオネラ・ペヌモフィラ(Legionella penumophila)、モラクセラ(Moraxella)
属種(モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)等)、モルガネラ(Morganella)属種(モルガネラ・モルガニ(Morganella morganii)等)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、シュードモナス・エルギノーサ、パ
スツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)、プレシオモナス・シゲロイデス(Plesiomonas shigelloides)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)、プロテウス・ペンネリ(Proteus penneri)、プロ
テウス・ミクソファシエンス(Proteus myxofaciens)、プロビデンシア(Providencia)属種(プロビデンシア・スチュアルティ(Providencia stuartii)、プロビデンシア・レットゲリ(Providencia rettgeri)、プロビデンシア・アルカリファシエンス(Providencia alcalifaciens)等)、シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)、チフス菌(Salmonella typhi)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、パラチフス菌(Salmonella paratyphi)、セラチア(Serratia)属種(セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)等)、シゲラ(Shigella)属種(シゲラ・フレックスネリ(Shigella flexneri)、シゲラ・ボイディ(Shigella boydii)、シゲラ・ソネイ(Shigella sonnei)及び志賀赤痢菌(Shigella dysenteriae)等)、ステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)、ストレプトバシラス・モニリフォルミス(Streptobacillus moniliformis)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)、ビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus)、ビブリオ・
アルギノリチカス(Vibrio alginolyticus)、エルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia
enterocolitica)、ペスト菌(Yersinia pestis)、仮性結核菌(Yersinia pseudotuberculosis)、肺炎クラミジア、クラミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis)、リケッチア・プロワツェキイ(Ricketsia prowazekii)、コクシエラ・バーネッティ、エーリキア・シャフェンシス(Ehrlichia chafeensis)及び/又はバルトネラ・ヘンセラ(Bartonella henselae)の1つ以上から選択される。
【0228】
より典型的には、グラム陰性細菌の少なくとも1つの他の種は、アシネトバクター・バウマンニ、百日咳菌、バークホルデリア・セパシア、バークホルデリア・シュードマレイ、バークホルデリア・マレイ、カンピロバクター・ジェジュニ、カンピロバクター・コリ、エンテロバクター・クロアカエ、エンテロバクター・アエロゲネス、大腸菌、野兎病菌、インフルエンザ菌、ヘモフィルス・ドゥクレイ、ヘリコバクター・ピロリ、クレブシエラ・ニューモニエ、レジオネラ・ペヌモフィラ、モラクセラ・カタラーリス、モルガネラ・モルガニ、淋菌、髄膜炎菌、パスツレラ・ムルトシダ、プロテウス・ミラビリス、プロテウス・ブルガリス、チフス菌、セラチア・マルセセンス、シゲラ・フレックスネリ、シゲラ・ボイディ、シゲラ・ソネイ、志賀赤痢菌、ステノトロホモナス・マルトフィリア、コレラ菌、及び/又は肺炎クラミジアの1つ以上から選択される。
【0229】
より典型的には、グラム陰性細菌の少なくとも1つの他の種は、ネズミチフス菌、チフス菌、シゲラ属種、大腸菌、アシネトバクター・バウマンニ、クレブシエラ・ニューモニエ、淋菌、髄膜炎菌、セラチア属種、プロテウス・ミラビリス、モルガネラ・モルガニ、プロビデンシア属種、エドワジエラ属種、エルシニア属種、インフルエンザ菌、バルトネラ・クインタナ、ブルセラ属種、百日咳菌、バークホルデリア属種、モラクセラ属種、野兎病菌、レジオネラ・ニューモフィラ、コクシエラ・バーネッティ、バクテロイデス属種、エンテロバクター属種及び/又はクラミジア属種の1つ以上から選択される。
【0230】
更に典型的には、1つ以上の付加的な種のグラム陰性細菌は、クレブシエラ属種、エンテロバクター属種、大腸菌、シトロバクター・フロウンディ、ネズミチフス菌、ペスト菌及び野兎病菌(Francisella tularensis)である。
【0231】
幾つかの実施形態では、グラム陰性細菌による感染は、局所細菌感染、例えば皮膚創傷等の局在化した感染をもたらす。他の実施形態では、細菌感染は全身病原性細菌感染である。一般的なグラム陰性病原体及び関連感染を本開示の表2に収載する。これらは、本溶解素、その活性フラグメント及び溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトで治療、緩和又は予防され得る細菌感染の例となることを意味し、限定を意図するものではない。
【0232】
【0233】
幾つかの実施形態では、本開示の溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又は誘導体は、シュードモナス・エルギノーサ及び/又は別のグラム陰性細菌に起因する感染を獲得するリスクがある被験体を治療するために使用される。シュードモナス・エルギノーサ又は他のグラム陰性細菌感染を獲得するリスクがある被験体としては、例えば、嚢胞性線維症患者、好中球減少症患者、壊死性腸炎患者、熱傷の犠牲者、創傷感染を有する患者が挙げられ、より一般的には、病院にいる患者、特に外科の患者及びカテーテル、例えば中心静脈カテーテル、ヒックマンデバイス(Hickman device)等の留置型医療用具、又は電気生理学的心臓装置、例えばペースメーカー及び留置型除細動器を使用して治療されている患者が挙げられる。シュードモナス・エルギノーサを含むグラム陰性細菌に感染するリスクがある他の患者群としては、限定されるものではないが、関節全置換(例えば膝又は股関節の全置換)等の留置型プロテーゼを有する患者が挙げられる。
【0234】
別の態様では、本開示は、細菌感染と診断された、そのリスクがある又はその症状を示す被験体に、有効量の本明細書に記載される溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又は誘導体を含有する第1の有効量の組成物と、グラム陰性細菌感染の治療に適した第2の有効量の抗生物質との組合せを同時投与するこ
とを含む、細菌感染を予防又は治療する方法に関する。
【0235】
本開示の溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又は誘導体は、個別に又は当業者の技能の範囲内の様々な組合せで標準療法の抗生物質又は最終手段の抗生物質と同時投与することができる。シュードモナス・エルギノーサに対して用いられる伝統的な抗生物質を表3に記載する。クレブシエラ属種、エンテロバクター属種、大腸菌、シトロバクター・フロウンディ、サルモネラ菌、ペスト菌及び野兎病菌等の他のグラム陰性細菌に対する抗生物質は、シュードモナス・エルギノーサについて表3に記載されていると同様である。
【0236】
【0237】
より具体的な実施形態では、抗生物質は、セフタジジム、セフェピム、セフォペラゾン、セフトビプロール、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、アミノグリコシド、イミペネム、メロペネム、ドリペネム、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ピペラシリン、チカルシリン、ペニシリン、リファンピシン、ポリミキシンB及びコリスチンの1つ以上から選択される。或る特定の実施形態では、抗生物質は、メロペネムである。
【0238】
本開示の溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又は誘導体を抗生物質と組み合わせることで有効な抗菌投与計画を提供する。幾つかの実施形態では、本開示の溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又は誘導体と、1つ以上の抗生物質との同時投与により、溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント若しくは誘導体のいずれか若しくは抗生物質、又はそれらの両方の用量及び量を減少して、及び/又は殺菌活性及び静菌活性を高め、抗生物質耐性のリスクを低減させ、有害な神経学的若しくは腎臓の副作用のリスク(コリスチン又はポリミキシンBの使用に関連するもの等)を低減させて、治療頻度を減らし及び/又は治療期間を短くして行うことができる。以前の研究は、総累積コリスチン用量が腎臓損傷に関連していることを示し、溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又は誘導体との併用療法を用いる投与量の減少又は治療期間の短縮が腎毒性の発生を低下させる可能性があることを示唆している(Spapen et al. Ann Intensive Care. 1:14 (2011)(その全体が引用
することにより本明細書の一部をなす))。本明細書で使用される場合、「用量の減少」
という用語は、同じ有効成分を用いる単剤療法と比較した、組合せにおける1つの有効成分の用量を指す。幾つかの実施形態では、組み合わせた溶解素、その活性フラグメント及び溶解素-AMPポリペプチドのコンストラクト、又は抗生物質の用量は、それぞれの単剤療法と比較して最適以下、更には閾値以下となる場合がある。
【0239】
幾つかの実施形態では、本開示は、被験体に本明細書に開示の1つ以上の溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント、又は誘導体を対象の抗生物質と共に投与することによって、グラム陰性細菌に対する1つ以上の抗生物質の抗生物質活性を単独で使用される該抗生物質の活性と比較して高める方法を提供する。組合せは細菌に対して有効であり、抗生物質に対する耐性を克服すること及び/又は抗生物質をより低用量で用いることを可能とし、ポリミキシンBの腎毒性及び神経毒性作用等の望ましくない副作用を減少させる。
【0240】
本開示の抗生物質と任意に組み合わせた溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又は誘導体を、限定されるものではないが、例えば、EDTA、TRIS、乳酸、ラクトフェリン、ポリミキシン、クエン酸(その全体を参照することで本明細書の一部をなす、Vaara M. Microbial Rev. 56(3):395-441 (1992))等の金属キレート剤を含む、グラム陰性細菌の追加の外膜透過化剤と更に組み合わせることができる。
【0241】
更に別の態様では、本開示は、グラム陰性細菌の少なくとも1つの種の増殖を阻害する、又はその菌数を減少させる、又はそれを死滅させる方法に関し、該方法は、細菌を、有効量の本明細書に記載される溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又は誘導体を含有する組成物と接触させることを含み、ここで、該溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又は誘導体は、シュードモナス・エルギノーサ及び任意にグラム陰性細菌の少なくとも1つの他の種の増殖を阻害するか、又はその菌数を減少させるか、又はそれを死滅させる。
【0242】
幾つかの実施形態では、グラム陽性細菌の少なくとも1つの種の増殖を阻害するか、又はその菌数を減少させるか、又はそれを死滅させることは、細菌と本明細書に記載される溶解素、その活性フラグメント、及び/又は溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトとを接触させることを含み、細菌は、例えば病院及び他の健康関連又は公共の建物における医療器具、床、階段、壁及び調理台の表面、並びに手術室、緊急治療室、病室、診療所及び浴室等における機器の表面上に存在する。
【0243】
本明細書に記載の溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント、又は誘導体を用いて保護することができる医療器具の例としては、管類及び他の表面医療器具、例えば尿道カテーテル、粘液吸引カテーテル、吸引カテーテル、臍帯カニューレ(umbilical cannulae)、コンタクトレンズ、子宮内器具、膣内及び腸内器具、気管内チューブ、気管支鏡、歯科補綴物及び歯列矯正器具、外科用器械、歯科用器械、管類、歯科用送水管、布、紙、指示薬ストリップ(例えば、紙の指示薬ストリップ又はプラスチックの指示薬ストリップ)、接着剤(例えば、ヒドロゲル接着剤、ホットメルト接着剤又は溶剤系接着剤)、包帯、組織包帯剤(tissue dressings)又は治療器具、及び密封パッチ(occlusive patches)、並びに医療分野で使用される任意の他の表面器具
が挙げられるが、これらに限定されない。器具には、電極、外部人工装具、固定テープ、圧迫包帯、及び様々なタイプのモニターが含まれ得る。医療器具には、挿入又は移植部位近くの皮膚等の挿入又は移植部位に設置することができ、グラム陰性細菌によるコロニー形成の影響を受けやすい少なくとも1つの表面を含み得る任意の器具も含まれ得る。
【0244】
本明細書に記載されるとおりin vivo又はin vitroで使用することがで
きる本開示の溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又は誘導体はまた、バイオフィルム形成と関連するシュードモナス・エルギノーサ等のグラム陰性細菌に起因する細菌感染を治療するために使用され得る。
【0245】
例えば、幾つかの実施形態では、本溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又は誘導体は、シュードモナス・エルギノーサ等のグラム陰性細菌によって形成される細菌バイオフィルムの予防、制御、破壊及び/又は根絶に使用され得る。バイオフィルム形成は、微生物細胞が互いに接着し、表面上の細胞外高分子物質(EPS)のマトリックス中に埋め込まれる場合に生じる。生体高分子(例えば、多糖、核酸及びタンパク質)及び栄養素が豊富な、かかる保護環境での微生物の増殖は、微生物クロストークを増強し、病原性を増大させる。バイオフィルムは、生物表面及び非生物表面、例えばCF肺の粘液栓、汚染カテーテル、コンタクトレンズ等を含む任意の支持環境で発生し得る(Sharma et al. Biologicals, 42(1):1-7 (2014)(その全体が引用
することにより本明細書の一部をなす))。そのため、一実施形態では、本開示の溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又は誘導体は、細菌が細菌性バイオフィルムによって保護される場合に、シュードモナス・エルギノーサ等のグラム陰性細菌による細菌感染の予防、制御、破壊、根絶及び処理に使用することができる。
【0246】
より詳しくは、幾つかの態様では、本開示は、グラム陰性細菌バイオフィルムを予防、破壊又は根絶する方法であって、生物表面又は非生物表面を含む表面を、グラム陰性細菌を死滅させるのに有効な本開示の溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又は誘導体を含む組成物に接触させることを含み、バイオフィルムが効果的に予防、破壊又は根絶される、方法に関する。
【0247】
幾つかの態様では、本開示は、グラム陰性細菌バイオフィルムを予防、破壊又は根絶する方法であって、それを必要とする被験体に組成物を投与することを含み、該組成物が表面のグラム陰性細菌を死滅させるのに有効な本開示の溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又は誘導体を含み、バイオフィルムが効果的に予防、破壊又は根絶される、方法に関する。
【0248】
幾つかの実施形態では、表面は、固体生物学的表面、例えば、皮膚等の生物表面である。他の実施形態では、表面は非生物表面である。幾つかの実施形態では、表面は、コンタクトレンズ;薬物ポンプ、インプラント(歯科インプラント、ペースメーカー、人工心臓弁、心室補助装置、合成血管及びステント等の心臓インプラントを含む);腹膜透析カテーテル、血液透析用及び化学療法剤の慢性投与用(ヒックマンカテーテル)の留置カテーテル、尿路カテーテルを含むカテーテル、並びに尿路プロテーゼ、人工関節を含む補綴用具;整形外科材料;並びに気管及び人工呼吸器の管等の医療用具の表面である。
【0249】
幾つかの実施形態では、被験体は、バイオフィルムと関連するグラム陰性細菌感染に罹患している。かかる細菌感染症としては、扁桃炎、骨髄炎、細菌性心内膜炎、副鼻腔炎、角膜の感染、尿路感染、胆道の感染、感染性腎臓結石、尿道炎、前立腺炎、中耳感染、歯垢の形成、歯肉炎、歯周炎、嚢胞性線維症、創傷感染(特に糖尿病と関連する創傷)、及び本明細書に記載される医療用具の感染(カテーテル感染、並びに関節補綴物及び心臓弁の感染を含む)が挙げられる。
【0250】
幾つかの実施形態では、バイオフィルム感染を治療するための組成物は、本明細書に記載される1つ以上の抗生物質を含む。他の実施形態では、本明細書に記載される本溶解素、又はその活性フラグメント、又は変異体、又はその誘導体は、本明細書に記載される1つ以上の抗生物質と同時に被験体に投与される及び/又は表面に接触させる。他の実施形
態では、本開示の溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又は誘導体と、本明細書に記載される1つ以上の抗生物質とを、任意の順序で順次被験体に投与する及び/又は表面に接触させる。幾つかの実施形態では、本開示の本溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又は誘導体と、本明細書に記載される1つ以上の抗生物質とを、単独で又は組み合わせて、単回用量又は多数回用量で被験体に投与してもよい及び/又は表面に接触させてもよい。
【0251】
幾つかの実施形態では、本組成物は、バイオフィルム形成を予防するために使用される。これらの実施形態では、接触面は、バイオフィルムを含んでもよく、バイオフィルムを含まなくてもよく、又はごく僅かな(only de minimus)量の確立されたバイオフィルム
を含む。幾つかの実施形態では、表面上での新規な(de novo)バイオフィルム形成は、
本明細書に記載されるいずれかの機構に従って予防される。
【0252】
幾つかの実施形態では、接触面はバイオフィルムを含み、該バイオフィルムが破壊又は根絶される。幾つかの実施形態では、根絶は、バイオフィルムにおいて、生残菌を含む細菌を死滅させることを含む。他の実施形態では、本開示の本溶解素-AMPポリペプチド、溶解素ポリペプチド、変異体、その活性フラグメント又は誘導体は、バイオフィルム内の細菌を死滅させてバイオフィルムを根絶するだけでなく、バイオフィルムマトリックスを破壊又は駆除する。この能力は、生菌が存在しない場合であっても、マトリックスが、すぐに再感染することが多いため有利である。
【実施例0253】
実施例1.ヒト血清を添加した培地中の溶解素及び溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトの活性
材料及び方法
グラム陰性細菌、例えば、シュードモナス・エルギノーサを、カザミノ酸(CAA)培地(5g/Lカザミノ酸、Ameresco/VWR;5.2mM KHPO、Sigma-Aldrich;
1mM MgSO、Sigma-Aldrich)、150mM NaClを添加したCAA、2.
5%ヒト血清(AB型、男性、プール;Sigma-Aldrich)を添加したCAA、12.5%
ヒト血清を添加したCAA、及び6.25%Survanta(商標)を添加したCAAにおいて培養し、試験した。12.%ヒト血清及び6.25%Survanta(商標)を添加した両方のCAAについて、様々なシュードモナス・エルギノーサ分離株を評価した。6.25%Survanta(商標)は、1.5mg/mLリン脂質に相当する。
【0254】
最小阻止濃度(MIC)の決定
米国臨床検査標準協議会(CLSI:Clinical and Laboratory Standards Institute
)によって規定される標準微量液体希釈参照法(CLSI. 2015. Methods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacteria That Grow Aerobically; Approved Standard-10th Edition. Clinical and Laboratory Standards Institute, Wayne, PA.)の
修正を用いてMIC値を決定した。この修正は、CAA培地(NaClを含む及び含まない)、2.5%ヒト血清を添加したCAA(表4)、12.5%ヒト血清を添加したCAA(表A)、又は6.25%Survanta(商標)を添加したCAA(表B)のいずれかによるミューラー・ヒントンブロスの置換えに基づくものであった。MICは、対照と比較して細菌増殖の少なくとも80%を抑制するのに十分なペプチドの最小濃度である。
【0255】
結果
これらの実験の結果を下記表4A及び表4Bに要約する。表4はまた、本ポリペプチドの分子量及び等電点を提供する。種々のポリペプチドの配列及び構成要素を比較することにより、等電点に対する特定の構造修飾の効果(より高いpIは外膜浸透を支持する)及
び活性(MICによって評定される)を判断することができる。
【0256】
例えば、GN316(配列番号22)に対する単一の点突然変異の効果を見ることができる。GN394(配列番号48)は、CAAではpIがより低く、活性がより高いが、ヒト血清を含むCAAでは活性がより低い。ヒト血清における活性低下はGN396(配列番号50)の場合はより少ないのに対し、GN408(配列番号52)はヒト血清の有無にかかわらず実質的により強力である。一方、GN418(配列番号54)は未添加のCAA培地で活性を失うが、ヒト血清の存在下で効力を獲得する。
【0257】
GN217(配列番号8)中の単一の点突然変異は、ヒト血清の有無にかかわらずGN37に対する効力を改善する。GN218(配列番号10)、GN223(配列番号12)、GN239(配列番号14)及びGN243(配列番号16)を生じるGN37(配列番号84)に対する修飾は、ヒト血清の存在下で非常に強い活性をもたらす。他のポリペプチドの配列及び構成要素の比較に基づいて、同様の観察を行うことができる。
【0258】
実施例2.抗生物質と溶解素又は溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトとの間の相乗作用
GN76(配列番号203)、GN121(配列番号175)、GN123(配列番号173)、GN351(配列番号32)、GN370(配列番号44)及びGN428(配列番号60)と、12種類の異なる抗生物質との間の相乗作用を、カルバペネム耐性臨床株WC-452を用いて、本明細書に記載されるヒト血清を添加したCAA培地を使用するチェッカーボードアッセイで調べた。部分阻止濃度指数(FICI:Fractional Inhibitor Concentration Index)の値を全ての組合せについて決定した(0.5未満の値は相乗作用を示す)。
【0259】
下記表5に示すように、前述の溶解素及び溶解素-AMPコンストラクトは、幅広い抗生物質に対して相乗的である。イミペネムの場合、相乗作用はカルバペネム抗生物質への再感作と一致する。
【0260】
実施例3.溶解素と組み合わせて抗生物質を用いるカルバペネム耐性臨床株の再感作
カルバペネム耐性シュードモナス・エルギノーサ株をカルバペネムに再感作するGN121(配列番号175)又はGN123(配列番号173)の能力を、前述の溶解素それぞれと2つのカルバペネム、すなわちイミペネム(IPM)又はメロペネム(MEM)とを組み合わせることによって評定した。最大7つのカルバペネム耐性分離株を評定した。再感作は相乗的な組合せで起こり、このときカルバペネムMIC値は確立されたブレイクポイント(例えば、カルバペネム感受性分離株の場合はMIC値2以下、中間感受性カルバペネム分離株の場合はMIC値4、及びカルバペネム耐性分離株の場合はMIC値8以上)を下回る。Clinical and Laboratory Standards Institute (CLSI), CLSI. 2019. M100 Performance Standards for Antimicrobial Susceptibility Testing; 29th Edition.
Clinical and Laboratory Standards Institute, Wayne, PA.を参照されたい。
【0261】
表6~表9に示すように、GN123(配列番号173)又はGN121(配列番号175)との相乗的な組合せは、調査した7つのカルバペネム耐性分離株のそれぞれについてIPM及びMEMのMICがブレイクポイント値未満まで減少することを実証した。これらの観察は、再感作と一致している。
【0262】
実施例4.付加的な溶解素又は溶解素-AMPコンストラクトと組み合わせて抗生物質を用いるカルバペネム耐性臨床株の再感作
カルバペネム耐性臨床株をカルバペネムに再感作するGN351(配列番号32)、GN370(配列番号44)又はGN428(配列番号60)の能力を、前述の溶解素又は
溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトのそれぞれと、IPM又はMEMとを組合せることにより評定した。カルバペネム耐性分離株であるWC-452を評定した。上記実施例3で述べたように、カルバペネムMIC値が先に記載されるブレイクポイントを下回る相乗的な組合せにおいて再感作が起こる。
【0263】
表10に示されるように、GN351(配列番号32)、GN370(配列番号44)又はGN428(配列番号60)との相乗的な組合せは、WC-452についてブレイクポイント値未満までIPM及びMEMのMICを減少することを実証した。これらの観察は、再感作と一致している。
【0264】
実施例3及び実施例4の研究結果は、本明細書に記載される溶解素及び溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトがシュードモナス・エルギノーサをカルバペネム抗生物質に再感作し、in vitroにおいてブレイクポイント値未満にMICを推進することを示している。溶解素及び溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトが従来の抗生物質に対して抗生物質耐性株を再感作するこの新規な能力は、抗微生物耐性に対処し、これを逆転させる治療薬としてのこれらの生物学的製剤の利点を示している。
【0265】
【0266】
【0267】
【0268】
【0269】
【0270】
【0271】
【0272】
【0273】
【0274】
実施例5.ヒト血清及び肺サーファクタント中でのシュードモナス・エルギノーサに対するグラム陰性溶解素の殺菌活性
本明細書に記載される4つの抗シュードモナス溶解素GN121、GN351、GN370及びGN428の溶菌活性の更なる特性評価を、ヒト血清又は肺サーファクタントを組み込む標準的なin vitro感受性試験の形式を用いて評価した。グラム陰性溶解素の作用機構を、実施例6及び実施例7で検討されるように、蛍光顕微鏡観察及び透過型電子顕微鏡観察(TEM)によって更に評価した。
【0275】
材料及び方法:MICを、ヒト血清及び肺サーファクタント(Survanta(商標);Myoderm Clinical Supplies)を添加した培地中での微量液体希釈によって決定した
。抗生物質との相乗作用をチェッカーボードアッセイで調べ、最小バイオフィルム根絶濃度(MBEC)を、標準的な方法を用いて決定した。12.5%ヒト血清を添加したCAAを用いてMBECを測定した。蛍光顕微鏡観察をLIVE/DEAD染色(ThermoFisher)後に行い、そしてTEMを実施した。
【0276】
結果:ヒト血清及び肺サーファクタント(Survanta(商標))中でグラム陰性溶解素の活性が観察された。溶解素MIC値を、標準AST形式の培地(0.25mM MgSOを含む25%カザミノ酸培地)単独で、並びに12.5%ヒト血清及び0.78%Survanta(商標)の存在下で決定した。Survanta(商標)濃度0.78%は、生理学的レベルの肺サーファクタントを意味する。シュードモナス・エルギノーサ株CFS-1292(メロペネム耐性)をレポーター株として使用した。下記表11に示すように、グラム陰性溶解素GN121、GN351、GN428及びGN370は、ヒト血清及び肺サーファクタント中で活性であると結論づけられた。同様に、下記表Cに示すように、溶解素及びAMP-溶解素ポリペプチドコンストラクトは、MICの場合に観察されたものと同様に、12.5%ヒト血清を用いることでMBEC値1μg/mL以下の強力な抗バイオフィルム効果を示した。
【0277】
【0278】
【0279】
肺サーファクタント(Survanta(商標))の存在下でのグラム陰性溶解素の活性を、MICアッセイ形式でSurvanta(商標)の濃度範囲に対して測定した。AST形式(25%SAA)に添加した様々な濃度(25%、12.5%、6.25%、3.12%、1.56%、0.78%及び0.39%)のSurvanta(商標)の存在下でのMICの倍変化を表12に示す。倍変化は、MIC値と25%CAA単独で決定されたMIC値との比較に基づく。肺サーファクタントの生理学的濃度は0.78%~0.39%の範囲である。シュードモナス・エルギノーサ株CFS-1292(メロペネム耐性)をレポーター株として使用した。試験したグラム陰性溶解素は、生理学的レベルの肺サーファクタント(Survanta(商標))の存在下で活性であると結論づけられた。
【0280】
【0281】
二価カチオンの存在下でグラム陰性溶解素の活性を評価し、生理学的濃度の二価カチオ
ンの影響をMICアッセイ形式で調べた。MICの倍変化を、AST培地(25%CAA)に添加した様々なカチオン濃度(1.25mM CaCl、0.78mM MgCl、及び1.25mM CaClと0.78mM MgClとの組合せ)の存在下で測定した。結果を下記表13に示す。25%CAAが典型的には0.25nM MgSOを有することに留意する。シュードモナス・エルギノーサ株CFS-1292(メロペネム耐性)をレポーター株として使用した。試験したグラム陰性溶解素は、生理学的レベルのカルシウム及びマグネシウムの存在下で活性であると結論づけられた。
【0282】
【0283】
実施例6.グラム陰性溶解素が細菌外膜を不安定化させる能力
シュードモナス・エルギノーサの外膜を不安定化させるグラム陰性溶解素の能力を、N-フェニル-1-ナフチルアミン(NPN)取り込みアッセイの使用を通して評価した。Dassanayake, R.P. et al., Antimicrobial activity of bovine NK-lysin-derived peptides on Mycoplasma bovis, PLOS One 2018; 9(1):e86364を参照されたい。指数増殖期のシュードモナス・エルギノーサ(CFS 1292)を採取し、洗浄し、pH7.4の5mM 4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)バッファー及び5mMグルコースに再懸濁した。NPNを最終濃度10mMまで添加した。GN121、GN351、GN428及びGN370を含むグラム陰性溶解素を、100μg/ウェルの最終濃度で添加した。蛍光の変化を2時間にわたって記録した(励起l=350nm;発光l=420nm)。膜に組み込まれたNPNは、蛍光の増加をもたらした。図2A及び図2Bに示すように、グラム陰性溶解素は、細菌細胞壁の外膜の破壊を媒介した。各グラム陰性溶解素のデータを下記表14に示す。
【0284】
【0285】
実施例7.顕微鏡観察は血清中でのグラム陰性溶解素の殺菌性(bactericidality)を示

シュードモナス・エルギノーサ株1292を、100%ヒト血清においてGN121(10μg/mL)又はバッファー対照で15分間処理した。サンプルは、Live/Dead Cell Viability Kit(ThermoFisher)を用いて染色し、微分干渉観察(DIC)と蛍光顕微鏡観察との両方で調べた。顕微鏡分析(倍率2000倍)を示す一連の顕微鏡写真を示す図3に表されるように、未処理の列には死菌が存在しておらず、処理された列で生菌が減少した。
【0286】
実施例8.ヒト血清中でのグラム陰性溶解素とメロペネムとの相乗効果
標準チェッカーボードアッセイを行って、ヒト血清の存在下でのグラム陰性溶解素とメロペネムとの相乗作用を評定した。シュードモナス・エルギノーサ株CFS 1292、1557(PA19)、1558(PA20)、CFS 1559(PA21)、CFS
1560(PA22)、CFS 1561(PA23)、CFS 1562(PA24)及びCFS 1766(ATCC 27853)を25%CAA及び12.5%ヒト血清の溶液に懸濁し、部分阻止濃度指数(FICI:Fractional Inhibitory Concentration Index)値を測定することにより相乗作用を評価した。FICI値0.5以下は、強力
な相乗作用と一致した。下記表15に示すように、GN121、GN351、GN370及びGN428の全てが、評価した3つのシュードモナス・エルギノーサ株のそれぞれについてメルペネムとの相乗作用を示した。
【0287】
【0288】
実施例9.GN溶解素に対する耐性の低い傾向
別の実験では、グラム陰性細菌は21日間の連続継代耐性アッセイにおいてGN121、GN351、GN370及びGN428に対する耐性を発現しなかったと判断された。GN-溶解素希釈系列の存在下での21日間の連続継代に対してシュードモナス・エルギノーサ(株WC-452)を用いて、細菌耐性の分析を行った(重複して行った)。簡潔
に言えば、微量液体希釈MIC形式を用い、ここでは、37℃で18時間、CAAブロス中において2倍希釈範囲のGN溶解素を細菌(開始濃度5×10e6CFU/ml)と共に培養した。次いで、細菌の増殖が見られたGN溶解素の濃度が最も高いウェルを、次の日の継代の接種菌液として使用し、該プロセスを21日間にわたって繰り返した。各日の時間点でMICを記録し、MICの段階的な増加として耐性を測定した。
【0289】
上記アッセイでは、GN121、GN351、GN370及びGN428溶解素のMICは18日間かけて最大1-log2希釈(2倍)増加し、これは継代対照(処理なし)
に匹敵した(図4A図4D)。対照的に、シプロフロキサシン対照は18日間かけて4-log2希釈(16倍)増加した(図4E)。D'Lima et al.はまた、連続継代中にシ
プロフロキサシンMICの増加を見出した。21日間の連続継代でシプロフロキサシンMICの最大32倍の増加を報告している、D'Lima et al., 2012, Antimicrobial Agents and Chemotherapy, 56: 2753-2755を参照されたい。本発明者らの結果は、GN溶解素耐
性の低い傾向と一致し、これはグラム陽性溶解素で観察されたものに類似する。例えば、2019年2月26日に出願された国際出願PCT/US19/19638号(その全体が引用することにより本明細書の一部をなす)を参照されたい。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
【配列表】
2024123123000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-07-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトであって、
(a)第1の成分であって、
(i)GN202(配列番号118)溶解素、又は、
(ii)溶解素活性を有し、配列番号118のポリペプチド配列と少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチド、又は、
(iii)前記溶解素の活性フラグメント、
のポリペプチド配列を含む、第1の成分と、
(b)第2の成分であって
IRL(配列番号114)のポリペプチド配列を含む、第2の成分と、
を含み、
前記溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトが、シュードモナス・エルギノーサの細菌増殖を阻害すること、シュードモナス・エルギノーサの菌数を減少させること、及び/又はシュードモナス・エルギノーサを死滅させることから選択される少なくとも1つの活性を備える、溶解素-AMPポリペプチドコンストラクト。
【請求項2】
前記コンストラクトが、該コンストラクトにおいて第1及び/又は第2の成分の構造の少なくとも一部を、コンジュゲートされていない溶解素及び/又はAMPの場合と実質的に同じに維持するための少なくとも1つの構造安定化成分を更に含む、請求項に記載の溶解素-AMPポリペプチドコンストラクト。
【請求項3】
前記少なくとも1つの構造安定化成分がペプチドである、請求項に記載の溶解素-AMPポリペプチドコンストラクト。
【請求項4】
前記ペプチドが、MIDR(配列番号112)、NPTH(配列番号116)、TAGGTAGG(配列番号72)、IGEM(BBa_K1485002)(配列番号82)、PPTAGGTAGG(配列番号98)、IGEM+PP(配列番号16の残基44~58)及びAGAGAGAGAGAGAGAGAS(配列番号122)からなる群から選択される、請求項4に記載の溶解素-AMPポリペプチドコンストラクト。
【請求項5】
前記溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトが、(i)GN370(配列番号44)ポリペプチド配列、又は(ii)溶解素活性を有し、配列番号44と少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドのポリペプチド配列を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の溶解素-AMPポリペプチドコンストラクト。
【請求項6】
溶解素-抗微生物ペプチド(AMP)ポリペプチドコンストラクトをコードする核酸分子を含む単離ポリヌクレオチドであって、該核酸分子が、
(a)第1の核酸分子であって、
(i)GN202(配列番号118)溶解素、又は、
(ii)配列番号118に少なくとも80%同一である、溶解素活性を有するポリペプチド、又は、
(iii)前記溶解素の活性フラグメント、
を含む第1の成分をコードする、第1の核酸分子と、
(b)第2の核酸分子であって
IRL(配列番号114)のポリペプチド配列を含む第2の成分をコードする、第2の核酸分子と、
を含み、
前記溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトが、シュードモナス・エルギノーサの細菌増殖を阻害すること、シュードモナス・エルギノーサの菌数を減少させること、及び/又はシュードモナス・エルギノーサを死滅させることから選択される少なくとも1つの活性を備える、単離ポリヌクレオチド。
【請求項7】
前記核酸分子が、(c)少なくとも1つの構造安定化成分を含む第3の成分をコードする第3の核酸分子を更に含み、該少なくとも1つの構造安定化成分が、前記コンストラクトにおいて第1及び/又は第2の成分の構造の少なくとも一部を、コンジュゲートされていない溶解素及び/又はAMPの場合と実質的に同じに維持する、請求項に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項8】
前記少なくとも1つの構造安定化成分がペプチドを含む、請求項に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項9】
前記ペプチドが、MIDR(配列番号112)、NPTH(配列番号116)、TAGGTAGG(配列番号72)、IGEM(BBa_K1485002)(配列番号82)、PPTAGGTAGG(配列番号98)、IGEM+PP(配列番号16の残基44~58)及びAGAGAGAGAGAGAGAGAS(配列番号122)からなる群から選択される、請求項に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項10】
前記溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトをコードする核酸分子が、
(i)GN370溶解素(配列番号44)をコードする核酸分子、又は、
(ii)溶解素活性を有し、配列番号44ポリペプチド配列と少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子、である、請求項のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項11】
前記単離ポリヌクレオチドがDNAを含む、請求項10のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項12】
前記単離ポリヌクレオチドがcDNAを含む、請求項10のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項13】
請求項11のいずれか一項に記載の単離ポリヌクレオチド配列を含む組換えベクター。
【請求項14】
前記単離ポリヌクレオチド配列が異種プロモーターに操作可能に連結されている、請求項13に記載の組換えベクター。
【請求項15】
前記組換えベクターが組換え発現ベクターである、請求項13又は14に記載の組換えベクター。
【請求項16】
請求項1315のいずれか一項に記載の組換えベクターを含む単離宿主細胞。
【請求項17】
解素-抗微生物ペプチド(AMP)ポリペプチドコンストラクトと、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物であって
記溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトが、
(a)第1の成分であって、
(i)GN202(配列番号118)溶解素、又は、
(ii)溶解素活性を有し、配列番号118のポリペプチド配列と少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチド、又は、
(iii)前記溶解素の活性フラグメント、
のポリペプチド配列を含む、第1の成分と、
(b)第2の成分であって
IRL(配列番号114)のポリペプチド配列を含む、第2の成分と、
を含み、
前記医薬組成物が、シュードモナス・エルギノーサの細菌増殖を阻害する、シュードモナス・エルギノーサの菌数を減少させる、及び/又はシュードモナス・エルギノーサを死滅させる、医薬組成物。
【請求項18】
前記溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトが、該コンストラクトにおいて第1及び/又は第2の成分の構造の少なくとも一部を、コンジュゲートされていない溶解素及び/又はAMPの場合と実質的に同じに維持するための少なくとも1つの構造安定化成分を更に含む、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記少なくとも1つの構造安定化成分がペプチドである、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記ペプチドが、MIDR(配列番号112)、NPTH(配列番号116)、TAGGTAGG(配列番号72)、IGEM(BBa_K1485002)(配列番号82)、PPTAGGTAGG(配列番号98)、IGEM+PP(配列番号16の残基44~58)及びAGAGAGAGAGAGAGAGAS(配列番号122)からなる群から選択される、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトが、GN370(配列番号44)ポリペプチド配列、又は溶解素活性を有し、列番号44に少なくとも80%の同一性を有するポリペプチド配列を含む、請求項1720のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記医薬組成物が、溶液、懸濁液、エマルション、吸入用粉末、エアロゾル又はスプレーとして配合される、請求項1721のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記医薬組成物がグラム陰性細菌の治療に適した抗生物質を更に含む、請求項1722のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
グラム陰性細菌によって引き起こされる細菌感染を治療するための、請求項17~23のいずれか一項に記載の医薬組成物であって、該グラム陰性細菌がシュードモナス・エルギノーサ及び任意に1つ以上の付加的な種のグラム陰性細菌を含む、医薬組成物
【請求項25】
前記細菌感染が局所又は全身病原性細菌感染である、請求項24に記載の医薬組成物
【請求項26】
細菌感染を予防又は治療するための、請求項24又は25に記載の医薬組成物であって、グラム陰性細菌感染の治療に適した抗生物質と組み合わせて投与される、医薬組成物
【請求項27】
グラム陰性細菌感染の治療に適した抗生物質の有効性を高めるための組成物であって
解素-抗微生物ペプチド(AMP)ポリペプチドコンストラクトを含有し、
前記溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトが、
(a)第1の成分であって、
(i)GN202(配列番号118)溶解素、又は、
(ii)溶解素活性を有し、配列番号118のポリペプチド配列と少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチド、又は、
(iii)前記溶解素の活性フラグメント、
のポリペプチド配列を含む、第1の成分と、
(b)第2の成分であって
IRL(配列番号114)のポリペプチド配列を含む、第2の成分と、
を含み、
前記組成物が、シュードモナス・エルギノーサの細菌増殖を阻害すること、シュードモナス・エルギノーサの菌数を減少させること、及び/又はシュードモナス・エルギノーサを死滅させることから選択される少なくとも1つの活性を備える、組成物
【請求項28】
少なくとも1つの種のグラム陰性細菌の増殖を阻害するか、又はその菌数を減少させるか、又はそれを死滅させるための組成物であって、
前記少なくとも1つの種のグラム陰性細菌がシュードモナス・エルギノーサ及び任意に1つ以上の付加的な種のグラム陰性細菌であり、
前記組成物、溶解素-抗微生物ペプチド(AMP)ポリペプチドコンストラクトを含有し、
前記溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトが、
(a)第1の成分であって、
(i)GN202(配列番号118)溶解素、又は、
(ii)溶解素活性を有し、配列番号118のポリペプチド配列と少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチド、又は、
(iii)前記溶解素の活性フラグメント、
のポリペプチド配列を含む、第1の成分と、
(b)第2の成分であって
IRL(配列番号114)のポリペプチド配列を含む、第2の成分と、
を含み、
前記組成物が、シュードモナス・エルギノーサの細菌増殖を阻害すること、シュードモナス・エルギノーサの菌数を減少させること、及び/又はシュードモナス・エルギノーサを死滅させることから選択される少なくとも1つの活性を備える、組成物
【請求項29】
前記1つ以上の付加的な種のグラム陰性細菌が、クレブシエラ属種、エンテロバクター属種、大腸菌、シトロバクター・フロインディイ、サルモネラ・ティフィムリウム、エルシニア・ペスティス及び野兎病菌からなる群から選択される、請求項2425、及び28のいずれか一項に記載の組成物
【請求項30】
前記抗生物質が、セフタジジム、セフェピム、セフォペラゾン、セフトビプロール、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、アミノグリコシド、イミペネム、メロペネム、ドリペネム、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ピペラシリン、チカルシリン、ペニシリン、リファンピシン、ポリミキシンB及びコリスチンの1つ以上から選択される、請求項23、26、及び27のいずれか一項に記載の組成物
【請求項31】
前記少なくとも1つの活性が、シュードモナス・エルギノーサに加えて少なくとも1つの種のグラム陰性細菌の増殖を阻害すること又はその菌数を減少させることを更に含む、請求項24~30のいずれか一項に記載の組成物
【請求項32】
シュードモナス・エルギノーサに加えて、前記少なくとも1つの種のグラム陰性細菌が、クレブシエラ属種、エンテロバクター属種、大腸菌、シトロバクター・フロインディイ、サルモネラ・ティフィムリウム、エルシニア・ペスティス及び野兎病菌からなる群から選択される、請求項31に記載の組成物
【請求項33】
前記溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトが、シュードモナス・エルギノーサを抗生物質に対して再感作する、請求項24~32のいずれか一項に記載の組成物
【請求項34】
前記抗生物質がカルバペネムである、請求項33に記載の組成物
【請求項35】
前記抗生物質がメロペネムである、請求項34に記載の組成物
【請求項36】
表面のグラム陰性細菌のバイオフィルムを予防、破壊又は根絶するための組成物であって
イオフィルム内のグラム陰性細菌を死滅させるのに有効な溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトを含有し、
前記溶解素-AMPポリペプチドコンストラクトが、
(a)第1の成分であって、
(i)GN202(配列番号118)の溶解素、又は、
(ii)溶解素活性を有し、配列番号118のポリペプチド配列と少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチド、又は、
(iii)前記溶解素の活性フラグメント、
のポリペプチド配列を含む、第1の成分と、
(b)第2の成分であって、
FIRL(配列番号114)のポリペプチド配列を含む、第2の成分と、
を含み、前記バイオフィルムが効果的に予防、破壊又は根絶される、組成物
【請求項37】
前記表面が医療用具の表面を含む、請求項36に記載の組成物
【請求項38】
前記医療用具が、コンタクトレンズ、薬物ポンプ、インプラント、カテーテル又は補綴用具である、請求項37に記載の組成物
【請求項39】
前記組成物が1つ以上の抗生物質を更に含む、請求項3638のいずれか一項に記載の組成物
【請求項40】
前記表面を1つ以上の抗生物質と追加的に接触させる、請求項3639のいずれか一項に記載の組成物
【請求項41】
前記1つ以上の抗生物質がペニシリン、セファロスポリン、モノバクタム、フルオロキノロン、カルバペネム、アミノグリコシド、ポリミキシン、マクロライド又はホスホマイシンから選択される、請求項39又は40に記載の組成物
【請求項42】
前記表面が生物表面である、請求項3641のいずれか一項に記載の組成物
【請求項43】
前記表面が、骨髄炎、細菌性心内膜炎、扁桃炎、副鼻腔炎、角膜の感染、尿路感染、胆道の感染、感染性腎臓結石、尿道炎、前立腺炎、中耳感染、歯垢の形成、歯肉炎、歯周炎、嚢胞性線維症、創傷感染及び医療用具の感染から選択されるグラム陰性細菌に感染している、請求項3642のいずれか一項に記載の組成物
【請求項44】
バイオフィルム形成が予防される、請求項3643のいずれか一項に記載の組成物
【請求項45】
前記バイオフィルムが破壊又は根絶される、請求項3643のいずれか一項に記載の組成物
【外国語明細書】