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特開2024-123133TNFR2ドメインを含む新規CAR構築物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123133
(43)【公開日】2024-09-10
(54)【発明の名称】TNFR2ドメインを含む新規CAR構築物
(51)【国際特許分類】
   C07K 19/00 20060101AFI20240903BHJP
   C07K 14/715 20060101ALI20240903BHJP
   C07K 16/00 20060101ALI20240903BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20240903BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20240903BHJP
【FI】
C07K19/00
C07K14/715 ZNA
C07K16/00
C07K14/715
C07K19/00 ZNA
C12N15/13
C12N15/62 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024099001
(22)【出願日】2024-06-19
(62)【分割の表示】P 2021531201の分割
【原出願日】2019-08-09
(31)【優先権主張番号】62/717,234
(32)【優先日】2018-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520097010
【氏名又は名称】サンガモ セラピューティクス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】アベル,トビアス
(72)【発明者】
【氏名】フェナード,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ガートナー-ダーデン,ジュリー
(72)【発明者】
【氏名】メイヤー,フランソワ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】Treg細胞で発現される場合により少ない持続性シグナル伝達を有する新規CAR構築物を提供する。
【解決手段】本発明は、ヒトTNFR2膜貫通ドメイン(TM)もしくはその断片もしくはバリアントおよび/またはヒトTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインもしくはその断片もしくはバリアントを含むキメラ抗原受容体(CAR)、およびCARを発現する免疫細胞に関する。本発明はさらに、ヒトTNFR2膜貫通ドメイン(TM)もしくはその断片もしくはバリアントおよび/またはヒトTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメイン、もしくはその断片もしくはバリアントを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現する免疫細胞の投与を含む治療方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞外結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)であって、
(i)前記膜貫通ドメインは、ヒト腫瘍壊死因子受容体2(TNFR2)膜貫通ドメインまたはその断片またはバリアントを含み、または
(ii)前記細胞内ドメインは、ヒトTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインもしくはその断片もしくはバリアントを含み、または
(iii)(i)および(ii)の両方である、
キメラ抗原受容体(CAR)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2018年8月10日に出願された米国仮特許出願第62/717,234号の優先権を主張する。その出願の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
配列表
【0002】
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。2019年8月9日に作成された配列表の電子コピーは、025297_WO003_SL.txtという名前で、サイズは195,578バイトである。
技術分野
【0003】
本発明は、免疫療法の分野に関する。特に、本発明は、TNFR2膜貫通ドメイン(TM)もしくはその断片もしくはバリアント、および/またはTNFR2細胞内ドメインもしくはその断片もしくはバリアントを含むキメラ抗原受容体(CAR)に関する。本発明はまた、CARを発現する細胞集団、および疾患または障害を治療するためのその使用に関する。
【背景技術】
【0004】
キメラ抗原受容体(CAR)技術は近年、癌治療を、特にB細胞リンパ腫および白血病の文脈において、急進的に変えた。CARにより操作されたプロ炎症性T細胞は広範囲に研究されており、初期の臨床試験では血液悪性腫瘍の治療において効果をもたらすことが示唆されているが、その一方でCARにより操作された調節性T細胞(Treg)はあまり評価されていない。
【0005】
ヒトTregは、免疫恒常性維持において重要な役割を果たしているため、様々な臨床状態の治療手段として利用され得る。また、ヒトTregは、強力な免疫抑制特性を有しており、治療の場において抗原特異的免疫調節を付与するためにそれらの特性を活用できる。これらの理由から、Treg細胞療法は、例えば、慢性炎症性疾患、自己免疫疾患、アレルギー性疾患、および移植片拒絶反応または移植片対宿主病(GvHD)などの臓器移植状態を治療することを目的として開発されている。
【0006】
当技術分野では、CAR構築物を用いたTreg細胞の形質導入が、例えばPCT特許国際公開2008/095141号において示唆されている。
【0007】
それらの細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞質ドメインにおいて異なる、CARの様々な分子フォーマットが開発されている。Tエフェクター細胞分野では、キメラ抗原受容体(CAR)の細胞内モジュールは典型的には、CD3ゼータとタンデムであるCD28、ICOSまたは4-1BBドメインからなる。しかし、CAR Treg細胞を設計するためにこれらのプロトタイプモジュールを使用することは多くの場合、制御されない構成的活性化をもたらす制御されない構成的シグナル伝達をもたらす。この持続性シグナル伝達(抗原に依存しない活性化背景に対応する)は、CAR Treg細胞の早期枯渇をもたらし、それによりそれらの治療的使用を制限し得る。
【0008】
したがって、免疫細胞、特にTreg細胞で発現される場合により少ない持続性シグナル伝達を有する新規CAR構築物が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、TNFR2膜貫通ドメインもしくはその断片もしくはバリアント、および/またはTNFR2細胞内ドメインもしくはその断片もしくはバリアントを含む新規CAR構築物を提供する。本明細書で実証されるように、CAR構築物を発現する操作T細胞および操作Treg細胞は、従来のCARを発現する細胞と比較して、持続性シグナル伝達の強い減少を呈する。CARの関与後、操作Treg細胞は、Tエフェクター細胞の増殖に対して高効率の抑制活性を示し、これにより、細胞療法でのこれらのTreg細胞の有利性が実証された。
【0010】
いくつかの実施形態では、ヒトTreg細胞は、以下の特徴の1つ以上を呈する:a)ヒトCD8膜貫通ドメインおよび4-1BB共刺激細胞内シグナル伝達ドメインを有するCARを発現するTreg細胞と比較して、本発明のTreg細胞は細胞表面上にCARを低レベルで発現するが、CAR特異的活性化の同等なレベルをなお示す、b)本発明のTreg細胞は、1週間を超えた(例えば、9日間の培養)後に、それらのTreg表現型(例えば、FoxP3、Helios、およびCD62Lの高レベルの発現、ならびにCD127の低レベルの発現)を保持する、ならびにc)本発明のTreg細胞は、in vivoで(例えば、マウスGvHDモデルにおいて)GvHDを制御できる。
【0011】
いくつかの実施形態では、本発明は、細胞外結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含むCARを提供し、
-膜貫通ドメインは、ヒト腫瘍壊死因子受容体2(TNFR2)膜貫通ドメイン、もしくはその断片もしくはバリアントを含み、または
-細胞内ドメインは、ヒトTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインもしくはその断片もしくはバリアントを含み、または
-(i)および(ii)である。
【0012】
ある実施形態では、本明細書に記載のCARは、細胞外ヒンジドメイン、例えば、ヒトCD8またはCD28のヒンジ領域をさらに含む。特定の実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号14の配列、または配列番号14と少なくとも約70%の同一性を有する配列を含む。
【0013】
ある実施形態では、本明細書に記載のCARの細胞内ドメインは、免疫細胞一次細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、ヒトCD3のT細胞一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。特定の実施形態では、細胞内ドメインは、ヒトCD3ゼータの一次細胞内シグナル伝達ドメインを含み、任意により、配列番号28、29、30または31の配列、または配列番号28、29、30または31と少なくとも約70%の同一性を有する配列を含む。
【0014】
ある実施形態では、CARは、
-細胞外結合ドメインと、
-ヒトCD8またはCD28のヒンジ領域を含む細胞外ヒンジドメインと、
-ヒトTNFR2膜貫通ドメインまたはその断片またはバリアントを含む膜貫通ドメインと、
-ヒトCD3ゼータの一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメイン、
を含む。
【0015】
ある実施形態では、CARは、
-細胞外結合ドメインと、
-ヒトCD8またはCD28のヒンジ領域を含む細胞外ヒンジドメインと、
-膜貫通ドメインと、
-ヒトTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインまたはその断片またはバリアント、およびヒトCD3ゼータの一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメイン、
を含む。
【0016】
ある実施形態では、CARは、
-細胞外結合ドメインと、
-ヒトCD8またはCD28のヒンジ領域を含む細胞外ヒンジドメインと、
-ヒトTNFR2膜貫通ドメインまたはその断片またはバリアントを含む膜貫通ドメインと、
-ヒトTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインまたはその断片またはバリアント、およびヒトCD3ゼータの一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメイン、
を含む。
【0017】
ある実施形態では、本明細書に記載のCARの膜貫通ドメインは、配列番号22のまたは配列番号22と少なくとも約70%の同一性を有する配列の少なくとも8つの連続アミノ酸を含む。ある実施形態では、膜貫通ドメインは、TNFR2ではないタンパク質の膜貫通ドメイン由来のアミノ酸残基と組み合わせて、配列番号22の少なくとも8つの連続アミノ酸残基を含む。ある実施形態では、膜貫通ドメインは、VNCVIMTQV(配列番号63)のアミノ酸配列を含む。
【0018】
ある実施形態では、本明細書に記載のCARの細胞内ドメインは、配列番号34のまたは配列番号34と少なくとも約70%の同一性を有する配列の少なくとも30の連続アミノ酸残基を含む。ある実施形態では、細胞内ドメインは、TNFR2ではないタンパク質の共刺激細胞内シグナル伝達ドメイン由来のアミノ酸残基と組み合わせて、配列番号34の少なくとも30の連続アミノ酸残基を含む。ある実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号34の残基1~70、1~115、または1~156を含む。
【0019】
ある実施形態では、CARは、
-細胞外結合ドメインと、
-配列番号14のCD8ヒンジ領域を含む細胞外ヒンジドメインと、
-配列番号22のTNFR2膜貫通ドメインを含む膜貫通ドメインと、
-配列番号28、29、30、または31の一次ヒトCD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメイン、および配列番号34のTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメイン、
を含む。
【0020】
ある実施形態では、本明細書に記載のCARの細胞外結合ドメインは、抗体またはその抗原結合断片である。特定の実施形態では、細胞外結合ドメインは、一本鎖可変断片(scFv)である。細胞外結合ドメインは、例えば、
-任意によりIL-23受容体(IL-23R)である、自己抗原、
-CD19およびCD20から任意により選択されるB細胞抗原、または
-クラスI分子が任意によりHLA-A2である、同種HLAクラスI分子または同種HLAクラスII分子
を特異的に結合し得る。
【0021】
本発明はまた、本明細書に記載のCARをコードする核酸配列と、核酸配列を含むベクターと、核酸配列またはベクターを含む宿主細胞とを提供する。
【0022】
本発明はまた、本明細書に記載のCARを発現する免疫細胞の集団を提供する。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、αβT細胞、γδT細胞、ダブルネガティブ(DN)細胞、調節性免疫細胞、調節性T(Treg)細胞、エフェクター免疫細胞、エフェクターT細胞、B細胞、および骨髄系細胞、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、免疫細胞は任意により、ヒト細胞である。特定の実施形態では、集団は、Treg細胞を含み、Treg細胞は任意によりヒト細胞である。
【0023】
ある実施形態では、免疫細胞集団は、
-細胞外結合ドメインと、
-ヒトCD8のヒンジ領域を含むヒンジドメインと、
-ヒトTNFR2膜貫通ドメインと、
-ヒトTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメイン、およびヒトCD3ゼータの一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメイン、
を含むCARを発現するヒトTreg細胞を含む。
【0024】
本発明はまた、本明細書に記載のCARを発現する免疫細胞、宿主細胞、または免疫細胞集団、および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。また、それを必要とするヒト対象において疾患または障害を治療するための方法も提供され、本方法は、医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0025】
本発明はまた、それを必要とするヒト対象における疾患または障害の治療での使用のための、本明細書に記載のキメラ抗原受容体または免疫細胞集団を提供する。
【0026】
本発明はまた、それを必要とするヒト対象における疾患または障害の治療のための医薬品の製造のための、本明細書に記載のキメラ抗原受容体または免疫細胞集団の使用を提供する。
【0027】
いくつかの実施形態では、疾患または障害は、炎症性疾患、自己免疫疾患、アレルギー性疾患、臓器移植状態、癌および感染症からなる群から選択される。
【0028】
いくつかの実施形態では、ヒト対象は免疫抑制を必要とし、CARはヒト対象中のTreg細胞中で発現する。
【0029】
いくつかの実施形態では、疾患または障害は、炎症性疾患、自己免疫疾患、アレルギー性疾患、または臓器移植状態(例えば、移植片拒絶反応または移植片対宿主病)である。
【0030】
本発明はまた、医薬品としての使用のための本明細書に記載のキメラ抗原受容体または免疫細胞集団を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】CD19-CAR、CD20-CAR、およびIL-23R-CARの構築物の概略図を示す。CARは、ヒトCD8リーダー配列(CD8)、任意により血球凝集素タグ(HA)、scFv配列(抗CD19、抗CD20、または抗IL-23R)、任意によりストレプトアビジンタグ(タグ)、ヒンジドメイン(リンカー)、膜貫通ドメイン(TNFR2またはCD8)、共刺激細胞内シグナル伝達ドメイン(4-IBBまたはTNFR2)およびCD3ゼータ(CD3ζ)を含む。CAR構築物は、P2A-GFPコード配列とインフレームである。
図2】Tregの細胞表面での形質導入効率およびCAR発現を示すフローサイトメトリーのドットプロットを示す。形質導入効率をGFP発現によって評価し、CAR発現を、CD19-CAR(CD8TM/4-1BBまたはTNFR2)のHA発現またはCD20-CAR(CD8TM/4-1BBまたはTNFR2)のプロテインL染色によって評価した。MFI:平均蛍光強度。
図3】CD20-CAR(CD8TM/4-1BBまたはTNFR2)で形質導入された、または形質導入されていない(「ブランク」)ヒトTregにおけるCAR発現のウエスタンブロット分析を示す。CD3ゼータ特異的抗体による染色は、16kDで内因性CD3ゼータ、約62kDでCD20-CAR(CD8TM/4-1BB)、82kDでCD20-CAR(TNFR2)を明らかにした(パネルA、左上)。次に、メンブレンを洗浄し、ローディング対照としてβーアクチン抗体で再プローブした(パネルA、左下)。バンド強度はImage Jを用いて定量し、2つの異なるドナーの結果をパネルBに示す。
図4】TNFR2由来CARがCAR特異的活性化を維持することを示すヒストグラムを示す。9日目に、形質導入されたFoxP3Tregを単独で、または抗CD3/抗CD28コーティングビーズの存在下で、または新たに解凍した自家B細胞の存在下で播種した。24時間後、CD4およびCD69細胞表面発現について、CD19-CAR(左上)、CD20-CAR(右上)、およびIL-23R-CAR(下)を染色した。エラーバーは、平均±SEMを表す。対照:CARで形質導入されていないTreg細胞。
図5】TNFR2由来CARが効率的なCAR媒介抑制活性を呈することを示すグラフである。いかなる活性化もない場合(点線)またはB細胞由来CARの活性化(実線)後に、CD19-CAR Treg(パネルA)、CD20-CAR Treg(パネルB)、またはIL-23R-CAR Treg(パネルC)によって媒介される接触依存性抑制を、フローサイトメトリーを使用して従来のT細胞(Tconv)の増殖を測定することにより評価した。丸線はCD8TM/4-1BB CAR構築物を表し、四角線はTNFR2CAR構築物を表す。エラーバーは、平均±SEMを表す。
図6】本発明のCD19-CAR構築物の概略図を示す。CARは、ヒトCD8リーダー配列(CD8)、scFv配列(抗CD19)、ストレプトアビジンタグ(タグ)、ヒンジドメイン(リンカー)、膜貫通ドメイン(CD8、TNFR2または融合CD8/TNFR2)、共刺激細胞内シグナル伝達ドメイン(4-IBB、TNFR2またはTNFR2断片)およびCD3ゼータ(CD3z)を含む。CAR構築物は、P2A-GFPコード配列とインフレームである。
図7】Jurkat-NFAT細胞でTNFR2-C末端欠失構築物が異なる表面発現レベルを呈し、かつCD3zシグナル伝達において機能することを示す1組のグラフである。Jurkat-NFAT細胞を、示された構築物で形質導入した。培養1週間後に、CAR表面の発現をタンパク質染色により測定し(パネルA)、細胞を、1:1の比率でCD19を発現するDaudi細胞により活性化した。24時間後に、NFAT依存性ルシフェラーゼ分泌を、Glowmaxルミノメーターを使用して決定した(パネルB)。
図8】形質導入効率および細胞表面(左上および左下)でのCAR発現を示す1組の点線プロットおよび、形質導入されたCAR-Treg細胞の生存率を示すグラフ(右下)のセットである。8日目での形質導入効率(%)を、GFP発現レベルを使用して評価し、CAR密度(MFI)はプロテインL標識を用いて評価した。細胞生存率を、ヨウ化プロピジウム排除法を使用して評価した。エラーバーは、平均±SDを表す。
図9】抗CD20CARのリガンド非依存性持続性シグナル伝達および活性化能力を示すグラフである。9日目に、形質導入されたFoxP3Tregを単独(「なし」)で、または抗CD3/抗CD28コーティングビーズの存在下で、または新たに解凍した自家B細胞(「B細胞」)の存在下で播種した。24時間後に、細胞をCD4およびCD69細胞表面発現について染色した。エラーバーは、平均±SDを表す。「なし」条件については、統計分析を、対照としてGFP条件を使用して行った(*p<0.05、**p<0.01および***p<0.001、対応のあるT検定)。
図10】TNFR2由来CD20 CARは効率的なCAR媒介抑制活性を呈するが、4-1BBおよびTNFR1由来CD20 CARは呈さないことを示す一連のグラフである。いかなる活性化もない場合(「なし」)またはB細胞誘導CAR活性化後(「B細胞」)に、CAR Treg細胞により媒介される接触依存性抑制を、従来のT細胞(Tconv)の増殖を測定することにより評価した。
図11】CAR媒介抑制活性の効力を示す一連のグラフである。TNFR2由来の(上)またはTNFR1由来の(下)CARを使用するB細胞誘導CAR活性化後の接触依存性抑制(%)を、アッセイにおけるCAR-Treg細胞の数の関数として表した。この表示は、50%の抑制をトリガーするために必要なCAR-Tregの数の計算を可能にする。
図12】実施例5で使用されるHLA-A2-CAR構築物の概略図を示す。CARは、ヒトCD8リーダー配列(CD8)、抗HLA-A2 scFv配列、ヒンジドメイン(リンカー)、膜貫通ドメイン(TNFR2またはCD8 TM)、共シグナル伝達ドメイン(CD28またはTNFR2またはTNFR24-1BB)およびCD3ゼータ(CD3Z)を含む。CAR構築物は、P2A-GFPコード配列とインフレームである。
図13】形質導入効率およびTregの細胞表面でのCAR発現を示すフローサイトメトリーのドットプロットを示す。形質導入効率をGFP発現によって評価し、細胞表面でのCAR発現をDextramer(登録商標)発現によって評価した。
図14】HLA*A2CAR-Treg上のTreg表現型マーカーの存在を示すフローサイトメトリードットプロットを示す。
図15】TNFR2、CD28、またはTNFR2+4-1BBドメインを含むHLA*A2-CAR-Tregを注射したNSGマウスの体重変化(左上)、GvHDスコア(右上)、および無病生存の割合(下)を示す一連のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
定義
【0033】
本発明において、以下の用語は、以下の意味を有する。
【0034】
「a」および「an」という用語は、冠詞の文法的目的語の1つまたは複数(すなわち、少なくとも1つ)を指す。例として、「要素」は、1つの要素または複数の要素を意味する。
【0035】
「約」という用語は、量、時間的持続時間などの測定可能な値を指す場合、そのような変動が、開示された方法を実施するために適切であるために、指定された値から±20%、場合によっては±10%、または場合によっては±5%、または場合によっては±1%、または場合によっては±0.1%の変動を包含することを意味する。
【0036】
本明細書で使用される「活性化」という用語は、検出可能な細胞応答を誘導するために十分に刺激されているT細胞(例えば、調節性T細胞)の状態を指す。活性化はまた、サイトカイン産生または抑制活性などの検出可能なエフェクター機能(複数可)と関連し得る。「活性化された」調節性T細胞という用語は、とりわけ、免疫応答を抑制できる調節性T細胞を指す。
【0037】
「アフィボディ」という用語は当技術分野で周知であり、黄色ブドウ球菌プロテインAのIgG結合ドメインの1つに由来する58のアミノ酸残基のタンパク質ドメインに基づく親和性タンパク質を指す。
【0038】
「同種」という用語は、材料が導入される個体と同じ種の異なる個体に由来する任意の材料を指す。1つ以上の遺伝子座での遺伝子が同一でない場合、2以上の個体は互いに同種であると言われる。いくつかの態様では、同じ種の個体からの同種材料は、抗原的に相互作用するために遺伝的に十分に異なっている場合がある。
【0039】
本明細書で使用される「抗体」または「免疫グロブリン」(Ig)という用語は、抗原と特異的に結合する免疫グロブリン分子に由来するタンパク質またはポリペプチド配列を指す。抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナル、多鎖または一本鎖、または無傷の免疫グロブリンであり得、天然源または組換え源に由来し得る。「抗体」という用語はまた、それらが所望の生物学的活性を示す限り、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)および抗体断片を含む。抗体は、免疫グロブリン分子の四量体などの、免疫グロブリン分子の多量体であり得る。
【0040】
基本的な四本鎖抗体ユニットは、2つの同一の軽(L)鎖および2つの同一の重鎖(H)で構成されるヘテロ四量体糖タンパク質である。任意の脊椎動物種のL鎖は、定常ドメイン(CL)のアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる2つの明確に異なるタイプの一方に割り当てられ得る。重鎖(CH)の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンを様々なクラスまたはアイソタイプに割り当てることができる。免疫グロブリンには、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMの5つのクラスがあり、それぞれアルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)、およびミュー(μ)と呼ばれる重鎖を有する。γクラスおよびαクラスは、CH配列および機能における比較的小さい差に基づいてさらにサブクラスに細分化され、例えば、ヒトはサブクラス:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2を発現する。各L鎖は1つの共有ジスルフィド結合によってH鎖に連結されるのに対して、2つのH鎖は、H鎖のアイソタイプに応じて1つ以上のジスルフィド結合によって互いに連結される。各H鎖およびL鎖は、規則的に間隔を置いた鎖内ジスルフィド架橋も有する。各H鎖は、N末端に、可変ドメイン(VH)、およびそれに続くα鎖とγ鎖のそれぞれに対し3つの定常ドメイン(CH)、ならびにμおよびεアイソタイプに対し4つのCHドメインを有する。各L鎖は、N末端に可変ドメイン(VL)を有し、もう一方の端で定常ドメイン(CL)が続く。VLはVHと整列し、CLは重鎖の最初の定常ドメイン(CH1)と整列する。特定のアミノ酸残基が、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとの間の界面を形成すると考えられている。一対のVHおよびVLが、単一の抗原結合部位を形成する。IgM抗体は、J鎖と呼ばれる追加のポリペプチドと共に5つの基本的なヘテロ四量体ユニットからなり、そのため、10の抗原結合部位を含み、また、分泌されたIgA抗体は重合して、J鎖とともに2つ~5つの基本的な四本鎖ユニットを含む多価集合体を形成できる。IgGの場合、四鎖ユニットは、一般に約150,000ダルトンである。異なるクラスの抗体の構造およびと特性については、例えば、Basic and Clinical Immunology、第8版、Daniel P.Stites,Abba I.Terr and Tristram G.Parslow(編)、Appleton&Lange,Norwalk,Conn.,1994年、71ページ、第6章を参照されたい。
【0041】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均質である抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団に含まれる個々の抗体は、少量で存在し得る天然に存在する突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は非常に特異的であり、単一の抗原部位に対して向けられている。さらに、異なる決定基(エピトープ)に対して向けられた異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して向けられる。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、他の抗体が混入せずに合成され得るという点で有利である。修飾子「モノクローナル」は、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とすると解釈されるべきではない。例えば、モノクローナル抗体は、Kohlerら、Nature 256:495(1975年)によって最初に記載されたハイブリドーマ方法論によって調製され得るか、または細菌、真核生物の動物または植物細胞において組換えDNA法を使用して作製され得る(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)。「モノクローナル抗体」はまた、例えば、Clacksonら、Nature352:624-628(1991年)およびMarksら、J.Mol.Biol.222:581-597(1991年)に記載された技術を使用してファージ抗体ライブラリーから単離され得る。本明細書に記載のモノクローナル抗体は、「キメラ」抗体を含み、これは、1つの抗体からの1つ以上の領域(例えば、非ヒト可変ドメイン)および1つ以上の他の抗体からの1つ以上の領域(例えば、ヒト定常領域)を含む。
【0042】
「抗体断片」という用語は、抗原のエピトープと特異的に相互作用する(例えば、結合、立体障害、安定化/不安定化、および/または空間分布による)能力を保持する、インタクトな抗体の少なくとも一部分、例えば、インタクトな抗体の抗原結合領域または可変領域を指す。抗体断片の例としては、これらに限定されないが、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、scFv抗体断片、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、VHおよびCHIドメインからなるFd断片、直鎖抗体、sdAb(VLまたはVHのいずれか)などの単一ドメイン抗体、ラクダVHHドメイン、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価断片などの抗体断片から形成された多重特異性抗体、および抗体の単離CDRまたは他のエピトープ結合断片が挙げられる。抗原結合断片は、単一ドメイン抗体、マキシボディ、ミニボディ、ナノボディ、イントラボディ、ダイアボディ、トライアボディ、テトラボディ、v-NARおよびbis-scFvに組み込まれてもよい(例えば、Hollinger and Hudson,Nature Biotechnology 23:1126-1136(2005年)を参照のこと)。抗原結合断片は、フィブロネクチンIII型などのポリペプチドをベースにした足場に移植されてもよい(例えば、フィブロネクチンポリペプチドミニボディについて記載している米国特許第6,703,199号を参照されたい)。抗体のパパイン消化は、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片、および容易に結晶化する能力を反映した名称である、残りの「Fc」断片を生成する。Fab断片は、L鎖全体およびH鎖の可変領域ドメイン(VH)、ならびに1つの重鎖の最初の定常ドメイン(CH1)からなる。各Fab断片は、抗原結合に関して一価であり、すなわち、単一の抗原結合部位を有する。抗体のペプシン処理は、単一の大きいF(ab’)断片を生成し、これは、2価の抗原結合活性を有し、かつ依然として抗原を架橋できる2つのジスルフィド連結Fab断片にほぼ対応する。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域からの1つ以上のシステインを含む、CH1ドメインのカルボキシ末端に追加のいくつかの残基を有するという点でFab断片とは異なる。Fab’-SHは、本明細書では、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が遊離チオール基を有するFab’の呼称である。F(ab’)抗体断片は元々、それらの間にヒンジのシステインを有する一対のFab’断片として生成された。抗体断片の他の化学的カップリングも公知である。
【0043】
「インタクトな抗体」は、抗原結合部位ならびにCL、および少なくとも重鎖定常ドメインCH1、CH2およびCH3を含むものである。定常ドメインは、天然配列定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列定常ドメイン)またはそのアミノ酸配列バリアントであり得る。「天然配列」ポリヌクレオチドは、自然由来のポリヌクレオチドと同じヌクレオチド配列を有するものである。「天然配列」ポリペプチドは、自然(例えば、任意の種)に由来するポリペプチド(例えば、抗体)と同じアミノ酸配列を有するものである。そのような天然配列のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、自然から単離でき、または組換え手段もしくは合成手段によって産生できる。
【0044】
本明細書で使用される場合、「抗体の機能的断片または類似体」は、完全長抗体と共通の定性的生物学的活性を有する化合物である。例えば、抗IgE抗体の機能的断片または類似体は、そのような分子が高親和性受容体FcεRIに結合する能力を有することを防ぐかまたは実質的に減少させるようにIgE免疫グロブリンに結合できるものである。
【0045】
「抗体重鎖」という用語は、抗体分子中に天然に存在するコンフォメーションで存在する2種類のポリペプチド鎖の大きい方を指し、それは通常、抗体が属するクラスを決定する。
【0046】
「抗体軽鎖」という用語は、抗体分子中に天然に存在するコンフォメーションで存在する2種類のポリペプチド鎖の小さい方を指す。カッパ(κ)軽鎖およびラムダ(λ)軽鎖は、2つの主要な抗体軽鎖アイソタイプを指す。
【0047】
「アンチカリン」は当技術分野で周知であり、結合特異性がリポカリンに由来する抗体模倣技術を指す。アンチカリンは、デュオカリンと呼ばれるデュアルターゲティングタンパク質としてフォーマットされ得る。
【0048】
「抗原」または「Ag」という用語は、免疫応答を誘発する分子を指す。この免疫応答は、抗体産生、特定の免疫適格細胞の活性化、またはその両方を伴い得る。当業者は、事実上すべてのタンパク質またはペプチドを含む任意の高分子が抗原として作用し得ることを理解するであろう。さらに、抗原は、組換えまたはゲノムDNAに由来し得る。当業者であれば、免疫応答を誘発するタンパク質をコードするヌクレオチド配列または部分ヌクレオチド配列を含む任意のDNAがしたがって、その用語が本明細書で使用される「抗原」をコードすることを理解するであろう。さらに、当業者であれば、抗原が必ずしも遺伝子の完全長ヌクレオチド配列によってのみコードされる必要はないことを理解するであろう。本発明が2つ以上の遺伝子の部分ヌクレオチド配列の使用を含むこと、およびこれらのヌクレオチド配列が様々な組み合わせで配置されて、所望の免疫応答を誘発するポリペプチドをコードすることは容易に明らかである。さらに、当業者であれば、抗原が必ずしも「遺伝子」によってコードされる必要はないことを理解するであろう。抗原が合成され得るか、または生物学的サンプルに由来し得るか、またはポリペプチド以外の高分子であり得ることは容易に明らかである。そのような生物学的サンプルは、これらに限定されないが、例えば、組織サンプル、細胞、または他の生物学的成分を含む流体を含み得る。
【0049】
「抗原提示細胞」または「APC」という用語は、その表面上で主要組織適合遺伝子複合体(MHC)と複合体を形成した外来抗原を提示するアクセサリー細胞(例えば、B細胞、樹状細胞など)などの免疫系細胞を指す。T細胞は、T細胞受容体(TCR)を使用してこれらの複合体を認識し得る。APCは抗原のプロセシングを行い、それらをT細胞に提示する。
【0050】
「自家」という用語は、それが後に再導入される同じ個体に由来するあらゆる材料を指す。
【0051】
「アビマー」は当技術分野において周知であり、抗体模倣技術を指す。
【0052】
「キメラ受容体」または「キメラ抗原受容体」または「CR」または「CAR」という用語は、1つのポリペプチドまたはポリペプチドのセット、典型的には最も単純な実施形態では2つのポリペプチを指し、免疫細胞中にある場合、細胞に標的リガンドに対する特異性を提供し、かつ細胞内シグナルの生成をもたらす。いくつかの実施形態では、ポリペプチドのセットは互いに連続している。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、ポリペプチドのセットを含むキメラ融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、ポリペプチドのセットは、二量体化分子の存在時に、ポリペプチドを互いに結合でき、例えば、リガンド結合ドメインを細胞内シグナル伝達ドメインに結合できる、二量体化スイッチを含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、キメラ受容体融合タンパク質のアミノ末端(N末端)に任意のリーダー配列を含む。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、細胞外リガンド結合ドメインのN末端にリーダー配列を含み、リーダー配列は、細胞プロセシングおよびキメラ受容体の細胞膜への局在化の間に、任意によりリガンド結合ドメインから切断される。
【0053】
「保存的配列修飾」という用語は、アミノ酸配列を含むタンパク質の生物学的機能に有意な影響を与えずまたは変更しないアミノ酸修飾を指す。そのような保存的修飾は、アミノ酸の置換、付加、および欠失を含む。修飾は、部位特異的突然変異誘発およびPCR媒介突然変異誘発などの、当技術分野で知られている標準技術によってタンパク質に導入することができる。「保存的アミノ酸置換」は、ペプチド化学の当業者によって、ポリペプチドの二次構造およびハイドロパシー性が実質的に変化しないことが期待されるように、アミノ酸残基が類似の特性を有するアミノ酸残基で置き換えられるものである。アミノ酸置換はしたがって一般に、アミノ酸側鎖置換基の相対的類似性、例えば、それらの疎水性、親水性、電荷、サイズなどに基づく。前述の特徴の様々を考慮に入れる例示的な置換は、当業者に周知であり、アルギニンとリジン、グルタメートとアスパラギン酸、セリンとスレオニン、グルタミンとアスパラギン;ならびにバリン、ロイシン、およびイソロイシンを含む。アミノ酸置換は、残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性、および/または両親媒性の性質の類似性に基づいてさらに行われてよい。例えば、負に帯電したアミノ酸としては、アスパラギン酸およびグルタミン酸が挙げられ、正に帯電したアミノ酸としては、リジンおよびアルギニンが挙げられ、同様の親水性値を有する非荷電極性頭部基を有するアミノ酸としては、ロイシン、イソロイシン、およびバリン;グリシンおよびアラニン;アスパラギンおよびグルタミン;セリン、スレオニン、フェニルアラニン、およびチロシンが挙げられる。保存的変化を表し得る他のアミノ酸基としては、(1)ala、pro、gly、glu、asp、gln、asn、ser、thr;(2)cys、ser、tyr、thr;(3)val、ile、leu、met、ala、phe;(4)lys、arg、his;および(5)phe、tyr、trp、hisが挙げられる。同様の側鎖を有するアミノ酸残基の他のファミリーは、当技術分野で定義されている。これらのファミリーとしては、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、ベータ分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が挙げられる。したがって、本発明のキメラ受容体内の1つ以上のアミノ酸残基は、同じ側鎖ファミリーからの他のアミノ酸残基で置換されてよく、改変キメラ受容体は、本明細書に記載の機能アッセイを使用して試験され得る。
【0054】
「構成的プロモーター」という用語は、遺伝子産物をコードまたは特定するポリヌクレオチドと作動可能に連結された場合に、細胞のほとんどまたはすべての生理学的条件下で遺伝子産物を細胞内で産生させるヌクレオチド配列を指す。
【0055】
「共刺激分子」という用語は、共刺激リガンドと特異的に結合し、それにより、これに限定されないが、増殖などのT細胞による共刺激応答を媒介する、T細胞上の同族結合パートナーを指す。共刺激分子は、効率的な免疫応答に寄与する抗原受容体またはそれらのリガンド以外の細胞表面分子である。共刺激シグナル伝達ドメインは、共刺激分子の細胞内部分であり得る。共刺激分子は、次のタンパク質ファミリーで表すことができる:TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)、および活性化NK細胞受容体。
【0056】
「細胞傷害性細胞」は、細胞傷害性応答を媒介できる任意の細胞を含む。
【0057】
本明細書で使用される「由来する」という用語は、第1の分子と第2の分子との間の関係を示す。それは一般に、第1の分子と第2の分子との間の構造的類似性を指し、第2の分子に由来する第1の分子に対するプロセスまたは供給源の制限を暗示せずまたはそれらの制限を含まない。例えば、CD3ゼータ分子に由来する細胞内シグナル伝達ドメインの場合、細胞内シグナル伝達ドメインは、必要な機能、すなわち適切な条件下でシグナルを生成する能力を有するように、十分なCD3ゼータ構造を保持する。これは、細胞内シグナル伝達ドメインを生成する特定のプロセスへの制限を暗示せずまたは制限を含まない。例えば、細胞内シグナル伝達ドメインを提供するために、細胞内シグナル伝達ドメインに到達するように、CD3ゼータ配列から開始し不要な配列を欠失させるか、変異を課す必要があることを意味しない。
【0058】
「ダイアボディ」という用語は、Vドメインの鎖間ペアリングが達成されるがVドメインの鎖内ペアリングは達成されないように、VHドメインとVLドメインとの間に短いリンカー(約5~10残基)を有するsFv断片を構築することによって調製される小さい抗体断片を指し、結果として、二価断片、すなわち、2つの抗原結合部位を有する断片を生じる。二重特異性ダイアボディは、2つの「クロスオーバー」sFv断片のヘテロ二量体であり、2つの抗体のVHドメインおよびVLドメインが異なるポリペプチド鎖上に存在する。ダイアボディは、例えば、欧州特許第0404097号、国際公開第93/11161号、およびHolligerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444-6448(1993年)に、より完全に記載される。
【0059】
「ドメイン抗体」は当技術分野で周知であり、抗体の重鎖または軽鎖のいずれかの可変領域に対応する、抗体の最小の機能的結合単位を指す。
【0060】
「コードする」という用語は、遺伝子、cDNA、またはmRNAなどのポリヌクレオチド中のヌクレオチドの特定の配列の固有の特性を指し、ヌクレオチド(例えば、rRNA、tRNAおよびmRNA)の定義された配列またはアミノ酸の定義された配列およびそれらから生じる生物学的特性のいずれかを有する生物学的プロセスにおける他のポリマーおよび高分子の合成のための鋳型として機能する。したがって、遺伝子、cDNA、またはRNAは、その遺伝子に対応するmRNAの転写および翻訳が細胞または他の生体系においてタンパク質を生成する場合、タンパク質をコードする。そのヌクレオチド配列がmRNA配列と同一であり、かつ通常は配列表に提供されているコード鎖、および遺伝子またはcDNAの転写の鋳型として使用される非コード鎖の両方を、その遺伝子またはcDNAのタンパク質または他の産物をコードすると称してよい。特に明記しない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は、互いの縮重型であり、かつ同じアミノ酸配列をコードする、すべてのヌクレオチド配列を含む。「タンパク質またはRNAをコードするヌクレオチド配列」という語句はまた、タンパク質をコードするヌクレオチド配列がいくつかの型でイントロン(複数可)を含み得る程度に、イントロンを含み得る。
【0061】
「内因性」という用語は、生物、細胞、組織、または系から自然に、またはその内部で自然に生成された任意の材料を指す。
【0062】
「操作された」または「修飾された」という用語は、トランスフェクト、形質転換、または形質導入された細胞を指す。
【0063】
「外因性」という用語は、生物、細胞、組織、または系に導入されたまたはそれらの外部で生成された任意の材料を指す。
【0064】
「発現」という用語は、プロモーターによって駆動される特定のヌクレオチド配列の転写および/または翻訳を指す。
【0065】
「発現ベクター」という用語は、発現されるヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含むベクターを指す。発現ベクターは、発現のために十分なシス作用エレメントを含む。発現のための他のエレメントは、宿主細胞によって、またはin vitro発現システムにおいて供給され得る。発現ベクターは、コスミド、プラスミド(例えば、裸であるかまたはリポソームに含まれる)、トランスポゾン(例えば、sleeping beauty)、および組換えポリヌクレオチドを組み込むウイルス(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス)など、当技術分野で公知であるすべてのものを含む。
【0066】
本明細書で使用されるポリヌクレオチド「断片」という用語は、1つ以上の欠失において本明細書に具体的に開示されるポリヌクレオチドと典型的に異なるポリヌクレオチドである。そのような断片は、天然に存在し得るか、または、例えば、本発明のポリヌクレオチド配列の1つ以上を修飾することによって、および本明細書に記載のコードされた断片の1つ以上の生物学的活性を評価することによって、および/または当技術分野において周知である複数の技術のいずれかを使用することによって合成により生成され得る。したがって、本明細書で使用されるポリペプチド「断片」という用語は、1つ以上の欠失において本明細書に具体的に開示されるポリペプチドと典型的に異なるポリペプチドである。そのような断片は、天然に存在し得るか、または、例えば、本発明のポリペプチド配列の1つ以上を修飾することによって、および本明細書に記載のポリペプチドの1つ以上の生物学的活性を評価することによって、および/または当技術分野において周知である複数の技術のいずれかを使用することによって合成により生成され得る。修飾は、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの構造において行われてよく、依然として、生物学的有用性または活性を明らかに喪失することなく、望ましい特性を有する断片ポリペプチドをコードするか、またはそのような断片ポリペプチドである機能性分子をもたらす。いくつかの実施形態では、ポリペプチド断片は、50、40、30、20、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1アミノ酸未満の欠失により天然配列と異なる。断片はまた、例えば、ポリペプチドの免疫原性、二次構造およびハイドロパシー性に最小の影響を有するアミノ酸の欠失によって(または代替的に)修飾され得る。
【0067】
抗体の「Fc」断片は、ジスルフィドによって一緒に保持される両方のH鎖のカルボキシ末端部分を含む。抗体のエフェクター機能は、Fc領域中の配列によって決定される。この領域は、特定の種類の細胞で見られるFc受容体(FcR)によって認識される部分でもある。
【0068】
「Fv」は、完全な抗原認識および結合部位を含む最小の抗体断片である。この断片は、緊密に非共有的に会合した1つの重鎖および1つの軽鎖可変領域ドメインの二量体からなる。これらの2つのドメインの折り畳みから、抗原結合のためのアミノ酸残基に寄与しかつ抗体に抗原結合特異性を付与する、6つの超可変ループ(H鎖およびL鎖からそれぞれ3つのループ)が発生する。しかし、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的である3つのCDRのみを含むFvの半分)であっても、結合部位全体よりも親和性は低いが、抗原を認識し結合する能力を有し得る。
【0069】
「フレームワーク」または「FR」残基は、本明細書で定義される超可変領域残基以外のそれらの可変ドメイン残基である。
【0070】
本明細書で使用される「移植片対宿主病」または「GVHD」という用語は、遺伝的に異なるヒトから移植された組織を受け取った後の医学的合併症を指す。提供される組織(移植片)中の免疫細胞は、レシピエント(宿主)を異物として認識する。移植された免疫細胞はその後、宿主の体細胞を攻撃する。GVHDは一般的に幹細胞移植に関連するが、この用語は、他の形態の組織移植片から生じるGVHDを含む。GVHDは、輸血後にも生じ得る。
【0071】
「相同性」または「同一性」という用語は、2つのポリマー分子間、例えば、2つのDNA分子もしくは2つのRNA分子などの2つの核酸分子間、または2つのポリペプチド分子間のサブユニット配列同一性を指す。2つの分子の両方のサブユニット位置が同じ単量体サブユニットによって占有される場合、例えば、2つのDNA分子のそれぞれの位置がアデニンによって占有される場合、それらはその位置で相同または同一である。2つの配列間の相同性は、一致する位置または相同な位置の数の直接的な関数である。例えば、2つの配列中の位置の半分(例えば、ポリマー長10サブユニットにおいて5つの位置)が相同である場合、2つの配列は50%相同であり、位置の90%(例えば、10のうち9)が一致するまたは相同である場合、2つの配列は90%相同である。したがって、「相同」または「同一」という用語は、2つ以上のポリペプチドまたは2つ以上の核酸分子の配列間の関係で使用される場合、2つ以上のアミノ酸またはヌクレオチド残基のストリング間の一致の数によって決定されるように、ポリペプチドまたは核酸分子間の配列関連性の程度を指す。「同一性」は、特定の数学的モデルまたはコンピュータプログラム(すなわち、「アルゴリズム」)によって対処されるギャップアラインメント(存在する場合)を有する2つ以上の配列の小さい方の間の同一の一致の割合(パーセント)を測定する。関連するポリペプチドの同一性は、既知の方法によって容易に計算できる。そのような方法としては、これらに限定されないが、Computational Molecular Biology,Lesk,A.M.、編、Oxford University Press,New York,1988年;Biocomputing:Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.、編、Academic Press,New York,1993年;Computer Analysis of Sequence Data,Part 1,Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.、編、Humana Press,New Jersey,1994年;Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinje,G.,Academic Press,1987年;Sequence Analysis Primer,Gribskov,M.and Devereux,J.、編、 M.Stockton Press,New York,1991年;およびCarilloら、SIAM J.Applied Math.48:1073(1988年)に記載のものなどが挙げられる。同一性を決定するための好ましい方法は、試験対象の配列間で最大の一致が得られるように設計される。同一性を決定する方法は、公開されているコンピュータプログラム中に記載されている。2つの配列間の同一性を決定するための例示的なコンピュータプログラム方法は、GAP(Devereuxら、Nucl.Acid.Res.12:387(1984年);Genetics Computer Group,University of Wisconsin,Madison,Wis.),BLASTP,BLASTN,およびFASTA(Altschulら、J.Mol.Biol.215:403-410(1990年))などのGCGプログラムパッケージを含む。BLASTXプログラムは、National Center for Biotechnology Information(NCBI)および他の情報源(BLAST Manual,Altschulら、NCB/NLM/NIH Bethesda,Md.20894;Altschulら、前出)から公開されている。周知のSmithWatermanアルゴリズムを使用して、同一性を決定することもできる。
【0072】
「ヒト化」という用語は、非ヒト(例えば、マウス)抗体の形態に関連する場合、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小の配列を含むキメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはそれらの断片(Fv、Fab、Fab’、F(ab’)または抗体の他の抗原結合サブ配列など)を指す。ほとんどの場合、ヒト化抗体およびその抗体断片は、レシピエントの相補性決定領域(CDR)由来の残基が所望の特異性、親和性、および能力を有するマウス、ラットまたはウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDRからの残基で置き換えられる、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体または抗体断片)である。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基が、対応する非ヒト残基に置き換えられる。さらに、ヒト化抗体/抗体断片は、レシピエント抗体にも、インポートされたCDR配列またはフレームワーク配列のいずれにも見られない残基を含み得る。これらの修飾は、抗体または抗体断片の性能をさらに改良し、最適化できる。一般に、ヒト化抗体またはその抗体断片は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、CDR領域のすべてまたは実質的にすべてが非ヒト免疫グロブリンの領域に対応し、かつFR領域のすべてのまたはかなりの部分は、ヒト免疫グロブリン配列の部分である。ヒト化抗体または抗体断片はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンの領域を含み得る。さらに詳細には、例えば、Jonesら、Nature 321:522-525(1986年);Reichmannら、Nature,332:323-329(1988年);Presta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593-596(1992年)を参照されたい。
【0073】
本明細書で使用される場合、「免疫細胞」という用語は一般に、骨髄で産生される造血幹細胞(HSC)に由来する白血球(white blood cell)(白血球(leukocyte))を含む。免疫細胞の例としては、これらに限定されないが、リンパ球(T細胞、B細胞、およびナチュラルキラー(NK)細胞)および骨髄系細胞(好中球、好酸球、好塩基球、単球、マクロファージ、および樹状細胞)が挙げられる。
【0074】
本明細書で使用される場合、「免疫エフェクター細胞」という用語は、特定の免疫応答を開始できる形態にある、免疫系の細胞を指す。
【0075】
本明細書で使用される場合、「免疫調節性細胞」という用語は、免疫系の活性化を抑制し、それによって免疫系の恒常性および自己抗原に対する耐性を維持する「調節的な」方法で作用する免疫細胞を指す。「調節性免疫細胞」はまた、非免疫細胞に対する影響を有し得、結果として、組織の修復または再生の促進などの臨床状態の改善をもたらす。調節性免疫細胞としては、調節性T細胞(例えば、CD4調節性T細胞、CD8調節性T細胞、調節性γδT細胞、および/または調節性DN T細胞)、調節性B細胞、調節性NK細胞、調節性マクロファージ、および調節性樹状細胞を挙げることができる。
【0076】
本明細書で使用される場合、「免疫応答」という用語は、T細胞媒介性免疫応答および/またはB細胞媒介性免疫応答を含む。例示的な免疫応答としては、T細胞応答、例えば、増殖、サイトカイン産生、および細胞傷害性が挙げられる。さらに、免疫応答という用語は、T細胞活性化によって間接的に影響を受ける免疫応答、例えば、抗体産生(体液性応答)およびサイトカイン応答性細胞、例えば、マクロファージの活性化を含む。免疫応答に関与する免疫細胞としては、B細胞およびT細胞(CD4、CD8、Thl、Th2細胞)などのリンパ球、抗原提示細胞(例えば、樹状細胞、マクロファージ、Bリンパ球、ランゲルハンス細胞などの専門的な抗原提示細胞、およびケラチノサイト、内皮細胞、アストロサイト、線維芽細胞、オリゴデンドロサイトなどの非専門的な抗原提示細胞);ナチュラルキラー細胞;およびマクロファージ、好酸球、肥満細胞、好塩基球、および顆粒球などの骨髄細胞が挙げられる。
【0077】
本明細書で使用される場合、「免疫順応」という用語は、臓器または組織移植機能に特異的な抗体がレシピエントに存在するにもかかわらず、臓器または組織移植が正常に機能する移植レシピエントの状態を指す。
【0078】
本明細書で使用される場合、「免疫学的寛容(immunological tolerance)」または「免疫寛容(immune tolerance)」は、a)特定の免疫応答の低下されたレベル(少なくとも部分的には抗原特異的エフェクターTリンパ球、Bリンパ球、抗体、もしくはそれらの同等物によって媒介されると考えられる)、b)特定の免疫反応の開始もしくは進行における遅延、またはc)対象の異なる集団(例えば、本明細書に記載の治療などの治療を受けていない対象)と比較して、対象の1つの集団(例えば、本明細書に記載の治療などの治療を受けた対象)における、特定の免疫学的応答の開始または進行の低下されたリスク、を指す。「特定の」免疫学的寛容または免疫寛容は、免疫学的寛容または免疫寛容が他の抗原と比較して特定の抗原に対して優先的に誘起される場合に生じる。
【0079】
本明細書で使用される場合、「in vitroで転写されるRNA」は、in vitroで合成されたRNA、例えば、mRNAを指す。一般に、in vitroで転写されるRNAは、in vitro転写ベクターから生成される。In vitro転写ベクターは、in vitroで転写されるRNAを生成するために使用される鋳型を含む。
【0080】
「誘導性」プロモーターという用語は、遺伝子産物をコードするかまたは特定するポリヌクレオチドと作動可能に連結される場合、プロモーターに対応する誘導因子が実質的に細胞内に存在する場合にのみ細胞内で遺伝子産物を産生させるヌクレオチド配列を指す。
【0081】
本明細書で使用される場合、「5’キャップ」(RNAキャップ、RNA7-メチルグアノシンキャップまたはRNA m7Gキャップとも呼ばれる)は、転写開始直後に真核生物メッセンジャーRNAの「前部」または5’末端に付加された修飾グアニンヌクレオチドである。5’キャップは、最初に転写されたヌクレオチドに連結される末端基からなる。その存在は、リボソームによる認識およびRNaseからの保護にとって重要である。キャップの付加は転写と連動しており、それぞれが互いに影響を与えるように、同時転写的に生じる。転写開始直後に、合成されるmRNAの5’末端は、RNAポリメラーゼと会合するキャップ合成複合体に結合される。この酵素複合体は、mRNAキャッピングに必要な化学反応を触媒する。合成は多段階生化学反応として進行する。キャッピング部分は、その安定性または翻訳の効率などの、mRNAの機能を調節するように修飾できる。
【0082】
本発明の文脈では、一般的に存在する核酸塩基について以下の略語を使用する。「A」はアデニンを指し、「C」はシトシンを指し、「G」はグアニンを指し、「T」はチミンを指し、「U」はウラシルを指す。
【0083】
「説明資料」という用語は、本発明の組成物および方法の有用性または使用を伝達するために使用できる刊行物、記録、図、または任意の他の表現媒体を含む。本発明のキットの説明資料は、例えば、本発明の核酸、ベクター、細胞集団、もしくは組成物を含む容器に貼付されるか、または本発明の核酸、ベクター、細胞集団、もしくは組成物を含む容器と一緒に出荷されてよい。あるいは、説明資料は、レシピエントが協働で使用することを意図して、容器とは別に出荷されてもよい。
【0084】
本明細書で使用される「細胞内シグナル伝達ドメイン」という用語は、分子の細胞内部分を指す。細胞内シグナル伝達ドメインは、キメラ受容体含有細胞の免疫エフェクター機能を促進するシグナルを生成する。キメラ受容体T細胞における免疫エフェクター機能の例は、細胞溶解活性、抑制活性、調節活性、およびヘルパー活性、例えばサイトカインの分泌を含み得る。
【0085】
「単離された」という用語は、自然状態から改変されたまたは除去された状態を意味する。例えば、生きている動物において自然に存在する核酸またはペプチドは、「単離され」ないが、その天然状態の共存物質から部分的にまたは完全に分離された同じ核酸またはペプチドは「単離される」。単離された核酸またはペプチドは、実質的に精製された形態で存在し得るか、または、例えば、宿主細胞などの非天然環境に存在し得る。典型的には、単離された核酸またはペプチドの調製物は、少なくとも約80%の純度、少なくとも約85%の純度、少なくとも約90%の純度、少なくとも約95%の純度、95%を超える純度、約96%を超える純度、約97%を超える純度、約98%を超える純度、または約99%を超える純度の核酸またはペプチドを含む。「単離されたポリペプチド」は、その自然環境の成分から同定され、分離され、かつ/または回収されたものである。
【0086】
「単離された核酸」または「単離された核酸配列」は、他のゲノムDNA配列、ならびに天然配列に自然に付随するリボソームおよびポリメラーゼなどのタンパク質または複合体から実質的に分離された核酸である。この用語は、その天然に存在する環境から除去された核酸配列を包含し、組換えまたはクローン化されたDNA単離物、および化学的に合成された類似体または異種系によって生物学的に合成された類似体を含む。実質的に純粋な核酸としては、単離形態の核酸が挙げられる。当然のことながら、これは最初に単離された核酸を指し、後にヒトの手によって単離された核酸に付加された遺伝子または配列を除外するものではない。いくつかの実施形態では、単離された核酸または単離された核酸配列は自然界には存在しない。
【0087】
「単離されたポリペプチド」は、その自然環境の成分から同定され、分離され、かつ/または回収されたものである。ある実施形態では、単離されたポリペプチドは、(1)Lowry法によって決定されるとおり、95重量%を超えるポリペプチド、特定の実施形態では、99重量%を超えるまで、(2)スピニングカップシークエネーターを使用してN末端または内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで、または(3)クマシーブルーまたはある実施形態では銀染色を使用する還元条件または非還元条件下でのSDS-PAGEによる均一性まで、精製される。単離されたポリペプチドは、ポリペプチドの自然環境の少なくとも1つの成分が存在しないため、組換え細胞内のin situのポリペプチドを含む。ある実施形態では、単離されたポリペプチドは、少なくとも1つの精製ステップによって調製されるであろう。いくつかの実施形態では、単離されたポリペプチドは、自然界には存在しない。
【0088】
「レンチウイルス」という用語は、レトロウイルス科の属を指す。レンチウイルスは、非分裂細胞に感染可能であるという点で、レトロウイルスの中で固有のものである。それらは、宿主細胞のDNA中に大量の遺伝子情報を送達できるため、最も効率的な遺伝子送達ベクターの1つである。HIV、SIV、およびFIVはすべてレンチウイルスの例である。
【0089】
「レンチウイルスベクター」という用語は、Miloneら、Mol.Ther.17(8):1453-1464(2009年)に記載のとおり、例えば、自己不活化レンチウイルスベクターを含む、レンチウイルスゲノムの少なくとも一部に由来するベクターを指す。診療所で使用できるレンチウイルスベクターの他の例としては、LENTIVECTOR(登録商標)遺伝子送達技術(Oxford BioMedica)およびLENTIMAX(商標)ベクターシステム(Lentigen)が挙げられるが、これらに限定されない。非臨床型のレンチウイルスベクターも利用可能であり、当業者には知られているであろう。
【0090】
「リガンド」という用語は、リガンド/受容体対のメンバーを指し、対の他のメンバー(受容体)に結合する。
【0091】
「核酸」または「ポリヌクレオチド」という用語は、一本鎖または二本鎖のいずれかの形態の、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)などのホスホジエステル結合によって共有結合されたヌクレオチドのポリマーを指す。特に限定されない限り、この用語は、基準核酸と同様の結合特性を有しかつ天然に存在するヌクレオチドと同様の様式で代謝される天然ヌクレオチドの既知の類似体を含む核酸を包含する。特に明記しない限り、特定の核酸配列はまた、その保存的に修飾されたバリアント(例えば、縮重コドン置換)、対立遺伝子、オルソログ、SNP、および相補的配列、ならびに明示的に示された配列も暗黙的に包含する。具体的には、縮重コドン置換は、1つ以上の選択された(またはすべての)コドンの3位が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換される配列を生成することによって達成され得る(Batzerら、Nucleic Acid Res.19:5081(1991年);Ohtsukaら、J.Biol.Chem.260:2605-2608(1985年);およびRossoliniら、Mol.Cell.Probes 8:91-98(1994年))。
【0092】
「ナノボディ」は当技術分野で周知であり、天然に存在する重鎖抗体の固有の構造的および機能的特性を含む抗体由来の治療用タンパク質を指す。これらの重鎖抗体は、単一の可変ドメイン(VHH)および2つの定常ドメイン(CH2およびCH3)を含む。
【0093】
「天然配列」ポリヌクレオチドは、自然由来のポリヌクレオチドと同じヌクレオチド配列を有するものである。「天然配列」ポリペプチドは、自然(例えば、任意の種)に由来するポリペプチド(例えば、抗体)と同じアミノ酸配列を有するものである。そのような天然配列のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、自然から単離でき、または組換え手段もしくは合成手段によって産生できる。
【0094】
「作動可能に連結された」または「転写調節」という用語は、調節配列と異種核酸配列との間の機能的連結を指し、異種核酸配列の発現をもたらす。例えば、第1の核酸配列が第2の核酸配列と機能的関係に置かれる場合、第1の核酸配列は、第2の核酸配列と作動可能に連結される。例えば、プロモーターがコード配列の転写または発現に影響を与える場合、プロモーターはコード配列に作動可能に連結される。作動可能に連結されたDNA配列は、互いに連続し得、例えば、2つのタンパク質コード領域を連結する必要がある場合、同じリーディングフレーム中にある。
【0095】
「ペプチド」、「ポリペプチド」、および「タンパク質」という用語は同義的に使用され、ペプチド結合によって共有結合されたアミノ酸残基から構成される化合物を指す。タンパク質またはペプチドは少なくとも2つのアミノ酸を含む必要があり、タンパク質の配列またはペプチドの配列を含むことができるアミノ酸の最大数に制限はない。ポリペプチドは、ペプチド結合によって互いに結合された2つ以上のアミノ酸を含む任意のペプチドまたはタンパク質を含む。本明細書で使用される場合、この用語は、例えば、当技術分野で一般にペプチド、オリゴペプチドおよびオリゴマーとも呼ばれる短鎖、および当技術分野で一般にタンパク質と呼ばれるより長い鎖の両方を指し、これらには、多くの種類がある。「ポリペプチド」としては、とりわけ、例えば、生物学的に活性な断片、実質的に相同なポリペプチド、オリゴペプチド、ホモ二量体、ヘテロ二量体、ポリペプチドのバリアント、修飾ポリペプチド、誘導体、類似体、および融合タンパク質が挙げられる。ポリペプチドとしては、天然ペプチド、組換えペプチド、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0096】
「薬学的に許容される賦形剤」または「薬学的に許容される担体」という用語は、動物、例えばヒトに投与されたときに有害反応、アレルギー反応または他の有害な反応を生じない賦形剤を指す。賦形剤としては、任意のあらゆる溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などが挙げられる。ヒト投与の場合、調製物は、例えば、FDA OfficeまたはEMAなどの規制当局が要求する無菌性、発熱性、一般的な安全性および純度の基準を満たす必要がある。
【0097】
「ポリ(A)」という用語は、mRNAに付着した一連のアデノシン一リン酸を指す。一過的発現のための構築物のいくつかの実施形態では、ポリAは、50~5000のアデノシン一リン酸、例えば、64以上、100以上、または300または400以上のアデノシン一リン酸である。ポリ(A)配列を化学的または酵素的に修飾して、局在化、安定性、翻訳効率などのmRNA機能を調節できる。
【0098】
「ポリアデニル化」という用語は、メッセンジャーRNA分子へのポリアデニリル部分またはその修飾バリアントの共有結合を指す。真核生物では、ほとんどのメッセンジャーRNA(mRNA)分子は、3’末端でポリアデニル化されている。3’ポリ(A)テールは、酵素であるポリアデニル化ポリメラーゼの作用によってプレmRNAに付加されるアデニンヌクレオチドの長い配列(多くの場合数百)である。より高等な真核生物では、ポリ(A)テールが、特定の配列であるポリアデニル化シグナルを含む転写産物に付加される。ポリ(A)テールおよびポリ(A)テールに結合したタンパク質は、エキソヌクレアーゼによる分解からmRNAを保護するのを補助する。ポリアデニル化は、転写終結、核からのmRNAのエクスポート、および翻訳にも重要である。ポリアデニル化は、DNAがRNAに転写された直後に核で発生するが、後に細胞質で発生することもある。転写が終了した後、mRNA鎖はRNAポリメラーゼと会合するエンドヌクレアーゼ複合体の作用によって切断される。切断部位は通常、切断部位の近くに塩基配列AAUAAAが存在することを特徴とする。mRNAが切断された後、アデノシン残基が切断部位の遊離3’末端に付加される。
【0099】
「プロモーター」という用語は、ポリヌクレオチド配列の特定の転写を開始するために必要とされる、細胞の合成機構によって認識される、または導入された合成機構によって認識されるDNA配列を指す。
【0100】
「プロモーター/調節配列」という用語は、プロモーター/調節配列に作動可能に連結された遺伝子産物の発現に必要とされる核酸配列を指す。場合によっては、この配列はコアプロモーター配列であり得、他の例では、この配列はまた、遺伝子産物の発現に必要とされるエンハンサー配列および他の調節エレメントを含み得る。プロモーター/調節配列は、例えば、組織特異的な方法で遺伝子産物を発現するものであり得る。
【0101】
「組換えタンパク質またはペプチド」という用語は、
例えば、バクテリオファージまたは酵母発現システムによって発現されるタンパク質またはペプチド(例えば、抗体)などの組換えDNA技術を使用して生成されるタンパク質またはペプチド(例えば、抗体)を指す。この用語はまた、タンパク質またはペプチド(例えば、抗体)をコードするDNA分子の合成によって生成されたタンパク質もしくはペプチド(例えば、抗体)を意味すると解釈されるべきである。ここで、DNA分子は、タンパク質もしくはペプチド(例えば、抗体)、またはタンパク質もしくはペプチド(例えば、抗体)を特定するアミノ酸配列を発現し、DNAまたはアミノ酸配列は、利用可能であり当技術分野で周知である組換えDNAまたはアミノ酸配列技術を使用して、得られている。
【0102】
本発明で使用される「調節性Tリンパ球」、「調節性T細胞」、「T調節性細胞」、「Treg細胞」、および「Treg」という用語は同義であり、当技術分野で使用される標準的な定義を有することを意図している。Treg細胞は、免疫系の活性化を抑制し、それによって免疫系の恒常性および自己抗原に対する耐性を維持するために「調節的な」方法で作用するT細胞の特殊な亜集団である。Tregは、サプレッサーT細胞と呼ばれることもある。Treg細胞は、常にではないが、多くの場合フォークヘッドファミリー転写因子FoxP3(フォークヘッドボックスP3)の発現を特徴とする。また、Treg細胞は、CD4またはCD8表面タンパク質を発現し得る。それらは通常、CD25も発現する。Tregは多くの場合、CD4CD25CD127loFoxP3の表現型によってマークされる。いくつかの実施形態では、Tregはまた、CD45RA、CD62Lhi、および/またはGITRである。特定の実施形態では、Tregは、CD4CD25CD127loCD62LまたはCD4CD45RACD25hiCD127loによってマークされる。本発明で使用される場合、特に明記しない限り、Tregは、胸腺で発生する「天然」Treg、胸腺の外側(例えば、組織または二次リンパ系臓器、または定義された培養条件下での実験室環境)で起こる分化プロセスを介して生じる誘導/適応/末梢Treg、および組換えDNA技術を使用して作成されたTregを含む。天然に存在するTreg細胞(CD4CD25FoxP3)は、胸腺内の他のすべてのT細胞と同様に生じる。対照的に、誘導/適応/末梢Treg細胞(CD4CD25FoxP3Treg、Tr1細胞、Th3細胞、およびその他など)は胸腺の外側で生じる。調節性T細胞を誘導する1つの方法は、IL-10またはTGF-βへのTエフェクター細胞の暴露による。T細胞はまた、T細胞の混合集団へのFoxP3遺伝子のトランスフェクションまたは形質導入によってTreg細胞に変換され得る。FoxP3を発現するように誘導されるT細胞はTreg表現型を採用し、そのような組換えTregは、本明細書では「Treg」とも定義される。
【0103】
「拒絶反応」という用語は、移植された臓器または組織がレシピエントの身体によって受け入れられない状態を指す。拒絶反応は、移植された臓器または組織を攻撃するレシピエントの免疫系によって生じる。拒絶反応は、移植後数日から数週間(急性)または移植後数ヶ月から数年(慢性)で発生し得る。
【0104】
本明細書で使用される場合、抗体またはCARは、抗原と検出可能なレベル、例えば、親和性定数Ka約10-1以上、約10-1以上、約10-1以上、約10-1以上、以上10-1、10-1以上、または1010-1以上で反応する場合、抗原「に対し免疫特異的」、「に対し特異的」である、または抗原に「特異的に結合する」と言われる。同族の抗原に対する抗体の親和性もまた、一般に解離定数Kdとして表され、ある実施形態において、抗体は、10-4M以下、約10-5M以下、約10-6M以下、10-7M以下、10-8M以下、5x10-9M以下、または10-9M以下、または5x10-10M以下、または10-10M以下のKdで結合する場合、抗原に特異的に結合する。抗体またはCARの親和性は、従来の技術、例えば、Scatchardら(Ann.N.Y.Acad.Sci.USA 51:660(1949年))に記載のものを使用して容易に決定できる。抗体の抗原、細胞またはその組織への結合特性は一般に、例えば、免疫組織化学(IHC)および/または蛍光活性化セルソーティング(FACS)などの免疫蛍光ベースのアッセイなどの免疫検出法を使用して決定され、評価され得る。いくつかの実施形態では、「特異的に結合する」という用語は、サンプル中に存在する結合パートナーを認識しそれと結合するが、サンプル中の他の分子を実質的に認識しないまたは結合しない抗体、CARまたはリガンドを指す。
【0105】
「シグナル伝達経路」という用語は、細胞の一方の部分から細胞の他方の部分へのシグナルの伝達において役割を果たす様々なシグナル伝達分子間の生化学的関係を指す。
【0106】
「シグナル伝達ドメイン」という用語は、第2のメッセンジャーを生成することまたはそのようなメッセンジャーに応答することによりエフェクターとして機能することにより定義されたシグナル伝達経路を介して細胞活性を制御するために、細胞内で情報を伝達することにより作用する、タンパク質の機能部分を指す。
【0107】
本明細書で使用される場合、「幹細胞」という用語は一般に、多能性または複能性の幹細胞を含む。「幹細胞」としては、これに限定されないが、胚性幹細胞(ES)、間葉系幹細胞(MSC);人工多能性幹細胞(iPS);決定された前駆細胞(committed progenitor cell)(造血幹細胞(HSC)、骨髄由来細胞など)が挙げられる。
【0108】
「刺激」という用語は、刺激性分子(例えば、TCR/CD3複合体またはキメラ受容体)とその同族リガンドとの結合によって誘導されそれにより、これらに限定されないが、TCR/CD3複合体を介したシグナル伝達またはキメラ受容体のシグナル伝達ドメインを介したシグナル伝達などのシグナル伝達イベントを媒介する、一次応答を指す。刺激は、特定の分子の改変された発現を媒介できる。
【0109】
「刺激分子」という用語は、免疫細胞シグナル伝達経路の少なくともいくつかの態様において免疫細胞の活性化を刺激的な方法で調節する細胞質シグナル伝達配列(複数可)を提供する、免疫細胞(例えば、T細胞、NK細胞、またはB細胞)によって発現される分子を指す。一態様では、シグナルは、例えば、ペプチドがロードされたMHC分子にTCR/CD3複合体が結合することによって開始される一次シグナルであり、これは、限定されないが、増殖、活性化、分化、抑制などT細胞応答の媒介をもたらす。刺激的な方法で作用する一次細胞質シグナル伝達配列(「一次シグナル伝達ドメイン」とも呼ばれる)は、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフまたはITAMとして公知であるシグナル伝達モチーフを含み得る。
【0110】
「対象」という用語は、免疫応答が誘発され得る生物(例えば、ヒトなどの哺乳動物)を含むことを意図される。いくつかの実施形態では、対象は「患者」、すなわち、医療を受けるのを待機しているもしくは医療を受けている、または医療処置の対象であった、もしくは対象である、もしくは対象となる、例えば、炎症性または自己免疫状態などの、標的とされる疾患または状態の発症について監視される、ヒトなどの温血動物であり得る。いくつかの実施形態では、対象は、成人(例えば、18歳以上の対象)である。いくつかの実施形態では、対象は、小児(例えば、18歳未満の対象)である。いくつかの実施形態では、対象は男性である。いくつかの実施形態では、対象は女性である。いくつかの実施形態では、対象は、自己抗体媒介自己免疫疾患などの自己免疫疾患に罹患している(例えば、診断されている)。いくつかの実施形態では、対象は、自己抗体媒介自己免疫疾患などの自己免疫疾患を発症するリスクがある。リスク因子の例としては、これらに限定されないが、自己抗体媒介自己免疫疾患の遺伝的素因および家族歴が挙げられる。
【0111】
「実質的に精製された細胞」という用語は、他の細胞型を本質的に含まない細胞を指す。実質的に精製された細胞はまた、それがその天然に存在する状態で通常会合される、他の細胞型から分離されている細胞を指す。いくつかの実施形態では、実質的に精製された細胞は、その天然に存在する状態で通常会合される他の細胞型から少なくとも約75%遊離、80%遊離、または85%遊離、または約90%、95%、96%、97%、98%、または99%遊離している細胞を指す。場合によっては、実質的に精製された細胞の集団は、細胞の均質な集団を指す。いくつかの実施形態では、実質的に精製された細胞集団は、少なくとも約75%均質、80%均質、または85%均質、特定の実施形態では、約90%、95%、96%、97%、98%、または99%均質である細胞集団を指す。場合によっては、実質的に精製された細胞は、それらの天然の状態で天然に会合される細胞から分離されている細胞を単に指す。いくつかの態様では、細胞はin vitroで培養される。他の態様では、細胞はin vitroで培養されない。ある実施形態では、本明細書に記載の細胞は、多細胞生物を生成するために使用できない。
【0112】
「T細胞」という用語は、CD4細胞(例えば、Tヘルパー細胞)、CD8T細胞(例えば、細胞傷害性CD8T細胞および調節性CD8T細胞)、T調節性細胞(Treg)、ガンマ-デルタT細胞、およびダブルネガティブT細胞を含むCD3を発現するすべてのタイプの免疫細胞を含む。
【0113】
「治療有効量」という用語は、特定の生物学的結果を達成するのに有効な剤(例えば、本明細書に記載のCARを発現する細胞)の量を指す。したがって、「治療有効量」という用語は、標的に重大な負の副作用または有害な副作用を引き起こすことなく、(1)標的とされる疾患もしくは状態の発症を遅延させるもしくは予防する、(2)標的とされる疾患もしくは状態の1つ以上の症状の進行、悪化、または悪化を減速させるもしくは停止する、(3)標的とされる疾患もしくは状態の症状の改善をもたらす、(4)標的とされる疾患もしくは状態の重症度もしくは発生率を低下させる、または(5)標的とされる疾患もしくは状態を治癒する、目的とする剤のレベルまたは量を意味する。いくつかの実施形態では、治療有効量は、予防的または防止的作用のために、標的とされる疾患または状態の発症の前に投与され得る。あるいはまたはさらに、治療有効量は、治療作用のために、標的とされる疾患または状態の開始後に投与され得る。
【0114】
「トランスフェクトされた」または「形質転換された」または「形質導入された」という用語は、それにより外因性核酸が宿主細胞に移入または導入されるプロセスを指す。「トランスフェクトされた」または「形質転換された」または「形質導入された」細胞は、外因性核酸でトランスフェクト、形質転換、または形質導入された細胞である。細胞は、主要な対象細胞およびその子孫を含む。
【0115】
「移入ベクター」という用語は、単離された核酸を含みかつ単離された核酸を細胞の内部に送達するために使用できる、物質の組成物を指す。これらに限定されないが、直鎖ポリヌクレオチド、イオン性化合物または両親媒性化合物に会合するポリヌクレオチド、プラスミド、およびウイルスなど多数のベクターが当技術分野において公知である。したがって、「移入ベクター」という用語は、自律的に複製するプラスミドまたはウイルスを含む。この用語はまた、例えば、ポリリジン化合物、リポソームなどの、細胞への核酸の移入を容易にする非プラスミド化合物および非ウイルス化合物を含むと解釈されるべきである。ウイルス移入ベクターの例としては、これらに限定されないが、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクターなどが挙げられる。
【0116】
本明細書で使用される場合、「一過的な」は、数時間、数日、または数週間での非組み込み導入遺伝子の発現を指し、発現期間は、ゲノムに組み込まれた場合、または宿主細胞中で安定したプラスミドレプリコン内に含まれる場合、遺伝子の発現期間よりも短い。
【0117】
本明細書で使用される「移植」は、個体内に導入される細胞、組織、または臓器を指す。移植される材料の供給源は、培養細胞、別の個体からの細胞、または同じ個体からの細胞であり得る(例えば、細胞がin vitroで培養され、任意により改変された後)。例示的な臓器移植は、腎臓、肝臓、心臓、肺、および膵臓である。例示的な組織移植は、膵島である。例示的な細胞移植は、同種造血幹細胞移植である。
【0118】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療」および「治療すること」という用語は、標的とされる疾患もしくは状態、例えば、自己免疫状態の進行、重症度、および/もしくは期間の減少もしくは改善、または標的とされる疾患もしくは状態、例えば自己免疫状態の1つ以上の症状(例えば、1つ以上の識別可能な症状)の改善を指し、ここで、改善は、1つ以上の療法(例えば、本発明のTreg細胞などの1つ以上の治療剤)の投与の結果生じる。特定の実施形態では、「治療する」、「治療」および「治療すること」という用語は、標的とされる疾患または状態、例えば自己免疫状態の少なくとも1つの測定可能な物理的パラメータの改善を指す。いくつかの実施形態では、「治療する」、「治療」および「治療すること」という用語は、例えば、識別可能な症状の安定化により物理的に、例えば、物理的パラメータの安定化により生理学的に、またはその両方での、標的とされる疾患または状態、例えば、自己免疫状態の進行の阻害を指す。いくつかの実施形態では、「治療する」、「治療」および「治療すること」という用語は、標的とされる疾患もしくは状態、例えば、自己免疫疾患の進行、重症度および/もしくは期間の減少もしくは改善、または、標的とされる疾患もしくは状態、例えば自己免疫疾患の1つ以上の症状の改善を指す。「治療すること」または「治療」は、治療的治療および予防的または防止的措置の両方を指し、ここで目的は、標的とされる疾患または状態を防止するかまたは減速させる(軽減する)ことである。治療を必要とする者は、すでにその状態を有する者、その状態を有する傾向にある者、またはその状態を防止する必要がある者を含む。治療量の剤(例えば、本発明によるキメラ受容体を含む細胞の集団)を受けた後、対象が以下の1つ以上について観察可能および/または測定可能な改善を示す場合、対象は、疾患または状態について、奏功して「治療」されている:病原性細胞の数の減少、病原性である全細胞の割合の減少、特定の状態に関連する症状の1つ以上のある程度の軽減、罹患率および死亡率の低下、ならびに/または生活の質の問題における改善。治療の奏功および状態の改善を評価するための上記のパラメータは、医師によく知られているルーチン手順によって容易に測定可能である。
【0119】
「Treg細胞」という用語は、例えば、自己免疫またはアレルギー反応などの過剰なまたは望ましくない炎症応答を抑制、阻害、または防止できる細胞を指す。いくつかの実施形態では、本発明のTreg細胞集団は、抑制的活性が可能である。いくつかの実施形態では、抑制的活性は接触に依存しない。いくつかの実施形態では、抑制的活性は接触に依存する。いくつかの実施形態では、本発明のTreg細胞集団は、エフェクターT細胞に対して抑制的作用を呈し、ある実施形態では、抑制的作用は、TCR発現および/または活性化に依存する。
【0120】
「ユニボディ」は当技術分野で周知であり、IgG4抗体のヒンジ領域を欠く抗体断片を指す。ヒンジ領域の欠失は、従来のIgG4抗体の本質的に半分のサイズでありかつIgG4抗体の二価の結合領域ではなく一価の結合領域を有する分子を生じる。
【0121】
「可変」という用語は、可変(V)ドメインの特定のセグメントが抗体間で配列において広範に異なることを指す。Vドメインは抗原結合を媒介し、その特定の抗原に対する特定の抗体の特異性を定義する。しかし、多様性は、可変ドメインの110~130アミノ酸スパンに均等に分布しない。代わりに、V領域は、15~30アミノ酸のフレームワーク領域(FR)と呼ばれる比較的不変のストレッチで構成され、それぞれ9~12アミノ酸長の「超可変領域」または「CDR」と呼ばれる極めて可変性である短い領域によって分離される。天然の重鎖および軽鎖の可変ドメインはそれぞれ4つのFRを含み、主にβシート構成を採用し、3つの超可変領域によって接続され、これは、βシート構造を接続する、かつ場合によってはその一部を形成する、ループを形成する。各鎖中の超可変領域は、FRにより近接して共に保持され、他の鎖由来の超可変領域と共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991年)を参照されたい)。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関与しないが、抗体依存性細胞傷害(ADCC)への抗体の関与などの、様々なエフェクター機能を呈する。
【0122】
本明細書で使用されるポリヌクレオチド「バリアント」という用語は、1つ以上の置換、欠失、付加および/または挿入において本明細書に具体的に開示されるポリヌクレオチドと典型的に異なるポリヌクレオチドである。そのようなバリアントは、天然に存在し得るか、または、例えば、本発明のポリヌクレオチド配列の1つ以上を修飾することによって、および本明細書に記載のコードされたポリペプチドの1つ以上の生物学的活性を評価することによって、および/または当技術分野において周知である複数の技術のいずれかを使用することによって合成により生成され得る。したがって本明細書で使用されるポリペプチド「バリアント」という用語は、1つ以上の置換、欠失、付加および/または挿入において本明細書に具体的に開示されるポリペプチドと典型的に異なるポリペプチドである。そのようなバリアントは、天然に存在し得るか、または、例えば、本発明のポリペプチド配列の1つ以上を修飾することによって、および本明細書に記載のポリペプチドの1つ以上の生物学的活性を評価することによって、および/または当技術分野において周知である複数の技術のいずれかを使用することによって合成により生成され得る。修飾が、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの構造に加えられてよく、それでも、望ましい特性を有するバリアントまたは誘導性ポリペプチドをコードするか、またはそれらである、機能性分子をもたらす。ポリペプチドのアミノ酸配列を改変して、本発明のポリペプチドの同等の、またはさらに改善されたバリアントまたは部分を作製することが望まれる場合、当業者は典型的には、コードするDNA配列のコドンの1つ以上を変更する。例えば、特定のアミノ酸は、その機能(例えば、他のポリペプチド(例えば、抗原)または細胞を結合する能力)を明らかに喪失することなく、タンパク質構造中の他のアミノ酸と置換され得る。そのタンパク質の生物学的機能活性を定義するのはタンパク質の結合能力および性質であるため、特定のアミノ酸配列置換が、タンパク質配列、および当然のことながらその基礎となるDNAコード配列において行われ得、同様の特性を有するタンパク質をもたらす。したがって、様々な変更が、それらの生物学的有用性または活性を明らかに喪失することなく、本発明のペプチド配列、またはペプチドをコードする対応するDNA配列に加えられてよいことが企図される。多くの場合、ポリペプチドバリアントは、1つ以上の保存的置換を含むであろう。またあるいは代替的にはバリアントは、非保存的変更を含む場合もある。いくつかの実施形態では、バリアントポリペプチドは、6、5、4、3、2、または1つのアミノ酸の置換、欠失、または付加により天然配列と異なる。バリアントはまた(あるいは代替的に)、例えば、ポリペプチドの免疫原性、二次構造およびハイドロパシー性に最小の影響を有するアミノ酸の欠失または付加により修飾され得る。
【0123】
「バーサボディ」は当技術分野において周知であり、別の抗体模倣技術を指す。それらは、15%を超えるシステインを有する3~5kDaの小さいタンパク質であり、典型的なタンパク質の疎水性コアに代わって、高ジスルフィド密度の足場を形成する。
【0124】
「異種」という用語は、異なる種の個体に由来する任意の材料を指す。「異種移植片」という用語は、異なる種の個体に由来する移植片を指す。
【0125】
「ゼータ」またはあるいは「ゼータ鎖」、「CD3ゼータ」または「TCR-ゼータ」という用語は、GenBankアクセッション番号BAG36664.1として提供されるタンパク質、または非ヒト種、例えば、マウス、げっ歯類、サル、類人猿など由来の同等の残基として定義され、「ゼータ刺激ドメイン」または代わりに「CD3ゼータ刺激ドメイン」または「TCR-ゼータ刺激ドメイン」は、ゼータ鎖の細胞質ドメインからのアミノ酸残基、またはその機能的誘導体として定義され、これらは、T細胞の活性化に必要な初期シグナルを機能的に伝達するのに十分である。いくつかの実施形態では、ゼータの細胞質ドメインは、GenBankアクセッション番号BAG36664.1の残基52~164、またはその機能的オルソログである、非ヒト種、例えば、マウス、げっ歯類、サル、類人猿などの同等の残基を含む。
キメラ抗原受容体(CAR)
【0126】
本発明は、
-少なくとも1つの細胞外結合ドメインと、
-任意により、少なくとも1つの細胞外ヒンジドメインと、
-少なくとも1つの膜貫通ドメイン(例えば、ヒトTNFR2膜貫通ドメインもしくはその断片もしくはバリアント、任意の膜貫通ドメインもしくはその断片もしくはバリアント、またはそれらの任意の組み合わせ)と、
-少なくとも1つの細胞内ドメイン(少なくとも1つの一次細胞内シグナル伝達ドメインを含み、任意により少なくとも1つの共刺激細胞内シグナル伝達ドメインを含み、少なくとも1つの共刺激細胞内シグナル伝達ドメインは、ヒトTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインもしくはその断片もしくはバリアント、任意の共刺激細胞内シグナル伝達ドメインもしくはその断片もしくはバリアント、またはそれらの任意の組み合わせである)、を含み、膜貫通ドメインは、TNFR2膜貫通ドメインもしくはその断片もしくはバリアントであり、かつ/または共刺激細胞内シグナル伝達ドメインは、TNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインもしくはその断片もしくはバリアントである、
キメラ受容体を提供する。
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、1つ以上のポリペプチドを含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、細胞外結合ドメインは、抗原結合ドメインであり、したがって、キメラ受容体は、キメラ抗原受容体(またはCAR)とも呼ばれ得る。

I.細胞外結合ドメイン
【0128】
いくつかの実施形態では、細胞外ドメインは、抗原結合ドメイン、例えば、抗体またはその抗原結合断片を含む。抗体またはその抗原結合断片を含む本発明のキメラ受容体の部分は、リガンド結合ドメインが、例えば、単一ドメイン抗体断片(sdAb)、一本鎖抗体(scFv)、ヒト化抗体または二重特異性抗体を含む連続するポリペプチド鎖の一部として発現される、様々な形態で存在し得る(Harlowら、1999年,In:Using Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY;Harlowら、1989年,In:Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,New York;Houstonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA85:5879-5883(1988年);Birdら、Science242:423-426(1988年))。いくつかの態様では、本明細書に記載されるキメラ受容体の抗原結合ドメインは、抗体断片を含む。いくつかの態様では、キメラ受容体は、scFvを含む抗体断片を含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、抗体は、全抗体、ヒト化抗体、一本鎖抗体、二量体一本鎖抗体、Fv、scFv、Fab、F(ab)’2、脱フコシル化抗体、二重特異性抗体、ダイアボディ、トリアボディ、およびテトラボディからなる群から選択される抗体分子である。
【0130】
いくつかの実施形態では、抗体は、ユニボディ、単一ドメイン抗体、およびナノボディからなる群から選択される抗体断片である。
【0131】
いくつかの実施形態では、抗体は、アフィボディ、アフィリン、アフィチン、アドネクチン、アトリマー、エバシン(evasin)、DARPin、アンチカリン、アビマー、フィノマー(fynomer)、バーサボディ、およびデュオカリンからなる群から選択される抗体模倣物である。
【0132】
DARPin(設計されたアンキリンリピートタンパク質)は当技術分野でよく知られており、非抗体ポリペプチドの結合能力を利用するために開発された抗体模倣DRP(設計されたリピートタンパク質)技術を指す。
【0133】
本発明の抗体の断片および誘導体(特に明記しない限り、または文脈によって明確に矛盾しない限り、それらは本明細書で使用される「抗体」という用語に含まれる)は、当技術分野で公知である技術によって生成することができる。「断片」は、インタクトな抗体の一部分、一般的には抗原結合部位または可変領域を含む。抗体断片の例は、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)、およびFv断片;ダイアボディ;連続するアミノ酸残基の1つの途切れのない配列からなる一次構造を有するポリペプチドである任意の抗体断片(本明細書では「一本鎖抗体断片」または「一本鎖ポリペプチド」と呼ばれる)を含み、これらに限定されないが、(1)一本鎖Fv分子、(2)1つの軽鎖可変ドメインのみを含む一本鎖ポリペプチド、または軽鎖可変ドメインの3つのCDRを含み、関連する重鎖部分を含まないその断片、および(3)1つの重鎖可変領域のみを含む一本鎖ポリペプチド、または重鎖可変領域の3つのCDRを含み、関連する軽鎖部分を含まないその断片;ならびに抗体断片から形成される多重特異性抗体を含む。本発明の抗体の断片は、標準的な方法を使用して得ることができる。所与のCDRの正確なアミノ酸配列境界は、複数の周知であるスキーム、Kabatら(1991年)、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」第5版、Public Health Service,National Institutes of Health, Bethesda,MD(「Kabat」ナンバリングスキーム)、Al-Lazikaniら、JMB273:927-948(1997年)(「Chothia」ナンバリングスキーム)のいずれか、またはこれらの組み合わせを使用して決定できる。
【0134】
いくつかの実施形態では、本発明のCARの抗原結合ドメインは、例えば、scFvなどの抗体断片を含むか、またはそれらからなる。特定の実施形態では、抗原結合ドメインはscFvである。
【0135】
いくつかの実施形態では、本発明のCARの抗原結合ドメインは、特定の抗原またはその断片(例えば、標的細胞に会合する)を認識する。したがって、CARの抗原結合ドメインは、例えば、感染した細胞、損傷した細胞、または機能不全細胞などの標的細胞を認識し得る。そのような標的細胞の例としては、機能不全免疫反応に関与する細胞(例えば、自己免疫疾患またはアレルギーに関与する細胞)、機能不全により活性化された炎症細胞(例えば、炎症性内皮細胞)、癌細胞、および感染した(例えば、ウイルス、細菌、または寄生虫に感染した)細胞を挙げることができる。
【0136】
本明細書で使用される場合、抗原の「断片」という用語は、より短いペプチドとしての、抗原の任意のサブセットを指す。いくつかの実施形態では、抗原の断片は、少なくとも6アミノ酸長のペプチドである。いくつかの実施形態では、抗原の断片は、6~50アミノ酸長、6~30アミノ酸長、または6~20アミノ酸長のペプチドである。
【0137】
抗原の「バリアント」という用語は、本明細書では、天然抗原とほぼ同一でありかつ同じ生物学的活性を共有する抗原を指す。天然抗原とそのバリアントとの間の最小差は、例えば、アミノ酸の置換、欠失、および/または付加にあり得る。そのようなバリアントは、例えば、保存的アミノ酸置換を含み得る。いくつかの実施形態では、抗原のバリアントは、天然抗原の配列と少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%、または70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を示す。
【0138】
いくつかの実施形態では、抗原は自己抗原である。自己抗原の例としては、これらに限定されないが、炎症性神経系状態に関連する抗原(例えば、多発性硬化症関連抗原)、関節関連抗原、眼関連抗原、ヒトHSP抗原、皮膚関連抗原、または移植片拒絶反応またはGVHDに関与する抗原が挙げられる。
【0139】
多発性硬化症関連抗原の例としては、これらに限定されないが、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、ミエリン関連糖タンパク質(MAG)、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)、プロテオリピドタンパク質(PLP)、オリゴデンドロサイトミエリンオリゴタンパク質(OMGP)、ミエリン関連オリゴデンドロサイト塩基性タンパク質(MOBP)、オリゴデンドロサイト特異的タンパク質(OSP/クローディン-11)、熱ショックタンパク質、オリゴデンドロサイト特異的タンパク質(OSP)、NOGO A、糖タンパク質Po、末梢ミエリンタンパク質22(PMP22)、2’3’-環状ヌクレオチド3′-ホスホジエステラーゼ(CNPase)、または任意の断片、バリアントまたはそれらの混合物が挙げられる。
【0140】
関節関連抗原の例としては、これらに限定されないが、シトルリン置換環状および直鎖フィラグリンペプチド、II型コラーゲンペプチド、シトルリン化ビメンチン、シトルリン化II型コラーゲン、シトルリン化フィブリノーゲン、ヒト軟骨糖タンパク質39(HCgp39)ペプチド、HSP、異種核リボ核タンパク質(hnRNP)A2ペプチド、hnRNP B1、hnRNP D、Ro60/52、HSP60、HSP65、HSP70およびHSP90、BiP、ケラチン、ビメンチン、フィブリノーゲン、I型、III型、IV型およびV型コラーゲンペプチド、アネキシンV、グルコース6リン酸イソメラーゼ(GPI)、アセチルカルパスタチン、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)、アルドラーゼ、トポイソメラーゼI、snRNP、PARP、Scl-70、Scl-100、陰イオン性カルジオリピンおよびホスファチジルセリンなどのリン脂質抗原、中性に帯電したホスファチジルエタノールアミンおよびホスファチジルコリン、マトリックスメタロプロテイナーゼ、フィブリリン、アグリカン、およびそれらの断片、バリアントおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0141】
眼関連抗原の例としては、これらに限定されないが、II型コラーゲン、シトルリン化ビメンチン、シトルリン化II型コラーゲン、シトルリン化フィブリノーゲン、網膜アレスチン、S-アレスチン、光受容体間レチノイド結合タンパク質(IRBP1)、ベータ-クリスタリンB1、網膜タンパク質、脈絡膜タンパク質およびそれらの断片、バリアントおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0142】
ヒトHSP抗原の例としては、これらに限定されないが、ヒトHSP60、HSP70、HSP90、ならびにそれらの断片、バリアントおよび混合物が挙げられる。
【0143】
いくつかの実施形態では、抗原は、炎症性神経系状態関連抗原、例えば、多発性硬化症関連抗原である。炎症性神経系状態関連抗原(例えば、多発性硬化症関連抗原)の例としては、これらに限定されないが、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、ミエリン関連糖タンパク質(MAG)、ミエリンオリゴデンドロサイトタンパク質(MOG)、プロテオリピドタンパク質(PLP)、オリゴデンドロサイトミエリンオリゴタンパク質(OMGP)、ミエリン関連オリゴデンドロサイト塩基性タンパク質(MOBP)、オリゴデンドロサイト特異的タンパク質(OSP/クローディン-11)、熱ショックタンパク質、オリゴデンドロサイト特異的タンパク質(OSP)、NOGO A、糖タンパク質Po、末梢ミエリンタンパク質22(PMP22)、2’3’-環状ヌクレオチド3′-ホスホジエステラーゼ(CNPase)、およびそれらの断片、バリアントまたは混合物が挙げられる。
【0144】
いくつかの実施形態では、抗原は関節関連抗原である。関節関連抗原の例としては、これらに限定されないが、シトルリン置換環状および直鎖フィラグリンペプチド、II型コラーゲンペプチド、ヒト軟骨糖タンパク質39(HCgp39)ペプチド、HSP、異種核リボ核タンパク質(hnRNP)A2ペプチド、hnRNP B1、hnRNP D、Ro60/52、HSP60、65、70および90、BiP、ケラチン、ビメンチン、フィブリノーゲン、コラーゲンI型、III型、IV型およびV型ペプチド、アネキシンV、グルコース6リン酸イソメラーゼ(GPI)、アセチルカルパスタチン、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(pyruvate deshydrogenase)(PDH)、アルドラーゼ、トポイソメラーゼI、snRNP、PARP、Scl-70、Scl-100、陰イオン性カルジオリピンおよびホスファチジルセリンなどのリン脂質抗原、中性に帯電したホスファチジルエタノールアミンおよびホスファチジルコリン、マトリックスメタロプロテイナーゼ、フィブリリン、アグリカン、およびそれらの断片、バリアントおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0145】
いくつかの実施形態では、抗原は眼関連抗原である。眼関連抗原の例としては、これらに限定されないが、II型コラーゲン、網膜アレスチン、S-アレスチン、光受容体間レチノイド結合タンパク質(IRBP1)、ベータB1-クリスタリン、網膜タンパク質、脈絡膜タンパク質、およびそれらの断片、バリアント、および混合物が挙げられる。
【0146】
いくつかの実施形態では、抗原はヒトHSP抗原である。ヒトHSP抗原の例としては、これらに限定されないが、ヒトHSP60、HSP70、HSP90、ならびにそれらの断片、バリアントおよび混合物が挙げられる。
【0147】
いくつかの実施形態では、抗原は、皮膚関連抗原である。皮膚関連抗原の例としては、これらに限定されないが、ケラチノサイト抗原、真皮または表皮に存在する抗原、メラノサイト抗原(例えば、メラニンまたはチロシナーゼ)、デスモグレイン(例えば、デスモグレイン1または3、これはDsg1/3とも呼ばれ得る)、BP180、BP230、プレクチン、インテグリン(例えば、インテグリンα4β6)、コラーゲン(例えば、VII型コラーゲン)、ラミニン(例えば、ラミニン332またはラミニンγ1)、プラキン(例えば、エンボプラキン、ペリプラキン、またはデスモプラキン)、ケラチン(例えば、KRT5、KRT8、KRT15、KRT17およびKRT31)、ケラチンフィラメント関連タンパク質、フィラグリン、コルネデスモシン、およびエラスチンが挙げられる。
【0148】
いくつかの実施形態では、抗原は、移植片拒絶反応またはGVHDに関与する抗原である。そのような抗原の例としては、これらに限定されないが、移植された組織または宿主に特異的なMHC、β2-ミクログロブリン、ABO系からの抗原、アカゲザル系からの抗原(例えば、抗原C、c、E、eおよびD)、およびイソハエマグルチニン(isohaemagglutinin)が挙げられる。移植片拒絶反応またはGVHDに関与し得る抗原の他の例としては、これらに限定されないが、HLA-DR(特に移植後の最初の6ヶ月間)、HLA-B(特に移植後の最初の2年間)、HLA-A、マイナー組織適合性抗原(miHA、例えば、HLA-E、HLA-FおよびHLA-G)、MHCクラスIに対応するHLA(A、B、およびC)、MHCクラスIIに対応するHLA(DP、DM、DOA、DOB、DQ、およびDR)ならびにMHCクラスIIIに対応するHLA(例えば、補体系の構成要素)が挙げられる。
【0149】
いくつかの実施形態では、抗原は、HLA-A2細胞表面タンパク質である。いくつかの実施形態では、細胞外結合ドメインは、HLA-A2に向けられた抗体またはその抗原結合断片を含む。いくつかの実施形態では、HLA-A2結合ドメインは、HLA-A2に向けられたscFvを含む。
【0150】
本明細書で使用される「HLA-A2」という用語は、HLA遺伝子複合体のHLA-A遺伝子座においてHLA-A*02対立遺伝子ファミリーによってコードされる、細胞表面タンパク質を含むヒト白血球抗原(HLA)タンパク質を指す。「HLA-A2」という用語に含まれるHLAタンパク質としては、血清学的検査または遺伝子型決定によってHLA-A*02抗原型に属すると同定されたHLAタンパク質が挙げられる。HLA-A*02抗原型の追加名としては、「HLA-A2」、「HLA-A02」、および「HLA-A*2」が挙げられる。2010年にHLAシステムの因子に関するWHO委員会によって開発されたHLAネーミングシステムを含む、この対立遺伝子ファミリーによってコードされるHLAタンパク質を同定する様々なネーミングシステムが開発された。「HLA-A2」という用語は、「HLA-A*02:01」、「HLA-A*02:02」、「HLA-A*02:03」、「HLA-A*02:04」、「HLA-A*02:05」、「HLA-A*02:06」、「HLA-A*02:07」、「HLA-A*02:08」、「HLA-A*02:09」、「HLA-A*02:10」、および「HLA-A*02:11」で始まる命名を含むがこれに限定されない、「HLA-A*02」で始まるこの命名システムによる指定を有する対立遺伝子によってコードされるHLAタンパク質を指す。対立遺伝子の指定はイタリック体で示される場合もある。「HLA-A*02:」で始まり、その後に2桁または3桁の追加の数字が続く対立遺伝子指定は、完全な指定または指定の最初の部分を構成し得る。「HLA-A2」という用語はまた、「HLA-A*02:01」、「HLA-A*02:02」、「HLA-A*02:03」、「HLA-A*02:04」、「HLA-A*02:05」、「HLA-A*02:06」、「HLA-A*02:07」、「HLA-A*02:08」、「HLA-A*02:09」、「HLA-A*02:10」、および「HLA-A*02:11」という名称を含むがこれらに限定されない、この命名システムによる「HLA-A*02」で始まる名称で同定されるHLAタンパク質を指す。
【0151】
いくつかの実施形態では、HLA-A2ドメインは、HLA-A2に向けられた抗体またはその抗原結合断片を含む。ある実施形態では、HLA-A2結合ドメインは、HLA-A2に向けられたscFvを含む。HLA-A2に向けられたscFvsの例としては、これらに限定されないが、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107からなる群から選択される配列、およびそれらの断片またはバリアント;PCT国際公開第2018/183293号および国際公開第2019/056099号に開示されている抗-HLA-A2 scFvからなるか、またはこれらを含むscFvが挙げられる。例えば、本明細書に記載のCARで使用される抗HLA-A2 scFvは、配列番号68のアミノ酸配列からなるか、またはそれを含み得る。さらに別の例では、本明細書に記載のCARで使用される抗HLA-A2 scFvは、配列番号70のアミノ酸配列からなるか、またはそれを含み得る。さらに別の例では、本明細書に記載のCARで使用される抗HLA-A2 scFvは、配列番号92のアミノ酸配列からなるか、またはそれを含み得る。さらに別の例では、本明細書に記載のCARで使用される抗HLA-A2 scFvは、配列番号103のアミノ酸配列からなるか、またはそれを含み得る。さらに別の例では、本明細書に記載のCARで使用される抗HLA-A2 scFvは、配列番号107のアミノ酸配列からなるか、またはそれを含み得る。
【0152】
自己抗原の他の例としては、これらに限定されないが、アクアポリン水チャネル(例えば、アクアポリン-4水チャネル(AQP4))、Hu、Ma2、コラプシン応答メディエータータンパク質5(CRMP5)、アンフィフィシン、電位依存性カリウムチャネル(VGKC)、N-メチル-d-アスパラギン酸受容体(NMDAR)、α-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メチル-4-イソキサゾールプロピオン酸(AMPAR)、甲状腺ペルオキシダーゼ、サイログロブリン、抗N-メチル-D-アスパラギン酸受容体(NR1サブユニット)、Rh血液型抗原、I抗原、デスモグレイン1または3(Dsg1/3)、BP180、BP230、アセチルコリンニコチン性シナプス後受容体、甲状腺刺激ホルモン受容体、血小板インテグリン、GpIIb:IIIa、コラーゲン(例えば、コラーゲンアルファ-3(IV)鎖)、リウマチ因子、カルパスタチン、シトルリン化タンパク質、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)ペプチド、アルファ-ベータ-クリスタリン、DNA、ヒストン、リボソーム、RNP、組織トランスグルタミナーゼ(TG2)、内因子、65 kDa抗原、ホスファチジルセリン、リボソームリンタンパク質、抗好中球細胞質抗体、Scl-70、U1-RNP、ANA、SSA、抗SSB、抗核抗体(ANA)、抗好中球細胞質抗体(ANCA)、Jo-1、抗ミトコンドリア抗体、gp210、p62、sp100、抗リン脂質抗体、U1-70 kd snRNP、GQ1bガングリオシド、GM1、asialo GM1GD1b、抗平滑筋抗体(ASMA)、抗肝腎ミクロソーム-1抗体(ALKM-1)、抗肝サイトゾル抗体-1(ALC-1)、IgA抗筋内膜抗体、好中球顆粒タンパク質、連鎖球菌の細胞壁抗原、胃壁細胞の内因子、インスリン(IAA)、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAAまたはGAD)、プロテインチロシンホスファターゼ(例えば、IA2またはICA512)、PLA2R1およびTHSD7A1が挙げられる。
【0153】
いくつかの実施形態では、抗原は、細胞表面上で発現されるIL-23受容体(IL-23R)である。いくつかの実施形態では、細胞外結合ドメインは、IL-23Rに向けられた抗体またはその抗原結合断片である。
【0154】
いくつかの実施形態では、抗原は可溶性IL-23Rである。いくつかの実施形態では、細胞外結合ドメインは、可溶性IL-23Rに向けられた抗体またはその抗原結合断片である。
【0155】
いくつかの実施形態では、抗原は、IL-23Rのバリアントである。いくつかの実施形態では、細胞外結合ドメインは、IL-23Rのバリアントに向けられた抗体またはその抗原結合断片である。
【0156】
いくつかの実施形態では、IL-23Rのバリアントペプチドは、修飾されたIL-23Rペプチドであり、ここで、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10のアミノ酸が、元のペプチドと比較して、欠失されるか、付加されるかまたは置換される。
【0157】
いくつかの実施形態では、抗原は、IL-23Rのスライスバリアントである。いくつかの実施形態では、細胞外結合ドメインは、IL-23Rのスライスバリアントに向けられた抗体またはその抗原結合断片である。
【0158】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、ヒトIL-23Rを認識し、かつヒトIL-23Rに結合できる。いくつかの実施形態では、本発明のCARは、マウスIL-23Rを認識し、かつマウスIL-23Rに結合できる。
【0159】
いくつかの実施形態では、IL-23R結合ドメインは、IL-23Rに向けられた抗体またはその抗原結合断片を含む。いくつかの実施形態では、IL-23R結合ドメインは、IL-23Rに向けられたscFvを含む。IL-23Rに向けられたscFvの例としては、これらに限定されないが、配列番号65、配列番号66、配列番号67からなる群から選択される配列およびそれらの断片またはバリアントからなるかまたはそれらを含むscFvが挙げられる。
【0160】
いくつかの実施形態では、抗原は、吸入アレルゲン、摂取アレルゲン、または接触アレルゲンである。
【0161】
いくつかの実施形態では、抗原は、一般的なヒトの食事からの食物抗原である。
【0162】
「一般的なヒトの食事からの食物抗原」という用語は、非限定的なリスト:オバルブミン、リポカリンなどのウシ抗原、Ca結合S100、アルファ-ラクトアルブミン、ベータラクトグロブリンなどのラクトグロブリン、ウシ血清アルブミン、およびカゼイン、の食品抗原などの、ヒトに一般的な食品に由来する免疫原性ペプチドを指す。また、食品抗原は、パルブアルブミンなどのタイセイヨウサケ抗原、オボムコイド、Ag22、コンアルブミン、リゾチームまたは鶏血清アルブミンなどのニワトリ抗原、ピーナッツ、トロポミオシンなどのエビ抗原、アグルチニンまたはグリアジンなどのコムギ抗原、セロリプロフィリンなどのセロリ抗原、ニンジンプロフィリンなどのニンジン抗原、ソーマチン、リンゴ脂質転移タンパク質、アップルプロフィリンなどのリンゴ抗原、ナシプロフィリン、イソフラボンレダクターゼなどのナシ抗原、エンドキチナーゼなどのアボカド抗原、アプリコット脂質転移タンパク質などのアプリコット抗原、モモ脂質転移タンパク質またはモモプロフィリンなどのモモ抗原、HPS、ダイズプロフィリンまたは(SAM22)PR-I0 protなどのダイズ抗原、およびそれらの断片、バリアントおよびそれらの混合物であり得る。
【0163】
いくつかの実施形態では、抗原は組織特異的タンパク質である。組織特異的タンパク質の例としては、これらに限定されないが、その発現が特定の組織または臓器に限定されるインテグリンおよびセレクチンが挙げられる。
【0164】
いくつかの実施形態では、抗原は、B細胞の表面で発現されるB細胞表面マーカーである。B細胞の表面マーカーの例(例えば、ヒトB細胞)としては、これらに限定されないが、CD19、CD20、BCMA、IgM、IgA、IgG、IgE、IgD、CD1、CD5、CD21、CD22、CD23、CD24、CD25、CD27、CD30、CD38、CD40、CD78、CD80、CD138、CD319、PDL-2、CXCR3、CXCR4、CXCR5、CXCR6、Notch2、TLR4、IL-6、IL-10およびTGFβが挙げられる。ある実施形態では、B細胞表面マーカーは、CD19、CD20、BCMA、IgM、IgA、IgG、IgE、IgD、CD1、CD21、CD22、CD138から選択される。特定の実施形態では、B細胞表面マーカーは、CD19およびCD20から選択される。
【0165】
いくつかの実施形態では、抗原は、proB細胞の表面で発現されるproB細胞表面マーカーである。proB細胞(例えば、ヒトproB細胞)の表面マーカーの例としては、これらに限定されないが、CD10、CD19、CD24、CD34およびCD38が挙げられる。
【0166】
いくつかの実施形態では、抗原は、preB細胞の表面で発現されるpreB細胞表面マーカーである。preB細胞の表面マーカー(例えば、ヒトpreB細胞)の例としてはこれらに限定ないが、CD5、CD10、CD19、CD20およびCD34、CD38が挙げられる。
【0167】
いくつかの実施形態では、抗原は、B細胞の表面で発現される未成熟(または移行性)B細胞表面マーカーである。未成熟(または移行性)B細胞(例えば、ヒト未成熟B細胞)の表面マーカーの例としては、これらに限定されないが、CD5、CD10、CD19、CD20、CD22、CD24、CD38およびIgGが挙げられる。
【0168】
いくつかの実施形態では、抗原は、B細胞の表面で発現される辺縁帯B細胞表面マーカーである。辺縁帯B細胞(例えば、ヒト辺縁帯B細胞)の表面マーカーの例としては、これらに限定されないが、CD1、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD27、IgGおよびNotch2が挙げられる。
【0169】
いくつかの実施形態では、抗原は、B細胞の表面で発現される形質細胞表面マーカーである。形質細胞(例えば、ヒト形質細胞)の表面マーカーの例としては、CD19、CD27、CD38、CD138、IgG、MHCII、およびIL-6が挙げられるが、これらに限定されない。
【0170】
いくつかの実施形態では、抗原は、B細胞の表面で発現される形質細胞表面マーカーである。形質芽球(例えば、ヒト形質芽球)の表面マーカーの例としては、これらに限定されないが、CD19、CD20、CD27、CD38、IgG、およびMHCIIが挙げられる。
【0171】
いくつかの実施形態では、抗原は、B細胞の表面で発現されるメモリーB細胞表面マーカーである。メモリーB細胞の表面マーカーの例(例えば、ヒトメモリーB細胞)としてはこれらに限定されないが、CD19、CD20、CD22、CD24、CD27、CD38、CD40、CD80、PD-L2、IgG、CXCR3、CXCR4、CXCR5、CXCR6、IgA、IgGおよびIgEが挙げられる。
【0172】
いくつかの実施形態では、抗原は、B細胞の表面で発現される胚中心B細胞表面マーカーである。胚中心B細胞(例えば、ヒト胚中心B細胞)の表面マーカーの例としては、これらに限定されないが、CD10、CD19、CD20、CD22、CD38、およびIgGが挙げられる。
【0173】
いくつかの実施形態では、抗原は、B細胞の表面で発現される活性化B細胞表面マーカーである。活性化B細胞(例えば、ヒト活性化B細胞)の表面マーカーの例としては、これらに限定されないが、CD19、CD25、およびCD30が挙げられる。
【0174】
いくつかの実施形態では、抗原は、B細胞の表面で発現される調節性B細胞表面マーカーである。調節性B細胞(Breg細胞)の表面マーカーの例としては、これらに限定されないが、CD1、CD1d、CD5、CD19、CD21、CD23、CD24、CD40、Fasリガンド、IL-10、TLR4、TGFβ、IgD、IgM、PD-L1、PD-L2、TIM-1、TNFSF18、およびTRAILが挙げられる。特定の実施形態では、ヒトBreg細胞の表面マーカーの例としては、これらに限定されないが、CD1、CD1d、CD5、CD19、CD21、CD24、CD40、IL-10、TLR4、TGFβ、IgDおよびIgMが挙げられる。
【0175】
いくつかの実施形態では、抗原は、B細胞の表面で発現される非分泌型Igを有するB細胞表面マーカーである。非分泌型Igを有するB細胞(例えば、ヒトB細胞)の表面マーカーの例としては、これらに限定されないが、CD138およびNotch2が挙げられる。
【0176】
いくつかの実施形態では、B細胞表面マーカーは、CD19である。いくつかの実施形態では、CD19結合ドメインは、CD19に向けられた抗体またはその抗原結合断片を含む。いくつかの実施形態では、CD19結合ドメインは、CD19に向けられたscFvを含む。CD19に向けられたscFvの例としては、これらに限定されないが、配列番号1およびFMC63(配列番号2)が挙げられる。
【0177】
いくつかの実施形態では、B細胞表面マーカーは、CD20である。いくつかの実施形態では、CD20結合ドメインは、CD20に向けられた抗体またはその抗原結合断片を含む。CD20抗体の例としては、これらに限定されないが、リツキシマブまたはその断片またはバリアント(例えば、配列番号3またはその断片またはバリアント)が挙げられる。CD20に向けられたscFvの例としては、これらに限定されないが、配列番号4、配列番号5、配列番号6、およびその断片またはバリアントからなる群から選択される配列を含む、またはそれらからなるscFvが挙げられる。
【0178】
いくつかの実施形態では、抗原は癌抗原である。
【0179】
本明細書で使用される場合、「癌抗原」という用語は、癌細胞によって差次的に発現され、したがって癌細胞を標的とするために利用できる抗原を指す。癌抗原は、明らかに腫瘍特異的免疫応答を刺激する可能性のある抗原である。これらの抗原のいくつかは、必ずしも発現されないが、正常細胞によってコードされており、これらの抗原は、正常細胞では通常はサイレントである(すなわち、発現されない)もの、特定の分化段階でのみ発現されるもの、ならびに胚および胎児の抗原など、一時的に発現されるものとして特徴付けることができる。他の癌抗原は、癌遺伝子(例えば、活性化されたras癌遺伝子)、抑制遺伝子(例えば、変異体p53)などの、変異細胞遺伝子によってコードされ、および内部欠失または染色体転座によって生じる融合タンパク質である。さらに他の癌抗原は、RNA腫瘍ウイルスおよびDNA腫瘍ウイルス上で運ばれるものなどのウイルス遺伝子によってコードされ得る。多くの腫瘍抗原は、複数の固形腫瘍:MAGE1、2、および3(免疫によって定義される)、MART-1/Melan-A、gp100、癌胎児性抗原(CEA)、HER2、ムチン(すなわち、MUC-1)、前立腺特異抗原(PSA)、および前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)に関して定義されている。さらに、B型肝炎(HBV)、エプスタインバー(EBV)、およびヒトパピローマ(HPV)によってコードされるいくつかなどのウイルスタンパク質は、それぞれ肝細胞癌、リンパ腫、および子宮頸癌の発症において重要であることが示されている。
【0180】
他の癌抗原としては、これらに限定されないが、707-AP(707アラニンプロリン)、AFP(アルファ(a)-フェトプロテイン)、ART-4(T4細胞によって認識される腺癌抗原)、BAGE(B抗原;b-カテニン/m、b-カテニン/変異型)、BCMA(B細胞成熟抗原)、Bcr-abl(切断点クラスタ領域-Abelson)、CAIX(炭酸脱水酵素IX)、CD19(分化クラスター19)、CD20(分化クラスター20)、CD22(分化クラスター22)、CD30(分化クラスター30)、CD33(分化クラスター33)、CD44v7/8(分化クラスター44、エクソン7/8)、CAMEL(メラノーマのCTL認識抗原)、CAP-1(癌胎児性抗原ペプチド-1)、CASP-8(カスパーゼ-8)、CDC27m(細胞分裂周期27変異型)、CDK4/m(サイクリン依存性キナーゼ4変異型)、CEA(癌胎児性抗原)、CT(癌/精巣(抗原))、Cyp-B(シクロフィリンB)、DAM(分化抗原メラノーマ)、EGFR(上皮成長因子受容体)、EGFRvIII(上皮成長因子受容体、バリアントIII)、EGP-2(上皮糖タンパク質2)、EGP-40(上皮糖タンパク質40)、Erbb2、3,4(赤芽球性白血病ウイルス腫瘍遺伝子ホモログ-2、-3、4)、ELF2M(伸長因子2変異型)、ETV6-AML1(Etsバリアント遺伝子6/急性骨髄性白血病1遺伝子ETS)、FBP(葉酸結合タンパク質)、fAchR(胎児アセチルコリン受容体)、G250(糖タンパク質250)、ゲージ(G抗原)、GD2(ジシアロガングリオシド2)、GD3(ジシアロガングリオシド3)、GnT-V(N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼV)、Gp100(糖タンパク質100kD)、HAGE(ヘリコース抗原)、HER-2/neu(ヒト表皮受容体-2/神経学的;EGFR2としても公知である)、HLA-A(ヒト白血球抗原-A)HPV(ヒトパピローマウイルス)、HSP70-2M(熱ショックタンパク質70-2変異型)、HST-2(ヒトシグネットリング腫瘍-2)、hTERTまたはhTRT(ヒトテロメラーゼ逆転写酵素)、iCE(腸カルボキシルエステラーゼ)、IL-13R-a2(インターロイキン-13受容体サブユニットアルファ-2)、KIAA0205、KDR(キナーゼ挿入ドメイン受容体)、κ-軽鎖、LAGE(L抗原)、LDLR/FUT(低密度脂質受容体/GDP-L-フコース:bD-ガラクトシダーゼ2-a-ルフコシルトランスフェラーゼ)、LeY(Lewis-Y抗体)、L1CAM(L1細胞接着分子)、MAGE(メラノーマ抗原)、MAGE-A1(メラノーマ関連抗原1)、メソテリン、マウスCMV感染細胞、MART-1/Melan-A(T細胞によって認識されるメラノーマ抗原-I/メラノーマ抗原A)、MC1 R(メラノコルチン1受容体)、ヨシン/m(ミオシン変異型)、MUC1(ムチン1)、MUM-1、-2、-3(メラノーマ遍在性変異型1、-2、-3)、NA88-A(患者M88のNA cDNAクローン)、NKG2D(ナチュラルキラーグループ2、メンバーD)リガンド、NY-BR-1(ニューヨーク乳房分化抗原1)、NY-ESO-1(ニューヨーク食道扁平上皮癌-1)、腫瘍胎児性抗原(h5T4)、P15(タンパク質15)、p190 minor bcr-abl(190KD bcr-ablのタンパク質)、Pml/RARa(前骨髄球性白血病/レチノイン酸受容体a)、PRAME(メラノーマの優先的に発現される抗原)、PSA(前立腺特異抗原)、PSCA(前立腺幹細胞抗原)、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、RAGE(腎抗原)、RU1またはRU2(腎ユビキタス1または2)、SAGE(肉腫抗原)、SART-1またはSART-3(腫瘍拒絶扁平上皮抗原1または3)、滑膜肉腫X-1、-2、-3、-4(SSX-1、-2、-3、-4)、TAA(腫瘍関連抗原)、TAG-72(腫瘍関連糖タンパク質72)、TEL/AML1(転座Ets-ファミリー白血病/急性骨髄性白血病1)、TPI/m(トリオースホスフェートイソメラーゼ変異型)、TRP-1(チロシナーゼ関連タンパク質1、またはgp75)、TRP-2(チロシナーゼ関連タンパク質2)、TRP-2/INT2(TRP-2/イントロン2)、VEGF-R2(血管内皮増殖因子受容体2)、またはWT1(ウィルムス腫瘍遺伝子)が挙げられる。
【0181】
いくつかの実施形態では、抗原は、感染した細胞と関連する。
【0182】
本明細書で使用される場合、「感染した細胞」という用語は、それらの品質、特性、または状態に不利に影響を与える何かのものが混入した細胞を指す。
【0183】
いくつかの実施形態では、抗原は、ウイルスに感染した細胞と関連する。いくつかの実施形態では、抗原は細菌に感染した細胞と関連する。いくつかの実施形態では、抗原は、真菌に感染した細胞と関連する。いくつかの実施形態では、抗原は、寄生虫に感染した細胞と関連する。
【0184】
いくつかの実施形態では、細胞外結合ドメインは、タンパク質またはその断片またはバリアントである。
【0185】
いくつかの実施形態では、細胞外結合ドメインは、B細胞上の自己抗体を認識する。
【0186】
いくつかの実施形態では、細胞外結合ドメインは自己抗原である。
【0187】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、自己抗原(自己抗原とも呼ばれ得る)またはその断片またはバリアントを含み、したがって自己抗原に対して向けられた抗体を認識できる。本明細書で使用される場合、「自己抗原(autoantigen)または「自己抗原(self-antigen)という用語は、自己抗体の産生を刺激する内因性抗原を指す。いくつかの実施形態では、自己抗原は、自己免疫疾患に関与する。いくつかの実施形態では、本発明の免疫細胞は、自己抗原に対して向けられた抗体を産生するB細胞に対して細胞傷害性である。
【0188】
自己抗原の「バリアント」という用語は、本明細書では、天然の自己抗原とほぼ同一でありかつ同じ生物学的活性を共有する自己抗原を指す。天然自己抗原とそのバリアントとの間の最小差は、例えば、アミノ酸の置換、欠失、および/または付加にあり得る。そのようなバリアントは、例えば、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換される、保存的アミノ酸置換を含み得る。同様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、およびヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸およびグルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、およびシステイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、およびトリプトファン)、ベータ分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、およびイソロイシン)、および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、およびヒスチジン)を含み、当技術分野で定義されている。いくつかの実施形態では、自己抗原のバリアントは、天然抗原の配列と少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%、または70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を示す。
【0189】
自己抗原の例としては、これらに限定されないが、アクアポリン水チャネル(例えば、アクアポリン-4水チャネル(AQP4))、Hu、Ma2、コラプシン応答メディエータータンパク質5(CRMP5)、アンフィフィシン、電位依存性カリウムチャネル(VGKC)、N-メチル-d-アスパラギン酸受容体(NMDAR)、α-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メチル-4-イソキサゾールプロピオン酸(AMPAR)、甲状腺ペルオキシダーゼ、サイログロブリン、抗N-メチル-D-アスパラギン酸受容体(NR1サブユニット)、Rh血液型抗原、I抗原、デスモグレイン1または3(Dsg1/3)、BP180、BP230、アセチルコリンニコチン性シナプス後受容体、甲状腺刺激ホルモン受容体、血小板インテグリン、GpIIb:IIIa、コラーゲン(例えば、コラーゲンアルファ-3(IV)鎖)、リウマチ因子、カルパスタチン、シトルリン化タンパク質、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)ペプチド、アルファ-ベータ-クリスタリン、DNA、ヒストン、リボソーム、RNP、組織トランスグルタミナーゼ(TG2)、内因子、65 kDa抗原、ホスファチジルセリン、リボソームリンタンパク質、抗好中球細胞質抗体、Scl-70、U1-RNP、ANA、SSA、抗SSB、抗核抗体(ANA)、抗好中球細胞質抗体(ANCA)、Jo-1、抗ミトコンドリア抗体、gp210、p62、sp100、抗リン脂質抗体、U1-70 kd snRNP、GQ1bガングリオシド、GM1、asialo GM1GD1b、抗平滑筋抗体(ASMA)、抗肝腎ミクロソーム-1抗体(ALKM-1)、抗肝サイトゾル抗体-1(ALC-1)、IgA抗筋内膜抗体、好中球顆粒タンパク質、連鎖球菌の細胞壁抗原、胃壁細胞の内因子、インスリン(IAA)、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAAまたはGAD)、プロテインチロシンホスファターゼ(例えば、IA2またはICA512)、PLA2R1およびTHSD7A1が挙げられる。
【0190】
自己抗原の他の例は、本明細書に記載されており、これらに限定されないが、多発性硬化症関連抗原(例えば、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、ミエリン関連糖タンパク質(MAG)、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)、プロテオリピドタンパク質(PLP)、オリゴデンドロサイトミエリンオリゴタンパク質(OMGP)、ミエリン関連オリゴデンドロサイト塩基性タンパク質(MOBP)、オリゴデンドロサイト特異的タンパク質(OSP/クローディン-11)、熱ショックタンパク質、オリゴデンドロサイト特異的タンパク質(OSP)、NOGO A、糖タンパク質Po、末梢ミエリンタンパク質22(PMP22)、2’3’-環状ヌクレオチド3’-ホスホジエステラーゼ(CNPase)、およびそれらの断片、バリアントおよび混合物);関節関連抗原(例えば、シトルリン置換環状および線状フィラグリンペプチド、II型コラーゲンペプチドヒト軟骨糖タンパク質39(HCgp39)ペプチド、HSP、異種核リボ核タンパク質(hnRNP)A2ペプチド、hnRNP B1、hnRNP D、Ro60/52、HSP60、HSP65、HSP70およびHSP90、BiP、ケラチン、ビメンチン、フィブリノーゲン、I型、III型、IV型およびV型コラーゲンペプチド、アネキシンV、グルコース6リン酸イソメラーゼ(GPI)、アセチルカルパスタチン、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)、アルドラーゼ、トポイソメラーゼI、snRNP、PARP、Scl-70、Scl-100、陰イオン性カルジオリピンおよびホスファチジルセリンを含むリン脂質抗原、中性に帯電したホスファチジルエタノールアミンとホスファチジルコリン、マトリックスメタロプロテイナーゼ、フィブリリン、アグレカン、シトルリン化ビメンチン、シトルリン化II型コラーゲン、シトルリン化フィブリノーゲン、およびそれらの断片、バリアントおよび混合物);眼関連抗原(例えば、II型コラーゲン、網膜アレスチン、S-アレスチン、光受容体間レチノイド結合タンパク質(IRBP1)、ベータクリスタリンB1、網膜タンパク質、脈絡膜タンパク質、シトルリン化ビメンチン、シトルリン化II型コラーゲン、シトルリン化フィブリノーゲン、およびそれらの断片、バリアントおよび混合物);およびヒトHSP抗原(例えば、ヒトHSP60、HSP70、HSP90、およびそれらの断片、バリアントおよび混合物)を含む。
【0191】
いくつかの実施形態では、自己抗原は、デスモグレイン1またはデスモグレイン3、あるいは、例えば、デスモグレイン1または3の細胞外ドメインなどのそのバリアントまたは断片である。いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、例えば、配列番号7を含むまたはそれからなる配列などの、デスモグレイン3の細胞外ドメイン1~4を含む。
【0192】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、第1の抗原に対する細胞外結合ドメインと、別の抗原に対する少なくとも1つの他の細胞外結合ドメインとを含む。そのようなCARは、少なくとも2つの異なる抗原に結合できる。ある実施形態では、少なくとも1つの他の細胞外結合ドメインは、特定の抗原またはその抗原結合断片に対して向けられた抗体である。ある実施形態では、少なくとも1つの他の細胞外結合ドメインは、例えば、scFvなどの、抗体断片を含むか、またはそれらの抗体断片からなる。
【0193】
いくつかの実施形態では、本発明のCARに含まれる抗体は、多重特異性抗体分子であり、例えば、それは複数の免疫グロブリン可変ドメイン配列を含み、複数のうちの第1の免疫グロブリン可変ドメイン配列は、第1のエピトープに対する結合特異性を有し、複数のうちの第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列は、第2のエピトープに対する結合特異性を有する。いくつかの実施形態では、多重特異性抗体分子は、二重特異性抗体分子である。二重特異性抗体は、2つの抗原に対して特異性を有し、第1のエピトープに対する結合特異性を有する第1の免疫グロブリン可変ドメイン配列および第2のエピトープに対する結合特異性を有する第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列を特徴とする。
II.スペーサードメインおよびヒンジドメイン
【0194】
いくつかの実施形態では、細胞外結合ドメインは、スペーサードメインまたはヒンジドメインによって膜貫通ドメインに接続される。リンカーの例としては、これに限定されないが、本明細書に記載のGSリンカーが挙げられる。ある実施形態では、リンカーは、配列GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号111)を含むか、またはその配列からなり得る。
【0195】
いくつかの実施形態では、例えば2~10アミノ酸の範囲の長さを有する短いオリゴまたはポリペプチドリンカーは、ヒンジドメインを形成し得る。いくつかの実施形態では、「リンカー」という用語は、柔軟なポリペプチドリンカーを指す。
【0196】
例えば、グリシン-セリンダブレットは、好適なヒンジドメイン(GSリンカー)を提供し得る。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインはGly/Serリンカーである。Gly/Serリンカーの例としては、これらに限定されないが、GSリンカー、G2Sリンカー、G3Sリンカー、およびG4Sリンカーが挙げられる。
【0197】
G2Sリンカーの例としては、これに限定されないが、GGSが挙げられる。
【0198】
G3Sリンカーは、(GGGS)nまたは(配列番号112)nとも呼ばれるアミノ酸配列(Gly-Gly-Gly-Ser)nを含み、ここで、nは1以上の正の整数である(例えば、n=1、n=2、n=3、n=4、n=5、n=6、n=7、n=8、n=9またはn=10など)。G3Sリンカーの例としては、これに限定されないが、GGGSGGGSGGGSGGGS(配列番号113)が挙げられる。
【0199】
G4Sリンカーの例としては、これらに限定されないが、GGGGS(配列番号114)に対応する(Gly4Ser)、GGGGSGGGGS(配列番号115)に対応する(Gly4Ser)2、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号116)に対応する(Gly4Ser)3リンカー、およびGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号117)に対応する(Gly4Ser)4が挙げられる。
【0200】
いくつかの実施形態では、スペーサードメインは、最大300アミノ酸、例えば、10~100アミノ酸、25~50アミノ酸、または2~10アミノ酸の長さを有し得る。
【0201】
いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、本明細書に記載のとおり、例えば、2~10アミノ酸の範囲の長さを有する短いオリゴまたはポリペプチドリンカーである。本発明で使用できるヒンジドメインの例は、PCT国際公開第2012/138475号に記載されており、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0202】
いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、アミノ酸配列AGSSSSGGSTTGGSTT(配列番号8)、アミノ酸配列GTTAASGSSGGSSSGA(配列番号9)、アミノ酸配列SSATATAGTGSSTGST(配列番号10)、およびTSGSTGTAASSTSTST(配列番号11)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0203】
いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、ヌクレオチド配列GGTGGCGGAGGTTCTGGAGGTGGAGGTTCC(配列番号12)によってコードされる。
【0204】
いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、KIRRDSS(配列番号13)に対応するKIR2DS2である。
【0205】
いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、CD8ヒンジのアミノ酸配列(例えば、配列番号14のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)または配列番号14に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号15の核酸配列、または配列番号15に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する核酸配列によってコードされるCD8ヒンジである。
【0206】
いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、IgG4ヒンジのアミノ酸配列(例えば、配列番号16のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)、または配列番号16に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号17の核酸配列、または配列番号17に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する核酸配列によってコードされるIgG4ヒンジである。
【0207】
いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、IgDヒンジのアミノ酸配列(例えば、配列番号18のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)、または配列番号18に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号19の核酸配列、または配列番号19に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する核酸配列によってコードされるIgDヒンジである。
【0208】
いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は、CD28ヒンジのアミノ酸配列(例えば、配列番号20のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)または配列番号20に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号21の核酸、または配列番号21に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する核酸配列によってコードされるCD28ヒンジである。

III.膜貫通ドメイン
【0209】
本発明のキメラ受容体で使用され得る膜貫通ドメインの例としては、これらに限定されないが、TNFR2、CD28、CD8の膜貫通ドメイン、またはT細胞受容体のアルファ鎖、ベータ鎖、もしくはゼータ鎖の膜貫通ドメイン、またはCD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD3ゼータ、CD45、CD4、CD5、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、KIRDS2、OX40、CD2、CD27、LFA-1(CD11a、CD18)、ICOS(CD278)、4-1BB(CD137)、GITR、CD40、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、CD160、CD19、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Ra、ITGA1、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、PD1、ITGAX、CDl1c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRT AM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CDIOO(SEMA4D)、SLAMF6(NTB-A、Lyl08)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、PAG/Cbp、NKp44、NKp30、NKp46、NKG2D、および/またはNKG2Cの膜貫通ドメインが挙げられる。
【0210】
いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、それが由来する分子の膜貫通ドメイン全体を含み得るか、またはその機能的断片またはそのバリアントを含み得る。
【0211】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、TNFR2の膜貫通ドメイン、CD8の膜貫通ドメイン、およびCD28の膜貫通ドメインから選択される少なくとも1つの膜貫通ドメインを含む。
【0212】
いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、TNFR2膜貫通ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号22のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)、または配列番号22に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号22のアミノ酸配列と比較して、少なくとも1つ、2つ、もしくは3つの修飾を有するが、20、10、もしくは5以下の修飾を有するアミノ酸配列、または配列番号22に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなる。
【0213】
いくつかの実施形態では、TNFR2膜貫通ドメインは、配列番号23のヌクレオチド配列または配列番号23に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる。
【0214】
いくつかの実施形態では、TNFR2膜貫通ドメインは、配列番号22の配列由来の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30のアミノ酸、配列番号22に対して、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列、例えば、配列番号22の配列由来の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30の連続アミノ酸を含む。ある実施形態では、TNFR2膜貫通ドメインは、CVIMTQV(配列番号62)、VNCVIMTQV(配列番号63)、またはTALGLLIIGVVNCVIMTQV(配列番号64)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、TNFR2膜貫通ドメインは、VNCVIMTQV(配列番号63)のアミノ酸配列を含む。
【0215】
いくつかの実施形態では、TNFR2膜貫通ドメインは、配列番号23由来の少なくとも6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、42、45、48、51、54、57、60、63、66、69、72、75、78、81、84または87のヌクレオチド配列、配列番号23に対して、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列由来、例えば、配列番号23の配列由来の少なくとも6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、42、45、48、51、54、57、60、63、66、69、72、75、78、81、84または87の連続ヌクレオチドによってコードされる。
【0216】
いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、CD8膜貫通ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号24のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)、または配列番号24に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号24のアミノ酸配列と比較して、少なくとも1つ、2つ、もしくは3つの修飾を有するが、20、10、もしくは5以下の修飾を有するアミノ酸配列、または配列番号24に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなる。
【0217】
いくつかの実施形態では、CD8膜貫通ドメインは、配列番号25のヌクレオチド配列または配列番号25に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる。
【0218】
いくつかの実施形態では、CD8膜貫通ドメインは、配列番号24の配列由来の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24のアミノ酸、配列番号24に対して、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列、例えば、配列番号24の配列由来の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24の連続アミノ酸を含む。
【0219】
いくつかの実施形態では、CD8膜貫通ドメインは、配列番号25の配列由来の少なくとも6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、42、45、48、51、54、57、60、63、66、69または72のヌクレオチド配列、配列番号25と、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列由来、例えば、配列番号25の配列由来の少なくとも6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、42、45、48、51、54、57、60、63、66、69または72または87の連続ヌクレオチドによってコードされる。
【0220】
いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、CD28膜貫通ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号26のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)、または配列番号26に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号26のアミノ酸配列と比較して、少なくとも1つ、2つ、もしくは3つの修飾を有するが、20、10、もしくは5以下の修飾を有するアミノ酸配列、または配列番号26に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなる。
【0221】
いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号27の核酸配列、または配列番号27に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する核酸配列によってコードされるCD28膜貫通ドメインである。いくつかの実施形態では、CD28膜貫通ドメインは、配列番号26の配列由来の少なくとも2、3、4、5、6、7、8,10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26または27のアミノ酸、配列番号26と、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列、例えば、配列番号26の配列由来の少なくとも3、4、5、6、7、8,10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26または27の連続アミノ酸を含む。
【0222】
いくつかの実施形態では、CD28膜貫通ドメインは、配列番号27の配列由来の少なくとも6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、42、45、48、51、54、57、60、63、66、69、72、75、78または81のヌクレオチド配列、配列番号27と、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列由来、例えば、配列番号27の配列由来の少なくとも6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、42、45、48、51、54、57、60、63、66、69、72、75、78または81の連続ヌクレオチドによってコードされる。
【0223】
本発明のいくつかの実施形態では、キメラ受容体は、例えば、TNFR2の膜貫通ドメイン、CD8の膜貫通ドメイン、およびCD28の膜貫通ドメインから選択される、少なくとも2つの膜貫通ドメインの組み合わせを含み得る。膜貫通ドメインは、全体の膜貫通ドメインまたはその断片またはバリアントであり得るか、ランダムにまたは指定された順序で互いに連結され得る。ある実施形態では、少なくとも2つの膜貫通ドメインまたはその断片またはバリアントの組み合わせは、少なくとも15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50のアミノ酸を含む。
【0224】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、TNFR2膜貫通ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号22のアミノ酸配列を含むか、もしくはそれらからなる)またはその断片またはバリアントおよびCD8膜貫通ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号24のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)またはその断片またはバリアントを含む。ある実施形態では、キメラ受容体は、配列番号59および62、配列番号60および63、または配列番号61および64のアミノ酸配列を含む融合膜貫通ドメインを含む。
【0225】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、TNFR2膜貫通ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号22のアミノ酸配列を含むか、もしくはそれらからなる)またはその断片またはバリアントおよびCD28膜貫通ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号26のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)またはその断片またはバリアントを含む。
【0226】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD8膜貫通ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号24のアミノ酸配列を含むか、もしくはそれらからなる)またはその断片またはバリアントおよびCD28膜貫通ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号26のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)またはその断片またはバリアントを含む。
【0227】
本発明のいくつかの実施形態では、キメラ受容体は、例えば、TNFR2の膜貫通ドメイン、CD8の膜貫通ドメイン、およびCD28の膜貫通ドメインから選択される、少なくとも3つの膜貫通ドメインの組み合わせを含み得る。膜貫通ドメインは、膜貫通ドメイン全体またはその断片またはバリアントであり得る。ある実施形態では、少なくとも3つの膜貫通ドメインまたはその断片またはバリアントの組み合わせは、少なくとも15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50のアミノ酸を含む。
【0228】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、TNFR2膜貫通ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号22のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)またはその断片またはバリアント、CD8膜貫通ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号24)のアミノ酸配列またはその断片またはバリアントを含むか、またはそれらからなる)またはその断片またはバリアント、およびCD28膜貫通ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号26のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)またはその断片またはバリアントを含む。
【0229】
このため、いくつかの実施形態では、本発明のCARの膜貫通ドメインをコードする核酸配列は、TNFR2膜貫通ドメインの核酸配列(例えば、配列番号23のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)もしくはその断片もしくはバリアント、および/またはCD8膜貫通ドメインの核酸配列(例えば、配列番号25のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)もしくはその断片もしくはバリアント、CD28膜貫通ドメインの核酸配列(例えば、配列番号27のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)もしくはその断片もしくはバリアントを含む。
【0230】
いくつかの実施形態では、本発明のCARの膜貫通ドメインは、TNFR2膜貫通ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号22のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)もしくはその断片もしくはバリアント、および/またはCD8膜貫通ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号24のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)もしくはその断片もしくはバリアント、CD28膜貫通ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号26のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)もしくはその断片もしくはバリアントを含み、ここで、膜貫通ドメイン内に含まれる配列は、同じフレーム中で、かつ単一のポリペプチド鎖として発現される。
【0231】
いくつかの実施形態では、本発明のCARの膜貫通ドメインは、ランダムにまたは指定された順序で互いに連結され得る少なくとも2つの異なるドメイン(例えば、TNFR2ドメインまたはその断片またはバリアントおよび少なくとも1つの他の膜貫通ドメイン(例えば、CD8またはCD28膜貫通ドメイン)またはその断片またはバリアント)を含む。
【0232】
任意により、例えば、長さが2~10のアミノ酸(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10アミノ酸)の短いオリゴまたはポリペプチドリンカーは、別個の膜貫通ドメイン間の連結を形成し得る。
【0233】
いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは組換え体であり得る。ある実施形態では、組換え膜貫通ドメインは、バリンまたはロイシンなどの主に疎水性アミノ酸を含む。
IV.細胞内ドメイン
【0234】
いくつかの実施形態では、本発明のCARの細胞内ドメインは、T細胞一次シグナル伝達ドメイン(またはそれに由来する配列)および任意によりT細胞共刺激分子の1つ以上の細胞内ドメイン(複数可)(またはそれに由来する配列(複数可))を含む。
【0235】
いくつかの実施形態では、細胞内ドメインは、それが由来する分子の細胞内部分全体、または天然の細胞内シグナル伝達ドメイン全体、またはその機能的断片もしくはバリアントを含み得る。
【0236】
いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、少なくとも1つの一次シグナル伝達ドメイン(例えば、T細胞一次シグナル伝達ドメイン)またはその断片またはバリアントからなる。
【0237】
いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、少なくとも1つの共刺激シグナル伝達ドメイン(例えば、T細胞共刺激分子細胞内ドメイン)またはその断片またはバリアントからなる。
【0238】
いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、T細胞共刺激分子の細胞内ドメイン(複数可)、またはその断片またはバリアントを含む。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、T細胞共刺激分子の細胞内ドメイン(複数可)、またはその断片またはバリアントからなる。
【0239】
別の実施形態では、本発明のCARの細胞内シグナル伝達ドメインは、少なくとも1つの共刺激ドメインまたはその断片またはバリアント、および少なくとも1つの一次シグナル伝達ドメインまたはその断片またはバリアントを含む。
【0240】
別の実施形態では、本発明のCARの細胞内シグナル伝達ドメインは、1つの共刺激ドメインまたはその断片またはバリアント、および1つの一次シグナル伝達ドメインまたはその断片またはバリアントからなる。
【0241】
いくつかの実施形態では、本発明のCARの細胞内シグナル伝達ドメインは、少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つの共刺激ドメインまたはその断片またはバリアント、および少なくとも1つの一次シグナル伝達ドメインまたはその断片またはバリアントを含む。ある実施形態では、1つ以上の共刺激ドメインは、T細胞共刺激分子の細胞内ドメインである。ある実施形態では、少なくとも1つの一次シグナル伝達ドメインは、T細胞一次シグナル伝達ドメインである。
【0242】
本発明のいくつかの実施形態では、一次シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、コモンFcRガンマ(FCER1G)、FcRベータ(FcイプシロンRib)、CD79a、CD79b、FcガンマRIIa、DAP10、およびDAP1からなる群から選択されるタンパク質のシグナル伝達ドメイン、ならびにそれらに由来する配列を含む。
【0243】
いくつかの実施形態では、一次シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータの少なくとも1つの機能的シグナル伝達ドメイン、またはその断片もしくはバリアントを含むかまたはそれらからなるT細胞一次シグナル伝達ドメインである。
【0244】
いくつかの実施形態では、T細胞一次シグナル伝達ドメインは、配列番号28、29、30または31のCD3ゼータアミノ酸配列、または配列番号28、29、30または31に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはそれらからなる。
【0245】
いくつかの実施形態では、CD3ゼータ一次シグナル伝達ドメインは、配列番号28、29、30または31のアミノ酸配列と比較して、少なくとも1つ、2つ、もしくは3つの修飾であるが、20、10、もしくは5以下の修飾を有するアミノ酸配列、または配列番号28、29、30または31に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなる。
【0246】
したがって、いくつかの実施形態では、T細胞一次シグナル伝達ドメインをコードする核酸配列は、配列番号32もしくは配列番号33のCD3ゼータドメイン核酸配列、または配列番号32もしくは配列番号33に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むか、またはそれらからなる。
【0247】
いくつかの実施形態では、CD3ゼータ一次シグナル伝達ドメインは、配列番号28、29、30または31の配列由来の少なくとも2、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110または112のアミノ酸、配列番号28、29、30または31と少なくとも約70%の同一性を有する配列、例えば、配列番号28、29、30または31の由来の少なくとも2、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110または112の連続アミノ酸を含む。
【0248】
いくつかの実施形態では、CD3ゼータ一次シグナル伝達ドメインは、配列番号32または33の配列由来の少なくとも6、30、60、90、120、150、180、210、240、270、300、330または336のヌクレオチド配列、配列番号32または33と、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列由来、例えば、配列番号32または33由来の少なくとも6、30、60、90、120、150、180、210、240、270、300、330または336の連続ヌクレオチドによってコードされる。
【0249】
いくつかの実施形態では、刺激的な様式で作用するT細胞一次シグナル伝達ドメインは、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAMS)として公知であるシグナル伝達モチーフを含み得る。本発明において特に使用されるITAM含有T細胞一次細胞内シグナル伝達ドメインの例としては、これらに限定されないが、CD3ゼータ、コモンFcRガンマ(FCER1G)、FcガンマRIIa、FcRベータ(FcイプシロンR1b)、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD5、CD22、CD66b、CD79a、CD79b、DAP10、およびDAP12のもの(またはそれら由来のもの)が挙げられる。
【0250】
いくつかの実施形態では、T細胞一次シグナル伝達ドメインは、修飾ITAMドメイン、例えば、天然ITAMドメインと比較して改変された(例えば、増加または減少された)活性を有する突然変異ITAMドメインを含む。いくつかの実施形態では、一次シグナル伝達ドメインは、修飾ITAM含有一次細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、最適化および/または短縮ITAM含有一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。ある実施形態では、一次シグナル伝達ドメインは、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれより多いITAMモチーフを含み得る。
【0251】
いくつかの実施形態では、本発明のCARの細胞内シグナル伝達ドメインは、T細胞一次シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ゼータシグナル伝達ドメインまたはその断片またはバリアントなど)を、1つ以上の共刺激シグナル伝達ドメインと組み合わせて含み、共刺激シグナル伝達ドメインは、全体の共刺激細胞内シグナル伝達ドメインまたはその断片またはバリアントである。
【0252】
T細胞共刺激分子の細胞内ドメインの例としては、これらに限定されないが、TNFR2(CD120b/TNFRSF1B)、4-1BB(CD137)、ICOS(CD278)、CD27、CD28、CTLA-4(CD152)、PD-1、MHCクラスI分子、BTLA、Tollリガンド受容体、OX40、CD30、CD40、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンド、、CDS、ICAM-1、GITR、ARHR、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD160(BY55)、CD19、CD19a、CD4、CD8アルファ、CD8ベータ、IL2ra、IL6Ra、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rアルファ、IL-13RA1/RA2、IL-33R(IL1RL1)、IL-10RA/RB、IL-4R、IL-5R(CSF2RB)、IL-21R、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a/CD18、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、ITGB7、NKG2D、NKG2C、CD95、TNFR1(CD120a/TNFRSF1A)、TGFbR1/2/3、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Lyl08)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、コモンガンマ鎖、CD83と特異的に結合するリガンド、NKp44、NKp30、NKp46、NKG2D、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるタンパク質のシグナル伝達ドメインが挙げられる。
【0253】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、TNFR2、4-1BB、ICOS、CD27、OX40、CD28、CTLA4およびPD-1からなる群から選択されるT細胞共刺激分子の少なくとも1つの細胞内ドメインを含む。
【0254】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、少なくとも1つの共刺激シグナル伝達ドメインを含み、共刺激シグナル伝達ドメインは、共刺激シグナル伝達ドメイン全体またはその断片またはバリアントである。
【0255】
いくつかの実施形態では、T細胞共刺激シグナル伝達ドメインは、TNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号34のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)、または配列番号34に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインは、配列番号34のアミノ酸配列と比較して、少なくとも1つ、2つ、または3つの修飾であるが20、10、または5以下の修飾を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0256】
いくつかの実施形態では、T細胞共刺激シグナル伝達ドメインは、TNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのヌクレオチド配列(例えば、配列番号35のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)、または配列番号35に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる。
【0257】
いくつかの実施形態では、TNFR2細胞内共刺激シグナル伝達ドメインは、配列番号34の配列由来の少なくとも2、6、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170または174のアミノ酸、配列番号34と少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列、例えば、配列番号34由来の少なくとも2、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170または174の連続アミノ酸を含む。
【0258】
いくつかの実施形態では、TNFR2細胞内共刺激シグナル伝達ドメインは、配列番号35の配列由来の少なくとも6、18、30、60、90、120、150、180、210、240、260、270、300、330、360、390、420、450、480、510または522のヌクレオチド配列、配列番号35と、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列由来、例えば、配列番号35由来の少なくとも6、18、30、60、90、120、150、180、210、240、260、270、300、330、360、390、420、450、480、510または522の連続ヌクレオチドによってコードされる。
【0259】
いくつかの実施形態では、細胞内共刺激シグナル伝達ドメインは、TNFR2細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号34)のドメインIおよびII、ドメインI~III、ドメインI~IV、またはドメインI~Vを含む。ある実施形態では、細胞内共刺激シグナル伝達ドメインは、TNFR2細胞内共刺激ドメインのドメインIおよびIIを含む。
【0260】
いくつかの実施形態では、細胞内共刺激シグナル伝達ドメインは、配列番号34の残基1~20(Δ151)、1~70(Δ104)、1~115(Δ59)、または1~156(Δ18)を含む。
【0261】
いくつかの実施形態では、T細胞共刺激シグナル伝達ドメインは、4-1BB共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号36のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)、または配列番号36に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、T細胞共刺激シグナル伝達ドメインは、配列番号36のアミノ酸配列と比較して、少なくとも1つ、2つ、または3つの修飾であるが20、10、または5以下の修飾を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0262】
いくつかの実施形態では、T細胞共刺激シグナル伝達ドメインは、4-1BB共刺激細胞内シグナル伝達ドメインヌクレオチド配列(例えば、配列番号37のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)、または配列番号37に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる。
【0263】
いくつかの実施形態では、4-1BB共刺激細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号36の配列由来の少なくとも2、3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、または42のアミノ酸、配列番号36と少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列、例えば、配列番号36由来の少なくとも2、3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、または42の連続アミノ酸を含む。
【0264】
いくつかの実施形態では、4-1BB共刺激細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号37の配列由来の少なくとも6、18、27、36、45、54、63、72、81、96、99、108、117または126のヌクレオチド配列、配列番号37と、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列由来、例えば、配列番号37由来の少なくとも6、18、27、36、45、54、63、72、81、96、99、108、117または126の連続ヌクレオチドによってコードされる。
【0265】
いくつかの実施形態では、T細胞共刺激シグナル伝達ドメインは、CD27共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号38のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)、または配列番号38に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、T細胞共刺激シグナル伝達ドメインは、配列番号38のアミノ酸配列と比較して、少なくとも1つ、2つ、または3つの修飾であるが20、10、または5以下の修飾を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0266】
いくつかの実施形態では、T細胞共刺激シグナル伝達ドメインは、CD27共刺激細胞内シグナル伝達ドメインヌクレオチド配列(例えば、配列番号39のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)、または配列番号39に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる。
【0267】
いくつかの実施形態では、CD27共刺激細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号38の配列由来の少なくとも2、3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、42、45または48のアミノ酸、配列番号38と少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列、例えば、配列番号38由来の少なくとも2、3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、42、45または48の連続アミノ酸を含む。
【0268】
いくつかの実施形態では、CD27共刺激細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号39の配列由来の少なくとも6、18、27、36、45、54、63、72、81、96、99、108、117、126、135または144のヌクレオチド配列、配列番号39と、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列由来、例えば、配列番号39由来の少なくとも6、18、27、36、45、54、63、72、81、96、99、108、117、126、135または144の連続ヌクレオチドによってコードされる。
【0269】
いくつかの実施形態では、T細胞共刺激シグナル伝達ドメインは、CD28共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号40のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)、または配列番号40に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、T細胞共刺激シグナル伝達ドメインは、配列番号40のアミノ酸配列と比較して、少なくとも1つ、2つ、または3つの修飾であるが20、10、または5以下の修飾を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0270】
いくつかの実施形態では、T細胞共刺激シグナル伝達ドメインは、CD28共刺激細胞内シグナル伝達ドメインヌクレオチド配列(例えば、配列番号41を含むか、またはそれからなる)、または配列番号41に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる。
【0271】
いくつかの実施形態では、CD28共刺激細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号40の配列由来の少なくとも2、3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、または41のアミノ酸、配列番号40と少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列、例えば、配列番号40由来の少なくとも2、3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39または41の連続アミノ酸を含む。
【0272】
いくつかの実施形態では、CD28共刺激細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号41の配列由来の少なくとも6、18、27、36、45、54、63、72、81、96、99、108、117または123のヌクレオチド配列、配列番号41と、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列由来、例えば、配列番号41由来の少なくとも6、18、27、36、45、54、63、72、81、96、99、108、117または123の連続ヌクレオチドによってコードされる。
【0273】
本発明のいくつかの実施形態では、キメラ受容体は、T細胞共刺激分子の少なくとも2つの細胞内ドメインの組み合わせを含む。ある実施形態では、少なくとも2つの細胞内ドメインは、TNFR2の細胞内ドメイン、4-1BBの細胞内ドメイン、CD27の細胞内ドメイン、およびCD28の細胞内ドメインから選択され得る。特定の実施形態では、共刺激細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激細胞内シグナル伝達ドメイン全体またはその断片またはバリアントである。
【0274】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、TNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号34のアミノ酸配列を含むか、もしくはそれらからなる)またはその断片またはバリアントおよび4-1BB共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号36のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)またはその断片またはバリアントを含む。
【0275】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、TNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号34のアミノ酸配列を含むか、もしくはそれらからなる)またはその断片またはバリアントおよびCD27共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号38のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)またはその断片またはバリアントを含む。
【0276】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、TNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号34のアミノ酸配列を含むか、もしくはそれらからなる)またはその断片またはバリアントおよびCD28共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号40のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)またはその断片またはバリアントを含む。
【0277】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、4-1BB共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号36のアミノ酸配列を含むか、もしくはそれらからなる)またはその断片またはバリアントおよびCD27共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号38のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)またはその断片またはバリアントを含む。
【0278】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、4-1BB共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号36のアミノ酸配列を含むか、もしくはそれらからなる)またはその断片またはバリアントおよびCD28共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号40のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)またはその断片またはバリアントを含む。
【0279】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、CD27共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号38のアミノ酸配列を含むか、もしくはそれらからなる)またはその断片またはバリアントおよびCD28共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号40のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)またはその断片またはバリアントを含む。
【0280】
本発明のいくつかの実施形態では、キメラ受容体は、T細胞共刺激分子の少なくとも3つの細胞内ドメインの組み合わせを含み、例えば、TNFR2の細胞内ドメイン、4-1BBの細胞内ドメイン、CD27の細胞内ドメイン、およびCD28の細胞内ドメインから選択される。
【0281】
本発明のいくつかの実施形態では、キメラ受容体は、少なくとも3つの共刺激細胞内シグナル伝達ドメインを含み得、ドメインは、共刺激細胞内シグナル伝達ドメイン全体またはその断片またはバリアントである。
【0282】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、TNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号34のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)またはその断片またはバリアント、4-1BB共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号36のアミノ酸配列またはその断片またはバリアントを含むか、またはそれらからなり)またはその断片またはバリアント、およびCD27共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号38のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)またはその断片またはバリアントを含む。
【0283】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、TNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号34のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)またはその断片またはバリアント、4-1BB共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号36のアミノ酸配列またはその断片またはバリアントを含むか、またはそれらからなる)またはその断片またはバリアント、およびCD28共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号40のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)またはその断片またはバリアントを含む。
【0284】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、TNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号34のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)またはその断片またはバリアント、CD27共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号38のアミノ酸配列またはその断片またはバリアントを含むか、またはそれらからなる)またはその断片またはバリアント、およびCD28共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号40のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)またはその断片またはバリアントを含む。
【0285】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、4-1BB共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号36のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)またはその断片またはバリアント、CD27共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列、(例えば、配列番号38のアミノ酸配列またはその断片またはバリアントを含むか、またはそれらからなる)またはその断片またはバリアント、およびCD28共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号40のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)またはその断片またはバリアントを含む。
【0286】
本発明のいくつかの実施形態では、キメラ受容体は、T細胞共刺激分子の少なくとも4つの細胞内ドメインの組み合わせを含み、例えば、TNFR2の細胞内ドメイン、4-1BBの細胞内ドメイン、CD27の細胞内ドメイン、およびCD28の細胞内ドメインから選択される。
【0287】
本発明のいくつかの実施形態では、キメラ受容体は、T細胞共刺激分子の少なくとも4つの細胞内ドメインの組み合わせを含み得、共刺激細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激細胞内シグナル伝達ドメイン全体またはその断片またはバリアントである。
【0288】
いくつかの実施形態では、キメラ受容体は、TNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号34のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)またはその断片またはバリアント、4-1BB共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号36)のアミノ酸配列またはその断片またはバリアントを含むか、またはそれらからなる)またはその断片またはバリアント、CD27共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号38のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)またはその断片またはバリアント、およびCD28共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号40のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)またはその断片またはバリアントを含む。
【0289】
したがって、いくつかの実施形態では、T細胞共刺激シグナル伝達ドメインをコードする核酸配列は、TNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号35のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)もしくはその断片もしくはバリアント、および/または4-1BB共刺激細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号37)のアミノ酸配列もしくはその断片もしくはバリアントを含むか、またはそれらからなる)もしくはその断片もしくはバリアント、および/またはCD27共刺激細胞内シグナル伝達ドメインの核酸配列(例えば、配列番号39のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)もしくはその断片もしくはバリアント、および/またはCD28共刺激細胞内シグナル伝達ドメインの核酸配列(例えば、配列番号41のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる)もしくはその断片もしくはバリアントを含む。
【0290】
いくつかの実施形態では、本発明のCARの細胞内シグナル伝達ドメインは、
-配列番号34のアミノ酸配列を有するTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメイン、もしくはその断片もしくはバリアント、および/または配列番号36のアミノ酸配列を有する4-1BB共刺激細胞内シグナル伝達ドメイン、もしくはその断片もしくはバリアント、および/または配列番号38のアミノ酸配列を有するCD27共刺激細胞内シグナル伝達ドメイン、および/または配列番号40のアミノ酸配列を有するCD28共刺激細胞内シグナル伝達ドメイン;および/または
-配列番号28、29、30または31のアミノ酸配列を有するCD3ゼータ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、もしくはそれらの断片もしくはバリアント
を含み、
細胞内ドメインに含まれる配列は、同じフレームで単一のポリペプチド鎖として発現される。
【0291】
したがって、いくつかの実施形態では、本発明のCARの細胞内シグナル伝達ドメインをコードする核酸配列は、
-配列番号35のTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメイン核酸配列、もしくはその断片もしくはバリアント、および/または配列番号37の4-1BB共刺激細胞内シグナル伝達ドメイン核酸配列、もしくはその断片もしくはバリアント、および/または配列番号39の核酸配列を有するCD27共刺激細胞内シグナル伝達ドメイン核酸配列、および/または配列番号41のCD28共刺激細胞内シグナル伝達ドメイン核酸配列;および/または
-配列番号32または配列番号33のCD3ゼータ一次細胞内シグナル伝達ドメインまたはその断片またはバリアント
を含む。
【0292】
いくつかの実施形態では、本発明のCARの細胞内シグナル伝達ドメインは、ランダムにまたは指定された順序で互いに連結され得る少なくとも2つの異なるドメイン(例えば、一次シグナル伝達ドメインまたはその断片またはバリアント、ならびにT細胞共刺激分子またはその断片またはバリアントの少なくとも1つの細胞内ドメイン)を含み得る。
【0293】
任意により、例えば、長さが2~10のアミノ酸(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10アミノ酸)の短いオリゴまたはポリペプチドリンカーは、別個のシグナル伝達ドメイン間の連結を形成し得る。いくつかの実施形態では、グリシン-セリンダブレット(GS)が好適なリンカーとして使用される。いくつかの実施形態では、単一のアミノ酸、例えば、アラニン(A)、グリシン(G)が、好適なリンカーとして使用される。リンカーの他の例は、本明細書に記載される。
【0294】
いくつかの実施形態では、本発明のCARの細胞内シグナル伝達ドメインは、2つ以上(例えば、2、3、4、5、またはそれ以上)の共刺激細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、2つ以上(例えば、2、3、4、5、またはそれ以上)の共刺激シグナル伝達ドメインのいずれかまたはすべては、リンカー分子、例えば、本明細書に記載のリンカー分子によって分離される。
【0295】
いくつかの実施形態では、本発明のキメラ受容体の細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータの一次細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号28、29、30または31)およびTNFR2の共刺激細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号34)を含む。
【0296】
いくつかの実施形態では、本発明のキメラ受容体の細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータの一次細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号28、29、30または31)および4-1BBの共刺激細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号36)を含む。
【0297】
いくつかの実施形態では、本発明のキメラ受容体の細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータの一次細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号28、29、30または31)およびCD27の共刺激細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号38)を含む。
【0298】
いくつかの実施形態では、本発明のキメラ受容体の細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータの一次細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号28、29、30または31)およびCD28の共刺激細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号40)を含む。
【0299】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、本明細書に記載の細胞外結合ドメイン、本明細書に記載の膜貫通ドメイン、本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメイン、および任意により本明細書に記載のスペーサーまたはヒンジドメインの任意の組み合わせを含む。
【0300】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、特定の細胞外結合ドメインからN末端に位置するリーダー配列をさらに含む。非限定的な例は、配列番号42の配列を含み得るか、またはそれからなり得るCD8のリーダー配列である。
【0301】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、例えば、品質管理、濃縮、in vivoでの追跡などのためのタグなどの、タグをさらに含む。タグは、N末端、C末端、および/または内部に局在化されてよい。本発明のCARで使用され得るタグの例は、当業者に周知である。例えば、これらに限定されないが、本発明で使用されるタグは、ストレプトアビジンタグ(例えば、配列番号47)、血球凝集素タグ、ポリアルギニンタグ、ポリヒスチジンタグ、Mycタグ、strepタグ、S-タグ、HATタグ、3xフラグタグ、カルモジュリン結合ペプチドタグ、SBPタグ、キチン結合ドメインタグ、GSTタグ、マルトース結合タンパク質タグ、蛍光タンパク質タグ、T7タグ、V5タグおよびXpressタグからなる群から選択されるタグであり得る。タグの他の例としては、これらに限定されないが、NWSHPQFEK(配列番号43)またはSAWSHPQFEK(配列番号44)が挙げられる。
【0302】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、P2A(配列番号45)および/またはGFP(配列番号46)配列をさらに含む。
【0303】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、
-少なくとも1つの細胞外結合ドメインと、
-任意により、細胞外ヒンジドメインと、
-少なくとも1つのTNFR2膜貫通ドメインまたはその断片またはバリアントと、
-少なくとも1つの細胞内一次シグナル伝達ドメインまたはその断片またはバリアント、
を含む。
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、
-少なくとも1つの細胞外結合ドメインと、
-少なくとも1つのTNFR2膜貫通ドメイン(例えば、配列番号22)またはその断片またはバリアントと、
-少なくとも1つのCD3ゼータ一次細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号28、29、30または31)またはその断片またはバリアント、
を含む。
【0304】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、
-少なくとも1つの細胞外結合ドメインと、
-CD8(例えば、配列番号14)またはその断片またはバリアント、CD28(例えば、配列番号20)またはその断片またはバリアント、IgG4(例えば、配列番号16)またはその断片またはバリアント、およびIgD(例えば、配列番号18)またはその断片またはバリアントからなる群から選択される少なくとも1つのヒンジドメインと、
-TNFR2の少なくとも1つの膜貫通ドメイン(例えば、配列番号22)またはその断片またはバリアントと、
-少なくとも1つのCD3ゼータ一次細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号28、29、30または31)またはその断片またはバリアント、
を含む。特定の実施形態では、少なくとも1つのヒンジドメインは、CD8ヒンジドメインである(例えば、配列番号14)。
【0305】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、
-少なくとも1つの細胞外結合ドメインと、
-任意により、少なくとも1つの細胞外ヒンジドメインと、
-少なくとも1つの膜貫通ドメインまたはその断片またはバリアントと、
-少なくとも1つの共刺激細胞内シグナル伝達ドメインまたはその断片またはバリアント、
を含み、膜貫通ドメインおよび共刺激細胞内シグナル伝達ドメインの少なくとも1つは、TNFR2膜貫通またはTNFR2共刺激細胞内ドメインまたはそれらの断片またはバリアントである。
【0306】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、
-少なくとも1つの細胞外結合ドメインと、
-TNFR2膜貫通ドメイン(例えば、配列番号22)またはその断片またはバリアント、CD8膜貫通ドメイン(例えば、配列番号24)またはその断片またはバリアント、およびCD28膜貫通ドメイン(例えば、配列番号26)またはその断片またはバリアントからなる群から選択される少なくとも1つの膜貫通ドメインと、
-TNFR2細胞内ドメイン(例えば、配列番号34)またはその断片またはバリアント、4-1BB細胞内ドメイン(例えば、配列番号36)またはその断片またはバリアント、CD27細胞内ドメイン(例えば、配列番号38)またはその断片またはバリアント、およびCD28細胞内ドメイン(例えば、配列番号40)またはその断片またはバリアントからなる群から選択される少なくとも1つの共刺激細胞内シグナル伝達ドメイン、
を含み、
膜貫通ドメインおよび共刺激細胞内シグナル伝達ドメインの少なくとも1つは、TNFR2膜貫通ドメインまたはTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインまたはそれらの断片またはバリアントである。
【0307】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、
-少なくとも1つの細胞外結合ドメインと、
-CD8(例えば、配列番号14)またはその断片またはバリアント、CD28(例えば、配列番号20)またはその断片またはバリアント、IgG4(例えば、配列番号16)またはその断片またはバリアント、およびIgD(例えば、配列番号18)またはその断片またはバリアントからなる群から選択される少なくとも1つのヒンジドメインと、
-TNFR2膜貫通ドメイン(例えば、配列番号22)またはその断片またはバリアント、CD8膜貫通ドメイン(例えば、配列番号24)またはその断片またはバリアント、およびCD28膜貫通ドメイン(例えば、配列番号26)またはその断片またはバリアントからなる群から選択される少なくとも1つの膜貫通ドメインと、
-TNFR2細胞内ドメイン(例えば、配列番号34)またはその断片またはバリアント、4-1BB細胞内ドメイン(例えば、配列番号36)またはその断片またはバリアント、CD27細胞内ドメイン(例えば、配列番号38)またはその断片またはバリアント、およびCD28細胞内ドメイン(例えば、配列番号40)またはその断片またはバリアントからなる群から選択される少なくとも1つの共刺激細胞内シグナル伝達ドメイン、
を含み、
膜貫通ドメインおよび共刺激細胞内シグナル伝達ドメインの少なくとも1つは、TNFR2膜貫通ドメインまたはTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインまたはそれらの断片またはバリアントである。特定の実施形態では、少なくとも1つのヒンジドメインは、CD8ヒンジドメインである(例えば、配列番号14)。
【0308】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、
-少なくとも1つの細胞外結合ドメインと、
-任意により、少なくとも1つの細胞外ヒンジドメインと、
-少なくとも1つの膜貫通ドメインまたはその断片またはバリアントと、
-少なくとも1つの細胞内共刺激シグナル伝達ドメインまたはその断片またはバリアントと、
-少なくとも1つのT細胞一次シグナル伝達細胞内ドメインまたはその断片またはバリアント、
を含み、
膜貫通ドメインおよび共刺激細胞内シグナル伝達ドメインの少なくとも1つは、TNFR2膜貫通ドメインまたはTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインまたはそれらの断片またはバリアントである。
【0309】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、
-少なくとも1つの細胞外結合ドメインと、
-TNFR2膜貫通ドメイン(例えば、配列番号22)またはその断片またはバリアント、CD8膜貫通ドメイン(例えば、配列番号24)またはその断片またはバリアント、およびCD28膜貫通ドメイン(例えば、配列番号26)またはその断片またはバリアントからなる群から選択される少なくとも1つの膜貫通ドメインと、
-TNFR2細胞内ドメイン(例えば、配列番号34)またはその断片またはバリアント、4-1BB細胞内ドメイン(例えば、配列番号36)またはその断片またはバリアント、CD27細胞内ドメイン(例えば、配列番号38)またはその断片またはバリアント、およびCD28細胞内ドメイン(例えば、配列番号40)またはその断片またはバリアントからなる群から選択される少なくとも1つの共刺激細胞内シグナル伝達ドメインと、
-少なくとも1つのCD3ゼータ一次細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号28、29、30または31)またはその断片またはバリアント、
を含み、
膜貫通ドメインおよび共刺激細胞内シグナル伝達ドメインの少なくとも1つは、TNFR2膜貫通ドメインまたはTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインまたはそれらの断片またはバリアントである。
【0310】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、
-少なくとも1つの細胞外結合ドメインと、
-CD8(例えば、配列番号14)またはその断片またはバリアント、CD28(例えば、配列番号20)またはその断片またはバリアント、IgG4(例えば、配列番号16)またはその断片またはバリアント、およびIgD(例えば、配列番号18)またはその断片またはバリアントからなる群から選択される少なくとも1つのヒンジドメインと、
-TNFR2(例えば、配列番号22)またはその断片またはバリアント、CD8膜貫通ドメイン(例えば、配列番号24)またはその断片またはバリアント、およびCD28膜貫通ドメイン(例えば、配列番号26)またはその断片またはバリアントからなる群から選択される少なくとも1つの膜貫通ドメインと、
-TNFR2細胞内ドメイン(例えば、配列番号34)またはその断片またはバリアント、4-1BB細胞内ドメイン(例えば、配列番号36)またはその断片またはバリアント、CD27細胞内ドメイン(例えば、配列番号38)またはその断片またはバリアント、およびCD28細胞内ドメイン(例えば、配列番号40)またはその断片またはバリアントからなる群から選択される少なくとも1つの共刺激細胞内シグナル伝達ドメインと、
-少なくとも1つのCD3ゼータ一次細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号28、29、30または31)またはその断片またはバリアント、
を含み、
膜貫通ドメインおよび共刺激細胞内シグナル伝達ドメインの少なくとも1つは、TNFR2膜貫通ドメインまたはTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインまたはそれらの断片またはバリアントである。特定の実施形態では、少なくとも1つのヒンジドメインは、CD8ヒンジドメインである(例えば、配列番号14)。
【0311】
いくつかの実施形態によれば、本発明のCARは、
-少なくとも1つの細胞外結合ドメインと、
-任意により、少なくとも1つの細胞外ヒンジドメインと、
-少なくとも1つの膜貫通ドメインまたはその断片またはバリアントと、
-少なくとも2つの細胞内共刺激シグナル伝達ドメインまたはその断片またはバリアントと、
-任意により少なくとも1つのT細胞一次シグナル伝達ドメインまたはその断片またはバリアント、
を含み、膜貫通ドメインおよび/または共刺激細胞内シグナル伝達ドメインの少なくとも1つは、TNFR2膜貫通またはTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインまたはそれらの断片またはバリアントである。
【0312】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、
-少なくとも1つの細胞外結合ドメインと、
-TNFR2(例えば、配列番号22)またはその断片またはバリアント、CD8膜貫通ドメイン(例えば、配列番号24)またはその断片またはバリアント、およびCD28膜貫通ドメイン(例えば、配列番号26)またはその断片またはバリアントからなる群から選択される少なくとも1つの膜貫通ドメインと、
-TNFR2細胞内ドメイン(例えば、配列番号34)またはその断片またはバリアント、4-1BB細胞内ドメイン(例えば、配列番号36)またはその断片またはバリアント、CD27細胞内ドメイン(例えば、配列番号38)またはその断片またはバリアント、およびCD28細胞内ドメイン(例えば、配列番号40)またはその断片またはバリアントからなる群から選択される少なくとも2つの共刺激細胞内シグナル伝達ドメインと、
-任意により、少なくとも1つのCD3ゼータ一次細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号28、29、30または31)またはその断片またはバリアント、
を含み、
膜貫通ドメインおよび/または共刺激細胞内シグナル伝達ドメインの少なくとも1つは、TNFR2膜貫通ドメインまたはTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインまたはそれらの断片またはバリアントである。
【0313】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、
-少なくとも1つの細胞外結合ドメインと、
-CD8(例えば、配列番号14)またはその断片またはバリアント、CD28(例えば、配列番号20)またはその断片またはバリアント、IgG4(例えば、配列番号16)またはその断片またはバリアント、およびIgD(例えば、配列番号18)またはその断片またはバリアントからなる群から選択される少なくとも1つのヒンジドメインと、
-TNFR2(例えば、配列番号22)またはその断片またはバリアント、CD8膜貫通ドメイン(例えば、配列番号24)またはその断片またはバリアント、およびCD28膜貫通ドメイン(例えば、配列番号26)またはその断片またはバリアントからなる群から選択される少なくとも1つの膜貫通ドメインと、
-TNFR2細胞内ドメイン(例えば、配列番号34)またはその断片またはバリアント、4-1BB細胞内ドメイン(例えば、配列番号36)またはその断片またはバリアント、CD27細胞内ドメイン(例えば、配列番号38)またはその断片またはバリアント、およびCD28細胞内ドメイン(例えば、配列番号40)またはその断片またはバリアントからなる群から選択される少なくとも2つの共刺激細胞内シグナル伝達ドメインと、
-任意により、少なくとも1つのCD3ゼータ一次細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号28、29、30または31)またはその断片またはバリアント、
を含み、
膜貫通ドメインおよび/または共刺激細胞内シグナル伝達ドメインの少なくとも1つは、TNFR2膜貫通ドメインまたはTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインまたはそれらの断片またはバリアントである。特定の実施形態では、少なくとも1つのヒンジドメインは、CD8ヒンジドメインである(例えば、配列番号14)。
【0314】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、
-少なくとも1つの細胞外結合ドメインと、
-任意により、少なくとも1つの細胞外ヒンジドメインと、
-少なくとも1つの膜貫通ドメインまたはその断片またはバリアントと、
-少なくとも3つの共刺激細胞内シグナル伝達ドメインまたはその断片またはバリアントと、
-任意により、少なくとも1つのT細胞一次細胞内シグナル伝達ドメインまたはその断片またはバリアント、
を含み、
膜貫通ドメインおよび/または共刺激細胞内シグナル伝達ドメインの少なくとも1つは、TNFR2膜貫通ドメインまたはTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインまたはそれらの断片またはバリアントである。
【0315】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、
-少なくとも1つの細胞外結合ドメインと、
-TNFR2(例えば、配列番号22)またはその断片またはバリアント、CD8膜貫通ドメイン(例えば、配列番号24)またはその断片またはバリアント、およびCD28膜貫通ドメイン(例えば、配列番号26)またはその断片またはバリアントからなる群から選択される少なくとも1つの膜貫通ドメインと、
-TNFR2細胞内ドメイン(例えば、配列番号34)またはその断片またはバリアント、4-1BB細胞内ドメイン(例えば、配列番号36)またはその断片またはバリアント、CD27細胞内ドメイン(例えば、配列番号38)またはその断片またはバリアント、およびCD28細胞内ドメイン(例えば、配列番号40)またはその断片またはバリアントからなる群から選択される少なくとも3つの共刺激細胞内シグナル伝達ドメインと、
-任意により、少なくとも1つのCD3ゼータ一次細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号28、29、30または31)またはその断片またはバリアント、
を含み、
膜貫通ドメインおよび/または共刺激細胞内シグナル伝達ドメインの少なくとも1つは、TNFR2膜貫通ドメインまたは共刺激細胞内シグナル伝達ドメインまたはそれらの断片またはバリアントである。
【0316】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、
-少なくとも1つの細胞外結合ドメインと、
-CD8(例えば、配列番号14)またはその断片またはバリアント、CD28(例えば、配列番号20)またはその断片またはバリアント、IgG4(例えば、配列番号16)またはその断片またはバリアント、およびIgD(例えば、配列番号18)またはその断片またはバリアントからなる群から選択される少なくとも1つのヒンジドメインと、
-TNFR2(例えば、配列番号22)またはその断片またはバリアント、CD8膜貫通ドメイン(例えば、配列番号24)またはその断片またはバリアント、およびCD28膜貫通ドメイン(例えば、配列番号26)またはその断片またはバリアントからなる群から選択される少なくとも1つの膜貫通ドメインと、
-TNFR2細胞内ドメイン(例えば、配列番号34)またはその断片またはバリアント、4-1BB細胞内ドメイン(例えば、配列番号36)またはその断片またはバリアント、CD27細胞内ドメイン(例えば、配列番号38)またはその断片またはバリアント、およびCD28細胞内ドメイン(例えば、配列番号40)またはその断片またはバリアントからなる群から選択される少なくとも3つの共刺激細胞内シグナル伝達ドメインと、
-任意により、少なくとも1つのCD3ゼータ一次細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号28、29、30または31)またはその断片またはバリアント、
を含み、
膜貫通ドメインおよび/または共刺激細胞内シグナル伝達ドメインの少なくとも1つは、TNFR2膜貫通ドメインまたは共刺激細胞内シグナル伝達ドメインまたはそれらの断片またはバリアントである。特定の実施形態では、少なくとも1つのヒンジドメインは、CD8ヒンジドメインである(例えば、配列番号14)。
【0317】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、
-少なくとも1つの細胞外結合ドメインと、
-任意により、少なくとも1つの細胞外ヒンジドメインと、
-少なくとも1つの膜貫通ドメインまたはその断片またはバリアントと、
-少なくとも4つの共刺激細胞内シグナル伝達ドメインまたはその断片またはバリアントと、
-任意により、少なくとも1つのT細胞一次細胞内シグナル伝達ドメインまたはその断片またはバリアント、
を含み、
膜貫通ドメインおよび/または共刺激細胞内シグナル伝達ドメインの少なくとも1つは、TNFR2膜貫通ドメインまたはTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインまたはそれらの断片またはバリアントである。
【0318】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、
-少なくとも1つの細胞外結合ドメインと、
-TNFR2(例えば、配列番号22)またはその断片またはバリアント、CD8膜貫通ドメイン(例えば、配列番号24)またはその断片またはバリアント、およびCD28膜貫通ドメイン(例えば、配列番号26)またはその断片またはバリアントからなる群から選択される少なくとも1つの膜貫通ドメインと、
-TNFR2細胞内ドメイン(例えば、配列番号34)またはその断片またはバリアント、4-1BB細胞内ドメイン(例えば、配列番号36)またはその断片またはバリアント、CD27細胞内ドメイン(例えば、配列番号38)またはその断片またはバリアント、およびCD28細胞内ドメイン(例えば、配列番号40)またはその断片またはバリアントからなる群から選択される少なくとも4つの共刺激細胞内シグナル伝達ドメインと、
-任意により、少なくとも1つのCD3ゼータ一次細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号28、29、30または31)またはその断片またはバリアント、
を含み、
膜貫通ドメインおよび/または共刺激細胞内シグナル伝達ドメインの少なくとも1つは、TNFR2膜貫通ドメインまたは共刺激細胞内シグナル伝達ドメインまたはそれらの断片またはバリアントである。
【0319】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、
-少なくとも1つの細胞外結合ドメインと、
-CD8(例えば、配列番号14)またはその断片またはバリアント、CD28(例えば、配列番号20)またはその断片またはバリアント、IgG4(配列番号16)またはその断片またはバリアント、およびIgD(例えば、配列番号18)またはその断片またはバリアントからなる群から選択される少なくとも1つのヒンジドメインと、
-TNFR2膜貫通ドメイン(例えば、配列番号22)またはその断片またはバリアント、CD8膜貫通ドメイン(例えば、配列番号24)またはその断片またはバリアント、およびCD28膜貫通ドメイン(例えば、配列番号26)またはその断片またはバリアントからなる群から選択される少なくとも1つの膜貫通ドメインと、
-TNFR2細胞内ドメイン(例えば、配列番号34)またはその断片またはバリアント、4-1BB細胞内ドメイン(例えば、配列番号36)またはその断片またはバリアント、CD27細胞内ドメイン(例えば、配列番号38)またはその断片またはバリアント、およびCD28細胞内ドメイン(例えば、配列番号40)またはその断片またはバリアントからなる群から選択される少なくとも4つの共刺激細胞内シグナル伝達ドメインと、
-任意により、少なくとも1つのCD3ゼータ一次細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号28、29、30または31)またはその断片またはバリアント、
を含み、
膜貫通ドメインおよび/または共刺激細胞内シグナル伝達ドメインの少なくとも1つは、TNFR2膜貫通ドメインまたはTNFR2共刺激シグナル伝達細胞内ドメインまたはそれらの断片またはバリアントである。特定の実施形態では、少なくとも1つのヒンジドメインは、CD8ヒンジドメインである(例えば、配列番号14)。
【0320】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、
-少なくとも1つの細胞外結合ドメインと、
-任意により、少なくとも1つの細胞外ヒンジドメインと、
-少なくとも1、2、または3の膜貫通ドメインまたはその断片またはバリアントと、
-任意により、少なくとも1つのT細胞一次細胞内シグナル伝達ドメインまたはその断片またはバリアント、
を含み、
膜貫通ドメインの少なくとも1つは、TNFR2膜貫通ドメインまたはその断片またはバリアントある。
【0321】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、
-少なくとも1つの細胞外結合ドメインと、
-TNFR2膜貫通ドメイン(例えば、配列番号22)またはその断片またはバリアント、CD8膜貫通ドメイン(例えば、配列番号24)またはその断片またはバリアント、およびCD28膜貫通ドメイン(例えば、配列番号26)またはその断片またはバリアントからなる群から選択される少なくとも1つ、2つ、3つの膜貫通ドメインと、
-任意により、少なくとも1つのCD3ゼータ一次シグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号28、29、30または31)またはその断片またはバリアント、
を含み、
膜貫通ドメインの少なくとも1つは、TNFR2膜貫通ドメインまたはその断片またはバリアントある。
【0322】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、
-少なくとも1つの細胞外結合ドメインと、
-CD8(例えば、配列番号14)またはその断片またはバリアント、CD28(例えば、配列番号20)またはその断片またはバリアント、IgG4(例えば、配列番号16)またはその断片またはバリアント、およびIgD(例えば、配列番号18)またはその断片またはバリアントからなる群から選択される少なくとも1つのヒンジドメインと、
-TNFR2(例えば、配列番号22)またはその断片またはバリアント、CD8膜貫通ドメイン(例えば、配列番号24)またはその断片またはバリアント、およびCD28膜貫通ドメイン(例えば、配列番号26)またはその断片またはバリアントからなる群から選択される少なくとも1つ、2つまたは3つの膜貫通ドメインと、
-任意により、少なくとも1つのCD3ゼータ一次細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号28、29、30または31)またはその断片またはバリアント、
を含み、
膜貫通ドメインの少なくとも1つは、TNFR2膜貫通ドメインまたはその断片またはバリアントある。特定の実施形態では、少なくとも1つのヒンジドメインは、CD8ヒンジドメインである(例えば、配列番号14)。
【0323】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、
-少なくとも1つの細胞外結合ドメインと、
-任意により、少なくとも1つの細胞外ヒンジドメインと、
-少なくとも1つ、2つ、または3つの膜貫通ドメインまたはその断片またはバリアントと、
-少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つの細胞内共刺激シグナル伝達ドメインまたはその断片またはバリアントと、
-任意により、少なくとも1つのT細胞一次シグナル伝達ドメインまたはその断片またはバリアント、
を含み、
膜貫通ドメインおよび/または共刺激細胞内シグナル伝達ドメインの少なくとも1つは、TNFR2膜貫通ドメインまたはTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインまたはそれらの断片またはバリアントである。
【0324】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、
-少なくとも1つの細胞外結合ドメインと、
-TNFR2膜貫通ドメイン(例えば、配列番号22)またはその断片またはバリアント、CD8膜貫通ドメイン(例えば、配列番号24)またはその断片またはバリアント、およびCD28膜貫通ドメイン(例えば、配列番号26)またはその断片またはバリアントからなる群から選択される少なくとも1つ、2つ、3つの膜貫通ドメインと、
-TNFR2細胞内ドメイン(例えば、配列番号34)またはその断片またはバリアント、4-1BB細胞内ドメイン(例えば、配列番号36)またはその断片またはバリアント、CD27細胞内ドメイン(例えば、配列番号38)またはその断片またはバリアント、およびCD28細胞内ドメイン(例えば、配列番号40)またはその断片またはバリアントからなる群から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つの共刺激細胞内シグナル伝達ドメインと、
-任意により、少なくとも1つのCD3ゼータ一次シグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号28、29、30または31)またはその断片またはバリアント、
を含み、
膜貫通ドメインおよび/または共刺激細胞内シグナル伝達ドメインの少なくとも1つは、TNFR2膜貫通ドメインまたはTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインまたはそれらの断片またはバリアントである。
【0325】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、
-少なくとも1つの細胞外結合ドメインと、
-CD8(例えば、配列番号14)またはその断片またはバリアント、CD28(例えば、配列番号20)またはその断片またはバリアント、IgG4(例えば、配列番号16)またはその断片またはバリアント、およびIgD(例えば、配列番号18)またはその断片またはバリアントからなる群から選択される少なくとも1つのヒンジドメインと、
-TNFR2膜貫通ドメイン(例えば、配列番号22)またはその断片またはバリアント、CD8膜貫通ドメイン(例えば、配列番号24)またはその断片またはバリアント、またはCD28膜貫通ドメイン(例えば、配列番号26)またはその断片またはバリアントからなる群から選択される少なくとも1つ、2つ、3つの膜貫通ドメインと、
-TNFR2細胞内ドメイン(例えば、配列番号34)またはその断片またはバリアント、4-1BB細胞内ドメイン(例えば、配列番号36)またはその断片またはバリアント、CD27細胞内ドメイン(例えば、配列番号38)またはその断片またはバリアント、およびCD28細胞内ドメイン(例えば、配列番号40)またはその断片またはバリアントからなる群から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つの共刺激細胞内シグナル伝達ドメインと、
-任意により、少なくとも1つのCD3ゼータ一次シグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号28、29、30または31)またはその断片またはバリアント、
を含み、
膜貫通ドメインおよび/または共刺激細胞内シグナル伝達ドメインの少なくとも1つは、TNFR2膜貫通ドメインまたはTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインまたはそれらの断片またはバリアントである。特定の実施形態では、少なくとも1つのヒンジドメインは、CD8ヒンジドメインである(例えば、配列番号14)。
【0326】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、
-少なくとも1つの細胞外結合ドメインと、
-任意により、少なくとも1つの細胞外ヒンジドメインと、
-少なくとも1つの膜貫通ドメインと、
-少なくとも1つの細胞内ドメインであって、少なくとも1つの一次細胞内シグナル伝達ドメイン、および任意により少なくとも1つの共刺激細胞内シグナル伝達ドメインを含む、少なくとも1つの細胞内ドメイン、
を含み、
少なくとも1つの膜貫通ドメインは、ヒトTNFR2膜貫通ドメインまたはその断片またはバリアント、あるいは任意の膜貫通ドメインまたはその断片またはバリアントまたはそれらの組み合わせであり、および/または少なくとも1つの共刺激細胞内シグナル伝達ドメインは、ヒトTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインまたはその断片またはバリアント、あるいは任意の共刺激細胞内シグナル伝達ドメインまたはそのまたはその断片またはバリアントまたはそれらの組み合わせであり、膜貫通ドメインおよび共刺激細胞内シグナル伝達ドメインの少なくとも1つは、TNFR2膜貫通ドメインまたはその断片またはバリアント、あるいはTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインまたはその断片またはバリアントである。
【0327】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、ヒトCD8のヒンジ領域、ヒトTNFR2の膜貫通ドメイン、ヒトTNFR2の共刺激細胞内シグナル伝達ドメイン、およびヒトCD3ζ鎖の一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む配列を含み、配列は、配列番号48のアミノ酸配列または配列番号48に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列に対応する。
【0328】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、配列番号48に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列の配列番号48のアミノ酸配列に連結される抗HLA-A2 scFv(例えば、配列番号68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106または107の結合ドメイン配列を含むかまたはそれらからなる)を含む。
【0329】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、配列番号48に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列の配列番号48のアミノ酸配列に連結される抗IL-23R scFv(例えば、配列番号65、66または67の結合ドメイン配列を含むかまたはそれらからなる)を含む。
【0330】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、配列番号48に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列の配列番号48のアミノ酸配列に連結される抗CD19 scFv(例えば、配列番号1または2の結合ドメイン配列を含むかまたはそれらからなる)を含む。
【0331】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、配列番号48に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列またはアミノ酸配列の配列番号48のアミノ酸配列に連結される抗CD20 scFv(例えば、配列番号4、5または6の結合ドメイン配列を含むかまたはそれらからなる)を含む。
【0332】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、ヒトCD8のヒンジ領域、ヒトTNFR2の膜貫通ドメイン、ヒトTNFR2の共刺激細胞内シグナル伝達ドメイン、およびヒトCD3ζ鎖の一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む配列を含み、配列は、配列番号49、50、51または110のアミノ酸配列または配列番号49、50、51または110に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列に対応する。
【0333】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、配列番号49、50、51または110に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列の配列番号49、50、51または110のアミノ酸配列に連結される抗HLA-A2 scFv(例えば、配列番号68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106または107の結合ドメイン配列を含むかまたはそれらからなる)を含む。
【0334】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、配列番号49、50、51または110に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列の配列番号49、50、51または110のアミノ酸配列に連結される抗IL-23R scFv(例えば、配列番号65、66または67の結合ドメイン配列を含むかまたはそれらからなる)を含む。
【0335】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、配列番号49、50、51、または110に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列の配列番号49、50、51、または110のアミノ酸配列に連結される抗CD19 scFv(例えば、配列番号1または2の結合ドメイン配列を含むかまたはそれらからなる)を含む。
【0336】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、配列番号49、50、51、または110に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列の配列番号49、50、51、または110のアミノ酸配列に連結される抗CD20 scFv(例えば、配列番号4、5または6の結合ドメイン配列を含むかまたはそれらからなる)を含む。
【0337】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、ヒトCD8のヒンジ領域、ヒトTNFR2の膜貫通ドメイン、およびヒトCD3ζ鎖の一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む配列を含み、配列は、配列番号52のアミノ酸配列または配列番号52に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列に対応する。
【0338】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、配列番号52に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列の配列番号52のアミノ酸配列に連結される抗HLA-A2 scFv(例えば、配列番号68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106または107の結合ドメイン配列を含むかまたはそれらからなる)を含む。
【0339】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、配列番号52に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列の配列番号52のアミノ酸配列に連結される抗IL-23R scFv(例えば、配列番号65、66または67の結合ドメイン配列を含むかまたはそれらからなる)を含む。
【0340】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、配列番号52に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列の配列番号52のアミノ酸配列に連結される抗CD19 scFv(例えば、配列番号1または2の結合ドメイン配列を含むかまたはそれらからなる)を含む。
【0341】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、配列番号52に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列の配列番号52のアミノ酸配列に連結される抗CD20 scFv(例えば、配列番号4、5または6の結合ドメイン配列を含むかまたはそれらからなる)を含む。
【0342】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、ヒトCD8のヒンジ領域、ヒトCD8の膜貫通ドメイン、ヒトCD3ζ鎖の一次細胞内シグナル伝達ドメイン、およびヒトTNFR2の共刺激細胞内シグナル伝達ドメインを含む配列を含み、配列は、配列番号53のアミノ酸配列または配列番号53に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列に対応する。
【0343】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、配列番号53に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列の配列番号53のアミノ酸配列に連結される抗HLA-A2 scFv(例えば、配列番号68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106または107の結合ドメイン配列を含むかまたはそれらからなる)を含む。
【0344】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、配列番号53に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列の配列番号53のアミノ酸配列に連結される抗IL-23R scFv(例えば、配列番号65、66または67の結合ドメイン配列を含むかまたはそれらからなる)を含む。
【0345】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、配列番号53に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列の配列番号53のアミノ酸配列に連結される抗CD19 scFv(例えば、配列番号1または2の結合ドメイン配列を含むかまたはそれらからなる)を含む。
【0346】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、配列番号53に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列の配列番号53のアミノ酸配列に連結される抗CD20 scFv(例えば、配列番号4、5または6の結合ドメイン配列を含むかまたはそれらからなる)を含む。
【0347】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、ヒトCD8のヒンジ領域、ヒトCD8の膜貫通ドメイン、ヒトTNFR2の共刺激細胞内シグナル伝達ドメイン、およびヒトCD3ζ鎖の一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む配列を含み、配列は、配列番号54のアミノ酸配列または配列番号54に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列に対応する。
【0348】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、配列番号54に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列の配列番号54のアミノ酸配列に連結される抗HLA-A2 scFv(例えば、配列番号68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106または107の結合ドメイン配列を含むかまたはそれらからなる)を含む。
【0349】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、配列番号54に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列の配列番号54のアミノ酸配列に連結される抗IL-23R scFv(例えば、配列番号65、66または67の結合ドメイン配列を含むかまたはそれらからなる)を含む。
【0350】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、配列番号54に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列の配列番号54のアミノ酸配列に連結される抗CD19 scFv(例えば、配列番号1または2の結合ドメイン配列を含むかまたはそれらからなる)を含む。
【0351】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、配列番号54に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列の配列番号54のアミノ酸配列に連結される抗CD20 scFv(例えば、配列番号4、5または6の結合ドメイン配列を含むかまたはそれらからなる)を含む。
【0352】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、ヒトCD8のヒンジ領域、ヒトCD8膜貫通ドメインおよびヒトTNFR2膜貫通ドメインの組み合わせ、ヒトTNFR2の共刺激細胞内シグナル伝達ドメイン、およびヒトCD3ζ鎖の一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む配列を含み、配列は、配列番号55、56または57のアミノ酸配列または配列番号55、56または57に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列に対応する。
【0353】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、配列番号55、56または57に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列の配列番号55、56または57のアミノ酸配列に連結される抗HLA-A2 scFv(例えば、配列番号68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106または107の結合ドメイン配列を含むかまたはそれらからなる)を含む。
【0354】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、配列番号55、56または57に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列の配列番号55、56または57のアミノ酸配列に連結される抗IL-23R scFv(例えば、配列番号65、66または67の結合ドメイン配列を含むかまたはそれらからなる)を含む。
【0355】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、配列番号55、56または57に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列の配列番号55、56または57のアミノ酸配列に連結される抗CD19 scFv(例えば、配列番号1または2の結合ドメイン配列を含むかまたはそれらからなる)を含む。
【0356】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、配列番号55、56または57に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列の配列番号55、56または57のアミノ酸配列に連結される抗CD20 scFv(例えば、配列番号4、5または6の結合ドメイン配列を含むかまたはそれらからなる)を含む。
【0357】
いくつかの実施形態では、本発明のCAR(例えば、TNFR2膜貫通ドメインまたはその断片またはバリアントを含む本明細書に記載の任意のCARおよび/またはTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインまたはその断片またはバリアントを含む細胞内ドメイン)は、以下の特性の少なくとも1つを有する:
a)膜貫通ドメインがCD8膜貫通ドメインでありかつ共刺激細胞内シグナル伝達ドメインが4-1BB共刺激細胞内シグナル伝達ドメインであることを除いて同じ配列を有するCARよりも細胞表面において少ない発現を呈する、
b)膜貫通ドメインがCD8膜貫通ドメインでありかつ共刺激細胞内シグナル伝達ドメインが4-1BB共刺激細胞内シグナル伝達ドメインであることを除いて同じ配列を有するCARと同等レベルのCAR特異的活性化を呈する、
c)培養の少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日またはそれより多い日の後でFoxP3、Helios、およびCD62Lのいずれか1つ以上(例えば、すべて)などの調節性T細胞マーカーの細胞表面レベルを低下させない、および
d)培養の少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日またはそれより多い日の後でCD127などの非調節性T細胞マーカーの細胞表面レベルを増加させない。
免疫細胞
【0358】
本発明はさらに、本明細書に記載のCARを発現する免疫細胞、およびそのような免疫細胞の集団に関する。
【0359】
いくつかの実施形態では、本発明のCARをコードする核酸は、免疫細胞に導入され、それにより、細胞表面上にCARを発現する操作された細胞を生成する。
【0360】
本明細書で使用される場合、「免疫細胞」という用語は一般に、骨髄で産生される造血幹細胞(HSC)に由来する白血球(white blood cell)(白血球(leukocyte))を含む。免疫細胞の例としては、これらに限定されないが、リンパ球(T細胞、B細胞、およびナチュラルキラー(NK)細胞)および骨髄系細胞(好中球、好酸球、好塩基球、単球、マクロファージ、樹状細胞)が挙げられる。
【0361】
いくつかの実施形態では、本発明の免疫細胞は、TNFR2膜貫通ドメインもしくはその断片もしくはバリアント、および/またはTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインもしくはその断片もしくはバリアントを含むキメラ受容体を発現するように遺伝的に修飾される。
【0362】
いくつかの実施形態では、本発明の免疫細胞は、哺乳動物の免疫細胞、例えば、ヒト免疫細胞、家畜(例えば、ウシ、ブタ、またはウマ)からの免疫細胞、またはペット(例えば、ネコまたはイヌ)からの免疫細胞である。
【0363】
いくつかの実施形態では、免疫細胞は、リンパ球、骨髄系細胞、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。ある実施形態では、免疫細胞は、例えば、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるリンパ球である。特定の実施形態では、免疫細胞はT細胞であり、それはある実施形態では、CD4T細胞、CD8T細胞、γδT細胞、ダブルネガティブ(DN)T細胞、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。ある実施形態では、免疫細胞は、例えば、Tヘルパー細胞、調節性T細胞、エフェクターT細胞、およびそれらの任意の組み合わせなどのCD4T細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、例えば、細胞傷害性CD8T細胞またはCD8調節性T細胞などのCD8T細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、γδT細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、定義されたガンマデルタTCR(TEGγδ)細胞を発現するように操作されたT細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、DN T細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、B細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、NK細胞である。
【0364】
いくつかの実施形態では、免疫細胞は、例えば、好中球、好酸球、好塩基球、単球、マクロファージ、樹状細胞、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、骨髄系細胞である。ある実施形態では、免疫細胞はマクロファージである。ある実施形態では、免疫細胞は樹状細胞である。
【0365】
いくつかの実施形態では、免疫細胞は、例えば、細胞療法での使用に好適な任意の調節性免疫細胞などの、調節性免疫細胞である。ある実施形態では、調節性免疫細胞は、調節性T細胞、CD4調節性T細胞、CD8調節性T細胞、調節性γδT細胞、調節性DN T細胞、調節性B細胞、調節性NK細胞、調節性マクロファージ、調節性樹状細胞、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0366】
いくつかの実施形態では、調節性免疫細胞は、調節性T細胞(Treg)、特に胸腺由来Tregまたは適応性または誘導性Tregである。ある実施形態では、免疫細胞は、CD4調節性T細胞(Treg)である。ある実施形態では、Tregは、胸腺由来Treg、または適応型または誘導性Tregである。ある実施形態では、Tregは、CD4FoxP3調節性T細胞またはCD4FoxP3調節性T細胞(Tr1細胞)である。特定の実施形態では、免疫細胞は、CD4FoxP3調節性T細胞である。
【0367】
いくつかの実施形態では、免疫細胞はCD8調節性T細胞である。CD8調節性T細胞の例としては、これらに限定されないが、CD8CD28調節性T細胞、CD8CD103調節性T細胞、CD8FoxP3調節性T細胞、CD8CD122調節性T細胞、および任意の組み合わせが挙げられる。
【0368】
いくつかの実施形態では、調節性免疫細胞は、調節性γδT細胞である。
【0369】
いくつかの実施形態では、調節性免疫細胞は、調節性DN T細胞である。
【0370】
いくつかの実施形態では、調節性免疫細胞は、調節性B細胞である。調節性B細胞の例としては、これに限定されないが、CD19CD24hiCD38hiB細胞が挙げられる。
【0371】
いくつかの実施形態では、調節性免疫細胞は、調節性NK細胞である。
【0372】
いくつかの実施形態では、調節性免疫細胞は、調節性マクロファージである。
【0373】
いくつかの実施形態では、調節性免疫細胞は、調節性樹状細胞である。
【0374】
いくつかの実施形態では、免疫細胞は、例えば、細胞療法での使用に好適な任意のエフェクター免疫細胞などの、エフェクター免疫細胞である。ある実施形態では、エフェクター免疫細胞は、エフェクターT細胞、CD4エフェクターT細胞、CD8エフェクターT細胞、エフェクターγδT細胞、エフェクターDN T細胞、エフェクターB細胞、エフェクターNK細胞、エフェクターマクロファージ、エフェクター樹状細胞、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0375】
いくつかの実施形態では、免疫細胞は、エフェクターT細胞である。ある実施形態では、エフェクター免疫細胞は、CD4エフェクターT細胞である。CD4エフェクターT細胞の例としては、これらに限定されないが、Th1細胞、Th2細胞、Th9細胞、Th17細胞、Th22細胞、CD4T濾胞ヘルパー(Tfh)細胞、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。いくつか実施形態では、エフェクター免疫細胞は、CD8エフェクターT細胞である。CD8エフェクターT細胞の例としては、これらに限定されないが、CD8CD45ROCCR7CD62LエフェクターT細胞、CD8CD45RACCR7CD62LエフェクターT細胞、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0376】
一実施形態では、免疫細胞は、エフェクターγδT細胞である。
【0377】
一実施形態では、免疫細胞は、エフェクターDN T細胞である。
【0378】
一実施形態では、免疫細胞は、エフェクターB細胞である。エフェクターB細胞の例としては、これらに限定されないが、CD19CD25hiB細胞、活性化B細胞および形質細胞、ならびにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0379】
いくつかの実施形態では、免疫細胞は、エフェクターNK細胞である。
【0380】
いくつかの実施形態では、免疫細胞は、エフェクターマクロファージである。
【0381】
いくつかの実施形態では、免疫細胞は、エフェクター樹状細胞である。
【0382】
いくつかの実施形態では、免疫細胞は、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、γδT細胞、ダブルネガティブ(DN)細胞、調節性免疫細胞、調節性T細胞、エフェクター免疫細胞、エフェクターT細胞、B細胞、および骨髄系細胞、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0383】
いくつかの実施形態では、本発明のCARをコードする核酸は、多能性幹細胞(PSC)中に導入され、次いで、これは、T細胞に分化され得る。PSCは、体内で任意の細胞型を生じさせることができる細胞であり、例えば、胚性幹細胞(ESC)、体細胞核移植により誘導されるPSC、および誘導されたPSC(iPSC)が挙げられる。本明細書で使用される場合、「胚性幹細胞」という用語は、初期胚から得られる多能性幹細胞を指し、いくつかの実施形態では、この用語は、以前に確立された胚性幹細胞株から得られるESCを指し、ヒト胚の最近の破壊によって得られる幹細胞は除く。
【0384】
いくつかの実施形態では、本発明のCARをコードする核酸は、造血幹細胞(骨髄または臍帯血から単離されたものなどのHSC)、造血前駆細胞(例えば、リンパ系前駆細胞)、または間葉系幹細胞(MSC)などの複能性細胞中に導入される。複能性細胞は、複数の細胞型に発達し得るが、多能性細胞よりも細胞型の可能性が制限される。複能性細胞は、確立された細胞株に由来し得るか、またはヒト骨髄もしくは臍帯から単離され得る。一例として、HSCは、G-CSF誘導動員、プレリキサフォル誘導動員、またはそれらの組み合わせの後に、患者または健康なドナーから単離され得る。血液または骨髄からHSCを単離するために、血液中または骨髄中の細胞は、CD4およびCD8(T細胞)、CD45(B細胞)、GR-1(顆粒球)、およびIad(分化抗原提示細胞)に対する抗体など、不要な細胞に結合する抗体によって選択(pan)され得る。その後、HSCはCD34に対する抗体によってポジティブに選択され得る。
【0385】
いくつかの実施形態では、本発明のCARをコードする核酸は、ゲノム編集後にTreg細胞に分化する非Tregリンパ系細胞中に導入される。編集された非Treg細胞は、上記のように患者に生着する前に、Treg細胞に分化され得る。あるいは、編集された非Treg細胞は、患者に生着後、Treg細胞に分化するように誘導され得る。
【0386】
いくつかの実施形態では、分子の発現レベルは、フローサイトメトリー、免疫蛍光法、または画像分析、例えば、ハイコンテント分析によって決定される。ある実施形態では、分子の発現レベルはフローサイトメトリーによって決定される。特定の実施形態では、フローサイトメトリー分析を実施する前に、細胞を固定し透過処理し、これにより、細胞内タンパク質の検出を可能にする。
【0387】
いくつかの実施形態では、細胞集団における分子の発現レベルを決定することは、分子を発現する細胞集団の細胞(すなわち、分子の細胞「+」)の割合を決定することを含む。ある実施形態では、分子を発現する細胞の割合は、FACSによって測定される。
【0388】
「発現する」、「陽性」、または「+」および「発現しない」、「陰性」、または「-」という用語は、当技術分野で周知であり、目的の細胞マーカーの発現レベルを指す。その場合、「+」に対応する細胞マーカーの発現レベルは高または中(「+/-」とも呼ばれる)であり、「-」に対応する細胞マーカーの発現レベルはヌルである。
【0389】
「低」または「lo」または「lo/-」という用語は当技術分野で周知であり、目的の細胞マーカーの発現レベルを指す。この場合、全体として分析されている細胞の集団におけるその細胞マーカーの発現レベルと比較して、細胞マーカーの発現レベルが低い。より具体的には、「lo」という用語は、他の別個の細胞集団よりも低いレベルで細胞マーカーを発現する別個の細胞集団を指す。
【0390】
「高」または「hi」または「明」という用語は当技術分野で周知であり、目的の細胞マーカーの発現レベルを指す。この場合、全体として分析されている細胞の集団におけるその細胞マーカーの発現レベルと比較して、細胞マーカーの発現レベルが高い。
【0391】
一般に、染色強度の上位2、3、4、または5%にある細胞は「hi」と呼ばれ、集団の上半分にある細胞は「+」に分類される。蛍光強度が50%を下回る細胞は「lo」細胞と呼ばれ、5%を下回る細胞は「-」細胞と呼ばれる。
【0392】
目的の細胞マーカーの発現レベルは、このマーカーに特異的な蛍光標識抗体で染色された細胞集団からの細胞の中央蛍光強度または平均蛍光強度(MFI)を、無関係な特異性を有するが同じアイソタイプ、同じ蛍光プローブを有し、同じ種に由来する蛍光標識抗体で染色された同じ細胞集団(アイソタイプ対照と呼ばれる)の細胞の蛍光強度(FI)と比較することによって決定される。このマーカーに特異的な蛍光標識抗体で染色され、アイソタイプ対照で染色された細胞よりも同等のまたは低いMFIを示す集団の細胞は、このマーカーを発現していないと見なされ、(-)または陰性と指定される。このマーカーに特異的な蛍光標識抗体で染色され、アイソタイプ対照で染色された細胞よりも高いMFI値を示す集団の細胞は、このマーカーを発現していると見なされ、(+)または陽性と指定される。
【0393】
本発明はまた、本明細書で定義される免疫細胞の単離されたかつ/または実質的に精製された集団に関する。
【0394】
したがって、本発明は、免疫細胞の単離されたかつ/または実質的に精製された集団を提供し、ここで集団の細胞は、本明細書に記載のCAR、例えば、TNFR2膜貫通ドメインもしくはその断片もしくはバリアント、および/またはTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインもしくはその断片もしくはバリアントを含むCARを含む。
【0395】
本明細書で使用される場合、「単離された集団」は、その自然環境(末梢血など)から除去され、かつ単離、精製、または分離された細胞集団を指し、それが自然に存在するが、それに基づき細胞が単離される細胞表面マーカーを含まない他の細胞から、少なくとも約75%遊離、80%遊離、85%遊離、およびある実施形態では約90%、95%、96%、97%、98%、99%遊離している。
【0396】
本発明はさらに、本明細書で定義される濃縮された免疫細胞集団に関する。
【0397】
いくつかの実施形態では、本発明の単離され、精製され、かつ/または濃縮された免疫細胞集団は、凍結され、解凍されている。
【0398】
いくつかの実施形態では、本発明の免疫細胞集団のT細胞は、本明細書に記載のキメラ受容体(CAR)を発現し、したがって、CAR単一特異性として定義され得る(すなわち、すべてのTreg細胞は、それらが発現するCARと同じ抗原を認識する)。いくつかの実施形態では、Treg細胞集団は、TCR単一特異性である(すなわち、すべてのTreg細胞は、それらのTCRにより同じ抗原を認識する)。いくつかの実施形態では、Treg細胞集団は、TCR多特異性である(すなわち、Treg細胞は、それらのTCRにより異なる抗原を認識し得る)。
【0399】
いくつかの実施形態では、T細胞集団は、TCR単一特異性であり、TCRは抗原、抗原の断片、抗原のバリアント、またはそれらの混合物を認識する。
【0400】
いくつかの実施形態では、T細胞集団は、TCR単一特異性であり、TCRは一般的なヒトの食事からの食物抗原に特異的である。
【0401】
いくつかの実施形態では、T細胞集団はTCR単一特異性であり、TCRは、例えば、多発性硬化症関連抗原、関節関連抗原、眼関連抗原、ヒトHSP抗原、皮膚関連抗原または移植片拒絶反応またはGVHDに関与する抗原などの自己抗原に特異的である。そのような自己抗原の例は、本明細書に記載される。
【0402】
いくつかの実施形態では、T細胞集団はTCR単一特異性であり、TCRは吸入アレルゲン、摂取アレルゲン、または接触アレルゲンに特異的である。
【0403】
いくつかの実施形態では、T細胞集団はTCR単一特異性であり、TCRは、卵白アルブミン、MOG、II型コラーゲン、シトルリン化ビメンチン、シトルリン化II型コラーゲン、シトルリン化フィブリノーゲン、およびそれらの断片、バリアント、および混合物からなる群から選択される抗原に特異的である。
【0404】
いくつかの実施形態では、T細胞集団はTCR単一特異性であり、TCRは卵白アルブミンまたはその断片、バリアント、または混合物に特異的である。
【0405】
いくつかの実施形態では、T細胞集団はTCR単一特異性であり、TCRはMOGまたはその断片、バリアント、または混合物に特異的である。
【0406】
いくつかの実施形態では、T細胞集団はTCR単一特異性であり、TCRはII型コラーゲンまたはその断片、バリアント、または混合物に特異的である。
【0407】
いくつかの実施形態では、T細胞集団は、TCR単一特異性であり、TCRはシトルリン化ビメンチン、シトルリン化II型コラーゲン、シトルリン化フィブリノーゲン、またはそれらの断片、バリアント、または混合物に特異的である。
【0408】
いくつかの実施形態では、T細胞集団はTCR単一特異性であり、TCRはHLA-A2またはその断片、バリアント、または混合物(例えば、本明細書に記載される)に特異的である。
【0409】
いくつかの実施形態では、T細胞集団はTCR単一特異性であり、TCRはIL-23Rまたはその断片、バリアント、または混合物(例えば、本明細書に記載される)に特異的である。
【0410】
いくつかの実施形態では、T細胞集団は、TCR単一特異性であり、TCRは、例えば、CD19またはCD20、あるいはそれらの断片、バリアント、または混合物(例えば、本明細書に記載される)などの、B細胞表面マーカーに特異的である。
【0411】
いくつかの実施形態では、T細胞集団はTCR単一特異性であり、TCRは癌抗原またはその断片、バリアント、または混合物に特異的である(例えば、本明細書に記載のとおり)。
【0412】
いくつかの実施形態では、T細胞集団はTCR単一特異性であり、TCRは感染細胞を認識する。いくつかの実施形態では、T細胞集団はTCR単一特異性であり、TCRは細菌抗原またはその断片、バリアント、または混合物に特異的である。いくつかの実施形態では、T細胞集団はTCR単一特異性であり、TCRはウイルス抗原またはその断片、バリアント、または混合物に特異的である。いくつかの実施形態では、T細胞集団はTCR単一特異性であり、TCRは真菌抗原またはその断片、バリアント、または混合物に特異的である。いくつかの実施形態では、T細胞集団はTCR単一特異性であり、TCRは寄生抗原またはその断片、バリアント、または混合物に特異的である。
【0413】
いくつかの実施形態では、本発明のCARを発現する免疫細胞は、CARによって認識される細胞に対して抑制的である。ある実施形態では、免疫細胞は、T細胞である。特定の実施形態では、免疫細胞は、Treg細胞である。いくつかの実施形態では、Treg細胞は、ナイーブT細胞のin vitro分化によって得られる。
【0414】
いくつかの実施形態では、本発明の免疫細胞は細胞傷害性ではない。ある実施形態では、免疫細胞は、T細胞である。特定の実施形態では、免疫細胞は、Treg細胞である。
【0415】
本発明の調節性免疫細胞は、CD4CD25FoxP3Treg、Tr1細胞、Th3細胞を分泌するTGF-β、調節性NK T細胞、調節性γδT細胞、調節性CD8T細胞、およびダブルネガティブ調節性T細胞からなる群から選択され得る。
【0416】
いくつかの実施形態では、本発明の免疫細胞は細胞傷害性である。ある実施形態では、本明細書に記載のとおり、免疫細胞は、癌抗原またはその断片またはバリアントを発現する細胞に対して細胞傷害性である。特定の実施形態では、本発明の免疫細胞は、癌性細胞に対して細胞傷害性である。特定の実施形態では、本発明の免疫細胞は、感染細胞に対して細胞傷害性である。
【0417】
いくつかの実施形態では、本発明の免疫細胞は細胞傷害性免疫細胞である。細胞傷害性免疫細胞としては、例えば、細胞傷害性T細胞、CD8T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、細胞傷害性B細胞、マクロファージ、および単球が挙げられる。活性化されると、これらの細胞傷害性免疫細胞のそれぞれが標的細胞の破壊を引き起こす。例えば、細胞傷害性免疫細胞は、以下の手段のいずれかまたは両方によって標的癌細胞の破壊を引き起こす。第1に、活性化されると、免疫細胞はパーフォリン、グランザイム、グラニュリシンなどの細胞毒素を放出する。パーフォリンおよびグラニュリシンは標的細胞内に細孔を作り出し、グランザイムは細胞に入り、細胞質中で、細胞のアポトーシス(プログラムされた細胞死)を誘導するカスパーゼカスケードを引き起こす。第2に、アポトーシスは、免疫細胞と標的腫瘍細胞の間のFAS-FASリガンド相互作用を介して誘導され得る。
【0418】
いくつかの実施形態では、細胞傷害性免疫細胞は、自家細胞である。
【0419】
いくつかの実施形態では、細胞傷害性免疫細胞は、異種細胞である。
【0420】
いくつかの実施形態では、細胞傷害性免疫細胞は、同種細胞である。
【0421】
いくつかの実施形態では、本発明の免疫細胞は、proB細胞、preB細胞、未成熟(または移行)B細胞、成熟ナイーブB細胞、活性化B細胞、メモリーB細胞、形質細胞、リンパ芽球、辺縁帯B細胞、胚中心B細胞、形質芽球細胞および/または調節性B細胞(Breg細胞)に対して細胞傷害性である。
【0422】
いくつかの実施形態では、本発明の免疫細胞は、Breg細胞に対して細胞傷害性でない。
【0423】
いくつかの実施形態では、本発明の単一特異性Treg細胞集団は、それらの表面で免疫グロブリンを発現および提示するB細胞に対して細胞傷害性である。免疫グロブリンを表面に発現および提示するB細胞の例としては、これらに限定されないが、preB細胞、未成熟(または移行)B細胞、成熟ナイーブB細胞、活性化B細胞、メモリーB細胞、辺縁帯B細胞、胚中心B細胞、および調節性B細胞(Breg細胞)が挙げられる。
【0424】
いくつかの実施形態では、本発明の単一特異性Treg細胞集団は、成熟B細胞、例えば、成熟活性化B細胞に対して細胞傷害性である。ある実施形態では、本発明の単一特異性Treg細胞集団は、単一特異性Treg細胞集団の細胞により発現されるキメラ受容体により認識されるB細胞表面マーカーをそれらの表面で発現する成熟B細胞(例えば、成熟活性化B細胞)に対して細胞傷害性である。
【0425】
いくつかの実施形態では、本発明の単一特異性Treg細胞集団は、proB細胞、preB細胞、未成熟(または移行)B細胞、成熟ナイーブB細胞、活性化B細胞、メモリーB細胞、形質細胞、リンパ芽球、辺縁帯B細胞、胚中心B細胞、形質芽球細胞および調節性B細胞(Breg細胞)から選択される少なくとも1つの細胞型に対して細胞傷害性である。特定の実施形態では、単一特異性Treg細胞集団は、preB細胞、未成熟(または移行)B細胞、成熟ナイーブB細胞、活性化B細胞、メモリーB細胞、辺縁帯B細胞、胚中心B細胞、および調節性B細胞(Breg細胞)から選択される少なくとも1つの細胞型に対して細胞傷害性である。
【0426】
いくつかの実施形態では、本発明の単一特異性Treg細胞集団は、proB細胞、preB細胞、未成熟(または移行)B細胞、成熟ナイーブB細胞、活性化B細胞、メモリーB細胞、形質細胞、リンパ芽球、辺縁帯B細胞、胚中心B細胞、および形質芽球細胞から選択される少なくとも1つの細胞型に対して細胞傷害性である。特定の実施形態では、単一特異性Treg細胞集団は、preB細胞、未成熟(または移行)B細胞、成熟ナイーブB細胞、活性化B細胞、メモリーB細胞、辺縁帯B細胞、および胚中心B細胞から選択される少なくとも1つの細胞型に対して細胞傷害性である。
【0427】
いくつかの実施形態では、本発明の免疫細胞集団は、その細胞表面で、本発明のCAR(本明細書では「第1の受容体」と呼ぶ)、および別の、別個のリガンドに結合する別の受容体(本明細書では「第2の受容体」と呼ぶ)を発現する。ある実施形態では、第2の受容体は、例えば本明細書に記載されるとおり、細胞外リガンド結合ドメイン、任意によりヒンジドメイン、少なくとも1つの膜貫通ドメイン、および少なくとも1つの細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0428】
いくつかの実施形態では、第2の受容体は内因性である(例えば、内因性TCRなど)。いくつかの実施形態では、第2の受容体は外因性であり、その発現は、それをコードする核酸の形質転換または形質導入により、本発明の免疫細胞集団において誘導される。外因性受容体は、外因性TCRまたはCARであり得る。したがって、いくつかの実施形態では、本発明の免疫細胞集団は、2つのCARを発現し、第1のCARおよび第2のCARは、それぞれ別個のリガンドを認識する。いくつかの実施形態では、本発明の免疫細胞集団は、2つのCARを発現し、第1のCARは抗原上の第1のエピトープを認識し、第2のCARは同じ抗原上の第2の別個のエピトープを認識する。いくつかの実施形態では、本発明の免疫細胞集団は2つのCARを発現し、第1のCARは抗原を認識し、第2のCARは第2の別個の抗原(例えば、抗原バリアントなど)を認識する。
【0429】
いくつかの実施形態では、本発明のCARおよび第2の受容体(例えば、第2のCAR)の少なくとも1つは誘導性であり、すなわち、細胞表面でのその発現が誘導され得る。
【0430】
いくつかの実施形態では、本発明のCARおよび第2の受容体(例えば、第2のCAR)の少なくとも1つの発現は、他の受容体の活性化により誘導される。ある実施形態では、本発明のCARの発現は、第2の受容体の活性化により誘導される。ある実施形態では、第2の受容体の発現は、本発明のCARの活性化により誘導される。誘導性CARは当技術分野において例えば、Roybalら(Cell 167(2):419-432(2016年))により、説明されている。
【0431】
いくつかの実施形態では、第2の受容体(例えば、第2のCAR)は、抗原、抗原の断片、抗原のバリアント、またはそれらの混合物に特異的である。
【0432】
いくつかの実施形態では、第2の受容体(例えば、第2のCAR)は、一般的なヒトの食事からの食物抗原に特異的である。
【0433】
いくつかの実施形態では、第2の受容体(例えば、第2のCAR)は、自己抗原(例えば、本明細書に記載の自己抗原)に特異的であり、例えば、多発性硬化症関連抗原、関節関連抗原、眼関連抗原、ヒトHSP抗原、皮膚関連抗原または移植片拒絶反応またはGVHDに関与する抗原などの、自己抗原に特異的である。ある実施形態では、抗原は、皮膚関連抗原である。ある実施形態では、抗原は、移植片拒絶反応またはGVHDに関与する抗原である。
【0434】
いくつかの実施形態では、第2の受容体(例えば、第2のCAR)は、吸入アレルゲン、摂取アレルゲン、または接触アレルゲンに特異的である。
【0435】
いくつかの実施形態では、第2の受容体(例えば、第2のCAR)は、卵白アルブミン、MOG、II型コラーゲン断片、シトルリン化ビメンチン、シトルリン化II型コラーゲン、シトルリン化フィブリノーゲン、およびそれらの断片、バリアント、および混合物からなる群から選択される抗原に特異的である。
【0436】
いくつかの実施形態では、第2の受容体(例えば、第2のCAR)は、卵白アルブミンまたはそれらの断片、バリアントまたは混合物に特異的である。
【0437】
いくつかの実施形態では、第2の受容体(例えば、第2のCAR)は、MOGまたはそれらの断片、バリアントまたは混合物に特異的である。
【0438】
いくつかの実施形態では、第2の受容体(例えば、第2のCAR)は、II型コラーゲンまたはそれらの断片、バリアントまたは混合物に特異的である。
【0439】
いくつかの実施形態では、第2の受容体(例えば、第2のCAR)は、シトルリン化ビメンチン、シトルリン化II型コラーゲン、シトルリン化フィブリノーゲンまたはそれらの断片、バリアントまたは混合物に特異的である。
【0440】
いくつかの実施形態では、第2の受容体(例えば、第2のCAR)は、HLA-A2またはそれらの断片、バリアントまたは混合物に特異的である。
【0441】
いくつかの実施形態では、第2の受容体(例えば、第2のCAR)は、IL-23Rまたはそれらの断片、バリアントまたは混合物に特異的である。
【0442】
いくつかの実施形態では、第2の受容体(例えば、第2のCAR)は、例えば、CD19またはCD20、あるいはそれらの断片、バリアントまたは混合物などのB細胞表面マーカーに特異的である。
【0443】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のとおり、第2の受容体(例えば、第2のCAR)は、癌抗原またはその断片、バリアントまたは混合物に特異的である。
【0444】
いくつかの実施形態では、第2の受容体(例えば、第2のCAR)は感染した細胞を認識する。いくつかの実施形態では、第2の受容体(例えば、第2のCAR)は、細菌抗原またはそれらの断片、バリアントまたは混合物に特異的である。いくつかの実施形態では、第2の受容体(例えば、第2のCAR)は、ウイルス抗原またはそれらの断片、バリアントまたは混合物に特異的である。いくつかの実施形態では、第2の受容体(例えば、第2のCAR)は、真菌抗原またはそれらの断片、バリアントまたは混合物に特異的である。
【0445】
いくつかの実施形態では、第2の受容体の細胞外結合ドメインは、タンパク質または断片またはそのバリアント、例えば、自己抗原またはその断片またはバリアントである。
【0446】
いくつかの実施形態では、第2の受容体(例えば、第2のCAR)は、例えば、B細胞またはその断片、バリアントまたは混合物上に発現する自己抗体などの、自己抗体に特異的である。
【0447】
いくつかの実施形態では、本発明のCARは、第1の細胞内シグナル伝達ドメインを含み、第2の受容体は、別個の第2の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。ある実施形態では、本発明のCARは、T細胞一次シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ゼータなど)を含み、第2の受容体は、共刺激シグナル伝達ドメイン(例えば、TNFR2もしくはCD8の共刺激ドメイン、またはTNFR2およびCD8の共刺激シグナル伝達ドメインの組み合わせなど)を含む。ある実施形態では、本発明のCARは、共刺激細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、TNFR2、4-1BB、CD27、またはCD28の共刺激細胞内シグナル伝達ドメイン、またはTNFR2および4-1BBの共刺激細胞内シグナル伝達ドメインの組み合わせなど)を含み、第2の受容体は、T細胞一次細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ゼータなど)を含む。これらの実施形態によれば、本発明の免疫細胞集団の完全な活性化は、本発明のCARの、それが向けられるリガンドへの結合、および第2の受容体の、それが向けられるリガンドへの結合の両方を必要とする。
【0448】
いくつかの実施形態では、第2の受容体によって認識されるリガンドは、罹患した組織もしくは臓器、または自己免疫応答の部位で発現されるかまたは存在する。結果として、本発明の第1のCARのリガンドを発現する細胞に対する抑制的活性は、リガンドが存在し、免疫細胞(例えば、Treg)集団の細胞上の第2の受容体によって認識される場合に、罹患組織もしくは臓器または自己免疫応答の部位でのみ誘導される。
【0449】
いくつかの実施形態では、第2のキメラ受容体は、本発明の第1のキメラ受容体によって認識されるリガンドとは異なるリガンドを認識する細胞外リガンド結合ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、リガンド結合ドメインは、抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、第2のキメラ受容体は、第1のキメラ受容体によって認識される同じ抗原の別個のエピトープを認識する細胞外リガンド結合ドメインをさらに含む。
【0450】
いくつかの実施形態では、本発明のキメラ受容体は、第1のリガンドに結合する第1のリガンド結合ドメインと、第1のリガンドとは異なる第2のリガンドに結合する第2のリガンド結合ドメインとを含む細胞外リガンド結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、リガンド結合ドメインは、第1のリガンドおよび第2のリガンドの両方を認識する二機能性抗体である。いくつかの実施形態では、リガンド結合ドメインは、同じ抗原の2つの異なるエピトープを認識する二機能性抗体である。
核酸、ベクター、およびCARの調製
【0451】
本発明はまた、本明細書に記載のCARをコードする核酸配列に関し、核酸配列は、
-細胞外結合ドメインの少なくとも1つの核酸配列、
-任意により、細胞外ヒンジドメインの少なくとも1つの核酸配列、膜貫通ドメインの少なくとも1つの核酸配列、
-細胞内ドメインの少なくとも1つの核酸配列
を含み、細胞内ドメインの少なくとも1つの核酸配列は、一次細胞内シグナル伝達ドメインの少なくとも1つの核酸配列、および任意により、共刺激細胞内シグナル伝達ドメインの少なくとも1つの核酸配列を含み、
膜貫通ドメインの核酸配列は、ヒトTNFR2膜貫通ドメインもしくはその断片もしくはバリアントの核酸配列、または任意の膜貫通ドメインもしくはその断片もしくはバリアントもしくはそれらの組み合わせの核酸配列であり、かつ/または共刺激細胞内シグナル伝達ドメインの核酸配列は、ヒトTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインもしくはその断片もしくはバリアントの核酸配列、または任意の共刺激細胞内シグナル伝達ドメインもしくはその断片もしくはバリアントもしくはそれらの組み合わせの核酸配列であり、膜貫通ドメインの核酸配列は、TNFR2膜貫通ドメインもしくはその断片もしくはバリアントの核酸配列であり、および/または共刺激細胞内シグナル伝達ドメインの核酸配列は、TNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインもしくはその断片もしくはバリアントである。
【0452】
本発明はまた、本明細書に記載のCARをコードする核酸配列を含むベクターを提供する。本発明で使用され得るベクターの例としては、これらに限定されないが、DNAベクター、RNAベクター、プラスミド、ファージミド、ファージ誘導体、ウイルス、およびコスミドが挙げられる。
【0453】
ウイルスベクター技術は、当技術分野において周知であり、例えば、Sambrookeら(2001年、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York)および他のウイルス学および分子生物学マニュアルに記載されている。ベクターとして有用なウイルスとしては、これらに限定されないが、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、およびレンチウイルスが挙げられる。
【0454】
一般に、好適なベクターは、少なくとも1つの生物において機能する複製起点、プロモーター配列、簡便な制限エンドヌクレアーゼ部位、および1つ以上の選択性マーカーを含む(例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第01/96584号および同第01/29058号および米国特許第6,326,193号を参照されたい)。
【0455】
哺乳動物細胞への遺伝子導入のために、複数のウイルスベースシステムが開発されている。例えば、レトロウイルスは遺伝子送達システムのための簡便なプラットフォームを提供する。選択された遺伝子は、当技術分野で公知である技術を使用して、ベクターに挿入され、レトロウイルス粒子にパッケージングされ得る。次に、組換えウイルスを単離し、in vivoまたはex vivoのいずれかで対象の細胞に送達できる。複数のレトロウイルスシステムが当技術分野で公知である。いくつかの実施形態では、アデノウイルスベクターが使用される。さらに、複数のアデノウイルスベクターが当技術分野において公知である。いくつかの実施形態では、レンチウイルスベクターが使用される。
【0456】
追加の転写活性要素、例えば、プロモーターおよびエンハンサーは、転写開始の頻度を調節する。典型的には、コアプロモーターであり、これらは開始部位の30~110bp上流の領域に位置するが、多数のプロモーターが近年、開始部位の下流にも機能要素を含むことが示されており、かつエンハンサー要素は一般に、開始部位の500~2000bp上流に位置する。プロモーター要素間の間隔は、要素が互いに反転するかまたは移動したときにプロモーター機能が保持されるように、多くの場合柔軟である。チミジンキナーゼ(tk)プロモーターでは、活性が低下し始める前に、プロモーターエレメント間の間隔を50bpまで延長できる。プロモーターに応じて、個々のエレメントが協働でまたは独立して機能し、転写を活性化できると考えられている。
【0457】
好適なプロモーターの一例は、最初期サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター配列である。このプロモーター配列は、作動可能に連結された任意のポリヌクレオチド配列の高レベルの発現を駆動できる強力な構成的プロモーター配列である。好適なプロモーターの別の例は、伸長成長因子-la(EF-la)である。好適なプロモーターの別の例は、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーターである。しかし、これらに限定されないが、シミアンウイルス40(SV40)初期プロモーター、マウス乳癌ウイルス(MMTV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)長い末端反復(LTR)プロモーター、MoMuLVプロモーター、トリ白血病ウイルスプロモーター、エプスタインバーウイルスの最初期プロモーター、およびラウス肉腫ウイルスプロモーター、ならびにこれらに限定されないが、アクチンプロモーター、ミオシンプロモーター、ヘモグロビンプロモーター、およびクレアチンキナーゼプロモーターなどのヒト遺伝子プロモーターを含む、他の構成的プロモーター配列も使用され得る。さらに、本発明は、構成的プロモーターの使用に限定されるべきではない。誘導性プロモーターも本発明の一部として企図される。誘導性プロモーターの使用は、そのような発現が望まれるときにそれが作動可能に連結されるポリヌクレオチド配列の発現をオンにするか、または発現が望まれないときに発現をオフにできる分子スイッチを提供する。誘導性プロモーターの例としては、これらに限定されないが、メタロチオネインプロモーター、糖質コルチコイドプロモーター、プロゲステロンプロモーター、およびテトラサイクリンプロモーターが挙げられる。さらに、2つ以上の遺伝子の効率的かつ協調的な発現を可能にする双方向プロモーターもまた、本発明において興味深い可能性がある。双方向プロモーターの例は、i)サイトメガロウイルス(CMV)ゲノムまたはマウス乳癌ウイルス(MMTV)ゲノムに由来する第1の最小プロモーター配列、およびii)動物遺伝子に由来する完全に効率的なプロモーター配列、を含む双方向プロモーターを開示する、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許公開第2006/200869号においてLuigi Naldiniにより記載されるプロモーターを含むが、これらに限定されない。
【0458】
CARポリペプチドまたはその部分の発現を評価するために、T細胞に導入される発現ベクターはまた、選択性マーカー遺伝子(CD34、CD271)またはレポーター遺伝子のいずれか、またはその両方を含んで、ウイルスベクターを介してトランスフェクトまたは感染させようとする細胞集団からの発現細胞の同定および選択を容易にできる。他の態様では、選択性マーカーは、別個のDNA片上で運ばれ、共トランスフェクション手順で使用され得る。選択性マーカーおよびレポーター遺伝子の両方は、宿主細胞での発現を可能にする適切な調節配列に隣接され得る。有用な選択性マーカーとしては、例えば、ネオマイシンなどの抗生物質耐性遺伝子が挙げられる。
【0459】
本発明のいくつかの実施形態では、自殺遺伝子技術が使用されてもよい。異なる自殺遺伝子技術は、それらの作用機序に応じて当技術分野で説明される(例えば、Jonesら、Frontiers in Pharmacology 5:254(2014年)を参照のこと)。非毒性薬物を毒性薬物に変換する遺伝子指向酵素プロドラッグ療法(GDEPT)の例としては、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV-TK)およびシトシンデアミナーゼ(CD)が挙げられる。他の例は、例えば、誘導性Fas(iFas)または誘導性カスパーゼ9(iCasp9)システムなどのアポトーシス成分に連結された薬物結合ドメインから構成されるキメラタンパク質である。他の例としては、操作された細胞の表面でのc-mycの過剰発現を誘導して、抗c-myc抗体を投与することによりその欠失を誘導するなどの、治療用抗体によって媒介されるシステムが挙げられる。EGFRの使用は、c-mycシステムと比較して同様のシステムとして記載される。
【0460】
レポーター遺伝子は、トランスフェクトされた可能性のある細胞を特定するため、および調節配列の機能を評価するために使用される。一般に、レポーター遺伝子は、レシピエントの生物または組織に存在しないか、またはそれらにより発現されない遺伝子であり、その発現がいくつかの容易に検出可能な特性、例えば酵素活性によって表されるポリペプチドをコードする。レポーター遺伝子の発現は、DNAがレシピエント細胞に導入された後の好適な時期にアッセイされる。好適なレポーター遺伝子としては、ルシフェラーゼ、ベータガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、分泌型アルカリホスファターゼ、または緑色蛍光タンパク質遺伝子をコードする遺伝子を挙げることができる(例えば、Ui-Teiら、FEBS Letters 479:79-82(2000年)を参照のこと)。好適な発現システムは周知であり、既知の技術を使用して調製されるか、または商業的に入手できる。一般に、レポーター遺伝子の最も高い発現レベルを示す最小の5’隣接領域を有する構築物がプロモーターとして同定される。そのようなプロモーター領域は、レポーター遺伝子に連結され、かつプロモーター駆動型転写を調整する能力について剤を評価するために使用され得る。
【0461】
遺伝子を細胞中に導入し、発現する方法は、当技術分野において公知である。発現ベクターの文脈において、ベクターは、当技術分野の任意の方法によって、宿主細胞、例えば、哺乳動物、細菌、酵母、または昆虫細胞中に容易に導入できる。例えば、発現ベクターは、物理的手段、化学的手段、または生物学的手段によって宿主細胞中に移すことができる。
【0462】
ポリヌクレオチドを宿主細胞中に導入するための物理的方法としては、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、粒子衝撃、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションなどが挙げられる。ベクターおよび/または外因性核酸を含む細胞を産生するための方法は、当技術分野で周知である。例えば、Sambrookら(2001年、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York)を参照のこと。本発明のいくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、リン酸カルシウムトランスフェクションを使用して宿主細胞中に導入される。
【0463】
目的のポリヌクレオチドを宿主細胞中に導入するための生物学的方法は、DNAおよびRNAベクターの使用を含む。ウイルスベクター、特にレトロウイルスベクターは、哺乳動物、例えばヒト細胞中に遺伝子を挿入するために最も広く使用される方法になっている。他のウイルスベクターは、レンチウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルスI、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルスなどに由来し得る。例えば、米国特許第5,350,674号および第5,585,362号を参照されたい。
【0464】
ポリヌクレオチドを宿主細胞中に導入するための化学的手段としては、高分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズなどのコロイド分散システム、および水中油型エマルジョン、ミセル、混合ミセル、およびリポソームなど、脂質ベースシステムが挙げられる。In vitroおよびin vivoでの送達ビヒクルとして使用するための例示的なコロイド系は、リポソーム(例えば、人工膜小胞)である。「リポソーム」は、封入された脂質二重層または凝集体の生成によって形成される様々な単一および多層脂質ビヒクルを包含する総称である。リポソームは、リン脂質二重膜および内部水性媒体を備えた小胞構造を有するものとして特徴付けることができる。多重膜リポソームは、水性媒体によって分離される複数の脂質層を有する。それらは、リン脂質が過剰の水溶液に懸濁されたときに自発的に形成される。脂質成分は、閉鎖構造を形成する前に自己再配列され、脂質二重層間に水および溶解した溶質を封入する(Ghoshら、Glycobiology 5:505-10(1991年))。しかし、溶液中で通常の小胞構造とは異なる構造を有する組成物も包含される。例えば、脂質はミセル構造をとるか、または単に脂質分子の不均一な凝集体として存在し得る。リポフェクタミン-核酸複合体も企図される。
【0465】
宿主細胞への核酸の導入のために脂質製剤の使用が企図される(in vitro、ex vivo、またはin vivo)。別の態様では、核酸は脂質と会合し得る。脂質に会合する核酸は、リポソームの水性内部でカプセル化されるか、リポソームの脂質二重層内に散在するか、リポソームおよびオリゴヌクレオチドの両方に会合する連結分子を介してリポソームに付着されるか、リポソームに封入されるか、リポソームと複合体を形成するか、脂質を含む溶液に分散されるか、脂質と混合されるか、脂質と組み合わされるか、脂質中に懸濁液として含まれるか、ミセルに含まれるか、またはミセルと複合体を形成するか、または他の方法で脂質と会合する可能性がある。脂質、脂質/DNAまたは脂質/発現ベクター会合組成物は、溶液中の任意の特定の構造に限定されない。例えば、それらは、ミセルとして、または「崩壊した」構造を有する二層構造で存在し得る。それらはまた、単に溶液中に散在し、サイズまたは形状が均一でない凝集体を形成する可能性がある。脂質は、天然に存在する脂質または合成脂質であり得る脂肪物質である。例えば、脂質としては、細胞質に自然に存在する脂肪滴ならびに、脂肪酸、アルコール、アミン、アミノアルコール、およびアルデヒドなどの長鎖脂肪族炭化水素およびその誘導体を含む化合物のクラスが挙げられる。
【0466】
使用に好適な脂質は、商業的供給源から入手可能である。例えば、ジミリスチルホスファチジルコリン(「DMPC」)は、Sigma,St.Louis,MOから入手でき、リン酸ジセチル(「DCP」)は、K&K Laboratories(Plainview,NY)から入手でき、コレステロール(「Choi」)は、Calbiochem-Behringから入手でき、ジミリスチルホスファチジルグリセロール(「DMPG」)および他の脂質は、Avanti Polar Lipids,Inc.(Birmingham,AL)から入手できる。クロロホルムまたはクロロホルム/メタノール中の脂質のストック溶液は、約-20℃で保存できる。クロロホルムは、メタノールよりも容易に蒸発するため、唯一の溶媒として使用される。
【0467】
外因性核酸を宿主細胞中に導入するために使用される方法に関係なく、宿主細胞における組換えDNA配列の存在を確認するために、様々なアッセイが実施され得る。そのようなアッセイは、例えば、サザンブロッティングおよびノーザンブロッティング、RT-PCRおよびPCRなどの、当業者に周知の「分子生物学的」アッセイ、特定のペプチドの存在または不在を、例えば免疫学的手段(ELISAおよびウエスタンブロット)により、または本発明の範囲内にある剤を同定するための本明細書に記載のアッセイにより検出するなどの、「生化学的」アッセイを含む。
【0468】
いくつかの実施形態では、本発明の免疫細胞は、RNAの導入によって修飾される。いくつかの実施形態では、in vitroで転写されたRNA CARは、一過的トランスフェクションの一形態として細胞に導入され得る。RNAは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で生成された鋳型を使用するin vitro転写によって生成される。任意の供給源からの目的のDNAは、適切なプライマーおよびRNAポリメラーゼを使用して、in vitro mRNA合成用の鋳型へとPCRにより直接変換できる。DNAの供給源は、例えば、ゲノムDNA、プラスミドDNA、ファージDNA、cDNA、合成DNA配列、または任意の他の適切なDNAの供給源であり得る。ある実施形態では、in vitro転写のための鋳型は、本発明のCARである。
【0469】
いくつかの実施形態では、PCRに使用されるDNAは、オープンリーディングフレームを含む。DNAは、例えば、生物のゲノムの天然に存在するDNA配列由来であり得る。いくつかの実施形態では、DNAは、目的の完全長遺伝子または遺伝子の一部分である。遺伝子は、5’および/または3’非翻訳領域(UTR)のいくつかまたはすべてを含み得る。遺伝子は、エクソンおよびイントロンを含んでよい。いくつかの実施形態では、PCRに使用されるDNAは、ヒト遺伝子である。いくつかの実施形態では、PCRに使用されるDNAは、5’および3’UTRを含むヒト遺伝子である。あるいは、DNAは、天然に存在する生物では通常発現されない人工DNA配列であり得る。例示的な人工DNA配列は、融合タンパク質をコードするオープンリーディングフレームを形成するために一緒にライゲートされる遺伝子の部分を含むものである。一緒にライゲートされるDNAの部分は、単一の生物由来でも、複数の生物由来でもよい。
【0470】
PCRは、トランスフェクションに使用されるmRNAのin vitro転写用の鋳型を生成するために使用され得る。PCRを実施するための方法は当技術分野でよく知られている。PCRでの使用のためのプライマーは、PCRの鋳型として使用されるDNAの領域に実質的に相補的である領域を有するように設計される。本明細書で使用される「実質的に相補的」は、プライマー配列中の塩基の大部分またはすべてが相補的であるか、または1つ以上の塩基が非相補的であるか、またはミスマッチであるヌクレオチドの配列を指す。実質的に相補的な配列は、PCRに使用されるアニーリング条件下で意図するDNA標的とアニーリングまたはハイブリダイズし得る。プライマーは、DNA鋳型の任意の部分に実質的に相補的であるように設計され得る。例えば、プライマーは、細胞中で通常転写される遺伝子の部分(オープンリーディングフレーム)を増幅するように設計でき、これは5’および3’UTRを含み得る。また、プライマーは、目的の特定のドメインをコードする遺伝子の一部分を増幅するようにも設計できる。いくつかの実施形態では、プライマーは、5’および3’UTRの全部またはいくつかを含むヒトcDNAのコード領域を増幅するように設計される。PCRに有用なプライマーは、当技術分野で周知である合成方法によって生成される。
【0471】
「フォワードプライマー」は、増幅されるDNA配列の上流にあるDNA鋳型上のヌクレオチドに実質的に相補的なヌクレオチドの領域を含むプライマーである。「上流」は、本明細書では、コード鎖に対して増幅されるDNA配列に対し5’の位置を指すために使用される。「リバースプライマー」は、増幅されるDNA配列の下流にある二本鎖DNA鋳型に実質的に相補的なヌクレオチドの領域を含むプライマーである。「下流」は、本明細書では、コード鎖に対して増幅されるDNA配列に対し3’の位置を指すために使用される。
【0472】
PCRに有用な任意のDNAポリメラーゼを、本明細書に開示される方法で使用できる。試薬およびポリメラーゼは、複数の供給元から市販される。
【0473】
安定性および/または翻訳効率を促進する能力を有する化学構造もまた使用され得る。いくつかの実施形態では、RNAは、5’および3’UTRを有し得る。いくつかの実施形態では、5’UTRの長さは0~3000ヌクレオチドである。コード領域に追加される5’および3’UTR配列の長さは、これに限定されないが、UTRの異なる領域にアニーリングするPCR用のプライマーを設計することを含む、異なる方法によって改変できる。このアプローチを使用して、当業者は、転写されたRNAのトランスフェクション後に最適な翻訳効率を達成するために必要とされる5’および3’のUTR長を変化させることができる。5’および3’UTRは、目的の遺伝子の天然に存在する内因性の5’および3’UTRであり得る。あるいは、目的の遺伝子に対し内因性でないUTR配列を、UTR配列をフォワードプライマーおよびリバースプライマーに組み込むことにより、または鋳型の他の修飾により付加できる。目的の遺伝子に対し内因性でないUTR配列の使用は、RNAの安定性および/または翻訳効率を変更するのに有用であり得る。例えば、3’UTR配列中のAUに富む要素は、mRNAの安定性を低下させ得ることが知られている。したがって、3’UTRは、当技術分野において周知のUTRの特性に基づいて、転写されたRNAの安定性を高めるように選択または設計され得る。
【0474】
いくつかの実施形態では、5’UTRは、内因性遺伝子のコザック配列を含んでよい。あるいは、目的の遺伝子に対し内因性でない5’UTRが上記のようにPCRにより付加される場合、コンセンサスコザック配列を、5’UTR配列を付加することにより再設計できる。コザック配列は、いくつかのRNA転写産物の翻訳効率を高めることができるが、効率的な翻訳を可能にするためにすべてのRNAに必要だとは考えられない。多くのmRNAに対するコザック配列の要件は当技術分野で知られている。他の実施形態では、5’UTRは、そのRNAゲノムが細胞中で安定なRNAウイルスに由来し得る。他の実施形態では、様々なヌクレオチド類似体を3’UTRまたは5’UTRで使用して、mRNAのエキソヌクレアーゼ分解を妨げることができる。
【0475】
遺伝子クローニングを必要とせずにDNA鋳型からのRNAの合成を可能にするには、転写プロモーターが、転写される配列の上流のDNA鋳型に付着される必要がある。RNAポリメラーゼのプロモーターとして機能する配列がフォワードプライマーの5’末端に付加されると、RNAポリメラーゼプロモーターは、転写されるオープンリーディングフレームの上流のPCR産物に組み込まれるようになる。いくつかの実施形態では、本明細書の他の場所に記載されるとおり、プロモーターは、T7ポリメラーゼプロモーターである。他の有用なプロモーターとしては、これらに限定されないが、T3およびSP6 RNAポリメラーゼプロモーターが挙げられる。T7、T3およびSP6プロモーターのコンセンサスヌクレオチド配列は、当技術分野で公知である。
【0476】
いくつかの実施形態では、mRNAは、リボソーム結合、翻訳の開始、および細胞内のmRNAの安定性を決定する5’末端にキャップおよび3’ポリ(A)テールの両方を有する。環状DNA鋳型、例えばプラスミドDNA上で、RNAポリメラーゼは、真核細胞での発現に好適でない長いコンカテマー生成物を生成する。3’UTRの末端で直鎖状になったプラスミドDNAの転写は、転写後にポリアデニル化されたとしても真核生物のトランスフェクションにおいて効果的でない通常のサイズのmRNAをもたらす。
【0477】
直鎖DNA鋳型上で、ファージT7RNAポリメラーゼは、転写産物の3’末端を鋳型の最後の塩基を超えて延長し得る(Schenborn and Mierendorf,Nuc Acids Res.,13:6223-36(1985年);Nacheva and Berzal-Herranz,Eur.J.Biochem.,270:1485-65(2003年)。
【0478】
ポリA/TストレッチをDNA鋳型中に組み込む従来の方法は、分子クローニングである。しかし、プラスミドDNAに組み込まれたポリA/T配列は、プラスミドの不安定性を引き起こす可能性があり、そのため、細菌細胞から得られたプラスミドDNA鋳型には多くの場合、欠失および他の異常が多く混入する。これは、クローン作製手順を、困難で時間を要するものにするのみでなく、多くの場合、信頼できないものにする。そのため、クローニングなしにポリA/T 3’ストレッチによりDNA鋳型を構築できる方法が非常に望ましい。
【0479】
転写DNA鋳型のポリA/Tセグメントは、100Tテール(サイズは50~5000T)などのポリTテールを含むリバースプライマーを使用することによりPCR中に生成されるか、またはこれらに限定されないが、DNAライゲーションまたはin vitro組換えを含む、任意の他の方法によりPCR後に生成され得る。ポリ(A)テールはまた、RNAに安定性をもたらし、RNAの分解を減少させる。一般に、ポリ(A)テールの長さは、転写されたRNAの安定性と正に相関する。いくつかの実施形態では、ポリ(A)テールは100~5000アデノシンである。
【0480】
RNAのポリ(A)テールは、E.coliポリAポリメラーゼ(E-PAP)などのポリ(A)ポリメラーゼを使用して、in vitro転写後にさらに拡張させ得る。いくつかの実施形態では、ポリ(A)テールの長さを100ヌクレオチドから300~400ヌクレオチドに増加させることにより、RNAの翻訳効率が約2倍増加する。さらに、3’末端への異なる化学基の付着は、mRNAの安定性を高め得る。そのような付着物は、修飾された/人工のヌクレオチド、アプタマーおよび他の化合物を含み得る。例えば、ATP類似体は、ポリ(A)ポリメラーゼを使用してポリ(A)テールに組み込むことができる。ATP類似体は、RNAの安定性をさらに高めることができる。
【0481】
RNA上の5’キャップも、RNA分子に安定性をもたらし得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法によって生成されるRNAは、5’キャップを含む。5’キャップは、当技術分野において公知であり、本明細書に記載される技術を使用して提供される(Cougotら、Trends in Biochem.Sci.29:436-444(2001年);Stepinskiら、RNA7:1468-95(2001年);Elangoら、Biochim.Biophys.Res.Commun.330:958-966(2005年))。
【0482】
本明細書に開示される方法によって生成されるRNAはまた、内部リボソーム侵入部位(IRES)配列を含み得る。IRES配列は、mRNAへのキャップ非依存性リボソーム結合を開始しかつ翻訳の開始を促進する、任意のウイルス、染色体、または人工的に設計された配列であり得る。糖、ペプチド、脂質、タンパク質、抗酸化剤、および界面活性剤などの、細胞の透過性および生存率を促進する因子を含み得る、細胞エレクトロポレーションに好適な任意の溶質を含めることができる。
【0483】
RNAは、複数の異なる方法のいずれかを使用して標的細胞中に導入でき、方法は例えば、これらに限定されないが、エレクトロポレーション(例えば、Amaxa Nucleofector-II(Amaxa Biosystems,Cologne,Germany)、ECM830(BTX)(Harvard Instruments,Boston,Mass.)、Gene PulserII(BioRad,Denver,Colo.)、またはMultiporator(Eppendort,Hamburg German))、リポフェクションを使用したカチオン性リポソーム媒介トランスフェクション、ポリマーカプセル化、ペプチド媒介トランスフェクション、または「遺伝子銃」などの微粒子銃送達システムなどの市販の方法である(例えば、Nishikawaら、Hum Gene Ther.12(8):861-70(2001年))。
【0484】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCAR配列は、レトロウイルスまたはレンチウイルスベクターを使用することにより、本発明の免疫細胞中に送達される。CAR発現レトロウイルスおよびレンチウイルスベクターは、担体として形質導入細胞を使用して、またはカプセル化された、結合した、または裸のベクターの無細胞の局所的または全身の送達を使用して、異なるタイプの真核細胞、ならびに組織および生物全体に送達され得る。使用される方法は、安定な発現が必要とされるかまたは十分である、任意の目的のためであってよい。
【0485】
いくつかの実施形態では、CAR配列は、in vitroで転写されたmRNAを使用することにより、本発明の免疫細胞中に送達される。In vitroで転写されたmRNA CARは、担体としてトランスフェクトされた細胞を使用して、またはカプセル化された、結合されたまたは裸のmRNAの無細胞の局所的または全身の送達を使用して、異なるタイプの真核細胞、ならびに組織および生物全体に送達され得る。使用される方法は、一過的発現が必要とされるかまたは十分である、任意の目的のためであってよい。
【0486】
いくつかの実施形態では、所望のCARは、トランスポゾンを介して細胞内で発現され得る。
【0487】
いくつかの実施形態では、本発明の免疫細胞は、例えば、T細胞である。本明細書に記載されるようなT細胞(Treg細胞など)の拡大および遺伝子修飾の前に、細胞は対象から得られる。T細胞は、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位の組織、腹水、胸水、脾臓組織、および腫瘍を含む、様々な供給源から入手され得る。本発明のある実施形態では、当技術分野で利用可能な任意の数のT細胞株を使用できる。本発明のある実施形態では、T細胞は、Ficoll(商標)分離、赤血球溶解、単球の枯渇、向流遠心水簸、白血球除去後のPERCOLL(商標)勾配による遠心分離、およびその後の細胞表面マーカーベースの磁気またはフローサイトメトリーによる単離などの、当業者に公知である任意の数の技術を使用して対象から収集された血液の単位から得ることができる。いくつかの実施形態では、個体の循環血液からの細胞は、アフェレシスによって得られる。アフェレシス産物は典型的には、T細胞、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球、赤血球、および血小板などのリンパ球を含む。いくつかの実施形態では、個体の循環血液からの細胞は、白血球アフェレシスによって得られる。
【0488】
いくつかの実施形態では、白血球アフェレシスによって収集された細胞を洗浄して、血漿画分を除去し、その後の処理ステップのために細胞を適切な緩衝液または培地に入れることができる。本発明のいくつかの実施形態では、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄する。いくつかの実施形態では、洗浄液はカルシウムを含まず、またマグネシウムを含まず、またはすべてではないが、多くの二価カチオンを含まない場合がある。洗浄後に、細胞は、例えば、Ca2を含まない、Mg2を含まないPBS、PlasmaLyte A、または緩衝液を含むもしくは含まない他の生理食塩水などの、様々な生体適合性緩衝液のいずれかに再懸濁され得る。あるいは、白血球アフェレシスサンプルの望ましくない成分を除去し、細胞を培地に直接再懸濁できる。
【0489】
T細胞の特定の亜集団は、ポジティブまたはネガティブセレクション技術によってさらに単離され得る。例えば、いくつかの実施形態では、T細胞は、目的のT細胞のポジティブセレクションに十分な期間、DYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 Tなどの抗CD3/抗CD28(すなわち、3x28)コンジュゲート結合ビーズとのインキュベーションによって単離される。いくつかの実施形態では、期間は、約30分である。さらなる実施形態では、期間は、30分~36時間またはそれを超える時間およびそれらの間のすべての整数値の範囲である。さらなる実施形態では、期間は、少なくとも1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、または6時間である。いくつかの実施形態では、期間は、10~24時間である。ある実施形態では、インキュベーション期間は24時間である。他の細胞型と比較してT細胞が少ないいかなる状況においても、より長いインキュベーション時間を使用してT細胞を単離できる。したがって、T細胞が抗CD3/抗CD28ビーズに結合できる時間を単に短縮または延長することにより、かつ/またはビーズ対T細胞の比率を増加または減少させることにより(本明細書でさらに記載するように)、培養開始時にまたはプロセス中の他の時点で、T細胞の亜集団を、それについてまたはそれに対し優先的に選択できる。さらに、ビーズまたは他の表面上の抗CD3および/または抗CD28抗体の比率を増加または減少させることにより、培養開始時にまたは他の所望の時点で、T細胞の亜集団を、それについてまたはそれに対し優先的に選択できる。当業者は、本発明の文脈において、複数の選択ラウンドも使用できることを認識するであろう。
【0490】
いくつかの実施形態では、選択手順を実行し、活性化および拡大のプロセスにおいて「選択されない」細胞を使用することが望ましい場合もある。「選択されない」細胞は、さらに選択ラウンドを受けてもよい。ネガティブセレクションによるT細胞集団の濃縮は、ネガティブセレクション細胞に固有の表面マーカーに向けられた抗体の組み合わせにより達成され得る。1つの方法は、ネガティブ選択される細胞上に存在する細胞表面マーカーに向けられたモノクローナル抗体のカクテルを使用する、ネガティブ磁気免疫接着またはフローサイトメトリーによる細胞選別および/または選択である。例えば、ネガティブセレクションによりCD4細胞を濃縮するために、モノクローナル抗体カクテルは典型的には、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DR、およびCD8に対する抗体を含む。ある実施形態では、T調節性細胞は、抗CD25コンジュゲート結合ビーズまたは他の同様の選択方法により枯渇される。
【0491】
ポジティブまたはネガティブセレクションによる所望の細胞集団の単離のために、細胞および表面(例えば、ビーズなどの粒子)の濃度を変えることができる。ある実施形態では、細胞およびビーズを確実に最大限接触させるために、ビーズおよび細胞が一緒に混合される体積を大幅に減少させる(すなわち、細胞の濃度を上げる)ことが望ましい場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、濃度20億細胞/mLが使用される。いくつかの実施形態では、10億/mLの細胞濃度が使用される。さらなる実施形態では、1億/mLを超える細胞が使用される。さらなる実施形態では、1,000万、1,500万、2,000万、2,500万、3,000万、3,500万、4,000万、4,500万または5,000万細胞/mLの細胞濃度が使用される。いくつかの実施形態では、7500万、8000万、8500万、9000万、9500万、または1億細胞/mLの細胞濃度が使用される。さらなる実施形態では、1億2500万または1億5000万細胞/mLの濃度が使用され得る。高濃度を使用することは、増加された細胞収量、細胞活性化、および細胞拡大をもたらし得る。さらに、高細胞濃度の使用は、CD28陰性T細胞などの、目的の標的抗原を弱く発現し得る細胞、または多くの腫瘍細胞が存在するサンプル(すなわち、白血病血液、腫瘍組織など)からの細胞をより効率的に捕捉できるようにする。そのような細胞の集団は、治療的価値を有し得、かつ得ることが望ましい場合がある。
【0492】
刺激用のT細胞は、洗浄ステップ後に凍結されてもよい。理論により拘束されることを望むものではないが、凍結およびその後の解凍ステップは、細胞集団中の顆粒球およびある程度の単球を除去することにより、より均一な産物をもたらす。血漿および血小板を除去する洗浄ステップの後に、細胞を凍結溶液に懸濁させてもよい。多くの凍結溶液およびパラメータが当技術分野において公知であり、この文脈において有用であり、1つの方法は、20%DMSOおよび8%ヒト血清アルブミンを含むPBS、または10%デキストラン40および5%デキストロース、20%ヒト血清アルブミンおよび7.5%DMSO、または31.25%Plasmalyte-A、31.25%デキストロース5%、0.45%NaCl、10%デキストラン40および5%デキストロース、20%ヒト血清アルブミン、および7.5%DMSOを含む培養培地、または例えば、HespanおよびPlasmaLyte Aを含む他の好適な細胞凍結培地を使用することを伴い、次に、細胞を毎分1℃の速度で-80℃に凍結し、液体窒素貯蔵タンクの気相中で貯蔵する。他の制御された凍結方法、ならびに-20℃または液体窒素での制御されない急速凍結を使用できる。
【0493】
ある実施形態では、凍結保存細胞は、本明細書に記載のとおり解凍されかつ洗浄され、活性化前に室温で1時間休止させられる。
【0494】
また、本発明の文脈において企図されるのは、本明細書に記載の拡大細胞が必要となり得る前の期間に、対象から血液サンプルまたは白血球アフェレシス産物を収集することである。このように、拡大される細胞の供給源は、任意の必要な時点で収集でき、T細胞などの所望の細胞が、本明細書に記載されるようなものなどの、T細胞療法から恩恵を受けるであろう任意の数の疾患または状態のT細胞療法での後の使用のために単離および凍結される。いくつかの実施形態では、血液サンプルまたは白血球アフェレシス産物は、一般的に健康な対象から採取される。ある実施形態では、血液サンプルまたは白血球アフェレシス産物は、疾患を発症するリスクがあるか、まだ疾患を発症していない一般的に健康な対象から採取され、目的の細胞は後の使用のために単離され、凍結される。ある実施形態では、T細胞は、拡大され、凍結され、後に使用され得る。
【0495】
所望のCARを発現させるためのTreg細胞の遺伝子修飾の前または後のいずれかに、T細胞は、参照により本明細書に組み込まれる、例えば、米国特許第6,352,694号、同第6,534,055号、同第6,905,680号、同第6,692,964号、同第5,858,358号、同第6,887,466号、同第6,905,681号、同第7,144,575号、同第7,067,318号、同第7,172,869号、同第7,232,566号、同第7,175,843号、同第5,883,223号、同第6,905,874号、同第6,797,514号、および同第6,867,041号、ならびに米国特許公開第2006/0121005号に記載されている方法を一般に使用して活性化および拡大できる。
【0496】
一般に、本発明のT細胞(例えば、Treg細胞)は、CD3/TCR複合体関連シグナルを刺激する剤および細胞表面上の共刺激分子を刺激するリガンドをそれに付着させた表面と接触させることにより拡大される。特に、T細胞(例えば、Treg細胞)は、例えば、抗CD3抗体またはその抗原結合断片または表面に固定化された抗CD2抗体との接触により、またはカルシウムイオノフォアと組み合わせたプロテインキナーゼC活性化因子(例えば、ブリオスタチン)との接触により、本明細書に記載のとおり刺激され得る。T細胞表面のアクセサリー分子の共刺激には、アクセサリー分子を結合するリガンドが使用される。例えば、T細胞の集団は、T細胞の増殖を刺激するのに適切な条件下で、抗CD3抗体および抗CD28抗体と接触されてよい。CD4T細胞の増殖を刺激するために、抗CD3抗体および抗CD28抗体を使用してもよい。抗CD28抗体の例としては、これらに限定されないが、9.3、B-T3、XR-CD28が挙げられる(Diaclone,Besancon,France)。当技術分野において一般に知られる他の拡大方法を使用できる(Bergら、Transplant Proc.30(8):3975-3977(1998年);Haanenら、J. Exp.Med.190(9):1319-1328(1999年);Garlandら、J. Immunol Meth.227(l-2):53-63(1999年))。
【0497】
ある実施形態では、本発明のT細胞(例えば、Treg)の一次刺激シグナルおよび共刺激シグナルは、異なるプロトコルによって提供され得る。例えば、各シグナルを提供する剤は、溶液中にあってよく、かつ/または表面に結合され得る。表面に結合される場合、剤は、同じ表面に結合されても(すなわち、「シス」形成)、または別個の表面に結合されてもよい(すなわち、「トランス」形成)。あるいは、一方の剤が表面に結合され、他方の剤が溶液中にあってもよい。いくつかの実施形態では、共刺激シグナルを提供する剤が細胞表面に結合され、一次活性化シグナルを提供する剤は溶液中にあるか、または表面に結合される。ある実施形態では、両方の剤が溶液中にあり得る。いくつかの実施形態では、剤は可溶形態であり得、Fc受容体を発現する細胞、または剤に結合する抗体または他の結合剤などの表面に架橋され得る。これに関して、本発明においてT細胞を活性化し、拡大する際に使用することが企図される人工抗原提示細胞(aAPC)について、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許公開第2004/0101519号および第2006/0034810号を参照されたい。
【0498】
いくつかの実施形態では、2つの剤は、同じビーズ上、すなわち「シス」、または別のビーズ上、すなわち「トランス」のいずれかで、ビーズ上に固定化される。例として、一次活性化シグナルを提供する剤は、抗CD3抗体またはその抗原結合断片であり、共刺激シグナルを提供する剤は、抗CD28抗体またはその抗原結合断片であり、両方の剤は、同等の分子量で同じビーズに共固定化される。いくつかの実施形態では、CD4T細胞の拡大およびT細胞の成長のために1:1の比率のビーズに結合された各抗体が使用される。本発明の特定の態様において、ビーズに結合された抗CD3抗体:抗CD28抗体の比率は、1:1の比率を使用して観察された拡大と比較してT細胞拡大の増加が観察されるように使用される。いくつかの実施形態では、1:1の比率を使用して観察された拡大と比較して、約1倍から約3倍の増加が観察される。いくつかの実施形態では、ビーズに結合した抗CD3抗体:抗CD28抗体の比率は100:1~1:100およびその間のすべての整数値の範囲である。いくつかの実施形態では、抗CD3抗体よりも多くの抗CD28抗体が粒子に結合され、すなわち、CD3:CD28の比率は1未満である。本発明のある実施形態では、ビーズに結合された抗CD28抗体対抗CD3抗体の比率は2:1を超える。1つの特定の実施形態では、ビーズに結合された抗体のCD3:CD28比1:100が使用される。いくつかの実施形態では、ビーズに結合された抗体のCD3:CD28比1:75が使用される。さらなる実施形態では、ビーズに結合された抗体のCD3:CD28比1:50が使用される。いくつかの実施形態では、ビーズに結合された抗体のCD3:CD28比1:30が使用される。ある実施形態では、ビーズに結合された抗体のCD3:CD28比1:10が使用される。いくつかの実施形態では、ビーズに結合された抗体のCD3:CD28比1:3が使用される。いくつかの実施形態では、ビーズに結合された抗体のCD3:CD28比3:1が使用される。
【0499】
1:500~500:1およびその間の任意の整数値の粒子対細胞の比率を使用して、T細胞または他の標的細胞を刺激してもよい。当業者が容易に理解できるように、粒子対細胞の比率は、標的細胞に対する粒子径に依存し得る。例えば、小さいサイズのビーズは少数の細胞にのみ結合し得るが、大きいビーズは多くの細胞に結合し得る。ある実施形態では、T細胞は、1:100~100:1およびその間の任意の整数値の範囲の細胞対粒子の比率で刺激され得る。特定の実施形態では、この比率は、1:9~9:1、およびその間の任意の整数値を含む。T細胞刺激をもたらす、T細胞に対する抗CD3連結粒子対抗CD28連結粒子の比率は、上記のように変化し得るが、これらの数値のある実施例としては、1:100、1:50、1:40、1:30、1:20、1:10、1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、および15:1が挙げられ、1つの特定の比率は、T細胞あたり少なくとも1:1の粒子である。いくつかの実施形態では、1:1またはそれ未満の粒子対細胞の比率が使用される。ある実施形態では、粒子対細胞の比率は、1:5である。さらなる実施形態では、粒子対細胞の比率を、刺激の日に応じて変化させ得る。例えば、いくつかの実施形態では、粒子対細胞の比率は、第1日目に1:1~10:1であり、追加の粒子を、毎日または隔日でその後最長10日間、最終比率1:1~1:10(添加日の細胞数に基づく)で細胞に添加する。1つの特定の実施形態では、粒子対細胞の比率は、刺激の第1日目に1:1であり、刺激の3日目および5日目に1:5に調整される。いくつかの実施形態では、粒子を、刺激の第1日目に最終比率1:1、3日目および5日目に1:5になるように、毎日または隔日添加する。いくつかの実施形態では、粒子対細胞の比率は、刺激の第1日目に2:1であり、刺激の3日目および5日目に1:10に調整される。いくつかの実施形態では、粒子を、刺激の第1日目に最終比率1:1、3日目および5日目に1:10になるように、毎日または隔日添加する。当業者であれば、様々な他の比率が本発明での使用に好適であり得ることを理解するであろう。特に、比率は粒子径、ならびに細胞径および細胞型によって異なるであろう。
【0500】
本発明のさらなる実施形態では、免疫細胞は剤でコーティングされたビーズと組み合わされ、ビーズおよび細胞はその後分離され、次いで細胞が培養される。代替的実施形態では、培養前に、剤でコーティングされたビーズおよび細胞は分離されないが、一緒に培養される。いくつかの実施形態では、ビーズおよび細胞は、磁力などの力を適用することにより最初に濃縮され、細胞表面マーカーのライゲーションが増加し、それにより細胞刺激を誘導する。
【0501】
例として、細胞表面タンパク質は、抗CD3抗体および抗CD28抗体が付着される常磁性ビーズ(3x28ビーズ)を本発明のTreg細胞に接触させることにより、ライゲートされ得る。いくつかの実施形態では、細胞(例えば、10~10のT細胞)およびビーズ(例えば、比率1:1のDYNABEADS(商標登録)M-450CD3/CD28 T常磁性ビーズ)は、PBSなどの緩衝液(例えば、カルシウムおよびマグネシウムなどの二価カチオンを含まない)中で組み合わされる。ここでも、当業者であれば、状況に応じて任意の細胞濃度を使用できることを容易に理解できる。例えば、標的細胞は、サンプル中で非常にまれでありサンプルの0.01%のみを構成するか、またはサンプル全体(すなわち、100%)が、対象の標的細胞を含み得る。したがって、任意の細胞数が、本発明の文脈内にある。ある実施形態では、細胞および粒子を確実に最大限接触させるために、粒子および細胞が一緒に混合される体積を大幅に減少させる(すなわち、細胞の濃度を上げる)ことが望ましい場合がある。例えば、一実施形態では、約20億細胞/mLの濃度が使用される。別の実施形態では、1億/mLを超える細胞が使用される。さらなる実施形態では、1,000万、1,500万、2,000万、2,500万、3,000万、3,500万、4,000万、4,500万または5,000万細胞/mLの細胞濃度が使用される。さらに別の実施形態では、7500万、8000万、8500万、9000万、9500万、または1億細胞/mLからの細胞の濃度が使用される。さらなる実施形態では、1億2500万または1億5000万細胞/mLの濃度が使用され得る。高濃度を使用することは、増加された細胞収量、細胞活性化、および/または細胞拡大をもたらし得る。さらに、高細胞濃度の使用は、CD28陰性T細胞などの目的の標的抗原を弱く発現し得る細胞をより効率的に捕捉できるようにする。そのような細胞の集団は、治療的価値を有し得、ある実施形態では、得ることが望ましい場合がある。
【0502】
本発明のいくつかの実施形態では、混合物は、数時間(例えば、約3時間)から約14日間、またはその間の任意の時間整数値で培養されてよい。いくつかの実施形態では、混合物は21日間培養され得る。本発明のいくつかの実施形態では、ビーズおよびT細胞は約8日間一緒に培養される。いくつかの実施形態では、ビーズおよびT細胞は、2~3日間一緒に培養される。いくつかの刺激サイクルが、T細胞培養時間が60日またはそれ以上であるように、望まれ得る。T細胞培養に適した状態は、血清(例えば、ウシ胎児またはヒト血清)、インターロイキン-2(IL-2)、インスリン、IFN-γ、IL-4、IL-7、GM-CSF、IL-10、IL-12、IL-15、TGFβ、およびTNF-α、または当業者に公知である細胞の成長のための任意の他の添加剤を含む、増殖および生存に必要な因子を含み得る適切な培地(例えば、Minimal Essential MediaまたはRPMI Media 1640、またはX-vivo 15、(Lonza))を含む。細胞の成長のための他の添加剤としては、これらに限定されないが、界面活性剤、plasmanate、およびN-アセチル-システインおよび2-メルカプトエタノールなどの還元剤が挙げられる。培地としては、RPMI1640、AIM-V、DMEM、MEM、a-MEM、F-12、X-Vivo15、およびX-Vivo20、Optimizerを挙げることができ、アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム、およびビタミンが添加され、無血清であるか、または適切な量の血清(もしくは血漿)、または規定のホルモンのセット、および/もしくはT細胞の成長および拡大に十分な量のサイトカイン(複数可)が補充される。ペニシリンおよびストレプトマイシンなどの抗生物質は、実験培養にのみ含まれ、対象に注入される予定である細胞の培養には含まれない。標的細胞は、成長を支援するために必要な条件下、例えば、適切な温度(例えば、37℃)および雰囲気(例えば、空気プラス5%CO2)下で維持される。
【0503】
様々な刺激時間に暴露されたT細胞は、異なる特性を呈し得る。例えば、典型的な血液または末梢血単核細胞産物は、細胞傷害性またはサプレッサーT細胞集団(Tc、CD8)よりも多いヘルパーT細胞集団(Th、CD4)を有する。CD3受容体およびCD28受容体を刺激することによるT細胞のex vivo拡大は、約8~9日目以前は主にTh細胞からなるT細胞の集団を生成するのに対し、約8~9日目以降に、T細胞の集団はますます多くのTc細胞の集団を含む。治療の目的に応じて、いくつかの実施形態では、主にTh細胞を含むT細胞集団を対象に注入することが有利であり得る。いくつかの実施形態では、Tc細胞の抗原特異的サブセットが単離されている場合、このサブセットをさらに拡大することが有益であり得る。
【0504】
さらに、CD4マーカーおよびCD8マーカーに加えて、他の表現型マーカーは大幅に異なるが、大部分は、細胞拡大プロセスの過程で再現性があるように異なる。そのような再現性は、特定の目的のために活性化T細胞産物を調整することを可能にする。
【0505】
本発明のいくつかの実施形態では、調節性T細胞を得るために、例えば、PCT特許公開2007/110785(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているとおり、T細胞をラパマイシンの存在下で培養してもよい。調節性T細胞を生成する別の方法は、米国特許公開第2016/024470号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されており、T細胞は、例えばTCR/CD3抗体などのT細胞受容体(TCR)/CD3活性化因子、例えばCD28、CD137(4-1 BB)、GITR、B7-1/2、CD5、ICOS、OX40、CD40またはCD137抗体などのTCR共刺激活性化因子、およびラパマイシンと共に培養される。
【0506】
本発明のいくつかの実施形態では、本明細書に記載のCARの発現により遺伝子修飾されたT細胞はまた、ROR-C、FoxP3、Foxo1、T-bet、またはGata3、c-Maf、またはAhRなどの少なくとも1つの細胞内因子の発現により遺伝子修飾されていてもよい。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子修飾された免疫細胞は、FoxP3を発現する。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子修飾された免疫細胞は、Foxo1を発現する。
【0507】
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子修飾された免疫細胞は、同種免疫細胞であり得る。そのような場合、細胞は、細胞に対する宿主拒絶反応(移植片拒絶反応)および/または宿主に対する細胞の潜在的な攻撃(移植片対宿主病)を減少させるように操作され得る。例として、細胞は、以下の1つ以上のヌル遺伝子型を有するように操作され得る:(i)T細胞受容体(TCRアルファ鎖またはベータ鎖)、(ii)多型性主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスI分子またはクラスII分子(例えば、HLA-A、HLA-B、またはHLA-C;HLA-DP、HLA-DM、HLA-DOA、HLA-DOB、HLA-DQ、またはHLA-DR;またはβ2-ミクログロブリン(B2M))、(iii)抗原プロセシングに関連するトランスポーター(例えば、TAP-1またはTAP-2)、(iv)クラスII MHCトランス活性化因子(CIITA)、(v)マイナー組織適合性抗原(MiHA;例えば、HA-1/A2、HA-2、HA-3、HA-8、HB-1H、またはHB-1Y)、(vi)それらの任意の組み合わせ。同種の操作された細胞はまた、操作されたTreg細胞を宿主拒絶反応から保護するためにインバリアントHLAまたはCD47を発現し得る。これらのさらなる遺伝子修飾は、当技術分野で公知である遺伝子編集技術および本明細書に記載の技術によって実施され得る。
【0508】
さらに編集された同種細胞は、それらが互換性の問題なしに複数の患者に使用できるため、特に有用である。したがって、同種細胞を「ユニバーサル」と呼ぶことができ、「既製品(off the shelf)」で使用できる。「ユニバーサル」細胞の使用は、効率を大幅に向上し、採用された細胞療法のコストを削減する。
【0509】
ある実施形態では、同種免疫細胞は、その表面にいかなる機能的TCRも発現しないように操作され得るか、機能的TCRを含む1つ以上のサブユニットを発現しないように操作され得るか、またはその表面に機能的TCRを非常にわずかのみ生成するように操作され得る。例えば、本明細書に記載の免疫細胞は、TCR分子の細胞表面発現が下方制御されるように操作され得る。あるいは、T細胞は、例えば、TCRのサブユニットの1つ以上の変異型または短縮型の発現により、実質的に障害のあるTCRを発現し得る。「実質的に障害のあるTCR」という用語は、このTCRが宿主において有害な免疫反応を誘発しないことを意味する。
【0510】
ある実施形態では、同種免疫細胞は、それらの表面に機能的なHLAを発現しないように操作され得る。例えば、本明細書に記載の免疫細胞は、HLA、例えば、HLAクラス1および/またはHLAクラスIIおよび/または非古典的HLA分子の細胞表面発現が下方制御されるように操作され得る。
【0511】
ある実施形態では、T細胞は、機能的TCRおよびHLAクラスIおよび/またはHLAクラスIIなどの機能的HLAを欠いてよい。
【0512】
機能的TCRおよび/またはHLAの発現を欠く修飾免疫細胞は、TCRおよび/またはHLAの1つ以上のサブユニットのノックアウトまたはノックダウンを含む、任意の好適な手段によって得ることができる。例えば、Treg細胞は、siRNA、shRNA、クラスタ化され規則的に間隔を置いた短鎖パリンドローム反復(CRISPR)転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、ジンクフィンガーエンドヌクレアーゼ(ZFN)、メガヌクレアーゼ(mn、ホーミングエンドヌクレアーゼとしても知られる)、またはmegaTAL(TALエフェクターとmn切断ドメインとの組み合わせ)を用いた、TCRおよび/またはHLAのノックダウンを含む。
【0513】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCARをコードする核酸は、例えば、欠失される遺伝子の遺伝子座でなど、免疫細胞のゲノム内の特定の遺伝子座に挿入される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCARをコードする核酸は、TCRおよび/またはHLA遺伝子座内に挿入され、それにより、TCRおよび/またはHLA発現の阻害をもたらす。
【0514】
いくつかの実施形態では、TCRおよび/またはHLAの発現は、T細胞中のTCRおよび/またはHLAをコードする核酸を標的とするsiRNAまたはshRNAを使用して阻害され得る。T細胞におけるsiRNAおよびshRNAの発現は、例えばレンチウイルス発現システムなどの、任意の従来の発現システムを使用して達成され得る。HLAクラスIおよび/またはHLAクラスII遺伝子の発現を下方制御する例示的なsiRNAおよびshRNAは、例えば、米国特許公開第2007/0036773号に記載されている。TCRの成分の発現を下方制御する例示的なshRNAは、例えば、米国特許公開第2012/0321667に記載されている。
【0515】
本明細書で使用される「CRISPR」または「TCRおよび/またはHLAに対するCRISPR」または「TCRおよび/またはHLAを阻害するためのCRISPR」は、クラスタ化され規則的に間隔を置いた短鎖パリンドローム反復のセット、またはそのようなCRISPRのセットを含むシステムを指す。本明細書で使用される「Cas」は、CRISPR関連タンパク質を指す。「CRISPR/Cas」システムは、TCRおよび/またはHLA遺伝子をサイレンシングするかまたは変異させるために使用できる、CRISPRおよびCasから派生したシステムを指す。
【0516】
天然に存在するCRISPR/Casシステムは、配列決定された真正細菌ゲノムの約40%および配列決定された古細菌の90%に見られる。例えば、Grissaら、(BMC Bioinformatics 8:172(2007年))を参照のこと。このシステムは、プラスミドおよびファージなどの外来遺伝要素に対する耐性を付与し、かつ獲得免疫の一形態を提供する、原核生物の免疫系の一種である。例えば、Barrangouら、Science 315:1709-1712(2007年);Marraginiら、Science 322:1843-1845(2008年)を参照のこと。CRISPR/Casシステムは、マウスまたは霊長類などの真核生物の遺伝子編集(特定の遺伝子のサイレンシング、向上、または変更)での使用のために改変されている。例えば、Wiedenheftら、Nature 482:331-8(2012年)を参照のこと。これは、特別に設計されたCRISPRおよび1つ以上の適切なCasをコードする配列を含むプラスミドを真核細胞に導入することによって達成される。CRISPR遺伝子座と呼ばれることもあるCRISPR配列は、リピートおよびスペーサーを交互に含む。天然に存在するCRISPRでは、スペーサーは通常、プラスミドまたはファージ配列などの、細菌にとって外来の配列を含み、TCRおよび/またはHLA CRISPR/Casシステムでは、スペーサーはTCRおよび/またはHLA遺伝子配列に由来する。CRISPR遺伝子座からのRNAは、構成的に発現され、Casタンパク質により低分子RNAへとプロセシングされる。これらは、反復配列に隣接されるスペーサーを含む。RNAは、他のCasタンパク質を導いて、RNAまたはDNAレベルで外因性遺伝的要素のサイレンシングを行う。例えば、Horvathら、Science327:167-170(2010年);Makarovaら、Biology Direct1:7(2006年)を参照されたい。したがって、スペーサーは、siRNAと類似的に、RNA分子の鋳型として作用する。例えば、Pennisi,Science341:833-836(2013年)を参照されたい。したがって、CRISPR/Casシステムを使用して、TCRおよび/またはHLA遺伝子を編集し(塩基対を付加するか欠失させる)、またはTCRおよび/もしくはHLAの発現を減少させる早期停止を導入できる。CRISPR/Casシステムは、RNA干渉のように代替的または追加的に使用でき、TCRおよび/またはHLA遺伝子を可逆的にオフにする。哺乳動物細胞では、例えば、RNAは、Casタンパク質をTCRおよび/またはHLAプロモーターに誘導し、RNAポリメラーゼを立体的に遮断する。
【0517】
当技術分野で公知である技術を使用して、TCRおよび/またはHLAを阻害する人工CRISPR/Casシステム、例えば、米国特許公開第2014/0068797号、およびCong,Science339:819-823(2013年)に記載のものなどを生成できる。例えば、Tsai,Nature Biotechnol.32:6569-576(2014年)および米国特許第8,871,445号;同第8,865,406号;同第8,795,965号;同第8,771,945号;および同第8,697,359号に記載のものなど、当技術分野において公知である他の人工CRISPR/Casシステムもまた、TCRおよび/またはHLAを阻害するために生成され得る。
【0518】
上記の手順は、Cpf1およびC2c1/2/3などのCas以外のエンドヌクレアーゼを利用するCRISPRシステムによっても実施され得ることが理解される。
【0519】
「TALEN」または「TCRおよび/またはHLAに対するTALEN」または「TCRおよび/またはHLAを阻害するためのTALEN」は、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ、TCRおよび/またはHLA遺伝子を編集するために使用できる人工ヌクレアーゼを指す。TALENは、TALエフェクターDNA結合ドメインをDNA切断ドメインに融合することにより人工的に生成される。転写活性化因子様エフェクター(TALE)は、TCRおよび/またはHLA遺伝子の一部分を含む任意の所望のDNA配列を結合するように操作され得る。操作されたTALEをDNA切断ドメインと組み合わせることにより、TCRおよび/またはHLA配列を含む、任意の所望のDNA配列に特異的な制限酵素を生成できる。次に、これらを細胞中に導入し、ゲノム編集に使用できる。例えば、Boch,Nature Biotech.29:135-6(2011年);Bochら、Science 326:1509-12(2009);およびMoscouら、Science326:3501(2009年)を参照されたい。
【0520】
TALEは、キサントモナス菌によって分泌されるタンパク質である。DNA結合ドメインは、12番目および13番目のアミノ酸を除いて高度に保存された33~34個のアミノ酸配列の反復を含む。これらの2つの位置は非常に可変であり、特定のヌクレオチド認識との強い相関関係を示している。したがって、それらは、所望のDNA配列に結合するように操作できる。TALENを生成するために、TALEタンパク質をヌクレアーゼ(N)に融合し、ヌクレアーゼ(N)は、野生型または変異型のFoklエンドヌクレアーゼである。TALENにおけるその使用のために、Foklにいくつかの変異が加えられ、これらは、例えば、切断の特異性または活性を改善する。例えば、Cermakら、Nucl.Acids Res.39:e82(2011);Millerら、Nature Biotech.29:143-8(2011年);Hockemeyerら、Nature Biotech.29:731-734(2011年);Woodら、Science 333:307(2011年);Doyonら、Nature Methods 8:74-79(2010年);Szczepekら、Nature Biotech.25:786-793(2007年);およびGuoら、J.Mol.Biol.200:96(2010年)を参照されたい。Foklドメインは二量体として機能し、適切な配向および間隔で標的ゲノム中の部位に対する固有のDNA結合ドメインを有する2つの構築物を必要とする。TALE DNA結合ドメインとFokl切断ドメインの間のアミノ酸残基の数、および2つの個々のTALEN結合部位間の塩基の数の両方が、高レベルの活性を達成するための重要なパラメーターであると考えられる(Millerら、Nature Biotech.29:143-8(2011年))。TCRおよび/またはHLA TALENを細胞内で使用して、二本鎖切断(DSB)を生成できる。修復メカニズムが非相同末端結合を介して破断を不適切に修復する場合、破断部位に変異が導入され得る。例えば、不適切な修復は、フレームシフト突然変異を導入し得る。あるいは、外来DNAをTALENと共に細胞中に導入することもでき、外来DNAの配列および染色体配列に応じて、このプロセスを使用してTCRおよび/またはHLA遺伝子の欠陥を修正するか、そのような欠陥をwt HLA遺伝子に導入して、これによりTCRおよび/またはHLAの発現を減少させることができる。TCRおよび/またはHLA中の配列に特異的なTALENは、モジュラー成分を使用する様々なスキームを含む、当技術分野において公知である任意の方法を使用して構築できる(Zhangら、Nature Biotech.29:149-53(2011年);Geiblerら、PLoS ONE 6:el9509(2011年))。
【0521】
「ZFN」または「ジンクフィンガーヌクレアーゼ」または「TCRおよび/またはHLAに対するZFN」または「TCRおよび/またはHLAを阻害するためのZFN」は、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TCRおよび/またはHLA遺伝子を編集するために使用できる人工ヌクレアーゼを指す。TALENと同様に、ZFNは、DNA結合ドメインに融合されたFoklヌクレアーゼドメイン(またはその誘導体)を含む。ZFNの場合、DNA結合ドメインは1つ以上のジンクフィンガーを含む。例えば、Carrollら、Genetics Society of America 188:773-782(2011年);およびKimら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA93:1156-1160(1996年)を参照のこと。ジンクフィンガーは、1つ以上の亜鉛イオンによって安定化された小さいタンパク質構造モチーフである。ジンクフィンガーは、例えば、Cys2His2を含み得、かつ約3bpの配列を認識できる。既知の特異性の様々なジンクフィンガーを組み合わせて、約6、9、12、15または18bpの配列を認識するマルチフィンガーポリペプチドを生成できる。ファージディスプレイ、酵母ワンハイブリッドシステム、バクテリアワンハイブリッドおよびツーハイブリッドシステム、および哺乳動物細胞を含む、特定の配列を認識するジンクフィンガー(およびそれらの組み合わせ)を生成するために、様々な選択およびモジュラーアセンブリ技術が利用可能である。
【0522】
TALENのように、ZFNはDNAを切断するために二量体化される必要がある。したがって、一対のZFNが、非パリンドロームDNA部位を標的とするために必要とされる。2つの個々のZFNは、ヌクレアーゼが適切な間隔で配置された状態でDNAの反対側の鎖を結合する必要がある(Bitinaiteら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA95:10570-5(1998年))。またTALENと同様に、ZFNはDNA中に二本鎖破断を引き起こすことができ、これは、不適切に修復された場合にフレームシフト変異を引き起こし、細胞中のTCRおよび/またはHLAの発現およびそれらの量の減少をもたらし得る。ZFNは、TCRおよび/またはHLA遺伝子を変異させるために相同組換えと共に使用され得る。TCRおよび/またはHLA中の配列に特異的なZFNは、当技術分野において公知である任意の方法を使用して構築できる。例えば、Provasi,Nature Med.18:807-815(2011年);Torikai,Blood 122:1341-1349(2013年);Cathomenら、Mol.Ther.16:1200-7(2008);Quoら、J.Mol.Biol.400:96(2010年);および米国特許公開第2011/0158957号および同第2012/0060230号を参照されたい。
【0523】
「メガヌクレアーゼ」または「TCRおよび/またはHLAに対するメガヌクレアーゼ」または「TCRおよび/またはHLAを阻害するためのメガヌクレアーゼ」は、大きい(>14塩基対)認識部位を有する単量体エンドヌクレアーゼを指し、これはTCRおよび/またはHLA遺伝子を編集するために使用できる。メガヌクレアーゼ(mn)は、細菌のホーミングエンドヌクレアーゼに由来し、かつ固有の標的部位用に操作された、生来のヌクレアーゼ活性を有する単量体タンパク質である。ホーミングエンドヌクレアーゼは、それらの宿主ゲノム中の個々の遺伝子座で二本鎖破断を作り出し、それにより部位特異的遺伝子変換イベントを駆動できるDNA切断酵素である(Stoddard,Structure19(1):7-15(2011年))。ホーミングエンドヌクレアーゼは、サイズが小さいにもかかわらず、長いDNA配列(典型的には、20~30塩基対)を認識する。ホーミングエンドヌクレアーゼは、非常に広く普及しており、微生物中で、ならびにファージおよびウイルスにも見られる。LAGLIDADGおよびHis-Cysボックス酵素(これらの酵素の中で最も配列特異的である)は、DNA標的部位の主要な溝にドッキングする逆平行βシートに依存する(Flickら、Nature394(6688):96-101(1998年);Juricaら、Mol.Cell.2(4):469-76(1998年)。そこでそれらは、複数の連続する塩基対にわたり不均一に分布される配列特異的および非特異的接触のコレクションを確立する(Chevalierら、J Mol Biol 329(2):253-269(2003年);Scalley-Kimら、J Mol Biol.372(5):1305-19(2007年)。
【0524】
LAGLIDADGホーミングエンドヌクレアーゼ(LHE)ファミリーは、遺伝子ターゲティングアプリケーションに使用される操作された酵素の主要な供給源である。LHEファミリーは、主に古細菌内、葉緑体内、ならびに藻類および真菌のミトコンドリアゲノムにおいてコードされる(Chevalierら、Homing Endonucleases and Inteins.Nucleic Acids and Molecular Biology,vol.16(2005年);Dalgaardら、Nucleic Acids Res.25(22):4626-38(1997);Sethuramanら、Mol Biol Evol.26(10):2299-315(2009年)。タンパク質鎖ごとに単一の保存されたLAGLIDADGモチーフ(配列番号58)を所有するメガヌクレアーゼは、パリンドロームおよびほぼパリンドロームのDNA標的配列を切断するホモ二量体タンパク質を形成し、一方でタンパク質鎖ごとに2つのそのようなモチーフを含むものは、完全に非対称なDNA配列を標的にできる、より大きい疑似対称モノマーを形成する。
【0525】
メガヌクレアーゼは、TCRおよび/またはHLAを標的とするように操作でき、したがってDNA中に二本鎖破断を作り出し、これは、不適切に修復された場合にフレームシフト変異を生じ、細胞中でTCRおよび/またはHLAの発現および量の減少をもたらし得る。
【0526】
「MegaTAL」または「TCRおよび/またはHLAに対するmegaTAL」または「TCRおよび/またはHLAを阻害するためのmegaTAL」は、TCRおよび/またはHLA遺伝子を編集するために使用できる人工ヌクレアーゼを指す。MegaTALは、LAGLIDADGホーミングエンドヌクレアーゼファミリーに由来するメガヌクレアーゼのN末端への最小TAL(転写活性化因子様)エフェクタードメインの融合により得られるハイブリッド単量体ヌクレアーゼである(Boisselら、Nucleic Acids Res.42(4):2591-601(2014年);Takeuchiら、Methods Mol Biol.1239:105-32(2015年))。したがって、MegaTALは、TALエフェクターDNA結合ドメインにより提供される追加の親和性および特異性を有する部位特異的メガヌクレアーゼ切断ヘッドから構成される。
【0527】
MegaTALは、TCRおよび/またはHLAを標的とするように操作でき、したがってDNA中に二本鎖破断を作り出し、これは、不適切に修復された場合にフレームシフト変異を生じ、細胞中でTCRおよび/またはHLAの発現および量の減少をもたらし得る。I-OnuIメガヌクレアーゼ(mn)のバリアントを使用して、T細胞受容体アルファ(TCRα)遺伝子をノックアウトするためのTCRα-megaTALを設計した。TCRαmnを、TCRαmn結合部位の上流のDNA配列に結合するように設計された10.5リピートTALEアレイに融合した。TCRαを標的とするmegaTALは、ヒト初代T細胞において検出可能なオフターゲット切断を伴わずに非常に多い遺伝子破壊を達成することが見出された(Boisselら、Nucleic Acids Res42(4):2591-601(2014年))。
【0528】
いくつかの実施形態では、本発明のCARを発現するT細胞集団は、内因性T細胞受容体(TCR)を欠くか、または内因性TCRの発現もしくは活性を低減するかもしくは排除するように改変されたものである。HLA発現を阻害するかまたは排除するための本明細書に記載の方法はいずれも、内因性TCRの1つ以上の成分を標的にするために使用され得ることが理解される。
【0529】
いくつかの実施形態では、テロメラーゼ遺伝子によるトランスフェクションは、T細胞のテロメアを延長し、患者のT細胞の持続性を改善できる。例えば、June,Journal of Clinical Investigation117:1466-1476(2007年)を参照されたい。したがって、いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子修飾されたTreg細胞は、テロメラーゼサブユニット、例えば、テロメラーゼの触媒サブユニット、例えば、TERT、例えば、hTERTを異所的に発現する。いくつかの態様では、本開示は、テロメラーゼサブユニット、例えば、テロメラーゼの触媒サブユニット、例えば、TERT、例えば、hTERTをコードする核酸と細胞を接触させることを含む、本発明のキメラ受容体発現細胞を生成する方法を提供する。細胞は、キメラ受容体をコードする構築物(例えば、本明細書に記載のCAR)と接触される前、接触と同時に、または接触した後に、核酸と接触されてもよい。
【0530】
本発明はさらに、本発明の免疫細胞を得るための方法に関し、本方法は、本明細書に記載のCARをコードする核酸により少なくとも1つの免疫細胞を形質導入し、任意により形質導入細胞を拡大させることを含む。いくつかの実施形態では、この方法はex vivo法である。
【0531】
いくつかの実施形態では、本発明の免疫細胞を得るための方法は、
-PBMC集団から免疫細胞を単離/濃縮するステップ(例えば、白血球アフェレシスにより回収される)、
-任意により活性化ステップ、
-本明細書に記載のCARをコードする核酸配列を含むベクターを用いた形質導入ステップ、
-任意により拡大ステップ、
-任意により洗浄ステップ、および
-任意により凍結ステップ、
を含む。
【0532】
いくつかの実施形態では、本発明の操作Treg細胞は、Treg表現型を維持するため、および/またはFoxP3および導入遺伝子の発現を増加させるために、ラパマイシンおよび/または高濃度のIL-2を含む組織培養培地中で培養され得る。
組成物
【0533】
本発明の別の目的は、本明細書に記載の本発明の少なくとも1つの免疫細胞または免疫細胞集団を含む、それからなる、または本質的にそれからなる組成物である。いくつかの実施形態では、本発明の免疫細胞または免疫細胞集団は、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、γδT細胞、ダブルネガティブ(DN)細胞、調節性免疫細胞、調節性T細胞、エフェクター免疫細胞、エフェクターT細胞、B細胞、および骨髄系細胞、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0534】
本明細書で使用される場合、医薬組成物または医薬品に関して「本質的にからなる」という用語は、本発明の少なくとも1つの免疫細胞または細胞集団が、医薬組成物または医薬品内で生物学的活性を有する唯一の治療剤または剤であることを意味する。
【0535】
いくつかの実施形態では、組成物は、本明細書に記載の本発明の少なくとも1つの単離されたかつ/または実質的に精製された免疫細胞集団を含むか、それからなるか、または本質的にそれからなる。
【0536】
いくつかの実施形態では、組成物は、本明細書に記載のCAR(例えば、CARは、少なくとも1つの細胞外結合ドメイン、任意により、少なくとも1つの細胞外ヒンジドメイン、少なくとも1つの膜貫通ドメイン、および少なくとも1つの細胞内ドメインを含み、少なくとも1つの細胞内ドメインは、少なくとも1つの一次細胞内シグナル伝達ドメイン、および任意により少なくとも1つの共刺激細胞内シグナル伝達ドメインを含む)を細胞表面で発現するように操作された、本明細書に記載の本発明の少なくとも1つの免疫細胞集団を含むか、それからなるか、または本質的になり、少なくとも1つの膜貫通ドメインは、ヒトTNFR2膜貫通ドメインまたはその断片またはバリアント、あるいは任意の膜貫通ドメインまたはその断片またはバリアントまたはそれらの組み合わせであり、かつ/または少なくとも1つの共刺激細胞内シグナル伝達ドメインは、ヒトTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインもしくはその断片もしくはバリアント、または任意の共刺激細胞内シグナル伝達ドメインもしくはその断片もしくはバリアントもしくはそれらの組み合わせであり、膜貫通ドメインおよび共刺激細胞内シグナル伝達ドメインの少なくとも1つは、TNFR2膜貫通ドメインもしくはその断片もしくはバリアント、またはTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインもしくはその断片もしくはバリアントである。
【0537】
いくつかの実施形態では、本組成物は、冷凍され、解凍されている。
【0538】
本発明の別の目的は、本明細書に記載の少なくとも1つの免疫細胞または集団、および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む、それからなる、または本質的にそれらからなる医薬組成物である。
【0539】
本発明の別の目的は、本明細書に記載の少なくとも1つの免疫細胞集団を含むか、それからなるか、または本質的にそれからなる医薬品である。
【0540】
いくつかの実施形態では、医薬組成物または医薬品は、本明細書に記載の本発明の少なくとも1つの単離されたかつ/または実質的に精製された免疫細胞集団を含む。
【0541】
いくつかの実施形態では、医薬組成物または医薬品は、本明細書に記載の免疫細胞集団の組み合わせ(すなわち、本発明の少なくとも2つの別個の免疫細胞集団)を含む。
【0542】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物、医薬組成物または医薬品は、少なくとも第2の別個の免疫細胞集団をさらに含み、第2の免疫細胞集団の細胞は、抗原、抗原の断片、抗原のバリアント、またはそれらの混合物に特異的な第2の別個のCARを細胞表面上で発現する。いくつかの実施形態では、第2のCARは、一般的なヒトの食事からの食物抗原に特異的である。いくつかの実施形態では、第2のCARは、例えば、多発性硬化症関連抗原、関節関連抗原、眼関連抗原、ヒトHSP抗原、皮膚関連抗原または移植片拒絶反応またはGVHDに関与する抗原などの自己抗原に特異的である。いくつかの実施形態では、第2のCARは、吸入アレルゲン、摂取アレルゲン、または接触アレルゲンに特異的である。いくつかの実施形態では、第2のCARは、卵白アルブミン、MOG、II型コラーゲン、シトルリン化ビメンチン、シトルリン化II型コラーゲン、シトルリン化フィブリノーゲン、およびそれらの断片、バリアント、および混合物からなる群から選択される抗原に特異的である。
【0543】
いくつかの実施形態では、第2のCARは、卵白アルブミンまたはそれらの断片、バリアントまたは混合物に特異的である。いくつかの実施形態では、第2のCARは、MOGまたはそれらの断片、バリアントまたは混合物に特異的である。いくつかの実施形態では、第2のCARは、II型コラーゲンまたはそれらの断片、バリアントまたは混合物に特異的である。いくつかの実施形態では、第2のCARは、シトルリン化ビメンチン、シトルリン化II型コラーゲンまたはシトルリン化フィブリノーゲン、あるいはそれらの断片、バリアントおよび混合物に特異的である。いくつかの実施形態では、第2のCARは、HLA-A2またはそれらの断片、バリアントまたは混合物に特異的である。いくつかの実施形態では、第2のCARは、IL-23Rまたはそれらの断片、バリアントまたは混合物に特異的である。いくつかの実施形態では、第2のCARは、例えば、CD19、CD20、またはそれらの断片、バリアント、および混合物などのB細胞表面マーカーに特異的である。いくつかの実施形態では、第2のCARは、本明細書に記載の癌抗原またはその断片、バリアントまたは混合物に特異的である。
【0544】
いくつかの実施形態では、第2のCARは、感染した細胞を認識する。いくつかの実施形態では、第2のCARは、ウイルス抗原もしくはその断片、バリアント、もしくは混合物;細菌抗原またはその断片、バリアント、もしくは混合物;または真菌抗原もしくはその断片、バリアント、もしくは混合物に特異的である。
【0545】
いくつかの実施形態では、第2の免疫細胞集団の細胞は、細胞表面上でCARを発現し、CARの細胞外結合ドメインは、タンパク質またはその断片またはバリアント、例えば、自己抗原またはその断片またはバリアントである。
【0546】
いくつかの実施形態では、他の免疫細胞集団の細胞は、細胞表面上で、例えば、B細胞上で発現される自己抗体などの、自己抗体に特異的なCARを発現する。
【0547】
本明細書に記載の組成物および医薬品は、例えば、滅菌水、生理食塩水、中性緩衝生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水などの緩衝液;塩;抗生物質;等張剤;グルコース、マンノース、スクロース、デキストラン、およびマンニトールなどの炭水化物;ヒト血清アルブミンなどのタンパク質);ポリペプチド;グリシンおよびアルギニンなどのアミノ酸;抗酸化剤;EDTAまたはグルタチオンなどのキレート剤;アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム);および防腐剤を含んでもよい。組成物および医薬品は、Treg表現型および成長を支持する因子(例えば、IL-2およびラパマイシンまたはその誘導体)、抗炎症性サイトカイン(例えば、IL-10、TGF-β、およびIL-35)、および細胞療法用の他の細胞(例えば、癌治療用のCAR Tエフェクター細胞または再生治療用の細胞)をさらに含み得る。貯蔵および輸送のために、細胞は任意により凍結保存され得る。使用前に、細胞を解凍し、薬学的に許容される担体で希釈してもよい。
【0548】
本発明の組成物は、いくつかの実施形態では、静脈内投与用に製剤化される。
【0549】
いくつかの実施形態では、本発明のCARを発現する細胞は、TNFR2膜貫通ドメインまたはその断片またはバリアントなしに、かつ/またはTNFR2細胞内共刺激シグナル伝達ドメインまたはその断片またはバリアントなしにCARを発現する細胞と比較して、低下された持続性シグナル伝達を呈する。
【0550】
本明細書で使用される「持続性シグナル伝達」という用語は、抗原非依存性活性化のバックグランドを指す。
【0551】
持続性シグナル伝達を測定するための方法は、当業者に周知であり、これらに限定されないが、CAR発現細胞の代謝活性を測定すること、受容体によって認識される抗原による刺激がない場合に、細胞活性化の1つ以上の指標を測定すること、細胞加齢または細胞老化に関連する1つ以上の表現型の変化を測定すること、抗原刺激の不在下で細胞周期の進行を決定すること、および未修飾細胞のサイズと比較して、受容体を発現する細胞のサイズを測定することを含む。
【0552】
いくつかの実施形態では、TNFR2膜貫通ドメインもしくはその断片もしくはバリアントおよび/またはTNFR2細胞内共刺激シグナル伝達ドメインもしくはその断片もしくはバリアントを発現するCAR操作された免疫細胞は、試験Aの条件で測定した場合、TNFR2膜貫通ドメインもしくはその断片もしくはバリアントおよび/またはTNFR2細胞内共刺激ドメインもしくはその断片もしくはバリアントを発現しないCAR操作された免疫細胞と比較して、低下された持続性シグナル伝達を有する。
試験A:
【0553】
T細胞活性化の指標を使用して、持続性シグナル伝達を測定する。試験Aの条件において、CD69陽性細胞のレベルを、本発明のCARの活性化の前および後の細胞集団において測定する。活性化アッセイを、免疫細胞培養の9日目に実施する。簡潔に言えば、0.05x10の免疫細胞を、最終容量200μLで96Uの底プレートに、単独でまたは抗CD28/抗CD3コーティングビーズの存在下(1:1の免疫細胞対ビーズ比)で、もしくは新鮮な解凍自家B細胞(免疫細胞対B細胞の比率が1:1)の存在下で播種する。37℃、5%CO2で24時間後に、細胞をCD69および特定の免疫細胞集団に関連するマーカー(B細胞の場合はCD19、T細胞の場合はCD4またはCD8など)について染色し、次いでフローサイトメトリーを使用して分析する。非形質導入細胞と比較して、本明細書に記載のCAR(例えば、TNFR2膜貫通ドメインもしくはその断片もしくはバリアント、および/またはTNFR2細胞内共刺激シグナル伝達ドメインもしくはその断片もしくはバリアントを含む)を発現する細胞によるCD69自発的発現(いかなる抗原シミュレーションもないことを意味する)を監視することにより、持続性シグナル伝達の強度を決定できる。TNFR2膜貫通またはTNFR2細胞内共刺激シグナル伝達ドメインを含まないCARにより形質導入された細胞を、対照として使用する。
【0554】
いくつかの実施形態では、本発明のCAR構築物は、低下された持続性シグナル伝達を有する操作免疫細胞を産生するために使用され得る。いくつかの実施形態では、本発明は、低下された持続性シグナル伝達を有する操作された免疫細胞(すなわち、CARを発現する細胞)を産生する方法を提供する。現在利用可能なCAR構築物、特にCARエフェクター分野で使用されるものは多くの場合、高持続性シグナル伝達に関連しており、CAR操作された細胞の効力を制限する。実際に、そのような持続性シグナル伝達は、CAR操作された細胞の構成的活性化に関連しており、それらの早期の消耗または死さえももたらす。本発明のCAR構築物(TNFR2膜貫通ドメインもしくはその断片もしくはバリアント、および/またはTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインもしくはその断片もしくはバリアントを含む)は、細胞の持続性シグナル伝達および構成的活性化の低下をもたらす。

治療用途
【0555】
本発明は、それを必要とする対象における1つ以上の疾患、障害、症状、または状態を治療するための方法を提供し、本方法は、本明細書に記載のとおり、CAR操作された免疫細胞または組成物を対象に投与することを含む。本発明はまた、医薬品としての使用のための、本明細書に記載の少なくとも1つの免疫細胞集団(例えば、本明細書に記載の組成物、医薬組成物、または医薬品中において)を提供する。本発明はまた、医薬品の調製物中での使用のための、本明細書に記載の少なくとも1つの免疫細胞集団(例えば、本明細書に記載の組成物、医薬組成物、または医薬品中において)を提供する。本発明の操作免疫細胞により治療され得る疾患としては、これらに限定されないが、炎症性疾患、自己免疫疾患、アレルギー性疾患、臓器移植状態、癌および感染症が挙げられる。
【0556】
いくつかの実施形態では、それを必要とする対象における疾患または障害を治療するための方法は、本明細書に記載の少なくとも1つの免疫細胞集団、例えば、操作された調節性免疫細胞集団(Treg細胞集団など)を対象に投与することを含み、疾患または障害は、炎症性疾患、自己免疫疾患、アレルギー性疾患、または臓器移植状態である。ある実施形態では、疾患または障害は、移植片拒絶反応または移植片対宿主病である。
【0557】
いくつかの実施形態では、それを必要とする対象において疾患または障害を治療するための方法は、本明細書に記載の少なくとも1つの免疫細胞集団、例えば、操作エフェクター免疫細胞集団(Treg細胞集団など)を対象に投与することを含み、疾患または障害は、癌または感染症である。
【0558】
いくつかの実施形態では、それを必要とする対象において疾患または障害を治療するための方法は、本明細書に記載の少なくとも1つの免疫細胞集団、例えば、操作されたエフェクター免疫細胞集団(例えば、Treg細胞集団)を対象に投与することを含み、対象は、疾患または障害のための遺伝子治療(例えば、AAVベースの遺伝子療法)を必要としている。
【0559】
いくつかの実施形態では、方法は細胞療法である。
【0560】
いくつかの実施形態では、細胞療法は自家である。
【0561】
いくつかの実施形態では、細胞療法は異種である。
【0562】
いくつかの実施形態では、細胞療法は同種である。
【0563】
いくつかの実施形態では、方法は、遺伝子治療法であり、本明細書に記載の核酸またはベクターの投与を伴う。
1.炎症性疾患
【0564】
いくつかの実施形態では、本発明のCAR操作された免疫細胞は、それを必要とする対象における1つ以上の炎症性疾患、障害、症状、または状態の治療において使用され得る。ある実施形態では、本発明のCAR操作された免疫細胞は、この文脈において免疫寛容を促進するために使用され得る。本発明は、それを必要とする対象における炎症性疾患または障害を治療する方法を提供し、本方法は、本明細書に記載のとおり、治療有効量の少なくとも1つの免疫細胞集団を投与することを含む。本発明はまた、炎症性疾患または障害の治療における使用のための、本明細書に記載の少なくとも1つの免疫細胞集団(例えば、本明細書に記載の組成物、医薬組成物または医薬品)に関する。本発明はまた、炎症性疾患または障害を治療するための医薬品の調製物における使用のための、本明細書に記載の少なくとも1つの免疫細胞集団(例えば、本明細書に記載の組成物、医薬組成物または医薬品)に関する。
【0565】
「炎症性障害」および「炎症性疾患」という用語は互換的に使用され、本明細書で使用される場合、炎症に関連する任意の異常を指す。
【0566】
いくつかの実施形態では、炎症状態は、炎症性疾患および感染症に関連するまたは癌に関連する炎症を含む。
【0567】
いくつかの実施形態では、炎症状態は、炎症性疾患および自己免疫疾患に関連する炎症を含む。
【0568】
炎症性疾患、障害または状態の例としては、これらに限定されないが、関節炎、関節リウマチ、強直性脊椎炎、変形性関節症、乾癬性関節炎、若年性特発性関節炎、若年性関節リウマチ、尿酸塩関節炎、痛風、慢性多発性関節炎、肩関節周囲炎、頸部関節炎、腰仙関節炎、腸炎性関節炎および強直性脊椎炎、喘息、皮膚炎、乾癬、強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎、若年性皮膚筋炎、原発性胆汁性肝硬変、線維症、嚢胞性線維症、肺線維症、肝硬変、心内膜心筋線維症、dediastinal線維症、骨髄線維症、後腹膜線維症、腎性線維症、ケロイド、強皮症、関節線維症、移植後の遅発性および慢性の固形臓器拒絶反応、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、天疱瘡、尋常性天疱瘡、疱疹状天疱瘡、増殖性天疱瘡、IgA天疱瘡、紅斑性天疱瘡、水疱性類天疱瘡、妊娠性類天疱瘡、粘膜皮膚病、結節性類天疱瘡、線状IgA水疱性皮膚症、水疱性扁平苔癬、後天性表皮水疱症、自己免疫性糖尿病、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性血管症、眼の炎症、ブドウ膜炎、鼻炎、虚血-再灌流障害、血管形成術後の再狭窄、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、糸球体腎炎、バセドウ病、胃腸アレルギー、結膜炎、アテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患、狭心症、小動脈疾患、急性散在性脳脊髄炎、特発性血小板減少性紫斑病、多発性硬化症、全身性硬化症、抗リン脂質抗体症候群、シェーグレン症候群、自己免疫性溶血性貧血、大腸炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患(IBD)、塞栓症、肺塞栓症、動脈塞栓症、静脈塞栓症、アレルギー性炎症、循環器疾患、移植関連疾患、移植片対宿主病(GVHD)、移植片移植拒絶反応に関連する障害、慢性拒絶反応、および組織または細胞の同種移植片または異種移植片、自己免疫疾患、外傷後の変性、脳卒中、移植拒絶反応、アレルギー状態および過敏症、例えば、アレルギー性鼻炎、アレルギー性湿疹など、皮膚疾患、皮膚の炎症性疾患、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0569】
皮膚病の例としては、これらに限定されないが、ざ瘡;日光角化症;アトピー性皮膚炎;接触性皮膚炎;褥瘡性潰瘍(床ずれ);湿疹;紅皮症;血管腫、例えば、小児血管腫;肥厚性瘢痕;扁平苔癬;苔癬様発疹;リンパ管新生;乾癬;化膿性肉芽腫;伝染性軟属腫;神経線維腫症;酒さ様皮膚炎;劣性ジストロフィー表皮水疱症;傷跡(ケロイド);強皮症;脂漏性角化症;血管肉腫、基底細胞癌、血管内皮腫、カポジ肉腫、悪性黒色腫、黒色腫、扁平上皮癌などの皮膚癌;皮膚潰瘍;自家移植および同種移植などの植皮後の皮膚の損傷;スティーブンス・ジョンソン症候群および中毒性表皮壊死症;スタージーウェーバー症候群;結節性硬化症;静脈性潰瘍;尋常性疣贅;疣贅、例えば、ウイルス性疣贅;創傷;などが挙げられる。
【0570】
皮膚の炎症性疾患の例としては、これらに限定されないが、乾癬、滴状乾癬、反対型乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、急性熱性好中球性皮膚症、湿疹、皮脂欠乏性湿疹、異汗性湿疹、汗疱状湿疹(vesicular palmoplanar eczema)、尋常性ざ瘡、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、皮膚筋炎、剥脱性皮膚炎、手湿疹、汗疱、酒さ様皮膚炎、サルコイドーシスによって引き起こされる酒さ、強皮症によって引き起こされる酒さ、スウィート症候群によって引き起こされる酒さ、全身性エリテマトーデスによって引き起こされる酒さ、蕁麻疹による酒さ、帯状疱疹に伴う痛みによって引き起こされる酒さ、スウィート病、好中球性汗腺炎、無菌性膿疱症、薬疹、脂漏性皮膚炎、ばら色粃糠疹、皮膚菊池病、掻痒性蕁麻疹および妊娠性痒疹、スティーブンス・ジョンソン症候群および中毒性表皮壊死、入墨反応、ウェルズ症候群(好酸球性蜂巣炎)、反応性関節炎(ライター症候群)、腸関連皮膚症-関節炎症候群、リウマチ性好中球性皮膚症、好中球性エクリン汗腺炎、背側の好中球性皮膚症、プラズマ細胞性周囲炎、亀頭包皮炎、ベーチェット病、遠心性環状紅斑、色素異常性固定紅斑、多形紅斑、環状肉芽腫、手湿疹、光沢苔癬、扁平苔癬、硬化性苔癬および萎縮性苔癬、慢性単純性苔癬、棘状苔癬、貨幣状湿疹、壊疽性膿皮症、サルコイドーシス、角層下膿疱症、蕁麻疹、および一過性棘融解性皮膚症が挙げられる。

2.自己免疫疾患
【0571】
いくつかの実施形態では、本発明のCAR操作された免疫細胞は、それを必要とする対象における1つ以上の自己免疫疾患、障害、症状、または状態の治療において使用され得る。ある実施形態では、本発明のCAR修飾免疫細胞は、この文脈において免疫寛容を促進するために使用され得る。したがって、本発明は、それを必要とする対象における自己免疫疾患を治療する方法を提供し、本方法は、本明細書に記載のとおり、治療有効量の少なくとも1つの免疫細胞集団を投与することを含む。本発明はまた、自己免疫疾患の治療における使用のための、本明細書に記載の少なくとも1つの免疫細胞集団(例えば、本明細書に記載の組成物、医薬組成物、または医薬品中において)を提供する。本発明はまた、自己免疫疾患を治療するための医薬品の製造における使用のための、本明細書に記載の少なくとも1つの免疫細胞集団(例えば、本明細書に記載の組成物、医薬組成物、または医薬品中において)を提供する。
【0572】
自己免疫疾患の例としては、これらに限定されないが、狼瘡(例えば、エリテマトーデス、ループス腎炎、など)、橋本甲状腺炎、原発性粘液水腫、バセドウ病、悪性貧血、自己免疫性萎縮性胃炎、アディソン病、糖尿病(例えば、インスリン依存性糖尿病、I型糖尿病、II型糖尿病、など)、グッドパスチャー症候群、重症筋無力症、天疱瘡、クローン病、交感性眼炎、自己免疫性ブドウ膜炎、多発性硬化症、自己免疫性溶血性貧血、特発性血小板減少症、原発性胆汁性肝硬変、慢性作用型肝炎、潰瘍性大腸炎、シェーグレン症候群、リウマチ性疾患(例えば、関節リウマチ)、多発性筋炎、強皮症、乾癬、混合性結合組織病などが挙げられる。
3.アレルギー性疾患
【0573】
いくつかの実施形態では、本発明のCAR操作された免疫細胞は、それを必要とする対象における1つ以上のアレルギー性疾患、障害、症状、または状態の治療において使用され得る。ある実施形態では、本発明のCAR修飾免疫細胞は、この文脈において免疫寛容を促進するために使用され得る。したがって、本発明は、それを必要とする対象におけるアレルギー性疾患、障害、症状、または状態を治療する方法を提供し、本方法は、本明細書に記載のとおり、治療有効量の少なくとも1つの免疫細胞集団を投与することを含む。本発明はまた、アレルギー性疾患、障害、症状、または状態の治療における使用のための、本明細書に記載の少なくとも1つの免疫細胞集団(例えば、本明細書に記載の組成物、医薬組成物、または医薬品中において)を提供する。本発明はまた、アレルギー性疾患、障害、症状、または状態を治療するための医薬品の製造における使用するための、本明細書に記載の少なくとも1つの免疫細胞集団(例えば、本明細書に記載の組成物、医薬組成物、または医薬品中において)を提供する。
【0574】
アレルギー性疾患の例としては、これらに限定されないが、吸入アレルゲン、摂取アレルゲン、または接触アレルゲンに対するアレルギー性疾患が挙げられる。アレルギー性疾患の他の例としては、これらに限定されないが、アレルギー性喘息、過敏性肺疾患、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性鼻結膜炎、慢性蕁麻疹、遅延型過敏症障害および系統的アナフィラキシーが挙げられる。
4.移植
【0575】
いくつかの実施形態では、本発明のCAR操作された免疫細胞は、臓器または組織移植に関連する1つ以上の疾患、障害、症状、または状態(例えば、臓器または組織の拒絶反応/機能不全、GVHD、および/またはそれらに関連する状態)の治療ににおいて使用できる。移植片拒絶反応は、免疫応答を介するレシピエントの免疫細胞によるドナーの移植組織の破壊を伴う。免疫応答もGVHDに関与するが、この場合、レシピエントの組織は、移植によりレシピエントに移されたドナーの免疫細胞により破壊される。したがって、CARを介した免疫細胞の再方向付けおよび活性化は、移植レシピエントにおける免疫エフェクター細胞によるミスマッチ細胞および/または組織の拒絶を抑制する方法、またはGVHDの場合に移植された免疫担当細胞の病原性作用を阻害する方法をもたらす。いくつかの実施形態では、ミスマッチ細胞および/または組織は、HLA-A2ミスマッチの細胞および/または組織を含む。本発明のCAR修飾免疫細胞は、特に臓器移植後または組織移植後の、対象における免疫寛容、操作上の寛容、および/または免疫順応を促進するために使用され得る。したがって、本発明は、対象における免疫寛容、操作上の寛容、および/または免疫順応を促進する方法を提供し、この方法は、本明細書に記載のとおり、CAR操作された免疫細胞または医薬組成物を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、対象の移植された臓器または組織に対する免疫寛容、操作上の寛容、および/または免疫順応を促進するためのものであり得る。本発明はまた、対象における移植された臓器または組織に対する免疫寛容、操作上の寛容、および/または免疫順応を促進することにおける、または対象における移植された臓器または組織に対する使用のための本明細書に記載の少なくとも1つの免疫細胞集団(例えば、本明細書に記載の組成物、医薬組成物または医薬品)を提供する。本発明はまた、対象における移植された臓器または組織に対する免疫寛容、操作上の寛容、および/または免疫順応を促進するための医薬品の製造における、または対象における移植された臓器または組織に対する使用のための本明細書に記載の少なくとも1つの免疫細胞集団(例えば、本明細書に記載の組成物、医薬組成物または医薬品)を提供する。
【0576】
いくつかの実施形態では、本発明のCAR免疫細胞(例えば、CAR操作されたTreg細胞)は、臓器または組織の移植と同時に、その前に、またはその後に投与される。
【0577】
いくつかの実施形態では、本発明のCAR操作された免疫細胞(例えば、CAR操作されたTreg細胞)は、移植された臓器または組織の拒絶反応を予防するかまたは治療するために使用され得る。移植された臓器または組織の拒絶の例としては、これらに限定されないが、移植された臓器または組織の超急性拒絶反応、および移植された臓器または組織の抗体媒介性拒絶反応が挙げられる。
【0578】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、移植された臓器または組織に暴露された対象に、本発明のCAR操作された免疫細胞(例えば、CAR操作されたTreg細胞)を投与することを含む。
【0579】
いくつかの実施形態では、移植された臓器または組織は、骨髄移植、臓器移植、輸血、または対象に意図的に導入された他の任意の外来組織または細胞を包含し得る。
【0580】
いくつかの実施形態では、本発明のCAR操作された免疫細胞(例えば、CAR操作されたTreg細胞)は、これらに限定されないが、同種移植片拒絶反応または異種移植片拒絶反応を含む、移植後の移植片拒絶反応を阻害するための療法として使用され得る。
【0581】
本発明の別の目的は、対象における臓器または組織移植片拒絶反応を予防するかまたは治療する方法であり、方法は、本発明のCAR操作された免疫細胞(例えば、CAR操作されたTreg細胞)、または本免疫細胞を含む医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0582】
本発明の別の目的は、対象における移植片生存の期間を延長させる方法であり、方法は、本発明のCAR操作された免疫細胞(例えば、CAR操作されたTreg細胞)、または同細胞を含む医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0583】
いくつかの実施形態では、この方法は、1週間、2週間、3週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、11ヶ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、8年間、9年間、10年間、20年間、30年間、40年間、50年間、60年間、70年間、80年間、90年間、100年間の、または対象の生涯の移植片生存期間をもたらす。
【0584】
いくつかの実施形態では、本発明の免疫細胞または組成物の投与は、対象が受ける免疫抑制剤療法の量の減少を可能にする。いくつかの実施形態では、対象は、免疫抑制剤療法を必要としない、かつ/または本療法を受けていない。
【0585】
いくつかの実施形態では、移植片は同種移植片である。いくつかの実施形態では、移植片は、レシピエントへの移植片の移植と同時に、その前に、またはその後に、本発明のCAR操作された免疫細胞(例えば、CAR操作されたTreg細胞)に暴露され得る。いくつかの実施形態では、臓器または組織移植は、心臓、心臓弁、肺、腎臓、肝臓、膵臓、腸、皮膚、血管、骨髄、幹細胞、骨、または膵島細胞であり得る。しかし、本発明は、特定の種類の移植に限定されない。
【0586】
いくつかの実施形態では、ドナー移植は、レシピエントに対する移植片の免疫原性を低下させるために、レシピエントへの移植前に臓器または組織移植片を本発明のCAR操作された免疫細胞により治療することにより「プレコンディショニングされ」または「前処理され」てよく、それにより、または移植片拒絶反応を低減させるかまたは防ぐ。
【0587】
いくつかの実施形態では、移植宿主またはレシピエントは、HLA-A2陰性である。いくつかの実施形態では、移植宿主またはレシピエントはHLA-A2陰性であり、HLA-A25、HLA-A29およびHLA-A30からなる群から選択されるHLA-Aサブタイプについて陽性である。
【0588】
いくつかの実施形態では、移植はHLA-A2陽性である。
【0589】
いくつかの実施形態では、本発明のCAR操作された免疫細胞(例えば、CAR操作Treg細胞)は、移植片対宿主病(GVHD)を予防するかまたは治療するために使用され得る。ある実施形態では、GVHDは、造血幹細胞移植後に発生し得る。いくつかの実施形態では、本方法は、移植された臓器または組織に暴露された対象に、本発明のCAR操作された免疫細胞(例えば、CAR操作Treg細胞)を投与することを含む。いくつかの実施形態では、移植された臓器または組織は、骨髄移植、臓器移植、輸血、または対象に意図的に導入された他の任意の外来組織または細胞を包含し得る。例えば、GVHDは、心臓、心臓弁、肺、腎臓、肝臓、膵臓、腸、皮膚、血管、骨髄、幹細胞、骨、または膵島細胞の移植後に発生し得る。しかし、本発明は、特定の種類の移植に限定されない。
【0590】
本発明の別の目的は、対象における移植片対宿主病(GVHD)を予防するかまたは治療する方法であり、本方法は、CAR操作された免疫細胞(例えば、CAR操作Treg細胞)または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0591】
いくつかの実施形態では、本発明は、ドナー移植片、例えば、生体適合性格子またはドナー組織、臓器または細胞を、レシピエントへの移植片の移植と同時に、その前に、またはその後に、本発明のCAR操作された免疫細胞(例えば、CAR操作Treg細胞)と接触させる方法を提供する。
【0592】
いくつかの実施形態では、本発明のCAR操作された免疫細胞(例えば、CAR操作Treg細胞)を使用して、ドナー移植によるレシピエントに対する有害応答を改善するか、阻害するかまたは低減させて、それによってGVHDを予防するかまたは治療してもよい。
【0593】
本発明の別の目的は、対象におけるGVHDの発症を予防するかまたは遅延させる方法であり、本方法は、CAR操作された免疫細胞(例えば、CAR操作Treg細胞)または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0594】
いくつかの実施形態では、GVHDの発症は、1週間、2週間、3週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、11ヶ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、8年間、9年間、10年間、20年間、30年間、40年間、50年間、60年間、70年間、80年間、90年間、100年間、または対象の生涯の間遅延される。
【0595】
いくつかの実施形態では、本発明の免疫細胞または組成物の投与は、対象が受ける免疫抑制剤療法の量の減少を可能にする。いくつかの実施形態では、対象は、免疫抑制剤療法を必要としない、かつ/または本療法を受けていない。
【0596】
いくつかの実施形態では、GVHDは、急性GVHDまたは慢性GVHDであり得る。
【0597】
いくつかの実施形態では、ドナー移植は、レシピエントに対する移植片の免疫原性を低下させるために、レシピエントへの移植前に移植片を本発明のCAR操作免疫細胞に(例えば、CAR操作Treg細胞)より処理することにより「プレコンディショニングされ」または「前処理され」てよく、それにより移植片拒絶反応を低減させるかまたは防ぐ。いくつかの実施形態では、移植に関連し得るT細胞を活性化するために、移植前に移植片をレシピエントからの細胞または組織と接触させてもよい。レシピエントからの細胞または組織による移植片の治療後に、細胞または組織を移植片から除去してもよい。次に、処理された移植片を本発明のCAR操作免疫細胞(例えば、CAR操作Treg細胞)と接触させて、レシピエントの細胞または組織による処理により活性化された免疫エフェクター細胞の活性を低減するか、阻害するかまたは排除することができる。この処理後に、CAR操作免疫細胞は、レシピエントへの移植の前に移植から除去され得る。しかし、一部のCAR操作免疫細胞は、移植片に付着し得るため、移植片と共にレシピエントに導入され得る。この状況で、レシピエントに導入されたCAR操作免疫細胞は、移植に関連する細胞によって引き起こされるレシピエントに対する免疫応答を抑制し得る。
【0598】
いくつかの実施形態では、移植宿主またはレシピエントは、HLA-A2陰性である。いくつかの実施形態では、移植宿主またはレシピエントはHLA-A2陰性であり、HLA-A25、HLA-A29およびHLA-A30からなる群から選択されるHLA-Aサブタイプについて陽性である。
【0599】
いくつかの実施形態では、移植はHLA-A2陽性である。
【0600】
免疫細胞は、任意の供給源から入手できる。例えば、いくつかの実施形態では、免疫細胞は、本発明のCAR修飾免疫細胞の生成のために、組織ドナー、移植レシピエント、またはそうでなければ関係のない供給源(例えば、異なる個体または種全体)から得られ得る。したがって、本発明のCAR修飾免疫細胞は、移植レシピエントに対して、または他の点では関係のない供給源から、自家、同種、または異種であり得る。いくつかの実施形態では、CAR修飾免疫細胞は、CAR-Treg細胞であり、移植レシピエントに対して自家、同種、または異種であり得る。いくつかの実施形態では、CAR-Treg細胞は、移植レシピエントに対して自家であり得る。
5.癌
【0601】
いくつかの実施形態では、本発明のCAR操作免疫細胞は、それを必要とする対象における1つ以上の癌の治療で使用され得る。ある実施形態では、本発明のCAR操作免疫細胞は、癌細胞に対する特定の免疫応答を促進するために使用され得る。したがって、本発明は、それを必要とする対象において癌を治療する方法を提供し、本方法は、本明細書に記載のとおり、治療有効量の少なくとも1つの免疫細胞集団を投与することを含む。本発明はまた、癌の治療における使用のための、本明細書に記載の少なくとも1つの免疫細胞集団(例えば、本明細書に記載の組成物、医薬組成物、または医薬品中において)を提供する。本発明はまた、癌を治療するための医薬品の製造における使用のための、本明細書に記載の少なくとも1つの免疫細胞集団を提供する(例えば、本明細書に記載の組成物、医薬組成物、または医薬品中において)。
【0602】
本明細書で使用される場合、「癌」は、表面抗原または癌マーカーに関連する任意の癌であり得る。
【0603】
癌の例としては、これらに限定されないが、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、腺様嚢胞癌、副腎皮質、癌腫、エイズ関連癌、肛門癌、虫垂癌、星状細胞腫、異型奇形/ラブドイド腫瘍、B細胞白血病、リンパ腫または他のB細胞悪性腫瘍、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、骨肉腫および悪性線維性組織球腫、脳幹神経膠腫、脳腫瘍、乳癌、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、中枢神経系癌、子宮頸癌、脊索腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄増殖性疾患、大腸癌、結腸直腸癌、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、胚性腫瘍、子宮内膜癌、上胚葉腫、上衣腫、食道癌、鼻腔神経芽細胞腫、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管癌、骨および骨肉腫の眼癌線維性組織球腫、胆嚢癌、胃(胃)癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、軟部肉腫、胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍、神経膠腫、有毛細胞白血病、頭頸部癌、心臓ガン、肝細胞(肝)癌、組織球増殖症、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、眼内黒色腫、膵島細胞腫瘍(内分泌膵臓)、カポジ肉腫、腎癌、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭癌、白血病、口唇および口腔癌、肝癌(原発性)、非浸潤性小葉癌(LCIS)、肺癌、リンパ腫、マクログロブリン血症、男性の乳癌、骨悪性線維性組織球腫、髄芽腫、髄上皮腫、黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫、原発不明転移性扁平上皮性頸部癌(metastatic squamous neck cancer with occult primary)、NUT遺伝子が関連する正中線管癌(midline tract carcinoma involving NUT gene)口腔癌、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫/形質細胞新生物、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍、骨髄性白血病、慢性(CML)骨髄性白血病、急性骨髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫、骨髄増殖性疾患、鼻腔および副鼻腔癌、鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、口癌(oral cancer)、口腔癌、口腔咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、乳頭腫症、傍神経節腫、副鼻腔および鼻腔癌、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、褐色細胞腫、中間分化型松果体実質腫瘍、松果体芽細胞腫およびテント上原始神経外胚葉性腫瘍、下垂体腫瘍、形質細胞新生物/多発性骨髄腫、胸膜肺芽腫および乳癌、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞(腎)癌、腎盂と尿管、移行上皮癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、肉腫、セザリー症候群、小細胞肺癌、小腸癌、軟部肉腫、扁平上皮癌、扁平上皮癌、胃(胃)癌、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、T細胞リンパ腫、皮膚癌、精巣癌、咽喉癌、胸腺腫および胸腺癌、甲状腺癌、腎盂と尿管の移行上皮癌、絨毛性腫瘍、尿管および腎盂癌、尿道癌、子宮癌、子宮肉腫、膣癌、外陰癌、ワルデンストレームマクログロブリン血症、ならびにウィルムス腫瘍が挙げられる。
【0604】
いくつかの態様では、癌は、B細胞悪性腫瘍である。B細胞悪性腫瘍の例としては、これらに限定されないが、非ホジキンリンパ腫(NHL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL/CLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、節外(例えば、MALT)リンパ腫、節性(例えば、単球様B細胞)リンパ腫、脾臓リンパ腫、びまん性大細胞リンパ腫、B細胞慢性リンパ性白血病/リンパ腫、バーキットリンパ腫およびリンパ芽球性リンパ腫が挙げられる。
6.感染症
【0605】
いくつかの実施形態では、本発明のCAR操作免疫細胞は、それを必要とする対象における1つ以上の感染症、障害、症状、または状態の治療において使用され得る。ある実施形態では、本発明のCAR修飾免疫細胞は、この文脈において免疫寛容を促進するために使用され得る。いくつかの実施形態では、本発明は、それを必要とする対象における感染症を治療する方法を提供し、本方法は、本明細書に記載のとおり、治療有効量の少なくとも1つの免疫細胞集団を投与することを含む。本発明はまた、感染症の治療における使用のための、本明細書に記載の少なくとも1つの免疫細胞集団を提供する(例えば、本明細書に記載の組成物、医薬組成物、または医薬品中において)。本発明はまた、感染症を治療するための医薬品の製造における使用のために、本明細書に記載の少なくとも1つの免疫細胞集団を提供する(例えば、本明細書に記載の組成物、医薬組成物、または医薬品中において)。
【0606】
いくつかの実施形態では、感染症はウイルス感染症である。本明細書で使用されるとき、「ウイルス感染症」は、宿主に疾患または病理学的状態を引き起こす任意のウイルスによって引き起こされる感染症であり得る。
【0607】
ウイルス感染症の例としては、これらに限定されないが、エプスタインバーウイルス(EBV)によって引き起こされるウイルス感染、A型肝炎ウイルスによって引き起こされるウイルス感染、B型肝炎ウイルスまたはC型肝炎ウイルス;単純ヘルペス1型ウイルス、単純ヘルペス2型ウイルスによって引き起こされるウイルス感染、または単純ヘルペス8型ウイルス;サイトメガロウイルス(CMV)によって引き起こされるウイルス感染;ヒト免疫不全ウイルス(HIV)によって引き起こされるウイルス感染;インフルエンザウイルスによって引き起こされるウイルス感染;麻疹またはムンプスウイルスによって引き起こされるウイルス感染;ヒトパピローマウイルス(HPV)によって引き起こされるウイルス感染症。パラインフルエンザウイルスによって引き起こされるウイルス感染;風疹ウイルスによって引き起こされるウイルス感染;呼吸器合胞体ウイルス(RSV)によって引き起こされるウイルス感染;または水痘帯状疱疹ウイルスによって引き起こされるウイルス感染が挙げられる。いくつかの態様では、ウイルス感染は、ウイルス感染を有する対象において癌の発症を導くかまたはもたらす可能性がある(例えば、HPV感染は、頸部癌、外陰癌、膣癌、陰茎癌、肛門癌、口腔咽頭癌などのいくつかの癌の発症を引き起こすか、または関連し得、HIV感染は、カポジ肉腫の発症を引き起こし得る)。
【0608】
いくつかの実施形態では、感染症は、細菌感染症である。本明細書で使用されるとき、「細菌感染症」は、宿主に疾患または病理学的状態を引き起こす任意の細菌によって引き起こされる感染症であり得る。
【0609】
細菌感染症の例としては、これらに限定されないが、肺炎、中耳炎、副鼻腔炎、気管支炎、肺炎レンサ球菌による感染に関連する扁桃炎および乳様突起炎、インフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリス、黄色ブドウ球菌またはペプトストレプトコッカス属;咽頭炎、化膿レンサ球菌による感染によって引き起こされるリウマチ熱および糸球体腎炎、C群およびG群溶連菌、ClostridiumdiptheriaeまたはActinobacillushaemolyticum;肺炎連鎖球菌による感染に関連する気道感染症、レジオネラニューモフィラ、肺炎連鎖球菌、インフルエンザ菌、またはクラミジア肺炎;複雑でない皮膚および軟部組織感染症、ボイル、黄色ブドウ球菌による感染に関連する骨髄炎および産褥熱、コアグラーゼ陽性ブドウ球菌(例えば、表皮ブドウ球菌、ブドウ球菌など)、化膿レンサ球菌、B群溶血性連鎖球、化膿レンサ球菌グループCF(マイクロコロニー連鎖球菌)、緑色連鎖球菌、コリネバクテリウムミヌチシマム(Corynebacterium minutissimum)、クロストリジウム属、またはバルトネラヘンセラエ;合併症のない急性尿路感染症;スタフィロコッカス・サプロフィティカスまたはエンテロコッカス属による感染に関連する尿道炎および子宮頸管炎;クラミジア・トラコマチスによる感染に関連する性感染症、軟性下疳菌、梅毒トレポネーマ、ウレアプラズマ・ウレアリチカム、または淋菌;黄色ブドウ球菌による感染に関連する毒性疾患(食中毒および毒素性ショック症候群)、A群、B群およびC群連鎖球菌;ヘリコバクターピロリによる感染に関連する潰瘍;回帰熱ボレリアによる感染に関連する全身性発熱症候群;ボレリアブルグドルフェリによる感染に関連するライム病;結膜炎、クラミジア・トラコマチスによる感染に関連する角膜炎および涙嚢炎、ナイセリア淋菌、黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、化膿レンサ球菌、H.インフルエンザ菌またはリステリア属;マイコバクテリウムアビウムによる感染に関連するびまん性マイコバクテリウムアビウム症候群(MAC)疾患、マイコバクテリウムイントラセルラーレ;カンピロバクタージェジュニによる感染に関連する胃腸炎;緑色連鎖球菌による感染に関連する歯科感染;百日咳菌による感染に伴う持続性の咳;ウェルシュ菌またはバクテロイデス属による感染に関連するガス壊疽;ヘリコバクターピロリまたはクラミジア肺炎による感染を伴うアテローム性動脈硬化症が挙げられる。ある実施形態では、細菌感染は、例えば、エシェリキア属、リステリア属、サルモネラ属、またはブドウ球菌属の細菌によって引き起こされ得る。
【0610】
いくつかの実施形態では、感染症は真菌感染症である。本明細書で使用されるとき、「真菌感染症」は、宿主に疾患または病理学的状態を引き起こす任意の真菌によって引き起こされる感染症であり得る。
【0611】
真菌によって引き起こされる感染症の例としては、これらに限定されないが、例えば、カンジダ・アルビカンス、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、アスペルギルス・フラバス、アスペルギルス・フミガーツス、コクシジオイデス、パラコクシジオイデス、ヒストプラズマまたはブラストプラズマによって引き起こされる局所、粘膜および/または全身性真菌感染症が挙げられる。他の例示的な真菌関連障害としては、動物(例えば、ヒト)における口腔カンジダ症、膣カンジダ症、アスペルギルス症、カンジダ症、クロモミコーシス症、コクシジウム症、クリプトコッカス症、エントモフトラ症、伝染性リンパ管炎、ゲオトリクム症、ヒストプラズマ症、ムコール症、マイセトーマ、北米ブラストミセス症、卵菌症、ペシロミセス属、ペニシリウム症、リノスポリジウム症、およびスポロトリクム症が挙げられる。
【0612】
いくつかの実施形態では、感染症は、寄生虫感染症である。本明細書で使用される場合、「寄生虫感染症」は、宿主に疾患または病理学的状態を引き起こす任意の原生動物、蠕虫、または外部寄生虫によって引き起こされる感染症であり得る。
【0613】
ヒトに感染する可能性のある原生動物の例としては、これらに限定されないが、エントアメーバ、ジアルジア、リーシュマニアバランティジム、マラリア原虫、クリプトスポリジウムが挙げられる。
【0614】
ヒトに感染する可能性のある蠕虫の例としては、これらに限定されないが、フィラリア症、オンコセルカ症、回虫症、鞭虫症、アメリカ鉤虫症、毛様線虫症、メジナ虫症、アライグマ回虫症、エキノコックス症、膜様条虫症、条虫症、嚢虫症、共尾虫症、双口吸虫症、肝吸虫症、肝蛭症、肝蛭症、肥大吸虫症、オピストルキス症、肺吸虫症、住血吸虫症、およびビルハルツ住血吸虫症が挙げられる。
【0615】
ヒトに感染する可能性のある外部寄生虫の例としては、これらに限定されないが、昆虫(六本足の節足動物)およびクモ類(八本足の節足動物)が挙げられる。
CARの投与
【0616】
本発明のCAR操作免疫細胞は、単独で、または本明細書に記載の医薬組成物として投与されてよい(例えば、希釈剤かつ/または他の成分(これらに限定されないが、IL-2または他のサイトカイン、または細胞集団)と組み合わせて)。
【0617】
本発明の医薬組成物は、エアロゾル吸入、注射、摂取、輸血、インプラントまたは移植など、任意の好適な方法で対象に投与されてよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、非経口投与によって対象に投与できる。ある実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、対象の皮下、皮内、腫瘍内、結節内、髄内、筋肉内、胸骨内、静脈内(i.v.)注射、注入技術、または腹腔内に投与できる。特定の実施形態では、本発明のCAR修飾免疫細胞組成物は、皮内注射または皮下注射によって対象に投与できる。いくつかの実施形態では、本発明のCAR修飾免疫細胞組成物は、i.v.注射によって投与できる。いくつかの実施形態では、CAR修飾免疫細胞組成物は、リンパ節、感染部位、炎症部位、または組織もしくは臓器拒絶反応の部位に直接注射できる。いくつかの実施形態では、CAR修飾免疫細胞組成物は、自己免疫疾患および/または炎症性疾患の部位に直接注射ができる。
【0618】
いくつかの実施形態では、対象は、自家細胞を投与される(または投与される予定である)。
【0619】
いくつかの実施形態では、対象は、同種細胞を投与される(または投与される予定である)。
【0620】
いくつかの実施形態では、対象は哺乳動物であり得る。特定の実施形態では、対象はヒトであり得る。
【0621】
本発明の医薬組成物は、予防されるかまたは治療される疾患に適切な方法で投与できる。投与の量および頻度は、対象の状態ならびに対象の疾患の種類および重症度などの要因により決定されるが、適切な投与量は、臨床試験により決定され得る。
【0622】
「有効量」または「治療量」が示される場合、投与される本発明の組成物の正確な量は、対象の年齢、体重、抗体価、および状態の個人差を考慮して決定され得る。本明細書に記載のCAR操作された免疫細胞を含む医薬組成物は、少なくとも1x10、1x10、1x10、1x10、1x10、1x10、1x10または1x10細胞/kg体重または1x10~100x10細胞/kg体重(これらの範囲内のすべての整数値を含む)の投与量で投与できると一般的に記述できる。CAR操作された免疫細胞組成物はまた、これらの投与量のいずれかまたはそれらの任意の組み合わせで複数回投与され得る。CAR操作された免疫細胞は、免疫療法において一般的に公知である注入技術を使用して投与できる。特定の対象に最適な投与量および治療レジメンは、対象の疾患の徴候を監視すること、およびそれに応じて治療を調整することにより容易に決定できる。
【0623】
いくつかの実施形態では、本発明のCAR操作された免疫細胞は、これらに限定されないが、抗ウイルス療法、化学療法(すなわち、化学療法剤)、アルキル化剤、放射線、免疫抑制剤、抗体、免疫除去剤、サイトカイン、照射および抗感染剤などの剤による治療など任意の数の関連する治療モダリティと組み合わせて(例えば、その前に、それと同時に、またはその後に)対象に投与され得る。
【0624】
いくつかの実施形態では、本発明のCAR操作された免疫細胞は、化学療法剤と組み合わせて投与できる。当技術分野で公知である任意の化学療法剤が使用され得る。化学療法剤の例としては、これらに限定されないが、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン(例えば、リポソームドキソルビシン))、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、またはビノレルビン)、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、デカルバジン、メルファラン、イホスファミド、またはテモゾロミド)、免疫細胞抗体(例、アレムツズマブ、ゲムツズマブ、リツキシマブ、オファツムマブ、トシツモマブ、またはブレンツキシマブ)、代謝拮抗剤(例えば、葉酸拮抗薬、ピリミジン類似体、プリン類似体およびアデノシンデアミナーゼ阻害剤(例えば、フルダラビン))、mTOR阻害剤、TNFR糖質コルチコイド誘発性TNFR関連タンパク質(GITR)アゴニスト、プロテアソーム阻害剤(例えば、アクラシノマイシンA、グリオトキシンまたはボルテゾミブ)、サリドマイドまたはサリドマイド誘導体などの免疫調節剤(例えば、レナリドマイド)が挙げられる。
【0625】
本発明の併用療法での使用が考えられる他の化学療法剤としては、これらに限定されないが、アナストロゾール(アリミデックス(登録商標))、ビカルタミド(カソデックス(登録商標))、ブレオマイシン硫酸塩(ブレノキサン(登録商標))、ブスルファン(マイレラン(登録商標))、ブスルファン注射(ブスルフェクス(登録商標))、カペシタビン(ゼローダ(登録商標))、N4-ペントキシカルボニル-5-デオキシ-5-フルオロシチジン、カルボプラチン(パラプラチン(登録商標))、カルムスチン(BiCNU(登録商標))、クロラムブシル(リューケラン(登録商標))、シスプラチン(プラチノール(登録商標))、クラドリビン(ロイスタチン(登録商標))、シクロホスファミド(サイトキサン(登録商標)またはネオサール(登録商標))、シタラビン、シトシンアラビノシド(サイトサール-U(登録商標))、シタラビンリポソーム注射(DepoCyt(登録商標))、ダカルバジン(DTIC-Dome(登録商標))、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD、Cosmegan)、ダウノルビシン塩酸塩(セルビジン(登録商標))、ダウノルビシンクエン酸塩リポソーム注射(DaunoXome(登録商標))、デキサメタゾン、ドセタキセル(タキソテール(登録商標))、ドキソルビシン塩酸塩(アドリアマイシン(登録商標)、Rubex(登録商標))、エトポシド(ベプシド(登録商標))、リン酸フルダラビン(フルダラ(登録商標))、5-フルオロウラシル(Adrucil(登録商標)、エフデックス(登録商標))、フルタミド(Eulexin(登録商標))、テザシチビン、ゲムシタビン(ジフルオロデオキシシチジン)、ヒドロキシ尿素(Hydrea(登録商標))、イダルビシン(イダマイシン(登録商標))、イホスファミド(IFEX(登録商標))、イリノテカン(カンプトサール(登録商標))、L-アスパラギナーゼ(エルスパー(登録商標))、ロイコボリンカルシウム、メルファラン(アルケラン(登録商標))、6-メルカプトプリン(プリントール(登録商標))、メトトレキサート(Folex(登録商標))、ミトキサントロン(ノバントロン(登録商標))、マイロターグ、パクリタキセル(タキソール(登録商標))、フェニックス(イットリウム90 / MX-DTPA)、ペントスタチン、カルムスチンインプラント(ギリアデル(登録商標))を使用したポリフェプロサン20、クエン酸タモキシフェン(ノルバデックス(登録商標))、テニポシド(ブモン(登録商標))、6-チオグアニン、チオテパ、チラパザミン(Tirazone(登録商標))、注射用トポテカン塩酸塩(ハイカムチン(登録商標))、ビンブラスチン(Velban(登録商標))、ビンクリスチン(オンコビン(登録商標))、およびビノレルビン(ナベルビン(登録商標))が挙げられる。
【0626】
本発明のCAR操作された免疫細胞は、化学療法剤の前に、後で、または同時に対象に投与できる。
【0627】
いくつかの実施形態では、本発明のCAR操作された免疫細胞は、アルキル化剤と組み合わせて投与できる。当技術分野において公知である任意のアルキル化剤を使用できる。アルキル化剤の例としては、これらに限定されないが、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン誘導体、アルキルスルホネート、ニトロソウレアとトリアゼン、ウラシルマスタード(アミノウラシルマスタード(登録商標)、クロレタミナシル(登録商標)、デメチルドパン(登録商標)、デスメチルドパン(登録商標)、ヘマンタミン(登録商標)、ノルドパン(登録商標)、ウラシル窒素マスタード(登録商標)、ウラシロスト(登録商標)、ウラシルモスターザ(登録商標)、ウラシルマスタード(登録商標)、およびウラムスチン(登録商標))、クロメチン(マスタージェン(登録商標))、シクロホスファミド(シトキサン(登録商標)、ネオサール(登録商標)、クラフェン(登録商標)、エンドキサン(登録商標)、プロサイトックス(登録商標)、およびレビミュン(商標))、イホスファミド(ミトキサーナ(登録商標))、メルファラン(アルケラン(登録商標))、クロラムブシル(ロイケラン(登録商標))、ピポブロマン(アメデール(登録商標)、バーサイト(登録商標))、トリエチレンメラミン(ヘメル(登録商標)、ヘキサレン(登録商標)、およびヘキサスタット(登録商標))、トリエチレンチオホスホラミン、テモゾロミド(テモダール(登録商標))、チオテパ(チオプレックス(登録商標))、ブスルファン(ブシルベックス(登録商標)およびミレラン(登録商標))、カルムスチン(BiCNU(登録商標))、ロムスチン(CeeNU(登録商標))、ストレプトゾシン(ザノサール(登録商標))、およびダカルバジン(DTIC-Dome(登録商標))が挙げられる。追加の例示的なアルキル化剤としては、これらに限定されないが、オキサリプラチン(エロキサチン(登録商標));テモゾロミド(Temodar(登録商標)およびTemodal(登録商標));ダクチノマイシン(アクチノマイシン-Dとしても公知である。コスメゲン(登録商標));メルファラン(L-PAMとも称されるL-サルコリシン、およびフェニルアラニンマスタード、アルケラン(登録商標));アルトレタミン(ヘキサメチルメラミン(HMM)としても公知である)ヘキサレン(登録商標));カルムスチン(BiCNU(登録商標));ベンダムスチン(トレアンダ(登録商標));ブスルファン(ブスルフェクス(登録商標)およびミレラン(登録商標));カルボプラチン(パラプラチン(登録商標));ロムスチン(CCNUとしても公知である、CeeNU(登録商標));シスプラチン(CDDPとしても公知である;プラチノール(登録商標)およびプラチノール(登録商標)-AQ);クロラムブシル(ロイケラン(登録商標));シクロホスファミド(サイトキサン(登録商標)およびネオサール(登録商標));ダカルバジン(DTICとも呼ばれる。DICおよびイミダゾールカルボキサミド、DTIC-Dome(登録商標));アルトレタミン(ヘキサメチルメラミン(HMM)としても公知である)、ヘキサレン(登録商標);イホスファミド(Ifex(登録商標));プレドニマスチン;プロカルバジン(Matulane(登録商標));メクロレタミン(ナイトロジェンマスタードとしても公知である、ムスティンおよび塩酸メクロレタミン、マスタージェン(登録商標));ストレプトゾシン(ザノサー(登録商標));チオテパ(チオホスホアミドとしても公知である、TESPAおよびTSPA、およびチオプレックス(登録商標));シクロホスファミド(エンドキサン(登録商標)、サイトキサン(登録商標)、ネオサール(登録商標)、プロサイトックス(登録商標)、およびレビミュン(商標);およびベンダムスチンHC1(トレアンダ(登録商標))が挙げられる。
【0628】
本発明のCAR操作された免疫細胞は、アルキル化剤の前に、後で、または同時に対象に投与できる。
【0629】
いくつかの実施形態では、本発明のCAR操作された免疫細胞は、免疫抑制剤と組み合わせて投与できる。当技術分野において公知である任意の免疫抑制剤を使用できる。免疫抑制剤の例としては、これらに限定されないが、シクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサート、メトックスサレン、ラパマイシン、ミコフェノール酸モフェチル、ミコフェノール酸、リツキシマブ、シロリムス、バシリキシマブ、ダクリズマブ、ムロモナブ-CD3、タクロリムス、グルココルチコイドのほか、プレドニゾン、プレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイド、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0630】
本発明のCAR操作された免疫細胞は、免疫抑制剤の前に、後で、または同時に対象に投与できる。
【0631】
本発明のCAR操作された免疫細胞および/または免疫抑制剤(複数可)は、移植後に対象に投与され得る。代替的にまたは追加的に、本発明のCAR操作された免疫細胞および/または免疫抑制剤(複数可)は、移植前に対象に投与され得る。いくつかの実施形態では、本発明のCAR操作された免疫細胞および/または免疫抑制剤は、移植手術中に対象に投与され得る。
【0632】
いくつかの実施形態では、対象へのCAR操作された免疫細胞の投与は、免疫抑制療法が開始されると実施される。
【0633】
いくつかの実施形態では、本方法は、例えば、移植レシピエントを経時的に監視するために、および該当する場合、異なる免疫抑制療法レジメで、複数回実施される。
【0634】
いくつかの実施形態では、移植レシピエントが移植に耐性があると予測される場合、免疫抑制療法は減少される。いくつかの実施形態では、免疫抑制療法は処方されない。例えば、移植レシピエントが移植に耐性があると予測される場合、免疫抑制療法は中止される。
【0635】
本発明のCAR操作された免疫細胞は、移植臓器または組織拒絶反応の診断後に、臓器または組織拒絶の症状が弱まるまで、本発明のCAR操作された免疫細胞および免疫抑制剤(複数可)の両方の用量で投与できる。
【0636】
さらなる実施形態では、本発明のCAR操作された免疫細胞組成物は、骨髄移植と併せて(例えば、骨髄移植の前に、同時に、または後に)対象に投与され得る。
【0637】
いくつかの実施形態では、本発明のCAR操作された免疫細胞は、CD20と反応する剤、例えばリツキシマブなどのB細胞除去療法の後に投与できる。例えば、いくつかの実施形態では、対象は、高用量化学療法、およびその後の末梢血幹細胞移植による標準的な治療を受けることができる。ある実施形態では、移植後、対象は、本発明の拡大されたCAR操作された免疫細胞の注入を受けることができる。ある実施形態では、拡大されたCAR操作された免疫細胞は、手術の前または後に投与できる。
【0638】
いくつかの実施形態では、本発明のCAR操作された免疫細胞は、抗感染症剤と組み合わせて投与できる。当技術分野において公知である任意の抗感染症剤を使用できる。抗感染症剤の例としては、これらに限定されないが、殺ダニ剤、アミノグリコシド、駆虫薬、駆虫剤、抗真菌剤(アゾール系抗真菌剤、エキノカンジン、他の抗真菌剤、およびポリエン)、抗マラリア剤(抗マラリア剤の組み合わせ、抗マラリアキノリン、および他の抗マラリア薬)、抗結核剤(アミノサリチル酸、抗結核の組み合わせ、ジアリールキノリン、ヒドラジド誘導体、他の抗結核剤、ニコチン酸誘導体、リファマイシン誘導体、およびストレプトマイセス誘導体)、抗ウイルス剤(アダマンタン抗ウイルス剤、抗ウイルスブースター、抗ウイルス剤の組み合わせ、抗ウイルス性インターフェロン、ケモカイン受容体拮抗薬、インテグラーゼ鎖転移阻害剤、他の抗ウイルス剤、ノイラミニダーゼ阻害剤、NNRTI、NS5A阻害剤、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTI)、プロテアーゼ阻害剤、およびプリンヌクレオシド)、カルバペネム、カルバペネム/ベータラクタマーゼ阻害剤、セファロスポリン(セファロスポリン/ベータラクタマーゼ阻害剤、第一世代セファロスポリン、第四世代セファロスポリン、次世代セファロスポリン、第二世代セファロスポリン、および第三世代セファロスポリン)、抗生物質、糖ペプチド抗生物質、グリシルサイクリン、抗らい菌薬、リンコマイシン誘導体、マクロライド誘導体(ケトライドおよびマクロライド)、他の抗生物質、オキサゾリジノン系抗生物質、ペニシリン(アミノペニシリン、抗偽性ペニシリン、ベータラクタマーゼ阻害剤、天然ペニシリン、ペニシリナーゼ、および耐性ペニシリン)、キノロン、スルホンアミド、テトラサイクリン、および尿路抗感染症剤が挙げられる。
【0639】
いくつかの実施形態では、対象(例えば、ヒト)は、本発明の免疫細胞または集団の最初の投与、およびその後の1回以上の投与を受ける。ここで、その後の1回以上の投与は、前回の投与から15日未満に、例えば、14日、13日、12日、11日、10日、9日、8日、7日、6日、5日、4日、3日、または2日の後に投与される。
【0640】
いくつかの実施形態では、治療有効量の本発明の免疫細胞は、対象に投与されるか、または投与される予定である。
【0641】
いくつかの実施形態では、対象に投与される本発明の免疫細胞集団の免疫細胞の数は、少なくとも10、10、10、10、10、10、10または10細胞である。
【0642】
いくつかの実施形態では、対象に投与される本発明の免疫細胞集団の免疫細胞の数は、約10~約10、約10~約10、約10~約10、または約10~約10細胞の範囲である。
【0643】
いくつかの実施形態では、対象に投与される本発明の免疫細胞集団の免疫細胞の数は、約10~約10、約10~10、約10~10、約10~10、約10~10、約10~10、または約10~10の細胞の範囲である。いくつかの実施形態では、対象に投与される本発明の免疫集団の免疫細胞の数は、約10、約10、約10、約10、約10、約10、約10、または約10細胞である。
【0644】
いくつかの実施形態では、対象に投与される本発明の免疫細胞集団の免疫細胞の数は、少なくとも10、10、10、10、10、10、10または10細胞/kg体重である。
【0645】
いくつかの実施形態では、対象に投与される本発明の免疫細胞集団の免疫細胞の数は、約10~10細胞/kg体重または10~10細胞/kg体重(これらの範囲内のすべての整数値を含む)の範囲である。
【0646】
いくつかの実施形態では、対象は、本発明の免疫細胞集団の週に2回以上の投与を受け、例えば、対象に週に1回投与される本発明のTreg細胞集団の2、3、または4回の投与を受ける。
【0647】
いくつかの実施形態では、Treg細胞集団は、それを必要とする対象に、活性剤と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態によれば、免疫細胞集団は、活性剤の投与の前に、同時に、または後に投与される。
【0648】
いくつかの実施形態では、本発明の活性化免疫細胞を対象に投与し、次いで採血(またはアフェレシスを実施)し、本発明に従いそこから免疫細胞を活性化し、これらの活性化され拡大された免疫細胞を対象に再注入することが望ましい場合がある。このプロセスは、数週間ごとに複数回実施できる。ある実施形態では、免疫細胞は、10cc~400ccの採血から活性化される。ある実施形態では、免疫細胞は、20cc、30cc、40cc、50cc、60cc、70cc、80cc、90cc、または100ccの採血から活性化される。理論により拘束されないが、この複数回の採血/複数回の再注入プロトコルを使用することは、免疫細胞の特定の集団を選択するために役立つ場合がある。
【0649】
本明細書に記載のCAR、細胞集団、および組成物は、本明細書に記載の治療方法で使用でき、本明細書に記載の剤として使用でき、本明細書に記載の治療で使用でき、かつ/または、本明細書に記載の治療用の医薬品の製造における使用のためのものであり得ることが理解される。
製造品およびキット
【0650】
本発明はまた、本明細書に記載の核酸、ベクター、細胞集団、または組成物のいずれかを含む製造品、ならびに上記の製造品を製造するための方法を提供する。
【0651】
さらに、本発明は、本明細書に記載の核酸、ベクター、細胞集団、または組成物のいずれかを好適な容器中に含むキットを提供する。
実施形態
【0652】
本発明の特定の実施形態を以下に列挙する:
1.
-少なくとも1つの細胞外結合ドメインと、
-任意により、少なくとも1つの細胞外ヒンジドメインと、
-少なくとも1つの膜貫通ドメインと、
-少なくとも1つの細胞内ドメイン、
を含む、キメラ抗原受容体(CAR)であって、
少なくとも1つの細胞内ドメインは任意により、少なくとも1つの共刺激細胞内シグナル伝達ドメインおよび少なくとも1つの一次細胞内シグナル伝達ドメインを含み、
-少なくとも1つの膜貫通ドメインは、ヒトTNFR2膜貫通ドメインもしくはその断片もしくはバリアント、任意の膜貫通ドメインもしくはその断片もしくはバリアント、またはそれらの組み合わせであり、かつ/または
-少なくとも1つの共刺激細胞内シグナル伝達ドメインは、ヒトTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインもしくはその断片もしくはバリアント、または任意の共刺激性細胞内シグナル伝達ドメインもしくはその断片もしくはバリアント、またはそれらの組み合わせであり、
膜貫通ドメインおよび共刺激細胞内シグナル伝達ドメインの少なくとも1つは、TNFR2膜貫通ドメインもしくはその断片もしくはバリアント、またはTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインもしくはそれらの断片もしくはバリアントである、
キメラ抗原受容体(CAR)。
2.
ヒトTNFR2膜貫通ドメインが、配列番号22の配列からの、または配列番号22と少なくとも約70%の同一性を有する配列からの少なくとも2つのアミノ酸、好ましくは、配列番号22からの、または配列番号22と少なくとも約70%の同一性を有する配列からの少なくとも2つの連続するアミノ酸を含む、実施形態1に記載のCAR。
3.
ヒトTNFR2膜貫通ドメインが、少なくとも1つの他の膜貫通ドメインと組み合わされる、実施形態1または実施形態2に記載のCAR。
4.
ヒトTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインが、配列番号34の配列からの、または配列番号34と少なくとも約70%の同一性を有する配列からの少なくとも2つのアミノ酸、好ましくは、配列番号34からの、または配列番号34と少なくとも約70%の同一性を有する配列からの少なくとも2つの連続するアミノ酸を含む、実施形態1~3のいずれか一項に記載のCAR。
5.
TNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインが、少なくとも1つの他の共刺激細胞内シグナル伝達ドメインと組み合わされる、実施形態1~4のいずれか一項に記載のCAR。
6.
一次細胞内シグナル伝達ドメインが、免疫細胞一次細胞内シグナル伝達ドメイン、好ましくはヒトCD3のT細胞一次細胞内シグナル伝達ドメイン、より好ましくは配列番号28、29、30もしくは31の配列、または配列番号28、29、30もしくは31と少なくとも約70%の同一性を有する配列を有するヒトCD3ゼータのT細胞一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む、実施形態1~5のいずれか一項に記載のCAR。
7.
ヒンジドメインが、ヒトCD8のヒンジ領域、好ましくは配列番号14または配列番号14と少なくとも約70%の同一性を有する配列である、実施形態1~6のいずれか一項に記載のCAR。
8.
CARが、少なくとも1つのTNFR2膜貫通ドメインおよび少なくとも1つの細胞内ドメインを含み、細胞内ドメインが任意により、少なくとも1つの共刺激細胞内シグナル伝達ドメインおよび少なくとも1つの免疫細胞一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む、実施形態1~7のいずれか一項に記載のCAR。
9.
CARが、少なくとも1つの膜貫通ドメインおよび少なくとも1つの細胞内ドメインを含み、細胞内ドメインが、少なくとも1つのTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインおよび少なくとも1つの免疫細胞一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む、実施形態1~7のいずれか一項に記載のCAR。
10.
実施形態1~9のいずれか1つによるCARをコードする核酸配列。
11.
実施形態10による核酸配列を含むベクター。
12.
実施形態10の核酸配列または実施形態11のベクターを含むか、または実施形態1~9のいずれか一項に記載のCARを発現する免疫細胞集団。
13.
T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、γδT細胞、ダブルネガティブ(DN)細胞、調節性免疫細胞、調節性T細胞、エフェクター免疫細胞、エフェクターT細胞、B細胞、および骨髄系細胞、およびそれらの任意の組み合わせを含む群から選択される、実施形態12に記載の免疫細胞集団。
14.
実施形態12または13のいずれか一項に記載の少なくとも1つの細胞集団を含む組成物。
15.
医薬組成物であり、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、実施形態14に記載の組成物。
16.
実施形態12または13に記載の少なくとも1つの免疫細胞集団または実施形態14または15に記載の組成物を対象に投与することを含む、それを必要とする対象における疾患または障害を治療するための方法。
17.
方法が、細胞療法である、実施形態16に記載の方法。
18.
疾患または障害が、炎症性疾患、自己免疫疾患、アレルギー性疾患、臓器移植状態、癌および感染症を含む、実施形態16または17に記載の方法。
19.
免疫細胞集団が、調節性免疫細胞集団、またはTreg細胞集団であり、疾患または障害が、炎症性疾患、自己免疫疾患、アレルギー性疾患、または好ましくは移植片拒絶反応および移植片対宿主病から選択される臓器移植状態である、実施形態16~18のいずれか一項に記載の方法。
20.
免疫細胞集団が、Tエフェクター細胞集団、NK細胞集団、またはγδ細胞集団であり、疾患または障害が、癌または感染症である、実施形態16~18のいずれか一項に記載の方法。
【0653】
本発明は、
-少なくとも1つの細胞外結合ドメインと、
-任意により、少なくとも1つの細胞外ヒンジドメインと、
-少なくとも1つの膜貫通ドメイン(例えば、ヒトTNFR2膜貫通ドメインもしくはその断片もしくはバリアント、任意の膜貫通ドメインもしくはその断片もしくはバリアント、またはそれらの任意の組み合わせ)と、
-少なくとも1つの細胞内ドメイン(少なくとも1つの一次細胞内シグナル伝達ドメインを含みかつ任意により少なくとも1つの共刺激細胞内シグナル伝達ドメインまたはその断片またはバリアントを含み、少なくとも1つの共刺激細胞内シグナル伝達ドメインは、ヒトTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインもしくはその断片もしくはバリアント、任意の共刺激細胞内シグナル伝達ドメインもしくはその断片もしくはバリアント、またはそれらの任意の組み合わせである)、
を含むキメラ抗原受容体(CAR)であって、
膜貫通ドメインは、TNFR2膜貫通ドメインもしくはその断片もしくはバリアントであり、かつ/または共刺激細胞内シグナル伝達ドメインは、TNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインもしくはそれらの断片もしくはバリアントである、
キメラ抗原受容体(CAR)に関する。
【0654】
いくつかの実施形態では、ヒトTNFR2膜貫通ドメインまたはその断片またはバリアントは、配列番号22の配列からの、または配列番号22と少なくとも約70%の同一性を有する配列からの少なくとも2つのアミノ酸(例えば、少なくとも2つの連続するアミノ酸)を含む。
【0655】
いくつかの実施形態では、ヒトTNFR2膜貫通ドメインまたはその断片またはバリアントは、少なくとも1つの他の膜貫通ドメインまたはその断片またはバリアントと組み合わされる。
【0656】
いくつかの実施形態では、ヒトTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインまたはそのバリアントまたは断片は、配列番号34の配列からの、または配列番号34と少なくとも約70%の同一性を有する配列からの少なくとも2つのアミノ酸(例えば、少なくとも2つの連続するアミノ酸)を含む。
【0657】
いくつかの実施形態では、TNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインまたはそのバリアントまたは断片は、少なくとも1つの他の共刺激細胞内シグナル伝達ドメインまたはその断片またはバリアントと組み合わされる。
【0658】
いくつかの実施形態では、一次細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫細胞一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。ある実施形態では、一次細胞内シグナル伝達ドメインは、ヒトCD3のT細胞一次細胞内シグナル伝達ドメインである。特定の実施形態では、一次細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号28、29、30または31の配列、または配列番号28、29、30または31と少なくとも約70%の同一性を有する配列を有するヒトCD3ゼータのT細胞一次細胞内シグナル伝達ドメインである。
【0659】
いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、ヒトCD8のヒンジ領域、好ましくは配列番号14、または配列番号14と少なくとも約70%の同一性を有する配列である。
【0660】
いくつかの実施形態では、CARは、少なくとも1つのTNFR2膜貫通ドメインまたはその断片またはバリアント、および少なくとも1つの細胞内ドメインを含み、細胞内ドメインは、少なくとも1つの免疫細胞一次細胞内シグナル伝達ドメインを含みかつ任意により少なくとも1つの共刺激細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0661】
いくつかの実施形態では、CARは、少なくとも1つの膜貫通ドメインおよび少なくとも1つの細胞内ドメインを含み、細胞内ドメインは、少なくとも1つのTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインまたはその断片またはそのバリアントおよび少なくとも1つの免疫細胞一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0662】
本発明は、本発明によるCARをコードする核酸配列にさらに関する。
【0663】
本発明は、本発明による核酸配列を含むベクターにさらに関する。
【0664】
本発明はさらに、本発明による核酸配列、または本発明によるベクターを含む、または本発明によるCARを発現する、免疫細胞集団に関する。いくつかの実施形態では、免疫細胞集団は、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、γδT細胞、ダブルネガティブ(DN)細胞、調節性免疫細胞、調節性T細胞、エフェクター免疫細胞、エフェクターT細胞、B細胞、および骨髄系細胞、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0665】
本発明はさらに、本発明による少なくとも1つの細胞集団を含む組成物に関する。いくつかの実施形態では、組成物は、医薬組成物であり、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。
【0666】
本発明は、本発明による少なくとも1つの細胞集団または組成物を対象に投与することを含む、それを必要とする対象における疾患または障害を治療するための方法にさらに関する。いくつかの実施形態では、この方法は細胞療法である。いくつかの実施形態では、疾患または障害としては、炎症性疾患、自己免疫疾患、アレルギー性疾患、臓器移植状態、癌および感染症が挙げられる。いくつかの実施形態では、細胞集団は、調節性免疫細胞集団またはTreg細胞集団であり、疾患または障害は、炎症性疾患、自己免疫疾患、アレルギー性疾患、または臓器移植状態(例えば、移植片拒絶反応または移植片対宿主病)である。いくつかの実施形態では、免疫細胞集団は、Tエフェクター細胞集団、NK細胞集団、またはγδ細胞集団であり、疾患または障害は、癌または感染症である。
【0667】
本明細書で別段の定義がない限り、本開示に関連して使用される科学的および技術的用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。例示的な方法および材料を以下に説明するが、本明細書に記載のものと類似であるかまたは同等である方法および材料もまた、本開示の実施または試験で使用できる。矛盾がある場合は、定義を含み、本明細書が優先するものとする。一般に、細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、分析化学、合成有機化学、医薬品化学、ならびに本明細書に記載のタンパク質および核酸化学およびハイブリダイゼーションに関連して使用される命名法およびそれらの技術は、当技術分野において周知のものであり、一般的に使用されている。酵素反応および精製技術は、当技術分野において一般的に達成されるように、または本明細書に記載されるように、製造業者の仕様に従って実施される。さらに、文脈によって別段必要とされない限り、単数形は複数形を含み、複数形は単数形を含むものとする。本明細書および実施形態を通して、「有する(have)」および「含む(comprise)」という単語、または「有する(has)」、「有している(having)」、「含む(comprise)」、または「含んでいる(comprising)」などの変形は、記載されている整数または整数の群を含むが、他の整数または整数の群を除外しないことを意味すると理解される。本明細書に記載の本発明の態様および変形例は、態様および変形例「からなる(consisting)」および/または「から本質的になる(consisting essentially of)」ことを含むことが理解される。本明細書で言及されるすべての刊行物および他の参考文献は、その全体が参照により組み込まれる。本明細書では複数の文書が引用されるが、この引用は、これらの文書のいずれかが当技術分野における共通の一般知識の一部を形成していることを認めるものではない。
実施例
【0668】
本発明は、以下の実施例によってさらに説明される。
実施例1:TNFR2由来CAR-Treg
材料および方法
PBMC単離
【0669】
匿名の健康なドナーの血液細胞を、EFSガイドラインおよびドナーのインフォームドコンセントに従いEtablissement Francaisdu Sang(EFS)により採取した。血液採取の翌日に、末梢血単核細胞(PBMC)をフィコール勾配遠心分離によりバフィーコートから単離した。これは、顆粒球、血小板、および残りの赤血球汚染物質などの血液製剤の不要な部分の除去を可能にする。目的の細胞を次に、以下に説明するように単離した。
FoxP3 Treg単離
【0670】
CD4CD25CD127lowTregを、ヒトCD4CD127lowCD25調節性T細胞分離キット(StemCell)を使用して、製造業者の指示に従い単離した。簡潔に言えば、CD25細胞を、EasySep(商標)Releasable Rapid Spheres(商標)を使用するカラムフリーの免疫磁気ポジティブセレクションにより、400~500x106PBMCから最初に単離した。次に、結合した磁性粒子をEasySep(商標)により単離したCD25細胞から除去し、不要な非Tregを枯渇の標的にした。最終的に単離された画分は、高レベルのFoxP3を発現する高度に精製されたCD4CD127lowCD25細胞を含み、これを直ちに下流のアプリケーションに使用した。自家B細胞の単離
【0671】
自家CD19CD20B細胞を、ヒトB細胞単離キット(StemCell)を使用して、製造業者の指示に従い単離した。簡潔に言えば、CD19CD20B細胞を、免疫磁気ネガティブセレクションにより200x106PBMCから単離した。単離後に、細胞を、CD19CD20提示細胞としてさらに使用するために、直ちに凍結した。
CD4CD25-従来のT細胞単離
CD4CD25-T細胞を、調節性T細胞単離キット(StemCell)のオプションのプロトコルを実行することにより単離し、Tregと並行して機能研究で使用するためのCD4CD25-T細胞の単離を可能にした。
単離されたTregの活性化および培養
【0672】
単離されたTreg細胞を活性化し、9日間培養した。簡潔に言えば、0日目に、Treg細胞(0.5x10)を、ヒトトランスフェリン(OZYME)を含み1000U/mL IL-2(Euromedex)および100nMラパマイシン(Sigma-Aldrich)を添加したXvivo15無血清培地中で24ウェルプレート(Costar)に培養した。ポリクローナル活性化を、抗CD3/抗CD28ダイナビーズ(Life Technology)(ウェルあたり0.5x10ビーズ)を使用して実施した。2日目、4日目または5日目、および7日目または8日目に、1000U/mLIL-2を補充した新鮮な培地を細胞に供給した。最後に、8日目または9日目に、細胞を回収し、カウントし、再活性化した。
形質導入プロトコル
【0673】
Tregに、活性化の2日後にキメラ抗原受容体(下記参照)を形質導入した。簡潔に言えば、形質導入を、各ウェルに1mLあたり0.5x10の形質導入単位(TU)をロードすることにより実施した。37℃で6時間後に、ウイルス粒子を洗い流しにより除去した。次に、プレートを5%COと共に37℃でインキュベートした。5日後に、形質導入効率を、フローサイトメトリーでGFP陽性細胞の割合を測定することにより分析した。
CAR発現の定量化
【0674】
細胞表面のCAR発現の定量化を、CARをAPCコンジュゲートプロテインLまたはHAタグ付きCAR用のAPCコンジュゲート抗血球凝集素(HA)抗体で標識することにより行い、フローサイトメトリーを使用して分析した。
【0675】
総CAR発現の定量化を、ウエスタンブロット分析により実施した。簡潔に言えば、5x10の形質導入Tregまたは非形質導入(「ブランク」)Tregを、RIPAバッファー中で溶解し、変性条件でSDS-PAGEに供し、PVDFメンブレンにブロットした。次に、CAR発現CD3ζおよび内因性CD3ζを、CD3ζ特異的抗体(抗CD247、BD Pharmingen)で染色した。最後に、メンブレンを洗浄し、ローディング対照としてβ-アクチン抗体で再プローブした。Image Jソフトウェアを使用して、バンド強度を定量化した。
形質導入に使用されるCAR構築物
【0676】
CD3ζとタンデムでTNFR2、TNFR1、またはCD8膜貫通(TM)、および共刺激細胞内シグナル伝達ドメインから構成され、CD19(FMC63)、CD20(B9E9)、および/またはIL-23Rに対して向けられたプロトタイプscFvと会合するCAR(14-11-D07;PCT国際公開2016/184570;配列番号65)を設計した。この研究で使用した構築物を、表1および図1に列挙し記載する。
【表1】
【0677】
より正確には、抗CD19 CARは、ヒトCD8リーダー配列(aa1-22)、血球凝集素タグ、ヒトCD19に対して向けられたFMC63 scFv、およびヒトCD8アルファに由来するリンカー(aa138-182)で構成される。
【0678】
リンカーに続き、CD19-CAR(CD8TM/4-1BB)構築物は、膜貫通(TM)ドメインヒトCD8アルファ(aa183-206)および共刺激細胞内シグナル伝達ドメインヒト4-1BB(aa214-255)およびCD3ゼータ(aa52-164)で構成されるのに対し、CD19-CAR(TNFR2)構築物は、TM、および細胞内ドメインヒトTNFR2(aa258-461)およびCD3ゼータで構成される。
【0679】
抗CD20CARは、ヒトCD8リーダー配列(aa1-22)、ヒトCD20に対して向けられたB9E9 scFv、ストレプトアビジンタグ、およびヒトCD8アルファ由来のリンカー(aa138-182)で構成される。
【0680】
リンカーに続き、CD20-CAR(CD8TM/4-1BB)構築物は、TMドメインヒトCD8アルファ(aa183-206)、共刺激細胞内シグナル伝達ヒト4-1BB(aa214-255)およびCD3ゼータ(aa52-164)で構成され、
-CD20-CAR(TNFR2)構築物は、TM、共刺激細胞内シグナル伝達ドメインヒトTNFR2(aa258-461)およびCD3ゼータで構成され、
-CD20-CAR(TNFR1)は、TMおよび共刺激細胞内シグナル伝達ドメインヒトTNFR1(aa212-455)およびCD3ゼータで構成される。
【0681】
抗IL-23RCARは、ヒトCD8リーダー配列(aa1-22)、ヒトIL-23Rに対して向けられたscFv、およびヒトCD8アルファ(aa138-182)由来のリンカーで構成される。
【0682】
リンカーに続き、IL-23R-CAR(CD8TM/4-1BB)構築物は、膜貫通ドメインヒトCD8アルファ(aa183-206)および共刺激細胞内シグナル伝達ドメインヒト4-1BB(aa214-255)およびCD3ゼータ(aa52-164)で構成され;一方、IL-23R-CAR(TNFR2)構築物は、膜貫通および共刺激細胞内シグナル伝達ドメインヒトTNFR2(aa258-461)およびCD3ゼータで構成される。
【0683】
すべてのCAR構築物を、P2Aリンカーおよびオープンリーディングフレーム増強緑色蛍光タンパク質(GFP)を有する相でクローン化する。
形質導入されたTregの表現型分析
【0684】
培養9日目に、Treg表現型をフローサイトメトリーによって分析して、形質導入手順がTregの状態に影響を与えないことを確認した。この分析に使用したマーカーを表2に示す。
【表2】
CARの活性化アッセイ
【0685】
CARの活性化を、Jurkat-Lucia-NFAT細胞株(Invivogen)またはヒト初代Tregのいずれかで評価した。レポーター細胞株については、CARとCD19+Daudi細胞(比率1:1)との連結後、NFAT活性化を、Luciaルシフェラーゼ活性(製造元の指示を参照)を監視すること、およびGloMaxルミノメーター(Promega)を使用することにより評価した。
【0686】
Tregについて、活性化アッセイを培養9日目に実施した。簡潔に言えば、0.05x10のTregを、最終容量200μLで96Uの底プレートに、単独でまたは抗CD28/抗CD3コーティングビーズの存在下(1:1のTreg対ビーズ比)で、もしくは新鮮な解凍自家B細胞もしくはCD19+Daudi B細胞(Treg対B細胞の比率が1:1)の存在下で播種した。37℃、5%COで24時間後に、細胞をCD4およびCD69について染色し、次いでフローサイトメトリーを使用して分析した。非形質導入Treg細胞と比較してCAR Treg細胞によるCD69自発的発現を監視することは、持続性シグナル伝達強度の決定を可能にする。

T細胞増殖の抑制アッセイ
【0687】
抑制アッセイを培養9日目に行った。簡潔に言えば、Tregを、抗CD28/抗CD3コーティングビーズを使用するTCR(Treg対ビーズ比1:1)または新鮮な解凍自家B細胞を使用するCAR(Treg対ビーズ比1:1)のいずれかを介して、回収し、カウントし、および活性化し、または活性化せずに維持して、それらの自発的な抑制的活性を評価した。
【0688】
並行して、同種Tconv(従来のT細胞)を解凍し、Dye450で染色し、抗CD28/抗CD3コーティングビーズ(Tconv対ビーズ比3:1)で活性化した。翌日、ビーズを、非活性化または活性化されたTreg(非形質導入または形質導入)と共培養する前にTconvから除去した。
【0689】
3日目に、細胞を採取し、Tconvの増殖を、Dye450希釈の決定によるフローサイトメトリーにより評価した。Tconv増殖の阻害の割合を以下のように計算した:
【数1】
結果
形質導入効率および細胞表面でのCARの発現
【0690】
形質導入効率を、GFP陽性細胞の割合を評価することにより決定し、CARの発現を、CD20-CAR(CD8TM/4-1BBおよびTNFR2)およびIL-23RCAR(CD8TM/4-1BBおよびTNFR2)またはCD19-CARのHAタグに対して向けられる抗体(CD8TM/4-1BBおよびTNFR2)の免疫グロブリンカッパ軽鎖結合タンパク質である組換えプロテインLを評価することにより監視した。
【0691】
この実施例で試験されたすべてのドナーの概要として(n=5)、形質導入効率の割合および細胞表面でCARを発現した形質導入細胞の割合の結果を、表3に示す(図2は、生データの例を示す)。
【表3】
【0692】
図2および/または表3に示すように、CD19-CAR(CD8TM/4-1BB)、CD20-CAR(CD8TM/4-1BB)、およびIL-23R-CAR(CD8TM/4-1BB)形質導入細胞は、細胞表面で95%以上のCARを保有し、CD19-CAR(TNFR2)、CD20-CAR(TNFR2)、およびIL-23R-CAR(TNFR2)形質導入細胞は、細胞表面で、46%~75%のCARを発現した。さらに、細胞あたりのCAR数を表す平均蛍光強度(MFI)は、CD19-CAR(TNFR2)で約15倍、CD20-CAR(TNFR2)で約6倍、IL-23R-CAR(TNFR2)で約9倍低下された。GFP発現はすべての実験条件で同等であったため、細胞表面でのCAR発現のこの強い減少は、形質導入効率の低下の結果ではなかった。
【0693】
さらに、図3のパネルAに示すとおり、CD20-CAR(CD8TM/4-1BB)で形質導入された細胞は、CD3ζ抗体で染色した後、CARに対応する62kDタンパク質を発現し、CD20-CAR(TNFR2)で形質導入された細胞では82kDタンパク質を発現したのに対して、非形質導入細胞は内因性CD3ゼータに対応する16kDのバンドでのみ標識された。興味深いことに、バンド強度の定量化は、フローサイトメトリー(図2)を使用して観察されたCD20-CAR(CD8TM/4-1BB)(図3、パネルB)と比較して低いCD20-CAR(TNFR2)の発現を示した。
【0694】
要約すると、これらの結果は、TNFR2細胞内ドメインおよびTNFR2膜貫通ドメインが驚くべきことに、特に細胞表面において、CARの全体的な発現の減少をもたらしたことを示した。
CAR特異的活性化
【0695】
抗原非依存性の持続性シグナル伝達の完全な減少は、古典的な4-1BB/CD3ζ構築物と比較して、3つの異なるscFv標的(CD19、CD20、およびIL-23R)のTNFR2ドメインを含むCARで形質導入されたTreg細胞で観察される(図4、パネルA~C)。さらに、細胞表面でのTNFR2由来CAR発現(CD19、CD20、またはIL-23R)の大幅な減少(表3)にもかかわらず、CAR特異的活性化は維持される。
【0696】
したがって、これらの結果は、TNFR2膜貫通ドメインおよびTNFR2細胞内ドメインの存在が驚くべきことに、CAR Treg細胞における活性化バックグラウンドの強力な減少をもたらし、その結果、CAR特異的活性化とリガンド非依存性持続性シグナル伝達の間の比率を増加させたことを示す。3つの異なるscFv(CD19、CD20、およびIL-23R)の試験を行い、同じように挙動したため、この現象は目的のscFvには依存しない。
CARに媒介される抑制的活性
【0697】
TNFR2由来ドメインを保有するCD19-CAR構築物について、4-1BB由来構築物の抑制的活性に匹敵する抑制的活性のCAR特異的なトリガーが、細胞表面でのCAR発現が15分の1に減少した状態でさえ観察された(図5、パネルA)。
【0698】
最も興味深いことに、CD20-CAR構築物およびIL-23R-CAR構築物の場合、4-1BB由来構築物の自発的抑制活性は、CARに媒介される抑制的活性を強調するには強すぎた一方で、TNFR2由来CAR構築物は、これにより、初めて特定のCARに媒介される抑制的活性の観察を可能にした、抑制的活性の大幅に減少されたバックグラウンドをもたらした(図5、パネルBおよび5C)。
【0699】
結論として、TNFR2/CD3ζ由来CARにおけるリガンド非依存性持続性シグナル伝達の減少は、CD20-CARおよびIL-23R-CARに媒介される抑制的活性の観察を初めて可能にしたのに対し、同じ4-1BB/CD3ζドメインに融合されたscFvには、バックグラウンドを超える観察可能な活性はなかった。
実施例2:TNFR2由来CD19-CARの比較
材料および方法
【0700】
CAR構築物を除いて、材料および方法は実施例1に記載したものと同じである。ここでは、2種類の細胞:ヒトTregおよびJurkat-Lucia-NFAT細胞をCAR構築物で形質導入した。
形質導入に使用されるCAR構築物
【0701】
この研究で使用した構築物を、表4および図6に列挙し、記載する。
【表4】
【0702】
抗CD19CARは、ヒトCD8リーダー配列(aa1-22)、ヒトCD19に対して向けられたFMC63 scFv、ストレプトアビジンタグ、およびヒトCD8アルファ由来のリンカー(aa138-182)で構成される。
【0703】
場合によっては、TNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインは、C末端において18、59、104、または151アミノ酸残基が除去されているTNFR2ドメインの断片である(それぞれ、Δ18、Δ59、Δ104、またはΔ151)。TNFR2シグナル伝達ドメインは5つのドメインに細分でき、ドメインの各々は、異なるシグナル伝達分子と相互作用して様々なシグナル伝達経路をトリガーするために重要である。さらに、特定のドメインは、TNFR2のエンドサイトーシスを調節することが記載されている(Jiら、Arterioscler Thromb Vasc Biol.32(9):2271-9(2012年)。特定のドメインがそれぞれの表現型に関与するかを分析するために、いくつかの欠失変異体を構築した。欠失を、マッピングされた細胞内ドメインと協調して行い、C末端からTNFR2ドメインを欠失させた。詳細には、ドメインVを構築物TNFR2Δ18中で欠失させ、ドメインVおよびIVをTNFR2Δ59中で;ドメインV、IV、およびIIIをTNFR2Δ104中で、ならびにドメインV、IV、III、およびIIをTNFR2Δ151中で欠失させた。ドメインの推定される機能を表5に示す。
【表5】
【0704】
TNFR2膜貫通ドメインの影響をさらに詳細に分析するために、CD8 TM、それに続くTNFR2膜貫通ドメインを保有する構築物、およびTNFR2TM、それに続くCD3ζまたは膜ハイブリッドのみを有し、異なる量のCD8およびTNFR2由来アミノ酸からなる構築物を作製した。
【0705】
膜貫通ドメインの融合は、ヒトTNFR2膜貫通ドメインの一部と融合されたヒトCD8アルファ膜貫通ドメインの全部または部分で構成される。実施例2で使用される融合アミノ酸配列を表6に記載する。
【表6】
結果
ヒトTregの細胞表面でのCD19-CARの発現
【0706】
TNFR2膜貫通ドメインおよび任意により全TNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインまたはその断片を含むCD19-CARを使用して、TNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインが細胞表面でのCAR発現の減少に関与するかを決定した。CD8膜貫通ドメインおよび4-1BB細胞内ドメインを含むCD19-CARを対照として使用した。
【0707】
TNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインおよび任意によりTNFR2膜貫通ドメインまたはCD8/TNFR2融合膜貫通ドメインを含むCD19-CARを使用して、TFNR2膜貫通ドメインが細胞表面でのCAR発現の減少に関与しているかを決定した。TNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインおよびCD8膜貫通ドメインを含むCD19-CARを対照として使用した。
【0708】
表7に示すように、細胞表面でのCAR発現の減少は、TNFR2膜貫通ドメインを含むCARおよびTNFR2細胞内ドメインを含むCARで観察されたが、CD8膜貫通ドメインおよび4-1BB細胞内ドメインを含み、いかなるTNFR2ドメインも含まないCARでは観察されなかった。
【表7】
【0709】
全体的に、これらの結果は、TNFR2膜貫通ドメインおよび共刺激細胞内シグナル伝達ドメインの両方がヒトTregの細胞表面でのCAR発現の減少に関与することを示す。
ヒトTregにおけるCD19-CAR特異的活性化
【0710】
TNFR2膜貫通ドメインおよび任意により全TNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインまたはその断片を含むCD19-CARを使用して、TNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインがCAR活性化に関与するかを決定した。4-1BB共刺激細胞内シグナル伝達ドメインおよびCD8膜貫通ドメインを含むCD19-CARを対照として使用した。
【0711】
TNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインおよび任意によりTNFR2膜貫通ドメインまたはCD8/TNFR2融合膜貫通ドメインを含むCD19-CARを使用して、TFNR2膜貫通ドメインがCAR活性化に関与しているかを決定した。4-1BB共刺激細胞内シグナル伝達ドメインおよびCD8膜貫通ドメインを含むCD19-CARを対照として使用した。
【0712】
表8に示すように、CD69初期活性化マーカーの発現レベルによって評価される持続性シグナル伝達の減少は、TNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインおよびCD8/TNFR2融合膜貫通ドメインを含むCARで観察されたが、CD8膜貫通ドメイン/4-1BB共刺激細胞内シグナル伝達ドメインを含むCARでは観察されなかった。低レベルの発現にもかかわらず、TNFR2由来CARは、CD19Daudi細胞で効率的に活性化された。非形質導入細胞では、CD69発現バックグラウンドはDaudi細胞の非存在下で9%、またはDaudi細胞の存在下で32%である。
【表8】
Jurkat-T細胞の細胞表面でのCD19-CARの発現
【0713】
ヒトTreg細胞と同様に、CD19-CARの発現も、表5に記載のCAR構築物を使用してJurkat-Lucia-NFAT細胞で分析した。このレポーター細胞株は、不死化したヒトTリンパ球Jurkat細胞に由来する。
【0714】
表9に示すように、細胞表面でのCAR発現の減少は、TNFR2膜貫通ドメインを含むCARおよびTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインを含むCARでも観察されたが、CD8膜貫通ドメイン/4-1BB共刺激細胞内シグナル伝達ドメイン構築物を含むCARでは観察されなかった。
【表9】
【0715】
これらの結果は、TNFR2膜貫通ドメインおよびTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインの両方がJurkat-Tの細胞表面でのCAR発現の減少に関与することを示す。
TNFR-c末端欠失構築物は、異なる表面発現パターンを呈し、Jurkat-NFAT細胞中のCD3ζシグナル伝達において機能する
【0716】
作製されたCD19-CAR構築物の完全性の試験を行うために、表面発現レベルおよびNFATシグナル伝達をJurkat NFAT-LuciaT細胞株でアッセイした。
【0717】
細胞表面発現の強い減少が、CD8TM-41BB CARと比較して、完全TNFR2 CARで観察された(図7)。この発現レベルの減少は、TNFR2-TMドメインがCD8TMドメインに置き換えられたとき、部分的に取り消された。さらに、TNFR2ドメインV、IVおよびIIIの欠失は、完全TNFR2ドメインから検出可能に細胞表面発現を変化させなかった。しかし、ドメインIIおよびIの欠失後に、発現レベルは4-1BB構築物で観察されたレベルの半分に増加した。同時に、すべての構築物は、標的依存性NFATシグナル伝達を継続して呈した。これらの結果は共に、TNFR2ドメインIおよびIIがTNFR2由来CARにおける細胞表面発現の減少に寄与すること、ならびにCARが依然としてCD3z依存性NFATシグナル伝達を呈する可能性があるため欠失変異体の効果の低下は、折り畳まれていないタンパク質によるものではないことを示している。
Jurkat-T細胞におけるCD19-CAR特異的活性化
【0718】
CD19-CAR特異的活性化をまた、CD19+Daudi 細胞とのインキュベーション後のCAR-リガンド結合後のNFAT活性化を測定することにより、Jurkat-Lucia-NFAT細胞において分析した。
【0719】
表10に示すとおり、低い発現レベルにもかかわらず、すべてのTNFR2由来CARはCD19+Daudi細胞で効率的に活性化される。
【表10】
実施例3:多様なTNFR受容体(4-1BB、TNFR1、およびTNFR2)に由来する異なる膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを保有する抗CD20CARの評価
材料および方法
【0720】
使用した材料および方法は、実施例1で説明したものと同じであった。
結果
異なるTNFR細胞内ドメインを保有する抗CD20CARの発現レベル
【0721】
以前の研究および本研究において、抗CD20 CAR発現の減少が、4-1BB細胞内ドメインを保有する構築物と比較して、TNFR2膜貫通および細胞内ドメインを保有する構築物で観察された(図8)。この研究では、TNFR由来のシグナル伝達ドメインを保有する新規CARを、ヒトTNFR1の膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを使用して設計した(CD20-CAR(TNFR1TM-TNFR1-CD3z)-P2A-GFPのヌクレオチドおよびアミノ酸配列はそれぞれ配列番号108および109である)。図8に示すとおり、これらの新規CARもまた、4-1BB由来CARと比較して細胞表面で低レベルで発現される。しかし、TNFR1由来配列を含むCARは毒性であり、FoxP3 Tregの生存に強く影響する(生存率63%)。さらに、生細胞/アポトーシス細胞は、ある拡散パターンでTNFR1由来CARを発現する(図8、左下パネル)。
異なるTNFR細胞内ドメインを保有する抗CD20 CARのリガンド非依存性持続性シグナル伝達および活性化能力
【0722】
非活性化CAR-Treg細胞でのCD69マーカーの発現を監視することにより、強いリガンド非依存性持続性シグナル伝達が、4-1BB細胞内ドメインを保有する抗CD20 CAR構築物で以前に観察された。対照的に、この持続性シグナル伝達は、TNFR2膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを保有する抗CD20 CARでは、大幅に減少した。本研究は、すべてのTNFR由来CAR(図9)の中で、TNFR2由来CARのみが、持続性シグナル伝達を強力に低減でき(対照の11%に対して15%)、一方で4-1BBおよびTNFR1配列を保有する構築物は、それぞれ約40%および32%の持続性シグナル伝達を有することを示す。この結果は、リガンド非依存性持続性シグナル伝達を特異的に減少させるTNFR2由来CARの能力を強調する。
【0723】
CARの活性化を評価するために、CAR-Treg細胞を、CD20CARリガンドを発現する自家B細胞と共に24時間インキュベートした。図9に示すとおり、最も効力の高いCAR活性化が、TNFR2由来CAR(2.5倍)で観察され、一方で他のすべてのCAR-Tregは、あまり活性化されない(1.8倍未満)。
【0724】
CAR-Treg細胞の抑制的活性を、B細胞(B細胞)の非存在下または存在下でCAR-Tregと共培養されたTvon細胞の増殖を監視することにより評価した(図10)。ここでも、古典的抗CD20 CAR構築物(CD8 TM/4-1BB)の自発的抑制活性は強すぎてCARに媒介される抑制的活性を強調できなかった。対照的に、TNFR2由来の抗CD20 CARは、CARに媒介される抑制的活性の観察を可能にした。TNFR1由来の抗CD20 CARは、非常に弱い抑制的活性を呈した。
【0725】
様々なTNFR由来CARのCAR効力をより適切に定義し比較するために、Tconv増殖を抑制する能力を、共培養に存在するCAR-Treg細胞の絶対数の関数として表した。図11に示すとおり、TNFR1由来CARは、非常に非効率的であった(50%の抑制をトリガーする14750のCAR-Treg)。
【0726】
これらの結果は、異なるヒトTNFR候補の中でも、CARにおけるTNFR2膜貫通シグナル伝達ドメインおよびTNFR2共刺激細胞内シグナル伝達ドメインの使用が、リガンド非依存性持続性シグナル伝達が非常に低くかつCAR依存性のTreg活性化および抑制的活性が最適であるCAR-Tregの設計に最適な組み合わせであることを示す。
実施例4:Tregマーカー/表現型
材料および方法
【0727】
使用した材料および方法は、実施例1で説明したものと同じであった。
結果
培養における抗IL-23R CAR-Treg表現型
【0728】
9日目のIL-23RCAR-Treg表現型の結果を次表に提示する(表11)。結果を、各マーカーについて陽性の細胞の割合として表す。
【表11】
【0729】
興味深いことに、細胞表面において高度に発現されるIL-23R-CAR(4-1BB/CD3z)が形質導入されたTregは、FoxP3、Helios、CD62L(太字)の減少およびCD127(太字)の増加によって強調される安定性の喪失を示したことを観察した。しかし、IL-23R-CAR(TNFR2/CD3z)で形質導入されたTregは、細胞表面の発現の9分の1の減少を示し(4-1BB由来CARでは191.1±53.2、TNFR2由来CARでは20.5±3.4、表3を参照のこと)、培養9日後での堅牢なTreg表現型を強調表示する。
培養における抗CD20 CAR-Treg表現型
【0730】
15日目の抗-CD20 CAR-Treg表現型の結果を次表に提示する(表12)。結果を、各マーカーの陽性細胞の割合または平均蛍光として表す。
【表12】
【0731】
興味深いことに、Treg表現型は、異なるCAR-Treg構築物およびGFPのみで形質導入された対照の間で統計的に異ならない。
実施例5:CAR-Tregのin vivoでの使用
材料および方法
GvHD
【0732】
ヒトHLA-A2+PBMC注射の1日前に、合計23匹のNSGマウス(8週)をブスルファン30mg/kgのIP注射でコンディショニングして、ヒト細胞の生着を促進した。1日後(0日目)、マウスにHLA-A*02+ヒトPBMC(マウスあたり5x106PBMC)をIV注射し、ヒトHLA-A2 CAR Tregを1:1のPBMC:CAR-Treg比で注射した。週に3回、マウスの体重を測定し(BW)、GvHDスコアを評価した。血液サンプルを毎週採取した。屠殺時に、脾臓および肺も分析した。ヒトTregを、HLA-A2陰性の健常ボランティアから単離し、前述のとおり形質導入した。
結果
【0733】
CD28、TNFR2、またはTNFR2+4-1BB共シグナル伝達ドメインを含むCAR Tregを、GvHDマウスモデルにおいてin vivoでの活性について試験した。3つの異なるCAR構築物(図12)を、前述のとおり、CD4CD25CD127low、CD45RAヒトTregに形質導入した。
【0734】
形質導入効率をGFP陽性細胞発現の割合により評価し、CAR発現を、Dextramer(登録商標)を使用して監視した。図13に示すとおり、TregはCD28またはTNFR2またはTNFR24-1BB HLA*A2 CARでそれぞれ27%、56%および34%で形質導入された。
【0735】
3つの異なるHLA*A2CAR-Tregは、堅牢なTreg表現型CD4CD45RAFoxP3CTLA-4を示した(図14)。
【0736】
HLA*A2 CAR-Tregを比率1:1でNSGマウスに注射した(PBMC:CAR-Treg)。TNFR2、TNFR24-1BBまたはCD28共シグナル伝達ドメインを含むHLA*A2 CAR-Tregはすべて、GvHDを制御できた(図15)。
【表13】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【配列表】
2024123133000001.app
【手続補正書】
【提出日】2024-06-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】変更
【補正の内容】
【配列表】
2024123133000001.xml