(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123151
(43)【公開日】2024-09-10
(54)【発明の名称】2,3-ブタンジオールを含む分散剤又は分散媒組成物、及びこれを含む化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/34 20060101AFI20240903BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240903BHJP
C09K 23/42 20220101ALI20240903BHJP
【FI】
A61K8/34
A61Q19/00
C09K23/42
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024099885
(22)【出願日】2024-06-20
(62)【分割の表示】P 2022564284の分割
【原出願日】2020-05-21
(31)【優先権主張番号】10-2020-0048969
(32)【優先日】2020-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】513132586
【氏名又は名称】ジーエス カルテックス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェ,スンヒェ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジョンミョン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】特定の有効成分を均一に分散させて化粧料組成物を安定的に維持させることができる分散剤組成物又は分散媒組成物を含む化粧料組成物を提供する。
【解決手段】アラントイン、ビタミンC及びセラマイドの群から選択された被分散組成物と、油中ポリオール(P/O)剤形、可溶化エッセンス剤形、および水中油(O/W)エマルジョン剤形からなる群から選択される剤形を有する、(2R,3S)-2,3-ブタンジオール、(2R,3R)-2,3-ブタンジオール、及び(2S,3S)-2,3-ブタンジオールを含む、分散剤及び分散媒の少なくとも一方の分散用組成物と、を含むことを特徴とする、化粧料組成物である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散剤として(2R,3R)-2,3-ブタンジオール又は(2S,3S)-2,3-ブタンジオールを含有せず、分散剤として(2R,3S)-2,3-ブタンジオールを含有する分散剤組成物を含む、化粧料組成物であって、分散剤として(2R,3R)-2,3-ブタンジオールを含む化粧料組成物よりも優れた塗り心地と塗布均一性を有し、油中ポリオール(P/O)剤形、可溶化エッセンス剤形、および水中油(O/W)エマルジョン剤形からなる群から選択される剤形を有する、
ことを特徴とする、化粧料組成物。
【請求項2】
前記化粧料組成物は、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンHを含むビタミン系原料、アラントイン、セラマイドを含む保湿原料、アルブチン、エチルアスコルビルエーテルを含む美白機能性原料、レチニルパルミテート、アデノシン、ポリエトキシレートレチンアミドを含むシワ改善機能性原料、グリセリルPABA、ドロメトリゾール、ベンゾフェノン、シノキサートを含む紫外線遮断機能性原料、ビオチン、L-メントール、ジンクピリチオンを含む脱毛緩和機能性原料、フェルラ酸、ヘキシルレゾルシノールを含む酸化防止又は変色防止原料、サリチル酸とその塩類及びエステル、グリコール酸を含む角質改善原料、コラーゲン、ペプチドを含む機能性タンパク質及び高分子原料、植物抽出物、香料、顔料、パール、パウダー、二酸化チタン、毛髪の脱染又は脱色原料、抗炎症性原料、抗酸化原料、にきび性及びアトピー性の皮膚改善原料からなる群より選択される一つ以上を含むことを特徴とする、
請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項3】
前記化粧料組成物は、柔軟化粧水、収れん化粧水、栄養化粧水、ローション、ジェル、クリーム、エッセンス、アイエッセンス、アイクリーム、栄養クリーム、マッサージクリーム、クレー状パック、マスクパックを含むスキンケア製品、リップスティック、リップティント、リップグロス、リップペンシル、アイシャドー、ファンデーション、パウダー、コンシーラー、アイライナー、アイシャドー、マスカラを含むメーキャップ製品、アイメイクリムーバー、メーキャップリムーバー、クレンジングフォーム、クレンジングクリーム、クレンジングオイル、クレンジングウォーター、手指消毒剤、ハンドソープ、ハンドスクラブ、ボディーソープ、ボディースクラブ、シェービングローション、石けん、ウェットティッシュを含む洗浄製品、ボディーローション、ボディーオイル、ボディーミスト、ボディーエッセンス、ハンドクリーム、フットクリーム、ワックス状除毛剤を含むボディーケア製品、ベビーローション、ベビークリーム、オムツかぶれクリームを含む乳児化粧品、サンクリーム、サンスティック、サンスプレー、人工タンニング製品を含むサンケア製品、シャンプー、リンス、ヘアコンディショナークリーム、ヘアスタイリングジェル、フォーム、ヘアムース、ヘアスプレー、スタイリングローション、スタイリングクリーム、ヘアエッセンス、毛髪染料、毛髪脱色クリーム、カール活性剤ゲルを含むヘア製品、マニキュア、ネイルポリッシュ、キューティクルリムーバー、キューティクルクリームを含むネイルケア製品、歯磨き粉、口腔洗浄剤、口腔リンス、口腔フィルム、ガムを含むパーソナルケア製品、香水、植物抽出物、消臭剤及び止汗剤からなる群より選択される剤形である、
請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項4】
分散媒として(2R,3R)-2,3-ブタンジオール又は(2S,3S)-2,3-ブタンジオールを含有せず、分散媒として(2R,3S)-2,3-ブタンジオールを含有する分散媒組成物を含む、化粧料組成物であって、分散媒として(2R,3R)-2,3-ブタンジオールを含む化粧料組成物よりも優れた塗り心地と塗布均一性を有し、油中ポリオール(P/O)剤形、可溶化エッセンス剤形、および水中油(O/W)エマルジョン剤形からなる群から選択される剤形を有する、
ことを特徴とする、化粧料組成物。
【請求項5】
前記化粧料組成物は、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンHを含むビタミン系原料、アラントイン、セラマイドを含む保湿原料、アルブチン、エチルアスコルビルエーテルを含む美白機能性原料、レチニルパルミテート、アデノシン、ポリエトキシレートレチンアミドを含むシワ改善機能性原料、グリセリルPABA、ドロメトリゾール、ベンゾフェノン、シノキサートを含む紫外線遮断機能性原料、ビオチン、L-メントール、ジンクピリチオンを含む脱毛緩和機能性原料、フェルラ酸、ヘキシルレゾルシノールを含む酸化防止又は変色防止原料、サリチル酸とその塩類及びエステル、グリコール酸を含む角質改善原料、コラーゲン、ペプチドを含む機能性タンパク質及び高分子原料、植物抽出物、香料、顔料、パール、パウダー、二酸化チタン、毛髪の脱染又は脱色原料、抗炎症性原料、抗酸化原料、にきび性及びアトピー性の皮膚改善原料からなる群より選択される一つ以上を含むことを特徴とする、
請求項4に記載の化粧料組成物。
【請求項6】
前記化粧料組成物は、柔軟化粧水、収れん化粧水、栄養化粧水、ローション、ジェル、クリーム、エッセンス、アイエッセンス、アイクリーム、栄養クリーム、マッサージクリーム、クレー状パック、マスクパックを含むスキンケア製品、リップスティック、リップティント、リップグロス、リップペンシル、アイシャドー、ファンデーション、パウダー、コンシーラー、アイライナー、アイシャドー、マスカラを含むメーキャップ製品、アイメイクリムーバー、メーキャップリムーバー、クレンジングフォーム、クレンジングクリーム、クレンジングオイル、クレンジングウォーター、手指消毒剤、ハンドソープ、ハンドスクラブ、ボディーソープ、ボディースクラブ、シェービングローション、石けん、ウェットティッシュを含む洗浄製品、ボディーローション、ボディーオイル、ボディーミスト、ボディーエッセンス、ハンドクリーム、フットクリーム、ワックス状除毛剤を含むボディーケア製品、ベビーローション、ベビークリーム、オムツかぶれクリームを含む乳児化粧品、サンクリーム、サンスティック、サンスプレー、人工タンニング製品を含むサンケア製品、シャンプー、リンス、ヘアコンディショナークリーム、ヘアスタイリングジェル、フォーム、ヘアムース、ヘアスプレー、スタイリングローション、スタイリングクリーム、ヘアエッセンス、毛髪染料、毛髪脱色クリーム、カール活性剤ゲルを含むヘア製品、マニキュア、ネイルポリッシュ、キューティクルリムーバー、キューティクルクリームを含むネイルケア製品、歯磨き粉、口腔洗浄剤、口腔リンス、口腔フィルム、ガムを含むパーソナルケア製品、香水、植物抽出物、消臭剤及び止汗剤からなる群より選択される剤形である、
請求項4に記載の化粧料組成物。
【請求項7】
分散剤として(2R,3R)-2,3-ブタンジオール又は(2S,3S)-2,3-ブタンジオールを含有せず、分散剤として(2R,3S)-2,3-ブタンジオールを含有する、化粧料組成物であって、分散剤として(2R,3R)-2,3-ブタンジオールを含む化粧料組成物よりも優れた塗り心地と塗布均一性を有し、油中ポリオール(P/O)剤形、可溶化エッセンス剤形、および水中油(O/W)エマルジョン剤形からなる群から選択される剤形を有する、
ことを特徴とする、化粧料組成物。
【請求項8】
前記化粧料組成物は、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンHを含むビタミン系原料、アラントイン、セラマイドを含む保湿原料、アルブチン、エチルアスコルビルエーテルを含む美白機能性原料、レチニルパルミテート、アデノシン、ポリエトキシレートレチンアミドを含むシワ改善機能性原料、グリセリルPABA、ドロメトリゾール、ベンゾフェノン、シノキサートを含む紫外線遮断機能性原料、ビオチン、L-メントール、ジンクピリチオンを含む脱毛緩和機能性原料、フェルラ酸、ヘキシルレゾルシノールを含む酸化防止又は変色防止原料、サリチル酸とその塩類及びエステル、グリコール酸を含む角質改善原料、コラーゲン、ペプチドを含む機能性タンパク質及び高分子原料、植物抽出物、香料、顔料、パール、パウダー、二酸化チタン、毛髪の脱染又は脱色原料、抗炎症性原料、抗酸化原料、にきび性及びアトピー性の皮膚改善原料からなる群より選択される一つ以上を含むことを特徴とする、
請求項7に記載の化粧料組成物。
【請求項9】
前記化粧料組成物は、柔軟化粧水、収れん化粧水、栄養化粧水、ローション、ジェル、クリーム、エッセンス、アイエッセンス、アイクリーム、栄養クリーム、マッサージクリーム、クレー状パック、マスクパックを含むスキンケア製品、リップスティック、リップティント、リップグロス、リップペンシル、アイシャドー、ファンデーション、パウダー、コンシーラー、アイライナー、アイシャドー、マスカラを含むメーキャップ製品、アイメイクリムーバー、メーキャップリムーバー、クレンジングフォーム、クレンジングクリーム、クレンジングオイル、クレンジングウォーター、手指消毒剤、ハンドソープ、ハンドスクラブ、ボディーソープ、ボディースクラブ、シェービングローション、石けん、ウェットティッシュを含む洗浄製品、ボディーローション、ボディーオイル、ボディーミスト、ボディーエッセンス、ハンドクリーム、フットクリーム、ワックス状除毛剤を含むボディーケア製品、ベビーローション、ベビークリーム、オムツかぶれクリームを含む乳児化粧品、サンクリーム、サンスティック、サンスプレー、人工タンニング製品を含むサンケア製品、シャンプー、リンス、ヘアコンディショナークリーム、ヘアスタイリングジェル、フォーム、ヘアムース、ヘアスプレー、スタイリングローション、スタイリングクリーム、ヘアエッセンス、毛髪染料、毛髪脱色クリーム、カール活性剤ゲルを含むヘア製品、マニキュア、ネイルポリッシュ、キューティクルリムーバー、キューティクルクリームを含むネイルケア製品、歯磨き粉、口腔洗浄剤、口腔リンス、口腔フィルム、ガムを含むパーソナルケア製品、香水、植物抽出物、消臭剤及び止汗剤からなる群より選択される剤形である、
請求項7に記載の化粧料組成物。
【請求項10】
分散媒として(2R,3R)-2,3-ブタンジオール又は(2S,3S)-2,3-ブタンジオールを含有せず、分散媒として(2R,3S)-2,3-ブタンジオールを含有する、化粧料組成物であって、分散媒として(2R,3R)-2,3-ブタンジオールを含む化粧料組成物よりも優れた塗り心地と塗布均一性を有し、油中ポリオール(P/O)剤形、可溶化エッセンス剤形、および水中油(O/W)エマルジョン剤形からなる群から選択される剤形を有する、
ことを特徴とする、化粧料組成物。
【請求項11】
前記化粧料組成物は、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンHを含むビタミン系原料、アラントイン、セラマイドを含む保湿原料、アルブチン、エチルアスコルビルエーテルを含む美白機能性原料、レチニルパルミテート、アデノシン、ポリエトキシレートレチンアミドを含むシワ改善機能性原料、グリセリルPABA、ドロメトリゾール、ベンゾフェノン、シノキサートを含む紫外線遮断機能性原料、ビオチン、L-メントール、ジンクピリチオンを含む脱毛緩和機能性原料、フェルラ酸、ヘキシルレゾルシノールを含む酸化防止又は変色防止原料、サリチル酸とその塩類及びエステル、グリコール酸を含む角質改善原料、コラーゲン、ペプチドを含む機能性タンパク質及び高分子原料、植物抽出物、香料、顔料、パール、パウダー、二酸化チタン、毛髪の脱染又は脱色原料、抗炎症性原料、抗酸化原料、にきび性及びアトピー性の皮膚改善原料からなる群より選択される一つ以上を含むことを特徴とする、
請求項10に記載の化粧料組成物。
【請求項12】
前記化粧料組成物は、柔軟化粧水、収れん化粧水、栄養化粧水、ローション、ジェル、クリーム、エッセンス、アイエッセンス、アイクリーム、栄養クリーム、マッサージクリーム、クレー状パック、マスクパックを含むスキンケア製品、リップスティック、リップティント、リップグロス、リップペンシル、アイシャドー、ファンデーション、パウダー、コンシーラー、アイライナー、アイシャドー、マスカラを含むメーキャップ製品、アイメイクリムーバー、メーキャップリムーバー、クレンジングフォーム、クレンジングクリーム、クレンジングオイル、クレンジングウォーター、手指消毒剤、ハンドソープ、ハンドスクラブ、ボディーソープ、ボディースクラブ、シェービングローション、石けん、ウェットティッシュを含む洗浄製品、ボディーローション、ボディーオイル、ボディーミスト、ボディーエッセンス、ハンドクリーム、フットクリーム、ワックス状除毛剤を含むボディーケア製品、ベビーローション、ベビークリーム、オムツかぶれクリームを含む乳児化粧品、サンクリーム、サンスティック、サンスプレー、人工タンニング製品を含むサンケア製品、シャンプー、リンス、ヘアコンディショナークリーム、ヘアスタイリングジェル、フォーム、ヘアムース、ヘアスプレー、スタイリングローション、スタイリングクリーム、ヘアエッセンス、毛髪染料、毛髪脱色クリーム、カール活性剤ゲルを含むヘア製品、マニキュア、ネイルポリッシュ、キューティクルリムーバー、キューティクルクリームを含むネイルケア製品、歯磨き粉、口腔洗浄剤、口腔リンス、口腔フィルム、ガムを含むパーソナルケア製品、香水、植物抽出物、消臭剤及び止汗剤からなる群より選択される剤形である、
請求項10に記載の化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2,3-ブタンジオールを含む分散剤又は分散媒組成物に関する。また本発明は、前記分散剤又は分散媒組成物を含む化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
人体における皮膚は、外部環境と接触する部分であって、外部環境からの様々な因子から人体の内部を保護する機能を担っている。伝統的に皮膚状態の改善及び保存のため化粧品を使用してきており、化粧品の成分として様々な原料が開発されている。
【0003】
例えば、韓国登録特許10-1914844号では、ナイアシンアミド、リシノレエート化合物等を含む化粧組成物が記載されており、韓国登録特許10-0746058号では、ビタミンB3化合物が含まれたセルフタンニング化粧組成物が記載されており、韓国登録特許10-0292143号では、グリコール酸及びビタミンCを含む化粧料組成物が記載されている。
【0004】
しかし、化粧料を効果的に流通かつ使用するためには、化粧料が安定的に維持されることが重要である。本発明者らは、化粧料組成物に使用するための分散剤及び分散媒について研究するうち、2,3-ブタンジオールの特定の異性体を用いる際、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンHを含むビタミン系原料、アラントイン、セラマイドを含む保湿原料、アルブチン、エチルアスコルビルエーテルを含む美白機能性原料、レチニルパルミテート、アデノシン、ポリエトキシレートレチンアミドを含むシワ改善機能性原料、グリセリルPABA、ドロメトリゾール、ベンゾフェノン、シノキサートを含む紫外線遮断機能性原料、ビオチン、L-メントール、ジンクピリチオンを含む脱毛緩和機能性原料、フェルラ酸、ヘキシルレゾルシノールを含む酸化防止又は変色防止原料、サリチル酸とその塩類及びエステル、グリコール酸を含む角質改善原料、コラーゲン、ペプチドを含む機能性タンパク質及び高分子原料、植物抽出物、香料、顔料、パール、パウダー、二酸化チタン、毛髪の脱染又は脱色原料、抗炎症性原料、抗酸化原料、にきび性及びアトピー性の皮膚改善原料等を均一に分散することができ、化粧料組成物が安定的に維持できることを確認して、本発明を完成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国登録特許10-1914844号公報
【特許文献2】韓国登録特許10-0746058号公報
【特許文献2】韓国登録特許10-0292143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、化粧料組成物における特定の有効成分を均一に分散させて、化粧料組成物を安定的に維持させることができる分散剤組成物及び分散媒組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、
2,3-ブタンジオールを含む分散剤組成物を提供する。
【0008】
また本発明は、
前記分散剤組成物を含む化粧料組成物を提供する。
【0009】
また本発明は、
2,3-ブタンジオールを含む分散媒組成物を提供する。
【0010】
また本発明は、
前記分散媒組成物を含む化粧料組成物を提供する。
【0011】
また本発明は、
2,3-ブタンジオールを溶剤に添加した後に混合する段階を含む、分散剤組成物の製造方法を提供する。
【0012】
また本発明は、
本発明の製造方法に従って製造された分散剤組成物を化粧材料に添加して混合する段階を含む、化粧料組成物の製造方法を提供する。
【0013】
また本発明は、
2,3-ブタンジオールを溶剤に添加した後に混合する段階を含む、分散媒組成物の製造方法を提供する。
【0014】
また本発明は、
本発明の製造方法に従って製造された分散媒組成物を化粧材料に添加して混合する段階を含む、化粧料組成物の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明が分散剤組成物及び/又は分散媒組成物を用いることにより、本発明は、化粧料組成物における特定の有効成分を均一に分散させて、化粧料組成物を安定的に維持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の2,3-ブタンジオールが生産される工程である微生物発酵による100%環境にやさしいバイオ工程を示す図面。
【
図2】2,3-ブタンジオールの氷点、分子構造のような物理的特徴によって分散力が決定されることを示す分散メカニズムを示す図面。
【
図3】様々なポリオールに対するHansen solubility parameter値を示す図面。
【
図4】製造例1~4の混合液を水相で冷蔵(4℃)条件下、7日間保管した後、アラントインの分散力を評価した写真。
【
図5】製造例5~8の混合液を可溶化剤形で冷蔵(4℃)条件下、7日間保管した後、アラントインの分散力を評価した写真。
【
図6】製造例9~12のP/Oエマルジョンを8週間保管した後の写真。
【
図7】製造例13~16のP/Oエマルジョンを8週間保管した後の写真。
【
図8】製造例17~20の混合液を室温条件下、1日間保管した後、セラマイドの分散力を評価した写真。
【
図9】製造例17~20の混合液を室温条件下、4週間保管した後、セラマイドの分散力を評価した写真。
【
図10】製造例17と19の混合液を恒温槽(45℃)条件下、4週間保管した後、セラマイドの分散力を評価した写真。
【
図11】製造例21~24の混合液を可溶化スキン剤形で室温条件下、1日間保管した後、セラマイドの分散力を評価した写真。
【
図12】製造例21~24の混合液を可溶化スキン剤形で室温条件下、4週間保管した後、セラマイドの分散力を評価した写真。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、
2,3-ブタンジオールを含む分散剤組成物に関する。
【0018】
また本発明は、
前記分散剤組成物を含む化粧料組成物に関する。
【0019】
また本発明は、
2,3-ブタンジオールを含む分散媒組成物に関する。
【0020】
また本発明は、
前記分散媒組成物を含む化粧料組成物に関する。
【0021】
また本発明は、
2,3-ブタンジオールを溶剤に添加した後に混合する段階を含む、分散剤組成物の製造方法に関する。
【0022】
また本発明は、
本発明の製造方法に従って製造された分散剤組成物を化粧材料に添加して混合する段階を含む、化粧料組成物の製造方法に関する。
【0023】
また本発明は、
2,3-ブタンジオールを溶剤に添加した後に混合する段階を含む、分散媒組成物の製造方法に関する。
【0024】
また本発明は、
本発明の製造方法に従って製造された分散媒組成物を化粧材料に添加して混合する段階を含む、化粧料組成物の製造方法に関する。
【0025】
以下では、本発明を詳説する。
【0026】
分散剤組成物及び/又は分散媒組成物、及びその製造方法
本発明は、2,3-ブタンジオールを含む分散剤及び/又は分散媒組成物に関する。また本発明は、2,3-ブタンジオールを溶剤に添加した後に混合する段階を含む、分散剤及び/又は分散媒組成物の製造方法に関する。前記2,3-ブタンジオールは、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールであってもよい。本発明の(2R,3S)-2,3-ブタンジオールは、2,3-ブタンジオールの異性体を含むものの、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールの異性体の含量が最も高い組成物を含む。例えば、本発明の(2R,3S)-2,3-ブタンジオールは、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールを(2R,3R)-2,3-ブタンジオールよりも多く含むか、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールを(2S,3S)-2,3-ブタンジオールよりも多く含むことができる。好ましくは、前記(2R,3S)-2,3-ブタンジオールは、2,3-ブタンジオールの異性体を含む組成物であって、前記組成物は、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールの含量が、他の2,3-ブタンジオールの和よりも大きくてもよい。好ましくは、本発明の(2R,3S)-2,3-ブタンジオールは、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールが80重量%以上である2,3-ブタンジオールの異性体の混合物であってもよい。
【0027】
前記溶剤は、一般的な分散剤/分散媒組成物に使用可能な溶剤であればよく、特に制限されない。例えば、前記溶剤は、合成溶剤又は天然溶剤等になり得、水、有機溶剤等、例えば、水、エタノール、炭素数2~8のポリオールを含むアルコール類、オイル等になり得る。
【0028】
本発明の分散剤及び/又は分散媒組成物は、本発明の2,3-ブタンジオールを含み、このとき、分散剤及び/又は分散媒組成物100重量%内における本発明の2,3-ブタンジオールは、0.1~100重量%、好ましくは、0.2~99重量%含まれてもよい。
【0029】
2,3-ブタンジオールは、-OH基が2番と3番炭素に対称して位置しており、堅固な構造体を形成する。これによって、2,3-ブタンジオールは、常温で結晶化する独特な特徴がある。また、2,3-ブタンジオールは、親水性ヒドロキシル基と親油性炭素チェーンが均衡を成しているため、親水性有効物質と結合して油溶性物質に分散されるか、親油性有効物質と結合して親水性物質に分散されやすく分散剤、分散媒としての役割を果たすことになる。本発明の分散剤/分散媒は、化粧料組成物、例えば、水相、可溶化剤形、乳化剤形、油分散剤形等に適用可能である。
【0030】
本発明の分散剤及び/又は分散媒組成物は、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンHを含むビタミン系原料、アラントイン、セラマイドを含む保湿原料、アルブチン、エチルアスコルビルエーテルを含む美白機能性原料、レチニルパルミテート、アデノシン、ポリエトキシレートレチンアミドを含むシワ改善機能性原料、グリセリルPABA、ドロメトリゾール、ベンゾフェノン、シノキサートを含む紫外線遮断機能性原料、ビオチン、L-メントール、ジンクピリチオンを含む脱毛緩和機能性原料、フェルラ酸、ヘキシルレゾルシノールを含む酸化防止又は変色防止原料、サリチル酸とその塩類及びエステル、グリコール酸を含む角質改善原料、コラーゲン、ペプチドを含む機能性タンパク質及び高分子原料、植物抽出物、香料、顔料、パール、パウダー、二酸化チタン、毛髪の脱染又は脱色原料、抗炎症性原料、抗酸化原料、にきび性及びアトピー性の皮膚改善原料等に対して優れた分散力を提供し、これらの成分を化粧料組成物内において均一に分散させて、化粧料組成物を安定的に維持することができる。前記成分は、化粧料として製造時、分散が良く行われなければならない成分である。例えば、アラントインの場合、温度が低い場合、析出しやすくて、化粧料の製造時、析出有無が問題になり得る。例えば、本発明の分散剤及び/又は分散媒組成物は、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンHを含むビタミン系原料、アラントイン、セラマイドを含む保湿原料、アルブチン、エチルアスコルビルエーテルを含む美白機能性原料、レチニルパルミテート、アデノシン、ポリエトキシレートレチンアミドを含むシワ改善機能性原料、グリセリルPABA、ドロメトリゾール、ベンゾフェノン、シノキサートを含む紫外線遮断機能性原料、ビオチン、L-メントール、ジンクピリチオンを含む脱毛緩和機能性原料、フェルラ酸、ヘキシルレゾルシノールを含む酸化防止又は変色防止原料、サリチル酸とその塩類及びエステル、グリコール酸を含む角質改善原料、コラーゲン、ペプチドを含む機能性タンパク質及び高分子原料、植物抽出物、香料、顔料、パール、パウダー、二酸化チタン、毛髪の脱染又は脱色原料、抗炎症性原料、抗酸化原料、にきび性及びアトピー性の皮膚改善原料等の有効成分からなる群より選択される一つ以上に対する分散力が、(2R,3R)-2,3-ブタンジオール又は(2R,3R)-2,3-ブタンジオールの含量が最も高い、2,3-ブタンジオールの異性体の混合物を用いた化粧品組成物よりも高い。このとき、前記ビタミンC、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンHを含むビタミン系原料、アラントイン、セラマイドを含む保湿原料、アルブチン、エチルアスコルビルエーテルを含む美白機能性原料、レチニルパルミテート、アデノシン、ポリエトキシレートレチンアミドを含むシワ改善機能性原料、グリセリルPABA、ドロメトリゾール、ベンゾフェノン、シノキサートを含む紫外線遮断機能性原料、ビオチン、L-メントール、ジンクピリチオンを含む脱毛緩和機能性原料、フェルラ酸、ヘキシルレゾルシノールを含む酸化防止又は変色防止原料、サリチル酸とその塩類及びエステル、グリコール酸を含む角質改善原料、コラーゲン、ペプチドを含む機能性タンパク質及び高分子原料、植物抽出物、香料、顔料、パール、パウダー、二酸化チタン、毛髪の脱染又は脱色原料、抗炎症性原料、抗酸化原料、にきび性及びアトピー性の皮膚改善原料等の有効成分からなる群より選択される一つ以上に対する分散力は、試料(つまり、本発明の分散剤及び/又は分散媒組成物、又は対照群)を有効成分(ビタミンC、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンHを含むビタミン系原料、アラントイン、セラマイドを含む保湿原料、アルブチン、エチルアスコルビルエーテルを含む美白機能性原料、レチニルパルミテート、アデノシン、ポリエトキシレートレチンアミドを含むシワ改善機能性原料、グリセリルPABA、ドロメトリゾール、ベンゾフェノン、シノキサートを含む紫外線遮断機能性原料、ビオチン、L-メントール、ジンクピリチオンを含む脱毛緩和機能性原料、フェルラ酸、ヘキシルレゾルシノールを含む酸化防止又は変色防止原料、サリチル酸とその塩類及びエステル、グリコール酸を含む角質改善原料、コラーゲン、ペプチドを含む機能性タンパク質及び高分子原料、植物抽出物、香料、顔料、パール、パウダー、二酸化チタン、毛髪の脱染又は脱色原料、抗炎症性原料、抗酸化原料、にきび性及びアトピー性の皮膚改善原料等)と共に混合して、水相、あるいは水相及び可溶化相の剤形で製造し、4℃又は室温で7日以上、例えば、4週間又は8週間保管した後、有効成分の析出度合い、油相と水相の相分離等、安定度を評価して測定することができる。または、前記分散力は、下記の実験例<2-1>~<4-2>の方法に従って測定することができる。前記植物抽出物、香料、顔料等の成分は、化粧料組成物における一般に使用される植物抽出物(例えば、ツボクサ抽出物、青いミカン抽出物、ブロッコリー抽出物、キンセン力の花びら抽出物等)、顔料、染料等を使用すればよく、特に制限されない。実験例によって本発明の内容が限定されるものではない。
【0031】
本発明の2,3-ブタンジオールは、微生物発酵によって得られた生物学的基盤の2,3-ブタンジオールであるのが好ましく、例えば、本発明の2,3-ブタンジオールは、バチルス、エンテロバクター、クレブシエラ、シトロバクター、大膓菌、酵母(サッカロミセス)等を用して製造することができる。本発明の2,3-ブタンジオールは、動物来由の原料を用いて製造したものではない。本発明の2,3-ブタンジオールは、微生物を発酵して製造された2,3-ブタンジオールの異性体の混合物であってもよく、発酵後、2,3-ブタンジオールの異性体のうち、特定の異性体の含量を増加するための人為的処理がないことを特徴とする。すなわち、本発明の2,3-ブタンジオールは、微生物発酵によって生産された(2R,3S)-2,3-ブタンジオール含量が高い2,3-ブタンジオールの異性体の混合物である。本発明の(2R,3S)-2,3-ブタンジオールは、2,3-ブタンジオールの異性体を含むものの、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールの異性体の含量が最も高い組成物を含む。例えば、本発明の(2R,3S)-2,3-ブタンジオールは、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールを(2R,3R)-2,3-ブタンジオールよりも多く含むか、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールを(2S,3S)-2,3-ブタンジオールよりも多く含むことができる。好ましくは、前記(2R,3S)-2,3-ブタンジオールは、2,3-ブタンジオールの異性体を含む組成物であって、前記組成物は、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールの含量が、他の2,3-ブタンジオールの和よりも大きくてもよい。好ましくは、本発明の(2R,3S)-2,3-ブタンジオールは、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールが80重量%以上である2,3-ブタンジオールの異性体の混合物であってもよい。化学的に2,3-ブタンジオールを生産する場合、化学的触媒が異性体を区分することができず、無作為に異性体が生産されて、本発明の2,3-ブタンジオールと違って、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールの生産比率が低くなる。一般的に、2,3-ブタンジオールを異性体別に分離することは容易でないため、化学的に2,3-ブタンジオールを生産して、本発明の(2R,3S)-2,3-ブタンジオール、又は(2R,3S)-2,3-ブタンジオールの含量が高い2,3-ブタンジオールの異性体の混合物を製造することが難しい。
【0032】
本発明の2,3-ブタンジオールは、バイオマスを原料とした微生物発酵によって生産される100%環境にやさしいバイオ工程によって生産される(
図1)。この微生物は、土壌、農場等、自然でサンプルを採取して開発された。本発明の2,3-ブタンジオールは、微生物がバイオマス来由の糖を摂取して消化する「発酵」過程によって高純度で分離して生産される。本発明の2,3-ブタンジオールは、Non-GMO(遺伝子組み換えしていない物質)バイオマス原料及び微生物を使用し、分離精製過程においても沸騰点、大きさ等、物理的な特徴だけを利用して環境にやさしく生産されている。本発明の2,3-ブタンジオールを生産時、分離精製工程は、ろ過、イオン除去(電気透析、イオン交換)、蒸留、脱色?脱臭(吸着、蒸留)工程から構成されている。また、工程中に動物来由の原料を全く使用しておらず、該物質に対する動物試験も行っていない。
【0033】
該バイオ工程は、化学工程と違って、特定の異性体の生産比率を高く生産することができるという長所がある。バイオ触媒の役割を果たす微生物と、これを成す酵素タンパク質は、化学触媒よりも構造が複雑であり、特定の異性体を区別して生産することができる。よって、バイオ工程によって異性体(2R,3S)/(2R,3R)/(2S,3S)(順に、またはmeso/levo/dextro)のうち、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールの含量が高い異性体の混合物を生産することができる。化学工程では、化学触媒がこれを区分することができず、無作為に異性体が選択して生産され、バイオ来由の2,3-ブタンジオールと比較するとき、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールの生産比率が低い。また、化学工程で生産する場合、主原料として石油来由の炭化水素を使用することになり、クロロヒドリン化(chlorohydrination)、加水分解(Hydrolysis)等の複数の段階の化学触媒反応を経て生産することになる。かかる場合、butene oxide、butane、chlorohydrin、aldehyde系ケミカルが副産物として生産され得る。これらの物質が化粧品に適用されると、皮膚刺激やトラブルを引き起こし得る。よって、石油化学来由の2,3-ブタンジオールは、化粧品業界のメガトレンドによっても使用されにくいが、このような技術的な側面でも、化粧品への適用が難しい。しかし、バイオ工程によって生産された2,3-ブタンジオールの場合には、天然物質であって、食品添加剤として既に登録されており、皮膚刺激のないアセトイン等が副産物として含まれ得るため、化粧品原料として使用することができる。
【0034】
本発明の2,3-ブタンジオールについて、有機農化粧品国際認証制度である COSMOS(Cosmetic Organic Standard)認証、米国農務省USDAの100%バイオ製品認証、動物来由の原材料を使用せずに動物実験を実施する製品に付与するビーガン(Vegan)認証等、グローバルな環境にやさしい認証を獲得して、環境へのやさしさと安全性も認定された。
【0035】
本発明の生物学的基盤の2,3-ブタンジオールを含む分散剤及び/又は分散媒組成物は、化学的に合成した2,3-ブタンジオールからなる分散剤及び/又は分散媒組成物よりも、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンHを含むビタミン系原料、アラントイン、セラマイドを含む保湿原料、アルブチン、エチルアスコルビルエーテルを含む美白機能性原料、レチニルパルミテート、アデノシン、ポリエトキシレートレチンアミドを含むシワ改善機能性原料、グリセリルPABA、ドロメトリゾール、ベンゾフェノン、シノキサートを含む紫外線遮断機能性原料、ビオチン、L-メントール、ジンクピリチオンを含む脱毛緩和機能性原料、フェルラ酸、ヘキシルレゾルシノールを含む酸化防止又は変色防止原料、サリチル酸とその塩類及びエステル、グリコール酸を含む角質改善原料、コラーゲン、ペプチドを含む機能性タンパク質及び高分子原料、植物抽出物、香料、顔料、パール、パウダー、二酸化チタン、毛髪の脱染又は脱色原料、抗炎症性原料、抗酸化原料、にきび性及びアトピー性の皮膚改善原料等を化粧料内において均一に分散させて、化粧料組成物を安定的に維持させる。
図2に示されるように、2,3-ブタンジオールの氷点、分子構造のような物理的特徴によって分散力が決定される。2,3-ブタンジオール、特に、(2R,3S)-2,3-ブタンジオール比率が高い2,3-ブタンジオールは、氷点が13度以上と高いにもかかわらず凍りやすいということは、特定の構造体を形成やすいことを意味する。これは、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールの場合、-OH基が互いに交差した対称構造を有することから、特定の構造体を形成しやすいと予測される。これらの2,3-ブタンジオールの特徴によって、2,3-ブタンジオールは、特定の構造体を形成しやすく、特定の物質を分散時、2,3-ブタンジオールが分子間相互作用によって該物質を効果的に囲んで分散させると予想する。本発明では、2,3-ブタンジオールが1,3-プロパンジオールと1,3-ブチレングリコールのような他のポリオールよりも分散力に優れるだけでなく、2,3-ブタンジオールの異性体の種類、組成によって分散力が異なることを確認した。
【0036】
化粧料組成物及びその製造方法
本発明は、本発明の分散剤及び/又は分散媒組成物を含む化粧料組成物に関する。また本発明は、本発明の製造方法に従って製造された分散剤及び/又は分散媒組成物を化粧材料に添加して混合する段階を含む、化粧料組成物の製造方法に関する。
【0037】
本発明の化粧料組成物は、当業界における通常に製造されるいずれか剤形でも製造することができ、溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、ジェル、クリーム、ローション、パウダー、石けん、界面活性剤を含有するクレンジング、オイル、粉末ファンデーション、乳濁液ファンデーション、ワックスファンデーション、及びスプレー等と剤形化し得るものの、これに制限されるものではない。また、本発明の化粧料組成物は、柔軟化粧水、収れん化粧水、栄養化粧水、ローション、ジェル、クリーム、エッセンス、アイエッセンス、アイクリーム、栄養クリーム、マッサージクリーム、クレー状パック、マスクパックを含むスキンケア製品、リップスティック、リップティント、リップグロス、リップペンシル、アイシャドー、ファンデーション、パウダー、コンシーラー、アイライナー、アイシャドー、マスカラを含むメーキャップ製品、アイメイクリムーバー、メーキャップリムーバー、クレンジングフォーム、クレンジングクリーム、クレンジングオイル、クレンジングウォーター、手指消毒剤、ハンドソープ、ハンドスクラブ、ボディーソープ、ボディースクラブ、シェービングローション、石けん、ウェットティッシュを含む洗浄製品、ボディーローション、ボディーオイル、ボディーミスト、ボディーエッセンス、ハンドクリーム、フットクリーム、ワックス状除毛剤を含むボディーケア製品、ベビーローション、ベビークリーム、オムツかぶれクリームを含む乳児化粧品、サンクリーム、サンスティック、サンスプレー、人工タンニング製品を含むサンケア製品、シャンプー、リンス、ヘアコンディショナークリーム、ヘアスタイリングジェル、フォーム、ヘアムース、ヘアスプレー、スタイリングローション、スタイリングクリーム、ヘアエッセンス、毛髪染料、毛髪脱色クリーム、カール活性剤ゲルを含むヘア製品、マニキュア、ネイルポリッシュ、キューティクルリムーバー、キューティクルクリームを含むネイルケア製品、歯磨き粉、口腔洗浄剤、口腔リンス、口腔フィルム、ガムを含むパーソナルケア製品、香水、植物抽出物、消臭剤及び止汗剤の剤形に製造されてもよい。
【0038】
前記化粧材料は、化粧料組成物の製造における一般的に使用される化粧材料であればよく、特に制限されない。例えば、前記化粧材料は、精製水、エタノール、保湿剤、増粘剤、高級アルコール、乳化剤、補助乳化剤、オイル、ワックス、皮膚柔軟化剤、中和剤、酸化防止剤、イオン封鎖剤、防腐剤、美白剤、紫外線遮断剤、シワ改善剤、機能性添加物、香料、色素、抽出物等であってもよい。
【0039】
本発明の化粧料組成物は、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンHを含むビタミン系原料、アラントイン、セラマイドを含む保湿原料、アルブチン、エチルアスコルビルエーテルを含む美白機能性原料、レチニルパルミテート、アデノシン、ポリエトキシレートレチンアミドを含むシワ改善機能性原料、グリセリルPABA、ドロメトリゾール、ベンゾフェノン、シノキサートを含む紫外線遮断機能性原料、ビオチン、L-メントール、ジンクピリチオンを含む脱毛緩和機能性原料、フェルラ酸、ヘキシルレゾルシノールを含む酸化防止又は変色防止原料、サリチル酸とその塩類及びエステル、グリコール酸を含む角質改善原料、コラーゲン、ペプチドを含む機能性タンパク質及び高分子原料、植物抽出物、香料、顔料、パール、パウダー、二酸化チタン、毛髪の脱染又は脱色原料、抗炎症性原料、抗酸化原料、にきび性及びアトピー性の皮膚改善原料等からなる群より選択される一つ以上を含むことができる。
【0040】
例えば、本化粧料組成物は、柔軟化粧水、収れん化粧水、栄養化粧水、ローション、ジェル、クリーム、エッセンス、アイエッセンス、アイクリーム、栄養クリーム、マッサージクリーム、クレー状パック、マスクパックを含むスキンケア製品、リップスティック、リップティント、リップグロス、リップペンシル、アイシャドー、ファンデーション、パウダー、コンシーラー、アイライナー、アイシャドー、マスカラを含むメーキャップ製品、アイメイクリムーバー、メーキャップリムーバー、クレンジングフォーム、クレンジングクリーム、クレンジングオイル、クレンジングウォーター、手指消毒剤、ハンドソープ、ハンドスクラブ、ボディーソープ、ボディースクラブ、シェービングローション、石けん、ウェットティッシュを含む洗浄製品、ボディーローション、ボディーオイル、ボディーミスト、ボディーエッセンス、ハンドクリーム、フットクリーム、ワックス状除毛剤を含むボディーケア製品、ベビーローション、ベビークリーム、オムツかぶれクリームを含む乳児化粧品、サンクリーム、サンスティック、サンスプレー、人工タンニング製品を含むサンケア製品、シャンプー、リンス、ヘアコンディショナークリーム、ヘアスタイリングジェル、フォーム、ヘアムース、ヘアスプレー、スタイリングローション、スタイリングクリーム、ヘアエッセンス、毛髪染料、毛髪脱色クリーム、カール活性剤ゲルを含むヘア製品、マニキュア、ネイルポリッシュ、キューティクルリムーバー、キューティクルクリームを含むネイルケア製品、歯磨き粉、口腔洗浄剤、口腔リンス、口腔フィルム、ガムを含むパーソナルケア製品、香水、植物抽出物、消臭剤及び止汗剤からなる群より選択される剤形であってもよい。
【0041】
本発明の化粧料組成物は、本発明の分散剤及び/又は分散媒組成物を含むことで、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンHを含むビタミン系原料、アラントイン、セラマイドを含む保湿原料、アルブチン、エチルアスコルビルエーテルを含む美白機能性原料、レチニルパルミテート、アデノシン、ポリエトキシレートレチンアミドを含むシワ改善機能性原料、グリセリルPABA、ドロメトリゾール、ベンゾフェノン、シノキサートを含む紫外線遮断機能性原料、ビオチン、L-メントール、ジンクピリチオンを含む脱毛緩和機能性原料、フェルラ酸、ヘキシルレゾルシノールを含む酸化防止又は変色防止原料、サリチル酸とその塩類及びエステル、グリコール酸を含む角質改善原料、コラーゲン、ペプチドを含む機能性タンパク質及び高分子原料、植物抽出物、香料、顔料、パール、パウダー、二酸化チタン、毛髪の脱染又は脱色原料、抗炎症性原料、抗酸化原料、にきび性及びアトピー性の皮膚改善原料等からなる群より選択される一つ以上に対する分散力が、(2R,3R)-2,3-ブタンジオールの異性体を用いた化粧料組成物よりも高い。このとき、前記ビタミンC、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンHを含むビタミン系原料、アラントイン、セラマイドを含む保湿原料、アルブチン、エチルアスコルビルエーテルを含む美白機能性原料、レチニルパルミテート、アデノシン、ポリエトキシレートレチンアミドを含むシワ改善機能性原料、グリセリルPABA、ドロメトリゾール、ベンゾフェノン、シノキサートを含む紫外線遮断機能性原料、ビオチン、L-メントール、ジンクピリチオンを含む脱毛緩和機能性原料、フェルラ酸、ヘキシルレゾルシノールを含む酸化防止又は変色防止原料、サリチル酸とその塩類及びエステル、グリコール酸を含む角質改善原料、コラーゲン、ペプチドを含む機能性タンパク質及び高分子原料、植物抽出物、香料、顔料、パール、パウダー、二酸化チタン、毛髪の脱染又は脱色原料、抗炎症性原料、抗酸化原料、にきび性及びアトピー性の皮膚改善原料等からなる群より選択される一つ以上に対する分散力は、前記化粧料組成物を4℃又は室温で7日以上、例えば、4週間又は8週間保管した後、有効成分の析出度合い、油相と水相の相分離等、安定度を評価して測定することができる。または、前記分散力は、下記の実験例<2-1>~<4-2>の方法に従って測定することができる。
【0042】
本発明の化粧料組成物は、本発明の分散剤及び/又は分散媒組成物を含み、このとき、化粧料組成物100重量%内における本発明の2,3-ブタンジオールは、0.5~25重量%、好ましくは、5~20重量%含まれてもよい。
【0043】
本発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は、詳細に後述されている実施例を参照すれば明確になる。しかしながら、本発明は、以下に開示の実施例に限定されるものではなく、互いに異なる様々な形態に具現されるものである。ただし、本実施例は、本発明の開示を完全にして、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇によって定義されるだけである。
【0044】
<材料及び方法>
可溶化剤としては、PEG-60水添ひまし油(hydrogenated castor oil)(EMALEX HC60)を使用した。
【0045】
シリコンエラストマーは、エラストマーベース(ELASTOMER BASE)を使用しており、これはCyclopentasiloxane、Dimethicone/Vinyl Dimethicone Crosspolymer、Dimethicone、Phenyl Trimethiconeの混合物である市販製品である。
【0046】
油相安定化剤としては、EMERGENT JC500Bを使用しており、これはCetearyl Ethylhexanoate、Bentone、Polymethylsilsesquioxaneの混合物である市販製品である。
【0047】
乳化剤としては、ABIL EM90及びKF6017を使用した。ABIL EM90は、Cetyl PEG/PPG-10/a Dimethicone の混合物である市販製品であり、KF6017は、PEG-10Dimethiconeである市販製品である。
【0048】
シリコンジェルとしては、KSG-16を使用しており、Dimethicone、Dimethicone/Vinyl Dimethiconeの混合物である市販製品である。
【0049】
実施例及び比較例
下記のようにポリオールを準備した。(2S,3S)-2,3-ブタンジオールは、(2R,3R)-2,3-ブタンジオールと同様、-OH基が同じ方向に位置して、その特性が類似である。
【0050】
実施例1~6は、(2R,3S)-2,3ブタンジオールである。
【0051】
比較例1は、(2R,3R)-2,3-ブタンジオールである。
【0052】
比較例2は、1,3-ブチレングリコール(1,3-Bytylene glycol)である。
【0053】
比較例3は、1,3-プロパンジオール(1,3-Propanediol)である。
【0054】
比較例4は、(2R,3R)-2,3-ブタンジオールである。
【0055】
比較例5は、1,3-ブチレングリコール(1,3-Butylene glycol)である。
【0056】
比較例6は、1,3-プロパンジオール(1,3-Propanediol)である。
【0057】
比較例7は、(2R,3R)-2,3-ブタンジオールである。
【0058】
比較例8は、1,3-ブチレングリコール(1,3-Butylene glycol)である。
【0059】
比較例9は、1,3-プロパンジオール(1,3-Propanediol)である。
【0060】
比較例10は、(2R,3R)-2,3-ブタンジオールである。
【0061】
比較例11は、1,3-ブチレングリコール(1,3-Butylene glycol)である。
【0062】
比較例12は、1,3-プロパンジオール(1,3-Propanediol)である。
【0063】
比較例13は、グリセリン(Glycerin)である。
【0064】
比較例14は、1,3-ブチレングリコール(1,3-Butylene glycol)である。
【0065】
比較例15は、1,3-プロパンジオール(1,3-Propanediol)である。
【0066】
比較例16は、グリセリン(Glycerin)である。
【0067】
比較例17は、1,3-ブチレングリコール(1,3-Butylene glycol)である。
【0068】
比較例18は、1,3-プロパンジオール(1,3-Propanediol)である。
【0069】
<実験例1>ポリオールの分析
分散に係る因子について、物質を比較分析した。これは、Hansen solubility parameterを計算することで行った。
【0070】
Hansen solubility parameterは、「同類は同類に溶ける(Like dissolve like)」という原理に基づいて、物質のパラメーターを総合して、物質間溶解度を予測することであり、該値が近いほど類似であり、互いに溶けやすいと予測することである。本実験では、2,3-ブタンジオールを始め、ポリオールについて分散に係るパラメーター(Dipole-dipole、hydrogen bond、Dispersion)をHSPiP(Hansen solubility Parameters in Practice)ソフトウェアを活用して評価した。
【0071】
その結果、類似する炭素数を有し、かつ2個のOH基を有する点が共通した、類似するジオールであるものの、分散に係るパラメーターが互いに相違することを確認した。よって、ポリオールによって分散力が異なることが予測できた(
図3)。
【0072】
<実験例2>アラントインに対する分散能評価
アラントインは、温度が低い場合、析出が起こりやすく、化粧料の製造時、アラントインの析出有無が問題となる。本発明では、温度が低い場合、析出が起こりやすいラントインの特性を利用して、苛酷な条件である冷蔵条件で、ポリオールによる析出量を測定して分散力を比較することによって、短時間に分散力を確認した。安定度評価は、室温、冷蔵、恒温槽(45℃)で行われた。
【0073】
<2-1>アラントインの分散力評価
アラントインの溶解度は、0.5g/100mLである。本実験では、ポリオールによるアラントインの分散力、つまり、析出量及び析出速度を評価した。
【0074】
<製造例1>
精製水(de-ionized water)100重量部に対して、EDTA-2Na(Disodium Ethylenediamineteraacetate)を0.02重量部、1,2-ヘキサンジオール(Hexanediol)を2重量部、アラントイン(allatoin)を0.5重量部、実施例1の組成物を10重量部で混合して、室温で10分間攪拌した。
【0075】
<製造例2>
実施例1のポリオールの代わりに比較例1のポリオールを使用したことを除いては、製造例1と同様に行った。
【0076】
<製造例3>
実施例1のポリオールの代わりに比較例2のポリオールを使用したことを除いては、製造例1と同様に行った。
【0077】
<製造例4>
実施例1のポリオールの代わりに比較例3のポリオールを使用したことを除いては、製造例1と同様に行った。
【0078】
析出量は、下記のように測定した。空容器の重さを測定した後、製造例1~製造例4の混合液を各々200gずつ投入して、24時間又は7日間冷蔵保管した。24時間又は7日後、上層液を除去した後、恒温槽に乾燥して、もし残っているかも知れない上層液があれば除去し切り、析出した部分だけ残しておいた。そして、12時間乾燥した後、重さを測定し、先に測定した空容器との差分値で析出量を想到した。
【0079】
その結果、アラントイン分散力は、製造例1において最も優れており、その次は、製造例2であり、製造例4及び製造例3の手順であった。よって、ポリオールの種類によってアラントインに対する分散力が相違し、実施例1のポリオールを使用するとき、アラントインに対する分散力に優れることが確認された(
図4及び表1)。よって、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールの含量が高い実施例1のポリオールを使用時、アラントインの析出量及び析出速度が減少して、安定的な分散が可能であることが確認された。
【0080】
【0081】
<2-2>可溶化剤形におけるアラントインの分散力評価
<製造例5>
精製水100重量部に対して、EDTA-2Naを0.02重量部、1,2-ヘキサンジオールを2重量部、アラントインを0.5重量部で混合して水相を作った。一方、香料を0.1重量部、PEG-60水添ひまし油(hydrogenated castor oil)を0.3重量部、95%エタノールを5重量部、及び実施例2のポリオールを10重量部で混合して、可溶化相を作った。すなわち、水相は、超純水、EDTA-2Na、1,2-ヘキサンジオール、及びアラントインを含み、可溶化相は、香料、PEG-60水添ひまし油、エタノール、及びポリオールを含む。
【0082】
前記水相を室温で3分間攪拌した。一方、可溶化相を攪拌しつつ、45~50℃に加温して透明にし、これを攪拌と同時に水相に徐々に投入して、室温で2分間ミキシング(mixing)した。
【0083】
<製造例6>
実施例2のポリオールの代わりに比較例4のポリオールを使用したことを除いては、製造例5と同様に行った。
【0084】
<製造例7>
実施例2のポリオールの代わりに比較例5のポリオールを使用したことを除いては、製造例5と同様に行った。
【0085】
<製造例8>
実施例2のポリオールの代わりに比較例6のポリオールを使用したことを除いては、製造例5と同様に行った。
【0086】
析出量は、下記のように測定した。空容器の重さを測定した後、製造例5~製造例8の混合液を各々200gずつ投入して、24時間又は7日間冷蔵保管した。24時間又は7日後、上層液を除去した後、恒温槽に乾燥して、もし残っているかも知れない上層液があれば除去し切り、析出した部分だけ残しておいた。そして、12時間乾燥した後、重さを測定し、先に測定した空容器との差分値で析出量を想到した。
【0087】
その結果、可溶化剤形におけるアラントインの分散力は、製造例5において最も優れており、その次は、製造例6及び8であり、製造例7の手順であった。すなわち、冷蔵保管7日後、可溶化剤形において、製造例5を除いた製造例6、7及び8においてアラントインが析出されており、その結果、可溶化剤形におけるアラントインの分散力は、製造例5において最も優れた。よって、ポリオールの種類によって可溶化剤形におけるアラントインに対する分散力が相違し、実施例2のポリオールを使用時、アラントインに対する分散力に優れることが確認された(
図5及び表2)。よって、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールの含量が高い実施例2のポリオールを使用時、アラントインの析出量及び析出速度が減少して、安定的な分散が可能であることが確認された。
【0088】
【0089】
<実験例3>ビタミンCの分散能評価
ビタミンCの場合、水に溶解しやすい水溶性物質であるが、水に溶解される場合、酸化して、本来の機能を行うことができない。よって、本実験では、無水剤形である油中ポリオール(Polyol in Oil(P/O))剤形にビタミンCを適用しており、アイボリー色のクリームを作って分散能を評価した。ビタミンCは、析出に関する問題よりは、変色、変臭、相分離なく安定した化粧料を製造することが重要であるため、分散力の評価項目を柔らかい塗り心地、塗布均一性、乳化安全性と設定した。
【0090】
<3-1>非加温条件下、ビタミンCの分散能評価
<製造例9>
エラストマーベース(ELASTOMER BASE)100重量部に対して、EMERGENT JC500Bを1重量部、ABIL EM90を1.5重量部、KF6017を2重量部で混合して、油相1を製造した。一方、実施例3のポリオールを15重量部で水相1として使用した。そして、アスコルビン酸超微細粉末(Ascorbic acid Ultra Fine Powder)を15重量部で水相2として使用した。KSG-16を45重量部で用いて油相2として使用した。
【0091】
前記油相1を室温下で攪拌した。そして、水相2を水相1(ポリオール)に室温で投入して攪拌した。攪拌下で、油相1に水相1及び水相2の混合物を徐々に投入して、1次P/Oエマルジョンを作った。攪拌下で、前記1次P/Oエマルジョンに油相2を投入して、均質な状態にし、2次P/Oエマルジョンを作った。前記2次P/Oエマルジョンを保管した。
【0092】
すなわち、水が含まれていない非水系乳化粧料組成物を製造し、剤形の安定度を評価して、ポリオールによる分散力差を試験した。化粧料組成物は、ビタミンCを、水を除いた分散媒(ポリオール)を使用して、シリコン粉体内(シリコンエラストマー)に吸収させ、前記純粋ビタミンCが吸収されたシリコン粉体にシリコンジェル(KSG-16)を混合して、クリーミな質感の化粧料組成物を製造したものである。
【0093】
<製造例10>
実施例3のポリオールの代わりに比較例7のポリオールを使用したことを除いては、製造例9と同様に行った。
【0094】
<製造例11>
実施例3のポリオールの代わりに比較例8のポリオールを使用したことを除いては、製造例9と同様に行った。
【0095】
<製造例12>
実施例3のポリオールの代わりに比較例9のポリオールを使用したことを除いては、製造例9と同様に行った。
【0096】
前記製造例9~製造例12の2次P/Oエマルジョンを室温で保管してから1日及び8週後、使用感及び安全性を評価した。
【0097】
上記項目別評価は、化粧品剤形専門家10名の官能評価で10点尺度法により行われた(10点:非常にそうである、8点:そうである、6点:普通である、4点:そうでない、1点:非常にそうでない)。分散安定度は、次のように評価された。不安定:油相と水相の相分離、変色及び/又は変臭、普通:油相が微細に分離されている、安定:油相が全く分離されていない。
【0098】
その結果、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールの含量が高い実施例3を使用した製造例9の場合、アイボリー色の滑らかなクリーム相を有しており、柔らかい塗り心地と塗布均一性に優れるものと表された。また、油相及び水相の相分離が観察されておらず、変色及び変臭なく安定した剤形を形成した。試験8週後、使用感と乳化安定度を評価したとき、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールが適用された製造例9の場合、優れた塗り心地と塗布均一性を維持しており、安定度にも変化はなかったが、1,3-プロパンジオールが適用された製造例12の場合、8週後、粒子が大きくなり、異物感が発生することが観察された。よって、1,3-ブチレングリコールや1,3-プロパンジオール、(2R,3R)-2,3-ブタンジオールといった他のポリオールを使用する際よりも、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールを使用する際に、ビタミンCを安定的に分散して異物感、つまり、粒子感が減少すると判断された(
図6及び表3)。
【0099】
【0100】
<3-2>加温条件下、ビタミンCの分散能評価
<製造例13>
エラストマーベース(ELASTOMER BASE)100重量部に対して、EMERGENT JC500Bを1重量部、ABIL EM90を1.5重量部、KF6017を2重量部で混合して、油相1を製造した。一方、実施例4のポリオールを15重量部で水相1として使用した。そして、アスコルビン酸超微細粉末(Ascorbic acid Ultra Fine Powder)を15重量部で水相2として使用した。KSG-16を45重量部で用いて油相2として使用した。
【0101】
前記油相1を攪拌しつつ、80~90℃に加温した。そして、水相2を水相1(ポリオール)に投入して混合物を製造した後、80~90℃に加温した。攪拌下で、加温された油相1に水相1及び水相2の混合物を徐々に投入して、1次P/Oエマルジョンを作った。攪拌下で、前記1次P/Oエマルジョンに油相2を投入して均質な状態にし、2次P/Oエマルジョンを作った。前記2次P/Oエマルジョンを30℃以下に冷凍した後、保管した。
【0102】
<製造例14>
実施例4のポリオールの代わりに比較例10のポリオールを使用したことを除いては、製造例13と同様に行った。
【0103】
<製造例15>
実施例4のポリオールの代わりに比較例11のポリオールを使用したことを除いては、製造例13と同様に行った。
【0104】
<製造例16>
実施例4のポリオールの代わりに比較例12のポリオールを使用したことを除いては、製造例13と同様に行った。
【0105】
前記製造例13~製造例16の2次P/Oエマルジョンを室温で保管してから1日及び8週後、使用感及び安全性を評価した。
【0106】
上記項目別評価は、化粧品剤形専門家10名の官能評価で10点尺度法により行われた(10点:非常にそうである、8点:そうである、6点:普通である、4点:そうでない、1点:非常にそうでない)。分散安定度は、次のように評価された。不安定:油相と水相の相分離、変色及び/又は変臭、普通:油相が微細に分離されている、安定:油相が全く分離されていない。
【0107】
その結果、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールの含量が高い実施例4を使用した製造例13の場合、アイボリー色の滑らかなクリーム相を有しており、柔らかい塗り心地と塗布均一性に優れるものと表された。また、油相及び水相の相分離が観察されておらず、変色及び変臭なく安定した剤形を形成した。さらに、8週後、使用感と乳化安定度を評価したとき、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールが適用された製造例13の場合、優れた塗り心地と塗布均一性を維持しており、安定度にも変化はなかったが、1,3-プロパンジオールが適用された製造例16の場合、8週後、粒子が大きくなり、異物感が発生することが観察された。よって、1,3-ブチレングリコールや1,3-プロパンジオール、(2R,3R)-2,3-ブタンジオールといった他のポリオールを使用する際よりも、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールを使用する際に、ビタミンCを安定的に分散して異物感、つまり、粒子感が減少すると判断された。一方、1,3-ブチレングリコールや1,3-プロパンジオール、(2R,3R)-2,3-ブタンジオールは、適用時、高温で、過量のビタミンCが一時に溶解してから冷却されつつ、不均一に分散された部分における凝集が生じて、粒子が大きくなり、塗布均一性が減少すると判断された。
【0108】
また、実験例<3-1>では、<3-2>と違って、ビタミンCを含有する剤形を調剤時、非加温条件、つまり、室温条件下で行った。しかし、評価結果を見ると、ビタミンCを含有する剤形を製造時、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールを適用したとき、加温/非加温には有意な相違がなかった。よって、エネルギーを節約した工程においても、効果的な分散力を示すと判断された(
図7及び表4)。
【0109】
通常、ビタミンCを含有する非水系乳化化粧料組成物を製造時、純粋ビタミンCを加温した溶媒に溶解して、シリコン粉体と混合攪拌し、水相を製造する。しかし、加温工程は、熱を加える加温過程を経て、後は冷却する過程まで追加されるため、時間とエネルギー消費がさらに大きい。よって、本実験例3では、通常、業界で実施する加温工程と非加温工程を実施して、工程の相違を与えたとき、分散力に影響を及ぼすのか否かを評価した。その結果、本発明の2,3-ブタンジオールを用いた分散媒/分散剤組成物は、加温条件と非加温条件で製造した化粧料の使用感及び安全性に相違ないことを確認した。よって、2,3-ブタンジオールは、他のポリオールに比べて、分散力に優れ、かつ、エネルギーを節約した非加温工程でも効果的な分散力を示すと判断され、その中でも、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールの含量が高い本発明の組成物において特に優れると判断された。
【0110】
【0111】
<実験例4>セラマイドに対する分散能評価
セラマイドは、油溶性物質であって、水に溶解せず、化粧料の製造時、析出が起こりやすく、ゲル化現象により安定化が困難である。本発明では、析出が起こりやすいセラマイドの特性を利用して、ポリオールによる分散力を比較した。安定度評価は、室温、冷蔵、恒温槽(45℃)で行われた。
【0112】
<4-1>セラマイドの分散力評価
<製造例17>
実施例5の組成物100重量部に対して、セラマイドを1重量部で混合して室温で分散させた後、85~90℃まで加温して溶解した後、30℃以下に冷却した。
【0113】
<製造例18>
実施例5のポリオールの代わりに比較例13のポリオールを使用したことを除いては、製造例17と同様に行った。
【0114】
<製造例19>
実施例5のポリオールの代わりに比較例14のポリオールを使用したことを除いては、製造例17と同様に行った。
【0115】
<製造例20>
実施例5のポリオールの代わりに比較例15のポリオールを使用したことを除いては、製造例17と同様に行った。
【0116】
その結果、セラマイドの分散力は、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールの含量が高い実施例5を使用した製造例17と、1,3-ブチレングリコールを使用した製造例19において最も優れており、グリセリンを使用した製造例18と、1,3-プロパンジオールを使用した製造例20は、セラマイドの分散力が低いことが確認された。すなわち、製造例17と19は、加温時、溶解し切れて、透明な状態となってから、冷却時、セラマイドが均質に析出されて、不透明な液相を形成した(
図8)。4週後、安定度を評価したとき、1,3-ブチレングリコールが適用された製造例19の場合、流れ性が見えないほどに増粘したが、これと違って、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールが適用された製造例17の場合、剤形の流れ性が確認された。一方、グリセリンが適用された製造例18と、1,3-プロパンジオールが適用された製造例20は、加温しても、セラマイドが溶解せずに析出された。析出されたセラマイドは、ポリオールと分離されて、上段に浮び上がっており、4週間、室温で分離された状態を維持した(
図9)。さらに恒温槽(45℃)で4週間観察した結果、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールが適用された製造例17は、透明に溶解された(
図10)。あらゆる条件で、ゲル化現象は観察されなかった。よって、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールの含量が高い実施例5のポリオールを使用時、セラマイドを安定的に分散して、特に、恒温槽(45℃)条件における分散力に優れ、セラマイドを透明に溶解可能であることが確認された。
【0117】
<4-2>可溶化スキン剤形におけるセラマイドの分散力評価
<製造例21>精製水100重量部に対して、EDTA-2Naを0.02重量部、1,2-ヘキサンジオールを2重量部で混合して、水相1を作った。一方、香料を0.1重量部、PEG-60水添ひまし油(hydrogenate castor oil)を0.3重量部、DPG(Dipropylene Glycol)を5重量部で混合して、可溶化相を作った。実施例6のポリオールを10重量部、セラマイドを1重量部で混合して、水相2を作った。
【0118】
前記水相1を室温で2分間攪拌した。一方、可溶化相を攪拌しつつ、45~50℃に加温して透明にして、これを攪拌と同時に水相に徐々に投入し、室温で2分間ミキシング(mixing)した。そして、水相2を攪拌しつつ、80~85℃に加温してセラマイドを溶解しており、これを攪拌と同時にミキシングした水相と可溶化相に投入し、室温で3分間ミキシング(mixing)した。
【0119】
<製造例22>
実施例6のポリオールの代わりに比較例16のポリオールを使用したことを除いては、製造例21と同様に行った。
【0120】
<製造例23>
実施例6のポリオールの代わりに比較例17のポリオールを使用したことを除いては、製造例21と同様に行った。
【0121】
<製造例24>
実施例6のポリオールの代わりに比較例18のポリオールを使用したことを除いては、製造例21と同様に行った。
【0122】
その結果、セラマイドの分散力は、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールの含量が高い実施例6を使用した製造例21と、1,3-ブチレングリコールを使用した製造例23において最も優れており、製造例22と24は、セラマイドの分散力が低いことが確認された。すなわち、製造例21と23は、セラマイドが均質に分散されて、4週間観察した結果、室温、冷蔵(4℃)、恒温槽(45℃)でも同じ状態を維持した(
図11及び
図12)。一方、グリセリンを使用した製造例22と、1,3-プロパンジオールを使用した製造例24の場合、セラマイドが析出して分離され、上段に浮び上がっており、4週間、室温で分離された状態を維持した。あらゆる条件で、ゲル化現象は観察されなかった。よって、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールの含量が高い実施例6のポリオールを使用時、セラマイドを安定的に分散して、冷蔵(4℃)と恒温槽(45℃)条件でも、セラマイドの分散力に優れることが確認された。
【0123】
また、可溶化エッセンス剤形及びO/W乳化剤形に適用して、セラマイドの分散力実験を行っており、その結果、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールを使用したとき、分散力に優れ、ゲル化現象が観察されていないことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明は、2,3-ブタンジオールを含む分散剤組成物、及びこれを含む化粧料組成物に関する。また本発明は、2,3-ブタンジオールを含む分散媒組成物、及びこれを含む化粧料組成物に関する。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2,3-ブタンジオールを含む分散剤又は分散媒組成物に関する。また本発明は、前記分散剤又は分散媒組成物を含む化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
人体における皮膚は、外部環境と接触する部分であって、外部環境からの様々な因子から人体の内部を保護する機能を担っている。伝統的に皮膚状態の改善及び保存のため化粧品を使用してきており、化粧品の成分として様々な原料が開発されている。
【0003】
例えば、韓国登録特許10-1914844号では、ナイアシンアミド、リシノレエート化合物等を含む化粧組成物が記載されており、韓国登録特許10-0746058号では、ビタミンB3化合物が含まれたセルフタンニング化粧組成物が記載されており、韓国登録特許10-0292143号では、グリコール酸及びビタミンCを含む化粧料組成物が記載されている。
【0004】
しかし、化粧料を効果的に流通かつ使用するためには、化粧料が安定的に維持されることが重要である。本発明者らは、化粧料組成物に使用するための分散剤及び分散媒について研究するうち、2,3-ブタンジオールの特定の異性体を用いる際、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンHを含むビタミン系原料、アラントイン、セラマイドを含む保湿原料、アルブチン、エチルアスコルビルエーテルを含む美白機能性原料、レチニルパルミテート、アデノシン、ポリエトキシレートレチンアミドを含むシワ改善機能性原料、グリセリルPABA、ドロメトリゾール、ベンゾフェノン、シノキサートを含む紫外線遮断機能性原料、ビオチン、L-メントール、ジンクピリチオンを含む脱毛緩和機能性原料、フェルラ酸、ヘキシルレゾルシノールを含む酸化防止又は変色防止原料、サリチル酸とその塩類及びエステル、グリコール酸を含む角質改善原料、コラーゲン、ペプチドを含む機能性タンパク質及び高分子原料、植物抽出物、香料、顔料、パール、パウダー、二酸化チタン、毛髪の脱染又は脱色原料、抗炎症性原料、抗酸化原料、にきび性及びアトピー性の皮膚改善原料等を均一に分散することができ、化粧料組成物が安定的に維持できることを確認して、本発明を完成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国登録特許10-1914844号公報
【特許文献2】韓国登録特許10-0746058号公報
【特許文献2】韓国登録特許10-0292143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、化粧料組成物における特定の有効成分を均一に分散させて、化粧料組成物を安定的に維持させることができる分散剤組成物及び分散媒組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、
アラントイン、ビタミンC及びセラマイドの群から選択された被分散組成物と、
油中ポリオール(P/O)剤形、可溶化エッセンス剤形、および水中油(O/W)エマルジョン剤形からなる群から選択される剤形を有する、
(2R,3S)-2,3-ブタンジオール、(2R,3R)-2,3-ブタンジオール、及び(2S,3S)-2,3-ブタンジオールを含む、分散剤及び分散媒の少なくとも一方の分散用組成物と、
を含むことを特徴とする、化粧料組成物を提供する。
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【発明の効果】
【0015】
本発明が分散剤組成物及び/又は分散媒組成物を用いることにより、本発明は、化粧料組成物における特定の有効成分を均一に分散させて、化粧料組成物を安定的に維持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の2,3-ブタンジオールが生産される工程である微生物発酵による100%環境にやさしいバイオ工程を示す図面。
【
図2】2,3-ブタンジオールの氷点、分子構造のような物理的特徴によって分散力が決定されることを示す分散メカニズムを示す図面。
【
図3】様々なポリオールに対するHansen solubility parameter値を示す図面。
【
図4】製造例1~4の混合液を水相で冷蔵(4℃)条件下、7日間保管した後、アラントインの分散力を評価した写真。
【
図5】製造例5~8の混合液を可溶化剤形で冷蔵(4℃)条件下、7日間保管した後、アラントインの分散力を評価した写真。
【
図6】製造例9~12のP/Oエマルジョンを8週間保管した後の写真。
【
図7】製造例13~16のP/Oエマルジョンを8週間保管した後の写真。
【
図8】製造例17~20の混合液を室温条件下、1日間保管した後、セラマイドの分散力を評価した写真。
【
図9】製造例17~20の混合液を室温条件下、4週間保管した後、セラマイドの分散力を評価した写真。
【
図10】製造例17と19の混合液を恒温槽(45℃)条件下、4週間保管した後、セラマイドの分散力を評価した写真。
【
図11】製造例21~24の混合液を可溶化スキン剤形で室温条件下、1日間保管した後、セラマイドの分散力を評価した写真。
【
図12】製造例21~24の混合液を可溶化スキン剤形で室温条件下、4週間保管した後、セラマイドの分散力を評価した写真。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、
2,3-ブタンジオールを含む分散剤組成物に関する。
【0018】
また本発明は、
前記分散剤組成物を含む化粧料組成物に関する。
【0019】
また本発明は、
2,3-ブタンジオールを含む分散媒組成物に関する。
【0020】
また本発明は、
前記分散媒組成物を含む化粧料組成物に関する。
【0021】
また本発明は、
2,3-ブタンジオールを溶剤に添加した後に混合する段階を含む、分散剤組成物の製造方法に関する。
【0022】
また本発明は、
本発明の製造方法に従って製造された分散剤組成物を化粧材料に添加して混合する段階を含む、化粧料組成物の製造方法に関する。
【0023】
また本発明は、
2,3-ブタンジオールを溶剤に添加した後に混合する段階を含む、分散媒組成物の製造方法に関する。
【0024】
また本発明は、
本発明の製造方法に従って製造された分散媒組成物を化粧材料に添加して混合する段階を含む、化粧料組成物の製造方法に関する。
【0025】
以下では、本発明を詳説する。
【0026】
分散剤組成物及び/又は分散媒組成物、及びその製造方法
本発明は、2,3-ブタンジオールを含む分散剤及び/又は分散媒組成物に関する。また本発明は、2,3-ブタンジオールを溶剤に添加した後に混合する段階を含む、分散剤及び/又は分散媒組成物の製造方法に関する。前記2,3-ブタンジオールは、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールであってもよい。本発明の(2R,3S)-2,3-ブタンジオールは、2,3-ブタンジオールの異性体を含むものの、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールの異性体の含量が最も高い組成物を含む。例えば、本発明の(2R,3S)-2,3-ブタンジオールは、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールを(2R,3R)-2,3-ブタンジオールよりも多く含むか、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールを(2S,3S)-2,3-ブタンジオールよりも多く含むことができる。好ましくは、前記(2R,3S)-2,3-ブタンジオールは、2,3-ブタンジオールの異性体を含む組成物であって、前記組成物は、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールの含量が、他の2,3-ブタンジオールの和よりも大きくてもよい。好ましくは、本発明の(2R,3S)-2,3-ブタンジオールは、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールが80重量%以上である2,3-ブタンジオールの異性体の混合物であってもよい。
【0027】
前記溶剤は、一般的な分散剤/分散媒組成物に使用可能な溶剤であればよく、特に制限されない。例えば、前記溶剤は、合成溶剤又は天然溶剤等になり得、水、有機溶剤等、例えば、水、エタノール、炭素数2~8のポリオールを含むアルコール類、オイル等になり得る。
【0028】
本発明の分散剤及び/又は分散媒組成物は、本発明の2,3-ブタンジオールを含み、このとき、分散剤及び/又は分散媒組成物100重量%内における本発明の2,3-ブタンジオールは、0.1~100重量%、好ましくは、0.2~99重量%含まれてもよい。
【0029】
2,3-ブタンジオールは、-OH基が2番と3番炭素に対称して位置しており、堅固な構造体を形成する。これによって、2,3-ブタンジオールは、常温で結晶化する独特な特徴がある。また、2,3-ブタンジオールは、親水性ヒドロキシル基と親油性炭素チェーンが均衡を成しているため、親水性有効物質と結合して油溶性物質に分散されるか、親油性有効物質と結合して親水性物質に分散されやすく分散剤、分散媒としての役割を果たすことになる。本発明の分散剤/分散媒は、化粧料組成物、例えば、水相、可溶化剤形、乳化剤形、油分散剤形等に適用可能である。
【0030】
本発明の分散剤及び/又は分散媒組成物は、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンHを含むビタミン系原料、アラントイン、セラマイドを含む保湿原料、アルブチン、エチルアスコルビルエーテルを含む美白機能性原料、レチニルパルミテート、アデノシン、ポリエトキシレートレチンアミドを含むシワ改善機能性原料、グリセリルPABA、ドロメトリゾール、ベンゾフェノン、シノキサートを含む紫外線遮断機能性原料、ビオチン、L-メントール、ジンクピリチオンを含む脱毛緩和機能性原料、フェルラ酸、ヘキシルレゾルシノールを含む酸化防止又は変色防止原料、サリチル酸とその塩類及びエステル、グリコール酸を含む角質改善原料、コラーゲン、ペプチドを含む機能性タンパク質及び高分子原料、植物抽出物、香料、顔料、パール、パウダー、二酸化チタン、毛髪の脱染又は脱色原料、抗炎症性原料、抗酸化原料、にきび性及びアトピー性の皮膚改善原料等に対して優れた分散力を提供し、これらの成分を化粧料組成物内において均一に分散させて、化粧料組成物を安定的に維持することができる。前記成分は、化粧料として製造時、分散が良く行われなければならない成分である。例えば、アラントインの場合、温度が低い場合、析出しやすくて、化粧料の製造時、析出有無が問題になり得る。例えば、本発明の分散剤及び/又は分散媒組成物は、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンHを含むビタミン系原料、アラントイン、セラマイドを含む保湿原料、アルブチン、エチルアスコルビルエーテルを含む美白機能性原料、レチニルパルミテート、アデノシン、ポリエトキシレートレチンアミドを含むシワ改善機能性原料、グリセリルPABA、ドロメトリゾール、ベンゾフェノン、シノキサートを含む紫外線遮断機能性原料、ビオチン、L-メントール、ジンクピリチオンを含む脱毛緩和機能性原料、フェルラ酸、ヘキシルレゾルシノールを含む酸化防止又は変色防止原料、サリチル酸とその塩類及びエステル、グリコール酸を含む角質改善原料、コラーゲン、ペプチドを含む機能性タンパク質及び高分子原料、植物抽出物、香料、顔料、パール、パウダー、二酸化チタン、毛髪の脱染又は脱色原料、抗炎症性原料、抗酸化原料、にきび性及びアトピー性の皮膚改善原料等の有効成分からなる群より選択される一つ以上に対する分散力が、(2R,3R)-2,3-ブタンジオール又は(2R,3R)-2,3-ブタンジオールの含量が最も高い、2,3-ブタンジオールの異性体の混合物を用いた化粧品組成物よりも高い。このとき、前記ビタミンC、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンHを含むビタミン系原料、アラントイン、セラマイドを含む保湿原料、アルブチン、エチルアスコルビルエーテルを含む美白機能性原料、レチニルパルミテート、アデノシン、ポリエトキシレートレチンアミドを含むシワ改善機能性原料、グリセリルPABA、ドロメトリゾール、ベンゾフェノン、シノキサートを含む紫外線遮断機能性原料、ビオチン、L-メントール、ジンクピリチオンを含む脱毛緩和機能性原料、フェルラ酸、ヘキシルレゾルシノールを含む酸化防止又は変色防止原料、サリチル酸とその塩類及びエステル、グリコール酸を含む角質改善原料、コラーゲン、ペプチドを含む機能性タンパク質及び高分子原料、植物抽出物、香料、顔料、パール、パウダー、二酸化チタン、毛髪の脱染又は脱色原料、抗炎症性原料、抗酸化原料、にきび性及びアトピー性の皮膚改善原料等の有効成分からなる群より選択される一つ以上に対する分散力は、試料(つまり、本発明の分散剤及び/又は分散媒組成物、又は対照群)を有効成分(ビタミンC、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンHを含むビタミン系原料、アラントイン、セラマイドを含む保湿原料、アルブチン、エチルアスコルビルエーテルを含む美白機能性原料、レチニルパルミテート、アデノシン、ポリエトキシレートレチンアミドを含むシワ改善機能性原料、グリセリルPABA、ドロメトリゾール、ベンゾフェノン、シノキサートを含む紫外線遮断機能性原料、ビオチン、L-メントール、ジンクピリチオンを含む脱毛緩和機能性原料、フェルラ酸、ヘキシルレゾルシノールを含む酸化防止又は変色防止原料、サリチル酸とその塩類及びエステル、グリコール酸を含む角質改善原料、コラーゲン、ペプチドを含む機能性タンパク質及び高分子原料、植物抽出物、香料、顔料、パール、パウダー、二酸化チタン、毛髪の脱染又は脱色原料、抗炎症性原料、抗酸化原料、にきび性及びアトピー性の皮膚改善原料等)と共に混合して、水相、あるいは水相及び可溶化相の剤形で製造し、4℃又は室温で7日以上、例えば、4週間又は8週間保管した後、有効成分の析出度合い、油相と水相の相分離等、安定度を評価して測定することができる。または、前記分散力は、下記の実験例<2-1>~<4-2>の方法に従って測定することができる。前記植物抽出物、香料、顔料等の成分は、化粧料組成物における一般に使用される植物抽出物(例えば、ツボクサ抽出物、青いミカン抽出物、ブロッコリー抽出物、キンセン力の花びら抽出物等)、顔料、染料等を使用すればよく、特に制限されない。実験例によって本発明の内容が限定されるものではない。
【0031】
本発明の2,3-ブタンジオールは、微生物発酵によって得られた生物学的基盤の2,3-ブタンジオールであるのが好ましく、例えば、本発明の2,3-ブタンジオールは、バチルス、エンテロバクター、クレブシエラ、シトロバクター、大膓菌、酵母(サッカロミセス)等を用して製造することができる。本発明の2,3-ブタンジオールは、動物来由の原料を用いて製造したものではない。本発明の2,3-ブタンジオールは、微生物を発酵して製造された2,3-ブタンジオールの異性体の混合物であってもよく、発酵後、2,3-ブタンジオールの異性体のうち、特定の異性体の含量を増加するための人為的処理がないことを特徴とする。すなわち、本発明の2,3-ブタンジオールは、微生物発酵によって生産された(2R,3S)-2,3-ブタンジオール含量が高い2,3-ブタンジオールの異性体の混合物である。本発明の(2R,3S)-2,3-ブタンジオールは、2,3-ブタンジオールの異性体を含むものの、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールの異性体の含量が最も高い組成物を含む。例えば、本発明の(2R,3S)-2,3-ブタンジオールは、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールを(2R,3R)-2,3-ブタンジオールよりも多く含むか、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールを(2S,3S)-2,3-ブタンジオールよりも多く含むことができる。好ましくは、前記(2R,3S)-2,3-ブタンジオールは、2,3-ブタンジオールの異性体を含む組成物であって、前記組成物は、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールの含量が、他の2,3-ブタンジオールの和よりも大きくてもよい。好ましくは、本発明の(2R,3S)-2,3-ブタンジオールは、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールが80重量%以上である2,3-ブタンジオールの異性体の混合物であってもよい。化学的に2,3-ブタンジオールを生産する場合、化学的触媒が異性体を区分することができず、無作為に異性体が生産されて、本発明の2,3-ブタンジオールと違って、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールの生産比率が低くなる。一般的に、2,3-ブタンジオールを異性体別に分離することは容易でないため、化学的に2,3-ブタンジオールを生産して、本発明の(2R,3S)-2,3-ブタンジオール、又は(2R,3S)-2,3-ブタンジオールの含量が高い2,3-ブタンジオールの異性体の混合物を製造することが難しい。
【0032】
本発明の2,3-ブタンジオールは、バイオマスを原料とした微生物発酵によって生産される100%環境にやさしいバイオ工程によって生産される(
図1)。この微生物は、土壌、農場等、自然でサンプルを採取して開発された。本発明の2,3-ブタンジオールは、微生物がバイオマス来由の糖を摂取して消化する「発酵」過程によって高純度で分離して生産される。本発明の2,3-ブタンジオールは、Non-GMO(遺伝子組み換えしていない物質)バイオマス原料及び微生物を使用し、分離精製過程においても沸騰点、大きさ等、物理的な特徴だけを利用して環境にやさしく生産されている。本発明の2,3-ブタンジオールを生産時、分離精製工程は、ろ過、イオン除去(電気透析、イオン交換)、蒸留、脱色?脱臭(吸着、蒸留)工程から構成されている。また、工程中に動物来由の原料を全く使用しておらず、該物質に対する動物試験も行っていない。
【0033】
該バイオ工程は、化学工程と違って、特定の異性体の生産比率を高く生産することができるという長所がある。バイオ触媒の役割を果たす微生物と、これを成す酵素タンパク質は、化学触媒よりも構造が複雑であり、特定の異性体を区別して生産することができる。よって、バイオ工程によって異性体(2R,3S)/(2R,3R)/(2S,3S)(順に、またはmeso/levo/dextro)のうち、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールの含量が高い異性体の混合物を生産することができる。化学工程では、化学触媒がこれを区分することができず、無作為に異性体が選択して生産され、バイオ来由の2,3-ブタンジオールと比較するとき、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールの生産比率が低い。また、化学工程で生産する場合、主原料として石油来由の炭化水素を使用することになり、クロロヒドリン化(chlorohydrination)、加水分解(Hydrolysis)等の複数の段階の化学触媒反応を経て生産することになる。かかる場合、butene oxide、butane、chlorohydrin、aldehyde系ケミカルが副産物として生産され得る。これらの物質が化粧品に適用されると、皮膚刺激やトラブルを引き起こし得る。よって、石油化学来由の2,3-ブタンジオールは、化粧品業界のメガトレンドによっても使用されにくいが、このような技術的な側面でも、化粧品への適用が難しい。しかし、バイオ工程によって生産された2,3-ブタンジオールの場合には、天然物質であって、食品添加剤として既に登録されており、皮膚刺激のないアセトイン等が副産物として含まれ得るため、化粧品原料として使用することができる。
【0034】
本発明の2,3-ブタンジオールについて、有機農化粧品国際認証制度である COSMOS(Cosmetic Organic Standard)認証、米国農務省USDAの100%バイオ製品認証、動物来由の原材料を使用せずに動物実験を実施する製品に付与するビーガン(Vegan)認証等、グローバルな環境にやさしい認証を獲得して、環境へのやさしさと安全性も認定された。
【0035】
本発明の生物学的基盤の2,3-ブタンジオールを含む分散剤及び/又は分散媒組成物は、化学的に合成した2,3-ブタンジオールからなる分散剤及び/又は分散媒組成物よりも、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンHを含むビタミン系原料、アラントイン、セラマイドを含む保湿原料、アルブチン、エチルアスコルビルエーテルを含む美白機能性原料、レチニルパルミテート、アデノシン、ポリエトキシレートレチンアミドを含むシワ改善機能性原料、グリセリルPABA、ドロメトリゾール、ベンゾフェノン、シノキサートを含む紫外線遮断機能性原料、ビオチン、L-メントール、ジンクピリチオンを含む脱毛緩和機能性原料、フェルラ酸、ヘキシルレゾルシノールを含む酸化防止又は変色防止原料、サリチル酸とその塩類及びエステル、グリコール酸を含む角質改善原料、コラーゲン、ペプチドを含む機能性タンパク質及び高分子原料、植物抽出物、香料、顔料、パール、パウダー、二酸化チタン、毛髪の脱染又は脱色原料、抗炎症性原料、抗酸化原料、にきび性及びアトピー性の皮膚改善原料等を化粧料内において均一に分散させて、化粧料組成物を安定的に維持させる。
図2に示されるように、2,3-ブタンジオールの氷点、分子構造のような物理的特徴によって分散力が決定される。2,3-ブタンジオール、特に、(2R,3S)-2,3-ブタンジオール比率が高い2,3-ブタンジオールは、氷点が13度以上と高いにもかかわらず凍りやすいということは、特定の構造体を形成やすいことを意味する。これは、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールの場合、-OH基が互いに交差した対称構造を有することから、特定の構造体を形成しやすいと予測される。これらの2,3-ブタンジオールの特徴によって、2,3-ブタンジオールは、特定の構造体を形成しやすく、特定の物質を分散時、2,3-ブタンジオールが分子間相互作用によって該物質を効果的に囲んで分散させると予想する。本発明では、2,3-ブタンジオールが1,3-プロパンジオールと1,3-ブチレングリコールのような他のポリオールよりも分散力に優れるだけでなく、2,3-ブタンジオールの異性体の種類、組成によって分散力が異なることを確認した。
【0036】
化粧料組成物及びその製造方法
本発明は、本発明の分散剤及び/又は分散媒組成物を含む化粧料組成物に関する。また本発明は、本発明の製造方法に従って製造された分散剤及び/又は分散媒組成物を化粧材料に添加して混合する段階を含む、化粧料組成物の製造方法に関する。
【0037】
本発明の化粧料組成物は、当業界における通常に製造されるいずれか剤形でも製造することができ、溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、ジェル、クリーム、ローション、パウダー、石けん、界面活性剤を含有するクレンジング、オイル、粉末ファンデーション、乳濁液ファンデーション、ワックスファンデーション、及びスプレー等と剤形化し得るものの、これに制限されるものではない。また、本発明の化粧料組成物は、柔軟化粧水、収れん化粧水、栄養化粧水、ローション、ジェル、クリーム、エッセンス、アイエッセンス、アイクリーム、栄養クリーム、マッサージクリーム、クレー状パック、マスクパックを含むスキンケア製品、リップスティック、リップティント、リップグロス、リップペンシル、アイシャドー、ファンデーション、パウダー、コンシーラー、アイライナー、アイシャドー、マスカラを含むメーキャップ製品、アイメイクリムーバー、メーキャップリムーバー、クレンジングフォーム、クレンジングクリーム、クレンジングオイル、クレンジングウォーター、手指消毒剤、ハンドソープ、ハンドスクラブ、ボディーソープ、ボディースクラブ、シェービングローション、石けん、ウェットティッシュを含む洗浄製品、ボディーローション、ボディーオイル、ボディーミスト、ボディーエッセンス、ハンドクリーム、フットクリーム、ワックス状除毛剤を含むボディーケア製品、ベビーローション、ベビークリーム、オムツかぶれクリームを含む乳児化粧品、サンクリーム、サンスティック、サンスプレー、人工タンニング製品を含むサンケア製品、シャンプー、リンス、ヘアコンディショナークリーム、ヘアスタイリングジェル、フォーム、ヘアムース、ヘアスプレー、スタイリングローション、スタイリングクリーム、ヘアエッセンス、毛髪染料、毛髪脱色クリーム、カール活性剤ゲルを含むヘア製品、マニキュア、ネイルポリッシュ、キューティクルリムーバー、キューティクルクリームを含むネイルケア製品、歯磨き粉、口腔洗浄剤、口腔リンス、口腔フィルム、ガムを含むパーソナルケア製品、香水、植物抽出物、消臭剤及び止汗剤の剤形に製造されてもよい。
【0038】
前記化粧材料は、化粧料組成物の製造における一般的に使用される化粧材料であればよく、特に制限されない。例えば、前記化粧材料は、精製水、エタノール、保湿剤、増粘剤、高級アルコール、乳化剤、補助乳化剤、オイル、ワックス、皮膚柔軟化剤、中和剤、酸化防止剤、イオン封鎖剤、防腐剤、美白剤、紫外線遮断剤、シワ改善剤、機能性添加物、香料、色素、抽出物等であってもよい。
【0039】
本発明の化粧料組成物は、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンHを含むビタミン系原料、アラントイン、セラマイドを含む保湿原料、アルブチン、エチルアスコルビルエーテルを含む美白機能性原料、レチニルパルミテート、アデノシン、ポリエトキシレートレチンアミドを含むシワ改善機能性原料、グリセリルPABA、ドロメトリゾール、ベンゾフェノン、シノキサートを含む紫外線遮断機能性原料、ビオチン、L-メントール、ジンクピリチオンを含む脱毛緩和機能性原料、フェルラ酸、ヘキシルレゾルシノールを含む酸化防止又は変色防止原料、サリチル酸とその塩類及びエステル、グリコール酸を含む角質改善原料、コラーゲン、ペプチドを含む機能性タンパク質及び高分子原料、植物抽出物、香料、顔料、パール、パウダー、二酸化チタン、毛髪の脱染又は脱色原料、抗炎症性原料、抗酸化原料、にきび性及びアトピー性の皮膚改善原料等からなる群より選択される一つ以上を含むことができる。
【0040】
例えば、本化粧料組成物は、柔軟化粧水、収れん化粧水、栄養化粧水、ローション、ジェル、クリーム、エッセンス、アイエッセンス、アイクリーム、栄養クリーム、マッサージクリーム、クレー状パック、マスクパックを含むスキンケア製品、リップスティック、リップティント、リップグロス、リップペンシル、アイシャドー、ファンデーション、パウダー、コンシーラー、アイライナー、アイシャドー、マスカラを含むメーキャップ製品、アイメイクリムーバー、メーキャップリムーバー、クレンジングフォーム、クレンジングクリーム、クレンジングオイル、クレンジングウォーター、手指消毒剤、ハンドソープ、ハンドスクラブ、ボディーソープ、ボディースクラブ、シェービングローション、石けん、ウェットティッシュを含む洗浄製品、ボディーローション、ボディーオイル、ボディーミスト、ボディーエッセンス、ハンドクリーム、フットクリーム、ワックス状除毛剤を含むボディーケア製品、ベビーローション、ベビークリーム、オムツかぶれクリームを含む乳児化粧品、サンクリーム、サンスティック、サンスプレー、人工タンニング製品を含むサンケア製品、シャンプー、リンス、ヘアコンディショナークリーム、ヘアスタイリングジェル、フォーム、ヘアムース、ヘアスプレー、スタイリングローション、スタイリングクリーム、ヘアエッセンス、毛髪染料、毛髪脱色クリーム、カール活性剤ゲルを含むヘア製品、マニキュア、ネイルポリッシュ、キューティクルリムーバー、キューティクルクリームを含むネイルケア製品、歯磨き粉、口腔洗浄剤、口腔リンス、口腔フィルム、ガムを含むパーソナルケア製品、香水、植物抽出物、消臭剤及び止汗剤からなる群より選択される剤形であってもよい。
【0041】
本発明の化粧料組成物は、本発明の分散剤及び/又は分散媒組成物を含むことで、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンHを含むビタミン系原料、アラントイン、セラマイドを含む保湿原料、アルブチン、エチルアスコルビルエーテルを含む美白機能性原料、レチニルパルミテート、アデノシン、ポリエトキシレートレチンアミドを含むシワ改善機能性原料、グリセリルPABA、ドロメトリゾール、ベンゾフェノン、シノキサートを含む紫外線遮断機能性原料、ビオチン、L-メントール、ジンクピリチオンを含む脱毛緩和機能性原料、フェルラ酸、ヘキシルレゾルシノールを含む酸化防止又は変色防止原料、サリチル酸とその塩類及びエステル、グリコール酸を含む角質改善原料、コラーゲン、ペプチドを含む機能性タンパク質及び高分子原料、植物抽出物、香料、顔料、パール、パウダー、二酸化チタン、毛髪の脱染又は脱色原料、抗炎症性原料、抗酸化原料、にきび性及びアトピー性の皮膚改善原料等からなる群より選択される一つ以上に対する分散力が、(2R,3R)-2,3-ブタンジオールの異性体を用いた化粧料組成物よりも高い。このとき、前記ビタミンC、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンHを含むビタミン系原料、アラントイン、セラマイドを含む保湿原料、アルブチン、エチルアスコルビルエーテルを含む美白機能性原料、レチニルパルミテート、アデノシン、ポリエトキシレートレチンアミドを含むシワ改善機能性原料、グリセリルPABA、ドロメトリゾール、ベンゾフェノン、シノキサートを含む紫外線遮断機能性原料、ビオチン、L-メントール、ジンクピリチオンを含む脱毛緩和機能性原料、フェルラ酸、ヘキシルレゾルシノールを含む酸化防止又は変色防止原料、サリチル酸とその塩類及びエステル、グリコール酸を含む角質改善原料、コラーゲン、ペプチドを含む機能性タンパク質及び高分子原料、植物抽出物、香料、顔料、パール、パウダー、二酸化チタン、毛髪の脱染又は脱色原料、抗炎症性原料、抗酸化原料、にきび性及びアトピー性の皮膚改善原料等からなる群より選択される一つ以上に対する分散力は、前記化粧料組成物を4℃又は室温で7日以上、例えば、4週間又は8週間保管した後、有効成分の析出度合い、油相と水相の相分離等、安定度を評価して測定することができる。または、前記分散力は、下記の実験例<2-1>~<4-2>の方法に従って測定することができる。
【0042】
本発明の化粧料組成物は、本発明の分散剤及び/又は分散媒組成物を含み、このとき、化粧料組成物100重量%内における本発明の2,3-ブタンジオールは、0.5~25重量%、好ましくは、5~20重量%含まれてもよい。
【0043】
本発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は、詳細に後述されている実施例を参照すれば明確になる。しかしながら、本発明は、以下に開示の実施例に限定されるものではなく、互いに異なる様々な形態に具現されるものである。ただし、本実施例は、本発明の開示を完全にして、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇によって定義されるだけである。
【0044】
<材料及び方法>
可溶化剤としては、PEG-60水添ひまし油(hydrogenated castor oil)(EMALEX HC60)を使用した。
【0045】
シリコンエラストマーは、エラストマーベース(ELASTOMER BASE)を使用しており、これはCyclopentasiloxane、Dimethicone/Vinyl Dimethicone Crosspolymer、Dimethicone、Phenyl Trimethiconeの混合物である市販製品である。
【0046】
油相安定化剤としては、EMERGENT JC500Bを使用しており、これはCetearyl Ethylhexanoate、Bentone、Polymethylsilsesquioxaneの混合物である市販製品である。
【0047】
乳化剤としては、ABIL EM90及びKF6017を使用した。ABIL EM90は、Cetyl PEG/PPG-10/a Dimethicone の混合物である市販製品であり、KF6017は、PEG-10Dimethiconeである市販製品である。
【0048】
シリコンジェルとしては、KSG-16を使用しており、Dimethicone、Dimethicone/Vinyl Dimethiconeの混合物である市販製品である。
【0049】
実施例及び比較例
下記のようにポリオールを準備した。(2S,3S)-2,3-ブタンジオールは、(2R,3R)-2,3-ブタンジオールと同様、-OH基が同じ方向に位置して、その特性が類似である。
【0050】
実施例1~6は、(2R,3S)-2,3ブタンジオールである。
【0051】
比較例1は、(2R,3R)-2,3-ブタンジオールである。
【0052】
比較例2は、1,3-ブチレングリコール(1,3-Bytylene glycol)である。
【0053】
比較例3は、1,3-プロパンジオール(1,3-Propanediol)である。
【0054】
比較例4は、(2R,3R)-2,3-ブタンジオールである。
【0055】
比較例5は、1,3-ブチレングリコール(1,3-Butylene glycol)である。
【0056】
比較例6は、1,3-プロパンジオール(1,3-Propanediol)である。
【0057】
比較例7は、(2R,3R)-2,3-ブタンジオールである。
【0058】
比較例8は、1,3-ブチレングリコール(1,3-Butylene glycol)である。
【0059】
比較例9は、1,3-プロパンジオール(1,3-Propanediol)である。
【0060】
比較例10は、(2R,3R)-2,3-ブタンジオールである。
【0061】
比較例11は、1,3-ブチレングリコール(1,3-Butylene glycol)である。
【0062】
比較例12は、1,3-プロパンジオール(1,3-Propanediol)である。
【0063】
比較例13は、グリセリン(Glycerin)である。
【0064】
比較例14は、1,3-ブチレングリコール(1,3-Butylene glycol)である。
【0065】
比較例15は、1,3-プロパンジオール(1,3-Propanediol)である。
【0066】
比較例16は、グリセリン(Glycerin)である。
【0067】
比較例17は、1,3-ブチレングリコール(1,3-Butylene glycol)である。
【0068】
比較例18は、1,3-プロパンジオール(1,3-Propanediol)である。
【0069】
<実験例1>ポリオールの分析
分散に係る因子について、物質を比較分析した。これは、Hansen solubility parameterを計算することで行った。
【0070】
Hansen solubility parameterは、「同類は同類に溶ける(Like dissolve like)」という原理に基づいて、物質のパラメーターを総合して、物質間溶解度を予測することであり、該値が近いほど類似であり、互いに溶けやすいと予測することである。本実験では、2,3-ブタンジオールを始め、ポリオールについて分散に係るパラメーター(Dipole-dipole、hydrogen bond、Dispersion)をHSPiP(Hansen solubility Parameters in Practice)ソフトウェアを活用して評価した。
【0071】
その結果、類似する炭素数を有し、かつ2個のOH基を有する点が共通した、類似するジオールであるものの、分散に係るパラメーターが互いに相違することを確認した。よって、ポリオールによって分散力が異なることが予測できた(
図3)。
【0072】
<実験例2>アラントインに対する分散能評価
アラントインは、温度が低い場合、析出が起こりやすく、化粧料の製造時、アラントインの析出有無が問題となる。本発明では、温度が低い場合、析出が起こりやすいラントインの特性を利用して、苛酷な条件である冷蔵条件で、ポリオールによる析出量を測定して分散力を比較することによって、短時間に分散力を確認した。安定度評価は、室温、冷蔵、恒温槽(45℃)で行われた。
【0073】
<2-1>アラントインの分散力評価
アラントインの溶解度は、0.5g/100mLである。本実験では、ポリオールによるアラントインの分散力、つまり、析出量及び析出速度を評価した。
【0074】
<製造例1>
精製水(de-ionized water)100重量部に対して、EDTA-2Na(Disodium Ethylenediamineteraacetate)を0.02重量部、1,2-ヘキサンジオール(Hexanediol)を2重量部、アラントイン(allatoin)を0.5重量部、実施例1の組成物を10重量部で混合して、室温で10分間攪拌した。
【0075】
<製造例2>
実施例1のポリオールの代わりに比較例1のポリオールを使用したことを除いては、製造例1と同様に行った。
【0076】
<製造例3>
実施例1のポリオールの代わりに比較例2のポリオールを使用したことを除いては、製造例1と同様に行った。
【0077】
<製造例4>
実施例1のポリオールの代わりに比較例3のポリオールを使用したことを除いては、製造例1と同様に行った。
【0078】
析出量は、下記のように測定した。空容器の重さを測定した後、製造例1~製造例4の混合液を各々200gずつ投入して、24時間又は7日間冷蔵保管した。24時間又は7日後、上層液を除去した後、恒温槽に乾燥して、もし残っているかも知れない上層液があれば除去し切り、析出した部分だけ残しておいた。そして、12時間乾燥した後、重さを測定し、先に測定した空容器との差分値で析出量を想到した。
【0079】
その結果、アラントイン分散力は、製造例1において最も優れており、その次は、製造例2であり、製造例4及び製造例3の手順であった。よって、ポリオールの種類によってアラントインに対する分散力が相違し、実施例1のポリオールを使用するとき、アラントインに対する分散力に優れることが確認された(
図4及び表1)。よって、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールの含量が高い実施例1のポリオールを使用時、アラントインの析出量及び析出速度が減少して、安定的な分散が可能であることが確認された。
【0080】
【0081】
<2-2>可溶化剤形におけるアラントインの分散力評価
<製造例5>
精製水100重量部に対して、EDTA-2Naを0.02重量部、1,2-ヘキサンジオールを2重量部、アラントインを0.5重量部で混合して水相を作った。一方、香料を0.1重量部、PEG-60水添ひまし油(hydrogenated castor oil)を0.3重量部、95%エタノールを5重量部、及び実施例2のポリオールを10重量部で混合して、可溶化相を作った。すなわち、水相は、超純水、EDTA-2Na、1,2-ヘキサンジオール、及びアラントインを含み、可溶化相は、香料、PEG-60水添ひまし油、エタノール、及びポリオールを含む。
【0082】
前記水相を室温で3分間攪拌した。一方、可溶化相を攪拌しつつ、45~50℃に加温して透明にし、これを攪拌と同時に水相に徐々に投入して、室温で2分間ミキシング(mixing)した。
【0083】
<製造例6>
実施例2のポリオールの代わりに比較例4のポリオールを使用したことを除いては、製造例5と同様に行った。
【0084】
<製造例7>
実施例2のポリオールの代わりに比較例5のポリオールを使用したことを除いては、製造例5と同様に行った。
【0085】
<製造例8>
実施例2のポリオールの代わりに比較例6のポリオールを使用したことを除いては、製造例5と同様に行った。
【0086】
析出量は、下記のように測定した。空容器の重さを測定した後、製造例5~製造例8の混合液を各々200gずつ投入して、24時間又は7日間冷蔵保管した。24時間又は7日後、上層液を除去した後、恒温槽に乾燥して、もし残っているかも知れない上層液があれば除去し切り、析出した部分だけ残しておいた。そして、12時間乾燥した後、重さを測定し、先に測定した空容器との差分値で析出量を想到した。
【0087】
その結果、可溶化剤形におけるアラントインの分散力は、製造例5において最も優れており、その次は、製造例6及び8であり、製造例7の手順であった。すなわち、冷蔵保管7日後、可溶化剤形において、製造例5を除いた製造例6、7及び8においてアラントインが析出されており、その結果、可溶化剤形におけるアラントインの分散力は、製造例5において最も優れた。よって、ポリオールの種類によって可溶化剤形におけるアラントインに対する分散力が相違し、実施例2のポリオールを使用時、アラントインに対する分散力に優れることが確認された(
図5及び表2)。よって、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールの含量が高い実施例2のポリオールを使用時、アラントインの析出量及び析出速度が減少して、安定的な分散が可能であることが確認された。
【0088】
【0089】
<実験例3>ビタミンCの分散能評価
ビタミンCの場合、水に溶解しやすい水溶性物質であるが、水に溶解される場合、酸化して、本来の機能を行うことができない。よって、本実験では、無水剤形である油中ポリオール(Polyol in Oil(P/O))剤形にビタミンCを適用しており、アイボリー色のクリームを作って分散能を評価した。ビタミンCは、析出に関する問題よりは、変色、変臭、相分離なく安定した化粧料を製造することが重要であるため、分散力の評価項目を柔らかい塗り心地、塗布均一性、乳化安全性と設定した。
【0090】
<3-1>非加温条件下、ビタミンCの分散能評価
<製造例9>
エラストマーベース(ELASTOMER BASE)100重量部に対して、EMERGENT JC500Bを1重量部、ABIL EM90を1.5重量部、KF6017を2重量部で混合して、油相1を製造した。一方、実施例3のポリオールを15重量部で水相1として使用した。そして、アスコルビン酸超微細粉末(Ascorbic acid Ultra Fine Powder)を15重量部で水相2として使用した。KSG-16を45重量部で用いて油相2として使用した。
【0091】
前記油相1を室温下で攪拌した。そして、水相2を水相1(ポリオール)に室温で投入して攪拌した。攪拌下で、油相1に水相1及び水相2の混合物を徐々に投入して、1次P/Oエマルジョンを作った。攪拌下で、前記1次P/Oエマルジョンに油相2を投入して、均質な状態にし、2次P/Oエマルジョンを作った。前記2次P/Oエマルジョンを保管した。
【0092】
すなわち、水が含まれていない非水系乳化粧料組成物を製造し、剤形の安定度を評価して、ポリオールによる分散力差を試験した。化粧料組成物は、ビタミンCを、水を除いた分散媒(ポリオール)を使用して、シリコン粉体内(シリコンエラストマー)に吸収させ、前記純粋ビタミンCが吸収されたシリコン粉体にシリコンジェル(KSG-16)を混合して、クリーミな質感の化粧料組成物を製造したものである。
【0093】
<製造例10>
実施例3のポリオールの代わりに比較例7のポリオールを使用したことを除いては、製造例9と同様に行った。
【0094】
<製造例11>
実施例3のポリオールの代わりに比較例8のポリオールを使用したことを除いては、製造例9と同様に行った。
【0095】
<製造例12>
実施例3のポリオールの代わりに比較例9のポリオールを使用したことを除いては、製造例9と同様に行った。
【0096】
前記製造例9~製造例12の2次P/Oエマルジョンを室温で保管してから1日及び8週後、使用感及び安全性を評価した。
【0097】
上記項目別評価は、化粧品剤形専門家10名の官能評価で10点尺度法により行われた(10点:非常にそうである、8点:そうである、6点:普通である、4点:そうでない、1点:非常にそうでない)。分散安定度は、次のように評価された。不安定:油相と水相の相分離、変色及び/又は変臭、普通:油相が微細に分離されている、安定:油相が全く分離されていない。
【0098】
その結果、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールの含量が高い実施例3を使用した製造例9の場合、アイボリー色の滑らかなクリーム相を有しており、柔らかい塗り心地と塗布均一性に優れるものと表された。また、油相及び水相の相分離が観察されておらず、変色及び変臭なく安定した剤形を形成した。試験8週後、使用感と乳化安定度を評価したとき、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールが適用された製造例9の場合、優れた塗り心地と塗布均一性を維持しており、安定度にも変化はなかったが、1,3-プロパンジオールが適用された製造例12の場合、8週後、粒子が大きくなり、異物感が発生することが観察された。よって、1,3-ブチレングリコールや1,3-プロパンジオール、(2R,3R)-2,3-ブタンジオールといった他のポリオールを使用する際よりも、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールを使用する際に、ビタミンCを安定的に分散して異物感、つまり、粒子感が減少すると判断された(
図6及び表3)。
【0099】
【0100】
<3-2>加温条件下、ビタミンCの分散能評価
<製造例13>
エラストマーベース(ELASTOMER BASE)100重量部に対して、EMERGENT JC500Bを1重量部、ABIL EM90を1.5重量部、KF6017を2重量部で混合して、油相1を製造した。一方、実施例4のポリオールを15重量部で水相1として使用した。そして、アスコルビン酸超微細粉末(Ascorbic acid Ultra Fine Powder)を15重量部で水相2として使用した。KSG-16を45重量部で用いて油相2として使用した。
【0101】
前記油相1を攪拌しつつ、80~90℃に加温した。そして、水相2を水相1(ポリオール)に投入して混合物を製造した後、80~90℃に加温した。攪拌下で、加温された油相1に水相1及び水相2の混合物を徐々に投入して、1次P/Oエマルジョンを作った。攪拌下で、前記1次P/Oエマルジョンに油相2を投入して均質な状態にし、2次P/Oエマルジョンを作った。前記2次P/Oエマルジョンを30℃以下に冷凍した後、保管した。
【0102】
<製造例14>
実施例4のポリオールの代わりに比較例10のポリオールを使用したことを除いては、製造例13と同様に行った。
【0103】
<製造例15>
実施例4のポリオールの代わりに比較例11のポリオールを使用したことを除いては、製造例13と同様に行った。
【0104】
<製造例16>
実施例4のポリオールの代わりに比較例12のポリオールを使用したことを除いては、製造例13と同様に行った。
【0105】
前記製造例13~製造例16の2次P/Oエマルジョンを室温で保管してから1日及び8週後、使用感及び安全性を評価した。
【0106】
上記項目別評価は、化粧品剤形専門家10名の官能評価で10点尺度法により行われた(10点:非常にそうである、8点:そうである、6点:普通である、4点:そうでない、1点:非常にそうでない)。分散安定度は、次のように評価された。不安定:油相と水相の相分離、変色及び/又は変臭、普通:油相が微細に分離されている、安定:油相が全く分離されていない。
【0107】
その結果、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールの含量が高い実施例4を使用した製造例13の場合、アイボリー色の滑らかなクリーム相を有しており、柔らかい塗り心地と塗布均一性に優れるものと表された。また、油相及び水相の相分離が観察されておらず、変色及び変臭なく安定した剤形を形成した。さらに、8週後、使用感と乳化安定度を評価したとき、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールが適用された製造例13の場合、優れた塗り心地と塗布均一性を維持しており、安定度にも変化はなかったが、1,3-プロパンジオールが適用された製造例16の場合、8週後、粒子が大きくなり、異物感が発生することが観察された。よって、1,3-ブチレングリコールや1,3-プロパンジオール、(2R,3R)-2,3-ブタンジオールといった他のポリオールを使用する際よりも、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールを使用する際に、ビタミンCを安定的に分散して異物感、つまり、粒子感が減少すると判断された。一方、1,3-ブチレングリコールや1,3-プロパンジオール、(2R,3R)-2,3-ブタンジオールは、適用時、高温で、過量のビタミンCが一時に溶解してから冷却されつつ、不均一に分散された部分における凝集が生じて、粒子が大きくなり、塗布均一性が減少すると判断された。
【0108】
また、実験例<3-1>では、<3-2>と違って、ビタミンCを含有する剤形を調剤時、非加温条件、つまり、室温条件下で行った。しかし、評価結果を見ると、ビタミンCを含有する剤形を製造時、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールを適用したとき、加温/非加温には有意な相違がなかった。よって、エネルギーを節約した工程においても、効果的な分散力を示すと判断された(
図7及び表4)。
【0109】
通常、ビタミンCを含有する非水系乳化化粧料組成物を製造時、純粋ビタミンCを加温した溶媒に溶解して、シリコン粉体と混合攪拌し、水相を製造する。しかし、加温工程は、熱を加える加温過程を経て、後は冷却する過程まで追加されるため、時間とエネルギー消費がさらに大きい。よって、本実験例3では、通常、業界で実施する加温工程と非加温工程を実施して、工程の相違を与えたとき、分散力に影響を及ぼすのか否かを評価した。その結果、本発明の2,3-ブタンジオールを用いた分散媒/分散剤組成物は、加温条件と非加温条件で製造した化粧料の使用感及び安全性に相違ないことを確認した。よって、2,3-ブタンジオールは、他のポリオールに比べて、分散力に優れ、かつ、エネルギーを節約した非加温工程でも効果的な分散力を示すと判断され、その中でも、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールの含量が高い本発明の組成物において特に優れると判断された。
【0110】
【0111】
<実験例4>セラマイドに対する分散能評価
セラマイドは、油溶性物質であって、水に溶解せず、化粧料の製造時、析出が起こりやすく、ゲル化現象により安定化が困難である。本発明では、析出が起こりやすいセラマイドの特性を利用して、ポリオールによる分散力を比較した。安定度評価は、室温、冷蔵、恒温槽(45℃)で行われた。
【0112】
<4-1>セラマイドの分散力評価
<製造例17>
実施例5の組成物100重量部に対して、セラマイドを1重量部で混合して室温で分散させた後、85~90℃まで加温して溶解した後、30℃以下に冷却した。
【0113】
<製造例18>
実施例5のポリオールの代わりに比較例13のポリオールを使用したことを除いては、製造例17と同様に行った。
【0114】
<製造例19>
実施例5のポリオールの代わりに比較例14のポリオールを使用したことを除いては、製造例17と同様に行った。
【0115】
<製造例20>
実施例5のポリオールの代わりに比較例15のポリオールを使用したことを除いては、製造例17と同様に行った。
【0116】
その結果、セラマイドの分散力は、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールの含量が高い実施例5を使用した製造例17と、1,3-ブチレングリコールを使用した製造例19において最も優れており、グリセリンを使用した製造例18と、1,3-プロパンジオールを使用した製造例20は、セラマイドの分散力が低いことが確認された。すなわち、製造例17と19は、加温時、溶解し切れて、透明な状態となってから、冷却時、セラマイドが均質に析出されて、不透明な液相を形成した(
図8)。4週後、安定度を評価したとき、1,3-ブチレングリコールが適用された製造例19の場合、流れ性が見えないほどに増粘したが、これと違って、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールが適用された製造例17の場合、剤形の流れ性が確認された。一方、グリセリンが適用された製造例18と、1,3-プロパンジオールが適用された製造例20は、加温しても、セラマイドが溶解せずに析出された。析出されたセラマイドは、ポリオールと分離されて、上段に浮び上がっており、4週間、室温で分離された状態を維持した(
図9)。さらに恒温槽(45℃)で4週間観察した結果、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールが適用された製造例17は、透明に溶解された(
図10)。あらゆる条件で、ゲル化現象は観察されなかった。よって、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールの含量が高い実施例5のポリオールを使用時、セラマイドを安定的に分散して、特に、恒温槽(45℃)条件における分散力に優れ、セラマイドを透明に溶解可能であることが確認された。
【0117】
<4-2>可溶化スキン剤形におけるセラマイドの分散力評価
<製造例21>精製水100重量部に対して、EDTA-2Naを0.02重量部、1,2-ヘキサンジオールを2重量部で混合して、水相1を作った。一方、香料を0.1重量部、PEG-60水添ひまし油(hydrogenate castor oil)を0.3重量部、DPG(Dipropylene Glycol)を5重量部で混合して、可溶化相を作った。実施例6のポリオールを10重量部、セラマイドを1重量部で混合して、水相2を作った。
【0118】
前記水相1を室温で2分間攪拌した。一方、可溶化相を攪拌しつつ、45~50℃に加温して透明にして、これを攪拌と同時に水相に徐々に投入し、室温で2分間ミキシング(mixing)した。そして、水相2を攪拌しつつ、80~85℃に加温してセラマイドを溶解しており、これを攪拌と同時にミキシングした水相と可溶化相に投入し、室温で3分間ミキシング(mixing)した。
【0119】
<製造例22>
実施例6のポリオールの代わりに比較例16のポリオールを使用したことを除いては、製造例21と同様に行った。
【0120】
<製造例23>
実施例6のポリオールの代わりに比較例17のポリオールを使用したことを除いては、製造例21と同様に行った。
【0121】
<製造例24>
実施例6のポリオールの代わりに比較例18のポリオールを使用したことを除いては、製造例21と同様に行った。
【0122】
その結果、セラマイドの分散力は、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールの含量が高い実施例6を使用した製造例21と、1,3-ブチレングリコールを使用した製造例23において最も優れており、製造例22と24は、セラマイドの分散力が低いことが確認された。すなわち、製造例21と23は、セラマイドが均質に分散されて、4週間観察した結果、室温、冷蔵(4℃)、恒温槽(45℃)でも同じ状態を維持した(
図11及び
図12)。一方、グリセリンを使用した製造例22と、1,3-プロパンジオールを使用した製造例24の場合、セラマイドが析出して分離され、上段に浮び上がっており、4週間、室温で分離された状態を維持した。あらゆる条件で、ゲル化現象は観察されなかった。よって、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールの含量が高い実施例6のポリオールを使用時、セラマイドを安定的に分散して、冷蔵(4℃)と恒温槽(45℃)条件でも、セラマイドの分散力に優れることが確認された。
【0123】
また、可溶化エッセンス剤形及びO/W乳化剤形に適用して、セラマイドの分散力実験を行っており、その結果、(2R,3S)-2,3-ブタンジオールを使用したとき、分散力に優れ、ゲル化現象が観察されていないことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明は、2,3-ブタンジオールを含む分散剤組成物、及びこれを含む化粧料組成物に関する。また本発明は、2,3-ブタンジオールを含む分散媒組成物、及びこれを含む化粧料組成物に関する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アラントイン、ビタミンC及びセラマイドの群から選択された被分散組成物と、
油中ポリオール(P/O)剤形、可溶化エッセンス剤形、および水中油(O/W)エマルジョン剤形からなる群から選択される剤形を有する、
(2R,3S)-2,3-ブタンジオール、(2R,3R)-2,3-ブタンジオール、及び(2S,3S)-2,3-ブタンジオールを含む、分散剤及び分散媒の少なくとも一方の分散用組成物と、
を含むことを特徴とする、化粧料組成物。
【請求項2】
前記化粧料組成物は、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンHを含むビタミン系原料、アルブチン、エチルアスコルビルエーテルを含む美白機能性原料、レチニルパルミテート、アデノシン、ポリエトキシレートレチンアミドを含むシワ改善機能性原料、グリセリルPABA、ドロメトリゾール、ベンゾフェノン、シノキサートを含む紫外線遮断機能性原料、ビオチン、L-メントール、ジンクピリチオンを含む脱毛緩和機能性原料、フェルラ酸、ヘキシルレゾルシノールを含む酸化防止又は変色防止原料、サリチル酸とその塩類及びエステル、グリコール酸を含む角質改善原料、コラーゲン、ペプチドを含む機能性タンパク質及び高分子原料、植物抽出物、香料、顔料、パール、パウダー、二酸化チタン、毛髪の脱染又は脱色原料、抗炎症性原料、抗酸化原料、にきび性及びアトピー性の皮膚改善原料からなる群より選択される一つ以上を含むことを特徴とする、
請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項3】
前記化粧料組成物は、柔軟化粧水、収れん化粧水、栄養化粧水、ローション、ジェル、クリーム、エッセンス、アイエッセンス、アイクリーム、栄養クリーム、マッサージクリーム、クレー状パック、マスクパックを含むスキンケア製品、リップスティック、リップティント、リップグロス、リップペンシル、アイシャドー、ファンデーション、パウダー、コンシーラー、アイライナー、アイシャドー、マスカラを含むメーキャップ製品、アイメイクリムーバー、メーキャップリムーバー、クレンジングフォーム、クレンジングクリーム、クレンジングオイル、クレンジングウォーター、手指消毒剤、ハンドソープ、ハンドスクラブ、ボディーソープ、ボディースクラブ、シェービングローション、石けん、ウェットティッシュを含む洗浄製品、ボディーローション、ボディーオイル、ボディーミスト、ボディーエッセンス、ハンドクリーム、フットクリーム、ワックス状除毛剤を含むボディーケア製品、ベビーローション、ベビークリーム、オムツかぶれクリームを含む乳児化粧品、サンクリーム、サンスティック、サンスプレー、人工タンニング製品を含むサンケア製品、シャンプー、リンス、ヘアコンディショナークリーム、ヘアスタイリングジェル、フォーム、ヘアムース、ヘアスプレー、スタイリングローション、スタイリングクリーム、ヘアエッセンス、毛髪染料、毛髪脱色クリーム、カール活性剤ゲルを含むヘア製品、マニキュア、ネイルポリッシュ、キューティクルリムーバー、キューティクルクリームを含むネイルケア製品、歯磨き粉、口腔洗浄剤、口腔リンス、口腔フィルム、ガムを含むパーソナルケア製品、香水、植物抽出物、消臭剤及び止汗剤からなる群より選択される剤形である、
請求項1に記載の化粧料組成物。