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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123167
(43)【公開日】2024-09-10
(54)【発明の名称】患者情報管理システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/00 20180101AFI20240903BHJP
【FI】
G16H40/00
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024100387
(22)【出願日】2024-06-21
(62)【分割の表示】P 2020004722の分割
【原出願日】2020-01-15
(71)【出願人】
【識別番号】314005768
【氏名又は名称】PHCホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 哲
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 亘彦
(72)【発明者】
【氏名】苅田 陽平
(57)【要約】      (修正有)
【課題】医療機関が、薬局が有する患者情報を得るための患者情報管理システム、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】患者情報管理システム1は、医療機関番号及び医療機関側患者番号を含むコードが付された処方せんを発行する医療機関端末10、ユーザを識別するための番号であるユーザ番号を記憶する記憶部を有し、コードから情報を読み取り、かつ、情報及びユーザ番号を送信する情報処理装置11並びに情報処理装置から情報及びユーザ番号を受信し、かつ、医療機関番号、医療機関側患者番号及びユーザ番号を互いに対応付けて記憶する患者情報管理装置12を備え、第1の医療機関から第1の医療機関番号及び第1の医療機関側患者番号を患者情報管理装置に問い合わせることで、患者情報管理装置が、第1の医療機関番号及び第1の医療機関側患者番号に対応するユーザ番号に紐づけられた第2の医療機関におけるユーザの情報を第1の医療機関へ送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機関に設置され、前記医療機関を識別するための番号である医療機関番号、及び、前記医療機関が患者を識別するために用いる番号である医療機関側患者番号を含むコードが付された処方せんを発行する医療機関端末と、
ユーザを識別するための番号であるユーザ番号を記憶する記憶部を有し、前記コードから情報を読み取り、かつ、前記情報及び前記ユーザ番号を送信する情報処理装置と、
前記情報処理装置から前記情報及び前記ユーザ番号を受信し、かつ、前記医療機関番号、前記医療機関側患者番号及び前記ユーザ番号を互いに対応付けて記憶する患者情報管理装置と、
を備え、
第1の医療機関から第1の医療機関番号、及び、第1の医療機関側患者番号を、前記患者情報管理装置に問い合わせることにより、前記患者情報管理装置は、前記第1の医療機関番号、及び、前記第1の医療機関側患者番号に対応するユーザ番号に紐づけられた、第2の医療機関におけるユーザの情報を、前記第1の医療機関へ送信する、患者情報管理システム。
【請求項2】
薬局に設置され、前記薬局を識別するための番号である薬局番号、前記薬局が前記患者を識別するために用いる番号である薬局側患者番号及び前記ユーザ番号を互いに対応付けて記憶する薬局端末をさらに備え、
前記患者情報管理装置は、前記薬局端末から前記薬局番号、前記薬局側患者番号及び前記ユーザ番号を受信し、前記医療機関番号、前記医療機関側患者番号、前記ユーザ番号、前記薬局番号、及び、前記薬局側患者番号を互いに対応付けて記憶し、
第1の薬局端末から、第1の薬局番号、及び、第1の薬局側患者番号を、前記患者情報管理装置に問い合わせることにより、前記患者情報管理装置は、前記第1の薬局番号、及び、前記第1の薬局側患者番号に対応するユーザ番号に紐づけられた、第2の薬局端末におけるユーザの情報を、前記第1の薬局端末へ送信する、請求項1に記載の患者情報管理システム。
【請求項3】
前記第1の医療機関から前記第1の医療機関番号、及び、前記第1の医療機関側患者番号を、前記患者情報管理装置に問い合わせることにより、前記患者情報管理装置は、前記第1の医療機関番号、及び、前記第1の医療機関側患者番号に対応するユーザ番号に紐づけられた、薬局端末におけるユーザの情報を、前記第1の医療機関へ送信する、請求項1に記載の患者情報管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者情報管理システム、患者情報管理方法、患者情報管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、患者が携帯電話やスマートフォンのカメラ機能を用いて医療機関で発行された処方せんを撮像し、撮像した処方せんの画像を薬局に送ることによって事前に処方せんの内容を薬局に伝達する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このような技術によれば、患者が薬局に到着する前に、薬局は処方せんに従った調剤を行うことができる。よって、患者にとっては、薬局での待ち時間を短縮することができるという利点が得られ、薬局にとっては、効率的に業務を行うことができるという利点が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-218740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、処方せんを発行した医療機関には、薬局における実際の調剤結果、及び、患者による実際の服薬状況等、薬局が有する患者に関する情報を得たいというニーズがある。そのために、地域医療連携のような仕組みの活用を通して、情報を参照することは不可能ではないものの、患者の同意を前提とするうえ、その地域医療連携の仕組みに加入する医療機関と薬局の間の情報連携に限られるため、患者にとって十分な情報伝達が難しく、上記のニーズに十分に応えることができない。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みなされたものであり、医療機関が、薬局が有する患者に関する情報を得るための基盤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る患者情報管理システムは、医療機関に設置され、前記医療機関を識別するための番号である医療機関番号、及び、前記医療機関が患者を識別するために用いる番号である医療機関側患者番号を含むコードが付された処方せんを発行する医療機関端末と、ユーザを識別するための番号であるユーザ番号を記憶する記憶部を有し、前記コードから情報を読み取り、かつ、前記情報及び前記ユーザ番号を送信する情報処理装置と、前記情報処理装置から前記情報及び前記ユーザ番号を受信し、かつ、前記医療機関番号、前記医療機関側患者番号及び前記ユーザ番号を互いに対応付けて記憶する患者情報管理装置と、を備え、第1の医療機関から第1の医療機関番号、及び、第1の医療機関側患者番号を、前記患者情報管理装置に問い合わせることにより、前記患者情報管理装置は、前記第1の医療機関番号、及び、前記第1の医療機関側患者番号に対応するユーザ番号に紐づけられた、第2の医療機関におけるユーザの情報を、前記第1の医療機関へ送信する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、医療機関が、薬局が有する患者に関する情報を得るための基盤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係る患者情報管理システムの構成の一例を示す図。
図2】本発明の実施の形態に係る医療機関端末の構成の一例を示す図。
図3】本発明の実施の形態に係る情報処理装置の構成の一例を示す図。
図4】本発明の実施の形態に係る患者情報管理装置の構成の一例を示す図。
図5】本発明の実施の形態に係る薬局端末の構成の一例を示す図。
図6】本発明の実施の形態に係る患者情報管理テーブルの一例を示す図。
図7】本発明の実施の形態に係る医療機関端末の動作の一例を示す図。
図8】本発明の実施の形態に係る患者情報管理装置の動作の一例を示す図。
図9】本発明の実施の形態に係る患者情報管理システムの動作の一例を示す図。
図10】本発明の実施の形態に係る患者情報管理システムの動作の一例を示す図。
図11】本発明の第2の実施形態に係る患者情報管理テーブルの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施形態>
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は一例であり、本発明はこの実施の形態により限定されるものではない。
【0011】
<患者情報管理システムの構成>
まず、本発明の実施の形態に係る患者情報管理システム1の構成について、図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態に係る患者情報管理システム1の構成の一例を示す図である。
【0012】
患者情報管理システム1は、医療機関端末10、情報処理装置11、患者情報管理装置12、及び、薬局端末13を有する。なお、患者情報管理システム1は、薬局端末13を有していなくてもよい。
【0013】
医療機関端末10は、例えば病院や診療所などの医療機関に設置され、医師等の医療従事者によって使用されるコンピュータ(例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等)である。
【0014】
医療機関端末10は、患者の診療結果に基づいて、処方せん2を発行する。処方せん2には、各種の情報を有する、又は、各種の情報を参照する際のキーとなる情報を含むコード3が付されている。各種の情報には、例えば、医療機関端末10が設置された医療機関を識別するための番号である医療機関番号に関する情報、この医療機関が、患者一人一人を識別するために用いる番号である医療機関側患者番号に関する情報、及び、処方内容に関する情報等が含まれる。医療機関側患者番号は、医療機関端末10が設置された医療機関が独自に発行した番号であってもよいし、国または保険者等の第三者が発行した番号であってもよい。
【0015】
コード3は、例えば、バーコード、または、二次元バーコードである。コード3は、医療機関番号そのもの及び医療機関側患者番号そのものの組み合わせである文字列であってもよい。
【0016】
情報処理装置11は、医療機関を利用する患者によって使用される携帯型のコンピュータ(例えば、スマートフォン、タブレット、携帯電話等)である。情報処理装置11は、例えば、電子版お薬手帳のサービスのユーザまたはその家族等に使用される。後に詳細に説明するように、情報処理装置11は、撮影機能を備えている。よって、医療機関から処方せん2を受け取った患者(ユーザ)による操作によって、情報処理装置11は、処方せん2に付されたコード3から、医療機関側患者番号等の情報を読み取ることが可能である。なお、情報処理装置11は、携帯型ではなくてもよく、据え置き型のコンピュータであっても良い。
【0017】
患者情報管理装置12は、例えば、電子版お薬手帳のサービスを提供する事業者または専用アプリケーションを提供する事業者によって運用、管理されるサーバである。専用アプリケーションとは、情報処理装置11で動作する、電子版お薬手帳(例えば服薬履歴情報を提示可能)の閲覧機能などを備えたアプリケーションソフトウェアである。
【0018】
薬局端末13は、薬局に設置され、薬剤師等の医療従事者によって使用されるコンピュータ(例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等)である。
【0019】
患者情報管理装置12と医療機関端末10は、所定のネットワークを介して通信を行う。また、患者情報管理装置12と情報処理装置11は、所定のネットワークを介して通信を行う。また、患者情報管理装置12と薬局端末13は、所定のネットワークを介して通信を行う。所定のネットワークは、有線ネットワーク、無線ネットワーク、または、有線ネットワークと無線ネットワークとが混在したネットワークのいずれであってもよい。
【0020】
<医療機関端末の構成>
次に、本発明の実施の形態に係る医療機関端末10の構成について、図2を用いて説明する。図2は、本実施の形態に係る医療機関端末10の構成の一例を示す図である。
【0021】
医療機関端末10は、入力部101、通信部102、表示部103、プリンタ104、記憶部105、制御部106を有する。
【0022】
入力部101は、タッチパネル、キーボード、マウスなどの入力装置である。入力部101は、医療従事者の操作を受け付け、受け付けた操作の内容を制御部106に出力する。
【0023】
入力部101は、例えば、患者の診療結果に関する電子カルテ情報を入力する操作、又は、処方せん2の発行を指示する操作を受け付ける。
【0024】
通信部102は、送信回路、受信回路などを含む通信装置である。通信部102は、制御部106の制御により、患者情報管理装置12と所定のネットワークを介して通信を行う。
【0025】
通信部102は、例えば、服薬履歴情報の要求を患者情報管理装置12へ送信する。また、通信部102は、例えば、患者情報管理装置12から服薬履歴情報を受信する。
【0026】
表示部103は、ディスプレイなどの表示装置である。表示部103は、制御部106の制御により、情報の表示を行う。
【0027】
表示部103は、例えば、電子カルテ情報、患者情報管理装置12へアクセスするためのウェブサイト、または、通信部102が患者情報管理装置12から受信した服薬履歴情報を表示する。
【0028】
プリンタ104は、処方せん2を印刷する装置である。なお、本実施形態では、プリンタ104は、医療機関端末10の一機能部であるが、プリンタ104は、医療機関端末10とは別個の装置であってもよいことは言うまでも無い。
【0029】
記憶部105は、メモリまたはハードディスク装置などの記憶デバイスであり、種々の情報を記憶する。
【0030】
記憶部105は、例えば、医療機関を識別するための番号である医療機関番号を記憶する。また、記憶部105は、例えば、電子カルテ情報、または、通信部102が患者情報管理装置12から受信した情報(例えば、服薬履歴情報)を記憶する。
【0031】
制御部106は、プロセッサなどの制御デバイスであり、医療機関端末10が行う各処理を制御する。制御部106による制御の一例については、図7を用いて後述する。
【0032】
<情報処理装置の構成>
次に、本発明の実施の形態に係る情報処理装置11の構成について、図3を用いて説明する。図3は、本実施の形態に係る情報処理装置11の構成の一例を示す図である。
【0033】
情報処理装置11は、入力部111、通信部112、表示部113、カメラ114、記憶部115、制御部116を有する。
【0034】
入力部111は、タッチパネル、キーボード、マウスなどの入力装置である。入力部111は、患者の操作を受け付け、受け付けた操作の内容を制御部116に出力する。
【0035】
入力部111は、例えば、専用アプリケーションの起動を指示する操作、カメラ114を起動する操作、撮影を行う操作、患者情報管理装置12への処方せん2に関する情報の送信を指示する操作を受け付ける。
【0036】
通信部112は、アンテナ、送信回路、受信回路などを含む通信装置である。通信部112は、制御部116の制御により、患者情報管理装置12と所定のネットワークを介して通信を行う。
【0037】
通信部112は、例えば、カメラ114を介してコード3から読み取った情報、例えば、医療機関番号、医療機関側患者番号及び処方せん2の内容に関する情報、並びに、記憶部115に記憶されているユーザ番号を患者情報管理装置12へ送信する。
【0038】
表示部113は、ディスプレイなどの表示装置である。表示部113は、制御部116の制御により、情報の表示を行う。
【0039】
例えば、表示部113は、専用アプリケーションの画面、カメラ114によって撮影された画像を表示する。
【0040】
記憶部115は、メモリまたはハードディスク装置などの記憶デバイスであり、種々の情報を記憶する。
【0041】
例えば、記憶部115は、ユーザに固有のユーザ番号、薬局のサービスを提供する専用アプリケーションのプログラムを記憶する。ユーザ番号は、情報処理装置11のユーザを識別可能な情報である。ユーザ番号は、情報処理装置11そのものに固有の番号、すなわち、1台の情報処理装置11に対して1つのみ与えられる番号とすることができる。あるいは、ユーザ番号は、専用アプリケーション(例えば、電子版お薬手帳)の登録ユーザごとに固有の番号、すなわち、1台の情報処理装置11に対して複数与えられる番号とすることができる。ユーザ番号は、ユーザが所有する保険証の番号であってもよい。
【0042】
制御部116は、プロセッサなどの制御デバイスであり、情報処理装置11が行う各処理を制御する。制御部116による制御の一例については、図9を用いて後述する。
【0043】
<患者情報管理装置の構成>
次に、本発明の実施の形態に係る患者情報管理装置12の構成について、図4を用いて説明する。図4は、本実施の形態に係る患者情報管理装置12の構成の一例を示す図である。
【0044】
患者情報管理装置12は、通信部122、記憶部125、及び、制御部126を有する。
【0045】
通信部122は、送信回路、受信回路などを含む通信装置である。通信部122は、制御部126の制御により、医療機関端末10、情報処理装置11及び薬局端末13と所定のネットワークを介して通信を行う。
【0046】
通信部122は、例えば、医療機関端末10から、処方せん2の内容に関するデータ、及び、服薬履歴情報の要求を受信する。また、通信部122は、例えば、服薬履歴情報を医療機関端末10へ送信する。
【0047】
また、通信部122は、例えば、情報処理装置11から医療機関側患者番号、処方せん2の内容に関する情報、処方せん画像、および、ユーザ番号を受信する。
【0048】
記憶部125は、メモリまたはハードディスク装置などの記憶デバイスであり、種々の情報を記憶する。
【0049】
記憶部125は、例えば、通信部122が医療機関端末10、情報処理装置11または薬局端末13から受信した情報を記憶する。
【0050】
記憶部125が記憶する情報の一例は、患者情報管理テーブル20(図6参照)である。患者情報管理テーブル20の詳細については後述する。
【0051】
制御部126は、プロセッサなどの制御デバイスであり、患者情報管理装置12が行う各処理を制御する。制御部126による制御の一例については、図9図10を用いて後述する。
【0052】
<薬局端末の構成>
次に、本発明の実施の形態に係る薬局端末13の構成について、図5を用いて説明する。図5は、本実施の形態に係る薬局端末13の構成の一例を示す図である。
【0053】
薬局端末13は、入力部131、通信部132、表示部133、スキャナ134、記憶部135、制御部136を有する。
【0054】
入力部131は、タッチパネル、キーボード、マウスなどの入力装置である。入力部131は、医療従事者の操作を受け付け、受け付けた操作の内容を制御部136に出力する。
【0055】
入力部131は、例えば、処方せん2の内容の入力操作、実際に行われた調剤の内容の入力操作を受け付ける。
【0056】
通信部132は、送信回路、受信回路などを含む通信装置である。通信部132は、制御部136の制御により、患者情報管理装置12と所定のネットワークを介して通信を行う。
【0057】
通信部132は、例えば、処方せん2の内容(処方せんデータまたは処方せん画像)、及び、服薬履歴情報の要求を患者情報管理装置12から受信する。また、通信部132は、例えば、患者情報管理装置12へ服薬履歴情報を送信する。また、通信部132は、薬局端末13が設置された薬局が、患者一人一人を識別するために用いる番号である薬局側患者番号に関する情報を、患者情報管理装置12へ送信する。薬局側患者番号は、薬局端末13が設置された薬局が独自に発行した番号であってもよいし、国または保険者等の第三者が発行した番号であってもよい。
【0058】
表示部133は、ディスプレイなどの表示装置である。表示部133は、制御部136の制御により、情報の表示を行う。
【0059】
表示部133は、例えば、処方せん2の内容、実際に行われた調剤の内容、患者の服薬状況、または、患者情報管理装置12へアクセスするためのウェブサイトを表示する。
【0060】
スキャナ134は、処方せん2の内容を読み取る装置である。なお、本実施形態では、スキャナ134は、薬局端末13の一機能部であるが、スキャナ134は、薬局端末13とは別個の装置であってもよいことは言うまでも無い。
【0061】
記憶部135は、メモリまたはハードディスク装置などの記憶デバイスであり、種々の情報を記憶する。
【0062】
記憶部135は、例えば、薬局を識別するための番号である薬局番号を記憶する。また、記憶部135は、例えば、実際に行われた調剤の内容に関する情報を記憶する。
【0063】
制御部136は、プロセッサなどの制御デバイスであり、薬局端末13が行う各処理を制御する。制御部136による制御の一例については、図8を用いて後述する。
【0064】
<患者情報管理テーブル>
次に、患者情報管理テーブル20について、図6を用いて説明する。図6は、患者情報管理装置12の記憶部125に記憶される患者情報管理テーブル20の一例を示す図である。
【0065】
図6に示すように、患者情報管理テーブル20では、ユーザ番号ごとに、患者を識別するための情報が紐付けられる。患者情報管理テーブル20は、医療機関番号情報21、医療機関側患者番号情報22、ユーザ番号情報23、薬局番号情報24、及び、薬局側患者番号情報25を含む。
【0066】
図6に示される患者情報管理テーブル20は、次の情報を有しており、それらの情報が互いに対応付けられて登録されている。患者(ユーザ)が使用する情報処理装置11が有する記憶部115は、ユーザに固有のユーザ番号(例えば、専用アプリケーションの登録ユーザ番号)として1000を記憶している。この患者には、医療機関番号が01である医療機関において、A1001という医療機関側患者番号が割り当てられている。また、この患者には、医療機関番号が02である医療機関において、B123という医療機関側患者番号が割り当てられている。さらに、この患者には、薬局番号が001である薬局において、C76543という薬局側患者番号が割り当てられている。なお、これらの割り当ては、各医療機関及び各薬局内において独自に行われるものであり、通常は連携することができない。しかしながら、この患者情報管理テーブル20が作成されることにより、ユーザに固有のユーザ番号を介して、各医療機関及び各薬局の間で、情報を連携させ、同一のユーザを判別することができるようになる。
【0067】
よって、この患者情報管理テーブル20を用いることによって、従来、他医療機関、他薬局のみが有していた情報の提供などのサービスが、地域医療連携の仕組みなどに依存することなく、可能になる。
【0068】
例えば、医療機関番号が01である医療機関の医療従事者は、医療機関端末10を介して、患者情報管理装置12にアクセスし、医療機関側患者番号がA1001である患者の、他の医療機関における受診履歴を問い合わせる。この問合せを受けた患者情報管理装置12は、患者情報管理テーブル20から、医療機関側患者番号がA1001である患者のユーザ番号1000が、B123という医療機関側患者番号及び02という医療機関番号と対応付けられていることを検出する。この検出の後、患者情報管理装置12は、医療機関番号が01である医療機関の医療機関端末10に、問合せを受けた患者は、医療機関番号が02である医療機関で受診したことがあるという受診履歴情報を送信する。
【0069】
また、例えば、医療機関番号が01である医療機関の医療従事者は、医療機関端末10を介して、患者情報管理装置12にアクセスし、医療機関側患者番号がA1001である患者が、どの薬局で調剤サービスを受けたことがあるかという調剤履歴を問い合わせる。この問合せを受けた患者情報管理装置12は、患者情報管理テーブル20から、医療機関側患者番号がA1001である患者のユーザ番号1000が、001という薬局番号と対応付けられていることを検出する。この検出の後、患者情報管理装置12は、医療機関番号が01である医療機関の医療機関端末10に、問合せを受けた患者は、薬局番号が001である薬局で調剤サービスを受けたことがあるという調剤履歴情報を送信する。
【0070】
さらに、患者情報管理装置12は、薬局番号が001である薬局に設置されている薬局端末13から、患者に対して実際に行われた調剤に関する情報、または、患者の服薬履歴に関する情報を得てもよい。この場合、患者情報管理装置12は、ユーザ番号1000に対応付けられている薬局側患者番号であるC76543を、薬局番号が001である薬局の薬局端末13に送信する。薬局端末13は、薬局側患者番号C76543を受信すると、薬局側患者番号がC76543である患者に対して実際に行われた調剤に関する情報、または、服薬履歴に関する情報を、記憶部135に記憶されている情報の中から抽出する。この抽出の後、薬局端末13は、抽出された情報を、患者情報管理装置12に送信する。患者情報管理装置12は、薬局端末13から受信した実際に行われた調剤に関する情報、または、服薬履歴に関する情報を、調剤履歴の問合せ元である医療機関番号が01である医療機関の医療機関端末10に送信することができる。
【0071】
このようにすることにより、処方せん2を発行した医療機関の医療従事者は、自医療機関で発行した処方せん2の内容と、実際に行われた調剤結果等を電子的に比較することができる。また、調剤を行った薬局がどこであるかにかかわらず、統一されたフォーマットで調剤結果等を受け取ることができるので、容易かつ網羅的に、調剤結果等を把握することができる。また、例えば、薬局側で、処方せん2に従って実際にどのような調剤が行われたのか(例えば、実際に患者に渡された薬剤が先発医薬品であるのかジェネリック医薬品であるのか)という情報を逐次把握することができるので、医療機関は、次回以降、実際に行われた調剤の内容に沿った処方せん2を発行することができる。その結果、次回以降の調剤の際における、薬局から医療機関への疑義照会の回数を低減させることができる。また、医療機関側において蓄積される処方データを実際に行われた調剤に合致するものにすることができる。さらに、医療機関における次回以降の受信の際、服用している薬品に関する情報を患者から聞き取らなくても正確に把握することができる。
【0072】
調剤に関する情報及び服薬履歴に関する情報の、薬局端末13から患者情報管理装置12への送信、及び、患者情報管理装置12から医療機関端末10への送信は、薬局での調剤が行われた直後に行われてもよい。このようにすることにより、遅延無く速やかに、処方せん2の内容と、実際に行われた調剤結果等を比較することができる。
【0073】
また、医療機関番号が01である医療機関の医療従事者は、自らが所属する医療機関で発行された処方せん2に基づいて行われた調剤に関する情報のみならず、ユーザ番号1000を介して対応付けられた、他の医療機関(例えば、医療機関番号が02である医療機関)で発行された処方せん2に基づいて行われた調剤に関する情報も得ることができる。
【0074】
さらに、図6に示される患者情報管理テーブル20は、次の情報を有している。他の患者(ユーザ)が使用する情報処理装置11が有する記憶部115は、ユーザに固有のユーザ番号として2000を記憶している。この患者には、医療機関番号が01である医療機関において、A1002という医療機関側患者番号が割り当てられている。また、この患者には、医療機関番号が03である医療機関において、567890という医療機関側患者番号が割り当てられている。さらに、この患者には、薬局番号が002である薬局において、E456という薬局側患者番号が割り当てられており、薬局番号が003である薬局(第2の薬局)において、246802という薬局側患者番号(第2の薬局側患者番号)が割り当てられている。
【0075】
よって、例えば、医療機関番号が01である医療機関の医療従事者は、医療機関端末10を介して、患者情報管理装置12にアクセスし、医療機関側患者番号がA1002である患者の他の医療機関における受診履歴を得ることができる。具体的には、問合せを受けた患者情報管理装置12は、ユーザ番号2000を介して、記憶部125に記憶されている患者情報管理テーブル20から、医療機関番号が01である医療機関においてA1002という医療機関側患者番号が割り当てられた患者が、03という医療機関番号と対応付けられていること、つまり、この患者が医療機関番号が03である医療機関で診察を受けたことがあるという受診履歴情報を得ることができる。この受診履歴情報を得た患者情報管理装置12は、受診履歴の問合せ元である医療機関番号が01である医療機関の医療機関端末10に、受診履歴情報を送信することができる。
【0076】
また、例えば、医療機関番号が01である医療機関の医療従事者は、医療機関端末10を介して、患者情報管理装置12にアクセスし、医療機関側患者番号がA1002である患者の調剤履歴を得ることができる。具体的には、問合せを受けた患者情報管理装置12は、ユーザ番号2000を介して、記憶部125に記憶されている患者情報管理テーブル20から、薬局番号が002である薬局、及び、薬局番号が003である薬局(第2の薬局)で、処方せん2に基づいて調剤サービスを受けたことがあるという調剤履歴情報を得ることができる。この調剤履歴情報を得た患者情報管理装置12は、調剤履歴の問合せ元である医療機関番号が01である医療機関の医療機関端末10に、調剤履歴情報を送信することができる。
【0077】
なお、患者情報管理装置12は、薬局番号が002である薬局及び薬局番号が003である薬局に設置されている各薬局端末13から、患者に対して実際に行われた調剤に関する情報、または、患者の服薬履歴に関する情報を得てもよい。この場合、患者情報管理装置12は、各薬局端末13から受信した実際に行われた調剤に関する情報、または、服薬履歴に関する情報を、調剤履歴の問合せ元である医療機関番号が01である医療機関の医療機関端末10に送信することができる。
【0078】
なお、患者情報管理テーブル20は、図6に示される情報以外の情報を含んでもよい。例えば、各医療機関において登録されている患者の氏名、性別、生年月日等、情報処理装置と対応付けられて登録されている患者の氏名、性別、生年月日等、各薬局において登録されている患者の氏名、性別、生年月日等に関する情報が含まれてもよい。
【0079】
本実施形態に係る患者情報管理テーブル20では、患者が使用する情報処理装置が記憶するユーザ番号に、医療機関側で登録された情報と、薬局側で登録された情報が対応付けられている。よって、仮に、ある一人の患者に関して、医療機関側で登録された患者の氏名と、ユーザ番号に対応付けて登録された患者の氏名と、薬局側で登録された患者の氏名とが、互いに異なっていたとしても、何ら問題なく、医療機関側で登録された情報と、情報処理装置側で登録された情報と、薬局側で登録された情報とを対応付けて管理することができる。
【0080】
<患者情報管理システムの動作>
次に、本発明の実施の形態に係る患者情報管理システム1の動作について、図7から図10を用いて説明する。
【0081】
初めに、図7及び図8を参照しながら、患者情報管理テーブル20の作成プロセスの一例について説明する。
【0082】
まず、医療機関端末10は、処方せん2を発行する(ステップS11)。処方せん2には、処方せん2の内容に関する情報が含まれるコード3が例えば印刷によって付されている。コード3には、少なくとも、処方せん2を発行した医療機関を識別することができる情報、例えば医療機関番号と、医療機関が患者を識別するための医療機関側患者番号に関する情報も含まれている。
【0083】
次に、医療機関端末10は、発行された処方せん2の対象である患者が、データ提供対象患者であるか否かを判定する(ステップS12)。データ提供対象患者とは、医療機関端末10から、患者情報管理装置12等の外部へ、処方せん2の内容を含む処方せんデータを提供するサービスの対象となっている患者である。データ提供対象患者の情報は、患者情報管理テーブル20の中に登録されている。よって、患者がデータ提供対象患者であるか否かは、患者情報管理装置12の記憶部125に記憶されている患者情報管理テーブル20の中に患者の情報が登録されているか否かで判定することができる。つまり、医療機関端末10は、処方せん2を発行した患者に関する情報が患者情報管理テーブル20に登録されているか否かを、患者情報管理装置12に問い合わせ、患者情報管理装置12からの返答結果に基づいて、患者がデータ提供対象患者であるか否かを判定することができる。
【0084】
なお、未登録の患者の情報を患者情報管理テーブル20に最初に登録する際には、患者の承諾を事前に得ることが好ましい。患者は、例えば、医療機関端末10を操作する医療従事者に承諾の旨を伝えることで、または、自ら情報処理装置11上で所定の操作をすることによって、承諾することができる。
【0085】
患者の意思により、情報処理装置11が操作されて処方せん2に付されているコード3が読み取られ、読み取られたコード3に含まれている情報が、情報処理装置11から患者情報管理装置12に送信されたことを、患者の承諾とみなしてもよい。この場合、医療機関端末10から、医療機関番号と医療機関側患者番号とが、患者情報管理装置12に予め送信されているとともに、情報処理装置11からユーザ番号が送信されるようにすることが好ましい。このようにすれば、情報処理装置11から、コード3に含まれている処方せん2の内容に関する情報とともにユーザ番号を受信すると、患者情報管理装置12は、予め受信していた医療機関番号及び医療機関側患者番号と、ユーザ番号とを紐づけて患者情報管理テーブルに記録することができる。
【0086】
患者がデータ提供対象患者であった場合(ステップS12にてYes)、医療機関端末10は、処方せん2の内容である処方せんデータを、患者情報管理装置12に送信し(ステップS13)、動作を終了する。一方、患者がデータ提供対象患者でなかった場合(ステップS12にてNo)、医療機関端末10は、動作を終了する。なお、処方せんデータには、医療機関番号および医療機関側患者番号が含まれている。
【0087】
続いて、患者情報管理装置12は、医療機関端末10からデータ提供対象患者の処方せんデータを受信したか否かを判定する(図8のステップS21)。医療機関端末10から処方せんデータを受信していない場合(ステップS21にてNo)、患者情報管理装置12は、動作を一端終了させる。
【0088】
医療機関端末10からデータ提供対象患者の処方せんデータを受信している場合(S21にてYes)、患者情報管理装置12は、受信した処方せんデータに含まれる医療機関側患者番号と対応付けられて記憶されているユーザ番号を、患者情報管理テーブル20の中から検索する(ステップS22)。このユーザ番号は、発行された処方せん2の対象である患者が使用する情報処理装置11が有する記憶部115に記憶されているユーザに固有の番号(例えば、専用アプリケーションの登録ユーザ番号)である。
【0089】
次に、患者情報管理装置12は、検索されたユーザ番号に対応付けて、受信した処方せんデータを記憶部125に記憶させる(ステップS23)。以上で、患者情報管理テーブル20が作成される。
【0090】
なお、この後、患者情報管理装置12は、処方せんデータがアップロードされたことを、検索されたユーザ番号を記憶する記憶部115を有する情報処理装置11に通知してもよい(ステップS24)。
【0091】
続いて、図9及び図10を参照しながら、患者情報管理テーブル20への情報の追加プロセスの一例について説明する。
【0092】
図9図10は、患者情報管理システム1の動作例を示す図である。患者情報管理システム1では、図9に示す動作が行われた後で、図10に示す動作が行われる。図9に示す動作が行われるタイミングとしては、例えば、ある患者がある医療機関で初めて診察を受けた後、かつ、薬局に向かう前というタイミングが想定される。また、図10に示す動作が行われるタイミングとしては、例えば、薬局で実際に調剤が行われた後というタイミングが想定される。
【0093】
初めに、図9に示す動作例について説明する。
【0094】
まず、医療機関端末10は、処方せん2を発行する(ステップS31)。処方せん2には、処方せん2の内容に関する情報が含まれるコード3が例えば印刷によって付されている。コード3には、少なくとも、処方せん2を発行した医療機関を識別することができる情報、例えば医療機関番号に関する情報、及び、医療機関が患者を識別するための医療機関側患者番号に関する情報も含まれている。
【0095】
次に、処方せん2を受け取った患者が操作することによって、情報処理装置11は、コード3を撮影する(ステップS32)。ここで、撮影には、カメラ114を作動させて写真データを生成することのみならず、カメラ114をかざしてコード3の情報をスキャンすることも含まれる。
【0096】
次に、情報処理装置11は、撮影されたコード3から、情報を読み取る(ステップS33)。本実施形態において、この情報は、医療機関番号、医療機関側患者番号及び処方せん2の内容を含む。続いて、情報処理装置11は、記憶部115から、情報処理装置11のユーザに固有のユーザ番号(例えば、専用アプリケーションのユーザ番号)を読み出す(ステップS34)。
【0097】
次に、情報処理装置11は、医療機関番号、医療機関側患者番号、処方せん2の内容、及び、ユーザ番号を、所定のネットワークを介して、患者情報管理装置12に1回の通信で送信する(ステップS35)。なお、ユーザ番号の送信は、情報処理装置11と患者情報管理装置12との間で通信を開始する時の、患者情報管理装置12による情報処理装置11の認証の際に行われてもよい。なお、1回の通信とは、少なくとも医療機関番号、医療機関側患者番号及びユーザ番号、またはそれらを参照する際にキーとなる情報を、情報処理装置11から患者情報管理装置12に送信する際の一連の通信を意味する。
【0098】
これに対応して、患者情報管理装置12は、医療機関番号、医療機関側患者番号、処方せん2の内容、及び、ユーザ番号を1回の通信で受信する(ステップS36)。
【0099】
なお、情報処理装置11は、医療機関番号、医療機関側患者番号、処方せん2の内容、及び、ユーザ番号を送信する際、調剤サービスを受ける薬局を選択する患者の操作を受け付け、選択された薬局を示す薬局番号を併せて送信してもよい。このような薬局番号は、電子版お薬手帳(服薬履歴情報)の閲覧機能などを備えたアプリケーションソフトウェアと共に、予め記憶部115に記憶されている。
【0100】
次に、患者情報管理装置12は、医療機関番号、医療機関側患者番号及びユーザ番号を互いに対応付けて、記憶部125に記憶させる(ステップS37)。患者情報管理装置12は、医療機関側患者番号と識別番号を1回の通信で受信するので、これらの情報を容易に対応付けることができる。
【0101】
医療機関端末10、情報処理装置11及び患者情報管理装置12による医療機関番号、医療機関側患者番号及びユーザ番号の対応付けは、以上の動作で完了させることができる。
【0102】
つまり、薬局に処方せんに関する情報を送信する際に必要となるユーザ番号と、コード3に含まれている情報を送信するだけで、医療機関番号及び医療機関側患者番号と、ユーザ番号との対応付けを、特に意識することなく簡便に、行うことができる。
【0103】
なお、医療機関番号および医療機関側患者番号は、情報処理装置11から受信した処方せん2に関する情報の中から、患者情報管理装置12によって読み出されるようにしてもよい。この場合、処方せん2に関する情報と共に受信したユーザ情報と、処方せん2に関する情報の中から読み出された医療機関番号および医療機関側患者番号とを対応付けて、患者情報管理テーブル20に登録することができる。これらの動作は、情報処理装置11からの、処方せん2に関する情報の薬局への送信指令を処理する一連のプロセスの中で行うことができる。
【0104】
必要に応じて、さらに、薬局側患者番号との対応付けが、図10に示される動作によって行われる。
【0105】
患者情報管理装置12は、処方せん2の内容とともに薬局番号を受信している場合、処方せん2の内容及びユーザ番号を、受信した薬局番号に対応する薬局に設置されている薬局端末13に送信する(ステップS38)。
【0106】
これに対応して、薬局端末13は、処方せん2の内容、及び、ユーザ番号を受信する(ステップS39)。
【0107】
薬局端末13には、予め、電子版お薬手帳のサービスを利用するためのソフトウェアがインストールされている。よって、処方せん2の内容と共にユーザ番号を受信すると、受信したユーザ番号に対応付けて記憶部135に記憶されている薬局側患者番号が読み出される(ステップS40)。
【0108】
続いて、患者が薬局に実際に来て、処方せん2が医療従事者に渡されると、スキャナ134によって、処方せん2に付されたコード3がスキャンされる(S41)。
【0109】
次に、薬局端末13は、実際に行われた調剤の内容の入力操作を受け付ける(ステップS42)。
【0110】
次に、薬局端末13は、少なくとも、薬局側患者番号及びユーザ番号を、患者情報管理装置12に送信する(ステップS43)。
【0111】
これに対応して、患者情報管理装置12は、薬局側患者情報及びユーザ番号を受信する(ステップS44)。
【0112】
次に、患者情報管理装置12は、記憶部125に記憶されている患者情報管理テーブル20から、薬局端末13から受信したユーザ番号を検索する(ステップS45)。
【0113】
次に、患者情報管理装置12は、薬局端末13から受信したユーザ番号と一致するユーザ番号に対応付けて、記憶部125に薬局側患者番号を記憶させる。つまり、患者情報管理装置12は、医療機関番号、医療機関側患者番号、ユーザ番号、薬局番号及び薬局側患者番号を互いに対応付けて、記憶部125に記憶させる(ステップS46)。なお、ユーザ番号に対応付けて薬局番号を記憶することは、情報処理装置11から処方せん2の内容とともに薬局番号を受信したときに(ステップS39で)行ってもよい。
【0114】
以上の動作によって、図6に一例が示される患者情報管理テーブル20を生成することができる。すなわち、処方せん2に付されたコード3を、情報処理装置11で撮影するという極めて簡便な方法で、医療機関番号、医療機関側患者番号及びユーザ番号を対応付けることができる。さらに、必要に応じて、薬局番号及び薬局側患者番号もそれらの情報に対応付けることができる。つまり、薬局が有する患者に関する情報を得るための基盤を、特別な手順を踏むことなく、極めて簡便に形成することができる。
【0115】
<第1の実施の形態の変形例>
以上、本発明の第1の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。以下、変形例について説明する。
【0116】
患者情報管理テーブル20は、患者情報管理装置12が備える記憶部125ではなく、患者情報管理装置12と所定のネットワークを介して接続された他の記憶部に記憶されていてもよい。
【0117】
患者情報管理装置12は、情報処理装置11から受信した2つの情報の内容が一致する場合に、患者情報管理テーブル20に、医療機関番号、医療機関側患者番号及びユーザ番号を互いに対応付けて格納してもよい。2つの情報とは、コード3に含まれる情報と、情報処理装置11の記憶部115に記憶されている情報である。例えば、コード3に含まれる患者の氏名、性別及び年齢と、記憶部115に予め記憶されている情報処理装置11のユーザの氏名、性別及び年齢とが、一致する場合に、患者情報管理テーブル20に、医療機関番号、医療機関側患者番号及びユーザ番号を互いに対応付けて格納してもよい。このようにすることで、他人の処方せん2に付されたコード3を誤って読み取った場合などに、本来対応しない医療機関側患者番号とユーザ番号とが互いに対応付けられて記憶されることを未然に防ぐことができる。
【0118】
例えば、1つの情報処理装置11にインストールされたアプリケーションに、ユーザとして兄弟2名が登録され、2名それぞれにユーザ番号が発行されている場合を考える。兄が患者であり、兄に対して処方せん2が発行されたにも関わらず、情報処理装置11の設定を誤って弟が使用している状態とした場合、コード3に含まれる兄の医療機関側患者番号と、情報処理装置11が有する記憶部115に記憶されている弟のユーザ番号とが1回の通信で患者情報管理装置12に送信されてしまう。このような場合であっても、兄と弟では生年月日が異なるので、患者情報管理装置12は、送信されてきた医療機関側患者番号とユーザ番号とを対応付けて記憶することを行わない。つまり、本来対応しない医療機関側患者番号とユーザ番号とが互いに対応付けられて記憶されることを未然に防ぐことができる。
【0119】
<第2の実施形態>
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態と同じ事項についての説明は適宜省略する。第2の実施形態は、事後的に医療機関番号が変更された場合に対応可能な実施形態である。以下、ある医療機関の名称が、「01クリニック」から「04クリニック」に変更になり、この変更に伴って、この医療機関を示す医療機関番号が「01」から「04」に変更になった場合を例に挙げて、本実施形態について説明する。
【0120】
第2の実施形態においては、図11に例示される患者情報管理テーブル20Aが作成され、用いられる。患者情報管理テーブル20Aは、第1の実施形態に係る患者情報管理テーブル20と比較して、最新医療機関番号情報26を含んでいる点で異なる。
【0121】
ユーザ番号が1000である患者が、「01クリニック」で診察を受け、処方せん2が発行された後、第1の実施形態で説明したプロセスを経ると、患者情報管理テーブル20Aには、1行目の情報が登録される。つまり、ユーザ番号1000と、医療機関番号01及び医療機関側患者番号A1001とが関連づけられて登録される。ここまでは、第1の実施形態と同じである。本実施形態においては、このとき、最新医療機関番号が同時に登録される。なお、この段階において、ユーザ番号1000である患者が診察を受けた医療機関は、「01」という医療機関番号を有する「01クリニック」である。よって、図11には示されていないが、この段階では、患者情報管理テーブル20Aの1行目の最新医療機関番号情報26には、「01」が登録される。
【0122】
その後、この医療機関の医療機関番号が「01」から「04」に変更になったという情報が、患者情報管理装置12に入力されると、患者情報管理テーブル20Aの1行目の最新医療機関番号情報26に登録されている情報が、「01」から「04」に更新される。図11には、更新された後の状態が示されている。
【0123】
このような更新がなされた後に、ユーザ番号が1000である患者が、「04クリニック」で診察を受けると、患者情報管理テーブル20Aの5行目に示されている情報が登録される。つまり、医療機関番号及び最新医療機関番号がともに04である行が登録される。その結果、04という最新医療機関番号を介して、01という医療機関番号と04という医療機関番号が紐付けられる。よって、図11に示される状態において、ユーザ番号は、変更前及び変更後の医療機関番号と対応付けられて、患者情報管理装置12が有する記憶部125に記憶されることとなる。
【0124】
したがって、患者は、例えば、利用している医療機関の経営者または名称が変更されたり、医療機関同士が合併したりして、医療機関の医療機関番号が変更されたとしても、変更を何ら意識することなく、これまで医療機関及び薬局で受けていたサービスを継続して受けることができる。また、医療機関及び薬局は、ある医療機関の医療機関番号が変更されても、患者情報管理テーブル20Aを利用することの便益を、継続して受けることができる。
【0125】
なお、患者情報管理テーブル20Aにおける医療機関番号の更新は、患者情報管理装置12の管理者によって直接行われてもよいし、医療機関端末10及び情報処理装置11から受信した情報に基づいて自動的に行われてもよい。例えば、医療機関番号の変更がなされた後に、医療機関端末10から、処方せん2に関する情報と共に、医療機関番号として04という情報と、医療機関側患者番号としてA1001という情報を受信したとする。また、情報処理装置11から、ユーザ番号1000とともに、医療機関番号情報として04という情報と、医療機関側患者番号としてA1001という情報を受信したとする。これらの情報を受信した患者情報管理装置12は、医療機関番号の変更前から登録されているユーザ番号1000と対応付けられている「01」及び「A1001」の組が、「04」及び「A1001」の組に置き換わった、つまり、医療機関番号が「01」である医療機関の医療機関番号が「04」に更新された、と判断することができる。このような判断の後、患者情報管理装置12は、自動的に、医療機関番号情報21に「01」という情報が登録されている全ての行において、最新医療機関番号情報26に登録されている情報を「01」から「04」に更新することができる。
【0126】
<第2の実施の形態の変形例>
事後的に薬局番号が変更された場合に対応可能とするために、患者情報管理テーブル20Aは、最新薬局番号が登録される最新薬局番号情報を含んでもよい。
【0127】
また、ある医療機関の医療機関番号が変わる度に、最新医療機関番号情報26に登録される情報が更新されてもよい。このようにすれば、ある医療機関番号(第1の医療機関番号)が、他の医療機関番号(第2の医療機関番号)に変更され、更にその後に、他の医療機関番号(第2の医療機関番号)から更に他の医療機関番号(第3の医療機関番号)に変更されたとしても、一連の医療機関番号を全て対応付けることができる。
【0128】
また、図6に示される患者情報管理テーブル20に加えて、医療機関番号の新旧対応テーブルを作成し、これら2つのテーブルを用いて、医療機関番号の変更に対応してもよい。新旧対応表には、変更後の医療機関番号(新医療機関番号)と、変更前の医療機関番号(旧医療機関番号)とが対応付けられて登録される。
【0129】
この場合、新医療機関番号及び医療機関側患者番号とともに処方せん2に関する情報を受信すると、患者情報管理装置12は、新医療機関番号を検索キーとして、新旧対応テーブルを参照して、旧医療機関番号を抽出する。抽出された旧医療機関番号及び医療機関側患者番号と対応付けて記憶されているユーザ番号が患者情報管理テーブル20に存在する場合は、この処方せん2が発行された患者は、患者情報管理テーブル20に登録済みであると判断することができる。
【0130】
なお、旧医療機関番号を検索キーとして、新旧対応テーブルを参照して、新医療機関番号を抽出してもよい。
【0131】
また、新旧対応テーブルには、ある医療機関番号(第2の医療機関番号)が、変更前の医療機関番号(第1の医療機関番号)及び変更後の医療機関番号(第3の医療機関番号)と対応付けられて登録されていてもよい。このようにすることで、医療機関番号の変更が2回以上行われても、変更履歴をたどることができるようになる。よって、あるユーザ番号が、最新の医療機関番号(第3の医療機関番号)と対応付けて登録されているか否かのみならず、過去の何れかの段階における医療機関番号(第1の医療機関番号または第2の医療機関番号)と対応付けて登録されているか否かを判断することができる。ひいては、そのユーザ番号を、過去の医療機関番号の変更の前後の全ての医療機関番号と対応付けて管理することができる。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明にかかる患者情報管理システム、患者情報管理方法、患者情報管理装置は、病院等の医療機関、及び、薬局等、患者の情報を管理する機関間での情報の共有、管理に好適である。
【符号の説明】
【0133】
1 患者情報管理システム
2 処方せん
3 コード
10 医療機関端末
11 情報処理装置
12 患者情報管理装置
13 薬局端末
101、111、131 入力部
102、112、122、132 通信部
103、113、133 表示部
105、115、125、135 記憶部
106、116、126、136 制御部
104 プリンタ
114 カメラ
134 スキャナ
20、20A 患者情報管理テーブル
21 医療機関番号情報
22 医療機関側患者番号情報
23 ユーザ番号情報
24 薬局番号情報
25 薬局側患者番号情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11