(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123174
(43)【公開日】2024-09-10
(54)【発明の名称】液体分注装置を較正する方法及び液体分注装置較正システム
(51)【国際特許分類】
G01F 22/00 20060101AFI20240903BHJP
【FI】
G01F22/00
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024100716
(22)【出願日】2024-06-21
(62)【分割の表示】P 2022008996の分割
【原出願日】2018-05-04
(31)【優先権主張番号】62/502,024
(32)【優先日】2017-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519394193
【氏名又は名称】ブライトン テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100138760
【弁理士】
【氏名又は名称】森 智香子
(72)【発明者】
【氏名】ディリンガム,レイモンド,ジャイルズ
(72)【発明者】
【氏名】ゲレン,マイケル,アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ギルピン,アンドリュー,デイヴィソン
(72)【発明者】
【氏名】バリー,ティモシー,ジェームズ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】分注される小滴の容積を測定するデバイス及び方法を提供する。
【解決手段】液体小滴の容積を決定する方法及び試験装置である。試験装置は、用いられる堆積条件下で液体との既知の接触角を提供する表面上で測定される滴を堆積し、それによって(i)前進接触角、(ii)後退接触角、及び(iii)中間接触角の1つを確立する。試験装置は滴を撮像する。試験装置は、滴の高さ又は直径を測定する。一実施形態では、試験装置は、滴の最大高さ、接触パッチの直径、曲率半径、又は断面積から選択された1つ以上のパラメータに対する接触角の関係から滴の容積を計算する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体分注装置から液体の流量に関係した速度を含む運動エネルギーを有する液体小滴がノズルバルブオリフィスを介して時間間隔で分注される該液体小滴の容積を決定する方法であって、
(a)前記液体分注装置から較正基準面上に測定される想定容積の液体を滴として堆積し、前記較正基準面が、用いられる堆積条件下の前記液滴との既知の接触角を提供し、
(b)(i)前進接触角、(ii)後退接触角、及び(iii)中間接触角からなる群から選択される前記液滴との既知の角度を選択し、
(c)前記液滴の寸法を測定し、前記測定される寸法が(i)滴の最大高さ、(ii)接触パッチの直径、(iii)曲率半径、及び(iv)断面積からなる群から選択されることにより、前記測定される寸法を選択し、
(d)前記測定される寸法に対する前記既知の接触角の関係から前記液滴の実容積を計算するステップからなり、
(i)前記前進接触角、(ii)前記後退接触角、及び(iii)前記中間接触角は、堆積した液滴に与えられる前記運動エネルギーが、前記液体分注装置により加えられる0.1(psi)から10(psi)までの圧力の可変量、および、前記ノズルバルブオリフィスを介して時間間隔で分注されることによって制御されることにより確立され、前記後退接触角を生成する運動エネルギーは、前記前進接触角を生成する運動エネルギーよりも大である、
方法。
【請求項2】
(e)前記液滴の前記想定容積と前記計算された実容積との差を決定するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(f)前記液体分注装置によって分注された液体の前記計算された実容積と前記想定容積との差を補正するステップをさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記液体分注装置によって分注された液体の前記計算された実容積と前記想定容積との前記差の補正は、試験装置によって分注された液体の前記実容積を調整して前記差を補正するステップを含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記液体分注装置によって分注された液体の前記実容積を調整して前記差を補正する前記ステップは、1つ以上のバルブが開放されている時間間隔、1つ以上のバルブの開放度及び/又は前記液体分注装置によって前記分注液に与えられた圧力を調整することによって行われる請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記液体分注装置は、液体分注コンポーネントと、寸法決定コンポーネントと、プロセッサコンポーネントとを備える、材料の表面上の液体の濡れ性を測定するためのデバイスであり、前記液体分注コンポーネントは、前記材料の表面上に一定量の液体を堆積させるように構成され、前記寸法決定コンポーネントは、前記表面上に堆積した液体の1つ以上の寸法を決定するように構成され、前記プロセッサコンポーネントは、前記寸法決定コンポーネントに基づいて、前記材料の前記表面上の液体の容積の1つ以上の幾何的特徴に関する情報を分析するように構成される請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記想定容積と、前記較正基準面の複数の領域から測定された前記液滴の計算された実容積との差の平均値を算出するステップをさらに含む請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記較正基準面は、一貫した所定の接触角を有するインク、ポリマー、金属又は他のコーティングで被覆された表面を含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記液体分注装置は、既知の液体の容積を堆積させるためのデバイスである請求項1に記載の方法。
【請求項10】
液体分注装置較正システムであって、液体分注コンポーネントと、寸法決定コンポーネントと、プロセッサコンポーネントとを備え、前記液体分注コンポーネントは、ノズルバルブオリフィスを介して時間間隔で基板の表面上に、液体の流量に関係した速度を含む運動エネルギーを有する一定量の液体小滴を堆積させるように構成され、前記プロセッサコンポーネントは、前記寸法決定コンポーネントに結合され、前記寸法決定コンポーネントが前記表面上に堆積した液体の1つ以上の寸法を決定するように構成され、前記プロセッサコンポーネントは、前記寸法決定コンポーネントに基づいて、前記基板の前記表面上の前記液体の容積の1つ以上の幾何的特徴に関する情報を分析するように構成され、
前記プロセッサコンポーネントにより、測定される寸法は、(i)滴の最大高さ、(ii)接触パッチの直径、(iii)曲率半径、及び(iv)断面積からなる群から選択されることにより、前記プロセッサコンポーネントが前記測定される寸法を選択し、
前記プロセッサコンポーネントは、前記測定される寸法に対する既知の接触角の関係から前記滴の前記容積を計算するように適合され、
前記プロセッサコンポーネントにより選択される(i)前進接触角、(ii)後退接触角、及び(iii)中間接触角は、堆積した液滴に与えられる前記運動エネルギーが、前記液体分注装置により加えられる0.1(psi)から10(psi)までの圧力の可変量、および、前記ノズルバルブオリフィスを介して時間間隔で分注されることによって制御されることにより確立され、前記後退接触角を生成する運動エネルギーは、前記前進接触角を生成する運動エネルギーよりも大である、液体分注装置較正システム。
【請求項11】
前記プロセッサコンポーネントは、分注された液体の前記容積と、予測容積レベルとの差を決定するように適合される請求項10に記載の液体分注装置較正システム。
【請求項12】
前記プロセッサコンポーネントは、前記液体分注装置に結合されたノズルバルブに調整信号を送信するように適合され、前記信号は、前記ノズルが前記予測容積レベルに近似する液体容積を分注するように1つ以上のパラメータを調整する請求項11に記載の液体分注装置較正システム。
【請求項13】
前記プロセッサコンポーネントは、1つ以上のノズルバルブが開放されている時間間隔1つ以上のノズルバルブの開放度、及び/又は前記液体分注装置によって前記分注液に与えられた前記圧力からなる群から選択される前記システムの1つ以上のパラメータを調整することにより、前記液体分注コンポーネントの動作を制御可能に調整するように適合される請求項10に記載の液体分注装置較正システム。
【請求項14】
前記プロセッサコンポーネントは、較正基準面上に堆積した滴の前記計算された容積に基づいて、1つ以上のノズルバルブが開放されている時間間隔、1つ以上のノズルバルブの開放度、及び/又は前記液体分注装置によって前記分注液に与えられる前記圧力を調整することにより、前記液体分注コンポーネントの各々について、前記滴の容積を自動較正するように適合される請求項10に記載の液体分注装置較正システム。
【請求項15】
前記プロセッサコンポーネントは、1つ以上の基板の複数領域にわたって測定された液体容積の平均値を計算するように適合される請求項10に記載の液体分注装置較正システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、内容があらゆる目的で本明細書に参照として全体が組み込まれる、2017年5月5日に「液体の微小容積を測定する方法及びデバイス」の名称で出願された米国特許仮出願第62/502,024号の優先権の利益を主張する。
【0002】
本明細書に開示される分野は、概して液体の小滴を分注するデバイス及び方法に関し、より具体的には分注される小滴容積の測定に関する。
【背景技術】
【0003】
液体容積は幾つかの方法で測定し得る。メスシリンダ又はピペットを使用して液体容積を直接測定してもよい。あるいは、液量の質量を密度で割って容積を算出してもよい。これらの方法は、少量の液体には不便である。目盛付き容器の精密さは測定プロセスの主観性によって制限される。小容積の質量測定を行うには敏感で高価な天秤が必要である。これらの方法は迅速かつ利便性のある使用には向いていない。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、本開示は液体小滴を分注する方法及びデバイス、より具体的には分注される小滴の容積を測定するデバイス及び方法を提供する。
【0005】
一実施形態では、本発明は、液体小滴の容積を決定する方法及び試験装置を提供する。一実施形態では、試験装置は、用いられる分注条件下で液体との既知の接触角を提供する表面上に測定される滴を堆積させることによって、(i)前進、(ii)後退、及び(iii)中間接触角のいずれかを確立する。
【0006】
別の実施形態では、試験装置は滴を撮像する。別の実施形態では、試験装置は滴の高さ又は直径、又はその両方を決定する。別の実施形態では、試験装置は、接触角と最大高さ、接触パッチの直径、曲率半径、及び滴の断面積からなる群から選択される1つ以上のパラメータとの関係から滴の容積を決定する。
【0007】
これらの、及び他の特徴は、以下に例示される実施形態においてより十分に説明される。一般に、一実施形態の特徴は、別の実施形態の特徴と組み合わせて使用されてもよく、実施形態は本発明の範囲を限定することを意図しないことを理解されたい。
【0008】
説明が進むと共に、より明らかになる本発明の様々な例示的実施形態は、添付図面と併せて以下の詳細な説明で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】1つ以上の実施形態による、表面と、表面との接触点での滴の接線との間の角度である滴と表面との間に形成される接触角の図である。
【
図2】1つ以上の実施形態による、表面上の滴の容積を取得する方法のフローチャートである。
【
図3】1つ以上の実施形態による、被験物上の液体の接触角を決定するための試験装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
滴は、表面に堆積して平衡状態が可能になると、幾つかの力のバランス、すなわち液体の表面張力、固体の表面エネルギー、液体にかかる重力、及び液体とそれが堆積する表面との間の引力の強さによって決定される対称的な形状を形成する。滴が小さい場合は、重力は、表面張力及び界面張力に対して小さく、無視することができる。この場合、滴が球状であると想定し、滴の形状は接触角θによって定義される。これは、表面と、滴と表面との交点での滴の接線との間の角度である。接触角は、液体-固体界面と液体-蒸気界面の交点によって形成される角度として定義される(小滴のプロファイルで接触点から液体-蒸気界面に沿って接線を適用することにより幾何学的に取得される)。固体、液体、及び蒸気が共存する界面は「三相接触線」と言われる。液体が表面上に広がると小さな接触角が観察され、液体が表面上でビーズ状になると大きな接触角が観察される。より具体的には、90°未満の接触角は、表面の濡れが良好であり、流体が表面の広い領域に広がることを示す。一方、接触角が90°を超えると、一般に表面の濡れが好ましくないため、流体と表面との接触が最小限になり、コンパクトな小滴を形成する。
【0011】
図1は、表面上の小滴を示す。破線は、球状の滴と同じ曲率半径Rの円を表す。角度θは接触角、dは接触パッチの直径、hは表面からの滴の最大高さ、Aは滴の最大断面積である。
【0012】
接触角と液体の表面張力及び基板表面エネルギーとの関係は、ヤングの式によって定義される。
【0013】
【数1】
(1)
ただし、γsは基板表面エネルギー
γslは基板―液体の界面エネルギー
γsは液体の表面張力である。
【0014】
基板の表面エネルギー、液体の表面張力、及び基板と液体の界面エネルギーに依存することに加えて、接触角は液体が堆積される方法に依存する。液体がそれまで濡れていない表面をゆっくりと進むと、前進接触角が確立される。これは、所与の液体と基板の対の間に存在し得る最大の接触角である。濡れた後に液体が表面からゆっくりと離れると、後退接触角を確立する。これは、特定の液体と基板の対の間に存在し得る最小の接触角である。前進角と後退角の中間にある他の接触角も可能であり、液体が堆積される正確な方法に依存する。これは、液体と基板の表面エネルギーが一貫しており、液体を表面に接触させる方法が一貫していれば、接触角が一定になることを意味する。
【0015】
接触角と球状の滴の容積の関係は、基本的な三角法から得られる次の式で得られる。滴の底部直径と接触角とが既知である場合は:
【0016】
【0017】
滴の高さと接触角とが既知である場合は:
【0018】
【0019】
これらの式は、表面上の滴の接触角が既知であり、高さ又は底部直径のいずれかを同時に測定できる場合、滴容積を正確に計算できることを示している。式2及び3は好適であるが、滴の形状、接触角及び容積の他の関係を用いて容積を決定することも可能である。一例は、曲率半径と接触角からの滴容積の決定であろう。
【0020】
【0021】
又は、断面積と接触角からの計算:
【0022】
【0023】
このアプローチは、小さなサイズのために球状である滴に限定されない。滴が大きすぎて重力が歪みを引き起こし、滴が球状でなくなる場合、式(2)~(5)などの分析式ではなく、他の式を利用しても接触角、滴の寸法及び液体密度から滴容積の合理的に正確な推定値が得られる。
【0024】
図2は、小滴の容積を正確に測定する方法200を示す。1つ以上の実施形態において、方法200は、表面を液体で試験して、表面の特徴である接触角と、液体を表面と接触させる方法とを決定することを含む(ブロック202)。この接触角は、前進角、後退角、又は中間角であり得る。方法200は、用いられる堆積条件下で液体との既知の接触角を提供する表面上に測定される滴を堆積させ、それによって、前進、後退、又は中間接触角を確立するステップを含む(ブロック204)。方法200は、(i)滴の最大高さ、(ii)接触パッチの直径、(iii)滴の断面積、及び(iv)曲率半径から選択される1つを測定するステップを含む(ブロック206)。一例として、方法200は、例えば側面又は他の何らかの好適な方法から取得した画像から、滴の高さ又は曲率半径を測定するステップを含むことができる(ブロック208)。同様に、方法200は、上方から滴の画像を取得して、接触パッチの平均直径を決定するステップを含むことができる(ブロック210)。滴が表面と90°超の接触角を確立し、接触パッチが上下視野で不明瞭になっている場合、曲率半径は最大滴直径から決定できる。方法200は、適切な式を使用して、容積と接触角、及び高さ、接触パッチ直径、滴の外径、曲率半径、又は断面積との関係から滴の容積を計算するステップを含む(ブロック214)。例えば、期待接触角及び式2、3、4又は5のいずれかから計算することができる。
【0025】
1つ以上の実施形態では、本発明は、試験装置から分注される液体小滴の容積を決定する方法を提供し、この方法は、(a)試験装置から滴として較正基準面上に測定される想定容積の液体を堆積し、較正基準面が、用いられる堆積条件下の滴との既知の接触角を提供するステップと、(b)(i)前進接触角、(ii)後退接触角、及び(iii)中間接触角からなる群から選択される滴との既知の接触角を確立するステップと、(c)滴の寸法を測定し、測定される寸法が(i)滴の最大高さ、(ii)接触パッチの直径、(iii)曲率半径、及び(iv)断面積からなる群から選択されるステップと、(d)測定される寸法に対する既知の接触角の関係から滴の実容積を計算するステップと、を含む。1つ以上の実施形態において、方法は、(e)想定容積と滴の計算された容積との差を決定するステップをさらに含む。
【0026】
1つ以上の実施形態では、方法は、試験装置によって分注される液体の容積と想定される容積との差を補正するステップ(f)をさらに含む。1つ以上の実施形態では、試験装置によって分注される液体の容積と想定される容積との間の差を補正するステップは、試験装置から試験面上に得られる試験結果の誤差要因を計算することにより可能である。1つ以上の実施形態では、試験装置によって分注される液体の容積と想定容積との間の差の補正は、差を補正するために試験装置によって分注される液体容積を調整することにより可能である。
【0027】
1つ以上の実施形態では、滴容積は、それぞれのバルブが開放される時間間隔、それぞれのバルブの開度、及び/又は液体加圧システムによって加えられる圧力(例えば、圧縮ガスシステムにより加えられる加圧ガスの規定圧力)を調整することによって調整される。
【0028】
1つ以上の実施形態では、試験装置は、プロセッサ353及びノズルバルブオリフィス334を備えており、これらは、較正基準面上に堆積し計算された滴容積に応じて、それぞれのバルブが開放されている時間間隔、それぞれのバルブの開度、及び/又は液体加圧システムにより加えられる圧力(例えば、圧縮ガスシステムによって加えられる加圧ガスの規定圧力)を調整することにより、液体ディスペンサ316が較正されて、液体318を想定容積へ較正された滴容積として分注するように適合される。
【0029】
1つ以上の実施形態では、容積決定デバイスとして使用するために、接触角が既知で一貫している較正基準面が準備される。1つ以上の実施形態では、較正基準面は、一貫した所定の接触角を有するインク、ポリマー又は他のコーティングで被覆された材料を含む。1つ以上の実施形態では、較正基準面は、ポリマーで被覆された基板を含む。
【0030】
1つ以上の実施形態では、試験装置は、既知の液体の容積を堆積させるためのデバイスである。1つ以上の実施形態では、試験装置は、材料の表面上の液体の濡れ性を測定するデ
バイスであって、液体分注コンポーネントと、寸法決定コンポーネントと、データ生成コンポーネントとを備え、液体分注コンポーネントは、材料の表面上に一定量の液体を堆積させるように構成され、寸法決定コンポーネントは、表面上に堆積した液体の1つ以上の寸法を決定するように構成され、データ生成コンポーネントは、寸法決定コンポーネントに基づいて、材料の表面上の液体の容積の1つ以上の幾何的特徴に関する情報を分析するように構成されるデバイスである。
【0031】
材料の表面エネルギーは、少量の汚染の存在又は表面の組成及び微細構造のわずかな相違のために、サンプルごとに、又はポイントごとに多少変化することがある。一部の材料及び表面処理方法は、他の材料や方法よりも一貫した表面エネルギーを提供する。較正の基準として、一貫し、正確に既知の接触角を有する表面を持つ標準材料を使用すると、手法の精度が向上する。一実施形態では、較正基準は、ポリプロピレン又はポリエステルなどのポリマーフィルムを含む。一実施形態では、ポリマーフィルムは安価で使い捨て可能である。一実施形態では、ポリマーフィルムは、ロール形態又はシート形態で入手され、これは、測定される表面を接触、又は露出による汚染から保護するのに役立つ。較正基準ポリマーフィルムは火炎、コロナ、又はプラズマプロセスなどの技術で酸化処理、又はその他の処理により、好適な値を有する一貫した接触角を付与する表面を生成することができる。入念に準備すると、ポリマーフィルムは通常、数度の範囲内で再現可能な接触角を示す。一実施形態では、事前準備されたポリマーシートは、5,4,3,2,1,0.75又は0.5度以下の範囲内で反復可能な接触角を示す。好適であることが実証されているその他の表面には、ポリマーフィルム及びシート、コロナ処理されたポリマーフィルム及びシート、紙、繊維又はカードストック(被覆又は露出)、印刷紙又はカードストック、フィルム若しくは塗料などのコーティングで覆われた表面、蒸着コーティング、又は自己組織化された単層又は多層の表面が含まれる。1つ以上の実施形態では、既知の表面特性を有するコーティングは基板上で使用されてもよく、基板は紙、厚紙、段ボール厚紙、プラスチック、セロハン、織物、木材、金属、ガラス、雲母板、ニトロセルロース、又はコンクリート、好ましくは紙、厚紙、段ボール厚紙、又はプラスチックを含む群から選択される。1つ以上の実施形態では、コーティングは、ポリマー又は金属からなる群から選択される1つ以上の組成物であってもよい。
【0032】
1つ以上の実施形態では、コーティングは、スプレーコーティング、インクジェット印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、プロット、接触スタンプ、輪転グラビア印刷、スピンコーティング、リバースグラビアコーティング、スロットコーティング、カーテンコーティング、スライドベッドコーティング、フィルムプレス、計量フィルムプレス、ブレードコーティング、ブラシコーティング、及び/又は鉛筆、好ましくはインクジェット印刷又はスプレーコーティングにより施される。
【0033】
一貫した接触角を示す他の好適な表面は、使用の直前にユーザーによって、例えば溶剤、洗剤又は研磨、又はその幾つかの組み合わせで表面を洗浄することによって、又は保護層を剥がすか、使用直前に複合材料から剥離層を除去することによって準備することができる。重要な特性は、そのような表面が既知の再現可能な接触角を有することである。既知の再現可能な接触角を有する任意の表面を使用できるが、幾つかの理由で、より高い接触角を有する表面が有利である。式1に示すように、接触角が大きいほど、表面エネルギーは低くなる。表面エネルギーがより低い表面は、より安定しており、汚染や環境との反応に対して耐性があるため、容積測定デバイスとしての使用にはより実用的である。
【0034】
一実施形態では、本発明の技術革新は、印刷プロセスによって準備されたカードストックを使用して、約1°の標準偏差で約75°の水接触角を有する表面を提供する特に好適なアプローチを実証した。そのようなカードのバッチが印刷されると、その特定のバッチの表面によって得られる平均接触角は、基準試験を較正することにより好適に確立される。各バッチの試験では、接触角に影響を与える可能性のある材料又はプロセスのロット間変動を考慮する。
【0035】
再現可能な接触角を有する表面は、インクジェットプリンタ、又は表面エネルギー測定デバイスなどのデバイスによって堆積された液体の容積を測定するのに特に好適である。1つの用途では、表面の濡れ性を測定する目的で、小さなバルブから堆積された液体の容積を確認する。この機器は、滴を堆積させ、上から滴を撮像して接触パッチの平均直径又は面積を決定し、この情報を液体の想定容積とともに用いて接触角を計算する。ただし、堆積された液体の容積が、例えば機構の特性のドリフトなどにより、経時とともに変化する場合、計算された接触角に誤差が生じる。堆積した滴の量を定期的に確認及び検証できることは有益である。これは、剥離層の除去、又は他の何らかの洗浄方法によって直近に露出された複合較正基準材料の表面、又はインクで印刷して一貫した接触角の表面を生成する一枚のカードストックなど、接触角が既知である表面に滴を堆積させ、上記の式2を用いて正確な容積を計算することにより好適に行われる。このようにして、必要に応じて、堆積量容積の正確さと精度を確認及び調整できる。
【0036】
基準表面の濡れ性の基準測定値は、当業者には周知の任意の手段によって測定することができる。濡れ性は、接触角ゴニオメトリによって決定することができる。一実施形態では、濡れ性は、滴法(又は静滴法)を用いて決定される。別の実施形態では、濡れ性は、任意にウィルヘルミー天秤を使用して測定される前進及び/又は後退接触角測定を使用して決定される。一実施形態では、較正基準材料の前進及び後退接触角は、以下の2つの機器及び手順を用いて確認することができる。
【0037】
(a)テンシオメータによる試験方法。本明細書で用いられるテンシオメータによる測定法は、表面の接触角及び濡れ性を測定するために使用される方法の集合であり、固体が試験液と接触する際の相互作用の力の重量測定を含む(ウィルヘルミー法)。これらの相互作用の力は動的な測定値であり、浸漬された物品全体(濡れ長さ)の相互作用を反映している。物品が試験液内に、また試験液外に進む際に力を測定する。これらの測定値から、前進接触角と後退接触角の両方をそれぞれ間接的に計算することができる(ウィルヘルミーの式)。一実施形態では、ウィルヘルミー法は、動的接触角アナライザー(DCA)を利用してもよい。
【0038】
(b)ゴニオメータによる試験方法。本明細書で用いられるゴニオメータによる測定法は、固体基板上の試験液の滴の光学的観察を伴う。接触角を直接測定するために、各試験液の接線角度が測定される。滴の堆積方法に応じて、ゴニオメータで前進、後退、又は中間接触角を確立できる。これらの角度は、物品の大部分ではなく、滴の周囲(接触線)の下の領域から加えられる平均力のみを反映する。これらの角度計算を用いて、表面エネルギー及び対応する成分を決定できる。一実施形態では、ゴニオメータによる測定法は、光学的に撮像される逆光の滴を含み、固液接触点で滴によって定められる角度は、マシンビジョンアルゴリズムを用いて決定される。
【0039】
1つ以上の実施形態では、本発明は、堆積した滴に与えられる運動エネルギーを変えることにより、前進、後退、又は中間接触角を確立することができる。単位容積あたり大量の運動エネルギーで堆積した滴は、後退角に近い接触角を確立する。単位容積あたりの運動エネルギーがほとんど又はまったくない状態で堆積した滴は、前進角に近い接触角を確立する。蓄積した運動エネルギーの量は、前進接触角と後退接触角の間のどこでも調整できる。したがって、液体堆積デバイスのパラメータは、単位容積あたり中程度の運動エネルギーで滴が堆積されるように調整でき、後退接触角と前進接触角の中間点又はその付近の接触角を確立する。そのようなアプローチにより、より広い範囲の表面特性を有する材料での堆積が有用になる。
【0040】
1つ以上の実施形態では、試験滴は、較正基準表面の特徴的な接触角を決定するために使用された運動エネルギーの実質的に同じ堆積条件の下で堆積される必要がある。
【0041】
ゴニオメータとテンシオメータの両方の試験方法は、小さな面積で静的測定であるゴニオメータで同様の結果を達成する。別の実施形態では、ダイン溶液又はこれらの溶液を含むペンを使用することができる。ダイン溶液は、表面エネルギーが十分に高い場合は表面を濡らすか、表面エネルギーが所定の閾値を下回る場合はビーズを形成する様々な表面張力の化学的ブレンドである。ダイン溶液を使用して決定される値は、表面の濡れ張力と呼ばれる。場合によっては、濡れ張力を用いて表面の特性接触角を計算することができる。
【0042】
1つ以上の実施形態では、本発明は、デバイスによって堆積される液体の容積を正確に調整するための自動又は半自動的方法を提供する。既知の接触角の表面に置かれた小滴の直径、高さ、曲率半径、又は断面積が、液体の想定容積に基づく期待値と異なる場合、堆積される液体量を滴の所望の直径又は高さが期待値と一致するまで増減することができる。
【0043】
運動エネルギーの好適なレベルは、総容積が0.1~5μlの範囲の滴の場合、約0.1~10μJの範囲である。一実施形態では、これらは約0.5~2μJの範囲の総運動エネルギーを滴に付与する。
【0044】
液体処理システムの容積流量は、特に流量が低く、又は断続的である場合、測定及び制御が困難になり得る重要なパラメータである。低流量又は断続的な流量の制御が重要な例には、インクジェット、すなわち「ドロップオンデマンド」技術、印刷システム、自動複合化学デバイス、自動細胞培養システム、及び滴定装置が含まれる。本発明の方法及びデバイスは、医療及びバイオテクノロジー産業、並びに他の産業で使用することができる。デバイスによって堆積される液体容積を正確に調整するための使用例には、血球分離装置、バイオアッセイ、化学合成、遺伝子解析、薬物スクリーニング、抗原抗体反応の配列、及びコンビナトリアル化学、薬物検査、医学及び生物学的診断、コンビナトリアル化学が含まれる。この方法とデバイスはエレクトロクロマトグラフィー、表面マイクロマシニング、レーザーアブレーション、インクジェットプリンタ、及び機械的マイクロミリングにも使用される。これらのシステムでは、混入空気の量の変化や温度の変化などの要因により、液体の流量と分注量が変化することがある。液体の熱伝導率又は流量によって変化するその他の特性に依存する一般的な質量流量計は、これらの状況には有用ではない。このような状況では、必要に応じて、既知の接触角の表面に小滴を分注し、接触パッチの直径又は高さなどの滴の幾何学的特性を測定することにより、流量又は分注量を断続的に確認し、かつ調整することができる。
【0045】
一例として、本明細書に参照として全体が組み込まれる米国特許第8,272,254号は、表面上の液体の接触角を測定するためのデバイスを記載している。このデバイスは、加圧されたリザーバから液体が供給されるバルブを使用して、表面に滴を堆積させる。次いで、このデバイスは滴の画像を取得し、画像から接触パッチの直径を決定する。次いで、液体の質量を直接測定して事前に決定された滴の面積又は直径及び液体の想定容積から接触角が計算される。実際の液体容積が想定容積と異なる場合、計算された接触角に誤差が生じる。これは、補充操作中に意図せずに気泡がシステムに導入された場合、又は溶解した空気が溶液から漏出すると発生する可能性がある。
【0046】
正確さは、例えば、一貫した既知の接触角を与えるインクで印刷された一枚のカードストックなど、所与の堆積条件で既知の接触角が得られる表面上に滴を堆積させることによって確認することができる。接触角は、元の滴質量を想定して、機器によって計算される。精度を向上させるため、試験面上で複数の測定値の平均をとることができる。計算された接触角が、印刷されたカードストック表面で期待される接触角と比較して誤差がある場合、機器は、接触角の計算に使用される滴容積の値を変更するか、滴堆積パラメータを調整して堆積滴の容積を調整することができる。このプロセスは、要望に応じて繰り返すことで、堆積量容積の精度のあらゆるレベルの信頼性を得ることができる。
【0047】
図3は、試験物品306の表面304上の滴302の既知の接触角に基づいて容積を迅速に決定するための試験装置300を示す。特に、試験装置300は、高さ、断面積、曲率半径、直径など滴302の1つ以上の幾何学的特徴を検出する。任意の容積の滴の寸法を測定できるが、寸法が0.1ミリメートルから10ミリメートル程度の滴を使用することが有利であることが判明した。一実施形態では、滴の寸法は0.5ミリメートルから5ミリメートル程度である。一実施形態では、試験装置300は、携帯型ハウジング308内に組み込まれて試験デバイス310を形成する。一実施形態では、単一の携帯型装置は、様々な向きの様々な表面及び構造の製造環境での使用に極めて好適であり得る。
【0048】
試験デバイス310は、表面304への既知の見晴らしの良いポイントに光学望遠鏡を備えたビデオカメラなどの撮像センサ312を配置している。試験デバイス310は、表面304への物理的基準又は検出基準を提供する位置決定コンポーネント314を含むことができる。液体ディスペンサ316は、表面304に向かう軌道に沿って小滴320として液体318を分注し、制御可能な量のエネルギーを形成して滴302に与える。例えば、液体318は、選択された容積と選択された速度で小滴320を生成するサイズの液体ディスペンサ316のオリフィス326を通して蠕動ポンプ324によって推進される液体リザーバ322内に収容することができる。
【0049】
1つ以上の実施形態では、液体は、所望のエネルギーでバルブから液体を推進することができる加圧リザーバから供給される。
【0050】
1つ以上の実施形態では、試験装置300は、オリフィスを通る液体の流れを選択的に遮断及び可能にするように適合されたバルブを有するノズルバルブオリフィス334を備えている。1つ以上の実施形態では、プロセッサ353及びノズルバルブオリフィス334は、液体ディスペンサ316が液体318を小滴として試験面に約50,45,40,35,30,25,20,15,又は10μl/秒未満の流量で分注するように適合されている。別の実施形態では、プロセッサ353及びノズルバルブオリフィス334は、液体ディスペンサ316が、液体318を小滴として試験面に約0.1,0.5,1,1.5,2,2.5,3,4,又は5μl/秒を超える流量で分注するように適合されている。
【0051】
1つ以上の実施形態では、流量は、例えば、バルブの開度及び/又は液体加圧システムによって加えられる圧力(例えば、圧縮ガスシステムによって加えられる加圧ガスの規定圧力)を制御及び調整することにより、プロセッサ353により制御され得る。1つ以上の実施形態では、プロセッサ353は、各試験装置について、それぞれのバルブが開放される時間間隔、それぞれのバルブの開度、及び/又は液体加圧システムによって加えられる圧力(例えば、圧縮ガスシステムによって加えられる加圧ガスの規定圧力)を調整することにより、滴容積を調整するように適合される。1つ以上の実施形態では、プロセッサ353は、液体ディスペンサのそれぞれについて較正基準面に堆積し計算された滴容積に応じて、それぞれのバルブが開放される時間間隔、それぞれのバルブの開度、及び/又は液体加圧システムによって加えられる圧力(例えば、圧縮ガスシステムによって加えられる加圧ガスの規定圧力)を調整することにより、滴容積を自動較正するように適合される。
【0052】
液体ディスペンサ316は、滴320のエネルギーを制御することができる。高い運動エネルギーは後退接触角を生成し、一方、低い運動エネルギーは前進接触角を生成する。滴302に十分なエネルギーを与え、所望の接触角を達成するため、軌道に沿った空気抗力及び重力効果を補償するために、最小量の運動エネルギーが必要である。例えば、運動エネルギーは、ノズルバルブオリフィス334のサイズによって制御することができる。別の例では、運動エネルギーは、蠕動ポンプ324によって加えられる圧力の可変量によって制御することができる。0.1ポンド/平方インチ(psi)の範囲の圧力から10psi以上の平方インチ(psi)が適切であることが示されている。例示的な一実施形態では、ノズルは直径0.003~0.007インチのサファイアオリフィスを有する。このノズルは、0.015インチのステンレススチールオリフィスを備えたステンレスノズルと同じ圧力でより高い速度を達成する。
【0053】
1つ以上の実施形態では、試験装置は、1つ、2つ又はそれ以上の液体ディスペンサをも含み、これらはそれぞれ液体リザーバ配置、より具体的には液体リザーバ配置の少なくとも1つの液体リザーバと流体連通する。これらの液体ディスペンサのそれぞれは、液体リザーバ配置に保存された滴を試験面の表面に塗布するように適合及び配置されている。2つ以上の液体ディスペンサが備えられる場合、それらは、例えば表面特性の変動を決定するために、表面上の異なる場所に同じ液体を塗布するように液体リザーバ配置に結合されてもよく、又は異なる液体を保存する液体リザーバ配置の異なる液体リザーバに結合されてもよい。
【0054】
本明細書に記載のデバイス及び方法で使用できる例示的な液体は、水、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ホルムアミドとグリコールモノエチルエーテルの混合物、水とエタノールの混合物、及び望ましい濡れ性を有する他の液体である。一実施形態では、試験目的のために脱イオン限外濾過水が使用される。
【0055】
1つ以上の例示的な実施形態では、周囲温度、サンプル温度、及び試験溶液温度、並びに相対湿度が制御される。一実施形態では、試験は、15℃(59°F)及び35℃(95°F)の最大範囲、及び35%~70%の相対湿度内で実施される。別の実施形態では、試験は、20℃~25℃及び40%~60%RHの最大範囲内で実施される。
【0056】
撮像センサ312は、滴302の容積、高さ、底部直径、及び曲率のうちの1つ又は複数のパラメータを測定するように配置することができる。データ生成器340は、滴302の画像345a、345bを分析して滴302の高さ、底部直径、及び曲率からなる群から選択された1つ又は複数のパラメータを測定する。分析に基づいて、データ生成器340は、既知の接触角及び測定された寸法に基づいて、滴302の容積を計算する。一実施形態では、試験デバイス310は、レーザーなどのイルミネータ346をさらに含む。データ生成器340は、イルミネータ346で滴302を照明することにより、画像センサ312を介して滴302の幾何学的特性を検出する。
【0057】
試験デバイス314は、発光ダイオード(LED)、レーザー、蛍光灯、白熱灯、ストロボライト、カメラフラッシュ、又は材料の表面上の液体の容積を照明するための他の適切な光源などの追加の照明源も含み得る。照明源は、ハウジング320に組み込まれてもよいし、ハウジング320から分離されてもよい。
【0058】
試験デバイス314は、単一の作動デバイスによって作動させることができ、又は所望の場合には、視覚ディスプレイ351及び聴覚信号装置352を含む追加の作動装置又はユーザーインターフェース350を追加してデバイスを制御し、又はサンプル情報又は試験パラメータなどのデータを入力することができる。ユーザーインターフェース350は、タッチスクリーン、キーパッド、トグル、ボタン、ローラーボール、ホイール、ダイヤル、マウスなどを含むことができよう。試験デバイス314はプロセッサ353を含むことができ、任意に完全にハウジング320内に収納することができる。試験デバイス314は、試験デバイス314によって収集及び生成されたデータを記憶装置356が保存できるメモリ354を利用することができよう。データ生成器340は、記憶装置356に保存され、プロセッサ353によって実行される表面物質検出ユーティリティ358を含むことができる。保存されたデータは、リモートデバイスへのワイヤレス送信、サムドライブ又はメモリチップなどのリムーバブルメディア上の記憶(図示せず)への送信、電気ケーブル又はドッキングステーション(図示せず)による送信など、既知の方法でデバイスから検索することができる。保存されたデータには、品質管理や製造基準や規制への準拠など、さまざまな用途があろう。
【0059】
プロセッサ353は、液体加圧システムの動作、特に液体が、又は液体に加圧される圧力を制御し、各々の滴投与デバイスごとに、それぞれのノズルバルブオリフィス334の開閉を好ましくは自動的に制御して、有利には規定の滴容積を有するそれぞれの滴をそれぞれの液体ラインの出口から加圧された液体噴流の表面に塗布するように適合されている。圧縮ガスシステムからの加圧ガスなどの液体加圧システムによって加えられる圧力によって駆動されるこの噴流は、問題の液体の特性及び流動パラメータに応じて連続流又は複数の小滴として供給されてもよい。
【0060】
プロセッサ353は、有利には、装置の残りのコンポーネントの一部又は全部とともに共通のハウジングに統合され得るマイクロコントローラなどの電子コンポーネントであってよい。ただし、例えば、装置の残りの部分に接続され、装置の他のコンポーネントと共通のハウジングには統合されない、適切にプログラムされたコンピューター又はPCなどの別個のコンピューティングデバイスとしてプロセッサ353を備えることも可能である。
【0061】
試験デバイス314は、流体サンプル及び試薬の微量の容積測定を可能にして、より速い処理速度を備えた携帯式生体計測及び診断ツールを可能にする。試験デバイス314は、医療、製薬、化学、生物学的診断、環境試験、食品試験、水質試験、及び他の分野で使用されている。試験デバイス314は、一連の抗原抗体反応、薬物試験、医学的及び生物学的診断、及びコンビナトリアル化学に使用することができる。システム30の他の用途には、インクジェットプリンタ、血球分離装置、バイオアッセイ、化学合成、遺伝子解析、薬物スクリーニング、エレクトロクロマトグラフィー、表面マイクロマシニング、レーザーアブレーション、及び機械的マイクロミリングが含まれる。試験デバイス314は、製造及び統合が容易である。試験デバイス314は、多くの分野、特に医療及びバイオテクノロジー産業で使用されている。
【0062】
デバイスは、ハウジング、液体分注コンポーネント、位置決定コンポーネント、及びデータ生成コンポーネントを含む。本明細書では液体ディスペンサとも呼ばれる液体分注コンポーネントは、基板材料の表面に一定量の液体を堆積させるように構成されている。位置決定コンポーネントは、表面上の液体の容積に対するデバイスの位置に関する情報を取得するように構成されている。本明細書ではデータ生成器とも呼ばれるデータ生成コンポーネントは、材料の表面上の液体容積の形状に関する情報を取得するように構成されている。
【0063】
本発明の一態様では、液体ディスペンサは、測定される滴を構築するために、材料の表面への液体の1つ容積、又は複数のより小さい容積の弾道堆積を伴う。この実施形態は、液体リザーバと流体連通するノズルを含む。液体は、ノズルを出る前に加圧され、リザーバ、ノズル、又は蠕動ポンプなどの中間段階で加圧されてもよい。リザーバの加圧は、ピストンによって、又はポンプやガス充填などの他の加圧技術によって達成できる。ノズルは、開放状態では加圧された液体がノズルを通して材料の表面に分注され、閉鎖状態では液体が分注されないように、開放状態と閉鎖状態の間で電気的に作動され得る。この実施形態は、液体容積を構築するために、材料の表面の同じ場所に向けられた液体の複数のより小さい容積のパルスを分注する。滴に加えられるエネルギーの量は、確立される最終的な接触角に影響を及ぼす。例示的な小滴速度は、0.4~5.0メートル/秒の範囲である。一実施形態では、小滴速度は0.8~3.0メートル/秒の範囲である。これらは、滴に約0.1~10μJの範囲の総運動エネルギーを与える。一実施形態では、これらは約0.5~2μJの範囲の総運動エネルギーを滴に与える。
【0064】
液体のより小さな容積は、約10nl、約50nl、約100nl、約200nl、約300nl、又は約400nl程度であってよい。より小さい容積は、液体の最終容積に達するようにパルスで提供され、一実施形態では、約0.5μl~約10μlの範囲であってよい。別の実施形態では、液体の最終容積は、約1μl~約5μlの範囲であってよい。別の実施形態では、液体の最終容積は約2μlである。液体の容積は、約0.01秒~約1.0秒の範囲の比較的短い時間間隔にわたって堆積されてもよい。一実施形態では、液体の容積は約0.5秒以下で堆積される。本明細書で説明する装置及び方法では、他の液体のより小さな容積及び最終容積の液体、並び堆積時間も使用することができる。
【0065】
別の実施形態では、液体分注コンポーネントは、ハウジングの遠位に開口部を有する細長い中空突起、及び中空突起と流体連通する流体リザーバである。考えられる細長い中空突起の例には、注射針とピペットチップが含まれる。液体容積は、流体リザーバから中空突起を通過し、材料の表面に堆積する遠位開口部で中空突起を出る。細長い中空の突起は、運動エネルギーを与える構成要素として任意に倍増してもよい。例えば、中空突出部は、振動の形で運動エネルギーを中空突出部に与えることができる装置に結合することができ、次に、運動エネルギーが液体容積に与えられる。適切な運動エネルギー付与装置の例は、電磁変換器、圧電変換器、偏心質量を備えた電動モータ、音響装置、及びこれらのデバイスの組み合わせである。
【0066】
位置決定コンポーネントは、材料の表面からのデータ生成コンポーネントの距離又は材料の表面に対するデータ生成コンポーネントの角度の少なくとも一方を測定することにより、表面上の液体の容積に対するデバイスの位置を決定する。位置決定コンポーネントは、データ収集コンポーネントと表面上の液体の容積との間の固定距離を維持する固定長さを有する機械的プローブのように簡素であってよい。この実施形態では、機械的プローブは、データ生成コンポーネントの相対位置を維持するように材料の表面に接触する。位置決定コンポーネントはまた、点光源、レーザー(図示せず)、及び音響測定デバイス(図示せず)を含んでもよい。
【0067】
位置決定コンポーネントとしての点光源、レーザー、又は音響測定デバイスの使用は、デバイスが材料の表面に実際に接触することなく接触角を正確に測定又は計算することを可能にし得る。点光源は、材料の表面上の領域を照明する。照明された領域の形状は、円錐断面になる。照明領域の形状を液体容積と共に分析して、表面からの距離と、表面の平面とデータ収集コンポーネント間の角度(α)を計算できる。点光源、レーザー、及び音響測定デバイスは、約0.25インチ~約2インチの範囲内、又は約0.5インチ~約1.5インチなどの距離の範囲内のどこからでも表面に向けるだけでよいデバイスの構築を可能にする。装置が動作し得る距離の範囲は、例えば、液体分注コンポーネント及び/又はデータ生成コンポーネントの有効な動作範囲を含む様々な要因によって決定される。
【0068】
データ生成コンポーネントは、材料の表面上の液体容積の幾何学的形状に関する情報を取得することができるデバイスである。幾何学的情報には、材料の表面上の液体容積の形状、先端の接触角、平均接触角、直径(d)、平均直径、及び/又は曲率が含まれる。例示的なデータ生成コンポーネントには、カメラ、レーザー、スキャナ、及び/又は音響装置が含まれる。図に示される例示的なデータ生成コンポーネントはカメラである。幾つかの実施形態では、データ生成コンポーネントと位置決定コンポーネントを同じ要素に含めることができる。例えば、レーザー又は音響装置は、データ生成コンポーネントと位置決定コンポーネントの両方として機能することができる。
【0069】
デバイスはまた、発光ダイオード、蛍光、白熱、ストロボ、カメラフラッシュ、又は材料の表面上の液体容積を照らすための他の適切な光源などの追加の照明源を含んでもよい。照明源は、ハウジングに組み込まれていてもよく、又はハウジング(図示せず)から分離されていてもよい。
【0070】
デバイスは、単一の作動装置によって作動させることができ、又は、所望の場合には、装置を制御し、又はサンプル情報又は試験パラメータなどのデータを入力するために、追加の作動デバイス又はユーザーインターフェースを追加することができる。ユーザーインーフェースは、タッチスクリーン、キーパッド、トグル、ボタン、ローラーボール、ホイール、ダイヤル、マウスなどを含むことができよう。電子回路はプロセッサを含むことができ、任意に完全にハウジング内に収納されてもよい。電子回路は、デバイスによって収集及び生成されたデータを保存することもできよう。保存されたデータは、リモートデバイスへのワイヤレス送信、サムドライブやメモリチップなどのリムーバブルメディア上の記憶(図示せず)への無線送信、電気ケーブルやドッキングステーション(図示せず)を介した通信などの周知の方法によってデバイスから検索することができよう。保存されたデータには、品質管理や製造基準や規制の遵守などの様々な用途があろう。
【0071】
デバイスは、データ及び/又は画像を含む情報を表示するための電子回路に結合されたディスプレイをさらに含むことができる。ディスプレイは、発光ダイオード(個々の発光ダイオードとスクリーンの両方を含む)、液晶ディスプレイ、及び/又はゲージを含んでもよい。ディスプレイは、ハウジング内、又はハウジング上に位置してもよく、又はリモートデバイスの二次ハウジング内、又はハウジング上に位置してもよく、電気接点(図示せず)、電気ケーブル、及びワイヤレス接続の少なくとも1つによって電子回路の少なくとも一部に結合されてもよい。ディスプレイは、表面の表面エネルギー、表面上の液体の容積の表示、表面上の液体容積の画像、パスインジケータ、フェイルインジケータ、エラーメッセージ、表面上の液体の体積の直径、表面上の液体の体積の平均直径、表面上の液体の容積によって形成される接触角、表面の濡れ特性、バッテリ充電、及びリザーバの容積など、デバイスの使用に関連すると思われるあらゆる情報を伝えることができる。
【0072】
デバイスは、任意に聴覚信号デバイス(図示せず)を含むことができる。聴覚信号デバイスは、単純なトーン又はトーンの混合、又は音声のような複雑なものであってよい。聴覚信号デバイスは、例えば、デバイスが使用中であること、試験が成功裏に、又は不成功裏に完了したこと、パス又はフェイルインジケータ、エラー、デバイスが表面に対して正しい相対位置であること、バッテリ寿命、及びリザーバ内の残りの液体容積を示し得る。
【0073】
本明細書で説明するデバイスと方法で使用できる液体の例は、脱イオン水、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ホルムアミドとグリコールモノエチルエーテルの混合物、水とエタノールの混合物、及び望ましい濡れ性を持つ他の液体である。
【0074】
一実施形態では、表面エネルギーを多成分ベクトル量として評価し、より正確な表面エネルギー計算値を得るために、接触角測定値が複数の液体で決定される。
【0075】
一実施形態では、前進角よりも低い接触角を得るために、別の滴ではなく空気又は他の気体のマイクロバーストによって滴にエネルギーが付与される。滴にエネルギーが与えられると、前進角よりも低い接触角が確立される。滴に十分なエネルギーが与えられると、後退接触角が確立される。
【0076】
試験ディスプレイは、(個々の発光ダイオードと発光ダイオードのスクリーンの両方を含む)発光ダイオード、液晶ディスプレイ、及び/又はゲージを含み得る。ディスプレイは、ハウジング内、又はその上に位置してもよく、又は二次ハウジング又はリモートデバイス内、又はその上に位置してもよく、電気接点、電気ケーブル、及び無線接続の少なくとも1つによって試験デバイスの少なくとも一部に結合されてもよい。ディスプレイは、表面の表面エネルギー、表面上の液体の容積の表示、表面上の液体の容積の画像、パスインジケータ、フェイルインジケータ、エラーメッセージ、表面上の液体の体積の直径、表面上の液体の体積の平均直径、表面上の液体の容積によって形成される接触角、表面の液体容積の形状、表面の濡れ特性、バッテリの充電、及びリザーバの容量など、デバイスの使用に関連すると思われるあらゆる情報を伝えることができる。
【0077】
デバイスは、任意に聴覚信号デバイスを含んでもよい。聴覚信号装置デバイスは、単純なトーン又はトーンの混合、又は音声のような複雑なものであってもよい。聴覚信号デバイスは、例えば、デバイスが使用中であること、試験が成功裏に、又は不成功裏に完了したこと、パス又はフェイルインジケータ、エラー、試験デバイスが表面に対する適正な相対位置にあること、バッテリ寿命、及びリザーバ内の残りの液体容積を示し得る。
【0078】
本明細書に引用されるすべての刊行物、特許、及び特許出願は、上記又は下記に関わらず、あたかもそれぞれの個々の刊行物、特許、又は特許出願が具体的かつ個別に参照により組み込まれることが示されると同程度に、全体として参照により組み込まれる。
【0079】
本明細書、及び添付の特許請求の範囲で用いられるように、単数形「a」、「an」及び「the」は、内容が明確にそうでないことを示さない限り、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。したがって、例えば、「着色剤」への言及は、2つ以上のそのような薬剤を含む。
【0080】
別段に定義されない限り、本明細書で使用いられるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が関連する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似又は等価の多くの方法及び材料を本発明の実施に使用することができるが、好ましい材料及び方法は本明細書に記載されている。
【0081】
当業者によって理解されるように、本発明の方法及び組成物は、先行技術の方法及び組成物に関連する不利益及び欠点を実質的に低減又は除去する。
【0082】
本開示で使用される場合、用語「含む」、「含んでいる」、及び語源用語「含む」からの他の派生語は、記載の機能、要素、整数、ステップ、又はコンポーネントの存在を特定する非限定用語であることを意図するものであり、1つ又は複数の他の機能、要素、整数、ステップ、コンポーネント、又はそれらの群の存在又は追加を排除することを意図したものではないことに留意されたい。
【0083】
必要に応じて、本発明の詳細な実施形態が本明細書に開示されている。しかし、開示された実施形態は、本発明の単なる例示であり、様々な形態で具体化できることを理解されたい。したがって、本明細書で開示される特定の構造及び機能の詳細は、限定的に解釈されるべきではなく、単に特許請求の範囲の基礎として、及び実質的にすべての適切に詳細な構造で本発明を様々に利用するように当業者に教示するための代表的な基礎として解釈されるべきである。
【0084】
本明細書に開示された本発明の例示的な実施形態が上述の目的を満たすことは明らかであるが、多数の修正及び他の実施形態が当業者によって考案され得ることが理解されよう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の趣旨及び範囲内にあるそのようなすべての修正及び実施形態を網羅するものであることを理解されたい。