(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123208
(43)【公開日】2024-09-10
(54)【発明の名称】レンチウイルスを検出する方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/686 20180101AFI20240903BHJP
C12Q 1/6851 20180101ALI20240903BHJP
C12Q 1/6888 20180101ALI20240903BHJP
C12N 15/49 20060101ALN20240903BHJP
【FI】
C12Q1/686 Z ZNA
C12Q1/6851 Z
C12Q1/6888 Z
C12Q1/686 Z
C12N15/49
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024102456
(22)【出願日】2024-06-26
(62)【分割の表示】P 2022208080の分割
【原出願日】2017-09-07
(31)【優先権主張番号】2016903599
(32)【優先日】2016-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】502377224
【氏名又は名称】セイント ヴィンセンツ ホスピタル シドニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一雄
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本開示は、生体サンプル中のレンチウイルス(ヒト免疫不全ウイルス、HIV-1又はHIV-2)DNA及びRNAを検出及び定量化するより高感度のアッセイを提供する。
【解決手段】ヒト免疫不全ウイルス(HIV)を有する対象又はHIV感染(AIDS)を有すると疑われる対象においてHIVを検出する方法であって、対象から得た生体サンプル中のR領域核酸のPCR増幅を実施するステップであって、増幅が、HIVの長末端反復(LTR)のR領域内に位置する配列とハイブリダイズするフォワード及びリバースプライマーを含むステップ、並びに続いていずれかの増幅を検出するステップを含み、増幅の検出が、対象におけるHIVの存在を示す方法とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)を有する対象又はHIV感染(AIDS)を有すると疑われる対象においてHIVを検出する方法であって、対象から得た生体サンプル中のR領域核酸のPCR増幅を実施するステップであって、増幅が、HIVの長末端反復(LTR)のR領域内に位置する配列とハイブリダイズするフォワード及びリバースプライマーを含むステップ、並びに続いていずれかの増幅を検出するステップを含み、増幅の検出が、対象におけるHIVの存在を示す方法。
【請求項2】
増幅の検出が、増幅されるR領域配列内の配列とハイブリダイズする標識されたオリゴヌクレオチドプローブを用いて実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
核酸が、DNA又は逆転写されたRNA(cDNA)である、請求項1から2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
HIVが、HIV-1又はHIV-2である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
PCRが、リアルタイムPCRである、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
PCRが、エンドポイントPCRである、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
HIVを有する、又はHIV感染を有すると疑われる対象由来の生体サンプル中のHIV DNAコピー数を定量化する方法であって、
(i)請求項1に記載のHIV-R領域配列を増幅及び検出するステップ、及び
(ii)対応するHIVプラスミド標準に対する参照によって増幅されたHIV-R領域配列を定量化して、サンプルの容量あたりのHIV DNAのコピー数を得るステップ
を含む方法。
【請求項8】
増幅が、リアルタイムPCR又はエンドポイントPCRである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
DNA標準に対してHIV DNAコピー数を正規化して、生体サンプル中の細胞あたりのHIV DNAコピー数を得るステップをさらに含む、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
標準に対して正規化することによって、HIVを有する、又はHIV感染を有すると疑われる対象由来の生体サンプル中のHIV DNAコピー数を定量化する方法であって、
(i)請求項1から6のいずれか一項に記載のHIV-R領域配列を増幅及び検出するステップ、
(ii)対応するHIV標準に対する参照によってサンプル中のDNAの容量あたりのHIV-R領域コピー数を、定量的PCRによって定量化するステップ、
(iii)対応するハウスキーピング標準を使用する定量的PCRによって内因性ハウスキーピング遺伝子を定量化して、サンプル中に存在するDNAの容量あたりのハウスキーピング遺伝子のコピーとして表される内因性遺伝子のコピー数を得るステップ、
(iv)得られたコピー数を、細胞中の内因性遺伝子のコピーの数によって除して、サンプル中のDNAの容量あたりの細胞数を導くステップ、並びに
(v)(i)で得られた値を(iii)で得られた値で除すことによって、細胞あたりのHIV-R領域DNAコピー数を算出することによってHIV DNAコピー数を正規化して、生体サンプル中のHIV R領域DNAコピー数(コピー/細胞)を得るステップ
を含む方法。
【請求項11】
DNA標準がアクチンである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
HIVを有する、又はHIV感染を有すると疑われる対象由来の生体サンプル中のHIV DNAコピー数を定量化する方法であって、
(i)請求項1から6のいずれか一項に記載のHIV-R領域配列を増幅及び検出するステップ、
(ii)サンプル中のDNAの吸光度を測定することによって、サンプル中の容量あたりのDNAの質量(w/v)を定量化するステップ、
(iii)DNA吸光度に基づいて、サンプル中のDNAの容量あたりの細胞数を算出するステップ、並びに
(v)(ii)で得られた値を(iv)で得られた値で除すことによって、細胞あたりのHIV-R領域DNAコピー数を算出することによってHIV DNAコピー数を正規化して、生体サンプル中のHIV R領域DNAコピー数(コピー/細胞)を得るステップ
を含む方法。
【請求項13】
サンプル中の容量あたりのDNAの質量を定量化するステップが、DNAインターカレート性色素及び色素から発せられる蛍光を測定するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
(i)DNAが抽出されているサンプルのアリコートを得るステップ、
(ii)アリコートを、HIV DNAの長末端反復(LTR)のR領域配列とハイブリダイズする標識された加水分解オリゴヌクレオチドプローブと接触させるステップ、
(iii)アリコートを、R領域配列内の配列とハイブリダイズするフォワード及びリバースプライマーと接触させるステップ、
(iv)PCRによってR領域配列を増幅するステップ、
(v)標識されたオリゴヌクレオチドから得られたシグナルを、HIV標準の段階希釈物の対応する増幅によって得られた標準曲線に外挿して、アリコート中のDNAの容量あたりのHIV-R領域DNAコピー数を導くステップ
を含む、請求項7から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
フォワード又はリバースプライマーが、ビオチンで標識され、プローブが、ジゴキシゲニン(Dig)で標識される、請求項1から4又は7から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
フォワードプライマーが、配列番号29、配列番号33又は配列番号35に記載の配列を含む又はからなる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
リバースプライマーが、配列番号30、配列番号34又は配列番号36に記載の配列を含む又はからなる、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
標識されたプローブが、配列番号4、配列番号12、配列番号37、配列番号41、配列番号45、配列番号47、配列番号49又は配列番号51に記載の配列を含む又はからなる、請求項15から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
HIV陽性対象に投与されている抗レトロウイルス療法(ART)をモニタリングする方法であって、少なくとも2つの時点にわたって、請求項7から18のいずれか一項に記載のHIV DNAコピー数を定量化するステップ、及び少なくとも2つの時点間のHIV R領域DNAコピー数の相違を比較するステップを含み、HIV R領域DNAコピー数の減少が、対象が、最適な/有効なARTを受けていることを示す方法。
【請求項20】
対象に投与されるARTの用量又は種類を調整するステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
HIVを有する、又はHIV感染を有すると疑われる対象由来の生体サンプル中のHIV RNAコピー数を定量化する方法であって、
(i)逆転写されたHIV RNA R領域配列上で請求項1から6のいずれか一項に記載のHIV-R領域配列を増幅及び検出するステップ、及び
(ii)対応するHIVプラスミド標準に対する参照によって増幅されたHIV-R領域配列を定量化して、サンプルの容量あたりのHIV RNAのコピー数を得るステップ
を含む方法。
【請求項22】
増幅が、リアルタイムPCR又はエンドポイントPCRである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
RNA標準に対してHIV RNAコピー数を正規化して、生体サンプル中の細胞あたりのHIV RNAコピー数を得るステップをさらに含む、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
標準に対して正規化することによって、HIVを有する、又はHIV感染を有すると疑われる対象由来の生体サンプル中のHIV RNAコピー数を定量化する方法であって、
(i)逆転写されたHIV RNA R領域配列上の請求項1から6のいずれか一項に記載のHIV-R領域配列を増幅及び検出するステップ、
(ii)対応するHIV標準に対する参照によってサンプル中のRNAの容量あたりのHIV-R領域コピー数を、定量的PCRによって定量化するステップ、
(iii)対応するハウスキーピング標準を使用する定量的PCRによって内因性ハウスキーピング遺伝子を定量化して、サンプル中に存在するRNAの容量あたりのハウスキーピング遺伝子のコピーとして表される内因性遺伝子のコピー数を得るステップ、
(iv)得られたコピー数を、細胞中の内因性遺伝子のコピーの数によって除して、サンプル中のRNAの容量あたりの細胞数を導くステップ、並びに
(v)(i)で得られた値を(iii)で得られた値で除すことによって、細胞あたりのHIV-R領域RNAコピー数を算出することによってHIV RNAコピー数を正規化して、生体サンプル中のHIV R領域RNAコピー数(コピー/細胞)を得るステップ
を含む方法。
【請求項25】
RNA標準がGAPDHである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
HIVを有する、又はHIV感染を有すると疑われる対象から得た生体サンプル中のHIV RNAコピー数を定量化する方法であって、
(i)逆転写されたHIV RNA R領域配列上で請求項1から6のいずれか一項に記載のHIV-R領域配列を増幅及び検出するステップ、
(ii)サンプル中のRNAの吸光度を測定することによって、サンプル中の容量あたりのRNAの質量(w/v)を定量化するステップ、
(iii)RNA吸光度に基づいて、サンプル中のRNAの容量あたりの細胞数を算出するステップ、並びに
(iv)(ii)で得られた値を(iv)で得られた値で除すことによって、細胞あたりのHIV-R領域RNAコピー数を算出することによってHIV RNAコピー数を正規化して、生体サンプル中のHIV R領域RNAコピー数(コピー/細胞)を得るステップ
を含む方法。
【請求項27】
サンプル中の容量あたりのRNAの質量を定量化するステップが、RNAインターカレート性色素及び色素から発せられる蛍光を測定するステップを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
HIV-R領域が、
(i)RNAが抽出されたサンプルのアリコートを得ること、
(ii)アリコートを、逆転写されたHIV RNA(cDNA)の長末端反復(LTR)のR領域配列とハイブリダイズする標識された加水分解オリゴヌクレオチドプローブと接触させること、
(iii)アリコートを、逆転写されたHIV RNA(cDNA)のR領域内の配列とハイブリダイズするフォワード及びリバースプライマーとさらに接触させること、
(iv)PCRによってR領域配列を増幅すること、
(v)標識されたオリゴヌクレオチドから得られたシグナルを、HIV標準の段階希釈物の対応する増幅によって得られた標準曲線に外挿して、アリコート中のRNAの容量あたりのHIV-R領域RNAコピー数を導くこと
によって定量化される、請求項21から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
対象から生体サンプルを得るステップ、及びサンプルからRNAを調製するステップをさらに含む、請求項21から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
HIV陽性対象に投与された抗レトロウイルス療法(ART)の有効性を評価する方法であって、
(i)請求項7から14のいずれか一項に記載のHIV-R領域DNAコピー数を定量化するステップ、
(ii)請求項21から29のいずれか一項に記載のHIV-R領域RNAコピー数を定量化するステップ、
(iii)ステップ(i)で得られた値を、ステップ(ii)で得られたもので除すことによって、サンプル中の正規化されたHIV RNAコピー数を決定するステップ、及び
(iv)正規化されたHIV RNAコピー数の値を、同一対象から得られた1以上の既に正規化された値に対して比較するステップ
を含み、
正規化されたHIV RNAコピー数の減少が、対象が、最適な/有効なARTを受けていることを示す方法。
【請求項31】
対象から生体サンプルを得るステップ、並びにサンプルからDNA及びRNAを調製するステップをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
生体サンプルが、血液又は組織又はHIV感染細胞が存在する任意のその他の生物学的流体から選択される細胞の集団である、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
生体サンプルがPBMCである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
R領域配列が、配列番号1又は配列番号2に示される配列からなる、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
加水分解オリゴヌクレオチドが、TAQMAN(登録商標)プローブである、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号1に示されるHIV-1 R領域配列内の約13~40の連続するヌクレオチドを含む若しくはからなる配列又はそれと少なくとも70%同一の配列と結合する、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
オリゴヌクレオチドプローブが、配列5'TAAGCAGTGGGTTCCCT3'(配列番号3)を含む若しくはからなる配列又はそれと少なくとも70%同一の配列と結合する、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号45、配列番号46、配列番号47又は配列番号48の配列を含む又はからなる、請求項36又は37に記載の方法。
【請求項39】
フォワードプライマーが、配列番号7若しくは配列番号29の配列又はそれと少なくとも75%同一の配列を含む又はからなるHIV-1プライマーである、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
フォワードプライマーが、配列5'-CAGAGAGCTCCCAGGCTC-3'(配列番号8)を含む若しくはからなるHIV-1 R領域配列又はそれと少なくとも75%同一の配列とハイブリダイズする、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
リバースプライマーが、配列番号9若しくは配列番号30の配列又はそれと少なくとも75%同一の配列を含む又はからなるHIV-1プライマーである、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
リバースプライマーが、配列5'GCCTCAATAAAGCTTGCCTTGAGT3'(配列番号10)を含む若しくはからなるHIV-1 R領域配列又はそれと少なくとも75%同一の配列とハイブリダイズする、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号2に示されるHIV-2 R領域配列内の約17~30の連続するヌクレオチドを含む若しくはからなる配列又はそれと少なくとも70%同一の配列と結合する、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
オリゴヌクレオチドが、配列5'GCCTGGGTGTTCCCTGCTAGACTCT3'(配列番号11)を含む若しくはからなる配列又はそれと少なくとも70%同一の配列と結合する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号12、配列番号13、配列番号37、配列番号38、配列番号39又は配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52又は配列番号53の配列を含む又はからなる、請求項43又は44に記載の方法。
【請求項46】
HIV-2フォワードプライマーが、配列番号14、配列番号31、配列番号33若しくは配列番号35に記載の配列又はそれと少なくとも75%同一の配列を含む又はからなる、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
フォワードプライマーが、配列5'-GAGAACCTCCCAGGGCTC-3'(配列番号15)を含む若しくはからなるHIV-2 R領域配列又はそれと少なくとも75%同一の配列とハイブリダイズする、請求項1~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
HIV-2リバースプライマーが、配列番号16、配列番号32、配列番号34若しくは配列番号36の配列又はそれと少なくとも75%同一の配列を含む又はからなる、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
以下のうち1以上の組合せから選択されるプローブ、フォワード及びリバースプライマーの組合せを含む又はからなる標識されたオリゴヌクレオチドプローブを含むHIV-1核酸を増幅するための組成物:
(i)オリゴヌクレオチドプローブ:配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号45、配列番号46、配列番号47又は配列番号48、
(ii)フォワードプライマー:配列番号7又は配列番号29、及び
(iii)リバースプライマー:配列番号9又は配列番号30。
【請求項50】
以下のうち1以上の組合せから選択されるプローブ、フォワード及びリバースプライマーの組合せを含む又はからなる標識されたオリゴヌクレオチドを含むHIV-2核酸を増幅するための組成物:
(i)オリゴヌクレオチドプローブ:配列番号12、配列番号13、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52又は配列番号53、
(ii)フォワードプライマー:配列番号14、配列番号31、配列番号33又は配列番号35、
(iii)リバースプライマー:配列番号16、配列番号32、配列番号34又は配列番号36。
【請求項51】
HIV陽性対象を治療する方法であって、請求項1から48のいずれか一項に記載のレンチウイルス核酸又はHIV DNA及び/又はRNAを検出又は定量化するステップ、及びARTを対象に投与するステップを含む方法。
【請求項52】
HIV-1を検出するための、又はHIV-1を検出するために使用されるキットであって、請求項49に記載の組成物を、請求項1から48のいずれか一項に記載のHIV-1の検出及び定量化に適した試薬及び説明書と一緒に含むキット。
【請求項53】
HIV-2を検出するための、又はHIV-2を検出するために使用されるキットであって、請求項50に記載の組成物を、請求項1から48のいずれか一項に記載のHIV-2の検出及び定量化に適した試薬及び説明書と一緒に含むキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願データ
本出願は、2016年9月7日に出願された「Methods of detecting lentivirus」と題された豪州特許出願第2016903599号の優先権を主張する。その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、電子形態の配列表とともに出願される。配列表の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
開示の分野
本開示は、生体サンプル中のレンチウイルス(ヒト免疫不全ウイルス、HIV-1又はHIV-2)DNA及びRNAを検出及び定量化する方法に基づく。
【背景技術】
【0004】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、HIV感染を引き起こすレンチウイルスであり、時間とともに、後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因物質となる。HIVは、レトロウイルス科のウイルスに属し、2種類のHIV:HIV-1及びHIV-2が特性決定されている。HIV-1は、より病原性であり、したがって、より感染性の高いウイルスであり、世界的に感染の大部分の原因である。
【0005】
HIVは、一本鎖のプラスセンスのエンベロープ型RNAウイルス(ssRNA)として伝達される。HIVの主な標的は、CD4+T細胞、マクロファージ及び樹状細胞である。HIVビリオンは、標的細胞上の受容体への、その表面上の糖タンパク質の吸着と、それに続く、細胞膜とウイルスエンベロープの融合、及び細胞中へのHIVカプシドの放出によって標的細胞に侵入する。標的細胞への侵入の際に、ウイルスゲノムを含有するヌクレオカプシドは、解離し、ssRNAを含むウイルスの内容物を細胞質中に放出する。ウイルスRNAゲノムは、ウイルスにコードされた逆転写(RT)酵素によって二本鎖DNAに逆転写される。得られたウイルスDNAは、次いで、細胞核に輸送され、ウイルスにコードされたインテグラーゼによって細胞性DNAに組み込まれる。
【0006】
組み込まれたHIV DNAは、同一の5'及び3'長末端反復(LTR)配列によって隣接され、これから、HIVが、組み込まれたHIVゲノムの転写を開始できる。組み込まれたウイルスDNAは、HIV感染の潜伏段階において休眠状態にある場合もあり、又はウイルスDNAが転写され、新規RNAゲノム及びウイルスタンパク質を生成し、これがパッケージングされ、新規ウイルス粒子として細胞から放出されることもある。
【0007】
HIVを検出する主な試験は、HIV-1抗体を検出する酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)である。陽性試験結果が受け取られる場合には、診断を確認するためにウエスタンブロット試験が普通行われる。
【0008】
HIV感染のための療法は、HIV複製を抑制するように作用する併用抗レトロウイルス療法(cART)を含む。cARTの主な目標は、免疫系の機能を維持し、日和見感染症を防ぎながら、検出不能なレベル(mlあたり<50コピー)まで血漿ウイルス量を抑制することである。血漿ウイルス量(pVL)モニタリングは、現在、cARTを用いる治療に対する応答の最も重要な予測因子である。1mlあたり200コピーより高いレベルは、ウイルス学的応答の欠如と考えられる。cARTは、感染の程度を低減するが、残存するウイルスは、ウイルスリザーバーを形成し、これは、長命の休止T細胞及び組織ベースのマクロファージ中にある。ARTの中断の際に、pVLレベルは、患者の大部分において急速に、普通、2、3週間内に回復する。現在、HIV感染患者のためのARTの治療結果をモニタリングし、評価するために利用可能な信頼のおけるアッセイはない。pVL及びCD4+細胞数は、患者のケアにおいて依然として重要な役割を果たすが、これらのマーカーは、活発なHIV感染をモニタリングするのに十分なほど感度が高くはない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、抗レトロウイルス療法における改善を導くために、当技術分野には、HIV転写を、特に、潜在的に感染しているリザーバーにおいてHIV DNA及びRNAを、検出し、定量化できる、より高感度のアッセイを開発することが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、生体サンプル中のレンチウイルス(ヒト免疫不全ウイルス、HIV-1又はHIV-2)DNA及びRNAを検出及び定量化する方法に基づく。特に、本開示は、HIV感染対象におけるレンチウイルス感染のより感度の高い検出は、HIV DNA及びHIV RNA両方の検出が実施される場合に得られるという知見に基づく。本発明者は、先行技術法と比較して、HIV-1又はHIV-2 DNA及びRNAのより感度の高い検出を提供するPCRベースのアッセイを開発した。さらに、本発明者は、既存のアッセイがHIV DNA又はRNAを検出できない場合の、HIV DNA及びRNAを検出及び定量化するPCRベースの方法を開発した。
【0011】
診断検査室におけるHIV検出及び定量の現在の方法は、HIV血漿ウイルス量(VL)(血漿中のHIV RNAコピー数)の検出に依存している。このアッセイは、感染患者の抗レトロウイルス療法(ART)治療の有効性を評価するために、患者の血漿中のHIV RNAコピー数を定量化することができる。pVLのこの古典的なマーカーは、依然として重要な役割を果たすが、このアッセイは、最適な抗レトロウイルス療法(ART)を受けており、したがって、再発する傾向がある患者を適宜同定するのに十分なほど感度は高くない。
【0012】
本開示は、有利なことに、レンチウイルスゲノム(例えば、HIVゲノム)の長末端反復(LTR)内のR領域の増幅に基づく、高度に特異的な感度の高い方法を提供する。5'及び3' LTR領域は、3つの小領域、すなわち、U3、R及びU5からなり、5'及び3'LTRの両方とも、ウイルスが宿主細胞ゲノム中に組み込まれる時に存在する。特に、本発明者は、3' LTR、pol又はgagのいずれかをターゲッティングすることに焦点を当てている先行技術の戦略は、R領域検出と比較してあまり感度が高くないが、これは、前者が、ウイルスゲノム内の単一コピーとしてのみ存在するのに対し、R領域は、転写されたウイルスmRNA並びにヒトゲノム中に組み込まれたウイルスHIV DNA内の2つのコピーとして存在するであろうからであることを見い出した。したがって、本開示の方法は、HIV感染を有している、又は有すると疑われる対象におけるHIV-1又はHIV-2いずれかのRNA及びDNA両方内のR領域検出に基づく。本方法は、抗レトロウイルス療法を用いる適当な治療をより正確に導くために、臨床医に、対象におけるHIV DNAレベル並びに対象中の潜在的に感染しているリザーバー細胞(通常、CD4+T細胞及び単球/マクロファージ)におけるHIV転写レベル(RNA)の知識を提供する。
【0013】
本開示は、HIVを有する対象又はHIV感染(後天性免疫不全症候群、AIDS)を有すると疑われる対象においてヒト免疫不全ウイルス(HIV)を検出する方法であって、対象から得た生体サンプル中のR領域核酸のPCR増幅を実施するステップであって、増幅が、HIVの長末端反復(LTR)のR領域内の配列とハイブリダイズするフォワード及びリバースプライマーを含むステップ、並びに続いていずれかの増幅を検出するステップを含み、増幅の検出が、対象におけるHIVの存在を示す方法を提供する。
【0014】
好ましくは、増幅の検出は、増幅されるR領域配列内の配列とハイブリダイズする標識されたオリゴヌクレオチドプローブを用いて実施される。
【0015】
一例では、核酸は、DNA又は逆転写されたRNAである。
【0016】
一例では、HIVは、HIV-1又はHIV-2である。
【0017】
一例では、PCR増幅は、リアルタイムPCR又はエンドポイントPCRである。別の例では、PCR増幅は、定量的リアルタイムPCRである。
【0018】
一例では、検出法は、標識されたオリゴヌクレオチドプローブをさらに含む。別の例では、オリゴヌクレオチドプローブは、HIVの長末端反復(LTR)のR領域内の配列と結合する。別の例では、オリゴヌクレオチドプローブは、加水分解プローブである。別の例では、プローブは、TaqMan(登録商標)プローブである。さらなる例では、オリゴヌクレオチドプローブは、蛍光標識されたハイブリダイゼーションプローブである。特定の例では、プローブは、1つ以上のロックド核酸を含み得る。
【0019】
一例では、本方法は、
(i)DNA(又は逆転写されたRNA)が抽出されたサンプルのアリコートを得るステップ、
(ii)アリコートを、HIV DNAの長末端反復(LTR)のR領域配列とハイブリダイズする標識された加水分解オリゴヌクレオチドプローブと接触させるステップ、
(iii)アリコートを、R領域配列内の配列とハイブリダイズするフォワード及びリバースプライマーと接触させるステップ、
(iv)PCRによってR領域配列を増幅するステップ
をさらに含む。
【0020】
本開示はまた、HIVを有する、又はHIV感染を有すると疑われる対象から得た生体サンプル中のHIV DNAコピー数を定量化する方法であって、
(i)本明細書において記載されるようにHIV-R領域配列を増幅及び検出するステップ、及び
(ii)対応するHIVプラスミド標準に対する参照によって増幅されたHIV-R領域配列を定量化して、サンプルの容量あたりのHIV DNAのHIV-R領域コピー数を得るステップ
を含む方法を提供する。
【0021】
一例では、増幅は、リアルタイムPCRである。別の例では、増幅は、エンドポイントPCRである。
【0022】
一例では、方法は、DNA標準に対してHIV DNAコピー数を正規化して、生体サンプル中の細胞あたりのHIV DNAコピー数を得るステップをさらに含む。
【0023】
本開示はまた、標準に対して正規化することによって、HIVを有する、又はHIV感染を有すると疑われる対象から得た生体サンプル中のHIV DNAコピー数を定量化する方法であって、
(i)本明細書において記載されるようにHIV-R領域配列を増幅及び検出するステップ、
(ii)対応するHIV標準に対する参照によってサンプル中のDNAの容量あたりのHIV-R領域コピー数を、定量的PCRによって定量化するステップ、
(iii)対応するハウスキーピング標準を使用する定量的PCRによって内因性ハウスキーピング遺伝子を定量化して、サンプル中に存在するDNAの容量あたりのハウスキーピング遺伝子のコピーとして表される内因性遺伝子のコピー数を得るステップ、
(iv)得られたコピー数を、細胞中の内因性遺伝子のコピーの数によって除して、サンプル中のDNAの容量あたりの細胞数を導くステップ、並びに
(v)(i)で得られた値を(iii)で得られた値で除すことによって、細胞あたりのHIV-R領域DNAコピー数を算出することによってHIV DNAコピー数を正規化して、生体サンプル中のHIV R領域DNAコピー数(コピー/細胞)を得るステップ
を含む方法を提供する。
【0024】
一例では、DNA標準は、アクチンである。
【0025】
一例では、定量的PCRはリアルタイムPCRである。
【0026】
さらなる例では、HIV DNAコピー数は、HIV R領域コピー/106個細胞として表される。
【0027】
或いは、サンプル中のHIV DNAコピー数の定量化は、サンプル中のDNAの吸光度を測定することから得られ得る。
【0028】
本開示はまた、HIVを有する、又はHIV感染を有すると疑われる対象から得た生体サンプル中のHIV DNAコピー数を定量化する方法であって
(i)本明細書において記載されるように、HIV-R領域配列を増幅及び検出するステップ、 (ii)サンプル中のDNAの吸光度を測定することによって、サンプル中の容量あたりのDNAの質量(w/v)を定量化するステップ、
(iii)DNA吸光度に基づいて、サンプル中のDNAの容量あたりの細胞数を算出するステップ、並びに
(v)(ii)で得られた値を(iv)で得られた値で除すことによって、細胞あたりのHIV-R領域DNAコピー数を算出することによってHIV DNAコピー数を正規化して、生体サンプル中のHIV R領域DNAコピー数(コピー/細胞)を得るステップ
を含む方法を提供する。
【0029】
一例では、サンプル中の容量あたりのDNAの質量を定量化する方法は、或いは、DNAインターカレート性色素の添加及び色素から発せられる蛍光を測定するステップを含む。一例では、DNAインターカレート性色素は、SyBr Green I、Syto-9、Syto-10~14、Syto-16、Syto-21、Syto-24、Syto-29、YoYo-1、YoYo-3及びToTo-1から選択される。
【0030】
一例では、HIV DNAコピー数は、HIV R領域コピー/106個細胞として表される。
【0031】
一例では、本明細書において記載される方法は、
(i)DNAが抽出されているサンプルのアリコートを得るステップ、
(ii)アリコートを、HIV DNAの長末端反復(LTR)のR領域配列とハイブリダイズする標識された加水分解オリゴヌクレオチドプローブと接触させるステップ、
(iii)アリコートを、R領域配列内の配列とハイブリダイズするフォワード及びリバースプライマーと接触させるステップ、
(iv)PCRによってR領域配列を増幅するステップ、
(v)標識されたオリゴヌクレオチドから得られたシグナルを、HIV標準の段階希釈物の対応する増幅によって得られた標準曲線に外挿して、アリコート中のDNAの容量あたりのHIV-R領域DNAコピー数を導くステップ
をさらに含み得る。
【0032】
一例では、PCRは、リアルタイムPCR又はエンドポイントPCRである。
【0033】
一例では、オリゴヌクレオチドは、加水分解オリゴヌクレオチドプローブ(例えば、TAqMan(登録商標)プローブ)である。一例では、オリゴヌクレオチドは、蛍光標識されたハイブリダイゼーションプローブである。
【0034】
一例では、フォワード及びリバースプライマーは、オリゴヌクレオチドが結合するR領域配列のそれぞれ上流及び下流のR領域配列と結合する。
【0035】
特定の例では、PCR増幅は、エンドポイントPCRによって実施される。一例では、フォワード又はリバースプライマーが標識される。一例では、フォワード又はリバースプライマーは、標識される(例えば、ビオチンを用いて)。一例では、オリゴヌクレオチドプローブは、ジゴキシゲニン(Dig)を用いて標識される。
【0036】
一例では、フォワードプライマーは、配列番号29、配列番号33又は配列番号35に記載の配列を含む又はからなる。
【0037】
一例では、リバースプライマーは、配列番号30、配列番号34又は配列番号36に記載の配列を含む又はからなる。
【0038】
一例では、標識されたプローブは、配列番号4、配列番号12、配列番号37、配列番号41、配列番号45、配列番号47、配列番号49又は配列番号51に記載の配列を含む又はからなる。
【0039】
本明細書において記載されるDNAを定量化する方法を使用して、HIV陽性対象に投与されている抗レトロウイルス療法(ART)をモニタリングできる。したがって、本開示はまた、HIV陽性対象に投与されている抗レトロウイルス療法(ART)をモニタリングする方法であって、少なくとも2つの時点にわたって、本明細書において記載されるHIV DNAコピー数を定量化するステップ、及び少なくとも2つの時点間のHIV DNAコピー数の相違を比較するステップを含み、HIV DNAコピー数の減少が、対象が、最適な/有効なARTを受けていることを示す方法を提供する。
【0040】
生体サンプルは、それだけには限らないが、3、4、5、6、8、10、12、15、20、25、30、35、40などの時点を含む、対象の生涯にわたる複数の時点にかけて得ることができる。別の例では、少なくとも2つの時点間の期間は、日(複数)、週(複数)又は月(複数)である。別の例では、少なくとも2つの時点間の期間は、1週間、2週間、1ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、8ヶ月又は12ヶ月である。
【0041】
別の例では、時点間の少なくとも50%、少なくとも45%、少なくとも40%、少なくとも35%、少なくとも30%、少なくとも25%、少なくとも20%、少なくとも15%、少なくとも12%、少なくとも10%、少なくとも8%又は少なくとも5%の低下が、対象が、最適な/有効なARTを受けていることを示す。
【0042】
別の例では、106個細胞あたりHIV DNAの約800以下のコピーのHIV DNAコピー数が、対象が、最適な/有効なARTを受けていることを示す。別の例では、生体サンプル中の106個細胞あたり約80以下又は約8以下のコピーのHIV R領域DNAのHIV DNAコピー数が、対象が、最適な/有効なARTを受けていることを示す。
【0043】
さらなる例では、方法は、対象に投与されるARTの用量又は種類を調整するステップを含む。例えば、ARTの種類を調整するステップは、併用療法において1種の抗レトロウイルス剤を別のものと置き換えるステップ又は併用療法を別のものと置き換えるステップを含み得る。
【0044】
本開示はまた、HIVを有する、又はHIV感染を有すると疑われる対象から得た生体サンプル中のHIV RNAコピー数を定量化する方法であって、
(i)逆転写されたHIV RNA R領域配列上で本明細書において記載のようにHIV-R領域配列を増幅及び検出するステップ、及び
(ii)対応するHIVプラスミド標準に対する参照によって増幅されたHIV-R領域配列を定量化して、サンプルの容量あたりのHIV RNAのコピー数を得るステップ
を含む方法を提供する。
【0045】
一例では、増幅は、リアルタイムPCR又はエンドポイントPCRである。
【0046】
一例では、方法は、RNA標準に対してHIV RNAコピー数を正規化して、生体サンプル中の細胞あたりのHIV RNAコピー数を得るステップをさらに含む。
【0047】
本開示はまた、標準に対して正規化することによって、HIVを有する、又はHIV感染を有すると疑われる対象由来の生体サンプル中のHIV RNAコピー数(すなわち、転写活性)を定量化する方法であって、
(i)逆転写されたHIV RNA R領域配列上で本明細書において記載されるようにHIV-R領域配列を増幅及び検出するステップ、
(ii)対応するHIV標準に対する参照によってサンプル中のRNAの容量あたりのHIV-R領域コピー数を、定量的PCRによって定量化するステップ、
(iii)対応するハウスキーピング標準を使用する定量的PCRによって内因性ハウスキーピング遺伝子を定量化して、サンプル中に存在するRNAの容量あたりのハウスキーピング遺伝子のコピーとして表される内因性遺伝子のコピー数を得るステップ、
(iv)得られたコピー数を、細胞中の内因性遺伝子のコピーの数によって除して、サンプル中のRNAの容量あたりの細胞数を導くステップ、並びに
(v)(i)で得られた値を(iii)で得られた値で除すことによって、細胞あたりのHIV-R領域RNAコピー数を算出することによってHIV RNAコピー数を正規化して、生体サンプル中のHIV R領域RNAコピー数(コピー/細胞)を得るステップ
を含む方法を提供する。
【0048】
一例では、RNA標準は、GAPDHである。
【0049】
一例では、方法はさらに、対象から生体サンプルを得るステップ、及びサンプルからRNAを調製するステップを含む。
【0050】
一例では、HIV RNAコピー数は、HIV R領域コピー/106個細胞として表される。
【0051】
別の例では、ハウスキーピング標準は、リアルタイムPCRによって増幅される。さらに別の例では、ハウスキーピング標準は、内在性遺伝子と同一である。標準の段階希釈物を増幅することに基づいて標準曲線を作成する方法は、当業者に公知であろう。例では、ハウスキーピング標準は、1、20、200、2000、20,000、2x105及び2x106コピー/μlを提供するように段階希釈される。
【0052】
或いは、サンプル中のRNAを定量化する方法は、サンプル中のRNAの吸光度を測定することに基づく。
【0053】
本開示はまた、HIVを有する、又はHIV感染を有すると疑われる対象から得た生体サンプル中のHIV RNAコピー数を定量化する方法であって、
(i)逆転写されたHIV RNA R領域配列上で本明細書において記載されるようにHIV-R領域配列を増幅及び検出するステップ、
(ii)サンプル中のRNAの吸光度を測定することによって、サンプル中の容量あたりのRNAの質量(w/v)を定量化するステップ、
(iii)RNA吸光度に基づいて、サンプル中のRNAの容量あたりの細胞数を算出するステップ、並びに
(iv)(ii)で得られた値を(iv)で得られた値で除すことによって、細胞あたりのHIV-R領域RNAコピー数を算出することによってHIV RNAコピー数を正規化して、生体サンプル中のHIV R領域RNAコピー数(コピー/細胞)を得るステップ
を含む方法を提供する。
【0054】
一例では、サンプル中の容量あたりのRNAの質量を定量化するステップは、RNAインターカレート性色素及び色素から発せられる(omitted)蛍光を測定するステップを含む。
【0055】
一例では、RNAコピー数は、HIV-R領域コピー/106個細胞として表される。
【0056】
さらなる例では、サンプル中の容量あたりのRNAの質量を定量化する方法は、RNAインターカレート性色素の添加及び色素から発せられる蛍光を測定するステップを含む。一例では、RNAインターカレート性色素は、SyBr Green II、Syto RNAセレクト緑色蛍光及びToTo-1から選択される。
【0057】
当業者ならば、サンプル中の容量あたりのDNA又はRNAの質量を定量化する方法は、当技術分野で公知であろうということは理解するであろう。例えば、このような方法として、それだけには限らないが、Qubit(Thermo Fisher)、Nanodrop(ThermoFisher)及びQuantideX(Asuragen)が挙げられる。
【0058】
一例では、HIV-R領域は、
(i)RNAが抽出されたサンプルのアリコートを得ること、
(ii)アリコートを、逆転写されたHIV RNA(cDNA)の長末端反復(LTR)のR領域配列とハイブリダイズする標識された加水分解オリゴヌクレオチドプローブと接触させること、
(iii)アリコートを、逆転写されたHIV RNA(cDNA)のR領域内の配列とハイブリダイズするフォワード及びリバースプライマーとさらに接触させること、
(iv)PCRによってR領域配列を増幅すること、
(v)標識されたオリゴヌクレオチドから得られたシグナルを、HIV標準の段階希釈物の対応する増幅によって得られた標準曲線に外挿して、アリコート中のRNAの容量あたりのHIV-R領域RNAコピー数を導くこと
によって定量化される。
【0059】
一例では、フォワード及びリバースプライマーは、オリゴヌクレオチドが結合するR領域配列のそれぞれ上流及び下流のR領域配列と結合する。
【0060】
一例では、方法はさらに、対象から生体サンプルを得るステップ、及びサンプルからRNAを調製するステップを含む。一例では、ハウスキーピング標準は、リアルタイムPCRによって増幅される。別の例では、ハウスキーピング標準は、内在性遺伝子と同一である。
【0061】
本開示はまた、HIV陽性対象に投与された抗レトロウイルス療法(ART)の有効性を評価する方法であって、
(i)本明細書において記載されるようにHIV-R領域DNAコピー数を定量化するステップ、
(ii)本明細書において記載されるようにHIV-R領域RNAコピー数を定量化するステップ、
(iii)ステップ(i)で得られた値を、ステップ(ii)で得られたもので除すことによって、対象から得られたサンプル中の正規化されたHIV RNAコピー数を決定するステップ、及び
(iv)正規化されたHIV RNAコピー数の値を、同一対象から得られた1以上の既に正規化された値に対して比較するステップ
を含み、
正規化されたHIV RNAコピー数の減少が、対象が、最適な/有効なARTを受けていることを示す方法を提供する。
【0062】
一例では、HIV-R領域DNA又はRNAコピー数を定量化することは、本明細書において記載される方法に従う、又は当技術分野で公知である。
【0063】
一例では、方法は、対象から生体サンプルを得るステップ、並びにサンプルからDNA及びRNAを調製するステップをさらに含む。
【0064】
本明細書において記載されるようなHIV DNAコピー数又はHIV RNAコピー数は、1,000,000個細胞(106)あたりのコピーの数、すなわち、コピー/106個細胞として表され得る。一例では、HIV RNAコピー数は、それだけには限らないが、1.5×106、2×106、2.5×106又は3×106個細胞を含む任意の任意の固定細胞数についての値として表される。
【0065】
一例では、容量は、μl又はmlとして表される。
【0066】
上記の方法は、好ましくは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)チューブにおいて実施される。
【0067】
生体サンプルは、血液又は組織又はレンチウイルス感染細胞が存在する任意のその他の生物学的流体から選択される細胞の集団であり得る。生体サンプルは、全血、血漿又は末梢血単核細胞(PBMC)又は濃縮CD4+T細胞及び単球/マクロファージの選別されたサンプル又は細胞集団サブセット(例えば、CD4+T細胞及び単球/マクロファージ)を濃縮するように磁性ビーズを使用して分離されたサンプルであり得る。生体サンプルはまた、全血又はPBMC由来のDNA又はRNAを含み得る。PBMCは、Ficoll又はFicoll-Paqueを使用して全血から分離され得る。一例では、生体サンプルは、対象から得られる。一例では、対象は、ヒト又は霊長類である。
【0068】
レンチウイルス/HIV核酸の5'及び3'LTRの両方内の配列のR領域は、前記の方法によって増幅されるということは当業者によって理解されるであろう。一例では、増幅されるR領域配列は、配列番号1又は配列番号2に示される配列からなる配列内に含有されるものである。一例では、R領域配列は、配列番号1又は配列番号2に示される配列からなる。
【0069】
別の例では、ハウスキーピング標準は、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、ベータアクチン(β-アクチン)、ベータ-2ミクログロブリン(B2M)、ペプチジルプロリルイソメラーゼA(PPIA)、真核細胞翻訳延長因子1ガンマ(EEF1γ)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体サブユニットA(SDHA)、ヒドロキシメチル-ビランシンターゼ(HMBS)、18sリボソームRNA(18s rRNA)及びホスホグリセレートキナーゼ1(PGK1)からなる群から選択され得る。
【0070】
一例では、HIV DNAのハウスキーピング遺伝子及びハウスキーピング標準は、β-アクチンである。別の例では、HIV RNAのハウスキーピング遺伝子及びハウスキーピング標準は、GAPDHである。
【0071】
一例では、サンプル中の細胞数は、DNA抽出後にDNA質量を測定することによって決定される。別の例では、DNA質量は、260nmでの分光光度計の吸光度によって推定される。一例では、サンプル中の細胞数は、RNA抽出後にRNA質量を測定することによって決定される。別の例では、RNA量は、260nmでの分光光度計の吸光度によって推定される。
【0072】
一例では、サンプル中の細胞数は、DNA抽出後にDNA質量を測定することによって決定される。別の例では、DNA質量は、DNAインターカレート性色素から発せられる蛍光を測定することによって推定され、一例では、サンプル中の細胞数は、RNA抽出後にRNA質量を測定することによって決定される。別の例では、RNA量は、RNAインターカレート性色素から発せられる蛍光を測定することによって推定される。
【0073】
一例では、標識されるオリゴヌクレオチド又は加水分解オリゴヌクレオチドは、TAQMAN(登録商標)プローブである。TAQMAN(登録商標)プローブは、オリゴヌクレオチドプローブの5'末端に共有結合されたフルオロフォア及びリアルタイムPCR定量化のために3'末端にクエンチャーを含む。一例では、フルオロフォアは、ヒドロキシクマリン、メトキシシクマリン、Alexa fluor、アミノクマリン、Cy2、Alexa fluor 488、430、532、546、555、594、633、660、680 FITC、TRITC、PE、LC Cyan500、FAM、TET、JOE、Yakima Yellow、HEX、Cy3、TAMARA、ROX、Texas Red、LC Red610、LC Red640、Cy5、Cy5.5、Cy7及びIRD700からなる群から選択される。一例では、クエンチャーは、BHQ-1、BHQ-2、IBRQ、IBFQからなる群から選択される。一例では、プローブは、二重クエンチャーである。別の例では、プローブは、IBRQ、IBFQクエンチャーと組み合わされたZEN(商標)内部クエンチャーを含む二重クエンチャーである。
【0074】
一例では、本明細書において記載される任意の方法によれば、オリゴヌクレオチドは、配列番号1に示されるHIV-1 R領域配列内の約13~40の連続するヌクレオチドを含む若しくはからなる配列又はそれと少なくとも70%同一の配列と結合する。さらなる例では、オリゴヌクレオチドは、配列番号1に示される配列と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも82%、少なくとも85%、少なくとも87%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は少なくとも99.5%同一の配列と結合する。
【0075】
一例では、本明細書において記載される任意の方法によれば、オリゴヌクレオチドは、配列5'TAAGCAGTGGGTTCCCT3'(配列番号3)を含む若しくはからなる配列又はそれと少なくとも70%同一の配列と結合する。さらなる例では、オリゴヌクレオチドは、配列番号3に示される配列と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも82%、少なくとも85%、少なくとも87%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は少なくとも99.5%同一の配列と結合する。
【0076】
さらなる例では、オリゴヌクレオチドは、配列5'AGGGAACCCACTGCTTA3'(配列番号4)を含む又はからなる。さらなる例では、オリゴヌクレオチドは、配列X-AGGGAACCCACTGCTTA-Z(配列番号5)(式中、Xは、リポーター分子であり、Zは、クエンチャー分子である)を含み又はからなり、配列は、任意選択で、少なくとも1つのロックド核酸(LNA)を含有する。さらなる例では、Xは、FAM(カルボキシフルオレセイン)であり、Zは、BHQ-1である。さらなる例では、オリゴヌクレオチドは、1から6の間のLNA、2から5の間のLNA又は2から4の間のLNAを含む。さらなる例では、オリゴヌクレオチドは、配列FAM-AGGLNAGALNAACLNACCACLNATGLNACTTA-BHQ-1(配列番号6)(式中、Xは、リポーター分子であり、Zは、クエンチャー分子であり、LNAは、ロックド核酸である)を含む又はからなる。明確さのために、ロックド核酸は、本明細書において、NLNA(式中、Nは、示されたA、T、C又はG核酸塩基である)と呼ばれる。
【0077】
当業者ならば、LNA修飾は、前記の位置に制限されず、LNA修飾の位置の数は、リアルタイムPCRアッセイの特異性を改善し、バックグラウンドを低下させるために確認されるということは理解するであろう。
【0078】
一例では、HIV-1フォワードプライマーは、配列5'GAGCCTGGGAGCTCTCTG3'(配列番号7)又はそれと少なくとも75%同一の配列を含む又はからなる。さらなる例では、フォワードプライマーは、配列番号7に示される配列と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも82%、少なくとも85%、少なくとも87%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は少なくとも99.5%同一の配列を含む又はからなる。
【0079】
一例では、フォワードプライマーは、配列5'-CAGAGAGCTCCCAGGCTC-3'(配列番号8)を含む若しくはからなるHIV-1 R領域配列又はそれと少なくとも75%同一の配列とハイブリダイズする。さらなる例では、フォワードプライマーは、配列番号8に示される配列と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも82%、少なくとも85%、少なくとも87%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は少なくとも99.5%同一の配列を含む又はからなる配列とハイブリダイズする。
【0080】
一例では、リバースプライマーは、配列5'ACTCAAGGCAAGCTTTATTGAGGC3'(配列番号9)又はそれと少なくとも75%同一の配列を含む又はからなる。さらなる例では、リバースプライマーは、配列番号9に示される配列と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも82%、少なくとも85%、少なくとも87%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は少なくとも99.5%同一の配列を含む又はからなる。
【0081】
一例では、リバースプライマーは、配列5'GCCTCAATAAAGCTTGCCTTGAGT3'(配列番号10)を含む若しくはからなるHIV-1 R領域配列又はそれと少なくとも75%同一の配列とハイブリダイズする。さらなる例では、リバースプライマーは、配列番号10に示される配列と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも82%、少なくとも85%、少なくとも87%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は少なくとも99.5%同一の配列を含む又はからなる。
【0082】
別の例では、フォワードプライマーは、配列5'GAGCCTGGGAGCTCTCTG3'(配列番号7)を含み又はからなり、リバースプライマーは、配列5'ACTCAAGGCAAGCTTTATTGAGGC3'(配列番号9)を含む又はからなる。
【0083】
別の例では、オリゴヌクレオチドは、配列番号2に示されるHIV-2 R領域配列内の約13~40の連続するヌクレオチドを含む若しくはからなる配列又はそれと少なくとも70%同一の配列と結合する。さらなる例では、オリゴヌクレオチドは、配列番号2に示される配列と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも82%、少なくとも85%、少なくとも87%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は少なくとも99.5%同一の配列と結合する。
【0084】
別の例では、オリゴヌクレオチドは、配列5'GCCTGGGTGTTCCCTGCTAGACTCT3'(配列番号11)を含む若しくはからなる配列又はそれと少なくとも70%同一の配列と結合する。さらなる例では、オリゴヌクレオチドは、配列番号11に示される配列と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも82%、少なくとも85%、少なくとも87%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は少なくとも99.5%同一の配列と結合する。
【0085】
別の例では、オリゴヌクレオチドは、配列5'AGAGTCTAGCAGGGAACACCCAGGC3'(配列番号12)を含む又はからなる。さらなる例では、オリゴヌクレオチドは、配列X-GCCTGGGTGTTCCCTGCTAGACTCT-Z(配列番号13)(式中、Xは、リポーター分子であり、Zは、クエンチャー分子である)を含む又はからなる。さらなる例では、Xは、FAM(カルボキシフルオレセイン)であり、Zは、BHQ-1である。
【0086】
一例では、HIV-2フォワードプライマーは、配列番号14、配列番号31、配列番号33若しくは配列番号35の配列又はそれと少なくとも75%同一の配列を含む又はからなる。さらなる例では、フォワードプライマーは、配列番号14、配列番号31、配列番号33又は配列番号35と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも82%、少なくとも85%、少なくとも87%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は少なくとも99.5%同一の配列を含む又はからなる。
【0087】
一例では、フォワードプライマーは、配列5'-GAGAACCTCCCAGGGCTC-3'(配列番号15)を含む若しくはからなるHIV-2 R領域配列又はそれと少なくとも75%同一の配列とハイブリダイズする。さらなる例では、フォワードプライマーは、配列番号15に示される配列と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも82%、少なくとも85%、少なくとも87%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は少なくとも99.5%同一の配列を含む又はからなる配列とハイブリダイズする。
【0088】
一例では、HIV-2リバースプライマーは、配列番号16、配列番号32、配列番号34若しくは配列番号36の配列又はそれと少なくとも75%同一の配列を含む又はからなる。さらなる例では、リバースプライマーは、配列番号16、配列番号32、配列番号34又は配列番号36に示される配列と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも82%、少なくとも85%、少なくとも87%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は少なくとも99.5%同一の配列を含む又はからなる。
【0089】
別の例では、フォワードプライマーは、配列番号14、配列番号31、配列番号33又は配列番号35の配列を含み又はからなり、リバースプライマーは、配列番号16、配列番号32、配列番号34又は配列番号36の配列を含む又はからなる。
【0090】
本開示は、以下のうち1以上の組合せから選択されるプローブ、フォワード及びリバースプライマーの組合せを含む又はからなる標識されたオリゴヌクレオチドプローブを含むHIV-1核酸を増幅するための組成物を提供する:
(i)オリゴヌクレオチドプローブ:配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号45、配列番号46、配列番号47又は配列番号48、
(ii)フォワードプライマー:配列番号7又は配列番号29、及び
(iii)リバースプライマー:配列番号9又は配列番号30。
【0091】
本開示はまた、以下のうち1以上の組合せから選択されるプローブ、フォワード及びリバースプライマーの組合せを含む又はからなる標識されたオリゴヌクレオチドを含むHIV-2核酸を増幅するための組成物を提供する:
(i)オリゴヌクレオチドプローブ:配列番号12、配列番号13、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52又は配列番号53、
(ii)フォワードプライマー:配列番号14、配列番号31、配列番号33又は配列番号35、
(iii)リバースプライマー:配列番号16、配列番号32、配列番号34又は配列番号36。
【0092】
本開示はまた、抗レトロウイルス療法(ART)を必要とする及び/又はARTの投与量に調整を必要とする対象を同定する方法であって、本明細書において記載される方法のうち1以上を実施することを含む方法も提供する。
【0093】
本開示はまた、HIV陽性対象を治療する方法であって、本明細書において記載される方法のうち1以上に従ってレンチウイルス核酸又はHIV DNA及び/又はRNAを検出又は定量化するステップ、及びARTを対象に投与するステップを含む方法も提供する。
【0094】
本明細書において記載される方法を使用して、血清学によってHIV陽性であると疑われる対象が、HIV-1を有するか、HIV-2を有するかを決定できる。一例では、これは、異なる蛍光標識オリゴヌクレオチドを使用することによって1つの反応管中で行うことができる。次いで、標識オリゴヌクレオチドから発せられる検出可能なシグナルを、HIV-1又はHIV-2の存在と相関させることができる。例えば、HIV-1の存在は、黄色蛍光によって検出することができ、一方で、HIV-2の存在は、赤色蛍光によって検出することができる。
【0095】
別の例では、GAPDHオリゴヌクレオチドは、配列X-AAGGTCGGAGTCAACGGATTTGGTCGT-Z(配列番号17)(式中、Xは、リポーター分子であり、Zは、クエンチャー分子である)を含む又はからなる。一例では、Xは、FAMであり、Zは、BHQ-1である。
【0096】
別の例では、フォワード及びリバースGAPDHプライマーは、配列5'-GGTCTTTAAGCAAGCAAGCGTGG-3'(配列番号18)及び5'TCGACAGTCAGCCGCATCTT3'(配列番号19)をそれぞれ含む又はからなる。
【0097】
別の例では、β-アクチンオリゴヌクレオチドは、配列X-ATGCCCTCCCCCATGCCATCCTGCG-Z(配列番号20)(式中、Xは、リポーター分子であり、Zは、クエンチャー分子である)を含む又はからなる。一例では、Xは、FAMであり、Zは、BHQ-1である。
【0098】
別の例では、フォワード及びリバースβ-アクチンプライマーは、配列5'TCACCCACACTGTGCCCATCTACG3'(配列番号21)及び5'CAGCGGAACCGCTCATTGCCAATGG3'(配列番号22)をそれぞれ含む又はからなる。
【0099】
別の例では、3'LTRオリゴヌクレオチドは、配列5'FAM-TTAGACCAGATCTGAGCCTGGGAGCTCTC-BHQ-1 3'(配列番号25)を含む又はからなる。
【0100】
別の例では、フォワード及びリバース3'LTRプライマーは、配列5'CCAAAGAAGACAAGATATCCTTGA3'(配列番号23)及び5'TTGAGGCTTAAGCAGTGG3'(配列番号24)をそれぞれ含む又はからなる。
【0101】
別の例では、gagオリゴヌクレオチドは、配列5'-FAM-ATCLNAALNAATGLNAAGGAAGLNACTGLNAC-BHQ-1 3'(配列番号28)を含む又はからなる。
【0102】
別の例では、フォワード及びリバースgagプライマーは、配列5'AGTGGGGGGACATCAAGCAGCCATGCAAAT3'(配列番号26)及び5'TACTAGTAGTTCCTGCTATGTCACTTCC3'(配列番号27)をそれぞれ含む又はからなる。
【0103】
本開示はまた、HIV-1を検出するためのキットであって、本明細書において記載されるような組成物を、本明細書において記載される方法に従ってHIV-1を検出及び定量化するのに適した試薬及び説明書と一緒に含むキットも提供する。一例では、キットは、配列番号20のベータアクチンオリゴヌクレオチド並びにそれぞれ配列番号21及び22のフォワード及びリバースプライマーをさらに含む。別の例では、キットは、配列番号17のGAPDHオリゴヌクレオチド並びに配列番号18及び19のフォワード及びリバースプライマーを含む組成物をさらに含む。
【0104】
本開示はまた、HIV-2を検出するためのキットであって、本明細書において記載されるような組成物を、本明細書において記載される方法に従ってHIV-1を検出及び定量化するのに適した試薬及び説明書と一緒に含むキットも提供する。一例では、キットは、配列番号20のベータアクチンオリゴヌクレオチド並びにそれぞれ配列番号21及び22のフォワード及びリバースプライマーをさらに含む。別の例では、キットは、配列番号17のGAPDHオリゴヌクレオチド並びに配列番号18及び19のフォワード及びリバースプライマーを含む組成物をさらに含む。
【0105】
一例では、PCR増幅は、40サイクルである。別の例では、PCR増幅は、50サイクルである。
【0106】
一例では、本方法のステップは、順番に実施される。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【
図1】
図1は、HIV-1のゲノム構造を示す図である。
【
図2】
図2は、HIV-2のゲノム構造を示す図である。
【
図3-1】
図3は、HIV-1のR領域配列に対するPCRプライマー及びオリゴヌクレオチドプローブの位置を示す図である(A)。HIV-1配列のR領域は、95塩基長である。B、C及びDは、HIV-2のR領域配列に対する、本明細書において例示されるPCRプライマー及びオリゴヌクレオチドプローブの組合せの位置を示す。HIV-2配列のR領域は、174塩基長である。プローブのアニーリング温度を高めるために、いくつかのオリゴヌクレオチドプローブ中にロックド核酸修飾を導入した。
【
図4】
図4は、HIV-1サブタイプ配列に対するオリゴヌクレオチドプローブ(HIV-1プローブ1)のアラインメントを示す図である。陰つき部分は、効率的なPCRを提供するためにHIV-1サブタイプ間で配列が保存されている場所を示す。HIV配列は、Los Alamos National Laboratory- HIV Sequence Consortium 2013データベース(HIV Sequence Compendium 2013 Foley Bら Theoretical Biology and Biophysics Group、Los Alamos Laboratory NM、LA-UR 13-26007によって公開された)から入手した。
【
図5】
図5は、HIV-2プローブ1が結合するHIV-2サブタイプ内の配列を示す図である。
【
図6】
図6は、リアルタイムPCRアッセイ(A)及びエンドポイントPCRアッセイ(B)の模式図を示す。リアルタイムPCRアッセイは、Taqmanプローブ及び非標識プライマーセットを使用する。この実施形態におけるエンドポイントPCRアッセイは、ビオチン標識リバースプライマー及び非標識フォワードプライマー及びジゴキシゲニン(Dig)標識プローブを使用する。Digに対するペルオキシダーゼ標識抗体が添加され、化学発光反応が続いて、相対光単位(RLU)が提供される。
【
図7】
図7は、血漿ウイルス量アッセイは、最適ART対象を、最適未満ART対象と識別することができないことを示す図である。46人の対象すべて(最適未満ART及び最適ART群)は、血液採取時点で抑制されたVL(VL<20コピー/mL)を示した。
【
図8】
図8は、GAPDH標準を使用する本方法に従う細胞内RNA増幅及び定量化が、「最適未満ART」(n=18)及び「最適ART」(n=29)対象群を識別し、相違が統計的に有意であったことを示す図である(A)。HIV-1 DNAレベルに基づくさらなる解析は、HIV-1 DNAレベルが、10
6個細胞あたり800HIV-1 DNA未満である「改善された最適ART」群を規定する(B)。「改善された最適ART」(n=6)及び「最適ART」(n=23)のHIV-1 RNA転写活性の相違は、統計的に有意であった(B及びC)。「ブリップ」を起こした、「免疫学的失敗」患者は、最適未満ART対象として分類され、ここで、ブリップは、6ヶ月内の一時的な高pVL(200コピー/mL未満)の少なくとも1回のエピソードである。免疫学的失敗は、<20コピー/mlのpVL及び<350カウント/μlのCD4
+T細胞カウントと定義され、一方で、最適ART対象は、6ヶ月を超える間の抑制されたVLを示していた(VL<20コピー/mL)。
【
図9】
図9は、治療成功患者の通常のVLデータを示す図であり、ART治療を停止した後にHIV-1 VLを回復した。4人の治療ナイーブ患者を、ARTを用いて1年間治療した。4人の患者(patents)における血漿ウイルス量のレベル(pVL、丸を有する黒線)は、24週間の長さの治療の間(A、B及びD)及び12週間の長さの治療の間(C)検出限界未満であった。pVLレベルは、ART治療の52週(1年)まで検出レベル未満で維持された。4人の患者における検出不能なpVLにもかかわらず、低レベルの細胞内HIV-1転写活性が検出された(灰色の棒)。療法を停止した後、4人の患者においてVLの急速な上昇があり、細胞内HIV-1転写活性の上昇は、VLの増大を伴った。ART=抗レトロウイルス療法。STI=狭窄治療中断(STI:ARTを停止すること)。
【
図10】
図10は、
図9における対象が、ART治療の第2相に入ったことを示す図である。この第2相ART期間の間に、VLは検出レベル未満に抑制されたが、検出レベル未満のVLでさえ、細胞内HIV-1転写活性が一貫して検出された(灰色の棒)。両患者(A及びB)において第2相のART治療を停止した後、迅速に回復したVLが観察された。ART=抗レトロウイルス療法。STI=狭窄治療中断(STI:ARTを停止すること)。
【
図11】
図11は、転写活性の増大が、潜在的に感染しているリザーバー中の細胞に由来するか否かを調べるための、横軸上の灰色の丸として示される、1週間(ART)及びARTを停止した後4週間(sw4)での細胞内RNAを示す図である。ART後16週間の回復したHIV-1血漿RNA(上部の灰色の丸)を回収し、Sangerシーケンシングによって解析した。データを、ウェブベースのHIVデータベース(http://www.hiv.lanl.gov/content/sequence/HIV/HIVTools.html)で近隣結合クラスタリング法を使用して解析した。同一対象から単離されたサンプルは、一緒にクラスター化され(灰色の矩形のボックス)、これは、潜在性ウイルスリザーバーが、持続的HIV転写活性を有し、これが、血漿ウイルス量の回復に寄与することを示唆する。
【
図12】
図12は、2人の対象の血漿サンプルから得られたHIV-2 RNAのTaqManプローブに基づくPCR解析及び定量を示す図である。(A)は、サンプル及びHIV-2標準における、HIV-2コピー/血漿1mlの解析を示す。HIV-2 RNAコピー数を、7種の標準から作製したCp値から推定した。(B)は、HIV-2アッセイの標準解析を示す。標準によって作成されたCp値は、中白丸によって示されている。
【
図13】
図13は、検出限界未満の血漿ウイルス量を有する対象において実施された細胞内HIV-2転写物解析を示す図である。陰性血漿ウイルス量検出にもかかわらず、組み込まれたHIV-2 DNAコピー数に対して正規化されるとHIV-2細胞内転写物(HIV-2 RNA)が検出された。
【
図14】
図14は、血漿ウイルス量(A)について28人の対象の解析を示す図である。(A)において示されるように、対象の血漿中には検出可能なHIV-1はなかった。(B)は、最適(n=7)及び最適未満(n=21)ART対象におけるHIV-1 DNAの定量化を示す。(C)は、HIV-1転写活性(RNA)を示す。
【
図15】
図15は、改善された最適ART、最適Art及び最適未満ART対象におけるHIV-1転写活性(RNA)を示す図である。
【
図16】
図16は、潜在的HIV-1感染細胞における活性化されたHIV-1のGAPDHに対して正規化されたHIV転写を示す図である。
【
図17】
図17は、HIV-1 DNA標準の40サイクルエンドポイント増幅の標準曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0108】
配列の表
以下の表は、本開示において言及される配列をまとめている。
【0109】
【0110】
詳細な説明
全般
本明細書を通じて、具体的に別に示さない限り、又は文脈が別のものを必要としない限り、単一のステップ、組成物、ステップの群又は組成物の群への言及は、それらのステップ、組成物、ステップの群又は組成物の群のうち1つ及び複数(すなわち、1以上)を包含すると解釈されなければならない。
【0111】
当業者ならば、本開示は、具体的に記載されたもの以外の変法及び改変の影響を受け得ることを理解するであろう。本開示は、すべてのこのような変法及び改変を含むということは理解されるべきである。本開示はまた、個別に又はまとめて本明細書において言及される、又は示されるステップ、特徴、組成物及び化合物のすべて、並びに前記のステップ又は特徴の任意の2つ以上のありとあらゆる組合せを含む。
【0112】
本開示は、単に例示目的で意図される本明細書において記載される具体例による範囲に制限されるべきではない。機能的に同等な物、組成物及び方法は、明確に本開示の範囲内にある。
【0113】
本明細書において本開示の任意の実施例は、特に別に具体的に記載されない限り、変更すべきところは変更して、本開示の任意のその他の実施例に当てはまると解釈されなければならない。
【0114】
別に具体的に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語及び科学用語は、当業者(例えば、細胞培養、分子遺伝学、免疫学、免疫組織化学、タンパク質化学及び生化学における)によって一般に理解されるものと同一の意味を有すると解釈されなければならない。
【0115】
特に断りのない限り、本開示において利用される組換えタンパク質、細胞培養及び免疫学的技術は、当業者に周知の標準手順である。このような技術は、J. Perbal、A Practical Guide to Molecular Cloning、John Wiley and Sons(1984年)、J. SambrookらMolecular Cloning: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989年)、T.A.Brown(編)、Essential Molecular Biology: A Practical Approach、第1及び2巻、IRL Press(1991年)、D.M. Glover及びB.D. Hames(編)、DNA Cloning: A Practical Approach、第1~4巻、IRL Press (1995年及び1996年)並びにF.M. Ausubelら(編)、Current Protocols in Molecular Biology、Greene Pub. Associates and Wiley-Interscience (1988年、現在までのすべての最新情報を含む)、Ed Harlow and David Lane(編) Antibodies: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、(1988年)並びにJ.E. Coliganら(編) Current Protocols in Immunology、John Wiley & Sons (現在までのすべての最新情報を含む)などの文献を通じて記載され、説明されている。
【0116】
用語「及び/又は」、例えば、「X及び/又はY」は、「X及びY」又は「X又はY」のいずれかを意味すると理解されなければならず、両方の意味又はいずれかの意味のための明確なサポートを提供すると解釈されなければならない。
【0117】
本明細書を通じて、単語「含む(comprise)」又は「含む(comprises)」又は「含んでいる(comprising)」などの変形は、記載される要素、整数若しくはステップ又は要素、整数若しくはステップの群を含むが、任意のその他の要素、整数若しくはステップ又は要素、整数若しくはステップの群を排除しないことを意味すると理解される。
【0118】
単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」への言及は、文脈が別に示さない限り、複数形態を含むことを意味すると理解される。
【0119】
本明細書中に含まれている文書、行為、材料、デバイス、論文などの任意の考察は、
これらの事項のいずれか又はすべてが、本出願の各請求項の優先日よりも前に存在していたかのように、先行技術の基盤の一部を形成するか、又は本開示と関連する分野におけるよく知られている一般常識であることを認めるものと解釈されるべきではない。
【0120】
選択された定義
用語「レンチウイルス」とは、本明細書において、レトロウイルス科のウイルスの属を指す。ゲノムは、円錐形カプシドの内側にプラスセンスssRNAの2つのコピーを含む。レンチウイルスの例として、ヒト(HIV)、サル(SIV)及びネコ(FIV)が挙げられる。
【0121】
用語「HIV」又は「ヒト免疫不全ウイルス」とは、本明細書において、種々のサブタイプを含むHIV-1又はHIV-2を指す。HIV-1のサブタイプは、A、B(最も優性の形態)、C、D、E、F、G、H、J及びKを含む。HIV-2のサブタイプは、A、B、C、F又はGを含む。HIV-1及びHIV-2は、系統的に関連する群又はクレードに対応する群(例えば、HIV-1 M、N、O及びP群)に現在分類されている。HIV-1及びHIV-2の構造は、
図1に提供されている。
【0122】
用語「加水分解オリゴヌクレオチド」又は「プローブ」とは、本明細書において、5'末端が蛍光リポーター分子で標識されており、3'末端がクエンチャー分子で標識されている二重標識オリゴヌクレオチドを指す。プローブの配列は、増幅される標的分子中の対象の領域(すなわち、
図1中のR領域)に特異的である。通常、プローブ長は、20~30塩基の間である。プローブは、配列の長さが、5'フルオロフォア及び3'クエンチャーを、蛍光を抑制するように十分に近接して位置付けるように設計される。増幅反応の間に、伸長が、結合された加水分解プローブに到達すると、Taqポリメラーゼの5'-3'エキソヌクレアーゼ活性がプローブを分解する。プローブの切断は、蛍光リポーター分子を、プローブの残りから分離し、リポーター分子が蛍光を発することを可能にする。その後のPCRサイクルにより、放出された蛍光リポーターの量、したがって、蛍光が、累積的に増大する。加水分解オリゴヌクレオチドの一例として、TaqMan(登録商標)プローブがある。
【0123】
用語「同定する」及びその文法的変化形は、2以上の言及される実体が同一であることを意味する。したがって、2種の配列が同一である場合には、それらは、少なくとも言及された領域又は部分内で同一のアミノ酸配列を有する。2種の核酸配列が同一である場合には、それらは、少なくとも言及された領域又は部分内で同一ポリヌクレオチド配列を有する。同一性は、配列の定義された範囲(領域又はドメイン)にわたってであり得る。ポリヌクレオチドの同一性%は、gap作製ペナルティー=5及びgap伸長ペナルティー=0.3を用いてGAP(Needleman and Wunsch、J. Mol Biol.第48巻:444~453頁 1970年)解析(GCGプログラム)によって決定される。別に記載されない限り、クエリー配列は、少なくとも45ヌクレオチドの長さであり、GAP解析は、2つの配列を少なくとも45ヌクレオチドの領域にわたってアラインする。好ましくは、クエリー配列は、少なくとも100ヌクレオチドの長さであり、GAP解析は、2つの配列を少なくとも100ヌクレオチドの領域にわたってアラインする。最も好ましくは、2つの配列がその全長にわたってアラインされる。
【0124】
用語「ウイルス量又はVL」とは、本明細書において、生物中に存在するウイルス粒子(すなわち、HIV-1又はHIV-2)の数又はウイルス遺伝物質の量の尺度、通常、血漿の容量あたりのウイルス粒子の数を指すように意図される。
【0125】
用語「抗レトロウイルス療法」又は「ART」とは、本明細書において、HIVが身体中で増える速度を減速させるために使用されるいくつかの抗ウイルス医薬の組合せを用いるHIV陽性対象の治療を指す。
【0126】
用語「最適な/有効なART」とは、本明細書において、血漿ウイルス量(pVL)が、6ヶ月間を越えて抑制された対象を指す。「抑制されたウイルス量」とは、pVLによる検出の限界未満を意味する。
【0127】
用語「プライマー」とは、本明細書において、核酸鎖(鋳型)と相補的であるプライマー伸長生成物の合成が誘導される条件下に置かれた場合に、合成の開始点として作用可能であるオリゴヌクレオチドを指す。
【0128】
用語「最適未満/有効未満ART」とは、本明細書において、少なくとも1回のブリップ(BL)を起こしている、又は免疫学的失敗(IL)を有する対象を指す。ブリップとは、ウイルス量が、50から100コピー/mlの間(又は約<200コピー/mL)に上がる一過性のウイルス増大を指す。最適未満ART対象とは、6ヶ月で1回以上のブリップを示すものである。免疫学的失敗とは、<20コピー/mlのpVL及び<350カウント/μlのCD4+T細胞カウントと定義される。用語「改善された最適ART」とは、本明細書において、特に、最適ART群患者内で106個細胞あたり800DNA未満のDNAコピー数を有する対象を指す。
【0129】
用語「リアルタイムPCR」とは、本明細書において、DNA又は逆転写されたRNAの増幅が、従来のPCRにおけるようにその最後ではなく、PCRの間リアルタイムでモニタリングされる任意の方法論を指す。通常、用語「リアルタイムPCR」及び「定量的PCR」は、同義的に使用される。リアルタイムPCRを実施する方法は、本明細書において記載されるような供給源から当技術分野で公知である。TaqManプローブを使用してリアルタイムPCRを実施するためのキットは、商業的供給者、例えばThermofisher又はApplied Biosystemsから入手可能である。
【0130】
用語「Cp」又は「クロッシングポイント」とは、本明細書において、増幅からの蛍光がバックグラウンド蛍光を超える、リアルタイムPCRの間のサイクルを指す。例えば、より低いCpは、サンプルにおけるより高い標的発現レベルと相関する。
【0131】
用語「RNA」はまた、本明細書において、mRNAを含むように意図される。
【0132】
本明細書において、用語「治療する(treat)」、「治療している(treating)」、「治療(treatment)」及びその文法的変化形は、個々の対象を、その対象において生理学的応答又は結果を得るように望まれるプロトコール、治療計画、プロセス又は療法に付すことを意味する。治療された対象のいずれもが、特定の治療プロトコール、治療計画、プロセス又は療法に対して応答しないことがあるので、治療は、所望の生理学的応答又は結果が、ありとあらゆる対象又は対象集団において達成されることを必要としない。したがって、所与の対象又は対象集団は、治療に対して応答できない、又は不十分に応答することもある。
【0133】
用語「と結合する」とは、オリゴヌクレオチドが、特定の核酸配列と、代替核酸配列と行うのよりも頻繁に、より迅速に、より長い期間及び/又はより大きい親和性で反応する、又は会合することを意味する。
【0134】
用語「ハイブリダイズする」とは、本明細書において、相補的一本鎖核酸からの二本鎖核酸の形成を指す。ハイブリダイゼーションは、完全にマッチしている、又はいくつかのミスマッチを有して実質的にマッチしている2つの核酸鎖の間で起こり得る。ハイブリダイゼーションのための相補性は、ハイブリダイゼーション条件、特に、温度に応じて変わり得る。ハイブリダイゼーションのための詳細な条件は、Molecular Cloning、A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor NY (2001年)及びMLM Anderson、Nucleic acid hybridisation、Springer-Verlag、New York、NY (1999年)に見い出すことができる。
【0135】
本明細書において言及されるような用語「ロックド核酸」とは、LNAヌクレオチドのデオキシリボース部分が、2'酸素と4'炭素をつなぐ余分の架橋を用いて修飾されている修飾されたDNAヌクレオチドを指す。
【0136】
用語「PBMC」とは、本明細書において、円形核を有する任意の末梢血細胞、例えば、T細胞、B細胞、NK細胞及び単球を指すように意図される。PBMCはまた、前駆体細胞を含有する。それらは、通常、Ficoll又はFicoll-Paqueを使用して全血から分離される。
【0137】
対象におけるHIV-1又はHIV-2の検出並びにHIV-1及びHIV-2の分化
ほとんどのHIV感染患者は、抗レトロウイルス療法(ART)下にある。ART治療は、血漿ウイルス量(pVL)(血漿中のHIV RNAコピー数)を検出限界未満のレベルに、大幅に迅速に低減することができる。ART治療は、HIV感染と関連する罹病率及び死亡率の両方を著しく改善したが、ARTは、治癒にはつながらない。ARTを用いる長期の治療にもかかわらず、HIVは、多数の細胞種において組み込まれたHIV DNAとして持続し、寿命の長い細胞性リザーバーを形成する。ARTの中断の際に、pVLレベルは、患者の大部分において急速に、普通、数週間内に回復する。現在、HIV(HIV-1又はHIV-2)感染患者のためのARTの治療結果をモニタリングし、評価するために利用可能な信頼のおけるアッセイはない。通常、pVL及びCD4+T細胞カウントの両方とも、HIV感染患者のART治療をモニタリングするために使用される。成功裏に治療された患者のほとんどにおいて、pVL値は、検出限界未満であり、CD4+細胞数は、普通、高レベルで維持される。これらの古典的なマーカーは、依然として重要な役割を果たすが、それらは、活発なHIV感染をモニタリングするのに十分なほど感度が高くはない。
【0138】
プロウイルスのDNA、HIVが組み込まれたDNA、2種のLTRサークル及び血漿中の超高感度ウイルス量を含む、HIV活性を検出することに基づくアッセイは、感度の欠如及び/又は大容量の検体を必要とすることをもたらした。
【0139】
現在、対象中のHIVの検出は、生体サンプル、普通、血液を、HIV抗体及びp24抗原について試験する第1の血清学ベースのスクリーニングアッセイ(「HIV-1/2抗原/抗体組合せイムノアッセイ」)で始まる。サンプルが陽性である場合には、「HIV-1/HIV-2抗体分化イムノアッセイ」を用いる第2の確認アッセイが実施される。このような試験として、ウエスタンブロット解析、マルチスポット(multisport)解析又はGeenius(商標)補足アッセイが挙げられる。この試験は、対象においてHIV-1とHIV-2を区別するために使用される。試験は、良好な感度を有するが、良好な特異性は有さず、したがって、場合によっては、HIV陽性サンプル及び確定できないHIV-1/2状態の対象のさらなる試験が、核酸試験(NAT)を使用して行われる。
【0140】
HIV-1 DNA確認アッセイは、Rocheによって開発された(Amplicor HIV-1 DNA PCR試験)。しかし、このアッセイは、現在中断されており、HIV診断アルゴリズムは、HIV-1 DNA検出から大型の自動化機械類(Cobas 6800/8800システム、M2000及びPantherシステム)を使用するHIV-1 RNA検出に変化している。方法論は、HIV-1 RNAの定量化のための、HIV-1ゲノムの2つの別個の領域の同時増幅及び検出に基づいている。機械は、多数のサンプルを処理するために意図されているが、ほとんどのHIV参照検査室は、確認試験要求のための多数のサンプルを有していない。さらに、結果が得られるまでに、少なくとも8時間かかり、それは、サンプルを機械類を有する施設に輸送することに関する時間は考慮していない。多数のHIV-1診断検査室では、現在、血漿ウイルス量RNAアッセイが、代替HIV-1確認(conformation)アッセイとして使用されている。しかし、HIV-1確認アッセイとしてHIV-1血漿VL RNAアッセイを使用することにおいてはいくつかのリスクがある。初期HIV-1感染段階では、本発明者は、血漿中で血漿VL RNAを検出できなかったが、これは、初期HIV-1感染段階では、HIV-1血漿RNAレベルが上昇しないからである。血漿LVは、HIV-1感染の2~3週間後に上昇する。したがって、血漿VL HIV-1 RNAアッセイは、HIV-1確認アッセイとして完全に適しているわけではない。
【0141】
トレンドが、HIV-1 RNAアッセイに移行したので、現在のところ確認のためのHIV-1 DNAアッセイはない。さらに、機械の費用及び試験の費用が、Cobas 6800/8800システムを病院の検査室にとって法外に高価にしている。
【0142】
HIV-1 RNAウイルス量試験は感度が高く、信頼のおけるものであるが、HIV-2の有病率の増大のためにHIV-1 DNA検出が当技術分野で依然として必要である。さらに、第2の血清学ベースの補足確認試験による、確定できないHIV-1/2と考えられるサンプル及びHIV陽性サンプルのHIV状態を確認するためのより感度の高い方法論が必要である。
【0143】
現在、利用可能なHIV-2 DNA確認アッセイはない。本明細書において記載される方法は、かなり短い時間枠で、相当に低い費用で、試験のために適当な施設にサンプルを輸送する必要を伴わずに実施され得る、HIV-1及びHIV-2 DNAの検出及び定量化を提供する。
【0144】
HIV診断アルゴリズムの現在の移行のために(焦点がHIV血漿ウイルス量RNA解析に移行した)、対象においてHIV-1とHIV-2感染を区別できる確認アッセイが依然として強く必要とされている。第2の血清学ベースの補足確認試験によって、対象が「確定できないHIV-1/2」及び「HIV陽性」であると評価される場合には、このようなアッセイは特に重要である。
【0145】
本明細書において記載されるHIV-1又はHIV-2を検出する方法は、レンチウイルスの長末端反復(LTR)内のR領域をターゲッティングすることに基づいている。アッセイを開発するために、本発明者は、いくつかの技術的困難性を克服することを必要とした。第1に、R領域の長さが短く、約95~175塩基長である(本明細書において、配列番号1及び2を参照のこと)。通常、フォワード及びリバースプライマーのPCRプライマー長は、18~25塩基長の間であり、プローブ長は、約20~30塩基長である。したがって、オリゴヌクレオチド及びプライマーが結合できる限定された配列のみが利用可能であった。さらなる問題は、プライマー-二量体形成が起こる可能性である。さらに、プライマー及びオリゴヌクレオチドプローブは、それらが、HIV(HIV-1又はHIV-2)のすべてのサブタイプ中で信頼のおける、感度の高い検出を提供するように設計されなくてはならない。これは、HIV-1について、例えば、
図1A及び
図2A及びBにおいて例示される。
図2Aは、HIV-1 A、B、C、D、F及びGサブタイプ中で比較的保存された領域とフォワード及びリバースプライマーのアラインメントを示す。
図2Bは、HIV-1サブタイプA、B、C、D、F及びGに対するオリゴヌクレオチドプローブのアラインメントを示す。本発明者は、フォワードプライマーの3'末端での良好なアラインメント及びリバースプライマーの完全にマッチした5'末端が、効率的なPCR解析を達成するために必要であることを見い出した。本発明者はまた、効率的なPCRを達成するために、オリゴヌクレオチドプローブは、HIV-1配列と、プローブ配列の3'及び5'末端で完全にマッチしていることを必要とすることも見い出した。本発明者は、HIVレンチウイルスのR領域を検出できる定量的リアルタイムPCRアッセイを設計するために、短い配列及び配列中の複数のサブタイプ変動の制約を成功裏に克服できた。
【0146】
対象におけるHIVの検出
本開示は、HIVを有する対象又はHIV感染(AIDS)を有すると疑われる対象においてヒト免疫不全(HIV)を検出する方法であって、対象から得られた生体サンプル中の核酸のPCR増幅を実施するステップであって、増幅が、HIVの長末端反復(LTR)のR領域内の配列とハイブリダイズするプライマーを含むステップ、並びに続いていずれかの増幅を検出するステップを含み、増幅の検出が、対象におけるHIVの存在を示す方法を提供する。
【0147】
R領域の2つのコピーが、HIVゲノム中に存在するので、増幅の結果、5'及び3'LTR内に存在する両R領域が増幅されるであろう。
【0148】
PCR増幅は、従来のPCRを使用して実施されても、定量的PCR(RT-PCR)を使用して実施されてもよい。一例では、PCRは、リアルタイムPCRを使用して実施される。
【0149】
一例では、方法は、プローブをさらに含む。プローブは、標識された加水分解オリゴヌクレオチドであり得る。さらなる例では、プローブは、TaqMan(登録商標)プローブである。プローブはまた、蛍光標識されたハイブリダイゼーションプローブであり得る。
【0150】
一例では、検出方法は、
(i)サンプル中の核酸を、HIVの長末端反復(LTR)のR領域配列内と結合する標識された加水分解オリゴヌクレオチドと接触させるステップ、
(ii)核酸を、R領域配列内の配列とハイブリダイズするフォワード及びリバースプライマーとさらに接触させるステップ、
(iv)R領域配列を増幅するステップ、及び
(v)増幅を検出するステップ
をさらに含み、
増幅が、標識されたオリゴヌクレオチドから発せられるシグナルによって検出され、対象中のHIVの存在を示す。
【0151】
好ましくは、フォワード及びリバースプライマーは、オリゴヌクレオチドが結合するR領域配列のそれぞれ上流及び下流のR領域配列と結合する。
【0152】
一例では、方法は、対象から生体サンプルを得るステップをさらに含む。さらなる例では、生体サンプルは、全血、血漿又は末梢血単核細胞(PBMC)である。別の例では、DNAは、生体サンプルから抽出される。
【0153】
HIVは、HIV-1又はHIV-2であり得る。別の例では、HIV核酸は、DNA又はRNAである。別の例では、方法は、組み込まれたHIVを検出する。別の例では、増幅は、定量的PCRによる。別の例では、増幅は、リアルタイムPCR(RT-PCR)による。別の例では、加水分解オリゴヌクレオチドは、TaqMan(登録商標)プローブである。
【0154】
HIV DNAの定量化
本開示はまた、生体サンプル中のHIV DNAコピー数を定量化する方法を提供する。したがって、本開示は、HIVを有する、又はHIV感染を有すると疑われる対象から得た生体サンプル中のHIV DNAコピー数を定量化する方法であって、
(i)HIV-R領域配列を検出するステップ、及び
(ii)HIV標準に対する参照によってサンプル中のHIV-R領域コピー数を定量化するステップと
を含み、コピー数が、サンプル中に存在するDNAの容量あたりのHIV-R領域のコピーとして表される方法を提供する。
【0155】
一例では、HIV-R領域配列を検出することは、本明細書において記載される、又は当技術分野で公知のように実施される。
【0156】
一例では、方法は、
(iii)対応するハウスキーピング標準を使用する定量的PCRによって内因性ハウスキーピング遺伝子を定量化して、サンプル中に存在するDNAの容量あたりのハウスキーピング遺伝子のコピーとして表される内因性遺伝子のコピー数を得るステップ、
(iv)得られたコピー数を、細胞中の内因性遺伝子のコピーの数によって除すことによって、サンプル中のDNAの容量あたりの細胞数を導くステップ、及び
(v)(i)で得られた値を(iii)で得られた値で除すことによって、細胞あたりのHIV-R領域DNAコピー数を算出することによってHIV DNAコピー数を正規化して、生体サンプル中のDNAコピー数(コピー/細胞)を得るステップ
をさらに含む。
【0157】
「対応する」とは、ハウスキーピング標準が、内因性ハウスキーピング遺伝子と同一であることを意味する。
【0158】
好ましくは、HIV-R領域DNA及び内因性ハウスキーピング遺伝子の定量化は、対象から得られた同一サンプルのアリコートを使用して実施される。特定の例では、DNAが抽出された対象由来のサンプルのアリコートで実施される。
【0159】
一例では、HIV-R領域は、
(i)DNAが抽出されたサンプルのアリコートを得ること、
(ii)アリコートを、HIV DNAの長末端反復(LTR)のR領域配列内と結合する標識されたオリゴヌクレオチドと接触させること、
(iii)アリコートを、R領域配列内の配列とハイブリダイズするフォワード及びリバースプライマーとさらに接触させること、
(iv)定量的PCRによってR領域配列を増幅させること、
(v)標識されたオリゴヌクレオチドから得られたシグナルを、HIV標準の段階希釈物の対応する増幅によって得られた標準曲線に外挿して、アリコート中のDNAの容量あたりのHIV-R領域DNAコピー数を導くこと
によって定量化される。
【0160】
別の例では、内因性ハウスキーピング遺伝子は、
(i)抽出されたDNAを含有するサンプルのアリコートを得ること、
(ii)アリコート中のハウスキーピング遺伝子を、ハウスキーピング遺伝子内の配列と結合する標識されたオリゴヌクレオチドと接触させること、
(iii)アリコートを、オリゴヌクレオチドが結合するハウスキーピング遺伝子配列のそれぞれ上流及び下流の配列とハイブリダイズするフォワード及びリバースプライマーとさらに接触させること、
(iv)定量的PCRを使用してハウスキーピング遺伝子配列を増幅させること、並びに
(v)標識されたオリゴヌクレオチドから得られたシグナルを、標準の段階希釈物の対応する増幅によって得られた標準曲線に外挿して、アリコート中のDNAの容量あたりの内因性ハウスキーピング遺伝子コピー数を導くこと
によって定量化される。
【0161】
一例では、HIV R領域及び内因性遺伝子を増幅するために使用されるアリコートが、同一サンプルから、好ましくは、同一サンプルから抽出されたDNAから得られる。一例では、オリゴヌクレオチドは、加水分解オリゴヌクレオチドである。
【0162】
当業者によって、任意の公知のハウスキーピング遺伝子が、本方法において使用するのに適しているということは理解されるであろう。一例では、ハウスキーピング遺伝子は、ベータアクチンである。別の例では、ハウスキーピング標準は、1、20、200、2000、20,000、2x105及び2x106コピー/μlを提供するように段階希釈される。
【0163】
生体サンプル中のDNAの容量あたりの細胞数は、内因性ハウスキーピング遺伝子と同一である標準を使用するリアルタイムPCRによって内因性ハウスキーピング遺伝子を定量化して、サンプル中のDNAのXコピー/μlの値として表される内因性遺伝子のコピー数を得ることによって得られる。次いで、細胞数を、200(細胞あたり200コピーのベータアクチンがあると推定して)によって除して、サンプル中のDNAのX細胞/μlの値を提供することによってアクチンコピー数から推定してもよい。当業者ならば、使用されるハウスキーピング遺伝子に応じて、ベータアクチンについての200という値が、細胞中のその遺伝子のコピーの数に対応する異なる値に置き換えられる必要があるということは理解するであろう。
【0164】
一例では、HIVは、HIV-1又はHIV-2である。
【0165】
別の例では、HIV標準は、HIVゲノムの単一コピーを含有するプラスミド標準である。
【0166】
別の例では、HIV標準は、0、4、40、400、4×103、4×104、4×105、4×106コピー/μlを提供するように段階希釈される。
【0167】
或いは、サンプル中のHIV DNAコピー数は、ハウスキーピング遺伝子の使用をDNAの吸光度に基づく計算で置き換えることによって得ることができる。したがって、ハウスキーピング遺伝子標準の使用は、DNAの吸光度を測定することに置き換えられる。このような方法に、当業者は精通しており、通常260nmでの吸光度を決定するステップを含む。
【0168】
したがって、一例では、HIV DNAコピー数を定量化する方法は、
(iii)標準に対するサンプル中のDNAの吸光度を測定することによって、サンプル中の容量あたりのDNAの質量(w/v)を定量化するステップ、
(iv)サンプル中のDNAの容量あたりの細胞数をDNA吸光度に基づいて算出するステップ、及び
(v)(ii)で得られた値を(iv)で得られた値で除すことによって細胞あたりのHIV-R領域DNAコピー数を算出することによってHIV DNAコピー数を正規化して、生体サンプル中のHIV R領域DNAコピー数(コピー/細胞)を得るステップ
をさらに含む。
【0169】
さらなる例では、サンプル中の容積あたりのDNAの質量を定量化する方法は、或いは、DNAインターカレート性色素の添加及び色素から発せられる蛍光を測定するステップを含む。一例では、DNAインターカレート性色素は、SyBr Green I、Syto-9、Syto-10-14、Syto-16、Syto-21、Syto-24、Syto-29、YoYo-1、YoYo-3及びToTo-1から選択される。
【0170】
一例では、HIVは、HIV-1又はHIV-2である。
【0171】
別の例では、HIV DNAコピー数は、1,000,000個細胞(106)あたりのHIV-R領域コピー数、すなわち、コピー/106個細胞として表される。別の例では、HIV DNAコピー数は、それだけには限らないが、1.5×106、2×106、2.5×106又は3×106個細胞を含む任意の固定数の細胞の値として表される。
【0172】
一例では、容積はμlとして表される。別の例では、質量は、260nmの吸光度によって定量化されるDNAの量である。別の例では、質量は、ngとして表される。
【0173】
本明細書において記載される方法を使用して、対象中のHIV-1のpVLを定量化できる。対象中のHIV-1のpVL(コピー/106個細胞として表される)を算出するために使用できる2つの方法論を以下に例示する。これらの方法は、例示であり、制限ではないと考えられるべきである。
【0174】
方法1(アクチン標準に基づく)
1.DNAが抽出される生体サンプル中のHIV-1標準を用いるリアルタイムPCRによって、HIV-1 R領域コピー数を定量化する(例えば、42.5コピー/抽出されたDNA 1μl)A
2.同一のDNAが抽出されるサンプルを使用するアクチン標準を用いるリアルタイムPCRによって、アクチンコピー数も定量化する(例えば、2,520,000コピー/抽出されたDNA 1μl) 3.次いで、200(アクチンは、細胞あたり200のコピー数を有する)によって除されたアクチンコピー数から、細胞数を推定する(例えば、推定される細胞数は、12,600個細胞/抽出されたDNA 1μlである)B
4.Aの値をBの値で除すること(A/B)によって細胞あたりのHIV-1 R領域コピー数を算出する(例えば、推定される細胞あたりのHIV-1コピー数は、0.003373コピー/細胞である)C
5.C×1,000,000によって106個細胞あたりのHIV-1 R領域コピー数を算出する(例えば、推定される106個細胞あたりのHIV-1コピー数は、3373コピー/106個細胞である)。
【0175】
HIV-1標準は、標準曲線(0、4、40、4×102、4×103、4×104、4×105及び4×106コピー/μl)を作製するために使用される血漿標準である。アクチン標準は、0、20、2×102、2×103、2×104、2×105及び2×106コピー/μlで使用した。
【0176】
方法2 吸光度に基づく
HIV-1のレベルを測定できる代替法は、以下のとおりにDNAが抽出されたサンプル中のDNAの質量を決定するために260nmでの吸光度を使用することによる:
1.DNAが抽出される生体サンプル中のHIV-1標準を用いるリアルタイムPCRによって、HIV-1 R領域コピー数を定量化する(例えば、42.5コピー/抽出されたDNA 1μl)A
2.患者サンプルに由来する抽出されたDNA溶液中のDNAの質量を、260nmでの吸光度によって定量化する(例えば、111.8ng/抽出されたDNA 1μl)
3.次いで、DNAの吸光度から細胞数を推定する。1ngのDNAが、150個の細胞の抽出後に得られると推定される(例えば、推定される細胞数は、16673個細胞/抽出されたDNA 1μlである)B
4.Aの値をBの値で除すること(A/B)によって、細胞あたりのHIV-1 R領域コピー数を算出する(例えば、細胞あたりの推定されるHIV-1コピー数は、0.002535コピー/細胞である)C 5.C×1,000,000によって106個細胞あたりのHIV-1 R領域コピー数を算出する(例えば、106個細胞あたりの推定されるHIV-1コピー数は、2535コピー/106個細胞である)。
【0177】
したがって、上記の方法によって決定されるHIV-1 DNAレベルは、臨床医に固定細胞数中のHIV-1 DNAレベルを提供する。
【0178】
方法3 DNAインターカレート性色素の使用に基づく
HIV-1のレベルを測定できるさらなる方法は、DNAインターカレート性色素の使用による。
【0179】
1. DNAが抽出される生体サンプル中のHIV-1標準を用いるリアルタイムPCRによって、HIV-1 R領域コピー数を定量化する(例えば、42.5コピー/抽出されたDNA 1μl)A
2.患者サンプルに由来する抽出されたDNA溶液中のDNAの質量を、DNAインターカレート性色素の蛍光発光のレベルによって定量化する(例えば、111.8ng/抽出されたDNA 1μl)
3.次いで、DNAへインターカレートされた色素の蛍光発光から細胞数を推定する。1ngのDNAが、150個の細胞の抽出後に得られると推定される(例えば、推定される細胞数は、16673個細胞/抽出されたDNA 1μlである)B
4.Aの値をBの値で除すること(A/B)によって、細胞あたりのHIV-1 R領域コピー数を算出する(例えば、細胞あたりの推定されるHIV-1コピー数は、0.002535コピー/細胞である)
5. C×1,000,000によって106個細胞あたりのHIV-1 R領域コピー数を算出する(例えば、106個細胞あたりの推定されるHIV-1コピー数は、2535コピー/106個細胞である)。C
【0180】
したがって、上記の方法により決定されたHIV-1 DNAレベルは、臨床医に固定数の細胞中のHIV-1 DNAレベルを提供する。
【0181】
HIV RNAの定量化
本開示はまた、生体サンプル中のHIV RNA、より詳しくは、逆転写されたHIV RNA(cDNA)を定量化する方法を提供する。したがって、本開示はまた、HIVを有する、又はHIV感染を有すると疑われる対象から得られた生体サンプル中のHIV RNAコピー数を定量化する方法であって、
(i)HIV cDNAの長末端反復(LTR)のR領域内の配列とハイブリダイズするフォワード及びリバースプライマーを使用して、サンプル中の逆転写されたHIV RNA(cDNA)のリアルタイムPCR増幅を実施するステップ、並びに
(ii)HIV標準に対する参照によってサンプル中のRNAの容量あたりのHIV-R領域コピー数を定量化するステップ
を含む方法も提供する。
【0182】
一例では、方法は、
(iii)対応するハウスキーピング標準を使用する定量的PCRによって内因性ハウスキーピング遺伝子を定量化して、内因性遺伝子のコピー数を得るステップであって、コピー数が、サンプル中に存在するRNAの容量あたりのハウスキーピング遺伝子のコピーとして表されるステップ、
(iv)細胞中の内因性遺伝子のコピーの数によって得られたコピー数を除して、サンプル中のRNAの容量あたりの細胞数を導くステップ、及び
(v)(i)で得られた値を(iii)で得られた値によって除すことによって細胞あたりのHIV-R領域RNAコピー数を算出することによってHIV RNAコピー数を正規化して、生体サンプル中のHIV R領域RNAコピー数(コピー/細胞)を得るステップ
をさらに含む。
【0183】
一例では、方法は、対象から生体サンプルを得るステップ、及びサンプルからRNAを抽出するステップをさらに含む。
【0184】
一例では、ハウスキーピング標準は、リアルタイムPCRによって増幅される。
【0185】
用語「対応する」とは、本明細書において、ハウスキーピング標準が、内因性ハウスキーピング遺伝子と同一であることを意味する。
【0186】
一例では、HIV-R領域は、
(i)抽出されるRNAを含有するサンプルのアリコートを得ること、
(ii)アリコートを、逆転写されたHIV RNA(cDNA)の長末端反復(LTR)のR領域配列内と結合する標識された加水分解オリゴヌクレオチドと接触させること、
(iii)アリコートを、逆転写されたHIV RNAのR領域配列内の配列とハイブリダイズするフォワード及びリバースプライマーとさらに接触させること、
(iv)定量的PCRによってR領域配列を増幅すること、
(v)標識されたオリゴヌクレオチドから得られたシグナルを、HIV標準の段階希釈物の対応する増幅によって得られた標準曲線に外挿して、アリコート中のRNAの容量あたりのHIV-R領域RNAコピー数を導くこと
によって定量化される。
【0187】
一例では、内因性ハウスキーピング遺伝子は、
(i)生体サンプルから調製されたRNAサンプルのアリコートを得ること、
(ii)アリコート中のハウスキーピング遺伝子を、ハウスキーピング遺伝子内の配列と結合する標識されたオリゴヌクレオチドと接触させること、
(iii)アリコートを、逆転写酵素並びにオリゴヌクレオチドが結合するハウスキーピング遺伝子配列のそれぞれ上流及び下流の配列とハイブリダイズするフォワード及びリバースプライマーとさらに接触させること、
(iv)定量的PCRを使用して逆転写されたハウスキーピング遺伝子配列を増幅すること、並びに
(v)標識されたオリゴヌクレオチドから得られたシグナルを、標準の段階希釈物の対応する増幅によって得られた標準曲線に外挿して、アリコート中の内因性ハウスキーピング遺伝子のDNAの容量あたりのコピー数を導くこと
によって定量化される。
【0188】
一例では、オリゴヌクレオチドは、加水分解オリゴヌクレオチドである。
【0189】
方法は、或いは、RNA吸光度に基づいて生体サンプル中のHIV RNAコピー数を定量化することを提供する。したがって、本開示はまた、HIVを有する、又はHIV感染を有すると疑われる対象由来の生体サンプル中のHIV RNAコピー数を定量化する方法であって、
(i)HIV-R領域配列を検出するステップ、
(ii)HIV標準に対する参照によってリアルタイムPCRによって、サンプル中の逆転写されたRNA(cDNA)の容量あたりのHIV-R領域コピー数を定量化し、コピー数が、サンプル中のRNAの容量あたりのHIV R領域のコピーとして表されるステップ、
(iii)サンプル中のRNAの吸光度を測定することによって、サンプル中の容量あたりのRNAの質量を定量化するステップ、
(iv)RNA吸光度に基づいてサンプル中のRNAの容量あたりの細胞数を算出するステップ、及び
(v)(ii)で得られた値を(iv)で得られた値で除すことによって細胞あたりのHIV-R領域RNAコピー数を算出して、生体サンプル中のHIV R領域RNAコピー数(コピー/細胞)を得るステップ
を含む方法を提供する。
【0190】
一例では、HIV-R領域配列を検出することは、本明細書において記載される、又は当技術分野で公知の方法に従う。
【0191】
一例では、質量は、260nmでの吸光度によって定量化されるRNAの量である。別の例では、質量は、ngとして表される。
【0192】
一例では、ハウスキーピング遺伝子は、GAPDHである。
【0193】
一例では、ハウスキーピングRNA標準は、プラスミド標準である。別の例では、RNA標準は、GAPDHである。別の例では、RNA標準は、1、20、200、2000、20,000、2×105及び2×106コピー/μlを提供するように段階希釈される。
【0194】
別の例では、細胞数は、6.35(細胞あたり6.35コピーのGAPDH RNAがあると推定して)によって除すことによってGAPDHコピー数から決定される。当業者ならば、使用される対照RNA標準に応じて、GAPDHについての6.35の値は、細胞中のその遺伝子のコピーの数に対応する異なる値と置き換えられることが必要となるということを理解するであろう。
【0195】
代替例では、HIV RNAコピー数を定量化する方法は、
(iii)RNAインターカレート性色素の蛍光発光を測定することによって、患者サンプルに由来する抽出されたRNA溶液中の容量あたりのRNAの質量(w/v)を定量化するステップ、
(iv)インターカレート性色素の発光に基づいてサンプル中のRNAの容量あたりの細胞数を算出するステップ、及び
(v)(ii)で得られた値を(iv)で得られた値で除すことによって細胞あたりのHIV-R領域RNAコピー数を算出することによってHIV RNAコピー数を正規化して、生体サンプル中のHIV-R領域RNAコピー数(コピー/細胞)を得るステップ
をさらに含む。
【0196】
一例では、RNAコピー数は、HIV R領域コピー/106個細胞として表される。
【0197】
潜在的に感染しているリザーバー細胞においてHIV転写を検出すること
本明細書において記載される方法は、潜在的に感染している細胞におけるレンチウイルス転写の検出及び定量化を提供する。これは、HIV-1 DNAレベルに対して正規化されたHIV-1転写活性を決定することによって達成される。
【0198】
HIV-1 DNAを算出するための上記の方法はまた、HIV-1 RNAの算出に適用できる。この場合には、GAPDH標準が、実施例において示されるように使用される。リアルタイムPCRが、逆転写されたRNAを増幅するために使用される。
【0199】
HIV DNAレベルに対して正規化されたHIV転写活性の値を得るために、HIV RNAレベルがHIV DNAレベルによって除される。この正規化されたHIV転写活性(DNAコピー数のHIV-R領域によって除されるRNAコピー数のHIV-R領域)は、活発なHIV-1転写を同定するために生じる転写活性の尺度を提供する。この方法論の利点は、リザーバー中の細胞(すなわち、CD4+T細胞及びマクロファージ)を選別又は分離せずにHIV転写活性に到達することができるということである。この細胞内転写アッセイは、特に、その血漿ウイルス量が検出レベル(例えば、20コピー/mL)未満である患者においてART治療の有効性を評価するために驚くべきことに有用である。本発明者は、潜在的に感染しているリザーバー細胞におけるHIV-1転写活性を利用し、同定できた。このような方法において、本出願人は、最適ARTを受けている対象を、最適未満ARTを受けている対象から分離できた。
【0200】
このやり方を使用して、ARTを用いて治療されている対象を経時的にモニタリングできる。治療が有効である場合には、対象の組み込まれたHIV-1 DNAレベルは、治療期間にわたって低下する。さらに、対象が最適ARTを受けている場合には、HIV-1感染は、リザーバー細胞内に広がらず、したがって、HIV-1 DNAの組み込まれたレベルは低下する。
【0201】
したがって、HIV-1 DNAコピー数に対するHIV-1 RNAコピー数の比は、臨床医に、サンプル採取の時点でのHIV-1 DNAレベルによって正規化された現在のHIV-1転写活性を示す診断データを提供する。これは、ART治療が潜在的に感染している細胞集団に影響を及ぼしている方法の尺度を与える。組み込まれたHIV DNAレベルは、患者ごとに変化し得るので、HIV DNAの量に対して正規化された正確なHIV転写活性を検出することが必須である。
【0202】
抗レトロウイルス療法の有効性を評価すること
理論により拘束されることを望むものではないが、本発明者は、HIV DNAコピー数及び正規化されたHIV RNAコピー数の両方が、抗レトロウイルス(ant-retroviral)療法(ART)を受けている対象を最適未満/有効未満のARTを受けているものに対して分離する、より感度の高い方法を提供することを見い出した。患者が最初に感染した時に、又は後期感染段階に患者中に存在する初期HIV量のために、組み込まれたHIV DNAレベルが患者ごとに変化し得るので、HIV RNAコピー数を単純に測定することは、対象間を識別しなかった。HIV RNAコピー数が、HIV DNAコピー数に対して正規化された場合には、最適及び最適未満ARTを受けている対象間で統計的に有意な識別を観察できた。複数時点にわたって方法を実施することによって、正規化されたHIV RNAコピー数をモニタリングし、1以上のこれまでに決定された値と比較して、対象が最適ARTを受けているか否かを評価できる。したがって、HIV DNAの量に対して正規化された正確なHIV転写活性を検出することは極めて重要である。
【0203】
したがって、本開示はまた、HIV陽性対象に投与された抗レトロウイルス療法(ART)の有効性を評価する方法であって、
(i)HIV-R領域DNAコピー数を定量化するステップ、
(ii)HIV-R領域RNAコピー数を定量化するステップ、
(iii)ステップ(i)で得られた値をステップ(ii)で得られたもので除すことによって対象から得られたサンプル中の正規化されたHIV RNAコピー数を決定するステップ、及び
(iv)正規化されたHIV RNAコピー数の値を、同一対象から得られた1以上の既に正規化された値に対して比較するステップ
を含み、正規化されたHIV RNAコピー数の減少が、対象が、最適な/有効なARTを受けていることを示す方法も提供する。
【0204】
一例では、本明細書において記載される、又は当技術分野で公知の方法を使用してHIV-R領域DNA又はRNAの定量化を実施する。
【0205】
一例では、方法は、対象から生体サンプルを得るステップ、並びにサンプルからDNA及びRNAを調製するステップをさらに含む。
【0206】
さらなる例では、HIV-R領域RNAは、
(i)生体サンプルから調製されたRNAサンプルのアリコートを得ること、
(ii)アリコートを、逆転写されたRNA(cDNA)の長末端反復(LTR)のR領域配列内と結合する標識された加水分解オリゴヌクレオチドと接触させること、
(iii)アリコートを、逆転写酵素並びにオリゴヌクレオチドが結合するR領域配列の上流及び下流の逆転写されたR領域配列内の配列とハイブリダイズするフォワード及びリバースプライマーとさらに接触させること、
(iv)定量的リアルタイムDNA PCRによって逆転写されたR領域(cDNA)配列を増幅すること、
(v)標識されたオリゴヌクレオチドから得られたシグナルを、HIV標準の段階希釈物の対応する増幅によって得られた標準曲線に外挿して、第1のアリコート中のRNAの容量あたりのHIV-R領域RNAコピー数を決定すること
によって定量化される。
【0207】
一例では、HIV DNA及びRNAを定量化する方法において使用されるHIV標準は、同一である。
【0208】
RNAコピー数を定量化する方法は、先に記載されている。好ましくは、内因性ハウスキーピング遺伝子を定量化する及びHIV-R領域RNA(cDNA)を定量化するために使用されるアリコートは、生体サンプルから調製された同一RNAに由来する。好ましくは、HIV DNA及びHIV RNAの定量化は、DNA及びRNAが別個に調製/抽出された同一生体サンプルにおいて実施される。
【0209】
一例では、HIVは、HIV-1又はHIV-2である。
【0210】
対象が最適ARTを受けているか否かの評価では、臨床医は、HIV DNA値によって正規化されたHIV RNAの比を、同一対象から得られた1以上のこれまでの値と比較することに目を向けてもよい。比が経時的に減少している場合には、このことは、臨床医に、対象が最適ARTを受けていることを示すであろう。しかし、比が増大する場合には、このことは、臨床医にARTの投与量又はARTの種類のいずれかの調整を示唆するであろう。これはまた、対象が併用療法を受けている場合には、併用療法中の構成成分の1種を置換することも含み得る。
【0211】
さらなる例では、方法は、対象に投与されるARTの投与量又は種類を調整するステップを含む。
【0212】
別の例では、正規化されたHIV RNAコピー数の比は、対象において少なくとも2つの時点にわたって決定される。さらなる例では、比は、それだけには限らないが、3、4、5、6、8、10、12、15、20、25、30、35、40などを含む、対象の生涯にわたる複数の時点にかけて決定される。別の例では、少なくとも2つの時点間の期間は、日(複数)、週(複数)又は月(複数)である。別の例では、少なくとも2つの時点間の期間は、1週間、2週間、1ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、8ヶ月又は12ヶ月である。
【0213】
別の例では、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、8%、5%、2%を超える比の減少は、対象が最適ARTを受けていることを示す。
【0214】
抗レトロウイルス療法及び治療に対する応答のモニタリング
HIV RNA(ウイルス量)及びCD4 Tリンパ球(CD4)細胞カウントは、HIV感染を管理及びモニタリングするために数十年間使用されてきた、抗レトロウイルス治療(ART)応答及びHIV疾患進行の2つの代理マーカーである。
【0215】
ウイルス量は、ARTに対する応答のマーカーである。ARTの開始後の患者のプレARTウイルス量レベル及びウイルス量の大きさの減少は、疾患進行の可能性についての予後情報を提供する。ARTの重要な目標は、耐久性のあるウイルス抑制を達成し、維持することである。したがって、ウイルス量の最も重要な使用は、ART開始後の療法の有効性をモニタリングすることである。
【0216】
CD4カウントの測定は、ARTの開始の前に特に有用である。CD4細胞カウントは、HIV感染患者の全免疫機能に関する情報を提供する。測定は、日和見感染症(OI)予防の開始及び中断のための閾値を確立することにおいて、及びARTを開始するための緊急性を評価することにおいて重大である。
【0217】
CD4カウントモニタリング
CD4カウントは、HIV感染患者における免疫機能の最も重要な検査指標である。また、臨床治験及びコホート研究由来の知見に従うその後の疾患進行及び生存の最強の予測因子でもある。CD4カウントは、高度に可変性であり、2試験間の有意な変化(2標準偏差)は、絶対カウントにおけるおよそ30%の変化又は3パーセンテージポイントによるCD4パーセンテージの増大若しくは減少である。
【0218】
HIV感染は、疾患プロセスを通した高率のウイルスターンオーバーを特徴とし、最終的に、CD4枯渇及び疾患進行につながる(Wei X、Ghosh S K、Taylor M Eら(1995年) Nature第343巻、117~122頁及びHo D D、Naumann A U、Perelson A Sら(1995年) Nature第373巻、123~126頁)。抗レトロウイルス療法の目的は、ウイルス複製の実質的な長期の抑制を達成することである。持続性のウイルス制御を達成することは、継続療法の使用を含む可能性があり、一般に、各療法は、3種以上の抗レトロウイルス薬の組合せを含む。併用療法の主要な論理的根拠は、ウイルス複製のより大きな阻害を達成する相乗的又は相加的活性に関する。しかし、療法は長年にわたって維持されることが必要となるので、薬物療法の認容性は、依然として重大となる。
【0219】
未処置患者では、1日あたりおよそ1010個の新規ウイルス粒子が製造される。HIV逆転写(RT)がエキソヌクレアーゼのプルーフリーディングによって転写エラーを補正できないことと相まって、この高レベルのウイルスターンオーバーは、HIVゲノム中の各位置で1日に104~105の突然変異をもたらす。結果は、広範な遺伝子型変動の急速な確立である。
【0220】
抗レトロウイルス療法の初期の開発は、逆転写酵素の阻害剤に焦点を当てていた。この酵素のヌクレオシド阻害剤及び非ヌクレオシド阻害剤は両方とも、有意な抗ウイルス活性を示した(DeClerq, E.(1992年) AIDS Res. Hum. Retrovir.第8巻:119~134頁)。しかし、これらの薬物の臨床的利益は、薬物耐性、限定された効力及び宿主細胞因子のために限定されていた(Richman, D. D. (1993年) Ann. Rev. Pharm. Tox.第32巻:149~164頁)。
【0221】
より最近の療法は、プロテアーゼ阻害剤の使用に焦点を当ててきた。これらは、Hoffmann-La Rocheによって開発されたサキナビル、Abbott Laboratoriesによって開発されたリトナビル、Merck & Co.によって開発されたインジナビル、Agouron Pharmaceuticalsによって開発されたネルフィナビル及びVertex Laboratoriesによって開発されたアンプレナビルなどの薬剤を含む。さらなるプロテアーゼ阻害剤として、アタザナビル、ダルナビル、ホスアンプレナビル及びチプラナビルが挙げられる。
【0222】
治療に使用してもよいその他のクラスの薬物として、フゼオン、シーエルセントリなどのCCR5共受容体アンタゴニスト並びにアイセントレス、テビケイ及びビテクタ(vitekta)などのHIVインテグラーゼストランドトランスファー阻害剤などの融合阻害剤が挙げられる。
【0223】
プロテアーゼ及び逆転写阻害剤との併用抗ウイルス療法は、AIDSの治療のための抗ウイルス療法の有望な治療効力を実証した。このような組合せは、アトリプラ、コムプレラ、エボタズ(evotaz)、プレジコビックス及びスタリビルドを含む。
【0224】
本発明は、例えば以下の実施形態を包含する:
[1]ヒト免疫不全ウイルス(HIV)を有する対象又はHIV感染(AIDS)を有すると疑われる対象においてHIVを検出する方法であって、対象から得た生体サンプル中のR領域核酸のPCR増幅を実施するステップであって、増幅が、HIVの長末端反復(LTR)のR領域内に位置する配列とハイブリダイズするフォワード及びリバースプライマーを含むステップ、並びに続いていずれかの増幅を検出するステップを含み、増幅の検出が、対象におけるHIVの存在を示す方法。
[2]増幅の検出が、増幅されるR領域配列内の配列とハイブリダイズする標識されたオリゴヌクレオチドプローブを用いて実施される、実施形態1に記載の方法。
[3]核酸が、DNA又は逆転写されたRNA(cDNA)である、実施形態1から2のいずれかに記載の方法。
[4]HIVが、HIV-1又はHIV-2である、実施形態1から3のいずれかに記載の方法。
[5]PCRが、リアルタイムPCRである、実施形態1から4のいずれかに記載の方法。
[6]PCRが、エンドポイントPCRである、実施形態1から4のいずれかに記載の方法。
[7]HIVを有する、又はHIV感染を有すると疑われる対象由来の生体サンプル中のHIV DNAコピー数を定量化する方法であって、
(i)実施形態1に記載のHIV-R領域配列を増幅及び検出するステップ、及び
(ii)対応するHIVプラスミド標準に対する参照によって増幅されたHIV-R領域配列を定量化して、サンプルの容量あたりのHIV DNAのコピー数を得るステップ
を含む方法。
[8]増幅が、リアルタイムPCR又はエンドポイントPCRである、実施形態7に記載の方法。
[9]DNA標準に対してHIV DNAコピー数を正規化して、生体サンプル中の細胞あたりのHIV DNAコピー数を得るステップをさらに含む、実施形態7又は8に記載の方法。
[10]標準に対して正規化することによって、HIVを有する、又はHIV感染を有すると疑われる対象由来の生体サンプル中のHIV DNAコピー数を定量化する方法であって、
(i)実施形態1から6のいずれかに記載のHIV-R領域配列を増幅及び検出するステップ、
(ii)対応するHIV標準に対する参照によってサンプル中のDNAの容量あたりのHIV-R領域コピー数を、定量的PCRによって定量化するステップ、
(iii)対応するハウスキーピング標準を使用する定量的PCRによって内因性ハウスキーピング遺伝子を定量化して、サンプル中に存在するDNAの容量あたりのハウスキーピング遺伝子のコピーとして表される内因性遺伝子のコピー数を得るステップ、
(iv)得られたコピー数を、細胞中の内因性遺伝子のコピーの数によって除して、サンプル中のDNAの容量あたりの細胞数を導くステップ、並びに
(v)(i)で得られた値を(iii)で得られた値で除すことによって、細胞あたりのHIV-R領域DNAコピー数を算出することによってHIV DNAコピー数を正規化して、生体サンプル中のHIV R領域DNAコピー数(コピー/細胞)を得るステップ
を含む方法。
[11]DNA標準がアクチンである、実施形態10に記載の方法。
[12]HIVを有する、又はHIV感染を有すると疑われる対象由来の生体サンプル中のHIV DNAコピー数を定量化する方法であって、
(i)実施形態1から6のいずれかに記載のHIV-R領域配列を増幅及び検出するステップ、
(ii)サンプル中のDNAの吸光度を測定することによって、サンプル中の容量あたりのDNAの質量(w/v)を定量化するステップ、
(iii)DNA吸光度に基づいて、サンプル中のDNAの容量あたりの細胞数を算出するステップ、並びに
(v)(ii)で得られた値を(iv)で得られた値で除すことによって、細胞あたりのHIV-R領域DNAコピー数を算出することによってHIV DNAコピー数を正規化して、生体サンプル中のHIV R領域DNAコピー数(コピー/細胞)を得るステップ
を含む方法。
[13]サンプル中の容量あたりのDNAの質量を定量化するステップが、DNAインターカレート性色素及び色素から発せられる蛍光を測定するステップを含む、実施形態12に記載の方法。
[14](i)DNAが抽出されているサンプルのアリコートを得るステップ、
(ii)アリコートを、HIV DNAの長末端反復(LTR)のR領域配列とハイブリダイズする標識された加水分解オリゴヌクレオチドプローブと接触させるステップ、
(iii)アリコートを、R領域配列内の配列とハイブリダイズするフォワード及びリバースプライマーと接触させるステップ、
(iv)PCRによってR領域配列を増幅するステップ、
(v)標識されたオリゴヌクレオチドから得られたシグナルを、HIV標準の段階希釈物の対応する増幅によって得られた標準曲線に外挿して、アリコート中のDNAの容量あたりのHIV-R領域DNAコピー数を導くステップ
を含む、実施形態7から13のいずれかに記載の方法。
[15]フォワード又はリバースプライマーが、ビオチンで標識され、プローブが、ジゴキシゲニン(Dig)で標識される、実施形態1から4又は7から8のいずれかに記載の方法。
[16]フォワードプライマーが、配列番号29、配列番号33又は配列番号35に記載の配列を含む又はからなる、実施形態15に記載の方法。
[17]リバースプライマーが、配列番号30、配列番号34又は配列番号36に記載の配列を含む又はからなる、実施形態15又は16に記載の方法。
[18]標識されたプローブが、配列番号4、配列番号12、配列番号37、配列番号41、配列番号45、配列番号47、配列番号49又は配列番号51に記載の配列を含む又はからなる、実施形態15から17のいずれかに記載の方法。
[19]HIV陽性対象に投与されている抗レトロウイルス療法(ART)をモニタリングする方法であって、少なくとも2つの時点にわたって、実施形態7から18のいずれかに記載のHIV DNAコピー数を定量化するステップ、及び少なくとも2つの時点間のHIV R領域DNAコピー数の相違を比較するステップを含み、HIV R領域DNAコピー数の減少が、対象が、最適な/有効なARTを受けていることを示す方法。
[20]対象に投与されるARTの用量又は種類を調整するステップをさらに含む、実施形態19に記載の方法。
[21]HIVを有する、又はHIV感染を有すると疑われる対象由来の生体サンプル中のHIV RNAコピー数を定量化する方法であって、
(i)逆転写されたHIV RNA R領域配列上で実施形態1から6のいずれかに記載のHIV-R領域配列を増幅及び検出するステップ、及び
(ii)対応するHIVプラスミド標準に対する参照によって増幅されたHIV-R領域配列を定量化して、サンプルの容量あたりのHIV RNAのコピー数を得るステップ
を含む方法。
[22]増幅が、リアルタイムPCR又はエンドポイントPCRである、実施形態21に記載の方法。
[23]RNA標準に対してHIV RNAコピー数を正規化して、生体サンプル中の細胞あたりのHIV RNAコピー数を得るステップをさらに含む、実施形態21又は22に記載の方法。
[24]標準に対して正規化することによって、HIVを有する、又はHIV感染を有すると疑われる対象由来の生体サンプル中のHIV RNAコピー数を定量化する方法であって、
(i)逆転写されたHIV RNA R領域配列上の実施形態1から6のいずれかに記載のHIV-R領域配列を増幅及び検出するステップ、
(ii)対応するHIV標準に対する参照によってサンプル中のRNAの容量あたりのHIV-R領域コピー数を、定量的PCRによって定量化するステップ、
(iii)対応するハウスキーピング標準を使用する定量的PCRによって内因性ハウスキーピング遺伝子を定量化して、サンプル中に存在するRNAの容量あたりのハウスキーピング遺伝子のコピーとして表される内因性遺伝子のコピー数を得るステップ、
(iv)得られたコピー数を、細胞中の内因性遺伝子のコピーの数によって除して、サンプル中のRNAの容量あたりの細胞数を導くステップ、並びに
(v)(i)で得られた値を(iii)で得られた値で除すことによって、細胞あたりのHIV-R領域RNAコピー数を算出することによってHIV RNAコピー数を正規化して、生体サンプル中のHIV R領域RNAコピー数(コピー/細胞)を得るステップ
を含む方法。
[25]RNA標準がGAPDHである、実施形態24に記載の方法。
[26]HIVを有する、又はHIV感染を有すると疑われる対象から得た生体サンプル中のHIV RNAコピー数を定量化する方法であって、
(i)逆転写されたHIV RNA R領域配列上で実施形態1から6のいずれかに記載のHIV-R領域配列を増幅及び検出するステップ、
(ii)サンプル中のRNAの吸光度を測定することによって、サンプル中の容量あたりのRNAの質量(w/v)を定量化するステップ、
(iii)RNA吸光度に基づいて、サンプル中のRNAの容量あたりの細胞数を算出するステップ、並びに
(iv)(ii)で得られた値を(iv)で得られた値で除すことによって、細胞あたりのHIV-R領域RNAコピー数を算出することによってHIV RNAコピー数を正規化して、生体サンプル中のHIV R領域RNAコピー数(コピー/細胞)を得るステップ
を含む方法。
[27]サンプル中の容量あたりのRNAの質量を定量化するステップが、RNAインターカレート性色素及び色素から発せられる蛍光を測定するステップを含む、実施形態25に記載の方法。
[28]HIV-R領域が、
(i)RNAが抽出されたサンプルのアリコートを得ること、
(ii)アリコートを、逆転写されたHIV RNA(cDNA)の長末端反復(LTR)のR領域配列とハイブリダイズする標識された加水分解オリゴヌクレオチドプローブと接触させること、
(iii)アリコートを、逆転写されたHIV RNA(cDNA)のR領域内の配列とハイブリダイズするフォワード及びリバースプライマーとさらに接触させること、
(iv)PCRによってR領域配列を増幅すること、
(v)標識されたオリゴヌクレオチドから得られたシグナルを、HIV標準の段階希釈物の対応する増幅によって得られた標準曲線に外挿して、アリコート中のRNAの容量あたりのHIV-R領域RNAコピー数を導くこと
によって定量化される、実施形態21から27のいずれかに記載の方法。
[29]対象から生体サンプルを得るステップ、及びサンプルからRNAを調製するステップをさらに含む、実施形態21から28のいずれかに記載の方法。
[30]HIV陽性対象に投与された抗レトロウイルス療法(ART)の有効性を評価する方法であって、
(i)実施形態7から14のいずれかに記載のHIV-R領域DNAコピー数を定量化するステップ、
(ii)実施形態21から29のいずれかに記載のHIV-R領域RNAコピー数を定量化するステップ、
(iii)ステップ(i)で得られた値を、ステップ(ii)で得られたもので除すことによって、サンプル中の正規化されたHIV RNAコピー数を決定するステップ、及び
(iv)正規化されたHIV RNAコピー数の値を、同一対象から得られた1以上の既に正規化された値に対して比較するステップ
を含み、
正規化されたHIV RNAコピー数の減少が、対象が、最適な/有効なARTを受けていることを示す方法。
[31]対象から生体サンプルを得るステップ、並びにサンプルからDNA及びRNAを調製するステップをさらに含む、実施形態30に記載の方法。
[32]生体サンプルが、血液又は組織又はHIV感染細胞が存在する任意のその他の生物学的流体から選択される細胞の集団である、実施形態1~31のいずれかに記載の方法。
[33]生体サンプルがPBMCである、実施形態32に記載の方法。
[34]R領域配列が、配列番号1又は配列番号2に示される配列からなる、実施形態1~33のいずれかに記載の方法。
[35]加水分解オリゴヌクレオチドが、TAQMAN(登録商標)プローブである、実施形態1~34のいずれかに記載の方法。
[36]オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号1に示されるHIV-1 R領域配列内の約13~40の連続するヌクレオチドを含む若しくはからなる配列又はそれと少なくとも70%同一の配列と結合する、実施形態1~35のいずれかに記載の方法。
[37]オリゴヌクレオチドプローブが、配列5'TAAGCAGTGGGTTCCCT3'(配列番号3)を含む若しくはからなる配列又はそれと少なくとも70%同一の配列と結合する、実施形態32に記載の方法。
[38]オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号45、配列番号46、配列番号47又は配列番号48の配列を含む又はからなる、実施形態36又は37に記載の方法。
[39]フォワードプライマーが、配列番号7若しくは配列番号29の配列又はそれと少なくとも75%同一の配列を含む又はからなるHIV-1プライマーである、実施形態1~38のいずれかに記載の方法。
[40]フォワードプライマーが、配列5'-CAGAGAGCTCCCAGGCTC-3'(配列番号8)を含む若しくはからなるHIV-1 R領域配列又はそれと少なくとも75%同一の配列とハイブリダイズする、実施形態1~39のいずれかに記載の方法。
[41]リバースプライマーが、配列番号9若しくは配列番号30の配列又はそれと少なくとも75%同一の配列を含む又はからなるHIV-1プライマーである、実施形態1~40のいずれかに記載の方法。
[42]リバースプライマーが、配列5'GCCTCAATAAAGCTTGCCTTGAGT3'(配列番号10)を含む若しくはからなるHIV-1 R領域配列又はそれと少なくとも75%同一の配列とハイブリダイズする、実施形態1~41のいずれかに記載の方法。
[43]オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号2に示されるHIV-2 R領域配列内の約17~30の連続するヌクレオチドを含む若しくはからなる配列又はそれと少なくとも70%同一の配列と結合する、実施形態1~42のいずれかに記載の方法。
[44]オリゴヌクレオチドが、配列5'GCCTGGGTGTTCCCTGCTAGACTCT3'(配列番号11)を含む若しくはからなる配列又はそれと少なくとも70%同一の配列と結合する、実施形態43に記載の方法。
[45]オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号12、配列番号13、配列番号37、配列番号38、配列番号39又は配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52又は配列番号53の配列を含む又はからなる、実施形態43又は44に記載の方法。
[46]HIV-2フォワードプライマーが、配列番号14、配列番号31、配列番号33若しくは配列番号35に記載の配列又はそれと少なくとも75%同一の配列を含む又はからなる、実施形態1~45のいずれかに記載の方法。
[47]フォワードプライマーが、配列5'-GAGAACCTCCCAGGGCTC-3'(配列番号15)を含む若しくはからなるHIV-2 R領域配列又はそれと少なくとも75%同一の配列とハイブリダイズする、実施形態1~46のいずれかに記載の方法。
[48]HIV-2リバースプライマーが、配列番号16、配列番号32、配列番号34若しくは配列番号36の配列又はそれと少なくとも75%同一の配列を含む又はからなる、実施形態1~47のいずれかに記載の方法。
[49]以下のうち1以上の組合せから選択されるプローブ、フォワード及びリバースプライマーの組合せを含む又はからなる標識されたオリゴヌクレオチドプローブを含むHIV-1核酸を増幅するための組成物:
(i)オリゴヌクレオチドプローブ:配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号45、配列番号46、配列番号47又は配列番号48、
(ii)フォワードプライマー:配列番号7又は配列番号29、及び
(iii)リバースプライマー:配列番号9又は配列番号30。
[50]以下のうち1以上の組合せから選択されるプローブ、フォワード及びリバースプライマーの組合せを含む又はからなる標識されたオリゴヌクレオチドを含むHIV-2核酸を増幅するための組成物:
(i)オリゴヌクレオチドプローブ:配列番号12、配列番号13、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52又は配列番号53、
(ii)フォワードプライマー:配列番号14、配列番号31、配列番号33又は配列番号35、
(iii)リバースプライマー:配列番号16、配列番号32、配列番号34又は配列番号36。
[51]HIV陽性対象を治療する方法であって、実施形態1から48のいずれかに記載のレンチウイルス核酸又はHIV DNA及び/又はRNAを検出又は定量化するステップ、及びARTを対象に投与するステップを含む方法。
[52]HIV-1を検出するための、又はHIV-1を検出するために使用されるキットであって、実施形態49に記載の組成物を、実施形態1から48のいずれかに記載のHIV-1の検出及び定量化に適した試薬及び説明書と一緒に含むキット。
[53]HIV-2を検出するための、又はHIV-2を検出するために使用されるキットであって、実施形態50に記載の組成物を、実施形態1から48のいずれかに記載のHIV-2の検出及び定量化に適した試薬及び説明書と一緒に含むキット。
当業者によって、本開示の広範な一般的範囲から逸脱することなく上記の実施形態に多数の変法及び/又は改変を行うことができるということは理解されるであろう。したがって、本実施形態は、すべての点で例示的であり、制限的ではないと考えられるべきである。本開示は、以下の限定されない実施例を含む。
【実施例0225】
材料及び方法
プライマー及びプローブ配列の設計
HIV-1のゲノム構造は、
図1に示されている。HIV-2のゲノム構造は、
図2に示されている。プライマーセットは、HIV-1又はHIV-2ゲノムの5'LTR及び3'LTR内に位置する同一の「R」領域配列をターゲッティングするように設計した。プライマーセットは、以下の基準に基づいて設計した:(a)信頼のおける検出のためにすべてのHIV-1及びHIV-2サブタイプにおいて保存された領域に位置すること、(b)18~25塩基長の間のプライマー長及び(c)プライマー二量体形成はないが、高感度の検出を維持すること。フォワードプライマーは、すべてのHIVサブタイプについてプライマーの3'末端で良好なアラインメントを提供するように設計し、リバースプライマーは、すべてのHIVサブタイプについてプライマーの5'末端で良好なアラインメントを提供するように設計した。フォワード及びリバースプライマーは、以下の表1に示されている。
【0226】
【0227】
効率的な検出を確実にするために、すべてのHIVサブタイプにおいて保存領域内で結合するように設計されたTaqman(登録商標)プローブ。アニーリング温度の増大及び短いTaqManプローブの使用を可能にするためにロック核酸(LNA)修飾を使用した。
【0228】
HIV-1オリゴヌクレオチドプローブの配列は、以下のとおりとした:
5'FAM-AGGLNAGALNAACLNACCACLNATGLNACTTA-BQH-1 3'(配列番号6)、ここで、FAMは、蛍光リポーターであり、BHQ1は、クエンチャー分子であり、NLNAは、Nが示されたA、T、G又はC核酸塩基であるロックド核酸類似体を表す。
【0229】
HIV-2オリゴヌクレオチドプローブ番号1の配列は、以下のとおりとした:
5'FAM-GCCTGGGTGTTCCCTGCTAGACTCT-BQH-1 3'、ここで、FAMは、蛍光リポーターであり、BHQ1は、クエンチャー分子である。
【0230】
HIV-2オリゴヌクレオチドプローブ番号2の配列は、以下のとおりとした:
5'FAM-CTLNAGCLNATALNAGTLNAGLNACTGGLNAA-BQH-1 3'(配列番号40)、ここで、FAMは、蛍光リポーターであり、BHQ1は、クエンチャー分子であり、NLNAは、Nが示されたA、T、G又はC核酸塩基であるロックド核酸類似体を表す。
【0231】
HIV-2オリゴヌクレオチドプローブ番号3の配列は、以下のとおりとした:
5'FAM TCLNACALNAGCLNAACLNATALNAGCLNAAG-BQH-1 3'(配列番号44)、ここで、NLNAは、Nが示されたA、T、G又はC核酸塩基であるロックド核酸類似体を表す。
【0232】
HIV-1及びHIV-2のHIV-R領域配列中の本明細書において使用されるプローブ及びPCRプライマーのアラインメントは、
図3A~Dに示されている。
図3Aは、HIV-1でのアラインメントを表し、
図3B~Dは、HIV-2でのアラインメントを表す。
【0233】
HIV-1サブタイプのHIV-1オリゴヌクレオチドプローブのアラインメントが、
図4に示されている。
【0234】
HIV-2プローブのHIV-2サブタイプのオリゴヌクレオチドプローブのアラインメントが、
図5A~Cに示されている。
【0235】
GAPDHプローブの配列は、5'FAM-AAGGTCGGAGTCAACGGATTTGGTCGT-BQH-1 3'(配列番号17)であり、ここで、FAMは、蛍光リポーターに対応し、BHQ1は、クエンチャー分子である。
【0236】
β-アクチンプローブの配列は、5'FAM-ATGCCCTCCCCCATGCCATCCTGCG BHQ-1 3'(配列番号20)であった。
【0237】
プライマー及びプローブの標識
すべてのプライマーを、標準の商業的オリゴ-DNA合成サービスによって合成した。エンドポイントPCR検出のために、ビオチン標識されたプライマーを使用した。ビオチン修飾は、オリゴ-DNAプライマーの5'末端で行った。
【0238】
細胞株及びプラスミド標準
本明細書において使用されるHIV-1プラスミド標準は、pNL4-3(NIHカタログ番号114)のゲノムHIV-1プラスミドから得た。TA-クローニングされたHIV-2プラスミド標準は、標準手順によって作製した。最初に、HUT78細胞を、HIV-2 CBL-20ウイルス[NIHカタログ番号600)に感染させた。ゲノムDNAを単離し、続いて、PCR増幅した。このアンプリコンからT/AクローニングHIV-2を得て、HIV-2 R領域を含有するプラスミドを作製した。各プラスミドの260nm吸光度のスペクトル及び分子量を使用してHIV-2プラスミドコピー数を決定した。
【0239】
HUT78細胞(CD4+T細胞株、カタログ番号89)及びOM10.1(HIV-1潜在性細胞株、カタログ番号1319)もNIHから得た。OM10.1細胞株は、単一OM10.1細胞中に単一コピーのHIV-1ゲノムDNAを含有する。
【0240】
HIV対象データ
対象の血漿ウイルス量データは、St Vincent's Hospital診断検査室から得た。製造業者の説明書に従ってRoche COBAS(登録商標) TaqMan HIV-1アッセイを使用して、対象のHIV状態に関するデータを得た。対象は、18歳を超える成人対象であり、その血液サンプルを使用するためにインフォームドコンセントを得た。
【0241】
末梢血単核細胞(PBMC)の単離及び調製
血液採取の標準プロトコールを使用して対象から全血を得た。4日よりも古くない新鮮血液を、St Vincent's HospitalのHIV診断検査室から得た。
【0242】
従来のFicoll勾配遠心分離法を使用して全血から末梢血単核細胞(PBMC)を単離した。手短には、血液を9mLのクエン酸デキストロース抗凝固剤(ACD)管中に採取し、9mLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を添加した。反転によって混合した後、15mLのFicoll-plaque媒体を添加し、400gで40分間18~20℃で遠心分離した。血漿及び血小板を含有する上層を廃棄し、単核層の細胞を清潔な管に移した。30mLのPBSを添加し、混合し、400gで15分間18~20℃で遠心分離した。上清を除去し、単核細胞を10mLのPBSで洗浄し、400gで10分間18~20℃で遠心分離した。上清を除去し、単核細胞をさらなる解析のために保持した。
【0243】
全血の単離及び調製
全血実験のために、15mLのFalcon管に4mLの赤血球溶解バッファー(Roche)を添加した。全血採取管を10回反転し、次いで、4mLの溶解バッファーを含有する15mLのFalcon管に2mLの全血を添加した。管を、回転するプラットフォーム上で、低速回転モード、室温(RT)で10分間インキュベートした。次いで、管を、RTで卓上遠心機を用いて500xgで5分間遠心分離した。遠心分離後、上清を廃棄ビン中にデカントした。細胞を1800μlのPBSに再懸濁した。2つのOリング管中に900μlの細胞懸濁液の2つのアリコートを作製した。
【0244】
次いで、管を、RTで微量遠心機を用いて7,800xg(9000rpm)で3分間遠心分離した。P1000ピペットを使用して白血球ペレットを乱さずに上清を除去した。
【0245】
1人の患者から2つの細胞がペレットになった管を調製した。1つの管は、DNA抽出用であり、もう一方の管は、RNA抽出用である。
【0246】
サンプル中の抽出されたDNAの濃度を、260nmでの吸光度(A260)によって測定し、二本鎖(ds)DNA(1A260=50μg/ml)の平均吸光係数を利用して核酸調製物の吸光度から核酸濃度を決定した。
【0247】
PBMCの調製
PBMCを、全血からFicol-Paque分離法によって得た。患者の血液を、9mLのACD(クエン酸デキストロース、抗凝固剤)管中に採取した。9mLの血液を50mLのFalcon管中に移し、9mLのPBSを添加した。管を数回反転することによって血液及びバッファーを混合した。15mLのFicoll-Paque媒体を、Ficoll-Paque媒体と血液相の間の界面を干渉することなく極めてゆっくりと50mLのFalcon管の底に添加した。管を、400gで40分間18℃~20℃で遠心分離した(遠心機のブレーキを切った)。上層から血漿及び血小板を滅菌ピペットを使用して取り除き、単核細胞層を界面で乱さずに残した。単核細胞の層を50MLのFalcon管に移した。細胞に30mLのPBSを添加し、管を数回反転することによって混合した。管を、400gで15分間18℃~20℃で遠心分離した(ブレーキをかけて)。上清を除去した。単核細胞を10mlのPBSに再懸濁した。400×gで10分間18℃~20℃で遠心分離した。次いで、上清を除去した。
【0248】
白血球サブタイプの精製
RO+R5+、RO+R5-及びRO-R5-細胞集団の精製のために、PBMC上の表面マーカーに基づいてFACS Ariaセルソーター(BD Biosciences)によってPBMC細胞を選別した。
PBMC(約2x106個細胞)を、CD4(PerCP;Becton Dickinson)及びCD3(APC;Becton Dickinson)、CCR5(クローン2D7、FITCコンジュゲート型;PharMingen)、CD45 RO(PE;PharMingen)に対するmAbとともにインキュベートした。細胞をマーカーとともに室温で30分間インキュベートした。次いで、管を400gで5分間遠心分離し、細胞を、1mLの、10% FCSを有するPBSに再懸濁した。これをさらに2回反復し、細胞を、1mLの、10% FCSを有するPBSに再懸濁した。細胞を「Ariaセルソーター」によって選別して、以下の3種のT細胞サブセット集団を得た
CD3+CD4+CD45RO+ccr5+
CD3+CD4+CD45RO+ccr5-
CD3+CD4+CD45RO-ccr5-。
【0249】
CD14を有するPBMCの分離を、磁性標識された粒子(Dynabeads(登録商標))を製造業者の説明書に従って使用して実施した。
【0250】
DNA抽出
ゲノムDNAを、QIAamp DNAミニキット(Qiagen)を製造業者の説明書に従って使用して抽出した。
【0251】
手短には、細胞ペレットに、200μlのALバッファー(キット中に提供されている)を添加し、ペレットが溶解するまで管をボルテックス処理した。プロテイナーゼ-Kマスターミックスを調製した。
200μlのPBS ×管数
20μlのプロテイナーゼK ×管数
【0252】
220μlのプロテイナーゼ-Kマスターミックスを添加し、管をボルテックス処理した。DNAを56℃で10分間消化し、続いて、2~3分ごとに短時間ボルテックス処理した。次いで、管を短時間遠心分離し、200μlのEtOHを添加し、続いて、15秒間ボルテックス処理した。次いで、管を短時間遠心分離し、すべての溶解した溶液をQIAamp DNAミニカラムに添加し、6,000xg、RTで1分間遠心分離した。QIAampカラムの上部を新規の液体採取管(キット中に提供されている)中に移した。採取管の使用された下部を廃棄物中に廃棄した。500μlのAW1バッファー(キット中に提供されている)を添加し、6,000xg、RTで1分間遠心分離した。QIAampカラムの上部を、新規の液体採取管(キット中に提供されている)中に移した。採取管の使用された下部を廃棄物中に廃棄した。500μlのAW2バッファーを添加し、13,000xg、室温で3分間遠心分離した。
【0253】
採取管から液体を空にし、さらなる遠心分離を13,000xg、室温で1分間実施した。上側カラムを回収し、1.5mLのエッペンドルフ管中に入れた。60μのAEバッファー(キット中に提供されている)を添加し、RTで1分間維持し、続いて、6,000xg、RTで1分間遠心分離した。採取管の使用された上部を廃棄し、遠心管の下部を4℃で保存した。
【0254】
RNA抽出
全RNAを、ReliaPrep(商標)RNA細胞システム(Promega)を製造業者の説明書に従って使用して血液サンプルから抽出した。
【0255】
手短には、各細胞ペレットに250μlのBl+TGバッファー(キット中に提供されている)を添加した。ペレットが溶解されるまで、管をボルテックス処理した。85μlのイソプロパノールを添加し、管をボルテックス処理した。溶解した溶液を、ReliaPrepミニカラム(キット中に提供されている)に移し、14,000xg、室温で1分間遠心分離した。採取管から液体を廃棄して空にした。
【0256】
新規管中にDNA-1マスターミックスを調製して、すべての管の必要な容量を得た。
24μlのYellow Core Buff ×管数
3μlの0.09M MnCl2 ×管数
3μlのDNアーゼI酵素 ×管数 この管を十分に混合する
【0257】
ReliaPrepミニカラムのフィルター上に30μlのDNA-1マスターミックスを添加し、RTで15分間インキュベートした。200μlのカラム洗浄溶液(キット中に提供されている)を添加し、14,000xg、室温で1分間遠心分離した。500μlのRNA洗浄溶液(エタノールが添加された)、14,000xg、室温で1分間遠心分離した。ReliaPrep(商標)ミニカラムを新規採取管中に入れ、300μlのRNA洗浄溶液を添加した(キット中に提供されている)。管を最大速度、室温で2分間遠心分離し、次いで、1.5mLのエッペンドルフ管中に回収した。60μlのヌクレアーゼ不含水を添加し、管をRTで1分間維持し、続いて、13,000xg、RTで1分間遠心分離した。採取管の使用された上部を廃棄し、遠心管の下部を4℃で保存した。
【0258】
すべてのDNA及びRNAサンプルを、分光光度計によって解析して、Qubit Fluorometric Quantitation(ThermoFisher)を使用して品質を確認した。
【0259】
DNA増幅リアルタイムアッセイ
PCRプライマーのセット及びTaqMan(商標)プローブを使用する、本開示において使用されたリアルタイムPCR法は、
図6A及びBに模式的に示されている。2セットのリアルタイムPCRを、SensiFASTプローブNo-ROX One-stepキット(BIO76005)を使用するDNA解析のために使用した。40μlの最終容量の各反応混合物は、2×PCRバッファー、20μMのフォワードプライマー、20μMのリバースプライマー、6μlのDNA、5μMのTaqmanプローブ及びPCRグレードの水を含有していた。サイクリング及び融解条件は以下のとおりとした:LightCycle 480(Roche)を使用する、94℃で30秒と、それに続く、95℃で7秒及び60℃で30秒の50サイクル。HIV-1 DNA標準を、0、40、400、4,000、40,000、4×10
5及び4×10
6コピー/μlを提供するように段階希釈した。
【0260】
β-アクチン解析のために、40μlの最終容量の反応混合物は、2×PCRバッファー、20μMのフォワードプライマー、20μMのリバースプライマー、6μlのDNA、5μMのTaqmanプローブ及びPCRグレードの水を含有していた。サイクリング及び融解条件は、以下のとおりとした:LightCycle 480(Roche)を使用する、94℃で30秒と、それに続く、95℃で7秒及び60℃で30秒の50サイクル。ベータアクチン標準を、0、20、200、2,000、20,000、2×105及び2×106コピー/μlを提供するように段階希釈した。ベータアクチン標準は、ベータアクチン遺伝子の単一コピーを含有するプラスミドとした。ベータアクチンプラスミド標準は、PCR増幅したベータアクチンDNA及び標準クローニング法を使用するTAクローニングによって作製した。ベータアクチンプライマー及びプローブ配列は、上記のとおりである。
【0261】
HIV-1がクローニングされたプラスミドは、NIHから入手し、単一プラスミドは、HIV-1ゲノムのある単一コピーを含有する。
【0262】
RNA増幅リアルタイムアッセイ
2セットのリアルタイムPCRを、SensiFASTプローブNo-ROX One-stepキット(BIO76005)を使用するRNA解析のために使用した。RNA解析のために、40μlの最終容量の反応混合物は、2×PCRバッファー、20μMのフォワードプライマー、20μMのリバースプライマー、6μlのRNA、5μMのTaqmanプローブ、0.45μlの逆転写酵素、0.8μlのRNアーゼ阻害剤及びPCRグレードの水を含有していた。サイクリング及び融解条件は以下のとおりとした:LightCycle 480(Roche)を使用する、45℃で20分間、94℃で2分間と、それに続く、95℃で7秒及び60℃で30秒の50サイクル。各PCR増幅は、特に断りのない限り、3連で実施した。
【0263】
グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)解析のために、40μlの最終容量の反応混合物は、2×PCRバッファー、20μMのフォワードプライマー、20μMのリバースプライマー、6μlのRNA、5μMのTaqmanプローブ、0.45μlの逆転写酵素、0.8μlのRNアーゼ阻害剤及びPCRグレードの水を含有していた。サイクリング及び融解条件は以下のとおりとした:LightCycle 480(Roche)を使用する、45℃で20分間、94℃で2分間と、それに続く、95℃で7秒及び60℃で30秒の50サイクル。
【0264】
GAPDH標準を、0、20、200、2,000、20,000、2×105及び2×106コピー/μlを提供するように段階希釈した。GAPDH標準は、ベータアクチン遺伝子の単一コピーを含有するプラスミドとした。GAPDHプラスミド対照は、標準クローニング法によってPCRによって増幅されたGAPDH DNAを使用してTAクローニングによって作製した。
【0265】
GAPDHプライマー及びプローブ配列は、上記のとおりである。
【0266】
エンドポイントPCRアッセイ
本発明者は、本明細書においてストレプトアビジン(SA)-プレートエンドポイントアッセイと呼ばれるエンドポイントPCRアッセイを開発した。このアッセイは、
図6Bに模式的に示されており、ビオチン標識プライマーを使用して実施される。PCR後に、PCR産物を、ジゴキシゲニン(Dig)標識プローブとハイブリダイズさせる。新規にハイブリダイズされた産物を、ストレプトアビジンコーティングされた96ウェルプレートの表面で捕獲する。結合していないDigプローブを洗浄除去した後、Digに対するペルオキシダーゼ(POD)標識抗体を添加し、化学発光反応が続く。次いで、発光プレートリーダーによって放出光を検出する。
【0267】
すべてのPCR反応を、以下の2つの条件:i)TaqManプローブは使用せず、これは、反応において水によって置き換える、及びii)プライマーのセットのうち1つは、オリゴDNAの5'末端でビオチン標識されているを除いて、TaqManベースのリアルタイムPCR法(上記の「DNA増幅リアルタイムアッセイ」及び「RNA増幅リアルタイムアッセイ」を参照のこと)においてと同様に実施した。PCRが完了した後、40μlの、20pモルのDig標識プローブ及び3.85XSSCバッファー(例えば、20X SSCは、3.0M NaCl及び0.3Mクエン酸ナトリウムpH7.0を含有する)のハイブリダイゼーションバッファーを含有するPCR管に、10μlのPCRアンプリコンを移す。PCRアンプリコン及びDig標識プローブをハイブリダイズするために、このPCR管の溶液の温度を、95℃で2分間に上げ、次いで、40℃で2分間にし、続いて、4℃にする。50μlのハイブリダイズした生成物の総容量を、10mM Tris-HCl pH7.6、150mM NaCl、1mM EDTA及び0.0002% Tween20の、50μlの希釈バッファーを含有していたストレプトアビジンコーティングした96ウェルプレートに移す。96ウェルプレートを37℃で30分間インキュベートする。このインキュベーションの間に、ビオチン標識PCRアンプリコン及びDigプローブのハイブリダイズした生成物が、ストレプトアビジンプレートに結合される。洗浄バッファー(10mM Tris-HCl pH7.5、0.15M NaCl、1mM EDTA、0.01% Tween20)を用いる3回の洗浄の間に、結合していない生成物をプレートから洗浄除去する。その後、5% BSA 10mM Tris-HCl pH7.5、0.15M NaClの希釈バッファーを使用する、100μlのペルオキシダーゼがコンジュゲートされた抗Dig抗体(5000中の1希釈)を添加する。次いで、96ウェルプレートを37℃で30分間インキュベートし、続いて、洗浄バッファーを使用して6回洗浄する。次いで、100μlの化学発光ペルオキシダーゼ基質(CPS260、Sigma)を添加する。次いで、プレートを室温で5分間インキュベートする。基質から生じた光を、発光プレートリーダーを用いて検出して、相対光単位(RLU)を得る。発光プレートリーダーに1200のゲイン(調整値)を使用する。
【0268】
[実施例1]
HIV-1 DNAコピー数によって正規化されたHIV-1 RNAコピー数(pVL)
ARTを受けている47人のHIV-1対象から得たサンプルを入手し、上記のように全血細胞溶解物からDNA及びRNAを抽出した。採取の時点で、すべての患者において血漿ウイルス量(pVL)は抑制されており、>20コピー/mLであった(
図7)。
【0269】
HIV-1患者を、過去6ヶ月にわたる血漿ウイルス量に基づいて「最適ART」又は「最適未満ART」を受けているのいずれかとして割り当てた。過去6ヶ月間<20コピー/mLのpVLを有する患者を「最適ART」を有すると考え、一方、過去6ヶ月の間に、時折上昇したpVLを有する患者(すなわち、>20~<200コピー/mL、ブリップ(BL)と呼ばれる)を「最適未満ART」を受けていると表した。
【0270】
HIV-1 R領域配列の増幅に基づくHIV-1 RNA及びDNAの定量は、DNAについてはベータアクチン標準を、RNAについてはGAPDH使用して、上記のプロトコールに従って記載されるようにリアルタイムPCR解析によって実施した。SVH診断検査室から入手した47のサンプルを解析した。
【0271】
これら47サンプルのRNA血漿ウイルス量(pVL)は、採取の時点で全体的に抑制されていた(<20コピー/mL)。
図7に見ることができるように、標準pVLアッセイを使用して最適及び最適未満ART対象の両方において相違はなかった。
【0272】
図8に示されるように、HIV-1 RNAコピー数を、HIV-1 DNAコピー数に対して正規化すると、「最適ART」(n=29)及び「最適未満ART」(n=18)対象間で細胞内ウイルス活性において統計的有意差(p=0.0016)が見られたので(
図8A)、アッセイは、最適ARTを受けている対象を、最適未満ARTを受けているものから識別できた。ウイルス量ブリップ(BL)、すなわち、少なくとも1回の一過性の高いHIV-1 DNAレベルのエピソードをこれまでに起こしたことがある対象並びに免疫学的失敗(IF)を有する4人の対象が、正規化されたHIV-1 RNAの有意に高い平均比率を有するとして、最適未満ARTカテゴリーに同定された(
図8B)。そのpVLが6ヶ月を越えて抑制されていた対象は、正規化されたHIV-1 RNAの平均のより低い比を有していた。
【0273】
したがって、pVL RNAアッセイが、これら2群の対象間に相違を示さないにもかかわらず、本発明者のアッセイは、正規化に基づいて最適又は最適未満ARTを受けている対象間を識別できた。
【0274】
図8Cに示されるように、本発明者らのアッセイに従って、10
6個細胞あたりHIV-1 DNAコピー数800未満のHIV-1 DNAを有する対象において「改善された最適ART」と表されるさらなるカテゴリーが見られ、これは、最適ART群の残りと比較して統計的に有意(p=0.012)であった。
【0275】
データは、潜在的に感染しているリザーバー中のHIV活性は、5'及び3' LTR R領域中に位置するプライマーを使用して検出できること及び本明細書において示されるように細胞内HIV-1コピー数を決定することは、標準pVLよりも、治療応答のより感度の高い指標を提供することを実証する。さらに、組み込まれたDNAのレベルに対してRNA転写のレベルが正規化されるので、細胞内HIV量の増大は、潜在的ウイルスリザーバーが転写的に活性であることを示す。
【0276】
結果はまた、対象における正規化されたHIV-1 RNAの低い比(すなわち、低転写活性)並びに低いHIV-1 DNAは両方とも、改善された最適ARTを示すことを示唆する。したがって、臨床医は、対象が適当な(すなわち、最適)ARTを受けているか否かを調べる場合には、これらの尺度の両方、すなわち、正規化されたHIV-1 RNAの比(0.05未満)及び106個細胞あたりHIV-1 DNAコピー数800未満のHIV-1 DNAに目を向けてもよい。
【0277】
[実施例3]
HIV-1 R領域DNA検出の評価
この研究では、HIV-1に感染しているとわかっている2人の対象(表3においてA及びBと呼ばれる)を評価した。対象から得たHIV-1感染末梢血単核細胞(PBMC)を、感染細胞の濃縮集団を含有するとこれまでに実証されているマーカーCD3+、CD4+、CD45RO+、CD45RO-及びCCR5+の発現に基づいてフローサイトメトリーによって選別した。
【0278】
手短には、製造業者の説明書に従って、細胞表面マーカーに基づいてFACS ARIAセルソーター(BD Biosciences)を使用してPBMCを選別した。手短には、2x106個細胞を、CD4(PerCP、Becton Dickinson)、CD3(APC、Becton Dickinson)、CCR5(クローン2D7、FITCコンジュゲート型、PharMingen)及びCD45 RO(PE、PharMingen)に対するモノクローナル抗体とともにインキュベートした。CD45 RO+細胞は、一般にメモリーT細胞を識別するが、CD45 RO-細胞は、一般にナイーブT細胞を識別する。CD3は、T細胞を非T細胞から分離するために使用される汎T細胞マーカーである。CD4は、一般に、ヘルパーT細胞、単球、マクロファージ及び樹状細胞上に見られる。CCR5は、白血球上に見られるケモカイン受容体であり、白血球に感染するためにHIVによって使用されることが多い。
【0279】
細胞を室温で30分間インキュベートし、400gで5分間遠心分離した。細胞を、1mLのPBS/10%FCSで3回洗浄した。洗浄した細胞を選別して、以下のT細胞サブセットを単離した:
・CD3+CD4+CD45 RO+CCR5+
・CD3+CD4+CD45 RO+CCR5-
・CD3+CD4+CD45 RO-CCR5-
【0280】
HIV-1 DNA内の3つの異なる細胞内位置に対するプライマーセット:
(1)5'及び3'LTR R領域、
(2)3'LTR領域、
(3)gag領域
を使用してサンプルを解析した。
【0281】
5'及び3' LTR R領域プライマーは、先に本明細書に記載したとおりである。
【0282】
3'LTR増幅フォワード及びリバースプライマーは、それぞれ、5'-CCAAAGAAGACAAGATATCCTTGA-3'(配列番号23)及び5'-TTGAGGCTTAAGCAGTGG-3'(配列番号24)であった。オリゴヌクレオチドプローブの配列は、5'-FAM-TTAGACCAGATCTGAGCCTGGGAGCTCTC-BHQ1-3'(配列番号25)であり、ここで、FAMは、蛍光標識色素であり、BQ1は、この蛍光色素のクエンチャーである。このプライマーセットは、U3と3'LTRのR領域にまたがる領域を増幅する。
【0283】
gagフォワード及びリバースプライマーは、それぞれ、5'AGTGGGGGGACATCAAGCAGCCATGCAAAT3'(配列番号26)及び5'TACTAGTAGTTCCTGCTATGTCACTTCC3'(配列番号27)であった。オリゴヌクレオチドプローブの配列は、5'-FAM-ATCLNAALNAATGLNAAGGAAGLNACTGLNAC-BHQ1-3'(配列番号28)であり、ここで、FAMは、蛍光リポーターに対応し、BHQ1は、クエンチャー分子である。ロックド核酸は、Nが示されたA、T、G又はC核酸塩基であるNLNAによって示されている。
【0284】
結果は、以下の表3に示されている。R領域プライマーは、両対象由来の非選別サンプルにおいて細胞内HIV-1 DNAを検出した。細胞選別後、3'LTR及びgagプライマーを使用するHIV-1 DNAの検出は、対象Aでは可変性であったが、対象Bでは両プライマーセットは、HIV-1 DNAを検出できなかった。対照的に、R領域プライマーは、対象AのすべてのサンプルにおいてHIV-1 DNAを検出し、対象BではCD3+CD4+CD45RO-CCR5-において低レベルで検出した。
【0285】
これらの結果は、HIV-1 DNAの検出は、非R領域増幅に基づく検出と比較して、R領域に向けられたプライマーを使用するとより感度が高いことを示す。
【0286】
【0287】
[実施例4]
HIV-1 R領域RNA検出感度の評価
患者サンプル中のHIV-1 RNAを評価するために、HIV-1陽性であるとわかっている8人の対象を選択し、実施例3におけるHIV-1 DNA解析と同様に、3つの異なる細胞内位置:(1) 5'及び3'LTR R領域、(2)3'LTR領域及び(3)gag領域に対するプライマーセットを使用して解析した。
【0288】
5'及び3'LTR R領域、3'LTR領域及びgag領域に対するプライマーを、これまでに記載されるように使用した。
【0289】
上記の実施例3とは対照的に、解析は、先に記載されたように全血から単離された細胞で実施した。RNA抽出及びPCR増幅は、これまでに記載されたように実施した。
【0290】
以下の表4に示されるように、5'及び3'LTR両方のR領域中に位置するプライマーは、8人の対象すべてにおいて細胞内HIV転写物を検出できたが、3'LTR及びgag領域中に位置するプライマーは、それぞれ、4人及び3人の対象中のHIV量のみを検出した。
【0291】
このデータは、5'及び3'LTRの両方のR領域中に位置するプライマーが、3'LTR及びgag領域中に位置するプライマーと比較して細胞内DNAコピー数の検出に対してより感度が高いことを実証する。検出レベル未満のVLを有する対象にもかかわらず、R領域に基づく細胞内HIV-1転写活性の一貫した検出が検出された。
【0292】
【0293】
[実施例5]
細胞内HIV量は、持続的HIV転写活性を示し、血漿ウイルス量の回復に寄与する。
細胞内HIV量の低いが持続性のレベルが、HIV転写活性を示すか否かを調べるために、抗レトロウイルス療法(ART)の間及び構造的治療中断(STI)期間(すなわち、ART治療なし)の間に対象をサンプリングした。
【0294】
対象を、血漿ウイルス量及びウイルスRNAについてARTの間12週間隔で解析した。療法の中断後、対象を最大16週間の間隔でサンプリングした。先に記載したようにR領域アッセイを使用して細胞内転写活性を検出した。
【0295】
4人の治療ナイーブ患者を、ARTを用いて1年間治療した。4人の患者(patents)における血漿ウイルス量(pVL、丸を有する線)のレベルは、24週の長さの治療の間(
図9A、B及びD)及び12週の長さの治療の間(
図9C)検出限界未満であった。pVLレベルは、52週(1年)のART治療まで検出レベル未満で維持された。4人の患者における検出不能なpVLにもかかわらず、低レベルの細胞内HIV-1転写活性が検出された(灰色の棒)。療法を停止した後、4人の患者においてVLの急速な上昇があり、細胞内HIV-1転写活性の上昇は、VLの増大を伴う。
【0296】
ART治療期間は、灰色の水平バーで示されており、構造的治療中断(STI:ARTを停止すること)期間は、白色の水平バーで示されている(
図9)。
【0297】
図9における対象は、ART治療の第2相に入った(
図10)。この第2相ART期間の間、VLは検出レベル未満に抑制されたが、検出レベル未満のVL(灰色の棒)を有していても細胞内HIV-1転写活性の一貫した検出。ART治療の第2相を停止した後、両対象において急速な回復VLが観察された(
図10A及びB)。
【0298】
転写活性の増大が、潜在的に感染しているリザーバー中の細胞に由来するか否かを調べるために、ベースライン(プレART)での、ARTの停止の2週間後での(水平軸上の灰色の丸)での細胞内RNA、及びARTの16週間後の回復したHIV-1血漿RNA(上部の灰色の丸によって示される)を集め、Sangerシーケンシングによって解析した。
【0299】
データを、ウェブベースのHIVデータベース(http://www.hiv.lanl.gov/content/sequence/HIV/HIVTools.html)で近隣結合クラスタリング法を使用して解析した。同一対象から単離されたサンプルは一緒にクラスター化され(灰色の矩形のボックス)、これは、潜在性ウイルスリザーバーが、持続的HIV転写活性を有し、これが、血漿ウイルス量の回復に寄与することを示唆する(
図11)。
【0300】
[実施例6]
血漿中のHIV-2コピー数の評価
HIV-2 RNAを含有する2つの血漿サンプルを解析した。HIV-2 RNAの解析のための血漿からのRNAの抽出には自動抽出機器(NucliSENSE easyMAGシステム、BioMedirux)を使用した。結果は、
図12に示されている。
【0301】
アッセイは、患者Bでは2.4コピー/mlのHIV-2 RNAを、患者(Patent)Aでは、0.1コピー/mlを検出した。
【0302】
[実施例7]
HIV-2転写の評価
HIV-1転写解析のために使用された同一戦略を、HIV-1転写解析に適用した。単一対象サンプルが利用可能であった。HIV-2解析のための方法論は、先に本明細書において記載されるとおりである。
【0303】
結果は、
図13に示されている。対象のHIV-2血漿ウイルス量は、検出レベル未満であった(
図13A)。しかし、HIV-2細胞内RNA転写物が検出され、このRNAコピー数が、HIV-2 DNAコピー数に対して正規化された場合(
図13B)、比較的高い細胞内HIV-2 RNAレベルが観察された。
【0304】
[実施例8]
HIV-1 DNA検出についてのPCRアッセイ感度の比較
本発明者は、以下に比較されるHIV-1 DNAの検出のための2つの異なるPCRアッセイ形式を開発した。
【0305】
リアルタイムPCRアッセイを、方法及び表1に記載されるように、HIV-1フォワード及びリバースプライマー及びTaqmanプローブ(配列番号6)を使用してPBMCから抽出されたDNAで実施した。エンドポイントアッセイは、ビオチン標識HIV-1フォワードプライマー、非標識リバースプライマー及びジゴキシゲニン標識プローブ(配列番号45)を使用して実施した。エンドポイントアッセイのために使用されたプローブの配列は、リアルタイムPCRのために使用された同一プローブの短縮版であった。
【0306】
PCRのために解析されたサンプルは、以下のとおりとした:
ジゴキシゲニンプローブ:Dig/-TTTTTTTTTTTTTTTGGAACCCACTGCTTA(配列番号45)
HIV-1プラスミド標準:0、4、40、400、4,000、40,000コピーのHIV-1プラスミド。
HUT-78及びOM10.1混合サンプル:100万個(1×106個の非感染細胞)あたり0、4、40、400、4000、40,000HIV-1細胞
【0307】
HUT-78細胞は、CD4+T細胞株(HIV-1に感染していない)である。OM10.1細胞は、各細胞が、単一の組み込まれたHIV-1プロウイルスを含有する、CD4+HIV-1潜在感染細胞株である。「HIV-1スパイク」サンプルを調製するために、0、4、40、400、4000、40,000個のOM10.1細胞が、1×106個のHUT-78細胞と混合されるように、HUT-78及びOM10.1細胞を一緒に混合した。これは、対象由来の実際のHIV-1感染臨床サンプルを模倣するように設計されている。
【0308】
プラスミド標準の段階希釈物を、上記で示されたように調製し、50μlのPCR反応において8μlの標準を使用した。
【0309】
HUT-78/OM10.1細胞混合物から抽出されたDNAのリアルタイムPCR解析及びエンドポイントPCR解析を、HIV-1プラスミド標準に対して50PCRサイクルを用いて実施した。結果は、以下の表5に示されている。エンドポイントアッセイ解析のために10μlのPCR産物を使用した。
【0310】
【0311】
リアルタイムPCRを使用して、HIV-1プラスミド標準の4と40,000コピーの間を検出し、線形標準曲線を作製した(示されていない)。表5に示されるように、HUT-78/OM10.1細胞混合物の最小検出限界は、1×106個HUT-78細胞中40個のOM10.1細胞であった。
【0312】
40サイクルのエンドポイントPCRを使用して、HIV-1プラスミド標準の4と40,000コピーの間を明確に検出した。表5に示されるように、HUT-78/OM10.1細胞混合物の最小検出限界は、1×106個HUT-78細胞中4個のOM10.1細胞であった。>1,000RLUの発光読み取りは、陽性検出と考えた。
【0313】
結果は、両PCRアッセイは、HIV-1の極めて感度の高い検出を提供したということを示す。
【0314】
[実施例9]
PCRアッセイの特異性の比較
HIV-2プラスミド標準を使用してHIV-2 DNAの検出を測定し、結果をHIV-1のプラスミド標準と比較して特異性を示した。リアルタイムPCR及びエンドポイントPCRアッセイの両方によって50PCRサイクルを用いて、0、4、40、400、4,000及び40,000コピーを含有するHIV-1及びHIV-2プラスミド標準を増幅させた。
【0315】
リアルタイムPCRのために、フォワードプライマー(配列番号7)及びリバースプライマー(配列番号9)を用いてHIV-1 DNAを増幅させた。アンプリコンをTaqmanプローブ(配列番号6)を用いて探索し、コピー数を決定した。
【0316】
以下の表6に示されるように、HIV-1プローブは、4~40000コピーのHIV-1 DNAを検出でき、HIV-1 DNAのみが増幅されるのでHIV-1に特異的であった。さらに、フォワードプライマー(配列番号35)及びリバースプライマー(配列番号36)を用いてHIV-2 DNAを増幅させた。表6に示されるように、HIV-2 Taqmanプローブ(配列番号44)は、4~40000コピーのHIV-2を検出でき、HIV-2プローブを用いた場合HIV-1アンプリコンが検出されなかったので、HIV-2に特異的であった。
【0317】
【0318】
エンドポイントPCRのために、ビオチン標識フォワードプライマー(配列番号7)及び非標識リバースプライマー(配列番号9)を用いてHIV-1 DNAを増幅した。アンプリコンを、ジゴキシゲニン(Dig)標識HIV-1プローブ(配列番号45)を用いて探索した。結果は、以下の表7に示されている。
【0319】
HIV-2 DNAを、非標識フォワードプライマー(配列番号35)及びビオチン標識リバースプライマー(配列番号36)を用いて増幅した。アンプリコンを、ジゴキシゲニン(Dig)標識HIV-2プローブ(配列番号49)を用いて探索した。
Dig HIV-1: Dig/-TTTTTTTTTTTTTTTGGAACCCACTGCTTA (配列番号45)
Dig HIV-2: Dig/-TTTTTTTTTTTTTTTCCAGCAGTAGCAGGT (配列番号49)
【0320】
表7に示されるように、HIV-1プローブは、4~40000コピーのHIV-1を検出でき、HIV-1に特異的であった。HIV-2プローブは、4~40000コピーのHIV-2を検出でき、HIV-2に特異的であった。
【0321】
【0322】
これらの結果は、リアルタイムPCR及びエンドポイントPCRアッセイの両方とも、HIV-1又はHIV-2の特異的検出を提供し、交差反応性はないことを示す。
【0323】
[実施例10]
CD14+単離細胞でのリアルタイム及びエンドポイントPCRアッセイの比較
実施例8に記載されるアッセイを反復した。しかし、本実験では、0.2コピー/μl及び0.4コピー/μlを提供するようにHIV-1血漿標準をさらに希釈した。エンドポイントPCRのPCRサイクル数も50から40に減らした。
【0324】
HIV-1感染対象から血液サンプルを入手し、その白血球を、CD14陽性(CD14+)及びCD14陰性(CD14-)細胞に分離した。CD14+細胞は、白血球のおよそ1/3を含み、主に単球集団である。これらの細胞は、末梢血ではマクロファージに、脳では小グリア細胞に分化する。CD14-細胞は、白血球のおよそ2/3を含み、CD4+T細胞を含む。
【0325】
CD14+及びCD14-細胞集団への分離のために、対象から6mlの血液サンプルを入手した。対象を、2つのカテゴリー、すなわち抗ウイルス療法を用いて治療成功を有したもの及び治療失敗のものに分類した。治療成功対象は、そのHIV-1血漿レベルが、抗レトロウイルス療法(ART)を用いて制御下にあるものと定義した。そのHIV-1ウイルス量は、2年にわたって、一貫して検出レベル未満であった。治療失敗対象は、2年にわたって、そのHIV-1血漿ウイルス量が検出可能である(すなわち、20と400コピー/血漿1mlの間)ものと定義した。
【0326】
フォワードプライマー(配列番号7)及びリバースプライマー(配列番号9)を使用する40サイクルのエンドポイントPCRによって、HIV-1 DNAを増幅した。フォワードプライマー(配列番号7)及びリバースプライマー(配列番号9)を使用する50サイクルのリアルタイムPCRによって、HIV-1 DNAを増幅した。
【0327】
プラスミド標準の段階希釈物を上記で示されるように調製し、50μlのPCR反応において8μlの標準を使用した。
【0328】
結果は、表8に示されている。
【0329】
【0330】
表8に示されるように、リアルタイムPCRの検出限界は、4コピー/μl)のHIV-1 DNA標準であった。エンドポイントアッセイは、0.4コピー/μlのHIV-1 DNAを検出でき、したがって、リアルタイムPCRアッセイよりも10倍感度が高いと思われた。
【0331】
リアルタイムPCR解析は、対象由来のほとんどのCD14-細胞集団においてHIV-1検出を示した。しかし、このアッセイは、治療失敗の対象由来のCD14+細胞集団では、HIV-1を検出しなかった。対照的に、エンドポイントアッセイは、すべてのCD14-細胞集団(治療陽性又は治療陰性にかかわらず)において、及び治療失敗対象由来のCD14+細胞集団においてHIV-1 DNAを検出でき、これは、エンドポイントアッセイがより感度の高い検出方法を提供することを示唆する。
【0332】
[実施例11]
HIV-2臨床サンプルの解析
この実施例では、本発明者は、ARTを中止した後に血漿HIV-2レベルが上がる(すなわち、回復する)か否かを調べようとした。本実施例は、ART治療下にある潜在性HIV-2感染を有する対象を示す。
【0333】
本実施例は、ART治療のためにそのHIV-2血漿ウイルス量(pVL、すなわち、血漿中のHIV-2コピー数)が一貫して抑制された対象に関する。2年にわたって、対象をモニタリングし、pVLは、検出限界未満であった。対象は、医師の助言に反して、2017年6月の中頃にARTの服用を停止した。対象から得た血液サンプルは、ARTを停止した1ヶ月後に得たものであった。
【0334】
対象のサンプルから血漿を抽出し、フォワードプライマー(配列番号35)及びリバースプライマー(配列番号36)及びプローブ(配列番号37)を使用してHIV-2 RNAの存在を調べた。50サイクルのPCRを用いてエンドポイント及びリアルタイムPCR増幅を実施した。
【0335】
対象のサンプルを、(i)HIV-2プラスミド標準(HIV-2プラスミドDNAの2~20,000コピー)(ii)HIV-2陽性対照サンプル(iii)正常血漿中に2つの異なる濃度(一方は高及び一方は低)のHIV-2 RNA(HIV-2感染CD4+細胞から培養上清中に放出された)をスパイクすることによって調製した2種のHIV-2 RNAスパイク対照並びに(iv)陰性対照(陰性血漿サンプル)と比較した。
【0336】
リアルタイムPCR解析及びエンドポイントPCR解析の結果は、以下の表9に示されている。
【0337】
【0338】
表9に示されるように、リアルタイムPCRは、対象のサンプルにおいて、並びにスパイク対照及び陽性対照においてHIV-2の存在を検出できた。したがって、このアッセイによって、対象が血液中にHIV-2を依然として有することが確認された。
【0339】
さらに、エンドポイントPCRは、対象のサンプルにおいて、並びにスパイク対照及び陽性対照においてHIV-2の存在を検出した。したがって、このアッセイによってもまた、対象が血液中にHIV-2を依然として有することが確認された。
【0340】
[実施例12]
HIV-1臨床サンプルの解析
この実施例では、2人の対象の事例研究が示されている。第1の対象(対象320)は、高いHIV-1抗体力価を有していた。ウエスタンブロット解析は、すべてのHIV-1(env、gag、pol)に対して、対象の血漿中のHIV-1抗体を示した。血清学に基づいて、対象は、確立されたHIV-1感染を有していたが、pVLは陰性であった。彼女はARTを全く受けていなかった。
【0341】
第2の対象(対象321)に関しては、ウエスタンブロット解析は不確定であり、数年間そうであった。対象のpVLは陰性であり、ARTを全く受けていなかった。血清学に基づいて、対象は、HIV-1陰性である可能性があると考えられたが、対象が結論的にHIV-1陰性であるか否かを調べるには、より高感度のアッセイが必要であった。
【0342】
方法に記載されるように全血からPBMCを単離し、DNAを抽出した。アッセイ検証のために、サンプルを以下の対照とともに実行した:(i)0、0.2、0.4、4、40及び400コピー/μlを含有するHIV-1プラスミド標準、(ii)1×106個のHUT78細胞中に40個のOM10.1細胞を含有する陽性対照、(iii)既知HIV-1陽性対象(対象291)から得たサンプルであるさらなる陽性対照及び(iv)陰性対照としてのHUT-78細胞株。アッセイが40個のOM10.1細胞を検出した場合には、アッセイは妥当と考えられた。
【0343】
リアルタイムPCRを、フォワードプライマー(配列番号7)及びリバースプライマー(配列番号9)及びHIV-1プローブ(配列番号6)を使用して2連で実施した。エンドポイントPCRも、ビオチン標識リバースプライマー(配列番号9)、非標識フォワードプライマー(配列番号7)及びジゴキシゲニン標識HIV-1プローブ(配列番号45)を使用して2連で実施した。リアルタイムPCR及びエンドポイントPCRの両方とも、同一実行で50サイクルを用いて実施した。
【0344】
対象の解析は、以下の表10に示されている。
【0345】
【0346】
リアルタイムアッセイに関して、対象320は、1つの陽性結果及び1つの陰性結果を示し、これは、HIV-1レベルは、このアッセイのちょうど検出限界にあるということを示唆した。この対象の推定されるHIV-1コピー数は、106個のPBMCあたり27個のHIV-1感染細胞(0.0027%)である。対象321は、HIV-1について明確に陰性であった。
【0347】
エンドポイントアッセイに関して、対象320は、明確に陽性であり、対象321は、明確に陰性であった。
【0348】
[実施例13]
母及び新生児におけるHIV-1の解析
この実施例は、母(対象118)及びその2ヶ月の乳児(対象142)の解析を記載する。母は、これまでにHIV-1陽性と診断されていたが、Xpert(登録商標)アッセイ(Cepheid)及び標準ウイルス量アッセイによって試験された時には、HIV-1を検出できなかった。母及び乳児両方のHIV状態を確実に確認するには、より高感度なアッセイが必要であった。
【0349】
HIV-1 DNA及びRNAの定量化を、本開示に記載される方法に従ってリアルタイムPCRによって実施した。標準Ficoll-hypaque密度勾配遠心分離を使用してPBMCを単離しておいた2mlの全血(合計4mlの全血)からDNA及びRNAをそれぞれ抽出した。対象118から得たサンプルは2連でランした。対象142から得たサンプルは、4回ランした。
【0350】
各アッセイによって決定されたコピー数が、以下に示されている:
【0351】
【0352】
したがって、アッセイは、母をHIV-1陽性と、乳児をHIV-1陰性と明確に診断できた。T/Aクローニングによって、増幅された配列は、HIV-1のR領域配列であることが確認された。配列データは、HIV-1 Taqmanプローブアッセイが、サンプルから抽出されたHIV-1 R領域配列を検出することを実証した。
【0353】
[実施例14]
GeneXpart及びウイルス量によって陰性であると決定されたサンプルの解析
この実施例は、GeneXpartアッセイ及びウイルス量アッセイによってこれまでにHIV-1陰性であるとわかっている対象(対象197)におけるHIV-1 DNAの定量化を記載する。
【0354】
HIV-1 DNAの定量化を、本開示において記載される方法に従ってリアルタイムPCR(3連で)によって実施した。結果は、表12にまとめられている。
【0355】
【0356】
したがって、本アッセイは、この対象をHIV-1陽性と明確に診断できた。T/Aクローニングによって、増幅された配列は、HIV-1のR領域配列であることが確認された。配列データは、HIV-1 Taqmanプローブアッセイが、サンプルから抽出されたHIV-1 R領域配列を検出することを実証した。
【0357】
[実施例15]
HIV-1転写アッセイ
Maxwell抽出機器(Promega)を使用してSt Vincent's Hospitalから入手した26の対象サンプルからの自動DNA及びRNA抽出物を調製した。DNA及びRNAの定量化は、本明細書において記載されるプロトコールに従って決定した。28人の対象の医療記録を調べ、対象を2つの群に分類した:第1は、「最適ART」群(n=7)であり、第2は、「最適未満ART」群(n=21)である。最適ART群は、そのpVLが少なくとも6ヶ月間一貫して抑制され、そのCD4+T細胞カウントが500カウントを超えた対象とした。「最適未満ART」群(n=21)は、ブリップ(6ヶ月の期間内の時折の一過性のpVLの上昇)及び免疫学的失敗(500カウント/μl未満のCD4+T細胞カウント)を起こした。
【0358】
図14Aに示されるように、血漿VLは、2群(すなわち、最適ART及び最適未満ART群)の対象間で異ならず、そのレベルは、アッセイの検出限界未満であった。
【0359】
HIV-1 DNAレベルを調べた際(
図14B)、2群間で幾分かの相違が観察された。これは、RNAレベル(転写活性)を調べた際に(
図14C)より顕著であった。定量化は、本明細書において記載されるように決定され、正規化された。
【0360】
図15に示されるように、「最適ART」群内のさらなる群を同定し、これは、「改善された最適ART」と呼ばれる。この群は、HIV-1 DNAが、1×10
6個細胞あたり400コピー未満である対象と定義される。この群は、おそらくは転写抑制による極めてわずかな進行中のRNA発現を実証した。したがって、ゲノムへのHIV-1組込みが低減される。理想的には、ARTの目標は、改善された最適ARTカテゴリーに対象を有することである。
【0361】
このように示されるデータは、対象において、特に、対象がARTを受けている場合に、HIV RNA転写活性を評価する方法を提供する。
【0362】
[実施例16]
HIV-1に潜在的に感染している細胞におけるHIV-1活性化の証拠
HIV-1は、HIV-1刺激に曝露されると潜在的に感染している細胞リザーバーから活性化され得ることが知られている。潜在的に感染している細胞リザーバーが活性化されている場合には、転写レベルが増大すると期待される。本実施例は、種々の刺激に対する曝露後にRNA転写を測定することによってこの仮説を調べた。
【0363】
ARTによって成功裏に治療されていた14人の対象を調べた。これらの対象は、検出限界未満であるpVLレベル及び500個細胞/μlを超えるCD4+T細胞カウントを有していた。
【0364】
PBMCを、各対象から得て(3~6mlの間)、4つの等しい部分にわけた(好ましくは、各部分は、>1×106個細胞を含有する)。細胞数が所与の対象にとって十分ではない場合には、PBMCを3つの部分にわけた。
【0365】
群を以下のように表した。
群1:BI(BI-2536)、Polo様キナーゼ(PLK)阻害剤
群2:JQ1、Bromodomain阻害剤
群3:PMA、ホルボール-12-ミリステート-13-アセテート(HIVアクチベーター)
群4:対照(刺激なし)
【0366】
PBMCを、CO2インキュベーター中の24ウェルプレート中で、示された薬剤の存在下、20% FBCを有するRPMI培地で14時間培養した。14時間後、培養PBMCから全RNAを抽出した。本明細書において記載される方法に従ってHIV-RNAの解析を実施した。
【0367】
図16に示されるように、活性化刺激の存在下で、HIV-1転写が刺激され、活性化の程度は対象ごとに変わるが、この増大された転写が検出されることができ、これは、HIV-1潜伏の機序が多様であり、潜在性状態から活性状態に移行するために2つ以上の機序を必要とすることもあることを示唆した。したがって、このアッセイによって、pVLが通常は、患者の血漿VLにおいて検出限界未満である潜在的に感染している細胞におけるHIVの検出が可能となる。データによって、培養培地中のHIV-1刺激の存在下で転写活性のレベルが、対照培養物(刺激が存在しない)と比較して上がったので、転写活性を検出する開発されたアッセイは真のシグナルであることが確認された。
【0368】
[実施例16]
エンドポイントアッセイによるHIVの定量化
この実施例は、エンドポイントPCRによるHIV-1の定量化を示す。50サイクルの増幅を実施するよりも、PCRサイクル数を40サイクルに低減した。8人の対象から得たサンプルを調べた。手短には、Maxwell抽出システム(Promega)を使用して各対象から得られたPBMCからDNAを抽出し、40サイクルのPCR増幅を続けた。フォワードプライマー(配列番号7)及びリバースプライマー(配列番号9)及びプローブ(配列番号6)を使用して増幅を実施した。プラスミド標準から作製したPCR曲線が、
図17に示されており、推定されるコピー数は、この標準曲線から決定した。
【0369】
結果は、以下の表13に示されている。
【0370】
【0371】
[実施例17]
乾燥血液スポット試験(DBS)バイオサンプリングのPCRアッセイ
乾燥血液スポット(DBS)サンプルでリアルタイム及びエンドポイントPCR解析を行った。この解析のために、種々のHIV-1 RNAコピー数(pVL)を有する8サンプルを、リアルタイム及びエンドポイントPCRによって増幅した。それらのサンプルから、70μlの全血をDBS紙上にスポットし、それらのスポットされたサンプルからRNAを抽出した。
【0372】
表14に示されるように、リアルタイム及びエンドポイントPCRアッセイ法の両方を使用してサンプルにおいてHIV-1 RNAを検出できた。リアルタイムPCRのために、フォワードプライマー(配列番号7)及びリバースプライマー(配列番号9)及びプローブ(配列番号6)を使用して増幅を実施した。エンドポイントPCRのために、非標識フォワードプライマー(配列番号7)及びビオチン標識リバースプライマー(配列番号9)及びDig標識プローブ(配列番号45)を使用して増幅を実施した。
【0373】
これらの結果は、サンプルを、遠隔地域から、又は未開発の地域若しくは資源不足である地域において集め、解析を実施できる場所へ移動させることができることを示す。
【0374】
【0375】
SEQUENCE LISTING
<110> St Vincent's Hospital Sydney Limited
<120> METHODS OF DETECTING LENTIVIRUS
<130> PA24-344
<150> AU2016903599
<151> 2016-09-07
<160> 53
<170> PatentIn version 3.5
<210> 1
<211> 95
<212> DNA
<213> Human immunodeficiency virus type 1
<400> 1
gtctctctgg ttagaccaga tctgagcctg ggagctctct ggctaactag ggaacccact 60
gcttaagcct caataaagct tgccttgagt gcttc 95
<210> 2
<211> 124
<212> DNA
<213> Human immunodeficiency virus type 2
<400> 2
ttgagccctg ggaggttctc tccagcacta gcaggtagag cctgggtgtt ccctgctaga 60
ctctcaccag cacttggccg gtgctgggca gacggcccca cgcttgcttg cttaaaaacc 120
tcct 124
<210> 3
<211> 17
<212> DNA
<213> Human immunodeficiency virus type 1
<400> 3
taagcagtgg gttccct 17
<210> 4
<211> 17
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Sequence of the HIV-1 R region probe oligo
<400> 4
agggaaccca ctgctta 17
<210> 5
<211> 17
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Sequence of the HIV-1 R region probe oligo with reporter and
quencher
<220>
<221> misc_feature
<222> (1)..(1)
<223> Adenine is attached with X wherein X is a reporter molecule
<220>
<221> misc_feature
<222> (17)..(17)
<223> Adenine is attached with Z wherein Z is a quencher molecule.
<400> 5
agggaaccca ctgctta 17
<210> 6
<211> 17
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Sequence of the HIV-1 R region probe oligo with locked nucleic
acids
<220>
<221> misc_feature
<222> (1)..(1)
<223> Adenine is attached with FAM (carboxyfluorescein)
<220>
<221> modified_base
<222> (3)..(3)
<223> Locked nucleic acid guanine
<220>
<221> modified_base
<222> (5)..(5)
<223> Locked nucleic acid adenine
<220>
<221> modified_base
<222> (7)..(7)
<223> Locked nucleic acid cytosine
<220>
<221> modified_base
<222> (11)..(11)
<223> Locked nucleic acid cytosine
<220>
<221> modified_base
<222> (13)..(13)
<223> Locked nucleic acid guanine
<220>
<221> misc_feature
<222> (17)..(17)
<223> Adenine is attached with BHQ-1
<400> 6
agggaaccca ctgctta 17
<210> 7
<211> 18
<212> DNA
<213> Human immunodeficiency virus type 1
<400> 7
gagcctggga gctctctg 18
<210> 8
<211> 18
<212> DNA
<213> Human immunodeficiency virus type 1
<400> 8
cagagagctc ccaggctc 18
<210> 9
<211> 24
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> HIV-1 reverse R region primer
<400> 9
actcaaggca agctttattg aggc 24
<210> 10
<211> 24
<212> DNA
<213> Human immunodeficiency virus type 1
<400> 10
gcctcaataa agcttgcctt gagt 24
<210> 11
<211> 25
<212> DNA
<213> Human immunodeficiency virus type 2
<400> 11
gcctgggtgt tccctgctag actct 25
<210> 12
<211> 25
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Sequence of the HIV-2 R region probe oligo
<400> 12
agagtctagc agggaacacc caggc 25
<210> 13
<211> 25
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Sequence of the HIV-2 R region probe oligo with reporter and
quencher
<220>
<221> misc_feature
<222> (1)..(1)
<223> Adenine is attached with X wherein X is a reporter molecule
<220>
<221> misc_feature
<222> (25)..(25)
<223> Cytosine is attached with Z wherein Z is a quencher molecule
<400> 13
agagtctagc agggaacacc caggc 25
<210> 14
<211> 18
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> HIV-2 forward R region primer
<400> 14
gagccctgag aggttctc 18
<210> 15
<211> 18
<212> DNA
<213> Human immunodeficiency virus type 2
<400> 15
gagaacctcc cagggctc 18
<210> 16
<211> 23
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> HIV-2 reverse R region primer
<400> 16
ggtctttaag caagcaagcg tgg 23
<210> 17
<211> 27
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> GAPDH probe oligo
<220>
<221> misc_feature
<222> (1)..(1)
<223> Adenine is attached with FAM (carboxyfluorescein)
<220>
<221> misc_feature
<222> (27)..(27)
<223> Thymine is attached with quencher molecule BHQ-1
<400> 17
aaggtcggag tcaacggatt tggtcgt 27
<210> 18
<211> 23
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> GAPDH forward primer
<400> 18
ggcaacaata tccactttac cag 23
<210> 19
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> GAPDH reverse primer
<400> 19
tcgacagtca gccgcatctt 20
<210> 20
<211> 25
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> B-actin probe oligo
<220>
<221> misc_feature
<222> (1)..(1)
<223> Adenine is attached with FAM (carboxyfluorescein)
<220>
<221> misc_feature
<222> (25)..(25)
<223> Guanine is attached with quencher molecule BHQ-1
<400> 20
atgccctccc ccatgccatc ctgcg 25
<210> 21
<211> 25
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> B-actin forward primer
<400> 21
tcacccacac tgtgcccatc tacga 25
<210> 22
<211> 25
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> B-actin reverse primer
<400> 22
cagcggaacc gctcattgcc aatgg 25
<210> 23
<211> 24
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> 3' LTR forward primer
<400> 23
ccaaagaaga caagatatcc ttga 24
<210> 24
<211> 18
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> 3' LTR reverse primer
<400> 24
ttgaggctta agcagtgg 18
<210> 25
<211> 29
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> 3' LTR probe oligo
<220>
<221> misc_feature
<222> (1)..(1)
<223> Thymine is attached with FAM (carboxyfluorescein)
<220>
<221> misc_feature
<222> (29)..(29)
<223> Cytosine is attached with quencher molecule BHQ-1
<400> 25
ttagaccaga tctgagcctg ggagctctc 29
<210> 26
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> gag forward primer
<400> 26
agtgggggga catcaagcag ccatgcaaat 30
<210> 27
<211> 28
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> gag reverse primer
<400> 27
tactagtagt tcctgctatg tcacttcc 28
<210> 28
<211> 17
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> gag probe oligo
<220>
<221> misc_feature
<222> (1)..(1)
<223> Adenine is attached with FAM (carboxyfluorescein)
<220>
<221> modified_base
<222> (3)..(3)
<223> locked nucleic acid cytosine
<220>
<221> modified_base
<222> (4)..(4)
<223> locked nucleic acid adenine
<220>
<221> modified_base
<222> (7)..(7)
<223> locked nucleic acid guanine
<220>
<221> modified_base
<222> (13)..(13)
<223> locked nucleic acid guanine
<220>
<221> modified_base
<222> (16)..(16)
<223> locked nucleic acid guanine
<220>
<221> misc_feature
<222> (17)..(17)
<223> Cytosine is attached with quencher molecule BHQ-1
<400> 28
atcaatgagg aagctgc 17
<210> 29
<211> 18
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> HIV-1 forward R region primer (HIV-1 For 2)
<220>
<221> misc_feature
<222> (6)..(6)
<223> T or C
<220>
<221> misc_feature
<222> (15)..(15)
<223> T or C
<400> 29
gagccnggga gctcnctg 18
<210> 30
<211> 22
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> HIV-1 reverse R region primer (HIV-1 Rev 2)
<400> 30
actcaaggca agctttattg ag 22
<210> 31
<211> 18
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> HIV-2 forward R region primer (HIV-2 For 1)
<220>
<221> misc_feature
<222> (9)..(9)
<223> G or A
<400> 31
gagccctgng aggttctc 18
<210> 32
<211> 23
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> HIV-2 reverse R region primer (HIV-2 Rev 1)
<220>
<221> misc_feature
<222> (4)..(4)
<223> T or C
<400> 32
ggtntttaag caagcaagcg tgg 23
<210> 33
<211> 18
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> HIV-2 forward R region primer (HIV-2 For 2)
<220>
<221> misc_feature
<222> (9)..(9)
<223> G or A
<400> 33
gagccctgng aggttctc 18
<210> 34
<211> 18
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> HIV-2 reverse R region primer (HIV-2 Rev 2)
<400> 34
agggaacacc caggctct 18
<210> 35
<211> 19
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> HIV-2 forward R region primer (HIV 2 For 3)
<400> 35
ttgagccctg ggaggttct 19
<210> 36
<211> 18
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> HIV-2 reverse R region primer (HIV-2 Rev 3)
<400> 36
ggaacaccca ggctctac 18
<210> 37
<211> 14
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Sequence of the HIV-2 R region probe oligo (HIV-2 Pro 2)
<400> 37
ctgctagtgc tgga 14
<210> 38
<211> 14
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Sequence of the HIV-2 R region probe oligo (HIV-2 Pro 2) with
reporter and quencher
<220>
<221> misc_feature
<222> (1)..(1)
<223> Cytosine is attached with X wherein X is a reporter molecule
<220>
<221> misc_feature
<222> (14)..(14)
<223> Adenine is attached with Z wherein Z is a quencher molecule
<400> 38
ctgctagtgc tgga 14
<210> 39
<211> 14
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Sequence of the HIV-2 R region probe oligo (HIV-2 Pro 2) with FAM
and BHQ-1
<220>
<221> misc_feature
<222> (1)..(1)
<223> Cytosine is attached with FAM (carboxyfluorescein)
<220>
<221> misc_feature
<222> (14)..(14)
<223> Adenine is attached with quencher molecule BHQ-1
<400> 39
ctgctagtgc tgga 14
<210> 40
<211> 14
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Sequence of the HIV-2 R region probe oligo (HIV-2 Pro 2) with
locked nucleic acids, FAM and BHQ-1
<220>
<221> misc_feature
<222> (1)..(1)
<223> Cytosine is attached with FAM (carboxyfluorescein)
<220>
<221> modified_base
<222> (2)..(2)
<223> locked nucleic acid thymine
<220>
<221> modified_base
<222> (4)..(4)
<223> locked nucleic acid cytosine
<220>
<221> modified_base
<222> (6)..(6)
<223> locked nucleic acid adenine
<220>
<221> modified_base
<222> (8)..(8)
<223> locked nucleic acid thymine
<220>
<221> modified_base
<222> (9)..(9)
<223> locked nucleic acid guanine
<220>
<221> modified_base
<222> (13)..(13)
<223> locked nucleic acid guanine
<220>
<221> misc_feature
<222> (14)..(14)
<223> Adenine is attached with quencher molecule BHQ-1
<400> 40
ctgctagtgc tgga 14
<210> 41
<211> 14
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Sequence of the HIV-2 R region probe oligo (HIV-2 Pro 3)
<400> 41
tccagcacta gcag 14
<210> 42
<211> 14
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Sequence of the HIV-2 R region probe oligo (HIV-2 Pro 3) with
reporter and quencher
<220>
<221> misc_feature
<222> (1)..(1)
<223> Thymine is attached with X wherein X is a reporter molecule
<220>
<221> misc_feature
<222> (14)..(14)
<223> Guanine is attached with Z wherein Z is a quencher molecule
<400> 42
tccagcacta gcag 14
<210> 43
<211> 14
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Sequence of the HIV-2 R region probe oligo (HIV-2 Pro 3) with FAM
and BHQ-1
<220>
<221> misc_feature
<222> (1)..(1)
<223> Thymine is attached with FAM (carboxyfluorescein)
<220>
<221> misc_feature
<222> (14)..(14)
<223> Guanine is attached with quencher molecule BHQ-1
<400> 43
tccagcacta gcag 14
<210> 44
<211> 14
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Sequence of the HIV-2 R region probe oligo (HIV-2 Pro 3) with
locked nucleic acids, FAM and BHQ-1
<220>
<221> misc_feature
<222> (1)..(1)
<223> Thymine is attached with FAM (carboxyfluorescein)
<220>
<221> modified_base
<222> (2)..(2)
<223> locked nucleic acid cytosine
<220>
<221> modified_base
<222> (4)..(4)
<223> locked nucleic acid adenine
<220>
<221> modified_base
<222> (6)..(6)
<223> locked nucleic acid cytosine
<220>
<221> modified_base
<222> (8)..(8)
<223> locked nucleic acid cytosine
<220>
<221> modified_base
<222> (10)..(10)
<223> locked nucleic acid adenine
<220>
<221> modified_base
<222> (12)..(12)
<223> locked nucleic acid cytosine
<220>
<221> misc_feature
<222> (14)..(14)
<223> Guanine is attached with quencher molecule BHQ-1
<400> 44
tccagcacta gcag 14
<210> 45
<211> 16
<212> DNA
<213> Sequence of the HIV-1 R region probe oligo (HIV-1 Pro 2)
<220>
<221> misc_feature
<222> (1)..(1)
<223> 5-20 nucleotides of T
<400> 45
nggaacccac tgctta 16
<210> 46
<211> 15
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Sequence of the HIV-1 R region probe oligo (HIV-1 Pro 2) with
reporter and quencher
<220>
<221> misc_feature
<222> (1)..(1)
<223> Guanine is attached with X wherein X is a reporter molecule
<220>
<221> misc_feature
<222> (15)..(15)
<223> Adenine is attached with Z wherein Z is a quencher molecule
<400> 46
ggaacccact gctta 15
<210> 47
<211> 15
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Sequence of the HIV-1 R region probe oligo (HIV-1 Pro 3)
<400> 47
agggaaccca ctgct 15
<210> 48
<211> 15
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Sequence of the HIV-1 R region probe oligo (HIV-1 Pro 3) with
reporter and quencher
<220>
<221> misc_feature
<222> (1)..(1)
<223> Adenine is attached with X wherein X is a reporter molecule
<220>
<221> misc_feature
<222> (15)..(15)
<223> Thymine is attached with Z wherein Z is a quencher molecule
<400> 48
agggaaccca ctgct 15
<210> 49
<211> 17
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Sequence of the HIV-2 R region probe oligo (HIV-2 Pro 4)
<220>
<221> misc_feature
<222> (1)..(1)
<223> 5-20 nucleotides of T
<400> 49
ntccagcact agcaggt 17
<210> 50
<211> 16
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Sequence of the HIV-2 R region probe oligo (HIV-2 Pro 4) with
reporter and quencher
<220>
<221> misc_feature
<222> (1)..(1)
<223> Thymine is attached with X wherein X is a reporter molecule
<220>
<221> misc_feature
<222> (16)..(16)
<223> Thymine is attached with Z wherein Z is a quencher molecule
<400> 50
tccagcacta gcaggt 16
<210> 51
<211> 15
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Sequence of the HIV-2 R region probe oligo (HIV-2 Pro 5)
<400> 51
ctccagcact agcag 15
<210> 52
<211> 15
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Sequence of the HIV-2 R region probe oligo (HIV-2 Pro 5) with
reporter and quencher
<220>
<221> misc_feature
<222> (1)..(1)
<223> Cytosine is attached with X wherein X is a reporter molecule
<220>
<221> misc_feature
<222> (15)..(15)
<223> Guanine is attached with Z wherein Z is a quencher molecule
<400> 52
ctccagcact agcag 15
<210> 53
<211> 15
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Sequence of the HIV-2 R region probe oligo (HIV-2 Pro-5) with
locked nucleic acids
<220>
<221> misc_feature
<222> (2)..(2)
<223> locked nucleic acid thymine
<220>
<221> misc_feature
<222> (5)..(5)
<223> locked nucleic acid adenine
<220>
<221> misc_feature
<222> (6)..(6)
<223> locked nucleic acid guanine
<220>
<221> misc_feature
<222> (8)..(8)
<223> locked nucleic acid adenine
<220>
<221> misc_feature
<222> (11)..(11)
<223> locked nucleic acid adenine
<220>
<221> misc_feature
<222> (13)..(13)
<223> locked nucleic acid cytosine
<400> 53
ctccagcact agcag 15
DNA標準に対してHIV DNAコピー数を正規化して、生体サンプル中の細胞あたりのHIV DNAコピー数を得るステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
オリゴヌクレオチドプローブが、配列5'TAAGCAGTGGGTTCCCT3'(配列番号3)を含む若しくはからなる配列又はそれと少なくとも70%同一の配列と結合する、請求項14に記載の組合せ物。
オリゴヌクレオチドプローブが、配列5'GCCTGGGTGTTCCCTGCTAGACTCT3'(配列番号11)を含む若しくはからなる配列又はそれと少なくとも70%同一の配列と結合する、請求項15に記載の組合せ物。
標識されたオリゴヌクレオチドプローブを含むHIV-1核酸を検出するための組成物、オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号45、配列番号46、配列番号47又は配列番号48の配列を含む、組成物。
標識されたオリゴヌクレオチドプローブを含むHIV-2核酸を検出するための組成物であって、オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号12、配列番号13、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52又は配列番号53の配列を含む、組成物。