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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123219
(43)【公開日】2024-09-10
(54)【発明の名称】クイックコネクタ用送信機
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/088 20060101AFI20240903BHJP
   F16L 37/14 20060101ALI20240903BHJP
   F16L 55/00 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
F16L37/088
F16L37/14
F16L55/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024102790
(22)【出願日】2024-06-26
(62)【分割の表示】P 2022554807の分割
【原出願日】2021-03-10
(31)【優先権主張番号】16/817,085
(32)【優先日】2020-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517289000
【氏名又は名称】ティーアイ グループ オートモーティブ システムズ,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リディン,コーディ
(72)【発明者】
【氏名】ペペ,リック
(72)【発明者】
【氏名】ギャベイ,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ロジャーズ,アレクシス
(57)【要約】      (修正有)
【課題】流体路において雄部材と雌管とで分離可能な接続を行うためのクイックコネクタ連結器を提供する。
【解決手段】クイックコネクタ連結器は、コネクタ本体と、リテーナと、確認機構とを備える。コネクタ本体は雄部材を収容するための貫通孔を有し、雄部材はコネクタ本体の貫通孔の中まで延在する大きさの管形状であり、且つ、アプセットを有する。リテーナは、雄部材をコネクタ本体内に解除可能に固定する。確認機構は、接点を有するアンテナを有し、コネクタ本体の内側で掛止位置と非掛止位置との間を移動する。コネクタ本体は、信号を発する無線周波数識別(RFID)チップを有する。信号は、確認機構の掛止位置においてアンテナの接点がコネクタ本体のRFIDチップに接触すると、アンテナを介して読み取り可能になる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体路において、雄部材と雌管とで、分離可能な接続を行うためのクイックコネクタ連結器であって、
前記クイックコネクタ連結器は、
前記雄部材を収容するための貫通孔を有するコネクタ本体であって、
前記雄部材は、該コネクタ本体の前記貫通孔の中まで延在する大きさの管形状であり、且つ、アプセットとを有する、
コネクタ本体と、
前記雄部材を前記コネクタ本体の内部に解除可能に固定するリテーナと、
前記コネクタ本体に結合される確認機構であって、前記コネクタ本体内部において掛止位置と非掛止位置との間を移動する確認機構と
を備え、
前記コネクタ本体は、接点を有するアンテナを有し、前記確認機構は、無線周波数識別(RFID)チップを有し、
前記RFIDチップの信号は、前記確認機構の前記掛止位置において前記アンテナの接点が前記RFIDチップに接触すると、前記アンテナを介して読み取り可能になる、
クイックコネクタ連結器。
【請求項2】
請求項1に記載のクイックコネクタ連結器であって、
前記アンテナは、前記コネクタ本体の周囲に形成されており、
前記アンテナの前記接点は、前記コネクタ本体の後方リムに形成された凹部に位置する、
クイックコネクタ連結器。
【請求項3】
流体路において、雄部材と雌管とで、分離可能な接続を行うためのクイックコネクタ連結器であって、
前記クイックコネクタ連結器は、
前記雄部材を収容するための貫通孔を有するコネクタ本体であって、
前記雄部材は、該コネクタ本体の前記貫通孔の中まで延在する大きさの管形状であり、且つ、アプセットとを有する、
コネクタ本体と、
前記雄部材を前記コネクタ本体の内部に解除可能に固定するリテーナと、
前記コネクタ本体に結合される確認機構であって、前記コネクタ本体内部において掛止位置と非掛止位置との間を移動する確認機構と
を備え、
前記コネクタ本体は、無線周波数識別(RFID)チップと、前記RFIDチップに結合されたアンテナとを有し、前記RFIDチップは、前記コネクタ本体の外面に取り付けられており、

前記確認機構は、導体を有し、
前記確認機構が前記掛止位置に移動すると、前記確認機構に取り付けられた前記導体によって前記アンテナは前記RFIDチップに電気的に接続されるので、前記RFIDチップの信号が前記アンテナを介して読み取り可能になる、
クイックコネクタ連結器。
【請求項4】
請求項3に記載のクイックコネクタ連結器であって、
前記アンテナは、前記コネクタ本体の前記外面の周囲に取り付けられている、
クイックコネクタ連結器。
【請求項5】
請求項3に記載のクイックコネクタ連結器であって、
前記アンテナは、前記コネクタ本体に取り付けられた第1の線と第2の線とを有し、
前記第1の線及び前記第2の線が前記確認機構における保持梁の後面表面に取り付けられた前記導体に接触すると、前記アンテナは前記RFIDチップに電気的に接続される、
クイックコネクタ連結器。
【請求項6】
流体路において、雄部材と雌管とで、分離可能な接続を行うためのクイックコネクタ連結器であって、
前記クイックコネクタ連結器は、
前記雄部材を収容するための貫通孔を有するコネクタ本体であって、
前記雄部材は、該コネクタ本体の前記貫通孔の中まで延在する大きさの管形状であり、且つ、アプセットとを有する、
コネクタ本体と、
前記雄部材を前記コネクタ本体の内部に解除可能に固定するリテーナと、
前記コネクタ本体に結合される確認機構であって、前記コネクタ本体内部において掛止位置と非掛止位置との間を移動する確認機構と
を備え、
前記確認機構は、接点を有するアンテナと、無線周波数識別(RFID)チップとを有する、
クイックコネクタ連結器。
【請求項7】
請求項6に記載のクイックコネクタ連結器であって、
前記確認機構の保持梁の内側に、溝が形成されており、
前記溝は、前記溝の内部を移動する柱部材を収容する大きさである、
クイックコネクタ連結器。
【請求項8】
請求項7に記載のクイックコネクタ連結器であって、
前記柱部材は、
横断方向に傾斜し長手方向軸線に沿った第1の端部と、
前記雄部材の外形に沿って湾曲した底面を有する第2の端部と
を有する、
クイックコネクタ連結器。
【請求項9】
請求項8に記載のクイックコネクタ連結器であって、
前記柱部材の前記第1の端部に、弾性装置が結合されており、
前記弾性装置は、前記確認機構が前記非掛止位置にあるときに前記柱部材を押し出すように構成されており、これにより前記RFIDチップは前記アンテナから離されている、
クイックコネクタ連結器。
【請求項10】
請求項1に記載のクイックコネクタ連結器であって、
前記クイックコネクタ連結器は、前記RFIDチップと前記アンテナとの前記接点との間に、遮蔽材を有し、
前記雄部材が前記コネクタ本体に挿入されると、前記遮蔽材は遠ざけられ、前記確認機構が前記掛止位置に移動する、
クイックコネクタ連結器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体路組立体において解除可能に接続を行うためのクイックコネクタ連結器に関する。
【0002】
関連出願
本特許文献は、2020年3月12日に出願された「クイックコネクタ用送信機」と題する米国特許出願第16/817,085号に対する優先権を主張するものであり、ここに参照によりその全体を本願明細書に組み込むものとする。
【背景技術】
【0003】
この節の記述は、本開示に関連する背景情報を提供するだけであり、従来技術を構成し得るものではない。
【0004】
クイックコネクタは、自動車等の分野において周知の装置である。クイックコネクタ連結器は、通常、パイプ又は管を備え、このパイプ又は管は、クイックコネクタのコネクタ本体内に収容され、封止するように保持される。クイックコネクタ連結器は、2つの部品同士又は導管同士を流体接続するために使用され、これにより、2つの部品の間に流体路が出来上がる。
【0005】
雄部材と雌コネクタ本体とを固定するためにクイックコネクタを使用すると、封止され且つ固定された流体路を最小限の時間と費用で立ち上げられる点で優位性がある。このようなクイックコネクタ連結器は非常に有用であり、例えば、車両の内燃エンジンの流体路システムで有用である。更に、信頼性があり確実なクイックコネクタ連結器は、制動ラインシステムや、燃料路システムや、その他の導管システムにおいて使用できる。
【0006】
封止され且つ固定された流体路を効果的に組み立てるために、クイックコネクタのためのいくつかの方法及び機構が開発され続けており、これらは様々な流体路システムで使用されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、雄部材を雌コネクタに固定するためのクイックコネクタに関する。
【0008】
本開示の態様の1つによれば、流体路において雄部材と雌管とで分離可能な接続を行うためのクイックコネクタ連結器は、コネクタ本体と、リテーナと、確認機構とを備える。コネクタ本体は、雄部材を収容するための貫通孔を有し、雄部材はコネクタ本体の貫通孔の中まで延在する大きさの管形状であり、且つ、アプセットを有する。リテーナは、雄部材をコネクタ本体の内部に解除可能に固定する。確認機構は、接点を有するアンテナを有する。また、確認機構は、コネクタ本体に結合され、コネクタ本体内部において掛止位置と非掛止位置との間を移動する。コネクタ本体は、無線周波数識別(RFID:radio frequency identification)チップを更に備える。RFIDチップの信号は、確認機構の掛止位置においてアンテナの接点がコネクタ本体のRFIDチップに接触すると、アンテナを介して読み取り可能になる。
【0009】
本開示の更なる態様によれば、RFIDチップは、コネクタ本体の収容部に取り付けられている。特に、RFIDチップは、コネクタ本体の後方リムに形成された凹部に取り付けられている。
【0010】
本開示の更なる態様によれば、RFIDチップからの信号を確認機構の掛止位置において読み取り可能にするために、アンテナは、確認機構の周囲の表面に取り付けられている。アンテナの接点は、確認機構が掛止位置に移動すると、RFIDチップに対向する位置に位置する。接点を有するアンテナは、確認機構の内面に取り付けられている。
【0011】
本開示の更なる態様によれば、無線周波数識別(RFID)タグは、RFIDチップとアンテナとを統合することによって形成される。このRFIDタグは、アクティブRFIDタグ又はパッシブRFIDタグのいずれかである。
【0012】
本開示の別の態様によれば、クイックコネクタ連結器は、コネクタ本体と、リテーナと、確認機構とを備える。コネクタ本体は、雄部材を収容するための貫通孔を有し、雄部材は、コネクタ本体の貫通孔の中まで延在する大きさの管形状であり、且つ、アプセットを有する。リテーナは、雄部材をコネクタ本体の内部に解除可能に固定する。確認機構は、無線周波数識別(RFID)チップを有する。コネクタ本体は、接点を有するアンテナを更に有する。確認機構はコネクタ本体に結合され、コネクタ本体内部において掛止位置と非掛止位置との間を移動する。さらに、RFIDチップの信号は、確認機構の掛止位置においてアンテナの接点が確認機構のRFIDチップに接触すると、アンテナを介して読み取り可能になる。
【0013】
本開示の更なる態様によれば、アンテナはコネクタ本体の周囲に形成されており、アンテナの接点はコネクタ本体の後方リムに形成された凹部に位置する。
【0014】
本開示の別の態様によれば、流体路において雄部材と雌管とで分離可能な接続を行うためのクイックコネクタ連結器は、コネクタ本体と、リテーナと、確認機構とを備える。コネクタ本体は、雄部材を収容するための貫通孔を有し、雄部材はコネクタ本体の貫通孔の中まで延在する大きさの管形状であり、且つ、アプセットを有する。リテーナは、雄部材をコネクタ本体の内部に解除可能に固定する。確認機構は、導体を有する。コネクタ本体は、無線周波数識別(RFID)チップと、RFIDチップに結合されるアンテナとを有する。さらに、確認機構はコネクタ本体に結合され、コネクタ本体内部において掛止位置と非掛止位置との間を移動する。確認機構が掛止位置に移動すると、確認機構に取り付けられた導体によってアンテナが電気的に接続されるので、RFIDチップの信号がアンテナを介して読み取り可能になる。
【0015】
本開示の更なる態様によれば、アンテナはコネクタ本体の外面の周囲に取り付けられており、アンテナに結合されたRFIDチップはコネクタ本体の外面に取り付けられている。さらに、アンテナは、コネクタ本体に取り付けられた第1の線と第2の線とを有し、第1の線及び第2の線が確認機構における保持梁の後面表面に取り付けられた導体に接触すると、アンテナはRFIDチップに電気的に接続される。導体は、導電性材料で形成されている。
【0016】
本開示の別の態様によれば、流体路において雄部材と雌管とで分離可能な接続を行うためのクイックコネクタ連結器は、コネクタ本体と、リテーナと、確認機構とを備える。コネクタ本体は、雄部材を収容するための貫通孔を有し、雄部材はコネクタ本体の貫通孔の中まで延在する大きさの管形状であり、且つ、アプセットを有する。リテーナは、雄部材をコネクタ本体の内部に解除可能に固定する。確認機構は、接点を有するアンテナと、無線周波数識別(RFID)チップとを有する。確認機構は、コネクタ本体に結合され、コネクタ本体内部において掛止位置と非掛止位置との間を移動する。確認機構が掛止位置に移動してRFIDチップがアンテナの接点に接触すると、RFIDチップの信号がアンテナを介して読み取り可能になる。
【0017】
本開示の更なる態様によれば、確認機構の保持梁の内側に溝が形成されておる。この溝は、溝の内部を移動する柱部材を収容する大きさである。RFIDチップは、確認機構の柱部材に取り付けられている。RFIDチップは、確認機構が掛止位置に移動すると、柱部材の移動によってアンテナの接点に接触する。
【0018】
本開示の更なる態様によれば、柱部材は、横断方向に傾斜し長手方向軸線に沿った第1の端部と、雄部材の外形に沿って湾曲した底面を有する第2の端部とを有する。アンテナは、確認機構の半径方向内向き面に取り付けられており、RFIDチップは、確認機構が掛止位置に移動したときにアンテナの接点に接触するために、傾斜した第1の端部の上面に取り付けられている。
【0019】
本開示の更なる態様によれば、確認機構が掛止位置に移動すると、柱部材の第2の端部が雄部材に接触し、これにより柱部材が確認機構の溝の内部で相対的に上昇する。柱部材の第1の端部に弾性装置が結合されており、弾性装置は、確認機構が非掛止位置にあるときに柱部材を押し出すように構成されており、これによりRFIDチップはアンテナから離されている。
【0020】
本開示の更なる態様によれば、クイックコネクタ連結器は、RFIDチップとアンテナの接点との間に遮蔽材を有する。雄部材がコネクタ本体に挿入されると又は確認機構が掛止位置に移動すると、遮蔽材は遠ざけられる。
【0021】
添付の図面についての以下の詳細な説明から、更なる詳細及び利点が明らかになる。図面は、説明のみのために添付されており、本開示の範囲及び添付の特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【0022】
以下においては、本開示が十分に理解されるように、添付の図面を参照して、例示した本開示の様々な形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本開示のある例示的形態によるクイックコネクタ連結器の斜視図を示す。
図2図1のクイックコネクタ連結器の側面断面図を示す。
図3図1の雌コネクタ本体の斜視図を示す。
図4図3の雌コネクタ本体の側面図を示す。
図5図3の雌コネクタ本体の側面断面図を示す。
図6】本開示の別の例示的形態によるクイックコネクタの斜視図を示す。
図7図1のリテーナの斜視図を示す。
図8図1の確認機構の斜視図を示す。
図9図1の確認機構が非掛止位置にあるときのクイックコネクタ連結器の上部の詳細図を示す。
図10図1の確認機構が非掛止位置にあるときの、リテーナと確認機構とを有するクイックコネクタの斜視図を示す。
図11図10の確認機構が非掛止位置にあるときの、リテーナと確認機構とを有するクイックコネクタの別の斜視図を示す。
図12図10の確認機構が非掛止位置にあるときの、リテーナと確認機構とを有するクイックコネクタの側断面図を示す。
図13】本開示の別の形態によるクイックコネクタの斜視図を示す。
図14図13の確認機構が非掛止位置にあるときのクイックコネクタ連結器の上部の詳細図を示す。
図15】本開示の別の形態によるクイックコネクタの斜視図を示す。
図16(a)】図15の確認機構が非掛止位置にあるときのクイックコネクタ連結器の詳細図を示す。
図16(b)】図15の確認機構が掛止位置にあるときのクイックコネクタ連結器の詳細図を示す。
図17】本開示の別の形態によるクイックコネクタの斜視断面図を示す。
図18(a)】図17の確認機構が非掛止位置にあるときのクイックコネクタ連結器の断面図を示す。
図18(b)】図17の確認機構が掛止位置にあるときのクイックコネクタ連結器の断面図を示す。
図19(a)】本開示のクイックコネクタ連結器に組み込まれた遮蔽材を示す概略図を示す。
図19(b)】本開示のクイックコネクタ連結器に組み込まれた遮蔽材を示す概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書に記載する図面は、図説のためのみのものであり、いかなる方法においても本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0025】
以下の記載は、本質的に例示にすぎないものであり、いかなる方法においても本開示やその応用又は用途を限定することを意図するものではない。図面全体にわたって、対応する参照符号は、類似の又は対応する部品及び特徴を示していることを理解されたい。
【0026】
本開示のクイックコネクタ連結器を、流体路組立体に関連付けて記載する。このクイックコネクタ連結器は、硬質の管と、他の流体輸送用部品との間、特に可撓性ホースとの間における、解除可能な接続部として記載する。ただし、クイックコネクタ連結器は、流体密でありながら解除可能な接続が所望される場合に非常に多くの用途があり、例えば、自動車における加圧の有無を問わず、流体経路の硬質の要素同士を接続することなどがある。
【0027】
図面をより詳細に参照すると、図1は、流体路内での分離可能な接続を形成するためのクイックコネクタ連結器10を示している。クイックコネクタ連結器10は、コネクタ本体12と、雄部材14とで構成されている。図2において、クイックコネクタ連結器10は、リテーナ100(一次ラッチ等)と確認機構200(二次ラッチ等)とによって、解除可能に固定されている。雄部材14は、流体路システムの一部を形成する中空管の一端に形成される。コネクタ本体12と雄部材14とは、流体路内で、分離可能な継目を形成するように接続可能である。
【0028】
図1及び図2に示すように、雄部材14は、硬質の管の一端に形成されている。雄部材14は、開口管端又は先端18から所定距離のところに形成された、半径方向に拡径したアプセット16を有する。雄部材14をコネクタ本体12に挿入するために、管端又は先端18を丸めるたり又は先細にしたりすることができる。管の外面によって定められる滑らかな略円筒状の封止面20が、アプセット16と管端又は先端18との間に延在している。管は、管端から離れる方向に、アプセット16を越えて延在しており、概ね滑らかな円筒面22となっている。滑らかな円筒面22は、円筒状の封止面20とほぼ同じ直径を有する。
【0029】
図3図5は、雌コネクタ本体12を詳細に示している。図5に示すように、コネクタ本体12は、略円筒状であり且つ半径方向内側に段差のある面を有する壁24によって仕切られている。コネクタ本体12は、雄部材14を収容するための本体部26と、本体部26から延在する円筒状ステム28とを有し、これらは一体化されている。円筒状ステム28はホース接続端34を有し、本体部26の長手方向軸線Xを横断する方向に向かって90度曲がっている。ただし、本開示の他の複数の形態によると、ホース接続端34を有する円筒状ステム28は、本体部26から長手方向軸線Xに沿って直線状に(180度。図6を参照)延在してもよい。したがって、コネクタ本体12の外観は、本開示から逸脱することなく、何れか所望の形状を取り得ることを理解されたい。
【0030】
本体部26と円筒状ステム28とを一体として有するコネクタ本体12は、一般にプラスチック材料(ポリアミド等)で形成される。図5に示すように、壁24の内面は、長手方向軸線Xに中心が合わされた貫通孔30を定めている。コネクタ本体12の貫通孔30は、雄部材受け入れ端32から管端受け部40まで長手方向軸線Xに沿ってコネクタ本体12を完全に貫通しており、更にはホース接続端34まで横断方向に延在する。本願明細書において、後方に(rearward)という語は、概ね長手方向軸線Xに沿って雄部材受け入れ端32から管端受け部40に向かう方向を意味するように使用されており、前方(forward)という語は、長手方向軸線Xに沿って後方とは逆方向であることに留意されたい。
【0031】
図3図5に示すように、コネクタ本体12は、収容部36と、封止室38と、管端受け部40と、ステム28とを有する。収容部36は、雄部材受け入れ端32に隣接している。収容部36は、前方リム42と後方リム48とによって区切られている。前方リム42は前方に向いた平坦な横断面44を有し、横断面44は雄部材受け入れ端32において貫通孔30への開口部46を定めており、後方リム48は、貫通孔30まで開いている間隙又は空間50により前方リム42から離れている。前方及び後方リム42、48の両方は、上部支持部材52及び下部支持部材56によって繋がっている。加えて、複数の中心ボディポスト54が、後方リム48の前方に向いた面から延在している。下部支持部材56の下部の湾曲面は、後方リム48の半径方向最外方の端縁から半径方向内方に窪んでおり、そのため、下部支持部材56と前方及び後方リム42、48とで、リテーナ100の横部材104を収容するポケット58を定めている。
【0032】
図3に示すように、例えば、上部支持部材52は、前方及び後方リム42、48の間に繋げられている。後方リム48の上部は、確認機構200の半径方向内向き面204が収まる凹部60を有する。後方リム48の凹部60は、上部支持部材52に配設されている。コネクタ本体12は、無線周波数識別(RFID)チップ84を有し、この無線周波数識別(RFID)チップ84は、アンテナ230と共に無線周波数識別(RFID)タグ86の一部に含まれる。チップ84は、コネクタ本体12の上部に位置しており、チップ84は、通常は、コネクタ本体12に取り付けられている。例えば、チップ84は、収容部36の後方リム48に印刷されたり又は埋め込まれたりしている。ただし、チップ84は、クイックコネクタ連結器10の動作に応じて、コネクタ本体12の他の位置に取り付けられてもよい。本開示の一例示的形態によると、図3に示すように、チップ84は、コネクタ本体12との一体成形によって、又は、収容部36の凹部60への印刷によって、後方リム48の凹部60に取り付けられている。これに加えて、本開示の他の複数の形態によれば、チップ84は、確認機構200又はリテーナ100等の後述の他の構成要素に取り付けられてもよい。
【0033】
一般に、RFIDタグ86は、アクティブRFIDタグ又はパッシブRFIDタグを含む。例えば、本開示の一例示的形態によると、図9において、チップ84とアンテナ230とを有するRFIDタグ86は、パッシブRFIDタグである。パッシブRFIDタグ86は、通常、電源を必要としない。この種のパッシブRFIDタグは、距離、歪み、圧力、及び他の環境因子の変化に反応することができる。したがって、図1及び図2に示すように、確認機構200が掛止位置に移動すると、パッシブRFIDタグ86は、チップ84がアンテナ230へ接触することによって反応することができる。ただし、本開示の他の複数の形態によれば、RFIDタグ86は、アクティブRFIDタグであってもよい。アクティブRFIDタグは、電源を有し、信号を能動的に送出し、他の環境因子に反応しない。したがって、アクティブRFIDタグは、それ自体で信号を送出し得る。
【0034】
本開示の更なる態様によれば、クイックコネクタ連結器には、遮蔽材88がRFIDチップ84とアンテナ230の接点228との間に組み込まれており、これは、図19(a)に示されているような接近時に雄部材が挿入されていない場合においてRFIDチップ84からの如何なる信号も遮蔽する。雄部材の挿入されるにつれて遮蔽材88は邪魔にならない位置に移動してRFIDチップ(又はインダクティブチップ)84が露出されるか、又は、掛止位置においてアンテナ230の接点228が移動するようになっており、確認機構が掛止位置にある場合においてRFIDチップ84はアンテナ230と通信可能となる。別の接近の仕方においては、図19(b)に示すように、確認機構が掛止位置に移動する前は、RFIDチップからの誤った信号がアンテナを介してサーバに読み取られることを防ぐために、遮蔽材88は、RFIDチップ84とアンテナ230とを有するRFIDタグ86を遮蔽する。したがって、遮蔽材88は、RFIDチップを覆う(又はRFIDチップとアンテナの接点との間に位置する)又は(RFIDチップとアンテナとを有する)RFIDタグを覆うものであり、遮蔽材88は、雄部材がコネクタ本体に挿入されていないとき、又は、確認機構がコネクタ本体に完全には係合しておらず確認機構が非掛止位置にあるとき、誤った信号を防止する。
【0035】
封止室38は、収容部36の軸線方向後方に形成されている。封止室38は、壁24の径が収容部36より小さい部分によって定められている。封止室38は、コネクタ本体12と雄部材14との間に流体封止を形成するシール要素を収容するために設けられている。図2に示すように、2つのOリングシール62、64が、硬質のスペーサリング66で隔てられて、半径方向において封止室38と雄部材14との間に配置されている。Oリングシール62、64は、封止室38内において緊密に嵌合し且つ雄部材14の封止面20の周囲に緊密に嵌合する大きさを有する。Oリングシール62、64は、中空のスペーサスリーブ68によって封止室38内に固定されている。中空のスペーサスリーブ68は、その外周に環状隆起部70を有し、この環状隆起部70により、スペーサスリーブ68は貫通孔30内によりしっかりと固定される。
【0036】
管端受け部40は、封止室38の軸線方向後方に形成されている。管端受け部40は、壁24の径が封止室38より小さい部分によって定められており、軸線方向後方に延在している。管端受け部40は、雄部材14の封止面20を受け入れて案内又はガイドする大きさを有する。更に、ステム28は、壁24の径が最小の部分によって定められた流体通路72を有する。ステム28は、管端受け部40の径が小さい部分から横断方向にホース接続端34まで延在している。ステム28は、流体路における別の構成要素へ接続するのを容易にするように構成されている。例えば、コネクタ本体12は、可撓性ホース(図示せず)へ接続するために形成されている。上述のように、流体路システムを完成するために、何らかの他の適した接続装置を使用してもよい。
【0037】
図7は、クイックコネクタ連結器10におけるリテーナ100を示す。リテーナ100は、プラスチックなどの弾性のある可撓性材料で形成されていることが好ましい。リテーナ100は、収容部36の底部スロット74を通って横断方向に延在しており、コネクタ本体12に取り外し可能に結合される。リテーナ100は、一対の細長い略平行な脚102を有し、これらの脚102は、横部材104から延在し且つ横部材104によって一端で接合されている。横部材104の半径方向内面には解除突起106が形成されており、解除突起106は、脚102の後面から軸線方向に延在している。横部材104は、雄部材14の円筒状封止面20の外径にほぼ等しい距離だけ脚102同士を引き離す。脚102の軸線方向長さは、収容部36の底部スロット74の軸線方向長さにほぼ等しいが、それより僅かに短い。理解されるように、脚102の横幅は、両脚102が外方へ広がることによって雄部材が挿入されたり解除されたりできるようにするために、底部スロット74の横幅より著しく小さい。加えて、横部材104は、脚102の軸線方向長さより非常に大きい軸線方向長さを有する。
【0038】
脚102はそれぞれ、横部材104から遠い方の一端に形成されたラッチ108を有する。リテーナ100がコネクタ本体12に完全に挿入されると、各ラッチ108はリテーナ100をコネクタ本体12に対して所定位置に係止する。ラッチ108は、係止用肩部76に係合し、リテーナ100を所定位置に解除可能に係止する。係止用肩部76は、コネクタ本体12の上部支持部材52により定められている。図7に示すように、脚102はそれぞれ、誘導領域112を有する傾斜面110を更に有する。誘導領域112は、脚102の前面114に形成されている。誘導領域112は、各脚102の前面114から半径方向内方且つ軸線方向後方に傾斜しており、各脚102の前面114と後面116との間のほぼ中間で終端となっている。
【0039】
両誘導領域112の誘導縁同士の間隔は、前面114に隣接する位置で最大である。この間隔は、雄部材14に形成されたアプセット16の外径又は外面にほぼ等しい。誘導領域112の内縁118においては、この間隔は、雄部材14の封止面20の外径にほぼ等しい。誘導領域112のうちラッチ108に近い方の部分は、雄部材のアプセット16の環状輪郭に適合するように、内方に湾曲している。この形状は、コネクタ本体12内へ雄部材14を案内し且つ中心合わせをするのを補助する。
【0040】
図8は、上部スロット78及び側面スロット80の内部に配される要素を複数有する確認機構200を示している。確認機構200は、コネクタ本体12に取り外し可能に結合される。確認機構200も、プラスチックなどの弾性のある可撓性材料で成形されることが好ましい。確認機構200は、半径方向掛止位置と半径方向非掛止位置との間において、湾曲した下部支持部材56、ひいてはリテーナ100に向かう方向及びこれらから離れる方向に、上部支持部材52に対してコネクタ本体12の横断方向に沿って摺動可能である。
【0041】
確認機構200は、半径方向内向き面204を有する接続部材202を有する。半径方向内向き面204から、保持梁206と、横方向に離間し且つ湾曲した一対の略弾性のフィンガ208とが延在している。フィンガ208は、接続部材202から下向きに且つ保持梁206と同じ方向に延在している。コネクタ本体12に組み付けられると、半径方向内向き面204は、コネクタ本体12の上部スロット78にほぼ重なり、保持梁206は上部スロット78内に摺動可能に配設される。フィンガ208はそれぞれ、側面スロット80の1つに入る。
【0042】
フィンガ208はそれぞれナックル210を有し、このナックル210は、横方向内方に向いたフック212を有する。フィンガ208のフック212は、確認機構200がその非掛止位置にある場合、上部支持部材52によって定められた係止用突条82に係合し、確認機構200をコネクタ本体12に解除可能に固定する。確認機構200の保持梁206は、横方向に拡がった拡幅部214と狭まった狭幅部216とを有する。拡幅部214の横幅は、上部支持部材52上に形成された上部スロット78の拡幅部の横幅より僅かに小さく、且つ、狭幅部216の横幅は、上部スロット78の狭幅部の横幅より僅かに小さいので、確認機構200は、掛止位置と非掛止位置との間で移動する。
【0043】
図8に示すように、確認機構200のフィンガ208はそれぞれ、延長梁218を更に有し、この延長梁218は、ナックル210の端部から延在し、その自由端又は遠位端に形成された確認タブ220に終端する。延長梁218及び確認タブ220の後面222は、ナックル210の後面と同一平面にある。ただし、延長梁218及び確認タブ220の前面224は、ナックル210の前面から軸線方向後方に離れており、これにより、延長梁218及び確認タブ220の軸線方向厚さがナックル210の軸線方向厚さよりも小さくなる。延長梁218及び確認タブ220の厚さとナックル210の厚さとの差は、雄部材14のアプセット16の厚さ又は軸線方向長さと少なくとも同じであるようになっている。
【0044】
確認タブ220はそれぞれ、該確認タブ220の前面224に形成された誘導用傾斜面226を有する。誘導用傾斜面226は、各確認タブ220の前面224から半径方向内方且つ軸線方向後方に傾斜している。誘導用傾斜面226の形状及び間隔は、雄部材14のアプセット16の環状輪郭に適合しており、確認機構200がその非掛止位置にある場合に雄部材14をコネクタ本体12へ挿入するときに、アプセット16を誘導用傾斜面226に接触させることができる。したがって、確認機構200が非掛止位置にあるとき、対向する確認タブ220同士の間隔は、円筒状の封止面20を、確認タブ220に接触させずにコネクタ本体12に挿入するために必要な間隔より大きい。組み付けられた構成において、確認タブ220は、コネクタ本体12の中心ボディポスト54に係合する形状と大きさとを有しており、これにより、確認機構200は非掛止位置から掛止位置に移動される。
【0045】
図9を参照すると、確認機構200は、アンテナ230を更に有しており、このアンテナ230は、コネクタ本体12上のチップ84に接続するための接点228を有する。アンテナ230は、通常、確認機構200に取り付けられている。図9に示すように、例えば、アンテナ230は、確認機構200の半径方向内向き面204に埋め込まれる。特に、アンテナ230の接点228は、確認機構200が掛止位置に移動したときに、コネクタ本体12のチップ84に対向して接続する位置に位置する。図9に示すように、例えば、接点228は、確認機構200の半径方向内向き面204の中心領域に位置し、この領域は、コネクタ本体12の凹部60に取り付けられたチップ84に対向する。加えて、アンテナ230は、半径方向内向き面204の周囲に取り付けられ(又は埋め込まれ)、チップ84から転送された信号を活性化するための接点228を有する。
【0046】
特に、接点228及びアンテナ230の位置は、コネクタ本体のチップ84の位置又はコネクタ本体12の構造又はその両方に応じて、変更してもよい。更に、本開示の他の複数の形態によると、接点228を有するアンテナ230は、コネクタ本体12又はリテーナ100等の後述の他の構成要素に取り付けられてもよい。
【0047】
本開示の他の各形態によると、アンテナ230との相互接続(又は接触)なしに無線通信を行うために、インダクティブチップを使用してもよい。例えば、コネクタ本体又は確認機構に取り付けられたインダクティブチップをアンテナ230に近付けると(必ずしも接続又は接触させる必要はない)、インダクティブチップの読み取り範囲が接近(接続又は接触)状態を識別する役割を果たすので、RFIDタグ86からの信号がサーバで読み取り可能となる。したがって、RFIDタグ86内のインダクティブチップは、アンテナ230と無線で通信するので、確認機構200が掛止位置に移動すると、RFIDタグ86からの信号をサーバで読み取り可能となる。
【0048】
図10図11、及び図12は、確認機構200が非掛止位置にあるときの、リテーナ100及び確認機構200が設置されたコネクタ本体12を示している。リテーナ100の脚102は、収容部36の底部スロット74に挿入されており、横部材104は収容部36のポケット58に収容されている。脚102が収容部36に挿入されると、脚102が内方に撓んでラッチ108が上部支持部材52の係止用肩部76に係合し、リテーナ100がコネクタ本体12に固定される。更に、リテーナ100がコネクタ本体12に固定されると、更に、脚102の誘導領域112が雄部材受け入れ端32の方向に向く。
【0049】
確認機構200を非掛止位置から掛止位置に位置させることによって結合が完了する。非掛止位置において、確認機構200は、コネクタ本体12に対する軸線方向及び半径方向への移動が抑制されている。ナックル210の前面及び後面と前方及び後方リム42、48の両方とが当接することにより、収容部36内部での確認機構200の軸線方向への移動が抑制される。フィンガ208のフック212が上部支持部材52の係止用突条82と係合することにより、半径方向内方又は横断方向上方への確認機構200の移動が抑制される。加えて、中心ボディポスト54と確認タブ220とが当接することにより、半径方向外方又は横断方向下方への確認機構200の移動が抑制される。したがって、この状態では、確認機構200を非掛止位置から移動させることができない。
【0050】
リテーナ100と確認機構200とが非掛止位置でコネクタ本体12に適正に取り付けられると、図1及び図2に示すように、雄部材14がコネクタ本体12に挿入される。雄部材14の円筒状封止面20は、脚102の間を通過し、封止室38に入る。雄部材14のアプセット16が脚102に接触すると、十分な軸線方向内方への力が加わって、アプセット16が脚102の誘導領域112によって脚102の間を通過させられる。アプセット16が脚102の間を通過するのに伴い、アプセット16は誘導領域112に沿って乗り上がり、脚102を半径方向外方に撓ませる。アプセット16が脚102を通過すると、脚102はアプセット16の背後でロック位置に跳ね戻る。脚102の後面116はアプセット16に当接し、コネクタ本体12から雄部材がその後意図せず引き抜かれることを防止する。また、雄部材14は、設置されたリテーナ100の横部材104を内方に押すことによって、コネクタ本体12から引き抜かれる。
【0051】
リテーナ100の脚102がロック位置にあるとき、アプセット16は、確認機構200のフィンガ208を、側面スロット80において横方向外方に撓ませる。確認タブ220は、貫通孔30の軸線Xの横断方向上方に、同様に雄部材14の軸線Xの上方に位置しているので、コネクタ本体12に雄部材14を後方に向かって挿入すると、アプセット16の上半分はフィンガ208の誘導用傾斜面226に接触する。アプセット16の上半分がフィンガ208に接触すると、後方への力がフィンガ208に加わるだけでなく、上方への力もフィンガ208に加わるので、確認機構200は雄部材14の軸線Xから、横断方向上方に又は半径方向外方に押される。これにより、確認タブ220は中心ボディポスト54を通り抜けることができ、フィンガ208は、干渉されることなく、半径方向又は横方向外方に広がることができる。
【0052】
上記のように、確認機構200のフィンガ208が横方向外方に広がることができるのは、雄部材14のアプセット16がリテーナ100の脚102を完全に通過した後(すなわち、雄部材14がコネクタ本体12に完全に挿入され、リテーナ100の脚102がロック位置にあるとき)である。雄部材14がコネクタ本体12に完全に挿入されると、接続部材202に対する(コネクタ本体12に向かう)横断方向下方又は半径方向内方に向かう力によって、確認機構200が掛止位置に位置決めされて、クイックコネクタ連結器10が完成する。掛止位置において、保持梁206の後面は、雄部材14のアプセット16と軸線方向に当接している関係にある。保持梁206とアプセット16とが軸線方向に当接しているこの関係によって、リテーナ100が雄部材14をロックしそこなったときに雄部材14をコネクタ本体12内に保持するための検証機能を、確認機構200は有する。また、保持梁206の半径方向内面は、雄部材14の外面に当接する。確認機構200が半径方向内方に向けて掛止位置まで移動できることにより、ユーザは、雄部材14がコネクタ本体12に適正に挿入されたことを目視確認できる。
【0053】
上記のような目視確認を提供することに加えて、本開示の確認機構200は、雄部材14がコネクタ本体12に適正に挿入されたことが確認されたことを示すために、受信装置に信号を送ることも可能である。コネクタ本体12の上部にある凹部60は、確認機構200の半径方向内向き面204に適合する形状であるので、確認機構200が掛止位置に移動すると、確認機構200のアンテナ230の接点228はコネクタ本体12のチップ84に当接する。確認機構200とコネクタ本体12とがこのように当接することにより、チップ84をアンテナ230の接点228に接続させてRFIDタグ86からの信号を読み取ることが可能となる。受信装置(図示せず)は、確認機構200がコネクタ本体12に挿入される位置の近くに位置決めされる。受信装置は、読み取り可能になった信号をRFIDタグ86から受信し、クイックコネクタ連結器10が適正に接続されたことを通知するための別の信号を制御ユニット(図示せず)に送る。更に、RFIDタグ86は、組み込み型のインピーダンス整合機能を有する。組み込み型のインピーダンス整合機能をチップ84と共に用いることによって、RFIDタグ86からの信号が最大化されるので、サーバにおいて信号を効果的に読み取ることができる。
【0054】
確認機構200の非掛止位置では、アンテナ230の接点228は、コネクタ本体12のチップ84に上記のように接続(又は接触)してはいないので、RFIDタグ86からの信号が読み取り可能にはならない。したがって、受信装置はRFIDタグ86から信号を受信せず、制御ユニットは、クイックコネクタ連結器10が適正に接続されたことを通知するための別の信号を受信しないことになる。
【0055】
本開示の別の形態による第2の実施形態のクイックコネクタ連結器300が図13及び図14に示されている。第2の実施形態のクイックコネクタ連結器300は、接点228を有するアンテナ230及びチップ84の位置を除き、上記のクイックコネクタ連結器10と基本的に同じである。第2の実施形態において、例えば、チップ84は確認機構200に取り付けられており、接点228を有するアンテナ230はコネクタ本体12に取り付けられている(又は埋め込まれている)。
【0056】
図13及び図14に示すように、チップ84は、上記のように、成形又は印刷によって、確認機構200の半径方向内向き面204に取り付けられている。接点228を有するアンテナ230は、コネクタ本体12に取り付けられている。特に、アンテナ230の接点228は後方リム48の凹部60に位置するので、確認機構200がその掛止位置に移動すると、アンテナ230の接点228はチップ84に当接する。さらに、接点228を有するアンテナ230は、コネクタ本体12の後方リム48の外縁の周囲に取り付けられている(又は埋め込まれている)。したがって、確認機構200の掛止位置において、コネクタ本体12に取り付けられたアンテナ230の接点228に確認機構200のチップ84が接続(又は接触)すると、RFIDタグ86の信号が読み取り可能となり、これにより、受信装置はRFIDタグ86からの信号を受信し、クイックコネクタ連結器300が適正に接続されたことを通知するための別の信号を制御ユニットに送る。
【0057】
本開示の別の形態による第3の実施形態のクイックコネクタ連結器400が図15図16(a)、及び図16(b)に示されている。第3の実施形態のクイックコネクタ連結器400は、チップ84とアンテナ230とを有するRFIDタグ86の配置を除き、上記のクイックコネクタ連結器300と基本的に同じである。図15に示すように、チップ84及びアンテナ230は、コネクタ本体12内の封止室38の外面に取り付けられる。アンテナ230は、封止室38の外面の周囲に配設される。チップ84は、アンテナ230に直接取り付けられ、封止室38の上面に配設される。さらに、アンテナ230は、チップ84に取り付けられた第1の線402と第2の線404とを有し、この第1及び第2の線402及び404は、コネクタ本体12に取り付けられている。ただし、本開示の第3の実施形態においては、チップ84がアンテナ230に取り付けられているが、確認機構200が非掛止位置にあるときはアンテナ230が電気的に切り離されているので、アンテナ230はRFIDタグ86の信号を送出できない。したがって、遠隔地にあるサーバはRFIDタグ86からの信号を読み取れないので、制御ユニットは、確認機構200が非掛止位置にあると認識する。
【0058】
図16(a)に示すように、確認機構200に導体406が取り付けられている。例えば、導体406は、アンテナ230において第1の線402と第2の線404とを電気的に接続するための銅条片などの導電性材料として形成される。導体406は、線402、404の両方を電気的に接続するために、保持梁206の後面表面408の上方領域に取り付けられている。雄部材14がコネクタ本体12に挿入されてリテーナ100によって係止された後、確認機構200が掛止位置に移動すると、アンテナ230とチップ84とが電気的に接続され、導体406によって線402、404が電気的に接続されるので、アンテナ230は信号を送出できるようになる。本開示の他の各形態によると、確認機構200の導体406は、コネクタ本体12に取り付けられた第1及び第2の線402、404の位置に応じて、他の領域に配置されてもよい。
【0059】
図16(b)に示すように、確認機構200が掛止位置に移動すると、アンテナ230はRFIDタグ86からの信号を遠隔地にあるサーバに送出できるようになる。したがって、受信装置(図示せず)はRFIDタグ86からの信号を受信し、確認機構200が掛止位置にあることと、クイックコネクタ連結器400が適正に接続されたこととを通知するための別の信号を制御ユニット(図示せず)に送る。
【0060】
本開示の別の形態による第4の実施形態のクイックコネクタ連結器500が図17図18(a)、及び図18(b)に示されている。第4の実施形態のクイックコネクタ連結器500は、RFIDタグ86におけるチップ84の配置を除き、上記のクイックコネクタ連結器10と基本的に同じである。図17に示すように、チップ84は確認機構502にも配置されている。確認機構502は、ばねなどの弾性装置506を有する柱部材504を更に有する。確認機構502の保持梁206は、保持梁206の長さに沿って溝508を有し、この溝508は、弾性装置506を有する柱部材504を収容する。確認機構502が掛止位置に移動すると、柱部材504は、保持梁206の溝508の内部を移動する。
【0061】
図17において、柱部材504は第1の端部510と第2の端部512とを有する。第1の端部510は横断方向に傾斜し、長手方向軸線Xに沿って後方に延在している。チップ84は、延在している第1の端部510の上面514に取り付けられている。弾性装置506は、溝508の内部の内面と第1の端部510の上面514との間に収容されて設置されており、この弾性装置506は、確認機構502が非掛止位置にあるときに柱部材504を柱部材504の元の位置に戻すためのものである。柱部材504の第2の端部512は、雄部材14の外面形状に沿って湾曲した底面516を有し、この底面516は、確認機構200が掛止位置に移動したときに雄部材14の滑らかな円筒面22に当接するためのものである。
【0062】
図18(a)は、確認機構502の非掛止位置を示す。図18(b)は、確認機構502の掛止位置を示す。アンテナ230は、上記のように、半径方向内向き面204に沿って取り付けられている(図9を参照)。したがって、図18(a)及び図18(b)に示すように、確認機構502が非掛止位置から掛止位置に移動すると、上面514に取り付けられたチップ84は、アンテナ230の接点228に接触する。挿入された雄部材14がリテーナ100によってロックされた後、確認機構502が非掛止位置から掛止位置に移動すると、雄部材14の滑らかな円筒面22の故に、柱部材504が押し上げられるので、柱部材504の上面514に取り付けられたチップ84は、アンテナ230の接点228に当接(又は接触)する。確認機構502の掛止位置においてチップ84とアンテナ230とが接触するので、RFIDタグ86からの信号をサーバで読み取ることができる。
【0063】
上記のように、確認信号を無線で伝達するためのアンテナ230とRFIDチップ84とを有するRFIDタグ86システムは、如何なる種類のコネクタ連結器システムにも適用されるものであり、リテーナと確認機構とが単一要素として組み合わされたイージーロック(Easy Loc)コネクタなどに適用される。例えば、RFIDチップ84とアンテナ230がコネクタ連結器システムの部品に取り付けられて、RFIDタグ86システムは、コネクタ本体と管との結合が固定されて確認されると、RFIDチップ84からの確認信号をアンテナ230経由でサーバに送出する。
【0064】
本発明の様々な形態の上記説明は、例証及び説明のために記載されている。上記説明は、網羅的であること、又は本発明を開示されている正確な形態に限定すること、を意図するものではない。上記教示に鑑みて、多数の変更又は変形が可能である。記載の諸形態は、本発明を様々な形態で、及び意図された特定用途に適したような変更を加えて、利用できるように、本発明の原理の最良の例証及びその実際の応用例を提供するために、選択されて説明されている。そのような変更及び変形の全ては、それらが適正に、合法的に、且つ公平に権利がある範囲に従って解釈されたとき、添付の特許請求の範囲によって決定される本発明の範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16(a)】
図16(b)】
図17
図18(a)】
図18(b)】
図19(a)】
図19(b)】