(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123230
(43)【公開日】2024-09-10
(54)【発明の名称】濃縮液、希釈液及び添加剤を混合するための飲料ディスペンサヘッド
(51)【国際特許分類】
B01F 35/71 20220101AFI20240903BHJP
B01F 35/221 20220101ALI20240903BHJP
B01F 25/30 20220101ALI20240903BHJP
B01F 101/06 20220101ALN20240903BHJP
B01F 101/14 20220101ALN20240903BHJP
B01F 101/24 20220101ALN20240903BHJP
【FI】
B01F35/71
B01F35/221
B01F25/30
B01F101:06
B01F101:14
B01F101:24
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024103096
(22)【出願日】2024-06-26
(62)【分割の表示】P 2021511568の分割
【原出願日】2019-09-03
(31)【優先権主張番号】1814262.0
(32)【優先日】2018-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】507073387
【氏名又は名称】クァンテックス パテンツ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ヘイズパンクハースト リチャード ポール
(72)【発明者】
【氏名】フォード ジョナサン エドワード
(57)【要約】 (修正有)
【課題】液体製品を要求に応じて分注するディスペンサヘッドを提供する。
【解決手段】炭酸飲料や窒素飲料をインラインで混合し分注するためのディスペンサヘッド(200)は、希釈機構、添加機構(260)、及び出口ノズル(262)と、任意に調節システムを含む。ポンプ(220)は、液体製品用の濃縮液を濃縮液源から希釈機構に送液(220)し希釈機構は、液体製品に適した希釈液を希釈液源から受け取り、希釈液と濃縮液を混合して希釈済み濃縮液を提供するように動作可能であり、添加機構(260)は、添加流体を添加剤源から受け取り、希釈済み濃縮液と添加流体を配合することができる。調節システムは、分注期間内に希釈機構に送液される定量濃縮液を調節するポンプレギュレータ手段と、希釈液の流れを調節する希釈液量レギュレータ手段と、添加機構(260)への添加流体の流れを調節する添加液量レギュレータ手段とを備える。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスペンサヘッドであって、
ポンプ入口とポンプ出口とを画定するポンプハウジングを備えるポンプと、
前記ディスペンサヘッドのハウジングと前記ポンプハウジングとの間に画定されている希釈室であって、前記希釈室への入口は、前記ポンプ出口と流体連通している、希釈室と、
前記希釈室の出口から延びている添加剤ハウジングであって、前記添加剤ハウジングは、前記希釈室の前記出口と前記添加剤室の入口との間に位置付けられている弁によって前記希釈室から分離されている添加剤室を画定し、前記弁は、閉状態のときに前記ディスペンサヘッドのハウジングおよび前記ポンプハウジングに当接する弾力性部材を備える、添加剤ハウジングと、
前記添加剤室と流体連通している出口ノズルであって、前記添加剤ハウジングのエッジによって画定されている出口ノズルと
を備えるディスペンサヘッド。
【請求項2】
前記弾力性部材は、半径方向に対称であり、前記弾力性部材は、前記希釈室から前記添加剤室に流体が通過するときに半径方向の力を前記流体に印加する、請求項1に記載のディスペンサヘッド。
【請求項3】
前記添加剤室は、第1の容積と、前記第1の容積の下流に第2の容積とを備え、前記添加剤室は、前記第1の容積と流体連通しており、前記第1の容積は、前記弁から通過する流体を前記第1の容積の中心領域に向けるように構成されている、請求項1に記載のディスペンサヘッド。
【請求項4】
前記第1の容積および前記第2の容積は、角部または方向の急激な変化を実質的に欠いている、請求項3に記載のディスペンサヘッド。
【請求項5】
前記添加剤室は、前記第2の容積を取り囲む第3の容積を備え、前記添加剤室は、前記第2の容積と同軸に延びている、請求項3に記載のディスペンサヘッド。
【請求項6】
前記第3の容積は、環状であり、
前記第2の容積および前記第3の容積は、添加剤流体が前記第2の容積の周囲に方位角的に分配されるように構成されており、
環状の壁が、前記第2の容積と前記第3の容積とを分離する、請求項5に記載のディスペンサヘッド。
【請求項7】
前記添加剤室は、前記出口ノズルに隣接するように配置されている第4の容積を備える、請求項5に記載のディスペンサヘッド。
【請求項8】
前記ディスペンサヘッドは、前記第3の容積と前記第4の容積との間に配置されている一方向弁をさらに備え、前記一方向弁は、前記第3の容積内の流体が前記第4の容積の中に流れることが可能であるが、前記第4の容積から前記第3の容積に前記流体が通過することが可能でないように構成されている、請求項7に記載のディスペンサヘッド。
【請求項9】
前記第2の容積は、円筒形であり、前記第2の容積は、前記第1の容積と前記第4の容積との間で長手方向に延びている、請求項7に記載のディスペンサヘッド。
【請求項10】
前記希釈室への前記入口は、前記ポンプ出口の上流である、請求項1に記載のディスペンサヘッド。
【請求項11】
前記ディスペンサヘッドは、調節システムをさらに備え、
前記調節システムは、
前記希釈室に送液される濃縮液の流量を調節するポンプレギュレータと、
前記希釈室に流入する希釈液の流量を調整する希釈液量レギュレータと、
前記添加剤室に流入する添加剤流体の流量を調節する添加剤流量レギュレータと
を備え、
前記添加剤流量レギュレータは、前記添加剤流体の圧力が1000kPaのときの前記添加剤流体の流量が前記添加剤流体の圧力が600kPaのときの前記添加剤流体の流量の110%以下であるように構成されている、請求項1に記載のディスペンサヘッド。
【請求項12】
前記調節システムは、プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
分注される液体製品の量を示す入力データを受信することと、
前記液体製品の前記量を分注するために、前記希釈液量レギュレータおよび前記添加剤流量レギュレータのそれぞれの少なくとも1つのそれぞれの動作パラメータを制御するように動作可能な制御信号を発行することと
を行うように構成されている、請求項11に記載のディスペンサヘッド。
【請求項13】
前記ポンプは、
ポンプハウジング内に収容されているロータであって、前記ロータは、前記ポンプハウジング内に複数のポンプ室を形成し、前記ロータは、前記ロータが前記ポンプハウジング内で回転するように駆動されることにより、濃縮液源と流体連通している前記ポンプ入口から前記希釈室と流体連通している前記ポンプ出口に濃縮液を輸送するように動作可能であるように構成されている、ロータと、
前記ロータに押し当たるシール部材であって、前記シール部材は、濃縮液が前記ポンプ出口から前記ポンプ入口に通過することを防止し、かつ、前記複数のポンプ室のうちの1つのポンプ室が前記ポンプ出口と流体連通するが、前記ポンプ入口と流体連通しない位置に前記ロータが回転されると、濃縮液を前記ポンプ室から前記ポンプ出口に排出するように動作可能である、シール部材と
を備える、請求項1に記載のディスペンサヘッド。
【請求項14】
前記ポンプは、前記ロータに接触する側とは反対側の前記シール部材の後ろの後室内に配置されている弾力性圧縮部材をさらに備える、請求項13に記載のディスペンサヘッド。
【請求項15】
前記添加剤室は、気泡の形成を促進するための核生成部位を含むように構成されている、請求項1に記載のディスペンサヘッド。
【請求項16】
前記ディスペンサヘッドは、前記添加剤室内で前記添加剤流体を分散させるための添加剤分散器をさらに備え、
前記添加剤分散器は、前記添加剤流体が希釈済み濃縮液と結合される前に、前記添加剤流体が分散されるように構成されている、請求項1に記載のディスペンサヘッド。
【請求項17】
前記添加剤ハウジングは、前記希釈室のハウジングに可逆的に結合されている、請求項1に記載のディスペンサヘッド。
【請求項18】
前記ポンプおよび前記ディスペンサヘッドのハウジングおよび前記添加剤ハウジングおよび前記出口ノズルは、単一のデバイスを形成する、請求項1に記載のディスペンサヘッド。
【請求項19】
前記添加剤ハウジングは、前記ディスペンサヘッドのハウジングに可逆的に結合されている、請求項1に記載のディスペンサヘッド。
【請求項20】
前記ディスペンサヘッドは、飲料用のディスペンサヘッドである、請求項1に記載のディスペンサヘッド。
【請求項21】
ディスペンサヘッドであって、
前記ディスペンサヘッドを通して流体を移動させる手段であって、前記手段は、ハウジング手段入口とハウジング手段出口とを画定するハウジング手段を備える、手段と、
前記ディスペンサヘッドのディスペンサヘッドハウジングと前記ハウジング手段との間に画定されている希釈室であって、前記希釈室への入口は、前記ハウジング手段出口と流体連通している、希釈室と、
前記希釈室の出口から延びている添加剤ハウジングであって、前記添加剤ハウジングは、前記希釈室の前記出口と前記添加剤室の入口との間に位置付けられている弁によって前記希釈室から分離されている添加剤室を画定し、前記弁は、閉状態のときに前記ディスペンサヘッドハウジングおよび前記ハウジング手段に当接する弾力性部材を備える、添加剤ハウジングと、
前記添加剤室と流体連通している出口ノズルであって、前記添加剤ハウジングのエッジによって画定されている出口ノズルと
を備えるディスペンサヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、ディスペンサヘッドに関し、特に、飲料をインラインで分注するた
めの飲料ディスペンサヘッドに関するが、それに限定されるわけではない。本発明のディ
スペンサヘッドは、炭酸飲料や窒素飲料、食品や石鹸などの発泡性液体や、果汁などの静
止液体を分注するのに適している。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、第1の液体を第1の入口から出口に送液するためにハウジング内で回転
可能なロータと、第1の液体と混合するために第2の液体を出口に導入するための第2の
入口とを含むポンプを開示している。例えば、第1の液体は、容器からの濃縮飲料、乳製
品、アルコール飲料、液体医薬品、洗剤などであり、第2の液体は、第1の液体を希釈、
炭酸化、窒素化、発泡させるための静水、炭酸水、窒素水などである。
【0003】
特許文献2は、ポンプを濃縮液の容器に接続するための入口アダプタを有するポンプ機
構を備えた液体供給システムを開示している。ポンプ機構は、ポンプハウジング内のロー
タを備え、ロータは、ロータの回転に伴って、比較的正確な量での濃縮液を入口から出口
に輸送するための半径方向に窪んだ表面領域を含む。入口の間に配置されたシールは、ロ
ータ表面に押し付けられて、出口から入口への液体の通過を防止し、半径方向に窪んだ表
面領域がシールに対して回転する際に出口から液体を排出する。本システムは、水などの
希釈液を導入して、送液された濃縮液を希釈するための、ポンプ機構の下流の第1の注入
管と、炭酸ガスなどの気体を希釈済み濃縮液に導入して炭酸混合液を提供するための、第
1の注入管の下流に、第2の注入管とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2014135563号パンフレット
【特許文献2】英国特許第2507029号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液体製品(特に、炭酸飲料や窒素化飲料などの発泡性飲料や食品)を要求に応じて製造
して分注するための改良されたディスペンサヘッド及び方法が必要とされている。また、
ディスペンサヘッドは、分注する液体又は必要な組成物を製造するために流体を混合する
ように配置されてもよい。好適には、そのようなディスペンサヘッドは、比較的効率的、
迅速かつ衛生的であり、比較的正確な組成の液体を分注することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によりディスペンサヘッドが提供され、ディスペンサヘッドは、ポンプと、
希釈機構と、添加機構と、出口ノズルとを備え、ポンプは、ダクトを含む装着機構と、ポ
ンプハウジング内に回転可能に取り付けられたロータとを備え、ポンプハウジングは、ポ
ンプ入口とポンプ出口とを備え、ダクトはポンプ入口と流体連通し、ポンプ出口は希釈機
構と流体連通し、希釈機構は、希釈室を含む希釈ハウジングと、希釈剤入口とオリフィス
とを含む希釈剤ダクトとを備え、希釈剤ダクトは、オリフィスと、希釈剤室に開口するポ
ンプ出口とによって希釈剤室と流体連通し、希釈機構は弁を介して添加機構に接続されて
おり、添加機構は、添加剤室を含む添加剤ハウジングと、添加剤室と流体連通する添加剤
入口とを備え、添加剤室は出口ノズルと流体連通している。
【0007】
好ましくは、希釈剤機構と添加機構を接続する弁は一方向弁である。
【0008】
本発明のディスペンサヘッドは、発泡食品や炭酸飲料などの発泡性液体を含む定量(a
quantity of)流体を製造するために使用され得る。ポンプ、希釈機構、及び添加機構は、
好適には協働的に構成されており、それにより、使用時に、ポンプ機構が液体製品用の濃
縮液を濃縮液源から希釈機構に送液することができ、希釈機構が液体製品に適した希釈液
を希釈液源から受け取ることができ、希釈液と濃縮液を混合して希釈済み濃縮液を提供す
るように動作可能であり、添加機構が液体製品用の添加流体を添加液源から受け取ること
ができ、希釈済み濃縮液と添加流体を配合するように動作可能である。添加流体は、液体
、特に発泡性の液体、又は気体であるか、それらを含むか、又は本質的にそれらで構成さ
れている。本発明のディスペンサヘッドは、希釈機構に送液される濃縮液の流量を調節す
るポンプレギュレータ手段と、希釈機構に流入する希釈液の流量を調節する希釈液量レギ
ュレータ手段と、添加機構に流入する添加液の流量を調節する添加剤量レギュレータ手段
とを含む調節システムを更に備えていてもよい。
【0009】
好適には、本発明のディスペンサヘッドは、要求に応じて分注される液体を提供するイ
ンラインディスペンサアセンブリに使用されてもよい。本発明の第2の態様によるインラ
インディスペンサアセンブリは、本発明のディスペンサヘッドと、希釈液チャネルを介し
て希釈液を供給し、添加剤チャネルを介して添加流体を供給するための補助流体供給シス
テムとを備え、希釈液チャネルから希釈機構に希釈液が流入するように希釈機構が希釈液
チャネルに接続され、添加剤チャネルから添加機構に添加流体が流入するように添加機構
が添加剤チャネルに接続され得るように構成されていてもよい。
【0010】
第3の態様によれば、本発明は、本発明によるディスペンサヘッドを用いて発泡性液体
を分注する方法を提供し、この方法は、液体製品の成分として配合して分注する定量濃縮
液と定量添加液を決定し、添加液は発泡性液体であり、更に、ポンプに接続された濃縮液
源を提供して、ポンプが濃縮液を濃縮液源から希釈機構に送液することができるようにし
、ポンプを作動させて定量濃縮液を添加機構に送液し、添加液源を添加機構と流体連通さ
せて定量添加液を添加機構に流入させ、定量濃縮液及び定量添加液を含む定量液体製品を
分注することを含む。
【0011】
第4の態様によれば、本発明は、本発明によるディスペンサヘッドを用いて静止液体製
品を分注する方法を提供し、この方法は、液体製品の成分として配合して分注する定量濃
縮液と定量希釈液を決定し、ポンプに接続された濃縮液源を提供して、ポンプが濃縮液を
濃縮液源から希釈機構に送液できるようにし、ポンプを作動させて定量濃縮液を希釈機構
に送液し、希釈液源を希釈機構と流体連通させて定量希釈液を希釈機構に流入させ、濃縮
液及び希釈液を含む液体製品を分注することを含む。
【0012】
第5の態様により、本発明によるディスペンサヘッドを洗浄する方法が提供され、この
方法は、添加機構を、洗浄流体がディスペンサヘッドに流入するのに十分な圧力で洗浄流
体源と流体連通する状態にし、その後、添加機構を洗浄流体源との流体連通から外し、デ
ィスペンサヘッドから洗浄流体を除去することを含む。
【0013】
様々なディスペンサヘッド及びインラインディスペンサヘッドの配置、並びに液体製品
の分注方法及び洗浄ディスペンサシステムが本開示によって想定されており、その非限定
的かつ非網羅的な例を以下に説明する。
【0014】
本発明のディスペンサヘッドは、使用時のように組み立てられた形態で提供されても、
キット形態で提供されても、部分的に組み立てられた形態で提供されてもよい。好ましい
実施形態では、ディスペンサヘッドのポンプ、希釈機構、添加機構、及び出口ノズルは、
単一構造として提供される。好適には、単一構造は、任意の適切な方法、例えば、射出成
形によって作られた単一のプラスチックデバイスを含む。
【0015】
好適には、濃縮源は、濃縮液を収容するための容器を含んでいてもよく、この容器は、
ポンプ機構の操作に応じて濃縮液が容器からポンプに流入するように、装着機構によって
ポンプに接続することができる。
【0016】
ディスペンサヘッドは、解放可能であり容器をディスペンサヘッドから取り外すように
操作可能な結合機構によって、濃縮液の容器に取り付け可能であってもよい。好ましくは
、ディスペンサヘッドは濃縮液の容器に固定的に取り付けられ、容器内の濃縮液の中身が
空になった後は、ディスペンサシステムを廃棄することができる。
【0017】
幾つかの例示的な配置では、ポンプは、一連の離散量での濃縮液として、又は濃縮液の
連続的な流れとして、濃縮液を送液するように構成されてもよい。濃縮液の平均送液速度
は、予め決められていてもよいし、調節手段によって制御可能であってもよい。
【0018】
幾つかの例示的な配置では、希釈機構は、希釈液での濃縮液の急速な希釈を促進し、そ
の結果、添加機構によって発泡性添加液に配合される濃縮液の粘度及び/又はBrix値
を低下させ、その一方で、発泡性添加液の時期早尚又は過度の発泡を低減又は実質的に回
避するように構成されてもよい。
【0019】
使用時に、希釈室は、ポンプから送液された濃縮液を受け取り、希釈剤ダクトは、希釈
剤源から希釈室に希釈液を運ぶことができる。希釈機構は、濃縮液が希釈室内で希釈液と
混合して希釈済み濃縮液を生成するように構成されてもよい。場合によっては、濃縮液に
希釈液を添加する必要はない。その場合、未希釈の濃縮液は、ポンプから希釈機構を通過
し、その後、未希釈のまま添加機構に入る。希釈済みの、又は未希釈の濃縮液は希釈室か
ら添加機構に流れる。ディスペンサヘッド(より具体的には、希釈機構又は添加機構)は
、希釈室から添加剤室への液体の流れを可能にするための流量レギュレータ手段を備える
。好ましくは、流量レギュレータ手段は一方向であり、それにより、希釈室から添加剤室
への液体の流れを許容するが、添加剤室から希釈室への液体の流れは阻止する。
【0020】
希釈液は、希釈液オリフィスを介して希釈室に流入することができ、希釈液オリフィス
の出口面積は、濃縮液との混合を促進するために希釈液のジェットを生成するのに十分に
小さい。言い換えると、希釈液オリフィスの断面積は、希釈液が希釈室に導入される速度
が、希釈液ダクトの残りの部分を流れる平均速度よりも実質的に大きくなるように、希釈
液ダクトの残りの部分の平均断面積よりも十分に小さくてもよい。希釈液を比較的高い速
度で希釈室に注入し、従って希釈室内の濃縮液に注入することは、希釈液と濃縮液の比較
的迅速な混合を促進するという側面を有し得る。
【0021】
希釈液オリフィスの面積及び希釈液の圧力が既知である場合(例えば、希釈液の圧力が
圧力レギュレータによって制御されている場合)、希釈液が希釈室に流入するのを許容す
る期間を制御することによって、希釈室に導入される希釈液の量を決定し制御することが
できる。例えば、希釈液の遮断弁を制御して、遮断弁をそれぞれ開状態又は閉状態にする
ことで、希釈液の流れを許容又は遮断することができる。
【0022】
幾つかの例では、希釈液は、主水源から供給される水であってもよい。
【0023】
好ましい実施形態では、希釈液オリフィスはポンプ出口の上流にある。
【0024】
濃縮液が主水源や他の希釈液の供給源に入るのを防ぐことが望ましい場合がある。更に
、濃縮液(希釈されているか否かにかかわらず)が、炭酸水や窒素液などの添加流体の供
給源に入らないようにすることが望ましい場合がある(幾つかの例では、濃縮液は、高い
糖分、Brix値、及び/又は高い脂肪分を有し、生物学的成長を促進することができる
)。特定の状況下では、主水供給源を汚染してはならないという法的要件や、添加流体供
給源を汚染してはならないという衛生上の理由があり得る。更に、分注される液体の正確
な希釈率を後事に達成することを困難又は不可能にする可能性がある濃縮液の汚染や時期
早尚な部分的希釈を避けるために、主水源からの水や炭酸水が濃縮液のソース容器に入る
ことは望ましくない場合がある。これらの点を考慮して、少なくとも希釈室を洗浄し、濃
縮液や希釈済み濃縮液、又はその後に混合された液体が希釈液オリフィスを通って戻って
こないことを確実にするために、希釈剤の供給を停止する前に濃縮液の流れを停止する必
要があり得る。希釈済み濃縮液及び/又は添加流体は、配合され混合された後で、添加流
体の出口から下流(下)に、添加流体の出口と接触しないように出て行き、更に、添加流
体は、混合された液体製品が添加流体を供給するダクトに再び入ることができないように
、ワッシャタイプの逆止弁を通過してもよい。濃縮液は、添加流体が希釈済み又は未希釈
の濃縮液を希釈室に押し上げたり、希釈液オリフィスを介して押し上げたりしないように
、希釈済み又は未希釈の濃縮液の供給圧力よりも低い圧力の添加剤室のゾーンに導入され
てもよい。
【0025】
水が主水源からディスペンサヘッドに導入される幾つかの例示的配置では、主水源の水
圧を調節された標準範囲内に維持することが望ましい場合がある。好適には、本発明によ
るディスペンサヘッドは、約150kPa(1.5バール)の圧力で水を受け取るのに適
している。多くの地域では、少なくともこの圧力で主水を提供しているため、圧力を上げ
るために水ポンプをシステムに導入するよりも、圧力を下げて調節する(つまり、圧力を
低下させる)方が実質的に容易であり得る。例えば、希釈水の圧力が約150kPaであ
ることが分かっている場合、既知の面積を有する希釈液オリフィスを通過する水の速度が
決定され得る。
【0026】
希釈剤の流量が実質的に一定であれば、希釈水を希釈室に流入させる期間を制御するこ
とにより、濃縮液と混合される希釈剤の量(言い換えると、濃縮液に対する希釈液の比率
)を決定し、調節することができる。例えば、希釈水(又はその他の液体)が約20ml
/s(ミリリットル/秒)で制限オリフィスを通過し、所望の希釈比が2:1の場合、ポ
ンプ機構は約6.6ml/sの速度(つまり、20ml/s÷3)で濃縮液を供給する必
要があり、合計で約26.6ml/sの流量になる。例えば、200mlの飲料をグラス
に分注する場合、必要な時間は約7.5秒(つまり、200ml÷26.6ml/s)と
なる。別の例では、濃縮液を4:1の割合(濃縮液に対する希釈剤の)で希釈する必要が
ある場合、ポンプ機構は約4.0ml/s(つまり、20ml÷5)の濃縮液を供給する
必要があり、合計の流量は約24ml/sとなり、200mlのグラスを満たすための時
間は8.33秒(つまり、200ml÷24ml/s)となる。ユーザは、このような規
模の分注時間は便利であり十分に短いと考えるかもしれない。しかし、濃縮液をより高い
比率、例えば24:1の希釈率で希釈する必要がある例では、ポンプ機構は約0.8ml
/s(つまり、20ml/s÷25)の流量で濃縮液を供給する必要があり、約9.6秒
の分注時間となり、グラス1杯分の飲料を分注するには比較的長時間であると考えられ得
る。希釈率を比較的高くする必要がある場合に分注時間を短縮する方法の一例は、希釈液
が希釈室に入る制限オリフィスの面積が大きいディスペンサシステムを使用することであ
ろう。
【0027】
本発明によるディスペンサヘッドは、希釈液オリフィスの大きさ及び/又はディスペン
サヘッドに関する他のデータを示すために、RFID手段、又は他の適切なデータ記憶及
び表示手段を含んでもよく、そのようなデータ表示手段は、調節システム及び/又はポン
プ駆動機構と通信可能であってもよい。例示的なデータ表示手段は、ディスペンサヘッド
を動作させるための他の動作パラメータを伝達することが可能であってもよいし、ディス
ペンサヘッドに濃縮液、希釈液、及び/又は添加流体を供給するためのパラメータを修正
することが可能であってもよい。
【0028】
ポンプは、濃縮液がポンプ出口からポンプ入口へ通過するのを防止し、濃縮液をポンプ
出口へ排出するように動作可能な、ロータに押し付けられることが可能なシール部材を含
んでいてもよい。シール部材は、ダイアフラムシールであっても、又はポンプハウジング
の十分に薄くて弾力性部分である膜であってもよい。ポンプと希釈液ダクトは、希釈液ダ
クト内の希釈液の圧力がシール部材を介してロータに伝達されるように、協働的に構成さ
れてもよい。例えば、希釈液ダクトは、希釈液がシール部材の背面(即ち、使用時にロー
タに接触する側とは反対側のシール部材の側面)に対して流れることができるように構成
されていてもよく、希釈液の圧力は、濃縮液がロータとポンプのハウジングの表面の間を
通過するのを防止するのに十分な力で、回転するロータに対してシール部材を押し付ける
のに十分な大きさであってもよい。例えば、希釈液が水道水の場合、ダイアフラムシール
をロータに押し付けるために、ダイアフラムシールにかかるのに150kPaの圧力が適
し得る。更に、希釈液オリフィスの圧力低下は、希釈液オリフィスを通過した後の希釈剤
の圧力が、希釈液オリフィスの前の圧力よりも低いことを意味し、従って、ダイアフラム
は常にロータに対して押し付けられてシールを形成し、その結果、希釈剤がポンプを通っ
てソースリザーバに通過するのを防止する。
【0029】
幾つかの例では、希釈機構は、濃縮液を分散させ、希釈液との混合を促進するために濃
縮液の表面積を増加させるための濃縮液分散器手段を含んでもよい。幾つかの例では、濃
縮液分散器手段は、希釈液との混合を促進するために濃縮液をフィルムとして分散させる
ように構成及び配置されていてもよく、例えば、分散器手段は、分散された液体の半径方
向の流れが中心軸の周りで実質的に均一なアジマス方向になるように液体の流れを偏向さ
せることによって、(希釈済みの、未希釈の、又は部分的に希釈済みの形態の)濃縮液を
半径方向外側に分散させるように構成及び配置された、環状又は円形のディスク(ワッシ
ャなど)として形作られた弾力性部材を含んでいてもよい。幾つかの例では、濃縮液分散
器手段は、濃縮液を複数の液滴に形成するアトマイザ手段を含んでいてもよい。
【0030】
幾つかの例示的配置では、希釈機構(より具体的には、濃縮液分散器手段)は、希釈液
との混合を促進するように動作可能な拡張流路上で濃縮液を輸送するように構成された迷
路状の通路を含んでいてもよい。言い換えると、希釈機構は、濃縮液と希釈液が混合でき
る経路と時間を延長するために、濃縮液と希釈液が流れることができる複雑な又は網状の
流路配置を構成してもよい。
【0031】
好ましくは、希釈済みの又は未希釈の濃縮液は、添加剤室内で添加流体と配合すること
ができる。希釈済みの又は未希釈の濃縮液は、液体が分注されることになっているレセプ
タクル内で少なくとも部分的に配合することができる。好適には、本発明の全ての態様に
おいて、希釈済み又は未希釈の濃縮液及び添加液の少なくとも一部を同時に添加機構に流
入させて、添加機構内で少なくとも部分的に配合してもよく、及び/又は、少なくとも部
分的に順次流入させて、添加機構内で部分的に配合し、レセプタクル内で部分的に配合し
てもよく、又は、レセプタクル内でのみ配合してもよい。
【0032】
幾つかの例示的な配置では、添加剤入口は、添加流体が発泡性液体である場合、添加流
体内に気泡を形成する核生成サイトが実質的にないように構成されてもよい。例えば、添
加剤ダクトは、方向又は断面積の急激な変化が実質的にない、及び/又は角や表面凹凸が
ないようにしてもよい。
【0033】
幾つかの例示的な配置では、添加剤室は、気泡核生成手段を含んでいてもよく、及び/
又は、気泡の形成を促進するための核生成部位を含むように構成されていてもよい。例え
ば、添加剤室は、方向及び/又は断面積の急激な変化を促進するために、ガーゼ、オープ
ンメッシュ、又はテクスチャ付きの表面を含んでいてもよい。このような配置は、添加液
が窒素化された液体である場合に適し得るものであり、この液体では、窒素ガスの一部が
水やその他のキャリア液体に吸収されず(言い換えると、溶解し)、マイクロバブル(即
ち、比較的小さな平均サイズを有する気泡)の形のままで存在している。二酸化炭素が水
中に存在する炭酸水とは異なり、気泡を溶液から抜け出させることが比較的困難である可
能性があるが、分注された液体に気泡の上澄み(head of form)を形成することが望まし
い場合、飲料レセプタクル内の飲料の撹拌が所望の量の泡を達成するのに不十分である可
能性があるため、気泡の核生成を促進するように構成された表面が必要となる場合がある
。
【0034】
幾つかの例示的な配置では、添加機構は、添加剤室内で添加流体を分散させるための添
加剤分散器手段を含んでいてもよく、希釈済みの(又は未希釈の)濃縮液に配合される前
に添加流体が分散されるように構成されていてもよい。
【0035】
本発明による飲料ディスペンサは、希釈機構への希釈液の流量を調節する希釈液流量調
節手段を含む調節システムを更に備えてもよく、及び/又は、調節システムは、添加機構
への添加液の流量を調節する添加剤流量レギュレータ手段を備えてもよい。希釈液及び/
又は添加流体の流量レギュレータ手段は、希釈液源/添加液源からそれぞれ受け取った希
釈液/添加流体の圧力の変化に応じて、希釈液の流量の変化に対抗するように動作可能な
圧力応動流量制御手段を含んでいてもよい(流体の流量は、単位時間当たりに単位面積を
通過する流体の質量である流速、又はフラックスの観点から調整されてもよい)。例示的
添加剤流量レギュレータ手段は、添加剤源の圧力が1000kPaのときの添加剤の流量
が、添加剤源の圧力が600kPaのときの添加剤の流量の110%以下になるように構
成され得る。別の例では、添加剤流量レギュレータ手段は、その圧力が600kPaのと
きの添加流体の流量が、添加剤源の圧力が100kPaのときの添加流体の流量の110
%以下になるように構成され得る。
【0036】
例示的な流量レギュレータ手段は、対向する端部を接続する中央オリフィスを有する弾
力性部材で構成され、流れる流体がオリフィスを通って流れ、オリフィスが断面積の減少
によって流体圧力の増加に対応し、断面積の増加によって流体圧力の減少に対応するよう
に構成されていてもよい。
【0037】
幾つかの例示的配置では、調節システムは、分注される定量液体製品を示す入力データ
を受け取り、定量液体製品を分注するために、希釈剤量レギュレータ及び添加剤量レギュ
レータそれぞれの少なくとも1つの各動作パラメータを制御するように動作可能な制御信
号を発出するように構成されたプロセッサ手段を含んでもよい。プロセッサ手段は、電子
コンピュータプロセッサ、又はマイクロプロセッサであってもよい。プロセッサ手段は、
電磁信号、電子信号、又は光信号の形でデータを受信するデータ受信手段を含んでいても
よい。
【0038】
幾つかの例示的な配置では、希釈液量レギュレータ手段は、プロセッサ手段から受信し
た制御信号に応答して開状態及び閉状態にすることができる希釈液流量制御手段を含んで
いてもよく、希釈液流量制御手段は、希釈液流量制御手段が開状態にあるときは希釈機構
に希釈液が入ることができ、希釈液流量制御手段が閉状態にあるときは希釈機構に希釈液
が入ることができないように構成され配置されている。
【0039】
付加的に又は代替的に、添加剤量レギュレータ手段は、プロセッサ手段から受信した制
御信号に応答して開状態及び閉状態にすることができる添加剤流量制御手段を含んでいて
もよく、添加剤流量制御手段は、添加剤流量制御手段が開状態にあるときに添加流体が添
加機構に入ることができ、添加剤流量制御手段が閉状態にあるときに添加流体が添加機構
に入ることができないように構成され配置されている。
【0040】
幾つかの例示的な配置では、プロセッサ手段は、希釈液流量制御手段が開状態にあると
きの希釈機構への平均希釈液流量、及び/又は濃縮液と混合されるべき希釈液の量、及び
/又は濃縮液が送液されている速度又は送液され得る速度を示すデータを受信するように
動作可能に構成されてもよい。プロセッサ手段は、定量希釈液が希釈室に入るのに十分な
期間、希釈液流量制御手段を開状態にし、その後、希釈液流量制御手段を閉状態にするよ
うに構成されてもよい。
【0041】
幾つかの例示的な配置では、プロセッサ手段は、添加剤流量制御手段が開状態にあると
きの添加機構への平均添加流体流量、及び/又は、濃縮液に配合されるべき添加流体の量
、及び/又は、濃縮液が送液される送液速度を示すデータを受信するように動作可能に構
成されてもよい。プロセッサ手段は、定量添加流体が添加剤室に入るのに十分な期間、添
加流量制御手段を開状態にし、その後、添加流量制御手段を閉状態にするように構成され
ていてもよい。
【0042】
幾つかの例では、プロセッサ手段は、濃縮液内に含まれる糖の量を示す糖含有量データ
を受信し、濃縮液と混合される希釈液の量を決定し、その決定は糖含有量データに基づい
て行われ、決定された定量希釈液が希釈室に入るのに十分な期間、希釈液流量制御機構を
開状態にし、その後、希釈液流量制御機構を閉状態にするように動作可能に構成されても
よい。糖度データは、Brix度などのBrix値で表されてもよい。
【0043】
一実施形態では、本発明のディスペンサヘッドは、互いに機能的に結合可能な複数の要
素、希釈機構を含む第1の要素、及び添加機構を含む第2の要素を含んでいてもよい。例
えば、ディスペンサヘッドは、添加機構を希釈機構に可逆的に接続するためのカップリン
グ機構を含んでいてもよく、添加機構がカップリング機構によって希釈機構に接続された
ときに、希釈済み濃縮液が希釈機構から添加機構に流れることができるようになっている
。
【0044】
インラインディスペンサアセンブリの幾つかの例示的な配置では、補助流体供給システ
ムが、1℃~10℃の範囲内の温度で希釈液及び添加流体の少なくとも一方を供給するよ
うに構成されてもよい。補助流体供給システムは、600~1000kPaの圧力で発泡
性添加液を供給するように構成されていてもよい。補助流体供給システムは、炭酸化又は
窒素化された水性添加流体を供給できるように構成されていてもよい。また、濃縮液の温
度を2℃~10℃の範囲に維持することは、一部では濃縮液の可使時間を維持するために
、一部ではレセプタクルに分注される混合液(例えば、飲料)の温度を制御するために望
ましくあり得る。例えば、濃縮液は約6℃に保たれていてもよい。濃縮液の温度が低すぎ
ると、粘度が高くなりすぎて流れにくくなり、濃縮液の温度が高すぎると、保存期間が短
くなる可能性がある。
【0045】
液体製品を分注する幾つかの例示的な方法は、希釈機構を希釈液源に接続し、希釈液源
を希釈機構と流体連通させて、定量希釈液を希釈機構に流入させ、濃縮液と混合して定量
希釈済み濃縮液を提供し、その後、希釈液源と希釈機構との間の流体連通を遮断して、追
加の希釈液が希釈機構に流入するのを防ぎ、定量希釈済み濃縮液と定量添加液を含む定量
液体製品を分注することを含み得る。
【0046】
別の例示的な実施形態では、本方法は、ポンプを作動させ、希釈液源を希釈機構と流体
連通した状態にして、定量希釈液が希釈機構に流入し、濃縮液と混合して希釈濃縮液を提
供し、添加剤源が添加機構と流体連通していない間に、希釈済み定量濃縮液の少なくとも
一部を添加機構を介してレセプタクルに分注し、一定期間後に、添加剤源を添加機構と流
体連通した状態にして、定量添加流体をレセプタクルに分注して、定量添加流体の少なく
とも一部と希釈済み濃縮液の少なくとも一部がレセプタクル内で配合されることを含み得
る。
【0047】
ディスペンサヘッドを洗浄する例示的な方法は、一定期間の使用後にポンプを非活性化
し、更に一定期間後に希釈液の流れを遮断し、更に一定期間後に添加流体の流れを遮断す
るというシーケンスを含んでもよい。これには、希釈室及び添加剤室を洗浄して、濃縮液
から堆積した、比較的高い糖分(高Brix値)を有し得る濃縮液の痕跡を除去する効果
があり得る、及び/又は、希釈室及び/又は添加剤室、或いはディスペンサヘッドの他の
部分が洗浄されない場合、濃縮液は、脂肪分の堆積をもたらし得る乳製品を含むか、又は
乳製品から構成されている可能性がある。
【0048】
ディスペンサヘッドは、希釈済みの、又は未希釈の濃縮液が添加剤ダクトに入ることが
できず、添加流体が濃縮液の供給源に入ることができないように構成されていることが望
ましい。
【0049】
ディスペンサヘッドは、使い捨て式であってもよく、及び/又は、リサイクル可能な材
料を含んでもよい。ディスペンサヘッドは再利用可能であってもよい。例えば、ディスペ
ンサヘッドは、複数の濃縮容器での使用を容易にするために、クイックリリースコネクタ
を含んでもよい。
【0050】
本発明のディスペンサヘッドは、炭酸飲料や窒素飲料などの発泡製品や非発泡製品、ク
リームやミルク製品などの炭酸食品や窒素食品、或いは泡ソープなど、様々な液体製品の
分注に使用され得るが、簡潔にするため、本発明のディスペンサヘッドを、炭酸飲料や窒
素飲料に関連してより詳細に説明する。炭酸飲料又は窒素飲料に関連する詳細な開示は、
全ての炭酸飲料又は窒素飲料に等しく適用される。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
ポンプ(220)と、希釈機構と、添加機構と、出口ノズル(262)とを備えるディスペンサヘッドであって、
前記ポンプ(220)は、ダクト(211)を含む装着機構(210)と、ポンプハウジング(223)内に回転可能に取り付けられたロータ(225)とを備え、前記ポンプハウジングは、ポンプ入口(221A)及びポンプ出口(221B)を備え、前記ダクト(211)は、前記ポンプ入口(221A)と流体連通しており、前記ポンプ出口(221B)は前記希釈機構と流体連通しており、
前記希釈機構は、希釈室(232)と、希釈剤入口(234)及びオリフィス(235)を備えた希釈剤ダクトとを含む希釈ハウジング(230)を備え、前記希釈剤ダクトは、前記オリフィス(235)によって前記希釈室(232)と流体連通し、前記ポンプ出口(221B)は、前記希釈室(232)に開口しており、
前記希釈機構は、弁(250)、好ましくは一方向弁(250)を介して前記添加機構に接続されており、
前記添加機構は、添加剤室と、前記添加剤室と流体連通する添加剤入口(264)とを含む添加剤ハウジング(260)を備え、前記添加剤室は前記出口ノズル(262)と流体連通している、ディスペンサヘッド。
(項目2)
前記弁(250)が、前記希釈室(232)から前記添加剤室(268)に流れる流体を半径方向外向きに向けるように構成されている、項目1に記載のディスペンサヘッド。
(項目3)
前記弁は、中心軸から概ね半径方向に延びる弾力性部材(250)を備え、前記弾力性部材(250)の周辺領域は、流体が前記添加機構から前記希釈機構に流れていないときに、前記希釈機構のハウジング(230)に接している項目2に記載のディスペンサヘッド。
(項目4)
前記添加機構は、第1の容積(268)及び第2の容積(266)を備え、前記弁は、前記希釈室(232)から前記添加剤室の前記第1の容積(268)に流れる流体を半径方向外向きに向けるように構成され、前記添加剤室の前記第1の容積(268)は、前記弁(250)から通過する流体を前記添加剤室の中心領域に向けるように構成されている、項目1~3の何れか1項に記載のディスペンサヘッド。
(項目5)
前記添加剤入口(264)が前記添加剤室(268)の前記第2の容積(266)と流体連通しており、前記添加剤室(268)の前記第2の容積(266)が、前記出口ノズル(262)と流体連通している、項目4に記載のディスペンサヘッド
(項目6)
前記添加剤室の前記第1の容積(268)は、前記希釈室(232)から流れる流体のフィルムを前記添加剤室の前記第1の容積(268)の中心領域に向けるように構成されている、項目4又は5に記載のディスペンサヘッド。
(項目7)
前記添加剤室の前記第1及び前記第2の容積(268、266)と前記添加剤入口(264)を含む添加剤ハウジング(260)を含む前記添加機構には、角部又は方向の急激な変化が実質的にない、項目4~6の何れか1項に記載のディスペンサヘッド。
(項目8)
前記添加剤室が更に第3の添加剤容積(267)、第4の添加剤容積(269)を含む、項目4に記載のディスペンサヘッド。
(項目9)
前記第2の容積(266)が、前記第1の容積(268)と前記第4の容積(269)との間で長手方向に延びる略円筒形の容積を含む、項目8に記載のディスペンサヘッド。
(項目10)
前記第4の容積(269)が前記出口ノズル(262)に隣接して配置されている、項目8又は9に記載のディスペンサヘッド。
(項目11)
前記添加剤室の前記第3の容積(267)が、前記第2の容積(266)と同軸に延びて、前記第2の容積(266)を取り囲み、添加流体Aが前記添加剤入口(244)を介して略環状の前記第3の容積(267)に輸送され、第2の容積(266)の周りにアジマス方向に分配され、希釈済み濃縮物Cdを輸送し、前記第2と第3の容積(266、267)は概ね環状の壁によって分離されている項目8~10の何れか1項に記載のディスペンサヘッド。
(項目12)
前記第3の容積(267)と前記第4の容積(269)の間に一方向添加弁(270)が配置され、その結果、前記第3の容積(267)内の前記添加流体Aは前記第4の容積(269)に流入できるが、流体は前記第4の容積(269)から前記第3の容積(267)に通過できない、項目11に記載のディスペンサヘッド。
(項目13)
前記希釈剤入口(234)及び前記オリフィス(235)が前記ポンプ出口(221B)の上流にある、項目1~12の何れか1項に記載のディスペンサヘッド。
(項目14)
前記ポンプ、前記希釈機構、前記添加機構、及び前記出口ノズルが、一体型装置の形態で提供される、項目1~13の何れか1項に記載のディスペンサヘッド。
(項目15)
前記添加剤ハウジング(260)が、接続機構(238)によって前記希釈ハウジング(230)と解放可能に結合されている、項目1~13の何れか1項に記載のディスペンサヘッド。
(項目16)
使い捨て式である、項目1~15の何れか1項に記載のディスペンサヘッド。
(項目17)
調節システムを更に備え、前記調節システムが、
前記希釈機構に送液される濃縮液の流量を調節するポンプレギュレータ手段と、
前記希釈機構に流入する希釈液の流量を調整する希釈液量レギュレータ手段と、
前記添加機構に流入する添加流体の流量を調節する添加剤量レギュレータ手段とを備えている、項目1~16の何れか1項に記載のディスペンサヘッド。
(項目18)
希釈液オリフィス(235)が、濃縮液との混合を促進するための希釈液のジェットを生成するのに十分に小さい出口面積を有する、項目1~17の何れか1項に記載のディスペンサヘッド。
(項目19)
前記ポンプ(220)が、
内部に収容されたロータ(225)と、
ポンプハウジング(223)であって、前記ロータ(225)が前記ポンプハウジング(223)内で回転するように駆動されて、前記濃縮液源と流体連通する前記ポンプ入口(221A)から前記希釈室(232)と流体連通するポンプ出口(221B)へと濃縮液を輸送するように動作可能に構成されているポンプハウジング(223)と、
濃縮液が前記ポンプ出口(221B)から前記ポンプ入口(221A)へ通過するのを防止し、濃縮液を前記ポンプ出口(221B)へ排出するように動作可能な、前記ロータ(225)に押し当たるシール部材(227)と、
を備えている項目1~18の何れか1項に記載のディスペンサヘッド。
(項目20)
前記ポンプ機構(220)及び前記希釈剤ダクトは、前記希釈剤ダクト内の希釈剤液の圧力が前記シール部材(227)を介して前記ロータ上に伝達され得るように協働的に構成されている、項目19に記載のディスペンサヘッド。
(項目21)
前記ポンプが、前記ロータ(225)に接触する側とは反対側の前記シール部材(227)の後ろの後室(212)内に位置する弾力性圧縮部材(213)を更に備えている、項目19又は20に記載のディスペンサヘッド。
(項目22)
前記添加剤入口(264)が、前記添加流体が発泡性液体である場合に、前記添加流体内に気泡を形成するための核生成部位がないように構成されている、項目1~21の何れか1項に記載のディスペンサヘッド。
(項目23)
前記添加剤室が、気泡核生成手段を備える、及び/又は、気泡の形成を促進するための核生成部位を含むように構成されている、項目1~22の何れか1項に記載のディスペンサヘッド。
(項目24)
前記添加機構が、
前記添加剤室内で添加流体を分散させるための添加剤分散手段を備え、
添加流体が、希釈済み濃縮液と結合される前に分散されるように構成されている、
項目1~23の何れか1項に記載のディスペンサヘッド。
(項目25)
前記添加剤流量レギュレータ手段は、その圧力が1000kPaのときの添加流体の流量が、添加剤源の圧力が600kPaのときの添加流体の流量の110%以下になるように構成されている、項目17に記載のディスペンサヘッド。
(項目26)
前記調節システムが、
プロセッサ手段を備え、前記プロセッサ手段が、
分注される定量液体製品を示す入力データを受信し、
希釈剤量レギュレータ及び添加剤量レギュレータそれぞれの少なくとも1つのそれぞれの動作パラメータを制御するように動作可能な制御信号を発出する、
ように構成されている、項目17に記載のディスペンサヘッド。
(項目27)
互いに機能的に結合され得る複数の要素と、
前記希釈機構を含む第1の要素と、
前記添加機構を含む第2の要素と、
を備えた項目1~26の何れか1項に記載のディスペンサヘッド。
(項目28)
前記添加機構を前記希釈機構に可逆的に連結する連結機構を備え、その結果、前記添加機構が前記連結機構によって前記希釈機構に連結されたときに、希釈済み濃縮液が前記希釈機構から前記添加機構に流入することができる、項目27に記載のディスペンサヘッド。
(項目29)
前記ポンプ、前記希釈機構、前記添加機構、及び前記出口ノズルが一体型構造である、項目1~26の何れか1項に記載のディスペンサヘッド。
(項目30)
飲料用ディスペンサヘッドである、項目1~29の何れか1項に記載のディスペンサヘッド。
(項目31)
インラインディスペンサアセンブリであって、
項目1~30の何れか1項に記載のディスペンサヘッドと、
希釈剤チャネルを介して希釈剤液を供給し、
添加剤チャネルを介して添加流体を供給する、補助流体供給システムと、
を備え、前記補助流体供給システムは、
前記希釈機構を前記希釈剤チャネルに接続し、希釈液を前記希釈剤チャネルから前記希釈機構に流入させることができ、
前記添加機構が前記添加剤チャネルに接続され得て、添加流体が前記添加剤チャネルから前記添加機構に流れ得るように構成されている、
インラインディスペンサアセンブリ。
(項目32)
前記補助流体供給システムは、1℃~10℃の範囲の温度で前記希釈液及び前記添加流体の少なくとも一方を供給するように構成可能である、項目31に記載のインラインディスペンサアセンブリ。
(項目33)
前記補助流体供給システムは、600~1000kPaの圧力で発泡性添加流体を供給するように構成可能である、項目31又は32に記載のインラインディスペンサアセンブリ。
(項目34)
前記補助流体供給システムは、炭酸化又は窒素化された水性添加流体を供給することが可能である、項目31~33の何れか1項に記載のインラインディスペンサアセンブリ。
(項目35)
項目1~30の何れか1項に記載のディスペンサヘッドを使用して、定量発泡性液体製品を分注する方法であって、
液体製品の成分として配合され分注される定量濃縮液と定量添加剤液を決定し、前記添加剤液は発泡性液体であり、
前記ポンプ機構に接続された濃縮液源を提供し、その結果、前記ポンプ機構が濃縮液を前記濃縮液源から前記希釈機構に送液できるようにし、
前記ポンプ機構を作動させて、前記定量濃縮液を前記添加機構に送液し、
前記添加剤源を前記添加機構と流体連通させ、前記定量添加剤液が前記添加機構に流入するようにし、
前記定量濃縮液と前記定量添加剤液を含む定量液体製品を分注することを含む方法。
(項目36)
前記定量濃縮液と混合される定量希釈液を決定し、
希釈源を前記希釈機構と流体連通させ、前記定量希釈液が前記希釈機構に流入するようにし、前記定量濃縮液は、前記希釈機構を流れる際に前記定量希釈液と混合して、定量の希釈済み濃縮液を添加機構に提供して、添加液と配合し、
前記定量濃縮液、前記定量希釈液、及び前記定量添加剤液を含む定量液体製品を分注することを含む項目35に記載の方法。
(項目37)
前記希釈済み濃縮液と混合する添加流体を分注する前に、定量の希釈済み濃縮液の少なくとも一部を分注し、次に、
前記希釈済み濃縮液と配合する添加剤液を分注し、
前記分注された部分が、前記液体製品に含まれるべき希釈濃縮物の量よりも少ない場合に、前記希釈濃縮物の残りの部分を分注することを含む項目36に記載の方法。
(項目38)
添加流体が未希釈の濃縮液に配合されるように、前記希釈機構に希釈剤液が入らないようにすることを含む、項目35に記載の方法。
(項目39)
項目1~30の何れか1項に記載のディスペンサヘッドを使用して、大量の静止液体製品を分注する方法であって、
液体製品の成分として配合して分注する定量濃縮液と定量希釈液を決定し、
ポンプ機構に接続された濃厚液源を提供して、その結果、前記ポンプ機構が濃厚液を濃厚液源から前記希釈機構に送液できるようにし、
前記ポンプ機構を作動させて、前記定量濃縮液を前記希釈機構に送液し、
前記希釈源を前記希釈機構と流体連通させて、前記定量希釈液を前記希釈機構に流入させ、
前記定量濃縮液と前記定量希釈液を含む定量液体製品を分注することを含む方法。
【図面の簡単な説明】
【0051】
本発明の例示的な実施形態を、添付の図面を参照して説明する。
【
図1】例示的なインライン飲料ディスペンサシステムの模式側面図である。
【
図2A】例示的なディスペンサヘッドの模式透視図である。
【
図2B】
図2Aに示した例示的なディスペンサヘッドの模式側面図である。
【
図2C】
図2Aに示した例示的なディスペンサヘッドの模式縦断面図である。
【
図2D】
図2Bに示した平面B-B(
図2Cに示した平面と直交する平面)における、一部が組み立てられたディスペンサヘッドの模式縦断面図である。
【
図2E】
図2Dに示した例示的ディスペンサヘッドの一部の模式縦断面である。
【
図3A】例示的のディスペンサヘッドの模式側面図である。
【
図3B】
図3Aに示した平面C-C上の模式部分断面図である。
【
図4A】使用時用に組み立てられた、例示的な流量レギュレータ装置を通る模式縦断面図である。
【
図4B】
図3Aの例示的な流量レギュレータ装置の例示的な弁体を通る模式縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本明細書で使用する発泡性液体とは、例えば、キャリア液にかかる圧力の低下又は温度
の上昇に応じて発泡することができる液体である。発泡性液体は、キャリア液体内に溶解
した分子種を含んでもよく、この場合に、分子種は気態で気泡の形で溶液から出てくるこ
とができる。例えば、発泡水(又は乳製品液体などの他の液体)は、水(又は他の液体)
に溶解及び/又は懸濁した二酸化炭素又は窒素又は亜酸化窒素から構成されていてもよい
。
【0053】
炭酸飲料は、飲料中に溶解した二酸化炭素を含み、発泡時に溶液から二酸化炭素の気泡
が発生する。窒素化飲料は、飲料中に窒素が懸濁しており、発泡時に窒素の気泡が発生す
る。窒素は二酸化炭素に比べて水に溶けにくいが、比較的微小な窒素の気泡が水に懸濁し
ていることがある。窒素化液体は、液体中に懸濁した亜酸化窒素、窒素、又は空気の気泡
を含んでもよい。例えば、ビールやコーヒーに窒素を導入し、窒素化ビールを樽に入れて
保存してもよい。本明細書では、特に断りのない限り、「炭酸」という用語は、「炭酸化
」又は「窒素化」を含み、つまり、炭酸液体は、溶解した二酸化炭素又は溶解及び/又は
懸濁した窒素を含んでいてもよい。炭酸液体は発泡可能であってよく、その発泡性は、二
酸化炭素又は窒素気泡の発生を伴うものである。
【0054】
添加流体は、炭酸液、好ましくは炭酸水、窒素化液体、好ましくは窒素化水、又は乳製
液や他の水性液体を含むか、又はそれらで本質的に構成されており、可能な限り多くの溶
解した又は懸濁した二酸化炭素又は窒素を含んでいてもよい。二酸化炭素又は窒素の飽和
レベルは、一般的に、圧力の増加と温度の低下に伴って増加し、例えば、水中の最高濃度
は、水を氷点の近くまで冷やすことによって達成可能である。温度を上げたり圧力を下げ
たりすると、水などの液体中に気泡が発生し易くなり、それは発泡として知られている。
二酸化炭素や窒素などの気体が液体から溶け出す速度は、液体中に導入された気体の気泡
の数や大きさの分布、液体に加えられた圧力、飽和レベルに達するまでの時間などに依存
する。
【0055】
図1を参照すると、飲料Bを分注するための例示的なインライン飲料ディスペンサアセ
ンブリ100は、例示的なディスペンサヘッド200及び例示的な補助流体システム40
0を含んでもよい。ディスペンサヘッド200は、ポンプ220を含んでもよく、その入
口は、ポンプ220が容器300から濃縮液Cを送液することができるように、飲料B用
の濃縮液Cを含む容器300の出口に接続されている。補助流体システム400は、希釈
剤チャネル420を介して、濃縮液Cを希釈するための希釈剤液体Dを供給し、添加剤チ
ャネル430を介して、添加流体Aを供給することができる。幾つかの例では、補助流体
システム400は、添加剤チャネル430を介して、発泡性の添加流体Aを供給すること
ができる。ポンプ220は、濃縮液Cを一連の量として容器300から希釈室(
図1には
図示せず)に送液することができ、希釈液ダクト(
図1には図示せず)は、希釈液チャネ
ル420から希釈室に希釈液Dを輸送することができ、その中で、濃縮液Cは希釈液Dと
混合して濃縮液Cを希釈し、その結果、その粘度を低下させることができる。希釈済み濃
縮液C
dは、希釈室から添加剤室(
図1には図示せず)に流れることができる。濃縮液C
の粘度や希釈率が十分に低い場合には、希釈液Dで希釈する必要がない場合もあり、その
ような例では、送液された濃縮液Cは、希釈室を含む希釈機構を通過して、希釈液と混合
されることなく、添加機構に含まれる添加剤室に流入することができる。濃縮液Cが希釈
液Dで希釈されているか否かに拘らず、希釈機構から添加機構に通過する液体は、特に断
りのない限り、本明細書では希釈済み濃縮液C
dと呼ばれる。添加機構は、添加流体Aを
受け取り、希釈済み濃縮液C
dに配合して、出口ノズル262を介してレセプタクル(図
示せず)に分注される飲料Bを提供するように構成されてもよい。
【0056】
飲料Bは、一般に、所定又は計算可能な定量濃縮液C、希釈液D、及び添加流体Aを含
んでいてもよい。
図1に示されたディスペンサアセンブリは、ポンプの少なくとも1つの
動作パラメータ(例えば、ポンプが活性化されるか非活性化されるか)、希釈機構に流入
する希釈液Dの量、及び添加機構に流入する添加流体の量を調節するように動作可能な調
節システム(図示せず)を含んでいる。例えば、調節システムは、希釈液Dが希釈液チャ
ネル420から希釈機構に流入できるか否かを調節するための希釈液弁機構(図示せず)
と、添加流体Aが添加液チャネル430から添加機構に流入できるか否かを調節するため
の添加液弁機構(図示せず)とを含んでいてもよい。
【0057】
調節システムは、電子プロセッサによって受信され処理された入力データに基づいて希
釈弁機構及び添加弁機構の動作を制御するように構成された、コンピュータマイクロプロ
セッサなどの電子プロセッサ装置(図示せず)を含んでいてもよい。例えば、補充流体シ
ステム400は、希釈液D及び添加流体Aのそれぞれの流量を示すことができる無線周波
数識別(RFID)デバイスを含んでいてもよい。調節システムは、RFIDデバイスに
よって送信されたデータを受信し、電子プロセッサによって処理するために、データを電
子形式に変換することができる装置を含んでいてもよい。幾つかの例では、電子プロセッ
サは、希釈液D及び添加流体Aそれぞれが希釈機構及び添加機構に流入することを可能に
するために、希釈液弁機構及び添加剤弁機構を開状態にすべきそれぞれの期間を、それぞ
れの流量に基づいて決定するように構成されてもよい。電子プロセッサ装置は、それぞれ
の電子制御信号を発出することによって、それぞれの期間の後に、希釈液弁装置及び添加
剤弁装置それぞれを閉状態にしてもよい。このようにして、濃縮液Cに配合される希釈液
D及び添加流体Aの量が決定され調節されてもよい。本開示では、調節システムにデータ
を入力するために、RFIDデバイス以外の手段、例えば、QRコード(登録商標)又は
バーコードリーダも想定されている。
【0058】
発泡性添加液は、二酸化炭素又は窒素で既知の値まで飽和させてもよく、これにより、
導入する添加流体の量を計算することができる。例えば、発泡性添加液は、好ましくは、
飽和レベルが既知であり得る温度である、約2℃で提供される。
【0059】
添加流体Aが炭酸水や窒素化水又は他の水性液体などの発泡性液体である例では、飲料
が或る程度の発泡性を示すことが好ましい場合がある。発泡性の程度は、気泡形成の量で
特徴付けられてもよく、潜在的には、溶解した二酸化炭素又は窒素が気泡の形で溶液から
出てくるときに飲料Bから発生する気体の量で表される。発泡は、例えば、発生した気泡
の数及びサイズの分布、及び/又は気泡の形成速度の観点から特徴付けられてもよい。発
泡性が特定の範囲内にあることが望ましく、発泡性が高すぎると、飲料Bに過剰な泡が発
生する可能性があり、発泡性が低すぎると、飲料Bが平坦になりすぎる(即ち、飲料内で
発生する気体の量が少なすぎる)可能性がある。幾つかの例では、ディスペンサヘッドは
、飲料Bの所望の量の泡立ちを実現するという側面を有していてもよい。
【0060】
図2A~
図2Eを参照すると、例示的なディスペンサヘッド200は、ディスペンサヘ
ッド200を、濃縮液Cを収容した容器300に取り付けるための装着機構210を含ん
でいてもよい。例示的な装着機構210は、濃縮液Cを容器300からポンプ220の入
口221Aに輸送するためのダクト211を含んでいる。容器300は、ディスペンサヘ
ッド200の一部として、着脱可能又は一体型ユニットとして設けられていてもよいし、
ディスペンサヘッド200とは別個に設けられていてもよい。装着機構210は、容器3
00に含まれる相手側機構と協働して構成されていてもよい。
【0061】
図2Cを特に参照すると、例示的なポンプ220は、ポンプハウジング223内にロー
タ225を含んでいてもよく、この中で、ロータ225は、ロータ伝達機構222に結合
されたモータ(図示せず)によって駆動され得る(
図2Cでは、ロータ225の回転軸は
ページに対して垂直である)。ポンプハウジング223は、ロータ225が収まり、ロー
タ225の表面領域がポンプハウジング223の内面に接触するように回転することがで
きる円筒形の内面を有していてもよい。ポンプハウジング223は弾性材料を含んでもよ
く、ロータ225は、ポンプハウジング223の内面を僅かに押し下げて、ロータ225
とポンプハウジング223との間の十分に良好なシールを確保し、送液された濃縮液Cが
、ロータ表面領域とポンプハウジング223の内面との間の、これらが互いに当接する部
分を通過するのを防止し得る。図示された特定の例では、ロータ225の表面は、半径方
向内側に間隔を置いて配置されてロータ225の半径方向に対向する側面にそれぞれのポ
ンプ室226を形成する2つの対向する表面領域を含む(
図2Cでは、ポンプ室のうち1
つのみが226で示されている)。各ポンプ室226の容積は、ポンプ出口221Bを介
して希釈室232に送液される濃縮液Cの各量の容積を規定することになる。各ポンプ室
226は、それぞれのポンプ室226がポンプ入口221Aと流体連通しているときに、
濃縮液Cを受け取ることができる。ロータ225が使用時に回転するように駆動されると
(
図2Cに示されるように時計回りの方向に)、ポンプ室226内の濃縮液Cは、ポンプ
室226がポンプ出口221Bと流体連通するようになり、濃縮液Cがポンプ室226か
らポンプ出口221Bに排出されるまで、ポンプハウジング223の周りを輸送される。
【0062】
図2Cに示された特定の例では、ポンプ220はシール膜227を含んでおり、このシ
ール膜は、ポンプハウジング223の一体的な部分として形成されてもよいし、溶接、接
着剤などの手段でロータハウジング223に接合されてもよい。シール膜227は、ポン
プ室226を形成する半径方向に窪んだ領域を含む比較的複雑な形状のロータ表面に接触
した状態を保てるように、十分に弾力性がある。弾力性圧縮部材213は、シール膜22
7の後方の後室212内に配置されてもよく、即ち、圧縮部材213は、ロータ225に
接触する側とは反対側のシール膜227の側に配置されてもよい。この例では、弾力性圧
縮部材213は、
図2Cに示すように、細長く、横断面で見たときに概ね「U」字型の形
状を有しており、後室212の固定されたバッキング壁214に対して着座する一対の細
長い脚部材を有する。弾力性圧縮部材213の反対側から突出するリブは、シール膜22
7の後面、即ち、後室212に面するシール膜227の側面に接してもよい。後室212
及び弾力性圧縮部材213は、弾力性圧縮部材213がバッキング壁214とシール膜2
27との間で圧縮されるように構成されており、これにより、ロータ225がロータハウ
ジング223内で回転するように駆動されるときに、弾力性部材213のリブがシール膜
227をロータ225の表面に押し付けることができる。従って、シール膜227は、濃
縮液Cがシール膜227とロータ225との間を通過し、その結果、ポンプ出口221B
からポンプ入口221Aへと通過することを防止し、ポンプ室226からポンプ出口22
1Bへと濃縮液Cを排出するのに十分な力で、ロータ225の表面に対して付勢されるこ
とになる。
【0063】
図2Cを参照して説明した例示的なポンプ220は、濃縮液Cを、それぞれが既知の容
積を有しロータ225の角速度及び回転の総度数によって決定される既知の速度で希釈機
構に送出される一連の量として容器300から送液することができる。濃縮液Cの各量の
容量は各ポンプ室226の容積によって定義される。定量飲料Bを製造するために送出さ
れる濃縮液Cの量は量の数として決定され得る。他の例示的なディスペンサヘッドでは、
異なる種類のポンプが使用されてもよく、これらのポンプは、既知又は選択可能な流量で
連続的な流れとして濃縮液Cを送液してもよい。
【0064】
様々な例示的な配置において、ポンプ220は、実質的に、国際特許出願公開第200
6/027548号、国際特許出願公開第2010/122299号、国際特許出願公開
第2013/050491号、国際特許出願公開第2014060418号、国際特許出
願公開第2013/050488号、国際特許出願公開第2013/117486号、又
は国際特許出願公開第2014/135563号のいずれかに開示されているもの、又は
英国特許出願公開第2551663号又は英国特許出願公開第2507029号に開示さ
れているものを実質的に使用してもよい(ただし、例示的なポンプ機構は、これらの公開
公報に開示されているものに決して限定されることはない)。
【0065】
特定の例では、特に添加流体Aが発泡性の液体である場合、濃縮液Cを適切な希釈液D
で希釈することにより、添加流体Aと配合する前に濃縮液Cの粘度を下げることが望まし
い場合がある。これにより、発泡性の添加流体Aを希釈済み濃縮液Cdに十分に穏やかに
配合することができ、添加流体A又は分注された飲料Bの時期早尚又は過度の発泡を低減
、最小化、又は防止することができる。
【0066】
図示された例示的希釈機構は、希釈室232を含む希釈ハウジング230と、補充流体
システム400の希釈液チャネル420から希釈室232に希釈液Dを輸送するための希
釈液ダクトとを備える。希釈室232は、ポンプ出口と流体連通しており、送液された濃
縮液Cだけでなく、希釈液Dも受け取って混合することができる。希釈液ダクトは、希釈
液チャネルから希釈室232に希釈液Dを輸送するように動作可能な、互いに流体連通す
る多数の室、オリフィス及び通路を含んでもよく、例えば、希釈液ダクトは、希釈室23
2への希釈液入口234及びオリフィス235で形成されていてもよい。
【0067】
図2C及び
図2Dに示された特定の例では、希釈液ダクトは、後室212を含んでもよ
く、従って、シール膜227の裏側と流体連通している。希釈液Dの圧力は、従って、シ
ール膜227の裏側に伝達されて、シール膜227をロータ225の表面領域に押し付け
るために弾力性圧縮部材213によってシール膜227に加えられる力を補完又は置き換
える。他の幾つかの例では、希釈剤ダクトは、バリア手段によって後室212及びシール
膜227から分離されてもよい。従って、シール膜227に加えられる力は、圧縮部材2
13によって加えられる力と、制限オリフィス235(特に、その面積が十分に小さく、
そこを通過する液体が液体のジェットとして現れる場合には、「ジェットオリフィス」と
呼ばれることがある)にわたる差圧との組み合わせであってもよい。
【0068】
特に
図2C及び
図2Dを参照すると、希釈剤ダクトは、それを通過する希釈剤液体Dが
希釈剤液体Dのジェットとして希釈室232に噴霧するような十分に小さい面積を有する
ジェットオリフィス235を含んでもよい。これは、乱流を促進し、送液された濃縮液C
と希釈剤液体Dのジェットとの迅速な混合を促進するという側面を有し得る。ジェットオ
リフィス235の面積は、希釈剤ダクトの残りの部分の平均断面積よりも実質的に小さく
てもよく、その結果、希釈剤液体Dがジェットオリフィス235から希釈室232に通過
する際の速度の実質的な増加と圧力の低下が生ずる。
【0069】
図2C及び2Dを更に参照すると、例示的なディスペンサシステムは、希釈済み濃縮液
C
dの乱流を促進し、その結果、希釈液Dと濃縮液Cとの迅速かつ徹底的な混合を促進す
るように構成及び配置された、希釈済み濃縮液C
dが通過する一方向弁250を含んでい
てもよい。一方向弁250は、希釈室232から添加機構に通過する際の希釈済み濃縮液
C
dの経路上に配置されることが好ましく、好適には、添加流体Aが希釈室232に上流
側から流入することを実質的に防止することができる。希釈機構又は添加機構が一方向弁
250を含んでもよく、一方向弁が希釈機構と添加機構の間に配置されていてもよい。
【0070】
図2Eを参照すると、例示的な一方向弁は、例えば、ポリマーワッシャなどの環状のデ
ィスク又はリングの形態の弾力性部材250を備えている。弾力性部材250は、中心軸
から概ね半径方向に延びていてもよく、弾力性部材250の周辺領域は、流体が希釈機構
から添加機構に通過していないときに、希釈機構のハウジングのシート領域に当接してい
る。少なくとも部分的に希釈済み濃縮液C
dが希釈室232内に含まれ、弾力性部材25
0の側面と接触しており、希釈済み濃縮液C
dの圧力が十分に大きい場合、弾力性部材2
50の周辺領域は、座部から離れるように偏向されてもよく、従って、希釈済み濃縮液C
dが周辺領域と座部との間を通過して、添加機構に含まれる室268に入ることを可能に
する。このようにして、希釈済み濃縮物C
dの速度に半径方向外向きの成分が付与されて
もよく、その結果、少なくとも部分的に希釈済み濃縮物C
d内の増加した乱流は、希釈済
み濃縮物C
dが添加流体Aに配合される前に、希釈液及び濃縮液D、Cの混合物の均質性
を迅速に改善する効果を有し得る。更に、希釈済みの又は未希釈の濃縮物C
dの半径方向
外向きに移動する流れは、添加剤室の半径方向の壁に衝突して、希釈済みの又は未希釈の
濃縮物C
dの乱流を引き起こし、それによって混合を更に促進することができる。
【0071】
幾つかの例では、希釈液は、希釈液オリフィス235を介して約150kPaの圧力で
希釈室232に導入されてもよい。これは、希釈液Dと濃縮液Cとの或る程度の混合を引
き起こすと思われるが、希釈済み濃縮液混合物は均質ではない可能性がある。比較的加圧
された希釈済み濃縮液は、次に、幾つかの例ではエラストマーワッシャ弁を含み得る弾力
性部材250を通過させられ、この弾力性部材は撓むことができて、希釈済み濃縮液Cd
が希釈室232から通過することを可能にする。弾力性ワッシャ250が撓む程度は、一
般に、希釈済み濃縮物Cdの粘度及び圧力、並びにワッシャ250の弾力性に依存する。
特定の好ましい例示的の配置では、希釈済み濃縮物Cdは、比較的薄いフィルムに押し込
まれることがある。十分な量の希釈済み濃縮物Cdを通過させるためには、この薄いフィ
ルムの長さは、フィルムの厚さに対して十分に大きい必要があり、これは、弾力性ワッシ
ャ弁150が円形であり、十分に長い円周を有する場合に達成され得る。フィルム内の希
釈済み濃縮物Cdは高速度で移動し、その結果、比較的低い圧力で移動することがある。
フィルムは、添加剤室の第1の容積268に出て行き、第1の容積は、希釈済み濃縮物C
dのフィルムを第1の容積268の中心領域に向けるように構成されている。希釈済み濃
縮物Cdの高速度及びその移動方向の急激な変化は、更なる混合及び均質化を引き起こす
可能性が高く、添加剤室の第1の容積268を出る際に、希釈済み濃縮物は、実質的に均
質な希釈混合物であってもよい。
【0072】
図2Dを特に参照すると、ディスペンサシステム200の調節システムは、希釈剤入口
通路234を通る希釈剤液体Dの流れを調節するための希釈剤流量制御機構275を含ん
でいてもよい。例えば、希釈液流量制御機構275は、希釈液Dが通過可能な開状態にし
たり、希釈液遮断弁275が希釈ダクトへの希釈液Dの流入を防止する閉状態にしたりす
ることができる遮断弁を含んでいてもよい。希釈剤遮断弁275は、希釈剤入口234に
取り付け可能な弁ハウジング270内に着座してもよい。希釈剤遮断弁275は、ソレノ
イド装置(図示せず)によって電気的に作動可能であってもよく、このソレノイド装置は
、電子プロセッサ装置(図示せず)によって制御されてもよい。ディスペンサヘッド20
0を使用し、濃縮液Cを希釈室232に送液する際に、希釈液遮断弁275を開状態にし
て、希釈液Dが希釈室232に流入して濃縮液Cと混合できるようにしてもよい。必要定
量希釈液Dが希釈室232に流入したら、希釈液遮断弁275を自動的に閉じてもよい。
必要量の希釈液Dは、希釈液の流量(例えば、単位時間当たりに単位面積を流れる希釈液
Dの質量に関して)に、希釈液遮断弁275が開いている期間を乗じた値に比例するもの
として決定してもよい。
【0073】
添加機構は、炭酸水などの発泡性添加流体Aの時期早尚又は過度の発泡を低減又は実質
的に防止するために、角又は急激な方向転換が実質的にない、添加剤室の第1及び第2の
容積268、266と添加剤入口264を含む添加ハウジング260を含んでもよい。希
釈済み濃縮液Cd(又は、幾つかの例では、未希釈の濃縮液)は、幾つかの例の配置では
、希釈室232から一方向弁250を介して添加剤室の最上部容積268に流入すること
ができる。加えて、添加流体Aは、補助流体システム400の添加剤チャネル430から
、添加剤入口264を介して、添加剤室の容積266に流入することができ、そこで、希
釈済み濃縮物Cdと少なくとも部分的に配合し、出口ノズル262を介して、カップ又は
他のレセプタクル(図示せず)に通過することができる。添加流体A及び希釈済みの又は
未希釈の濃縮物Cdは、添加剤室内及び/又はレセプタクル内で一部又は実質的に全体的
に混合してもよい。添加機構は、気体の核生成を促進し、その結果として添加流体A又は
飲料Bの発泡を促進するためのふるい(図示せず)又は他の適切な撹拌手段を含んでいて
もよく、特に、窒素入りの液体など、発泡するために(即ち、気泡が核生成するために)
撹拌される必要がある特定の液体に使用することができる。例えば、撹拌用のふるいは、
出口ノズル262又はその近傍に配置され、直径約750ミクロンのふるい穴又は同様の
断面積のファセット穴を含んでもよい。
【0074】
特に
図2Dを参照すると、調節機構は、添加剤入口264を通る添加流体Aの流れを調
節するための添加剤流量制御機構285を含んでいてもよい。例えば、添加剤流量制御機
構285は、添加流体Aが通過可能な開状態、又は添加流体Aが添加剤室の容積266に
流入するのを添加剤遮断弁285が防止する閉状態にすることができる添加剤遮断弁を含
んでもよい。添加剤遮断弁285は、添加剤入口264に近接して取り付け可能な弁ハウ
ジング280に近接して着座してもよい。添加剤遮断弁285は、電子プロセッサ装置(
図示せず)によって制御されるソレノイド装置(図示せず)によって電気的に作動可能で
あってもよい。ディスペンサヘッド200の使用時には、添加剤遮断弁285を開状態に
して、添加流体Aが添加剤室の容積266に流入できるようにしてもよい。必要な量の添
加流体Aが添加剤室266に流入した後で、添加剤遮断弁285が自動的に閉じられても
よい。必要量の添加流体Aは、添加流体の流量(例えば、単位時間当たりに単位面積を流
れる添加流体Dの質量について)に、添加剤遮断弁285が開いていた期間を乗じたもの
に比例するものとして決定されてもよい。
【0075】
調節システムは、弁ハウジング280内に配置された圧力応動弁282を含んでもよい
。例えば、圧力応動弁282は、炭酸水Aが流れることができる通路を含んでもよく、約
1℃~約10℃の温度の炭酸水が通路を通過する速度が、約140kPa~約1000k
Paの圧力範囲にわたって実質的に一定(例えば、約16ml/s~約24ml/s、又
は約20ml/s)になるように構成されていてもよい(幾つかの配置では、最大約10
00kPaのより高い圧力を使用することによって、より高い飽和を達成することができ
る)。一般に、圧力応動弁282は、約100kPa~約1000kPaの範囲における
添加流体Aの圧力の関数として、冷却された発泡性添加流体Aの流速の変動をプラスマイ
ナス約10%以下、又はプラスマイナス約5%以下に制限してもよい。発泡性添加流体A
は、実勢の条件下での飽和溶解度以下の溶解した二酸化炭素又は懸濁した窒素を含んでい
てもよい。このように、添加流体Aの量は、遮断弁の操作のタイミングによって制御され
得る。
【0076】
添加流体Aが発泡性液体である例では、溶解した二酸化炭素又は懸濁した窒素の含有量
が飽和溶解度レベル又はそれに近い値であることが望ましく、飽和溶解度レベルは実質的
に可能な限り高い値であることが望ましい。これは、低温度(例えば、液体の凝固点より
僅かに上)かつ比較的高い圧力で、発泡性添加流体Aを提供することによって達成され得
る。添加流体Aを圧力応答弁282に輸送する供給管(図示せず)の平均直径(又は、よ
り一般的には横断面積)は、圧力応動弁282を通る通路の平均直径(又は横断面積)よ
りも実質的に大きくてもよいが、これは、圧力応動弁282の上流の添加流体Aの圧力が
、この段階での発泡を低減又は実質的に防止しながら、液体を発泡性ガスで飽和状態に保
つために十分に高くなるようにするためである。添加剤入口264は、ガスの過剰な流出
を引き起こし得る圧力応動弁282にわたる圧力降下の大きさを低減するために、より小
さな直径を有してもよい。幾つかの例示的な配置では、希釈液Dの流量及び量は、添加流
体Aについて開示されているのと同様のメカニズムによって制御されてもよい。
【0077】
図3A~
図3Cを参照すると、例示的なディスペンサヘッド200は、ポンプ220と
、ポンプ220の入口を飲料用の濃縮液Cを含む容器と流体連通するように接続するため
の接続アダプタ210と、希釈機構と、添加機構と、調節システムとを含んでいてもよい
。例示的な希釈機構は、希釈ハウジング230内の希釈室232と、希釈液Dが希釈室2
34に通過可能な希釈液入口234及びオリフィス235を含む希釈液ダクトと、一方向
希釈液弁250とを含んでいてもよい。添加機構は、添加剤ハウジング260と、添加剤
入口244と、第1の添加剤容積268、第2の添加剤容積267、第3の添加剤容積2
66、第4の添加剤容積269を含む添加剤室と、飲料Bを分注するための出口ノズル2
62とを含んでいてもよい。添加剤ハウジング260は、接続機構238によって希釈ハ
ウジング230と解放可能に結合され得る。
【0078】
図3B及び
図3Cは、特定の例の添加機構をより詳細に示している。希釈済み濃縮液C
d(これは、希釈済みの又は未希釈の濃縮液Cから構成され得る)は、希釈室232から
、一方向弁250を通って第1の容積268に入り、続いて第2の容積266を通って添
加剤室の第4の容積269に向かって通過することができる。第2の容積266は、第1
の容積268と第4の容積269との間で長手方向に延びる概ね円筒形の容積を含み、第
4の容積269は出口ノズル262に隣接して配置されている。添加剤室の第3の容積2
67は、第2室266を取り囲み、第2室266と同軸に延在する。添加流体Aは、添加
剤入口244を介して概ね環状の第3の容積267に輸送され、希釈済み濃縮物C
dを輸
送する第2の容積266の周りにアジマス方向に分配されることができ、第2及び第3容
積266、267は、概ね環状の壁によって分離される。一方向添加弁270は、第3の
容積267内の添加流体Aが第4の容積269に通過できるが、流体が第4の容積269
から第3の容積267には通過できないように、第3の容積267と第4の容積269と
の間に配置されてもよい。一方向添加弁は弾力性ワッシャ弁270を含んでもよく、希釈
済み濃縮物C
dが通過する、上流に位置する一方向弁250と同様に動作してもよく、即
ち、第3の容積267内の添加流体Aの圧力は、弾力性ワッシャ弁270の周辺部分を座
部から遠ざけ、弾力性ワッシャ弁270と座部との間を通過させることができる。添加流
体Aは、出口ノズル262を介して分注される前に、第4の容積269内で希釈済み濃縮
物C
dと配合され得る。
【0079】
発泡性添加流体Aは、第2の容積266と第4の容積269との間で弾力性ワッシャ弁
270を通過して流れる前に、約900kPaの圧力で添加剤室の第2の容積266に導
入されてもよい。添加流体Aの時期早尚又は過度の発泡を低減又は実質的に回避するため
に(即ち、気泡の核生成を低減するために)、発泡性液体Aの圧力は、900kPaから
周囲圧力まで可能な限り穏やかに減少させるべきである。弾力性ワッシャ弁270は円錐
形であってもよく、その弁座は、対応して円錐形であることが好ましく、好ましい例の円
錐角は約45°であってもよい。ワッシャ弁270の直径は、発泡性添加流体Aがワッシ
ャ弁270とその弁座との間から、比較的大きい断面積を有するフィルムの形態で出てく
るように、比較的大きくてもよい。例示的な配置では、添加流体Aは、約45°で添加剤
室の第4の容積269の壁に当たり、その後、室の壁に当たって流れてもよい。添加剤室
の第4の容積269の直径は、添加剤入口244の直径よりも著しく大きい(例えば、1
5倍程度大きい)ため、発泡性液体Aの速度は、第4の容積269内では、添加剤入口2
44内よりも実質的に小さい。図示の例では、第4の容積269の壁は、出口ノズル26
2に向かって円錐形(又は漏斗形)になっており、比較的低い速度で発泡性添加流体Aを
収束させ、円滑で低速度の流れを形成する。
【0080】
添加剤弁手段270は熱可塑性ワッシャを含む必要はなく、幾つかの実施例では、2つ
の同心円錐を含んでもよく、その間には、発泡性液体Aを通過させるための正確な隙間が
ある。しかしながら、弾力性ワッシャは、異なる流量に対して有利な自己補償を示しても
よく、更に、二重円錐の配置は、弾力性ワッシャよりも実質的に高い精度で製造される必
要があり得る。
【0081】
添加剤室の中央の第2の容積266内の希釈済みの(かつ実質的に均質な)濃縮液Cd
は、第4の容積269内で発泡性添加流体Aに配合できるように、比較的低圧であっても
よく、第4の容積269は周囲圧力に開放されているため、比較的低圧である。希釈済み
濃縮液Cdと発泡性添加流体Aとの更なる混合は、出口ノズル262を介して液体が分注
されるレセプタクル内で行われてもよい。出口ノズル262には、出口ノズル262から
或る程度離れたレセプタクルに液体を導くための長さのチューブが取り付けられてもよい
。
【0082】
図4A~
図5Bを参照すると、例示的な圧力応動流量制御弁アセンブリ282は、弾性
環状弁体284と、弁ホルダ286とを含んでおり、弁体284は、弁体284の近位端
283と遠位端285とを長手方向軸線Lと同軸に接続する中央通路288を含む。弁ホ
ルダ286は、弁体284を収容するように構成されており、概ね環状の側壁289を含
み、使用時のように組み立てられたときに弁体284の遠位端285が当接する座部28
7を有している。弁ホルダ286は、弁座287を弁ホルダ286の遠位端に接続する中
央出口通路286Eを含む。
図4Aに示される特定の例では、出口通路286Eは、弁体
284を通る通路288と実質的に同軸であり、それよりも大きな直径を有する。
【0083】
使用時、液体(例えば、発泡性添加流体A)は、弁体284の通路288を通って近位
端283から遠位端285まで流れ、そのうちの少なくとも半径方向外側の領域が座部2
87に接し、その後、弁ホルダ286の出口通路286Eを通って圧力応動弁アセンブリ
282から出ることになる。添加機構260が使用時のように組み立てられると、弁ホル
ダ287は、弁ハウジング280内に着座する(
図2Dに示す)。弁体284は、弾力性
の弾性材料を含むか、又は本質的にそれらで構成されており、近位端283に対する流体
の圧力の増加に応じて長手方向に屈曲するように構成されている。屈曲していない状態で
は、
図4Aに示された特定の例における弁体282の遠位端285は、弁座287の少な
くとも内側の環状領域から間隔を空けているため、弁体284が、通路288を通過する
流体の圧力に応じて屈曲すると、その遠位端285が弁座287に向かって屈曲できる。
【0084】
図4Aに示されている特定の例(米国特許第7225829号明細書に開示されている
)では、弁ホルダは、弁座287に形成されており、出口通路286Eと同軸の環状バイ
パスチャネル281Aと、長手方向バイパスチャネル入口281Bとを更に含み、弁体2
84が図示のように屈曲していないときに、流体がバイパスチャネル入口281Bを通っ
て環状バイパスチャネル281Aに流入し、次いで弁体284の離隔した内側遠位端28
5の間の空間を通って出口通路286Eに流入することができるように構成されている。
このように、弁体284の近位端283に対する流体の圧力が、環状バイパスチャネル2
81Aが弁ホルダ286の出口通路286Eと流体連通するのに十分に低いときに、流体
が通過できるバイパスチャネル281B、281Aが提供される。流体圧力が上昇するに
つれ、弁体284は、その遠位端285が座部285の内側領域に向かって近づくように
屈曲し、バイパスチャネル281B、281Aの有効面積を減少させることになる。その
結果、圧力応動弁アセンブリ282は、流体が流れることができる有効面積を減少させる
ことによって流体圧力の増加に応答し、その結果、圧力の増加につれて流体の流束が増加
する傾向を打ち消すことになる。他の例示的な圧力応動弁アセンブリ282は、弁体28
4及び弁ハウジング286の異なる構成及び配置を有する。
【0085】
弁体284は、弾力性ゴム材料を含むか、又は本質的にそれらで構成されており、流れ
る流体の圧力の増加に応じて変形し、圧力応動弁アセンブリ282を通る有効な通路の直
径が小さくなるように構成されており、その結果、流体が通過する速度が制限されること
になる。流体の圧力が或る値を超えると、開口部のサイズは、実質的に一定の流量を維持
するのに十分なだけ小さくなる。潜在的に適切な圧力応動弁の例としては、Vernay
(登録商標)社から入手可能なVL3007XXXXXTMがある。潜在的に適切な圧力応
動弁の他の例は、米国特許第4609014号、米国特許第7222643号及び米国特
許第7225829号に開示されている。
【0086】
添加剤が発泡性の液体である例では、幾つかの要因によって時期早尚な発泡が引き起こ
される。例えば、鋭利なエッジやアスペリティの存在、発泡性液体の撹拌、発泡性液体の
温度上昇、圧力の比較的急激な低下などにより、気泡の核生成が引き起こされ得る。圧力
が低下すると、溶存ガスの飽和濃度が低下して気泡が発生することになる。発泡性添加剤
の圧力は、添加剤室に導入された時点で約690kPaであり得るため、レセプタクルに
分注される前に低下させる必要がある。時期早尚な発泡を抑えるために、発泡性液体が添
加機構の出口ノズルにできるだけ近づくまで、圧力の低下を延期してもよい。それに加え
て、圧力の急激な低下は、液体の撹拌を増加させる傾向がある。好ましくは、出口ノズル
を、例えば冷蔵環境内に保つことによって、比較的低い温度に保ってもよい。これにより
、発泡が抑えられ、また、衛生状態の維持にも好ましい。
【0087】
流体の圧力の変化に応じて流速の変動を低減する圧力応動弁の能力は、補助流体システ
ムによって供給される添加流体Aの圧力が不確かであったり、様々なシステム間で異なっ
ていたりする場合に、発泡性添加流体Aの発泡性(即ち、泡立ち又は起泡性)の変動を低
減するという側面を有し得る。この効果は、発泡性液体の流速を増加させると、流れてい
る液体内の乱流のリスクが高まる結果として、直接的又は間接的に液体の発泡を引き起こ
す可能性がある現象から生じ得る。
【0088】
ディスペンサヘッド200は、組立品又はキット形式で提供され得る部品のアセンブリ
であってもよく、別々に提供される部品であってもよい。例えば、弁ハウジング270、
280、流量制御手段275、285、及び圧力応動弁282のうちの1つ以上は、組み
立てられて機能的に相互接続され得る別個の部品として提供されてもよい。好ましくは、
ディスペンサヘッド200は単一構造として提供される。更に、添加剤ハウジング260
は、希釈ハウジング230に可逆的に結合され得る固定具として提供されてもよい。ディ
スペンサヘッド200は、それぞれの端部が相互に係合することができるように、希釈ハ
ウジング230及び添加剤ハウジング260の協働的に構成された端部で形成された装着
機構238を含んでもよい。例えば、端部は、添加剤ハウジング260を希釈ハウジング
230の端部にねじ込むことができるように、協働的にねじ込まれていてもよいし、何ら
かの他の方法で相互にロックされていてもよい。幾つかの例では、添加機構は、添加剤ハ
ウジング260、添加剤弁ハウジング280、圧力応動弁282、及び遮断弁285を含
むキットとして提供されてもよい。
【0089】
濃縮液Cが容器300から送液され、希釈液及び発泡性添加液D,Aがそれぞれ希釈機
構及び添加機構に流入して濃縮液Cと混合されるまでのそれぞれの期間を制御することに
より、所望の濃度及び炭酸化又は窒素化を有する所望の量の飲料Bを分注することができ
る。幾つかの例では、濃縮液Cの送液速度、及び/又は希釈液D用の遮断弁275及び添
加流体A用の遮断弁285の動作、及び潜在的にポンプ220の他の動作パラメータは、
ポンプ220の一部として提供され得る、その特定の濃縮液のレシピ(図示せず)を含む
RFIDチップ又はQRコード(登録商標)などによって制御されてもよい。ディスペン
サヘッド200は、飲料Bのレシピを読み取り、レシピに応じて濃縮液C、希釈液D、及
び添加流体Aの比率を調整することが可能なリーダ装置を含んでいてもよい。
【0090】
ディスペンサヘッド200は、ユーザ向けの液体製品に関する情報を含んでいてもよく
、また、潜在的には、容器300に残っている濃縮液の量、濃縮液Cの有効期限(又は「
消費期限」或いは「賞味期限」)、ディスペンサのオペレータのための濃縮液とディスペ
ンサヘッドとの相性などの情報を含んでいてもよく、これらの情報は、ディスペンサヘッ
ド200上に設けられた、又はディスペンサヘッドに設けられたグラフィックインターフ
ェース上に表示可能であってもよい。この配置は、ディスペンサヘッド200が、濃縮容
器300のみで単独使用するために濃縮容器300に装着される場合に、特に有利である
。
【0091】
電子プロセッサは、送液速度及び/又は希釈剤フラックス及び/又は添加剤フラックス
、並びに濃縮物C、希釈剤D及び添加流体Aの量、及び飲料Bの量を示す電子入力データ
を受信することが可能であってもよい。電子プロセッサは、このデータを処理して、少な
くとも希釈剤D及び/又は添加剤が希釈室232及び/又は添加剤室に流入する期間を決
定することが可能であってもよく、また、それぞれの電子制御信号を出力することによっ
て、遮断弁275、285の動作を互いに独立して制御することが可能であってもよい。
【0092】
幾つかの例では、ディスペンサヘッド200を含むディスペンサアセンブリは、無線周
波数識別装置(RFID)データを読み取り、希釈剤及び添加剤の遮断弁の開閉のそれぞ
れのタイミングなど、ディスペンサヘッドの動作パラメータを自動設定することができる
コンピュータプロセッサを含んでもよい。電子入力データの少なくとも一部は、オペレー
タが手動で入力してもよいし、ポンプ手段及び/又は希釈機構及び/又は添加機構に含ま
れるセンサから送信されてもよいし、補助流体システム400に含まれ得る、及び/又は
、濃縮容器300に備えられ得るRFIDなどの1つ以上のデバイスによって送信されて
もよい。幾つかの例では、濃縮容器300を含み得るディスペンサヘッド200、又は特
に濃縮容器300は、所望の飲料Bを提供するために、濃縮物C、希釈剤D、及び添加流
体Aの相対的な割合を示す手段を備えてもよい。例えば、ディスペンサヘッドは、この情
報を提供することができるRFID手段を含んでもよい。
【0093】
濃縮液は、例えば、フルーツジュース、ビール、牛乳、コーヒー、コーラ飲料などのソ
フトドリンクなど、様々な飲料Bのに濃縮したものであってもよい。幾つかの例では、濃
縮液Cは比較的粘性があり、過度の泡や発泡を避けつつ、所望の炭酸や窒素を飲料Bに与
えるために、炭酸や窒素を含む水(又は他の水性液体)Aと混合する前に希釈する必要が
ある。希釈液Dは、発泡可能な形態で添加された二酸化炭素又は窒素を実質的に含まない
水(又は他の水性液体)を含むか、又はそれらから本質的に構成されていてもよく、及び
/又は添加流体Aは、飲料Bに配合されたときに発泡可能な炭酸化又は窒素化された水を
含むか、又はそれらから本質的に構成されていてもよい。幾つかの例では、添加流体Aは
、二酸化炭素及び窒素を実質的に含まないものであってもよい。幾つかの例では、特定量
の泡が望ましい場合があり(例えば、カフェラテにおいて)、その場合、添加機構は、制
御された核生成を促進するように構成されてもよい。
【0094】
ユーザは、例えば、手動で飲料Bをカップに直接注ぐのにかかる時間程度の比較的短い
時間で、カップ又は他のレセプタクルに飲料Bが分注されることを予期している可能性が
ある。このためには、濃縮物Cがポンプから出口ノズル262を通ってレセプタクルに流
れる際に、濃縮物Cを希釈して炭酸化する必要がある。飲料Bがリンゴジュース又は他の
フルーツジュースであるような幾つかの例では、濃縮物Cは比較的高い粘度を有すること
があり、十分に短い時間で炭酸添加流体Aと効果的に混合できるようにする前に、希釈液
Dで希釈する必要がある。静水などの十分な量の希釈液Dを果汁濃縮液Cに混合して、炭
酸水Aが便利に分注されるように十分に迅速に混合されるように、希釈済み濃縮液Cdの
粘度を十分に低下させてもよい。
【0095】
幾つかの例では、濃縮液C(例えばコーラ飲料やビール用の濃縮シロップ)は、炭酸水
や窒素水などの水性液体と配合する前に希釈する必要がないほど十分に低い粘度を有して
いてもよい。そのような場合には、飲料Bが分注されている間、希釈剤遮断弁275を閉
状態にしておいてもよい。例えば、コーラシロップに、約5:1の割合で炭酸水を混合し
てもよく、一部のアルコールビールについては4:1で混合し、一部のノンアルコールビ
ールについては、濃縮液と炭酸水の割合が約25:1であってもよい。
【0096】
補助流体ユニット400は、ディスペンサヘッド200に導入される直前に、水を約2
℃に冷やし、約700~1000kPaに加圧するように構成されていてもよい。従って
、炭酸水Aが添加機構260に導入される場合、溶存二酸化炭素の含有量は、実用的に達
成可能な最高レベルに近いものとなり得る。
【0097】
炭酸液又は窒素液Aを輸送する添加剤流路430は、炭酸液Aが添加機構260に導入
されるまでの間、発泡を低減又は防止するために、可能な限り層流を促進するように構成
されてもよい。層流は、添加剤ダクト430を、急激な角がなく徐々に方向を変えるよう
に構成することで促進され得る。
【0098】
炭酸液Aが添加機構に入る際の圧力低下に応じて、二酸化炭素(又は窒素)の気泡が核
となって発生する可能性があるため、添加機構は、一定の減圧率を提供して、気体の気泡
の発生率及び気泡の大きさの分布を制御するように構成されてもよい。炭酸液Aは、気泡
の数及びサイズ分布を制御し、飲料の制御された発泡を促進するために、添加機構に流入
する際又は添加機構を通過する際に、ガーゼに通されてもよい。
【0099】
幾つかの例では、ディスペンサヘッド200が使用されていないときに、除菌液を希釈
機構又は添加機構に導入して、環境に開放されたディスペンサヘッド200の少なくとも
一部を洗浄してもよい。希釈液を使用して、混合中に出口ノズルを洗浄することが望まし
い場合がある。
【0100】
補助流体システムは、希釈液D及び添加流体Aを、約1℃~約10℃の範囲内の同じ又
は異なる温度に冷却し、少なくとも添加流体Aを約600kPa~約1000kPaの圧
力に加圧することができるものであってもよい。
【0101】
幾つかの例では、補助流体システムは、炭酸化又は窒素化される水などのキャリア液に
二酸化炭素又は窒素ガスの気泡を導入し、気泡中の実質的に全ての気体がキャリア液に溶
解又は懸濁するように気体含有キャリア液を処理して、発泡可能な(即ち、発泡性の)添
加液を提供するように構成されてもよい。補助流体システムは、ガス含有キャリア液を熱
交換器に通すことで、その凝固点を僅かに上回る温度まで下げ、キャリア液内の二酸化炭
素又は窒素の飽和溶解度を高めてもよい。キャリア液と同じ種類の液体(例えば、静水)
である希釈剤は、ツインコイル熱交換器であり得る同じ熱交換器を通過させて、その温度
も下げてから、希釈剤及び添加剤液D,Aを別々の流れで、既知の流量で希釈剤入口23
4及び添加剤入口264にそれぞれ供給する。送液された濃縮液Cは、冷却された希釈液
Dと激しく混合され、その結果、急速に希釈されて、冷却された発泡性添加流体Aと後で
混合するための十分に低い粘度を有する希釈済み濃縮液Cdを生成することができる。次
に、発泡性添加剤液Aは、添加剤室内で希釈済み濃縮液Cdに比較的穏やかに配合される
ことができ、発泡性飲料Bは過度の発泡なしにカップに直接分注される。
【0102】
発泡性ガスをキャリア液に導入して、補助流体ユニット内に発泡性添加液を供給する場
合、ガス(例えば、二酸化炭素又は窒素)と水又は他のキャリア液との間の差圧は、一般
に、ガスをキャリア液に効果的かつ迅速に溶解させるために重要であり得る。例えば、炭
酸ガスの圧力が700kPaで、水の圧力が200kPaの場合、差圧は500kPaと
なる。例えば、水のキャリア液が二酸化炭素で飽和した後で、過剰な泡立ちのリスクを減
らすために、700kPaからの圧力の低下は、分注する時点(常圧)まで実質的に可能
な限り緩やかであるべきである。これは、液の流量が、分注される場所で比較的低くなる
ように、比較的小径の長いチューブ、又は小径から大径に向かって僅かにテーパーがつい
たチューブを用いて発泡性液体を輸送することで実現できる。好ましい方法は、比較的大
きな直径を持つ比較的短いチューブで発泡性液体を輸送し、流量制御弁を出口ノズルにで
きるだけ近づけることである。流量制御弁を通過する際に溶解した気体は、直ちに濃縮液
又は予め希釈済みの濃縮液と混合される。濃縮液は密度が高いため、より多くの溶存気体
を吸収することができる。
【0103】
一般的に、発泡性液体が濃縮液と過度に激しく混合されると、過剰な泡立ちや発泡が発
生する可能性があるため、一般的には、発泡性添加剤液はできる限り撹拌しないようにす
べきである。特定の例のディスペンサヘッドは、濃縮液Cを積極的に希釈するステップと
、発泡性液体Aと穏やかに混合するステップとを分離して、泡立ちを抑えた発泡性飲料B
を十分に迅速に分注するインライン手段を提供するという側面を有する。更に、補助流体
システム400は、異なるそれぞれの濃縮液Cから異なる飲料Bを製造するために使用す
ることができ、この場合に、二次汚染のリスクを実質的に低減しながら飲料Bを迅速に切
り替えることができる。例えば、第1の濃縮液を収容した容器に接続されたディスペンサ
ヘッドを備えた第1のアセンブリは、比較的容易かつ迅速に補助流体システムから切り離
され、ディスペンサヘッド及び第2の濃縮液を収容した容器の第2のアセンブリと交換す
ることができる。
【0104】
幾つかの例では、分注された飲料が高度な発泡性を有する(即ち、非常に「発泡性」で
ある)ことが望ましい場合があり、それは、比較的大量の発泡性液体を濃縮液と混合する
ことを要する。一般的に、濃縮液の濃度が高ければ高いほど、より多くの発泡性をインラ
インで導入することができ、また一般的に、濃縮液の濃度が高ければ高いほど、その粘度
が高くなり、より多くの希釈が必要になる場合がある。一般に、チルド飲料の望ましい提
供温度は約8℃(5~10℃)であり得、濃縮液Cは約6℃の冷蔵室に保管される可能性
があり、カップは周囲温度(約15~30℃)である可能性が高いため、補助流体ユニッ
トは、希釈液をその凝固点に近い温度、例えば、水希釈液の場合は約2℃で導入する必要
があり得る。発泡性添加液は、可能な限り高含有量の溶存発泡性ガスを含んでいてもよい
。
【0105】
幾つかの例では、濃縮液と静水希釈剤の比率は約1:1であってもよく、発泡性水と希
釈済み濃縮液の比率は約4:1であってもよい。
【0106】
希釈済み濃縮液の粘度は、発泡性添加流体と希釈済み濃縮液の混合の最終段階が、分注
された後にカップ内で行われることができるように、十分に低くてもよい。
【0107】
気体と液体の間の所与の圧力差、所与の温度、及び所与の時間に対して、最大飽和レベ
ルは一定の値である。ディスペンサヘッドは、この既知の一定値を利用して、濃縮液、希
釈液、飽和炭酸水の正しい比率で分注できるようになっていてもよい。
【0108】
幾つかの例示的なディスペンサヘッドは、補助流体ユニットによって濃縮液が供給され
て、それにより冷却及び/又は加圧をもたらすことを回避して、静水などの希釈液及び/
又は炭酸水や窒素水などの添加流体のみを輸送することができるという側面を有し得る。
濃縮容器を含む、又は濃縮容器に接続されたディスペンサヘッドは、希釈液及び/又は添
加液が補助流体ユニットからディスペンサヘッドに輸送され得るように、補助流体ユニッ
トに接続され得る。分注される飲料の種類は、ディスペンサヘッドを補助流体ユニットか
ら切り離し、所望の飲料に適した異なる濃縮液を収容した容器に取り付けられた、又は取
り付け可能な異なるディスペンサヘッドを取り付けることによって変更され得る。或いは
、濃縮液容器をポンプから取り外し、所望の濃縮液が入った別の容器をポンプに接続して
もよい。これにより、残留濃縮液を除去するために補助流体ユニットを洗浄する必要がな
くなり、以前の濃縮液の残留量による所望の飲料の二次汚染を避けることができる。例示
的なディスペンサヘッドは、ポンプ出口の下流にある全ての通路を流れるように除菌液を
導入するために、除菌液の供給源を希釈液入口に接続することができるように構成されて
もよい。
【0109】
濃縮容器に取り付けられて提供される例示的ディスペンサヘッドは、ポンプアセンブリ
が異なる濃縮物の送液に使用された場合に生ずる可能性のある、異なる濃縮物の二次汚染
のリスクを回避するという側面を有し得る。他の例では、ディスペンサヘッドは、濃縮容
器とは別に提供されてもよく、濃縮容器に、使用するために取り付けられ、その後、同じ
種類又は異なる種類の濃縮物を収容した別の容器で使用するために取り外されてもよい。
ポンプアセンブリは、使用する濃縮容器に取り付ける前に洗浄されてもよい。
【符号の説明】
【0110】
100 インライン飲料ディスペンサアセンブリ
200 ディスペンサヘッド
210、238 装着機構
212 後室
213 圧縮部材
214 バッキング壁
220 ポンプ
221A ポンプ入口
221B ポンプ出口
222 ロータ伝達機構
223 ポンプハウジング
225 ロータ
226 ポンプ室
227 シール膜
232 希釈室
234 希釈剤入口
260 添加剤ハウジング
262 出口ノズル
264 添加剤入口
266 第2の容積
268 第1の容積
270、280 弁ハウジング
275 希釈液遮断弁
282 圧力応動流量制御弁アセンブリ
283 近位端
284 弾性環状弁体
285 添加剤遮断弁
286 弁ホルダ
286E 出口通路
287 座部
288 中央通路
289 側壁
300 容器
400 補助流体システム
420 希釈剤チャネル
430 添加剤チャネル