(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123239
(43)【公開日】2024-09-10
(54)【発明の名称】新規のRNA検出と定量の方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/115 20100101AFI20240903BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
C12N15/115 Z ZNA
C12M1/34 Z
C12N15/115 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024103271
(22)【出願日】2024-06-26
(62)【分割の表示】P 2022557982の分割
【原出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】514061441
【氏名又は名称】イースト チャイナ ユニバーシティ オブ サイエンス アンド テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100166729
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 幸子
(72)【発明者】
【氏名】ヤン イー
(72)【発明者】
【氏名】チェン シャンジュン
(72)【発明者】
【氏名】シエ シン
(72)【発明者】
【氏名】スー ニー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】生細胞におけるRNA/DNAのリアルタイム標識に効果的に使用できる核酸アプタマー分子を提供する。
【解決手段】本発明は、核酸アプタマー分子、該アプタマーとフルオロフォア小分子とを含む複合体、該核酸アプタマー分子による細胞内又は細胞外のRNA、DNA又は他の標的分子の検出方法、及び該アプタマーを含むキットを提供する。本発明のアプタマーは、一種のフルオロフォア小分子と特異的に結合して、かつその適切な波長の光で励起された場合の蛍光強度を著しく向上させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヌクレオチド配列(a)、ヌクレオチド配列(b)、又はヌクレオチド配列(c)を含む核酸アプタマー分子であって、
前記ヌクレオチド配列(a)は、N1AGAUUGUAAACAN14-N15-N16GACACUN23であって、N1、N14、N15、N16及びN23は、長さがヌクレオチド1個分と同等又はそれ以上の断片を表し、かつN1とN23ヌクレオチド配列のうちの少なくとも一対の塩基が、相補的塩基対を形成し、N14とN16ヌクレオチド配列のうちの少なくとも一対の塩基が、相補的塩基対を形成し、
前記ヌクレオチド配列(b)は、ヌクレオチド配列(a)と少なくとも70%、72%、77%、83%、88%、94%又は100%の同一性を有し、
前記ヌクレオチド配列(c)は、ヌクレオチド配列(a)においてN1、N14、N15、N16及びN23を含まない位置で、1個又は複数個のヌクレオチドが置換、欠損及び/又は挿入されて、かつアプタマー機能を有し、ヌクレオチド配列(a)から誘導されたものである、
核酸アプタマー分子。
【請求項2】
ヌクレオチド配列(c)は、ヌクレオチド配列(a)においてN1、N14、N15、N16及びN23を含まない位置で、5個、4個、3個、2個又は1個のヌクレオチドが置換、欠損及び/又は挿入されて得られた核酸アプタマー分子である、請求項1に記載の核酸アプタマー分子。
【請求項3】
ヌクレオチド配列(a)におけるN1とN23が相補的塩基対を形成する場合、N1ヌクレオチド配列の方向は5’-3’であり、N23ヌクレオチド配列の方向は3’-5’であり、N14とN16が相補的塩基対を形成する場合、N14ヌクレオチド配列の方向は5’-3’であり、N16ヌクレオチド配列の方向は3’-5’である、請求項1に記載の核酸アプタマー分子。
【請求項4】
N1とN23における少なくとも1本の断片の長さが5個のヌクレオチド塩基と同等又はそれ以上である場合、N1とN23ヌクレオチド配列のうちの少なくとも2対の塩基が、相補的塩基対を形成し、N14とN16における少なくとも1本の断片の長さが5個のヌクレオチド塩基と同等又はそれ以上である場合、N14とN16ヌクレオチド配列のうちの少なくとも2対の塩基が、相補的塩基対を形成している、請求項3に記載の核酸アプタマー分子。
【請求項5】
ヌクレオチド配列(a)へのヌクレオチド置換が、A4U、A4G、A4C、U5A、U5G、U5C、G7C、G7A、G7U、U8C、A10U、A10G、A10C、A11U、A11G、A11C、C12G、C12A、C12U、A13U、A13G、A13C、G17A、C19A、C19U、A20C、A4C/U5A、A4C/U5C、A4C/A11G、A4C/C12A、A4C/A13C、U5A/A11G、U5A/C12A、U5A/A13C、U5G/A13C、U5C/G7U、U5C/A11G、U5C/C12G、U5C/C12A、U5C/C12U、U5C/A13C、G7U/A13C、A11G/A13C、C12G/A13C、C12A/A13C、C12U/A13C、A4C/U5C/A13C、U5C/G7U/A13C、U5C/C12G/A13C、U5C/C12U/A13C、U5C/A11G/A13C、U5C/C12A/A13C、A4C/U5C/A11G/A13C、A4C/U5C/C12A/A13C、A4C/U5C/G7U/A11G/A13C、A4C/U5C/G7U/C12A/A13C、A4C/U5A/A11G/C12A/A13C、A4C/U5C/A11G/C12A/A13Cからなる群から選択される1種である、請求項1に記載の核酸アプタマー分子。
【請求項6】
ヌクレオチド配列(a)におけるN1とN23箇所のヌクレオチド配列が、F30又はtRNA足場RNA配列である、請求項1に記載の核酸アプタマー分子。
【請求項7】
アプタマー分子は、RNA分子、又は塩基修飾のRNA分子である、請求項1に記載の核酸アプタマー分子。
【請求項8】
前記核酸アプタマー分子は、DNA-RNAハイブリッド分子、又は塩基修飾のDNA-RNA分子である、請求項1に記載の核酸アプタマー分子。
【請求項9】
N14-N15-N16が、標的分子を識別可能なヌクレオチド配列を1個含む、請求項1に記載の核酸アプタマー分子。
【請求項10】
前記標的分子は、タンパク質、核酸、脂質分子、炭水化物、ホルモン、サイトカイン、ケモカイン、代謝物、金属イオンを含む、請求項9に記載の核酸アプタマー分子。
【請求項11】
前記N14-N15-N16は、S-アデノシルメチオニン及びアデノシン分子を識別可能なヌクレオチド配列である、請求項9に記載の核酸アプタマー分子。
【請求項12】
前記アプタマー機能とは、核酸アプタマーが、フルオロフォア分子の適切な波長の励起光での蛍光強度を、少なくとも2倍、少なくとも5~10倍、少なくとも20~50倍、少なくとも100~200倍、又は少なくとも200倍以上向上できることである、請求項1に記載の核酸アプタマー分子。
【請求項13】
複数個のフルオロフォア分子と結合できるコンカテマーを含み、前記コンカテマーは、適宜な長さのスペーサー配列によって連結され、個数は、2、3、4、5、6、7、8又はそれ以上であり得、前記コンカテマーのヌクレオチドは、配列SEQ ID No:7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19及び20から選択される、請求項1に記載の核酸アプタマー分子。
【請求項14】
前記核酸アプタマー分子が、配列SEQ ID No:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、24、25、26、27、28、29、30又は31を有する、請求項1に記載の核酸アプタマー分子。
【請求項15】
核酸アプタマー分子とフルオロフォア分子との複合体であって、前記核酸アプタマー分子は、請求項1に記載の核酸アプタマー分子であり、前記フルオロフォア分子は、下記式(I)で示される構造を有し、
【化1】
式中:Ar
1、Ar
2は独立して、6員アリール基、6員ヘテロアリール基であり、D-は、HO-又はN(X
1)(X
2)-であり、X
1、X
2はそれぞれ独立して、水素、アルキル基及び変性アルキル基から選択され、X
1、X
2は互いに結合して、N原子と共に脂肪族複素環を形成してもよく、D-がN(X
1)(X
2)-で、Ar
1がフェニル基である場合、X
1、X
2は独立して、ベンゼン環と飽和又は不飽和のエステル複素環を形成し、D-がHO-で、Ar
1がフェニル基である場合、HO-と隣接する少なくとも1個の水素原子がハロゲンで置換され、Yは、O、Sであり、R
1は、水素、アルキル基及び変性アルキル基であり、R
2は、水素原子、ハロゲン原子、-OH、-CNであり、前記アルキル基はそれぞれ独立して、C
1-C
10直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、
前記変性アルキル基はそれぞれ独立して、アルキル基の任意の炭素原子がハロゲン原子、-OH、-CO-、-O-、-CN、-SO
3H、一級アミノ基、二級アミノ基、三級アミノ基から選択される1種又は複数種の基で代替された基であり、前記変性アルキル基は、1~10個の炭素原子を有し、ただし、炭素-炭素一重結合は独立して、炭素-炭素二重結合又は炭素-炭素三重結合で代替されてもよく、前記炭素原子が代替されるとは、炭素原子が、あるいは炭素原子がその上の水素原子と共に、対応する基で代替されることである、複合体。
【請求項16】
前記フルオロフォア分子は下式化合物
【化2(1)】
【化2(2)】
から選択される、請求項15に記載の複合体。
【請求項17】
複合体におけるアプタマー分子は、ヌクレオチド配列SEQ ID No:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、24、25、26、27、28、29、30又は31を含む、請求項15に記載の複合体。
【請求項18】
請求項1に記載の核酸アプタマー分子、請求項15に記載の複合体、発現ベクター又は宿主細胞のうちの少なくとも1種を含むキットであって、
前記発現ベクターは、前記核酸アプタマー分子を転写するDNA分子を含み、
前記宿主細胞は、前記発現ベクターを含む、キット。
【請求項19】
インビトロ又はインビボの標的核酸分子の検出又は標識、細胞外又は細胞内の標的分子の検出又は標識、ゲノムDNAのイメージング、RNAとタンパク質との相互作用の検出、ゲノムDNAの検出、及びRNAの精製と純化のための、請求項15に記載の複合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸アプタマー分子(アプタマー核酸分子)、該核酸アプタマー分子を細胞内又は細胞外のRNA、DNA又は他の標的分子の検出に用いた方法、及び該アプタマーを含むキットに関する。本発明のアプタマーは、一種のフルオロフォア小分子と特異的に結合して、かつその適切な波長の光で励起された場合の蛍光強度を著しく向上させることができる。
【背景技術】
【0002】
RNAは、最も重要な生体分子の一つであり、その種類が数多くあり、伝令RNA(mRNA)、転移RNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)などを含む。近年では、RNAが複数の生体活動において奏する極めて重要な機能は、科学者たちに発掘されつつあり、例えば、テロメラーゼ、スプライシング酵素、リボザイム及びリボスイッチなど、多くのRNA-タンパク質複合体を含む。また、細胞中には、数多くのノンコーディングRNA、例えば、短鎖干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(microRNA)及び長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)などが存在し、転写後のレベルで遺伝子発現の制御にとってかけがえのない役割を果たしている。したがって、細胞におけるRNAの輸送及び代謝過程に対するリアルタイムのモニタリングは、RNAの位置特定、遺伝子発現及び細胞制御過程の関係に対する研究にとって至極重要である。
【0003】
現在、RNAを標識するための方法としては、インサイチューハイブリダイゼーション、RNA結合タンパク質-蛍光タンパク質技術、及びRNAアプタマー-蛍光染料技術を含む。蛍光インサイチューハイブリダイゼーションは、フルオロフォア修飾のオリゴヌクレオチドでRNAを直接標識する技術であって、その基本的な原理としては、フルオロフォア修飾のオリゴヌクレオチドにはRNAと相補する一部の配列を有し、塩基対合によって標的RNAへの標識を実現する(Raj et al.Nature Methods 2018.5:877-879)。その利点は、標的RNA自体を修飾又は遺伝子組換えする必要がなく、直接標識することである。その欠点は、オリゴヌクレオチドが細胞に入り難く、細胞に導入する補助手順が必要で、細胞にダメージを与えやすく、バックグラウンド蛍光が比較的高く、複雑な溶出手順が必要であり、固定細胞の研究のみに使用でき、生細胞におけるRNAの動的変化過程のリアルタイムモニタリングに使用できないことである。分子ビーコン技術は、ヘアピン構造のオリゴヌクレオチドプローブに基づき、標的RNAと結合した後、一端に標識された消光基の他端に標識された蛍光基に対する消光作用が解消され、蛍光基が蛍光を発するか、あるいは、両端の蛍光基のFRETが消える(Chen et al.Nucleic Acids Res 2010.38:e148)。その利点は、それ自体にバックグラウンド蛍光がないため、分子ビーコンが他のオリゴヌクレオチドプローブと比べて高い信号対雑音比を有することである。その欠点は、細胞に入り難いほか、細胞核に集まって非特異的な蛍光を発する傾向にあり、RNA二次構造の影響を受けやすく、かつ1本1本のRNAに対してオリゴヌクレオチドプローブなどを特別に作る必要があることであり(You et al.Ann.Rev.Biophys 2015.44:187-206)、これらの欠点によって当該技術の適用が制限されている。
【0004】
RNA結合タンパク質-蛍光タンパク質技術は、現在慣用の生細胞RNAの標識方法であり、慣用のRNA結合タンパク質システムには、MCP/MS2ファージシステム(Bertrand et al.Molecular Cell 1998.2:437-445)、λN/boxBファージシステム(Daigle et al.Nature Methods 2007.4:633-636)、及びdCas9-sgRNAシステム(Nelles et sl.Cell 2016.165:488-496)がある。その基本的な原理としては、蛍光タンパク質を、特定のRNA配列と結合できるRNA結合タンパク質1個と融合させて、RNA結合タンパク質-蛍光タンパク質の融合タンパク質を得ると同時に、この特定のRNA配列を標的RNAと融合させて、RNA結合タンパク質と特定のRNA配列との結合によって、蛍光タンパク質で標的RNAを標識するという目的を達成する。この方法は、生細胞RNAの標識に広く利用されているが、結合していないRNA結合タンパク質-蛍光タンパク質の融合タンパク質は、比較的高いイメージングバックグラウンド蛍光をもたらしてしまう。科学者たちは、RNA結合タンパク質に識別されるRNA配列を複数個直列連結することによって、1本の標的RNAに複数個の蛍光タンパク質を結合させてイメージングの信号対雑音(ノイズ)比を向上させているが、比較的大きい複合体の担持によりRNAの正常な生理機能に影響を与える可能性がある。
【0005】
RNAアプタマー-蛍光染料による蛍光RNA技術は、比較的望ましいRNA標識技術である。その基本的な原理としては、蛍光染料はRNAアプタマーと結合する前に、蛍光が比較的低く、RNAアプタマーと結合した後、蛍光強度が増す。この技術の利点は、システムが簡単であり、RNAアプタマーを標的RNAと融合させればよく、更には、遺伝子コーディング特性及びモジュール性を有し、異なるRNAに広く使用できることである。初期の蛍光RNAは、チアゾールオレンジ及びその類似体、又はフルオロフォア-消光基に基づいて開発され(Dolgosheina et al.ACS chemical biology 2014.9:2412-2420;Sunbul et al.Angewandte Chemie 2013.52:13401-13404)、これらの蛍光染料自体は、バックグラウンド蛍光が高く、細胞毒性が大きく、又は細胞に入り難いなどの欠点があるため、それらが生細胞RNA、特に哺乳類細胞の標識に向いていない。2011年、S.Jaffreyの研究グループは、蛍光タンパク質発色団類似体(DFHBI)に基づいてSpinachと称されるRNAアプタマーをスクリーニングして得た(Paige et al.Science 2011.333:642-646)。これまでの蛍光RNAと比べて、DFHBIは、バックグラウンド蛍光が低く、細胞に入りやすく、かつ細胞毒性がないなどの利点を有する。その後、同研究グループは、更に、Spinach2、Broccoli及びCorn蛍光RNAを開発した(Song et al.Nature Chemical Biology 2017.13:1187-1194;Filonov et al.Journal of the American Chemical Society 2014.136:16299-16308;Strack et al.Nature methods 2013.10:1219-1224)。これらの蛍光RNAは、哺乳類細胞において複数種の高い存在量のRNAへの標識とイメージングに使用できるが、依然として蛍光が安定せず消光しやすく、輝度が低く、Mg2+及び集合体特性に依存するなどの欠点が存在し、これらの欠点により、それらの幅広い使用が制限されている。2019年、Chen et al.は、Pepperと称される蛍光RNAを開発し、この蛍光RNAは、高輝度、高安定性などの利点を有し、生細胞において複数種のRNAの標識とイメージングに使用できる(Chen et al.Nature Biotechnology 2019.37:1287-1293)。しかし、生細胞において、多くの細胞機能の実行には複数種のRNAが同時に関与する必要があるため、細胞中の複数種のRNAへの標識とイメージングを実現し、それらの生物機能を探究するように、優れた特性を有しかつ生体直交が可能な複数種の蛍光RNAを開発する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、核酸アプタマー分子、該核酸アプタマー分子をコードするDNA分子、核酸アプタマー分子とフルオロフォア分子との複合体、及び該複合体の使用を提供する。
【0007】
本発明は、下記の構成を提供する。
【0008】
1.本発明は、ヌクレオチド配列(a)、ヌクレオチド配列(b)、又はヌクレオチド配列(c)を含む核酸アプタマー分子に関し、
前記ヌクレオチド配列(a)は、N1AGAUUGUAAACAN14-N15-N16GACACUN23(一般式Carrot構造と称する)であって、N1、N14、N15、N16及びN23は、長さがヌクレオチド1個分と同等又はそれ以上の断片を表し、かつN1とN23ヌクレオチド配列のうちの少なくとも一対の塩基が、相補的塩基対を形成し、N14とN16ヌクレオチド配列のうちの少なくとも一対の塩基が、相補的塩基対を形成し、
前記ヌクレオチド配列(b)は、ヌクレオチド配列(a)と少なくとも70%の同一性を有し、
前記ヌクレオチド配列(c)は、ヌクレオチド配列(a)においてN1、N14、N15、N16及びN23を含まない位置で、1個又は複数個のヌクレオチドが置換、欠損及び/又は挿入されて、かつアプタマー機能を有し、ヌクレオチド配列(a)から誘導されたものである。
【0009】
2.本願の一部の実施例において、前記核酸アプタマー分子は、ヌクレオチド配列(a)の前記Carrot構造ヌクレオチド配列と少なくとも72%、77%、83%、88%、94%又は100%同一性を有する配列である。
【0010】
3.本願の一部の実施例において、ヌクレオチド配列(c)は、ヌクレオチド配列(a)に規定されたCarrot構造ヌクレオチド配列においてN1、N14、N15、N16及びN23を含まない位置で、5個、4個、3個、2個又は1個のヌクレオチドが置換、欠損及び/又は挿入されて得られた核酸アプタマー分子である。
【0011】
4.本願の一部の実施例において、ヌクレオチド配列(c)は、ヌクレオチド配列(a)においてN1、N14、N15、N16及びN23を含まない位置で、4個、3個、2個又は1個のヌクレオチドが置換されて得られた核酸アプタマー分子である。
【0012】
5.本願の一部の実施例において、ヌクレオチド配列(a)におけるN1とN23が相補的塩基対を形成する場合、N1ヌクレオチド配列の方向は5’-3’であり、N23ヌクレオチド配列の方向は3’-5’であり、N14とN16が相補的塩基対を形成する場合、N14ヌクレオチド配列の方向は5’-3’であり、N16ヌクレオチド配列の方向は3’-5’である。
【0013】
6.本願の一部の実施例において、N1とN23における少なくとも1本の断片の長さが5個のヌクレオチド塩基と同等又はそれ以上である場合、N1とN23ヌクレオチド配列のうちの少なくとも2対の塩基が、相補的塩基対を形成し、N14とN16における少なくとも1本の断片の長さが5個のヌクレオチド塩基と同等又はそれ以上である場合、N14とN16ヌクレオチド配列のうちの少なくとも2対の塩基が、相補的塩基対を形成している。
【0014】
7.上記核酸アプタマー分子は、一般式Carrot構造へのヌクレオチド置換が、A4U、A4G、A4C、U5A、U5G、U5C、G7C、G7A、G7U、U8C、A10U、A10G、A10C、A11U、A11G、A11C、C12G、C12A、C12U、A13U、A13G、A13C、G17A、C19A、C19U、A20C、A4C/U5A、A4C/U5C、A4C/A11G、A4C/C12A、A4C/A13C、U5A/A11G、U5A/C12A、U5A/A13C、U5G/A13C、U5C/G7U、U5C/A11G、U5C/C12G、U5C/C12A、U5C/C12U、U5C/A13C、G7U/A13C、A11G/A13C、C12G/A13C、C12A/A13C、C12U/A13C、A4C/U5C/A13C、U5C/G7U/A13C、U5C/C12G/A13C、U5C/C12U/A13C、U5C/A11G/A13C、U5C/C12A/A13C、A4C/U5C/A11G/A13C、A4C/U5C/C12A/A13C、A4C/U5C/G7U/A11G/A13C、A4C/U5C/G7U/C12A/A13C、A4C/U5A/A11G/C12A/A13C、A4C/U5C/A11G/C12A/A13Cからなる群から選択される1種である。
【0015】
8.本願の一部の実施例において、一般式Carrot構造へのヌクレオチド置換が、A4C、U5A、U5G、U5C、G7U、A11G、C12G、C12A、C12U、A13C、A4C/U5A、A4C/U5C、A4C/A11G、A4C/C12A、A4C/A13C、U5A/A11G、U5A/C12A、U5A/A13C、U5G/A13C、U5C/G7U、U5C/A11G、U5C/C12G、U5C/C12A、U5C/C12U、U5C/A13C、G7U/A13C、A11G/A13C、C12G/A13C、C12A/A13C、C12U/A13C、A4C/U5C/A13C、U5C/G7U/A13C、U5C/C12G/A13C、U5C/C12U/A13C、U5C/A11G/A13C、U5C/C12A/A13C、A4C/U5C/A11G/A13C、A4C/U5C/C12A/A13Cからなる群から選択される1種である。
【0016】
9.本願の一部の実施例において、一般式Carrot構造へのヌクレオチド置換が、A4C、U5A、U5G、U5C、G7U、A11G、C12G、C12A、C12U、A13C、A4C/U5C、A4C/A13C、U5A/A13C、U5C/A11G、U5C/C12A、U5C/A13C、A11G/A13C、C12A/A13C、A4C/U5C/A13C、U5C/A11G/A13C、U5C/C12A/A13Cからなる群から選択される1種である。
【0017】
10.上記核酸アプタマー分子は、ヌクレオチド配列(a)におけるN1とN23箇所のヌクレオチド配列が、F30又はtRNA足場RNA配列である。
【0018】
11.本願の一部の実施例において、前記アプタマー分子は、RNA分子、又は塩基修飾のRNA分子である。
【0019】
12.本願の一部の実施例において、前記アプタマー分子は、DNA-RNAハイブリッド分子、又は塩基修飾のDNA-RNA分子である。
【0020】
13.上記核酸アプタマー分子は、N14-N15-N16が、標的分子を識別可能なヌクレオチド配列を1個含む。
【0021】
14.本願の一部の実施例において、標的分子は、タンパク質、核酸、脂質分子、炭水化物、ホルモン、サイトカイン、ケモカイン、代謝物、金属イオンを含むが、これらに限定されない。
【0022】
15.本願の一部の実施例において、前記核酸アプタマー分子におけるN14-N15-N16は、S-アデノシルメチオニン及びアデノシン分子を識別可能なヌクレオチド配列である。
【0023】
16.本願の一部の実施例において、前記アプタマー機能とは、核酸アプタマーが、フルオロフォア分子の適切な波長の励起光での蛍光強度を、少なくとも2倍、少なくとも5~10倍、少なくとも20~50倍、少なくとも100~200倍、又は少なくとも200倍以上向上できることである。
【0024】
17.本願の一部の実施例において、前記核酸アプタマー分子は、更に、複数個のフルオロフォア分子と結合できるコンカテマーを含み、前記コンカテマーは、適宜な長さのスペーサー配列によって連結され、個数は、2、3、4、5、6、7、8又はそれ以上であり得る。前記コンカテマーのヌクレオチドは、配列SEQ ID No:7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19及び20から選択できるが、これらに限定されない。
【0025】
18.上記核酸アプタマー分子は、配列SEQ ID No:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、24、25、26、27、28、29、30又は31を有する。
【0026】
19.核酸アプタマー分子とフルオロフォア分子との複合体であって、前記核酸アプタマー分子は、上記核酸アプタマー分子であり、前記フルオロフォア分子は、下記式(I)で示される構造を有する。
【0027】
【0028】
式中:Ar1、Ar2は独立して、6員アリール基、6員ヘテロアリール基であり、D-は、HO-又はN(X1)(X2)-であり、X1、X2はそれぞれ独立して、水素、アルキル基及び変性アルキル基から選択され、X1、X2は互いに結合して、N原子と共に脂肪族複素環を形成してもよく、D-がN(X1)(X2)-で、Ar1がフェニル基である場合、X1、X2は独立して、ベンゼン環と飽和又は不飽和のエステル複素環を形成し、D-がHO-で、Ar1がフェニル基である場合、HO-と隣接する少なくとも1個の水素原子がハロゲンで置換され、Yは、O、Sであり、R1は、水素、アルキル基及び変性アルキル基であり、R2は、水素原子、ハロゲン原子、-OH、-CNであり、
ただし、前記「アルキル基」はそれぞれ独立して、C1-C10直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、C1-C7直鎖又は分岐鎖のアルキル基であってもよく、C1-C5直鎖又は分岐鎖のアルキル基であってもよく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、s-ブチル基、n-ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、イソペンチル基、1-エチルプロピル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、イソヘキシル基、1,1-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、n-ヘプチル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、2,2-ジメチルペンチル基、3,3-ジメチルペンチル基、2,3-ジメチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基又は2,2,3-トリメチルブチル基から選択されてもよく、
20.本願の一部の実施例において、前記「変性アルキル基」はそれぞれ独立して、アルキル基の任意の炭素原子がハロゲン原子、-OH、-CO-、-O-、-CN、-SO3H、一級アミノ基、二級アミノ基、三級アミノ基から選択される一種又は複数種の基で代替された基であり、前記変性アルキル基は、1~10個の炭素原子を有し、ただし、炭素-炭素一重結合は独立して、炭素-炭素二重結合又は炭素-炭素三重結合で代替されてもよく、
前記炭素原子が代替されるとは、炭素原子が、あるいは炭素原子がその上の水素原子と共に、対応する基で代替されることであり、
前記「変性アルキレン基」は、C1-C10(好ましくは、C1-C6である)アルキレン基の任意の炭素原子が-O-、-OH、-CO-、-CS-、-(S=O)-から選択される基で代替された基であり、
好ましくは、前記「変性アルキル基」は、-OH、-O-、エチレングリコール単位(-(CH2CH2O)n-)、単糖単位、-O-CO-、-NH-CO-、-SO2-O-、-SO-、Me2N-、Et2N-、-S-S-、-CH=CH-、F、Cl、Br、I、シアノ基から選択される一種又は複数種の基を含み、
好ましくは、Ar1は、下式(II-1)~(II-15)から選択される構造であり、
【0029】
【0030】
Ar2は、下式(III-1)~(III-25)から選択される構造である。
【0031】
【0032】
式(I)で示される化合物は、下式化合物から選択される。
【0033】
【0034】
21.本願の一部の実施例において、複合体におけるアプタマー分子は、ヌクレオチド配列SEQ ID No:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、24、25、26、27、28、29、30又は31を含む。
22.インビトロ又はインビボの標的核酸分子の検出又は標識のための、前記複合体。
23.細胞外又は細胞内の標的分子の検出又は標識のための、前記複合体。
24.ゲノムDNAのイメージングのための、前記複合体。
25.RNAとのタンパク質との相互作用の検出のための、前記複合体。
26.上記核酸アプタマー分子を転写するDNA分子。
27.前記DNA分子を含む発現ベクター。
28.前記発現ベクターを含む宿主細胞。
29.前記核酸アプタマー分子及び/又は前記発現ベクター及び/又は前記宿主細胞及び/又は前記複合体を含むキット。
【0035】
30.a)標的分子を含む溶液に前記複合体を加える工程と、
b)適切な波長の光で複合体を励起する工程と、
c)複合体の蛍光を測定する工程と、
を含む標的分子の検出方法。
【0036】
31.前記複合体によってゲノムDNAをイメージングすることを含む、ゲノムDNAの検出方法。
32.前記複合体によってRNAを精製と純化することを含む、RNAの精製と純化方法。
【0037】
本発明者は、真新しい核酸アプタマー分子をデザインし、真新しいフルオロフォア分子を合成し、真新しいフルオロフォア-核酸アプタマー複合体を構成して、アプタマー分子がフルオロフォア分子と結合後にフルオロフォア分子の適切な波長の励起光での蛍光強度を向上でき、これまでのフルオロフォア-核酸アプタマー複合体の欠点を解消し、生細胞におけるRNA/DNAのリアルタイム標識に効果的に使用できる。本発明の核酸アプタマーは、フルオロフォア分子に対して比較的強い親和力を有し、異なる蛍光スペクトルを示す。これらの核酸アプタマー-フルオロフォア分子複合体は、原核細胞及び真核細胞におけるRNA/DNAをリアルタイムで標識・イメージングし、RNA-タンパク質の相互作用を検出し、あるいはRNAの精製と純化のタグなどの役割に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】Carrot核酸アプタマー分子の一般的構造の二次構造予測である。
【
図2】Carrot-1及びCarrot-2核酸アプタマー分子の二次構造予測である。
【
図3】F30-Carrot-2の二次構造予測である。
【
図4】tRNA-Carrot-2の二次構造予測である。
【
図5】Carrot-IV-39複合体の特性同定である。(a)は、Carrot-1-IV-39複合体の蛍光励起スペクトル及び発光スペクトルである。(b)は、Carrot-1とIV-39とが結合した場合の解離定数の測定である。(c)は、Carrot-1-IV-39複合体のMg
2+に対する依存性の測定である。
【
図6】異なる塩基修飾のCarrotのIV-39に対する活性化効果である。(a)は、異なる塩基修飾のCarrotの模式図であり、Carrot-3の場合、構造模式図における濃い色の塩基は、デオキシリボースヌクレオチド塩基であり、Carrot-4の場合、構造模式図における濃い色の塩基は、2’-Fで修飾された塩基である。(b)は、Carrot-3及びCarrot-4のIV-39フルオロフォア分子に対する蛍光の活性化効果であり、「コントロール」は、緩衝液でCarrot-3又はCarrot-4アプタマーRNAを代替した。
【
図7】異なるCarrotコンカテマーのIV-39に対する活性化効果である。(a)は、直列連結形態1の模式図であり、(b)は、直列連結形態2の模式図であり、(c)は、直列連結形態3の模式図であり、(d)は、直列連結形態1のCarrotコンカテマーのIV-39フルオロフォア分子に対する蛍光の活性化効果であり、(e)は、直列連結形態2のCarrotコンカテマーのIV-39フルオロフォア分子に対する蛍光の活性化効果であり、(f)は、直列連結形態3のCarrotコンカテマーのIV-39フルオロフォア分子に対する蛍光の活性化効果である。
【
図8】F30-Carrot-2-IV-4複合体を細菌中のRNAの標識に用いた効果である。
【
図9】F30-Carrot-2-IV-4複合体を酵母細胞におけるRNAの標識に用いた効果である。
【
図10】CarrotとIV-39及びその類似体を哺乳類細胞におけるRNAの標識に用いた効果である。(a)は、tRNA-Carrot-2-IV-39複合体を哺乳類細胞におけるRNAの標識に用いた効果であり、(b)は、tRNA-Carrot-2-IV-39複合体を哺乳類細胞におけるRNAの標識に用いた統計結果であり、(c)は、F30-4Carrot-2とIV-39類似体を哺乳類細胞中でRNAの標識に用いた効果である。
【
図11】Carrot-1によるプローブの構築である。(a)は、プローブの構築模式図であり、(b)は、プローブの標的非存在下でのIV-39フルオロフォア分子に対する蛍光の活性化効果である。
【
図12】Carrotによる細胞におけるRNA位置のトレースである。(a)は、4Carrot-2を細胞中のGAPDH mRNAの位置の特定に用いた場合であり、(b)は、4Carrot-2を細胞中のACTB mRNAの位置の特定に用いた場合である。
【
図13】CarrotをゲノムDNAの検出に用いたイメージング結果である。(a)は、異なる嵌合sgRNAの模式図である。(b)は、異なる嵌合sgRNAの生細胞中遺伝子部位に対するイメージング結果である。
【
図14】CarrotをRNA-タンパク質相互作用の検出に用いた結果である。
【
図15】CarrotをRNAの精製と純化に用いた結果である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
ここで下記の定義及び実施例の引用によって本発明について詳しく説明する。本明細書で言及されたすべての特許及び公開文献の記載は、これらの特許及び公開文献で開示されたすべての配列も含めて、明確に引用によって本明細書に取り込む。後文では、「ヌクレオチド」と「ヌクレオチド塩基」とを交換的に使用し、同じ意味を表す。
【0040】
核酸アプタマー分子
本発明にかかる「核酸アプタマー分子」は、「アプタマー分子」とも称される。該核酸アプタマー分子は、(a)N
1AGAUUGUAAACAN
14-N
15-N
16GACACUN
23(
図1の一般式Carrot構造に対応)であるヌクレオチド配列、又は、(b)前記ヌクレオチド配列(a)と少なくとも70%の同一性を有する配列であって、ただし、N
1とN
23ヌクレオチド配列のうちの少なくとも一対の塩基は逆方向の相補的塩基対を形成し、すなわち、N
1ヌクレオチド配列の方向は5’-3’であり、N
23ヌクレオチド配列の方向は3’-5’であるヌクレオチド配列を含む。N
1とN
23のうちの少なくとも1本のヌクレオチド塩基の長さが4以下である場合、少なくとも一対の塩基が相補的塩基対を形成する必要があり、N
1とN
23のうちの少なくとも1本のヌクレオチド塩基の長さが5以上である場合、少なくとも二対の塩基が相補的塩基対を形成する必要がある。ただし、N
14とN
16ヌクレオチド配列のうちの少なくとも一対の塩基は逆方向の相補的塩基対を形成し、すなわち、N
14ヌクレオチド配列の方向は5’-3’であり、N
16ヌクレオチド配列の方向は3’-5’である。N
14とN
16のうちの少なくとも1本のヌクレオチド塩基の長さが4以下である場合、少なくとも一対の塩基が相補的塩基対を形成する必要があり、N
14とN
16のうちの少なくとも1本のヌクレオチド塩基の長さが5以上である場合、少なくとも二対の塩基が相補的塩基対を形成する必要がある。ただし、N
15は、任意の長さで任意に構成されたヌクレオチド塩基である。或いは、(c)前記のヌクレオチド配列(a)のいずれかの位置で1~5個のヌクレオチドが置換、欠損及び/又は挿入されたヌクレオチド配列を含む。
【0041】
核酸アプタマー分子は、一般式Carrot構造へのヌクレオチドの置換を含み、該置換は、A4U、A4G、A4C、U5A、U5G、U5C、G7C、G7A、G7U、U8C、A10U、A10G、A10C、A11U、A11G、A11C、C12G、C12A、C12U、A13U、A13G、A13C、G17A、C19A、C19U、A20C、A4C/U5A、A4C/U5C、A4C/A11G、A4C/C12A、A4C/A13C、U5A/A11G、U5A/C12A、U5A/A13C、U5G/A13C、U5C/G7U、U5C/A11G、U5C/C12G、U5C/C12A、U5C/C12U、U5C/A13C、G7U/A13C、A11G/A13C、C12G/A13C、C12A/A13C、C12U/A13C、A4C/U5C/A13C、U5C/G7U/A13C、U5C/C12G/A13C、U5C/C12U/A13C、U5C/A11G/A13C、U5C/C12A/A13C、A4C/U5C/A11G/A13C、A4C/U5C/C12A/A13C、A4C/U5C/G7U/A11G/A13C、A4C/U5C/G7U/C12A/A13C、A4C/U5A/A11G/C12A/A13C、A4C/U5C/A11G/C12A/A13C(すなわち、表1におけるアプタマー分子構造)からなる群から選択される1種である。これらの変異体は、フルオロフォア分子と特異的に結合でき、かつ結合後にフルオロフォア分子の適切な波長の励起光での蛍光強度を著しく向上できる。そのうち、ヌクレオチドの位置配列は、
図1中の位置に対応する。
【0042】
上記変異は、一般式Carrot構造のアプタマーヌクレオチド配列の対応部位でヌクレオチドの代替が生じたことを表し、例えば、A4Uは、Carrotの4番目のアデニンヌクレオチドAがウラシルヌクレオチドUで置換されたもの、すなわち、表1におけるCarrot(A4U)を表す。U5C/A13Cは、Carrotの5番目のUがCで置換されたと同時に、13番目のAがCで置換されたもの、すなわち、表1におけるCarrot(U5C/A13C)を表す。
【0043】
【0044】
アプタマー分子は、一本鎖核酸分子であり、1個又は複数個の塩基対形成領域(茎)と、1個又は複数個の塩基対非形成領域(環)とで構成された二次構造を有する(
図1)。本発明にかかる核酸アプタマー分子は、
図1で予測されたような二次構造を1個含む。前記構造の5’末端又は3’末端は、任意の標的RNA分子と結合して、細胞外又は細胞内の標的RNA分子の検出に使用することができる。本発明の一好適な実施形態において、核酸アプタマー分子の5’末端がACTB RNA配列(Genebank:BC016045)と結合する。本発明の別の好適な実施形態において、核酸アプタマー分子の5’末端がGAPDH RNA配列(Genebank:BC009081)と結合する。
【0045】
図1における茎-環構造(N
14-N
15-N
16)は、核酸アプタマー分子の全体の構造を安定化する役割を果たし、他の茎-環構造を形成できる任意の長さで任意の構成のヌクレオチド配列で代替されることができる。本発明にかかるアプタマー分子は、更に、N
14-N
15-N
16位置に挿入された他のヌクレオチド配列を含むことができ、この挿入されたヌクレオチド配列は、
図1における茎-環構造(N
14-N
15-N
16)を代替する。前記ヌクレオチド配列は、標的分子を特異的に識別/結合することができる。標的分子の非存在時に、前記アプタマー分子はフルオロフォア分子との結合能が弱いため、フルオロフォア分子が弱い蛍光を示すが、標的分子の存在時に、標的分子と前記アプタマーとの結合は、前記アプタマーとフルオロフォア分子との結合を促進し、フルオロフォア分子の適切な波長の励起光での蛍光強度を著しく向上させる。前記標的分子は、小分子、細胞表面のシグナル分子などであり得る。これらの核酸アプタマーは特定の標的分子と非共役で結合し、このような非共役結合は主に、分子間のイオン力、双極子力、水素結合力、ファンデルワールス力、電子と陽電子の相互作用、スタッキング効果、又は上述の複数種の作用力の組み合わせによる。前記茎-環構造(N
14-N
15-N
16)は、標的分子を識別するRNA配列で代替されて、細胞外又は細胞内の標的分子の検出に使用することができる。
【0046】
本発明の好適な実施形態において、前記核酸アプタマー分子は好ましくは、SEQ ID NO:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、24、25、26、27、28、29、30又は31、或いは、それらのフルオロフォア分子と結合してフルオロフォア分子の適切な波長の励起光での蛍光を著しく向上できる変異配列である。
【0047】
本発明にかかる核酸アプタマー分子は、更に、一部にその安定性を向上させるヌクレオチド配列を含むことができる。本発明の一好適な実施形態において、F30足場RNA(配列3)を使用し、前記核酸アプタマー分子との結合形態は
図3で示されたとおりである。本発明の別の好適な実施形態において、tRNA足場RNA(配列4)を使用し、前記核酸アプタマー分子との結合形態は
図4で示されたとおりである。
【0048】
同一性
「同一性」は、本発明において2個のヌクレオチド配列の間の関連性を説明するために用いられる。本発明の2個のアプタマーヌクレオチド配列の同一性計算では、(a)配列におけるN1、N14、N15、N16、N23を含まない。本発明にとって、2個のヌクレオチド配列の間の同一性の度合いは、例えば、EMBOSSソフトウェア包(EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite,Riceら,2000,Trends in Genetics 16:276-277)のNeedleプログラム用いて、好ましくは、3.0.0バージョン又はそれ以上のバージョンでNeedleman-Wunschアルゴリズム(NeedlemanとWunsch,1970,J.Mol.Biol.48:443-453)を実行して特定する。用いられるオプションのパラメータは、ギャップペナルティ(gap penalty)が10、ギャップ伸長ペナルティ(gap extension penalty)が0.5、及びEBLOSUM62置換行列(BLOSUM62のEMBOSS版)である。Needleで「最長同一性(longest identity)」(-nobriefオプションを用いて得られる)と標識される出力結果を用いて、下記のようにパ-センテージの同一性を算出した。
【0049】
(同じ残基×100)/(比較長さ-比較における欠損の合計数)。
【0050】
本発明の表1に示すように、Carrot-1及びCarrot-1(U5C)の配列は、N1AGAUUGUAAACAN14-N15-N16GACACUN23及びN1AGACUGUAAACAN14-N15-N16GACACUN23であり、それらの同一性を比較する場合、本発明の定義に従って、N1、N14-N15-N16及びN23のヌクレオチド塩基を含まないべきであるため、それらの配列の同一性比較の結果は、94.4%である(1個のヌクレオチドが違う)。
【0051】
フルオロフォア分子
本発明にかかる「フルオロフォア分子」は、「フルオロフォア」又は「蛍光分子」とも称される。「フルオロフォア分子」は、本発明において一種の条件に応じて活性化されるフルオロフォア分子である。それらは核酸アプタマーがない場合、比較的低い量子収率を示す。具体的な実施形態において、特定のアプタマーと結合していない場合、フルオロフォアの量子収率が0.1未満であり、更に好ましくは0.01未満であり、最も好ましくは0.001未満である。フルオロフォアが特定のアプタマーで結合された後、フルオロフォアの量子収率が2倍以上向上し、更に好ましくは10倍以上向上し、最も好ましくは100倍以上向上する。フルオロフォア分子は、水溶性で、細胞に無毒で細胞膜を透過しやすいものが好ましい。本発明のフルオロフォアは、能動輸送又は受動拡散によって細胞膜又は細胞壁を介して細胞質又はペリプラズムに入ることができるものが好ましい。本発明の実施形態において、フルオロフォアは、グラム陰性菌の外膜及び内膜、植物細胞の細胞壁及び細胞膜、真菌の細胞壁及び細胞膜、動物細胞の細胞膜、並びに生体動物のGI及び内皮細胞膜を透過する。
【0052】
本発明にかかる核酸アプタマー分子は、一種のフルオロフォアと特異的に結合して、その特定の波長で励起された場合の蛍光値を著しく向上させることができる。前記フルオロフォア分子は、構造(I)から選択される。
【0053】
【0054】
(Ι)式中:Ar1、Ar2は独立して、6員アリール基、6員ヘテロアリール基であり、D-は、HO-又はN(X1)(X2)-であり、X1、X2はそれぞれ独立して、水素、アルキル基及び変性アルキル基から選択され、X1、X2は互いに結合して、N原子と共に脂肪族複素環を形成してもよく、D-がN(X1)(X2)-で、Ar1がフェニル基である場合、X1、X2は独立して、ベンゼン環と飽和又は不飽和のエステル複素環を形成し、D-がHO-で、Ar1がフェニル基である場合、HOと隣接する少なくとも1個の水素原子がハロゲンで置換され、Yは、O、Sであり、R1は、水素、アルキル基及び変性アルキル基であり、R2は、水素原子、ハロゲン原子、-OH、-CNであり、
式中:前記「アルキル基」はそれぞれ独立して、C1-C10直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、C1-C7直鎖又は分岐鎖のアルキル基であってもよく、C1-C5直鎖又は分岐鎖のアルキル基であってもよく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、s-ブチル基、n-ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、イソペンチル基、1-エチルプロピル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、イソヘキシル基、1,1-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、n-ヘプチル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、2,2-ジメチルペンチル基、3,3-ジメチルペンチル基、2,3-ジメチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基又は2,2,3-トリメチルブチル基から選択されてもよく、
式中:前記「変性アルキル基」はそれぞれ独立して、アルキル基の任意の炭素原子がハロゲン原子、-OH、-CO-、-O-、-CN、-SO3H、一級アミノ基、二級アミノ基、三級アミノ基から選択される一種又は複数種の基で代替された基であり、前記変性アルキル基は、1~10個の炭素原子を有し、ただし、炭素-炭素一重結合は独立して、炭素-炭素二重結合又は炭素-炭素三重結合で代替されてもよく、
式中:前記炭素原子が代替されるとは、炭素原子が、あるいは炭素原子がその上の水素原子と共に、対応する基で代替されることであり、前記「変性アルキレン基」は、C1-C10(好ましくは、C1-C6である)アルキレン基の任意の炭素原子が-O-、-OH、-CO-、-CS-、-(S=O)-から選択される基で代替された基であり、
好ましくは、前記「変性アルキル基」は、-OH、-O-、エチレングリコール単位(-(CH2CH2O)n-)、単糖単位、-O-CO-、-NH-CO-、-SO2-O-、-SO-、Me2N-、Et2N-、-S-S-、-CH=CH-、F、Cl、Br、I、シアノ基から選択される一種又は複数種の基を含み、
好ましくは、Ar1は、下式(II-1)~(II-15)から選択される構造であり、
【0055】
【0056】
Ar2は、下式(III-1)~(III-25)から選択される構造である。
【0057】
【0058】
好ましくは、式(I)で示される化合物は、下式化合物から選択される。
【0059】
【0060】
本発明の好適な実施形態において、前記フルオロフォア分子は、IV-1、IV-2、IV-3、IV-4、IV-5、IV-6、IV-7、IV-8、IV-9、IV-10、IV-11、IV-12、IV-13、IV-14、IV-15、IV-16、IV-17、IV-18、IV-19、IV-20、IV-21、IV-22、IV-23、IV-24、IV-25、IV-26、IV-27、IV-28、IV-29、IV-30、IV-31、IV-32、IV-33、IV-34、IV-35、IV-36、IV-37、IV-38、IV-39、IV-40を含む。本発明において「蛍光シグナルの向上」、「蛍光の増加」、「蛍光強度の向上」、「蛍光強度の増加」とは、適切な波長の励起光で照射された場合のフルオロフォアの量子収率の向上、又は蛍光シグナルの最大発光ピークのシフト(エタノール又は水溶液でのフルオロフォア自体の発光ピークに対して)、又はモル吸光係数の増加、又はこれらの2種以上である。本発明の一好適な実施形態において、量子収率の増加は少なくとも2倍であり、本発明の別の好適な実施形態において、量子収率の増加は少なくとも5~10倍であり、本発明の別のより好適な実施形態において、量子収率の増加は少なくとも20~50倍であり、本発明の別のより好適な実施形態において、量子収率の増加は少なくとも100~200倍であり、本発明の別のより好適な実施形態において、量子収率の増加は少なくとも200倍以上である。フルオロフォアを励起して蛍光シグナルを生じさせる光源は、任意の適切な光照射装置であればよく、例えば、LEDライト、白熱灯、蛍光灯、レーザーを含み、励起光は、これらの装置から直接発光されたものでもよいし、他のフルオロフォア、例えば、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)のドナーフルオロフォア、又は発光共鳴エネルギー移動(BRET)のドナー発光団を介して間接的に得られるものでもよい。
【0061】
標的分子
本発明にかかる標的分子は、任意の生体材料又は小分子であってもよく、タンパク質、核酸(RNA又はDNA)、脂質分子、炭水化物、ホルモン、サイトカイン、ケモカイン、代謝物、金属イオンなどを含むが、これらに限定されない。標的分子は、疾患又は病原菌感染に関わる分子であってもよい。
【0062】
本発明にかかるアプタマー分子、例えば、
図1で示される構造において、挿入されたヌクレオチド配列が
図1におけるN
14-N
15-N
16の茎-環構造を代替したことによって、該ヌクレオチド配列は、標的分子を特異的に識別/結合することができる。標的分子の非存在時に、アプタマー分子はフルオロフォア分子と結合しないか、あるいは結合能が弱く、フルオロフォア分子の適切な波長の励起光での蛍光を著しく向上させることができないが、標的分子の存在時に、標的分子と前記ヌクレオチド配列との結合は、アプタマー分子とフルオロフォア分子との結合を促進し、フルオロフォア分子の適切な波長の励起光での蛍光を著しく向上させ、標的分子に対する検出、イメージング及び定量分析を実現する。
【0063】
標的分子はまた、細胞全体又は細胞表面全体で発現されている分子であってもよい。典型的な細胞は、ガン細胞、細菌細胞、真菌細胞、及び正常な動物細胞を含むが、これらに限定されない。標的分子は、ウイルス粒子であってもよい。現在、多くの上記標的分子のアプタマーが同定され、それらを本発明の複数種の核酸アプタマーにインテグレートすることが可能となった。現在、報道されている標的分子と結合できるRNAアプタマーは、T4RNAポリメラーゼアプタマー、HIV逆転写酵素アプタマー、ファージR17キャプシドタンパク質アプタマーを含むが、これらに限定されない。
【0064】
標的核酸分子
「標的核酸分子」とは、「ターゲット核酸分子」とも称され、検出される核酸分子のことであり、細胞内のものであってもよく、細胞外のものであってもよく、標的RNA分子及び標的DNA分子を含む。本発明は、標的核酸分子と前記核酸アプタマー分子とを連結することで、フルオロフォア分子と核酸アプタマー分子とを結合させることによって、フルオロフォア分子の適切な波長の励起光での蛍光値を著しく向上させ、更に、標的核酸分子の含有量と分布を測定するという目的を達成する。
【0065】
「標的RNA分子」は、本発明において、任意のRNA分子を含み、pre-mRNA、細胞自体又は外源発現生成物をコードするmRNA、pre-rRNA、rRNA、tRNA、hnRNA、snRNA、miRNA、siRNA、shRNA、sgRNA、crRNA、lncRNA、ファージキャプシドタンパク質MCP識別結合配列MS2RNA、ファージキャプシドタンパク質PCP識別結合配列PP7RNA、λファージ転写終結タンパク質N識別結合配列boxB RNAなどを含むが、これらに限定されない。標的RNAは、本発明RNAアプタマー分子の5’末端又は3’末端又はN14-N15-N16の位置に融合することができる。
【0066】
「sgRNA」とは、本発明において、CRISPR/Cas9システムにてtracrRNA及びcrRNAを改造した後に形成されたシングルガイドRNA(single guide RNA、sgRNA)であり、その5’末端の20nt程度の配列が塩基の相補的塩基対形成によってDNA部位をターゲットし、Cas9タンパク質の当該部位でのDNA二重鎖の破断誘発を促進する。
【0067】
核酸アプタマーのコンカテマー
本発明にかかる核酸アプタマー分子は、更に、複数個のフルオロフォア分子を連結可能なコンカテマーをも含むことができる。前記コンカテマーは、適宜な長さのスペーサー配列によって連結され、直列連結されたCarrot構造の個数は、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上であってもよい。コンカテマーは様々の形態があり得、本発明の好適な一実施形態において、直列連結の形態は、「直列連結1」であり、
図7aで示されるように、好ましいヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:7、8、9、10又は11であり、そのうちの2Carrot-2は、Carrot-2構造を2個有するコンカテマー1を表す。本発明の別の好適な実施形態において、直列連結の形態は、「直列連結2」であり、
図7bで示されるように、好ましいヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:12、13、14、15又は16であり、そのうちの2×Carrot-2は、Carrot-2構造を2個有するコンカテマー2を表す。本発明の別の好適な実施形態において、直列連結の形態は、「直列連結3」であり、
図7cで示されるように、好ましいヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:17、18、19又は20であり、そのうちの2×2Carrot-2は、Carrot-2構造を4個有するコンカテマー3を表す。いずれの形態においても、コンカテマーの間のスペーサー配列は取替可能である。
【0068】
本発明にかかる単量体形態のアプタマーとは、Carrot構造を1個のみ含有するアプタマーであり、すなわち、
図1で示されるアプタマーを1個のみ含有する。
【0069】
多量体形態のアプタマーとは、Carrot構造のアプタマーを1個以上含有し、
図7で示される直列連結形態で構成されたアプタマーを含むが、これに限定されない。
【0070】
アプタマー-フルオロフォア複合体
本発明のアプタマー-フルオロフォア複合体は、1個の核酸アプタマー分子と1個又は複数個のフルオロフォア分子とを含む。本発明の具体的な一実施形態において、1個の核酸分子と1個のフルオロフォア分子とを含む分子複合体は、Carrot-1-IV-1、Carrot-1-IV-2、Carrot-1-IV-3、Carrot-1-IV-4、Carrot-1-IV-5、Carrot-1-IV-6、Carrot-1-IV-7、Carrot-1-IV-8、Carrot-1-IV-9、Carrot-1-IV-10、Carrot-1-IV-11、Carrot-1-IV-12、Carrot-1-IV-13、Carrot-1-IV-14、Carrot-1-IV-15、Carrot-1-IV-16、Carrot-1-IV-17、Carrot-1-IV-18、Carrot-1-IV-19、Carrot-1-IV-20、Carrot-1-IV-21、Carrot-1-IV-22、Carrot-1-IV-23、Carrot-1-IV-24、Carrot-1-IV-25、Carrot-1-IV-26、Carrot-1-IV-27、Carrot-1-IV-28、Carrot-1-IV-29、Carrot-1-IV-30、Carrot-1-IV-31、Carrot-1-IV-32、Carrot-1-IV-33、Carrot-1-IV-34、Carrot-1-IV-35、Carrot-1-IV-36、Carrot-1-IV-37、Carrot-1-IV-38、Carrot-1-IV-39、Carrot-1-IV-40である。
【0071】
本発明の別の具体的な実施形態において、コンカテマーの核酸分子と複数個のフルオロフォア分子とが複合体を形成し、例えば、「直列連結1」の形態で形成されたアプタマー単位を4個含むF30-4Carrot-2と4個のフルオロフォア分子とが形成された複合体F30-4Carrot-2-4×(IV-1)、F30-4Carrot-2-4×(IV-2)、F30-4Carrot-2-4×(IV-3)、F30-4Carrot-2-4×(IV-4)、F30-4Carrot-2-4×(IV-5)、F30-4Carrot-2-4×(IV-6)、F30-4Carrot-2-4×(IV-37)、F30-4Carrot-2-4×(IV-17)、F30-4Carrot-2-4×(IV-18)、F30-4Carrot-2-4×(IV-19)、F30-4Carrot-2-4×(IV-20)、F30-4Carrot-2-4×(IV-21)、及びF30-4Carrot-2-4×(IV-22)である。前記分子複合体は、インビトロで独立した2種類の溶液として存在し、又は同一の溶液中で存在してもよく、細胞内に存在してもよい。
【0072】
核酸アプタマー機能
本発明のアプタマー機能とは、フルオロフォア分子の適切な波長の励起光での蛍光強度を著しく向上できることであり、具体的な実施例に記載の慣用の実験方法(五)核酸アプタマーの機能検出を用いてアプタマーを測定することができる。本発明の一好適な一実施形態において、蛍光強度の増加が少なくとも2倍であり(蛍光強度は実験方法(五)に従って検出)、本発明の別の好適な実施形態において、蛍光強度の増加が少なくとも5~10倍であり、本発明の別のより好適な実施形態において、蛍光強度の増加が少なくとも20~50倍であり、本発明の別のより好適な実施形態において、蛍光強度の増加が少なくとも100~200倍であり、本発明の別のより好適な実施形態において、蛍光強度の増加が少なくとも200倍以上である。
【0073】
核酸アプタマー二次構造
本発明における核酸アプタマーの二次構造は、mFoldオンライン分析ソフトウェアによってシミュレーション予測して得られたものである(http://unafold.rna.albany.edu/?q=mfold)。二次構造における茎構造とは、核酸アプタマー分子一本鎖内の一部の領域で水素結合力により相補的塩基対をなして形成された局部の二重鎖構造である。一般的には、二重鎖構造の形成は、この部分の領域内のすべてのヌクレオチドが相補的塩基対を形成する必要がない。一般的には、N
1とN
23、及びN
14とN
16のうちの一部の配列の少なくとも50%のヌクレオチドと別の断片とが相補的塩基対をなせば、茎構造を形成できる。N
1とN
23が単個(単一)のヌクレオチドである場合、N
1とN
23が完全な相補性でなければ、茎構造を形成することができない(
図1で示されるように)。
【0074】
核酸アプタマーを発現するDNA分子
前記DNA分子は、本発明の核酸アプタマー分子をコードできるDNA配列を含む。前記DNA分子は、ヌクレオチド配列R1AGATTGTAAACAR14-R15-R16GACACTR23、及びそれと少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。そのうち、R1が一般式Carrot構造におけるN1をコードし、R14が一般式Carrot構造におけるN14をコードし、R15が一般式Carrot構造におけるN15をコードし、R16が一般式Carrot構造におけるN16をコードし、R23が一般式Carrot構造におけるN23をコードする。前記DNA分子は、更に、DNA転写を制御するプロモーターを1個含んでもよく、プロモーターと核酸アプタマーをコードするDNA配列との間は、操作可能に連結される。本発明の一具体的な実施形態において、DNA分子はU6プロモーターを含み、本発明の別の具体的な実施形態において、DNA分子はCMVプロモーターを含む。DNA分子は前記DNA分子を含むほか、更に、任意の標的核酸分子をコードするDNA配列をも含むことができる。本発明の一具体的な実施形態において、標的RNAをコードするDNA分子は、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)又はβ-アクチン(β-actin)をコードするDNA配列を含む(キメラRNAの配列はそれぞれSEQ ID No:26、27である)。
【0075】
プロモーター
「プロモーター」は、本発明において、真核細胞と原核細胞のプロモーターを含む。真核細胞のプロモーター配列は、原核細胞のプロモーター配列とは全く異なる。一般には、真核プロモーターは、原核細胞におけるRNAポリメラーゼに識別されてRNAの転写を媒介することができない。同様の理由により、原核プロモーターも、真核細胞におけるRNAポリメラーゼに識別されてRNAの転写を媒介することができない。異なるプロモーターは強度の差が大きい(強度とは、転写を媒介する能力のことである)。実際の応用によって、強いプロモーターを用いて高レベルの転写を実現することができる。例えば、標識に用いる場合、高レベルの発現のほうが好ましいが、転写挙動を評価する場合、比較的低いレベルの転写では、細胞の適時な転写過程の調整を許容できる。宿主細胞によって、一種又は複数種の適切なプロモーターを選択して使用できる。例えば、大腸菌細胞に用いる場合、T7ファージプロモーター、lacプロモーター、trpプロモーター、recAプロモーター、リボソームRNAプロモーター、λファージにおけるPRとPLプロモーター、及びその他プロモーターがあるが、lacUV5プロモーター、ompFプロモーター、blaプロモーター、lppプロモーターなどに限られない。また、1個のハイブリッドのtrp-lacUV5プロモーター(tacプロモーター)、又は他のDNAの組換え又は合成技術によって得られた大腸菌プロモーターはいずれも、本発明にかかるRNAアプタマーの転写に使用できる。細菌はそれ自体の一部のオペレーター配列がプロモーター配列と結合して共に誘導性プロモーターを構成でき、この場合、特定のインデューサーを加えなければ、DNA分子の転写を誘導できない。例えば、lacオペレーターは、ラクトース又はラクトース類似体(IPTG)を加えてその発現を誘導する必要があり、他のオペレーターは、trp、proなどがある。
【0076】
上述のように、DNA分子をコードする配列の5’末端の調節配列はプロモーターである。インビトロの転写でRNAアプタマーを得るにも、培養する細胞又は組織でアプタマーを発現するにも、プロモーターの強度に応じて適切なプロモーターを選択する必要がある。インビボで発現するアプタマーは遺伝子操作が可能なため、別のタイプのプロモーターは、特定の環境に応じてDNA転写を誘導する誘導性プロモーターであり、例えば、特定の組織、特定の時間、特定の発達段階などで発現するものである。これらの異なるプロモーターは、RNAポリメラーゼI、II又はIIIによって識別することができる。
【0077】
真核細胞において転写の開始にも適切なプロモーターが必要であり、β-グロブリンプロモーター、CAGプロモーター、GAPDHプロモーター、β-アクチンプロモーター、アクチンプロモーター、Cstf2tプロモーター、SV40プロモーター、PGKプロモーター、MMTVプロモーター、アデノウイルスElaプロモーター、CMVプロモーターなどを含むが、これらに限定されない。真核細胞において転写の終了は、RNA配列における特定の切断部位に依存する。同様に、RNAポリメラーゼが転写する遺伝子によって、その転写ターミネーターの差も大きい。しかし、適切な3’転写ターミネーター領域のスクリーニングは、当業者が基礎的な実験技術によれば実現できる。
【0078】
発現系
本発明の「発現系」は、「発現ベクター」とも称され、核酸アプタマーを発現するDNA分子をインテグレート・含有する。本発明の発現系は、プラスミドであってもよく、ウイルス粒子であってもよい。
【0079】
「発現ベクター」組換えウイルスは、ウイルスを感染した細胞にプラスミドをトランスフェクションすることによって得ることができる。適切なベクターは、ウイルスベクター、例えば、λベクター系gt11、gt WES.tB、Charon 4を含むが、これらに限定されない。プラスミドベクターは、pBR322、pBR325、pACYC177、pACYC184、pUC8、pUC9、pUC18、pUC19、pLG399、pR290、pKC37、pKC101、pBluescript II SK+/-又はKS+/-(Stratageneクローンシステムを参照)、pET28シリーズ、pACYCDuet1、pCDFDuet1、pRSETシリーズ、pBADシリーズ、pQE、pIH821,pGEX、pIIIEx426RPRなどを含む。
【0080】
多くの宿主発現系は、本発明にかかるDNA分子の発現に使用できる。主に、ベクター系は、用いられる宿主細胞と相溶性でなければならず、宿主・ベクター系は、転換されたファージDNA、又はプラスミドDNA、又はコスミドDNAの細菌、酵母ベクターを含む酵母、ウイルス(例えば、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、逆転写ウイルス)を感染した哺乳類細胞、プラスミドをトランスフェクションした哺乳類細胞、ウイルスを感染した昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス)、細菌を感染した又は粒子砲撃によって転換された植物細胞を含むが、これらに限定されない。前記ベクターにおける転写要素の強度及び特性の差が大きい。用いられる宿主-ベクター系に応じて、任意の一種又は複数種の適切な転写要素を選択して使用する。
【0081】
構築されたDNA分子がベクター系にクローンされたら、それらを容易に宿主細胞に移すことができる。ベクター又は宿主細胞システムによって、方法は、転換、形質導入、結合、固定、エレクトロポレーションなどを含むが、これらに限定されない。
【0082】
本発明の具体的な一実施形態では、F30-Carrot-2 RNAをコードするDNA分子を含む発現プラスミドpET28a-T7-F30-Carrot-2及びpYES2.1-F30-Carrot-2を提供する。本発明の別の具体的な実施形態では、tRNA-Carrot-2 RNAをコードするDNA分子を含む発現プラスミドpU6-tRNA-Carrot-2を提供する。本発明の別の具体的な実施形態では、F30-4Carrot-2 RNAをコードするDNA分子を含む発現プラスミドpU6-F30-4Carrot-2を提供する。本発明の別の具体的な実施形態では、GAPDH-4Carrot-2及びACTB-4Carrot-2をコードするDNA分子を含む、発現プラスミドpCDNA3.1 hygro(+)-GAPDH-4Carrot-2及びpCDNA3.1 hygro(+)-ACTB-4Carrot-2を提供する。本発明の別の具体的な実施形態では、sgRNA-Carrot-2-1、sgRNA-Carrot-2-2及びsgRNA-Carrot-2-3をコードするDNA分子を含む発現プラスミドpsgRNA-Carrot-2-1、psgRNA-Carrot-2-2及びpsgRNA-Carrot-2-3を提供する。本発明の別の具体的な実施形態では、Carrot-1-MS2をコードするDNA分子を含む発現プラスミドpU6-Carrot-1-MS2を提供する。
【0083】
本発明は、核酸アプタマーをコードするDNA分子をインテグレートしたが、標的RNA分子コーディングDNA配列の欠如した発現ベクターをも提供する。標的RNA分子コーディングDNA配列の欠如により、ユーザーは自分で検出したい標的RNA分子のDNA配列、例えば、GAPDH mRNAに対応するコーディングDNA配列を選択して、標準の組換えDNA技術でDNA配列を本発明のこのような発現ベクターに挿入し、得られる発現ベクターを宿主細胞に導入(トランスフェクション、転換、感染など)して、標的RNAの含有量及び分布を検出することができる。
【0084】
宿主細胞
「宿主細胞」は、本発明において、細菌、酵母、哺乳類細胞、昆虫細胞、植物細胞、ゼブラフィッシュ細胞、ショウジョウバエ細胞、線虫細胞を含むが、これらに限定されない。宿主細胞はより好ましくは、培養されたインビトロ細胞又は全体のインビボ活体組織である。本発明における宿主細胞は、含まれる哺乳類細胞が、297T、COS-7、BHK、CHO、HEK293、HeLa、H1299、受精卵幹細胞、誘導全能性幹細胞、哺乳類組織から直接分離された初代細胞などを含むが、これらに限定されず、含まれる大腸菌細胞が、BL21(DE3)、BL21(DE3,Star)、TOP10、Mach1、DH5αを含むが、これらに限定されず、含まれる酵母細胞が、BY4741、BY4742、AH109を含むが、これらに限定されない。
【0085】
検出アレイ
本発明にかかる検出アレイは、1個又は複数個の本発明の核酸アプタマー分子を含み、そのうち、核酸アプタマー分子はアレイ表面の離れた位置にアンカー固定され、アレイ表面は固体の支持体で構成され、ガラス、金属、陶瓷(セラミックス)などを含むが、これらに限定されない。本発明にかかる核酸アプタマー分子のアレイ表面へのアンカー固定は、下記の方法によって実現されるが、これらに限定されない。(1)ビオチンによって前記核酸アプタマー分子の5’又は3’末端を標識し、ストレプトアビジンをアレイ表面に被覆し、ビオチンとストレプトアビジンとの特異的結合によって前記核酸アプタマー分子をアンカー固定する。(2)ファージキャプシドタンパク質MCP識別結合配列MS2、ファージキャプシドタンパク質PCP識別結合配列PP7、又はλファージ転写終結タンパク質N識別結合配列boxB RNA配列を、前記核酸アプタマー分子の5’、3’又は茎環構造に融合させて、それらの識別・結合したタンパク質MCP、PP7又はλNタンパク質をアレイ表面に被覆し、MS2とMCPタンパク質、PP7とPCPタンパク質、又はboxB RNAとλNタンパク質との特異的作用によって前記核酸アプタマー分子をアンカー固定する。(3)一部のRNA又はDNA配列を、前記核酸アプタマー分子の5’又は3’末端に融合させて、当該RNA配列と相補性のRNA配列又は当該DNA配列と相補性のDNA配列を、アレイ表面にアンカー固定し、分子ハイブリッドの原理によって前記核酸アプタマー分子をアレイ表面にアンカー固定する。前記検出アレイは、標的分子の存在の有無及び濃度高低の検出に使用できるため、標的分子が存在する場合のみ、前記核酸アプタマー分子はフルオロフォア分子と結合して、その適切な励起光波長での蛍光強度を著しく向上させ、かつ一定の範囲内で、標的分子の濃度が高ければ、蛍光強度が高い。
【0086】
キット
本発明のキットは、本発明にかかる核酸アプタマー分子及び/又はフルオロフォア分子、及び対応する説明書を含み、あるいは、前記核酸アプタマー分子を発現する発現系及び/又はフルオロフォア分子、及び対応する説明書を含み、あるいは、核酸アプタマー分子発現系を発現する宿主細胞及び/又はフルオロフォア分子、及び対応する説明書を含む。キットにおける核酸アプタマー分子とフルオロフォア分子がそれぞれ独立した溶液に存在し、又は核酸アプタマー分子とフルオロフォア分子が同一の溶液に存在する。
【0087】
実施例
以下、実施例によって本発明について更に説明する。これらの実施例は例示用のものに過ぎず、本発明の技術的範囲を何ら制限していない。実施例では主に通常の遺伝子工程分子生物学のクローン方法を使用し、これらの方法は当業者が熟知しているものであり、例えば、ジェーン・ロスカムスらの「分子生物学実験室リファレンスマニュアル」(中訳版)、及びJ.サムブルック、D.W.ラッセル著,黄培堂ら訳,「分子クローニング実験マニュアル」(第三版、2002年8月、科学出版社出版、北京)の関連する章・節である。当業者にとって、以下の実施例に従って、実情に応じて若干な変更・変換をして本発明をうまく実施するのは難しいことではない。
【0088】
実施例で用いられたpCDNA3.1 hygro(+)プラスミドベクターは、Invitrogen社から購入し、pLKO.1-puroプラスミドベクターは、Sigma社から購入し、pET28aプラスミドベクターは、Novagen社から購入し、pYES2.1 TOPO TAプラスミドベクターは、Invitrogenから購入した。PCRに用いられたすべてのプライマーはいずれも、上海傑瑞生物工程技術有限公司が合成、純化及び質量分析によって正確であると同定したものである。実施例で構築された発現プラスミドはいずれも配列測定を経たものであり、配列測定は傑李測序公司が完成した。各実施例で用いられたTaq DNAポリメラーゼは、上海翊聖聖生物科技有限公司から購入し、PrimeSTAR DNAポリメラーゼは、TaKaRa社から購入し、3種類のポリメラーゼはいずれも購入時に対応するポリメラーゼ緩衝液及びdNTPが付いていた。EcoRI、BamHI、BglII、HindIII、NdeI、XhoI、SacI、XbaI、SpeIなどの制限エンドヌクレアーゼ、T4リガーゼ、T4ホスホリラーゼ(T4 PNK)、T7 RNAポリメラーゼは、Fermentas社から購入し、購入時に対応する緩衝液などが付いていた。実施例で用いられたHieff Clone(登録商標)One Stepクローンキットは、上海翊聖生物科技有限公司から購入した。特に断りがない限り、無機塩類の化学試薬はいずれも、国薬集団上海化学試剤公司から購入した。カナマイシン(Kanamycin)は、Ameresco社から購入し、アンピシリン(Amp)は、Ameresco社から購入し、384穴及び96穴の蛍光検出ブラックパネルは、Grenier社から購入した。DFHBI-1T及びDFHOは、Lucerna社から購入した。GTP及びSAMは、Sigma社から購入した。
【0089】
実施例で用いられたDNA純化キットは、BBI社(カナダ)から購入し、普通プラスミドミニ抽出キットは、天根生化科技(北京)有限公司から購入した。BL21(DE3,Star)菌株は、Invitrogen社から購入した。293T/17細胞及びCOS-7細胞は、中国科学院典型培養物保藏委員会細胞庫から購入した。BY4741酵母菌株は、上海唯地生物技術有限公司から購入した。
【0090】
実施例で用いられた機器は、Synergy Neo2多機能マイクロプレートリーダー(米Bio-Tek社)、X-15R高速冷凍遠心機(米Beckman社)、Microfuge22R卓上型高速冷凍遠心機(米Beckman社)、PCR増幅装置(独Biometra社)、生体イメージングシステム(米Kodak社)、光度計(日本和光社)、核酸電気泳動装置(上海申能博彩生物科技有限公司)。
【0091】
略記の意味は下記のとおりである。「h」は時間、「min」は分、「s」は秒、「d」は日、「μL」はマイクロリットル、「mL」はミリリットル、「L」はリットル、「bp」は塩基対、「mM」はミリモル、「μM」はマイクロモルを表す。
【0092】
実施例で慣用の実験方法及び材料
【0093】
(一)核酸アプタマー分子の製造:
T7プロモーターを含むプライマーによって、被検RNAに対応するcDNAを増幅し、T7 RNAポリメラーゼ(Fermentas社から購入)によって、回収された二重鎖cDNAを鋳型として転写して、RNAを得た。20μLの転写系に、10μL 3M NaAc、115μL DEPC水を加えて、均一に混合した後、150μLのフェノール-クロロホルム-イソプロパノール混合液(フェノール:クロロホルム:イソプロパノール=25:24:1)を加えて、振盪して均一に混合し、10000rpmで5min遠心した後、上澄みを取った。等体積のクロロホルム溶液を加えて、振盪して均一に混合し、10000rpmで5min遠心した後、上澄みを取って、この手順を一度繰り返した。上澄みに2.5倍体積の無水エタノールを加えて、-20℃の冷蔵庫で30min放置し、4℃で12000rpmで5min遠心し、上澄みを捨て、75%予冷された無水エタノールで2回洗浄・沈殿した。エタノールが揮発し終わった後、適量のスクリーニング緩衝液を加えて再懸濁・沈殿し、75℃で5min処理し、室温で10min以上放置し、後の実験に用いた。
【0094】
(二)細胞培養及びトランスフェクション:
本実施例における細胞はいずれも、CO2インキュベーターにおいて10%ウシ胎児血清(FBS)及びストレプトマイシンとペニシリンを含む高グルコース培地(DMEM)で培養し、80~90%のコンフルエンスまで成長した時点で細胞を継代培養した。トランスフェクションの際に、(Promegaから購入)を用いて説明書に従って操作した。
【0095】
(三)蛍光イメージング:
実施例において主なイメージング実験は、Leica SP8共焦点レーザー顕微鏡によって撮影し、HCXPL APO 63.0×1.47オイルミラー及びHyD検出器を使用し、405nm、457nm、476nm、488nm、497nm、514nm、561nm、633nmの複数種のレーザーを用いてイメージングすることができ、各Carrotと染料分子とで形成された複合体は、その最大励起ピークの対応波長に近いレーザーを用いてイメージングした。なお、GFPは、488nmレーザーを使用し、Hoechst及びDAPI蛍光は、405nmレーザーを使用し、Rhodamineは、561nmレーザーを使用した。
【0096】
(四)相同組換え方法による組換えプラスミドの構築
1.線形化ベクトルの製造:適切なクローン部位を選択するとともに、ベクターを線形化し、酵素切断又は逆PCR増幅を用いて線形化ベクトルを製造することができる。
【0097】
2.PCR増幅による挿入断片の製造:挿入断片の正、逆方向PCRプライマーの5’末端に、15-25bp(酵素切断部位を含まない)の線形化ベクトル末端相同配列を導入することによって、挿入断片PCR生成物5’及び3’末端のそれぞれに、線形化ベクトル両末端に相対する完全に一致した配列を持たせる。
【0098】
3.線形化ベクトルと挿入断片の濃度測定:線形化ベクトル及び挿入断片増幅生成物を、複数の等体積希釈勾配にして、元の生成物及び希釈後生成物をそれぞれ1μL取って、アガロースゲル電気泳動を行って、バンド輝度をDNA分子量標準(DNA Marker)と比較してその近似濃度を決定する。
【0099】
4.組換え反応
組換え反応系は、最適ベクター使用量が0.03pmolであり、最適ベクターと挿入断片とのモル比が1:2~1:3であり、すなわち、最適挿入断片使用量が0.06~0.09pmolである。
【0100】
【0101】
X及びYはそれぞれ、式によって算出された線形化ベクトル及び挿入断片の使用量である。系を調製完了後、各成分を均一に混合し、50℃に置いて20min反応させた。挿入断片>5kbの場合、インキュベーション温度を25minまで延長可能である。反応終了後、反応管を氷上に置いて5min冷却することを薦める。反応生成物を直接転換してもよく、-20℃で貯蔵して、必要な時に解凍して転換してもよい。
【0102】
(五)核酸アプタマーの機能検出
慣用の実験方法(一)に従ってCarrot又はCarrot変異体核酸アプタマー分子を製造し、5μMの核酸アプタマー分子と1μMのフルオロフォア分子とを、検出緩衝液(40mM HEPES、pH7.4、125mM KCl、5mM MgCl2、5%DMSO)の中でインキュベーションして、Synergy Neo2多機能マイクロプレートリーダーによって核酸アプタマー-フルオロフォア分子複合体蛍光の最大励起ピーク及び最大発光ピークを検出した。更にSynergy Neo2多機能マイクロプレートリーダーによって核酸アプタマー-フルオロフォア分子複合体のその最大励起及び発光条件での蛍光強度を検出し、コントロールサンプル(核酸アプタマーを含まない1μMのフルオロフォア分子)も同じ条件で測定し、蛍光強度の比を算出した。例えば、5μM Carrot-1核酸アプタマーと1μM IV-39フルオロフォア分子とで形成された複合体は蛍光最大励起ピークが、524nmであり、最大発光ピークが、580nmである。Synergy Neo2多機能マイクロプレートリーダーによって検出されたこの複合体の524±10nm励起、580nm±10nm発光条件での蛍光強度は、5720であるが、コントロール(1μM IV-39フルオロフォア分子)の同じ検出条件での蛍光強度は、20であり、そうすると、Carrot-1核酸アプタマーのIV-39フルオロフォア分子に対する活性化倍数は、286倍となる。
【0103】
実施例1.Carrot核酸アプタマー分子の二次構造
mFoldオンラインRNA構造分析ソフトウェアによってCarrot核酸アプタマー一般式の二次構造を予測分析する(
図1)が、その本当の二次構造を表すものではない。2種類の与えられたN
1、N
14-N
15-N
16及びN
23のCarrot-1及びCarrot-2(SEQ ID NO:1、2)について、それらの予測された二次構造は、
図2である。
【0104】
実施例2.Carrot-IV-39複合体の特性同定
Carrot-IV-39複合体のスペクトル特性を検出するために、慣用の実験方法(一)に従ってCarrot-1(SEQ ID NO:2)RNAを製造した。1μM IV-39と5μM Carrot-1とをインキュベーションした。検出結果によれば、Carrot-IV-39複合体は最大励起光が、524nmであり、最大発光光が、580nmである(
図5a)。
【0105】
Carrot-1のIV-39と結合する結合定数を検出するために、20nMのCarrot-1を利用して異なる濃度のIV-39とインキュベーションし、それらの蛍光値を検出した。検出結果によれば、Carrot-1のIV-39と結合する結合定数は、58nMである(
図5b)。
【0106】
Carrot-IV-39複合体のMg
2+イオンへの依存性を検出するために、Carrot-1-IV-39複合体を異なるMg
2+イオンを含む緩衝液に置いて、蛍光値を検出した。検出結果によれば、Pepper599及びCorn-DFHOと比較して、Carrot-1-IV-39複合体のMg
2+イオンへの依存性が低い(
図5c)。
【0107】
実施例3.異なるCarrot変異体のIV-39フルオロフォア分子への蛍光活性化効果。
【0108】
異なるCarrot変異体のIV-39フルオロフォア分子への蛍光活性化効果を検出するために、Carrot-1配列に対して、表1で示されるような点突然変異を行い、慣用の実験方法(一)に従って異なる塩基変異を含むCarrot変異体RNAを製造し、1μM IV-39をそれぞれ5μMの異なるCarrot-1変異体RNAとインキュベーションし、慣用の実験方法(五)に従ってそれらのIV-39フルオロフォア分子への蛍光活性化倍数を検出した。検出結果によれば、一部の一塩基変異を含むCarrot-1変異体は、IV-39に対する比較的強い蛍光活性化効果(>20倍)を保っている(表2)。一部の2~5個塩基変異を含むCarrot-1変異体は依然として、IV-39に対する一定の蛍光活性化効果(>10倍)を保っている(表3)。以上の理由により、Carrot-1の多くの一塩基及び多塩基変異体は依然として、IV-39フルオロフォア分子を活性化するアプタマー機能を保っている。
【0109】
【0110】
注:表2におけるCarrot-1は、配列がSEQ ID NO:1である核酸アプタマーであり、他のアプタマーは、Carrot-1配列において
図1のCarrotの対応するヌクレオチド位置で実施した点突然変異である。
【0111】
【0112】
実施例4.塩基修飾のCarrotのIV-39への活性化効果
塩基修飾のCarrotのIV-39への活性化効果を検出するために、塩基修飾を含むCarrot-3(SEQ ID NO:5、この配列、
【0113】
【0114】
における太字で下線付きの塩基は、デオキシリボースヌクレオチド塩基である)及びCarrot-4(SEQ ID NO:6、この配列、
【0115】
【0116】
における太字で下線付きの塩基は、2’-Fで修飾された塩基である)を合成した(
図6a)(上海吉瑪製薬技術有限公司が合成)。慣用の実験方法(五)に従ってこれらの塩基修飾のCarrotのIV-39フルオロフォア分子への蛍光活性化効果を検出した。検出結果によれば、塩基修飾のCarrot-3及びCarrot-4は依然として、IV-39フルオロフォア分子の蛍光を著しく活性化することができる(
図6b)。
【0117】
実施例5.Carrotコンカテマー
CarrotコンカテマーのIV-39フルオロフォア分子への蛍光活性化効果を検出するために、Carrot-2を異なる形態で直列連結し、以下の3種類を含む。
【0118】
(1)「直列連結1」形態(
図7a)では、Carrot構造上の「頭」と「尻尾」を「頭-尻尾」の形で連結することにより、nCarrotを得た(ただし、nは、任意のコピーのCarrotである)。本実施例において、F30-2Carrot-2、F30-4Carrot-2、F30-6Carrot-2、F30-8Carrot-2及びF30-10Carrot-2のコーディングcDNAをそれぞれ全ゲノム合成し(RNAアプタマーをコードする配列はそれぞれ、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11である)、PCR増幅した後、慣用の実験方法(一)に従って核酸アプタマーRNAを製造し、0.2μM RNAアプタマーを5μM IV-39とインキュベーションした後、慣用の実験方法(五)に従って蛍光強度を検出した。検出結果によれば、nの増加に連れて、F30-nCarrot-IV-39の蛍光も増加する(
図7d)ことから、「直列連結1」形態によってCarrot-IV-39複合体の蛍光強度を向上できることが分かった。
【0119】
(2)「直列連結2」形態(
図7b)では、Carrotを1個の構成単位として直列連結することにより、n×Carrotを得た(ただし、nは、任意のコピーのCarrotであってもよい)。本実施例において、2×Carrot-2,4×Carrot-2、6×Carrot-2、8×Carrot-2及び10×Carrot-2のコーディングcDNAをそれぞれ全ゲノム合成し(RNAアプタマーをコードする配列はそれぞれ、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16である)、慣用の実験方法(一)に従って核酸アプタマーRNAを製造し、0.2μM RNAアプタマーを5μM IV-39とインキュベーションした後、慣用の実験方法(五)に従って蛍光強度を検出した。検出結果によれば、nの増加に連れて、n×Carrot-IV-39の蛍光も増加する(
図7e)ことから、「直列連結2」形態によってCarrot-IV-39複合体の蛍光強度を向上できることが分かった。
【0120】
(3)「直列連結3」形態(
図7c)では、上記「直列連結1」と「直列連結2」を組み合わせて、「直列連結1」で得られたnCarrotを1個の構成単位として「直列連結2」の形態で直列連結することにより、n2×n1Carrotを得た(ただし、n1及びn2は、任意のコピーのCarrotであってもよい)。本実施例において、2×2Carrot-2、2×4Carrot-2,4×2Carrot-2,4×4Carrot-2のコーディングcDNAをそれぞれ全ゲノム合成し(RNAアプタマーをコードする配列はそれぞれ、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20である)、慣用の実験方法(一)に従って核酸アプタマーRNAを製造し、0.2μM RNAアプタマーを5μM IV-39とインキュベーションした後、慣用の実験方法(五)に従って蛍光強度を検出した。検出結果によれば、このような「直列連結3」形態によって得られたCarrotコンカテマー-IV-39の蛍光強度が明らかにCarrot-2-IV-39を上回る(
図7f)ことから、「直列連結3」形態によってCarrot-IV-39複合体の蛍光強度を向上できることが分かった。
【0121】
実施例6.IV-39類似体の特性同定
慣用の実験方法(一)に従ってCarrot-1 RNAアプタマー分子を製造し、それを利用してIV-39類似体のCarrotと結合した場合の、蛍光スペクトル、モル吸光係数、量子収率及び蛍光活性化倍数を含む基本的特性を検出し、検出結果を表4に示した。表中のデータから、Carrot-1は、IV-39類似体の蛍光強度を異なる程度で活性化することが分かった。
【0122】
【0123】
実施例7.Carrot-IV-4複合体による細菌におけるRNAの標識
Carrot-IV-4の細菌での効果を検出するために、まず、F30-Carrot-2を発現する細菌発現プラスミドを構築した。F30-Carrot-2をコードするDNA配列を全ゲノム合成し、プライマーによって増幅し、プライマーによってpET28aを増幅してプロモーター及びマルチクローニングサイト領域を除去し、増幅されたF30-Carrot-2 DNA断片とpET28a線形化ベクトルとを実験方法(四)に従って連結し、得られた組換えプラスミドを、pET28a-T7-F30-Carrot-2と命名した。
【0124】
F30-Carrot-2断片の増幅に用いられたプライマーは、下記のとおりである。
【0125】
上流プライマー(P1):5’-TAATACGACTCACTATAGGGTTGCCATGTGTATGTGGGA-3’
下流プライマー(P2):5’-CAAGGGGTTATGCTATTGCCATGAATGATCC-3’
pET28aベクターを増幅し線形化する際に用いられたプライマーは、下記のとおりである。
【0126】
上流プライマー(P3):5’-TAGCATAACCCCTTGGGGCCTC-3’
下流プライマー(P4):5’-TAGTGAGTCGTATTAATTTCGCGGGATCGAGATCTCG-3’
pET28a-T7-F30-Carrot-2を組換えプラスミドの形質転換によってBL21(DE3,Star)大腸菌の菌株に導入し、モノクローナルを選んで37℃培養し、OD
600=0.2程度となる時点で、1mM IPTGを加えてF30-F30-Carrot-2の発現を誘導し、4h後に菌を回収し、1μM IV-4を含むPBS(10mM Mg
2+を含む)溶液によって再懸濁させた。pET28a空ベクターを形質転換したBL21(DE3,Star)大腸菌をコントロールとした。結果によれば、F30-F30-Carrot-2を発現しかつIV-4の存在下でのみ、細菌が明るいオレンジレッドの蛍光を示す(
図8)ことから、Carrot-IV-4複合体を細菌におけるRNAの蛍光標識に使用できることが分かった。
【0127】
実施例8 Carrot-IV-4複合体による酵母細胞におけるRNAの標識
Carrot-IV-4の酵母での効果を検出するために、まず、F30-Carrot-2を発現する酵母発現プラスミドを構築した。プライマーによって実施例7におけるF30-Carrot-2 DNA断片を増幅し、実験方法(四)に従って増幅されたF30-Carrot-2断片をpYES2.1 TOPO TAベクターに挿入して、得られた組換えプラスミドを、pYES2.1-F30-Carrot-2と命名した。
【0128】
F30-Carrot-2断片の増幅に用いられたプライマーは、下記のとおりである。
【0129】
上流プライマー(P5):5’-GGAATATTAAGCTCGCCCTTTTGCCATGTGTATGTGGG-3’
下流プライマー(P6):5’-TGACCTCGAAGCTCGCCCTTGTTGCCATGAATGATCC-3’
pYES2.1-F30-Carrot-2を組換えプラスミドの形質転換によってBY4741菌株に導入し、モノクローナルを選んで30℃培養し、OD
600=0.1程度となる時点で、1mMガラクトースを加えてF30-Carrot-2の発現を誘導し、10h後に菌を回収し、1μM IV-4を含むPBS(10mM Mg
2+を含む)溶液によって再懸濁させた。処理されていないBY4741菌株をコントロールとした。イメージング結果によれば、F30-Carrot-2を発現しかつIV-4の存在下でのみ、酵母細胞が明るいオレンジレッドの蛍光を示す(
図9)ことから、Carrot-IV-4複合体を酵母細胞におけるRNAの蛍光標識に使用できることが分かった。
【0130】
実施例9 CarrotとIV-39及びその類似体による哺乳類細胞におけるRNAの標識
CarrotとIV-39によって哺乳類細胞におけるRNAの標識を検出するために、報道されているPepper及びCorn核酸アプタマー分子(それぞれHBC599及びDFHOフルオロフォア分子と結合)をコントロールとして(Chen et al.Nature Biotechnology 2019.37:1287-1293;Song et al.Nature Chemical Biology 2017.13:1187-1194)、それらの哺乳類細胞発現プラスミドを構築した。tRNA-Carrot-2(コードするRNA配列は、SEQ ID No:4である)、tRNA-Pepper(コードするRNA配列は、SEQ ID No:22である)及びtRNA-Corn(コードするRNA配列は、SEQ ID No:21である)をコードするDNA断片を全ゲノム合成し、それぞれプライマーP7及びP8によってこれらの断片をPCR増幅し、プライマーP9及びP10によってpEGFP-N1ベクターを増幅し、それ自身のCMVプロモーター及びマルチクローニングサイト領域を除去した。実験方法(四)によってこれらの断片をそれぞれ、プロモーター及びマルチクローニングサイト領域を除去されたpEGFP-N1ベクターに挿入した。更に、P11及びP12によってこれらのベクターを増幅して線形化し、P13及びP14によってpLKO.1puroベクターを鋳型としてU6プロモーター(SEQ ID No:23)を増幅し、実験方法(四)によってU6プロモーターをそれぞれ、線形化したベクターに挿入して、得られたプラスミドを、pU6-tRNA-Carrot-2、pU6-tRNA-Pepper及びpU6-tRNA-Cornと命名し、これらのプラスミドはそれぞれ、tRNA-Carrot-2、tRNA-Pepper及びtRNA-Cornを発現する。pU6-tRNA-Carrot-2、pU6-tRNA-Pepper及びpU6-tRNA-Cornをプラスミドトランスフェクションによって293T/17細胞に導入し、24h後に0.5μM IV-39、0.5μM HBC599及び10μM DFHOを加えて、tRNA-Carrot-2、tRNA-Pepper及びtRNA-Cornのそれぞれを標識し、対応するRNAアプタマーを発現しない細胞作をコントロールとして、実験方法(三)によって標識効果を検出した。結果によれば、検出緩衝液への20mM Mg
2+の添加の有無に関わらず、tRNA-Carrot-IV-39複合体は非常に明るいオレンジレッドの蛍光を示し(
図10a)、蛍光強度が明らかにtRNA-Pepper-HBC599及びtRNA-Corn-DFHO複合体を上回り(
図10b)、このことから、Carrot-IV-39は哺乳類細胞においてうまく働けることが分かった。
【0131】
tRNA-Carrot-2、tRNA-Pepper及びtRNA-Cornの増幅に用いられたプライマーは、下記のとおりである。
【0132】
上流プライマー(P7):5’-GCCGCCCCCTTCACCTCTAGAGCCCGGATAGCTCAGTCGG-3’
下流プライマー(P8):5’-GAGAATTCAAAAAAATGGCGCCCGAACAGGGAC-3’
pEGFP-N1を増幅しプロモーター及びマルチクローニングサイト領域を除去した際に用いられたプライマーは、下記のとおりである。
【0133】
上流プライマー(P9):5’-TTTTTTTGAATTCTCGACCTCGAGACAAATGGCAGTATTCA-3’
下流プライマー(P10):5’-GGTGAAGGGGGCGGCCGCTCGAGG-3’
ベクターを増幅して線形化しU6プロモーターを導入した際に用いられたプライマーは、下記のとおりである。
【0134】
上流プライマー(P11):5’-TCTAGAGCCCGGATAGCTCAGTCGGT-3’
下流プライマー(P12):5’-GGTGAAGGGGGCGGCCGCTCGAGG-3’
U6プロモーターの増幅に用いられたプライマーは、下記のとおりである。
【0135】
上流プライマー(P13):5’-GCCGCCCCCTTCACCGAGGGCCTATTTCCCATG-3’
下流プライマー(P14):5’-TATCCGGGCTCTAGAGTTTCGTCCTTTCCACAAGATATAT-3’
CarrotとIV-39類似体によって哺乳類細胞におけるRNAの標識を検出するために、F30-4Carrot-2を発現する哺乳類発現プラスミドを構築した。本実施例におけるプライマーP15及びP16によって実施例5におけるF30-4Carrot-2断片を増幅し、実験方法(四)によってこれらの断片を、XbaI及びEcoRIで酵素切断されたpU6-tRNA-Carrot-2ベクターに挿入して、得られた発現ベクターを、pU6-F30-4Carrot-2と命名した。
【0136】
F30-4Carrot-2断片の増幅に用いられたプライマーは、下記のとおりである。
【0137】
上流プライマー(P15):5’-GGAAAGGACGAAACTCTAGATTGCCATGTGTATGTGGGA-3’
下流プライマー(P16):5’-TGTCTCGAGGTCGAGAATTCAAAAAAATTGCCATGAATGATCCCGAAG-3’
pU6-F30-4Carrot-2をプラスミドトランスフェクションによって293T/17細胞に導入し、24h後に異なるIV-39類似体を加えて標識し、実験方法(三)によって標識効果を検出した。結果によれば、異なるIV-39類似体はいずれも、F30-4Carrot-2を発現する細胞を特異的に標識できるが、F30-4Carrot-2を発現しないコントロール細胞を標識しない(
図10c)ことから、CarrotとIV-39及びその類似体とを哺乳類細胞におけるRNAの標識に使用できることが分かった。
【0138】
実施例10.Carrotによるプローブ構築
Carrotによる被検物プローブを構築するために、Carrot-1(SEQ ID No:1)一般式におけるN
14-N
15-N
16ヌクレオチドを、アデノシン(adenosine)及びS-アデノシルメチオニン(SAM)を特異的に識別・結合できるRNAアプタマーに交換し、これらのアプタマーとCarrot-1との間は適切な塩基によって連結し(
図11a)、慣用の実験方法(一)に従ってプローブRNAを製造し、それをIV-39とインキュベーションし、多機能マイクロプレートリーダーによってそれらのアデノシン又はSAMの存在の有無での蛍光強度をそれぞれ検出した。検出結果によれば、これらのプローブはターゲット存在時の蛍光が明らかにターゲット非存在時の蛍光を上回る(
図11b)ことから、それらをそれぞれ、アデノシン及びSAMを検出するプローブとして使用できることが分かり、対応するプローブRNA配列は、SEQ ID No:24及びSEQ ID No:25である。
【0139】
実施例11.Carrotによるトレース細胞におけるRNAの位置特定
Carrotをトレース細胞におけるRNAの位置特定に用いた結果を検出するために、まず、Carrotと異なるRNAとが融合させたキメラRNAの発現プラスミドを構築した。プライマーP17及びP18によって4Carrot-2断片を増幅し、実験方法(四)によってHindIII及びXhoIで二重酵素切断されたpCDNA3.1 hygro(+)ベクターに挿入し、pCDNA3.1 hygro(+)-4Carrot-2組換えプラスミドを得た。GAPDH及びACTB遺伝子断片を全ゲノム合成し(GAPDH及びACTBをコードする遺伝子配列はそれぞれ、Genebank:BC009081、BC016045である)、プライマーによってGAPDH及びACTB遺伝子断片をそれぞれ増幅し、それらをNheI及びHindIIIで二重酵素切断されたpCDNA3.1 hygro(+)-4Carrot-2ベクターに挿入して、pCDNA3.1 hygro(+)-GAPDH-4Carrot-2及びpCDNA3.1 hygro(+)-ACTB-4Carrot-2組換えプラスミドを得、それらはGAPDH-4Carrot-2及びACTB-4Carrot-2キメラRNAをそれぞれコードし、それらの配列は、SEQ ID No:26及び27である。
【0140】
4Carrot-2の増幅に用いられたプライマーは、下記のとおりである。
【0141】
上流プライマー(P17):5’-TAGCGTTTAAACTTAAGCTTGGAAGATTGTAAACACGCC-3’
下流プライマー(P18):5’-ACGGGCCCTCTAGACTCGAGGGAAGTGTCCGCCGGAAGT-3’
GAPDHの増幅に用いられたプライマーは、下記のとおりである。
【0142】
上流プライマー(P19):5’-GGAGACCCAAGCTGGCTAGCATGGGGAAGGTGAAGGTCGG-3’
下流プライマー(P20):5’-CACGGACACATGGCAAGCTTAACCATGCTCTAGCGAGTGTTACTCCTTGGAGGCCATGT-3’
ACTBの増幅に用いられたプライマーは、下記のとおりである。
【0143】
上流プライマー(P21):5’-GGAGACCCAAGCTGGCTAGCATGGTGACGCTTGCTGAACT-3’
下流プライマー(P22):5’-CACGGACACATGGCAAGCTTAACCATGCTCTAGCGAGTGCTAGAAGCATTTGCGGTGGA-3’
上述のプラスミドを構築完了後、いずれもシーケンシングによって挿入された配列が完全に正確であると特定し、トランスフェクショングレードのプラスミド抽出キットを用いてプラスミドを抽出して、後のトランスフェクション実験に用いた。
【0144】
本実施例で構築されたpCDNA3.1 hygro(+)-GAPDH-4Carrot-2及びpCDNA3.1 hygro(+)-ACTB-4Carrot-2組換えプラスミドをそれぞれ、COS-7細胞にトランスフェクションし、トランスフェクション24h後に1μM IV-4を加えて標識し、具体的には実験方法(三)に記載の蛍光イメージング方法に従って細胞をイメージングした。イメージング結果によれば、GAPDH-4Carrot-2及びACTB-4Carrot-2の蛍光は主に細胞質中に集中し(
図12)、これは以前の報道と一致しており、蛍光標識のインサイチューハイブリダイゼーション(FISH)結果とも一致しており(
図12)、以上の結果から、CarrotをRNAの位置のトレースに使用できることが分かった。
【0145】
実施例12.CarrotによるゲノムDNAの検出
CarrotによってゲノムDNAを検出するために、まず、Carrot-2とsgRNAキメラRNAを発現する組換えプラスミドを構築した。セントロメアターゲティング配列を含むsgRNA-Carrot-2-1、sgRNA-Carrot-2-2及びsgRNA-Carrot-2-3のcDNAを全ゲノム合成し、それらのコードするRNA配列はそれぞれ、SEQ ID No:28、29及び30である。プライマーP23及びP24によって上記キメラRNAのcDNAを増幅し、プライマーP25及びP26によってpsgRNAプラスミド(Shao et al.Nucleic acids research 2016.44:e86)を増幅し、実験方法(四)によって増幅されたcDNAと線形化したpsgRNAベクターとを連結して、得られたプラスミドをそれぞれ、psgRNA-Carrot-2-1、psgRNA-Carrot-2-2及びpsgRNA-Carrot-2-3と命名した(
図13a)。プライマーP27及びP28によってpSLQ1645(dCas9-GFP)(Shao et al.Nucleic acids research 2016.44:e86)を鋳型としてdCas9-GFP遺伝子断片を増幅し、実験方法(四)によってHindIII及びXhoIで二重酵素切断されたpCDNA3.1hygro(+)ベクターに挿入して、得られたプラスミドを、pCDNA3.1 hygro(+)-dCas9-GFPと命名した。
【0146】
CarrotとsgRNAキメラRNAに対応するcDNAの増幅に用いられたプライマーは、下記のとおりである。
【0147】
上流プライマー(P23):5’-AAAGGACGAAACACCGAATCTGCAAGTGGATATTGTTTGAG-3’
下流プライマー(P24):5’-TGATCTAGAAAAAAAGCACCGACTCGGTGCCAC-3’
psgRNAプラスミドを増幅して線形化したプライマーは、下記のとおりである。
【0148】
上流プライマー(P25):5’-TTTTTTTCTAGATCATAATCAGCCATACC-3’
下流プライマー(P26):5’-GGTGTTTCGTCCTTTCCACAAG-3’
SpdCas9-GFPの増幅に用いられたプライマーは、下記のとおりである。
【0149】
上流プライマー(P27):5’-TAGCGTTTAAACTTAAGCTTGTGCAGGCTGGCGCCACCATGGCCCC-3’
下流プライマー(P28):5’-ACGGGCCCTCTAGACTCGAGTTACTTGTACAGCTCGTCCATGC-3’
pCDNA3.1 hygro(+)-dCas9-GFPを、psgRNA-Carrot-2-1、psgRNA-Carrot-2-2及びpsgRNA-Carrot-2-3のそれぞれと組換えプラスミドの同時トランスフェクションによってCOS-7細胞に導入し、トランスフェクション24h後に、1μM IV-4及びHoechstによって細胞を標識し、蛍光顕微鏡によってCarrot-2-IV-4複合体、GFP及びHoechstの蛍光を観察した。イメージング結果によれば、Carrot-2-IV-4の蛍光は主に細胞核中に集中し、かつ点状に集まり(セントロメア)、dCas9-GFPの蛍光と完全に合致する(
図13b)ことから、Carrotを遺伝子DNAへのイメージングに使用できることが分かった。
【0150】
実施例13.CarrotによるRNA-タンパク質間の相互作用の検出
CarrotによってRNA-タンパク質間の相互作用を検出するために、ファージキャプシドタンパク質MCPの配列MS2 RNAの識別・結合を例とした。Carrot-1-MS2断片(コードするRNA配列は、SEQ ID No:31である)を全ゲノム合成し、プライマーP29及びP30によってそれを鋳型として増幅し、得られた断片を、実験方法(四)によってXbaI及びEcoRIで二重酵素切断されたpU6-tRNA-Carrot-2に挿入して、得られたプラスミドを、pU6-Carrot-1-MS2と命名した。tdMCPタンパク質をコードする遺伝子断片(MCPタンパク質の二量体形態であり、それをコードするDNA配列はSEQ ID No:32である)及びNanoLucタンパク質をコードする遺伝子断片(それをコードするDNA配列はSEQ ID No:33である)を全ゲノム合成し、プライマーP31及びP32、P33及びP34のそれぞれによってtdMCP遺伝子断片をそれぞれ増幅し、P35及びP36によってNanoLuc遺伝子断片を増幅し、実験方法(四)によって増幅された断片をHindIII及びXhoIで二重酵素切断されたpCDNA3.1 hygro(+)ベクターに挿入して、得られたプラスミドを、pCDNA3.1 hygro(+)-tdMCP-NanoLuc-tdMCPと命名し、そのコードする融合タンパク質の遺伝子配列は、SEQ ID No:34である。
【0151】
Carrot-1-MS2断片の増幅に用いられたプライマーは、下記のとおりである。
【0152】
上流プライマー(P29):5’-GGAAAGGACGAAACTCTAGAGGGAAGATTGTAAACAC-3’
下流プライマー(P30):5’-TGTCTCGAGGTCGAGAATTCAAAAAAAGGGAAGTGTCCGATGGG-3’
tdMCPの増幅に用いられたプライマーは、下記のとおりである。
【0153】
上流プライマー(P31):5’-TAGCGTTTAAACTTAAGCTTATGCTAGCCGTTAAAATGGC-3’
下流プライマー(P32):5’-ACTCCCTCCGCCACCTCCAGAATCCGCGTAGATGC-3’
tdMCPの増幅に用いられた別の1セットのプライマーは、下記のとおりである。
【0154】
上流プライマー(P33):5’-ACTCCCTCCCGCCAGAATGCGTTCGCAC-3’
下流プライマー(P34):5’-ACGGGCCCTCTAGACTCGAGTTATCCAGAATCCGCGTAG-3’
NanoLucの増幅に用いられたプライマーは、下記のとおりである。
【0155】
上流プライマー(P35):5’-GGTGGCGGAGGGAGTATGGTCTTCACACTCGAAGA-3’
下流プライマー(P36):5’-ACTCCCTCCCGCCAGAATGCGTTCGCAC-3’
pCDNA3.1 hygro(+)-tdMCP-NanoLuc-tdMCPをpU6-Carrot-1-MS2と組換えプラスミドの同時トランスフェクションによって293T/17細胞に導入し、トランスフェクション24h後に、まず、1μM IV-4フルオロフォアを加えてCarrotを標識した後、培地に20μM Furimazineを加えた直後にイメージングした。イメージング結果によれば、tdMCP-NanoLuc-tdMCP融合タンパク質におけるtdMCPタンパク質は、Carrot-1-MS2キメラRNAにおけるMS2 RNAを識別・結合するため、Carrot-IV-4複合体とNanoLucタンパク質との間の距離が非常に近く、NanoLucの触媒基質Furimazineが発した光はCarrot-IV-4複合体へ移動するので、発光エネルギー移動(BRET)の効率が比較的高く、更に、Carrot-IV-4複合体を励起して明らかなオレンジレッドの蛍光を生じる(
図14)。コントロールとして、MS2を含まない単独のCarrot-1RNAは、tdMCP-NanoLuc-tdMCP融合タンパク質と相互作用を生じず、Carrot-IV-4複合体とNanoLucタンパク質との間の距離が比較的遠く、NanoLucの触媒基質Furimazineが発した光はCarrot-IV-4複合体へ移動しないため、発光エネルギー移動(BRET)の効率が比較的低く、Carrot-IV-4複合体を励起して明らかなオレンジレッドの蛍光を生じることができない(
図14)。
【0156】
実施例14.CarrotによるRNAの精製と純化のタグ
実施例11におけるpCDNA3.1 hygro(+)-GAPDH-4Carrot-2を組換えプラスミドトランスフェクションによってCOS-7細胞に導入し、24h後に細胞を収集し、40mM HEPES、pH7.4、125mM KCl、5mM MgCl2の緩衝液によって再懸濁させた(氷上で取り扱い)。Activated Thiol Sepharose 4B(GE Healthcare)を取って500μL PBSで2回洗浄した後、10mM TCEP(Sigma)を含むPBSを加えて室温で1hインキュベーションした。500μL PBSで2回洗浄した後、マレアミドを含むIV-39フルオロフォア分子(Mal-IV-39)を加えて室温で30min反応し、500μL PBSで3回洗浄した。再懸濁された細胞を破砕後に処理済みのビーズと4℃でインキュベーションし、30min後に4000rpmで2min遠心し、上澄みを捨て、予冷された40mM HEPES、pH7.4、125mM KCl、5mM MgCl2の緩衝液でアガロースビーズを6回洗浄し、毎回とも遠心して上澄みを捨てた。DEPC水でビーズを再選択し、70℃で10min処理し、4000rpmで2min遠心して、上澄みを集めた。集められた上澄みに1/10体積のNaAc、2.5倍体積の無水エタノールを加えて、-80℃の冷蔵庫で20min放置し、4℃条件下で14000rpmで10min遠心し、沈殿物を残し、上澄みを捨て、予冷された70%エタノール溶液で沈殿物を洗浄し、4℃条件下で14000rpmで10min遠心し、沈殿物を残し、上澄みを捨て、この手順を1回繰り返した。沈殿物を室温で5min置いて、エタノールが揮発し終わった後、少量体積のDEPC水を加えて沈殿物を再懸濁させた。
【0157】
細胞破砕後の上澄み液、及び最終高温溶出後の溶出液をフルオロフォアIV-39とインキュベーションした後の蛍光をそれぞれ検出し、ブランク細胞を破砕した上澄みをコントロールとした。検出結果によれば、溶出液をIV-39とインキュベーションした後の蛍光は明らかにサンプルローディング前の破砕後上澄み液を上回り(
図15)、このことから、GAPDH-4Carrot-2 RNAがうまく濃化されていることが分かり、Carrotを1個のタグとしてRNAの分離と純化に使用できることが分かった。
【0158】
実施例15.IV-39及びその類似体の合成
化合物IV-1:
【0159】
【化9】
化合物1(0.504g、2mmol)、p-シアノベンズアルデヒド(0.626g、5mmol)を250ml丸形フラスコに取り、100mlのテトラヒドロフランを加えて溶解し、Ar保護条件で、無水塩化亜鉛(0.545g、4mmol)を加えて、系を80℃条件でオイルバスで加熱還流し、TLCで測定し、反応終了後、溶媒を真空除去し、残留物をカラムクロマトグラフィーで分離して目的の生成物(0.292g、40%)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6) δ 11.07(s,1H),8.10(d,J=8.5Hz,2H),8.06(dd,J=7.8,2.1Hz,2H),8.03(s,1H),7.94(d,J=8.3Hz,2H),7.44(d,J=15.9Hz,1H),7.03(s,1H),3.29(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
20H
13F
2N
3O
2 365.0976;found 364.0902,[M-H]
-.
化合物IV-2:
【0160】
【化10】
化合物IV-1の合成手順に従った(0.475g、65%)。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6) δ 11.04(s,1H),8.49(d,J=1.9Hz,1H),8.21(dt,J=8.0,1.4Hz,1H),8.10-8.02(m,2H),8.00(s,1H),7.88(dt,J=7.7,1.4Hz,1H),7.67(t,J=7.8Hz,1H),7.43(d,J=16.0Hz,1H),7.01(s,1H),3.29(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
20H
13F
2N
3O
2 365.0976;found 364.0903,[M-H]
-.
化合物IV-3:
【0161】
【化11】
化合物IV-1の合成手順に従った(0.221g、31%)。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6) δ 10.94(s,1H),10.11(s,1H),8.07-8.01(m,2H),7.95(d,J=15.7Hz,1H),7.74(d,J=8.7Hz,2H),7.01(d,J=15.7Hz,1H),6.90(s,1H),6.87-6.83(m,2H),3.26(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
19H
14F
2N
2O
3 356.0972;found 355.0901,[M-H]
-.
化合物IV-4:
【0162】
【化12】
化合物IV-1の合成手順に従った(0.207g、29%)。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6) δ 9.70(s,1H),8.05(d,J=8.9Hz,2H),7.98-7.89(m,1H),7.30(t,J=6.2Hz,1H),7.26(d,J=8.9Hz,1H),7.15(d,J=15.8Hz,1H),6.97(s,1H),6.87(d,J=7.5Hz,1H),3.27(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
19H
14F
2N
2O
3 356.0972;found 355.0900,[M-H]
-.
化合物IV-5:
【0163】
【化13】
化合物IV-1の合成手順に従った(0.186g、26%)。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6) δ 8.16(d,J=8.5Hz,2H),7.99-7.86(m,3H),7.31(t,J=8.9Hz,2H),7.18(d,J=15.9Hz,1H),6.95(s,1H),6.83-6.72(m,2H),3.59(t,J=5.9Hz,2H),3.51(t,J=5.9Hz,2H),3.27(s,3H),3.05(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
19H
13F
3N
2O
2 358.0929;found 357.0856,[M-H]
-.
化合物IV-6:
【0164】
【化14】
化合物IV-1の合成手順に従った(0.222g、31%)。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6) δ 11.02(s,1H),8.09-8.03(m,2H),8.01(d,J=15.8Hz,1H),7.85(dt,J=10.6,2.1Hz,1H),7.72(d,J=7.8Hz,1H),7.51(td,J=8.0,6.1Hz,1H),7.34(d,J=15.9Hz,1H),7.28(td,J=8.7、2.7Hz,1H),7.00(s,1H),3.28(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
19H
13F
3N
2O
2 358.0929;found 357.0857,[M-H]
-.
化合物IV-7:
化合物2:
【0165】
【化15】
化合物IV-5(0.716g、2.0mmol)、t-ブチルジメチルクロロシラン(0.450g、3.0mmol)、イミダゾール(0.204g、3.0mmol)を100ml丸形フラスコに取り、50mlの乾燥ジメチルホルムアミドを加えて溶解し、Ar保護条件で室温で撹拌し、TLCで測定し、反応終了後、系を150mlの水に注いで、ジクロロメタンで3回抽出し、有機相を合併し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧で溶媒を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィーで分離して化合物2(0.927g、98%)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6) δ 8.16(d,J=8.5Hz,2H),7.99-7.86(m,3H),7.31(t,J=8.9Hz,2H),7.18(d,J=15.9Hz,1H),6.95(s,1H),6.83-6.72(m,2H),3.59(t,J=5.9Hz,2H),3.51(t,J=5.9Hz,2H),3.27(s,3H),3.05(s,3H),1.50(s,9H),0.2(s,6H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
25H
28F
3N
2O
2Si 473.2;found 473.2,[M+H]
+.
【0166】
【化16】
化合物2(0.473g、1mmol)、ローソン試薬(0.808g、2mmol)を250ml三つ口フラスコに取り、100mlのトルエンを加えて溶解し、アニリンを2滴加えて、Ar保護条件でオイルバスで加熱還流し、TLCで測定し、反応終了後、減圧で溶媒を除去し、残留物を50mlのジクロロメタンに溶解し、フッ化テトラブチルアンモニウム(0.313g、1.2mmol)を加えて、Ar保護条件で室温で撹拌し、TLCで測定し、反応終了後、減圧で溶媒を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィーで分離して化合物IV-7(0.209g、56%)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6) δ 8.17(d,J=8.5Hz,2H),7.98-7.86(m,3H),7.31(t,J=8.9Hz,2H),7.18(d,J=15.9Hz,1H),6.95(s,1H),6.83-6.72(m,2H),3.59(t,J=5.9Hz,2H),3.51(t,J=5.9Hz,2H),3.27(s,3H),3.05(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
19H
13F
3N
2NaOS 397.0598;found 397.0597,[M+Na]
+.
化合物IV-8:
化合物3:
【0167】
【化17】
化合物2の合成手順に従った(0.932g、99%)。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6) δ 8.10(d,J=8.5Hz,2H),8.06(dd,J=7.8,2.1Hz,2H),8.03(s,1H),7.94(d,J=8.3Hz,2H),7.44(d,J=15.9Hz,1H),7.03(s,1H),3.29(s,3H),1.51(s,9H),0.29(s,9H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
26H
28F
2N
3O
2Si 480.2;found 480.2,[M+H]
+.
【0168】
【化18】
化合物2の合成手順に従った(0.332g、49%)。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6) δ 11.00(s,1H),8.11(d,J=8.5Hz,2H),8.07(dd,J=7.8,2.1Hz,2H),8.04(s,1H),7.94(d,J=8.3Hz,2H),7.44(d,J=15.9Hz,1H),7.03(s,1H),3.29(s,3H).HMS(ESI):m/z Calcd.For C
20H
13F
2N
3NaOS 404.0645;found 404.0646,[M+Na]
+.
化合物IV-9:
化合物5:
【0169】
【化19】
3-フルオロ-4-ヒドロキシ-ベンズアルデヒド(0.560g、4.0mmol)を100ml丸形フラスコに取り、40mlの無水エタノールを加えて溶解し、10gの無水硫酸ナトリウム、5mlの33%メチルアミン水溶液を加えて、Ar保護条件で室温で24h撹拌し、ろ過し、加圧で有機溶媒を除去し、残留物を10mlの無水エタノールに溶解し、化合物4(0.790g、5.0mmol)を加えて、Ar保護条件で室温で一晩撹拌し、翌日にろ過し、冷エタノールで3回リンスして化合物5(0.796g、85%)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6) δ 10.52(s,1H),8.19(m,1H),7.76(m,1H),6.99(t,J=8.8Hz,1H),6.89(s,1H),3.09(s,3H),2.34(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
12H
10FN
2O
2 234.2;found 234.2,[M-H]
-.
【0170】
【化20】
化合物IV-1の合成手順に従った(0.239g、21%)。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6) δ 10.52(s,1H),8.71(s,1H),8.19(m,1H),7.84(d,J=8.0Hz,1H),7.76(m,1H),7.67(d,J=8.4Hz,1H),7.32(m,1H),6.99(t,J=8.8Hz,1H),6.89(s,1H),6.78(m,1H),2.34(s,3H).HR-MS(ESI):m/z Calcd.For C
19H
12FN
4O
2 347.0950;found 347.0951,[M-H]
-.
化合物IV-10:
化合物6:
【0171】
【化21】
化合物5の合成手順に従った(0.812g、91%)。
1H NMR(400MHz,CD
3OD) δ 7.28(s,1H),7.19(d,J=8.0Hz,2H),3.59(t,J=5.6Hz,3H),3.12(s,3H),1.23(q,J=5.6Hz,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
13H
11ClFN
2O
2 281.0;found 281.0,[M-H]
-.
【0172】
【化22】
化合物IV-1の合成手順に従った(0.239g、21%)。
1H NMR(400MHz,CD
3OD) δ 7.84(s,2H),7.28(s,1H),7.19(d,J=8.0Hz,2H),3.12(s,3H),1.23(q,J=5.6Hz,3H).HR-MS(ESI):m/z Calcd.For C
19H
12ClFN
5O
2 396.0669;found396.0668,[M-H]
-.
化合物IV-11:
化合物7:
【0173】
【化23】
化合物5の合成手順に従った(0.812g、91%)。
1H NMR(400MHz,CD
3OD) δ 7.28(s,1H),7.19(d,J=8.0Hz,2H),3.81(s,3H),3.12(s,3H),3.12(s,3H),1.58(m,1H),1.11(d,6H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
15H
15BrFN
2O
2 353.0;found 3.0,[M-H]
-.
【0174】
【化24】
化合物IV-1の合成手順に従った(0.209g、22%)。
1H NMR(400MHz,CD
3OD) δ 7.95(d,J=15.7Hz,1H),7.74(d,J=8.7Hz,2H),7.28(s,1H),7.19(d,J=8.0Hz,2H),7.01(d,J=15.7Hz,1H),6.87-6.83(m,2H),3.12(s,3H),1.58(m,1H),1.11(d,6H).HR-MS(ESI):m/z Calcd.For C
21H
16BrFN
5O
2 468.0477;found468.0478,[M-H]
-.
化合物IV-12:
化合物8:
【0175】
【化25】
化合物5の合成手順に従った(0.812g、91%)。
1H NMR(400MHz,CD3OD) δ 10.52(s,1H),7.76(d,J=8.5Hz,2H),6.95(s,1H),3.79(t,J=5.2Hz,2H),3.68-3.56(m,8H),3.55-3.48(m,2H),3.35(s,3H),2.39(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
20H
25FIN
2O
6 535.1;found 535.1,[M-H]
-.
【0176】
【化26】
化合物IV-1の合成手順に従った(0.156g、18%)。
1H NMR(400MHz,CD
3OD) δ 10.52(s,1H),7.98-7.86(m,3H),7.76(d,J=8.5Hz,2H),7.31(t,J=8.9Hz,2H),7.18(d,J=15.9Hz,1H),6.95(s,1H),3.79(t,J=5.2Hz,2H),3.68-3.56(m,8H),3.55-3.48(m,2H),3.35(s,3H),2.39(s,3H).HR-MS(ESI):m/z Calcd.For C
27H
28ClFIN
2O
6 657.0670;found657.0671,[M-H]
-.
化合物IV-13:
化合物9:
【0177】
【化27】
化合物5の合成手順に従った(0.732g、93%)。
1H NMR(400MHz,CD
3OD) δ 10.52(s,1H),7.76(d,J=8.5Hz,2H),6.95(s,1H),4.12(s,3H),3.62(s,3H),2.39(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
14H
12Cl
2N
3O
3 340.0;found 340.0,[M-H]
-.
【0178】
【化28】
化合物IV-1の合成手順に従った(0.156g、18%)。
1H NMR(400MHz,CD
3OD) δ 10.52(s,1H),8.07-8.01(m,2H),7.95(d,J=15.7Hz,1H),7.76(d,J=8.5Hz,2H),7.01(d,J=15.7Hz,1H),6.95(s,1H),6.87-6.83(m,2H),4.12(s,3H),3.62(s,3H),2.39(s,3H).HR-MS(ESI):m/z Calcd.For C
21H
15BrCl
2N
3O
3 505.9679;found205.9680,[M-H]
-.
化合物IV-14:
化合物10:
【0179】
【化29】
化合物5の合成手順に従った(0.732g、93%)。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6) δ 10.52(s,1H),8.19(m,1H),7.76(m,1H),6.99(t,J=8.8Hz,1H),6.89(s,1H),3.89(s,3H),2.34(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
14H
10ClN
2O
2 273.0;found 273.0,[M-H]
-.
【0180】
【化30】
化合物IV-1の合成手順に従った(0.156g、18%)。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6) δ 10.52(s,1H),8.19(m,1H),8.07-8.01(m,2H),7.95(d,J=15.7Hz,1H),7.76(m,1H),7.01(d,J=15.7Hz,1H),6.99(t,J=8.8Hz,1H),6.89(s,1H),6.87-6.83(m,2H),3.89(s,3H),2.34(s,3H).HR-MS(ESI):m/z Calcd.For C
21H
13ClIN
2O
2 486.9716;found 486.9715,[M-H]
-.
化合物IV-15:
化合物11:
【0181】
【化31】
化合物5の合成手順に従った(0.732g、93%)。
1H NMR(400MHz,CD3OD) δ 10.52(s,1H),8.19(m,1H),7.76(m,1H),6.99(t,J=8.8Hz,1H),6.89(s,1H),3.29(t,J=4.4Hz,2H),2.78(t,J=4.4Hz,2H),2.34(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
13H
12BrN
2O
3 323.0;found 323.0,[M-H]
-.
【0182】
【化32】
化合物IV-1の合成手順に従った(0.156g、18%)。
1H NMR(400MHz,CD3OD) δ 10.52(s,1H),8.19(m,1H),7.95(d,J=15.7Hz,1H),7.76(m,1H),7.49(m,1H),7.40-7.22(m,3H),7.01(d,J=15.7Hz,1H),6.99(t,J=8.8Hz,1H),6.89(s,1H),3.29(t,J=4.4Hz,2H),2.78(t,J=4.4Hz,2H),2.34(s,3H).HR-MS(ESI):m/z Calcd.For C
20H
15BrClN
2O
3 444.9960;found 444.6991,[M-H]
-.
化合物IV-16:
化合物12:
【0183】
【化33】
化合物5の合成手順に従った(0.732g、93%)。
1H NMR(400MHz,CD
3OD) δ 10.52(s,1H),7.76(d,J=8.5Hz,2H),6.95(s,1H),2.42(s,3H),2.39(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
12H
9Br
2N
2O
2 370.9;found 370.9,[M-H]
-.
【0184】
【化34】
化合物IV-1の合成手順に従った(0.156g、18%)。
1H NMR(400MHz,CD
3OD) δ 10.52(s,1H),8.07-8.01(m,1H),7.76(d,J=8.5Hz,2H),7.97(d,J=15.7Hz,1H),7.01(d,J=15.7Hz,1H),6.87-6.83(d,J=8.2Hz,2H),6.95(d,J=8.2Hz,2H)),2.39(s,3H).HR-MS(ESI):m/z Calcd.For C
19H
12Br
2FN
2O
3 476.9255;found 476.9256,[M-H]
-.
化合物IV-17:
【0185】
【化35】
化合物IV-1の合成手順に従った(0.286g、28%)。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ 8.15(d,J=8.6Hz,2H),7.82(d,J=15.8Hz,1H),7.31-7.22(m,2H),7.21-7.17(m,1H),7.10(d,J=15.8Hz,1H),6.94(s,1H),6.88-6.73(m,3H),3.59(t,J=5.8Hz,2H),3.51(t,J=6.0Hz,2H),3.26(s,3H),3.05(s,3H).HR-MS(ESI):m/z Calcd.For C
22H
24N
3O
3 378.1818;found 378.1819,[M+H]
+.
化合物IV-18:
【0186】
【化36】
化合物IV-1の合成手順に従った(0.486g、60%)。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ 8.43(d,J=1.8Hz,1H),8.16(t,J=8.5Hz,3H),7.93(d,J=15.9Hz,1H),7.85(dt,J=7.8,1.4Hz,1H),7.66(t,J=7.8Hz,1H),7.40(d,J=15.9Hz,1H),6.98(s,1H),6.86-6.71(m,2H),3.60(t,J=5.9Hz,2H),3.52(t,J=5.9Hz,2H),3.28(s,3H),3.06(s,3H).HR-MS(ESI):m/z Calcd.For C
23H
23N
4O
2 387.1821;found 387.1822,[M+H]
+.
化合物IV-19:
【0187】
【化37】
化合物IV-1の合成手順に従った(0.286g、38%)。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ 8.17(d,J=8.6Hz,2H),7.91(d,J=15.8Hz,1H),7.79(dt,J=10.6,2.1Hz,1H),7.66(d,J=7.8Hz,1H),7.50(td,J=8.0,6.2Hz,1H),7.34-7.20(m,2H),6.97(s,1H),6.84-6.73(m,2H),3.59(t,J=5.9Hz,2H),3.52(t,J=5.9Hz,2H),3.27(s,3H),3.06(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
22H
23N
3O
3F 380.1774;found 380.1775,[M+H]
+.
化合物IV-20:
【0188】
【化38】
化合物IV-1の合成手順に従った(0.222g、30%)。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6):8.14(d,J=8.5Hz,2H),7.84(d,J=15.7Hz,1H),7.68(d,J=8.4Hz,2H),6.97(d,J=15.8Hz,1H),6.88(s,1H),6.84(d,J=8.5Hz,2H),6.79(d,J=8.8Hz,2H),3.59(q,J=5.4Hz,2H),3.51(t,J=5.9Hz,2H),3.24(s,3H),3.05(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
22H
24N
3O
3 378.1818;found 378.1819,[M+H]
+.
化合物IV-21:
【0189】
【化39】
化合物IV-1の合成手順に従った(0.352g、56%)。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ 8.18(d,J=8.5Hz,2H),8.08-8.02(m,2H),7.98-7.90(m,3H),7.40(d,J=15.9Hz,1H),7.00(s,1H),6.86-6.72(m,2H),3.60(t,J=5.9Hz,2H),3.52(t,J=5.6Hz,2H),3.28(s,3H),3.06(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
23H
23N
4O
2 387.1821;found 387.1820,[M+H]
+.
化合物IV-22:
【0190】
【化40】
化合物IV-1の合成手順に従った(0.252g、32%)。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ 8.16(d,J=8.5Hz,2H),7.93(t,J=4.4Hz,2H),7.90(d,J=6.1Hz,1H),7.31(t,J=8.9Hz,2H),7.18(d,J=15.9Hz,1H),6.95(s,1H),6.83-6.72(m,2H),3.59(t,J=5.9Hz,2H),3.51(t,J=5.9Hz,2H),3.27(s,3H),3.05(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
22H
23FN
3O
2 380.1774;found 380.1775,[M+H]
+.
化合物IV-23:
化合物13:
【0191】
【化41】
化合物IV-1の合成手順に従った(0.252g、32%)。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ 8.43(d,J=1.8Hz,1H),8.16(t,J=8.5Hz,3H),7.93(d,J=15.9Hz,1H),7.85(dt,J=7.8,1.4Hz,1H),7.66(t,J=7.8Hz,1H),7.40(d,J=15.9Hz,1H),6.98(s,1H),6.86-6.71(m,2H),3.60(t,J=5.9Hz,2H),3.52(t,J=5.9Hz,2H),3.28(s,3H),3.06(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
23H
23N
4O
2 387.2;found 387.2,[M+H]
+.
化合物14:
【0192】
【化42】
化合物14(0.774g、2.0mmol)、炭酸カリウム(0.276g、2.0mmol)を250ml丸形フラスコに取り、100mlのアセトニトリルを加えて溶解し、Ar保護条件で2mlの臭化アリルを加えて、オイルバスで加熱還流し、TLCで測定し、反応終了後、ろ過し、減圧で溶媒を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィーで分離して化合物18(0.673g、79%)を得た。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ 8.43(d,J=1.8Hz,1H),8.16(t,J=8.5Hz,3H),7.93(d,J=15.9Hz,1H),7.85(dt,J=7.8,1.4Hz,1H),7.66(t,J=7.8Hz,1H),7.40(d,J=15.9Hz,1H),6.98(s,1H),6.86-6.71(m,2H),3.81(s,2H),3.60(t,J=5.9Hz,2H),3.52(t,J=5.9Hz,2H),3.41(s,3H),3.06(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
26H
27N
4O
2 427.2;found 427.2,[M+H]
+.
【0193】
【化43】
化合物IV-7の合成手順に従った(0.152g、72%)。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ 8.43(d,J=1.8Hz,1H),8.16(t,J=8.5Hz,3H),7.93(d,J=15.9Hz,1H),7.85(dt,J=7.8,1.4Hz,1H),7.66(t,J=7.8Hz,1H),7.40(d,J=15.9Hz,1H),6.98(s,1H),6.86-6.71(m,2H),3.81(s,2H),3.60(t,J=5.9Hz,2H),3.52(t,J=5.9Hz,2H),3.41(s,3H),3.06(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
26H
27N
4OS 443.1906;found 443.1905,[M+H]
+.
化合物IV-24:
化合物15:
【0194】
【化44】
化合物5の合成手順に従った(0.692g、82%)。
1H NMR(400MHz,CD
3OD) δ =8.02(d,J=2.4Hz,1H),7.44(dd,J=8.7Hz,J=2.4Hz,1H),7.09(s,1H),6.51(d,J=8.7Hz,1H),3.56(t,J HH=7.6Hz,2H),3.08(s,6H),1.66(m,2H),2.38(s,3H),0.95(t,J=7.6Hz,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
15H
21N
4O 273.2;found 273.2,[M+H]
+.
化合物16:
【0195】
【化45】
化合物IV-1の合成手順に従った(0.452g、34%)。
1H NMR(400MHz,CD
3OD) δ =8.02(d,J=2.4Hz,1H),7.95(m,2H),7.68-7.50(m,1H),7.44(dd,J=8.7Hz,J=2.4Hz,1H),7.34-7.06(m,2H),7.09(s,1H),7.00(d,J=15.7Hz,1H),6.51(d,J=8.7Hz,1H),3.56(t,J HH=7.6Hz,2H),3.08(s,6H),1.66(m,2H),2.38(s,3H),0.95(t,J=7.6Hz,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
22H
24FN
4O 379.2;found 379.2,[M+H]
+.
【0196】
【化46】
化合物IV-7の合成手順に従った(0.152g、72%)。
1H NMR(400MHz,CD
3OD) δ =8.02(d,J=2.4Hz,1H),7.95(m,2H),7.68-7.50(m,1H),7.44(dd,J=8.7Hz,J=2.4Hz,1H),7.34-7.06(m,2H),7.09(s,1H),7.00(d,J=15.7Hz,1H),6.51(d,J=8.7Hz,1H),3.56(t,J HH=7.6Hz,2H),3.08(s,6H),1.66(m,2H),2.38(s,3H),0.95(t,J=7.6Hz,3H).HR-MS(ESI):m/z Calcd.For C
22H
24FN
4S 395.1706;found 395.1705,[M+H]
+.
化合物IV-25:
化合物17:
【0197】
【化47】
化合物5の合成手順に従った(0.692g、82%)。
1H NMR(400MHz,CD
3OD) δ =8.02(d,J=2.4Hz,1H),7.44(dd,J=8.7Hz,J=2.4Hz,1H),7.09(s,1H),6.51(d,J=8.7Hz,1H),4.21(s,2H),3.86(s,2H),3.00(q,J=4.8Hz,4H),2.45(s,3H),1.22(t,J=4.8Hz,6H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
17H
23N
4O
3 331.2;found 331.2,[M+H]
+.
【0198】
【化48】
化合物IV-1の合成手順に従った(0.452g、34%)。
1H NMR(400MHz,CD
3OD) δ =8.02(d,J=2.4Hz,1H),7.44(dd,J=8.7Hz,J=2.4Hz,1H),7.31(t,J=8.9Hz,2H),7.18(d,J=15.9Hz,1H),7.09(s,1H),6.95(s,1H),6.83-6.72(m,2H),6.51(d,J=8.7Hz,1H),4.21(s,2H),3.86(s,2H),3.00(q,J=4.8Hz,4H),2.45(s,3H),1.22(t,J=4.8Hz,6H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
24H
26ClN
4O
3 453.1693;found 453.1694,[M+H]
+.
化合物IV-26:
化合物18:
【0199】
【化49】
化合物5の合成手順に従った(0.892g、80%)。
1H NMR(400MHz,CD
3OD) δ 8.41(d,J=1.5Hz,1H),7.97(d,J=1.5Hz,1H),7.31(s,1H),5.86(s,1H),3.46(t,J=6.6Hz,4H),3.15(s,3H),2.32(s,3H),1.61(m,4H),1.32(m,12H),0.89(t,6H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
22H
36N
5O 386.3;found 386.3,[M+H]
+.
【0200】
【化50】
化合物IV-1の合成手順に従った(0.452g、34%)。
1H NMR(400MHz,CD
3OD) δ 8.41(d,J=1.5Hz,1H),7.97(d,J=1.5Hz,1H),7.85(d,J=15.7Hz,1H),7.49(m,1H),7.40-7.22(m,3H),7.31(s,1H),7.01(d,J=15.7Hz,1H),5.86(s,1H),3.46(t,J=6.6Hz,4H),3.15(s,3H),2.32(s,3H),1.61(m,4H),1.32(m,12H),0.89(t,6H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
29H
39ClN
5O 508.2843;found 508.2842,[M+H]
+.
化合物IV-27:
化合物19:
【0201】
【化51】
化合物5の合成手順に従った(0.812g、81%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3) δ 7.93(s,2H),7.31(s,1H),4.24(t,J=6.8Hz,2H),3.44(s,3H)、2.82(s,2H),2.43(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
14H
17N
6O 285.1;found 285.1,[M+H]
+.
【0202】
【化52】
化合物IV-1の合成手順に従った(0.312g、26%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3) δ =8.02(d,J=15.7Hz,1H),7.93(m,3H),7.68-7.50(m,1H),7.31(s,1H),7.24-7.06(m,2H),7.01(d,J=15.7Hz,1H),4.24(t,J=6.8Hz,2H),3.44(s,3H)、2.82(s,2H),2.43(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
21H
20lN
6O 499.0743;found 499.0742,[M+H]
+.
化合物IV-28:
化合物20:
【0203】
【化53】
化合物5の合成手順に従った(0.572g、80%)。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ 7.60(s,2H),7.16(s,1H),6.44(d,J=8.26Hz,1H),3.60(t,J=8.46Hz,2H),3.06(dd,J=18.05,9.48Hz,2H),4.01(t,J=8.4Hz,2H),2.93(t,J=8.4Hz,2H),2.39(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
16H
20N
3O
2 286.2;found 286.2,[M+H]+.
【0204】
【化54】
化合物IV-1の合成手順に従った(0.333g、26%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3) δ 8.75(d,J=1.5Hz,1H),8.32(dt,J=2.1,8.2Hz,1H),7.95(d,J=16.0Hz,1H),7.60(s,2H),7.16(s,1H),7.05(dd,J=2.5,8.4Hz,1H),6.95(d,J=16.0Hz,1H),6.44(d,J=8.26Hz,1H),3.60(t,J=8.46Hz,2H),3.06(dd,J=18.05,9.48Hz,2H),4.01(t,J=8.4Hz,2H),2.93(t,J=8.4Hz,2H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
22H
22FN
4O
2 393.1727;found 393.1726,[M+H]
+.
化合物IV-29:
化合物21:
【0205】
【化55】
化合物IV-21(0.792g,2.0mmol)、p-トルエンスルホニルクロリド(0.476g、2.5mmol)、及びトリエチルアミン(0.303g、3.0mmol)を250ml丸形フラスコに取り、100ml乾燥ジクロロメタンを加えて溶解し、Ar保護条件で室温で撹拌し、TLCで測定し、反応終了後、系を200mlの水に注いで、ジクロロメタンで3回抽出し、有機相を合併し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧で溶媒を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィーで分離して化合物27(0.822g、76%)を得た。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ 8.18(d,J=8.5Hz,2H),8.08-8.02(m,2H),7.98-7.90(m,3H),7.40(d,J=15.9Hz,1H),7.18(d,J=8.2Hz,2H),7.00(s,1H),6.86-6.72(m,2H),6.47(d,J=8.2Hz,2H),4.06(t,J=6.1Hz,2H),3.49(t,J=6.1Hz,2H),3.28(s,3H),2.77(s,3H),2.31(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
30H
29N
4O
4S 541.2;found 541.2,[M+H]
+.
【0206】
【化56】
化合物21(0.541g,1.0mmol)、亜硫酸ナトリウム(0.630g、5.0mmol)を100ml丸形フラスコに取り、20mlの無水DMFを加えて、Ar保護条件で50℃のオイルバスで24h加熱反応し、TLCで測定し、反応終了後、減圧で溶媒を除去し、残留物を逆相クロマトグラフィーで分離して生成物(0.301g、60%)を得た。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ 8.18(d,J=8.5Hz,2H),8.08-8.02(m,2H),7.98-7.90(m,3H),7.40(d,J=15.9Hz,1H),7.00(s,1H),6.86-6.72(m,2H),3.85(m,4H),3.60(t,J=5.9Hz,2H),3.52(t,J=5.6Hz,2H),3.28(s,3H),3.16(m,4H),2.77(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
23H
21N
4O
4S 499.1289;found 499.1288,-[M-H]
-.
化合物IV-30:
化合物22:
【0207】
【化57】
化合物5の合成手順に従った(0.572g、80%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3) δ 7.60(s,2H),7.04(s,1H),6.44(d,J=8.26Hz,1H),3.60(t,J=8.46Hz,2H),3.06(dd,J=18.05,9.48Hz,2H),4.57(q,J=9.25,2H),2.93(s,3H),2.42(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
16H
17F
3N
3O 324.1;found 324.1,[M+H]
+.
【0208】
【化58】
化合物IV-1の合成手順に従った(0.433g、21%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3) δ 8.75(d,J=1.5Hz,1H),8.32(dt,J=2.1,8.2Hz,1H),7.95(d,J=16.0Hz,1H),7.60(s,2H),7.11(dd,J=2.5,8.4Hz,1H),7.04(s,1H),6.95(d,J=16.0Hz,1H),6.44(d,J=8.26Hz,1H),3.60(t,J=8.46Hz,2H),3.06(dd,J=18.05,9.48Hz,2H),4.57(q,J=9.25,2H),2.93(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
22H
19BrF
3N
4O 491.0694;found 491.0693,[M+H]
+.
化合物IV-31:
【0209】
【化59】
化合物IV-21(0.386g、1.0mmol)、化合物31(0.265g、1.2mmol)、EDCI(0.382g、2.0mmol)、DMAP(0.183g、1.5mmol)を100ml丸形フラスコに取り、30mlの無水DMFを加えて溶解し、Ar保護条件で室温で撹拌し、TLCで測定し、反応終了後、減圧で溶媒を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィーで分離して生成物(0.490g、83%)を得た。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ 8.18(d,J=8.5Hz,2H),8.08-8.02(m,2H),7.98-7.90(m,3H),7.40(d,J=15.9Hz,1H),7.00(s,1H),6.86-6.72(m,2H),4.17(s,2H),3.75(s,3H),3.6-3.7(m,10H),3.57(m,2H),3.52(t,J=5.6Hz,2H),3.38(s,3H),3.28(s,3H),3.06(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
32H
39N
4O
7S 591.2819;found 591.2820,[M+H]
+.
化合物IV-32:
化合物31:
【0210】
【化60】
化合物5の合成手順に従った(0.612g、87%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3) δ 8.15(d,J=9.0Hz,2H),8.14(d,J=9.0Hz,2H),7.21(s,1H),4.23(s,2H),4.11(s,3H),3.38(t,J=6.4Hz,2H),3.01(s,3H),2.92(t,J=6.4Hz,2H),2.41(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
18H
25N
4O
3 345.2;found 345.2,[M+H]
+.
【0211】
【化61】
化合物IV-1の合成手順に従った(0.422g、36%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3) δ 8.15(d,J=9.0Hz,2H),8.14(d,J=9.0Hz,2H),7.95(d,J=16.0Hz,1H),7.82(d,J=8.4Hz,2H),7.32(d,J=8.4Hz,2H),7.21(s,1H),7.01(d,J=16.0Hz,1H),4.23(s,2H),4.11(s,3H),3.38(t,J=6.4Hz,2H),3.01(s,3H),2.92(t,J=6.4Hz,2H).
MS(ESI):m/z Calcd.For C
25H
28BrN
4O
3 511.1345;found 511.1344,[M+H]
+.
化合物IV-33:
化合物25:
【0212】
【化62】
化合物27の合成手順に従った(0.912g、89%)。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ 8.17(d,J=8.6Hz,2H),7.91(d,J=15.8Hz,1H),7.79(dt,J=10.6,2.1Hz,1H),7.66(d,J=7.8Hz,1H),7.50(td,J=8.0,6.2Hz,1H),7.34-7.20(m,2H),7.18(d,J=8.2Hz,2H),6.97(s,1H),6.84-6.73(m,2H),6.47(d,J=8.2Hz,2H),4.06(t,J=6.1Hz,2H),3.49(t,J=6.1Hz,2H),3.27(s,3H),3.06(s,3H),2.77(s,3H),2.31(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
29H
29FN
3O
4S 534.2;found 534.2,[M+H]
+.
【0213】
【化63】
化合物25(0.534g,1.0mmol))を100ml丸形フラスコに取り、35ml DMFを加えて溶解し、慎重にNaN
3(0.195g、3.0mmol)を加えて、Ar保護条件で50℃のオイルバスで一晩加熱し、翌日に系を室温まで冷却し、100mlの水に注いで、DCMで3回抽出し、有機相を合併し、飽和食塩水で2回洗浄し、有機相を合併し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧で溶媒を除去し、残留物を精製する必要がなく、そのまま次の反応に用いた。
【0214】
残留物を30ml THFに溶解し、Ph3P(0.524g、2.0mmol)、2mlの水を加えて、Ar保護条件で室温で一晩撹拌し、翌日に加圧で溶媒を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィーで分離して目的の生成物(0.301g、79%)を得た。1H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 8.17(d,J=8.6Hz,2H),7.91(d,J=15.8Hz,1H),7.79(dt,J=10.6,2.1Hz,1H),7.66(d,J=7.8Hz,1H),7.50(td,J=8.0,6.2Hz,1H),7.34-7.20(m,2H),6.97(s,1H),6.84-6.73(m,2H),3.38(t,J=6.4Hz,2H),2.92(t,J=6.4Hz,2H),3.27(s,3H),3.06(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C22H24FN4O 379.1934;found 379.1935,[M+H]+.
化合物IV-34:
【0215】
【化64】
化合物25(0.534g、1.0mmol)を100ml丸形フラスコに取り、50mlのエタノールを加えて溶解し、33%のジメチルアミン溶液を加えて、Ar保護条件で90℃オイルバスで加熱還流し、TLCで測定し、反応終了後、系を室温に戻し、減圧で溶媒を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィーで分離して目的の生成物(0.276g、68%)を得た。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ 8.17(d,J=8.6Hz,2H),7.91(d,J=15.8Hz,1H),7.79(dt,J=10.6,2.1Hz,1H),7.66(d,J=7.8Hz,1H),7.50(td,J=8.0,6.2Hz,1H),7.34-7.20(m,2H),6.97(s,1H),6.84-6.73(m,2H),3.47(t,J=7.6Hz,2H),2.96(s,3H),2.49(t,J=7.6Hz,2H),2.31(s,6H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
24H
28FN
4O 407.2247;found 407.2246,[M+H]
+.
化合物IV-35:
化合物26:
【0216】
【化65】
化合物IV-1の合成手順に従った(0.732g、39%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3) δ 8.19(d,J=8.5Hz,2H),8.07(m,4H),8.04(s,1H),7.94(d,J=8.3Hz,2H),7.44(d,J=15.9Hz,1H),7.03(s,1H),3.29(s,3H)..MS(ESI):m/z Calcd.For C
20H
15N
4O
3 359.1;found 359.1,[M+H]
+.
【0217】
【化66】
化合物26(0.718g,2.0mmol)、塩化第一スズ(0.758g、4.0mmol)を250ml丸形フラスコに取り、100mlの酢酸エチルを加えて溶解し、Ar保護条件で室温で撹拌し、TLCで測定し、反応終了後、系を150のml水に注いで、酢酸エチルで3回抽出し、有機相を合併し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧で溶媒を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィーで分離・精製して目的の生成物(0.586g、89%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3) δ 8.19(d,J=8.5Hz,2H),7.97(m,4H),8.04(s,1H),7.94(d,J=8.3Hz,2H),7.44(d,J=15.9Hz,1H),7.03(s,1H),3.29(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
20H
17N
4O 329.1402;found 329.1403,[M+H]
+.
化合物IV-36:
【0218】
【化67】
化合物18の合成手順に従った(0.322g、79%)。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ 8.16(d,J=8.5Hz,2H),7.93(t,J=4.4Hz,2H),7.90(d,J=6.1Hz,1H),7.31(t,J=8.9Hz,2H),7.18(d,J=15.9Hz,1H),6.95(s,1H),6.83-6.72(m,2H),4.21(s,2H),3.59(t,J=5.9Hz,2H),3.51(t,J=5.9Hz,2H),3.27(s,3H),3.05(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
25H
25FN
3O
2 418.1931;found 418.1932,[M+H]
+.
化合物IV-37:
【0219】
【化68】
化合物IV-1の合成手順に従った(0.275g、75%)。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6) δ 11.00(s,1H),8.08-8.04(m,2H),8.02(d,J=15.9Hz,1H),7.92-7.87(m,2H),7.49-7.45(m,2H),7.26(d,J=15.9Hz,1H),6.98(s,1H),3.29(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
19H
13F
2N
3O
2 339.0951;found 339.0950,-[M-H]
-.
化合物IV-38:
【0220】
【化69】
化合物IV-1の合成手順に従った(0.327g、55%)。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6) δ 9.70(s,1H),8.05(d,J=8.9Hz,2H),7.98-7.89(m,1H),7.30(t,J=6.2Hz,1H),7.26(d,J=8.9Hz,1H),7.15(d,J=15.8Hz,1H),6.97(s,1H),6.87(d,J=7.5Hz,1H),3.27(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
18H
12F
2N
3O
2 340.0903;found 340.090,-[M-H]
-.
化合物IV-39:
【0221】
【化70】
化合物IV-1の合成手順に従った(0.342g、46%)。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ =8.21(d,2H,J=8.8Hz),8.00(d,1H,J=16Hz),7.85(d,2H,J=8.0Hz),7.50-7.43(m,2H),7.42(d,J=2.6Hz,1H),7.24(s,1H),7.01(s,1H),6.92(d,2H,J=8.8Hz),3.85(t,2H,J=5.6Hz),3.60(t,2H,J=5.6Hz),3.10(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
22H
24N
3O
2 362.1869;found 362.1868,[M+H]
+.
化合物IV-40:
【0222】
【化71】
化合物IV-1の合成手順に従った(0.412g、46%)。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ =8.72(s,2H),8.00(d,1H,J=16Hz),7.50-7.43(m,2H),7.42(d,J=2.6Hz,1H),7.24(s,1H),7.01(s,1H),6.92(d,2H,J=8.8Hz),3.75(t,J=6.8Hz,2H),3.60(t,2H,J=6.8Hz),3.05(s,3H).MS(ESI):m/z Calcd.For C
21H
21lN
6O 373.1777;found 373.1778,[M+H]
+.
【0223】
本明細書の各実施例における使用量、反応条件などは、特に明記がない限り、いずれも近似値であり、実状に応じて若干の変更を加えて類似する結果を得ることができる、と理解すべきである。特に定義がない限り、本明細書で用いられたすべての専門用語と科学用語は、当業者が理解する意味と同一である。本明細書で言及されたすべての文献は、いずれも参考として本願に取り込まれる。本明細書で説明したのは、例示用の好適な実施形態であり、当業者であれば、本明細書で説明したのと似た方法及び材料を用いて本発明を実施して同一又は類似する結果を得ることができ、本発明に加えた様々な変更又は修正は依然として本願に添付の請求の範囲で規定された範囲内に包含される。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-07-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヌクレオチド配列(a)、ヌクレオチド配列(b)、又はヌクレオチド配列(c)を含む核酸アプタマー分子であって、
前記ヌクレオチド配列(a)は、N1AGAUUGUAAACAN14-N15-N16GACACUN23であって、N1、N14、N15、N16及びN23は、長さがヌクレオチド1個分と同等又はそれ以上の断片を表し、かつN1とN23ヌクレオチド配列のうちの少なくとも一対の塩基が、相補的塩基対を形成し、N14とN16ヌクレオチド配列のうちの少なくとも一対の塩基が、相補的塩基対を形成し、
前記ヌクレオチド配列(b)は、ヌクレオチド配列(a)と少なくとも70%、72%、77%、83%、88%、94%又は100%の同一性を有し、
前記ヌクレオチド配列(c)は、ヌクレオチド配列(a)においてN1、N14、N15、N16及びN23を含まない位置で、1個又は複数個のヌクレオチドが置換、欠損及び/又は挿入されて、かつアプタマー機能を有し、ヌクレオチド配列(a)から誘導されたものである、
核酸アプタマー分子。
【外国語明細書】