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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123290
(43)【公開日】2024-09-11
(54)【発明の名称】オゾンガス供給システム
(51)【国際特許分類】
   C01B 13/10 20060101AFI20240904BHJP
【FI】
C01B13/10 Z
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027885
(22)【出願日】2023-02-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-09-03
(71)【出願人】
【識別番号】520472664
【氏名又は名称】明電ナノプロセス・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100210240
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 友幸
(72)【発明者】
【氏名】西口 哲也
(72)【発明者】
【氏名】森川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】山下 裕明
(72)【発明者】
【氏名】松本 尚志
(72)【発明者】
【氏名】深津 綾香
【テーマコード(参考)】
4G042
【Fターム(参考)】
4G042CB21
4G042CB26
(57)【要約】
【課題】最小限の装置構成でオゾンガスをオゾン濃度可変にオゾン利用系に供給できるオゾンガス供給システムを提供する。
【解決手段】オゾンガス供給システム1は、オゾンガス供給装置2、ガス導入ライン3及び流量制御器MFC1を備える。オゾンガス供給装置2は、オゾナイザー32で得られたオゾンガスの低温分留によりオゾン濃度80%以上のオゾンガスを生成して供給可能とする。ガス導入ライン3は、希釈ガスをオゾナイザー32に導入可能にオゾナイザー32からオゾンガスをオゾンガス供給装置2に導入する。流量制御器MFC1は、ガス導入ライン3の前記希釈ガスの流量を制御することでオゾンガス供給装置2における前記オゾンガスのオゾン濃度を調整可能とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾナイザーで得られたオゾンガスの低温分留によりオゾン濃度80%以上のオゾンガスを生成して供給可能なオゾンガス供給装置と、
希釈ガスを前記オゾナイザーに導入可能に当該オゾナイザーからオゾンガスを前記オゾンガス供給装置に導入するガス導入ラインと、
前記ガス導入ラインの前記希釈ガスの流量を制御することで前記オゾンガス供給装置においてオゾンガスのオゾン濃度を調整可能な第一の流量制御器と、
を備えたことを特徴とするオゾンガス供給システム。
【請求項2】
前記オゾンガス供給装置からのオゾンガスをプロセス装置に供給するガス供給ラインと、
前記オゾンガス供給装置からオゾンガスを排出するガス排出ラインと、
前記オゾンガス供給装置からのオゾンガスを前記ガス供給ラインに供給する直前で前記ガス導入ラインの残留ガスを前記ガス排出ラインに排出可能なバイパスラインと、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のオゾンガス供給システム。
【請求項3】
前記希釈ガスを前記ガス導入ラインに導入可能な希釈ガス導入ラインと、
この希釈ガス導入ラインの前記希釈ガスの流量を制御することで前記オゾンガス供給装置においてオゾンガスのオゾン濃度を調整可能な第二の流量制御器をさらに備えたこと特徴とする請求項1に記載のオゾンガス供給システム。
【請求項4】
前記オゾンガス供給装置からのオゾンガスをプロセス装置に供給するガス供給ラインを備え、
前記希釈ガス導入ラインは、希釈ガス供給バルブを備え、
前記ガス供給ラインは、オゾンガス供給バルブを備え、
前記希釈ガス供給バルブは、前記オゾンガス供給バルブと同期して開閉可能であることを特徴とする請求項3に記載のオゾンガス供給システム。
【請求項5】
前記オゾンガス供給装置からのオゾンガスをプロセス装置に供給するガス供給ラインと、
前記オゾンガス供給装置から前記プロセス装置に供給されるオゾンガスの一部を前記ガス供給ラインに返送可能なガス回収ラインと、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のオゾンガス供給システム。
【請求項6】
前記オゾンガス供給装置を複数備え、
一つの前記オゾンガス供給装置が液体オゾンを蓄積する一方で他の前記オゾンガス供給装置がオゾンガスを供給可能であることを特徴とする請求項1に記載のオゾンガス供給システム。
【請求項7】
前記希釈ガスの流量と前記低温分留により生成される液体オゾンを貯留する前記オゾンガス供給装置のベッセルの温度と当該低温分留により生成されるオゾンガスのオゾン濃度との関係及び当該希釈ガスの流量と当該ベッセルの圧力との関係に基づき当該希釈ガスの流量及び当該ベッセルの温度を制御する制御部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のオゾンガス供給システム。
【請求項8】
前記希釈ガスの流量と前記ベッセルの温度は独立に制御することを特徴とする請求項7に記載のオゾンガス供給システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記ベッセルの温度の一定のもとで前記希釈ガスの流量若しくは種類を変えることで前記オゾンガス供給装置の前記オゾンガスの供給圧力及びオゾンガス濃度を制御することを特徴とする請求項7に記載のオゾンガス供給システム。
【請求項10】
前記希釈ガスはオゾンガスよりも蒸気圧が高く当該オゾンガスと反応しないガスであることを特徴とする請求項1に記載のオゾンガス供給システム。
【請求項11】
前記オゾンガス供給装置からオゾンガスを排出するガス排出ラインを備え、
前記ガス回収ラインは前記プロセス装置に供給される前記オゾンガスの一部を前記ガス供給ラインに繋がる前記ガス排出ラインに供給可能であることを特徴とする請求項5に記載のオゾンガス供給システム。
【請求項12】
前記希釈ガス導入ラインは熱交換器を介して前記希釈ガスを前記ガス導入ラインに導入することを特徴とする請求項3に記載のオゾンガス供給システム。
【請求項13】
前記熱交換器は前記希釈ガスの温度を変えることで前記オゾンガスの供給圧力及びオゾンガス濃度を制御することを特徴とする請求項12に記載のオゾンガス供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温分留によりオゾン濃度80%以上の高濃度オゾンガスを得るガス供給システムにおいて、高速かつ再現性良く任意のオゾン濃度に変更若しくは瞬時にオゾン分圧を高める技術に関する。
【背景技術】
【0002】
オゾンガスの反応効率の向上及びガスコストの低減の観点から従来の放電式オゾナイザーで得られたオゾンガスよりもオゾン濃度が高い高濃度オゾンガスを用いたプロセスが普及され始めている(非特許文献1、特許文献1,2)。例えば、オゾン濃度を210g/Nmから1,600g/Nmまで高めることで、酸素ガスのコストが従来の1/8に抑えられて水処理用の超高濃度オゾン製造システムのランニングコストが従来比70%の低減が実現しつつある。
【0003】
一方で高濃度オゾンガスはその製造コスト及びランニングコストを考慮すると処理対象に必要な最低限の流量及び濃度に抑えることが望ましい。
【0004】
高濃度オゾンガスを生成する方法として、シリカゲルの極性分子に対する選択的吸着性能を利用したオゾン濃縮法がある。この方法は、通常の放電法で得られたオゾン濃度10数%のオゾン酸素混合ガスから極性の大きいオゾン分子のみを吸着及び濃縮でき、上下水処理(一般産業)、半導体プロセスの分野で利用されている。
【0005】
前記オゾン濃縮法は、吸着後の圧力制御(真空引き減圧脱離処理)により吸着力の弱い酸素分子を脱離させ30%以上のオゾン濃度に濃縮できるが、脱離処理の時間を制御することで30%~最大80%の濃度まで可変となる。
【0006】
さらに、3つの吸着脱用のベッセルを備えて時間的に吸着、脱離(濃縮)等の動作タイミングをずらす制御により、処理対象に適したオゾン濃度のオゾンガスを連続的に供給できる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】三菱電機技法91(12)2017
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】US Patent No.11123679 B2
【特許文献2】US Patent No.8409520 B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記オゾン濃縮法は、高純度のシリカゲルを用いた場合でも、当該シリカゲルに含まれる金属不純物(Cu,Mg,Ni,Fe,Zn等)の脱離がppbレベルでは完全に除去できないので、高純度のオゾンガスが要求される半導体工程には適用できない。また、ベッセルごとに所定のオゾン濃度に濃縮した後は、ベッセル内のガスを使い切るまで(完全に脱着するまで)はオゾン濃度の制御は不可能となる。
【0010】
さらに、オゾンガスの供給は供給ラインでポンプにより圧縮した後にマスフローコントローラで行うためガス流量が小さい条件では当該圧縮及び流量コントローラ通過の過程でオゾン濃度が10~20%までに低下する。
【0011】
よって、半導体プロセス等の真空(減圧環境)下で比較的少ない流量(例えば、数十~数百cc(cm)/min以下)のプロセスにおいては前記オゾンの供給方式は不適となる。
【0012】
本発明は、以上の事情に鑑み、最小限の装置構成でオゾンガスをオゾン濃度可変にオゾン利用系に供給できるオゾンガス供給システムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そこで、本発明の一態様は、オゾナイザーで得られたオゾンガスの低温分留によりオゾン濃度80%以上のオゾンガスを生成して供給可能なオゾンガス供給装置と、希釈ガスを前記オゾナイザーに導入可能に当該オゾナイザーからオゾンガスを前記オゾンガス供給装置に導入するガス導入ラインと、前記ガス導入ラインの前記希釈ガスの流量を制御することで前記オゾンガス供給装置においてオゾンガスのオゾン濃度を調整可能な第一の流量制御器を備えたオゾンガス供給システムである。
【0014】
本発明の一態様は、前記オゾンガス供給システムにおいて、前記オゾンガス供給装置からのオゾンガスをプロセス装置に供給するガス供給ラインと、前記オゾンガス供給装置からオゾンガスを排出するガス排出ラインと、前記オゾンガス供給装置からのオゾンガスを前記ガス供給ラインに供給する直前で前記ガス導入ラインの残留ガスを前記ガス排出ラインに排出可能なバイパスラインを備える。
【0015】
本発明の一態様は、前記オゾンガス供給システムにおいて、前記希釈ガスを前記ガス導入ラインに導入可能な希釈ガス導入ラインと、この希釈ガス導入ラインの前記希釈ガスの流量を制御することで前記オゾンガス供給装置においてオゾンガスのオゾン濃度を調整可能な第二の流量制御器をさらに備える。
【0016】
本発明の一態様は、前記オゾンガス供給システムにおいて、前記オゾンガス供給装置からのオゾンガスをプロセス装置に供給するガス供給ラインを備え、前記希釈ガス導入ラインは、希釈ガス供給バルブを備え、前記ガス供給ラインは、オゾンガス供給バルブを備え、前記希釈ガス供給バルブは、前記オゾンガス供給バルブと同期して開閉可能である。
【0017】
本発明の一態様は、前記オゾンガス供給システムにおいて、前記オゾンガス供給装置から前記プロセス装置に供給されるオゾンガスの一部を前記ガス供給ラインに返送可能なガス回収ラインを備える。
【0018】
本発明の一態様は、において、前記オゾンガス供給装置を複数備え、一つの前記オゾンガス供給装置が液体オゾンを蓄積する一方で他の前記オゾンガス供給装置がオゾンガスを供給可能である。
【0019】
本発明の一態様は、前記オゾンガス供給システムにおいて、前記希釈ガスの流量と前記低温分留により生成される液体オゾンを貯留する前記オゾンガス供給装置のベッセルの温度と当該低温分留により生成されるオゾンガスのオゾン濃度との関係及び当該希釈ガスの流量と当該ベッセルの圧力との関係に基づき当該希釈ガスの流量及び当該ベッセルの温度を制御する制御部を備える。
【0020】
本発明の一態様は、前記オゾンガス供給システムにおいて、前記希釈ガスの流量と前記ベッセルの温度は独立に制御する。
【0021】
本発明の一態様は、前記オゾンガス供給システムにおいて、前記制御部は、前記ベッセルの温度の一定のもとで前記希釈ガスの流量若しくは種類を変えることで前記オゾンガス供給装置の前記オゾンガスの供給圧力及びオゾンガス濃度を制御する。
【0022】
本発明の一態様は、前記オゾンガス供給システムにおいて、前記希釈ガスはオゾンガスよりも蒸気圧が高く当該オゾンガスと反応しないガスである。
【0023】
本発明の一態様は、前記オゾンガス供給システムにおいて、前記オゾンガス供給装置からオゾンガスを排出するガス排出ラインを備え、前記ガス回収ラインは前記プロセス装置に供給される前記オゾンガスの一部を前記ガス供給ラインに繋がる前記ガス排出ラインに供給可能である。
【0024】
本発明の一態様は、前記オゾンガス供給システムにおいて、前記希釈ガス導入ラインは熱交換器を介して前記希釈ガスを前記ガス導入ラインに導入する。
【0025】
本発明の一態様は、前記オゾンガス供給システムにおいて、前記熱交換器は前記希釈ガスの温度を変えることで前記オゾンガスの供給圧力及びオゾンガス濃度を制御する。
【発明の効果】
【0026】
以上の本発明によれば、最小限の装置構成でオゾンガスをオゾン濃度可変にオゾン利用系に供給できるオゾンガス供給システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態1におけるオゾンガス供給システムの概要図。
図2】実施形態1におけるバルブと流量制御器の動作例。
図3】本発明の実施形態2におけるオゾンガス供給システムの概要図。
図4】実施形態2のバルブと流量制御器の動作例。
図5】希釈ガス流量とベッセル温度とベッセル内オゾン濃度との関係図。
図6】実施形態2の他の態様であるオゾンガス供給システムの概要図。
図7】本発明の実施形態3におけるオゾンガス供給システムの概要図。
図8】実施形態3のバルブと流量制御器の動作例。
図9】実施形態3の希釈ガス流量と供給圧力、供給オゾンガス濃度及びオゾンガス流量の制御値との関係図。
図10】本発明の実施形態4におけるオゾンガス供給システムの概要図。
図11】実施形態4のバルブと流量制御器の動作例。
図12】実施形態4の他の態様であるオゾンガス供給システムの概要図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0029】
[実施形態1]
図1に示された本発明の実施形態1のオゾンガス供給システム1は、放電等で得られた低濃度オゾンガスの低温分留により濃縮したオゾン濃度80%以上の高濃度オゾンガスをリアルタイムでオゾン濃度可変に供給する。前記低温分留はオゾンと酸素の蒸気圧の差を利用して液体若しくは気体のオゾンを分離貯蔵する方式である。
【0030】
オゾンガス供給システム1は、オゾンガス供給装置2、ガス導入ライン3、ガス供給ライン4、ガス排出ライン5及びバイパスライン6を備える。
【0031】
オゾンガス供給装置2は、ガス導入ライン3から供された例えばオゾン濃度20%以下の低濃度オゾンガスの低温分留によりオゾン濃度80%以上の高濃度オゾンガスを生成してガス供給ライン4に供給する。
【0032】
オゾンガス供給装置2は、ベッセル21、コールドヘッド22、冷凍機23及び保温部24を備える。
【0033】
ベッセル21は、ガス導入ライン3から低濃度オゾンガスを導入して低温分留により液体オゾン若しくは高濃度オゾンガスを生成する。
【0034】
コールドヘッド22は、ベッセル21の冷却若しくは加温により前記低温分留を実行する。
【0035】
冷凍機23は、コールドヘッド22の冷却若しくは加温を制御する。
【0036】
ここで、オゾンガスの所定のオゾン濃度及び供給圧力(圧力計PGの圧力値)を実現するために、図5に例示の流量制御器MFC1の希釈ガス流量とベッセル21の温度とベッセル21内のオゾン濃度との関係さらには当該希釈ガスの流量とベッセル21の圧力との関係に基づき希釈ガス流量、ベッセル21温度を制御する制御プログラムがオゾンガス供給装置2の制御部に実装される。特に前記希釈ガスの流量とベッセル21の圧力との関係は事前に取得することで同図の関係を示す曲線の校正に有効である(実施形態2も同様)。
【0037】
また、希釈ガス(例えば酸素ガス)とオゾンガスの流量制御器MFC1における感度の違い(ガスの比熱、コンバージョンファクター)や排気ポンプP0のガス種による排気速度を考慮することで、より正確な割合で希釈ガスの混合やオゾンガスのオゾン濃度希釈が可能となる。具体的には、前記制御部による流量制御器MFC1の動作制御によりベッセル21の温度の一定のもとで前記希釈ガスの流量若しくは種類を変えることで前記オゾンガスの供給圧力及びオゾンガス濃度を任意に調整できる。
【0038】
保温部24は、ベッセル21、コールドヘッド22及び冷凍機23を保温可能に格納する。保温部24には排気配管25が接続される。排気配管25は保温部24から排気ポンプP0へのガスの導入を可能とするバルブV4を備える。
【0039】
ガス導入ライン3は、前記低濃度オゾンガスをオゾンガス供給装置2のベッセル21内に導入する導入配管30を有する。また、導入配管30は後述の希釈ガスをオゾナイザー32に適宜導入可能とする。
【0040】
導入配管30は、レギュレータ31、オゾナイザー32、流量制御器MFC1及びバルブV1をさらに備える。
【0041】
レギュレータ31は、所定範囲の圧力の下で希釈ガスを導入配管30に供する。前記希釈ガスはオゾンガスよりも蒸気圧が高く当該オゾンガスと反応しないガスが適用される。前記希釈ガスとしては酸素ガス、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスのいずれか若しくはいずれかの混合ガスが例示される。
【0042】
オゾナイザー32は、放電等の既知のオゾン生成法により例えばオゾン濃度約20%の低濃度オゾンガスを生成する。
【0043】
流量制御器MFC1は、オゾナイザー32から供された低濃度オゾンガスの流量を制御する本発明の第一の流量制御器に相当する。また、流量制御器MFC1は、前記希釈ガスの流量を変えることでオゾンガス供給装置2において前記オゾンガスのオゾン濃度を任意に調整可能とする。流量制御器MFC1としては前記流量を精密に調整可能なマスフローコントローラが適用される。
【0044】
バルブV1は、流量制御器MFC1からオゾンガス供給装置2(ベッセル21)への低濃度オゾンガスの導入を可能とする。
【0045】
ガス供給ライン4は、供給ポンプP1により真空引きされたベッセル21内の所定オゾン濃度のオゾンガスをプロセス装置7に供する供給配管40を有する。供給配管40は、圧力計PG及びバルブV3を備える。バルブV3は、ベッセル21からプロセス装置7へのオゾンガスの供給を可能とする。
【0046】
バルブV3とプロセス装置7の間の供給配管40は、電解研磨されたステンレス製の配管が適用されることで、オゾン濃度80%以上を維持した高濃度オゾンガスをプロセス装置7に供給できる。
【0047】
ガス排出ライン5は、排気ポンプP0によりオゾンガス供給装置2(ベッセル21)から真空引きされたオゾンガスをオゾン分解装置8に供する排気配管50を有する。排気配管50は、ベッセル21から排気ポンプP0へのオゾンガスの導入を可能とするバルブV2を備える。オゾン分解装置8でオゾンが分解されたガスは排気設備9に供される。
【0048】
バイパスライン6は、オゾンガス供給装置2(ベッセル21)からのオゾンガスをガス供給ライン4に供給する直前にオゾナイザー32,バルブV1間の残留ガスをガス排出ライン5に供するバイパス配管60を有する。バイパス配管60は、前記残留ガスをガス排出ライン5に供給可能なバルブV5を備える。
【0049】
図1,2を参照して実施形態1の動作例(S1からS11)について説明する。
【0050】
S1のオゾン濃縮蓄積工程では、バルブV1,V2が開、バルブV3,V5が閉に設定され、レギュレータ31により所定範囲の圧力に調整された酸素ガス(またはオゾンの生成効率向上の目的で希釈ガスとして1%以下のN若しくはArが添加された酸素ガス)がオゾナイザー32に供される。オゾナイザー32で得られたオゾン酸素混合ガスは流量制御器MFC1により流量が調整されてベッセル21に供される。ベッセル21内では、冷凍機23により制御されたコールドヘッド22により低温(例えば90K=-183℃)に保持され、オゾン酸素混合ガスのオゾン成分が液体オゾンとして蓄積される。
【0051】
ベッセル21内に液体オゾンが所定量蓄積された後は、後述のS3からS10のオゾンガス供給工程でのベッセル21の温度の制御により任意の蒸気圧で得られた所定濃度のオゾンガスがプロセス装置7に供給される。
【0052】
高濃度オゾンガスの流量若しくはオゾン濃度が高い程、処理プロセス(プロセス装置7)のランニングコストが上がるので、用途によっては同じ全圧、流量を保持して、高濃度オゾンガスのオゾン濃度を下げた処理が有効な場合がある。この場合、以下の動作シーケンスが実行される。
【0053】
例えば図2のS2からS11の工程において、バルブV1,V2,V3,V5、流量制御器MFC1及びベッセル21の動作が制御される。すなわち、高濃度オゾンガスのオゾン濃度を変える時点で、ベッセル21内の液体オゾン部の温度を制御(純オゾンガス圧の変更)する過程と流量制御器MFC1により流量が精密に制御された希釈ガス(酸素ガス)を導入する過程が同時に実行される。実施形態1の場合、希釈ガスはオゾン蓄積に用いるガスと同じガスとなる。以下、S2からS11の工程について説明する。
【0054】
S2のガスパージ工程では、ベッセル21内のオゾン濃度を希釈する前にバルブV1,V2が閉、バルブV5が開に設定される。これにより、オゾナイザー32とバルブV1と間の導入配管30内の残留ガスが例えば圧力10Pa以下のもとでバイパスライン6を介して真空排気される。また、オゾナイザー32での放電で導入配管30内に吸着したオゾンガスや酸素ガスのベッセル21(液体オゾン部)への移行が抑制され、前記残留ガスの混入による液体オゾンの急峻な気化が防止される。さらに、前記希釈ガスの温度が安定する。尚、前記希釈ガスの温度や種類(例えば比熱)により過渡的、定常的に気化するオゾンの量が変動するので、当該希釈ガスの組成及び温度が予め設定されることでS3からS10の工程で調整されるオゾン濃度の安定化が図られる。
【0055】
S3の温度制御工程では、バルブV5が閉、バルブV2が開に設定され、前記制御プログラムに基づくベッセル21の温度制御により、ベッセル21内のガスのオゾン濃度が例えば略100%となるベッセル21の目標温度及び目標圧力に制御される。
【0056】
S4のオゾンガス供給工程では、バルブV2が閉、バルブV3が開に設定され、S3で目標温度に制御されたベッセル21からオゾン濃度略100%のオゾンガスがガス供給ライン4のプロセス装置7に供給される。
【0057】
S5のオゾン濃度制御工程では、バルブV1、V2が開、バルブV3が閉に設定され、前記希釈ガスがベッセル21内に導入される。また、オゾンガスの設定濃度及び供給圧力に基づく制御により流量制御器MFC1の流量値及びベッセル21の設定温度が目標値に調整される。
【0058】
S6のオゾンガス供給工程では、圧力計PGの圧力値が目標圧に到達したことが確認された後(例えば1分経過後)、バルブV2が閉、バルブV3が開に設定され、ガス供給ライン4に目標濃度(例えば40%)のオゾンガスの供給が開始される。
【0059】
S7-S10の供給ガス濃度設定切り替え工程では、希釈ガスの流量設定の変更、ベッセル21の温度設定変更が伴うため、圧力計PGの圧力値が安定するまでの過渡的な期間(例えば1分)はバルブV3が閉、バルブV2が開に設定される(S7,S9)。これにより、S8,S10の工程ではガス供給ライン4を介してプロセス装置7に供給されるガスのオゾン濃度が常に任意の目標値(例えば、60%、100%)に安定に制御された状態が維持される。
【0060】
S11のガス供給停止工程では、バルブV1,V2,V3,V5が閉に設定されてオゾンガス供給装置2からのオゾンガスの供給が停止される。
【0061】
以上のように実施形態1のオゾンガス供給システム1によれば、最小限の配管、バルブの増設でプロセス装置7に供給するオゾンガスの濃度が任意に可変となる。
【0062】
また、供給するガスの全圧(全流量)を一定にしたままオゾン分圧(オゾン流量)だけを変化させることができる。特に、オゾンガスを例えばMBE(分子線ビーム成長法)、ALD(原子層成長法)の酸化源として利用するにあたり、供給ガス流量若しくは供給圧力を一定のもと、リアルタイムでオゾン濃度(オゾン/酸素ガス分圧比、流量比)が可変となる。さらに、オゾンを含むガスの供給全圧、オゾン濃度を制御することが可能になり、オゾンガスの効能が最大となるプロセスポイントを選択できる。そして、製造のガスコストが高い80%以上の高純度オゾンガスを効能が最大限発揮できるプロセス条件でランニングコストを最も下げた条件で活用することが可能となる。また、オゾンガスを用いる従来のプロセスとの互換性を確保して濃度80%以上のオゾンガスを利用できる。
【0063】
さらに、希釈ガスの流量、ベッセル21の温度(オゾンガスの蒸気圧)は、それぞれ独立に制御することで、任意のガス圧力、任意の総ガス流量、オゾン濃度を再現性高く制御できる。
【0064】
[実施形態2]
図3に示した本発明の実施形態2のオゾンガス供給システム1は、実施形態1の態様において、ガス導入ライン3とは独立に希釈ガスの流量を制御する希釈ガス導入ライン11を備える。
【0065】
希釈ガス導入ライン11は、希釈ガスをガス導入ライン3の導入配管30に導入する導入配管110を有する。
【0066】
導入配管110は、レギュレータ31、流量制御器MFC2、バルブV5(1)及び熱交換器111をさらに備える。バルブV5(1)及び熱交換器111は流量制御器MFC2とオゾンガス供給装置2との間に配置される。
【0067】
流量制御器MFC2は、希釈ガス導入ライン11の前記希釈ガスの流量を制御することでオゾンガス供給装置2においてオゾンガスのオゾン濃度を調整可能な本発明の第二の流量制御器に相当する。
【0068】
前記希釈ガスとしては、高純度のOガス、Arガス、Nガス等、低温領域(90K~130K)でオゾンガスより高い蒸気圧(沸点)を持ち、さらにオゾンガスと反応しないガスが挙げられる。
【0069】
希釈ガスは定圧モル比熱[Cal/K・mol]に依存して液体オゾンの気化を促進させるので、希釈ガスの導入はオゾンガス供給装置2のベッセル21の温度が一定であってもオゾン濃度を相対的に高める。
【0070】
また、O、N、Arの低圧モル比熱はそれぞれ、7.05、6.92、4.99Cal/K・molである。そして、ベッセル温度100K、供給圧力5000Paの条件で、Oガスで希釈する場合とArガスで希釈する場合、希釈後のオゾン濃度は両者の間で5%の差が生じる(例えば、Oガスで希釈した場合にはオゾン濃度24%、Arガスで希釈した場合にはオゾン濃度19%となる)。よって、希釈ガスの種類を変えることでオゾン濃度を5%の範囲で調整可能となる。具体的には実施形態1と同様に前記制御部による流量制御器MFC2の動作制御によりベッセル21の温度の一定のもとで前記希釈ガスの流量若しくは種類を変えることで前記オゾンガスの供給圧力及びオゾンガス濃度を任意に調整できる。
【0071】
さらに、希釈ガスの温度を制御することでも数%の範囲にオゾン濃度の調整が実現できる。例えば、希釈ガスの温度を25℃から75℃に変化することでベッセル内のオゾン濃度を24%から28%に調整できる。具体的には前記制御部による熱交換器111の動作制御により前記希釈ガスの温度を変えることで前記オゾンガスの供給圧力及びオゾンガス濃度を任意に調整できる。
【0072】
そして、図3に示したように熱交換器111を介して希釈するガスをベッセル21に供給することで、ベッセル21内のガス温度をより安定に制御でき、液体オゾンの気化量が安定し、オゾン濃度の制御安定性が向上する。特に、ガスの温度を高い精度(例えば50±0.5°Cに制御)とすることで、より高い精度のオゾン濃度制御性が実現する
図3-5を参照して実施形態2の動作例について説明する。
【0073】
実施形態2のバルブV1-V3、流量制御器MFC1及びベッセル21の動作スケジュールは実施形態1と基本的に同様となる。
【0074】
特に、実施形態2ではS2,S5-S8の工程では、希釈ガス供給バルブであるバルブV5(1)が開に設定される。また、S5,S6の工程では、図5のオゾン濃度と希釈ガス流量及びベッセル21の温度との関係に基づき流量制御器MFC2の設定流量が設定される。同図は供給圧力及び供給流量が一定且つ希釈ガス:酸素、ガス温度:25℃の条件で実現できるオゾン濃度を示す。前記関係に基づく供給ガスの供給圧(全圧)及び総供給流量によれば一定の条件下で幅広いオゾン濃度領域のオゾンガスを実現できる。遅延時間は希釈ガスの流量安定時間、ベッセル21の温度の安定時間であり、代表的には1分-3分である。
【0075】
以上の実施形態2によれば、実施形態1と同様に、プロセス装置7側に供給するガスのガス流量、ガス圧力条件、処理炉の空間的配置の制約によらず、所望のオゾン濃度、所望の圧力でオゾンガスをプロセス装置7に供給できる。特に、希釈ガス導入ライン11を設けることで、希釈ガス種を自由に選択でき、さらに希釈するガスの流量を独立に制御できる。
【0076】
また、ガス供給ライン4のプロセス装置7への供給ガスの流量に制約があり且つプロセス装置7とオゾンガス供給装置2との距離が長い場合に一定以上のガス流量(流速)で供給することがオゾン濃度を保持するために必要となる。
【0077】
そこで、図6のオゾンガス供給システム1は、ガス供給ライン4において、ガス回収ライン12をさらに備える。
【0078】
ガス回収ライン12は、ガス供給ライン4の供給配管40から供給ガスの一部を回収する回収配管120を有する。回収配管120は、供給配管40に繋がる排気配管50に前記一部の供給ガスを随時返送可能なバルブV7を備える。
【0079】
同図の態様によれば、オゾン濃度の制御目標の変更に伴う過渡的な時間帯は、バルブV7が随時に開に設定され、ガス回収ライン12で回収した供給ガスがガス供給ライン4に返送される。これにより、正確な濃度のオゾンガスをプロセス装置7に供給できる。また、プロセス装置7とオゾン供給元のオゾンガス供給装置2が物理的に離れている場合やガス流量が少ない場合には供給ガスがガス回収ライン12を介してガス供給ライン4に循環供給される。これにより、オゾンガスの輸送中の分解を抑えてプロセス装置7に高濃度のオゾンガスを供給できる。
【0080】
[実施形態3]
図7に示した本発明の実施形態3のオゾンガス供給システム1は、実施形態2のガス供給ライン4において、バルブV5(1)の動作と同期してオゾンガス供給装置2からのオゾンガスをプロセス装置7に間欠的に供給が可能なバルブV6を備える。
【0081】
すなわち、プロセス装置7への高濃度オゾンガスの供給過程でバルブV6を間欠的に高速に開閉動作させることで液体オゾンを貯留したベッセル21の温度(例えば125K)を維持したまま、希釈ガス導入ライン11から希釈ガスがベッセル21に追加導入される。これにより、プロセス装置7に供給されるガスの全圧及びオゾン分圧が高まる。したがって、過渡的なガス流入量(速度)が大きくなり、オゾンの導入による処理性能の向上が短時間で可能となる。また、バルブV5(1),V6の同期動作により顕著な性能向上(酸化、洗浄、成膜)が実現する。
【0082】
図8を参照して実施形態3の動作例について説明する。
【0083】
バルブV1-V3,V5(1)、流量制御器MFC1及びベッセル21の動作スケジュールは実施形態2と基本的に同様である。
【0084】
S1のオゾン濃縮蓄積工程では、必要な量の液体オゾンがベッセル21に貯蔵される。
【0085】
S2のガスパージ工程では、バルブV2,V5(1)が開、流量制御器MFC2にて一定量の値が設定されて排気ポンプP0による真空引きにより希釈ガスが希釈ガス導入ライン11に導入される。希釈ガスとしては、オゾンガスより蒸気圧が高く(沸点が高く)且つオゾンガスとの反応速度定数が小さいガスほど望ましい。例えば、窒素ガス、アルゴンガス、酸素ガスが適切である。
【0086】
S3の温度制御工程では、ベッセル21の温度が所望のオゾン分圧となる温度(例えば130Kで0.1気圧)まで調整されてバルブV3が開に設定される。そして、オゾンガス供給バルブであるバルブV6までのガス供給ライン4の供給配管40にオゾンガスが充填されると待機となる。これと同時に希釈ガス導入ライン11の流量制御器MFC2は所望の希釈ガス導入量の指令を受ける。
【0087】
S4のオゾンガス供給工程では、プロセス装置7からバルブV6の開閉指令信号と同期した信号がバルブV5に出力される。これにより、プロセス装置7がオゾンガスを必要とするタイミング(バルブV6が開となるタイミング)でバルブV5が開となりオゾンガスと共に希釈ガスがプロセス装置7に供給される。
【0088】
図9は実施形態3において希釈ガスの流量を増加させた時の供給圧力、オゾンガス濃度、オゾンガス供給流量の変化を示す。希釈ガスの導入により、オゾンガス濃度は90%(縦軸数値0.9)から最低30%(縦軸数値0.3)まで低下するが、供給圧力(全圧)を0.1気圧から最大0.9気圧まで高まり、オゾンガス供給流量も約2.5倍に増大する。すなわち、ベッセル21の温度が一定のもとで希釈ガスが持ち込む熱により液体オゾンガスの気化が促され、オゾンガス量が瞬発力高く増大し(同図では2.5倍に増大)、供給圧力が高まる(同図では9倍)。そして、この供給圧力の向上によりガス供給ライン4が比較的長い(例えば供給配管40が10m以上である)場合でも処理システム(プロセス装置7)への高濃度オゾンガスの供給が短時間で可能となる。特に高濃度オゾンガスの供給時間が短いシステムでのプロセス処理の高効率化(生産性及びオゾン利用効率の向上)に寄与する。
【0089】
以上の実施形態3によれば、一定の制御温度のベッセル21に希釈ガスが別途導入することで当該希釈ガスの熱量(ガス温度とベッセル温度の差×持ち込むガス量×比熱)により、ベッセル21内の液体オゾンの気化が促進される。これにより、瞬時に供給圧力(全圧)を高まる。特に、実施形態1,2と異なりベッセル21の温度制御を必要としないので、瞬時応答性が必要なプロセス、具体的には間欠的に高いオゾン圧が必要なプロセス、例えば原子層成長(ALD)プロセスに有効に適用できる。また、供給ガスの全圧及びオゾンガス圧が瞬時に高高まるので、オゾンガスの供給配管が長い若しくは圧力損失が大きい場合(CV値の小さいバルブ、フィルタ等のデバイスが存在する場合)に特に有効に適用できる。
【0090】
[実施形態4]
図10に示された実施形態4のオゾンガス供給システム1は、実施形態1,2の連続的にオゾン濃度を変更可能なバルブ制御または実施形態3のバルブV6と同期して動作可能なバルブ制御の機能を有する。これにより、オゾンガス供給装置2からのオゾンガスをオゾン濃度可変及び希釈量可変にプロセス装置7に連続的に供給可能となる。
【0091】
オゾンガス供給システム1は、液体オゾンを貯蔵する複数のオゾンガス供給装置2を有し、複系統の実施形態1,2のガス導入ライン3、ガス供給ライン4及びガス排出ライン5を備える。図示のオゾンガス供給システム1は、複数のオゾンガス供給装置2としてオゾンガス供給装置2(1),2(2)を有し、2系統のガス導入ライン3、ガス供給ライン4及びガス排出ライン5を備える。
【0092】
バルブV1(1),V2(1),V3(1),V4(1),V5(1)はオゾンガス供給装置2(1)に対応し、バルブV1(2),V2(2),V3(2),V4(2),V5(2)はオゾンガス供給装置2(2)に対応する。
【0093】
図10,11を参照して実施形態4の動作例について説明する。
【0094】
実施形態4のバルブ類、流量制御器MFC1,MFC2及びオゾンガス供給装置2(1),2(2)のベッセル21(1),21(2)の動作スケジュールは実施形態1,2と基本的に同様となる。
【0095】
特に、例えば、一つのオゾンガス供給装置2(1)のベッセル21(1)が液体オゾンを蓄積する一方で他のオゾンガス供給装置2(2)のベッセル21(2)がオゾンガスを供給することで任意オゾン濃度(例えば40%、60%)のオゾンガスをプロセス装置7に常時供給できる。
【0096】
また、供給するオゾンガスの濃度及び圧力は、例えば図11のS6,S7,S7,S6の供給ガス濃度設定切り替え工程で流量制御器MFC1,MFC2の流量制御、ベッセル21(1),21(2)の温度制御により任意のタイミングで変更可能となる。
【0097】
以上の実施形態4によれば、24時間連続でオゾンガスを供給でき、同時に任意のタイミングでオゾン濃度を変更、制御できる。また、供給ガスの全圧及び全流量が一定の条件でオゾンガス濃度のみを可変にする連続供給も可能となる。さらに、実施形態3と同様に希釈ガス用のバルブV5(1),V5(2)をプロセス装置7側のバルブV6と同期させることで、不連続的(パルス的)に高い圧力のオゾンガスを供給できる。
【0098】
また、図12に示した実施形態4の他の態様は、図6の実施形態2の他の態様と同様にガス回収ライン12(1)(2)を備える。ガス回収ライン12(1)(2)はオゾンガス供給装置2(1)(2)に各々対応する。
【0099】
ガス回収ライン12(1)は、ガス供給ライン4の供給配管40から供給ガスの一部を回収する回収配管120(1)を有する。回収配管120(1)は、供給配管40に繋がる排気配管50(1)に前記一部の供給ガスを随時返送可能なバルブV7(1)を備える。
【0100】
ガス回収ライン12(2)は、ガス供給ライン4の供給配管40から供給ガスの一部を回収する回収配管120(2)を有する。回収配管120(2)は、供給配管40に繋がる排気配管50(2)に前記一部の供給ガスを随時返送可能なバルブV7(2)を備える。
【0101】
同図の態様によれば、より柔軟なオゾンガス圧力条件、オゾンガス流量条件及びオゾン濃度条件でオゾンガス供給装置2(1),2(2)からのガスをプロセス装置7に供給できる。
【0102】
特に、24時間連続のオゾンガスの供給を可能にした上で、オゾン濃度の制御目標の変更に伴う過渡的な時間帯はガス回収ライン12(1),12(2)を介して供給ガスがガス供給ライン4に返送される。これにより、正確な濃度のオゾンガスをプロセス装置7に常時供給できる。また、プロセス装置7とオゾン供給元が物理的に離れている場合やガス流量が少ない場合にはガス回収ライン12(1),12(2)を介して供給ガスがガス供給ライン4に循環供給される。これにより、オゾンガスの輸送中の分解を抑えたままプロセス装置7に高濃度のオゾンガスを供給できる。
【符号の説明】
【0103】
1…オゾンガス供給システム
2,2(1),2(2)…オゾンガス供給装置、21,21(1),21(2)…ベッセル、22…コールドヘッド、23…冷凍機、24…保温部
3…ガス導入ライン、30…導入配管、31…レギュレータ、32…オゾナイザー、MFC1…流量制御器、V1,V1(1),V1(2)…バルブ
4…ガス供給ライン、40…供給配管、PG…圧力計、V3,V3(1),V3(2),V6…バルブ
5…ガス排出ライン、50…排気配管、P0…排気ポンプ、V2,V2(1),V(2)…バルブ
6…バイパスライン、60…バイパス配管、V5…バルブ
7…プロセス装置
8…オゾン分解装置
9…排気設備
11…希釈ガス導入ライン、110…導入配管、31…レギュレータ、MFC2…流量制御器、V5(1),V5(2)…バルブ、111…熱交換器
12,12(1),12(2)…ガス回収ライン、120…回収配管、V7…バルブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-03-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾナイザーで得られたオゾンガスの低温分留によりオゾン濃度80体積%以上のオゾンガスを生成して供給可能なオゾンガス供給装置と、
希釈ガスを前記オゾナイザーに導入可能に当該オゾナイザーからオゾンガスを前記オゾンガス供給装置に導入するガス導入ラインと、
前記ガス導入ラインの前記希釈ガスの流量を制御することで前記オゾンガス供給装置においてオゾンガスのオゾン濃度を調整可能な第一の流量制御器と、
を備えたことを特徴とするオゾンガス供給システム。
【請求項2】
前記オゾンガス供給装置からのオゾンガスをプロセス装置に供給するガス供給ラインと、
前記オゾンガス供給装置からオゾンガスを排出するガス排出ラインと、
前記オゾンガス供給装置からのオゾンガスを前記ガス供給ラインに供給する直前で前記ガス導入ラインの残留ガスを前記ガス排出ラインに排出可能なバイパスラインと、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のオゾンガス供給システム。
【請求項3】
前記希釈ガスを前記ガス導入ラインに導入可能な希釈ガス導入ラインと、
この希釈ガス導入ラインの前記希釈ガスの流量を制御することで前記オゾンガス供給装置においてオゾンガスのオゾン濃度を調整可能な第二の流量制御器をさらに備えたこと特徴とする請求項1に記載のオゾンガス供給システム。
【請求項4】
前記オゾンガス供給装置からのオゾンガスをプロセス装置に供給するガス供給ラインを備え、
前記希釈ガス導入ラインは、希釈ガス供給バルブを備え、
前記ガス供給ラインは、オゾンガス供給バルブを備え、
前記希釈ガス供給バルブは、前記オゾンガス供給バルブと同期して開閉可能であることを特徴とする請求項3に記載のオゾンガス供給システム。
【請求項5】
前記オゾンガス供給装置からのオゾンガスをプロセス装置に供給するガス供給ラインと、
前記オゾンガス供給装置から前記プロセス装置に供給されるオゾンガスの一部を前記ガス供給ラインに返送可能なガス回収ラインと、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のオゾンガス供給システム。
【請求項6】
前記オゾンガス供給装置を複数備え、
一つの前記オゾンガス供給装置が液体オゾンを蓄積する一方で他の前記オゾンガス供給装置がオゾンガスを供給可能であることを特徴とする請求項1に記載のオゾンガス供給システム。
【請求項7】
前記希釈ガスの流量と前記低温分留により生成される液体オゾンを貯留する前記オゾンガス供給装置のベッセルの温度と当該低温分留により生成されるオゾンガスのオゾン濃度との関係及び当該希釈ガスの流量と当該ベッセルの圧力との関係に基づき当該希釈ガスの流量及び当該ベッセルの温度を制御する制御部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のオゾンガス供給システム。
【請求項8】
前記希釈ガスの流量と前記ベッセルの温度は独立に制御することを特徴とする請求項7に記載のオゾンガス供給システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記ベッセルの温度の一定のもとで前記希釈ガスの流量若しくは種類を変えることで前記オゾンガス供給装置の前記オゾンガスの供給圧力及びオゾンガス濃度を制御することを特徴とする請求項7に記載のオゾンガス供給システム。
【請求項10】
前記希釈ガスはオゾンガスよりも蒸気圧が高く当該オゾンガスと反応しないガスであることを特徴とする請求項1に記載のオゾンガス供給システム。
【請求項11】
前記オゾンガス供給装置からオゾンガスを排出するガス排出ラインを備え、
前記ガス回収ラインは前記プロセス装置に供給される前記オゾンガスの一部を前記ガス供給ラインに繋がる前記ガス排出ラインに供給可能であることを特徴とする請求項5に記載のオゾンガス供給システム。
【請求項12】
前記希釈ガス導入ラインは熱交換器を介して前記希釈ガスを前記ガス導入ラインに導入することを特徴とする請求項3に記載のオゾンガス供給システム。
【請求項13】
前記熱交換器は前記希釈ガスの温度を変えることで前記オゾンガスの供給圧力及びオゾンガス濃度を制御することを特徴とする請求項12に記載のオゾンガス供給システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、低温分留によりオゾン濃度80体積(以下、体積%を%と称する。図面においても同様。)以上の高濃度オゾンガスを得るガス供給システムにおいて、高速かつ再現性良く任意のオゾン濃度に変更若しくは瞬時にオゾン分圧を高める技術に関する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
本発明の一態様は、前記オゾンガス供給システムにおいて、前記オゾンガス供給装置を複数備え、一つの前記オゾンガス供給装置が液体オゾンを蓄積する一方で他の前記オゾンガス供給装置がオゾンガスを供給可能である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0072】
そして、図3に示したように熱交換器111を介して希釈するガスをベッセル21に供給することで、ベッセル21内のガス温度をより安定に制御でき、液体オゾンの気化量が安定し、オゾン濃度の制御安定性が向上する。特に、ガスの温度を高い精度(例えば50±0.5°Cに制御)とすることで、より高い精度のオゾン濃度制御性が実現する
図3-5を参照して実施形態2の動作例について説明する。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾナイザーで得られたオゾンガスの低温分留によりオゾン濃度80体積%以上のオゾンガスを生成して供給可能なオゾンガス供給装置と、
希釈ガスを前記オゾナイザーに導入可能に当該オゾナイザーからオゾンガスを前記オゾンガス供給装置に導入するガス導入ラインと、
前記オゾンガス供給装置からのオゾンガスをプロセス装置に供給するガス供給ラインと、
前記オゾンガス供給装置からオゾンガスを排出するガス排出ラインと、
前記オゾンガス供給装置からのオゾンガスを前記ガス供給ラインに供給する直前で前記ガス導入ラインの残留ガスを前記ガス排出ラインに排出可能なバイパスラインと、
前記ガス導入ラインの前記希釈ガスの流量を制御することで前記オゾンガス供給装置においてオゾンガスのオゾン濃度を調整可能な第一の流量制御器と、
この第一の流量制御器にて検出される前記希釈ガスの流量と前記低温分留により生成される液体オゾンを貯留する前記オゾンガス供給装置のベッセルの温度と当該低温分留により生成されるオゾンガスのオゾン濃度との関係及び当該希釈ガスの流量と当該ベッセルの圧力との関係に基づき当該希釈ガスの流量及び当該ベッセルの温度を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とするオゾンガス供給システム。
【請求項2】
前記希釈ガスを前記ガス導入ラインに導入可能な希釈ガス導入ラインと、
この希釈ガス導入ラインの前記希釈ガスの流量を制御することで前記オゾンガス供給装置においてオゾンガスのオゾン濃度を調整可能な第二の流量制御器をさらに備えたこと特徴とする請求項1に記載のオゾンガス供給システム。
【請求項3】
前記オゾンガス供給装置からのオゾンガスをプロセス装置に供給するガス供給ラインを備え、
前記希釈ガス導入ラインは、希釈ガス供給バルブを備え、
前記ガス供給ラインは、オゾンガス供給バルブを備え、
前記希釈ガス供給バルブは、前記オゾンガス供給バルブと同期して開閉可能であることを特徴とする請求項に記載のオゾンガス供給システム。
【請求項4】
オゾナイザーで得られたオゾンガスの低温分留によりオゾン濃度80体積%以上のオゾンガスを生成して供給可能なオゾンガス供給装置と、
希釈ガスを前記オゾナイザーに導入可能に当該オゾナイザーからオゾンガスを前記オゾンガス供給装置に導入するガス導入ラインと、
前記オゾンガス供給装置からのオゾンガスをプロセス装置に供給するガス供給ラインと、
前記オゾンガス供給装置から前記プロセス装置に供給されるオゾンガスの一部を前記ガス供給ラインに返送可能なガス回収ラインと、
前記ガス導入ラインの前記希釈ガスの流量を制御することで前記オゾンガス供給装置においてオゾンガスのオゾン濃度を調整可能な第一の流量制御器と、
この第一の流量制御器にて検出される前記希釈ガスの流量と前記低温分留により生成される液体オゾンを貯留する前記オゾンガス供給装置のベッセルの温度と当該低温分留により生成されるオゾンガスのオゾン濃度との関係及び当該希釈ガスの流量と当該ベッセルの圧力との関係に基づき当該希釈ガスの流量及び当該ベッセルの温度を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とするオゾンガス供給システム。
【請求項5】
オゾナイザーで得られたオゾンガスの低温分留によりオゾン濃度80体積%以上のオゾンガスを生成して供給可能なオゾンガス供給装置と、
希釈ガスを前記オゾナイザーに導入可能に当該オゾナイザーからオゾンガスを前記オゾンガス供給装置に導入するガス導入ラインと、
前記ガス導入ラインの前記希釈ガスの流量を制御することで前記オゾンガス供給装置においてオゾンガスのオゾン濃度を調整可能な第一の流量制御器と、
この第一の流量制御器にて検出される前記希釈ガスの流量と前記低温分留により生成される液体オゾンを貯留する前記オゾンガス供給装置のベッセルの温度と当該低温分留により生成されるオゾンガスのオゾン濃度との関係及び当該希釈ガスの流量と当該ベッセルの圧力との関係に基づき当該希釈ガスの流量及び当該ベッセルの温度を制御する制御部と、
を備え、
前記オゾンガス供給装置複数備えられ、
一つの前記オゾンガス供給装置が液体オゾンを蓄積する一方で他の前記オゾンガス供給装置がオゾンガスを供給可能であることを特徴とするオゾンガス供給システム。
【請求項6】
前記希釈ガスの流量と前記ベッセルの温度は独立に制御することを特徴とする請求項1,4,5のいずれかに記載のオゾンガス供給システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記ベッセルの温度の一定のもとで前記希釈ガスの流量若しくは種類を変えることで前記オゾンガス供給装置の前記オゾンガスの供給圧力及びオゾンガス濃度を制御することを特徴とする請求項1,4,5のいずれかに記載のオゾンガス供給システム。
【請求項8】
前記希釈ガスはオゾンガスよりも蒸気圧が高く当該オゾンガスと反応しないガスであることを特徴とする請求項1,4,5のいずれかに記載のオゾンガス供給システム。
【請求項9】
前記オゾンガス供給装置からオゾンガスを排出するガス排出ラインを備え、
前記ガス回収ラインは前記プロセス装置に供給される前記オゾンガスの一部を前記ガス供給ラインに繋がる前記ガス排出ラインに供給可能であることを特徴とする請求項に記載のオゾンガス供給システム。
【請求項10】
前記希釈ガス導入ラインは熱交換器を介して前記希釈ガスを前記ガス導入ラインに導入することを特徴とする請求項に記載のオゾンガス供給システム。
【請求項11】
前記熱交換器は前記希釈ガスの温度を変えることで前記オゾンガスの供給圧力及びオゾンガス濃度を制御することを特徴とする請求項10に記載のオゾンガス供給システム。