(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123304
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】森林分析システム、森林分析方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06V 10/74 20220101AFI20240905BHJP
G06Q 50/02 20240101ALI20240905BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20240905BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240905BHJP
G06V 20/13 20220101ALI20240905BHJP
【FI】
G06V10/74
G06Q50/02
G06T1/00 285
G06T7/00 350B
G06V20/13
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024215
(22)【出願日】2023-02-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-09-04
(71)【出願人】
【識別番号】000164438
【氏名又は名称】九州電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136180
【弁理士】
【氏名又は名称】羽立 章二
(72)【発明者】
【氏名】中山 浩章
(72)【発明者】
【氏名】村上 和磨
【テーマコード(参考)】
5B057
5L049
5L050
5L096
【Fターム(参考)】
5B057AA14
5B057DA13
5B057DC36
5L049CC01
5L050CC01
5L096FA64
5L096FA65
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】 衛星データに撮影された各立木の情報を用いて、調査森林範囲を全体として高い精度で分析することに適した森林分析システム等を提供する。
【解決手段】 森林分析システム1は、計測装置3と、調査処理サーバ7を備える。調査処理サーバ7は、関数分析部47と、判定処理部55と、立木分析処理部59を備える。計測装置3は、特定実地調査範囲を測定して各立木の立木データを取得する。関数分析部47は、立木データに含まれる樹冠、胸高直径及び樹高から、樹冠胸高直径関数及び樹冠樹高関数を得る。判定処理部55は、調査森林範囲を撮影した判定用衛星データから、調査森林範囲における各立木の樹冠の形状を特定する。立木分析処理部59は、樹冠胸高直径関数及び樹冠樹高関数を用いて、それぞれ、判定処理部55が特定した各立木の樹冠の形状から、各立木の胸高直径及び樹高を計算する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調査森林範囲における立木を分析する森林分析システムであって、
計測装置と、調査処理サーバを備え、
前記調査処理サーバは、関数分析部と、立木分析処理部を備え、
前記計測装置は、特定実地調査範囲における各立木を計測して、特定実地調査範囲に存在する各立木の立木データを取得し、
前記特定実地調査範囲は、前記調査森林範囲よりも狭く、一部又は全部は調査森林範囲に含まれ、
前記立木データは、各立木の樹冠、胸高直径及び樹高を含み、
前記関数分析部は、
前記立木データに含まれる樹冠及び胸高直径から、独立変数の一つとして樹冠の大きさを含み、従属変数の一つとして胸高直径を含む樹冠胸高直径関数を得、及び/又は、
前記立木データに含まれる樹冠及び樹高から、独立変数の一つとして樹冠の大きさを含み、従属変数の一つとして樹高を含む樹冠樹高関数を得、
前記立木分析処理部は、前記樹冠胸高直径関数及び/又は前記樹冠樹高関数を用いて、それぞれ、前記調査森林範囲を撮影した判定用衛星データから特定された各立木の樹冠の形状から、各立木の胸高直径及び/又は樹高を計算する、森林分析システム。
【請求項2】
前記調査処理サーバは、判定処理部と、学習処理部を備え、
前記学習処理部は、モデル生成用衛星データと、当該モデル生成用衛星データに含まれる各立木の樹冠の形状のアノテーションデータを学習データとして学習処理を行ってモデルを生成し、
前記判定処理部は、前記モデルを用いて、前記調査森林範囲を撮影した判定用衛星データから、前記調査森林範囲における各立木の樹冠の形状を特定する、請求項1記載の森林分析システム。
【請求項3】
前記調査処理サーバは、材積量計算部を備え、
前記学習処理部は、モデル生成用衛星データと、当該モデル生成用衛星データに含まれる各立木の樹冠の形状及び樹種のアノテーションデータを学習データとして学習処理を行ってモデルを生成し、
前記関数分析部は、
前記立木データに含まれる樹冠及び胸高直径から、独立変数の一つとして樹冠の大きさを含み、従属変数の一つとして胸高直径を含む樹冠胸高直径関数を得、
前記立木データに含まれる樹冠及び樹高から、独立変数の一つとして樹冠の大きさを含み、従属変数の一つとして樹高を含む樹冠樹高関数を得、
前記判定処理部は、前記モデルを用いて、前記調査森林範囲を撮影した判定用衛星データから、前記調査森林範囲における各立木の樹冠の形状及び樹種を特定し、
前記立木分析処理部は、前記樹冠胸高直径関数及び前記樹冠樹高関数を用いて、それぞれ、前記判定処理部が特定した各立木の樹冠の形状から、各立木の胸高直径及び樹高を計算し、
前記材積量計算部は、前記判定処理部が特定した各立木の樹種に対応する係数と、前記立木分析処理部が計算した各立木の胸高直径及び樹高を用いて、前記調査森林範囲における材積量を計算する、請求項2記載の森林分析システム。
【請求項4】
前記立木データは、各立木の樹冠、胸高直径、樹高及び樹種を含み、
前記学習処理部が用いる学習データは、前記立木データにおける樹冠の形状及び樹種を含む、請求項3記載の森林分析システム。
【請求項5】
調査森林範囲における立木を分析する森林分析システムにおける森林分析方法であって、
前記森林分析システムは、計測装置と、調査処理サーバを備え、
前記調査処理サーバは、関数分析部と、立木分析処理部を備え、
前記計測装置は、特定実地調査範囲における各立木を計測して、特定実地調査範囲に存在する各立木の立木データを取得し、
前記特定実地調査範囲は、前記調査森林範囲よりも狭く、一部又は全部は調査森林範囲に含まれ、
前記立木データは、各立木の樹冠、胸高直径及び樹高を含み、
前記関数分析部が、
前記立木データに含まれる樹冠及び胸高直径から、独立変数の一つとして樹冠の大きさを含み、従属変数の一つとして胸高直径を含む樹冠胸高直径関数を得、
前記立木データに含まれる樹冠及び樹高から、独立変数の一つとして樹冠の大きさを含み、従属変数の一つとして樹高を含む樹冠樹高関数を得る関数分析ステップと、
前記立木分析処理部が、前記樹冠胸高直径関数及び前記樹冠樹高関数を用いて、それぞれ、前記調査森林範囲を撮影した判定用衛星データから特定された各立木の樹冠の形状から、各立木の胸高直径及び樹高を計算する立木分析処理ステップを含む森林分析方法。
【請求項6】
コンピュータを、請求項1記載の調査処理サーバとして機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、森林分析システム、森林分析方法及びプログラムに関し、特に、調査森林範囲における立木を分析する森林分析システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1乃至5には、衛星データなどに撮影された立木の樹冠を分析することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-198760号公報
【特許文献2】特開2007-66050号公報
【特許文献3】特開2006-285310号公報
【特許文献4】特開2003-344048号公報
【特許文献5】特開2001-357380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1乃至5には、個々の立木について樹冠に関する情報を得ることが記載されているが、これらの個々の立木に関する情報を森林全体として有効に活用することは記載されていない。
【0005】
よって、本願発明は、衛星データに撮影された各立木の情報を用いて、調査森林範囲を全体として高い精度で分析することに適した森林分析システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の第1の側面は、調査森林範囲における立木を分析する森林分析システムであって、計測装置と、調査処理サーバを備え、前記調査処理サーバは、関数分析部と、立木分析処理部を備え、前記計測装置は、特定実地調査範囲における各立木を計測して、特定実地調査範囲に存在する各立木の立木データを取得し、前記特定実地調査範囲は、前記調査森林範囲よりも狭く、一部又は全部は調査森林範囲に含まれ、前記立木データは、各立木の樹冠、胸高直径及び樹高を含み、前記関数分析部は、前記立木データに含まれる樹冠及び胸高直径から、独立変数の一つとして樹冠の大きさを含み、従属変数の一つとして胸高直径を含む樹冠胸高直径関数を得、及び/又は、前記立木データに含まれる樹冠及び樹高から、独立変数の一つとして樹冠の大きさを含み、従属変数の一つとして樹高を含む樹冠樹高関数を得、前記立木分析処理部は、前記樹冠胸高直径関数及び/又は前記樹冠樹高関数を用いて、それぞれ、前記調査森林範囲を撮影した判定用衛星データから特定された各立木の樹冠の形状から、各立木の胸高直径及び/又は樹高を計算する。
【0007】
本願発明の第2の側面は、第1の側面の森林分析システムであって、前記調査処理サーバは、判定処理部と、学習処理部を備え、前記学習処理部は、モデル生成用衛星データと、当該モデル生成用衛星データに含まれる各立木の樹冠の形状のアノテーションデータを学習データとして学習処理を行ってモデルを生成し、前記判定処理部は、前記モデルを用いて、前記調査森林範囲を撮影した判定用衛星データから、前記調査森林範囲における各立木の樹冠の形状を特定する。
【0008】
本願発明の第3の側面は、第2の側面の森林分析システムであって、前記調査処理サーバは、材積量計算部を備え、前記学習処理部は、モデル生成用衛星データと、当該モデル生成用衛星データに含まれる各立木の樹冠の形状及び樹種のアノテーションデータを学習データとして学習処理を行ってモデルを生成し、前記関数分析部は、前記立木データに含まれる樹冠及び胸高直径から、独立変数の一つとして樹冠の大きさを含み、従属変数の一つとして胸高直径を含む樹冠胸高直径関数を得、前記立木データに含まれる樹冠及び樹高から、独立変数の一つとして樹冠の大きさを含み、従属変数の一つとして樹高を含む樹冠樹高関数を得、前記判定処理部は、前記モデルを用いて、前記調査森林範囲を撮影した判定用衛星データから、前記調査森林範囲における各立木の樹冠の形状及び樹種を特定し、前記立木分析処理部は、前記樹冠胸高直径関数及び前記樹冠樹高関数を用いて、それぞれ、前記判定処理部が特定した各立木の樹冠の形状から、各立木の胸高直径及び樹高を計算し、前記材積量計算部は、前記判定処理部が特定した各立木の樹種に対応する係数と、前記立木分析処理部が計算した各立木の胸高直径及び樹高を用いて、前記調査森林範囲における材積量を計算する。なお、樹冠胸高直径関数及び/又は樹冠樹高関数は、それぞれ、樹種に応じて、各立木の樹冠の形状から、各立木の胸高直径及び樹高を計算するためのものであってもよい。
【0009】
本願発明の第4の側面は、第3の側面の森林分析システムであって、前記立木データは、各立木の樹冠、胸高直径、樹高及び樹種を含み、前記学習処理部が用いる学習データは、前記立木データにおける樹冠の形状及び樹種を含む。
【0010】
本願発明の第5の側面は、調査森林範囲における立木を分析する森林分析システムにおける森林分析方法であって、前記森林分析システムは、計測装置と、調査処理サーバを備え、前記調査処理サーバは、関数分析部と、立木分析処理部を備え、前記計測装置は、特定実地調査範囲における各立木を計測して、特定実地調査範囲に存在する各立木の立木データを取得し、前記特定実地調査範囲は、前記調査森林範囲よりも狭く、一部又は全部は調査森林範囲に含まれ、前記立木データは、各立木の樹冠、胸高直径及び樹高を含み、前記関数分析部が、前記立木データに含まれる樹冠及び胸高直径から、独立変数の一つとして樹冠の大きさを含み、従属変数の一つとして胸高直径を含む樹冠胸高直径関数を得、前記立木データに含まれる樹冠及び樹高から、独立変数の一つとして樹冠の大きさを含み、従属変数の一つとして樹高を含む樹冠樹高関数を得る関数分析ステップと、前記立木分析処理部が、前記樹冠胸高直径関数及び前記樹冠樹高関数を用いて、それぞれ、前記調査森林範囲を撮影した判定用衛星データから特定された各立木の樹冠の形状から、各立木の胸高直径及び樹高を計算する立木分析処理ステップを含む。
【0011】
本願発明の第6の側面は、第5の側面の森林分析方法であって、前記調査処理サーバは、判定処理部と、学習処理部を備え、前記学習処理部が、モデル生成用衛星データと、当該モデル生成用衛星データに含まれる各立木の樹冠の形状のアノテーションデータを学習データとして学習処理を行ってモデルを生成するステップと、前記判定処理部が、前記モデルを用いて、前記調査森林範囲を撮影した判定用衛星データから、前記調査森林範囲における各立木の樹冠の形状を特定するステップを含む。
【0012】
本願発明の第7の側面は、第6の側面の森林分析方法であって、前記調査処理サーバは、材積量計算部を備え、前記学習処理部は、モデル生成用衛星データと、当該モデル生成用衛星データに含まれる各立木の樹冠の形状及び樹種のアノテーションデータを学習データとして学習処理を行ってモデルを生成し、前記関数分析部は、前記立木データに含まれる樹冠及び胸高直径から、独立変数の一つとして樹冠の大きさを含み、従属変数の一つとして樹高を含む樹冠胸高直径関数を得、前記立木データに含まれる樹冠及び樹高から、独立変数の一つとして樹冠の大きさを含み、従属変数の一つとして樹高を含む樹冠樹高関数を得、前記判定処理部は、前記モデルを用いて、前記調査森林範囲を撮影した判定用衛星データから、前記調査森林範囲における各立木の樹冠の形状及び樹種を特定し、前記立木分析処理部は、前記樹冠胸高直径関数及び前記樹冠樹高関数を用いて、それぞれ、前記判定処理部が特定した各立木の樹冠の形状から、各立木の胸高直径及び樹高を計算し、前記材積量計算部は、前記判定処理部が特定した各立木の樹種に対応する係数と、前記立木分析処理部が計算した各立木の胸高直径及び樹高を用いて、前記調査森林範囲における材積量を計算する。
【0013】
本願発明の第8の側面は、第7の側面の森林分析方法であって、前記立木データは、各立木の樹冠、胸高直径、樹高及び樹種を含み、前記学習処理部が用いる学習データは、前記立木データにおける樹冠の形状及び樹種を含む。
【0014】
本願発明の第9の側面は、コンピュータを、第1から第4のいずれかの側面の調査処理サーバとして機能させるためのプログラムである。
【0015】
なお、本願発明を、本願発明の第9の側面のプログラムを記録するコンピュータ読み取り可能な記録媒体として捉えてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本願発明の各側面によれば、調査森林範囲という広い範囲での衛星データを利用した個々の立木に関する分析処理を、特定実地調査範囲という狭い範囲における人手での計測作業によってその地域に応じた実情を加味して補うことにより、調査森林範囲の全体としての立木の分析処理を高い精度で実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本願発明の実施の形態である森林分析システム1の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】モデルの生成処理の一例を示すフロー図である。
【
図3】衛星データによる分析を補うための実地調査についての処理の一例を示すフロー図である。
【
図4】判定用衛星データに撮影された立木を分析して材積量を計算する処理の一例を示すフロー図である。
【
図5】(a)樹冠、樹高及び胸高直径を説明するための図であり、(b)樹冠の大きさを横軸とし、胸高直径を縦軸として、計測データをプロットしたグラフであり、線形近似により樹冠胸高直径関数を求める処理の一例を説明するための図である。
【
図6】本数と材積量について、本願発明による調査結果と、他の手法による調査結果を比較する図である。
【
図7】コストについて、本願発明による調査結果と、他の手法による調査結果を比較する図である。
【
図8】施工性について、本願発明による調査結果と、他の手法による調査結果を比較する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本願発明の実施例について述べる。なお、本願発明の実施の形態は、以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例0019】
図1は、本願発明の実施の形態である森林分析システム1の構成の一例を示すブロック図である。
【0020】
森林分析システム1は、計測装置3と、衛星データサーバ5と、調査処理サーバ7と、情報処理端末9を備える。調査処理サーバ7は、計測装置3、衛星データサーバ5及び情報処理端末9と通信(有線通信でも無線通信でもよい)をすることができる。
【0021】
計測装置3は、レーザースキャナなどによって屋外の空間情報を3次元データとして取得するものである。例えば赤外線レーザーなどを使用して、森林内部の一定の範囲(例えば20m×20m(400m2))において複数の地点で計測を行いソフトウェアで解析することによって、その範囲内での立木データと正確な立木位置図を得ることができる。立木データは、胸高直径(成人の胸の高さにおける立木の直径。胸高基準は、日本では1.2m。)、樹冠(樹木の上部の枝や葉が茂っている部分。種類によって特徴のある形を示す。)、樹高(立木の根本から樹冠の一番高い部分までの高さ。)などである。計測装置3は、例えば、森林3次元計測システムOWL(アウル)などが知られている。
【0022】
計測装置3は、計測処理部11と、計測データ記憶部13を備える。計測処理部11は、森林内部の一定の範囲(実地調査を行った範囲)の空間情報を3次元データとして取得し、その範囲内での立木データ(胸高直径、樹冠、樹高を含む。)及び立木位置図を取得する。計測データ記憶部13は、計測処理部11が取得した立木データ及び立木位置図を記憶する。計測処理部11は、必要に応じて、調査処理サーバ7に立木データ及び立木位置図を送信する。
【0023】
衛星データサーバ5は、衛星が地表を撮影して得られた画像(静止画でも動画でもよい。)を示す衛星データを管理するサーバである。
【0024】
衛星データサーバ5は、衛星データ送信部15と、衛星データ記憶部17を備える。衛星データ記憶部17は、衛星データを記憶する。衛星データ送信部15は、調査処理サーバ7に対して、そのリクエストに応じて、指定された範囲の衛星データを送信する。
【0025】
情報処理端末9は、ユーザが使用する情報処理端末である。情報処理端末9は、ユーザが情報を入力し、ユーザに対して情報を出力する入出力処理部67を備える。入出力処理部67は、調査処理サーバ7に対して入力された情報を送信し、調査処理サーバ7から立木の本数、材積量などの情報を受信する。
【0026】
調査処理サーバ7は、モデル生成部21と、計測データ処理部23と、計算処理部25と、入出力処理部27を備える。
【0027】
モデル生成部21は、モデル生成用衛星データ受信部31と、モデル生成用衛星データ記憶部33と、学習データ生成部35と、学習データ記憶部37と、学習処理部39と、モデル記憶部41を備える。
【0028】
計測データ処理部23は、計測データ入力部43と、計測データ記憶部45と、関数分析部47と、関数記憶部49を備える。
【0029】
計算処理部25は、判定用衛星データ受信部51と、判定用衛星データ記憶部53と、判定処理部55と、樹冠・本数記憶部57と、立木分析処理部59と、分析結果記憶部61と、材積量計算部63と、材積量記憶部65を備える。
【0030】
ここで、計測処理部11は、例えば、レーザースキャナなどによって屋外の空間情報を3次元データとして取得するハードウエアと、調査処理サーバ7と通信を行うためのハードウエアと、プログラムの下で動作するプロセッサなどによって実現することができる。
【0031】
入出力処理部67は、キーボード、マウス、ディスプレイ、タッチパネルなどのように、ユーザがデータを入力したり、ユーザにデータを出力したりするための処理を行うためのハードウエアと、プログラムの下で動作するプロセッサなどによって実現することができる。
【0032】
衛星データ送信部15、モデル生成用衛星データ受信部31、計測データ入力部43及び判定用衛星データ受信部51は、例えば、他の装置と通信するためのハードウエアと、プログラムの下で動作するプロセッサなどによって実現することができる。
【0033】
各記憶部は、例えば、メモリ、ハードディスクなどのようにデータを記憶する記憶装置によって実現することができる。
【0034】
情報処理を実現するための各部(例えば、モデル生成部21、計算処理部25、学習データ生成部35、学習処理部39、関数分析部47、判定処理部55、立木分析処理部59及び材積量計算部63)は、例えば、プログラムの下で動作するプロセッサなどによって実現することができる。なお、学習データ生成部35などは、必要に応じて、他の装置と通信するためのハードウエアなどを利用して実現する。
【0035】
図2乃至
図4を参照して、森林分析システム1の動作の概要を説明する。
【0036】
以下では、材積量を計算する範囲の全体を「調査森林範囲」という。調査森林範囲における材積量を計算するために実地調査を行う範囲を「特定実地調査範囲」という。特定実地調査範囲は、調査森林範囲よりも狭い範囲である。また、特定実地調査範囲における立木の状況は、調査森林範囲における立木の状況と同様の傾向があることが望ましい。そのため、特定実地調査範囲の一部又は全部は、調査森林範囲に含まれる。
【0037】
図2乃至
図4の例では、簡単のために、調査森林範囲における森林は、同じ樹種の立木のみが含まれているものとする。各立木の樹種は、ユーザが入出力処理部67を操作して入力する。
【0038】
図2は、衛星データを入力とし、当該衛星データに撮影された各立木の樹冠の形状を出力とするモデルの生成処理の一例を示すフロー図である。
【0039】
ユーザは、情報処理端末9の入出力処理部67を操作して、調査処理サーバ7に対して、モデル生成用衛星データを取得するように指示する。モデル生成用衛星データ受信部31は、衛星データサーバ5にリクエストし、複数のモデル生成用衛星データを取得する(
図2のステップSTA1)。モデル生成用衛星データ受信部31は、取得した複数のモデル生成用衛星データをモデル生成用衛星データ記憶部33に記憶する。
【0040】
モデル生成用衛星データは、例えば、複数の異なる地域において撮影されたものを使用してもよく、同じ地域において異なる時季に撮影されたものを使用してもよい。異なる地域において撮影されたものを使用することにより、同じ樹種の立木でも、異なる環境において生育した場合の樹冠などを検出することが可能になる。同じ地域において異なる時季に撮影されたものを使用することにより、時季によって異なる立木の状況(例えば落葉するなど)に応じて樹冠などを検出することが可能になる。また、各立木は、通常、同じ位置で育ち、大きくなることから、成長過程を反映した樹冠などの検出が可能になる。
【0041】
学習データ生成部35は、各モデル生成用衛星データにアノテーションデータを付与し、学習データを生成する(ステップSTA2)。学習データ生成部35は、生成した学習データを学習データ記憶部37に記憶する。
【0042】
学習データは、例えば、以下のように生成することができる。
【0043】
学習データ生成部35は、モデル生成用衛星データを情報処理端末9に送信して表示させる。ユーザは、入出力処理部67において、モデル生成用衛星データに撮影された各立木の樹冠の形状を指定する。これは、例えば、ユーザが、各立木の樹頂点(最も高い位置)及び樹木端部(樹冠の端)を指定すると、樹頂点を中心とし、樹木端部を円周の一点とする円を計算して、この円を各立木の樹冠の形状として指定することができる。情報処理端末9の入出力処理部67は、学習データ生成部35に対して、指定された各立木の樹冠の形状を送信する。学習データ生成部35は、モデル生成用衛星データに対して、受信した各立木の樹冠の形状をアノテーションデータとする。
【0044】
また、学習データ生成部35は、自動的にアノテーションデータを生成してもよい。例えば、人工林で、同時期に植えられた多数の立木は、一定程度の規則性のある位置に存在し、これらの樹冠の形状は似たものであることが期待される。そのため、学習データ生成部35は、モデル生成用衛星データの画像処理を行い、色の変化や、画像において似た変化を示す傾向のある箇所を特定することにより、各立木の樹冠の形状を高い精度で検出することができる。学習データ生成部35は、画像処理によって得られた各立木の樹冠の形状を、モデル生成用衛星データのアノテーションデータとする。
【0045】
また、学習データ生成部35は、自動的に各立木の樹冠の形状を検出して、ユーザの確認の後に、アノテーションデータとしてもよい。すなわち、学習データ生成部35は、モデル生成用衛星データを画像処理して、自動的に各立木の樹冠の形状を検出する。学習データ生成部35は、モデル生成用衛星データと、その画像処理によって得られた各立木の樹冠の形状を情報処理端末9に送信して表示させる。ユーザは、入出力処理部67において、各立木の樹冠の形状を確認し、必要に応じて修正する。情報処理端末9の入出力処理部67は、学習データ生成部35に対して、ユーザが確認した各立木の樹冠の形状を送信する。学習データ生成部35は、ユーザが確認した各立木の樹冠の形状を、モデル生成用衛星データのアノテーションデータとする。
【0046】
学習処理部39は、学習データを使用して、衛星データを入力とし、当該衛星データに撮影された各立木の樹冠の形状を出力とするモデルを生成する(ステップSTA3)。学習処理部39は、生成されたモデルをモデル記憶部41に記憶する。
【0047】
図3は、衛星データによる分析を補うための実地調査についての処理の一例を示すフロー図である。
【0048】
ユーザは、計測装置3の計測処理部11を操作して、特定実地調査範囲における各立木を計測し、特定実地調査範囲に存在する各立木の立木データ(樹冠、胸高直径、樹高を含む。)及び立木位置図(以下では、立木データ及び立木位置図を併せて計測データという。)を取得する(ステップSTB1)。計測処理部11は、得られた計測データを計測データ記憶部13に記憶する。
【0049】
ユーザ(測定した人でもよく、測定した人とは別の人でもよい。)は、情報処理端末9の入出力処理部67を操作して、調査処理サーバ7に対して、計測データを取得するように指示する。計測データ入力部43は、計測装置3にリクエストを送信する。計測装置3は、計測データ入力部43のリクエストに応じて、調査処理サーバ7に対して計測データを送信する。計測データ入力部43は、計測データを受信する(ステップSTB2)。計測データ入力部43は、受信した計測データを計測データ記憶部45に記憶する。
【0050】
関数分析部47は、計測データから、特定実地調査範囲における、樹冠と胸高直径の関係を示す樹冠胸高直径関数、及び、樹冠と樹高の関係を示す樹冠樹高関数を得る(ステップSTB3)。樹冠胸高直径関数は、独立変数の一つとして樹冠の大きさを含み、従属変数の一つとして胸高直径を含む関数である。ここでは、樹冠の大きさを独立変数とし、胸高直径を従属変数とする関数を例に説明する。樹冠樹高関数は、独立変数の一つとして樹冠の大きさを含み、従属変数の一つとして樹高を含む関数である。ここでは、樹冠の大きさを独立変数とし、樹高を従属変数とする関数を例に説明する。樹冠胸高直径関数及び樹冠樹高関数を用いることにより、それぞれ、樹冠の大きさから、胸高直径及び樹高を計算することができる。関数分析部47は、樹冠胸高直径関数及び樹冠樹高関数を関数記憶部49に記憶する。
【0051】
図5(a)を参照して、樹冠、樹高及び胸高直径を説明する。樹冠は、樹木の上部の枝や葉が茂っている部分である。樹高は、立木の根本から樹冠の一番高い部分までの高さである。胸高直径は、成人の胸の高さにおける立木の直径である。
図5(b)を参照して、樹冠胸高直径関数を求める処理の一例を説明する。立木は、時間の経過に伴い、成長する。そのため、時間の経過に伴い、樹冠は大きくなり、胸高直径も大きくなる。そのため、樹冠の大きさ(例えば樹冠の外縁を含む円の半径)(m)が増加すると、胸高直径(m)も増加する傾向が認められる。各立木の樹冠の大きさを横軸に、胸高直径を縦軸にして、計測データの値をグラフ上にプロットし、例えば線形近似(計測データの各点からの距離が最小となる直線を求めることなど)をして近似直線L
11を計算することにより、この近似直線L
11を示す関数によって樹冠胸高直径関数を得ることができる。このように、計測データにおける同じ樹種の各立木の樹冠の大きさと胸高直径の値に対して、近似式を計算することによって、樹冠胸高直径関数を得ることができる。
【0052】
樹冠樹高関数も、樹冠胸高直径関数と同様に計算することができる。すなわち、計測データにおける同じ樹種の各立木の樹冠の大きさと樹高の値に対して近似式を計算することによって、樹冠樹高関数を得ることができる。樹冠胸高直径関数及び樹冠樹高関数は、それぞれ、独立変数の一つとして樹冠の大きさを含み、従属変数の一つとして胸高直径及び樹高を含む関数である。これらの関数は、例えば、一つの関数として表現されていてもよい。例えば、ある関数が、パラメータaが0のときは樹冠胸高直径関数として胸高直径を計算でき、パラメータaが1のときは樹冠樹高関数として樹高を計算できるものであってもよい。
【0053】
図4は、判定用衛星データに撮影された立木を分析して材積量を計算する処理の一例を示すフロー図である。
【0054】
ユーザは、情報処理端末9の入出力処理部67を操作して、調査森林範囲を特定するデータを入力する(ステップSTC1)。入出力処理部67は、調査処理サーバ7に対して、入力された調査森林範囲を特定するデータを送信する。
【0055】
判定用衛星データ受信部51は、受信した調査森林範囲を特定するデータを参照して、衛星データサーバ5に対して、調査森林範囲を撮影して得られた判定用衛星データをリクエストする。衛星データサーバ5は、調査処理サーバ7に対して、調査森林範囲を撮影して得られた判定用衛星データを送信する。調査処理サーバ7は、調査森林範囲を撮影して得られた判定用衛星データを取得する(ステップSTC2)。調査処理サーバ7は、受信した判定用衛星データを判定用衛星データ記憶部53に記憶する。
【0056】
判定処理部55は、モデル記憶部41に記憶されたモデルを利用して、判定用衛星データに撮影された各立木の樹冠の形状及び立木の本数を検出する(ステップSTC3)。判定処理部55は、検出した各立木の樹冠の形状及び立木の本数を樹冠・本数記憶部57に記憶する。
【0057】
立木分析処理部59は、関数記憶部49に記憶された樹冠胸高直径関数及び樹冠樹高関数を用いて、それぞれ、判定処理部55が検出した各立木の樹冠の形状から、胸高直径及び樹高を計算する(ステップSTC4)。立木分析処理部59は、計算した胸高直径及び樹高を分析結果記憶部61に記憶する。なお、立木分析処理部59は、ユーザが、判定処理部55が検出した各立木の樹冠の形状を確認し、必要に応じて修正したものを利用してもよい。また、立木分析処理部59は、判定処理部55が検出した各立木の樹冠の形状に加えて/代えて、ユーザが判定用衛星データから特定した各立木の樹冠の形状を利用してもよい。
【0058】
材積量計算部63は、調査森林範囲における材積量を、次の式によって計算する。すなわち、材積量計算部63は、材積量を、胸高直径、樹高及び係数の積で計算する。ここで、係数は、地域別、樹種別、人工林・天然林別の値である。地域は、ユーザが入力する調査森林範囲が含まれる地域によって特定することができる。樹種は、ユーザが入力する。また、人工林・天然林の別は、ユーザが入力する。調査処理サーバ7は、地域別、樹種別、人工林・天然林別の係数を特定することができる。
【0059】
【0060】
図6乃至
図8は、本願発明による調査結果と、他の手法による調査結果を比較するものである。グラフにおいて、「従来手法(毎木)」は、調査森林範囲内の全域の各立木を人力(輪尺・バーテックス)で計測したものである。「OWL(毎木)」は、OWLシステムを利用して全域を調査したものである。「OWL(標準地)」は、調査森林範囲における一部をOWLシステムで調査し、面積比を利用して全域での結果を推定したものである。衛星データは、本願発明を利用したものであり、衛星データによる検出を実地調査によって補ったものである。
【0061】
図6を参照して、本数と材積量について説明する。最も精度が高いのは、全立木を人力で計測したもの(従来手法(毎木))と考えられる。そのため、これを基準とする。棒グラフは、左から、従来手法(毎木)、OWL(毎木)、OWL(標準地)及び衛星データの本数を示す。本数は、「OWL(毎木)」及び「OWL(標準地)」では誤差2%程度が生じた。本願発明(衛星データ)では、誤差がほとんど生じなかった。折れ線グラフL
21は、左から、従来手法(毎木)、OWL(毎木)、OWL(標準地)及び衛星データの材積量を示す。材積量は、いずれも誤差が6~7%で、10%以内になった。
【0062】
図7を参照して、コストについて説明する。
図7において、縦軸は、1ha当たりの単価(円)である。線L
31、L
32、L
33及びL
34は、それぞれ、従来手法(毎木)、OWL(毎木)、OWL(標準地)及び衛星データの1haあたりの単価(円)を示す。線L
31、L
32及びL
33より、「従来手法(毎木)」、「OWL(毎木)」及び「OWL(標準地)」は、調査範囲が広がっても、面積当たりのコストはほぼ一定である。他方、線L
34より、「衛星データ」は、調査範囲が広がるにつれてコストが低くなる。50haを超えると、「従来手法(毎木)」及び「OWL(毎木)」よりもコストが低くなる。500haを超えると、「OWL(標準地)」よりもコストが低くなる。なお、「OWL(標準地)」は、面積比での算出となるため、他の手法と比較して精度は低い。他方、本願発明(衛星データ)は、すべての立木の本数、樹冠の形状などを把握するため、精度を確保することができる。
【0063】
図8を参照して、施工性について説明する。
図8において、縦軸は、1ha当たりの人日である。線L
41、L
42、L
43及びL
44は、それぞれ、従来手法(毎木)、OWL(毎木)、OWL(標準地)及び衛星データの1haあたりの施工性(人日)を示す。線L
41及びL
42より、「従来手法(毎木)」及び「OWL(毎木)」は、調査範囲が広がっても、面積当たりの施工性はほぼ一定である。線L
43より、「OWL(標準地)」は、一定の標準地を作業するため、調査範囲が広がると施工性は上がる。線L
44より、「衛星データ」は、調査範囲が広がるにつれて施工性が上がる。50haを超えると、他の手法よりも施工性が上がる。
【0064】
続いて、調査森林範囲に複数の樹種が存在する場合の処理の一例について説明する。
【0065】
樹冠は、立木の樹種によって特徴のある形を示す。そのため、調査処理サーバ7では、学習データ生成部35がモデル生成用衛星データを分析して得られる立木の樹冠の形状に対応させて、アノテーションデータに樹種を特定するためのデータを含ませることにより、学習処理部39が得たモデルを利用して、衛星データから立木の樹冠の形状を特定するとともに、当該立木の樹種を特定することができる。このように、広い範囲を撮影したモデル生成用衛星データによる学習処理からは、立木の樹冠の一般的な形状によって樹種を特定することができる。
【0066】
このように、
図2乃至
図4の処理において、下記のように処理を変更することにより、複数の樹種が含まれる場合についても処理を行うことができる。すなわち、ステップSTA2における学習データに、樹種に関するアノテーションデータを含ませる。ステップSTA3において、学習処理部39が生成するモデルは、衛星データから、各立木の樹冠の形状及び本数に加えて、各立木の樹種も特定できるようにする。
図4のステップSTC3において、判定処理部55は、モデルを用いて、判定用衛星データから、各立木の樹冠の形状及び本数に加えて、各立木の樹種を特定する。ステップSTC4において、樹冠胸高直径関数及び樹冠樹高関数は、それぞれ、各立木の樹冠の形状から、各立木の胸高直径及び樹高を計算する。ここで、樹冠胸高直径関数及び樹冠樹高関数は、樹種に応じて異なるものであって、それぞれ、樹種に応じて、各立木の樹冠の形状から、各立木の胸高直径及び樹高を計算するためのものであってもよい。ステップSTC5において、材積量計算部63は、判定処理部55が判定した各立木の樹種を用いて係数を決定し、材積量を計算する。
【0067】
さらに、樹冠の形状は、地域によって異なる場合がある。例えば、立木が密集している場合と、立木の間隔が一定以上ある場合では、同じ樹種であっても異なる樹冠の形状になることが予想される。そして、一定の地域内での樹種ごとの樹冠の形状は、似た傾向がみられる。そのため、学習データ生成部35は、計測装置3が計測して得られた計測データを用いて、特定実地調査範囲における、樹冠に対応させて樹種を特定するためのアノテーションデータを含むようにする。学習処理部39は、樹種を特定するモデルについての学習処理は、モデル生成用衛星データによる樹冠と樹種に関する一般的な傾向に加えて、計測データにおける特定実地調査範囲での樹冠と樹種に関する傾向を利用して行う。これにより、生成されたモデルによって、調査森林範囲を撮影した衛星データから、各立木の樹冠の形状と本数に加えて、各立木の樹種を特定することができる。
【0068】
このように、
図2乃至
図4の処理において、下記のように処理を変更することにより、複数の樹種が含まれる場合について、より高い精度で処理を行うことができる。すなわち、ステップSTA2における学習データに、樹種に関するアノテーションデータを含ませる。さらに、計測データから得られる、特定実地調査範囲における、樹冠の形状に対応する樹種に関する学習データを含ませる。ステップSTA3において、学習処理部39が生成するモデルは、衛星データから、各立木の樹冠の形状及び本数に加えて、各立木の樹種も、調査森林範囲において高い精度で特定できるようにする。ステップSTC3において、判定処理部55は、モデルを用いて、判定用衛星データから、各立木の樹冠の形状及び本数に加えて、各立木の樹種を特定する。ステップSTC4において、樹冠胸高直径関数及び/又は樹冠樹高関数は、それぞれ、各立木の樹冠の形状から、各立木の胸高直径及び/又は樹高を計算する。ここで、樹冠胸高直径関数及び/又は樹冠樹高関数は、樹種に応じて異なるものであって、それぞれ、樹種に応じて、各立木の樹冠の形状から、各立木の胸高直径及び/又は樹高を計算するためのものであってもよい。ステップSTC5において、材積量計算部63は、判定処理部55が判定した各立木の樹種を用いて係数を決定し、材積量を計算する。