(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123318
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】表示装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G09G 3/20 20060101AFI20240905BHJP
G09G 3/3225 20160101ALI20240905BHJP
【FI】
G09G3/20 632C
G09G3/20 670K
G09G3/20 670J
G09G3/3225
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030624
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】並木 清光
【テーマコード(参考)】
5C080
5C380
【Fターム(参考)】
5C080AA06
5C080BB05
5C080DD29
5C080JJ02
5C080JJ07
5C080KK02
5C080KK43
5C080KK47
5C380AA01
5C380AB04
5C380AB34
5C380AC05
5C380AC07
5C380AC08
5C380AC12
5C380BA48
5C380BD09
5C380BD12
5C380BD17
(57)【要約】
【課題】画素劣化の低減を図る。
【解決手段】表示装置10は、第1の画素群と第2の画素群を含む画面g0を有し、自発光により画面g0の表示を行う自発光型ディスプレイ12、自発光型ディスプレイ12の利用者を撮像するカメラ13および制御部11を有する。制御部11は、第1の画素群を発光させ第2の画素群を非発光とするマスクパターンM1と、第1の画素群を非発光とし第2の画素群を発光させるマスクパターンM2とを生成する。そして、制御部11は、カメラ13から送信された撮像データから利用者が自発光型ディスプレイ12を見ているか否かを判定し、利用者が自発光型ディスプレイ12を見ていないことを判定した場合にマスクパターンM1、M2を切り替えて画面g0の表示制御を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画素群と第2の画素群を含む画面を有し、自発光により前記画面の表示を行う自発光型ディスプレイと、
前記自発光型ディスプレイの利用者を撮像するカメラと、
前記画面に画像を表示させる場合に、前記第1の画素群を発光させ前記第2の画素群を非発光とする第1のマスクパターンにもとづいて前記画像の表示制御を行い、前記カメラから送信された撮像データから前記利用者が前記自発光型ディスプレイを見ているか否かを判定して前記利用者が前記自発光型ディスプレイを見ていないことを判定した場合に、前記第1のマスクパターンを、前記第1の画素群を非発光とし前記第2の画素群を発光させる第2のマスクパターンに切り替えて、前記第2のマスクパターンにもとづいて前記画像の表示制御を行う制御部と、
を有する表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記利用者の瞬目または前記利用者が前記カメラから顔をそむけたことを検出した場合に、前記利用者が前記自発光型ディスプレイを見ていないと判定する、請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記制御部は、前回のマスクパターンの切り替えから第1の所定時間の経過後に前記利用者が前記自発光型ディスプレイを見ていないと判定した場合にマスクパターン切り替えを行う、請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記利用者が前記自発光型ディスプレイを見ていると判定してから第2の所定時間を経過した場合には、前記利用者が前記自発光型ディスプレイを見ていないことにかかわらずマスクパターン切り替えを強制的に行う、請求項1記載の表示装置。
【請求項5】
前記自発光型ディスプレイは、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイである、請求項1記載の表示装置。
【請求項6】
コンピュータに、
第1の画素群と第2の画素群を含む画面を有し、自発光により前記画面の表示を行う自発光型ディスプレイに対して、
前記画面に画像を表示させる場合に、前記第1の画素群を発光させ前記第2の画素群を非発光とする第1のマスクパターンにもとづいて前記画像の表示制御を行い、
前記自発光型ディスプレイの利用者を撮像したカメラから送信された撮像データから前記利用者が前記自発光型ディスプレイを見ているか否かを判定し、
前記利用者が前記自発光型ディスプレイを見ていないことを判定した場合に、前記第1のマスクパターンを、前記第1の画素群を非発光とし前記第2の画素群を発光させる第2のマスクパターンに切り替えて、前記第2のマスクパターンにもとづいて前記画像の表示制御を行う、
処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、平面型ディスプレイとして有機EL(Electro Luminescence)素子を用いた有機ELディスプレイの開発が進められている。有機EL素子としては、例えば有機発光ダイオード(OLED:Organic light emitting diode)がある。有機ELディスプレイは、自発光型であるためバックライトを使用せず、動画特性、広視野角、色再現性等に優れているため、次世代の薄型ディスプレイとして注目されている。
【0003】
関連技術としては、例えば、表示のリフレッシュと有機EL素子の発光との両方を行う更新フレームと、表示のリフレッシュは行わずに有機EL素子の発光を行う休止フレームとが混在するように表示制御を行う技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
有機ELディスプレイは、液晶ディスプレイと異なり素子自体が発光するため発色が鮮やかであるという特徴を有する。しかし、同じ画素を長時間発光させると、その画素が劣化してしまう「焼き付き」と呼ばれる現象が生じるという問題がある。
1つの側面では、本発明は、画素劣化の低減を図った表示装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、表示装置が提供される。表示装置は、第1の画素群と第2の画素群を含む画面を有し、自発光により画面の表示を行う自発光型ディスプレイと、自発光型ディスプレイの利用者を撮像するカメラと、画面に画像を表示させる場合に、第1の画素群を発光させ第2の画素群を非発光とする第1のマスクパターンにもとづいて画像の表示制御を行い、カメラから送信された撮像データから利用者が自発光型ディスプレイを見ているか否かを判定して利用者が自発光型ディスプレイを見ていないことを判定した場合に、第1のマスクパターンを、第1の画素群を非発光とし第2の画素群を発光させる第2のマスクパターンに切り替えて、第2のマスクパターンにもとづいて画像の表示制御を行う制御部とを有する。
また、上記課題を解決するために、コンピュータに上記表示装置と同様の制御を実行させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
1側面によれば、画素劣化を低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】表示装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】表示装置の機能ブロックの一例を示す図である。
【
図6】情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図7】マスクパターン切り替えの一例を説明するための図である。
【
図8】マスクパターン切り替えの一例を説明するための図である。
【
図9】表示装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は表示装置の一例を説明するための図である。表示装置10は、制御部11、自発光型ディスプレイ12およびカメラ13を備える。表示装置10は、例えば、スマートフォン、ノートパソコン、デスクトップ型パソコン、タブレット型パソコン等の情報処理装置やテレビに適用することができる。
【0010】
自発光型ディスプレイ12は、第1の画素群と第2の画素群を含む画面g0を有し、自発光により画面g0の表示を行う。自発光型ディスプレイ12は、例えば、有機ELディスプレイである。カメラ13は、自発光型ディスプレイ12の利用者を撮像する。
【0011】
制御部11は、第1の画素群を発光させ第2の画素群を非発光とする第1のマスクパターンと、第1の画素群を非発光とし第2の画素群を発光させる第2のマスクパターンとを生成する。
【0012】
そして、制御部11は、カメラ13から送信された撮像データから利用者が自発光型ディスプレイ12を見ているか否かを判定し、利用者が自発光型ディスプレイ12を見ていないことを判定した場合に第1のマスクパターンと第2のマスクパターンとを切り替えるマスクパターン切り替えを行って画面g0の表示制御を行う。なお、制御部11の機能は、表示装置10が備える図示しないプロセッサが、所定のプログラムを実行することによって実現することができる。
【0013】
図1の例を用いて動作について説明する。なお、自発光型ディスプレイ12の画面g0は、画素p11、p14を含む第1の画素群と、画素p12、p13を含む第2の画素群とから構成されるとする。
【0014】
〔ステップS1〕制御部11は、画面g0に画像を表示させる場合に、第1の画素群の画素p11、p14を発光させ、第2の画素群の画素p12、p13を非発光とするマスクパターンM1を生成し、第1の画素群の画素p11、p14を非発光とし、第2の画素群の画素p12、p13を発光させるマスクパターンM2を生成する。
【0015】
〔ステップS2〕制御部11は、マスクパターンM1にもとづいて、自発光型ディスプレイ12の画面g0の表示制御を行う。
〔ステップS3〕制御部11は、カメラ13の撮像データから、利用者が自発光型ディスプレイ12を見ているか否かの判定を行い、利用者が自発光型ディスプレイ12を見ていないことを判定したとする。
【0016】
〔ステップS4〕制御部11は、マスクパターンM1からマスクパターンM2に切り替えて、マスクパターンM2にもとづいて、自発光型ディスプレイ12の画面g0の表示制御を行う。
【0017】
このように、表示装置10では、利用者が自発光型ディスプレイ12を見ていないことを判定した場合に、第1のマスクパターンと第2のマスクパターンとを切り替えて自発光型ディスプレイ12の画面の表示制御を行う。これにより、自発光型ディスプレイ12の画面を構成する画素p11、p12、p13、p14に対して、利用者が自発光型ディスプレイ12を見ていないタイミングで、発光する画素と発光しない画素とが切り替わって、発光する画素を交代させることができる。このため、同じ画素の長時間発光を抑制することができるので、焼き付きの発生を防止して画素劣化を低減することが可能になる。
【0018】
次に表示装置10の構成および動作について以降詳しく説明する。なお、以降の説明では、自発光型ディスプレイを有機ELディスプレイと呼ぶ。また、カメラをインカメラと呼ぶ場合がある。
【0019】
図2は表示装置のハードウェア構成の一例を示す図である。表示装置10は、制御部11の機能を有するプロセッサ11-1によって装置全体が制御されている。プロセッサ11-1には、バスb0を介してメモリ14、記憶装置15、有機ELディスプレイ12およびインカメラ13aが接続されている。プロセッサ11-1は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。
【0020】
メモリ14は、表示装置10の主記憶装置として使用される。メモリ14には、プロセッサ11-1に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、メモリ14には、プロセッサ11-1による処理に利用する各種データが格納される。
【0021】
メモリ14は、例えば、RAM(Random Access Memory)である。記憶装置15は、表示装置10の補助記憶装置として使用され、本発明の処理を行うためのプログラム、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。記憶装置15は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)である。
【0022】
図3は表示装置の機能ブロックの一例を示す図である。表示装置10は、制御部11、有機ELディスプレイ12およびインカメラ13aを備え、制御部11は、顔認識部11a、マスクパターン生成部11b、タイマ11c、マスクパターン切り替え部11dおよび表示制御部11eを含む。
【0023】
インカメラ13aは、ユーザの顔を撮像する。顔認識部11aは、撮像データから顔を認識してユーザが有機ELディスプレイ12を見ているか否かを判定する。例えば、ユーザが瞬目(まばたき)したことを検出した場合、またはユーザがインカメラ13aから顔をそむけたことを検出した場合、ユーザは有機ELディスプレイ12を見ていないと判定される。
【0024】
マスクパターン生成部11bは、有機ELディスプレイ12の画面を構成する複数の画素に対して、第1の画素群を発光させ第2の画素群を非発光とする第1のマスクパターンと、第1の画素群を非発光とし第2の画素群を発光させる第2のマスクパターンとを生成する。タイマ11cは、マスクパターンの切り替え制御時に駆動して時刻情報を出力する(タイマ11cの機能については
図9で後述する)。
【0025】
マスクパターン切り替え部11dは、前回のマスクパターンの切り替えから、ユーザが有機ELディスプレイ12を見ていないと判定され、時刻情報にもとづいて所定時間経過した場合に、前回のマスクパターンとは異なるマスクパターンに切り替える。表示制御部11eは、切り替え後のマスクパターンにもとづいて、有機ELディスプレイ12の画面を駆動して画像の表示制御を行う。
【0026】
図4、
図5は表示装置の適用例を示す図である。
図4はノートパソコンの外観を示し、
図4はVR(Virtual Reality)ゴーグルの外観を示している。ノートパソコン10aは、インカメラ13aおよび有機ELディスプレイ12を備えて、表示装置10の機能を有する。また、VRゴーグル10bは、ユーザの目を認識する網膜認証カメラ13bおよび有機ELディスプレイ12を備えて、表示装置10の機能を有する。なお、表示装置10の機能は、上記以外にも各種の情報処理装置に対して適用可能である。
【0027】
次に表示装置10の機能をデスクトップ型パソコン等の情報処理装置に適用した場合のハードウェア構成について説明する。
図6は情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。情報処理装置10-1は、制御部11の機能を有するプロセッサ101によって装置全体が制御されている。
【0028】
プロセッサ101には、バス109を介してメモリ102と複数の周辺機器が接続されている。プロセッサ101は、マルチプロセッサであってもよい。プロセッサ101は、例えばCPU、MPU(Micro Processing Unit)、またはDSP(Digital Signal Processor)である。プロセッサ101がプログラムを実行することで実現する機能の少なくとも一部を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)などの電子回路で実現してもよい。
【0029】
メモリ102は、情報処理装置10-1の主記憶装置として使用される。メモリ102には、プロセッサ101に実行させるOSのプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、メモリ102には、プロセッサ101による処理に利用する各種データが格納される。メモリ102としては、例えばRAMなどの揮発性の半導体記憶装置が使用される。
【0030】
バス109に接続されている周辺機器としては、ストレージ装置103、GPU(Graphics Processing Unit)104、入力インタフェース105、光学ドライブ装置106、機器接続インタフェース107、ネットワークインタフェース108およびカメラインタフェース110がある。
【0031】
ストレージ装置103は、内蔵した記録媒体に対して、電気的または磁気的にデータの書き込みおよび読み出しを行う。ストレージ装置103は、情報処理装置10-1の補助記憶装置として使用される。ストレージ装置103には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。なお、ストレージ装置103としては、例えばHDDやSSDを使用することができる。
【0032】
GPU104は、画像処理を行う演算装置であり、グラフィックコントローラとも呼ばれる。GPU104には、有機ELディスプレイ12が接続されている。GPU104は、プロセッサ101からの命令に従って、画像を有機ELディスプレイ12の画面に表示させる。
【0033】
入力インタフェース105には、キーボード202とマウス203とが接続されている。入力インタフェース105は、キーボード202やマウス203から送られてくる信号をプロセッサ101に送信する。なお、マウス203は、ポインティングデバイスの一例であり、他のポインティングデバイスを使用することもできる。他のポインティングデバイスとしては、タッチパネル、タブレット、タッチパッド、トラックボールなどがある。
【0034】
光学ドライブ装置106は、レーザ光などを利用して、光ディスク204に記録されたデータの読み取り、または光ディスク204へのデータの書き込みを行う。光ディスク204は、光の反射によって読み取り可能なようにデータが記録された可搬型の記録媒体である。光ディスク204には、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD-RAM、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD-R(Recordable)/RW(Re Writable)などがある。
【0035】
機器接続インタフェース107は、情報処理装置10-1に周辺機器を接続するための通信インタフェースである。例えば機器接続インタフェース107には、メモリ装置205やメモリリーダライタ206を接続することができる。メモリ装置205は、機器接続インタフェース107との通信機能を搭載した記録媒体である。メモリリーダライタ206は、メモリカード207へのデータの書き込み、またはメモリカード207からのデータの読み出しを行う装置である。メモリカード207は、カード型の記録媒体である。
【0036】
ネットワークインタフェース108は、ネットワークN1に接続されている。ネットワークインタフェース108は、ネットワークN1を介して、他のコンピュータまたは通信機器との間でデータの送受信を行う。ネットワークインタフェース108は、例えばスイッチやルータなどの有線通信装置にケーブルで接続される有線通信インタフェースである。またネットワークインタフェース108は、アクセスポイントなどの無線通信装置に電波によって通信接続される無線通信インタフェースであってもよい。
【0037】
カメラインタフェース110には、撮像機器として、例えば、インカメラ13aが接続されている。カメラインタフェース110は、インカメラ13aから送られてくる撮像データをプロセッサ101に送信する。
【0038】
情報処理装置10-1は、以上のようなハードウェアによって、本発明の処理機能を実現することができる。情報処理装置10-1は、例えばコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムを実行することにより、本発明の処理機能を実現する。情報処理装置10-1に実行させる処理内容を記述したプログラムは、様々な記録媒体に記録しておくことができる。
【0039】
例えば、情報処理装置10-1に実行させるプログラムをストレージ装置103に格納しておくことができる。プロセッサ101は、ストレージ装置103内のプログラムの少なくとも一部をメモリ102にロードし、プログラムを実行する。また情報処理装置10-1に実行させるプログラムを、光ディスク204、メモリ装置205、メモリカード207などの可搬型記録媒体に記録しておくこともできる。可搬型記録媒体に格納されたプログラムは、例えばプロセッサ101からの制御により、ストレージ装置103にインストールされた後、実行可能となる。またプロセッサ101が、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み出して実行することもできる。
【0040】
図7はマスクパターン切り替えの一例を説明するための図である。表示領域r1は、有機ELディスプレイ12の画面のうちの4画素分に相当するものとし、画素p1、p2、p3、p4で構成されるとする。また、4つの画素p1、p2、p3、p4でマスクパターンm1a、m2aを形成するものとする。
【0041】
表示領域r1に対して視覚的に黄色を表示させる場合、マスクパターンm1aでは、画素p1、p2、p3、p4のすべてを黄色にしなくても、画素p1、p4を黄色とし、画素p2、p3を黒色とする色の組み合わせ(ディザリング)にすることで、表示領域r1に対して視覚的に黄色が表示される。
【0042】
この場合、画素p1、p4に含まれるR発光領域、G発光領域およびB発光領域において、R、G、Bそれぞれの発光量が調節されて画素p1、p4において黄色が生成される。また、画素p2、p3に含まれるR発光領域、G発光領域およびB発光領域は、発光しないことで黒色が生成される。
【0043】
一方、マスクパターンm2aでは、マスクパターンm1aで発光させた画素を非発光とし、マスクパターンm1aで非発光であった画素を発光させて、表示領域r1に対して視覚的に黄色を表示させる。
【0044】
すなわち、マスクパターンm2aでは、画素p2、p3を黄色、画素p1、p4を黒色とする色の組み合わせにする。この場合、画素p2、p3に含まれるR発光領域、G発光領域およびB発光領域において、R、G、Bそれぞれの発光量が調節されて画素p2、p3において黄色が生成される。また、画素p1、p4に含まれるR発光領域、G発光領域およびB発光領域は、発光しないことで黒色が生成される。
【0045】
そして、このようなマスクパターンm1a、m2aの切り替えを行うことで、発光する画素と発光しない画素とが切り替わって、表示領域r1に対して視覚的に同一の画像を表示することができる。
【0046】
図8はマスクパターン切り替えの一例を説明するための図である。表示面r10は表示領域r1を16個含む。表示領域r1は4画素で構成されるため、表示面r10は、64画素で構成される。
【0047】
表示面r10に対して視覚的に黄色を表示させる場合、64画素すべてを黄色にする画面g1に対して、マスクパターンm1aを16個含むマスクパターンm1でマスクすることで、表示面r11が生成される。
この場合、制御部11は、画面g1に対して、マスクパターンm1でマスクされない画素に対してはR、G、Bそれぞれの発光量を調節して黄色を生成し、マスクパターンm1でマスクされる画素に対してはR、G、Bの発光を停止して黒色を生成して表示面r11を生成する。表示面r11は、画面g1にマスクパターンm1が適用された画面であり、表示面r10に対して視覚的に黄色を表示させる。
【0048】
同様に、表示面r10に対して視覚的に黄色を表示させる場合、64画素すべてを黄色にする画面g1に対して、マスクパターンm2aを16個含むマスクパターンm2でマスクすることで、表示面r12が生成される。
この場合、制御部11は、画面g1に対して、マスクパターンm2でマスクされない画素に対してはR、G、Bそれぞれの発光量を調節して黄色を生成し、マスクパターンm2でマスクされる画素に対してはR、G、Bの発光を停止して黒色を生成して表示面r12を生成する。表示面r12は、画面g1にマスクパターンm2が適用された画面であり、表示面r10に対して視覚的に黄色を表示させる。
【0049】
ここで、制御部11は、インカメラ13aでユーザの顔を認識し、瞬目や顔をそむけたタイミングで、マスクパターンm1、m2を交互に切り替える。このようなマスクパターンm1、m2の切り替えを行うことで、発光する画素と発光しない画素とが切り替わって、発光する画素を交代させることができるので、画素の焼き付きを防止して画素劣化を低減することができる。
【0050】
なお、不随意瞬目(外部刺激が与えられず意識的でもない瞬目)の持続時間は、0.2秒から0.4秒程度であるため、マスクパターンを切り替えるには十分な時間がある。また、ユーザがまばたきしている間でマスクパターン切り替えが行われるため、ユーザにとって違和感のない画像表示を行うことができる。不随瞬目の持続時間に関する文献としては、例えば、「瞬目種類識別のための形状特徴量に関する一検討 松野省吾、大山実、阿部清彦、大井尚一、板倉 直明 第13回情報科学技術フォーラム FIT2014」がある。
【0051】
図9は表示装置の動作の一例を示すフローチャートである。
〔ステップS11〕制御部11は、第1、第2のマスクパターンを生成する。
〔ステップS12〕制御部11は、有機ELディスプレイ12に対して第1のマスクパターンを設定する。
【0052】
〔ステップS13〕制御部11は、マスクパターンの切り替えを行う。すなわち、制御部11は、有機ELディスプレイ12に対して、前回の設定が第1のマスクパターンであったならば第2のマスクパターンに設定を切り替え、前回の設定が第2のマスクパターンであったならば第1のマスクパターンに設定を切り替える。
〔ステップS14〕制御部11は、タイマ11cをリセットする。
【0053】
〔ステップS15〕制御部11は、保護機能の設定がONかOFFかを判定する。ONの場合はステップS16の処理に進み、OFFの場合はステップS21の処理に進む。
ここで、保護機能がONの場合には、顔認識にもとづくマスクパターンの切り替えが行われ、保護機能がOFFの場合には、顔認識にもとづくマスクパターンの切り替えは行われない。なお、ユーザの操作によって、保護機能のON/OFFを設定することができる。
【0054】
〔ステップS16〕制御部11は、インカメラ13aから送信された撮像データから人の顔画像を探索する。
〔ステップS17〕制御部11は、顔画像にもとづいて、有機ELディスプレイ12を見ているのは一人だけか否かを判定する。有機ELディスプレイ12を見ているのが一人だけの場合はステップS18の処理に進み、二人以上の場合はステップS21の処理に進む。
【0055】
〔ステップS18〕制御部11は、顔画像にもとづいて、顔が有機ELディスプレイ12に向いているか否かを判定する。顔が有機ELディスプレイ12に向いている場合はステップS19の処理に進み、向いていない場合はステップS21の処理に進む。
【0056】
〔ステップS19〕制御部11は、顔画像にもとづいて、片目または両目を閉じているか否かを判定する。片目または両目を閉じている場合はステップS20の処理に進み、閉じていない場合はステップS21の処理に進む。
【0057】
〔ステップS20〕制御部11は、タイマ11cが第1の所定時間を経過しているか否かを判定する。第1の所定時間を経過している場合はステップS13の処理に戻り、経過していない場合はステップS22の処理に進む。第1の所定時間は例えば、5秒である。
【0058】
ここで、マスクパターンを短時間のうちに頻繁に切り替えると有機ELディスプレイ12に対する視認性が低下する可能性がある。このため、前回のマスクパターンの切り替えから第1の所定時間の経過後に行われた顔認識によって有機ELディスプレイ12を人が見ていないと判定された場合にマスクパターンを切り替えることで、視認性の低下の防止を図る。
【0059】
〔ステップS21〕制御部11は、タイマ11cが第2の所定時間を経過しているか否かを判定する。第2の所定時間を経過している場合はステップS13の処理に戻り、経過していない場合はステップS22の処理に進む。第2の所定時間は、例えば、60秒である。
【0060】
ここで、顔認識処理により、有機ELディスプレイ12を人が見ていないことが判定された場合は、第2の所定時間を経過した後に、マスクパターンを強制的に切り替えるものである。これにより、有機ELディスプレイ12を人が見ていない場合であっても、画素の長時間発光を抑制することができる。なお、上記のタイマ11cのカウント設定は、ユーザにより任意の時間が設定可能である。
【0061】
〔ステップS22〕制御部11は、ステップS16からステップS19の顔認識処理を行うとスリープ(sleep)時間の間、顔認識処理のスリープを行い、スリープ時間を経過したらステップS15の処理に戻る。スリープ時間は例えば、0.5秒である。
【0062】
なお、ステップS22の処理では、顔認識処理をスリープなく行うと制御部11の負荷(CPU負荷など)が重くなるため、顔認識処理を1度行うごとにスリープ時間の間、顔認識処理をスリープ(休止)させて制御部11の負荷の低減を図っている。
【0063】
以上説明したように、本発明によれば、ユーザが有機ELディスプレイを見ていないことを判定した場合に、第1のマスクパターンと第2のマスクパターンとを切り替えて、切り替え後のマスクパターンにもとづいて有機ELディスプレイの表示画面を駆動するので、有機ELディスプレイの画素劣化を低減することができる。
【0064】
また、画素劣化が低減するので、有機ELディスプレイの装置寿命を延ばし、電力消費を抑えることも可能になる。さらに、有機ELディスプレイをユーザが見ていないことを検出したタイミングでマスクパターン切り替えが行われるので、ユーザにとって違和感のない画像表示を行うことが可能になる。
【0065】
上記で説明した本発明の表示装置の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。この場合、表示装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。
【0066】
処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記憶部、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等がある。磁気記憶部には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ等がある。光ディスクには、CD-ROM/RW等がある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto Optical disk)等がある。
【0067】
プログラムを流通させる場合、例えば、そのプログラムが記録されたCD-ROM等の可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶部に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0068】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶部に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶部からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0069】
また、コンピュータは、ネットワークを介して接続されたサーバコンピュータからプログラムが転送される毎に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。また、上記の処理機能の少なくとも一部を、DSP、ASIC、PLD等の電子回路で実現することもできる。
【0070】
以上、実施の形態を例示したが、実施の形態で示した各部の構成は同様の機能を有する他のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。さらに、前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0071】
10 表示装置
11 制御部
12 自発光型ディスプレイ
13 カメラ
g0 画面
p11、p14 第1の画素群の画素
p12、p13 第2の画素群の画素
M1、M2 マスクパターン