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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123321
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】測定用治具
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/00 20060101AFI20240905BHJP
   G01B 5/008 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
G01B21/00 L
G01B5/008
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030629
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】吉谷 和久
(72)【発明者】
【氏名】内藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】道下 治郎
【テーマコード(参考)】
2F062
2F069
【Fターム(参考)】
2F062AA04
2F062BB07
2F062CC22
2F062CC24
2F062EE01
2F062EE62
2F062FF05
2F062HH01
2F062HH13
2F062MM07
2F069AA04
2F069AA31
2F069AA66
2F069CC04
2F069GG01
2F069HH01
2F069JJ08
2F069MM02
2F069PP02
2F069RR05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】測定対象を測定する際に前記測定対象を容易に位置決め可能で且つ汎用性の高い測定用治具を実現すること。
【解決手段】測定用治具は、平板状の土台部と、前記測定対象を前記土台部に対して位置決めするための位置決め部と、前記測定対象を前記土台部に固定するための固定部とを有する。前記位置決め部は、前記測定対象を基準位置に対して位置決めするための位置決め具が挿入される複数の位置決め穴を有し、前記複数の位置決め穴は、第1方向に第1所定間隔で線状に並ぶ複数の位置決め穴列を構成する。前記固定部は、複数の固定部材挿入穴を有し、前記第1方向に所定間隔で線状に並ぶ複数の固定部材挿入穴列を構成する。少なくとも1つの前記位置決め穴列と少なくとも1つの前記固定部材挿入穴列とが、前記第1方向に交差する第2方向に交互に位置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
寸法測定装置によって寸法測定される測定対象を載せられる測定用治具であって、
前記寸法測定装置の測定台上に置かれ、且つ、前記測定対象が載せられる平板状の土台部と、
前記測定対象を前記土台部に対して位置決めするための位置決め部と、
前記測定対象を前記土台部に固定するための固定部と、
を有し、
前記位置決め部は、前記測定対象を前記寸法測定装置の基準位置に対して位置決めするための位置決め具が挿入される複数の位置決め穴を有し、
前記複数の位置決め穴は、前記土台部を厚み方向に見て、第1方向に第1所定間隔で線状に並ぶ複数の位置決め穴列を構成し、
前記固定部は、固定部材を挿入して固定可能な複数の固定部材挿入穴を有し、
前記複数の固定部材挿入穴は、前記土台部を厚み方向に見て、前記第1方向に所定間隔で線状に並ぶ複数の固定部材挿入穴列を構成し、
少なくとも1つの前記位置決め穴列と少なくとも1つの前記固定部材挿入穴列とが、前記第1方向に交差する第2方向に交互に位置する、
測定用治具。
【請求項2】
請求項1に記載の測定用治具において、
前記位置決め穴列と前記固定部材挿入穴列とが、前記第2方向に交互に位置する、
測定用治具。
【請求項3】
請求項1に記載の測定用治具において、
前記複数の位置決め穴列を構成する位置決め穴は、前記第2方向に第2所定間隔で線状に並んでいる、
測定用治具。
【請求項4】
請求項3に記載の測定用治具において、
前記第1方向において、前記土台部における前記位置決め穴の位置と、前記土台部における前記固定部材挿入穴の位置とが異なる、
測定用治具。
【請求項5】
請求項4に記載の測定用治具において、
前記位置決め穴及び前記固定部材挿入穴は、前記第1方向及び前記第2方向に対して交差する方向に、交互に位置する、
測定用治具。
【請求項6】
請求項1に記載の測定用治具において、
前記土台部において、前記位置決め穴及び前記固定部材挿入穴が位置する領域の外周側には、前記固定部材挿入穴列の少なくとも一部の固定部材挿入穴が位置する、
測定用治具。
【請求項7】
請求項1に記載の測定用治具において、
前記土台部を厚み方向に見て、前記基準位置に対する前記位置決め穴の位置の精度は、前記基準位置に対する前記固定部材挿入穴の位置の精度よりも高い、
測定用治具。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1つに記載の測定用治具において、
前記土台部は、前記寸法測定装置の測定台に対して前記土台部を取り付ける取付具が挿入される貫通孔をさらに有する、
測定用治具。
【請求項9】
請求項8に記載の測定用治具において、
前記貫通孔は、
前記第2方向の端部に位置する前記固定部材挿入穴列又は前記位置決め穴列に対して、前記第1方向の外側に位置し、且つ、
前記第2方向の端部以外に位置する前記固定部材挿入穴列において前記第1方向の端部に位置する前記固定部材挿入穴又は前記第2方向の端部以外に位置する前記位置決め穴列において前記第1方向の端部に位置する前記位置決め穴と前記第1方向に同じ位置に位置する、
測定用治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寸法測定装置によって寸法測定される測定対象を載せられる測定用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークを搬送するための搬送パレットが知られている。例えば、搬送パレットは、ワークとしてのステータコアが搬送中に回転しないようにステータコアを支持する。具体的には、前記搬送パレットは、小径の第1ステータコアに対応した複数の第1位置決め部と、大径の第2ステータコアに対応した複数の第2位置決め部とを有する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記第1位置決め部は、予め定められた中心点の周りに周方向に間隔をおいてベース部材に配置される。前記第2位置決め部は、前記中心点の周りに周方向に間隔をおいて前記第1位置決め部から前記周方向の一側及び径方向外側にずらして前記ベース部材に配置される。このように、前記特許文献1の搬送パレットでは、前記第1位置決め部及び前記第2位置決め部によって、前記ワークとしてのステータコアを搬送中に回転しないように支持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-072590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば、ワークの加工後等において、寸法測定装置によってワークの寸法測定を行うことがある。
【0006】
寸法測定装置によって測定対象を測定する際に前記測定対象の取付位置が変わると、前記測定対象の位置座標を測定して、寸法測定装置の位置情報を更新する必要がある。また、製造現場では、多機種少量生産に対応することが求められている。このため、製品の種類が多くなると、前記製品の種類に応じて測定対象の位置が変わる。そのため、前記寸法測定装置の位置情報を更新する作業に時間がかかっていた。
【0007】
前記寸法測定装置の位置情報の更新作業の手間を減らすには、例えば、位置決めをするための治具を製作することが考えられる。
【0008】
しかしながら、前記測定対象を所定の取付位置に位置決めする作業の効率化のために、複数の種類の製品ごとに測定用治具を製作する場合には、コスト又は工数等がかかる。このため、測定用治具に汎用性が求められている。
【0009】
前記特許文献1の搬送パレットは、上述の通り、ステータコアの搬送中に前記ステータコアが回転しないように位置決めしているものの、小径及び大径の2種類のステータコアに対応しているだけである。このため、より汎用的な治具が求められている。
【0010】
本発明の目的は、寸法測定装置によって測定対象を測定する際に前記測定対象を容易に位置決め可能で且つ汎用性の高い測定用治具を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の例示的な一実施形態に係る測定用治具は、寸法測定装置によって寸法測定される測定対象を載せられる測定用治具である。前記測定用治具は、前記寸法測定装置の測定台上に置かれ、且つ、前記測定対象が載せられる平板状の土台部と、前記測定対象を前記土台部に対して位置決めするための位置決め部と、前記測定対象を前記土台部に固定するための固定部と、を有する。前記位置決め部は、前記測定対象を前記寸法測定装置の基準位置に対して位置決めするための位置決め具が挿入される複数の位置決め穴を有する。前記複数の位置決め穴は、前記土台部を厚み方向に見て、第1方向に第1所定間隔で線状に並ぶ複数の位置決め穴列を構成する。前記固定部は、固定部材を挿入して固定可能な複数の固定部材挿入穴を有する。前記複数の固定部材挿入穴は、前記土台部を厚み方向に見て、前記第1方向に所定間隔で線状に並ぶ複数の固定部材挿入穴列を構成する。少なくとも1つの前記位置決め穴列と少なくとも1つの前記固定部材挿入穴列とが、前記第1方向に交差する第2方向に交互に位置する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の例示的な一実施形態によれば、寸法測定装置によって測定対象を測定する際に前記測定対象を容易に位置決め可能で且つ汎用性の高い測定用治具を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態に係る測定用治具の概略構成の一例を示す平面図である。
図2図2は、図1のII-II線拡大断面図である。
図3図3は、図1のIII-III線拡大断面図である。
図4図4は、測定用治具を寸法測定装置に置いた状態の一例を示す図である。
図5図5は、測定用治具の位置決め穴に位置決め具を挿入する工程の一例について示す図である。
図6図6は、測定用治具に測定対象を載せる工程の一例について示す図である。
図7図7は、固定部材によって測定対象を固定する工程の一例について示す図である。
図8図8は、固定用補助治具の外観の一例を示す斜視図である。
図9図9は、測定対象を固定した固定用補助治具を測定用治具に配置する工程の一例について示す図である。
図10図10は、固定用補助治具の測定用治具への配置が完了した状態の一例を示す図である。
図11図11は、実施形態の変形例に係る測定用治具2Aの概略構成の一例を示す平面図であり、図1の対応図である。
図12図12は、図11のXII-XII線拡大断面図であり、図3の対応図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、本発明の例示的な実施の形態を詳しく説明する。なお、図中の同一又は相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。また、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表しているわけではない。
【0015】
以下、図中の矢印DXは、寸法測定装置1のX軸方向を示す。図中の矢印DYは、寸法測定装置1のX軸方向を示す。図中の矢印DZは、寸法測定装置1のZ軸方向を示す。以下、寸法測定装置1のZ軸方向DZのことを、寸法測定装置1の上下方向ともいう。
【0016】
以下、図中の矢印Xは、測定用治具2のX軸方向を示す。図中の矢印Yは、測定用治具2のX軸方向を示す。図中の矢印Zは、測定用治具2のZ軸方向を示す。以下、測定用治具2のZ軸方向Zのことを、測定用治具2の厚み方向ともいう。
【0017】
また、以下の説明において、同じとは、厳密に同じ場合だけでなく、実質的に同じとみなせる範囲を含み、発明の効果を奏する程度に同じであればよい。
【0018】
また、以下の説明において、“固定”、“接続”及び“取り付ける”等の表現は、部材同士が直接、固定等されている場合だけでなく、他の部材を介して固定等されている場合も含む。すなわち、以下の説明において、固定等の表現には、部材同士の直接的及び間接的な固定等の意味が含まれる。
【0019】
(測定用治具)
図1図3を用いて、実施形態に係る測定用治具2について説明する。図1は、実施形態に係る測定用治具2の概略構成の一例を示す平面図である。図2は、図1のII-II線拡大断面図である。図3は、図1のIII-III線拡大断面図である。測定用治具2は、寸法測定装置1によって寸法測定される測定対象Tを載せられる治具である。図1図3に示すように、測定用治具2は、土台部21と、位置決め部22と、固定部23とを有する。
【0020】
土台部21は、測定対象Tが載せられる平板状の部材である。具体的には、土台部21の厚み方向の一方面である上面21aに測定対象Tが載せられる。また、土台部21は、寸法測定装置1の測定台11上に置かれる。すなわち、土台部21の下面21bが、寸法測定装置1の測定台11の上面に置かれる。土台部21は、厚み方向において、矩形形状を有する。測定用治具2の厚み方向、すなわち、Z軸方向Zは、X軸方向X及びY軸方向Yに直交する方向である。
【0021】
位置決め部22は、測定対象Tを土台部21に対して位置決めする。位置決め部22は、測定対象Tを寸法測定装置1の基準位置P1に対して位置決めするための位置決め具41が挿入される複数の位置決め穴221を有する。基準位置P1は、寸法測定装置1における寸法測定の基準となる位置である。すなわち、基準位置P1は、寸法測定装置1の座標系の原点である。なお、基準位置P1の詳細は後に図4等を用いて説明する。寸法測定装置1の座標系では、測定台11の上面が、XY平面として規定される。寸法測定装置1の基準位置P1は、測定台11の上面、すなわち、上述した寸法測定装置1の座標系におけるXY平面上に規定されている。位置決め具41は、例えば、ピン又はボルト等により実現される。複数の位置決め穴221は、土台部21を厚み方向に貫通して上面21a及び下面21bで開口している。複数の位置決め穴221は、土台部21を厚み方向に見て、第1方向としての測定用治具2のX軸方向Xに第1所定間隔DX1で直線状に並ぶ複数の位置決め穴列L11、L12、L13、…を構成する。また、複数の位置決め穴列L11、L12、L13、…を構成する位置決め穴221は、前記第2方向に第2所定間隔DY1で直線状に並んでいる。
【0022】
上述の構成では、複数の位置決め穴221が、第1方向としてのX軸方向Xに第1所定間隔DX1で直線状に並ぶとともに、第2方向としてのY軸方向Yに第2所定間隔DY1で直線状に並ぶ。これにより、複数の位置決め穴221は、格子の交点に位置する。より具体的に説明すると次の通りである。複数の位置決め穴221は、別の観点からいえば、土台部21を厚み方向に見て、第2方向としてのY軸方向Yに第2所定間隔DY1で直線状に並ぶ複数の位置決め穴列M11、M12、M13、…を構成する。X軸方向Xに伸びる複数の位置決め穴列L11、L12、L13、…と、Y軸方向Yに伸びる複数の位置決め穴列M11、M12、M13、…とは、前記格子を構成する。複数の位置決め穴221はX軸方向Xに伸びる複数の位置決め穴列L11、L12、L13、…と、Y軸方向Yに伸びる複数の位置決め穴列M11、M12、M13、…とが交差する交点に位置する。
【0023】
これにより、複数の位置決め穴221の位置が把握しやすくなる。よって、位置情報の管理がしやすくなる。
【0024】
固定部23は、測定対象Tを土台部21に固定する。固定部23は、固定部材42を挿入して固定可能な複数の固定部材挿入穴231を有する。複数の固定部材挿入穴231は、土台部21を厚み方向に貫通していて上面21a及び下面21bで開口している。複数の固定部材挿入穴231は、詳しくは後述する固定部材42のねじ部と締結されるねじ部を有する。複数の固定部材挿入穴231は、土台部21を厚み方向に見て、X軸方向Xに第3所定間隔DX2で直線状に並ぶ複数の固定部材挿入穴列L21、L22、L23、…を構成する。また、固定部材挿入穴列L21、L22、L23、…を構成する固定部材挿入穴231は、Y軸方向Yに第4所定間隔DY2で直線状に並んでいる。
【0025】
上述の構成では、複数の固定部材挿入穴231が、第1方向としてのX軸方向Xに第3所定間隔DX2で直線状に並ぶとともに、第2方向としてのY軸方向Yに第4所定間隔DY2で直線状に並ぶ。これにより、複数の固定部材挿入穴231は、格子の交点に位置する。より具体的に説明すると次の通りである。複数の固定部材挿入穴231は、別の観点からいえば、土台部21を厚み方向に見て、第2方向としてのY軸方向Yに第4所定間隔DY2で直線状に並ぶ複数の固定部材挿入穴列M21、M22、M23、…を構成する。X軸方向Xに伸びる複数の固定部材挿入穴列L21、L22、L23、…と、Y軸方向Yに伸びる複数の固定部材挿入穴列M21、M22、M23、…とは、前記格子を構成する。複数の固定部材挿入穴231はX軸方向Xに伸びる複数の固定部材挿入穴列L21、L22、L23、…と、Y軸方向Yに伸びる複数の固定部材挿入穴列M21、M22、M23、…とが交差する交点に位置する。
【0026】
(位置決め穴と固定部材挿入穴との位置関係)
図1図3に示すように、複数の位置決め穴列L11、L12、L13、…と複数の固定部材挿入穴列L21、L22、L23、…とは、それぞれ、X軸方向Xに直交する第2方向としてのY軸方向Yに1列ずつ交互に位置する。例えば、複数の位置決め穴列L11、L12及びL13と複数の固定部材挿入穴列L21、L22及びL23とは、土台部21を厚み方向に見て、Y軸方向Yに、位置決め穴列L13、固定部材挿入穴列L23、位置決め穴列L12、固定部材挿入穴列L22、位置決め穴列L11及び固定部材挿入穴列L21の順に並ぶ。
【0027】
例えば、複数の位置決め穴列L11、L12、L13、…が、位置決め穴列L11、L12及びL13、…とY軸方向Yに連続で並ぶ場合、Y軸方向Yの端部に位置する位置決め穴列L11と、位置決め穴列L11及びL13の間に位置する位置決め穴列L12とには、いずれの固定部材挿入穴列L21、L22、L23、…とも隣接しない。
【0028】
上述の構成では、複数の位置決め穴列L11、L12、L13、…と複数の固定部材挿入穴列L21、L22、L23、…とは、それぞれ、X軸方向Xに直交する第2方向としてのY軸方向Yに1列ずつ交互に位置するので、複数の位置決め穴列L11、L12、L13、…は、それぞれ、複数の固定部材挿入穴列L21、L22、L23、…のいずれかと隣接する。このため、複数の位置決め穴221のいずれに対しても複数の固定部材挿入穴231が逸脱しない。よって、位置決めの自由度及び測定対象Tの固定位置の自由度がさらに向上する。
【0029】
また、土台部21を厚み方向に見た場合、第1方向としてのX軸方向Xにおいて、土台部21における位置決め穴221の位置と、土台部21における固定部材挿入穴231の位置とは異なる。具体的には、土台部21を厚み方向に見た場合、X軸方向Xにおいて、土台部21における位置決め穴221の位置と、土台部21における固定部材挿入穴231の位置とは距離d11だけズレている。
【0030】
上述の構成では、位置決め穴221は、X軸方向Xにおける両隣の固定部材挿入穴列の間に位置する。すなわち、位置決め穴221と、位置決め穴221のX軸方向Xにおける両隣の固定部材挿入穴列との間隔が均一化される。このため、位置決め穴221のX軸方向Xにおける両隣の固定部材挿入穴列に含まれる固定部材挿入穴231を測定対象Tの固定のために使いやすくなる。したがって、第1方向としてのX軸方向Xにおいて、土台部21における位置決め穴221の位置と、土台部21における固定部材挿入穴231の位置とが同じ位置である場合と比べて、一つの位置決め穴221に対して、測定対象Tの固定のために使いやすい固定部材挿入穴231の数が増加する。
【0031】
よって、測定用治具2のサイズをコンパクトに保ちつつ、測定対象Tの固定位置の自由度が向上する。
【0032】
また、土台部21を厚み方向に見た場合、Y軸方向Yにおいて、土台部21における位置決め穴221の位置と、土台部21における固定部材挿入穴231の位置とは異なる。具体的には、土台部21を厚み方向に見た場合、Y軸方向Yにおいて、土台部21における位置決め穴221の位置と、土台部21における固定部材挿入穴231の位置とは距離d12だけズレている。
【0033】
このように、土台部21を厚み方向に見た場合、X軸方向Xにおいて、土台部21における位置決め穴221の位置と、土台部21における固定部材挿入穴231の位置とが距離d11だけズレており、且つ、Y軸方向Yにおいて、土台部21における位置決め穴221の位置と、土台部21における固定部材挿入穴231の位置とは距離d12だけズレている。
【0034】
このため、位置決め穴221及び固定部材挿入穴231は、土台部21を厚み方向に見た場合、X軸方向及びY軸方向に対して交差する方向である二点鎖線矢印Kの方向に、交互に位置する。
【0035】
上述の構成では、X軸方向X及びY軸方向Yにおいて、固定部材挿入穴231及び位置決め穴221は、土台部21に千鳥状に位置する。これにより、固定部材挿入穴231と位置決め穴221との距離をできるだけ均一化しつつ、測定用治具2のコンパクト化を図れる。よって、より汎用性が向上しつつコンパクトな測定用治具2が得られる。
【0036】
図1に示す破線は、矩形領域R1である。なお、図1では、矩形領域R1内において、一部の位置決め穴221及び固定部材挿入穴231の記載を省略している。土台部21において、位置決め穴221及び固定部材挿入穴231が位置する矩形領域R1の外周側には、固定部材挿入穴列L21、L22、L23、…の少なくとも一部の固定部材挿入穴231が位置する。すなわち、土台部21を厚み方向に見て、矩形領域R1の外周側には、固定部材挿入穴231が矩形の線状に並ぶ。
【0037】
上述の構成では、土台部21に対して矩形領域R1の外周側付近に測定対象Tを載せる場合、土台部21の外周側に位置する固定部材挿入穴231に後述の固定部材42を挿入して測定対象Tを固定できる。よって、矩形領域R1の外周側における固定部材42の挿入位置の自由度が向上する。
【0038】
また、測定用治具2は、寸法測定装置1によって測定対象Tを寸法測定する際の基準位置P2を有する。基準位置P2は、測定対象Tを寸法測定装置1の基準位置P1に対して位置決めするための測定用治具2側の基準である。例えば、基準位置P2は、土台部21の上面21a上において矩形領域R1の一隅に位置する。基準位置P2には、凹部又は刻印等の目印が位置していてもよい。
【0039】
位置決め穴221は、測定用治具2の基準位置P2に対して、寸法測定装置1における寸法測定を行うために必要な位置の精度を有する。
【0040】
また、土台部21を厚み方向に見て、寸法測定装置1の基準位置に対する位置決め穴221の位置の精度は、寸法測定装置1の基準位置に対する固定部材挿入穴231の位置の精度よりも高い。言い換えれば、基準位置P2に対する位置決め穴221の位置の精度は、基準位置P2に対する固定部材挿入穴231の位置の精度よりも高い。
【0041】
位置決め穴221は、所定の加工精度により形成されることで、所定の位置精度を有する。
【0042】
一方、固定部材挿入穴231の加工精度は、位置決め穴221の加工精度よりも低くてもよい。固定部材挿入穴231の加工条件が緩和されることで、固定部材挿入穴231の加工を効率良く行うことができる。
【0043】
よって、位置決め穴221の位置精度と固定部材挿入穴231の加工の効率性とを両立させて測定用治具2を製造できる。
【0044】
(測定用治具を用いた寸法測定方法)
図4図7を用いて、固定用補助治具を用いない場合における測定用治具2を用いた寸法測定方法について説明する。図4は、測定用治具2を寸法測定装置1に置いた状態の一例を示す図である。図5は、測定用治具2の位置決め穴221に位置決め具41を挿入する工程の一例について示す図である。図6は、測定用治具2に測定対象Tを載せる工程について示す図である。図7は、固定部材42によって測定対象Tを固定する工程の一例について示す図である。
【0045】
まず、図4に示すように、測定用治具2を寸法測定装置1の基準位置P1に合わせて置く。すなわち、測定用治具2の基準位置P2を、寸法測定装置1の座標系における(x1,y1,z1)の位置に置く。なお、z1は、測定用治具2の土台部21の厚みに相当する。測定用治具2のX軸方向X、Y軸方向Y及びZ軸方向Zは、寸法測定装置1のX軸方向DX、Y軸方向DY及びZ軸方向DZに平行である、又は、一致する。
【0046】
次に、図5に示すように、測定対象を載せる予定の位置に位置する位置決め穴221に位置決め具41を挿入する。
【0047】
次に、図6に示すように、測定対象Tを位置決め具41に対して位置決めして土台部21の上面21aに載せる。具体的には、図6に示す白抜き矢印で示すように、測定対象Tを位置決め具41に押し当てることにより、測定対象Tを位置決め具41に対して位置決めする。
【0048】
次に、図7に示すように、固定部材挿入穴231に固定部材42を挿入して固定し、測定対象Tを土台部21に対して固定する。具体的には、固定部材42は、一方向に伸びる軸体421と、軸体421に沿って前記一方向に移動可能なアーム422と、前記一方向において軸体421の一方端に位置するねじ部423とを有するクランプである。固定部材挿入穴231に対して、固定部材42のねじ部423を締結する。その後、アーム422の位置を調整して、測定対象Tの固定工程が完了する。
【0049】
以上により、測定対象Tは、土台部51上で、位置決め具41が挿入された位置決め穴221に対して位置決めされる。また、測定用治具2の基準位置P2が寸法測定装置1の基準位置P1に対して既知の座標に位置付けられた状態で、測定用治具2が寸法測定装置1に対して置かれる。したがって、測定対象Tを、寸法測定装置1の基準位置P1に対して位置決めすることができる。
【0050】
測定対象Tの固定工程が完了した後、寸法測定装置1による寸法測定を開始する。寸法測定装置1による寸法測定について説明すると次の通りである。寸法測定装置1は、例えば、測定子によって測定対象Tの形状を測定する三次元測定装置である。寸法測定装置1において測定される測定対象Tの形状には、測定対象Tの三次元形状、二次元形状、表面形状、輪郭形状、及び長さ又は径などの各種の寸法形状などが含まれる。寸法測定装置1は、X軸方向DX、Y軸方向DY、Z軸方向DZの3軸方向に移動可能な測定部13を有する。測定部13は、測定対象Tに接触させて、測定対象Tを寸法測定するための測定子を有している。測定部13が前記3軸方向に移動することに応じて、測定対象Tに測定部13の測定子が接触することによって、測定対象Tの形状が特定される。すなわち、測定対象Tの形状は、測定部13の測定子が測定対象Tに接触した位置座標に基づいて測定される。前記位置座標は、寸法測定装置1の座標系における前記原点である基準位置P1に基づいて決定される。
【0051】
(固定用補助治具を用いる場合の寸法測定方法)
図8図10を用いて、測定用治具2に加えて固定用補助治具50を用いた場合の寸法測定方法について説明する。図8は、固定用補助治具50の外観の一例を示す斜視図である。図9は、測定対象Tを固定した固定用補助治具50を測定用治具2に配置する工程の一例について示す図である。図10は、固定用補助治具50の測定用治具2への配置が完了した状態を示す図である。
【0052】
まず、図8に示すように、固定用補助治具50に測定対象Tを固定する。固定用補助治具50は、土台部51と、固定部53と、取付穴54とを有する。
【0053】
土台部51は、平板状である。土台部51は、測定対象Tを置くための配置位置52を一方面に有する。
【0054】
固定部53は、配置位置52の周囲に位置する。固定部53は、配置位置52に載せられた測定対象Tを土台部51に対して固定するための部材である。
【0055】
取付穴54は、測定用治具2の位置決め穴221に挿入された位置決め具41に挿入して、固定用補助治具50を位置決め及び固定するための穴である。すなわち、配置位置52に載せられた測定対象Tは取付穴54に対して、寸法測定装置1における寸法測定に必要な所定の精度で位置決めされる。取付穴54は、土台部51の一方面から他方面にかけて貫通する貫通孔であってもよいし、土台部51の他方面に位置する非貫通孔であってもよい。
【0056】
次に、図9に示すように、位置決め穴221に位置決め具41が挿入された状態の測定用治具2に、測定対象Tを載せた固定用補助治具50を配置する。すなわち、固定用補助治具50の取付穴54,54に、測定用治具2の位置決め具41,41を挿入することで、固定用補助治具50を測定用治具2に取り付ける。
【0057】
これにより、図10に示すように、測定用治具2に対する固定用補助治具50の配置が完了する。
【0058】
固定用補助治具50を取り付けた測定用治具2では、配置位置52に載せられた測定対象Tは取付穴54に対して位置決めされる。さらに、測定対象Tは、位置決め具41を介して、固定用補助治具50の取付穴54と、測定用治具2の位置決め穴221とが位置決めされることによって、測定対象Tは、測定用治具2の基準位置P2に対して位置決めされる。また、測定用治具2の基準位置P2が寸法測定装置1の基準位置P1に合わせて、測定用治具2が寸法測定装置1に対して置かれる。したがって、測定対象Tを、寸法測定装置1の基準位置P1に対して位置決めすることができる。
【0059】
固定用補助治具50の測定用治具2への配置が完了した後、寸法測定装置1による測定を開始する。
【0060】
以上に説明した通り、測定用治具2は、寸法測定装置1によって寸法測定される測定対象Tを載せられる治具である。
【0061】
測定用治具2は、土台部21と、位置決め部22と、固定部23と、を有する。
【0062】
土台部21は、寸法測定装置1の測定台11上に置かれ、且つ、前記測定対象が載せられる。土台部21は、平板状である。
【0063】
位置決め部22は、測定対象Tを土台部21に対して位置決めする。
【0064】
固定部23は、測定対象Tを土台部21に固定する。
【0065】
また、位置決め部22は、測定対象Tを寸法測定装置1の基準位置P1に対して位置決めするための位置決め具41が挿入される複数の位置決め穴221を有する。
【0066】
複数の位置決め穴221は、土台部21を厚み方向に見て、第1方向としてのX軸方向Xに第1所定間隔DX1で直線状に並ぶ複数の位置決め穴列L11、L12、L13、…を構成する。
【0067】
また、固定部23は、固定部材42を挿入して固定可能な複数の固定部材挿入穴231を有する。
【0068】
複数の固定部材挿入穴231は、前記土台部21を厚み方向に見て、第1方向としてのX軸方向Xに第3所定間隔DX2で線状に並ぶ複数の固定部材挿入穴列L21、L22、L23、…を構成する。
【0069】
位置決め穴列L11、L12、L13、…と固定部材挿入穴列L21、L22、L23、…とが、第1方向としてのX軸方向Xに交差する第2方向としてのY軸方向Yに、1列ずつ交互に位置する。
【0070】
上述の構成では、測定用治具2は、位置決め具41が挿入される複数の位置決め穴221だけでなく、固定部材42を挿入して固定可能な複数の固定部材挿入穴231も有している。また、複数の位置決め穴221は、土台部21を厚み方向に見て、X軸方向Xに第1所定間隔DX1で直線状に並ぶ複数の位置決め穴列L11、L12、L13、…を構成する。
【0071】
このため、位置決め具41の挿入位置の自由度が向上する。
【0072】
また、複数の固定部材挿入穴231は、土台部21を厚み方向に見て、X軸方向Xに第3所定間隔DX2で直線状に並ぶ複数の固定部材挿入穴列を構成する。このため、固定部材42の挿入位置の自由度が向上する。
【0073】
また、位置決め穴列L11、L12、L13、…と固定部材挿入穴列L21、L22、L23、…とが、X軸方向Xに交差するY軸方向Yに、1列ずつ交互に位置する。
【0074】
このため、測定用治具2に対する測定対象Tの位置決め自由度が向上するとともに、測定用治具2に対する測定対象Tの固定位置の自由度が向上する。
【0075】
よって、寸法測定装置によって測定対象を測定する際に前記測定対象を容易に位置決め可能で且つ汎用性の高い測定用治具2を提供することができる。
【0076】
(実施形態の変形例)
図11及び図12を用いて、実施形態の変形例に係る測定用治具2Aについて説明する。図11は、実施形態の変形例に係る測定用治具2Aの概略構成の一例を示す平面図であり、図1の対応図である。図12は、図11のXII-XII線拡大断面図であり、図3の対応図である。
【0077】
図11及び図12に示すように、変形例に係る測定用治具2Aは、寸法測定装置1の測定台11に対して土台部21を取り付ける取付具60が挿入される貫通孔31をさらに有する点で、上述の実施形態に係る測定用治具2と異なる。以下では、実施形態と同一の構成には同一の符号を付して、説明を省略する。
【0078】
貫通孔31は、土台部21の上面21aから下面21bにかけて貫通している。貫通孔31は、土台部21を厚み方向に見て、矩形状の4隅及び中央部に位置する。
【0079】
また、別の観点からいえば、貫通孔31aは、第2方向としてのY軸方向Yの端部に位置する固定部材挿入穴列L21に対して、第1方向としてのX軸方向Xの外側に位置する。また、貫通孔31aは、Y軸方向Yの端部以外に位置する固定部材挿入穴列L22においてX軸方向Xの端部に位置する固定部材挿入穴231aとX軸方向Xに同じ位置に位置する。
【0080】
貫通孔31を通して、寸法測定装置1の測定台11に位置する基準穴111に取付具60を挿入して固定することで、測定用治具2Aを寸法測定装置1の測定台11に固定することができる。なお、取付具60は、ボルト又はピン等により実現することができる。
【0081】
上述の構成では、寸法測定装置1の測定台11に対して土台部21を取り付け可能になる。よって、測定用治具2のズレを防止できるとともに、寸法測定装置1の基準位置P1に対する測定対象Tの位置を確定できる。このため、測定対象Tの取付位置が変わっても、寸法測定装置1における測定対象Tの位置情報を更新しなくてもよい。
【0082】
また、上述の構成では、貫通孔31の位置が、第1方向としてのX軸方向X及び第2方向としてのY軸方向Yに見て、位置決め穴221と固定部材挿入穴231とが位置する領域から逸脱しない位置となる。
【0083】
よって、測定用治具2の土台部21のスペース効率が向上する。
【0084】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0085】
前記実施形態では、測定用治具2の基準位置P1は、土台部21の上面21a上において矩形領域R1の一隅に位置する。しかしながら、測定用治具の基準位置は、別の位置にあってもよい。前記測定用治具の前記基準位置は、例えば、厚み方向にみて、土台部の中央部に位置していてもよい。
【0086】
前記実施形態では、複数の位置決め穴221は、土台部21を厚み方向に見て、第1方向としての測定用治具2のX軸方向Xに第1所定間隔DX1で直線状に並ぶ複数の位置決め穴列L11、L12、L13、…を構成する。また、複数の位置決め穴列L11、L12、L13、…を構成する位置決め穴221は、前記第2方向に第2所定間隔DY1で直線状に並んでいる。
【0087】
しかしながら、複数の位置決め穴列の並びは、土台部を厚み方向に見て、直線状でなくてもよく、折れ線状又は曲線状等の線状であってもよい。また、固定部材挿入穴列の並びは、土台部を厚み方向に見て、直線状でなくてもよく、折れ線状又は曲線状等の線状であってもよい。
【0088】
すなわち、前記複数の位置決め穴は、前記土台部を厚み方向に見て、第1方向に第1所定間隔で線状に並ぶ複数の位置決め穴列を構成してもよい。前記複数の固定部材挿入穴は、前記土台部を厚み方向に見て、前記第1方向に所定間隔で線状に並ぶ複数の固定部材挿入穴列を構成してもよい。
【0089】
前記実施形態では、土台部21は、厚み方向において、測定用治具2のX軸方向X及びY軸方向Yに辺が伸びる矩形形状を有する。しかしながら、土台部21は、矩形形状以外の形状を有していてもよい。例えば、土台部21の形状は、円形、楕円形、矩形形状以外の多角形、閉曲線状の外郭線を有する形状、又は、曲線及び直線を組み合わせた外郭線を有する形状であってもよい。
【0090】
前記実施形態では、複数の位置決め穴221は、土台部21の上面21aから、土台部21の厚み方向の他方面である下面21bにかけて貫通している。複数の固定部材挿入穴231は、土台部21の上面21aから下面21bにかけて貫通している。しかしながら、複数の位置決め穴221及び複数の固定部材挿入穴231の少なくとも一方は、土台部21の上面21aから下面21bにかけて貫通していなくてもよい。
【0091】
前記実施形態では、位置決め穴列L11、L12、L13、…と固定部材挿入穴列L21、L22、L23、…とは、第1方向としてのX軸方向Xに直交する第2方向としてのY軸方向Yに1列ずつ交互に位置する。しかしながら、複数の位置決め穴列と複数の固定部材挿入穴列とが第1方向としてのX軸方向に直交する第2方向としてのY軸方向に交互に位置してもよい。つまり、少なくとも1つの位置決め穴列と少なくとも1つの固定部材挿入穴列とが第1方向に直交する第2方向に交互に位置してもよい。また、前記第1方向と、前記第2方向とは、直交しなくてもよく、交差すればよい。
【0092】
前記実施形態では、固定部材挿入穴列L21、L22、L23、…を構成する固定部材挿入穴231は、第2方向としてのY軸方向Yに第4所定間隔DY2で線状に並んでいる。しかしながら、固定部材挿入穴列を構成する固定部材挿入穴は、第2方向に第4所定間隔で線状に並んでいなくてもよい。
【0093】
前記実施形態では、第1方向としてのX軸方向Xにおいて、土台部21における位置決め穴221の位置と、土台部21における固定部材挿入穴231の位置とは異なる。しかしながら、第1方向において、土台部における位置決め穴と、土台部における固定部材挿入穴とが同じ位置に位置してもよい。
【0094】
前記実施形態では、特に説明しなかったが、複数の位置決め穴221が第1方向としてのX軸方向Xに並ぶ第1所定間隔DX1と、第2方向としてのY軸方向Yに並ぶ第2所定間隔DY1とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。複数の固定部材挿入穴231が第1方向としてのX軸方向Xに並ぶ第3所定間隔DX2と、第2方向としてのY軸方向Yに並ぶ第4所定間隔DY2とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0095】
前記実施形態では、土台部21を厚み方向に見て、第1方向としてのX軸方向Xにおいて、土台部21における位置決め穴221の位置と、土台部21における固定部材挿入穴231の位置とは距離d11だけズレている。また、土台部21を厚み方向に見た場合、第2方向としてのY軸方向Yにおいて、土台部21における位置決め穴221の位置と、土台部21における固定部材挿入穴231の位置とは距離d12だけズレている。前記実施形態では、特に説明しなかったが、第1方向のズレと、第2方向のズレとは同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0096】
前記実施形態では、位置決め穴221及び固定部材挿入穴231は、X軸方向及びY軸方向に対して交差する方向である二点鎖線矢印Kの方向に、交互に位置する。しかしながら、位置決め穴及び固定部材挿入穴は、第1方向としてのX軸方向及び第2方向としてのY軸方向に対して交差する方向に、交互に位置しなくてもよい。
【0097】
前記実施形態では、土台部21において、位置決め穴221及び固定部材挿入穴231が位置する矩形領域R1の外周側には、固定部材挿入穴列L21、L22、L23、…の少なくとも一部の固定部材挿入穴231が位置する。しかしながら、土台部において、位置決め穴及び固定部材挿入穴が位置する領域の外周側に、固定部材挿入穴列の固定部材挿入穴が位置していなくてもよい。すなわち、土台部において、位置決め穴及び固定部材挿入穴が位置する領域の外周側に、位置決め穴が位置していてもよい。
【0098】
前記実施形態では、土台部21を厚み方向に見て、寸法測定装置1の基準位置に対する位置決め穴221の位置の精度は、寸法測定装置1の基準位置に対する固定部材挿入穴231の位置の精度よりも高い。しかしながら、寸法測定装置の基準位置に対する位置決め穴の位置の精度は、寸法測定装置の基準位置に対する固定部材挿入穴の位置の精度と同じであってもよい。また、寸法測定装置の基準位置に対する位置決め穴の位置の精度は、寸法測定装置の基準位置に対する固定部材挿入穴の位置の精度よりも低くてもよい。
【0099】
前記実施形態では、固定部材42は、一方向に伸びる軸体421と、前記一方向において軸体421に沿って移動可能なアーム422と、前記一方向において軸体421の一方端に位置するねじ部423とを有するクランプである。しかしながら、固定部材は、測定対象を測定用治具に固定できれば任意のものを採用することができる。
【0100】
前記実施形態では、固定用補助治具50は、取付穴54を有する。しかしながら、取付穴を有さない固定用補助治具であっても、穴開け加工によって取付穴を形成することで、測定用治具への配置が可能となる。
【0101】
前記実施形態の変形例では、貫通孔31aは、第2方向としてのY軸方向Yの端部に位置する固定部材挿入穴列L21に対して、第1方向としてのX軸方向Xの外側に位置する。また、貫通孔31aは、Y軸方向Yの端部以外に位置する固定部材挿入穴列L22においてX軸方向Xの端部に位置する固定部材挿入穴231aとX軸方向Xに同じ位置に位置する。
【0102】
貫通孔は、第2方向の端部に位置する位置決め穴列に対して、第1方向の外側に位置し、且つ、前記第2方向の端部以外に位置する前記位置決め穴列において前記第1方向の端部に位置する前記位置決め穴と前記第1方向に同じ位置に位置していてもよい。また、貫通孔は、上述の位置になくてもよい。
【0103】
前記実施形態の変形例では、貫通孔31は、土台部21を厚み方向に見て、矩形状の4隅及び中央部に位置する。しかしながら、貫通孔31は、矩形状の4隅のうち少なくとも1つに位置していてもよいし、中央部だけに位置していてもよい。
【0104】
(構成例)
なお、本技術は以下のような構成をとることも可能である。
【0105】
(1)寸法測定装置によって寸法測定される測定対象を載せられる測定用治具であって、前記寸法測定装置の測定台上に置かれ、且つ、前記測定対象が置かれる平板状の土台部と、前記測定対象を前記土台部に対して位置決めするための位置決め部と、前記測定対象を前記土台部に固定するための固定部と、を有し、前記位置決め部は、前記測定対象を前記寸法測定装置の基準位置に対して位置決めするための位置決め具が挿入される複数の位置決め穴を有し、前記複数の位置決め穴は、前記土台部を厚み方向に見て、第1方向に第1所定間隔で線状に並ぶ複数の位置決め穴列を構成し、前記固定部は、固定部材を挿入して固定可能な複数の固定部材挿入穴を有し、前記複数の固定部材挿入穴は、前記土台部を厚み方向に見て、前記第1方向に所定間隔で線状に並ぶ複数の固定部材挿入穴列を構成し、少なくとも1つの前記位置決め穴列と少なくとも1つの前記固定部材挿入穴列とが、前記第1方向に交差する第2方向に交互に位置する。
【0106】
(2)(1)に記載の測定用治具において、前記位置決め穴列と前記固定部材挿入穴列とが、前記第2方向に交互に位置する、測定用治具。
【0107】
(3)(1)又は(2)に記載の測定用治具において、前記複数の位置決め穴列を構成する位置決め穴は、前記第2方向に第2所定間隔で線状に並んでいる。
【0108】
(4)(3)に記載の測定用治具において、前記第1方向において、前記土台部における前記位置決め穴の位置と、前記土台部における前記固定部材挿入穴の位置とが異なる。
【0109】
(5)(4)に記載の測定用治具において、前記位置決め穴及び前記固定部材挿入穴は、前記第1方向及び前記第2方向に対して交差する方向に、交互に位置する。
【0110】
(6)(1)から(5)のいずれか1つに記載の測定用治具において、前記土台部において、前記位置決め穴及び前記固定部材挿入穴が位置する領域の外周側には、前記固定部材挿入穴列の少なくとも一部の固定部材挿入穴が位置する。
【0111】
(7)(1)から(6)のいずれか1つに記載の測定用治具において、前記土台部を厚み方向に見て、前記基準位置に対する前記位置決め穴の位置の精度は、前記基準位置に対する前記固定部材挿入穴の位置の精度よりも高い。
【0112】
(8)(1)から(7)のいずれか1つに記載の測定用治具において、前記土台部は、前記寸法測定装置の測定台に対して前記土台部を取り付ける取付具が挿入される貫通孔をさらに有する。
【0113】
(9)(8)に記載の測定用治具において、前記貫通孔は、前記第2方向の端部に位置する前記固定部材挿入穴列又は前記位置決め穴列に対して、前記第1方向の外側に位置し、且つ、前記第2方向の端部以外に位置する前記固定部材挿入穴列において前記第1方向の端部に位置する前記固定部材挿入穴又は前記第2方向の端部以外に位置する前記位置決め穴列において前記第1方向の端部に位置する前記位置決め穴と前記第1方向に同じ位置 に位置する。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明は、寸法測定装置によって寸法測定される測定対象を載せられる測定用治具に利用可能である。
【符号の説明】
【0115】
1 寸法測定装置
11 測定台
111 基準穴
13 測定部
2、2A 測定用治具
21 土台部
21a 上面
21b 下面
22 位置決め部
221 位置決め穴
23 固定部
231 固定部材挿入穴
231a 固定部材挿入穴
31、31a 貫通孔
41 位置決め具
42 固定部材
421 軸体
422 アーム
423 ねじ部
50 固定用補助治具
51 土台部
52 配置位置
53 固定部
54 取付穴
60 取付具
DX1 第1所定間隔
DY1 第2所定間隔
DX2 第3所定間隔
DY2 第4所定間隔
L11、L12、L13 位置決め穴列
L21、L22、L23 固定部材挿入穴列
P1 基準位置
P2 基準位置
R1 矩形領域
T 測定対象
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12