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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123326
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】振動フィーダおよび印刷装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/06 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
A61J3/06 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030636
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 尚充
(72)【発明者】
【氏名】西川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】片岡 雅人
(72)【発明者】
【氏名】郷 宗充
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047CC15
4C047JJ01
4C047JJ12
4C047JJ32
4C047JJ33
4C047LL10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ボウルフィーダ内部における粉の堆積を抑制し、ボウルフィーダから排出される錠剤に付着する粉の除去効率を向上させる技術を提供する。
【解決手段】この振動フィーダ11は、振動子によって振動する外側ボウル部62および内側ボウル部63を有する。外側ボウル部62は、内外を連通し、内部空間内の粉末を外部へ排出する排出口623,624を有する。内側ボウル部63は、外側ボウル部62の内側に配置され、全域に均等に複数の貫通孔90が配置された内側底部631を有する。これにより、搬送対象物が内側底部631上のどの位置にあっても、搬送対象物から離れた粉末を内側底部631上に留めることなく、下方へと落下させることができる。これにより、搬送対象物への粉末の再付着を抑制し、搬送対象物の表面への粉末の付着を効率良く抑制できる。すなわち、振動フィーダ11から排出される錠剤に付着する粉の除去効率を向上できる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送対象物を振動により搬出する振動フィーダであって、
上方が開口したカップ状の外側ボウル部と、
前記外側ボウル部の内側に配置され、上方が開口したカップ状の内側ボウル部と、
前記外側ボウル部および前記内側ボウル部を振動させる振動子と、
を有し、
前記内側ボウル部は、
全域に均等に複数の貫通孔が配置された内側底部と、
前記内側底面から上方へ延びる円筒状の内側壁部と、
を有し、
前記外側ボウル部は、内部空間と外部とを連通し、前記内部空間内の粉末を外部へ排出する排出口を有する、振動フィーダ。
【請求項2】
請求項1に記載の振動フィーダであって、
前記内側底部は、網状である、振動フィーダ。
【請求項3】
請求項1に記載の振動フィーダであって、
前記外側ボウル部は、
前記外側ボウル部の側面に設けられた、外側搬出口
をさらに有し、
前記内側ボウル部は、
前記外側搬出口と重なる位置に配置され、前記内側壁部に設けられた内側搬出口と、
前記内側壁部に沿って、前記内側底部から前記内側搬出口へ向かって下方から上方へ周方向に延びる搬出スロープと、
をさらに有し、
前記搬出スロープは、全域に均等に複数の貫通孔が配置される、振動フィーダ。
【請求項4】
請求項3に記載の振動フィーダであって、
前記内側底部は、網状であり、
前記搬出スロープは、パンチングメタルである、振動フィーダ。
【請求項5】
請求項3に記載の振動フィーダであって、
前記内側ボウル部は、
前記内側壁部に沿って、前記内側底部から上端部へ向かって下方から上方へ周方向に延び、前記上端部は前記内側底部と段差を形成する落下スロープ
をさらに有し、
前記落下スロープは、全域に均等に複数の貫通孔が配置される、振動フィーダ。
【請求項6】
請求項5に記載の振動フィーダであって、
前記内側底部は、網状であり、
前記搬出スロープおよび前記落下スロープは、パンチングメタルである、振動フィーダ。
【請求項7】
請求項1に記載の振動フィーダであって、
前記外側ボウル部は、
前記内側ボウル部の下方を覆う外側底部と、
前記内側ボウル部の側方を覆い、前記外側底部から上方へ延びる外側壁部と、
を有し、
前記外側底部に、複数の前記排出口が配置される、振動フィーダ。
【請求項8】
請求項7に記載の振動フィーダであって、
前記外側壁部に、複数の前記排出口が配置される、振動フィーダ。
【請求項9】
請求項1に記載の振動フィーダであって、
前記外側ボウル部および前記内側ボウル部の上部を覆う蓋
をさらに有し、
前記蓋は、
前記蓋の上方から前記蓋の下方へ向かって気体を吹き付ける気体供給口
を有する、振動フィーダ。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9に記載の振動フィーダであって、
前記搬送対象物は錠剤である、振動フィーダ。
【請求項11】
錠剤を搬送しつつ、前記錠剤の表面に画像を印刷する印刷装置であって、
請求項1ないし請求項9に記載の振動フィーダと、
前記振動フィーダから供給される前記錠剤を搬送する搬送機構と、
前記搬送機構によって搬送される前記錠剤に対して印刷を行う印刷部と、
を有する、印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤等の搬送対象物を供給先に供給する振動フィーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、錠剤等の搬送対象物を供給先に供給する錠剤供給装置が知られている。従来の錠剤供給装置については、例えば、特許文献1,2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-4107号公報
【特許文献2】特開平8-141051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の印刷装置が備える錠剤供給装置は、ボウルフィーダと呼ばれる振動フィーダを有する。ボウルフィーダは、ボウル部に錠剤が複数入った状態で振動して錠剤が移動するため、ボウル部において錠剤の粉が堆積しやすいという問題が生じる。
【0005】
そのような課題を解決するために、特許文献2には、ボウルフィーダの入口部と出口部に、底面に吸引孔が穿設された樋状の通路を設け、吸引孔から吸引を行うことによって錠剤表面に付着している粉を取り除く方法が開示されている。
【0006】
しかしながら、特許文献2の方法では、ボウル部内部で発生し、ボウル部内に堆積した粉を回収することができない。ボウルフィーダで供給する粒状物が、素錠や、ラムネ菓子のように、粉の出やすいものである場合には、特に、ボウル部内に粉が堆積しやすい。このため、出口部のみでの粉の除去では、十分に錠剤に付着した粉を除去しきれない場合がある。すると、その後の錠剤表面への印刷等の処理を精度よく行うことも困難となる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、ボウルフィーダ内部における粉の堆積を抑制し、ひいては、ボウルフィーダから排出される錠剤に付着する粉の除去効率を向上させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、搬送対象物を振動により搬出する振動フィーダであって、上方が開口したカップ状の外側ボウル部と、前記外側ボウル部の内側に配置され、上方が開口したカップ状の内側ボウル部と、前記外側ボウル部および前記内側ボウル部を振動させる振動子と、を有し、前記内側ボウル部は、全域に均等に複数の貫通孔が配置された内側底部と、前記内側底面から上方へ延びる円筒状の内側壁部と、を有し、前記外側ボウル部は、内部空間と外部とを連通し、前記内部空間内の粉末を外部へ排出する排出口を有する。
【0009】
本願の第2発明は、第1発明の振動フィーダであって、前記内側底部は、網状である。
【0010】
本願の第3発明は、第1発明の振動フィーダであって、前記外側ボウル部は、前記外側ボウル部の側面に設けられた、外側搬出口をさらに有し、前記内側ボウル部は、前記外側搬出口と重なる位置に配置され、前記内側壁部に設けられた内側搬出口と、前記内側壁部に沿って、前記内側底部から前記内側搬出口へ向かって下方から上方へ周方向に延びる搬出スロープと、をさらに有し、前記搬出スロープは、全域に均等に複数の貫通孔が配置される。
【0011】
本願の第4発明は、第3発明の錠剤供給装置であって、振動フィーダであって、前記内側底部は、網状であり、前記搬出スロープは、パンチングメタルである。
【0012】
本願の第5発明は、第3発明の錠剤供給装置であって、前記内側ボウル部は、前記内側壁部に沿って、前記内側底部から上端部へ向かって下方から上方へ周方向に延び、前記上端部は前記内側底部と段差を形成する落下スロープをさらに有し、前記落下スロープは、全域に均等に複数の貫通孔が配置される。
【0013】
本願の第6発明は、第5発明の振動フィーダであって、前記内側底部は、網状であり、前記搬出スロープおよび前記落下スロープは、パンチングメタルである 。
【0014】
本願の第7発明は、第1発明ないし第6発明の振動フィーダであって、前記外側ボウル部は、前記内側ボウル部の下方を覆う外側底部と、前記内側ボウル部の側方を覆い、前記外側底部から上方へ延びる外側壁部と、を有し、前記外側底部に、複数の前記排出口が配置される。
【0015】
本願の第8発明は、第7発明の振動フィーダであって、前記外側壁部に、複数の前記排出口が配置される。
【0016】
本願の第9発明は、第1発明ないし第8発明の振動フィーダであって、前記外側ボウル部および前記内側ボウル部の上部を覆う蓋をさらに有し、前記蓋は、前記蓋の上方から前記蓋の下方へ向かって気体を吹き付ける気体供給口を有する。
【0017】
本願の第10発明は、第1発明ないし第9発明の振動フィーダであって、前記搬送対象物は錠剤である。
【0018】
本願の第11発明は、錠剤を搬送しつつ、前記錠剤の表面に画像を印刷する印刷装置であって、第1発明ないし第10発明の振動フィーダと、前記振動フィーダから供給される前記錠剤を搬送する搬送機構と、前記搬送機構によって搬送される前記錠剤に対して印刷を行う印刷部と、を有する。
【発明の効果】
【0019】
本願の第1発明~第11発明によれば、内側底部の全域に貫通孔を配置することにより、搬送対象物が内側底部上のどの位置にあっても、搬送対象物から離れた粉末を内側底部上に留めることなく、内側底部の下方へと落下させることができる。これにより、搬送対象物への粉末の再付着を抑制し、搬送対象物の表面への粉末の付着を効率良く抑制できる。すなわち、ボウルフィーダから排出される錠剤に付着する粉の除去効率を向上できる。
【0020】
特に、本願の第2発明によれば、内側底部631における貫通孔の面積割合は非常に大きく、内側底部上の搬送対象物に対する粉末の除去効率をさらに向上できる。
【0021】
特に、本願の第3発明によれば、搬出スロープ上においても、搬送対象物から離れた粉末を搬出スロープ上に留めることなく、搬出スロープ上の下方へと落下させることができる。したがって、搬送対象物に対する粉末の除去効率をさらに向上できる。
【0022】
特に、本願の第5発明によれば、落下スロープを設けることにより、落下の衝撃によって表面へ付着した粉末が離れやすいとともに、搬送対象物の表裏が反転する場合がある。これにより、搬送対象物の表裏両面に対して粉末の除去を行うことができる。また、落下スロープ上においても、搬送対象物から離れた粉末を落下スロープ上に留めることなく、落下スロープ上の下方へと落下させることができる。したがって、搬送対象物に対する粉末の除去効率をさらに向上できる。
【0023】
特に、本願の第4発明および第6発明によれば、内側底部における貫通孔の面積割合を大きくして粉末を落下させやすくする一方で、立体的な構造である搬出スロープや落下スロープには剛性の高いパンチングメタルを使用して、粉末の落下と剛性とを両立している。
【0024】
特に、本願の第7発明および第8発明によれば、内側ボウル部の貫通孔から下方へ落下した粉末を効率良く回収できる。
【0025】
特に、本願の第9発明によれば、搬送対象物に対して上方から、下方へ向かう気流が供給される。これにより、搬送対象物から離れた粉末が舞い上がるのを抑制し、当該粉末が内側ボウル部の貫通孔を介して下方へと向かうのを促進する。その結果、搬送対象物への粉末の再付着を抑制し、ボウルフィーダから排出される錠剤に付着する粉の除去効率をさらに向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】錠剤印刷装置の構成を示した図である。
図2】搬送コンベアの部分斜視図である。
図3】1つのヘッドの下面図である。
図4】錠剤印刷装置の制御ブロック図である。
図5】ボウルフィーダの下面図である。
図6】ボウルフィーダの蓋を除いた斜視図である。
図7】ボウルフィーダの蓋を除いた斜視図である。
図8】ボウルフィーダの蓋を除いた上面図である。
図9】ボウルフィーダの下面図である。
図10】蓋の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0028】
<1.錠剤印刷装置の全体構成>
図1は、本発明の一実施形態のボウルフィーダ11を有する錠剤印刷装置1の構成を示した図である。この錠剤印刷装置1は、複数の錠剤9を搬送しながら、各錠剤9の表裏両面に、製品名、製品コード、会社名、ロゴマーク等の画像を印刷する装置である。
【0029】
なお、錠剤9は、素錠(裸錠)であってもよく、あるいは、糖衣錠、フィルムコーティング錠(FC錠)等のコーティング錠であってもよい。また、錠剤9は、硬カプセル剤および軟カプセル剤を含むカプセル剤であってもよい。また、本発明における「錠剤」は、医薬品としての錠剤に限らず、健康食品としての錠剤や、ラムネ等の錠菓であってもよい。
【0030】
図1に示すように、本実施形態の錠剤印刷装置1は、供給機構10、第1ドラム15、第2ドラム20、搬送コンベア25、第1カメラ30、印刷部35、第2カメラ40、乾燥機構45、反転機構50、排出機構55、および制御部100を備えている。
【0031】
供給機構10は、錠剤印刷装置1に投入された複数の錠剤9を、第1ドラム15へ供給する機構である。本実施形態の供給機構10は、ボウルフィーダ11、第1シュート12、供給コンベア13、および第2シュート14を有する。
【0032】
ボウルフィーダ11は、投入された複数の錠剤9を振動により移動させて、第1シュート12へ供給する、振動フィーダである。第1シュート12は、ボウルフィーダ11の後述する搬出口630と供給コンベア13との間を繋ぐ供給路である。ボウルフィーダ11および第1シュート12の詳細な構成については、後述する。
【0033】
供給コンベア13は、第1シュート12から第2シュート14へ、錠剤9を搬送する機構である。供給コンベア13は、2つのプーリ131と、2つのプーリ131に架け渡された環状の供給ベルト132とを有する。2つのプーリ131の一方は、モータ(図示省略)から得られる動力により回転する。これにより、供給ベルト132が、図1中の矢印の方向に回動する。他方のプーリ131は、供給ベルト132の回動に伴い従動回転する。また、供給ベルト132の上部には、錠剤9の列の境界に沿って延びる仕切プレートが設けられている。第1シュート12から供給される錠剤9は、仕切プレートによって複数の列に整列された状態を維持しつつ、供給ベルト132の回動により、搬送方向の下流側へ搬送される。
【0034】
第2シュート14は、供給コンベア13と第1ドラム15との間で、直線状に延びている。第2シュート14は、複数の水平な供給路を有する。供給コンベア13から供給される複数の錠剤9は、第2シュート14の各供給路へ供給される。第2シュート14内の錠剤9は、供給コンベア13により搬送される後続の錠剤9に押されることによって、搬送方向の下流側へ搬送される。そして、第2シュート14の搬送方向下流側の端部から第1ドラム15へ、錠剤9が供給される。
【0035】
第1ドラム15は、第2シュート14から供給される複数の錠剤9を、搬送方向に一定の間隔をあけて保持しつつ搬送する機構である。第1ドラム15は、幅方向と平行な第1軸O1を中心とする略円筒状の外周面を有する。また、第1ドラム15には、図示を省略したモータが接続されている。モータを駆動させると、第1ドラム15は、第1軸O1を中心として、図1中の矢印の方向へ回転する。第1ドラム15は、その上端部付近の第1受渡位置P1から、第2ドラム20に近接する第2受渡位置P2まで、錠剤9を搬送する。
【0036】
図1に示すように、第1ドラム15は、ドラム本体16と、保持リング17とを有する。ドラム本体16は、第1軸O1を中心とする円筒状の外周面を有する。ドラム本体16は、例えば、ステンレス等の金属により形成される。保持リング17は、ドラム本体16の外周面に装着される。具体的には、複数の保持リング17が、錠剤9の列のそれぞれに対応する幅方向の位置に配置される。保持リング17は、例えば、ポリアセタール等の樹脂により形成される。
【0037】
各保持リング17の外周面は、複数の凹状のポケット18を有する。複数のポケット18は、第1軸O1を中心とする周方向に、一定の間隔で設けられている。また、保持リング17は、各ポケット18の底部に、錠剤9を吸着するための吸着孔19を有する。吸着孔19は、保持リング17を貫通する貫通孔である。
【0038】
第1ドラム15は、図示を省略した吸引機構と接続されている。吸引機構を動作させると、第1受渡位置P1と第2受渡位置P2との間の角度範囲に位置する第1ドラム15の内部空間から、気体が吸い出される。これにより、当該内部空間が、大気圧よりも低い負圧となる。また、当該内部空間と連通する吸着孔19にも、負圧が生じる。第2シュート14から供給される複数の錠剤9は、この負圧によって、保持リング17の吸着孔19に、吸着保持される。
【0039】
第2シュート14から供給される錠剤9は、1つずつポケット18に収容されて、吸着孔19に吸着保持される。このとき、錠剤9は、押圧機構141に押圧されることにより、保持リング17のポケット18へ誘い込まれる。その結果、複数の錠剤9の搬送方向の間隔が、ポケット18の間隔に応じた所定の間隔となる。各錠剤9は、ポケット18内の吸着孔19に吸着保持されつつ、第1ドラム15の回転によって、第1受渡位置P1から第2受渡位置P2まで搬送される。そして、錠剤9が第2受渡位置P2を通過すると、上記の負圧に保たれた内部空間の角度範囲から外れることによって、錠剤9の吸着が解除される。これにより、第1ドラム15から第2ドラム20へ、錠剤9が受け渡される。
【0040】
第2ドラム20は、第1ドラム15から受け渡される錠剤9を、搬送コンベア25まで搬送する機構である。第2ドラム20は、幅方向と平行な第2軸O2を中心とする略円筒状の外周面を有する。本実施形態では、第1ドラム15の外径と、第2ドラム20の外径とが、略同一である。ただし、第1ドラム15の外径と、第2ドラム20の外径とは、相違していてもよい。第2ドラム20には、図示を省略したモータが接続されている。モータを駆動させると、第2ドラム20は、第2軸O2を中心として、第1ドラム15とは反対の向きに回転する。第2ドラム20は、第1ドラム15に近接する第2受渡位置P2から、搬送コンベア25に近接する第3受渡位置P3まで、錠剤9を搬送する。第3受渡位置P3の高さは、第1受渡位置P1および第2受渡位置P2の高さよりも高い。
【0041】
図1に示すように、第2ドラム20は、ドラム本体21と、保持リング22とを有する。ドラム本体21は、第2軸O2を中心とする円筒状の外周面を有する。ドラム本体21は、例えば、ステンレス等の金属により形成される。保持リング22は、ドラム本体21の外周面に装着される。具体的には、複数の保持リング22が、錠剤9の列のそれぞれに対応する幅方向の位置に配置される。保持リング22は、例えば、シリコーン等の樹脂により形成される。
【0042】
各保持リング22は、複数の吸着孔24を有する。吸着孔24は、保持リング22を貫通する貫通孔である。また、第2ドラム20は、図示を省略した吸引機構と接続されている。吸引機構を動作させると、第2受渡位置P2と第3受渡位置P3との間の角度範囲に位置する第2ドラム20の内部空間から、気体が吸い出される。これにより、当該内部空間が、大気圧よりも低い負圧となる。また、当該内部空間と連通する吸着孔24にも、負圧が生じる。第1ドラム15から受け渡される複数の錠剤9は、この負圧によって、保持リング22の吸着孔24に吸着保持される。
【0043】
吸着孔24に吸着保持された錠剤9は、第2ドラム20の回転によって、第2受渡位置P2から第3受渡位置P3まで搬送される。そして、錠剤9が第3受渡位置P3を通過すると、上記の負圧に保たれた内部空間の角度範囲から外れることによって、錠剤9の吸着が解除される。これにより、第2ドラム20から搬送コンベア25へ、錠剤9が受け渡される。
【0044】
このように、本実施形態では、供給機構10から供給される複数の錠剤9を、第1ドラム15および第2ドラム20の2つのドラムを介して、搬送コンベア25へ搬送する。第1ドラム15は、複数の錠剤9を、搬送方向に間隔をあけた状態で保持する。第2ドラム20は、その搬送方向の間隔を保ちながら、搬送コンベア25へ錠剤9を搬送する。その際、第1ドラム15と第2ドラム20とで、錠剤9の搬送の向き(回転の向き)が反転する。これにより、搬送コンベア25の動作の向きに合わせて、第2ドラム20から搬送コンベア25へ、錠剤9を送ることができる。
【0045】
搬送コンベア25は、第2ドラム20から受け渡される複数の錠剤9を、吸着保持しつつ搬送する機構である。搬送コンベア25は、一対のプーリ26と、一対のプーリ26の間に架け渡された環状の搬送ベルト27とを有する。一対のプーリ26の一方は、図示を省略したモータから得られる動力により回転する。これにより、搬送ベルト27が、図1中の矢印の方向に回動する。一対のプーリ26の他方は、搬送ベルト27の回動に伴い従動回転する。
【0046】
図2は、搬送コンベア25の部分斜視図である。図2に示すように、搬送ベルト27には、複数の吸着孔29が形成されている。複数の吸着孔29は、搬送方向および幅方向に間隔をあけて配列されている。各吸着孔29は、搬送ベルト27を貫通する貫通孔である。また、搬送コンベア25は、搬送ベルト27の内側の空間から気体を吸い出す吸引機構(図示省略)を有する。吸引機構を動作させると、搬送ベルト27の内側の空間が、大気圧よりも低い負圧となる。複数の錠剤9は、当該負圧によって、吸着孔29に1つずつ吸着保持される。
【0047】
このように、複数の錠剤9は、搬送ベルト27の表面に、搬送方向よび幅方向に整列した状態で保持される。そして、搬送コンベア25は、搬送ベルト27を回動させることによって、複数の錠剤9を、環状の搬送経路に沿って搬送する。後述する4つのヘッド36の下方では、複数の錠剤9は、搬送ベルト27の上面に保持されつつ、水平方向に搬送される。また、後述する排出機構55の上方では、複数の錠剤9は、搬送ベルト27の下面に保持されつつ、水平方向に搬送される。
【0048】
図2に示すように、本実施形態の搬送ベルト27の表面は、反転機構50による反転前の錠剤9を保持する第1領域A1と、反転後の錠剤9を保持する第2領域A2とを有する。第1領域A1と第2領域A2とは、幅方向に隣接する。本実施形態では、第1領域A1および第2領域A2に、複数の吸着孔29が、幅方向に3列ずつ設けられる。上述した供給機構10、第1ドラム15、および第2ドラム20により供給される錠剤9は、第1領域A1の吸着孔29に吸着保持される。また、両面に印刷がされた複数の錠剤9は、第2領域A2の吸着孔29から排出機構55へ排出される。
【0049】
第1カメラ30は、印刷前の錠剤9を撮影するための処理部である。第1カメラ30は、上述した第3受渡位置P3よりも搬送経路の下流側かつ印刷部35よりも搬送経路の上流側に位置する。また、第1カメラ30は、第1領域A1と第2領域A2の双方に跨がって、幅方向に延びる。第1カメラ30には、例えば、CCDやCMOS等の撮像素子が幅方向に配列されたラインセンサが用いられる。第1カメラ30は、搬送ベルト27により搬送される複数の錠剤9を撮影する。撮影により取得された画像は、第1カメラ30から後述する制御部100へ送信される。制御部100は、第1カメラ30から得られた画像に基づいて、各吸着孔29における錠剤9の有無、錠剤9の位置、および錠剤9の姿勢を検出する。また、制御部100は、第1カメラ30から得られた画像に基づいて、各錠剤9に欠け等の欠陥が無いかどうかの検査も行う。
【0050】
印刷部35は、搬送ベルト27により搬送される錠剤9の表面に、インクジェット方式で画像を印刷する処理部である。図1に示すように、本実施形態の印刷部35は、4つのヘッド36を有する。4つのヘッド36は、搬送ベルト27の上方に位置し、錠剤9の搬送方向に沿って、一列に配置されている。各ヘッド36は、第1領域A1と第2領域A2の双方に跨がって、幅方向に延びる。4つのヘッド36は、錠剤9に向けて、互いに異なる色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックの各色)のインク滴を吐出する。すると、これらの各色により形成される単色画像の重ね合わせによって、錠剤9の表面に、多色画像が記録される。なお、各ヘッド36から吐出されるインクには、日本薬局方、食品衛生法等で認可された原料により製造された可食性インクが使用される。
【0051】
図3は、1つのヘッド36の下面図である。図3には、搬送ベルト27と、搬送ベルト27に保持された複数の錠剤9とが、二点鎖線で示されている。図3中に拡大して示したように、ヘッド36の下面には、インク滴を吐出可能な複数のノズル37が設けられている。本実施形態では、ヘッド36の下面に、複数のノズル37が、搬送方向および幅方向に二次元的に配列されている。各ノズル37は、幅方向に位置をずらして配列されている。このように、複数のノズル37を二次元的に配置すれば、各ノズル37の幅方向の位置を、互いに接近させることができる。ただし、複数のノズル37は、幅方向に沿って一列に配列されていてもよい。
【0052】
ノズル37からのインク滴の吐出方式には、例えば、ピエゾ素子に電圧を加えて変形させることにより、ノズル37内のインクを加圧して吐出する、いわゆるピエゾ方式が用いられる。ただし、インク滴の吐出方式は、ヒータに通電してノズル37内のインクを加熱膨張させることにより吐出する、いわゆるサーマル方式であってもよい。
【0053】
第2カメラ40は、印刷後の錠剤9を撮影するための処理部である。第2カメラ40は、印刷部35よりも搬送経路の下流側かつ乾燥機構45よりも搬送経路の上流側に位置する。また、第2カメラ40は、第1領域A1と第2領域A2の双方に跨がって、幅方向に延びる。第2カメラ40には、例えば、CCDやCMOS等の撮像素子が幅方向に配列されたラインセンサが用いられる。第2カメラ40は、搬送ベルト27により搬送される複数の錠剤9を撮影する。撮影により取得された画像は、第2カメラ40から後述する制御部100へ送信される。制御部100は、第2カメラ40から得られた画像に基づいて、錠剤9に印刷された画像の良否を検査する。
【0054】
乾燥機構45は、錠剤9に付着したインクを乾燥させる機構である。乾燥機構45は、第2カメラ40よりも搬送経路の下流側かつ後述する反転機構50および排出機構55よりも搬送経路の上流側に位置する。また、乾燥機構45は、第1領域A1と第2領域A2の双方に跨がって、幅方向に延びる。乾燥機構45には、例えば、搬送ベルト27により搬送される錠剤9へ向けて、加熱された気体(熱風)を吹き付ける、熱風供給機構が用いられる。錠剤9に付着したインクは、熱風により乾燥して、錠剤9の表面または裏面に定着する。
【0055】
反転機構50は、搬送ベルト27により搬送される錠剤9の表裏を反転させるとともに、第1領域A1から第2領域A2へ錠剤9を移動させる機構である。反転機構50は、乾燥機構45よりも搬送経路の下流側に位置する。反転機構50は、幅方向に並んだ一対の傾斜ドラム51を、複数組有する。各傾斜ドラム51は、円錐状の保持面を有する。一対の傾斜ドラム51のうち、一方の傾斜ドラム51は、第1領域A1において搬送される錠剤9を、保持面に吸着しつつ回転し、当該錠剤9を他方の傾斜ドラム51へ受け渡す。他方の傾斜ドラム51は、一方の傾斜ドラム51から受け取った錠剤9を、保持面に吸着しつつ回転し、当該錠剤9を第2領域A2へ受け渡す。これにより、錠剤9の表裏が反転するとともに、第1領域A1から第2領域A2へ錠剤9が移動する。
【0056】
供給機構10から第1ドラム15および第2ドラム20を介して搬送コンベア25へ搬送された錠剤9は、まず、搬送ベルト27の第1領域A1に保持される。そして、錠剤印刷装置1は、第1領域A1に錠剤9を保持しつつ搬送し、錠剤9の一方の面に対して、第1カメラ30による撮影、印刷部35による印刷、第2カメラ40による撮影、および乾燥機構45による乾燥、の各処理を行う。続いて、反転機構50が、錠剤9の表裏を反転させるとともに、第1領域A1から第2領域A2へ錠剤9を移動させる。その後、錠剤印刷装置1は、第2領域A2に錠剤9を保持しつつ搬送し、錠剤9の他方の面に対して、第1カメラ30による撮影、印刷部35による印刷、第2カメラ40による撮影、および乾燥機構45による乾燥、の各処理を行う。
【0057】
排出機構55は、両面に印刷がされた複数の錠剤9を、搬送コンベア25から排出するための機構である。排出機構55は、乾燥機構45よりも搬送経路の下流側に位置する。排出機構55は、搬送ベルト27の第2領域A2に保持された錠剤9を、不良品と良品とに分別しつつ、排出する。
【0058】
制御部100は、錠剤印刷装置1内の各部を動作制御するための手段である。図4は、錠剤印刷装置1の制御ブロック図である。図4中に概念的に示したように、制御部100は、CPU等のプロセッサ101、RAM等のメモリ102、およびハードディスクドライブ等の記憶部103を有するコンピュータにより構成される。記憶部103内には、錠剤9の搬送および印刷処理を実行するためのコンピュータプログラムCPが、記憶されている。
【0059】
また、図4に示すように、制御部100は、上述したボウルフィーダ11、供給コンベア13、第1ドラム15、第2ドラム20、搬送コンベア25、第1カメラ30、印刷部35、第2カメラ40、乾燥機構45、反転機構50、および排出機構55と、それぞれ電気的に接続されている。
【0060】
制御部100は、記憶部103に記憶されたコンピュータプログラムCPやデータをメモリ102に一時的に読み出し、当該コンピュータプログラムCPに基づいて、プロセッサ101が演算処理を行うことにより、上記の各部を動作制御する。これにより、複数の錠剤9の搬送と、各錠剤9に対する印刷処理とが進行する。
【0061】
<2.ボウルフィーダの構成>
続いて、図5図10を参照しつつ、ボウルフィーダ11の詳細な構成について説明する。図5は、ボウルフィーダ11の断面図である。図6および図7は、ボウルフィーダ11の蓋64を除いた斜視図である。図8は、ボウルフィーダ11の蓋64を除いた上面図である。図9は、ボウルフィーダ11の下面図である。図10は、蓋64の上面図である。
【0062】
図5に示すように、ボウルフィーダ11は、本体部61、外側ボウル部62、内側ボウル部63、および蓋64を有し、吸引機構65および気体供給機構66と接続されている。
【0063】
図5図7に示すように、本体部61は円柱状である。本体部61の上面には、外側ボウル部62の下面が固定されている。また、外側ボウル部62の内側には、内側ボウル部63が配置されている。外側ボウル部62と内側ボウル部63とは、図示を省略したネジ留め機構等の固定機構により、互いに固定されている。
【0064】
本体部61は、内部に振動子を有する。これにより、ボウルフィーダ11の駆動時には、振動子の振動によって、外側ボウル部62および内側ボウル部63が振動する。すなわち、本体部61の有する振動子は、外側ボウル部62および内側ボウル部63を振動させる。
【0065】
図5図9に示すように、外側ボウル部62は、上方が開口したカップ状である。外側ボウル部62は、外側底部621と、外側壁部622と、複数の下側排出口623と、複数の側方排出口624と、外側搬出口620とを有する。
【0066】
外側底部621は、水平方向に拡がる円板状の部位である。外側底部621は、内側ボウル部63の下方を覆う。外側底部621の下面の中心部は、本体部61と固定されている。外側壁部622は、外側底部621の縁部から上方へ延びる円筒状の部位である。外側壁部622は、内側ボウル部63の側方を覆う。
【0067】
下側排出口623は、外側底部621から下方へ延びる筒状の排出口である。下側排出口623は、外側ボウル部62の内部空間と外部とを連通し、外側ボウル部62の内部空間内の粉末を外部へ排出する。図9に示すように、この外側ボウル部62は、4つの下側排出口623を有する。4つの下側排出口623は、外側底部621と本体部61の固定箇所よりも外側において、周方向に等間隔に配置されている。
【0068】
図6図9に示すように、側方排出口624は、外側壁部622から外側へ延びる筒状の排出口である。側方排出口624は、外側ボウル部62の内部空間と外部とを連通し、外側ボウル部62の内部空間内の粉末を外部へ排出する。図9に示すように、この外側ボウル部62は、4つの側方排出口624を有する。4つの側方排出口624は、外側ボウル部62の周方向に等間隔に配置されている。
【0069】
外側搬出口620は、外側ボウル部62の側面に設けられた貫通孔である。具体的には、外側搬出口620は、外側壁部622に設けられた貫通孔である。外側搬出口620は、貫通孔でなく、外側ボウル部62の上端から下方へ延びる切り欠きであってもよい。
【0070】
図5図8に示すように、内側ボウル部63は、上方が開口したカップ状である。内側ボウル部63は、外側ボウル部62の内側に配置される。内側ボウル部63は、内側底部631と、内側壁部632と、搬出スロープ633と、落下スロープ634と、内側搬出口630とを有する。
【0071】
内側底部631は、水平方向に拡がる円板状の部位である。なお、内側底部631は、平面状でなくてもよい。内側底部631は、例えば、中央が盛り上がった曲面状であってもよい。内側底部631は、その全域に、均等に、複数の貫通孔90(図6図8では図示省略)が配置される。本実施形態では、内側底部631は、網状である。すなわち、内側底部631は、針金等の線条材料を複数方向に張り巡らせて形成されている。
【0072】
内側壁部632は、内側底部631の縁部から上方へ延びる円筒状の部位である。内側壁部632は、外側壁部622の内側において、外側壁部622の内周面と間隔を空けて配置される。
【0073】
内側搬出口630は、内側ボウル部63の側面に設けられた切り欠きである。具体的には、内側搬出口630は、内側壁部632の上端部から下方へ延びる切り欠きである。内側搬出口630は、切り欠きでなく、貫通孔であってもよい。内側搬出口630は、外側搬出口620と重なる位置に配置される。
【0074】
搬出スロープ633は、内側底部631上に設けられたスロープである。搬出スロープ633は、内側壁部632に沿って、内側底部631から内側搬出口630へ向かって下方から上方へ周方向(上面視で反時計回り)に延びる。搬出スロープ633の径方向の幅は、略一定である。搬出スロープ633の一端は、内側底部631と滑らかに繋がっている。一方、搬出スロープ633の他端(上端)は、内側底部631より上方に配置され、周方向において、内側底部631と段差を形成する。また、搬出スロープ633の他端を含む一部領域は、内側搬出口630の下端部に沿って、略水平な搬出領域639を構成する。そして、搬出スロープ633は、一端と搬出領域639との間において、ほぼ一定の勾配で傾斜している。搬出スロープ633は、全閾で均等に複数の貫通孔(図示省略)が配置されたパンチングメタルにより形成される。
【0075】
落下スロープ634は、内側底部631上に設けられたスロープである。落下スロープ634は、内側壁部632に沿って、内側底部631から上端部へ向かって下方から上方へ周方向(上面視で反時計回り)に延びる。落下スロープ634の径方向の幅は、略一定である。落下スロープ634の一端は、内側底部631と滑らかに繋がっている。一方、落下スロープ634の他端(上端)は、周方向において、内側底部631より上方に配置され、内側底部631と段差を形成する。落下スロープ634は、全域でほぼ一定の勾配で傾斜している。落下スロープ634は、全閾で均等に複数の貫通孔(図示省略)が配置されたパンチングメタルにより形成される。
【0076】
このような構成により、ボウルフィーダ11の駆動時には、ボウルフィーダ11の内側底部631上に多数の錠剤9が投入されるとともに、本体部61の振動子による外側ボウル部62および内側ボウル部63の振動行われる。これにより、外側ボウル部62および内側ボウル部63が振動する。そして、振動により、内側底部631上の錠剤9が径方向外側、および、上面視で反時計回りの方向に移動する。
【0077】
この移動によって、内側底部631上の錠剤9の一部が、落下スロープ634の一端から落下スロープ634上を内側壁部632に沿って登り、落下スロープ634の他端に達すると、内側底部631へと落下する。この落下により、錠剤9が裏返り表裏が反転したり、錠剤9に付着した粉が錠剤9から剥離する。
【0078】
また、内側底部631上の錠剤9の一部は、搬出スロープ633の一端から搬出スロープ633上を内側壁部632に沿って登り、搬出スロープ633の搬出領域639に達する。搬出領域639に達した錠剤9は、その一部は、振動によりそのまま周方向に移動し、搬出スロープ633の他端に達し、内側底部631へと落下する。一方、搬出領域639に達した錠剤9のその他の一部は、振動により径方向外側へ移動する。
【0079】
ここで、図7図8に示すように、搬出スロープ633の他端(上端)は、外側搬出口620および内側搬出口630を介して、第1シュート12の上端部と接続されている。一方、第1シュート12の下端部は、図1に示すように、供給コンベア13と接続されている。これにより、搬出スロープ633の一端から他端へと搬送され、搬出領域639において径方向外側へと向かう錠剤9は搬出領域639から第1シュート12へと移動し、第1シュート12を介して供給コンベア13へと供給される。
【0080】
なお、図5図9において、第1シュート12の詳細な構成は省略され、単なる板状に表示されている。しかしながら、第1シュート12には、錠剤9の落下を抑制し、整列させつつ搬送させるための構成を有している。
【0081】
図5に示すように、蓋64は、外側ボウル部62および 内側ボウル部63の上部を覆う。図5および図10に示すように、蓋64は、複数のノズル641を有する。ノズル641は、蓋64の上方から蓋64の下方へ向かって気体を吹き付ける気体供給口である。なお、図10に示すように、本実施形態の蓋64は、8つのノズル641を有する。
【0082】
図5に示すように、吸引機構65は、ボウルフィーダ11の内部から粉末を吸引するための機構である。吸引機構65は、8つの個別吸引配管651、集合吸引配管652、粉末回収部653、および排気ポンプ654を有する。なお、図5中、配管651,652は、破線で概念的に示している。
【0083】
個別吸引配管651はそれぞれ、上流側の端部が、外側ボウル部62の下側排出口623または側方排出口624に接続される。また、個別吸引配管651のそれぞれの下流側の端部と、集合吸引配管652の上流側の端部とが、接続される。集合吸引配管652には、粉末回収部653と排気ポンプ654とが介挿されている。なお、図5中には、8つの個別吸引配管651のうち、下側排出口623と接続する2つのみが図示されている。
【0084】
気体供給機構66は、内側ボウル部63の上部から、ノズル641を介して内側ボウル部63内に投入された錠剤9へ向かって気体を吹き付けるための機構である。気体供給機構66は、8つの個別給気配管661、集合給気配管662、および給気ポンプ663を有する。なお、図5中、配管661,662は、破線で概念的に示している。
【0085】
個別給気配管661はそれぞれ、下流側の端部が、蓋64に設けられたノズル641の外側(上側)の端部に接続される。また、個別給気配管661のそれぞれの上流側の端部と、集合給気配管662の下流側の端部とが、接続されている。集合給気配管662には、給気ポンプ663が介挿されている。なお、図5中には、8つの個別給気配管661のうち、4つのみが図示されている。
【0086】
ボウルフィーダ11の駆動時には、外側ボウル部62および内側ボウル部63の振動と併せて、吸引機構65による外側ボウル部62内の気体の吸引と、気体供給機構66による内側ボウル部63上面への気体の吹き付けとが行われる。
【0087】
内側ボウル部63の振動と、振動による錠剤9同士の接触とにより、内側ボウル部63内の錠剤9に付着した粉末が、錠剤9表面から離れる。このとき、気体供給機構66により、内側ボウル部63内に上方から下方へ向かう気流が発生している。これにより、錠剤9の表面から離れた粉末が、錠剤9表面に再付着するのが抑制され、下方へと向かう。内側底部631上の錠剤9から離れた粉末は、内側底部631の貫通孔90を介してさらに下方へ落下し、外側ボウル部62の外側底部621と内側底部631との間の空間へ向かう。また、搬出スロープ633および落下スロープ634上の錠剤9から離れた粉末は、搬出スロープ633および落下スロープ634の貫通孔を介して下方へ落下し、内側底部631の貫通孔90を介してさらに下方へ落下し、外側ボウル部62の外側底部621と内側底部631との間の空間へ向かう。
【0088】
ここで、下側排出口623は、外側ボウル部62の外側底部621と、内側ボウル部63の内側底部631との間の空間と外部とを連通する。また、図6および図7に示すように、側方排出口624の上端部と下端部との間に、内側底部631の下端部が配置される。これにより、側方排出口624の上部は、外側壁部622と内側壁部632との間の空間と外部とを連通し、側方排出口624の下部は、外側底部621と内側底部631との間の空間と外部とを連通する。
【0089】
このため、吸引機構65による吸引によって、内側底部631の貫通孔90から外側底部621と内側底部631との間の空間へ落ちた粉末は、下側排出口623および側方排出口624から排出される。また、粉末の舞い上がり等により、外側壁部622と内側壁部632との間の空間に向かう粉末も、側方排出口624から排出される。
【0090】
ここで、上述の通り、4つの下側排出口623は、外側ボウル部62の周方向に等間隔に配置されている。また、4つの側方排出口624は、外側ボウル部62の周方向に等間隔に配置されている。さらに、図9に示すように、4つの下側排出口623と4つの側方排出口624とは、交互に、外側ボウル部62の周方向に等間隔に配置されている。これにより、内側ボウル部63の内部から、外側ボウル部62と内側ボウル部63との間の空間に落下した粉末を、排出口623,624を介して効率よく排出できる。
【0091】
また、図10に示すように、8つのノズル641のは、径方向に並ぶ2つのノズル641を1組として、4組のノズル641が、周方向に等間隔に配置されている。これにより、径方向内側の4つのノズル641は、搬出スロープ633および落下スロープ634の内側において、内側底部631上の錠剤9に対して気体を吹き付けることができる。また径方向外側の4つのノズル641は、搬出スロープ633上の錠剤9と、落下スロープ634上の錠剤9とに対して気体を吹き付けることができる。
【0092】
このように、このボウルフィーダ11では、内側ボウル部63の内側底部631の全域に貫通孔90を配置することにより、錠剤9が内側底部631上のどの位置にあっても、錠剤9から離れた粉末を内側底部631上に留めることなく、内側底部631の下方へと落下させることができる。これにより、錠剤9への粉末の再付着を抑制し、ボウルフィーダ11から搬出される錠剤9に付着する粉の除去効率を向上できる。
【0093】
また、搬出スロープ633の上端部および落下スロープ634の上端部と内側底部631とが段差になっていることにより、当該段差を落下した錠剤9は、落下の衝撃によって表面へ付着した粉末が離れやすいとともに、錠剤9の表裏が反転する場合がある。錠剤9の表裏が反転することにより、振動による衝撃や、気体供給機構66による気体の吹き付け等を、どちらの面に対しても同様の条件で受けることができる。これにより、錠剤9の表裏両面に対して粉末の除去を行うことができる。
【0094】
また、搬出スロープ633および落下スロープ634についても、その全域に貫通孔を配置することにより、搬出スロープ633および落下スロープ634において錠剤9から落下した粉末をスロープ633,634上に留めることなく、スロープ633,634の下方へと落下させることができる。これにより、スロープ633,634上においても、錠剤9への粉末の再付着を抑制し、ボウルフィーダ11から搬出される錠剤9の表面への粉末の付着を効率良く抑制できる。
【0095】
また、内側ボウル部63の上方において蓋64に設けられたノズル641から、下方へ向かって気体を吹き付けることにより、内側ボウル部63内の錠剤9に上方から、下方へ向かう気流が供給される。これにより、錠剤9表面から離れた粉末が舞い上がるのを抑制し、当該粉末が内側ボウル部63の下方へと向かうことを促進する。その結果、錠剤9への粉末の再付着を抑制し、ボウルフィーダ11から搬出される錠剤9の表面への粉末の付着を効率良く抑制できる。
【0096】
また、本実施形態では、内側底部631は網状であり、搬出スロープ633および落下スロープ634はパンチングメタルであった。このため、内側底部631における貫通孔90の面積割合は非常に大きく、内側底部631において、粉末は下方へ落下しやすい。一方、立体的な構造である搬出スロープ633および落下スロープ634は、網状の部材よりも剛性の高いパンチングメタルを使用することで、その全域において粉末を落下させることと、剛性とを両立している。
【0097】
<3.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
【0098】
上記の実施形態では、搬送対象物は錠剤であった。しかしながら、搬送対象物は錠剤に限られない。搬送対象物は、錠剤や錠菓を含む粒状物であってもよいし、その他、粉末の付着や発生が生じるものであれば、ネジ等の工業製品であってもよい。
【0099】
また、上記の実施形態では、内側底部631は網状であり、搬出スロープ633および落下スロープ634はパンチングメタルであった。しかしながら、内側底部631、搬出スロープ633および落下スロープ634は、その全域に均等に複数の貫通孔が配置された構成であれば、網状でも、パンチングメタルでも、その他の構成であってもよい。
【0100】
また、上記の実施形態ではボウルフィーダ11は錠剤印刷装置1へ錠剤9を供給するものであったが、本発明はこの限りではない。本発明の振動フィーダ(ボウルフィーダ)は、その他どのような装置や構成に搬送対象物を搬送するものであってもよい。
【0101】
また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に取捨選択してもよい。
【符号の説明】
【0102】
1 錠剤印刷装置
9 錠剤
11 ボウルフィーダ
61 本体部
62 外側ボウル部
63 内側ボウル部
64 蓋
65 吸引機構
66 気体供給機構
90 貫通孔
620 外側搬出口
621 外側底部
622 外側壁部
623 下側排出口
624 側方排出口
630 内側搬出口
631 内側底部
632 内側壁部
633 搬出スロープ
634 落下スロープ
639 搬出領域
641 ノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10