(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123330
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】監視システム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20240905BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20240905BHJP
G06T 7/246 20170101ALI20240905BHJP
G01V 1/01 20240101ALI20240905BHJP
G01V 1/28 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H04N7/18 D
H04N23/60 500
G06T7/246
G01V1/00 D
G01V1/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030640
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100098383
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100155860
【弁理士】
【氏名又は名称】藤松 正雄
(72)【発明者】
【氏名】藤田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】清水 秀晃
【テーマコード(参考)】
2G105
5C054
5C122
5L096
【Fターム(参考)】
2G105AA03
2G105BB01
2G105BB17
2G105EE06
2G105FF03
2G105FF16
2G105GG03
2G105MM02
2G105NN04
5C054CA04
5C054CC02
5C054FC12
5C054FC15
5C054HA05
5C122DA11
5C122EA61
5C122FH12
5C122HA88
5C122HB10
5L096BA02
5L096CA04
5L096CA05
5L096DA02
5L096FA66
5L096FA69
5L096FA76
5L096HA04
(57)【要約】
【課題】観測地点をカメラにより撮影した画像を用いて地震等の揺れ検出を行うにあたり、カメラ自身の揺れ動きが揺れ検出に及ぼす影響を低減する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る監視システムは、観測地点の空間の所定位置に固定された第1目印(L1)と、観測地点の空間に配置された測定対象物Tに付された第2目印(L2)と、観測地点の空間を撮影するカメラ10(C)と、カメラ10(C)から受信した撮影画像を解析する画像処理装置20とを備え、画像処理装置20が、カメラ10(C)の撮影画像における第1目印(L1)と第2目印(L2)の位置関係の変化に基づいて、測定対象物Tの動きを検出する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
観測地点の空間の所定位置に固定された第1の目印と、
前記空間に配置された対象物に付された第2の目印と、
前記空間を撮影するカメラとを備え、
前記カメラの撮影画像における前記第1の目印と前記第2の目印の位置関係の変化に基づいて、前記対象物の動きを検出することを特徴とする監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載の監視システムにおいて、
前記撮影画像における前記第1の目印の位置の変化に基づいて、前記カメラの揺れを検出することを特徴とする監視システム。
【請求項3】
請求項1に記載の監視システムにおいて、
前記撮影画像における前記第1の目印と前記第2の目印の間の距離の変化に基づいて、前記対象物の速度および加速度を算出することを特徴とする監視システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の監視システムにおいて、
前記第1の目印および前記第2の目印として、LEDライトを用いることを特徴とする監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観測地点における地震等の揺れを検出するための監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地震等の揺れを検出するために、感震センサなどのセンサ機器を観測地点に設置していた。このようなセンサ機器は、電源や通信回線との接続が必要となるため、センサ機器を設置できる場所(観測地点)が限定されてしまう。また、揺れ検出の別の手法として、カメラを用いて観測地点にある対象物を撮影し、撮影画像における対象物の動きから揺れを推定することも考えられる。しかしながら、地震等の揺れによってカメラ自身が揺れ動いてしまうので、対象物の動きを正確に解析できないという問題がある。
【0003】
本発明に係る技術分野の従来技術としては、以下のようなものがある。例えば、特許文献1には、設置時に検知エリアを撮像した基準画像と、基準画像に設定された基準点の位置情報とを記憶しておき、周期的にカメラの撮影画像と基準画像との間の基準点のズレ量を検出する発明が開示されている。例えば、特許文献2には、所定の場所を撮影した参照画像のエッジ抽出画像と、参照画像撮影後に参照画像と同じ場所を撮影した対象画像のエッジ抽出画像とを用いて、各画素の差分絶対値にて構成する差分画像を生成し、差分画像に基づいて対象画像の画角ズレを補正する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-219628号公報
【特許文献2】特開2016-134636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような従来の事情に鑑みて為されたものであり、観測地点をカメラにより撮影した画像を用いて地震等の揺れ検出を行うにあたり、カメラ自身の揺れ動きが揺れ検出に及ぼす影響を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の一態様に係る監視システムは、以下のように構成される。すなわち、本発明の監視システムは、観測地点の空間の所定位置に固定された第1の目印と、観測地点の空間に配置された対象物に付された第2の目印と、観測地点の空間を撮影するカメラとを備え、カメラの撮影画像における第1の目印と第2の目印の位置関係の変化に基づいて、対象物の動きを検出することを特徴とする。
【0007】
ここで、本発明に係る監視システムは、撮影画像における第1の目印の位置の変化に基づいて、カメラの揺れを検出するように構成され得る。
【0008】
また、本発明に係る監視システムは、撮影画像における第1の目印と第2の目印の間の距離の変化に基づいて、対象物の速度および/または加速度を算出するように構成され得る。
【0009】
また、本発明に係る監視システムは、第1の目印および第2の目印として、LEDライトを用いるように構成され得る。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、観測地点をカメラにより撮影した画像を用いて地震等の揺れ検出を行うにあたり、カメラ自身の揺れ動きが揺れ検出に及ぼす影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る監視システムの構成例を示す図である。
【
図2】揺れ発生前の観測地点の様子を例示する図である。
【
図3】揺れ発生後の観測地点の様子を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る監視システムの構成例を示してある。図示の監視システムは、カメラ10と、画像処理装置20と、モニタ30とを備えている。カメラ10と画像処理装置20は、有線または無線の回線を介して通信可能に接続されている。また、画像処理装置20とモニタ30も、有線または無線の回線を介して通信可能に接続されている。
【0013】
カメラ10は、観測地点に向けて設置された撮像装置であり、観測地点の空間を撮影する。カメラ10による撮影画像は、画像処理装置20へ送信される。画像処理装置20は、カメラ10から受信した撮影画像を解析することで、地震等の揺れを検出するための揺れ検出処理を行う。画像処理装置20による検出結果は、モニタ30へ送信される。モニタ30は、画像処理装置20から受信した検出結果を表示する。
【0014】
本例の監視システムの動作について、
図2および
図3を参照して説明する。
図2には、揺れ発生前の観測地点の様子を例示してある。
図3には、揺れ発生後の観測地点の様子を例示してある。
【0015】
図2および
図3に示すように、カメラ10(C)が、観測地点の空間に向けて設置されている。観測地点の空間には、地震等の揺れにより移動し得る測定対象物Tと、第1目印(L1)と、第2目印(L2)とが存在している。第1目印(L1)は、上述した課題を解決するための手段の「第1の目印」に対応し、第2目印(L2)は、上述した課題を解決するための手段の「第2の目印」に対応している。第1目印(L1)および第2目印(L2)としては、例えば、LED(Light Emitting Diode)により発光するLEDライトが使用される。
【0016】
LEDライトはRGBの特徴的な色を使用できるので、各目印の位置をカメラ映像から特定し易いという特徴がある。また、LEDライトは照明がない部屋でも目印として使用することができ、安価にシステムを構築できるメリットもある。なお、第1目印(L1)と第2目印(L2)が区別し易くなるように、互いに異なる色に発光するLEDライトを用いてもよい。
【0017】
第1目印(L1)は、地震等が発生しても移動しないように、観測地点の空間の所定位置に固定される。図示の例では、観測地点の空間にある壁面に、第1目印(L1)が設置されている。なお、第1目印(L1)は、カメラ10(C)の撮影範囲内に固定されればよく、観測地点の空間の天井や床面などの別の場所に設置されてもよい。図示の例では、第1目印(L1)を1つだけ用いているが、複数の第1目印(L1)を観測地点の空間の異なる位置に固定してもよい。
【0018】
第2目印(L2)は、観測地点の空間に配置された測定対象物Tに取り付けられている。測定対象物Tは地震等の揺れにより移動し得るので、測定対象物Tの移動に伴って第2目印(L2)の位置も変化し得る。図示の例では、測定対象物Tに対して第2目印(L2)を1つだけ取り付けているが、複数の第2目印(L2)を測定対象物Tの異なる位置に取り付けてもよい。また、複数セットの測定対象物Tおよび第2目印(L2)を観測地点の空間に配置してもよい。
【0019】
カメラ10(C)は、第1目印(L1)および第2目印(L2)が撮影範囲内に収まる位置に設置される。ただし、地震等の揺れによる測定対象物Tの移動に伴って第2目印(L2)の位置が変化する可能性があり、また、地震等の揺れによってカメラ10(C)自身も揺れ動く可能性がある。このため、地震等の揺れが発生した後でも第1目印(L1)および第2目印(L2)が撮影範囲内に収まるように、カメラ10(C)の配置を工夫する必要がある。図示の例では、観測地点の空間の天井付近の位置に、第1目印(L1)および第2目印(L2)を見下ろすようにカメラ10(C)が設置されている。なお、カメラ10(C)の配置はこれに限定されず、地震等の揺れが発生した後でも第1目印(L1)および第2目印(L2)を撮影することが可能な他の位置にカメラ10(C)を設置してもよい。
【0020】
図2では、揺れ発生前の時点における三次元直交座標系上のカメラ10(C)の座標を(x
C,y
C,z
C)とし、第1目印(L1)の座標を(x
L1,y
L1,z
L1)とし、第2目印(L2)の座標を(x
L2,y
L2,z
L2)としている。また、
図3では、揺れ発生後の時点における三次元直交座標系上のカメラ10(C)の座標を(x
C',y
C',z
C')とし、第1目印(L1)の座標を(x
L1',y
L1',z
L1')とし、第2目印(L2)の座標を(x
L2',y
L2',z
L2')としている。
【0021】
図2および
図3に示すように、揺れの前後において、第2目印(L2)は、座標が(x
L2,y
L2,z
L2)から(x
L2',y
L2',z
L2')へと変化し得る。カメラ10(C)も、変動は小さいものの、座標が(x
C,y
C,z
C)から(x
C',y
C',z
C')へと変化し得る。また、カメラ10(C)は、撮影方向の変化も生じる場合がある。
【0022】
一方、第1目印(L2)は観測地点の空間に固定されているので、位置の変化はない(つまり、(xL1',yL1',zL1'))=(xL1,yL1,zL1))。したがって、カメラ10(C)が揺れ動いたとしても、固定された第1目印(L1)と変動する第2目印(L2)の位置関係の変化が分かれば、観測地点の空間における測定対象物Tの移動を把握できる。このため、カメラ10(C)による撮影画像における各目印の位置をフレーム毎に比較して各目印の位置関係の変化を捉えることで、観測地点の空間における測定対象物Tの動きを検出することが可能である。
【0023】
本システムでは、各目印の位置関係の変化を捉えるために、撮影画像の画像平面である二次元座標系で各目印の位置(座標)を算出・比較するが、三次元座標系上の各目印の位置を算出・比較するようにしてもよい。三次元座標系上の各目印の位置は、例えば、複数台のカメラを用いることで取得することが可能である。三次元座標系上で処理を行うことで、各目印の位置関係の変化をより正確に捉えることが可能となる。なお、本システムのように二次元座標系上で処理を行っても、各目印の位置関係の時間的変化を捉えることができるので、観測地点の空間における測定対象物Tの動きを支障なく検出できる。
【0024】
画像処理装置20は、カメラ10による撮影画像を解析し、撮影画像における第1目印(L1)と第2目印(L2)の位置関係の時間的変化を捉えることで、地震等の揺れによる測定対象物Tの動きを検出する。具体的には、画像処理装置20は、1フレーム毎(または数フレーム毎)に、第1目印(L1)の座標と第2目印(L2)の座標の間の距離を算出し、現在のフレームで算出した距離を前回のフレームで算出した距離と比較する。その結果、両者が同じ場合(つまり、フレーム間の距離の差分=0の場合)には、測定対象物Tに動きがなく、地震等の揺れが発生していないと判定する。一方、両者が異なる場合(つまり、フレーム間の距離の差分≠0の場合)には、測定対象物Tに動きがあり、地震等の揺れが発生していると判定する。
【0025】
また、画像処理装置20は、地震等の揺れが発生していると判定した場合に、撮影画像における第1目印(L1)の位置の時間的変化に基づいて、カメラ10の揺れを検出してもよい。つまり、撮影画像における第1目印(L1)の位置をフレーム間で比較し、第1目印(L1)の位置が変化していない場合には、カメラ10が揺れていないと判定する。一方、第1目印(L1)の位置が変化した場合には、カメラ10が揺れていると判定する。この場合は更に、第1目印(L1)の位置の変化量(差分)を求めることで、カメラ10の揺れ量を算出するようにしてもよい。
【0026】
また、画像処理装置20は、地震等の揺れが発生していると判定した場合に、撮影画像における第1目印(L1)と第2目印(L2)の間の距離の時間的変化(例えば、フレーム毎の)に基づいて、測定対象物Tの速度や加速度を算出してもよい。測定対象物Tの速度は、目印間距離の単位時間あたりの変化量により算出することができ、測定対象物Tの加速度は、測定対象物Tの速度の時間微分により算出することができる。
【0027】
以上のように、本例の監視システムは、観測地点の空間の所定位置に固定された第1目印(L1)と、観測地点の空間に配置された測定対象物Tに付された第2目印(L2)と、観測地点の空間を撮影するカメラ10(C)と、カメラ10(C)から受信した撮影画像を解析する画像処理装置20とを備え、画像処理装置20が、カメラ10(C)の撮影画像における第1目印(L1)と第2目印(L2)の位置関係の変化に基づいて、測定対象物Tの動きを検出するように構成されている。また、本例の監視システムは、撮影画像における第1目印(L1)の位置の変化に基づいて、カメラ10(C)の揺れを検出したり、撮影画像における第1目印(L1)と第2目印(L2)の間の距離の変化に基づいて、測定対象物Tの速度および/または加速度を算出することも可能である。
【0028】
したがって、本例の監視システムによれば、観測地点をカメラにより撮影した画像を用いて地震等の揺れ検出を行うにあたり、カメラ自身の揺れ動きが揺れ検出に及ぼす影響を低減することができる。また、本例の監視システムによれば、簡易な構成でありながら、地震等の揺れの程度を種々の観点から分析することが可能である。
【0029】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これら実施形態は例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明は、その他の様々な実施形態をとることが可能であると共に、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等の種々の変形を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0030】
また、本発明は、上記の説明で挙げたような装置や、これら装置で構成されたシステムとして提供することが可能なだけでなく、これら装置により実行される方法、これら装置の機能をプロセッサにより実現させるためのプログラム、そのようなプログラムをコンピュータ読み取り可能に記憶する記憶媒体などとして提供することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、観測地点をカメラにより撮影した画像を用いて地震等の揺れ検出を行う監視システムに利用することが可能である。
【符号の説明】
【0032】
10:カメラ、 20:画像処理装置、 30:モニタ、 C:カメラ、 T:測定対象物、 L1:第1目印、 L2:第2目印