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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123331
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】誘導加熱装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/12 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
H05B6/12 324
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030642
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【弁理士】
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(74)【代理人】
【氏名又は名称】半田 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100203677
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 力
(72)【発明者】
【氏名】竹下 みゆき
(72)【発明者】
【氏名】吉田 秀人
(72)【発明者】
【氏名】文屋 潤
(72)【発明者】
【氏名】栗城 勇介
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 匡薫
(72)【発明者】
【氏名】倉本 康司
【テーマコード(参考)】
3K151
【Fターム(参考)】
3K151CA48
3K151CA56
3K151CA93
(57)【要約】
【課題】誘導加熱装置において、出力電力を制限することなく、フリッカ現象の発生を防止することができるようにする。
【解決手段】誘導加熱装置は、直流電力を供給する入力電源部120と、直流電力を交流電力に変換する複数の駆動部112a、112bと、交流電力により複数の被加熱物に対して誘導加熱を行う誘導加熱装置複数の加熱コイル111a、111bと、複数の被加熱物を複数の加熱コイル111a、111bで同時に加熱する際に、複数の駆動部112a、112bを交互に駆動させる制御部130とを備える。制御部130は、複数の駆動部112a、112bを交互に駆動させる駆動時間比を変更する場合には、複数の駆動部112a、112bの駆動を一時的に停止させた後に、その駆動時間比を変更して、複数の駆動部112a、112bの駆動を再開させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力を供給する電源部と、
前記直流電力を交流電力に変換する複数の駆動部と、
前記交流電力により複数の被加熱物に対して誘導加熱を行う複数の誘導加熱部と、
前記複数の被加熱物を前記複数の誘導加熱部で同時に加熱する際に、前記複数の駆動部を交互に駆動させる制御部と、を備え、
前記制御部は、前記複数の駆動部を交互に駆動させる駆動時間比を変更する場合には、前記複数の駆動部の駆動を一時的に停止させた後に、前記駆動時間比を変更して、前記複数の駆動部の駆動を再開させること
を特徴とする誘導加熱装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記複数の被加熱物を加熱する加熱レベルの大小に応じて前記駆動時間比を特定し、前記複数の被加熱物を加熱する加熱レベルの大小が変化した場合に、前記駆動時間比を変更すること
を特徴とする請求項1に記載の誘導加熱装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記複数の被加熱物を加熱する加熱レベルの比に応じて前記駆動時間比を特定し、前記複数の被加熱物を加熱する加熱レベルの比が変化した場合に、前記駆動時間比を変更すること
を特徴とする請求項1に記載の誘導加熱装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記複数の被加熱物を加熱する加熱レベルの組み合わせに応じて前記駆動時間比を特定し、
前記制御部は、前記駆動時間比として第1の駆動時間比で前記複数の駆動部を交互に駆動させている際に、前記複数の被加熱物の少なくとも一つを加熱する加熱レベルが変更され、変更後の加熱レベルの組み合わせに応じて特定される前記駆動時間比である第2の駆動時間比が、前記第1の駆動時間比と異なる場合に、前記駆動時間比を変更すること
を特徴とする請求項1に記載の誘導加熱装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記複数の駆動部を交互に駆動させている際に、前記複数の被加熱物の少なくとも一つを加熱する加熱レベルが変更されても、前記駆動時間比を変更しない場合には、変更後の加熱レベルに応じて、前記複数の駆動部の少なくとも一つの駆動状態を変更すること
を特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の誘導加熱装置。
【請求項6】
前記駆動状態は、前記複数の駆動部の少なくとも一つを駆動するための駆動信号の周波数又はデューティ比であること
を特徴とする請求項5に記載の誘導加熱装置。
【請求項7】
直流電力を供給する電源部と、
前記直流電力を交流電力に変換する複数の駆動部と、
前記複数の駆動部のそれぞれの出力特性を検出する複数の出力特性検出部と、
前記交流電力により複数の被加熱物に対して誘導加熱を行う複数の誘導加熱部と、
前記複数の被加熱物を前記複数の誘導加熱部で同時に加熱する際に、前記複数の駆動部を交互に駆動させる制御部と、を備え、
前記制御部は、前記複数の駆動部を交互に駆動させている際に、前記複数の誘導加熱部の少なくとも一つの加熱レベルが変更された場合には、前記複数の駆動部の駆動を一時的に停止させた後に、前記複数の駆動部を、前記出力特性を検出するための駆動状態で駆動させて、前記複数の出力特性検出部で検出されたそれぞれの出力特性に従って、前記複数の駆動部を交互に駆動させる駆動時間比を特定し、前記特定された駆動時間比で前記複数の駆動部の駆動を再開させること
を特徴とする誘導加熱装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記複数の出力特性検出部で検出されたそれぞれの出力特性を用いて、前記複数の被加熱物のそれぞれの負荷特性を特定し、前記負荷特性に従って、前記駆動時間比を特定すること
を特徴とする請求項7に記載の誘導加熱装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記複数の出力特性検出部で検出されたそれぞれの出力特性を用いて、前記複数の駆動部のそれぞれの最大許容電力を決定し、前記最大許容電力に従って、前記駆動時間比を特定すること
を特徴とする請求項7に記載の誘導加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、誘導加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁誘導によって被加熱物を加熱する複数の誘導加熱部を有する誘導加熱装置が普及している。複数の誘導加熱部を有する誘導加熱装置では、複数の誘導加熱部のそれぞれに設けられている複数のインバータを交互に駆動させる。
【0003】
複数のインバータを交互に駆動させる場合、例えば、誘導加熱部の加熱レベルを変更することで、誘導加熱部への出力電力の変化が大きくなると、照明機器のちらつき等のフリッカ現象が発生する場合がある。
【0004】
これに対して、特許文献1では、二つのインバータの電力変化量が所定量以下となるように、二つのインバータの駆動時間比を制限することで、フリッカ現象の発生を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5909674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電力変化量が所定量以下となるように制限された駆動時間比で各インバータを交互に動作させると、駆動時間比によって出力電力が制限され、ユーザが所望する電力が得られず、調理性能が損なわれる場合がある。
【0007】
そこで、本開示の一又は複数の態様は、誘導加熱装置において、出力電力を制限することなく、フリッカ現象の発生を防止することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る誘導加熱装置は、直流電力を供給する電源部と、前記直流電力を交流電力に変換する複数の駆動部と、前記交流電力により複数の被加熱物に対して誘導加熱を行う複数の誘導加熱部と、前記複数の被加熱物を前記複数の誘導加熱部で同時に加熱する際に、前記複数の駆動部を交互に駆動させる制御部と、を備え、前記制御部は、前記複数の駆動部を交互に駆動させる駆動時間比を変更する場合には、前記複数の駆動部の駆動を一時的に停止させた後に、前記駆動時間比を変更して、前記複数の駆動部の駆動を再開させることを特徴とする。
【0009】
本開示の一態様に係る誘導加熱装置は、直流電力を供給する電源部と、前記直流電力を交流電力に変換する複数の駆動部と、前記複数の駆動部のそれぞれの出力特性を検出する複数の出力特性検出部と、前記交流電力により複数の被加熱物に対して誘導加熱を行う複数の誘導加熱部と、前記複数の被加熱物を前記複数の誘導加熱部で同時に加熱する際に、前記複数の駆動部を交互に駆動させる制御部と、を備え、前記制御部は、前記複数の駆動部を交互に駆動させている際に、前記複数の誘導加熱部の少なくとも一つの加熱レベルが変更された場合には、前記複数の駆動部の駆動を一時的に停止させた後に、前記複数の駆動部を、前記出力特性を検出するための駆動状態で駆動させて、前記複数の出力特性検出部で検出されたそれぞれの出力特性に従って、前記複数の駆動部を交互に駆動させる駆動時間比を特定し、前記特定された駆動時間比で前記複数の駆動部の駆動を再開させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一又は複数の態様によれば、誘導加熱装置において、出力電力を制限することなく、フリッカ現象の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1及び2に係る誘導加熱装置の構成を概略的に示す斜視図である。
図2】実施の形態1及び2における第1の加熱部及び第2の加熱部を説明するための一部断面図である。
図3】実施の形態1における第1の加熱部、第2の加熱部及び入力電源部の構成を説明するための概略回路図である。
図4】実施の形態1に係る誘導加熱装置の動作モードを説明するための概略図である。
図5】実施の形態1における第3の動作モードでの制御部の動作を示すフローチャートである。
図6】実施の形態2における第1の加熱部、第2の加熱部及び入力電源部の構成を説明するための概略回路図である。
図7】実施の形態2に係る誘導加熱装置の動作モードを説明するための概略図である。
図8】実施の形態2での第3の動作モードでの制御部の動作を示すフローチャートである。
図9】(A)及び(B)は、制御部のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る誘導加熱装置100の構成を概略的に示す斜視図である。
誘導加熱装置100は、誘導加熱装置本体としての本体ケース101と、トッププレート102とを備える。
以下では、本体ケース101の正面101aを基準に、「上」、「下」、「左」及び「右」を定義する。
【0013】
本体ケース101は、例えば、板金材料から形成されている。
トッププレート102は、被加熱物が載置される板状の部材である。被加熱物は、例えば、図2に示される鍋P等の金属製の調理器具である。トッププレート102は、本体ケース101の上面のほぼ全体を覆っている。トッププレート102は、例えば、ガラス材料から形成されている。なお、以下の説明では、鍋等の被加熱物を、「負荷」ともいう。トッププレート102は、第1の加熱領域103a及び第2の加熱領域103bを備える。
【0014】
第1の加熱領域103a及び第2の加熱領域103bは、トッププレート102上において、供給される電力によって被加熱物に対して誘導加熱を行う領域である。
図2に示されているように、第1の加熱領域103aの下には、第1の加熱領域103aの上に載せられた被加熱物に対して誘導加熱を行う第1の加熱部110aが設けられており、第2の加熱領域103bの下には、第2の加熱領域103bの上に載せられた被加熱物に対して誘導加熱を行う第2の加熱部110bが設けられている。
【0015】
図2は、実施の形態1における第1の加熱部110a及び第2の加熱部110bを説明するための一部断面図である。
第1の加熱部110aは、第1の加熱コイル111aと、第1の駆動部112aとを備える。
【0016】
第1の加熱コイル111aは、平面状に巻回されている。第1の加熱コイル111aは、第1の駆動部112aからの交流電力により被加熱物に対して誘導加熱を行う誘導加熱部である。
【0017】
第1の駆動部112aは、入力電源部120から供給される直流電力を交流電力に変換する。第1の駆動部112aは、例えば、20kHzから100kHzまでの範囲内の高周波電流を第1の加熱コイル111aに供給するインバータである。これにより、第1の加熱コイル111aは、高周波磁界を発生させる。
【0018】
第1の加熱コイル111aから発生する高周波磁界によって、金属材料から形成された鍋Pに渦電流が発生し、渦電流と鍋Pの抵抗とによってジュール熱が生じる。これにより、鍋Pが誘導加熱される。
【0019】
なお、図示されていないが、本体ケース101の内部には、第1の加熱コイル111a及び駆動部112aを冷却する冷却機構も収納されている。
【0020】
第2の加熱部110bは、第2の加熱コイル111bと、第2の駆動部112bとを備える。第2の加熱部110bは、第1の加熱部110aと同様に構成されているため、詳細な説明は省略する。
以上のように、第1の加熱部110a及び第2の加熱部110bのそれぞれは、第1のIH(Induction Heating)加熱部及び第2のIH加熱部として機能する。
【0021】
入力電源部120は、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bに直流電力を供給する電源部である。
【0022】
制御部130は、操作部104(図1参照)からの指示に応じて、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bを制御する。例えば、制御部130は、複数の被加熱物を第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bで同時に加熱する際に、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bを交互に駆動させる。具体的には、制御部130は、第1の駆動部112aを駆動する場合には、第1の駆動部112aに駆動信号を送り、第2の駆動部112bには、駆動信号を送らない、一方、第2の駆動部112bを駆動する場合には、第2の駆動部112bに駆動信号を送り、第1の駆動部112aには、駆動信号を送らない。
【0023】
また、実施の形態1では、制御部130は、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bを交互に駆動させる駆動時間比を変更する場合には、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの両方の駆動を一時的に停止させた後に、その駆動時間比を変更して、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの駆動を再開させる。
【0024】
図1に戻り、誘導加熱装置100は、さらに、操作部104と、表示部105とを更に備える。
操作部104は、例えば、上面操作部104a及び前面操作部104bによって構成されている。
上面操作部104aは、第1の加熱部110a及び第2の加熱部110bの動作を指示するための入力を受け付ける。上面操作部104aは、例えば、第1の加熱部110a及び第2の加熱部110bのそれぞれを操作するためのスイッチである。また、上面操作部104aは、例えば、第1の加熱部110a及び第2の加熱部110bのそれぞれの調理モードを選択するスイッチである。ここで、調理モードは、例えば、被加熱物を予熱するための予熱モード、及び、食材を煮込むための煮込みモードを含む。
【0025】
前面操作部104bは、第1の加熱部110a及び第2の加熱部110bの火力、言い換えると、加熱レベルを調整する調整ダイヤルを有する。なお、操作部104は、設定された加熱レベルを示すLED(Light Emitting Diоde)等の表示装置を有していてもよい。
【0026】
表示部105は、第1の加熱部110a及び第2の加熱部110bの制御状態又は操作ガイド等を表示する。表示部105は、例えば、液晶表示装置である。
【0027】
ここで、操作部104及び表示部105のそれぞれの配置場所、数及び形状は、図1に示される例に限定されない。例えば、操作部104及び表示部105は、一体であってもよい。この場合、操作部104及び表示部105は、タッチパネルであってもよい。
【0028】
図3は、実施の形態1における第1の加熱部110a、第2の加熱部110b及び入力電源部120の構成を説明するための概略回路図である。
【0029】
誘導加熱装置100は、商用交流電源である入力電源INから交流電力の供給を受ける。
入力検出部106は、入力電源INから入力される電流を検出する。ここでは、入力検出部106は、母線の電流を検出する。入力検出部106の検出結果は、制御部130に与えられる。
【0030】
入力電源部120は、整流回路121と、フィルタ回路122とを備える。
整流回路121は、入力電源INからの交流を直流に変換する。
フィルタ回路122は、ノイズを低減する。
以上により、入力電源部120は、第1の加熱部110a及び第2の加熱部110bに直流電力を供給する。
【0031】
第1の加熱部110aは、第1の加熱コイル111aと、第1の駆動部112aと、第1の共振コンデンサ113aとを備える。第1の共振コンデンサ113aは、第1の加熱コイル111aと直列に接続されている。
【0032】
第2の加熱部110bは、第2の加熱コイル111bと、第2の駆動部112bと、第2の共振コンデンサ113bとを備える。第2の共振コンデンサ113bは、第2の加熱コイル111bと直列に接続されている。
【0033】
制御部130は、第1の加熱部110a及び第2の加熱部110bを制御する。
例えば、ユーザが第1の加熱部110aに負荷としての鍋を載置し、且つ、図1に示されている操作部104を介して、第1の加熱部110aにおける加熱動作を入力した場合、制御部130は、設定された加熱レベル又は調理モードに基づいて第1の駆動部112aを制御する。
第1の駆動部112aは、所望の加熱動作が実行されるように、第1の加熱コイル111aに高周波電流を供給する。これにより、上述したジュール熱が生じ、鍋に対して誘導加熱が行われる。加熱動作中は、入力電源INから整流回路121及びフィルタ回路122を介して、第1の駆動部112aに電力が供給される。このようにして供給される電力の電流値は、入力検出部106によって検出される。
【0034】
ここで、誘導加熱装置100は、第1の加熱部110a及び第2の加熱部110bという複数の加熱部を備えている。このため、制御部130は、複数の加熱部の動作状態に応じて、第1の動作モード、第2の動作モード及び第3の動作モードで、複数の加熱部を制御する。
【0035】
第1の動作モードでは、制御部130は、複数の加熱部の何れも動作させない。
第2の動作モードでは、制御部130は、複数の加熱部の内、一つの加熱部のみを動作させる。ここでは、第2の動作モードでは、制御部130は、二つの加熱部である第1の加熱部110a及び第2の加熱部110bの片方を動作させる。
第3の動作モードでは、制御部130は、複数の加熱部の全てを動作させる。ここでは、第3の動作モードでは、制御部130は、二つの加熱部である第1の加熱部110a及び第2の加熱部110bの両方を動作させる。
【0036】
この場合、第1の動作モードでは、複数の加熱部の何れでも被加熱物が加熱されない。第2の動作モードでは、複数の加熱部の内、1つの加熱部でのみ被加熱物が加熱される。第3の動作モードでは、複数の加熱部で複数の被加熱物が同時に加熱される。
【0037】
第3の動作モードでは、制御部130は、第1の駆動部112aと、第2の駆動部112bとを交互に駆動させる。言い換えると、第3の動作モードでは、制御部130は、第1の駆動部112aと、第2の駆動部112bとを排他的に駆動させる。
例えば、制御部130は、第1の駆動部112aと、第2の駆動部112bとをある時間比で駆動するように、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bへ交互に駆動信号を送ることで、第1の駆動部112aと、第2の駆動部112bとを交互に駆動させる。
【0038】
実施の形態1では、第3の動作モードにおいて、ユーザから加熱レベルが変更された場合に、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bを駆動させる時間比である駆動時間比を変更する必要があるときにのみ、制御部130は、第1の駆動部112aと、第2の駆動部112bとの駆動時間比を変更する。
【0039】
制御部130は、第1の駆動部112aと、第2の駆動部112bとの駆動時間比を変更する際には、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの駆動を一時的に停止する。そして、制御部130は、第1の駆動部112aと、第2の駆動部112bとの駆動時間比を変更してから、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの駆動を再開する。
【0040】
実施の形態1では、制御部130は、第1の加熱部110aの加熱レベルと、第2の加熱部110bの加熱レベルとの大小に応じて、第1の駆動部112aと、第2の駆動部112bとの駆動時間比を特定するようになっている。そして、制御部130は、第1の駆動部112aと、第2の駆動部112bとの大小が変化する場合に、第1の駆動部112aと、第2の駆動部112bとの駆動時間比を変更する必要があると判断する。
【0041】
具体的には、制御部130は、第1の加熱部110aの加熱レベルが、第2の加熱部110bの加熱レベルよりも大きい場合には、第1の駆動部112aの駆動時間の方が、第2の駆動部112bの駆動時間よりも長くなる駆動時間比で、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bを駆動させる。
また、制御部130は、第1の加熱部110aの加熱レベルが、第2の加熱部110bの加熱レベルと同じ場合には、第1の駆動部112aの駆動時間と、第2の駆動部112bの駆動時間とが等しくなる駆動時間比で、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bを駆動させる。
さらに、制御部130は、第1の加熱部110aの加熱レベルが、第2の加熱部110bの加熱レベルよりも小さい場合には、第1の駆動部112aの駆動時間の方が、第2の駆動部112bの駆動時間よりも短くなる駆動時間比で、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bを駆動させる。
【0042】
なお、制御部130は、ユーザから加熱レベルが変更された場合に、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの駆動時間比を変更する必要がないと判断したときには、ユーザから指示された加熱レベルに応じて、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの少なくとも何れか一方の駆動状態を変更する。例えば、制御部130は、ユーザから指示された加熱レベルとなるように、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの少なくとも何れか一方の駆動信号の周波数又はデューティ比を変更する。
【0043】
図4は、実施の形態1に係る誘導加熱装置100の動作モードを説明するための概略図である。
期間T0では、第1の加熱部110a及び第2の加熱部110bの何れもOFFにされており、誘導加熱装置100は、第1の動作モードとなっている。
【0044】
期間T1では、第1の加熱部110aはONにされているが、第2の加熱部110bはOFFにされており、誘導加熱装置100は、第2の動作モードとなっている。この場合、第1の駆動部112aのみが動作している。言い換えると、制御部130から第1の駆動部112aを駆動させる駆動信号が出力されている。ここでの駆動信号は、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)信号又はPFM(Pulse Frequency Modulation)信号等である。
【0045】
期間T2では、第1の加熱部110aに加えて、第2の加熱部110bもONにされており、誘導加熱装置100は、第3の動作モードとなっている。この場合、第1の駆動部112aと、第2の駆動部112bとが交互に駆動されている。言い換えると、制御部130は、第1の駆動部112aを駆動させる駆動信号と、第2の駆動部112bを駆動させる駆動信号とを交互に出力する。具体的には、制御部130は、第1の駆動部112aを駆動させる駆動信号を出力している期間では、第2の駆動部112bを駆動させる駆動信号を出力せず、第2の駆動部112bを駆動させる駆動信号を出力している期間では、第1の駆動部112aを駆動させる駆動信号を出力しない。
【0046】
ここで、期間T2では、第1の加熱部110aの加熱レベルが、第2の加熱部110bの加熱レベルよりも高く、第1の駆動部112aの駆動時間の方が、第2の駆動部112bの駆動時間よりも長くなっているものとする。
【0047】
このような状態において、例えば、ユーザが、第2の加熱部110bの加熱レベルを、第1の加熱部110aの加熱レベルよりも高くした場合、制御部130は、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの駆動時間比を変更する必要があると判断する。この場合には、期間T3のように、制御部130は、誘導加熱装置100を、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bを停止する第1の動作モードにする。
【0048】
第1の動作モードでは、制御部130は、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの両方に、加熱レベルに応じた駆動信号を出力しない。
そして、制御部130は、第1の加熱部110aの加熱レベル及び第2の加熱部110bの加熱レベルに応じて、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの駆動時間比を特定する。
【0049】
次に、期間T4のように、制御部130は、新たに特定した駆動時間比で、第1の駆動部112aと、第2の駆動部112bとが交互に駆動させる。言い換えると、期間T4では、誘導加熱装置100は、第3の動作モードとなっている。
以上のように、交互駆動を行う期間T2及び期間T4の間に、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの駆動を停止する停止期間T3を設けることで、第1の駆動部112aへの駆動信号、及び、第2の駆動部112bへの駆動信号の周期は不連続となる。
【0050】
図5は、第3の動作モードでの制御部130の動作を示すフローチャートである。
まず、制御部130は、操作部104を介して、第1の加熱部110a及び第2の加熱部110bの加熱レベルを取得して、その加熱レベルに応じて第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの駆動時間比を特定し、その駆動時間比で、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bを駆動させる(S10)。ここでは、第1の加熱部110a及び第2の加熱部110bの加熱レベルの大小に応じて、駆動時間比が特定される。
【0051】
次に、制御部130は、ユーザが、操作部104を介して、第1の加熱部110a及び第2の加熱部110bの少なくとも何れか一方の加熱レベルを変更したか否かを判断する(S11)。ユーザが加熱レベルを変更した場合(S11でYes)には、処理はステップS12に進む。
【0052】
ステップS12では、制御部130は、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの駆動時間比を変更する必要があるか否かを判断する。ここでは、制御部130は、第1の加熱部110aと、第2の加熱部110bとの加熱レベルの大小が変化した場合に、駆動時間比を変更する必要があると判断する。駆動時間比を変更する必要がない場合(S12でNo)には、処理はステップS13に進み、駆動時間比を変更する必要がある場合(S12でYes)には、処理はステップS14に進む。
【0053】
ステップS13では、制御部130は、加熱レベルが変更された加熱部の駆動部の駆動条件を変更する。例えば、制御部130は、変更後の加熱レベルとなるように、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの少なくとも何れか一方への駆動信号の周波数又はデューティ比を変更する。
【0054】
一方、ステップS14では、制御部130は、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの駆動を一時的に停止する。
【0055】
そして、制御部130は、変更後の加熱レベルに応じて、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの駆動時間比を再度特定する(S15)。
【0056】
制御部130は、再度特定された駆動時間比で、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの駆動を再開する(S16)。
【0057】
以上のように、実施の形態1によれば、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの駆動時間比を変更する際に、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの駆動を一時的に停止するため、第1の加熱コイル111a及び第2の加熱コイル111bへの出力電力の変化量を抑えることができる。このため、照明機器のちらつき等のフリッカ現象の発生を抑制することができる。
【0058】
以上に記載した実施の形態1では、制御部130は、第1の加熱部110aと、第2の加熱部110bとの加熱レベルの大小が変化した場合に、駆動時間比を変更する必要があると判断しているが、実施の形態1は、このような例に限定されない。
例えば、制御部130は、複数の被加熱物を加熱する加熱レベルの比に応じてその駆動時間比を特定するようにされており、複数の被加熱物を加熱する加熱レベルの比が変化した場合に、その駆動時間比を変更する必要があると判断してもよい。具体的には、第1の加熱部110aと、第2の加熱部110bとの加熱レベルの比に、駆動時間比が対応付けられており、ユーザが変更した加熱レベルにおける第1の加熱部110aと、第2の加熱部110bとの加熱レベルの比に対応付けられている駆動時間比が、ユーザが変更する前の駆動時間比と異なる場合に、制御部130は、駆動時間比を変更する必要があると判断してもよい。
【0059】
また、制御部130は、複数の被加熱物を加熱する加熱レベルの組み合わせに応じて、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの駆動時間比を特定するようにされている場合には、以下のようにして、駆動時間比を変更する必要があるか否かを判断してもよい。
制御部130は、駆動時間比として第1の駆動時間比で第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bを交互に駆動させている際に、前記複数の被加熱物の少なくとも一つを加熱する加熱レベルが変更され、変更後の加熱レベルの組み合わせに応じて特定される駆動時間比である第2の駆動時間比が、その第1の駆動時間比と異なる場合に、駆動時間比を変更する必要があると判断する。具体的には、第1の加熱部110aと、第2の加熱部110bとの加熱レベルの組み合わせに、駆動時間比が対応付けられており、ユーザが変更した後における第1の加熱部110aの加熱レベルと、第2の加熱部110bの加熱レベルとの組み合わせに対応付けられている駆動時間比が、ユーザが変更する前の駆動時間比と異なる場合に、制御部130は、駆動時間比を変更する必要があると判断してもよい。
【0060】
実施の形態2.
図1に示されているように、実施の形態2に係る誘導加熱装置200の概略的な構成は、実施の形態1に係る誘導加熱装置100と同様である。
【0061】
図2に示されているように、実施の形態2では、第1の加熱部210a及び第2の加熱部210bが入力電源部120に接続されている。実施の形態2における第1の加熱部210a及び第2の加熱部210bと、実施の形態1における第1の加熱部110a及び第2の加熱部110bとの相違は、図6を用いて説明する。
また、実施の形態2では、制御部230の動作が、実施の形態1の制御部130の動作と異なっている。実施の形態2における制御部230の動作についても、図6を用いて説明する。
【0062】
図6は、実施の形態2における第1の加熱部210a、第2の加熱部210b及び入力電源部120の構成を説明するための概略回路図である。
実施の形態2における入力電源部120は、実施の形態1における入力電源部120と同様である。
【0063】
第1の加熱部210aは、第1の加熱コイル111aと、第1の駆動部112aと、第1の共振コンデンサ113aと、第1の出力検出部214aとを備える。
実施の形態2における第1の加熱部210aの第1の加熱コイル111a、第1の駆動部112a及び第1の共振コンデンサ113aは、実施の形態1における第1の加熱部110aの第1の加熱コイル111a、第1の駆動部112a及び第1の共振コンデンサ113aと同様である。
【0064】
また、第2の加熱部210bは、第2の加熱コイル111bと、第2の駆動部112bと、第2の共振コンデンサ113bと、第2の出力検出部214bとを備える。
実施の形態2における第2の加熱部210bの第2の加熱コイル111b、第2の駆動部112b及び第2の共振コンデンサ113bは、実施の形態1における第2の加熱部110bの第2の加熱コイル111b、第2の駆動部112b及び第2の共振コンデンサ113bと同様である。
【0065】
第1の出力検出部214aは、第1の駆動部112aの出力側に接続され、第1の駆動部112aから出力される電流を検出するための検出部である。例えば、第1の出力検出部214aは、第1の駆動部112aから出力される電圧を検出する電圧計である。第1の出力検出部214aは、その検出結果を制御部230に通知する。制御部230は、第1の出力検出部214aで検出された電圧から、第1の加熱コイル111aに流れる電流を算出する。
【0066】
同様に、第2の出力検出部214bは、第2の駆動部112bの出力側に接続され、第2の駆動部112bから出力される電流を検出するための検出部である。例えば、第2の出力検出部214bは、第2の駆動部112bから出力される電圧を検出する電圧計である。第2の出力検出部214bは、その検出結果を制御部230に通知する。制御部230は、第2の出力検出部214bで検出された電圧から、第2の加熱コイル111bに流れる電流を算出する。
【0067】
実施の形態2における制御部230も、実施の形態1における制御部130と同様に、第1の加熱部210a及び第2の加熱部210bの動作を制御する。
以下では、実施の形態2における制御部230での制御の内、実施の形態1における制御部130での制御と異なる部分を主に説明する。
【0068】
実施の形態2でも、制御部230は、誘導加熱装置200を、第1の動作モード、第2の動作モード及び第3の動作モードで動作させる。
ここで、実施の形態2では、第3の動作モードにおいて、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの少なくとも何れか一方の加熱レベルが変更された場合には、制御部230は、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの両方の駆動を一時的に停止した後に、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bを、その出力特性を検出するための駆動状態で駆動させて、第1の出力検出部214a及び第2の出力検出部214bで検出されたそれぞれの出力特性に従って、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bを交互に駆動させる駆動時間比を特定し、特定された駆動時間比で第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの駆動を再開させる。
【0069】
例えば、制御部230は、第1の出力検出部214a及び第2の出力検出部214bで検出されたそれぞれの出力特性を用いて、複数の被加熱物のそれぞれの負荷特性を特定し、その負荷特性に従って、駆動時間比を特定してもよい。
【0070】
具体的には、制御部230は、第3の動作モードにおいて、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの少なくとも何れか一方の加熱レベルが変更された場合には、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bに対して、加熱レベルに応じた駆動を一時的に停止する。
【0071】
そして、制御部230は、第1の駆動部112aに予め定められた負荷検知用の周波数で駆動させることで、第1の加熱部110aに負荷が載せられているか、及び、負荷が載せられている場合にはその負荷の材質に応じた、第1の駆動部112aの出力特性を特定する。
また、制御部230は、第2の駆動部112bに対しても、予め定められた負荷検知用の周波数で駆動させることで、第2の加熱部110bに負荷が載せられているか、及び、負荷が載せられている場合にはその負荷の材質に応じた、第2の駆動部112bの出力特性を特定する。
【0072】
負荷の材質が、鉄等の磁性金属である場合と、アルミ及び銅等の非磁性体である場合とでは、第1の加熱コイル111a及び第2の加熱コイル111bの両端で測定したインピーダンスが異なる。このため、制御部230は、負荷検知用の周波数で第1の駆動部112aを駆動させた際に、第1の出力検出部214aで検出される電圧から、第1の加熱コイル111aに流れる電流を、第1の駆動部112aの出力特性として算出する。
【0073】
同様に、制御部230は、負荷検知用の周波数で第2の駆動部112bを駆動させた際に、第2の出力検出部214bで検出される電圧から、第2の加熱コイル111bに流れる電流を、第2の駆動部112bの出力特性として算出する。
【0074】
そして、制御部230は、第1の加熱部210aに載せられた負荷の材質と、第2の加熱部210bに載せられた負荷の材質とに応じて、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bとの駆動時間比を特定する。
【0075】
例えば、制御部230は、第1の出力検出部214aで検出された出力特性と、第2の出力検出部214bで検出された出力特性とから、第1の加熱部210aに載せられた負荷の材質が、第2の加熱部210bに載せられた負荷の材質よりも、加熱しにくい材質である場合には、第1の駆動部112aの駆動時間が、第2の駆動部112bの駆動時間よりも長くなるように、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bとの駆動時間比を特定する。
【0076】
また、制御部230は、第1の出力検出部214aで検出された出力特性と、第2の出力検出部214bで検出された出力特性とから、第1の加熱部210aに載せられた負荷の材質の加熱のしやすさと、第2の加熱部210bに載せられた負荷の材質の加熱のしやすさとが、同じと判断できる場合には、第1の駆動部112aの駆動時間と、第2の駆動部112bの駆動時間とが同じになるように、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bとの駆動時間比を特定する。
【0077】
さらに、制御部230は、第1の出力検出部214aで検出された出力特性と、第2の出力検出部214bで検出された出力特性とから、第1の加熱部210aに載せられた負荷の材質が、第2の加熱部210bに載せられた負荷の材質よりも、加熱しやすい材質である場合には、第1の駆動部112aの駆動時間が、第2の駆動部112bの駆動時間よりも短くなるように、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bとの駆動時間比を特定する。
【0078】
制御部230は、以上のようにして特定した駆動時間比が、ユーザから加熱レベルが変更される前の駆動時間比と異なる場合には、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの駆動時間比を変更する必要があると判断して、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの駆動時間比を変更してから、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの駆動を再開する。
【0079】
なお、実施の形態2でも、制御部230は、ユーザから加熱レベルが変更された場合に、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの駆動時間比を変更する必要がないと判断したときには、ユーザから指示された加熱レベルとなるように、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの少なくとも何れか一方を駆動するための駆動信号の周波数又はデューティ比を変更する。
【0080】
図7は、実施の形態2に係る誘導加熱装置200の動作モードを説明するための概略図である。
期間T0では、第1の加熱部210a及び第2の加熱部210bの何れもOFFにされており、誘導加熱装置200は、第1の動作モードとなっている。
【0081】
期間T1では、第1の加熱部210aはONにされているが、第2の加熱部210bはOFFにされており、誘導加熱装置200は、第2の動作モードとなっている。この場合、第1の駆動部112aのみが動作している。言い換えると、制御部230から第1の駆動部112aを駆動させる駆動信号が出力されている。
【0082】
期間T2では、第1の加熱部210aに加えて、第2の加熱部210bもONにされており、誘導加熱装置200は、第3の動作モードとなっている。この場合、第1の駆動部112aと、第2の駆動部112bとが交互に駆動されている。言い換えると、制御部230は、第1の駆動部112aを駆動させる駆動信号と、第2の駆動部112bを駆動させる駆動信号とを交互に出力する。具体的には、制御部230は、第1の駆動部112aを駆動させる駆動信号を出力している期間では、第2の駆動部112bを駆動させる駆動信号を出力せず、第2の駆動部112bを駆動させる駆動信号を出力している期間では、第1の駆動部112aを駆動させる駆動信号を出力しない。
【0083】
ここで、期間T2では、第1の加熱部210aの加熱レベルが、第2の加熱部210bの加熱レベルよりも高く、第1の駆動部112aの駆動時間の方が、第2の駆動部112bの駆動時間よりも長くなっているものとする。
【0084】
このような状態において、例えば、ユーザが、第1の加熱部210a及び第2の加熱部210bの少なくとも何れか一方の加熱レベルを変更した場合、期間T3のように、制御部230は、誘導加熱装置200を、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bを停止する第1の動作モードにする。
【0085】
第1の動作モードでは、制御部230は、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの両方に、加熱レベルに応じた駆動信号を出力しない。
但し、実施の形態2では、期間T3に含まれる期間T3aにおいて、制御部230は、第1の駆動部112aに対して負荷検知を行う。
また、制御部230は、期間T3に含まれる期間T3bにおいて、第2の駆動部112bに対して負荷検知を行う。
制御部230は、期間T3a及び期間T3bを、期間T3内において、重複した期間とならないようにする。
ここでは、第1の加熱部210a及び第2の加熱部210bの両方に負荷が載せられているものとして説明を行う。
【0086】
そして、制御部230は、第1の駆動部112aの負荷検知により第1の出力検出部214aにより検出された出力特性と、第2の駆動部112bの負荷検知により第2の出力検出部214bにより検出された出力特性とに応じて、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの駆動時間比を特定する。
【0087】
次に、期間T4のように、制御部230は、新たに特定した駆動時間比で、第1の駆動部112aと、第2の駆動部112bとが交互に駆動させる。言い換えると、期間T4では、誘導加熱装置200は、第3の動作モードとなっている。
【0088】
図8は、第3の動作モードでの制御部230の動作を示すフローチャートである。
まず、制御部230は、操作部104を介して、第1の加熱部210a及び第2の加熱部210bの加熱レベルを取得して、その加熱レベルに応じて第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの駆動時間比を特定し、その駆動時間比で、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bを駆動させる(S20)。
【0089】
なお、ステップS20において、制御部230は、第1の加熱部210a及び第2の加熱部210bの負荷検知を実行して、第1の出力検出部214aにより検出された出力特性と、第2の出力検出部214bにより検出された出力特性とに応じて、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの駆動時間比を特定してもよい。
【0090】
次に、制御部230は、ユーザが、操作部104を介して、第1の加熱部210a及び第2の加熱部210bの少なくとも何れか一方の加熱レベルを変更したか否かを判断する(S21)。ユーザが加熱レベルを変更した場合(S21でYes)には、処理はステップS22に進む。
【0091】
ステップS22では、制御部230は、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの駆動を一時的に停止する。
【0092】
そして、制御部230は、制御部230は、第1の加熱部210a及び第2の加熱部210bの負荷検知を実行して、第1の出力検出部214aにより検出された出力特性と、第2の出力検出部214bにより検出された出力特性とを特定する(S23)。
【0093】
制御部230は、第1の出力検出部214aにより検出された出力特性から、第1の加熱部210aに負荷としての鍋等が載せられているか否かを判断する(S24)。第1の加熱部210aに負荷としての鍋等が載せられている場合(S24でYes)には、処理はステップS25に進み、第1の加熱部210aに負荷としての鍋等が載せられていない場合(S24でNo)には、処理はステップS26に進む。
【0094】
ステップS25では、制御部230は、第2の出力検出部214bにより検出された出力特性から、第2の加熱部210bに負荷としての鍋等が載せられているか否かを判断する。第2の加熱部210bに負荷としての鍋等が載せられている場合(S25でYes)には、処理はステップS27に進み、第2の加熱部210bに負荷としての鍋等が載せられていない場合(S27でNo)には、処理はステップS26に進む。
【0095】
ステップS26では、第1の加熱部210a又は第2の加熱部210bに負荷が載せられていないため、制御部230は、誘導加熱装置200を、鍋が載せられている加熱部のみを動作させる第2の動作モードへ移行させて、第3の動作モードでの処理を終了する。
【0096】
一方、ステップS27では、制御部230は、第1の出力検出部214aにより検出された出力特性と、第2の出力検出部214bにより検出された出力特性とに応じて、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの駆動時間比を特定する。
【0097】
そして、制御部230は、ステップS27で特定された駆動時間比で、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの駆動を再開させる(S28)。
【0098】
以上のように、実施の形態2では、加熱レベルの変更があった場合に、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの動作を一時的に停止してから、負荷検知を実行して、負荷検知の結果に応じて、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの駆動時間比を特定して、その駆動時間比で第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの駆動を再開させることができる。
【0099】
このため、第1の加熱コイル111a及び第2の加熱コイル111bへの出力電力の変化量を抑えることができ、照明機器のちらつき等のフリッカ現象の発生を抑制することができる。さらに、実施の形態2では、鍋等の負荷の材質に応じて適切に加熱電力を調整することができる。
【0100】
以上に記載された実施の形態2では、制御部230は、第1の出力検出部214aの出力特性と、第2の出力検出部214bの出力特性とから、第1の加熱部210a及び第2の加熱部210bに載せられた負荷の加熱のしやすさに応じて、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの駆動時間比を特定しているが、実施の形態2は、このような例に限定されない。
【0101】
例えば、制御部230は、第1の出力検出部214aの出力特性と、第2の出力検出部214bの出力特性とから、第1の加熱部210a及び第2の加熱部210bに載せられた負荷の最大許容電力を特定し、その最大許容電力に従って、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bの駆動時間比を特定してもよい。
【0102】
具体的には、制御部230は、第1の加熱部210aに載せられた負荷の最大許容電力が、第2の加熱部210bに載せられた負荷の最大許容電力よりも大きい場合には、第1の駆動部112aの駆動時間が、第2の駆動部112bの駆動時間よりも短くなるように、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bとの駆動時間比を特定する。
【0103】
また、制御部230は、第1の加熱部210aに載せられた負荷の最大許容電力と、第2の加熱部210bに載せられた負荷の最大許容電力とが同じと判断できる場合には、第1の駆動部112aの駆動時間と、第2の駆動部112bの駆動時間とが同じになるように、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bとの駆動時間比を特定する。
【0104】
さらに、制御部230は、第1の加熱部210aに載せられた負荷の最大許容電力が、第2の加熱部210bに載せられた負荷の最大許容電力よりも小さい場合には、第1の駆動部112aの駆動時間が、第2の駆動部112bの駆動時間よりも長くなるように、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bとの駆動時間比を特定する。
【0105】
また、第1の出力検出部214aの出力特性と、第2の出力検出部214bの出力特性と、第1の加熱部210aの加熱レベルと、第2の加熱部210bの加熱レベルとの組み合わせに応じて、第1の駆動部112a及び第2の駆動部112bとの駆動時間比が予め定められている場合には、制御部230は、その組み合わせに応じて駆動時間比を特定してもよい。
【0106】
以上に記載された制御部130、230の一部又は全部は、例えば、図9(A)に示されているように、メモリ10と、メモリ10に格納されているプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ11とにより構成することができる。このようなプログラムは、ネットワークを通じて提供されてもよく、また、記録媒体に記録されて提供されてもよい。即ち、このようなプログラムは、例えば、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0107】
また、制御部130、230の一部又は全部は、例えば、図9(B)に示されているように、単一回路、複合回路、プログラムで動作するプロセッサ、プログラムで動作する並列プロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等の処理回路12で構成することもできる。
以上のように、制御部130、230は、処理回路網により実現することができる。
【0108】
以上に記載した実施の形態1及び2に係る誘導加熱装置100、200は、第1の加熱部110a、210a及び第2の加熱部110b、210bの二つの加熱部を備えているが、加熱部の数は、二つに限定されない。例えば、誘導加熱装置100、200は、三つ以上の加熱部を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0109】
100,200 誘導加熱装置、 110a,210a 第1の加熱部、 110b,210b 第2の加熱部、 111a 第1の加熱コイル、 111b 第2の加熱コイル、 112a 第1の駆動部、 112b 第2の駆動部、 214a 第1の出力検出部、 214b 第2の出力検出部、 120 入力電源部、 130,230 制御部。
図1
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図9