(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123332
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】運転者監視システム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20240905BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
G06T7/00 650Z
G06T7/00 660A
G08G1/16 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030643
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 良宏
【テーマコード(参考)】
5H181
5L096
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC04
5H181CC27
5H181LL06
5H181LL15
5H181LL20
5L096AA06
5L096AA09
5L096CA02
5L096CA17
5L096DA02
5L096FA67
5L096FA69
(57)【要約】
【課題】運転者が覗き込んだ姿勢を適正に判定することができる運転者監視システムを提供する。
【解決手段】DMS1は、顔位置検出部と、向き判定部と、覗き込み姿勢判定部とを備える。顔位置検出部は、車両に搭載され、運転者Dの顔の位置を検出する。向き判定部は、車両に搭載され、運転者Dの顔又は視線の向きを判定する。覗き込み姿勢判定部は、顔位置検出部により検出された運転者Dの顔の位置、及び、向き判定部2により判定された前記向きに基づいて、運転者Dが車両の前方を覗き込んだ姿勢で当該車両を運転する覗き込み運転姿勢を判定する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、運転者の顔の位置を検出する顔位置検出部と、
前記車両に搭載され、前記運転者の顔又は視線の向きを判定する向き判定部と、
前記顔位置検出部により検出された前記運転者の顔の位置、及び、前記向き判定部により判定された前記向きに基づいて、前記運転者が前記車両の前方を覗き込んだ姿勢で当該車両を運転する覗き込み運転姿勢を判定する覗き込み姿勢判定部と、
を備えることを特徴とする運転者監視システム。
【請求項2】
前記覗き込み姿勢判定部は、前記車両の全長方向に沿い且つ前記運転者の顔の基準位置を通る予め定められた仮想基準線に対して、前記運転者の顔の位置が前記全長方向に交差する車幅方向の一方側に位置し且つ前記向きが前記車幅方向の他方側を向いていることを表し、又は、前記仮想基準線に対して、前記運転者の顔の位置が前記車幅方向の他方側に位置し且つ前記向きが前記車幅方向の一方側を向いていることを表す向き条件を満たす場合、前記運転者が前記覗き込み運転姿勢であると判定する請求項1に記載の運転者監視システム。
【請求項3】
前記覗き込み姿勢判定部は、前記向き条件に加えてさらに、前記車両に設けられるステアリングホイールの位置から前記運転者の顔の位置までの距離が予め定められた基準距離内であることを表す顔距離条件を満たす場合、前記運転者が前記覗き込み運転姿勢であると判定する請求項2に記載の運転者監視システム。
【請求項4】
温度を検出する温度検出部をさらに備え、
前記覗き込み姿勢判定部は、前記温度検出部により検出した温度が予め定められた基準温度未満である場合、前記運転者が前記覗き込み運転姿勢であるか否かを判定し、前記温度検出部により検出した前記温度が前記基準温度以上である場合、前記運転者が前記覗き込み運転姿勢であるか否かを判定しない請求項1~3のいずれか1項に記載の運転者監視システム。
【請求項5】
前記車両に設けられるフロントガラスの曇り及び凍結を除去する処理である曇り凍結除去処理を実行する曇り凍結除去処理部をさらに備え、
前記曇り凍結除去処理部は、前記覗き込み姿勢判定部により、前記運転者が前記覗き込み運転姿勢であると判定した場合、前記曇り凍結除去処理を実行する請求項4に記載の運転者監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転者監視システムとして、例えば、特許文献1には、運転者の行動を推定する運転者行動推定装置が記載されている。この運転者行動推定装置は、運転者の顔の画像を取得する顔画像取得手段と、顔画像取得手段により取得された2枚以上の連続する顔画像から1つ以上の動きベクトルを求める画像処理手段と、画像処理手段により求められた動きベクトルが1つ以上属する領域グループそれぞれから、代表となる動きベクトルを検出する動き検出手段と、動き検出手段により検出された領域グループ毎の代表となる動きベクトルの向き及び大きさに基づいて、運転者の行動を推定する運転者行動推定手段と、運転者行動推定手段にて推定された行動に従って報知信号を出力する信号出力手段と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に記載の運転者行動推定装置は、例えば、動きベクトルの向き及び大きさに基づいて運転者が下を覗き込んだ行動を推定しているので、処理が複雑になるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、運転者が覗き込んだ姿勢を適正に判定することができる運転者監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る運転者監視システムは、車両に搭載され、運転者の顔の位置を検出する顔位置検出部と、前記車両に搭載され、前記運転者の顔又は視線の向きを判定する向き判定部と、前記顔位置検出部により検出された前記運転者の顔の位置、及び、前記向き判定部により判定された前記向きに基づいて、前記運転者が前記車両の前方を覗き込んだ姿勢で当該車両を運転する覗き込み運転姿勢を判定する覗き込み姿勢判定部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る運転者監視システムは、運転者の顔の位置及び運転者の顔又は視線の向きに基づいて運転者の覗き込み運転姿勢を判定するので、例えば、動きベクトル等を用いて判定する場合と比較して処理の複雑化を抑制できる。また、運転者監視システムは、例えば、運転者の顔の位置だけに基づいて運転者の覗き込み運転姿勢を判定する場合と比較して、精度よく判定することができる。この結果、運転者監視システムは、運転者が覗き込んだ姿勢を適正に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るDMSの構成例を示す概略図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るDMSの構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る制御モジュールの構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る運転者によるフロントガラスの正面視の視認エリアを示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る運転者によるフロントガラスの上面視の視認エリアを示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る運転者による凍結時のフロントガラスの正面視の視認エリアを示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る運転者による凍結時のフロントガラスの上面視の視認エリアを示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る運転者の顔位置及び顔向きの検出方法を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る運転者の顔位置と顔向きとの関係を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係るDMSの動作例(その1)を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、実施形態に係るDMSの動作例(その2)を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、実施形態に係る運転者の顔位置及び視線向きの検出方法を示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る運転者の顔位置と視線向きとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。更に、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0010】
図面を参照しながら実施形態に係るDMS1(Driver Monitoring System)について説明する。DMS1は、運転者検出システムの一例であり、車両に搭載されている。DMS1は、
図1、
図2に示すように、カメラモジュール10と、制御モジュール20とを備える。カメラモジュール10は、例えば、車両のステアリングコラムSCに設けられ、運転者Dの顔を含む監視範囲を撮像する。制御モジュール20は、例えば、メータ機器Mが設置されたインストルメントパネルHに設けられ、カメラモジュール10により撮像された画像に基づいて車両の各種電子機器を制御する。なお、カメラモジュール10及び制御モジュール20は、上記設置場所に限定されずその他の場所に設けられてもよい。実施形態に係るDMS1は、運転者Dが車両の前方を覗き込んだ姿勢で当該車両を運転する覗き込み運転姿勢を判定するものである。ここで、運転者Dが覗き込み運転姿勢をとる状況としては、フロントガラスFが凍結したり曇ったりした際に、フロントガラスFの下方側の視認可能領域Nを覗き込んで運転する場合や、周囲を注視しながら運転する際に、前のめりの姿勢で運転する場合等がある。以下の説明では、運転者Dが覗き込み運転姿勢をとる状況として、フロントガラスFが凍結したり曇ったりした場合を想定している。以下、DMS1について詳細に説明する。
【0011】
なお、以下の説明では、互いに交差する第1方向、第2方向、及び、第3方向のうち、第1方向を「車幅方向X」といい、第2方向を「鉛直方向Y」といい、第3方向を「全長方向Z」という。ここでは、車幅方向Xと鉛直方向Yと全長方向Zとは、相互に交差し、典型的には直交する。車幅方向Xは、車両の幅に沿う方向であり、鉛直方向Yは、車両の高さに沿う方向であり、全長方向Zは、車両の全長に沿う方向、車両が直進する方向である。
【0012】
DMS1は、上述したように、カメラモジュール10と、制御モジュール20とを備える。DMS1は、各種電気系統を始動するイグニッションスイッチがONされることによって起動する。カメラモジュール10及び制御モジュール20は、相互に通信可能に接続されている。
【0013】
カメラモジュール10は、運転者Dを撮像するものであり、例えば、運転者Dの顔を含む監視範囲を撮像する。カメラモジュール10は、LED(light-emitting diode)11と、イメージセンサ12とを備える。
【0014】
LED11は、運転者Dの顔を含む範囲に光を照射するものである。LED11は、運転者Dの顔に向けて配置され、例えば、近赤外線の光を運転者Dの顔に照射する。
【0015】
イメージセンサ12は、被写体の光学像を電気信号に変換するものである。イメージセンサ12は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを含む。イメージセンサ12は、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサ等の他の種類のイメージセンサであってもよい。イメージセンサ12は、運転者Dの顔を含む監視範囲を撮像し、撮像した画像(動画像)を制御モジュール20に出力する。
【0016】
制御モジュール20は、カメラモジュール10から出力された画像に基づいて、車両の各種電子機器を制御するものである。制御モジュール20は、CPU、記憶部を構成するROM、RAM及びインターフェースを含む周知のマイクロコンピュータを主体とする電子回路を含んで構成される。制御モジュール20は、
図3に示すように、記憶部21と、温度検出部22と、顔位置検出部23と、向き判定部24と、覗き込み姿勢判定部25と、曇り凍結除去処理部26と、運転者状態検出部27とを備える。記憶部21、温度検出部22、顔位置検出部23、向き判定部24、覗き込み姿勢判定部25、曇り凍結除去処理部26、及び、運転者状態検出部27は、相互に通信可能に接続されている。
【0017】
記憶部21は、情報を記憶するメモリである。記憶部21は、制御モジュール20での各種処理に必要な条件や情報、制御モジュール20で実行する各種プログラムやアプリケーション、制御データ等が格納されている。また、記憶部21は、各機器によって検出された各種情報を一時的に記憶することもできる。記憶部21は、覗き込み姿勢判定部25等によってこれらの情報が必要に応じて読み出される。
【0018】
温度検出部22は、温度を検出するものである。温度検出部22は、例えば、車両の外部に設けられる外気温センサから出力される外気温情報に基づいて温度を検出する。
【0019】
顔位置検出部23は、カメラモジュール10により撮像された画像に基づいて、運転者Dの顔の位置を検出するものである。顔位置検出部23は、例えば、運転者Dの顔の大きさや左右の眼の距離等に基づいて運転者Dの顔の前後位置を検出する。顔位置検出部23は、例えば、予め定められた運転者Dの顔の基準位置における顔の大きさや左右の眼の距離と、運転者Dの実際の顔の位置における顔の大きさや左右の眼の距離とを比較することで運転者Dの顔の前後位置を検出する。運転者Dは、覗き込み運転姿勢である場合、運転者Dの顔の位置がステアリングホイールSW側に移動するので、運転者Dの顔の大きさが、運転者Dの顔の基準位置における顔の大きさよりも大きくなる。顔位置検出部23は、この運転者Dの顔の大きさの倍率に基づいて運転者Dの顔の前後位置を検出する。顔位置検出部23は、例えば、
図4、
図5に示すように、フロントガラスFが凍結等しておらず、運転者Dの顔の位置が基準位置にある場合、すなわち、運転者Dが通常運転姿勢である場合、運転者Dの実際の顔の大きさが、運転者Dの顔の基準位置における顔の大きさと等倍となる。この場合、運転者Dの顔の位置は、
図8に示すように、XYZ座標において、(x,y,z)=(0,0,0)、すなわち運転者Dの顔の基準位置となる。一方で、顔位置検出部23は、例えば、
図6、
図7に示すように、フロントガラスFが凍結しており、視認可能領域Nから前方を覗き込むために運転者Dの顔の位置が基準位置に位置せずに、運転者Dが覗き込み運転姿勢である場合、運転者Dの実際の顔の大きさが、運転者Dの顔の基準位置における顔の大きさよりも大きくなる。この場合、運転者Dの顔の位置は、
図8に示すように、運転者Dの顔がステアリングホイールSWに近づき、XYZ座標において、(x,y,z)=(0,0,z0-z1)となる。「z0」は、通常運転姿勢の運転者Dの顔の位置(運転者Dの顔の基準位置)とステアリングホイールSWとの距離であり、「z1」は、覗き込み運転姿勢の運転者Dの顔の位置とステアリングホイールSWとの距離である。運転者Dは、覗き込み運転姿勢である場合、「z0-z1」の距離で、ステアリングホイールSWに近づいている。顔位置検出部23は、このようにして運転者Dの顔の前後位置を検出する。なお、上述の運転者の顔の基準位置は、車両に応じて予め定まる運転者の頭が位置する領域に相当する。運転者の顔の基準位置は、典型的には、車両において運転者の頭の位置の分布を統計的に表したものであり、例えば、運転者が運転席に座った状態で所定割合の運転者の頭の位置が含まれる領域に相当する。
【0020】
また、顔位置検出部23は、カメラモジュール10により撮像された画像に基づいて、運転者Dの顔の左右位置も検出する。顔位置検出部23は、例えば、
図6~
図8に示すように、鉛直方向Yから視た場合に、仮想基準線Lに対して、運転者Dの顔の位置が車幅方向Xの一方側に位置するか、または、仮想基準線Lに対して、運転者Dの顔の位置が車幅方向Xの他方側に位置するかを検出する。言い換えれば、顔位置検出部23は、鉛直方向Yから視た場合に、仮想基準線Lを基準として、運転者Dの顔が車幅方向Xの他方側の範囲よりも車幅方向Xの一方側の範囲に多く含まれる場合、運転者Dの顔が車幅方向Xの一方側に位置すると検出する。一方で、顔位置検出部23は、鉛直方向Yから視た場合に、仮想基準線Lを基準として、運転者Dの顔が車幅方向Xの一方側の範囲よりも車幅方向Xの他方側の範囲に多く含まれる場合、運転者Dの顔が車幅方向Xの他方側に位置すると検出する。
図8では、XYZ座標において、運転者Dの顔の位置が車幅方向Xの一方側にX座標「x1」ずれて位置する例と、運転者Dの顔の位置が車幅方向Xの他方側にX座標「x2」ずれて位置する例とを表している。なお、上述の仮想基準線Lは、予め定められており、車両の全長方向Zに沿い且つ運転者Dの顔の基準位置を通る線である。仮想基準線Lは、典型的には、車両の全長方向Zに沿い且つステアリングホイールSWの中心を通る線である。
【0021】
向き判定部24は、カメラモジュール10により撮像された画像に基づいて、運転者Dの顔の向きを判定するものである。向き判定部24は、周知の画像処理により、画像に含まれる運転者Dの顔の向きを判定する。向き判定部24は、例えば、カメラモジュール10により撮像された運転者Dの顔画像から眼鼻口等の特徴点を抽出し、抽出した眼鼻口等の特徴点に基づいて運転者Dの顔の向きを判定する。向き判定部24は、
図8に示すように、運転者Dがどの程度顔の向きを変更しているかを表すものとして、tanθで求められる値を用いる。角度θは、運転者Dの顔が向く方向と全長方向Zとが成す角度である。
【0022】
覗き込み姿勢判定部25は、顔位置検出部23により検出された運転者Dの顔の位置、及び、向き判定部24により判定された運転者Dの顔の向きに基づいて、運転者Dが車両の前方を覗き込んだ姿勢で当該車両を運転する覗き込み運転姿勢を判定するものである。
【0023】
覗き込み姿勢判定部25は、顔位置検出部23により検出された運転者Dの顔の前後位置に基づいて、ステアリングホイールSWの位置から運転者Dの顔の位置までの距離が予め定められた第1基準距離内である場合、覗き込み運転姿勢を判定する際の顔距離条件(第1条件)を満たすと判定する。すなわち、覗き込み姿勢判定部25は、ステアリングホイールSWの位置から運転者Dの顔の位置までの距離「z1」が予め定められた第1基準距離内である場合、覗き込み運転姿勢を判定する際の顔距離条件(第1条件)を満たすと判定する。言い換えれば、覗き込み姿勢判定部25は、通常運転姿勢の運転者Dの顔の位置(運転者Dの顔の基準位置)とステアリングホイールSWとの距離「z0」から運転者Dの実際の顔の位置とステアリングホイールSWとの距離「z1」を減算した「z0-z1」の距離が、予め定められた第2基準距離以上である場合、顔距離条件(第1条件)を満たすと判定する。
【0024】
覗き込み姿勢判定部25は、
図6~
図8に示すように、運転者Dの顔が位置する方向と、運転者Dの顔が向く方向とが逆方向になる場合、覗き込み運転姿勢を判定する際の向き条件としての顔向き条件(第2条件)を満たすと判定する。具体的には、覗き込み姿勢判定部25は、鉛直方向Yから視た場合に、仮想基準線Lに対して、運転者Dの顔の実際の位置が車幅方向Xの一方側に位置し且つ運転者Dの顔の向きが車幅方向Xの他方側を向いている状態、又は、仮想基準線Lに対して、運転者Dの顔の実際の位置が車幅方向Xの他方側に位置し且つ運転者Dの顔の向きが車幅方向Xの一方側を向いている場合、覗き込み運転姿勢を判定する際の顔向き条件(第2条件)を満たすと判定する。
【0025】
覗き込み姿勢判定部25は、例えば、
図9に示すように、運転者Dの顔の位置が一方側又は他方側にずれるずれ量と、運転者Dの顔の向きが一方側又は他方側に向く変化量とに基づいて顔向き条件(第2条件)を満たすか否かを判定する。
図9では、地点P1で、運転者Dの顔の位置が一方側にずれるずれ量と、運転者Dの顔の向きが他方側に向く変化量とが最大となり、地点P2で、運転者Dの顔の位置が他方側にずれるずれ量と、運転者Dの顔の向きが一方側に向く変化量とが最大となっている。覗き込み姿勢判定部25は、運転者Dの顔の位置が一方側又は他方側にずれるずれ量と、運転者Dの顔の向きが一方側又は他方側に向く変化量とを積算し、積算した結果が予め定められた基準値以上である場合、顔向き条件(第2条件)を満たすと判定し、一方で、積算した結果が当該基準値未満である場合、顔向き条件(第2条件)を満たさないと判定する。
【0026】
覗き込み姿勢判定部25は、フロントガラスFが凍結したり曇ったりすることが発生する可能性が高い環境下に限定して、運転者D覗き込み運転姿勢を判定する。覗き込み姿勢判定部25は、例えば、温度検出部22により検出した温度が予め定められた基準温度未満である場合、運転者Dが覗き込み運転姿勢であるか否かを判定し、温度検出部22により検出した温度が基準温度以上である場合、運転者Dが覗き込み運転姿勢であるか否かを判定しない。
【0027】
曇り凍結除去処理部26は、フロントガラスFの曇り及び凍結を除去する処理である曇り凍結除去処理を実行するものである。曇り凍結除去処理部26は、例えば、覗き込み姿勢判定部25により運転者Dが覗き込み運転姿勢であると判定された場合、曇り凍結除去処理を実行する。曇り凍結除去処理部26は、デフロスタ106に当該デフロスタ106を駆動することを表す指令信号を出力する。デフロスタ106は、曇り凍結除去処理部26から、デフロスタ106を駆動することを表す指令信号が出力された場合、送風機器からフロントガラスFに温風を吹き付けて、フロントガラスFの曇り及び凍結(結氷)を除去する。
【0028】
運転者状態検出部27は、カメラモジュール10から出力された画像に基づいて、運転者Dの脇見運転や、居眠り運転、姿勢崩れ等を検出するものである。運転者状態検出部27は、例えば、車両の進行方向とは異なる方向を一定時間向いている場合、運転者Dが脇見運転をしていると判定する。運転者状態検出部27は、運転者Dの開眼度が予め定められた基準値以下の状態が一定時間継続した場合、運転者Dが居眠り運転をしていると判定する。運転者状態検出部27は、運転者Dの顔の位置が予め定められた指定範囲内に含まれない場合、姿勢崩れであると判定する。
【0029】
次に、
図10、
図11のフローチャートを参照して、DMS1の動作例について説明する。なお、
図10のフローチャートと
図11のフローチャートとは、1つのフローチャートを分割して記載したものである。
図10に記載の「(A)」は、
図11に記載の(A)にステップが移行することを表し、
図11に記載の「(B)」は、
図10に記載の(B)にステップが移行することを表している。
図10、
図11において、DMS1は、運転者Dの顔を検出する(ステップS1)。例えば、制御モジュール20は、カメラモジュール10から出力された運転者Dの顔画像から眼鼻口等の特徴点を抽出し、抽出した眼鼻口等の特徴点に基づいて運転者Dの顔を検出する。制御モジュール20の運転者状態検出部27は、運転者Dの顔の位置が予め定められた指定範囲内に含まれるか否かを判定する(ステップS2)。運転者状態検出部27は、運転者Dの顔の位置が当該指定範囲内に含まれない場合(ステップS2;No)、運転者Dに姿勢が崩れていることを警報する(ステップS17)。制御モジュール20は、運転者Dの顔の位置が当該指定範囲内に含まれる場合(ステップS2;Yes)、運転者Dの顔の位置を表す座標を記憶部21に保存する(ステップS3)。制御モジュール20の覗き込み姿勢判定部25は、温度検出部22により検出した温度が予め定められた基準温度未満であるか否かを判定する(ステップS4)。覗き込み姿勢判定部25は、温度検出部22により検出した温度が当該基準温度未満である場合(ステップS4;Yes)、フロントガラスFが凍結したり曇ったりすることが発生する可能性が高い環境下であると判定し、フラグに「1」を設定する(ステップS5)。一方で、覗き込み姿勢判定部25は、温度検出部22により検出した温度が当該基準温度以上である場合(ステップS4;No)、フロントガラスFが凍結したり曇ったりすることが発生する可能性が低い環境下であると判定し、フラグに「0」を設定する(ステップS6)。運転者状態検出部27は、カメラモジュール10から出力された画像に基づいて、運転者Dの脇見運転や、姿勢崩れ、居眠り運転を検出する(ステップS7)。覗き込み姿勢判定部25は、フラグに「1」が設定されている場合(ステップS8;Yes)、運転者Dによる運転が予め定められた基準時間以上経過したか否かを判定する(ステップS9)。覗き込み姿勢判定部25は、運転者Dによる運転が運転開始から予め定められた基準時間以上経過している場合(ステップS9;Yes)、フロントガラスFに曇りや凍結が生じてない可能性が高いことから、フラグに「0」を設定し(ステップS16)、上述のステップS7に戻る。一方で、覗き込み姿勢判定部25は、運転者Dによる運転が運転開始から当該基準時間以上経過していない場合(ステップS9;No)、車両の速度が予め定められた第1基準速度以上であるか否かを判定する(ステップS10)。ここで、第1基準速度は、後述の第2基準速度(脇見運転等を判定する際の基準速度)よりも低速な速度であり、覗き込み運転姿勢は、より低速な車速の場合でも判定する。覗き込み姿勢判定部25は、車両の速度が当該第1基準速度未満である場合(ステップS10;No)、仮に、フロントガラスFに曇りや凍結が生じていたとしても、超低速な速度で運転しているか又は停車しているので危険がおよばないと判定し、上述のステップS7(脇見等の判定処理)に戻る。覗き込み姿勢判定部25は、車両の速度が当該第1基準速度以上である場合(ステップS10;Yes)、運転者DがステアリングホイールSWに接近しているか否かを判定する(ステップS11)。
【0030】
覗き込み姿勢判定部25は、例えば、顔位置検出部23により検出された運転者Dの顔の前後位置に基づいて、ステアリングホイールSWの位置から運転者Dの顔の位置までの距離が第1基準距離内でない場合、運転者DがステアリングホイールSWに接近しておらず、覗き込み運転姿勢を判定する際の顔距離条件(第1条件)を満たさないと判定し(ステップS11:No)、上述のステップS7に戻る。一方で、覗き込み姿勢判定部25は、顔位置検出部23により検出された運転者Dの顔の前後位置に基づいて、ステアリングホイールSWの位置から運転者Dの顔の位置までの距離が第1基準距離内である場合、運転者DがステアリングホイールSWに接近しており、覗き込み運転姿勢を判定する際の顔距離条件(第1条件)を満たすと判定する(ステップS11:Yes)。次に、覗き込み姿勢判定部25は、顔距離条件(第1条件)を満たす場合、運転者Dの顔位置と顔向きが逆であるか否かを判定する(ステップS12)。例えば、覗き込み姿勢判定部25は、仮想基準線Lに対して、運転者Dの顔の実際の位置が車幅方向Xの一方側に位置し且つ運転者Dの顔の向きが車幅方向Xの他方側を向いている状態、又は、仮想基準線Lに対して、運転者Dの顔の実際の位置が車幅方向Xの他方側に位置し且つ運転者Dの顔の向きが車幅方向Xの一方側を向いている状態でない場合、すなわち運転者Dの顔位置と顔向きが逆ではない場合、運転者Dが顔を左右に振って覗き込むような姿勢ではないため、顔向き条件(第2条件)を満たさないと判定し(ステップS12;No)、上述のステップS7に戻る。一方で、覗き込み姿勢判定部25は、仮想基準線Lに対して、運転者Dの顔の実際の位置が車幅方向Xの一方側に位置し且つ運転者Dの顔の向きが車幅方向Xの他方側を向いている状態、又は、仮想基準線Lに対して、運転者Dの顔の実際の位置が車幅方向Xの他方側に位置し且つ運転者Dの顔の向きが車幅方向Xの一方側を向いている状態である場合、すなわち運転者Dの顔位置と顔向きが逆である場合、運転者Dが顔を左右に振って覗き込むような姿勢であるため、顔向き条件(第2条件)を満たすと判定し(ステップS12;Yes)、警報部107に運転者Dに警報する旨を指令すると共に、デフロスタ106がONでない場合(ステップS14;No)には、デフロスタ106をONにすることを指令する(ステップS15)。警報部107は、覗き込み姿勢判定部25から指令を受けた場合、運転者Dに対して、危険な姿勢で運転している旨を警報する(ステップS13)。デフロスタ106は、覗き込み姿勢判定部25から指令を受けた場合、送風機器からフロントガラスFに温風を吹き付けて、フロントガラスFの曇り及び凍結(結氷)を除去し、処理を終了する。
【0031】
上述のステップS8で、覗き込み姿勢判定部25は、フロントガラスFが凍結したり曇ったりすることが発生する可能性が低い環境下であるため、フラグに「0」が設定されている場合(ステップS8;No)、運転者状態検出部27により、車両の速度が予め定められた第2基準速度(例えば、時速30km)以上であるか否かを判定する(ステップS18)。運転者状態検出部27は、車両の速度が当該第2基準速度未満である場合(ステップS18;No)、車両が低速であるため、脇見運転や、居眠り運転、姿勢崩れを判定せずに処理を終了する。一方で、運転者状態検出部27は、車両の速度が当該第2基準速度以上である場合(ステップS18;Yes)、脇見運転を判定する(ステップS19)。運転者状態検出部27は、運転者Dが脇見運転をしていると判定した場合(ステップS19:Yes)、運転者Dに警報を実施し(ステップS20)、警報の解除信号がない場合(ステップS21;No)、緊急警報の動作を行い(ステップS22)、警報の解除信号がある場合(ステップS21;Yes)、緊急警報の動作を行わずに、処理を終了する。一方で、運転者状態検出部27は、運転者Dが脇見運転をしていないと判定した場合(ステップS19:No)、居眠り運転を判定する(ステップS23)。運転者状態検出部27は、運転者Dが居眠り運転をしていると判定した場合(ステップS23;Yes)、運転者Dに警報を実施し(ステップS20)、運転者Dが居眠り運転をしていないと判定した場合(ステップS23;No)、姿勢崩れを判定する(ステップS24)。運転者状態検出部27は、運転者Dが姿勢崩れをしていると判定した場合(ステップS24;Yes)、運転者Dに警報を実施し(ステップS20)、運転者Dが姿勢崩れをしていないと判定した場合(ステップS24;No)、処理を終了する。
【0032】
以上のように、実施形態に係るDMS1は、顔位置検出部23と、向き判定部24と、覗き込み姿勢判定部25とを備える。顔位置検出部23は、車両に搭載され、運転者Dの顔の位置を検出する。向き判定部24は、車両に搭載され、運転者Dの顔の向きを判定する。覗き込み姿勢判定部25は、顔位置検出部23により検出された運転者Dの顔の位置、及び、向き判定部24により判定された運転者Dの顔の向きに基づいて、運転者Dが車両の前方を覗き込んだ姿勢で当該車両を運転する覗き込み運転姿勢を判定する。
【0033】
この構成により、DMS1は、運転者Dの顔の位置及び運転者Dの顔の向きに基づいて運転者Dの覗き込み運転姿勢を判定するので、例えば、動きベクトル等を用いて判定する場合と比較して処理の複雑化を抑制できる。また、DMS1は、例えば、運転者Dの顔の位置だけに基づいて運転者Dの覗き込み運転姿勢を判定する場合と比較して、精度よく判定することができる。この結果、DMS1は、運転者Dが覗き込んだ姿勢を適正に判定することができる。
【0034】
上記DMS1において、覗き込み姿勢判定部25は、車両の全長方向Zに沿い且つ運転者Dの顔の基準位置を通る予め定められた仮想基準線Lに対して、運転者Dの顔の位置が全長方向Zに交差する車幅方向Xの一方側に位置し且つ運転者Dの顔の向きが車幅方向Xの他方側を向いていることを表し、又は、仮想基準線Lに対して、運転者Dの顔の位置が車幅方向Xの他方側に位置し且つ運転者Dの顔の向きが車幅方向Xの一方側を向いていることを表す顔向き条件を満たす場合、運転者Dが覗き込み運転姿勢であると判定する。この構成により、DMS1は、動きベクトル等を用いて判定する場合と比較して処理の複雑化を抑制できる。
【0035】
上記DMS1において、覗き込み姿勢判定部25は、上記顔向き条件に加えてさらに、車両に設けられるステアリングホイールSWの位置から運転者Dの顔の位置までの距離が予め定められた基準距離内であることを表す顔距離条件を満たす場合、運転者Dが覗き込み運転姿勢であると判定する。この構成により、DMS1は、覗き込み運転姿勢の判定精度を向上させることができる。
【0036】
上記DMS1は、温度を検出する温度検出部22をさらに備える。覗き込み姿勢判定部25は、温度検出部22により検出した温度が予め定められた基準温度未満である場合、運転者Dが覗き込み運転姿勢であるか否かを判定し、温度検出部22により検出した温度が基準温度以上である場合、運転者Dが覗き込み運転姿勢であるか否かを判定しない。この構成により、DMS1は、温度が低いため、フロントガラスFが凍結したり曇ったりすることが発生する可能性が低い環境下である場合、覗き込み運転姿勢の判定処理を実施しないので、無駄な処理を削減することができ、システム負荷を軽減することができる。
【0037】
DMS1は、車両に設けられるフロントガラスFの曇り及び凍結を除去する処理である曇り凍結除去処理を実行する曇り凍結除去処理部26をさらに備える。曇り凍結除去処理部26は、覗き込み姿勢判定部25により、運転者Dが覗き込み運転姿勢であると判定した場合、曇り凍結除去処理を実行する。この構成により、DMS1は、フロントガラスFの曇り及び凍結を速やかに除去することができるので、運転者Dの覗き込み運転姿勢が継続することを回避できる。
【0038】
なお、上記説明では、向き判定部24は、カメラモジュール10により撮像された画像に基づいて、運転者Dの顔の向きを判定する例について説明したが、例えば、カメラモジュール10により撮像された画像に基づいて、運転者Dの視線の向きを判定してもよい。この場合、向き判定部24は、周知の画像処理により、画像に含まれる運転者Dの視線の向きを判定する。向き判定部24は、例えば、カメラモジュール10により撮像された運転者Dの顔画像から眼鼻口等の特徴点を抽出し、抽出した眼鼻口等の特徴点に基づいて運転者Dの視線の向きを判定する。向き判定部24は、例えば、
図12に示すように、運転者Dがどの程度視線の向きを変更しているかを表すものとして、tanθで求められる値を用いる。角度θは、運転者Dの視線が向く方向と全長方向Zとが成す角度である。
【0039】
覗き込み姿勢判定部25は、顔位置検出部23により検出された運転者Dの顔の位置、及び、向き判定部24により判定された運転者Dの視線の向きに基づいて、運転者Dが車両の前方を覗き込んだ姿勢で当該車両を運転する覗き込み運転姿勢を判定する。
【0040】
覗き込み姿勢判定部25は、例えば、
図12に示すように、運転者Dの顔が位置する方向と、運転者Dの視線が向く方向とが逆方向になる場合、覗き込み運転姿勢を判定する際の向き条件としての視線向き条件(第2条件)を満たすと判定する。具体的には、覗き込み姿勢判定部25は、鉛直方向Yから視た場合に、仮想基準線Lに対して、運転者Dの顔の実際の位置が車幅方向Xの一方側に位置し且つ運転者Dの視線の向きが車幅方向Xの他方側を向いている状態、又は、仮想基準線Lに対して、運転者Dの顔の実際の位置が車幅方向Xの他方側に位置し且つ運転者Dの視線の向きが車幅方向Xの一方側を向いている場合、覗き込み運転姿勢を判定する際の視線向き条件(第2条件)を満たすと判定する。
【0041】
覗き込み姿勢判定部25は、例えば、
図13に示すように、運転者Dの顔の位置が一方側又は他方側にずれるずれ量と、運転者Dの視線の向きが一方側又は他方側に向く変化量とに基づいて視線向き条件(第2条件)を満たすか否かを判定する。
図13では、地点P1で、運転者Dの顔の位置が一方側にずれるずれ量と、運転者Dの視線の向きが他方側に向く変化量とが最大となり、地点P2で、運転者Dの顔の位置が他方側にずれるずれ量と、運転者Dの視線の向きが一方側に向く変化量とが最大となっている。覗き込み姿勢判定部25は、運転者Dの顔の位置が一方側又は他方側にずれるずれ量と、運転者Dの視線の向きが一方側又は他方側に向く変化量とを積算し、積算した結果が予め定められた基準値以上である場合、視線向き条件(第2条件)を満たすと判定し、一方で、積算した結果が当該基準値未満である場合、視線向き条件(第2条件)を満たさないと判定する。
【0042】
以上のように、実施形態に係るDMS1において、向き判定部24は、運転者Dの視線の向きを判定する。覗き込み姿勢判定部25は、顔位置検出部23により検出された運転者Dの顔の位置、及び、向き判定部24により判定された運転者Dの視線の向きに基づいて、運転者Dが車両の前方を覗き込んだ姿勢で当該車両を運転する覗き込み運転姿勢を判定する。
【0043】
この構成により、DMS1は、運転者Dの顔の位置及び運転者Dの視線の向きに基づいて運転者Dの覗き込み運転姿勢を判定するので、例えば、動きベクトル等を用いて判定する場合と比較して処理の複雑化を抑制できる。また、DMS1は、例えば、運転者Dの顔の位置だけに基づいて運転者Dの覗き込み運転姿勢を判定する場合と比較して、精度よく判定することができる。この結果、DMS1は、運転者Dが覗き込んだ姿勢を適正に判定することができる。
【0044】
上記DMS1において、覗き込み姿勢判定部25は、仮想基準線Lに対して、運転者Dの顔の位置が車幅方向Xの一方側に位置し且つ運転者Dの視線の向きが車幅方向Xの他方側を向いていることを表し、又は、仮想基準線Lに対して、運転者Dの顔の位置が車幅方向Xの他方側に位置し且つ運転者Dの視線の向きが車幅方向Xの一方側を向いていることを表す視線向き条件を満たす場合、運転者Dが覗き込み運転姿勢であると判定する。この構成により、DMS1は、動きベクトル等を用いて判定する場合と比較して処理の複雑化を抑制できる。
【0045】
なお、上記説明では、覗き込み姿勢判定部25は、顔距離条件及び顔向き条件の両方を満たす場合に、運転者Dが覗き込み運転姿勢であると判定する例について説明したが、これに限定されず、顔向き条件だけを満たす場合に、運転者Dが覗き込み運転姿勢であると判定してもよい。
【0046】
覗き込み姿勢判定部25は、顔距離条件及び視線向き条件の両方を満たす場合に、運転者Dが覗き込み運転姿勢であると判定する例について説明したが、これに限定されず、視線向き条件だけを満たす場合に、運転者Dが覗き込み運転姿勢であると判定してもよい。
【0047】
覗き込み姿勢判定部25は、仮想基準線Lに対する運転者Dの顔の位置及び運転者Dの顔又は視線の向きに基づいて覗き込み運転姿勢を判定したが、これに限定されず、その他の方法に基づいて覗き込み運転姿勢を判定してもよい。
【0048】
覗き込み姿勢判定部25は、温度検出部22により検出した温度が基準温度以上である場合、運転者Dが覗き込み運転姿勢であるか否かを判定しない例について説明したが、これに限定されず、例えば、温度にかかわらず覗き込み運転姿勢を判定してもよい。
【0049】
覗き込み姿勢判定部25は、運転者Dが覗き込み運転姿勢であると判定した場合、曇り凍結除去処理を実行する例について説明したが、このような曇り凍結除去処理を実行しなくてよい。
【0050】
覗き込み姿勢判定部25は、顔の位置、顔の向きに加えて、さらに、運転者Dの視線位置も含めて覗き込み運転姿勢を判定してもよい。覗き込み姿勢判定部25は、例えば、運転者Dの視線位置を表すヒストグラムを作成し、このヒストグラムにおいてフロントガラスF上の視認位置が一か所に分布している場合、覗き込み運転姿勢であると判定する。
【0051】
覗き込み姿勢判定部25は、車幅方向Xの一方側から覗き込む姿勢と車幅方向Xの他方側から覗き込む姿勢とが繰り返された場合に、覗き込み運転姿勢であると判定してもよい。
【0052】
顔位置検出部23は、運転者Dの顔の大きさや左右の眼の距離等に基づいて運転者Dの顔の位置を検出する例について説明したが、これに限定されない。顔位置検出部23は、例えば、赤外距離センサで運転者Dの顔の位置を検出してもよいし、ステアリングに取り付けた静電容量センサにより運転者Dの顔の位置を検出してもよいし、3Dカメラにより運転者Dの顔の位置を検出してもよい。
【0053】
向き判定部24は、眼鼻口等の特徴点に基づいて運転者Dの顔又は視線の向きを判定する例について説明したが、これに限定されず、その他の方法によって運転者Dの顔又は視線の向きを判定してもよい。
【0054】
DMS1は、運転者Dが周囲を注視しながら運転する際に、覗き込み運転姿勢になっている場合、周囲の地図情報(飲食店、観光スポット等)を運転者Dに周知するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 DMS(運転者監視システム)
23 顔位置検出部
24 向き判定部
25 覗き込み姿勢判定部
26 曇り凍結除去処理部
F フロントガラス
L 仮想基準線
SW ステアリングホイール
Z 全長方向