IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝メモリ株式会社の特許一覧

特開2024-123338半導体装置の製造方法、支持基板の製造方法、及び基板の剥離方法
<>
  • 特開-半導体装置の製造方法、支持基板の製造方法、及び基板の剥離方法 図1
  • 特開-半導体装置の製造方法、支持基板の製造方法、及び基板の剥離方法 図2
  • 特開-半導体装置の製造方法、支持基板の製造方法、及び基板の剥離方法 図3
  • 特開-半導体装置の製造方法、支持基板の製造方法、及び基板の剥離方法 図4
  • 特開-半導体装置の製造方法、支持基板の製造方法、及び基板の剥離方法 図5
  • 特開-半導体装置の製造方法、支持基板の製造方法、及び基板の剥離方法 図6
  • 特開-半導体装置の製造方法、支持基板の製造方法、及び基板の剥離方法 図7
  • 特開-半導体装置の製造方法、支持基板の製造方法、及び基板の剥離方法 図8
  • 特開-半導体装置の製造方法、支持基板の製造方法、及び基板の剥離方法 図9
  • 特開-半導体装置の製造方法、支持基板の製造方法、及び基板の剥離方法 図10
  • 特開-半導体装置の製造方法、支持基板の製造方法、及び基板の剥離方法 図11
  • 特開-半導体装置の製造方法、支持基板の製造方法、及び基板の剥離方法 図12
  • 特開-半導体装置の製造方法、支持基板の製造方法、及び基板の剥離方法 図13
  • 特開-半導体装置の製造方法、支持基板の製造方法、及び基板の剥離方法 図14
  • 特開-半導体装置の製造方法、支持基板の製造方法、及び基板の剥離方法 図15
  • 特開-半導体装置の製造方法、支持基板の製造方法、及び基板の剥離方法 図16
  • 特開-半導体装置の製造方法、支持基板の製造方法、及び基板の剥離方法 図17
  • 特開-半導体装置の製造方法、支持基板の製造方法、及び基板の剥離方法 図18
  • 特開-半導体装置の製造方法、支持基板の製造方法、及び基板の剥離方法 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123338
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法、支持基板の製造方法、及び基板の剥離方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20240905BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20240905BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20240905BHJP
   H10B 41/27 20230101ALI20240905BHJP
   H10B 43/27 20230101ALI20240905BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H01L21/02 B
H01L21/265 W
H01L21/265 F
H01L21/265 602A
H01L21/265 602B
H01L21/306 B
H10B41/27
H10B43/27
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030650
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小沼 将大
(72)【発明者】
【氏名】藤田 博
(72)【発明者】
【氏名】矢内 有美
(72)【発明者】
【氏名】加藤 久詞
【テーマコード(参考)】
5F043
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F043AA02
5F043BB02
5F043DD08
5F043DD14
5F043EE01
5F083EP02
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP42
5F083EP47
5F083EP48
5F083ER03
5F083ER09
5F083ER14
5F083ER19
5F083ER22
5F083MA06
5F083MA16
5F083PR05
5F083PR21
5F083PR25
5F101BA01
5F101BA45
5F101BB02
5F101BC02
5F101BD16
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE07
5F101BH02
(57)【要約】
【課題】ポーラス層の層厚の均一性を向上させること。
【解決手段】実施形態の半導体装置の製造方法は、イオン注入法によりドーパントを注入して活性化した活性層を基板に形成し、陽極化成処理によって活性層をポーラス化してポーラス層を形成し、ポーラス層の上方に半導体装置の少なくとも一部の構成を含むデバイス層を形成し、ポーラス層を開裂させて基板を除去する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン注入法によりドーパントを注入して活性化した活性層を基板に形成し、
陽極化成処理によって前記活性層をポーラス化してポーラス層を形成し、
前記ポーラス層の上方に半導体装置の少なくとも一部の構成を含むデバイス層を形成し、
前記ポーラス層を開裂させて前記基板を除去する、
半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記デバイス層は、
第1の導電層と、
前記第1の導電層の上方に位置し、複数の第2の導電層が積層された積層体と、
前記積層体を貫通して前記第1の導電層に接続されるメモリピラーと、を有する、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記基板を除去する前に、
第1の半導体基板上にトランジスタを含む周辺回路を形成し、
前記基板の前記デバイス層が形成された面と、前記第1の半導体基板の前記周辺回路が形成された面とを貼り合わせる、
請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記活性層を形成するときは、
前記基板の一端側のエッジ領域における前記ドーパントの注入量を他の領域の前記ドーパントの注入量よりも高め、
前記ポーラス層を形成するときは、
前記一端側のポーラス度を前記他の領域のポーラス度よりも高め、
前記基板を除去するときは、
前記一端側から前記ポーラス層を開裂させる、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記ポーラス層を形成するときは、
第1のポーラス度を有する第1のポーラス層を第1のパターンに形成し、
前記第1のパターンの間の領域に、前記第1のポーラス度より高い第2のポーラス度を有する第2のポーラス層を形成し、
前記積層体を形成するときは、
前記積層体を前記第1のパターンに形成し、
前記基板を除去するときは、
前記ポーラス層の一部を前記第1の導電層の表面に残して開裂させ、
前記基板を除去した後に、
前記第1の導電層の表面に残った前記ポーラス層のうち前記第1のポーラス層をマスクとして、前記積層体の前記第1のパターンに合わせて前記第1の導電層を前記第1のパターンに形成する、
請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1の導電層を前記第1のパターンに形成するときは、
前記基板を除去した後に前記第2のポーラス層を除去し、
前記第2のポーラス層を除去した後の前記第1のポーラス層をマスクとして前記第1の導電層を加工する、
請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
ドーパントを注入して活性化した活性層を基板に形成し、
陽極化成処理によって前記活性層をポーラス化してポーラス層を形成する、
支持基板の製造方法。
【請求項8】
前記活性層を形成するときは、
前記ドーパントを注入する加速エネルギを制御して前記活性層の層厚を制御する、
請求項7に記載の支持基板の製造方法。
【請求項9】
前記活性層を形成するときは、
前記ドーパントの注入量を制御して前記活性層の抵抗値を制御する、
請求項7に記載の支持基板の製造方法。
【請求項10】
前記活性層を形成するときは、
複数回に亘って前記ドーパントを注入する、
請求項7に記載の支持基板の製造方法。
【請求項11】
前記基板は、第2の半導体基板であり、
前記活性層を形成するときは、
前記第2の半導体基板の表面にドーパントを注入して活性化させる、
請求項7に記載の支持基板の製造方法。
【請求項12】
前記活性層を形成するときは、
前記基板上に半導体層を形成し、
前記半導体層にドーパントを注入して活性化させる、
請求項7に記載の支持基板の製造方法。
【請求項13】
イオン注入法によりドーパントを注入して活性化した活性層を基板に形成し、
陽極化成処理によって前記活性層をポーラス化してポーラス層を形成し、
前記ポーラス層の上方に第1の層を形成し、
前記ポーラス層を開裂させて前記基板を剥離する、
基板の剥離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置の製造方法、支持基板の製造方法、及び基板の剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元不揮発性メモリ等の半導体装置は、複数のメモリピラーが形成された支持基板と、周辺回路が形成された半導体基板とを貼り合わせて構成されることがある。半導体基板との貼合後、支持基板は剥離されて再利用される。支持基板にはポーラス層が設けられており、このポーラス層を開裂させることで、支持基板を剥離させる。
【0003】
ポーラス層は、例えば陽極化成等により支持基板に形成される。しかしながら、支持基板の面内でポーラス層の厚さが不均一になってしまうという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-150456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1つの実施形態は、ポーラス層の層厚の均一性を向上させることができる半導体装置の製造方法、支持基板の製造方法、及び基板の剥離方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の半導体装置の製造方法は、イオン注入法によりドーパントを注入して活性化した活性層を基板に形成し、陽極化成処理によって前記活性層をポーラス化してポーラス層を形成し、前記ポーラス層の上方に半導体装置の少なくとも一部の構成を含むデバイス層を形成し、前記ポーラス層を開裂させて前記基板を除去する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1にかかる半導体記憶装置の構成例を示す断面図。
図2】実施形態1にかかる支持基板の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図3】実施形態1にかかる支持基板の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図4】実施形態1にかかる支持基板の構成の一例を示す断面図。
図5】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
図6】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
図7】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
図8】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
図9】実施形態1にかかる支持基板の再生処理の手順の一部を例示する断面図。
図10】比較例にかかるポーラス層の形成処理の手順の一部を例示する断面図。
図11】実施形態1にかかる支持基板の製造方法を用いて形成された活性層のシート抵抗と、活性層に形成されるポーラス層の形成速度およびポーラス径との関係を示すグラフ。
図12】実施形態1の変形例1にかかる支持基板の製造方法の手順の一部を例示する断面図。
図13】実施形態1の変形例2にかかる支持基板の製造方法の手順の一部を例示する断面図。
図14】実施形態1の変形例2にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を例示する断面図。
図15】実施形態2にかかる支持基板の製造方法の手順の一部を例示する断面図。
図16】実施形態2にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
図17】実施形態2にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
図18】実施形態2の変形例にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
図19】実施形態2の変形例にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0009】
[実施形態1]
以下、図面を参照して実施形態1について詳細に説明する。
【0010】
(半導体記憶装置の構成例)
図1は、実施形態1にかかる半導体記憶装置1の構成例を示す断面図である。ただし、図1においては図面の見やすさを考慮してハッチングを省略する。
【0011】
図1に示すように、半導体記憶装置1は、紙面下側から順に、電極膜ELと、ソース線SLと、複数のワード線WLが積層された積層体LMとを備える。また、半導体記憶装置1は、積層体LMの上方に、第1の半導体基板としての半導体基板SBに設けられた周辺回路CBAを備える。
【0012】
電極膜EL上には、絶縁層60を介してソース線SLが配置されている。ソース線SLは、例えばポリシリコン層等である。
【0013】
絶縁層60中には複数のプラグPGが配置され、プラグPGを介してソース線SLと電極膜ELとが電気的な導通を保っている。これにより、半導体記憶装置1の外部から、電極膜EL及びプラグPGを介してソース線SLにソース電位を印加することができる。
【0014】
ソース線SL上には複数の第2の導電層としてのワード線WLが積層された積層体LMが配置されている。積層体LMの中央部にはメモリ領域MRが配置され、積層体LMの両端部にはコンタクト領域ERが配置されている。
【0015】
メモリ領域MRには、ワード線WLを積層方向に貫通する複数のメモリピラーとしてのピラーPLが配置されている。ピラーPLとワード線WLとの交差部には複数のメモリセルが形成される。これにより、半導体記憶装置1は、例えばメモリ領域MRにメモリセルが3次元に配置された3次元不揮発性メモリとして構成される。
【0016】
コンタクト領域ERには、複数のワード線WLのそれぞれと接続する複数のコンタクトCCが配置されている。なお、本明細書では、コンタクトCCの延伸方向において、コンタクトCCのワード線WLとの接続端側を半導体記憶装置1の下方側とする。
【0017】
コンタクトCCからは、積層体LM中央部のメモリ領域MRに含まれるメモリセルに対し、そのメモリセルと同じ高さ位置のワード線WLを介して書き込み電圧および読み出し電圧等が印加される。このように、これらのコンタクトCCにより、多層に積層されるワード線WLが個々に引き出される。
【0018】
複数のワード線WL、ピラーPL、及びコンタクトCCは絶縁層50に覆われている。絶縁層50は、複数のワード線WLの周囲にも広がっている。
【0019】
絶縁層50上方の第1の半導体基板としての半導体基板SBは、例えばシリコン基板等である。半導体基板SBの表面にはトランジスタTR及び配線等を含む周辺回路CBAが配置されている。コンタクトCCからメモリセルに印加される各種電圧は、これらのコンタクトCCと電気的に接続される周辺回路CBAにより制御される。このように、周辺回路CBAはメモリセルの電気的な動作を制御する。
【0020】
周辺回路CBAは絶縁層40で覆われており、この絶縁層40と、積層体LMを覆う絶縁層50とが接合されることにより、複数のワード線WL、ピラーPL、及びコンタクトCC等の構成と、周辺回路CBAとを備える半導体記憶装置1が構成される。
【0021】
(半導体記憶装置の製造方法)
次に、図2図9を用いて、実施形態1の半導体記憶装置1の製造方法について説明する。なお、半導体記憶装置1の製造方法は、支持基板SSの製造方法および支持基板SSの剥離方法を一部に含む。
【0022】
まずは、製造途中の半導体記憶装置1を支持する支持基板SS、及び支持基板SSが製造される様子を図2図4に示す。
【0023】
図2及び図3は、実施形態1にかかる支持基板SS(図4参照)の製造方法の手順の一部を順に例示する図である。以下に示す支持基板SSの製造方法では、図4に示すように、ポーラス層90を上面に有する支持基板SSが製造される。
【0024】
図2(a)に示すように、シリコン基板等の第2の半導体基板としての半導体基板30を準備する。
【0025】
図2(b)に示すように、イオン注入等により、半導体基板30の上面にドーパントDPを注入して不純物層70を形成する。
【0026】
このとき、ドーパントDPとしては、ボロン、インジウム、ガリウム等のp型のドーパント、あるいは、リン、ヒ素、アンチモン等のn型のドーパント等を用いることができる。
【0027】
ドーパントDPは、支持基板SSに形成したいポーラス層90の厚さに応じて、半導体基板30の表面から10nm以上10000nm以下の深さまで到達していることが好ましい。ドーパントDPの注入深さは、例えばドーパントDP注入時のイオンの加速エネルギを変化させることで調整することができる。すなわち、加速エネルギを高めるほど、ドーパントDPの注入深さが増す。
【0028】
図2(c)に示すように、不純物層70が形成された半導体基板30をアニールし、不純物層70中のドーパントDPが活性化された活性層80を形成する。アニールを行う際は、縦型炉、または、赤外線ランプを用いたRTA(Rapid Thermal Anneal)等を用いることができる。
【0029】
また、アニールの温度および処理時間を調整することによっても、半導体基板30へのドーパントDPの注入深さが変化するため、ポーラス層90の厚さを更に制御することが可能である。
【0030】
以上のように、半導体基板30にドーパントDPを注入して活性化することで、半導体基板30本来の抵抗値より低い抵抗値を有する活性層80が形成される。
【0031】
半導体基板30の抵抗率は例えば、20Ωcm~30Ωcmである。これに対して、活性層80の抵抗率は、例えば0.1Ωcm以下であり、より好ましくは0.0017Ωcm以上0.015Ωcm以下である。活性層80の抵抗率が例えば0.0017Ωcm未満となると、この後、活性層80をポーラス化してポーラス層90を形成する際に、ポーラス層90中に却ってムラが生じてしまうことがある。
【0032】
このような活性層80の抵抗率は、ドーパントDPの種類および注入量等を変化させることで制御することができる。
【0033】
なお、図2(b)に示すドーパントDPの注入は、複数回に亘って行われてもよい。ドーパントDPの注入を複数回行うことによっても、ドーパントDPの注入深さおよび注入量を調整することが可能である。
【0034】
図3(a)に示すように、活性層80のポーラス化は、例えば陽極化成により行われる。なお、図3には、半導体基板30を1枚ずつ処理する枚葉式の手法を用いる例を示す。しかし、半導体基板30を陽極化成処理する手法は枚葉式に限られず、例えばバッチ式等の他の手法を用いてもよい。
【0035】
半導体基板30に対して陽極化成処理を行う際には、フッ酸のイソプロピルアルコール溶液を満たした薬液槽200中に、半導体基板30を浸漬する。このとき、半導体基板30のエッジ部分を、シール材240によりシーリングしておくことが好ましい。薬液槽200の側方には、例えば紫外線等を照射する光源230が設けられている。
【0036】
また、薬液槽200中には、陰極211が、半導体基板30の活性層80が形成された面と対向するよう浸漬されている。陰極211は、例えばメッシュ状の白金電極等である。薬液槽200中にはまた、半導体基板30を挟んで陰極211と対向するように、白金電極等の陽極212が設けられている。なお、上述のシール材240により、フッ酸溶液が陰極211側と陽極212側とで分離される。
【0037】
上記状態で、陰極211及び陽極212間に直流電源220から直流電圧を印加する。これにより、半導体基板30中、主に活性層80においてポーラス化が進行し、ポーラス層90が形成される。
【0038】
図3(b)~図3(d)は、活性層80がポーラス化される様子の詳細を示している。
【0039】
図3(b)に示すように、陰極211及び陽極212間に直流電圧が印加されると、半導体基板30中の正電荷が陰極211側へと引き寄せられる。
【0040】
図3(c)に示すように、半導体基板30の陰極211に対向する表面に引き寄せられた正電荷によって、半導体基板30を構成するシリコン等が酸化される。更に、酸化シリコンがフッ酸溶液中のフッ酸によって溶解し、半導体基板30の表面にポーラスPPが形成されていく。
【0041】
図3(d)に示すように、正電荷による酸化シリコンの生成反応と、フッ酸による酸化シリコンの溶解反応とは、半導体基板30の内部へと向かって進行していき、これにより、ポーラスPPも半導体基板30中へと延びていく。
【0042】
図3(b)~図3(d)の処理によってポーラスPPが形成されていく際に起きると想定される反応式を以下に示す。
【0043】
Si+2HF+2h→SiF+2H
SiF+2HF→SiF+H
SiF+2HF→HSiF
【0044】
ここで、半導体基板30の他の領域よりも抵抗値の低い活性層80中には正電荷が集中しやすく、ポーラスPPの形成速度が半導体基板30の他の領域に比べて飛躍的に向上する。
【0045】
また、活性層80中のドーパントDPがp型の場合、活性層80が、半導体基板30中におけるこのような正電荷の主な供給源となり得る。このため、活性層80中でのポーラス化がいっそう促進される。
【0046】
活性層80中のドーパントDPがn型の場合である場合には、光アシストによって、活性層80の表面での上記反応を促進させることができる。すなわち、薬液槽200の上方に設けられた光源230から、半導体基板30に紫外線を照射する。光源230からの紫外線は、例えばメッシュ状となった陰極211を透過して半導体基板30に照射される。これにより、活性層80表面のシリコン等が光励起され、上記酸化反応が促進される。
【0047】
以上のように、活性層80中において高レートで形成されていったポーラスPPは、活性層80と半導体基板30の他の領域との界面に先端部分が差しかかると、極度に形成速度が低下し、ポーラス化に関わる上記反応が略停止する。これにより、ポーラス層90は、専ら活性層80中に比較的均一な層厚で形成される。
【0048】
以上により、実施形態1の支持基板SSが製造される。
【0049】
図4は、実施形態1にかかる支持基板SSの構成の一例を示す断面図である。図4に示すように、支持基板SSは、シリコン基板等の半導体基板30の表層部分に、ポーラス層90が配置された構成を有する。
【0050】
上述のように、ポーラス層90は主に活性層80部分に形成されるため、ポーラス層90の厚さは、活性層80と同等あるいは活性層80より若干厚く、例えば10nm以上10000nm以下である。また、ポーラス層90は、支持基板SSの全面に亘って比較的均一な層厚を有しており、厚さが10000nmのポーラス層90の場合、例えば支持基板SSの面内における層厚差が60nm未満、より好ましくは40nm未満である。
【0051】
また、上述のように、抵抗率が例えば0.1Ωcm以下、より好ましくは0.0017Ωcm以上0.015Ωcm以下の活性層80にポーラス層90を形成しているので、ポーラス度およびポーラス径が略均一なポーラス層90が得られる。ポーラス層90のポーラス度は、例えば40%以上60%以下であることが好ましく、ポーラス径は5nm以上10nm以下であることが好ましい。ここで、ポーラス度(Porisity)は、ポーラス層90全体に占める空隙の体積の比率、つまり、空隙率であるものとする。
【0052】
なお、上述のように、陽極化成処理では、半導体基板30のエッジをシール材240でシーリングする場合がある。このため、図4の拡大断面図に示すように、半導体基板30のエッジ部分の2mm幅程度の領域に、陽極化成処理を受けなかった活性層80の一部が残っていてもよい。
【0053】
次に、支持基板SSを用いて半導体記憶装置1が製造される様子を図5図7に示す。
【0054】
図5図7は、実施形態1にかかる半導体記憶装置1の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図である。
【0055】
図5(a)に示すように、支持基板SSのポーラス層90上に導電層SLbを形成する。第1の導電層としての導電層SLbは、例えばポリシリコン層等であり、後に半導体記憶装置1のソース線SLとなる。ただし、ポーラス層90上に導電層SLbを形成するにあたり、酸化シリコン層またはポリシリコン層等の他の層を介して、導電層SLbを形成してもよい。ポーラス層90と導電層SLbとの間に介在される層は、1層構造、同種層の多層構造、または異種層の多層構造等であってよい。
【0056】
図5(b)に示すように、導電層SLb上に、複数のワード線WLが積層された複数の積層体LMを形成する。図5(c)の拡大断面図に示すように、個々の積層体LMには、複数のピラーPL及び複数のコンタクトCC等が形成されている。
【0057】
このような、ピラーPL及びコンタクトCC等が形成された積層体LMは、以下のように形成される。すなわち、支持基板SSに形成した導電層SLb上に、複数の窒化シリコン層と複数の酸化シリコン層とが1層ずつ交互に積層された積層体を形成する。
【0058】
また、この積層体の一部領域に個々の窒化シリコン層に到達する複数のコンタクトホールを形成する。また、積層体を貫通し導電層SLbに到達するメモリホールを形成し、メモリホール内にメモリ層および半導体層等を充填する。このとき、半導体層側面のメモリ層を一部除去して、半導体層と導電層SLbとを電気的に接続する。
【0059】
その後、リプレース処理と呼ばれる処理により、積層体の複数の窒化シリコン層を導電層に置き換えてワード線WLを形成する。また、複数のコンタクトホールに導電層等を充填してコンタクトCCを形成し、積層体LMの上層には上層配線等を形成する。
【0060】
なお、図5(c)の拡大図に示す構成は、ポーラス層90の上方に形成されるデバイス層の一例である。また、デバイス層は少なくとも第1の層を含みうる。
【0061】
図5(c)に示すように、複数のピラーPL及び複数のコンタクトCC等が上記のように形成された複数の積層体LMを覆う絶縁層50を形成する。絶縁層50の表面には、積層体LMのピラーPL及びコンタクトCC等と電気的に接続される電極パッドを形成する。
【0062】
図6(a)に示すように、支持基板SSとは別体の半導体基板SB上に、トランジスタTRを含む複数の周辺回路CBAを形成する。複数の周辺回路CBAは、例えば複数の積層体LMのそれぞれに対応するよう形成されている。また、周辺回路CBAを覆う絶縁層40を形成する。絶縁層40の表面には、周辺回路CBAのトランジスタTR等と電気的に接続される電極パッドを形成する。
【0063】
図6(b)に示すように、支持基板SSの積層体LM等が形成された面を、半導体基板SBの周辺回路CBA等が形成された面に対向させ、支持基板SS側の絶縁層50と、半導体基板SB側の絶縁層40とを接合して、これらの支持基板SS及び半導体基板SBを貼り合わせる。
【0064】
これらの絶縁層50,40は、例えばそれらの表面を予めプラズマ処理等により活性化させておくことで接合することができる。また、絶縁層50,40を接合する際には、絶縁層50に形成された電極パッドと、絶縁層40に形成された電極パッドとが重なるように、支持基板SSと半導体基板SBとの位置合わせをする。
【0065】
絶縁層50,40を接合した後、アニール処理を行って、双方の電極パッドを例えばCu-Cu接合により接合させる。これにより、互いに対応する積層体LMと周辺回路CBAとが電気的に接続されるとともに、支持基板SSと半導体基板SBとが貼り合わされる。
【0066】
図7(a)に示すように、支持基板SSの一端部からポーラス層90を開裂させる。ポーラス層90は、例えば支持基板SSと半導体基板SBとの接合面にブレードBDを差し込んだり、あるいは、ウォータージェットを噴射したりすることにより開裂させることができる。これにより、支持基板SSと半導体基板SBとの接合面に亀裂が生じる。その亀裂が、積層体LM等の半導体記憶装置1の一部構造が配置されない外周部をポーラス層90へと向かって延びる。他の層よりも脆弱なポーラス層90に亀裂が到達すると、ポーラス層90に沿って更に亀裂が延びていくことにより、ポーラス層90が開裂する。
【0067】
なお、上述のように、陽極化成の際、半導体基板30にシーリングを施した場合には、半導体基板30のエッジ部分に、ポーラス化されずに残った活性層80が存在しうる。しかし、活性層80は、主に半導体基板30の未貼合部分に存在することとなるため、ポーラス層90を開裂させる際の妨げとはならない。
【0068】
図7(b)に示すように、複数のピラーPL及び複数のコンタクトCC等が形成された積層体LMを含む構成から、支持基板SSを剥離させる。
【0069】
図8(a)に示すように、半導体基板SB上に接合された積層体LMの導電層SLb側に残ったポーラス層90を、CMP(Chemical Mechanical Polishing)等による研磨パッドPDを用いて研削除去する。
【0070】
図8(b)に示すように、ポーラス層90が研削除去されることにより、半導体基板SBの上面に導電層SLbが露出する。
【0071】
図8(c)に示すように、導電層SLb上に、個々の積層体LMの配置に合わせたパターンを有するレジストパターン21を形成する。
【0072】
図8(d)に示すように、レジストパターン21を介して導電層SLbをエッチング加工し、個々の積層体LMごとに分離された複数のソース線SLのパターンを形成する。
【0073】
図8(e)に示すように、例えば半導体基板SBの面内にグリッド状に配置される複数の積層体LMの配置に合わせ、ソース線SLもまた、例えばグリッド状のパターンに形成される。
【0074】
ソース線SLが複数のパターンに形成された後、酸素プラズマ等を用いたアッシング処理により、レジストパターン21を除去する。
【0075】
この後、絶縁層60中に形成されるプラグPGを介してソース線SLに接続する電極膜ELを形成し、少なくとも1つの積層体LMを含むよう半導体基板SBが個片化されて、実施形態1の半導体記憶装置1が製造される。
【0076】
一方、半導体基板SBから剥離させた支持基板SSは、以下に述べる再生処理を受けて、新たな半導体記憶装置1の製造に用いる支持基板SSとして再利用される。
【0077】
図9は、実施形態1にかかる支持基板SSの再生処理の手順の一部を例示する断面図である。
【0078】
図9(a)に示すように、開裂により支持基板SS側に残ったポーラス層90を、研磨パッドPDを用いて研削除去する。ポーラス層90はウェットエッチング等により除去されてもよい。
【0079】
図9(b)に示すように、ポーラス層90が研削除去されることにより、平坦な表面を有し、当初の半導体基板30よりも若干薄くなった半導体基板30が得られる。
【0080】
これ以降、上述の図2及び図3に示した処理を半導体基板30に施す。
【0081】
すなわち、図9(c)に示すように半導体基板30の上面にドーパントDPを注入して不純物層70を形成し、図9(d)に示すようにアニールにより活性層80を形成し、図9(e)に示すように陽極化成によって主に活性層80にポーラス層90を形成する。
【0082】
以上により、使用済みの半導体基板30から支持基板SSが再生される。なお、上記の図9に示す支持基板SSの再生処理も、支持基板SSの製造方法に含めてもよい。
【0083】
(概括)
3次元不揮発性メモリ等の半導体記憶装置は、例えば複数のピラーを含む積層体を支持基板上に形成し、別途、周辺回路を形成した半導体基板と貼り合わせることで製造される場合がある。支持基板は、半導体基板と貼り合わされた後に剥離されて、繰り返し再利用される。
【0084】
支持基板には、例えばポーラス層が予め形成されており、このポーラス層を開裂させて支持基板を剥離する。ポーラス層は、例えば支持基板となる半導体基板に陽極化成処理を施すことにより形成される。しかしながら、陽極化成により半導体基板に形成されたポーラス層には、半導体基板の面内における層厚のばらつきが大きいという課題がある。
【0085】
図10は、比較例にかかるポーラス層の形成処理の手順の一部を例示する断面図である。図10(a)に示すように、フッ酸溶液中に半導体基板を浸漬して直流電圧を印加すると、半導体基板中の正電荷が陰極側に向いた半導体基板の面へと引き寄せられる。これにより、図10(b)に示すように、半導体基板を構成するシリコンの酸化反応、及び酸化シリコンのフッ酸による溶解反応等が進行し、ポーラスPPが半導体基板の内部へと延びていく。
【0086】
このとき、ポーラス層の厚さは、半導体基板に印加する直流電圧の値、及び陽極化成の処理時間等により調整される。しかし、半導体基板におけるポーラスPPの形成速度は極めて遅く、半導体基板の面内において、ポーラス層の厚さが不均一になってしまうことがある。厚さが10000nmのポーラス層の場合、例えば半導体基板の面内における層厚差が60nm以上となってしまう場合もある。
【0087】
本発明者らは、半導体基板の抵抗値を下げることで、陽極化成によるポーラスの形成速度が高まることを見出した。このことから、本発明者らは、例えば半導体基板の表層にドーパントを注入して活性化することで、半導体基板の表面から所定深さまでの抵抗値を下げることができ、この部分を選択的にポーラス化することで、ポーラス層の面内における層厚の均一性を向上させることができると考えた。
【0088】
図11は、実施形態1にかかる支持基板SSの製造方法を用いて形成された活性層のシート抵抗と、活性層に形成されるポーラス層の形成速度およびポーラス径との関係を示すグラフである。
【0089】
図11のグラフの横軸は、活性層のシート抵抗Rs(Ω/cm)である。図11のグラフの左の縦軸はポーラス層の形成速度(μm/min)であり、右の縦軸はポーラス層のポーラス径(nm)である。なお、活性層にポーラスを形成する際、陽極化成における直流電流の値を4.5アンペアとした。
【0090】
図11に示すように、活性層のシート抵抗Rsが低下するほど、ポーラスの形成速度が高まることが判る。また、活性層のシート抵抗Rsが低下するほど、ポーラス径が増大していくことが判る。すなわち、活性層のシート抵抗Rsを低下させることで、ポーラス度を高めることが可能である。
【0091】
なお、図11のグラフ中のポーラス径は、例えば分光エリプソメトリまたはガス吸着法等により測定することができる。また、分光エリプソメトリまたはガス吸着法等により、上記のポーラス度を求めることも可能である。
【0092】
実施形態1の支持基板の製造方法によれば、半導体基板30の表面にドーパントDPを注入して活性化した活性層80を形成し、陽極化成処理によって活性層80をポーラス化してポーラス層90を形成する。これにより、ポーラス層90の層厚の均一性を向上させることができる。
【0093】
実施形態1の支持基板の製造方法によれば、活性層80を形成するときは、ドーパントDPを注入する加速エネルギを制御して活性層80の層厚を制御する。これにより、ポーラス層90を所望の厚さに形成することができる。
【0094】
実施形態1の支持基板の製造方法によれば、ドーパントDPの注入量を制御して活性層80の抵抗値を制御する。これにより、ポーラス層90を所望の形成速度で形成し、また、所望のポーラス度に調整することができる。
【0095】
実施形態1の支持基板の製造方法によれば、活性層80を形成するときは、複数回に亘ってドーパントDPを注入する。これにより、ドーパントDPの注入深さおよび注入量をいっそう精密に制御することができる。ドーパントDPの注入深さを制御することで、上述のように、ポーラス層90の厚さを制御することができる。また、ドーパントDPの注入量を制御することで活性層80の抵抗率が調整され、上述のように、ポーラス層90を所望の形成速度で形成し、また、所望のポーラス度に調整することができる。
【0096】
実施形態1の支持基板の製造方法によれば、ポーラス層90を開裂させて半導体基板30を剥離し、剥離させた半導体基板30の表面を平坦化して再生する。これにより、使用済みの支持基板SSを再生して繰り返し再利用することができる。支持基板SSを繰り返し再利用することで、半導体記憶装置1の製造コストを削減することができる。
【0097】
なお、上述の実施形態1では、例えば活性層80中のドーパントDPの注入量を極力均一にし、ポーラス度が略均一なポーラス層90を形成することとした。しかし、ドーパントDPの注入量を活性層80の深さ方向に異ならせることにより、ポーラス度が層方向に変化するポーラス層90を形成してもよい。
【0098】
この場合、例えば活性層80の深さ方向にドーパントDPの注入量を増加させ、ポーラス層90の深さ方向にポーラス度を高めることができる。このようなポーラス層90の内部には応力が発生し易く、ポーラス層90を開裂させることがより容易になる。
【0099】
(変形例1)
次に、図12を用いて、実施形態1の変形例1の支持基板SSaについて説明する。変形例1の支持基板SSaは、半導体基板30上の半導体層100にポーラス層190が形成されている点が上述の実施形態1とは異なる。
【0100】
図12は、実施形態1の変形例1にかかる支持基板SSaの製造方法の手順の一部を例示する断面図である。以下の図面では、上述の実施形態1と同様の構成に同様の符号を付し、その説明を省略することがある。
【0101】
図12(a)に示すように、シリコン基板等の半導体基板30の上面に半導体層100を形成する。半導体層100は、例えば化学気相成長(CVD:Chemical Vapour Deposition)法等により形成されたポリシリコン層またはアモルファスシリコン層等である。あるいは、半導体層100は、半導体基板30の上面のシリコン結晶をエピタキシャル成長させた単結晶シリコン層等であってもよい。
【0102】
なお、半導体層100が、CVD法等により形成されるポリシリコン層またはアモルファスシリコン層等である場合には、半導体基板30に替えて、他の材質の基板を用いることも可能である。他の基板としては、例えばセラミック基板もしくは石英基板等の絶縁性基板、サファイア基板もしくは金属基板等の導電性基板等が挙げられる。
【0103】
半導体層100の厚さは、例えば10nm以上10000nm以下とすることができる。
【0104】
図12(b)に示すように、半導体層100にドーパントDPを注入して不純物層170を形成する。ドーパントDPの注入深さは、半導体層100の厚さ以下とすることができ、例えば10nm以上10000nm以下であってよい。
【0105】
図12(c)に示すように、不純物層170が形成された半導体基板30をアニールしてドーパントDPを活性化し、活性層180を形成する。
【0106】
図12(d)に示すように、活性層180が形成された半導体基板30に対し、上述の実施形態1と同様に陽極化成処理を施し、主に活性層180をポーラス化して、半導体基板30の上面にポーラス層190を形成する。
【0107】
以上により、変形例1の支持基板SSaが製造される。
【0108】
変形例1の支持基板SSaの製造方法によれば、活性層180を形成するときは、半導体基板30上に半導体層100を形成し、半導体層100にドーパントDPを注入して活性化させる。
【0109】
このように、半導体基板30上に形成した活性層180をポーラス化してポーラス層190を形成することで、使用後の支持基板SSaを再生する際、半導体基板30自体は研削処理を受けない。これにより、半導体基板30の損耗を抑制し、支持基板SSaの再利用回数を増加させることができる。よって、半導体記憶装置1の製造コストをよりいっそう削減することができる。
【0110】
なお、上述の実施形態1の変形例1の構成は、以下に説明する実施形態1の変形例2の構成、または実施形態2もしくは変形例の構成等と組み合わせて適用することも可能である。
【0111】
(変形例2)
次に、図13及び図14を用いて、実施形態1の変形例2の支持基板SSbについて説明する。変形例2の支持基板SSbでは、ポーラス層91のポーラス度を面内で異ならせる点が上述の実施形態1とは異なる。
【0112】
なお、以下の図面では、上述の実施形態1と同様の構成に同様の符号を付し、その説明を省略することがある。
【0113】
図13は、実施形態1の変形例2にかかる支持基板SSbの製造方法の手順の一部を例示する断面図である。
【0114】
図13(a)に示すように、半導体基板30の一端部に開口を有するレジストパターン22を形成する。
【0115】
図13(b)に示すように、半導体基板30のレジストパターン22から露出する部分にドーパントDPを注入し、半導体基板30の一端部に不純物層71を形成する。その後、酸素プラズマ等を用いたアッシング処理により、レジストパターン22を除去する。
【0116】
図13(c)に示すように、一端部に不純物層71が形成された半導体基板30をアニールして、不純物層71内のドーパントDPを活性化して活性層81を形成する。
【0117】
図13(d)に示すように、一端部に活性層81が形成された半導体基板30に対し、上述の実施形態1と同様に陽極化成処理を施し、半導体基板30の上面にポーラス層91を形成する。ポーラス層91は、少なくとも半導体基板30の一端部に活性層81がポーラス化されたポーラス層91aを含む。ポーラス層91は、また、ポーラス層91aが形成された一端部を除く領域に、半導体基板30の上面がポーラス化されたポーラス層91bを含んでいてもよい。
【0118】
この場合、抵抗値の調整されていない半導体基板30がポーラス化されたポーラス層91bは、低抵抗の活性層81がポーラス化されたポーラス層91aよりも、ポーラス度が低く、また、層厚が薄く形成される。このとき、ポーラス層91aのポーラス度は例えば50%以上65%以下であることが好ましく、ポーラス層91bのポーラス度は例えば40%以上50%以下であることが好ましい。
【0119】
以上により、変形例2の支持基板SSbが製造される。
【0120】
なお、図13(b)の処理の後、半導体基板30の全面に改めてドーパントDPを注入することにより、半導体基板30の一端部におけるドーパントDPの注入量が他の領域よりも高い活性層を形成してもよい。これによっても、半導体基板30の一端部におけるポーラス度が他の領域よりも高いポーラス層を形成することができる。
【0121】
また、イオン注入の際、ドーパントDPの注入量の面内分布を調整可能なイオン注入装置を用いてもよい。この場合、レジストパターン22等を形成することなく、イオン注入装置の機能を用いて、ドーパントDPの注入量を、半導体基板30の面内で異ならせることも可能である。
【0122】
以上のように、半導体基板30の一端部においてポーラス度の高いポーラス層91を支持基板SSbが有することで、半導体記憶装置を製造する際、支持基板SSbの剥離が容易となる。
【0123】
図14は、実施形態1の変形例2にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を例示する断面図である。
【0124】
図14(a)に示すように、複数のピラーPL及び複数のコンタクトCC等を有する複数の積層体LMが形成された支持基板SSbを半導体基板SBに貼り合わせた後、ポーラス度が他よりも高いポーラス層91aが形成された支持基板SSb一端部側から、支持基板SSbと半導体基板SBとの接合面にブレードBDを差し込み、あるいは、ウォータージェットを噴射する。
【0125】
図14(b)に示すように、上記により、支持基板SSb一端部のポーラス層91aを起点としてポーラス層91全体が開裂し、支持基板SSbが剥離される。
【0126】
変形例2の支持基板SSbの製造方法によれば、活性層81を形成するときは、半導体基板30の一端側のエッジ領域におけるドーパントDPの注入量を他の領域のドーパントDPの注入量よりも高め、ポーラス層91を形成するときは、半導体基板30の上記一端側のポーラス度を他の領域のポーラス度よりも高める。
【0127】
これにより、支持基板SSbの一端側を起点として、ポーラス層91を開裂させることができ、支持基板SSbを容易に剥離することができる。また、支持基板SSbを剥離する際の半導体基板30へのダメージが軽減されて、支持基板SSbの再利用回数を増加させることができる。
【0128】
[実施形態2]
以下、図面を参照して実施形態2について詳細に説明する。実施形態2においては、支持基板に形成されるポーラス層をマスクとしてソース線を所定のパターンに形成する点が上述の実施形態1とは異なる。
【0129】
なお、以下の図面では、上述の実施形態1と同様の構成に同様の符号を付し、その説明を省略することがある。
【0130】
図15は、実施形態2にかかる支持基板SScの製造方法の手順の一部を例示する断面図である。
【0131】
図15(a)に示すように、半導体基板30の上面に、ソース線SLのパターンと略同じパターンを有するレジストパターン23を形成する。また、半導体基板30のレジストパターン23から露出する部分にドーパントDPを注入して不純物層72cを形成する。
【0132】
その後、酸素プラズマ等を用いたアッシング処理により、レジストパターン23を除去する。
【0133】
図15(b)に示すように、一部に不純物層72が形成された半導体基板30の上面全体に、改めてドーパントDPを注入する。これにより、半導体基板30の上面全体に不純物層72が形成される。不純物層72は、ドーパントDPの注入量がそれぞれ異なる不純物層72a,72bを含む。
【0134】
不純物層72bは、半導体基板30のレジストパターン23が除去された部分に形成されており、ソース線SLのパターンと略同じパターンを有する。不純物層72aは、図15(a)の処理で形成された不純物層72cに重ねてドーパントDPが注入された層であり、不純物層72bのパターンの間の領域に、不純物層72bよりも注入量の高いドーパントDPを含んで形成される。
【0135】
図15(c)に示すように、不純物層72aと不純物層72bとを含む不純物層72が形成された半導体基板30をアニールして、不純物層72内のドーパントDPを活性化して活性層82を形成する。
【0136】
これにより、活性層82もまた、ソース線SLのパターンと同じパターンを有する活性層82bと、活性層82bのパターンの間の領域に、活性層82bよりも更に低抵抗の活性層82aとを含んで形成される。
【0137】
図15(d)に示すように、活性層82aと活性層82bとを含む活性層82が形成された半導体基板30に対し、上述の実施形態1と同様に陽極化成処理を施し、半導体基板30の上面にポーラス層92を形成する。
【0138】
これにより、ポーラス層92もまた、ソース線SLのパターンと同じ第1のパターンとしてのパターンを有するポーラス層92bと、ポーラス層92bのパターンの間の領域に、ポーラス層92bよりもポーラス度の高いポーラス層92aとを含むこととなる。
【0139】
以上により、実施形態2の支持基板SScが製造される。
【0140】
実施形態2の支持基板SScも、以下に述べるように、例えば半導体記憶装置1の製造に用いられる。
【0141】
図16及び図17は、実施形態2にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図である。
【0142】
図16(a)に示すように、支持基板SScには、複数のピラーPL及び複数のコンタクトCC等を有する複数の積層体LMが形成され、更に、周辺回路CBAが形成された半導体基板SBが貼り合わされている。支持基板SSc上に複数の積層体LMを形成する際には、支持基板SScのポーラス層92bのパターンに合わせて個々の積層体LMが配置されるよう位置合わせが行われる。
【0143】
複数の積層体LM等が形成された支持基板SScを半導体基板SBに貼り合わせた後、これらの接合面にブレードBDを差し込み、あるいは、ウォータージェットを噴射する。
【0144】
図16(b)に示すように、上記により、ポーラス層92が開裂して、支持基板SScが剥離される。
【0145】
図17(a)に示すように、ドライエッチングを用いた全面エッチバック、あるいは、ウェットエッチング等によって、半導体基板SB上に接合された積層体LMの導電層SLb上に残ったポーラス層92を処理する。
【0146】
図17(b)に示すように、上記処理により、ポーラス層92に含まれるポーラス層92a,92bのうち、ポーラス度の高いポーラス層92aが選択的に除去される。これにより、ポーラス層92bがソース線SLのパターンに残ったポーラスパターン92pが導電層SLb上に形成される。
【0147】
図17(c)に示すように、ポーラスパターン92pをマスクとして導電層SLbをエッチング加工し、個々の積層体LMごとに分離された複数のソース線SLのパターンを形成する。
【0148】
ソース線SLを所定のパターンに形成した後、ポーラスパターン92pを、CMP等により研削除去し、ソース線SLを露出させる。
【0149】
なお、ポーラス層92と導電層SLbとの選択比が低い条件を用いることで、上記の図17(a)(b)の処理を一括して行ってもよい。このような処理においては、当初、ポーラス層92のうちポーラス層92aが優先的に除去されて、その後、残ったポーラス層92bをマスクとして、導電層SLbを所定パターンのソース線SLに加工することができる。
【0150】
また、ポーラス層92と導電層SLbとの選択比が低い条件を用いることで、ソース線SLが所定のパターンに形成された時点で、ポーラス層92が全て消失するようにしてもよい。この場合、上記の図17(c)の処理を省略することができる。
【0151】
その後、絶縁層60中に形成されるプラグPGを介してソース線SLに接続する電極膜ELを形成し、少なくとも1つの積層体LMを含むよう半導体基板SBが個片化されて、実施形態2の半導体記憶装置が製造される。
【0152】
実施形態2の半導体記憶装置の製造方法によれば、所定のポーラス度を有するポーラス層92bをソース線SLのパターンに形成し、ポーラス層92bのパターンの間の領域に、ポーラス層92bより高いポーラス度を有するポーラス層92aを形成する。これにより、ポーラスパターン92pをマスクとしてソース線SLのパターンを形成することができる。
【0153】
なお、上述の実施形態1では、例えばポーラス層90を除去した後に、導電層SLbの上面に形成したレジストパターン21をマスクとして、導電層SLをソース線SLのパターンに形成することとした。この場合、レジストパターン21と、既に形成済みの複数の積層体LM等との位置合わせのため、例えば積層体LMと同一レイヤに位置合わせ用のマークを予め形成しておく。しかし、導電層SLbの上方からは、下層に形成されたマークの視認が困難な場合がある。
【0154】
実施形態2の支持基板SScによれば、ソース線SLのパターンを有するポーラス層92bに合わせて複数の積層体LMが形成される。したがって、マークの視認性に関する上記課題を解消することができる。
【0155】
(変形例)
次に、図18及び図19を用いて、実施形態2の変形例の半導体記憶装置の製造方法について説明する。
【0156】
以下に説明するように、上述の実施形態2の図17(a)に示す処理の少なくとも一部を、図15(d)の処理後に行ってもよい。その場合の例を図18及び図19に示す。以下の図面では、上述の実施形態2と同様の構成に同様の符号を付し、その説明を省略することがある。
【0157】
図18及び図19は、実施形態2の変形例にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する断面図である。
【0158】
図18(a)に示すように、支持基板SScが図15(d)の処理により形成された後、支持基板SScの表面を全面エッチバックし、あるいは、ウェットエッチングして、ポーラス層92のうちポーラス層92aをハーフエッチングする。
【0159】
図18(b)に示すように、上記処理により、ポーラス層92aが層厚方向に一部除去される。
【0160】
図18(c)に示すように、ポーラス層92aが一部除去されて生じた複数のポーラス層92b間の凹部を埋めるよう、絶縁層50の一部を支持基板SSc側に形成しておく。これにより、支持基板SScの表面の凹凸が埋め戻されて平坦な表面となる。
【0161】
図19(a)に示すように、支持基板SScに、複数のピラーPL及び複数のコンタクトCC等を有する複数の積層体LMを形成し、更に、周辺回路CBAが形成された半導体基板SBを貼り合わせる。また、支持基板SScと半導体基板SBとの接合面にブレードBDを差し込み、あるいは、ウォータージェットを噴射する。
【0162】
図19(b)に示すように、上記により、ポーラス層92が開裂して、支持基板SScが剥離される。このとき、上述の図18(a)のハーフエッチング処理で残ったポーラス層92aが、支持基板SScとともに剥離されることが好ましい。これにより、積層体LM等を含む半導体基板SBの上面に、ポーラス層92bのポーラスパターン92pが形成される。
【0163】
その後、ポーラスパターン92pをマスクとして、複数のポーラス層92b間の絶縁層50を貫通させて一部の導電層SLbを露出させ、露出した導電層SLbをエッチング加工する。これにより、ソース線SLが所定のパターンに形成される。
【0164】
以上により、変形例の半導体記憶装置が製造される。
【0165】
変形例の半導体記憶装置の製造方法によれば、実施形態2の半導体記憶装置の製造方法と同様の効果を奏する。
【0166】
なお、上述の変形例では、実施形態2の支持基板SScを用いて、支持基板SScのポーラス層92からポーラスパターン92pを形成することとした。しかし、上述の実施形態1等に示した均一なポーラス度のポーラス層90を有する支持基板SS等を用いて、ポーラス層90を所定のパターンに形成してもよい。この場合、図18(a)に示した処理に替えて、ソース線SLのパターンを有するレジストパターンをマスクにして、ポーラス層90をエッチング加工することができる。
【0167】
[その他の実施形態]
上述の実施形態1,2及び変形例1,2では、コンタクト領域ERは、積層体LMのX方向両端部に配置されることとした。しかし、積層体LMにおけるコンタクト領域ERの配置位置はこれに限られない。コンタクト領域ERは、例えば積層体LMの中央部に配置されていてもよく、この場合、例えば積層体LMの両端部にメモリ領域MRを配置することができる。
【0168】
また、上述の実施形態1,2及び変形例1,2では、基板の貼合技術を用いた半導体記憶装置1の製造に支持基板SS,SSa~SScを用いることとした。しかし、支持基板SS,SSa~SScは、上述の半導体記憶装置1を製造する場合に限られず、種々の半導体装置の製造工程に適用することが可能である。
【0169】
また、上述の実施形態1,2及び変形例1,2の支持基板SS,SSa~SScの製造方法を、SOI(Silicon On Insulator)基板等の製造に用いてもよい。
【0170】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0171】
1…半導体記憶装置、40,50,60…絶縁層、30,SB…半導体基板、70,71,72,72a,72b,170…不純物層、80,81,82,82a,82b,180…活性層、90,91,91a,91b,92,92a,92b,190…ポーラス層、CBA…周辺回路、CC…コンタクト、ER…コンタクト領域、LM…積層体、MR…メモリ領域、PL…ピラー、SS,SSa~SSc…支持基板、WL…ワード線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19