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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123344
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】スロットマシン
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
A63F5/04 661
A63F5/04 631
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030674
(22)【出願日】2023-03-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】000169477
【氏名又は名称】株式会社コナミアミューズメント
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 利章
【テーマコード(参考)】
2C518
【Fターム(参考)】
2C518DA06
2C518DA20
2C518EA12
2C518EB02
2C518EB08
(57)【要約】
【課題】ペナルティ操作による7図柄揃いに係るトラブルの際に、不正有無確認のための一助となり、トラブルの発生も抑制することができるスロットマシンの提供。
【解決手段】、直近のゲームでの停止操作順を記憶し、1ゲームが終了した状態、即ち3本のリールR1、R2、R3が停止した後、次のゲームの開始指示、即ち有効なスタートレバー操作が行われるまでの期間において、液晶表示器30の右下隅に設けた停止操作順表示領域300に、直近のゲームでの停止操作順を表示する。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム開始操作に応じて、複数種類の役から入賞を許容する当選役を抽選する抽選手段と、
前記ゲーム開始操作に応じて、それぞれの外周面に複数種類の図柄が配された複数のリールを回転始動させるリール始動手段と、
前記複数のリールの回転始動の後、前記抽選手段による抽選の結果および前記複数のリールに対する停止指示操作に基づいて、当該停止指示操作に対応するリールを所定の最大引込範囲内で停止させる制御を行うリール制御手段と、を備え、
前記抽選手段による抽選の結果が、複数種類の小役が当選役として決定される指示対象結果となった指示対象ゲームにおいて、当選役として決定された複数種類の小役のうち、配当が最大の小役の入賞に必要な停止指示操作順を含む情報を指示する指示手段と、
前記指示手段を作動させない非作動ゲームにおいて、前記複数のリールに対する停止指示操作順が特定の操作順でなかった場合に、該特定の操作順であった場合に比べて、遊技者に不利な制御を実行するペナルティ手段と、を備え、
前記抽選手段による抽選の結果が特定結果となった特定ゲームにおいて、前記指示手段の作動に係る特典を付与する場合があるスロットマシンにおいて、
前記特定ゲームにおいて、前記リール制御手段は、停止指示操作順が前記特定の操作順である場合は特定の図柄組み合わせが表示されないように前記複数のリールの停止を制御する一方、停止指示操作順が前記特定の操作順以外である場合には、前記特定の図柄組み合わせを表示可能に前記複数のリールの停止を制御し、
前記特定ゲームにおいて前記特典を付与する場合に、前記特定の図柄組み合わせを表示するために必要な停止指示操作順を含む情報を報知する報知手段と、
少なくとも直近のゲームにおける停止指示操作順を記憶する停止操作順記憶手段と、
全てのリールが停止してから次のゲームの開始操作が行われるまでの期間に、前記停止操作順記憶手段に記憶された停止指示操作順を表示する表示手段と、を備えたことを特徴とするスロットマシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、メダルをベットした状態でスタートレバーを操作することで当選役を決定する内部抽選を行うとともに複数のリールの回転を開始させ、ストップボタンを操作することで複数のリールを停止させて、内部抽選で当選した役が入賞した場合に、入賞した役に対する配当としてメダルが払い出されるスロットマシンが知られている。
従来のスロットマシンの多くには、内部抽選の結果、入賞コンビネーションの異なる複数種類の小役または再遊技役に重複当選した場合に、ストップボタンが操作される前に、前記複数種類の小役または再遊技役のうち、遊技者に有利な役を入賞させるのに必要な情報を報知する、アシストタイム(以下、ATという)機能が搭載されている。以下、AT機能が搭載されたスロットマシンをAT機という。
【0003】
ところで、AT機の射幸性は、AT状態での出玉性能と、通常状態での吸込性能とのバランスで成立しており、出玉性能を高めるためには、吸込性能も高める必要がある。
AT機において、通常状態での吸込性能を高める手法として、遊技者に、特定の停止操作順(例えば、左→中→右の順押し)での遊技を強制すべく、特定の停止操作順以外で遊技が行われた場合にペナルティを課すペナルティ仕様が知られている(例えば、特許文献1参照)。
ペナルティ仕様のAT機の前記内部抽選処理では、正解操作順が特定の停止操作順以外に設定された押し順小役(以下、押し順小役Aという)の当選確率が、正解操作順が前記特定の停止操作順に設定された押し順小役(以下、押し順小役Bという)の当選確率よりも高く設定される。通常状態中に遊技者は、ペナルティを課されることがないよう、前記特定の停止操作順にて遊技を進めることになるが、相対的に当選確率の高い押し順小役Bに当選したゲームで、前記特定の停止操作順で遊技を行った場合は、配当の大きな正解小役が入賞することはないため、結果として、通常状態の出玉を低く抑えることができる。
【0004】
また、上述の特定の停止操作順ではリプレイ図柄揃いが表示されるが、特定の停止操作順以外で7図柄等のシンボリックな図柄を目押しすると、シンボリックな図柄揃いが停止表示される、特別な押し順リプレイ(以下、押し順7リプレイという)を搭載し、該押し順7リプレイに当選したゲームで、ATの実行権等を付与する場合に、特定の停止操作順以外で7図柄を狙う旨を遊技者に指示する、ペナルティ仕様のAT機も知られている。
このようなAT機では、ペナルティ期間において、遊技者が特定の停止操作順にて遊技を進める限り、シンボリックな図柄揃いが表示されることはなく、押し順7リプレイに当選しATの実行権等の特典を付与することが確定したゲームでのみ、特定の停止操作順以外で7図柄を狙う旨を遊技者に指示することで、シンボリックな図柄揃いを経て特典付与という、伝統的なスロットマシンの遊技の流れを実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-000263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ペナルティ区間においても、ペナルティ覚悟で、特定の停止操作順以外でシンボリックな図柄を狙い続ければ、押し順7リプレイに当選したゲームで、シンボリックな図柄揃いを表示させることが可能である。この状態で、ホール店員を呼び出し、シンボリックな図柄が揃ったのに特典が付与されないと因縁をつける悪質な遊技者も非常に稀ながらいる。
このような遊技者とのトラブル対応では、ホール内に設置されたカメラの映像等で、不正の有無を確認するのが一般的だが、カメラ映像の確認等ができる場所は、当然ながら部外者立ち入り禁止で、その映像を直接遊技者に確認してもらうのは困難であるため、不正があった旨を映像で確認したと伝え、納得してもらう位しかなったが、それでも、「嘘だ!映像を見せろ!」と騒がれ、さらなるトラブルに発展する場合もあった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上述の如きトラブルの際に、不正有無確認のための一助となり、またトラブルの発生も抑制することができるスロットマシンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、本発明について説明する。なお、発明の理解を容易にするため、添付図面の参照符号等を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が表示の形態に限定されるものではない。
本発明のスロットマシン(1)は、
ゲーム開始操作に応じて、複数種類の役から入賞を許容する当選役を抽選する抽選手段と、
前記ゲーム開始操作に応じて、それぞれの外周面に複数種類の図柄が配された複数のリールを回転始動させるリール始動手段と、
前記複数のリールの回転始動の後、前記抽選手段による抽選の結果および前記複数のリールに対する停止指示操作に基づいて、当該停止指示操作に対応するリールを所定の最大引込範囲内で停止させる制御を行うリール制御手段と、を備え、
前記抽選手段による抽選の結果が、複数種類の小役が当選役として決定される指示対象結果(押し順ベルA1~A8、押し順ベルB1~B8)となった指示対象ゲームにおいて、当選役として決定された複数種類の小役のうち、配当が最大の小役の入賞に必要な停止指示操作順を含む情報を指示する指示手段と、
前記指示手段を作動させない非作動ゲームにおいて、前記複数のリールに対する停止指示操作順が特定の操作順(左1st)でなかった場合に、該特定の操作順(左1st)であった場合に比べて、遊技者に不利な制御を実行するペナルティ手段と、を備え、
前記抽選手段による抽選の結果が特定結果(赤7リプ1及び赤7リプ2)となった特定ゲームにおいて、前記指示手段の作動に係る特典(セットストック)を付与する場合があるスロットマシンにおいて、
前記特定ゲームにおいて、前記リール制御手段は、停止指示操作順が前記特定の操作順(左1st)である場合は特定の図柄組み合わせ(赤7図柄揃い)が表示されないように前記複数のリールの停止を制御する一方、停止指示操作順が前記特定の操作順(左1st)以外である場合には、前記特定の図柄組み合わせ(赤7図柄揃い)を表示可能に前記複数のリールの停止を制御し、
前記特定ゲームにおいて前記特典(セットストック)を付与する場合に、前記特定の図柄組み合わせ(赤7図柄揃い)を表示するために必要な停止指示操作順を含む情報を報知する報知手段と、
少なくとも直近のゲームにおける停止指示操作順を記憶する停止操作順記憶手段と、
全てのリールが停止してから次のゲームの開始操作が行われるまでの期間に、前記停止操作順記憶手段に記憶された停止指示操作順を表示する表示手段と、を備えたことを特徴とするスロットマシン。
【発明の効果】
【0009】
本発明のスロットマシンによれば、ペナルティ操作によるシンボリック図柄揃いに係るトラブルの際に、不正有無確認のための一助となり、またトラブルの発生も抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るスロットマシン1の斜視図である。
図2】スロットマシン1の兼用表示器の拡大図である。
図3】スロットマシン1の電気的構成を示すブロック図である。
図4】左リール、中リール、および右リールの図柄の配列を示す図である。
図5】図柄停止位置および入賞ラインについて説明するための図である。
図6】スロットマシン1の主制御装置により実行される遊技処理の流れを示すフローチャートである。
図7】スロットマシン1の内部抽選処理において、抽選対象とする抽選区分、種別、及び入賞時の配当及び出目等を示す表である。
図8】スロットマシン1の内部抽選処理にて、複数のRT状態毎の各抽選区分の抽選値を示す表である。
図9】スロットマシン1の非有利区間中の処理の流れを示すフローチャートである。
図10】スロットマシン1の有利区間中の処理の流れを示すフローチャートである。
図11】スロットマシン1のCZ区間中の処理の流れを示すフローチャートである。
図12】スロットマシン1のAT中の処理の流れを示すフローチャートである。
図13】スロットマシン1の継続セット数加算ゾーン中の処理の流れを示すフローチャートである。
図14】液晶表示器に直近のゲームでの停止操作順を表示する一例を示す図である。
図15】a)はメニュー画面の一例を示す図、b)は液晶表示器に直近のゲームでの停止操作順を表示する他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ、以下に詳細に説明する。
【0012】
<1.遊技機の外観構成>
図1は、本発明の実施形態に係るスロットマシン1の斜視図である。
スロットマシン1は、前面が開放された箱型の本体2と、本体2の前面を開閉可能に設けられた前扉3とを備えている。
本体2内には、上下方向の中央部より少し上方の位置に、左リールR1、中リールR2、および右リールR3が左右に並べて配置されている。左リールR1、中リールR2、および右リールR3はそれぞれ、ドラム状のリール枠の周面にリール帯を巻着した構成を有しており、リール枠の中心で左右方向に延びる軸を中心に回転可能に設けられている。各リール帯には、20個の図柄が周方向に並べて配列されている。
【0013】
前扉3には、表示部5、操作部6および演出表示部7が設けられている。
表示部5は、左リールR1、中リールR2、および右リールR3と対向する位置に設けられている。表示部5の中央部には、左リールR1、中リールR2、および右リールR3の周面の一部を視認可能にするためのリール窓8が設けられている。左リールR1、中リールR2、および右リールR3の回転中は、リール窓8内に、左リールR1、中リールR2、および右リールR3の図柄が次々に現れる(図柄の変動表示)。左リールR1、中リールR2、および右リールR3が停止すると、リール窓8内に、左リールR1、中リールR2、および右リールR3のそれぞれ3個の図柄、合計9個の図柄が表示される(図柄の停止表示)。
【0014】
リール窓8の下方には、兼用表示器23aおよび払出枚数表示器23bが左右に並べて配置されている。兼用表示器23aおよび払出枚数表示器23bは、たとえば、2桁の数字を表示可能な7セグメント表示器からなる。
【0015】
図2は、スロットマシン1の兼用表示器23aの拡大図である。
兼用表示器23aは、ドット付きの2桁の7セグメント表示器で構成しており、兼用表示器23aの2桁の7セグメント部分は、クレジット数表示器CRと指示モニタNMとで兼用している。
【0016】
指示モニタNMは、後述する主制御装置100aから演出サブ制御装置100bに対し、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C及び右ストップボタン15Rの操作順(以下、停止操作順という)を指示するコマンドを送信する際に当該コマンドの種別に応じた識別情報を表示する。
【0017】
図1に戻り、操作部6は、表示部5の下側に配置されている。操作部6には、メダル投入口10、MAXベットボタン11、1枚ベットボタン12、2枚ベットボタン13、スタートレバー14、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、右ストップボタン15Rおよび精算ボタン16が設けられている。
【0018】
メダル投入口10からメダルが投入されると、ベット数が最大の3枚未満である場合は、その投入されたメダルがベットされる。ベット数が3枚の状態で、メダル投入口10からメダルが投入された場合、その投入されたメダルは、50枚を上限として、スロットマシン1にクレジットされる。現在のクレジット数は、クレジット数表示器CRに表示される。
【0019】
MAXベットボタン11は、クレジットからのメダルの引き落としによりベット数を最大の3枚とすべく操作するボタンである。
【0020】
1枚ベットボタン12は、クレジットから1枚のメダルを引き落として、ベット数に1を加算すべく操作するボタンである。
【0021】
また、2枚ベットボタン13は、クレジットから2枚のメダルを引き落として、ベット数に2を加算すべく操作するボタンである。
【0022】
1ゲームの実行に必要なメダル枚数を「規定数」という。規定数分のメダルがベットされた後、スタートレバー14が操作されると、1回のゲームが開始され、左リールR1、中リールR2、および右リールR3が回転し始める。左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、および右ストップボタン15Rは、それぞれ左リールR1、中リールR2、および右リールR3に対応して設けられている。左リールR1、中リールR2、および右リールR3が回転し始めた後、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、および右ストップボタン15Rが押操作されると、それぞれ左リールR1、中リールR2、および右リールR3の回転が停止する。
【0023】
なお、以下、左ストップボタン15L→中ストップボタン15C→右ストップボタン15Rの順で各ストップボタンを操作することを「左→中→右」という。
左ストップボタン15L→右ストップボタン15R→中ストップボタン15Cの順で各ストップボタンを操作することを「左→右→中」という。
中ストップボタン15C→右ストップボタン15R→左ストップボタン15Lの順で各ストップボタンを操作することを「中→右→左」という。
中ストップボタン15C→左ストップボタン15L→右ストップボタン15Rの順で各ストップボタンを操作することを「中→左→右」という。
右ストップボタン15R→左ストップボタン15L→中ストップボタン15Cの順で各ストップボタンを操作することを「右→左→中」という。
右ストップボタン15R→中ストップボタン15C→左ストップボタン15Lの順で各ストップボタンを操作することを「右→中→左」という。
【0024】
すべてのリールR1、R2、R3が停止した時点で、リール窓8内の有効化されている入賞ライン上に所定の図柄の組合せが並ぶと、その図柄の組合せに対応づけられた役に入賞となる。役によっては、配当として、メダルが払い出される。この入賞に対して払い出されるメダルの枚数は、払出枚数表示器23bに表示される。また、入賞に対して払い出されるメダルは、スロットマシン1に50枚を上限としてクレジットされ、50枚を超える分については、前扉3の最下部に設けられたメダル排出口40からメダルトレイ41に排出される。以上で、1ゲームが終了である。
【0025】
精算ボタン16が押操作されると、スロットマシン1にクレジットされているメダルがメダル排出口40からメダルトレイ41に排出される。
【0026】
演出表示部7は、表示部5の上側に配置されている。演出表示部7には、ゲームの進行に合わせた演出画像などを表示するための液晶表示器30が設けられている。また、演出表示部7には、液晶表示器30の左側および右側に、ゲーム中の雰囲気を盛り上げるための効果音などを出力する一対のスピーカ31、31が配置されている。
【0027】
また、前扉3には、操作部6とメダルトレイ41との間に、スロットマシン1の機種名などを表示する表示パネル42が装着されている。
【0028】
<3.遊技機の電気的構成>
<3-1.遊技機の電気的構成(主制御装置)>
図3は、スロットマシン1の電気的構成を示すブロック図である。
【0029】
スロットマシン1は、遊技制御を実行する主制御装置100aと、ゲーム演出のための制御を行う演出サブ制御装置100bと、光と音による電飾のための制御を行う電飾制御基板100cとを備えている。
【0030】
主制御装置100aには、CPU101、ROM102、RAM103、入出力ポート104、乱数生成回路105および信号送出回路106が備えられている。
【0031】
CPU101は、ROM102、RAM103、入出力ポート104、乱数生成回路105および信号送出回路106と電気的に接続されている。
【0032】
ROM102には、CPU101によって実行される各種のプログラムが格納されている。また、ROM102には、抽選テーブル107および停止制御テーブル108が格納されている。
【0033】
RAM103は、CPU101によるプログラムの実行時に、ワークエリアとして使用される。
【0034】
入出力ポート104には、兼用表示器23a、払出枚数表示器23b、左リールR1、中リールR2、および右リールR3をそれぞれ回転させるためのステッピングモータ51L,51C,51Rと、メダル投入口10から投入されるメダルの排出先を本体2内のメダル貯留部(図示せず)とメダルトレイ41とに切り替えるためのメダルブロックソレノイド52と、メダル貯留部からメダル排出口40を通してメダルトレイ41にメダルを排出するメダル払出駆動モータ53とが制御対象として接続されている。
【0035】
ステッピングモータ51L,51C,51R、メダルブロックソレノイド52およびメダル払出駆動モータ53は、本体2(図1参照)内に設けられている。
【0036】
また、入出力ポート104には、MAXベットボタン11、1枚ベットボタン12、2枚ベットボタン13、スタートレバー14、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、右ストップボタン15R、精算ボタン16、リール位置検出センサ54L,54C,54R、メダル投入センサ55、およびメダル払出センサ56が接続されている。
【0037】
MAXベットボタン11、1枚ベットボタン12、2枚ベットボタン13、スタートレバー14、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、右ストップボタン15R、および精算ボタン16が押操作されると、それらに内蔵されたスイッチ(図示せず)から操作信号が出力され、その操作信号が入出力ポート104を介してCPU101に入力される。
【0038】
左リールR1、中リールR2、および右リールR3が1回転する度に、それぞれリール位置検出センサ54L,54C,54Rから検出信号が出力され、その検出信号が入出力ポート104を介してCPU101に入力される。
【0039】
スタートレバー14が操作されると、CPU101は、ステッピングモータ51L,51C,51Rに駆動パルス信号を出力し、左リールR1、中リールR2、および右リールR3の回転を開始させる。CPU101は、ステッピングモータ51L,51C,51Rのステップ数およびリール位置検出センサ54L,54C,54Rの検出信号に基づいて、左リールR1、中リールR2、および右リールR3の回転位置を常に把握している。
【0040】
左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、および右ストップボタン15Rが押操作されると、CPU101は、停止制御テーブル108を参照し、左リールR1、中リールR2、および右リールR3の回転位置に基づいて、ステッピングモータ51L,51C,51Rへの駆動パルス信号の出力を停止し、左リールR1、中リールR2、および右リールR3の停止を制御する(リール停止制御)。
【0041】
リール停止制御では、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、および右ストップボタン15Rが押操作されてから、それぞれ左リールR1、中リールR2、および右リールR3を所定の最大引込コマ数(たとえば、4コマ)以下の範囲で、その回転を停止させる。
【0042】
メダル投入口10からメダルが投入される度に、メダル投入センサ55から検出信号が出力され、その検出信号が入出力ポート104を介してCPU101に入力される。
【0043】
メダル払出駆動モータ53によってメダルがメダルトレイ41に1枚排出される度に、メダル払出センサ56から検出信号が出力され、その検出信号が入出力ポート104を介してCPU101に入力される。
【0044】
クレジット数は、RAM103に記憶されている。CPU101は、クレジット数表示器CRを制御し、RAM103に記憶されているクレジット数をクレジット数表示器CRに表示させる。CPU101は、メダルブロックソレノイド52を制御して、クレジット数が50に達するまでは、メダル投入口10から投入されるメダルの排出先をメダル貯留部にし、クレジット数が50に達すると、その排出先をメダルトレイ41にする。また、クレジット数が50に達した後、配当(メダルの払出)がある役に入賞した場合、CPU101は、メダル払出駆動モータ53を制御して、メダルをメダルトレイ41に排出させる。
【0045】
乱数生成回路105は、発振器(図示せず)からのクロックパルスの出力に応答してカウントアップするインクリメントカウンタを含む構成であり、16ビットの乱数を発生させる。生成される乱数の範囲は0~65535となる。
【0046】
スタートレバー14が操作されると、CPU101は、乱数生成回路105から乱数を取得し、複数の役が抽選対象に含まれる内部抽選を実行する。内部抽選では、ROM102の抽選テーブル107から1つの抽選テーブルが読み出して、該抽選テーブルと乱数生成回路105から取得した16ビットの乱数とに基づいて、内部抽選の当選役またはハズレが決定される。
【0047】
内部抽選によりいずれかの役に当選していなければ、リール停止制御により、リール窓8内に停止表示される9個の図柄(左リールR1、中リールR2、および右リールR3のそれぞれ3個の図柄)が入賞態様をなすことはなく、役が入賞することはない。小役が入賞すると、CPU101は、払出枚数表示器23bを制御して、その配当として払い出されるメダルの枚数を払出枚数表示器23bに表示させる。
【0048】
また、CPU101は、信号送出回路106を介して、演出サブ制御装置100bおよび電飾制御基板100cに制御に必要な信号をコマンドとして送出する。
【0049】
なお、スロットマシン1では、1~6までの6段階の設定値から1の設定値を選択することで、スロットマシン1の払出率の高低を設定することが出来るようになっている。なお、設定値が大きいほど、払出率が高くなる。
図示は省略するが、入出力ポート104には、本体2内に設けられ、設定値の選択(変更)時に操作する設定変更スイッチ及び設定変更ボタンが接続されている。設定変更スイッチは、設定キーを差し込んで時計回りに回転させることでオンとなるキースイッチ、設定変更ボタンはプッシュボタンにより構成している。
【0050】
設定値の選択(変更)時には、まず、前扉3を開放した状態で、設定変更スイッチに設定キーを差し込んで時計回りに回転させ、スロットマシン1の動作モードを設定変更モードに変更する。設定変更モードへ移行すると、兼用表示器23aに、現在の設定値が表示される。また、設定変更モードにて、設定変更ボタンを1回押すごとに、兼用表示器23aに表示されている設定値が1~5の場合には1インクリメントされるとともに、6の場合には1に戻るようになっている。このように、兼用表示器23aに表示される設定値を確認しつつ、設定変更ボタンを操作することで、所望の設定値の選択が可能となっている。所望の設定値が兼用表示器23aに表示された状態で、スタートレバー14を操作することで、設定値の選択(変更)が完了する。そして、設定変更スイッチに差し込んだ設定キーを反時計回りに回転させて、動作モードを通常(遊技)モードに復帰させ、設定変更スイッチから、設定キーを抜き取ることで設定選択(変更)作業が完了する。
【0051】
<3-2.遊技機の電気的構成(演出サブ制御装置等)>
演出サブ制御装置100bには、CPU200、ROM201、RAM202、信号入力回路203、駆動回路204および乱数生成回路205が備えられている。
【0052】
CPU200は、ROM201、RAM202、信号入力回路203、駆動回路204および乱数生成回路205と電気的に接続されている。
【0053】
ROM201には、CPU200によって実行される各種のプログラムが格納されている。
【0054】
RAM202は、CPU200によるプログラムの実行時に、ワークエリアとして使用される。
【0055】
信号入力回路203には、主制御装置100aの信号送出回路106からの信号が入力される。
【0056】
乱数生成回路205は、発振器(図示せず)からのクロックパルスの出力に応答してカウントアップするインクリメントカウンタを含む構成であり、16ビットの乱数を発生させる。生成される乱数の範囲は0~65535となる。
【0057】
CPU200は、ROM201に格納されているプログラムを実行し、信号入力回路203から入力される信号と、乱数生成回路205から取得した乱数とに基づき、演出抽選を行い、抽選の結果に基づき、駆動回路204を介して、液晶表示器30の表示を制御する。
【0058】
電飾制御基板100cは、主制御装置100aから送信されるコマンドに基づいて、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、右ストップボタン15Rなどに内蔵されたLED32の点灯を制御する。また、スピーカ31からの効果音の出力を制御する。
【0059】
<4.リール配列・停止位置の説明>
図4は、左リールR1、中リールR2、および右リールR3の図柄の配列を示す図である。
【0060】
左リールR1、中リールR2、および右リールR3のリール帯にはそれぞれ、20個(20コマ)の図柄が配列され、各リールR1~R3の20個の図柄には、それぞれ「1」~「20」の図柄番号が対応づけられている。
【0061】
左リールR1のリール帯には、「チェリー」、「ブランクA」、「リプレイ」、「ベルA」、「スイカ」、「チェリー」、「バー」、「リプレイ」、「ベルA」、「スイカ」、「ブランクC」、「ブランクB」、「リプレイ」、「ベルA」、「スイカ」、「チェリー」、「赤7」、「リプレイ」、「ベルA」、および「スイカ」の図柄がこの順に配列されており、これらの図柄に、それぞれ図柄番号「1」~「20」が対応づけられている。
【0062】
中リールR2のリール帯には、「リプレイ」、「ブランクA」、「ベルB」、「スイカ」、「ベルA」、「リプレイ」、「バー」、「ベルB」、「スイカ」、「ベルA」、「リプレイ」、「チェリー」、「ベルB」、「スイカ」、「ベルA」、「リプレイ」、「赤7」、「ベルB」、「スイカ」、および「ベルA」の図柄がこの順に配列されており、これらの図柄に、それぞれ図柄番号「1」~「20」が対応づけられている。
【0063】
右リールR3のリール帯には、「リプレイ」、「ブランクA」、「スイカ」、「ベルB」、「ベルA」、「リプレイ」、「バー」、「スイカ」、「ベルB」、「ベルA」、「リプレイ」、「チェリー」、「スイカ」、「ベルB」、「ベルA」、「リプレイ」、「赤7」、「スイカ」、「ベルB」、および「ベルA」の図柄がこの順に配列されており、これらの図柄に、それぞれ図柄番号「1」~「20」が対応づけられている。
【0064】
図5は、図柄停止位置および入賞ラインNLについて説明するための図である。
【0065】
左リールR1が停止すると、リール窓8内で上下に並ぶ図柄停止位置PL1,PL2,PL3にそれぞれ1個の図柄が停止する。
中リールR2が停止すると、リール窓8内で上下に並ぶ図柄停止位置PC1,PC2,PC3にそれぞれ1個の図柄が停止する。
右リールR3が停止すると、リール窓8内で上下に並ぶ図柄停止位置PR1,PR2,PR3にそれぞれ1個の図柄が停止する。
【0066】
以下、リール窓8内の上段に横一列に整列する3つの図柄停止位置PL1,PC1,PR1を結ぶラインを上段ラインL2、中段に横一列に整列する3つの図柄停止位置PL2,PC2,PR2を結ぶラインを中段ラインL1、下段に横一列に整列する3つの図柄停止位置PL3,PC3,PR3を結ぶラインを下段ラインL3、右下がりの斜めライン上に整列する3つの図柄停止位置PL1,PC2,PR3を結ぶラインを右下がりラインL4、右上がりの斜めライン上に整列する3つの図柄停止位置PL3,PC2,PR1を結ぶラインを右上がりラインL5という。
スロットマシン1は、中段ラインL1を入賞ラインNLとするいわゆる1ライン機である。
【0067】
<5.1ゲームの説明>
図6は、スロットマシン1の主制御装置100aにより実行されるゲーム処理の流れを示すフローチャートである。
【0068】
<5-1.処理の流れ>
<5-1-1.メダル受付処理>
【0069】
スロットマシン1は、メダル投入口10へメダルが投入されると、投入されたメダルを受け付けてスロットマシン1の内部に取り込むか、投入されたメダルを受け付けずにメダルトレイ41に返却する(S100)。
【0070】
具体的には、3枚のメダルがゲームにベットされている状態かつクレジット数が50未満の場合にメダル投入口10へメダルが投入されると、CPU101は、投入されたメダルをスロットマシン1の内部に取り込むとともに、投入されたメダルの枚数だけクレジット数を加算する。また、3枚のメダルがゲームにベットされている状態かつクレジット数が50の場合にメダル投入口10へメダルが投入されると、CPU101は、メダルブロックソレノイド52を駆動して、投入されたメダルをメダルトレイ41に返却する。
【0071】
<5-1-2.ベット処理>
スロットマシン1は、メダル投入口10へのメダルの投入、MAXベットボタン11の操作、または再遊技役の入賞に応じて、ベット数を設定する(S101)。
【0072】
具体的には、ベット数が3未満の場合にメダル投入口10にメダルが投入されると、CPU101は、投入されたメダルの枚数だけベット数を加算する。また、ベット数が規定数未満の場合にMAXベットボタン11が操作されると、CPU101は、ベット数が規定数になるようにクレジット数を減算してベット数を加算する。また、CPU101は、再遊技役が入賞した場合には、そのゲームでベットされていたベット数を、クレジット数の減算なしに再びベットする自動ベット処理を実行する。
【0073】
<5-1-3.レバー受付処理>
スロットマシン1は、3枚のメダルがベットされている状態でスタートレバー14の操作を受け付けた場合にゲームを開始させる(S102)。具体的には、ベット数が規定数に設定された状態でスタートレバー14が操作されると、CPU101は、後述する内部抽選処理以降のゲーム処理を実行する。一方で、ベット数が規定数に満たない状態でスタートレバー14が操作された場合には、CPU101は、内部抽選処理以降のゲーム処理を実行しない。
【0074】
<5-1-4.内部抽選処理>
スロットマシン1は、ゲームの開始にともない、乱数生成回路105から乱数値を取得し、該乱数値に基づき、ゲームの結果を導出するための情報を抽選により決定する内部抽選処理を実行する(S103)。内部抽選処理の詳細については後述する。
【0075】
<5-1-5.リール回転処理>
スロットマシン1は、内部抽選処理の実行後に、各リールR1~R3上に配置された図柄を変動表示させるために左リールR1、中リールR2、および右リールR3のそれぞれを回転させる(S104)。具体的には、CPU101は、内部抽選処理の実行後にステッピングモータ51L,51C,51Rのそれぞれに対して継続的にパルスを供給することで、左リールR1、中リールR2、および右リールR3のそれぞれを回転させる。なお、前のゲームでの左リールR1、中リールR2、および右リールR3の回転の開始から4.1秒間が経過するまでは、次のゲームでの左リールR1、中リールR2、および右リールR3の回転が開始されない。これにより、1ゲームにかかる時間が4.1秒間以上に保たれる。
【0076】
<5-1-6.リール停止処理>
スロットマシン1は、左リールR1、中リールR2、および右リールR3の回転中にストップボタン15L,15C,15Rが操作されると左リールR1、中リールR2、および右リールR3の回転動作を停止させる(S105)。左リールR1、中リールR2、および右リールR3の回転中に左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、または右ストップボタン15Rが操作されると、CPU101は、操作されたストップボタンに対応するリール(左ストップボタン15Lに対応する左リールR1、中ストップボタン15Cに対応する中リールR2、および右ストップボタン15Rに対応する右リールR3)が固定されたステッピングモータ(左リールR1に対応するステッピングモータ51L,中リールR2に対応するステッピングモータ51C,右リールR3に対応するステッピングモータ51R)に所定のパルスを供給することで、対応するリールR1~R3の回転動作を停止させる。
【0077】
<5-1-7.図柄判定処理>
スロットマシン1は、左リールR1、中リールR2、および右リールR3の全てが停止した後に、入賞ラインNL上に停止表示された図柄組合せを判定する(S106)。左リールR1、中リールR2、および右リールR3の全てが停止した後に、CPU101は、入賞ラインNL上に停止表示された図柄組合せが、予め定められた所定の図柄組合せであるか否かを判定する。例えば、入賞ラインNL上に停止表示された図柄組合せが、役に対応する図柄組合せであるか否かを判定する。
【0078】
<5-1-8.メダル払出処理>
スロットマシン1は、入賞ラインNL上に小役に対応する図柄組合せが停止表示されたと判定した場合には、メダルの払出処理を実行する(S107)。
【0079】
<5-1-9.状態移行処理>
スロットマシン1は、図柄判定処理の結果、遊技状態を移行させるべき状態移行条件が成立したと判定した場合には、遊技状態を移行させる。スロットマシン1の遊技状態については後述する。
【0080】
<5-2.各処理の詳細説明>
以降、上述の各処理の詳細について説明する。
【0081】
<5-2-1.内部抽選処理の詳細>
スロットマシン1における内部抽選処理の詳細について説明する。内部抽選処理は、予め定められた複数の役(条件装置ともいう)から、入賞を許容する役を抽選により決定するための処理である。
【0082】
スロットマシン1において、内部抽選の対象である役には、ボーナス役、リプレイ(再遊技)役、及び小役を含む。
ボーナス役は、当選したゲームで入賞を取り零したとしても、次ゲーム以降、入賞するまで当選状態が持ち越されるとともに、入賞した場合には、次ゲームからボーナスゲームが開始される役である。
これに対し、リプレイ役及び小役は、当選したゲームで入賞を取り零したとしても、当選状態が持ち越されることはない役である。リプレイ役は、入賞に応じて、ベット不要で次ゲームの実行が可能となる役、小役は、入賞に応じてメダルが払い出される役である。
【0083】
なお、スロットマシン1には、内部抽選処理の仕様、即ち抽選テーブル107が異なる複数種類のRT状態を搭載している。具体的に、複数種類のRT状態は、上述のボーナス役に当選していないRT状態である非内部中状態、ボーナス役の入賞が持ち越されたRT状態である内部中状態、及びボーナスゲーム中のRT状態であるボーナス状態の3状態である。スロットマシン1は、基本的に非内部中状態及び内部中状態のうちの何れかに滞在する、AT機である。
【0084】
スロットマシン1の内部抽選処理では、図7に示すように、BB、通常リプ1、通常リプ2、赤7リプ1、赤7リプ2、SRリプ、スイカリプ、弱チャンスリプ、強チェリーリプ、強チャンスリプ、弱チェリー、共通ベル、押し順ベルA1~A8、押し順ベルB1~B8、BB中小役A、BB中小役B及びBB中小役Cの計31種類の抽選区分を抽選対象として設定している。
【0085】
抽選区分BBはボーナス役、さらに具体的には遊技機関連規則上の第1種特別役物に係る役物連続作動装置が単独で当選する抽選区分である。
ボーナス役の入賞図柄組み合わせは、中段ラインL1に左から順にブランクC・ブランクA・ブランクA図柄が並ぶ組み合わせに設定しており、ボーナス役が入賞すると、次ゲームからビッグボーナスゲームが開始される。ビッグボーナスゲームは、140枚を超えるメダル払出により終了する。
なお、本スロットマシン1は、ボーナス役と小役が同時に当選したゲーム、及びボーナス役とリプレイ役が同時に当選したゲームでは、ボーナス役に優先して小役またはリプレイ役を入賞させるリール停止制御を採用している。また、後述するが、スロットマシン1では、ボーナス内部中に小役またはリプレイ役が常時当選する仕様を採用しているため、ボーナス役の入賞機会は、ボーナス非内部中に抽選区分BBに当選したゲームのみであり、ボーナス非内部中の抽選区分BBの当選確率も極めて低いため、ボーナス役が入賞することは略ない。
【0086】
通常リプ1、通常リプ2、赤7リプ1、赤7リプ2、SRリプ、スイカリプ、弱チャンスリプ、強チェリーリプ及び強チャンスリプは、それぞれ組み合わせが異なる複数種類のリプレイ役が重複当選する、リプレイ役に係る抽選区分である。リプレイ役に係る抽選区分に当選したゲームでは、リール停止操作のタイミング及び順序にかかわらず、何れかのリプレイ役が入賞する。
通常リプ1に当選したゲームでは、リール停止操作タイミング及び操作順にかかわらず、図5に示した5本のラインL1~L5の何れかにリプレイ図柄が揃う。以下、図5に示した5本のラインL1~L5の何れかにリプレイ図柄が揃うことを、リプレイ図柄が揃うという。
通常リプ2に当選したゲームでは、最初に左ストップボタン15Lを操作した場合(以下、左1stという)には、リール停止操作タイミング及びその後の操作順にかかわらず、リプレイ図柄が揃う。最初に左ストップボタン15L以外、換言すれば中ストップボタン15Cまたは右ストップボタン15Rを操作した場合(以下、左1st以外という)には、中段ラインL1に赤7図柄を引き込めるタイミングでリール停止操作が行われた場合、図5に示すPC2及びPC3に赤7図柄が停止し、PL2には赤7図柄が停止しない、所謂赤7テンパイはずれの特徴的な出目が表示される。
【0087】
赤7リプ1及び赤7リプ2の何れかに当選したゲームで、左1stの場合は、リール停止操作タイミング及びその後の操作順にかかわらず、リプレイ図柄が揃う。左1st以外の場合は、中段ラインL1に赤7図柄を引き込めるタイミングでリール停止操作が行われた場合、中段ラインL1に赤7図柄揃いの特徴的な出目が表示される。
【0088】
後述するCZ中には、通常リプ2、赤7リプ1及び赤7リプ2の何れかに当選したゲームにて、「逆押しで赤7図柄を狙え!」との指示が液晶表示器30に表示される。遊技者が、これに従うリール停止操作を行った場合、通常リプ2に当選したゲームでは、中段ラインL1に赤7図柄がテンパイするものの揃わず、赤7リプ1または赤7リプ2に当選したゲームでは、中段ラインL1に赤7図柄が揃う。
また、スロットマシン1は、AT中以外の通常時に、左1st以外の順番でリール停止操作を行うと、遊技者に不利なペナルティを課す、所謂ペナルティ機であるため、通常時に遊技者は、基本的に順押しでゲームを進める。このため、通常時に、通常リプ2、赤7リプ1及び赤7リプ2の何れかに当選したゲームでは、リプレイ図柄が揃う。
通常リプ2、赤7リプ1及び赤7リプ2のように、停止操作順によって出目が異なるように構成したリプレイに係る抽選区分を、以下、押し順リプレイという。
【0089】
SRリプも押し順リプレイである。SRリプに当選したゲームで、左1st、且つ中段ラインL1にバー図柄を引き込めるタイミングでリール停止操作が行われた場合、中段ラインL1にバー図柄揃いの特徴的な出目が表示される。一方、左1st以外の場合には、リール停止操作タイミング及びその後の操作順にかかわらず、リプレイ図柄が揃う。
【0090】
スイカリプに当選したゲームでは、リール停止操作タイミング及び操作順にかかわらず、図5に示した5本のラインL1~L5の何れかにスイカ図柄が揃う。
弱チャンスリプに当選したゲームでは、リール停止操作タイミング及び操作順にかかわらず、弱チャンス目が表示される。具体的に弱チャンス目は、中段リプレイテンパイはずれ、上段ベルテンパイはずれ等である。
【0091】
強チェリーリプも押し順リプレイである。強チェリーリプに当選したゲームで、左1st、且つ下段ラインL3にチェリー図柄を引き込めるタイミングでリール停止操作が行われた場合、下段ラインL3にチェリー図柄揃いの特徴的な出目が表示される。一方、左1st以外の場合には、リール停止操作タイミング及びその後の操作順にかかわらず、リプレイ図柄が揃う。
【0092】
強チャンスリプに当選したゲームでは、リール停止操作タイミング及び操作順にかかわらず、強チャンス目が表示される。具体的に強チャンス目は、右下がりスイカテンパイはずれである。
【0093】
弱チェリー、共通ベル、押し順ベルA1~A8、押し順ベルB1~B8、BB中小役A、BB中小役B及びBB中小役Cは、それぞれ組み合わせが異なる複数種類の小役が重複当選する、小役に係る抽選区分である。
弱チェリーは、リール停止操作タイミングによって、入賞する場合ととりこぼす場合とがある小役で、入賞した場合には3枚のメダルが払い出される。入賞時には、左リール下段(図5のPL3)にチェリー図柄が停止する。
共通ベルは、リール停止操作タイミングにかかわらず入賞する小役で、入賞した場合には3枚のメダルが払い出される。入賞時には、上段ラインL2にベル図柄が揃う。
【0094】
押し順ベルA1~A8及び押し順ベルB1~B8はそれぞれ、重複当選する複数種類の小役のうち、配当が最も高い小役が入賞する正解停止操作が予め定められた、所謂押し順小役である。正解停止操作が行われた場合は配当が15枚の小役が入賞する一方、正解停止操作が行われなかった場合には、配当が1枚の小役が入賞するか、採り零す。
上述の通り、本スロットマシン1は、所謂ペナルティ機であるため、正解停止操作は左1st以外に設定しており、かつ最初に停止させるリール(以下、第1停止リールという)の停止操作タイミングにも条件を課している。換言すると、AT中には、停止操作順と、第1停止リールにて狙うべき図柄とを指示することで、正解停止操作を遊技者に報知している。図7には、押し順ベルA1~A8及び押し順ベルB1~B8それぞれの正解停止操作を記載している。具体的には、「_」の前に最初のリール停止時に狙うべき図柄、「_」以下に停止操作順を示しており、赤/黒はそれぞれ、狙うべき図柄が赤7図柄/バー図柄であることを示している。
【0095】
図4をみればわかるように、何れのリールR1~R3においても、赤7図柄は図柄番号17、バー図柄は図柄番号7、即ち10図柄(コマ)分、離して配置している。換言すれば、赤7図柄とバー図柄は、何れのリールR1~R3においても180度正対する位置関係で配置している。よって、リール窓8内に赤7図柄を停止させることができるのは、図柄番号11~20に対応する図柄が中段ラインL1を通過するタイミング(以下、第1タイミングという)で停止操作が行われた場合、同様に、リール窓8内にバー図柄を停止させることができるのは、図柄番号1~10に対応する図柄が中段ラインL1を通過するタイミング(以下、第2タイミングという)で停止操作が行われた場合となる。従って、図7の正解停止操作の記載における「赤」は、最初に停止させるべきリールの停止操作タイミングが第1タイミングである旨、同様に「黒」は最初に停止させるべきリールの停止操作タイミングが第2タイミングである旨を示している。
【0096】
押し順ベルA1~A8及び押し順ベルB1~B8の何れかに当選したゲームでは、当選した押し順ベルの種別に対応する正解停止操作が行われた場合には、配当が15枚の小役が入賞し、行われなかった場合には、配当が1枚の小役が入賞するか、とりこぼす。
【0097】
BB中小役A、BB中小役B及びBB中小役Cは、上述したボーナス状態中のみ抽選される小役である。BB中小役Aは、非内部中状態中及び内部中状態中の抽選区分に含まれる、配当が15枚の全ての小役が重複当選する抽選区分、BB中小役Bは、非内部中状態中及び内部中状態中の抽選区分に含まれる、配当が3枚の全ての小役が重複当選する抽選区分、BB中小役Cは、非内部中状態中及び内部中状態中の抽選区分に含まれる、配当が1枚の全ての小役が重複当選する抽選区分である。
【0098】
図8に、上述した3つのRT状態毎に、内部抽選処理にて用いる抽選テーブル107の内容を示す。図8は、設定値1の各抽選区分の抽選値をRT状態毎に示している。内部抽選処理での乱数値の範囲は0~65535のため、各抽選区分の当選確率は、抽選値/65536により算出できる。非内部状態と内部状態とでは、抽選区分BBと通常リプ1の抽選値しか差異がないため、図8では、内部状態の抽選値を()内に示している。図8の詳細説明は省略する。
【0099】
<6.ゲームの詳細説明>
次に、スロットマシン1でのゲームの詳細について説明する。
【0100】
<6-1.指示機能、及び非有利区間と有利区間について>
スロットマシン1は、押し順ベルA1~A8及び押し順ベルB1~B8の何れかに当選したゲームで、最大の配当が得られる正解停止操作を指示する指示機能を搭載している。指示機能が作動すると、押し順ベルA1~A8及び押し順ベルB1~B8の何れかに当選したゲームで、主制御装置100aから演出サブ制御装置100bに対して、当選した押し順ベルの種別を識別可能とする種別情報が送信されるとともに、該種別情報に対応する識別情報が、指示モニタNMに表示される。演出サブ制御装置100bは、主制御装置100aからの前記種別情報に基づき、液晶表示器30への表示や、スピーカ31、31からの音声出力により、前記正解停止操作を遊技者に報知する。以降、主制御装置100aが指示モニタNMに識別情報の表示を行うとともに、演出サブ制御装置100bに対し種別情報を送信したことを、指示機能の作動という。
当該指示機能に係る遊技区間は、指示機能が作動不可能な非有利区間と、指示機能が作動可能な有利区間とに大別される。
非有利区間中においては、内部抽選処理の結果に応じて有利区間移行抽選を実行し、該有利区間移行抽選に当選すると有利区間に移行する。
【0101】
<6-2.リミッタ機能について>
スロットマシン1は、有利区間に係るリミッタ機能を搭載している。具体的にリミッタ機能は、有利区間中の差枚数(有利区間中に獲得したメダル枚数と投入したメダル枚数との差分)が2400枚を超えた場合に、強制的に有利区間を終了して非有利区間に転落させるものである。このため、有利区間中には毎ゲーム、差枚数をカウントする処理を実行するとともに、カウント結果が2400枚に至ったか否かを判断する処理を行っている。具体的に、差枚数をカウントする処理では、有利区間中の毎ゲーム、現時の差枚数カウンタに、当該ゲームでの払出枚数を加算する(再遊技が入賞した場合は払出枚数としてゲーム実行のために投入されたメダル枚数(投入枚数)を加算する)とともに、当該ゲームでの投入枚数を減算する。
なお、以降、有利区間中の処理についてフローチャートを用いて説明するが、各フローチャートでは、差枚数カウンタの更新処理、並びに、差枚数カウンタ値がリミッタ値に至ったか否かを判断する処理については、記載を省略する。
【0102】
<6-3.非有利区間>
先ず、スロットマシン1の非有利区間中の処理の流れについて、図9を参照して説明する。
【0103】
非有利区間中には、先ず、ステップS901にて内部抽選処理を実行し、次のステップS902にて、有利区間移行抽選処理を実行する。次のステップS903では、有利区間移行抽選処理にて当選したか否かを判断し、ノーと判断した場合にはステップS901へ戻る一方、イエスと判断した場合には、次のステップS904にて有利区間中処理へ移行してリターンする。
有利区間移行抽選処理では、ボーナス状態中以外、即ち非内部状態または内部状態中の内部抽選の結果が、通常リプ1に当選以外の結果となった場合に、有利状態へ移行させることとしている。図8に示す通り、通常リプ1の当選確率は、非内部状態では4/65536、内部状態では8/65536と何れにおいても極めて低く、これ以外の結果では有利状態へ移行するので、非有利状態転落後、基本的に次ゲームには有利状態へ復帰する。
【0104】
<6-4.有利区間>
スロットマシン1において、有利区間は、指示機能を作動させるAT区間と、作動させない非AT区間とで構成している。非AT区間は、通常区間と、該通常区間よりもAT区間へ移行しやすいCZ区間とで構成している。ATセットの実行権たるセットストックの獲得を条件に、非AT区間からAT区間へ移行し、セットストックは、通常区間にて獲得したポイント数が目標ポイント数に至るか、CZ区間にて赤7リプ1または赤7リプ2に当選すると獲得できる。通常区間からCZ区間へは、CZ移行抽選の当選を条件に、移行する。
以下、図10を参照して、スロットマシン1の有利区間中の処理の流れについて説明する。
【0105】
有利区間開始時には、先ずステップS1001にて、各種カウンタ初期化処理を行う。具体的には、上述した差枚数カウンタを含む各種カウンタの初期化処理のほか、セットストック数及びポイント数に、それぞれゼロをセットする。セットストック数は、獲得済のセットストックの数、ポイント数は、獲得済のポイント数をそれぞれ示す。
次のステップS1002では、目標ポイント決定処理を行う。前述したポイント数が目標ポイントに至ると、セットストックが付与される。目標ポイント決定処理では、抽選により目標ポイントを決定し、この結果、目標ポイントには、1280、768、384及び128の4段階の何れかがセットされる。1280以外が選択されることは稀で、基本的に1280がセットされる。
【0106】
次のステップS1003では内部抽選処理を実行し、次のステップS1004では、内部抽選結果に応じて、ポイント数に加算する加算ポイント数を決定する加算ポイント決定処理を実行する。次のステップS1005では、目標ポイント変更抽選処理を実行する。具体的に、目標ポイント変更抽選処理は、目標ポイント数が最小の128以外に設定されている場合に、内部抽選結果に応じて、目標ポイント数を1段階小さな目標ポイントに変更するか否かを抽選する。例えば、目標ポイント数が1280に設定されている場合に目標ポイント変更抽選処理に当選すると、目標ポイント数が768に変更される。
次のステップS1006では、内部抽選結果に応じて、CZ区間へ移行させるか否かを決定するCZ移行抽選処理を実行して、ステップS1007へ移行する。
【0107】
ステップS1007では、停止操作順が左1stか否かを判断し、イエスと判断した場合には、S1008にて、ステップS1004の加算ポイント決定処理で決定した加算ポイント数をポイント数に加算するとともに、ステップS1005の目標ポイント変更抽選処理の結果に応じて、目標ポイント数を変更する。次のステップS1009では、ステップS1006のCZ移行抽選処理にて当選したか否かを判断し、イエスと判断した場合は、ステップS1010にてCZ中処理を呼び出して、CZ区間を開始する一方、ノーと判断した場合には、ステップS1010をスキップしてステップS1011へ移行する。CZ中処理については後述する。
【0108】
ステップS1007でノーと判断した場合、即ち停止操作順が左1st以外であった場合にも、ステップS1008~S1010をスキップして、ステップS1011へ移行する。即ち、左1st以外の停止操作を行ったことに対するペナルティとして、ステップS1004の加算ポイント決定処理の結果、ステップS1005の目標ポイント変更抽選処理の結果及びステップS1006のCZ移行抽選処理の結果を全て無かったことにする措置を課している。
【0109】
次のステップS1011では、ポイント数が目標ポイント数に至ったか否かを判断し、イエスと判断した場合には、ステップS1012にてセットストック数に1を加算して、ステップS1013へ移行する一方、ノーと判断した場合には、ステップS1012をスキップしてS1013へ移行する。
【0110】
ステップS1013ではセットストック数が1以上か否かを判断し、ノーと判断した場合には、通常区間を継続すべく、ステップS1003に戻る。一方、ステップS1013にてイエスと判断した場合には、AT区間を開始すべく、ステップS1014にてセットストック数を1減算し、ステップS1016にてAT中処理を呼びだしてリターンする。
【0111】
<6-4-1.CZ区間>
CZ区間と通常区間とは、前者は、内部抽選の結果、赤7リプ1または赤7リプ2に当選すれば、セットストックが付与されるが、後者は付与されない点、ならびに、当然ながら前者ではCZ移行抽選処理を行わない点で相違するが、これらの相違点以外は同等である。従い、CZ区間は、通常区間よりも、セットストック付与の期待度が高い有利区間で、その長さは、5ゲームとしている。
以下、図11を参照して、スロットマシン1のCZ区間中の処理の流れについて説明する。
【0112】
CZ区間開始時には、先ずステップS1101にて、CZゲーム数に5をセットする。次のステップS1102では内部抽選処理を実行し、次のステップS1103では加算ポイント決定処理、ステップS1104では目標ポイント変更抽選処理を実行する。加算ポイント決定処理並びに目標ポイント変更抽選処理は、通常区間(図10のS1004及びS1005)と同等のため、説明は省略する。
【0113】
次のステップS1105では、内部抽選の結果、通常リプ2、赤7リプ1及び赤7リプ2の何れかに当選したか否かを判断し、ノーと判断した場合は、ステップS1106へ移行する。ステップS1106及びS1107については、通常区間(図10のS1007及びS1008)と同等のため、説明は省略する。
【0114】
次のステップS1108では、ポイント数が目標ポイント数に至ったか否かを判断し、イエスと判断した場合には、ステップS1113にてセットストック数に1を加算して、図10のステップS1013へ移行する一方、ノーと判断した場合には、ステップS1109にてCZゲーム数を1減算する。次のステップS1110では、CZゲーム数がゼロか否かを判断し、ノーと判断した場合はCZ区間を継続すべく、ステップS1102に戻る一方、イエスと判断した場合には、CZ区間を終了して通常区間へ戻るべく、リターンする。
【0115】
一方、ステップS1105にてイエスと判断した場合には、ステップS1111にて逆押しにて赤7を狙う旨を遊技者に指示する。ここで、図7で説明した通り、通常リプ2は逆押しにて赤7を狙ったとしても、赤7図柄がテンパイするものの揃わない抽選区分、赤7リプ1及び赤7リプ2は、逆押しにて赤7を狙えば、赤7図柄が揃う抽選区分である。
上述の通り、CZ区間は、赤7リプ1及び赤7リプ2の何れかに当選すれば、セットストック獲得が確定する有利区間であるため、この当選時に、逆押しにて赤7を狙う旨を遊技者に指示し、遊技者がその通りの停止操作を行えば、赤7図柄揃いを経てセットストック獲得できる。これによって、スロットマシン1では、赤7図柄揃いを経てセットストックを獲得するという、伝統的な特典獲得ルートを実現している。一方、通常リプ2に当選したゲームは、第2停止までは赤7が揃うが、第3停止で揃わず外れとなる、獲得失敗ルートである。
【0116】
次のステップS1112では、赤7リプ1及び赤7リプ2の何れかに当選したか否かを判断し、ノーと判断した場合、即ち、通常リプ2に当選したゲームでは、ステップS1107に移行する一方、イエスと判断した場合には、ステップS1113にてセットストック数に1加算して、図10のステップS1013へ移行する。
【0117】
<6-4-2.AT区間>
AT区間は、押し順ベルA1~A8及び押し順ベルB1~B8の何れかに当選したゲームで、正解停止操作が指示される有利区間、即ち、指示機能が作動する遊技区間である。
本スロットマシン1において、ATセットは、最短でも20ゲームのゲーム区間で、ATセットの継続ゲーム数がゼロになると、そのATセットは終了となり、セットストックが残っていれば、それを1つ消費して、次のATセットを開始する一方、セットストックが残っていなければ、AT継続抽選を実行し、当選すれば次のATセットを開始、外れれば有利区間終了となり、非有利区間へ転落する。一方で、ATセットの継続回数が10回に至ると、上述したリミッタ機能が作動するまで継続するエンディングATへ移行させる仕様を採用している。このため、遊技者は、AT区間において、ATセットを10回継続させて、エンディングATを目指すことになる。
【0118】
以下、図12を参照して、スロットマシン1のAT区間中の処理の流れについて説明する。
AT区間開始時には、先ずステップS1201にて、状態フラグ及び継続セット数にそれぞれゼロをセットする。AT区間は、通常ゾーンと、後述する継続セット数加算ゾーンの2種類のゾーンで構成している。状態フラグは、何れのゾーンに滞在中か判別するためのフラグであって、通常ゾーンではゼロ、継続セット数加算ゾーンでは1がセットされる。継続セット数加算ゾーンについては後述する。継続セット数は、ATセットの継続回数を示すカウンタである。
【0119】
次のステップS1202では、これから開始するATセットの継続ゲーム数を抽選決定するが、継続ゲーム数には、ほとんどの場合20ゲーム、稀に40ゲームがセットされる。次のステップS1203では内部抽選処理を実行し、次のステップS1204では、内部抽選結果に応じて、セットストック数を上乗せするか否か、また上乗せする場合には上乗せすべきセットストック数を抽選して上乗せする、セットストック数上乗せ処理を実行する。次のステップS1205では、内部抽選結果に応じて、セットゲーム数を上乗せするか否か、また上乗せする場合には上乗せすべきセットゲーム数を抽選して上乗せする、セットゲーム数上乗せ処理を実行する。次のステップS1206では、内部抽選結果に応じて、通常ゾーンから継続セット数加算ゾーンへ移行させるか否かを抽選する、状態移行抽選処理を実行する。
【0120】
次のステップS1207では、ステップS1206の状態移行抽選処理にて当選したか否かを判断し、イエスと判断した場合には、ステップS1208にて状態フラグに1、バトルゲーム数に5をセットしてステップS1209へ移行する一方、ノーと判断した場合には、ステップS1208をスキップしてステップS1209へ移行する。ステップS1209では、状態フラグが1か否かを判断し、イエスと判断した場合にはステップS1210にて継続セット数加算ゾーン処理を呼び出す一方、ノーと判断した場合にはステップS1211にてセットゲーム数を1減算してステップS1212へ移行する。継続セット数加算ゾーン処理については後述する。
【0121】
ステップS1212では、セットゲーム数がゼロか否かを判断し、ノーと判断した場合にはATセットを継続すべく、ステップS1203に戻る。一方、イエスと判断した場合は、次のステップS1213にてセットストック数が残っているか否かを判断し、イエスと判断した場合には、次のステップS1214にてセットストック数から1減算するともに、次のステップS1215にて継続セット数に1加算する。次のステップS1216では継続セット数が10に至ったか否かを判断し、イエスと判断した場合には、ステップS1217にてエンディングATへ移行させるべくエンディングAT中処理を呼び出す一方、ノーと判断した場合には、次のATセットを開始すべく、ステップS1202へ戻る。
【0122】
一方、ステップS1213にてノーと判断した場合、即ちセットストック数が残っていない場合には、ステップS1218にてAT継続抽選処理を実行する。なお、本スロットマシン1では、継続セット数が1の場合は50%、2の場合は55%という具合に、継続セット数毎にAT継続抽選での当選確率即ち継続率を予め定めた仕様を採用している。
次のステップS1219では、ステップS1218のAT継続抽選処理にて当選したか否かを判断し、イエスと判断した場合には、ステップS1215に移行する。ステップS1215以降の処理については上述の通りのため、説明は省略する。
一方、ステップS1219にてノーと判断した場合には、ステップS1220にて有利区間を終了すべく有利区間終了処理を実行後、次のステップS1221にて非有利区間を開始すべく非有利区間中処理を呼び出して、リターンする。具体的に、有利区間終了処理では、主制御装置100aのRAM103に記憶されている、有利区間に関連するデータを全てクリアする。
【0123】
<6-4-3.継続セット数加算ゾーン>
次に、継続セット数加算ゾーンについて説明する。
図12のステップ1208にてバトルゲーム数に5をセットしている通り、継続セット数加算ゾーンは5ゲーム間継続し、ステップS1211のセットゲーム数の減算が行われないゲーム期間である。
また、本スロットマシン1において、継続セット数を加算するには、セットストックを1つ消費してATセットを継続させるルート(ステップS1214→S1215のルート)と、ステップS1218のAT継続抽選に当選してATセットを継続させるルート(ステップS1219にてイエス→S1215のルート)とがある旨は説明したが、本スロットマシン1では、継続セット数を加算できるもう1つのルートを有する遊技性を採用しており、これを実現しているのが、継続セット数加算ゾーンである。
【0124】
以下、図13を参照して、スロットマシン1の継続セット数加算ゾーン中の処理の流れについて説明する。
先ずステップS1301にて、内部抽選結果に応じて、継続セット数加算抽選処理を実行する。次のステップS1302では、ステップS1301の継続セット数加算抽選処理にて当選したか否かを判断し、イエスと判断した場合には、ステップS1303にて継続セット数に1加算するとともに、セットゲーム数に20を加算する一方、ノーと判断した場合にはステップS1303をスキップしてステップS1304へ移行する。上述の通り、ATセット開始時のセットゲーム数設定処理(ステップS1202)において、継続ゲーム数は、概ね20ゲームとしているため、この分をセットゲーム数に加算することとしている。ただし、これに代えて、セットゲーム数設定処理を実行し、その結果をセットゲーム数に加算してもよいし、セットゲーム数の加算を行わなくてもよい。
【0125】
次のステップS1304では、継続セット数が10に至ったか否かを判断し、イエスと判断した場合には、ステップS1308にてエンディングATへ移行させるべくエンディングAT中処理を呼び出してリターンする。一方、ステップS1304にてノーと判断した場合には、ステップS1305にてバトルゲーム数を1減算する。次のステップS1306ではバトルゲーム数かゼロか否かを判断し、イエスと判断した場合にはステップS1307にて状態フラグにゼロをセットする一方、ノーと判断した場合にはステップS1307をスキップして、リターンする。
【0126】
以上の説明からわかるように、継続セット数加算ゾーンは、通常ゾーンでは実行されない継続セット数加算抽選処理が実行され、且つセットゲーム数が減算されない5ゲームのAT区間である。また、継続セット数加算抽選処理での当選は、換言すると、現在のATセットでのAT継続抽選処理を回避し、現在のセットゲーム数を維持したまま次のATセットに移行できる権利の獲得といえる。合わせて、当選すれば、継続セット数が10に至るまで、即ちエンディングAT移行までに要する遊技時間の短縮が図れるメリットもある。
従って、特に、セットストックを獲得しておらず、且つ現在の継続セット数に対応する継続率が相対的に低いATセットに滞在中の遊技者に対し、継続セット数加算抽選処理での当選は、AT終了のプレッシャーから開放される、極上の喜びを付与する瞬間を提供できる。
【0127】
また、現在の継続セット数及びセットストック数から、エンディングATへの移行が濃厚な遊技者に対しても、継続セット数加算抽選処理での当選は、上述の通り、エンディングAT移行までに要する遊技時間の短縮に他ならないため、喜びを付与することができる。
従って、継続セット数加算ゾーンへの移行は、エンディングATへの移行期待度に係るゲーム状況にかかわらず、全ての遊技者の期待感を高めることができ、且つ継続セット数加算抽選処理に当選によって、全ての遊技者に喜びを与えることができる。
【0128】
<7.直前のゲームでの停止操作順履歴表示機能>
上述の如く、本スロットマシン1の非AT区間では、左1st以外の停止操作順に対してペナルティを課しているが、唯一、図11のCZ区間中処理で説明した通り、CZ中の内部抽選の結果、抽選区分通常リプ2、赤7リプ1及び赤7リプ2に当選したとき(図11のステップS1105にてイエスと判断したとき)には、逆押しで赤7を狙う旨を指示する(ステップS1111)ため、この指示を行ったときに限り、ペナルティを課さないようにしている。
【0129】
換言すると、この場面以外の非AT区間中に、左1st以外の順番での停止操作を行う(以下ペナルティ操作という)とペナルティが課される上、ペナルティ操作検出時には、スピーカ31、31から警告音を発するように構成しているため、基本的にペナルティ操作を行う遊技者はいないが、稀にペナルティ操作を恐れない遊技者もいる。
【0130】
また、本スロットマシン1の抽選区分赤7リプ1及び赤7リプ2のように、赤7図柄揃いといったシンボリックな図柄組み合わせが、左1st以外といった特定の操作順でしか表示させることができない抽選区分を用い、該抽選区分に当選し、且つATストック等の入賞に対する対価ではない特典を付与する場面でのみ、特定の操作順及び狙うべき図柄を指示することで、シンボリックな図柄組み合わせの表示を経た特典付与という、伝統的な遊技フローを再現したスロットマシンが従来から知られている。上述した通り、本スロットマシン1では、CZ中の内部抽選の結果、抽選区分赤7リプ1及び赤7リプ2に当選したゲームにて、この遊技フローを採用している。
【0131】
しかしながら、抽選区分赤7リプ1及び赤7リプ2に当選したゲームにて逆押しで赤7を狙う旨の指示がされない通常区間において、ペナルティ覚悟で、常時逆押しで赤7を狙い続ければ、抽選区分赤7リプ1及び赤7リプ2に当選したゲームでは、赤7図柄揃いを表示させることが可能である。この状態で、ホール店員を呼び出し、赤7が揃ったのにATストックが付与されないと因縁をつける悪質な遊技者も非常に稀ながらいる。
【0132】
このような遊技者とのトラブル対応では、ホール内に設置されたカメラの映像等で、不正の有無を確認するのが一般的だが、カメラ映像の確認等ができる場所は、当然ながら部外者立ち入り禁止で、その映像を直接遊技者に確認してもらうのは困難であるため、不正があった旨を映像で確認したと伝え、納得してもらう位しかなったが、それでも、「嘘だ!映像を見せろ!」と騒がれ、さらなるトラブルに発展する場合もあった。
【0133】
そこで、本スロットマシン1では、上記の如きトラブルの際に、不正有無確認のための一助としてもらうべく、直近のゲームでの停止操作順を記憶し、1ゲームが終了した状態、即ち3本のリールR1、R2、R3が停止した後、次のゲームの開始指示、即ち有効なスタートレバー操作が行われるまでの期間において、図14に示すように、液晶表示器30の右下隅に設けた停止操作順表示領域300に、直近のゲームでの停止操作順を表示することにしている。停止操作順表示領域300には、3つの四角形が横に並べて表示され、3つの四角形は左から順に、左リールR1、中リールR2、右リールR3に対応し、各四角形内の数字が停止操作順を示している。図14は、直近のゲームで逆押し操作が行われた旨を示している。
【0134】
従って、本スロットマシン1において、通常区間において、ペナルティ覚悟で、常時逆押しで赤7を狙い続け、赤7図柄揃いを表示させたとしても、この状態では、液晶表示器30の停止操作順表示領域300に、図14に示すごとく、左1st以外の停止操作順であった旨も表示されることになる。このため、従来のスロットマシンに比べて、このようなことをしてホール店員に因縁をつけようという遊技者の思考自体を抑制することができる。さらに、それでも因縁をつけてきた遊技者に対しては、停止操作順表示領域300に表示された直近のゲームでの停止操作順を自身の眼で確認してもらうことができるので、従来に比べて、さらなるトラブルへの発展を抑制することができる。
【0135】
なお、直近のゲームでの停止操作順を表示する他の方法として、いわゆるメニュー画面を経由して表示させてもよい。図15a)はメニュー画面例、b)は直近のゲームでの停止操作順の表示例を示す。メニュー画面は、ゲーム中以外の演出ボタン(不図示)の操作によって液晶表示器30に表示され、メニュー画面には、図15a)に示すように、音量設定、キャラカスタマイズ等の複数のメニューが表示される。複数のメニューの中には、停止操作履歴表示メニュー301を含み、これを選択することで、図15b)に示す如く、直近のゲームでの停止操作順が表示されるように構成してもよい。メニュー画面を経由する構成では、停止操作履歴表示メニュー301の選択によって、直近のゲームのみならず、直近の所定ゲーム数(例えば10ゲーム)に亘る、各ゲームの停止操作順を記憶し、これらを表示してもよい。
【0136】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。例えば、本実施例では、実メダルを用いるスロットマシンに本発明を適用したが、実メダルを用いないスロットマシン、通称スマートスロット(スマスロともいう)に適用してもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0137】
1 スロットマシン
R1 左リール
R2 中リール
R3 右リール
14 スタートレバー
15L 左ストップボタン
15C 中ストップボタン
15R 右ストップボタン
100a 主制御装置
101 CPU
102 ROM
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2024-05-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム開始操作に応じて、複数種類の役から入賞を許容する当選役を抽選する抽選手段と、
前記ゲーム開始操作に応じて、それぞれの外周面に複数種類の図柄が配された複数のリールを回転始動させるリール始動手段と、
前記複数のリールの回転始動の後、前記抽選手段による抽選の結果および前記複数のリールに対する停止指示操作に基づいて、当該停止指示操作に対応するリールを所定の最大引込範囲内で停止させる制御を行うリール制御手段と、を備え、
前記抽選手段による抽選の結果が、複数種類の小役が当選役として決定される指示対象結果となった指示対象ゲームにおいて、当選役として決定された複数種類の小役のうち、配当が最大の小役の入賞に必要な停止指示操作順を含む情報を指示する指示手段と、
前記指示手段を作動させない非作動ゲームにおいて、前記複数のリールに対する停止指示操作順が特定の操作順でなかった場合に、該特定の操作順であった場合に比べて、遊技者に不利な制御を実行するペナルティ手段と、を備え、
前記抽選手段による抽選の結果が特定結果となった特定ゲームにおいて、前記リール制御手段は、停止指示操作順が前記特定の操作順である場合は特定の図柄組み合わせが表示されないように前記複数のリールの停止を制御する一方、停止指示操作順が前記特定の操作順以外である場合には、前記特定の図柄組み合わせを表示可能に前記複数のリールの停止を制御し、
前記特定ゲームにおいて前記指示手段の作動に係る特典を付与する場合に、前記特定の図柄組み合わせを表示するために必要な停止指示操作順を含む情報を報知するスロットマシンにおいて、
直近のゲームの前記停止指示操作により停止された全てのリールによって、停止図柄組み合わせが表示された状態で、該停止図柄組み合わせを表示することとなった前記直近のゲームにおける停止指示操作順を確認できる機能を備えたことを特徴とするスロットマシン。