(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123348
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】樋支持具調整装置及びこれを用いた軒樋支持具の調整方法
(51)【国際特許分類】
E04D 13/072 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
E04D13/072 501S
E04D13/072 501P
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030681
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】593178409
【氏名又は名称】株式会社オーティス
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】北村 昌司
(57)【要約】
【課題】軒樋支持具の建築構造物への取り付けにおける事前の調整作業をより確実に、より効率的に実施でき、その結果、軒樋支持具の軒先からの前後方向の出具合を容易に調整できる新規な治具である樋支持具調整装置及びこれを用いた軒樋支持具の調整方法を提供する。
【解決手段】樋支持具本体3が取付部2に対して前後方向の所望の位置で固定されるように軒樋支持具1の出具合を調整する樋支持具調整装置10であって、位置決め部14と操作部15とを備え、前記位置決め部は、前記操作部との離隔距離を調整して前記樋支持具本体と前記取付部との前後方向の位置関係を決定する構成とされ、前記操作部は、ロックレバー4に係合させた状態で回動可能であるとともに前記ロックレバーよりも長尺である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築構造物に固定される取付部と、該取付部に対して前後方向にスライド移動可能に連結された、軒樋を支持する樋支持具本体と、該樋支持具本体に対して回動可能に連結され、回動操作により前記樋支持具本体のスライド移動のロック/アンロックを切り替え可能に構成されたロックレバーとを備え、これらを重ねて貫通する固定具で連結し、前記樋支持具本体が前記取付部に対して前後方向の所望の位置で固定されるようにした軒樋支持具の出具合を調整する樋支持具調整装置であって、
位置決め部と操作部とを備え、
前記位置決め部は、前記操作部との離隔距離を調整して前記樋支持具本体と前記取付部との前後方向の位置関係を決定する構成とされ、
前記操作部は、前記ロックレバーに係合させた状態で回動可能であるとともに前記ロックレバーよりも長尺であることを特徴とする樋支持具調整装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記軒樋支持具を支持する支持部をさらに備えることを特徴とする樋支持具調整装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記操作部は、回動の中心となる回転軸を有し、
前記支持部は、前記回転軸との位置関係を調整する調整機構を有することを特徴とする樋支持具調整装置。
【請求項4】
請求項2において、
略水平な設置対象面に設置された状態で天側となる上側の一部が切欠き状となった段差部が設けられた本体部を備え、
前記本体部は、前記支持部である第1支持部及び第2支持部を有し、
前記第1支持部は、前記本体部の側面に設けられ、
前記段差部は、該段差部の上面が前記第2支持部として構成され、
前記位置決め部は、前記本体部の前記側面に隣接して設けられていることを特徴とする樋支持具調整装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の樋支持具調整装置を用いた軒樋支持具の調整方法であって、
前記位置決め部の位置を決定する位置決め工程と、前記操作部に前記ロックレバーを係合させる係合工程と、前記樋支持具本体と前記取付部との前後方向の位置関係を調整する調整工程と、前記ロックレバーが前記操作部に係合した状態で前記操作部を回動させて、前記ロックレバーをロック状態にするロック工程とを備えることを特徴とする樋支持具調整装置を用いた軒樋支持具の調整方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記位置決め工程の後、複数の前記軒樋支持具について個別に前記係合工程、前記調整工程及び前記ロック工程を行うことを特徴とする樋支持具調整装置を用いた軒樋支持具の調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樋支持具本体が取付部に対して前後方向の所望の位置で固定されるようにした樋支持具調整装置及びこれを用いた軒樋支持具の調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建築構造物に固定された取付部に対して前後方向にスライド移動可能に連結された樋支持具本体の前後位置を調整することで、軒先からの軒樋の出具合を調整できる軒樋支持具が知られている。
【0003】
下記特許文献1のものは、ロックレバーの操作でロック(樋支持具本体の固定)/アンロック(同固定解除)の切り替えができ、ロックレバーがアンロック状態のときに樋支持具本体をスライド移動させて位置の調整ができるようになっている 。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のような軒樋支持具を用いて軒樋を建築構造物に設ける場合には、建築構造物に複数の軒樋支持具を取り付けてから個別に軒樋支持具の前後方向の位置の調整作業を行った後、軒樋を複数の軒樋支持具によって支持させることが一般的である。
【0006】
しかしながら、軒樋支持具の前後方向の位置の調整作業は、不安定な高所で手作業によって行われるため作業に長時間要する傾向にある。また、樋支持具本体の出具合は複数の軒樋支持具について略同一とする必要があるが、手作業によって行われるため誤差が生じるおそれがある。手作業による調整作業は、たとえ安定した状態での作業であっても誤差がほとんどない確実な調整を迅速に行うことは望めない。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮して提案されたもので、その目的は、軒樋支持具の建築構造物への取り付けにおける事前の調整作業をより確実に、より効率的に実施でき、その結果、軒樋支持具の軒先からの前後方向の出具合を容易に調整できる新規な治具である樋支持具調整装置及びこれを用いた軒樋支持具の調整方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の樋支持具調整装置は、建築構造物に固定される取付部と、該取付部に対して前後方向にスライド移動可能に連結された、軒樋を支持する樋支持具本体と、該樋支持具本体に対して回動可能に連結され、回動操作により前記樋支持具本体のスライド移動のロック/アンロックを切り替え可能に構成されたロックレバーとを備え、これらを重ねて貫通する固定具で連結し、前記樋支持具本体が前記取付部に対して前後方向の所望の位置で固定されるようにした軒樋支持具の出具合を調整する樋支持具調整装置であって、位置決め部と操作部とを備え、前記位置決め部は、前記操作部との離隔距離を調整して前記樋支持具本体と前記取付部との前後方向の位置関係を決定する構成とされ、前記操作部は、前記ロックレバーに係合させた状態で回動可能であるとともに前記ロックレバーよりも長尺であることを特徴とする。
【0009】
上記樋支持具調整装置は、前記軒樋支持具を支持する支持部をさらに備えてもよい。
【0010】
また、上記樋支持具調整装置は、前記操作部は、回動の中心となる回転軸を有し、前記支持部は、前記回転軸との位置関係を調整する調整機構を有してもよい。
【0011】
また、上記樋支持具調整装置は、略水平な設置対象面に設置された状態で天側となる上側の一部が切欠き状となった段差部が設けられた本体部を備え、前記本体部は、前記支持部である第1支持部及び第2支持部を有し、前記第1支持部は、前記本体部の側面に設けられ、前記段差部は、該段差部の上面が前記第2支持部として構成され、前記位置決め部は、前記本体部の前記側面に隣接して設けられてもよい。
【0012】
また、上記目的を達成するために、樋支持具調整装置を用いた軒樋支持具の調整方法は、前記位置決め部の位置を決定する位置決め工程と、前記操作部に前記ロックレバーを係合させる係合工程と、前記樋支持具本体と前記取付部との前後方向の位置関係を調整する調整工程と、前記ロックレバーが前記操作部に係合した状態で前記操作部を回動させて、前記ロックレバーをロック状態にするロック工程とを備えることを特徴とする。
【0013】
また、上記樋支持具調整装置を用いた軒樋支持具の調整方法は、前記位置決め工程の後、複数の前記軒樋支持具について個別に前記係合工程、前記調整工程及び前記ロック工程を行う手順としてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の樋支持具調整装置及びこれを用いた軒樋支持具の調整方法は上述した構成とされるため、軒樋支持具の建築構造物への取り付けにおける事前の調整作業をより確実に、より効率的に実施でき、その結果、軒樋支持具の軒先からの前後方向の出具合を容易に調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】(a)は第1実施形態における樋支持具調整装置の模式的正面図、(b)はその平面図である。
【
図2】(a)は軒樋支持具の模式的分解斜視図、(b)は座金部材の概略的平面図、(c)は座金部材の概略的正面図である。
【
図3】(a)(b)は軒樋支持具の要部を拡大した概略底面図である。(a)はロック状態、(b)はアンロック状態の図である。(c)(d)は軒樋支持具の要部を拡大した概略縦断面図である。(c)はロック状態、(d)はアンロック状態の図である。
【
図4】樋支持具調整装置を用いた軒樋支持具の調整方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図5】(a)は樋支持具調整装置を用いた軒樋支持具の調整方法の工程の一部を説明するための模式的正面図、(b)は要部を説明するための説明図である。
【
図6】(a)は樋支持具調整装置を用いた軒樋支持具の調整方法の工程の一部を説明するための模式的正面図、(b)は樋支持具調整装置を用いた軒樋支持具の調整方法の工程の一部を説明するための模式的平面図である。
【
図7】(a)は樋支持具調整装置を用いた軒樋支持具の調整方法の工程の一部を説明するための模式的正面図、(b)は樋支持具調整装置を用いた軒樋支持具の調整方法の工程の一部を説明するための模式的平面図である。
【
図8】樋支持具調整装置の変形例を示す模式的正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本実施形態の樋支持具調整装置10は、軒樋支持具1の出具合を調整する。樋支持具調整装置10に出具合を調整される軒樋支持具1は、建築構造物に固定される取付部2と、取付部2に対して前後方向にスライド移動可能に連結された、軒樋を支持する樋支持具本体3とを備える。さらに、軒樋支持具1は、樋支持具本体3に対して回動可能に連結され、回動操作により樋支持具本体3のスライド移動のロック/アンロックを切り替え可能に構成されたロックレバー4を備える。軒樋支持具1は、これらを重ねて貫通する固定具で連結し、樋支持具本体3が取付部2に対して前後方向の所望の位置で固定されるようにしている。樋支持具調整装置10は、位置決め部14と操作部15とを備える。位置決め部14は、操作部15との離隔距離を調整して樋支持具本体3と取付部2との前後方向の位置関係を決定する構成とされる。操作部15は、ロックレバー4に係合させた状態で回動可能であるとともにロックレバー4よりも長尺である。
以下、詳しく説明する。
【0017】
<樋支持具調整装置>
以下、本実施形態に係る樋支持具調整装置10(以下、調整装置10という。)について図面を参照しながら説明する。なお、以下では、正面図である
図1(a)の紙面上の上下方向を調整装置10の上下方向として説明し、
図1(a)の紙面上の左右方向の左側を基盤部11及び本体部12の長手方向の一方側とし、反対方向の右側を基盤部11及び本体部12の長手方向の他方側として説明する。また、
図1(b)の紙面上の上下方向を基盤部11及び本体部12の短手方向として説明する。また、一部の図では他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
【0018】
調整装置10は、基盤部11と、本体部12と、支持部13と、位置決め部14と、操作部15とを備えている。基盤部11は床等の設置対象面6に設置される長方形平板状の部材である。基盤部11は、調整装置10が略水平な設置対象面6に設置された状態で天側となる上面11aと、天側とは反対側の設置対象面6に対して当接する下面11bとを有する。
【0019】
本体部12は、基盤部11の長手方向に沿って延び、基盤部11の短手方向の略中心位置に設けられた平板状の部材である。本体部12の長手方向の寸法は、基盤部11の長手方向の寸法と略同一であり、本体部12の短手方向の寸法は、基盤部11の短手方向の寸法の約1/5~1/6程度の大きさである。なお、基盤部11と本体部12の大きさの大小関係はこれに限定されることはない。本体部12は、平板の端面が天側を向くように基盤部11の上面11aに起立状態に設けられている。本体部12は、平板の板面である側壁面12aが基盤部11の短手方向を向いている。
【0020】
本体部12は、略水平な設置対象面6に設置された状態で天側となる上側の一部が切欠き状となった段差部121が設けられている。段差部121は、本体部12の長手方向の略中央から長手方向の一方側にかけて形成されている。段差部121における上面121aが、後述する軒樋支持具1の取付部2の取付基板2aを支持する第2支持部13Bを構成する。基盤部11及び本体部12の構成は特に限定されることはなく、例えば樹脂材料や金属材料等によって一体に形成されてもよい。また、金属材料によって別体に設けられた基盤部11及び本体部12が溶接等によって接合されてもよく、樹脂材料や金属材料等によって別体に設けられた基盤部11及び本体部12がビス等の固定具によって連結されるものであってもよい。
【0021】
本体部12の一方の側壁面12aにおいて、後述する操作部15の回転軸15aよりも長手方向の他方側には、軒樋支持具1の樋支持具本体3を支持する第1支持部13Aが設けられている。第1支持部13Aは矩形状の平板であり、平板の板面が上下方向を向くように配されている。また、段差部121の上面121aは、第2支持部13Bとして構成されており、第1支持部13Aと協働して軒樋支持具1を安定した状態で支持する構成となっている。
【0022】
第1支持部13Aは、第2支持部13Bよりも上側且つ操作部15の回転軸15aよりも下側に配置されている。第1支持部13A及び第2支持部13Bの上下方向の位置関係は、略水平状態の調整装置10の第1支持部13A及び第2支持部13Bに軒樋支持具1が載置された際に、樋支持具本体3が略水平状態に保持されるような関係とされる。そのため、樋支持具本体3よりも幅広な取付基板2aを支持する第2支持部13Bは、樋支持具本体3を支持する第1支持部13Aよりも下側に配されている。
【0023】
基盤部11の上面11aには、本体部12の一方の側壁面12aに隣接した位置決め部14が設けられている。位置決め部14は、正面視において略L字状の部材であり、基盤部11の長手方向に沿って延びた板状の第1板部141と、第1板部141の長手方向の一方側の端部から上方向に延びた板状の第2板部142とを備えている。第1板部141には、第1板部141の長手方向に沿って延びた長孔141aが設けられている。長孔141aは、基盤部11の上面11aに設けられ、雌ネジが形成されたネジ孔11cと上下方向に重なるように配置されている。長孔141a及びネジ孔11cには上方から雄ネジを有するネジ16が挿通される。ネジ16の頭部には、工具を用いることなくネジ16が手回し可能となる摘み部16aが設けられている。
【0024】
位置決め部14は、長孔141a内に挿通されたネジ16が緩んだ状態で本体部12の長手方向に沿って位置調整が可能に構成されている。そして、ネジ16を締結することによって、位置決め部14の位置を固定することができる。位置決め部14は、操作部15との離隔距離を調整して、樋支持具本体3の取付部2に対する出具合を決定する構成とされる。第2板部142は、上端部が第2支持部13Bよりも上側に突出する構成であることにより、第1支持部13A及び第2支持部13Bに支持された軒樋支持具1のいずれかの端部(本実施形態では、後耳係止部3c)に当接可能となっている。
【0025】
本体部12の一方の側壁面12aには、本体部12の長手方向において第1支持部13Aと第2支持部13Bとの間に操作部15が設けられている。操作部15は棒状の部材であり、操作部15の長手方向の一方側は角柱状の係合部151が設けられ、長手方向の他方側(先端部側)は円柱状の把持部152が設けられている。
【0026】
係合部151は、長手方向の端面が略正方形状に設けられており、係合部151の幅寸法は後述する軒樋支持具1のロックレバー4の把持部4b,4b間の隙間寸法と略同一かわずかに小さい寸法となっている。係合部151の長手方向の一方側には、操作部15の回動の中心となる回転軸15aが設けられている。操作部15は、回転軸15aによって本体部12に対して回動可能に連結されている。操作部15は、回転軸15aに沿って回動されることで、把持部152の先端部152aが上方を向いた状態(
図1(a)の実線に示す状態)と、把持部152の先端部152aが本体部12における長手方向の他方側を向いた状態(
図1(a)の二点鎖線に示す状態)とに切り替え可能に構成されている。操作部15は、把持部152の先端部152aが上方を向いた状態では把持部152の先端部が本体部12の上面よりも上側に突出する構成となっている。また、操作部15は、把持部152の先端部152aが本体部12における長手方向の他方側を向いた状態では把持部152の先端部が本体部12の長手方向の他方側の面よりも他方側に突出する構成となっている。
【0027】
調整装置10では、後述する軒樋支持具1の調整方法において、操作部15との離隔距離が調整された位置決め部14によって、樋支持具本体3の取付部2に対する出具合が決定される。位置決め部14に合わせて複数の軒樋支持具1の樋支持具本体3の取付部2に対する出具合が調整されることで、複数の軒樋支持具1を軒先に取り付けたときにそれらの前後方向の出具合をそろえることができる。また、後述するロックレバー4に係合した状態で操作部15を回動操作してロックレバー4のロック/アンロックを切り替え可能となっている。また、ロックされた状態を維持して軒樋支持具1を調整装置10から取り外すことができるので、取り外しの際に樋支持具本体3の取付部2に対する出具合が変わってしまうことを抑制することができる。また、支持部13に軒樋支持具1が支持されるので、安定した状態で操作部15を回動操作することができる。
【0028】
また、操作部15は、後述する軒樋支持具1のロックレバー4よりも長尺である。このようにロックレバー4よりも十分に長い操作部15が設けてあるため、ロックレバー4の回動機構が固く回動しにくくなっていたとしても、操作部15に係合したロックレバー4をてこの原理によって容易に回動させることができる。後述する軒樋支持具1は、ロックレバー4の回動により膨出部5aが基板部4aに乗り上げることによって取付部2と樋支持具本体3が圧接される構成になっている。この圧接等により、ロックレバー4の回動が固くなっている場合があるが、本調整装置10によれば、このように回動操作がしにくい場合でも、てこの原理で比較的容易にロックレバー4を回動させることができる。
【0029】
また、調整装置10は、上述したように、略水平な設置対象面6に設置された状態で天側となる上側の一部が切欠き状となった段差部121が設けられた本体部12を備えている。この本体部12は、支持部13である第1支持部13A及び第2支持部13Bを有し、第1支持部13Aは、本体部12の一方の側壁面12aに設けられている。段差部121は、段差部121の上面121aが第2支持部13Bとして構成されている。位置決め部14は、本体部12の側壁面12aに隣接して設けられている。調整装置10では、段差部121の上面121aが第2支持部13Bとして構成されているので、本体部12に別部材の第2支持部13Bを設ける必要がなく、また、位置調整を行う部材は位置決め部14だけである。そのため、本実施形態の調整装置10では、装置全体の構成を簡素化することができる。
【0030】
<軒樋支持具>
次に、軒樋支持具1について
図2,3を参照しながら説明する。
図2(a)は軒樋支持具1を説明するための模式的分解斜視図、(b)は座金部材5の概略的平面図、(c)は座金部材5の概略的正面図である。また、
図3(a)(b)は軒樋支持具1の要部を拡大した概略底面図であり、(a)はロック状態、(b)はアンロック状態の図である。
図3(c)(d)は軒樋支持具1の要部を拡大した概略縦断面図であり、(c)はロック状態、(d)はアンロック状態の図である。なお、軒樋支持具1やその部品の図面については、建築構造物に取り付けられて見付け方向から見た図を、調整装置10の正面図に合わせて正面図とする。以下の説明では、軒樋支持具1は、樋支持具本体3の前耳係止部3b側を前後方向の前側、取付部2の取付基板2a側を前後方向の後ろ側として説明する。また、軒樋支持具1は、
図2の紙面上において上側を上下方向の上側、その反対方向を下側として説明する。なお、以下に説明する軒樋支持具1は一例であり、調整装置10に用いられる軒樋支持具1は、以下に説明するものに限定されることはない。
【0031】
図2に示す軒樋支持具1は、建築構造物に固定される取付部2と、取付部2に対して前後方向にスライド移動可能に連結された、軒樋を支持する樋支持具本体3と、樋支持具本体3に対して回動可能に連結されたロックレバー4とを備える。軒樋支持具1は、これらを重ねて貫通する固定具(リベットR)で連結し、樋支持具本体3が取付部2に対して前後方向の所望の位置で固定されるように構成されている。軒樋支持具1は、ロックレバー4の回転操作により、取付部2に対する樋支持具本体3のスライド移動のロック状態/アンロック状態の切り替えが自在とされる。
【0032】
取付部2は、建築構造物の軒先壁面等に固定される部材であり、ビス等で軒先壁面等に固定される平板状の取付基板2aと、その上端中央から前方に向けて延びた長尺状の足部2bとを備える。足部2bの前方部には下方に段落ち形成された連結部2cが形成されている。連結部2cには丸穴状の挿通孔2dが上下方向に貫通して設けられている。取付部2は、固定具であるリベットRの軸部が連結部2cの挿通孔2dに挿通されることで、下方に配された樋支持具本体3に連結されている。
【0033】
樋支持具本体3は、取付部2の連結部2cの下方に配される部材であり、取付部2に対して前後方向にスライド移動自在に連結されている。樋支持具本体3は、前後方向に延びた長尺状の本体部3aと、本体部3aの前側に設けられて軒樋(不図示)の前耳を係止する前耳係止部3bと、本体部3aの後側に配されて軒樋の後耳を係止する後耳係止部3cとを備えている。また、樋支持具本体3の本体部3aには、前後方向に延びる長孔3dと、長孔3dに沿うように凹部と凸部とが交互に連続的に配された凹凸部3eとが形成されている。
【0034】
ロックレバー4は、逆略U字状に形成されており、長尺状の基板部4aと、基板部4aの短手方向の端部より下方に延び互いに相対するように略平行に配された把持部4b,4bとを備えている。基板部4aの略中央には、リベットRの軸部が挿通される丸穴状の挿通孔4cが上下方向に貫通して設けられている。また、基板部4aには、挿通孔4cを介して基板部4aの長手方向に離隔した一対のロック凹部4dが上下方向に貫通して設けられている。ロック凹部4dは、基板部4aの長手方向に延びた貫通孔である。なお、ロック凹部4dは、貫通孔ではなく、基板部4aの上面が下方に凹んだ窪みであってもよい。
【0035】
上下方向における樋支持具本体3とロックレバー4との間には、座金部材5が配されている。座金部材5は、ロックレバー4の基板部4aと略同外形形状、略同寸法の矩形状の板状体とされる。
図2(b)(c)に示すように、この座金部材5の下面側には、幅方向に長く、山形状に膨出した一対の膨出部5aが座金部材5の長手方向に離隔して設けられている。この膨出部5aの峰の中央には略半球状の突起部5bが下方に突出して設けられている。また、座金部材5の中央にはリベットRの軸部が挿通される丸穴状の挿通孔5cが上下方向に貫通して設けられている。また、座金部材5の上面側には、樋支持具本体3に形成された凹凸部3eの凹部に係止される、上方に突出した一対の係止片5dが座金部材5の長手方向に離隔して設けられている。
【0036】
上から取付部2の連結部2cの挿通孔2d、樋支持具本体3の長孔3d、座金部材5の挿通孔5c、ロックレバー4の挿通孔4cの順番で重ねてリベットRの軸部を挿通させ、リベットRの下端部をかしめる。これにより、軒樋支持具1は、樋支持具本体3が取付部2に対して前後方向の所望の位置に固定されるように構成される。
【0037】
図3(a)(c)に示すように、ロックレバー4のロック操作がされたときには、ロックレバー4の基板部4aに膨出部5aが乗り上げ、膨出部5aの突起部5bがロック凹部4d内に配される。これにより、ロックレバー4と樋支持具本体3とが膨出部5aを介して圧接状態となる。圧接状態となると、ロックレバー4により座金部材5は、樋支持具本体3側に押圧されて上方に変位する。この変位により、座金部材5の係止片5dの上方を向いた先端部が凹凸部3eの凹部内に変位して凹部に係止される。係止片5dの先端部が凹凸部3eの凹部に係止されることで、樋支持具本体3を取付部2に対して前後方向にスライド移動させようとしても、係止片5dの先端部が凹凸部3eの凹部に引っ掛かり、スライド移動が規制される(ロック状態)。
【0038】
一方、
図3(b)(d)に示すように、ロックレバー4のアンロック操作がされたときには、膨出部5aが基板部4aに乗り上げたことによる圧接状態が解除されてロックレバー4と樋支持具本体3との圧接状態が解除される。圧接状態が解除されるとロックレバー4による座金部材5への押圧が解除されて座金部材5が下方に変位する。座金部材5の係止片5dの先端部が凹凸部3eの凹部外(下方)に変位して凹凸部3eとの係止が解除されると、樋支持具本体3を取付部2に対して前後方向にスライド移動可能となる(アンロック状態)。
【0039】
上述したように、
図3(b)(d)に示すアンロック状態では、樋支持具本体3は取付部2に対して前後方向にスライド移動可能となっている。そして、
図3(a)(c)に示すロック状態では、座金部材5の係止片5dが樋支持具本体3の凹凸部3eに係合されて、樋支持具本体3のスライド移動が規制される。軒樋支持具1は、アンロック状態では樋支持具本体3とロックレバー4の長尺状の基板部4aとが平面視して十字状に重なった状態となる。そして軒樋支持具1は、ロック状態ではロックレバー4の基板部4aの長手方向の両端部が樋支持具本体3と上下方向に重なった状態となる。
【0040】
<軒樋支持具の調整方法>
次に、
図4~
図7を参照しながら、調整装置10による軒樋支持具1の調整方法について、
図4のフローチャートのS101~S106に沿って説明する。なお、
図4のフローチャートに示す手順は一例であり、これに限定されることはない。なお、以降の図では、軒樋支持具1の凹凸部3eの図示を省略している。
【0041】
本実施形態の調整装置10による軒樋支持具1の調整方法は、位置決め部14の位置を決定する位置決め工程S101と、操作部15にロックレバー4を係合させる係合工程S102と、樋支持具本体3と取付部2との前後方向の位置関係を調整する調整工程S103とを備える。さらに調整装置10による軒樋支持具1の調整方法は、ロックレバー4が操作部15に係合した状態で操作部15を回動させて、ロックレバー4をロック状態にするロック工程S104を備える。以下、詳しく説明する。
【0042】
調整装置10による軒樋支持具1の調整方法は、
図4のフローチャートに示すように、位置決め工程S101、係合工程S102、調整工程S103、ロック工程S104、取り外し工程S105の順番に行われる。まず、位置決め工程S101では、調整装置10の位置決め部14の位置(本体部12の長手方向に対する位置)を調整させる。この位置決め部14の位置は、建築構造物からの軒樋支持具1の所望の出具合に合わせて調整される。位置決め部14の位置が決定されたら、ネジ16を締結させて位置決め部14の位置を固定させる。
【0043】
次に、軒樋支持具1のロックレバー4を操作部15に係合させる係合工程S102を行う。
図5(a)に示すように、把持部152の先端部152aが上方を向いた状態で、調整装置10の操作部15にアンロック状態の軒樋支持具1のロックレバー4を係合させる。
図5(a)では、調整装置10の上方から軒樋支持具1を下降させてロックレバー4を操作部15の係合部151に係合させているが、これに限定されることはない。軒樋支持具1のロックレバー4と操作部15の係合部151とが本体部12の短手方向に対向した状態から軒樋支持具1を本体部12側に移動させて、ロックレバー4と操作部15の係合部151と係合させてもよい。ロックレバー4が操作部15の係合部151に係合され、樋支持具本体3の一部が第1支持部13Aの上に載置されて支持され、取付部2の取付基板2aが第2支持部13B(段差部121の上面121a)の上に載置されて、軒樋支持具1は調整装置10に支持される。
【0044】
図5(b)に示すように、軒樋支持具1のロックレバー4が調整装置10の操作部15に係合された状態では、ロックレバー4の把持部4b,4b間に操作部15の係合部151が配された状態となる。後述するロック工程S104では、ロックレバー4が操作部15に係合された状態で操作部15を回動させることで把持部4bの内壁面に操作部15の側面が接触し、操作部15の回動に合わせてロックレバー4を回動させることができる。
【0045】
次に
図6を参照しながら調整工程S103について説明する。なお、
図6(a)の二点鎖線で示す前耳係止部3b及び後耳係止部3cは、調整工程S103の後の位置を示しており、
図6(b)では、前後方向の出具合が調整された後の軒樋支持具1を示している。
【0046】
図6(a)に示すように調整工程S103では、あらかじめ位置が調整された位置決め部14の第2板部142に対して、樋支持具本体3の後端部である後耳係止部3cの後端部が当接するまで樋支持具本体3を後ろ側にスライド移動させる。
図6(b)に示すように位置決め部14の第2板部142と樋支持具本体3の後耳係止部3cとが当接することで、調整装置10の位置決め部14に合わせて樋支持具本体3と取付部2との位置関係を決定することができる。
【0047】
樋支持具本体3と取付部2との前後方向の所望の位置関係に調整されれば、
図7(a)に示すように操作部15を把持部152の先端部152aが本体部12の長手方向の他方側を向くように回動させて、軒樋支持具1のロックレバー4を回動させる(ロック工程S104)。ロックレバー4がロック状態であれば、取付部2に対する樋支持具本体3の前後方向のスライド移動がロックされる。そして、ロックレバー4がロックされた状態で、操作部15からロックレバー4を引き抜くように軒樋支持具1を移動させて、軒樋支持具1を調整装置10から取り外す(
図7(b)、取り外し工程S105)。
【0048】
建築構造物に対する軒樋の取り付けでは、複数の軒樋支持具1が用いられる。そのため、軒樋の支持に用いられるすべての軒樋支持具1における樋支持具本体3と取付部2との前後方向の位置関係の調整が完了していなければ、先端部が上方を向くように操作部15を回動させて起立させる。その後、上述した係合工程S102、調整工程S103、ロック工程S104、取り外し工程S105が他の軒樋支持具1に対して繰り返し行われる(S106のNO)。位置決め工程S101はすでに行われているので、以降の軒樋支持具1における樋支持具本体3と取付部2との前後方向の位置関係の調整では、位置決め工程S101を再び行う必要がない。そして、軒樋の支持に用いられるすべての軒樋支持具1の調整が完了すれば、調整装置10による軒樋支持具1の調整が完了となる(S106のYES)。つまり、本実施形態の調整装置10による軒樋支持具1の調整方法は、位置決め工程S101の後、複数の軒樋支持具1について個別に係合工程S102、調整工程S103及びロック工程S104を行い、その後取り外し工程S105を行う。
【0049】
本実施形態の調整装置10による軒樋支持具1の調整方法によれば、位置決め部14の位置に合わせて取付部2に対する樋支持具本体3の前後方向の位置関係が決定される。そのため、位置決め部14に合わせて複数の軒樋支持具1の取付部2に対する樋支持具本体3の前後方向の位置関係が調整されれば、複数の軒樋支持具1の樋支持具本体3と取付部2との前後方向の位置関係をそろえることができる。建築構造物に取り付ける前に複数の軒樋支持具1の前後方向の位置関係がそろっているので、建築構造物に複数の軒樋支持具1を取り付けてから個別に樋支持具本体3と取付部2との位置関係の調整作業を不要とすることができる。
【0050】
<第1実施形態の調整装置の変形例>
次に
図8を参照しながら第1実施形態の変形例に係る樋支持具調整装置10A(以下、調整装置10Aという。)について説明する。なお、第1実施形態と共通する部分の構成及び効果の説明は省略する。
【0051】
調整装置10Aでは、第1実施形態と比べて、本体部12及び支持部13の構成が異なっている。本体部12は、略矩形状の平板状に構成されており、その長手方向の寸法(
図8の紙面上の左右方向の寸法)は、基盤部11の長手方向の寸法の約半分程度の大きさとなっている。また、本体部12は、第1実施形態における段差部121が設けられていない構成となっている。調整装置10Aでは、本体部12の長手方向の他方側の端面と基盤部11の長手方向の他方側の端面とが略面一となるように、本体部12が基盤部11の長手方向の他方側に寄って設けられている。
【0052】
本体部12の一方の側壁面12aには、2つの第1支持部13A,13Aが設けられている。2つの第1支持部13Aは、互いに本体部12の長手方向に離隔して設けられている。第1実施形態のものとは異なり、
図8の第1支持部13Aは、略L字形の折曲状に形成されている。第1支持部13Aは、本体部12の一方の側壁面12aの上下方向に沿って延びた第1板部131Aと、第1板部131Aの上端部から本体部12の一方の側壁面12aから離れる方向に延びた第2板部132Aとを備える。第1支持部13Aの第1板部131Aには、上下方向に沿って延びた長孔131aが設けられている。
【0053】
本体部12の一方の側壁面12aには雌ネジが形成されたネジ孔(不図示)が設けられている。長孔131aと側壁面12aのネジ孔とが本体部12の短手方向に重なった状態で、雄ネジと頭部に摘み部16aとを有するネジ16がネジ孔と長孔131aとに挿通されることで、第1支持部13Aが本体部12に連結される。2つの第1支持部13Aは、本体部12の一方の側壁面12aの上下方向に沿って、個別に位置調整が可能に構成されている。これにより、樋支持具本体3の本体部3aの幅寸法が部分的に異なるような軒樋支持具1であっても、各第1支持部13Aの上下位置を調整することで樋支持具本体3の本体部3aの各部に第1支持部13Aを当接させることができる。そのため、調整装置10Aは、安定した状態で軒樋支持具1を支持することができる。
【0054】
本体部12の長手方向の一方側の端面12bには、雌ネジが形成されたネジ孔12cが設けられている。第2支持部13Bは、略L字状の部材である。第2支持部13Bは、本体部12の上下方向に沿って延びた第1板部131Bと、第1板部131Bの下端部から本体部12の長手方向の一方側に沿って延びた第2板部132Bとを備える。第2支持部13Bの第1板部131Bには、上下方向に沿って延びた長孔(不図示)が設けられている。第2支持部13Bは、第1板部131Bの長孔とネジ孔12cとが本体部12の長手方向に重なった状態で配される。この状態で第1板部131Bの長孔とネジ孔12cとにネジ16が挿通されることで、第2支持部13Bは、本体部12の長手方向の一方側の端面12bの上下方向に沿って位置調整が可能に連結される。なお、ネジ16は、他のネジ16と同様に雄ネジ及び頭部に摘み部16aが設けられている。
【0055】
図8の調整装置10Aの2つの第1支持部13A,13Aは、軒樋支持具1の樋支持具本体3が載置可能に、第2支持部13Bは、軒樋支持具1の取付部2の取付基板2aが載置可能に構成されている。これら各支持部13の上下方向の位置を調整することにより、軒樋支持具1のロックレバー4の回動の中心となるリベットRの軸部と、操作部15の回動の中心となる回転軸15aとの上下方向の位置を合わせることができる。上下方向の位置関係が調整された第1支持部13A及び第2支持部13Bに、樋支持具本体3が略水平状態に保持されるように軒樋支持具1が載置されることは言うまでもない。
【0056】
図8の調整装置10Aは、第1支持部13A及び第2支持部13Bが、操作部15の回転軸15aとの位置関係を調整する調整機構を有する。第1支持部13A及び第2支持部13Bと操作部15の回転軸15aとの位置関係を調整することにより、形状や大きさの異なる様々な軒樋支持具1のロックレバー4のリベットRの軸部と、操作部15の回転軸15aとの位置関係を調整することができる。ロックレバー4のリベットRの軸部と、操作部15の回転軸15aとの位置関係が調整されてリベットRの軸と回転軸15aの軸の上下方向の位置が合わせられることにより、ロックレバー4が係合した状態の操作部15をスムーズに回動させることができる。
【0057】
調整装置10Aを用いて軒樋支持具1を調整する場合の一例としては、上述した係合工程S102の際に、リベットRの軸と回転軸15aの軸の上下方向の中心位置が略同一となるように第1支持部13A及び第2支持部13Bの位置を調整する工程を加える。この工程の際、同時に樋支持具本体3が略水平状態に保持されるようにも第1支持部13A及び第2支持部13Bの位置を調整する。その他の工程は、
図4のフローチャートと略同一でよい。また、複数の軒樋支持具1の形状が略同一のものであれば、以降の軒樋支持具1を調整する工程では、第1支持部13A及び第2支持部13Bの位置を調整する工程が不要となる。
【0058】
調整装置10,10Aの構成は、上述した構成に限定されることはない。例えば、本体部12が直方体形状等に設けられ、その下面が設置対象面6に当接する面であってもよい。その場合は、基盤部11が設けられていなくてもよく、また基盤部11が設けられていない場合は、位置決め部14は本体部12の側壁面12aに本体部12の長手方向に位置調整可能に連結されてもよい。また、基盤部11の形状も、矩形の平板状に限定されず、円形等の他の形状の平板状の部材であってもよく、また、平板状の部材に限定されることはない。また、側面視して略L字状となるように、基盤部11の短手方向の一方の端面と本体部12の平板の板面とが略面一になって本体部12が起立状態で設けられてもよい。また、一枚の板材を側面視して略L字状となるように折り曲げて、基盤部11と本体部12が構成されてもよい。
【0059】
また、各支持部13も上述した構成や形状に限定されることはない。また、
図8の第1支持部13Aの数も上述したものに限定されず、単数であってもよく、3つ以上であってもよい。また、複数の第1支持部13Aが設けられている場合、各第1支持部13Aの大きさや形状がそれぞれ異なっていてもよい。また、位置決め部14が基盤部11の長手方向の一方側に配されているが、長手方向の他方側に配されて、樋支持具本体3の前耳係止部3bに第2板部142が当接される構成でもよい。また、第1実施形態における位置決め部14は、本体部12の一方の側壁面12aに当接した状態で隣接しているが、一方の側壁面12aとの間に隙間を介した状態で隣接された構成であってもよい。また、位置決め部14や
図8の各支持部13は、長孔に挿通されたネジ16によって位置調整や位置固定されるものに限定されることはなく、例えばレバー等が設けられてレバーの切り替えによって位置調整可能な状態と固定された状態とを切り替え可能な構成であってもよい。また、蝶ナットとネジとによって、位置決め部14や
図8の各支持部13が固定される構成であってもよい。また、調整装置10,10Aは、位置決め部14や
図8の第1支持部13A及び第2支持部13Bがネジ16の軸部を中心にして回動することを抑制する構成を備えてもよい。また、操作部15も上述した構成に限定されることはなく、例えば操作部15の全体が円柱状の棒材によって構成されてもよく、角柱状の棒材によって構成されてもよい。また、操作部15の回動方向も上述したものに限定されることはなく、先端部が本体部12の長手方向の一方側を向くように回動されてもよい。また、操作部15を回動させる際に軒樋支持具1がぶれないように、軒樋支持具1を抑える部材が設けられていてもよい。
【0060】
また、調整装置10,10Aによる軒樋支持具1の調整方法も上述したものに限定されることはない。例えば、最初の軒樋支持具1を調整する際に位置決め工程S101の前に係合工程S102を行った後、ロックレバー4に係合された軒樋支持具1における取付部2と樋支持具本体3との前後方向の位置関係を調整する調整工程S103を行ってもよい。なお、最初の軒樋支持具1は、係合工程S102を行う前に取付部2と樋支持具本体3との前後方向の位置関係を調整する調整工程S103が行われたものであってもよい。そして、前後方向の取付部2と樋支持具本体3との位置関係が調整された最初の軒樋支持具1に合わせて位置決め部14の位置が決定されてもよい(位置決め工程S101)。なお、
図8の調整装置10Aの場合には、この位置決め工程S101と並行して第1支持部13A及び第2支持部13Bの位置関係が調整されればよい。最初の軒樋支持具1に対してロック工程S104、取り外し工程S105を行った後、以降の軒樋支持具1では、係合工程S102、調整工程S103、ロック工程S104、取り外し工程S105の手順で調整が行われればよい。
【符号の説明】
【0061】
1 軒樋支持具
2 取付部
3 樋支持具本体
4 ロックレバー
6 設置対象面
10,10A 調整装置(樋支持具調整装置)
12 本体部
12a 側壁面
121 段差部
121a 上面
13,13A,13B 支持部(第1支持部、第2支持部)
14 位置決め部
15 操作部
15a 回転軸
R リベット(固定具)
S101 位置決め工程
S102 係合工程
S103 調整工程
S104 ロック工程