(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123354
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】キャップユニット及びキャップ付き容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/08 20060101AFI20240905BHJP
B65D 53/00 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B65D47/08 230
B65D53/00 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030690
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】591261602
【氏名又は名称】サーモス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 雄志
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA22
3E084AB01
3E084BA03
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084CC05
3E084DA01
3E084DB12
3E084DB14
3E084DC03
3E084DC05
3E084EA02
3E084EB02
3E084EC03
3E084EC05
3E084FA01
3E084FB01
3E084FC15
3E084GA01
3E084GA06
3E084GB01
3E084GB06
3E084GB22
3E084HA07
3E084HB01
3E084HC03
3E084HD01
3E084HD04
3E084KB01
3E084LA18
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】キャップ本体と一体に成形されたパッキンの耐久性の向上を図ると共に、部品交換に伴うコスト上昇を抑えることを可能としたキャップユニットを提供する。
【解決手段】容器本体2Aの上部開口部2dを閉塞すると共に、容器本体2Aの内側と連通される通液口12が設けられたキャップ本体7と、キャップ本体7の通液口12を閉塞する栓部23が設けられた蓋体9と、キャップ本体7と一体に成形されて、容器本体2Aとキャップ本体7との間を密閉する止水パッキン22と、キャップ本体7と一体に成形されて、通液口12と栓部23との間を密閉する口パッキン25とを備え、キャップ本体7は、容器本体2Aの上部開口部2dから容器本体2Aの内側に嵌め込まれると共に、その底部に通液口12が形成された口形成部11を有し、止水パッキン22は、口形成部11の下端側の外周部に一体に成形されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開口した容器本体に対して着脱自在に取り付けられるキャップユニットであって、
前記容器本体の上部開口部を閉塞すると共に、前記容器本体の内側と連通される通液口が設けられたキャップ本体と、
前記キャップ本体の前記通液口を閉塞する栓部が設けられた蓋体と、
前記キャップ本体と一体に成形されて、前記容器本体と前記キャップ本体との間を密閉する止水パッキンと、
前記キャップ本体と一体に成形されて、前記通液口と前記栓部との間を密閉する口パッキンとを備え、
前記キャップ本体は、前記容器本体の上部開口部から前記容器本体の内側に嵌め込まれると共に、その底部に前記通液口が形成された口形成部を有し、
前記止水パッキンは、前記口形成部の下端側の外周部に一体に成形されていることを特徴とするキャップユニット。
【請求項2】
前記キャップ本体は、前記容器本体に設けられた口頸部に対して着脱自在に取り付けられる外筒部と、前記外筒部に設けられた開口部に対して着脱自在に取り付けられる口形成部材とを有し、
前記口形成部は、前記口形成部材により構成されていることを特徴とする請求項1に記載のキャップユニット。
【請求項3】
前記口パッキンは、前記口形成部の前記通液口の周囲に一体に成形されていることを特徴とする請求項1に記載のキャップユニット。
【請求項4】
前記止水パッキンと前記口パッキンとを一体に連結する連結部を有し、
前記連結部は、前記口形成部に設けられた貫通孔を貫通した状態で、前記口形成部と一体に成形されていることを特徴とする請求項3に記載のキャップユニット。
【請求項5】
前記止水パッキンは、前記容器本体に前記キャップ本体が取り付けられた状態において、前記容器本体の内周面から全周に亘って突出された張出部に当接されることを特徴とする請求項1に記載のキャップユニット。
【請求項6】
上部が開口した容器本体に対して着脱自在に取り付けられるキャップユニットであって、
前記容器本体の上部開口部を閉塞すると共に、前記容器本体の内側と連通される通液口が設けられたキャップ本体と、
前記キャップ本体の前記通液口を閉塞する栓部が設けられた蓋体と、
前記キャップ本体と一体に成形されて、前記容器本体と前記キャップ本体との間を密閉する止水パッキンと、
前記栓部と一体に成形されて、前記通液口と前記栓部との間を密閉する栓パッキンとを備え、
前記キャップ本体は、前記容器本体の上部開口部から前記容器本体の内側に嵌め込まれると共に、その底部に前記通液口が形成された口形成部を有し、
前記止水パッキンは、前記口形成部の下端側の外周部に一体に成形されていることを特徴とするキャップユニット。
【請求項7】
前記キャップ本体は、前記容器本体に設けられた口頸部に対して着脱自在に取り付けられる外筒部と、前記外筒部に設けられた開口部に対して着脱自在に取り付けられる口形成部材とを有し、
前記口形成部は、前記口形成部材により構成されていることを特徴とする請求項6に記載のキャップユニット。
【請求項8】
前記止水パッキンは、前記容器本体に前記キャップ本体が取り付けられた状態において、前記容器本体の内周面から全周に亘って突出された張出部に当接されることを特徴とする請求項6に記載のキャップユニット。
【請求項9】
前記栓パッキンは、前記栓部の下端部又は外周部に一体に成形されていることを特徴とする請求項7に記載のキャップユニット。
【請求項10】
請求項1~9の何れか一項に記載のキャップユニットと、
前記キャップユニットが取り付けられた容器本体とを備えるキャップ付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップユニット及びキャップ付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、上部が開口した容器本体の口頸部に着脱自在に取り付けられるキャップユニット(栓体)を備えたキャップ付き容器がある。
【0003】
このようなキャップユニットは、容器本体の上部開口部を閉塞するキャップ本体を有して、容器本体に対してキャップ本体が螺合により取り付けられる構造となっている。
【0004】
また、キャップユニットは、キャップ本体に対して着脱自在に取り付けられる止水パッキン(シール部材)を有して、この止水パッキンにより容器本体とキャップ本体との間を密閉(止水)する構造となっている。
【0005】
ところで、上述したキャップユニットの中には、止水パッキンをインサート成形によりキャップ本体と一体に成形したものがある(例えば、下記特許文献1,2を参照。)。
【0006】
具体的には、キャップ本体との間で止水パッキンに対応した形状のキャビティ空間を形成する金型を用いて、このキャビティ空間内に止水パッキンの形成材料を充填することによって、止水パッキンをキャップ本体と一体に成形している。
【0007】
止水パッキンをキャップ本体と一体に成形した場合には、止水パッキンをキャップ本体から取り外して、止水パッキンとキャップ本体とをそれぞれ別々に洗浄した後に、止水パッキンをキャップ本体に再度取り付けるといった手間が不要となる。
【0008】
また、着脱の嵌合に必要な細かな溝や凸部など、洗いづらい形状が表面に存在することもなく、洗浄しやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2022-84265号公報
【特許文献2】国際公開第2019/070022号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上述した従来のキャップユニットを備えたキャップ付き容器では、キャップ本体に設けられた止水パッキンが容器本体の上部開口部に当接することで、容器本体とキャップ本体との間を止水している。
【0011】
しかしながら、このような止水方法の場合、容器本体の上部開口部に止水パッキンが摺動しながら、止水パッキンがキャップ本体と容器本体との間で強く潰されるため、繰り返しの使用により止水パッキンが消耗しやすい。
【0012】
このため、消耗に耐え得るように、止水パッキンを厚くする必要があるものの、使用材料の重量が増すことで、コストアップとなってしまう。
【0013】
また、止水パッキンが消耗した場合、このキャップ本体と一体に成形された止水パッキンをキャップ本体と共に交換する必要があるため、交換部品の価格も高額になりがちである。
【0014】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、キャップ本体と一体に成形されたパッキンの耐久性の向上を図ると共に、部品交換に伴うコスト上昇を抑えることを可能としたキャップユニット、並びにそのようなキャップユニットを備えることよって、使い勝手の更なる向上を可能としたキャップ付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 上部が開口した容器本体に対して着脱自在に取り付けられるキャップユニットであって、
前記容器本体の上部開口部を閉塞すると共に、前記容器本体の内側と連通される通液口が設けられたキャップ本体と、
前記キャップ本体の前記通液口を閉塞する栓部が設けられた蓋体と、
前記キャップ本体と一体に成形されて、前記容器本体と前記キャップ本体との間を密閉する止水パッキンと、
前記キャップ本体と一体に成形されて、前記通液口と前記栓部との間を密閉する口パッキンとを備え、
前記キャップ本体は、前記容器本体の上部開口部から前記容器本体の内側に嵌め込まれると共に、その底部に前記通液口が形成された口形成部を有し、
前記止水パッキンは、前記口形成部の下端側の外周部に一体に成形されていることを特徴とするキャップユニット。
〔2〕 前記キャップ本体は、前記容器本体に設けられた口頸部に対して着脱自在に取り付けられる外筒部と、前記外筒部に設けられた開口部に対して着脱自在に取り付けられる口形成部材とを有し、
前記口形成部は、前記口形成部材により構成されていることを特徴とする前記〔1〕に記載のキャップユニット。
〔3〕 前記口パッキンは、前記口形成部の前記通液口の周囲に一体に成形されていることを特徴とする前記〔1〕に記載のキャップユニット。
〔4〕 前記止水パッキンと前記口パッキンとを一体に連結する連結部を有し、
前記連結部は、前記口形成部に設けられた貫通孔を貫通した状態で、前記口形成部と一体に成形されていることを特徴とする前記〔3〕に記載のキャップユニット。
〔5〕 前記止水パッキンは、前記容器本体に前記キャップ本体が取り付けられた状態において、前記容器本体の内周面から全周に亘って突出された張出部に当接されることを特徴とする前記〔1〕に記載のキャップユニット。
〔6〕 上部が開口した容器本体に対して着脱自在に取り付けられるキャップユニットであって、
前記容器本体の上部開口部を閉塞すると共に、前記容器本体の内側と連通される通液口が設けられたキャップ本体と、
前記キャップ本体の前記通液口を閉塞する栓部が設けられた蓋体と、
前記キャップ本体と一体に成形されて、前記容器本体と前記キャップ本体との間を密閉する止水パッキンと、
前記栓部と一体に成形されて、前記通液口と前記栓部との間を密閉する栓パッキンとを備え、
前記キャップ本体は、前記容器本体の上部開口部から前記容器本体の内側に嵌め込まれると共に、その底部に前記通液口が形成された口形成部を有し、
前記止水パッキンは、前記口形成部の下端側の外周部に一体に成形されていることを特徴とするキャップユニット。
〔7〕 前記キャップ本体は、前記容器本体に設けられた口頸部に対して着脱自在に取り付けられる外筒部と、前記外筒部に設けられた開口部に対して着脱自在に取り付けられる口形成部材とを有し、
前記口形成部は、前記口形成部材により構成されていることを特徴とする前記〔6〕に記載のキャップユニット。
〔8〕 前記止水パッキンは、前記容器本体に前記キャップ本体が取り付けられた状態において、前記容器本体の内周面から全周に亘って突出された張出部に当接されることを特徴とする前記〔6〕に記載のキャップユニット。
〔9〕 前記栓パッキンは、前記栓部の下端部又は外周部に一体に成形されていることを特徴とする前記〔7〕に記載のキャップユニット。
〔10〕 前記〔1〕~〔9〕の何れか一項に記載のキャップユニットと、
前記キャップユニットが取り付けられた容器本体とを備えるキャップ付き容器。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、キャップ本体と一体に成形されたパッキンの耐久性の向上を図ると共に、部品交換に伴うコスト上昇を抑えることを可能としたキャップユニット、並びにそのようなキャップユニットを備えることよって、使い勝手の更なる向上を可能としたキャップ付き容器を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るキャップユニットを備えたキャップ付き容器を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係るキャップユニットを備えたキャップ付き容器の構成を示す断面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係るキャップユニットの蓋体の開放状態を示す斜視図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係るキャップユニットの口形成部材及び係止部材を示す斜視図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係るキャップユニットの変形例を示す断面図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係るキャップユニットを備えたキャップ付き容器の構成を示す断面図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態に係るキャップユニットの蓋体の開放状態を示す斜視図である。
【
図8】本発明の第3の実施形態に係るキャップユニットを備えたキャップ付き容器を示す斜視図である。
【
図9】本発明の第3の実施形態に係るキャップユニットを備えたキャップ付き容器の構成を示す断面図である。
【
図10】本発明の第3の実施形態に係るキャップユニットのキャップ本体を示す斜視図である。
【
図11】本発明の第3の実施形態に係るキャップユニットを示す斜視図である。
【
図12】本発明の第4の実施形態に係るキャップユニットを備えたキャップ付き容器の構成を示す断面図である。
【
図13】本発明の第4の実施形態に係るキャップユニットの蓋体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態として、例えば
図1~
図4に示すキャップユニット1Aを備えたキャップ付き容器100Aについて説明する。
【0019】
なお、
図1は、キャップユニット1Aを備えたキャップ付き容器100Aを示す斜視図である。
図2は、キャップユニット1Aを備えたキャップ付き容器100Aの構成を示す断面図である。
図3は、キャップユニット1Aの蓋体9の開放状態を示す斜視図である。
図4は、キャップユニット1Aの口形成部材11及び係止部材19を示す斜視図である。
【0020】
本実施形態のキャップ付き容器100Aは、
図1に示すように、本実施形態のキャップユニット1Aと、このキャップユニット1Aが着脱自在に取り付けられる容器本体2Aとを備えている。
【0021】
キャップ付き容器100Aは、真空断熱構造を有する容器本体2Aによって、この容器本体2Aに収容された飲料(液体)を保温又は保冷することが可能な飲料用容器である。
【0022】
具体的に、この容器本体2Aは、
図2に示すように、例えばステンレス等からなる有底筒状の外容器3及び内容器4を有し、外容器3の内側に内容器4を収容した状態で互いの口元部を接合した二重構造の容器により構成されている。
【0023】
また、外容器3と内容器4との間には、真空断熱層5が設けられている。真空断熱層5は、例えば、高真空に減圧(真空引き)されたチャンバー内で、外容器3の底面に設けられた脱気孔を塞ぐことによって形成することができる。
【0024】
容器本体2Aは、略円形状の底面部2aと、底面部2aの外周から略円筒状に起立した胴部2bと、胴部2bの上部側において縮径された略円筒状の口頸部2cとを有している。
【0025】
口頸部2cの上端部は、容器本体2Aの上部開口部2dとして、円形状に開口している。また、口頸部2cの内周面は、胴部2bの内周面よりも縮径されている。さらに、口頸部2cの内周面には、リング状の張出部6が全周に亘って突出して設けられている。
【0026】
なお、本実施形態のキャップ付き容器100Aは、全体として略円筒状の外観形状を有しているが、キャップ付き容器100Aの外観形状については、特に限定されるものではなく、サイズやデザイン等に合わせて、適宜変更を加えることが可能である。また、容器本体2Aの外周面には、塗装や印刷等が施されていてもよい。
【0027】
本実施形態のキャップユニット1Aは、上述した容器本体2Aの上部開口部2dを閉塞する栓体を構成するものである。具体的に、このキャップユニット1Aは、キャップ本体7と、キャップ本体7に第1のヒンジ部8を介して回動自在に取り付けられた蓋体9とを備えている。
【0028】
なお、以下の説明では、キャップ本体7に対して蓋体9が第1のヒンジ部8を介して取り付けられる側をキャップユニット1A(キャップ付き容器100A)の「後側(背面側)」とし、それとは反対側をキャップユニット1A(キャップ付き容器100A)の「前側(正面側)」として説明する。
【0029】
キャップ本体7は、
図2及び
図3に示すように、例えばポリプロピレン(PP)やTRITAN(登録商標)のようなコポリエステル樹脂、又はポリフェニルスルホン(PPSU)等の耐熱性樹脂からなる筒状の外筒部材10及び口形成部材11を有している。口形成部材11は、口形成部として容器本体2Aの内側と連通される通液口12を形成している。
【0030】
外筒部材10は、容器本体2Aの胴部2bと連続するように略円筒状に形成された周壁部10aと、周壁部10aの上部に周壁部10aよりも縮径された開口部10bが形成された上壁部10cとを有している。
【0031】
キャップ本体7は、容器本体2Aの口頸部2cに螺合により着脱自在に取り付けられている。このため、周壁部10a(外筒部材10)の内周面には、雌ネジ部13が設けられている。一方、口頸部2cの外周面には、この雌ネジ部13と螺合される雄ネジ部14が設けられている。
【0032】
口形成部材11は、
図2~
図4に示すように、外筒部材10の開口部10bよりも上方に突出された上側口形成部11aと、外筒部材10の開口部10bよりも下方に突出された下側口形成部11bと、通液口12が形成された底壁部11cとを有している。
【0033】
上側口形成部11aは、注ぎ口又は飲み口として、口形成部材11の前側から斜めカット状に突出して設けられている。下側口形成部11bは、容器本体2Aの上部開口部2dから容器本体2Aの内側に嵌め込まれる部分として、上側口形成部11aの下側から略円筒状に突出して設けられている。通液口12は、底壁部11cの後側よりも前側が下方に向かって傾斜した底部に円形状に開口している。
【0034】
外筒部材10の開口部10bには、口形成部材11が口脱着機構15を介して着脱自在に取り付けられている。口脱着機構15は、口形成部材11の前側に第1の爪部16と、口形成部材11の後側に第2の爪部17及び弾性片18が設けられた係止部材19とを有している。
【0035】
第1の爪部16は、口形成部材11の外周面に位置して、上側口形成部11aの下側から前方に突出して設けられている。第2の爪部17は、係止部材19の上端寄りの位置から後方に向かって突出して設けられている。弾性片18は、係止部材19の第2の爪部17の下端側から下方に向かって突出して設けられている。
【0036】
係止部材19は、口形成部材11の後側の下端部に設けられたヒンジ部(図示せず。)を介して前後方向に回動自在に取り付けられている。また、係止部材19は、その第2の爪部17を前方(回動方向の一方側)に向かって回動させたときに、口形成部材11に当接された弾性片18が弾性変形しながら、後方(回動方向の他方側)に向かって付勢する。
【0037】
口脱着機構15は、外筒部材10の開口部10bの周囲における前側に第1の被係止部20と、外筒部材10の開口部10bの周囲における後側に第2の被係止部21とを有している。
【0038】
口脱着機構15では、外筒部材10の開口部10bの内側に下方側から口形成部材11を嵌め込みながら、第1の被係止部20に第1の爪部16を係止すると共に、第2の被係止部21に第2の爪部17を係止することによって、外筒部材10の開口部10bに口形成部材11を取り付けることが可能である。
【0039】
一方、口脱着機構15では、係止部材19の上端側を前方に向かって回動させる操作によって、第2の被係止部21に対する第2の爪部17の係止状態を解除する。これにより、第1の被係止部20に対する第1の爪部16の係止状態を解除しながら、外筒部材10の開口部10bから口形成部材11を取り外すことが可能である。
【0040】
下側口形成部11b(口形成部材11)の下端側の外周部には、止水パッキン22が一体に成形されている。
【0041】
止水パッキン22は、容器本体2Aの張出部6と下側口形成部11b(口形成部材11)との間を密閉するリング状のシール部材であり、例えばシリコーンゴム等の耐熱性を有するゴムやエラストマーなどの弾性部材からなる。
【0042】
止水パッキン22は、インサート成形により下側口形成部11b(口形成部材11)と一体に成形されている。
【0043】
具体的には、下側口形成部11b(口形成部材11)との間で止水パッキン22に対応した形状のキャビティ空間を形成する金型を用いて、金型内に口形成部材11をインサートし、このキャビティ空間内に止水パッキン22の形成材料を充填することによって、止水パッキン22を下側口形成部11b(口形成部材11)と一体に成形している。
【0044】
また、下側口形成部11b(口形成部材11)の止水パッキン22が成形される面には、プラズマ放電処理を行い、樹脂の表面に極性官能基を生成する表面改質処理を行うことが好ましい。
【0045】
なお、極性官能基を生成する工程は、プラズマ放電処理に限らず、フレーム処理、コロナ放電処理、イトロ処理等の表面改質処理を選択的に用いることが可能である。
【0046】
そして、この表面改質を行った下側口形成部11b(口形成部材11)の表面にプライマーを塗布する。
【0047】
プライマーは、前工程で表面改質処理をされた下側口形成部11b(口形成部材11)を形成する耐熱性樹脂材料の表面と化学的に結合し、且つ、止水パッキン22を形成する耐熱性のシリコーンゴム等の弾性部材とも化学的に結合し、密着性を向上させるものであれば、その組成については特に限定されるものではない。
【0048】
また、プライマーを塗布する方法についても、適宜選択することが可能である。例えば、プライマーの粘度が低い場合は、スプレー等による塗布であってもよい。また、粘度が高い場合は、刷毛によって塗布する方法等であってもよい。その他、ディスペンサーによる塗布や、ディップ方式を用いてもよい。
【0049】
下側口形成部11b(口形成部材11)は、止水パッキン22の内周側の上端部から内側に向かって突出した第1の凸部22aに対応した形状の第1の凹部11dと、止水パッキン22の内周側の下端部から上方に向かって突出した第2の凸部22bに対応した形状の第2の凹部11eとを有している。
【0050】
また、下側口形成部11b(口形成部材11)は、止水パッキン22の第1の凸部22aと第2の凸部22bとの間に位置して、下側口形成部11b(口形成部材11)の第1の凹部11dと第2の凹部11eと間に形成された止水パッキン22の第3の凹部22cに対応した形状の第3の凸部11fとを有している。
【0051】
本実施形態のキャップユニット1Aでは、止水パッキン22の内側に向かって突出された第1の凸部22aが下側口形成部11b(口形成部材11)の第1の凹部11dと一体に成形され、止水パッキン22の上方に向かって突出された第2の凸部22bが下側口形成部11b(口形成部材11)の第2の凹部11eと一体に成形される。
【0052】
さらに、止水パッキン22の第3の凹部22cと下側口形成部11b(口形成部材11)の第3の凸部11fとが一体に成形されることで、それぞれの接触面積を増やすと共に、アンカー効果により下側口形成部11b(口形成部材11)に対して一体に成形された止水パッキン22の密着強度を高めることが可能である。
【0053】
また、止水パッキン22の外周面には、2つの弾性フランジ部22dが拡径方向に突出して設けられている。
【0054】
本実施形態のキャップユニット1Aでは、容器本体2Aにキャップ本体7(キャップユニット1A)が取り付けられた際に、止水パッキン22の弾性フランジ部22dが弾性変形しながら、容器本体2Aの張出部6に全周に亘って密着した状態となる。
【0055】
これにより、張出部6(容器本体2A)と口形成部材11(キャップ本体7)との間を密閉(止水)することが可能となっている。
【0056】
また、容器本体2Aにキャップ本体7(キャップユニット1A)が取り付けられる際は、止水パッキン22の弾性フランジ部22dが上部開口部2dに接触することなく、容器本体2Aの内側へ導入される。
【0057】
その後、雌ネジ部13と雄ネジ部14との螺合によって、2つの弾性フランジ部22dのうち、下側の1つがリング状の張出部6の内側側面と、上側の1つが張出部6の上部の傾斜面から内側側面にかけて上方から載置されるように、それぞれ弾性変形しながら当接し、摺動する。
【0058】
ここで、止水パッキン22は、口形成部材11(キャップ本体7)と容器本体2Aの上部開口部2dとの間に挟まれながら摺動することがない。さらに、張出部6は、上部に傾斜面を有しており、弾性フランジ部22dと徐々に強く当接していくことで、摺動抵抗が滑らかに増加する。
【0059】
このため、螺合による摺動抵抗の急な増加を感じることがなく、使い心地を良くすることができる。また、摺動する部分も弾性フランジ部22dのみであるため、繰り返しの使用でも止水パッキン22が消耗しづらい。
【0060】
さらに、張出部6の内側側面と強く摺動するのは、2つの弾性フランジ部22dのうち下側の1つのみである。したがって、摺動抵抗も必要以上に増加することがない。
【0061】
さらに、容器本体2Aがリング状の張出部6を備えることで、止水に寄与する部分である金属製の内容器4の真円度を高く加工できるため、より安定した止水性を確保することが可能である。
【0062】
なお、止水パッキン22については、上述した形状のものに必ずしも限定されるものではなく、例えば、弾性フランジ部22dの数については、上述した2つに限らず、1つ又は3つ以上の複数とすることが可能である。
【0063】
また、止水パッキン22は、上述した弾性フランジ部22dが設けられた構成に必ずしも限定されるものではなく、その形状等について適宜変更を加えることが可能である。例えば、止水パッキン22の外周面の上端から下方に向かって湾曲しながら突出した形状を有する弾性フランジ部を設けた構成としてもよい。
【0064】
蓋体9は、口形成部材11の通液口12を開閉するものであり、例えばポリプロピレン(PP)等の耐熱性樹脂からなる。蓋体9は、外筒部材10の周壁部10aと連続するように略円筒状に形成された周壁部9aと、周壁部9aの天面を覆う天壁部9bとを有している。
【0065】
蓋体9の内側には、口形成部材11の通液口12を閉塞する栓部23が設けられている。栓部23は、天壁部9bの下面側の略中央部が下方に向かって突出されると共に、その下端部に通液口12の内側に嵌め込まれるドーム状の閉栓凸部23aを有している。
【0066】
また、蓋体9には、栓部23の上面側を覆うキャップ部材24が取り付けられている。キャップ部材24は、蓋体9と同じ材質のものを用いて、略円板状に形成されて、溶着や接着、ネジによる固定、むり嵌め等によって栓部23の上面側を全周に亘って密閉するように一体に取り付けられている。
【0067】
栓部23とキャップ部材24の内側に形成される空間には、断熱材(図示せず。)が配置されている。なお、断熱材の代わりに、断熱層となる空気(空間)が設けられた構成としてもよい。これにより、容器本体2Aに収容された飲料(液体)を長時間に亘って保温又は保冷することが可能となっている。
【0068】
また、蓋体9において、天壁部9bの上面側は、キャップ部材24が蓋体9に一体に取り付けられて覆われているため、天壁部9bの上面側中心部を外部から目視することができなくなっている。
【0069】
これにより、例えばゲートの跡やパーティングライン、突き出しピンの跡など、栓部23の上面側を含めた蓋体9の上面側中心部に現れるように調整することで、全てを覆い隠して外部から目視不可能とし、美観を向上させることが可能となる。
【0070】
なお、本実施形態においては、キャップ部材24が蓋体9とは別部材となっているが、蓋体9と一体に形成されていてもよい。また、上述したように栓部23の部分を別部材として形成し、蓋体9に溶着等で一体に取り付けてもよく、蓋体9に対して着脱自在に取り付けてもよい。
【0071】
図2~
図4に示すように、下側口形成部11b(口形成部材11)の通液口12の周囲には、全周に亘って口パッキン25が一体に成形されている。口パッキン25は、通液口12と閉栓凸部23a(栓部23)との間を密閉するリング状のシール部材であり、例えばシリコーンゴム等の耐熱性を有するゴムやエラストマーなどの弾性部材からなる。
【0072】
口パッキン25は、インサート成形により口形成部材11と一体に成形されている。具体的には、口形成部材11との間で口パッキン25に対応した形状のキャビティ空間を形成する金型を用いて、金型内に口形成部材11をインサートし、このキャビティ空間内に口パッキン25の形成材料を充填することによって、口パッキン25を口形成部材11の通液口12の周囲と一体に成形している。
【0073】
また、口形成部材11の口パッキン25が成形される面には、プラズマ放電処理を行い、樹脂の表面に極性官能基を生成する表面改質処理を行うことが好ましい。
【0074】
なお、極性官能基を生成する工程は、プラズマ放電処理に限らず、フレーム処理、コロナ放電処理、イトロ処理等の表面改質処理を選択的に用いることが可能である。
【0075】
そして、この表面改質を行った下側口形成部11b(口形成部材11)の表面にプライマーを塗布する。
【0076】
プライマーは、前工程で表面改質処理をされた口形成部材11を形成する耐熱性樹脂材料の表面と化学的に結合し、且つ、口パッキン25を形成する耐熱性のシリコーンゴム等の弾性部材とも化学的に結合し、密着性を向上させるものであれば、その組成については特に限定されるものではない。
【0077】
また、プライマーを塗布する方法についても、適宜選択することが可能である。例えば、プライマーの粘度が低い場合は、スプレー等による塗布であってもよい。また、粘度が高い場合は、刷毛によって塗布する方法等であってもよい。その他、ディスペンサーによる塗布や、ディップ方式を用いてもよい。
【0078】
口パッキン25の外周部には、通液口12の周囲に設けられた段差部12aに対応した形状の段差部25aが設けられている。
【0079】
本実施形態のキャップユニット1Aでは、口形成部材11の段差部12aに口パッキン25の段差部25aが一体に成形されることで、互いに接する面積の増加により口形成部材11に対して一体に成形された口パッキン25の密着強度を高めることが可能である。
【0080】
また、口パッキン25は、連結部25bを介して止水パッキン22と一体に連結されている。連結部25bは、口形成部材11に設けられた貫通孔11gを貫通した状態で、口形成部材11と一体に成形されている。
【0081】
連結部25b及び貫通孔11gについては、1箇所であってもよく、全周に亘って複数箇所に設けられていてもよい。これにより、口パッキン25及び止水パッキン22は、通液口12の全周に亘って、口形成部材11を上下から挟むように一体化されている。
【0082】
ここで、止水パッキン22及び口パッキン25の材料としては、金型内への射出時に液状であり、金型内で硬化(加硫)が進行する、いわゆる液状シリコーンゴムなどを用いることが好適である。
【0083】
これにより、上下を連結する通路のような貫通孔11gや、第2の凸部22bのような先細りの複雑な形状、薄肉形状、若しくはゲートからの距離が遠い場合などにおいても、射出時の流動性が高いために問題なく成形することが可能である。
【0084】
これにより、本実施形態のキャップユニット1Aでは、口形成部材11の貫通孔11gを貫通した連結部25bを介して止水パッキン22及び口パッキン25を口形成部材11と一体に成形することが可能となっている。
【0085】
口パッキン25の内周側には、弾性フランジ部25cが縮径方向に全周に亘って突出して設けられている。弾性フランジ部25cの上端は、底壁部11cの上面と面一に形成されており、飲料(液体)の流動を妨げることがない。
【0086】
また、弾性フランジ部25cの内周側の上部は、底壁部11cの上に残った僅かな飲料が容器本体2Aの内側へ戻り易いように、断面が緩やかな鋭角形状を有している。また、この鋭角形状を設けることにより、弾性フランジ部25cの先端部側が弾性変形し易くなり、閉栓凸部23aと全周に亘って当接する際に密着し易くなっている。
【0087】
また、弾性フランジ部25cの内周側の端部が、口形成部材11(キャップ本体7)において、最も縮径された部位となっている。すなわち、弾性フランジ部25cの内周側の端部は、下側口形成部11bよりも縮径されており、飲料が通液口12から上側口形成部11aを通って飲まれる、又は注がれる際に、最も流路が狭くなる部分となっている。
【0088】
なお、弾性フランジ部25cの形状については、上述した形状に限らず、適宜変更することが可能である。
【0089】
具体的に、上述した鋭角形状や弾性フランジ部25cの全体としての傾斜角や、フランジ状に張り出す長さなど、閉栓凸部23aの形状や閉栓凸部23aとの当接の具合によって、適宜調節することが可能である。
【0090】
本実施形態のキャップユニット1Aでは、キャップ本体7の通液口12を蓋体9が閉塞する際に、上側口形成部11a(口形成部材11)の内側に蓋体9の栓部23が嵌め込まれた状態で、栓部23の閉栓凸部23aが通液口12の周囲にある口パッキン25の弾性フランジ部25cと全周に亘って密着した状態となる。
【0091】
弾性フランジ部25cが弾性変形しながら、閉栓凸部23aと全周に亘って密着することで、通液口12と栓部23との間を密閉することが可能となっている。
【0092】
蓋体9と第1のヒンジ部8との間には、第1の付勢部材(図示せず。)が設けられている。第1の付勢部材は、例えばトーションバネのようなバネ部材からなり、第1のヒンジ部8の内側に取り付けられている。
【0093】
蓋体9は、この第1の付勢部材によって、口形成部材11の通液口12を開放する方向(開方向)に付勢された状態となっている。
【0094】
なお、第1の付勢部材については、上述した弾性部材からなるものに限らず、例えばゴムやエラストマー等からなるリング状の弾性部材を蓋体9とキャップ本体7との間で掛け止めされることによって、蓋体9を開方向に付勢する構成であってもよい。
【0095】
本実施形態のキャップユニット1Aは、蓋体9がキャップ本体7の上部を閉塞する位置(以下、閉塞位置という。)にて、キャップ本体7に対して蓋体9を固定する蓋ロック機構26を備えている。
【0096】
蓋ロック機構26は、キャップ本体7に第2のヒンジ部27を介して回動自在に取り付けられたロック部材28と、キャップ本体7に第2のヒンジ部27を介して回動自在に取り付けられたリングストッパー29とを有している。
【0097】
ロック部材28は、外筒部材10(周壁部10a)の前側に設けられた第2のヒンジ部27により回動自在に支持されている。ロック部材28は、第2のヒンジ部27から上方に延長された第1のアーム部28aと、第2のヒンジ部27から下方に延長された第2のアーム部28bとを有している。
【0098】
第1のアーム部28aの先端(ロック部材28の上端)には、フック部30が後方に向かって突出して設けられている。
【0099】
第2のアーム部28bと周壁部10aとの間には、例えばゴムやエラストマー等の弾性部材からなる第2の付勢部材31が配置されている。なお、第2の付勢部材31については、上述したバネ部材の代わりに、例えばコイルバネなどのバネ部材を用いてもよい。
【0100】
リングストッパー29は、一部が開放されたリング状の部材からなり、その両端が第2のヒンジ部27の外側に回動自在に支持されている。これにより、リングストッパー29は、回動可能となっている。
【0101】
一方、蓋ロック機構26は、ロック部材28のフック部30が係止されるロック受部32と、リングストッパー29が掛け止めされるストッパー受部33とを有している。
【0102】
ロック受部32は、蓋体9(周壁部9a)の前側の下端部から前方に突出された爪部からなる。ストッパー受部33は、リングストッパー29の内側に対応した形状で、ロック受部(爪部)32の周囲を囲む位置から前方に突出された壁部からなる。
【0103】
蓋ロック機構26では、蓋体9がキャップ本体7の上部を閉塞したときに、ロック部材28のフック部30がロック受部32に係止されることによって、蓋体9がキャップ本体7の上部を閉塞した状態が保持される。
【0104】
この状態から、ロック部材28の第2のアーム部28b側を第2の付勢部材31の付勢に抗して押圧操作することによって、ロック受部32に対するフック部30の係止状態が解除される。
【0105】
これにより、
図3に示すように、第1の付勢部材により付勢された蓋体9を開方向に回動させることが可能である。
【0106】
一方、蓋ロック機構26では、蓋体9がキャップ本体7の上部を閉塞したときに、リングストッパー29がストッパー受部33に掛け止めされることによって、蓋体9の開方向への回動が阻止される。
【0107】
これにより、蓋ロック機構26では、ロック部材28の不要な操作によって蓋体9が開くことを防止できる。
【0108】
以上のような構成を有する本実施形態のキャップユニット1Aでは、上述した止水パッキン22が下側口形成部11b(口形成部材11)の下端側の外周部に一体に成形されると共に、口パッキン25が口形成部材11の通液口12の周囲に一体に成形されている。
【0109】
これにより、口形成部材11、止水パッキン22、及び口パッキン25が一度に洗浄でき、止水パッキン22や口パッキン25の取り付けや取り外しの手間もなく、付け忘れや付け間違えが発生することもない。
【0110】
また、止水パッキン22が容器本体2Aに直接潰されることがなく、摺動する部分も弾性フランジ部22dのみであるため、繰り返しの使用でも止水パッキン22が消耗しづらい。
【0111】
このため、止水パッキン22の形状は、成形できる程度の薄肉形状でよい。仮に止水パッキン22や口パッキン25が消耗した場合でも、キャップユニット1A全てを交換する必要はなく、キャップ本体7の口形成部材11のみを交換することで、止水パッキン22や口パッキン25も一体で交換できるため、安価で済む。
【0112】
さらに、口形成部材11に対して、止水パッキン22と口パッキン25とが、連結部25bを介して一体に連結されている。
【0113】
このため、一度のインサート成形で、実質的に2箇所のパッキン(止水パッキン22及び口パッキン25)を一体に成形でき、効率的であるため、製造コストの削減に寄与する。
【0114】
したがって、本実施形態のキャップ付き容器100Aでは、このようなキャップユニット1Aを備えることによって、使い勝手の更なる向上を図ることが可能である。
【0115】
なお、上記キャップユニット1Aの変形例としては、例えば
図5に示すような口パッキン25の形状とすることも可能である。なお、
図5は、キャップユニット1Aの変形例を示す断面図である。
【0116】
具体的に、
図5に示す構成では、口パッキン25の段差部25aの一部に下方に向かって突出した凸部25dを設け、口形成部材11の段差部12aの一部に、この凸部25dに対応した凹部12bを設けた構成となっている。
【0117】
これにより、口パッキン25の段差部25aを口形成部材11の段差部12aと一体に成形した際に、互いに接する面積の増加により口形成部材11に対して一体に成形された口パッキン25の密着強度を更に高めることが可能である。
【0118】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態として、例えば
図6及び
図7に示すキャップユニット1Bを備えたキャップ付き容器100Bについて説明する。
【0119】
なお、
図6は、キャップユニット1Bを備えたキャップ付き容器100Bの構成を示す断面図である。
図7は、キャップユニット1Bの蓋体9の開放状態を示す斜視図である。また、以下の説明では、上記キャップユニット1Aを備えたキャップ付き容器100Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0120】
本実施形態のキャップ付き容器100Bは、
図6及び
図7に示すように、本実施形態のキャップユニット1Bと、このキャップユニット1Bが着脱自在に取り付けられる容器本体2Aとを備えている。
【0121】
本実施形態のキャップユニット1Bは、上記キャップユニット1Aが備える口パッキン25の代わりに、栓部23と一体に成形された栓パッキン34を備えた構成である。
【0122】
なお、止水パッキン22は、上記キャップユニット1Aと同様に、インサート成形により下側口形成部11b(口形成部材11)と一体に成形されている。但し、本実施形態においては、口パッキン25は存在せず、代わりに栓部23(蓋体9)が栓パッキン34を備えている。
【0123】
栓パッキン34は、通液口12と栓部23との間を密閉するシール部材であり、例えばシリコーンゴム等の耐熱性を有するゴムやエラストマーなどの弾性部材からなる。
【0124】
栓パッキン34は、上記栓部23の閉栓凸部23aの代わりに、栓部23の下端部からドーム状に突出した閉栓凸部34aを有している。一方、上記栓部23の下端部には、円形状の孔部23bと、孔部23bの周囲に段差部23cとが設けられている。
【0125】
栓パッキン34は、インサート成形により栓部23(蓋体9)と一体に成形されている。具体的には、栓部23(蓋体9)との間で栓パッキン34に対応した形状のキャビティ空間を形成する金型を用いて、金型内に蓋体9をインサートし、このキャビティ空間内に栓パッキン34の形成材料を充填することによって、栓パッキン34を栓部23(蓋体9)と一体に成形している。
【0126】
また、栓部23(蓋体9)の栓パッキン34が成形される面には、プラズマ放電処理を行い、樹脂の表面に極性官能基を生成する表面改質処理を行うことが好ましい。
【0127】
なお、極性官能基を生成する工程は、プラズマ放電処理に限らず、フレーム処理、コロナ放電処理、イトロ処理等の表面改質処理を選択的に用いることが可能である。
【0128】
そして、この表面改質を行った栓部23(蓋体9)の表面にプライマーを塗布する。プライマーは、前工程で表面改質処理をされた栓部23(蓋体9)を形成する耐熱性樹脂材料の表面と化学的に結合し、且つ、栓パッキン34を形成する耐熱性のシリコーンゴム等の弾性部材とも化学的に結合し、密着性を向上させるものであれば、その組成については特に限定されるものではない。
【0129】
また、プライマーを塗布する方法についても、適宜選択することが可能である。例えば、プライマーの粘度が低い場合は、スプレー等による塗布であってもよい。また、粘度が高い場合は、刷毛によって塗布する方法等であってもよい。その他、ディスペンサーによる塗布や、ディップ方式を用いてもよい。
【0130】
栓パッキン34の外周部には、栓部23の段差部23cに対応した水平部及び垂直部からなる形状の段差部34bが設けられている。
【0131】
本実施形態のキャップユニット1Bでは、栓部23の孔部23b及び段差部23cに栓パッキン34の段差部34bが一体に成形されることで、互いに接する面積の増加により栓部23(蓋体9)に対して一体に成形された栓パッキン34の密着強度を高めることが可能である。
【0132】
さらに、栓パッキン34が通液口12と栓部23との間を密閉することで、栓パッキン34が圧縮され、上方向且つ拡径方向に圧縮荷重が発生する。このとき、栓部23の段差部23cは、栓パッキン34の段差部34bに対応した形状であり、この段差部23cに対して栓パッキン34を押し付ける方向に圧縮荷重を受けることになる。これにより、栓パッキン34の耐久性を高めることが可能である。
【0133】
なお、本実施形態において、栓部23は、孔部23bを有して、この孔部23bを塞ぐようにして栓パッキン34が取り付けられている。
【0134】
しかしながら、栓パッキン34の上部が空洞であるため、栓パッキン34の硬度や寸法によっては、栓パッキン34が容器本体2A内の圧力に負けて弾性変形することで、通液口12と栓部23との間の密閉が不十分となることも考えられる。
【0135】
このため、孔部23bの端部を栓パッキン34に倣うように縮径方向へ延長し、孔部23bの径を小さくすることで、その調整をすることが可能である。
【0136】
また、上記の構成以外にも、上記第1の実施形態と同様に、栓部23が孔部23bを有していない形状とすることも可能である。例えば、上記第1の実施形態における閉栓凸部23aに該当する部分に、栓パッキン34を一体成形してもよい。
【0137】
また、蓋体9において、天壁部9bの上面側は、キャップ部材24が蓋体9に一体に取り付けられて覆われているため、天壁部9bの上面側中心部を外部から目視することができなくなっている。
【0138】
これにより、例えば栓パッキン34と蓋体9を一体成形する際に生じる傷やゲートの跡、パーティングライン、突き出しピンの跡、わずかにはみ出したプライマーなど、蓋体9や栓パッキン34の上面側に現れるように調整することで、全てを覆い隠して外部から目視不可能とし、美観を向上させることが可能となる。
【0139】
なお、本実施形態においては、上述したようにキャップ部材24が別部材となっているが、蓋体9を別部材として成形し、溶着等によって一体に取り付けてもよく、蓋体9に対して着脱自在に取り付けてもよい。
【0140】
このようにすることで、栓パッキン34の上部の空洞がなくなり、閉栓凸部23aが上部で栓パッキン34を受けることで、栓パッキン34の弾性変形の程度を抑えるため、安定して通液口12と栓部23との間を密閉することができる。
【0141】
本実施形態のキャップユニット1Bでは、キャップ本体7の通液口12を蓋体9が閉塞する際に、上側口形成部11a(口形成部材11)の内側に蓋体9の栓部23が嵌め込まれた状態で、栓パッキン34の閉栓凸部34aが通液口12の周囲と全周に亘って密着した状態となる。これにより、通液口12と栓部23との間を密閉することが可能となっている。
【0142】
以上のような構成を有する本実施形態のキャップユニット1Bでは、上述した止水パッキン22が下側口形成部11b(口形成部材11)の下端側の外周部に一体に成形されると共に、栓パッキン34が栓部23(蓋体9)の下端部に一体に成形されている。
【0143】
これにより、本実施形態のキャップユニット1Bでは、止水パッキン22や栓パッキン34を口形成部材11(キャップ本体7)や栓部23(蓋体9)から取り外して別々に洗浄するといった手間が不要となる。また、止水パッキン22や栓パッキン34の取り付けや取り外しの手間もなく、付け忘れや付け間違えが発生することもない。
【0144】
また、止水パッキン22が容器本体2Aに直接潰されることがなく、摺動する部分も弾性フランジ部22dのみであるため、繰り返しの使用でも止水パッキン22が消耗しづらい。
【0145】
仮に、止水パッキン22が消耗した場合でも、キャップユニット1Aの全てを交換する必要はなく、キャップ本体7の口形成部材11のみを交換することで、止水パッキン22も一体で交換できるため、安価で済む。
【0146】
したがって、本実施形態のキャップ付き容器100Bでは、このようなキャップユニット1Bを備えることによって、使い勝手の更なる向上を図ることが可能である。
【0147】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態として、例えば
図8~
図11に示すキャップユニット1Cを備えたキャップ付き容器100Cについて説明する。
【0148】
なお、
図8は、キャップユニット1Cを備えたキャップ付き容器100Cを示す斜視図である。
図9は、キャップユニット1Cを備えたキャップ付き容器100Cの構成を示す断面図である。
図10は、キャップユニット1Cのキャップ本体41を示す斜視図である。
図11は、キャップユニット1Cを示す斜視図である。
【0149】
本実施形態のキャップ付き容器100Cは、
図8に示すように、本実施形態のキャップユニット1Cと、このキャップユニット1Cが着脱自在に取り付けられる容器本体2Bとを備えている。キャップ付き容器100Cは、真空断熱構造を有する容器本体2Bによって、この容器本体2Bに収容された飲料(液体)を保温又は保冷することが可能な飲料用容器である。
【0150】
具体的に、この容器本体2Bは、
図9に示すように、例えばステンレス等からなる有底筒状の外容器3及び内容器4を有し、外容器3の内側に内容器4を収容した状態で互いの口元部を接合した二重構造の容器により構成されている。
【0151】
また、外容器3と内容器4との間には、真空断熱層5が設けられている。真空断熱層5は、例えば、高真空に減圧(真空引き)されたチャンバー内で、外容器3の底面に設けられた脱気孔を塞ぐことによって形成することができる。
【0152】
容器本体2Bは、略円形状の底面部2aと、底面部2aの外周から略円筒状に起立した胴部2bと、胴部2bの上部側において縮径された略円筒状の口頸部2cとを有している。
【0153】
口頸部2cの上端部は、容器本体2Bの上部開口部2dとして、円形状に開口している。また、口頸部2cの内周面は、胴部2bの内周面よりも縮径されている。さらに、口頸部2cの内周面には、リング状の張出部6が全周に亘って突出して設けられている。
【0154】
なお、本実施形態のキャップ付き容器100Cは、全体として略円筒状の外観形状を有しているが、キャップ付き容器100Cの外観形状については、特に限定されるものではなく、サイズやデザイン等に合わせて、適宜変更を加えることが可能である。また、容器本体2Bの外周面には、塗装や印刷等が施されていてもよい。
【0155】
本実施形態のキャップユニット1Cは、容器本体2Bの上部開口部2dを閉塞する栓体を構成するものであり、キャップ本体41と、このキャップ本体41に着脱自在に取り付けられる蓋体42とを備えている。
【0156】
キャップ本体41は、
図9~
図11に示すように、例えばポリプロピレン(PP)やTRITAN(登録商標)のようなコポリエステル樹脂、又はポリフェニルスルホン(PPSU)等の耐熱性樹脂からなる筒状の外筒部材43及び口形成部材44を有している。口形成部材44は、口形成部として容器本体2Bの内側と連通される通液口45を形成している。
【0157】
キャップ本体41では、外筒部材43の内側に開口部43aと、この開口部43aの周囲に係止凸部43bとが設けられ、係止凸部43bが口形成部材44の外周面に設けられた係止凹部44aに係止される、いわゆるむり嵌めによって、外筒部材43を貫通した口形成部材44が外筒部材43に一体に取り付けられている。
【0158】
なお、キャップ本体41は、上述した外筒部材43と口形成部材44とが、いわゆるむり嵌め等によって一体に取り付けられた構成に必ずしも限定されるものではなく、外筒部材43と口形成部材44とが、係止状態と非係止状態とを選択できるような着脱自在な構成であってもよい。若しくは、外筒部材43と口形成部材44とが分離不可能なように一体に成形された構成であってもよい。
【0159】
口形成部材44(キャップ本体41)は、容器本体2Bの口頸部2cに螺合により着脱自在に取り付けられている。このため、口頸部2c(容器本体2B)の内周面には、第1の雌ネジ部46が設けられている。一方、口形成部材44の外周面には、第1の雌ネジ部46と螺合される第1の雄ネジ部47が設けられている。
【0160】
外筒部材43(キャップ本体41)の外周面は、容器本体2Bの口頸部2cに取り付けられた際に、外観が容器本体2Bの胴部2bと面一となるように略円筒状に形成されている。
【0161】
口形成部材44(キャップ本体41)の内側には、容器本体2Bの内側と連通される通液口45となる通液孔48が設けられている。
【0162】
通液孔48は、口形成部材44(キャップ本体41)の上端から下方に向けて漸次縮径されたテーパー孔部48aと、テーパー孔部48aの下端から下方に向けて同一径とされた第1のストレート孔部48bと、第1のストレート孔部48bの下端に第1のストレート孔部48bよりも縮径された段差部48cと、段差部48cから下方に向けて同一径とされた第2のストレート孔部48dとを有している。
【0163】
口形成部材44の外筒部材43を挟んだ上方側は、注ぎ口又は飲み口として、テーパー孔部48aの形状に合わせて、上端に向けて漸次拡径された広口部48eを形成している。これにより、通液孔48から流出した飲料(液体)を飲み易く又は注ぎ易くすることができる。
【0164】
口形成部材44は、第1のストレート孔部48bの下端から段差部48cの上端を繋ぐように、通液孔48に向けて緩やかに下方へ傾斜する底壁部48fを有している。
【0165】
口形成部材44の下端側の外周部には、止水パッキン49が一体に成形されている。止水パッキン49は、容器本体2Bの張出部6と口形成部材44との間を密閉するリング状のシール部材であり、例えばシリコーンゴム等の耐熱性を有するゴムやエラストマーなどの弾性部材からなる。
【0166】
止水パッキン49は、インサート成形により口形成部材44と一体に成形されている。具体的には、口形成部材44との間で止水パッキン49に対応した形状のキャビティ空間を形成する金型を用いて、金型内に口形成部材44をインサートし、このキャビティ空間内に止水パッキン49の形成材料を充填することによって、止水パッキン49を口形成部材44と一体に成形している。
【0167】
また、口形成部材44の止水パッキン49が成形される面には、プラズマ放電処理を行い、樹脂の表面に極性官能基を生成する表面改質処理を行うことが好ましい。
【0168】
なお、極性官能基を生成する工程は、プラズマ放電処理に限らず、フレーム処理、コロナ放電処理、イトロ処理等の表面改質処理を選択的に用いることが可能である。
【0169】
そして、この表面改質を行った口形成部材44の表面にプライマーを塗布する。プライマーは、前工程で表面改質処理をされた口形成部材44を形成する耐熱性樹脂材料の表面と化学的に結合し、且つ、止水パッキン49を形成する耐熱性のシリコーンゴム等の弾性部材とも化学的に結合し、密着性を向上させるものであれば、その組成については特に限定されるものではない。
【0170】
また、プライマーを塗布する方法についても、適宜選択することが可能である。例えば、プライマーの粘度が低い場合は、スプレー等による塗布であってもよい。また、粘度が高い場合は、刷毛によって塗布する方法等であってもよい。その他、ディスペンサーによる塗布や、ディップ方式を用いてもよい。
【0171】
口形成部材44は、止水パッキン49の内周側の上端部から内側に向かって突出した第1の凸部49aに対応した形状の第1の凹部44bと、止水パッキン49の内周側の下端部から上方に向かって突出した第2の凸部49bに対応した形状の第2の凹部44cとを有している。
【0172】
また、口形成部材44は、止水パッキン49の第1の凸部49aと第2の凸部49bとの間に位置して、口形成部材44の第1の凹部44bと第2の凹部44cと間に形成された止水パッキン49の第3の凹部49cに対応した形状の第3の凸部44dとを有している。
【0173】
本実施形態のキャップユニット1Cでは、止水パッキン49の内側に向かって突出された第1の凸部49aが口形成部材44の第1の凹部44bと一体に成形され、止水パッキン49の上方に向かって突出された第2の凸部49bが口形成部材44の第2の凹部44cと一体に成形される。
【0174】
さらに、止水パッキン49の第3の凹部49cと口形成部材44の第3の凸部44dとが一体に成形されることで、接触面積を増やすと共に、それぞれのアンカー効果により口形成部材44に対して一体に成形された止水パッキン49の密着強度を高めることが可能である。
【0175】
また、止水パッキン49の外周面には、2つの弾性フランジ部49dが拡径方向に突出して設けられている。
【0176】
本実施形態のキャップユニット1Cでは、容器本体2Bにキャップ本体41(キャップユニット1C)が取り付けられた際に、止水パッキン49の弾性フランジ部49dが弾性変形しながら、容器本体2Bの張出部6と全周に亘って密着した状態となる。
【0177】
これにより、張出部6(容器本体2B)と口形成部材44(キャップ本体41)との間を密閉(止水)することが可能となっている。
【0178】
また、容器本体2Bにキャップ本体41(キャップユニット1B)が取り付けられる際は、止水パッキン49の弾性フランジ部49dが上部開口部2dに触れることなく、容器本体2Bの内側へ導入される。
【0179】
その後、第1の雌ネジ部46と第1の雄ネジ部47との螺合によって、2つの弾性フランジ部49dのうち、下側の1つがリング状の張出部6の内側側面と、上側の1つが張出部6の上部の傾斜面から内側側面にかけて上方から載置されるように、それぞれ弾性変形しながら当接し、摺動する。
【0180】
ここで、止水パッキン49は、口形成部材44(キャップ本体41)と容器本体2Bの上部開口部2dとの間に挟まれながら摺動することがない。さらに、張出部6は、上部に傾斜面を有しており、弾性フランジ部49dと徐々に強く当接していくことで、摺動抵抗は滑らかに増加する。
【0181】
このため、螺合による摺動抵抗の急な増加を感じることがなく、使い心地を良くすることができる。また、摺動する部分も弾性フランジ部49dのみであるため、繰り返しの使用でも止水パッキン49が消耗しづらい。
【0182】
さらに、張出部6の内側側面と強く摺動するのは、2つの弾性フランジ部49dのうち下側の1つのみである。したがって、摺動抵抗も必要以上に増加することがない。
【0183】
また、容器本体2Bがリング状の張出部6を備えることで、止水に寄与する部分である金属製の内容器4の真円度を高く加工できるため、より安定した止水性を確保することが可能である。
【0184】
なお、止水パッキン49については、上述した形状のものに必ずしも限定されるものではなく、例えば、弾性フランジ部49dの数については、上述した2つに限らず、1つ又は3つ以上の複数とすることが可能である。
【0185】
また、止水パッキン49は、上述した弾性フランジ部49dが設けられた構成に必ずしも限定されるものではなく、その形状等について適宜変更を加えることが可能である。例えば、止水パッキン49の外周面の上端から下方に向かって湾曲しながら突出した形状を有する弾性フランジ部を設けた構成としてもよい。
【0186】
蓋体42は、口形成部材44の通液孔48を開閉するものであり、例えばポリプロピレン(PP)等の耐熱性樹脂からなる外蓋50及び栓部51を有している。
【0187】
外蓋50は、キャップ本体41の上部外側を覆う部分であり、外筒部材43(キャップ本体41)の外周面と面一となるように略円筒状に形成された周壁部50aと、周壁部50aの上部を覆う天壁部50bとを有している。
【0188】
栓部51は、キャップ本体41の内側に嵌め込まれた状態で通液孔48を閉塞する部分であり、略円形状の底壁部51aと、底壁部51aの周囲から略円筒状に立ち上がる周壁部51bとを有している。
【0189】
栓部51は、外蓋50の内側中央部に位置しており、溶着等により周壁部51bが天壁部50bの下面中央部に一体に取り付けられている。また、栓部51の内側には、断熱材(図示せず。)が配置されている。なお、栓部51の内側には、断熱材の代わりに、断熱層となる空気(空間)が設けられた構成としてもよい。
【0190】
蓋体42は、口形成部材44(キャップ本体41)に対して螺合により着脱自在に取り付けられている。このため、第2のストレート孔部48d(口形成部材44)の内周面には、第2の雌ネジ部52が設けられている。一方、周壁部51b(栓部51)の外周面には、第2の雌ネジ部52と螺合される第2の雄ネジ部53が設けられている。
【0191】
また、第2の雌ネジ部52及び第2の雄ネジ部53は、互いに相補形を為す二条ネジからなることで、キャップ本体41に対して蓋体42を少ない回転操作(本実施形態では約160°)で着脱することが可能である。
【0192】
また、口形成部材44の第2のストレート孔部48dには、
図9及び
図11に示すように、口形成部材44(キャップ本体41)の内側に残留した飲料(液体)を容器本体2B側へと戻すための複数の隙間Sが設けられている。
【0193】
口形成部材44の通液孔48の周囲には、全周に亘って口パッキン55が一体に成形されている。口パッキン55は、通液孔48の段差部48cと栓部51との間を密閉するリング状のシール部材であり、例えばシリコーンゴム等の耐熱性を有するゴムやエラストマーなどの弾性部材からなる。
【0194】
口パッキン55は、インサート成形により口形成部材44と一体に成形されている。具体的には、口形成部材44との間で口パッキン55に対応した形状のキャビティ空間を形成する金型を用いて、金型内に口形成部材44をインサートし、このキャビティ空間内に口パッキン55の形成材料を充填することによって、口パッキン55を口形成部材44の段差部48c(通液孔48)及びその下端側の面の周囲と一体に成形している。
【0195】
また、口形成部材44の口パッキン55が成形される面(段差部48c及びその下端側の面)には、プラズマ放電処理を行い、樹脂の表面に極性官能基を生成する表面改質処理を行うことが好ましい。
【0196】
なお、極性官能基を生成する工程は、プラズマ放電処理に限らず、フレーム処理、コロナ放電処理、イトロ処理等の表面改質処理を選択的に用いることが可能である。
【0197】
そして、この表面改質を行った段差部48c及びその下端側の面(口形成部材44)の表面にプライマーを塗布する。
【0198】
プライマーは、前工程で表面改質処理をされた口形成部材44を形成する耐熱性樹脂材料の表面と化学的に結合し、且つ、口パッキン55を形成する耐熱性のシリコーンゴム等の弾性部材とも化学的に結合し、密着性を向上させるものであれば、その組成については特に限定されるものではない。
【0199】
また、プライマーを塗布する方法についても、適宜選択することが可能である。例えば、プライマーの粘度が低い場合は、スプレー等による塗布であってもよい。また、粘度が高い場合は、刷毛によって塗布する方法等であってもよい。その他、ディスペンサーによる塗布や、ディップ方式を用いてもよい。
【0200】
本実施形態のキャップユニット1Cでは、口形成部材44の段差部48cに口パッキン55が一体に成形されることで、互いに接する面積の増加により口形成部材44に対して一体に成形された口パッキン55の密着強度を高めることが可能である。
【0201】
また、口パッキン55は、
図9に示すように、連結部55aを介して止水パッキン49と一体に連結されている。連結部55aは、口形成部材44に設けられた貫通孔44eを貫通した状態で、口形成部材44と一体に成形されている。
【0202】
連結部55a及び貫通孔44eは、1箇所でもよく、全周に亘って複数個所に設けられていてもよい。これにより、止水パッキン49及び口パッキン55は、通液孔48の全周に亘って、口形成部材44を上下から挟むように一体化されている。
【0203】
ここで、止水パッキン49及び口パッキン55の材料として、金型内への射出時には液状であり、金型内で硬化(加硫)が進行する、いわゆる液状シリコーンゴムなどを用いることが好適である。
【0204】
これにより、上下を連結する通路のような貫通孔44eや、第2の凸部49bのような先細りの複雑な形状、薄肉形状、若しくはゲートからの距離が遠い場合などにおいても、射出時の流動性が高いために問題なく成形することが可能である。
【0205】
これにより、本実施形態のキャップユニット1Cでは、口形成部材44の貫通孔44eを貫通した連結部55aを介して止水パッキン49及び口パッキン55を口形成部材44と一体に成形することが可能となっている。
【0206】
また、口パッキン55の内周側には、1つの弾性フランジ部55bが縮径方向に全周に亘って突出して設けられている。
【0207】
弾性フランジ部55bの上端は、口形成部材44の底壁部48fと略面一に形成されており、通液孔48に向けて緩やかに下方へ傾斜するため、飲料(液体)の流動を妨げることがない。
【0208】
弾性フランジ部55bの内周側の上部は、口形成部材44の内部側に残った僅かな飲料が容器本体2B内へ戻り易いように、断面が緩やかな鋭角形状を有している。また、この鋭角形状を設けることにより、弾性フランジ部55bの先端部側が弾性変形し易くなり、栓部51と全周に亘って当接する際に密着し易くなっている。
【0209】
また、弾性フランジ部55bの内周側の端部が、口形成部材44(キャップ本体41)において、第2の雌ネジ部52を除いて最も縮径された部位となっている。
【0210】
すなわち、弾性フランジ部55bの内周側の端部は、第2のストレート孔部48dよりも縮径されており、飲料が通液孔48から広口部48eを通って飲まれる又は注がれる際に、第2の雌ネジ部52を除いて最も流路が狭くなる部分となっている。
【0211】
なお、弾性フランジ部55bの形状については、上述した形状に限らず、適宜変更することが可能である。
【0212】
具体的に、上記鋭角形状や弾性フランジ部55b全体としての傾斜角、フランジ状に張り出す長さなど、栓部51の形状や栓部51との当接の具合によって、適宜調節することが可能である。
【0213】
本実施形態のキャップユニット1Cでは、通液孔48(口形成部材44)の内側に蓋体42の栓部51が嵌め込まれた際に、口パッキン55の弾性フランジ部55bが弾性変形しながら、栓部51の周壁部51bと全周に亘って密着した状態となる。これにより、通液孔48と栓部51との間を密閉することが可能となっている。
【0214】
以上のような構成を有する本実施形態のキャップユニット1Cでは、上述した止水パッキン49が口形成部材44の下端側の外周部に一体に成形されると共に、口パッキン55が口形成部材44の通液孔48の周囲に一体に成形されている。
【0215】
これにより、本実施形態のキャップユニット1Cでは、止水パッキン49や口パッキン55を口形成部材44(キャップ本体41)と一度に洗浄でき、止水パッキン49や口パッキン55の取り付け及び取り外しの手間もなく、付け忘れや付け間違えが発生することもない。
【0216】
さらに、止水パッキン49及び口パッキン55に劣化が生じた場合でも、口形成部材44(キャップ本体41)と一体で交換できるため、キャップ本体41のみ購入、交換すればよく、便利である。
【0217】
また、止水パッキン49が容器本体2Bに直接潰されることがなく、摺動する部分も弾性フランジ部49dのみであるため、繰り返しの使用でも止水パッキン49が消耗しづらい。
【0218】
このため、止水パッキン49の形状は、成形できる程度の薄肉形状でよい。仮に止水パッキン49や口パッキン55が消耗した場合でも、キャップユニット1C全てを交換する必要はなく、キャップ本体41のみを交換することで、止水パッキン49、及び口パッキン55も一体で交換できるため、安価で済む。
【0219】
さらに、口形成部材44に対して、止水パッキン49と口パッキン55とが連結部55aを介して一体に連結されている。
【0220】
このため、一度のインサート成形で、実質的に2箇所のパッキン(止水パッキン49と口パッキン55)を一体に成形でき、効率的であるため、製造コストの削減に寄与する。
【0221】
したがって、本実施形態のキャップ付き容器100Cでは、このようなキャップユニット1Cを備えることによって、使い勝手の更なる向上を図ることが可能である。
【0222】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態として、例えば
図12及び
図13に示すキャップユニット1Dを備えたキャップ付き容器100Dについて説明する。
【0223】
なお、
図12は、キャップユニット1Dを備えたキャップ付き容器100Dの構成を示す断面図である。
図13は、キャップユニット1Dの蓋体42を示す斜視図である。また、以下の説明では、上記キャップユニット1Cを備えたキャップ付き容器100Cと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0224】
本実施形態のキャップ付き容器100Dは、
図4に示すように、本実施形態のキャップユニット1Dと、このキャップユニット1Dが着脱自在に取り付けられる容器本体2Bとを備えている。
【0225】
本実施形態のキャップユニット1Dは、上記キャップユニット1Cが備える口パッキン55の代わりに、栓部51と一体に成形された栓パッキン56を備えた構成である。
【0226】
なお、止水パッキン49は、上記キャップユニット1Cと同様に、インサート成形により口形成部44と一体に成形されている。但し、本実施形態においては、口パッキン55は存在せず、代わりに栓部51(蓋体42)が栓パッキン56を備えている。
【0227】
また、本実施形態においては、口パッキン55が存在しないため、段差部48cは存在しない。すなわち、口形成部材44の第1のストレート孔部48bの下に連続して、第2のストレート孔部48dが存在する。
【0228】
なお、本実施形態において、第1のストレート孔部48bと第2のストレート孔部48dとを繋ぐ底壁部48fの形状について、通液孔48に向けて緩やかに下方へ傾斜する形状とすることで、残った僅か飲料が容器本体2B内へ戻り易い。
【0229】
栓パッキン56は、
図12及び
図13に示すように、通液孔48と栓部51との間を密閉するシール部材であり、例えばシリコーンゴム等の耐熱性を有するゴムやエラストマーなどの弾性部材からなる。
【0230】
栓パッキン56は、インサート成形により栓部51(蓋体42)と一体に成形されている。具体的には、栓部51(蓋体42)との間で栓パッキン56に対応した形状のキャビティ空間を形成する金型を用いて、金型内に栓部51をインサートし、このキャビティ空間内に栓パッキン56の形成材料を充填することによって、栓パッキン56を栓部51(蓋体42)と一体に成形している。
【0231】
また、栓部51(蓋体42)の栓パッキン56が成形される面には、プラズマ放電処理を行い、樹脂の表面に極性官能基を生成する表面改質処理を行うことが好ましい。
【0232】
なお、極性官能基を生成する工程は、プラズマ放電処理に限らず、フレーム処理、コロナ放電処理、イトロ処理等の表面改質処理を選択的に用いることが可能である。
【0233】
そして、この表面改質を行った栓部51(蓋体42)の表面にプライマーを塗布する。
【0234】
プライマーは、前工程で表面改質処理をされた栓部51(蓋体42)を形成する耐熱性樹脂材料の表面と化学的に結合し、且つ、栓パッキン56を形成する耐熱性のシリコーンゴム等の弾性部材とも化学的に結合し、密着性を向上させるものであれば、その組成については特に限定されるものではない。
【0235】
また、プライマーを塗布する方法についても、適宜選択することが可能である。例えば、プライマーの粘度が低い場合は、スプレー等による塗布であってもよい。また、粘度が高い場合は、刷毛によって塗布する方法等であってもよい。その他、ディスペンサーによる塗布や、ディップ方式を用いてもよい。
【0236】
栓パッキン56の内周部には、栓部51の周壁部51bの全周に亘って設けられた凹部51cに対応した形状の凸部56aが全周に亘って設けられている。
【0237】
本実施形態のキャップユニット1Dでは、栓部51の凹部51cに栓パッキン56の凸部56aが一体に成形されることで、互いに接する面積の増加により栓部51(蓋体42)に対して一体に成形された栓パッキン56の密着強度を高めることが可能である。
【0238】
また、栓パッキン56の外周面には、2つの弾性フランジ部56bが拡径方向に突出して設けられている。
【0239】
本実施形態のキャップユニット1Dでは、通液孔48(口形成部材44)の内側に蓋体42の栓部51が嵌め込まれた際に、栓パッキン56の弾性フランジ部56bが弾性変形しながら、通液孔48(口形成部材44)の第1のストレート孔部48bと全周に亘って密着した状態となる。これにより、通液孔48と栓部51との間を密閉することが可能となっている。
【0240】
以上のような構成を有する本実施形態のキャップユニット1Dでは、上述した止水パッキン49が下側口形成部11b(口形成部材11)の下端側の外周部に一体に成形されると共に、栓パッキン56が栓部51(蓋体42)の外周部に一体に成形されている。
【0241】
これにより、本実施形態のキャップユニット1Dでは、止水パッキン49や栓パッキン56を口形成部材44(キャップ本体41)や栓部51(蓋体42)から取り外して別々に洗浄するといった手間が不要となる。
【0242】
また、止水パッキン49や栓パッキン56の取り付け及び取り外しの手間もなく、付け忘れや付け間違えが発生することもない。さらに、止水パッキン49に劣化が生じた場合でも、口形成部材44(キャップ本体41)と一体で交換できるため、1つの部品のみ購入、交換すればよく、便利である。
【0243】
また、止水パッキン49が容器本体2Bに直接潰されることがなく、摺動する部分も弾性フランジ部49dのみであるため、繰り返しの使用でも止水パッキン49が消耗しづらい。
【0244】
仮に、止水パッキン49が消耗した場合でも、キャップユニット1C全てを交換する必要はなく、キャップ本体41のみを交換することで、止水パッキン49も一体で交換できるため、安価で済む。
【0245】
したがって、本実施形態のキャップ付き容器100Dでは、このようなキャップユニット1Dを備えることによって、使い勝手の更なる向上を図ることが可能である。
【0246】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0247】
例えば、上記実施形態では、上述した真空断熱構造を有する容器本体2A,2Bによって保冷機能又は保温機能を持たせた飲料用容器に本発明を適用した場合を例示しているが、容器本体と、容器本体に着脱自在に取り付けられるキャップユニットとを備えたキャップ付き容器に対して、本発明を幅広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0248】
1A~1D…キャップユニット 2A,2B…容器本体 6…張出部 7…キャップ本体 8…第1のヒンジ部 9…蓋体 10…外筒部材(外筒部) 11…口形成部材(口形成部) 12…通液口 22…止水パッキン 23…栓部 25…口パッキン 25b…連結部 34…栓パッキン 41…キャップ本体 42…蓋体 43…外筒部材(外筒部) 44…口形成部材(口形成部) 45…通液口 48…通液孔(通液口) 49…止水パッキン 50…外蓋 51…栓部 55…口パッキン 55a…連結部 56…栓パッキン