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特開2024-12336トランスサイレチン免疫グロブリン融合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012336
(43)【公開日】2024-01-30
(54)【発明の名称】トランスサイレチン免疫グロブリン融合物
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20240123BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240123BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240123BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20240123BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20240123BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240123BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20240123BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20240123BHJP
   C07K 14/47 20060101ALI20240123BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240123BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
C12N15/13
C12N15/62 Z ZNA
C07K19/00
C07K16/28
C07K16/18
C12N5/10
C12P21/08
C12N15/12
C07K14/47
A61P35/00
A61K39/395 N
【審査請求】有
【請求項の数】32
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023179333
(22)【出願日】2023-10-18
(62)【分割の表示】P 2020516448の分割
【原出願日】2018-10-03
(31)【優先権主張番号】62/568,217
(32)【優先日】2017-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
2.PLURONIC
3.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケネス・ウォーカー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】その非多量体化対応物と比較して抗体結合活性が増加し、抗原のクラスター化が強化されている多量体化されたタンパク質を提供する。
【解決手段】トランスサイレチン(TTR)タンパク質複合体に連結された2つの抗原結合タンパク質を含む、ホモ二量体融合タンパク質であって、抗原結合タンパク質が、グルココルチコイド誘導TNFR関連タンパク質(GITR)、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド受容体-2(TRAILR2)、又は抗カンナビノイド受容体-1(CB1R)に結合する抗体である、ホモ二量体融合タンパク質を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの抗原結合タンパク質を含むホモ二量体融合タンパク質であって、前記抗原結合タンパク質が、タンパク質複合体に連結される、ホモ二量体融合タンパク質。
【請求項2】
前記タンパク質複合体が、TTRタンパク質複合体である、請求項1に記載のホモ二量体融合タンパク質。
【請求項3】
前記抗原結合タンパク質が、抗体である、請求項1又は2に記載のホモ二量体融合タンパク質。
【請求項4】
前記抗原結合タンパク質が、リンカーなしで、前記タンパク質複合体に直接融合される、請求項1~3のいずれか一項に記載のホモ二量体融合タンパク質。
【請求項5】
前記抗原結合タンパク質のC末端が、前記TTRタンパク質複合体中に存在するN末端に直接融合される、請求項4に記載のホモ二量体融合タンパク質。
【請求項6】
前記抗原結合タンパク質が、リンカーを介して、前記タンパク質複合体に融合される、請求項1~3のいずれか一項に記載のホモ二量体融合タンパク質。
【請求項7】
前記抗原結合タンパク質のC末端が、前記TTRタンパク質複合体中に存在するN末端に連結される、請求項6に記載のホモ二量体融合タンパク質。
【請求項8】
前記リンカーが、アミノ酸リンカーである、請求項7に記載のホモ二量体融合タンパク質。
【請求項9】
請求項8に記載のアミノ酸リンカーであって、1~40のアミノ酸長である、アミノ酸リンカー。
【請求項10】
GGGGS、(GGGGS)、(GGGGS)、(GGGGS)、(GGGGS)、又は(GGGGS)である、請求項9に記載のアミノ酸リンカー。
【請求項11】
4つの抗原結合タンパク質を含むホモ四量体融合タンパク質であって、前記抗原結合タンパク質が、タンパク質複合体に連結される、ホモ四量体融合タンパク質。
【請求項12】
前記タンパク質複合体が、TTRタンパク質複合体である、請求項11に記載のホモ四量体融合タンパク質。
【請求項13】
前記抗原結合タンパク質が、抗体である、請求項11又は12に記載のホモ四量体融合タンパク質。
【請求項14】
前記抗原結合タンパク質が、Fabである、請求項11又は12に記載のホモ四量体融合タンパク質。
【請求項15】
前記抗原結合タンパク質が、リンカーなしで、前記タンパク質複合体に直接融合される、請求項11~14のいずれか一項に記載のホモ四量体融合タンパク質。
【請求項16】
前記抗原結合タンパク質のC末端が、前記TTRタンパク質複合体中に存在するN末端に直接融合される、請求項15に記載のホモ四量体融合タンパク質。
【請求項17】
前記抗原結合タンパク質が、リンカーを介して、前記タンパク質複合体に融合される、請求項11~14のいずれか一項に記載のホモ四量体融合タンパク質。
【請求項18】
前記抗原結合タンパク質のC末端が、前記TTRタンパク質複合体中に存在するN末端に連結される、請求項17に記載のホモ四量体融合タンパク質。
【請求項19】
前記リンカーが、アミノ酸リンカーである、請求項18に記載のホモ四量体融合タンパク質。
【請求項20】
請求項19に記載のアミノ酸リンカーであって、1~40のアミノ酸長である、アミノ酸リンカー。
【請求項21】
前記アミノ酸リンカーが、GGGGS、(GGGGS)、(GGGGS)、(GGGGS)、(GGGGS)、又は(GGGGS)である、請求項20に記載のアミノ酸リンカー。
【請求項22】
請求項1~10のいずれか一項に記載のホモ二量体融合タンパク質を含む、医薬組成物。
【請求項23】
請求項11~22のいずれか一項に記載のホモ四量体融合タンパク質を含む、医薬組成物。
【請求項24】
請求項1~10のいずれか一項に記載のホモ二量体融合タンパク質を用いたがんの治療方法。
【請求項25】
請求項11~22のいずれか一項に記載のホモ四量体融合タンパク質を用いたがんの治療方法。
【請求項26】
がんの治療における、請求項1~10のいずれか一項に記載のホモ二量体融合タンパク質の使用。
【請求項27】
がんの治療における、請求項11~22のいずれか一項に記載のホモ四量体融合タンパク質の使用。
【請求項28】
がんの治療にて使用するための、請求項1~10のいずれか一項に記載のホモ二量体融合タンパク質。
【請求項29】
がんの治療にて使用するための、請求項11~22のいずれか一項に記載のホモ四量体融合タンパク質。
【請求項30】
請求項1~10のいずれか一項に記載のホモ二量体融合タンパク質をコードする、1つ以上の単離核酸。
【請求項31】
請求項30に記載の核酸を含む、発現ベクター。
【請求項32】
請求項30に記載の核酸又は請求項31に記載のベクターを含む、組換え宿主細胞。
【請求項33】
前記宿主細胞が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、E5細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓(COS)細胞、ヒト肝細胞癌細胞、又はヒト胎児腎臓293(HEK293)細胞である、請求項32に記載の組換え宿主細胞。
【請求項34】
請求項1~10のいずれか一項に記載のホモ二量体融合タンパク質、又は請求項11~22のいずれか一項に記載のホモ四量体融合タンパク質の作製方法であって、前記方法が
a)請求項32又は33に記載の組換え宿主細胞を培養することと、
b)前記培養物からホモ二量体融合タンパク質又はホモ四量体融合タンパク質を単離することと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2017年10月4日に出願された米国仮特許出願第62/568,217号の利益を米国特許法第119条(e)の下で主張するものである。
【0002】
本発明は、抗体及びFabなどの抗体断片の二量体化及び四量体化において有用なトランスサイレチン(TTR)融合に関する。本明細書で記載されるTTR融合タンパク質は、抗体結合活性の増加及び抗原クラスター化の強化において特に有用である。本発明の融合タンパク質を用いた疾患治療方法が、本明細書に記載される。
【0003】
配列表の参照
本願は、ePCTを介して電子フォーマットの配列表と共に出願されている。配列表は、2018年10月2日に作製されたA-2196-WO-PCT_Sequence_Listing_ST25.txtという名称のテキストファイルとして提供され、サイズが69,791バイトである。電子フォーマットの配列表における情報は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
トランスサイレチン(TTR)は、レチノール結合タンパク質の血清半減期の延長、並びに循環チロキシンの一部の輸送を担う非共有結合性四量体のヒト血清及び脳脊髄液タンパク質である。天然ヒトモノマーは、およそ14kDaの分子量を有するが、TTRは、典型的には、56kDaの四量体血清タンパク質として存在する。
【0005】
TTR及びTTRバリアントは、このような物質の血清半減期を延長するために、生物学的活性物質に前もって融合されている。例えば、生物学的活性物質単独と比較して、延長された血清半減期を示す、TTR-(又はTTRバリアント-)生物学的活性物質融合物及びPEG-TTR-(又はPEG-TTRバリアント-)生物学的活性物質融合物の実質的に均質な製剤が開発されてきた。例えば、その全体が参照として本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第20030191056号明細書を参照されたい。
【0006】
加えて、タンパク質を多量体化する以前からの試みとしては、ストレプトアビジン(Kipriyanov et al.,Protein Engineering,9(2):203-211(1996))、ヘリックスターンヘリックス構築物(Kriangkum et al.,Biomolecular Engineering,18:31-40(2001))、ロイシンジッパー(Kruif et al.,The Journal of Biological Chemistry,271(13):7630-7634,1996(1996))、バーナーゼ(barnase)/バースター(barstar)複合体(Deyev et al.,Nature Biotechnology,21(12):1486-1492(2003))、及びDock N Lockテクノロジー(プロテインキナーゼとA-キナーゼアンカータンパク質アンカードメイン相互作用)(Goldenberg et al.,Journal of Nuclear Medicine,49(1):158-163(2008))の使用が挙げられる。
【0007】
しかし、強化された生物学的及び治療的特性を示す、多量体化された全抗体及び抗体断片(例えば、Fab)などの多量体化されたタンパク質に対する必要性が依然として存在する。例えば、その非多量体化対応物と比較して抗体結合活性が増加し、抗原のクラスター化が強化されている多量体化されたタンパク質に対する必要性が依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第20030191056号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Kipriyanov et al.,Protein Engineering,9(2):203-211(1996)
【非特許文献2】Kriangkum et al.,Biomolecular Engineering,18:31-40(2001)
【非特許文献3】Kruif et al.,The Journal of Biological Chemistry,271(13):7630-7634,1996(1996)
【非特許文献4】Deyev et al.,Nature Biotechnology,21(12):1486-1492(2003)
【非特許文献5】Goldenberg et al.,Journal of Nuclear Medicine,49(1):158-163(2008)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様では、本発明は、2つの抗原結合タンパク質を含むホモ二量体融合タンパク質であって、抗原結合タンパク質は、タンパク質複合体に連結される、ホモ二量体融合タンパク質に関する。特定の態様では、タンパク質複合体は、TTRタンパク質複合体である。特定の態様では、抗原結合タンパク質は、抗体である。別の特定の態様では、抗原結合タンパク質は、リンカーなしで、タンパク質複合体に直接融合される。別の特定の態様では、抗原結合タンパク質のC末端は、TTRタンパク質複合体中に存在するN末端に直接融合される。いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、リンカーを介して、タンパク質複合体に融合される。他の実施形態では、抗原結合タンパク質のC末端は、TTRタンパク質複合体中に存在するN末端に連結される。リンカーは、アミノ酸リンカー、例えば1~20のアミノ酸長であるアミノ酸リンカーなどであってもよい。特定の実施形態では、アミノ酸リンカーは、GGGGS、(GGGGS)、(GGGGS)、(GGGGS)、(GGGGS)、又は(GGGGS)である。
【0011】
別の態様では、本発明は、4つの抗原結合タンパク質を含むホモ四量体融合タンパク質であって、抗原結合タンパク質は、タンパク質複合体に連結される、ホモ四量体融合タンパク質に関する。一態様では、タンパク質複合体は、TTRタンパク質複合体である。別の態様では、抗原結合タンパク質は、抗体である。抗原結合タンパク質は、Fabであってもよい。いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、リンカーなしで、上記タンパク質複合体に直接融合される。特定の実施形態では、抗原結合タンパク質のC末端は、TTRタンパク質複合体中に存在するN末端に直接融合される。他の実施形態では、抗原結合タンパク質は、リンカーを介して、上記タンパク質複合体に融合される。抗原結合タンパク質のC末端は、TTRタンパク質複合体中に存在するN末端に連結されてもよい。いくつかの実施形態では、リンカーは、アミノ酸リンカー、例えば1~20のアミノ酸長であるアミノ酸リンカーなどである。特定の実施形態では、アミノ酸リンカーは、GGGGS、(GGGGS)、(GGGGS)、(GGGGS)、(GGGGS)、又は(GGGGS)である。
【0012】
本発明はまた、上述したホモ二量体又はホモ四量体融合タンパク質のいずれかを含む医薬組成物に関する。
【0013】
加えて、本発明は、上述したホモ二量体又はホモ四量体融合タンパク質のいずれかを用いたがん治療方法に関する。さらに、本発明は、がんの治療における、上述したホモ二量体又はホモ四量体融合タンパク質のいずれかの使用に関する。別の態様では、本発明は、がんの治療にて使用するための、上述したホモ二量体又はホモ四量体融合タンパク質のいずれかに関する。
【0014】
いくつかの態様では、本発明は、上述したホモ二量体又はホモ四量体融合タンパク質のいずれかコードする、1つ以上の単離核酸に関する。このような核酸を含む発現ベクターはまた、上述した核酸及び/又はベクターを含む組換え宿主細胞であるとして検討される。特定の実施形態では、組換え宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、E5細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓(COS)細胞、ヒト肝細胞癌細胞、又はヒト胎児腎臓293(HEK293)細胞である。
【0015】
上述したホモ二量体又はホモ四量体融合タンパク質のいずれかの作製方法もまた、本発明の一部である。このような方法は、a)請求項32又は33に記載の組換え宿主細胞を培養することと、b)上記培養物からホモ二量体又はホモ四量体融合タンパク質を単離することと、を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明のホモ多量体構築物の略図である。図1aは、両方の抗体重鎖のC末端が各TTRサブユニットのN末端に連結される、例示的なTTR抗体ホモ二量体融合タンパク質である。図1bは、各抗体C末端の2つの重鎖のうちの1つが各TTRサブユニットのN末端に連結される、例示的なTTR抗体ホモ四量体融合タンパク質である。「+」及び「-」の記号は、抗体全体で1つのTTRサブユニットの一貫した付着を可能にするFc電荷対を示す。図1cは、各Fab断片のC末端が各TTRサブユニットのN末端に連結される例示的なTTR Fabホモ四量体融合タンパク質である。図1a~図1cの各々は、重鎖とTTRの間の任意選択的なリンカーを示す。
図2図2は、リンカーなし及びリンカー長を変化させた抗CB1 TTR抗体ホモ二量体(図2a)、並びにリンカーなしの抗CB1 TTR抗体ホモ四量体(図2b)、並びにリンカーなしの抗CB1 TTR Fabホモ四量体タンパク質(図2c)が、それぞれ、HEK 293細胞でしっかりと発現することを示す一連のSDS-PAGEゲルである。図2は、さらに実施例2で議論される。
図3図3は、リンカーなし、(GS)リンカーあり、(GS)リンカーあり、(GS)リンカーあり、又は(GS)リンカーありの抗CB1 TTR抗体ホモ二量体融合タンパク質の一連のHPLCサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)分析である。図3は、さらに実施例2で議論される。
図4図4は、TTR抗CB1抗体ホモ四量体及びTTR抗CB1 Fabホモ四量体融合タンパク質が、親CB1 Abと比較してEC50を改善することを示す。図4は、さらに実施例3で議論される。
図5図5は、抗GITR TTR抗体ホモ二量体(レーン1)、抗GITR TTR抗体ホモ四量体(レーン2)、及び抗GITR TTR Fabホモ四量体タンパク質(レーン3)が、それぞれ、HEK293細胞で発現することを示すSDS-PAGEゲルである。レーン4~7は、抗ジニトロフェニル(抗DNP)抗体である。図5は、さらに実施例4で議論される。
図6図6は、抗GITR TTR抗体ホモ二量体(レーン1及び4)、抗GITR TTR抗体ホモ四量体(レーン2及び5)、及び抗GITR TTR Fabホモ四量体タンパク質(レーン3及び6)が、非加熱、非還元レーンに基づいて正しく構築されることを示すSDS-PAGEゲルである。加熱及び還元により、3つのタンパク質融合構築物は予想される構成要素の鎖に分解される(上の方のバンドは重鎖であり、最も低い位置のバンドは軽鎖である)。図6は、さらに実施例4で議論される。
図7図7は、抗GITR TTR抗体ホモ二量体(中央のピーク)、抗GITR TTR抗体ホモ四量体(左のピーク)、及び抗GITR TTR Fabホモ四量体(右のピーク)融合タンパク質の各々のHPLC SEC分析である。図7は、さらに実施例4で議論される。
図8図8は、抗GITR TTR親mAb(「1」)、抗GITR TTR抗体ホモ四量体(「2」)、抗GITR TTR Fabホモ四量体(「3」)、及び抗GITR TTR抗体ホモ二量体(「4」)融合タンパク質の示差走査熱量計(DSC)分析である。図8は、TTR融合タンパク質の融解温度が、親Abに匹敵するか又はそれより良好であることを示し、形成されたTTR融合タンパク質が強いことを示す。
図9図9a)は、抗GITR抗体種全体のin vivo(マウス)での薬物動態(PK)解析の結果である。図9b)は、インタクト抗GITR TTR融合タンパク質のin vivo(マウス)でのPK解析の結果である。
図10図10a)は、抗GITR TTR Fabホモ四量体(「2」)、抗GITR TTR抗体ホモ二量体(「3」)、及び抗GITR TTR抗体ホモ四量体(「4」)融合タンパク質の結合親和性が、親抗GITR mAb(「1」)よりも優れていることを示す。図10b)は、細胞系アッセイでは、親和性が高くても効力が高くならないことを示す。
図11図11は、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体(1)及び抗TRAILR2 TTR Fabホモ四量体(2)タンパク質が、それぞれ、哺乳類細胞中でよく発現し、正しく構築されることを示す一連のSDS-PAGEゲルである。
図12図12は、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ四量体が、CHO-K1細胞中でよく発現し、正しく構築されることを示す一連のSDS-PAGEゲルである。
図13図13は、抗TRAILR2 TTR Fabホモ四量体、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体、及び抗TRAILR2 TTR抗体ホモ四量体が、非加熱、非還元レーンに基づいて正しく構築されることを示すSDS-PAGEゲルである。加熱及び還元により、分子は予想される構成要素の鎖に分解される(上の方のバンドは重鎖であり、最も低い位置のバンドは軽鎖である)。
図14図14は、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体(中央のクロマトグラム)、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ四量体(右のクロマトグラム)、及び抗TRAILR2 TTR Fabホモ四量体(左のクロマトグラム)融合タンパク質の各々のHPLC SEC分析である。
図15図15a)は、抗TRAILR2抗体種全体のin vivo(マウス)でのPK解析の結果である。図15b)は、インタクト抗TRAILR2 TTR融合タンパク質のin vivo(マウス)でのPK解析の結果である。
図16図16は、WM35細胞殺傷アッセイにおける、親mAb(コナツムマブ)と比較した抗TRAILR2 TTR融合タンパク質の効力を示す。
図17図17は、一次ヒトケラチノサイト細胞殺傷アッセイにおける、親mAb(コナツムマブ;(「1」)と比較した抗TRAILR2 TTR Fabホモ四量体(「2」)及びTTR抗体ホモ四量体(「3」)の効力を示す。
図18図18は、ネズミcolo205モデルにおける、親mAb(コナツムマブ)と比較した抗TRAILR2 TTR融合タンパク質の腫瘍増殖抑制能力を示す。
図19図19は、ネズミSW403モデルにおける、親mAb(コナツムマブ)と比較した抗TRAILR2 TTR融合タンパク質の腫瘍増殖抑制能力を示す。
図20図20は、ネズミcolo205モデルマウス及びネズミSW403モデルマウスの体重が、試験した全ての化合物で類似していることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書で使用されるセクションの見出しは、構成上の目的に過ぎず、記載される主題を限定するものと解釈されるべきではない。
【0018】
本明細書では、別段の定義がない限り、本出願と関連して使用される科学用語及び専門用語は、当業者によって一般に理解される意味を有する。さらに、文脈上異なる解釈を要する場合を除き、単数形の用語は、複数形を含むものとし、複数形の用語は、単数形を含むものとする。
【0019】
一般に、細胞及び組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、並びに本明細書に記載のタンパク質及び核酸の化学及びハイブリダイゼーションに関連して使用される命名法及び技術は当該技術分野でよく知られ、且つ一般に使用されているものである。別段の記載がない限り、本出願の方法及び手法は、一般に、当該技術分野においてよく知られる通常の方法に従って実施され、こうした方法及び手法は、本明細書を通して引用及び議論される様々な一般の参考文献及び特定性の高い参考文献に記載されるものである。例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(2001)、Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Associates(1992)、及びHarlow and Lane Antibodies:A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1990)(これらの文献は参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。酵素反応及び精製手法は、製造者の説明に従って実施されるか、当該技術分野において一般に達成されるように実施されるか、又は本明細書に記載のように実施される。本明細書に記載の分析化学、合成有機化学、並びに医薬品化学及び製薬化学と関連して使用される専門用語、並びにそれらの実験室的な手順及び手法は、よく知られているものであり、当該技術分野において一般に使用されるものである。化学合成、化学分析、医薬調製、配合、及び送達、並びに患者の治療に標準的な手法が使用され得る。
【0020】
本発明は、本明細書に記載の特定の方法論、プロトコル及び試薬などに限定されず、したがって、変わり得るものであると理解されるべきである。本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態の説明を目的としているにすぎず、開示の範囲の限定は意図されず、開示の範囲は、特許請求の範囲のみによって定義される。
【0021】
実施例又は別の形で記載される場合を除き、本明細書で使用される成分又は反応条件の量を示す数は全て、全ての場合において「約」という用語によって修飾されると理解されるべきである。「約」という用語は、割合と関連して使用されるとき、±1%を意味し得る。
【0022】
より狭い範囲、具体的には本明細書の特定のパラグラフによって定義される変形よりも狭い範囲全ての実施形態は、本開示に含まれると見なされるべきである。例えば、特定の態様は類概念として説明されており、類概念の全ての構成要素は、個別に、実施形態であり得ることを理解すべきである。また、類概念として記載された態様又は類概念の構成要素を選択する態様は、類概念の2つ以上の構成要素の組み合わせを包含すると理解すべきである。また、様々な実施形態の様々な状況下で「含んでいる」という言語を使用して提示される一方、関連する実施形態はまた、「~からなっている」又は「本質的に~からなっている」という言語を使用して記載され得ると理解すべきである。
【0023】
本願では、「又は」の使用は、特に断らない限り「及び/又は」を意味する。さらに、「含んでいる」という用語並びに「含む」及び「含まれる」などの他の形態の使用は、限定的ではない。また、「要素」又は「構成要素」などの用語は、特に断らない限り、1つのユニットを含む要素及び構成要素並びに2つ以上のサブユニットを含む要素及び構成要素の両方を包含する。
【0024】
定義
「アミノ酸」は、当該技術分野におけるその標準の意味を含む。20種の天然起源のアミノ酸及びそれらの略語は、従来の使用法に従う。Immunology-A Synthesis,2nd Edition,(E.S.Golub and D.R.Green,eds.),Sinauer Associates:Sunderland,Mass.(1991)(この文献は任意の目的で参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。20種の従来のアミノ酸の立体異性体(例えば、D-アミノ酸)、[α]-,[α]-二置換アミノ酸などの非天然アミノ酸、N-アルキルアミノ酸、及び他の非従来型のアミノ酸もまた、ポリペプチドに好適な構成成分であり得、語句「アミノ酸」に含まれる。非従来型アミノ酸の例としては、以下:4-ヒドロキシプロリン、[γ]-カルボキシグルタミン酸、[ε]-N,N,N-トリメチルリシン、[ε]-N-アセチルリシン、O-ホスホセリン、N-アセチルセリン、N-ホルミルメチオニン、3-メチルヒスチジン、5-ヒドロキシリシン、[σ]-N-メチルアルギニン、並びに他の類似のアミノ酸及びイミノ酸(例えば、4-ヒドロキシプロリン)が挙げられる。本明細書で使用されるポリペプチド表記法では、標準的な使用法及び慣例に従って、左手方向はアミノ末端方向であり、右手方向はカルボキシル末端方向である。
【0025】
本明細書で使用する場合、「アンタゴニスト」は、概して、分子、例えば、本明細書に提示されるような抗原結合タンパク質を指し、これは、抗原に結合でき、抗原に付随する生物学的シグナルを阻害する、低下させる、又は排除することができる。
【0026】
「抗体」という用語は、任意のアイソタイプの免疫グロブリン、又は標的抗原への結合についてインタクトな抗体と競合することができるその断片を指す。「抗体」は、抗原結合タンパク質の一種である。用語「抗体」は、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、及び抗イディオタイプ(抗Id)抗体を含むがこれらに限定されない。抗体は、任意のアイソタイプ/クラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、及びIgY)、又はサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4)のものであり得る。いくつかの実施形態では、抗体は、少なくとも2つの全長重鎖及び2つの全長軽鎖を含む。他の実施形態では、抗体は、重鎖のみを含み得るラクダ科の動物に天然に存在する抗体などのより少ない鎖を含む。抗体は、単一の供給源のみに由来し得るか、又は「キメラ」であり得、キメラは、ここで、以下にさらに記載されるように、その抗体の異なる部分が、2つの異なる抗体に由来するものである。抗原結合タンパク質、抗体、又は結合断片は、例えば、ハイブリドーマにおいて、組換えDNA手法により又はインタクトな抗体の酵素的若しくは化学的な切断により生成してよい。
【0027】
「抗原」という用語は、抗原結合タンパク質(例えば、抗体を含む)などの結合剤による結合を受ける能力を有し、さらに、その抗原に結合する能力を有する抗体を生成するために動物において使用することが可能な分子又は分子の一部を指す。抗原は、異なる抗原結合タンパク質(例えば、抗体)と相互作用する能力を有する1つ以上のエピトープを有し得る。
【0028】
本明細書で使用する場合、「抗原結合タンパク質」は、特定の標的抗原と特異的に結合する任意のタンパク質を意味する。本用語は、少なくとも1つの抗原結合領域を含むポリペプチドを含む。用語はまた、少なくとも2つの全長重鎖及び2つの全長軽鎖を含む抗体、並びにその誘導体、バリアント、断片及び変異体を包含する。抗原結合タンパク質としてはまた、以下でより詳細に記載されるように、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv断片、ナノボディ(Nanobodies)(登録商標)などのドメイン抗体、及び一本鎖抗体が挙げられる。
【0029】
「抗原結合領域」又は「抗原結合ドメイン」は、分子(例えば、抗原)上の所与のエピトープ又は部位に特異的に結合、相互作用、又はそれを認識する抗体若しくは断片、誘導体、又はこれらのバリアントなどのタンパク質の部分を意味する。例えば、抗原と相互作用し、抗原に対するその特異性及び親和性を抗原結合タンパク質に与えるアミノ酸残基を含む抗原結合タンパク質のその部分は、「抗原結合領域」と称される。抗原結合領域は、1つ以上の「相補的決定領域」(「CDR」)を含み得る。特定の抗原結合領域は、1つ以上の「フレームワーク」領域も含む。「フレームワーク」領域は、抗原結合タンパク質の特異的結合に直接寄与し得るが、典型的には、CDRの適切な立体構造の維持に役立つことで、抗原結合領域と抗原との間の結合を促進し得る。
【0030】
「がん」、「腫瘍」、「がん性」、及び「悪性」という用語は、典型的には、無秩序な細胞増殖を特徴とする哺乳類の生理条件に関するか又はそれを記載する。がんの例としては、腺癌、リンパ腫、芽腫、黒色腫、肉腫、及び白血病を含む癌腫が挙げられるがこれらに限定されない。このようながんの更なる特定の例としては、黒色腫、肺がん、頭頚部がん、腎細胞がん、結腸がん、結腸直腸がん、扁平上皮がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、消化管がん、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、膵がん、神経膠芽腫、神経膠腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝がん(liver cancer)、例えば肝細胞癌(hepatic carcinoma)及びヘパトーマ(hepatoma)など、膀胱がん、乳がん、子宮内膜癌、骨髄腫(多発性骨髄腫など)、唾液腺癌、腎がん、例えば腎細胞癌及びウィルムス腫瘍など、基底細胞癌、前立腺がん、外陰がん、甲状腺がん、精巣がん、及び食道がんが挙げられる。
【0031】
「CDR」及びその複数形「CDR」(「超可変領域」とも称される)という用語は、抗体若しくは断片、誘導体、又はこれらのバリアントなどのタンパク質の相補的決定領域を指す。軽鎖可変領域及び重鎖可変領域は、各々、3つのCDRを含有する。例えば、軽鎖可変領域は、以下のCDR:CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3を含有し;重鎖可変領域は、以下のCDR:CDR-H1、CDR-H2、及びCDR-H3を含有する。CDRは、抗体と抗原との特異的相互作用を担う残基の大部分を含み、したがって抗体分子の機能的活性に寄与する。CDRは、抗原特異性の主要な決定要因である。
【0032】
CDRの境界及び長さの厳密な定義は、各種分類及び付番方式に従う。したがって、CDRは、本明細書に記載される付番方式を含む、Kabat、Chothia、contact又は任意の他の境界定義によって表わされ得る。Kabatの付番スキーム(方式)は、抗体可変ドメインのアミノ酸残基を一貫した様式で付番するために広く採用されている標準であり、本明細書の他の箇所でも言及されるとおり本発明での適用に好ましいスキームである。さらなる構造的な考慮が抗体のカノニカル構造を決定するために使用される場合がある。例えば、Kabatの付番法では十分に反映されない相違をChothiaらの付番方式によって記載することができ、且つ/又は他の技術、例えば結晶学及び二次元若しくは三次元コンピュータモデリングによって明らかにすることができる。境界が異なっていても、これらの方式の各々は、可変配列内のCDRを構成する部分において、ある程度の重複を有する。したがって、これらの方式によるCDRの定義は、長さ及び隣接するフレームワーク領域に関する境界領域が相違する場合がある。例えば、Kabat(異種間の配列可変性に基づく手法)、Chothia(抗原-抗体複合体の結晶学的研究に基づく手法)及び/又はMacCallum(Kabat et al.,前掲;Chothia et al.,J.MoI.Biol,1987,196:901-917;及びMacCallum et al.,J.Mol.Biol,1996,262:732)を参照のこと。抗原結合部位を特徴付けるさらに別の標準は、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアによって使用されるAbM定義である。例えば、Protein Sequence and Structure Analysis of Antibody Variable Domains.In:Antibody Engineering Lab Manual(Ed.:Duebel,S.and Kontermann,R.,Springer-Verlag,Heidelberg)を参照されたい。抗体構造の概説については、Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,eds.Harlow et al.,1988を参照されたい。
【0033】
典型的には、CDRは、カノニカル構造として分類することができるループ構造を形成する。「カノニカル構造」という用語は、抗原結合(CDR)ループがとる主鎖の立体構造を指す。比較構造研究から、6つの抗原結合ループのうちの5つは、利用可能な立体構造の限られたレパートリーのみを有することが見出された。各カノニカル構造をポリペプチド骨格のねじれ角によって特徴付けることができる。したがって、抗体間の対応するループは、ループの大部分において、高いアミノ酸配列可変性が見られるにもかかわらず、非常に類似した三次元構造を有し得る(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.,1987,196:901;Chothia et al.,Nature,1989,342:877;Martin and Thornton,J.Mol.Biol,1996,263:800)。さらに、採用されたループ構造とその周辺のアミノ酸配列との間に関連性が存在する。特定のカノニカルクラスの立体構造は、ループの長さにより、及びそのループ内並びに保存的フレームワーク内(すなわちループ外)の重要な位置に存在するアミノ酸残基により決定される。したがって、特定のカノニカルクラスへの割り当ては、これらの重要なアミノ酸残基の存在に基づいて行われ得る。
【0034】
同じエピトープについて競合する抗原結合タンパク質(例えば、抗体又はその断片)の文脈において使用される場合、「競合する」という用語は、抗原結合タンパク質間の競合を意味し、共通の抗原への参照抗原結合タンパク質の特異的結合を抗原結合タンパク質(例えば、抗体又はその断片)が試験下で阻止又は阻害するアッセイによって決定される。多くの種類の競合結合アッセイを使用することができ、例えば、固相直接又は間接ラジオイムノアッセイ(RIA)、固相直接又は間接酵素イムノアッセイ(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(例えば、Stahli et al.,1983,Methods in Enzymology 9:242-253を参照)、固相直接ビオチン-アビジンEIA(例えば、Kirkland et al.,1986,J.Immunol.137:3614-3619を参照されたい)固相直接標識アッセイ、固相直接標識サンドイッチアッセイ(例えば、Harlow and Lane、1988,Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Pressを参照されたい);I-125標識を用いた固相直接標識RIA(例えば、Morel et al.,1988,Molec.Immunol.25:7-15を参照されたい);固相直接ビオチン-アビジンEIA(例えば、Cheung,et al.,1990,Virology 176:546-552を参照されたい);及び直接標識RIA(Moldenhauer et al.,1990,Scand.J.Immunol.32:77-82)である。典型的には、そのようなアッセイでは、固体表面に結合した精製抗原又はこうした抗原を発現する細胞、非標識試験抗原結合タンパク質及び標識参照抗原結合タンパク質が使用される。競合的阻害は、試験抗原結合タンパク質の存在下で固体表面又は細胞に結合した標識の量を決定することによって測定される。通常、試験抗原結合タンパク質は過剰に存在する。競合アッセイによって同定される抗原結合タンパク質には、参照抗原結合タンパク質と同じエピトープに結合する抗原結合タンパク質及び立体障害が生じるために参照抗原結合タンパク質が結合するエピトープに十分に近接する隣接エピトープに結合する抗原結合タンパク質が含まれる。競合的結合を決定するための方法に関するさらなる詳細は、本明細書において提供される。例えば、一実施形態では、競合は、BiaCoreアッセイに従って決定される。通常、競合する抗原結合タンパク質が過剰に存在すると、競合する抗原結合タンパク質は、共通の抗原への参照抗原結合タンパク質の特異的結合が少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、又は少なくとも75%阻害されることになる。いくつかの場合、結合は、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも97%以上阻害される。
【0035】
「制御配列」という用語は、それが連結されるコード配列の発現及びプロセシングに影響を与えることができるポリヌクレオチド配列を指す。そのような制御配列の性質は、宿主生物に依存し得る。特定の実施形態では、原核生物用制御配列は、プロモーター、リボソーム結合部位、及び転写終結配列を含み得る。例えば、真核生物用制御配列は、転写因子のための認識部位を1つ又は複数含むプロモーター、転写エンハンサー配列、及び転写終結配列を含み得る。「制御配列」は、リーダー配列及び/又は融合パートナー配列を含み得る。
【0036】
ポリペプチドの「誘導体」は、挿入、欠失、又は置換バリアントとは異なる何らかの様式で、例えば、別の化学的部分への結合により、化学的に改変されたポリペプチドである。
【0037】
「ドメイン抗体」は、重鎖の可変領域のみ又は軽鎖の可変領域のみを含む免疫学的に機能性の免疫グロブリン断片である。ドメイン抗体の例としては、Nanobodies(登録商標)が挙げられる。いくつかの場合、2つ以上のV領域が、ペプチドリンカーを介して共有結合で連結されることで二価のドメイン抗体が創出される。二価のドメイン抗体の2つのV領域は、同一又は異なる抗原を標的とし得る。
【0038】
「有効量」は、一般に、症状の重症度及び/又は頻度を低減する、症状及び/又は根本原因を排除する、症状及び/又はその根本原因の出現を予防する、及び/又はがんに起因する若しくは関連する損傷を改善させる若しくは修復するのに十分である量である。いくつかの実施形態では、有効量は、治療有効量又は予防有効量である。「治療有効量」は、病状(例えば、がん)若しくは症状、具体的には、病状と関連する状態若しくは症状の治療に十分な量、又は方法は何であれ、病状若しくは疾患と関連する任意の他の望ましくない症状の進行の予防、防止、遅延、若しくは好転に十分な量である。「予防有効量」は、対象に投与されると、意図した予防効果、例えば、がんの発症(若しくは再発)の予防若しくは遅延、又はがん若しくはがん症状の発症(若しくは再発)の可能性の低減を有することになる医薬組成物の量である。完全な治療効果又は予防効果は必ずしも1回用量の投与によって生じる必要はなく、一連の用量の投与の後にのみ生じてもよい。したがって、治療的有効量又は予防的有効量は、1回又は複数回の投与で投与し得る。
【0039】
「エピトープ」という用語は、抗原結合タンパク質(例えば、抗体)によって認識され、特異的に結合されることができる抗原の部分を指す。ポリペプチドの文脈において、エピトープは、タンパク質の三次フォールディングによって並置された連続アミノ酸又は非連続アミノ酸から形成され得る。隣接するアミノ酸から形成されるエピトープは、典型的には、タンパク質変性時に保持されるが、三次フォールディングによって形成されるエピトープは、典型的には、タンパク質変性時に失われる。エピトープは、典型的には、特有の空間高次構造中に、少なくとも3個、より典型的には、少なくとも5個又は8~10個のアミノ酸を含む。「線形エピトープ」又は「連続エピトープ」は、抗原結合タンパク質(例えば、抗体)により、アミノ酸又は一次構造のその線形配列で認識されるエピトープである。「立体エピトープ」又は「不連続エピトープ」は、抗原結合タンパク質(例えば、抗体)により、その三次構造で認識されるエピトープである。これらのエピトープを構成する残基は、一次アミノ酸配列では隣接していない場合があるが、分子の三次構造では、互いに接近している。線形及び立体エピトープは、タンパク質が変性、断片化、又は還元される場合に、一般に、異なる動作をする。
【0040】
「発現ベクター」又は「発現構築物」という用語は、宿主細胞の形質転換に適しており、そこに機能可能なように連結される1つ以上の異種性コード領域の発現を(宿主細胞と協同して)誘導及び/又は制御する核酸配列を含むベクターを指す。発現構築物は、限定はされないが、転写、翻訳に影響するか、又はそれを制御し、イントロンが存在するのであれば、そこに機能可能なように連結されるコード領域のRNAスプライシングに影響する配列を含み得る。
【0041】
「Fab断片」又は「Fab」は、1本の軽鎖と、1本の重鎖のC1及び可変領域とからなる。Fab分子の重鎖は、別の重鎖分子とジスルフィド結合を形成することができない。
【0042】
「Fab’断片」又は「Fab’」は、1つの軽鎖と、Vドメイン及びC1ドメインに加えてC1ドメインとC2ドメインとの間の領域も含む1つの重鎖の一部とを含み、その結果、2つのFab’断片の2つの重鎖の間に鎖間ジスルフィド結合を形成することでF(ab’)分子を形成することができる。
【0043】
「F(ab’)断片」又は「F(ab’)」は、2本の軽鎖と、2本の重鎖間に鎖間ジスルフィド結合が形成されるように、C1ドメインとC2ドメインとの間の定常領域の一部を含む2本の重鎖とを含む。したがって、F(ab’)断片は、2つの重鎖の間のジスルフィド結合によって共にまとめられた2つのFab’断片から構成される。
【0044】
「Fc領域」は、抗体のC2ドメイン及びC3ドメインを含む2つの重鎖断片を含む。2つの重鎖断片は、2つ以上のジスルフィド結合及びC3ドメインの疎水性相互作用によって共にまとめられる。
【0045】
「Fv領域」は、重鎖と軽鎖の両方に由来する可変領域を含むが、定常領域を欠いている。
【0046】
抗原結合タンパク質、抗体、又はその断片に関して使用される「重鎖」という用語は、全長重鎖及び結合特異性を与えるために十分な可変領域配列を有するその断片を含む。全長重鎖は、可変領域ドメイン(V)及び3つの定常領域ドメイン(C1、C2及びC3)を含む。Vドメインは、ポリペプチドのアミノ末端にあり、Cドメインは、カルボキシル末端にあり、C3は、ポリペプチドのカルボキシ末端に最も近い。重鎖は、IgG(IgG1サブタイプ、IgG2サブタイプ、IgG3サブタイプ及びIgG4サブタイプを含む)、IgA(IgA1サブタイプ及びIgA2サブタイプを含む)、IgM、並びにIgEなどの任意のアイソタイプのものであり得る。
【0047】
「血液がん」は、骨髄などの血液形成組織、又は免疫系の細胞で生じるがんである。血液がんの例は、白血病、リンパ腫、及び多発性骨髄腫である。
【0048】
「ホモ二量体融合タンパク質」という用語は、2つの同一の抗原結合タンパク質を含む融合タンパク質を指す。例えば、抗体ホモ二量体融合タンパク質は、2つの同一の抗体を含む融合タンパク質を指す。特定の例では、ホモ二量体は、本明細書で記載されるように、TTRタンパク質を介して連結された2つの同一の抗体を含むTTRホモ二量体融合タンパク質であり得る。
【0049】
「ホモ四量体融合タンパク質」という用語は、4つの同一の抗原結合タンパク質を含む融合タンパク質を指す。例えば、抗体ホモ四量体融合タンパク質は、4つの同一の抗体を含む融合タンパク質を指す。別の例では、Fabホモ四量体融合タンパク質は、4つの同一のFab断片を含む融合タンパク質を指す。特定の例では、ホモ四量体は、本明細書で記載されるように、TTRタンパク質を介して連結された2つの同一の抗原結合タンパク質(例えば、2つの同一の抗体、又は2つの同一のFab断片)を含むTTRホモ四量体融合タンパク質であり得る。
【0050】
「宿主細胞」という用語は、核酸配列で形質転換されており、それによって目的とする遺伝子を発現する細胞を意味する。この用語には、目的遺伝子が存在する限り、子孫の形態又は遺伝的構成が元の親細胞と同一であるか否かにかかわらず、親細胞の子孫が含まれる。
【0051】
「同一性」という用語は、配列を整列させ、比較することによって決定される、2つ以上のポリペプチド分子又は2つ以上の核酸分子の配列間の関係を指す。「同一性パーセント」は、比較分子におけるアミノ酸又はヌクレオチドの間で残基が同一であるパーセントを意味し、比較される分子の中で最小のもののサイズに基づいて計算される。これらの計算のために、アラインメントにおけるギャップ(もしあれば)を、特定の数学的モデル又はコンピュータプログラム(すなわち、「アルゴリズム」)によって対処しなければならない。整列させた核酸又はポリペプチドの同一性を計算するために使用され得る方法には、Computational Molecular Biology(Lesk,A.M.,ed.),1988,New York:Oxford University Press;Biocomputing Informatics and Genome Projects,(Smith,D.W.,ed.),1993,New York:Academic Press;Computer Analysis of Sequence Data,Part I,(Griffin、A.M.,and Griffin,H.G.,eds.),1994,New Jersey:Humana Press;von Heinje,G.,1987,Sequence Analysis in Molecular Biology,New York:Academic Press;Sequence Analysis Primer,(Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.),1991,New York:M.Stockton Press;及びCarillo et al.,1988,SIAM J.Applied Math.48:1073に記載されるものが含まれる。
【0052】
同一性パーセントを計算する際には、比較する配列を、配列間の最大の一致を与えるような方法で整列させる。同一性パーセントの決定に使用されるコンピュータプログラムは、GCGプログラムパッケージであり、このプログラムパッケージは、GAP(Devereux et al.,1984,Nucl.Acid Res.12:387;Genetics Computer Group、University of Wisconsin、Madison、WI)を含む。コンピュータアルゴリズムであるGAPは、配列同一性パーセントが決定されることになる2つのポリペプチド又はポリヌクレオチドのアラインメントをとるために使用される。配列は、それらのそれぞれのアミノ酸又はヌクレオチドが最適に一致するように並べられる(アルゴリズムによって決定される「一致スパン」)。ギャップ開始ペナルティ(3×平均対角として計算される。ここで、「平均対角」は使用される比較マトリックスの対角の平均であり、「対角」は特定の比較マトリックスによってそれぞれの完全アミノ酸一致に割り当てられるスコア又は数である)及びギャップ伸長ペナルティ(通常、ギャップ開始ペナルティの1/10倍である)、並びにPAM 250又はBLOSUM 62などの比較マトリックスが、アルゴリズムと共に使用される。特定の実施形態では、標準比較マトリックス(PAM 250比較マトリックスについては、Dayhoff et al.,1978,Atlas of Protein Sequence and Structure 5:345-352を参照;BLOSUM 62比較マトリックスについては、Henikoff et al.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:10915-10919を参照)もまたアルゴリズムによって使用される。
【0053】
GAPプログラムを使用し、ポリペプチド又はヌクレオチド配列の同一性パーセントを決定するための推奨パラメーターは、下記のものである。
アルゴリズム:Needleman et al.,1970,J.Mol.Biol.48:443-453;
比較マトリックス:Henikoff et al.,1992(上記)のBLOSUM 62;
ギャップペナルティー:12(ただし、エンドギャップに対するペナルティなし)
ギャップ長ペナルティ:4
類似性の閾値:0
【0054】
2つのアミノ酸配列を整列させるための特定のアラインメントスキームは、2つの配列の短い領域のみの一致をもたらし得、この小さい整列領域は、2つの全長配列の間に有意な関係がないにもかかわらず、非常に高い配列同一性を有し得る。したがって、選択したアラインメント方法(GAPプログラム)は、所望であれば、標的ポリペプチドの少なくとも50個の連続するアミノ酸にわたるアラインメントを生じるように調節し得る。
【0055】
「免疫調節剤」という語句は、免疫応答を引き起こす、高める、又は抑制する分子を指す。免疫活性化剤は、免疫応答を引き起こす又は増強する分子である。免疫抑制剤は、免疫応答を低下させる又は抑制する分子である。したがって、活性化免疫療法は、対象の免疫系を引き起こす又は高めるために分子を投与することを伴う治療法である。抑制免疫療法は、対象の免疫系を低下させる又は抑制するために、対象が分子で治療される治療法である。
【0056】
本明細書で使用される、抗体又は免疫グロブリンの鎖(重鎖又は軽鎖)の「断片」という用語は、全長鎖に存在するアミノ酸の少なくともいくつかを欠いているが、抗原に特異的に結合することができる抗体の一部(その部分がどのように得られるか、又は合成されるかは問われない)を含む抗原結合タンパク質である。そのような断片は、それが標的抗原に特異的に結合するという点で生物学的に活性であり、所与のエピトープへの結合について、インタクトな抗体を含む、他の抗原結合タンパク質と競合し得る。一態様では、このような断片は、全長軽鎖又は重鎖中に存在する少なくとも1つのCDRを保持し、いくつかの実施形態では、単一の重鎖及び/若しくは軽鎖又はその部分を含むであろう。こうした生物学的に活性な断片は、組換えDNA手法によって生成してよく、又はインタクトな抗体を含む、抗原結合タンパク質の酵素的若しくは化学的な切断によって生成してよい。免疫学的に機能性の免疫グロブリン断片としては、限定されるものではないが、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、ドメイン抗体、及び一本鎖抗体が挙げられ、限定されるものではないが、ヒト、マウス、ラット、ラクダ、又はウサギを含む任意の哺乳類源に由来し得る。例えば、1つ以上のCDRなど、本明細書に開示の抗原結合タンパク質の機能性部分は、第2のタンパク質又は小分子に共有結合で結合させることで、体における特定の標的を対象とする治療剤を創出し、又は血清半減期を延長できることがさらに企図される。
【0057】
「単離された核酸分子」は、ゲノム、mRNA、cDNA、若しくは合成を起源とするか、又はそれらの何らかの組み合わせであるDNA又はRNAであって、単離されたポリヌクレオチドが天然に見出されるポリヌクレオチドの全て若しくは一部を伴わないか、又はそれが天然では連結されないポリヌクレオチドに連結されているDNA又はRNAを意味する。本開示の目的では、特定のヌクレオチド配列を「含む核酸分子」は、インタクトな染色体を包含しないと理解されるべきである。特定の核酸配列を「含む」単離された核酸分子は、その特定の配列に加えて、最大で10若しくはさらに最大で20に及ぶ数の他のタンパク質若しくはその一部をコードする配列を含み得、又は記載の核酸配列のコード領域の発現を制御する調節配列を機能可能なように連結して含み得、及び/又はベクター配列を含み得る。
【0058】
本明細書で使用する場合、用語「単離されたポリペプチド」、「精製されたポリペプチド」、「単離されたタンパク質」、又は「精製されたタンパク質」は、他の成分から単離可能な組成物を指すことが意図され、ここで、ポリペプチドは、自然界から入手可能な状態に比べて任意の程度に精製されている。そのため、精製されたポリペプチドはまた、自然に発生し得る環境から遊離されるポリペプチドを指す。一般に、「精製された」は、様々な他の成分を除去するために分留を実施したポリペプチド組成物を指し、この組成物は、その発現された生物活性を実質的に維持する。用語「実質的に精製された」が使用される場合、この表記は、例えば、組成物中の約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%以上のタンパク質を構成するなど、ポリペプチド又はペプチドが組成物の主成分を形成するペプチド又はポリペプチド組成物を指す。
【0059】
抗原結合タンパク質、抗体又はその断片に関して使用される「軽鎖」という用語は、全長軽鎖及び結合特異性を与えるために十分な可変領域配列を有するその断片を含む。全長軽鎖は、可変領域ドメイン(V)及び定常領域ドメイン(C)を含む。軽鎖の可変領域ドメインは、ポリペプチドのアミノ末端にある。軽鎖には、κ鎖及びλ鎖が含まれる。
【0060】
ポリペプチド、核酸、宿主細胞などの生物学的材料に関連して本明細書を通して使用される「天然起源」という用語は、天然に見出される材料を指す。
【0061】
「オリゴヌクレオチド」という用語は、200以下のヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを意味する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、10~60の塩基長である。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20~40のヌクレオチド長である。オリゴヌクレオチドは、例えば、変異遺伝子の構築において使用するための一本鎖又は二本鎖であり得る。オリゴヌクレオチドは、センスオリゴヌクレオチド又はアンチセンスオリゴヌクレオチドであり得る。オリゴヌクレオチドは、検出アッセイのための放射標識、蛍光標識、ハプテン、又は抗原性標識を含む、標識を含み得る。オリゴヌクレオチドは、例えば、PCRプライマー、クローニングプライマー、又はハイブリダイゼーションプローブとして使用してもよい。
【0062】
本明細書で使用される「作動可能に連結される」は、この用語が適用される構成要素が、適切な条件下でそれがその固有機能を実施することが可能になる関係にあることを意味する。例えば、タンパク質コード配列に「作動可能に連結される」ベクター中の制御配列は、タンパク質コード配列の発現が制御配列の転写活性と適合する条件下で行われるように、タンパク質コード配列に連結される。
【0063】
「ポリヌクレオチド」又は「核酸」という用語は、一本鎖のヌクレオチドポリマーと二本鎖のヌクレオチドポリマーとの両方を含む。ポリヌクレオチドを含むヌクレオチドは、リボヌクレオチド若しくはデオキシリボヌクレオチド、又はいずれかの型のヌクレオチドの改変形態であり得る。改変には、ブロモウリジン及びイノシン誘導体などの塩基改変、2’,3’-ジデオキシリボースなどのリボース改変、並びにホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート(phosphoroanilothioate)、ホスホロアニラデート(phoshoraniladate)及びホスホロアミデート(phosphoroamidate)などのヌクレオチド間結合の改変が含まれる。
【0064】
特に明記しない限り、本明細書で考察する任意の一本鎖ポリヌクレオチド配列の左側末端は5’末端であり、二本鎖ポリヌクレオチド配列の左側方向は5’方向と呼ばれる。新生RNA転写産物の5’から3’への付加の方向は転写方向と呼ばれ、RNA転写産物の5’末端の5’側にあるRNA転写産物と同じ配列を有するDNA鎖上の配列領域は「上流配列」と呼ばれ、RNA転写産物の3’末端の3’側にあるRNA転写産物と同じ配列を有するDNA鎖上の配列領域は「下流配列」と呼ばれる。
【0065】
「ポリペプチド」又は「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを指すために本明細書で互換的に使用される。これらの用語は、また、1つ以上のアミノ酸残基が、対応する天然起源のアミノ酸の類似体又は模倣体であるアミノ酸ポリマー、並びに天然起源のアミノ酸ポリマーにも適用される。これらの用語は、また、例えば、(糖タンパク質を形成するための)炭水化物残基の付加、又はリン酸化によって修飾されたアミノ酸ポリマーも包含し得る。ポリペプチド及びタンパク質は、天然起源及び非組換え細胞により、又は遺伝子操作若しくは遺伝子組換え細胞により産生することができ、天然のタンパク質のアミノ酸配列を有する分子、若しくは天然の配列からの1つ以上のアミノ酸の欠失、それへの付加及び/又はその置換を有する分子を含む。「ポリペプチド断片」という用語は、全長タンパク質と比較して、アミノ末端の欠失、カルボキシル末端の欠失及び/又は内部の欠失を有するポリペプチドを指す。そのような断片は、全長タンパク質と比較して改変されたアミノ酸も含み得る。特定の実施形態では、断片は、約5~500のアミノ酸長である。例えば、断片は、少なくとも5、6、8、10、14、20、50、70、100、110、150、200、250、300、350、400、又は450のアミノ酸長であり得る。
【0066】
組換えTTRタンパク質を含む、「組換えタンパク質」は、組換え手法の使用、すなわち本明細書に記載の組換え核酸の発現を介して作製されるタンパク質である。組換えタンパク質の生成方法及び生成技術は、当該技術分野においてよく知られている。
【0067】
「一本鎖抗体」は、重鎖可変領域と軽鎖可変領域とが可動性リンカーによって連結されることで単一のポリペプチド鎖を形成しているFv分子であり、この単一のポリペプチド鎖によって抗原結合領域が形成される。一本鎖抗体は、国際公開第88/01649号パンフレット、並びに米国特許第4,946,778号明細書及び同第5,260,203号明細書において詳細に議論されている。
【0068】
「固形腫瘍」は、通常は、嚢胞又は液体領域を含まない組織の異常な増殖又は塊を指す。固形腫瘍は、良性(がん性ではない)又は悪性(がん性)であり得る。異なるタイプの固形腫瘍は、それらを形成する細胞のタイプにちなんで名付けられる。固形腫瘍の例は、肉腫、癌腫、及びリンパ腫である。白血病(血液のがん)は、一般に、固形腫瘍を形成しない。
【0069】
抗原結合タンパク質が、抗原以外の分子にほとんど結合しないか、又は全く結合しないことを示す場合、抗原結合タンパク質は、抗原に「特異的に結合する」。しかしながら、抗原に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、異なる種に由来する抗原と交差反応し得る。典型的には、表面プラズマ共鳴技術(例えば、BIACore,GE-Healthcare Uppsala,Sweden)により測定した際に、解離定数(K)が≦10-7M である場合に、抗原結合タンパク質は、抗原に特異的に結合する。抗原結合タンパク質は、(BIACoreなどの方法を用いて測定した際に)K≦5×10-8Mで結合する場合に「高い親和性」で、K≦5×10-9Mで結合する場合に「非常に高い親和性」で、抗原に特異的に結合する。
【0070】
本明細書で使用される「対象」又は「患者」は、任意の哺乳類であり得る。典型的な実施形態では、対象又は患者は、ヒトである。
【0071】
本明細書で使用される場合、「実質的に純粋な」は、記載された分子種が、存在する優勢な種であること、すなわちモル基準で同じ混合物中の任意の他の個々の種よりも豊富であることを意味する。特定の実施形態では、実質的に純粋な分子は、対象種が存在する全ての高分子種の少なくとも50%(モル基準で)を含む組成物である。他の実施形態では、実質的に純粋な組成物は、組成物中に存在する全ての高分子種の少なくとも80%、85%、90%、95%又は99%を含む。他の実施形態では、対象種は、従来の検出方法によって組成物中に汚染種を検出することができず、したがって組成物が単一の検出可能な高分子種からなる実質的均質性まで精製される。
【0072】
「治療(treating)」という用語は、損傷、病状、若しくは病態の治療又は改善における成功の任意の兆候を指し、こうした兆候には、症状の軽減、寛解、縮小、又は損傷、病状、若しくは病態の患者耐容性の向上;悪化速度又は衰退速度の鈍化;悪化終点の衰弱軽減;患者の身体的又は精神的な健全性の改善など、任意の客観的又は主観的なパラメーターが含まれる。症状の治療又は改善は、身体検査、神経精神医学的検査及び/又は精神医学的評価の結果を含む、客観的又は主観的なパラメーターに基づき得る。例えば、本明細書に提示されている特定の方法は、例えば、がんの進行若しくは広がりを低減すること、腫瘍増殖を阻害すること、腫瘍の寛解を引き起こすこと、及び/又はがん若しくは腫瘍に関連する症状を改善することにより、がん及び腫瘍の治療に成功している。同様に、本明細書に提示されている他の方法は、感染症の進行若しくは広がりを低減すること、感染症の程度を低減すること、及び/又は感染症に関連する症状を改善することにより、感染症を治療する。
【0073】
本明細書で使用する場合、「TTR」という用語は、「トランスサイレチン」を指す。ヒトTTRは、Mita et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.,124(2):558-564(1984)(参照により本明細書に組み込まれる)で記載されている。ヒトTTRに関するアミノ酸配列はまた、the UniProt Knowledgebase(www.uniprot.org/uniprot/P02766#sequences)に記載されており、本明細書では、配列番号43として引用される。ヒトTTRに関する核酸はまた、NCBI(www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/7276)で記載されている。GenBank deposit K02091.1もまた参照されたい。ネズミTTRのアミノ酸及び核酸配列は、それぞれ、配列番号3及び4に記載されている。
【0074】
「TTRバリアント」という用語は、配列番号1を有するTTRと少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質を指す。本発明はまた、このようなTTRバリアントをコードする核酸を含む。具体的なバリアントとしては、例えば、C又はN末端でトランケーションを有するTTRタンパク質が挙げられる。
【0075】
「腫瘍」とは、がん性細胞が増殖(grow)及び増殖(multiply)するときに形成される組織の塊を指し、これは、正常な隣接する組織に侵入して破壊する可能性がある。がん細胞は、悪性腫瘍から離れて血流又はリンパ系に侵入し、がん細胞が原発腫瘍から広がって他の臓器に新しい腫瘍を形成することがある。
【0076】
ポリペプチドの「バリアント」は、別のポリペプチド配列と比較して、アミノ酸配列に1つ以上のアミノ酸残基の挿入、欠失及び/又は置換が生じたアミノ酸配列を含む。バリアントには、融合タンパク質が含まれる。
【0077】
「ベクター」という用語は、核酸分子において、この核酸分子が連結されている別の核酸の輸送が可能な核酸分子を指すことが意図される。ベクターの一種である「プラスミド」は、環状2本鎖DNAループを指し、追加のDNAセグメントがこれに連結され得る。別のタイプのベクターはウイルスベクターであり、このウイルスベクターでは、追加のDNAセグメントがウイルスゲノムに連結され得る。特定のベクターは、このベクターが導入された宿主細胞中での自律複製が可能である(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクター及びエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入時にこの宿主細胞のゲノムに組み込むことができ、それにより宿主のゲノムと一緒に複製される。さらに、特定のベクターは、それらが機能可能に連結されている遺伝子の発現を指示することができる。このようなベクターは、本明細書においては、「組換え発現ベクター」(又は単に「発現ベクター」)と称する。一般に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、プラスミドの形態であることが多い。本明細書では、「プラスミド」及び「ベクター」は、プラスミドが最も一般的に使用されるベクターの形態である場合に、同じ意味で用いられ得る。しかし、本発明は、同等の機能を果たすウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス及びアデノ関連ウイルス)などの発現ベクターの他の形態を含むことを意図している。
【0078】
ホモ二量体融合タンパク質
本明細書で記載されるとおり、本発明は、部分的には、抗体などの抗原結合タンパク質の多量体化におけるTTRの使用に関する。TTRは、ヒト血清中で見られるヒト細胞外タンパク質であるため、人体の全体にわたって比較的大きな量で存在する。したがって、TTRは、本発明の多量体化構築物中に存在する場合、例えば、非ヒトタンパク質、細胞内タンパク質及び希少タンパク質と比較した場合、免疫応答を誘発する可能性が低い。したがって、本発明の多量体化技術におけるその使用は有利である。
【0079】
例えば、TTRは、抗体の二量体化にて使用することができる。このようなホモ二量体融合タンパク質において、TTR(配列番号1)、又はそのバリアントは、四量体として存在し、ここで、TTRサブユニットは、抗体重鎖のC末端に連結され、TTR抗体ホモ二量体を形成する。例えば、各抗体重鎖のC末端(各抗体は2つのこのようなC末端を含有する)は、各TTRサブユニットのN末端に連結されてもよい(図1a参照)。したがって、各抗体は、TTR四量体中の2つのTTRサブユニットに連結しており、TTR抗体ホモ二量体を得る。
【0080】
したがって、本発明は、2つの抗原結合タンパク質を含むホモ二量体融合タンパク質に関する。いくつかの実施形態では、ホモ二量体融合タンパク質は、タンパク質複合体に連結される抗原結合タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、TTRタンパク質複合体であって、ここで、TTRタンパク質複合体は、TTR四量体である。いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、抗体である。
【0081】
特定の実施形態では、本発明は、TTR四量体と結合している2つの抗体を含むホモ二量体融合タンパク質に関する。抗体は、リンカーなしで、TTR四量体と結合していてもよい(すなわち、抗体は、TTRに直接結合している)。
【0082】
他の実施形態では、抗体は、リンカーを介して、TTR四量体と結合している。例えば、アミノ酸リンカーは、抗体重鎖のC末端のTTRサブユニットN末端への連結に使用され得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、1~5、1~10、1~15、1~20、1~25、1~30、1~35、又は1~40のアミノ酸長である。いくつかの実施形態では、リンカーは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、又は40のアミノ酸長である。他の実施形態では、リンカーは、0、1、5、10、15、20、25、30、35、又は40のアミノ酸長である。他の実施形態では、リンカーは、最大5、10、15、20、25、30、35、又は40のアミノ酸長である。いくつかの実施形態では、リンカーは、最大5、10、15、又は20のアミノ酸長である。特定の実施形態では、リンカーは、0、5、10、15、又は20のアミノ酸長である。
【0083】
いくつかの実施形態では、リンカーは、GGGGS、GGGGSGGGGS(すなわち、(GGGGS))、GGGGSGGGGSGGGGS(すなわち、(GGGGS))、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(すなわち、(GGGGS))、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(すなわち、(GGGGS))、又はGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(すなわち、(GGGGS))である。他の実施形態では、GGGGS、GGGGSGGGGS(すなわち、(GGGGS))、GGGGSGGGGSGGGGS(すなわち、(GGGGS))、又はGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(すなわち、(GGGGS))である。
【0084】
他の好適なアミノ酸リンカーとしては、例えば、ジスルフィド結合、(Gly)(n=1~10)、(EAAAK)(n=1~5)、A(EAAAK)ALEA(EAAAK)4A、PAPAP、AEAAAKEAAAKA、(Ala-Pro)(n=1~20)、VSQTSKLTRAETVFPDV、PLGLWA、RVLAEA、EDVVCCSMSY、GGIEGRGS、TRHRQPRGWE、AGNRVRRSVG、RRRRRRRRR、GFLG、及びLEが挙げられる。好適な非アミノ酸リンカーとしては、ポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。
【0085】
いくつかの実施形態では、抗体は、リンカーあり又はリンカーなしで、トランケーションされたTTRサブユニットに結合している。例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のアミノ酸を、1つ以上のTTRサブユニットのN末端から除去してもよく、抗体をトランケーションされたTTRサブユニットN末端に結合させてもよい。
【0086】
本発明はまた、本明細書に記載されたホモ二量体融合タンパク質をコードする核酸分子に関する。ホモ二量体融合タンパク質を生成するための例示的な方法に関する詳細は、実施例中に見出すことができる。
【0087】
抗体及びFabの四量体化
本明細書で記載されるとおり、本発明は、部分的には、抗体などの抗原結合タンパク質の多量体化におけるTTRの使用に関する。上述のように、本発明の多量体化構築物中に存在する場合、例えば、非ヒトタンパク質、細胞内タンパク質及び希少タンパク質と比較した場合、TTRが免疫応答を誘発する可能性が低いため、本発明の多量体化技術におけるTTRの使用は有利である。
【0088】
本発明はまた、部分的には、抗体などの抗原結合タンパク質の四量体化におけるTTRの使用に関する。このようなホモ四量体融合タンパク質において、TTR(配列番号1)又はそのバリアントは、やはり四量体として存在する。しかし、TTR抗体ホモ四量体の文脈において、単一抗体重鎖(すなわち、単一抗体中に存在する2つの重鎖のうちの1つのみ)は、各TTRサブユニットに連結されており、4つの抗体のTTR四量体への連結を可能にする(図1b参照)。抗体C末端の2つの重鎖のうちの1つは、各TTRサブユニットのN末端に連結していてもよい(図1b参照)。したがって、各抗体は、TTR四量体中の1つのTTRサブユニットに連結しており、TTR抗体ホモ四量体を得る。
【0089】
このようなホモ四量体融合タンパク質において、Fcホモ二量体(上述)の形成は、Fc中の突然変異により阻害される。そのような改変には、ノブ-イントゥ-ホール(knobs-into-holes)、DuoBody、Azymetric、電荷対、HA-TF、SEEDbody、及び異なるプロテインA親和性を有する改変などのFc変異が挙げられる。例えば、Spiess et al.,Molecular Immunology,67(2,Part A),2015,pp.95-106を参照。ノブ-イントゥ-ホール(Knobs-into-holes)変異は、第1重鎖中のT366W、並びに第2重鎖中のT366S、L368A及び/又はY407Vを含む。例えば、Ridgway et al.,Protein Eng.,9(1996),pp.617-621;及びAtwell et al.,J.Mol.Biol.,270(1997),pp.26-35を参照。DuoBody変異は、第1重鎖中のF405L、及び第2の重鎖中のK409Rを含む。例えば、Labrijn et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,110(2013),pp.5145-5150を参照。Azymetric変異は、第1重鎖中のT350V、L351Y、F405A、及び/又はY407V、並びに第2重鎖中のT350V、T366L、K392L、及び/又はT394Wを含む。例えば、Von Kreudenstein et al.,mAbs,5(2013),pp.646-654を参照。HA-TF変異は、第1重鎖中のS364H及び/又はF405A、並びに第2重鎖中のY349T及び/又はT394Fを含む。例えば、Moore et al.,mAbs,3(2011),pp.546-557を参照。SEEDbody変異は、第1重鎖中のIgG/Aキメラ変異、並びに第2重鎖中のIgG/Aキメラ変異を含む。例えば、Davis et al.,Protein Eng.Des.Sel.,23(2010),pp.195-202を参照。プロテインA親和性が異なる変異は、一方の重鎖中にH435Rを含み、他方の重鎖には変異がない。例えば、米国特許第8,586,713号明細書を参照。これらの文献の各々は、その全体が参照により組み込まれる。
【0090】
特定の実施形態では、抗体重鎖のホモ二量体化を阻害するFc電荷対の使用により、抗体のホモ四量体化を推進することが可能であり、したがって、TTRサブユニットに連結されている1つの抗体重鎖とTTRに連結されていない1つの抗体重鎖間の重鎖ヘテロ二量体化を支持する(図1b参照)。例えば、一組の荷電変異は、1つの重鎖に負電荷があり対応する重鎖に正電荷があるか、又は対応する重鎖上の対応する正電荷及び負電荷とペアになる1つの重鎖上の負電荷及び正電荷の混合のいずれかを有する、重鎖のC3ドメインに組み込まれている可能性がある。例示的な負電荷としては、K392D&K409Dが挙げられ、例示的な正電荷としては、E356K&D399Kが挙げられる。異なる電荷が引き付けられる間、C3境界面での電荷は反発するので、ホモ二量体化は阻害されるが、ヘテロ二量体化は好まれる。TTRは、1つの電荷タイプのみの重鎖(正又は負のいずれかであるが、両方ではない)に融合される;したがって、4つの鎖(2つの軽鎖、1つの未融合重鎖、及び1つのTTR融合重鎖)で構成される完全な抗体でTTRサブユニットをもたらす。さらに、電荷対変異は、例えば、米国特許第9,546,203号明細書に記載されている。第1重鎖中でD221E、P228E、及び/又はL368E、並びに第2重鎖中でD221R、P228R、及び/又はK409Rを含む電荷対変異はまた、例えば、Strop et al.,J.Mol.Biol.,420(2012),pp.204-219に記載されている。これらの文献の各々は、その全体が参照により組み込まれる。
【0091】
本発明はまた、部分的には、Fab断片の四量体化におけるTTRの使用に関する。このようなホモ四量体融合タンパク質において、TTR(配列番号1)、又はそのバリアントはまた、四量体として存在し、ここで、各TTRサブユニットは、各Fab断片のC末端に連結されTTR Fabホモ四量体を形成する(図1c参照)。したがって、各Fab断片抗体は、TTR四量体中の単一のTTRサブユニットに連結しており、TTR Fabホモ四量体を得る。
【0092】
したがって、本発明は、4つの抗原結合タンパク質(例えば、Fab四量体)又は8つの抗原結合タンパク質(例えば、Ab四量体)を含むホモ四量体融合タンパク質に関する。いくつかの実施形態では、ホモ四量体融合タンパク質は、タンパク質複合体に連結される抗原結合タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、TTRタンパク質複合体であって、ここで、TTRタンパク質複合体は、TTR四量体である。いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質は、抗体である。他の実施形態では、抗原結合タンパク質は、Fab断片である。
【0093】
特定の実施形態では、本発明は、TTR四量体に連結される4つの抗体を含むホモ四量体融合タンパク質に関する。他の実施形態では、本発明は、TTR四量体に連結される4つのFab断片を含むホモ四量体融合タンパク質に関する。いくつかの実施形態では、抗体又はFabは、リンカーなしで、TTR四量体と結合している(すなわち、抗体又はFabは、TTRに直接結合している)。
【0094】
他の実施形態では、抗体又はFabは、リンカーを介して、TTR四量体と結合している。例えば、アミノ酸リンカーは、抗体重鎖のC末端のTTRサブユニットN末端への連結に使用され得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、1~5、1~10、1~15、1~20、1~25、1~30、1~35、又は1~40のアミノ酸長である。いくつかの実施形態では、リンカーは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、又は40のアミノ酸長である。他の実施形態では、リンカーは、0、1、5、10、15、20、25、30、35、又は40のアミノ酸長である。他の実施形態では、リンカーは、最大5、10、15、20、25、30、35、又は40のアミノ酸長である。いくつかの実施形態では、リンカーは、最大5、10、15、又は20のアミノ酸長である。特定の実施形態では、リンカーは、0、5、10、15、又は20のアミノ酸長である。
【0095】
いくつかの実施形態では、リンカーは、GGGGS、GGGGSGGGGS(すなわち、(GGGGS))、GGGGSGGGGSGGGGS(すなわち、(GGGGS))、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(すなわち、(GGGGS))、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(すなわち、(GGGGS))、又はGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(すなわち、(GGGGS))である。他の実施形態では、GGGGS、GGGGSGGGGS(すなわち、(GGGGS))、GGGGSGGGGSGGGGS(すなわち、(GGGGS))、又はGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(すなわち、(GGGGS))である。
【0096】
他の好適なアミノ酸リンカーとしては、例えば、ジスルフィド結合、(Gly)(n=1~10)、(EAAAK)(n=1~5)、A(EAAAK)ALEA(EAAAK)4A、PAPAP、AEAAAKEAAAKA、(Ala-Pro)(n=1~20)、VSQTSKLTRAETVFPDV、PLGLWA、RVLAEA、EDVVCCSMSY、GGIEGRGS、TRHRQPRGWE、AGNRVRRSVG、RRRRRRRRR、GFLG、及びLEが挙げられる。好適な非アミノ酸リンカーとしては、ポリエチレングリコール(PEG)及びトリアジン含有部分(タンパク質と反応することができる末端基を有する構築物内に含まれる;例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2017/083604号パンフレットを参照)が挙げられる。
【0097】
いくつかの実施形態では、抗体又はFabは、リンカーあり又はリンカーなしで、トランケーションされたTTRサブユニットと結合している。例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のアミノ酸を、1つ以上のTTRサブユニットのN末端から除去してもよく、抗体又はFabをトランケーションされたTTRサブユニットN末端に結合させてもよい。
【0098】
本発明はまた、本明細書に記載されたホモ二量体融合タンパク質をコードする核酸分子に関する。ホモ四量体(TTR及びAb)融合タンパク質を生成するための例示的な方法に関する詳細は、実施例中に見出すことができる。
【0099】
抗原結合タンパク質
任意の抗原結合タンパク質(例えば、Fab又は抗体)を、本発明のTTR融合タンパク質で使用することができる。本発明の融合タンパク質は、抗原結合タンパク質の多量体化を可能にするので、抗原結合タンパク質クラスター化又は結合活性が活性に必要とされる抗原を標的とする/に結合する抗原結合タンパク質は、本発明の融合タンパク質から特に利益を得ることができる。したがって、いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質(例えば、抗体又はFab)は:4-1BB(CD137)、CD20、GITR、DR5、OX40(CD134)、ICOS(CD278)、又はCD27を標的とする/に結合する。このようなタンパク質/標的は、がん経路で役割を果たすことが示されている。他の実施形態では、抗原結合タンパク質(例えば、抗体又はFab)は:ErbB-1(上皮成長因子受容体(EGFR))、ErbB-2(ヒト及びげっ歯類中のHER2)、ErbB-3(HER3)、ErbB-4(HER4)、FGFR(線維芽細胞増殖受容体)、VEGFR(血管内皮細胞増殖因子)、RETタンパク質産物、EGFR、KITタンパク質産物、Abl(Abelsonネズミ白血病ウイルス腫瘍遺伝子ホモログ(Abelson murine leukemia viral oncogene homolog)1)、Raf(急速に加速された線維肉腫(Rapidly Accelerated Fibrosarcoma))キナーゼ、又はPDGFR(血小板由来成長因子受容体)を標的とする/に結合する。
【0100】
一実施形態では、抗原結合タンパク質(例えば、抗体又はFab)は、CB1R(抗カンナビノイド受容体-1;遺伝子名Cnrl)に特異的に結合する。CB1受容体は、CNS及び末梢神経系で広く発現しているGi結合Gタンパク質受容体である。CB1受容体のアゴニスト刺激は、アデニリルシクラーゼ活性の阻害及びマイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼの活性化につながる。CB1受容体の内因性アゴニストは、アナンダミド及びアラキドノイルグリセロールを含み得る。外因性アゴニストは、A9-テトラヒドロカンナビノールを含み得る。アンタゴニスト又は逆アゴニストは、体重を減らし、代謝パラメーターを改善することが示されている(例:血漿グルコース及びインスリンレベルの低減)。したがって、特定の実施形態では、TTR融合タンパク質の抗原結合部分は、抗CB1R抗体(例えば、重鎖配列番号5、及び軽鎖配列番号11を有する抗CB1R抗体10D10;又は重鎖配列番号6若しくは7、及び軽鎖配列番号11を有する抗CB1R抗体)である。他の特定の実施形態では、TTR融合タンパク質の抗原結合タンパク質は、抗CB1R Fab(例えば、Fab重鎖配列番号44、及びFab軽鎖配列番号11などの10D10に由来するFab)である。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第20160145333号明細書を参照されたい。
【0101】
一実施形態では、抗原結合タンパク質(例えば、抗体又はFab)は、GITR(グルココルチコイド誘導TNFR関連タンパク質;TNFRSF18)に特異的に結合する。GITRは、活性化誘導性TNFRファミリーメンバー(AITR)と呼ばれることもあり、TNF受容体スーパーファミリー(TNFRSF)に属する受容体である。これは、その同族リガンドのGITRリガンド(GITRL、TNFSF18)によって活性化される。GITRは、TNFRファミリーメンバーの特徴である、システインに富む細胞外ドメインを含有するI型膜貫通タンパク質である。例えば、GITRの細胞質ドメインは、4-1BB及びCD27などの特定の他のTNFRファミリーメンバーと密接な相同性を共有する(Nocentini,et al.(1997)Proc.Natl.Acad.Sci.94:6216-6221(参照により本明細書に組み込まれる))。GITRの活性化により免疫応答が強化され、そのような活性化により、感染症及び腫瘍に対する免疫応答が回復する可能性を有する。したがって、GITRを活性化することができる分子は、免疫応答の増強を誘発させることが望ましい状況において免疫刺激剤として有用であり得る。したがって、特定の実施形態では、TTR融合タンパク質の抗原結合部分は、抗GITR抗体(例えば、重鎖配列番号18、及び軽鎖配列番号25を有する抗GITR抗体9H6;又は重鎖配列番号19若しくは20、及び軽鎖配列番号25を有する抗GITR抗体)である。他の特定の実施形態では、TTR融合タンパク質の抗原結合タンパク質は、抗GITR Fab(例えば、Fab重鎖配列番号21、及びFab軽鎖配列番号26などの9H6に由来するFab)である。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第20150064204号明細書を参照されたい。
【0102】
一実施形態では、抗原結合タンパク質(例えば、抗体又はFab)は、TRAILR2(TRAIL受容体2;DR5(細胞死受容体5)とも称される)に特異的に結合する。TR-2(腫瘍壊死因子(TNF)関連アポトーシス誘導リガンド(「TRAIL」)受容体-2)とそのリガンドであるTRAILの間の相互作用は、アポトーシスの誘導に役割を果たす(例えば、Almasan et al.,Cytokine & Growth Factor Reviews 14:337-348(2003)を参照)。Apo2リガンドとも呼ばれるTRAILは、TNF受容体スーパーファミリー(TRAIL受容体(「TR」)1~4)の4つのメンバー、並びに関連する可溶性のオプテオプロテゲリン(「OPG」)受容体と相互作用するホモマーリガンドである。細胞表面でのTRAILのTR-1又はTR-2との結合は、その細胞のアポトーシスを引き起こす。最初にTRAILがTR-1又はTR-2に結合した後、細胞内タンパク質は受容体の細胞内死ドメインにリクルートされ、シグナル複合体を形成する。特定の細胞内カスパーゼが複合体にリクルートされる;ここで、それらは自己活性化し、順次追加のカスパーゼと細胞内アポトーシスカスケードを活性化する。TR-3及びTR-4及びOPGには、アポトーシスシグナルの伝達に関与する細胞内ドメインがない。したがって、TRAILのTR-3、TR-4、又はOPGとの結合は、アポトーシスを引き起こさない。TR-3及びTR-4は、「デコイ」受容体とも称され、それらの過剰発現は、TRAILによるアポトーシス誘導から細胞を保護することが示される。TR-2は、肝臓、脳、乳房、腎臓、結腸、肺、脾臓、胸腺、末梢血リンパ球、前立腺、精巣、卵巣、子宮、及び胃腸管に沿った様々な組織を含む様々な細胞で発現している(例えば、Walczak et al.,EMBO J.16:5386-5397(1997);Spierings et al.,J.Histochem.Cytochem.52:821-831(2004)(その各々が参照により組み込まれる)を参照)。TRAIL及びTRAIL受容体は広く発現しているが、形質転換細胞でアポトーシスを誘導するのに最も活発である(例えば、Daigle et al.,Swiss Med.Wkly.131:231-237(2001)(その各々が参照により組み込まれる)を参照)。コナツムマブ、抗TRAILR2 モノクローナル抗体は、がんの治療のために開発されている。したがって、特定の実施形態では、TTR融合タンパク質の抗原結合部分は、抗TRAILR2抗体(例えば、重鎖配列番号31、及び軽鎖配列番号38を有するコナツムマブ;又は重鎖配列番号32若しくは33、及び軽鎖配列番号38を有する抗TRAILR2抗体)である。他の特定の実施形態では、TTR融合タンパク質の抗原結合タンパク質は、抗TRAILR2 Fab(例えば、Fab重鎖配列番号34、及びFab軽鎖配列番号39などのコナツムマブに由来するFab)である。
【0103】
TTRバリアント
上述のように、TTRバリアントもまた、本発明で使用され得る。本明細書で議論されるTTRバリアントのいずれかは、互いに組み合わせて使用してもよい。TTRバリアントは、配列番号1、配列番号3、又は配列番号43を有するTTRタンパク質と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質を含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、本発明のTTRは、ヒトTTR配列番号43のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、本発明のTTRは、K15、C10、又はK15/C10の両方(例えば、K15A、C10A、又はK15A/C10Aの両方)での突然変異を有する配列番号43のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、本発明のTTRは、K15A及びC10A突然変異の両方を含み、そのため、配列番号1のアミノ酸配列を有する。
【0105】
ヒトTTR(例えば、配列番号1又は配列番号43)に存在するシステインは、抗原結合タンパク質(例えば、抗体及びFab)への結合の部位として使用され得る。加えて、本発明では、遺伝子操作されたシステインを有するTTRバリアントなどの、部位特異的結合を可能にするTTRバリアントを使用してもよい。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,633,153号明細書を参照されたい。例えば、TTRバリアントは、以下のシステイン突然変異:A37C、D38C、A81C、又はG83Cのうちの1つ以上を含み得る。
【0106】
本発明において有用なさらなるバリアントとしては、例えば、C又はN末端でトランケーションを有するTTRタンパク質が挙げられる。このようなTTRタンパク質としては、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20のアミノ酸が、C又はN末端TTRタンパク質から除去されるものが挙げられる。いくつかの実施形態では、本発明の融合タンパク質は、1、2、3、4、5、6、7、又は8のアミノ酸が、TTRタンパク質のC又はN末端から除去されるTTRタンパク質を含む。他の実施形態では、本発明の融合タンパク質は、1、2、3、4、5、6、7、又は8のアミノ酸が、TTRタンパク質のN末端から除去されるTTRタンパク質を含む。
【0107】
本発明で使用できるさらなるTTRバリアントとしては、チロキシンへのTTRの結合を低減又はブロックするものが挙げられる。2つチロキシン結合部位を含有する各TTR四量体は、TTR四量体の中央チャネルに配置される。このようなバリアントは、例えば、患者のチロキシン生物学への干渉を回避でき、TTR融合物がチロキシン代謝経路で作用するのを回避する場合がある。本発明で使用できるさらに他のTTRバリアントとしては、TTRのタンパク質分解活性を低下又は排除するものが挙げられる。
【0108】
加えて、TTR-Hisタグ融合物を本発明で使用してもよい。例えば、TTR-Hisタグ融合物は、FabがFcを欠いているTTR Fab構築物の精製で、又はプロテインAアフィニティカラムの低pH精製環境を回避することが有益なTTR Ab構築物の精製に使用され得る。いくつかの実施形態では、Hisタグは、精製後に除去される。Hisタグはまた、最終的な治療分子に存在していてもよい(すなわち、タグが精製後に残っていてもよい)。いくつかの実施形態では、Hisタグは、His、(His)、(His)、(His)、(His)、(His)、(His)、(His)、(His)、又は(His)10タグである。特定の実施形態では、Hisタグは、(His)又は(His)タグである。具体的な実施形態では、Hisタグは、(His)タグである。いくつかの実施形態では、Hisタグは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のグリシンアミノ酸をリンカーとして含む。特定の実施形態では、Hisタグは、2つのグリシン(例えば、GGHHHHHH)を含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、2つのグリシンアミノ酸リンカーは、TTRバリアントと重鎖又は軽鎖との間に挿入され得る。
【0110】
さらに、本発明のTTRバリアントは、TTR融合物のPK又は溶解度特性を調節するのに役立ち得るグリコシル化部位を組み込んだバリアントを含み得る。加えて、本発明のTTRバリアント又はTTR融合タンパク質は、有益なPK特性を付与する部分、例えば、トリアジン含有部分(タンパク質と反応することができる末端基を有する構築物内に含まれる;例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2017/083604号パンフレットを参照)を含むように改変されてもよい。
【0111】
ホモ二量体及びホモ四量体融合タンパク質の作製方法
本発明のホモ二量体及びホモ四量体融合物の作製方法は、実施例で議論される。
【0112】
一般に、本発明のホモ二量体及びホモ四量体融合物は、組換え法を用いて生成することができる。したがって、本発明は、ホモ二量体及びホモ四量体融合物をコードするポリヌクレオチドを含む。別の態様では、本発明は、ホモ二量体及びホモ四量体融合物をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む。特定の実施形態では、発現ベクターは、好適な宿主細胞における発現を支援するために、ホモ二量体及びホモ四量体融合物をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結される制御配列(例えば、プロモーター、エンハンサー)を含む。特定の実施形態では、発現ベクターはまた、宿主細胞における染色体非依存性複製を可能にするポリヌクレオチド配列を含む。例示的なベクターとしては、プラスミド、コスミド、及びYACSが挙げられるがこれらに限定されない。特定の実施形態では、ベクターはpTT5である。
【0113】
一般に、Ab TTRホモ二量体又はAb TTRホモ四量体融合構築物を生成する場合、哺乳類宿主細胞が利用される。哺乳類宿主細胞もまた、Fab TTRホモ四量体融合構築物を生成するのに好適であるが、原核生物(バクテリア)などの非哺乳類細胞及び非哺乳類(例えば、酵母菌)宿主細胞もまた、使用され得る。
【0114】
更に別の実施形態では、本発明は、本発明の発現ベクターを含む宿主細胞を含む。宿主細胞に発現ベクターをトランスフェクションし、ホモ二量体及びホモ四量体融合物の発現に好適な条件下でトランスフェクションされた宿主細胞を培養する方法は、当技術分野において既知である。使用されるトランスフェクション手順は、形質転換される宿主に依存し得る。哺乳類細胞への異種性ポリヌクレオチドの特定の導入方法は当該技術分野において既知であり、こうした導入方法としては、限定はされないが、デキストラン介在型遺伝子導入、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン介在型遺伝子導入、プロトプラスト融合、電気穿孔、リポソームへのポリヌクレオチドの封入、及び核へのDNAの直接的なマイクロインジェクションが挙げられる。発現のための宿主として利用可能な特定の哺乳類細胞株は、当該技術分野において既知であり、こうした哺乳類細胞株としては、限定はされないが、American Type Culture Collection(ATCC)から入手可能な多くの不死化細胞株(限定はされないが、チャイニーズハムスター卵巣(CHO;例えばCHO-K1)細胞、E5細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えば、Hep G2)、ヒト胎児腎臓細胞(HEK293)、及び多くの他の細胞株を含む)が挙げられる。特定の実施形態では、ホモ二量体及びホモ四量体融合物をどの細胞株が高レベルで発現し、産生するかを決定することによって細胞株を選択してもよい。
【0115】
したがって、本発明はまた、本明細書に記載されるホモ二量体及びホモ四量体融合タンパク質の作製方法に関する。例えば、ホモ二量体及びホモ四量体融合タンパク質は:
a)ホモ二量体及びホモ四量体融合物をコードするポリヌクレオチドを含む組換え宿主細胞を培養することと;
b)上記培養物からホモ二量体又はホモ四量体融合タンパク質を単離することと、
によって作製され得る。
【0116】
医薬組成物
いくつかの実施形態では、本発明は、医薬的に有効な希釈剤、担体、可溶化剤、乳化剤、防腐剤、及び/又はアジュバントを伴って、本発明のホモ多量体融合タンパク質(例えば、TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、又はTTR Fabホモ四量体融合タンパク質)のうちの1つ以上の治療有効量を含む医薬品組成物を提供する。本発明の医薬組成物としては液体、凍結及び凍結乾燥組成物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0117】
好ましくは、製剤材料は、用いられる投与量及び濃度でレシピエントに無毒なものである。具体的な実施形態では、治療有効量のホモ多量体融合タンパク質(例えば、TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、又はTTR Fabホモ四量体融合タンパク質)を含む医薬組成物が提供される。
【0118】
特定の実施形態では、医薬組成物は、組成物の、例えば、pH、モル浸透圧濃度、粘性、透明性、色調、等張性、匂い、無菌性、安定性、溶解速度若しくは放出速度、吸収性、又は透過性の改変、維持、又は保存を目的とする製剤材料を含み得る。このような実施形態では、好適な製剤材料としては、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、プロリン、又はリジンなど);抗菌剤;酸化防止剤(アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム又は亜硫酸水素ナトリウムなど);緩衝液(ホウ酸、重炭酸、Tris-HCl、クエン酸、リン酸又は他の有機酸など);充填剤(マンニトール又はグリシンなど);キレート剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など);錯化剤(カフェイン、ポリビニルピロリドン、ベータ-シクロデキストリン又はヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンなど);注入剤;単糖類;二糖類;及び他の炭水化物(グルコース、マンノース又はデキストリンなど);タンパク質(血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリンなど);着色剤、香味剤及び希釈剤;乳化剤;親水性ポリマー(ポリビニルピロリドンなど);低分子量ポリペプチド;塩形成対イオン(ナトリウムなど);保存剤(ベンザルコニウムクロリド、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸又は過酸化水素など);溶媒(グリセリン、プロピレングリコール又はポリエチレングリコールなど);糖アルコール(マンニトール又はソルビトールなど);懸濁化剤;界面活性剤又は湿潤剤(プルロニック、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルベート20などのポリソルベート、ポリソルベート、トリトン、トロメタミン、レシチン、コレステロール、チロキサパル(tyloxapal));安定化促進剤(スクロース又はソルビトールなど);等張性促進剤(アルカリ金属ハロゲン化物など、好ましくは塩化ナトリウム又は塩化カリウム、マンニトールソルビトール);送達ビヒクル;希釈剤;賦形剤及び/又は医薬アジュバントが挙げられるが、これらに限定されない。REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES,18”Edition,(A.R.Genrmo,ed.),1990,Mack Publishing Companyを参照されたい。
【0119】
特定の実施形態では、最適な医薬組成物は、例えば、意図される投与経路、送達形式及び所望の投与量に応じて当業者によって決定されることになる。例えば、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES(前掲)を参照されたい。特定の実施形態では、そのような組成物は、本発明の抗原結合タンパク質の物理的状態、安定性、in vivoでの放出速度及びin vivoでのクリアランス速度に影響し得る。特定の実施形態では、医薬組成物における主要なビヒクル又は担体は、水性又は非水性のいずれかの性質を有し得る。例えば、好適なビヒクル又は担体は、注射用水、生理食塩水溶液又は人工脳脊髄液であり得、場合により非経口投与用組成物で一般的な他の材料が補充される。中性緩衝生理食塩水又は血清アルブミンを混合した生理食塩水もさらなる例示的なビヒクルである。具体的な実施形態では、医薬組成物は、約pH7.0~8.5のトリス緩衝液、又は約pH4.0~5.5の酢酸塩緩衝液を含み、ソルビトール又はその適切な代替物をさらに含んでよい。本発明の特定の実施形態では、ホモ多量体組成物(例えば、TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、又はTTR Fabホモ四量体融合タンパク質)は、凍結乾燥ケーキ又は水性溶液の形態において、所望の度合いの純度を有する選択された組成物を任意選択的に配合剤(前掲のREMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES)と混合することによって保管のために調製され得る。さらに、特定の実施形態では、ホモ多量体(例えば、TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、又はTTR Fabホモ四量体融合タンパク質)を、スクロースなどの適切な賦形剤を用いて凍結乾燥物として配合してもよい。
【0120】
本発明の医薬組成物は、非経口送達を目的として選択することができる。あるいは、組成物は、吸入、又は経口など、消化管を介した送達を目的として選択してよい。そのような医薬的に許容可能な組成物の調製は、当該技術分野の範囲内である。製剤成分は、好ましくは投与部位に許容される濃度で存在する。特定の実施形態では、緩衝剤は、組成物を生理学的pH又は僅かに低いpH、典型的には、約5~約8のpH範囲内に維持するために使用される。
【0121】
非経口投与が考えられる場合、本発明における使用のための治療組成物は、薬学的に許容されるビヒクル中に、所望のホモ多量体(例えば、TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、又はTTR Fabホモ四量体融合タンパク質)を含み、発熱物質を含まない、非経口的に許容される水溶液の形態で提供し得る。非経口注射のための特に好適なビヒクルは、無菌の蒸留水であり、その中でホモ多量体(例えば、TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、又はTTR Fabホモ四量体融合タンパク質)は、適切に保存された無菌の等張溶液として処方される。特定の実施形態では、調製は、蓄積注射を介して送達され得る生成物の徐放的又は持続的放出を提供し得る、注射可能なマイクロスフェア、生分解性粒子、高分子化合物(ポリ乳酸又はポリグリコール酸など)、ビーズ又はリポソームなどの薬剤を含む所望の分子の処方を含むことができる。特定の実施形態では、循環中の持続期間を増進する効果を有するヒアルロン酸も使用し得る。特定の実施形態では、所望の抗原結合タンパク質を導入するために埋め込み可能な薬物送達デバイスを使用してもよい。
【0122】
本発明の医薬組成物は、吸入を目的として配合することができる。これらの実施形態では、ホモ多量体(例えば、TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、又はTTR Fabホモ四量体融合タンパク質)は、有利には、乾燥した、吸入可能な粉末として配合される。具体的な実施形態では、ホモ多量体(例えば、TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、又はTTR Fabホモ四量体融合タンパク質)吸入溶液は、エアゾール送達のための噴射剤とともに配合されてもよい。特定の実施形態では、溶液を噴霧してよい。経肺の投与、ひいては製剤化方法は、国際特許出願番号第PCT/US94/001875号明細書(参照により組み込まれる)にさらに記載されており、この文献では、化学的に改変されたタンパク質の経肺送達について記載されている。
【0123】
製剤は経口投与可能であるとも考えられる。この様式で投与されるホモ多量体(例えば、TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、又はTTR Fabホモ四量体融合タンパク質)は、錠剤及びカプセルなどの固形剤形の配合において習慣的に使用される担体と共に、又はこうした担体を使用せずに製剤化することができる。特定の実施形態では、消化管において生物学的利用率が最大化し、全身循環前分解(pre-systemic degradation)が最小化する時点で製剤の活性部分が放出されるようにカプセルを設計してよい。ホモ多量体(例えば、TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、又はTTR Fabホモ四量体融合タンパク質)の吸収を促進するために、更なる薬剤が含まれ得る。希釈剤、香味剤、低融点ワックス、植物油、滑沢剤、懸濁剤、錠剤崩壊剤、及び結合剤を用いてもよい。
【0124】
持続送達製剤又は制御送達製剤において、ホモ多量体(例えば、TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、又はTTR Fabホモ四量体融合タンパク質)を伴う製剤を含む更なる医薬組成物は、当業者には明らかであろう。リポソーム担体、生物侵食性微粒子又は多孔性ビーズ及びデポ注射など、様々な他の持続送達手段又は制御送達手段の製剤化手法も当業者に知られている。例えば、国際特許出願番号第PCT/US93/00829号明細書(参照によって組み込まれる)を参照されたい。この文献では、医薬組成物を送達するための多孔性ポリマー微粒子の制御放出について記載されている。持続放出調製物は、例えば、フィルム又はマイクロカプセルなどの成形物品の形態の半透性ポリマーマトリックスを含み得る。持続放出性マトリックスは、ポリエステル、ヒドロゲル、ポリラクチド(その各々が参照により組み込まれる、米国特許第3,773,919号明細書、欧州特許出願公開第058481号明細書に開示される)、L-グルタミン酸とγエチル-L-グルタメートのコポリマー(Sidman et al.,1983,Biopolymers 2:547-556)、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)(Langer et al.,1981,J.Biomed.Mater.Res.15:167-277及びLanger,1982,Chem.Tech.12:98-105)、エチレン酢酸ビニル(Langer et al.,1981、前掲)又はポリ-D(-)-3-ヒドロキシ酪酸(欧州特許出願公開第133,988号明細書)を含み得る。持続放出組成物は、当該技術分野において既知のいくつかの方法のいずれかによって調製することができるリポソームも含み得る。例えば、参照により組み込まれる、Eppstein et al.,1985,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.82:3688-3692;欧州特許出願公開第036,676号明細書;同第088,046号明細書及び同第143,949号明細書を参照されたい。
【0125】
in vivo投与に使用される医薬組成物は、典型的には、無菌調製物として提供される。無菌化は、無菌濾過膜を介す濾過によって達成することができる。組成物が凍結乾燥される場合、この方法を使用する無菌化は、凍結乾燥及び再構成の前又は後のいずれかに実施してよい。非経口投与のための組成物は、凍結乾燥形態又は溶液で保存することができる。非経口組成物は、一般に、無菌のアクセスポートを有する容器に充填され、こうした容器は、例えば、静脈注射用溶液バッグ、又は皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有するバイアルである。
【0126】
本発明の態様は、自己緩衝性ホモ多量体(例えば、TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、又はTTR Fabホモ四量体融合タンパク質)を含み、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第06138181A2号パンフレット(PCT/US2006/022599)に記載されているような医薬組成物として使用できる。
【0127】
上述のように、特定の実施形態は、ホモ多量体(例えば、TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、又はTTR Fabホモ四量体融合タンパク質)組成物、特に医薬のホモ多量体(例えば、TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、又はTTR Fabホモ四量体融合タンパク質)組成物を提供し、これは、ホモ多量体(例えば、TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、又はTTR Fabホモ四量体融合タンパク質)に加えて、本節及び本明細書の他の箇所に例示的に記載されるものなどの1つ以上の賦形剤を含む。賦形剤は、粘度の調整などの製剤の物理的、化学的又は生物学的特性の調整及び/若しくは有効性を向上させ、並びに/又はこのような製剤を安定化するための本発明の方法並びに例えば製造、輸送、保管、使用前の調製、投与中及びこれらの後に生じるストレスに起因する劣化及び損傷に対する方法など、広範囲の目的を考慮して本発明で使用することができる。
【0128】
タンパク質の安定化並びにこれに関して有用な製剤材料及び方法に対して様々な説明が利用可能であり、例えばArakawa et al.,「Solvent interactions in pharmaceutical formulations」,Pharm Res.8(3):285-91(1991);Kendrick et al.,「Physical stabilization of proteins in aqueous solution」:RATIONAL DESIGN OF STABLE PROTEIN FORMULATIONS:THEORY AND PRACTICE,Carpenter and Manning,eds.Pharmaceutical Biotechnology.13:61-84(2002)及びRandolph et al.,「Surfactant-protein interactions」,Pharm Biotechnol.13:159-75(2002)(各々が、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)、特に獣医学的及び/又はヒト医療用途のタンパク質医薬品及びプロセスに関して、特に本発明による自己緩衝性タンパク質製剤と同じ賦形剤及びプロセスに関する部分を参照されたい。
【0129】
塩は、本発明の特定の実施形態に従って、例えば製剤のイオン強度及び/若しくは等張性を調整するため、並びに/又は本発明による組成物のタンパク質若しくは他の成分の溶解度及び/若しくは物理的安定性を向上させるために使用され得る。
【0130】
よく知られているとおり、イオンは、タンパク質の表面上の荷電残基に結合することにより、且つタンパク質中の荷電基及び極性基を遮蔽し、その静電気相互作用、引力及び反発相互作用の強度を低減することにより、天然状態のタンパク質を安定化することができる。イオンは、特にタンパク質の変性ペプチド結合(--CONH)に結合することによって変性状態のタンパク質を安定化することもできる。さらに、タンパク質中の荷電基及び極性基とのイオン相互作用は、分子間静電相互作用を低減し、それによりタンパク質の凝集及び不溶化を防止又は低減することもできる。
【0131】
イオン種によってタンパク質に及ぼすそれらの効果は、著しく異なる。イオン及びタンパク質に対するその効果の分類上の順位付けがいくつか立案されており、これを本発明による医薬組成物の製剤化に使用することができる。一例は、イオン性溶質及び極性非イオン性溶質を溶液中のタンパク質の立体構造安定性に対する効果によって順位付けするホフマイスター系列である。安定化する溶質は、「コスモトロピック」と称される。不安定化する溶質は、「カオトロピック」と称される。コスモトロープは、一般に、溶液からタンパク質を沈殿(「塩析」)させるために高濃度(例えば、>1モル硫酸アンモニウム)で使用される。カオトロープは、一般に、タンパク質を変性及び/又は可溶化(「塩溶」)させるために使用される。「塩溶」及び「塩析」に対するイオンの相対的な効果により、ホフマイスター系列でのイオンの位置が定義される。
【0132】
遊離アミノ酸は、充填剤、安定化剤及び酸化防止剤として、並びに他の標準的用途として、本発明の様々な実施形態によるホモ多量体(例えば、TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、又はTTR Fabホモ四量体融合タンパク質)製剤に使用することができる。リジン、プロリン、セリン及びアラニンは、製剤中のタンパク質を安定化するために使用することができる。グリシンは、凍結乾燥において適切なケーキ構造及び特性を確保するのに有用である。アルギニンは、液体及び凍結乾燥のいずれの製剤でもタンパク質の凝集を阻害するのに有用であり得る。メチオニンは、酸化防止剤として有用である。
【0133】
ポリオールは、糖、例えばマンニトール、スクロース及びソルビトール並びに多価アルコール、例えばグリセロール及びプロピレングリコール並びに本明細書での議論を目的としてポリエチレングリコール(PEG)及び関連物質を含む。ポリオールは、コスモトロピックである。それらは、液体及び凍結乾燥のいずれの製剤でもタンパク質を物理的及び化学的劣化過程から保護するのに有用な安定化剤である。ポリオールは、製剤の等張性を調整するのにも有用である。
【0134】
ポリオールの中で本発明の選択された実施形態において有用なのは、マンニトールであり、これは、凍結乾燥製剤においてケーキの構造安定性を確保するために一般に使用される。マンニトールは、ケーキの構造安定性を確保する。一般に、これは、凍結乾燥保護剤、例えばスクロースとともに使用される。ソルビトール及びスクロースは、等張性を調整するための薬剤及び輸送中又は製造工程でのバルク調製時の凍結解凍ストレスから保護するための安定化剤として好ましいものの中に含まれる。還元糖(遊離アルデヒド基又はケトン基を含有する)、例えばグルコース及びラクトースは、表面のリジン及びアルギニン残基を糖化することができる。したがって、それらは、一般に、本発明による使用のための好ましいポリオールの中に含まれない。加えて、そのような反応種を形成する糖、例えばスクロースも、酸性条件下でフルクトース及びグルコースに加水分解され、その結果糖化を生じさせる点で本発明の好ましいポリオールの中に含まれない。PEGは、タンパク質を安定化すること及び凍結保護物質として有用であり、この点に関して本発明に使用することができる。
【0135】
ホモ多量体(例えば、TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、又はTTR Fabホモ四量体融合タンパク質)製剤の実施形態は、界面活性剤を更に含む。タンパク質分子は、表面への吸着並びに気体-液体界面、固体-液体界面及び液体-液体界面での変性及びその結果としての凝集を引き起こしやすいことがある。これらの効果は、一般にタンパク質濃度に反比例する。これらの有害な相互作用は、一般に、タンパク質濃度と反比例し、典型的には、例えば製品の輸送及び取り扱い時に生じる物理的撹拌によって悪化する。
【0136】
界面活性剤は、慣例的に、表面吸着を防止するか、最小化するか、又は低減するために使用される。この点に関して本発明において有用な界面活性剤としては、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ソルビタンポリエトキシレートの他の脂肪酸エステル及びポロキサマー188が挙げられる。
【0137】
界面活性剤は、タンパク質の立体構造安定性を制御するためにも一般に使用される。任意の所与の界面活性剤は、典型的には、一部のタンパク質を安定化し、他を不安定化するため、この点において、界面活性剤の使用は、タンパク質特異的である。
【0138】
ポリソルベートは、酸化劣化を起こしやすく、多くの場合、供給されるとき、タンパク質残基の側鎖、特にメチオニンの酸化を引き起こすほど十分な過酸化物量を含有している。したがって、ポリソルベートは、注意して使用すべきであり、使用時には最小影響濃度で用いなければならない。この点で、ポリソルベートは、賦形剤を最小影響濃度で用いるべきとする一般通則を例示している。
【0139】
ホモ多量体(例えば、TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、又はTTR Fabホモ四量体融合タンパク質)製剤の実施形態は、1種以上の酸化防止剤を更に含む。適切なレベルの周囲酸素及び周囲温度を維持することにより、且つ光への暴露を回避することにより、医薬製剤中でのタンパク質の有害な酸化をある程度まで防止することができる。酸化防止賦形剤を、タンパク質の酸化劣化を防止するためにも同様に使用することができる。この点で特に有用な酸化防止剤には、還元剤、酸素/フリーラジカル捕捉剤及びキレート剤が含まれる。本発明による治療用タンパク質製剤に使用するための酸化防止剤は、好ましくは、水溶性であり、製品の有効期間にわたって活性を維持する。この点で、EDTAが本発明による好ましい酸化防止剤である。
【0140】
酸化防止剤は、タンパク質を損傷することがある。例えば、還元剤、例えばグルタチオンは、特に分子内ジスルフィド結合を破壊し得る。したがって、本発明に使用するための酸化防止剤は、とりわけ、それ自体が製剤中のタンパク質に損傷を与える可能性を排除するか又はその可能性を十分に低減するように選択される。
【0141】
本発明による製剤は、タンパク質の補因子であり、タンパク質配位化合物を形成するのに必要とされる金属イオン、例えば特定のインスリン懸濁液を形成するのに必要とされる亜鉛を含み得る。金属イオンは、タンパク質を分解するいくつかの過程も阻害することができる。しかしながら、金属イオンは、タンパク質を分解する物理的及び化学的過程も触媒する。
【0142】
マグネシウムイオン(10~120mM)は、アスパラギン酸からイソアスパラギン酸への異性化を阻害するために使用され得る。Ca+2イオン(最大100mM)は、ヒトデオキシリボヌクレアーゼの安定性を増大させ得る。しかしながら、Mg+2、Mn+2及びZn+2は、rhDNaseを不安定化し得る。同様に、Ca+2及びSr+2は、第VIII因子を安定化することができ、これは、Mg+2、Mn+2及びZn+2、Cu+2及びFe+2によって不安定化されることがあり、その凝集は、Al+3イオンによって増大し得る。
【0143】
ホモ多量体(例えば、TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、又はTTR Fabホモ四量体融合タンパク質)製剤の実施形態は、1種以上の防腐剤を更に含む。保存剤は、同じコンテナからの2回以上の取り出しを伴う複数回用量の非経口製剤を開発する際に必要となる。その主な機能は、製剤の貯蔵寿命又は使用期間にわたって微生物の増殖を阻害し、製品の無菌性を確保することである。一般に使用される防腐剤としては、ベンジルアルコール、フェノール及びm-クレゾールが挙げられる。保存剤は、低分子の非経口薬との使用において長い歴史を有するが、保存剤を含むタンパク質製剤の開発は、困難であり得る。保存剤は、ほぼ常に、タンパク質に対して不安定化効果(凝集)を有しており、これが複数回用量のタンパク質製剤における使用を制限する主要な要因となっている。現在に至るまで、ほとんどのタンパク質薬は、単回使用用としてのみ製剤化されている。しかしながら、複数回用量製剤が可能である場合、患者の利便性及び高い市場性を実現するという利点が加わる。防腐処理された製剤の開発により、より便利な複数回使用の注射ペンの提案が製品化に至ったヒト成長ホルモン(hGH)は、その良い例である。hGHの保存処理された製剤を含有するそのようなペンデバイスは、少なくとも4つが現在市場で入手可能である。Norditropin(液体、Novo Nordisk)、Nutropin AQ(液体、Genentech)及びGenotropin(凍結乾燥-デュアルチャンバーカートリッジ、Pharmacia&Upjohn)は、フェノールを含有する一方、Somatrope(Eli Lilly)は、m-クレゾールで製剤化されている。
【0144】
保存処理された剤形の製剤化及び開発中、いくつかの態様を考慮する必要がある。製剤中の効果的な防腐剤濃度を最適化しなければならない。これには、剤形中の所与の防腐剤を、タンパク質の安定性を損なうことなく抗微生物効果を付与する濃度範囲で試験することが必要となる。
【0145】
予想され得るように、防腐剤を含有する液体製剤の開発は凍結乾燥製剤よりも困難である。フリーズドライ製品は、防腐剤なしで凍結乾燥され、使用時に希釈剤を含有する防腐剤で再構成することができる。これにより保存剤がタンパク質と接触する時間が短縮され、付随する安定性のリスクが大幅に最小化される。液体製剤の場合、保存剤の有効性及び安定性は、製品有効期間全体(約18~24か月)にわたって維持されるべきである。注意すべき重要な点として、保存剤の有効性は、活性薬物及び全ての賦形剤成分を含有する最終製剤において実証される必要がある。
【0146】
ホモ多量体(例えば、TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、又はTTR Fabホモ四量体融合タンパク質)製剤は、一般に、とりわけバイオアベイラビリティ及び持続性の範囲において、特定の投与経路及び投与方法、特定の投与量及び投与頻度、特定の疾患の特定の治療に合わせて設計されることになる。したがって、製剤は、経口、聴覚、眼、直腸、及び膣を含むがこれらに限定されない任意の好適な経路による、並びに静脈内及び動脈内注射、筋肉内注射、並びに皮下注射を含む非経口経路による送達のために、本発明に従って設計され得る。
【0147】
医薬組成物が製剤化されると、溶液、懸濁液、ゲル、エマルジョン、固体、結晶、又は脱水粉末若しくは凍結乾燥粉末として無菌バイアルにおいてそれを保存してもよい。そのような製剤は、即時使用が可能な形態か、又は投与前に再構成される形態(例えば、凍結乾燥品)のいずれで保存してもよい。本発明は、単回用量投与単位を生成するためのキットも提供する。本発明のキットは、乾燥タンパク質を有する第1の容器と、水性製剤を有する第2の容器の両方を各々含む。本発明の特定の実施形態では、単一及び多チャンバー式充填済みシリンジ(例えば、液体シリンジ及び溶解シリンジ(lyosyringe))を含むキットが提供される。
【0148】
使用される治療有効量のホモ多量体含有(例えば、TTR抗体ホモ二量体含有、TTR抗体ホモ四量体含有、又はTTR Fabホモ四量体含有融合タンパク質)医薬組成物は、例えば、治療の状況及び目的に依存するであろう。治療に適した投与量レベルは、送達される分子、ホモ多量体(例えば、TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、又はTTR Fabホモ四量体融合タンパク質)が使用される徴候、投与経路、並びに患者のサイズ(体重、体表、若しくは臓器サイズ)及び/又は状態(年齢及び総体的な健康)に一部は応じて変わることになると当業者であれば理解するであろう。特定の実施形態では、臨床医は、最適な治療効果を得るために、投与量の力価を判断し、投与経路を改変してもよい。典型的な投与量は、上記の要因に応じて約0.1μg/kg~最大約30mg/kg以上の範囲であり得る。特定の実施形態では、投与量は、1.0μg/kg~最大約20mg/kg、任意選択的に10μg/kg~最大約10mg/kg又は100μg/kg~最大約5mg/kgの範囲であり得る。
【0149】
治療有効量のホモ多量体(例えば、TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、又はTTR Fabホモ四量体融合タンパク質)は、好ましくは、疾患症状の重症度の低下、疾患無症状期間の頻度若しくは期間の増加、又は疾患の苦痛による障害若しくは無能の防止をもたらす。
【0150】
医薬組成物は、医療デバイスを使用して投与されてもよい。医薬組成物を投与するための医療デバイスの例は、米国特許第4,475,196号明細書;同第4,439,196号明細書;同第4,447,224号明細書;同第4,447,233号明細書;同第4,486,194号明細書;同第4,487,603号明細書;同第4,596,556号明細書;同第4,790,824号明細書;同第4,941,880号明細書;同第5,064,413号明細書;同第5,312,335号明細書;同第5,312,335号明細書;同第5,383,851号明細書;及び同第5,399,163号明細書(全てが本明細書に参照として組み込まれる)に記載されている。
【0151】
ホモ二量体及びホモ四量体融合タンパク質の治療的使用
実施例中で示されるように、TTRホモ二量体融合タンパク質を生成するためのTTRを用いた抗体の二量体化、並びにTTRホモ四量体融合タンパク質を生成するためのTTRを用いた抗体及びFab断片の四量体化により、個々の抗体及び/又はFab断片と比較して、結合活性が増大したTTR含有融合タンパク質がもたらされることが見出された。
【0152】
加えて、TTRホモ二量体及びTTRホモ四量体融合タンパク質は、個々の抗体及び/又はFab断片と比較して、改善された抗原クラスター化を示す。抗体(IgG抗体など)が標的細胞(腫瘍細胞など)の抗原に結合すると、得られたクラスター化Fcドメインは、NK細胞及びマクロファージなどの免疫エフェクター細胞に見られるFcγRと結合する。このクラスター化は、FcγRを介したシグナル伝達を助け、抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)及び抗体依存性細胞性貪食(ADCP)などの細胞媒介エフェクター機能の開始をもたらす。したがって、TTRホモ二量体及びTTRホモ四量体融合タンパク質は、高い抗体又はFabの親和性/結合活性が生物学的効果の強化につながるリガンドのターゲッティングに特に有用である。本発明のTTRホモ二量体及びTTRホモ四量体構築物による細胞媒介エフェクター機能の強化により、例えば、がんの治療に有用な、細胞を殺す能力の増加がもたらされる。
【0153】
本発明のTTRホモ二量体及びTTRホモ四量体融合タンパク質は、様々な標的/抗原に結合するために使用することができる。例えば、TTRホモ二量体及びTTRホモ四量体融合タンパク質は、TRAIL、TRAIL2R.GITR、OX40、GLP1、TREM2、及び4-1BBを標的とする際のアゴニストとして使用することができる。加えて、TTRホモ二量体及びTTRホモ四量体融合タンパク質は、GIPR、TNFR、インテグリン受容体、PD-1、PD-L1、TIGIT、LAG-3、及びTIM-3を標的とする際のアンタゴニストとして使用することができる。
【0154】
したがって、本発明はまた、本明細書に記載されるホモ二量体融合タンパク質及びホモ四量体融合タンパク質を用いたがんの治療方法に関する。
【0155】
他の実施形態では、本発明は、がんの治療における、本明細書に記載されるホモ二量体融合タンパク質及びホモ四量体融合タンパク質の使用に関する。
【0156】
更に他の実施形態では、本発明は、がんの治療にて使用するための、本明細書に記載されるホモ二量体融合タンパク質及びホモ四量体融合タンパク質に関する。
【実施例0157】
以下の実施例は、本発明の具体的な実施形態又は特徴を例示する目的で提供されるものであり、その範囲を限定することを意図するものではない。
【0158】
実施例1:生成されたTTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、及びTTR Fabホモ四量体融合タンパク質のまとめ
TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、及びTTR Fabホモ四量体融合タンパク質のクローニング
以下のハイブリドーマ由来抗体及びFabを使用して、融合タンパク質を生成した:
・ハイブリドーマCB10(ハイブリドーマ10D10とも称される)由来の抗CB1R抗体及びFab
・ハイブリドーマ9H6由来の抗GITR抗体及びFab
・抗TRAILR2抗体コナツムマブ及び対応するコナツムマブFab
【0159】
以下のTTR融合タンパク質を生成した。[TTR]=TTR四量体。簡略化のために、Hisタグ(Fab構築物のための)は、実施例1の概要には示されていない。
【0160】
具体的には、以下のTTR抗体ホモ二量体融合タンパク質を構築した。これらの構築物では、両方の抗体重鎖のC末端は、各TTRサブユニットのN末端に連結された。
a.[抗CB1R抗体]-[TTR]
・「CB1R TTR抗体ホモ二量体融合タンパク質」
・生成した配列対:
【0161】
【表1】
【0162】
b.[抗GITR抗体]-[TTR]
・「GITR TTR抗体ホモ二量体融合タンパク質」
・生成した配列対:
【0163】
【表2】
【0164】
c.[抗TRAILR2抗体]-[TTR]
・「コナツムマブTTR抗体ホモ二量体融合タンパク質」
・生成した配列対:
【0165】
【表3】
【0166】
加えて、以下のTTR抗体ホモ四量体融合タンパク質を構築した。これらの構築物では、電荷対変異D399K及びE356K(配列番号6、19、又は32)を含有する、抗体C末端の2つの重鎖のうちの1つは、(リンカーあり又はリンカーなしで)TTRサブユニットのN末端に連結していた。K392D及びK409D電荷対変異(配列番号7、20、又は33)の相補的なセットを含有する残りの重鎖は、連結された重鎖を伴った。実施例中の構築物の議論において、E416K及びD459Kの議論は、それぞれ、EU E356K及びEU D399Kを指すことに留意。同様に、実施例中の構築物の議論について、K420D及びK437Dの議論は、それぞれ、EU K392D及びEU K409Dを指すことに留意。
a.[抗CB1R抗体]-[TTR]
・「CB1R TTR抗体ホモ四量体融合タンパク質」
・生成した配列対:
【0167】
【表4】
【0168】
b.[抗GITR抗体]-[TTR]
・「GITR TTR抗体ホモ四量体融合タンパク質」
・生成した配列対:
【0169】
【表5】
【0170】
c.[抗TRAILR2抗体]-[TTR]
・「コナツムマブTTR抗体ホモ四量体融合タンパク質」
・生成した配列対:
【0171】
【表6】
【0172】
加えて、以下のTTR Fabホモ四量体融合タンパク質が構築された。これらの構築物では、各Fab断片のC末端は、各TTRサブユニットのN末端に連結された。
a.[抗CB1R Fab]-[TTR]
・「CB1R TTR Fabホモ四量体融合タンパク質」
・実施例中の構築物の議論において、S215Eの議論は、EU S183Eを指すことに留意。同様に、実施例中の構築物の議論について、S203Kの議論は、EU S176Kを指すことに留意。
・[配列番号44]-[配列番号1]+配列番号11融合物において、電荷対変異は使用されなかった。[配列番号45]-[配列番号1]&配列番号46融合物において、配列番号45は、S215E電荷対変異を含有し、配列番号46は、電荷対S203K変異を含有し、両方ともEU系に従ってナンバリングされた。
・生成した配列対:
【0173】
【表7】
【0174】
b.[抗GITR Fab]-[TTR]
・「GITR TTR Fabホモ四量体融合タンパク質」
・生成した配列対:
【0175】
【表8】
【0176】
c.[抗TRAILR2 Fab]-[TTR]
・「コナツムマブTTR Fabホモ四量体融合タンパク質」
・生成した配列対:
【0177】
【表9】
【0178】
TTR抗体ホモ二量体融合タンパク質について、各抗体重鎖のC末端は、各TTRサブユニットのN末端に連結された。TTR抗体ホモ四量体融合タンパク質について、抗体C末端の2つの重鎖のうちの1つは、各TTRサブユニットのN末端に連結された。TTR Fabホモ四量体融合タンパク質について、各Fab断片のC末端は、各TTRサブユニットのN末端に連結された。
【0179】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、部位特異的PCR突然変異誘発、制限エンドヌクレアーゼ消化、及び哺乳類発現プラスミドへの酵素的連結を含む標準的な分子生物学技術を使用して、融合タンパク質を生成した。Fab C-末端に(His)タグを付加した、ポリヒスチジンタグ付きFab-TTR分子もまた、生成された。
【0180】
それぞれのクローニングした抗CB1、抗GITR及び抗TR2抗体軽鎖(LC)DNAと組み合わせたクローニングしたTTR融合バリアント重鎖及びFab DNAを使用して、TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、及びTTR Fabホモ四量体融合タンパク質の発現のための哺乳類細胞にトランスフェクションした。これらの手法は一般に、分子クローニングで参照できる方法に従って実行された:A Laboratory Manuel,3rd ed.,Sambrook et al.,2001,Cold Spring Harbor Laboratory Press,cold Spring Harbor,N.Y。
【0181】
実施例2:抗CB1 TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、及びTTR Fabホモ四量体融合タンパク質のクローニング、発現、及び精製
抗CB1 TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、及びTTR Fabホモ四量体融合タンパク質のクローニング
抗CB1 TTR抗体ホモ二量体は、概して、以下のようにクローニングされた。pTT5-del-Bsm-BI:VK1O2O12::[hu 抗<huCB1> 10D10.1 VH]::huIgG2TO(構築物C59477)を、以下の構築物用の鋳型として使用した。pTT5-del-Bsm-BIベクターは、BsmBI制限部位が除去されたpTT5ベクターの誘導体である。
【0182】
[配列番号5]-[配列番号1]を、以下のとおり構築した。PCR1:鋳型としてC59477を使用し、シグナル配列のアミノ末端、SalI制限酵素部位、及び最適化されたコザック配列をコードする5’PCRプライマー(5’-AGT TTA AAC GAA TTC GTC GAC TAG GCC ACC ATG GAC ATG AGG GTG CC-3’)を、C59477内の既存のBamHI制限部位を排除するように設計された3’プライマー(5’-GTG CTG GCG AAT CCA GCT CCA ATA GTC ACC-3’)と組み合わせる。PCR1によりおよそ220塩基対産物が得られた。PCR2a:鋳型としてC59477を使用し、既存のBamHI制限部位を排除するように設計された5’PCRプライマー(5’-GAG CTG GAT TCG CCA GCA CCC AGG-3’)を、カルボキシル末端ヒト重鎖定常領域(CH3)及びTTR(配列番号1)のアミノ末端をコードする3’プライマー(5’-GGT GCC CGT AGG GCC ACC CGG AGA CAG GGA G-3’)と組み合わせる。PCR2aによりおよそ1250塩基対産物が得られた。PCR3a:鋳型としてTTR(配列番号1)を使用し、カルボキシル末端ヒト重鎖定常領域(CH3)及びTTRのアミノ末端をコードする5’PCRプライマー(5’-TCC CTG TCT CCG GGT GGC CCT ACG GGC ACC G-3’)を、TTR(配列番号1)のカルボキシル末端、終止コドン及びNotI制限部位をコードする3’プライマー(5’-AAC GAT ATC GCT AGC GCG GCC GCT CAT TCC TTG GGA TTG GTG-3’)と組み合わせる。PCR3aによりおよそ400塩基対産物が得られた。PCR反応物1、2a、及び3aをゲル分離し、Qiagenカラムで精製した。次いで、これらの断片を混合し、GeneArt Seamless Cloning and Assembly Kitを用いて、SalI及びNotI消化線状哺乳類発現ベクターpTT15dに連結した。得られた構築物を、C73494:pTT15d:VK1O2O12::[hu抗<huCB1>10D10.1(huIgG2-TO desK)VH]::TTR3と名付けた。
【0183】
[[配列番号5]-[GGGGS]]-[配列番号1]を上記に記載したように、PCR1を使用して構築した。PCR2b:鋳型としてC59477を使用し、既存のBamHI制限部位を排除するように設計された5’PCRプライマー(5’-GAG CTG GAT TCG CCA GCA CCC AGG-3’)を、カルボキシル末端ヒト重鎖定常領域(CH3)、G4Sリンカー、及びTTR(配列番号1)のアミノ末端をコードする3’プライマー(5’-GGA TCC GCC ACC ACC ACC CGG AGA CAG GGA G-3’)と組み合わせる。PCR2bによりおよそ1250塩基対産物が得られた。PCR3b:鋳型としてTTR(配列番号1)を使用し、カルボキシル末端ヒト重鎖定常領域(CH3)、G4Sリンカー、及びTTRのアミノ末端をコードする5’PCRプライマー(5’-GGT GGT GGC GGA TCC GGC CCT ACG GGC ACC G-3’)を、TTRのカルボキシル末端領域、終止コドン、及びNotI制限部位をコードする3’プライマー(5’-AAC GAT ATC GCT AGC GCG GCC GCT CAT TCC TTG GGA TTG GTG-3’)と組み合わせる。PCR3bによりおよそ400塩基対産物が得られた。PCR反応物1、2b、及び3bをゲル分離し、Qiagenカラムで精製した。次いで、これらの断片を混合し、GeneArt Seamless Cloning and Assembly Kitを用いて、SalI及びNotI消化線状哺乳類発現ベクターpTT15dに連結した。得られた構築物を、C73499:pTT15d:VK1O2O12::[hu抗<huCB1>10D10.1(huIgG2-TO desK)VH]::G4S::TTR3と名付けた。
【0184】
[[配列番号5]-[(GGGGS)]]-[配列番号1]を上記に記載したように、PCR1を使用して構築した。PCR2c:鋳型としてC59477を使用し、既存のBamHI制限部位を排除するように設計された5’PCRプライマー(5’-GAG CTG GAT TCG CCA GCA CCC AGG-3’)を、カルボキシル末端ヒト重鎖定常領域(CH3)、(GGGGS)リンカー、及びTTR(配列番号1)のアミノ末端をコードする3’プライマー(5’-GCC GGA CCC TCC CCC ACC GGA TCC GCC ACC TCC ACC CGG AGA CAG GGA G-3’)と組み合わせる。PCR2cによりおよそ1250塩基対産物が得られた。PCR3c:鋳型としてTTRを使用し、カルボキシル末端ヒト重鎖定常領域(CH3)、(GGGGS)リンカー、及びTTRのアミノ末端をコードする5’PCRプライマー(5’-CCG GTG GGG GAG GGT CCG GCC CTA CGG GCA CCG GTG AAT CCA AGG CTC CT-3’)を、TTRのカルボキシル末端領域、終止コドン、及びNotI制限部位をコードする3’プライマー(5’-AAC GAT ATC GCT AGC GCG GCC GCT CAT TCC TTG GGA TTG GTG-3’)と組み合わせる。PCR3cによりおよそ400塩基対産物が得られた。PCR反応物1、2c、及び3cをゲル分離し、Qiagenカラムで精製した。次いで、これらの断片を混合し、GeneArt Seamless Cloning and Assembly Kitを用いて、SalI及びNotI消化線状哺乳類発現ベクターpTT15dに連結した。得られた構築物を、C73500:pTT15d:VK1O2O12::[hu抗<huCB1>10D10.1(huIgG2-TO desK)VH]::(G4S)2::TTR3と名付けた。
【0185】
[[配列番号5]-[(GGGGS)]]-[配列番号1]を、以下のとおり構築した。PCR4:鋳型としてC73500を使用し、5’PCRプライマー(5’-AGT TTA AAC GAA TTC GTC GAC TAG GCC ACC ATG GAC ATG AGG GTG CC-3’)を、カルボキシル末端ヒト重鎖定常領域(CH3)、(GGGGS)リンカー及びTTR(配列番号1)のアミノ末端をコードする3’プライマー(5’-CGT AGG GCC GGA CCC TCC CCC ACC GGA GCC CCC GCC CCC GGA TCC GCC ACC TCC-3’)と組み合わせる。PCR4によりおよそ1500塩基対産物が得られた。PCR5:鋳型としてC73500を使用し、(GGGGS)リンカーをコードする5’PCRプライマー(5’-TCC GGG GGC GGG GGC TCC GGT GGG GGA GGG T-3’)を、TTRのカルボキシル末端領域、終止コドン、及びNotI制限部位をコードする3’プライマー(5’-AAC GAT ATC GCT AGC GCG GCC GCT CAT TCC TTG GGA TTG GTG-3’)と組み合わせる。PCR5によりおよそ450塩基対産物が得られた。PCR反応物4及び5をゲル分離し、Qiagenカラムで精製した。次いで、これらの断片を混合し、GeneArt Seamless Cloning and Assembly Kitを用いて、SalI及びNotI消化線状哺乳類発現ベクターpTT15dに連結した。得られた構築物を、C73690:pTT15d:VK1O2O12::[hu抗<huCB1>10D10.1(huIgG2-TO desK)VH]::(G4S)3::TTR3と名付けた。
【0186】
[[配列番号5]-[(GGGGS)]]-[配列番号1]を、以下のとおり構築した。PCR6:鋳型としてC73690を使用し、5’PCRプライマー(5’-AGT TTA AAC GAA TTC GTC GAC TAG GCC ACC ATG GAC ATG AGG GTG CC-3’)を、カルボキシル末端ヒト重鎖定常領域(CH3)及び(GGGGS)リンカーをコードする3’プライマー(5’-GGA ACC ACC TCC GCC GGA TCC GCC ACC TCC A-3’)と組み合わせた。PCR6によりおよそ1500塩基対産物が得られた。PCR7:鋳型としてC73690を使用し、(GGGGS)リンカーの部分をコードする5’PCRプライマー(5’-GGC GGA GGT GGT TCC GGG GGC GGG GGC TCC G-3’)を、TTR(配列番号1)のカルボキシル末端領域、終止コドン及びNotI制限部位をコードする3’プライマー(5’-AAC GAT ATC GCT AGC GCG GCC GCT CAT TCC TTG GGA TTG GTG-3’)と組み合わせる。PCR7によりおよそ450塩基対産物が得られた。PCR反応物6及び7をゲル分離し、Qiagenカラムで精製した。次いで、これらの断片を混合し、GeneArt Seamless Cloning and Assembly Kitを用いて、SalI及びNotI消化線状哺乳類発現ベクターpTT15dに連結した。得られた構築物を、C73729:pTT15d:VK1O2O12::[hu抗<huCB1>10D10.1(huIgG2-TO desK)VH]::(G4S)4::TTR3と名付けた。
【0187】
[配列番号6]-[配列番号1]を、以下のとおり構築した。PCR8:鋳型としてC73494を使用し、5’PCRプライマー(5’-AGT TTA AAC GAA TTC GTC GAC TAG GCC ACC ATG GAC ATG AGG GTG CC-3’)を、huIgG2 CH3内の残基グルタミン酸356(EU)をリジンに変換するように設計された3’プライマー(5’-CTT GGT CAT CTC CTT CCG GGA TGG GGG CAG G-3’)と組み合わせる。PCR8によりおよそ1200塩基対産物が得られた。PCR9:鋳型としてC73494を使用し、huIgG2 CH3内の残基グルタミン酸356(EU)をリジンに変換するように設計された5’PCRプライマー(5’-CTG CCC CCA TCC CGG AAG GAG ATG ACC AAG AAC CA-3’)を、huIgG2 CH3内の残基アスパラギン酸399(EU)をリジンに変換するように設計された3’プライマー(5’-GAA GGA GCC GTC GGA CTT CAG CAT GGG AGG TGT-3’)と組み合わせる。PCR9によりおよそ160塩基対産物が得られた。PCR10:鋳型としてC73494を使用し、huIgG2 CH3内の残基アスパラギン酸399(EU)をリジンに変換するように設計された5’PCRプライマー(5’-CCT CCC ATG CTG AAG TCC GAC GGC TCC TTC T-3’)を、TTRのカルボキシル末端領域、終止コドン、及びNotI制限部位をコードする3’プライマーと組み合わせる。PCR10によりおよそ600塩基対産物が得られた。PCR反応物8、9及び10をゲル分離し、Qiagenカラムで精製した。次いで、これらの断片を混合し、GeneArt Seamless Cloning and Assembly Kitを用いて、SalI及びNotI消化線状哺乳類発現ベクターpTT15dに連結した。得られた構築物を、C73730:pTT15d:VK1O2O12::[hu抗<huCB1>10D10.1(E416K,D459K)(huIgG2-TO desK)VH]::TTR3と名付けた。
【0188】
[[配列番号6]-[GGGGS]]-[配列番号1]を、以下のとおり構築した。PCR11:鋳型としてC73499を使用し、5’PCRプライマー(5’-AGT TTA AAC GAA TTC GTC GAC TAG GCC ACC ATG GAC ATG AGG GTG CC-3’)を、huIgG2 CH3内の残基グルタミン酸356(EU)をリジンに変換するように設計された3’プライマー(5’-CTT GGT CAT CTC CTT CCG GGA TGG GGG CAG G-3’)と組み合わせる。PCR11によりおよそ1200塩基対産物が得られた。PCR12:鋳型としてC73499を使用し、huIgG2 CH3内の残基グルタミン酸356(EU)をリジンに変換するように設計された5’PCRプライマー(5’-CTG CCC CCA TCC CGG AAG GAG ATG ACC AAG AAC CA-3’)を、huIgG2 CH3内の残基アスパラギン酸399(EU)をリジンに変換するように設計された3’プライマー(5’-GAA GGA GCC GTC GGA CTT CAG CAT GGG AGG TGT-3’)と組み合わせる。PCR12によりおよそ160塩基対産物が得られた。PCR13:鋳型としてC73499を使用し、huIgG2 CH3内の残基アスパラギン酸399をリジンに変換するように設計された5’PCRプライマー(5’-CCT CCC ATG CTG AAG TCC GAC GGC TCC TTC T-3’)を、TTRのカルボキシル末端領域、終止コドン、及びNotI制限部位をコードする3’プライマー(5’-AAC GAT ATC GCT AGC GCG GCC GCT CAT TCC TTG GGA TTG GTG-3’)と組み合わせる。PCR13によりおよそ600塩基対産物が得られた。PCR反応物11、12、及び13をゲル分離し、Qiagenカラムで精製した。次いで、これらの断片を混合し、GeneArt Seamless Cloning and Assembly Kitを用いて、SalI及びNotI消化線状哺乳類発現ベクターpTT15dに連結した。アミノ酸のナンバリングと命名規則は、先の構築物の説明と同じである。得られた構築物を、C73731:pTT15d:VK1O2O12::[hu抗<huCB1>10D10.1(E416K,D459K)(huIgG2-TO desK)VH]::G4S::TTR3と名付けた。
【0189】
配列番号7を、以下のとおり構築した。PCR14:鋳型としてC73494を使用し、5’PCRプライマー(5’-AGT TTA AAC GAA TTC GTC GAC TAG GCC ACC ATG GAC ATG AGG GTG CC-3’)を、huIgG2 CH3内の残基リジン392(EU)をアスパラギン酸に変換するように設計された3’プライマー(5’-GGG AGG TGT GGT ATC GTA GTT GTT CTC CGG CTG C-3’)と組み合わせる。PCR14によりおよそ1300塩基対産物が得られた。PCR15:鋳型としてpTT5-del-Bsm-BI:VK1O2O12::huFc_(IgG2)(K392D K409D)(「C59541」)を使用し、huIgG2 CH3内の残基リジン392(EU)をアスパラギン酸に変換するように設計された5’PCRプライマー(5’-CCG GAG AAC AAC TAC GAT ACC ACA CCT CCC ATG C-3’)を、huIgG2のカルボキシル末端領域からカルボキシル末端リジンを除いたもの、終止コドン、及びNotI制限部位をコードする3’プライマー(5’-AAC GAT ATC GCT AGC GCG GCC GCT CAA CCC GGA GAC AGG GAG-3’)と組み合わせる。PCR15によりおよそ200塩基対産物が得られた。PCR反応物14及び15をゲル分離し、Qiagenカラムで精製した。次いで、これらの断片を混合し、GeneArt Seamless Cloning and Assembly Kitを用いて、SalI及びNotI消化線状哺乳類発現ベクターpTT15dに連結した。得られた構築物を、C73513:pTT15d:VK1O2O12::[hu抗<huCB1>10D10.1(K420D,K437D)(huIgG2-TO desK)VH]と名付けた。
【0190】
配列番号11を、以下のとおり構築した。PCR16:可変領域のアミノ末端及びBssHII制限部位をコードする5’PCRプライマー(5’-TTT TTT TTG CGC GCT GTG ATA TTG TGA TGA CTC AGT-C)を、可変領域のカルボキシル末端及びBsiWI制限部位をコードする3’プライマー(5’-AAA AAA CGT ACG TTT GAT TTC CAC CTT GGT CC)と組み合わせる。PCR16を、Qiagenカラムで精製した。次いで、断片をBssHII及びBsiWIで消化し、Qiagenカラムで精製した。次いで、断片を混合し、シグナルペプチド及びκ定常領域を含有するBssHII及びBsiWI消化線形哺乳類発現ベクターpTT5-del-Bsm-BIに連結した。得られた構築物をC59474:pTT5-del-Bsm-BI:VK1O2O12::[hu 抗<huCB1>10D10.1 VL]::huKLCと名付けた。
【0191】
抗CB1 TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、及び抗CB1 TTR Fabホモ四量体融合タンパク質の発現
抗CB1 TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、及び抗CB1 TTR Fabホモ四量体タンパク質は、一般に、以下のように発現された。
【0192】
HEK293 6E細胞を、120RPMで回転させた加湿37℃、5%COインキュベーター中のプラットフォームシェーカー上の懸濁液中で増殖させた。細胞培養継代培地は、FreeStyle F-17+0.1%(10%の10mL/L)Kolliphor P188+500μL/L G418+6mM(30mL/L)L-グルタミンであった。トランスフェクションの1~2日前に細胞を継代し、トランスフェクション時の細胞密度が約1.5eVC/mLになるようにした。トランスフェクション複合体を、最終培養量の10%の容量でサプリメントなしのFreestyle F17培地中で混合した。培養物1mL当たり0.5μgのDNAをFreestyle F17培地に添加し、次いで培養物1mL当たり1.5μLのPEImax試薬を添加した。次いで培地を混合し、室温で10分間インキュベーションし、次いで細胞培養物に添加し、インキュベーター内のシェーカープラットフォームにフラスコを戻した。トランスフェクションの1~4時間後に、培養物1mL当たり25μLのYeastolate溶液を添加した。条件培地をトランスフェクションの6日後に回収した。
【0193】
Freestyle F-17(カタログ番号13835)、L-グルタミン((カタログ番号25030)、Geneticin G418(カタログ番号10131027、液体)は、Life Technologiesから入手した。Kolliphor P188(カタログ番号K4894)は、Sigma-Aldrichから入手した。Difco TC Yeastolate UF(カタログ番号292805)は、BD Biosciencesから入手した。PEI Max(カタログ番号24765-2)は、Polysciencesから入手した。
【0194】
図2a、図2b、及び図2cのゲルにおいて、10μLの試料(非加熱)を4~20%SDS-PAGEの各レーン内に入れ、クマシーブルー系染料システムで展開した。図2a及び図2bは、抗CB1 TTR抗体ホモ二量体及び抗CB1 TTR抗体ホモ四量体タンパク質が、それぞれ、HEK293細胞でしっかりと発現することを示す。図2aは、抗CB1 TTR抗体ホモ二量体([配列番号5]-[配列番号1]及び[[配列番号5]-[(GGGGS)1-4]]-[配列番号1]4)がSDS変性に耐性があり、そのため強力な非共有結合複合体を形成することを示す。様々なリンカー長(レーン2の最も短いもの([GGGGS]から)からレーン5の最も長いもの([GGGGS])まで);リンカー長は、発現に実質的に影響を与えるようには見えなかった。図2bは、V1 Fc電荷対変異(1つの重鎖中のK409D&K392D、並びにD399K&E356K)(配列番号6及び7)を用いた、抗CB1 TTR抗体ホモ四量体の形成もまた、SDS耐性であるように見えることを示す。様々な重鎖及び軽鎖DNAのトランスフェクション比を示す(レーン2のLC:HCが1:9~レーン10のLC:HCが9:1まで)。LC:HC比が1:1(レーン6)及び9:1(レーン10)のものが、最も強力な発現をもたらした。
【0195】
図2cは、抗CB1 TTR Fabホモ四量体構築物がHEK293細胞でしっかりと発現し、SDS耐性があることを示す。TTR融合物は、軽鎖C末端(レーン3、5、7、及び9-より多くのバンド)と比較して、重鎖C末端(レーン2、4、6、及び8-より少ないバンド)でより耐性を示した。Hisタグの位置は、融合に影響を与えるようには見えなかった。レーン2及び4で使用した重鎖-TTRは、[配列番号44]-[配列番号1]であり、軽鎖は、配列番号11である。レーン3及び5で使用した重鎖は、配列番号44であり、軽鎖-TTRは、[配列番号11]-[配列番号1]である。レーン6及び8で使用した重鎖-TTRは、[配列番号45]-[配列番号1]であり、軽鎖は、配列番号46である。レーン7及び9で使用した重鎖は、配列番号45であり、軽鎖-TTRは、[配列番号46]-[配列番号1]である。レーン6~9(配列番号45を有する重鎖、及び配列番号46を有する軽鎖)で試験された抗CB1 TTR Fabホモ四量体構築物において、電荷対変異が含まれた。配列番号45は、S215E電荷対変異を含有し、配列番号46は、電荷対S203K変異を含有する。Hisタグもまた使用した(図2c参照)。
【0196】
抗CB1 TTR Fabホモ四量体融合タンパク質の精製
抗CB1 TTR Fabホモ四量体タンパク質は、一般に、以下のように精製された。
【0197】
細胞培養培地を、10kDaのMWCO Slide-a-lyzers(Thermo Fisher Scientific)を使用して、2回、最短2時間の間、2Lの50mMのNaHPO、300mMのNaCl、10mMのイミダゾール、pH8.0に対して透析した。第1カラムとして1mLのNi-NTA Superflowカートリッジ(Qiagen(Hilden,Germany))、及び第2カラムとして5mLのDesalting HiTrap(GE Healthcare Life Sciences)を備えたAKTA精製装置(GE Healthcare Life Sciences)タンデム液体クロマトグラフィーシステムを使用して、バッファー交換細胞培養培地から分子を精製した。培地を、Ni-NTAカラム上に直接ロードし、8CVの50mMリン酸Na、300mMのNaCl、10mMのイミダゾール、pH8.0で洗浄し、2CVの50mMのリン酸Na、300mMのNaCl、250mMのイミダゾール、pH8.0で溶離した。Ni-NTAカラム溶出液を自動的に脱塩カラムに送り、そこでタンパク質は4CVの10mM酢酸Na、150mMのNaCl、pH5.2で均一濃度で溶離した。試料を、3.0μmのガラス繊維/0.2μmSuporメンブレン(Pall Corporation(Port Washington,New York,USA))に通して滅菌濾過した。
【0198】
NanoDrop2000(Thermo Fisher Scientific(Rockford,Illinois,USA))を使用して、各精製分子のタンパク質濃度を280nM(A280)でのUV吸光度によって測定した。MESランニングバッファー(Life Technologies(Carlsbad,California,USA))を使用して、製造元の指示に従って、変性、非還元4~12%Bis-Tris NuPAGEゲル上の各最終精製分子3μgで、SDS-PAGE分析を行った。各最終精製分子20μgでHPLCサイズ排除クロマトグラフィー分析を行い、これを、1mL/分で、50mMのNaH2PO4、250mMのNaCl、pH6.9のPhenomenex SEC3000カラム、7.8×300mm(Phenomenex(Torrance,California,USA))で流し、280nmでの吸光度を観察した。
【0199】
抗CB1 TTR抗体ホモ二量体及びTTR抗体ホモ四量体融合タンパク質の精製
抗CB1 TTR抗体ホモ二量体及びTTR抗体ホモ四量体融合タンパク質は、一般に、以下のように精製された。
【0200】
第1カラムとして1mLのMabSelect SuRe(MSS)HiTrap(GE Healthcare Life Sciences)、及び第2カラムとして5mLのDesalting HiTrap(GE Healthcare Life Sciences)を備えたAKTA精製装置(GE Healthcare Life Sciences(Little Chalfont,Buckinghamshire,UK))タンデム液体クロマトグラフィーシステムを使用して、細胞培養培地から最初に融合タンパク質を精製した。培地を直接MSSカラムにロードし、8カラム容量(CV)の25mM Tris-HCl、100mM NaCl、pH7.4で洗浄し、2CVの100mM酢酸で溶離した。MSSカラム溶出液を自動的に脱塩カラムに送り、そこでタンパク質は4CVの10mM酢酸Na、150mMのNaCl、pH5.2で均一濃度で溶離した。試料を、3.0μmのガラス繊維/0.2μmSuporメンブレン(Pall Corporation(Port Washington,New York,USA))に通して滅菌濾過した。NanoDrop2000(Thermo Fisher Scientific(Rockford,Illinois,USA))を使用して、各精製分子のタンパク質濃度を280nM(A280)でのUV吸光度によって測定した。MESランニングバッファー(Life Technologies(Carlsbad,California,USA))を使用して、製造元の指示に従って、変性、非還元4~12%Bis-Tris NuPAGEゲルに各最終精製分子3μgを流して、SDS-PAGE分析を行った。各最終精製分子30μgでHPLCサイズ排除クロマトグラフィー分析を行い、これを、1mL/分で、50mMのNaHPO、250mMのNaCl、pH6.9のPhenomenex SEC3000カラム、7.8×300mm(Phenomenex(Torrance,California,USA))で流し、280nmでの吸光度を観察した。図3は、リンカーなし、(GS)リンカーあり、(GS)リンカーあり、(GS)リンカーあり、又は(GS)リンカーありの抗CB1 TTR抗体ホモ二量体融合タンパク質の代表的なHPLC SEC分析を示す。
【0201】
実施例3:抗CB1 TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、及びTTR Fabホモ四量体融合タンパク質の活性
抗CB1 TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、及びTTR Fabホモ四量体融合タンパク質の活性を、CB1 cAMPアッセイによりアクセスした。
【0202】
hCB1(Euroscreen)を安定して発現するCHO細胞を、10%のFBS、1%のPen/Strep/L-グルタミン、25mMのHepes、0.1mMのNEAA、1mMのピルビン酸ナトリウム、及び400μg/mLのG418を含有するDMEMで増殖させた。抗体活性を測定するために、0.5%のFBS、1%のPen/Strep/L-グルタミン、25mMのHepes、0.1mMのNEAA、1mMのピルビン酸ナトリウム、及び400μg/LのG418を含有するDMEM80μLの1ウェル当たり10,000細胞の密度で、細胞を96ウェルプレートに播種した。一晩インキュベーションした後、培地を除去し、5μLの新鮮な培地、続いて5μLの培地+15μMフォルスコリン(EMD Chemicals カタログ番号344273)及び250pM CP55,940(TOCRIS カタログ番号0949)、その後10mMの酢酸、150mMのNaCl、pH5.0中の抗体40μLで置き換えた。次いで細胞を37℃で30分間インキュベーションした。次いで培地を吸引し、DiscoverX XS+cAMPアッセイキット(90-0075-03)を使用して製造元のプロトコルに従ってcAMPレベルを測定した。PerkinElmer ViewLux Microplate Imagerでプレートを30秒間読み取った。
【0203】
アッセイの結果を表4に示す。TTR抗体ホモ四量体は、CB1親抗体よりも3.9倍優れたEC50を有する。いくつかのFabは電荷対変異を使用したが、その他は使用しなかった(実施例2の図2の議論参照)。これらの結果は、TTR抗体ホモ四量体及びTTR Fabホモ四量体融合タンパク質が、親CB1 Abと比較してEC50を改善することを示す。興味深いことに、抗CB1 TTR抗体ホモ二量体は、CB1親抗体よりもEC50が好ましくなく、リンカーの長さが長くなるとEC50が悪化するように見える。
【0204】
実施例4:抗GITR TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、及びTTR Fabホモ四量体融合タンパク質のクローニング、発現、及び精製
抗GITR TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、及びTTR Fabホモ四量体融合タンパク質のクローニング
抗GITR TTR抗体ホモ二量体及びTTR抗体ホモ四量体融合タンパク質は、一般に、以下のようにクローニングされた。構築物C74201(pSLX240p:Native::[hu抗<huGITR>9H6(D72(62)E)VH]::huIgG1z-N297G);C143046(pTT5d:VK1O2O12::[hu抗<huGITR>9H6(S183E,N297G,E356K,D399K)VH]::TTR(C10A,K15A);C143048(pTT5d:VK1O2O12::[hu抗<huGITR>9H6(S183K,N297G,K392D,K409D)VH]::TTR(C10A,K15A);C137324(VK1O2O12::[hu抗<huGITR>9H6VL])及びC73877(pTT5:Native::[hu抗<huGITR>9H6VL]::huKLC)を、以下に記載する全ての構築物用の鋳型として使用した。
【0205】
[配列番号18]-[配列番号1]を、以下のとおり構築した。PCR17:鋳型としてC74201を使用し、抗GITR MAb 9H6(w/N297G)のシグナルペプチドを、3ステップのオーバーラップPCR伸長により、VK1シグナルペプチド(MDMRVPAQLLGLLLLWLRGARC)で置換し、次いでその最終PCRの産物を、5’シグナルペプチドプライマー(5’-GTC GAC TAG GCC ACC ATG GAC ATG AGG GTG CCC GCT CAG CTC CTG GGG CT-3’)及び3’C-末端重鎖/N-末端TTRプライマー(GGT GCC CGT AGG GCC ACC CGG AGA CAG GGA GAG G)を使用して増幅させ、1450塩基対産物を得た。PCR18:鋳型としてTTR(配列番号1)を使用し、TTRのアミノ末端をコードする5’PCRプライマー(5’-GGC CCT ACG GGC ACC G-3’)を、TTRのカルボキシル末端領域、終止コドン、及びNotI制限部位をコードする3’プライマー(5’-TCG CTA GCG CGG CCG CTC ATT CCT TGG GAT TGG TGA CG-3’)と組み合わせる。PCR18によりおよそ400塩基対産物が得られた。PCR反応物17及び18をゲル分離し、Qiagenカラムで精製した。次いで、これらの断片を混合し、GeneArt Seamless Cloning and Assembly Kitを用いて、SalI及びNotI消化線状哺乳類発現ベクターpTT5dに連結した。得られた構築物を、C143043:pTT5d:VK1O2O12::[hu抗<huGITR>9H6(N297G)VH]::TTR(C10A,K15A)と名付けた。
【0206】
[配列番号21]-[配列番号1]を、以下のとおり構築した。PCR19:鋳型としてC74201を使用し、抗GITR MAb 9H6(C74201)のシグナルペプチドを、3ステップのオーバーラップPCR伸長により、VK1シグナルペプチド(MDMRVPAQLLGLLLLWLRGARC)で置換し、次いでその最終PCRの産物を、5’シグナルペプチドプライマー(5’-GTC GAC TAG GCC ACC ATG GAC ATG AGG GTG CCC GCT CAG CTC CTG GGG CT-3’)及び3’C-末端重鎖/N-末端TTRプライマー(5’-GCT CTC GAG GGA GTA GAG TCC TGA GGA CTG TAG G-3’)を使用して増幅させ、650塩基対産物を得た。PCR20:鋳型としてC74201を使用し、カルボキシル末端ヒト重鎖定常領域をコードする5’PCRプライマー(5’-CTC TAC TCC CTC GAG AGC GTG GTG ACC GTG CC-3’)を、ヒト重鎖定常領域をコードする3’プライマー(5’-CCT CCT CCA CAA GAT TTG GGC TCA ACT TTC TTG TC-3’)と組み合わせる。PCR20によりおよそ130塩基対産物が得られた。PCR21:鋳型としてTTR3を使用し、TTRのアミノ末端をコードする5’PCRプライマー(5’-CAA ATC TTG TGG AGG AGG CCC TAC GGG CAC CG-3’)を、TTRのカルボキシル末端領域、終止コドン、及びNotI制限部位をコードする2つの3’プライマー(5’-ATG GTG ATG GTG ACC GCC TTC CTT GGG ATT GGT GAC GAC A-3’)及び(5’-ATC GCT AGC GCG GCC GCC TAG TGG TGA TGG TGA TGG TGA CC-3’)と組み合わせる。PCR21によりおよそ450塩基対産物が得られた。PCR反応物19、20、及び21をゲル分離し、Qiagenカラムで精製した。次いで、これらの断片を混合し、GeneArt Seamless Cloning and Assembly Kitを用いて、SalI及びNotI消化線状哺乳類発現ベクターpTT5dに連結した。得られた構築物は、C144132:pTT5d:VK1O2O12::[hu抗<huGITR>9H6(S183E)scFab]::TTR(C10A,K15A)::G::G::6xHis((His)タグは、精製目的のために含まれたことに留意)と名付けた。
【0207】
[配列番号19]-[配列番号1]を、以下のとおり構築した。PCR22:鋳型としてC74201を使用し、抗GITR MAb 9H6(C74201)のシグナルペプチドを、3ステップのオーバーラップPCR伸長により、VK1シグナルペプチド(MDMRVPAQLLGLLLLWLRGARC)で置換し、次いでその最終PCRの産物を、5’シグナルペプチドプライマー(5’-GTC GAC TAG GCC ACC ATG GAC ATG AGG GTG CCC GCT CAG CTC CTG GGG CT-3’)及び3’C-末端重鎖/N-末端TTRプライマー(5’-TAG GTG CTT CCG TAC TGT TCC TCC CGG GGC TT-3’)を使用して増幅させ、990塩基対産物を得た。PCR23:鋳型としてC143046を使用し、カルボキシル末端ヒト重鎖定常領域(CH3)をコードする5’PCRプライマー(5’-CCT GAG CAG CGT CGT CAC CGT CCC-3’)を、カルボキシル末端ヒト重鎖定常領域(CH3)をコードする3’プライマー(5’-TAG GTG CTT CCG TAC TGT TCC TCC CGG GGC TT-3’)と組み合わせる。PCR23によりおよそ370塩基対産物が得られた。PCR24:鋳型としてTTR3を使用し、TTRのカルボキシル末端領域をコードする5’PCRプライマー(5’-CAG TAC GGA AGC ACC TAC CGG GTG GTG TC-3’)を、TTRのカルボキシル末端領域、終止コドン、及びNotI制限部位をコードする3’プライマー(5-TCG CTA GCG CGG CCG CTC ATT CCT TGG GAT TGG TGA CG-3’)と組み合わせる。PCR24によりおよそ900塩基対産物が得られた。PCR反応物22、23、及び24をゲル分離し、Qiagenカラムで精製した。次いで、これらの断片を混合し、GeneArt Seamless Cloning and Assembly Kitを用いて、SalI及びNotI消化線状哺乳類発現ベクターpTT5dに連結した。得られた構築物を、C144127:pTT5d:VK1O2O12::[hu抗<huGITR>9H6(N297G,E356K,D399K)VH]::TTR(C10A, K15A)と名付けた。
【0208】
配列番号20を、以下のとおり構築した。PCR25:鋳型としてC143048を使用し、シグナルペプチドのアミノ末端をコードする5’PCRプライマー(5’-GTC GAC TAG GCC ACC ATG GAC ATG AGG GTG CCC GCT CAG CTC CTG GGG CT)を、カルボキシル末端ヒト重鎖定常領域(CH3)をコードする3’プライマー(5’-ACG GTG ACG ACG CTG CTC AGG CTG TAC AGG CCG CTG-3’)と組み合わせる。PCR25によりおよそ650塩基対産物が得られた。PCR26:鋳型としてC143048を使用し、カルボキシル末端ヒト重鎖定常領域(CH3)をコードする5’PCRプライマー(5’-CCT GAG CAG CGT CGT CAC CGT CCC-3’)を、カルボキシル末端ヒト重鎖定常領域(CH3)をコードする3’プライマー(5’-TAG GTG CTT CCG TAC TGT TCC TCC CGG GGC TT-3’)と組み合わせる。PCR26によりおよそ370塩基対産物が得られた。PCR27:鋳型としてTTR3を使用し、TTRのカルボキシル末端領域をコードする5’PCRプライマー(5’-CAG TAC GGA AGC ACC TAC CGG GTG GTG TC-3’)を、TTRのカルボキシル末端領域、終止コドン、及びNotI制限部位をコードする3’プライマー(5-TCG CTA GCG CGG CCG CTC ATT CCT TGG GAT TGG TGA CG-3’)と組み合わせる。PCR27によりおよそ900塩基対産物が得られた。PCR反応物25、26、及び27をゲル分離し、Qiagenカラムで精製した。次いで、これらの断片を混合し、GeneArt Seamless Cloning and Assembly Kitを用いて、SalI及びNotI消化線状哺乳類発現ベクターpTT5dに連結した。得られた構築物を、C144130:pTT5d:VK1O2O12::[hu抗<huGITR>9H6(N297G,K392D,K409D)VH]と名付けた。
【0209】
配列番号25を、以下のとおり構築した。PCR28:鋳型としてC137324を使用し、シグナル配列のアミノ末端をコードする5’PCRプライマー(5’-GTC GAC TAG GCC ACC ATG GAC ATG AGG GTG CCC GCT CAG CTC CTG GGG CT)を、カルボキシル末端ヒト軽鎖定常領域をコードする3’プライマー(5’-TAT CGC TAG CGC GGC CGC-3’)と組み合わせる。PCR28によりおよそ800塩基対産物が得られた。PCR反応物28をゲル分離し、Qiagenカラムで精製した。次いで、断片を混合し、GeneArt Seamless Cloning and Assembly Kitを用いて、SalI及びNotI消化線状哺乳類発現ベクターpTT5dに連結した。得られた構築物を、C143044:pTT5d:VK1O2O12::[hu抗<huGITR>9H6 VL]と名付けた。
【0210】
配列番号26を、以下のとおり構築した。PCR29:鋳型としてC137324を使用し、シグナル配列のアミノ末端をコードする5’PCRプライマー(5’-GTC GAC TAG GCC ACC ATG GAC ATG AGG GTG CCC GCT CAG CTC CTG GGG CT)を、カルボキシル末端ヒト軽鎖定常領域をコードする3’プライマー(5’-TGG TGC AGC CAC CGT ACG TTT GAT TTC CAC CTT GGT CC-3’)と組み合わせる。PCR29によりおよそ400塩基対産物が得られた。PCR30:鋳型としてC73877を使用し、カルボキシル末端ヒト軽鎖定常領域をコードする5’PCRプライマー(5’-ACG GTG GCT GCA CCA TCT G-3’)を、カルボキシル末端ヒト軽鎖定常領域をコードする3’プライマー(5’-TAT CGC TAG CGC GGC CGC-3’)と組み合わせる。PCR反応物29及び30をゲル分離し、Qiagenカラムで精製した。次いで、断片を混合し、GeneArt Seamless Cloning and Assembly Kitを用いて、SalI及びNotI消化線状哺乳類発現ベクターpTT5dに連結した。得られた構築物を、C143049:pTT5d:VK1O2O12::[hu抗<huGITR>9H6(S176K)VL]と名付けた。
【0211】
抗GITR TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、及びTTR Fabホモ四量体融合タンパク質の発現
抗GITR TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、及びTTR Fabホモ四量体融合タンパク質は、一般に、以下のように発現された。
【0212】
Freestyle F-17(カタログ番号13835)、L-グルタミン((カタログ番号25030)、Geneticin G418(カタログ番号10131027、液体)は、Life Technologiesから入手した。Kolliphor P188(カタログ番号K4894)は、Sigma-Aldrichから入手した。Difco TC Yeastolate UF(カタログ番号292805)は、BD Biosciencesから入手した。PEI Max(カタログ番号24765-2)は、Polysciencesから入手した。HEK293 6E細胞を、120RPMで回転させた加湿37℃、5%COインキュベーター中のプラットフォームシェーカー上の懸濁液中で増殖させた。細胞培養継代培地は、FreeStyle F-17+0.1%(10%の10mL/L)のKolliphor P188+500μL/LのG418+6mM(30mL/L)のL-グルタミンであった。トランスフェクションの1~2日前に細胞を継代し、トランスフェクション時の細胞密度が約1.5eVC/mLになるようにした。トランスフェクション複合体を、最終培養容量の10%の容量でサプリメントなしのFreestyle F17培地中で混合した。培養物1mL当たり0.5μgのDNAをFreestyle F17培地に添加し、次いで培養物1mL当たり1.5μLのPEImax試薬を添加した。培養物を混合し、室温で10分間インキュベーションし、次いで細胞培養物に添加した。次いで培養フラスコを、インキュベーター内のシェーカープラットフォームに戻した。トランスフェクションの1~4時間後に、培養物1mL当たり25μLのYeastolate溶液を添加した。次いで条件培地をトランスフェクションの6日後に回収した。
【0213】
あるいは、抗GITR TTR抗体ホモ二量体は、以下のように発現された。HEK293細胞を、対応するcDNAで一過性にトランスフェクションした。1.0×10細胞/mLのHEK293-6E細胞懸濁液を、4mgのPEI(Polysciences)を含む0.5mg/LのDNA(pTT5dベクター中0.25mg/L hu抗<huGITR>9H6(N297G)VH]::TTR(C10A,K15A)及びpTT5dベクター中0.25mg/Lのhu抗<huGITR>9H6VL)(Durocher et al.NRCC,Nucleic Acids.Res.(2002)30,e9)で、FreeStyle F17培地(Life Technologies)中1mgのDNAにトランスフェクションし、及び振盪フラスコ中150RPMで36℃にてインキュベーションした。最終0.5%のトランスフェクション用のYeastolate(BD Biosciences)を、トランスフェクションの4時間後に培養物に添加した。0.1% Pluronic F68及び50μg/mL Geneticinが補充されたFreeStyle F17培地の懸濁液中で、細胞を6日間増殖させ、精製のために回収した。
【0214】
4~20% SDS-PAGE及びQuick Blue Stainゲルを使用して、条件培地を分析した。図5は、抗GITR TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、及びTTR Fabホモ四量体融合タンパク質が、HEK293細胞で発現され得ることを示す。抗GITR TTR抗体ホモ四量体及びTTR Fabホモ四量体に関して、発現が最も強力であった。レーン1は、10.3mgの抗GITR TTR抗体ホモ二量体(356KDa)である;レーン2は、29.3mgの抗GITR TTR抗体ホモ四量体(656KDa)である;レーン3は、143.6mgの抗GITR TTR Fabホモ四量体(256KDa)である;レーン4は、100ngの抗DNP抗体である;レーン5は、250ngの抗DNP抗体である;レーン6は、500ngの抗DNP抗体である;レーン7は、1000ngの抗DNP抗体である。抗DNP抗体は、このアッセイで非標識抗体がどのように機能するかについての情報を提供する。非還元ローディングバッファー中のタンパク質10μLを、各レーンに添加した。加熱することなくゲルを泳動した。
【0215】
抗GITR TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、及びTTR Fabホモ四量体融合タンパク質の精製及び特性評価
抗GITR TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、及びTTR Fabホモ四量体融合タンパク質は、一般に、以下のように精製され、特性評価された。
【0216】
2つの順次接続された1mL rプロテインA Sepharose Fast Flow(ProA FF)HiTrap(GE Healthcare Life Science)カラムを備えたAKTA精製装置(GE Healthcare Life Sciences)液体クロマトグラフィーシステムを使用して、抗GITR TTR抗体ホモ二量体及びTTR抗体ホモ四量体融合タンパク質を細胞培養培地から精製した。培地を直接ProA FFカラム上にロードし、5CVのダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)(Life Technologies)で洗浄し、8CVの100mM酢酸で溶離した。精製した試料を、10kDa MWCO Slide-a-lyzers(Thermo Fisher Scientific)を使用して、2Lの10mM酢酸ナトリウム、9%スクロース、pH5.2に対して2回透析した。
【0217】
5mL HisTrap excel HiTrap(GE Healthcare Life Sciences)カラムを備えたAKTA精製装置液体クロマトグラフィーシステムを使用して、TTR Fabホモ四量体融合タンパク質を細胞培養培地から精製した。培地を、HisTrapカラム上に直接ロードし、次いで20CVの20mM NaH2PO4、0.5M NaCl、10mMイミダゾール、pH7.4で洗浄し、20CVイミダゾール勾配10mM~500mMで溶離した。前者の方法ではクロマトグラフ分離能がないため、勾配溶出の代わりに8CVの20mM NaH2PO4、0.5M NaCl、500mMイミダゾール、pH7.4の段階溶出を採用することを除いては、通過画分の再精製は、前述と同じ条件で実施された。精製した試料を、10kDa MWCO Slide-a-lyzersを使用して、2Lの10mM酢酸ナトリウム、9%スクロース、pH5.2に対して2回透析した。
【0218】
抗GITR TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、及びTTR Fabホモ四量体融合タンパク質のタンパク質濃度を、NanoDrop 2000(Thermo Fisher Scientific(Rockford,Illinois,USA))を使用して、280nMでのUV吸光度(A280)により測定した。
【0219】
MESランニングバッファー(Life Technologies(Carlsbad,California,USA))を使用して、製造元の指示に従って、変性、非還元4~12%Bis-Tris NuPAGEゲルで、SDS-PAGE分析(3μgの抗GITR TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、及びTTR Fabホモ四量体融合タンパク質の各々で実施)を行った。図6参照。レーン1及び4は、抗GITR TTR抗体ホモ二量体である;レーン2及び5は、抗GITR TTR抗体ホモ四量体である;レーン3及び6は、抗GITR TTR Fabホモ四量体である。図6は、3つ全てのタンパク質融合構築物に関する部分精製産物が、非加熱、非還元レーンに基づいて正しく構築されることを示す。加熱及び還元により、3つのタンパク質融合構築物は予想される構成要素の鎖に分解される(上の方のバンドは重鎖であり、最も低い位置のバンドは軽鎖である)。
【0220】
30μgの抗GITR TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、及びTTR Fabホモ四量体融合タンパク質の各々で、HPLCサイズ排除クロマトグラフィー分析を実施した。クロマトグラフィーは、1mL/分で、50mMのNaHPO、250mMのNaCl、pH6.9のPhenomenex SEC3000カラム、7.8×300mm(Phenomenex(Torrance,California,USA))を使用し、280nmでの吸光度を観察した。
【0221】
抗GITR TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、及びTTR Fabホモ四量体融合タンパク質は、還元LCMS分析で分析した。20μgの物質を8MグアニジンHCl/TRIS pH8.0(Teknova(Hollister,CA))中で変性させ、10mM DTT(EMD Millipore(Darmstadt,Germany))で50℃にて20分間還元した。試料をトリフルオロ酢酸で酸性化し、Agilent 1260 HPLC(Agilent Technologies(Santa Clara,CA))を用いたZorbax逆相C8カラム上に10μg注いだ。カラム溶離液を、Agilent 6230 ESI-TOF質量分析計(Agilent Technologies(Santa Clara,CA))のエレクトロスプレー源に導入し、質量スペクトルを収集した。Agilent MassHunterソフトウェアパッケージ内のMaxEntアルゴリズムを使用して、関連するスペクトルをデコンボリューションした。LCとHCについて得られた質量スペクトルを、各鎖の理論的に計算された質量と比較した。
【0222】
精製した抗GITR TTR抗体ホモ二量体を、320mLのSuperdex 200(GE Healthcare Life Science)で、1.4CVの10mM酢酸Na、150mM NaCl、pH5.0で一定濃度でさらに精製した(時間の経過とともに蓄積された凝集物を除去するため)。HPLC-SEC純度により、プールのために画分を選択した。SuperdexプールをVivaSpin 10kDa MWCO遠心分離濾過ユニット(Sartorius)を使用して濃縮し、次いで0.2μm Suporシリンジフィルタ(Pall)に通して滅菌濾過した。1mL/分で、50mMのNaH2PO4、250mMのNaCl、pH6.9のSepax Zenix-C,7.8×300mMカラム(Sepax(Newark,Delaware,USA))でHPLCサイズ排除クロマトグラフィー分析を実施し、280nmでの吸光度を観察した。
【0223】
図7は、抗GITR TTR抗体ホモ二量体(中央のピーク)、TTR抗体ホモ四量体(左のピーク)、及びTTR Fabホモ四量体(右のピーク)融合タンパク質の各々のHPLCサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)分析の結果を示す。SECクロマトグラムは、メインピークが、正しく構築された分子と一致する予想位置で溶出することを示している。さらに、非変性SEC精製(SDS-PAGEとは異なる)は、融合タンパク質が凝集しないという概念を支持する。
【0224】
再精製された抗GITR TTR抗体ホモ二量体の還元LCMS再分析を実施した。約10μgの抗GITR TTR抗体ホモ二量体をSpeed-Vacで乾燥させ、次いで20mM DTTを含む8M Gu-HCl、pH8.0の溶液20μL中に再懸濁させた。試料を37℃で1時間インキュベーションし、各試料を個々のタンパク質鎖成分に還元した。次いで各還元試料を0.1%TFAを添加することにより酸性化した。LC-MSについて、約5μgの還元試料をAgilent Technologies 1100キャピラリーHPLCに注入し、Agilent Technologies 6224 ESI-TOF質量分析計に噴霧した。キャピラリーHPLCは、流速50μL/分及びカラム温度75℃を有する1.0mM×50mM Agilent Zorbax 300SBC8カラムを使用した。HPLCは以下の緩衝液を使用した:緩衝液A-0.1%TFA/H2O;緩衝液B-0.1%TFA/H2O/90% n-プロパノール。勾配は、5分間2%Bで初期条件、20分かけて45%Bまで増加、3分かけて95%Bまで、4分間95%Bで一定、その後1分かけて2%に減少Bまで減少からなる。ESI-TOF装置のMS法は、1スペクトル/秒の速度でm/z[750~6000]をスキャンした。その他のMS機器パラメーターには、キャピラリー電圧(VCap)=3200V、フラグメンター電圧=225V、スキマー=60V、及びOCT 1RF Vpp=800Vが含まれる。LC-MSデータのデータ分析に関して、各タンパク質鎖についての適切なLC-MSスペクトルを組み合わせ、Agilent MassHunterソフトウェアを使用してデコンボリューションした。デコンボリューションした出力質量範囲は、[15,000-75,000]であり、質量ステップは1.0Da、シグナル/ノイズ(S/N)閾値は30.0であった。各試料で正しく還元された鎖質量が観察された。75℃の分析温度を使用した結果、抗GITR TTR抗体のホモ二量体重鎖でAsp-Proの切断が確認された。
【0225】
抗GITR TTR親mAb 9H6(「1」)、抗GITR TTR抗体ホモ二量体(「4」)、TTR抗体ホモ四量体(「2」)、及びTTR Fabホモ四量体(「3」)融合タンパク質の示差走査熱量計(DSC)を、Malvern MicroCal VP-キャピラリーDSCで実施した。図8参照。以下のパラメーターを使用した。走査範囲:10~100℃;走査速度:1℃/分;前走査サーモスタット15分。典型的には、400μLの1mg/mL試料は、各分析ごとに消費される。Origin7ソフトウェアでデータを加工する。分析されたタンパク質を、HEK293-6E細胞で発現させた。親Ab(「1」)はグリコシル化されているが、TTR融合物は、N297G a-グリコバリアントである。図8の結果は、TTR融合タンパク質の融解温度が、親Abに匹敵するか又はそれより良好であり、見出されたTTR融合タンパク質が強いことを示す。予想される熱誘導遷移順は、CH2、Fab、CH3であった。
【0226】
実施例5:抗GITR TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、及びTTR Fabホモ四量体融合タンパク質の活性及びPKプロファイル
親抗GITR mAb、抗GITR TTR抗体ホモ二量体、抗GITR TTR抗体ホモ四量体、及び抗GITR TTR Fabホモ四量体融合タンパク質の活性及びPKプロファイルを評価した。
【0227】
活性評価
親抗GITR mAb、抗GITR TTR抗体ホモ二量体、抗GITR TTR抗体ホモ四量体、及び抗GITR TTR Fabホモ四量体融合タンパク質の結合及び効力活性を、以下のアッセイにより評価した。これらのアッセイの結果を図10に示す。
【0228】
架橋を用いたアッセイ。96ウェル高結合プレート(Corning3369)を、抗CD3 Ab(OKT3)及びcross-linker Ab(ヤギ抗ヒトIgG Fc Cross-Adsorbed Ab(Thermo Scientific 31125)又はヤギ抗ヒトIgG(H+L)(Pierce31119)のいずれか)で、それぞれ1及び0.3μg/mLで、4℃にて一晩コーティングした。次の日、Absを洗い流し、抗GITR mAb、抗GITR TTR抗体ホモ二量体、抗GITR TTR抗体ホモ四量体、抗GITR TTR Fabホモ四量体融合タンパク質TTR、又はアイソタイプ対照mAbを、捕捉用プレートに37℃で1時間添加した。インキュベーション後、プレートを洗い流し、ナイーブT細胞(10%FBS、2mM L-Glut、10mM HEPES、1mM NaPyr、0.1mM NEAA、及び50μM 2MEを補充したRPMI1640の50K/ウェル)をウェルに添加し、4日間培養した。CellTiterGlo(Promega)を使用して、増殖を測定した。
【0229】
架橋を用いないアッセイ。96ウェル高結合プレート(Corning3369)を、1μg/mLの抗CD3 Abで4℃にて一晩コーティングした。次の日、抗CD3 Abを洗い流し、抗GITR mAb、抗GITR TTR抗体ホモ二量体、抗GITR TTR抗体ホモ四量体、抗GITR TTR Fabホモ四量体融合タンパク質TTR、又はアイソタイプ対照mAbを、プレートに添加し、続いてナイーブT細胞(10%FBS、2mM L-Glut、10mM HEPES、1mM NaPyr、0.1mM NEAA、及び50μM 2MEを補充したRPMI1640の50K/ウェル)を添加した。4日間の培養後、CellTiterGlo(Promega)を使用して、増殖を測定した。
【0230】
PKプロファイルの評価
8.75mg/kgの抗GITR TTR抗体ホモ四量体、4.75mg/kgの抗GITR TTR抗体ホモ二量体、3.4mg/kgの抗GITR TTR Fabホモ四量体、及び2mg/kgの抗GITR抗体で正規化されたオスのCD-1マウス(1グループ当たりn=3)モル当量の静脈内注射により、PKプロファイルを測定した。投与から0.5、2、8、24、48、72、96、168、336、504、672、及び840時間後に収集された75μLの血液試料から、血清試料を収集した。収集後、各血液試料を室温で維持し、30~40分の凝固時間の後、較正済みのEppendorf 5417R遠心分離システム(Brinkmann Instruments,Inc.(Westbury,NY))を使用して、試料を2~8℃、11,500RPMで約10分間遠心分離した。次いで収集した血清を事前にラベルを付けた(各ラットについて)低温保存チューブに移し、後々のバイオ分析のために-60℃~-80℃で保存した。
【0231】
以下のPKアッセイを使用して、メソ・スケール・ディスカバリー(MSD)アッセイにより、マウス血清中の親抗GITR mAb、抗GITR TTR抗体ホモ二量体、抗GITR TTR抗体ホモ四量体、及び抗GITR TTR Fabホモ四量体融合タンパク質の全抗GITR種(すなわち、存在する任意の抗GITR結合種)を測定した。通常の結合96ウェルMSDプレート(Meso Scale Discovery(Gaithersburg,MD))を、PBS中の2μg/mLのマウス抗イディオタイプ抗GITR抗体、Mab1.2.1(Amgen Inc.(Thousand Oaks,CA))でコーティングし、次いで4℃で一晩インキュベーションした。次いでプレートを洗浄し、I-Block(商標)(Life Technologies(Carlsbad,CA))で4℃にて一晩ブロックした。標準及び品質管理(QC)はマウス血清で調製し、希釈が必要な場合はPK試料をナイーブCD-1マウス血清で希釈した。次いで標準、QC、及び試料を、PBS、1M NaCl、0.5%Tween20、及び1%ウシ血清アルブミンを含有する緩衝液で1:20に希釈した。プレートをおよそ200μLの1XKPL緩衝液(KPL(Gaithersburg,MD))で3回洗浄し、続いて50μLの希釈された標準試料、QC、及び試料をMab1.2.1抗体コーティングプレートに移し、室温(およそ25℃)で1.5時間インキュベーションした。プレートをおよそ200μLの1XKPL洗浄緩衝液で3回洗浄し、次いで50μLの250ng/mLのマウス抗イディオタイプ抗GITR抗体、Mab1.1.1をビオチンに結合したものを添加し、1.5時間インキュベーションした。プレートを1XKPL洗浄緩衝液で3回洗浄した後、MSD SULFO-TAG(Amgen,Inc.)に結合した100ng/mLのストレプトアビジン50μLを添加し、15分間インキュベーションした。プレートを、およそ200μLの1XKPL洗浄緩衝液で6回洗浄し、続いて150μL1xRead緩衝液T(Meso Scale Discovery)を添加し、MSD6000プレートリーダー(Meso Scale Discovery)を使用して、電気化学発光シグナルを測定した。Phoenix(登録商標)(Phoenix 64,Build 6.4.0.768,Pharsight(登録商標)Corp.(Mountain View,CA))で、ノンコンパートメント法を使用して血清濃度データを分析した。
【0232】
以下のPKアッセイを使用して、マウス血清試料のMSDアッセイにより、マウス血清中の抗GITR TTR抗体ホモ二量体、抗GITR TTR抗体ホモ四量体、及び抗GITR TTR Fabホモ四量体融合タンパク質の抗GITR結合種及びTTR種の両方の存在を測定した。通常の結合96ウェルMSDプレート(Meso Scale Discovery(Gaithersburg,MD))を、PBS中の2μg/mLのウサギ抗TTRポリクローナル抗体(Amgen Inc.(Thousand Oaks,CA))でコーティングし、次いで4℃で一晩インキュベーションした。次いでプレートを洗浄し、I-Block(商標)(Life Technologies(Carlsbad,CA))で4℃にて一晩ブロックした。標準及び品質管理(QC)はマウス血清で調製し、希釈が必要な場合はPK試料をナイーブCD-1マウス血清で希釈した。次いで標準、QC、及び試料を、PBS、1M NaCl、0.5%Tween20、及び1%ウシ血清アルブミン緩衝剤を含有する緩衝液で1:20に希釈した。プレートをおよそ200μLの1XKPL緩衝液(KPL(Gaithersburg,MD))で3回洗浄し、続いて50μLの希釈された標準試料、QC、及び試料を抗TTR抗体コーティングプレートに移し、室温で1.5時間インキュベーションした。プレートをおよそ200μLの1XKPL洗浄緩衝液で3回洗浄し、次いで50μLの250ng/mLのマウス抗イディオタイプ抗GITR抗体、Mab1.1.1をビオチンに結合したものを添加し、1.5時間インキュベーションした。プレートを1XKPL洗浄緩衝液で3回洗浄した後、MSD SULFO-TAG(Amgen,Inc.)に結合した100ng/mLのストレプトアビジン50μLを添加し、15分間インキュベーションした。プレートを、およそ200μLの1XKPL洗浄緩衝液で6回洗浄し、続いて150μL1xRead緩衝液T(Meso Scale Discovery)を添加し、MSD6000プレートリーダー(Meso Scale Discovery)を使用して、電気化学発光シグナルを測定した。Phoenix(登録商標)(Phoenix 64,Build 6.4.0.768,Pharsight(登録商標)Corp.(Mountain View,CA))で、ノンコンパートメント法を使用して血清濃度データを分析した。
【0233】
PK分析の結果は、図9で見出すことができる。図9a)(任意の抗GITR結合種存在の測定)により示されるように:[1]抗GITR TTR抗体ホモ二量体(「1」)のPKは、親Ab(「2」)のPKよりも望ましい;[2]抗GITR TTR Fabホモ四量体(「4」)のPKは、あまり望ましくなく、これはおそらく、FabにFc領域がなく、したがってその半減期を媒介/延長する能力がないという事実に起因する;及び[3]抗GITR TTR抗体ホモ四量体(「3」)のPKは、親mAbほど強力ではないが、Fabと比較して大幅に強化されたPKを示す。図9b)(抗GITR結合種及びTTR種の両方の存在の測定)は、インタクトな抗GITR TTR融合タンパク質のPKが、図9a)で観察されたものと一致していることを示し、in vivoでのタンパク質分解によって各TTR融合タンパク質から抗GITR結合部分が遊離されていないことを示している。
【0234】
図10で示されるように、親抗GITR mAb 9H6の-TTR融合物による-多量体化は、結合を向上させるが、効力は向上させない。GITRの活性化は制御性T細胞による抑制を妨げることが知られている。クラスター化及びFcγR結合が、細胞増殖の抗GITR抗体媒介活性化、サイトカイン生成及びCD4+ Th9細胞の導入に必要であることもまた公知である。図10a)は、抗GITR TTR抗体ホモ二量体(「3」)、TTR抗体ホモ四量体(「4」)、及びTTR Fabホモ四量体(「2」)融合タンパク質の結合親和性が、親抗GITR mAb 9H6(「1」)よりも望ましいことを示す。特に、図10b)により示されるように、細胞系アッセイでは、親和性が高くても効力が高くならないことを示す。図10b)の対照Abは、抗GITR mAbの非結合対照バージョンである。
【0235】
図9a及び図9bにおけるデータの比較は、TTR構築物の部分的な分子分解がほとんどないことを示す。
【0236】
実施例6:抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、及びTTR Fabホモ四量体融合タンパク質のクローニング、発現、及び精製
抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、及びTTR Fabホモ四量体融合タンパク質のクローニング
抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、及びTTR Fabホモ四量体融合タンパク質は、一般に、以下のようにクローニングされた。これらの実験では、抗TRAILR2抗体は、コナツムマブ(AMG655)であり、抗TRAILR2 Fabは、コナツムマブのFab部分である。
【0237】
GITR TTR発現プラスミド(実施例4参照)は、これらの抗TRAILR2 TTR融合物の構築用の鋳型として、使用された。構築物C36606(pTT5:Native::[hu抗<huTRAILR2>XG1048(W)VH]::huIgG1(f))及びC9448(VK3_A27L::[hu抗<huTRAILR2>XG1048VL]::huKLC)は、それぞれ、抗TRAILR2重鎖及び軽鎖可変領域配列に使用される鋳型であった。これらの実験では、抗TRAILR2抗体は、コナツムマブ(AMG655)である。抗TRAILR2配列鋳型には、VK1(VK1O2O12)シグナルペプチドがないため、シグナルペプチド配列のカルボキシ末端にBssHII部位を有するVK1を含有するpSLX240puro、pSLX240hygro、及びpSLX240neo構築物が見出された。
【0238】
[配列番号31]-[配列番号1]を、以下のとおり構築した。PCR31:鋳型としてC36606を使用し、重鎖配列のアミノ末端及びVK1(VK1O1O12)シグナル配列をコードする5’PCRプライマー(5’-CTG CTG TGG CTG AGA GGT GCG CGC TGT CAG GTG CAG CTG CAG GAG-3’)を、抗TRAILR2可変重鎖領域を増幅するように設計された3’プライマー(5’-GCT GAG GAG ACG GTG ACC GT-3’)と組み合わせる。PCR31により395塩基対産物が得られた。PCR32:鋳型としてC-143043を使用し、重鎖定常領域のアミノ末端及び抗TRAILR2可変重鎖の最後の18塩基をコードする5’プライマー(5’-GGT CAC CGT CTC CTC AGC TAG CAC CAA GGG CCC A-3’)を、TTRのカルボキシル末端、終止コドン、NotI部位、及び線形化pSLX240pプラスミドのアミノ末端をコードする18塩基のオーバーハングをコードする3’プライマー(5’-TTA AAC GAT ATC GCT AGC GCG GCC GCT CAT TCC TTG GGA TTG GTG ACG-3’)と組み合わせる。PCR32により1390塩基産物が得られた。PCR反応物31及び32を、Qiagenカラムで精製した。次いでこれらの断片を、連結非依存のクローニング反応(Geneart Seamless Cloning and Assembly Kit)でBssHII及びNotI部位で線形化されたpSLX240p:VK1プラスミドと組み合わせた。得られた構築物は、C-150225:pSLX240p:VK1O2O12::[hu抗<huTRAILR2>AMG 655 VH]::IgG1z_SEFL(desK)::TTR(C10A,K15A)と名付けた。
【0239】
配列番号38を、以下のとおり構築した。PCR33:鋳型としてC9448を使用し、抗TRAILR2軽鎖可変領域のアミノ末端及びシグナル配列をコードする5’PCRプライマー(5’-CTG CTG TGG CTG AGA GGT GCG CGC TGT GAA ATT GTG TTG ACG CAG -3’)を、3’プライマー(5’-AGC CAC CGT TCG TTT GAT TTC CAC CTT-3’)と組み合わせて、抗TRAILR2軽鎖可変領域を増幅し、363塩基対産物を生成する。PCR34、鋳型としてC-143044(pTT5d:VK1O2O12::[hu抗<huGITR>9H6VL])を使用し、κ軽鎖定常領域のアミノ末端及び抗TRAILR2可変領域の最後の9塩基をコードする5’プライマー(5’-ATC AAA CGA ACG GTG GCT GCA CCA TCT-3’)を、ヒトκ軽鎖定常領域のカルボキシル末端、終止コドン及びNotI制限酵素をコードする3’プライマー(5’-TGT TTA AAC GAT ATC GCT AGC GCG GCC GCC TAA CAC TCT CCC CTG TTG AAG-3’)と組み合わせる。PCR34によりおよそ330塩基対産物が生成された。PCR反応物33及び34を、Qiagenカラムで精製した。次いでこれらの断片を、連結非依存のクローニング反応(Geneart Seamless Cloning and Assembly Kit)でBssHII及びNotI部位で線形化されたpSLX240h:VK1プラスミドと組み合わせた。得られた構築物は、C-150226:pSLX240h:VK1O2O12::[hu抗<huTRAILR2>AMG655 VL]::huKLCと名付けた。
【0240】
[配列番号32]-[配列番号1]を、以下のとおり構築した。PCR31を上記のように利用した。PCR35:鋳型としてC-144127を使用し、重鎖定常領域のアミノ末端及び抗TRAILR2重鎖可変領域の最後の18塩基をコードする5’プライマー(5’-GGT CAC CGT CTC CTC AGC CTC CAC CAA GGG CCC C-3’)を、TTRのカルボキシル末端をコードする3’プライマー(5’-TTAAACGATATCGCTAGCGCGGCCGCTCATTCCTTGGGATTGGTGACG-3’)と組み合わせて、およそ1390塩基対産物を生成する。PCR反応物31及び35を、Qiagenカラムで精製した。次いでこれらの断片を、連結非依存のクローニング反応(Geneart Seamless Cloning and Assembly Kit)でBssHII及びNotI部位で線形化されたpSLX240p:VK1プラスミドと組み合わせた。得られた構築物は、C-150227:pSLX240p:VK1O2O12::[hu抗<huTRAILR2>AMG 655 VH]::IgG1z(N297G,KK)::TTR(C10A,K15A)と名付けた。
【0241】
配列番号33を、以下のとおり構築した。PCR31を上記のように利用した。PCR36:鋳型としてC-144130を使用し、5’プライマー(5’-GGTCACCGTCTCCTCAGCCTCCACCAAGGGCCCC-3’)を、重鎖定常領域のカルボキシル末端、終止コドン、及びNotI部位をコードする3’プライマー(5’-TTA AAC GAT ATC GCT AGC GCG GCC GCT CAA CCC GGG GAG AGG CTC A-3’)と組み合わせることにより、およそ1kbサイズの産物が得られた。PCR反応物31及び36を、Qiagenカラムで精製した。次いでこれらの断片を、連結非依存のクローニング反応(Geneart Seamless Cloning and Assembly Kit)でBssHII及びNotI部位で線形化されたpSLX240n:VK1プラスミドと組み合わせた。得られた構築物は、C-150228:pSLX240n:VK1O2O12::[hu抗<huTRAILR2>AMG 655 VH]::IgG1z(N297G,DD)と名付けた。
【0242】
[配列番号34]-[配列番号1]を、以下のとおり構築した。PCR31を上記のように利用した。PCR37:鋳型としてC144132を使用し、5’プライマー(5’-GGTCACCGTCTCCTCAGCTAGCACCAAGGGCCCA-3’)を、6xHis、終止コドン、及びNotI部位をコードする3’プライマー(5’-TTA AAC GAT ATC GCT AGC GCG GCC GCC TAG TGG TGA TGG TGA TGG TGA CC-3’)と組み合わせ、およそ740塩基対産物を生成した。PCR反応物31及び37を、Qiagenカラムで精製した。次いでこれらの断片を、連結非依存のクローニング反応(Geneart Seamless Cloning and Assembly Kit)でBssHII及びNotI部位で線形化されたpSLX240p:VK1プラスミドと組み合わせた。得られた構築物は、C-150237:pSLX240p:VK1O2O12::[hu抗<huTRAILR2>AMG655(S183E)scFab]::G2::TTR(C10A,K15A)::G2::6xHis((His)6タグは、精製目的のために含まれたことに留意)と名付けた。
【0243】
配列番号39を、以下のとおり構築した。PCR33を上記のように利用した。PCR38:鋳型としてC-143049を使用し、5’プライマー(6186-65)を、κ軽鎖定常領域のカルボキシル末端、終止コドン、及びNotI部位をコードする3’プライマー(5’-TGT TTA AAC GAT ATC GCT AGC GCG GCC GCT CAA CAC TCT CCC CTG TTG AA-3’)と組み合わせ、およそ330塩基対産物を生成した。PCR反応物33及び38を、Qiagenカラムで精製した。次いでこれらの断片を、連結非依存のクローニング反応(Geneart Seamless Cloning and Assembly Kit)でBssHII及びNotI部位で線形化されたpSLX240h:VK1プラスミドと組み合わせた。得られた構築物は、C-150238:pSLX240h:VK1O2O12::[hu抗<huTRAILR2>AMG 655 VL]::huKLC-S176Kと名付けた。
【0244】
抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、及びTTR Fabホモ四量体融合タンパク質の発現
抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、及びTTR Fabホモ四量体融合タンパク質は、一般に、以下のように発現された。
【0245】
TTR融合タンパク質は、CHO-K1細胞を添加した懸濁液中で安定に発現した。製造元のプロトコルに従って、Lipofectamine LTX(Invitrogen(商標))を使用してトランスフェクションを実施した。抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体及びTTR Fabホモ四量体についいて1:1(1HC又はFab-HC対1LC)の比で、又はTTR抗体ホモ四量体について1:1:1(1HC+対1HC-対1LC)の比で、合計30~36μgの哺乳類発現プラスミドDNAを使用した。各々について、プラスミドDNAを3~4mLのOPTI-MEM(Gibco)に添加し、混合した。別のチューブで、72~75μLのリポフェクタミンLTXを、3~4mLのOPTI-MEMに添加した。溶液を室温で5分間インキュベーションした。トランスフェクション複合体を形成するために、DNA及びリポフェクタミンLTX混合物を各々について組み合わせ、室温でさらに20分間インキュベーションした。対数期CHO-K1細胞を遠心分離(1200~1500RPM5分間)によりペレット化し、1XPBS(Gibco)で1回洗浄し、OPTI-MEM中の1.5-2e生存細胞/mLに再懸濁させた。各トランスフェクションについて、5~6mLの洗浄した細胞を、125mL容量の振盪フラスコに添加した。DNAトランスフェクション複合体を各々の細胞に添加した。フラスコを36℃、5%COでインキュベーションし、150RPMで6時間振盪した。トランスフェクションを止めるために、9~12mLの増殖培地を各フラスコに添加し、48~72時間インキュベーションした。
【0246】
選択を始めるため、トランスフェクションの72時間後、細胞を遠心分離(1200~1500RPM5分間)によりペレット化し、培地を抗生物質を補充した23~25mLの増殖培地と交換した。選択培地を1週間に2~3回交換し、細胞の生存率及び密度が回復するまで、培養物が過剰に増殖しないように(<5-6evc/mL)必要なときに培養液を希釈した。
【0247】
振盪フラスコで36℃にて大規模製造(2.3L~2.5L)を実施した。製造は、製造媒体中、2evc/mLで播種された。5日目に、条件培地を、遠心分離、続いて濾過(0.45μm)により回収した。
【0248】
図11で示されるように、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体及びTTR Fabホモ四量体融合タンパク質は、よく発現し、正しく構築される(図11a)参照)。図11b)は、予想される融合タンパク質成分が、加熱及び還元時に存在することを示す。レーンごとに5μLの条件培地をロードし、4~20%TGゲルで泳動した。図11a)で見られるように、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体及びTTR Fab四量体は、完全に構築された複合体について予想される標準的な抗体よりも大きい複合体としてSDS-PAGE上で移動する。図11b)で見られるように、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体及びTTR Fabホモ四量体は、重鎖(上の方のバンド)並びに遊離軽鎖(下の方のバンド)を有する融合分子について予想されるように、還元SDS-PAGE上で移動する。
【0249】
図12で示されるように、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ四量体は、よく発現し(約150mg/Lで)、CHO-K1細胞で正しく構築する(図12a)参照、最上部バンド)。図12b)は、ホモ四量体複合体が、加熱すると、その予想された構成要素に分解されることを示し、図12c)は、ホモ四量体複合体が、加熱及び還元すると、その予想された構成要素に分解されることを示す。レーンごとに2~5μLの条件培地をロードし、4~20%TGゲルで泳動した。
【0250】
図13は、抗TRAILR2 TTR Fabホモ四量体、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体、及び抗TRAILR2 TTR抗体ホモ四量体が正しく構築され、加熱及び還元により、分子は予想される構成要素の鎖に分解される(上の方のバンドは重鎖であり、最も低い位置のバンドは軽鎖である)ことを示す。図13は、TTR構築物が様々な抗体で生成できることを示す。
【0251】
抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、及びTTR Fabホモ四量体融合タンパク質の精製及び特性評価
抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体及びTTR抗体ホモ四量体融合タンパク質は、一般に、以下のように精製された。2つの順次接続された5mL ProA FF HiTrap(GE Healthcare Life Science)カラムを備えたAKTA精製装置(GE Healthcare Life Sciences)液体クロマトグラフィーシステムを使用して、分子を細胞培養培地から精製した。培地を直接ProA FFカラム上にロードし、5CVのDPBS(Life Technologies)で洗浄し、8CVの50mM酢酸、pH3.2で溶離した。ProA FF溶出プールを、2M Tris-HCl、pH9.2を使用して、pH5.0まで滴定し、次いで9容量の滅菌水で希釈した。調節したProA FFプールを、10kDa MWCO Slide-a-lyzers(Thermo Fisher Scientific)を使用して、2Lの20mM HEPES、150mM NaCl、pH7.0に対して2回透析した。透析したプールを、18mL SPセファロース高性能(SP HP)(GE Healthcare Life Science)カラムで精製し、20mM NaH2PO4、pH7.0で5CV洗浄を採用し、20CV NaCl 勾配0mM~500mMで溶離した。SDS-PAGE及びHPLC-SEC純度により、プールのために画分を選択した。SP HPプールを、VivaSpin 10kDa MWCO遠心分離濾過ユニット(Sartorius(Gottingen,Germany))を用いて濃縮し、次いで320mL Superdex200(GE Healthcare Life Science)で、1.4CVの20mM HEPES、300mM NaCl、pH 7.0で一定濃度で精製した。SDS-PAGE及びHPLC-SEC純度により、プールのために画分を選択した。SP HPプールを、10kDa MWCO Slide-a-lyzers(Thermo Fisher Scientific)を使用して、2Lの10mMMES、150mM NaCl、pH7.0に対して2回透析した。透析した試料をVivaSpin 10kDa MWCO遠心分離濾過ユニット(Sartorius)を使用して濃縮し、次いで0.2μm Suporシリンジフィルタ(Pall)に通して滅菌濾過した。
【0252】
抗TRAILR2 Fabホモ四量体融合タンパク質は、一般に、以下のように精製された。50mL Niセファロースexcel(Ni excel)(GE Healthcare Life Sciences)カラムを備えたAKTA精製装置(GE Healthcare Life Sciences)液体クロマトグラフィーシステムを使用して、分子を細胞培養培地から精製した。培地を、HisTrapカラム上に直接ロードし、次いで10CVの20mM NaHPO、0.5M NaCl、10mMイミダゾール、pH7.4で洗浄し、8CVイミダゾール 勾配10mM~500mMで溶離した。Ni excelプールを、10kDa MWCO Slide-a-lyzers(Thermo Fisher Scientific)を使用して、2Lの20mM HEPES、150mM NaCl、pH7.0に対して2回透析した。透析したプールを、18mL SPセファロース高性能(SP HP)(GE Healthcare Life Science)カラムで精製し、20mM NaH2PO4、pH7.0で5CV洗浄を採用し、20CV NaCl 勾配0mM~500mMで溶離した。SDS-PAGE及びHPLC-SEC純度により、プールのために画分を選択した。SP HPプールを、10kDa MWCO Slide-a-lyzer(Thermo Fisher Scientific)を使用して、2Lの10mMMES、150mM NaCl、pH7.0に対して2回透析した。透析した試料をVivaSpin 10kDa MWCO遠心分離濾過ユニット(Sartorius)を使用して濃縮し、次いで0.2μm Suporシリンジフィルタ(Pall)に通して滅菌濾過した。NanoDrop2000(Thermo Fisher Scientific(Rockford,Illinois,USA))を使用して、タンパク質濃度を280nM(A280)でのUV吸光度によって測定した。製造元の指示に従って、MESランニングバッファー(Life Technologies(Carlsbad,California,USA))を使用して、変性、非還元4~12% Bis-Tris NuPAGEゲルにより、試料を分析した。試料を、1mL/分で、50mM NaH2PO4、250mM NaCl、pH6.9のPhenomenex SEC3000カラム、7.8×300mm(Phenomenex(Torrance,California,USA))で分析し、280nmでの吸光度を観察した。
【0253】
図14は、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体(中央のクロマトグラム)、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ四量体(右のクロマトグラム)、及び抗TRAILR2 TTR Fabホモ四量体(左のクロマトグラム)融合タンパク質の各々のHPLCサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)分析の結果を示す。SECクロマトグラムは、メインピークが、正しく構築された分子と一致する予想位置で溶出することを示している。
【0254】
抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、及びTTR Fabホモ四量体融合タンパク質の還元LC/MS分析を実施した。試料を200mM酢酸アンモニウムにバッファー交換し、native MS研究用の最終的なMS作動溶液として5μMに作製した。試料をまた、8MグアニジンHClで変性させ、LC-MS分析のために20mM DDTで還元させた。次いで2μgの材料をLC-MSシステムに注入した。
【0255】
抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、及びTTR Fabホモ四量体融合タンパク質のNative MS分析及びイオン移動度分析を、ポジティブナノフローESIモードで操作される、修正されたSynapt G1 HDMS装置を使用して、高周波閉じ込めドリフトチューブで実行した。重要な機器電圧及び圧力は以下のとおりであった:キャピラリー電圧 0.8~1.0kV;試料コーン 40V、抽出コーン 1V;ソースブロック温度 30℃;トラップ衝突エネルギー 4.0V;移動衝突エネルギー 60~200V、高周波閉じ込めドリフトセル全体に適用される3.3V~11.1V/cmに相当する;トラップ入口 3.0V;トラップバイアス 16V(N2;N2で操作される場合にドリフトセルにイオンを注入するには、電位を上げる必要がある);IMS DC入口 5.0V;IMS DC出口 0.0V;移動DC入口 0.0V;移動DC出口 2.0V;移動波速度 70m/秒;移動波振幅 4.0V;モビリティトラッピング解放時間 250μsec;トラップ高 20.0V;抽出高 0.0V;ソースRF振幅(最大振幅)450V;Triwave RF振幅(最大振幅)、トラップ380V、IMS 150V、移動380V;ソースバッキング圧力 6.0mbar;トラップ/移動圧力SF6、3.3e-2mbar(ピラニ真空計表示:流速3.0mL/分);IMS圧力 N2 2.05mbar(1.54Torr;流速38mL/分);IMS圧力 He 2.70mbar(2.03Torr;流速70mL/分)。MKS Baratronキャパシタンスマノメータ、タイプ626(範囲10Torr;0.25%まで正確)及びMKS PDR2000電源を使用して、高周波閉じ込めドリフトセル内の圧力を正確に測定した。周囲温度は、Oakton Temp10T熱電対を使用して測定した。キャパシタンスマノメータのイオン光学系蓋に接続されているポイントで、温度を測定した。機器制御及びデータの獲得を、MassLynx 4.1 SCN 639,SCN744により実施した。そのため、移動度及びΩ値は、ドリフトセルデバイス内の圧力及びドリフトセルの周囲温度を正確に測定し、異なるドリフトセル電圧(60V~200V)で最大10回の移動度測定を行うことによって、作成された。個々の温度及び圧力測定を、各収集及び最終Ω値計算について行い、平均温度及び圧力値を使用した。10分にわたる典型的な温度及び圧力変化は、≦0.2℃及び≦0.002Torrであった。
【0256】
2μgの変性及び還元タンパク質を直接、45℃及び流速400μL/分で操作される、C4 BEH 2.1×50mM分析カラムに注入することにより、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、及びTTR Fabホモ四量体融合タンパク質の変性LC-MS分析を実施した。MS-検出は、Waters XevoQ-ToF質量分析計で実施した。試料コーン及び抽出コーンを、それぞれ、35V及び1Vに設定した。
【0257】
質量分析及びイオン移動度の結果:抗TRAILR2 TTR抗体ホモ四量体:native-MS測定MWは645.9kDaであり、イオン移動度測定N2-CCS値は190.1nm2であり、サブユニットの変性及び還元MWは、23,388Da、49,180Da、及び62,872Daであった。抗TRAILR2 TTR Fabホモ四量体融合タンパク質:native-MS測定MWは250.5kDaであり、イオン移動度測定N2-CCS値は130.3nm2であり、サブユニットの変性及び還元MWは、23,429Da及び38,582Daであった。抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体融合タンパク質native-MS測定MWは347.2kDaであり、イオン移動度測定N2-CCS値は124.0nm2であり、サブユニットの変性及び還元MWは、23,391Da及び62,867Daであった。
【0258】
抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、及びTTR Fabホモ四量体融合タンパク質のSEC-多角光散乱(MALS)を、Wyatt Heleos II及びOptiLab-TrEX検出器を装備したAgilent 1100 HPLCで実施した。使用したカラムは、Superdex200(10/300GL)であった。移動相は、0.4mL/分の流速を有する2×PBSであった。分析時間は1試料につき70分であった。抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体及びTTR抗体ホモ四量体融合タンパク質の4つのSP画分(A3、A8、A12及びC1)についての注入量は、それぞれ、81、63、75、及び75μgであるとともに、抗TRAILR2-TTRの最終プールについての注入量は77μgであった。実行設定、データ収集、分析手順は、Agilent’s Chemstation(v B.04.02 96)及びWyatt’s ASTRA(v6.1.1.17)ソフトウェアで実行された。
【0259】
実施例7:抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、及びTTR Fabホモ四量体融合タンパク質の活性及びPKプロファイル
親抗TRAILR2 mAb(コナツムマブ)、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ四量体、及び抗TRAILR2 TTR Fabホモ四量体融合タンパク質の活性及びPKプロファイルを評価した。
【0260】
PKプロファイル
6.5mg/kgのTTR抗体ホモ四量体、3.5mg/kgのTTR抗体ホモ二量体、2.5mg/kgのTTR Fabホモ四量体、及び1.5mg/kgのコナツムマブ及びコナツムマブ-341-G1(コナツムマブ-341-G1は、TRAILR2に結合しないように設計されたAbである)抗体で正規化された雄のCD-1マウス(1グループ当たりn=3)モル当量の静脈内注射により、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体、TTR抗体ホモ四量体、及びTTR Fabホモ四量体融合タンパク質のPKプロファイルを測定した。投与から0.5、2、8、24、48、72、96、192、336、504、672、及び840時間後に収集された75μLの血液試料から、血清試料を収集した。収集後、各血液試料を室温で維持し、30~40分の凝固時間の後、較正済みのEppendorf 5417R遠心分離システム(Brinkmann Instruments,Inc.(Westbury,NY))を使用して、試料を2~8℃、11,500rpmで約10分間遠心分離した。次いで収集した血清を事前にラベルを付けた(各ラットについて)低温保存チューブに移し、後々のバイオ分析のために-60℃~-80℃で保存した。
【0261】
以下のPKアッセイを使用して、メソ・スケール・ディスカバリー(MSD)アッセイにより、マウス血清中のコナツムマブ、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ四量体、及び抗TRAILR2 TTR Fabホモ四量体融合タンパク質の全抗TRAILR2種(すなわち、存在する任意の抗TRAILR2結合種)を測定した。マウス血清試料中のコナツムマブの総量を測定するために、通常の結合96ウェルMSDプレート(Meso Scale Discovery(Gaithersburg,MD))を、PBS中の2μg/mLのウサギ抗コナツムマブポリクローナル抗体(Amgen Inc.(Thousand Oaks,CA))でコーティングし、次いで4℃で一晩インキュベーションした。次いでプレートを洗浄し、I-Block(商標)(Life Technologies(Carlsbad,CA))で4℃にて一晩ブロックした。標準及び品質管理(QC)はマウス血清で調製し、希釈が必要な場合はPK試料をナイーブCD-1マウス血清で希釈した。次いで標準、QC、及び試料を、PBS、1M NaCl、0.5%Tween20、及び1%ウシ血清アルブミンを含有する緩衝液で1:20に希釈した。プレートをおよそ200μLの1XKPL緩衝液(KPL(Gaithersburg,MD))で3回洗浄し、続いて50μLの希釈された標準試料、QC、及び試料を抗コナツムマブ抗体コーティングプレートに移し、室温(およそ25℃)で1.5時間インキュベーションした。プレートをおよそ200μLの1XKPL洗浄緩衝液で3回洗浄し、次いで50μLの100ng/mLのマウス抗-hu Fc抗体、クローン1.35.1をMSD SULFO-TAG(Amgen Inc.(Thousand Oaks,CA))にI- Block(商標)含有5%BSA中で結合したものを添加し、室温で1.5時間インキュベーションした。抗TRAILR2 TTR Fabホモ四量体構築物について、50μLの250ng/mLのマウス抗κLC、クローンKCF-9をビオチンに結合させたものを添加し、1.5時間インキュベーションした;次いで、プレートを1XKPL洗浄緩衝液で洗浄した後、MSD SULFO-TAG(Amgen,Inc.)に結合した100ng/mLのストレプトアビジン50μLを添加し、15分間インキュベーションした。プレートを、およそ200μLの1XKPL洗浄緩衝液で6回洗浄し、続いて150μL 1XRead緩衝液T(Meso Scale Discovery)を添加し、MSD6000プレートリーダー(Meso Scale Discovery)を使用して、電気化学発光シグナルを測定した。Phoenix(登録商標)(Phoenix 64,Build 6.4.0.768,Pharsight(登録商標)Corp.(Mountain View,CA))で、ノンコンパートメント法を使用して血清濃度データを分析した。
【0262】
以下のPKアッセイを使用して、マウス血清試料のMSDアッセイにより、マウス血清中の抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ四量体、及び抗TRAILR2 TTR Fabホモ四量体融合タンパク質の抗TRAILR2 TTR結合種及びTTR種の両方の存在を測定した。通常の結合96ウェルMSDプレート(Meso Scale Discovery(Gaithersburg,MD))を、PBS中の2μg/mLのウサギ抗TTRポリクローナル抗体(Amgen Inc.(Thousand Oaks,CA))でコーティングし、次いで4℃で一晩インキュベーションした。次いでプレートを洗浄し、I-Block(商標)(Life Technologies(Carlsbad,CA))で4℃にて一晩ブロックした。標準及び品質管理(QC)はマウス血清で調製し、希釈が必要な場合はPK試料をナイーブCD-1マウス血清で希釈した。次いで標準、QC、及び試料を、PBS、1M NaCl、0.5%Tween20、及び1%ウシ血清アルブミン緩衝剤を含有する緩衝液で1:20に希釈した。プレートをおよそ200μLの1×KPL緩衝液(KPL(Gaithersburg,MD))で3回洗浄し、続いて50μLの希釈された標準試料、QC、及び試料を抗TTR抗体コーティングプレートに移し、室温で1.5時間インキュベーションした。プレートをおよそ200μLの1×KPL洗浄緩衝液で3回洗浄し、次いで50μLの250ng/mLのウサギ抗コナツムマブポリクローナル抗体をビオチンに結合したものを添加し、1.5時間インキュベーションした。プレートを1XKPL洗浄緩衝液で3回洗浄した後、MSD SULFO-TAG(Amgen,Inc.)に結合した100ng/mLのストレプトアビジン50μLを添加し、15分間インキュベーションした。プレートを、およそ200μLの1XKPL洗浄緩衝液で6回洗浄し、続いて150μL1xRead緩衝液T(Meso Scale Discovery)を添加し、MSD6000プレートリーダー(Meso Scale Discovery)を使用して、電気化学発光シグナルを測定した。Phoenix(登録商標)(Phoenix 64,Build 6.4.0.768,Pharsight(登録商標)Corp.(Mountain View,CA))で、ノンコンパートメント法を使用して血清濃度データを分析した。
【0263】
PK分析の結果は、図15で見出すことができる。図15a)(任意の抗TRAILR2結合種の測定)により示されるように:[1]抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体(「1」)のPKは、親Ab(コナツムマブ(「3」);及びコナツムマブ-341-G1(「2」))のPKよりも良好である;[2]抗TRAILR2 TTR Fabホモ四量体(「5」)のPKは、貧弱であり、これはおそらく、FabにFc領域がなく、したがってその半減期を媒介/延長する能力がないという事実に起因する;及び[3]抗TRAILR2 TTR抗体ホモ四量体(「4」)のPKは、親mAbと類似のPKを示す。 特に、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ四量体は、その親(コナツムマブ)と比較してより良好なPKを示し、これは、抗GITR TTR抗体ホモ四量体に関して観察されたものとは異なる(これは親mAbほど強力ではないが、Fabと比較して大幅に強化されたPKを示した)。この観察は、TTR抗体ホモ四量体融合タンパク質のPKが、抗体及び/又は標的依存であり得ることを示唆する。図15b)(抗TRAILR2 TTR結合種及びTTR種の両方の存在の測定)は、インタクト抗TRAILR2 TTR融合タンパク質のPKが、図15a)で観察されたものと一致していることを示し、in vivoでのタンパク質分解によって各TTR融合タンパク質から抗TRAILR2結合部分が遊離されていないことを示している。抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体(「1」);抗TRAILR2 TTR抗体ホモ四量体(「2」);及び抗TRAILR2 TTR Fabホモ四量体(「3」)を、図15b)で評価する。
【0264】
細胞系活性アッセイ
メラノーマ細胞株WM35(ATCC)上の抗TRAILR2 TTR融合タンパク質対コナツムマブ+プロテインGの活性を評価した。WM35はDR5を発現するがDR4は発現しないと、評価された。TRAILは、DR5及びDR4の両方を活性化する。マイクロタイタープレートの1ウェル当たり10個の細胞で、WM35細胞をプレーティングし、次いでコナツムマブ、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ四量体、又は抗TRAILR2 TTR Fabホモ四量体融合タンパク質と共に、架橋を促進するために、1μg/mLのプロテインG(Pierce)の非存在下又は存在下で、インキュベーションした。三通りの試料を分析した。37℃、5%COで24時間インキュベーションした後、細胞生存率を、Cell Titer-gloアッセイ(Promega)を使用して評価した。製造元の指示に従い、細胞Titer-glo反応を実施し、Perkin Elmer Envisionを使用して、発光を測定した。y軸は、発光シグナルを相対発光単位(RLU)として示す;RLUの減少は、ATP産生の減少と生存細胞数の減少を反映する。x軸は、タンパク質濃度を示す。
【0265】
図16は、WM35アッセイの結果を示す。コナツムマブ(「1」)は、プロテインG(Ig結合部位を2つ有する;「5」)とクラスター化されていない限り、細胞を殺す効果はない。抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体(「2」)は、親コナツムマブよりもWM35細胞を殺すのがわずかに優れている。抗TRAILR2 TTR Fabホモ四量体(「4」)は、コナツムマブよりもわずかに優れたWM35細胞殺傷能力を有する。しかし、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ四量体(「3」)は、WM35細胞の殺傷において、コナツムマブよりもはるかに強力であり、コナツムマブ/プロテインGクラスター化複合体よりもさらに強力である。加えて、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体のプロテインGとのクラスター化(「6」)は、融合タンパク質の効力を改善したが、抗TRAILR2 TTR Fabホモ四量体のプロテインGとのクラスター化(「8」)はほとんど効果がなかった。興味深いことに、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ四量体のプロテインGとのクラスター化(「7」)は、タンパク質融合の効力をわずかに損なった。これらの結果は、TTR抗体ホモ四量体媒介クラスター化は、抗腫瘍活性を向上させ得ることを示す。
【0266】
初代ヒトケラチノサイト(Lonza)上の抗TRAILR2 TTR融合物対コナツムマブ+プロテインGの活性もまた、評価した。マイクロタイタープレートの1ウェル当たり10個の細胞で初代ケラチノサイトをプレーティングし、次いでTRAIL単独、架橋を促進するために1μg/mLタンパク質G(Pierce)を含むコナツムマブ、又はTRAIL+1μg/mLコナツムマブと共にインキュベーションした。各条件で試料を3通り準備した。37℃、5%CO2で24時間インキュベーションした後、細胞生存率を、Cell Titer-gloアッセイ(Promega)を使用して評価した。また、マイクロタイタープレートの1ウェル当たり10個の細胞で初代ケラチノサイトをプレーティングし、次いで抗TRAILR2 TTR抗体ホモ四量体、抗TRAILR2 TTR Fabホモ四量体、コナツムマブ、又はTRAILと共に、示された濃度でインキュベーションした。1μg/mLコナツムマブと組み合わせたTRAILもまた試験した。試料を3通り準備した。37℃、5%COで24時間インキュベーションした後、細胞生存率を、Cell Titer-gloアッセイ(Promega)を使用して測定した。
【0267】
図17は、ケラチノサイトアッセイの結果を示す。また、コナツムマブ(「1」)は、初代ヒトケラチノサイト細胞の殺傷に効果がなかった。抗TRAILR2 TTR Fabホモ四量体(「2」)は、コナツムマブよりもわずかに優れた効力を示す。また、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ四量体(「3」)は、ヒト初代ケラチノサイト細胞の殺傷では、コナツムマブよりもかなり強力であった。また、これらの結果は、TTR抗体ホモ四量体媒介クラスター化が、in vitroでの細胞殺傷アッセイにおける活性を向上させ得ることを示す。
【0268】
ネズミcolo205腺癌モデル系活性アッセイ
コナツムマブ、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ四量体、及び抗TRAILR2 TTR Fabホモ四量体融合タンパク質の活性を、ネズミColo205ヒト結腸腺癌がんモデルで評価した。10%FBS(Sigma,2442-500mL)、4mM L-グルタミン(Hyclone,SH30034.01)、1mM HEPES(Hyclone,SH30237.01)、1mMピルビン酸ナトリウム(Sigma,S8636-100mL)、及び2.5g/Lグルコース(Sigma,G8769)が補充されたRPMI-1640培養培地中で、Colo205ヒト結腸腺癌細胞を、37℃にて5%COで維持した。継代3で、細胞を回収し、無血清培地中で再懸濁させて、10×10細胞/mLの最終濃度を得た。細胞生存率は、トリパンブルー排除により98%であると決定された。
【0269】
60匹のメスのNU/NUヌードマウスの右脇腹に1×10個の細胞(100μL容量)を皮下注射し、イソフルオラン(isofluorane)で麻酔した。腫瘍移植後7日目に、腫瘍体積が34mm~99mmの50匹のマウスを、各グループが40mm~48mmの範囲の同様の平均腫瘍体積になるように、10匹ずつの5つの治療グループに分けた。腫瘍が小さい又は大きい10匹のマウスをこの研究から除外した。
【0270】
5グループの動物に週2回(b.i.w)、コナツムマブ(0.69μM/動物)、コナツムマブ-341-G1(0.69μM/動物)、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体(0.34μM/動物)、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ四量体(0.17μM/動物)、及び抗TRAILR2 TTR Fabホモ四量体(0.17μM/動物)を腹腔内投与し、3週間で全部で6治療行った。治療は、抗TRAILR2 TTR Fabホモ四量体(残りの治療と比較して結合部位の半分のみであった)を除いて、全てがコナツムマブと同じ数の結合部位を有するように正規化された。全ての治療は腫瘍移植後8日目に開始し、25日目に終了した(治療は、8、11、15、19、22、及び25日目であった)。全ての治療は、注射直前の治療で希釈液(DPBS)中で新たに調製した。
【0271】
腫瘍体積測定:腫瘍の長さと幅は、ABS Digimaticソーラーキャリパー、モデル#Cd-S6”C(Mitutoyo Corporation,Japan)で測定された。腫瘍体積は0.5×L×W2として計算され、Wは2つの測定値のうち小さい方でmmで表された。
【0272】
体重測定:体重測定について、動物を体重計(Mettler ToledoモデルPB602-S,Switzerland)の皿に置いた。3秒間の平均体重は、体重計の動的重量関数を使用して決定された。体重は100×(Wc/Wi)として計算される体重変化として報告され、ここで、Wcは現在の体重、Wiは治療開始時の体重である。この研究では、4日目の体重を全ての動物のWiとして使用した。
【0273】
安楽死:腫瘍のサイズが1500~2000mmに達したため、研究終了前に5匹の動物を安楽死させた。コナツムマブ-341-G1グループ:25日目に腫瘍体積が過剰になったために2匹のマウスを安楽死させた。35日目に腫瘍体積が過剰になったため、さらに2匹のマウスを安楽死させた。抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体グループの10匹のマウス及びコナツムマブ-341-G1グループの残りの6匹のマウスは、平均腫瘍体積>1200mm又はコホートのマウスの半分以上の喪失により、42日目に安楽死させた。抗TRAILR2 TTR Fabホモ四量体グループ由来の1匹のマウスを、42日目に腫瘍サイズ>2000mmになったため、安楽死させた。抗TRAILR2 TTR Fabホモ四量体グループ由来の1匹のマウスを、49日目に腫瘍体積が過剰になったため、安楽死させた。残りの全ての動物は、研究の終了で63日目に安楽死させた。動物をイソフルオランの過剰摂取で安楽死させた後、心臓穿刺により採血した。
【0274】
腫瘍測定:4日目から63日目までのデータは、平均±標準誤差として表され、時間の関数としてプロットされた。Dunnettが調整した複数の比較を使用して、変換された腫瘍体積データの分散の反復測定分析によって、増殖曲線間の観察された差の統計的有意性を評価した。変換されたベースライン腫瘍体積、日、治療、及び日ごとの治療相互作用のモデル効果を用いたSAS PROC MIXED手順を使用して分析を行った:日が繰り返された値、動物対象、及びテプリッツ共分散構造であるREPEATEDステートメント;並びに対照グループを他の治療グループと比較するDunnett分析を行うためのLSMEANSステートメント。データは、Horwitzの方法に従って変換された対数又は平方根であり、変換されたベースライン腫瘍体積は、治療前の腫瘍体積の違いの可能性を考慮して、モデルの共分散として含まれた。対数変換又は平方根変換が適切な残差分布を達成できなかった場合は、ノンパラメトリック反復測定分散分析を、腫瘍体積のランクに対する同じモデルの影響とともに使用した。0.05未満のP値は、統計的に有意であると見なされた。コナツムマブ(野生型)及びコナツムマブ-341-G1グループを、分析における対照グループとして使用した。
【0275】
図18は、ネズミcolo205モデル試験の結果を示す。コナツムマブ(「グループ1」;0.69μM/動物)、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ四量体(「グループ4」;0.17μM/動物)、及び抗TRAILR2 TTR Fabホモ四量体(「グループ5」;0.17μM/動物)は全て、投与中にin vivo腫瘍増殖を抑制し、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ四量体は、投与中に抑制の最高レベルを示す。腫瘍増殖を抑制する点では、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体(「グループ3」;0.34μM/動物)がビヒクル対照(コナツムマブ-341-G1、「グループ2」;0.69μM/動物)よりもわずかに優れていた。特に、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ四量体は、投与が中止された後も長い間、腫瘍増殖を抑制し続けた。加えて、驚くべきことに、抗TRAILR2 TTR Fabホモ四量体は、貧弱なPKプロファイル(図15)を有しているが、この構築物は、腫瘍増殖を抑制する際のコナツムマブと同じくらい効果的である。特定の理論に縛られるものではないが、抗TRAILR2 TTR Fabホモ四量体への最初の暴露が、死に至り、長期的な結合を必要とすることがない標的細胞で一連の事象を引き起こす可能性がある。加えて、比較的小さいサイズのFab構築物は、腫瘍環境へのアクセスを改善し、貧弱なPKを補い得る。最後に、Fab構築物の物理的立体配置は、in vivoでより効果的であり得る。
【0276】
ネズミSW403腺癌モデル系活性アッセイ
10%FBS(Sigma、2442-500mL)、4mM L-グルタミン(Hyclone、SH30034.01)が補充されたRPMI-1640培養培地(Sigma R0883)中で、SW403ヒト結腸腺癌細胞を37℃にて5%COで維持した。継代5で、細胞を回収し、無血清培地中で再懸濁させて、50×10細胞/mLの最終濃度を得た。細胞生存率は、トリパンブルー排除により95%であると決定された。
【0277】
75匹のメスのNU/NUヌードマウスの右脇腹に5×10個の細胞(100μL容量)を皮下注射し、イソフルオランで麻酔した。腫瘍移植後7日目に、腫瘍体積が21mm~160mmの60匹のマウスを、各グループが58mm~66mmの範囲の同様の平均腫瘍体積になるように、10匹ずつの6つの治療グループに分けた。腫瘍が小さい又は大きい15匹のマウスをこの研究から除外した。
【0278】
6グループの動物に週2回(b.i.w)、コナツムマブ野生型(1.38μM/動物)、コナツムマブ-341-G1(1.38μM/動物)、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体(0.69μM/動物)、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ四量体(0.34μM/動物)、抗TRAILR2 TTR Fabホモ四量体(0.34μM/動物)、及びDPBS(ビヒクル対照)を腹腔内投与し、3週間で全部で6治療行った。治療は、抗TRAILR2 TTR Fabホモ四量体(残りの治療と比較して結合部位の半分のみであった)を除いて、各々がコナツムマブ野生型と等しい数の結合部位を有するように正規化された。全ての治療は腫瘍移植後15日目に開始し、32日目に終了した(治療は、15、19、22、26、29、及び32日目であった)。全ての治療は、注射直前の治療で希釈液(DPBS)中で新たに調製した。
【0279】
腫瘍体積測定:腫瘍の長さと幅は、ABS digimaticソーラーキャリパー、モデル#Cd-S6”C(Mitutoyo Corporation,Japan)で測定された。腫瘍体積は0.5×L×W2として計算され、Wは2つの測定値のうち小さい方でmmで表されました。
【0280】
体重測定:動物を体重計(Mettler ToledoモデルPB602-S,Switzerland)の皿に置いた。3秒間の平均体重は、体重計の動的重量関数を使用して決定された。体重は100×(Wc/Wi)として計算される体重変化として報告され、ここで、Wcは現在の体重、Wiは治療開始時の体重である。この研究では、4日目の体重を全ての動物のWiとして使用した。
【0281】
安楽死及び組織収集:腫瘍のサイズが1500~2000mmに達したため、研究終了前に8匹の動物を安楽死させた。コナツムマブ-341-G1グループ由来の1匹のマウスを、33日目に腫瘍体積が過剰になったため、安楽死させた。コナツムマブ-341-G1グループ由来の別のマウス、DPBSビヒクル対照グループ由来の二匹、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体グループ由来の1匹を、36日目に安楽死させた。コナツムマブ-341-G1、DPBSビヒクル対照、及び抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体グループにおける残りの動物は、全て、39日目に安楽死させた。コナツムマブWTグループ由来の1匹のマウスを、39日目に安楽死させた。コナツムマブWTグループ由来の別のマウス及び抗TRAILR2 TTR Fabホモ四量体グループ由来の一匹のマウスを、46日目に安楽死させた。コナツムマブWT、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ四量体、及び抗TRAILR2 TTR Fabホモ四量体グループにおける残りの全ての動物を、研究の終了で49日目に安楽死させた。イソフルオランの過剰摂取で全ての安楽死を行った後、心臓穿刺により採血した。
【0282】
腫瘍測定:7日目から49日目までのデータは、平均±標準誤差として表され、時間の関数としてプロットされた。Dunnettが調整した複数の比較を使用して、変換された腫瘍体積データの分散の反復測定分析によって、増殖曲線間の観察された差の統計的有意性を評価した。変換されたベースライン腫瘍体積、日、治療、及び日ごとの治療相互作用のモデル効果を用いたSAS PROC MIXED手順を使用して分析を行った:日が繰り返された値、動物対象、及びテプリッツ共分散構造であるREPEATEDステートメント;並びに対照グループを他の治療グループと比較するDunnett分析を行うためのLSMEANSステートメント。データは、Horwitzの方法に従って変換された対数又は平方根であり、変換されたベースライン腫瘍体積は、治療前の腫瘍体積の違いの可能性を考慮して、モデルの共分散として含まれた。対数変換又は平方根変換が適切な残差分布を達成できなかった場合は、ノンパラメトリック反復測定分散分析を、腫瘍体積のランクに対する同じモデルの影響とともに使用した。0.05未満のP値は、統計的に有意であると見なされた。全ての統計計算は、AMG生物統計分析ツール(cld-pweb-taivd.amgen.com/biostats/Statistics)を使用して行った。コナツムマブWTグループを、分析における対照グループとして使用した。
【0283】
図19は、ネズミSW403モデル試験の結果を示す。抗TRAILR2 TTR抗体ホモ四量体(「グループ5」)及び抗TRAILR2 TTR Fabホモ四量体(「グループ6」)は、投与中にコナツムマブ(「グループ1」)よりもin vivo腫瘍増殖を抑制する。抗TRAILR2 TTR抗体ホモ二量体(「グループ4」)は、コナツムマブとほぼ同じレベルで投与中に増殖を抑制したが、増殖抑制においてビヒクル対照(「グループ3」)よりも有意に優れていない。特に、抗TRAILR2 TTR抗体ホモ四量体及び抗TRAILR2 TTR Fabホモ四量体の両方は、投与を停止した後でも腫瘍増殖を遅らせる。また、抗TRAILR2 TTR Fabホモ四量体は、貧弱なPKプロファイル(図15)を有するが、構築物は、投与を中止した後でさえも、腫瘍増殖を遅らせる点で抗TRAILR2 TTR抗体ホモ四量体と同じくらい効果的であることが観察されたことは驚くべきことであった。
【0284】
図20は、ネズミcolo205モデルマウス及びネズミSW403モデルマウスの体重が、試験した全ての化合物で類似していることを示し、通常の上向きの軌道にあるように見える。この結果は、試験した化合物が、明らかな毒性はない(マウスは正常に食べて体重が増えるのに十分健康であったため)ことを示している。
【0285】
【表10】
【0286】
【表11】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【配列表】
2024012336000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2023-10-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスサイレチン(TTR)タンパク質複合体に連結された2つの抗原結合タンパク質を含む、ホモ二量体融合タンパク質であって、
前記抗原結合タンパク質が、グルココルチコイド誘導TNFR関連タンパク質(GITR)、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド受容体-2(TRAILR2)、又は抗カンナビノイド受容体-1(CB1R)に結合する抗体である、
ホモ二量体融合タンパク質。
【請求項2】
前記TTRタンパク質複合体が、4つのTTRサブユニットを含み、
前記TTRタンパク質複合体の各サブユニットが、配列番号43のアミノ酸配列を含み、
配列番号43のアミノ酸配列が、C10A及びK15Aの変異を含む、
請求項1に記載のホモ二量体融合タンパク質。
【請求項3】
前記抗原結合タンパク質が、リンカーなしで、前記TTRタンパク質複合体に直接融合される、請求項1又は2に記載のホモ二量体融合タンパク質。
【請求項4】
前記抗原結合タンパク質のC末端が、TTRサブユニットのN末端に直接融合される、請求項に記載のホモ二量体融合タンパク質。
【請求項5】
前記抗原結合タンパク質が、リンカーを介して、前記TTRタンパク質複合体に融合される、請求項1又は2に記載のホモ二量体融合タンパク質。
【請求項6】
前記抗原結合タンパク質のC末端が、TTRサブユニットのN末端に連結される、請求項に記載のホモ二量体融合タンパク質。
【請求項7】
前記リンカーが、アミノ酸リンカーである、請求項に記載のホモ二量体融合タンパク質。
【請求項8】
アミノ酸リンカーが、1~40のアミノ酸長である、請求項に記載のホモ二量体融合タンパク質。
【請求項9】
アミノ酸リンカーが、GGGGS、(GGGGS)、(GGGGS)、(GGGGS)、(GGGGS)、又は(GGGGS)である、請求項に記載のホモ二量体融合タンパク質。
【請求項10】
トランスサイレチン(TTR)タンパク質複合体に連結された4つの抗原結合タンパク質を含む、ホモ四量体融合タンパク質であって、
前記抗原結合タンパク質が、抗体又はFabであり、
前記抗体又はFabが、グルココルチコイド誘導TNFR関連タンパク質(GITR)、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド受容体-2(TRAILR2)、又は抗カンナビノイド受容体-1(CB1R)に結合する、
ホモ四量体融合タンパク質。
【請求項11】
前記TTRタンパク質複合体が、4つのTTRサブユニットを含み、
前記TTRタンパク質複合体の各サブユニットが、配列番号43のアミノ酸配列を含み、
配列番号43のアミノ酸配列が、C10A及びK15Aの変異を含む、
請求項10に記載のホモ二量体融合タンパク質。
【請求項12】
前記抗原結合タンパク質が、リンカーなしで、前記TTRタンパク質複合体に直接融合される、請求項10又は11に記載のホモ四量体融合タンパク質。
【請求項13】
前記抗原結合タンパク質のC末端が、前記TTRタンパク質複合体中のTTRサブユニットのN末端に直接融合される、請求項12に記載のホモ四量体融合タンパク質。
【請求項14】
前記抗原結合タンパク質が、リンカーを介して、前記TTRタンパク質複合体に融合される、請求項10又は11に記載のホモ四量体融合タンパク質。
【請求項15】
前記抗原結合タンパク質のC末端が、TTRサブユニットのN末端に連結される、請求項14に記載のホモ四量体融合タンパク質。
【請求項16】
前記リンカーが、アミノ酸リンカーである、請求項15に記載のホモ四量体融合タンパク質。
【請求項17】
アミノ酸リンカーが、1~40のアミノ酸長である、請求項16に記載のホモ四量体融合タンパク質。
【請求項18】
前記アミノ酸リンカーが、GGGGS、(GGGGS)、(GGGGS)、(GGGGS)、(GGGGS)、又は(GGGGS)である、請求項17に記載のホモ四量体融合タンパク質。
【請求項19】
請求項1~のいずれか一項に記載のホモ二量体融合タンパク質を含む、医薬組成物。
【請求項20】
請求項10~18のいずれか一項に記載のホモ四量体融合タンパク質を含む、医薬組成物。
【請求項21】
請求項1~のいずれか一項に記載のホモ二量体融合タンパク質を含む、がんの治療のための医薬組成物。
【請求項22】
請求項10~18のいずれか一項に記載のホモ四量体融合タンパク質を含む、がんの治療のための医薬組成物。
【請求項23】
がんの治療のための医薬の製造のための、請求項1~のいずれか一項に記載のホモ二量体融合タンパク質の使用。
【請求項24】
がんの治療のための医薬の製造のための、請求項10~18のいずれか一項に記載のホモ四量体融合タンパク質の使用。
【請求項25】
がんの治療にて使用するための、請求項1~のいずれか一項に記載のホモ二量体融合タンパク質。
【請求項26】
がんの治療にて使用するための、請求項10~18のいずれか一項に記載のホモ四量体融合タンパク質。
【請求項27】
請求項1~のいずれか一項に記載のホモ二量体融合タンパク質をコードする、1つ以上の単離核酸。
【請求項28】
請求項10~18のいずれか一項に記載のホモ四量体融合タンパク質をコードする、1つ以上の単離核酸。
【請求項29】
請求項27又は28に記載の核酸を含む、発現ベクター。
【請求項30】
請求項27又は28に記載の核酸又は請求項29に記載のベクターを含む、組換え宿主細胞。
【請求項31】
前記宿主細胞が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、E5細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓(COS)細胞、ヒト肝細胞癌細胞、又はヒト胎児腎臓293(HEK293)細胞である、請求項30に記載の組換え宿主細胞。
【請求項32】
請求項1~のいずれか一項に記載のホモ二量体融合タンパク質、又は請求項10~18のいずれか一項に記載のホモ四量体融合タンパク質の作製方法であって、前記方法が
a)請求項30又は31に記載の組換え宿主細胞を培養することと、
b)前記培養物からホモ二量体融合タンパク質又はホモ四量体融合タンパク質を単離することと
を含む方法。
【外国語明細書】