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  • 特開-異物除去装置及び異物除去方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123376
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】異物除去装置及び異物除去方法
(51)【国際特許分類】
   B07C 5/342 20060101AFI20240905BHJP
   G01N 21/89 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B07C5/342
G01N21/89
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030724
(22)【出願日】2023-03-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 訪問日 2022年4月6日 訪問場所 小倉食品株式会社(静岡県静岡市清水区由比寺尾821番地の1) 公開者 白田竜二、藤原訓、伊藤菜々絵 提供日 2022年4月20日 提供場所 月刊食品と開発編集部の問い合わせフォーム https://www.kenko-media.com/form/index.php5?type=adv&media=food_devlp 公開者 株式会社ASTINA 提供日 2022年4月20日 提供場所 株式会社ビジネスセンター社の問い合わせフォーム https://www.bcs-food.co.jp/contact.html 公開者 株式会社ASTINA 提供日 2022年4月20日 提供場所 鶏卵肉情報センター月刊HACCP編集部にメール送付 公開者 株式会社ASTINA 提供日 2022年4月20日 提供場所 食品新聞のニュースリリース受付フォーム https://shokuhin.press/newsewlease-form/ 公開者 株式会社ASTINA 提供日 2022年4月20日 提供場所 水産新聞社週刊水産新聞編集部にメール送付 公開者 株式会社ASTINA 提供日 2022年4月20日 提供場所 日本食糧新聞社月刊食品工場長編集部にメール送付 公開者 株式会社ASTINA ウェブサイトの掲載日 2022年5月31日 ウェブサイトのアドレス https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC165U20W2A510C2000000/ 公開者 株式会社日本経済新聞社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ウェブサイトの掲載日 2022年6月1日 ウェブサイトのアドレス https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000019.000038210.html 公開者 株式会社ASTINA ウェブサイトの掲載日 2022年6月1日 ウェブサイトのアドレス https://www.astina.co/product/okikae-kensa-box/ 公開者 株式会社ASTINA 展示日 2022年6月7日から同月10日 展示会名、開催場所 FOOMA JAPAN 2022 東京ビックサイト(東京都台東区有明三丁目11番1号) 公開者 株式会社ASTINA ウェブサイトの掲載日 2022年7月7日 ウェブサイトのアドレス https://www.minato-yamaguchi.co.jp/minato/e-minato/articles/124595 公開者 株式会社みなと山口合同新聞社 ウェブサイトの掲載日 2022年11月08日 ウェブサイトのアドレス https://www.youtube.com/watch?v=2uLmpklmuTk https://www.youtube.com/watch?v=fYNAEhKcZKI https://www.youtube.com/watch?v=L6Q8GL6TbgA https://www.youtube.com/watch?v=Fd7neahXfuo 公開者 株式会社ASTINA
(71)【出願人】
【識別番号】518324636
【氏名又は名称】株式会社ASTINA
(74)【代理人】
【識別番号】110003605
【氏名又は名称】弁理士法人六本木通り特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 稚人
(72)【発明者】
【氏名】白田 竜二
(72)【発明者】
【氏名】臼井 智康
【テーマコード(参考)】
2G051
3F079
【Fターム(参考)】
2G051AA90
2G051AB01
2G051CA04
2G051DA13
3F079AC00
3F079CA44
3F079CB29
3F079CB35
3F079CC03
3F079DA12
3F079EA02
3F079EA09
3F079EA14
(57)【要約】
【課題】正常品の他に複数種類の異物を含む食品からそれらの異物を除去するための装置を提供する。
【解決手段】まず、異物除去装置100は、搬送装置110の搬送面の上方に配置された判別装置101を用いて、搬送装置110によって搬送される食品に含まれる異物を機械学習により生成された判別モデルに基づいて判別する(S301)。次に、異物除去装置100は、判別された異物に対して、搬送装置110の搬送面上で、判別装置101に接続されたエアーノズル102によりエアーを噴射して、判別された異物を食品から排出する(S302)。そして、異物除去装置100は、搬送装置110の終端近傍に配置された収容容器103で、排出された異物を収容する(S303)。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置の搬送面の上方に配置され、前記搬送装置によって搬送される食品に含まれる異物を機械学習により生成された判別モデルに基づいて判別するための判別装置と、
判別された異物に対して前記搬送面上でエアーを噴射して、前記判別された異物を前記食品から排出するための複数のエアーノズルと、
前記搬送装置の終端近傍に配置され、排出された異物を収容する収容容器と
を備える異物除去装置。
【請求項2】
請求項1記載の異物除去装置であって、
前記複数のエアーノズルは、前記搬送装置の搬送面に対して10°以上30°未満の角度を有するように配置されている。
【請求項3】
請求項1記載の異物除去装置であって、
前記判別装置は、前記搬送面を上方から撮影するための撮影機器を有する。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の異物除去装置であって、
前記複数のエアーノズルに、コンプレッサーエアーが供給される。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の異物除去装置であって、
前記収容容器は、前記搬送装置の後段に配置された後続搬送装置の上方に配置可能である。
【請求項6】
搬送装置の搬送面の上方に配置された判別装置を用いて、前記搬送装置によって搬送される食品に含まれる異物を機械学習により生成された判別モデルに基づいて判別するステップと、
判別された異物に対して、前記搬送面上で、前記判別装置に接続されたエアーノズルによりエアーを噴射して、前記判別された異物を前記食品から排出するステップと、
前記搬送装置の終端近傍に配置された収容容器で、排出された異物を収容するステップと
を含む異物除去方法。
【請求項7】
請求項6に記載の異物除去方法であって、
前記搬送装置の搬送速度は、5m/min以上又は超17m/min未満又は以下である。
【請求項8】
請求項7に記載の異物除去方法であって、
前記搬送速度は、7m/min以上又は超10m/min未満又は以下である。
【請求項9】
請求項6~8のいずれかに記載の異物除去方法であって、
前記収容容器は、前記搬送装置の後段に配置された後続搬送装置の上方に配置されている。
【請求項10】
搬送装置の搬送面の上方に配置された判別装置を用いて、前記搬送装置によって搬送される食品に含まれる異物を機械学習により生成された判別モデルに基づいて判別するステップと、
判別された異物に対して、前記搬送面上で、前記判別装置に接続されたエアーノズルによりエアーを噴射して、前記判別された異物を前記食品から排出するステップと、
前記記搬送装置の終端近傍に配置された収容容器で、排出された異物を収容するステップと
を含む食品を加工又は製造するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異物除去装置及び異物除去方法に関し、より詳細には、食品に含まれる異物を除去するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水揚げされた水産物には、さまざまな異物が付着しており、消費者に販売されるまでの流通過程でそれらの除去がなされている。異物としては、目的外の水産物のほかに、小石、プラスチック、鉄くず、ペンキ、たばこ等が挙げられる。このようにさまざまな異物が想定されるため、異物除去の自動化は難しく、多くの場合、今もなお人が目視で確認し、手で除去をしている。例として、搬送装置を設置したラインに複数人の作業員を配置して、搬送される水産物の中から異物を除去する作業が行われている。
【0003】
従来、搬送ベルトの終端から落下する食品材料を比較色板の前を通過させ、その際の当該比較色板との色の差に基づいて異物を検知し、検知された異物に向けてエアーを噴射して落下軌跡を変化させることによって、異物を選別して除去する手法は存在する。
【0004】
特許文献1には、搬送ベルトの終端から落下する原料の軌跡が一定にならないという問題に対して、ナッツ類、豆類等の農産物に適用可能な手法として、搬送ベルトの搬送速度を大きくするとともに、当該搬送ベルトの終端側のローラを始端側のローラよりも小径とすることによって、落下軌跡を安定化させるものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8-108146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、食品は、水産物のように粒状とは言えないものが多い。また、水産物・農産物を問わず、粒状の食品であっても複数の種類の異物を含むことが少なくなく、このような場合には異物の落下軌跡は異物ごとに異なるため、依然として従来の手法には問題が残る。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その課題は、正常品の他に複数種類の異物を含む食品からそれらの異物を除去するための装置又は方法を提供することにある。ここで、本明細書において「食品」とは、生鮮食品のほか、加工食品を含む。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するために、本発明の第1の態様は、搬送装置の搬送面の上方に配置され、前記搬送装置によって搬送される食品に含まれる異物を機械学習により生成された判別モデルに基づいて判別するための判別装置と、判別された異物に対して前記搬送面上でエアーを噴射して、前記判別された異物を前記食品から排出するための複数のエアーノズルと、前記搬送装置の終端近傍に配置され、排出された異物を収容する収容容器とを備える異物除去装置である。
【0009】
また、本発明の第2の態様は、第1の態様の異物除去装置であって、前記複数のエアーノズルは、前記搬送装置の搬送面に対して10°以上30°未満の角度を有するように配置されている。
【0010】
また、本発明の第3の態様は、第1の態様の異物除去装置であって、前記判別装置は、前記搬送面を上方から撮影するための撮影機器を有する。
【0011】
また、本発明の第4の態様は、第1から第3のいずれかの態様の異物除去装置であって、前記複数のエアーノズルに、コンプレッサーエアーが供給される。
【0012】
また、本発明の第5の態様は、第1から第4のいずれかの態様の異物除去装置であって、前記収容容器は、前記搬送装置の後段に配置された後続搬送装置の上方に配置可能である。
【0013】
また、本発明の第6の態様は、搬送装置の搬送面の上方に配置された判別装置を用いて、前記搬送装置によって搬送される食品に含まれる異物を機械学習により生成された判別モデルに基づいて判別するステップと、判別された異物に対して、前記搬送面上で、前記判別装置に接続されたエアーノズルによりエアーを噴射して、前記判別された異物を前記食品から排出するステップと、前記搬送装置の終端近傍に配置された収容容器で、排出された異物を収容するステップとを含む異物除去方法である。
【0014】
また、本発明の第7の態様は、第6の態様の異物除去方法であって、前記搬送装置の搬送速度は、5m/min以上又は超17m/min未満又は以下である。
【0015】
また、本発明の第8の態様は、第7の態様の異物除去方法であって、前記搬送速度は、7m/min以上又は超10m/min未満又は以下である。
【0016】
また、本発明の第9の態様は、第6から第8のいずれかの態様の異物除去方法であって、前記収容容器は、前記搬送装置の後段に配置された後続搬送装置の上方に配置されている。
【0017】
また、本発明の第10の態様は、搬送装置の搬送面の上方に配置された判別装置を用いて、前記搬送装置によって搬送される食品に含まれる異物を機械学習により生成された判別モデルに基づいて判別するステップと、判別された異物に対して、前記搬送面上で、前記判別装置に接続されたエアーノズルによりエアーを噴射して、前記判別された異物を前記食品から排出するステップと、前記記搬送装置の終端近傍に配置された収容容器で、排出された異物を収容するステップとを含む食品を加工又は製造するための方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様によれば、従来の手法と異なり、搬送装置の終端からの落下中の異物にエアーを噴射するのではなく、判別された異物に対して搬送装置の搬送面上でエアーを噴射して、当該異物を食品から排出するため、異物の種類によって落下軌跡が異なることに起因する問題が生じず、異なる複数種類の異物が食品に混入していても、安定的に排出可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態にかかる異物除去装置を示す図である。
図2図1の異物除去装置の上面図である。
図3】本発明の一実施形態にかかる異物除去方法の一般的な流れを示す図である。
図4】本発明の一実施形態にかかる異物除去方法の流れの具体例を示す図である。
図5】本発明の一実施形態にかかる異物除去方法の流れの具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0021】
図1に、本発明の一実施形態にかかる異物除去装置を示す。異物除去装置100は、搬送装置110によって搬送される食品に含まれる異物を機械学習により生成される判別モデルに基づいて判別するための判別装置101と、判別装置101によって判別された異物に対して搬送装置110の搬送面上でエアーを噴射して、当該異物を食品から排出するための複数のエアーノズル102と、排出された異物を収容する収容容器103とを備える。
【0022】
判別装置101は、図1の例では搬送ベルトである搬送装置110の搬送面上方に配置されるため、搬送装置110の搬送方向に追加の空間を必要せずに設置することができる。判別装置101は、一例において、搬送装置110によって搬送される食品を上方から撮影するための撮影機器と、撮影された画像を入力として、機械学習により生成される判別モデルに基づいて異物を判別するプロセッサとを少なくとも有していればよい。判別装置101が有するプロセッサは、複数のエアーノズル102を動作させるための制御をさらに行ってもよいが、かかる制御は、別個のプロセッサによって行われてもよい。また、判別装置101がインターネット等のIPネットワークを介してアクセス可能なサーバ(図示せず)が判別モデルに基づいて判別処理を行い、判別結果が当該サーバから判別装置101に送信され、当該判別結果に応じてエアーノズル102の制御が行われてもよい。この場合、判別装置101は、撮影機器に加えて、当該サーバとの間でデータの送受信を行うための通信インターフェースを有する。いずれにしても、判別装置101は、食品に含まれる異物を機械学習により生成される判別モデルに基づいて判別するための装置であればよく、判別処理に必要な処理の一部が他の装置によって担われてもよい。判別装置101の構成要素の配置関係は、適宜定めればよいものであるので、詳細を述べない。
【0023】
複数のエアーノズル102は、搬送装置110の搬送面に対して10°以上30°未満の角度を有するように配置することができ、15°以上25°未満の角度を有するように配置することが好ましい。
【0024】
収容容器103は、搬送装置110の終端近傍に配置される。搬送装置110の後段に、搬送装置110の終端における搬送面の高さよりも、始端における搬送面の高さが低い後続搬送装置120が用いられる場合には、収容容器103を、搬送装置110の終端近傍であって、後続搬送装置120の上方に配置することが好ましい。このようにすることで、判別装置101に加えて収容容器103も、搬送方向に追加の空間を必要とせず、多種多様な工場に設置が可能となり、異物除去作業の省人化が促される。
【0025】
図2は、図1の異物除去装置の上面図である。複数のエアーノズル102を動作させるための配線及び後続搬送装置120について、簡単のため、省略している。
【0026】
図3に、本発明の一実施形態にかかる異物除去方法の流れを示す。まず、異物除去装置100は、搬送装置110の搬送面の上方に配置された判別装置101を用いて、搬送装置110によって搬送される食品に含まれる異物を機械学習により生成された判別モデルに基づいて判別する(S301)。機械学習による判別モデルの生成は、たとえば、教師あり学習によって行うことができる。生成した判別モデルは、正常品か否かのみを学習させたものでもよく、正常品及び複数種類の異物をそれぞれのクラスとして学習させたものでもよい。前者の場合、正常品として判別された物体以外の物体を異物として判別することができる。複数種類の異物を纏めて1つのクラスとして学習させることもできる。
【0027】
次に、異物除去装置100は、判別された異物に対して、搬送装置110の搬送面上で、判別装置101に接続されたエアーノズル102によりエアーを噴射して、判別された異物を食品から排出する(S302)。エアーノズルには、コンプレッサーエアーを供給し、ブロアーエアーを噴射させることができる。コンプレッサーエアーをエアーノズルに供給するための一例として、複数のノズルのそれぞれに電磁弁を接続し、それらの電磁弁を、コンプレッサーから供給される圧縮空気を分配するマニホールドと接続する構造が挙げられる。
【0028】
そして、異物除去装置100は、搬送装置110の終端近傍に配置された収容容器103で、排出された異物を収容する(S303)。
【0029】
異物除去装置100では、従来の手法と異なり、落下中の異物にエアーを噴射するものではないため、異物の種類によって落下軌跡が異なることに起因する問題が生じない。したがって、異なる複数の種類の異物が食品に混入していても、エアーノズル102によって安定的に排出可能である。
【0030】
収容容器103は、搬送装置110の後段に配置された後続搬送装置120の上方に配置することができる。この場合、搬送方向に追加の空間を必要としないことに加えて、搬送装置110に必要であった作業員を省人化しつつ、後段の後続搬送装置120では引き続き作業員が異物除去その他の作業を行うというように、人と共存した食品検査を実現することができる。
【0031】
加えて、従来の手法では、異物を所望の軌跡で落下させるために比較的搬送速度を大きくしなければならなかったところ、異物除去装置100では、その必要がなく、搬送装置110及び後続搬送装置120の搬送速度を作業員が作業可能な速度とし、人と共存したライン生産方式を現実的に可能とする。具体的には、搬送装置110の搬送速度は、5m/min以上又は超17m/min未満又は以下とすることができ、さらに7m/min以上又は超10m/min未満又は以下とすることができる。後続搬送装置120の搬送速度についても、同様の速度に設定することができる。
【0032】
また、異物除去装置100では、落下中の異物にエアーを噴射するものではないため、一定の軌跡を描きにくいウェット系の食品からの異物除去において効果が大きい。ここで、本明細書において「ウェット系の食品」とは、水分率50%超の食品を指す。たとえば、しらす干しは、水分率が一般に70%程度であり、このように水分率が70%以上の食品からの異物除去にも、異物除去装置100は適用可能である。また、毛等の繊維状の異物も、一定の落下軌跡を描きにくいものであるから、異物除去装置100では、このような異物の除去においても従来の手法より効果が大きい。
【0033】
また、異物除去装置100では、機械学習モデルを用いて異物を直接的又は間接的に判別するところ、搬送装置110の搬送速度が高いと、機械学習モデルの判別精度に悪影響を与える。そのため、異物に所望の軌跡を描かせることができる程度に高い搬送速度を必要とする従来の手法においては、機械学習を採用することは適切ではない。上述のように、搬送装置110の搬送面上で異物に対してエアーを噴射することは、複数の種類の異物を精度高く排出可能とするとともに、搬送速度を低くすることを可能とする。そして、搬送速度を低くした場合、機械学習モデルの判別精度の向上に繋がる。たとえば、機械学習モデルの判別精度が上がれば、搬送面の色と同色の物体もその存在を判別可能となる。従来の方式では、背景の比較色板との色の差に基づいて正常品又は異物を判別するため、同色異物の除去が困難であるのに対し、本発明の一実施形態にかかる方式では、搬送装置110の搬送速度を上述のように5m/min以上又は超17m/min未満又は以下に下げることで、こうした異物の除去も可能である。
【0034】
図4及び5に、本発明の一実施形態にかかる異物除去方法の具体例を示す。まず、判別装置101が有するカメラが、搬送装置110の搬送面を上方から撮影して食品の画像を取得する(S401)。この際、当該搬送面と対向する側面を除いて、当該カメラを判別装置110の筐体で覆うことによって、取得される画像の画質を高め、判別精度を改善することができる。機械学習によって判別モデルを生成する際にも、同様の撮影環境で撮影した画像を教師データとして用いることが好ましい。
【0035】
次に、判別装置101は、取得した画像を入力として、機械学習モデルを用いて異物を検出する(S402)。異物が検出されなかった場合、判別装置101は、新たに搬送装置110の搬送面を撮影して同様の処理を繰り返す(S403)。この際、カメラによる撮影は、異物検出の結果を待たずに連続的又は断続的に行っていてもよい。
【0036】
異物が検出された場合(S403)、判別装置101は、異物の搬送方向をx軸及びそれに垂直な方向をy軸とする二次元座標を算出する(S501)。y座標の値に応じて、y方向に配置された複数のエアーノズル102のうちの動作させるエアーノズルのノズル番号を選択する(S502)。図2では、18個のエアーノズルをy方向に配置し、さらに両端に1つずつ内側に40°の角度をつけてエアーノズルを配置している。たとえば、異物のy座標が2つのエアーノズルの間である場合には、当該異物のy座標に近い位置に配置された隣接する2つのエアーノズルが動作対象として選択されてもよい。また、大きな異物に対して、複数のエアーノズルを動作対象として選択して、当該異物に与えるエアーの風量を多くしてもよい。
【0037】
エアーノズルの数を多くすることで、異物を精度高く狙うことができ、正常品のロス率を低下させることができる。そのために、エアーノズルの噴射口の寸法として、小径のφ0.5以上又は超φ0.8未満又は以下であることが好ましい。噴射口が円形でない場合には、長辺の長さが0.5mm以上又は超0.8mm未満又は以下であることが好ましい。
【0038】
そして、当該異物のx座標に応じて、選択された1つ又は複数のエアーノズルを動作させるまでの待ち時間を算出し(S503)、当該待ち時間が経過したら(S504)、エアーを噴射する(S505)。
【0039】
上述の説明では、図3乃至5を参照して、異物除去方法として本発明の実施形態を説明したものの、異物を除去することを伴う新たな食品の加工方法又は製造方法にこれらの実施形態を適用してもよい。
【0040】
なお、上述の実施形態において、「のみに基づいて」、「のみに応じて」、「のみの場合」というように「のみ」との記載がなければ、本明細書においては、付加的な情報も考慮し得ることが想定されていることに留意されたい。また、一例として、「aの場合にbする」という記載は、明示した場合を除き、「aの場合に常にbする」こと、「aの直後にbする」ことを必ずしも意味しないことに留意されたい。また、「Aを構成する各a」という記載は、必ずしもAが複数の構成要素によって構成されることを意味するものではなく、構成要素が単数であることを含む。
【0041】
また、念のため、なんらかの方法、プログラム、端末、装置、サーバ又はシステム(以下「方法等」)において、本明細書で記述された動作と異なる動作を行う側面があるとしても、本発明の各態様は、本明細書で記述された動作のいずれかと同一の動作を対象とするものであり、本明細書で記述された動作と異なる動作が存在することは、当該方法等を本発明の各態様の範囲外とするものではないことを付言する。
【0042】
また、図3乃至5において示される「開始」及び「終了」は、一例を示すものに過ぎず、本実施形態にかかる方法が図示された手順で必ず開始され、図示された手順で必ず終了することを意味するものではない。
【符号の説明】
【0043】
100 異物除去装置
101 判別装置
102 エアーノズル
103 収容容器
110 搬送装置
120 後続搬送装置
図1
図2
図3
図4
図5