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特開2024-123389炭入り成形体及び炭入り成形体の製造方法
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  • 特開-炭入り成形体及び炭入り成形体の製造方法 図1
  • 特開-炭入り成形体及び炭入り成形体の製造方法 図2
  • 特開-炭入り成形体及び炭入り成形体の製造方法 図3
  • 特開-炭入り成形体及び炭入り成形体の製造方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123389
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】炭入り成形体及び炭入り成形体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 39/24 20060101AFI20240905BHJP
   B29C 43/34 20060101ALI20240905BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20240905BHJP
   B29C 44/36 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B29C39/24
B29C43/34
B29C44/00 A
B29C44/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030742
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】523074423
【氏名又は名称】株式会社グリーンファームコミュニケーションズ
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】中村 潤
【テーマコード(参考)】
4F204
4F214
【Fターム(参考)】
4F204AA15
4F204AA42
4F204AB02
4F204AB18
4F204AE10
4F204AG01
4F204EA01
4F204EB01
4F204EF01
4F204EF27
4F204EK17
4F204FA06
4F204FB02
4F204FG08
4F204FN11
4F214AA42
4F214AB02
4F214AB18
4F214AE10
4F214AG01
4F214UA01
4F214UB01
4F214UD17
4F214UF27
(57)【要約】
【課題】炭が持っている黒く熱や光を透過させない遮光材や吸熱材(保温材)としての機能や物質を吸着することができる吸着材や消臭剤としての機能を付加した成形体を提供すること。
【解決手段】本発明では、炭入り成形体(1,4)の製造方法において、原料(10,14)に粉体状の炭(3,6)を混入させた後に、発泡・圧延・抄製・織製・紡績のいずれかによって炭(3,6)が混入した原料(10,14)を所定形状に成形することにした。また、本発明では、前記炭入り成形体(1,4)の製造方法において、原料(10,14)の中央部分に炭(3,6)を集中的に混入させた後に、原料(10,14)を発泡又は圧延することにした。さらに、本発明では、炭入り成形体(1,4)において、原料(10,14)が発泡・圧延・抄製・織製・紡績のいずれかによって所定形状に成形された成形体に紛体状の炭(3,6)が混入されていることにした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料に粉体状の炭を混入させた後に、発泡・圧延・抄製・織製・紡績のいずれかによって炭が混入した原料を所定形状に成形して炭入り成形体を製造することを特徴とする炭入り成形体の製造方法。
【請求項2】
前記原料の中央部分に炭を集中的に混入させた後に、原料を発泡又は圧延することを特徴とする請求項1に記載の炭入り成形体の製造方法。
【請求項3】
原料が発泡・圧延・抄製・織製・紡績のいずれかによって所定形状に成形された成形体に紛体状の炭が混入されていることを特徴とする炭入り成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭入り成形体及び炭入り成形体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、樹脂等の原料を発泡や加熱によって板状やシート状などの所定形状に成形した成形体は、断熱材やビニールハウス用のビニールシートなどの建材等として大量に製造されている。
【0003】
たとえば、断熱材として使用されるウレタンフォームは、ポリイソシアネートとポリオールと発泡剤を型枠内に流し込み、型枠ごと加熱することによって、型枠の内部で樹脂を発泡させ、所定形状のウレタンフォームを製造している(たとえば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、ビニールハウス用のビニールシートとして使用される塩化ビニールシートは、塩化ビニール樹脂を加熱して溶融させた後に圧延加工することによって、所定形状の塩化ビニールシートを製造している(たとえば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-96959号公報
【特許文献2】特開2004-351747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
炭は、木炭や竹炭などのように天然素材からなり、黒く熱や光を透過させずに吸収することから、遮光材や吸熱材(保温材)としての機能を持たせることができる。
【0007】
また、炭は、多孔質の物質で、そのままでも或いは活性化(賦活)させることで物質を吸着することができることから、吸着材や消臭剤としての機能を持たせることができる。
【0008】
そのため、本発明では、上記従来の樹脂等の原料を発泡や加熱によって板状やシート状などの所定形状に成形した成形体に、炭が持っている遮光性や吸熱性や吸着性や消臭性などの機能を付加して、商品価値を増大させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、請求項1に係る本発明では、炭入り成形体の製造方法において、原料に粉体状の炭を混入させた後に、発泡・圧延・抄製・織製・紡績のいずれかによって炭が混入した原料を所定形状に成形することにした。
【0010】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記原料の中央部分に炭を集中的に混入させた後に、原料を発泡又は圧延することにした。
【0011】
また、請求項3に係る本発明では、炭入り成形体において、原料が発泡・圧延・抄製・織製・紡績のいずれかによって所定形状に成形された成形体に紛体状の炭が混入されていることにした。
【発明の効果】
【0012】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0013】
すなわち、本発明では、成形体に炭が持っている熱や光を透過させずに吸収する遮光材や吸熱材(保温材)としての機能を付加することができる。
【0014】
また、成形体に炭が持っている物質を吸着することができる吸着材や消臭剤としての機能を付加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】炭入り成形体(樹脂シート)を示す断面模式図。
図2】炭入り成形体(樹脂フォーム)を示す断面模式図。
図3】炭入り成形体(樹脂シート)の製造方法を示す模式図。
図4】炭入り成形体(樹脂フォーム)の製造方法を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る炭入り成形体及び炭入り成形体の製造方法の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0017】
本発明に係る炭入り成形体は、原料が発泡・圧延・抄製・織製・紡績のいずれかによって所定形状に成形された成形体に、紛体状の炭が混入されているものである。
【0018】
ここで、成形体の原料としては、発泡・圧延・抄製・織製・紡績のいずれかによって所定形状に成形できればよく、ビニールやウレタンやゴムなどの合成樹脂や天然樹脂などを用いることができる。なお、原料には、発泡剤や防黴剤などの薬剤を混入させることもできる。
【0019】
また、炭入り成形体の所定形状としては、シート状、板状、箱状(容器状)、棒状(糸状)であってもよく、特に限定されるものではない。
【0020】
たとえば、図1に示す炭入り成形体1は、一定の長さ及び幅並びに厚みを有する樹脂シートであり、図1は、樹脂シートの断面を模式的に示した図である。
【0021】
この炭入り成形体1は、圧延によってシート状に成形された樹脂2の内部に紛体状の炭3を混入させたものである。
【0022】
炭3は、木炭や竹炭などのように天然素材からなり、黒く熱や光を透過させずに吸収する性質を有している。
【0023】
そのため、この炭入り成形体1では、炭3が持っている黒く熱や光を透過させずに吸収する遮光材や吸熱材(保温材)としての機能を付加することができる。
【0024】
これにより、この炭入り成形体1は、農業用ビニールハウス等で使用されるビニールシートとしての用途がある。
【0025】
なお、炭入り成形体1の遮光率は、混入させる炭3の量やサイズなどによって調節することができる。
【0026】
また、図2に示す炭入り成形体4は、一定の縦幅及び横幅及び高さを有する樹脂フォームであり、図2の、樹脂フォームの断面を模式的に示した図である。
【0027】
この炭入り成形体4は、発泡によって板状に成形された樹脂5の内部に紛体状の炭6を混入させたものである。
【0028】
炭6は、多孔質の物質で、そのままでも或いは活性化(賦活)させることで物質を吸着する性質を有している。
【0029】
そのため、この炭入り成形体4では、炭6が持っている物質を吸着することができる吸着材や消臭剤としての機能を付加することができる。
【0030】
これにより、この炭入り成形体4は、家屋や工場などの建屋で使用される建材としての用途がある。
【0031】
なお、炭入り成形体4の吸着率や消臭率は、混入させる炭6の量やサイズなどによって調節することができる。
【0032】
本発明に係る炭入り成形体の製造方法は、原料を発泡・圧延・抄製・織製・紡績することによって炭を混入させることができればよい。
【0033】
たとえば、図1に示した炭入り成形体1は、図3に模式的に示す製造方法で製造することができる。
【0034】
ここでは、カレンダー装置7を用いており、カレンダー装置7に内蔵された複数段(ここでは、2段)のカレンダーロール8,8,9,9を用いて紛体状の炭3を混入させた原料10(樹脂)を加熱しながら圧延して所定形状(一定幅及び一定厚)の樹脂シートに成形している。
【0035】
その際に、カレンダー装置7の一段目のカレンダーロール8,8の中央部(カレンダーロール8,8の間隙の直上方)から紛体状の炭3を落下させるとともに、その両側部(各カレンダーロール8の直上方)から溶融された原料10を供給している。
【0036】
これにより、一段目のカレンダーロール8,8の間隙を通過する原料10の中央部分に炭3が集中的に混入され、その後、最終段のカレンダーロール9,9の間隙を通過する原料10の中央部分に炭6が集中的に混入され、最終的に製造される炭入り成形体1の中央部分に炭3が混入されるようにしている。
【0037】
なお、原料10と炭3とを予め混合してからカレンダー装置7の一段目のカレンダーロール8,8に供給するようにしてもよい。
【0038】
また、炭3は、カレンダー装置7の各段のカレンダーロール8,8,9,9の間隙(炭入り成形体1の厚み)よりも小さいサイズ(小径)にまで粉砕したものを用いるのが好ましい。
【0039】
また、図2に示した炭入り成形体4は、図4に模式的に示す製造方法で製造することができる。
【0040】
ここでは、注型成型機を用いており、金型11(下型12、上型13)の内部で粉体状の炭6を混入させた原料14(樹脂及び発泡剤)を発泡させて所定形状(縦幅及び横幅及び高さ)の樹脂フォームに成形している。
【0041】
その際に、下型12に原料14を半分量注入し(図4(a))、その後、原料14の上部に炭6を投入(拡散)し(図4(b))、その後、再び下型12に原料14を半分量注入し(図4(c))、その後、下型12と上側13とで密閉して加熱して発泡させている(図4(d))。
【0042】
これにより、金型11の内部において原料14の中央部分に炭6が集中的に混入され、最終的に製造される炭入り成形体4の中央部分に炭6が混入されるようにしている。
【0043】
なお、原料14を2層にした場合に限られず、複数層にして各層間に炭15を拡散させてもよく、予め原料14と炭6とを混合してから金型11に投入してもよく、金型11の内部で原料14と炭6とを撹拌混合させてもよい。
【0044】
また、炭6は、原料14が発泡するサイズよりも小さくしてもよく、原料14が発泡するサイズよりも大きくして原料14が発泡して形成される隔壁で各炭6が保持されるようにしてもよい。
【0045】
さらに、発泡は、独立発泡でもよいが、連続発泡させて通気性を向上させることで炭6の持つ吸着性能や消臭性能を良好に発揮させることができる。また、金型11を振動させながら発泡させることで炭6を原料14の内部で良好に分散させることができる。
【0046】
上記製造方法以外でも、たとえば、紙や和紙などを製造する方法として使用される抄製において粉体状の炭を混入させて原料を抄いてもよく、また、糸や繊維などを製造する方法として使用される紡績において粉体状の炭を混入させた原料を引き延ばして撚り合わせてもよく、また、布などを製造する方法として使用される織製において粉体状の炭を混入させた糸状の原料を織ってもよい。
【0047】
以上に説明したように、上記炭入り成形体1,4の製造方法は、原料10,14に粉体状の炭3,6を混入させた後に、発泡・圧延・抄製・織製・紡績のいずれかによって炭3,6が混入した原料10,14を所定形状に成形する構成となっている。
【0048】
そのため、上記構成の炭入り成形体1,4の製造方法では、炭3が持っている黒く熱や光を透過させない遮光材や吸熱材(保温材)としての機能を付加した炭入り成形体1を製造することができ、また、炭が持っている物質を吸着することができる吸着材や消臭剤としての機能を付加した炭入り成形体4を製造することができる。
【0049】
また、上記炭入り成形体1,4の製造方法は、原料10,14の中央部分に炭3,6を集中的に混入させた後に、原料10,14を発泡又は圧延する構成となっている。
【0050】
そのため、上記構成の炭入り成形体1,4の製造方法では、炭入り成形体1,4の内部に炭3,6を均等に混入させることができる。
【0051】
また、上記炭入り成形体1,4は、原料10,14が発泡・圧延・抄製・織製・紡績のいずれかによって所定形状に成形された成形体に紛体状の炭3,6が混入された構成となっている。
【0052】
そのため、上記構成の炭入り成形体1,4では、炭入り成形体1に炭3が持っている黒く光を透過させずに吸収する遮光材や吸熱材(保温材)としての機能を付加することができ、また、炭入り成形体4に炭6が持っている物質を吸着することができる吸着材や消臭剤としての機能を付加することができる。
【0053】
これにより、農業用ビニールハウス等で使用されるビニールシートや、家屋や工場などの建屋で使用される建材だけでなく、食材を収容し保温性や鮮度保持に優れた容器としての用途があり、糸や毛糸や布や不織布やゴムや紙などとしても有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 炭入り成形体 2 樹脂
3 炭 4 炭入り成形体
5 樹脂 6 炭
7 カレンダー装置 8,9 カレンダーロール
10 原料 11 金型
12 下型 13 上型
14 原料
図1
図2
図3
図4