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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123393
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】MDC光コネクタ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/36 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
G02B6/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030768
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】391005581
【氏名又は名称】三和テクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100069213
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 功
(72)【発明者】
【氏名】飯田 純史
【テーマコード(参考)】
2H036
【Fターム(参考)】
2H036QA03
2H036QA11
2H036QA31
2H036QA32
2H036QA47
2H036QA57
(57)【要約】
【課題】小型のMDC光コネクタをアダプタから外す際の作業を低コストで省力化できる光コネクタのMDC光コネクタを提供する。
【解決手段】MDC光コネクタ100は、フェルール31、32を収容するホルダ10と、前記フェルール31、32をセットした前記ホルダ10を保持するハウジング20とを備える。さらに、このMDC光コネクタ100に、前記ハウジング20の略矩形断面を持つ外周の少なくとも1つの面に、前記フェルール31、32の先端部側を支点として、前記ハウジング20本体から離間する方向に付勢されたレバー21を設け、さらに、前記レバー21に、前記MDC光コネクタ100を接続するアダプタ40の爪収容孔41に適合する爪部材22を設ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェルールを収容するホルダと、前記フェルールをセットした前記ホルダを保持するハウジングとを備えたMDC(Mini Duplex Connector)光コネクタであって、
前記ハウジングの略矩形断面を持つ外周の少なくとも1つの面に、前記フェルールの先端部側を支点として、前記ハウジング本体から離間する方向に付勢されたレバーを設け、
前記レバーに、前記MDC光コネクタを接続するアダプタの爪収容孔に適合する爪部材を設けたことを特徴とする、
MDC光コネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングの前記レバーと対向する面に、前記レバーの押し込み量を確保するための凹部が設けられていることを特徴とする請求項1記載のMDC光コネクタ。
【請求項3】
前記レバーの終端に、前記アダプタに前記MDC光コネクタを挿入した状態で、前記レバーを操作可能に露出させる頭部が設けられていることを特徴とする請求項1記載のMDC光コネクタ。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記レバーを前記ハウジング本体から離間する方向に付勢可能な弾性部材で構成されていることを特徴とする請求項1記載のMDC光コネクタ。
【請求項5】
前記アダプタの爪収容孔は、少なくともその後方内面が、前記レバーの後方への移動を阻止する垂直壁面を有していることを特徴とする請求項1記載のMDC光コネクタ。
【請求項6】
前記アダプタの上壁裏面に、前記レバーの横幅と比べて僅かに幅広で、且つ前記レバー及び爪部材の板厚とほぼ同等の深さを有する前記レバーの嵌合溝が形成されていることを特徴とする請求項1記載のMDC光コネクタ。
【請求項7】
前記嵌合溝は、前記爪部材の爪収容孔の後方の垂直壁面、及びこれと対向する前方壁面に一直線上に連通するよう、前記爪収容孔下方の前後方向に跨って形成されていることを特徴とする請求項6記載のMDC光コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MDC光コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
2本の光コネクタを同時に接続できるデュプレックスタイプのコネクタとして、US Conec社によるMDCコネクタが知られている。このMDCコネクタは、コネクタ本体が、フェルールを把持収容するホルダと、このホルダを把持するハウジングとに分割可能となっており、両者を分離して反転させることで、極性を入れ替えできるようになっている。このMDCコネクタの本体長さを短縮したものとしてMDC Jr.(商標)という小型のMDC光コネクタが開発されている。
【0003】
この小型のMDC光コネクタは、MDCコネクタとの互換性はなく、専用のアダプタが提供されている(例えば、非特許文献1の4ページ目「MDC 4-Port Adapter MDC/MDC Jr.」参照)。図7の(a)、(b)は、上記した専用のアダプタ40の例を示しており、左端がMDCコネクタの挿入口を示し、右端がMDC Jr.(商標)の挿入口を示している。また、図7の(a)、(b)の符号41は、図18(d)に示すMDC Jr.(商標)のロック爪122に係合する爪収容孔41を示している。すなわち、MDC Jr.(商標)100をアダプタ40に挿入すると、MDC Jr.(商標)100の天板に設けられたアーチ部材121両側に突設されたロック爪122がアダプタ40の爪収容孔41に係合しロックする構成となっている。以下、MDC Jr.(商標)もMDC光コネクタと称し、符号100を付記する。
【0004】
而して、前記した背景技術に記載のMDC光コネクタ100は、ホルダ及びハウジングの長さを短くしているため、正規にアダプタ40に装着した状態ではハウジングのほぼ全体が当該アダプタ40に収容されてしまう(図17の(a)参照)。このため、前記MDC光コネクタ100をアダプタ40から取り外すには、専用治具200を使う必要がある(図17及び図18参照)。具体的には、専用治具200の一端に設けられた突起をアダプタ40の爪収容孔41に差し込み、ロック爪122ごとアーチ部材を下方へ押し込むと、ロック爪122と爪収容孔41の係合が外れ、MDC光コネクタ100を引き抜くことが可能となる。
【0005】
ここにおいて、前記した専用治具200の構造を詳細に説明すると、図17及び図18に示すように、後端にMDC光コネクタ100の押し込み部201aを設けた把持部材201の先端側に、前端に前記MDC光コネクタ100のアーチ部材121両側に突設されたロック爪122を押圧する突起202aを設けたアーム押し下げ部材202、及び前端に前記MDC光コネクタ100のアーチ部材121後方に突設された係止バー123に係止する爪部203aを設けた光コネクタ引き抜き部材203とを有し、斯くして、前記専用治具200は前記把持部材201とアーム押し下げ部材202と光コネクタ引き抜き部材203とにより側面視略Y字形状を呈して構成される。因みに、前記MDC光コネクタ100は手動でも押し込めるため、前記把持部材201の後端のMDC光コネクタ100の押し込み部201aは必ずしも設ける必要はない。
【0006】
しかしながら、従来のこの種MDC光コネクタは、下記の種々問題点を有する。
(A)アダプタ40の爪収容孔41に係脱するMDC光コネクタ100のロック爪122は、当該MDC光コネクタ100の天板に両端が固定されたアーチ部材121に一体に構成されているため、手指等の弱い力で上方からアーチ部材121を押圧しても下方へ屈曲することができず、ロック爪122がアダプタ40の爪収容孔41から解除できない。
【0007】
(B)このため、図17及び図18に示す専用治具200を使わないとアダプタ40からMDC光コネクタ100を引き抜くことができなかった。しかるに、この専用治具200は把持部材201とアーム押し下げ部材202と光コネクタ引き抜き部材203を三方向に設けた複雑な構造を有しているため高価にして、且つアーム押し下げ部材202を使用後、専用治具200を廻して光コネクタ引き抜き部材203を使用するという面倒な工程が必要であった。
【0008】
すなわち、従来の構造及び工程を詳述すると、MDC光コネクタ100を外す際、反対側にMDC光コネクタ(Jrではない)を差した状態でMDC光コネクタ100を抜かないと抜けない構造となっている。反対側にMDC光コネクタ100を差した状態のまま、前記専用治具200のアーム押し下げ部材202下端の突起202aをアダプタ40天板に設けた爪収容孔41に差し込むと反対側のMDC光コネクタの押し込む力でMDC光コネクタが少し抜けてアーチ部材121が再度持ち上がる。このとき、図17(e)に示すように、ロック爪122が当初位置から後方へ若干外れる。
【0009】
こうしてロック爪122は爪収容孔41後方の天板内面に係止された状態を維持するため、その後、いったん前記専用治具200をアダプタ40から外し、当該専用治具200の光コネクタ引き抜き部材203の爪部203をMDC光コネクタ150の係止バー123に係止しつつ後方へ引っ張る。その結果、図18(d)に示すように、本MDC光コネクタ100はアダプタ40から後方へ完全に引き抜かれるものであった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】US Conec、“MDC CONNECTOR SOLUTIONS”、[online]、[令和5年1月22日検索]、インターネット〈URL:https://www.usconec.com/media/1402/mdc-brochure.pdf〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は、叙上のような従来存した欠陥に鑑み案出されたもので、上記した小型のMDC光コネクタをアダプタから外す際の作業を手動にて行うことができるMDC光コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、本発明にあっては、フェルールを収容するホルダと、前記フェルールをセットした前記ホルダを保持するハウジングとを備えたMDC(Mini Duplex Connector)光コネクタであって、前記ハウジングの略矩形断面を持つ外周の少なくとも1つの面に、前記フェルールの先端部側を支点として、前記ハウジング本体から離間する方向に付勢されたレバーを設け、前記レバーに、前記MDC光コネクタを接続するアダプタの爪収容孔に適合する爪部材を設けたことを特徴とする。
【0013】
前記ハウジングの前記レバーと対向する面に、前記レバーの押し込み量を確保するための凹部が設けられていることを特徴とする。
【0014】
前記レバーの終端に、前記アダプタに前記MDC光コネクタを挿入した状態で、前記レバーを操作可能に露出させる頭部が設けられていることを特徴とする。
【0015】
前記ハウジングは、前記レバーを前記ハウジング本体から離間する方向に付勢可能な弾性部材で構成されていることを特徴とする。
【0016】
前記アダプタの爪収容孔は、少なくともその後方内面が、前記レバーの後方への移動を阻止する垂直壁面を有していることを特徴とする。
【0017】
前記アダプタの上壁裏面に、前記レバーの横幅と比べて僅かに幅広で、且つ前記レバー及び爪部材の板厚とほぼ同等の深さを有する前記レバーの嵌合溝が形成されていることを特徴とする。
【0018】
前記嵌合溝は、前記爪部材の爪収容孔の後方の垂直壁面、及びこれと対向する前方壁面に一直線上に連通するよう、前記爪収容孔下方の前後方向に跨って形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
すなわち、本発明は、フェルールを収容するホルダと、前記フェルールをセットした前記ホルダを保持するハウジングとを備えたMDC(Mini Duplex Connector)光コネクタであって、
前記ハウジングの略矩形断面を持つ外周の少なくとも1つの面に、前記フェルールの先端部側を支点として、前記ハウジング本体から離間する方向に付勢されたレバーを設け、
前記レバーに、前記MDC光コネクタを接続するアダプタの爪収容孔に適合する爪部材を設けてなるものであるから、
MDC光コネクタとアダプタとの脱着作業を手動にて行うことができる。したがって、取り扱いが容易で極めて利便性に優れているとともに、専用治具を必要としないことと、作業工程が簡略されることにより、低コストによる省力化が可能となり、これによってMDC光コネクタとして最適なものを提供できる。
【0020】
前記ハウジングの前記レバーと対向する面に、前記レバーの押し込み量を確保するための凹部が設けられているので、
レバーの上方位置を低めに設定でき、且つレバー押し込み時に左右へぶれることがなく安定的に保持できる。
【0021】
前記レバーの終端に、前記アダプタに前記MDC光コネクタを挿入した状態で、前記レバーを操作可能に露出させる頭部が設けられているので、
MDC光コネクタとアダプタとの脱着作業を手動で行うことが容易となる。
【0022】
前記ハウジングは、前記レバーを前記ハウジング本体から離間する方向に付勢可能な弾性部材で構成されているので、
レバーを付勢する別部材を設けることが必要としない分構成が簡易な上に、低コスト化が可能となる。
【0023】
前記アダプタの爪収容孔は、少なくともその後方内面が、前記レバーの後方への移動を阻止する垂直壁面を有しているので、
前記アダプタの爪収容孔内に前記レバーの爪部材がロックされている状態のとき、前記レバーを後方へ強く引っ張っても当該レバーの引き抜きが確実に阻止される。
【0024】
前記アダプタの上壁裏面に、前記レバーの横幅と比べて僅かに幅広で、且つ前記レバー及び爪部材の板厚とほぼ同等の深さを有する前記レバーの嵌合溝が形成されているので、
前記レバーの押し込み及び引き抜きが左右にぶれることなく円滑且つ確実に行なうことができる。
【0025】
前記嵌合溝は、前記爪部材の爪収容孔の後方の垂直壁面、及びこれと対向する前方壁面に一直線上に連通するよう、前記爪収容孔下方の前後方向に跨って形成されているので、
前記レバーは前記爪収容孔の前方まで延長された状態で前記アダプタの嵌合溝に嵌合するため、前記レバーの略途中の両側に突設された爪部材であっても、前記爪収容孔の下方に確実に嵌り込む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明を実施するための最良の形態を示すMDC光コネクタを示し、(a)は前方から見た斜視図(b)は後方から見た斜視図である。
図2】MDC光コネクタの構成及び組立方法を説明するための分解図である。
図3】MDC光コネクタのホルダを示し、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図、(d)は底面図、(e)は背面図、(f)は(b)のA-A断面図である。
図4】MDC光コネクタのハウジングを示し、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図、(d)は底面図、(e)は背面図、(f)は(b)のB-B断面図である。
図5】組立状態のMDC光コネクタを示し、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図、(d)は底面図、(e)は背面図である。
図6図5の(b)の拡大したC-C断面図である。
図7】アダプタを示し、(a)は前方から見た斜視図、(b)はMDC光コネクタを挿着した状態を示す後方から見た斜視図である。
図8】アダプタにMDC光コネクタを挿着する前の状態を示す側面図である。
図9】アダプタにMDC光コネクタを挿着した状態を示し、(a)は側面図、(b)は平面図である。
図10】アダプタの爪収容孔にMDC光コネクタのレバーをロックする過程を示すもので、(a)はアダプタの上壁裏面側から見た爪部材のロック前の説明図、(b)は爪部材ロック後の説明図、(c)は図(a)のF-F断面図、(d)は図(b)のG-G断面図である。
図11】MDC光コネクタのレバーをアダプタの爪収容孔にロックした状態の使用例を示し、(a)は図8(b)のD-D拡大断面図、(b)は図8(b)のE-E拡大断面図である。
図12】MDC光コネクタのレバー頭部を押し下げロックを解除した状態の使用例を示し、(a)及び(b)は図11に対応する各拡大断面図である。
図13】MDC光コネクタのレバーのロック解除後レバー頭部を若干引き出した状態の使用例を示し、(a)及び(b)は図12に対応する拡大断面図である。
図14図14中(a)は図11のH-H断面図、(b)は図12のI-I断面図、(c)は図13のJ-J断面図である。
図15】アダプタの爪収容孔とレバーの爪部材とを示し、(a)は爪部材が爪収容孔にロックしている状態を示す一部を拡大した断面図、(b)はロックを解除した状態を示す一部を拡大した断面図、(c)はロック解除後レバーを若干引き抜いた状態を示す一部を拡大した断面図である。
図16】同じくアダプタの爪収容孔とレバーの爪部材とを示し、(a)は図15のX-X断面図、(b)はY-Y断面図、(c)はZ-Z断面図である。
図17】背景技術記載のMDC光コネクタをアダプタから取り外す作業を説明するための図で、(a)は専用治具を使ってMDC光コネクタのロック爪を押圧する前の状態を示す説明図、(b)は専用治具を使ってロック爪を押圧した状態を示す全体説明図、(c)は専用治具を使ってロック爪を押圧した状態を示す部分拡大図、(d)は専用治具を外してロック爪の押圧を解除した状態を示す部分拡大図である。
図18】背景技術記載のMDC光コネクタをアダプタから抜き取る作業を説明する図で(a)は専用治具を使ってMDC光コネクタを抜き取る前の状態を示す説明図、(b)及び(c)はMDC光コネクタを抜き取る途中を示す説明図、(d)はMDC光コネクタをアダプタから引き抜いた状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の一形態を詳細に説明する。
【0028】
はじめに、MDC光コネクタ100の基本構成について説明する。
図2に示すように、前記MDC光コネクタ100は、概略、1対のフェルール31、32を収容するホルダ10と、該ホルダ10及び前記一対のフェルール31、32を圧接して保持する略矩形断面を持つハウジング20とを備えて構成されている。
【0029】
図3に示すように、前記ホルダ10には、前記一対のフェルール31、32を収容する孔12a、12bが上下に設けられている。これら孔12a、12bには、前記一対のフェルール31、32の先端部を支持する支持金具35、36に当接するテーパー部が形成されており、前記一対のフェルール31、32をアダプタ40(図7及び図8参照)の方向に指向させた状態で、前記支持金具35、36によってそれぞれ支持可能となっている。
【0030】
また、前記ハウジング20には、図2及び図4に示すように、光ケーブルのチューブ33、34の部分を収容する孔26a、26bが設けられている。これら孔26a、26bのホルダ10側の径は、前記一対のフェルール31、32の先端部を支持する支持金具35、36よりも小径となっており、前記ハウジング20が前記ホルダ10にセットされることで、前記一対のフェルール31、32はアダプタ40の方向にそれぞれ支持可能となっている。
【0031】
上記のように構成されたMDC光コネクタ100は、図2に示すように、前記ハウジング20の後方からチューブ33、34を通した後、前記支持金具35、36を用いて一対のフェルール31、32を固定する。その後、前記ホルダ10の孔12a、12bに、両方のフェルール31、32をそれぞれ挿入し、テーパー部に着座させる。その後、前記ハウジング20を前記ホルダ10側に移動させると、当該ホルダ10のアーム部13に設けられた孔11と、前記ハウジング20側に設けられた突起24とが係合し、ロックされる。
【0032】
一方、図1(a)、(b)、図2図5及び図8に示すように、前記ハウジング20の天板20Aには、前記一対のフェルール31、32の先端部側を支点として、前記ハウジング20本体から離間する方向に付勢されたレバー21が一体に連設されている。また、前記レバー21の中ほどの位置の両側には、アダプタ40の爪収容孔41に適合する間隔で2つの爪部材22がそれぞれ突設されている。
【0033】
また、前記したレバー21の終端には、摘み用の頭部23が設けられている。この頭部23は、図9(a)、(b)、図10(b)及び図11に示すように、前記MDC光コネクタ100が前記アダプタ40にロックされている状態でも、アダプタ40から後方へ若干露出している。さらに、前記ハウジング20の天板20Aの前記レバー21と対向する面には、当該レバーの押し込み量t1(押し下げ可能幅)を確保するための凹部25が設けられている(図4図6図11(b)参照)。前記凹部25の深さは、前記レバー21の押し込み量t1(押し下げ可能幅)を規定している。
【0034】
具体的には、前記したレバー21の押し込み量t1(押し下げ可能幅)は、爪部材22の爪収容孔41と当接する面の高さt2以上となるように設定されている(図15(a)参照)。したがって、ユーザが、この頭部23を用いて前記レバー21を十分に押し下げると、前記爪部材22が前記アダプタ40の爪収容孔41から外れ、これによって前記MDC光コネクタ100を前記アダプタ40から引き抜くことが可能となる。このため、本実施形態のMDC光コネクタ100は、背景技術記載のMDC光コネクタ100との比較において、前記アダプタ40からの取り外し時に、図17及び図18に示す専用治具200を必要としないものである。
【0035】
なお、前記ホルダ10のアーム部13を左右に開いて、当該ホルダ10の孔11と前記ハウジング20の突起24との係合を解除すると、前記ホルダ10と前記ハウジング20とを分離することができる。そして、前記一対のフェルール31、32を取り付け直すことで、極性の入れ替えを行うこともできる。また、前記したホルダ10及びハウジング20は、樹脂成形品を用いて構成するのが良い。しかし、より望ましい形態において、前記樹脂としては、後述するレバー21を前記ハウジング20本体から離間する方向に付勢可能できる弾性特性を持つ材料が選択するのが好適である。
【0036】
続いて、前記形態のMDC光コネクタ100に適合する前記アダプタ40の構成について詳細に説明する。
【0037】
図7(a)、(b)、図8図9(a)、(b)、図10(a)、(b)、(c)及び図11(a)、(b)乃至図14(a)、(b)、(c)に示したように、前記アダプタ40は、前後両端に前記MDC光コネクタ100の挿入孔42を有する断面矩形状のアダプタ本体43にて形成されるとともに、前記アダプタ本体43の上壁43aには、前記レバー21の爪部材22が係合する複数個(本実施例では3個)の横長矩形状の爪収容孔41が等間隔に開口され、前記上壁43aの下面には、前記3個の爪収容孔41の間に位置するよう2枚の隔壁ガイド板44が垂設され、且つ前記上壁43a裏面の2枚の隔壁ガイド板44の中央には前記レバー21の嵌合溝42Aが形成されている。
【0038】
前記爪収容孔41は、少なくともその後方内面が、前記レバー21の爪部材22の後端が掛け止めされている状態で、当該レバー21の後方への移動を確実且つ堅固に阻止する垂直係止面41aを有している。
【0039】
前記嵌合溝42Aは、前記MDC光コネクタ100の挿入孔42の上側に連通するとともに、前記レバー21の横幅と比べて僅かに幅広で、且つ前記レバー21及び爪部材22の板厚とほぼ同等の深さを有している。
【0040】
また、前記嵌合溝42Aは、前記爪収容孔41の後方(垂直係止面41a)、及びこれに対向する前方壁面に一直線上に連通するよう、前記爪収容孔41の前後方向に跨って形成されている。
【0041】
ちなみに、前記3個の爪収容孔41は、前記アダプタ本体43の両側壁43bと前記2枚の隔壁ガイド板44間の上壁43aに等間隔に開口されており、これによって本実施形態のアダプタ40にはMDC光コネクタ100の挿入孔42が3個並列形成されている。このように、本実施形態のアダプタ40ではMDC光コネクタ100が三連式に挿入接続できるように形成されているが、挿入孔42の数はこれ以外の単数あるいは複数あっても良いことは勿論である。
【0042】
以下、本実施形態におけるMDC光コネクタ100の使用例について説明する。
【0043】
先ず、本実施形態のMDC光コネクタ100を前記アダプタ40に挿着する手順について説明する。
前記アダプタ40の挿入孔42に本実施形態のMDC光コネクタ100を挿入すると、前記アダプタ40の内側の上壁43a下面に押されて、前記レバー21が下がる。前記MDC光コネクタ100をさらに押し込むと、前記レバー21が前記アダプタ40の上壁43a裏面に形成された嵌合溝42Aに嵌合するとともに、前記レバー21両側の2つの爪部材22が前記アダプタ40の爪収容孔41下方に嵌りこみ、これによって前記MDC光コネクタ100は、前記アダプタ40にロックされる(図9(a)、(b)乃至図10(a)、(b)、(c)及び図11(a)、(b)参照)。
【0044】
続いて、本実施形態のMDC光コネクタ100を前記アダプタ40から外す際の手順について説明する。
【0045】
図11(a)、(b)、図14(a)、図15(a)及び図16(a)は、前記MDC光コネクタ100が前記アダプタ40にロックされた状態を示す。
すなわち、前記MDC光コネクタ100のレバー21の両側に突設されたロック部材22が前記アダプタ40の爪収容孔41後方の垂直係止面41aにロックされており、これによってレバー21の終端に設けられた頭部23を摘み後方へ強く引っ張っても前記MDC光コネクタ100はアダプタ40から引き抜くことはできない。
【0046】
図12(a)、(b)、図15(b)及び図16(b)は、前記MDC光コネクタ100が前記アダプタ40からロックを解除された状態を示す。
すなわち、前記図11(a)、(b)、図15(a)及び図16(a)のロック状態において、前記レバー21終端の頭部23を指先で把持しつつ下方へ押し下げると、前記アダプタ40の爪収容孔41に収容されていた爪部材22のロックが外れると同時に、前記レバー21が前記アダプタ40の上壁43aの裏面に形成された嵌合溝42Aからも外れる。
【0047】
図13(a)、(b)、図15(c)及び図16(c)は、前記MDC光コネクタ100を前記アダプタ40から若干引き抜いた状態を示す。
すなわち、前記図12(a)、(b)、図15(b)及び図16(b)のロック解除状態において、前記レバー21終端の頭部23を指先で把持しつつ後方へ引っ張ると、前記アダプタ40から前記MDC光コネクタ100は若干引き抜かれる。
【0048】
このとき、前記レバー21の爪収容孔41は前記アダプタ40の上壁43aの裏面(嵌合溝42A外)に押えられ、これによって前記レバー21終端の頭部23をさらに引っ張ることで前記MDC光コネクタ100は前記アダプタ40から完全に引き抜かれる(図8参照)。
【0049】
なお、上述した本発明の好適な実施の形態は、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の要旨を逸脱しない範囲において当業者は上記実施形態の修正や代用を行い、種々の変更を施した形態を構築することが可能である。例えば、前記した実施形態では、ハウジング20全体を合成樹脂で構成することで、前記レバー21を前記ハウジング20本体から離間する方向に付勢させるものとして説明したが、例えば、前記ハウジング20と前記レバー21の間に、板バネ等を配置して、前記レバー21を前記ハウジング20本体から離間する方向に付勢する構成も採用することができる。
【0050】
また、前記した実施形態では、前記ハウジング20の天板20Aに、前記レバー21を設けるものとして説明したが、前記アダプタ40に干渉しない場合、前記ハウジング20の底面にも、前記レバー21を設けることもできる。このようにすることで、前記ホルダ10と前記ハウジング20とを分離した際の極性の入れ替えを一層容易化することができる。
【0051】
さらに、前記MDC光コネクタ100において、前記ハウジング20の天板20Aに設けられたレバー21は、その両側の同一面に爪部材22を突設したものであるが、前記レバー21の上面に係止部材を固定し、これを前記アダプタ40の爪収容孔41に嵌合する前記爪部材22として利用しても良い。このとき、前記アダプタ40には、その上壁43aの裏面に前記レバー21の嵌合溝42Aは必ずしも必要とせず、フラットに形成しても良い。
【符号の説明】
【0052】
10 ホルダ
11 孔
12a、12b 孔
13 アーム部
20 ハウジング
20A 天板
21 レバー
22 爪部材
23 頭部
24 突起
25 凹部
26a、26b 孔
31、32 フェルール
33、34 チューブ
35、36 金具
40 アダプタ
41 爪収容孔
41a 垂直係止面
42 挿入孔
42A 嵌合溝
43 アダプタ本体
43a 上壁
43b 側壁
44 隔壁ガイド板
100 MDC光コネクタ
121 アーチ部材
122 ロック爪
123 係止バー
200 専用治具
201 把持部材
201a 押し込み部
202 アーム押し下げ部材
202a 突起
203 光コネクタ引き抜き部材
203a 爪部
t1 レバーの押し込み量(押し下げ可能幅)
t2 爪部材の高さ
図1
図2
図3
図4
図5
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