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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123395
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】不揮発性記憶回路
(51)【国際特許分類】
   G11C 14/00 20060101AFI20240905BHJP
   G11C 11/16 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
G11C14/00 230
G11C11/16 240
G11C11/16 250
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030775
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平賀 啓三
(57)【要約】
【課題】書き込み電流が大きくなり過ぎるのを抑制する。
【解決手段】不揮発性記憶回路は、揮発性記憶領域に書き込まれた情報に対応する電圧信号を保持するラッチ回路と、ラッチ回路によって保持された電圧信号に応じた不揮発性記憶素子の書き込み電流を駆動するドライバ回路と、を備え、ドライバ回路は、書き込み電流の大きさを変えることができるように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性記憶領域に書き込まれた情報に対応する電圧信号を保持するラッチ回路と、
前記ラッチ回路によって保持された前記電圧信号に応じた不揮発性記憶素子の書き込み電流を駆動するドライバ回路と、
を備え、
前記ドライバ回路は、前記書き込み電流の大きさを変えることができるように構成される、
不揮発性記憶回路。
【請求項2】
前記ドライバ回路は、
第1のドライバ回路と、
前記第1のドライバ回路に対して並列に設けられた第2のドライバ回路と、
前記第2のドライバ回路を前記第1のドライバ回路に接続し、または、前記第2のドライバ回路を前記第1のドライバ回路から切り離すスイッチと、
を含む、
請求項1に記載の不揮発性記憶回路。
【請求項3】
前記スイッチは、前記第1のドライバ回路の駆動能力に応じた大きさの前記書き込み電流では前記不揮発性記憶素子に前記情報が正しく書き込まれなかった場合に、前記第2のドライバ回路を前記第1のドライバ回路に接続する、
請求項2に記載の不揮発性記憶回路。
【請求項4】
前記不揮発性記憶素子に前記情報が正しく書き込まれたか否かを判断するベリファイ回路を備え、
前記スイッチは、前記ベリファイ回路の判断結果に基づいて制御される、
請求項2に記載の不揮発性記憶回路。
【請求項5】
前記第2のドライバ回路が前記第1のドライバ回路に接続されたときの前記書き込み電流のパルス幅は、前記第2のドライバ回路が前記第1のドライバ回路から切り離されたときの前記書き込み電流のパルス幅よりも大きい、
請求項2に記載の不揮発性記憶回路。
【請求項6】
前記スイッチは、前記書き込み電流の大きさをゼロに近づける際に、前記第2のドライバ回路を前記第1のドライバ回路から切り離す、
請求項2に記載の不揮発性記憶回路。
【請求項7】
前記第1のドライバ回路及び前記第2のドライバ回路それぞれは、電源とグラウンドとの間に接続されたインバータ回路を含む、
請求項2に記載の不揮発性記憶回路。
【請求項8】
前記第2のドライバ回路は、前記電源と前記グラウンドとの間にカスケード接続されたP型FET及びN型FETを含み、
前記スイッチは、
前記第2のドライバ回路の前記P型FETと前記電源との間に接続されたP型FETと、
前記第2のドライバ回路の前記N型FETと前記グラウンドとの間に接続されたN型FETと、
を含む、
請求項7に記載の不揮発性記憶回路。
【請求項9】
前記スイッチのP型FET及びN型FETそれぞれのゲートには、互いに反転された制御信号が入力される、
請求項8に記載の不揮発性記憶回路。
【請求項10】
前記ドライバ回路は、各々が前記第1のドライバ回路に対して並列に設けられた複数の前記第2のドライバ回路を含み、
前記スイッチは、前記複数の第2のドライバ回路それぞれに対して設けられる、
請求項2に記載の不揮発性記憶回路。
【請求項11】
前記ドライバ回路は、前記第1のドライバ回路を電源及びグラウンドに接続し、または、前記第1のドライバ回路を前記電源及び前記グラウンドから切り離すスイッチを含む、
請求項2に記載の不揮発性記憶回路。
【請求項12】
前記不揮発性記憶素子は、磁気トンネル接合素子を含む、
請求項1に記載の不揮発性記憶回路。
【請求項13】
各々が前記不揮発性記憶素子を挟んで互いに反対側に位置するように前記不揮発性記憶素子に接続された2つの前記ドライバ回路を備える、
請求項1に記載の不揮発性記憶回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、不揮発性記憶回路に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体記憶装置が低消費電力状態に移行する際に、揮発性記憶領域に書き込まれた情報を、不揮発性記憶領域内の不揮発性記憶素子に書き込む技術が知られている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-50068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
磁気トンネル接合(MTJ:Magnetic Tunnel Junction)素子のような不揮発性記憶素子に情報を書き込む場合には、書き込み電流が必要になる。素子のばらつき等に起因して、必要な書き込み電流の大きさが素子ごとに異なり得る。どの素子にも確実に情報を書き込めるように書き込み電流を大きめに設定すると、不要な消費電力の増大を招き、また、不揮発性記憶素子の書き込み耐性が低下して劣化が進みやすくなる。
【0005】
本開示の一側面は、書き込み電流が大きくなり過ぎるのを抑制することが可能な不揮発性記憶回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る不揮発性記憶回路は、揮発性記憶領域に書き込まれた情報に対応する電圧信号を保持するラッチ回路と、ラッチ回路によって保持された電圧信号に応じた不揮発性記憶素子の書き込み電流を駆動するドライバ回路と、を備え、ドライバ回路は、書き込み電流の大きさを変えることができるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る不揮発性記憶回路を備える半導体記憶装置の概略構成の例を示す図である。
図2】ドライバ回路の回路構成の例を示す図である。
図3】スイッチの制御の例を示すタイミングチャートである。
図4】スイッチの制御の例を示すタイミングチャートである。
図5】書き込み電流の段階制御の例を示すタイミングチャートである。
図6】ドライバ回路の回路構成の例を示す図である。
図7】ドライバ回路の回路構成の例を示す図である。
図8】ドライバ回路の回路構成の例を示す図である。
図9】ドライバ回路の回路構成の例を示す図である。
図10】不揮発性記憶回路の回路構成の例を示す図である。
図11】書き込み電流の段階制御の例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本開示の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の各実施形態において、同一の要素には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0009】
以下に示す項目順序に従って本開示を説明する。
1.実施形態
2.変形例
3.効果の例
4.不揮発性記憶回路の回路構成例
【0010】
1.実施形態
図1は、実施形態に係る不揮発性記憶回路を備える半導体記憶装置の概略構成の例を示す図である。図1には、半導体記憶装置1に含まれる要素のうち、揮発性記憶領域2、制御信号生成部3及び不揮発性記憶回路10がブロックで模式的に示される。
【0011】
揮発性記憶領域2は、揮発性記憶素子を含んで構成される。半導体記憶装置1が例えば電子機器等に搭載され記憶装置として用いられる際に、揮発性記憶領域2内の揮発性記憶素子に情報が書き込まれたり、揮発性記憶素子から情報が読み出されたりする。
【0012】
半導体記憶装置1は、低消費電力状態に移行可能に構成される。移行手法の一例は、PG(Power Gating)である。この場合、図示しないパワースイッチによって、半導体装置の状態が切り替えられる。パワースイッチがオン(導通状態)のときに、不揮発性記憶回路10の各部は、電源に接続され電力を消費する。パワースイッチがオフ(非導通状態)のときに、不揮発性記憶回路10の各部は、電源から切り離され電力を消費しない。
【0013】
なお、「接続され」は、要素どうしが電気的に接続される意味に解されてよく、その場合、要素どうしの間に他の要素が介在していてもよい。「切り離され」は、電気的に切り離される意味に解されてよい。
【0014】
低消費電力状態では、揮発性記憶領域2に書き込まれた情報が失われ得る。そこで、半導体記憶装置1が低消費電力状態に移行する際には、揮発性記憶領域2に書き込まれた情報が、不揮発性記憶回路10に保持される。半導体記憶装置1が低消費電力状態から復帰すると、不揮発性記憶回路10に保持された情報が読み出され、例えば揮発性記憶領域2に書き込まれる。
【0015】
制御信号生成部3は、不揮発性記憶回路10の動作を制御するための種々の制御信号を生成し、不揮発性記憶回路10に供給する。制御信号の例は後に説明する。
【0016】
不揮発性記憶回路10は、例えば、揮発性記憶領域2に含まれるの揮発性記憶素子ごとに対応して設けられる。不揮発性記憶回路10は、ラッチ回路6、ドライバ回路7、不揮発性記憶素子8及びベリファイ回路9を含む。これら以外の素子や回路も不揮発性記憶回路10に含まれてよい。
【0017】
ラッチ回路6は、揮発性記憶領域2に書き込まれた情報に対応する電圧信号を保持する。この電圧信号を、電圧信号Vdatと称し図示する。ラッチ回路6の例は、データフリップフロップ(DFF)回路である。種々の公知の回路構成が採用されてよく、一例については後に図10を参照して説明する。
【0018】
ドライバ回路7は、不揮発性記憶素子8の書き込み電流を駆動する。不揮発性記憶素子8は、書き込み電流が流れることによって情報が書き込まれる(ストアされる)素子である。不揮発性記憶素子8の例は、MTJ素子である。MTJ素子の例は、スピン注入磁化反転(STT:Spin Transfer Torque)型のMTJ素子、スピン軌道トルク(SOT:Spin Orbit Torque)型のMTJ素子等である。不揮発性記憶素子8の書き込み電流を、書き込み電流Istoreと称し図示する。ドライバ回路7は、ラッチ回路6によって保持された電圧信号Vdatに応じた書き込み電流Istoreを駆動する。ドライバ回路7の詳細については、後に改めて説明する。
【0019】
ベリファイ回路9は、不揮発性記憶素子8に情報が正しく書き込まれたか否かを判断する。種々の公知の回路構成が採用されてよく、一例については後に図7を参照して説明する。
【0020】
不揮発性記憶回路10においては、不揮発性記憶素子8のバラつき等に起因して、不揮発性記憶素子8に情報を正しく書き込むことのできる書き込み電流Istoreの大きさが、不揮発性記憶素子8によって異なり得る。どの不揮発性記憶素子8にも確実に情報を書き込めるように書き込み電流Istoreを大きめに設定すると、必要以上に大きな書き込み電流Istore(オーバースペック電流)が流れる不揮発性記憶素子8が出てくる。書き込み電流Istoreが大きい分だけ、消費電力が増大し、また、不揮発性記憶素子8の書き込み耐性が低下して劣化が進みやすくなる。そこで、本実施形態では、ドライバ回路7は、書き込み電流Istoreの大きさを変えることができるように構成される。図2を参照して説明する。
【0021】
図2は、ドライバ回路の回路構成の例を示す図である。この例では、ドライバ回路7は、ドライバ回路7U及びドライバ回路7Lを含む。ドライバ回路7U及びドライバ回路7Lは、不揮発性記憶素子8を挟んで互いに反対側に位置するように(不揮発性記憶素子8がそれらの間に接続されるように)、不揮発性記憶素子8に接続される。ドライバ回路7U及びドライバ回路7Lのうち、ドライバ回路7Uは、ラッチ回路6と不揮発性記憶素子8との間に接続される。なお、ドライバ回路7U及びドライバ回路7Lをとくに区別しない場合には、単にドライバ回路7という場合もある。
【0022】
図2に示される例では、ドライバ回路7は、ドライバ回路71と、ドライバ回路72と、スイッチ731、732とを含む。図2には、電源VDD及びグラウンドGNDも符号を付して図示される。グラウンドGNDは基準電位を有し、電源VDDは基準電位よりも高い電位を有する。
【0023】
ドライバ回路71は、ドライバ回路7を構成する第1のドライバ回路である。ドライバ回路71は、電源VDDとグラウンドGNDとの間に接続されたインバータ回路を含む。具体的に、ドライバ回路71は、トランジスタ711と、トランジスタ712とを含む。トランジスタ711はP型電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transisotr)であり、トランジスタ712はN型FETである。
【0024】
トランジスタ711及びトランジスタ712は、カスケード接続される。トランジスタ711及びトランジスタ712のゲートどうしは、互いに接続される。トランジスタ711及びトランジスタ712のゲートを入力端とし、カスケード接続点を出力端とするインバータ回路が構成される。
【0025】
ドライバ回路72は、ドライバ回路7を構成する第2のドライバ回路であり、ドライバ回路71に対して並列に設けられる。ドライバ回路72は、電源VDDとグラウンドGNDとの間に接続されたインバータ回路を含む。具体的に、ドライバ回路72は、トランジスタ721と、トランジスタ722とを含む。トランジスタ721はP型FETであり、トランジスタ722はN型FETである。
【0026】
トランジスタ721及びトランジスタ722はカスケード接続される。トランジスタ721及びトランジスタ722のゲートどうしは、互いに接続される。トランジスタ721及びトランジスタ722のゲートを入力端とし、カスケード接続点を出力端とするインバータ回路が構成される。
【0027】
ドライバ回路71の入力端(すなわちインバータ回路の入力端)及びドライバ回路72の入力端どうしが互いに接続され、ドライバ回路7の入力端を構成する。ドライバ回路7Uの入力端には、電圧信号Vdatが入力される。ドライバ回路7Lの入力端には、制御信号CTRL0が入力される。
【0028】
ドライバ回路71の出力端(すなわちインバータ回路の出力端)及びドライバ回路72の出力端が接続され、ドライバ回路7の出力端を構成する。ドライバ回路7の出力端は、書き込み電流Istoreを送出したり引き込んだりする。例えば、電圧信号Vdatがハイレベル(Hレベル)で制御信号CTRL0がローレベル(Lレベル)の場合、書き込み電流Istoreは、ドライバ回路7Uから不揮発性記憶素子8に向かって送出され、不揮発性記憶素子8を通り、ドライバ回路7Lに引き込まれる。反対に、ドライバ回路7Uの電圧信号VdatがLレベルで制御信号CTRL0がHレベルの場合、書き込み電流Istoreは、ドライバ回路7Lから不揮発性記憶素子8に向かって送出され、不揮発性記憶素子8を通り、ドライバ回路7Uに引き込まれる。
【0029】
スイッチ731、732は、ドライバ回路71とドライバ回路72との間に接続される。スイッチ731、732は、オン(導通状態)のときにドライバ回路72をドライバ回路71に接続し、また、オフ(非導通状態)のときにドライバ回路72をドライバ回路71から切り離す。
【0030】
スイッチ731、732がオフのときには、ドライバ回路71及びドライバ回路72のうち、ドライバ回路71の駆動能力(例えばトランジスタ711及びトランジスタ712が流すことができる電流の大きさ)に応じた大きさの書き込み電流Istoreが流れる。スイッチ73がオンのときには、ドライバ回路71及びドライバ回路72の両方の駆動能力の合計に応じた大きさの書き込み電流Istoreが流れる。すなわち、スイッチ731、732をオフにすることで書き込み電流Istoreを小さくし、スイッチ731、732をオンにすることで書き込み電流Istoreを大きくすることができる。書き込み電流Istoreの大きさを段階的に制御すること、例えば書き込み電流Istoreを段階的に大きくすることができるので、書き込み電流Istoreが大きくなりすぎるのを抑制することが可能になる。
【0031】
図2に例示されるスイッチ731、732は、FETである。具体的に、スイッチ731は、P型FETであり、トランジスタ721と電源VDDとの間に接続される。スイッチ732は、N型FETであり、トランジスタ722とグラウンドGNDとの間に接続される。
【0032】
スイッチ731、732を制御するための制御信号が、それらのゲートに供給される。ドライバ回路7Uにおいて、スイッチ731のゲートに供給される制御信号を、制御信号SBOOSTBと称し図示する。スイッチ732のゲートに供給される制御信号を、制御信号SBOOSTと称し図示する。制御信号SBOOST及び制御信号SBOOSTBは、互いに反転された制御信号である。例えば、制御信号SBOOSTがLレベルであれば、制御信号SBOOSTBはHレベルである。制御信号SBOOSTがHレベルであれば、制御信号SBOOSTBはLレベルである。
【0033】
ドライバ回路7Lにおいて、スイッチ731のゲートに供給される制御信号を、制御信号CTRL1Bと称し図示する。スイッチ732のゲートに供給される制御信号を、制御信号CTRL1と称し図示する。制御信号CTRL1B及び制御信号CTRL1は、互いに反転された制御信号である。
【0034】
制御信号SBOOST及び制御信号CTRL1は、制御信号生成部3(図1)によって生成される。制御信号SBOOSTB及び制御信号CTRL1Bは、制御信号生成部3によって生成されてもよいし、制御信号生成部3によって生成された制御信号SBOOST及び制御信号CTRL1を図示しないインバータで反転させることで生成されてもよい。インバータは、不揮発性記憶回路10内に設けられてもよいし、不揮発性記憶回路10外に設けられてもよい。
【0035】
スイッチ731、732は、ベリファイ回路9(図1)の判断結果に基づいて制御される。ベリファイ回路9の判断結果に応じた制御信号SBOOSTB及び制御信号SBOOST並びに制御信号CTRL1及び制御信号CTRL1Bが制御信号生成部3やインバータによって生成され、スイッチ731、732に供給される。具体的に、スイッチ731、732は、ドライバ回路71の駆動能力に応じた大きさの書き込み電流Istoreでは不揮発性記憶素子8に情報が正しく書き込まれなかった場合に、オンになる。これにより、できるだけ小さい書き込み電流Istoreで、不揮発性記憶素子8に情報を正しく書き込むことができる。図3及び図4を参照して説明する。
【0036】
図3及び図4は、スイッチの制御の例を示すタイミングチャートである。チャートの横軸は時刻tを示し、縦軸は書き込み電流Istoreの大きさを示す。前提として、ラッチ回路6によって電圧信号Vdatが保持されているものとする。
【0037】
時刻t1~時刻t2において、1回目の書き込みが行われる。制御信号SBOOST及び制御信号CTRL1は、Lレベルに設定される。スイッチ731、732はオフになり、ドライバ回路72はドライバ回路71から切り離される。ドライバ回路71の駆動の駆動能力に応じた大きさの書き込み電流Istoreが流れる。
【0038】
時刻t2~時刻t3において、ベリファイが行われる。ベリファイ回路9は、不揮発性記憶素子8に情報が正しく書き込まれたか否かを判断する。ここでは不揮発性記憶素子8に情報が正しく書き込まれなかったものとする。
【0039】
時刻t3~時刻t4において、2回目の書き込みが行われる。制御信号SBOOST及び制御信号CTRL1は、Hレベルに設定される。スイッチ731、732はオンになり、ドライバ回路72はドライバ回路71に接続される。ドライバ回路71及びドライバ回路72の両方の駆動応力に応じた大きさの書き込み電流Istoreが流れる。この書き込み電流Istoreは、1回目の書き込み(時刻t1~時刻t2)における書き込み電流Istoreよりも大きい。
【0040】
その後、再度ベリファイが行われる。ここでは不揮発性記憶素子8に情報が正しく書き込まれたものとする。これにより、不揮発性記憶素子8への情報の書き込みが終了する。
【0041】
一実施形態において、2回目の書き込み時の書き込み電流Istoreのパルス幅(書き込み電流Istoreが流れている期間)は、1回目の書き込み時の書き込み電流Istoreのパルス幅よりも大きくてもよい。その場合、図4に示されるように、時刻t3~時刻t4の期間は、時刻t1~時刻t2の期間よりも長くなる。書き込み電流Istoreの電流量を大きくすることで、より確実に不揮発性記憶素子8に情報を正しく書き込むことができる。
【0042】
書き込み電流Istoreの大きさを段階的に制御できるので、書き込み電流Istoreを段階的に小さくすることも可能である。例えば、スイッチ731、732は、書き込み電流Istoreの大きさをゼロに近づける際に、ドライバ回路72をドライバ回路71から切り離してよい。これにより、書き込み電流Istoreが段階的に小さくなる。例えば書き込み電流Istoreを急激に小さくすることで生じ得る不揮発性記憶素子8の書込み結果の反転を防ぐことができる。図5を参照して説明する。
【0043】
図5は、書き込み電流の段階制御の例を示すタイミングチャートである。時刻t11~時刻t12において、ドライバ回路7Lの制御信号CTRL0及び制御信号CTRL1は、Hレベルに設定されている。図には表れないが、ドライバ回路7Uの電圧信号VdatはLレベルであり、また、制御信号SBOOSTは制御信号CTRL1と同様に設定されるものとする。ドライバ回路71及びドライバ回路72の両方の駆動応力に応じた大きさの書き込み電流Istoreが流れる。
【0044】
時刻t12において、ドライバ回路7Lの制御信号CTRL1がLレベルに設定される。ドライバ回路71の駆動の駆動能力に応じた大きさの書き込み電流Istoreが流れる。先の時刻t11~時刻12と比較して、書き込み電流Istoreが小さくなる。
【0045】
時刻t13において、ドライバ回路7Lの制御信号CTRL0もLレベルに設定される。書き込み電流Istoreはゼロになる。
【0046】
例えば以上のようにして、書き込み電流Istoreを段階的に小さくすることができる。
【0047】
2.変形例
開示される技術は、上記実施形態に限定されない。いくつかの変形例について説明する。例えば、上記実施形態では、書き込み電流Istoreの大きさが2段階で変えられる場合を例に挙げて説明した。ただし、書き込み電流Istoreの大きさを3段階以上で変えることも可能である。図6を参照して説明する。
【0048】
図6は、ドライバ回路の回路構成の例を示す図である。図6に示されるドライバ回路7Aは、ドライバ回路7(図2)と比較して、ドライバ回路7U及びドライバ回路7Lに代えて、ドライバ回路7UA及びドライバ回路7LAを含む点において相違する。ドライバ回路7LUA及びドライバ回路7LAをとくに区別しない場合は、単にドライバ回路7Aという場合もある。ドライバ回路7Aは、ドライバ回路7(図2)と比較して、複数のドライバ回路72及びこれらに対応するスイッチ731、732を含む点において相違する。複数のドライバ回路72の各々は、ドライバ回路71に対して並列に設けられる。スイッチ731、732は、複数のドライバ回路72それぞれに対して設けられる。
【0049】
複数のドライバ回路72として、N個(Nは2以上の整数)のドライバ回路72が例示される。各ドライバ回路72を区別できるように、ドライバ回路72-1、ドライバ回路72-2及びドライバ回路72-N等と称し図示する。各ドライバ回路72の構成要素及び制御信号の符号も同様に区別して図示される。
【0050】
ドライバ回路72ごとに、スイッチ731、732の個別制御が可能である。N個のドライバ回路72それぞれをドライバ回路71に並列に接続したりドライバ回路71しなかったりすることで、書き込み電流Istoreの大きさをN+1段階で制御することができる。ドライバ回路72の数(=N)が大きくなるにつれて、書き込み電流Istoreの大きさをより細かく変えることができる。
【0051】
例えば、先に図3及び図4を参照して説明した2回目の書き込み(時刻t3~時刻t4)では、ドライバ回路72-1がドライバ回路71に接続される。それでも不揮発性記憶素子8に情報が正しく書き込まれなければ、ドライバ回路72-2もドライバ回路71に接続される。これを繰り返し、不揮発性記憶素子8に情報が正しく書き込まれるまで、ドライバ回路71に接続されるドライバ回路72の数が段階的に増やされる。また、先に図5を参照して説明したタイミングチャートにおいて、ドライバ回路71に接続されるドライバ回路72の数が段階的に減らされる。
【0052】
一実施形態において、ドライバ回路7のドライバ回路71は、電源VDD及びグラウンドGNDから切り離し可能であってよい。図7を参照して説明する。
【0053】
図7は、ドライバ回路の回路構成の例を示す図である。図7に示されるドライバ回路7Bは、ドライバ回路7(図2)と比較して、ドライバ回路7U及びドライバ回路7Lに代えて、ドライバ回路7UB及びドライバ回路7LBを含む点において相違する。ドライバ回路7UB及びドライバ回路7LBをとくに区別しない場合は、単にドライバ回路7Bという場合もある。ドライバ回路7Bは、ドライバ回路7(図2)と比較して、スイッチ741、742をさらに含む点において相違する。
【0054】
スイッチ741、742は、ドライバ回路71を電源VDD及びグラウンドGNDに接続し、または、ドライバ回路71を電源VDD及びグラウンドGNDから切り離す。図7に例示されるスイッチ741、742は、FETである。具体的に、スイッチ741は、P型FETであり、ドライバ回路71のトランジスタ711と電源VDDとの間に接続される。スイッチ742は、N型FETであり、ドライバ回路71のトランジスタ712とグラウンドGNDとの間に接続される。
【0055】
スイッチ741、742を制御するための制御信号が、それらのゲートに供給される。スイッチ741のゲートに供給される制御信号を、ストア制御信号SR2Bと称し図示する。スイッチ742のゲートに供給される制御信号を、ストア制御信号SR2と称し図示する。ストア制御信号SR2及びストア制御信号SR2Bは、互いに反転された制御信号である。ストア制御信号SR2は、制御信号生成部3(図1)によって生成される。ストア制御信号SR2Bは、制御信号生成部3によって生成されてもよいし、ストア制御信号SR2を図示しないインバータで反転させることで生成されてもよい。インバータは、不揮発性記憶回路10内に設けられてもよいし、不揮発性記憶回路10外に設けられてもよい。
【0056】
不揮発性記憶素子8に情報を書き込むときには、ストア制御信号SR2は、Hレベルに設定される。スイッチ741、742はオンになり、ドライバ回路71は電源VDD及びグラウンドGNDに接続される。ドライバ回路71による書き込み電流Istoreの駆動が可能になる。不揮発性記憶素子8に情報を書き込まないときには、ストア制御信号SR2は、Lレベルに設定される。スイッチ741、742はオフになり、ドライバ回路71は電源VDD及びグラウンドGNDから切り離される。これにより、例えば、ドライバ回路71に不要な電流が流れることが抑制され、消費電力の低減や、動作の安定化等が図られる。
【0057】
一実施形態において、ドライバ回路7U及びドライバ回路7Lの一方だけが、ドライバ回路71及びドライバ回路72の並列回路構成を備えていてよい。図8及び図9を参照して説明する。
【0058】
図8は、ドライバ回路の回路構成の例を示す図である。図8に示されるドライバ回路7Cは、ドライバ回路7(図2)と比較して、ドライバ回路7Lに代えて、ドライバ回路7LCを含む点において相違する。ドライバ回路7LCは、1つのドライバ回路71だけを含む。このドライバ回路7LCのドライバ回路71は、ドライバ回路7Uのドライバ回路71及びドライバ回路72の両方の駆動能力の合計に応じた駆動能力を有してよい。回路構成から理解されるように、ドライバ回路7Uにおいてスイッチ731、スイッチ732をオン又はオフにするだけでも、書き込み電流Istoreの大きさを段階的に制御することができる。
【0059】
図9は、ドライバ回路の回路構成の例を示す図である。図9に示されるドライバ回路7Dは、ドライバ回路7(図2)と比較して、ドライバ回路7Uに代えて、ドライバ回路7UDを含む点において相違する。ドライバ回路7UDは、1つのドライバ回路71だけを含む。このドライバ回路7UDのドライバ回路71は、ドライバ回路7ULのドライバ回路71及びドライバ回路72の両方の駆動能力の合計に応じた駆動能力を有してよい。回路構成から理解されるように、ドライバ回路7Lにおいてスイッチ731、スイッチ732をオン又はオフにするだけでも、書き込み電流Istoreの大きさを段階的に制御することができる。
【0060】
3.効果の例
以上で説明した技術は、例えば次のように特定される。開示される技術の1つは、不揮発性記憶回路10である。図1及び図2等を参照して説明したように、不揮発性記憶回路10は、揮発性記憶領域2に書き込まれた情報に対応する電圧信号Vdatを保持するラッチ回路6と、ラッチ回路6によって保持された電圧信号Vdatに応じた不揮発性記憶素子8(例えばMTJ素子)の書き込み電流Istoreを駆動するドライバ回路7と、を備え、ドライバ回路7は、書き込み電流Istoreの大きさを変えることができるように構成される。例えば、不揮発性記憶回路10は、各々が不揮発性記憶素子8を挟んで互いに反対側に位置するように不揮発性記憶素子8に接続されたドライバ回路7U及びドライバ回路7Lを備える。
【0061】
上記の不揮発性記憶回路10によれば、ドライバ回路7は、書き込み電流Istoreの大きさを変えることができるように構成される。従って、書き込み電流Istoreが大きくなり過ぎるのを抑制することが可能になる。
【0062】
図2等を参照して説明したように、ドライバ回路7は、ドライバ回路71(第1のドライバ回路)と、ドライバ回路71に対して並列に設けられたドライバ回路72(第2のドライバ回路)と、ドライバ回路72をドライバ回路71に接続し、または、ドライバ回路72をドライバ回路71から切り離すスイッチ731、732と、を含んでよい。例えばこのようにして、書き込み電流Istoreの大きさを段階的に制御することができる。
【0063】
図1図4等を参照して説明したように、スイッチ731、732は、ドライバ回路71の駆動能力に応じた大きさの書き込み電流Istoreでは不揮発性記憶素子8に情報が正しく書き込まれなかった場合に、ドライバ回路72をドライバ回路71に接続してよい。例えば、不揮発性記憶回路10は、不揮発性記憶素子8に情報が正しく書き込まれたか否かを判断するベリファイ回路9を備え、スイッチ731、732は、ベリファイ回路9の判断結果に基づいて制御されてよい。これにより、できるだけ小さい書き込み電流Istoreで、不揮発性記憶素子8に情報を正しく書き込むことができる。
【0064】
図4等を参照して説明したように、ドライバ回路72がドライバ回路71に接続されたときの書き込み電流Istoreのパルス幅(時刻t3~時刻t4の期間)は、ドライバ回路72がドライバ回路71から切り離されたときの書き込み電流Istoreのパルス幅(時刻t1~時刻t2の期間)よりも大きくてよい。これにより、書き込み電流Istoreの電流量を大きくし、より確実に不揮発性記憶素子8に情報を正しく書き込むことができる。
【0065】
図5等を参照して説明したように、スイッチ731、732は、書き込み電流Istoreの大きさをゼロに近づける際に、ドライバ回路72をドライバ回路71から切り離してよい。これにより、書き込み電流Istoreを段階的に小さくすることができる。例えば書き込み電流Istoreを急激に小さくすることで生じ得る不揮発性記憶素子8の書込み結果の反転を防ぐことができる。
【0066】
図2等を参照して説明したように、ドライバ回路71及びドライバ回路72それぞれは、電源VDDとグラウンドGNDとの間に接続されたインバータ回路を含んでよい。例えばこのようなドライバ回路71及びドライバ回路72を用いて、書き込み電流Istoreを駆動することができる。
【0067】
図2等を参照して説明したように、ドライバ回路72は、電源VDDとグラウンドGNDとの間にカスケード接続されたトランジスタ721(P型FET)及びトランジスタ722(N型FET)を含み、スイッチ731は、ドライバ回路72のトランジスタ721と電源VDDとの間に接続されたP型FETであり、スイッチ732は、ドライバ回路72のトランジスタ722とグラウンドGNDとの間に接続されたN型FETであってよい。スイッチ731及びスイッチ732それぞれのゲートには、互いに反転された制御信号SBOOSTB及び制御信号SBOOSTが入力されてよい。例えばこのような構成及び制御信号を用いて、ドライバ回路72をドライバ回路71に接続したり、ドライバ回路72をドライバ回路71から切り離したりすることができる。
【0068】
図6等を参照して説明したように、ドライバ回路7は、各々がドライバ回路71に対して並列に設けられた複数のドライバ回路72を含み、スイッチ731、732は、複数のドライバ回路72それぞれに対して設けられてよい。これにより、書き込み電流Istoreの大きさをより細かく変えることができる。
【0069】
図7等を参照して説明したように、ドライバ回路7は、ドライバ回路71を電源VDD及びグラウンドGNDに接続し、または、ドライバ回路71を電源VDD及びグラウンドGNDから切り離すスイッチ741、742を含んでよい。これにより、例えば、ドライバ回路71に不要な電流が流れることを抑制し、消費電力を低減したり、動作を安定化させたりすることができる。
【0070】
なお、本開示に記載された効果は、あくまで例示であって、開示された内容に限定されない。他の効果があってもよい。
【0071】
先に述べたように、不揮発性記憶回路10に含まれるラッチ回路6及びベリファイ回路9には、種々の公知の回路構成が採用されてよい。一例について、図10を参照して説明する。
【0072】
4.不揮発性記憶回路の回路構成例
図10は、不揮発性記憶回路の回路構成の例を示す図である。例示される不揮発性記憶回路10Bは、ヘッダ型のSSR-NVFF(Split Store/Restore-Non-Volatile Flip-Flop)回路方式のNVDFF(Non-Volatile D Flip-Flop:不揮発性フリップフロップ)回路である。
【0073】
この例では、ドライバ回路として、2つのドライバ回路7UB及び1つのドライバ回路7LBが用いられ、また、2つの不揮発性記憶素子8が用いられる。各ドライバ回路7UBを区別できるように、ドライバ回路7UB-1及びドライバ回路7UB-2と称し図示する。各不揮発性記憶素子8を区別できるように、不揮発性記憶素子8-1及び不揮発性記憶素子8-2と称し図示する。不揮発性記憶回路10Bは、トランジスタ18と、トランジスタ19と、OR回路24とをさらに含む。トランジスタ18及びトランジスタ19は、N型FETである。ドライバ回路7LB用のストア制御信号SR2は、OR回路24に供給される。
【0074】
ラッチ回路6は、フリップフロップ回路であり、インバータ41と、伝送ゲート42と、マスターラッチ43と、伝送ゲート44と、スレーブラッチ45と、インバータ46とを含む。マスターラッチ43は、インバータ51と、インバータ52と、伝送ゲート53とを含む。スレーブラッチ45は、インバータ61と、インバータ62と、伝送ゲート63と、トランジスタ64とを含む。トランジスタ64は、N型FETである。スレーブラッチ45は、記憶ノードN11及び記憶ノードN12を有する。
【0075】
伝送ゲート42、伝送ゲート44、伝送ゲート53及び伝送ゲート63のオン・オフは、クロック信号C又は反転クロック信号CBに応じて切り替わる。クロック信号CBは、クロック信号Cの反転信号である。クロック信号Cの立ち下がり及び立ち上がりタイミングは、反転クロック信号CBの立ち上がり及び立ち下がりタイミングにそれぞれ対応する。クロック信号C及び反転クロック信号CBは、制御信号生成部3(図1)等によって生成されてよい。
【0076】
伝送ゲート42及び伝送ゲート63は、クロック信号Cの立ち下がりタイミングでオンになり、クロック信号Cの立ち上がりタイミングでオフになる。伝送ゲート53及び伝送ゲート44は、クロック信号Cの立ち下がりタイミングでオフになり、クロック信号Cの立ち上がりタイミングでオンになる。
【0077】
インバータ41の入力端は、ラッチ回路6の入力端(不揮発性記憶回路10Bの入力端)を構成する。インバータ41の出力端は、伝送ゲート42を介して、マスターラッチ43のインバータ51の入力端に接続される。インバータ51の出力端は、伝送ゲート44を介してスレーブラッチ45の記憶ノードN11に接続され、また、インバータ52の入力端に接続される。インバータ52の出力端は、伝送ゲート53を介して、インバータ51の入力端に接続される。
【0078】
スレーブラッチ45の記憶ノードN11及び記憶ノードN12は、揮発性記憶領域2(図1)に書き込まれた情報に対応する電圧信号のレベル(これまで説明した電圧信号Vdatに相当)を一時的に保持する。記憶ノードN11と記憶ノードN12の間には、インバータ61が接続される。記憶ノードN12には、インバータ46の入力端、インバータ62の入力端、及び、ドライバ回路7UB-2の入力端が接続される。インバータ46の出力端は、ラッチ回路6の出力端(不揮発性記憶回路10Bの出力端)を構成する。
【0079】
インバータ62の出力端は、伝送ゲート63を介して、記憶ノードN11に接続される。また、伝送ゲート63の両端には、トランジスタ64が接続される。トランジスタ64のゲートには、リストア制御信号SR1が供給される。
【0080】
ドライバ回路7UB-2には、先に説明したように、ストア制御信号SR2B、ストア制御信号SR2、制御信号SBOOSTB及び制御信号SBOOSTが供給される。ドライバ回路7UB-2の出力端は、ノードN14を介して、不揮発性記憶素子8-2に接続される。
【0081】
記憶ノードN11には、ドライバ回路7UB-1の入力端も接続される。ドライバ回路7UB-1にも、ドライバ回路7UB-2と同様に、ストア制御信号SR2B、ストア制御信号SR2、制御信号SBOOSTB及び制御信号SBOOSTが供給される。ドライバ回路7UB-1の出力端は、ノードN13を介して、不揮発性記憶素子8-1に接続される。
【0082】
不揮発性記憶素子8は、先に説明したようにMTJ素子であり、抵抗値が小さい状態と抵抗値が大きい状態との間で変化する。不揮発性記憶素子8-1は、ノードN13と制御線L11との間に接続される。不揮発性記憶素子8-2は、ノードN14と制御線L11との間に接続される。ノードN13は、ドライバ回路7UB-1の出力端に接続されるとともに、トランジスタ19を介して記憶ノードN12に接続される。ノードN14は、ドライバ回路7UB-2の出力端に接続されるとともに、トランジスタ18を介して記憶ノードN11に接続される。トランジスタ18及びトランジスタ19のゲートには、リストア制御信号SR1が供給される。
【0083】
制御線L11は、不揮発性記憶素子8とドライバ回路7LBの出力端との間に接続される。ドライバ回路7LBは、制御線L11の電圧レベルを制御する。ドライバ回路7LB用のストア制御信号SR2は、OR回路24に供給され、OR回路24の出力としてドライバ回路7LBに供給され得る。OR回路24の入力端には、リストア制御信号SR1、ストア制御信号SR2及びベリファイ制御信号SR3が供給される。ストア制御信号SR2と同様に、リストア制御信号SR1及びベリファイ制御信号SR3も、制御信号生成部3(図1)によって生成されてよい。
【0084】
不揮発性記憶回路10Bの動作概要を説明する。例えば、不揮発性記憶回路10Bは、アクティブモード、ストアモード、スリープモード及びリストアモードの順に切り替わる。
【0085】
アクティブモードでは、例えばPG用のパワースイッチがオンになる。リストア制御信号SR1は、Hレベルに設定される。トランジスタ18及びトランジスタ19は、オンになる。ストア制御信号SR2は、Lレベルに設定される。ドライバ回路7UB-1及びドライバ回路7UB-2のドライバ回路71は、電源VDD及びグラウンドGNDから切り離される。
【0086】
この状態で、インバータ41にLレベル又はHレベル(の電圧信号)が入力される。一例として、ここでは、Lレベルが入力されるものとする。インバータ41の出力は、Hレベルになる。このHレベルは、クロック信号Cの立ち下がりタイミング(伝送ゲート42がオンになるタイミング)で、インバータ51に入力される。
【0087】
続くクロック信号Cの立ち上がりタイミングでは、伝送ゲート53及び伝送ゲート44がオンになり、インバータ51及びインバータ52のループによって、インバータ51の出力がLレベルになる。このLレベルの電圧信号が、伝送ゲート44を介して、記憶ノードN11に供給される。記憶ノードN11に接続されたインバータ61の出力はHレベルになり、記憶ノードN12に接続されたインバータ46の出力はLレベルになる。
【0088】
その後のクロック信号Cの立ち下がりタイミングで、伝送ゲート53及び伝送ゲート44がオフになり、伝送ゲート42及び伝送ゲート63がオンになる。インバータ61及びインバータ62のループにより、記憶ノードN11には、Lレベルが保持(記憶)される。記憶ノードN12には、Hレベルが保持される。このようなスレーブラッチ45によるラッチが行われると、クロック信号Cのトグルが停止される。
【0089】
ストアモードでは、リストア制御信号SR1は、Lレベルに設定される。トランジスタ18及びトランジスタ19は、オフになる。ストア制御信号SR2は、Hレベルに設定される。ドライバ回路7UB-1及びドライバ回路7UB-2のドライバ回路71は、電源VDD及びグラウンドGNDに接続される。OR回路24の出力はHレベルになる。ドライバ回路7LBのドライバ回路71は、電源VDD及びグラウンドGNDに接続される。先に説明したように、1回目の書き込み時(ストア時)には、制御信号SBOOST及び制御信号CTRL1は、Lレベルに設定される。
【0090】
記憶ノードN11の状態がLレベルであるので、ドライバ回路7B-1の出力端、すなわちノードN13はHレベルとなる。記憶ノードN12の状態はHレベルであるので、ドライバ回路7UB-2の出力端、すなわちノードN14はLレベルとなる。
【0091】
このタイミングで、例えば制御信号CTRLがLレベルに設定される。ドライバ回路7LBの出力端、すなわち制御線L11がHレベルになる。
【0092】
制御線L11がHレベルでありノードN14がLレベルであるので、ドライバ回路7LB、制御線L11、不揮発性記憶素子8-2、ノードN14及びドライバ回路7UB-2をこの順に通る書き込み電流Istoreが流れる。ここでの書き込み電流Istoreは、不揮発性記憶素子8-2を抵抗値が小さい状態(Lレベルに対応)にするための電流であるものとする。書き込みが成功すれば、記憶ノードN12のHレベルが、反転されて不揮発性記憶素子8-2に書き込まれる。
【0093】
その後、制御信号CTRLが、LレベルからHレベルに切り替えられる。ドライバ回路7LBの出力端が接続された制御線L11は、Lレベルになる。
【0094】
制御線L11がLレベルでありノードN13がHレベルであるので、ドライバ回路7UB-1、ノードN13、不揮発性記憶素子8-1、制御線L11及びドライバ回路7LBを通る書き込み電流Istoreが流れる。ここでの書き込み電流Istoreは、不揮発性記憶素子8-1を抵抗値が大きい状態(Hレベルに対応)にする電流であるものとする。書き込みが成功すれば、記憶ノードN11に保持されているLレベルが反転されて不揮発性記憶素子8-1に書き込まれる。
【0095】
上述の1回目の書き込みが行われた後、ベリファイ回路9によるベリファイが行われる。図7に例示されるベリファイ回路9は、比較回路であり、インバータ251と、インバータ252と、トランジスタ253と、トランジスタ254と、XOR回路255とを含む。トランジスタ253及びトランジスタ254は、N型FETである。トランジスタ253のゲート及びトランジスタ254のゲートには、ベリファイ制御信号SR3が供給される。
【0096】
インバータ251の入力端は、トランジスタ253の一方の電流端子に接続される。インバータ251の出力端は、インバータ252の入力端、及び、トランジスタ254の一方の電流端子に接続される。
【0097】
インバータ252の出力端は、インバータ251の入力端に接続される。インバータ251及びインバータ252は、ラッチ回路を構成する。トランジスタ253の他方の電流端子は、ノードN14に接続される。トランジスタ254の他方の電流端子は、ノードN13に接続される。
【0098】
XOR回路255の一方の入力端は、インバータ251の出力端に接続され、他方の入力端は、記憶ノードN12に接続される。後述するように、XOR回路255は、不揮発性記憶素子8に書き込もうとしたレベルと、不揮発性記憶素子8に実際に書き込まれたレベルとが一致しない場合(不一致の場合)に、Hレベルを出力する。
【0099】
ベリファイ時は、リストア制御信号SR1は、Lレベルに設定される。トランジスタ18及びトランジスタ19は、オフになる。ストア制御信号SR2も、Lレベルに設定される。ドライバ回路7のドライバ回路71は、電源VDD及びグラウンドGNDから切り離される。ベリファイ制御信号SR3は、Hレベルに設定される。OR回路24の出力はHレベルになる。トランジスタ253及びトランジスタ254もオンになる。
【0100】
その後、トランジスタ253及びトランジスタ254がオフになるまで、インバータ251及びインバータ252のループにより、ノードN13及びノードN14のレベルが保持(記憶)される。XOR回路255の一方の入力端には、ノードN14のレベルが反転されて入力される。
【0101】
XOR回路255の他方の入力端には、記憶ノードN12に記憶されていたレベルが入力される。不揮発性記憶素子8への情報の書き込みが正しく行われていれば、記憶ノードN12のレベルは、ノードN14のレベルを反転させたレベルと一致し、XOR回路255の出力はLレベルとなる。書き込みが正しく行われていなければ、そのような一致が無く、XOR回路255の出力はHレベルになる。この比較部250の出力レベルに基づいて、不揮発性記憶素子8への情報の書き込みが正しく行われたか否かを判断することができる。比較部250の出力レベルを示す信号は、例えば制御信号生成部3(図1)に送られ、制御信号生成部3による制御信号の生成にフィードバックされる。
【0102】
不揮発性記憶素子8に情報が正しく書き込まれていなかった場合には、制御信号SBOOSTがHレベルに設定され、2回目の書き込みが行われる。改めてベリファイ回路9によるベリファイが行われる。不揮発性記憶素子8に情報が正しく書き込まれると、制御信号CTRLがLレベルに設定され、ストア動作が終了する。
【0103】
スリープモードでは、パワースイッチがオフになる。不揮発性記憶回路10Bへの供給電源が遮断され、インバータ46の出力端はLレベルになる。
【0104】
リストアモードでは、リストア制御信号SR1は、Hレベルに設定される。トランジスタ18及びトランジスタ19は、オンになる。ストア制御信号SR2はLレベルに設定される。ドライバ回路7UB-1及びドライバ回路7UB-2のドライバ回路71は、電源VDD及びグラウンドGNDから切り離される。OR回路24の出力はHレベルになり、ドライバ回路7LBのドライバ回路71は、電源VDD及びグラウンドGNDに接続される。制御信号CTRLは、Hレベルに設定される。制御線L11は、グランドに接続され、Lレベルになる。
【0105】
この状態でパワースイッチがオンされると、スレーブラッチ45側から不揮発性記憶素子8-1及び不揮発性記憶素子8-2を介して制御線L11に向かってリストア電流が流れる。具体的に、2つのリストア経路を通って、リストア電流が流れる。1つ目のリストア経路は、インバータ61から、トランジスタ19、ノードN13、不揮発性記憶素子8-1、制御線L11及びドライバ回路7LBを通る経路である。2つ目のリストア経路は、インバータ62から、伝送ゲート63、トランジスタ18、ノードN14、不揮発性記憶素子8-2、制御線L11及びドライバ回路7LBを通る経路である。
【0106】
各リストア経路でリストア電流が流れると、不揮発性記憶素子8-1及び不揮発性記憶素子8-2の電気抵抗の差により、ノードN13の電圧は、ノードN14の電圧よりも上昇する。ノードN13に接続されたトランジスタ19のコンダクタンスが大きく低下し、トランジスタ19を流れる電流が小さくなる。その結果、記憶ノードN12の電圧は、記憶ノードN11の電圧よりも高くなる。スレーブラッチ45内のインバータ61とインバータ62からなるループの正帰還により、記憶ノードN12はHレベルになり、記憶ノードN11はLレベルになる。すなわち、ストア時のレベルに復帰する。
【0107】
例えば上記のような回路構成を備えて動作する不揮発性記憶回路10Bを、半導体記憶装置1に実装して用いることができる。この場合の書き込み電流Istoreの段階的な制御の一例について、図11を参照して説明する。
【0108】
図11は、書き込み電流の段階制御の例を示すタイミングチャートである。図示されるようにドライバ回路7LBの制御信号CTRL0及び制御信号CTRL1を制御することで、不揮発性記憶素子8-2の書き込み電流Istore及び不揮発性記憶素子8-1の書き込み電流Istoreのいずれの大きさも、段階的に小さくしたり、段階的に大きくしたりすることができる。詳細な動作原理はこれまで説明したとおりであるので、説明は繰り返さない。
【0109】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示の技術的範囲は、上述の実施形態そのままに限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、異なる実施形態及び変形例にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0110】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
揮発性記憶領域に書き込まれた情報に対応する電圧信号を保持するラッチ回路と、
前記ラッチ回路によって保持された前記電圧信号に応じた不揮発性記憶素子の書き込み電流を駆動するドライバ回路と、
を備え、
前記ドライバ回路は、前記書き込み電流の大きさを変えることができるように構成される、
不揮発性記憶回路。
(2)
前記ドライバ回路は、
第1のドライバ回路と、
前記第1のドライバ回路に対して並列に設けられた第2のドライバ回路と、
前記第2のドライバ回路を前記第1のドライバ回路に接続し、または、前記第2のドライバ回路を前記第1のドライバ回路から切り離すスイッチと、
を含む、
(1)に記載の不揮発性記憶回路。
(3)
前記スイッチは、前記第1のドライバ回路の駆動能力に応じた大きさの前記書き込み電流では前記不揮発性記憶素子に前記情報が正しく書き込まれなかった場合に、前記第2のドライバ回路を前記第1のドライバ回路に接続する、
(2)に記載の不揮発性記憶回路。
(4)
前記不揮発性記憶素子に前記情報が正しく書き込まれたか否かを判断するベリファイ回路を備え、
前記スイッチは、前記ベリファイ回路の判断結果に基づいて制御される、
(2)又は(3)に記載の不揮発性記憶回路。
(5)
前記第2のドライバ回路が前記第1のドライバ回路に接続されたときの前記書き込み電流のパルス幅は、前記第2のドライバ回路が前記第1のドライバ回路から切り離されたときの前記書き込み電流のパルス幅よりも大きい、
(2)~(4)のいずれかに記載の不揮発性記憶回路。
(6)
前記スイッチは、前記書き込み電流の大きさをゼロに近づける際に、前記第2のドライバ回路を前記第1のドライバ回路から切り離す、
(2)~(5)のいずれかに記載の不揮発性記憶回路。
(7)
前記第1のドライバ回路及び前記第2のドライバ回路それぞれは、電源とグラウンドとの間に接続されたインバータ回路を含む、
(2)~(6)のいずれかに記載の不揮発性記憶回路。
(8)
前記第2のドライバ回路は、前記電源と前記グラウンドとの間にカスケード接続されたP型FET及びN型FETを含み、
前記スイッチは、
前記第2のドライバ回路の前記P型FETと前記電源との間に接続されたP型FETと、
前記第2のドライバ回路の前記N型FETと前記グラウンドとの間に接続されたN型FETと、
を含む、
(7)に記載の不揮発性記憶回路。
(9)
前記スイッチのP型FET及びN型FETそれぞれのゲートには、互いに反転された制御信号が入力される、
(8)に記載の不揮発性記憶回路。
(10)
前記ドライバ回路は、各々が前記第1のドライバ回路に対して並列に設けられた複数の前記第2のドライバ回路を含み、
前記スイッチは、前記複数の第2のドライバ回路それぞれに対して設けられる、
(2)~(9)のいずれかに記載の不揮発性記憶回路。
(11)
前記ドライバ回路は、前記第1のドライバ回路を電源及びグラウンドに接続し、または、前記第1のドライバ回路を前記電源及び前記グラウンドから切り離すスイッチを含む、
(2)~(10)のいずれかに記載の不揮発性記憶回路。
(12)
前記不揮発性記憶素子は、磁気トンネル接合素子を含む、
(1)~(11)のいずれかに記載の不揮発性記憶回路。
(13)
各々が前記不揮発性記憶素子を挟んで互いに反対側に位置するように前記不揮発性記憶素子に接続された2つの前記ドライバ回路を備える、
(1)~(12)のいずれかに記載の不揮発性記憶回路。
【符号の説明】
【0111】
1 半導体記憶装置
2 揮発性記憶領域
3 制御信号生成部
6 ラッチ回路
7 ドライバ回路
7U ドライバ回路
7L ドライバ回路
71 ドライバ回路(第1のドライバ回路)
711 トランジスタ
712 トランジスタ
72 ドライバ回路(第2のドライバ回路)
721 トランジスタ
722 トランジスタ
731 スイッチ
732 スイッチ
741 スイッチ
742 スイッチ
8 不揮発性記憶素子
9 ベリファイ回路
10 不揮発性記憶回路
VDD 電源
GND グラウンド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11