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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123396
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】面取り装置
(51)【国際特許分類】
   B23C 3/12 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
B23C3/12 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030781
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】721001890
【氏名又は名称】富永 佳道
(72)【発明者】
【氏名】富永 佳道
【テーマコード(参考)】
3C022
【Fターム(参考)】
3C022DD08
3C022DD11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】操作が簡単で、金属・樹脂等ワークの材質関係なく、ワークに傷をつけず、切削面に工具軌跡が残らず、二次カエリも生じない面取り機を提供する。
【解決手段】水平面を上面として有するテーブルと、テーブル上面に対して垂直な基準面を有する基準バーと、水平面に対して平行で、先端角がX°の刃(面取り用エンドミル)を有する刃物部を備え、基準バーは、上記テーブルの縁部よりも外側、かつ、テーブル上面よりも上に位置し、基準バーの長手方向は上記テーブルの縁部と平行になり、テーブルの縁部と向かい合う長手方向の側面が基準面であり、ワークが上記テーブル上面に置かれ、基準バーの基準面に押し当てられテーブル上面の縁部と基準バーの基準面下縁部から突出した上記ワークの稜線部を、基準バーの長手方向に刃物部をスライドさせ、刃物部に設置された刃(面取り用エンドミル)によって削り取ることを特徴とする面取り装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平面を上面として有するテーブルと、
テーブル上面に対して垂直な基準面を有する基準バーと、
水平面に対して平行な刃(面取り用エンドミル)を有する刃物部を備え、
基準バーは、上記テーブルの縁部よりも外側、かつ、テーブル上面よりも上に位置し、基準バーの長手方向は上記テーブルの縁部と平行になり、テーブルの縁部と向かい合う長手方向の側面が基準面であり、
ワークが上記テーブル上面に置かれ、基準バーの基準面に押し当てられテーブル上面の縁部と基準バーの基準面下縁部から突出した上記ワークの稜線部を、基準バーの長手方向に刃物部をスライドさせ、刃物部に設置された刃(面取り用エンドミル)によって削り取ることを特徴とする面取り装置。
【請求項2】
上記テーブルには、水平面に対してX°(30°以上60°以下)の刃の逃げ加工がなされていることを特徴とする請求項1又に記載の面取り装置。
【請求項3】
上記基準バーには、水平面に対してX°(30°以上60°以下)の刃の逃げ加工がなされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の面取り装置。
【請求項4】
上記刃物部は、
スライダー部、
スライダー部に設置されるスピンドルホルダー部、
スピンドルホルダー部に設置され刃(面取り用エンドミル)を有するスピンドル部、
を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の面取り装置。
【請求項5】
上記スライダー部は、設置されるスピンドルホルダー部を水平面に対して平行に保持し、かつ、その位置を垂直に上下移動させる往復移動手段を有することを特徴とする請求項4に記載の面取り装置。
【請求項6】
上記スピンドルホルダー部は、設置されるスピンドル部を水平面に対して平行に保持しつつ、前後移動させる往復移動手段を有することを特徴とする請求項4乃至請求項5に記載の面取り装置。
【請求項7】
上記スピンドル部は、設置される刃(面取り用エンドミル)を水平面に対して平行に保持する手段を有することを特徴とする請求項4乃至請求項6に記載の面取り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製または合成樹脂のブロックを面取り加工する面取り機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、金属製または合成樹脂のブロック(以下ワークという)は、フライス盤による切削、電動カッター等による切断などによって製造される。しかし、このようにして得られたワークは、稜線部分が先鋭化し、また、加工時に形成されたバリが残留しており、取扱上危険であるほか、後の工程の支障となる。そのため、通常は、稜線部分を削り、バリを取る面取り加工がおこなわれる。
【0003】
従来、面取り加工は、鉄工ヤスリを用いたヤスリ掛け、円柱状のヤスリを電動で回転させる電動ヤスリを用いたヤスリ掛け、旋削チップや面取りカッター等の刃物を用いたカッター式面取り機で行われるのが一般的である。
【0004】
また、エンドミルを刃物に用いたエンドミル式面取り機もある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6966129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
鉄工ヤスリ・電動ヤスリを用いたヤスリ掛けは技能を必要とするため、作業者によって加工精度にばらつきが生じてしまう。また、ヤスリ掛けによって、ワークの稜線部分に二次カエリが出る場合が多く、それを削る作業が追加で発生してしまう。以上の理由により、大量のワークを加工する場合、作業者の負担が大きく、時間もかかる。
【0007】
従来のカッター式面取り機では、固定された場所で旋削チップや面取りカッター等の刃物が回転し、そこへワークをスライドさせて面取りを行う。ワークをスライドさせるだけで面取りができるため、ヤスリ掛けよりも短時間で多くのワークを加工できる。しかし、ワークをスライドさせるため、ワークの稜線部に加わる力を一定にすることが難しい。その結果、面取り量にばらつきが発生しやすく、面取り面を綺麗にすることも難しい。また、ワークをスライドさせる際に、ワークにすり傷がついてしまう。
【0008】
エンドミル式面取り機(特許文献1)では、ワークを固定し、そこへモーターで回転させたX°に傾斜したエンドミルをスライドさせて面取りを行う。エンドミルをスライドさせるだけで面取りができるため、短時間で多くのワークを加工でき、かつ、ワークが固定されているため、ワークにすり傷もつかない。しかし、本来、傾けて使用することを前提としていないエンドミルを傾けて使用しているため、ワークに工具軌跡が残る。
【0009】
また、鉄工ヤスリ・電動ヤスリを用いたヤスリ掛け、従来のカッター式面取り機、エンドミル式面取り機(特許文献1)のいずれにおいても、ワークの稜線部をX°の傾斜で削る糸面取り・C面取りは可能だが、稜線部を丸めて削るR面取りはできない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は下記の構成となっている。
【0011】
請求項1に係る発明は、
水平面を上面として有するテーブルと、
テーブル上面に対して垂直な基準面を有する基準バーと、
水平面に対して平行な刃(面取り用エンドミル)を有する刃物部を備え、
基準バーは、上記テーブルの縁部よりも外側、かつ、テーブル上面よりも上に位置し、基準バーの長手方向は上記テーブルの縁部と平行になり、テーブルの縁部と向かい合う長手方向の側面が基準面であり、
ワークが上記テーブル上面に置かれ、基準バーの基準面に押し当てられテーブル上面の縁部と基準バーの基準面下縁部から突出した上記ワークの稜線部を、基準バーの長手方向に刃物部をスライドさせ、刃物部に設置された刃(面取り用エンドミル)によって削り取ることを特徴とする面取り装置に関する。
【0012】
請求項2に係る発明は、上記テーブルには、水平面に対してX°(30°以上60°以下)の刃の逃げ加工がなされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の面取り装置に関する。
【0013】
請求項3に係る発明は、上記基準バーには、水平面に対してX°(30°以上60°以下)の刃の逃げ加工がなされていることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の面取り装置に関する。
【0014】
請求項4に係る発明は、
上記刃物部は、
スライダー部、
スライダー部に設置されるスピンドルホルダー部、
スピンドルホルダー部に設置され刃(面取り用エンドミル)を有するスピンドル部、
を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の面取り装置に関する。
【0015】
請求項5に係る発明は、上記スライダー部は、設置されるスピンドルホルダー部を水平面に対して平行に保持し、かつ、その位置を垂直に上下移動させる往復移動手段を有することを特徴とする請求項5に記載の面取り装置に関する。
【0016】
請求項6に係る発明は、上記スピンドルホルダー部は、設置されるスピンドル部を水平面に対して平行に保持しつつ、前後移動させる往復移動手段を有することを特徴とする請求項5乃至請求項6に記載の面取り装置に関する。
【0017】
請求項7に係る発明は、上記スピンドル部は、設置される刃(面取り用エンドミル)を水平面に対して平行に保持する手段を有することを特徴とする請求項5乃至請求項7に記載の面取り装置に関する。
【0018】
基準バーの長手方向と平行に設置されるガイドレールがあり、上記刃物部は、このガイドレールに設置される。請求項5に係る発明に記しているように、スピンドルホルダー部の位置は上下方向に移動可能であり、また、請求項6に係る発明に記しているように、スピンドル部の位置は前後方向に移動可能である。両者を任意の位置で固定することで、面取り量の調整ができる。
【0019】
ワークを、ワークストッパーと基準バーの基準面に押し当てた状態でテーブルに置く。その際、ワークは手、または、エアシリンダなどで固定する。こうして、ワークをワークストッパーと基準面によって二面拘束する。そして、ガイドレールに設置された刃物部を、基準バーの長手方向にスライドさせ、テーブル上面の縁部と基準バーの基準面下縁部から突出したワーク稜線部の面取りを行う。
【発明の効果】
【0020】
従来の面取り機とは異なり、基準面を用いてワークを固定し、かつ、任意の位置で固定した刃物部をスライドさせて面取りを行うため、面取り量のばらつきが発生せず、面取り量の調整も正確かつ容易になる。そして、ワークではなく刃(面取り用エンドミル)をスライドさせるため、面取りの際にワークに擦り傷がつかない。また、作業が単純で特別な技能を必要としないため、作業者による面取り精度のばらつきが発生せず、短時間で多数のワークの面取りが可能となる。
【0021】
モーターで回転させた刃(面取り用エンドミル)で面取りを行うが、刃(面取り用エンドミル)を水平面に対して平行に保持するため、通常の面取り用エンドミルとR面取り用エンドミルの2種類が使用できる。通常の面取り用エンドミルを使用した場合、面取り用の面取り刃で切削するため、面取りの際にワークに工具軌跡が残らず、かつ、二次カエリの出ない綺麗な面取りができる。R面取り用エンドミルを使用した場合、鉄工ヤスリ・電動ヤスリを用いたヤスリ掛け、従来のカッター式面取り機、エンドミル式面取り機(特許文献1)ではできなかったR面取りが可能となる。また、両エンドミル共に市販のエンドミルを使用するため、鉄・ステンレス・アルミ・樹脂等の各材質に合わせたエンドミルが選択可能となり、材質関係なく面取りができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明で使用する面取り用エンドミルの側面図
図2】本発明の面取り装置の等角図
図3】本発明の面取り装置の正面図
図4図2のY-Y’線の断面図
図5】本発明の面取り装置の側面図
図6】基準バーの等角図(5_1), 平面図(5_2), 正面図(5_3), 側面図(5_4)
図7】基準バー・支柱・スペーサーの関係図(側面視)
図8】刃物部の等角図(モーターと刃を除く)
図9】スピンドルホルダー部を上下方向にスライドさせたときの等角図
図10】スピンドル部を前後方向にスライドさせたときの等角図
図11】テーブル・ワーク・基準バー・刃の関係図 (側面視)
図12】刃を上下方向・前後方向にスライドさせたときの刃物部の等角図
図13】ワーク・刃の関係図(等角視)
図14】テーブル・ワーク・基準バー・刃の関係図_ R面取り用エンドミル (側面視)
図15】ワーク・刃の関係図_ R面取り用エンドミル(等角視)
図16】テーブル・基準バー・ワークの関係図(側面視)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の面取り機の形態を説明する。
【0024】
本発明の面取り機では、面取り用エンドミルに、図1で示した通常の面取り用エンドミル(13)、または、R面取り用エンドミル(17)を用いる。以下においては、通常の面取り用エンドミル(13)を用いた場合を説明する。また、図1で示しているように、通常の面取り用エンドミル(13)の面取り刃(13a)にはX°の傾斜(図面では45°)がついている。
【0025】
図2図3図4を参照し、基盤(1)・テーブル支持板(2)・テーブル(3)・ワークストッパー(4)の形態を説明する。図2で示しているように、基盤(1)の上に、2枚のテーブル支持板(2)に支えられたテーブル(3)があり、そのテーブル(3)には、ワークストッパー(4)が設置されている。図3で示しているように、ワークストッパー(4)は、テーブル(3)の上面に垂直になる。図4で示しているように、テーブル(3)は、水平面を上面(3a)・底面(3c)として有し、かつ、縁部には水平面に対して、面取り用エンドミルの切削部(13a)の傾斜角X°(図面では45°)と同じX°の傾斜(図面では45°)で刃の逃げ(3b)加工がなされている。
【0026】
X°は45°が最も好ましいが、45°に限定されない。X°の最小値としては30°が好ましく、40°がさらに好ましく、最大値としては60°が好ましく、50°がさらに好ましい。
【0027】
図5図2図4図6を参照し、基準バー(5)の形態を説明する。図5で示しているように、基準バー(5)は、テーブル(3)の縁部よりも外側、かつ、テーブル(3)の上面よりも上に位置になるように、2本の支柱(6)に支えられて設置されている。図2で示しているように、基準バー(5)の長手方向はテーブル(3)の縁部と平行になる。図4で示しているように、テーブル(3)の縁部と向かい合う長手方向の側面が基準面(5a)となり、その基準面(5a)は、テーブル上面(3a)に対して垂直になる。また、図4図6の5_1(一部切り欠き等角図)で示しているように、基準バー(5)には、水平面に対して、面取り用エンドミルの切削部(13a)の傾斜角X°(図面では45°)と同じX°の傾斜(図面では45°)で刃の逃げ(5b)加工がなされている。
【0028】
図7を参照し、支柱(6)の形態を説明する。支柱(6)にはスペーサー用座ぐり(6a)加工がなされており、厚みの異なるスペーサー(15)を設置することで、基準バー(5)とテーブル上面(3a)の隙間の高さを変えることが可能となる。スペーサー(15)を薄くして基準バー(5)を下げると上記の隙間が小さくなり(16a)、薄いワークの面取りが可能となる。逆に、スペーサー(15)を厚くして基準バー(5)を上げると上記の隙間が大きくなり(16b)、ワーク稜線部(14a)の面積が大きいワークでも面取りが可能となる。
【0029】
図2を参照し、カイドレール(7)・刃物部(18)の形態を説明する。基盤(1)の上に、基準バー(5)の長手方向と平行、かつ、水平面と垂直になるようにカイドレール(7)が設置されており、ガイドレール(7)には、刃物部(18)が設置されている。刃物部(18)は、カイドレール(7)に案内されてA方向にスライドする。
【0030】
図8を参照し、刃物部(18)の形態を説明する。
刃物部(18)は、
スライダー部(8)、
スライダー部(8)に設置されるスピンドルホルダー部(9)、
スピンドルホルダー部(9)に設置されるスピンドル部(10)を備えている。
【0031】
スライダー部(8)はガイドレール(7)に設置される。
【0032】
図9を参照し、スライダー部(8)の形態を説明する。図9で示しているように、スライダー部(8)には、スピンドルホルダー部をB方向にスライドさせるためのスピンドルホルダー上下用ツマミ(11)が設置されている。
【0033】
図8図9を参照し、スライダー部(8)とスピンドルホルダー部(9)の形態を説明する。図8で示しているように、スピンドルホルダー部(9)は、スライダー部(8)に設置されている。そして、図9で示しているように、スピンドルホルダー上下用ツマミ(11)を回すと、スピンドルホルダー部(9)がB方向にスライドする。
【0034】
図8図10を参照し、スピンドルホルダー部(9)とスピンドル部(10)の形態を説明する。図8で示しているように、スピンドルホルダー部(9)とスピンドル部(10)は、アリ溝によるはめあい加工がなされている。そして、図10で示しているように、スピンドル部スライド用ツマミ(12)を回すと、スピンドル部(10)がC方向にスライドする。
【0035】
図11図12を参照し、刃_切削部(13a)の位置変更について説明する。図11で示しているように、スピンドルホルダー部(9)のB方向へのスライドとスピンドル部(10)のC方向へのスライドによって、刃_切削部(13a)を任意の位置に変更することが可能になる。それによって、面取り量の調整が可能になり、かつ、現在の刃_切削部(13a)の切れ味が悪くなっても、別の個所(13b,13c)を刃_切削部にできるため、刃の交換期間が長くなり、経済的な負担を軽くできる。また、スピンドルホルダー部(9)のB方向へのスライドと、スピンドル部(10)のC方向へのスライドを両方行った場合、刃物部(18)は図12で示した形態となる。
【0036】
図5図4図11図13を参照し、スピンドル部(10)の形態を説明する。図5で示しているように、スピンドル部(10)は、刃(面取り用エンドミル)(13)とモーター(10a)を保持しており、そのモーター(10a)によって刃(面取り用エンドミル)(13)を回転させる。刃(面取り用エンドミル)(13)は、特注の刃ではなく市販の面取り用エンドミルを使用する。面取り用エンドミルを使用することで、図4図11図13で示しているように、X°に傾斜(図面では45°)した刃_切削部(13a)でワーク稜線部(14a)を削り取ることができるため、ワークに工具軌跡が残らず、かつ、二次カエリの発生しない、きれいな面取りが可能となる。さらに、市販の面取り用エンドミルを使用することで、ワーク(14)の材質に合わせて最適な刃を選択できるようになり、鉄・ステンレス・アルミ・樹脂など様々な材質の面取りが可能となると共に、経済的な負担も軽くできる。
【0037】
図4を参照し、テーブル_刃の逃げ(3b)・基準バー_刃の逃げ(5b)・刃(面取り用エンドミル)(13)の形態を説明する。テーブル_刃の逃げ(3b)・基準バー_刃の逃げ(5b)・刃(面取り用エンドミル)(13)の刃_切削部(13a)は、テーブル底面(3c)に対してX°の傾斜(図面では45°)になる。スピンドルホルダー上下用ツマミ(11)を回すと、スピンドルホルダー部(10)はB方向にスライドするが、水平面に対して垂直にスライドするため、X°の傾斜(図面では45°)は保持される。スピンドル部スライド用ツマミ(12)を回すと、スピンドル部はC方向にスライドするが、水平面に対して平行にスライドするため、X°の傾斜(図面では45°)は保持される。また、テーブル_刃の逃げ(3b)と基準バー_刃の逃げ(5b)の傾斜角を、刃(面取り用エンドミル)(13)の刃_切削部(13a)の傾斜角と同じX°(図面では45°)にすることによって、刃_切削部(13a)を、テーブル_刃の逃げ(3b)と基準バー_刃の逃げ(5b)のぎりぎりまで移動させることを可能としている。そして、それによって、ワーク稜線部(14a)の面積が小さな薄いワーク(14)であっても、面取りすることが可能となる。
【0038】
図14図15を参照し、R面取り用エンドミルを刃とした場合の形態を説明する。図14で示しているように、テーブル_刃の逃げ(3b)と基準バー_刃の逃げ(5b)の傾斜角(図面では45°)をつけることによって、刃(R面取り用エンドミル)(17)の刃(R面取り用エンドミル)_切削部(17a)をワーク稜線部(14a)に当てることが可能となっている。そして、それによって、図14図15で示しているように、刃(R面取り用エンドミル)_切削部(17a)でワーク稜線部(14a)を削り取りR面取りを実現している。
【0039】
図4に示しているように、本発明の面取り機は刃(面取り用エンドミル)を水平面に対して平行に保持する。そのため、刃をX°(30°以上60°以下)の傾斜角で保持するエンドミル式面取り機(特許文献1)と比較し、面取り機を製造する際に、傾斜角をつける加工が不要となるため、製造工程の簡略化と短縮化が可能となる。
【実施例0040】
ワーク(14)をワークストッパー(4)と基準バーの基準面(5a)に押し当てた状態でテーブル上面(3a)に置く。その際、ワーク(14)は手、または、エアシリンダなどで固定する。このとき、図16で示しているように、テーブル上面(3a)の縁部と基準バーの基準面(5a)下縁部の隙間からワーク稜線部(14a)が突き出る形になる。ワーク(14)を基準面(5a)に押し当てて固定することによって、面取り量のばらつきをなくし、面取り量の調整も正確かつ容易にできるようにしている。
【0041】
ガイドレール(7)に設置された刃物部(18)をA方向(図2)にスライドさせて面取りを行うが、刃(面取り用エンドミル)(13,17)とワーク(14)の関係は図11図14で示したようになる。刃(面取り用エンドミル)(13,17)の刃_切削部(13a,17a)がワーク稜線部(14a)に当たり面取りを行っていく。
【符号の説明】
【0042】
1 基盤
2 テーブル支持板
3 テーブル
3a テーブル上面
3b テーブル_刃の逃げ
3c テーブル底面
4 ワークストッパー
5 基準バー
5a 基準バー_基準面
5b 基準バー_刃の逃げ
6 支柱
6a 支柱_スペーサー用座ぐり
7 ガイドレール
8 スライダー部
9 スピンドルホルダー部
10 スピンドル部
10a モーター
11 スピンドルホルダー上下用ツマミ
12 スピンドル部スライド用ツマミ
13 刃(面取り用エンドミル_通常用)
13a 刃_切削部
13b 刃_切削部(予備)
13c 刃_切削部(予備)
14 ワーク
14a ワーク稜線部
15 スペーサー
16a 基準バー(5)とテーブル上面(3a)の隙間
16b 基準バー(5)とテーブル上面(3a)の隙間
17 刃(R面取り用エンドミル)
17a 刃(R面取り用エンドミル)_切削部
18 刃物部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16