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特開2024-123404媒体排出装置、及び媒体排出装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123404
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】媒体排出装置、及び媒体排出装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/36 20060101AFI20240905BHJP
   B65H 31/10 20060101ALI20240905BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B65H31/36
B65H31/10
B41J2/01 305
B41J2/01 401
B41J2/01 451
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030798
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 宏文
【テーマコード(参考)】
2C056
3F054
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EB13
2C056EB35
2C056EB45
2C056EB46
2C056EB58
2C056EC12
2C056EC35
2C056FA13
2C056HA28
2C056HA29
3F054AA01
3F054AC01
3F054BA02
3F054BB12
3F054BD02
3F054BE03
3F054BE04
3F054BE08
3F054BE09
3F054CA03
(57)【要約】
【課題】規制部の退避位置を適切な位置に決定することが可能な媒体排出装置、及び媒体排出装置の制御方法を提供する。
【解決手段】印刷装置2によってインクが吐出された媒体Mが積載される積載台41と、積載台41に排出された媒体Mの位置を規制する規制位置と、規制位置から退避した退避位置との間を移動可能な規制部42,44と、規制部42,44の移動を制御する第2制御部45と、を備え、第2制御部45は、印刷装置2で媒体Mに吐出されたインクの吐出量に基づいて、退避位置を決定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体吐出装置によって液体が吐出された媒体が積載される積載台と、
前記積載台に排出された前記媒体の位置を規制する規制位置と、前記規制位置から退避した退避位置との間を移動可能な規制部と、
前記規制部の移動を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記液体吐出装置で前記媒体に吐出された前記液体の吐出量に基づいて、前記退避位置を決定することを特徴とする媒体排出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の媒体排出装置であって、
前記制御部は、前記媒体に吐出された前記液体の吐出量が第1吐出量である場合には、前記規制位置と前記退避位置との距離を第1距離とし、前記液体の吐出量が前記第1吐出量よりも多い第2吐出量である場合には、前記規制位置と前記退避位置との距離を、前記第1距離よりも短い第2距離とすることを特徴とする媒体排出装置。
【請求項3】
媒体が積載される積載台と、
前記積載台に排出された前記媒体の位置を規制する規制位置と、前記規制位置から退避した退避位置との間を移動可能な規制部と、
前記規制部の移動を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記積載台に排出される前記媒体の排出速度に基づいて、前記退避位置を決定することを特徴とする媒体排出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の媒体排出装置であって、
前記制御部は、前記排出速度が第1速度である場合には、前記規制位置と前記退避位置との距離を第3距離とし、前記排出速度が前記第1速度よりも遅い第2速度である場合には、前記規制位置と前記退避位置との距離を、前記第3距離よりも短い第4距離とすることを特徴とする媒体排出装置。
【請求項5】
請求項1又は3に記載の媒体排出装置であって、
前記制御部は、前記媒体の種類に基づいて、前記退避位置を決定することを特徴とする媒体排出装置。
【請求項6】
請求項1に記載の媒体排出装置であって、
前記制御部は、前記媒体の第1面に対する前記液体の吐出量と、前記第1面の反対面である第2面に対する前記液体の吐出量との差に基づいて、前記退避位置を決定することを特徴とする媒体排出装置。
【請求項7】
請求項6に記載の媒体排出装置であって、
前記第1面は、前記積載台上において上方を向く面であり、
前記第2面は、前記積載台上において下方を向く面であり、
前記制御部は、前記第2面に対する吐出量が前記第1面に対する吐出量より多い場合には、前記第2面に対する吐出量が前記第1面に対する吐出量以下の場合よりも、前記規制位置と前記退避位置との距離を長くすることを特徴とする媒体排出装置。
【請求項8】
請求項1に記載の媒体排出装置であって、
前記制御部は、前記媒体における前記液体の吐出量の分布に基づいて、前記退避位置を決定することを特徴とする媒体排出装置。
【請求項9】
請求項1又は3に記載の媒体排出装置であって、
前記規制部は、前記積載台上において、前記媒体が積載される位置よりも、前記媒体が排出される排出方向に配置されることを特徴とする媒体排出装置。
【請求項10】
請求項1又は3に記載の媒体排出装置であって、
前記規制部は、前記積載台上において、前記媒体が積載される位置よりも、前記媒体が排出される排出方向に直交する方向に配置されることを特徴とする媒体排出装置。
【請求項11】
請求項3に記載の媒体排出装置であって、
前記制御部は、前記媒体の前記排出速度に基づいて、前記規制部を前記退避位置から前記規制位置に移動させる規制頻度を決定することを特徴とする媒体排出装置。
【請求項12】
請求項11に記載の媒体排出装置であって、
前記制御部は、前記排出速度が第1速度である場合には、前記規制頻度を第1頻度とし、前記排出速度が前記第1速度よりも速い第2速度である場合には、前記規制頻度を、
前記第1頻度よりも頻度が低い第2頻度とすることを特徴とする媒体排出装置。
【請求項13】
液体吐出装置によって液体が吐出された媒体が積載される積載台と、
前記積載台に排出された前記媒体の位置を規制する規制位置と、前記規制位置から退避した退避位置との間を移動可能な規制部と、を備える媒体排出装置の制御方法であって、
前記液体吐出装置で前記媒体に吐出された前記液体の吐出量に基づいて、前記退避位置を決定する工程を備えることを特徴とする媒体排出装置の制御方法。
【請求項14】
媒体が積載される積載台と、
前記積載台に排出された前記媒体の位置を規制する規制位置と、前記規制位置から退避した退避位置との間を移動可能な規制部と、を備える媒体排出装置の制御方法であって、
前記積載台に排出される前記媒体の排出速度に基づいて、前記退避位置を決定する工程を備えることを特徴とする媒体排出装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体を排出する媒体排出装置、及び媒体排出装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、印刷装置等から排出された用紙等の媒体が積載される媒体排出装置が記載されている。この排出装置には、排出された媒体の端部に当接して、媒体の位置を規制する規制部が設けられている。規制部は、モーター等からなる駆動部の駆動によって、媒体を規制する規制位置と、この規制位置から外側に退避した退避位置との間で移動可能になっている。規制部は、媒体排出装置に媒体が排出される際には退避位置に位置しており、媒体が排出された後に規制位置に移動する。そして、媒体が排出されるたびに、上記の動作が繰り返される。
【0003】
規制位置と退避位置との距離を長くして規制部の移動量を大きくした場合や、規制を行う頻度が高い場合には、駆動部からの発熱や騒音が増大してしまう。このため、特許文献1に記載の媒体排出装置では、媒体の厚さに基づいて、規制部の移動量や規制頻度を調整している。例えば、媒体が厚紙である場合には、薄紙に比べて排出時に飛び出しやすいことから、規制部の移動量を大きくする一方で、媒体が薄紙である場合には、規制部の移動量を小さくしている。また、規制部の移動量を大きくした場合には、その代わりに規制頻度を下げることによって駆動部の発熱や騒音を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-35870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、排出時における媒体の飛び出しやすさ、即ち媒体のずれやすさは、媒体の厚さ以外の要因によっても左右され得る。このため、媒体の厚さのみによって規制部の移動量を定める構成では、退避位置が規制位置に近すぎて、排出された媒体が規制部に乗り上げてしまったり、退避位置を規制位置から遠ざけすぎて、規制部の移動量を無駄に大きくしてしまったりする恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
媒体排出装置は、液体吐出装置によって液体が吐出された媒体が積載される積載台と、前記積載台に排出された前記媒体の位置を規制する規制位置と、前記規制位置から退避した退避位置との間を移動可能な規制部と、前記規制部の移動を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記液体吐出装置で前記媒体に吐出された前記液体の吐出量に基づいて、前記退避位置を決定する。
【0007】
媒体排出装置は、媒体が積載される積載台と、前記積載台に排出された前記媒体の位置を規制する規制位置と、前記規制位置から退避した退避位置との間を移動可能な規制部と、前記規制部の移動を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記積載台に排出される前記媒体の排出速度に基づいて、前記退避位置を決定する。
【0008】
媒体排出装置の制御方法は、液体吐出装置によって液体が吐出された媒体が積載される積載台と、前記積載台に排出された前記媒体の位置を規制する規制位置と、前記規制位置から退避した退避位置との間を移動可能な規制部と、を備える媒体排出装置の制御方法であって、前記液体吐出装置で前記媒体に吐出された前記液体の吐出量に基づいて、前記退避位置を決定する工程を備える。
【0009】
媒体排出装置の制御方法は、媒体が積載される積載台と、前記積載台に排出された前記媒体の位置を規制する規制位置と、前記規制位置から退避した退避位置との間を移動可能な規制部と、を備える媒体排出装置の制御方法であって、前記積載台に排出される前記媒体の排出速度に基づいて、前記退避位置を決定する工程を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】印刷システムの概略構成を示す構成図。
図2】媒体排出装置の内部を上方から見た平面図。
図3】印刷システムの回路構成を示すブロック図。
図4】第1実施形態に係る印刷装置の動作を説明するためのフローチャート。
図5】第1実施形態に係る媒体排出装置の動作を説明するためのフローチャート。
図6】第2実施形態に係る媒体排出装置の動作を説明するためのフローチャート。
図7A】媒体の湾曲を説明するための説明図。
図7B】媒体の湾曲を説明するための説明図。
図8】第3実施形態に係る印刷装置の動作を説明するためのフローチャート。
図9】第3実施形態に係る媒体排出装置の動作を説明するためのフローチャート。
図10】第4実施形態に係る媒体排出装置の動作を説明するためのフローチャート。
図11】デューティーの分布に基づく制御を説明するための説明図。
図12】デューティーの分布に基づく制御を説明するための説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.第1実施形態
以下、第1実施形態に係る印刷システム1について、図面を参照して説明する。
図1は、印刷システム1の概略構成を示す構成図である。印刷システム1は、印刷用紙に代表される媒体Mに対し、液体の一例であるインクを吐出することで印刷を行うシステムである。
【0012】
各図には、互いに交差するX軸、Y軸及びZ軸が示されている。典型的には、X軸、Y軸及びZ軸は、互いに直交する。X軸は、印刷システム1の設置面に平行であり、印刷システム1の幅方向に対応する。Y軸は、印刷システム1の設置面に平行であり、印刷システム1の奥行き方向に対応する。Z軸は、印刷システム1の設置面に垂直であり、印刷システム1の高さ方向に対応する。
【0013】
X軸に平行な+X方向は、印刷システム1の正面に向かって左に向かう方向であり、X軸に平行な-X方向は、+X方向の反対の方向である。Y軸に平行な+Y方向は、印刷システム1の正面から背面に向かう方向であり、Y軸に平行な-Y方向は、+Y方向の反対の方向である。Z軸に平行な+Z方向は、上方に向かう方向であり、Z軸に平行な-Z方向は、+Z方向の反対の方向である。
【0014】
印刷システム1は、+X方向に向かって順に、印刷装置2と、中継装置3と、媒体排出装置4とを有する。印刷装置2、中継装置3、及び媒体排出装置4は、互いに機械的及び電気的に接続されており、印刷システム1は、印刷装置2から媒体排出装置4まで媒体Mを搬送可能に構成されている。
【0015】
印刷システム1には、操作者によって操作される不図示の操作パネルが設けられている。この操作パネルは、印刷装置2、中継装置3、及び媒体排出装置4における各種の設定を入力可能に構成されている。
【0016】
印刷装置2は、液体吐出装置の一例であり、端末装置50(図3参照)等から送信される印刷データに基づく画像を、搬送される媒体Mにインクジェット方式で印刷する。媒体Mは、例えば、シート状に形成された用紙である。印刷装置2は、印刷部10と、スキャナー部12と、カセット収容部14とを備える。
【0017】
印刷部10は、印刷ヘッド20と、第1制御部22とを含み、媒体Mに対する印刷を実行する。印刷ヘッド20は、第1制御部22の制御に基づいて、媒体Mにインクを吐出する。具体的には、印刷ヘッド20には、インクを吐出可能な複数のノズルが形成されており、印刷ヘッド20がこれらのノズルから選択的にインクを吐出することにより、媒体M上に複数のドットからなる画像が形成される。本実施形態の印刷ヘッド20は、媒体Mの幅方向である±Y方向に移動することなく媒体Mの幅方向の略全域に渡ってインクを吐出可能なラインヘッドである。
【0018】
第1制御部22は、CPU(Central Processing Unit)等の図示しないプロセッサーと、メモリー等の図示しない記憶装置と、各種インターフェイスとを含み、印刷装置2の各種動作を制御する。また、第1制御部22は、印刷システム1の全体の動作を制御する。即ち第1制御部22は、中継装置3及び媒体排出装置4の動作も制御する。
【0019】
スキャナー部12は、印刷装置2の上部に配置されており、セットされた原稿を光学的に読み取って画像データを生成し、生成した画像データを第1制御部22のメモリーに記憶する。スキャナー部12は、原稿台に載置された原稿を読み取るフラットベッドタイプであってもよいし、搬送される原稿を読み取るADF(Auto Document Feeder)であってもよいし、それらの両方を備えていても良い。
【0020】
カセット収容部14は、複数の収容カセット24を有する。複数の収容カセット24には、種類が異なる媒体Mがそれぞれに収容されてもよいし、同種の媒体Mが収容されてもよい。媒体Mの種類としては、サイズの違い、厚さの違い、或いは素材の違い等が想定される。
【0021】
印刷部10及びカセット収容部14には、媒体Mが搬送される搬送経路15が形成されている。搬送経路15の途中には、図示しない複数のローラー対が配置されている。媒体Mは、後述する搬送駆動部26(図3参照)の駆動により、搬送経路15に沿って搬送される。搬送経路15は、例えば、給紙経路16、排出経路17、反転経路18及び送出経路19を有する。
【0022】
給紙経路16は、カセット収容部14から印刷ヘッド20へ媒体Mを搬送する経路であり、排出経路17は、印刷ヘッド20で印刷がなされた媒体Mを、印刷装置2に設けられた排出部28に搬送する経路である。また、反転経路18は、媒体Mに対して両面印刷を行う場合に、印刷ヘッド20によって片面が印刷された媒体Mの表裏を反転させて、再び印刷ヘッド20へ搬送する経路である。送出経路19は、印刷ヘッド20で印刷がなされた媒体Mを、媒体排出装置4に排出するために中継装置3に送出する経路である。印刷後の媒体Mを、排出部28に排出するか、媒体排出装置4に排出するかの選択は、ユーザーによってなされ、印刷データに付加される。つまり、第1制御部22は、入力される印刷データに基づいて搬送経路15を切り替える。
【0023】
中継装置3は、印刷装置2と媒体排出装置4との間に配置され、送出経路19から受け渡される印刷後の媒体Mを受入経路30で受け入れ、媒体排出装置4に搬送する。
【0024】
中継装置3には、媒体Mの経路が2つ設けられている。1つ目の経路は、受入経路30から第1スイッチバック経路31を経て、排出経路33に至る経路である。2つ目の経路は、受入経路30から第2スイッチバック経路32を経て、排出経路33に至る経路である。これらの経路の途中には、図示しない複数のローラー対が配置されている。
【0025】
第1スイッチバック経路31は、矢印A1方向に媒体Mを受け入れた後、矢印A2方向に媒体Mをスイッチバックさせる経路である。第2スイッチバック経路32は矢印B1方向に媒体Mを受け入れた後、矢印B2方向に媒体Mをスイッチバックさせる経路である。
【0026】
受入経路30は、分岐部34において第1スイッチバック経路31と第2スイッチバック経路32とに分岐する。また、第1スイッチバック経路31と第2スイッチバック経路32は、合流部35において合流する。このため、媒体Mは、受入経路30からいずれの経路に送られても、共通の排出経路33から媒体排出装置4に受け渡される。
【0027】
印刷装置2が複数の媒体Mに連続して印刷を行う場合、印刷装置2から中継装置3に送られた複数の媒体Mは、第1スイッチバック経路31を通る経路と、第2スイッチバック経路32を通る経路とに交互に送られる。このことによって、中継装置3における媒体搬送のスループットを高めることができる。
【0028】
なお、印刷システム1は、中継装置3を省略した構成とすることも可能である。つまり、印刷装置2と媒体排出装置4とを接続し、印刷装置2における印刷後の媒体Mを、中継装置3を介さずに直接媒体排出装置4に送る構成とすることができる。
【0029】
本実施形態のように、印刷装置2における印刷後の媒体Mが中継装置3を経由して媒体排出装置4に送られる構成は、印刷装置2における印刷後の媒体Mが中継装置3を経由せずに媒体排出装置4に送られる構成と比べて、媒体Mの搬送距離や媒体Mの搬送時間が長くなるので、媒体排出装置4に送られる媒体Mに吸収されるインクをより乾燥させることができる。このため、中継装置3は、媒体Mに吸収されるインクを乾燥させる役割を有する。
【0030】
排出経路33において、媒体Mは、略+Z方向に搬送された後、中継装置3から+X方向に排出され、媒体排出装置4に受け入れられる。つまり、媒体排出装置4に排出される媒体Mの排出方向は、+X方向である。
【0031】
図2は、媒体排出装置4の内部を上方から見た平面図である。
図1及び図2に示すように、媒体排出装置4は、積載台41と、側端規制部42,43と、後端規制部44と、第2制御部45と、台車46とを備える。上述したように、媒体排出装置4には、印刷装置2で印刷がなされた媒体M、即ち印刷装置2によってインクが吐出された媒体Mが中継装置3を経由して排出される。
【0032】
媒体排出装置4に排出された媒体Mは、中継装置3から媒体排出装置4内に+X方向に進入する。そして、積載台41上に着地して、積載台41上に積載される。積載台41は、後述する昇降駆動部47(図3参照)の駆動によって±Z方向に昇降可能であり、積載される媒体Mの枚数の増加に合わせて下降する。積載台41の下方、即ち-Z方向には、設置面の近傍に台車46が配置されている。積載台41上に積載された媒体Mが媒体排出装置4から取り出される際に、積載台41は、昇降駆動部47により下降されて台車46上に載置される。そして、媒体Mは、積載台41とともに台車46によって媒体排出装置4から取り出される。なお、台車46は、必須の構成ではない。また、積載台41は、昇降不能な構成であってもよい。
【0033】
図2に示すように、積載台41上には、側端規制部42,43及び後端規制部44が配置されている。側端規制部42,43は、XZ平面に略平行な板状部材であり、媒体Mの排出方向、即ち媒体Mが排出される方向である+X方向に沿って配置されている。側端規制部42は、積載台41上に積載された媒体Mの-Y側に配置され、側端規制部43は、積載台41上に積載された媒体Mの+Y側に配置される。つまり、側端規制部42,43は、積載台41上において、媒体Mが積載される位置よりも、媒体Mが排出される排出方向に直交する方向に配置される。
【0034】
後端規制部44は、YZ平面に略平行な板状部材であり、媒体Mの排出方向である+X方向に直交する±Y方向に沿って配置されている。後端規制部44は、積載台41に積載された媒体Mよりも、排出方向の下流側である+X側に配置されている。つまり、後端規制部44は、媒体Mが積載される位置よりも、媒体Mが排出される排出方向に配置される。
【0035】
側端規制部42,43及び後端規制部44は、後述する規制駆動部48(図3参照)の駆動によって、媒体Mに近接する規制位置P1と、媒体Mから離間する退避位置P2との間を移動可能に構成されている。具体的には、側端規制部42,43は、±Y方向に移動可能であり、後端規制部44は、±X方向に移動可能である。図2では、退避位置P2に位置している側端規制部42,43及び後端規制部44は、実線で示され、規制位置P1に位置している側端規制部42,43及び後端規制部44は、二点鎖線で示されている。
【0036】
規制位置P1は、媒体Mの端部に当接して媒体Mの位置や姿勢を規制する位置であり、退避位置P2は、規制位置P1から退避した位置、即ち媒体Mから遠ざかる方向に移動した位置である。本実施形態において、規制位置P1と退避位置P2との距離D、即ち側端規制部42,43及び後端規制部44が規制位置P1と退避位置P2との間を移動する際の移動量は、すべて同一である。つまり、側端規制部42の退避位置P2は、側端規制部42の規制位置P1よりも距離Dだけ-Y方向に位置しており、側端規制部43の退避位置P2は、側端規制部43の規制位置P1よりも距離Dだけ+Y方向に位置している。また、後端規制部44の退避位置P2は、後端規制部44の規制位置P1よりも距離Dだけ+X方向に位置している。
【0037】
規制位置P1は、媒体Mのサイズに応じて定められる。一方、退避位置P2は、媒体Mのサイズ以外の要因に応じて変化する。つまり、媒体Mのサイズが一定であっても、規制位置P1と退避位置P2との距離Dは、一定ではない。退避位置P2、即ち距離Dの決定方法については後述する。なお、これ以降、側端規制部42,43と後端規制部44とを区別しない場合には、これらを単に規制部42,43,44とも表記する。
【0038】
規制部42,43,44は、通常、退避位置P2に位置している。そして、積載台41上において媒体Mの位置の規制を行う際に、退避位置P2から規制位置P1へ移動し、その後、退避位置P2に戻る。つまり、規制部42,43,44による規制動作は、退避位置P2から規制位置P1へ移動し、退避位置P2へ戻る往復動作である。
【0039】
規制部42,43,44は、積載台41とは独立して配置されており、昇降駆動部47の駆動によって昇降しない。つまり、規制部42,43,44の±Z方向の位置は固定である。
【0040】
図3は、印刷システム1の回路構成を示すブロック図である。
図3に示すように、印刷装置2は、第1制御部22と、印刷ヘッド20と、搬送駆動部26とを備えている。
搬送駆動部26は、モーター等の駆動源を有しており、第1制御部22の制御に基づいて、搬送経路15に沿って配置されるローラー対の駆動ローラーを回転駆動する。これにより、媒体Mは、搬送経路15に沿って搬送される。第1制御部22は、端末装置50等から入力される印刷データに基づいて、搬送駆動部26及び印刷ヘッド20を制御し、印刷データに基づく画像を媒体Mに印刷する。そして、第1制御部22は、印刷後の媒体Mを、排出部28又は媒体排出装置4に向けて搬送する。
【0041】
媒体排出装置4は、第2制御部45と、昇降駆動部47と、規制駆動部48とを備えている。
第2制御部45は、CPU等の図示しないプロセッサーと、メモリー等の図示しない記憶装置と、各種インターフェイスとを含み、媒体排出装置4の各種動作、即ち昇降駆動部47及び規制駆動部48の動作を制御する。また、第2制御部45は、印刷装置2の第1制御部22と接続されており、端末装置50から第1制御部22に入力された印刷データに基づく各種情報を、第1制御部22から取得することができる。
【0042】
昇降駆動部47は、モーター等の駆動源を有しており、第2制御部45の制御に基づいて、積載台41を昇降させる。媒体排出装置4には、積載台41上の最上位の媒体Mの±Z方向の位置が所定高さに達したことを検知する図示しないセンサーが配置されている。第2制御部45は、このセンサーの検知結果に基づいて、積載台41を、例えば所定枚数分の高さだけ下降させるように昇降駆動部47を制御する。
【0043】
規制駆動部48は、モーター等の駆動源を有しており、第2制御部45の制御に基づいて、規制部42,43,44を移動させる。なお、規制駆動部48は、1つの駆動源で側端規制部42,43及び後端規制部44を駆動するようにしてもよいし、複数の駆動源で分担して側端規制部42,43及び後端規制部44を駆動するようにしてもよい。なお、第2制御部45は、規制部42,43,44の移動を制御する制御部に相当する。
【0044】
図4は、印刷装置2の動作を説明するためのフローチャートである。
端末装置50等から印刷装置2に印刷データが入力され、媒体Mへの印刷が指示されると、印刷装置2の第1制御部22は、印刷システム1の制御を開始する。入力される印刷データには、印刷すべき画像を表す画像データとともに、印刷対象となる媒体Mの種類を表す情報や、印刷モードを表す情報、媒体Mの排出先を表す情報等、ユーザーによって指定された各種情報が含まれる。このため、第1制御部22は、印刷データに基づいて、媒体Mのサイズや媒体Mの厚さを特定することができる。
【0045】
なお、印刷データには、印刷対象の媒体Mが収容されている収容カセット24を特定する情報が含まれるものの、媒体Mのサイズや厚さを直接的に特定可能な情報が含まれていない場合がある。この場合には、収容カセット24と、収容されている媒体Mのサイズや厚さを表す情報とを予め対応付けておくことにより、印刷データから媒体Mのサイズや厚さを特定することが可能となる。また、本実施形態では、媒体Mの厚さが2水準あるものとし、これ以降、相対的に厚いほうの媒体Mを厚紙、相対的に薄いほうの媒体Mを薄紙と表記する。
【0046】
図4に示すように、ステップS101では、第1制御部22は、印刷データに基づいて、媒体Mの排出先が媒体排出装置4であるか排出部28であるかを判定する。そして、媒体Mの排出先が媒体排出装置4である場合には、ステップS102に処理を移し、排出部28である場合には、ステップS105に処理を移す。
【0047】
媒体Mの排出先が媒体排出装置4であってステップS102に処理が移行した場合には、第1制御部22は、印刷データに基づいて、印刷対象である媒体Mのサイズと厚さを特定する。
【0048】
ステップS103では、第1制御部22は、印刷データに含まれる画像データに基づいて、デューティーを算出する。デューティーとは、媒体Mに吐出されるインクの吐出量を表す指標であり、媒体Mに吐出可能なインクの吐出量に対する実際の吐出量の割合を百分率で表したものである。ここで、1度の印刷、即ち1つの印刷データに基づく印刷で、媒体Mの印刷枚数が複数枚になる場合には、第1制御部22は、媒体Mごとにデューティーを算出する。
【0049】
ステップS104では、第1制御部22は、媒体Mが排出予定であることを通知する制御情報を、第2制御部45に出力する。この制御情報には、媒体Mのサイズ及び厚さを表す媒体情報と、算出したデューティーを表すデューティー情報とが含まれる。そして、1度の印刷で、媒体Mの印刷枚数が複数枚になる場合には、デューティー情報には、媒体Mごとのデューティーを表す情報が含まれる。
【0050】
そして、ステップS105では、第1制御部22は、印刷データに基づいて搬送駆動部26及び印刷ヘッド20を制御し、媒体Mの搬送と画像の印刷とを実行し、フローを終了する。
【0051】
図5は、媒体排出装置4の動作、即ち媒体排出装置4の制御方法を説明するためのフローチャートである。
媒体排出装置4の第2制御部45は、第1制御部22から制御情報が入力されると、図5に示すフローに従って動作する。そして、第2制御部45は、入力された制御情報に基づいて、規制部42,43,44の規制位置P1及び退避位置P2を決定する。ここで、印刷データに基づく印刷が複数枚の媒体Mに対する印刷である場合には、第2制御部45は、媒体Mごとに退避位置P2を決定する。
【0052】
まず、ステップS201では、第2制御部45は、制御情報に含まれる媒体情報とデューティー情報とを取得する。そして、ステップS202では、第2制御部45は、媒体情報が表す媒体Mのサイズに基づいて、規制部42,43,44の規制位置P1を決定する。
【0053】
次に、ステップS203では、第2制御部45は、媒体情報に基づいて、排出予定の媒体Mが厚紙であるか否かを判定する。そして、第2制御部45は、媒体Mが厚紙である場合には、ステップS204に処理を移し、媒体Mが薄紙である場合には、ステップS205に処理を移す。
【0054】
媒体Mが厚紙であってステップS204に処理が移行した場合には、第2制御部45は、デューティー情報に基づいて、排出予定の媒体Mごとに、デューティーが所定の値未満であるか否かを判定する。本実施形態では、第2制御部45は、デューティーが40%未満であるか否かを判定する。そして、第2制御部45は、デューティーが40%未満である場合には、ステップS206に処理を移し、デューティーが40%以上である場合には、ステップS207に処理を移す。
【0055】
同様に、媒体Mが薄紙であってステップS205に処理が移行した場合にも、第2制御部45は、デューティー情報に基づいて、排出予定の媒体Mごとに、デューティーが40%未満であるか否かを判定する。そして、第2制御部45は、デューティーが40%未満である場合には、ステップS208に処理を移し、デューティーが40%以上である場合には、ステップS209に処理を移す。
【0056】
ステップS206~S209では、第2制御部45は、媒体Mの厚さとデューティーとに基づいて、規制部42,43,44の退避位置P2を媒体Mごとに決定する。つまり、第2制御部45は、規制部42,43,44の移動量、即ち規制位置P1と退避位置P2との距離Dを媒体Mごとに決定する。ステップS206~S209は、退避位置P2を決定する工程に相当する。
【0057】
具体的には、媒体Mが厚紙で且つデューティーが40%未満であってステップS206に処理が移行した場合には、第2制御部45は、距離DをX14とし、ステップS210に処理を移す。また、媒体Mが厚紙で且つデューティーが40%以上であってステップS207に処理が移行した場合には、第2制御部45は、距離DをX13とし、ステップS210に処理を移す。
【0058】
また、媒体Mが薄紙で且つデューティーが40%未満であってステップS208に処理が移行した場合には、第2制御部45は、距離DをX12とし、ステップS211に処理を移す。また、媒体Mが薄紙で且つデューティーが40%以上であってステップS209に処理が移行した場合には、第2制御部45は、距離DをX11とし、ステップS211に処理を移す。
【0059】
ここで、X11,X12,X13,X14の間には、X14>X13>X12>X11の関係が成立する。つまり、第2制御部45は、媒体Mの厚さが相対的に厚い場合には、相対的に薄い場合よりも規制部42,43,44の移動量を大きくする。これは、厚い媒体Mのほうがコシがあるため、排出時に飛び出しやすく、積載台41上でずれやすいためである。
【0060】
また、第2制御部45は、デューティーが相対的に低い場合には、相対的に高い場合よりも、規制部42,43,44の移動量を大きくする。これは、媒体Mのデューティーが高い場合には、含有するインクにより媒体Mに皺等の変形が生じて摩擦抵抗が高くなることにより、積載台41上でずれにくくなるためである。なお、X13とX12の大小関係は、上記に限定されず、X12>X13としてもX12=X13としてもよく、実験結果等に応じて適宜定めればよい。
【0061】
ステップS210に処理が移行した場合には、第2制御部45は、排出予定のすべての媒体Mについて退避位置P2が決定したか否かを判定する。そして、すべての媒体Mについて退避位置P2が決定した場合には、第2制御部45は、フローを終了する。一方、すべての媒体Mについて退避位置P2が決定していない場合には、第2制御部45は、ステップS204に処理を戻し、次の媒体Mについて退避位置P2を決定する。
【0062】
同様に、ステップS211に処理が移行した場合には、第2制御部45は、排出予定のすべての媒体Mについて退避位置P2が決定したか否かを判定する。そして、すべての媒体Mについて退避位置P2が決定した場合には、第2制御部45は、フローを終了する。一方、すべての媒体Mについて退避位置P2が決定していない場合には、第2制御部45は、ステップS205に処理を戻し、次の媒体Mについて退避位置P2を決定する。
【0063】
以上のように、第2制御部45は、媒体Mのデューティー、即ち印刷装置2で吐出されたインクの吐出量に基づいて退避位置P2を決定する。具体的には、第2制御部45は、媒体Mのデューティーが高いほど、即ち媒体Mに吐出されたインクの吐出量が多いほど、規制位置P1と退避位置P2との距離Dが短くなるように退避位置P2を決定する。例えば、ステップS204,S206,S207に示すように、第2制御部45は、デューティーが40%未満のときには、距離DをX14とし、デューティーが40%以上のときには、距離DをX14よりも短いX13とする。ここで、デューティーが40%未満のときに媒体Mに吐出されるインクの吐出量は、第1吐出量に相当し、デューティーが40%以上のときに媒体Mに吐出されるインクの吐出量は、第2吐出量に相当する。つまり、第2吐出量は、第1吐出量よりも多い。また、X14は、第1距離に相当し、X13は、第2距離に相当する。
【0064】
退避位置P2が決定すると、第2制御部45は、規制駆動部48を制御して、最初に排出される媒体Mに対応する退避位置P2に規制部42,43,44を移動させ、最初の媒体Mが排出されるのを待機する。そして、積載台41上に最初の媒体Mが排出されると、第2制御部45は、規制駆動部48を制御して、規制部42,43,44に規制動作を実行させる。この規制動作において、第2制御部45は、規制部42,43,44を退避位置P2から規制位置P1に移動させた後に、次に排出される媒体Mに対応する退避位置P2に移動させる。そして、これ以降もこの動作を繰り返す。
【0065】
以上説明したように、本実施形態の媒体排出装置4及びその制御方法によれば、以下の効果を得ることができる。
【0066】
本実施形態によれば、第2制御部45は、媒体Mのデューティー、即ち媒体Mに吐出されるインクの吐出量に基づいて規制部42,43,44の退避位置P2を決定している。積載台41上における媒体Mの移動しやすさ、即ち媒体Mのずれやすさは、媒体Mに吐出されたインクの吐出量に応じて変化するため、この構成にすることで、規制部42,43,44の退避位置P2を適切な位置に決定することができる。
【0067】
また、本実施形態によれば、第2制御部45は、媒体Mに吐出されるインクの吐出量が比較的多い場合には、規制部42,43,44の退避位置P2を規制位置P1に近づけ、規制部42,43,44の移動量を小さくしている。積載台41に排出される媒体Mは、吐出されたインクの吐出量が多いほど、表面に皺が生じて摩擦抵抗が大きくなり、積載台41上で移動しにくくなる。このため、この構成にすることで、規制部42,43,44の退避位置P2を適切な位置に決定することができる。
【0068】
なお、本実施形態では、第2制御部45は、媒体Mの厚さと、デューティーとに基づいて規制部42,43,44の退避位置P2を決定しているが、媒体Mの厚さを考慮せずに、デューティーのみによって退避位置P2を決定するようにしてもよい。
【0069】
2.第2実施形態
以下、第2実施形態に係る印刷システム1について、図面を参照して説明する。
第2実施形態に係る印刷システム1の基本構成は、第1実施形態と同じであるが、印刷システム1の動作が第1実施形態と異なっている。
【0070】
本実施形態では、印刷装置2で両面印刷が行われることを想定しており、第2制御部45は、一方の印刷面におけるデューティーと、反対面である他方の印刷面におけるデューティーとの差に基づいて、規制部42,43,44の退避位置P2を決定する。このため、本実施形態において、ステップS103(図4参照)では、第1制御部22は、印刷予定である各媒体Mのデューティーを印刷面ごとに算出する。そして、ステップS104において媒体排出装置4に出力されるデューティー情報には、各媒体Mの印刷面ごとのデューティーを表す情報が含まれている。
【0071】
なお、これ以降、媒体Mの2つの印刷面のうち、積載台41上において、上方、即ち+Z方向を向く面を上面と表記し、下方、即ち-Z方向を向く面を下面と表記する。上面は、第1面に相当し、下面は、第1面の反対面である第2面に相当する。
【0072】
図6は、第2実施形態に係る媒体排出装置4の動作を説明するためのフローチャートである。
媒体排出装置4の第2制御部45は、第1制御部22から制御情報が入力されると、図6に示すフローに従って動作する。そして、第2制御部45は、入力された制御情報に基づいて、規制部42,43,44の規制位置P1及び退避位置P2を決定する。
【0073】
まず、ステップS221では、第2制御部45は、制御情報に含まれる媒体情報とデューティー情報とを取得する。そして、ステップS222では、第2制御部45は、媒体情報が表す媒体Mのサイズに基づいて、規制部42,43,44の規制位置P1を決定する。
【0074】
次に、ステップS223では、第2制御部45は、媒体情報に基づいて、排出予定の媒体Mが厚紙であるか否かを判定する。そして、第2制御部45は、媒体Mが厚紙である場合には、ステップS224に処理を移し、媒体Mが薄紙である場合には、ステップS225に処理を移す。
【0075】
媒体Mが厚紙であってステップS224に処理が移行した場合には、第2制御部45は、デューティー情報に基づいて、下面のデューティーが上面のデューティーより高いか否かを媒体Mごとに判定する。そして、第2制御部45は、下面のデューティーが上面のデューティーより高い場合には、ステップS226に処理を移し、下面のデューティーが上面のデューティー以下である場合には、ステップS227に処理を移す。なお、下面のデューティーが上面のデューティーより高い場合とは、下面のデューティーと上面のデューティーとの差、即ち下面のデューティーから上面のデューティーを減じた値が正の値である場合に相当する。また、下面のデューティーが上面のデューティー以下の場合とは、下面のデューティーと上面のデューティーとの差、即ち下面のデューティーから上面のデューティーを減じた値が0以下の値である場合に相当する。
【0076】
同様に、媒体Mが薄紙であってステップS225に処理が移行した場合には、第2制御部45は、デューティー情報に基づいて、下面のデューティーが上面のデューティーより高いか否かを判定する。そして、第2制御部45は、下面のデューティーが上面のデューティーより高い場合には、ステップS228に処理を移し、下面のデューティーが上面のデューティー以下である場合には、ステップS229に処理を移す。
【0077】
ステップS226~S229では、第2制御部45は、媒体Mの厚さと、各印刷面のデューティーの比較結果とに基づいて、規制部42,43,44の退避位置P2を媒体Mごとに決定する。つまり、第2制御部45は、規制部42,43,44の移動量、即ち規制位置P1と退避位置P2との距離Dを媒体Mごとに決定する。ステップS226~S229は、退避位置P2を決定する工程に相当する。
【0078】
具体的には、媒体Mが厚紙で且つ下面のデューティーが上面のデューティーより高く、ステップS226に処理が移行した場合には、第2制御部45は、距離DをX24とし、ステップS230に処理を移す。また、媒体Mが厚紙で且つ下面のデューティーが上面のデューティー以下であってステップS227に処理が移行した場合には、第2制御部45は、距離DをX23とし、ステップS230に処理を移す。
【0079】
また、媒体Mが薄紙で且つ下面のデューティーが上面のデューティーより高く、ステップS228に処理が移行した場合には、第2制御部45は、距離DをX22とし、ステップS231に処理を移す。また、媒体Mが薄紙で且つ下面のデューティーが上面のデューティー以下であってステップS229に処理が移行した場合には、第2制御部45は、距離DをX21とし、ステップS231に処理を移す。
【0080】
ここで、X21,X22,X23,X24の間には、X24>X23>X22>X21の関係が成立する。つまり、第2制御部45は、第1実施形態と同様、媒体Mの厚さが相対的に厚い場合には、相対的に薄い場合よりも規制部42,43,44の移動量を大きくする。
【0081】
また、第2制御部45は、下面のデューティーが上面のデューティーより高い場合には、下面のデューティーが上面のデューティー以下の場合よりも、規制部42,43,44の移動量を大きくする。これは、下面のデューティーが上面のデューティーより高い場合には、媒体Mが湾曲して、積載台41又は既に積載台41に載置されている他の媒体Mとの接触面積が小さくなることにより、積載台41上でずれやすくなるためである。
【0082】
図7A及び図7Bは、媒体Mの湾曲を説明するための説明図であり、積載台41上の媒体Mを±X方向から見た図である。
媒体Mにインクが吐出されて印刷がなされると、媒体Mの印刷がなされた面は、インクの含浸によりわずかに膨張する。媒体Mの両面でインクの吐出量が異なる場合には、吐出量が多いほうの面、即ちデューティーが高いほうの面がより膨張することから、媒体Mは湾曲する。下面のデューティーが上面のデューティーよりも高い場合には、媒体Mは、図7Aに示すように、下方、即ち-Z方向に凸となるように湾曲する。反対に、下面のデューティーが上面のデューティーよりも低い場合には、媒体Mは、図7Bに示すように、上方、即ち+Z方向に凸となるように湾曲する。いずれの方向に湾曲する場合でも、積載台41又は積載台41上の他の媒体Mとの接触面積が小さくなる。ただし、上方に凸となる場合には、媒体Mは、媒体Mの±X方向の両端及び±Y方向の両端で積載台41又は他の媒体Mと接触することから、下方に凸となる場合、即ち媒体Mの端部が接触しない場合と比べて、媒体Mはずれにくいことが想定される。このような理由により、X21,X22,X23,X24の大小関係は、上記のように定められている。なお、X23とX22の大小関係は、上記に限定されず、X22>X23としてもX22=X23としてもよく、実験結果等に応じて適宜定めればよい。
【0083】
図6に戻って、ステップS230に処理が移行した場合には、第2制御部45は、排出予定のすべての媒体Mについて退避位置P2が決定したか否かを判定する。そして、すべての媒体Mについて退避位置P2が決定した場合には、第2制御部45は、フローを終了する。一方、すべての媒体Mについて退避位置P2が決定していない場合には、第2制御部45は、ステップS224に処理を戻し、次の媒体Mについて退避位置P2を決定する。
【0084】
同様に、ステップS231に処理が移行した場合には、第2制御部45は、排出予定のすべての媒体Mについて退避位置P2が決定したか否かを判定する。そして、すべての媒体Mについて退避位置P2が決定した場合には、第2制御部45は、フローを終了する。一方、すべての媒体Mについて退避位置P2が決定していない場合には、第2制御部45は、ステップS225に処理を戻し、次の媒体Mについて退避位置P2を決定する。
【0085】
以上のように、第2制御部45は、媒体Mの上面のデューティーと下面のデューティーとの差、即ち媒体Mの上面に対するインクの吐出量と媒体Mの下面に対するインクの吐出量との差に基づいて退避位置P2を決定する。具体的には、第2制御部45は、下面のデューティーが上面のデューティーより高い場合には、下面のデューティーが上面のデューティー以下の場合よりも、規制位置P1と退避位置P2との距離Dを長くする。言い換えれば、第2制御部45は、下面に対する吐出量が上面に対する吐出量より多い場合には、下面に対する吐出量が上面に対する吐出量以下の場合よりも、規制位置P1と退避位置P2との距離Dを長くする。
【0086】
退避位置P2が決定すると、第2制御部45は、規制駆動部48を制御して、最初に排出される媒体Mに対応する退避位置P2に規制部42,43,44を移動させ、最初の媒体Mが排出されるのを待機する。そして、積載台41上に最初の媒体Mが排出されると、第2制御部45は、規制駆動部48を制御して、規制部42,43,44に規制動作を実行させる。この規制動作において、第2制御部45は、規制部42,43,44を退避位置P2から規制位置P1に移動させた後に、次に排出される媒体Mに対応する退避位置P2に移動させる。そして、これ以降もこの動作を繰り返す。
【0087】
以上説明したように、本実施形態の媒体排出装置4及びその制御方法によれば、以下の効果を得ることができる。
【0088】
本実施形態によれば、第2制御部45は、媒体Mの上面のデューティーと下面のデューティーとの差、即ち媒体Mの上面に吐出されたインクの吐出量と、媒体Mの下面に吐出されたインクの吐出量との差に基づいて規制部42,43,44の退避位置P2を決定している。このため、積載台41上における媒体Mのずれやすさが、媒体Mの表裏の吐出量の差に応じて変化する場合であっても、規制部42,43,44の退避位置P2を適切な位置に決定することができる。
【0089】
また、本実施形態によれば、第2制御部45は、下面に対する吐出量が上面に対する吐出量より多い場合に、規制部42,43,44の退避位置P2を規制位置P1から遠ざけ、規制部42,43,44の移動量を大きくしている。下面に対する吐出量のほうが多い場合には、媒体Mの湾曲により、媒体Mの端部が積載台41又は積載台41上の他の媒体Mと接触しにくくなる。これにより、媒体Mの摩擦抵抗が小さくなり、媒体Mは、積載台41上で移動しやすくなる。このため、この構成にすることで、規制部42,43,44の退避位置P2を適切な位置に決定することができる。
【0090】
なお、本実施形態では、第2制御部45は、媒体Mの厚さと、各印刷面のデューティーの差とに基づいて規制部42,43,44の退避位置P2を決定しているが、媒体Mの厚さを考慮せずに、各印刷面のデューティーの差のみによって退避位置P2を決定するようにしてもよい。
【0091】
3.第3実施形態
以下、第3実施形態に係る印刷システム1について、図面を参照して説明する。
第3実施形態に係る印刷システム1の基本構成は、第1実施形態と同じであるが、印刷システム1の動作が第1実施形態と異なっている。
図8は、第3実施形態に係る印刷装置2の動作を説明するためのフローチャートである。
本実施形態では、第1制御部22が、第1実施形態におけるステップS103,S104の代わりに、ステップS103a,S104aを実行する点で第1実施形態と異なっている。
【0092】
ステップS103aでは、第1制御部22は、印刷データに含まれる印刷モードを表す情報に基づいて、媒体Mの搬送速度を特定する。ここで、第1制御部22は、ユーザーによって選択された印刷モードに基づいて、媒体Mの搬送速度が高速であるか否かを特定することができる。例えば、ユーザーがスループットを優先する印刷モードを選択した場合には、媒体Mは、相対的に高速で搬送され、ユーザーが画質を優先する印刷モードや低騒音を優先する印刷モードを選択した場合には、媒体Mは、相対的に低速で搬送される。なお、本実施形態では、1度の印刷での媒体Mの印刷枚数が複数枚になる場合であっても、すべての媒体Mの搬送速度は共通である。このため、媒体Mごとに搬送速度を特定する必要はない。つまり、特定すべき搬送速度は1つでよい。また、印刷後の媒体Mが媒体排出装置4に排出される場合、媒体Mは、搬送速度と略同じ速度で排出されるため、搬送速度を特定することは、積載台41に排出される際の媒体Mの排出速度を特定することと同義である。
【0093】
ステップS104aでは、第1制御部22は、媒体Mが排出予定であることを通知する制御情報を、第2制御部45に出力する。本実施形態において、制御情報には、媒体Mのサイズを表す媒体情報と、特定した排出速度を表す速度情報とが含まれる。なお、制御情報には、上記の情報以外に、印刷枚数、即ち印刷データに基づく印刷を行う際に必要となる媒体Mの枚数を表す情報が含まれていてもよい。
【0094】
図9は、第3実施形態に係る媒体排出装置4の動作を説明するためのフローチャートである。
媒体排出装置4の第2制御部45は、第1制御部22から制御情報が入力されると、図9に示すフローに従って動作する。そして、第2制御部45は、入力された制御情報に基づいて、規制部42,43,44の規制位置P1及び退避位置P2を決定する。
【0095】
まず、ステップS241では、第2制御部45は、制御情報に含まれる媒体情報と速度情報とを取得する。そして、ステップS242では、第2制御部45は、媒体情報が表す媒体Mのサイズに基づいて、規制部42,43,44の規制位置P1を決定する。
【0096】
次に、ステップS243では、第2制御部45は、媒体情報に基づいて、排出予定の媒体Mが厚紙であるか否かを判定する。そして、第2制御部45は、媒体Mが厚紙である場合には、ステップS244に処理を移し、媒体Mが薄紙である場合には、ステップS245に処理を移す。
【0097】
媒体Mが厚紙であってステップS244に処理が移行した場合には、第2制御部45は、速度情報に基づいて、排出予定の媒体Mの排出速度が高速であるか否かを判定する。そして、第2制御部45は、排出速度が相対的に高速である場合には、ステップS246に処理を移し、排出速度が相対的に低速である場合には、ステップS247に処理を移す。
【0098】
同様に、媒体Mが薄紙であってステップS245に処理が移行した場合にも、第2制御部45は、速度情報に基づいて、排出予定の媒体Mの排出速度が高速であるか否かを判定する。そして、第2制御部45は、排出速度が相対的に高速である場合には、ステップS248に処理を移し、排出速度が相対的に低速である場合には、ステップS249に処理を移す。
【0099】
ステップS246~S249では、第2制御部45は、媒体Mの厚さと排出速度とに基づいて、規制部42,43,44の退避位置P2を決定する。つまり、第2制御部45は、規制部42,43,44の移動量、即ち規制位置P1と退避位置P2との距離Dを決定し、処理を終了する。ステップS246~S249は、退避位置P2を決定する工程に相当する。
【0100】
具体的には、媒体Mが厚紙で且つ排出速度が高速であってステップS246に処理が移行した場合には、第2制御部45は、距離DをX34とする。また、媒体Mが厚紙で且つ排出速度が低速であってステップS247に処理が移行した場合には、第2制御部45は、距離DをX33とする。また、媒体Mが薄紙で且つ排出速度が高速であってステップS248に処理が移行した場合には、第2制御部45は、距離DをX32とする。そして、媒体Mが薄紙で且つ排出速度が低速であってステップS249に処理が移行した場合には、第2制御部45は、距離DをX31とする。
【0101】
ここで、X31,X32,X33,X34の間には、X34>X33>X32>X31の関係が成立する。つまり、第2制御部45は、第1実施形態と同様、媒体Mの厚さが相対的に厚い場合には、相対的に薄い場合よりも規制部42,43,44の移動量を大きくする。
【0102】
また、第2制御部45は、排出速度が相対的に高速である場合には、相対的に低速である場合よりも、規制部42,43,44の移動量を大きくする。これは、排出速度が高速である場合には、媒体Mが排出時に飛び出しやすく、積載台41上でずれやすいためである。なお、X33とX32の大小関係は、上記に限定されず、X32>X33としてもX32=X33としてもよく、実験結果等に応じて適宜定めればよい。
【0103】
以上のように、第2制御部45は、媒体Mの排出速度に基づいて退避位置P2を決定する。具体的には、第2制御部45は、媒体Mの排出速度が遅いほど、規制位置P1と退避位置P2との距離Dが短くなるように退避位置P2を決定する。例えば、ステップS244,S246,S247に示すように、第2制御部45は、排出速度が高速のときには、距離DをX34とし、排出速度が低速のときには、距離DをX34よりも短いX33とする。ここで、高速のときの排出速度は、第1速度に相当し、低速のときの排出速度は、第2速度に相当する。つまり、第2速度は、第1速度よりも遅い。また、X34は、第3距離に相当し、X33は、第4距離に相当する。
【0104】
退避位置P2が決定すると、第2制御部45は、規制駆動部48を制御して、決定した退避位置P2に規制部42,43,44を移動させ、媒体Mが排出されるのを待機する。そして、第2制御部45は、積載台41上に媒体Mが排出されるたびに規制駆動部48を制御して、規制部42,43,44に規制動作を実行させる。
【0105】
以上説明したように、本実施形態の媒体排出装置4及びその制御方法によれば、以下の効果を得ることができる。
【0106】
本実施形態によれば、第2制御部45は、積載台41に排出される媒体Mの排出速度に基づいて規制部42,43,44の退避位置P2を決定している。積載台41上における媒体Mの移動しやすさ、即ち媒体Mのずれやすさは、媒体Mの排出速度に応じて変化するため、この構成にすることで、規制部42,43,44の退避位置P2を適切な位置に決定することができる。
【0107】
また、本実施形態によれば、第2制御部45は、媒体Mの排出速度が比較的遅い場合には、規制部42,43,44の退避位置P2を規制位置P1に近づけ、規制部42,43,44の移動量を小さくしている。積載台41に排出される媒体Mは、排出速度が遅いほど、積載台41上で移動しにくくなるため、この構成にすることで、規制部42,43,44の退避位置P2を適切な位置に決定することができる。
【0108】
なお、本実施形態では、第2制御部45は、媒体Mの厚さと、排出速度とに基づいて規制部42,43,44の退避位置P2を決定しているが、媒体Mの厚さを考慮せずに、排出速度のみによって退避位置P2を決定するようにしてもよい。
【0109】
また、第1実施形態と第3実施形態とを組み合わせた動作、或いは第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせた動作を行う態様であってもよい。つまり、第2制御部45は、媒体Mごと、或いは各媒体Mの印刷面ごとのデューティーと、排出速度とに基づいて、規制部42,43,44の退避位置P2を定めるようにしてもよい。
【0110】
4.第4実施形態
以下、第4実施形態に係る印刷システム1について、図面を参照して説明する。
第4実施形態に係る印刷システム1の基本構成は、第3実施形態と同じであるが、印刷システム1の動作が第3実施形態と異なっている。具体的には、第4実施形態において、媒体排出装置4は、印刷装置2から入力される制御情報に基づいて、規制部42,43,44の規制位置P1及び退避位置P2を決定することに加えて、規制部42,43,44の規制頻度、即ち規制部42,43,44が規制を行う頻度を決定する。
【0111】
図10は、第4実施形態に係る媒体排出装置4の動作を説明するためのフローチャートである。ここで、ステップS241~S249は、第3実施形態と同じであり、ステップS251~S256の動作が第3実施形態に追加されている。
【0112】
ステップS251~S254は、規制頻度を決定するステップである。具体的には、規制部42,43,44の移動量である距離DをX34に決定した後のステップS251では、第2制御部45は、規制頻度を2枚ごとに1回に決定する。また、距離DをX33に決定した後のステップS252では、第2制御部45は、規制頻度を3枚ごとに2回に決定する。また、距離DをX32に決定した後のステップS253では、第2制御部45は、規制頻度を4枚ごとに3回に決定する。そして、距離DをX31に決定した後のステップS254では、第2制御部45は、規制頻度を1枚ごとに1回に決定する。
【0113】
上述したように、規制部42,43,44の移動量である距離Dについて、X34>X33>X32>X31の関係が成立する。つまり、第2制御部45は、規制部42,43,44の移動量が大きい場合ほど、規制頻度を低下させている。これは、規制部42,43,44の移動量が大きくなることに伴って規制駆動部48の発熱や騒音が増大してしまうことから、規制頻度を低下させることによって発熱や騒音を抑制するためである。
【0114】
上記のように規制頻度を決定すると、規制頻度と印刷枚数との関係によっては、最後の媒体Mが排出された後に、規制動作が行われない場合が生じ得るが、最後の媒体Mが排出された後には規制動作が行われることが望ましい。このため、ステップS255,S256では、最後の媒体Mが排出された後に規制動作が行われない予定である場合に、規制動作を追加する処理が実行される。ただし、ステップS254で規制頻度が1枚ごとに1回に決定した場合には、規制動作を追加する必要がないため、第2制御部45は、ステップS255,S256を実行することなくフローを終了する。
【0115】
ステップS255では、第2制御部45は、決定した規制頻度と、印刷枚数とに基づいて、最後の媒体Mが排出された後に規制動作が行われるか予定であるか否かを判定する。そして、最後に規制動作が行われない予定である場合には、第2制御部45は、ステップS256に処理を移す。一方、最後に規制動作が行われる予定である場合には、第2制御部45は、ステップS256を実行することなくフローを終了する。
【0116】
最後に規制動作が行われない予定であってステップS256に処理が移行した場合には、第2制御部45は、最後の媒体Mが排出された後に規制動作が追加で行われるように予定を変更してフローを終了する。なお、本実施形態では、印刷枚数に基づいて、最後の媒体Mが排出された後の規制動作の有無を判定することから、第3実施形態で説明したステップS104aでは、媒体排出装置4に出力する制御情報に、印刷枚数を表す情報を付加しておく必要がある。
【0117】
以上のように、第2制御部45は、媒体Mの排出速度に基づいて規制頻度、即ち規制部42,43,44を退避位置P2から規制位置P1に移動させる頻度を決定する。具体的には、第2制御部45は、媒体Mの排出速度が速いほど、規制頻度を低下させる。例えば、ステップS244,S251,S252に示すように、第2制御部45は、排出速度が低速のときには、規制頻度を3枚ごとに2回とし、排出速度が高速のときには、規制頻度を2枚ごとに1回とする。ここで、低速のときの排出速度は、第1速度に相当し、高速のときの排出速度は、第2速度に相当する。つまり、第2速度は、第1速度よりも速い。また、3枚ごとに2回の規制頻度は、第1頻度に相当し、2枚ごとに1回の規制頻度は、第2頻度に相当する。つまり、第2頻度は、第1頻度よりも頻度が低い。
【0118】
退避位置P2が決定すると、第2制御部45は、規制駆動部48を制御して、決定した退避位置P2に規制部42,43,44を移動させ、媒体Mが排出されるのを待機する。そして、第2制御部45は、積載台41上に媒体Mが排出され始めると、規制駆動部48を制御して、決定した規制頻度に基づいて規制部42,43,44に規制動作を実行させる。また、ステップS256で規制動作が追加された場合には、第2制御部45は、最後の媒体Mが排出された後に、規制駆動部48を制御して、規制動作を追加で実行させる。
【0119】
以上説明したように、本実施形態の媒体排出装置4及びその制御方法によれば、以下の効果を得ることができる。
【0120】
本実施形態によれば、第2制御部45は、媒体Mの排出速度に基づいて規制部42,43,44の退避位置P2と規制頻度とを決定している。つまり、規制部42,43,44による規制頻度を、退避位置P2、即ち規制部42,43,44の移動量に応じて決定することができるため、規制部42,43,44の移動に伴う発熱や騒音を適切に調整することができる。
【0121】
また、本実施形態によれば、第2制御部45は、媒体Mの排出速度が比較的速い場合、即ち規制部42,43,44の移動量が比較的大きい場合には、規制部42,43,44の規制頻度を低下させている。このため、移動量が大きいことで増大してしまう発熱や騒音を、規制頻度を低下させることによって抑制することが可能となる。
【0122】
5.変形例
上記の各実施形態は、以下のように変更してもよい。
【0123】
上記の各実施形態では、側端規制部42,43の移動量と、後端規制部44の移動量とを同一にしているが、それぞれ異なる移動量としてもよい。また、側端規制部42,43の移動量は常に一定として、後端規制部44の移動量のみを、デューティーや排出速度等に応じて決定するようにしてもよい。或いは、後端規制部44の移動量は常に一定として、側端規制部42,43の移動量のみを、デューティーや排出速度等に応じて決定するようにしてもよい。また、媒体排出装置4は、規制部42,43,44のすべてを備えている必要はなく、少なくとも1つを備えていればよい。
【0124】
上記の第1実施形態では、第2制御部45は、排出される媒体Mのデューティーに基づいて、規制部42,43,44の退避位置P2、即ち規制部42,43,44の移動量を決定しているが、この構成に限定されない。例えば、1つ前に積載台41に排出された媒体M、即ち積載台41上の最上位の媒体Mのデューティーも、次に排出される媒体Mの摩擦抵抗、即ちずれやすさに影響を与え得る。このため、第2制御部45は、1つ前に排出された媒体Mのデューティーと、次に排出される媒体Mのデューティーとに基づいて、規制部42,43,44の移動量を決定するようにしてもよい。
【0125】
上記第1実施形態では、媒体Mごとのデューティーに基づいて退避位置P2を決定しているが、退避位置P2を決定するためのデューティーは、媒体Mの全体のデューティーに限定されない。例えば、第2制御部45は、媒体M上の一部の領域内でのデューティー、即ち媒体Mにおけるデューティーの分布に基づいて退避位置P2を決定してもよい。具体的には、積載台41に向かって+X方向に排出される媒体Mは、最初に下流側、即ち+X側の部位が、積載台41又は積載台41上の他の媒体Mに接触し、接触しながら、さらに+X方向に移動する。このため、媒体Mのうち、下流側である+X側の摩擦抵抗が、その後の媒体Mのずれやすさに大きく影響する。このため、第2制御部45は、図11に示すように、媒体Mの下流側における所定の大きさの領域E内のデューティーに基づいて、退避位置P2、即ち規制部42,43,44の移動量を決定してもよい。
【0126】
上記の各実施形態では、2つの側端規制部42,43の移動量を同じにしているが、媒体M上のデューティーの分布等に基づいて、2つの側端規制部42,43の移動量を異ならせてもよい。例えば、図12に示すように、媒体Mの下流側の領域F内において、排出方向に向かって右側である+Y側の領域を領域F1とし、排出方向に向かって左側である-Y側の領域を領域F2とする。そして、領域F2のデューティーよりも領域F1のデューティーのほうが大きい場合、媒体Mの領域Fが積載台41又は積載台41上の他の媒体Mに接触した後において、媒体Mの摩擦抵抗は、-Y側よりも+Y側で大きくなる。このため、媒体Mは、領域F1を回転軸にして、時計回りであるR1方向に回転しやすくなる。このとき、媒体Mの±Y方向の変位としては、+Y方向への変位よりも-Y方向への変位のほうが大きくなるため、+Y側の側端規制部43よりも、-Y側の側端規制部42の移動量を大きくすることが望ましい。
【0127】
同様に、領域F1のデューティーよりも領域F2のデューティーのほうが大きい場合、媒体Mの領域Fが積載台41又は積載台41上の他の媒体Mに接触した後において、媒体Mの摩擦抵抗は、+Y側よりも-Y側で大きくなる。このため、媒体Mは、領域F2を回転軸にして、反時計回りであるR2方向に回転しやすくなる。このとき、媒体Mの±Y方向の変位としては、-Y方向への変位よりも+Y方向への変位のほうが大きくなるため、-Y側の側端規制部42よりも、+Y側の側端規制部43の移動量を大きくすることが望ましい。
【0128】
上記の第4実施形態では、第2制御部45は、媒体Mの排出速度に基づいて規制部42,43,44の規制頻度を決定しているが、排出速度以外の要因に基づいて規制頻度を決定してもよい。例えば、媒体Mのサイズに基づいて規制頻度を決定してもよい。具体的には、媒体Mのサイズが小さい場合には、大きい場合に比べて媒体Mが排出される時間的な間隔が短くなることから、規制駆動部48からの発熱や騒音が生じる頻度が高くなる。このため、媒体Mのサイズが小さい場合には、大きい場合に比べて規制頻度を低くすることにより、規制駆動部48からの発熱や騒音を抑制することが望ましい。また、媒体Mのサイズに拘わらず、媒体Mが排出される間隔が短い場合ほど、規制頻度を低下させることが望ましい。
【0129】
上記の各実施形態において、第1制御部22及び第2制御部45による制御の分担は、上記に限定されない。例えば、上記の各実施形態で第2制御部45が行っていた制御の一部を第1制御部22が行ってもよいし、第1制御部22が行っていた制御の一部を第2制御部45が行ってもよい。また、第2制御部45を備えずに、すべての制御を第1制御部22が行うようにしてもよい。この場合、第1制御部22は、印刷装置2に備えられてもよいし、媒体排出装置4に備えられてもよい。或いは、印刷装置2及び媒体排出装置4の外部に備えられてもよい。
【0130】
上記の各実施形態では、第2制御部45は、媒体Mの厚さに基づいて、規制部42,43,44の退避位置P2を決定しているが、厚さ以外に、媒体Mの素材や秤量等に基づいて退避位置P2を決定してもよい。このように、第2制御部45は、媒体Mの厚さ、素材、或いは秤量等、媒体Mの種類に基づいて、退避位置P2を決定することが望ましい。この構成によれば、積載台41上における媒体Mのずれやすさが、媒体Mの種類に応じて変化する場合であっても、規制部42,43,44の退避位置P2を適切な位置に決定することができる。
【0131】
上記の各実施形態では、規制位置P1と退避位置P2との距離Dが、媒体Mの厚さ、デューティー、或いは排出速度等に基づいて、4つの水準に区分される例を示したが、距離Dの水準は、4つ未満でも、5つ以上であってもよい。規制頻度の水準についても同様である。
【0132】
第2実施形態において、下面のデューティーが上面のデューティーよりも高いか否かに基づいて、退避位置P2を決定しているが、下面のデューティーと上面のデューティーとの差が所定値以上か否かに基づいて、退避位置P2を決定してもよい。
【0133】
上記実施形態において、印刷装置2は、インク以外の他の液体を吐出する装置であってもよい。また、印刷ヘッド20は、ラインヘッドに限定されず、±Y方向に移動しながら液体を吐出することで、媒体Mの幅方向の全域にインクを吐出可能な構成であってもよい。
【0134】
上記の第2実施形態では、印刷装置2は、液体吐出装置、即ちインクジェット方式の印刷装置に限定されない。例えば、サーマル式、ドットインパクト式、レーザー式等であってもよい。
【0135】
上記の各実施形態では、媒体排出装置4は、印刷装置2とは別の装置として構成されているが、印刷装置2と一体に構成されていてもよい。また、上記実施形態では、媒体排出装置4は、1つの印刷装置2から排出される媒体Mを積載可能であるが、複数の印刷装置に連結され、複数の印刷装置から排出される媒体Mを積載可能な構成であってもよい。また、媒体排出装置4は、印刷装置2から排出される媒体Mが積載される構成に限定されず、媒体Mに印刷以外の処理を行う処理装置や、媒体Mに処理を行わずに搬送する搬送装置から排出される媒体Mが積載されてもよい。
【符号の説明】
【0136】
1…印刷システム、2…印刷装置、3…中継装置、4…媒体排出装置、10…印刷部、12…スキャナー部、14…カセット収容部、15…搬送経路、16…給紙経路、17…排出経路、18…反転経路、19…送出経路、20…印刷ヘッド、22…第1制御部、24…収容カセット、26…搬送駆動部、28…排出部、30…受入経路、31…第1スイッチバック経路、32…第2スイッチバック経路、33…排出経路、34…分岐部、35…合流部、41…積載台、42,43…側端規制部(規制部)、44…後端規制部(規制部)、45…第2制御部、46…台車、47…昇降駆動部、48…規制駆動部、50…端末装置、A1,A2,B1,B2…矢印、D…距離、E,F,F1,F2…領域、M…媒体、P1…規制位置、P2…退避位置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12