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特開2024-123407音反射板ユニットおよび音反射板付き音響装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123407
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】音反射板ユニットおよび音反射板付き音響装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/34 20060101AFI20240905BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20240905BHJP
   G10K 11/28 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H04R1/34 310
H04R1/02 102Z
G10K11/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030802
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村井 大司
【テーマコード(参考)】
5D017
5D018
【Fターム(参考)】
5D017AE24
5D018AF14
(57)【要約】
【課題】音反射板の直下部分の掃除等の邪魔にならい音反射板ユニットおよび音反射板付き音響装置を提供する。
【解決手段】音反射板ユニットの音反射板20は、回転軸21を、音反射板20が閉じた閉状態におけるZ方向の後端に備え、スピーカSPからの音出口11に対して開閉可能であり、回転軸21は、カム22を有し、筐体部10には、V字形状の突起部16Dを有する板バネ16が、バネ固定枠17によって固定されており、音反射板20は、予め定められた最適角度に音反射板20が開いた開状態での回転軸21の回転角度および、閉状態での回転軸21の回転角度に固定可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響装置の筐体部に下向きに内蔵されたスピーカからの音を聴者に向かって反射する音反射板を有する音反射板ユニットであって、
前記音反射板は、筐体部の背面下部または底面に、聴者に向かうZ方向に対して垂直なX方向に延びる回転軸を、前記音反射板が閉じた閉状態における前記Z方向の後端に備え、前記スピーカからの音出口に対して開閉可能であり、
前記回転軸は、前記回転軸から前記X方向に対して垂直に突出するカムを有し、
前記筐体部には、前記Z方向に複数回折り曲げられ、下端に、前記Z方向に切断した断面がV字形状の突起部を有する板バネが、上下方向に伸縮可能にバネ固定枠によって固定されており、
前記音反射板は、前記板バネによって、前記カムの前記Z方向の後方の面と前記板バネの前記突起部の前記Z方向の前方の面とが接触し、予め定められた最適角度に前記音反射板が開いた開状態での前記回転軸の回転角度および、前記カムの前記Z方向の前方の面と前記板バネの前記突起部の前記Z方向の後方の面とが接触した前記閉状態での前記回転軸の回転角度に固定可能である音反射板ユニット。
【請求項2】
前記カムは、前記X方向に垂直な方向に複数の凹凸部を有し、いずれかの凹部に前記板バネの前記突起部の先端部がはまり込むことによって、前記音反射板は、3か所以上の回転角度で固定可能である請求項1に記載の音反射板ユニット。
【請求項3】
前記音反射板は、前記筐体部から下方に向かう回転角度で固定可能である請求項2に記載の音反射板ユニット。
【請求項4】
前記音反射板は、下方に開いた状態から更に前記Z方向の後方に回転可能である請求項3に記載の音反射板ユニット。
【請求項5】
前記筐体部は、前記開状態において、前記音反射板の回転を止めるカム止めを備える請求項1に記載の音反射板ユニット。
【請求項6】
前記音反射板は、前記回転軸を有するベース部と、前記ベース部に収納可能な延長部とからなり、前記ベース部の音反射面と、前記延長部の音反射面は同じ曲率半径を有する請求項1に記載の音反射板ユニット。
【請求項7】
前記ベース部は、前記Z方向に対して垂直なX方向の両端は、中間部分よりも肉厚に形成され、前記X方向に貫通し、前記ベース部の先端側から前記回転軸側に延びる第1長孔を備え、前記第1長孔よりも先端側には、前記X方向の内側に開口する断面コ字状の溝有し、
前記溝は、前記延長部の前記X方向の両端の厚みを薄くして凸状に形成したレール部を保持し、前記延長部の前記ベース部側の左右の側面には、それぞれ前記X方向に突出するフック部を備え、前記フック部は、それぞれ、前記溝の中を移動可能である請求項6に記載の音反射板ユニット。
【請求項8】
それぞれの前記フック部の前記X方向の内側に、前記フック部に沿った第2長孔を有する請求項7に記載の音反射板ユニット。
【請求項9】
前記延長部のうち、前記延長部を引き出したときに前記ベース部の前記溝と重なり合う部分に糸リブを有する請求項7に記載の音反射板ユニット。
【請求項10】
前記回転軸の両端部にゴムリングを備える請求項1に記載の音反射板ユニット。
【請求項11】
前記回転軸は、前記回転軸が、予め定められた回転角度にあるときに、前記筐体部に設けられたスイッチを動作させる第2カムを備える請求項1に記載の音反射板ユニット。
【請求項12】
前記音反射板ユニットは、前記音響装置とは別体である請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の音反射板ユニット。
【請求項13】
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の音反射板ユニットの前記板バネおよび前記バネ固定枠からなるバネ機構を前記筐体部に内蔵する音反射板付き音響装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、音反射板ユニットおよび音反射板付き音響装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビなど音響装置のデザインは、意匠額縁が可能な限りスリム化されているのがトレンドである。さらに、従来、テレビの意匠額縁の左右、或いは底辺の下にスピーカを配置して音の出力出口を前向きに設置する代わりに、音の出力方向自体を下向きとする技術も提案されている。下向きのスピーカを意匠の裏側に配置すれば、ユーザからは、スピーカの存在が隠れ、テレビ画面と意匠額縁のみが見えることになるため、意匠がよりシャープな印象を与えることになる。
【0003】
しかし、下向きスピーカの場合、音響装置から直接出る音と、床などで反射した音とが互いに打ち消し合う現象が起き、特に人の声などが、こもった音となってしまうことがある。
【0004】
このような現象について、一般的に広く知られるようになっており、一定の角度を持った反射板を自作し、音の出力出口付近の床上にこれを置くことで、下方向に出た音を前に誘導し、音のこもりをある程度緩和した事例をインターネットの記事などで見かけることがある。
【0005】
当然ながら音響装置の製造者側も下向きスピーカの音のこもり、反射板による対策、効果については認識しており、音反射板に関する技術の紹介も数多く見られる。
【0006】
例えば、リフレクタと称する音反射板を音響装置にネジで固定或いは、これを音響装置と一体化することによって、下向きの音声出力を、前方に誘導する技術が紹介されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開番号 WO2015/040686
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、音反射板が固定式であるために、装置を設置した床、台等の設置面であって、音反射板の直下となる部分を掃除する際に、非常に邪魔になるという課題があった。
【0009】
本願は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、音反射板の直下部分の掃除等の邪魔にならい音反射板ユニットおよび音反射板付き音響装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願に開示される音反射板ユニットは、
音響装置の筐体部に下向きに内蔵されたスピーカからの音を聴者に向かって反射する音反射板を有する音反射板ユニットであって、
前記音反射板は、筐体部の背面下部または底面に、聴者に向かうZ方向に対して垂直なX方向に延びる回転軸を、前記音反射板が閉じた閉状態における前記Z方向の後端に備え、前記スピーカからの音出口に対して開閉可能であり、
前記回転軸は、前記回転軸から前記X方向に対して垂直に突出するカムを有し、
前記筐体部には、前記Z方向に複数回折り曲げられ、下端に、前記Z方向に切断した断面がV字形状の突起部を有する板バネが、上下方向に伸縮可能にバネ固定枠によって固定されており、
前記音反射板は、前記板バネによって、前記カムの前記Z方向の後方の面と前記板バネの前記突起部の前記Z方向の前方の面とが接触し、予め定められた最適角度に前記音反射板が開いた開状態での前記回転軸の回転角度および、前記カムの前記Z方向の前方の面と前記板バネの前記突起部の前記Z方向の後方の面とが接触した前記閉状態での前記回転軸の回転角度に固定可能なものである。
また、本願に開示される音反射板付き音響装置は、
上述の音反射板ユニットの前記板バネおよび前記バネ固定枠からなるバネ機構を前記筐体部に内蔵するものである。
【発明の効果】
【0011】
本願に開示される音反射板ユニットおよび音反射板付き音響装置によれば、音反射板の直下部分の掃除等の邪魔にならい音反射板ユニットおよび音反射板付き音響装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1による音反射板付き音響装置としてのテレビの斜視図である。
図2】実施の形態1による筐体部の底面に設けられた音出口付近および取り外した音反射板の分解斜視図である。
図3図3Aは、音出口の近傍の斜視図である。図3Bは、音反射板の斜視図である。図3Cは、音反射板を筐体部に取り付けるために湾曲させている状態を示す図である。
図4図4Aは、図1のA-A線での断面図である。図4Bは、図4Aの要部拡大図である。
図5図5Aは、バネ機構の斜視図である。図5Bは、バネ機構の分解斜視図である。
図6】実施の形態1によるバネ固定枠の斜視図である。
図7図7Aは、板バネの斜視図である。図7Bは、板バネの側面図である。
図8図8Aは、テレビの音反射板の閉状態を示す要部断面模式図である。図8Bは、図8Aの要部拡大図である。図8Cは、音反射板が開閉動作の途中の状態を示す断面模式図である。図8Dは、図8Cの要部拡大図である。図8Eは、音反射板を開いた状態を示す断面模式図である。図8Fは、図8Eの要部拡大図である。
図9図9Aは、図8Bを更に拡大した図である。図9Bは、図8Fを更に拡大した図である。
図10図10Aは、実施の形態2によるテレビの音反射板の閉状態を示す要部断面模式図である。図10Bは、音反射板を最適角度に開いた開状態を示す要部断面模式図である。図10Cは、音反射板を真っ直ぐY方向の下方に開いた状態を示す要部断面模式図である。図10Dは、音反射板に誤ってZ-方向の力、衝撃が加わった時の状態を示す要部断面模式図である。図10Eは、カムの断面図である。
図11】実施の形態3による音反射板の斜視図である。
図12図12Aは、音反射板の分解斜視図である。図12Bは、延長部の収納状態と、引き出し状態とを示す図である。
図13図13Aは、音反射板の延長部を収納した閉状態を示す断面模式図である。図13Bは、音反射板を開いて延長部を引き出した状態を示す断面模式図である。
図14図14Aは、実施の形態4によるテレビを背面から見た斜視図である。図14Bは、図14AのJ-J線での要部断面模式図である。図14Cは、音反射板へのゴムリングの取付方法を示す図である。
図15図15Aは、実施の形態5によるテレビの上面図である。図15Bは、図15AのK-K線での断面図である。図15Cは、図15Bの要部拡大図である。図15Dは、図15CのL-L線での要部拡大断面図である。図15Eは、図15CのM-M線での要部拡大断面図である。図15Fは、音反射板の斜視図である。
図16図16Aは、実施の形態6によるテレビをZ方向の後方から見た斜視図である。図16Bは、音反射板ユニットの構成を示す分解斜視図である。
図17図17Aは、図16AのN-N線での要部拡大断面図である。図17Bは、音反射板ユニットの斜視図である。図17Cは、音反射板ユニットの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
以下、実施の形態1による音反射板付き音響装置を、図を用いて説明する。
本明細書では、音反射板を装着した音響装置として、テレビを例に説明するが、音響装置は、スピーカを内蔵しているものであれば、パソコンのモニタ、ノート型パソコン、スマートフォン、新型携帯端末、多機能携帯端末、電子ブック、携帯電話機、ラジオ、ゲーム機等であってもよい。もちろん、音響装置に有線又は無線で接続されるスピーカ装置であってもよい。また、スマートフォン、新型携帯端末、多機能携帯端末、電子ブック端末、携帯電話機においては、その破損防止カバーに本技術を適用してもよい。
【0014】
なお、図1などに示されるテレビの幅方向をX方向、テレビの高さ方向をY方向、奥行方向をZ方向とする。また、Y方向の+側を上方、Y方向の-側を下方とする。また、Z方向の+側を前方、Z方向の-側を後方とする。
【0015】
また、以下の説明において、「音反射板の最適角度」という表現を多用するが、これは、テレビの下部に内装して設置され、Y方向の下向に向けられたスピーカから出力された音を、Z方向の前方の聴者に対して、最も効率よく反射、誘導させることができるように、テレビ製造者が調整を行った音反射板の予め定められた保持角度を指すものとする。
【0016】
図1は、実施の形態1による音反射板付き音響装置としてのテレビ100の斜視図である。
テレビ100は、画面を嵌め込んだ筐体部10と、筐体部10の下面に開閉可能に配置された音反射板20と、筐体部10を床90上に支える脚部30とを備える。床90は、テレビを据置器設置するための平面部の代表例であり、テーブル、テレビ台の天板などもこれに該当する。筐体部10は、図示しない電気部品などをカバーするプラスチック製あるいは金属製の外郭部材である。
【0017】
図2は、筐体部10の底面10Uに設けられた音出口11付近および取り外した音反射板20の分解斜視図である。
図3Aは、音出口11の近傍の斜視図である。
図3Bは、音反射板20の斜視図である。
図3Cは、音反射板20を筐体部10に取り付けるために湾曲させている状態を示す図である。
図4Aは、図1のA-A線での断面図である。
図4Bは、図4Aの要部拡大図である。
【0018】
図2図3Aに示すように、筐体部10のスピーカSPの音出口11には、テレビ100の外に音の出力を行うための複数の格子穴11H1が設けられている。そして図4Bに示すように、音反射板20は、この音出口11の上に、Y方向下向きに設けられたスピーカSPからY方向の下方に出力される音を、Z方向の前方に向けて反射するために利用される。
【0019】
図3Bに示す音反射板20において、見えている側が、スピーカSPから出力される音を反射する音反射面20Rである。図4Bに示すように、音反射面20Rは、Z方向の後方に向かって若干湾曲している。そして、音反射板20は、Z方向の後端の長辺にX方向に設けられた回転軸21の、X方向の両側に突出するそれぞれの端部21Eを、音出口11の後端のX方向の両端に設けられた軸受穴11H2に差し込んで、回転軸21を回転中心として音出口11に対して開閉可能となるように筐体部10に取り付けられている。なお、軸受穴11H2は、X方向に貫通していてもよい。
【0020】
音反射板20を筐体部10に取付ける際には、回転軸21の一方の端部21Eを一方の軸受穴11H2に差し込んだ後、音反射板20を湾曲させれば、回転軸21の他方の端部21Eも他方の軸受穴11H2に差し込むことができる。音反射板20はこのような構造なので、ユーザのテレビの設置事情などにより、音反射板が不要な場合は、取付けとは逆の手順で、ユーザによる音反射板20の取り外しが可能な構造となっている。
【0021】
音反射板20の回転軸21を筐体部10の軸受穴11H2にはめ込むことで、音反射板20の保持及び回転運動が可能となっている。また、図3Bに示すように、回転軸21のX方向の中央部分には、X方向から見た形状が涙型のカム22(第1カム)が、X方向に対して垂直に突出するように設けられている。そして、図3Bに示すように、筐体部10の底面10Uには、音反射板20のカム22が入り込むカム穴11H3が設けられており、音反射板20を筐体部10に取り付けると、カム22はカム穴11H3に差し込まれる構造となっている。カム22は、音反射板20の開閉時において、音反射板20を最適角度に開いた開状態の位置、又は筐体部10の下面に沿うように閉じた閉状態の位置に固定するために設けているが詳細は後述する。
【0022】
図4Bに示す状態が、筐体部10の底面の格子穴11H1からY方向の下方に向かって出力された音7が、Z方向の前方に最も効率よく導かれる最適角度で保持された状態の音反射板20の姿勢を表している。
【0023】
図3Bに示すように、音反射板20の回転軸21とは逆側、すなわち閉状態におけるZ方向の前方の先端には、テレビ100の前方からのユーザによる音反射板20の開閉を容易にするために、爪23を設けている。
【0024】
図4Bに示すように、カム穴11H3のZ方向の前方の縁には、音反射板20開いた際に、音反射板20の最適角度においてカム22のZ方向の前方の側面が当接して音反射板の回転を止めるためカム止め12を備える。
【0025】
次に、カム22と組み合わせることによって、音反射板20の開状態における停止位置および閉状態における停止位置を位置決めするバネ機構15について説明する。
図5Aは、バネ機構15の斜視図である。
図5Bは、バネ機構15の分解斜視図である。
図6は、バネ固定枠17の斜視図である。
図7Aは、板バネ16の斜視図である。
図7Bは、板バネ16の側面図である。
バネ機構15と音反射板20とで音反射ユニットを構成する。
【0026】
図5Aに示すように、バネ機構15は、板バネ16と、板バネ16を筐体部10の内壁に固定するためのバネ固定枠17とからなる。図5A図6に示すように、バネ固定枠17は、4角筒形状をしており、筐体部10のZ方向の後方の内壁面に一体成形して取り付けられている。そして、バネ固定枠17のY方向の下壁17Uには、Z方向に延びる切欠17Kを備える。
【0027】
バネ固定枠17は、後述する板バネ16の固定部16Aを内包する機能を有し、切欠17Kは、後述する板バネ16の連結部16Bを通過させる機能を有する。また、下壁17Uの底面17U1は、板バネ16の変形部16Cの上面16CUのY方向上方への動きを規制する機能を有する。また、このバネ固定枠17のX方向両側の側壁17Sは、それぞれ、板バネ16の固定部16Aの側面に設けられた抜け防止用のカエリ部16APを保持する機能を有する。
【0028】
図5A図7A図7Bに示すように、板バネ16は、固定部16Aと、変形部16Cと、それらを連結する連結部16Bおよび、音反射板20のカム22を押さえる突起部16Dの4つの部分が一体として構成され、板状の金属が、Z方向に複数回折り曲げられている。固定部16Aは、その外形が、バネ固定枠17の両側壁17Sおよび筐体部10の内壁10INに沿う形状である。また、バネ固定枠17の両側壁17Sに沿う側面部16Sには、バネ固定枠17からの外れを防止するための上述のカエリ部16APが、X方向の両側に広がって飛び出している。
【0029】
また、板バネ16の両側面部16SのZ方向のそれぞれの前端から連続して、固定部16Aを、バネ固定枠17に挿入する際に指で押すための押し部16ASが、X方向の両側に広がるように設けられている。連結部16BのX方向の幅は、バネ固定枠17の下壁17Uに設けてある切欠17KのX方向の幅よりも若干小さいので、板バネ16は、ほぼ同じ形状で、バネ固定枠17によって固定される。
【0030】
変形部16Cは、音反射板20の回転に伴うカム22の先端のY方向の上下運動により発生する突起部16Dの上下運動に追従して伸縮可能な長さと、音反射板20の回転方向への保持、固定を満足しうるバネ強度を有する。
【0031】
突起部16Dの外形は、音反射板20が最適角度時に、図4Bに示すように、カム22のZ方向の後方の面22Fが、突起部16DのZ方向の前方のカム受け面16DFに倣い、音反射板20が閉状態でカム22のZ方向の前方の面22Rが、突起部16Dの後方のカム受け面16DRに倣うように、Y方向の下方に向かって、そのZ方向の断面がV字状に突出する形状をしている。
【0032】
次に、板バネ16を、バネ固定枠17に取り付ける方法について説明する。
図5A図5Bに示すように、板バネ16の固定部16Aが、バネ固定枠17の内側に嵌まり込むように位置決めし、押し部16ASを指で押して、板バネ16の固定部16Aが、筐体部10の内壁10INに突き当たるまで押し込む。すると、X方向両側の側面部16Sのカエリ部16APが、バネ固定枠17の左右の側壁17Sに食い込んで抜けを防止して固定が完了する。この時、同時に板バネ16の連結部16Bは、バネ固定枠17の下壁17Uに設けられた切欠17Kに沿って奥まで嵌まり込んで固定される。
【0033】
次に、音反射板20の開閉動作と、カム22および板バネ16の動作について説明する。
図8Aは、テレビ100の音反射板20の閉状態を示す要部断面模式図である。
図8Bは、図8Aの要部拡大図である。
図8Cは、音反射板20が開閉動作の途中の状態を示す断面模式図である。
図8Dは、図8Cの要部拡大図である。
図8Eは、音反射板20を開いた状態を示す断面模式図である。
図8Fは、図8Eの要部拡大図である。
図9Aは、図8Bを更に拡大した図である。
図9Bは、図8Fを更に拡大した図である。
図8A図8C図8Eは、音反射板20の回転に伴ってカム22が回転するときの板バネ16の動きと音反射板20の固定方法を示す図である。音反射板20は、人の手によりその先端、または図3Bに示す爪23を動かされて回転運動を行う。
【0034】
図8A図8Bに示すように、音反射板20の閉状態では、板バネ16の突起部16Dが音反射板20を時計回りに回転させる方向に、カム22を押さえつけている。この際、音反射板20のZ方向の前方の先端部20Tは、筐体部10の底面10Uに接触した状態で止まる位置にある。すなわち、音反射板20は、回転軸21と先端部20Tの両端で支持される構造となっている。従って、Y方向の下方から音反射板20に加わる外力に対し、回転軸21のみで音反射板20を保持するような片持ち支持と比較し、強度的に優位な構造となっている。
【0035】
さらに、筐体部10の底面10Uを、音反射板20の形状に沿うような形状にすると、音反射板20には、圧縮方向の力のみが加わることになるため、さらに強度を増して固定できる。板バネ16のバネの強さとしては、人の力で意図的に音反射板20を回転させた際にはバネが曲がり、音反射板20の自重ではバネが曲がらないように形状、材質の選定で調整を行うとよい。
【0036】
図8C図8Dは、音反射板20の回転過渡期において、カム22の先端22Tが突起部16Dの凸形状の先端部16DTと重なる角度における板バネ16の状態を示している。板バネ16の変形部16Cの曲がりは、この時が最も大きくなり、この回転角を外れる際、変形部16Cの反発力によって、図8Bに示す突起部16DのZ方向の前側のカム受け面16DFまたは、図8Fに示す突起部16DのZ方向の後側のカム受け面16DRが、カム22の前後に素早くはまり込み、クリック感を発生させ、ユーザに、音反射板20が閉状態、或いは最適角度の開状態に固定されたことを知らせる役割を果たす。
【0037】
図8E図8Fは、音反射板20が、最適角度になった状態を表すもので、板バネ16の突起部16Dが、音反射板20のカム22の後方にはまり込み、カム22を押さえることによって、カム22は、筐体部10の底面10Uに連続して設けられたカム止め12に当たった状態で固定される。このように、カム22と板バネ16の突起部16Dとの接触関係によって、音反射板20の回転軸21を、閉状態と開状態における適正な回転角度で固定可能となる。
【0038】
次に、図9A図9Bを用いて、カム22の回転時における板バネ16の上下運動を説明する。音反射板20の回転時、カム22は、板バネ16の突起部16Dを、Y方向の分力とZ方向の分力とで同時に押すことになる。
【0039】
まず、図9Aに示すように、音反射板20を開こうとする力は、そのZ+方向への分力により、板バネ16の突起部16Dおよび変形部16Cに、反時計回り力が加わるが、この際は、図9Aの破線で囲ったB部において、変形部の上面16CUが、バネ固定枠17の下壁17Uの底面17U1に当たることで、この力が相殺される。
【0040】
また、図9Bに示すように、音反射板20を閉じようとする力は、そのZ-方向への分力によって板バネ16の突起部16Dおよび変形部16Cに、時計回りの力が加わるが、この際は、図9Bの破線で囲ったC部において、突起部16Dの最もZ方向の後方部分が、テレビ100の筐体部10の内壁10INに当たり、この力も相殺される。その結果、+Y方向への分力のみが残ることとなり、板バネ16は、Y方向のみにスムーズに動くこととなる。
【0041】
以上、板バネ16の構造について詳細に説明を行ったが、最もシンプルな構造での実施例の紹介を行ったものであり、カム22をY方向の下方に押さえる効果が得られる別構造を用いてもよい。また、図は省略するが、板バネ16の固定は、カエリ部16APの代わりに、ネジ止め構造などとしてもよい。
【0042】
次に、本実施の形態1による音反射板付き音響装置の効果について説明する。
実施の形態1による音反射板ユニットは、
音響装置の筐体部に下向きに内蔵されたスピーカからの音を聴者に向かって反射する音反射板を有する音反射板ユニットであって、
前記音反射板は、筐体部の背面下部または底面に、聴者に向かうZ方向に対して垂直なX方向に延びる回転軸を、前記音反射板が閉じた閉状態における前記Z方向の後端に備え、前記スピーカからの音出口に対して開閉可能であり、
前記回転軸は、前記回転軸から前記X方向に対して垂直に突出するカムを有し、
前記筐体部には、前記Z方向に複数回折り曲げられ、下端に、前記Z方向に切断した断面がV字形状の突起部を有する板バネが、上下方向に伸縮可能にバネ固定枠によって固定されており、
前記音反射板は、前記板バネによって、前記カムの前記Z方向の後方の面と前記板バネの前記突起部の前記Z方向の前方の面とが接触し、予め定められた最適角度に前記音反射板が開いた開状態での前記回転軸の回転角度および、前記カムの前記Z方向の前方の面と前記板バネの前記突起部の前記Z方向の後方の面とが接触した前記閉状態での前記回転軸の回転角度に固定可能である。
また、実施の形態1による音反射板ユニットは、
前記筐体部は、前記開状態において、前記音反射板の回転を止めるカム止めを備える。
したがって、テレビ100等、音響装置自体を操作をすることなく、極めて簡単な部品を追加するだけでユーザに向けて最適な音を提供できる。
すなわち、音反射板20に直接手で触れて操作するだけで、音反射板20を最適角度に調整できる。また音反射板20の開閉時に、クリック感と当たり感を頼りに、ワンタッチで設定することができるため、以下の効果ある。
【0043】
(1)テレビの設置台等を掃除の際に、音反射板20を閉じることで、音反射板20の直下の床90の掃除が楽になり、また、音反射板20を最適角度にも素早く戻せる。この効果は、一般家庭などはもとより、ホテル、病院などにテレビが設置される場合は、掃除の頻度も増えるため、その効果をより期待できる。
【0044】
(2)目的達成のためのコストアップを少なく抑えることができ、操作も直感的なので年齢層に関係なく利用可能である。
【0045】
(3)音反射板20を閉じた際は、音反射板20の先端、あるいは、全面が筐体部10底面に接触することにより、回転軸21のみによる片持ち構造ではなく、少なくとも両端支持、あるいは、全面支持となるため、Y方向の下側から音反射板20に荷重、衝撃が加わったとしても、強度的に有利となる。
【0046】
また、音反射板20を閉じれば、テレビ底面からの突出量も少なくなることから、テレビ搬送用の底面保護材の受け形状の簡素化が可能である。また、音反射板20部分を直接保護材で受けることが可能となるため、音反射板20をメーカー内で取り付けた状態で、テレビの製品出荷が可能となり、ユーザ側での、音反射板20の取付けが不要となる。
【0047】
(4)音反射板20の開状態では、音反射板20の先端、側面などを保持する部材がなく、片持ち支持となるため、音反射板20付近は、それだけでもすっきりとした外観となり、特に音反射板20の材質として透明材などを用いれば、意匠性を際立せることが期待できる。
【0048】
実施の形態2.
以下、実施の形態2による音反射板付き音響装置を、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。実施の形態2以降の実施の形態において、板バネ16の固定および音反射板のカムの回転運動時の板バネ16のY方向への運動のメカニズムに関しては、全て実施の形態1と同一のため説明は省略する。また、同一の部品については、各図において同一の符号を付している。
【0049】
図10Aは、テレビ200の音反射板220の閉状態を示す要部断面模式図である。
図10Bは、音反射板220を最適角度に開いた開状態を示す要部断面模式図である。
図10Cは、音反射板220を真っ直ぐY方向の下方に開いた状態を示す要部断面模式図である。
図10Dは、音反射板220に誤ってZ-方向の力、衝撃が加わった時の状態を示す要部断面模式図である。図10Dに示すY方向、Z方向は、図10A図10Eでも同じである。
図10Eは、カム222の断面図である。
【0050】
本実施の形態2では、実施の形態1で説明した、筐体部10に設けたカム止め12は備えない。一方、カム222の形状は、X方向に垂直な方向に複数の凹凸部を有する、そして、いずれかの凹部22G1~22G3に、板バネ16の突起部16Dの凸形状の先端部16DTがはまり込むことによって、音反射板220の固定を3か所以上の回転角度で行うことを特徴としている。
【0051】
図10Aでは、カム222の凹部22G1に、図10Eに示す突起部16Dの先端部16DTがはまり込み、音反射板220は閉じている。図10Bでは、図10Eに示すカム222の凹部22G2に突起部16Dの先端部16DTがはまり込み、音反射板220は、開いた最適角度で固定されている。
【0052】
図10Cは、テレビ200を壁91に壁掛け設置した場合の利用例を示しており、図10Eに示すカム222の凹部22G3に突起部16Dの先端部16DTがはまり込み、音反射板220は、Y方向の下方に向かう回転角度で固定され、Y方向の下方へ音を開放する。
【0053】
図10Dに示すように、音反射板220に、誤ってZ-方向の力、衝撃が加わった場合、音反射板220は、Y方向の下方から更にZ方向の後方(反時計周り)に大きく回転し、カム222の全ての凹部22G1~22G3と、板バネ16の先端部16DTとのはめ合いは、全て解放状態となって破損を防止できる。
【0054】
次に、本実施の形態2による音反射板付き音響装置の効果について説明する。
実施の形態2による音反射板ユニットは、
前記カムは、前記X方向に垂直な方向に複数の凹凸部を有し、いずれかの凹部に前記板バネの前記突起部の先端部がはまり込むことによって、前記音反射板は、3か所以上の回転角度で固定可能である。
また、実施の形態2による音反射板ユニットは、
前記音反射板は、前記筐体部から下方に向かう回転角度で固定可能である。
また、実施の形態2による音反射板ユニットは、
前記音反射板は、下方に開いた状態から更に前記Z方向の後方に回転可能である。
したがって、音反射板220のカム222の突起の個数を増やすことによって、テレビ据置時の最適角度および、テレビ壁掛け時の最適角度に音反射板220を固定することができる。実施の形態1と同様、音反射板220の回転角度を必要以上に細かく調整するわけではないので、ユーザは、それぞれのテレビ設置時、すばやく直感的に、所望の最適角度に音反射板220を固定可能となる。また、本実施の形態では、音反射板220を固定するために閉じる時は、実施の形態1と同構造であるが、開く時は異なる。すなわちカム222の最適角度を越えて開いても回転軸の物理的な固定を行わない。例えば、壁掛け時など、音反射板220に対して、テレビのZ方向の前方から後方へ、大きな力、衝撃が加わった場合は、音反射板220自体が後方に回転して逃げることにより、カム222への過大なモーメントの発生を押さえ、音反射板220およびその固定部の破壊を回避することが可能となる。
【0055】
実施の形態3.
以下、実施の形態3による音反射板付き音響装置を、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
図11は、音反射板320の斜視図である。
図12Aは、音反射板320の分解斜視図である。
図12Bは、延長部320Xの収納状態と、引き出し状態とを示す図である。
図13Aは、音反射板320の延長部320Xを収納した閉状態を示す断面模式図である。
図13Bは、音反射板320を開いて引き出した状態を示す断面模式図である。
【0056】
図12A図12Bに示すように、音反射板320は2つの部品に分かれている。テレビ100の筐体部10へ取り付けるための回転軸21が存在するベース部320B内に、延長部320Xが収納可能である。音反射板320は、引き出し可能な振り出し式構造となっている。すなわち、延長部320Xの先端部を押したり引いたりすることによって、図12Bに示すように、延長部320Xをベース部320Bの中に収納したり、延長部320Xをベース部320Bの外に引き出して音反射板320を延長したりできる。
【0057】
ベース部320Bと延長部320Xのそれぞれの音反射面320BR、音反射面320XRは、
音の反射に最適な形状、すなわち同等の曲率を有しつつ、引き出し時には互いにオフセットした関係にあり、その結果、延長部320Xの伸縮もスムーズに行える形状となっている。延長部320Xのベース部320B側のX方向の両側の側面には、それぞれX方向に突出するフック部320XFを備える。フック部320XFは、回転軸21側に向かってなだらかにその突出量が減るように傾斜している。
【0058】
そして、それぞれのフック部320XFのX方向の内側に、フック部320XFに沿った長孔320XH(第2長孔)を設けている。この2つのフック部320XFをそれぞれが近づく方向に押さえることによって両フック部320XFが変形し、延長部320Xをベース部320Bに取り付けることができる。
【0059】
ベース部320BのX方向の両端部は、X方向の中間部分よりも肉厚になっていて、X方向に貫通し、ベース部320Bの先端側から回転軸21側に延びる長孔320BH(第1長孔)を備える。また、長孔320BHよりも先端側には、X方向の内側に開口する断面コ字状の溝320BMを有する。この溝320BMは、延長部320XのX方向の両端の厚みを一段薄くして凸状に形成したレール部320XPを保持する。
【0060】
延長部320Xの後端部320XEから、レール部320XPをベース部320Bの溝320BMに挿入すると、延長部のフック部320XFの傾斜部320XFKが、ベース部320BとX方向に干渉するが、長孔320XHの幅分だけ、フック部320XFが内側に湾曲するため、延長部320Xがベース部320Bに収納される。延長部320Xをベース部320Bに取り付けると、フック部320XFは、長孔320BHの中をZ方向に移動可能となる。
【0061】
延長部320Xをベース部320Bに差し込み続けると、延長部320Xの後端部320XEが、ベース部の当たり部320BEに当たり、延長部320Xが、最も深くベース部320Bに収納された状態で止まる(図12Bの状態)。一方、延長部320Xを引き出した際には、延長部320Xのフック部320XFのX方向に延びる平坦面320XFSが、ベース部320Bの長孔320BHの前方の終端320BHEに当たって止まる(図11の状態)。
【0062】
図示は省略するが、延長部320Xのうち、延長部320Xを引き出したときにベース部320Bの溝320BMと重なり合う部分に糸リブなどを設け、ベース部320Bと延長部320Xとを僅かに干渉させると、一定の接触抵抗が得られ、延長部320Xのガタつきを抑えられる。
【0063】
また、図11に示すように、延長部320Xの先端に小さな曲げ部323などを設けておけば、延長部320Xを押し込む際の受け面、逆に引き出す場合の爪の掛りとなり、引き出し操作、収納操作が容易になる。
【0064】
図13Aに示すように、延長部320Xを収納して、音反射板320を閉じた場合は、音反射板320は、筐体部10の底面から前方に飛び出さない状態で収納されていることが分かる。一方、図13Bに示すように、最適角度において、ベース部320Bから延長部320Xを引き出して開いた状態では、延長部320Xの引き出しによって、音反射面が大きく展開しており、音7の前方への誘導効率を向上できる。
【0065】
次に、本実施の形態3による音反射板付き音響装置の効果について説明する。
実施の形態3による音反射板ユニットは、
前記音反射板は、前記回転軸を有するベース部と、前記ベース部に収納可能な延長部とからなり、前記ベース部の音反射面と、前記延長部の音反射面は同じ曲率半径を有する。
また、実施の形態3による音反射板ユニットは、
前記ベース部は、前記Z方向に対して垂直なX方向の両端は、中間部分よりも肉厚に形成され、前記X方向に貫通し、前記ベース部の先端側から前記回転軸側に延びる第1長孔を備え、前記第1長孔よりも先端側には、前記X方向の内側に開口する断面コ字状の溝有し、
前記溝は、前記延長部の前記X方向の両端の厚みを薄くして凸状に形成したレール部を保持し、前記延長部の前記ベース部側の左右の側面には、それぞれ前記X方向に突出するフック部を備え、前記フック部は、それぞれ、前記溝の中を移動可能である。
また、実施の形態3による音反射板ユニットは、
それぞれの前記フック部の前記X方向の内側に、前記フック部に沿った第2長孔を有する。
また、実施の形態3による音反射板ユニットは、
前記延長部のうち、前記延長部を引き出したときに前記ベース部の前記溝と重なり合う部分に糸リブを有する。
したがって、各図に示すように、音反射板320を伸縮可能な構造とし、据置時などには、延長部320Xを引き出し、最適な音反射効果を得ることが出来る。一方、テレビの出荷梱包時などには、この延長部320Xを収納し、音反射板320をテレビの底面範囲に収めることで、音反射板320の破損を防止できる。
また、長孔によってフック部が容易に変形するので、延長部320Xのベース部320Bへ取り付けが容易である。
また、糸リブによって、延長部320Xを引き出した位置に固定できる。
【0066】
実施の形態4.
以下、実施の形態4による音反射板付き音響装置を、実施の形態1~3と異なる部分を中心に説明する。
図14Aは、テレビ400を背面から見た斜視図である。
図14Bは、図14AのJ-J線での要部断面模式図である。
図14Cは、音反射板420へのゴムリング20Gの取付方法を示す図である。
音反射板420の回転軸421の端部21Eに、用途に適正な接触抵抗を有するゴムリング20Gを取り付ける。このゴムリング20GのX方向の外側の面は、筐体部10と接触し、X方向の内側の面は、音反射板420の回転軸421の端部21E近傍に設けられた段差部21Dと接触する構成となっており、ゴムの材質、外経、内径、幅などを調整することで、音反射板420の固定時及び回転時に、適切な接触抵抗を得られる構造となっている。これにより、板バネ16による音反射板420の保持力のサポートとなる。
【0067】
次に、本実施の形態4による音反射板付き音響装置の効果について説明する。
実施の形態4による音反射板ユニットは、
前記回転軸の両端部にゴムリングを備える。
したがって、音反射板420に形成された回転軸421の端部21Eに、シリコンなどのゴムリング20Gを接触抵抗材としてはめ込んで、筐体部10の壁と接触させることで、回転軸421と筐体部10間に安定した摩擦力を発生させ、音反射板420の保持力を増加させることで、音出力に対する音反射板420の共振音(ビビリ音)の発生を防ぐことができる。本構造では、ゴムリング20Gを回転軸421にはめ込む構造のため、音反射板420開閉時の摩擦動作により、ゴムリング20Gが外れることがなく、ゴムリング20Gの外形、幅を変化させることで、接触抵抗を容易に変更調整することが可能である。また、接触抵抗値が適合すれば、一般材として販売されてOリングなどの活用も可能となる。
【0068】
実施の形態5.
以下、実施の形態5による音反射板付き音響装置を、実施の形態5と異なる部分を中心に説明する。
図15Aは、テレビ500の上面図である。
図15Bは、図15AのK-K線での断面図である。
図15Cは、図15Bの要部拡大図である。
図15Dは、図15CのL-L線での要部拡大断面図である。
図15Eは、図15CのM-M線での要部拡大断面図である。
図15Fは、音反射板520の斜視図である。
音反射板520は、回転軸521上の位置決め用のカム22とは異なる位置に、スイッチ14を押すためのカム26(第2カム)が別途設けられており、カム26がスイッチ14をオフする角度は、音反射板520の最適角度と一致している。すなわち、このスイッチ14を回路内に取り入れると、音反射板520が最適角度の場合のみ回路は遮断され、音反射板520が最適角度以外の場合は、回路がつながることになる。
【0069】
次に、本実施の形態5による音反射板付き音響装置の効果について説明する。
実施の形態5による音反射板ユニットは、
前記回転軸は、前記回転軸が、予め定められた回転角度にあるときに、前記筐体部に設けられたスイッチを動作させる第2カムを備える。
したがって、スイッチ14を、テレビ内の電源と、LED(Light Emitting Diode)またはブザー等を繋ぐ回路内に組み込むと、音反射板520が、最適角度の場合は、LED、ブザーには通電せず、それ以外の箇所で止まっている場合は、LED、ブザーに通電することにより、LEDが点灯、点滅、またはブザーが発音などすることになる。これにより、テレビ視聴中に、音反射板520が最適角度になっていないことをユーザに知らせることができる。
【0070】
実施の形態6.
以下、実施の形態6による音反射板ユニットおよび音反射板付き音響装置を、実施の形態2と異なる部分を中心に説明する。
図16Aは、テレビ600をZ方向の後方から見た斜視図である。
図16Bは、音反射板ユニット50の構成を示す分解斜視図である。
図17Aは、図16AのN-N線での要部拡大断面図である。
図17Bは、音反射板ユニット50の斜視図である。
図17Cは、音反射板ユニット50の分解斜視図である。
【0071】
本実施の形態では、テレビ600の筐体部10の背面の下端に、これまで説明したバネ機構15と音反射板220とを有する音反射板ユニット50を取り付ける。
【0072】
音反射板220の構成は、実施の形態2と同じであるが、板バネ16を取り付けるバネ固定枠617は、ベースプレート19と一体成形されている。実施の形態1~5とは異なり、ベースプレート19は、筐体部10の一部ではなく、独立した別部品となっている。
【0073】
ベースプレート19は、テレビ600の背面に沿うように配置される長方形の基部19Aと基部19AのY方向の下端からZ方向の前方に突出する係止部19Bとを有する。係止部19Bをテレビ600の背面の下角などに沿うようにして位置決めを行える。そして、基部19Aの中央に、実施の形態1とはZ方向に逆向きに、バネ固定枠617が一体形成されている。また、バネ固定枠617を意匠的に隠す役目を行う目隠しプレート13が追加になっている。
【0074】
その他の板バネ16、音反射板220の構成は、実施の形態2と同一のものとなる。また、実施の形態3で説明した、延長部320Xを有する音反射板320も利用可能である。
【0075】
テレビ600へ音反射板ユニット50の取付け方法としては、図示は省略するが、筐体部10側にネジボスを設ければ、ベースプレート19に設けた穴19Hを、そのネジボスに合わせネジ留めして取付け、固定できる。また、ベースプレート19の表面に両面テープTPを貼付け、筐体部10の背面などに貼り付けてもよい。
【0076】
次に、本実施の形態6による音反射板ユニットおよび音反射板付き音響装置の効果について説明する。
実施の形態6による音反射板ユニットは、
前記音響装置とは別体である。
したがって、音反射板ユニット50を用いることにより、市場に出回っている音響装置全般に対し、この音反射板ユニット50を取り付けることで、音のこもりの解消と、音反射板520のワンタッチ開閉を実現可能となる。
【0077】
音反射板ユニット50を市場展開する際は、2つのパターンが考えられ、音反射板220の形状、角度を、各テレビの音特性に合わせ最適化すれば、その効果は最大限発揮されることになる。一方、音反射板220を汎用性の高い形状、固定角度に調整しておけば、生産規模増加に伴う原価低減が期待できるため、よりリーズナブルにユーザに音反射板ユニットの提供が可能となる。
【0078】
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【0079】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0080】
付記1
音響装置の筐体に下向きに内蔵されたスピーカからの音を聴者に向かって反射する音反射板を有する音反射ユニットであって、
前記音反射板は、筐体の背面下部または底面に、聴者に向かうZ方向に対して垂直なX方向に延びる回転軸を、前記音反射板が閉じた閉状態における前記Z方向の後端に備え、前記スピーカからの音出口に対して開閉可能であり、
前記回転軸は、前記回転軸から前記X方向に対して垂直に突出するカムを有し、
前記筐体には、前記Z方向に複数回折り曲げられ、下端に、前記Z方向に切断した断面がV字形状の突起部を有する板バネが、上下方向に伸縮可能にバネ固定枠によって固定されており、
前記音反射板は、前記板バネによって、前記カムの前記Z方向の後方の面と前記板バネの前記突起部の前記Z方向の前方の面とが接触し、予め定められた最適角度に前記音反射板が開いた開状態での前記回転軸の回転角度および、前記カムの前記Z方向の前方の面と前記板バネの前記突起部の前記Z方向の後方の面とが接触した前記閉状態での前記回転軸の回転角度に固定可能である音反射ユニット。
付記2
前記カムは、前記X方向に垂直な方向に複数の凹凸部を有し、いずれかの凹部に前記板バネの前記突起部の先端部がはまり込むことによって、前記音反射板は、3か所以上の回転角度で固定可能である付記1に記載の音反射ユニット。
付記3
前記音反射板は、前記筐体から下方に向かう回転角度で固定可能である付記2に記載の音反射ユニット。
付記4
前記音反射板は、下方に開いた状態から更に前記Z方向の後方に回転可能である付記3に記載の音反射ユニット。
付記5
前記筐体は、前記開状態において、前記音反射板の回転を止めるカム止めを備える付記1に記載の音反射ユニット。
付記6
前記音反射板は、前記回転軸を有するベース部と、前記ベース部に収納可能な延長部とからなり、前記ベース部の音反射面と、前記延長部の音反射面は同じ曲率半径を有する付記1から付記5のいずれか1項に記載の音反射ユニット。
付記7
前記ベース部は、前記Z方向に対して垂直なX方向の両端は、中間部分よりも肉厚に形成され、前記X方向に貫通し、前記ベース部の先端側から前記回転軸側に延びる第1長孔を備え、前記第1長孔よりも先端側には、前記X方向の内側に開口する断面コ字状の溝有し、
前記溝は、前記延長部の前記X方向の両端の厚みを薄くして凸状に形成したレール部を保持し、前記延長部の前記ベース部側の左右の側面には、それぞれ前記X方向に突出するフック部を備え、前記フック部は、それぞれ、前記溝の中を移動可能である付記6に記載の音反射ユニット。
付記8
それぞれの前記フック部の前記X方向の内側に、前記フック部に沿った第2長孔を有する付記7に記載の音反射ユニット。
付記9
前記延長部のうち、前記延長部を引き出したときに前記ベース部の前記溝と重なり合う部分に糸リブを有する付記7または付記8に記載の音反射ユニット。
付記10
前記回転軸の両端部にゴムリングを備える付記1から付記9のいずれか1項に記載の音反射ユニット。
付記11
前記回転軸は、前記回転軸が、予め定められた回転角度にあるときに、前記筐体に設けられたスイッチを動作させる第2カムを備える付記1から付記10に記載の音反射ユニット。
付記12
前記音反射ユニットは、前記音響装置とは別体である付記1から付記11のいずれか1項に記載の音反射ユニット。
付記13
付記1から付記11のいずれか1項に記載の前記板バネおよび前記バネ固定枠からなるバネ機構を前記筐体部に内蔵する音反射板付き音響装置。
【符号の説明】
【0081】
100,200,400,500,600 テレビ、10 筐体部、10IN 内壁、10U 底面、11 音出口、11H1 格子穴、11H2 軸受穴、
11H3 カム穴、12 カム止め、13 目隠しプレート、14 スイッチ、
15 バネ機構、16 板バネ、16AP カエリ部、16AS 押し部、
16A 固定部、16B 連結部、16C 変形部、16D 突起部、16CU 上面、16DF カム受け面、16DR カム受け面、16DT 先端部、16S 側面部、
17,617 バネ固定枠、17K 切欠、17S 側壁、17U 下壁、
17U1 底面、19 ベースプレート、19A 基部、19B 係止部、19H 穴、20,220,320,420,520 音反射板、20G ゴムリング、
20R,320BR,320XR 音反射面、20T 先端部、
21,421,521 回転軸、21D 段差部、21E 端部、
22,222,26 カム、22F,22R 面、
22G1,22G2,22G3 凹部、30 脚部、320B ベース部、
320BE 当たり部、320BH,320XH 長孔、320BHE 終端、
320BM 溝、320X 延長部、320XE 後端部、320XF フック部、
320XFK 傾斜部、320XFS 平坦面、320XP レール部、
323 曲げ部、50 音反射板ユニット、7 音、90 床、91 壁、
SP スピーカ、TP 両面テープ。
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