(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123410
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20240905BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20240905BHJP
【FI】
E02F9/00 C
E02F9/00 M
B60K1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030808
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 浩太郎
(72)【発明者】
【氏名】寺島 淳
【テーマコード(参考)】
2D015
3D235
【Fターム(参考)】
2D015CA02
3D235AA19
3D235BB36
3D235CC14
(57)【要約】
【課題】バッテリユニットに対するメンテナンスをしやすくすることができる作業機械を提供する。
【解決手段】作業機械は、バッテリユニットと、バッテリユニットに接続され、熱交換媒体が流れる配管と、配管が接続される熱交換器と、を備える。熱交換器は、バッテリユニットに対して、バッテリユニットにおける配管との接続側とは反対側に配置される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリユニットと、
前記バッテリユニットに接続され、熱交換媒体が流れる配管と、
前記配管が接続される熱交換器と、を備え、
前記熱交換器は、前記バッテリユニットに対して、前記バッテリユニットにおける前記配管との接続側とは反対側に配置される、作業機械。
【請求項2】
前記バッテリユニットは、前記配管が接続される接続口を一側面に有し、
前記熱交換器は、前記バッテリユニットに対して、前記一側面とは反対側の側面側に配置される、請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記接続口は、第1接続口と、第2接続口と、を含み、
前記第1接続口と前記第2接続口は、前記バッテリユニット内で、前記熱交換媒体を循環させる回路の一端と他端にそれぞれ接続する、請求項2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記バッテリユニットを複数備え、
それぞれの前記一側面が同一方向を向くように、複数の前記バッテリユニットが配置されている、請求項3に記載の作業機械。
【請求項5】
前記配管は、
前記熱交換機から延びる第1共通配管と、
前記第1共通配管と分岐部を介して接続し、複数の前記バッテリユニットの前記第1接続口からそれぞれ延びる第1個別配管と、
前記熱交換機から延びる第2共通配管と、
前記第2共通配管と合流部を介して接続し、複数の前記バッテリユニットの前記第2接続口からそれぞれ延びる第2個別配管と、を有する、請求項4に記載の作業機械。
【請求項6】
前記第2接続口は、前記第1接続口よりも上方に位置し、
前記第2共通配管は、前記バッテリユニットよりも上方に配置される、請求項5に記載の作業機械。
【請求項7】
前記第1共通配管は、上方から見たときに、前記バッテリユニットの外側を通って配策される、請求項5に記載の作業機械。
【請求項8】
前記配管の途中に配置される循環ポンプをさらに備え、
前記循環ポンプは、前記熱交換器に対して前記熱交換媒体が流れる方向の下流側に配置される、請求項1に記載の作業機械。
【請求項9】
前記配管の途中に配置されるヒータをさらに備える、請求項1に記載の作業機械。
【請求項10】
前記バッテリユニットを複数有する第1バッテリ群と、
前記バッテリユニットを複数有する第2バッテリ群と、
前記熱交換媒体の温度を調整する調温回路と、を備え、
前記第1バッテリ群および前記第2バッテリ群が有する全ての前記バッテリユニットは、それぞれの前記一側面が同一方向を向くように配置されており、
前記配管は、
前記第1バッテリ群に含まれるいずれかのバッテリユニットおよび前記第2バッテリ群に含まれるいずれかのバッテリユニットと、前記調温回路とを接続する第1配管と、
前記第1バッテリ群に含まれる複数のバッテリユニット同士を直列に接続する第2配管と、
前記第2バッテリ群に含まれる複数のバッテリユニット同士を直列に接続する第3配管と、
前記第1バッテリ群に含まれる他のバッテリユニットおよび前記第2バッテリ群に含まれる他のバッテリユニットと、前記調温回路とを接続する第4配管と、を含む、請求項2に記載の作業機械。
【請求項11】
前記調温回路は、前記熱交換器と、ヒータと、を含み、
前記第1バッテリ群に含まれる複数のバッテリユニットのうちで前記第1配管が接続されるバッテリユニット、および、前記第2バッテリ群に含まれる複数のバッテリユニットのうちで前記第1配管が接続されるバッテリユニットを、それぞれ第1配管接続バッテリユニットとし、
前記第1バッテリ群に含まれる複数のバッテリユニットのうちで前記第4配管が接続される他のバッテリユニット、および、前記第2バッテリ群に含まれる複数のバッテリユニットのうちで前記第4配管が接続される他のバッテリユニットを、それぞれ第4配管接続バッテリユニットとしたとき、
前記2つの第1配管接続バッテリユニットは、前記2つの第4配管接続バッテリユニットの間に配置される、請求項10に記載の作業機械。
【請求項12】
前記調温回路は、前記熱交換器または前記ヒータからの前記熱交換媒体の供給先を、前記第1配管と前記第4配管とで切り替える切替弁をさらに含み、
前記切替弁は、前記第1バッテリ群および前記第2バッテリ群に含まれる各バッテリユニットの冷却時に、前記熱交換器によって冷却された前記熱交換媒体の供給先を前記第1配管に切り替える、請求項11に記載の作業機械。
【請求項13】
前記切替弁は、前記各バッテリユニットの加熱時に、前記ヒータによって加熱された前記熱交換媒体の供給先を前記第4配管に切り替える、請求項12に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、箱体の中に空冷式の複数のバッテリユニットを配置した電動式の油圧ショベルが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バッテリユニットを空冷する構成では、バッテリユニットの温度を短時間で適正な温度域に調整(例えば冷却)することが困難である。このため、近年では、バッテリユニットの冷却方式として、冷却水などの熱交換媒体を用いる水冷方式が多く採用されている。ラジエータなどの熱交換器とバッテリユニットとの間で熱交換媒体を循環させる配管を設けることにより、バッテリユニットを短時間で適切な温度に冷却することができる。
【0005】
ところが、水冷方式を採用する場合、例えばバッテリユニットにおける配管との接続部が熱交換器側に位置すると、上記接続部の点検等のメンテナンスを行う際に、熱交換器の存在により、上記メンテナンスがしにくくなるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、バッテリユニットに対するメンテナンスをしやすくすることができる作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る作業機械は、バッテリユニットと、前記バッテリユニットに接続され、熱交換媒体が流れる配管と、前記配管が接続される熱交換器と、を備え、前記熱交換器は、前記バッテリユニットに対して、前記バッテリユニットにおける前記配管との接続側とは反対側に配置される。
【発明の効果】
【0008】
上記の構成によれば、バッテリユニットに対するメンテナンスをしやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の一形態に係る電動式作業機械の一例である油圧ショベルの概略の構成を示す側面図である。
【
図2】上記油圧ショベルの電気系および油圧系の構成を模式的に示すブロック図である。
【
図3】上記油圧ショベルの機関室の内部の構成を示す斜視図である。
【
図4】上記機関室内の主要部を右後方から見たときの斜視図である。
【
図5】上記主要部を左後方から見たときの斜視図である。
【
図7】上記油圧ショベルにおける配管の配策の他の例を示す斜視図である。
【
図8】
図7のように上記配管が配策された油圧ショベルの構成を、バッテリユニットの冷却時における熱交換媒体の流れ方向とともに示すブロック図である。
【
図9】上記油圧ショベルの構成を、バッテリユニットの加熱時における熱交換媒体の流れ方向とともに示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0011】
〔1.油圧ショベルの構成〕
図1は、本実施形態の作業機械の一例である電動式の油圧ショベル1の概略の構成を示す側面図である。油圧ショベル1は、下部走行体2と、作業機3と、上部旋回体4と、を備える。なお、本実施形態では、油圧ショベル1または上部旋回体4(特に機関室44)のことを、「機体」とも称する。
【0012】
ここで、以下での説明の便宜上、方向を次のように定義する。上部旋回体4の運転座席41aに着座したオペレータ(操縦者、運転手)が正面を向く方向を前方とし、その逆方向を後方とする。したがって、下部走行体2に対して上部旋回体4が非旋回の状態(旋回角度0°)では、上部旋回体4の前後方向は、下部走行体2が前後進する方向と一致する。また、運転座席41aに着座したオペレータから見て左側を「左」とし、右側を「右」とする。さらに、前後方向および左右方向に垂直な重力方向を上下方向とし、重力方向の上流側を「上」とし、下流側を「下」とする。図面では、下部走行体2に対して上部旋回体4が非旋回の状態で油圧ショベル1を示す。また、図面では、必要に応じて、前方を「F」、後方を「B」、右方を「R」、左方を「L」、上方を「U」、下方を「D」の記号で示す。
【0013】
下部走行体2は、左右一対のクローラ21と、左右一対の走行モータ22と、を備える。各走行モータ22は、油圧モータである。左右の走行モータ22が、左右のクローラ21をそれぞれ駆動することにより、油圧ショベル1を前後進させることができる。下部走行体2には、整地作業を行うためのブレード23と、ブレードシリンダ23aとが設けられる。ブレードシリンダ23aは、ブレード23を上下方向に回動させる油圧シリンダである。
【0014】
作業機3は、ブーム31、アーム32、およびバケット33を備える。ブーム31、アーム32、およびバケット33を独立して駆動することにより、土砂等の掘削作業を行うことができる。
【0015】
ブーム31は、ブームシリンダ31aによって回動される。ブームシリンダ31aは、基端部が上部旋回体4の前部に支持され、伸縮自在に可動する。アーム32は、アームシリンダ32aによって回動される。アームシリンダ32aは、基端部がブーム31に支持され、伸縮自在に可動する。バケット33は、バケットシリンダ33aによって回動される。バケットシリンダ33aは、基端部がアーム32に支持され、伸縮自在に可動する。ブームシリンダ31a、アームシリンダ32a、およびバケットシリンダ33aは、油圧シリンダにより構成される。
【0016】
上部旋回体4は、下部走行体2の上方に位置し、下部走行体2に対して旋回ベアリング(不図示)を介して旋回可能に設けられる。上部旋回体4には、操縦部41、旋回フレーム42、旋回モータ43、機関室44等が配置される。上部旋回体4は、油圧モータである旋回モータ43の駆動により、旋回ベアリングを介して旋回する。
【0017】
上部旋回体4には、油圧ポンプ71(
図2参照)が配置される。油圧ポンプ71は、機関室44の内部の電動モータ61(
図2参照)によって駆動される。油圧ポンプ71は、油圧モータ(例えば左右の走行モータ22、旋回モータ43)、および油圧シリンダ(例えばブレードシリンダ23a、ブームシリンダ31a、アームシリンダ32a、バケットシリンダ33a)に作動油(圧油)を供給する。油圧ポンプ71から作動油が供給されて駆動される油圧モータおよび油圧シリンダを、まとめて油圧アクチュエータ73(
図2参照)と呼ぶ。
【0018】
操縦部41には、運転座席41aが配置される。運転座席41aの周囲には、各種のレバー41bが配置される。オペレータが運転座席41aに着座してレバー41bを操作することにより、油圧アクチュエータ73が駆動される。これにより、下部走行体2の走行、ブレード23による整地作業、作業機3による掘削作業、上部旋回体4の旋回、等を行うことができる。
【0019】
上部旋回体4には、バッテリユニット53が配置される。バッテリユニット53は、例えばリチウムイオンバッテリユニットで構成され、電動モータ61を駆動するための電力を蓄える。バッテリユニット53は、複数のバッテリをユニット化して構成されてもよいし、単一のバッテリセルで構成されてもよい。また、上部旋回体4には、不図示の給電口が設けられる。上記の給電口と、外部電源である商用電源51とは、給電ケーブル52を介して接続される。これにより、バッテリユニット53を充電することができる。
【0020】
上部旋回体4には、鉛バッテリ54がさらに設けられる。鉛バッテリ54は、低電圧(例えば12V)の直流電圧を出力する。鉛バッテリ54からの出力は、制御電圧として例えばシステムコントローラ67(
図2参照)、ファン81(
図3等参照)の駆動部、などに供給される。
【0021】
油圧ショベル1は、油圧アクチュエータ73などの油圧機器と、電力で駆動されるアクチュエータとを併用した構成であってもよい。電力で駆動されるアクチュエータとしては、例えば、電動走行モータ、電動シリンダ、電動旋回モータがある。
【0022】
〔2.電気系および油圧系の構成〕
図2は、油圧ショベル1の電気系および油圧系の構成を模式的に示すブロック図である。油圧ショベル1は、電動モータ61と、充電器62と、インバータ63と、PDU(Power Drive Unit)64と、ジャンクションボックス65と、DC-DCコンバータ66と、システムコントローラ67と、を備える。システムコントローラ67は、ECU(Electronic Control Unit)とも呼ばれる電子制御ユニットで構成され、油圧ショベル1の各部の電気的な制御を行う。
【0023】
電動モータ61は、バッテリユニット53から、ジャンクションボックス65およびインバータ63を介して供給される電力により駆動される。電動モータ61は、永久磁石モータまたは誘導モータで構成される。電動モータ61は、旋回フレーム42(
図1参照)上に配置される。
【0024】
充電器62(給電器とも呼ばれる)は、
図1で示した商用電源51から給電ケーブル52を介して供給される交流電圧を直流電圧に変換する。インバータ63は、バッテリユニット53から供給される直流電圧を、交流電圧に変換して電動モータ61に供給する。これにより、電動モータ61が回転する。インバータ63から電動モータ61への交流電圧(電流)の供給は、システムコントローラ67から出力される回転指令に基づいて行われる。
【0025】
PDU64は、内部のバッテリリレーを制御してバッテリユニット53の入出力を制御するバッテリ制御ユニットである。ジャンクションボックス65は、充電器リレー、インバータリレー、ヒューズ等を含んで構成される。上記した充電器62から出力される電圧は、ジャンクションボックス65およびPDU64を介してバッテリユニット53に供給される。また、バッテリユニット53から出力される電圧は、PDU64およびジャンクションボックス65を介してインバータ63に供給される。
【0026】
DC-DCコンバータ66は、バッテリユニット53からジャンクションボックス65を介して供給される高電圧(例えば300V)の直流電圧を、低電圧(例えば12V)に降圧する。DC-DCコンバータ66から出力される電圧は、鉛バッテリ54からの出力と同様に、システムコントローラ67、ファン81の駆動部、などに供給される。
【0027】
電動モータ61の回転軸(出力軸)には、複数の油圧ポンプ71が接続される。複数の油圧ポンプ71は、可変容量型ポンプおよび固定容量型ポンプを含む。
図2では、例として油圧ポンプ71を1つのみ図示している。各油圧ポンプ71は、作動油を収容(貯留)する作動油タンク74と接続されている。電動モータ61によって油圧ポンプ71が駆動されると、作動油タンク74内の作動油が、コントロールバルブ72を介して油圧アクチュエータ73に供給される。これにより、油圧アクチュエータ73が駆動される。コントロールバルブ72は、油圧アクチュエータ73に供給される作動油の流れ方向および流量を制御する方向切替弁である。
【0028】
〔3.機関室の内部構成〕
図3は、油圧ショベル1の機関室44の内部の構成を示す斜視図である。油圧ショベル1は、ファン81を備える。ファン81は、回転によって機体内部に外気を取り込む。すなわち、本実施形態のファン81は、吸い込み型である。ファン81の回転軸は、機体の左右方向に延びる。ファン81の下方には、油圧ポンプ71が位置する。油圧ポンプ71は、油圧ホース(図示せず)を介して作動油タンク74(
図2参照)と接続される。
【0029】
油圧ショベル1は、ラジエータ82を備える。ラジエータ82は、熱交換媒体を熱交換により冷却する熱交換器である。熱交換媒体は例えば冷却水であるが、冷却水以外の冷媒であってもよい。ラジエータ82は、ファン81に対して機体右側に配置されている。
【0030】
ファン81に対して機体左側、つまり、ファン81に対してラジエータ82とは反対側には、オイルクーラ83が配置される。オイルクーラ83は、油圧ポンプ71および油圧アクチュエータ73(
図2参照)等を介して循環する油路と接続される。オイルクーラ83は、油圧ポンプ71の駆動によって上記油路を流れる作動油を熱交換により冷却する。オイルクーラ83は、ファン81の回転軸方向から見て、ファン81の一部と重なるように配置される。
【0031】
オイルクーラ83に対して機体左側、つまり、オイルクーラ83に対してファン81と反対側には、風導部84が配置される。風導部84の下方には、上記の電動モータ61が配置される。電動モータ61に対して機体右側に、油圧ポンプ71が配置される。
【0032】
ファン81は上述のように吸い込み型であるため、ファン81を回転させると、機体外側から機体内部に向かって外気が吸い込まれ、風導部84の内部を流れて機体外部に排出される。ラジエータ82およびオイルクーラ83は、上記外気の流路の途中に配置されているため、吸い込まれた外気によってラジエータ82およびオイルクーラ83が順に冷却される。また、風導部84の下方に電動モータ61が配置されているため、風導部84から排出される風により、電動モータ61が冷却される。さらに、
図3に示すように、風導部84の側壁には、充電器62およびDC-DCコンバータ66が配置されているため、風導部84の内部を流れる風により、充電器62およびDC-DCコンバータ66も冷却される。
【0033】
なお、上記したファン81、ラジエータ82およびオイルクーラ83の配置は、一例であり、本実施形態の配置には限定されない。したがって、ファン81、ラジエータ82およびオイルクーラ83の配置を工夫することにより、ファン81を吐き出し型で構成して、ラジエータ82およびオイルクーラ83を冷却することもできる。
【0034】
〔4.熱交換器とバッテリユニットとの位置関係、および配管の配策について〕
図4は、
図3で示した機関室44内の主要部を右後方から見たときの斜視図である。
図5は、上記主要部を左後方から見たときの斜視図である。
図6は、上記主要部の平面図である。ここで、上記主要部とは、上記の熱交換媒体が流れる配管90と、配管90が接続される部材とを指す。
【0035】
図4~
図6に示すように、油圧ショベル1は、上記したバッテリユニット53を複数備える。本実施形態では、油圧ショベル1は、4つのバッテリユニット53を備えるが、バッテリユニット53の個数は特に限定されない。
図6に示すように、4つのバッテリユニット53は、平面視で長手方向が機体左右方向となるように旋回フレーム42上に防振支持されるとともに、機体前後方向に並んで配置される。各バッテリユニット53とラジエータ82とは、配管90で接続される。すなわち、油圧ショベル1は、バッテリユニット53に接続され、熱交換媒体が流れる配管90と、配管90が接続される熱交換器としてのラジエータ82と、を備える。配管90は、例えば樹脂製のホースで形成されるが、少なくとも一部に金属製のパイプまたは継手等を含んで構成されてもよい。なお、配管90の詳細な構成については後述する。
【0036】
図5に示すように、バッテリユニット53は、左側面53Lに接続口530を有する。接続口530には、配管90が接続される。すなわち、バッテリユニット53は、配管90が接続される接続口530を、一側面である左側面53Lに有する。
【0037】
図5および
図6に示すように、ラジエータ82は、バッテリユニット53に対して、バッテリユニット53における配管90との接続側(例えば機体左側)とは反対側(例えば機体右側)に配置される。このようなラジエータ82とバッテリユニット53との位置関係により、バッテリユニット53に対するメンテナンスを、ラジエータ82の配置側とは反対側(機体左側)から行うことができる。例えば、機関室44の側壁となる左側のボンネット(図示せず)を外すことにより、バッテリユニット53のメンテナンスを行うことができる。この場合、上記メンテナンスを、ラジエータ82によって阻害されることなく行うことができるため、上記メンテナンスがしやすくなる。なお、上記メンテナンスには、バッテリユニット53に対する配管90の接続およびその解除、バッテリユニット53と配管90との接続部の点検、確認などが含まれる。
【0038】
特に、バッテリユニット53に対する接続口530付近のメンテナンスをしやすくする点では、バッテリユニット53に対して、接続口530が設けられる左側面53L側からメンテナンスを行えるようにすることが望ましい。この点では、
図5等に示すように、ラジエータ82は、バッテリユニット53に対して、上記一側面(左側面53L)とは反対側の側面(右側面53R)側に配置されることが望ましい(特に
図4、
図6参照)。
【0039】
図5に示すように、上記したバッテリユニット53の接続口530は、第1接続口531と、第2接続口532と、を含む。第1接続口531および第2接続口532は両方とも、バッテリユニット53の左側面53Lに設けられる。左側面53Lにおいて、第1接続口531および第2接続口532は、上下方向に並んで配置される。具体的には、第2接続口532は、第1接続口531よりも上方に位置する。
【0040】
第1接続口531および第2接続口532のメンテナンスをまとめて行うことを可能にする観点では、第1接続口531および第2接続口532を含む複数の接続口530は、バッテリユニット53の同一の側面(上記の例では左側面53L)に設けられることが望ましい。
【0041】
第1接続口531と第2接続口532は、バッテリユニット53内で、熱交換媒体を循環させる回路の一端と他端にそれぞれ接続する。この場合、上記のように、第1接続口531および第2接続口532を、各バッテリユニット53の同じ側面(左側面53L)に位置させて、同じ側面側から各バッテリユニット53内に熱交換媒体を流し込み、また、各バッテリユニット53から同じ側面側に排出させることができる。これにより、各バッテリユニット53に対する配管90との接続側の構成を、短い配管(例えば後述する複数の第1個別配管91cおよび複数の第2個別配管92c)を用いてコンパクトにまとめることができる。したがって、複数のバッテリユニット53を冷却する回路を簡易な配管90の配索で実現可能とする点では、本実施形態のように、第1接続口531と第2接続口532は、バッテリユニット53内で、熱交換媒体を循環させる回路の一端と他端にそれぞれ接続することが望ましい。
【0042】
なお、バッテリユニット53の個数は1個であってもよい。この場合でも、バッテリユニット53の一側面(例えば左側面53L)に、熱交換媒体の入側となる第1接続口531と出側となる第2接続口532とを位置させて、配管90の簡易な配索でバッテリユニット53を冷却する回路を実現することが可能となる。
【0043】
また、
図5および
図6に示すように、旋回フレーム42上で複数のバッテリユニット53が並んで配置される場合、各バッテリユニット53に対するメンテナンスを、同じ側(例えば機体左側)からまとめて行うことができれば、各バッテリユニット53のメンテナンスを効率よく行うことができる点で望ましい。この観点では、配管90は、複数のバッテリユニット53のそれぞれに対して同じ側で接続されることが望ましい。言い換えれば、複数のバッテリユニット53は、(配管90との接続口530が設けられる)それぞれの一側面(例えば左側面53L)が同一方向(
図5および
図6では機体左方向)を向くように、配置されていることが望ましい。
【0044】
次に、上記した配管90の詳細について説明する。
図4~
図6に示すように、配管90は、ラジエータ82から延びる第1共通配管91aと、第1共通配管91aと分岐部91bを介して接続される第1個別配管91cと、を有する。第1個別配管91cは、各バッテリユニット53に対応して複数設けられ、複数のバッテリユニット53の第1接続口531からそれぞれ延びる。第1共通配管91aの途中には、後述する循環ポンプ93およびヒータ94が配置される。
【0045】
また、配管90は、ラジエータ82から延びる第2共通配管92aと、第2共通配管92aと合流部92bを介して接続される第2個別配管92cと、を有する。第2個別配管92cは、各バッテリユニット53に対応して複数設けられ、複数のバッテリユニット53の第2接続口532からそれぞれ延びる。
【0046】
上記した配管90の構成では、ラジエータ82から排出された熱交換媒体は、第1共通配管91aを流れ、分岐部91bにて4つの第1個別配管91cに均等に振り分けられ、各第1個別配管91cから第1接続口531を介して、対応するバッテリユニット53の内部に流入し、バッテリユニット53を冷却する。バッテリユニット53の内部を流れた熱交換媒体は、第2接続口532から第2個別配管92cを介して合流部92bに流れ込み、他のバッテリユニット53から対応する第2個別配管92cを介して流れ込んだ熱交換媒体と合流部92bにて合流した後、第2共通配管92a内を流れてラジエータ82に戻る。以降は、このような熱交換媒体の循環が繰り返される。
【0047】
配管90のレイアウトをコンパクトにする観点では、本実施形態のように、各バッテリユニット53と接続される複数の第1個別配管91cを、分岐部91bを介して1本の第1共通配管91aと接続し、各バッテリユニット53と接続される複数の第2個別配管92cを、合流部92bを介して1本の第2共通配管92aと接続する構成が望ましい。
【0048】
また、熱交換媒体によるバッテリユニット53の温度調整(例えば冷却)を効率よく行うためには、バッテリユニット53の内部を熱交換媒体で満たすことが望ましい。そのためには、バッテリユニット53内に存在する空気をバッテリユニット53の外部に逃げやすくすることが望ましい。バッテリユニット53内の空気が上方に逃げやすくなり、バッテリユニット53の内部に空気が溜まりにくくなる点では、
図4および
図5に示すように、第2共通配管92aは、バッテリユニット53よりも上方に位置することが望ましい。
【0049】
バッテリユニット53の周囲のスペースを、第1共通配管91a、分岐部91bおよび第1個別配管91cの配策スペースとして有効利用する観点では、
図6に示すように、第1共通配管91aは、各バッテリユニット53の機体後方側を通って配策されることが望ましい。つまり、第1共通配管91aは、上方から見たときに、バッテリユニット53の外側を通って(バッテリユニット53とずれて)配策されることが望ましい。
【0050】
図4および
図6に示すように、配管90(特に第1共通配管91a)の途中には、循環ポンプ93が配置される。循環ポンプ93は、ラジエータ82で冷却された後の熱交換媒体を吸い込んでバッテリユニット53側に押し出す。循環ポンプ93は、ラジエータ82よりも下方に配置されているとともに、バッテリユニット53に対して機体右側に配置されている。循環ポンプ93は、ラジエータ82に対して機体後方側に配置されているが、ラジエータ82に対して機体前方側に配置されてもよい。
【0051】
バッテリユニット53の内部を流れた後の熱交換媒体は、バッテリユニット53の熱を吸収して昇温する。高温の熱交換媒体が循環ポンプ93に直接供給されると、循環ポンプ93が損傷するおそれがある。高温の熱交換媒体の供給による循環ポンプ93の損傷を回避して、循環ポンプ93を保護する観点では、ラジエータ82で冷却された後の熱交換媒体を循環ポンプ93に供給することが望ましい。この点では、循環ポンプ93は、
図4等に示すように、ラジエータ82からバッテリユニット53に向かう熱交換媒体が流れる第1共通配管91aの途中に配置されることが望ましい。つまり、循環ポンプ93は、ラジエータ82に対して熱交換媒体が流れる方向の下流側に配置されることが望ましい。
【0052】
本実施形態では、
図4に示すように、配管90の途中には、ヒータ94がさらに配置される。特に、ヒータ94は、第1共通配管91aにおいて、循環ポンプ93よりも熱交換媒体が流れる方向の下流側に配置される。ヒータ94は、ラジエータ82に対して機体前方側に配置されているが、機体後方側に配置されてもよい。
【0053】
ヒータ94をオフした状態(非通電状態)で、ファン81(
図3参照)を駆動させてラジエータ82に外気を当てることにより、ラジエータ82を流れる熱交換媒体を熱交換により冷却することができる。この場合、比較的低温の熱交換媒体を循環ポンプ93によってバッテリユニット53に供給して、バッテリユニット53を冷却することができる。一方、ファン81の駆動を停止させた状態で、ヒータ94を通電してオンすることにより、循環ポンプ93によって供給される熱交換媒体をヒータ94で温めてバッテリユニット53に供給し、バッテリユニット53を温めることができる。したがって、寒冷時に、バッテリユニット53を適正な温度範囲で使用することを可能にする観点では、本実施形態のように、配管90の途中にヒータ94が配置されることが望ましい。
【0054】
〔5.配管の配策の他の例〕
図7は、油圧ショベル1における配管90の配策の他の例を示す斜視図である。
図8および
図9は、
図7のように配管90が配策された油圧ショベル1の構成を模式的に示すブロック図である。なお、
図8では、バッテリユニット53の冷却時における熱交換媒体の流れ方向を併せて示す。また、
図9では、バッテリユニット53の加熱時における熱交換媒体の流れ方向を併せて示す。
【0055】
図7に示すように、油圧ショベル1に搭載される複数(例えば4つ)のバッテリユニット53が機体前後方向に並んで配置される点は、
図4等で示した構成と同様である。また、各バッテリユニット53が左側面53Lに複数の接続口530(第1接続口531、第2接続口532)を有する点についても、
図4等で示した構成と同様である。したがって、
図7に示す構成においても、複数のバッテリユニット53は、(複数の接続口530が設けられる)それぞれの一側面(例えば左側面53L)が同一方向(例えば機体左方向)を向くように配置されていることになる。
【0056】
ここで、以下での説明の便宜上、機体前後方向に並ぶ4つのバッテリユニット53を、機体前方側から機体後方側へ向かって順に、第1バッテリユニット53-1、第2バッテリユニット53-2、第3バッテリユニット53-3、第4バッテリユニット53-4、とも称する。第1バッテリユニット53-1および第2バッテリユニット53-2は、第1バッテリ群53G1を構成する。また、第3バッテリユニット53-3および第4バッテリユニット53-4は、第2バッテリ群53G2を構成する。すなわち、油圧ショベル1は、バッテリユニット53を複数有する第1バッテリ群53G1と、バッテリユニット53を複数有する第2バッテリ群53G2と、を備える。各バッテリユニット53には、熱交換媒体が流れる配管90が接続される。
【0057】
図7~
図9に示すように、配管90は、第1配管101と、第2配管102と、第3配管103と、第4配管104と、を含む。
【0058】
第1配管101は、調温回路200(
図8、
図9参照)から延びる第1接続配管101aと、第1接続配管101aと第1接続部101bを介して接続される第2接続配管101cと、を有する。第2接続配管101cは、第2バッテリユニット53-2および第3バッテリユニット53-3に対応して設けられ、第2バッテリユニット53-2の第1接続口531、および第3バッテリユニット53-3の第1接続口531からそれぞれ延びる。すなわち、第1配管101は、第1バッテリ群53G1に含まれるいずれかのバッテリユニット53(ここでは第2バッテリユニット53-2)および第2バッテリ群53G2に含まれるいずれかのバッテリユニット53(ここでは第3バッテリユニット53-3)と、調温回路200とを接続する。
【0059】
上記の調温回路200は、配管90を流れる熱交換媒体の温度を調整する。すなわち、油圧ショベル1は、調温回路200を備える。なお、調温回路200の詳細については後述する。
【0060】
第2配管102は、第1バッテリユニット53-1の第1接続口531と、第2バッテリユニット53-2の第2接続口532とを接続する。つまり、第2配管102は、第1バッテリ群53G1に含まれる複数のバッテリユニット53同士(ここでは第1バッテリユニット53-1および第2バッテリユニット53-2)を直列に接続する。
【0061】
第3配管103は、第3バッテリユニット53-3の第2接続口532と、第4バッテリユニット53-4の第1接続口531とを接続する。つまり、第3配管103は、第2バッテリ群53G2に含まれる複数のバッテリユニット53同士(ここでは第3バッテリユニット53-3および第4バッテリユニット53-4)を直列に接続する。
【0062】
第4配管104は、調温回路200から延びる第3接続配管104aと、第3接続配管104aと第2接続部104bを介して接続される第4接続配管104cと、を有する。第4接続配管104cは、第1バッテリユニット53-1および第4バッテリユニット53-4に対応して設けられ、第1バッテリユニット53-1の第2接続口532、および第4バッテリユニット53-4の第2接続口532からそれぞれ延びる。すなわち、第4配管104は、第1バッテリ群53G1に含まれる他のバッテリユニット53(ここでは第1バッテリユニット53-1)および第2バッテリ群53G2に含まれる他のバッテリユニット53(ここでは第4バッテリユニット53-4)と、調温回路200とを接続する。
【0063】
上記のように配管90が構成されることにより、調温回路200から第1配管101に熱交換媒体が供給されたとき、その熱交換媒体は、第1ルートおよび第2ルートに分かれて第4配管104に導かれ、調温回路200に戻る。ここで、第1ルートは、第1配管101から、第2バッテリユニット53-2、第2配管102、および第1バッテリユニット53-1を通って第4配管104に熱交換媒体が流れるルートである。第2ルートは、第1配管101から、第3バッテリユニット53-3、第3配管103、および第4バッテリユニット53-4を通って第4配管104に熱交換媒体が流れるルートである。
【0064】
第1ルートおよび第2ルートのどちらのルートで熱交換媒体が流れる場合でも、複数のバッテリユニット53のうち、機体前後方向の外側に位置するバッテリユニット53(第1バッテリユニット53-1、第4バッテリユニット53-4)よりも先に、機体前後方向の内側に位置するバッテリユニット53(第2バッテリユニット53-2、第3バッテリユニット53-3)の内部を熱交換媒体が流れる。このため、機体前後方向の内側に位置するバッテリユニット53を優先して温度調整(例えば冷却)することができる。
【0065】
一方、調温回路200から第4配管104に熱交換媒体が供給されたとき、その熱交換媒体は、第3ルートおよび第4ルートに分かれて第1配管101に導かれ、調温回路200に戻る。ここで、第3ルートは、第4配管104から、第1バッテリユニット53-1、第2配管102、および第2バッテリユニット53-2を通って第1配管101に熱交換媒体が流れるルートである。第4ルートは、第4配管104から、第4バッテリユニット53-4、第3配管103、および第3バッテリユニット53-3を通って第1配管101に熱交換媒体が流れるルートである。
【0066】
第3ルートおよび第4ルートのどちらのルートで熱交換媒体が流れる場合でも、複数のバッテリユニット53のうち、機体前後方向の内側に位置するバッテリユニット53(第2バッテリユニット53-2、第3バッテリユニット53-3)よりも先に、機体前後方向の外側に位置するバッテリユニット53(第1バッテリユニット53-1、第4バッテリユニット53-4)の内部を熱交換媒体が流れる。このため、機体前後方向の外側に位置するバッテリユニット53を優先して温度調整(例えば加熱)することができる。
【0067】
このように、複数のバッテリユニット53のうち、一部のバッテリユニット53の温度調整を他のバッテリユニット53よりも優先して行うことを可能にする点では、
図7で示した配管90の構成が望ましい。
【0068】
また、
図7で示した配管90の配策では、第1バッテリ群53G1に含まれる隣り合うバッテリユニット53同士(第1バッテリユニット53-1および第2バッテリユニット53-2)を、短い第2配管102で接続することができる。同様に、第2バッテリ群53G2に含まれる隣り合うバッテリユニット53同士(第3バッテリユニット53-3および第4バッテリユニット53-4)を、短い第3配管103で接続することができる。これにより、配管90のレイアウトをコンパクトにすることができ、この点でも、
図7で示した配管90の配策は望ましい。
【0069】
次に、上記した調温回路200の詳細について説明する。
図8および
図9に示すように、調温回路200は、上述したラジエータ82、循環ポンプ93、およびヒータ94に加えて、切替弁95を有して構成される。切替弁95は、ラジエータ82またはヒータ94からの熱交換媒体の供給先を、第1配管101と第4配管104とで切り替える。このような切替弁95は、例えば電磁弁で構成されるが、手動操作によって上記熱交換媒体の供給先を切り替える弁で構成されてもよい。調温回路200では、ラジエータ82とヒータ94とは並列に配置されている。調温回路200内では、循環ポンプ93により、熱交換媒体がラジエータ82またはヒータ94を介して流れ、切替弁95に供給される。
【0070】
ここで、第1バッテリ群53G1に含まれる複数のバッテリユニット53のうちで第1配管101が接続される第2バッテリユニット53-2と、第2バッテリ群53G2に含まれる複数のバッテリユニット53のうちで第1配管101が接続される第3バッテリユニット53-3を、それぞれ第1配管接続バッテリユニット53Pとする。また、第1バッテリ群53G1に含まれる複数のバッテリユニット53のうちで第4配管104が接続される他の第1バッテリユニット53-1と、第2バッテリ群53G2に含まれる複数のバッテリユニット53のうちで第4配管104が接続される他の第4バッテリユニット53-4を、それぞれ第4配管接続バッテリユニット53Qとする。
図7で示したように、機体前後方向において、2つの第1配管接続バッテリユニット53Pは、2つの第4配管接続バッテリユニット53Qの間に配置される。
【0071】
複数のバッテリユニット53が機体前後方向に並んで配置される場合、各バッテリユニット53が使用に伴って発熱すると、配列方向の両端付近に位置するバッテリユニット53(例えば第1バッテリユニット53-1、第4バッテリユニット53-4)では放熱が進みやすい。これに対して、配列方向の中央付近に位置するバッテリユニット53(例えば第2バッテリユニット53-2、第3バッテリユニット53-3)では放熱が進みにくく、熱がこもりやすい。
【0072】
上記のように、2つの第1配管接続バッテリユニット53Pは、2つの第4配管接続バッテリユニット53Qの間に配置される。これにより、調温回路200に含まれるラジエータ82で冷却した直後の(低温の)熱交換媒体を、第4配管接続バッテリユニット53Qよりも先に、第1配管101を介して第1配管接続バッテリユニット53Pに供給して、熱のこもりやすい第1配管接続バッテリユニット53Pを優先して冷却することができる。
【0073】
一方、寒冷時は、配列方向の中央付近に位置するバッテリユニット53(例えば第2バッテリユニット53-2、第3バッテリユニット53-3)よりも、配列方向の両端付近に位置するバッテリユニット53(例えば第1バッテリユニット53-1、第4バッテリユニット53-4)のほうが、熱を奪われやすく、温度が低下しやすい。
【0074】
2つの第4配管接続バッテリユニット53Qは、2つの第1配管接続バッテリユニット53Pに対して配列方向の外側に位置する。このため、ヒータ94によって加熱された熱交換媒体を、第1配管接続バッテリユニット53Pよりも先に、第4配管104を介して第4配管接続バッテリユニット53Qに供給して、寒冷時に温度が低下しやすい第4配管接続バッテリユニット53Qを優先して温めることができる。
【0075】
このように、複数のバッテリユニット53の配置位置による放熱度合いの違いを考慮して、熱交換媒体を優先して供給するバッテリユニット53を切り替えて、複数のバッテリユニット53全体で均一な温度を実現し、バッテリユニット53の劣化度合いを均一にする観点では、2つの第1配管接続バッテリユニット53Pは、2つの第4配管接続バッテリユニット53Qの間に配置されることが望ましい。
【0076】
特に、熱のこもりやすい第1配管接続バッテリユニット53Pを、第4配管接続バッテリユニット53Qよりも優先して冷却することを可能にする観点では、切替弁95は、第1バッテリ群53G1および第2バッテリ群53G2に含まれる各バッテリユニット53の冷却時に、ラジエータ82によって冷却された熱交換媒体の供給先を第1配管101に切り替えることが望ましい。
【0077】
また、第1配管接続バッテリユニット53Pよりも先に第4配管接続バッテリユニット53Qに高温の熱交換媒体を供給して、第4配管接続バッテリユニット53Qを優先して加熱することを可能にする観点では、切替弁95は、各バッテリユニット53の加熱時に、ヒータ94によって加熱された熱交換媒体の供給先を第4配管104に切り替えることが望ましい。
【0078】
以上では、作業機械として、建設機械である油圧ショベル1を例に挙げて説明したが、作業機械は油圧ショベル1に限定されず、ホイルローダなどの他の建設機械であってもよい。また、作業機械は、コンバイン、トラクタ等の農業機械であってもよい。
【0079】
〔6.付記〕
本実施形態で説明した油圧ショベル1は、以下の付記に示す作業機械と表現することもできる。
【0080】
付記(1)の作業機械は、
バッテリユニットと、
前記バッテリユニットに接続され、熱交換媒体が流れる配管と、
前記配管が接続される熱交換器と、を備え、
前記熱交換器は、前記バッテリユニットに対して、前記バッテリユニットにおける前記配管との接続側とは反対側に配置される。
【0081】
付記(2)の作業機械は、付記(1)に記載の作業機械において、
前記バッテリユニットは、前記配管が接続される接続口を一側面に有し、
前記熱交換器は、前記バッテリユニットに対して、前記一側面とは反対側の側面側に配置される。
【0082】
付記(3)の作業機械は、付記(2)に記載の作業機械において、
前記接続口は、第1接続口と、第2接続口と、を含み、
前記第1接続口と前記第2接続口は、前記バッテリユニット内で、前記熱交換媒体を循環させる回路の一端と他端にそれぞれ接続する。
【0083】
付記(4)の作業機械は、付記(3)に記載の作業機械において、
前記バッテリユニットを複数備え、
それぞれの前記一側面が同一方向を向くように、複数の前記バッテリユニットが配置されている。
【0084】
付記(5)の作業機械は、付記(4)に記載の作業機械において、
前記配管は、
前記熱交換機から延びる第1共通配管と、
前記第1共通配管と分岐部を介して接続し、複数の前記バッテリユニットの前記第1接続口からそれぞれ延びる第1個別配管と、
前記熱交換機から延びる第2共通配管と、
前記第2共通配管と合流部を介して接続し、複数の前記バッテリユニットの前記第2接続口からそれぞれ延びる第2個別配管と、を有する。
【0085】
付記(6)の作業機械は、付記(5)に記載の作業機械において、
前記第2接続口は、前記第1接続口よりも上方に位置し、
前記第2共通配管は、前記バッテリユニットよりも上方に配置される。
【0086】
付記(7)の作業機械は、付記(5)または(6)に記載の作業機械において、
前記第1共通配管は、上方から見たときに、前記バッテリユニットの外側を通って配策される。
【0087】
付記(8)の作業機械は、付記(1)から(7)のいずれかに記載の作業機械において、
前記配管の途中に配置される循環ポンプをさらに備え、
前記循環ポンプは、前記熱交換器に対して前記熱交換媒体が流れる方向の下流側に配置される。
【0088】
付記(9)の作業機械は、付記(1)から(8)のいずれかに記載の作業機械において、
前記配管の途中に配置されるヒータをさらに備える。
【0089】
付記(10)の作業機械は、付記(2)または(3)に記載の作業機械において、
前記バッテリユニットを複数有する第1バッテリ群と、
前記バッテリユニットを複数有する第2バッテリ群と、
前記熱交換媒体の温度を調整する調温回路と、を備え、
前記第1バッテリ群および前記第2バッテリ群が有する全ての前記バッテリユニットは、それぞれの前記一側面が同一方向を向くように配置されており、
前記配管は、
前記第1バッテリ群に含まれるいずれかのバッテリユニットおよび前記第2バッテリ群に含まれるいずれかのバッテリユニットと、前記調温回路とを接続する第1配管と、
前記第1バッテリ群に含まれる複数のバッテリユニット同士を直列に接続する第2配管と、
前記第2バッテリ群に含まれる複数のバッテリユニット同士を直列に接続する第3配管と、
前記第1バッテリ群に含まれる他のバッテリユニットおよび前記第2バッテリ群に含まれる他のバッテリユニットと、前記調温回路とを接続する第4配管と、を含む。
【0090】
付記(11)の作業機械は、付記(10)に記載の作業機械において、
前記調温回路は、前記熱交換器と、ヒータと、を含み、
前記第1バッテリ群に含まれる複数のバッテリユニットのうちで前記第1配管が接続されるバッテリユニット、および、前記第2バッテリ群に含まれる複数のバッテリユニットのうちで前記第1配管が接続されるバッテリユニットを、それぞれ第1配管接続バッテリユニットとし、
前記第1バッテリ群に含まれる複数のバッテリユニットのうちで前記第4配管が接続される他のバッテリユニット、および、前記第2バッテリ群に含まれる複数のバッテリユニットのうちで前記第4配管が接続される他のバッテリユニットを、それぞれ第4配管接続バッテリユニットとしたとき、
前記2つの第1配管接続バッテリユニットは、前記2つの第4配管接続バッテリユニットの間に配置される。
【0091】
付記(12)の作業機械は、付記(11)に記載の作業機械において、
前記調温回路は、前記熱交換器または前記ヒータからの前記熱交換媒体の供給先を、前記第1配管と前記第4配管とで切り替える切替弁をさらに含み、
前記切替弁は、前記第1バッテリ群および前記第2バッテリ群に含まれる各バッテリユニットの冷却時に、前記熱交換器によって冷却された前記熱交換媒体の供給先を前記第1配管に切り替える。
【0092】
付記(13)の作業機械は、付記(12)に記載の作業機械において、
前記切替弁は、前記各バッテリユニットの加熱時に、前記ヒータによって加熱された前記熱交換媒体の供給先を前記第4配管に切り替える。
【0093】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で拡張または変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、例えば建設機械、農業機械などの作業機械に利用可能である。
【符号の説明】
【0095】
1 油圧ショベル(作業機械)
53 バッテリユニット
53-1 第1バッテリユニット
53-2 第2バッテリユニット
53-3 第3バッテリユニット
53-4 第4バッテリユニット
53G1 第1バッテリ群
53G2 第2バッテリ群
53L 左側面(一側面)
53P 第1配管接続バッテリユニット
53Q 第4配管接続バッテリユニット
53R 右側面(反対側の側面)
82 ラジエータ(熱交換器)
90 配管
91a 第1共通配管
91b 分岐部
91c 第1個別配管
92a 第2共通配管
92b 合流部
92c 第2個別配管
93 循環ポンプ
94 ヒータ
95 切替弁
101 第1配管
101a 第1接続配管
101b 第1接続部
101c 第2接続配管
102 第2配管
103 第3配管
104 第4配管
104a 第3接続配管
104b 第2接続部
104c 第4接続配管
200 調温回路
530 接続口
531 第1接続口
532 第2接続口