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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123412
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】表示制御装置及び表示制御方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030810
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】畠山 征也
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF14
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF33
5H181FF35
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】自車両の前方を走行する先行車両との追突を抑止したり先行車両の走行に合わせた運転を促したりするための注意喚起を運転者に促すことができる、表示制御装置及び表示制御方法を提供する。
【解決手段】表示制御装置及び表示制御方法は、表示部の表示領域に、自車両の前方の景色と共に景色に虚像を重畳させて表示する。前方を走行する先行車両の、自車両に対する相対速度を取得し、相対速度が正の場合、表示領域上で自車両から先行車両に向かう動きを有する第1アニメーションで虚像を構成し、相対速度が負の場合、表示領域上で先行車両から自車両に向かう動きを有する第2アニメーションで虚像を構成する。そして、先行車両と自車両で挟まれる区間に重なる表示領域上の位置に、虚像を表示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と検出部とコントローラとを備える表示制御装置であって、
前記表示部は、自車両の前方の景色と共に前記景色に虚像を重畳させて表示する表示領域を有し、
前記検出部は、
前記前方を走行する先行車両の、前記自車両に対する相対速度を取得し、
前記コントローラは、
前記相対速度が正の場合、前記表示領域上で前記自車両から前記先行車両に向かう動きを有する第1アニメーションで、前記虚像を構成し、
前記相対速度が負の場合、前記表示領域上で前記先行車両から前記自車両に向かう動きを有する第2アニメーションで、前記虚像を構成し、
前記先行車両と前記自車両で挟まれる区間に重なる、前記表示領域上の位置に、前記虚像を表示する表示制御装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記相対速度の絶対値が所定閾値以上である場合に、前記第1アニメーション又は前記第2アニメーションで前記虚像を構成し、
前記相対速度の絶対値が前記所定閾値未満である場合に、静止画像で前記虚像を構成する、請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記相対速度の絶対値が所定閾値以上である場合に、前記虚像を表示する、請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記第1アニメーション及び前記第2アニメーションの動きは、形状、模様、色彩、及び、輝度のうち少なくとも1つの変化によって構成される、請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記虚像は、前記表示領域において前記先行車両が表示される位置の下方に表示される、請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記虚像は、前記表示領域において前記先行車両が走行する車線に沿って配置された帯状のアイコンである、請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項7】
前記コントローラは、前記先行車両を注視する運転者の周辺視野に写りこむ前記表示領域上の位置に前記虚像を表示する、請求項1~6のいずれか一項に記載の表示制御装置。
【請求項8】
表示部と検出部とコントローラとを備える装置に係る表示制御方法であって、
前記表示部は、自車両の前方の景色と共に前記景色に虚像を重畳させて表示する表示領域を有し、
前記検出部は、
前記前方を走行する先行車両の、前記自車両に対する相対速度を取得し、
前記コントローラは、
前記相対速度が正の場合、前記表示領域上で前記自車両から前記先行車両に向かう動きを有する第1アニメーションで、前記虚像を構成し、
前記相対速度が負の場合、前記表示領域上で前記先行車両から前記自車両に向かう動きを有する第2アニメーションで、前記虚像を構成し、
前記先行車両と前記自車両で挟まれる区間に重なる、前記表示領域上の位置に、前記虚像を表示する表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示制御装置及び表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フロントウィンドウを通して運転者が目視する複数の基準物体のフロントウィンドウ上での風景移動速度、自車両の車速、及び、目標速度に基づいて図形移動速度を算出し、図形移動速度に従って移動する態様を示す映像をフロントウィンドウに投映して表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-193196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示される技術によれば、自車両の前方を走行する先行車両の車速に基づいて図形移動速度を算出するものではない。そのため、先行車両との追突を抑止したり他車両の走行に合わせた運転を促したりするための注意喚起を運転者に促すことができないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、自車両の前方を走行する先行車両との追突を抑止したり先行車両の走行に合わせた運転を促したりするための注意喚起を運転者に促すことができる、表示制御装置及び表示制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る表示制御装置は、表示部と検出部とコントローラとを備える。表示部は、自車両の前方の景色と共に景色に虚像を重畳させて表示する表示領域を有し、検出部は、前方を走行する先行車両の、自車両に対する相対速度を取得する。コントローラは、相対速度が正の場合、表示領域上で自車両から先行車両に向かう動きを有する第1アニメーションで虚像を構成し、相対速度が負の場合、表示領域上で先行車両から自車両に向かう動きを有する第2アニメーションで虚像を構成する。そして、先行車両と自車両で挟まれる区間に重なる、表示領域上の位置に、虚像を表示する。
【0007】
本発明の態様に係る表示制御方法は、表示部と検出部とコントローラとを備える装置に係る。表示部は、自車両の前方の景色と共に景色に虚像を重畳させて表示する表示領域を有し、検出部は、前方を走行する先行車両の、自車両に対する相対速度を取得する。コントローラは、相対速度が正の場合、表示領域上で自車両から先行車両に向かう動きを有する第1アニメーションで虚像を構成し、相対速度が負の場合、表示領域上で先行車両から自車両に向かう動きを有する第2アニメーションで虚像を構成する。そして、先行車両と自車両で挟まれる区間に重なる、表示領域上の位置に、虚像を表示する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、自車両の前方を走行する先行車両との追突を抑止したり先行車両の走行に合わせた運転を促したりするための注意喚起を運転者に促すことができる、表示制御装置及び表示制御方法を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る表示制御装置の構成を示すブロック図である。
図2】本実施形態に係る表示制御装置の処理を示すフローチャートである。
図3】表示領域に表示する虚像の第1の例を示す図である。
図4】表示領域に表示する虚像の第2の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本実施形態に係る表示制御装置及び表示制御方法について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0011】
[表示制御装置の構成例]
図1は、本実施形態に係る表示制御装置の構成を示すブロック図である。表示制御装置は自車両に搭載される。図1に示すように、表示制御装置は、検出部20と、表示部30と、コントローラ100とを備える。
【0012】
検出部20は、コントローラ100と接続され、自車両の周囲に位置する物体の情報(物体情報)を取得する。特に、検出部20は、自車両の進行方向の前方を走行する先行車両の物体情報を取得する。物体情報は、自車両に対する物体の相対位置、相対速度の情報を含む。物体情報は、物体の移動速度(路面に対する速度)の情報を含むものであってもよい。その他、検出部20は、自車両および先行車両が走行している車線の情報(車線情報)を取得するものであってもよい。
【0013】
より具体的には、検出部20は、自車両に搭載された、レーザレーダやミリ波レーダ、カメラなど、自車両の周囲の物体を検出する複数の物体検出センサと接続される。物体検出センサは、自車両の周囲の物体として、他車両(先行車両を含む)、バイク、自転車、歩行者を含む移動物体、及び駐車車両を含む静止物体を検出する。
【0014】
例えば、物体検出センサは、移動物体及び静止物体の車両に対する位置、姿勢(ヨー角)、大きさ、速度、加速度、減速度、ヨーレートを検出する。検出部20は、物体検出センサによって検出した移動物体及び静止物体に関する情報を、物体情報として取得する。
【0015】
また、検出部20は、自車両の周囲を撮像して得られる撮像画像を取得するものであってもよい。そして、検出部20は、撮像画像に基づいて白線を検知することで、自車両および先行車両が走行している車線を認識するものであってもよい。そして、認識した車線の車線情報を取得するものであってもよい。その他、検出部20は、図示しないナビゲーション装置、又は、地図情報データベースと接続され、車線情報を取得するものであってもよい。
【0016】
検出部20は、取得した物体情報、及び、車線情報を記憶する記憶部を有するものであってもよい。
【0017】
表示部30は、コントローラ100と接続され、自車両の運転席から視認可能なように、自車両の前方の景色を表示する表示領域31を有する。表示領域31には、コントローラ100によって生成した虚像が表示される。したがって、表示領域31は、自車両の前方の景色と共に当該景色に虚像を重畳させて表示する。
【0018】
例えば、表示領域31は、ヘッドアップディスプレイ装置でもよいし、ヘッドマウントディスプレイ、スマートグラス、プロンプターであってもよい。
【0019】
表示領域31は、車両のフロントガラス(ウィンドシールド)であって、図示しないプロジェクターから表示領域31に虚像が投射されてユーザに虚像を提示するものであってもよい。その結果、ユーザは、フロントガラス越しに見える車両の周囲の風景に重畳された虚像を視認することになる。
【0020】
表示部30によって提示される虚像は、自車両の前方を走行する先行車両との追突を抑止するための注意喚起を運転者に促すものである。その他、虚像は、先行車両の走行に合わせた運転を促すための注意喚起を運転者に促すものである。虚像の具体的な態様は後述する。
【0021】
その他、表示部30は、検出部20によって取得した撮像画像に重畳して虚像を表示するものであってもよい。この場合、表示領域31は、自車両の運転席から視認可能なように自車両の周囲を透過させる部材の代わりに、撮像画像及び虚像を表示可能なディスプレイであってもよい。
【0022】
コントローラ100は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、記憶装置、入出力部などを備える汎用のコンピュータである。コントローラ100は、図示しないナビゲーション装置と接続されるものであってもよい。例えば、ナビゲーション装置は、車両のルート案内を実行する。
【0023】
コントローラ100(制御部)は、CPU(中央処理装置)、メモリ、及び入出力部を備える汎用のマイクロコンピュータである。コントローラ100には、表示制御装置として機能するためのコンピュータプログラムがインストールされている。コンピュータプログラムを実行することにより、コントローラ100は、表示制御装置が備える複数の情報処理回路(110、120、130、140、150)として機能する。なお、コンピュータプログラムは、コンピュータによって読み書き可能な記録媒体に格納されるものであってもよい。
【0024】
本実施形態では、ソフトウェアによって複数の情報処理回路(110、120、130、140、150)を実現する例を示す。ただし、以下に示す各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、情報処理回路(110、120、130、140、150)を構成することも可能である。また、複数の情報処理回路(110、120、130、140、150)を個別のハードウェアにより構成してもよい。さらに、情報処理回路(110、120、130、140、150)は、ナビゲーション装置、あるいは、車両の制御に用いる制御ユニットと兼用してもよい。
【0025】
図1に示すように、コントローラ100は、複数の情報処理回路(110、120、130、140、150)として、先行車両抽出部110、相対速度取得部120、画像生成部130、表示位置設定部140、出力部150を備える。
【0026】
先行車両抽出部110は、物体情報に基づいて、自車両の前方に位置する先行車両を抽出する。例えば、先行車両抽出部110は、車両から所定距離の範囲内、又は、車両が走行を予定する車線から所定距離の範囲内に存在する物体を抽出する。ここで、所定距離は事前に設定される。そして、先行車両抽出部110は、先行車両を抽出できたか否かを判定する。
【0027】
なお、物体の種別に応じて、異なる所定距離が設定されてもよい。例えば、移動速度が小さい物体に対して設定される所定距離と比較して、移動速度が大きい物体に対して設定される所定距離は長く設定されてもよい。歩行者、駐車車両を抽出する際に設定される所定距離と比較して、他車両、バイク、自転車を抽出する際に設定される所定距離は長く設定されてもよい。
【0028】
その他、先行車両抽出部110は、車両から所定距離の範囲内、又は、車両が走行を予定する経路から所定距離の範囲内に存在する物体であって、車両の進行方向に対して前方に位置する物体を抽出するものであってもよい。
【0029】
先行車両抽出部110は、表示領域31を介して車両の運転席から視認可能な範囲に位置する物体を抽出するものであってもよい。
【0030】
相対速度取得部120は、物体情報に基づいて、自車両の前方を走行する先行車両の、自車両に対する相対速度を取得する。相対速度取得部120は、物体情報に基づいて相対速度を算出するものであってもよい。例えば、相対速度取得部120は、先行車両の自車両に対する相対位置の時間変化から、相対速度を算出するものであってもよい。
【0031】
画像生成部130は、相対速度取得部120によって取得又は算出した相対速度に基づいて、表示領域31に表示する虚像(虚像AR1、虚像AR2)を生成する。なお、図3は、表示領域に表示する虚像の第1の例を示す図である。図4は、表示領域に表示する虚像の第2の例を示す図である。
【0032】
より具体的には、画像生成部130は、相対速度が正の場合、表示領域31上で自車両から先行車両に向かう動きを有する第1アニメーションで、虚像を構成する。画像生成部130は、相対速度が負の場合、表示領域上で先行車両から自車両に向かう動きを有する第2アニメーションで、虚像を構成する。
【0033】
ここで、「自車両から先行車両に向かう動き」とは、表示領域31において、下から上に向かう向き(図3に示す矢印R1)の動きである。また、「先行車両から自車両に向かう動き」とは、表示領域31において、上から下に向かう向き(図3に示す矢印R2)の動きである。
【0034】
なお、先行車両及び自車両が走行している車線が湾曲している場合、車線の湾曲に合わせて、「自車両から先行車両に向かう動き」及び「先行車両から自車両に向かう動き」を、表示領域31の上下方向から傾斜した向きの動きとしてもよい。
【0035】
また、画像生成部130は、相対速度の絶対値が所定閾値以上である場合に、第1アニメーション又は第2アニメーションで虚像を構成するものであってもよい。画像生成部130は、相対速度の絶対値が所定閾値未満である場合に、第1アニメーション又は第2アニメーションの代わりに、静止画像で虚像を構成するものであってもよい。その他、画像生成部130は、相対速度の絶対値が所定閾値未満である場合に、虚像を生成しないものであってもよい。
【0036】
例えば、図3に示すように、第1アニメーション及び第2アニメーションを、ストライプ模様で構成する場合を考える。図3では、ストライプ模様を構成する各ストライプは、表示領域31の上下方向に垂直な向き(水平方向)に延びている。
【0037】
この場合、第1アニメーションの動きによれば、ストライプ模様を構成する各ストライプは、時間経過と共に表示領域31上で、下から上に向かって移動する。つまり、各ストライプは、矢印R1の向きで移動する。
【0038】
また、第2アニメーションの動きによれば、ストライプ模様を構成する各ストライプは、時間経過と共に表示領域31上で、上から下に向かって移動する。つまり、各ストライプは、矢印R2の向きで移動する。
【0039】
相対速度の絶対値が所定閾値未満である場合には、表示領域31の上下方向に垂直な向き(水平方向)に延びるストライプで構成された静止画像によって、虚像を構成してもよい。
【0040】
上述の例は、第1アニメーションの動き、及び、第2アニメーションの動きを、模様の変化によって構成する例であるが、これに限定されない。第1アニメーションの動き、及び、第2アニメーションの動きは、形状、模様、色彩、及び、輝度のうち少なくとも1つの変化によって構成されるものであってもよい。
【0041】
その他、図4に示された虚像AR2のように、画像生成部130は、表示領域31において先行車両が走行する車線に沿って配置された帯状のアイコンを、虚像として生成するものであってもよい。
【0042】
虚像AR2は、水平方向に延びる帯状のアイコンが、先行車両が走行する車線に沿って配置されている。各アイコンの幅は、表示領域31において先行車両V1から離れて下方に位置するほど大きく、先行車両V1に近づいて上方に位置するほど小さく設定されるものであってもよい。遠近法、及び、車線の幅の変化を考慮して虚像を生成できる。
【0043】
表示位置設定部140は、物体情報に基づいて、画像生成部130によって生成した虚像の表示位置を設定する。より具体的には、表示位置設定部140は、先行車両と自車両で挟まれる車線上の区間に重なる表示領域31上の位置を、虚像の表示位置として設定する。
【0044】
例えば、表示位置設定部140は、表示領域31において先行車両が表示される位置の下方の位置を、虚像の表示位置として設定する。当該位置は、先行車両を注視する運転者の周辺視野に写りこむ位置となっている。
【0045】
例えば、図3及び図4では、先行車両V1が表示される位置の下方に、虚像AR1及び虚像AR2が表示される様子が示されている。なお、先行車両V1に隣接するように虚像AR1及び虚像AR2の表示位置を設定することで、虚像が有する動きを、先行車両V1も有しているように運転者は感じる。
【0046】
つまり、先行車両V1に隣接して表示された虚像を運転者に観察させることで、虚像が有する動きとは逆方向に自車両が走行しているように運転者が感じる、ベクション効果を生じさせることができる。
【0047】
出力部150は、表示位置設定部140によって設定された表示位置、及び、虚像の情報を表示部30に出力する。出力された虚像は、表示領域31上に設定された表示位置において表示される。
【0048】
なお、出力部150は、相対速度の絶対値が所定閾値以上である場合に、虚像を表示するものであってもよい。つまり、出力部150は、相対速度の絶対値が所定閾値未満である場合に、虚像を表示しないものであってもよい。
【0049】
[表示制御装置の処理手順]
次に、本実施形態に係る表示制御装置の処理手順を、図2のフローチャートを参照して説明する。図2に示す表示制御装置の処理は、ユーザの指示に基づいて開始されるものであってもよいし、所定の周期で繰り返し実行されるものであってもよい。
【0050】
まず、ステップS101において、先行車両抽出部110は、物体情報に基づいて、自車両の前方に位置する先行車両を抽出する。
【0051】
ステップS103において、先行車両抽出部110は、先行車両を抽出できたか否かを判定する。
【0052】
先行車両を抽出できなかったと判定された場合(ステップS103にてNOの場合)、図2の処理を終了する。一方、先行車両を抽出できたと判定された場合(ステップS103にてYESの場合)、ステップS105において、相対速度取得部120は、物体情報に基づいて、自車両の前方を走行する先行車両の、自車両に対する相対速度を取得する。
【0053】
ステップS107において、画像生成部130は、相対速度が所定閾値以上であるか否かを判定する。
【0054】
相対速度が所定閾値未満である場合(ステップS107にてNOの場合)、ステップS109において、画像生成部130は、静止画像で虚像を構成する。
【0055】
一方、相対速度が所定閾値以上である場合(ステップS107にてYESの場合)、ステップS111において、画像生成部130は、相対速度が正であるか否かを判定する。
【0056】
相対速度が正である場合(ステップS111にてYESの場合)、ステップS113において、画像生成部130は、第1アニメーションで虚像を構成する。一方、相対速度が負である場合(ステップS111にてNOの場合)、ステップS115において、画像生成部130は、第2アニメーションで虚像を構成する。
【0057】
ステップS109、S113、S115の後、ステップS117において、表示位置設定部140は、物体情報に基づいて、画像生成部130によって生成した虚像の表示位置を設定する。
【0058】
ステップS119において、出力部150は、表示位置設定部140によって設定された表示位置、及び、虚像の情報を表示部30に出力する。出力された虚像は、表示領域31上に設定された表示位置において表示される。
【0059】
[実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る表示制御装置及び表示制御方法は、表示部と検出部とコントローラとを備える装置に係る。表示部は、自車両の前方の景色と共に景色に虚像を重畳させて表示する表示領域を有し、検出部は、前方を走行する先行車両の、自車両に対する相対速度を取得する。
【0060】
コントローラは、相対速度が正の場合、表示領域上で自車両から先行車両に向かう動きを有する第1アニメーションで、虚像を構成する。相対速度が負の場合、表示領域上で先行車両から自車両に向かう動きを有する第2アニメーションで、虚像を構成する。先行車両と自車両で挟まれる区間に重なる、表示領域上の位置に、虚像を表示する。
【0061】
これにより、自車両の前方を走行する先行車両との追突を抑止したり先行車両の走行に合わせた運転を促したりするための注意喚起を運転者に促すことができる。
【0062】
特に、先行車両と自車両で挟まれる区間に虚像を表示することで、虚像が有する動きを、先行車両も有しているように運転者は感じる。また、虚像が有する動きとは逆方向に自車両が走行しているように運転者が感じる、ベクション効果を生じさせることができる。そのため、自車両に対する先行車両の動きを強調して、運転者に認識させることができる。その結果、先行車両の挙動を意識した運転を運転者に行わせることができる。
【0063】
さらには、ベクション効果により、運転者に先行車両の状況を、視覚効果を利用した感覚で伝えることができる。よって、車両の安全装置から注意喚起が行われる前に、適切に車両間隔を維持するよう、運転者に運転動作を促すことができる。また、自然渋滞の原因の一つである速度低下も抑制できる。
【0064】
また、本実施形態に係る表示制御装置及び表示制御方法において、コントローラは、相対速度の絶対値が所定閾値以上である場合に、第1アニメーション又は第2アニメーションで虚像を構成するものであってもよい。相対速度の絶対値が所定閾値未満である場合に、静止画像で虚像を構成するものであってもよい。相対速度の絶対値が所定閾値以上である場合には、先行車両の挙動を意識した自車両の運転が求められる場合に対応しており、先行車両の挙動を意識した運転を運転者に行わせることができる。
【0065】
また、相対速度の絶対値が所定閾値未満である場合には、先行車両の挙動をそれほど意識せずとも自車両の運転が可能な場合に対応し、静止画像で虚像を構成することで、運転者の注意を必要以上に引き付けることが抑制される。その結果、運転者の疲労を抑えることができる。さらには、相対速度の絶対値が所定閾値未満である場合に、表示制御装置における虚像の生成に係る計算コストを削減できる。
【0066】
さらに、本実施形態に係る表示制御装置及び表示制御方法において、コントローラは、相対速度の絶対値が所定閾値以上である場合に、虚像を表示するものであってもよい。相対速度の絶対値が所定閾値以上である場合には、先行車両の挙動を意識した自車両の運転が求められる場合に対応しており、先行車両の挙動を意識した運転を運転者に行わせることができる。
【0067】
また、本実施形態に係る表示制御装置及び表示制御方法において、第1アニメーション及び第2アニメーションの動きは、形状、模様、色彩、及び、輝度のうち少なくとも1つの変化によって構成されるものであってもよい。これにより、自車両に対する先行車両の動きを虚像の動きによって強調して、運転者に認識させることができる。
【0068】
さらに、本実施形態に係る表示制御装置及び表示制御方法において、虚像は、表示領域において先行車両が表示される位置の下方に表示されるものであってもよい。これにより、先行車両が表示される位置に隣接して虚像が表示されることになる。その結果、虚像が有する動きを、先行車両も有しているように運転者は感じる。また、虚像が有する動きとは逆方向に自車両が走行しているように運転者が感じる、ベクション効果を生じさせることができる。よって、先行車両の挙動を意識した運転を運転者に行わせることができる。
【0069】
また、本実施形態に係る表示制御装置及び表示制御方法において、虚像は、表示領域において先行車両が走行する車線に沿って配置された帯状のアイコンであってもよい。これにより、先行車両が表示される位置に隣接して虚像が表示され、虚像が有する動きとは逆方向に自車両が走行しているように運転者が感じる、ベクション効果を生じさせることができる。よって、先行車両の挙動を意識した運転を運転者に行わせることができる。
【0070】
さらに、本実施形態に係る表示制御装置及び表示制御方法において、コントローラは、先行車両を注視する運転者の周辺視野に写りこむ表示領域上の位置に虚像を表示するものであってもよい。周辺視野に一定方向に運動する視覚パターンが提示された場合に、ベクション効果は誘導されやすいとされている。そのため、先行車両を注視する運転者の周辺視野に写りこむ表示領域上の位置に虚像を表示することで、ベクション効果をより強く誘導することができる。その結果、先行車両の挙動を意識した運転を運転者に行わせることができる。
【0071】
上述の実施形態で示した各機能は、1又は複数の処理回路によって実装されうる。処理回路には、プログラムされたプロセッサや、電気回路などが含まれ、さらには、特定用途向けの集積回路(ASIC)のような装置や、記載された機能を実行するよう配置された回路構成要素なども含まれる。
【0072】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0073】
20 検出部
30 表示部
31 表示領域
100 コントローラ
110 先行車両抽出部
120 相対速度取得部
130 画像生成部
140 表示位置設定部
150 出力部
図1
図2
図3
図4