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2024-123417色変換設定支援方法、色変換設定支援装置、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123417
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】色変換設定支援方法、色変換設定支援装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/60 20060101AFI20240905BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20240905BHJP
   G06F 3/04847 20220101ALN20240905BHJP
【FI】
H04N1/60
G06F3/12 305
G06F3/12 344
G06F3/12 353
G06F3/04847
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030816
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100192533
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 如紘
(72)【発明者】
【氏名】大橋 紘誠
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 忠
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 拓
(72)【発明者】
【氏名】赤尾 佳彦
(72)【発明者】
【氏名】ルトシキン キリル
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA03
5E555BA02
5E555BA09
5E555BB02
5E555BC11
5E555DB03
5E555DB11
5E555DB56
5E555EA04
5E555EA22
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】 入力画像の特徴や印刷条件の特徴、ユーザ自身が優先したい色変換特性等を考慮した、適合性の高い入力プロファイルを、ユーザが容易に設定可能とする。
【解決手段】 色変換設定支援方法は、カラー印刷における色変換設定を補助する色変換設定支援方法であって、入力画像の特徴、及び印刷条件の特徴の少なくとも一方を評価して評価結果を取得する第1のステップ(ステップS3)と、使用可能な少なくとも1つの入力プロファイルについて、入力画像の特徴、及び印刷条件の特徴の少なくとも1つの評価結果との適合性を評価する第2のステップ(ステップS4)と、評価により得られた適合性の順位が高い、少なくとも1つの入力プロファイルを、お勧めの入力プロファイルとしてユーザに提案する第3のステップ(ステップS5)と、を含む。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラー印刷における色変換設定を補助する色変換設定支援方法であって、
入力画像の特徴、及び印刷条件の特徴の少なくとも一方を評価して評価結果を取得する
第1のステップと、
使用可能な少なくとも1つの入力プロファイルについて、前記入力画像の特徴、及び印刷条件の特徴の少なくとも1つの前記評価結果との適合性を評価する第2のステップと、
評価により得られた適合性の順位が高い、少なくとも1つの入力プロファイルを、お勧めの入力プロファイルとしてユーザに提案する第3のステップと、
を含む色変換設定支援方法。
【請求項2】
前記第1のステップでは、前記入力画像の特徴、及び印刷条件の特徴の少なくとも一方について、複数の評価項目毎に前記評価結果を取得し、
前記第2のステップでは、前記複数の項目毎の前記評価結果の各々について前記適合性を評価して評価値を取得し、取得された各評価値に基づく総合的な評価を実施する、
請求項1に記載の色変換設定支援方法。
【請求項3】
前記第1のステップでは、前記入力画像の特徴、及び印刷条件の特徴の少なくとも一方について、複数の評価項目毎に前記評価結果を取得し、
前記第2のステップでは、前記複数の項目毎の前記評価結果の各々について前記適合性を評価して評価値を取得し、取得された各評価値に基づいて総合評価値を取得し、前記総合評価値に基づく総合的な評価を実施する、
請求項1に記載の色変換設定支援方法。
【請求項4】
前記第2のステップにおいて、
前記複数の項目毎の前記評価結果の各々について取得された各評価値の中に、所定水準よりも低い評価値が含まれる場合は、前記総合評価値が大きい場合であっても、評価を低くする処理、あるいは評価対象から除外する処理を実施する、
請求項3に記載の色変換設定支援方法。
【請求項5】
前記第3のステップにおいて、
提案する組合せが複数ある場合は、各入力プロファイルを用いて色変換した場合のサンプル画像を表示する、
請求項1に記載の色変換設定支援方法。
【請求項6】
前記入力画像に複数のオブジェクトが含まれる場合において、
前記第2、及び第3のステップにおいて、前記オブジェクト単位で各処理を実施する、
請求項1に記載の色変換設定支援方法。
【請求項7】
前記第1~第3の各ステップに代えて実施可能な、
色変換に際して、ユーザが優先させたい優先特性を取得する第4のステップと、
使用可能な少なくとも1つの入力プロファイルについて、前記取得された優先特性に関する優劣を評価する第5のステップと、
前記優劣による評価が高い少なくとも1つの入力プロファイルを、お勧めの入力プロファイルとしてユーザに提案する第6のステップと、
を、さらに含む、請求項1に記載の色変換設定支援方法。
【請求項8】
前記第5のステップでは、
前記優先特性毎に、前記優劣の評価結果を示す評価値を取得し、取得された各評価値を加算することで、あるいは、取得された各評価値を、前記優先特性についての優先度に応じて重み付けして加算することで総合評価値を取得し、前記総合評価値に基づく総合的な評価を実施する、
請求項7に記載の色変換設定支援方法。
【請求項9】
前記第6のステップに代えて、
前記入力プロファイルについて、前記取得された優先特性に関する優劣を示す評価をレーダーチャートにて表示する第7のステップを実施する、
請求項7に記載の色変換設定支援方法。
【請求項10】
前記第6のステップに代えて、
複数の前記優先特性の各々、又は複数の前記優先特性の各々を座標軸とする座標系における、入力プロファイルの位置を表示する第8のステップを実施する、
請求項7に記載の色変換設定支援方法。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか1項に記載の色変換設定支援方法を実施する色変換設定支援部を有する、色変換設定支援装置。
【請求項12】
コンピュータを、請求項1乃至10の何れか1項に記載の色変換設定支援方法を実施する色変換設定支援装置として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色変換設定支援方法、色変換設定支援装置、及びプログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザによる印刷設定作業の簡略化のために、お勧めの印刷設定をユーザに提案することが示されている。
【0003】
特許文献2には、カラー画像データを構成するオブジェクトの種類(文字、図形、イメージ)に応じて、カラー画像データを色変換する色空間マッチング処理設定を自動的に実施し、一般のユーザでも適切な色設定を行うことができるようにすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-218470号公報
【特許文献2】特開2001-292331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、印刷目的に応じて、入力プロファイルを使い分ける場合があり得る。具体的な一例としては、標準的な印刷用の入力プロファイルと、ある特別な目的をもった印刷(目的別印刷)用の入力プロファイルを使い分ける場合が想定され得る。目的別印刷としては、例えば、被写体である人や、人の衣服(衣装)における特定の色について、鮮やかさを強調して印刷する場合等が想定され得る。
【0006】
例えば、目的別に入力プロファイルを使い分ける場合を想定する。
この場合、例えば一般のユーザが、入力画像の特徴や印刷条件の特徴、あるいは、ユーザ自身が優先したい色変換特性等を考慮して、所望の入力プロファイルを選択して設定することは困難である。
【0007】
このような課題については、上記の特許文献1、2には記載がなく、その対策についても言及されていない。
【0008】
本発明の1つの目的は、入力画像の特徴や印刷条件の特徴、ユーザ自身が優先したい色変換特性等を考慮した、適合性の高い入力プロファイルを、ユーザが容易に設定可能とすることである。
【0009】
本発明の他の目的は、以下に例示する態様及び最良の実施形態、並びに添付の図面を参照することによって、当業者に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下に、本発明の概要を容易に理解するために、本発明に従う態様を例示する。
【0011】
本発明に従う態様において、カラー印刷における色変換設定を補助する色変換設定支援方法は、入力画像の特徴、及び印刷条件の特徴の少なくとも一方を評価して評価結果を取得する第1のステップと、使用可能な少なくとも1つの入力プロファイルについて、前記入力画像の特徴、及び印刷条件の特徴の少なくとも1つの前記評価結果との適合性を評価する第2のステップと、評価により得られた適合性の順位が高い、少なくとも1つの入力プロファイルを、お勧めの入力プロファイルとしてユーザに提案する第3のステップと、を含む。
【0012】
本発明に従う態様によれば、ユーザは、入力画像の特徴、及び印刷条件の特徴の少なくとも1つの評価結果との適合性が高いと判断された入力プロファイルの提案(提示)を受けることができる。
なお、「入力プロファイルの提案(提示)」には、「入力プロファイル及びマッチング方式の組合わせの提案(提示)」を含めることができる。
よって、ユーザの色変換設定の負担が大幅に軽減される。また、入力画像の特徴や印刷条件の特徴に応じた適切な色変換を的確に実施することができる。
これにより、入力画像の特徴や印刷条件の特徴に適合した高品位の印刷を実現することができる。
【0013】
当業者は、例示した本発明に従う態様が、本発明の精神を逸脱することなく、さらに変更され得ることを容易に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、色変換処理の手順の一例、入力プロファイルとマッチング方式との適合性、及び、色変換設定の種類の一例(自動設定、カスタム設定、お勧め設定)を示す図である。
図2図2は、画像処理システムの全体構成の例、及び、色変換設定作業における画面の例を示す図である。
図3図3は、お勧め設定を提案する画面の一例を示す図である。
図4図4は、ホストコンピュータの内部構成例、及び、色変換設定支援装置の構成例を示す図である。
図5図5は、入力画像の特徴、及び印刷条件の特徴に基づいてお勧め設定を提案する場合の手順例を示すフローチャートである。
図6図6は、入力画像の特徴、及び印刷条件の特徴の項目(具体例)毎の評価結果を含む評価テーブルの一例を示す図である。
図7図7は、入力画像の特徴、及び印刷条件の特徴の評価結果毎の、入力プロファイルとマッチング方式の各組合せについての評価値、及び総合評価値を含む評価テーブルの一例を示す図である。
図8図8は、図7の評価テーブルの評価値に基づく優先度の決定処理(総合評価値に基づく、入力プロファイルとマッチング方式との組合せの順位付け処理)を示す図である。
図9図9は、図8の処理結果に基づくお勧め設定を提案する画面の一例を示す図である。
図10図10は、図8の処理結果に基づくお勧め設定を提案する画面の他の例(サンプル画像をモニタに表示する例)を示す図である。
図11図11は、オブジェクト単位でお勧め設定を提案する場合の画面の一例を示すである。
図12図12は、ユーザが優先させたい優先特性に基づいてお勧め設定を提案する場合の手順例を示すフローチャートである。
図13図13は、ユーザが優先させたい優先特性と優先度を設定する画面の一例を示す図である。
図14図14は、図13の画面にて設定された複数の優先特性を考慮して取得される、入力プロファイルとマッチング方式の各組合せについての評価値を含む評価テーブルの例、ならびに総合評価値の算出方法の例を示す図である。
図15図15は、図14の評価テーブルの評価値に基づく優先度の決定処理(総合評価値に基づく、入力プロファイルとマッチング方式との組合せの順位付け処理)の例、及び、お勧め設定を表示する画面の例を示す図である。
図16図16は、ユーザが優先させたい複数の優先特性に基づくお勧め設定の提案を実施する場合の手順例を示すフローチャートである。
図17図17は、ユーザが優先させたい優先特性を設定する画面の一例を示す図である。
図18図18は、図17の画面にて選択された複数の優先特性を考慮して取得される、入力プロファイルとマッチング方式の各組合せについての評価値を含む評価テーブルの例を示す図である。
図19図19は、図18の評価テーブルの評価値に基づいて、各組合せの特性をレーダーチャートにて表示する画面の例を示す図である。
図20図20は、ユーザが優先させたい優先特性を設定する画面の他の例を示す図である。
図21図21は、図20の画面で設定された優先特性である「明るさ」と「鮮やかさ」を座標軸とする座標平面における、入力プロファイルとマッチング方式の各組合せの位置の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に説明する最良の実施形態は、本発明を容易に理解するために用いられている。従って、当業者は、本発明が、以下に説明される実施形態によって不当に限定されないことを留意すべきである。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、色変換処理の手順の一例、入力プロファイルとマッチング方式との適合性、及び、色変換設定の種類の一例(自動設定、カスタム設定、お勧め設定)を示す図である。
【0017】
図1のA-1に示されるように、RGBデータ1、又はCMYKデータ2は、入力プロファイル3を用いてLデータ4(標準色空間での色データ)に変換され、続いて、出力プロファイル5を用いてインクデータ(CMYK、CMYKOrG等)7に変換される。
【0018】
続いて、必要に応じてインクデータ7に色補正が加えられ、これによって、実際に使用するインクのインク値8が取得される。
【0019】
マッチング方式6は、入力プロファイル3に従って変換された色データのうち、出力プロファイル5の色域に含まれない色データの処理方法(言い換えれば、出力プロファイル5の色域外の色データを出力プロファイル5の色域へと変換する色変換方式)を示すものである。
【0020】
マッチング方式としては、例えば、色の階調のバランスを重視して変換する「知覚的」、色の鮮やかさを重視して変換する「彩度」、色合いを重視しながら入力プロファイル3と出力プロファイル5の白色点を一致させて変換する「相対的な色域を維持」、色合いを重視しながら入力プロファイル3と出力プロファイル5の白色点を一致させることなく変換する「絶対的な色域を維持」等がある。但し、これは一例であり、これらに限定されるものではない。
【0021】
色変換設定には、入力プロファイルと出力プロファイルを選択するプロファイル設定と、マッチング方式を選択するマッチング方式設定と、が含まれる。
【0022】
図1のA-1では、色変換設定を実施する場合に、ユーザは、自動設定9a、あるいはカスタム設定9bを利用することができる。
【0023】
自動設定では、ユーザが、予め用意されている複数の設定の中から1つを選択すると、その選択された設定に関連付けられている入力プロファイル、出力プロファイル、マッチング方式が自動的に設定される。
カスタム設定では、ユーザが、使用する入力プロファイル、出力プロファイル、マッチング方式を個別に設定する。
【0024】
ここで、例えば目的別に入力プロファイルを使い分ける場合を想定する。使用可能な入力プロファイルがm個(mは2以上の自然数)あり、また、設定可能なマッチング方式がn個(nは2以上の自然数)ある場合、入力プロファイルとマッチング方式の組合せは、n×m通り存在する。
【0025】
ここで、例えば、入力画像の特徴や印刷条件の特徴、あるいはユーザ自身が優先したい色変換特性(優先特性)等と、設定された入力プロファイル3及びマッチング方式6の組合せと、の適合性(適合の度合い)が低い場合、入力画像の特徴や印刷条件の特徴や優先特性を考慮した高品位の印刷が実現されない場合がある。
【0026】
しかし、例えば一般のユーザが、入力画像の特徴や印刷条件の特徴、あるいは、ユーザ自身が優先したい色変換特性等を考慮して、上記のn×m通りの組合せの中から1つを選択することは困難である。上記のn、あるいはmの値が大きくなるほど、適切な設定がより困難となる。
また、上記の自動設定9a、カスタム設定9bは、上記の課題の解消には不十分である。
【0027】
そこで、図1のA-2では、お勧め設定9cが設けられている。お勧め設定9cは、例えば、実際の印刷を実施するインクジェットプリンタ等の印刷装置に付属する印刷管理ソフトウエアを、コンピュータ(例えば、印刷装置のホストコンピュータ)にローディングすることにより利用可能となる。
【0028】
ユーザが、お勧め設定を選択すると、例えば、上記の印刷管理ソフトに従ってコンピュータが動作することによって構築される機能ブロックである色変換設定支援部(色変換設定支援装置)が、所定の処理を実施して、入力画像の特徴や印刷条件の特徴、あるいはユーザ自身が優先したい色変換特性(優先特性)等との適合性が高いと判定される、少なくとも1つの入力プロファイル、あるいは、少なくとも1つの入力プロファイルとマッチング方式の組合せを、ユーザに提案(提示)する。
よって、ユーザの色変換設定における負担が軽減される。また、入力画像の特徴や印刷条件の特徴等に適合した高品位の印刷を実現することができる。
【0029】
色変換設定支援部(色変換設定支援装置)が実施する所定の処理には、例えば、入力画像の特徴、及び印刷条件の特徴の少なくとも一方を評価する処理(第1の処理)と、少なくとも1つの入力プロファイルと複数のマッチング方式との各組合せについて、入力画像の特徴、及び印刷条件の特徴の少なくとも1つの評価結果との適合性を評価する処理(第2の処理)と、評価により得られた適合性の順位が高い、少なくとも1つの入力プロファイル及びマッチング方式の組合せを、お勧めの入力プロファイル及びマッチング方式の組合せとしてユーザに提案する処理(第3の処理)と、を含めることができる(具体的な処理内容については、後述する)。
【0030】
次に、図2を参照する。図2は、画像処理システムの全体構成の例、及び、色変換設定作業における画面の例を示す図である。
【0031】
図2のA-1に示すように、コンピュータシステム、言い換えれば画像処理システム100は、3つのフォルダ41、44及び46と、各フォルダに接続されるホストコンピュータ10と、ホストコンピュータ10に接続される液晶ディスプレイ等からなる表示部20と、操作部(入力部)としてのキーボード32及びマウス34と、を有する。
【0032】
ホストコンピュータ10には、通信線L1を介して出力デバイスとしてのプリンタ50が接続されている。なお、プリンタは、印刷装置と称される場合がある。プリンタ50としては、例えばインクジェットプリンタを使用することができる。
【0033】
ホストコンピュータ10には、異なるデバイス間で色を統一的に管理するモジュールであるCMM(カラーマネージメントモジュール)18が搭載されている。
また、ホストコンピュータ10のメモリ15には、本発明に係る、色変換設定支援用のプログラム17が保持されている。
【0034】
また、第1のフォルダ41には、使用可能な複数の入力プロファイル3a~3mが保持されている。
また、第2のフォルダ44には、印刷対象となり得る複数の画像のRGBデータ1a~1kが保持されている。
また、第3のフォルダ46には、プリンタ50に対応した出力プロファイル5が保持されている。なお、出力プロファイル5は、複数の出力プロファイルの中から、印刷条件に適合するものを1つ選択することで特定されてもよい。
【0035】
図2のA-2には、色変換設定作業における画面(詳細設定画面)の一例が示されている。
詳細設定画面は、カラー設定領域22と、OKボタン23と、キャンセルボタン24と、RGB用の入力プロファイルの設定領域25と、CMYK用の入力プロファイルの設定領域26と、設定された入力プロファイルを読み込む読み込みボタン27と、読み込んだ入力プロファイルを保存する保存ボタン28と、イメージ画像(イメージのオブジェクト)についてのマッチング方式を設定する領域29と、イラスト画像(イラストのオブジェクト)についてのマッチング方式を設定する領域30と、を有する。
【0036】
図2のA-2の状態では、カラー設定(色変換設定)として「CLS1」が設定され、RGB用の入力プロファイルとして「A社製RGB.icc」が設定され、イメージ画像用のマッチング方式として「相対的な色域を維持」が設定されている。
【0037】
また、図2のA-2の詳細設定画面は、さらに、お勧め設定機能による提案内容を表示するお勧め設定の表示ボタン31と、お勧め設定を利用する際のオプション選択用の表示領域33と、を有する。
オプション選択用の表示領域33では、「入力画像の特徴を考慮」及び「印刷条件の特徴を考慮」の少なくとも一方を選択可能である。図2のA-2の例では、「入力画像の特徴を考慮」、「印刷条件の特徴を考慮」の双方が選択されている。
【0038】
また、図2のA-2の詳細設定画面は、さらに、色変換特性の表示領域35と、優先特性と優先度の設定用の領域36と、お勧め設定の表示ボタン37と、キャンセルボタン38と、を有する。
【0039】
図2のA-2では、色変換特性(色変換特性の項目)として、「階調性」、「明るい」、「暗い」、「鮮やか」、「濃い」、「ガマット(色域)の広さ」、「自然さ」が表示されている。
また、ユーザは、これらの色変換特性(色変換特性の項目)の中から、優先度(優先順位)1位として「自然さ」を選択し、優先度(優先順位)2位として「階調性」を選択している。これにより、「自然さ」が優先度1位の優先特性として設定され、「階調性」が優先度2位の優先特性として設定される。
【0040】
なお、「入力画像の特徴」及び「印刷条件の特徴」の少なくとも一方を考慮したお勧め設定と、優先特性に基づくお勧め設定とは、例えば二者択一の関係であり、ユーザは何れか一方を選択することができる。
【0041】
次に、図3を参照する。図3は、お勧め設定を提案する画面の一例を示す図である。ここでは、先に説明した図2のA-2の詳細画面において、ユーザが、「入力画像の特徴を考慮」、「印刷条件の特徴を考慮」の双方を選択し、カーソルをお勧め設定の表示ボタン31に当ててクリック(ボタン31の押下)を実行した場合を想定する。
【0042】
この結果として、例えば、図3のようなお勧め設定画面が表示される。
このお勧め設定画面では、カラー設定お勧め度(RGB用icc)という表示、及び、1位「AAA.icc(相対的な色域を維持)」、2位「BBB.icc(彩度)」、3位「BBB.icc(知覚的)」というお勧め提案の画面が表示される。
【0043】
ユーザは、さらに表示ボタン43により、4位以降のお勧めの組合せを表示させてもよい。また、ユーザは、提案された組合せが気に入らない場合は、キャンセルボタン47により提案をキャンセルしてもよい。
【0044】
例えば、ユーザが、お勧め提案を受け入れ、1位「AAA.icc(相対的な色域を維持)」を選択して、OKボタン45をクリックしたとする。
この場合、先に示した図2のA-2の詳細設定画面において、RGB用の入力プロファイルの設定領域25に「AAA.icc」が設定され、かつ、イメージ画像用のマッチング方式を設定する領域29において、「相対的色域を維持」が設定される。
そして、ユーザが、図2のA-2におけるOKボタン23をクリックすると、設定情報がホストコンピュータ10に登録される。
【0045】
次に、図4を参照する。図4は、ホストコンピュータの内部構成例、及び、色変換設定支援装置の構成例を示す図である。図4において、図2と共通する部分には同じ符号を付している。
【0046】
ホストコンピュータ10は、色変換設定支援装置11と、色変換設定支援用のプログラム17が記憶されているメモリとしてのRAM15と、データインタフェース102と、操作情報のインタフェースとしてのユーティリティ106と、各部を統括的に制御する、少なくとも1つのプロセッサ等からなる制御部110と、表示管理インタフェース111と、を有する。
【0047】
色変換設定支援装置11は、カラーマネージメントモジュール(CMM)18と、データやファイルを蓄積可能な蓄積部104と、制御部110が色変換設定支援用のプログラム17に従って動作することで構築される機能ブロックとしての色変換設定支援部120と、を有する。
【0048】
色変換設定支援部120は、画像の特徴、印刷条件の特徴、ユーザの優先特性等の評価部112と、評価値取得部113と、適合性評価部114と、お勧め設定決定部115と、提案画像作成部116と、記憶部119に記憶されている評価テーブル121と、を有する。
【0049】
画像の特徴、印刷条件の特徴、ユーザの優先特性等の評価部112は、入力画像や印刷条件を評価して特徴的な項目を評価(言い換えれば明確化)し(例えば図6を参照)、あるいは、ユーザが、図2のA-2における優先特性と優先度の設定用の領域36を用いて設定した、優先度付きの優先特性(あるいは、後述する図17のA-1に示す優先特性)についての情報を取得する。
【0050】
評価値取得部113は、記憶部119に記憶されている評価テーブル121を適宜、参照して評価値を取得する(例えば、図7参照)。
適合性評価部114は、例えば、入力画像の特徴や印刷条件の特徴(あるいは、優先特性)と、入力プロファイル及びマッチング方式の各組合せとの適合性(整合性)を、評価値取得部113により取得された評価値に基づいて評価(好ましくは総合的に評価)し(例えば、図7の下欄の総合評価値を参照)、適合性(整合性)の高い順に順位付け(言い換えればソーティングし(例えば、図8のA-1参照))、さらに、著しく評価値が低い項目が1つでもある場合は総合評価値が高くても適合性(整合性)が低いものとして取り扱う等の、評価の信頼性を担保する処理を実施する(例えば、図8のA-2参照)。
【0051】
お勧め設定決定部115は、適合性評価部114による評価結果を参照して、画像の特徴や印刷条件の特徴(あるいは優先特性)との適合性(整合性)が高い、少なくとも1つの入力プロファイル及びマッチング方式の組合せを特定し、特定された組合せを、お勧め設定の候補として決定する。
【0052】
提案画像作成部116は、その決定に基づいて、ユーザへの提案内容を含む表示画像を作成し、表示管理インタフェース111に供給する。
【0053】
次に、図5を参照する。図5は、入力画像の特徴、及び印刷条件の特徴に基づいてお勧め設定を提案する場合の手順例を示すフローチャートである。
【0054】
ステップS1では、入力画像が取得され、ステップS2では、印刷条件(例えば、使用するメディアや出力プロファイル等の情報)が取得される。
具体的な印刷条件としては、使用するメディアの種類、印刷の解像度、マルチパス印刷におけるパス数のモード、印刷速度等を挙げることができる。
また、上記の各種の印刷条件に基づいて(あるいは考慮して)、実際に使用する1つの出力プロファイルが決定される。
【0055】
ステップS3では、先に図4に示した「画像の特徴、印刷条件の特徴、ユーザの優先特性等の評価部112」が、入力画像の特徴、設定された印刷条件の特徴を評価(分析)する(例えば図6参照)。
【0056】
ステップS4では、先に図4に示した「適合性評価部114」が、入力プロファイルおよびマッチング方式の各組合せについて、ステップS3で評価された特徴に対する適合性を総合的に評価する(例えば図7参照)。
【0057】
ステップS5では、先に図4に示した「お勧め設定決定部115」が、適合性の評価の高い順に、少なくとも1つの、お勧めの入力プロファイル及びマッチング方式の組合せを決定し(例えば図8参照)、続いて、先に図4に示した「提案画像作成部116」が提案画像を作成し、その提案画像が表示部20に表示される(例えば図9参照)。言い換えれば、色変換設定支援装置11が、お勧めの入力プロファイル及びマッチング方式の組合せをユーザに提案(提示)する。
【0058】
次に、図6を参照する。図6は、入力画像の特徴、及び印刷条件の特徴の項目毎の評価結果を含む評価テーブルの一例を示す図である。
【0059】
図6の評価テーブルでは、「入力画像の特徴の項目」の具体例として、「データ形式」、「色の違いを視認しやすい色(例:グレー、ペールオレンジ)の多さ」、「同じ色でベタ塗りされた面積の大きさ」、「色数の多さ」、「人間の画像を含むか」、「バンディングの発生しやすい色を含むか」が設定されている。
【0060】
また、「印刷条件の特徴の項目」の具体例として、「使用するメディアにおけるインクの滲みやすさ」、「Lデータの色域(入力側の色域)に出力プロファイルの色域の全部が含まれるか」が設定されている。
【0061】
また、図6の評価テーブルでは、入力画像の特徴の項目における「データ形式」についての評価結果の選択肢として、「ベクタ形式のみ」、「ラスタ形式のみ」、「ベクタ形式とラスタ形式が混在」の3つが用意されており、図6の例では、「ベクタ形式のみ」が該当するものとする。
なお、該当する選択肢については、網模様が付されている。この点は、他の選択肢についても同様である。
入力画像の特徴の項目における「色の違いを視認しやすい色(例:グレー、ペールオレンジ)の多さ」については、「少ない」、「中くらい」、「多い」の3つの選択肢が用意されており、図6の例では、「中くらい」が該当する。
入力画像の特徴の項目における「同じ色でベタ塗りされた面積の大きさ」については、「小さい」、「中くらい」、「大きい」の3つの選択肢が用意されており、図6の例では、「中くらい」が該当する。
入力画像の特徴項目における「色数の多さ」については、「少ない」、「中くらい」、「多い」の3つの選択肢が用意されており、図6の例では、「中くらい」が該当する。
入力画像の特徴項目における「人間の画像が含むか」については、「含まない」、「含む」の2つの選択肢が用意されており、図6の例では、「含む」が該当する。
入力画像の特徴項目における「バンディングの発生しやすい色を含むか」については、「含まない」、「含む」の2つの選択肢が用意されており、図6の例では、「含まない」が該当する。
【0062】
また、図6の評価テーブルでは、印刷条件の特徴の項目の「使用するメディアにおけるインクの滲みやすさ」については、「滲みにくい」、「やや滲みやすい」、「滲みやすい」の3つの選択肢が用意されており、図6の例では、「やや滲みやすい」が該当する。
また、印刷条件の特徴の項目の「Lデータの色域(入力側の色域)に出力プロファイルの色域の全部が含まれるか」については、「一部が含まれない」、「含まれる」、「入力側の色域が大きすぎる」の3つの選択肢が用意されており、図6の例では、「一部が含まれない」が該当する。
【0063】
次に、図7を参照する。図7は、入力画像の特徴、及び印刷条件の特徴の評価結果毎の、入力プロファイルとマッチング方式の各組合せについての評価値を含む評価テーブルの一例を示す図である。
【0064】
図7の評価テーブルでは、縦方向に、図6に示した入力画像の特徴、及び印刷条件の特徴の項目(具体例と評価結果を含む)が配置され、横方向に、入力プロファイルとマッチング方式との各組合せが示されている。
また、縦方向に配置される項目の各具体例と、横方向における各組合せとの交点の位置に、各項目の具体例についての、各組合せの適合性を示す評価値が示されている。
【0065】
評価値は、適合性の優劣を、例えば5段階評価で評価した結果として取得されてもよい。例えば、「適合しない」場合は評価値を「1」とし、「やや適合しない」場合は評価値を「2」とし、「どちらともいえない」場合は評価値を「3」とし、「やや適合する」場合は評価値を「4」とし、「適合する」場合は評価値を「5」とする。
適合性の評価は、開発者によって主観的に判断されてもよいし、色に関する指標(明度や彩度、色域の形状等)によって客観的に判断されてもよい。
また、適合性の評価値は、過去の印刷履歴をもとに補正がなされてもよい。すなわち、過去に印刷された入力画像や印刷条件の特徴と、その印刷時に用いられた入力プロファイルとマッチング方式の組合わせの履歴に基づいて、適合性の評価値を、適宜、補正してもよい。
【0066】
また、図7では、先に示した図6において入力画像の特徴、及び印刷条件の特徴であると評価された項目の具体例、及び、その項目の具体例についての評価値には、砂模様が付されている。
【0067】
図7の評価テーブルの最下欄には、入力プロファイルとマッチング方式との各組合せについての総合評価値が示されている。
この総合評価値は、図7の評価テーブルにおける、砂模様の箇所の各評価値に基づいて導出される。
図7の例では、砂模様の各箇所の各評価値を縦方向に加算した合計値を総合評価値としている。但し、これは一例であり、これに限定されるものではない。
総合評価値は、例えば、各評価値に所定の重み付け処理をして加算する方式(重み付け加算方式)で導出してもよく、所定の算出式に基づいて導出してもよい。
【0068】
図7の例では、入力プロファイルとマッチング方式の組合せは、「AAA.icc(知覚的)」、「AAA.icc(相対的な色域を維持)」、「AAA.icc(彩度)」、「BBB.icc(知覚的)」、「BBB.icc(相対的な色域を維持)」、「BBB.icc(彩度)」の6つであり、各組合せの総合評価値は、上記の記載順に、「30」、「28」、「20」、「35」、「25」、「33」である。
【0069】
次に、図8を参照する。図8は、図7の評価テーブルの評価値に基づく優先度の決定処理(総合評価値に基づく、入力プロファイルとマッチング方式との組合せの順位付け処理)を示す図である。
【0070】
入力プロファイルとマッチング方式との6通りの各組合せについて、図7で示した総合評価値に従って順位付け(ソーティング)処理を実施すると、図8のA-1に示すようになる。
第1位~図6位は、その順に、「BBB.icc(知覚的)」、「BBB.icc(彩度)」、「AAA.icc(知覚的)」、「AAA.icc(相対的に色域を維持)」、「BBB.icc(相対的な色域を維持)」、「AAA.icc(彩度)」となる。
【0071】
但し、図8の例では、複数の項目毎の評価結果の各々について取得された各評価値の中に、「所定水準」よりも低い評価値が含まれる場合は、総合評価値が大きい場合であっても、評価を低くする処理が実施される。この評価を低くする処理には、例えば、評価を最下位とすること、あるいは、評価対象から除外することを含めることができる。これにより、適合性の評価の信頼性を担保することができる。
【0072】
例えば、上記の「所定水準」として評価値(評価レベル)「2」が設定されているとすると、評価値「1」を含む場合は、総合評価値が大きい場合でも、順位は、例えば最下位に変更される。
【0073】
ここで、先に示した図7の評価テーブルを参照する。「AAA.icc(知覚的)」については、ベクタ形式のみの画像についての評価値は「1」となっており、上記の「所定水準」よりも低い場合に相当する。
よって、図8のA-2では、図8のA-1において3位であった「AAA.icc(知覚的:砂模様が付されている)」は、最下位の6位に移動される。これにより、図8のA-1で4位、5位、6位であった「AAA.icc(相対的な色域を維持)」、「BBB.icc(相対的な色域を維持)」、「AAA.icc(彩度)」が各々、3位、4位、5位に繰り上がる。
【0074】
次に、図9を参照する。図9は、図8の処理結果に基づくお勧め設定を提案(提示)する画面の一例を示す図である。
【0075】
図9の画面では、カラー設定お勧め度(RGB用icc)という表示と共に、お勧め設定として、「1位:BBB.icc(知覚的)」、「2位:BBB.icc(彩度)」、「3位:AAA.icc(相対的な色域を維持)」が表示される。
【0076】
ユーザは、1位~3位以外の設定についても確認したい場合は、さらに表示ボタン43にカーソルを合わせてクリックする。これにより、例えば4位~6位の設定が追加的に表示される。
【0077】
図9の例では、ユーザは、お勧めされた設定に従って、1位の「BBB.icc(知覚的)」を選択している。ユーザが、OKボタン45をクリックすることにより、先に図2のA-2で示したRGB用の入力プロファイルの設定領域25に「BBB.icc」が設定され、イメージ画像についてのマッチング方式を設定する領域29に、「知覚的」が設定される。
このように、お勧め設定機能を利用することで、ユーザの色変換設定に際しての負担が大幅に軽減され得る。
【0078】
なお、ユーザは、お勧め設定を利用しない場合には、キャンセルボタン47にカーソルを合わせてクリックすることで、お勧め設定をキャンセル(無効化)することができる。
【0079】
(第2の実施形態)
次に、図10を参照する。図10は、図8の処理結果に基づくお勧め設定を提案)する画面の他の例(サンプル画像をモニタに表示する例)を示す図である。
【0080】
図10のA-1では、図9のA-1の表示画面に、サンプル画像での比較ボタン53が追加されている。
【0081】
ユーザが、サンプル画像での比較ボタン53をクリックすると、例えば、図10のA-2に示されるような、サンプル画像付きの画面が表示される。サンプル画像は、例えば、入力画像をお勧めの色変換設定で色変換した場合の画像である。
【0082】
図10のA-2では、お勧め度1位~3位の「BBB.icc(知覚的)」、「BBB.icc(彩度)」、「AAA.icc(相対的な色域を維持)」の各々について、人物のサンプル画像56a~56cが示される。
ユーザは、このサンプル画像を実際に見て、どの組合せを選択するかを決めることができる。ユーザは、実際の印刷結果を予想して、的確な選択が可能である。よって、ユーザの利便性が、さらに向上する。
【0083】
図10のA-2では、ユーザは、サンプル画像による比較の結果として、2位の「BBB.icc(彩度)」を選択している。このように、サンプル画像の比較により、ユーザの好みに、より近い印刷を実現することができる。
【0084】
次に、図11を参照する。図11は、オブジェクト単位でお勧め設定を提案する場合の画面の一例を示す。
【0085】
図11の例では、入力画像に複数のオブジェクトが含まれる場合において、オブジェクト単位で、お勧め設定の提案をすることができる。
これにより、ユーザは、例えば優先度が高いと考えるオブジェクトに着目して、お勧め設定機能により、最適な入力プロファイルとマッチング方式の組合せを設定することができる。
【0086】
図11のA-1では、モニタ画面71に入力画像が表示されている。この入力画像に含まれるオブジェクトは、人物72と、風景としての雲73である。
ユーザは、例えば、領域指定によって、人物72、又は雲73の何れかのオブジェクトを指定し、お勧め設定の表示ボタン(図2のA-2の符号31)にカーソルを当ててクリックする。
【0087】
この結果、オブジェクトとして雲73が選択されている場合は、例えば、図11のA-2に示すようなお勧め設定表示画面61が表示され、オブジェクトとして人物72が選択されている場合は、例えば、図11のA-3に示すようなお勧め設定表示画面63が表示される。
なお、図11において、お勧め設定表示画面とオブジェクトの対応関係を、説明の便宜上、破線の双方向の矢印(この矢印は仮想的なものであり、実際には表示されない)で示している。
【0088】
(第3の実施形態)
次に、図12を参照する。図12は、ユーザが優先させたい優先特性に基づいてお勧め設定を提案する場合の手順例を示すフローチャートである。
【0089】
ステップS10では、色変換特性に関して、優先したい特性(優先特性)を取得する。
ステップS11では、例えば、入力プロファイル及びマッチング方式の組合せについて、ステップS10で取得された優先特性に対する優劣を総合的に評価する。
ステップS12では、評価の高い順に、おすすめの入力プロファイル及びマッチング方式の組合せを提案する。
【0090】
次に、図13を参照する。図13は、ユーザが優先させたい優先特性を設定する画面の一例を示す図である。図13において、図2と同じ箇所には同じ符号を付している。
【0091】
図13の例では、ユーザは、先に図2のA-2の右下に示した優先特性の設定画面(広義にはユーザインタフェース(UI))を使用する。
【0092】
優先特性の選択画面は、図13のA-1に示すように、色変換特性の表示領域35と、優先特性と優先度の設定用の領域36、お勧め設定の表示ボタン37と、キャンセルボタン38と、を有する。
【0093】
図13の例では、図13のA-2に示すように、モニタ画面71に表示される入力画像に含まれる人物のオブジェクト72について、お勧め設定を実施する。
【0094】
図13のA-1では、色変換特性として、「階調性」、「明るい」、「暗い」、「鮮やか」、「淡い」、「ガマットの広さ」、「自然さ」が表示されており、ユーザは、これらの特性の中から、自身が優先したい特性を選択する。
【0095】
また、図13のA-1では、ユーザは、優先度1位に「自然さ」を選択し、優先度2位に「階調性」を選択している。なお、ユーザインターフェース(UI)が1つ又は複数の質問文を提示し、その質問に対するユーザの回答に基づいて、ユーザが優先したい特性を取得してもよい。
【0096】
次に、図14を参照する。図14は、図13の画面にて設定された複数の優先特性を考慮して取得される、入力プロファイルとマッチング方式の各組合せについての評価値を含む評価テーブルの例、ならびに総合評価値の算出方法の例を示す図である。
【0097】
図14のA-1の評価テーブルでは、縦方向に、図13のA-1に示した複数の色変換特性の項目(各項目の具体例を含む)が配置され、横方向に、入力プロファイルとマッチング方式との各組合せが示されている。
【0098】
また、縦方向に配置される各項目(各具体例)と、横方向における各組合せとの交点の位置に、各項目(各具体例)についての、各組合せの適合性(適合性の優劣)を示す評価値が示されている。
なお、図14では、ユーザにより選択された特性の項目(具体例)、及び、その項目(具体例)に対応する評価値には、砂模様が付されている。
【0099】
また、評価値は、適合性の優劣を、例えば5段階評価で評価した結果として取得してもよい。
例えば、特性の項目「自然さ」についての具体例「より自然であるか」について、あるいは、特性の項目「階調性」についての具体例「階調性が滑らかか」について、「当てはまらない」場合は評価値を「1」とし、「やや当てはまらない」場合は評価値を「2」とし、「どちらともいえない」場合は評価値を「3」とし、「やや当てはまる」場合は評価値を「4」とし、「当てはまる」場合は評価値を「5」とする。
なお、優劣の評価は、開発者によって主観的に判断されてもよいし、色に関する指標(明度や彩度、色域の形状等)に基づいて客観的に判断されてもよい。
【0100】
図14のA-2には、入力プロファイルとマッチング方式との各組合せについての総合評価値、ならびに、総合評価値の算出方法が示されている。
【0101】
総合評価値は、図14のA-1の評価テーブルにおける、砂模様の箇所の各評価値に基づいて導出される。図14のA-2では、図14のA-1の砂模様の各箇所の各評価値を縦方向に、優先度で重み付けして加算することで算出している。
【0102】
重み付け加算に際しては、ユーザが選択した項目の優先度が高い順に、その項目の評価値の重み付け係数を大きく設定する。
【0103】
先に説明したように、図13の例では、ユーザが選択した特性(優先特性)は、優先度1位が「自然さ」であり、優先度2位が「階調性」である。
そこで、図13の例では、総合評価値の算出に際しては、優先度1位の項目である「自然さ」については、各評価値に重み付け係数「2」を乗算し、優先度2位の項目である「階調性」については、各評価値に重み付け係数「1」を乗算し、その重み付けされた各評価値を合算して総合評価値とする。
【0104】
この結果、図14のA-2に示されるように、入力プロファイルとマッチング方式の組合せは、例えば、「AAA.icc(相対的な色域を維持)」の総合評価値が「12」となり、「AAA.icc(彩度)」の総合評価値が「11」となり、「BBB.icc(彩度)」の総合評価値が「10」となる。
【0105】
次に、図15を参照する。図15は、図14の評価テーブルの評価値に基づく優先度の決定処理(総合評価値に基づく、入力プロファイルとマッチング方式との組合せの順位付け処理)の例、及び、お勧め設定を表示する画面の例を示す図である。
【0106】
先に図14のA-2に示した総合評価値に基づいて、優先度の高い順に順位付け(ソーティング)を実施することで、図15のA-1に示すような、第1位~第6位の入力プロファイルとマッチング方式との組合せが決定される。
【0107】
決定された順位に基づいて、図15のA-2に示されるようなお勧め設定の提案画面が表示される。
図15のA-2では、モニタ画面71に表示される入力画像に含まれる人物のオブジェクト72についてのお勧め設定が提案される。
【0108】
お勧め設定の提案画面では、お勧めの順位が高い第1位~第3位までが表示されている。すなわち、第1位が「AAA.icc(相対的な色域を維持)」であり、第2位が「AAA.icc(彩度)」であり、第3位が「BBB.icc(彩度)」である。
なお、提案後に優先特性を再度指定することができるようにしてもよい。
【0109】
(第4の実施形態)
次に、図16を参照する。図16は、ユーザが優先させたい複数の優先特性に基づくお勧め設定の提案を実施する場合の手順例を示すフローチャートである。
【0110】
ステップS20では、色変換特性に関して優先したい特性(優先特性)を取得する。
ステップS21では、入力プロファイル及びマッチング方式の各組合せについて、ステップS20で取得された各優先特性の評価値を取得する。
ステップS22では、入力プロファイル及びマッチング方式の各組合せについて
ステップS20で取得された各優先特性の評価結果を表示する。評価結果の表示に際しては、レーダーチャートにより、各特性の評価値を目視可能に表示してもよく、座標形式により、座標系における各組合せの位置付けを直感的に把握できるように表示してもよい。これらの表示例の詳細については後述する。
【0111】
次に、図17を参照する。図17は、ユーザが優先させたい優先特性を設定する画面の一例を示す図である。
【0112】
図17のA-1に示すように、優先特性の選択画面は、優先特性の表示領域39と、優先特性の選択用の領域40と、お勧め設定の表示ボタン37と、キャンセルボタン38と、を有する。
【0113】
図17の例では、図17のA-2に示すように、モニタ画面71に表示される入力画像に含まれる人物のオブジェクト72について、お勧め設定を実施する。
【0114】
図17のA-1では、色変換特性として、「鮮やかさ」、「明るさ」、「暗さ」、「濃度」、「自然さ」、「ガマットの広さ」、「階調性」が表示されており、ユーザは、これらの特性の中から、自身が優先したい特性を選択する。
【0115】
図17のA-1では、ユーザは、「鮮やかさ」、「ガマットの広さ」、「自然さ」、「濃度」、「明るさ」を選択している。なお、図17のA-1では、選択された各項目については、優先順位は付与されない。
【0116】
次に、図18を参照する。図18は、図17の画面にて選択された複数の優先特性を考慮して取得される、入力プロファイルとマッチング方式の各組合せについての評価値を含む評価テーブルの例を示す図である。
【0117】
図18の評価テーブルでは、縦方向に、図17のA-1に示した複数の色変換特性の項目(各項目の具体例を含む)が配置され、横方向に、入力プロファイルとマッチング方式との各組合せが示されている。
【0118】
また、縦方向に配置される各項目(各具体例)と、横方向における各組合せとの交点の位置に、各項目(各具体例)についての、各組合せの適合性(適合性の優劣)を示す評価値が示されている。
なお、図18では、ユーザにより選択された特性の項目(具体例)、及び、その項目(具体例)に対応する評価値には、砂模様が付されている。
また、評価値は、適合性の優劣を、例えば5段階評価で評価した結果として取得してもよい(この点は、図14に示した評価テーブルと同様である)。
【0119】
図18の場合も、先に示した図7図14の例と同様に、総合評価値により、入力プロファイルとマッチング方式との各組合せについて、優劣を判定してもよい。
但し、図18の例では、評価値を加算(例えば単純加算)して総合評価値を算出してみると、「AAA.icc(知覚的)」は「15」、「AAA.icc(相対的な色域を維持)」は「20」、「AAA.icc(彩度)」は「17」、「BBB.icc(知覚的)」は「18」、「BBB.icc(相対的な色域を維持)」は「20」、「BBB.icc(彩度)」は「19」となり、「AAA.icc(知覚的)」を除く他の5つの組合せについては、総合評価値には大きな差がなく、優劣をつけるのは難しい状態といえる。
【0120】
このような場合は、各組合せの中から順位の高いものを選んで提案する、という表示は実施せず、これに代えて、ユーザ自らが好ましい組合せを選択するのに役立つ有用な、補助的な情報(有用なデータや資料)を提示する、という表示に切り替えてもよい。
【0121】
以下、この点について説明する。図19を参照する。図19は、図18の評価テーブルの評価値に基づいて、お勧め設定をレーダーチャートにて表示する画面の例を示す図である。
【0122】
図19には、レーダーチャートの表示画面81が示されている。
先に、図3図9図10図11図15に示したように、色変換設定支援方法における結果を表示するステップでは、評価が高い少なくとも1つの入力プロファイル(あるいは、入力プロファイルとマッチング方式との組合わせ)がユーザに提案される。
但し、上記の少なくとも1つの入力プロファイル(あるいは、入力プロファイルとマッチング方式との組合わせ)を提示するのに代えて、図19のレーダーチャートを表示してもよい。
レーダーチャート85では、例えば、「AAA.icc(知覚的)」は青色の線、「AAA.icc(相対的な色域を維持)」はオレンジの線、「AAA.icc(彩度)」は灰色の線、「BBB.icc(知覚的)」は黄色の線、「BBB.icc(相対的な色域を維持)」は水色の線、「BBB.icc(彩度)」は緑色の線にて表してもよい。
【0123】
但し、図19では、6つの組合せの全てを記載すると視覚的に見づらくなるため、図の複雑化を防止するために、「AAA.icc(知覚的):青」、及び、「BBB.icc(彩度):緑」のみを表示している。
【0124】
ユーザは、レーダーチャート85を見ることで、各入力プロファイル、又は、各入力プロファイル及びマッチング方式の組合せにおける、各特性の優劣を示す値の違い等を直感的に把握できる。言い換えれば、ユーザが、より適切な組合せを選択するための有用な情報(有用な情報や資料)がグラフとして提示されたことになり、これによって、ユーザの利便性が向上する。
【0125】
ユーザが、各組合せの中から1つを選択し、OKボタン87をクリックすると、その組合せが色変換設定(カラー設定)における、入力プロファイルとマッチング方式の組合せとして設定される。
【0126】
(第5の実施形態)
次に、図20を参照する。図20は、ユーザが優先させたい優先特性を設定する画面の他の例を示す図である。図20において、先に示した図17と共通する箇所には同じ符号を付している。
【0127】
図20に示される優先特性の例、ボタンの配置、ならびに人物のオブジェクト72に関する色変換設定である点については、図17と共通である。
但し、図17では、優先特性として、ユーザは、「鮮やかさ」、「ガマットの広さ」、「自然さ」、「濃度」、「明るさ」の5つを選択していたが、図20では、ユーザは、「明るさ」、「鮮やかさ」の2つを選択しており、この点で異なる。
【0128】
次に、図21を参照する。図21は、図20の画面で設定された優先特性である「明るさ」と「鮮やかさ」を座標軸とする座標平面における、入力プロファイルとマッチング方式の各組合せの位置付けの例を示す図である。
【0129】
図21では、座標形式の表示画面91が表示されている。この座標形式の表示画面91では、例えば、入力プロファイルとマッチング方式の6つの組合せを示すアイコン93a~93fが、「明るさ」と「鮮やかさ」を座標軸とする座標系(ここでは座標平面)において、どの位置にあるかを、ユーザが直感的に把握できるように表示している。
言い換えれば、ユーザは、座標形式の表示を見ることで、各組合せのアイコン93a~93fに対応する印刷画像の、明るさや鮮やかさの傾向を、直感的に把握することができる。
この座標形式の表示画面91は、先に図19に示したレーダーチャートと同様に、上記の少なくとも1つの入力プロファイル(あるいは、入力プロファイルとマッチング方式との組合わせ)を提示するのに代えて、表示してもよい。
【0130】
また、図21の例では、6つの各組合せのアイコン93a~93fにおいて、円形に配置された12個の丸が付されている。各丸は、印刷画像における色のサンプルを示している。ユーザは、この色のサンプルを参照することで、各組合せの特徴を、より容易に把握することができる。
【0131】
このように、図21の例によれば、ユーザが、より適切な組合せを選択するための、補助的な有用な情報(有用な情報や資料)を提示することができる。よって、ユーザの利便性が向上する。
【0132】
なお、上記の例では、2つの優先特性を座標軸とする座標系(例えば座標平面)における各組合せの位置付けを示しているが、優先特性が3つある場合は、立体座標系における各組合せの位置付けを示してもよい。
【0133】
以上説明した本発明の実施形態についてまとめると、以下のようになる。
【0134】
本発明の色変換設定支援方法の第1の態様は、カラー印刷における色変換設定を補助する色変換設定支援方法であって、入力画像の特徴、及び印刷条件の特徴の少なくとも一方を評価して評価結果を取得する第1のステップと、使用可能な少なくとも1つの入力プロファイルについて、前記入力画像の特徴、及び印刷条件の特徴の少なくとも1つの前記評価結果との適合性を評価する第2のステップと、評価により得られた適合性の順位が高い、少なくとも1つの入力プロファイルを、お勧めの入力プロファイルとしてユーザに提案する第3のステップと、を含む。
【0135】
第1の態様によれば、ユーザは、入力画像の特徴、及び印刷条件の特徴の少なくとも1つの評価結果との適合性が高いと判断された入力プロファイルの提案(提示)を受けることができる。
なお、「入力プロファイルの提案(提示)」には、「入力プロファイル及びマッチング方式の組合わせの提案(提示)」を含めることができる。
よって、ユーザの色変換設定の負担が大幅に軽減される。また、入力画像の特徴や印刷条件の特徴に応じた適切な色変換を的確に実施することができる。
これにより、入力画像の特徴や印刷条件の特徴に適合した高品位の印刷を実現することができる。
【0136】
第1の態様に従属する第2の態様では、前記第1のステップでは、前記入力画像の特徴、及び印刷条件の特徴の少なくとも一方について、複数の評価項目毎に前記評価結果を取得し、前記第2のステップでは、前記複数の項目毎の前記評価結果の各々について前記適合性を評価して評価値を取得し、取得された各評価値に基づく総合的な評価を実施してもよい。
【0137】
第2の態様によれば、評価値に基づく総合的な評価により、適切な入力プロファイルの選択(言い換えれば、客観的で信頼性の高い選択)が可能となる。
【0138】
第1の態様に従属する第3の態様では、前記第1のステップでは、前記入力画像の特徴、及び印刷条件の特徴の少なくとも一方について、複数の評価項目毎に評価結果を取得し、前記第2のステップでは、前記複数の項目毎の前記評価結果の各々について前記適合性を評価して評価値を取得し、取得された各評価値に基づいて総合評価値を取得し、前記総合評価値に基づく総合的な評価を実施してもよい。
【0139】
第3の態様によれば、複数の評価項目毎の評価値に基づいて取得される総合評価値を利用することで、より客観的で確度の高い評価が実施可能である。よって、適切な入力プロファイルの選択(言い換えれば、客観的で信頼性の高い選択)が可能となる。
【0140】
第3の態様に従属する第4の態様では、前記第2のステップにおいて、前記複数の項目毎の前記評価結果の各々について取得された各評価値の中に、所定水準よりも低い評価値が含まれる場合は、前記総合評価値が大きい場合であっても、評価を低くする処理、あるいは評価対象から除外する処理を実施してもよい。
【0141】
第4の態様によれば、1つでも所定水準に達しない評価値がある場合は、適合性の評価を低くする(例えば最下位とする)処理、あるいは評価対象から除外する処理を実施することで、適合性の評価の信頼性を担保することができる。
【0142】
第1乃至第4の態様の何れか1つに従属する第5の態様では、前記第3のステップにおいて、提案する入力プロファイルが複数ある場合は、各入力プロファイルを用いて色変換した場合のサンプル画像を表示してもよい。
【0143】
ユーザは、このサンプル画像を実際に見て、どの組合せを選択するかを決めることができる。よって、ユーザの利便性が、さらに向上する。
【0144】
第1乃至第5の態様の何れか1つに従属する第6の態様では、前記入力画像に複数のオブジェクトが含まれる場合において、前記第2、及び第3のステップにおいて、前記オブジェクト単位で各処理を実施してもよい。
【0145】
第6の態様では、ユーザは、例えば優先度が高いと考えるオブジェクトに着目して、お勧め設定機能により、適切な入力プロファイルを設定することができる。
【0146】
第1乃至第6の態様の何れか1つに従属する第7の態様では、前記第1~第3の各ステップに代えて実施可能な、色変換に際して、ユーザが優先させたい優先特性を取得する第4のステップと、使用可能な少なくとも1つの入力プロファイルについて、前記取得された優先特性に関する優劣を評価する第5のステップと、前記優劣による評価が高い少なくとも1つの入力プロファイルを、お勧めの入力プロファイルとしてユーザに提案する第6のステップと、を、さらに含んでもよい。
【0147】
第7の態様では、お勧め設定機能のオプションとして、ユーザが優先させたい優先特性についての優劣(適合性の優劣)を評価して、お勧めの組合せを提案する機能が付加される。
よって、ユーザは、必要に応じて、このオプション機能を利用することで、自身が優先させたい色変換の特性や色変換の項目を考慮した、最適な入力プロファイルの提案を受けることができる。よって、ユーザの利便性が、さらに向上する。
【0148】
第7の態様に従属する第8の態様では、前記第5のステップでは、前記優先特性毎に、前記優劣の評価結果を示す評価値を取得し、取得された各評価値を加算することで、あるいは、取得された各評価値を、前記優先特性についての優先度に応じて重み付けして加算することで総合評価値を取得し、前記総合評価値に基づく総合的な評価を実施してもよい。
【0149】
第8の態様によれば、ユーザが優先させたい特性の優先度を考慮して、重み付け加算によって総合評価値を算出し、その総合評価に基づいて各入力プロファイルの適合性の評価を実施する。よって、ユーザの好みを的確に反映した入力プロファイルの選択が可能となり、ユーザの好みに応じた印刷を実現することができる。
【0150】
第7、又は第8の態様に従属する第9の態様において、前記第6のステップに代えて、前記入力プロファイルについて、前記取得された優先特性に関する優劣を示す評価をレーダーチャートにて表示する第7のステップを実施してもよい。
【0151】
第9の態様によれば、ユーザは、レーダーチャートを見ることで、各入力プロファイルの、各項目に対する特性の違い等を直感的に把握できる。
言い換えれば、各入力プロファイルの特徴が把握しにくい場合においても、ユーザには、適切な入力プロファイルを選択するための有用な、補助的な情報(有用な情報や資料)が提示され得る。よって、ユーザはその情報を参照することで、適切な選択をすることが可能となり、ユーザの利便性が向上する。
【0152】
第7、又は第8の態様に従属する第9の態様において、前記第6のステップに代えて、複数の前記優先特性の各々、又は複数の前記優先特性の各々を座標軸とする座標系における、入力プロファイルの位置を表示する第8のステップを実施してもよい。
【0153】
第9の態様によれば、入力プロファイルが、優先特性を座標軸とする座標系(座標平面や座標空間)において、どの位置にあるかを、ユーザが直感的に把握できる。言い換えれば、ユーザは、各入力プロファイルに対応する印刷画像の、色変換特性の傾向を直感的に把握することができる。
言い換えれば、各入力プロファイルの特徴が把握しにくい場合においても、ユーザには、適切な入力プロファイルを選択するための有用な、補助的な情報(有用な情報や資料)が提示され得る。
よって、ユーザはその情報を参照することで、適切な選択をすることが可能となり、ユーザの利便性が向上する。
【0154】
第11の態様において、色変換設定支援装置は、第1乃至第10の何れか1つの態様の色変換設定支援方法を実施する色変換設定支援部を有する。
【0155】
第11の態様によれば、色変換設定支援部を備える色変換設定支援装置を用いることで、画像の特徴や印刷の特徴、あるいはユーザ自身が優先したい特性や色変換の特性に基づくお勧め設定を実現することができる。
言い換えれば、適切な色変換設定支援を実現することができ、ユーザの利便性が向上する。
【0156】
第12の態様において、プログラムは、コンピュータを、第1乃至第10の何れか1つの色変換設定支援方法を実施する色変換設定支援装置として機能させるプログラムである。
【0157】
第12の態様によれば、コンピュータが実施可能なプログラムを用いて、色変換設定支援を容易に実現することができる。
【0158】
以上説明したように、本発明によれば、入力画像の特徴や印刷条件の特徴、ユーザ自身が優先したい色変換特性等を考慮した、適合性の高い入力プロファイルを、ユーザが容易に設定可能とすることができる。
また、適合性の高い「入力プロファイル」には、適合性の高い「入力プロファイルとマッチング方式の組合わせ」を含めることができ、この場合、ユーザのカラー設定の負担はさらに軽減される。
【0159】
本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、種々、変形が可能である。例えば、各編集処理を実施する順番は、適宜、変更することができる。
【0160】
本発明は、上述の例示的な実施形態に限定されず、また、当業者は、上述の例示的な実施形態を特許請求の範囲に含まれる範囲まで、容易に変更することができるであろう。
【符号の説明】
【0161】
1(1a~1k)・・・RGBデータ、2・・・CMYKデータ、3(3a~3m)・・・入力プロファイル、4・・・Lデータ、5・・・出力プロファイル、6・・・マッチング方式、7・・・インクデータ、8・・・使用するインクのインク値、9a・・・自動設定、9b・・・カスタム設定、9c・・・お勧め設定、10・・・ホストコンピュータ、11・・・色変換設定支援装置、15・・・メモリ(RAM)、17・・・プログラム(色設定支援用のプログラム)、18・・・カラーマネージメントモジュール(CMM)20・・・表示部、22・・・カラー設定(色変換設定)領域、23・・・OKボタン、24・・・キャンセルボタン、25・・・RGB用の入力プロファイルの設定領域、26・・・CMYK用の入力プロファイルの設定領域、27・・・読み込みボタン、28・・・保存ボタン、29・・・イメージ画像(イメージのオブジェクト)についてのマッチング方式を設定する領域、30・・・イラスト画像(イラストのオブジェクト)についてのマッチング方式を設定する領域、31・・・お勧め設定の表示ボタン、32・・・キーボード、33・・・オプション選択用の表示領域、34・・・マウス、35・・・色変換特性の表示領域、36・・・優先特性と優先度の設定用の領域、37・・・お勧め設定の表示ボタン、38・・・キャンセルボタン、39・・・優先特性の表示領域、40・・・優先特性の設定用の領域、41、44、46・・・フォルダ、43・・・さらに表示ボタン、45・・・OKボタン、47・・・キャンセルボタン、50・・・プリンタ(インクジェットプリンタ、出力側機器、出力側デバイス)、53・・・サンプル画像での比較ボタン、56(56a~56c)・・・サンプル画像、61、63・・・お勧め設定表示画面、71・・・モニタ画面、72・・・人物のオブジェクト、73・・・風景としての雲のオブジェクト、81・・・レーダーチャートの表示画面、85・・・レーダーチャート、91・・・座標形式の表示画面、93a~93f・・・入力プロファイルとマッチング方式の組合せを示すアイコン、100・・・コンピュータシステム(画像処理システム)、102・・・データインタフェース、104・・・蓄積部、106・・・ユーティリティ、110・・・制御部(プロセッサ等)、111・・・表示管理インタフェース、112・・・画像の特徴、印刷条件の特徴、ユーザの優先特性等の評価部、113・・・評価値取得部、114・・・適合性評価部、115・・・お勧め設定決定部、116・・・提案画像作成部、119・・・記憶部、120・・・色変換設定支援部、121・・・評価テーブル。
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