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  • 特開-シールワッシャ用継手 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123421
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】シールワッシャ用継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 23/032 20060101AFI20240905BHJP
   F16L 47/06 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
F16L23/032
F16L47/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030820
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000233619
【氏名又は名称】株式会社ニチリン
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】桝野 哲朗
【テーマコード(参考)】
3H016
3H019
【Fターム(参考)】
3H016AA03
3H016AC01
3H016AD05
3H019JA02
(57)【要約】
【課題】軽量化を図りながら、シールワッシャのシール性を確保することが可能なシールワッシャ用継手を提供する。
【解決手段】パイプ40に連通する流路11を内部に有して、一端側部分を相手部品50に嵌合可能な嵌合部2と、嵌合部2の他端側に設けられ、パイプ40を接続可能な接続部3と、流路11が延びる方向から見て嵌合部2の周囲に設けられ、シールワッシャ30を介して一端側の側面を相手部品50に当接可能なフランジ部4と、を有する。嵌合部2とフランジ部4とは、ともに金属製であって、一体に形成されており、接続部3は樹脂製であって、射出成形によって嵌合部2と一体に形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製のパイプを接続可能であり、シールワッシャを介して相手部品に接続可能なシールワッシャ用継手であって、
前記パイプに連通する流路を内部に有して、一端側部分を前記相手部品に嵌合可能な嵌合部と、
前記嵌合部の他端側に設けられ、前記パイプを接続可能な接続部と、
前記流路が延びる方向から見て前記嵌合部の周囲に設けられ、前記シールワッシャを介して一端側の側面を前記相手部品に当接可能なフランジ部と、
を有し、
前記嵌合部と前記フランジ部とは、ともに金属製であって、一体に形成されており、
前記接続部は樹脂製であって、射出成形によって前記嵌合部と一体に形成されていることを特徴とするシールワッシャ用継手。
【請求項2】
前記嵌合部における前記接続部との境界部分に、接着剤が塗布されていることを特徴とする請求項1に記載のシールワッシャ用継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールワッシャを介して相手部品に接続可能なシールワッシャ用継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーエアコンの冷媒用の配管は、アルミニウムなどの金属製である。金属製のパイプが接続された金属製の継手は、シールワッシャを介して相手部品に接続される場合がある。ここで、ガソリン車の燃費向上や電気自動車の走行距離延長を図るために、カーエアコンの冷媒用の配管には軽量化が求められている。そこで、金属製のパイプを樹脂化することが考えられる。この場合、金属製の継手を樹脂化する必要がある。しかし、金属製の継手を樹脂化すると、樹脂のクリープによって、シールワッシャのシール性が低下する恐れがある。
【0003】
ここで、特許文献1には、プラスチック製のコネクタのフランジと相手部材との間に封止要素(シールワッシャ)を配置し、金属製の支持体と相手部材とでフランジを挟みながら、支持体を相手部材にねじ止めする構成が開示されている。支持体の端部は、相手部材の方に折り曲げられており、ねじが締め付けられると、支持体は、フランジに対して安定して押圧され、フランジは、封止要素に対して、平行な変位を伴って押し付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6737890号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、シールワッシャのゴム部分の潰し代を確保するために、支持体の折り曲げ部分の長さ、および、フランジの厚みの寸法を厳しく管理する必要がある。また、シールワッシャのゴム部分の内周面は、樹脂製のフランジと接するため、樹脂のクリープによって、シールワッシャのゴム部分のシール性が低下する恐れがある。
【0006】
本発明の目的は、軽量化を図りながら、シールワッシャのシール性を確保することが可能なシールワッシャ用継手を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、樹脂製のパイプを接続可能であり、シールワッシャを介して相手部品に接続可能なシールワッシャ用継手であって、前記パイプに連通する流路を内部に有して、一端側部分を前記相手部品に嵌合可能な嵌合部と、前記嵌合部の他端側に設けられ、前記パイプを接続可能な接続部と、前記流路が延びる方向から見て前記嵌合部の周囲に設けられ、前記シールワッシャを介して一端側の側面を前記相手部品に当接可能なフランジ部と、を有し、前記嵌合部と前記フランジ部とは、ともに金属製であって、一体に形成されており、前記接続部は樹脂製であって、射出成形によって前記嵌合部と一体に形成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、嵌合部およびフランジ部は金属製である。また、接続部は樹脂製であって、射出成形によって嵌合部と一体に形成されている。接続部およびパイプを樹脂製にすることで、配管全体が金属製である場合と比べて、配管全体を軽量化することができる。また、接続部が樹脂製なので、樹脂製のパイプを好適に接続することができる。また、フランジ部は金属製なので、フランジ部に樹脂のクリープは生じない。よって、シールワッシャを介してフランジ部の一端側の側面を相手部品に当接させた際に、シールワッシャのシール性を確保することができる。また、シールワッシャのゴム部分の内周面が当接する嵌合部が金属製であるので、嵌合部が樹脂製である場合に比べて、シールワッシャのゴム部分のシール性をより確保することができる。よって、軽量化を図りながら、シールワッシャのシール性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】シールワッシャ用継手の斜視図である。
図2】シールワッシャ用継手の断面図である。
図3】変形例1のシールワッシャ用継手の断面図である。
図4】変形例2のシールワッシャ用継手の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0011】
(シールワッシャ用継手の構成)
本発明の実施形態によるシールワッシャ用継手は、例えば、カーエアコンの冷媒用の配管に使用される。このシールワッシャ用継手は、樹脂製のパイプを接続可能であり、シールワッシャを介して相手部品に接続可能な継手である。シールワッシャ用継手は、相手部品とペアで使用される。例えば、シールワッシャ用継手は、凸部を備えた雄側部材であり、相手部品は、凹部を備えた雌側部材である。
【0012】
シールワッシャ用継手1の斜視図である図1、および、シールワッシャ用継手1の断面図である図2に示すように、シールワッシャ用継手1は、本体部6と、接続部3と、を有している。本体部6は、嵌合部2と、フランジ部4と、を有している。
【0013】
嵌合部2は、アルミニウムなどの金属製である。嵌合部2は、円筒状である。図2に示すように、嵌合部2は、相手部品50の流路に連通する流路11を内部に有している。この流路11には、相手部品50の方から流れてくる流体が流通する。この流体は、例えば、冷媒である。
【0014】
図2に示すように、嵌合部2の一端側部分(図中左側部分)は、流路11が延びる方向に突出した凸部2aである。凸部2aは、相手部品50の凹部に嵌合可能である。
【0015】
接続部3は、樹脂製である。図1に示すように、接続部3は、円筒状である。図2に示すように、接続部3は、嵌合部2の他端側(図中右側)に設けられている。接続部3には、パイプ40を接続可能である。パイプ40は、樹脂製である。接続部3の内径は、パイプ40の厚みの分だけ、流路11の内径よりも大きくされている。
【0016】
接続部3とパイプ40とは、レーザー溶着により接合される。接続部3は、レーザー光に対して透過性を有する樹脂材料からなり、パイプ40は、レーザー光に対して吸収性を有する樹脂材料からなる。図2に矢印で示す照射位置から接続部3の全周にわたってレーザー光を照射すると、接続部3を透過したレーザー光がパイプ40の表面で吸収されることで、パイプ40の表面が発熱して溶融する。この溶融熱が接続部3の内面に伝わることで、接続部3の内面が発熱して溶融する。レーザー光の照射をやめると、溶融していたパイプ40の表面および接続部3の内面が融合しながら凝固する。
【0017】
接続部3が樹脂製なので、樹脂製のパイプ40を好適に接続することができる。つまり、シールワッシャ用継手1に接続するパイプとして、樹脂製のパイプ40を採用することができる。よって、シールワッシャ用継手1が、カーエアコンの冷媒用の配管に使用されるのであれば、従来の金属製のパイプを樹脂製のパイプ40に置き換えることができる。これにより、配管を大幅に軽量化することができる。配管の軽量化により、ガソリン車の燃費向上や電気自動車の走行距離延長を図ることができる。
【0018】
図2に示すように、嵌合部2の他端側部分(図中右側部分)の外周面には凹部が形成されており、この凹部に接続部3の凸部が嵌っている。これにより、嵌合部2から接続部3が抜けるのが抑制される。
【0019】
フランジ部4は、アルミニウムなどの金属製である。図1に示すように、フランジ部4は、流路11が延びる方向から見て嵌合部2の周囲に設けられている。図2に示すように、嵌合部2とフランジ部4とは、一体に形成されている。フランジ部4は、シールワッシャ30を介して一端側(図中左側)の側面を相手部品50に当接可能である。
【0020】
本実施形態において、フランジ部4は、ボルト穴22が形成された頭部21を有している。ボルト穴22には、ボルト(図示せず)が挿通される。このボルトは、シールワッシャ用継手1と相手部品50とを締結するものである。なお、フランジ部4は、頭部21を有さず、嵌合部2を中心とする環状であってもよい。
【0021】
図2に示すように、シールワッシャ30は、ゴム部材31と、リテーナ32と、を有している。ゴム部材31は、環状であり、その内径は、嵌合部2の外径と同じか、それよりも若干小さい。リテーナ32は、アルミニウムなどの金属製であり、ゴム部材31の外周側に嵌合されている。リテーナ32には、フランジ部4のボルト穴22に連通する穴が形成されている。図1に示すように、リテーナ32の形状は、フランジ部4の形状よりも一回り大きくされている。
【0022】
図2に示すように、シールワッシャ用継手1のフランジ部4と相手部品50とでシールワッシャ30が挟持されることで、ゴム部材31が押し潰される。その結果、相手部品50の方から流れてくる流体が、相手部品50とシールワッシャ用継手1との隙間から漏れるのが抑制される。
【0023】
また、シールワッシャ30のゴム部材31の内周面が当接する嵌合部2が金属製であるので、嵌合部2が樹脂製である場合に比べて、シールワッシャ30のゴム部材31のシール性がより確保される。
【0024】
図2に示すように、嵌合部2の他端側部分における接続部3との境界部分に、接着剤5が塗布されている。この接着剤5は、例えば、熱硬化性樹脂を主剤とする接着剤である。後述するように、接着剤5は、射出成形によって接続部3が形成される前に、嵌合部2に塗布される。接着剤5は、射出成型時に硬化する。この接着剤5によって、嵌合部2と接続部3との気密性が確保される。よって、相手部品50の方から流れてくる流体が、嵌合部2と接続部3との隙間から漏れるのが抑制される。また、嵌合部2と接続部3とが接着剤5で接着されることで、嵌合部2に対して接続部3が回転するのが抑制される。
【0025】
以上のように、嵌合部2およびフランジ部4は金属製である。また、接続部3は樹脂製であって、射出成形によって嵌合部2と一体に形成されている。接続部3およびパイプを樹脂製にすることで、配管全体が金属製である場合と比べて、配管全体を軽量化することができる。また、接続部3が樹脂製なので、樹脂製のパイプ40を好適に接続することができる。また、フランジ部4は金属製なので、フランジ部4に樹脂のクリープは生じない。よって、シールワッシャ30を介してフランジ部4の一端側の側面を相手部品50に当接させた際に、シールワッシャ30のシール性を確保することができる。また、シールワッシャ30のゴム部材31の内周面が当接する嵌合部2が金属製であるので、嵌合部2が樹脂製である場合に比べて、シールワッシャ30のゴム部材31のシール性をより確保することができる。よって、軽量化を図りながら、シールワッシャ30のシール性を確保することができる。
【0026】
また、嵌合部2における接続部3との境界部分に、接着剤5が塗布されている。この接着剤5によって、嵌合部2と接続部3との気密性を確保することができる。よって、相手部品50の方から流れてくる流体が、嵌合部2と接続部3との隙間から漏れるのを抑制することができる。また、嵌合部2と接続部3とを接着することで、嵌合部2に対して接続部3が回転するのを抑制することができる。
【0027】
(シールワッシャ用継手の製造方法)
次に、上記の構成のシールワッシャ用継手1の製造方法について説明する。
【0028】
まず、嵌合部2とフランジ部4とが一体になった、金属製の本体部6を用意する。次に、嵌合部2における接続部3との境界部分に、接着剤5を塗布した後、接着剤5を乾燥させる(塗布工程)。次に、接着剤5を塗布した本体部6を金型にセットする(配置工程)。次に、射出成形によって接続部3を嵌合部2と一体に形成する(射出工程)。このとき、射出成形時の熱で接着剤5が反応して接続部3に接着する。
【0029】
(変形例)
上述した実施形態では、図2に示すように、フランジ部4と相手部品50とが、ボルトで締結される構造であった。しかし、以下のような構造であってもよい。変形例1のシールワッシャ用継手101の断面図を図3に示す。この変形例1では、金属製の袋ナット60によって、フランジ部4と相手部品50(図示せず)とが強固に連結される。この変形例1では、フランジ部4は環状であって、頭部21を有していない。また、シールワッシャ30もリング状である。袋ナット60のねじ部61は、相手部品50に螺合する。袋ナット60のフランジ部62は、相手部品50とは反対側からフランジ部4を相手部品50に押し付ける。これにより、フランジ部4と相手部品50とでシールワッシャ30が挟持される。
【0030】
この変形例1では、袋ナット60のフランジ部62をフランジ部4に当接させた状態で、本体部6と袋ナット60とが金型にセットされ、射出成形によって接続部3が形成されることになる。
【0031】
次に、変形例2のシールワッシャ用継手201の断面図を図4に示す。この変形例2では、フランジ部材70によって、フランジ部4と相手部品50(図示せず)とが強固に連結される。この変形例2においても、フランジ部4は環状であって、頭部21を有していない。また、シールワッシャ30もリング状である。フランジ部材70は、アルミニウムなどの金属製である。フランジ部材70には、嵌合部2の他端側部分が挿通する穴が形成されている。また、フランジ部材70には、ボルト(図示せず)が挿通するボルト穴71が形成されている。また、フランジ部材70には、フランジ部4が嵌る凹部72が形成されている。フランジ部材70と相手部品50とでフランジ部4を挟持した状態で、フランジ部材70と相手部品50とが、ボルトで締結される。これにより、フランジ部4と相手部品50とでシールワッシャ30が挟持される。なお、図4では、2つのシールワッシャ用継手201が、フランジ部材70によって相手部品50にそれぞれ接続される構成である。
【0032】
この変形例2では、フランジ部材70の凹部72にフランジ部4を嵌めた状態で、本体部6とフランジ部材70とが金型にセットされ、射出成形によって接続部3が形成されることになる。
【0033】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係るシールワッシャ用継手1によると、嵌合部2およびフランジ部4は金属製である。また、接続部3は樹脂製であって、射出成形によって嵌合部2と一体に形成されている。接続部3およびパイプを樹脂製にすることで、配管全体が金属製である場合と比べて、配管全体を軽量化することができる。また、接続部3が樹脂製なので、樹脂製のパイプ40を好適に接続することができる。また、フランジ部4は金属製なので、フランジ部4に樹脂のクリープは生じない。よって、シールワッシャ30を介してフランジ部4の一端側の側面を相手部品50に当接させた際に、シールワッシャ30のシール性を確保することができる。また、シールワッシャ30のゴム部材31の内周面が当接する嵌合部2が金属製であるので、嵌合部2が樹脂製である場合に比べて、シールワッシャ30のゴム部材31のシール性をより確保することができる。よって、軽量化を図りながら、シールワッシャ30のシール性を確保することができる。
【0034】
また、嵌合部2における接続部3との境界部分に、接着剤5が塗布されている。この接着剤5によって、嵌合部2と接続部3との気密性を確保することができる。よって、相手部品50の方から流れてくる流体が、嵌合部2と接続部3との隙間から漏れるのを抑制することができる。また、嵌合部2と接続部3とを接着することで、嵌合部2に対して接続部3が回転するのを抑制することができる。
【0035】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に、本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0036】
1,101,201 シールワッシャ用継手
2 嵌合部
3 接続部
4 フランジ部
5 接着剤
6 本体部
11 流路
21 頭部
22 ボルト穴
30 シールワッシャ
31 ゴム部材
32 リテーナ
40 パイプ
50 相手部品
60 袋ナット
61 ねじ部
62 フランジ部
70 フランジ部材
71 ボルト穴
72 凹部
図1
図2
図3
図4