(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123428
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】無人航空機を用いたゲームシステム
(51)【国際特許分類】
A63F 9/14 20060101AFI20240905BHJP
A63H 27/127 20060101ALI20240905BHJP
A63H 27/133 20060101ALI20240905BHJP
G09B 9/48 20060101ALI20240905BHJP
B64U 20/75 20230101ALI20240905BHJP
B64C 13/20 20060101ALI20240905BHJP
B64U 101/70 20230101ALN20240905BHJP
B64U 101/05 20230101ALN20240905BHJP
【FI】
A63F9/14 Z
A63H27/127 K
A63H27/133 Z
A63H27/127 D
G09B9/48
B64U20/75
B64C13/20 Z
B64U101:70
B64U101:05
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030831
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】596151157
【氏名又は名称】松島 如戒
(71)【出願人】
【識別番号】523000145
【氏名又は名称】株式会社TNC
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】八塚 昌明
(72)【発明者】
【氏名】花井 太郎
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150CA09
2C150CA25
2C150DA17
2C150DH06
2C150DK02
2C150EB01
2C150EB02
2C150EB17
2C150ED11
2C150EG03
2C150EG27
2C150FA04
(57)【要約】
【課題】ゲームを楽しみながら、無人航空機の基本的な操縦技術の正確性を向上させることができるゲームシステムを提供すること。
【解決手段】ゲームシステム1は、飛行可能な無人航空機としてのドローン3A~3Fと、ドローン3A~3Fを操縦可能な操縦手段としてのコントローラ4A~4Fと、所定位置に設置され、蝶番21,21の回動軸を中心として回動可能に設けられた的としてのパネル15と、を備え、飛行してきたドローン3A~3Fが所定速度(例えば、高速飛行)でパネル15に衝突することで、該パネル15が奥側に向けて回動するようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行可能な無人航空機と、
前記無人航空機を操縦可能な操縦手段と、
所定位置に設置され、回動軸を中心として回動可能に設けられた的と、
を備え、
飛行してきた前記無人航空機が所定速度で前記的に衝突することで、該的が奥側に向けて回動するようにしたことを特徴とする無人航空機を用いたゲームシステム。
【請求項2】
前記無人航空機の周囲は、球状のフレーム体により覆われていることを特徴とする請求項1に記載の無人航空機を用いたゲームシステム。
【請求項3】
前記無人航空機は後方に回動した前記的の上方を通過可能であることを特徴とする請求項1に記載の無人航空機を用いたゲームシステム。
【請求項4】
前記的の周囲には、前記無人航空機が通過可能な枠体が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の無人航空機を用いたゲームシステム。
【請求項5】
複数の前記的からなるターゲットを備えることを特徴とする請求項1に記載の無人航空機を用いたゲームシステム。
【請求項6】
前記ターゲットは、複数の操縦者各々に対応するように複数設けられていることを特徴とする請求項5に記載の無人航空機を用いたゲームシステム。
【請求項7】
複数の前記的を各々識別可能な識別情報を有し、
前記無人航空機により回動した複数の前記的の前記識別情報の組合せが特定組合せになったことに基づいて、当該ターゲットに対応する操縦者に特典が付与されることを特徴とする請求項6に記載の無人航空機を用いたゲームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人航空機を用いたゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドローンとも呼ばれる小型の無人航空機の普及が進んでいる。この種の無人航空機は、例えば、カメラを搭載して監視する監視業務や、荷物の配送業務など様々な分野での活用方法が提案されている。また、このような無人航空機の操縦技術の向上を目的の一つとして、複数の操縦者が無線航空機を操縦することにより、その技術を競うゲームシステム等も提案されている。
【0003】
この種の無人航空機を用いたゲームシステムとして、2人の操縦者が、自分の無人航空機を相手の無人航空機に衝突させて、相手の無人航空機を墜落させるといったものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、操縦者の操作により無人航空機を操縦し、自動操縦により追従してくる他の無人航空機を回避し、回避の達成度に応じて得点を獲得できるようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-10985号公報
【特許文献2】特開2022-104059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1、2に記載のゲームシステムは、ゲームを楽しみながら、無人航空機の操縦技術を向上させることができるゲームシステムとしての利用が考えられるが、相手の無人航空機の動きに合わせて臨機応変に操縦する高度な技術が求められるものであり、無人航空機を所望のルート通りに所定速度で飛行させるなど、基本的な操縦技術の正確性を向上させるゲームシステムとしては不向きであるという問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、ゲームを楽しみながら、無人航空機の基本的な操縦技術の正確性を向上させることができるゲームシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の無人航空機を用いたゲームシステムは、
飛行可能な無人航空機と、
前記無人航空機を操縦可能な操縦手段と、
所定位置に設置され、回動軸を中心として回動可能に設けられた的と、
を備え、
飛行してきた前記無人航空機が所定速度で前記的に衝突することで、該的が奥側に向けて回動するようにしたことを特徴としている。
この特徴によれば、操縦者は、無人航空機を目標となる位置に向けて所定速度で飛行させて衝突させなければ的を回動させることができないので、ゲームを楽しみながら、操縦技術の正確性を向上させることができる。
【0009】
前記無人航空機の周囲は、球状のフレーム体により覆われていることを特徴としている。
この特徴によれば、無人航空機が的に衝突したり落下した衝撃により損傷することを抑制できる。
【0010】
前記無人航空機は後方に回動した前記的の上方を通過可能であることを特徴としている。
この特徴によれば、的を回動させた後も無人航空機の飛行を続けることができる。
【0011】
前記的の周囲には、前記無人航空機が通過可能な枠体が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、枠体を通過させないと的を回動させることができないので、より正確な操縦技術の向上を図ることができる。
【0012】
複数の前記的からなるターゲットを備えることを特徴としている。
この特徴によれば、複数のうちいずれかの的を狙うことが可能となるので、ゲーム性を向上させることができる。
【0013】
前記ターゲットは、複数の操縦者各々に対応するように複数設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、複数の対戦者同士で的当てを競わせることができるので、ゲーム性が向上する。
【0014】
複数の前記的を各々識別可能な識別情報を有し、
前記無人航空機により回動した複数の前記的の前記識別情報の組合せが特定組合せになったことに基づいて、当該ターゲットに対応する操縦者に特典が付与されることを特徴としている。
この特徴によれば、回動させた的の数だけでなく、回動させた的の並びに応じて特典が付与されるので、ゲーム性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施例としてのゲームシステムの一例を示す斜視図である。
【
図2】ターゲットとドローンとコントローラとを示す図である。
【
図3】(a)はターゲットを示す正面図、(b)は側面図である。
【
図4】(a)はパネルが起立位置に位置している状態を示す断面図、(b)は倒伏位置に位置している状態を示す断面図である。
【
図5】ドローンが低速飛行でパネルに衝突したときの状態を説明する図である。
【
図6】(a)はドローンが高速飛行でパネルに衝突したときの状態、(b)はパネルが回動してドローンが領域を通過した状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る無人航空機を用いたゲームシステムを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0017】
実施例に係る無人航空機を用いたゲームシステムについて、
図1~
図6を参照して説明する。
【0018】
図1に示されるように、本発明の実施例としての無人航空機を用いたゲームシステム1(以下、ゲームシステムと略称する)は、内部空間に競技フィールドを構成するゲージ2と、競技フィールドを飛行可能な無人航空機としてのドローン3A~3Fと、各操縦者M1~M6が対応するドローン3A~3Fを操縦するための操縦手段としてのコントローラ4A~4Fと、競技フィールド内に設置されたターゲット5A,5Bと、を備えている。
【0019】
ゲージ2は、フレーム(図示略)及び網目状のネット等により、2m(B:左右幅寸法)×4m(L:奥行寸法)×2m(H:高さ寸法)の直方体状に形成されているが、操縦者が外方から内部の競技フィールドを目視確認できれば、ゲージの大きさや材質等は種々に変更可能であり、例えば、透明なアクリル樹脂板等から構成されていてもよい。
【0020】
図2に示されるように、ドローン3A~3Fは、機体や複数のプロペラなどからなる本体13aと、該本体13aを保護する球状のフレーム体13bと、から主に構成される。本体13aには、特に図示しないが、バッテリ、モータ、フライトコントローラ等が設けられている。ドローン3A~3Fは、各ドローンに個別に対応するコントローラ4A~4Fからフライトコントローラが受信した命令に応じて、各プロペラの駆動を制御することで飛行可能となる。
【0021】
フレーム体13bは、合成樹脂からなる複数の線状部材により、本体13aの全周囲を覆うように略球形の網目状に構成されており、特に詳細な図示はしないが、本体13aがフレーム体13bの中心部に位置するように支持していることで、本体13aがターゲット5A,5Bや地面等に直接接触することが防止されている。尚、本実施例のフレーム体13bの外径Rは約200mmとされている。また、フレーム体13bは弾性変形可能に構成されていることで、衝撃による本体13aの破損や大きな衝撃音の発生を抑制できる。
【0022】
尚、フレーム体13bの構造は上記のものに限定されるものでなく、外部の大気と連通し、落下や衝突による衝撃を受け止めることができるようになっていれば、大きさ、形状、材質等は種々に変更可能である。また、本体13a自体が衝撃を受け止めることができる構造であればフレーム体13bを省略してもよい。
【0023】
コントローラ4A~4Fは、個別に対応するドローン3A~3Fに対する指令を入力可能な入力手段4g(例えば、十字型またはスティック型のキー、各種ボタン、タッチパネル等)を有している。コントローラ4A~4Fの入力手段4gによる入力操作に基づいて無線信号として出力された指令に応じてドローン3A~3Fが行う動作としては、ドローン3A~3Fの位置を変更または維持するための基本的な動作(例えば、前進、後退、左右への移動、旋回、上昇、下降、所定位置におけるホバリング等)や、予め登録した所定動作等が含まれていればよい。
【0024】
次に、ターゲット5A,5Bについて、
図1、
図3及び
図4に基づいて説明する。
図1に示されるように、各ターゲット5A,5Bは、ゲージ2内における奥行方向の両端側の位置にて、正面同士を対向させるように設置されている。尚、ターゲット5A,5Bは同様に構成されているため、ターゲット5Aについてのみ説明し、ターゲット5Bの説明は省略する。また、以下においては、
図3(a)の手前側をターゲット5Aの正面側として説明する。
【0025】
図3(a)、(b)に示されるように、ターゲット5Aは、的を構成する複数枚(例えば、9枚など)のパネル15と、各パネル15を囲むように設けられる格子状の枠体16と、から主に構成されている。
【0026】
パネル15は、所定の板厚(例えば、約5mmなど)を有し、正方形状のアクリル樹脂板等により形成され、正面には各パネル15を識別可能とする識別情報としての数字(例えば、1~9)が表示されている。尚、パネル15は好ましくは透過性を有すれば良く、このようにすることで操縦者や観客がパネル15の裏側からフィールド内を視認することができる。
【0027】
尚、本実施例では、9枚のパネル15は正方形状のアクリル樹脂板にて構成されているが、パネル15の枚数、形状、材質は上記のものに限定されるものではなく種々に変更可能である。また、識別情報も数字に限らず、アルファベット、記号、図形、装飾、表示色等であってもよい。
【0028】
枠体16は、各パネル15を保持する上枠部16aと、床面上に載置され、上枠部16aを起立状態で支持する下枠部16bと、下枠部16bを押さえるウエイト17と、から主に構成され、上枠部16aと下枠部16bとを上下に分割した状態で運搬可能とされている。上枠部16a及び下枠部16bは、外径が約50mmの塩化ビニル樹脂材等からなる複数の円管状のパイプ部材16c同士を、I字、L字、T字、十字等の接続部材16dを用いて着脱可能に、または接着剤等を用いて接続することにより構成されている。
【0029】
尚、本実施例では、枠体16は、塩化ビニル樹脂材等からなる複数の円管状のパイプ部材16c及び接続部材16dから構成されているが、パイプ部材16cや接続部材16dの大きさ、形状、材質等は種々に変更可能であり、透明なアクリル樹脂材や金属材からなるパイプ管等にて構成されていてもよい。
【0030】
上枠部16aは、9枚のパネル15が縦方向に3枚、横方向に3枚ずつ配置されるように、接続部材16dを用いてパイプ部材16cを格子状に配置することで構成されている。パイプ部材16cにより囲まれた各領域Eは、上下辺の長さ寸法L1及び左右辺の長さ寸法L2が350mmとされており、外径200mmの球状のフレーム体13bを有するドローン3A~3Fが通過可能に構成されている。
【0031】
尚、本実施例では、各領域Eの一辺の長さ寸法は350mmとされているが、各領域Eの一辺の長さ寸法や形状は種々に変更可能であり、少なくともフレーム体13bの外径Rより長寸であれば上記350mmに限定されるものではない。また、各領域E及びパネル15は正方形状に限らず、長方形状、多角形状、円形状などでもよい。
【0032】
図3及び
図4に示されるように、上枠部16aにおける各領域Eの背面側には、領域Eを背面側から塞ぐようにパネル15が配置されている。各領域Eの下辺に対応するパイプ部材16cの左右側には、蝶番21,21の一片21aが固着されており、これら蝶番21,21の他片21bは、パネル15の下部に固着されている。また、各領域Eの上辺に対応するパイプ部材16cの左右側にはマグネット22,22が固着されており、パネル15の上部左右側に固着された鉄片23,23に吸着可能とされている。尚、パネル15側にマグネットが固着され、パイプ部材16c側に鉄片が固着されていてもよい。
【0033】
このように各パネル15は、各領域Eを背面側から塞ぐように起立する起立位置(
図4(a)参照)と、後方に倒伏して略水平となる倒伏位置(
図4(b)参照)と、の間で、各領域Eの下辺に沿う仮想の回動軸を中心として約90度の範囲で回動可能に設けられている。また、パネル15は、起立位置において、鉄片23,23がパイプ部材16cのマグネット22,22に吸着されることで、競技開始時には起立位置に保持されるようになっている。
【0034】
また、パネル15は、倒伏位置において図示しない規制部材等により略水平に維持されることで、倒伏位置より下方に回動して下方の領域E側に垂れ下がったり、下方のパネル15に接触して回動を妨げることが防止されている。よって、例えば、識別情報が「2」のパネル15が倒伏位置まで回動した場合、この領域Eを通過するドローン3A~3Fに接触して飛行を阻害したり、このパネル15の下方に配置された識別情報が「5」のパネル15に対応する領域Eを通過するドローン3A~3Fに接触して飛行を阻害したりすることがない(
図6(b)参照)。
【0035】
尚、パネル15はパイプ部材16cの背面側に配置されていたが、パイプ部材16cの厚み方向の範囲内に配置されていてもよいし、パイプ部材16cの前面側に配置されていてもよい。
【0036】
次に、このように構成されたターゲット5Aにおける複数のパネル15のうちいずれかのパネル15(例えば、上段中央の識別情報「2」のパネル15)にドローン3Aを衝突させてパネル15を回動させる際の動作例について、
図5及び
図6を用いて説明する。
【0037】
まず、
図2及び
図5に示されるように、パネル15が起立位置に位置している状態で、パネル15より前方に所定距離(例えば、約1~2m以上など)離れた所定位置から、ドローン3Aが識別情報「2」のパネル15に向けて低速(例えば、時速5km未満など)で直線的に飛行して衝突した場合、衝突による衝撃力よりもマグネット22,22の吸着力の方が強いので、パネル15は回動せずに起立位置に維持される。つまり、ドローン3Aの当たりが弱いとパネル15は回動しない。
【0038】
次に、
図2及び
図6(a)に示されるように、パネル15が起立位置に位置している状態で、パネル15より前方に所定距離(例えば、約1~2m以上など)離れた所定位置から、ドローン3Aが識別情報「2」のパネル15に高速(例えば、時速10km以上など)で直線的に飛行して衝突した場合、衝突による衝撃力の方がマグネット22,22の吸着力よりも強いので、パネル15はマグネット22,22から離脱して後方に向けて回動し始め、回動途中にパネル15の自重も加わって90度回動して倒伏位置にて維持される。このように、パネル15は起立位置または倒伏位置のいずれかで維持されるようになっている。また、パネル15を倒伏させた後、ドローン3Aは領域Eを通過してターゲット5Aの後方まで移動した後、ターゲット5Aとゲージ2との間を通過して上昇し、ターゲット5Aの前方に戻り、再び別のパネル15を狙うことが可能となる(
図6(b)参照)。
【0039】
このように、パネル15の上部の鉄片23,23がマグネット22,22により所定の力で吸着されていることで、ドローン3Aがパネル15に衝突したときの衝撃が弱い場合はパネル15は回動しない。つまり、ドローン3Aをパネル15に強く衝突させないと、パネル15を回動させて領域Eを通過させることができない。
【0040】
よって、所定の領域Eのパネル15を倒伏させるには、
図2に示されるように、ドローン3Aを、パネル15より前方に所定距離離れた所定位置から該パネル15までの所定ルートに沿って、所定速度(例えば、時速10km以上など)で、かつ、直線的に飛行させる操縦技術を要するため、ドローン3Aの基本的な操縦技術の正確性を向上させることができる。また、パネル15の周囲がパイプ部材16cにより囲まれていることで、パネル15の略中央位置を狙わないと、パイプ部材16cが邪魔してパネル15にドローン3Aを衝突させることができない。よって、ドローン3Aの飛行位置と飛行速度の正確性をより効果的に向上させることができる。
【0041】
このように、ターゲット5Aを用いた的当てを一人の操縦者がゲーム感覚で楽しむことができるが、例えば、複数のターゲット5A,5Bを用いて、複数の操縦者(例えば、操縦者M1~M3と操縦者M4~M6)からなるチーム同士で的当てを行い得点を競わせる的当てゲーム(競技)を行うことで、ゲームを楽しみながら、操縦技術の正確性を向上させることができる。
【0042】
具体的に説明すると、的当てゲームは、例えば、
図1に示されるように、1チーム3名の操縦者M1~M3と操縦者M4~M6とからなる2チーム対戦型の競技であり、2m(左右幅寸法)×4m(奥行寸法)×2m(高さ寸法)のゲージ2内を競技フィールドとする。操縦者M1~M3,M4~M6は、1名1機、1チームで3機の競技専用のドローン3A~3C,3D~3Fを操縦し競技に参加する。試合時間は、3分1セットの3セットマッチで、2セット先取したチームの勝利とする。ゲージ2内の奥行方向の両サイドに設置したターゲット5A,5Bの9枚のパネル15を撃ち抜くことで得点となり、パネル1枚につき1点加点され、さらにボーナス点として、横に連続した3枚(例えば、識別情報「1-2-3」など)、縦に連続した3枚(例えば、識別情報「2-5-8」など)、斜めに連続した3枚(例えば、識別情報「1-5-9」など)といった特定組合せのパネル15を撃ち抜くことで3点が加点される。競技時間内でより多く得点したチームがそのセットを獲得し、9枚のパネル15全部を撃ち抜いた時点で、競技時間終了前でも当該チームがセットを獲得する。
【0043】
このようなゲーム(競技)形式とすることで、より早く得点することを意識して操縦するようになるため、ゲームの楽しみが増大するだけでなく、操縦技術の正確性をより効果的に向上させることができるようになる。尚、上記ゲームはあくまで一例であり、競技者や各チームの人数や得点付与の条件など、ゲームのルールについては任意に変更可能である。
【0044】
以上説明したように、本発明の実施例としてのゲームシステム1にあっては、飛行可能な無人航空機としてのドローン3A~3Fと、ドローン3A~3Fを操縦可能な操縦手段としてのコントローラ4A~4Fと、所定位置に設置され、蝶番21,21の回動軸を中心として回動可能に設けられた的としてのパネル15と、を備え、飛行してきたドローン3A~3Fが所定速度(例えば、高速飛行)でパネル15に衝突することで、該パネル15が後方(奥側)に向けて回動するようにした。
【0045】
これによれば、操縦者M1~M6は、ドローン3A~3Fを目標となる位置に向けて高速で飛行させて衝突させなければパネル15を回動させることができないので、ゲームを楽しみながら、操縦技術の正確性を向上させることができる。
【0046】
また、ドローン3A~3Fの本体13aの周囲は球状のフレーム体13bにより覆われていることで、ドローン3A~3Fがパネル15に衝突したり落下した衝撃により損傷することを抑制できる。
【0047】
また、ドローン3A~3Fは、奥側に回動したパネル15の上方を通過可能であることで、パネル15を回動させた後も飛行を続けることができる。
【0048】
また、パネル15の周囲には、ドローン3A~3Fが通過可能な上枠部16a(パイプ部材16c)が設けられていることで、上枠部16aを通過させないとパネル15を回動させることができないので、より正確な操縦技術の向上を図ることができる。
【0049】
また、複数のパネル15からなるターゲット5A,5Bを備えることで、複数のうちいずれかのパネル15を狙うことが可能となるので、ゲーム性を向上させることができる。
【0050】
また、ターゲット5A,5Bは、複数の操縦者M1~M3,M4~M6各々に対応するように複数設けられていることで、複数の対戦者同士で的当てを競わせることができるので、ゲーム性が向上する。
【0051】
また、複数のパネル15を各々識別可能な識別情報としての数字「1」~「9」を有し、ドローン3A~3Fにより回動した複数のパネル15の数字の組合せが特定組合せ(例えば、「1-2-3」など)になったことに基づいて、当該ターゲット5A,5Bに対応する操縦者M1~M3,M4~M6(チーム)に得点が付与されることで、回動させたパネル15の数だけでなく、回動させたパネル15の並びに応じて得点が付与されるので、ゲーム性が向上する。尚、所定時間内にパネルを撃ち抜く得点で競うのではなく、複数のパネル15を全て撃ち抜くまでの時間を競うようにしてもよい。
【0052】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0053】
例えば、前記実施例では、ターゲット5A,5Bは、複数のパネル15を有する形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも1個のパネル15(的)を有していればよく、必ずしも複数の的を有していなくてもよい。
【0054】
また、前記実施例では、各パネル15は、各領域Eの下辺を中心として後方に回動可能に構成されている形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各領域Eの上辺、左右辺等を中心として後方に回動可能に構成されていてもよい。また、回動範囲も任意であり、91度以上または90度未満の範囲で回動するものでもよい。
【0055】
また、前記実施例では、各パネル15は、蝶番21を介して回動可能に設けられていたが、蝶番21以外の回動手段を用いて回動可能とされていてもよい。
【0056】
また、前記実施例では、各パネル15はマグネット22の吸着力により、所定大きさの衝撃力(外力)が付与されたときに起立位置から倒伏位置に回動しないように構成される形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、蝶番21などの回動手段に、回動抵抗を付与可能な回動抵抗付与手段を設けることで、所定大きさの衝撃力が付与されたときに回動するようにしてもよい。さらに、磁力の強さが異なるマグネット22に変更したり、回動抵抗付与手段による回動抵抗力を変更可能とすることで、パネル15を回動させるために必要な衝撃力を変更可能としてもよい。例えば、得点効率の高い中央の「5番」のパネル15のみ、その他のパネル15よりも磁力の強いマグネット22で吸着させるようにして、当該「5番」のパネル15を回動し難くしてもよい。
【0057】
また、前記実施例では、パネル15より前方に所定距離(例えば、約1~2m以上など)離れた所定位置から、ドローン3Aがパネル15に向けて低速(例えば、時速5km未満など)で直線的に飛行して衝突した場合はパネル15が倒伏せず、高速(例えば、時速10km以上など)で直線的に飛行して衝突した場合はパネル15が倒伏する形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、必ずしもパネル15より前方に所定距離(例えば、約1~2m以上など)離れた所定位置から所定速度で直線的に飛行させて衝突させる必要はなく、例えば、ドローン3Aが所定速度でパネル15に衝突することでパネル15が倒伏するようになっていれば、飛行開始位置からパネル15までの距離や飛行ルートなどは任意であり、上記したものに限定されるものではない。また、パネル15の倒伏に必要な所定速度は高速(例えば、時速10km以上など)に限定されるものではなく、例えば、操縦者の技術に応じて変更可能としてもよい。
【0058】
また、前記実施例では、各パネル15の4辺がパイプ部材16cにより囲まれている形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、1~3辺のうち少なくともいずれか一辺にパイプ部材16cが配置されていてもよく、例えば、上下や左右に隣り合うパネル15,15の間のパイプ部材16cを省略することで、隣り合う2枚のパネル15に衝突して倒伏可能としてもよい。
【0059】
また、前記実施例では、倒伏位置まで回動したパネル15は手動により起立位置まで回動させる形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、倒伏位置から起立位置まで駆動モータ等の駆動手段を用いて回動できるようにしてもよい。
【0060】
また、前記実施例では、ゲームシステム1は、屋内での運用時の安全性を考慮して専用のゲージ2を備える形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、必ずしもゲージ2を用いなくてもよい。