(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123432
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置実装構造体
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
H01L23/12 K
H01L23/12 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030838
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】390022471
【氏名又は名称】アオイ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高尾 勝大
(72)【発明者】
【氏名】黒羽 淳史
(72)【発明者】
【氏名】富家 正博
(57)【要約】
【課題】半導体装置の性能を向上させる。
【解決手段】半導体装置10の実装端子41Aは、辺10s1に沿って延びる端子辺40s1と、端子辺40s1の反対側に位置する端子辺40s2と、を含んでいる。端子辺40s1から辺10s1までの距離Ds1は、端子辺40s2から辺10s1までの距離Ds2よりも短い。端子辺40s1は、絶縁膜31から露出しており、端子辺40s2は、絶縁膜31に覆われている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップと、
前記半導体チップと電気的に接続されている第1実装端子を含む複数の実装端子と、
前記複数の実装端子が配置されている第1面と、
前記第1面上に配置され、前記第1実装端子の一部分を覆う第1絶縁膜と、
前記半導体チップを封止する封止体と、
を有し、
前記第1面の外縁は、第1方向に延びる第1辺を含み、
前記第1実装端子は、
前記第1辺に沿って延びる第1端子辺と、
前記第1端子辺の反対側に位置する第2端子辺と、
を含み、
前記第1端子辺から前記第1辺までの距離は、前記第2端子辺から前記第1辺までの距離よりも短く、
前記第1端子辺は、前記第1絶縁膜から露出しており、
前記第2端子辺は、前記第1絶縁膜に覆われている、半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1実装端子の厚さは、50μm以上である、半導体装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を備えている第1絶縁層と、
前記第2面に配置され、前記半導体チップおよび前記第1実装端子のそれぞれと電気的に接続されている第1導体パターンと、
を更に有し、
前記第1実装端子の厚さは、前記第1導体パターンの厚さよりも大きい、半導体装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記第1実装端子は、
前記第1端子辺および前記第2端子辺と交差する第3端子辺と、
前記第3端子辺の反対側に位置し、かつ、前記第1端子辺および前記第2端子辺と交差する第4端子辺と、
を含み、
前記第3端子辺および前記第4端子辺のそれぞれは、少なくとも半分以上が前記第1絶縁膜に覆われている、半導体装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記第3端子辺および前記第4端子辺のそれぞれは、前記第1端子辺との交点を含む全体が前記第1絶縁膜に覆われている、半導体装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記第1実装端子は、
第1金属から成る第1金属膜と、
前記第1金属膜のうち、少なくとも前記第1絶縁膜から露出している部分を覆う第2金属膜と、を有し、
錫を含む半田材に対する濡れ性は、前記第2金属膜の方が前記第1金属膜よりも高い、半導体装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を備えている第1絶縁層を更に有し、
前記第1金属膜は、前記第1面と対向する第3面と、前記第3面の反対側の第4面と、を有し、
前記第4面の周縁部は、曲面になっている、半導体装置。
【請求項8】
請求項6において、
前記第1実装端子の厚さは、50μm以上であり、
前記第1金属膜の厚さは、前記第2金属膜の厚さよりも厚い、半導体装置。
【請求項9】
請求項1において、
平面視において、前記第1実装端子と比較して、前記第1面の周縁からの距離が遠い位置に配置されている中央部実装端子をさらに有し、
前記中央部実装端子の外縁は、全体が前記第1絶縁膜に覆われている、半導体装置。
【請求項10】
請求項1において、
前記複数の実装端子は、前記第1辺に沿って配列されている複数の周辺部実装端子を含み、
前記複数の周辺部実装端子は、前記第1実装端子を含み、
前記複数の周辺部実装端子のそれぞれは、前記第1端子辺と、前記第2端子辺と、を有している、半導体装置。
【請求項11】
請求項10において、
前記複数の周辺部実装端子のそれぞれの厚さは、50μm以上である、半導体装置。
【請求項12】
請求項10において、
前記第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する第1絶縁層と、
前記第2面に配置され、前記半導体チップおよび前記第1実装端子のそれぞれと電気的に接続されている第1導体パターンと、
を更に有し、
前記複数の周辺部実装端子のそれぞれの厚さは、前記第1導体パターンの厚さよりも大きい、半導体装置。
【請求項13】
請求項10において、
平面視において、前記複数の周辺部実装端子のそれぞれと比較して、前記第1面の周縁からの距離が遠い位置に配置されている中央部実装端子をさらに有し、
前記中央部実装端子の外縁は、全体が前記第1絶縁膜に覆われている、半導体装置。
【請求項14】
請求項13において、
前記中央部実装端子は、前記複数の周辺部実装端子のいずれかと電気的に接続されている、半導体装置。
【請求項15】
第1基板端子が配置されている機器搭載面を有する実装基板と、
前記機器搭載面上に搭載されている半導体装置と、
前記半導体装置と前記実装基板とを電気的に接続する半田部材と、
を有し、
前記半導体装置は、
第1半導体チップと、
前記第1半導体チップと電気的に接続されている第1実装端子を含む複数の実装端子と、
前記複数の実装端子が配置されている第1面と、
前記第1面上に配置され、前記第1実装端子の一部分を覆う第1絶縁膜と、
前記第1半導体チップを封止する封止体と、
を有し、
前記第1面の外縁は、第1方向に延びる第1辺を含み、
前記第1実装端子は、
前記第1辺に沿って延びる第1端子辺と、
前記第1端子辺の反対側に位置する第2端子辺と、
を含み、
前記第1端子辺から前記第1辺までの距離は、前記第2端子辺から前記第1辺までの距離よりも短く、
前記第1端子辺は、前記第1絶縁膜から露出しており、
前記第2端子辺は、前記第1絶縁膜に覆われており、
前記半田部材は、前記第1実装端子および前記第1基板端子のそれぞれに接続され、
前記実装基板の前記機器搭載面を視た平面視において、前記半田部材の一部分は、前記半導体装置の外側に視認可能な状態で配置されている、半導体装置実装構造体。
【請求項16】
請求項15において、
前記機器搭載面の法線方向において、前記半田部材と前記第1基板端子との接触界面を基準面として、前記半田部材の高さの最大値は、70μm以上であり、
前記半田部材の視認可能な面は、前記機器搭載面に対して90度未満の角度で傾斜している、半導体装置実装構造体。
【請求項17】
請求項15において、
前記第1実装端子の厚さは、前記第1基板端子の厚さよりも厚く、
前記半田部材の視認可能な面は、前記機器搭載面に対して90度未満の角度で傾斜している、半導体装置実装構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および半導体装置実装構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
配線基板の一方の面に半導体チップが搭載され、配線基板の他方の面に外部接続端子が配置された半導体装置がある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、セラミックス基板の表面に形成された厚膜導体層と、厚膜導体層の露出面を覆うメッキ層と、を有する素子搭載用基板がある(特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-60446号公報
【特許文献2】特開2012-15142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体装置と実装基板とを電気的に接続する方法として、半導体装置の実装端子と実装基板の基板端子とを半田材を介して接続する方法がある。半導体装置と実装基板との電気的な接続状態を外観検査により確認する方法として、実装端子と基板端子とを電気的に接続している半田材の形状を検査する方法が有効である。半導体装置の下面側に実装端子が配置された構造の半導体装置の場合、半田材が半導体装置と実装基板との間に挟まっていると、半田材の形状を簡単に確認することが難しい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態に係る半導体装置は、半導体チップと、前記半導体チップと電気的に接続されている第1実装端子を含む複数の実装端子と、前記複数の実装端子が配置されている第1面と、前記第1面上に配置され、前記第1実装端子の一部分を覆う第1絶縁膜と、前記半導体チップを封止する封止体と、を有している。前記第1面の外縁は、第1方向に延びる第1辺を含んでいる。前記第1実装端子は、前記第1辺に沿って延びる第1端子辺と、前記第1端子辺の反対側に位置する第2端子辺と、を含んでいる。前記第1端子辺から前記第1辺までの距離は、前記第2端子辺から前記第1辺までの距離よりも短い。前記第1端子辺は、前記第1絶縁膜から露出している。前記第2端子辺は、前記第1絶縁膜に覆われている。
【0007】
他の実施の形態に係る半導体装置実装構造体は、第1基板端子が配置されている機器搭載面を有する実装基板と、前記機器搭載面上に搭載されている半導体装置と、前記半導体装置と前記実装基板とを電気的に接続する半田部材と、を有している。前記半導体装置は、半導体チップと、前記半導体チップと電気的に接続されている第1実装端子を含む複数の実装端子と、前記複数の実装端子が配置されている第1面と、前記第1面上に配置され、前記第1実装端子の一部分を覆う第1絶縁膜と、前記半導体チップを封止する封止体と、を有している。前記第1面の外縁は、第1方向に延びる第1辺を含んでいる。前記第1実装端子は、前記第1辺に沿って延びる第1端子辺と、前記第1端子辺の反対側に位置する第2端子辺と、を含んでいる。前記第1端子辺から前記第1辺までの距離は、前記第2端子辺から前記第1辺までの距離よりも短い。前記第1端子辺は、前記第1絶縁膜から露出している。前記第2端子辺は、前記第1絶縁膜に覆われている。前記半田部材は、前記第1実装端子および前記第1基板端子のそれぞれに接続されている。前記実装基板の前記機器搭載面を視た平面視において、前記半田部材の一部分は、前記半導体装置の外側に視認可能な状態で配置されている。
【発明の効果】
【0008】
上記一実施の形態によれば、半導体装置を実装基板に実装する際の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図4】
図1に示す半導体装置を実装基板に実装した状態を示す上面図である。
【
図5】
図4に示す実装基板構造体の外観検査において、半田部材の形状を検査する工程を模式的に示す断面図である。
【
図7】
図2に示す複数の実装端子のうちの一つの周辺を拡大して示す拡大平面図である。
【
図8】
図7に対する変形例である半導体装置を示す拡大平面図である。
【
図9】
図7に対する他の変形例である半導体装置を示す拡大平面図である。
【
図10】
図6に対する変形例である半導体装置実装構造体を示す拡大断面図である。
【
図11】半導体装置実装構造体の製造方法の一例を示すフロー図である。
【
図12】
図11に示す第1パターン形成工程を示す断面図である。
【
図14】
図11に示す第2パターン形成工程を示す断面図である。
【
図15】
図11に示す半導体チップ搭載工程を示す断面図である。
【
図20】
図11に示す半導体装置搭載工程を示す断面図である。
【
図22】
図3に対する変形例である半導体装置の断面図である。
【
図23】
図3に対する他の変形例である半導体装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本願における記載形式・基本的用語・用法の説明)
本願において、実施の態様の記載は、必要に応じて、便宜上複数のセクション等に分けて記載するが、特にそうでない旨明示した場合を除き、これらは相互に独立別個のものではなく、記載の前後を問わず、単一の例の各部分、一方が他方の一部詳細または一部または全部の変形例等である。また、原則として、同様の部分は繰り返しの説明を省略する。また、実施の態様における各構成要素は、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、必須のものではない。
【0011】
実施の形態の各図中において、同一または同様の部分は同一または類似の記号または参照番号で示し、説明は原則として繰り返さない。
【0012】
以下の説明において、半導体装置とは、半導体チップを内蔵する電子部品のことを意味する。半導体装置は、外部機器と電気的に接続するための外部端子と、半導体チップと、半導体チップを封止する封止体と、を有している。外部端子は半導体チップと電気的に接続される。
【0013】
半導体装置の主面とは、半導体装置の主要な面である。半導体装置の上面および下面は、半導体装置の主面に含まれる。半導体装置の主面のうち、半導体装置の外部端子(実装端子)が配置されている面のことを実装面と呼ぶ場合がある。半導体装置の主面のことを単に面と呼ぶ場合がある。
【0014】
実装基板とは、半導体装置を含む、電子部品を搭載するための基板である。実装基板のことをマザーボードと呼ぶ場合がある。
【0015】
実装基板の主面とは、実装基板の主要な面である。実装基板の上面および下面は、実装基板の主面に含まれる。実装基板の主面のうち、実装基板に搭載される電子部品と実装基板とを電気的に接続するための端子(基板端子)が配置されている面のことを、機器搭載面と呼ぶ場合がある。実装基板の主面の事を単に面と呼ぶ場合がある。
【0016】
半導体装置実装構造体とは、半導体装置と、半導体装置が搭載された実装基板とを含む構造体のことを意味する。
【0017】
また、以下の説明では、X方向、Y方向、およびZ方向という方向を用いる場合がある。例えば後述する
図1には、X方向およびY方向が示されている。X方向およびY方向は、互いに交差している。以下で説明する例においては、X方向はY方向に直交する。以下では、X方向およびY方向を含むX-Y平面を半導体装置の主面および実装基板の主面に対して平行な面として説明する。
【0018】
また、X-Y平面に対して交差する面(例えば、X方向およびZ方向を含むX-Z平面に平行な面、およびY方向およびZ方向を含むY-Z平面に平行な面)を側面と呼ぶ。以下の説明において、特に異なる意味で解釈すべきことを明示した場合を除き、「平面視」とは、X-Y平面に平行な面を視た場合を意味する。また、X-Y平面に対する法線方向のことを「Z方向」または厚さ方向として説明する。「厚さ」および「高さ」とは、特に別の意味で解釈すべきことを明示した場合を除き、「Z方向」の長さを意味する。X方向、Y方向およびZ方向は、互いに交差する方向であり、より特定的には互いに直交する方向である。
【0019】
<半導体装置>
図1は、本実施の形態の半導体装置の上面図である。
図2は、
図1に示す半導体装置の下面図である。
図3は、
図2のA-A線に沿った断面図である。
【0020】
図3に示すように、半導体装置10は、半導体チップ20と、複数の実装端子40と、面(主面)30bと、絶縁膜31と、封止体50と、を有している。複数の実装端子40は、面30b上に配置されている。絶縁膜31は、面30b上に配置され、複数の実装端子40のそれぞれの少なくとも一部分を覆っている。半導体チップ20は、封止体50に封止されている。半導体装置10の種類は限定されないが、例えば、半導体装置は、インバータ等の電力変換回路に組み込まれるスイッチング素子として利用されるパワー半導体装置に適用することができる。この場合、半導体チップ20は、パワー半導体チップである。
【0021】
図1および
図2に示すように、半導体装置10は、平面視において、Y方向に延びる辺10s1、辺10s1の反対側の辺10s2、辺10s1および辺10s2と交差する辺10s3、および辺10s3の反対側に位置し、辺10s1および辺10s2と交差する辺10s4を有している。
図1に示すように、半導体装置10を封止体50の面50t側から視た平面視において、複数の実装端子40(
図2参照)のそれぞれは、視認できない。
【0022】
図3に示す半導体チップ20は、面20tおよび面20tの反対側の面20bを有している。半導体層と半導体層上に形成された配線層とを備えている。半導体層の主面には、例えばトランジスタなどの素子が形成されている。例えば、トランジスタが形成されている場合、トランジスタのゲート、ソース、およびドレインのそれぞれは、配線層を介して面20tに配置された電極21に接続されている。電極21は、ゲートに接続されているゲート電極、ソースに接続されているソース電極、およびドレインに接続されているドレイン電極を含む。
【0023】
図3では、半導体チップ20の面20t上に配置された電極21を示している。電極21は、面20tから突出するバンプ電極である。電極21を構成する金属として例えば半田を例示することができる。
【0024】
図3に示す例では、半導体装置10は、複数の半導体チップ20(半導体チップ20Aと半導体チップ20B)を有している。ただし、半導体装置10が備えている半導体チップ20の数は2個には限定されず、例えば1個の場合もあるし、3個以上の場合もある。
【0025】
また、
図3に示すように、本実施の形態の半導体装置10は、配線基板30を有している。配線基板30は、面(主面)30tおよび面30tの反対側の面30bを有している。面30bには上記したように複数の実装端子40および絶縁膜31が形成されている。面30tには、半導体チップ20Aに接続されている導体パターン32Aを含む、複数の導体パターン32が形成されている。
【0026】
配線基板30は、絶縁層34を有している。絶縁層34は、面(主面)30tおよび面30bを備えている。絶縁層34は、例えばエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を主成分とする。絶縁層34は、樹脂成分の他、シリカなどの絶縁性のフィラ粒子を含んでいる場合がある。あるいは、変形例として後述するように、絶縁層34は、ガラス繊維を含むプリプレグ材である場合がある。
【0027】
絶縁層34の面30tに形成された導体パターン32と面30bに形成された実装端子40とは、ビア配線33を介して接続されている。ビア配線33は、絶縁層34の面30tおよび面30bの一方から他方までを貫通している貫通孔に配置された導体である。ビア配線33は、複数の導体パターン32が形成されている配線層と、複数の実装端子40が形成されていう配線層とを電気的に接続するための層間導電路である。
【0028】
複数の導体パターン32およびビア配線33を構成する金属材料として、例えば銅または銅合金を例示できる。銅は、例えば半田に含まれる錫等の金属材料と比較して電気伝導度が高いため、複数の導体パターン32およびビア配線33が銅を主成分とする金属膜から成る場合、電流が流れる経路のインピーダンスを低減させることができる。
【0029】
また、
図2に示すように、面30bは、平面視において、上記した辺10s1、辺10s2、辺10s3、および辺10s4を有している。面30b上に配置された複数の実装端子40は、辺10s1に沿って配列されている複数の周辺部実装端子41を含んでいる。また、
図2に示す例では、複数の実装端子40は、辺10s2に沿って配列されている複数の周辺部実装端子42を有している。さらに、
図2に示す例では、複数の実装端子40は、平面視において、複数の周辺部実装端子41のそれぞれと比較して、面30bの周縁からの距離が遠い位置に配置されている中央部実装端子43を有している。中央部実装端子43は、周辺部実装端子41と周辺部実装端子42との間に配置されている。
【0030】
複数の実装端子40を構成する金属材料として、例えば導体パターン32やビア配線33と同様に、銅または銅合金を例示することができる。なお、後述するように、実装端子40は、半田材を介して実装基板に接続されるので、半田材の濡れ性を向上させる観点から、銅または銅合金から成る金属膜の表面に半田材に対する濡れ性を向上させる金属材料から成る金属膜が積層されていることが好ましい。
【0031】
封止体50は、面30t上に搭載されている半導体チップを封止する絶縁材料から成る。封止体50を構成する絶縁材料として、例えば上記した絶縁層34と同様に、例えばエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を主成分とする。封止体50は、樹脂成分の他、シリカなどの絶縁性のフィラ粒子を含んでいる場合がある。
【0032】
<半導体装置実装構造体>
次に、
図1~
図3に示す半導体装置が実装基板に実装された半導体装置実装構造体について説明する。
図4は、
図1に示す半導体装置を実装基板に実装した状態を示す上面図である。
図5は、
図4に示す実装基板構造体の外観検査において、半田部材の形状を検査する工程を模式的に示す断面図である。
図6は、
図4のB-B線に沿った拡大断面図である。
図5では、外観検査装置70の照明部71から照射される照明光73の輪郭を点線で示し、半田部材により反射された反射光74を二点鎖線で示している。
【0033】
図4~
図6に示すように、半導体装置実装構造体100は、実装基板60と、半導体装置10と、半田部材62と、を有している。実装基板60は、面60tと、面60tの反対の面60b(
図5参照)と、を有している。面60tには、複数の基板端子61が配置されている。面60tは、半導体装置10などの電子部品を搭載するための機器搭載面と言い換えることができる。半導体装置10は、面60t上に搭載されている。
【0034】
半田部材62は、電子部品の電気的な接続を実現するために用いられる接合部材であって、主成分として錫を含む金属から成る。本実施の形態の場合、半田部材62は、例えば、鉛フリー半田である。鉛フリー半田に含まれる鉛の含有率は、RoHS(Restriction of Hazardous Substances)指令で規定されている。鉛フリー半田としては、例えば錫、錫銀系合金、錫銀銅系合金、錫ビスマス系合金、錫亜鉛ビスマス系合金等を例示することができる。
【0035】
半田部材62は、実装端子40(
図5参照)や基板端子61を構成する金属(例えば銅)と比較して融点が低い。このため、半田部材62を加熱溶融させた後で冷却する、所謂リフロー処理を施す事により、
図6に示すように実装端子40および基板端子61のそれぞれと、半田部材62とを接合させることができる。実装端子40と基板端子61のそれぞれは、半田部材62を介して電気的に接続される。
【0036】
図6に示すように半田部材62を介して実装端子40と基板端子61とを電気的に接続する場合、
図4に示す複数の半田部材62に対して一括してリフロー処理を施すことができる。ただし、加熱温度のムラ等に起因して複数の半田部材62の一部に接合不良が生じている場合、半導体装置10が正しく動作しない原因になる。このため、リフロー処理を実施した後には、半田部材62の接合状態を検査することが好ましい。検査の方法としては、導通や電気抵抗を検査する電気的試験と、半田部材62の形状等を検査する外観検査とがあるが、これらを併用することが特に好ましく、少なくとも外観検査を実施することが好ましい。
【0037】
ここで、外観検査を実施する場合、例えば
図5に示す外観検査装置70を用いて検査を行う。外観検査装置70は、照明光73を照射する照明部71と、半田部材62で反射された反射光74を検出する光センサ部72と、を有している。外観検査工程において、外観検査装置70は、実装基板60の面60tの上方に配置され、面60t上に配置された基板端子61の周辺領域に向かって照明光73を照射する。照明光73の一部は、基板端子61上に形成された半田部材62により反射され、反射光74が光センサ部72に入射し、光センサ部72により検出される。
【0038】
半田部材62が、実装端子40および基板端子61のそれぞれに正しく接合されている場合、複数の半田部材62の形状は、ほぼ同様な形状になる。一方、加熱温度の不足等により、半田部材62が十分に溶融しなかったような場合には、半田部材62の形状が特異な形状、例えば半田部材62の傾斜が不十分な形状になるため、光センサ部72により検出される光の量が異常値となる。外観検査装置70の場合、光センサ部72が検出する光の量を予め設定された閾値と比較することで、半田部材62の接合状態を判定することができる。
【0039】
なお、上記した外観検査装置70を用いる検査に変えて、目視で外観検査する場合がある。この場合、半田部材62の形状を目視することにより、半田部材62の接合状態の異常を検出する必要がある。
【0040】
このように外観検査工程では、実装基板60の面60tの上方から半田部材62の形状を識別する必要がある。このため、
図4に示すように、実装基板60の面60tを視た平面視において、半田部材62の一部分は、半導体装置10の外側に視認可能な状態で配置されている。
【0041】
本実施の形態の半導体装置10は、半導体装置10の外側に半田部材62が異常な形状を検出することが可能な程度に露出させるための構造を備えている。
【0042】
<実装端子の周辺構造>
図7は、
図2に示す複数の実装端子のうちの一つの周辺を拡大して示す拡大平面図である。
図7において、実装端子40のうち、絶縁膜31におおわれた部分の輪郭を点線で示している。
図7に示す実装端子41Aは、
図2に示す複数の実装端子40のうち、
図3に示すように半導体チップ20Aに電気的に接続されている実装端子41Aである。
【0043】
図7に示すように、面30bの外縁は、Y方向に延びる辺10s1を含んでいる。実装端子41Aは、辺10s1に沿って延びる端子辺40s1と、端子辺40s1の反対側に位置する端子辺40s2と、を含んでいる。端子辺40s1から辺10s1までの距離Ds1は、端子辺40s2から辺10s1までの距離Ds2よりも短い。端子辺40s1は、絶縁膜31から露出しており、端子辺40s2は、絶縁膜31に覆われている。
【0044】
言い換えれば、実装端子41Aは、4つの辺のうち、面30bの外縁から最も遠い端子辺40s2が絶縁膜31に覆われ、面30bの外縁に最も近い端子辺40s1は、絶縁膜31から露出している。実装端子41Aに接合される半田部材62(
図6参照)は、絶縁膜31の形状により、濡れ広がる方向が規制される。
【0045】
すなわち、実装端子41Aの4辺のうち、絶縁膜31に覆われている端子辺40s2の方向には半田部材62(
図6参照)は広がり難く、絶縁膜31から露出している端子辺40s1の方向には半田部材62が広がり易い。このため、半田部材62は、辺10s1のさらに外側に向かって広がり易い。この結果、
図4に示すように平面視において視認可能な半田部材62の量を増やすことができる。
【0046】
なお、
図6に示すように、絶縁膜31に覆われている部分に半田部材62が広がり難いという傾向は、絶縁膜31が所謂ソルダレジストと呼ばれる有機絶縁膜である場合に特に顕著である。また、絶縁膜31が、例えば酸化珪素や窒化珪素などの無機絶縁膜から成る場合でも同様の傾向が確認できる。
【0047】
本実施の形態の場合、
図7に示す端子辺40s2が絶縁膜31に覆われ、かつ、端子辺40s1が絶縁膜31から露出していることにより、
図6に示す半田部材62の広がる方向を制御して、平面視において視認し易い半田部材62を形成している。
【0048】
ところで、
図7に示す例の場合、端子辺40s3の一部分および端子辺40s4の一部分は、それぞれ絶縁膜31から露出している。この場合、端子辺40s1に加え、端子辺40s3および端子辺40s4のうち絶縁膜31から露出している部分は、
図6に示す半田部材62により覆われる。言い換えれば、実装端子41Aが有する4つの側面(
図7の端子辺40s1を含む側面、端子辺40s2を含む側面、端子辺40s3を含む側面、および端子辺40s4を含む側面)のうち、3つの側面が半田部材62に覆われる。この場合、変形例として後述するように、4つの側面のうち、端子辺40s1を含む側面のみが半田部材に覆われる場合と比較して、半田部材62と実装端子41Aとの接合強度を向上させることができる。
【0049】
また、
図5を用いて説明した外観検査を行う場合、
図6に示す半田部材62の視認可能な面62Fは、機器搭載面である面60tに対して90度未満の角度で傾斜していることが好ましい。
図6に示す面62Fの形状は、半田フィレット形状と呼ばれ、半田部材62と実装端子41Aとの接合面のうち、最も高い位置にある場所から半田部材62と基板端子61との接合面に向かって凹型のカーブを描く曲線を成している。
【0050】
外観検査において、半田部材62の状態を識別し易くする観点からは、面62Fが良好な半田フィレット形状になっていることが好ましい。このためには、半田部材62の高さは高い方が好ましい。
図6に示す例では、面60tの法線方向であるZ方向において、半田部材62と基板端子61との接触界面を基準面として、半田部材62の高さの最大値(
図6に示す高さH62)は、70μm以上である。
【0051】
また、半田部材62の高さを70μm以上とするためには、実装端子41Aの厚さは、厚い方が好ましい。例えば、
図6に示す例では、実装端子41Aの厚さT40は、50μm以上である。このように、実装端子41Aの厚さT40は、半田部材62の高さH62を大きくして外観検査における半田部材62の識別性を高める観点から厚い方が好ましい。
【0052】
一方、
図6に示す基板端子61や、導体パターン32Aの厚さT32は、半田部材62の形状には影響しないので、厚さT40ほど厚くする必要がない。導体パターン32Aは、
図3に示す絶縁層34の面30t上に形成されている複数の導体パターン32のうち、
図6に示す半導体チップ20Aおよび実装端子41Aのそれぞれに電気的に接続されている導体パターンである。
図6に示す例では、実装端子41Aの厚さT40は、導体パターン32Aの厚さT32よりも大きい。また、
図6に示す例では、実装端子41Aの厚さT40は、基板端子61の厚さT61よりも大きい。
【0053】
なお、
図3に示す例の場合、複数の導体パターン32の厚さT32(
図6参照)は、それぞれ同じであり、例えば10μm~30μm程度である。同様に、
図5に示す複数の基板端子61の厚さT61(
図6参照)は、それぞれ同じであり、例えば10μm~30μm程度である。
図6に示す例では、実装端子41Aの厚さT40は、導体パターン32Aの厚さT32の2倍以上である。また、実装端子41Aの厚さT40は、基板端子61の厚さT61の2倍以上である。
【0054】
また、
図6に示すように、半田部材62が実装端子41Aの側面にしっかりと濡れ広がるようにするためには、実装端子41Aのうち、絶縁膜31から露出している部分、言い換えれば、半田部材62との接触面は、半田部材62に対する濡れ性が良好な金属から成ることが好ましい。また、実装端子41Aは、電流経路を構成するので、インピーダンスを低減できる電気伝導度が高い金属材料から成ることが好ましい。
【0055】
そこで、本実施の形態の実装端子41Aは、複数の金属膜の積層構造から成る。すなわち、実装端子41Aは、第1金属から成る金属膜40Aと、金属膜40Aのうち、少なくとも絶縁膜31から露出している部分を覆う金属膜40Bと、を有している。錫を含む半田材に対する濡れ性は、金属膜40Bの方が金属膜40Aよりも高い。
【0056】
金属膜40Aを構成する第1金属は、例えば銅または銅合金である。なお、金属膜40Aとして、金や銀など、電気伝導度が高い材料を用いることもできるが、この場合、実装端子41Aの厚さを厚くすることに伴って原料コストが上昇する。銅または銅合金は、原料コストと、電気伝導度の高さを考慮すると、好適な材料である。
【0057】
一方、金属膜40Bを構成する材料としては、例えば錫、錫銀系合金、錫銀銅系合金、錫ビスマス系合金、錫亜鉛ビスマス系合金等を例示することができる。あるいは、金属膜40Bとして、ニッケル膜、パラジウム膜および金膜を順に積層した積層膜を用いる場合もある。また、
図6に示すように、金属膜40Aの厚さは、金属膜40Bの厚さよりも厚い。上記したように、金属膜40Bは、半田部材62との濡れ性を向上させるための部分なので、その厚さは薄くてもよい。金属膜40Aは、実装端子41Aの電気的な特性や原料コストを決定する部分である。したがって、相対的に厚い金属膜40Aの表面に薄い金属膜40Bが形成されていることにより、実装端子41Aの低インピーダンス化と、半田部材62に対する高い濡れ性とを両立できる。特に、本実施の形態のように、実装端子41Aの厚さT40が50μm以上である場合には、金属膜40Aを構成する金属として銅または銅合金を用いることにより、実装端子41Aの原料コストの上昇も抑制できる。
【0058】
図2に示すように、半導体装置10が有する複数の実装端子40は、辺10s1に沿って配列されている複数の周辺部実装端子41を含んでいる。複数の周辺部実装端子41は、
図6および
図7を用いて説明した実装端子41Aを含んでいる。また、複数の実装端子40は、辺10s2に沿って配列されている複数の周辺部実装端子42を含んでいる。
図6および
図7では、代表例として、実装端子41Aの構造について説明したが、
図2に示す複数の周辺部実装端子41および複数の周辺部実装端子42のそれぞれは、
図6および
図7に示す実装端子41Aと同様の構造を有している。
【0059】
例えば、
図2に示す複数の周辺部実装端子41のそれぞれは、
図7に示す端子辺40s1と、端子辺40s2と、を有している。すなわち、
図2に示す複数の周辺部実装端子41のそれぞれは、
図6および
図7を用いて説明した実装端子41Aと同様に、絶縁膜31に覆われている端子辺40s2と、絶縁膜31から露出している端子辺40s1と、を有している。このように、複数の周辺部実装端子41のそれぞれが
図6および
図7を用いて説明した実装端子41Aと同様の構造を備えていることにより、上記した外観検査において、複数の周辺部実装端子41に接続されている複数の半田部材62(
図4参照)のそれぞれの形状を識別することができる。これにより、複数の半田部材62のうちの一部に接合状態の異常があった場合、これを検出することができる。
【0060】
また、
図2に示す複数の周辺部実装端子42の場合、
図7を用いた説明において、辺10s1を
図2に示す辺10s2に読み替えて適用することができる。この場合、複数の周辺部実装端子42のそれぞれが
図6および
図7を用いて説明した実装端子41Aと同様の構造を備えていることにより、上記した外観検査において、複数の周辺部実装端子42に接続されている複数の半田部材62(
図4参照)のそれぞれの形状を識別することができる。これにより、複数の半田部材62のうちの一部に接合状態の異常があった場合、これを検出することができる。
【0061】
また例えば、
図6を用いて説明した実装端子41Aと同様に、
図2に示す複数の周辺部実装端子41の厚さT40(
図6参照)は、50μm以上であることが好ましい。同様に、
図2に示す複数の周辺部実装端子42の厚さT40(
図6参照)は、50μm以上であることが好ましい。
【0062】
また例えば、
図6を用いて説明した実装端子41Aと同様に、
図2に示す複数の周辺部実装端子41の厚さT40(
図6参照)は、導体パターン32Aの厚さよりも大きい。同様に、
図2に示す複数の周辺部実装端子42の厚さT40(
図6参照)は、導体パターン32Aの厚さよりも大きい。
【0063】
また、
図2に示す例では、半導体装置10は、平面視において、複数の周辺部実装端子41のそれぞれ(
図7に示す実装端子41Aを含む)と比較して、面30bの周縁からの距離が遠い位置に配置されている中央部実装端子43をさらに有している。中央部実装端子43の外縁は、全体が絶縁膜31に覆われている。
【0064】
中央部実装端子43は、
図4に示すように、半導体装置10を実装基板60上に実装した後には面60t側からの平面視において視認できない。このため、仮に、中央部実装端子43と実装基板60とを半田部材を介して電気的に接続する場合に、半田部材の接合状態に以上があったとしても外観検査で検出することはできない。
【0065】
このため、
図2に示すように、中央部実装端子43の外縁は、全体が絶縁膜31に覆われている。このように、中央部実装端子43の外縁の全体が絶縁膜31に覆われている場合、
図3に示す中央部実装端子43と絶縁層34との接触界面からの水分等の侵入を抑制できる。
【0066】
また、
図5に示す例では、中央部実装端子43と実装基板60との間には、半田部材62が配置されていない。この場合、中央部実装端子43は電気的な端子としては機能しないが、
図3に示す半導体装置10の封止体50内で発生した熱を外部に放熱するための放熱板として機能させることができる。
【0067】
あるいは、
図2において二点鎖線で模式的に示すように、中央部実装端子43は、複数の周辺部実装端子41のいずれかと電気的に接続されていることが好ましい。
図2に示す例では、中央部実装端子43と、複数の周辺部実装端子41のいずれか一つとは、導体パターン32を介して電気的に接続されている。
【0068】
中央部実装端子43と実装基板60(
図6参照)とが電気的に接続されている場合であって、中央部実装端子43と実装基板60とを電気的に接続する半田部材の接合状態に異常があったと仮定する。この仮定において、中央部実装端子43が、複数の周辺部実装端子41のいずれかと電気的に接続されていれば、周辺部実装端子41と基板端子61(
図4参照)とを電気的に接続する半田部材62(
図4参照)の外観検査により、中央部実装端子43と実装基板60との電気的な接続信頼性を確保することができる。
【0069】
なお、中央部実装端子43の中央とは、周辺部から距離が離れた位置を指すものであり、中央部実装端子43は必ずしも半導体装置10の平面視における中央付近に位置する必要はない。また、中央部実装端子43は、複数設けることもできる。
【0070】
<実装端子周辺構造の変形例>
次に、実装端子40の構造または実装端子の変形例について説明する。
図8は、
図7に対する変形例である半導体装置を示す拡大平面図である。
図8に示す半導体装置10Aは、以下の点で
図7に示す半導体装置10と相違する。
図8に示すように、実装端子41Aは、端子辺40s1および端子辺40s2と交差する端子辺40s3と、端子辺40s3の反対側に位置し、かつ、端子辺40s1および端子辺40s2と交差する端子辺40s4と、を含んでいる。この点は、
図7に示す半導体装置10も同様である。半導体装置10Aの場合、端子辺40s3および端子辺40s4のそれぞれは、少なくとも半分以上が絶縁膜31に覆われている。
【0071】
図7および
図8に示すように、端子辺40s3および端子辺40s4のうち、絶縁膜31から露出している部分では、絶縁層34と実装端子41Aの界面が露出する。この界面から水分や異物が侵入することを防止する観点からは、界面の露出領域を低減させることが好ましい。半導体装置10Aの場合、
図7に示す半導体装置10と比較して界面の露出領域を低減させることができる点で好ましい。
【0072】
一方、本変形例の場合、実装端子41Aが有している4つの側面のうち、端子辺40s1を含む側面の全体、端子辺40s3を含む側面の一部分、および端子辺40s4を含む側面の一部分が半田部材62と接触する。このため、後述する
図9に示す半導体装置10Bと比較すると、実装端子41Aと半田部材62との接合面積が大きいことにより、接合強度を向上させることができる。
【0073】
図9は
図7に対する他の変形例である半導体装置を示す拡大平面図である。
図9に示す半導体装置10Bは、以下の点で
図7に示す半導体装置10と相違する。
図9に示すように、実装端子41Aは、端子辺40s1および端子辺40s2と交差する端子辺40s3と、端子辺40s3の反対側に位置し、かつ、端子辺40s1および端子辺40s2と交差する端子辺40s4と、を含んでいる。この点は、
図7に示す半導体装置10も同様である。半導体装置10Bの場合、端子辺40s3および端子辺40s4のそれぞれは、端子辺40s1との交点を含む全体が絶縁膜31に覆われている。
【0074】
上記した
図7および
図8に示すように、端子辺40s3および端子辺40s4のうち、絶縁膜31から露出している部分では、絶縁層34と実装端子41Aの界面が露出する。本変形例である半導体装置10Bの場合、端子辺40s3および端子辺40s4のそれぞれは、端子辺40s1との交点を含む全体が絶縁膜31に覆われているので、上記した界面が露出しない。したがって、半導体装置10Bの場合、水分や異物の侵入の可能性がある界面を被覆する、という点において、
図7に示す半導体装置10や
図8に示す半導体装置10Aと比較して有利である。
【0075】
また、半導体装置10Bの場合、端子辺40s2,40s3,40s4の全体が絶縁膜31に覆われているので、半導体装置10や半導体装置10Aと比較して、辺10s1の外側に広がる半田部材62(
図6参照)の量が多い。また、半導体装置10Bの場合、端子辺40s3を含む側面および端子辺40s4を含む側面に半田部材62が広がらないので、これらの側面の濡れ性に起因する半田部材62の形状のバラつきを低減することができる。このため、半田部材62の形状を安定化させることができる。
【0076】
図10は、
図6に対する変形例を示す半導体装置実装構造体を示す拡大断面図である。
図10に示す半導体装置実装構造体101は、実装基板60上に搭載されている半導体装置10Cの実装端子40の構造が、
図6に示す半導体装置10の実装端子40と相違する。
【0077】
詳しくは、
図10に示す半導体装置10Cが有している実装端子40は、配線基板30の面30bと対向する面40tと、面(主面)40tの反対側の面(主面)40bと、を有している。この点は、
図6に示す半導体装置10が有している実装端子40と同様である。
図10に示す半導体装置10Cが有している実装端子40は、面40bの周縁部40Eの形状が
図6に示す半導体装置10が有している実装端子40と相違する。
図10に示す半導体装置10Cが有している実装端子40の面40bの周縁部40Eの形状は、曲面になっている。
【0078】
詳しくは、
図10に示すように、例えば銅または銅合金から成る金属膜40Aが、面40tおよび面40bを有しており、面40bの周縁部40Eが曲面になっている。金属膜40Aの面40bの周縁部40Eのうち、一部分(
図7、
図8、および
図9に示す端子辺40s2,40s3,40s4のうち、絶縁膜31に覆われている部分)は、絶縁膜31と接触する。
【0079】
半導体装置10および半導体装置10Cの製造工程において、絶縁膜31は、例えば、金属膜40Aが形成された後、かつ、金属膜40Bが形成される前に形成される。この時、絶縁膜31は、パターニングされた金属膜40Aの外周端を埋めるように形成される。
図10に示すように、金属膜40Aの面40bの周縁部40Eが曲面になっている場合、金属膜40Aの埋め込み特性が向上するので、絶縁膜31と金属膜40Aとの密着性を向上させることができる。
【0080】
また、金属膜40Bは、金属膜40Aのうち、絶縁膜31から露出している部分の表面上に形成されている。
図10に示すように、金属膜40Aの面40bの周縁部40Eが曲面になっている場合、曲面上に形成されている金属膜40Bは、金属膜40Aの形状に倣って曲面を成す。このため、金属膜40Bと半田部材62との接触界面において、金属膜40Aの周縁部40Eの周辺では、金属膜40Bの形状が曲面になっている。この場合、半田部材62は、実装端子40の側面(
図7、
図8、および
図9に示す端子辺40s1を含む側面)に沿って這い上がり易くなる。この結果、
図6を用いて説明したように、半田部材62の高さH62の最大値を70μm以上にし易くなるので、面62Fの形状は、外観検査における視認性の観点から適切な形状になり易い。
【0081】
図8に示す半導体装置10A、
図9に示す半導体装置10B、および
図10に示す半導体装置10Cのそれぞれは、上記した相違点を除き、
図1~
図7を用いて説明した半導体装置10と同様である。半導体装置10と共通する構造の説明については、重複する説明を省略する。
【0082】
<製造方法>
次に、半導体装置実装構造体の製造方法について説明する。本セクションでは、代表例として、
図6に示すように、実装基板60上に半導体装置10が搭載された半導体装置実装構造体100の製造方法を取り上げて説明する。
図11は、半導体装置実装構造体の製造方法の一例を示すフロー図である。なお、
図11に示す配線基板準備工程から金属膜形成工程までの各工程は、
図1~
図7を用いて説明した半導体装置10の製造方法に相当する。
図12~
図21のそれぞれは、
図11に示す各工程を示す断面図である。
【0083】
図11に示す半導体装置実装構造体の製造方法は、配線基板準備工程、半導体チップ搭載工程、封止工程、基材除去工程、実装端子形成工程、絶縁膜形成工程、金属膜形成工程、半導体装置搭載工程、リフロー工程、および検査工程を含んでいる。配線基板準備工程は、第1パターン形成工程、絶縁層積層工程、および第2パターン形成工程を含んでいる。
【0084】
図11に示す第1パターン形成工程では、
図12に示すように基材80を準備して基材80の面80t上に複数の導体パターン40Cを形成する。導体パターン40Cは、例えば銅または銅合金からなる金属膜であって、
図6に示す金属膜40Aの一部分に相当する。基材80は、
図11に示す配線基板準備工程から封止工程までの間、基材80上に形成される各部材を支持するための支持基板である。基材80は、例えばガラス板、あるいはステンレスなどの金属から成る金属板を例示できる。
【0085】
次に、
図11に示す絶縁層積層工程では、
図13に示すように、基材80の面80t上に絶縁層34を配置する。複数の導体パターン40Cのそれぞれは、絶縁層34に密着し、かつ、絶縁層34により覆われる。絶縁層34の積層方法には種々の方法があるが、例えば、予めシート状に形成された絶縁層34を、基材80上の複数の導体パターン40Cを覆うように貼り付ける方法を例示することができる。絶縁層34は、基材80と対向する面30bと、面30bの反対側の面30tと、を有する。
図11に示す製造方法の場合、面30bにおいて、絶縁層34に導体パターン40C(すなわち、
図6に示す金属膜40Aの一部分)が埋め込まれる。このため、面30bは平坦な面ではなく、導体パターン40Cと対向する部分と、導体パターン40Cと対向しない部分との間に段差がある。
図6に示すように、面30bが有する段差は、完成した半導体装置10においても残っている。
【0086】
次に、
図11に示す第2パターン形成工程では、
図14に示すように、複数のビア配線33および複数の導体パターン32を形成する。本工程では、まず、
図14に示す絶縁層34の面30tから導体パターン40Cの面40tまでを貫通する複数の貫通孔を形成する。次に、絶縁層34に形成された複数の貫通孔内に導体(例えば銅または銅合金)を、例えばめっき等の方法により埋め込むことによりビア配線33を形成する、複数のビア配線33のそれぞれは、複数の導体パターン40Cのうちのいずれかに接合され、かつ、面30tにおいて絶縁層34から露出している。次に、絶縁層34の面30t上に複数の導体パターン32を形成する。複数の導体パターン32のそれぞれは、複数のビア配線33のうちのいずれかに接続される。
【0087】
以上の各工程により、
図3に示す配線基板30の基本的な構造が得られる。
【0088】
次に、
図11に示す半導体チップ搭載工程では、
図15に示すように半導体チップ20を配線基板30上に搭載する。
図15では、半導体チップ20Aおよび半導体チップ20Bのそれぞれが、配線基板30上に搭載された状態を示している。ただし、半導体チップ20の数は、2個には限定されず、変形例として1個の場合もあるし、3個以上の場合もある。
【0089】
半導体チップ20は、電極21を有している。半導体チップ20の電極21は、導体パターン32に接続される。電極21は、例えば半田から成るバンプ電極であり、電極21を加熱溶融させることにより電極21は導体パターン32に接合される。
【0090】
次に、
図11に示す封止工程では、
図16に示すように半導体チップ20および複数の導体パターン32のそれぞれは、封止体50により封止される。封止体50は、面30tを覆うように形成され、面30t上に形成された部材は封止体50により封止される。
【0091】
次に、
図11に示す基材除去工程では、
図16に示す基材80を除去する。
【0092】
次に、
図11に示す実装端子形成工程では、
図16に示す複数の導体パターン40Cのそれぞれの厚さをさらに厚くすることにより、
図17に示す金属膜40Aを得る。本工程では、例えば電気メッキ法により導体パターン40C(
図16参照)の表面上にさらに金属膜を析出させて、予め設定された厚さの金属膜40Aを得る。金属膜40Aの厚さは導体パターン32の厚さよりも厚い。
【0093】
次に、
図11に示す絶縁膜形成工程では、
図18に示すように絶縁層34の面30b上に絶縁膜31を形成する。絶縁膜31は、複数の金属膜40Aの間に埋め込まれるように形成する。本工程において、
図7、
図8、および
図9を用いて説明したように、周辺部実装端子41(および
図2に示す周辺部実装端子42)の端子辺40s2は、絶縁膜31により、覆われる。また、端子辺40s3および端子辺40s4の一部または全部は、絶縁膜31により覆われる。一方、端子辺40s1の一部または全部は、絶縁膜31に覆われず、絶縁膜31から露出する。
【0094】
端子辺40s1が露出するように絶縁膜31を形成する方法としては、端子辺40s1が図示しないマスクに覆われた状態で、絶縁膜31を形成する方法を例示することがある。絶縁膜31としてソルダレジストなどの有機絶縁膜を用いる場合、図示しないマスクに端子辺40s1が覆われた状態で、例えばスピンコート法等の方法で、有機絶縁膜を成膜した後、マスクを除去することにより、
図18に示す絶縁膜31が得られる。また、絶縁膜31として酸化珪素や窒化珪素などの無機絶縁膜を用いる場合、図示しないマスクに端子辺40s1が覆われた状態で、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)等の方法で、無機絶縁膜を成膜した後、マスクを除去することにより、
図18に示す絶縁膜31が得られる。
【0095】
このように図示しないマスクを用いて絶縁膜31を形成する場合、面30bの周縁部は、図示しないマスクに覆われる。このため、周辺部実装端子41および周辺部実装端子41の外周側において、面30bの一部が絶縁膜31から露出している。この構造は、
図6に示すように、完成した半導体装置10においても残っている。
【0096】
次に、
図11に示す絶縁膜形成工程では、
図19に示すように金属膜40Aのうち、絶縁膜31から露出している表面上に金属膜40Bを形成する。金属膜40Bは例えば電気メッキ法により形成することができる。これにより、
図1~
図7を用いて説明した半導体装置10、
図8を用いて説明した半導体装置10A、
図9を用いて説明した半導体装置10B、または
図10を用いて説明した半導体装置10Cが得られる。
【0097】
次に、
図11に示す半導体装置搭載工程では、
図20に模式的に示すように実装基板60を準備して、実装基板60の面60t上に半導体装置10を搭載する。実装基板60の基板端子61上には、例えば半田ペースト63が配置されている。半田ペースト63は、
図21に示す半田部材62を構成する金属成分と、半田の界面活性を向上させるためのフラックス成分と、を含むペースト状の部材である。
【0098】
本工程では、半導体装置10の周辺部実装端子41および周辺部実装端子42のそれぞれが、半田ペースト63と対向する位置で半導体装置10を実装基板60に向かって押し付ける。これにより、半導体装置10の周辺部実装端子41および周辺部実装端子42のそれぞれは、半田ペースト63に密着する。
【0099】
次に、
図11に示すリフロー工程では、
図20に示す半田ペースト63を加熱溶融させた後、冷却することにより、
図21に示す半田部材62を形成する。半田部材62の形状の詳細は、
図6あるいは
図10を用いて説明した通りなので重複する説明は省略する。
【0100】
次に、
図11に示す検査工程では、
図5を用いて説明した外観検査を含む、必要な検査を実施する。なお、
図11では説明を省略したが、
図11に示す金属膜形成工程の後、
図19に示す半導体装置10に対して検査工程を実施する場合がある。
【0101】
<配線基板の変形例>
次に、配線基板の変形例について説明する。
図22は、
図3に対する変形例である半導体装置の断面図である。
図22に示す半導体装置10Dは、配線基板30Aの構造が
図3に示す半導体装置10の配線基板30と相違する。詳しくは、
図22に示す配線基板30Aが有する絶縁層34は、ガラス繊維35を含むプリプレグ材である。
【0102】
配線基板30Aは、プリプレグ材を含んでいるので、
図3に示すようにプリプレグ材を含まない配線基板30と比較して高い支持強度を持っている。
【0103】
プリプレグ材を含む配線基板30Aの場合、面30tおよび面30bのそれぞれに金属膜を貼り付け、これをエッチング法によりパターニングすることにより導体パターン32および実装端子40を形成する。言い換えれば、本変形例の場合、複数の導体パターン32と複数の実装端子40のそれぞれは、一括して形成される。なお、エッチングを行う際のレジストマスクのパターン形状は互いに異なっている。
【0104】
本変形例のように、プリプレグ材である絶縁層34の面30tおよび面30bのそれぞれに金属膜を貼り付け、一括してエッチング処理を施す場合、金属膜の厚さは同じであることが好ましい。このため、
図22に示す例の場合、導体パターン32の厚さは、実装端子40の厚さと同程度である。
【0105】
もちろん半導体装置10Dに対する更なる変形例として、
図6を用いて説明したように、実装端子40の厚さT40が、導体パターン32の厚さT32と比較して2倍以上の厚さである場合もある。例えば、絶縁層34の面30tおよび面30bのそれぞれに同じ厚さの金属膜を貼り付け、エッチング処理を行った後、導体パターン32の厚さを薄くする方法、あるいは、実装端子40の厚さを厚くする方法がある。実装端子40の厚さを厚くする方法としては、
図17を用いて説明した実装端子形成工程と同様の方法が例示できる。
【0106】
また、本変形例の場合、絶縁層34を準備した後で、導体パターン32および実装端子40を形成するので、面30bが平坦面である。この点も
図3に示す半導体装置10とは相違する。
【0107】
図23は、
図3に対する他の変形例である半導体装置の断面図である。
図23に示す半導体装置10Eは、配線基板30を有していない点で
図3に示す半導体装置10と相違する。詳しくは、半導体装置10Eは、
図3に示す絶縁層34および複数のビア配線33を有していない。また、封止体50は、面50tの反対側に面30bを有し、複数の実装端子40のそれぞれは、封止体50の面30b上に形成されている。
【0108】
半導体装置10Eの場合、
図11に示す第1パターン形成工程および絶縁層積層工程を省略して、
図12に示す基材80の面80t上に複数の導体パターン32を形成する。このため、製造工程を単純化することができる点で有利である。
【0109】
ただし、半導体装置10Eの場合、実装端子40を電気メッキ法で形成しようとすると、実装端子40の下地として導体パターン32が形成されている必要がある。このため、導体パターン32のレイアウト上の制約は、
図3に示す半導体装置10や
図22に示す半導体装置10Dと比較して大きい。また、半導体パッケージの強度という観点からは、
図3に示す半導体装置10や
図22に示す半導体装置10Dの方が、
図23に示す半導体装置10Eよりも高い強度が得られる点で好ましい。
【0110】
以上、いくつかの代表的な実施形態について、図面を用いて説明したが、上記した実施形態および変形例には、さらに種々の変形例がある。上記した説明に対して矛盾を生じない範囲において、実施態様の一部を適宜変更することができる。また、例えば、上記した実施の形態および変形例の一部分を他の実施の形態の一部分と組み合わせて適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、半導体装置および半導体装置実装構造体に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0112】
10,10A,10B,10C,10D,10E 半導体装置
10s1,10s2,10s3,10s4 辺
20,20A,20B 半導体チップ
20b,20t,30b,30t,40b,40t,50t,60b,60t,80t 面(主面)
21 電極
30,30A 配線基板
31 絶縁膜
32,32A,40C 導体パターン
33 ビア配線
34 絶縁層
35 ガラス繊維
40 実装端子
40A,40B 金属膜
40E 周縁部
40s1,40s2,40s3,40s4 端子辺
41,42 周辺部実装端子
41A 実装端子
43 中央部実装端子
50 封止体
60 実装基板
61 基板端子
62 半田部材
62F 面
63 半田ペースト
70 外観検査装置
71 照明部
72 光センサ部
73 照明光
74 反射光
80 基材
100,101 半導体装置実装構造体
Ds1,Ds2 距離
H62 高さ
T32,T40,T61 厚さ